ちょいと書いてみたが投下よろしいか?
第一話どころか当分ゲッターロボが出てこない話にはなりそうなんだが
問題ない、やりたまえ
456 :
第一話:2008/10/17(金) 23:22:06 ID:???
セカンド・インパクトと呼ばれる事件により、世界は一度破壊された。
それから15年。
世界はゆっくりとだが復興した。その経過でゲッターロボと呼ばれるロボットが姿を消し、そしてゼーレと呼ばれた組織が姿を消した。
狂った時代が過ぎてゆく。何が狂っているのかはさておいて、狂った時代が過ぎてゆく。
真ゲッターロボ 対 新世紀エヴァンゲリオン
第一話:使徒と襲撃
■西暦2015年。第三新東京市/特務機関ネルフ/発令区
巨大なスクリーンに次々と映像が走る。ヒトガタとミニチュア。
だがヒトガタはビルが歩いているような巨大さであり、ミニチュアのように見えるのは紛れもなく本物の軍隊だ。
「15年ぶりだな」
「ああ、間違いない。使徒だ」
と碇は落ち着き払っているが周囲のゴタゴタは隠しようもない。何せ予算が無いのだ。碇、お前も貧乏ゆすりを止めろ。
そもそもこれだけの施設を維持するだけでもどれだけ……いかん失礼した。私の名前は冬月コウゾウ。
この特務機関「ネルフ」の副指令を務めている。
『ウヒャホ! 目標に全弾命中! 以上!』
『威力が足りん! こちら第六航空隊、牽制なんざ糞食らえだ。もっと良い砲弾寄越せ! 以上!』
「目標は依然健在。現在も第三新東京市に向かい侵攻中」
「航空隊の戦力では、足止めできません! 」
「パターン青、使徒です」
「厚木と入間を全部上げろ! 例の爆装まで時間を稼げ。総力戦じゃあ〜!」
「出し惜しみは無しだ! 何としてでも目標をブチ殺せ!!」
457 :
第一話2:2008/10/17(金) 23:24:15 ID:???
まったく毎度の事ながら国連軍共の殺る気には辟易する。
仮司令席で老兵達が頭の血管をブチ切って指揮するが、巨人相手には通用しない。
だからあの巨人……使徒相手には現代兵器は通用しないというのに。我々ネルフに早々に任せろと。
と思ったが、考えてみたら我らネルフの切り札、汎用決戦兵器人造巨人エヴァンゲリオンは現在マトモに動かない。
それなりに動くエヴァのパイロットは実験しすぎで重傷。マトモに動くハズの方には適応するパイロットが居ない。
元気なパイロットなら一人だけ居るが、彼女が乗れるエヴァは現在儀装を全部はがされてドイツでオーバーホール中のハズだ。
だから今パイロットを迎えに行っているハズだが、迎えに作戦部長自ら赴くというのはどうなのかね?
そういう役は作戦課長の彼の方が向いているのでは無いかねと碇に言ったら、すでに彼は古巣の国連軍と連動して作戦行動中だという
許可を出した憶えは私には無い。碇はそうした指示はそもそも出さない。そもそも碇は仕事などマトモにしない。
ともかく何とかエヴァが動くまで国連軍には頑張ってもらわ
「では予定通り発動します」
『爆破の時が一番シビれるぜ!』
『サンドイッチが一番怖い!』
「衝撃波、きます」
イカレた声がスクリーンから聞こえたかと思うと腹まで響く爆音がとどろいた。
というか地下シェルターでもあるこのジオフロントまで響くとは、一体何をやらかしたのだ?
「わ、私じゃないわよ?」
技術本部部長 赤木リツコ君。別に君は呼んでいない。
458 :
第一話3:2008/10/17(金) 23:24:49 ID:???
「投下したN2爆雷と地上側のN2地雷は完全にシンクロしました。N2サンドイッチ作戦、成功です」
「その後の目標は?」
「電波障害のため確認できません」
「あの爆発だよケリはついている。溶けて蒸発したんじゃないかね?」
国連軍め無茶苦茶をやる。地形が変わっているではないか。
国連軍司令官が「残念ながら貴様らの出番は無かったようだな」などと抜かしている。これはこれで腹が立つから困りものだ。
「映像、回復します」
砂嵐状態から復帰したスクリーンが映したのは、体を丸めてN2爆雷に耐え抜いた巨人が立ち上がり、仁王立ちとなる姿だった。
国連司令や参謀が何やら叫んでいるが、そもそも使徒とはそういうナマモノなのだから仕方ない。
ATフィールドという防御膜が存在するのだと何度言えば良いのだろう。
再度叫んだ国連軍司令と副指令と参謀の背後に黒服サングラスが音も無く立ち、首筋に何かを注射しておとなしくさせた。
指揮権の移行か。だがパイロットがまだだと言おうとするとアラームが鳴った。そうか出前が来たか。
「確かに我々の装備では効果が無かったのは認めよう。だが君達なら勝てるのかね?」
「その為のネルフです」
碇、いいところだけ持っていくな。
459 :
第一話4:2008/10/17(金) 23:25:22 ID:???
■西暦2015年。第三新東京市/特務機関ネルフ/地下格納庫
「冬月先生、後を頼みます」
「三年ぶりの対面、か。確かにユイ君に似ているな…」
待て碇。そのユイ君の服は置いていけ。お前の息子は間違いなく着てくれんぞ。
さて司令らしく格好つけてエヴァ格納ケージへ降りていった碇だが、父性の発揮には失敗したようだ。
思い切り強面を取り繕い「乗るなら早くしろ。でなければ帰れ!」と言ってみたものの、息子は素直に帰ると言い出す始末。
流石は碇の息子だと言いたいところだが、ユイ君の息子でもあるから心境は複雑だ。とにかく彼が乗ってくれなければ人類に未来は無い。
いや乗っても未来は無いかもしれないが。
ともあれ北風に失敗した碇は、太陽役としてレイを呼び出した。
綾波レイは現在凍結中のエヴァンゲリオン零号機パイロットの美少女。だが重傷でパイロットなどとても出来ない状態だ。
だが美少女だ。包帯でぐるぐる巻きの美少女を登場させ『お前が乗らなければ彼女が乗るんだぞ…』と無言のプレッシャーをかける。
これが碇の奥の手だったが、碇の息子は美少女レイに目もくれず格納庫の隅で震えるばかりだ。
何があった碇の息子。
460 :
第一話5:2008/10/17(金) 23:25:59 ID:???
「いやあちょっと国連軍の攻撃に巻き込まれかけたあげく、ウチの作戦課長とバギーに同乗する羽目になりまして…」
とは葛城ミサト作戦部長の弁だ。馬鹿者、あの作戦課長と同乗など私でも嫌だぞ。
「そう、怖いのね」
むしろプレッシャーになってるぞ。レイ。
「逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ……」
「逃げちゃ駄目に決まってるでしょうが!」
いい感じに壊れてきた碇の息子を、乱入した赤い髪の少女が、説得らしい言葉を投げかけながらボコり倒し始めた。
エヴァンゲリオン弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレー君だ。彼女は本来ドイツ支部の所属だが、同支部が予算不足で閉鎖になる為
現在ネルフ日本本部で預かっている。が。実はまだエヴァが届いていない。
こらこらやり過ぎだアスカ君。そろそろ返り血が凄いことになっているぞ。
「副指令、お言葉ですが、この程度のコトで死ぬなら今死なせてやった方が親切です」
まあそれはそうかもしれんが。
ともかく紆余曲折を経て、アスカ君の(主に肉体言語的な)説得で碇の息子は出撃を決めた。
汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン、その初号機の初陣である。
が、免許取立ての新人エヴァで倒せるほど使徒は甘い相手ではあるまい。
こちらはエヴァがプログレッシブ松葉杖で歩いただけで大喜びだが、相手は歩くし避けるし目から怪光線まで放つのだ。
エヴァは見る間にサンドバックにされてゆく……やはり勝利の手段は、ただひとつしか無いのではないかな?
「……勝ったな」
「ああ」
私の言葉が届いたのか、暴走状態に入ったエヴァは鬼神の如く松葉杖を振るって使徒を撃破した。
だが使徒よ、勝ち目が無くなったからと言って第三新東京市のド真ん中で自爆することはなかろう?
再建費用で頭が痛い。最近は若者だけではなく使徒までキレやすいのだろうか。
世も末である。
第一話(エヴァTV版1・2話分)以上。
こういうの初めてなんですが、すぐ「長文だから短くしてね!」エラーが出てしまう…
エヴァはアニメに沿っていますが、設定は漫画版が主体です。
ゲッターチームについては基本的にまだ出てきていないので割愛。という感じですなんですが
やはりドワオ分が足りませんか?
>>462 いや、ゲッター云々関係なしにこういうダメな雰囲気なエヴァのssって初めて見たから面白かったぞw
続きに期待してます
>>463 ありがとうござんす。いやエヴァ序盤の軽めの雰囲気を更に軽くしていったら(略)
つまり中盤以降は(以下略)。
■予告
十五年前。南極で赤い巨人が咆哮する「見るがいい。これが貴様らが最も恐ろしがったロンギヌスの槍だ!」
一方現代ではジャージ姿の少年が叫ぶ「スマン転校生! ワイを殴ってくれ!」
そんな人類の葛藤を差し置き、今日も使徒は迫っていた。
次回「慣れない、土方」 この次もサービスサービ…あれサービスなんかしましたっけ?
非常に期待
プログレッシブ松葉杖w
いやホント反応感謝。
早乙女博士流に言うなら『おまいらへの感謝を全て説明しようとするのに永劫の時が流れ(略』。
という事で投下します。…問題はゲッターロボの出番がなかなか無いコトだ…。
支援
15年前のその日から。
地獄が,始まった。
「誰か、いないのか……」
返事はない。暴風のような何かが吹き荒れているのが理解できた。周りに居た同僚、調査員たちたちが一瞬で弾けた事が理解できた。
と言っても弾けたのは血と肉ではない。血ではない真っ赤な液体。LCL。
「糞、人間を舐めるなよ……ッ」
意思を持て。強く保て。いまならまだ、耐えられる。男はただ自分を鼓舞する為に呟く。
目の前に白い巨人。そうとしか形容できないモノが天へと咆哮を挙げ、周囲には十数体の異形が浮かぶ。
対するはヒトが乗る赤い巨人。槍を手にした、たった独りの赤い巨人。
「見るがいい。これが貴様らが最も恐ろしがったロンギヌスの槍だ!」
白い巨人が身じろぎするのを感じた。感じたように思えた。
白い巨人が咆哮し、異形達が応じるように共振を起こす。赤い機械巨人が、ゲッターロボが、軋む。
「貴様が何億年も寝ていたところを起こしてしまったのは我々だ。だが悪いがもう一度眠ってもらうぞ化け物め!」
『お父さん?』
最後に過ぎったのは娘の顔。そして遠くから自分を見つめていた薄気味の悪い男の姿だった。
「ミサト、生きろ」
全ての圧力を押し切ってリバーを押し切る。ゲッターロボは槍を白い巨人へ突き刺すと同時に緑の閃光と化して圧壊した。
白い巨人は閃光となって弾け、その余波は「現代」と呼ばれていた時代を破滅させた。
白い巨人の名はアダム。
赤い巨人…ゲッターロボを駆った男の名は葛城。
この事件は「セカンド・インパクト」と呼ばれるが、公表では『巨大隕石衝突によるもの』となっている。真実を知るものは少ない。
それから15年。世界はゆっくりとだが復興した。その経過でゲッターロボと呼ばれるロボットが姿を消し、そしてゼーレと呼ばれた組織が姿を消した。
狂った時代が過ぎてゆく。何が狂っているのかはさて知らぬ。だが狂った時代が過ぎてゆく。
470 :
第二話2:2008/10/18(土) 20:31:56 ID:???
■第三新東京市
前回の使徒「サキエル」襲来と、国連軍が行った過激な防衛作戦により第三新東京市の被害は甚大。
だからと言って何故副指令の私自らトンカチ片手に復旧作業に出なければならないのだろうか。
「さすが冬月教授。建築学科に転向なさっては如何です?」
お前は書類仕事か碇?
「問題ない。ところでこんな計画を考えてみたんだが」
なるほど。エヴァにツルハシとスコップを持たせて…どうみても電気代とエヴァの修繕費で赤字だぞ
「先生。後は任せます」
いいから真面目に仕事しろ碇。それと復旧中の兵装ビルの件だが。
「問題ない。今回の件で国連軍がこんなモノを寄越した」
寄越しただと? どうせ今回の件で難癖付けて分捕ってきたのだろう。こいつはそういう男だ。
「…ビィートT32を12機か。連中にしては奮発したな」
ビィートT32。国連軍日本支部で主に用いられている陸戦用装甲騎兵である。早い話がロボット兵器だ。
総重量10.8トン。全長8.2メートル。飛び出た頭と、大きな四足を持つ鉄の亀のような機体。とでも言えば良いだろうか。
固定兵装は特に無いが、武装を施して前衛として運用したり、或いは厚い装甲と巨大な四足の機動性を活かして強行偵察などに用いられる機体だ。
「ふむ。技術開発部に命じて武装化すれば、兵装ビルの死角を埋める役には立つか」
「パイロットの選抜と育成は、作戦部特殊作戦課に任せます」
「彼か」
確かに彼ならうってつけだろう。こんな機体でも使い方次第か。乏しい戦力はなんとかせねばならん。
全ては予算が不足している為だが、既に日本政府とアメリカ政府はオレンジの種が泣くまで(碇が)絞っている。エヴァの運用には金が掛かるのだ。
本来ならこういう折衝役はゼーレがやってくれるハズだったが
十三年前「彼」がバラバラにしてしまったからな……。
考え事をしていると諜報部員から連絡が入った。
何? エヴァ初号機パイロットがジャージの不良に絡まれているだと?
「問題ない。脱がせ」
碇。もうお前は黙っていろ
471 :
第二話3:2008/10/18(土) 20:33:25 ID:???
■第3新東京市立第壱中学校2年A組
「しっかし、あのロボットのパイロットはほんまのヘボやなあ! 無茶苦茶腹立つわ! 味方が暴れてどないするっちゅうんじゃ!」
鈴原トウジはその日苛立って「いた」。
先日ロボット騒ぎがあった際、彼の妹がケガをし病院通いになってしまったからだ。
そして今日、そのパイロットが転校してきているらしいと聞いた。だから彼はそいつを見たら一発ぶん殴ってやろうと決めていた。
「オイ転校生、お前あのロボットのパイロットってホ……いや」
「……何?」
そのパイロットは全身くまなく包帯を巻いて車椅子で、おまけに覇気のない疲れた顔で登校してきていた。
彼のドドメ色の脳細胞は、パイロットが乗りたくて乗ったのではない苦労人であろうと一瞬で察した。
だから彼は謝ろうと思った。彼は感情に素直な、ある意味古風な少年だった。
■第三新東京市再建現場
知るものかね。そもそもあの学級の生徒については全て調査済みだ。あのジャージ君についてもな。
彼は決して悪い少年ではないよ。頭以外はね。……何、まだ続きがあるのかね?
■第3新東京市立第壱中学校/体育館裏
「スマン転校生!」
「?」
「ワイを殴ってくれ!」
碇シンジは苦労人である。何せ父はあの碇ゲンドウだからだ。そのせいで変な赤毛の少女にボコられたし、変な巨大ロボットにも乗せられた。
ついでに母の碇ユイは実験の事故で早くに亡くなっている。
親元ではなく親戚の間で多感な少年時代を過ごした彼は(その対処方法はともかく)場の空気を読む術にそれなり長けていたが
いきなり殴れと言われては空気を読む暇も無かった。
鈴原トウジの思考はこうだ。
パイロットが悪いと思った彼は、パイロットである彼を殴ろうと思った。しかしパイロット=碇シンジ少年は重態だった。
つまり碇少年はそれなりに必死にやったのだ。そんな彼を疑った己はバカだと思った。
そんな己を罰してもらわなければならない。
誰に? もちろん彼にだ。
もちろん碇シンジ少年にそんな心の葛藤はわからない。
彼から見れば、鈴原トウジは発対面の人間にいきなり自分を殴れというおかしなマゾにしか見えない。
だが鈴原トウジからすれば幸いな事に、彼の望みは直ぐに叶えられた。
その場、体育館裏を突如として赤い鬼が強襲し、そのまま蹴りと殴打でブチのめしてしまったからだ。
なおこの場合の「赤い鬼」というのは比喩表現であり、正確には惣流・アスカ・ラングレーという赤い髪の少女である事は言うを待たない。
■第三新東京市再建現場
つまり碇の息子<サードチルドレン>が変な奴に攫われたと勘違いして大暴れしたと。
ある意味間違っておらんが彼女の短慮なところは何とかならないものかね。何? 護衛役として付けている例の作戦課長の影響?
まあそれもあるかもしれんが、彼女はエヴァを存在意義代わりにしている傾向がある。
彼女のエヴァが届けば少しは落ち着くだろう。急がせねばな。
まったく。国連の連中といい誰も彼も喧嘩早くていかん。
それと碇、今回の件の情報操作も頼むぞ。隠蔽工作はお前の十八番だろう。
最近は市民団体とやらもバカに出来んし使徒を倒しきるまでネルフは潰れるわけにはいかんのだからな。
その為には……何? 使徒か?
「パターン青、使徒です」
現れた第二の使徒は、飛行と直立が可能で二本の鞭を組みつけた巨大なイカ。そんな奇怪なイキモノだった。
中距離で光の鞭を操るイカに対し、エヴァは懐に踏み込んで一息に突き殺した。意外に見事な手前だ碇の息子よ。
何? 懐に飛び込んで目と耳と鼻を潰すのが戦いの基本? 誰かねそんな事を言ったのは……いや聞きたくない。
ともかく第二の使徒の撃退に成功した。が、予言書「裏死海文書」に従えばまだまだこの戦いは続くという。
戦いはまだまだ続く。だから碇、とりあえずお前も仕事しろ。
そうそう聞くところによると碇の息子は例のジャージ君と友達になれたらしい。
共通の存在にこっぴどいめに遭わされたせいだろうか。私も何かに酷い目に遭わされたら碇以外の友達が出来るだろうか。
いやそもそも……この先は考えまい。
第二話終了。
次回はようやくゲッターチームから一人目が登場する予定です。
後は例によって対ラミエル「ヤシマ作戦」ですが、作戦名及び内容は変更を予定。
二日以内には投下予定です。よかったら見てやってくださいませ
追伸:「赤い髪の少女」…。別に髪が赤いワケじゃないのを今思い出しました。
ファンの方、誠に申し訳ございません。何故か物凄く赤いイメージがありました。何故でしょう
前回はシンジの、今回はトウジの返り血で真っ赤に染まったというコトでどうか一つ
>例の作戦課長
竜馬臭がぷんぷんして来た。そして二日以内だって!?すげぇ早いっすね!
次回もwktkしながらまっております!
乙でした
意表を突いて號だったりして
さすがに若すぎるか
>>475 早くゲッターチームを出せというゲッペラー様のお告げ
久しぶりのコラボ投下に、オラわくわくすっぞ!
テンポがよくて面白いね。
碇の息子が裸のレイを押し倒したらしい。
ソースは作戦部長の葛城君。さすが碇の息子だ。と思ったが、どうもただの偶然なのだそうだ。
勿論その後、セカンド・チルドレンに「女の敵」として、溶けて蒸発せんばかりに猛打を食らったという。
碇の息子よ。ネルフ来訪以来ずっと病院暮らしというのも災難だと思うが、弐号機が無いセカンドは現在非常に精神不安定で沸点が低い。
弐号機が届くまでは避雷針の役割を君にお願いしよう。その前は何故か私がしていたのだし。
そんな一時の平和が訪れたと思ったら、例によって使徒が来た。
「目標は芦ノ湖上空に侵入」
「パターン青、使徒です」
今回の使徒は、巨大で大きくて見上げるようなサイズの青い正八面体。としか言いようの無い物体だった。
当然のように空を飛んでゆっくりと近づいてくる。
「冬月。昔あんな形の飴があったな」
そうだな。碇。
「兵装ビル展開準備」
「エヴァ初号機、発進!」
発進するエヴァ初号機。今回は事も無くやれるだろうか。と思ったらそうはいかないのが世の常だ。
「目標内部に高エネルギー反応! 周円部を加速、収束していきます!」
「! まさか……加粒子砲?」
加粒子砲。まさにマンガアニメそのままの光線兵器だ。特殊装甲を持つエヴァと言えど直撃すれば無事ではすまん。
オマケにエヴァは射出直後で、射出リフトに固定された状態だ。
「シンジ君、避けて!」
「!」
「第64兵装ビル、起動!?」
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああッ!?』
480 :
第三話2:2008/10/19(日) 21:24:52 ID:???
結果からすればエヴァの損害は軽微で済んだ。
兵装ビルが突如起動し、エヴァ射出リフトを初号機もろとも乱射したからだ。リフトは破壊されエヴァは発射地点まで落下。
加粒子砲は初号機の頭頂部を抉り取り飛び去っていった。被弾及び落下による損害も無視できないが、
加粒子砲の直撃を受けた場合を思えば圧倒的に小さなダメージに過ぎん。
とはいえ一応撃った者を尋問はせねばな。
■特務機関ネルフ/司令室
「神特殊作戦課長。申し開きはあるかね」
「何か問題でもありましたか?」
これだ。神隼人。
黒髪を揺らしてよく響く、しかし決して下品ではない声。無駄肉のない長身。印象はよく切れる日本刀のようだ。
狐のように冷静だが、それでいて虎より強い。出会い頭に目と耳と鼻を潰す男の異名を持つ。我が特務機関ネルフの作戦部特殊作戦課長。
国連軍軍籍を持つ出向軍人でもあり、かつては英雄でもあり、そしてゼーレを潰した男……。
「問題ない。おかげで損害は最小限度に留まった」
「碇、しかしだな」
「では神大佐。現場に復帰します」
「うむ」
碇、あの男は
「構わん。あれは危険な男だ。敵に回られるよりは手元に置いたほうが良い」
「いやそうでなくてだな、作戦部門の課長が、作戦部長の葛城君より階級が上なのはどうにかならんのか?」
「問題ない」
そうか?
481 :
第三話3:2008/10/19(日) 21:27:00 ID:???
大型スクリーンに映し出された巨大な正八面体。コードネーム第五使徒「ラミエル」。
エヴァの脅威を退けネルフ本部直上まで移動したラミエルは、正八面体の下部から飛び出した細く長いドリルを回転させる。
地下施設への潜行と直接攻撃。目的はそう推測された。
本部決定は「最下層施設 ターミナルドグマへの進撃を阻止せよ」。
以上である。
『ネルフ本部職員の諸君。諸君らには『15年前の真実』セカンドインパクトの真実を、入所時に既に説明済みであると思う』
また同時に、我がネルフ地下には15年前の事件の元凶と…同質のモノが眠っておるコトは既に述べた。
ターミナルドグマに眠る「リリス」への使徒接触は、サードインパクトを引き起こしかねん』
『諸君らがネルフの本義を全うすることを期待する。以上だ』
副指令の言葉を碇指令が引き取る。首脳部からの異例の訓示であった。
接触だけでサードインパクトが起こる。
という説明はあまりにも簡潔であったが、使徒という謎の生物の存在が、既にその疑問を吹き飛ばしていた。
「非武装のエヴァ型ダミーバルーン、及び敵性行動を示した12式自動臼砲が攻撃を受け、消滅されました」
「これまで採取したデータによりますと、目標は一定距離内の外敵を自動排除する行動を取っています」
「パターン青、使徒です」
「攻守共にほぼパーペキ、まさに難攻不落の空中要塞か……」
本部への到達予想時刻は明日午前0時6分54秒。残り10時間足らずだ。それを過ぎればドリルが本部へ直撃する。
幸い初号機及びパイロットは小破及び(今回の攻撃による負傷は)軽傷で済んでいるし
凍結状態だったエヴァ零号機も「動くだけ」なら出来るようになった。
「やれるだけのコトはやっておかないとね」
作戦部長葛城ミサト一尉は呟く。そう。やれるだけの事はやってみよう。勝ち目はまだ、あるハズだから。
「え!? 陽電子砲は未完成!? まァだ設計図レベルですってェ!?」
だがそういう時に限って、作戦はのっけからつまずくのだった。
レス誠にありがとうございます。
以上。長くなったので今回は前半部分のみの投下となります。後半は次回。
今回初登場となったハヤトは、基本はゲッターゴウの神司令仕様「置いていかれる」かは未定です。
大佐なのに葛城一尉(大尉相当)の下なのはその内説明するかもしれません。
が。特に意味はないかもしれません。
ちょwwwwww問題だろwwww設計図だなんてwww
乙です
ダメダメじゃねーかw
乙!
おぉぉぉぉぉぉぉ!久しぶりに覗いてみれば新作ではないか
がんばってくだせいまし
(喜びの)感情を込めて、ネタを操るんだ………
「戦略自衛隊に電話したんですって?」
「直接出向きもしたわよ? 一応」
「最近の戦自の予算、ウチが相当分捕ってるの知ってるでしょ、陽電子砲の実機なんて出来てる訳ないじゃない」
「そりゃそうよねえ……」
技術本部部長 赤木リツコのあきれ声に、葛城ミサトは頭を抱えた。
リツコは黙って片手でコーヒーを差し出すが、ミサトはそれに気付く余裕すらない。
「だからって設計図から実機を5時間で作れですって? 無茶にも程があるわ」
「そりゃそうよねえ……」
「大体日本国内の総電力を徴発して陽電子砲使って使徒を倒すなんて、それはそれで無茶でしょ」
「そりゃそうよねえ……」
「そもそもネルフが、第二東京電力の電気代何ヶ月滞納してるか知ってる?」
「そりゃそうよねえ……」
「いいから何か考えなさいよ……」
「そりゃそうだな。だが手は今思いついた」
「「え!?」」
いつの間にかコーヒーを片手に立っていたのは、ネルフ作戦部門特殊戦闘課長 噂の神隼人その人だった。
487 :
第3話5:2008/10/20(月) 22:03:24 ID:???
一方こちらはネルフ医務室である。
「見慣れた天井だ……」
「明日午前0時から発動される作戦のスケジュール……読む?」
あの攻撃で気絶し、ようやく目覚めたシンジを待っていたのはいつもの医務室と、そして綾波レイだった。
「それと食事。食べといたほうがいいと思うわ。60分後には出発だから」
すらすらと作戦スケジュールを読み上げる綾波レイ。だがシンジは目をそらすだけだった。
「あんなコトがあったのに……また、アレに乗らなきゃならないのか」
「いやなら、逃げたら?」
「……?」
シンジは思わず起き上がると周囲を警戒した。だが幸い、赤い影は見えない。
「初号機には私が乗る。パーソナルコードの書き換えなんて……大丈夫。弐号機パイロット<セカンド>は居ないわ」
「セカンド?」
「セカンドチルドレン。弐号機が無くて精神不安定のパイロット。今は大事な作戦の前だから神大佐の監督で拘束中」
「神大佐……そうなんだ」
一度バギーで同乗しただけだけど憶えている。むしろ忘れようも無い。あのヒトなら抑えられる気がする。
「むしろ赤猿」
「誰が!?」
「気にしないで。独り言だから」
「………」
「……じゃ60分後にまた。食事……ちゃんと食べてね」
綾波レイが出て行った後、シンジは我知らず呟いていた。
「逃げる…」
ここで時計の針を一旦巻き戻そう。綾波レイと、碇シンジが始めて出逢ったその場面へ。
碇シンジが、ネルフを初めて訪れたその場面へ。
488 :
第3話6:2008/10/20(月) 22:04:07 ID:???
『久しぶりだな。シンジ』
三年ぶりの父との対面。
『このエヴァにお前が乗るのだ。でなければ人類が滅亡することになる』
『解らないならば説明を受けろ。お前が一番適任…いや、お前でなければ無理なのだ…』
『必要だから呼んだまでだ』
『戦えぬならば必要ない。帰れ』
父親が投げかけた言葉に温かみは無く、どれも意味不明で。唐突だった。
言葉から『お前が戦わなければならないのだ』という意思だけは伝わる。いや『戦え』。という意思だけは伝わる。
戦わぬならば不要だという言葉が突き刺さる。
碇シンジという少年…彼について多くを語る必要は無いだろう
だが敢えて語るなら、彼が、少し無気力なだけのただの普通の少年だと言う事だろう。
彼は自身が無力であるコトを良く知る普通の少年だ。ある意味で、現実を(やや悲観的にだが)わきまえた少年だとも言えるかもしれない。
彼は頭が良いから『父親に期待するだけ無駄だ』とよく知っていた。
だが血が繋がった父親なのだ。どこかで『父親と分かり合える』コトを彼は期待していたのかもしれない。
ほんの僅かな期待。潰されるコトが前提の期待。それでも彼はどこかでそれを望んでいた。そして結局それは無残に潰された。
必要なのは道具だけなのだと。道具にならないならば不要なのだと。
そう、父親に言われた気がした。
そんなコトを言い放ちながら、それでも超然とした父親の姿。
反感を覚えないわけがない。だから敢えて子供じみた反応をしてみた。少しでも父親を慌てさせたかった。
あの男の、超然とした仮面を剥ぎ取りたかった。だからあの時は言ったのだ。
『逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ…』
でも今は、どうなのだろうか?
489 :
第3話7:2008/10/20(月) 22:05:56 ID:???
「いい? これからの作戦を聞いて」
ミサトの背後には増加装甲を施したエヴァと、そしてエヴァサイズの、長大な日本刀らしきモノが並べ置かれていた。
「まず今回の使徒は極めて強力なATフィールドと長射程かつ高火力の武装を装備しています.
ですが敵対行動を取るか、或いはエヴァ級の人型に対して以外は敵対行動を取らないことも確認されています」
「でなければ、今頃周辺のビルも全部攻撃されてるハズですものね」
「物分りが良くて助かるわ。そしてエヴァは地下に格納されており、こちらから出向くまで攻撃されません」
「……だから増加ブースターでエヴァの推力を強化し、更にこの改装リニア射出ケージから目標めがけて射出します」
ミサトの説明をリツコが引き継ぐが、説明が進むたびにシンジの顔が呆れ顔になるのが彼女にも解った。
「命中計算とかは機械が全てやってくれるわ。あなたはATフィールドを張るだけよ」
「そしてこれがマゴロク・エクスターミネート・ソード。要はプログナイフを大きくしたエヴァ用の試作兵装よ。このサイズなら
エヴァによるATフィールド中和領域に入り次第、すぐに敵を攻撃できるわ」
つまりATフィールド無効化が可能なエヴァに剣をくくりつけて射出し、砲弾代わりにして使徒にブチあてて撃破する。
これが本作戦の概要であった。
「相手が固い盾と長い槍で身を守るなら、より鋭い剣を素早く懐に入れて叩き斬る。それだけよ」
「あの、ミサトさん、リツコさん」
「何ですか?」
「もしかしてこれって冗談「大マジよ」」
シンジの言葉をさえぎるミサト。顔は笑っているが目が笑っていない。
「大丈夫大丈夫。攻撃時には可能な限りのダミーバルーンを展開するし兵装ビルにも攻撃させるから」
「大丈夫大丈夫って……」
「そしてレイ。貴女には囮役を務めてもらいます」
続くミサトの説明に、今度こそシンジは息を呑んだ。囮、あの攻撃力相手に囮だって!?
490 :
第3話8:2008/10/20(月) 22:06:43 ID:???
「そこでこの盾。こちらも急造仕様だけど、敵の攻撃にも計算上17秒耐えられるわ」
「はい」
淡々と説明するリツコ。レイも淡々と、しかし明瞭に応える。
「シンジ君は初号機で攻撃役を担当」
「はい……」
「レイは零号機で囮役を担当」
「はい」
「もし攻撃が外れた後は?」
「後はないわ」
端的に応えるミサト。
それを合図に一同は解散し、後には柱にもたれた神大佐と、呻き声のする赤い簡易拘束室がその場に残った。
それからシンジとレイはほんの僅かな交流をかわした。
自分達は死ぬかもしれないという事。
だがレイにとっては、ネルフの、碇ゲンドウの役に立たないという事は己が無価値になることであり、死ぬのと同じだと言う事。
生きているのに、死んでいるのと同じ無価値な人間。……それはシンジにとっては、今までの人生がそうだったのかもしれないという事。
ならシンジもまた「何か」を見つけるまで、ネルフをもう離れられないのかもしれない。また無価値になるのが嫌ならば…。
二人にとって、ネルフで生きる今以外に「生きている」という事はないのかもしれないという事……。
何故シンジはそれをレイに話したのか? 自分とレイの境遇は似ているから?
違う。
多分レイとシンジは似ているが、レイはシンジ以上に「何も無い」のではないか。
そう、シンジは思った。
「碇君。あなたは死なないわ。私が守るもの」
事も無げに彼女は言い、そして別れ際にこう、言った。
「さようなら」
491 :
第3話9:2008/10/20(月) 22:10:02 ID:???
日本標準時23時57分52秒。作戦開始数分前である。その頃エヴァ初号機コクピットでシンジはふと呟いていた
「そういえば、なんでこんな作戦名なんだろ?」
勿論答える者など誰もない。
一方、発令区では作戦の発令が行われていた。
「エヴァによる高速・超近距離からの一点突破か。随分大胆な作戦を立てたものだ」
しかしこの作戦名は流石にどうかと思うぞ葛城君。
「時間です」
「“ヤクザ作戦”スタート!」
「そう、さしずめ碇の息子は「特攻役」。ヤクザの鉄砲玉、という訳か……」
司令席脇で呟く冬月だった。
想定外の事態はあった。
いきなり多数展開したダミー・バルーンに驚いたのか、「ラミエル」は周囲全方位に対して弱度の加粒子砲をバラ撒きダミーを殲滅。
残された零号機も重い盾のせいで身動きがとりにくく、ラミエルの加粒子砲の餌食となった。
しかしカタパルトから射出された初号機はギリギリで「ラミエル」を撃破。司令部直上にてドリルは停止し、司令部は沸きかえった。
射出の衝撃で装甲をズタズタにされたが、初号機は健在。同じく装甲板を融解された零号機の救助へ向かった。
両機の通信機は半壊したらしく、その時、碇の息子とレイに何があったのかは私には判らない。
ただ二人の間に何かの交流があったのは事実だろう。
『綾波…もう、別れ際に……さよなら何て、悲しい事、言うなよ……』
そして通信機から僅かに漏れ聞こえる二人の声を聞き、作戦が成功したというのに碇が不満げに立ち去った事
碇が立ち去った後、通信機から弐号機パイロットのにぎやかな罵声が響き始めたこと。兵装ビルの再建予算が私の頭を悩まし始めたこと
神君が、何故か物欲しげな顔で使徒のドリルを眺めていた事……。問題は山積みだ。
だが今だけは疲れに浸っても良いだろう。なあ、ユイ君?
