【殺してやる!】アスカのヤンデレスレ-U-

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
惣流・アスカ・ラングレー様はヤンデレの先駆け的存在です。
彼女は断じてツンデレなんて言う、低俗なものではありません。
彼女のヤンデレとしての魅力を存分に語りましょう。
ssも勿論OKです。


2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/02/29(金) 19:14:59 ID:/GNtb9GR
落ちたので立ててしまった
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/02/29(金) 19:16:49 ID:/GNtb9GR
というのも、ヤンデレ好きな人に読んで欲しいセリフがあったから

↓ 文学少女と飢え渇く幽霊 より
4名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/02/29(金) 19:20:09 ID:/GNtb9GR
オレは普通の女はダメなんすよ。惚れた男を殺してでも自分のものに
するような、でもって、そいつの生首にキスするような
オスカーワイルドのサロメみたいな女がたまんなく好きなんす。
男を追っかけて蛇になった清姫とか好きな男にもう一度会うためだけに
付け火をした八百屋お七とか、そのっくらい愛されたいし、執着されたいし
憎まれたい。
5 ◆SoryuC4kEE :2008/02/29(金) 19:25:27 ID:???
はじめまして!トリップだけで来てみたわ。
ホントに心からそう思ってるの?いつぐらいから?
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/02/29(金) 19:26:05 ID:/GNtb9GR
俺は精神的マゾなんです。女に愛憎の混じった目で見つめられるて
罵られるとゾクゾクする。
だって人間の感情で一番強いのは憎しみじゃないすか?
愛情は時間が経てば薄れて変わってゆくものだけど
ホンモノの憎しみはそう簡単に忘れられないものだし
時間が経つほど強く大きくなっていくもんだと思いませんか?
憎んでいる方が愛も長く続いてゆくって、オレは思うっすね。
愛しているから憎み続けていくことができるし
憎んでいるから愛し続けることができるって
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/02/29(金) 19:58:44 ID:???
このスレタイどうなのよw
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/01(土) 01:16:49 ID:???
ツンデレのヤンデレなんだけどね。スタレイは「愛してると言わなきゃ殺すわよ」(みやむー詩集)
、「あんたが全部私のものにならないなら私何も要らない」、「抱き締めてもくれないくせに!」のどれか
が良かったなあ
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/01(土) 01:55:25 ID:JsYgDGoO
>>8
長すぎて入りませんでした
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/01(土) 07:54:36 ID:???
【殺してやる!】アスカのヤンデレスレ【ママ!】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/eva/1161952999/
落ちてないし
このスレはもう書き込まず落とした方がいいな
11名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 22:56:29 ID:???
浮上
12名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 23:13:08 ID:???
じゃ、ここを再利用で
13名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 23:37:14 ID:qayCuzhT
ここは僕の立てたスレですよ 嬉しいですね

文学少女と飢え渇く幽霊はオススメです

ぜひ読んでみてください
14名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 23:39:19 ID:???
アスカが一人で嫉妬に狂ってたりすると最高
15名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 23:45:16 ID:???
そっか、ここを再利用か
今更スレ立て乙
16名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 23:46:45 ID:qayCuzhT
ここは僕の立てたスレです つまり僕の功績です

マッガーレ☆
17名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 00:04:01 ID:???
アスカがシンジを監禁しようとするような作品が好き。
あくまでも『しようとする』だけども
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 02:29:57 ID:???
>匂い云々で嫉妬
>先にエヴァに乗る理由聞いただけで仲が良いだの嫉妬
>結果元の鞘とか言う程に以前から付き合ってると思ってた。駅で談笑してるの再確認してまた嫉妬

>ヤンデレ特徴の妄想癖

アスカを叩くつもりのレスの引用だがマジで可愛いとしか思えないw
191  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/15(土) 06:39:33 ID:???
『アスカ入居記念パ〜ティ〜』
手書き感丸出しの手書きの白い横断幕にはそう書かれていた。
食卓の上には肉、肉、野菜。ホットプレート上の肉は、ジュージューと食欲をそそる音を立てる。
「じゃ、いっただっきま〜す!ほら、アスカも遠慮しないでジャンッジャン食べなさい!」
彼女は葛城ミサト。この家の主人であり、とてもそうは見えないが国際公務員で、しかも重職を任されている。
「・・・ってゆーかミサト。三人でこの量は無理があるんじゃない?」金髪の少女がどう見ても五人分はあろう肉を見て言った。
彼女こそがこのパーティーのメインゲスト。惣流・アスカ・ラングレー。
エヴァンゲリオン弐号機専属パイロットだ。
「確かリツコさんも来るんでしたよね?ミサトさん」と、少年。
この優しげな少年は碇シンジ。彼はエヴァンゲリオン初号機専属パイロット。
「そのはずなんだけどね〜。何してんのかしら。アレ頼んどいたのに・・・。
ま、遅れる方が悪いのよ。遠慮しないで食べちゃいなさい」
ミサトは待つのがあまり好きではない。
「あ、そういえば、ファーストチルドレンとやらは来ないの?」大して興味もなさそうにアスカが言う。
ファーストチルドレン、とは綾波レイの事だ。彼女は
「お肉嫌いだから遠慮しとくって。ま、明日学校で会えるわよ」
「ふーん。ベジタリアンってヤツ?なんか病弱そうな子ね」そう言うとアスカは良い色に焼けた肉を豪快に頬張った。
「そんなことない・・・と思うけど」自信なさそうにシンジ。
「まあいいわ。加持さんは来ないの?アタシこっち来てからまだ会ってないのよねー。
アンタ知ってる?加持さん!」
「うん、知って・・・」
「カッコいいわよねー!アンタなんかと違って!」急に身を乗り出すアスカ。
「・・・ハァ」
シンジは、何故勝手に引き合いに出されて勝手にけなされなければならないのか、
と理不尽な少女の言葉に溜め息で答える。
少しブルーになってカボチャをつまむシンジ。その時インターフォンが鳴る。
201  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/15(土) 06:47:41 ID:???
「あら、リツコかしら。悪いけどシンちゃん出てくれる?」ミサトが肉を裏返しながら言う。
「あ、はい」
シンジが玄関に向かい、来訪者を迎え入れた。
「よ。やってるな」
「加持さん!!」言うが早いか、アスカは加持に飛び付く。
「な、何しに来たのよ!?」ミサトは動揺を隠せない。
「リッちゃんに仕事入ったから代わりに、って頼まれたんだよ。ホラ、お待ち兼ねの物だ」
男は缶ビールで千切れんばかりのビニール袋を差し出す。
「わ!これを待ってたのよ〜!・・・じゃない!帰れ!!」
「まあまあ少し位いいじゃないか。なあ、シンジくん?」
この不精髭の似合う男が加持リョウジ。彼もミサト達と同じ組織に勤めている。
「そうですよミサトさん。それに肉は余る程ありますし。じゃ、お皿と箸、取って来ますね」
そう言うとシンジは台所へ向かう。
「お、悪いね」「・・・勝手にしろ!!」「ねえ加持さ〜ん。今迄何してたの?」
アスカは加持が到着してからずっとその腰に纏わりついたままだ。その頭をくしゃっと撫でながら加持は言う。
「ま、大人は色々と忙しいんだよ。それよりいい加減離れてくれないと座れないんだがな」
「・・・は〜い」本当に残念そうにアスカが離れる。
よくそこまで猫を被れるものだ、とシンジは半ば感心しながら加持に受け皿と箸を渡した。
「お、ありがとう」
「ねえ加持さんってば〜・・・」
加持さんの前に立つと別人格が発露する二重人格者なのだろうか、とシンジが本気で思う程にその変わり身は見事だった。
アスカは普段、人に甘える様な素振りを見せる事はない。
それは加持の前にある時だけ見られる貴重な光景だ。シンジにとっては見ていて気持ちの良いものではないが。
「・・・何よシンジ。何か言いたげね」
「いや、なんでもないよ」
アスカは加持さんの事が本当に好きなんだな、とシンジが考えるのは至極当然の事だった。

四人分の肉と二人前程度の野菜が四人の胃袋に収まる頃には、ミサトはすっかり出来上がっていた。
「シンひゃ〜ん。残りのお肉冷蔵庫に入れといて〜」だらしなくミサトが言った。
211  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/15(土) 06:55:49 ID:???
それを聞くとシンジはそそくさと片付けを始め、加持とアスカはその様子を満腹感に満ちながら眺めていた。
「手伝おうか?シンジくん」
「いいのよ加持さん。アイツの仕事だから」
そう。シンジは滅法ジャンケンが弱かった。
その為、家事当番をジャンケンで決めるという葛城家のルールでは、
その大半を彼が背負い込む事となったのは当然の結果と言えよう。
「おいおいアスカ。こういう時に手伝ってくれたりする女の子に、男の子は弱いもんなんだぞ」
「え〜?別にシンジなんてどうだっていいもん。アタシが好きなのは、加持さんだけよ」
「ハハハハハ。参ったなあ、シンジくん」
「ボ、ボクに振らないで下さいよ」困惑するシンジ。
よっ、という掛け声と共に加持は立ち上がり、体を預ける様にもたれていたアスカは体勢を崩す。
「手伝うよ」君も色々と大変だな、と加持が小声で加えて言った。
「じゃあアタシは『加持さんの』手伝いをするわ!」何故かシンジに対する嫌味の様にアスカが言う。
「ハァ・・・とにかく助かるよ」疲れ果てた様子でシンジが言う。
「シンちゃーん。・・・お水ちょうだ・・・ウッ」
今にも戻しそうな様子でミサトが言った。
「おいおい葛城、大丈夫か?少し外の風に当たった方がいいな」
そう言うと加持はシンジから水道水の入ったコップを受け取り、ミサトに肩を貸し、外に出て行った。
「あ、加持さん!」不安そうな声を出すアスカ。
「アスカ。そこのお皿取って」箸の束を濯ぎながらシンジが言う。
「アンタの手伝いなんかしないわよ!」
「・・・」
いつものアスカだ。シンジは思った。
いつもの、と言ってもシンジとアスカが出会ってからまだ二日程しか経ってはいないのだが。
初めて二人が会った時、図々しく、わがままな娘だとシンジは思った。
実際その通りで、むしろシンジの予想以上でさえあったわけだが。

それから五分程が経っただろうか。
「ちょっと様子見てくる!」手伝いをするでもなくゴロゴロしていたかと思うと、唐突にアスカが口走った。
221  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/15(土) 07:05:08 ID:???
加持さんに任せておけば大丈夫だよ、とシンジが言おうとした時には既にアスカの姿はなかった。

アスカは部屋を飛び出し、辺りを見渡す。暗い。良く見えない。目を凝らす。
居た!
二人は通路突き当たりの風通しの良さそうな階段に腰掛けていた。
アスカは更に目を凝らす。暗がりの二人を、凝視する。そして、それを見た。
「・・・!」瞬間、言葉を失う。何故なら二人は唇を交わしていたから。
いや、実際にはこの暗がりでハッキリとは認識出来なかったはずなのだが、アスカは確信していた。二人は隠れてキスをしていたのだと。
「大人って・・・汚い・・・」隣りに誰かが居たとしても聞き取れるかわからない位の小声でアスカが言う。

アスカは最初の衝撃から解放され、少し冷静になる。
次に湧き上がる感情。失望。
アスカは加持の事が好きだった。というより、憧れていた、と言った方が正しいのかもしれない。
それは実際、恋愛感情といった類の物ではなかったのだろう。
だが、だからこそ、失望した。
その現場に踏み込んでやろうか、とも考えたが、やめた。
アスカはただ落胆し、部屋に戻る。
「あ、ミサトさん大丈夫だった?」シンジがタオルで手を拭きながら尋ねる。
「うっさいのよこのバカ!」
答えになってはいなかったが、即答。シンジはアスカの声が少し涙声になっていたことをただ疑問に思うしかなかった。
アスカはまだ荷物の整理も済んでいない自室に駆け込む。

それから遅れる事、二十分は経っただろうか。
「お、すっかり片付いたな」シンジが片付けたリビングを見て加持が言った。
その背中にはミサト。気持ち良さそうに寝息を立てている。
「ん?アスカはどうした?」
「なんでかわからないんですけど、加持さん達の様子を見に行った後、自分の部屋に戻っちゃいましたよ。
会いませんでした?」
「いや、会ってないな。・・・ま、とにかく俺もコイツを寝かせたらお暇するよ」
そう言うと加持は、ミサトを彼女の部屋のいつも敷きっぱなしの布団の上に寝かせた。
231  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/15(土) 07:10:32 ID:???
「じゃ、世話になったな」「はい」
「アスカの事、よろしくな」「あ、はい」意外な言葉にシンジは少し驚く。
加持はそれだけ言うと帰っていった。
今日は何だか疲れたな。ぼそっと一人言を呟くとシンジも自分の部屋に向かう。
彼の部屋はアスカが引っ越して来た事で、狭い方へと追いやられてしまっていた。
アスカが引っ越して来てからのわずかに二日間。彼はその間アスカに振り回され続け、
それ以前の一週間分もあろうかという疲労を蓄積していた。
だが、それでも不思議な高揚感があった。同年代の女の子との同居。
それを何とも思わない健康な中学男児は恐らく居ないだろう。シンジもまた中学男児なのだ。
しかも、相手は飛び切りの美少女ときている。シンジもまた一人の男だ。
だが、果たしてあの性格最悪少女と上手くやっていけるのだろうか。
これからの生活に多大な不安とほんの僅かな希望を抱きながら、少年は眠りについた。
その性格最悪の美少女同居人が隣りの部屋で一人涙していた事など知る由も無く。
24 ◆FPBUMtkkbw :2008/03/15(土) 07:18:07 ID:???
たかが導入部なのに細かく描写しようとしたらこんなに長くなってしまった・・・

今回は考えながら書いていくので前回の様にサクサク投下は出来ないと思います
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 07:33:53 ID:???
GJ
続き楽しみにしてるよ
26名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 10:08:38 ID:???
GJ続き期待
27名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 12:20:59 ID:???
がんばれ超がんばれ
28名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 14:41:36 ID:???
大いに期待しています!頑張ってね!
29名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 14:53:59 ID:???
つまらない
30名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:43:48 ID:???
うまいよ!!はっきり言って君の楽しみにしてる!
どんどんお願いね!!
31名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:50:58 ID:???
>>29が例のツンデレスレの荒らし

こんな事ばっかりやってる
32名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:52:25 ID:???
俺もつまんないと思うな 目障りだからやめてほしいよね
33名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:53:18 ID:???
僕もこういう作風は嫌いだよ スレ汚しとはこのことだね
34名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:54:18 ID:???
初心者丸出し乙wwwwwwww
35名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:54:54 ID:???
>>33
同意
36名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:54:54 ID:???
とまあこの様にわかりやす過ぎる自演を続けるのです
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:56:22 ID:???
>>36
自演はおまえだろ
38名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:57:49 ID:???
事情を知っているものはこのアホのことを“汚職人”と呼ぶ。みんなも最大限の軽蔑の念をこめて“汚職人”と呼ぼう!!

そして死ね!!氏ねじゃなくて死ね!!
39名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 15:59:20 ID:???
いやそんなことよりレスしないのが一番だよ

まあ気持ちはわからんでもないが
40名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:27:24 ID:???
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42名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:31:15 ID:???
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     ! ハ!|  ー─ '  i  !    `'   '' "   ||ヽ l |
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43名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:33:14 ID:???
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                    ,. -‐-、/         /   ヽハ:∧:/j:/
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         ,. -;´‐-; 、       ヽ      { ̄ヽ
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        ∠;_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',ヽ-  .._   ヽ  _ ,/  \
.       {;;/ \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ', ヽ   マヽ',. / _   ヽ,
      ∨   ヽ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}       マ=7  l 丁 「

44名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:35:03 ID:???
              
 へーえ         ̄/|              s__(´∀`  )
    ̄       /./               (|_|/    <
二二二二二二二|/            /.⌒ヽ     >.  )
| |         | |         へ_/  ⊂⊃(⌒  /
                    \    ̄ ̄     ̄丿  
                         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
                        \人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人/
                           
                         なに人の家でおもいっきりくつろいでやがるんだっ

                                .==/⌒\====/⌒\
          ))
              (゚∀゚l|l ∨∨(_ _   )======= |      |=====
 キモーーーーーーツ .:∴:  ⌒ヾ  \   |========\     |===== 
            ∴∵∴: (⌒ ノ   )  (========丿   <=====
     ((((( ))     (| ̄|/ ̄ノ   (   ─────⌒ヽ ̄ ̄ ̄  丶====
     ( l|l゚Д゚)      / ̄/  /     ヽ_ノ ̄ヽ___ へ_____丿====
   _/    (⌒ ソ    / .(_丿 .| ヽヽ___==========\  \===
   (__/\   ̄|   (_丿  ─┼─    /  ==========.\  ヽ== 
                   ./ | \  /\    =========..\
                     .|   /   .\丶丶/ ========
45名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:37:12 ID:???
\\   一  万  年  と  二  千  年  前  か  ら  愛  し  て  る  //
  \\  八 千 年 過 ぎ た 頃 か ら も っ と 恋 し く な っ た     //
   \\       一 億 と 二 千 年 後 も 愛 し て る          //
     \\ 君 を 知 っ た そ の 日 か ら 僕 の 地 獄 に 音 楽 は 絶 え な い//
       _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.
     ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
     (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡
    _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.
  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
   |   |     |   |     |   |     |   |    |   |     |   |     |   |
   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J.   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
46名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:38:43 ID:???
 艦長!本艦(このスレ)いまにも落ちそうです

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          〈(,'⌒`ヾ ∧((∞)、
.         ___从冂二冂∬´_ゝ`)
      ∧⊂/ ̄|二| ̄\つ∧二ヽ
      ι匚|_/_\_匚i_|∪∪i]
      \/∠ / / \_/二/
      /∠ / /       ┌───────────
     /∠ /.彡 ⌒ ミ ___ ∠、 職人!ネタ投下薄いぞ
   /∠ / /7´く_` #) / |   | なにやってんのッ!?
  /∠ /   ○ =i|= ~)/ |   └───────────
/∠ /  i'''√√ i'''i ̄ ,,,,/ .@@@.  ┌────────
∠ / /__(_(_)/ ̄   @ _、 _ @ ∠ プッ (薄いって)
 / /  \\\/        ( ,_ ノ` )   | お前がが言うなよ
          ̄ ̄  | ̄ ̄ ̄ ̄| ̄\ )   └────────‐
               |        |   |
47名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:39:29 ID:???
長澤まさみ
「『あなたのことが大好き』と告白する今回のCM(NTT西日本)はハンカチ王子だけをイメージしました!
 佑ちゃんにCMで公開告白です(笑)」
「ハンカチ王子と同じ世代に生まれたことを誇りに思います」

カンニング竹山
「長澤まさみは将来的には上手くハンカチ王子とくっつくんじゃない?
 昔の美空ひばりと小林旭や、松田聖子と郷ひろみみたいに。その世代を代表するカップルとして」

日米野球で大勢の報道陣を連れてアメリカに来たハンカチ王子をアメリカのTVニュースが全米放送で
「彼は19歳ながら日本ではパリス・ヒルトン級のスター
 違うのは彼には実力があるということでしょうか」

宇多田ヒカル
「楽天の田中君が好き。何か困ったことがあったらお姉さんに言ってね、何でもするから!」

爆笑問題の漫才DVDより
太田「斎藤君と田中君の漫画みたいな宿命のライバルは滅多に出てこないですよ!
   このライバル関係は一生続きますよ。多分野球以外のことでも
   一人の女を斎藤君と田中君が奪い合ったりね。例えば山本モナとか」
田中「何でモナを奪い合うんだよ!歳ずっと上だろ!」
太田「ハンカチ王子と山本モナが路上キスしたり」
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:41:39 ID:???
/lニ/  /二ニluul.  |                 !
  |    ___| ̄ |  |  |_|.      l                /
 └─(    )(ニ|  ̄|./二ニ)     ヽ              /
      ̄ ̄  /   )            >━━━━━━ く
            `ー ´            /               ヽ





51 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん :2008/03/11(火) 19:34:21 ID:f4XbfAnT0
───┐    ∠_      \L
 ̄ ̄ ̄| |     llヽ _|      ヽ  「あれ?おまえなんかなかったっけ?
      | |     |l ̄| |       l  時間を行き来するやつ」
      | |    /  ´\     /        
      | |     ヽ、_   `^イ          
二二二 」 _ __ lニ二二l、           ____
─┴┐ ⊆フ_)__./   ┌ヽ ヽ┐   /´       `\
二二二二二二l  /    |  |   | |.  /             ヽ
_l_____| /`ー─‐|_|   |_| /             ヽ
  |       /`ヽ__, ─ 、ノ |─l  l               l  「いやタイムマシンだろ・・・そういやここ数年時間旅行してないな」 
  |───/  /lニ/  /二ニluul.  |                 !
  |    ___| ̄ |  |  |_|.      l                /
 └─(    )(ニ|  ̄|./二ニ)     ヽ              /
      ̄ ̄  /   )            >━━━━━━ く
            `ー ´            /               ヽ

49名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:42:37 ID:???
───┐    ∠_      \L
 ̄ ̄ ̄| |     llヽ _|      ヽ  「小学生のしずかちゃんレイプし行きてえなwww」
      | |     |l ̄| |       l
      | |    /  ´\     /        
      | |     ヽ、_   `^イ          
二二二 」 _ __ lニ二二l、           ____
─┴┐ ⊆フ_)__./   ┌ヽ ヽ┐   /´       `\
二二二二二二l  /    |  |   | |.  /             ヽ
_l_____| /`ー─‐|_|   |_| /             ヽ
  |       /`ヽ__, ─ 、ノ |─l  l               l  「お前もう終わってるよ。マジで」 
  |───/  /lニ/  /二ニluul.  |                 !
  |    ___| ̄ |  |  |_|.      l                /
 └─(    )(ニ|  ̄|./二ニ)     ヽ              /
      ̄ ̄  /   )            >━━━━━━ く
            `ー ´            /               ヽ
50名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:43:10 ID:???
594 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん :2008/01/08(火) 03:08:07 ID:+NnutKNv0
             ,,,,,,,,---,,,,_
            ./`      `゙''ー、、
           ,i´   _..         ゙i、
           l゙   .‐[♀`!―-、,,, 、  ゙i、
          │  : ,i´`'"'_;;;;;;;;;;"'ヽ、  ゙l,   戦死した仲間パーティーをハゲめと言ってやれ。
          │ ||.,z=''"゙;;;;;;;;;;;;;;ノルヾ゙l,,、`'i
           ヽ/,,--;''~/'--‐ ゙  )v-、 !
            ‘'゙゙|i''''r_,--┴z,,_ノ ノj.}'-'゙--z,,_
            _.,,ノ [ ._,,,,,,--,,,ゝ `ゞ)ノ ニェ 、">---,,、
        .,/゙゙"ン:l゙  `゛ー-    _,////:::::::\,/"''''''''!┴-
.      /_,,、::::〈:::;i|i、v,、_,,,,,,,,,,,,r'"ソ,//       ./
.    _/,ン'''iヽヽ_゙=(.,,,,,,,ソ,,,,,ノ,,,,,,ノノ'"       __,,,,,,,,,,,-
   ィ'゙ン'゙,.〈〈〈/r-ニニニ===="''''''~~/ニ i---―一='''"
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                 ,,,,,,,,,,,,,,|::::::|
                 "   "
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:44:39 ID:???


      / ̄\
      |    |
      \_/     ヽ 意義あり!
       __|__     )
    /:::\:::::/::\   `v'⌒ヽ/⌒ヽ/          ,. ‐- .. _
   / <●>::::<●>\                   /  __  `` ー-
  /   (__人__)   \               , ィ/   ゝヽ ̄ヽ ー- '
  |      |::::::|     |            _ / { {ヽ、_   ヽ' ノ_,.〉  
  \     l;;;;;;l    /_ -ァー- 、_...-‐ '  ヽヽ、 `>、..ノ=┘
   /j >-‐ `ー'  //   /    /   _ノ      \ `ー '!
, -‐ 7´/{⌒|  / _/    j               >‐'
 / //| 〉‐f/ \'     !             ,
52名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:45:12 ID:???
              /ヽ    _,
          /∧:}_ /イ}
        ,ィ : ^^: : : :^ヾV
     { { /: : : : : : : : : : :ハ
       !: : :/: /{:ノリ^j ノl: | モグモグ…
        |: : :|: :| ○  ○W 
        |: : :|: :|ー>‐'ー1イ:|  わっちに、桃や梨の
         j: :.人_に{^)_,ノ)j/  .蜂蜜漬けを恵んでくりゃれ。
   i{`ーz‐ヘ: : :{´ _(入j:厂  
    `<__Y( ̄   `ヽ  ●●●
       `⌒`ー‐'´ ̄
53名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:47:27 ID:???
したら怒られる…生意気……恐い?違う!ツンデレ!!ツンデレだよおお!やばいよやばいよおおおおお!
ああああああ怒ってください!!!!ツンツンしながら話術で僕を罵ってくだしゃいいやあああ!おおそこそこ…おお
きもちいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!かいかああああああああああああああん!!!はぁにゃ、ふにゃああああん
ああああああああああんホロたん!ああホロたん!……ああホロたんホロたんホロたん!あああはあはあはあうううんあああん!!
あああホロたん!夢の中でもホロたん!起きてても目の前にはいつもいつでもホロたん!ずううううっと一緒だね!フヒヒヒ!
フヒ!フヒヒヒ!あああ見て!ほら!ねえってば!もっとこっち見て!ああホロたん!あああああん……そう!そうそう!ほら!
ほら笑って!笑ってよホロたん!!ああああああああああああああああんきゅいんきゅいん!可愛い可愛い可愛いいいん!!1
僕知ってる!ホロたん本当はでっかい狼で……そしてとってももふもふぎゃぎゃぎゃあああああん!!はあああん!ぬぅ……す
す、す、好きだあああああああああああああああん!!!僕はホロたんが好きだああああああああん!うわわあああん!!
ああっ!もう!ホロたん!ああホロたん!ホロ!ホロ!ぃいいやっほおおおおおい!!!はあ!はぁはぁはぁ!はぬううん!
うわああああああああああああああああああん……ふぅ…………う…う……うううをおおおおおおおお!きゃわいいいん!!
もふわあああああああああああああああああああああん……ふぅ………はぁ…はぁはぁ……はううううううううううううん!!
うをををっっっをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお…ふぅ……ぅおおおおおおおおおおおおおおおおん!!
キタキタキタあああああ!!!無限ループキタああーーーぁああんしゃうんあ!!!ああああもうっ!離れられないいいい!!
…ああああん!ひゃあああああああああああああっんホロとぅわんがおっしゃてう!!ず、ずっと一緒だよ!ってあああああん
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:48:25 ID:???
                   __
               , -‐' ´     `ヽ __
              、_,/  、   、ヽ.  く`
              ノィ M人/Vレl  ト、 |
               ノハ レ',二、 | ノ ノ ト!
       _,,        Yヽヾ)'´ V く   |   _
      _ノ/|   _,,    ノ      ``7T'「: :./:`ヽ
   /: :  ̄`ー'´(   〈Y`⌒ヽ   ノ: ._/ /: |: : l : : :
  / : : l: : .:i斗ナノハ)  (     )ー'⌒Yヘ./: : !: : :ヾ: : :
 .: : : : : | : : lY弋八   flV) 〈Y    | ./: : :.|: : : : : : :
 : : : : :i::| : : |゙゙゙    7  ヾ二ノ゙)┐  |/へ:_:」: : : : : : :
 : : i : :l::|: : .:! マア人\  くゝ  !   !ヽ: : : : : : : : : : :
 : : l : :l::l: : .:|r‐―く   ).:)   |  │  |: : \: : : _,. -‐'´
 _斗―ノ: : ノト-―┴-'∠. __|  | ⊂ニ_ヽ: : : {: : : : :
   / ;.イ〜|  /      ヽ  |⊂ニ_.- `ーくヽ: : : :
  / : :/ l| /  |‐-r‐r―-__-― '_⊆-‐7,._,ノV^ー
 ノ,/  ⊆⊇  | ノィノ /,⊂ニ ̄_): ): .:{ノ: : : : : : : : :
 人   (__丿  ノ     {ノ几!厂`ヽ._
         /
アニメED
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:49:09 ID:???
              ___
            ,..イ,r /   __     あ・・・ありのまま今起こったことを話しんす!
          / / }/__,イr'"´}
       ,. ´/  /‐''"'   {"、 i}      『ぬしじゃと思って抱きついたら
      /  '   /       ヾ}          全く知らん人間じゃった』
    /   /   /  ,/ |  | } ,ハ
.   / /  ,′  ,' / |l| | | l| |  ||      な・・・何を言うとるかわからんと思うが、
     ,′! ′  f' /! _|」 | L」_|  l!     わっちも何をしてしまったのかわかりんせん・・・
      | |    l7テ_」ノノ}ノ _」|! /′
       | |    lr升(``  ハ)ノイ        頭がどうにかなりそうじゃ…
     ,'│   |ヾzク   マ { ',
     / ,ハ.   | xxx.   '丿 ヽ        二日酔いとか取り乱していたとか
.    / / ム,  ', -='''"""''''ヽn  ヽ        そのようなたわけたものじゃあ ありんせん…
      /r'": :'.  ヾー 、    |ノ`!、 '.
   //: : : : :ヽ  ヽ_......___   し'ノ': ,'.       もっと恐ろしきものの片鱗を味わったわ…
.   rく__: : : : : :.\  \-‐く      ':,
    ′  `ヽ : : : : :\  ヾつ、   , ,',',',':,
56名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:50:00 ID:btlMJ7X4
AAスレの者だ 誤爆してしまった すまない
57名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:53:35 ID:poo7WORR
言っておきますが僕は無関係ですよ?
マッガーレ☆
58名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 17:20:52 ID:???
        `!                    /
        ヽ     ゙  ̄   ̄ `     / |
            |\      ー ─‐       , ′ !
           |  \             /   |
      _ -‐┤ ゙、 \           /  ! l  |`ーr─-  _
 _ -‐ '"   / |  ゙、   ヽ ____  '´   '│  !  |     ゙''‐- 、,_





43 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 16:33:14 ID:???
                    , : .´: . : . : . : . : . : . : . :ヽ-、_
                  /: . /: . : . : .:.: : .:.:. : . : . : \:\
                 /: . : .,': . : . :. : .:.:.:. : :.:.:.:.: :.:. : . :.:. : .ヽ
                   /: . : . :/: . :.:.:/: /:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :\:. : ',
                イ/:/: .〃: :.:.:.:.{: :.|:.:./!:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.: ヽ: :.ヽ
                 '}/<7: . イ:.ノ!:.∧:.| |:.:|:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.}:.:.W:.:.: : ',
                イ-−{/ .レ'‐lノ=ヘ:!:ヽハ:.:.:.:.|ヽ:.:.:.|:.:.}:.:.:.:.:.:.:く
                 |-‐     -   二 -lノ}:.:|ニ',:.: |!:/:.:.:.:.:.:.:.:.|
                      L  -‐  Z7;;;7  /   l;ィテト、:!ノl:.:.:.:.:{ヽ: |
                   /: . : . : :.:.:.:V;_;/ ̄   .   ヒソ ' .イl:.:∧:| ',j
                    イ: . : .',: . : . :.:.ゝ    ;     ノ:./j:/ N
                   ハ: . : ヽ:.: :\ゝ  _     ∠:イ:.:.:.}
                  |:ハ: . :.ヽ:. : .ヽ   `    /:.:.:l:.:.:.::|   何、この空気は?
                    }:∧:.:Wヽ:.ゝ   . イ:.:.:.:.:. |:.: l::|
                    ∧:{   ` - <jハ:.:i:.:.:.l:.:. |: ∧l
                    ,. -‐-、/         /   ヽハ:∧:/j:/
59名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 17:21:19 ID:btlMJ7X4
  / : : l: : .:i斗ナノハ)  (     )ー'⌒Yヘ./: : !: : :ヾ: : :
 .: : : : : | : : lY弋八   flV) 〈Y    | ./: : :.|: : : : : : :
 : : : : :i::| : : |゙゙゙    7  ヾ二ノ゙)┐  |/へ:_:」: : : : : : :
 : : i : :l::|: : .:! マア人\  くゝ  !   !ヽ: : : : : : : : : : :
 : : l : :l::l: : .:|r‐―く   ).:)   |  │  |: : \: : : _,. -‐'´
 _斗―ノ: : ノト-―┴-'∠. __|  | ⊂ニ_ヽ: : : {: : : : :
   / ;.イ〜|  /      ヽ  |⊂ニ_.- `ーくヽ: : : :
  / : :/ l| /  |‐-r‐r―-__-― '_⊆-‐7,._,ノV^ー
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


55 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2008/03/15(土) 16:49:09 ID:???
              ___
            ,..イ,r /   __     あ・・・ありのまま今起こったことを話しんす!
          / / }/__,イr'"´}
       ,. ´/  /‐''"'   {"、 i}      『ぬしじゃと思って抱きついたら
      /  '   /       ヾ}          全く知らん人間じゃった』
    /   /   /  ,/ |  | } ,ハ
.   / /  ,′  ,' / |l| | | l| |  ||      な・・・何を言うとるかわからんと思うが、
     ,′! ′  f' /! _|」 | L」_|  l!     わっちも何をしてしまったのかわかりんせん・・・
      | |    l7テ_」ノノ}ノ _」|! /′
       | |    lr升(``  ハ)ノイ        頭がどうにかなりそうじゃ…
     ,'│   |ヾzク   マ { ',
     / ,ハ.   | xxx.   '丿 ヽ        二日酔いとか取り乱していたとか
.    / / ム,  ', -='''"""''''ヽn  ヽ        そのようなたわけたものじゃあ ありんせん…
      /r'": :'.  ヾー 、    |ノ`!、 '.
60名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 20:18:31 ID:???
反応するからこういうことになるんだよ
61名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/15(土) 22:29:15 ID:???
俺にはもう見えないがな
62名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 08:00:34 ID:???
アスカは微ヤンデレが一番萌える
63名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 11:10:43 ID:???
>>62
そうですね、僕も同感ですよ。
涼宮さんも微ヤンデレならもっと魅力が増すでしょうね。マッガーレ☆
64名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 11:44:13 ID:???
この前投下してくれた職人さんがいま考えてくれてんだからそれに期待しようか。いま投下期待できるのはあの人の作品だけだからね。
65名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 13:33:50 ID:iZTPMOC/
僕は? 期待されてないんですか……? マッガーレ☆
66名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 14:19:24 ID:???
でも今回は考えながらって言ってたし
俺達の意見も多少材料になるかもしれないぜ

まあ各々の嗜好を言い出したらキリがないけどさ
67名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 17:41:17 ID:???
>>66
は? きんも〜wwww
68シンジ切れる アスカ目線:2008/03/16(日) 19:15:15 ID:???
「もぉ〜このバカシンジッ!アンタッてホント何をやってもだめね!
ホント使いものにならないわ!」
「…」
「なんか言いなさいよ!ホント意気地なしなんだから!」
「…んだよ…」
「ふぇ?」
「なんだよ!いちいちうるさいんだよ、アスカは!」
そう言うとシンジは部屋へ走っていった。
アイツこのところ変だ。
アタシに口答えすることが多くなったし登下校も一緒じゃない。なんで?
69名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/16(日) 20:47:26 ID:???
まあ
ですよねー
70名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 03:59:10 ID:???
>>68
続き期待
71名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 08:25:58 ID:???
シンジがキレるならまだしもシンジが切れるのは
痛々しくて嫌だなw
72名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 08:36:38 ID:???
キレて切れるんだろ
73名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 17:35:39 ID:???

     ザッ            ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ
                __,/ヽ_ /ヽ__,.ヘ /ヽ__,.ヘ _,.ヘ ,.ヘ    ザッ
    /\___/ヽ   /\___ /\___/ヽ _/ヽ  /\___/ヽ
   /''''''   '''''':::::::\/''''''   '''/''''''   '''''':::::::\   /''''''   ''''''::::::: \
  . |(●),   、(●)、.:|(●),    |(●),   、(●)、.:|、( |(●),   、(●)、.:|
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|   ,,ノ(、_, )|   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|_, )|   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::|   `-=ニ= |   `-=ニ=- ' .:::::::|ニ=|   `-=ニ=- ' .:::::::|
   \  `ニニ´  .:::::/\  `ニニ \  `ニニ´  .:::::/ニ´ \  `ニニ´  .:::::/
   /`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐-  /`ー‐--‐‐―´\-‐‐ /`ー‐--‐‐―´\
「vipから来ますた」「vipから来ますた」「vipから来ますた」「vipから来ますた」

74名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 21:54:28 ID:???
僕が投下したら読んでくれますか? マッガーレ☆
75名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 22:07:15 ID:???
キレて切(ら)れる
76名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/17(月) 22:15:42 ID:???
443 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 15:08:38 ID:???
EOEから10年後
アスカはシンジとの間に生まれた娘にレイと名をつけた
行方不明となったかつての同僚、その存在を忘れないようにとの理由からだが夫は複雑な顔でそれを承服する
やがてレイが育つにつれ、その面影は綾波レイに似てくる
レイとユイの関係を知らないアスカは、ある日ふと恐ろしい想像をする
「この娘、本当にワタシの子供なの?」
仕事疲れからくるストレスが生んだ妄想だと笑い飛ばしてみたものの、不安は胸にくすぶり続ける。何しろネルフという組織は未だに非公開組織として存在しており、そちらとの関係は断ちきることはできないのだから
シンジは過去を受け入れて良き父親であろうと努力し家族を愛するが、娘を溺愛するその姿に妻が不信を抱いていることに気がつかない
ノイローゼ寸前にリツコの元へ問いただしに行くアスカ
リツコはアスカの妄想を知らずにいる為、贖罪の意味も込めて綾波レイの正体を語る
呆然と自宅へ帰るアスカ。そこへ無邪気に寄って来る娘
「……おかぁさん?」
「……ねえ、あんた、ファーストなんでしょう?」

シンジがリツコに言われて慌てて帰宅すると、レイの首を締めるアスカの姿が……とか

某所からのコピペ
こういうの大好物
77名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/18(火) 00:53:51 ID:???
仕事が終わり、僕はいつもと変わらぬ足取りで家の中に入った。
でもそこには日常とはかけ離れた光景があった。

散乱する本、食器、雑貨。まるで強盗が押し入った後のようだった。
そして部屋の真ん中でアスカがレイの首に両手をかけている。
レイの体は浮き上がり声にならない声がわずかに漏れ出している。

「何するんだアスカ!」
一瞬、あまりに異様な光景に僕の足はすくんでしまったが、次の瞬間には
僕は走り出していた。そしておもむろにアスカの両腕をつかみ引き剥がそうとする。
アスカの腕には相当な力が込められていて簡単にはいかない。
「やめろよアスカ!」
僕はアスカの顔を睨みながら叫んだ、が、即座に血の気が引くのを感じた。
アスカはレイの首に手をかけたまま笑っていた。その笑みには生気を
感じない。死人が笑っているようだ。
782  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/18(火) 11:45:42 ID:???
翌朝の事だ。アスカは制服に着替えて部屋から出て来た。不機嫌オーラを周囲に発しながら。
そして食卓に並べられた朝食には見向きもせずに玄関へ向かう。
「あら?アスカ、朝ご飯いらないの?折角あたしが二日酔いと戦いながら作ったのに」
数少ないミサトの朝食当番の日である。
「・・・いらない」一人玄関で靴を履きながら、ミサトに声を掛けられ一層不機嫌になったアスカが答える。
「・・・ねえねえ、昨日何かあったの?あたし途中から記憶ないんだけど」
ミサトがアスカに聞こえないよう、シンジに小声で尋ねる。
「僕にもわかりませんよ。昨日は特に何も無かったと思いますけど」
シンジも小声で返す。その時、ドアが開き、閉まる音。
「あ、アスカ!ちょっと待ちなさいよ!ホラ、シンちゃんも急いで!」ミサトがシンジを急かす。
「な、なんで僕まで?」シンジはミサトに導かれるままに玄関へと向かう。
「早く!靴履いて!いい?帰る迄にアスカが不機嫌な理由を突き止めて、機嫌を直してきなさい」
「ええ!?なんで僕が・・・」靴を履きながらシンジが答える。
「口答えはなし!これは命令よ!失敗したら今日の夕食抜き!」ミサトが腕組をして言う。
「そんな!というか僕が夕食当番じゃないですか!」靴を履き終えたシンジはミサトの方へ体を向ける。
「カンケーなしっ!とにかく頑張って!じゃ、いってらっしゃーい」
そう言ってミサトはシンジの肩に手を乗せ、彼を180°回転させる。
「ちょ、ちょっとミサトさん。そんな事言われても、僕には無理ですよ」
「大丈夫だって。アスカだってシンちゃんには割りと気を許してるみたいだし。ね?
そういう訳だから、早く追い掛けなさいっ!」
言うだけ言うとミサトはシンジを送り出す。腕力で。
「うわわっ!ミ、ミサトさん!」
シンジは体勢を崩しながら通路に放り出され、背後のドアからは鍵の閉まる音がした。
「・・・ハァ」あきらめてアスカを追う事にするシンジ。
792  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/18(火) 11:50:26 ID:???
既にアスカはエレベーターで一階まで降りていた。シンジも同様に先を急ぐ。
「ミサトさんも勝手だよなあ。僕にそんな事出来る訳ないのに。大体気を許してるんじゃなくて、
あれは僕の事なんてなんとも思ってないだけじゃないか。晩ご飯は自分でなんとか出来るから別にいいけど。
でもアスカが機嫌悪いととばっちり食らうのはどうせ僕だからなあ。・・・よし、自分の為にも頑張ろう」
下りのエレベーターの中で彼は長々と独り言を呟いていた。
エレベーターが一階に着き、ドアが開く。最初になんて声を掛けるべきか。
シンジはそんなことを考え始めていたが、すぐに答えを出さなければならなくなった。降りてすぐの所でアスカが待っていたからだ。
驚いたシンジは咄嗟に言う。
「ア、アスカ。待っててくれたの?」
「んなはずないでしょ。このバカ。アンタが居ないと学校どこかわかんないじゃない」
アスカにとって待っていた事にはならないらしい。
「あ、そっか」「いいから早く行くわよ」
雲一つない晴天。二人は歩き出す。しばらく沈黙が続き、シンジは核心に迫る為の言葉を選ぶ時間を得た。
(なんか機嫌悪いね。どうかしたの?・・・ストレート過ぎるかな。
お腹すかない?・・・聞いてどうするんだ。
二日酔い?・・・冗談言える空気じゃないよ。
う〜ん・・・。と、とにかく何か話し掛けてみよう。それからだ)
一応の結論を得たシンジが意を決してアスカに声を掛ける。
「い、いい天気だね」「・・・」
「えっと、なんか機嫌悪いね。どうかしたの?」「・・・」
「お腹空かないの?」「・・・」
「ふ、二日酔い?」「うっさいのよバカ!黙って歩きなさい!」
「ご、ごめん」「フン!」
またも沈黙は続き、二人は一つ目の信号に引っ掛かった。
「・・・あームカツク!」「あ、ここの信号は長いからね」シンジが即座に答える。
「違うわよ!」「え?じゃあ何が?」
「・・・大人が」「大人?ミサトさんの事?」
その時、歩行者用信号が進行の許可を出す。二人はまた黙って歩き始めた。
802  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/18(火) 11:58:06 ID:???
二十メートル程直進し、左折。少し歩くと、二つ目の信号に引っ掛かる。
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
812  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/18(火) 12:02:04 ID:???
「・・・ごめんなさい。静かにしてもらえる?」
この一言で遂にアスカはレイの本をその手から強引に奪い取った。だが、それでもレイは動揺した様子もなく、
今は彼女の手を離れアスカの右手に収まっているその本をただ呆然と見つめていた。
「アスカ!何してるんだよ!」その様子を見ていたシンジが駆け付ける。
「何よ!悪いのはこの娘の方じゃない!」アスカがレイの本をぶっきらぼうに返しながら言う。
「ごめん綾波。今日はなんか機嫌悪いみたいなんだ、アスカ」シンジは周りに人が居なかった事にほっとしていた。
転校初日から喧嘩していたとあっては、第一印象が最悪だったろうからだ。
「アタシは悪くないわよ!その娘の態度が悪いからいけないんじゃない!」
「と、とにかく職員室に行こうよ。案内するから」
そう言うとシンジはアスカの手を取り廊下に連れ出した。
何事もなかったかの様にレイは再び読書体勢に入っていた。

「何よアンタ!あの娘の味方ばっかりして!」アスカがシンジの手を振り払いながら言う。
そして何か思い付いた様な仕草をしてから、
「ああ、なるほどね。アンタ達もう出来てるって、そういう訳ね」と嫌味っぽく言った。
「そ、そんなんじゃないよ!それに綾波はいつもあんな調子なんだ」シンジの頬は少し赤味を帯びていた。
「・・・あっそ。あんな娘のどこがいいんだか。で、職員室に行くんじゃなかったの?」レイの方をじっと見ながらアスカが言う。
「あ、そうだね。じゃあ付いて来て」

職員室に着くまで二人は一言も交わさなかった。アスカを送り届け、シンジは一人教室へ戻る。
教室に着くとシンジはレイを一瞥し、あれ程印象の悪い出会い方もそうはないだろうな、と思いながら自分の席に着いた。
「上手くやっていけるかなあ」シンジはそう呟くと、別の事に思考を向ける。
822  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/18(火) 12:04:18 ID:???
そう。彼にはもう一つの懸案事項があった。
ミサトの命令である。
(そういえば学校に来る途中に言ってたな。大人がムカツクって。
ミサトさんか、って聞いたら違うと言っていた。でも朝のアスカの様子を見ると、
ミサトさんに話し掛けられて苛ついてた様にも見えたけど。
僕には割りといつも通り(?)の態度だったし。やっぱりミサトさんが関係してるのかな?)
シンジが思案を巡らせていると、続々と生徒達が登校して来た。
教室が徐々に賑わいを見せ始める。
(アスカは昨日加持さんとミサトさんの様子を見に行った時もなんだか変だったな。
加持さんは会ってない、って言ってたから別に何か話した訳じゃないんだろう。つまりアスカの方からだけ見えていた?
いや、アスカも二人を見た、とは言ってなかったな。でもアスカにミサトさんの様子を聞いた時、少し涙声っぽかったなあ。
・・・うん。やっぱりその時何かがあったんだ。ミサトさんに対して嫌悪感を抱く様な何かが・・・!)
始業時間まで残り五分を切り、殆どの生徒が登校して来ていた。
832  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/18(火) 12:09:37 ID:???
教室が騒がしさを増す中、シンジの推理も更にキレを増す。
(嘔吐するところを見てしまった・・・?いや違うな。涙声になる程の事じゃない・・・と思う。
ん?そうだ!アスカは大人がムカツクって言ってたんだ。つまり大人に対して嫌悪感を抱く様な何かを見てしまった。
加持さんとミサトさんみたいな大人のする事。
・・・大人のする事?一体何だろう)
「よーうシンジィ!おはようさん」
「わ!トウジか。驚かすなよ」
周りの声も聞こえない程に集中して考え込んでいた為、突然の挨拶に驚くシンジ。
「あ、そうだトウジ。大人の男と女が二人で夜にする事って何だと思う?」
「んなっ!?あ、朝からなんちゅー事ぬかすねん!んなもんこんな所で言えるはずないやろ!」
ジャージの少年があからさまに動揺した。
「どうして言えないの?」
「ど、どうしてってなあ。お前ホンマにわからへんのか?」
シンジが本当に何もわからない様な顔で尋ねてきたので、ジャージの少年はむしろその事に驚いていた。
「随分ピュアな中学生もいたもんやな。まあ取り敢えず『抱き合う』とでも言っとこか」
「そっか・・・。それだ!それだよ!それで全部繋がる!」
「そ、そうか。そら良かったな」ジャージの少年は何がなんだかわからない
といった様子で首を傾げながら自らの席へ向かった。
(そうか。アスカは加持さんとミサトさんが抱き合ってるところを見てしまったんだ。
いや、抱き合っていたかはわからないけど、それに類似する行為であった可能性は高いな。
もしそうだったら、アスカが昨日涙声だったのもわかる。
アスカは加持さんが好きだから。
大人に嫌悪感を抱くのもわかるし、ミサトさんに対して不機嫌な様子だったのも頷ける。
・・・でもそれが原因だったとして、僕に何が出来るんだ?)
シンジが新たな悩みに頭を抱えていると、始業のチャイムが鳴った。
時を同じくして担任の教師が教室に到着する。
84名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/18(火) 12:33:44 ID:???
>あ、そうだトウジ。大人の男と女が二人で夜にする事って何だと思う?

