【語れ】『逆襲のエヴァンゲリオン』スレ【笑え】

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101名無しが氏んでも代わりはいるもの
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期待されるケンスケ

それまで戦争体験のないケンスケにとって、「戦闘」は疑似体験しかなかった。エアガンや
バーチャルシステムの戦闘や、テレビ・映画などのメディアがすべてだといってよかった。
そのなかでもケンスケのお気に入りは、優間で部下思いの小隊長と、曲者ぞろいだが気のいい
小隊の物語だった。

 ケンスケにとって、小隊長と隊員の信頼関係は絶対的なものでなければならなかった。
それだけに、命令を聞かない碇シンジという男が歯痒かった。また、葛城ミサトというネルフの指揮官は、
優間で部下思いの理想的な人なんだ、と勝手に思い込んでいた。

 あれほど待ちこがれていた野戦訓練なのに、なぜかケンスケの心は満たされなかった。
ケンスケは少しだけ大人になってしまった自分をうらめしく思っていた。

 「ああ、むなしい。やはり実戦を目の当たりにしてしまっては、こんな子供のお遊びなど
やっていても意味がない。葛城体長の指揮下で、命を賭けてエヴァンゲリオンで戦ってみたいものだ」

 こんな思いが、ケンスケを虚無感におとし入れるのだ。心身ともに充実感がないのだ。

 ケンスケは周囲から大きな期待をかけられていた。だからこそ、ケンスケが希望することは、大抵が
かなえられた。「温かい家族がほしい」という願いはかなえられるはずもないので、最近では
口にすることはなくなった。それを見抜いている父は、「軍に入りたければ希望する隊に入れて
やるし、ネルフならいつでもOKだ。政府の役人になりたければ、大学さえ卒業すれば大丈夫」と、
ケンスケの将来を約束してくれている。

 とはいってもそのことは、周囲がケンスケをどうしても必要な人材と期待していることを
意味するものではない。「ケンスケでなければできないこと」「おまえしかできないんだ」
というわけではないのだ。