本日これまで。レスが書き手のエネルギーです。いやホントに
そういえば隼人にゼーレ壊滅させられたんだったなwwww
今までに無いビンボーエヴァンゲリヲンですねwwwwww
なんか隼人からもダメ臭が漂ってきてるw
この方向性で突っ切って欲しいw
ラミエルのドリルてwww
ゲッター2の腕がものっそい細長くなっちゃうwwwwww
ヤクザ作戦wwwwwww
こりゃあ、使徒より予算の方が大敵だなw
「碇。ドイツ支部から弐号機と"アダム”が届いたが」
「アダムは直ぐにこちらに回せ。弐号機の艤装はどうなっている?」
「装甲の再設計中で寄越した。艤装完了は全体の30%だな。頭部・胸部・股間。この辺りか」
ドイツ支部も予算が無いので、最後はエヴァの装甲を切り売りして予算を稼いでいた。という噂を聞いたが
もしかして本当だったのだろうか。それと…言いにくいのだが碇
「洋上で遭遇した第7使徒ガギエルをな。護衛につけた初号機が一本釣りにしたとのコトだ」
映像記録では、コアを突き抜かれタンカーにのし上げられた使徒をバックに、初号機がピースをしていた。
「プログレッシブ釣竿を持たせた甲斐があったな」
原因はお前か。予算が無いのに妙なモノばかり作らせるんじゃあないッ!
「問題ない。S2機関の研究サンプルとして本部に搬入しろ」
「いやそれが検疫に引っかかって入港できんらしい」
碇の息子といい、検疫の連中といい、そして国連軍の連中といい…妙に元気が良すぎではないか?
498 :
第四話2:2008/10/21(火) 21:58:13 ID:???
数刻前/エヴァ弐号機搬送タンカー内
「どうバカシンジ。これが本物のエヴァンゲリオンよ。エヴァ弐号機なのよ…」
「そ、そうだねアスカ」
「そうよ。そうなのよ。これが本物のエヴァなのよウフフフフ……」
タンカーの中にLCLを張った巨大なプール。そこに浮かんでいるのは、顔の他数箇所だけに装甲を施した巨人。
エヴァンゲリオン弐号機。本部で得られたデータを基に量産前提で設計・完成された、いわば先行量産型モデルである。
安定性・性能・量産性・赤い塗装。全てが高レベルでまとめられた正式版。本機から見れば零号機や初号機など
突貫設計された試作機、いや欠陥モデルに過ぎない。
そのハズだった。
『…このタンカーに来た当初。アスカは絶好調だった』
シンジは思う。いつも絶好調な気がするけど、それにも増して絶好調だと思う。
惣流・アスカ・ラングレー。
幼い頃からエヴァパイロットとなるべく訓練を受けたエリートなのだと誇らしげに語る彼女。
エヴァのパイロット。僕にとっては重荷でしかないその役割も、彼女にとっては名誉そのものなのだろう。その名誉を果たせず、
あまつさえ中途半端な僕の姿ばかり見せられていた、そんな屈辱の日々からようやく解放されるのだ。
と思っていたのにこの扱いなのだから、ダメージは計り知れないのだろう。きっと。
エヴァ、か…………
499 :
第四話3:2008/10/21(火) 21:59:33 ID:???
「ああ。装甲は今改装中でな。凄いぞ、実戦から得られたデータをフィードバックして一から再設計してる最中でな」
「でも普通、そういうのって施設でやるんじゃ……」
船室。立て板に水の加持の言葉にシンジがボソりとツッコむ。
「鋭いね。実は予算が無くて、老朽化した装甲剥がしたままなだけなんだ」
加持の一言にアスカは無言で立ち上がると、船室の外へ走り出てゆく。シンジは加持に一礼してから後を追った。
後に残ったのは、シンジ達の護衛として付いてきた神隼人と、そして加持リョウジだけだった。
「済みませんね。男30年もやってるとどうも正直者になってしまいまして」
加持の言葉を早とは聞き流す。
「加持リョウジだな?」
「光栄ですね。英雄ゲッターチームの一員、神隼人 大佐に名前を知っていて頂けるとは」
「冗談は要らん」
おどけてタバコに火を付ける加持リョウジ。
三十路男のやや疲れたような雰囲気と、いつも面白げな少年の姿が重なるような、そんな男だ。
エヴァ弐号機の引渡し役としてネルフ・ドイツ支部から来た男である。
「単刀直入に聞こう。貴様まだゼーレと繋がっているな?」
ドイツ支部。それはゼーレの首魁 キール・ローレンツのお膝元であった場所である……。
500 :
第四話4:2008/10/21(火) 22:00:11 ID:???
再びネルフ司令室。結局第7使徒のボディは、日本より検疫が甘いアメリカの支部へ移送させるコトになった。
「やれやれ。ともかく弐号機アレをドイツから取り寄せるコトが出来たな。碇」
「ええ。冬月先生のおかげでどうにか予算の目処立ちました」
「慣れぬ土方と書類仕事のせいで腰が痛いよ。こういう時は委員会が居てくれたらと思うがね……」
人類補完委員会……すなわち秘密結社ゼーレ。
本来はネルフの母体だった組織、古くより人類の闇に潜んでは歴史を動かしてきたとされる結社。だが今は亡い。
彼が、現ネルフ作戦本部特殊作戦課長である神隼人君が、13年前に組織の中枢部を破壊したからだ。
その後、碇が長い時間をかけて組織そのものをバラバラにしていった。
…我々の補完計画にとって邪魔な存在であるコトも事実だからな。
神隼人とゼーレとの確執。
彼が所属していた浅間山の研究施設。日本、いや世界のロボット工学最高峰と呼ばれた早乙女研究所。
十五年前に起きたセカンドインパクト。
十三年前に起こった日本海戦争。
黒い海。
浅間山事件。
ゲッターロボ。
その全てが今回の事件に関係が有るわけではない。故に記録に残すつもりも無い。
ただ事実は、ゼーレが彼から全てを奪ったこと、そして彼がゼーレを滅ぼしたこと。ただそれだけだ。
501 :
第四話5:2008/10/21(火) 22:03:03 ID:???
「その委員会ですが、地下組織として再建されつつあるという情報が入りました」
「ほん……いやそうか。なるほどな」
本当か、と問い返すことに意味は無い。この男はこうした場では嘘は言わん。
「ならば急がねばならんか」
アラームが鳴る。ロックを開くと、トランクを持った男が待っていたように進み出た。
「お久しぶりです碇司令。コイツのおかげで波乱の船旅でしたよ」
男、加持リョウジがトランクを机の上に載せた。相変わらず喰えん男だ。
「こんなになっていても自分らの親だと解るんですかね」
「奴らの考えが解るようなら苦労は無いのだがな」
言って碇の奴がトランクのロックを解放する。白い蒸気が机を揺らし、入っていたのは琥珀で固められた胎児のようなモノ。
「既にここまで復元しています。…で固められていますが、間違いなく生きています」
「ああ。人類補完計画の要だからな」
最初の人間、アダム、か。…ところでよく聞き取れなかったが何で固めていると言ったかね?
「凍らせたこんにゃくゼリーです」
食うな碇。
毎度レスを本当にありがとうございます。ところで俺はゲッター対エヴァンゲリオンを書いていたハズなんですが…
俺が何を書いてるのか解らないよカヲル君!
碇さんwwwwゼリーは食うわ一本釣りさせるわ、やりたい放題ですなwwwwww
徐々に、ゲッター勢が動いてきましたね。GJです!
久しぶりに来たら新作が!ありがとう作者さん。こんなダメな空気が漂ってるのは初めて読んだわw
こんにゃくゼリーでおとなしく固められるアダムとかほんとにサードインパクト起こせるのかw
冬月先生、あんた一人が現場に参加しても一厘も変わんないからご自愛ください。
いい仕事っぷりですな、作者さんGJ!
しかし、このダメダメな空気……まさかゼーレも予算不足……?
プログレッシブ釣り竿……40m(ぐらいという設定)のエヴァに持たせる釣り竿つくんのにいくらかかるんだかwww
いや。もしかしたら200m設定用の釣竿かもしれん(エヴァは設定上200〜40mのどれかで、正式な全長は無いはず)
実は兵装ビルを持ち上げるジャッキに、アンビリカルケーブルを付けた
急造釣り竿だったりして。どの辺がプログレッシブ? ……針とか。
そうか、貞エヴァでゲンドウが食っていたのはゼリーだったんだな
プログレッシブ釣竿の進化してる点ですか? そりゃきっとアレですよ角度とか
あたし惣流・アスカ・ラングレー!
十四歳! 中二、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン弐号機専属パイロット!
誕生日は12月4日いて座のO型、好きな色は真紅の赤正義のレッド! 好きな数字は公には何でも一番! ホントは二番
好きな食べ物は九州ラーメン! すっごくコクのある奴ね♪ 後ネコ舌でネコ風呂、温いお湯にいつまでも浸かってるのが好きなの
今日は日本政府が独自に対使徒用のロボットを建造したとか言い出したからエヴァパイロット代表として視察に来たわけね!
ネルフ出向役兼国連軍代表の神大佐も一緒よ。
バカシンジと根暗ファースト?
来てないに決まってるじゃない、エヴァパイロットならアタシ以外誰が必要とされるってゆーのよ!
け、決してあたしの弐号機が復旧中でまだ使えないからって訳じゃないんだからね!
……なんて考えてうきうきしていたのも束の間だった。
会場に入った途端、着飾った紳士淑女は一斉に銃火器をこちらに向けるわ。ロボットは鋭い視線をこちらに向けるわ。
スピーカーから殺意が篭った声まで聞こえてくるわ。
一体ネルフってどんだけ恨み買ってるワケ!?
『神隼人! 貴様もこれで終わりだな!』
「こんな粗悪品が貴様らの切り札だと? 笑わせるな」
全方位から銃火器で囲まれ、出口はふさがれ、正面には白塗りの巨大なロボット。それでも神 隼人は笑っている。
510 :
第五話2:2008/10/22(水) 22:12:48 ID:???
「ゼーレか。一度滅ぼしてやったというのによくやる」
『貴様こそゲッターチーム最後の生き残りではないか』
「最後? 言ってる意味が解らんな」
日本重化学工業連合、時田研究所からの招待状。
それは対使徒用に、日重連の研究所が作り上げた新造ロボット説明会への招待状であった。
だがその場に訪れた彼らを待っていたのは、式典会場に偽装した戦闘兵達と、白と赤で塗装された人型巨大のロボットの姿だったのだ。
ロボットの巨大な姿は、会場に上半身だけが露出している。
ややずんぐりとした逞しい人型、丸みを帯びた装甲、特徴的な扇上のパーツが付いた頭部。
両肩には戦闘用である事を示す鋭いスパイクがある。
色が違う。形さえも違うが、隼人は、いやその会場の全員はそのロボットの全身図を知っている。
日本中の誰もが知っている。
それはかつての英雄であり、そして今は『核』以上の脅威として知られるロボットだった。
その名はゲッター。
その発展型にして量産型……ゲッターロボGと言った。
『強がりを。上空に大型機が近づきつつあるコトは判っている。エヴァが来るまでの時間稼ぎのつもりか?』
「黙れ粗悪品。帰ってキールに言っておけ!」
511 :
第五話3:2008/10/22(水) 22:14:46 ID:???
■前日/ネルフ本部司令室
「何? ゲッターロボの再開発計画だと? 無理だ無理だ。早乙女博士亡き今、あの計画を遂行できるものなどおらんよ」
「私もそう思います」
照明は明度を抑え、床には不気味な「生命の樹」の文様が描かれたネルフ司令室。だが神隼人は物怖じもしない。
「説明を聞こう」
「おそらくは罠です」
「単刀直入だな。ゼーレかね?」
「おそらくは。しかしせっかくですからお招きに応じさせて頂きたいのですが」
「許可しよう」
碇。お前はもう少し人の話を聞け。先日も凍ったこんにゃくゼリーを喉に詰まらせたばかりだろう。
「つきましては少々の戦力をお借りしたいのですが」
「何のためかね?」
■式典会場
「帰ってキール・ローレンツに言っておけ。この神隼人が貴様らに今度こそ地獄を見せてやるとな!」
『地獄に行くのは貴様だ!』
双方が叫んだ瞬間銃声が交錯した。
そう、交錯したのだ。会場に居た武武装兵の半数は銃口を味方へと向けて発砲。しかもその殆どが大口径砲だった。
予想も付かぬ銃撃、そして砲撃に会場は一瞬で、一方的な惨事となる。
『貴様!』
「パイロットまで粗悪品か? 偽装していたのは貴様らだけではなかったというコトだ」
敵武装兵に偽装していたネルフ職員が次々と発砲し、バズーカ砲が火を噴き、炎が壁を舐める。
惨禍の中で、隼人は小馬鹿にしたような顔でゲッターを眺めていた。
512 :
第五話4:2008/10/22(水) 22:16:10 ID:???
『ふざけるな! だがこのゲッターGなら』
「ふざけているのは貴様だ!」
ゲッターの右手がのしかかる。のしかかった右手は、隼人が何かを撃ったかと思うとコナゴナに破裂した。
「そのゲッターの配線図を俺が覚えていないとでも思ったかぁ!」
『うぎゃあ!』
「しかもそんな雑な組み上げでは関節の間を狙うまでもない!」
だからと言って関節の間を撃つだけで、あの巨大な手を爆破したというのだろうか。ベレッタ拳銃一丁で?
だがゲッターロボは武装化されている。武器は巨大な手だけではない。
『ならばこの会場ごと吹き飛ぶがいい! ゲッター……』
ゲッターの額に光が集まる。
隼人は知っている。ゲッターロボの額には光線兵器が搭載されている事を。
隼人は知っている。あの光線の威力にも限度がある事を。
「時間だ。シンジ、もういいぞ!」
『はい、隼人さん』
『ビ、何!?』
「初号機!?」
地割れがおきる。アスカが叫ぶ。
『かまうものか! ゲッタービーム!』
『ふぃ、フィールド全開!』
会場の床を裂きビルの下層に潜んでいた紫の巨人、エヴァ初号機が出現。放たれたビームをATフィールドが弾き散らす!
513 :
第五話5:2008/10/22(水) 22:17:59 ID:???
「この程度のビームしか出せんのか粗悪品!」
『何を!?』
「神さん、そんなに挑発しないで」
エヴァの手の上で叫ぶハヤトは相変わらずデンジャラスの一言に尽きる。
思わずアスカさえ抑えに回ってしまうほどだ。その隙にネルフ特殊部隊は初号機の背負ったケージへと急いで飛び移る。
『ほざけ! この程度だと思ったら大間違いだぞ』
「そうか。なら次は上空に注意するんだな」
『な』
「シンジ、フィールド最大だ!」
『は、はい!』
次の瞬間、上空の大型機からN2爆雷が投下される。
フィールドを張った初号機とその一同を除き、会場は偽りのゲッター諸共に溶け、蒸発した。
「ハヤトさん、一体今のロボットは……」
「敵だよ」
エヴァの手の上、シンジの問いに隼人は簡潔に答える。
「敵だ。敵だよ……」
他方、爆撃機上には影がある。文字通り「爆撃機の上」に、だ。
『ブフフフフフ。やはり彼は強い。ゲッターロボが無くともね。そうだろ? スティンガーくゥん?』
『そ、そうだねコーウェン君』
爆撃機上、風がなぶる爆撃機の翼の上に平然と直立し、会話するモノ達が居た。
黒い肌に黄色い髪の大男。そして青い肌に黒髪の男。名をコーウェン、そしてスティンガーと言った。
『で、でもやっぱり彼にはゲッターロボが似合う気がしないかい。コ、コーウェン君?』
『そうだね。それもあんなモノではない、本当のゲッターが必要だよね。スティンガー君』
『『全ては、世界最後の日を迎える為に!』』
後日。ネルフ司令室
「N2航空爆雷により沈黙。以上です」
「使徒との戦いだけでは飽きたらんか。しかもあんな危険な機体を持ち出すとは…」
「ゲッターロボGの設計情報について出所はつかめたかね」
「不明です。現在情報部を当たらせています」
「建造者に心当たりは?」
「二名ほど心当たりがあります。情報部依頼で調査中です」
「なるほど。では引き続き捜査を任せる」
「了解しました」
それを合図と神君が退出する。
「しかし碇。ゲッターG型とはいえ、1機相手に特殊部隊とエヴァを派遣、更にN2爆雷投下とは奮発させすぎたな」
まあゲッター汚染が起こる可能性を考えればN2による即時焼却も悪手ではないかもしれんが。
「構わん。老人達に対する宣戦布告と思えば悪くない」
『ならば返礼せねばなるまいな』
何の礼だ?
「冬月」
「碇、いや」
気付けば立体映像投射装置が起動している。通信回線は秘匿回線666番。
待て碇。この通信ラインは…
『久しぶりだな碇。冬月』
立体映像が映し出した姿。撫で付けた銀の髪に特徴的な黒いバイザーをかけた黒衣の老人。
老人はジオフロント中に響くのでは無いかという声で咆哮する。
『我こそ人類補完委員会、そしてゼーレが議長! キィル・ロォォォォォォォォォォォォォレンツであるッ!』
ネルフ首脳部を震撼させるその声は、まさしくキール・ローレンツの声<ボイス>であった。
…議長。潜伏期間に何かありましたか?
レス多謝です。だというのにゲッターは悪役だわキール議長はアレだわでファンから怒られるのだけは間違いありません
前もって全方位土下座作戦を展開せねばならんでしょう。すみませんすみませんすみません…
あれ?絶対この隼人もダメだと思ったのにな
普通にカッコイイ。GJです!
ゲッター悪役なのはしょうがないwwでも不思議な感じ
そしてスティンガー&コーウェンコンビキターーーーーーーーー!!!
チェンゲ屈指の変態キャラ(むしろゲッター作品中)敷島博士と為を貼る素敵で変態なインベーダー!!
味方ゲッターもその内出ます。本当ですから。ええ。
なんといってもタイトルも「真ゲッターロボ 対 新世紀エヴァンゲリオン(
>>456」ですからね。
勿論OVA「真ゲッターロボ 対 ネオゲッターロボ」の洒落なんですけどね。ええ。
なお冬月先生一人語りパートが多いのは単に私が未熟なだけで
ホントはエヴァのキャラクターも全員大活躍させたいくらい大好きですし、ゲッターチームにも無双させたいくらい活躍させたいのです
だというのに筆が追いつかないのはひとえに未熟ゆえです。進化を心がけますのでどうか今はご勘弁くださいませ。
俺には見える、両手を天に向かって広げている議長の姿が見える
最後には
「ワシの引いたレールをも最後だ!あとはお前たちの手で切り開け……補完計画を……さあわしに止めの一撃を頼む……」
と叫んで大往生するんですね、わかります。
南極/アメリカ第七艦隊分権南極監視艦隊
「くそッ! クソッ! クソったれッ!」
『戦艦レキシントン撃沈! サラトガ、左舷から来るぞ!』
『うぎゃあ! 叩き落せ〜!』
ミサイル駆逐艦が矢継ぎ早にミサイルを乱射し、戦艦は狂ったように各砲を乱打する。
が、寄せ来る白い巨人達はそれを物ともしなかった。ミサイルは手刀ひとつで叩き落され巨砲はかすりもしない。
次々と火の手が上がり、面白いように艦隊は火達磨となってゆく。……まさに虐殺だった。
白塗りのゲッターロボ達は黒煙の空を舞い、赤く染まった海を我が物顔に突き進む。
それは、まさに虐殺だった……
『見たかねこの力を。恐ろしい力ではないか…恐ろしい罪ではないか…やはり我らは贖罪せねばならぬのだよ』
虐殺を映し出した老人は、整えられた白髪頭を哀しげに振る。
『その為に。ロンギヌスの槍は我々ゼーレが頂いてゆく』
「老人の妄想に付き合う暇は無い。切れ」
酷いぞ碇。
『待たんかぁ!』
碇の見もふたもない一言に対しキール議長が一喝。スイッチに伸びた私の手へ、無数の弾丸が弾け飛ぶ。
「……酷いではないですか」
『これが立体映像に過ぎないのが残念ですよ。冬月先生』
立体映像のキール議長が笑う。
だが立体映像相手と言えど、撃たれて気持ちの良い人間など…居るかもしれんが私は違う。
521 :
第六話2:2008/10/24(金) 00:08:29 ID:???
「また随分と格好良くおなりになられましたな。議長」
碇の言葉にニヤリとする議長。確かに、この方は以前から全身を機械化されていた…
それは延命処置であり、またいずれ来る「神」との合一を図るものであったハズだ…だが現在の体は、更に機械化が進んだだけでなく、
見れば黒衣のそこかしこから銃口が覗く、危険な姿となっていた。
『ふふふ…神隼人にゼーレが潰され早十三年。地上と地下を彷徨い歩くにはアレでは不便だったのでな』
「身体も、そして心も、ですか」
『よく解っているではないか碇。では問おう』
「切れ冬月。再び老人の走狗に成り下がるほど私は暇ではない」
『貴様!』
「議長。いやキール・ローレンツ。立ちはだかるならば貴様は今度こそ地獄を見ることになるぞ」
碇は静かに、しかし断言する。
『地獄ならば見た。見続けておる。そしていずれは全ての人間が見ることになるのだよ……!』
それを最後に通信が切れた。そう。遅かれ早かれ全ての人間は地獄を見ることになるだろう。
ゼーレが勝とうと……碇が勝とうと、だ。
522 :
第六話3:2008/10/24(金) 00:10:31 ID:???
ロンギヌスの槍。
何者かがアダム、そしてリリスと共に遺したとされるこの遺産は「我らの人類補完計画」には障害となる代物だ。
ゼーレの指揮下に無く、またゼーレが著しく力を弱めている現在、この槍をわざわざ回収する必要性は薄いし、予算も無い。
故に碇がアメリカに圧力をかけ「セカンドインパクト跡地」として監視させていた訳だが……。
それが奪われた、か。
「米政府はなんとか黙らせた」
「うむ。だがこれで日本のゲッター再建計画はほぼ不可能となったな…」
今回の件についは厳重な情報封鎖が行われるはずだ。しかし全ての者の目と耳を塞ぐことは不可能だろう。
ゲッターロボは元々日本製のロボットだ。米国に、日本がひそかに軍備を増強しているのだと勘ぐられても仕方が無い。
「構う必要は無い。人類と使徒との生存競争に臆病者など不要だ」
お前が言うか碇。まあ言いたいことは解るが
「碇。やはり老人達の望みは十五年前の再現か?」
「無論だ冬月。その為に奴らは生き延びた」
随分ダイナミックな姿になっていた気もするがな…もしかして他の議員もそうなのだろうか。
「弐号機をドイツから確保するまで時間をかけすぎたのが痛いな。エヴァの製造技術は既に流出済みと見るべきだろう」
「そして奴らがゲッターロボを戦力として取り込みつつある以上、軍事力的に潰すのは難しい」
「神君にもう一度頑張ってもらうとしても難しかろうな」
今回の件に収穫が無かったとは言わん。だがそもそも我々には予備戦力どころか予算すらないのだ。
しかし老人達はどこから予算を得ているのだろう。
「ゲッターを盾に。そして槍とエヴァか。次に連中は何を狙ってくると思うね?」
碇は少し考えるそぶりを見せたが、すぐに答えた。
「……老人達が自らの手で補完を行うか。それとも我々に行わせるか。それによって変わるでしょう」
いずれにせよ使徒を倒さぬ限り、我々には当座の未来すらない。ならば戦う他あるまい…。
キールのこえが早乙女博士にしかならない支援
524 :
第六話4:2008/10/24(金) 00:12:37 ID:???
「パターン青、使徒です」
思い悩む暇も無く使徒が来襲した。
まったく奴らの空気の読まなさには困ったものだと思う。
沿岸部より襲来した使徒は久々の歩行型。すこし歪でどこか玩具のヤジロベエに似ているが、人型だった。
ふむ。最近私は立ちっぱなしだから椅子が欲しい。
そこで「イスラフェル」と呼称するコトにする。
歩行型なので第三新東京市接近まではしばし間がある。作戦部は上陸地点での交戦を選択したそうだ。
都市部に被害が及ばない戦いは大歓迎なので即時許可を出す。せっかくだからエヴァも3機まとめて突入させてはどうかね?
何? 零号機は相変わらずフィードバックに難がある? 人類最初のエヴァだというのに実戦で役に立たないから困る。
が、あのエヴァはかなり特殊な部類だ。やむを得まい。
いやん碇パパかっこいい
526 :
第六話5:2008/10/24(金) 00:14:04 ID:???
先陣を切った弐号機が試作型スマッシュ・ホーク。通称スマッシュヨサクで敵を真っ二つに寸断。すると敵は見事に二匹に増えた。
成る程。攻撃を加えれば加えるほど増えるというタイプか。
しかし二匹で増殖は打ち止めだった。期待させおって。
二体に増えた使徒は互いを補完しあっているらしく、攻撃を加えても片方が無事なら瞬時に再生するようだ。
リツコ君。興味深いのは判るがエヴァに実装できるかとか議論をしている場合ではないだろう。
つまり二体のコアを同時に破壊しなければ撃破出来ない訳だが、エヴァ二体の息はあっていない。
まあ弐号機側は装甲が一万二千枚ではなく、まだ八千三百枚しか施してないからバランスをあわせるのは元々難しいのだがね。
そうこうしている内に、初号機はしっぺ、デコピン、ババチョップの三段攻撃で吹き飛ばされ、
弐号機をバット代わりにして場外ホームランにされてしまった。
もちろん弐号機はそのまま投げ捨てだ。
先日の「新造ロボット騒ぎ」の一件でゼーレに騙された日本政府は、我々に貸しが付いている。
二機を特殊作戦課のビィート隊に回収させた後、N2爆雷での足止めを依頼した、が。サービスのつもりか雨のように降らせおった。
まったく税金の無駄遣いだと思う。おかげで地形まで変わってしまった。また地図を書き直さなければならんな。
ともかく使徒の構成物質の56%を焼却したから足止めは成功だ。
まあ使徒は修復機能があるから再侵攻は時間の問題だがね。
527 :
第六話6:2008/10/24(金) 00:14:45 ID:???
さて作戦会議だ。
ネルフのメインコンピュータ『MAGI』によれば使徒の再侵攻は6日後、エヴァの修復も同じく6日後。
また使徒に対しては二つの核に対する二点同時加重攻撃しかない。という事で結論が出た。
現状で戦闘機動が可能な初号機・弐号機によるタイミングを合わせた同時攻撃。
つまりパイロット二人の息を合わせる必要が……
何だねアスカ君。
何? つまりシンジをあたしの下僕として徹底的に調教してやればいい訳ですね。解りますだと? いやちょっと待ちたまえ。
アスカ君は碇の息子の首根っこを捕まえたかと思うと、止める間もなくツインルームに飛び込み中から鍵をかけた
勿論中には監視カメラが仕掛けてあるが既にカメラ動画は葛城君の(親父臭い)寝姿動画に切り替えられている。
やるなセカンドチルドレン。
とりあえず壁にコップをあてて音を聞いてみたが、いきなり『目だ耳だ鼻!』と言う叫びと共に碇の息子の絶叫が響いた
次いで『す、好きでこんな事やってあげるんじゃないんだからね』とか『人類が生き抜く為には人類の弱い部分を刈り取るしか』とか
可愛らしいのだが物騒なのだか解らない声、小さな声のやりとり、間、やがてギシギシアンアン……
碇、これは何かの条例に引っかからないか?
「問題ない。赤飯を炊け」
任せておけ。月まで届くくらい炊き上げてやろう
その他手は尽くしたが、葛城君の『まあ後はお若い二人で』の一言で放って置くのが一番と結論。
何故かダブルトマホークを持ち出したレイをとりあえず硬化ペークライトで固めていた時、今まで黙っていた神君がぼそりと言った。
「奴が動きを止めてる内に、超長距離から陽電子砲二門で一気に焼き払う。というのはどうです」
「…確かにそれならエヴァは要らんな。だが何故最初からこの案を出さなかったのかね?」
「私はボインちゃんが好きでしてね」
「訳解らんぞ神君」
「そうだ神君。乳はボインだけではない。貧もまた素晴らしいものだ」
黙れ碇。
第一、乳房は巨も美も貧も含めすべからく素晴らしいものだ。ステータスだ。
ともあれ作戦部に内職させた予算で更に技術開発部を四徹させ、陽電子砲二門を突貫作成。
これは要は大砲なのでメイン・コンピュータであるMAGIでコントロールし、コンマ0.0(略)のタイミングで使徒を同時狙撃。
使徒の撃破に成功した。
動かぬ目標に対してならこれからもこれでイケるかもしれんな。
と思ったら日本全国の電力を徴発したコトに対し、公民問わず山のように苦情が来た。
既にネルフ相手に締め出しを始めている企業も多い。このままでは私の数少ない趣味である将棋に関しても出入り禁止が来るかもしれん。
やはりこの手は禁じ手にしよう。
全てが終わった後、ツインルームからツヤツヤした顔で現れたアスカ君をレイが強襲。
よく神君がハーモニカを吹く川辺まで移動して殴りあい、夕焼け空の下クロスカウンターした辺りで何かが分かり合えたようだ。
後日その写真を『瞬間、殺意重ねて。』と題して写真会に送ったら見事金賞が取れた。
本日これまで。深夜にご支援誠にありがとうございました…やはり冬月パートが性に合ってしょうがない件について
ツン……デレ……?
つまりパイロットスーツで浮き出てくる乳を好んで見ているってことですねわかります
乙でした
し、シンちゃん…大丈夫なんだろうか(無論性的な意味で)?
前半後半でゲンドウ&冬月の落差が酷いなw
3までは!3まではすごいかっこよかったのに!
無限分裂とか期待すんなジジイw!
>瞬間、殺意重ねて。
笑い殺す気かwwwGJすぎてコーンスープフイタwww
数行置きにツッコミどころが出てくるwww
イスに座りたいからイスラフェルとか命名法が酷すぎるwww
536 :
第七話1:2008/10/25(土) 21:56:32 ID:???
今回は割合マジメパートに相当してしまいました。ハイ
「…現在の復旧率は60%というところです。が、やはり安定しません。戦闘に使うには厳しいでしょうな」
「構わん。業務に支障がない限り続けたまえ」
いつものやりとりだ。だが珍しく神君が「私用がある」という。
「ご覧下さい。これがジオフロント。ネルフ本部区画内のゲッター値です」
「ほう」
神君の持ってきたパーソナル・コンピュータを覗き込む。うむ。聞いた事があるぞ。
「知っているのか冬月?」
知らんワケがないだろう碇。
「うむ。ゲッターロボの動力源であるゲッター線の量を示した数値のコトだな」
「その通りです冬月副指令。ゲッター学科に転向なさっては如何です?」
「老人をおだてるものではないよ。神君」
ゲッター光線。つまりゲッターエネルギーとは、かつて日本の科学者、早乙女博士が発見した光線だ。
宇宙から少量ながら地上に降り注ぐ光線…しかし微量でもエネルギーとして莫大な力を発揮した。
無公害にして無限のエネルギーとして騒がれ、研究が急がれたものだ。
「そうです。しかし三つの悲劇が起きた」
「うむ。一つはセカンドインパクト」
南極に眠っていた第一使徒アダムの発見。その時ゼーレは「神」を見つけたと喜んで手を伸ばし、そして…破滅が起きた。
アダム覚醒は葛城探検隊がロンギヌスの槍で防いだが、覚醒の余波は世界を一度完膚なきまで破壊した。
537 :
第七話2:2008/10/25(土) 21:57:13 ID:???
「当時は酷いものだった。世界各地が崩壊したのみならず、モラルまでも崩壊した」
「ええ。昨日までの隣人が今日の敵。そんな時代でしたな」
セカンドインパクトによる被害は全世界に及んだ。特に日本は島国ゆえ特に水害が酷かった。
が、島国ゆえ水害に手馴れた対処を施すことが出来た。何より…重機やロボットなどの研究に秀でていたから再建は割合早かったのだが…。
「それゆえに戦火が起きた」
「そうだな。二つ目にして最大の悲劇。日本海戦争。資本と技術。それを喉から手が出るほど欲しがった国が群がるように日本を襲った…」
同様にロボット工学に秀で、それを応用した重機技術に優れた西側諸国はむしろ懐柔するように手を伸ばした。
が。それとは他に、もっと直接的に手を伸ばしてきた国もあった。
「まさに、戦争の時代だったな」
「…話がすっかり逸れましたね。それよりコイツを見てください」
「うむ。…106?」
「100がゲッター線濃度の通常値と思っていただければ結構です」
ふむ。つまりジオフロント内のゲッター線濃度は通常より若干高いのか?
「…そしてこれが本日日本標準時0700時時点での地上のゲッター線値です」
「172?」
何かおかしくないか神君?
「そう。おかしいのです。明らかにおかしい」
「ゲッター値が増えている…だと?」
「そうです。およそ十五年前。ちょうどセカンドインパクトのその時から、徐々にゲッター値が増しているのですよ」
言って軽く一礼すると、神君は懐からタバコを取り出し一服の紫煙を味わった…沈黙が場に落ちる。
「…そしてその勢いは、第三の悲劇である浅間山事件後、更に拡大傾向にあるようです」
538 :
第七話3:2008/10/25(土) 21:57:58 ID:???