ピュアとか純粋とかじゃなくもはやただのバカだなwwww
85名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/18(火) 16:49:42 ID:???
乙w

レイも出て来たし今後が楽しみだな
86名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/18(火) 16:56:16 ID:???
やっぱレイがヤンデレの導火線になってくれないとな
原作でもアスカが妄想力で勝手に作り上げてレイには気の毒だけど
87名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/18(火) 19:32:29 ID:???
乙!!

続きを楽しみにしてるよ。よろしくお願いします!
88名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/20(木) 00:38:46 ID:wHZaJ/1i
蒼井そらはアスカより可愛いかもな
89名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/21(金) 07:40:43 ID:???
続きwktk
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/21(金) 15:04:46 ID:???
蒼井そらの話の続き?
913  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/22(土) 05:38:16 ID:???
「突然ですが、今日は転校生が来ています。惣流さん。入って下さい」
担任が促すと、アスカが教室前方のドアから入室する。
男子から喚声が上がる。その様子を見てシンジは
「まあ、見た目はね・・・」と誰にも聞こえない様な声で呟いた。
その後、アスカはお手本の様な自己紹介を済ませ、クラスに拍手で迎えられる。
シンジはまたもアスカの見事な変わり身を見せつけられる事となって少し嫌な顔をしていた。

「シンジ!さっさと帰るわよ!」「うん。あ、ちょっと待って」
六時間の授業を終え、帰りのHRが済んだ直後の会話。
今日一日でアスカは随分とクラスに馴染んでいた。元来の物怖じしない性格と、見事なまでの外面の良さによるものだろう。
「綾波にこれ返して来るね」
シンジは右手に持つ文庫本をアスカに示しながら言った。
「何よ、それ」「綾波が勧めてくれた小説」
「あっそ」「じゃ、ちょっと返して来るね」
レイはバッグに机の中の教科書やノートを詰め込んでいる最中だった。
「綾波。これ、読み終わったから返そうと思って」「・・・そう」
「面白かったよ。僕、推理ものってあんまり読んだ事なかったんだけど・・・」
シンジとレイは小説の内容について盛り上がっていた。
実際にはレイはいつも通りのテンションで、シンジがただ読後にいまいち理解出来なかった点を聞いていただけだ。
だが、アスカの目には二人がとても仲良さ気に映った。

五分程話し込んだシンジは、アスカを待たせているから、と会話を断ち切った。
そして教室後方のドアの前で待つアスカの元に向かう。
「ごめん。ちょっと話し込んじゃって」
「・・・仲がおよろしいことで」「だ、だからそんなんじゃないんだよ」
それ以上口を開くことなくアスカは下駄箱へ向かう。シンジも後を追う。
923  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/22(土) 05:45:40 ID:???
二人は昇降口を出て、帰路に着く。そして、これがシンジにとって最後のチャンスである。
ミサトの命令を達成するための。
だが、シンジには何の策も無かった。
何故なら彼は失恋をしたことがなければ、恋愛もしたことがなかったからだ。
つまり、失恋した際にかけて欲しい言葉等彼には皆目見当もつかないし、恋する乙女の心等知る由もない。
それにアスカの不機嫌の原因が失恋だ、と断定は出来なかったという事もある。
よってシンジは、この帰り道でアスカに何かいい事が起きるのを祈るしかなかった。
そして夕食を笑って食べられる事を。

「アンタさ」「え、な、何?」
不意に口を開くアスカ。辺りには今日も夏の陽が容赦無く降り注いでいる。
「ファーストと会ってからどの位になるの?」「えっと、一ヶ月半・・・位だと思う」
黒猫が灼熱の太陽から逃れようと二人の斜め右後方に停めてあった車の下に駆け込んだ。
「意外と短いのね」「僕も途中で引っ越して来たから」
二人は歩き続ける。
「その割りには仲良いわね」「そう?エヴァに乗る仲間だからかな。生死を共にしたりしたわけだし」
背後で車のエンジン音がした。
「じゃあ、アタシもそうね」「そうだね。あの時も結構ヤバかった」
二人の横を黒猫が駆け抜ける。シンジはその姿を確かに見た。
「・・・ま、アタシに任しとけば心配しなくてもアンタは死んだりしないわよ」
「うわ、不吉な事言うなあ。それに・・・」
黒猫はあっという間に二人の視界から姿を消す。
「それに?」「僕はアスカだけに任せりしない・・・と思う」
夏の空は独特の青さを帯びていて、そんな中を飛行機雲が一筋割って入る。
「・・・」「確かにアスカが一番操縦上手いんだけどさ」
既に二人は道のりの三分の二を過ぎた辺りに差し掛かっていた。
「フン。バックアップ位ならやらしてあげるわよ」「ハハッ、それは光栄だな」
瞬間、アスカが足を止める。そして冷めた目でシンジを見つめる。
「・・・何それ?」「え?な、何が」
動揺するシンジ。
933  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/22(土) 05:50:53 ID:???
「そんなクソ寒いオヤジギャグでアタシが笑うとでも思ってんの!?」
「え?・・・あ!アハハ、気付かなかった」
咄嗟に、シンジが照れ隠しに笑った。
そんなシンジの様子を見て、アスカも笑った。
アスカが見せた本当の笑顔に、シンジの心臓は一瞬高鳴った。

その日の夕食は三人で食べた。決して仲の良い家族の様ではなかったが、それでも仲の悪い他人の様でもなかった。
会話は弾むこともなく、また沈黙ばかりが続くわけでもない。
だが、シンジはほっとしていた。
シンジに理由はよく分かっていなかったが、アスカの機嫌が少なくとも悪くはなくなっていたからだ。
もっとも、シンジは機嫌のいいアスカなど加持の前でしか見た事がなかったので、要するにいつも通り。
バカにされたりけなされたりしながらも三人で囲む食卓をシンジは嬉しく思った。
ミサトは朝の出来事など無かったかの様に、二人の様子を見てからは何もシンジに聞こうとはしなかった。

それから一週間が経ち、二つの変化があった。
一つ目は、アスカとミサトの関係。
あの日以来ミサトと話す度に苛ついていたアスカだったが、ようやっと水に流す事にしたらしい。
そもそもその原因となった出来事も、真実であったかは定かではない。
二つ目は、アスカとシンジの関係。
アスカがシンジに対して遠慮なしに振る舞っているのは変わらないが、
シンジもアスカに多少遠慮なく接する事が出来る様になった。
「ちょっとシンジ。それ取って」「どう見たってアスカの方が近いよ」
「何よ!バカシンジのくせに口答えする気!?」「僕は君の下僕じゃないからね」
そのおかげで二人の間の些細ないざこざは絶えない。
それなのに、アスカが楽しそうに笑う回数は以前より増えた。

そして更に三日後、アスカは一人で下校している。
シンジはレイが一人住む部屋に向かっていた。
94 ◆FPBUMtkkbw :2008/03/22(土) 05:57:08 ID:???
細かく書いてたら終わらなそうなので飛ばしました。
それにスレの趣旨からもズレますし・・・。
95名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/22(土) 09:44:06 ID:rbjUUgVu
面白くなる予感
96名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/22(土) 10:41:02 ID:???
乙だ。GJ!!
続きを楽しみにしている
97名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/22(土) 20:12:19 ID:???
つまらん!!去れ!!!!!!!!
98名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/23(日) 04:04:28 ID:???
神乙。
続き期待
99名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/23(日) 19:02:09 ID:???
病んでいく過程は細かくお願いします
100名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/25(火) 02:53:00 ID:???
好きに書いていけば良いと思いますよ、
1014  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/26(水) 01:07:34 ID:???
「綾波ー!居るー?」
シンジがレイの部屋のドアをノックしながら言う。インターフォンは壊れていて使い物にならなかった。
彼が何をしに来たかといえば
「碇だけどー、溜まってたプリント渡しに来たんだー」
レイはここ数日理由も告げずに学校を休んでいた。
シンジが留守なのかとあきらめ帰ろうとした時、ドアが開いた。
「・・・何?」「あ、ゴメン寝てた?これ、休んでた間の学校のプリントなんだけど・・・」
「・・・上がってく?」「え、体の方は大丈夫なの?」
無言で頷くレイ。
「じゃあ、少しだけ」

「・・・遅い」
アスカが一人のリビングで呟いた。正確には一人と一匹で、オンセンペンギンも居る。
その珍しいペンギンはミサト達にペンペンと呼ばれ可愛がられていた。
「何やってんのかしら、アイツ。・・・別にどーでもいいけど」
ペンペンはリビングのカーペットの上を転がって遊んでいた。
「大体アイツ最近調子乗ってんのよね。アタシに反抗するし。アンタもそう思うでしょ?」「クエ?」
「今日だって行くなって言ったのにファーストん家行くし」「クエェ」
ペンペンは転がるのをやめて、仰向けに寝転がった。
「アタシは別にシンジの事なんて何とも思ってないわよ」「クエ」
「アタシが好きなのは加持さんだけ・・・のはずだったんだけどね」「クワア」
「ハア・・・。アンタってオスだっけ?」「クエエ?」
ペンペンはまた転がって遊び始める。
「フン。何で男ってこんなバカばっかりなのかしら」
アスカは時計を一瞥する。針は五時半をまわった辺りを指していた。
今日の夕食当番はシンジ。そろそろ準備を始めてもいい時間帯だ。
アスカがその事で催促しようと携帯に手を伸ばした瞬間、着信が入る。
「あ、アスカ?実はさ・・・」「いつまでイチャイチャしてんのよ!このバカシンジ!早く帰ってきなさいよ!今日の夕食当番、アンタでしょ!?」
間髪入れずにアスカが怒鳴り散らす。
1024  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/26(水) 01:17:17 ID:???
「うん、そのことなんだけどさ、綾波最近全然食べてないらしいんだ」「・・・で?」
ペンペンはいつの間にか自分の部屋である冷蔵庫へ戻っていた。
「で、ミサトさんも今日帰って来ないし、何か作ってあげたいんだけど」「・・・アタシは?」
「だからさ、アスカも綾波ん家来ない?自転車ならそんなに・・・」「行かない」
夏の陽は長く、外はまだ明るい。
「え?」「帰ってきなさい」
「で、でもさ・・・」「帰ってきなさいってのよ!今すぐ!!」
「いや、だから・・・」「うるさい!早く帰ってきなさい!!」
「・・・」「ちょっと!聞いてんの!?」
「ミサトさんのお酒が並んでる棚にカップ麺が入ってるから。・・・じゃ」
シンジはそれだけ言うと電話を切った。
「は!?何よそれ!ちょっと!!・・・あーもう!!」
そう言うとアスカは携帯をソファに投げ付ける。
「・・・何よ・・・それ」

「・・・アスカは来ないって」「・・・帰った方がいいんじゃない?」
「大丈夫・・・だよ。カップ麺位ならアスカだって作れるし」「・・・そう」
「じゃ、じゃあ何作る?お粥とか?」「普通でいい。別に、調子悪くないし」
「そっか。じゃあ綾波ん家にあるもので何か作ってみるよ」

そう言うとシンジは冷蔵庫の中を確認する。意外と食材は揃っていた。
彼は少し驚きながらも調理を始める。
「そういえばさ、アスカと初めて会った日、綾波随分早く学校来てたよね」「そうね」
「何か用事でもあったの?」「いいえ。・・・ただ早く起きてしまったから」
「そうなんだ」「・・・」
シンジは米をとぎながら尋ねた。
(やっぱり間が持たないや。アスカはむしろやかましい位だけど、気を使わなくていいから楽だな)
そんな事を考えながらシンジは調理を続ける。
1034  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/26(水) 01:31:25 ID:???
「出来たよ」
長く続いていた沈黙をシンジが破った。
レイはシンジが料理している間本を読んでいたが、それをベッドに置いてテーブルに向かう。
テーブルの上には見事な料理の数々。
「何読んでたの?」「・・・善悪の彼岸」
「えーっと、ニーチェ?」「ええ」
「難しそうなの読むね」「そうでもないわ」
「・・・じゃ、食べよっか」「そうね」
二人は席に着き、向かい合い、
『いただきます』
「口に合うかな?」「・・・おいしい」
「よかった。・・・そうだ、あの小説の事なんだけどさ・・・」
シンジが何か話題を探し、レイが一言二言で答える。そのパターンの会話が続いた。
そして、シンジの話題も出尽くし、食卓の上もほとんど片付いた辺りで初めて、レイから口を開く。
「碇君の話には、よくセカンドが出てくる」「え?そ、そうかな」
無言で頷くレイ。
「やっぱり一緒に住んでるからかな。嫌味言われてばっかりなんだけどね」苦笑いしながら、シンジ。
「嫌いなの?」「嫌いじゃないよ。自分でも少し不思議なんだけどね。あれがアスカなんだ、って認めてるっいうか・・・」
「じゃあ、好きなの?」「・・・珍しいね。綾波がそんな事聞いてくるなんて」
「・・・そう?」「うん。・・・まあ、どちらかって言うと、好き、なんだと思う」
「自分でもわからないのね」「そうだね。よくわからない。・・・でも、アスカが好きなのは加持さんだよ。それ位はわかる」
「・・・そう」「うん。・・・じゃ、片付けようか」
シンジが自分の食器を流しへ運ぶ。レイもそれに続く。

「じゃあ、お邪魔しました」「・・・気を付けて」
辺りはもう暗くなっていた。
「うん。明日は学校来るの?」「行くわ」
「そっか。じゃあ明日、学校で」「ええ。さよなら」
1044  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/26(水) 01:36:37 ID:???
シンジは一人、暗い道をアスカが待つ家へと向かう。
電話した際にはレイの事が心配で、強引に彼女の家に留まったシンジではあったが、
今更になってアスカの怒りを想像し、憂鬱になっていた。
アスカをなだめる言葉をあれこれと模索していると、いつの間にか葛城家のドアの前に立っていた。
「どうしよう。やっぱり怒ってるよなあ・・・」
シンジはそのドアを開けるのをためらっていた。
「・・・ま、話せばわかってくれる・・・はず」
意を決してドアを開き、言った。
「た、ただいまー」
もちろん返事はない。更に、どの部屋にも明かりが点いていなかった。
だが、リビングからテレビの音だけが聞こえる。シンジはそれこそ恐る恐る、リビングへ向かう。
そして、戸を開く。アスカが居た。
「た、ただいま」「・・・」
アスカはテーブルに突っ伏したまま、何の反応も示さない。
「ア、アスカ?寝てるの?」「・・・」
シンジは取り敢えず部屋の電気を点けて回る。そして、台所で異変に気付く。
綺麗過ぎる。カップ麺を作るのに必要であろうポットやヤカンも出ていなかった。
シンジがゴミ箱を確認すると、そこにカップ麺の容器は無かった。
「外で食べたの?アスカ」「・・・」
リビングのテーブル越しにシンジが言った。
「な、何か作ろうか?」「・・・」
全く反応を示さないアスカ。シンジはその場で座り込み、アスカに背を向けてテレビを見始める。
アスカから声を掛けてくるのを待とうというのだろう。
二人だけのリビングで、長い、本当に長い沈黙が続く。
聞こえてくるのは、テレビの音声だけだった。
105名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 01:51:59 ID:???
GJ。乙。修羅場目前なのを本能的に察してるシンジの動揺が良い
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 04:15:56 ID:???
ここに来て神展開きたw
GJ過ぎる、先の展開が楽しみで明日から毎日このスレ除いてしまいそうだわ。
107名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 05:27:54 ID:???
やべー。超続き気になる。
108名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 09:25:31 ID:???
正に嵐の前の静けさ
109名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 13:21:58 ID:???
グゥゥッジョッォォォブ!!!!!
激しく先が気になる。この直後に何が……
ああ、やばい。続き待っております!
110名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 13:43:51 ID:kSHGnCEV
(・∀・)イイヨイイヨー
111名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 16:48:45 ID:Ohzfwc8S
このスレ…育つな
112名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:52:50 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
113名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:53:19 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
114名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:53:53 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
115名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:54:37 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
116名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:55:00 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
117名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:55:38 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
118名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:56:00 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
119名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:56:27 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
120名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:56:51 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
121名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:57:18 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
122名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:57:43 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:58:28 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
124名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 18:59:47 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
125名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:00:21 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:05:24 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
127名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:05:53 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
128名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:07:46 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
129名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:08:25 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
130名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:08:48 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
131名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:09:28 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 19:10:39 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。
133名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 20:13:39 ID:???
>>101ー104

乙!!!さすがは神だ。続き楽しみにしている
134名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 21:26:11 ID:???
(´・ω・`)スレが伸びてるから来てみたら…
135名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 22:14:10 ID:???
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。

136名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 22:14:38 ID:8ZLgOMmm
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。

137名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 22:15:20 ID:8ZLgOMmm
「違うわよ」「じゃあ誰?」シンジは正面を向いたまま尋ねる。
「別に誰とかじゃないわ。大人よ」アスカも正面を向いたままに答えた。
「・・・そっか」

その後は信号に引っ掛かる事もなく、二人は学校に到着する。始業時間にはまだ随分余裕があるので人影はまばらだ。
「で、アタシはどーすりゃいいのよ」
「えっと、とりあえず職員室に行ったらいいんじゃないかな」
その時シンジは、青い髪の少女を見つける。少女はおよそ中学生には似つかわしくない難解なタイトルの本を読んでいた。
開いた窓から吹き込む涼し気な風に青い髪が綺麗になびく。
「あ、アスカ。あそこで難しそうな本を読んでるのが綾波だよ」シンジが言う。
「綾波?・・・ああ、ファーストチルドレンの事ね」「うん」
シンジの返事を得るや否や、アスカは青い髪の少女の席へと向かう。
シンジはその様子をただ見ていた。三人以外この教室には誰も居ない。
「アンタがファーストチルドレン。綾波レイね?」アスカは少女の机に両手を着き、尋ねた。
「・・・そうよ」ぼそりとレイが答える。
そんな二人の出会いの瞬間を眺めながら、そういえば綾波は今日、何故こんなに早く登校しているのだろうか、とシンジは考えていた。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。セカンドチルドレンよ。よろしくね」
「・・・そう」レイは本に目を落としたままに答えた。
「ちょっとアンタ!話してる時はこっち向きなさいよ!」アスカが少し荒っぽく言う。だがレイは微動だにしない。ただ本を読み続ける。
「何よ、失礼な娘ね。返事位してもいいんじゃない?・・・ちょっと!聞いてんの!?」
アスカが更に語気を強めて言った。だがレイは微動だにしなかった。ただ本を読み続けている。
そして一言。

138:2008/03/26(水) 22:18:55 ID:8ZLgOMmm
ゲームを始めましょうか 

このゲームであなた達が勝てばこのスレはもう荒らしません

乗らない、もしくはあなた達が負けた場合はこの調子で定期的に

荒らしに来ます ルールは簡単 暗号を制限時間内に解読できれば

あなた達の勝ちです

ちなみに私は相当に執念深いですよ 過去に潰したスレは10以上

陰険で、狡猾な私から逃れるには暗号を解読する以外に道はありません
139:2008/03/26(水) 22:21:38 ID:???
【暗号】

わかたいあしのくまけぐろだ/かいあくぐろ

【期限 3/28 24:00まで】
140:2008/03/26(水) 22:22:57 ID:???
この暗号を解くには、とあるゲームが鍵になります。
141:2008/03/26(水) 22:23:47 ID:???
それではゲームスタートです!!!!!
142名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 22:36:47 ID:oE3Em10w
/の前が分子、後ろが分母だから約分して“かいあくぐろ”を消すと
『わたしのまけ』となる。どうだね?正解ならもうやめてくれないか?
143名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 22:41:19 ID:???
正確に言えば「わたしのまけだ」だな
144名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 22:49:18 ID:???
前振りが長かった割には3分で解読かよw

茶番だなwww
145名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/26(水) 23:24:20 ID:???
子供の頃見たタヌキの暗号思い出した
146:2008/03/26(水) 23:54:55 ID:nRnblzt2
おめでとう。二回戦進出だ。
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 01:40:20 ID:???
おいおい卑怯だぞw
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 06:38:54 ID:???
名前欄 L をあぼ〜ん設定すればよろし
149名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 14:47:17 ID:???
>>134
投下もあったよ
150名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 14:49:23 ID:???
つーか反応すんなよwwww
1515  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/27(木) 19:52:00 ID:???
『マンションで少年の変死体見つかる』
「本日未明、〇〇市のマンション五階で少年の変死体が発見されました。
第一発見者の女性が通報。警察が駆け付けた際には既に少年は息を引取っていたそうです。
被害者の少年は全身を包丁で滅多刺しにされた上、頭部を切断されていました。
また、現在もその頭部は見つかっておりません。
警察は殺人事件と断定。捜査を開始しました。
なお、同居していた少女が行方不明となっており、
警察は重要参考人としてこの少女の行方を全力で追っています。
では、次のニュースです。先日行われました国連軍による合同演習ですが・・・」




「・・・怖い事件ね」「あ、アスカ。起きたんだ」
沈黙を続けていたアスカが、少し頭を上げ、口を開く。
「なんであの少女はあんな事したのかしらね」「・・・な、なんでかな」
「・・・きっとね、あの娘は被害者の少年が好きだったのよ」「・・・好きだった?」
アスカはただテーブルの一点を見つめながら話す。
シンジはそんなアスカの様子を多少の恐怖が入り混じった瞳で見ていた。
「そう。それなのに少年は何かあると他の娘の味方ばかりしていたのよ」「そ、それ位で・・・」
「それ位!?・・・きっと辛かったわよ。あの娘は。だっていつも好きな少年と敵対しなきゃいけないんだもの」
「・・・確かにそれは・・・辛いかもね」
アスカは一切姿勢を変えずに続ける。
「でね、少女はいつも少年と夕食を一緒に食べてたのよ」「・・・うん」
「少女にとってその時間は大切なものだった。でも、事件の日は一緒に食べれなかった。・・・何でかわかる?」「・・・何で?」
「少年はね、あろう事か他の娘の家に夕食を作りに行ったからよ」「・・・」
シンジはもう、アスカを見るのが怖かった。
ただ、足下にしかれたカーペットを見つめていた。
1525  ◆FPBUMtkkbw :2008/03/27(木) 19:57:21 ID:???
慎重に言葉を選びながら、シンジが口を開く。
「・・・で、でも、その他の娘が風邪引いてて、しばらくご飯を食べてなかったのかもしれないし・・・」
「もし!もしそうだったとしても!!同居人の娘の事は悲しませてもいいの!?」
「そ、そうじゃないけど、でも、仕方なかったんだと思う」「仕方なかった?」
二人は目を合わせる事なく、会話を続ける。
「うん。きっと少年には二人共、本当に大事だったんだよ」「・・・なら、少年は本当に最低ね」
「・・・どうして?」「だって、同居人の少女を苦しめてばかりじゃない・・・」
ここで、シンジはアスカを見つめる。

「きっと、少年にそんなつもりはなかった。・・・多分少年も・・・同居人の少女が好きだったから」
アスカが初めて顔を上げる。二人の目が合った。アスカの頬は少し紅潮していた。
「少年が?少女を?」「うん」
「・・・なら。それならあんな事件は起きなかったはずよ」「うん。だから、二人共お互いの気持ちを知らなかったんだよ」
「・・・もしそうだったら、本当に可哀相な事件ね」「そうだね」
二人は見つめ合ったまま、時間だけが流れていく。

長い沈黙の時間を、アスカの腹の虫が破った。
「・・・何か作りなさいよ」「うん」
「シンジ」「何?」
「裏切ったら許さないから」「うん。でもアスカも、信じてね」
「・・・うん」「ありがとう」
また、見つめ合う二人。
「い、いつまでそこに突っ立ってんのよ!早く作りなさいよね!」「はいはい」
アスカが照れ隠しの様に言うと、シンジが台所に向かう。
テレビの電源を切ると、アスカも台所へ向かう。
「何かする事ある?」「え!?」
「・・・何よ、その態度」「あ、いや、少し驚いただけだよ」
「・・・やーめた。早くしなさいよね」「ア、アスカ!」


153 ◆FPBUMtkkbw :2008/03/27(木) 20:09:11 ID:???
期待に応えられなくてすいません・・・

今回はハッピーエンドにしようと決めてたので
154名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 20:12:41 ID:???
病んでるかどうかはともかく乙
俺はこういうの大好物だ
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 20:18:59 ID:???
激しく乙
156名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 20:19:53 ID:???
やべえおもしろかった
ハッピーエンドもいいな
157名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 20:28:06 ID:???
本当に面白かった!!
やはり才能がある人は違うな。冒頭のニュースを一瞬シンジとアスカのことと思わせる演出やそれを自分達に照らし合わせたりとスゲーよ。
応援してるから頑張ってね!!
158名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/27(木) 21:34:54 ID:???

ごめんね。俺はちょっと読みにくかった。
会話のみのシーンが多すぎたような気がしまして…
でも、ニュースの部分は一瞬ドキッとして良かったです
次も期待してます
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/28(金) 06:19:26 ID:???
GJ。良かった
ヤバくなりかけて回避する辺りのシンジの機転の良さに感心したw
160名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/28(金) 13:11:43 ID:???
(・∀・)ヨカッタヨー
161名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/28(金) 23:26:12 ID:???
「バカシンジ、コアイヨウ コアイヨウ コアイヨウ
コアイヨウ コアイヨウ コアイヨウ コアイヨウ
コアイコアイコアイコアイコアイコアイコアイ
コアコアコア顔コアカオコアオkkファッカカオ
ああああああああああああふぁはんfじゃd」

このくらいは壊れて欲しかった
162名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/29(土) 00:57:36 ID:h8ypXvoO
病むっつーか基地外
163名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/29(土) 03:24:27 ID:???
ところでニュースの被害少年って誠っぽいよな

いやまあそれだけなんだけど
164名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/29(土) 06:36:35 ID:???
思ったw実際の事件の真相とシンジとアスカの会話のズレがまたおもしろい
165名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/29(土) 16:54:30 ID:???
一応エヴァのは
性の目覚めというか初恋レベルの事象が悲劇になるじゃん?
一方スクールデイズは何から何まで自業自得。
166名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/29(土) 17:45:36 ID:???
ヤンデレスレ的にはアスカ同様に言葉と世界の二人をヤンデレ化させた伊藤誠先生の手腕を
褒めないとw
167名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/29(土) 19:57:17 ID:???
もしシンジの立場が誠だったらアスカに滅多刺しにされたんだろうな・・・
ミサトやレイ挙句ヒカリにも手を出してるだろうしな
168167:2008/03/29(土) 19:58:11 ID:???
日本語おかしかった。誠がシンジの立場だったら
169名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/30(日) 03:31:11 ID:???
アスカはそんな積極的な行動は起こさないと思うけどな

どちらかというと空鍋やってそうな、そんなイメージ
170名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/31(月) 16:39:15 ID:???
空鍋ってなに?
171名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/31(月) 22:05:32 ID:???
空の鍋のことだとは思わんかね
172名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/01(火) 17:55:14 ID:???
空飛ぶオナベ
173名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/01(火) 18:17:39 ID:???
>>170
マジレスすると俺も詳しくないけど別アニメでヒロインがヤンデレてしまって空の鍋で料理
作る仕草を行うショッキングな描写。スクイズの言葉の空電源携帯に似てる

アスカはどうなんだろうな。シンジが導火線にちょっと火を付けたら一気に爆発して攻撃はして来たから
ただし殺すって程ではなくてむしろ殺されるのに抵抗しなかったりするのに妙味もあって
174名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/04(金) 03:03:29 ID:???
次来ないかなー
ヤンデレってやっぱ書くの難しいのかね
175名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/04(金) 19:49:18 ID:???
そもそも定義もはっきりしてないからな
1761 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/05(土) 19:44:28 ID:???
「・・・アンタバカァ?」
「ボ、ボクは本気で、言ったんだよ」
振り絞る様に言葉を発するシンジ。彼の顔は紅潮し、手にはじっとりと汗をかいていた。
「前も言ったけどね、アンタは・・・」
「違うよ!アスカに言われてから、ずっと、真剣に考えてきたんだ」
シンジの声は微かに震えていた。リビングに直立する二人。目が合い、見つめ合う。
外では街灯の光だけが暗闇を照らしていた。
「確かに、アスカと居る時間は他の娘よりも長いけど、でも、それは関係ない。
やっぱりボクは、アスカが・・・その・・・」
アスカの顔も紅潮し始める。彼女は、自身の胸の鼓動が早くなっていくのを確かに感じていた。
「ア、アタシが、何よ・・・」
少し言い辛そうに、アスカが呟く。
十回程、部屋に秒針の時を刻む音が響き渡る。
シンジは喉を鳴らして唾を飲み込み、咳払いをした。上手く声を発するための準備をしてから、
「――き、ゴホッ――す、好きなんだ」
アスカの顔は火でも点いたかの様に一気に赤く染まる。シンジが手汗をズボンでゴシゴシと拭く。
アスカはもう、真っ直ぐなシンジの目を直視出来ない。少し顔を伏せる。
「だ、だったら何だってのよ!」
「いや、その、だから・・・ア、アスカはボクの事、どう、思ってるのかな、って」
向き合っていた二人だったが、ここでアスカがシンジに背を向ける。彼女は壁に向かって言う。
「――別に嫌いじゃないわよ」「そ、そっか。――よかった」
先程よりも長く、秒針の時を刻む音が部屋を満たす。
リンゴの様に赤い二人の顔。早鐘の様に鳴る二人の心臓。
張り付いた上下の唇を剥がす様にアスカが口を開く。
「ア、アタシ、もう寝るから」「う、うん。おやすみ」
アスカはシンジと顔を合わせる事無く寝室へと向かう。だが、途中でぴたりと足を止めた。
「シンジ」「何?」
「裏切ったら許さないから」「え?・・・うん」
シンジの返事を確認すると、今度こそアスカは寝室へ向かう。
一人残されたシンジも、消灯を済ませると自分の寝室へ向かう。
彼は寝室に着くまでに何度もズボンで手を拭いていた。
177名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/05(土) 20:08:27 ID:???
キタ━━(゚∀゚)━━!!
続きワクワクテカテカ
178名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/05(土) 22:50:49 ID:???
良いね。しっかりした布石
続き期待
179名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/06(日) 12:12:25 ID:???
前回のやつの最終話と同じ会話があるね
続編的な感じ?

とにかく期待してます
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/06(日) 20:44:11 ID:???
ktkr
1812 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/08(火) 21:33:12 ID:???
翌日の通学路。二人の間には何か気まずい空気が漂っていた。
いつもはやかましく図々しいアスカが今日は静かで、普段受け答えるばかりのシンジが話の種を模索していた。
シンジは目線を四方に泳がせながら何かアスカが興味を抱きそうな話題を探す。見つからない。
いや、話題自体は多少なり思いついてはいたが、この空気を打ち破ってなおすべき話がシンジには見つけられなかった。
だが、それでもシンジはなんとかしようと試みる。
『あ、あのさ』
「な、何よ!」「ア、アスカからでいいよ」
二人は互いに相手から視線を逸らしながら歩く。蝉の鳴き声だけが空間を満たしていた。
「ア、アンタさ、昨日何て言ったか覚えてる?」
「え?――その、・・・アスカの事が好きだ、って」
シンジは熱を帯びていく体を制服のシャツで扇ぎながらなんとか冷まそうと試みる。
だが、全身の毛穴が一斉に発汗するのを抑える事は出来なかった。
「そ、そうよね。やっぱり、そう言ったわよね。・・・寝て起きたら何だか夢だったような気がして、不安・・・だったのよ」
シンジは意外な言葉に驚き、アスカの赤く染まった横顔を見つめる。
アスカが少し遅れてその視線に気付き、二人の目が合った。
「な、何見てんのよ!」「いや、その、ごめん」
蝉達の大合唱の中を二人は歩き続ける。
「で、アンタも何か話があったんじゃないの?」「あ、えっと・・・何だったかな」
シンジが右手で頭を掻き、左手で扇ぎながら答える。
アスカはそんなシンジの様子を見て、腕組みをしながら言う。
「――ハァ、ホンットにアンタはいつもはっきりしないわね!」「ご、ごめん」
「すぐ謝るんじゃないわよ!」「ご、ごめん。あ」
「あーもう!そのすぐ謝る癖、何とかしなさいよね!」「う、うん。ごめん」
「喧嘩売ってんの!?」
他愛もない会話。最初の妙に気まずい空気も今は無く、まさにいつも通りだ。
シンジはいつまでもこんな関係であり続けたいと願っていた。
1822 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/08(火) 21:42:29 ID:???
学校に着き、教室へ向かい、それぞれの席に着く二人。
バッグから荷物を取り出すアスカに一人の少女が声を掛ける。
「おはよう。アスカ」
「あ、おはよう。ヒカリ」
委員長こと洞木ヒカリである。
「あのさ、少し話したい事があるんだけどね・・・」「何?」
その時チャイムが鳴り、同時に担任の教師が入室する。
「あ、先生来ちゃった。ごめん、また後でね」「うん」

昼休み。アスカとヒカリは屋上に来ていた。
空には雲一つない晴天。緩やかな風が二人の髪をなびかせる。
「で、話って何?ヒカリ」「あ、うん。アスカって碇君と仲、いいじゃない?」
「――まあ、そうね」「だからさ、知ってるかなって思って」
「何を?」「碇君の好きな人」
アスカの心臓が突然の事態に跳ね上がった。予想もしていなかった質問に戸惑うアスカ。
そしてアスカは、その質問の答えを知っていた。
「シンジが好きなのはアタシよ」
などと答える事は出来ないが。
「な、何でそんな事聞くの?」「実はね、碇君の事が好きな娘がいるのね」
「誰?」「うーん、それはちょっと言えないんだ。ごめんね」
「・・・」「でさ、心当たりないかな?」
心当たり所かアスカには確信があったが、それをヒカリに告げる気にはなれなかった。
それにアスカは今、猛烈に気になっている事がある。
シンジを好きな娘、とは誰なのか。
しかし、一度答えられないとヒカリが言った以上、それを知る事は出来ないとアスカはわかっていた。
「ごめん。わかんない」「そっかあ。やっぱり、まだ綾波さんが好きなのかな」
アスカの心臓が再び跳ね上がる。目眩さえ感じた。
「ファーストを?ま、まだってどういう事?」
「あ、これはアスカが越して来る前の事なんだけどね、そういう噂があったんだ。ほら、二人共エヴァンゲリオンのパイロットでしょ?
あの頃はアスカも居なかったから結構二人きりで居たりしてて、それで碇君は綾波さんが好きなんじゃないか、って」
1832 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/08(火) 21:47:05 ID:???
アスカの動揺が更に広がる。
両足には接地感がなく、両手は強く握り絞められていた。
アスカの首筋を生温い汗が一筋伝う。
「で、でも二人で居たってだけでしょ?」
「それがね、碇君が一人で綾波さんのマンションに行くのを見たって子が居てね、それで鈴原が聞いたのよ」
「・・・何て?」
「お前綾波と二人っきりで何しとったんやー、って。そしたら碇君顔真っ赤にしながら、何もしてないよ、とか言うもんだから更に怪しいって事になってね・・・」
「もういい」「え?」
「――ごめん。アタシちょっとトイレ行ってくるね」「あ、うん。じゃあ私、教室で待ってるから」

アスカは全身の感覚も無いままにフラフラとトイレに向かう。
女子トイレの扉を開き、洗面台に向かうと取り敢えず手を洗った。
アスカの中で疑念や嫉妬といった様な感情が排水口に流れ込む水の様にぐるぐると渦を巻く。
「そんなはず・・・ないわよね。シンジは・・・確かに・・・言ったもの」
自分に言い聞かせる様にアスカは呟いた。
だが、一度生まれた醜い感情を完全に消し去る事など到底出来得ない事だった。

そんな昼間の出来事があっても、アスカは今、シンジと二人で帰路に着いている。
複雑な心を抱え、抑え切れなくなりそうな一部の過激な感情をなんとか理性で抑え込みながら。
184名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/09(水) 00:51:49 ID:???
乙!

続き待ってます
185名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/09(水) 01:00:49 ID:???
乙!!!いいよいいよ〜

頑張ってくださいね〜
楽しみにしてるぜ!
186名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/09(水) 23:56:06 ID:BFsFXXHM
ちょい病んで来た感じですか

続き期待
187名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/10(木) 00:10:14 ID:???
上げちまった…orz
188名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/10(木) 14:42:20 ID:???
189名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/10(木) 23:50:53 ID:???
age
190名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/11(金) 01:17:26 ID:???
KY氏ね
1913  ◆FPBUMtkkbw :2008/04/12(土) 00:12:24 ID:???
「アスカ?どうかしたの?」
帰り道も中程に差し掛かろうというところで、一向に口を開こうとしないアスカにシンジが声を掛ける。
「・・・・・・」「――ごめん」
シンジに分かる事は、アスカが不機嫌であるという事だけだ。
そして、アスカの機嫌をこれ以上損ねずに会話をする術もシンジには分からず、彼は口をつぐんでしまう。
無言の帰り道。

自宅のマンションが見えた辺りで、ようやくアスカが口を開く。
「アンタさ」「な、何?」
「ファーストの事、どう思ってんの?」「どうって?」
ここまで聞いておきながらも核心に触れるのを躊躇したのか、アスカが大きく息を吐く。
そして同じ位吸い込み、言った。
「アンタ本当は、ファーストが好きなんじゃないの!?」「ど、どうしてそう思うのさ?」
「今日聞いたのよ。アタシが来る前の、アンタの話!」「・・・何を聞いたのさ?」
二人はマンションの前の駐車場で足を止める。
「アンタが一人でファーストの家に行ってたとか、そんな話よ」「それはただ、綾波にIDカードを渡しに行っただけだよ」
人気の無い駐車場で言い争う二人。
蝉達も静まり返っていた。
「フン!どーだか。やっぱりアンタ、ただ一緒に居る娘を好きだって勘違いしてるだけなんじゃないの?
本当はアタシじゃなくてもいいんでしょ?ファーストでも!誰でも!!」
「違うよ!昨日だってそう言ったじゃないか!!」
珍しく声を張ったシンジに驚くアスカ。そのまま二人共黙り込んでしまう。

「もういい」
しばらくの静寂の後、それだけ言うとアスカは足早に自宅へと向かった。
シンジはその様子をただ立ち尽くしたままに見ていた。
アスカがエレベーターに乗り込んだのを確認し、遅れてシンジも自宅に向かう。
1923  ◆FPBUMtkkbw :2008/04/12(土) 00:16:41 ID:???
「たっらいま〜」「お帰りなさい。丁度晩ご飯が――ってもう飲んで来たんですか!?」
赤ら顔で玄関脇の靴箱にもたれかかるミサトを見てシンジが言う。既に陽は暮れていた。
「ん〜ちょっちね〜」「えっと、じゃあ晩ご飯は要りませんね」
「あ〜取り敢えずお水頂戴〜」「あ、はい」
ふらつく足でなんとかダイニングのテーブルまで辿り着くミサト。
シンジが水道水をコップに汲み入れる。
「あら?アスカは?」「学校から帰って来て、それからずっと自分の部屋に篭りっぱなしです」
「何かあったの?」「・・・まあ・・・少し」
ミサトが虚ろな目で、固く閉ざされたアスカの部屋のドアを見つめる。
「アスカ〜!晩ご飯よ〜!」「・・・いらない」
ミサトが眉間に皺を寄せる。シンジがミサトに水を差し出す。
「何よその態度。シンちゃんが折角作ってくれたのよ〜」「いえ、ミサトさん、ボクは・・・」
シンジに渡された水を一気に飲み干すミサト。
「シンちゃんは黙ってなさい!アスカ!早く出てきなさい!!」「ちょ、ちょっとミサトさん」
少し間が開いて、それからアスカの部屋のドアが開く。
もしかすると泣いていたのか、シンジにはその目が少し赤く見えた。
無言で席に着くアスカ。シンジが気まずそうに配膳を始める。
ミサトはアスカに怒鳴っておきながら、机に突っ伏していた。
「・・・フン。何よ。加持さんと飲んで来たからって浮かれちゃって」「そうよ〜。――羨ましい?」
ミサトが言い終わるのが早いか、アスカがその両手を思い切り机に叩き付けた。
「羨ましくなんかないわよ!!!」「ア、アスカ。ミサトさんも酔ってるみたいだし・・・」
『シンジ(シンちゃん)は黙ってなさい!!』
ミサトがゆっくりと体勢を立て直し、しっかりと椅子に座る。
アスカとミサトが睨み合う。

「私てっきりアスカは加持君が好きなんだと思ってたわ」「・・・違うわよ」
「あらそう。じゃあ誰〜?シンちゃん?」
アスカが一瞬固まる。それをミサトは見逃さなかった。
「ん、図星ね!あら〜意外だわ〜」「ち、ちが・・・!」
「あれ?でもシンちゃんはレイが好きなんだっけ〜?」「ミサトさん!!」
1933  ◆FPBUMtkkbw :2008/04/12(土) 00:18:45 ID:???
瞬間、アスカが立ち上がり、シンジをギロリと睨むと部屋に帰って行った。
バタン!と思い切りドアを閉める音。続いて鍵を閉める音がした。
「何言ってるんですかミサトさん!」「え〜?だって前に・・・」
「そんな話した覚えありませんよ!!・・・ハァ、もう寝た方がいいですよ」
そう言うとシンジはミサトに肩を貸し、彼女の部屋の布団に寝かせる。
台所に戻ると完成したばかりの料理達がシンジの目の前にあった。無性に虚しくなる。
アスカの部屋のドアの前に立つシンジ。彼女の部屋からは何かを叩き付ける様な、そんな音がしていた。
「・・・あのさ、アスカの分のご飯、ラップしてとっておくから。・・・ごめん」
無論返事などない。シンジは一人で食卓に着く。

一人の食事が終わると、二人分の料理にラップをし、冷蔵庫に入れた。
各部屋の消灯を確認し、シンジは取り敢えず自分の部屋に戻る。
隣りのアスカの部屋から聞こえる音が聞きたくなかったので、彼はイヤホンを耳に差す。
朝はあんなに楽しかったのにどうしてこんな事に・・・。シンジはそんなことを考えていた。
イヤホンから聞こえてくる音楽など、実際はまるで聞いてはいなかった。
194名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/12(土) 18:28:03 ID:???
なんで誰もGJしてないんだ!!

