「ねぇ、そろそろ諦めたら…?無駄なことは」
もがく体を押さえこみながら、尚も続くシンジのあがきにカヲルが呆れたように呟く。
一体、細い体の何処からこんなに強い力が出るのか分からないほどに。
困惑と焦燥が、シンジの頭を駆け巡った。
「じっとしてて。すぐに終わるからさ、君が暴れたら余計酷いことになっちゃうよ…?」
瞬間、口を塞いでいた掌がパッと外される。
外気に晒されるシンジの口元。
すかさず、シンジが声を張り上げようとするも気が付いた時には首をこちらへ力強く方向転換され、代わりにカヲルの顔が目に入ったかと思うと、柔らかい何かが唇を完全に覆っていた。
「んむっ…!?ん、ンンーっ…!」
それがカヲルの唇であるのだということを錯乱した脳で理解し、ばたばたと華奢な体を大きく動かしてなんとか離れようとしても、ますますそれは強く押し当てられ、角度までつけて深く深く口づけられる。
いとも簡単に、シンジの初めての接吻はその少年に奪われてしまい。
苦しそうな声が、空しく室内にこだましていく。
「んん、ンッ…!っく、う…ん、!!ーーうっ!」