「ブフフフ。では予定通りに。失礼します。行こうスティンガー君」
「そ、そうだね。行こう、こ、コーウェン君」
暗闇の会議席。それは今は誰も座るものが無いハズの会議席である。
だが今、議席には暗闇に浮かぶ七体の石柱が着席し、そして座席に着かぬ二人の男を見送った。
『槍の確保に成功した』
『忌々しくも恐ろしきはゲッター。ゲッターGシリーズ。あの生産性でこうも高い戦果をもたらすとはな』
『左様。ならば戦争だ』
『我らゼーレが再建も、彼らが前大戦時のプラントを発掘提供してくれなければこうもうまくはいかなかった』
『だが現状で使徒に通じるとは限らん。未だ数が揃わぬ今、槍を手に入れた我らにとっては保険に過ぎぬ』
彼らの名はゼーレ。
旧世紀以前に人類が作り上げた結社であり、人の世を影から動かしていた存在であり、そして十三年前、神隼人の手により失われたはずの結社であった。
石柱に模した立体映像には、同時に強面の老人達の顔がゆらゆらと浮かんでいる…。
『いずれにせよゲッターなど文書<シナリオ>に無い存在に過ぎん。使徒は碇が殲滅を果たすであろう』
『我らの手で為したいところではあるが、な…』
『だが当面追加予算は見込めぬ』
『左様。当面襲えるだけの銀行は全て襲った』
『何より問題は、今、エヴァが全て奴の手にある事のコトだ』
『だが既にエヴァの製造ノウハウ、そして根本たるアダム細胞も我々は確保しておる』
『しかし研究施設たるネルフドイツは碇の手で解体された』
雰囲気に似つかわしくない重低音が響く。
腹に響くような連続音。会議場中央に据えつけられた石柱へ、ゼーレ全員が発砲した音であった。
もちろん石柱には碇ゲンドウ、そして神隼人の顔写真が貼り付けられている。
539 :
第七話4:2008/10/25(土) 21:58:34 ID:???
『忌々しきは碇、そして神隼人か……』
『左様。もはや戦争しかあるまい』
『落ち着け諸君。だがイレギュラーにはイレギュラーだ。既に巴武蔵、そして流竜馬の排除には成功している』
『それもあの二人の手柄かと思えば忌々しいがな』
『だが我々は時計の針を進める力を手に入れた』
『人類補完計画の鍵。その多くは既に我らの手にある』
『裏死海文書。槍。ゲッター。だが全ては本当のエヴァの完成を待たねばならぬか』
『左様。その時こそ戦争だ』
『しかし最後のカギは我々の手にある』
『鍵たる者よ』
『タブリスよ。君に聞きたい事がある』
見つめる先に浮かぶのはLCLで満たされたカプセルである。
その中には白い人影が浮かんでいたが、彼らの中に『彼』が人であると思う者は居なかった。
彼の名は、タブリス。最後のシ者であり、また最初の使徒である…
540 :
第七話5:2008/10/25(土) 22:00:24 ID:???
■特務機関ネルフ/司令室
第3使徒『サキエル』、第4使徒『シャムシェル』、第5使徒『ラミエル』、第7使徒『ガギエル』。
そして第8の使徒である『イスラフェル』を撃破……使徒殲滅は順調に進んでいる。が。
「ゲッター線の異常増大か。全く厄介ごとばかり起きるな」
神君はセカンドインパクト…アダム爆砕の現場に、ゲッターロボがあったコトが何らかの影響を与えているのではないか
という大胆な仮説を立てていた。確かにアダム絡みなら不思議現象などお手の物だが…。
しかしその影響が読めん。
「ともあれ碇。次のシナリオはどうなっている?」
「見ての通りだ」
「またか……」
碇が呈示したシナリオは丁度虫食いになった部分だった。
使徒が現れるのか、それとも何か事件があるのか。いずれにせよ何かが起こる。しかし我々には知る由も無い。
我々にとって重要ではない事件であることを祈るばかりだ。
我々が『シナリオ』と呼ぶ裏死海文書。
これは本来ゼーレが持つ石版の事なのだが、残念なコトに我々はその一部を失っているのだ。
まあそれも当然。我々ネルフは本来ゼーレの「E<エヴァ建造>計画」及び「人類補完計画」実行機関でしか無いのだから。
いわば現場専門の出先機関に過ぎず、碇が非合法手段によって得ていなければ本来ならこのシナリオさえ持ちうるハズが無いのだ。
だがこの「シナリオ」があるおかげで、ゼーレ無き今も「我々の」人類補完計画は遂行へと向かいつつある。
多少欠けていたとしても文句など言えた義理ではない。
とはいえ警戒をするに越したことは無い。パイロットの位置だけでも把握しておくかね。
チルドレン達の提示連絡映像を確認する。そういえば碇。お前の息子はようやく退院したのだったな。
「…いや待て碇。お前の首に首輪がついている気がするのは気のせいかね」
「問題ない。おそらくはそういうプレイだ」
最近の若い者は解らんな。これでも年の割りに理解はある方だと思っておったのだが
「では先生、性教育学科へ転向なさってはいかがです?」
だが断る。
541 :
第七話6:2008/10/25(土) 22:01:20 ID:???
■第三新東京市/碇シンジ病室
第三新東京市に来てから、僕は色々あってずっと入院していた。でもようやく退院できた。
当然だけど、父さんに呼び出されてココに来た僕には家なんて無いから個室が用意されることになったんだ。
ミサトさんは『一人でいいの?』『申請すればお父さんと一緒に暮らすことも出来るわよ』って気遣ってくれたけれど
でも僕は一人でいいと思った。気楽だと思ったから。でもそれを正直に言ってしまったのがいけなかった……。
『もー。無理しちゃって。親子なんだから一緒の方が』
と明るく言ってきたミサトさんに
『ミサトさんには関係ないでしょ。ほっといてください!』
……言わなければ良かった。
『暗い……暗すぎる……その性格あたしがなおしたる!』
あれよあれよという間にミサトさんと同居する事になり
『ミサトぉ、何よシンジも一緒に住むの!? まあいいわ。どうせシンジはあたしの下僕なんだしィ』
既にミサトさんと同居していたアスカとも一緒に。
『肉。嫌いだから』
綾波。引っ越し祝いありがとう。でも誰に聞いたの?
『転校生。ワイはお前の引っ越し祝いをせにゃならん!』
『よ、碇』
トウジとケンスケも。
『引越しおめでとう。これ差し入れのスイカな』
加持さんも。でもホントに誰が言って回ってるんだろう……
『わ、私じゃないわよ?』
リツコさん。別に何も事言ってませんよ。
『不潔です』
え?
『シンジ。時間が空いたらアジテーションのやり方とバリケードの造り方を教えてやろう』
ハヤトさん……その、いえ。何でもありません。
こうして何故か期せずしてミサトさんの……いや、僕らの家に集まり、そのまま宴会になった。
僕は、こうして大勢で集まって騒ぐのは生まれて初めてだった
こんなに、楽しいと感じたのも初めてだった…でも。「こんなに楽しいことは長くは続かない」「すぐに苦しみはやってくるだろう」と
心の隅では、そう思っていた。
他方。「シンジ退院祝い」と書かれた風呂敷包みが転がる司令室。
勇んで第三新東京市へ出かけようとした所を、保安部にとっ捕まった碇司令が無言でカキフライを食べている。
「碇。いい歳なのだからヤケ食いは止めろ。だいたいお前は一応司令なんだぞ?」
「問題ない。続ける」
「今回の件は多めに見よう。だが解っているハズだ。そろそろ覚悟を決めろ」
お前がお前の計画を続ける限り、お前は最期の時まで息子と解り合える事は決してないのだ。
いや、むしろお前は息子を傷つけなければならぬのだよ。碇。
それが我らの補完計画に必要な事なのだから…。 次回第八話「静止してくれない闇の中で」に続く。
という事で今回お開き。前回たくさんのご支援、反響をマコトにありがとうございました
それを励みに次回はノリがいつものパターンに戻ります。多分。
乙です〜
しかしどこも予算は厳しいんだな・・・お前らまで銀行襲うなよwww
竜馬死んだん!?
虚無った後ってことか?
ゼーレの貧乏っぷりに全俺が笑死したwww
そうか、竜馬も武蔵も……所で弁慶は?
でも連中なら殺したと思っても安心できない。
十三年後にタイムワープした例もあるし、賢ワールドなら火力偏重サイボーグになって復活も十二分にあり得る。
貧乏ネルフに貧乏ゼーレ…そしてゼーレがなんかいろいろと変になってるwwww
シリアスパートらしいけど、それでもツッコミが追いつかないとはwwwww
左様のおじいちゃんすっかりボケちゃって・・・
「…いや待て碇。お前の息子の首だがな、首輪がついている気がするのは気のせいかね」
「問題ない。おそらくはそういうプレイだ」
最近の若い者は解らんな。これでも年の割りに理解はある方だと思っておったのだが
「では先生、性教育学科へ転向なさってはいかがです?」
だが断る。
言葉の意味が完全に変わっている部分があったので訂正。首輪つけてるのはシンジ君です。決してゲンドウおぢさんではありませんよムォォ
色は…………………ファンの人に怒られたら困るのでとりあえず白と赤のツートンカラーというコトでひとつ
竜馬・弁慶・武蔵の話については3〜4話以内に作中に出ますので今回はご勘弁を
なお武蔵坊弁慶は本場所休場となっております。またの虚無をお待ちくださいますようお願い申し上げます
>>546 ていうかその火力偏中サイボーグにパワーアップしても結局死んだじゃねえかw
>>550 いや、誰でも良い。あのヒゲめがねに首輪を付けてつないでおけ。
あーよかった
弁慶の出番はネオゲ並かと思ったよ
ここは燃えたり萌えたり笑い死んだりドワオしたり
忙しすぎるスレですね><
なあにかえって予算不足になる
闇の中に七体の石柱が浮かぶ…。
『資金源については一考しよう。現地マフィアと手を結び米国首脳<ホワイトハウス>への道は確保しつつある』
『南極での一件が効いたな。米国政府はネルフ本部と日本に嫌疑を抱きつつある』
『ネルフ米国支部取り込みも近い』
『まあその分、苦労も増えたがね』
『左様。もう抗争にも飽き飽きだよ』
見れば石柱達の足元には血の池が出来ていた。石柱…ゼーレらを狙った暗殺者達……で、あったモノらである。
『マフィア共は年がら年中抗争しかおらぬからな』
『打ちのめし合わねば力量も理解できぬとは。全く罪深く愚かな者共も居たものだ』
『だが地にうごめく者には仕方の無き事でもある』
『害は無論我らにも来よう。問題は使えぬ護衛共のコトだ』
言ったその時、石柱の一体へと無数の投げナイフが飛来する。
しかし石柱からも「ぬっ…」とバルカン砲が顔を出したものだから、ナイフは投げた本人もろとも粉微塵となる。
別の石柱へはマシンガンが差し向けられたが、やはり石柱は無言でドワオドワオと砲火を放って先手必勝の言葉を実行する。
しばらくは爆音が轟いていたが唐突に静寂が落ち、そして硝煙と血のニオイだけが場に残った。
『このアジトも、もう使えぬか』
『全く。無駄でいかんね』
頭目と思しき石柱が一言発する。するとガタンと音がして石柱達が沈み込んでいくではないか。
沈む床から死体が弾かれ血は洗い流されてゆき、次のアジトへの移動が始まる。
神隼人とネルフに潰されたゼーレは、こうして地下を生き延び、
いつしかそれが日常となっていた…。
『さて諸君。依然、第8使徒サンダルフォンの発生は確認できぬ』
『ネルフ側が極秘裏に処理した可能性は?』
『場が問題だ。日本にはあの地がある』
『浅間山かね? だがあの地にまだ何が残っているというのか』
『やはりタブリスの調整を急がねばならぬか』
558 :
第八話2:2008/10/27(月) 20:34:45 ID:???
それは少し前のコトだ。彼らが保有する人型使徒「タブリス」。彼に対して質問を投げかけた時の事だ…
『タブリス。君に聞きたいことがある』
『歌はいい……ねえ…』
『それは聞いておらん。聞きたいのは…』
『サンダルフォン……第8使徒……浅間山……喰わ……』
『何?』
『未だ出現しないのでは……ない………サンダルフォンは……触れてはならぬ……場所…へ…』
『何だ、何を言いたいタブリス?』
タブリスと呼ばれた少年は、瞑目するように瞳を閉じたまま、ただ壊れたラジオのように繰り返した。
『喰われた……!』
『喰われた、か』
『タブリスの調整はまだ終わらぬのか?』
『十五年がかりの調整だ。一朝一夕に終わるものでもなかろう』
『とにかく碇につけた鈴は未だ鳴っておらぬ』
『左様。ならば戦争だ』
『しかし裏死海文書に書かれた使徒が現れぬなどありえるのかね?』
『シナリオの修正が必要か』
『否。出ぬならばそれは越したことは無かろう』
『左様。もはや戦争しかあるまい』
『まずは鈴の音を確認する事より始めよう』
議員たちは口々に疑問を投げるが決着は付かぬ。議場たる石柱「キール・ローレンツ」は締め括るように発言した。
すると円をなす石柱達の中央に、立体映像がゆらゆらと浮かびだしたではないか。
『君が賢い男である事は我々も知っているつもりだ。では報告を聞こう』
会議が招聘した男。「鈴」と呼ばれている男は、呆れたように口を開く。
「ハハハそれがですね……」
559 :
第八話3:2008/10/27(月) 20:36:34 ID:???
やあ皆元気かな?
僕は日向マコト二尉。ネルフの発令区オペレーターの一人さ。
え? 誰だかわからないって? ええとほら、眼鏡のオペレータで「パターン青、使徒です」の人だよ。ハハハ。
ああたまに勘違いしてる人もいるけど「パターン青」は僕の台詞だよ。
もう一人の彼は名前が青○ってだけで、台詞は違うんだ。プルルル
「電話?」
『もしもし。パターン青葉シゲル。俺です』
「ハハハ黙ってろロン毛」
笑って携帯を切る。今日は久々に平和だったんだよ。でもまあネルフだものね。
当然だけど使徒が来た。
問題は停電の時にソイツが来たってコトだね。
これは豆知識だけど、ネルフ本部のシステムは上層の第三新東京市に至るまでカバーしてるんだ。
僕は丁度「上」に用事に出てたんだけど、本部が停電を起こしたから帰れなくなってしまったという訳。困ったよね。
そこに、使徒が来た。
いやあ凄い騒ぎだったよ。だって使徒を追いかけて国連軍が突入してきてさあ
『ネルフの連中はどしたァ!』
『やっぱり返事がありませんぜ!』
『なら俺たちがふっとばしてやるしかないよなあ〜』
とかスピーカー鳴らしっぱなしの爆撃しっぱなしで突っ込んでくるんだもの。
おかげで街のあちこちは吹っ飛ぶし、人も蜘蛛の子を散らすように逃げていった。まあ当然だね。
まあ例によって使徒のフィールドの前には無力。でもあいかわらずネルフは停電で沈黙したまま。こりゃ気付いてないね。
放っておいたら使徒と国連軍のダブルパンチというか、国連軍に街が吹き飛ばされかねない。
だから慌てた僕は、丁度近くを走っていた選挙カーをとっつかまえたんだ。
知ってるかい? ネルフの権限を使えば選挙カーの一台くらいならラクに徴発できるんだ。
でも良い子はまねしちゃダメだよ? 悪い子ならまねしていいけど、やりすぎると碇司令みたいになっちゃうからね?
まあ僕の場合も、結論から言っちゃうとこれがいけなかったんだ。
後はネルフ発令区まで突っ走るだけ。ってアクセル吹かしたら、いきなり横手からはねられてね……。
あれ、もしかしてアレって作戦部の…
560 :
第八話4:2008/10/27(月) 20:37:41 ID:???
『……ではこちら側の工作員がしかけるより先に、ネルフ側のシステムが勝手に落ちたと?』
『正・副・予備の3電源がいっぺんにかね!?』
「はい。どうも施設運用に回す予算が不足しているようです」
鈴は飄々とした顔で応える。
ヒトとしての感情が妙によみがえるのを感じた。久々の事だ。心底呆れたコトなど久方ぶりだ……。
『感心している場合かね。だが復旧ルートから本部の構造を解析する手はずはどうなった?』
男はいつもの軽い調子で、しかしやや疲れた顔で答えた。
「それがですね……」
日向二尉が気絶してしまったので後を引き継ぎます。
私は綾波レイ。特務機関ネルフ、汎用人型決戦兵器試作実験型改実戦仕様エヴァンゲリオン零号機パイロット。
年齢は……。
そう。そういう記録じゃ、ないのね。
突然学校へ迎えが来た。私、碇君、セカンドの3人。迎えに来たのは神隼人大佐。
神隼人。強い人。とても強い人。とてもとても強い人。この人が何故私たちを直に迎えに着たのか。
それはネルフ本部施設に通じるルートが全て不通になっていたから。そして外に使徒が近づいてきていたから。
だから、まずパイロットの保護を優先したのだという。
端的で正確だと思った。
そんなヒトだからてきぱきと行動していた。
学校前にさっそうとロボット兵器<ビィートT32>で現れ、拳銃を空へ向けて数発発砲。
驚いて窓から顔を出した私たちの間近へ発砲。携帯でいいじゃないですかって碇君が言ったら「このほうが早い」って返していた。
そう。早いのね。
てきぱきと私たちをビィートT32に乗せてハンドルを握り、最短ルートでネルフへ直行する。
逆さまにしたお椀に、4つ足が付いたようなビィートT32だけど、走るスピードはそれなりに速い。
途中何台か車をはねとばしたって碇君が言ってたけど「この程度の事で死ぬなら今死なせてやった方が親切だ」って。
そう。親切なのね。
561 :
第八話5:2008/10/27(月) 20:39:51 ID:???
「でもハヤトさん、この機体でどうやってエヴァのところまで行くんですか?」
碇君が不安そうに聞いた。だから私は答えた。
「神大佐。私が道を知っています」
「なんでそんな道しってんのよ!」
セカンドがつっかかってきたけど。なんでつっかかってくるのかが解らない。
「体が覚えているもの」
セカンドは「そりゃあたしはこっちにきて日が浅いけどさぁ……」とか呟いてるけど気にしない。
「そういえば神さんって、なんでネルフで働いているんですか?」
セカンドの話題が変わった。彼女の話はよく切り替わる。彼女の表情と同じくらい。
「聞きたいか? 聞きたいならその内話してやろう。…だが今は口を閉じろ」
舌をかむぞ、と神大佐が言った途端、ガクンとビィートが揺れた。
工作機械用の開口だから急傾斜。むしろ直滑降。四足のビィートは風のように走ってゆく。でも途中いくつか隔壁があった。
「ど、どうするんですかぁ〜!?」
壁があっという間に近づいてくる。神大佐が笑う。
「このビィートT32には、たった一つ。とんでもないとりえがあってな」
言うなりレバーを引き上げる。ビィートの四足と頭部が胴体に格納され、半円上の形態に変わる。
でも中の私達には判らない。でも何かが起こるのはわかる。
「適当なトコロに掴まっていろ!」
私とセカンドが碇君にしがみつく。碇君の顔が何故か青くなった。
「行くぜ地獄行きのエレベーターだ!」
ビィートが回転を始める。勿論中の私達も一緒に。それからのコトはちょっと記憶が途切れている。
おぼろげに憶えているのは、高速回転するビィートが次々と隔壁を突き破り、地下へと下っていったコト。
そして運転中の神さんがとても楽しそうだったコト。
そう。楽しいのね。
楽しいのね。
楽し…
『使徒か』
「ええ。ですがネルフ側も既にエヴァが3機稼動状態。バッテリーもありましたから出撃後は苦も無く殲滅したようです」
『だが君がネルフの構造を探れなかった理由とはならんぞ』
『左様。使徒迎撃が終了すれば後は復旧に移ったハズ』
「それがそうはならなかったんですよ」
当時のネルフ発令区
「使徒の殲滅、完了した模様です」
「よし。安全が確保され次第ダメコン(施設補修)部隊を回せ」
「それが……」
再びゼーレ
『今何と言った?』
「システムトラブルではなく、電気供給元の第二東京電力から電力を切られていたようです』
『…………』
「電気料金の滞納が原因だそうで」
思わず沈黙する石柱達。
確かにゼーレとネルフが袂を分けたのは発電施設の実装前であったが。
「対策として、次から第二東京電力、中部電力、中国電力で、正・副・予備の3電源を別途に……」
『それはもう良い。ならば電源復旧を待って再度諜報員を』
「難しいでしょう。今回送り込んだ諜報員の大半を捕らえられました」
『今、なんと言った?』
「停電後、間を空けたのが致命的でした。連中もバカじゃありません。網を張っていたんですよ」
『また奴か』
「ええ。神隼人。あの男です」
まったく。電力会社もまともに懐柔できん組織の癖に…。しかしキールの頭には疑問が残る。
そんなに予算が不足することなどありえるのか? と。
「裏切り者を処理するのは大得意だとは言ってましたよ」
そう言って、ゼーレの諜報員は……加持リョウジは、疲れた笑いを浮かべるのだった。
『まったく…どうしたもんだかな。葛城』
本日これまで。なお筆者が途中で虚無ったら、それは多分ゼーレに暗殺されたも…え、誰だこんな夜更ドワオ!
乙w
今回も面白かったwあと個人的にビィートが好きなんで活躍してくれたのは嬉しい
虚無ったら転生仏すればいいじゃない
正直「ビィート大回転で地獄へのエレベーター」がやりたくてビィートを用意した。今は転生している
GJ! なんでこのネルフはこんなに予算がないのか気になってきた。
しかしそれが判る前に水道とガスも止まるなw
ああそうか、携帯もいつ止められるかわからないから緊急時は使わないんだな
納得
今回も笑い過ぎて腹筋が死に掛けたwww
しかし、サンダルフォンを喰ったのは……まさか真ドr(ドワオ!
ビィートの手足が格納されたとき、UFO軌道で空を飛ぶのかと思った
そして天井で頭を打ってどこともしれず落ちていく訳ですね。解ります
誰も突っ込まないのであえて言おう。
ゼーレのマフィア抱込み計画=ゼーレのデス・ドロップマフィア化=極道兵器参戦フラグか?
あっちまで参入してきたら本当に全部壊れちゃうビクンビクン
しかしゼーレと将造の仁義なき戦い日本死闘篇エヴァが
勝手に歩けるいうなら歩いてみいやはちょっと見てみたい。
>>570-571よ。全てを説明しようとしても無理なのだよ。おそらく全てを理解するのに永劫の時が流れてしまうのだ
我々にわかっていることは、読んでくださっている方がいるかぎり、その為だけにでも書き続けるというコトだ!
…って三丁目の角で早乙女博士が言ってましたよ
『国軍…日本海を埋め尽くしている……ザザ…海が3分、敵が7分だ…』
『ハヤト、さらば…後のコトは頼むよ……』
スピーカーがけたたましく音を立て、そしてそれっきりノイズ以外流れなくなった。友が死んだ。
だがその犠牲で戦争を止めるコトが出来た。そう俺は俺に言い聞かせて涙を止めた。
『アバヨ、ダチ公!』
『後は…!』
黒い海が広がる……また、友が消えた。だが涙を流している暇は無い。だから俺は戦った。
『早乙女研究所に命ずる。ゲッターロボは我々が預かる!』
「汚い手でそいつに触れるんじゃあね〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
そして俺は、作業場の汚い寝床で目を覚ました。黒い姿が俺に影を落とす。
自分で自分の叫びで目を覚ます、か。
「…子供か、俺は…」
暗闇の中、神隼人は自嘲するように呟いていた。
573 :
第九話2:2008/10/28(火) 23:52:07 ID:???
「…相変わらず常識外れな姿だな」
さてネルフには今日も今日とて使徒が迫っている。例によって一風代わった使徒であった。
モニターに浮かんでいたのは巨大な三つ目の化け物と言うか、3つ目しかない巨大なオレンジ色のアメーバである。
その姿も問題だが、最大の問題は、遥か頭上も頭上、衛星軌道上に存在するというコトだ。現在、使徒は自身の一部を切り離し
ATフィールドで包んで質量爆弾として落下させている。その一撃は海を蒸発させ大地をえぐりとるほど。
国連軍も新型のN2航空爆雷で攻撃を加えるものの、やはりATフィールドの前には無力である。
その落下位置は…落下のたびに、確実にネルフ本部へと近づきつつあった。
「以前出現した第五使徒は「圧倒的な防御力」と「超射程かつ高火力」を持っていました。
しかし今回の使徒は衛星軌道上という距離こそが防御力であり、衛星軌道上という距離が武器ともなっているようです」
「使徒のATフィールドがジャミングとなり、現在電波探索が行えない状態です。しかし」
まあ順当に考えて次あたりはネルフ本部に落ちてくるな。
使徒も毎度毎度アプローチを変えて来るが、さてどうしたものか。
「……」
おかしい。いつもの伝ならそろそろ碇が
『レイ。ドグマに降りてプログレッシブ・バットを使え』
『シンジ。落ちてくる使徒をホームランしろ。でなければ帰れ』
とか無茶を言い出す頃合だが…そうか。そういえば入院しておったな。
574 :
第九話3:2008/10/28(火) 23:52:44 ID:???
数日前。司令室。
「…来るべき時が来たのだ。私にとって試練の時が…」
先日ドイツから空輸させた第一使徒『アダム』。爆散し魂を失い、胎児まで還ったその本体を呑み込み取り込むコト。
これが碇の、そうゼーレではなく「碇の人類補完計画」の重要事項であった。が。
「落ち着いていないでご飯だ。ご飯を飲み込むのだ碇」
丸呑みにしたアダムを喉に詰まらせるとはこのうっかり者め。せめて油で一晩漬け込めば喉に詰まりにくくなったろうに。
「先生、後は頼みます」
こんなコトで諦めるな碇。
大体私に貴様と関節キスをしろというのかね
「…まったく。老体にジャイアントスイングまでさせおって…そういえば発令区要員が足りんようだが」
「葛城一尉と日向三尉でしたら、先日の停電事件の際に事故に遭って…」
そういえばそうだったな。国連軍の暴走車両にひかれたそうだ。全く連中ロクは事をせん。
「なら特殊作戦課の神君はどうした? なに碇の用足しで留守?」
このタイミングでか。全く碇の奴もロクな事をせん。
やむをえん。私が作戦を考えねばならんか。
575 :
第九話4:2008/10/28(火) 23:53:20 ID:???
「…以上の3点にエヴァを配置した。使徒の落下予測地点は以上だ。諸君らのエヴァの手で使徒を受け止めて欲しい」
「使徒のジャミングが続いている為、正確な位置は予測できません。サポートは逐次MAGIで行います」
無茶な作戦に対し当然のように少年たちが反論する。当然だ。無茶を言って本当に済まない。
しかしだ。相手がATフィールドで電波妨害をかけている以上、コアを正確に打ち抜く必要がある狙撃作戦はもっと無茶だ。
そして相手がATで防衛を行っている以上、的を絞らず広範囲を攻める作戦では火力が追いつかなくなる。
また相手が衛星高度に居る以上、AT中和領域での格闘戦に持ち込むには…他に手が無いのだ。
ロケットでエヴァを打ち上げる手もあるが、今度はエヴァを回収する手段が無い。
己の無力さを痛感するとしか言いようが無いが、もはや猶予も無い。
不在の碇に代わり、作戦を宣言する。
「スーパーキャッチ作戦開始!」
576 :
第九話5:2008/10/28(火) 23:55:03 ID:???
「了解。スーパーキャッチ作戦、開始します」
不在の碇司令及び葛城作戦部長に代わり冬月副指令が宣言する。使徒の落下は既に始まっているのだ。が。
その第三新東京市に一足早い激震が響いた。
「…エヴァ全機、給電<アンビリカル>ケーブル切断に失敗! 全機転倒!」
見るとエヴァ全機が顔から地面に突っ込む形で地面に半ば突き刺さっている。
「パターン足。足ズッコケです!」
「何? いかん。各機、急いで体勢を立て直せ!」
『動いて、動いて、動いてよッ!』
『何どうなってんの!?』
『これは涙? 痛いと感じているの、私?』
一瞬発令区も暗くなり、通信機から悲痛な叫びがこだまする。
各機は立ち直るとエヴァ自らの手でアンビリカルプラグを取り外し、遅れたスタートを切る。
「各機再起動。使徒へ向かいます」
「メインコンピュータMAGI及びエヴァ3機のフル稼働によりブレーカーが作動したのが原因のようです」
「このタイミングでかね」
冬月の「おのれ第二東京電力め、まだ3ヶ月分しか滞納しておらんというのに」という呟きが皆に聞こえたかどうか。
数秒遅れでエヴァ全機が発進するが、既に頭上には迫り来る使徒の姿がある。
577 :
第九話6:2008/10/28(火) 23:55:51 ID:???
『間・に・合・ええええええええええええええええええええええええええええッ!』
使徒は市街からやや離れた場所へと落下して行く。だが、その落下の衝撃はジオンフロントまでも抉るハズだ。
パイロットの、いやネルフ職員全員の叫びが唱和する。
いや、一人、一人違う叫びを上げる者が居た。
「目標付近、ち、地下に高エネルギー反応!?」
「何!?」
郊外へと落下する使徒。その地下から突如轟音が響き渡り、飛び出した影がある。腕に巨大なドリルを持つ人型である。
飛び出した影は一旦3つに分かたれ、そして一つへ結ばれた。
『チェンジ・ドラゴン! スイッチオン!!』
それはまさしく先日エヴァンゲリオン初号機と対峙し、N2爆雷によって爆破処理されたハズのゲッターロボの姿であった。
『今の声…』
『ハヤトさん!?』
「神君か!」
『急げ三人とも。こっちはガラクタだ。そんなにもちそうもないぜ』
回線が開く。コクピットに居たのは作業服姿の男。紛れも無き神隼人その人である。
ゲッタードラゴンは目玉状の使徒へ取り付くが、ATフィールドに押されて次々と指がもげ、装甲も推進装置も悲鳴を上げる。が
578 :
第九話7:2008/10/28(火) 23:57:10 ID:???
「「う、受け止めた!!」」
発令区のリツコが、青葉が、マヤが歓声を上げる。
使徒を受け止めるゲッターロボの腕が崩壊をはじめ、脚部も潰れてゆく。だがそれでもゲッターは使徒を支え続けた。
『フッ…機体が保つかどうか』
『フィールド全開ッ!』
『弐号機、フィールド全開!』
『やってるわよッ!』
三機がかりで使徒を押さえ、弐号機がトドメのプログレッシブ・ナイフをコアへと見舞う。
全ての衝撃をATフィールドで抑えていた巨大な使徒は、コアを失いフィールドを張れなくなった事でそのまま爆砕する。
「やれやれ切り札のハズだったのだがな……だが使徒のジャミングで国連軍共に悟られなかっただけマシかね…」
ゲッターGの回収を命じ、発令区は使徒殲滅により沸き返った。
しかし冬月副指令はゆっくりと頭を振り、また技術本部長である赤木リツコ女史は、無言で発令区を後にするのだった。
さて一方。突然の停電でネルフ機能の一部はマヒしていた。
地下都市の停電とはすなわち闇である。その闇、ネルフ本部の闇、ネルフ本部最下層「ターミナルドグマ」に二つの影があった。
「特務機関ネルフ特殊監察部所属 加持リョウジ。同時に日本政府内務省調査部所属加持リョウジでもある訳ね」
「バレバレか…葛城、お前入院してたんじゃなかったか?」
「ネルフを甘く見ないことね」
579 :
第九話8:2008/10/28(火) 23:57:52 ID:???
葛城ミサトに銃を突きつけられたまま、それでも加持リョウジは飄々としていた。
ありていに言うと、彼は「司令直属の特使」という役割を負いながら、日本政府のスパイとしての役割も隠し持っていたのである。
更に言うなら「葛城ミサト」はまだ気付いていないが、彼は更にゼーレのスパイとしても活動していた。
特に機密情報を扱う部署でのスパイであるからその罪は重い…が。
「まだいけるさ。碇司令は俺の正体に気付きながらも利用している…だけど葛城に隠し事をしていたのは謝るよ」
「謝られても嬉しくないわよ!」
その一言に飄々とした加持の顔が一瞬だけ曇る。
もっとも銃を突きつけるミサトからはその表情は見えないが。
「じゃあ良いことを教えてやろう。司令もリっちゃんも君に隠し事をしている。それが…これさ」
本部最下層施設ターミナル・ドグマへの扉が開き、白い巨人めいたものが闇の中に見えた。
「これ…」
『最下層ターミナルドグマには、十五年前の元凶と同質の使徒「リリス」が存在する』
当然ミサトは、いやネルフ職員全員はその存在については聞かされていた。
『リリスと使徒との接触はセカンドインパクトの再来をもたらす。それを未然に防ぐのがネルフの役目だ』
そう。それは知っていた。資料としてその姿も知っていた。だが
「これ……」
ミサトが地下空間に見たもの。
それは十五年前の南極同様の赤い海。彼女が全てを失う場となった原風景であった……
580 :
第九話9:2008/10/28(火) 23:58:29 ID:???
「よく、頑張ってくれたな」
操作盤を撫で、隼人は誰にともなく呟く。
「お前も立派なゲッターロボだ…こないだは悪かったな」
一方通信回線からはにぎやかな声が聞こえ始めている。
『バカシンジ』
『なんだよアスカ』
『アンビリカルケーブルを外すタイミング、コンマ2秒遅かったわよ』
『そういうセカンドはフィールドの展開にズレがあったわ』
一旦。適当な電源ビルでアンビリカルケーブルを再接続し、ゆっくりと歩くエヴァ3機。
その眼前にあるのは、各坐したゲッタードラゴンの姿である…。
『ハヤトさん、無事ですか?』
「ああ…ムチャをさせたな………聞きたいか?」
敢えて「何を」とは言わなかった。シンジ達はしばし待ったが、好奇心が勝った。
『はい』
「後で話してやろう…お前達もこれだけエヴァを乗りこなせるようになったのだ…話してやろう…」
通信を切りコクピットから立ち上がる。もはやこの機体は指一本動かぬのだから、後は回収班に任せるほかあるまい。
しかしコクピットの外には立ちはだかる影があった。
「神大佐。少々……お話をお伺いしたいのですが」
そこに待っていたのは、未知の科学に対しきらきらと少女のように瞳をきらめかせた赤木リツコ女史その人。
「…構いませんよ。俺はボインちゃんが好きですからね」
神隼人。この男は重い状況ほど軽口で受け流す…そんな男だ。だが今回の苦境はその軽口に始まったといっても過言ではない。
その後、彼は目を輝かせる赤木女史へ延々ゲッター技術論を語らされる破目に陥ったのだから。
そう。眠る間もなく軽く五日五晩ほど、だ。
本日これまで。半分くらいで切ればよかった気もします。
なおゲッターチーム及び早乙女研の行方については今回はただのフラグ立てなので、詳しくは次回。
ゲッターを愛でる隼人。ボインちゃんをこよなく愛す隼人
外ン道をジャイアントスイングする冬月・・・・
GJ!隼人がかっこよすぎる!!
・・・しかしゲンドウは飲み込み損ねたアダムをどうしたんだろう?