GJだぜ!!!だんだん病む方向にやって参りましたね。これからが楽しみだな♪頑張ってね。
195名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/12(土) 21:19:09 ID:???
GJ!早く続きが読みたいぞー!
196名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/13(日) 08:19:16 ID:???
(・∀・)良いよ良いよ〜
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/13(日) 12:12:34 ID:???
GJ!非常に続きが気になります。がんばってくださいね。
1984 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/14(月) 00:35:55 ID:???
翌朝、土曜日。アスカとシンジは休みだ。
ミサトはアスカと顔を合わせる事なく出勤した。
もっとも、彼女は昨夜の事などほとんど覚えてはいなかったので、気まずいからといった理由ではなく
単にアスカが部屋から出て来ないというだけだ。
シンジはそんなアスカの事を心配こそしていたものの、物音一つ立てない彼女に掛ける言葉が見つからなかった。

昼頃になり、シンジが昼食を完成させた。アスカを呼びに行く。
「アスカ。お昼ご飯出来たよ」
返事はない。
「アスカ?寝てるの?」
何の音も聞こえて来ない。
「ねえアスカ。返事位してよ。・・・アスカ?」
ふと、シンジは嫌な予感を感じた。具体的な事は何一つわからなかったが、とにかく嫌な予感だった。

そしてその予感は的中する。
シンジがドアノブを捻ると、開いた。昨晩、確かにアスカが鍵を掛けたはずなのに。
そして部屋に入ろうとしたシンジはすぐに足を止めた。
室内に散乱する本。割れた写真立て。壊れた時計。破れた布団からはおびただしい羽毛が飛び散っていた。
とにかく、尋常ではない。それに、アスカの姿が見当たらなかった。
「アスカ?・・・居ないの?」
シンジが散乱したガラス片を踏まない様に、慎重に室内へ踏み込む。
部屋の中央付近に立つと、シンジはぐるりと室内を見回した。無論アスカの姿はない。

その時、ダイニングにある電話が鳴る。
シンジは足元に気を付けながらも出来るだけ急いで電話に駆け付ける。
ディスプレイを見ると、レイの家の電話番号が表示されていた。
「は、はい。ボクだけど」「・・・」
「綾波?どうかしたの?」「・・・」
「・・・綾波?」「・・・・・・」
「あ、綾波・・・だよね?」「・・・ブツンッ・・・ツーツーツー」
唐突に電話は切れた。
1994 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/14(月) 00:40:38 ID:???
シンジには何もわからない。何もわからないが、レイがあんな無言電話をしてくるのは普通では有り得ない。

シンジは何も考えずに家を飛び出した。
そして自転車に飛び乗る。吹き出る汗も一切気にせずにただ綾波の家を目指した。

息を切らし、汗だくになりながらも綾波の部屋に辿り着き、そのドアを叩いた。
「綾波!僕だよ!居る?」
返事はない。シンジはドアノブを捻った。開いた。恐る恐る中に入る。
「あ、綾波。居ないの?」
物音は無かったが、シンジは微かな人の気配を感じていた。


「アンタ、何しに来たのよ」
「ア、アスカ!」
アスカは昨晩のまま、寝間着姿でベッドに座っていた。レイの姿は無い。
「何しに来たのかって聞いてんのよ」「・・・綾波の家から、変な電話があったから・・・」
「それで駆け付けたってわけね。アタシにはろくに声も掛けてくれなかったくせに」「・・・あ、綾波は・・・どこに居るの?」
シンジの汗は、いつしか冷や汗に変わっていた。彼の両手は緊張で固く握り締められていた。

「・・・・・・殺しちゃった」
「え?い、今何て言ったの?」「だから、殺しちゃったの」
「こ、殺した?あ、綾波を?・・・本気で言ってるの?」「ええ。本気よ」
「じゃ、じゃあ綾波は、どこ?」「そんなの教える訳ないでしょ」
淡々と話を続けるアスカ。そんな様子を見て、シンジの中にある感情が芽生え初めていた。怒りだ。
友人を殺した犯人が目の前に居る。そして、その犯人はあまりに淡白に、その友人の死を告げたのだ。
シンジでなくとも、怒り狂って然るべきだ。
「――何でだよ。何でそんな事したんだよ!」「・・・アンタを試すためよ」
「ボクを試す?」「そう。アンタの気持ちを試すためよ」
「・・・そんな、そんな事の為に綾波を殺したって言うのかよ!!」「そんな事?何でよ。大事な事じゃない」
「綾波の命よりも大事なはずないよ!!それに、どうやってボクの気持ちを試すって言うんだよ!」
「だから、アンタ本当はファーストが好きなんでしょ?で、アタシはファーストを殺した。
それでもアタシの事が好きだったら、それは本当の愛だと思わない?」
2004 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/14(月) 00:51:41 ID:???
意味不明。
シンジはそう思った。同時に、目の前の細身の少女に本気で恐怖した。
「――ボクは、綾波を殺した人間を絶対に許さないよ」「・・・あっそ」
アスカは急に飽きたかの様に言い放った。
「・・・あの娘、最後は泣いてたなあ」「・・・やめろよ」
「でも、全然抵抗しなかったわよ」「やめろって!!」
「最後はね、ぐったりなって・・・」「いい加減にしろよ!!!!!」
シンジがアスカの細い首に飛び付いた。ウッ、とアスカが小さく漏らす。
ベッドにアスカを押し付け、思い切りその細い首を締め付けた。
アスカは一切抵抗しない。ただ、怒り狂うシンジのその目を哀しげに見つめていた。

「・・・何で・・・何で泣いてんだよ!」
アスカは泣いていた。だが、シンジは何とも思わなかった。両手に更に力を込める。
しばらくすると、アスカの体から力が無くなる。シンジは急に怖くなり、そのぐったりとした体から離れた。
「・・・ア、アスカ?」
ピクリとも反応しなかった。
「・・・ボ、ボクが・・・殺した?・・・ボクが?」
シンジは自身の両手を見つめる。まだアスカの体温が残るその両手を。



ガチャッ。ドアの開く音がした。
「碇くん?・・・何をしているの?」「あ、あ、綾波!?ど、どうして!?」
「今までずっと零号機の起動実験だったの。ところで碇くんは・・・」

「うわあああああぁぁぁぁぁあああああ!!!!そんなっ!!だって、アスカ、言ったじゃないか!!!」

ベッドに駆け寄り泣き崩れるシンジ。その目の前でぐったりと横たわるアスカ。
二人共、泣いていた。


201 ◆FPBUMtkkbw :2008/04/14(月) 00:53:09 ID:???
なんかもうホント、ごめんなさい。
ネタ切れです
202名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 01:34:10 ID:???
激しく乙!!

俺実はこんなの待ってましたw大好物ですww
203名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 02:03:00 ID:???
乙!!これがヤンデレか。やはり最後はバッドエンドなんだな…少し悲しくなるのな…

でもよくやってくれた!お疲れ〜!
204名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 18:33:31 ID:o84PoXAK
いますぐ心臓マッサージと人工呼吸をすれば助かる
205名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 18:34:41 ID:???
お疲れ〜良かったよ〜良かったよ〜
206名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 18:35:14 ID:???
ヤンデレには近づかないのが一番だな
207名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 19:27:28 ID:???
GJ

何気にアスカの言った通りになってるな。自分が
アスカにとってはシンジを試すだけのつもりだったって事か
208名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 20:07:38 ID:???
確かにネタ切れって感じだな
つまらなすぎて不快になるほどだ
これ以上はスレ汚しになるから投下するなよ
209名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 20:29:20 ID:???
わかりやすw
210名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 20:33:24 ID:???
>>201お疲れさん
211名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/14(月) 20:42:42 ID:???
>>209>>208の事だよ
212名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/15(火) 01:42:52 ID:???
乙。俺的には全然有りだったけど人を選ぶかもね

まあ次はネタ切れなんて言わないでじっくり練り込んできてくれ。気長に待ってるから
頑張って下さい
213名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/21(月) 00:55:09 ID:???
「シンジはあたしだけのもの。誰にも渡さないわ。でも、あいつも人間…。私がそう言っても無理に決まってる。だったら私のモノでいられるままこのまま死んでもらいましょう。それなら永遠に、私が死んだ後でもその事実は変わらないわ。だからシンジ、死んでちょうだい」













214名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/21(月) 15:31:16 ID:???
なんぞ
215名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/21(月) 21:28:48 ID:???
アスカが人殺しになって欲しくはないな

スレタイが殺してやるだけど
216名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/27(日) 22:28:37 ID:???
217名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/04/29(火) 01:06:06 ID:???
きっとGWには職人が来てくれる
218名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/01(木) 01:26:41 ID:???
保守。本編がもう既にヤンデレだからFF書くのはそこから外し難くくて自由度がないんだろうな
2191  ◆FPBUMtkkbw :2008/05/02(金) 01:59:21 ID:???
「帰ろっか。綾波」「・・・そうね」
「じゃあね。アスカ」「・・・今日も仲がお良ろしい事で!」
「だ、だからそんなんじゃないって!」
帰りのHRが終わり、私は二人で帰路に着くシンジとファーストを茶化しながら別れた。一人、自宅を目指す。

ドイツから日本に転属してからというもの、私は一人暮らしを続けていた。
閑静な住宅街と言えば聞こえはいいが、要は人が居ないだけの寂しい場所。
その中にそびえる少しくたびれたマンションの一室が私に与えられた部屋だ。
年頃の女の子にこんな所で一人暮らしをさせるとは、ネルフも何を考えているのやら。

シンジ達はミサトの家で三人で暮らしているらしい。
「ま、ファーストに一人暮らしなんて出来るはずもないし、無理ないか」
自宅マンションの真下辺りまで来た所で私は一人呟いた。陽も暮れかけ、夕日が周囲の景色を赤く染めている。
エレベーターで五階まで昇り、用心の為に三つに増やしてもらった鍵を開け、私は部屋に入る。
日当たりが悪く既に薄暗い部屋に明かりを灯した。
私はバッグを机の上に放り、ベッドに飛び込む様にして横になる。
「ハァ・・・」と溜め息を漏らしながら枕に顔をうずめた。

・・・私は最近になって少し後悔していた。ミサトの申し出を蹴った事を。
実は日本に来てから少し経って、ミサトから同居の話をもらってはいたのだが、私は断った。
理由は色々あった気がするが、今思えば下らない事だったのかもしれない。
「・・・アタシはもう、子供じゃないのよ。・・・一人でも大丈夫」
でも、正直寂しい気もする。
それに、シンジとファーストが同じ屋根の下で暮らしていると思うと無性に腹が立つ。
別にあの二人がどんな関係になろうと私には関係の無い事のはずなのに。
「・・・そうよ。どうでもいいじゃない、そんな事」
強引に思考を停止し、ベッドから起き上がると私は夕飯の支度を始めた。
2201.5  ◆FPBUMtkkbw :2008/05/02(金) 02:08:01 ID:???
「あ、綾波!お風呂に入ったら服を着てから出て来てって言ったろ!?」
「ごめんなさい。着替えを部屋に置いて来て・・・」「あ、謝らなくていいから早く服着て来て!」
僕がそう告げると綾波は自分の部屋に向かった。
顔が紅潮しているのが自分でもハッキリ分かる。これで四度目になるが、慣れるものではない。
冷静になれ、と自分に言い聞かせる。
「スーッ・・・ハァー」
大きく息を吐き、冷静を装いながら僕は夕食の仕度を続ける。
ガチャッ
綾波が服を着て部屋から出て来たらしい。
「・・・綾波。Tシャツが後ろ前だよ」
綾波はいつも無地の真っ白なTシャツを部屋着として着ている為、
本人はどちらが前でもさして気にはしていないらしかったが
どう見ても首が苦しそうなので見つける度に僕は指摘していた。
そして指摘されるとすぐにその場で脱いで着直すので僕はすぐに綾波に背を向けなければならない。

「・・・アスカだけどうして一緒に住まないのかな?」
唐突だったかもしれない。綾波に背を向け、夕食に使う野菜を刻みながら僕は尋ねた。
「・・・わからないわ」「・・・だよね」
実際この家には一人分の部屋は余ってるし、アスカが入居するにあたって大して問題は無さそうだ。
というかミサトさんはアスカに断られたと言っていた。
何だろう。アスカが断る理由って。一人であんな所で暮らしてたんじゃ危ないような・・・。
向こうは部屋だってそんなに綺麗じゃないし、それに独りで寂しくないのかな?
それともやっぱり・・・
「僕の事、嫌いだからかな?」「・・・それは違うと思う」
「・・・優しいね。綾波は」「・・・」
結局、人の考えなんて僕にはよくわからない。アスカのそれは特に。
でも、僕と接している時のアスカは何だかイラついている様な、そんな印象を度々受ける。
もしそうだったとしたら、一緒に住むなんて話は当然断るだろうな。
だって毎日僕と顔を合わせなきゃいけなくなるんだから。
「・・・そんなに気になるなら、セカンドに直接聞いてみたら?」
綾波の言う通りだ。でも、アンタがウザいからよ、とか言われたらやっぱりショックだな・・・。
「そうだね」とだけ答えると僕は刻んだ野菜達を火にかけた。
221名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 02:55:41 ID:???
キタキタキタキタキタ━━(∀゚ )(゚∀゚)( ゚∀)━━!!!!!

GJ!続きwktk♪
222名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 03:40:47 ID:???
遂に来た。待ってたよ。続き期待
223名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 08:37:08 ID:bY/50fC1
ま  た  お  前  か
224名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 10:43:38 ID:CLdOtNt8
キタキタキタキター
225名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 14:44:04 ID:???
内容が陳腐
226名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 19:52:58 ID:???
>223
なに、この人他にも書いてるの?詳細教えてくれ
227名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 20:16:34 ID:???
>>226
俺は>>223じゃないけどLAS小説投下総合でも見たよ

というか>>223とかは例の荒らしじゃないの?
228名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/02(金) 20:48:21 ID:???
反応するな
229名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/03(土) 17:14:28 ID:???
続きに期待
230名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/06(火) 00:15:10 ID:???
綾波レイは俺の嫁
2312  ◆FPBUMtkkbw :2008/05/07(水) 02:58:51 ID:???
Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi !!!
目覚まし時計の嫌な電子音で私は目を覚ました。
今日は学校は休みだ。が、本部でシンクロテストをやるらしい。
どうせアタシが一番なのに。
目をこすりながら洗面台に向かう。蛇口を捻り、顔を洗った。
次に台所に向かうと食パンを一枚手に取り、トースターにかける。
焼き上がるまでの間私はテレビを見る事にした。

チーン!
丁度テレビが星座占いを始めた所で、こんがりと両面を焼かれた食パンが姿を現した。
それを手に取り、マーガリンを薄目に塗る。別にダイエットしてる訳じゃないけど。
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出すと、私は朝食の席に着いた。
テレビはまだ星座占いを続けている。
「あ、射手座」
どうやらその占いによると、今日のアタシは金運、仕事運は普通。恋愛運は最低らしい。
「気になる相手にもついついキツく当たってしまいそう。今日はじっくり自分を見直しましょう・・・か」
くっだらない。余計なお世話よ。大体そんなのいつもの事じゃないの。
私は軽めの朝食を済ませると食器を流し台に置き、バスルームに向かう。
寝間着を洗濯カゴに放り込み、シャワーを浴びた。
というかこの部屋は一体いつ作られたのだろうか。
今時お湯と水の配分で温度を調節するタイプのシャワーも珍しい気がする。
そんな事を考えながら浴室から上がり、体を拭く。そのままタオルを肩に掛け、下着を着けるとバスルームを後にした。

ドンドン!
「アスカ!居るー?」
突然、ドアを叩きながら私を呼ぶ声がした。シンジだ。
「な、何よ!?いきなり!」「あ、アスカ。えっと、リツコさんに頼まれた物があって」
三つの鍵を備えるドアを挟んで私はタオル一枚と下着姿でシンジと対している。何だか変な気分。
「とにかく、服着て来るからちょっと待ってなさい!」「え!?ふ、服着てないの!?」
・・・失言だった。
2322  ◆FPBUMtkkbw :2008/05/07(水) 03:03:00 ID:???
「な、何変な想像してんのよ!サイッテー!」
私はシンジにそう吐き捨てると急いで着替えに行く。
部屋に戻り、ベッドの脇に脱ぎ捨てたままだった制服を着る。
着替えを済ませ、また玄関に戻った。鍵を開き、シンジを招き入れる。
「上がっていいわよ」「あ、じゃあ、お邪魔します」
「なーにかしこまっちゃってんのよ!」
シンジを茶化しながら私は洗面台に向かった。まだ髪が濡れたままだったから。
「その辺に適当に座ってていいわよ」
部屋の中央で棒立ちしていたシンジに言った。シンジはベッドに腰掛けたようだ。ベッドのバネが軋む音がした。
「で、頼まれた物って?」
ドライヤーで髪を乾かしながら言う。
「あ、うん。ネルフのIDカードが新しくなったから渡してくれって」
「あっそ。じゃあそこのテーブルの上に置いといて」「うん」
また、バネの軋む音。シンジがテーブルに向かったらしい。
「――意外と綺麗にしてるんだね」「当然よ!当然!」
――ガチャッ
「・・・あれ?ちゃんとご飯食べてる?何かあんまり入って無いけど」
「勝手に人ん家の冷蔵庫漁ってんじゃないわよ!」
――ガコッ
「あ、栄養偏るからコンビニ弁当ばっかりはやめた方がいいよ」
「ゴミ箱まで漁ってんじゃないわよ!それに自炊だってちゃんとしてるってーの!」
ホンットに一々うるさい奴!アタシの心配でもしてるつもり?
「余計なお世話なのよ!黙って座ってなさい!このバカ!」「ゴ、ゴメン」
シンジはベッドに戻ったらしい。三度目のバネが軋む音がした。
そうこうしている内に髪は乾いていた。髪留めを付け、シンジの元へ向かう。
「これが新しいカード?何か変わったの?」「僕もよく分かんないけど前のやつだと入れないんだって」
そう、と気のない返事をすると私もシンジの隣りに腰を落とした。
「まだ集合まで、時間あるわね」「うん」
「何か飲む?」「じゃあ、麦茶」
「冷蔵庫に入ってたでしょ?アタシの分もヨロシク」「・・・持って来てくれるわけじゃないんだね」
2332  ◆FPBUMtkkbw :2008/05/07(水) 03:09:38 ID:???
ぼやきながらも麦茶を取りに行くシンジ。便利なヤツ。
シンジは冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを取り出し、
二つのコップに適度に注ぐとその内の一つを私に手渡した。
冷たい。シャワーを浴びて火照った身体に心地良い。
私が一気に飲み干すと、シンジもそれに倣った。
「ハイ」「はいはい、片せばいいんだね」
私は空のコップをシンジに差し出した。流し台に向かうシンジ。
その様子が何故か似合っていて少し可笑しかった。
「アンタ、台所似合うわね。男のクセに」「まあ、家でもよくやらされてるからね」
ふーん、と自分で聞いておきながら興味無さげな相槌を打ち、私はベッドに仰向けに寝転がった。
「・・・アスカはさ、一人暮らしで大変じゃないの?」「そりゃまあ、楽じゃないわよ」
「だよね。・・・・・・あのさ、何でミサトさんの話、断ったの?」「・・・」
流しの蛇口から水の流れ出る音がした。次いで、コップを濯ぐ音。
「洗わなくていいわよ。夜、やるから」「あ、うん」
水の音は止まり、シンジが寝転んだままの私の隣りに腰掛けた。ベッドが軋む。
「・・・何でそんな事聞くのよ」「えっと・・・何となく、かな」
何となく、ねえ。
「・・・フン。アンタ見てると、イライラすんのよね!だからよ!」「・・・」
・・・あら?本気にしちゃった?
「あ、別に・・・」「じゃあさ、ボクが出て行こうか?」
・・・は?普通そこまでする?
「ハア!?何でアンタが出てくわけ!?」
「いや、だって、こんな所に女の子一人じゃ危ないでしょ?」
何?コイツ、本気でアタシの事心配してるの?――でも、
「余計なお世話だって言ってんでしょ!?なんでアンタなんかに心配されなきゃなんないのよ!このアタシが!!」
「・・・・・・そうだね。ゴメン。・・・ボク、もう行くよ」「あ・・・」
私がベッドから起き上がると、シンジは既に立ち上がり玄関に向かっていた。
・・・引き止める資格なんて、私には無い。ただ去って行くシンジの背中を見つめるしかない。
「お邪魔しました」
儀礼的にそれだけ言うとシンジは行ってしまった。
・・・バカシンジ。
結局、私は一人でネルフ本部へ向かう事となった。
2342.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/07(水) 03:23:31 ID:???
「・・・また、アスカを怒らせちゃったんだ」「・・・そう」
ネルフ本部に向かう電車内で綾波に出会ったのは、本当に偶然だった。
「アスカが何を考えてるのか、全然分からないんだよ・・・」「・・・」
「それに・・・アンタ見てるとイライラするって。そう言われたんだ・・・」「・・・」
二人だけの車内。隣り合わせではなく、向かい合って座っていた。
他の車両にも人影は無い。ネルフ本部へ向かう電車に乗る人なんて、そうは居ない。
「・・・やっぱりアスカはボクの事、嫌いなんだ・・・」「・・・」
また、否定してくれる事をボクは望んでいた。だが綾波は何も言ってくれない。何も。
「・・・碇君はいつもセカンドの話ばかりするのね」「え?そ、そうかな?」
「そう。その度に私は・・・何だか嫌な気分になるの」「・・・ゴメン」
しばらくの沈黙。電車の走行音だけが聞こえる。
綾波と居ると、沈黙には馴れてくる。
「どうして謝ったの?」
ずっとそれを考えていたのだろうか。綾波は。
「え?どうしてって、綾波が嫌な気分になるって言うから」「・・・そう」
・・・そう言えば綾波はアスカの事、どう思ってるんだろう。
嫌な気分になるって言う位だから、やっぱり苦手・・・なのかな?
「綾波はアスカの事、苦手なの?」「・・・いいえ」
「・・・そっか」
嫌い・・・ではないのかな。というか、綾波に嫌いな人とかって居るのかな。
・・・それにしても会話、続かないなあ。まあ、いつもの事なんだけど。

長い沈黙の後に電車はホームに到着した。
その間ボクは気まずくなっているであろうアスカとの関係をどう修復するかを考えていた。
だが、一向に名案は浮かばない。あの時途中で飛び出したのはやっぱりマズかった。
いや、でもあれ以上話しててもまたアスカを怒らせてしまいそうだったし、それに・・・。
「ハァ・・・」「・・・どうしたの?」
「あ、いや、何でもないよ」
結局解決策も見つからないままにボクは綾波と二人、ロッカールームに向かった。
235名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/07(水) 08:13:57 ID:???
いいねいいね〜
236名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/07(水) 22:59:25 ID:???
GJ
緊張する……どうなっちゃうんだろ
237名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/07(水) 23:35:00 ID:???
毎度毎度GJだぜ。
楽しく読んでるよ!ありがとう!
2383 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/10(土) 22:49:11 ID:???
私が一人ロッカールームへ向かうと、既に中からは話し声がしていた。
「シンジと・・・ファースト・・・」
・・・何よ。結局アイツは・・・。

カシュン
自動ドアが開く。私が中へ入ると、室内は水を打った様に静まり返った。
「・・・仲良くお話し中に悪いわね」「・・・」
シンジは気まずそうに私から目を逸らすだけ。ファーストはいつもの様に無表情。
言葉を交わす事も無く、私は二人から出来るだけ遠いベンチに腰を降ろす。
長い沈黙を破ったのは指令室からの放送だった。
「三人共、A―07に来て頂戴。そこでシンクロテストを行ないます」
ミサトだ。・・・今はそんな気分じゃないのに。
「・・・アスカ。行こうよ」「・・・うっさいわね」
と、言いつつも追随する私。ホントは嫌だけど、まだ道がよく分からないから仕方がない。
一定の距離を保ちながらシンジとファーストの後に続く。

前を行く二人の背中を追う事5、6分は経っただろうか。ようやく指定された部屋に辿り着く。
中に入るとミサト達が待っていた。
「――全員居るわね。プラグスーツはそこに置いてあるから、向こうで着替えて来て」
ミサトが言い終えると、各々のプラグスーツを手に取り、男女で別れて脱衣所へ向かった。
ファーストと二人きり。
「・・・アンタ朝、シンジと一緒に来たの?」「・・・そうよ」
私のぶっきらぼうな質問に、ファーストはいつもの様に淡白に答えた。
・・・ホント、むかつく。最初から私と行く気なんてなかったんだ・・・。
衣服の擦れる音だけが聞こえる。制服をロッカーにしまい、プラグスーツを装着した。

「三人共、準備はいい?」
エントリープラグ内にミサトの声が響き渡る。
「ハイ」「・・・ええ」「・・・いつでもいいわよ」
投げやりに、私は言った。
2393 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/10(土) 22:53:58 ID:???
「プラグ深度固定。第一次接続開始。主電源接続、起動スタート。A10神経接続異常無し。システムオールグリーン、双方向回線開きます」
いつもの様にシンクロテストは始まった。私は普段通り、心を落ち着ける。
・・・でも、何だか今日は落ち着かない。余計な事ばかり頭に浮かんでくる。
ここがこんなに居心地悪く感じたのは初めてだった。
――しばらくして私のエントリープラグに通信が入る。
「どうしたの、アスカ?いつも通りにやって」「え?いつも通りやってるわよ」
「・・・とにかく、余計な事は考えずに集中してやりなさい」「だからやってるってんでしょ!?」
・・・このミサトの反応。上手くシンクロ出来てない?このアタシが?
でも何で?私はいつも通りやってるのに・・・。

「・・・三人共お疲れ様。上がっていいわよ」
私が自身の不調の原因も掴めないままに、今日のシンクロテストは終わってしまった。
「アスカ。後で私の所に来て」「・・・」
「わかった?」「・・・はい」
やっぱり、駄目だったんだ・・・。

エントリープラグから上がり、結果を聞いてからシャワールームへ向かう。
頭の中が真っ白になった。分からない。何で?どうしてこのアタシが?
頭からシャワーを浴び続ける。こんな気持ちでここに居るのは初めてだ。
いつもはテスト結果を見て、シンジをバカにして、それで気分良くここでシャワーを浴びてるはずなのに・・・。

今日のテスト結果は非公開。でも、一位は発表された。
「今日のトップはシンジくんよ。おめでとう」「え!?本当ですか!?」
・・・悔しかった。屈辱だった。バカシンジなんかに負けるなんて・・・。

私は随分と長くシャワールームに居たらしい。外の廊下で待っていたらしいシンジとファーストの髪はもう乾いていた。
「・・・何よ?」「あ、その・・・朝の事、謝ろうと思って」
シンクロテストでアタシに勝ったからだろうか。シンジが少し元気そうに見える。
・・・ムカツク。
2403 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/10(土) 22:58:40 ID:???
「・・・朝の事?」「うん。・・・ほら、途中で帰っちゃったし」
私は冷静を装って会話を続ける。
「・・・ああ、その事。別にいいわよ」「え?ほんと?」
何よ。白々しいわね。
「・・・アンタはファーストと一緒に行きたかったんでしょ?」「ッ・・・!あ、綾波に会ったのは偶然だよ!ね?」
ファーストに同意を求めるシンジ。だがファーストはピクリとも動かない。
ただシンジの横で私に背を向けて立っている。
「ほら。やっぱりそうじゃない」「ち、違うんだよ。ほんとに偶然で・・・あ、綾波?」
シンジに話を合わせようとしないファースト。焦るシンジ。
「いいじゃない。許してやるって言ってんだから」「え、で、でも・・・」
いつまでもウジウジとうるさい奴。・・・もう嫌。話したくもない。
「もういい?アタシ、ミサトに呼ばれてんのよ」「え?どうして?」
・・・ホンットに白々しい奴!何?アタシの口から言わせたいってわけ!?
「・・・アタシのシンクロ率が低かったからよ!!おかげでアンタは一番じゃない!良かったわね!!」
「よ、良かっただなんて、そんな事・・・」「・・・大体、アンタのせいよ!アンタが朝から余計な事言うから!」
「・・・」「ざけんじゃないわよ!アタシの事が心配?そんな心にも無い事、よくも言えたわね!!」
シンジは俯いて私の辛辣な言葉をただ聞いていた。
ファーストは相変わらず微動だにしない。
「アンタのせいよ!アンタの!!アンタが・・・」「碇くんは悪くないわ」
突然、ファーストが口を開いた。
ゆっくりとこちらに振り向く。
「・・・何よ?このアタシが悪いってーの!?」「そう。・・・アナタが心を開かないから」
「・・・いいんだ、綾波。僕が悪いんだ」「・・・いいえ。違う。碇くんは悪くない」
何?何でファーストが・・・。
「調子乗ってんじゃないわよ!人形のくせに!!」「・・・私は人形じゃない」
2413 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/10(土) 23:03:23 ID:???
「うるさい!アンタ、シンジにいつも何でもやってもらってるくせに!!」
言い終わるや否や、私はファーストを思い切り突き飛ばす。その体は思った以上に軽かった。
床に倒れ込むファースト。
「綾波ッ!・・・綾波、大丈夫?」「・・・平気」
シンジがファーストに手を貸し、立たせる。
「もう・・・行くよ。ごめん・・・」「・・・ホントは何も、悪いだなんて思ってないんでしょ?どーせ」
「・・・」
二人は何も言わずに去って行った。
私はまた、一人になった。


「ちょっとアスカ?聞いてるの?」「え・・・?」
ハァ〜とミサトが大きく溜め息をつく。
「だから、明日再テストをするから、同じ時間に来るのよ?」「・・・うん」
「んもう・・・。どったの?」「・・・別に。何でもないわ」
ミサトはポリポリと頭を掻いて、いかにも困惑した様子だ。
「ん〜・・・何でもないならいいわ。今日はゆっくり休みなさい」「・・・」
私は何も言わず、ミサトと別れた。

陽も暮れ、真っ暗な部屋に私は帰った。
・・・明日、再テスト。駄目だ。こんなんじゃ上手くいくはずない。
私は電気も点けず、制服のままベッドに飛び込み枕に顔をうずめた。
――シンジ。碇シンジ。バカシンジ。
アイツのせいだ。アイツが私の邪魔をしたんだ。
今日のテスト中、アイツの事で頭が一杯で・・・それで・・・。
・・・あームカツク。邪魔なのよ。鬱陶しいのよ。
アタシの事、何にも分かってないくせに・・・。

・・・今日はもう疲れた。
コンビニで買った夕飯を食し、寝間着に着替えて早目に眠る事にした。
2423.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/10(土) 23:15:55 ID:???
「ねえシンちゃん」「何ですか?」
夜になってミサトさんが帰宅したので、僕は冷めた夕飯を電子レンジにセットしていた。
綾波はずっとリビングでペンペンと見つめ合っている。
ミサトさんは部屋着に着替えて食卓に着いた。
「何か私に話したい事とか、ない?」「・・・特には」
「・・・そっか。今日のシンクロテスト、一番だったわね」「・・・ハイ」
「おめでとう」「あんまり・・・嬉しくないです」
ピピピピッ
電子レンジが鳴った。中から料理を取り出し、テーブルの上に並べる。
冷蔵庫からビールを取り出し、ミサトさんに手渡した。
「ありがと」
僕はミサトさんと向き合う形でイスに座った。
「・・・実はね、あの廊下、監視カメラが付いてるのよ」「・・・」
「アスカと、何かあったんじゃないの?」「・・・何も・・・ないですよ」
「う〜ん・・・これはアスカの為でもあるのよ?」「・・・」
「もう一度聞くわ。本当に、何もない?」「・・・その、実は・・・」
僕は今日あった出来事を包み隠さずミサトさんに話した。ミサトさんは黙って聞いてくれた。
「――なるほど。話してくれてありがとね」「・・・いえ」
僕が話し終わる頃には、綾波は自分の部屋に戻っていた。
「・・・駄目なんですよ。僕は。いつもアスカを怒らせてばかりで・・・」
「・・・ま、あの娘は素直じゃないからね」
・・・本当にそうだろうか。アスカは『素直に』僕に怒りをぶつけていると思うけど。
「そっかそっか。シンちゃんがね〜」「な、何ですか?」
「ん〜?何でもない」「・・・?」
ミサトさんは何だか楽しそうに見える。僕は真剣に悩んでるのに。
「とにかく、その辺の話は私に任せときなさい」「あ、はい」
「・・・大丈夫よ。シンちゃんの気持ちは伝わってるわ」「そう・・・ですかね」
・・・ミサトさんは任せておけと言った。でも、本当にそれでいいのだろうか・・・?

・・・今日は何だか疲れた。
ミサトさんに後片付けを任せて、今日は早目に眠る事にした。
243名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/10(土) 23:48:29 ID:???
乙かれです
ミサトさんがんばって……
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/11(日) 00:08:49 ID:???
毎回よく思い付くな。
激しくGJだぜ!
245名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/11(日) 00:17:21 ID:???
設定が原作に忠実に思えてよろしい
246名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/11(日) 01:40:56 ID:???
GJ。ヤンデレに向かうアスカ良いな。その執着対象絡みの憤りが綾波じゃなくシンジ自身に向かってる
のが原作準拠で良いな
247名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/11(日) 10:59:32 ID:???
GJ。とてもおもしろいです。
これにしかない雰囲気みたいな物があってとても好きなので、これからもがんばってください。
248名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/12(月) 06:38:34 ID:???
wktk
2494 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/13(火) 19:53:14 ID:???
翌日、私はまたここに居る。
「もう一度言うわよ、アスカ。余計な事は考えないで、いつも通りやりなさい」「わかってるわよ!」
いつも通り・・・ね。
これ程難しい事は無いと、今更になって知った。
いざ自分がいつも通りでなくなってしまえば、普段の自分なんて思い出す事も出来ない。
「じゃ、始めるわよ」
いつも通りであろうとすればする程に、それは叶わない。
私は今まで、何を思ってこの中に居たのだろう。
いや、何かを思ってなどいなかったはずだ。少なくとも自分ではっきりと認識出来る程には。
でも今は、はっきりと認識出来る雑念がある。
・・・アイツだ。
アイツの事が頭から離れない。大っ嫌いなのに!
「アスカ。シンクロ率下がってるわよ。大丈夫?」「・・・平気よ。続けて」
そう。大っ嫌い。サイテー。バカシンジ。
アイツが私の期待に応えてくれた事なんて一度だってない。
昨日の事だってそう。
アイツはファーストを選んだんだ。私に淡い期待を抱かせておきながら。
・・・あームカツク!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
もう嫌だ!!独りでこんな所に居たくないッ!!!
「・・・アスカ。一度上がって頂戴」「・・・」


「何か飲む?」「・・・いらない」
「はい、コレ」
問答無用でミサトは私にコーヒーを押し付けた。
「・・・苦い」「でも目、覚めるわよ」
「もう覚めてるわよ・・・」
脱衣所のベンチに座り、ミサトと目を合わせる事なく私は言った。
「・・・昨日、シンジくんから色々と聞いたわ」「・・・」
「もっと素直にならないと、損しちゃうわよ?」「アタシは・・・!」
口から出かけた言葉を、すんでのところで飲み込んだ。
2504 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/13(火) 19:56:02 ID:???
「何?」「・・・何でもない」
「そう。・・・シンジくんはね、本気でアスカの事を思ってるのよ?」
・・・そんなはずない
「だから昨日は凄く落ち込んでたわ」
そんなはずない!
「今日の朝だって、アスカの事心配してたんだから」
「そんなはずない!!」「どうして?」
「だってアイツは・・・」「シンジくんは?」
アイツはアタシの事なんて・・・。
「もういいでしょ!?あんな奴の事なんて!」「アスカ・・・」
そうよ。アタシはいつも一人。
アイツらは、家でも、通学路でも、ここに来るのでさえも一緒なのに!
「・・・昨日家に帰ってからシンジくんに、今日のシンクロテスト一番だったわね、って言ったのよ」「・・・」
「そしたら彼、あんまり嬉しくない、って答えたの」「・・・」
「どうしてか、アスカには分かるわよね?」「・・・」
・・・分かるわよ。その位。
でもね、バカシンジなんかに同情される位なら・・・死んだ方がマシ。
「――そうね。アタシが本調子の時に勝たないと、意味ないもんね」「アンタ・・・本気で言ってるの?」
「フン。傲慢な奴よね。バカシンジのくせに」
瞬間、ミサトの左手が私の右腕を掴み、私を強引に引き立たせる。
「アンタねえ!いい加減にしなさいよ!?
アンタのそんな言葉でねえ、シンジくんがどれだけ傷付いてるか、分かってんの!?」
・・・何よ。悪いのはアイツじゃない。アイツがアタシを怒らせるから。
アイツがアタシを何も分かってないから。なのにアイツがアタシに近付くから。
「・・・・・・知らないわよ。そんなの」「ッ・・・!!」
ミサトが空いた右手を振り上げる。
「・・・もういいわ。今日は帰りなさい」「そうさせてもらうわ」
振り上げられたその右手は、力無くブラリと降ろされた。
2514 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/13(火) 20:01:30 ID:???
「アスカ」「・・・何よ?」
「もっと素直になりなさい。・・・後悔したくなかったらね」
それだけ言うと、ミサトは退室した。


ガッ! ガン! ガン! ガンッ!
行き場のない憤りを目の前のロッカーにぶつける。
「ハァ・・・ハァ・・・・・・何よ!!」
ガンッ!
どれだけ当たろうと、この強固なロッカーは形一つ変えやしない。
「・・・嫌い。大っ嫌い!ミサトも!ファーストも!!バカシンジも!!!」
ガン!ガン!!ガンッ!!!

――ハァ・・・ハァ・・・ッ

「・・・もう嫌。何でアタシ、こんな事やってるの・・・?」


落胆を通り越してある種の絶望に浸りながら、私は着替えを済ませ帰路に着く。
2524 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/13(火) 20:06:07 ID:???
「お、アスカ。久し振りだな」「・・・加持・・・さん?」
途中の廊下で、加持さんに出会った。
「どうした?元気ないぞ?」「・・・」
・・・この人だってそうだ。私の期待に何一つ応えてくれなかった。私の事、何にも分かってくれなかった!
・・・それに、知ってるんだから。アナタがミサトとどんな関係にあるのか。
だから、そんなににこやかに私に話掛けないでよ。・・・どうせ私になんか興味ないんでしょ?
「・・・大丈夫です。さようなら」「おいおい冷たいなあ。シンジくんとは上手くいってるかい?」
加持さんは茶化す様に言った。
「・・・うるさいのよ!アタシの気持ちも知らないで、気安く話掛けないで!!」「ス、スマン・・・?」
昔はあんなに好きだったのに、今は鬱陶しい。
私は廊下を直進する。
しばらく歩くと、後方から加持さんの声がした。
「お、葛城。どうした?元気ないな」


――自宅に着いたが、何もしたくない。何も。
取り敢えずテレビを点けて、テーブルに突っ伏す様にイスに座った。
「・・・今、何時だっけ?・・・どうでもいっか・・・」
翌日、私は学校を休んだ。
253名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/13(火) 20:31:44 ID:???
乙。
次が楽しみでならないw
254名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/14(水) 02:17:22 ID:???
乙カレー!!
よかったぜ。いい展開に持っていくな。楽しみにしているよ!!
255名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/14(水) 04:00:06 ID:???
そろそろシンジとの修羅場が来るな
256名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/14(水) 23:24:41 ID:???

