「ミサトさん、今日は話しがあるんですけど」
「ん?なぁに改まって」
「その… チルドレンの、福利厚生って言うか… その、給料とか、あるのかな、って思って」
「毎月のおこずかいと経費ならちゃんと渡してるでしょ?」
「いえ、その… 一応、ぼっ… 僕のもの、ですから、確認しておきたくって」
「…シンジ君、まじめに言うんだけど、あなたはまだ法的には禁治産者よ。
…それともナニ?まさかワタシがチルドレンの給料横領してる、とか思ってる?
…いいわ、見せてあげる おいでなさい」
「下6ケタだけ… ですか」
「そ。ここからさきはまだまだ、ね。でも安心して。独立した口座だし、無期限の担保保障もついてるから」
「…チルドレンは… みんな、持ってるんですか?」
「そーよ。… シンジ君、 今日はなにかあったの? …まさか、だれかに脅されてるとか」
「そっ、そんなことありません… ただ… 確認したかっただけです」
「…本当に、何にも無い?」
「…ええ」
「そ… ならいいわ。 でも… シンジ君、覚えておいてね。
このオカネも、貴方が、私たちが生き延びてこそ、初めて価値があるってことを」
「…」
前日午後4:30 Nerv本部
「… 碇君… 話があるの」
「何? 綾波」
「… ここじゃ…」
「ん…?」
「……ごめん綾波… 責任は、責任は取るから」
「…どうして、あやまるの?」
「僕が… 考えなしだったから…」
「いいえ… いいの 嬉しかったから…」
「綾波…」
「碇司令とも相談したわ」
「! …父さんとも…?」
「今は私と、碇司令と、碇君しか知らない」
「………」
「司令は、力になってくれるって」
「…父さんが…」
「…碇君」
「…碇君は、 どう思ってるの…?」
「…… 僕は…」
5ヶ月後 Nerv本部中央棟 エレベーターシャフト
チーン… ガラガラ
「… ! 父さん…」
「…どうした。乗らないのか」
「…」
「…父さん…」
「何だ」
「ごめん…父さん。僕の… 僕のせいで、 みんなに陰で酷い事言われて…」
「…お前が心配することではない 私が、レイのためにやったことだ」
「……」
チーン… ガラガラ
「…ぁ…」
「………」
「ぁ、いぶ……」
ガラガラ… ガチャン
「…………」
「…… ッ…」
チーン ガラガラ
「…ぁ… 綾波…」
「碇君」
「どうした、早く降りろ」
「父さん……」
「シンジ」
「え…?」
「お前は、もうお前だけのお前ではない」
ガラガラガラ…
「…… 碇君」
「綾波…」
「碇君の赤ちゃん… 産んであげる…」
第拾参使徒迎撃戦記録
「ぁああああっ! … ハァ、はぁ…」
「シンジ… 何故戦わない」
「だって… 父さん! ヒトが乗ってるんだよ! できないよ!」
「お前が死ぬぞ」
「…!」
「シンジ。言ったはずだ。お前はもうお前だけのものではない」
「…!」
「シンジ君!3号機のシンクロを全カットしたわ!なんとか、3号機からエントリープラグを
引っこ抜いて!」
「わかりました… ミサトさん! やってみます!」
「…… 碇君」
「綾波… 体はどう?」
「問題、無い… 私も、この子も」
「そう、よかった…」
「3号機の子は…?」
「…… ぅ… ぅうっ… 」
「…… そう」
「…あ… ほら… 碇君」
「… あ…」
「泣かないで… って」
第拾六使徒殲滅戦記録
「シンジ君、 しばらく様子を見るわよ」
「…ダメッ! 碇君、 避けて!」
「…ゥァアアアアアッ!」
「碇君!」
「… 綾波… 来ちゃダメだ!」
「でも!」
「僕は… 僕は! ぐぅうううっ!」
『使徒、形状を双方向に分裂!零号機に接触!』
「ぅう… あああっ!」
「ぁあああやなみぃぃいいいいっ!」
「!!」
…ナカナイデ…
ドクン!