1.手に押し当てて無理やり(原作どおり)手にくっ付けた
2.冬月の言うとおり一晩調味油に漬けてマリネ風で美味しく頂いた
3.こんにゃくゼリーで固めて飲み込んだ
4.真実は君と共にある。迷わず進んでくれ
さあどれだ
>>585 ジャイアントスイングで口から飛び出てそのまま保存。後日に食す
いわゆる保存食である
しっかり噛めば喉に詰まったりしないよ!
しないよ!
噛んじゃっていいもんなのかあれはw
硬化ベークライトで固められても成長を続けるようなブツだぞ……噛んだら歯のほうが壊れるだろ、常考。
使徒をバットでホームランしろとか言っちゃうような人だから気にせず噛んじゃうよ!
前歯全部へしおれたよ!
なんか22レス分にも及ぶクソ長い話になりました。が、要するに世界観解説的な話です。
読み飛ばしても良いかもしれません。その場合「第十話」をNGワードすればよいと思われます。
またお読みになった場合、ゲッター読者だと違和感を感じる部分が出ると思われます。
ネタバレにならない部分は話が終わった次のレス、おそらく
>>515-517辺りで言い訳をさせてください
ネタバレになる部分は11レス目のメール欄にネタバレを入れておきますので
もしメル欄が見える設定になっている場合はご注意くださいませ
10分後くらいに投下させてください。
投下量多すぎてスレ荒しともいえますが、どうかお願いいたします。
使徒迎撃武装都市たる第三新東京市にも夕焼けだけは普通に来る。
いや朝焼けも普通に来るが、まあそれはおいといて、だ。
「アスカ、隼人さんは?」
「まだ寝てるわよ」
シンジの問いにあごをやって応えるアスカ。客間の端に毛布を被った大男…もちろん神隼人…が横になっていた。
「まったく神さんともあろう人が情けないわね」
『後で話してやろう…』
そうハヤトが言っていたのはもう6日も前の事ではあるが…
「そうは言ってもここ5日間、ずっとリツコさんと討論してたんでしょ」
「討論ねえ。まあシンジじゃ解るものも解んないか」
「悪かったね」
言いつつごぼうをササガキに切るシンジ。今夜は鶏鍋である。
前使徒との激戦の後、ズタズタのゲッターをケイジに格納したハヤトは「ちょいと野暮用でな」と言ったきりしばらく帰ってこなかった。
帰ってきたのは昨日の夜も夜、深夜二時を回った頃。いつもスーツか、或いは軍服をピシっと着こなしている伊達男が
よれよれのヨイヨイになって帰ってきたのだ。
『フッ……俺が保つかどうか』
そう言って鉛のように居間に倒れこんで、それっきりだ。
とりあえず毛布をかけて電気を消し、翌朝の朝食時に声をかけたが「…チェーンジ! ゲッター2!」としか返事が無い。
仕方ないのでそのまま学校に行って帰ってひと風呂入ったその後も、やはりハヤトはそのままだった。
「一体なにを話してきたんだか」
「ミサトさんもこないだからネルフにこもりっきりだしねえ」
「葛城一尉ならあいさつ回りと書類仕事でビッチリだ」
「わ」
ぬっと背後に現れるハヤト。シンジに水を入れてもらい美味そうに飲み干す。
「ハヤトさん大丈夫なんですか?」
「心配いらん。それより何か腹にたまるものを頼む」
さてこちらは毎度おなじみネルフ司令室である。
「碇、アダムはどうした? 早めに呑まないと成長を続けてますます呑み込みにくくなるぞ」
「カプセルに詰めさせて無事飲み込んだ。問題ない」
何故かやや背が低く団子鼻でヒゲで元配管工で頭文字がMのイタリア人が頭に浮かんだが、まあ良しとしよう。
「…とにかくゲッターGは修復不能なのだな?」
「まあN2爆雷の直撃を喰らった機体だからな。無理も言えんよ」
以前、ゼーレが神隼人を潰さんと派遣してきたゲッターG。神君が不意をつきN2爆雷にて処理を行ったハズだったが
なんと機体は原形をとどめていた。そこでネルフが秘密裏に回収していた、という訳だ。
神君がゲッターの駆動系に関する知識を持っていたのが幸いだったな。
『ゲッターGの前身にあたる初期型ゲッターも、水爆級の爆撃に耐えた実績があります』
とは神君の弁だが、いやはやATフィールドも無しにムチャな機体だ。
「修復中に無茶をさせすぎたか」
「どうせゲッター線収集施設は造れん。機体、いや炉心だけでは長く使えんよ」
「ああ。炉心、そして収集施設を建造できたのは今は亡き早乙女博士だけだからな。要らぬ期待だったか」
ゲッターロボに用いられるゲッター炉心は、無限と言われる可能性を秘めたエネルギーシステムだ。
電気代に悩む現ネルフにとってはノドから手が出るほど欲しいが…。
「暴走でネルフ本部が丸ごと消失するようなコトになれば手に負えん」
「そうだな。よく解らぬモノを無理して使うほどに事態は切迫してはおらん」
「前回の使徒についても減速が間に合わぬほどでは無かった。神大佐も無駄なスタンドプレーに過ぎん」
どこへ行く碇?
「ドグマだ。ダミーシステムの完成を急がせる」
「待て碇……赤木君なら当分手が離せんぞ」
「何?」
「先日ゲッターシステムを見せてしまったろう? 興味深々の態で研究室に篭ってしまったよ」
碇は憮然と鼻を鳴らす。赤木君も奴にとっては飼い犬に過ぎんハズだからな。だが
「赤木君から伝言だ。『後二日だけお願いします』とな。まあ当然だろう。研究者として心が躍らぬハズがない」
「冬月」
「もう一つ伝言だ。『もし研究の邪魔をするなら36と1通りの方法で例のアレを暴露させて頂きます』とな」
碇は一瞬だけ真顔になると、踵を返して地下へと降りていった。まったく…誰も彼も元気がよすぎるな。
「碇。ダミーシステムも良いが、正規のエヴァシステムも今少し充実させねば勝機は無いぞ」
使徒に対しても、ヒトに対しても、な。
「いや〜やっぱり食事は生命の源よね〜」
と鶏鍋をがっついているのは葛城ミサト女史である。隣では冷酒をちびちび舐めながらハヤトが砂肝を齧っている。
「ほう。シンジにも意外な特技があったな」
「だってハヤトさんもミサトさんもアスカも料理しないじゃないですか…」
「なんであたしだけさん付けじゃないのよ」
以前「レトルト料理ばかりで困る…」と発令区メンバーに相談した際に、冬月副指令が教えてくれた料理だった。
鶏肉とごぼうを出し汁で煮るだけの簡単な鍋だが、調味液…出し汁に酒、味噌、醤油を加えたもの…の具合次第で良い味が出せる。
『秘伝の味付けという奴だ。君が憶えていておいてくれると嬉しい』
副司令が好々爺のように笑っていたのを憶えている。
他にも簡単なレシピをいくつかプリントアウトして渡してくれた。
「冬月副指令がねえ…」
ミサトからすれば、碇司令と並ぶ「はぐれネルフ陰謀派」の片割れである。まあそもそも目の前の少年からして碇司令の息子なのだが。
小皿に残った出し汁を傾け、ついでぐぃっと缶ビールを飲み干す。
「おなかぱんぱんご馳走様! じゃ、おやすみ〜」
立ち上がった腕を引っ張られた。
「…何?」
「どうです葛城一尉。あなたも昔話を聞いていきませんか」
ハヤトのどうという事のない一言だった。しかしその眼に宿る光を見て、ミサトは座りなおす。
昔語りが、始まった。
セカンド・インパクト。
葛城探検隊が見つけた南極の巨人。すなわち「アダム」が起こした、巨大な…そう「波」だ。それは世界を嘗め尽くし、破壊した。
そんな中、比較的素早く復興を遂げつつある国があった。
日本である。
耐震建築と対水害の技術を積み上げた島国は、酷い被害を負いながらも手馴れたようにそれから復興を始めた。
技術は、それだけではない。
日本独自の技術。そうロボット工学だ。
いかなる荒地をも走破可能な二本の足と巨大な腕を備えた巨人達は、復興の為の大きな「力」となった。
その結実の一つ。
その最高峰として知られていたロボットがあった。
それが当時最新のエネルギー機関を搭載し、地形に応じた3つの形態へと可変可能なロボット…ゲッター・ロボである。
「憶えているわ…父は常々言っていたもの。"この世紀の探検が出来たのも、ゲッターロボのおかげだ”って」
「ふぅん。要するにゲッターロボが無ければ葛城探検隊は最初の使徒を見つけられなかった」
想い出に耽ったミサトへアスカが容赦なく言う。
「だからゲッターロボは悲劇の原因。悪者ってワケ?」
「アスカ!」
「だってそうじゃないのよ! ………まあセカンドインパクトが無ければ今の私も無い訳だけどね」
「………」
ミサトは応えない。一応アスカ流のフォローのつもりではあったようだが。
だいたいアスカにしてみれば、彼女が「選ばれた子供」となれた遠因…恩人でもあるのだ。ミサトの父親は。
「話を戻すぞ」
当然世界各国はそれらの技術を、特に無限エネルギー機関「ゲッター炉心」の技術を欲しがった。
しかし当然ながら日本はそれを拒否した。
「勿論利権もある。日本が官民を挙げて馬鹿馬鹿しいほど金をつぎ込んでようやく得た技術なのだからな」
「まあ、ボランティアじゃあ無いものね」
それに当時から既に資源が無い「技術のみで生きる」国だったのだ。
その技術を(限りなく無償で)解放しろ、というのは、死ねと言われるに等しい。
「だが話はそれだけではない。考えてもみろ「無公害で無限のエネルギー」などという都合の良いモノがあると思うか?」
「無かったの?」
「さあな」
結局、発見者にして第一人者であった早乙女博士その人でさえ、その全てを知るコトは無かった。
彼はとある偶然から見つけたこのエネルギーを「人類がサルから人間へ進化する為の一因となった」という大胆な仮説を立てて発表したが
当然、学会では冷笑されるばかりだった。転換期となったのはこれがエネルギーとして計り知れない価値があると解ってからだ……。
「進化の一因になった?」
「俺も知らんよ。ともかくエネルギーとして価値があるコトが判った後もしばらく冷遇は続いた」
その扱いがあまりにデリケートだったからだ。
だが博士は諦めなかった。
「その執念の形がゲッターロボ、か」
「そうだな。そしてセカンドインパクトが更なる転換期となった…悪い意味のな」
その執念が実るまでどれだけの労苦が続いたか。そんなもの、他人からすれば意味は無い。
結局ロボット製造技術は、その多くが様々な経路で流出していった。
しかしゲッターロボだけはそうはならなかった。
さっき言ったように非常にデリケートな、運用不安が多い機体に過ぎないからだ。
葛城探検隊に貸し出したのも、逆に言えばそれだけ葛城探検隊の成功率が低かった。というコトが言える。
だが他国からすれば、大事なコトは「あらゆる領域で活動可能な」「新型機関をもつロボットを」「日本が所有している」コトだけだ。
遂にとある国が暴発し、日本との戦争状態に入った。
「それが日本海戦争」
そう、第二の悲劇だ。
その戦争で俺は友をひとり失った。
お前達も見ただろう? ゲッターロボは3機に分離する機能を持っている。
1機につき1人のパイロットが必要なんだ。本来はな。
「あ。それ知ってる。私が日本を離れようとした当時アニメにもなってたのよね「3つの心が一つになれ〜ば〜♪」ってテーマの」
葛城一尉も、随分気恥ずかしい事を憶えていますな。まあいわゆるプロパガンダアニメの一種だったんですが、ね。
ともかく3つの力を1つに束ねる。それが俺達ゲッターチームのチームワークだった。
ゲッターロボはこの戦争に駆りだされ、そりゃあ大変な武勲をあげたさ。
その時の俺達は、まさしく英雄だった。
が…1人が死んだ。
特攻、だった。
しえん
「巴武蔵。ちょいと頭は悪いが良い男だったよ」
ゲッターは圧倒的な強さを誇ったが所詮寡兵に過ぎん。
度重なる攻撃にゲッターは傷つけられ、ついにでくの坊にされちまった。
早乙女博士は新型のゲッターを開発中だったが、完成まであと僅かな時間が必要だったんだ。
兵の絶対数に劣る日本は劣勢に追い込まれ、奴は独り、でくの坊と化したゲッターロボと共に出撃し、そして特攻した。
ゲッター炉心の人為暴走…だがそれが悲劇となった。
『国軍…日本海を埋め尽くしている……ザザ…海が3分、敵が7分だ…』
『クソッタレども! 俺たちをなめるなよ!』
ゲットマシンが出撃してゆく。俺も竜馬も乗っていないのに。
「やめろ! やめろ弁慶! 一人で行ってなんになる! 死ぬだけだ、戻れ、戻れ!』
「行かせてやれ。隼人君」
「博士、じゃああなたがムサシを一人で行かせたのですか…なんで俺も一緒に誘ってくれない! 何故俺も一緒に」
「甘ったれるな! 君たちにはもっと残酷な未来がある! その為にムサシ君は行ったのだよ!」
そのとき俺は、博士が何を言ってるのかすら解らなかった。ただ、ムサシが死にに行くコトだけは理解できた。
何故、俺も死なせてくれなかったのか、と、それだけを考えていた
『リョウ、ハヤト、さらば…後のコトは頼むよ……』
…爆発。
炉心の暴走は、それが地上なら地図に書かなきゃいけないくらい巨大なクレーターを造っちまった。
あくまで奴は時間稼ぎのつもりだった。完成間際の新型ゲッター完成までのな。だがその特攻は戦争そのものを終わらせるほどだった。
第一人者であるハズの早乙女博士にすら予想外の、絶大な威力だったよ。
それからが大変だった。
ゲッターは一夜で世界最悪の爆薬扱いになっちまったのさ。
幸い、この特攻で戦争は事実上終わったとはいえ、日本政府は『犯人を捕らえよ』と必死になった。
国際社会って奴に舞い戻る為にいけにえが必要だった。
『アバヨ、ダチ公!』
『先輩、後は頼みます!』
日本政府だけじゃない。
国連軍が「調停」と言って、ゲッターロボを止める為に一体の試作兵器を派遣した。
実際、そいつは強かったが大した敵じゃなかった。新型ゲッターが予想を超えるほどの化け物だったからな。
だがそいつは自爆を始めやがった。
黒い海が広がり、ゲッターさえ飲み込まれそうになった時…奴らは言いやがった。
『お前はこの後の時代の為に必要な人間だ……』とな!
なにがアバヨだ! バカ竜馬が!
ハヤトが拳で壁を叩く。さして古くもないハズのマンションの壁が、とうきび細工のように崩落した。
しえん
まさかのさるさん?
ゲッター支援!
どぉぉぉぉすんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ
今でも昨日の事より鮮明に思い出せる。最強だと思ったハズの機体が黒い海に呑まれたあの時を
『ヤバイぜリョウ! ゲッターの出力が上がらねえ!』
『へ、さっきまであんなにご機嫌だったくせに何ヘソまげてんだコイツは!』
『先輩、もうこ、腰……アーまで…』
『おいベンケイ! やべえリョウ、これじゃ新入りが持たねえぞ!』
既にゲッターは腰まで黒い海に呑まれ…徐々に、徐々に、沈みこみ始めていた。
『…ハヤト、手に乗り移れ』
ゲッターの手が、中央にあるゲットマシン2号機コクピットへと掌を伸ばす。
『もう胴から下は…駄目だ。上半身だけ離脱する』
『それじゃリョウマ、テメェ新入りを、ベンケイをどうするつもりだ!』
『手前が先に乗らなきゃ3号機に手がやれねえだろ!?』
『そ、そうです、先輩、い、急いで』
『ベンケイ!?』
急遽ムサシの代役として選ばれた男、3号機パイロット車弁慶の声が聞こえる。
『こういうのは年齢順ってね…さ、は、早く』
『ベンケイ、てめえ!』
『もういいから黙ってやがれハヤト!』
『ウホッ!?』
ゲッターが自らの腹部に拳をブチ当てる。さすがの衝撃にハヤトも意識が遠くなりかけた…その隙にだ
ゲットマシン1号機が遠隔操作で2号機のハッチを解放。
ハヤトを、掴み出す。
『て、て、め、え、ら』
『…へ。悪いがお前はこの後の時代の為に必要な人間だ……』
拳がゲッターの顔まで持ち上がる。薄れ行くハヤトの意識に、コクピットの男の顔が、見えた気がした。
『バカな……俺を、俺を置いていく…つもり、か……』
コクピットの先の、笑顔までもが見えた、気がした。
『アバヨ、ダチ公!』
『先輩、後は頼みます!』
ゲッターが隼人を放り投げた瞬間、黒い海が爆発的に広がり…そして唐突にゲッターロボと共に姿を消した。
遥か彼方に放り投げられた隼人と、そして…崖の上から一部始終を見ていた二つの影を残して。
彼らは、消えた。
>>603-606様
済みませんこれに引っかかってました
ttp://info.2ch.net/wiki/index.php?Good-By_Monkey 「…なにが、アバヨ、だ…」
「そして最後にようやく首謀者が現れた。それがゼーレだ」
男が、隼人の言葉を継ぐ。
「…ふん。ようやく来たか」
「加持さん!」
「げ。加持」
ビールを片手に現れたのは、ネルフ所属であり日本政府の密偵であり、そしてゼーレの走狗でもある男…加持リョウジであった。
「ゼーレが直接乗り出したのが、そもそも失敗だったのだろう」
誰も居ない司令室で、冬月はひとりごちる。
「だが思わずそうしたくなるほどに、それほどまでに強烈なモノがゲッターロボには、ゲッター線にはあったのだろうな」
手元の古い記録を辿るたびそう思う。それはゼーレとネルフが結びついていた頃の最後の記録だ。
「早乙女研を追い詰め、その手足を一本ずつもぎとっていった…その最後の仕上げの場面か」
流竜馬とゲッターから弾き出されたその足で駆け戻った神君の目の前で、早乙女研究所は消失したという。
最後を悟った早乙女研は侵攻してきたゼーレの手勢諸共に研究所の炉心を暴走させた。
まさに「地獄の釜のフタが開いた」としか、言いようが無い光景だったと聞く。
しかしそれはゼーレにとっても地獄の釜のフタだった。
その後一年を待たずして復讐鬼と化した神君がゼーレの中枢を探り、その事如くを叩き潰したのだからな。
そもそもゼーレと言う組織は、国連の更に上位の組織、影の組織だ。
その正体どころか名前すら知るものは少なく、多少なりとも知るだけで「戦おう」と考えるほど馬鹿馬鹿しい権力があった。
だが神君の怒りはそれすらも凌駕したのだ。つくづく人間とは底知れぬ生き物だと思うよ。
現に今も、そうやって組織を完全に破壊されたハズのゼーレが我々の前に立ちはだかっているのだから。
彼らもまた復讐心に燃えているだろう事は想像に難くない。
「ゼーレって…」
「“使徒がネルフ地下のリリスに触れる時、サードインパクトが発生する”。シンジ君も聞いたろう?」
言ったのは加持だ。
リリスを守る為の特務機関がネルフ。そしてその支配者であり資金源となっていたのがゼーレである。
「もっともゼーレは十三年前に彼が滅ぼしてしまったがね」
言って加持はハヤトを見やる。彼は黙って紫煙をくゆらせていた。
「だが疑問に思ったことは無いかな? 何故“サードインパクトのコト”をネルフが知っているか」
それはセカンドインパクトの真実、ネルフが語るその先の真実をもネルフが知っているからだ。
セカンドインパクトも、使徒も、リリスも、エヴァも、すべては誰かのシナリオに描かれた存在だからだ。
「まさか」
「使徒、エヴァ、ゲッター。既になんでもありの状況だ。その状況すら予言していた書物があったのさ」
ま、ゲッターだけはシナリオの外らしいがね。とは加持の談だ。
「そのシナリオが裏死海文書。ネルフもゼーレもそれに従って行動している。だからどんな突飛な事態に対しても対応している」
「ちょ、ちょっと待ってよ加持、ならあたしの父さんは…」
「葛城。悪いが少し待て」
加持はいきりたつミサトを押しとどめ、シンジへと目線を向ける。
「そんなコト…なんで僕が、知らなきゃいけないんですか」
「それは君がこのネルフを統べる碇ゲンドウの息子であり、またエヴァ開発者である碇ユイの息子だからだ」
「か、母さんは…」
確かに母は研究者だった。そして研究中の事故で死んだ。
「君は、全てを知る権利、いや義務がある」
「待ってよ加持さん! じゃ、じゃあ、あたしは…」
置いていかれた状態のアスカが、たまったものじゃないというように声を上げた。
「アスカ。君も当然知っておいた方がいい。いずれエヴァは狙われるからな」
「し、使徒に?」
「違う。ゼーレにだ。老人達は生きている」
「全く…ゴキブリのような連中だ」
ポケットから煙草を取り出しながら、吐き捨てるように隼人は呟く。
「老人達の支配から解かれた碇司令は“誰かのシナリオ”を自分に都合よく利用するコトを考えている」
「その望みは解らない。だがゼーレと敵対している」
「今の碇ゲンドウはゼーレの敵だ。だから俺はここにいる」
紫煙を吐き、ハヤトは呟くように告げるのだった。
一方こちらは馴染みの闇。ゼーレの集会所である
『左様。もはや戦争しかあるまい』
七体の石柱の一つに映る姿。
車椅子に座る黒衣の老人がぶつぶつと呟くが、ゼーレの元老たちはいつものように無視する。
『神隼人によるゼーレの崩壊、そして碇の公然たる反逆』
『諸君、冬月先生のコトを忘れておらんかね』
『碇のオプションがどうかしたか』
『とにかくシナリオは順調に進んでおる』
『ふふ……身体が軽い。確かに往年の力こそ我らには無い。だがこうやって地獄に落とされたせいかな?』
『そうだ。身体が、いや、魂が若返ったように思えるよ。今の我らに為せぬコトなどなかろう』
『エヴァ量産型の設計は順調だ。S2機関搭載型としてね』
『S2? サンプルは手に入れたのかね?』
『碇が米国支部へ送った物がある』
『やれやれ。ただの機動兵器として建造するならゲッター炉心を積めば良いが』
『儀式に使う機体だ。S2以外の何者にも代用は出来ぬよ』
『ではそのように進めよう』
『碇とてシナリオを逸脱する事はできぬ。奴にしても使徒は怖かろう。己の全てが徒労に帰するなど怖かろう』
『奴の目的は知れておる。亡き妻に妄執するなど』
『全ての生命を地獄に落としてでも、か』
『だが使徒を排除せぬまま補完を行うこと。その危険性は奴も承知していると見える』
『ならば未だ時は残されていると見るべきだ』
『そして我らにはシナリオを決めるカギが残されている』
石柱達は次々と言葉を吐く。その言葉は人類全てを愚か者と断じ、そして哀れむ声であった。
『人類は贖罪せねばならぬ』
『争い、戦う』
『敵対する種族のみならず、同族のみでも戦いあい罵りあう。いや己自身の中でさえ罵りを行う』
『哀しいではないか。あまつさえその戦いが、ヒトをより強く強く進化させてきたなど』
『哀れではないか。その進化に喜びを感じてしまうコトなど』
『それが我らが原罪であると?』
『それが生まれもった罪ならば変えられぬ。だが生まれそのものを変える手段を我らは手にした』
『これもまた罪かもしれぬ。だが罪を罪と自覚し、変えるべく行動する我らがココにあるコトは』
『それもまた意思なのだ。何者かの意思なのだ』
『故に我らは意思に従う。ヒトの罪を消滅させるこの意思に従う』
『例えそれが世界最後の夜明けへと繋がるとしてもだ』
「…ろ、老人達はやっぱりバカだよね。コーウェン君?」
甲高い声が上がり、暗がりに反響してゆく。
「よ、より強くあれ。より強く進化せよ。そ、それが人の意義、ゲッター線の意思であると解らぬ者達でもあるまいに」
「ブフフ…ゲッター線は彼らの神ではないからねぇ。だからといって神の声を無視するなど預言者失格だよね」
野太い声が、朋友の甲高い声にあわせるように釣りあがる。
「ね? そうだろう? スティンガーくゥん?」
「う、うん。コーウェン君」
ゼーレとは別の暗闇に二人は居た。
「預言者失格だよ。よりにもよって神にも近いこの存在さえ、たかがプラント扱いだしねえ」
だが彼らは聞いていた。ゼーレの声を、いや全ての声を聞いていたと言ってもいいかも知れない。彼らもまた、人間ではないのだから。
彼らに応えるように暗闇に呻き声が低く遠く響く。それもまた人間の声では無かった。
「早乙女博士はゲッター理論において我々の一歩も二歩も先を行っていた…」
「だが、まさかコレを完成させるに至るとは」
「「己の犠牲すら進化の糧とするとは、まさにゲッター線の使者に相応しき男であった!」」
二人の唱和が闇に響く。彼らでさえ近づけぬ存在が闇に、潜む…。
「その犠牲を我々は完成させなければならない。そうだよね。ね、スティンガーくゥん?」
「け、研究は発表されなければ報われないものね。ね、コーウェン君」
「その為には役者に揃ってもらわなければならぬ」
「その為には舞台を整えねばならぬ」
「「そう、全ては世界最後の日を迎える為に!!」」
闇へ響く。
それは日本地区浅間山の地下、悲劇の現場となった早乙女研救所の遥かな地下……。
闇を喰らい、鉄を喰らい、己を生んだ者達を喰らい、使徒をも喰らって目覚めの時を待つ巨人。
真・ゲッタードラゴン。そう呼ばれる異形の巨人の声であった…。
終わり?乙でした
気付いておられた方もいらしたと思いますが、本作では鬼やインベーダーの襲来は発生していません。
竜馬達は(ゼーレに裏から操られていたとはいえ)「人間」と戦っていたのです。加えて早乙女研が敗北した、
というように話が流れています。問題だと感じられた方、筆者の力量不足ゆえです。誠に申し訳ございません。
なおムサシもやはり戦死です。ネオゲよりも少ないです。申し訳ない。
次回は通常運転に戻ります。
しかし今思い起こしてみると偽桜田版(冒険王版)グレートマジンガーみたいな話でしたね…。
来るべき近未来。
今、人は第二の滅び「セカンド・インパクト」を乗り越え、たくましき活況の中にある
だが、その闇に潜み、激しくぶつかりあう二つの力があった。
生命消失を策謀する謎の生命体「使徒」。
かたや、彼らに対抗すべく世界各国より集められた正義のエキスパート集団「NERV<ネルフ>」
…そしてその中に、史上最強の汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンを操縦する一人の少年の姿があった。
名を、碇シンジ!
『砕け! エヴァンゲリオン!』
「………」
勇ましいテーマと共に使徒を薙ぎ倒すエヴァ初号機が駆け、そして緊張に包まれたネルフ発令区へとシーンが移ってゆく。
ちなみにシンジの発言はすべて吹き替えで勇ましい発言に変わっているが…。
「冬月。この動画を公開しようと考えている」
「黙れ碇。そもそもこんなモノをつくる暇があったら仕事をしろと言っているだろう」
だいたいネルフは国連直属の非公開組織だろう。と、冬月は碇ゲンドウへと苦言を呈した。
「だが予算が足りん。そして、既に度重なる使徒襲来によってネルフの存在は半ば公然の秘密となりつつある」
「だからと言ってこれで国民の機嫌がとれるとでも思っているのかお前は」
「ふ…問題ない。全ては脚本通りだ」
「それは洒落で言っているのか碇」
「ですが冬月先生」
「…確かに。十三年前に同じ手が通じたことは事実だがな」
『だがあれはセカンドインパクト直後で娯楽が少なかったが故ではないのか?』
そう冬月が口にしようとしたその時、流しっぱなしの動画が急に乱れる。
やがて使徒襲来を告げるサイレンが鳴り響いた。
617 :
第十一話2:2008/10/31(金) 22:35:07 ID:???
「状況はどうなっている?」
「パターン青、使徒です」
「極性サイズの使徒が、シグマユニットの第87蛋白壁の一部に混入・偽装して侵入した模様」
「蛋白壁より侵食が進んでいます。爆発的なスピードです!」
まさか使徒に侵入されたというのか? いかん。いかんぞ
「セントラルドグマを物理隔離だ。急げ!」
「エヴァへの汚染を防げ。初号機を最優先で地上へ射出。他二機は破棄しても構わん」
碇がまた無茶な指示を出す。だがエヴァ初号機なくばそもそも我らの補完計画は意味を成さぬ。止むをえんか。
「汚染が進めば最後だ。急がせろ!」
「了解。セントラルドグマ物理閉鎖。及び初号機を地上へ射出。開始します」
使徒によるドグマの占拠は敗北と同意だ。これで王手は避けられたが、さてエヴァ無しでどう攻める。碇?
「彼らはマイクロマシン、細菌サイズの使徒と思われます」
ゲッター線研究で篭りきりだった赤木リツコ博士を叩き起こし、使徒対策に当たらせる。
要はウィルスのようなモノのようだが、同時にコンピュータ・ウィルスにもなれるらしい。まるで一昔前の冗談のようだな。
だがその侵攻速度は冗談ではなく、既にネルフメインコンピュータ「MAGI」の一角に侵入しつつある…。
第七世代有機コンピュータ「MAGI」
人類が開発した初の人格移植OSで動作し、ヒトの思考を模して思考する。
メルキオール、バルタザール、カスパーと名付けられた三機のコンピュータで構成され、合議制を行うのである。
なお人格提供者は、今は亡き同開発者「赤木ナオコ」博士…現開発部部長赤木リツコ博士の母である…。
「死ぬ前に母さんが言ってたわ。MAGIは三人の自分なんだって」
「科学者としての自分、母としての自分、女としての自分。その3人がせめぎあってるのが、MAGIなのよ」
618 :
第十一話3:2008/10/31(金) 22:36:34 ID:???
「止められません! MAGI-メルキオールが使徒に乗っ取られました!」
「MAGI-メルキオールより本部施設自律爆破、自爆指令が提訴されています」
「賛成1・却下2、自律自爆却下されてました…使徒は今度はMAGI-バルタザールへ侵入を開始!?」
早い。使徒のハッキング速度は人間業ではない。さすが人間でないだけのコトはあるな。
これに対し作戦部は「MAGIの物理除去」つまり破壊を提案する。
即決即断で定評がある葛城君らしい提案である。
その背後では既に神君以下、特殊作戦課が嬉々として大量の爆薬とドリルを運びこみつつある。
だがMAGIが無くなれば、第三新東京市の迎撃機能どころかエヴァの運用さえままならなくなるだろう。
それだけではない。我々の補完計画を進める上での研究もまだ終わっては居ない。
MAGIの破棄は本部破棄と同意であり、そして碇の計画の破棄でもあるのだ…。
「目標がコンピューターそのものなら、CASPERを使徒に直結、逆ハックを仕掛けて、自滅促進プログラムを送り込むことができます」
そう。まだメルキオールの大半とカスパーが残されておる。
カスパーで逆ハッキングをしかけるという訳だな。
俺はこちらを支持するが、どうだ碇?
「冬月、3行で説明を頼む」
碇。もういいから黙っていろ。
619 :
第十一話4:2008/10/31(金) 22:38:22 ID:???
「暇ね……」
発令区要員の殆どがMAGI内部への直接接触作業へ移行してしまったので、発令区ががらんとしてしまった。
でもすぐ慣れると思う。だから心配するなよド…いやもとい。オペレーターの一部と手持ち無沙汰の作戦部がたむろする程度だ。
阻止に失敗すればジオフロント・エリアが丸ごと吹き飛ぶ。逃げる時間も無いので現実感も無い。
ただ死…あるいは生へのカウントダウンが他人の仕事で進むだけである。
「………」
正面スクリーン上では「メルキオール・バルタザール・カスパー」の侵攻状態を示す画像が呈示されるばかりだ。
既にメルキオールとバルタザールは「使徒侵攻」で真っ赤。カスパーの半分程度が青いだけである。
「……3つの心、か」
ふと葛城君が呟く。
うむ。何か心に響くフレーズだな。さて何だったか…
「ガン! ガン! ガン! ガン! 若い命が 真ッ赤に燃え〜て〜♪」
突如、静寂を破って葛城君が拳を固めて叫び、いや歌いだした。これは、これは確か…
「葛城君。どうしたかね?」
「ゲッタースパぁーク〜空高く〜・・・・あ。いえその、なんていうか」
「発令区でバカ騒ぎを始めるとは。申し開きはあるかね?」
碇が叱責を始める。しかし
「「見たか合体! ゲッターロボだ!」」
その背後で作戦部要員も歌だした。この曲はまさしくイサオ=ササオの名曲「ゲッターロボ!」か。
「いやその、なんていうか皆緊張しちゃってるので緊張をほぐそうかな〜と」
「葛城君。減俸3ヶ月だ」
容赦ないな碇。だが作戦部の歌は止まらない。むしろヤケを起こしたように唱和が、始まった。
死を伴った緊張に、さすがに誰も彼も耐えられなくなってきたらしい。
「「「「ガッツ! ガッツ! ゲッター・ガッツ!!!」」」」
一人、神君だけが離れて苦笑していた
620 :
第十一話5:2008/10/31(金) 22:38:55 ID:???
『『『『ガッツ! ガッツ! ゲッター・ガッツ!!!』』』』
歌声は、遥か下で作業を続ける技術開発部チームまで響いてくる。
「先輩、この歌って…なんでしたっけ」
ぽやっとした調子で言ったのは技術開発部の秘蔵っ子 伊吹マヤ二尉である。
「ゲッターロボ! ね。なんだか懐かしいわ」
先輩と呼ばれた女性、技術開発部赤木リツコ女史がキー操作を止めずに応える。
『『『三つの心がひとつになれば〜 一つの正義は・百万パワー♪』』』
「母さんもよく聞いていたもの」
「お母様って……もしかしてMAGIシステム開発者の赤木ナオコ博士ですか?」
「そうね」
「コンピュータ開発の世界的権威がロボットアニメって、なんだか意外ですね」
「あら、先端化学者…特にロボット開発者がロボットアニメ好きだった、なんて話は結構あるのよ?」
モニタから目を離さず、一瞬もキーを止めず、それでも懐かしげにリツコは語る。
「母さんね、あれで結構子供っぽいところがある人だったから…子供というか、のめり込みやすいというか
だから、なんの気なしに見たロボット・アニメに妙にハマっちゃったらしいわ。早乙女研でサイン貰ったって喜んでたもの」
ゲッターロボ。それはセカンドインパクト後の荒廃期にNSHKが作成した連続テレビアニメで
3人のヒーローが乗り込む3体合体ロボット「ゲッター・ロボ」と、地下から現れた「恐竜帝国」との戦いを描いた物語であった。
…当時、ゲッターロボの広告活動の一環として作成されたテレビアニメだが、そのコミカルながら熱い熱気を放つ物語は
老若男女問わず評価が高く、特に放映時がセカンドインパクトから間が無く娯楽に乏しい時期だった事もあり
現実のゲッターロボが「核以上の脅威」として遠ざけられるまで、視聴率上位に居続けたという。
「母は研究一筋の人で、私はずっと祖母と暮らしていたわ…だから、たまに逢ったときの印象は強く残っているのかもしれないわね」
珍しく饒舌になるリツコ。しかし表情が一変する。
「え……? メルキオールが…?」
「バルタザール及びカスパーも同調しています! 先輩!?」
621 :
第十一話6:2008/10/31(金) 22:40:08 ID:???