良い緊迫感
257名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/15(木) 19:30:55 ID:vdSd4yov
GJ。

>>242
「綾波はずっとリビングでペンペンと見つめ合っている。」が妙にリアルで吹いたw
258名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/15(木) 21:17:52 ID:???
綾波の描写がかわいいんだよななんか
2594.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/17(土) 00:12:00 ID:???
「今日で三日目ですよ!?アスカが学校に来なくなってから!」 「・・・大丈夫よ」
僕は学校から帰って来るや否や、リビングでニュース番組を見ていたミサトさんに迫る。
綾波も少し遅れて入って来た。
「何が大丈夫なんですか!?」 「生存は確認してるわ。特に問題はないわよ」
ミサトさんは僕に背を向けたまま、淡々と言葉を続けた。
「それは・・・ミサトさんが確認したんですか?」 「・・・それは私の仕事じゃないわ」
握り締めた拳が痛い。何なんだろう。このミサトさんの冷静さの根拠は。
日曜日の事は何一つ教えてくれない。
ただ、アスカのシンクロ率が起動指数ギリギリまで落ち込んだという事を除いて。
「・・・ミサトさんは、アスカの事が心配じゃないんですか?」 「勿論心配よ」
「じゃあ何で、そんなに冷静でいられるんですか?」 「私達が騒いだって、どうしようもないのよ」
「だってミサトさん、あの時任せておけって・・・」 「あれは、アスカが望むならいつでも受け入れる準備はあるって、そういう意味よ」
・・・その言葉を聞いて、僕は急に自分が情けなくなった。
――そうだ。元はと言えば僕が悪いのに、ミサトさんに任せっきりにしようとしていたなんて。
ましてや、何もしてくれない事を責めるなんて。そんな権利、僕には無いじゃないか・・・。
「・・・僕は・・・どうすればいいんですか?」 「今は何もしない方がいいわ」
「・・・でも、何かしたいんです」 「・・・シンちゃん。アナタが気に病む事じゃないのよ?」
僕が気に病む事じゃない?そんな事は・・・ない。
「・・・どうすれば・・・いいんですか・・・」
「・・・・・・フーッ。・・・そうね、思いっ切り抱き締めて、キスしてあげればいいんじゃない?」
「!?」
2604.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/17(土) 00:16:40 ID:???
僕の主観では、時が止まった気がした。
今、ミサトさんは何て?何て言った?
 抱 き 締 め て キ ス す る ?
「ふ、ふざけないで下さいよッ!」 「・・・」
ミサトさんは何も言わない。まさか、本気で?本気で言ってるんですか?
「そ、そんな事したら、本気で殺されますよ!」 「・・・そうかしら?」
わからない。ミサトさんは何を考えているんだろう。
・・・でもとにかく、僕に出来る事をやりたい。何か、出来る事を。
「・・・ミサトさん。僕、アスカの家に行ってきます」 「・・・駄目って言ったら?」
「・・・行きます」 「・・・そう。もう一度・・・はっきり言っておくけどね」
「何ですか?」 「シンジくんが自分を責める必要はないわ」
「・・・何だか冷たいですね。今日のミサトさんは・・・」 「・・・」
ミサトさんは、一度も僕と顔を向き合わせるはなかった。
玄関に向かい、靴を履き、ドアノブに手を掛ける。

「待って」 「え?」
綾波?
「何?」 「・・・」
ドアノブに手を掛けた僕を引き止めておきながら、綾波は何も言わない。
「どうしたの?」 「・・・」
「綾波?」 「・・・・・・」
僕をただ見つめるその透き通ったガラスの様な赤い瞳に、何だか吸い込まれてしまいそうだった。
「――え、えっと、行って来るよ」 「・・・いってらっしゃい」
多分気のせいだけど、綾波がどこか悲しげに見えた。
僕は一人、まだ明るい夏の夕暮れ時を、アスカの住むマンション目指して歩み出した。



「――そちらでも確認してると思うけど、案の定、サードチルドレンはセカンドチルドレン宅へ向かったわ。
もう、済ませてあるわね?・・・ええ。全部よ?・・・そう。それなら大丈夫ね・・・」
261名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/17(土) 00:53:36 ID:???
続きは!?続きは!?続きはどうなるんですかぉ!?
とりあえず乙です。楽しみにしている♪
262名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/17(土) 00:57:42 ID:???
気になるとこで止めたなw
263名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/17(土) 01:07:42 ID:???
戦闘指揮官モードのクールなミサトがいいな
264名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/17(土) 22:43:30 ID:???
何か色んなフラグが立ってる気がするw

続きwktk
265名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/18(日) 12:18:22 ID:???
乙です。
ミサトさん、何か準備してくれてるんだな。
でもまだ緊張が続く……。
2665.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/22(木) 01:16:52 ID:???
「アスカ!アスカ!?居ないの!?」
部屋の前に辿り着いた僕は、中に居るはずのアスカに呼び掛ける。
だが、何度ドアを叩いても、何度その名を呼んでも、応答はない。
「出掛けてるのかな・・・」
ドアノブに手を掛ける。
ガチャッ
「あれ?開いてる?」
ドアを開き、中へと踏み入る。靴は・・・ある。という事はやっぱり中に居るのかな?
「・・・アスカ?・・・・・・お、お邪魔しまーす」
僕は恐る恐る廊下を進む。
「・・・ん?」
何か変な臭いがする。何だろう。これは・・・そうだ。ペンキの臭いだ。
「誰も居ないや・・・」
その臭いの元であろう部屋に辿り着いたが、アスカは居なかった。他に部屋は無かったはずだけど・・・
「そうだ。お風呂」
僕は廊下に戻り、中程にあるバスルームへ向かった。
「アスカ?・・・居る?」
返事はない。思い切ってドアを開く。
・・・居ない。浴室内は完全に乾燥していた。
「・・・どこに行っちゃったんだろう・・・」
一応トイレも確認したけど、やっぱり居なかった。
僕は部屋に戻り少し室内を調べた後、あの時と同様にベッドに腰を降ろした。
――どうなってるんだろう。
冷蔵庫には消費期限が昨日までのコンビニ弁当が一つだけ。つまり、昨日にはもう居なかったのかな?
ペンキの臭いはテーブルとベッド脇の壁から発せられていた。
テーブルは上を全面塗り潰してある。壁は一部だけを新しく塗り直していたのでそこだけがいやに目立っていた。
だが、ゴミも付着していたし、丁寧な仕事ではない。ただ塗り潰しただけ、という感じだ。

「・・・取り敢えず帰ろうかな。ミサトさんにこの事を聞いてみないと・・・」
一人呟くと、僕はアスカのマンションを後にした。
陽は暮れて、幾分か涼しくなった帰り道。
2675.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/22(木) 01:23:16 ID:???
「・・・ただいま」「お帰り」
家に帰るとカレーの匂いがした。ミサトさんが作っているらしい。
「ミサトさん。・・・アスカが、居ませんでした」 「・・・」
僕はダイニングへ向かい、いつもの席に着く。こうして台所に立つミサトさんの背中なんて、久しく見ていなかった気がする。
「鍵が掛かってなかったから、中に入ったんです。そしたら、部屋からペンキの臭いがしました」 「・・・」
「テーブルの上が全面と、壁の一部がペンキで塗られていたんです」 「・・・」
グツグツと鍋が音を立てる。そういえば今日はレトルトじゃないらしい。
綾波の姿は見えないけど、玄関に靴はあったから多分自分の部屋に居るのだろう。
「ミサトさん、何か知りませんか?」 「・・・」
「――いえ、知ってるはずですよね?」 「・・・」
「だってあの時ミサトさん、生存は確認してるって、確かにそう言ったじゃないですか。・・・どこで確認したんですか?」 「・・・」
「アスカは今、どこに居るんですか?」 「・・・」

「何とか言って下さいよ!!」

僕がいきなり大きな声を出したので、丁度お風呂から上がって来たペンペンが驚いて飛び上がっていた。
「・・・アスカに、会いたい?」 「はい。会いたいです」
「・・・そっか」 「やっぱりミサトさんは知ってるんですね?」
ペンペンは不穏な空気を察してか、冷蔵庫に戻っていた。いちいちペンペンの驚く姿を見たくはないし、その方が助かる。
「ええ。知ってるわよ」 「だったら・・・だったら教えて下さいよ!」
「確かに私はアスカがどこに居るのか知ってるけど、どの道今は会わない方がいいと思うわ」 「・・・どうしてですか?」
僕がまたアスカを傷付けてしまうから?
「・・・アスカは今、普通じゃないのよ。それでも会いたいの?」 「え?・・・あ、はい」
普通じゃ・・・ない?
「・・・じゃあ、シンちゃんにアスカと向き合う覚悟はあるのね?」 「・・・あ、ありますよ」
覚悟?・・・どういう意味だろう。
2685.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/22(木) 01:26:07 ID:???
ミサトさんはコンロの火を止め、振り返り、僕の目を見て
「もう一度確認するわ。今のアスカは、シンジくんが知っているアスカじゃないかもしれない。・・・それでも、本当に、会いたいの?」
と、力強い口調で言った。
「・・・はい。会いたいです」 「・・・そう。わかったわ。・・・レイー!もうすぐご飯炊けるから、先に食べてて!ちょっち出掛けて来るわ!ゴメン!」
行くわよ。そう言うとミサトさんは僕の手を引いて外の駐車場に停めてある車に向かった。

しばらく車で走る。窓の外の景色には見覚えがあった。
ジオフロントへ向かう道だ。・・・そこにアスカが?
僕とミサトさんは道中で、一言も言葉を交わさなかった。
車両運搬用のリフトに乗り、ネルフ本部へと向かう。

「ミサトさん」 「・・・何?」
多分半分程まで下って来た辺りで、僕の方から口を開いた。
「テーブルや壁の事は、アスカと関係あるんですか?」 「・・・後で説明するわ」
ミサトさんは外の景色に目をやっている。といってもリフト内では流れる蛍光灯の光位しか見えないはずだが。
「・・・アスカに、何かあったんですか?」 「・・・それも後で説明するわ」
窓の外に目をやったままのミサトさん。僕もそれに倣って流れる蛍光灯の光を眺める事にする。
規則的に流れて行く光は、何だか心地良かった。またしばらく沈黙が続く。

「着いたわ。ここよ」 「ここって・・・」
ジオフロントに着きミサトさんの車で向かった先は、ネルフの付属病院だった。
2694.25 ◆FPBUMtkkbw :2008/05/22(木) 01:30:17 ID:???
「アスカの状態は?」
白衣の女性がミサトに尋ねる。
「もう意識は回復してるわ。幸い後遺症も無いって」 「そう。なら良かったじゃない」
「・・・まあね。でも問題はこれからよ」 「弐号機のパイロットをどうするか?」
「それもあるし、初号機パイロットの事もね」 「シンジくんに何か問題でも?」
病棟の廊下で話し込む二人。時刻は既に深夜一時を回っている。彼女達の周囲に人影はない。
「前に話したでしょ?彼、多分アスカが好きなのよ」 「それは聞いたけど、それで?」
「この事を知ったらきっと自分を責めるわ。もしかしたらエヴァを降りてしまうかもしれない」 「じゃあ隠し通すの?」
「それも考えたんだけど、私が耐えられないかも。それに、シンジくんにも選ぶ権利はあると思うの」 「選ぶ権利?」
「そう。私は、彼が望むならアスカに会わせてもいいと思ってるわ」 「でも、色々と問題があるんじゃない?」
「・・・アスカもきっと、会いたいと思ってるわ。けど、そうなったらシンジくんには覚悟しておいてもらわないといけないわね」
「・・・ま、責任者は貴女ですからね。慎重に頼むわよ」
そう言うと白衣の女性は胸ポケットからタバコの箱を取り出す。
その中から一本を抜き取り、百円ライターで火を点けた。
「慎重に・・・ねえ。じゃあいきなりあれを見られるのはマズいわね」 「そうね」
「すぐにでも処理させないと。写真はもう取ってあったわよね?」 「ええ。・・・でも、見せる気なの?」
「彼がそれを望んだらね・・・。――さて、今日でアスカが学校を休み始めてから三日目になるわけね」 「そうなるわね。今日彼女が登校しない限りは」
「・・・。彼は相当心配してるわ。アスカの事。そろそろ家まで行っちゃうかもしれない」 「どうするの?」
「中に入れる様にしておこうと思うの。そこからは彼の自由」 「自由・・・ね。でも貴女にはもう、彼がどう行動するか、分かってるんじゃないの?」
「・・・分かんないわよ。そんなの」 「そう。・・・とにかく今日はもう休んだら?」
「そうね。そうさせてもらおうかしら」 「気を付けて帰るのよ」
「わーってるわよ!子供じゃないんだから!」 「あらそう?ごめんなさい」
二人はその場で別れを告げ、ミサトは薄暗い病院を後にした。
270名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/22(木) 02:01:45 ID:???

病んできた
271名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/22(木) 04:50:22 ID:???
乙だ。なかなかいい感じじゃないか。毎回感心するよ
272名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/22(木) 18:21:49 ID:???
乙!
時系列をいじってるとみていいの?
273名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/22(木) 18:27:47 ID:???
タイトルが4.25だからな。そういう事でしょ
274名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 09:53:42 ID:???
チヤホヤするなーーーーー!!!!!!!!!!
うをおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!

荒らしてやる”!!荒らしてやるぞ!!!!!!
275名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 10:03:59 ID:???
「アスカの状態は?」
白衣の女性がミサトに尋ねる。
「もう意識は回復してるわ。幸い後遺症も無いって」 「そう。なら良かったじゃない」
「・・・まあね。でも問題はこれからよ」 「弐号機のパイロットをどうするか?」
「それもあるし、初号機パイロットの事もね」 「シンジくんに何か問題でも?」
病棟の廊下で話し込む二人。時刻は既に深夜一時を回っている。彼女達の周囲に人影はない。
「前に話したでしょ?彼、多分アスカが好きなのよ」 「それは聞いたけど、それで?」
「この事を知ったらきっと自分を責めるわ。もしかしたらエヴァを降りてしまうかもしれない」 「じゃあ隠し通すの?」
「それも考えたんだけど、私が耐えられないかも。それに、シンジくんにも選ぶ権利はあると思うの」 「選ぶ権利?」
「そう。私は、彼が望むならアスカに会わせてもいいと思ってるわ」 「でも、色々と問題があるんじゃない?」
「・・・アスカもきっと、会いたいと思ってるわ。けど、そうなったらシンジくんには覚悟しておいてもらわないといけないわね」
「・・・ま、責任者は貴女ですからね。慎重に頼むわよ」
そう言うと白衣の女性は胸ポケットからタバコの箱を取り出す。
その中から一本を抜き取り、百円ライターで火を点けた。
「慎重に・・・ねえ。じゃあいきなりあれを見られるのはマズいわね」 「そうね」
「すぐにでも処理させないと。写真はもう取ってあったわよね?」 「ええ。・・・でも、見せる気なの?」
「彼がそれを望んだらね・・・。――さて、今日でアスカが学校を休み始めてから三日目になるわけね」 「そうなるわね。今日彼女が登校しない限りは」
「・・・。彼は相当心配してるわ。アスカの事。そろそろ家まで行っちゃうかもしれない」 「どうするの?」
「中に入れる様にしておこうと思うの。そこからは彼の自由」 「自由・・・ね。でも貴女にはもう、彼がどう行動するか、分かってるんじゃないの?」
「・・・分かんないわよ。そんなの」 「そう。・・・とにかく今日はもう休んだら?」
「そうね。そうさせてもらおうかしら」 「気を付けて帰るのよ」
「わーってるわよ!子供じゃないんだから!」 「あらそう?ごめんなさい」
二人はその場で別れを告げ、ミサトは薄暗い病院を後にした。
276名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 10:19:20 ID:???
「アスカの状態は?」
白衣の女性がミサトに尋ねる。
「もう意識は回復してるわ。幸い後遺症も無いって」 「そう。なら良かったじゃない」
「・・・まあね。でも問題はこれからよ」 「弐号機のパイロットをどうするか?」
「それもあるし、初号機パイロットの事もね」 「シンジくんに何か問題でも?」
病棟の廊下で話し込む二人。時刻は既に深夜一時を回っている。彼女達の周囲に人影はない。
「前に話したでしょ?彼、多分アスカが好きなのよ」 「それは聞いたけど、それで?」
「この事を知ったらきっと自分を責めるわ。もしかしたらエヴァを降りてしまうかもしれない」 「じゃあ隠し通すの?」
「それも考えたんだけど、私が耐えられないかも。それに、シンジくんにも選ぶ権利はあると思うの」 「選ぶ権利?」
「そう。私は、彼が望むならアスカに会わせてもいいと思ってるわ」 「でも、色々と問題があるんじゃない?」
「・・・アスカもきっと、会いたいと思ってるわ。けど、そうなったらシンジくんには覚悟しておいてもらわないといけないわね」
「・・・ま、責任者は貴女ですからね。慎重に頼むわよ」
そう言うと白衣の女性は胸ポケットからタバコの箱を取り出す。
その中から一本を抜き取り、百円ライターで火を点けた。
「慎重に・・・ねえ。じゃあいきなりあれを見られるのはマズいわね」 「そうね」
「すぐにでも処理させないと。写真はもう取ってあったわよね?」 「ええ。・・・でも、見せる気なの?」
「彼がそれを望んだらね・・・。――さて、今日でアスカが学校を休み始めてから三日目になるわけね」 「そうなるわね。今日彼女が登校しない限りは」
「・・・。彼は相当心配してるわ。アスカの事。そろそろ家まで行っちゃうかもしれない」 「どうするの?」
「中に入れる様にしておこうと思うの。そこからは彼の自由」 「自由・・・ね。でも貴女にはもう、彼がどう行動するか、分かってるんじゃないの?」
「・・・分かんないわよ。そんなの」 「そう。・・・とにかく今日はもう休んだら?」
「そうね。そうさせてもらおうかしら」 「気を付けて帰るのよ」
「わーってるわよ!子供じゃないんだから!」 「あらそう?ごめんなさい」
二人はその場で別れを告げ、ミサトは薄暗い病院を後にした。
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 11:44:17 ID:???
妊娠してるのか?
278名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 16:16:30 ID:???
まーた変なのが湧いてきたなぁ
279名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 18:42:20 ID:???
頼むから反応するな
280名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 19:09:46 ID:???
ここまで俺の自演
281名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 23:08:46 ID:???
「アスカの状態は?」
白衣の女性がミサトに尋ねる。
「もう意識は回復してるわ。幸い後遺症も無いって」 「そう。なら良かったじゃない」
「・・・まあね。でも問題はこれからよ」 「弐号機のパイロットをどうするか?」
「それもあるし、初号機パイロットの事もね」 「シンジくんに何か問題でも?」
病棟の廊下で話し込む二人。時刻は既に深夜一時を回っている。彼女達の周囲に人影はない。
「前に話したでしょ?彼、多分アスカが好きなのよ」 「それは聞いたけど、それで?」
「この事を知ったらきっと自分を責めるわ。もしかしたらエヴァを降りてしまうかもしれない」 「じゃあ隠し通すの?」
「それも考えたんだけど、私が耐えられないかも。それに、シンジくんにも選ぶ権利はあると思うの」 「選ぶ権利?」
「そう。私は、彼が望むならアスカに会わせてもいいと思ってるわ」 「でも、色々と問題があるんじゃない?」
「・・・アスカもきっと、会いたいと思ってるわ。けど、そうなったらシンジくんには覚悟しておいてもらわないといけないわね」
「・・・ま、責任者は貴女ですからね。慎重に頼むわよ」
そう言うと白衣の女性は胸ポケットからタバコの箱を取り出す。
その中から一本を抜き取り、百円ライターで火を点けた。
「慎重に・・・ねえ。じゃあいきなりあれを見られるのはマズいわね」 「そうね」
「すぐにでも処理させないと。写真はもう取ってあったわよね?」 「ええ。・・・でも、見せる気なの?」
「彼がそれを望んだらね・・・。――さて、今日でアスカが学校を休み始めてから三日目になるわけね」 「そうなるわね。今日彼女が登校しない限りは」
「・・・。彼は相当心配してるわ。アスカの事。そろそろ家まで行っちゃうかもしれない」 「どうするの?」
「中に入れる様にしておこうと思うの。そこからは彼の自由」 「自由・・・ね。でも貴女にはもう、彼がどう行動するか、分かってるんじゃないの?」
「・・・分かんないわよ。そんなの」 「そう。・・・とにかく今日はもう休んだら?」
「そうね。そうさせてもらおうかしら」 「気を付けて帰るのよ」
「わーってるわよ!子供じゃないんだから!」 「あらそう?ごめんなさい」
二人はその場で別れを告げ、ミサトは薄暗い病院を後にした。
282名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 23:32:13 ID:???
「アスカの状態は?」
白衣の女性がミサトに尋ねる。
「もう意識は回復してるわ。幸い後遺症も無いって」 「そう。なら良かったじゃない」
「・・・まあね。でも問題はこれからよ」 「弐号機のパイロットをどうするか?」
「それもあるし、初号機パイロットの事もね」 「シンジくんに何か問題でも?」
病棟の廊下で話し込む二人。時刻は既に深夜一時を回っている。彼女達の周囲に人影はない。
「前に話したでしょ?彼、多分アスカが好きなのよ」 「それは聞いたけど、それで?」
「この事を知ったらきっと自分を責めるわ。もしかしたらエヴァを降りてしまうかもしれない」 「じゃあ隠し通すの?」
「それも考えたんだけど、私が耐えられないかも。それに、シンジくんにも選ぶ権利はあると思うの」 「選ぶ権利?」
「そう。私は、彼が望むならアスカに会わせてもいいと思ってるわ」 「でも、色々と問題があるんじゃない?」
「・・・アスカもきっと、会いたいと思ってるわ。けど、そうなったらシンジくんには覚悟しておいてもらわないといけないわね」
「・・・ま、責任者は貴女ですからね。慎重に頼むわよ」
そう言うと白衣の女性は胸ポケットからタバコの箱を取り出す。
その中から一本を抜き取り、百円ライターで火を点けた。
「慎重に・・・ねえ。じゃあいきなりあれを見られるのはマズいわね」 「そうね」
「すぐにでも処理させないと。写真はもう取ってあったわよね?」 「ええ。・・・でも、見せる気なの?」
「彼がそれを望んだらね・・・。――さて、今日でアスカが学校を休み始めてから三日目になるわけね」 「そうなるわね。今日彼女が登校しない限りは」
「・・・。彼は相当心配してるわ。アスカの事。そろそろ家まで行っちゃうかもしれない」 「どうするの?」
「中に入れる様にしておこうと思うの。そこからは彼の自由」 「自由・・・ね。でも貴女にはもう、彼がどう行動するか、分かってるんじゃないの?」
「・・・分かんないわよ。そんなの」 「そう。・・・とにかく今日はもう休んだら?」
「そうね。そうさせてもらおうかしら」 「気を付けて帰るのよ」
「わーってるわよ!子供じゃないんだから!」 「あらそう?ごめんなさい」
二人はその場で別れを告げ、ミサトは薄暗い病院を後にした。
283名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/25(日) 23:34:19 ID:???
チヤホヤするなチヤホヤするな

嫌いだ嫌いだ嫌いだ

コロシテヤルコロシテヤル

うがああああああ1!!!!!!!!!!
284名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/28(水) 09:12:59 ID:???
続きwktk
285名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/28(水) 19:54:52 ID:???
投下待ってます
続きwktk
286名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/31(土) 01:42:14 ID:???
こないね(・ω・)
2876.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:10:04 ID:???
僕は今、ネルフの病院内に居る。ミサトさんに連れられ、アスカの居る病室を目指しているところだ。
面会時間はもう過ぎているはずだが、ミサトさんが何とかしてくれたらしい。
エレベーターに乗り込む。ミサトさんは三階のボタンを押した。
同時に扉は閉まり、上昇を始める。
三階にはすぐに着いた。僕はミサトさんの後に付いて歩く。
エレベーターを降りて、最初の通路を左に進む。
それからは直進。そして、その通路の奥から三番目の、僕から見て右手側にある個室がアスカの病室だった。

『303 惣流・A・ラングレー』

その部屋のプレートが目に入る。そこに書かれていたのは、紛れもなくアスカの名前だった。

「外で待ってるわ。何かあったらすぐに呼んでね」 「・・・はい」
目の前のドア一枚。これを開けばすぐにでもアスカに会える。
・・・でも、何だか怖い。目の当たりにした現実を前に、僕はドア一枚さえ開ける事が出来ずにいた。
握り締めた手が汗で湿ってくるのがはっきりと分かる。心臓の鼓動も早くなる。
どうしても、ドアノブに触れる事が出来ない。
「やっぱり今日はやめとく?」 「・・・い、いえ。行きます」
――そうだ。ここまで来たんだ。会わずに帰ってどうするんだ。今帰ったら、何の意味も無いじゃないか。
僕は意を決してドアノブに手を掛ける。そして、そのドアを押した。
グッ
「引くのよ」 「あ、すいません」
ミサトさんに言われた通りにドアを開いた。
室内に踏み入る。独特な、病室らしい臭いがした。
電気は点いていないので、月明りだけが室内をうっすらと照らしている。
部屋の中央には大きなベッドが一つ。そしてその周囲には、何だか分からないけど機械がたくさん。
暗くてよく見えないけど、あのベッドにアスカが寝ているのだろう。
ベッド脇の小さな机の上にはデジタル時計が置かれている。示す時刻はPM8:48。
壁にはブラケットが一つ。
他には特に何も見当たらない。割りと殺風景な部屋だ。
ドアを閉め、僕はゆっくりとアスカの横たわるベッドへと近付いた。
2886.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:17:16 ID:???
「アスカ?」
・・・ベッドからの返事はない。僕は壁のスイッチを手探りで探し、ブラケットに明かりを灯す。
暗かった部屋が、乳白色の光でほんのりと照らし出された。べッド脇からアスカの顔を覗き込む。
――どうやら眠っているらしい。
こうして見る寝顔からは、普段のやかましいアスカの様子等寸分も窺えない。
ミサトさんから聞いた印象とも随分と違う、穏やかで・・・綺麗な顔だ。

「・・・誰?」

突然、アスカが今まで聞いた事も無かった様な弱々しい声を出した。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」 「・・・シンジなの?」
「うん」
僕が返事をするのとほぼ同時に、アスカが飛び起きた。そう。まさに飛び起きたという感じだった。
驚いて一歩後ずさる。
「ど、どうしたの?」
アスカがゆらりとベッドから降り立つ。
その身体から伸びていた沢山のチューブ類が弾け飛んだ。僕と向き合う形になる。

ガッ!

一瞬、何が起きたのか分からなかった。首に強烈な圧迫感を感じた時には、既に床に押し倒されていた。
「ア、アスカ!何すんだよ!!」 「・・・」
アスカは僕に馬乗りになって、多分本気で、僕の首を絞めている。
――苦しい。本気で。やめてよ。アスカ。冗談じゃ済まないよ。苦しい!やめろよ!!死ぬって!!!
ガチャッ!
「アスカ!やめなさい!!」
ミサトさんが急いで駆け付け、アスカを背後から羽交締めにし、僕の上から引き剥がしてくれた。
「嫌ああッ!!離してよ!!!」 「シンジくん!早く外に出て!」
僕は何とか立ち上がり、痛む喉を押さえながら廊下に飛び出した。
それと入れ違いになる形で、白衣の人達が病室に駆け込む。
「離して!離してよッ!!シンジはどこ行ったの!?シンジ!シンジ!?」 「早く打って!」
・・・腰が抜けた。僕は廊下の壁にだらしなく寄り掛かる様に崩れ落ち、何も出来ずにただ唖然としていた。
2896.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:23:33 ID:???
しばらくすると、辺りはまた静けさを取り戻す。
廊下から見ていた限りでは、白衣の男性がアスカに何かを注射した様に見えた。
多分、鎮静剤の類だろう。アスカはもうおとなしくなっている。
僕も少しずつ平常心を取り戻しつつあった。けど、心臓は今まで経験した事が無い程に高鳴っている。
「・・・ごめんね。怖かったでしょ?」
ミサトさんはアスカをベッドに戻し、部屋を出てドアを閉めてから言った。
白衣の人達はまだ部屋の中だ。
「い、いえ・・・大丈夫・・・です」
とは言いつつも、正直相当怖かった。
まさかアスカが僕を・・・殺そうとするなんて・・・。
「立てる?」 「あ、はい」
ミサトさんの手を借りて僕は立ち上がる。
そのまま一階のロビーへ連れて行かれ、僕はベンチに腰を降ろした。
「ちょっと待ってて」
そう言うとミサトさんは何処かに行ってしまう。

――しばらくして、両手に紙コップを持ったミサトさんが戻って来た。
「ココアとコーヒー、どっちがいい?」 「・・・どっちでもいいです」
はい、と僕に左手に持った紙コップを差し出すミサトさん。
冷たい。見た感じ、ココアだ。
「・・・アスカに、何があったんですか?」 「・・・ここに運び込まれた時、あの娘は昏睡状態だったわ」
「昏睡状態?」 「そう。市販の睡眠促進剤を、残量から考えて20錠位かしら。一気に飲んだの」
「そ、それって・・・」 「・・・多分、あれだけじゃ死なないって分かってたはずよ。本当の目的は・・・当てつけの為だった可能性が高いわ」
そんな。そんなのって・・・。
「・・・誰への当てつけですか?」 「私へかもしれないし、ネルフという組織へかもしれない」
「本当に死ぬ気だったかも知れないじゃないですか」 「実行する直前、火曜の夜の11時位だったわね。家の電話にアスカの部屋から電話があったのよ」
「アスカの部屋から?何てですか?」
「何も話さなかったわ。一分間も。シンジくん達はもう寝てたわね。
――で、そういう行動って、当てつけ的にやる人間に多いらしいのよ」
2906.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:28:10 ID:???
「で、でも、アスカに薬に関するそんな知識があったんですか?」 「多分ね。あの娘、薬学も多少はかじってたはずだから」
・・・当てつけ、か。自殺未遂までして・・・。
「・・・もしそうだったとしたら、きっと僕への当てつけですよ」 「シンジくんが何かした?」
「・・・アスカを、怒らせました。それに、アスカのシンクロ率が下がったのだって・・・」
「それはシンジくんが悪いんじゃないわ。――私は、あの娘が落ち込んでる時に怒鳴りつけて、更には殴ろうとまでした」
・・・そんな話、聞かされてなかったな。
「日曜の事よ。その次の日から、アスカは学校に行かなくなっちゃったのよね」 「・・・ミサトさんが悪いわけじゃないですよ」
・・・ここで二人で慰め合ったところで、何にもならない。
今一番つらいのは、他の誰でもない。アスカなんだ。
「じゃあその・・・自殺未遂と、その・・・アスカが僕に襲いかかって来た事って、関係あるんですか?」
「・・・まあ、必ずしも関係無いとは言い切れないわね。でも、今問題なのはアスカの心の方なのよ」
「心?」 「そう。医者に言わせれば、急性ストレス障害」
「何ですか、それ?」 「まあ、心に大きな傷を負って、一時的に不安定になっちゃう、って感じかしら」
心に大きな傷・・・か。僕が付けてしまったんだろうか。
さっきだって、僕が余計な事をしたから・・・。
「・・・なら僕は、近付かない方がいいですよね」 「・・・そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
「・・・?」 「まあハッキリ言ってしまえば、シンジくんは今のアスカにとって、トラウマ的存在だと考えられるわ」
・・・遂に僕はトラウマにまでなってしまったのか。
「でも誤解しないで欲しいの。トラウマとは言ったけど、それはシンジくんに対するアスカの思いがそれだけ強いって事で、
決して嫌悪感とか、そういった類のものから来ているわけじゃないのよ」 「・・・アスカは、僕を殺そうとしたんですよ?」
「・・・あの娘も、どうすればいいかわからなかったんだと思う」
2916.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:33:03 ID:???
どうすればいいのかわからない・・・か。僕もだ。
いや、そもそも何かをすべきなんだろうか?
「・・・僕はもう、アスカに嫌われたくないんです」 「嫌われてなんかいないわ」
「どうしてそんな事、言えるんですか?」 「・・・アスカの部屋の事、覚えてる?」
アスカの部屋?えっと・・・
「テーブルと壁の事ですか?」 「そうよ。ペンキを塗る前の写真があるの。見たい?」
・・・どうしよう。また何か、見たらショックを受けそうな、そんな予感がある。
けど、見ないといけない様な、そんな妙な感覚もある。
・・・いや、ここまで来て何を恐れる必要があるんだ。
「見せて下さい」 「――これよ」
ミサトさんは上着の内ポケットから二枚の写真を取り出し、僕に示した。
・・・なんだろう。テーブルと壁が真っ黒になってる?
いや、違う。・・・文字だ。
文字が隙間無く書かれてるんだ。多分黒いペンで書かれている。
そしてそこから読み取れるのは、『シンジ』という単語。
いや、よく見ると『バカシンジ』とかもある。テーブルと壁の一部に、隙間なく、びっしりと書かれている。
文字と文字が被って判別が難しい部分も多い。
「な、何ですかこれ!?」 「アスカが学校を休んで、やっていた事がコレよ」
そんな・・・。どうしてこんな事・・・。
「ここ。見て」 「・・・どこですか?」
「ここよ。左端の。わかる?」 「・・・?」
ミサトさんは写真のテーブルの左端部分を指差している。
なんだろう。何て書いてあるんだ?周りの『シンジ』ばっかりが目に入る。凄い密度だ。
よく目を凝らす。
――ああ、そうか。
『すき』って。そう書いてあるんだ。その隣りには『きらい』。
近付いてよく見ると、テーブルの左端から右端まで一列に『すき』と『きらい』が交互に続いているらしかった。
2926.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:39:28 ID:???
そして右端に目をやる。『すき』で終わってる。でもその前の『きらい』は他のに比べて異様に小さい。
「・・・何なんですか?コレ」 「多分花占いみたいなものね。最後は恣意的に『すき』になってるけど」
つまりアスカは学校を休んで、僕の名前をテーブルと壁にびっしりと書き込み、
結果の見えたテーブル占いをしていたというのだ。
「・・・わかった?アスカが今一番望んでいる物が何か」 「・・・何ですか?」
「それはね、シンジくん。・・・アナタからの好意よ」
そ、そんな事言われたって・・・僕には何も出来ないんですよ。・・・何も。
何をすれば良いのか、何を話せば良いのか、どうすればアスカを怒らせずに済むのか。
そう。何もわからない。そして、何かしたらその度にお互いが傷付く羽目になるんだ。
だったら、何もしない方がいいじゃないか・・・。
「・・・ごめんなさい。色々あって、疲れちゃったわよね」 「・・・」
「それ、飲んだら?」 「あ、はい」
僕は促されるままに、紙コップ一杯分のアイスココアを一気に飲み干す。
ずっと気付かなかったけど、喉はひどく渇いていた。
293名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/03(火) 02:42:18 ID:???
リアルタイムGJ
294 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/03(火) 02:49:02 ID:???
タイトルは時系列順に、整数の時はアスカ視点、〜.5の時はシンジ視点でやってます。
他は第三者かな。〜.25とか。アスカ達には見えない所の話になると思います。

一応完結まで考えてあるのにいざ書いてみると上手くいかないもんですね。
今回は時間掛かってしまった
295名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/03(火) 12:36:00 ID:???
なるほどー

アスカの病みっぷりがナイス!
GJ!
296名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/03(火) 19:32:27 ID:???
GJ!
待ってました!!
297名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/03(火) 22:46:03 ID:???
GJ!
続き待ってるYO!
298名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/04(水) 00:20:23 ID:???
くっ!なかなか人をとりこにする展開だぜ。
GJ!!楽しみにしてるよ!!
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/04(水) 02:58:24 ID:???
凄いな。見事なヤンデレ振りで大作の予感までする
300名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/04(水) 15:40:18 ID:???
>そして、そのドアを押した
>グッ
>「引くのよ」「あ、すいません」

これいらんだろwwwwww
301名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/04(水) 16:39:03 ID:???
俺は一瞬緊張が解けて良かったけどな
いい意味でそこで油断したよ
302名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/04(水) 22:57:15 ID:???
(;´Д`)なんというヤンデレ
GJ、次回も期待
303名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/08(日) 13:38:36 ID:???
しばらくすると、辺りはまた静けさを取り戻す。
廊下から見ていた限りでは、白衣の男性がアスカに何かを注射した様に見えた。
多分、鎮静剤の類だろう。アスカはもうおとなしくなっている。
僕も少しずつ平常心を取り戻しつつあった。けど、心臓は今まで経験した事が無い程に高鳴っている。
「・・・ごめんね。怖かったでしょ?」
ミサトさんはアスカをベッドに戻し、部屋を出てドアを閉めてから言った。
白衣の人達はまだ部屋の中だ。
「い、いえ・・・大丈夫・・・です」
とは言いつつも、正直相当怖かった。
まさかアスカが僕を・・・殺そうとするなんて・・・。
「立てる?」 「あ、はい」
ミサトさんの手を借りて僕は立ち上がる。
そのまま一階のロビーへ連れて行かれ、僕はベンチに腰を降ろした。
「ちょっと待ってて」
そう言うとミサトさんは何処かに行ってしまう。

――しばらくして、両手に紙コップを持ったミサトさんが戻って来た。
「ココアとコーヒー、どっちがいい?」 「・・・どっちでもいいです」
はい、と僕に左手に持った紙コップを差し出すミサトさん。
冷たい。見た感じ、ココアだ。
「・・・アスカに、何があったんですか?」 「・・・ここに運び込まれた時、あの娘は昏睡状態だったわ」
「昏睡状態?」 「そう。市販の睡眠促進剤を、残量から考えて20錠位かしら。一気に飲んだの」
「そ、それって・・・」 「・・・多分、あれだけじゃ死なないって分かってたはずよ。本当の目的は・・・当てつけの為だった可能性が高いわ」
そんな。そんなのって・・・。
「・・・誰への当てつけですか?」 「私へかもしれないし、ネルフという組織へかもしれない」
「本当に死ぬ気だったかも知れないじゃないですか」 「実行する直前、火曜の夜の11時位だったわね。家の電話にアスカの部屋から電話があったのよ」
「アスカの部屋から?何てですか?」
「何も話さなかったわ。一分間も。シンジくん達はもう寝てたわね。
――で、そういう行動って、当てつけ的にやる人間に多いらしいのよ」

304名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/08(日) 21:45:37 ID:???
俺は気づいた!!!!!1俺が叩けば叩くほど奴はチヤホヤされる!!!!
日本人はそういう気質だ!!!!!

しまったアアああああああああ!!!!!!!1
305戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/08(日) 23:40:53 ID:???
愚民共よ!!!! 元気にしていたか??
306戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 00:13:38 ID:???
しばらくすると、辺りはまた静けさを取り戻す。
廊下から見ていた限りでは、白衣の男性がアスカに何かを注射した様に見えた。
多分、鎮静剤の類だろう。アスカはもうおとなしくなっている。
僕も少しずつ平常心を取り戻しつつあった。けど、心臓は今まで経験した事が無い程に高鳴っている。
「・・・ごめんね。怖かったでしょ?」
ミサトさんはアスカをベッドに戻し、部屋を出てドアを閉めてから言った。
白衣の人達はまだ部屋の中だ。
「い、いえ・・・大丈夫・・・です」
とは言いつつも、正直相当怖かった。
まさかアスカが僕を・・・殺そうとするなんて・・・。
「立てる?」 「あ、はい」
ミサトさんの手を借りて僕は立ち上がる。
そのまま一階のロビーへ連れて行かれ、僕はベンチに腰を降ろした。
「ちょっと待ってて」
そう言うとミサトさんは何処かに行ってしまう。

――しばらくして、両手に紙コップを持ったミサトさんが戻って来た。
「ココアとコーヒー、どっちがいい?」 「・・・どっちでもいいです」
はい、と僕に左手に持った紙コップを差し出すミサトさん。
冷たい。見た感じ、ココアだ。
「・・・アスカに、何があったんですか?」 「・・・ここに運び込まれた時、あの娘は昏睡状態だったわ」
「昏睡状態?」 「そう。市販の睡眠促進剤を、残量から考えて20錠位かしら。一気に飲んだの」
「そ、それって・・・」 「・・・多分、あれだけじゃ死なないって分かってたはずよ。本当の目的は・・・当てつけの為だった可能性が高いわ」
そんな。そんなのって・・・。
「・・・誰への当てつけですか?」 「私へかもしれないし、ネルフという組織へかもしれない」
「本当に死ぬ気だったかも知れないじゃないですか」 「実行する直前、火曜の夜の11時位だったわね。家の電話にアスカの部屋から電話があったのよ」
「アスカの部屋から?何てですか?」
「何も話さなかったわ。一分間も。シンジくん達はもう寝てたわね。
――で、そういう行動って、当てつけ的にやる人間に多いらしいのよ」
307戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 00:14:57 ID:???
しばらくすると、辺りはまた静けさを取り戻す。
廊下から見ていた限りでは、白衣の男性がアスカに何かを注射した様に見えた。
多分、鎮静剤の類だろう。アスカはもうおとなしくなっている。
僕も少しずつ平常心を取り戻しつつあった。けど、心臓は今まで経験した事が無い程に高鳴っている。
「・・・ごめんね。怖かったでしょ?」
ミサトさんはアスカをベッドに戻し、部屋を出てドアを閉めてから言った。
白衣の人達はまだ部屋の中だ。
「い、いえ・・・大丈夫・・・です」
とは言いつつも、正直相当怖かった。
まさかアスカが僕を・・・殺そうとするなんて・・・。
「立てる?」 「あ、はい」
ミサトさんの手を借りて僕は立ち上がる。
そのまま一階のロビーへ連れて行かれ、僕はベンチに腰を降ろした。
「ちょっと待ってて」
そう言うとミサトさんは何処かに行ってしまう。

――しばらくして、両手に紙コップを持ったミサトさんが戻って来た。
「ココアとコーヒー、どっちがいい?」 「・・・どっちでもいいです」
はい、と僕に左手に持った紙コップを差し出すミサトさん。
冷たい。見た感じ、ココアだ。
「・・・アスカに、何があったんですか?」 「・・・ここに運び込まれた時、あの娘は昏睡状態だったわ」
「昏睡状態?」 「そう。市販の睡眠促進剤を、残量から考えて20錠位かしら。一気に飲んだの」
「そ、それって・・・」 「・・・多分、あれだけじゃ死なないって分かってたはずよ。本当の目的は・・・当てつけの為だった可能性が高いわ」
そんな。そんなのって・・・。
「・・・誰への当てつけですか?」 「私へかもしれないし、ネルフという組織へかもしれない」
「本当に死ぬ気だったかも知れないじゃないですか」 「実行する直前、火曜の夜の11時位だったわね。家の電話にアスカの部屋から電話があったのよ」
「アスカの部屋から?何てですか?」
「何も話さなかったわ。一分間も。シンジくん達はもう寝てたわね。
――で、そういう行動って、当てつけ的にやる人間に多いらしいのよ」
308戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 00:26:14 ID:???
ごめんなさい もうしません

◆FPBUMtkkbwを見習って頑張るよ
309戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:16:12 ID:???
みんなじゃあね 
310戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:24:33 ID:???
アスカ。・・・・・あすか・・・・・ 大好きだよ
311戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:25:21 ID:R+91Q1S3
このスレをもっと盛上げよう!!! ◆FPBUMtkkbw師の作品を称えよう!!!


さいこうでs−−−−−−う
312戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:26:47 ID:R+91Q1S3
◆FPBUMtkkbw さん ぐzzっじょおおおおおおぶだよおおおおお

うまいなうまいなうまいな〜 見習うよ!! なんで面白いのか分析して

自分のものにするよ!! 最高だよ!!! 神職人だァ〜〜〜
313戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:28:07 ID:???
◆FPBUMtkkbwは職人の鏡、いやかがみんだね


ヒイラギかがみ 萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜


だがかがみすら誉め言葉とはしては不足か うむ
314戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:30:38 ID:???
◆FPBUMtkkbwみたいになりたいです!

