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エヴァのメカニック解析
第7世代コンピュータ
第7世代コンピュータというのはもちろん、現段階では架空のものだ。一応、理論としては
第6世代コンピュータは――人工知能的なコンピュータと位置づけていいだろう。
第7世代はその延長線上にあり、人間ぽいっというか、神格を持ったコンピュータである。
大きな特徴としては機能増殖だ。思考の増殖をし、コンピュータ自体が成長する。
これまでのコンピュータはデータを記憶する。記憶したものを組み合わせるといったような
ことしかできなかったが、第7世代コンピュータはは「思考する」キカイなのだ。
その第7世代コンピュータの集大成というかプロトタイプがMAGIである。
MAGIがこれまでのコンピュータと大きく違うところは、三系統の思考が可能
という点だ。
三系統の思考とは、単に同じものが三つあるというだけでなく、別々の三つの
思考ができるということだ。これが劇的に、飛躍的に進化したエヴァの世界では、
コンピュータの人格をコンピュータ自身が育てる。それがテクノロジー的に可能に
なったのだ。ざっくばらんにいえば、コンピュータに打ち込んでいると、打ち込んでいる
人間の人格が移植されるのだ。
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これまでの概念だと、人間がコンピュータのシステムを育てたが、エヴァの世界では
コンピュータが人間のクセ(性格)を読み取って自己コピーする。打ち込んでいる人間が
何を考えているかも解説できるのだ。
現行システムだとプログラミングするときに、データを打たないといけないが、
人格移植昨日があると、実体化したものをイメージしただけで、そのプログラムを瞬時に
打ち込んでしまう芸当が可能になる。コンピュータのほうで翻訳して、自分のもの
として取り込むことができる。
たとえば現在、コンピュータゲームがあって、それが画像を動かすのに現実的には
データを何十時間にわたって打ち込まなければならない。この第7世代コンピュータでは、
最初はそんな打ち込みをしなければならないが、二回目からはイメージを伝えただけで、
コンピュータが自動的に考えてそのとおりコピー、あるいはそのコピーを展開、発展
する形で、自動プログラミングする。人間が自然言語で入力すると、それをコンピュータが
翻訳してくれてプログラム化するのだ。だからおtk別なプログラミング言語は必要としない。
普通の言葉でコンピュータと対話できる。
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MAGIの三系統思考
第7世代コンピュータは「思考し成長する」コンピュータだが、MAGIの場合は、
さらに三系統、つまり三人の人間の思考を同時に処理できるのだ。それにより
たとえば、司令官のミサトとパイロットであるシンジとの会話がコンピュータを通して
可能になってくる。あるいはパイロット同士のシンジとレイのデータのやり取りが
コンピュータを使って処理可能となる。
問題となるのが三台目のコンピュータ。二台は一人づつの人格をコピーするが、
もう一台のコンピュータが二人のもっとも調和された形をそこから作ることができるのだ。
たとえばAとBが仲が悪かったり、意見が合わなかったりしても、真ん中の
コンピュータがその意見がもっとも調和できる形で調節してくれるのだ。
MAGIには基本的にその能力があるが、さらに人格も移していくということになると、
エヴァはいろいろな人間の人格の影響を受けることになる。まず、MAGIを作った人間、
ゲンドウ、ナオコ、ユイという人間の意志とか思想というものが作られた側に存在する。
こんなふうな使い方をするとか動きをするというようなふうにだ。これは構造上の問題が
大きいから、どんな形になった時点で、こういう動きをする、こういう使われ方をするという
のが決まっている。
今度はそれとプログラムする人間、リツコとかミサトとか加持とかプログラマーとか、
そういう人たちの意志や成果kがプログラムに影響してくる。さらにそれに対して、
実際に動かすパイロットがいて、その三つの意志が調和しなければ有効には動かない。
場面場面で違ってくるが、頭脳が三つあるということを利用して、三つの異なったものを
同時に動かす、あるいは同時進行させる。物語上ではシンクロ・ユニゾン・ハーモニクス
という三つの表現を取っている。
また、戦っていくうちに人造人間エヴァンゲリオンという人格ができ上がってくるのだ。
エヴァンゲリオンの人格は、エヴァにかかわってきた人の人格が調和された形で出てくる。
ただしパイロットが非常に排他的な性格だった場合は、パイロットの個性的な性格になる
可能性もある。パイロット次第でエヴァンゲリオンは、神にも悪魔にもなりうるのである。
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エヴァンゲリオンの素体
エヴァンゲリオンは構造上、素体と呼ばれる人間状の生きものと、これを取り囲む
ような形でロボットの部分、それをコントロールするインターフェイスと呼ばれる
コンピュータとの接続によって動いている。これが末端及びMAGIからのコントロール
によって動いていると思われる。
インターフェイスは直接的にはMAGIとはつながっていないが一応、MAGIの子機
といった性格のもので、基本的にはMAGIと同じ第7世代コンピュータの容量の
小さいものが入っていると思われる。
パイロットはエントリープラグと呼ばれる筒の中に入って、素体の脊髄に入っていく。
これによって素体は麻酔がかかったような状態になる。この状態でMAGIのほうから
脳にかわってエントリープラグが素体に対して電気信号を流して、思いどおりに体を
コントロールする。原則的には脳の信号に似せた信号を少し出してあの巨体を動かすのだ。
それに対して外側の拘束具には、それにシンクロ、つまり同期する形で動かす――これが
基本的な仕組だ。拘束具や末端の意味合いというのは、素体の成長具合によって違ってくる。
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まず、非常に初期の段階。つまり素体がまだ生まれたばかりの時期だが、レイやアスカが
シンクロするのに7ヶ月かかっているということから、恐らく素体がまだ幼く歩行が
できないということと、脳が発達していないので、まだ乳児の状態だというふうに考えるのが
妥当かと思われる。シンジ少年がいきなり乗れて歩けたというのには、パイロットの能力
にはまり関係がないということだ。パイロットが優秀なのではなく、素体自体が
歩けるようになったからだということだ。
ではこの時点で、パイロットの適正とは何かを考えた場合、これは明らかに
コンピュータ側との適正だということ。そしてパイロットはこの時点では、コンピュータ
を二次的に動かしているだけで、実際にはコンピュータが機体をプログラムどおりに
動かしているのだ。
それによって素体の方はパイロットが動かしたことを学習して、次からはMAGIの
コントロールなしでもそういう動きをすることが可能になる。学習するということで、
パイロットからみれば慣れるといったようなことだ。
現行のコンピュータでいうならば、何も書き込まれていない状態のコンピュータだと
考えていただければい。つまり動かすためには先にプログラムを入れなくれはならない。
そのためのプログラムがMAGI、つまりインターフェイス側のプログラムである。
そこで、少年はプログラムに対して適正があるかどうかが問われることになるが……。