さてこちらは発令区スクリーン。
使徒に汚染され、赤一色に染まっていたハズの「MAGI」に僅かに青が生じ始める。
「「「悪を許すなゲッターパンチ! ゲット! ゲット! ゲッタ〜ゲッター・ロボ!♪」」」
「いよっし青くなってきたわ!」
「続いて2番!」
発令区要員も作戦部要員も、手の空いている者達は手を組み肩を組み、既に発令区は合唱コンクールの様相を呈している。
葛城君にいたっては、どこから持ち出したのかガクランを羽織ってハチマキを巻き、扇子で音頭を取っている程だ。
神君のみ一人やや気恥ずかしげだが、作戦部一同で中央にがっちり羽交い絞めである。
彼も大変だな。
しかし。
「碇、何か動きが早すぎやしないか?」
確か二時間程度処理にかかると言っていたハズだが、まだ一時間少ししか経っていない。
「ガンガンガンガン………あ、ああ何だ冬月」
「……もういいからお前も合唱に加わって来い」
『『『ガン! ガン! ガン! ガン! 若い怒りが一直線〜に〜〜〜♪』』』
「嘘、勝手に自己修復プログラムが走り出した?」
わ、私入力して無いわよ!?
「先輩、カスパーだけじゃありません! 汚染されたはずのメルキオールとバルタザールまで自己修復プログラムを!?」
「カスパー、メルキオール、バルタザールが同時実行という事?」
妙だわ。プログラムの打ち込みはまだ終わっていないのに。
まるで進化する使徒の侵攻に対して、MAGIが自らを…自らを進化させている?
それだけじゃない。3つのMAGIが一心不乱にただ一度に同じ様に考えている!? 自ら使徒を隔離し再生を始めている?
母さんの3つの心が一つになっているとでも言うの!?
「先輩、メルキオールが!」
母さん、MAGIは、貴女の心は……いや、これは、これは?
しえん
スピーカーからも突然「ゲッターロボ!」が流れ出し、更に全モニターで一斉にゲッターロボ(アニメ版)の動画が流れる。
「何の冗談かね」
「何よコレ、リツコの差し金かしら…何にしても燃えるわね!」
「「「「若い怒りが一直線に〜♪ ゲッター・チェンジ、ぶちかませ!」」」
葛城君以下、もはや完全にカラオケの調子で歌っている。
碇、お前も歌いたいなら行っていいんだぞ?
「ああ…ああ」
と碇をからかっていると、発令区最上部、つまりココにエレベータが上がってきた。
乗っているのは…金髪。赤木君……だと?
「赤木君、処理はどうなっているのかね!?」
「……」
心ここにあらずの碇はさておき、思わず私は声を荒げた。だがリツコ君は力なく首を振る。
何? MAGIが自己再生を始めた?
「MAGI第4の人格が目覚めました……もう、手を施す必要はありません」
「第4の、人格?」
「はい。科学者としての母でも、母親としての母でも、女としての母でもない……一心不乱にただ一つに打ち込む人格です」
珍しく赤木君が口ごもる…が、やがて意を決したように告げた。
「は、母の……お、オタクの、心です」
私が思わず足からズッコケてしまった時、丁度MAGIは3台とも青パターンを取り戻す。つまりは使徒消滅と自律自爆解除である…。
遠ざかる意識に「3つの心が一つになれば」という歌詞が遠くエコーするのだった。
なお後ほど伊吹君に聞いたところ、その後作戦部主導でネルフ一同カラオケに繰り出したらしい。
まったく。気絶した老人をほうっておいて出かけるとは敬老の精神が足りんと思う。
それだけではない。
カラオケなら駅前にある「ネオ・アトラン」の常連割引券を私が持っていたというのに…。
本日ここまで。某動画のワンシーンを見ていたら自然とこんな話になっていた。
今は反省している(youtube)
ttp://jp.youtube.com/watch?v=vvZ38RQ3hN8
592
今ふと思ったが「第 十話をNG」すると十一話以降も見えなくなるな
ちょwww
原作のこの回好きだったのに180度ぐらいかわっとるwww
こんなしょうもない手段で使途倒すなw
GJです
いろいろ楽しい回だったwwww
エヴァの歌における重要性と三位一体のゲッターが合わさったいい話だ。胸躍るね
しかし、毎回超速の投下凄いね。もうちょっとゆっくりでもかまわないんだぜ。ありがたいからj問題は無いけど
乙でした
乙です。ROMばっかで申し訳ありませんが今回も楽しませてもらいました
>某動画
古くから居る人なら知っているかもしれないけど、それ初代スレでここの支援用に作ったMADっす
こんな形で反映されようとはw
魂が受け継がれた瞬間に我々は立ち会っているんですね
>>626 それがですな。
連続で書かないとどうも勢いがだんだん無くなる感じがするんですよ。
生き物でいうとマグロみたいな感じで(マグロは泳いでないと呼吸できなくて死ぬそうな)。
>>627 そんな素晴らしいモノで妙な話を作って申し訳ない。ていうかいいですよこの動画。ホント
時を超えたか
やるじゃねぇか!じじい!
色々あったが使徒殲滅には成功した。というか実質MAGIが取り込んでしまったようなモノだが大丈夫なのだろうか?
赤木君に聞くと「問題ありません」と碇ばりの対応をされてしまった。
見た目には以前のMAGIと変わらんようだが…。
「しかしMAGIにこんな機能があったとはな」
「3つの心をひとつにし、同時にひとつの事に当たる。多数決で合議を行うMAGIシステムを有る意味で根本から否定するシステムです。
仕様書から見てMAGIコピーには含まれておりません……いわばオリジナルMAGI専用の裏コードのようなモノのようです」
ふむ。まあゼーレに報告する義務は無いのだし放って置いても構わんか。
こういう時には独立のメリットを強く感じるな。というか今回の件を、もしゼーレに説明する破目になっていたらと思うと脂汗が出る。
おそらくキール議長の粘着質な追求と碇の得意の陰謀術数の板ばさみだったに違いない。
やはりサンドイッチが一番怖いな。
と思ったらまたシナリオに無い事態が発生した。
ネルフ北米第二支部が、S2機関修復及びエヴァ4号機への搭載実験中に「消滅」したのだ。
ちなみにS2機関とは正式名称をスーパー・ソレノイド機関といい、あの使徒の動力源と思われている謎の物体である。
以前碇の息子(と同乗したセカンドチルドレン)が洋上にて撃破した使徒から回収し、比較的予算に余裕がある
ネルフ北米、その第2支部にて修復実験を行っていた。
が。これで、終わりか。
せっかくネルフ本部の発電機関として期待しておったというのに……第二東京電力に菓子折りでも包んでおくかね
なに? 水道代と電話代だと? そこはろ過装置と狼煙と糸電話でなんとかしておるよ。
これでも年の割には頑丈なのでね。
さて一応データは北米第一支部に残っているそうだが、正直、敬遠させてもらいたいとしか言いようが無い。
やんわりと断ったが、今度は第一支部で建造中のエヴァ3号機をこちらに回すと言ってきた。
4機目のエヴァだと? 正直、3機あれば戦力は足りるし導入時の重量税や運用時の維持費用も馬鹿にならん。
丁重に『おことわりします』と返信しようとしたが、米国支部長がお中元をセットで付けると言ってきたので碇が受け入れを決めてしまった。
支部長はなかなか日本文化に堪能なようだな。要チェックしておこう。
それと碇。お前の今日の昼食はカキフライ抜きだ…さて。
『司令、ご執務中申し訳ありませんが』
碇へ緊急通信が入った。うむ。まあいつものパターンだな。
だが今にして思えば、これがトドメのシナリオクラッシャーとなった。
「パターン・オレンジ。ATフィールド反応無し」
「観測所は探知できず。直上にいきなり現れました」
「新種の使徒かね?」
発令区に移動すると青葉君から「おはようございました」と挨拶が来た。
「碇」
「ああ……問題ない。減給だ」
硬直した青葉君を放置し状況を確認する。ATフィールド反応が無いだと? だがあの外見は…
「どう見ても使徒……ですよね」
マヤ君。私もまったく同意見だよ。
その外観は「浮遊する黒い球体」である。また全体に白いラインが縦横に入っている。
まあそれだけならマーブルチョコのようなモノなのだが、サイズは明らかにそこらのビルより巨大だ。
オマケにふわふわと落ち着き無く浮遊している。明らかにどこからどう見ても確定的に使徒としか言いようが無い。
『みんな聞こえる? 目標のデータは送った通り。今はそれだけしか分からないわ。
慎重に接近して反応をうかがい可能であれば市街地上空外への誘導も行う。先行する一機を残りが援護。よろしい?』
作戦は以上。
『戦いは男の仕事ッ!』
『…まて! シンジ、そいつに不用意に攻』
珍しく血気にはやる碇の息子、そしてこれまた珍しい焦った声の神君……やがて悲劇が起こった。
碇の息子が駆る初号機が、使徒の黒い影、いや「黒い海」に飲み込まれたのだ。
それからが大変だった。
ここまで使徒殲滅作戦の主力であった初号機とそのチルドレンの消失である。
まず葛城君が口から盛大にビールを吹き、それを吹きかけられた伊吹君が昏倒。加持君は操作盤にポテトチップをこぼし
青葉君がここぞとエアギターを奏で日向君はパターン青を連呼。赤木君はMAGIに向かってゲッターロボのテーマを熱唱開始である。
レイの零号機はN2爆雷をそっと取り出し、アスカ君の弐号機はぼろぼろの野戦コートに目一杯武装を詰め込み
碇の貧乏ゆすりで発令区に地震が起きるわ始末であった。
どうやらあの使徒の球体部分は「影」に過ぎず、
影に見えた地上の黒い平面こそが「本体」だったらしい。
直径680メートル、厚さ約3ナノメートル。その極薄の「本体」を、内向きのA.T.フィールドで支えている。
…と赤木君が説明を始めると同時に亀裂が走る。
「初号機の、暴走か…?」
「ああ。勝ったな」
解ったから碇。貧乏ゆすりを止めろ。
それとお前が心配していたのは初号機か、それとも…
「いや…待て冬月」
地上に降り立ったのは使徒の体液に塗れた初号機。
そして見知らぬ、しかし強力そうな、凶悪そうな、力に満ち溢れるような……悪魔の翼を持つ、赤い、巨人。
今度は赤木君が口から派手にコーヒーを吹き、吹きかけられた伊吹君は何やら満たされた表情。
葛城君はここぞとビールの一気飲みを始め加持君はスイカを切り分けて振舞いだし、日向君と青葉君はコントを始める
レイとアスカ君は川辺に移動して殴り合い、いよいよ碇の貧乏ゆすりで発令区に亀裂が入り始める。
何だ、いや見覚えがある。
神君が、叫ぶ。
「ゲッター…まさか真・ゲッターだと!?」
スクリーンが切り替わり、獣のような叫びが轟く。
『どうなっていやがる! おい! ここは日本か!?』
叫んでいるのは明らかに日本人の容貌である。見覚えのある顔だ。確か十三年前に見た顔だ…
『お、落ち着いてください…えーとえーと』
『お、落ち着いてください先輩!』
『黙れ! 誰か俺に解るように説明しろォーーーーーーーーーッ!!!!!』
ネルフ発令区を震撼させるその声は、まさしく元ゲッターチーム・リーダーの流 竜馬の声<ボイス>であった。
ようやく出せました…本日これまでで。皆様のご支援がエネルギーです。はい。
おおおおお遂に!?
ネルフの面々が混乱しすぎだwwwwwww
ゲッターに乗ってるのは竜馬と弁慶と…他にいたっけ?
とにかく乙でした
リョオオオオオマアアアアア!!
ついに主役が登場しやがったぜーッ
>>638 シンジのつもりで書いたがキャラ付け甘くて誰か解らなくなっていた。今は反省している
ゲンドウの貧乏揺すりで揺れるとかどんだけ安普請なんだよとか思ったのも束の間、
みんな待ってた流竜馬と真ゲッターと車弁慶!分かるように説明しろも何も説明自体まだしてねーっつーの。
アイツらが帰ってきやがった、しかも真ゲッターと共にwww
だが、この貧乏&駄目駄目なネルフで真・ゲッターのメンテが
出来るかどうか、それが一番心配だ……
ネルフだけではない。ここの場合、隼人も寝言でゲッター2って叫んだり嬉々としてドリルを運び込んだり
ラミエルのドリルを羨ましそうに眺めたりする仕様だから・・・・・・・
つまり何が言いたいかというと竜馬もダメ人ドワオ!
まて!こいつは罠だ!!
『黙れ! 誰か、誰か俺に解るように説明しろォーーーーーーーーーッ!!!!!』
『ォーしろォォォォーーーーーしろォォォーー!』
さて嵐のような一夜が明けた。
説明を要する。と叫び、斧を片手に大暴れを始めた真・ゲッターにより第三新東京市の被害は甚大。
説明を行え、と叫ぶのは構わん。
だがこちらの説明を聞かないというのはどういう事だろうか。
「俺がバカだった!」
いいから神君、君もちゃんと説明してあげたまえ。
大暴れするゲッターロボに対し、第三新東京市は捕獲ネット・爆撃・砲撃・放電・落とし穴・膝カックンとあらゆる手段で対抗したが
それでも真ゲッターの勢いはとどまるところを知らぬ。
結局、元ゲッターチームである神隼人君自らビィートT32で直接通信を試みることでなんとか事態の沈静化に成功。
しかし被害を受けた市街地が直るわけではない。ゲッターを建造した早乙女研も今は亡い。この損害はどこに請求すれば良いのだろう。
何? 更に追い討ちをかけるようにパイロットが生身で大暴れ?
安全の為に武装解除を命じ、保安要員をさしむけたのが気に障ったらしい。
『俺はやってない! 俺じゃない! 俺じゃないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!』
と叫んでこれまた大立ち回りである。なにかトラウマにでも触っただろうか。
保安要員がダース単位で吹き飛び、ならばと神君が生身で立ち向かったが、やはりその巻き添えで保安要員がダース単位で入院となる。
葛城君。ビール呑みながら観戦している暇があったら君も確保に向かいたまえ。
それと碇。私も入院してきていいか?
「ああ。問題ある」
そうか。
「…流竜馬二尉、及び車弁慶三尉はどうしている?」
「とりあえず私の宿舎につれていき事情を聞かせました。今は落ち着いています」
とは神君の弁だ。しかしあの野獣のような男が落ち着いている姿など想像も出来んが…
「時を越えた、などと聞かされればおとなしくもなりますよ」
646 :
第13話2:2008/11/05(水) 00:15:15 ID:???
■葛城ミサトのアパート兼碇シンジ他自宅
「そうか……」
「まさかそんなことになっていたとはな…」
ボロボロの作業着にも似た制服の男が二人、うなだれる。
「まったく心配かけやがって。お前らは世間的に死んでいたんだ」
しかし神隼人は容赦の無い言葉を投げかけた。彼らしいといえば彼らしい言葉である。
「死んでいた、か」
「どのくらいだ?」
「ああ。十三年だ」
隼人の一言に、思わず男たちは気色ばむ。
二人とも同じように制服……旧早乙女研究所制服に身を包み、同じように短く刈った黒髪に黒い瞳、濃い眉の日本人である。
だが印象はそれぞれに違う。
「そんなバカな」
片や、すこしばかり余裕のある体躯にしもぶくれ気味の顔。
それだけならただのメタボリックだが、まるでオタマジャクシのような太い眉毛の下の瞳に宿る力が、それだけで男を精悍に見せている。
…元ゲッターパイロット候補生であり最後のゲッター3パイロット「車弁慶」が彼の名だ。
「俺達が夢でも見ていたってのか?」
片やこれまた巨漢だが、格闘家特有の引き締まった体躯がそれを感じさせない。
短く刈った髪に、ヘの字を造るこれまた厚い眉毛。そして口元まで届こうかという力強いモミアゲが特徴となる。
引き結ばれた口元と釣り目気味な目も相まって、いかにも意思が強そうな男である。
冬月副司令は「野獣のような…」と称したが、決して醜男という訳ではない。
…元ゲッター1パイロット「流 竜馬」。これが彼の名だ。
647 :
第13話3:2008/11/05(水) 00:15:52 ID:???
「そうは言ってねえ」
と言ったのは元同僚。神隼人。
彼は「ゲッターが黒い海に飲み込まれ、その後早乙女研が壊滅。そして早13年の時が流れた」と説明したばかりである。
二人の生還者は、僅か数時間で13歳も年を取った元同僚の前で、今は神妙に話を聞いている。
「だが俺たちにしてみれば長くて1・2秒のコトだったんだ」
「黒い海に飲み込まれたときの事。全ての感触がまだ体の中に残っているぜ…」
じっと、手を見る。
セカンド・インパクト後の戦争。日本を守る防衛線にて「黒い海」に消えたはずの彼らが、突如、乗機「真ゲッター・ロボ」と共に帰還した。
彼らを飲み込んだ黒い海「ディラックの海」と呼ばれる虚数空間からの帰還である。
その間、驚いたコトに彼らにとっては全く時が流れていなかったらしい。
「物理法則もなにもあったもんじゃねえな」
「お前らの戸籍も抹消済みだ。しかも元英雄で顔が割れすぎてる」
「当面ここで軟禁ってコトですか」
「バカ。その前にやることがあるだろうが」
体躯に似合わずおずおずと言った弁慶に、後ろ頭で手を組んだ竜馬が軽い調子で言った。
「そのゼーレとやらにお礼をしにいかなきゃならねえだろ?」
648 :
第13話4:2008/11/05(水) 00:17:09 ID:???
『………今なんと言ったかね』
『左様。冗談は止したまえ』
他方こちらはそのゼーレである。真ゲッター生存の報はいちはやく彼らにも届いていた……。
なお、聞いた途端、闇に冷然と浮かぶ七つの石柱<モノリス>がドミノ倒しを起こしたのは君と我々との秘密である。
『間違いないのか…』
言った途端、頭目である「議長」キール・ローレンツが頭を抱えてうずくまった。
『議長……』
『無論、憶えておる。憶えておるぞ……』
『左様。思い出したくもありませんでしたがな』
連鎖反応的に神隼人との交戦を思い出し、議員全員が暗闇で頭を抱えるのだった。
「そのゼーレとやらにお礼をしにいかなきゃならねえだろ?」
「無理だ。リョウ」
間髪いれずに言ったのは隼人である。
「何を!? 日和ったかハヤト!」
気色ばむ竜馬に対し、隼人は淡々と告げる。
「お前はゲッターに乗っていたくせに気付いてなかったのか?」
「なに…?」
「真ゲッターのエネルギー、もう残ってねえぜ?」
隼人の発言に、思わず硬直する竜馬であった。
649 :
第13話5:2008/11/05(水) 00:18:02 ID:???
「まあ失踪から十三年。機体が生きていただけでも儲けものだがな」
「だから、俺たちにとっては1・2秒のコトだったった言ってるだろハヤト」
「つーかですよ。俺たちゃゲッターのオマケですか、先輩」
「実際似たようなモノだな」
「おい」
ネルフ地下ケイジへと続く通路を連れ立って歩きつつ軽口を叩くゲッター・チーム。
実際、竜馬も弁慶も一切歳は取っていないように見え、肉体的にも20台相当のままと言っていい。
一人残された隼人だけは13年余計に歳を刻んでしまったが、肉体の冴えは決して20台にも決して劣らない様子なので問題ない。
実に、問題ない。
「まあ十三年前にも話したが、このゲッターはゲッター・エネルギーを最大に活かす為に建造された試作機だ」
「だからメチャメチャに強いが…」
「エネルギーもメチャメチャに喰う、んでしたよね」
「そういう事だ…おーい! どうなってる!?」
メンテ班に問いかける隼人。
以下技術的な話が続くので体育会系なりにわかりやすく科学的に解説すると「機体の破損は殆ど無いが、エネルギーが殆ど無い」とのコト。
しかしエネルギーの調達。これが問題だった。
「なによゲッターロボって無限エネルギーで動くんじゃなかったの?」
「違うよアスカ。確かゲッター線収集装置だか何かが必要だったんじゃ」
「それも違うわ碇君。真・ゲッターには独自の収集・増幅機関であるゲッター炉があるハズよ」
「誰だお前ら」
「「うわッ!?」」
ケイジでひそひそと話していたのはエヴァパイロット「チルドレン」、碇シンジ、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレーの三人である。
「ああ。お前さんたちが噂の」
ゆったりとした口調と動作で、弁慶が自己紹介した。
「俺はゲッター3パイロット。車弁慶ってんだ。よろしくな」
「どうも、エヴァ初号機パイロット、碇シンジです」
「零号機の綾波レイ」
「惣流・アスカ・ラングレーよ。ま、憶えておけば?」
「ほう。若いのに凄えんだな」
挨拶を返す三人に感心したように弁慶が笑う。
背丈が文字通り大人と子供の違いだが、約一名、物怖じしないのが混ざっている。
「若さなんて関係ないわよ。何せエヴァには最新の技術がたっぷり詰め込まれているんだから」
「あ、アスカ」
アスカは言外にゲッターを旧式の遺物だとでも言いたげだが、弁慶はおっとりと応える。
「そうか。やっぱ十三年も経つと色々違うのかなあ」
「そりゃそうよなんてったって…」
以下、アスカの自慢とそれをおろおろたしなめるシンジの声がしばらく続く。
それを弁慶がいかにも面白そうに聞くので、ついついアスカの声も途切れず続いてしまうのだった。
続く。
竜馬達の年齢やキャラは読者の方のイメージによって変わると思いますが
一応筆者のイメージでは、竜馬は漫画ゲッターロボサーガ中の、真・ゲッターロボ編辺りのイメージ。
弁慶も同様に考えていたんですが、結局OVA真ゲッターのイメージで書いていたりします
いや、イメージがどうこうさておいて冒頭で三人ともダメすぎるww毎度毎度あんたはwwGJ
笑えばいいのか、感動すればいいのか、俺にはもうさっぱりだwww
何気に左様のおじいちゃんが痴呆から回復しとるな
>捕獲ネット・爆撃・砲撃・放電
ここまではいい。努力の程はよーっく判った。
しかし
>落とし穴・膝カックン
ちょwwwwwおwwwwwまwwwww
>>654 落とし穴はありだと思った俺はこのダメ人間集合体ことネルフ職員と同レベルなのか?
第3新東京で落とし穴使っちゃらめええええええええ
ゲッターが落とし穴に落ちたら黒い月を踏み抜いて
びっくりサード・インパクトが起きちゃううぅぅぅぅぅ
>>660 さ‐よう〔‐ヤウ〕【▽然様/左様】
[形動][ナリ]そのよう。そのとおり。「―なことはございません」「はい、―でございます」
[感]相手の言ったことを肯定したり、自分の思い出したことにうなずいて話し出したりするときに発する語。そう。「―、あれは去年の暮れのことであった」
[名詞]人類補完委員会(及びゼーレ)所属の、某老議員の渾名。由来はその口癖から
[類語] そんな
俺のゲッター線収集装置はこのように受信したが
>>660 V / / _,, ァ=ニニ:} _
.V /,.ィ"f= <r'ニ三{ |_ ┐ _l_ l
'vf^<''" 弋z.ミ'テtフ |_ Х □_ 匚 L | У
〉!ト _ i{ ´ ̄r' =|'
./ェ゙‐ェi. 、__`_ヤ ( その通りでございます )
./iュ.Hヽ.、 ゙,ニ/
-^ ー'-.、,i._`ヽ,.仁リ
ー - .、 /、
とりあえずツッコミポイントが多すぎるのは本能的に判ったwww
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落とし穴と聞いて「穴があったら(以下略)」を真っ先に連想した私は破廉恥な男かもしれん…
さてゲッターの帰還。それに関心を示した者は、無論彼らだけでは、ない。
「流竜馬、車弁慶」
「「そして早乙女の遺産 真・ゲッターロボ!」」
歓喜の声を、上げる。
「(いよいよ時が近づきつつある、という事だね。ね、スティンガーくゥん?)」
「(そ、そうだね。いよいよだねコーウェン君)」
「「全ては…」」
歓喜の声をあげる、コーウェン博士、そしてスティンガー博士。だったが。
『もはや猶予は無い』
『そうだ。戦争だ! 流竜馬が来る。竜馬が来るぞ……!』
『もはやエヴァも待てぬ。Gだ。ゲッターGを用意せよ。補完計画の前に倒すべき相手だ。倒さねばならぬ相手だ!』
それ以上に喚起された集団があった。そう。老人、ゼーレの議会である。
『銃を持て。砲弾を込めよ。戦争だ。戦争だ!』
石柱の立体映像を解き、各々に獲物を取り、仕込んだ火器をチェックする。
かつてゼーレを滅ぼした神隼人。
いや、神隼人と共に、ゲッターロボと共に、ゼーレが動かした数万にも及ぶ軍勢に立ち向かった男らが蘇ったのである。
老人達は戦慄した。
昔日の力を持たぬ己らに、果たして彼らが倒せるのか、と。
668 :
第13話8:2008/11/06(木) 22:03:43 ID:???
いやそうではない。
老人達は知らぬうちに歓喜していた。ゼーレを滅ぼされ、権力を失い、地下に潜り、十三年に渡って戦い続けた肉体は歓喜していた。
権謀術数のみではなく、文字通り己の力で生きてきた年月は、彼らに紛れも無い「若さ」と「熱気」を与えていたのだ。
『偽りの生まれを持つが故に、愚かな生き物として進化せざるを得なかった我ら人類!』
『無節操に産み増やし、お互いを理解できぬまま憎しみあい!』
『そしてお互いを理解できぬがゆえに傷つけあうことしか出来ぬ愚かな人類!』
『行き詰った我々に未来は無い!』
『故に我らは、その罪を払い新たな未来を産まねばならぬ!』
『その為に!』
人類の原罪を払う。
その野望<ゆめ>みた最後の明日を必ずその手に掴まえるが為に! 人間たる己らを振り向くコトなく、冷たき夜を過ごしてきたのだから。
その為に! その為に!
『いまこそ、銃を突きつける時である!』
『戦争を。戦争を!』
「「……」」
それこそ「人間らしい感情」など持たぬはずの、コーウェン・スティンガー両博士が「引く」ほどに燃え上がるゼーレであった。
669 :
第13話9:2008/11/06(木) 22:04:44 ID:???
…などと老人達が燃え上がっているなどと露知らぬネルフ本部。
「ま。とにかく真ゲッターは動かせんよ。だが切り札としては充分だ」
隼人いわく、ゲッター炉による収集と増幅は可能だがエネルギーの許容量と消費量が桁違いに高い為
エネルギーを自然に満タンにする為には3年はかかってしまうのではないか、という事。
また残されたエネルギーでは、数分と持たずガス欠である。
「そういえば早乙女博士もそんなコト言ってたな」
「ゲッター線研究の上で、課題の一つだったからな」
竜馬にしてみればわずか一日足らず前の出来事だった。早乙女博士の声まで思い出せるようだ。
「それを数分で済ますには…」
「ふむ」
顔を、つきあわせる。
「まあ当面はここで食客でもやって、機会を待つほか無いな」
言いつつ、スコップを放ってよこす隼人。
「なんだよこれ」
「とりあえずお前らが壊した施設の復旧を手伝って来い。ゲッタービームで空けた穴があるだろう?」
あれを対使徒用プログレッシブ落とし穴に改造する手伝いが待ってるぞ。
と、隼人。
「参ったね…」
『その代わり、機体はこちらで提供させて頂きます』
地下施設に反響音が響く。タラップを軽快に鳴らして降りてきたのは、ネルフの科学者 赤木リツコ女史であった。
「初めまして流二尉。お会いできて光栄ですわ」
「あ、ああこちらこそ初めまして」
白衣に作業着姿ながら、大人の色気漂うリツコに思わずどぎまぎする竜馬である。
「つうか階級でよばれるとなんかしっくりこねえな」
「では流さん、と及びしましょうか?」
「あ…あ」
にっこりと笑う。普段の赤木リツコ女史を知る者からすれば想像も付かないほどの「笑顔」だ。
実際リツコの隣ではマヤ嬢が硬直し、周囲で一斉に作業員がスパナやレンチやドリルを取り落としてひと騒ぎになっている。
「しかし赤木女史」
「なんでしょう神大佐?」
にこにこしたリツコに、何故かハヤトも冷や汗が出ている。しかしそれでも聞いた。
「今日は、ご友人の結婚式で休暇を取られると聞いていましたが…」
「パスしましたわ。どうせもう二人の友人が行くことですし」
遥か遠くでくしゃみする加持とミサトである。
「それより機体でしたね? ビィートのカスタム改造を進めていますからどうぞこちらへ」
「え、ええ」
「…いい女<ひと>じゃあないか。ん? どうしたハヤト?」
「あ、ああ」
その「いい女」の瞳に、なにか尋常ならない光…いや「渦」が見えた気がするのは気のせいだろうか?
リツコに竜馬に生返事を返しながら、妙な汗が止まらないハヤトであった。
その後
「あの赤い奴が良いな。カラーリングも気に入ったし、それにトマホークもあるじゃないか」
「あれはあたしのよ! それにあれは試作スマッシュホークなの!」
と竜馬とアスカが言い合い
「黄色いのは…ねえのか」
「ごめんなさい。先日まではあったけれど、青く、塗りなおしたの」
「そっか。いやまあ独り言だから。気にすんな」
と弁慶がぽんぽんとレイの頭を軽くなで
「なあ隼人、そういえばお前は何に乗ってるんだ?」
「ビィートだ」
と、隼人。
「そうかビィートか……苦労したんだな」
「ああ。そうだな」
「何せドリルが小さいからな」
「ああ」
なんて竜馬と隼人のやりとりを横目に眺めながら
「へえ…」
シンジがリツコが持ってきた完全変形ゲッターロボで遊んでいたのだったりするが
それがリツコの母の遺品であり、また現在の持ち主が彼の父、碇ゲンドウその人であったりするから世の中わからないものである。
さて。その夜の事であるが…
「出ました。賛成1・条件付賛成2です」
深夜、暗闇に満ちたネルフ発令区。
電源をすべて落とされた中で、メインモニターだけが光を放っている。
「条件付ですが、MAGIは先輩の推論を支持すると言っています」
「そう…」
二つの影。言うまでも無くネルフ本部技術研究部部長 赤木リツコ女史と、その弟子 伊吹マヤ嬢である。
モニターには、彼女らの問いに答えるMAGIの返答が踊っている。
『落ち着きたまえ諸君』
他方、それとは異なる闇。時ならぬ熱気に湧きかえったゼーレ本部に、冷水のようなキール議長の声が響く。
『落ち着きたまえ諸君。我らがなすべき計画は人類補完計画のみ。瑣末な事象に囚われすぎてはおらぬか』
『左様』
うなずいたのは鷲鼻の老議員である。
『左様。アレは確かに脅威かもしれぬ。だが補完計画の準備さえ終わっておらぬ我らが、今、表に出るのは如何か?』
その場に落ちた沈黙は、肯定か、それとも…
約一名のみ、うめくように
『お主が言うかね…』
と言ったとか言わないとか。
『ともかくゲッターロボなど所詮シナリオに無いイレギュラーに過ぎぬ。今は待て』
『左様。加えて相手は未知なる存在。勝てるかも解らぬ戦にあえてこちらから飛び込むなどまさに愚の骨頂』
やはり議員が一斉に何かを言いかけたので、キールがコホンと咳払いして場を整える。
『確かに……今の我らならば勝てるやもしれぬが、な』
『体が、軽い』
『他人の考えが手に取るように解るように思える』
『体調もすこぶるよろしい』
『いやあ最近食事が美味くてな』
『うむ…身体だけではない…心が軽い……魂が若返ったというのか』
『我らが神が…アダムらを我らに使わした神が近づいておられるのだろうか』
議員らが声を揃え、キール議長は深く頷く。
『だが……まだだ。まだ足りぬ』
『左様。全ては死海文書の導きのままにあらねばならぬ』
『全ては人の罪を購う為に』
『全ては人の心の垣根を払う為に』
『全ては世界最後の夜明けを迎える為に…!』
「ゲッター線の異常活性化反応、ですよね」
華奢な顎に指を当て、マヤが首を傾げる。
「でも先輩、ゲッター線が人類の誕生に影響を与えたって論文は私も読みましたけど」
ゲッター線の先駆者、故・早乙女博士が残した「異端の」論文である。
だがリツコの推論は更に斜め上を走っていた。
「今、現在の人類もゲッター線に影響されつつあるか否かなんて……」
「そうね。少し前の私なら鼻で笑っていたと思うわ」
それがリツコの推論であり、今回問うた事例である。
「でも、ね。マヤ」
リツコが語りかけたその時である。発令区の扉が開き、一人の老人の声が響いた。
「こら赤木君。伊吹君! 時間外の使用は許可を取りたまえとあれほど言っているだろう!」
「あ…」
…夜回りをしていた冬月コウゾウ副司令である。
副司令は電気代の節約の大事さについて一通り述べた後、しかし重要な要件であれば許可は出すという事
そしていざモニターを扱う時は、体を悪くしないよう、発令区を明るくして離れて見るように。
と、一通りの説教をして去って行く。
「え……と。先輩?」
「いいわ…続きはまたにしましょう」
すっかり毒気を抜かれてしまったリツコとマヤであった。
「ゲッター線の異常活性化反応、ですよね」
華奢な顎に指を当て、マヤが首を傾げる。
「でも先輩、ゲッター線が人類の誕生に影響を与えたって論文は私も読みましたけど」
ゲッター線の先駆者、故・早乙女博士が残した「異端の」論文である。
だがリツコの推論は更に斜め上を走っていた。
「今、現在の人類もゲッター線に影響されつつあるか否かなんて……」
「そうね。少し前の私なら鼻で笑っていたと思うわ」
それがリツコの推論であり、今回問うた事例である。
「でも、ね。マヤ」
リツコが語りかけたその時である。発令区の扉が開き、一人の老人の声が響いた。
「こら赤木君。伊吹君! 時間外の使用は許可を取りたまえとあれほど言っているだろう!」
「あ…」
…夜回りをしていた冬月コウゾウ副司令である。
副司令は電気代の節約の大事さについて一通り述べた後、しかし重要な要件であれば許可は出すという事
そしていざモニターを扱う時は、体を悪くしないよう、発令区を明るくして離れて見るように。
と、一通りの説教をして去って行く。
「え……と。先輩?」
「いいわ…続きはまたにしましょう」
すっかり毒気を抜かれてしまったリツコとマヤであった。
左様と落とし穴が大人気とは想像もしなかった。今は転生している
|∀・)ジー
|)彡 サッ
GJ
第一話「使徒と襲撃」…原作第1-2話。
>>456-464。VS松葉杖
第二話「慣れない、土方」…原作第3話。
>>469-472。VS鞭使徒
第三話「血戦、第三新東京市」…原作5-6話。
>>479-461。VS正八面体使徒
第四話「弐号機、来日」…原作8話。
>>497-501。VS魚使徒
第五話「ヒトのつくりしモノ」…原作7話。
>>509-514。VS人間製作物
第六話「瞬間。殺意かさねて」…原作9話。
>>520-528。VS椅子ラフェル
第七話「ゼーレ・ダイナミック」…原作10話。
>>536-542。VSゼーレ(キール議長)
第八話「制止しそうにもない闇の中で」…原作11話。
>>557-562。VS停電
第九話「奇跡の姿は」 …原作12話。
>>572-581。VS落下使徒
第十話「ゲッター・ロボ」 …原作14話。
>>593-613。VS過去編(原作では総集編)
第十一話「使徒、驚愕」 …原作13話。
>>616-623。VSウィルス使徒
第十二話「蘇る生命、そして」…原作16話。
>>633-636。VSディラックの海使徒
第十三話「顛末と沈黙」…原作15話。
>>645-674。VS日常編(原作では日常・過去話・シンジとゲンドウの対話)
軽く見直してみましたが、やっぱり短くてテンポが良い話の方が我ながら良い気がします。
第六話「瞬間、殺意重ねて」辺りの冬月一人語りとか。
会話挟んで小説風にすると一気に分量が(略)。ウオオこの指数はビッグバンを引き起こすほどの
※ここで日記は途切れている…
ゼーレ一同ゲッター線15倍ルームご案内
左様、投下ご苦労。
ところで、wikiに登録しないのかな
ま、それもゲッターの導きのままに
夜回りも冬月先生のお仕事か。書類・土方・ツッコミ・日記と大忙しだな
wikiに入れといたぜ
目だ!耳だ!乙だ!