俺は言った

◆FPBUMtkkbw「なれるよ、君なら」
優しい笑みをたたえておっしゃる◆FPBUMtkkbw様

俺「でも自信がないんです。俺には才能なんか無いってみんなが言うし」

◆FPBUMtkkbw 「そうだね、ないね」

俺「師匠!?」

◆FPBUMtkkbw 「ハハッw 冗談さ。大丈夫なれるよ、努力で
  壊せない壁なんてないんだから」
315戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:31:53 ID:???
◆FPBUMtkkbw 「少年よ、神話になれ・・・・・」


俺「はい!!お師匠様!!」
316戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:36:52 ID:???
◆FPBUMtkkbw 「少し散歩に言ってくる」

俺「待ってくださいお師匠様!俺も行きます!」

◆FPBUMtkkbw「そうか・・・・・」


-----------------------------------------------------

俺「お師匠様はなぜ職人に・・・・?」

◆FPBUMtkkbw「自分の居場所が欲しいからだよ。チヤホヤされることで
       アイデンティティーを見出したかったんだ」

俺「ハハ、動機は俺と同じなんですね。実力はまるで違うけど・・・・」

◆FPBUMtkkbw「いや、創作において大切なのはたゆまぬ努力だ。
        君が本気で頑張れば、あるいはこの私を・・・」

俺「超える!!??」

◆FPBUMtkkbw 「いや、それはないw」





317戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 01:38:31 ID:???
◆FPBUMtkkbw 「まずは頑張ってみたまへ。石は磨かねばみな同じ石だ。
       磨くことでダイヤなのかただの石ころなのかがわかる。
       まずは磨いてみなさい」

俺  「はい!!!」
318名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/09(月) 03:21:15 ID:???
>>294
次の投下はまだかな??
(・ω・)wktk
319戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 06:21:19 ID:R+91Q1S3
>>318
次の投下はちょっと待っててな! オラ、必ず投下すっからよ!
320名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/09(月) 21:49:03 ID:???
スレが伸びてるから投下されたのかと思ったら・・・orz
321名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/09(月) 21:55:15 ID:???
そんなレスも荒らしは喜ぶぞ
黙ってあぼ〜んでスッキリ
3227.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/11(水) 21:10:39 ID:???
「そろそろ、帰ろっか」 「・・・はい」
ミサトさんの車で、来た道を帰る。その道中、ほとんど言葉を交わす事は無かった。
ミサトさんは誰かと連絡を取っていた様な気がするけど、眠かったからよく覚えていない。

「シンちゃん。着いたわよ」
・・・眠ってしまったらしい。
ミサトさんとはマンション下の駐車場で別れ、一人で帰宅する事になった。
用事が出来た、と言ってミサトさんは車に残ったからだ。
「ああ、そうそう。今夜見た事は、一切口外禁止よ」 「・・・はい。わかりました」
僕は一人、エレベーターに乗って自室を目指す。

「ただいま、綾波」 「・・・お帰りなさい」
僕が家に帰ると、綾波はリビングのソファで何か本を読んでいた。時計の針は、10時半位を指している。
・・・そういえば晩ご飯、食べてないんだった。あんまりお腹が空いた様には感じないけど。
確かミサトさんがカレーを作っていたはずだ。僕はコンロにある鍋に向かう。
鍋の中には、三人分位のカレーがあった。何故か色が赤いけど。
――あれ?三人分?
「綾波。夕飯食べた?」 「ええ」
「何食べたの?」 「・・・卵ご飯」
「え?これは?」 「・・・無理」
・・・無理。綾波のその一言が全てを物語っている様な気がする。
僕は鍋の中にあるお玉を手に取り、カレーを少し掬い上げる。
それを少し口に含んだ。
「・・・。辛ッ!!」
市販のカレールーのゴミがあったので、それを用いたはずなんだけど、一体何をどうしたらこんなに辛くなるのか。
というかどういった意図でやったんだろう。ミサトさんなりの創意工夫なのだろうか。
・・・とにかく、こんな物を食べたら僕の胃がやられかねない。
3237.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/11(水) 21:13:29 ID:???
「・・・僕も卵かけご飯、食べようかな」 「・・・」
ミサトさんには悪いけど、流石にこれは無理です。
僕も結局卵かけご飯を作り、それを食べた。あんまり食欲も無かったし、これ位が丁度良かったのかもしれない。
その間も綾波はずっと本を読んでいた。

「綾波。さっきから何読んでるの?」
僕は夕飯を終え、台所で食器を洗いながら尋ねた。
「・・・『ユノ』」 「小説か何か?」
「ええ」
聞いた事ないな。どんな話なんだろう。
「・・・ねえ、碇くん」
綾波はその手に持った本に目線を落としたまま、言った。
「何?」 「セカンドに会いに行ってたんでしょ?」
「・・・う、うん」
・・・あの時のミサトさんとの会話、やっぱり聞かれてたんだ。
「どこ、行ってたの?」
・・・どうしよう。なんて言えばいいんだ。下手な嘘は吐けないし・・・。
・・・いや、結局教えるわけにはいかないんだ。それは変わらない。だったら素直に、そう言った方がいいな。
「ごめん。教えられない」 「・・・そう。また、そこに行くの?」
「・・・わからない」 「・・・そう」
僕の返事を得ると、綾波は手に持った本にしおりを挟み、パタンッ、とそれを閉じる。
「私、もう寝るわ。・・・おやすみなさい」 「あ、うん。おやすみ」
就寝の挨拶を済ませ、綾波は自分の部屋に向かった。
・・・何だか素っ気無かったな。綾波。いや、いつも通りか。
僕も疲れていたのでさっさと食器を片付け、消灯を済ませると自分の部屋に向かった。
3247.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/11(水) 21:17:52 ID:???
寝間着に着替え、ベッドに仰向けに寝転がる。
首がヒリヒリと痛んだ。爪で引っ掻かれたかな。皮が剥けてる。
この痛みが、どうしても数時間前の出来事を思い出させる。
早く眠ってしまいたいのに。早く忘れてしまいたいのに。
・・・いや。自分が望んだ、その結果だ。忘れたいなんて都合が良過ぎる。
――ミサトさんは言った。アスカが望むものは、僕からの好意だと。
じゃあ、それをどう示せば良いんですか?どう示せばアスカに伝わるんですか?
わからないんですよ。僕には。結局何も出来ないんですよ。僕は。
自分はなんて無力なんだと、改めて思い知らされた。一体、何が出来ると思っていたんだろう。
・・・もういいや。考えるのも疲れた。
「・・・そうだ。お風呂。入ってなかったっけ」
シャワーだけでも浴びてこよう。
僕はシャワーを浴びて、歯を磨き、またベッドに寝転がった。
しばらく眼を閉じる。
・・・気が付いたら、もう朝だった。
325戌法王 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/11(水) 21:39:17 ID:???
お師匠様さいこ―――――――で――――す!乙!乙!乙!
やっぱり神ですね!アスカが懸命に涙をこらえる描写なんかマジハンパねぇっすよ!
アスカの魅力を最大限に引き出しておられますね!

神様!神様!神様!
326名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/11(水) 23:21:10 ID:4yMpLAt5
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/12(木) 00:37:37 ID:???
>>322ー324
乙!7.5か。今回のは大作だな。楽しみにしてます( ^ω^)
328名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/12(木) 03:33:01 ID:???
本当に大作だな。続きが楽しみだ
329戌帝王 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/12(木) 09:50:46 ID:Ekg3l9Zc
てめぇら!神様が優れてんのは当然だろ!神様職人なんだよ!神様職人神様職人!!!
マンセー!O(≧▽≦)O
330戌魔王 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/13(金) 21:07:18 ID:???
お師匠様!投下まだですか?待ちきれないっすよおおぉおぉぉおおぉぉぉおおぉおぉぉおぉおぉぉおぉぉおお!!!!
331名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/13(金) 21:46:23 ID:???
これいつになったらエロい展開になんの?
332名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/13(金) 23:16:53 ID:wuPXocav

333名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/14(土) 01:12:32 ID:???
おっつ!
続き待ってます
334名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/14(土) 02:46:54 ID:???
>>324
GJ.
やっと規制解けたぜ。
3358.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/18(水) 23:51:51 ID:???
「・・・おはようございます」 「おはよう。顔、洗って来たら?」
「あ、はい」
あの日から、約一週間が経った。今日は火曜日。
あれからというもの僕は何もせず、只々平素な日々を、希薄な時間を、消費し続けてきた。
ミサトさんも何も言ってはこない。
僕は促されるまま洗面所に向かう。蛇口を捻る。勢いよく冷水が流れ出た。
そして顔を洗い、朝食の席に着く。
「もうすぐパン焼けるから、ちょっち待っててね」 「はい」
ミサトさんが目玉焼きを焼きながら言う。
「・・・おはよう」 「おはよう。綾波。顔洗って来たら?」
「・・・」
綾波は目をこすりながら洗面所に向かった。その足元は、何故か右足だけにスリッパを履いていた。
凄く眠そうだ。うん。
チンッ!
パンが焼き上がったのをトースターが知らせる。
ミサトさんがこんがりと焼けた食パンを手に取り、それにたっぷりとマーガリンを塗り付けた。

『いってきます』
朝食を済ませ、仕度を終えた僕と綾波は学校へ向かう。
二人でエレベーターに乗り、一階まで降りた。
「・・・今日も暑いね」 「そうね」
「でも明日は雨になるらしいよ」 「そう」
通学路。
僕と綾波の交わす言葉は少ない。
蝉達のやかましさに圧倒されるばかりだ。

「ようシンジ!今日も仲良く二人でご出勤かいな!」 「・・・」
教室に着くや否や、トウジが絡んで来た。綾波は素知らぬ顔で自分の席に向かう。
3368.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/18(水) 23:55:03 ID:???
「・・・何やあ?最近元気無いのう」 「そんな事ないよ」
それだけ言うと、僕は自分の席に向かった。
途中、アスカの席の横を通る。普段なら罵言の一つも浴びせられたものだが、今そこには誰も居ない。
アスカは学校を休み続けていた。それももう一週間近く。
今も独り、アスカはあそこに居るのだろうか。

「起立!礼!」
委員長の号令に続き、皆が軽く頭を下げる。今日もまた、授業にまるで身が入らなかった。
皆は部活に向かったり、帰ったらどこで遊ぼう、とかそんな話をしながら、次々に教室を後にする。
僕に放課後の予定は無い。
「シンジ。帰ろうや」 「碇、早くしろよ」 「うん」
トウジとケンスケが教室のドア付近で待っていた。
綾波の姿は見当たらない。どうやら先に帰ったらしい。
僕達は三人で帰路に着く。

「どうしたんだよ?最近、何か変だぞ?」
陽もまだ高い帰り道。ケンスケが僕に尋ねる。
「何でもないよ」 「惣流と何か関係あるんか?」
「・・・ないよ。なにも」 「アイツ、最近学校来てないよな。何か知らないのか?」
「・・・知らないよ」 「そっか。ま、静かでいいけどな。・・・・・・じょ、冗談だよ」
ケンスケが慌てて取り繕う。僕はそんなに嫌悪感を露にしていたのだろうか。
「あ、そうだ。俺さ、今日ちょっと見たい物があるんだ。駅の方まで行かないか?」 「・・・ごめん。僕はいいや」
「えー?トウジは?」 「ワシもパスや。今日は行く所があるさかいな」
3378.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/19(木) 00:00:32 ID:???
行く所?
・・・あ、そっか。今日は火曜日だ。

「じゃ、ワシはここでお別れや。また明日な」 「うん。また明日」
トウジと別れ、僕はケンスケと二人きりになった。
「偉いよな。アイツ。毎週、妹の為にお見舞いだもんな」 「そうだね。・・・トウジは偉いよ」
実際、トウジは妹思いだし、本当に良い奴だと思う。
「でも、本人にとっては当然の事なのかもな」 「当然?」
「ああ。だって自分の大事な人が、病室に独りっきりだぜ?顔位出すもんじゃないか?」 「そう・・・だね」
「碇は入院した事あったっけ?」 「あると言えばあるけど、そんなに長い事はないよ」
「ふーん。あ、ミサトさんにお見舞いに来てもらったりしたのか?」 「まあ、一応ね・・・」
あれは非道かった。お見舞いの品は確か、酒のつまみだ。
果たしてあれは何かのギャグだったのか、本気だったのか。
「いいなあ〜。俺もミサトさんにお見舞いに来てもらいたいな〜」 「ハハハ・・・」
ケンスケはミサトさんの本当の姿なんて知らないからな。
「ま、誰であれ、自分に会いに来てくれる人が居るってのは嬉しい事だよな」 「・・・そうだね」
・・・確かに、来てくれた時は嬉しかったな。
「――あ、じゃあ俺駅行くからさ、ここ曲がるわ。またな」 「うん。じゃあね」
ケンスケは左に曲がり、僕は一人になった。

・・・アスカの病室、殺風景だったな。何も無かった。
誰かお見舞いには行ってるのかな?ミサトさんが行ってるかな。
でも、同級生はもちろん誰も行ってないはずだ。
だって、アスカがこんなにも長く学校を休んでいる理由等、誰一人として知りはしないのだから。
学校の事とか、気になってないかな。随分と来てない訳だし。
結構プリントも溜まってる。僕が委員長に頼まれてるんだ。
3388.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/19(木) 00:10:24 ID:???
 ――ケンスケの話は、聞いていて耳が痛かった。
何故お前は会いにさえ行ってやれないのだと、そう言われている様で。
僕だって、僕だって本当は行きたいんだ。でも、僕が行ったってアスカを傷付けるだけなんだ。
・・・いや、これも言い訳なんだろう。結局僕が一番恐れているのは、自分自身が傷付く事なのだから。
そう。それが怖いから、あれ以来会いには行けなかった。
・・・情けない。
こんな臆病な自分に、この一週間でどれ程嫌気が差した事か。
ケンスケは言った。当然の事だろうと。
トウジは毎週、妹のお見舞いに行ってる。僕はそれを、偉いなあと、ただ感心していただけだった。
――行こう。また。アスカに会いに。
今度こそ本当に嫌われるかもしれない。でも、もし独りで寂しい思いをしているなら、そっちの方が最悪じゃないか。
・・・会いに、行こう。僕は臆病な自己との決別を心に誓った。
陽もまだ高い帰り道。大通りに人影はまばらだった。

「ただいま」 「お帰り」
家に帰ると、リビングにミサトさんが居た。綾波は先に帰っていたはずなので、多分また自分の部屋だろう。
「ミサトさん。あの・・・僕、アスカに会いに行きたいんです」 「え?・・・あ、うん」
「いいんですか?」 「・・・ええ。構わないわよ。話は通しておいてあげる」
「ありがとうございます」 「あ、でも明日にしてね」
「明日?何でですか?」 「色々と時間が掛かるのよ」
「・・・そうですか。わかりました」
意外なまでにあっさりと話は済んだ。
明日か。・・・まあ今日じゃなきゃ駄目ってわけじゃない。
「あのさ、シンジくん?」 「何ですか?」
「えーっと・・・。・・・ううん、何でもないわ。ごめんなさい」 「・・・?そうですか」

あっという間に陽は暮れる。今日の食事当番は僕だった。
食事を済ませ、食器を洗う。歯を磨き、自分の部屋へ向かった。
明日の事を考え、少しの緊張を常に抱きながら、今日は普段より一時間程早目に眠りに落ちた。
339名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/19(木) 00:20:51 ID:???
今回はここまでかな?
毎度の事ながらGJだ
三馬鹿会話シーン(・∀・)イイ!!
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/19(木) 00:32:17 ID:???
おうっ待ってたぞー(≧∇≦)ノ~~
341名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/19(木) 01:11:49 ID:???
トウジを使ってきたか。上手いなGJ
ミサトが何を言おうとしたのか気になるw
342名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/19(木) 01:27:47 ID:???
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
焦らし過ぎだw
続き待ってます!
343名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/19(木) 01:48:24 ID:???
この野郎!やっときたな。待ちくたびれたぜw
にしてもホントうまいな。毎回楽しみだよ。続きまってま〜す♪( ^ω^)
344名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/19(木) 19:32:42 ID:???
GJ!
早くも続きが待ち遠しいw
345名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/21(土) 15:27:52 ID:???
(*´Д`)ハァハァ続きを…
3469.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/22(日) 22:58:40 ID:???
「おいシンジ!聞いとんのか?」 「え?・・・あ、ごめん。聞いてなかった」
翌日、僕の頭の中にはアスカに会いに行く事意外無い様な、そんな状態で下校していた。
「お前今日は特に変だぞ」 「そ、そうかな」
ケンスケ曰く、今日一日中こんな調子だったらしい。

「じゃあまた」 「またな」
その後何を話したのかもあまり覚えてはいなかったが、僕は二人と別れて家路に着く。
少し遠くから「アイツ最近ホンマ元気ないな」 「じゃあ遊びにでも誘ってみるか?」と、そんな会話が聞こえてきた。
別に元気ないわけじゃないんだけどな。

「ただいま」
・・・あれ?誰も居ないのかな。
玄関にある靴を確認する。どうやら綾波もミサトさんも居ないらしかった。
そういえば綾波は僕が教室を出た時も、まだ中に居たっけ。

プルルルルルル! プルルルルルル!
僕がどうすべきかと迷っていると、不意に家の電話が鳴った。
「はい、葛城ですけど」 『あ、シンちゃん?』
「はい」 『私ちょっと用事出来ちゃって、病院まで送って行けそうにないのよ。一人で行ける?』
「あ、はい。大丈夫です」 『そう。受付の人に名前と面会に来た事を伝えれば会えるから』
「はい。わかりました」 『うん。じゃ、気を付けて。あ、セキュリティカードも持って行ってね』
「はい」 『じゃあ・・・よろしくね』
ミサトさんはそう言うと電話を切った。
・・・また用事か。ミサトさんって意外と忙しいんだよな。いや、意外とは失礼か。

僕は自分の部屋へ行き、財布と携帯電話を手に取るとまた玄関へ戻った。
靴を履き、ドアノブに手を伸ばす。
ガチャッ
「うわっ!?あ、綾波!」 「何?」
「な、何でもないけど」 「そう」
ドアノブに手を掛けようとした丁度その時、綾波が帰って来た。
綾波は驚く僕の横を平然と通り抜け、靴を脱いで部屋に上がる。
3479.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/22(日) 23:10:50 ID:???
「・・・どこ、行くの?」
綾波は玄関を上がった所で立ち止まり、僕に背を向けたまま言う。
「え?え〜っと・・・ちょっとトウジ達と遊びに行くんだ」 「・・・そう」
「・・・うん。じゃあ行って来るね」 「・・・」
綾波に別れを告げ、僕は駅に向かって歩き出した。

駅のホームに着き、時間通りに来たネルフ行きの列車に乗り込む。勿論人影は無い。
電車の心地良い揺れを味わいながら、僕はアスカに会ったら何をすべきか考えていた。
・・・だが、何をしたらいいのかよく分からない。
というか、あまり考えたくはないけど・・・また襲いかかられる可能性だって無くはないんだ。
その辺の覚悟もしておく必要はある。
・・・でも一つだけ、これだけは必ずやろうと心に決めた事がある。
今まで来れなくてごめんと、そう謝る事だ。
あとは・・・そうだな。学校の事とか、色々と話してあげたいな。

様々に思い巡らせていると、あっという間にジオフロントに着いた。
途中でモノレールに乗り換え、そして病院を目指す。
その車内もまた静かで、僕の不安は徐々に大きくなっていった。
色んな、不安。深く考えれば考える程に、それは無意味に肥大化していく。

そして、列車は目的地のホームに静かに止まった。
そこから歩いて数分。遂に僕はここまで来た。
ネルフの付属病院。

外に花屋があったので、お店の人に適当に見繕ってもらい、お見舞いの為の花を買った。
僕はそれを手にガラス張りの入口から病院内に入る。
広く清潔感溢れるロビーのその中央に、受付はあった。
「あの、惣流さんに面会に来たんですけど」 「はい。セキュリティカードはお持ちですか?」
「あ、はい」 「・・・碇、シンジさんですね。かしこまりました」
3489.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/22(日) 23:19:10 ID:???
受付の女の人は何やらコンピューターに打ち込んでいるらしかった。
僕はロビーを見回しながらその作業が終わるのを待つ。
「お待たせしました。コチラはお返しします。えー、惣流さんの病室は三階の303号室になりますね。では、どうぞお通り下さい」
僕はゲートを通り、エレベーターに乗り込む。
三階のボタンを押し、ドアを閉める。エレベーターはすぐに上昇を始めた。
三階に着き、最初の通路を左に進む。
それからは直進。そして、その通路の奥から三番目の、僕から見て右手側にある個室がアスカの病室だ。

『303 惣流・A・ラングレー』

何も変わっていない。あの日、あの夜と同じ場所。
目の前のこの何の変哲もないドア。これを開いた先に、アスカは居る。
あの日ほどの戸惑いや躊いは、今の僕には無かった。
コンコン
「・・・アスカ?」 「・・・シンジ?」
ドア越しに声を掛けると、かすれ気味の声ですぐに返事が返って来る。
「うん。あ、あの、お見舞いに、来たんだけど・・・」 「・・・入って」
「あ、うん」
僕はドアノブを握り締め、そのドアを引き開ける。手にかいた汗で少し滑った。
「・・・ひ、久し振り」 「・・・」
僕が室内に入ると、アスカはゆっくりと身を起こした。
「あ、無理しないでよ」 「・・・うるさい」
「・・・ごめん」
さて、どうしよう。心臓は嘘みたいに高鳴り、本当に口から飛び出しそうだ。
平衡感覚も少しおかしい気がする。真っ直ぐに立っているはずなんだけど、なんだか右に傾いているみたいだ。
あ、あれ?何しようとしてたんだっけ?右手に持ってるのは、花?・・・あ、そうだ。
「こ、これ。花。買ってきたんだけど・・・」 「・・・」
「ここに、置いとくね」
僕はベッド脇の小机の上に花束を置き、また元の位置まで下がる。
・・・吐き気さえする様な緊張感。空気に重量を感じたのは初めてだった。
スーッ・・・フーッ・・・。
僕は一つ大きく深呼吸をして、それからアスカと向き合った。
349 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/22(日) 23:26:51 ID:???
http://pc.gban.jp/?p=12393.jpg
ちょっと気分転換にげしげし描いてみた。挿絵(?)

焦らすつもりは一切ないんです。ホント。
350名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/22(日) 23:30:30 ID:???
>>349
乙、リアルで拝見したよ。
それにしてもアスカの目つきはたまらんな。
351名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/22(日) 23:46:39 ID:???
リビングのシーンのを参考にしたんですか?
352名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/23(月) 00:30:10 ID:???
いよいよクライマックスって感じだな。うむ、続きが楽しみだwwウヒャッwww
乙!!!
353名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/23(月) 02:02:01 ID:???
絵もうめえwwげしげしじゃなくてガチのやつも見てみたいわ
続き待っとります
354名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/23(月) 02:04:38 ID:???
素晴らしいな。まさしく神降臨
355名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/23(月) 09:20:31 ID:???
(*´Д`)ハァハァ続きを…
356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/23(月) 21:40:33 ID:???
相変わらず秀逸だな〜
続き待ってるよん
357???:2008/06/23(月) 21:50:58 ID:???
さ・・・挿し絵まで。Gj
3589.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/24(火) 18:37:04 ID:???
アスカはこの一週間で、割りと落ち着いた様だった。ベッドの周りの機械類も無くなっていたし、点滴とかも無い。

しばしの沈黙の後、ゆっくりとアスカが顔を上げる。そして僕は、その藍玉の様に美しい両の眼を見た。
今、僕はアスカと顔を向き合わせているはずだ。なのに、何故だろう。
アスカは、僕を見ていない?その虚ろな瞳がただ一点見つめるのは、僕の後ろにあるドアなのではないだろうか?
・・・いや違う。僕が逃げようとしているんだ。真っ直ぐな、あまりに真っ直ぐなその視線から。
逃げちゃダメだ。逃げちゃダメなんだ。
「・・・い、いつ退院出来るの?」 「・・・」
・・・アスカは微動だにしない。
僕を罵倒するでもなく、只々僕の様子を窺っている様だった。
「み、皆も心配してるよ?随分学校来てないし」 「・・・」
「プリントも結構溜まってるんだよ。僕が委員長に任されてるんだ」 「・・・」
「・・・え、えーっと」 「・・・ないで」
「え?」 「・・・もう私の側に来ないで」
「で、でも・・・」 「アンタ、アタシの事何にも判ってないじゃない」
「そ、そんな事・・・」 「判ってないわよ!」
アスカがベッドから降り立つ。足元は少しふらついていた。
僕の体が少し強張る。
「アスカ・・・」 「アンタ、ワタシの事判ってるつもりなの!?」
「ぼ、僕だって・・・!」 「救ってやれるとでも思ってんの!?」
一歩、アスカが僕との距離を詰める。僕は一歩引き下がった。
「それこそ傲慢な思い上がりよ!!」 「違うッ!」
「・・・何よ」 「違うよ・・・。僕は・・・僕はそんなつもりじゃ・・・。僕はただ・・・アスカの役に立ちたいんだ」
3599.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/24(火) 18:42:53 ID:???
「・・・じゃあ、何もしないで。もう側に来ないで。アンタ、ワタシを傷つけるだけだもの」 「・・・」
・・・そっか。そうだよね。傷つけるだけ・・・か。
「・・・傷つけたくなんか、ないんだ」 「・・・」
・・・どうしよう。目の奥が熱くなってきた。
「でも、アスカは、何も言ってくれないから・・・」 「・・・」
「だから、何も判らなくて・・・!」 「・・・何、泣いてんのよ」
泣いて・・・る?本当だ。実感した途端、堰を切った様に熱いものが流れ出た。
止まらない。ポロポロと涙が頬を伝う。
「・・・ごめん。ウッ・・・グッ・・・」 「・・・アタシが何を言ったところで、アンタはどうせアタシの期待に応えてなんかくれないんでしょ?」
「・・・」 「・・・アタシ、アンタが全部ワタシのモノにならないなら、何もいらない。・・・だからもう帰って」
アスカがまた一歩詰め寄る。僕は反射的に一歩後ろに下がる。
背中にドアが当たる。もう下がる場所はない。顔は涙でぐしゃぐしゃで、上げる事が出来ない。
「・・・嫌だ」 「帰って」
「嫌だよ」 「帰って!」
「嫌だ!」 「帰りなさいよ!!」

ドンッ!
アスカが僕の胸倉に掴み掛かる。ドアに押しつけられた。
「出てけっつってんでしょ!?」
・・・何だよ。アスカだって泣いてるじゃないか。少し鼻声になってるよ。
それもまた僕のせいなの?また僕はアスカを傷つけたの?
「・・・ごめん」 「・・・っるさいのよ!!」
アスカは両手で僕の制服の胸倉を掴んだまま、その腕を縮める。シャツのボタンが何個か弾け飛んだ様な気がした。
丁度僕の顎の下にアスカの頭がくる形になる。
3609.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/24(火) 18:45:37 ID:???
――ここで僕は、自分の本心に問い掛けた。
今、僕の胸元で泣いている女の子。僕はこの娘の事が・・・所謂、『好き』なのだろうか?
それは本当に紛う事なき想いなのだろうか?

友情。仲間意識。同情。クラスメイト。友人。似た者同士。顔見知り。
嫌いな人。好きな人。苦手な人。他人。知り合い。無意味的多数の他人。特別な他人。
わからない。わけがわからない。
自分で自分の感情を具体的に、かつ自分にとってさえ分かりやすく捉える事が出来ない。
人を好きになるって、どういう事なんだろう?
嫌われたくない。傷付けたくない。・・・でも結局は、傷付きたくない。
「見なさいよ!この腕!痕が残っちゃって、汚いったらないわ!!」
僕はアスカの示した左腕を見た。注射の跡だろうか。赤紫色の丸い斑点が複数確認出来た。
「これもアンタのせいよ!全部・・・全部アンタの!!」 「・・・ごめん」

――役に立ちたい。助けてあげたい。傲慢な思い上がり?その通りだ。
側に居たい。判りたい。拒絶。

・・・そっか。そういえば僕、他人の事でこんなにも悩んだりした事ってなかった。
こんなにも干渉した事ってなかった。
それはつまり・・・そういう事なのかな。
心の中に雲の様に広がるあやふやな想い。取り留めのない、少なくとも固体ではない気持ち。
それらを伝える手段を、今の僕は持ち合わせてはいなかった。
3619.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/24(火) 18:46:52 ID:???
「・・・なにもしてくれないくせに。・・・抱き締めてもくれないくせに・・・」

――不意に、ミサトさんの言葉が頭に浮かんだ。
何だっけ?・・・ああ、そうだ。
・・・冗談ですよね?また嫌われますよ。
傷付きたくないんです。怖いんです。
はい。そうですよ。好きなんです。
アスカが求めるモノ?・・・はい。覚えてますよ。


二人分の嗚咽が室内を満たす。僕の胸元で泣きじゃくるアスカ。
そっと、その背中に腕を回す。そしてぎゅっと、抱き締めた。
「・・・!」
アスカの体が一瞬強張る。
僕はアスカの体がこんなにも細かったのをこの時始めて知った。そして、こんなにも温かい事を。
「・・・アスカ」 「・・・何よ」
「今まで来れなくて、その、ごめん」 「・・・うん」
「・・・」 「・・・」
静寂。嗚咽さえ今はない。

「・・・離して」 「あ、うん」
僕が腕を解くと、アスカは顔を上げた。少し涙ぐんだ瞳で僕を見つめる。
3629.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/24(火) 18:50:22 ID:???
次の瞬間、何かが起きた。唇にあったのは、温かく、そして柔らかい感触。鼻息がこそばゆかった。
すぐにアスカは僕を突き飛ばす。といっても僕に下がる場所はもう無いので、アスカが後ろに飛ぶ形になる。
「・・・もう帰って」 「・・・わかった」
僕から離れたアスカはまたベッドに戻り、僕に背を向けて寝てしまった。
僕はドアノブに手を掛け、そしてそのドアを押し開く。
「・・・シンジ」 「何?」

「またね」

「・・・うん」
この時廊下に誰か人の気配を感じたが、気のせいだったのだろうか。


――そして僕は今、帰りの電車に乗っている。座席は勿論空いているが、何故か座る気にはなれない。
立って、そして足から伝わる現実感が無いと頭が変になりそうだ。
実感がない。あの病室で起きた出来事に。
でも、全て現実だったらしい。制服のシャツのボタンは二つ程無いし、この腕にはアスカの体温の記憶が残っていた。
そして・・・唇にも。

窓の外の高層ビル群。向かうは我家。今日の夕飯は何かな?
・・・ああ、そうだった。今日も当番は僕だ。



第一部   完
363 ◆FPBUMtkkbw :2008/06/24(火) 18:56:03 ID:???
約二か月程ですか。お付き合い頂きありがとうございました。
取り敢えず終劇です。
364名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/24(火) 19:07:54 ID:???
GJ過ぎる
第二部に期待するよー
365名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/24(火) 20:16:11 ID:???
レイにヤンデレフラグが立った予感
366名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/24(火) 22:01:19 ID:???
次はヤンデレレイの出番だ。

素で||Φ|(|゚|д|゚|)|Φ|| とかしそうで怖いぜw
367名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 02:21:14 ID:???
二部はいつ来るんだーw
まだ拾ってない伏線結構あるからなあ。マジwktk

つーか畳むの上手いな。繋がったーって感じ。GJ!
368名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 05:04:02 ID:???
原作のヤンデレアスカ踏まえた上でシンジが曖昧なままのキモチで抱きしめたIFが秀逸
二部に期待しまくりです
369名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 09:16:41 ID:dISUpzW/
作者早く二部を書くんだ!??誰か給料だしてやれwwwww
370名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 09:39:40 ID:???
GJ!!!
うますぎるしよかった。満足だよ。
そして激しく二部が楽しみだwwwww
乙!!
371名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 10:03:47 ID:???
>>363

    へ          へ|\ へ     √ ̄|        へ
   ( レ⌒)  |\   ( |\)| |/~|  ノ ,__√    /7 ∠、 \ .  丶\      _ __
|\_/  /へ_ \)   | |   | |∠  | |__   | /   !  |     | |_〜、  レ' レ'
\_./| |/   \     .| |( ̄  _) |     )  | |    i  |  へ_,/    ノ   ,へ
  /  / ̄~ヽ ヽ.   | | フ  ヽ、 ノ √| |   ! レノ  |  !. \_  ー ̄_,ー~'  )
 / /| |   | |   | |( ノ| |`、) i ノ  | |   \_ノ  ノ /    フ ! (~~_,,,,/ノ/
 | |  | |   / /    | | .  し'  ノ ノ   | |       / /     | |   ̄
 \\ノ |  / /      | |___∠-".   | |      ノ /       ノ |  /(
  \_ノ_/ /     (____)     し'      ノ/      / /  | 〜-,,,__
     ∠-''~                        ノ/         (_ノ   〜ー、、__)
372名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 20:20:28 ID:???
少し休ませてやれwアンコールしたい気持ちはわかるけどwwww
>>362
超GJ!!!
373名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 20:24:46 ID:???
(・∀・)イイヨイイヨー
374名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 20:39:03 ID:???
なんか人増えてね?w
ロムってた人が多いのか
375名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 22:23:02 ID:???
ロムってました
376名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/25(水) 22:29:59 ID:???
>>363
お疲れさん
2部待ってるよ
377名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/26(木) 01:40:06 ID:???
GJ!!
378名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/26(木) 14:57:50 ID:???
アスカたん
379名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/27(金) 01:34:04 ID:???
“鋼鉄”で、シンジを気にしすぎるアスカを病ませたら…て言うのを考えた。
マナvsアスカ…(アスカに)被害を受けるのはシンジ。
マナ、シンジに接近→その日の晩シンジ、アスカにワガママ言われる。
マナ、シンジと仲良くなる→シンジ、アスカに頭おかしいのか?って言う位の勢いで詰られる。
シンジ、マナとデートの約束→電話している時、アスカ、電話強奪の後、破壊。
アスカ、シンジを監禁。                  
380名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/29(日) 08:29:15 ID:???
リメイクの劇場版エヴァに期待

シンジがまとも化するぽいのでその分アスカに…
381名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/29(日) 15:47:54 ID:???
またヤンデレアスカ来たらそれはそれで驚きだなw
382名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/29(日) 23:46:50 ID:???
g
383名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/03(木) 22:52:23 ID:???
(・∀・)<続きマダー?
384名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/06(日) 18:49:24 ID:???
そろそろ第二部をですねぇ・・・
38510 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/06(日) 23:50:58 ID:???
なんて、なんて愚かな私の心だろう。憎んですらいたはずなのに。
抑えきれず、傷付けて、拒絶して。例のテストのせいには出来ない。
自分を制しなければと、そういう意思はあったのだから。
そう、あったはずだ。あったはずなのに・・・。

記憶の一部に欠落がある。テストを終えて、それから家に帰って数時間の記憶が虫食いになっている。
帰って来て、テーブルに突っ伏して、それから・・・。気付いてみれば、テーブルの上は黒い油性ペンで書かれたアイツの名前で一杯だった。
何故?何故こんな事を?私は無意識の内に起こした私の行動のその理由を突き止めようとした。
憎悪。屈折した執着。それとも?まるで他人事の様に、目の前の状況を整理しようと努めた。
けれど、私の心はもはや愛憎の分別さえつけられない有様だった。
そして、何とも下らない事ではあったが、私は好きという字と、嫌いという字をテーブルの左端から交互に書いた。
自分の気持ちをそれに委ねようとでもしたのだろう。とにかく、あの時の私にその判断をしている余裕は、きっと、なかった。
そして出た答えは、いや、出した答えは、好きだった。
直後、私はあまりの下らなさにベッドに飛び込んだ。そして、眠りについた。はずだった。
目を覚ます、というよりも正気を取り戻した私の右手に握られていたのは黒の油性ペン。
まただ。壁にはアイツの名前。右手に感じた痛み。ペンを強く握り過ぎたらしかった。
それに、手に持ったペンは、もはや何も書く事が出来ないまでになっていた。
一体何時間、何個、アイツの名前を書き続けていたのだろう。私は。
38610 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/06(日) 23:57:38 ID:???
ここから先は、記憶に靄がかかっている。だが、輪郭は分かる。
まず、受話器を手にして、それから何処かに電話を掛けた。多分、何か話したくて。
だが、何かを話した記憶は無い。
そして私が次に向かったのは、冷蔵庫脇の戸棚だった。
中から未開封だった何か錠剤の入った瓶を取り出し、その錠剤を飲んだ。
どれだけ飲んだかは覚えていないが、結果から言えば大量に。
そして、記憶の線はここで一度完全に途切れて、次は病院のベッドの上で始まる。

私が目を覚ました時、まず目に入ったのは乳白色の柔らかな光だった。
次に私の名前を呼ぶ女性の声がしたので、そちらに目をやった。
ミサトだった。まずは安堵の表情を浮かべたミサトだったが、すぐに厳しい顔に変わった。
「どうしてあんな事をしたの?」と聞かれたので私は
「何の事?」と、尋ね返した。事実として、私はこの時本当に何の事か分からなかった。
「とぼけるんじゃないわよ」と、詰め寄るミサト。
正直体もだるかったし、この時のミサトは相当に鬱陶しかった。
だが、事の真剣さは伝わってきた。私は何とか思い出そうと努めた。
そして蘇ってきたのが、錠剤を口にする直前のあの光景だ。何ともステレオタイプな光景。
そして、それはつまり、自殺と呼ばれる行動だった。ミサトが険しい表情で詰め寄ってきた理由がここで分かった。
だが、どの道ミサトの質問には答えられなかった。何故なら、自分でもはっきりとした理由など分からなかったから。
だから、「わからない」とだけ答えた。ミサトも私の疲弊した様子を察してか、それで引き下がってくれた。
そして私の身を案じる台詞を残して去って行った。
38710 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/07(月) 00:00:55 ID:???
翌日、夜になって私は病院のベッドで眠りについていた。
ふいにベッドの脇で誰か人の気配を感じ、目を覚ました。
「誰?」と問い掛けた。すると、聞き慣れた声が返ってきた。
「シンジなの?」と尋ねた。「うん」と、返事。
その瞬間に、身体の芯から沸き上がった爆発的な感情を、私は抑える事が出来なかった。
多分、この時もまだ尾を引いていたのだろう。
そして私は押さえ付けられて、また眠りに落ちた。

それから約一週間。ミサトと赤木博士以外に訪ねて来た人は居なかった。
そして今日、数時間前。再びシンジが私の個室に来た。
私は少しの胸の高鳴りと共に、アイツを招き入れた。そしてその後すぐに、側に来るなと突き放したのだ。矛盾した心。
私はあらん限りの罵言を、理不尽を、アイツにぶつけた。だが、アイツはそれでも私の元から消えたりしなかった。
そしてシンジに抱き締められ、その少したくましい腕を知った時――ああ、コイツも男なんだ、と実感した。
私の幾重にも連なっていたはずの心の壁は、一瞬にして崩れ去った。
その直後、あろう事か、私はシンジに口付けをした。この時の感情を、私は未だに理解出来ていない。
だって、むしろ憎悪の対象だったはずなのに。
そして別れ際、私はシンジに、「またね」と告げた。

結局私は一切の努力もしないまま、ただシンジに感情をぶつけただけだった。
情けないまでの愚行をさらけ出したにもかかわらず、シンジは私を捨てなかった。
私が今一番恐れる事は、シンジの行動が、全てただの同情に起因したものだったのではないかという事だ。
それを恐れる資格が私にあるのかは別として。
38810 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/07(月) 00:02:59 ID:???
私はシンジに対して奇妙なアナロジーを感じていた。もしかするとアイツも同じ物を感じているかもしれない。
だが、だからこそ怖い。それはそのまま同情に直結し得るから。
同情を恐れるのは、やはり更に上の段階を求めるからなのだろうか。
私はシンジに傲慢だと告げたが、それは違った。傲慢なのは、間違いなく私の方だった。

窓の外は街灯の光が点々と見えるだけで、他は闇が支配している。
こういう時、私は恐ろしい考えにとらわれる。
私は誰からも必要とされていないのではないか、という事だ。
私はエヴァのパイロットであり続けなければならない。何故なら、その間は必要とされるから。
だが、そもそもこの感情こそが、全ての始まりだった。私の重ねた愚行の。

ブラケットの放つ柔らかな光に、私の瞼は徐々に重くなってきた。
ベッド脇の時計に目をやると、PM11:38と表示していた。随分と長く物思いにふけっていたらしい。
私はブラケットの灯を消し、枕を丁度いい場所にセットし直してから、重くなった瞼を降ろした。
3897.75 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/07(月) 00:09:40 ID:???
第三新東京市の何処かの駐車場。ミサトの車には、ミサトとリツコが乗っていた。
「・・・よりにもよって・・・この子なの」 「そうなるわね。恐らくは」
「シンジくんになんて言えばいいのよ・・・。ただでさえ大変な状況なのに」 「でも、伝えなければならないんじゃない?」
「・・・そうね」
ミサトは手に持った資料をパラパラとめくりながら、所在なさげに答える。リツコは煙草の灰を灰皿に落とした。
「多分来週にはこっちに届くから、調整等は松代でやる事になると思うわ」 「りょーかい」
ミサトは手に持っていた資料を閉じ、ファイルにしまった。

「・・・さっきね、シンジくんをアスカに会わせて来たのよ」 「らしいわね」
「あら、耳が早いのね」 「私は病院関係者に知り合いも多いのよ」
「・・・そう。まさかアスカがあんな事をするなんて・・・」 「・・・」
「弱ったわ・・・。何でこうも上手くいかないのかしらね」
こめかみ付近を右手で抑えてうなだれるミサト。リツコは手にしている煙草を灰皿に入れた。
「・・・なんか助言とかないわけ?」 「・・・私に言える事は何もないわ」
リツコはためらいがちにそれだけ言った。
「それもそうね。で、話は終わり?」 「ええ。遅くまで悪かったわね」

「リツコ」
ミサトの車を降りて、まさにドアを閉めようとしていたリツコをミサトが呼び止める。
「気を付けて帰るのよ」 「そうね。お心遣い感謝するわ」
「・・・つまんないの」
ミサトはリツコと別れて自宅へ向かった。
3909.75 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/07(月) 00:13:35 ID:???
松代、ネルフ第二実験場。
「これなら即実戦投入も可能だわ」
米国支部から移送されてきた参号機を目の当たりにしてリツコが言う。
「・・・よかったわね」 「あら、随分な言い方じゃない」
職務中にもかかわらず、ミサトは別の事が気にかかっている様だった。
「向こうには監視を付けてるんでしょう?今はこっちに集中して欲しいものだわ」 「はいはい」
変わらず、心ここにあらずといった様子のミサト。そんな彼女に多少のいら立を感じるリツコだった。
「マヤ。コレよろしくね」 「あ、はい」

PiPiPiPiPi!

ふいにミサトの個人用通信端末に連絡が入る。
「・・・そうよ。・・・ええ。じゃあシンジくんはもう帰ったのね?・・・そう。何か問題は?・・・そう。よかったわ。じゃあそのまま続けて頂戴」
ミサトは報告を受けると、少し安堵した様子で椅子に深く腰掛けた。
「何事もなかったようね」 「何事も、ではなかったらしいけどね」
「そう。保護者は大変ね」 「何よ。他人事だと思って」
「・・・」

リツコは一通りの作業を終え、パソコンの前から離れて煙草の箱を白衣のポケットから取り出した。
「二、三日以内に起動実験は出来そうね」
煙草に火を点けながらリツコが言う。
「それまでにはシンジくんに、伝えなくちゃ・・・」 「そうね」
ミサトは一週間も前にこの事実を知っておきながら、未だにシンジに伝えられずにいた。


「――そうそう。帰ったらこれに目を通しておいて頂戴」
全ての作業を終え、ミサトが帰宅しようとしていたところをリツコが呼び止める。
「何これ?」 「・・・読めば分かるわ」
ミサトが手渡されたのは、二十枚程の資料だった。
391名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/07(月) 15:28:46 ID:???
乙!
大変だろうけど続き楽しみにしとります!
392名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/07(月) 16:39:15 ID:???
乙!!
うむ、またまた何やら始まってしまったようだな。相変わらず先が気になる展開だ
393名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/08(火) 14:40:59 ID:???
乙。相変わらずおもしろい。自分のペースで良いので頑張って下さい
394名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/08(火) 21:02:01 ID:???
おお、続き来てたのか
これはwktkせざるを得ない
395名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/09(水) 02:54:13 ID:???
続き期待
396名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/11(金) 03:14:05 ID:???
(・∀・)イイヨイイヨー
39710.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/12(土) 15:36:43 ID:???
「ただいま」
僕が家に着いたのは、おおよそ夕飯時だった。
玄関には綾波の靴がある。ミサトさんは恐らくまだ帰っていないだろう。
室内はどの部屋にも明かりは無く、薄暗い。僕は明かりを点けながら自分の部屋に向かった。
自室に着き、制服を脱いでハンガーに掛ける。ボタンが二つ取れたままだった。
今日はご飯も炊いていないし、スパゲティにでもしようか、などと考えながら部屋着を箪笥から取り出す。
部屋着に着替えを済ませた僕はキッチンに向かう。
ミサトさんのお酒のボトルが上に並ぶ棚の中から、乾燥スパゲティの入ったパッケージを取り出した。
僕は調理の為の準備を一通り終え、鍋に満たした水が沸騰するのを待つ事にする。

「綾波。夕飯はスパゲティにしようと思うんだけど、カルボナーラとたらこソース、どっちがいい?」
僕は綾波の部屋のドアを前にして言った。
もう麺は茹で始めていたので、しようと思う、というのはあまり適切ではなかったかもしれない。
「・・・たらこ」
なんとか聞き取れる位の返事が返ってきた。
「わかった。もうすぐ出来るから」
僕はキッチンに戻る。ペンペンに餌のアジを与えながらタイマーが鳴るのを待った。

丁度三匹目のアジをペンペンが頭から丸呑みにしたところで、タイマーが茹であがりを知らせた。
僕はいつもの様に湯を切り、茹であがったスパゲティの麺を二つの皿に均等に盛った。そして、市販のソースをかけて完成。
「綾波!出来たよ」
僕がキッチンから呼び掛けると、綾波はゆっくりと自分の部屋から顔を出した。
39810.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/12(土) 15:39:04 ID:???
『いただきます』
二人の食卓。フォークと皿のぶつかるカチャカチャという音以外は、ペンペンの鳴き声しか聞こえない。
「あ、ごめんごめん。まだ途中だったね」
僕はテーブルの上に置きっ放しだったアジの残りをペンペンに与えた。
するとペンペンは満足したのか、黙って冷蔵庫に向かった。
「ペンペンってあんな体でよく食べるよね。ペンギンって皆ああなのかな?」 「・・・知らないわ」
・・・まあ知らないだろうとは思ったけどね。
でももう少し、興味を持ったフリ位してくれてもいいんじゃないかな。何故だか僕は少し卑屈になった。
綾波はその後も黙々とたらこスパゲティを食べ続けた。
そのフォーク捌きは見事なもので、どこか機械的にさえ見えた。

「ねえ、碇くん」
ふいに、ダイニングテーブルで本を読んでいた綾波が僕を呼んだ。
「何?」
僕は夕飯の片付けを終えて、テレビを見ながらリビングのソファでくつろいでいた。
そこから上半身だけを捻って綾波と顔を合わせる。
「・・・綾波?」
何かを言おうとしている様子だったので、僕は先を促す。
「・・・鈴原くん達と遊んで来たのよね?」 「・・・そうだよ」
「何処で?」 「え?・・・っと、ケンスケの家だよ。ケンスケが新しいゲームを買ったって言うからさ」
「・・・そう」
綾波がまた手にした本へ目を落としたので、僕もテレビに視線を戻した。

・・・納得していない。綾波の様子からは一切の得心も感じられなかった。
僕は何とかテレビに集中しようと努めた。が、出来なかった。綾波に向けた背中に視線を感じたから。
無論、綾波が僕の背中を注視していたわけではない。だが、いやな緊張感が僕を汗ばませる。
僕は結局耐え切れず、テレビを消してその場から逃げる様に自室へ向かった。
39910.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/12(土) 15:42:43 ID:???
自室に戻り、しばらくベッドに寝転がった。数分が経過し、急に僕は汗でべたつく体に不快感を感じた。
ベッドから起き上がり風呂用具一式を探し集める。僕はそれらを手にバスルームへ向かった。
再びダイニングを通ったが、綾波はもう居なかった。

僕はシャワーを浴びた。途中、シャワーの水が床を打つ音の中にドアの開閉する音を聞いた。
バスルームから出ると、ダイニングで制服姿のミサトさんに会った。
「お帰りなさい」 「あ、うん。ただいま」
「何ですか?それ」 「え?・・・ああ、何でもないわよ」
ミサトさんは手にしていた書類をファイルにしまった。
「どうだった?アスカの様子は」 「よくなってたと思いますよ」
「・・・そう。よかった」
ミサトさんは何だか疲れている様だった。
「じゃあ、もう寝ますね」 「あ・・・うん。おやすみ」
・・・そういえば、ミサトさんの用事って何だったんだろう。

僕は自室のベッドに転がり、愛用のS‐DATを手にした。
イヤホンを耳にして、再生ボタンを押し込む。
頭の中に響く静かな音色と共に、僕は今日の病院での出来事に思いを馳せた。
そして、僕の心はあの時と未だ変わらず、複雑な迷路の中にある事を知った。

――多分僕は、自分が思う程アスカの事が好きじゃない。
おかしな表現だとは思うけど、他に適切なものが思い浮かばない。
だが、決して嫌いではない。何というか・・・いや、やっぱりよく分からない。
とにかく、一心に好きというものではないのだろう。

僕の起こしてきた行動のその理由は、言うなれば、罪悪感にあった様な気がする。
僕が傷付けてしまったから、と。しかし、それも結局は自己満足でしかなかった。
自分が負い目を感じたくないが為に、僕はアスカに許してもらいたかった。
だから出来るだけ嫌われない様に、且つ許してもらう機会を得る為に、僕はアスカに接近したのではないか。
冷静になった今ではそんな風に思える。そして、それにもまた新たな罪悪感を覚える。
僕はあの時から、そして今に至っても、アスカに対してそれ以上の感情を抱いてはいないらしかった。
40010.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/12(土) 15:46:03 ID:???
僕はアスカに初めて会った時、果たしてこの娘と上手くやっていけるのだろうかと不安に思った。
けれどもエヴァのパイロットとして、または同級生として付き合っていく内に、僕は『惣流』を『アスカ』と呼び始めた。
より付き合いの長い綾波を名前で呼ぶよりも早く。もっとも、綾波を名前で呼ばないのは一種の慣習の様なものだったが。
ともかく、アスカは僕なんかよりも遥かに社交的だったし、傍目に見れば快活な、そして愛らしい女の子だった。
――その本当のところはここでは触れないが。
だが、そんなアスカに、僕はいつしか自分と似た様な孤独を感じ始める。
アスカは勿論友達も多かったし、概ねその交友関係に不満はなかったはずだ。
しかし、それでも、そんなものでは満たされない、ある種の絶対的な孤独がアスカにはある様な気がしてならなかった。
――勿論これは僕の勝手な考えで、本当のところはわからない。
だがそれこそが、その一点だけが、本来相容れないはずの僕とアスカの共通点だったのだろう。

僕は一人で暮らすアスカの孤独を思った。それこそ、まるで自分の事の様に。
アスカの部屋を訪ねたあの日、遂に僕はその気持ちを表した。
結果としてその思いは拒絶され、僕に残ったのはアスカに対する罪悪感だけだった。
僕はそれを拭い去りたくて、赦しを請う為の行動を起こしてきた。
結果は『最後』を除いて散々なものだった。もっともその最後でさえも、僕は新たな、違う意味での罪悪感を覚えていたのだが。
しかしこう考えてみると、なるほど、自分の感情には一貫性があった様に思える。
だが同時に、冷ややかな寂しさを覚えた。心の奥底では、決してそんなものではなかった、と否定している気がした。
僕は一体何を恐れているんだ・・・?


イヤホンから流れて来る音楽に、僕の意識はいつしか朧気になっていく。
時計に目をやると、自分でも驚く位に時間は経過していた。すぐに強烈な眠気が僕を襲う。
半ば無意識の内に消灯を済ませると、僕はすぐに本格的な眠りに落ちた。
401名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 01:19:53 ID:???
支援
402名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 08:35:30 ID:???
GJ!
常に続きを気にさせる、そこに痺れるあこがれるぅ!
403名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 14:36:40 ID:???
これはGJせざるを得ない。大いに期待
404名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 16:51:13 ID:???
残酷は優しさの中に
40511.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/13(日) 20:26:48 ID:???
昼休み。学校の屋上。僕とケンスケは二人で昼食を摂っていた。
アスカを再び訪ねた日から二日が経って、今日は金曜日。
明日からの休日を思ってか、皆一様に浮かれ気分だった。
それはまた僕達二人も例外ではない。
「トウジが休むなんて珍しいよね」 「そうだな。三連休が欲しくなったんじゃないか?」
トウジは今日学校を休んだ。先生はその理由を言わなかった。
だが少なくとも、三連休が欲しくなったからではないだろう。
「あ、そうだ。すっかり忘れてた。お前さ」 「何?」
「水曜日、どこ行ってたんだよ?」 「水曜日?・・・どうしてさ?」
一瞬背筋を冷たいものが通った。何故ケンスケがそんな事を?
「いや、あの日のお前、何か元気なかったじゃん?」 「そうだったっけ?」
「そうだったんだよ。で、トウジと相談した結果、どこかに遊びに誘おうって事になった」 「うん」
「それでお前ん家に電話したんだよ。そしたら、多分初めてだな、綾波レイが出たんだ。綾波から聞いてないのか?」 「・・・聞いてない」
「そうか。まあそれはいいとして、俺は綾波に、シンジに替わってくれって言ったんだ」 「・・・」
「そしたら、碇くんは鈴原くん達と遊びに行ったわ、って言うんだよ。トウジは俺の隣りに居たのに」 「・・・。他には何か話したの?」
僕の浮かれ気分はこの時既にどこかへ消え去っていた。何て事だ。
僕は二日前綾波に、ケンスケの家で遊んで来た、と話してしまった。
その当人から誘いの電話があったというのに。いや、でもそれだけならまだ・・・
「ああ、話したよ。相田くんは一緒じゃないのね、って珍しく綾波の方から言うからさ、いや、トウジなら俺の横に居るけど、ってな」
・・・最悪だ。
40611.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/13(日) 20:30:21 ID:???
「それを言ったら綾波の方が電話を切って、そこで終わり」
・・・綾波は知っていたのか。僕がトウジ達と遊んでなんかいなかった事を。
なのに僕は、白々しくもあんな嘘を吐いてしまった。
「で、綾波に嘘まで吐いてどこ行ってたんだ?」 「言えないよ」
「ふ〜ん。・・・惣流のところか?」 「違うよ」
上手くしらを切れたと思う。僕の動揺をケンスケに見抜かれてはいないだろう。
「・・・フーッ。またネルフの秘密主義ってやつか」
僕は安堵した。ケンスケに悟られなかった事を。

その後僕達は昼食を済ませ、二人で屋上の手すりに寄り掛かって第三新東京市の街並みを眺めた。
整然とした無機的な高層ビル群が遥か遠くに見える。空はどこまでも青く透き通っている。
蝉達の鳴き声に混じって、グラウンドで遊んでいる皆の声が聞こえた。
「なあシンジ」 「何?」
「参号機のパイロットってもう決まったのか?」
ケンスケがあまりに唐突に、しかも突拍子も無い事を言うので、僕の頭の中は一瞬真っ白になった。
・・・え?参号機?ケンスケはいきなり何を・・・
「決まってないならさ・・・俺を推薦してくれないか!?」 「ちょ、ちょっと待ってよ!一体何の話?」
ケンスケが急に詰め寄って来たので、僕は慌てて制止する。
「だから参号機だよ!アメリカで建造中だったやつが移送されて来たんだろ?」 「そ、そんなの知らないよ!」
「隠さなきゃいけないのもわかるけどさ、俺、どうしてもエヴァに乗りたいんだよ!」 「本当に何も知らないんだってば!」
何だ?どうなってるんだ?・・・参号機?
とてもデタラメを言っている様には見えなかった。ケンスケはその情報に確信を持っている。そう感じた。
どこからその情報を仕入れたのかは知らないけど、恐らく確かなものなのだろう。
40711.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/13(日) 20:33:13 ID:???
「・・・本当に、何も知らないのか?」 「うん。・・・ミサトさんは何も言ってない」
ケンスケは少しがっかりした様子で、再び手すりに寄り掛かった。
「松代の第二実験場で起動実験をやるんだろ?」 「・・・それも知らない」
「・・・そうか。碇が聞かされてないって事は、知る必要の無い事だったのかもな。・・・すまん。忘れてくれ」
・・・忘れられるはずがない。ミサトさんはどうして僕に何も言ってくれないんだ?
そんな事実は存在しないから?その可能性は勿論あるけど、ケンスケの確信めいた感じも本当だ。

僕がケンスケからその情報源を聞き出そうとしたその時だった。
天を衝く程の爆炎が遥か山の向こうで上がった。
直後、体の芯まで響き渡る程の空気の振動が僕達を襲う。突き抜ける爆音。
学校中の人間が天高く伸びた火柱を見た。
グラウンドで遊んでいた生徒達も足を止めてその場に呆然と立ち尽くした。
蝉達もその衝撃にあてられたのか、今や押し黙っていた。
僕がその爆炎の上がった方角にある施設を思い出すのに、それ程の時間は掛からなかった。
「松代だ!!」
僕は叫んだ。
408名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 22:52:41 ID:???
また良いところで切ったなw
このドSめw
409名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 23:08:15 ID:???
文章だんだんうまくなってるな
410名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 23:23:51 ID:???
確かに。日常から非日常への切り替えとか上手いなあと思った
GJだよ!
411名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/13(日) 23:29:28 ID:???
オレははじめから彼に才能があると見抜いていたよアッハハハ。
何はともあれGJだ。
412名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/14(月) 00:00:15 ID:???
GJ!だけど箱根と松代って100km以上離れてないか?w
413 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/14(月) 01:10:59 ID:???
そっか。でもそれだと色々面倒なので、この世界では近くに松代って地名の場所があるという事で脳内補完して下さい。
すみません
414名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/14(月) 02:18:13 ID:???
大丈夫だ、その昔戦艦大和が爆発炎上沈没したときその巨大な黒煙が鹿児島県本土から見えたらしい。
それほどの大爆発ならまぁ、オーケーでしょう
415名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/14(月) 15:53:40 ID:???
京都の大宮と埼玉の大宮の関係ですね。わかります
41612.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/15(火) 00:26:21 ID:???
地響きに似た音が徐々に近付いて来る。
緑の生い茂る山々を抜けて、ついに黒い巨人はその姿を僕達の前に現した。

――約一時間前、僕と綾波は学校から本部に招集された。そして、松代で起きた惨劇と、トウジが今日学校を休んだ理由を知った。
その後すぐにエヴァに乗り込み、今はこうしてトウジの乗る参号機と相対している。
「綾波、僕が先に行く。トウジを助けたいんだ」 「・・・了解」
綾波の返答を得て、僕は参号機の前に躍り出た。
使徒に乗っ取られた参号機はすぐに野生的な反応を示す。
一瞬こちらに目をやったかと思うと、すぐに驚くべき跳躍力で初号機目掛けて飛び掛かって来た。
僕は辛うじてそれを躱す。
「トウジ!聞こえるか!?聞こえたら返事してくれ!」 「・・・」
「ダメか・・・!」
参号機は体勢を立て直し、再びこちらへの敵意を明らかにする。
だが次の瞬間、参号機はあらぬ方向へと跳躍した。
その軌道の向かう先に居たのは、バックアップで待機していた零号機だった。
「綾波!」
参号機はいとも容易く零号機を地に組み伏せる。
綾波は一切の抵抗も出来ずにいた。
僕は出来得る限りの速さで綾波を助けに向かう。

駆け付けてみると、組み敷かれた零号機の左腕部に参号機が何かドロドロとしたものを垂れ流していた。
零号機が侵蝕されていく。そんなニュアンスの事をオペレーターが言った。
「綾波!大丈夫か!?」
僕が参号機に組み付いて綾波を助けようとしたその時だった。
零号機の左腕が根元から吹き飛んだ。恐らくは本部の指示で侵蝕された部分を切断したのだろう。
綾波の耳を覆いたくなる様な悲痛な叫び声が、僕のエントリープラグ内に木霊した。
41712.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/15(火) 00:29:16 ID:???
「くそっ!綾波!!」
零号機は中破し、活動を停止した。ここで綾波との通信も途絶える。
参号機は沈黙した目標に興味が失せたかの様に零号機から飛び退いた。
「シンジ。お前がやるんだ」
父さんが言った。
参号機はゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる。
どうすればいい?どうすればトウジを助けられる?・・・嫌だ・・・戦いたくない。
そんな僕の気の迷いが、状況を更に悪化させる。
突然地面に腕を突き刺す参号機。僕は一瞬反応が遅れた。
目の前の地面から不意に現われた参号機の両腕に初号機の首を掴まれ、山肌に押し付けられる。
「・・・クッ・・・トウジッ!」
苦しい。・・・けど、どうしようもない。
トウジをこの手に掛ける様な事は、絶対に、死んでも出来ない。
「・・・シンジ。何故戦わない」
父さんが僕に尋ねる。
「友達が・・・ッ!友達が乗ってるんだ!戦えるわけないよ!!」 「お前が死ぬぞ」
「友達を殺すよりはいいよ!!」 「・・・。初号機とパイロットのシンクロを全面カット。・・・弐号機を出せ」
次の瞬間、僕は苦しみから解放された。だが同時に、無力な傍観者へと成り下がったのだった。
参号機は停止した初号機の首元から手を引き、再び進路をネルフ本部へと向ける。

父さんとの通信が切れる直前、僕は確かに聞いた。父さんが「弐号機を出せ」と、そう言ったのを。
一体何をするつもりなんだ?アスカは今、エヴァを動かす事すらままならない様な状態じゃないか。
数秒の後、僕のそんな困惑を余所に真紅の機体がその姿を現した。
41812.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/15(火) 00:32:00 ID:???
参号機がその存在に気付き、弐号機へと進路を変えた。
僕は初号機のカメラでその様子をただ傍観するしかなかった。
「アスカ?アスカなの?」
弐号機へと通信回線を開き問い掛ける。
「・・・してやる」 「何?」
「・・・ろしてやる!」 「アスカ?アスカだよね?」

「殺 し て や る ! ! ! !」


『殺してやる』アスカの声をした誰かは確かにそう言った。
その様子はどこか狂気じみていて、僕は恐怖さえ覚えた。
弐号機が獣の如く参号機に向かって突き進む。そして飛び掛かり、参号機をその勢いのままに一瞬で地面に組み伏せた。
抵抗する参号機。弐号機の放つ殺気は、捕食者のそれを感じさせた。
まず右腕を掴み、その握力だけで砕き折った。粉砕された右の下腕部から大量の血液が流れ出る。
次に左腕を掴むと、力任せに根元から引き千切った。先程の綾波の悲痛な叫び声が思い起こされる。
恐らくトウジの神経接続は生きたままだろう。その苦しみを思って、僕は涙した。
それは頬を伝う事なく瞬時にLCLに溶け込んだ。
「やめてよ!もうやめてよッ!!アスカ!・・・父さん!!」
だが傍観者の言葉に耳を貸す者は居なかった。僕は初号機のカメラを切ろうかと迷った。
だが、親友の最期を看取りたい。その思いが勝った。
僕はもう、トウジの死を本能的に覚悟していたのだった。
「アスカ!アスカ!!もうやめてよ!それにはトウジが乗ってるんだ!!」
それでも僕は足掻いてみせた。今やピクリとも動いてはくれない初号機の中で。
41912.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/15(火) 00:33:55 ID:???
参号機の血でどす黒く染まった手で、弐号機は獲物の胸部装甲板を引き剥がしに掛かった。
きっと生々しい、聞くに耐えない音がしているのだろう。その様子を見て僕は思った。
遂に参号機の胸部を守っていた全ての装甲板は取り払われた。使徒のコアに似た物が露になる。
弐号機は獲物の肉をグチャグチャに引き裂いた。辺りが噴き出した鮮血で真っ赤に染まる。
もう参号機は完全に沈黙している。僕の目にはそう映った。
だが、弐号機はその手を休める事なく、遂に肉塊の中からエントリープラグを掴み出した。トウジの乗るエントリープラグを。
「やめろ!!やめろよアスカ!!!それには・・・それにはトウジが・・・!!」
参号機の右腕を装甲ごと粉砕した弐号機の握力だ。エントリープラグを握り潰すなんていとも容易い事だったろう。
トウジが中に居るはずのエントリープラグは、その生存の可能性を寸分も残さぬ程に握り潰された。

「・・・う、う、うわああああぁぁぁぁああああ!!!!!」

僕は絶叫した。
420 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/15(火) 00:34:45 ID:???
微グロ注意
421名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/15(火) 00:38:05 ID:???
リアルタイムGJ
422名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/15(火) 01:41:26 ID:???
相変わらず上手いなぁ
423名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/15(火) 02:07:13 ID:???
乙。
うむ、なかなかいいぞ
424名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/15(火) 16:54:00 ID:???
おお、凄いな
シンジに愛しさとも憎しみともつかない狂おしいほどの執着を見せるアスカが
事もあろうにトウジを手にかけてしまい、
シンジとの間に埋めようもない溝をつくってしまったわけだな

ここからシンジとアスカの間がどうなるか、想像もつかんな
425名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/15(火) 17:09:22 ID:???
毎回同じ事しか言ってないけどおもしろい
ただ単純におもしろい
426名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/15(火) 21:35:41 ID:???
まさかトウジ殺害をヤンデレアスカがするとは思わなかった
427名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/16(水) 00:32:33 ID:???
おお、来てたのか。今回は投下早いな

そして相変わらずGJだ。続きを心待ちにしている
428戌雷神 ◆6lu3SfDrnc :2008/07/16(水) 21:51:58 ID:ZxhZkTkx
お前ら俺に感謝しろよ?元祖は誰が立てたのか知らんが
このスレは俺が立てたんだ。つまりお前らは俺の家にお邪魔
してるってこと

わかるな?
429名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/16(水) 22:18:42 ID:???
むぅ、気付くのオレも遅れてしまった。
確かに微グロだがいいぞ、伝わってくる。乙だ
430名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/18(金) 01:48:41 ID:???
>>429
「むぅ」ってかわいいな。俺が詩音だったら暴走するね
リアルで言うヤツみてみたいわ
431名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/18(金) 02:13:54 ID:???
>>430
私のにーにーは「むぅ」って言いますわよ!
43213.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/18(金) 18:52:04 ID:???
『シンジくん聞こえるか!?馬鹿な真似はよすんだ!ああしなければ君がやられていたんだぞ!』
日向さんの声がプラグ内に響いた。
・・・そんな事はわかってるんだ。わかってる。わかってるけど・・・。
僕はケージに固定された初号機のプラグの中、それをロックして半ば立て籠もりの様な事をしていた。
「・・・父さん。何で弐号機を出したの?」 『・・・お前が逃げたからだ』
スピーカー越しの父さんの声はいつも通りの冷たいものだった。
「違う!僕は、僕はトウジを助けたかったんだ!!」 『何が違う。お前は何もしなかっただろう』
「父さんが、父さんが勝手にシンクロをカットしたからじゃないか!」 『・・・これ以上お前の我が侭になど付き合ってられん』
父さんはそれだけ言うと通信を切った。
次の瞬間LCL圧縮濃度が一気に上がり、僕は抗い切れず意識を失った。

目を覚ました時、僕は病院のベッドの上に居た。
周囲に人影は無く、窓の外を見て陽はとうに暮れている事を知った。
この殺風景な個室。ネルフの付属病院だ。いつも通りここに運び込まれたのか。
・・・トウジはどうなったのだろうか?まずはそれを確かめたい。
そして、ここで寝ていてもそれを知る事は出来ない。
そう考えた僕は体を起こし、ベッドから降り立って廊下に出た。
まだ消灯時間は過ぎていないらしく、照明は院内をあまねく照らしている。
僕は自分の病室のドア脇にあるプレートに目をやった。
『302 碇シンジ』と、そう書かれていた。
そしてある事を思い出して隣りの部屋のプレートに目をやる。・・・やっぱりそうだ。
左隣りの303号室は未だにアスカの病室だった。
43313.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/18(金) 19:01:25 ID:???
だが、とてもアスカに会う気になどなれない。
そして会ってしまったらきっと、自分を抑え切れないだろう。僕は思った。

その後、僕は当てもなく病院内を彷徨った。
よくよく考えてみれば病院関係者の、しかも僕がすぐに話せる様な表面的な仕事をしている人がトウジの安否を知っているとは思えなかった。
一人一階のロビーで佇む。
――ああそういえば、ミサトさん達は無事だったのだろうか。そんな事を考えながら。
ここでこうしていても何の意味もないな。僕は自室に戻る事にした。
ロビー中央のエレベーターに乗り込む。途中二階で女の人を一人乗せ、僕は三階で降りた。
エレベーターを降りて最初の通路を左に曲がる。
そして長い廊下の先で、窓の外を眺める人物に気付いた。その特徴的な髪色。
・・・間違いない。アスカだ。
僕は引き返して何処かで時間を潰そうかとも思ったが、結局真っ直ぐ前に進んだ。
一歩一歩、確実に僕とアスカの距離は縮まっていく。僕は305号室辺りまで進んだ。
するとアスカは僕の足音に気付いたのか、こちらを一瞥した。
一瞬目が合って僕は歩みを止めた。けれどもアスカは一瞥しただけで、すぐに窓の外の景色に視線を戻した。
僕は再び歩を進める。アスカの後ろを通り、自室のドアの前まで来た。
ドアノブに手を掛ける。
「・・・アンタさ、アタシに何か言いたい事があるんじゃないの?」
不意にアスカが言った。僕は振り返らなかったが、アスカもこちらを向いてはいなかっただろう。
「・・・無いよ。何も」 「・・・そう。・・・鈴原は・・・死んだわ」
こんなに近くにトウジの安否を知っている人間が居た。
そして僕は、アスカの口からその事実を知ったのだった。
43413.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/18(金) 19:13:11 ID:???
「・・・そっか。そうだよね。・・・アスカ。君が殺したんだ」
「・・・」
「君が弐号機で、トウジの乗ったエントリープラグを握り潰したんだ。僕はやめろって言ったのに!」
「・・・アンタは見てただけじゃない。アタシの気持ちも知らないで!何よ!!」
「君の気持ち?知るもんか!どうしてあんな非道い事が出来るのか、僕には理解出来ないよ!!」
僕とアスカは同じタイミングで振り返り、そして顔を突き合わせた。
互いに感情の昴ぶりを隠し切れずにいた。いや、隠すつもりも無かった。
「アンタが、アンタが逃げたからアタシが代わりに出されたのよ!アタシだってあんな事、やりたくなかったわよ!!」
「じゃあ何でやったのさ!?君がエントリープラグを掴み出した時、とっくに参号機は停止していたじゃないか!!」
「それは・・・!アタシは・・・アタシは止めようと・・・」
「君が止めようとしたなら、トウジは今も生きているはずなんだ!・・・僕はトウジを助けたかった!!」
「うるさい!!アンタなんかただ見てただけのくせに!・・・じゃあアンタの初号機で、アタシを殺せば良かったじゃない!!」
「ああ、動けたならそうしたさ!!でも僕は、動けなかったんだ!!」
「何よそれ・・・。・・・もういいわよ!!このバカ!!!」
そう言うとアスカは荒々しくドアを開いて自室へと戻る。
そして力任せにドアを閉めた。激しい音が廊下中に響く。

・・・僕は、僕は何て事を言ってしまったんだ。激情に任せて、何て事を・・・。
助けてくれたアスカに対して、僕は・・・。
僕は力無くのろのろと自室に戻った。そしてベッドに入り、頭まで毛布を被った。
・・・わかってるさ。僕は只傍観者であり続けて、そんな僕にアスカを責める権利なんて無い事は。
でも、それでも、アスカはトウジを殺したんだ。
やめろって言ったんだ。もう勝負は着いていたんだ。参号機は完全に沈黙していたんだ。
・・・アスカがトウジを殺したんだ。

――病室の壁って薄いんだな。僕は思った。
隣りの部屋からアスカの咽び泣きが聞こえた。
眠りに落ちるまでの随分と長い間、僕はその痛々しい声を聞く事となった。
43510.75 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/18(金) 19:17:45 ID:???
「読んだわよ。例の資料」 『・・・そう』
「何よこれ!?アンタいつの間にこんな事やってたのよ!?」
ミサトは受話器の向こうのリツコに激昂した。シンジが深い眠りに落ちてからしばらくの事だった。
「アスカの一連の行動、これが原因なんじゃないの!?」
『・・・その可能性もあるわ。でも今の段階で言えるのは、一連の行動は少なくともアスカの意思で行われたものだという事だけよ。
それと件の実験にどの程度の因果関係があるのか、まだはっきりとした事は言えないわ』
「アスカのせいだとでも言いたそうな口振りね。・・・アンタ、最低よ」 『アスカの了解はちゃんと得たわよ。・・・でも、そうね。ごめんなさい』
「何が了解よ!アンタだってあの娘の性格はよく分かってるはずじゃない!こんな話を持ち掛けられたら、あの娘が断れるはずないでしょ!?」
ミサトの怒号がダイニングに響く。
『・・・。アスカが自分の力でシンクロさえ出来ていれば、何の問題も無かったのよ』
「・・・私のせいだって、そう言いたいの!?」 『そうは言ってないわ。でもいつまでも弐号機を使用不能にはしておけないでしょう?』
一つ大きく息を吐き、ミサトは受話器を握る手を少し緩めた。
ミサトは冷静になろうと努めて椅子に腰掛ける。
「・・・先週の火曜日。アスカが自殺未遂をした日もテストをやってるじゃない」
ミサトは資料に目を通しながら言う。
『そうね。その日が初めてのテストだったわ』 「そしてアスカの入院後も数回。妙な注射痕はこれだったのね」
パラパラと資料をめくるミサト。
「・・・驚異的な数字ね。このシンクロ率は。シンジくんの最高値にも匹敵するわ」 『その為に開発されたモノですからね』
「・・・ドライヴって一体何なの?」 『・・・そうね。簡単に言ってしまえば、精神高揚剤の類かしら』
「『かしら』?アンタ達が作ったんでしょ?」 『ええ。でも企画があがったのは上からよ』
43610.75 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/18(金) 19:20:16 ID:???
「上?一体どこよ?」 『・・・それは私も聞かされていないわ』
「・・・本当でしょうね?」 『・・・。私も全てを知っているわけじゃないのよ』
だが大半の事は知っている、と、そんな口振りね。ミサトは思った。
そしてリツコには、まだ何か私の知らない秘密がある。ミサトにはそんな直感があった。
「フンッ、・・・まあいいわ。とにかく、私はこんな物を実戦で使わせるつもりはないわよ」 『・・・貴女が拒んでも、司令は迷わず使うわよ』
「何よそれ!アスカの事を道具か何かと思ってるの!?」
『・・・次に使徒が襲来して、もしも零号機か初号機のどちらか、もしくは双方が破損する様な事態になれば、恐らく弐号機が出る事になるわ』
「・・・『零号機か初号機が破損したら』・・・ねえ。じゃあ参号機の起動実験が成功すれば、弐号機を性急に使う必要性は減る。そうよね?」 『ええ』
「明後日の起動実験、失敗は許されないわね」 『そうね』
「・・・最後に一つだけ教えて」 『何かしら?』
「どうして今更私にこの資料を渡したの?」 『・・・そういう命令があったからよ』
「・・・そう。遅くまで悪かったわね」
それだけ言うと、ミサトは荒々しく受話器を置いた。
ミサトはこの日、ネルフに対する疑念を確かなものとした。
責任者である彼女の知らぬ内に行われた実験。そしてセカンドチルドレンへの仕打ち。
ミサトはネルフの背後で動く何かを感じていた。

ミサトが様々に思い巡らせていると、不意にレイの部屋のドアが開く。
「あら、レイ。起きてたの?」 「・・・ええ」
「・・・何か聞こえた?」 「いいえ。何も」
「そう。早く寝なさいね」
そう告げると、ミサトは資料を手に自身の寝室へと向かった。
437 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/18(金) 19:21:37 ID:???
ドライヴの元ネタは某RPGです。どうでもいい事ですが
438戌 ◆c25tGfYsrs :2008/07/18(金) 21:43:47 ID:???
なんか出来がイマイチ。こりゃ俺のが作家としての力量は上になっちまったな。
439名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/18(金) 21:48:53 ID:???
お、GJ
レイが更に黒さを増した予感w
440名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/18(金) 22:44:22 ID:???
このじわじわと外側からベールをゆっくり時間をかけて剥いでいく感じがいいな。まぁオレたちはその分焦らされてるわけだがww

なんにせよGJだ!いいぞいいぞ〜♪
441戌 ◆c25tGfYsrs :2008/07/18(金) 22:50:52 ID:???
よぉ、戌魔神。お前ここに住んでるんだろ?w
全てお見通し戌だお⊂二二(^ω^ )二二二⊃
442名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/19(土) 01:47:29 ID:???
ミサトはギアスのウザク並の超偽善者だなwwwwwwwwww
443ボーダーコリー:2008/07/19(土) 10:49:07 ID:???
はろろーん、愚かで低脳なみんな! 元気ぃ??
444名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/19(土) 12:31:45 ID:???
444
445名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/20(日) 00:08:04 ID:???

しっかり伏線回収してるな。丁寧な作り方だ

某RPG……塵や先生が活躍する例のあれですねw
446戌郎 ◆c25tGfYsrs :2008/07/20(日) 08:41:03 ID:???
あたしぃ ヤンデレアスカとデートする夢を見たよぉ〜
ちょ→幸せって感じぃ〜〜
447名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/20(日) 22:45:22 ID:???
>>437
>某RPG
ゼノギアスだな。
448アフガンハウンド:2008/07/21(月) 13:24:15 ID:???
俺は神!

お前ら愚民w
44914.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/22(火) 00:45:48 ID:???
翌朝、僕は退院した。雨の降りしきる中、一人電車に揺られて帰宅する。
昼頃になって家に着いたが、誰も居なかった。・・・そういえば綾波は大丈夫だったのかな。
僕はミサトさんのカップ麺を一つ頂戴し、それを昼食にした。

昼食を終えたが何もする気が起きず、僕はベッドに転がってS‐DATを聞いていた。
明日は日曜日で学校は休みだ。・・・いや、もうそんな事を考える必要も無いか。
だって僕達は、トウジを殺してしまったんだ。一体どんな顔して皆に会えばいい・・・?
・・・もう、あそこには戻れない。

陽も暮れて雨音が更に激しさを増した頃、その雨音の中に玄関のドアの開く音を聞いた。
――ああ、これで少なくともどちらかの無事は確認出来そうだ。僕は思った。
イヤホンを外してベッドから起き上がり、玄関へ向かう。
「お帰りなさい」 「・・・ただいま」
ミサトさんは左腕にギプスを巻き、頭に包帯という姿で帰宅した。
「大丈夫ですか?」 「ええ。平気よ」
平気だと言うミサトさんに皮肉の一つも言いたくなったが、やめた。僕は絆創膏の一つさえ付けてはいなかったから。
僕達はダイニングへ向かった。そしてテーブルで互いに向かい合う様に座った。

「・・・ごめんなさい」
先に切り出したのはミサトさんの方だった。激しく降る雨が室内にもその雨音を響かせていた。
「何がですか?」
僕は意地が悪かった。
「参号機のパイロット・・・いえ、鈴原くんの事を秘密にしていた事よ」 「どうして教えてくれなかったんですか?」
「シンジくんに負担を掛けさせたくなくて・・・」 「・・・そうですか。じゃあどうして使徒に乗っ取られたりしたんですか?」
45014.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/22(火) 00:48:30 ID:???
「それは・・・私達のミスね。本当にごめんなさい」 「そうですか。・・・いいですよ。もう。僕はエヴァには乗りません」
「シンジくん!」 「僕は友達を守る為にエヴァに乗ってきたんです。殺す為じゃない」
「・・・どうしても、降りるって言うの?」 「はい。もうあんな物には乗りません」
「・・・そう。あのね、実は、もう一つ話しておかないといけない事があるのよ・・・」 「・・・?」

僕はミサトさんの話を黙って聞いた。いや、そのあまりに馬鹿げた内容に言葉も出なかった。
そしてそれは、遠回しな僕への強迫だった。僕はこの時、大人のあまりの汚さに嘔吐感さえ覚えた。
だが一番強かったのは後悔の念だった。僕は・・・アスカに何て事を・・・。
そう。アスカのせいではなかった。大人達のせいだったんだ。・・・父さん達のせいだったんだ。

「最低だ!!ミサトさんも!!父さんも!!皆最低だ!!!」
僕はミサトさんの話が終わるや否や即座に立ち上がり、両の手をあらん限りの力でテーブルに叩き付けた。
じんじんと手の平が痛んだが、そんな事はどうでもよかった。
「つまり僕がエヴァに乗らなければ、また無理矢理弐号機にアスカを乗せるって言うんですね!?得体の知れない薬まで使って!!!」
「・・・ええ」
「ミサトさんがそんな人だとは思いませんでしたよ!!アスカにそんな非道い事をして、心が痛まないんですか!?」
「・・・痛むわ。とても」
「嘘だ!!!ミサトさん達は僕も、アスカも、綾波も、そしてトウジも!エヴァを動かす為の道具としてしか見ていなかったんでしょう!?」
45114.5 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/22(火) 00:53:20 ID:???
「違うわ!私は・・・!」
「もういいですよ!ミサトさんとこれ以上一緒に暮らすなんて、僕には耐えられません!!・・・こんな家、もう二度と帰りませんよ!!!」
僕は半ば絶叫気味にミサトさんにそう告げると、土砂降りの雨の中を傘も持たずに駆け出していた。

飛び出した迄はよかったものの、勿論行く当てなんかない。しかも部屋着姿のまま、所持品は何もない。
僕は雨に打たれながら方向も定めずに歩いた。

随分と長いこと歩いたのだろう。靴の中は雨水で一杯だった。
でも不快には思わなかった。何故だろう。雨に打たれるのが心地良い。
しばらくして公園を見つけた僕は、ブランコに乗った。
こんな物に乗るのは随分と久し振りに感じた。
僕はブランコを漕ぐわけでもなく、ただただ座って雨に打たれ続けた。
公園から見えるマンションには、どこか見覚えがあった。

「・・・シンジ?」
不意に背後から名前を呼ばれ、僕は驚いて振り返る。
「・・・アスカ。こんな所で何してるのさ」 「関係ないでしょ。アンタこそ何してんのよ」
アスカの右手には傘。左手にはコンビニの袋が握られていたので、恐らく夕食を買いに行っていたのだろう。
「・・・家出」
僕は元の体勢に戻り、アスカに背を向けて言った。
「・・・あっそ」
「アスカ」 「何よ」
「ごめん。僕、何も知らなかった。僕はただ逃げていただけなのに、あんな非道い事を・・・」 「・・・」
「許してもらおうだなんて思わないよ。でも、謝っておきたくて」 「・・・」
「・・・」 「・・・来なさいよ」
「え?」 「そこのマンション、アタシん家なのよ。アンタ知ってるでしょ?」
「知ってるけど・・・」 「そんなに雨に濡れて、肺炎にでもなったら困るじゃない」
「だ、大丈夫だよ」 「もうビショ濡れだし、傘は要らないわね。先行ってるから、早く来なさいよ」
それだけ言うと、アスカは行ってしまった。
僕はしばらくその場で考えた後、自分でも情けないとは思ったが、その背中を追った。
452名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/22(火) 02:57:33 ID:???
乙!!GJだ。

シンジとアスカがこのあと二人っきりに…
…チョメチョメな展開を思い浮かんだオレはもうダメなんだろうなww

続きマダー
453名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/22(火) 03:36:19 ID:???
>>452
ってことは俺ももう駄目なんだなorz

GJ!
薬の事をばらしちゃうのがちょっと意外でびっくりしたよw
454名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/22(火) 04:55:36 ID:???
雨に濡れたシンジは間違いなくイケメン

乙です
455アラスカンマラミュート:2008/07/22(火) 10:47:34 ID:???
はいはい、面白い面白い。
っていうか、まぁ、こんなんで楽しめるお前らは幸せなんじゃない?
良かったねw
456パグ:2008/07/22(火) 11:45:05 ID:???
ごめんなさい(;ω;)
457名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/22(火) 16:38:37 ID:???
オモシロイヨーGJダヨー!
458名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/23(水) 10:55:40 ID:???
ヤンデレイの出番はまだですか?
459名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/23(水) 16:18:47 ID:???
俺がヤンデレイとヤンデレアスカが繰り広げるスクイズ風小説を書き上げてやろうか? 書いて欲しいなら正直に言い給へ
460名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/23(水) 19:21:37 ID:???
>>451
GJ!
461名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/26(土) 14:00:03 ID:???
面白い。力作GJだな
462名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/27(日) 14:35:19 ID:???
これはまごうことなき良スレ
463名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/27(日) 18:32:17 ID:???
ですな。SSが神すぐる
46415 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/28(月) 02:11:48 ID:???
「そこで待ってなさい」
私は玄関外に全身びしょ濡れのシンジを立たせて言った。
まず部屋に戻り、さっきコンビニで買った弁当をテーブルの上に置く。
次に箪笥からバスタオルとジャージを取り出し、それを玄関で待たせているシンジの元へと運ぶ。
私は小走りに玄関へと戻った。
「シャワー。使っていいわよ」 「あ、ありがとう」
シンジは遠慮がちに言った。
「靴は中の水を出して乾かしときなさい。フローリング濡らしたらアンタが拭きなさいよね。今着てるやつは脱いだら洗濯カゴに入れといて。
下着は・・・自分でなんとかしなさい。あとは・・・まあそんなとこかしら。じゃあアタシは向こうで待ってるから」
私はシンジに口を挟む暇も与えず一気に言った。
そして玄関脇の靴箱の上にバスタオルとジャージを置いて部屋に戻る。
「ああ、そうそう。ウチのシャワー、お湯だけ捻ると熱いから気を付けなさいよ。あと鍵、しっかり閉めるのよ」 「う、うん」

私は部屋に戻るとまずテレビを点けた。
しばらくニュース番組を見た後、弁当を袋から取り出して電子レンジにセットする。
いつしか雨は激しさを増し、遂に雷まで鳴り始めていた。遥か彼方から雷鳴が轟く。
そして丁度弁当を温め終えた頃、浴室の戸の開閉する音を聞いた。シンジが上がったらしい。
私は気にせず弁当の梱包を剥がし、蓋を取ってそれらをゴミ箱へと放った。

「アスカー!ドライヤーって何処にあるの?」
私が食卓に着き、弁当のハンバーグに箸を入れたところでシンジがバスルームから尋ねた。
「洗面台にあるでしょ!よく見なさいよ!」 「あ、ほんとだ。ありがとう」
・・・いちいちお礼なんて言われると、何だかこそばゆいわね。私はハンバーグを口に運びながら思った。
46515 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/28(月) 02:14:26 ID:???
弁当を半分程食したところで私は箸を置いた。
それから十分程経ってドライヤーの音は消え、シンジが真っ赤なジャージ姿で私の前に現われた。
「・・・予想以上に似合わないわね」 「ご、ごめん」
「そんな短い髪乾かすのに随分と時間掛かったじゃない」 「あ、えっと、パンツを乾かしてたんだ。あんまり乾かなかったけど」
「・・・あっそ。アンタ晩ご飯は?」 「まだだけど」
「これ、食べていいわよ」 「え?い、いいよ。そんな」
「いいから食べなさいよ。どうせアタシもう食べらんないし」 「じゃ、じゃあ。頂くよ」
席を離れ、残した弁当をシンジに譲る。そして私はベッドに移ってテレビ画面に目を向けた。
「箸は台所にあるから」 「あ、うん」

テレビでは丁度天気予報をやっていた。それによれば明日も一日雨になるらしい。
じめじめとして最悪な休日だ。私は思った。
天気予報は続く。月曜日は晴れるそうだ。学校に通うのに暑さ以外の障害は特に無いだろう。
・・・けど私は行かない。いや、行けない。
きっとシンジも同じ理由で学校を休む事だろう。ファーストはどうか知らないが。
私があの場所に戻る事は、きっと、もうない。どの道行く必要もないのだから。


――ああ、私は何をやっているんだろう。茫然とテレビの画面に目をやりながらそんな事を思った。
どうしてアイツをこの部屋に招き入れたの?昨日病院であれ程失望させられたのに。
あんな奴と二度と関わるもんかって、あの夜にそう誓ったはずだったのに。
46615 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/28(月) 02:17:18 ID:???
けれどもその誓いは先刻あっさりと破られた。
雨の公園。一人雨に打たれていたシンジ。
その背中を見つけた時から何故か私の胸は高鳴っていた。
何も知らなかったんだ。アイツは言った。つまり、今は知っているのだろう。
私の秘密を。誰が話したのかは大体想像もつく。アイツは家出してきたのだから。
とにかくアイツはそれを知った上で、私に謝った。私はそれがどうしようもなく嬉しかった。
私が鈴原をこの手で殺めたという事実は何も変わらない。
けど、誰かに私のせいではないと言って欲しかった。私は悪くないんだと、そう思いたかった。
シンジはきっと私のせいだと、今はもう認識していないのだろう。
その事は私にとって何よりも救いになった。
・・・ああ、だからだろうか。アイツを招き入れてしまったのは。
だからだろうか。私がこんなにもそわそわとして落ち着かないのは。


「キャッ!」
激しい稲光と雷鳴があったと思うと、部屋中の電気が一斉に消えた。
「な、何?」 「雷が近くに落ちたんじゃないかな」
「な、何とかしなさいよ。暗くて何も見えないじゃない」 「ちょっと待って。お弁当食べちゃうから」
「・・・何よ。冷静ぶっちゃって」
私はシンジの妙に落ち着いた振る舞いに何だか安心した。