まとめありがとう。
一気に読んだら腹より顎が痛くなったんだぜコンチクショウwww
687 :
第14話1:2008/11/09(日) 22:41:34 ID:???
>>682 手間をかけさせて申し訳ない。
レスの皆もありがとう。俺の中の何かが胸で叫びだして乾いた喉で荒野を目指したくなってきた
という事で投下させてくださいませ
今日も今日とて雑務が多い。
責任者と言うのは責任をとる為に居るモノではあるが、それにしても書類がやたら多いのは気のせいだろうか?
「ああ。問題ない」
碇。いいからお前もPCばかり弄ってないで書類仕事を…。
いや。もう言わん。
実際、作戦部管轄のハズの書類が相当量回ってきているのは問題だ。
一言申す為に赴くと、そこには葛城君の書類処理を全部回され、真っ白に燃え尽きた日向君が倒れていた……。
そうか、君もか。
お湯をかけて3分待つ。
復活した日向君によると、葛城君以下、作戦部ほぼ総がかりで修練場にお篭りだという。
全く、司令部に断りも無く…いやそんな書類を見た気もするがともかく何をやっているのだろうか。
修練場に赴くと
「オニ……オニ…」
「シンジ…すまねえシンジよぉぉぉぉぉ」
呻く車弁慶君の傍らに、今度はサードチルドレン。つまり碇の息子が倒れていた
割烹着姿にしゃもじ片手とは? ふむ。以前MAGIで撮影した「君がレイと○○○している際の現場写真」をそっと置いてみよう。
「……!?」
若いな。
さて修練所はさながらマネキン置き場と化していた。
マネキンと言っても落ちているのは本物の人間だ。人間なのだが、既に身動きも出来ぬほどに打ちのめされた状態である。
また恥をかかせおって。
688 :
第14話2:2008/11/09(日) 22:42:40 ID:???
「おらおらおらおらおらおらおらぁッ!」
マネキンの荒野に立つのは、やはり彼ら、流竜馬君ほかゲッターチームだ。
「ぎゃん!」
「あ」
「ひいッ!?」
流君の「オラッ」という一言のたびに屈強な男らが吹き飛んでいく。
全く。手加減と言うものを知らんな。
「ですが副司令。ここで簡単に吹っ飛ばされるようでは実戦でも死ぬだけです」
そんなモノかね神君。
それと殴るのはともかく目と耳と鼻を潰すのは控えめにしておきたまえ。回復に時間が掛かる。
聞けば、先日流君達に全く歯が立たなかった件を反省し、実戦部隊を中心に稽古をつけてもらっているのだという。
まあ流君達を無駄飯食らいにさせておくのも勿体無い話だ。このような役職でも与えるに越したことは無い。
いやいっそ彼らを汎用人型決戦兵器と銘打って出撃させたほうが良いのではないだろうか。
「それは興味深いですね」
赤木君。人の心の声を読むのは止めたまえ。それより
「葛城君。こんな調子で大丈夫なのかね?」
「皆、元は国連軍の選り抜きですからね。それだけに先日の件はショックだったみたいで」
まあ普通はショックだろう……いやそうではなくてだな。
飯炊きにチルドレンを動員するのは止したまえ。聞けばサードチルドレンはオニギリの握りすぎで倒れたそうじゃないか。
「オニギリが7839個……オニギリが7840個……握らなきゃ駄目だ握らなきゃ駄目だ握らなきゃ駄目だ…」
いいから落ち着け碇の息子。
「すまねえシンジよぉぉぉぉぉぉ」
君もだ車君。
「……」
なんだね葛城君。その沈黙は
「実はレイもお茶の淹れすぎで右手が攣りまして……」
馬鹿な…ならセカンドは、アスカ君はどうしたね? まさかソーセージの作りすぎ等とは言うまいね?
「いえ。それがですねえ」
689 :
第14話3:2008/11/09(日) 22:43:42 ID:???
「神教官、いえ師匠<レーラァ>! お願いします!」
「アスカ。妙な呼び名は止せと言っているだろう…まあ良い」
道着姿の二人が向かい合い、やがて隼人が手招きをした。
「殺す気で来い。いつものようにな」
『うなあああッ!』
神君と付きっきりで教練か…無茶をさせる。
「本人が言って聞かないんですよ。あたしは天才だからこのくらい平気よ。って言い張っちゃって」
「最近シンジ君のシンクロ率が上がって来ていますからね。危機感でしょう」
ふむ……まあ神君には日本に来た当初、アスカ君の護衛役も任せておったからな。
馴染みがあるなら心配もいらんか?
「まあ隼人の奴も、あれで面倒見が悪い訳じゃないですからね」
「そうそう」
保安要員を屍の山に変えた君らが言っても説得力ないぞ。
流君、車君。
690 :
第14話4:2008/11/09(日) 22:44:21 ID:???
「ああ…問題ない」
「まあ確かに戦力に余裕が出来たのは事実だな」
司令室に戻った私を待っていたのは碇のいつもの一言。しかしこの男、どこまで私の話を聞いてるのだろうか。
「そういえば明日にもエヴァ3号機が届く手はずだが、適格者<チルドレン>はどうなっている」
「ああ。問題ある」
…何。また機関に何かあったか…
いや、3号機輸送艇が引き返した? 何の冗談だ?
「お前が視察に言っている間に米国政府の決定が覆った。書類も既に届いている」
「…エヴァ3号機委譲決定の破棄だと…?」
日本へ移送中だった『エヴァンゲリオン3号機』輸送艇が、突如、米国へと引き返した。
その理由は『本部委譲決定の破棄』。
つまり従来どおりアメリカ支部にて管理するから返せというのである。
日本到着まで数時間へと迫った状況からの急激なUターン。空中給油機まで使っての大作戦を行ったのだから恐れ入る。
「ゼーレの老人共の差し金か?」
「冬月。老人達はシナリオを知っている。次の使徒がエヴァに寄生する事も承知のはずだ」
と、碇。
691 :
第14話5:2008/11/09(日) 22:44:54 ID:???
シナリオ。
それは言ってしまえば「未来を書き記した予言書」であるという。
空に浮かぶ「白き月」。その主たる第一使徒アダムと、系譜たる使徒。
地に埋もれた「黒き月」。その主たる第二使徒リリスと、系譜たる現地球生命。
第一使徒アダム発見後、その復活から順次出現する使徒ら、その最終使徒第十七使徒タブリスに至るまでの出現順と解説。
第一使徒アダムが起こしうる「インパクト」についての解説。
使徒が本部地下の存在<リリス>に辿りついた際、起こりうる「インパクト」の解説。
それを止めうる保安装置ロンギヌスの槍の解説。
これらの描いた文書が遺跡から見つかった。それが「裏死海文書」である。
ゼーレはこれを覆せぬ未来を記した「予言書」と解釈し、これを利用してやがて起こりうる「インパクト」を人為操作する計画を立てた。
これが「人類補完計画」であり、その為の「シナリオ」、そして実行組織「ネルフ」である。
ネルフが使徒に対抗するのはこの文書によるものだ。
もっとも私と碇の解釈はそれとは異なる。
裏死海文書とは、アダム及びリリスというシステムの運用手引きに過ぎないのではないか、という解釈だ。
それは覆せぬ運命でも無く、単なる手引書のQ&Aのようなモノに過ぎず、使徒もまた単なるシステムの一部なのでは無いだろうか。
であれば、人の手で操作し形を変えるだけでなく、そもそも全く別の形のインパクトも起こせぬだろうか?
委員会は「運命の使者」である使徒による遂行、或いはその複製たるエヴァンゲリオン量産型による「模倣」を行うだろう。
対し我々はアダムとリリス。二つの「主」を組み合わせる計画を立案した。
どちらが上手くいくか、それが我々の戦争である。
…少し、話がそれたな。
「…既に汚染されているハズのエヴァを、わざわざ米国へ。か。確かにゼーレにしてはおかしいな」
「米国政府は真・ゲッターとゲッターチームの存在を嗅ぎつけたようだ」
「なるほど」
ゲッターに対抗する戦力を欲しての米国政府の独断行動か。ゼーレもあの国を支配するまでには至っておらんと見える。
だがシナリオ通りなら3号機は
「既に次の使徒に乗っ取られているはずだな?」
「ああ。これで3号機が暴走すれば、米国政府内の反ゼーレ派は力を失うだろう」
それもシナリオの内か。老人達め。
しかし碇。アメリカ支部はダミー・プラグで運用すると言ってきているが、いつこれは流出した?
「…ああ。問題ない」
「碇。情報部から『司令部内の個人PCにファイル共有ソフトがインストールされている疑いがある』と苦情が来とるぞ」
今時、持ち込み個人Pcから情報流出だと? 碇、お前のセキュリティ意識はどうなっとるのだ。
脂汗を流し「シナリオの内だ」と繰り返す碇。
ああ全く恥をかかせおって。
…ふむ。そういえばこれで3号機は使えんわけか。
「せっかく四人目の適格者<フォース・チルドレン>の選別を行っておったのに無駄になったな」
「ああ…余ったか」
第十四話「余人目の適格者」<終わり>
本日ここまでで。
私が書くとゲッターチームがただの疫病神状態になっている気がしますがそんな事は以下略を目指して明るい政治を作(略。
時間かけても回復しねえだろ目も耳も鼻も!wwそれとも時間かければ回復すんのかよネルフ驚異の科学力!とツッこむべきなのか?w
あと弁慶行動に移れw
作者もwikiに上げた人もGJ!
けど、第十三話の13は、すぐ後に13(終)があるから、削除するべきでは?
>>694 ゴメン。
>>673-674で二重投稿になってたのに気付いてなかった。wiki修正しました
責任とってちょっとビッグバン攻撃に巻き込まれてくる
>>693 イザとなったらネルフにはクローン技術があるだろうw
ところでスレ前半にあるネオエヴァ話は収録せんの?
自分ログ後半分しか持ってないので持ってる人いたらお願いします
E meets Gのまとめサイトが復活してるぞ…!
なん…だと……?
>>697 復活はしてたが、第一話以外は読めんな。クリックしても移動できない。
あの方は出世を重ねて多忙な日々を送ってるのかしら
いやいや、普通に読めたよ
久しぶりの弁慶お父さんにニヤニヤがとまらない
まとめサイトの管理人さんも連載中の人もwikiにあげた人もGJ
頭からこのスレ読み返してたんだが、連載中の職人さんは
>>77?
703 :
>>699:2008/11/11(火) 01:07:38 ID:???
悪いが、何度やっても移動できない。こんな所が俺の限界か…
あばよ、ダチ公!
>>703 上から5行目のリンク(2・3)から飛べないという事か? 碇、これではぜーレが黙っていないぞ
>>702 Yes、I am!
うん…wikiのコトが解ってきた…うん。解ってきたぞ…ゲッターwikiと俺との関係はすごく簡単な事なんだ
どうして1+1が2なのか…いや2と思っていたのか…
ネオゲの話もその内収めようぞ。うん…。
>>あの方は出世を重ねて多忙な日々を送ってるのかしら
つまり、月面に飛ばされて帰るためのゲッターを組み立てて
やっと完成したらインベーダーが襲来で交戦中というわけね。
あるいは敵対企業のビルをダルマ落としをしている最中。
俺が聞いた話だと何処かのお城に血を絞る機械を納入しにいったまま行方不明と聞いたが・・・
何? どういうコトだ! 説明しろムサシ!
メタボってことさ
むしろ血脂
これもスレの意思か…
「…は、はじまるね」
「そうだね。じゃ、行こうか」
ここは北アメリカ。ネルフドイツ支部が破棄された今、本部に次ぐ規模と力を持つネルフ北米支部。
その一角で、2人の異形が言葉を交わす。
「ね、スティンガーくゥん?」
「う、うんコーウェン君」
爆光……。
それからしばらく後、こちらネルフ。
発令区メインスクリーンに映し出されたエヴァ3号機がダイナミックなバタフライで突き進む。その姿はまさに怒涛の一語に尽きた。
米国防衛ラインを形成する沿岸防衛艦隊はボウリングのピンのように弾き飛ばされ、太平洋艦隊をストライク。
余勢を駆って日本近海の第七艦隊をスプリットに決め、これに思わず米艦隊司令が
『オーウ! キタジーマ!?』
と、日本人水泳選手の名前を叫んでしまったものだから
『ムロフーシ、イーチローォゥ!』
『シュウゾウ・マツオーカ!』
『アツクナレヨ! モットアツクナレヨ!』
『ユメ見れヨ! 捕マエろヨ! 走リだせヨ! ツメタイ夜をツキヌケロヨ! 今がソノ時ヨ!』
『ゲッター、イッツ、ゲッター!?』
『ドラゴン!?』
『ニチリン・ポォゥ!』
『『『ポォウ!』』』
『オリエンタル・マージーーーーック!?』
艦隊全体が絶叫に包まれる。その様、まさに阿鼻叫喚であった。
715 :
第15話2:2008/11/13(木) 23:21:53 ID:???
『オォリエンタル・マァァジーーーーック!?』
「通信を切れ」
「はい」
全く。何の馬鹿騒ぎかね……だが
「うむ。馬鹿なのはここだけでは無いのだな……」
「は?」
いやいや。なんでもない。
「米国支部にて使徒に汚染されたエヴァ3号機は、依然日本本部に向かって侵攻中」
「パターン・オレンジ。依然使徒とは確認できません」
「太平洋上にてエヴァ3号機のコードを確認」
「米国第一支部は、本部近辺に突如出現した使徒であると主張しています」
米国支部の苦し紛れな弁解を聞き流していると、碇が思い出したように問うた。
「…支部はどうなった?」
「被害甚大なれどもMAGIコピー及び本部施設は健在。量産機の研究は続行可能と見るべきだな」
「ああ。老人共も懲りないことだな」
4号機に続き二機目の事故だ。これでエヴァを米国独自の戦力として取り込もうとする勢力は力を失うだろう。
ゼーレが北米支部を取り込むのはもはや時間の問題と見るべきか。
「エヴァ3号機の試験報告は届いている。ダミー・プラグも完成したと見ていいだろうな」
「ああ。老人たちの手元にはレイと同質のモノが在る」
「ついでにゲッターロボもな」
「ああ。厄介な事だ」
とにかく使徒接近である。以前第七使徒<椅子ラフェル>殲滅戦同様、水際での撃退を願うよ。
…なに? 撃退拠点がもう無いだと? 電源ビル及びエヴァ搬送レールがあったあの拠点はどうなった……そうか。
国連軍の爆撃で溶けて蒸発したのだったな。
「給電ビルの増設工事はどうなっている?」
「第三新東京市市内は90%が稼動可能ですが、市街は予定の2割にも達していません」
「パターン・オレンジ。不確定要素がいつも以上に多く、バッテリーによる対応は危険とMAGIは判断しています」
「どうみても相手は無限バッテリーだものねえ」
葛城君が愚痴る。ああ。機関と言えばゲッターチームはどうしている?
「既にビィートT23改で出撃しました」
やはりか。
「…誰か止める者は居なかったのかね。彼らはそれなりに重要人物なのだが」
「それよりもっといい方法があるんですよ」
と、葛城君が意味ありげにいったところ、メインスクリーンに流君の罵声が響く。
『おい! なんでビィートに燃料が入ってないんだよ!』
ああ、なるほど。…甘く見てもらっては困るな流君。君は我がネルフにそんな予算があるとでも思っていたのかね?
『燃料費くらいないのかよ!』
「ないのだよ。先日の二次補正予算案で大幅減額が確定してな」
『俺に解るように説明しろ!』
と、流竜馬と冬月副司令が軽妙なやり取りをしているうちにも、エヴァ3号機は着実に本部に近付き、遂に碇司令が宣言した。
「現時刻をもってエヴァンゲリオン3号機を廃棄。目標を使徒と識別する」
第十五話4に続きます。
なに? 分量が少ない上に間が空いた? そんな事は忘れろ! 俺はそうした!
なんという間違ったプロ・ジャパニーズwww
マゴロクソードを見たら間違いなくサムライとニンジャの大合唱
左様、もはや乙しかあるまい
なんか真面目にやってるコーウェンとスティンガーが可哀想になってきたぞ
>馬鹿なのはここだけでは無いのだな……
読者の皆がそう思ったことだろうw
>>714 ちなみに 松岡修造 もっと とかでググると松岡修造のガイドラインとかが引っかかりますが
HEATの歌詞と被ってちょっと楽しい
「現時刻をもってエヴァンゲリオン3号機を廃棄。目標を使徒と識別する」
総員第一種戦闘配置である。
『エヴァンゲリオン全機発進!』
「さあいくわよシンジ!」
「私が死んでも代わりはいるもの」
「アスカ、絞まる、首が絞まるってばアスカ!」
葛城ミサトの一声が飛び、アスカが碇の息子の首輪を引っ張って駆け出し、呻く彼の尻をレイが押す。
まこと、仲良きことは美しきかなである。うむ。がんばれ碇の息子…と言いたいところではあるが、やはり、うむ。
『え…ま、まさかこれが使徒ですか!?』
使徒と遭遇、開口一番に彼は叫ぶ。そうなのだよ。エヴァ3号機。それが君達の敵だ。
一瞬言いくるめて見ようかと思ったが、白地に赤いラインを施し、星をあしらったボディカラーはどうみてもアメリカ製だ。
また間違っても使徒はテンガロンハットなど被らないだろうし、星条旗をマント代わりに羽織ったりもしないだろう。
アメリカ支部もなんでこんなデザインにしたのだろうか。
『そんな…使徒に乗っ取られるなんて』
『(…ホントにあの格好で海を泳いで来たのかしら?)』
『人が、乗っているんでしょう? 僕らと同じくらいの子供が……』
実は乗っておらんのだよ碇の息子。
のであるが、ここからが喜劇の始まりであった。まあ、いつものことだがね。
725 :
第15話5:2008/11/14(金) 23:38:30 ID:???
「どうしたシンジ、何故戦わん」
『できないよ! …助けなきゃ…人殺しなんてできないよ! 父さん!』
碇の問いかけに息子が答える。碇、もう少し言い方というものがな。大体お前の息子は
「構わん! パイロットと初号機のシンクロ率を全面カットだ!」
「待て。碇」
「そうだ。回路をダミー・プラグに切り替えろ!」
総司令たる碇の発令を受け、マヤ君が回路をダミー・プラグに切り替える。
これはパイロット側から見れば、唐突にエヴァが無反応状態となったのと同意である。碇の息子は狼狽した。
『なんだよ、何したんだよ父さん!』
「シンジ、これがダミー・プラグだ」
ダミー・プラグ。
これはチルドレンを用いない、無人運用システムである。
とある処置を施したLCLを封入した無人のプラグを使用し「パイロットが搭乗しているとエヴァに誤認させる」事でエヴァを運用する。
チルドレンという貴重な人材が不要となる、画期的なシステムとして開発が進んでいた。
726 :
第15話6:2008/11/14(金) 23:39:31 ID:???
「言ったはずだシンジ。相手もこのダミーで動いている。故に攻撃をためらう必要など無いのだ」
『…聞いてないよ父さん』
「…なに?」
碇親子が揃って硬直し、ついでにネルフ発令区も沈黙する。
だからな碇。お前の「敢えて言葉少なにする」姿勢は威圧感を与えるには良いが、指揮官には向いておらんぞ。
ああ。指揮官といえば葛城君はどうしたね?
「パターンG。ゲッターチームに詰め寄られてます」
うむ。任せよう。
「あの、司令。ダミー・プラグ、感情素子も不鮮明なですが…」
「かまわん。パニック状態のパイロットよりは役に立つ」
ごまかすな碇。
「システム解放。攻撃開始!」
「了解。攻撃、開始します」
『う、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッア…あ』
碇の発令に引き続き、息子の絶叫。が、やがて遠く響く打撃音と共に彼の絶叫は止まった。
「こ、これは!?」
「初号機、胸部に打撃! システムダウン!」
「カウンターを喰らいました!」
…馬鹿な。
727 :
第15話7:2008/11/14(金) 23:40:55 ID:???
「なにやってんのよ馬鹿シンジ!」
『初号機はダミープラグで動いていた。碇君に非はないわ』
「やっかましいわねファースト! いいからバックアップしなさい。例のアレ使うわよ」
『了解』
操作をダミー・プラグに切り替え勇躍飛び立った初号機であるが、待っていたのは3号機の拳であった。
懐に飛び込んだ初号機に対し3号機の拳がカウンター気味に突き刺さる。飛び込んだ加速も手伝い、初号機は苦も無く昏倒されられたのである…。
3号機は初号機を一瞥して星条旗マントを翻すと、残る2機へ、じわりじわりと間合いを詰める。
「神大佐達は?」
『ビィートで出撃しようとして失敗。今は格納庫に戻ってる』
「そ。師匠を待つまでも無いわね。片付けるわよ!」
『了解。まずはH-13で?』
「まあね!」
全身を包むように纏った灰色マント…実際は野戦テント廃材の再利用品……を翻して弐号機が舞うように駆け
鈍重そうな動きで零号機が追いかける。第三新東京市の市街は、文字通り彼女らの庭だ。
「まずは追いかけっこよ! 付いてきなさいヤンキー野郎!」
「零号機、エヴァ弐号機、ポイントH-13に展開。目標を誘導しています」
「うむ。初号機の回収も急がせたまえ」
司令席で硬直した碇を放置し司令役を代行する。
全く恥をかかせおって。ああ。時にゲッターチームはどうしたかね?
「葛城作戦部長と口論しながらこちらへ向かっています」
「この広大なジオ・フロントを、ですか? ……ミサトなら間違いなく道に迷うわね」
「頼むぞ葛城君」
なんだかんだで流 竜馬君達は重要人物である。
ゲッターの開発と運用をほぼ独占していた早乙女研究所が丸ごと壊滅した今、ゲッターを運用できるノウハウを持つのは彼らだけなのだ
もし無理をして、彼らが死亡するようなことになれば目も当てられん。
「まあ真・ゲッターの力は未知数ではあるのだがな」
「ああ」
碇、立ち直ったのか。
「戦後のゴタゴタで戦闘記録は殆ど残っておらんからな」
「ああ…だが前身であるゲッターGは、初号機のフィールドを破れなかった」
「ATフィールドを破れるのは同じATフィールドを持つエヴァか。或いは陽電子砲を用いるしかない。か」
「(だが碇。忘れはいないか? 日本海にあの巨大なクレーターを穿ったのも、同じゲッターロボなのだと言う事を、な)」
と思考に沈む私を呼び戻したのは、いわゆる「ししおどし」のような、少し間の抜けた轟音であった。
「H-13.目標の誘導に成功!」
歓声が、響く。
「プログレッシブ落とし穴作戦、成功です!」
「…まさか本当に上手くいくとはな」
再び続く。
>>720.実は前々からやりたくてたまらなかった。今は反省している
テキサスマックwwwまた落とし穴wwwと楽しんでいたが・・・まさか猿さんを喰らったのか!?
隼人ぉ!俺に、俺に分かるように説明しry
>>729 違う! 単に一日じゃこれだけしかネタが組み上げられなかった&最近一話辺りに詰め込みたい内容が増えてきてるから小分けにしているだけだ!
一話を一回でポンと出すやり方は忘れろ! 俺は(今日のところは)そうした!
ニチリンポォウ!
がやりたかったのかよw
とりあえずGJ
今日は賢ちゃんの命日なんだぜこんちくしょう
そうだったな…偉大なる石川御大の為、少し祈らせてくれ。
そろそろ魔界転生してきても良い頃合い
今日ばかりは虚無に祈ろう。
俺も主力仏法艦カンムで猿羅神様と祈りを捧げてくる
今も虚無の彼方で戦ってるんだろうなあ
早いもんだな…
俺もちょっくら東の羅生門・西の白虎銅・南の青竜鬼・北の猿羅神様と一緒にヘイアンキョウ防護網に参加してくるわ…
『セカンド、目標のプログレッシブ落とし穴への転落を確認』
「よっし! ファースト、大型殲滅爆弾用意!」
『了解』
第三新東京市、メインストリートのやや外れでアスカが威勢よく叫ぶ。
と、レイの零号機がマゴロク・E・ソードをすらり引き抜き、木こりか何かのように兵装ビルを根元からすっぱりと叩き伐る!
「来なさいファースト!」
『了解セカンド』
丸太のように叩き伐られ、宙に舞った兵装ビル…迎撃ミサイルがどっさり詰め込まれたビル……を、どかりと弐号機は肩に抱える。
「しゃあッ!」
抱えたかと思ったらそのまま使徒が落ちた穴へと投げ込んだ!
「起爆!」
『了解』
零号機が、肩部ラックの大型手榴弾を取り出し、ぽいっとばかりに落とし穴へ放り込む。
これが起爆剤代わりである。
…爆発。
739 :
第15話9:2008/11/16(日) 22:53:43 ID:???
「まったく無茶をする」
「A.T.フィールド中和領域は?」
轟音が、ネルフ本部発令区画まで響き渡る。
「範囲内です。使徒のフィールドは無効化されているものと思われます」
うむ。今回の使徒は、所詮エヴァ同等の装甲しか持たぬ。これで終わりだ…意外にあっけなかったな。
「いえ。目標の反応は…健在!?」
「そんな! 空間移動でもしたのか!?」
「違います。高速で移動しています。目標の反応が猛スピードで移動しています!」
「横穴です! 未舗装の側壁に穴を開けて内部に侵入した模様!」
通信を聞き、アスカが舌打ちする。
『不味! ジオフロントに誘導しちゃった!?』
『セカンド。回収ルートへ』
「ンな暇ねーわよ!」
『待ちなさ…』
それだけ叫び再び弐号機は舞う。眼前のプログレッシブ・落とし穴に自ら落下し、使徒を追撃する為に。
が、それを待っていたかのように飛び出してきたのは、縦穴から伸びる2本の腕であった。
『い!?』
縦穴を這うように上ってきた使徒(エヴァ3号機)は、弐号機の足を掴むとそのままジャイアントスイングに決め……放り投げる!
『きゃあああああああああああああッ!』
『あ、』
金属同士がぶつかる嫌な音。
零号機を巻き込んで吹き飛び、市街に転がるエヴァ弐号機。
いよいよ縦穴から上がってきた使徒の腕が、今度は零号機へと伸びる。
狙いは、首だ。
『あ、あ、あ……』
どうした原理なのか、本来の二倍にも伸びた使徒の腕は零号機を締め上げ、そのまま天高く持ち上げる。
見事なネック・ハンギング・ツリーだ。
『あ……あ………あ………!?』
「零号機の神経節が侵されています!」
痛みだけではない。エヴァ3号機を侵食したのと同様の力で、零号機を侵食しているのだ。
そしてエヴァの侵食はパイロットの侵食と同意である。
いつもは無表情なレイの顔が、苦痛に歪む。
「チルドレンとエヴァの神経切断を急げ」
「しかし、それでは零号機が稼動不能に!」
「急げ! このままファーストチルドレンを失う訳にはいかん」
「は」
珍しく焦りを含む碇ゲンドウ。
零号機とレイの接続が解かれてゆく。
『ああ……ああ……』
エヴァと自分と、使徒と自分とのつながりが断たれてゆくのを感じながら、しかし、なおもレイは苦痛にあえぐ。
「どうなっている」
「解りません! 零号機とファーストチルドレンの接続は解除。使徒との回路も切断されたはずです!」
確かに使徒との繋がりは絶たれた。
だがレイは感じる。
使徒ではない。
ダミープラグでも無い。
自分を探る別の意思。人でも使徒でもない第三の意思だ。
『これが第二使徒リリスの魂か』
『(あなた、誰?)』
レイと接触する意思。それはレイの意識を感じると2つに分かれ、にやりと笑う。
『こ、答える必要は無い……ね、コーウェン君?』
『そうだね。スティンガー君』
『(…ホントに、誰?)』
苦痛に顔をゆがめながらも思わず小首を傾げるレイだった。
『ああああああああああああああああッ!』
いよいよ力が篭る使徒の右腕が、唐突に、宙を舞った。
『人ほっといて何やってんのよ化け物!』
「弐号機、再起動!」
「セカンドチルドレン、健在です!」
「零号機沈黙しました」
アメリカ国旗の化け物は零号機を放り捨てると、マゴロク・E・ソードを構えた弐号機へと向き直る。
半ばを失い、ぶらりと下がった右腕が異様だ。
だがもっと異様な光景が続く。
「目標、右腕部を回収……復元した!?」
転がっていた右腕を拾うと、無造作に傷口に押し付ける。すると見る間に元通り復元したではないか。
「目標右腕部、復元!」
「一瞬でか!?」
復元した腕を軽く振ると今度は肩部から弐号機と同型のプログレッシブ・ナイフを取り出だし、だらりと両腕を垂らす。
静寂が場を包み、二体のエヴァが対峙する。
『いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいやぁッ!』
先に動いたのは弐号機だ。
一旦鞘に収めたマゴロクを、居合い斬りの要領で抜き放つ。
使徒はこの必殺の一撃をプログナイフで受け流すと、その勢いのまま右足を軸に、左後ろ回し蹴りを繰り出す。
勢いを乗せた回し蹴りでマゴロクの腹を粉々に蹴り砕き、更に余勢でプログナイフを突く!
反応速度が尋常ではない。
『(これが使徒の本能って奴!?)』
胸内でアスカが嘆息する。嘆息すると共に思い起こされる言葉があった。
これはアスカが神隼人大佐と出会った頃のコトだ…。
『アスカ』
煙草に火を灯けながら、神隼人は最初は呟くように…やがて唸るように叫ぶ。
『ケツの青いガキが聞いた風なコト抜かすんじゃねえ!』
『え…』
『そんな口がきけるのは貴様がまだまともな戦いをしてない証拠よ。血ヘドを吐いてみろ! 血の重さがどのくらいのものか解る!』
気おされるアスカに、隼人は諭すように言ったものだ。
『アスカ。お前の機体を信じろ。たとえ機械のカタマリのデク人形だろうが、乗り続ければ相棒と思えるようになるもんだ』
『そしてお前の機体は機械ですらない。生き物なんだろう?』
『感情を込めてエヴァの力を信じるんだ…』
『感情を込めて…エヴァの力を引き出す…』
使徒のプログナイフが迫る。
が。弐号機もまた半ば本能的に攻撃を読みきっていた。突き出されるナイフを右手の甲で払い、使徒の体勢を崩す。
『こんのおォ!』
崩したトコロに今度は左の拳をブチ込む。
弐号機の左正拳突きで使徒は強かに胸を打たれ、ナイフを落とし、後ろへと吹っ飛ぶ!
「おお!」
「弐号機のシンクロ率、グイグイ上がってます!」
「いけいけ!」
司令部で我知らず歓声が上がった。
更に倒れた使徒へとエルボードロップ、エルボースタンプ、ベルリンの赤い雨と連続攻撃を叩き込む。
返り血で弐号機がすごいことになっているがお構いなし。もはやどっちが使徒なんだか判らないほどの残虐プレイである。
そのまま使徒を抱え上げると、幻の大技「ビッグ・アップル・ダイナー」を決めた!
マットならぬ第三新東京市の大地へと使徒が沈む。
「ワーン! ツー!」
ここぞとロンゲがカウントを入れ始め、マヤは吐き出し、日向は空気。
冬月副指令は「女房を質に入れてでも見たい攻防戦だな」と率直な感想をこぼし加持がコンピュータにポテトチップをこぼし
ミサトがリツコにコブラツイストをかけながら応援する。
…ミサト?