「アスカ。懐中電灯は?」
弁当を食べ終えたシンジが言う。
「無いわよ。そんな物」 「じゃあ何か明かりになりそうな物は?」
「無いわね。多分」 「ならどうしようもないよ」
「何よ。頼りになんないわね」 「無茶言うなよ。だって何も見えないんだから」
46715 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/28(月) 02:21:58 ID:???
部屋の暗さに目も大分慣れてきた。しかし月も雲に隠れているのか、本当に暗い。
私は辺りの様子を確かめようと窓の外に目をやったが、どの家にも明かりは無かった。
元々人の少ない場所だからというのもあるだろうが。
「ちょっとどうすんのよ。八時から見たい番組あるのに」 「今何時?」
ベッド脇のデジタル時計を確認すると、およそ七時半程だった。
「七時半」 「じゃあもう寝ようよ」
「アンタバカ?こんなに早く寝れるはずないじゃない」 「だって、何も出来ないよ」
「・・・そうねえ。じゃあアンタ、何か面白い話しなさいよ」 「・・・僕がそんなの出来るわけないだろ?」
「つまんない男ね」 「・・・そういうのは加持さんに頼みなよ」
シンジは少し拗ねた風に言った。
「・・・加持さんは関係無いでしょ」 「え?だってアスカは・・・」
「うるさい!それ以上何か言ったら追い出すわよ!」 「ご、ごめん」
私は大きく溜め息を吐いてベッドに転がった。
・・・加持さんなんて、もうどうでもいい。どうせあの人は私を見ようとなんてしないのだから。
「もういい!寝るわよ!」 「あ、うん」
「アンタそこの床で寝なさい!少しでもベッドに近付いたら殺すわよ!」 「わかった」
「・・・本当に床で寝る気!?文句の一つ位言いなさいよ!あーもう!そういう所がムカツクのよ!」 「ご、ごめん」
「・・・ハァ。ほんと、やりづらいわ。すぐ謝るし」 「だ、だって、お世話になってる身だし・・・」
「そこの押し入れの中!」 「え?」
「布団よ!勝手に出して勝手に寝なさい!」 「う、うん。ありがとう」
シンジは押し入れに向かった様だ。人影が動くのをぼんやりと見た。

ドサッ、と布団の床に落ちる音。
シンジは私の命令通り、ベッドから一番離れた床に布団を敷いたらしかった。
未だ雨は止む気配もなく降り続いている。そして電気の復旧する気配もない。
「・・・アタシ、加持さんの事なんて好きじゃないから」 「・・・え?」
シンジは驚いた様子で私の言葉に応じた。
468名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/28(月) 04:41:14 ID:???
また気になるところで切るなぁw
GJ!
469名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/28(月) 12:59:12 ID:???
GJと言わざるを得ない
続きwktk
470名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/28(月) 20:04:23 ID:???
続きは!?
こんな所で切るなんて許せない!
このドS!
47115 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/29(火) 17:45:48 ID:???
「あの人の言う通りだったのよ。アタシはあの人の表面的な価値が欲しかっただけ」 「・・・」
「そしてお互いにその本当のところを見ようとはしなかった。やっぱり、好きとは違ったのよ」 「・・・」
「・・・何でアンタなんかにこんな話してんのかしらね。バッカみたい」
私はそう言うと枕に顔をうずめた。
「僕は・・・僕は人を好きになるってよくわからない」 「・・・」
「でも、怖いんだ。それに自信も無い。僕には表面的な価値さえないよ」
悲観的ね。私は幾つかシンジを励ませそうな言葉を見つけたが、それを声に出すのはやめた。
今はシンジの話を聞いていたかった。
「ミサトさんも、父さんも、結局は僕を利用する事しか考えてなかったんだ」 「・・・」
「・・・そうだよ。今日だってミサトさんはアスカの事で僕を威したんだ。ミサトさんは・・・違うと思ってたのに」 「ミサトが何て言ったの?」
「・・・僕がエヴァに乗らないなら、またアスカを無理にでも出すって」
「フーン。・・・でもどの道、アタシはエヴァから降りるつもりなんかないわよ」
「どうしてさ?どうして無理してまであんなモノに乗るんだよ?」 「だって乗らなかったら意味、ないじゃない」
「意味?」 「そうよ。アタシ達がここに居る意味」
「・・・僕にはわからないよ。僕は好きでアレに乗ってるんじゃないんだ」 「じゃあアンタ、何で乗ってるのよ」
「・・・皆を守りたいからだよ」 「ご立派ね。それを壊したアタシをアンタが憎むのも無理ないわ」
シンジがそんな風に考えてはいないだろうと、そう考えていたからこそ出てきた言葉だった。
「・・・アスカには感謝してる。あの時は、非道い事言ってゴメン」
シンジの応答は私の期待した通りのものだった。
47215 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/29(火) 17:48:51 ID:???
「・・・僕、大人が嫌いだ。自分達の事しか考えてないんだ」 「アンタは違うの?」
「僕は・・・違う。僕は皆の為にやってるんだ」 「嘘よ。アンタはその見返りが欲しいから乗ってるのよ」
「ち、違うよ!」 「認められたいんでしょ?褒めて欲しいんでしょ?皆に必要とされたいんでしょ?」
「・・・」 「アタシはそう」
「え?」 「だからアタシはエヴァに乗るのよ。あんなモノに頼ってでも」
「・・・でも、やっぱりアスカにはあんなモノ、使って欲しくないよ」 「・・・アンタには関係ないでしょ」
「関係あるよ。僕は、アスカも守りたい」
驚いた。と同時に、両の耳が瞬く間に赤くなるのを感じた。部屋が暗かった事に私は感謝した。
私はシンジの言葉を嬉しく思ったが、同時にどこか物足りなさを感じた。
「フン!アンタに守ってもらう程、アタシは落ちぶれちゃいないわよ!」 「ご、ごめん」
「もう寝るから!喋るんじゃないわよ!」 「うん。おやすみ」
私達が押し黙ると、今度は雨音が室内を支配した。
古びた空調機の機械的なカラカラという音もそれに混じった。

それから数時間が経ったが、私は寝付けずにいた。
部屋の反対に位置するシンジがもう眠っているのかどうか、ここからではわからない。
私は自分で会話を打ち切った事を少し後悔していた。
シンジとまともに話すのなんて随分と久しかった。
もっと沢山話したい事はあったはずなのに、今はそれも思い出せそうにない。

・・・眠るのが怖い。一人ならまだいい。
けれども今日はシンジが居る。私にはどうする事も出来ないだろう。
悪夢のその黒い影が私に忍び寄る。
そんな不安を抱きながら、私はいつしか深い眠りに落ちたのだった。
47314.75 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/29(火) 17:55:25 ID:???
「お前の息子が家出をしたそうだ。この雨の中をな」 「・・・」
「今は弐号機パイロット宅に居るらしい」 「・・・そうか」
薄暗い司令室。二人の男が窓際で話していた。
一人は外界に背を向けデスクに座り、一人は外界を眺めてその脇に佇んでいた。
「大方、予想通りだな」 「・・・ああ。葛城くんはよくやってくれた」
「だがまさか弐号機パイロットを頼るとはな」 「・・・アイツの心を埋める事は出来んさ」
「だといいがな」 「・・・計画に変更はない。初号機でなければ意味が無いからな」
きっぱりと、デスクの男は言い切った。
「残る使徒はあと二体か」 「ああ。約束の時は近い」
「・・・レイの件、どう考えている」 「・・・」
傍らに佇む男はためらいがちに言った。
「何故命令に背き、そして無抵抗にやられたんだ?」 「・・・わからん。だが大した問題ではない」
「・・・そうか。ならいいが」
デスクの男はその卓上にある時計を一瞥した。
「・・・時間だ。老人達の相手をしなければならん」

――同刻、葛城家。
「お帰り、レイ。怪我は?」 「・・・大丈夫。碇くんは?」
綾波レイは制服姿で帰宅した。先日、ネルフ本部に招集された時の格好のままに。
「・・・居ないわ」 「まだ帰っていないの?」
「いえ、そういう訳じゃ・・・」 「どこかに行ったの?」
「・・・そうね。そういう事になるわ」 「・・・そう」
ぽつりと呟くと、レイは自室に戻った。
どこか寂しげなその背中は、ミサトの罪悪感をより大きなものとした。
雨は止む気配も見せず、ただひたすらに天から降り注いだ。
474名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/29(火) 23:21:24 ID:???
GJ!
いろんな所に伏せ線が回してあるなw
475名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/30(水) 01:01:48 ID:???
ふせ……せん………?

しかし文章上手いなぁ
476名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/30(水) 01:13:18 ID:???
おさかなの腹線ですね
読み応えあるねwwwGJ
477名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/30(水) 06:06:15 ID:???
GJ
次回も期待w


474はマジボケなのか釣りなのか判別しかねる
夏だし
478 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/31(木) 17:16:57 ID:???
停電の中を空調機が・・・。削除した筈だったのに
47915.5  ◆FPBUMtkkbw :2008/07/31(木) 17:18:45 ID:???
深夜、いや、むしろ夜明け前だろうか。僕はアスカのベッドから聞こえる呻き声に目を覚ました。
だが月光さえ届かない暗闇の中、この位置からアスカの様子を窺い知る事は出来ない。
「アスカ?大丈夫?」
僕は布団から出て、手探りに周囲の様子を確かめながらアスカの元へ向かう。
少しでもベッドに近付いたら殺す。そんな言葉を思い出したが、今は緊急事態だ。仕方ない。
暗闇に目も慣れていた僕は、ぼんやりとだがベッドの輪郭を確認した。慎重に歩を進める。
「アスカ?どうしたの?」
遂にベッド脇まで辿り着いた僕は尋ねた。しかし、呻き声以外に返事はない。
「だ、大丈夫?」
アスカは膝を抱えてベッドに丸まっているらしかった。
この位置からでもその身体が小刻みに震えているのが分かった。
僕はアスカの肩を右手で掴んだ。服の上からでもアスカがじっとりと汗ばんでいるのを容易に知る事が出来た。
「アスカ?どうしたんだよ?」
言葉を掛けながらアスカの肩を揺する。しかしアスカの様子は変わらない。
僕も悪い夢を見た後、冷や汗をかいて目覚めた経験はある。
しかしこんな状態になってはいないだろう。今のアスカの状態は明らかに異常だった。
「起きてよ!アスカ!」
悪夢にうなされているのだろうか?それとも何か体に・・・?
「ど、どうしよう・・・。寒いの?寒いなら毛布を・・・」
僕がアスカの肩から手を離し、毛布にその手を伸ばそうとした時、アスカの震えがピタリと止まった。
48015.5  ◆FPBUMtkkbw :2008/07/31(木) 17:21:08 ID:???
「イヤアアアァァァアアア!!!!」
アスカは突然膝を抱えていた手をその頭に回し、両手で側頭部を押さえながら絶叫した。
「ア、アスカ!?」
悶える様にベッドを転げ回るアスカ。だが何処かを痛がっている風には見えなかった。
「アタシは!アタシは悪くない!!」 「な、何言ってるの?」
「違う!アタシはやりたくなかった!!」 「アスカ?」
「違う!!・・・そんなのアタシじゃない!!」 「アスカ!!」
僕はアスカの両肩を捉えてその身体を押さえ付けようとした。
「アスカ!起きてよ!どうしたんだよ!」 「・・・誰よアンタ!?触んないでよ!!」
「僕だよ!シンジだよ!」
僕がそう言うと、アスカは動きを止めた。
「シン・・・ジ?」 「うん」
「離れなさいよ!!!」 「うわッ!?」
僕はアスカの突然の抵抗で数歩後ろに突き飛ばされた。
アスカがベッドから降りて僕の眼前に迫る。
「何よ!?まだアタシを傷付ける気!?」 「ち、違うよ!何言ってるんだよ?」
「・・・アンタやっぱりまだ何にも分かってないわ!何でアタシがアンタなんかにあんな話をしたのか、ちっとも分かってない!!」
「あんな話?」 「そうよ!アタシは加持さんなんて好きじゃないのよ!!」
「そ、それは分かったよ」 「だから分かってないのよ!アタシの事、何にも分かってない!!」
「な、何を言ってるんだよ?」 「何を言ってるか?そんな事も分らないの!?」
「わ、分らないよ。今のアスカ・・・おかしいよ」 「違う!これはアタシよ!アタシなのよ!!」
「・・・?」
・・・ああきっと、ドライヴのせいなのだろう。僕は思った。
とにかく今はアスカを何とかしないと。
48115.5  ◆FPBUMtkkbw :2008/07/31(木) 17:23:32 ID:???
「お、落ち着いてよ」 「人を好きになるってわからない!?どうしてそんな事、アタシの前で言うのよ!?」
・・・駄目だ。聞いてない。
「どうしてって言われても・・・」 「アスカも守りたい!?アタシはそんな言葉、望んじゃいないのよ!!」
「・・・じゃあ何だよ?僕はどうすればいいんだよ?」 「アタシがそれを言ったって意味ないのよ!そんな事もわらないの!?」
「わからないよ。・・・アスカが何を言ってるのか、僕にはわからない」 「・・・アンタ、そんなにアタシが嫌い?」
鬼気迫る様子だったアスカが、急に泣き出しそうな声になる。
やはりドライヴの影響だろうか。アスカは随分と不安定だ。
「な、何言ってるんだよ?嫌いじゃないよ」 「でも好きじゃないんでしょ?」
「・・・す、好きだよ」 「友達として?」
――友達として?仲間として?同級生として?
・・・この時やっと、やっと状況を理解した。そしてアスカの言葉を理解した。
理解した瞬間、僕の心臓の鼓動は一気に加速した。全身の発汗を確かに感じた。
「・・・ぼ、僕は・・・アスカを好きなのか、よくわからない。でも、アスカが加持さんを好きじゃないって聞いて、正直嬉しかった」 「・・・」
「僕はどうしても、アスカに嫌われたくなかったんだ・・・と思う。罪悪感より先に」 「・・・だから何?」
「だから、その・・・僕、アスカが・・・す、好きだ。だから・・・アスカを守りたい」
顔が一気に火照る。きっと今の僕の顔は赤林檎のそれより尚赤いだろう。そう思った。
アスカが一歩前に出て、鼻と鼻が接する程に僕達は近付いた。
482名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 17:25:49 ID:???
何をしているんだね!早く続きを書きたまえ!!!
48315.5  ◆FPBUMtkkbw :2008/07/31(木) 17:27:29 ID:???
「・・・じゃあアンタ、アタシにキス出来る?」 「・・・」
前回は・・・そうだった。僕は立っていただけだった。
・・・ほんと、部屋が暗くて良かった。アスカの顔をまともに見ながらそんな事出来るわけがない。
もう、何らの躊も無かった。僕は首を傾げ、そっと口付けをした。
柔らかかった。甘い匂いがした。そして、やっぱり暖かかった。
と、次の瞬間、アスカの体が傾く。僕は慌ててそれを支えた。
「だ、大丈夫?」 「・・・平気」
僕はおとなしくなったアスカを支え、ベッドに運ぶ。
そしてアスカをベッドに横たえた。
「毛布、要る?」 「要らない」
「もう大丈夫なの?」 「大丈夫よ。・・・迷惑掛けたわね」
「覚えてるの?」 「・・・さぁ」
「そっか」 「・・・ありがと」
「何が?」 「色々よ」
「・・・うん。おやすみ」 「・・・布団なんて用意しとくもんじゃないわね」
ぼそりとアスカが呟く。
「どうしてさ?」 「・・・何でもないわよ!とっとと戻りなさい!」
「?じゃあ、おやすみ」
僕は布団に戻った。
夢なんじゃないかと、一度頬を抓った。・・・痛かった。
この顔の火照りも、今尚収まる事のないこの早鐘の様な心臓の鼓動も、全て現実だった。
先程寝入った時は随分と遠く感じたベッドとの距離だったが、今はむしろ不十分なのではないかとさえ感じた。
僕はなんとか寝付こうと努めたがそれも叶わず、ただ茫然と暗闇を見つめた。
そしていつしか窓の外が白み始める。
相変わらず雲が空を覆いすっきりとしない天気。じめじめとして生温い空気が身体を包む。
そんな日曜の朝だった。



終劇?
484 ◆FPBUMtkkbw :2008/07/31(木) 17:28:21 ID:???
正直自分の中のヤンデレ成分不足は否めない
485名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 17:47:16 ID:???
終わるじゃねーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
まだいろいろ面白い伏線とか残していただろうが!?
486名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 19:09:43 ID:???
ずいぶんと唐突に終わったなw
個人的には面白かったからGJ!

しかし、最後の「?」は?
487名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 19:33:16 ID:???
これだけ長くやってればヤンデレ成分が不足するのも仕方ないだろう

しかーし!終劇?って事は続きがあるんだろ!?俺は待つぜ!!

今は取り敢えず乙かれとだけ言っておこう
488名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 21:15:07 ID:???
面白かった
489名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 21:25:26 ID:???
全体を通して見ればさしてヤンデレ不足も気にならない
個人的には死人が出る終わり方よりは好きだな

乙でした。気が向いたらまた投下してくれ。
490名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 23:50:18 ID:???
勝手な自分の考えで悪いけど、この終わり方はなんだかひとつの長編を書き続けることに
疲れたゆえのものに見える。
もし仮にそうだとしたら、時間を空けてでもなんとか完結させてほしいです。
この話好きだったし。
改めて勝手なことを言ってしまってスマンかった
とりあえずGJ
491名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/01(金) 08:53:24 ID:???
綾波に暴走してほしい。
492名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 01:17:12 ID:???
乙でした
まああれだ。また絵でも描いて気分転換してみては?
そしてまた貼ってくれww

次作or続きを切望してやまないよ。俺は
493名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/10(日) 00:24:55 ID:???
新作投下待ち(-_-)
494名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/10(日) 23:31:49 ID:???
確かに綾波のヤンデレっぷりを見てみたかった
495名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/10(日) 23:57:10 ID:???
零号機をわざと破損したのが綾波さんのささやかな抵抗かね
結局それでシンジが出て行っちゃうのがなんとも
496名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/11(月) 00:54:03 ID:???
アスカたん
497名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/11(月) 19:40:07 ID:???
ドコモ規制になってからずっと書き込んでなかった…
とりあえずホントに長い間乙だったと言っておこう。気が向いたらまた書いてくれ。
498名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/12(火) 00:06:31 ID:PHQu2mIp

499名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/25(月) 00:54:16 ID:kkCAOpUz
綾波ヤンデレイVS惣流・アスカ・ヤンデレー対決が見たい
500名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/25(月) 14:07:34 ID:9O4rKvSW
魔理沙>>>>>>>アスカ
501名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/29(金) 13:41:44 ID:???
なんか追い付いた
超GJッス
502名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/09/08(月) 15:42:27 ID:???
503名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/09/13(土) 16:25:52 ID:???
アスカたん・・・
504名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/09/20(土) 01:10:01 ID:???
1から読んだけどリアルに涙した俺って精神不安定?
505名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/09/20(土) 01:43:26 ID:???
お涙頂戴シーンなんてあったかな?
506名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/09/21(日) 00:52:04 ID:???
横槍だがオレはテレビニュースで言ってた事件をシンジたちのことじゃないかと思わせる演出の回はよかったと記憶している。その後の少女が少年のことを好きだったと言うアスカとシンジの会話もよかった。

どこらへんにあるかは覚えていない。従ってアンカーはつけないが
507こうですか?全くわかりません:2008/10/03(金) 23:48:39 ID:???
アスカ「動かないの」
マヤ「弐号機のシンクロ率2桁を切ってます!」
司令「初号機の凍結を解除」
バシュー


シンジ「うわぁ」
レイ「あれは私の心、碇くんと・・・」
ピキーン…ガシャン
マヤ「弐号機活動開始・・・信じられませんシンクロ率が400%を越えています・・・」
司令「何故回収しなかった」
508名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/04(土) 00:35:37 ID:???
なにか違うw
509名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/04(土) 23:11:19 ID:???
>>483これ続きはー!?!!??!?
510戌王子 ◆4bYtCdU0t6 :2008/10/06(月) 20:18:56 ID:???
僕イケメン!σ(^▽^*)
511名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/07(火) 00:27:14 ID:???
続きがあると、そう思っていた時期が私にもありました
512名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/10(金) 02:03:16 ID:???
でも君未だに巡回してるじゃないか
513名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/25(土) 01:01:20 ID:???
淡い期待
514名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/25(土) 03:23:12 ID:???
ヤンデレ=ヤンキーデレだとおもってたオレガイル
515名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/25(土) 18:53:08 ID:???
ヤンデレってはた迷惑なだけだよね
516名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/26(日) 11:34:36 ID:???
二次元のヤンデレは素晴らしい
アスカは二次元の人なんで許される
517名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/30(木) 05:54:51 ID:???
シンジがGJなSSですね

・真実を知る→自分の殻に閉じこもる
・雨の中でアスカに遭遇→向き合わずに逃げる
・アスカに拾われる→アスカに依存する

などシンジ自身のヤンデレフラグを華麗に回避してるし

それにしても大作だったなぁ〜
518名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/31(金) 13:29:55 ID:PUeTptEB
あすか伊央のおっぱい
519名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/31(金) 13:55:47 ID:???
アスカが一番タチが悪いけどエヴァはヤンデレだらけだよ
520名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 07:01:00 ID:???
50分レスがなかったらアスカと俺は顔見知りになる
521名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 07:09:13 ID:???
( `ω´)…
522名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 07:24:14 ID:???
阻止早い…… このあと
60分レスがなかったらアスカは俺の友達
120分レスがなかったらアスカは俺の彼女
180分レスがなかったらアスカは俺の嫁
……と段々、親密な仲になるはずだったのに顔見知りにすらなれなかった(⊃Д`)゜。
523名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 07:55:36 ID:???
あいにくアスカはシンジの彼女or嫁です
524名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 12:18:29 ID:???
シンジへの想いは愛でなく依存心、執着心なので
メンタルヘルスで治療すれば消えるものです
525名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 12:23:43 ID:???
嫉妬乙
526名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/03(月) 12:41:26 ID:???
アスカの母親は精神系の医者なんだよな。そういえば
義理の娘を治療してやれ
527名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/04(火) 03:54:40 ID:???
みんなちゃんと巡回してるってこったなww
528名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/04(火) 04:53:29 ID:???
誰か新作書いてくれ!
529名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/04(火) 07:07:47 ID:???
>527
すぐ上のはトウケツが来ただけだ
530?  ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:13:36 ID:???
目を覚ましてから周囲を捜索してみたものの、結局、
骨が粉々になって出来た様なこの真っ白な砂地と、
後は血の様に真っ赤な海しか目にする事は出来なかった。
何キロも、恐らくは何十キロも、私達は何かを求めて歩き続けた。
けれども、突き付けられた現実は余りに非情だった。
喉は渇ききり、両の足は疲れ果て、私達はこの棒の様になった足をついに止めてしまった。
そして、白い砂状の地面に二人で腰を降ろす。
私はもう座っているのさえ辛くて、地面に仰向けに寝そべった。
天上の星達は圧倒的なまでに美しく、そして煌びやかに輝いていた。
ここが本当に地球と呼ばれた惑星なのかどうかすら疑わしい程に。
「……あのさ、ちょっと、いいかな」
「何よ?」
「この際だから、言っておきたいんだ」
「だから、何よ」
私は面倒臭い風に先を促す。
「その……僕は、君の事が、す、好きだった……かもしれない」
言葉を区切りながら、あるいはためらいながらも、確かにコイツは言ってのけた。
私は、胸の内に何か熱いものをいきなり放り込まれた様な、そんな感覚に襲われた。
そしてその熱はすぐに頭まで登って来て、私の顔はみるみる真っ赤に染められていただろう。
私はそれを見られたくなくて、アイツに背を向ける様に転がった。
「……曖昧な言い方ね。それに、過去形」
「ごめん。自分でもよくわからないんだ」
「謝るなって、何度言わせる気?」
「あ、ご……うん」
そして、沈黙。この世界は本当に、耳が痛くなる程に、音の無い世界だった。
聞こえないはずの音が耳に響いて、気味悪くなって、
私はそれを書き消す様に地面の砂を掻いた。
真っ白な地面はとても冷たくて、転がっていると余計に体温を奪われた。
その内に、いつしか私は深い眠りに落ちてしまったのだろう。
耳に入る雑音も遥かに遠くなり、
真っ黒な、本当に何も無い世界へと私は落ちていった。
5311  ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:16:53 ID:???
「アスカ、起きて。もうじき着くわよ」
ミサトの声で目を覚ました時、体のあちこちが痛かった。
きっとこの狭いシートに身を丸めて眠っていたせいだろう。
寝ぼけ眼をこすりながらシートに身を起こし、固くなった関節を伸ばす。
外の景色はいつの間にか深い闇に包まれていた。私は一体どれ程眠っていたのだろうか。
しばらく眠気が取れず、車の窓を流れる街灯の光をそれとはなしに目で追っていた。
「……ここ、どこ?」
「ん、もうすぐ家よ」
「着いてから起こしてよ」
「あら、寝ぼけ眼で同居人には会いたくないでしょ」
私は今日、ドイツから日本に来た。
ミサトの家で世話になる事は事前に決まっていたので、
ミサトが空港まで車で迎えに来てくれたのだった。
そして空港からミサトの家への道中、長旅の疲れからか私は眠ってしまっていたらしい。
「同居人?ああ、前に言ってたペンギンの事?」
「違うわよ」
「……ミサト以外に誰か居るなんて、聞いてないわよ」
「あら?そうだったかしら」
この様子では恐らく確信犯だろう。
まあ、確かに他に人が居ないとも言っていなかったが。
日本に来る前、こちらに着いてからどこに住むかという事でミサトと話し合った。
ミサトが、日本に馴れるまで、とか何とか言って自分の家に住まう様に勧めてくれたので、
特に断る理由も無かった私はよく考えもせずにその話を受けたのだった。
「まあいいわ。で、どんな人なの?」
「アスカと同じ、中学二年生の男の子よ」
「お、男!?年頃の男女を一つ屋根の下に住まわせようっての!?」
「大袈裟ねえ」
ミサトにはデリカシーとかそういうものが欠けているな、と以前に思った事がある。
わざとおちゃらけて見せているのかとも考えていたが、
今確信に至った。ミサトは根っからそういう質なのだ。
5321  ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:19:06 ID:???
「お、襲われたりしたらどうすんのよ!」
「大丈夫よ。シンジくんにそんな甲斐性は無いから」
ハァ、っと私は半ば何かを諦めた様に溜め息をついた。
「で、どんな奴なのよ。そのシンジくんとやらは」
「そうねえ……いい子、だと思うわよ」
だと思う。そんなに長く暮らしているわけではないのだろうか。
今一つミサトは同居人への評価を決め兼ねているらしかった。
「……あっそ。ところで何でその子と住んでるの?」
「彼もエヴァのパイロットだからよ」
そういえば以前に聞いた事がある。日本のチルドレンの噂。
何でも実際に使徒を数体殲滅しているらしい。
一方の私は、実戦経験は皆無。シンクロテストと模擬体による訓練ばかりをやってきた。
けど、だからといって私は私以外のチルドレンに劣っているとは考えていなかった。
だって私のシンクロ率は――ドイツにいた頃に聞いた話では――チルドレンの中でトップの成績なのだから。
それに、模擬体による訓練では、エヴァをまさしく手足の如く動かせた。
私が実戦で未だに成績を出せていないのは、断じて私のせいではない。
ネルフという組織の不手際なのだ。
何せ、最初の使徒襲来から数ヶ月が経った今になって、
ようやく私の弐号機は実戦投入が可能になったというのだから。
ああ、私のデビュー戦が待遠しい。
……とは言っても、弐号機は未だに最終調整だか何だかでドイツにあるのだが。
結局、一ヶ月以内にはそれも終わるという事で、パイロットの私だけが前入りする運びとなったのだった。
現地の空気に慣れておけという事だろうか。私にそんな不安はないけれど。
5331  ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:21:04 ID:???
「じゃあそのシンジくんとやらが、噂のサードチルドレンなの?」
ファーストが確か女で、サードは男だと聞いていた。
だからミサトと同居している男の方がサードなのだろうと私は考えた。
「そうよ。初号機のパイロット」
「聞いた話だと、ロクな訓練もなしにいきなりエヴァを動かせちゃったらしいわね」
「ええ、彼にはその才能があったわ」
何だかミサトが誇らしげに言うので、私は面白くなかった。
「マグレでしょ!マグレ!私の方がシンクロ率だって断然上なんだから!」
「今はね。でもシンジくんは最近伸びてきてる。うかうかしてらんないかもよ?」
今度はミサトが茶化す様に言うので、私はまた面白くなかった。
フイッ、とミサトから顔を背けて、再び窓の外に視線を戻した。

それから数分も経たないうちにミサトのマンションに着いた。
私が想像していたのよりは少し大きかったけど、驚く程でもなかった。
「意外といい所に住んでるのね」
「意外と、って。まったく、失礼しちゃうわね!それにいい所って訳でもないわよ」
「サードチルドレンは?」
「あら、気になる?」
「そ、そうじゃなくて、荷物でも持たせようかと思っただけよ!」
ニヤニヤとミサトが意地悪気に笑うので、私は構ってらんないとばかりに車を降りた。
弱いけれど風が吹いていて、長く車の中にあった私にはとても心地良かった。

しばらくして、よっこらせ、という掛け声が車越しに聞こえた。なんかおばさん臭い言い方。
回り込んでみるとミサトが私のキャリーバッグを車から降ろしている最中だった。
フー、っと息を吐きながらミサトはそれをアスファルトの地面に降ろした。
5341  ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:23:22 ID:???
「自分で持ってくわ」
「あ、いいのよ。どうせエレベーターもあるし」
「それなら尚の事、自分で持ってくわよ」
私は強引にキャリーバッグの取手を掴むと、
そのままガラガラと音を立てながら目の前のマンションへと向かった。
「あ、ちょっとアスカ!待ちなさいよ!」
数歩も進まない内にミサトに呼び止められて、結局私は足を止めた。
よく考えたらどの部屋かも分からなかったし。
私はその場から、ミサトが車のドアをバタンと閉めて、
それから鍵を閉めてこちらに小走りで向かって来るのを黙って見ていた。

「12階か。いいわね、アタシ高い所って好き」
私はミサトがエレベーターの12階のボタンを押したのを見て言った。
扉の上の表示は結構な速さで左から右へと走っていく。
12階にはあっという間に着いた。
私はキャリーバッグを転がし、ミサトの後に続いてエレベーターを降りた。
通路に出て右に進み、突き当たりの部屋でミサトは足を止めた。
「ここが今日から、アナタの家よ」
そう言ってミサトはインターホンを押した。
『はい』
スピーカーから少年の声。少し遠かった私にはよく聞こえなかったけど。
「あ、シンちゃ〜ん?私〜」
ミサトが急に猫撫で声になった。
以前小さい子にそうしているのも見た事があったけど、
14歳の男子に対するにしては余りに不自然だった。
まあ、ミサトは同じ14歳の私に対しても同じ様な態度を取った事もあったし、
ミサトにしてみれば何ともない事なのだろう。
私は全力でそれを制したけれど、サードチルドレンにそんな様子はなかった。
今のが普通って事?マザコンかなんかかしら。
5351  ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:25:55 ID:???
ドアの向こうからカシャンと音がして、一寸後にドアが自動で開く。
「お帰りなさい」
「ただいま」
ミサトの背中でその姿は見えなかったが、今度はその声をハッキリと聞いた。
良かった。どうやら筋肉ムキムキの野生児とか、そんなタイプじゃなさそう。
どちらかと言えば、こう、どこか弱々しい様な、そんな印象を受けた。
「シンちゃん。今日は何と、新しい家族を連れてきました!」
「え?ど、どういう事ですか?あ、ペットでも買ってきたんですか?」
ペット?失礼しちゃうわね。心の中で呟く。ん、何だか背中が痒い。
「違う違う。……ジャーン!」
そう言ってミサトはいきなり私の前から横に退いたので、
思いっ切り背中を掻いているところをサードチルドレンに見られてしまった。
急いで背中に回した手を降ろす。が、時既に遅し。
何と女の子らしからぬ印象を与えてしまった事だろう。
大失態だ。ファーストインパクトが、豪快に背中を掻いてる娘、だなんて!
ええい、もう済んでしまった事。仕方がない。
私は自分にそう言い聞かせ、平然を装うべく努める。
コホンッ、と一つ可愛らしく咳払い。そして大きく息を吸い込む。
「惣流・アスカ・ラングレーよ。よろしく」
「あ、えぇ!?ど、どういう事ですかミサトさん!?」
……チッ。この私が自己紹介してるってのに、無視?失礼な奴ね。
それに、驚きすぎよ。金髪がそんなに珍しいのかしら?

サードチルドレンは、声の印象に違わず筋肉ムキムキで、なんて事はなかった。
どちらかといえば線の細いタイプだし、やっぱり弱そう。
顔は……綺麗って言うか、幼いって感じかしら。ま、少なくとも私のタイプじゃない。
536 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 02:32:06 ID:???
前回のは一応続きを書いてみたんだがあまりにアレだったのでお蔵入りしました。
唐突に終わったと感じた方は、まあその通りです。強引に畳みましたんで。
でも今回はちゃんと完結したいなあと
537名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/09(日) 03:37:34 ID:???
乙、新作頑張って!
538名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/09(日) 05:46:58 ID:???
待ってたぜ
5392 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 21:21:52 ID:???
一悶着あったが、ミサトがようやくサードを言いくるめたらしく、
私はやっと部屋の中に入る事が出来た。
ミサトの部屋に踏み入って、私は自分の目を疑った。なんと、部屋が綺麗に片付いている!
私のイメージでは、もっとこう、ビールの空き缶とかおつまみのゴミで埋まっていて、
それで衣服が散らばっている様な、そんな部屋だとばかり思っていた。
「あら、アスカ?どうしたの?」
「あ、いや、何でもないわ」
部屋の入口で立ち尽くしていた私をミサトが奥へと促す。

私に宛行われた部屋は、出入り口が木製の引き戸で、
鍵なんて勿論ない、プライバシーも何も無い様な部屋だった。
更にはベッドも無い。そして狭いし、畳臭い。
「ねえミサト!ドアに鍵が付いててベッドがあって広くて畳臭くない部屋は無いの!?」
私は、いつの間にか部屋着に着替えてリビングでくつろぎモードに入っていたミサトに詰め寄った。
「無いわよ、そんなの。だーいじょうぶよ。アスカの部屋に勝手に入ったりなんかしないから」
「サードチルドレンは!?」
「自分の部屋」
「居場所を聞いたんじゃないわよ!」
「シンちゃんだって、絶対そんな事しないわ」
「保証は?」
「しばらく一緒に居れば分かるわよ」
ハァー、っと大きく溜め息を一つ。一体何を根拠に言っているのだろう。
「そういえばアイツ、アタシが名乗ったのに無視したわよ?」
「そんなつもりは無かったと思うけど。ただちょっと驚いてただけじゃない?」
「フンッ、アイツだって、自己紹介位してもいいと思うけどね!」
「もう、仕方ないわね。……シンちゃーん!」
5402 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 21:26:53 ID:???
何もわざわざ呼ばなくていいわよ!だなんて言う間は無かった。
奥の部屋から襖の開く音。そして廊下を進んでリビングへと向かって来る足音。
「何ですか?ミサトさん」
何ですか?って、私達の会話は聞こえていただろうに。白々しい奴。
「ん、アスカがね、自己紹介して欲しいんだって」
う、うわッ!何言ってんのよ!
「ア、アタシは別に……!」
「碇」
「え?」
「碇シンジ。よろしく」
サードチルドレンはそれだけ言うと、私に背を向けて自室へと戻ろうとした。
「あ、ちょっと待ちなさいよ!」
「何?」
私に呼び止められたサードはその場に足を止める。
「アンタ、サードチルドレンなんだってね」
「そうだけど」
「アタシがセカンドチルドレンだって事は知ってるわね?」
「うん。さっきミサトさんから聞いたよ」
「じゃあ、アタシの方が先輩だって事も分かるわよね?」
「な、何でそうなるのさ?」
「アタシの方がキャリアだって長いし、シンクロ率だって断然上だからよ!」
「……実戦経験もないくせに」
サードが殆ど口を動かす事もなくぼそりと言った。
「な、なんですってぇ!?」
「あ、ちょっとアスカ!」
サードの胸倉に掴み掛からんとする私をミサトが制した。
サードはその隙にそそくさと自分の部屋へ逃げ帰る。
「コラ!待ちなさいよ!」
ミサトに羽交締めにされた私には、逃げるサードを前にどうする事も出来なかった。
5412 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 21:32:07 ID:???
「もういいでしょ!放してよ!」
サードの姿が完全に消えて、私はミサトに訴えた。
「はいはい」
と、そう言ってミサトが私の拘束を解く。
「何よアイツ!腹立つわね!」
「あはは……。でもアスカだって悪いわよ。
いきなりあんな言い方をされたら、誰だって気を悪くするわ」
「ミサトってば、アイツの肩持つんだ」
「そうじゃないわよ。とにかく、これから一緒に暮らしていくんだから、仲良くしてよね」
「サードに言ってよ!アタシは悪くないもん!」
「ハァ……。シンちゃんにも後で言っておくわよ」
うなだれるミサト。ふと、部屋の壁に張ってある一枚の紙に気付く。
「何これ?」
「家事当番表よ」
「じゃあ、この(ミ)ってのがミサト?」
「ええ、そうよ」
よく見ると、家事当番表とやらの升目は、殆どが(シ)で埋まっていた。
八割、いや九割程がサードの当番となっていたのだ。
「非道い大人も居たもんね」
「あら、公平にジャンケンで決めたのよ?」
「ジャンケンならこんなに一方的にはならないでしょ」
「ところがね、なるのよ。驚いた事に」
……普通ここまで偏ってしまったら、たといそれが公平なジャンケンの結果だったとしても、
大人としてはある程度引き受けるものではないのだろうか?
だが、ミサトは遠慮なしにサードにこの家の仕事の殆どを押し付けたらしい。
アイツも苦労してんのね。
でもこれでこの部屋がしっかりと片付いている理由が判明した。
この部屋がまともに生活出来るだけの清潔感を保てているのは、
偏にサードのおかげなのだろう。その点は素直に感謝しなければならない。
5422 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 21:34:21 ID:???
「じゃあ、アタシもその内コレに加わるの?」
「そうね。私が松代から帰ったら決め直しましょう」
「松代?」
聞き慣れない地名だった。
「ネルフの第二実験場よ。そういえばまだ話してなかったわね。
実は私、明日からその松代に行く事になってるの」
「何で?」
「参号機の起動実験があるの。それに参加するためよ」
参号機?また聞いた事のない話だ。
私の弐号機がまだなのに、参号機の起動実験なんかを進めてるわけ?……ん?
「ちょ、ちょっと待って。じゃあその間この家は?」
「いや〜それがねえ……ちょっちアテが外れちゃって、
シンちゃんとアスカで二人っきりって事に……」
「冗談じゃないわよ!あんなのと二人っきりだなんて!」
「でも四日だけだし……」
「四日も!?無理!無理よ無理!絶対無理!」
「別に四日間同じベッドで寝ろって言ってるわけじゃないんだし、ね?」
ね?って、さらっと凄い事を言う。
「当ったり前じゃない!馬鹿な事言わないでよね!」
「う〜ん……」
ミサトが困った様子で頭をポリポリと掻く。
参りそうなのはこっちの方だ。いきなり二人きりだなんて。
「じゃあこうしましょう。四日間我慢してくれたら、何でも好きなもの買ってあげるわ」
子供じゃないんだ、とそう主張しようとして気付く。
まるっきり子供じゃないか。ミサトは仕事の都合で、仕方のない事なんだ。
世話になっている身だし、わがままばかりも言ってはいられない。
ここで私が駄々をこねてミサトの負担になるのも、やっぱり嫌だ。
5432 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/09(日) 21:36:15 ID:???
それに何より、サードが何も言っていないのに私ばかりが騒ぎ立てるのも、
何だか負けな気がする。私の妙な自尊心だ。
「……仕方ないわね。別にご褒美なんていらないわよ。子供じゃないんだから」
急に聞き分けのよくなった私にミサトは目を丸くしていた。
「何だかムカツク反応ね。だってもう決まっちゃった事なら、仕方ないじゃない」
「あら、急に大人ね」
「アタシはもうとっくに大人なのよ。ま、お土産には期待してるわ」
「ええ、その辺は任せといて。留守の間、よろしくね」
そう言ってミサトは軽くウィンクをした。
よろしく、と言われても何をどうしたらいいのかも分からない。
まあ、適当にサードにやらせておけばなんとかなるだろう。
「任しといてよ」
私は胸を張ってそう言った。その自信の根拠は一切なかったけれど。
強いてあげるならばサードの存在だろうか。
きっとこの家の家事の殆どをアイツがこなしてきたのだから、
その点に関しては特に不安はないだろう。
「そろそろ寝ようかしら」
そう言って、私は堪えきれずに大きな欠伸を一つしてしまう。
「そうした方が良さそうね」
いつの間にか時計の針は深夜十二時を回っていた。
ドイツとの時差を考えれば決して眠くなる時間帯ではないのだが、
辺りが夜の空気を醸し出しているからだろうか。
どうしても瞼が重い。私はミサトにおやすみを言って自室へと向かった。
布団を押し入れから出して畳の上に敷く。
布団で寝るのは床の上で寝る様で嫌だったけれど、
そんな事はすぐに忘れて、私はいつしか深い眠りに落ていた。
544名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/09(日) 22:15:03 ID:???
乙。逆行なのか??
545名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/10(月) 22:08:37 ID:???
いつの間にか新作きてる━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
続きお待ちしております
546名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/12(水) 03:26:19 ID:???
ふっ、オレは信じてたぜ。ヤツは必ず戻ってくると。続きを楽しみにしているぜ。
547名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/13(木) 00:56:03 ID:???
おおっ、新作か。続き待ってる
5483 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:22:10 ID:???
ゴンゴンと、戸を叩く不快な音で私は目を覚ました。
目を覚まして最初に目に入ったのは、少し汚れた見知らぬ天井。
そう、ここは日本。そして先程からやかましく戸を叩くのは、ミサト?
「……わかったわよ。今起きるわよぉ」
「いつまで寝てるんだよ。君の荷物、早く何とかしてよ」
寝ぼけた頭の中から必死にこの声の主のデータを探し出す。
あまり聞き覚えのない、けれどもつい最近聞いた様な……
そうだ、この家の、ミサトともう一人の同居人。
サードチルドレン。
「な、何よ!うっさいわね!」
今しがた発した情けない言葉が急に恥ずかしくなる。
私は、何故か寝癖を直そうと焦って手探りに櫛を探していた。
「この山積みの段ボールを何とかしてって、そう言ったんだよ」
「い、いいからどっか行きなさいよ!絶ッ対開けるんじゃないわよ!」
数秒の間があって、小さな溜め息だけを残してサードは私の部屋の前から消えた。
サードを退かしたのを確認して、私は洗面台へと向かう。
顔を冷水で流して、ひとまず頭に冴えが戻った気がした。

さて、私を起こしに来たのがサードで、この家にミサトの姿が見当たらないという事は、
恐らくミサトはもう松代とやらに向かったのだろう。
一言位声を掛けていってくれればとも思ったが、私は随分とよく眠っていたようなので、
それはまあ仕方ないだろう。そして、先程サードが言っていた「山積みの段ボール」
玄関から廊下にかけて、アイツの言った通り、段ボールがまさしく山積みとなっていた。
それらは全て、ドイツから私宛てに送られてきた荷物に相違なかった。
しかし弱った事に、私が想定したよりも私に宛行われた部屋は狭くて、
送られてきた荷物の全てをそこに納めることは困難に思われた。
5493 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:24:40 ID:???
取り敢えず必要最低限の物だけを残して送り返すしかなさそうだ。
いや、ミサトに言えばどこかに保管してもらえたりするのだろうか。
とにかく、段ボールを開けて、必要な物を運び出す。さっさと片付けてしまおう。
サードにまた文句を言われない内に。

なんだかんだで、全ての作業を終えるまでに随分と掛かった気がする。
私が片付けを終えてリビングに出て来ると、キッチンにはサードの姿があった。
「何やってんのよ?アンタ」
「昼ご飯を作ってるんだ。君だってお腹空いてるだろ?」
そう言われてみて、初めて自分の空腹に気付く。
時計に目をやれば、およそ十二時半。
中途半端な時間に起きたから、今まで何も口にしていなかった。
空腹とは意識した途端に耐え難くなるもので、
サードの作る昼食に期待してしまう自分が何故だか悔しかった。
「何作ってるの?」
「スパゲッティとサラダだけだけど」
ふーん、と軽い相槌を打って私はキッチンを覗きこむ。
サードは私が近付くと一歩避けて距離を保った。
「何で避けるのよ?」
「あ、いや、別にそういうわけじゃ」
……もしかして、照れてる?だとしたら意外とかわいいところもあるのね。
暗くて嫌味ったらしい奴かと思ってたけど。
「そこに座って待っててよ。すぐ出来るから」
サードがダイニングテーブルの一席を指差す。
サードの指示に素直に従うのは癪だったが、
反抗する理由も特に無かったので私は素直に従った。
外は室内に雨音が響く程の強い雨で、電気も点けていない部屋の中は薄暗く、
普段の雨の日以上に湿っぽく感じた。
5503 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:26:20 ID:???
サードのすぐに、とは大体五分程だった様で、私の感覚とほぼ合致したと言っていいだろう。
座っているだけで勝手にサードが配膳からなにまで全部をやってしまった。
ミサトが家事を押しつけたがるのも分かる気がしたが、それはまた別の問題だろう。