「ちょ、ちょっとミサト!? 貴女、ゲッターチームはどうしたの!?」
「え、あ、ゲッターチーム?」
抜け出した逆にリツコに卍固めに固められ、ミサトがかわゆく眉根を寄せながら
「し、真・ゲッターに…」
と、指を明後日にさして言ったものだから
「あ・れ・ほ・ど・言ったでしょ貴女!」
「ギブギブギブギブ!!!」
続いてキャメルクラッチで締め上げるリツコであった。
まだ続く。やっぱり描写を増やすと一気に分量が増えますね。でももう少し続きます。
なお今回の心のBGMはこんなの→動画「Asuka the burning fire!」
ttp://jp.youtube.com/watch?v=2zkuM1YVfqQ
ロボでプロレスすんなwww
Gガンじゃねーんだから・・・って、今川もノータッチじゃないからありなのか?w
>ベルリンの赤い雨&ビッグ・アップル・ダイナー
ちょーと大幅に待てぇwwwww
とりあえずお前とは徹底的に話し合いたくなってきた
新日的な意味で白いマットのジャングルの上で
>>「よっし! ファースト、大型殲滅爆弾用意!」
この台詞は冬月副指令だろう・・・ガーゴイル様的に考えて
>エルボードロップ、エルボースタンプ、ベルリンの赤い雨
それでもだめんときゃ火事場のクソ力ですね、わかります
相手も人型だからってやりたい放題だなもう
キン肉バスターは?
レッグラリアートで我慢してください
プログレッシブナイフ二つで200万パワー!
でもよ、キン肉マンボって確か…
「技が通用しなくてピンチ!じゃあ、笑って歌って踊って気取ってごまかそう!」
っつー歌じゃなかったか?
不吉だなオイ
ぐぐったら全くそういう歌だった
しかも歌ったのはスグル(&リョウ)の中の人でめっちゃ鬱だ
ま、親父チームが居るから大丈夫だろう。
☆
>>748-755 満場からのブーイングの中強引に挙行される、早乙女博士対キールの
ああ、懐かしの街頭プロレス30分一本勝負というのが脳裏を
>>757 アイアンクローで相手を掴み上げ「おおーっとこれは凄い!」のハズが
観客から「身体がついてってるだけじゃねーか!」のブーイングを喰らって大変な目に遭うんですね
女房を質に入れる勢いでわかります
ここは高齢者が多いスレですね
なにやら昭和臭が…
リツコ「わ、私じゃないわよ!?」
冬月「…む、諸君は私を見ているのかね?」
竜馬「俺に臭うように漂わせろ!」
悪かったな大正生まれで
任せろ! 平成生まれまでまとめて吹っ飛ばしてやる!
今に見ていろ○○生まれ、全滅だ♪ (略)加齢の威力だ〜鋼鉄〜冬月〜♪
「あ・れ・ほ・ど・言ったでしょ貴女!」
「ギブギブギブギブ!!!」
さて背骨が危機に陥っているミサトはさておき、こちら格納庫……にドラム缶が転がる騒音が轟く。
「畜生! 本当に燃料がねえ!」
燃料缶を蹴り飛ばす竜馬。
「馬鹿野郎、そう手荒に扱うんじゃねえよ」
「うお!?」
竜馬の脳天にドラム缶をぶっつける弁慶。
鼻を鳴らし、いちいちドラム缶を立て直している。
「いてて。おい隼人! ホントにゲッターも動かねえのか!」
「見りゃわかるだろ」
隼人が真・ゲッターの計器を端からいじりながらもぞんざいに返す。
「…ったく。ガキに戦わせて高みの見物かよ。俺達も歳をとったもんだ」
「愚痴るな」
隼人は動じない。
「使徒のバリアは基本的にエヴァでしか破れん。そしてエヴァはガキしか乗せん。言ったろ」
「ホントかよ」
と、弁慶。
「なら俺らが出ても…」
「だが使徒のバリアは「それを上回るパワーで攻めればブチ破れる!」
隼人の台詞を竜馬がさえぎる。
「そうだろ?」
「ああ。そうだ」
「そうは言うけどよ。エネルギー残ってねえんだろ」
とは弁慶。
「まあな」
時を越えた余波か、ゲッターエネルギーの大半を失った真・ゲッターは、まともに戦闘稼動させれば数分と持たない。
真ゲッターの炉心はゲッターエネルギーを拾っては居るが、歩みは遅遅としたもの。
一度出撃すれば、次に戦えるのは三年後だとコンピュータは言っている。
「本当に大丈夫なのかよ。あんな子供たちだけでよ…」
心配げな弁慶に、隼人が苦悩の表情で答えた。
「せめてこいつが完成していたらな…」
『は! こんなモノ? 所詮、あたしの敵じゃ、無かったわね……!』
使徒を前に大きく肩を上下させながら、それでも気炎を吐くアスカ。
トドメをささんとプログ・ナイフを取り出だし、一歩一歩、使徒へと距離を詰める。ナイフ片手に着実に。
だが次の瞬間、倒れたままの使徒がコメツキバッタのように跳ね、飛んだ!
『な!?』
使徒は弐号機の頭上を飛び越えると、そのまま獣か何かのように両手両足を着いて着地。
四つんばいの体勢のまま、挑むような目線を弐号機へと向ける。
『こんのおおおおおおおおおおおおおッ!』
「! 待ってアスカ!」
何かに気付いたミサトが叫ぶ。
アスカの、ミサトの叫びに呼応するかのように、使徒がそこに埋まっていた巨大な鎖を引き抜く。
鎖、鎖、鎖!
『うわ、なにコレ!?』
鎖に弾き飛ばされ弐号機が後退するが、鎖はなおも尽きること無く現れる。その先から現れたものは…巨大な
『なによ縁起でもない!』
それは巨大な、黒塗りの棺桶。
棺桶のふたが開け、使徒がこれまた黒塗りの鉄筒をぬらりと引き出してゆく。
星条旗マントを翻し、奴がにやりと笑ったようにも見えた。
「あ「あれは!」
「知っているのかね。赤木君」
空気と化していた碇司令が何か言いかける。が、リツコがそれを遮った。
「おそらく米国支部で開発されていたエヴァ用ハイ・パワーライフル。携行用実弾兵器としては世界最強の化け物ですわ」
モニタに黒塗りのCGが表示される。それはバカバカしいほどに巨大なライフルの画像だ。
「なんでそんなのが第三新東京市に埋まってるのよ!」
「ほらあれ」
みれば、その地区には「米国大使館建築予定所」の立て札が立っている。
「いわゆる治外法権って奴ね」
「ンな訳ないでしょうが!」
『ンなんですってェ!』
「アスカ!?」
リツコとミサトの漫才にかぶさるように叫ぶアスカ。
彼女の怒りに応えた弐号機の両肩が開き、プログ・ナイフが飛び出した。
『なら先手、必勝ッ!』
「待ちなさいアスカ!」
「に、二刀流!?」
『EINS+EINS=ZWEI!』
両手にプログナイフを装備した弐号機は兵装ビルを足場にし、高々と、それはもう通常の2倍の高さまで舞い上がり
逆光を背に、エヴァ弐号機が再び叫ぶ。
『ZWEI×ZWEI=VIER!』
「え?」
「ドイツ語?」
「2×2=4?」
発令区要員全員が首を傾げ、使徒は屈み混込み、アスカはなおも叫ぶ。
『VIER×DREI=ZWOLF!』
二本のプログ・ナイフを構えた弐号機は2倍の高さから更に3倍の回転を加えて急降下する。
その勢いたるやまさに12倍の威力を秘めた真紅の矢そのもの。
『負けてらんないのよ! アンタなんかにぃぃぃぃぃぃぃぃッ!』
アスカ渾身のスクリュー・ドライバーが使徒を襲う。
しかし使徒は動じない。動じず騒がずゆっくりと鉄筒を抜き出したかと思うと、やおらそれを右後方へ構えた。
突入する真紅の矢。鶴のように一本足で鉄筒を構える黒い影。
二つの影が交差。
激突。
『にぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?』
刹那の後、吹き飛ぶ弐号機。
勢いのまま使徒にホームランされた弐号機は遥か第三新東京市郊外までかっとばされ、無様に大地に突っ込むのであった。
「…リツコ。あれのどこがハイパワーライフルなのよ」
「…わ、私じゃないわよ」
使徒が構えているのはまさしくバット。黒塗りを施された特殊合金製のバットである。
埋めてあった棺桶にはぎっしりと「それ」が詰まっていたらしい。
他方、発令区最上段では冬月がゆっくりと首をめぐらせた。
「碇。お前まさか」
「ああ。まさかあれを使徒に逆用されるとはな」
「おいちょっと待て碇」
「ああ。私が作らせたプログレッシブ・バットだ」
「お前か」
冬月の顔が、抽象画になった。
「もしもの時の為に造らせて埋めておいたのだが」
「碇。いつもの事だがお前は一体何に予算を費やしておるのだ……」
冬月がピカソ顔を右手で覆う。
騒がしくなってゆく発令区へと、使徒はゆっくり歩を進める。もはや遮るものなど無いはずだからだ。
だがその前に轟音を立てててエヴァ射出リフトが浮上。
碇司令が、待っていたかのように告げる。
「エヴァ初号機。リフト・オフ」
拘束を解き放たれ、初号機はよろめくように使徒へと対峙した。
「初号機ハーモニクス正常」
「シンジ。予備がやられた。もう一回だ」
『もう、止めてよ父さん…』
まだ脳震盪でふらふらしているシンジの言葉。しかしゲンドウは容赦なく追い討ちをかける。
「シンジ。もう残っているのはお前だけだ」
『もう、戦えないよ…』
「お前が死ぬぞ」
『もう、もう…』
初号機の瞳から輝きが失せてゆく。ゲンドウの後ろで冬月が嘆息した。
「いいのか碇。初号機は俺たちの計画の要だぞ?」
「構わん。ここで敗北すればいずれにせよ全てが失われる」
「確かに。もう手が無いのは事実だがな」
ダミーも損傷を受けており、もはや初号機の暴走に賭けるしか無い。これが首脳部の決断であった。
本日コレまでで。長い。ネタにネタを次々つぎ込んだ結果とことん長い。とにかく長い。
でも次回まで続きます。もう少しだけお付き合いを……大体明日かあさっての夜くらいに投下予定です。
ネタで振ったら本気でやりおったw>プログレッシブナイフ二つで200万パワー
やらなきゃ負けかなと思った。今は反省している
>冬月の顔が、抽象画になった。
すっげえ見てえwwwww
そして何回か前で言われていたバットを本当に使うとはwww読み直して他にもネタがないか見てみないとwww
18のリツコさんの額には「大往生」と書いてあるのかな
鎧袖一触。
『ああああああ!』
初号機がバットで一撃され、兵装ビルへと突き刺さる。
使徒は失望したようにバットを放ると、再びゆっくりネルフ本部への前進を再会した。
「初号機、胸部部断裂! キレツ発生!」
「モニタ破損! チルドレンの状態をモニターできません!」
スクリーンが1つ「SOUND ONLY」へ切り替わり、シンジの息遣いと、そして迫る使徒の足音だけが響いてくる。
エヴァ3機の戦闘不能。
最悪の事態に落ちいったネルフに、冬月副指令の感情もない呟きが響く。
「この程度か。碇の息子」
「…いえ!」
息遣いが、聞こえる。
「サードチルドレン健在です!」
だが様子がおかしい。一方、スクリーン内では使徒がゆっくりと背を向け遠ざかる。
『……ちゃ駄目だ。逃……駄目だ…逃…しちゃ駄目だ』
一瞬がくりと屈みこみ、しかしゆらりと初号機が立ち上がる。
シンジの息は、荒い。
「シンジ君!」
『逃がしちゃ駄目だ…』
「え?」
『逃がしちゃ駄目だ逃がしちゃ駄目だ逃がしちゃ駄目だ逃がしちゃ駄目だ逃がしちゃ駄目だ……逃がしちゃ駄ァ目だァッ!』
突如初号機が駆け出す。
その手に握られていたのはプログレッシブ・バット。
初号機は思い切り振りかぶると、使徒の無防備な後頭部へクリーン・ヒットをブチ込んだ!
『うわあああああああああああああああああああああああああああああああああッ!』
いつの間にか拾っていたプログ・バットを初号機が握りなおす。グリップを捻ると、バットの全面から無数のトゲが出現した。
これぞプログレッシブ・バットがプログレッシブ(進化した)・バットたるゆえんである。
『逃がしちゃ駄目だ逃がしちゃ駄目だ逃がしちゃ駄目なんだあああああああああッ!』
「…………」
『駄目なんだよおおおおおおおッ!』
不意打ちを受けて倒れた使徒へ初号機がプログ・クギ・バットを乱打する。発令区が総員棒立ちになる中、再び狂乱のファイトが始まった。
『もう一度立ち上がって見ろ!』
シンジが、叫ぶ。
『もう一度立ちあがってみろ! 頭蓋骨全部へし折ってやる!』
「……暴走か?」
「いえ。シンクロ率正常。ただしシンクロ率はむしろ下がっています」
「流石のエヴァもドン引きってところかしらね」
上手いこと言ったつもりかね赤木君。
「碇、これならやれるか?」
歓声を上げる発令区要員に対し、しかし碇は冷めたような反応を返した
「駄目だな。所詮は子供の駄々にすぎんよ」
碇が言った瞬間、初号機の首へと使徒の腕が絡まった。全くこの男は。ネガティブな予想だけは天下一品だな。
「う、う、こ、の…」
痛い痛い痛い! 喉に絡まる使徒の腕がぎしぎしと音を立ててエヴァの首を締め上げる。
痛い痛い痛い! 喉に絡まる使徒の腕がぎしぎしと音を立てて僕の首を締め上げる!
「助けて、誰か、たす…」
『痛いだろう?』
『い、痛いよね?』
「パイロットのシンクログラフが乱れていきます!」
「いかん。零号機に引き続き侵食か!?」
「いえ。使徒の侵入は確認できません」
「ならば、何だ?」
「MAGIは回答を保留しています」
『い、痛いよね、ね、碇シンジ君?』
「(誰……)」
『でもね、もっと痛い思いをした者達がいたことを知っているかね?』
『い、痛い思いをする者達が出る事をしっているかね?』
『ねえ、碇シンジくぅん?』
異形の声が頭に響く。これが使徒の声なのだろうか? シンジは自分の意識が途切れる直前、そんな事を考えていた。
『おらおらおらおらおらおら!』
どこだろう?
『チェンジ!』
『…ミサイル!』
気がつけばシンジは生身のまま荒野に立っている。
ぬるりとした感触が広がる。足元は血だまりだった。どこまでもどこまでも広がる死骸と兵器の残骸の山。
その果てでは戦車隊が何かに向かって必至に発砲していた。
『うおお〜!』
『第14機動部隊は四十八度に攻撃を!』
『攻撃を、攻撃を!』
『ウオオ殺せ! 殺せえ〜〜!』
指揮官が、兵士が、誰も彼もが必至に叫ぶ。
『『『ゲッターロボを、殺せえ〜〜〜!』』』
「!?」
『今のは十三年前の光景だね』
『ゲッターロボは日本人にとっては守り神かもしれぬ』
『だ、だが攻撃する側から見れば破壊神なのだよ』
『いずれは人類をも滅ぼしかねぬ程のだ』
『ね、君にならそれが理解できるだろう?』
………
『君になら理解できるはずだよね? 君もまた、人類を滅ぼすモノと共にあるだものね?』
指差される。己の背後に立つモノ。エヴァンゲリオン初号機から装甲が剥がれ落ち、見るも醜い姿へ変わる。
それはかつて、母、ユイを飲み込み消えた巨人だと何かが告げた。
『何を……何を言ってるんだか解らないよ…』
「更にシンクロ率低下。このままでは!」
画面内でうわごとを呟き続ける息子を前に、ゲンドウはゆっくりと告げた。
「MAGIに自律自爆の準備をさせたまえ」
「メインコンピュータにですか!?」
司令部に緊張が走る。
「いざとなれば地下のリリスごと本部を消滅させる。急げ」
ゲンドウは告げる。
「その為のネルフだ」
「いいのだな? 碇」
「ああ。老人達にも使徒らにもインパクトを起こさせはせんよ」
「…ユイ君の遺言だからな」
「ああ」
と、静かに語り合う司令二人はさておき、発令区以下ネルフ本部は大パニックである。
まずメガネとロンゲが(略)。加持リョウジがコンソールにスイカをこぼし(略)。しかし今回の騒動は一早く落ち着いた。
メインスクリーン一面にMAGIの決議が映し出されたからだ。
『自爆拒否決議(条件付)』
碇司令が無言で椅子からずり落ちた。
「メルキオールとバルタザールとカスパーが裏切った!?」
「リツコ、それ全部じゃないの!?」
「碇、これは問題だぞ」
「ああ。もうすぐだよユイ」
「パターン青葉、俺です」
と再び混乱に陥ろうとする本部だが、追い討ちをかけるようにMAGIが「条件」を表示する。それは…
『ゲッターの力を信じるんだ』
ただ、その一文であった。
地下格納庫のハッチが勝手に開いていく。
「おい隼人! どうなってる!?」
「MAGIがゲッターを出撃体勢に移行させてるだと!?」
「おい隼人! 俺にわかるように説明しろ!」
「しっかり掴まってろ!」
真・ゲッターの瞳に光が宿り、翼が広がる。
「ゲッターロボ、発進!」
『下がれスティンガー君!』
何かがピクリと脳裏で動く。
シンジは自分の脳裏から何かがずるりと抜けてゆくのを感じた。ようやく、何かが離れてゆくのだ。
『とんでもない、とんでもないコトになるんだねコーウェン君…!』
『君達は取り返しのつかぬモノと道を同じくしてしまった!』
『君達はいずれ選択を迫られるだろう!』
『戦いの選択を!』
離れながらも「何か」は告げ続ける。
『その報いは、自らのものとするがいい!』
『さらば!』
今にして思えば、それは、警告であった。
『……』
何かが胸で叫んだ瞬間、視界が戻る。
視界に移ったそれに線が入る。線からぷつぷつと血泡が吹き出すのと、血泡がぬめり、それが崩れ落ちるのは同時だった。
『エヴァ…3号…機?』
その先に見えたのは、悪魔の羽と戦斧を掲げた赤い巨人。
『父…さん……綾波…アスカ……』
シンジが意識を手放す。
手放す果てに見えたのは僅か一刀の下に両断され崩れ落ちる使徒……あれほど苦戦した第十三使徒バルディエルの、成れの果ての姿。
そして夕焼け染まる悪魔。真・ゲッターロボの姿であった。
第十五話「戦いの選択を(完)」
人型使徒なのでネタを詰めていったら凄い量になった。今は兜卒天へ転生している。
ギアをいつもの調子に戻して次回第十六話へ続く
グッバイアディオスさやうなら
何ともまぁ乙
ところでヤクザは出ないの?
俺は体育会系なんで……チョイ役程度で予定は。出ると間違いなく喰っちまいますし。色々と
トソツテンってここじゃねーかw
今回も面白かった!GJ!
もう駄目だこの親子・・・
>悪魔。真・ゲッターロボ
実はゲッターの存在は死海文書にすでに予言されているんだ。
エヴァの色は黙示録の4騎士から来ている。
この4騎士が出てくるのは黙示録で第6のラッパのあとなんだ。
そして第七のラッパに続くのが黙示録の竜である“裁く者”魔王サタン。
このサタンは調べると7つの首と7本の角を持つ赤い竜であることがわかる。
これまでにゲッター線で動くゲッターを数えると、ゲッター・ゲッターG・
真ゲッター・真ドラゴン・ゲッペラー・ゲッターアーク・新ゲッター。
中でもゲッタードラゴンは肩も含めれば7本の角をもっている。
何より流竜馬はその名に竜を冠している。
これからいえることは・・・。
,.ィ , - 、._ 、
. ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__
ト/ |' { `ヽ. ,ヘ
N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨
N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′
. ヽヽ.\ ,.ィイハ | _|
ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \ ゲッターこそ
.  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ > 黙示録における
. l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__
゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' /
l `___,.、 u ./│ /_ サタンだったんだよ!!
. ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、
>、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ
_,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._
/ !./l;';';';';';';\ ./ │ _
_,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\ ./|._ , --、 | i´!⌒!l r:,=i
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l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! /ヽ::: `::: :::: ....::..../
ΩΩ ΩΩ<な なんだってー!?
飛焔、ゲッターT、D2、G5軍団を忘れないでください……
次は激しい雨と風に撃たれて鼓動がシンジ君を呼び覚ますんですね分ります。
打たれるんじゃなく撃たれるのかwww
ウム。ナ、ナンダッテーは欠かせんw
偽書ゲッターが虚無りそうで怖いんだぜ
結構イイ感じに隼人がドワオしてるんだが
でもサタンだの何だのと言いだしてしまうとそのうち不動という博士が出てきたりアスカが超能力に目覚めたり
「さあ闘いだ! 第一部完」になりそうで怖い。
なるほど。そ の 手 が あ っ た か
…虚無る気か?
>>798 その手があったかだと? ふん、
ここまで執筆を続け
そのうえ…われわれをここまで夢中にさせといて
虚無らせると思うかあっ!!やあっ!!
ムオオオ解ったぞ! 進化とは! 粗筋とは! オチとは! フハ、フハハハハハハハハハハ!!!
※撮影現場:崩壊しゆくドーム司令室(真ゲOVAより).
>>801 「ドーム」ではなく「タワー」では?
あと、私はうまくオチているなら虚無ってもいいと思ってます。
一読者として。
確かにドームってなんだ……ドラゴンタートルじゃあるまいに…
>>798 797だが俺が悪かった。虚無っても良いからデビルマンだけは混ぜないでくれ。
第三新東京に直下型地震とか起こして無法地帯にしなくても良いんで、はい。
>>804 デビルマンは既に庵野さんが混ぜてしまいました
☆
hs
808 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/24(月) 01:43:55 ID:QGVwJmoq
age
アスカ「チェーンジEVA弐、スイッチオーン!」
レイ「そのネタは認められないわ……だって私が余るもの」
トウジ「…ワイは?」
トウジはその意味では本来要らない子だろう
たまたまスレでネタになってるけど
話では戦争の悲惨さ(?)を演出するスパイスだし
シンジ「アスカ!、綾波!、ペダルを踏むタイミングを合わせるんだ!」
綾波「嫌。ペダル、嫌いだもの」
>>787-789 ΩΩ ΩΩ<な なんだってー!?
「参ったな」
「ああ」
遂に、真・ゲッターロボの存在が大々的にリークされてしまった。
まあリークというほどの事でもない。先日の「帰還」及び「第十三使徒」戦における動画を誰かが「YOU tubo」に流してしまったのだ。
それも編集を加えて曲も付け「真・ゲッターロボ 対 悪の要塞」というタイトルで、である。
今度は動画サイトか。参ったものだ。
しかもその反響は予想をも遥かに超えていた。
世界的には『核以上の脅威』として認知されたゲッターも、日本国内ではやはりまだ『英雄』であった。という事だろう。
それだけではない。
その『脅威』と目された原因である『日本海戦争』当時の動画も少し前から流れ始めていたらしく
当時国である某国はともかく、僅かな戦力で悲劇的な戦いを繰り広げた姿が、世界的にも同情を集めていたらしいのだ。
当時のアニメーション『ゲッターロボ』が最近DVD-BOX化されて評判を集めたこともあり、世論は随分変わっていた。
海外のOTAKUも絶賛だという。
『だが米国は認めまい。以前ゲッタードラゴン軍団に南極艦隊を壊滅させられておるからな』
これが私の持論だった。が、しかし南極艦隊…ロンギヌスの槍監視艦隊…はその性質上から存在を隠蔽されていた。
その結果被害は殆ど伝わっておらず、加えてゲッタードラゴンとエヴァが対峙した例の事件の動画も、少し前から流れていたらしい。
ドラゴンを異質なゲッターとする認識も広がりつつあったようだ。加えて今回、米国で発生した使徒をゲッターが退治する、という動画も流れた。
神君も『ジン様』として女性に好評だという。
『この時流に乗らないテは無い。とMAGIは判断しています』
『構わん。もう好きにしたまえ』
リツコ君発令の下、神君がハーモニカを吹く姿で(盗撮して)作ったプロモーションビデオ『神隼人の憂鬱〜目だ、耳、鼻だ〜』はミリオンヒット。
流君の修行シーン(を隠し撮りした)プロモーション・ビデオ『BURN THE RUN*3』が街中で流され
車弁慶君の食事姿を撮った『MAI-U』はフード系TV製作に多大な影響を与えた。
特に3人がネルフ保安部員相手に行った実戦稽古から作ったプロモ『DOWAO』は大ウケで
初の立体化となる真・ゲッターロボ1、真・ゲッターロボ2、真・ゲッターロボ3のTYOU-合金SOULを別々に初回特典に付け
3本別売する形で販売したところ、ネルフの通信回線が主・副・予備・同時にパンクする始末となった。
碇。我々はアコギな事をやっているな。
「ああ。問題ない」
無論国連からはレポート用紙一週間分程の抗議が来たが、ゼーレの後ろ盾がない国連など所詮張子の虎である。
碇が一晩であしらってくれた。
まあ弊害もあるがね。
「碇。時間だ」
例えばネルフ内は今回の件で色々と手一杯になっており、食堂スタッフに至るまで駆り出されておる。
司令である我々ですらカップラーメンで済まさねばならぬくらいに手不足なのだよ。
「ああ。3分経ったな」
ひとしきり麺を啜る。
「…ぬるいな」
「ああ」
816 :
第16話3:2008/11/25(火) 00:56:40 ID:???
「冬月。外野が煩いようだが、ゲッターはどうなっている?」
その件はこれを見たまえ。
『いいか良く聞け。俺が解りやすく科学的に説明するとこうだ。
今のままじゃ真ゲッターにエネルギーが足りないのは散々言ったな。特に真ゲッターはメチャクチャにエネルギーを喰うんだ。
そこで鹵獲したゲッタードラゴンをエネルギー増幅炉に使って真ゲッターにエネルギーを供給する計画を立てた。現在その実験中って訳だな』
以上。流君による解説だ。
「…ああ。どの程度かかる」
「早乙女研とはシステムが違うからな。およそ2日程だ」
上手くいけば真・ゲッターも戦力として期待できるな。
「…使い棄てるには予算をかけすぎだがな」
「そう言うな。それよりお前、息子から受け取ったか?」
「なんだそれは」
なんだ聞いておらんのか? 先頃からセカンドチルドレンと配って回っておるぞ。
「…招待状だと?」
ああ。お前の息子の結婚式だそうだ。
碇。何故服を脱ぐ?
ああ。畳むのか…碇。全裸でコーヒーを入れるな……ああ砂糖と塩を間違えておるぞ。呑むな吹きだすな汚い。
「……なん……だと…?」
碇。動揺しているのはよくわかったがもう少し解りやすく動揺しろ。
817 :
第16話4:2008/11/25(火) 00:57:51 ID:???
『フッ…シンジが保つかどうか』
『問題ないわ。まだ結婚年齢じゃないもの』
今回の件に関して神大佐、及びレイからコメントである。
第八使徒イスラフェル襲来時にあの事件。その後も、うら若い二人が葛城一尉の監督下で暮らしていた訳だ。
まあこのようなオチにもなろう。碇。息子にはちゃんと避妊はさせておけよ?
「ああ…………間違いない。出来ちゃった婚だ」
「なんだと? 碇、それでは委員会が黙ってはいないぞ」
「時計の針は元には戻らない。だが自らの手で進めることは出来る」
「事態の収拾は…不可能という訳だな」
しかし碇。弐号機パイロットが妊娠し「母」となっても、弐号機は彼女を「娘」として認識してくれるか?
エヴァのシンクロに問題が起これば戦力的に厳しくもなるぞ?
「構わん。エヴァが「お婆ちゃん」としての意識に目覚めれば或いは」
「しかしだ。「バアさんは用済み」と言われたショックで身投げした赤木ナオコ君の前例もある」
「併行して次のチルドレンの選別を行う。問題ない」
「碇。忘れるなよ」
我々に必要なのは正確にはチルドレンではない。
エヴァによって使徒を倒し、サードインパクトを行う状況を整えることだけなのだと言う事をな。
等とやっていると通信機が鳴った。
「緊急通信だと? ああ…なんだと!? ああ解った司令には私から伝える。引き続き手続きに当たりたまえ」
「何だ」
「その息子が拉致された。委員会の仕業だ」
珍しく碇が息を呑む。
「ゼーレか?」
「いや奴らだ。ネオ日本父母と先生の会。通称ネオPTAの仕業だよ」
碇が無言で椅子から転がり落ちた。
一話一投下できなくなってしまった…
ネタを積み込みたいというアンタ(自分自身)の口車に乗っちまった俺がバカだった!
くそっ、一体どこから突っ込めばいいんだ!?www
ツッコミどころがあったらツッコムのが男なのか!?www
今回はネタ詰め込みすぎだwwww
深夜に声出してわらっちまったじゃないかwww
碇司令が一晩でやってくれました
俺ちょっとネルフに電話してくるわ
言いたい事は浅間山がドワォ! するほどあるが一つ言わせろ
こうなったらとことんやってくれwww
腹筋を六つと言わず八つにでも割ってくれwww
えーと、恐るべし、PTA.
>>823 ご期待に沿えるかは解らんが、書き始めたからには書き終えたい
「お前宛にも召集令状が来とるぞ。家庭内暴力(言語的な意味で)の疑いアリだそうだ」
「問題ない」
「いや大有りだろう」
などとやっていると警報が鳴った。初号機が実質稼動不能かつ弐号機はスペック低下の疑い、加えて真ゲッターは調整中。
この状況下で起こりうる事態と言えば
「使徒か」
「ああ」
もしかしたら今世界で一番空気を読んでおるのは使徒かもしれんな。
「使徒!? こんな時にあのバカシンジは!」
警報鳴り響くネルフに、アスカが呆れたように叫んだ。
「出るぞ。第三新東京市で迎撃する!」
「ゲッターチーム出撃じゃあ!」
アスカの肩をたたき、竜馬と弁慶が駆け出す。が、レイが思い出したように制止した。
「駄目。真ゲッターは今エネルギー実験の真っ最中」
弁慶が振り返り、とぼけるように言う。
「ビィートがあるだろ」
「燃料が…」
「隼人の奴がバッテリー式に改造済みだ! それより忘れるな。前衛は俺らがやる!」
「バックアップは頼んだぞ!」
「ちょ、ちょっと!」
止める間もなく走ってゆく竜馬と弁慶であった。
『行くぞ。なんとしてでも上層部で食い止める!』
『なんでよ!』
『見てりゃ解る! それよりとっととやれアスカ!』
『マジでやれっての!?』
827 :
第16話7:2008/11/28(金) 00:21:14 ID:???
『『ゲッター・チーム! 発進!』』
『ああもうこのオッサン達は!』
『了解』
小気味よい音が響いた。
流君と車君が叫ぶと同時に、弐号機と零号機がプログレッシブ・バットでビィートT23改をホームランする。
吹っ飛んでゆくビィートの姿は、あっという間に視界から消える。
「赤木君。カタパルトは用意できなかったのかね?」
「なにぶんゲッターの整備で手一杯なものですから」
整備中の真ゲッター、そしてチルドレンを欠いたエヴァ初号機は出撃できん。
手駒は零号機、弐号機、そして流君と車君のビィート改だけか…。
「碇、流君と車君、使っても構わんのか?」
「構わん。ゲッターに精通しているのは神大佐だけだ。後は適当に使い潰せ」
相変わらず角の立つ物言いだな。頼むから周りには聞かせるなよ?
「市民のシェルターへの退避を確認」
「作戦部から報告。ワレ松代ニ到着セリ。チクショウグークメ。ヤッテヤルヤッテヤルゾ。通信以上」
『総員第一種戦闘配置、地対空迎撃戦用意』
「目標は?」
「現在、侵攻中です。駒ケ岳防衛線、突破されました! …これは!?」
「どうした?」
「ビィートT23改ビィートα1、ビィートγ3、目標上空を通過!」
「弐号機と零号機の打撃ミスです! 打球…もといビィートは郊外に落下!」
「パターン足。足ズッコケ状態です」
「ビィートα、γ両機、戦線到達に失敗!」
…馬鹿な。
828 :
第16話5:2008/11/28(金) 00:22:06 ID:???
弐号機の回線が開く。
『セカンド』
『解ってるわよファースト。ATフィールドが無い連中に無茶はさせらんないでしょ』
にやりと笑う、アスカ。
『それより例の奴、準備できてんでしょうね?』
零号機がぐいっとばかりに鎖を引いた。
鎖が長々と大地を裂き、埋まっていたそれを露出させる……いつか見たエヴァサイズの巨大な棺桶だ。
『ええ』
『来なさい! シンジやオッサン達なんかいなくったって、あんなの私とファ…』
弐号機が頭を振る。
『…あんなの私とレイでお茶の子サイサイよ!』
『来るわよ』
零号機と弐号機に向け閃光が走る。目から怪閃光を放ち現れたのは、いかにも鈍重そうな巨漢の使徒。
第十四の来訪者。『力』の使徒。
ゼルエルの襲来であった。
…さて。他方、シンジはどうしているのだろうか?
結論から言えば、彼は暗闇の中、独りパイプ椅子に座らされていた。
拘束はされないがその部屋には光が無い。出口も何も見えない。ただ誰かの声が聞こえるだけだ。
829 :
第16話9:2008/11/28(金) 00:22:46 ID:???
「…なんで僕をこんなところに呼んだんですか」
『こんなところとはご挨拶だ。ここは日本の首府。第二新東京市だよ?』
「そんな事、僕にはどうでもいいです」
『ほうほうご機嫌ななめだね』
『我々は君を救う為に動いたというのに』
優しい言葉が次々にエヴァを降りるように告げる。
その声には男も女も混ざっていた。が、彼らの態度は共通していた。
それは『シンジを気遣う』言葉であり、『シンジの言葉を意にも介さない』態度。
これぞネオ日本父母の会。
通称『ネオPTA』と言い、各学校ごとに組織された、保護者と教職員による教育関係団体を束ねる上位組織である。
参加期間は小学校入学時から高校卒業までで会費は月々500円。※ベルマークなら1点につき1.3円扱い。
会費入金は毎月25日が期限となっている……!