食事の準備を終えて、私とサードは向かい合わせに席に着いた。
『いただきます』
と、どちらが音頭を取ったわけでもないのに、ほぼ同時に言ってしまう。
私は眉をしかめたが、サードは何ら気にする様子もなかったので、
私も気にせず目の前のミートソーススパゲッティに手をつけた。
……うん。普通に、美味しい。さて、サラダの方はというと、こちらもなかなか。
見た目の彩りも悪くないし、ドレッシングにハーブドレッシングを使っているのもいい。
何故なら、ドイツに居た頃はサラダを食べるのによくこれを使っていたので、
馴染みのあるものだったからだ。
サードがそれを知っていたという事は万に一つもないだろうけど、
とにかく私的には高く評価出来る昼食だった。

私達は黙々と食事を続け、先に皿を空けたサードが台所の流しへと向かった。
私もそれに続いて皿を空け、自分の皿を持って流しへと向かう。
「そこに置いといて。僕がやるから」
「ん、じゃあよろしく」
そう言って私はサードの指示した場所へ皿を置いて自室へと向かう。
「ねえ」
「何?」
「夕食、アタシが作ってあげようか?」
「いいよ。僕の仕事だし」
サードは手を休める事無く言った。
「あっそ」
私は部屋に戻った。
5513 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:29:59 ID:???
部屋に戻った私は、何をして今日という一日を過ごすべきか、思案にくれた。
外をぶらつこうにも、窓の外は生憎の雨。しかも結構強い。
外に出るのはあきらめよう。
じゃあテレビでも見て過ごそうか。この家には、確かリビングにしかテレビはなかったはず。
でもリビングのすぐ先ではサードがまだ食器を片している。
そんな中でテレビを見ていては、恐らく気まずい事になるだろう。
よし。サードが退いたらリビングへ行こう。
今後の方針も決まって、取り敢えず私は布団に転がってみた。
やはりベッドの方がいい。
でも、使い慣れた枕が送られてきた荷物の中にあって、
それだけは変わらぬ心地良さだったので安心した。

しばらくごろごろしていると、サードが食器洗いを終えて自分の部屋へと戻る足音が聞こえた。
それを合図に私は起き上がり、リビングへと向かう。
サードが自室に戻った事を確認し、私はテレビのリモコンを手にしてソファにどっかと座った。
適当にチャンネルを回してみる。
ドラマ。CM。ドキュメンタリーらしきもの。CM。
ドラマ。よくわからないけどとにかくつまらなそうな番組。通販。
取り敢えず、〇(何と読むかわからない)子の部屋とかいうのを見てみる。
……何だろう。この妙な空気。まあ、まだ私の年齢には早い番組なのだろう。
他にも幾つかチャンネルを回してみたが、特に面白そうなものはなかった。
日本のこの時間には、私が楽しめる様な番組はやっていないらしい。
私はテレビの電源を切った。
5523 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:35:50 ID:???
「あー、つまんない!」
そう言って、私はソファの背もたれに首を預けて天井を仰いだ。
……何しよっかな。本でも読んでいようかな。
そういえば、ミサトのペンギン。何て言ったかしら。
……そう、ペンペン。あれと戯れていようかしら。
でも、駄目ね。寝てるんだか何だか知らないけど、冷蔵庫から出て来やしないし。
あ、そうだ。サード。何かゲーム位持ってるんじゃない?言ったら貸してくれるかしら?
どうせアイツもやる事無いだろうし、一緒に遊んでみるのも手かも。
あ、勿論、同居人として親睦を深めるためにね。

そうと決めた私は、サードの部屋へと向かった。
だが、その部屋の堅く閉ざされた戸――別に鍵が付いているわけでも何でもないのだが――は、
私にサードに声を掛ける事を躊わせた。
ああ、でもサードには、私の足音で今自分の部屋の前に私が居る事が知れているかもしれない。
そう考えると、こうしてここに突っ立っているのは余りに不自然だ。
結局、私はサードに声を掛けてみる事にした。
「ねえ」
返事はない。
「ちょっと!居るんでしょ!?」
この私の声のすぐ後に、部屋の中から物音がした。やはりサードはそこに居た。
「え?何?」
「開けるわよ!」
返事を待たず、私は目の前の戸を勢いよく引き開けた。
すると、部屋の中では、サードがベッドから身を起こしていて、
まさに今外したばかりといった感じでその両手にイヤホンを持っていた。
「な、何だよ?いきなり」
「何してたのよ?」
サードの質問なんてお構いなしに私は尋ねる。
「S―DATを聞いてただけだよ」
「何で今更そんなので聞いてんのよ?」
サードが一瞬眉をしかめた気がした。
「音が、いいんだ。それに、これには思い入れもあるし」
5533 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:39:28 ID:???
サードのみせたこの些細なこだわりが、私にはどうしてか格好よく思えた。
私にはそんなものがないからだろうか。
多分、そうだろう。取り敢えずはそういう事にしておこう。
「まあいいわ。それより、ゲームか何か持ってない?」
「ゲーム?僕の部屋には特にないけど」
「暇で仕方ないのよ。この家には娯楽ってもんが無いの?」
サードが右手を後頭部にやって、困った風に頭を掻いた。
「あ、そういえば、ミサトさんの部屋に随分と古いけど何かあった様な……」
「それ、持ってきて」
「え?嫌だよ。自分で行けばいいじゃないか」
「アタシはどこにあるかわからないもの。持ってきて」
有無を言わせぬ私の口調に、サードは渋々立ち上がり、ミサトの部屋へと向かった。
私もそれに続く。
「僕が入ったのは秘密だからね?」
「別に部屋に入った位じゃミサトは怒んないでしょ?でもまあいいわ。秘密にしといてあげる」
サードが何かぼそりと言った気がしたが、私はすっかり聞き逃してしまった。
しばらく中でガサゴソと音がしていて、それが静かになるとサードが何かを手にして現れた。
「何それ?」
「スーパーファミコン……で合ってると思う」
サードが手にしていたのは、薄汚れたゲーム機らしきものだった。
本体のプラスチックと思われる外装には一部ヒビが入っている。
はたしてまともに機能するのかどうかも怪しい様な、そんな古ぼけた外観。
「で、どんなゲームがあるの?」
「挿さってたやつしか見つからなかった」
「何?それ」
「テトリス」
554 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/16(日) 23:44:56 ID:???
何というくだらない引き……!
話もあんまり進んでないですね。
でも、まあいいんです
555名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/16(日) 23:48:28 ID:???
リアルタイムGJ
ソフトのチョイスがまたミサトらしい…w
556名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/17(月) 00:38:39 ID:???

そうか、ミサトはSFC世代なのか……
557名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/17(月) 10:58:10 ID:???
乙!
がんばってくれ
558名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/18(火) 02:49:00 ID:???
いやぁこういう前座的なのは好きよ。面白い。
とにかく乙だ!
559名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/18(火) 09:17:02 ID:???
そういやヤシマ作戦の回で鈴原がセガサターンで遊んでたな
560名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/18(火) 19:58:06 ID:???
アスカは誰を好きで病んだの?
561名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/18(火) 20:53:43 ID:???
原作はシンジ。好きで病んだっていうか
シンジに惚れる→病む(エヴァが主だがシンジが期待に応えないのも理由の一つ)→シンジへの好意が病的に



5624 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/23(日) 01:12:07 ID:???
「テトリスね。なら出来そうじゃない。繋いでよ」
はいはい、とサードは適当に返事をして、ケーブル類をテレビに接続しにかかった。
私はそれを腕組みして眺めていた。

「出来たよ」
数分と掛からずにサードの作業は終わった。
「よっし。じゃあ始めましょ」
私はリビングのカーペットにあぐらをかいて、それで1Pのコントローラーを手にして言った。
その隣りに同じ様にサードが座った。
サードがゲームの電源を入れる。
テレビ画面に一瞬ノイズが走って、それからテトリスのメイン画面が映った。
でも何だか画面が暗いし、ちらつくし、音も出ない。
「ちょっと、これ何とかしてよ」
私がそう言うと、サードは「ケーブルかな」とつぶやき、
その場から身を乗り出して黄色や赤の端子を適当にいじった。
テレビ画面が明滅し、時折正常に映っては、またノイズ混じりの画面になったりした。
そんな風にサードが悪戦苦闘を続けるのを私はしばらく黙って眺めていた。
二、三分もそれが続いたので、私は「もういいわよ」と言ってサードの手を止めさせた。
幸い画面の方はしっかりと映っていたが、音は結局出ずじまいだった。
「対戦モードってあるのかしら?……あ、これじゃない?VSってあるし」
「多分、そうじゃないかな」
私は対戦モードと思われるものを選び、その後に出てきた
よくわからない画面も全部すっ飛ばして、いきなり対戦を始めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ。操作とかルールとか、全然わからないよ」
「テトリスに操作もルールも無いでしょ?回して落として消せばいいのよ!」
5634 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/23(日) 01:16:01 ID:???
「まあ、そうといえばそうだけど……」
「ハイ、スタート!」
私はサードが何かぶつくさと言ってるのをぶった切って勝手に対戦を開始した。
サードはあたふたと慌てていたが、私は冷静にどのボタンでどんな操作が出来るのかを探っていた。
なるほどね。これが右回転で、こっちが左。下で高速落下。
あれ、一瞬で落ちるやつは無いのね。あと今更気付いたけど、ホールドも無い。
やっぱ古いわねえ、とそんな事を考えながら、着々とテトリミノを積み上げていく。
おっ、長い棒きた。いや、長い棒って言うのは変ね。テトリスに棒は一つしかないんだから。

「アンタほんと弱いわね!」
十連勝もしたところで私はサードに向かって言った。
自分で言うのも少し変かもしれないけど、私はそんなにテトリスが上手いわけではない。
でも、それでもサードには圧勝出来た。負ける気配もなく。
何せ、私がテトリミノを三つ落とした頃になって
ようやくアイツは一つ落とし終える程なのだから。
「だってテトリスなんて殆どやった事もないし……。
アスカはやった事あるみたいだからいいけどさ」
「アタシだってそんなにやった事ないわよ!
それに、十回もやればもっとマシに出来たもんだわ!」
あんまりすんなりと、さも当たり前の様に言ったので、
私がそれに気付くのに数秒は掛かってしまった。
だって、何千、何万とそうしたかの様に、あんまりに自然に呼ぶんだもの。
アタシの名前。
急に恥ずかしくなった。ほんとにいきなりだったもんだから、
心の準備も何もあったもんじゃなかった。
5644 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/23(日) 01:20:08 ID:???
しかもバカらしいのが、アイツも私と同じ様に、
まるで不意打ちでも食らったみたいになっていた事。
そう、ほんとに変なのよ。自分から不意打ちしといてよ?
自分で驚いてるんだから。それから、気持ちのいい空気にはならなかった。
互いにどうしたものかって、探り合いながら次の行動を考えていたのだから。
とってもバカらしい時間だった。ほんとに。
だから私は、
「アンタ、何て名前だっけ?」
って今更聞いてやった。バカらしかったけど。
だって、私はコイツの名前をしっかり覚えていたもの。
「シ、シンジだよ。碇シンジ」
じゃあなんで今更そんな事を聞いたのかっていうと、
いきなり名前で呼び出すのに口実が欲しかったから。
今まで私はアンタの名前なんか知らなかったけど、
今知ったからこれからは名前で呼ぶわね、ってそんな感じで。
「じゃあシンジ。アンタちょっと一人で練習してなさいよ。アタシは見てるから」
それから30分程シンジに練習させた。でも、結局大して上手くはならなかった。
アイツ、ほんとにどんくさいのよ。私じゃなくても溜め息位出たと思うわ。

私は結局一人でテトリスを始めた。シンジは自分の部屋に戻るかと思ったけれど、
黙って私のプレイを見ていた。別に悪い気はしなかったし、私もそのまま続けた。

土曜日はこんな風にして過ぎていった。
別に退屈はしなかった。特に楽しかった訳でもないけど。
夕飯はまたシンジが作ったのだけど、それがちょっとびっくりする位しっかりしていた。
専業主夫と言っても過言ではない腕前だった。私はそれを皮肉混じりにも称讃したのだった。
今日あった大きな変化と言えば、シンジと互いを名前で呼び合う様になった事だろう。
5654 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/23(日) 01:23:01 ID:???
アイツに名前で呼ばれるのは、最初の内はこそばゆかったけど、
でももうすっかり慣れてしまった。
取り敢えずミサトが居なくてもなんとかなるな、という安心感を得て、
私は床に就いた。使い慣れた枕のおかげだろうか。
私の寝付きは相当によかった様に思う。

夢っていうのは、目が覚めると途端に忘れてしまうもので、
その日見た夢もまた例外ではなかった。
日曜の朝。清々しい快晴で、っていう訳にはいかなくて、
今日もまた外は雨がしきりに降っていた。
相変わらずじめじめとしていて、これだけでも日本が嫌になる人は居そうだと私は思った。
私は洗面台で顔を洗って、それからリビングに行ってテレビの電源を入れた。
ソファに腰掛け、ただぼーっとテレビ画面を眺めた。
朝のニュースなんかがやっていたけど、そんなの殆ど私の頭には入ってこなかった。
私が考えていたのは、昨日――いや、今日って言うのが適切なのかしら――見た夢の事。
すごく現実感があって、何か恐ろしい雰囲気で、ある種の絶望的状況だったんだけど、
でも私自身はそんなに悪い気はしていなかった様に思う。
夢のディテールはまるで思い出せなかったけど、雰囲気だけはうっすらと残っていた。
そういえば、夢っていうのは脳が記憶の処理をする時に見るものだって聞いた事があるけど、
昨日見たのは絶対に私の記憶の内にはない光景だったはず。
どんな光景だったかは覚えていないけど、とにかく既視感なんてまるでなかった。
あ、でも記憶っていうのは体験に限った話じゃないのよね。
そう考えてみても、あんな光景、想像した事さえなかったはずだけど。
5664 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/23(日) 01:28:13 ID:???
私は何故こんなにも昨日見た夢を思い出すのに必死なのだろうか。
夢なんていつも見た事だけ覚えていて、内容なんかてんで覚えちゃいないじゃないか。
それなのに、昨日のはどうしても気になるのだ。どうしてだろう。
ああ、今度はどうして昨日の夢が気になるのかが気になってきた。
私が頭を抱えていると、サードが起きて来て言うのだ。
「おはよう」
その言葉で、もうすっかり夢の記憶は吹っ飛んで、現実に引き戻されてしまった。
でも、変な事で悩むのをやめられて、それはそれでよかったのかもしれない。
「ええ、おはよう」
少し不機嫌に聞こえたかもしれない。別にそんなつもりはなかったのだけど。
「朝ご飯作るから、ちょっと待ってて」
そう言ってアイツは早速台所へと向かうのだ。昨日見た夢の事なんか考えもせず。
いや、そもそもアイツは夢自体見てないのかもしれない。
そうよね。そんなにしょっちゅう夢なんて見ないし、
仮に見たとしてもそれについて頭抱えてまで考える奴なんていないわよね。
「アタシ、朝はトーストがいいわ」
「うん、わかった」

朝ご飯は、シンプルに卵焼きとベーコン、それにトーストとオレンジジュースだった。
雨音が部屋を支配する様な、そんな静かな食卓だった。
シンジはただ黙々と朝食を食していて、
一方の私は今日は何をしようかと思案に暮れていたのだった。
と、その時、ペンペンの冷蔵庫が開いて、餌を要求するためだろうか。
シンジの前まで行って手(羽根?)をパタパタとやり始めた。
シンジもそれでわかったらしく、冷蔵庫から餌の魚を取り出して
それをペンペンに与えるのだった。
5674 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/23(日) 01:31:44 ID:???
私はそれを何とはなしに眺めていた。
ペンペンの喉を魚が通るとそれがハッキリわかって、少しグロテスクに思えた。

朝食を済ませた私は、またリビングのソファに腰掛けてテレビに目をやるのだった。
シンジはというと、流しで皿洗いをしていて、その姿は妙にしっくりくるのだ。
ペンペンはまた冷蔵庫に戻って、寝ているのだろうか。何をしているのかは私にはわからない。

私はその日、殆どの時間をリビングで過ごした。
テレビを見たり、ごろごろしたり、シンジに漫画を借りてそれを読んだりしていた。
あとは、シンジを呼び出してまたテトリスをやったり。
アイツったら、まったく上達しやしないんだから、
一人プレイの方がよっぽどやりがいがあったわ。

そうこうしている内に日も暮れてきて、雨もいつの間にかあがっていた。
でもこのじめじめは変わらないのね。ほんと、嫌になる。
私は相変わらずリビングのソファに居て、シンジに借りた漫画の最終巻を読んでいた。
シンジ曰く、自分で買い集めた物ではないらしい。人に貰ったとかなんとか。
それを強調するのは、自分のセンスではないと言いたいからなのだろう。
確かに、そんなにセンスの良い物だとは言い難かった。
ストーリーも何も無い様なギャグ漫画だったので、
最終巻になっても、特に今までと変わった様子はない。
最後は打ち切られたのだろうか。ギャグ漫画のくせに伏線らしきものを結構張っていたのに、
それも回収せずに無理矢理な感じで終わってしまった。
私がその漫画をシンジに返そうと整頓していると、不意にインターホンが鳴った。
それを聞いて、シンジが部屋から出てきて、室内のインターホン親機へと向かった。
この家のインターホンはテレビモニター付きなので、
相手の姿を認めたシンジは少し待つように言って、すぐに鍵を開けに玄関へと向かった。
誰だろう。この二日間で初めての来訪者だった。
568名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/23(日) 01:56:56 ID:???
乙!
相変わらずいいの書くな。エヴァ板にはこれが目的で最近は来てるな
569名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/23(日) 23:13:55 ID:???
期待している
570名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/24(月) 06:35:45 ID:???
GJです
571名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/25(火) 00:59:06 ID:???
これは良いな。期待してる
572名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/26(水) 10:04:56 ID:89HUrLle
シンジがよそよそしかったのは、シンジも逆行してるからか・・・・?
573名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/27(木) 00:06:21 ID:???
来訪者にwktk きっとあのお方に違いないぜ
5745 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 20:47:16 ID:???
来訪者はどうやら女性で、玄関からの会話を聞く限りネルフの職員らしかった。
何やら玄関で話し込んでいたが、しばらくすると二人分の足音がこちらに向かって来た。
まずシンジがリビングに来て、それから来訪者の女性が私の前に姿を現した。
黒髪のショートカットで、歳は二十代半ばといったところだろうか。
もちろん、知らない人だった。
私は積み上げた十冊程の漫画の山をソファ脇に置いて、
その女性の正面に立った。挨拶位はしっかりしておこうと思ったから。
こういう時はシンジみたいな立ち位置の人間がどちらかを紹介してくれればやりやすいんだけど、
シンジはそこまで頭が回ってはいないらしかった。
「はじめまして。ネルフ本部技術局一課の伊吹マヤです。よろしくね」
「あ、はい。よろしくお願いします」
いきなり女性の方から口を開いたので、私は少なからず動揺してしまった。
「アスカちゃんよね?弐号機パイロットの。葛城二佐から色々と窺っているわ」
そう言ってマヤと名乗った女性はクスッと笑ってみせた。
年下の私が言うのも変だけど、可愛らしい人だ。
「はい、そうです。二日前にこっちに着いたばかりなので、
まだわからない事が多いですが、これからお世話になります」
そう言って私は会釈する程度に頭を下げた。
マヤさんの隣りのシンジが目を丸くしていたのが見えてむかついたけど、
マヤさんの手前それに突っ掛かるわけにもいかなかった。
「あ、それと、「ちゃん」はやめてもらえますか?呼び捨てでいいです」
「うん、じゃあアスカって呼ぶわね。
あ、シンジくん、これ痛んじゃうと嫌だから仕舞っておいてくれる?」
そう言ってマヤさんは手にしていたビニール袋をシンジに手渡した。
5755 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 20:50:34 ID:???
シンジはそれを受け取って冷蔵庫へと向かう。
「何ですか?あれ」
「お寿司よ。葛城二佐に頼まれていたの。時間があったら様子を見に行ってくれないかって。
あ、もちろんお寿司代は葛城二佐のお財布から出てるんだから、気にしなくていいのよ」
マヤさんはそう言った後でまたクスッ、と笑うのだ。首を少し傾げて。
その仕草は本当に可愛らしかった。
「マヤさん。今日はお仕事は無かったんですか?」
寿司を仕舞ったシンジが戻って来て言った。
私達三人はリビングの中央の小さなテーブルの周りに、正三角形を作る様に腰を降ろした。
「今日は早目に上がれたの。松代の実験で先輩が居ないからかしら、
仕事が少なかったのよね。もっとも、日曜日なんだから本来は休暇のはずなんだけどね」
マヤさんは苦笑いしながら言った。
「そうなんですか。……松代の実験、成功するといいですね」
そう話すシンジの顔には、不安の色がありありと表れていた。
どうしてそんなに不安がる事があるのだろうか?
たかが起動実験でしょう?私はそんな風に軽く考えていた。
だって、起動実験なんてドイツでもう何度もやっていたんだから。
「そんなに不安がる事もないわよ。たかが起動実験でしょ?」
私にはシンジの不安を除いてやろうとかそんな意図はなく、
何の気なしにそう言ったのだった。
だが、それが失言だった事はすぐに、そして明らかにわかった。
だって、シンジが明らかに表情を険しくしていたし、
マヤさんは気まずそうに苦笑するだけだったから。
「な、何よ?何でアンタがそんな怖い顔すんのよ?」
シンジは自分がどんな顔をしていたかの自覚も無かったらしく、
私に指摘されてその表情は少し緩んだ。けれども、険しさの影は確かに残っていた。
5765 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 20:54:06 ID:???
「……友達が乗るんだ」
……ああ、なるほどね。その短い言葉だけで、今のシンジの心の内は大体わかった。
でも、仕方ないじゃない。さっきの言葉は。だって私、そんなの聞いてないもの。
それにアンタの心配っぷりだってちょっと過剰よ。
まるで起動実験が命の危険に直結するみたいな感じじゃない。
そんな大きな事故になんかなりゃしないわよ。……まあ、100%とは言い切れないけど。
大体アンタはねえ……
とまあ、色々と反論やら文句やらが頭に浮かんだけれど、
それらを全部飲み込んで私はこう言った。
「そうだったの。成功するといいわね」
これは勿論マヤさんの前で喧嘩なんてみっともなかったからで、シンジの心情を気遣ったわけではない。
むしろ理不尽に怒るシンジに憤りさえ感じていた。ほんとよ。
「ありがとう」
何でアンタにお礼なんか言われなきゃなんないのよ。このバカ。

それからしばらく三人で雑談をしていたら、
シンジが思い出した様に買い物に行くと言い出したので、
部屋には私とマヤさんの二人きりになった。
マヤさんは本当にいい人だったので、出会ってからまだ短かったが、
二人きりになっても全然悪い気はしなかった。むしろちょっとわくわくした位。
「あ、テトリスでもやります?シンジとやっても弱過ぎて退屈だったんですよ」
「うん、いいわよ」
マヤさんの返事を得た私は、スーパーファミコンの電源を点けて、
それからテトリスの対戦画面まで進めた。そして、スタートの合図。
5775 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 20:56:41 ID:???
マヤさんは、最初に見た時から思っていたんだけど、知的な感じの人だった。
それこそ、ミサトなんかとは正反対のね。
だからテトリスとか強そうだなあって思ったのよ。
まあ、テトリスが知的遊戯なのかはさて置いて。
とにかく、強そうだなあとは思ってたのよ。
だから、驚いたわね。私、ほんとに驚いたわよ。
まさかこれ程までに強いなんて!
マヤさんの操作は、普段の温厚そうなマヤさんの様子からは想像も出来ない様な、
そうね、ある種暴力的とさえ言えるものだったわ。
とにかく早いのよ。積むのが。それに、的確なのよ。計算され尽くしてる感じ。
私はもう、自分の画面なんかそっちのけでマヤさんの操作に見とれちゃったわ。
そんなんだったから、無論、私は抗う術も無く負けた。
口をあんぐりと開けて、私の負けを示す画面(六回目)をただ見つめていた私に、
マヤさんはこう言った。それも、あの優しそうな微笑でもって。
「もう一回やる?」
私はうなだれながら首を横に振るしかなかった。
次元が違いすぎた。いや、もはやゲームが違ったとも言える。
そこでマヤさんに聞いてみた。マヤさんよりテトリスが強い人がネルフに居ますか?と。
すると、その返事は驚くべきものだった。
なんと、マヤさんが言うには、ネルフ内にはマヤさんよりも強い人間が、
知る限りでも三人は居ると言うのだ。
少ないと思うかもしれないが、マヤさんの実力を目の当たりにした後では、
三人も居るというのは驚愕すべき事なのだ。
……まさかその中にミサトは入ってないわよね?
5785 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 21:02:32 ID:???
「あの、その三人っていうのは、どなたですか?」
そんな私の問いを、マヤさんは少しの沈黙の後に、爽やかな笑顔でもってはぐらかしたのだった。
そのマヤさんの様子に、私はそれ以上の追及を諦めざるを得なかった。

それからしばらくしてもシンジは帰って来なかった。
シンジの帰りを待つ間、マヤさんと私は雑談をして時間を潰す事にした。
そこで私は、少し気になっていた事を聞いてみようと考えた。
いや、実際は少し気になっていた、なんて程度のものではなかったかもしれない。
とにかく私は、聞いてみたのだ。私がこれから戦う敵について。
「あの、使徒って、どんなのなんですか?」
抽象的で、きっと答えづらい質問だったに違いない。
でも、マヤさんは私のそんな質の低い質問に、なるべく適切に答えようとしてくれているようだった。
「そうねえ、MAGIがパターン青と判断するモノであるとか、
遺伝子信号が99.89%人間と共通であるとか、色んな定義があると思うわ。
でも、とにかく確かなのは、私達の敵って事よね」
そう、敵なのだ。敵っていうのは、利害関係やなんかが対立するモノの事。
じゃあ、使徒の利って何?普段ならそんな事、気にも掛けない私なのだが、
今日はなんとなく気になった。その程度だったので、さほど正解を期待してもいなかった。
「使徒の目的って何なんですか?」
「……私にもわからないわ。あ、そういえば以前先輩が言っていたんだけど、
使徒はヒトの事を知ろうとしているんじゃないか、って」
「使徒がヒトの事を?どういう事ですか?」
5795 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 21:05:43 ID:???
「以前ね、シンジくんが使徒の内部に取り込まれた事があったの。
その時、先輩がその中での事をシンジくんに聞いた事があったのね」
「あの、先輩って言うのは?」
「あ、ごめんなさい。赤城リツコ博士の事よ。私はいつも先輩って呼んでるの」
「赤城博士ですか!以前ドイツで一度だけ会った事があります。
ああ、でも殆ど話もしていないから、どんな人なのかまでは知らないんです」
「そうだったの。私はね、先輩の事を尊敬してるわ。いつか先輩の様になりたいと思ってる」
マヤさんは興奮気味に言った。
多分、この人の前で赤城博士を悪く言おうものならただでは済まないだろう。
「脱線したわね。とにかく、その後で言ったのよ。
――その後っていうのは、先輩とシンジくんが話した後にね。
使徒はヒトの事を知ろうとしているんじゃないか、って。
そしてこうも言ったわ。使徒が目指すのはヒトの形なんじゃないかって」
ヒトの形を目指す?
「じゃあつまり、使徒はヒトになろうとしているって事ですか?」
「う〜ん……私には何とも明言出来ないわ。ごめんなさい」
「あ、いえ、いいんです。下らない話に付き合って頂いてありがとうございました」
この件が終わったところで、玄関のドアの開く音がしてシンジが帰宅した。
両手に膨らんだビニール袋を持ったアイツは、そのまま冷蔵庫に向かった。
多分食材を買いに言っていたのだろう。私が見た時には冷蔵庫の中は随分と寂しくなっていたし。
5805 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 21:08:38 ID:???
「ただいま」
シンジはビニール袋を空っぽにしてからリビングに顔を出した。
「おかえりなさい。私、そろそろ帰るわね。
お寿司、きっと美味しいから食べてね。葛城二佐イチ押しのお店のやつだから」
シンジはお寿司のお礼とかを色々言って、それからマヤさんを玄関まで見送りに行った。
私もそれに続いてマヤさんを見送った。
また会いたい、とかそんな言葉を交わして、マヤさんと別れた。
変な話よね。これからは同じ組織で働くんだから、
会おうとすればすぐにでも会えるだろうに。
それにしても、本当にいい人だったと思う。
恐らく私が今まで知り合った年長者のなかでもかなり上位に入る程に。

それから、シンジと二人でマヤさんが買ってきてくれたお寿司を食べた。
それはもう、美味しかったわ。ちょっとした言葉じゃ言い表せない位に。
目の前で捌いてもらったわけではないから多少鮮度は落ちていたけど、
それも殆ど気にならない様なレベルだった。ミサトもいい店知ってるのね。
こんなタイミングで、ミサトがいい歳した大人である事を思い出すのだった。

夕食が終わると、シンジがある手紙を私に渡してきた。
どうやら、ミサトから私に宛てたもので、その内容は簡単に言うとこんなものだった。
――月曜日から学校があるので、ミサトの部屋に置いてある制服を着て学校に行く事。
登校するにあたっては、シンジの指示に従って行動する事。
とまあ、たったそれだけの事だった。
失念していたわけではないけれど、そうだった。明日から通学しなくちゃいけないんだった。
日本の義務教育か。だるいったらないわね。まったく。
取り敢えず私はミサトの部屋から制服を見つけて、それを自分の部屋へと運んだ。
その後、シンジに漫画を返すついでで、明日のスケジュールを聞いた。
5815 ◆FPBUMtkkbw :2008/11/29(土) 21:12:09 ID:???
三分程に渡ったシンジの話を聞いてみての感想は、面倒だなあという事だけだった。
ドイツで大学を出ていた私にとっては、義務教育の拘束時間が苦痛で仕方なかった。
まあ、郷に入れば郷に従え、だっけ?そんな風にも言うわけだし、
従うしかないのよね。ほんと、面倒だけど。

私はそれから適当にテレビを見てからお風呂に入って、十二時前には寝たと思う。
シンジは十時位にはもう寝ていた様だった。まったくガキなのよ、アイツは。

翌朝、私は目覚まし時計のアラームをセットした時間よりも二十分も早く目を覚ました。
それで、顔を洗おうと思って洗面台へと向かった。
そしたら、台所の方からいい匂いがしてきたのよ。
ドイツでよく食べてたからすぐに分かったわ。ソーセージを焼いてる匂いだ、って。
取り敢えず顔を洗ってからじゃないと嫌だったから、私はまず洗面台に向かった。
今日は冷水で流すまでもなく、頭に冴えた感じがあった。
何て言うのかしら。単純に、目覚めが良かったのね。今日は。

私が台所に行くと、シンジも私に気付いて、私達は朝の挨拶を交わした。
その間もずっとしてたわね。ソーセージのいい匂い。
その後私がダイニングテーブルに着くと、その上にはスチール製の弁当箱が二つあった。
多分、シンジはこれを用意するのに私よりも一時間は早く起きていたのだろう。
ま、当番だもんね。当番。

私達はトーストに目玉焼きにソーセージを平らげて、学校へと向かう事にした。ペンペンに留守を任せて。
だが、ペンギンが留守番の役割の内の一体どれ程をこなせるというのか、甚だ疑問だった。
そして、二人で歩いた通学路はというと、朝だというのに、照り付ける太陽で結構な暑さだった。
582名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/29(土) 21:37:24 ID:???
毎度毎度乙です
583名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/30(日) 01:00:20 ID:???

そうか、松代は起動試験だよな
先が楽しみ
584名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/30(日) 01:22:40 ID:???
確実にレベルが下がってきてるワン 面白くなくなってきたワン
585名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/30(日) 02:24:40 ID:???
まさかのマヤw

やっぱいいね。文章的にも好きだ
続き待ってます
586名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/30(日) 03:45:59 ID:???
またこの次の投下を待つ楽しみが帰ってきて嬉しいよ。
とにかく乙だ!
587名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/06(土) 03:34:07 ID:???
続き町なのである。
588名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/06(土) 15:42:56 ID:???
ここのSS書きは文章読みやすいし、色んな角度から書いてるから取り巻く状況も分かるし、読ませるの巧いな…参考になるわ。
5896  ◆FPBUMtkkbw :2008/12/06(土) 22:22:01 ID:???
私が学校に着いて真っ先にした事は、ある女を探す事だった。
シンジのヤツはまず職員室に行けってうるさかったけど、そんなのお構いなしに。
「ねえ、どの子がファーストチルドレンなのよ?」
そう、もう一人のパイロット、ファーストチルドレン、綾波レイを探したのだ。
何故かって聞かれても特に明言出来る理由は無かったけれど、強いて言うならば、
これから一緒に戦う人間がどんな人物かを知っておきたかったという、ただそれだけの事だった。
「あそこだよ。あの窓際の、髪の青い娘」
私はシンジの指差す方を目で追って、その先に青髪の女を見た。
窓際で本なんか読んじゃって、それで窓から入る風に短めの青い髪をなびかせてんのよ。その娘。
何だか私とはそりが合わなそうな気がした。その様子だけでね。

私はファーストの席まで行って、こう言った。
「あなたが、綾波レイね。プロトタイプのパイロット」
ファーストは私の声を聞いて一瞬本から目を上げたけれど、すぐにまた元に戻した。
あんまり感じのいい娘じゃないわね。……まあいいわ。
「アタシは惣流・アスカ・ラングレー。弐号機のパイロットよ。仲良くしましょ」
「どうして?」
え?どうして?
「その方が都合がいいからよ。色々とね」
「命令があればそうするわ」
「……変わった娘ね」
私がこの程度の嫌味で済ましたのは、これから先を考えての事だった。
だから、それすらもまるで耳に入っていないかの様なファーストの態度は、頭に来たわね。
これ以上会話を続けたら、もう我慢の限界を超えそうだったから、
ここで切り上げてシンジの元に戻った。
5906  ◆FPBUMtkkbw :2008/12/06(土) 22:24:51 ID:???
「何よあの娘、感じ悪いわね!」
私は声を潜めながらも荒い口調でシンジに向かってそう言った。
「そ、そんな事ないと思うけど」
「うっさいわね!このバカ!」
これも声を潜めて言う。シンジを罵倒して、何だか少しスッキリした。
「で、職員室ってどっちよ?」
けろっと態度を変えて私は言う。
「こっち。付いて来て」
私はシンジの後を追って職員室へと向かった。

それから私は、職員室で老教師から色々と説明なんかを受けて、教材やらを渡されて、
それでその後の朝のホームルームで自己紹介をした。
後は平々凡々。特筆すべき事項無し。
あ、ヒカルって娘は凄いよくしてくれたわ。その位ね。

退屈な授業もようやく四限を終えて、昼休みとなった。
シンジの作った弁当が一体どんなものかと、ほんの少しだけわくわくしながら鞄から取り出していると、
シンジが携帯電話で誰かと話しているのが目に入った。
窓側に目をやれば、ファーストの方も誰かと電話をしている様だった。
まさか教室内で二人で通話してるわけじゃないわよね?
そんな私のバカみたいな予想は見当外れだった様で、先に電話を切ったシンジは
血相を変えて私の方へと足早に向かって来た。
「ま、松代の試験場で爆発事故だって!そ、それで、至急本部に集合しろって……」
今にも泣き出しそうだったわね。シンジのヤツ。
「じゃあ、早く行かなきゃ。ほら、行くわよ」
シンジがあんまりおろおろしてたもんだから、私はなるべく気丈な感じで言った。
「うん……」
消え入りそうな声でシンジは言った。
5916  ◆FPBUMtkkbw :2008/12/06(土) 22:30:20 ID:???
私達は――私達っていうのは、私とシンジとファーストの事ね――学校を出ると、
本部直通の電車でもって急いで本部へ向かう事にした。
そして駅へと向かう途中で、渡しそびれていた、と言って、
シンジが私に私用のセキュリティカードを渡してきた。
これが無いと本部には入れないんだそうだ。ドイツのカードとは、微妙に様式が違っていた。

電車に乗って、本部に着くまでの間、口を開く者は無かった。
ただ、シンジは相当に焦っていたらしく、貧乏揺すりがあんまりうるさかったんで、
私がそれを何度か咎めた、ってのを除けばね。
でもシンジのヤツ、数十秒も経ったらまた始めんのよ。
だから私もいつしかあきらめて、電車の窓の外を
コンクリート壁が流れていくのをただ眺めていたわ。

本部に着いて、私達は状況を説明された後、待機を命じられた。
私達の待機場所となった部屋は、五十平米はあろうかという結構な広さの部屋だった。
そこには、四十インチ程のモニターが四つもあって、
それらは外の景色を映し出しているらしかった。多分、定点監視カメラからの映像だろう。
そのあまりに鮮明な映像は、それ故に、まるで窓の外でも見るかの如きリアリティを帯びていた。
その他には、五人も座れそうなベンチが四つと、飲料自販機が三つあった。
私達はシンジを真ん中に、その右が私で、左がファースト、という順で座った。
それぞれの間に一人分の空きスペースを作って。

「……未確認移動物体って、やっぱり使徒かな?」
ずっとうなだれて床のタイルと睨み合っていたシンジが、ついに口を開いた。
「そう考えるのが妥当だと思うわ」
私が答えようとしたら、ファーストに先を越された。
なんか急に積極的に口を開いたわね。この娘。
「じゃあ何?参号機を狙って使徒が松代を襲撃したっての?」
「……」
……私の質問には答えもしないのね、コイツ。別にいいけど。
私の言葉を最後に、私達は再び沈黙した。
耳に入るのは空調機のやかましい駆動音だけだった。
5926  ◆FPBUMtkkbw :2008/12/06(土) 22:33:39 ID:???
それから、この部屋には時計が無かったから正確な時間は分からなかったけれど、
外を映すモニターの空が赤みを帯び始めた位の時間になって、
シンジとファーストに出撃命令が下った。
私は呼ばれなかった。何故かって、単純。乗る機体が無かったから。
本当に口惜しかったわ。わざわざ本部まで来たのに、まるで戦力外扱いだったんだから。

部屋に一人取り残された私は、モニター越しにシンジ達を見つめる他なかった。
モニターに映し出される紫と青の二機のエヴァ。
私は以前、初号機と零号機の資料を見た事があった。
だから、モニターに映った二機の内、どっちに誰が乗っているのか、何て事は容易に分かった。
二機はそれぞれ散会して配置に着いたらしく、別々のモニターでその姿を確認出来た。

数分の後に、左上のモニターに動きがあった。遂に、使徒がその姿を現したのだ。
私が初めて記録画像以外で見た使徒の姿だった。
だが、どうも様子がおかしい。だって、姿を現したそれは、明らかにエヴァなのだ。
私は直感した。あれこそが松代で起動試験をしていた参号機なのだろうと。
じゃあ、爆発事故を起こしたのもあの機体なの?そうだ、パイロットはどうなったの?
その疑問を口にしたところで、答えてくれる人間はここには居なかった。
とにかく、シンジ達の迎撃地点に姿を現したのは、エヴァンゲリオン参号機だったのだ。
使徒ではなく、エヴァ。じゃあ、迎撃目標って一体何なのだろう。
その頃、零号機を映すモニターにも動きがあった。
5936  ◆FPBUMtkkbw :2008/12/06(土) 22:38:36 ID:???
零号機が、――恐らくは――参号機にライフルの銃口を向けたのだ。
つまり、迎撃目標はやはり参号機だったという事。
それが意味するのは、参号機が使徒であるという事?
そうだ。シンジ達は使徒迎撃の為出撃、と確かに言われていた。
じゃあやっぱり、参号機が使徒なんだ。
だが、見掛け上はどう見てもエヴァそのもの。……乗っ取られたっての?
エヴァが、使徒に?でも、そう考えるのが最も妥当ね。
……ああ、今、シンジは一体どんな気持ちでいるのだろうか。
もしもパイロットが乗ったままだとしたら、恐らくあのバカは戦えない。
だって、昨日からあんなにもパイロットの身を案じていたんだもの。過剰とも思えた位に。

参号機が最初に映っていたモニターからその姿を消し、それから数秒が経った。
モニターに映らない部分で何が起きているのか、私に知る術は無い。
と、次の瞬間、零号機を映すモニターに突如として参号機が現れた。
一瞬にして俯せに組み伏せられる零号機。
参号機は組み伏せた姿勢のまま、その左腕部から何か粘液の様なモノを零号機の左腕に垂らしていた。
恐らくそれへの対処だろう。零号機の左腕が根本から吹き飛んだ。
神経接続はカットされているはずだから、ファーストに痛みは無いはずだ。
零号機は活動を停止したらしく、戦闘の継続は不可能と見えた。
参号機が仕留めた獲物から離れる。
その時、参号機のエントリープラグ部分が少しだけ見えた。
……パイロットは、多分まだ乗っている。
参号機の次のターゲットは初号機だろう。
不気味な姿勢で一歩ずつ大地を揺らしながら、参号機が前進して行く。
参号機が再びモニターからその姿を消した。
594名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/07(日) 02:22:23 ID:???
GJ!
いいぞもっとやれ
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/07(日) 09:46:54 ID:???
もっとやれって展開でもないようなw
まあ、とにかく乙
596名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/08(月) 01:09:52 ID:???

続き待ってる
597名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/09(火) 07:40:21 ID:???
レスが減ってきている。これがどういうことかわかるか?
つまらなくなってきたために、見放されてきているってことなんだぜ?w
598名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/10(水) 00:59:30 ID:???
乙!
トウジのとこか。最初の山場かな?
599名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/16(火) 02:46:22 ID:???
捕手
600名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/20(土) 14:03:27 ID:???
職人さんは…どこへ行ったんだ…
601名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/20(土) 22:42:56 ID:???
殺したわ

だって、シンジはファーストのことしか見てなかったんだもん
だから殺したの
殺して、今は部屋に飾ってあるわ
もちろん、顔はあたしの方を向いてる
もうシンジはあたししか見れない
よそ見できない
ずっとずっと、あたしのモノ……
602名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/24(水) 23:30:34 ID:???
そっか…
職人さん殺したのか…
603名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/25(木) 02:59:11 ID:???
まあ年末だし
604名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/01/01(木) 20:53:39 ID:???
あけおめデス
605名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/01/02(金) 18:00:29 ID:???
職人さぁ〜ん、、、あけおめ
606名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/01/07(水) 01:36:46 ID:???
職人さんは…??
607戌神:2009/01/09(金) 01:28:20 ID:jd8gZr7z
俺でよければ
608名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/01/26(月) 00:05:51 ID:???
そろそろ投下されるよね・・・
609いーぬ:2009/02/03(火) 11:57:38 ID:vBkVkxoR
俺でよければ
610職人:2009/02/03(火) 17:24:25 ID:???
アスカ「シンジ!カレー出来たわよ!」
シンジ「うわっ!くせぇ!アスカこれウンコだろ!?でもアスカのウンコなら…」
アスカ「あんた馬鹿ァ?シゲル君のウンコよ」
シンジ「…クッ!」
611名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/02/04(水) 09:43:00 ID:???
……
612名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/02/14(土) 01:11:38 ID:???
保守って美味しいの?
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/03/01(日) 05:55:19 ID:???
ああ
614名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/03/15(日) 02:48:10 ID:???
職人さんカムバーック!
615名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/04/12(日) 16:38:43 ID:???
エヴァ板良スレ保守党
616名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/04/22(水) 03:06:47 ID:???
これからってとこでぷっつり切れてんな
617名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/05/07(木) 22:01:22 ID:???
ホッシュ
618名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/05/17(日) 23:42:37 ID:???
保守
619名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/01(月) 01:42:37 ID:???
ホーシュ
620名無しが氏んでも代わりはいるもの
hosyu