と、まあそれはさておき。
シンジは彼らの言葉を聞き流して、ただ相槌だけをうっていた。
人の言うことにはおとなしく素直に従う。それが彼の処世術だったから。
声は続く。彼が虐待を受けているという報告を受けたことや、ネルフという組織の非常識な行動について。
だが彼は聞き流した。
彼は無意識に処世術を駆使し、ただ考えていた。
それはネルフに来る前のことであり、ネルフに来てからのことだった。彼の懊悩っぷりは今更ここに書くことも無いので割愛するが、
彼は彼独特のその思考で内罰し、責任転嫁し、楽観と悲観を繰り返して考え続けた。
『弐号機があり、零号機があり、ゲッターがある現在、果たして自分はネルフやアスカにとって必要な存在なのか』
それを、ただただ、考えていた。
『ほら見てごらん』
『君もこの無残な戦争に巻き込まれるところだったのだよ』
そんな彼の内面など気にも留めず、役員がテレビ画面を…エヴァ対使徒の独占生中継を流し始める。
暗闇にシンジを含めた4人の影が尾を引き……シンジはゆっくりと、立ち上がった。
走る。走る!
「畜生! ガキがいきがりやがって!」
『なあ竜馬、俺はいらねえ中年なのかなあ…』
「妙な落ち込み方すんじゃねえ弁慶! ていうかお前が中年だったら俺はなんなんだよ!」
『知るか!』
カメラの外で、ビィートが、走る。
使徒『ゼルエル』。
白と黒の牛のような体色はともかく、その姿は例によっていびつな人型だ。
ずんぐりした体躯に、あるのか無いのか問い詰めたくなるほど小さな頭部に大きな目玉。
両足は形はともかく人間なら腿の部分まで辺りしか短くなっており、両腕代わりに折りたたまれた薄い何かがひっついていた。
そんなふざけた物体が、これまた冗談のようにふよふよと浮かんで迫る。
ビィートは使徒を目指し、使徒は第三新東京市を目指し、そして使徒眼前には二体のエヴァが待ち受ける。
待ち受けるエヴァへ邂逅一番、使徒の両眼が光を放つ! 炸裂はビルの2倍の光柱を生み、本部装甲版は次々と爆裂!
これが戦いのゴングとなった。
『第1から18番装甲まで損壊! …18もある特殊装甲を一瞬で!?』
『零号機と弐号機は!?』
オペレータの絶叫を破り、アスカの絶叫がこだました。
「こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんちきしょぉおおおおおおお!」
兵装ビルを足場に、太陽を背にして舞い上がり、使徒の上空へ弐号機が躍り出る!
「プゥログレッシブ! バァァァァァァァァァァァァァァァァァァット!」
使徒の頭部をめり込ませる勢いで振り下ろされたバットが、逆に粉々に砕ける。
使徒の眼が再び輝くが、弐号機はビルを足場にひらりと避けた。
ビルが次々と倒壊する。
「ちッ!」
『ちょっとアスカ! 無茶は止めなさい!』
リツコが叫ぶがアスカは意にも介さない。
「チッ! コイツも特殊合金製だってのに愛想が無いわね!」
『ちょっとアスカ!』
『弐号機、準備完了』
「りょおかいッ!」
怪光線をひらひら避けながら弐号機が後退、そこに待っていたのはレイの零号機。
零号機の傍らには巨大な棺が横たわっている。
『あれは先日の』
マヤが言いかけると同時に棺が開く。
中にびっしりと詰まっていたのは、予備のプログレッシブ・バットだ。
零号機が一本を手に取りグリップを左に回す。カチリと音がしたそれを弐号機へ放ると、弐号機は槍投げの要領でそれを使徒へとブン投げた!
『何を!?』
使徒へ投擲されたバットが火を吹く。
グリップから炎が噴出し、姿勢が安定・加速する。それはまさにトマホーク。それでいてミサイルと言う名の兵器であった。
直撃……爆裂!
「せ、先輩?」
「わ、私じゃないわよ?」
マヤとリツコのかけあいを見下ろし、ゲンドウがニヤリと微笑む。
「碇。またお前か」
「ああ。これがプログレッシブ(進化した)・バットだよ」
発令区要員は頭を抱え、冬月副司令に至っては達観した表情でカップ・ラーメンを啜っている始末であった。
本日コレまで次回に続きます。
というかホント、レスが貰えるのがエネルギーですよ。書いてる側は。毎度ありがとうございます
うぉぉぉぉ!大雪山おろしぃぃぃ!!!
これはポニーテールじゃなくて乙だカスクズゴミ
(父親的な意味で)男になったシンジ君、頑張れ。男の戦いだ
そして碇司令、仕事をしないならまだしも足をひっぱるのはいい加減にやめてくださいwww
まるで地獄甲子園だな
なあにかえって
i∨|/|/// ,. -,. ‐-、 、,-‐‐-、 ゝ∧∧/
、!ゝ! /// ,. -' ,. '", ,` ゙ヾ ヽゝ∨
ヾ、!` // /,. ,. ' /,.'{ イ/,} !i l ヾ おて
ゞ ┤,-、 / // / ,' ' ,' i ,!ノ-リ,!ゝ,(、ヾ,ゝ しめ
\ イ d、 \ ∠, ノ/ /' 'ノノ{iニニニ´',}ノ'y、ヾ. え│
フ フ_ _フ__ (_ { ' ,'; ノ{'"__`ー'" ,.'-'、`,ゝ てに
> '´_) (__ < ,! ト'´.r',、ヾ ' ,i/ r''; i!< やは
) ///// | \ iハ ; ! { l!i! |ェ. ,'!、.゙"ノ',-> ん
´つ ・・・・・ l、_ノ ゞ、 { ソ、ヾ、´// ',``ニ´'>, ね
∠ ー,‐ スヽ } i':::. `',r'!" '"` ):.. ∠, │
/イ (__ 、<. i '!、_,. ヘ=、_,ィフ'"`ニ=='フ │
/ , 、ヽヾ { 'i::;: i=-ェ;;;┴;;;ェ=彳'//イ !!!!!
' イ/ハ∧/ヾ` | l::;. !,i-!__l_l_,.!.-!-!| /,イ /レ、∧ハ∧
,! : l:: il|llllllllll|lllllllllll/,'/ |ハ、、 i
{ 、 ' i: |.ir'" /. _,./,っ / /,' ) ,' }
} ', |: i.i lTT'T"|´!'.ノ/ /:/,' ,i {!、-(!-、
ノ ,' ,}:: !ゝ}i`コi´,!| '/ ',. ゝ、(ヽ` `
´i´{ ' (::' ゙ 'J ̄},!´" ,/::."
`i')、!ヽ;::::::::. {::::.. /:::...:::::::::''''' ''':::
ノ' ' `ー'"`ー/:::..:::::: '::::::'::
乙&GJ
ふと思った。
ナオコさんが早乙女博士の後妻で、元気を生んでいたとしたら。(達人とミチルさんを生んだのは和子さん)
研究のために人工進化研究所に赴くが、そこでゲンドウに寝取られる早乙女ナオコ。
つまりゲンドウとナオコの関係は二重の不倫行為だった。
G以降は丸くなったが、恐竜帝国と闘っていた頃の博士は鬼気迫るものがあった。
息子を焼き殺し、娘には泣かれ、博士も冷徹にならなければやっていけなかったのかも知れん。
しかし同時に夫婦間の仲も冷え切っていた可能性があり、ゲンドウに靡くのも………
博士がチェンゲ化しちゃうって
下半身が絶倫インベーダー化するんですね
あまりわかりたくありません><
初号機を侵食し、内の碇ユイを寝取る淫ベーダー早乙女
そしてNERVにはドラゴン軍団が!
復活! 悪の要塞ネルフ本部! ですね。わかります
「碇。またお前か」
「ああ。これがプログレッシブ(進化した)・バットだよ」
発令区要員は頭を抱え、冬月副司令に至っては達観した表情でカップ・ラーメンを啜っている始末である。
「副司令。失礼ですが現在作戦行動中ですので…その、カップは…」
「あ。ああ、すまんな日向君」
いかんな。どうも気が抜けておるようだ。
「そうですよ副司令」
「赤木君。君もそのコーヒーを片付けたまえ」
「え?」
赤木君も言われて初めて気付いたらしく、慌ててカップを片付ける。
伊吹マヤ君もこっそりお菓子をしまい青葉君もギターを椅子の下へ隠し加持君がスイカを……
「加持君。君は作戦中はここに立ち入らんように言ったはずだが?」
「ええ。アルバイトが公になって以来、戦闘配置に私の居場所はなくなりましたね」
「なのに何故ここに居る?」
加持リョウジ。彼の立場は色々微妙だが「ここに立ち入る資格は無い」のだけは間違いない。
駆けつけた保安要員が両脇からガッチリと捕らえる。
「こんな時だからですよ。使徒がここの地下に眠るリリスと接触すれば人は全て滅びるといわれている。サードインパクトで」
ずるずると引きずられ
「それを止められるのは、使徒と同じ力を持つエヴァンゲリオンだけだ」
ゴミ棄て穴<ダストシュート>が開けられ
「俺はここで退場させられる事しかできない。だが、ネルフにはネルフにしかできない、ネルフにならできることがあるはずだ」
放り込まれた。
「誰も強要はしない。自分で考え、自分で決めるしかない。自分が今、何をすべきなのか」
言葉が糸を引き、本人は奈落へ落ちてゆく。
『ま、後悔のないようにな』
声が糸を引く。結局なんだったのだあの男は。
と、発令区が別の沈黙に包まれかけたが、マヤ君の叫びがそれをかき消した。
「目標健在!」
「加持君か!?」
「いえ使徒です」
あ。ああそうだな。それはそうだな。
「コアに当たったんじゃないの!?」
他の多くの使徒同様、ゼルエルの腹部はコアがむき出しだった。が。
『ミサイル直撃の前に皮膜で覆った。目標健在』
「チッ! なら次!」
『了解』
零号機が再びバットを取り出し
「プログ・バット!」
弐号機が投げる。
『まだ健在』
「バァット!」
渡す。投げる。
『まだ』
「バァット! バットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバットバット!」
辺りが爆炎と粉塵と瓦礫に包まれ、発令区要員の目が見る間に点になってゆく。
「まるでミサイルのマシンガンね」
「じゃ、十八本の特殊バットを一瞬で…」
「また予算を組みなおさねばならんな」
冬月が顎をしごく。
「どんなもんよ!」
『ATフィールド中和領域。ダメージは与えたはず』
「ていうか生きてたらマジでバケモンね…」
だが生きているのが使徒である。
『アスカ!』
「え」
粉塵の中から、何かが飛び出す。
使徒の両腕代わりに折りたたまれた「それ」が紙細工か何かのように伸びたかと思うと、二本の刃となって弐号機を襲ったのだ。
狙いは両腕の付け根。まともに当たれば弐号機の両腕はすっとんでいたであろう。
だがそうはならなかった。
『よくもやってくれたなガキ共!』
『無事かあ〜!』
ビルを足場にすっとんできたビィート2機が、それぞれ使徒の両腕の上へと飛び乗ったからだ。
『その前にな!』
『うお!』
両腕は狙いを逸れてビルに突き刺りこれを派手に倒壊させると、ゴムか何かのようにあっさりと戻っていったが
ビィートはその上をトランポリンのように飛び跳ねて使徒の顔面に蹴りを入れる。
これに対し使徒が再び怪光線を放つが、ビィートの姿は既に無い。
第三新東京市に次々と大穴が開いていくばかりである。
「ビィート、戦線に復帰しました!」
「無茶だな」
だがエヴァ2機がATフィールドを中和している現在なら、ビィートの武装も通用するハズだ。
問題は使徒の装甲が桁違いに厚いことか。
「時間を稼がせて初号機をダミーで起動だ。急がせたまえ」
良いな碇?
「ああ」
「了解。探査針打ち込み終了。コンタクト、スタート……パルス消失!?」
「なんですって!?」
警報でモニタが埋め尽くされる。
「ダミーを拒絶、だめです! エヴァ初号機、起動しません!」
拒絶だと!? ダミーをか? いや
「私を拒絶するつもりか。ユイ……」
「碇の息子は、サードはまだか!」
その息子はどうしていたか。結論から言うとパイプ椅子を抱えてたたずんでいた。
「フリーズ! シンちゃん助けに来たわよ! って」
その部屋には、雨が、振っていた。
雨と言ってもスプリンクラーだ。
何かの拍子で誤作動した「雨」に打たれ、シンジはパイプ椅子を抱えて佇んでいた。周囲には3人ばかり倒れている。
「えーと。シ、シンちゃん?」
「…あ。ミサトさん」
久々に軍服軍帽サングラスのフル装備を着込んでネルフ保安部隊で殴りこみ、
ドリフのコントのように薄い壁を蹴り倒して現れたミサトだったが、逆に毒気を抜かれてしまう。
「助かりました。これからどうしようかと思ってましたから」
肩で息をしながら振り向くシンジ。
周囲にスーツ姿の男女が3人ばかり倒れて呻いているが、どうもパイプ椅子で叩き伏せたらしい。
「使徒が来てるんでしょ? 急ぎましょう!」
「え、ええ」
まだ言ってないのだが。こんなに察しの良い子だったろうか?
「(でも積極的に行動してる……リョウ君達の影響かしら)」
ミサトは内心で笑顔とも冷や汗ともつかないまま笑顔を返し、その手を引いて走り出す。
「(それも勝手な言い草か。あたしは結局、この子達に自分の目的を託してるだけだってのに)」
十五年前、父を殺した使徒への復讐。
それがこの十五年間で生まれた行動原理。駄目だ駄目だと思っていても、思いは必ずそこに行き着く。
「ミサトさん」
暗い思いに沈む彼女を、シンジの声が現実に引き戻す。
「う、うん。シンちゃん。ごめんね今アシの用意を…」
「大丈夫ですよ。僕はやりますから」
「シンちゃん?」
シンジの目が何かを見ている。
「この危機をかわせるのがエヴァだけなら、僕はやりますよ。やらなきゃいけないんだ…」
いつも以上に得体の知れないシンジの表情。
しかしミサトがコンテナ・トラックの荷台を開きだすと、その表情は次第に人間味を帯びだしていき…
「あの、ミサトさん?」
「なァに?」
やがていつもの表情を通り越し、蒼白になっていた。
「もしかしてこれも……父の仕事ですか?」
「そう。最初の人類高速移動手段」
にやりと笑うミサトがサングラスを押し上げる。トラックに積まれていたのは古式ゆかしい鋼の砲門。
「…人間大砲よ」
「いや違います。絶対おかしいですよミサトさん!」
叫びを上げるシンジに、じりじりとミサトが間合いを詰める。
数分後。長い叫びの尾を引いて、一本のエントリー・プラグが大空を飛翔していくのだった。
本日ここまで。勢いで「棺桶にぎっしりバットが詰まっていた(
>>771)」なんて書いたのを引っ張っていたら
気がつけばこの有様だ。俺がバカだった!(ネタ的な意味で)。
乙
>>「そう。最初の人類高速移動手段」、「…人間大砲よ」
うまく初号機に刺さるのか?
零号機辺りがキャッチして投げ返すに一票
リリスだけにキャッチ・アンド・リリ〜スですね
わかります><
…スベったお詫びにロンギヌスの槍で貫かれてきます…
>>849 隼人「目だ! 耳! 鼻! ロンギヌスの槍だ!」
人間大砲というかファイヤーオン、いや、角度的にはクインスターインか?
ミサト「南斗人間砲弾!」
冬月「碇。息子が人間砲弾させられとるようだが」
ゲンドウ「ああ…ここで死ぬようなら今ここで死なせてやった方が親切だ」
混ぜるな危険!
俺は取り返しのつかない事が大好きなんだ!
www
死んでなんぼの人生じゃあ!
エントリー・プラグ入り人間大砲の傍ら、手をわきわきさせてミサトが迫る。
「さあシンちゃん! レッツらゴーよ! ゴー! ゴー! 號!」
「いーやーでーすッ!」
「覚悟決めなさい! おッとこの子でしょ!」
なんてやりとりを二人がしていた頃。
ネルフ発令区の面々は驚きを通り越して呆れ顔になっていた。
『ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィト!』
竜馬の叫びが尾を引き、ビィトが倒壊しかけたビルを駆け上る。
駆けて上って飛び上がり、響き渡るほど叫んで吼える!
『トマホゥク!』
ビィートの体躯が使徒をすべり火花を散らす。
まさに怒涛のパワー、であった。
『クソ! 硬ぇ野郎だ!』
「ビィート1.複数のビルを飛び回って加速をつけています」
「スーパーボールを密室で投げるようなものか」
エヴァと比べればオモチャのようなビィートを駆る流君と車君だが、ビルを足場に器用に飛びまわり
使徒の攻撃を避ける避ける。なるほど。その為の地上迎撃という訳か。
面白いように避け、面白いようにビルが次々倒壊する。
ああ修繕に一体いくらかかるだろうか。
『ビィート・トマホーク! ランサー! サイト!!』
エヴァの砲撃に耐え抜いた使徒も、生きた砲弾のようなビィートに戸惑っているらしいが。
「時に赤木君。ビィート改にはトマホークしか積んでなかったと思うが」
「多分その場のノリですね」
実際、形状は斧のままだな。
『ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィト・ブゥメラン!』
遂には、頑健なハズの使徒の装甲をぱっくりと切り裂く。
ATフィールド中和済みとは言えあまりな光景だ。弐号機と零号機の顎が外れたが、竜馬は全く動じもしない。
『油断すんな! まだちょびっとちょん切っただけだろが!』
『いや切っただけって』
既に言葉も無いアスカだが、竜馬の言葉はまだ続く。
『力で斬ろうとするからだ!』
『はァ!?』
『タイミングを合わせて無心で斬れ!』
ちなみにこれもまた兵法の極意の一つ。あの火事場の馬鹿力と言う奴であるそうな。
応用すればたとえ旧ゲッターでゲッターGの群れに入っても逆に殲滅して生き残れるとか何とか…。
「人間離れっていうか、もう流さん達の方が使徒って感じがしますね…」
人型の使徒か。日向君、あれが使徒なら私は迷わずN2爆雷を落とさせるよ。
問題は機体だ。そろそろ煙を吐いておる。
「作戦部から連絡。ヒトオクル スグウケトレ」
「第二新東京市からエントリープラグの射出を確認」
『…来る!』
『なにが?』
『お?』
『らぁッ!』
飛来したエントリープラグを零号機が真剣白刃取り…しようとしてそのまま顔面に突き刺さる。
取り落としたプラグを弐号機が慌ててレシーブ、
ビィート(ベンケイ機)がトス
竜馬機がアタックを決めた。
『な、何今の?』
『碇君…』
『え!?』
「初号機エントリープラグ、屏風山にて反射。芦ノ湖上空を滑空して第三新東京市市街に突入。市街地を爆走した後
使徒攻撃による開口に転落。現在ジオンフロント区画を落下中」
「うむ。ドタバタコメディの基本だな」
「は?」
「パイロットはそのまま初号機ケージに回せ。それと碇はどうした?」
「初号機ケージにて再起動にかかりきりです。現在36回目の再起動を試行中」
碇……初号機、いやユイ君に拒絶されて悲しいのは解るが落ち着け。
再起動の度に電気代がいくらかかると思っておるのだ。
またネルフのブレーカーを落とすつもりか。
「構わん。初号機からダミープラグを排出。サードチルドレンと入れ替えたまえ」
真ゲッターはどうした?
「駄目だ!」
ジオフロントの更に下部。赤い巨人の前で隼人が計器を叩き割っていた。
真ゲッターは変わらず沈黙を守る。
異常があるのだ。
「(ドラゴンとの接続実験は中断したが、システム上は既に正常状態になっているハズだ)」
エネルギーの補充はまだ不完全だ。だが動けないレベルではない。
機体のエネルギーは充分だ。むしろ…多い。
「何だと?」
手早く計器を当たれば疑問が見つかる。
「空間のゲッターエネルギー値が通常の12倍!?」
ネルフの空間に降り注ぐゲッターエネルギー値。それが異様に高まっているのだ。
真ゲッターは刻々とエネルギー値を上げつつある。
なおさらに疑問は募る。
「地下…だと?」
真・ゲッターは、答えない。
…同様に沈黙を守る巨人が、もう一体ある。その「地下」に、ある。
「何故だ!」
普段物静かなゲンドウが、激昂した。
「何故だユイ! 糞! 何故ダミープラグを、私を拒絶する! 何故だ!」
初号機は、答えない。
遠く響く爆音が、刻一刻と近づく。使徒が、サード・インパクトが刻一刻と近づく。
しかし初号機は動かない。
「何故だ!」
何度目ともつかぬ叫びと共にゲンドウがあたるようにモニタを叩くと、様子が変わった。
黒一色に染まっていたモニタが、人の姿を映したのだ。ぎょっとして振り向けばそこにも同じ顔が浮かぶ。
自信なさげで、うらめしげですらあるような……そう、彼が仕向けてしまった少年
妻が何よりも尊んだ少年の顔を。
「な……」
一面を埋め尽くすモニタすべてが「彼」を映す。
ゲンドウは呻いた。
「ユイ、これがお前の答えだと言うのか」
初号機の答え。
それはとまどうゲンドウの元へと走ってくると、彼を表わす言葉で呼んだ。
「父さん!」
肩で息をする少年がそこに居る。
ゲンドウは慌てず威儀をただすと、いつものつまらなげな言葉で問うた。
「戻ってきたのか」
「僕は…」
少年の言葉には決意があった。
「僕は……エヴァンゲリオン初号機パイロットだから」
『碇。人は皆同じエネルギーたるLCL。そして心の壁で成り立つ生き物だと知っていよう』
『全ては同じモノから生まれたエネルギーだ。思い出せ。そして顧みよ』
『贖罪の時は近いぞ。碇…』
刹那に何かが聞こえた気がした。全てが消え、のそりと立ち上がるゲンドウはただ一言だけ告げた。
「…出撃」
「冬月。待たせたな」
「碇、お前一体地下でなにをした!?」
発令区に戻ったゲンドウを待っていたのはかつてない混乱だった。
「初号機起動……シ、シンクロ率が!?」
ゲンドウに休む間もなく再起動をかけられ、既に臨界状態だった初号機はシンジ投入と同時にかつてない勢いで暴走。
シンクロ率400%を記録し、彼<パイロット>を取り込んで大暴れを開始していた。
「…ああ。問題ない」
言った碇司令を、発令区から見えないように張り倒す冬月であった。
「やむをえん! アンビリカルケーブルを狙え!」
「駄目です! 信号拒絶!」
「構わん砲撃しろ!」
使徒そっちのけで本部施設を破壊し始めた初号機に対し、本部は電源供給を切断。
内部電源は、5分。
「駄目です! 止まりません!」
「パターン青、来ます!」
それでも止まらぬ初号機に立ち向かったのは、地上から降り立った使徒であった。
たちまち始まる使徒 対 初号機。
邂逅一番、両目から閃光を放つ使徒に対し初号機も負けじと両目から閃光を発射。
「先輩!?」
マヤ君。流石の赤木君でも付けられんだろう。あんなモノ。
と見ているや閃光がぶつかりあい、地下都市<ジオフロント>内にまで次々とクレーターが開いてゆく。
「碇」
「問題ない。全てはシナリオ通りですよ…先生」
使徒が両腕をカッターとして放てば初号機はそれをゴムか何かのように掴んで止める。
掴んで止めて破り捨て、バランスを崩した使徒に向かって手刀を一閃。手刀は空間ごと使徒を引き裂く刃だ。
エヴァは、ATフィールドごと切り裂かれた使徒へとにじり寄り…
そっと、両手を合わせた。
「まさか…」
「ああ。間違いない」
赤木君に答えながら、まるで碇の奴の物言いだなと我ながら思う。
「ああ。間違いない…人類が食事前に行う最初の挨拶……“いただきます”だよ」
ジオフロントが血に染まる。
使徒の血潮と肉片が飛び散り、エヴァの「食事」が始まった。
食事。それは獲物の栄養を肉体へと取り込む儀式。それは使徒のS2機関…無限動力機関を取り込む儀式である。
「目覚めたのね……彼女が」
「使徒を…食べるなんて…う…おええ……」
赤木君が眉を寄せ、マヤ君がたまらず嘔吐を始め、流君と葛城一尉がいそいそコンロと焼き網を持ち出す中、
エヴァは使徒の「肉」を取り込み、地下都市にその声を響かせる。
それは紛れも無き目覚めの咆哮であった。
第18話終了。
今日はアスカの誕生日だそうで。エヴァ板トップが変わってて気付いたんですが芸が細かいですな
>>ゲンドウに休む間もなく再起動をかけられ、既に臨界状態だった初号機
眠りかけてるところを起こされるとムカつくよね・・・
保守
いつも最高です!
GJ! !
>流君と葛城一尉がいそいそコンロと焼き網を持ち出す中、
ちょwwwww
まかせろ!スレごと保守ってやる!
ゲッター保守!
み〜っつ〜の保〜守が♪ ひとつになれ〜ぇば〜♪
何かが胸で叫んでるのに 気付かぬふりで保守してた
禿しい雨と 風に撃たれて 鼓動が俺を呼び覚ます保守
ハゲと申したか
ハゲハゲ連呼されて
「私はハゲではない!」って生き返ったキャラって誰だっけ
天光寺輝彦とか言ったかな?
コータローまかり通るナツカシスw
しかしなぜこのスレでその話題が出るのか
あなはやなはなたなはに
そういうことだ。
俺に解るように説明しろおぉぉぉ!!
ゲッターサンタ
`、 - 、_ / ̄ ̄ ̄\ _,. マ
ヽ、~` - 、_ . ./――――丶\ - ' /
`ヽ、 丶(______)-○ /
,. ‐''-、 .i' l´l l⌒l l`i /
/ ,.‐''`'、` |⊂⊃~⊂⊃|_ /
|二二| | i⊂) ). ロ l⌒l ロ|)⊃ Merry Xmas!
././ \\ヾ/ ヽ.iコ .`-´.ri/|
| ̄| ̄ ̄| ̄|___,. -/ヽ._,.旦,_ン. | , - 、
>.| /ヽ .|⌒| ./ヽヽ `ヽ、 :|, -~──'── 、_
, '.. || | | |. | | /ヽ-、.`──── ` ヽ
/ヽ || | | | .| | | | | ,───、 / ̄ ̄ヽ i_.
| | / |/ | / // / | // ̄ ̄ ̄ヽ | |. ヽ
\ ` / | || | ̄| | i | ヽ
ゝ______/__/ || | | | ヽ__/ _,.ノ
そんなプレゼント嫌だー!
もっと別の何かを! ドSミチルさんの冷笑を!
ゲッター炉心が嫌とな・・・
踏んでやる、踏んでやるっ!
チェンジ!
ゲッタアアアアアアアアアアアア
エレキイィィィィィ!
オープンゲット!
チェェェンジィッ!!
893 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/12/30(火) 03:27:31 ID:/SjqhvID
北斗剛掌破!
ゴール様何してはるんですかw
DJゴール様www
恐竜帝国皇帝がアップを始めたようです。
ゲッター新年!!
オープンおめでっとう!
安いカメラやレンズじゃ綺麗な映像撮れないと思ってる池沼晒しあげwww
504 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2009/01/04(日) 10:11:37 ID:???
そもそも北野武を例に挙げてるけど、あの夏やソナチネはまだ見てないが、
キタノブルーは安いカメラやレンズで取れるようなもんなのか?
街中や風景を普通に撮ってればいつでも出せるようなもんなのか?
違うだろ。
その映像美を出すための機材だとか背景の小道具、エキストラの費用も必要じゃん。
あと、撮影にちょうど良い天気とか空模様も。
いつもそういう天気に恵まれるわけでもなし、天気待ちで俳優やスタッフを待たせてる間の
費用とか考えた事ある?
エヴァが殺人鬼養成アニメなら、いきなり犬の首すっ飛ばすゲッターはどうすりゃいいんだよ!
902 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/01/04(日) 20:52:00 ID:/EHhjVfo
903 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/01/04(日) 21:01:57 ID:A+VnK+DM
応援なのか?
竜馬さん、隼人さん、弁慶さん、お年玉ちょーだい。
ド ワ オ ! !
>>904 ゲッターチーム「はい、落し玉!
ストナァァァァァァサンシャイィィィィィン!! 」
うぎゃあ!
ほ
くっ、保守が必要だ……早乙女博士に知らせねば!
910 :
弁慶:2009/01/15(木) 23:49:22 ID:???
捕手
弁慶ぃぃっっ!!
ゲッターエンペラー…敵がサードムーンから出撃しています
ゲッターチームに今年のセンター試験をといてもらいました。
試験用紙が引き裂かれて散乱してるんですねわかります><
まともな点とれそうなのが隼人くらいしかいない
何を言う、竜馬も頭は悪くないぞ
少なくともゲッターに乗るための学力テストで武蔵にダメだしできるくらいの点はとっている・・・はず
隼人の次に好成績をとる翔
鉛筆転がしで何とか受かる武蔵
回答中にぶち切れて勘で解く號
試験中に眠りこける武蔵坊弁慶
弁慶と剴は・・・分からんw
剴が漫画版のならメカニック出身だから学力的な意味のバカじゃないだろう
専門バカの可能性はあるがw
弁慶は……可もなく不可もなく?
石川ノリなエヴァを書いてたがあんま面白くなくなって鬱
思いを込めて石川分を上げるんだ……!
とりあえずマンガ版では武蔵は知能は平均並みだそうです。
ついでに運動神経や持久力も同様に平均並み。
初めにゲッターのパイロットのテストを受けた時そう言われてました。
その後竜馬や隼人が倒れるなかでも動けるほどの体力を見込まれてパイロットになりましたが。
まあ、描写ではバカに見えますが。
腹の丈夫さは超人級です><
ハズシたらすんません。
シンジは困惑していた。
正確には「困惑し続けて」いた。
母がいなくなった本当に小さな頃、小さな自分を「せんせい」という人物に預け、年に1・2度しか連絡してこない父。
正直、顔すらよく覚えていない父という人物、その男から不意に直筆の(そう、いつもパソコンの打ち出し文字で手紙は書かれていた)手紙が届いたからだ。
手紙は簡潔だった。今日、あと「そこ」まで数分ほどの時間指定。その時間にここ旧箱根湯本駅、現在の第二新東京市駅に到着せよ、という程度が書かれていた。
同封は汽車の片道切符が1枚。
あとは、写真。
この「写真」がある意味で曲者だ。
若い女性、いや少女が二人、水着姿で写っている。
オレンジ基調のセパレートにパレオの付いた水着の少女は赤毛に薄い瞳の色で、何となく嫌そうな、しかし楽しそうなVサイン姿。
白いワンピース水着の少女はアルビノというものなのか髪が白く、眼も赤く、更に無表情で、それなのに物凄いギャルポーズ。
これだけで結構驚くが、ここに更に女性らしい文字で「お宝プレゼンツ」とハートとキスマークが真っ赤に添えられている。これをはじめて見た瞬間、シンジは「加齢臭……」と呟いたのは内緒だ。
この年代として女の子は好きだ。可愛いなら更に大好きだ。出来ればそれなりのお付き合いをしたい。実際にそうなったら色々と困るにしても。
確かにこの女の子二人は可愛いし、こんな子たちとそういったお付き合いが出来れば凄く嬉しいと思う。しかしこの字とキスマークにはどうしても若さを感じられない。
微妙だ。なぜこんなものが、しかも父からの手紙に同封されていたのか。謎が謎を呼ぶ感じがする。
「父さん……何これ……」
手紙を受け取って以来、何度目かも判らぬ呟きを繰り返す。
その時、風が吹いた。何とも生温い、そして生臭い風だ。
14年前のセカンドインパクトで地軸が狂うだか狂っただかで気象がおかしくなり、日本は年中夏になった。だから風が生温いのは仕方ない。だが、この生臭さは尋常じゃない。「魚の腐った様な臭い」なんてものじゃない。
シンジは風上の方を見る。
そして、喉が詰まるのが判った。
そこには「今まで見知ったシンジの常識」を崩壊させるモノが屹立していた。
黒くって、頭と首がない様に見えて、人間で言えば胸の辺りに鳥の骨を思わせる「顔」のある、いわゆる巨大な異形が「くくるぅ、くくるぅ」と、もしかしたら鳴いてそこにいた。
「……な、んだよ、あれ……!」
咄嗟に連想したのは「怪獣」という言葉。ナントカマンとか、ナントカレンジャーとかに出てきそうな、いやそれよりもっと奇妙な「モノ」。少なくともそれらの怪獣は作り物だと判るし、割り切れる。
だがこれは「生きている」。「生きて」、恐らくは「自らの意思で」「動いて」いる。
本物の異形。バケモノ。そういった、まさにリアルな恐怖。
「……あ、うあ……!」
喉がくっついて声が出ない。それどころか息も旨く出来ない。脚も、いや全身が震えて冷や汗が噴き出す。
「恐い」。無性に恐くって堪らない。
離れたい。「恐いもの」からとにかく遠いところへ。
何とかそう思えた瞬間、「バケモノ」の視点がこちらを向いた。
「……あ、ああ、あ……!」
体温が下がった。眩暈がする。もしかしたらこの瞬間シンジは泣き出したかもしれない。それすら判らない。
「バケモノ」がまた鳴いた。くくるぅ、くくるぅ、と響き渡る。
そして腕らしい部位を振った。近くのビルが破壊され、破片が飛び散る。
そのうちの結構大きな一つがシンジに向かって飛んできた。
「ひっ……!」
一瞬ほっとした。これで楽になれる、とさえ思えた。何でもいい、この恐怖から逃れられるのなら、と。
破片はシンジを襲う前に、不意に爆散した。
「ボケェ、なにボーッとつっ立っとる! シャッキリせんかい!」
いきなり怒鳴られた。どこからだろう、とぼんやり間遠く考え、後ろの方からだと気付くのにたっぷり二秒かかった。
「……え、え?」
再び破片が飛んできた。
後ろから人影が二人分飛び出した。
片方、黒く見える方は「碇、耳塞ぎぃ!」と叫び、両手にそれぞれ構える巨大なパイプ(とシンジの眼には見えた)を巨大な破片に向ける。
腹の奥底を抉る爆音が二度鳴った。
撃ち出された弾は白い煙の尾を引いて破片に命中、砕け散る。
音はシンジの耳には聞こえない。警告されたものの動けず、もちろん耳は塞げず、ためにまともに発射音に捕らわれ聴力を奪われたからだ。鼓膜が破れなかっただけ御の字だろう。
だが、まだ動けない。呆然と立ち尽くすシンジに今度は爆発の「余波」細かな(しかし結構大きい)無数の破片が襲い掛かる。
白く見えるもう片方はシンジの前に背を向けて立ちはだかり、長い紐(と、やはりシンジの眼には見えた)を振る。
細かな破片は一つ残らず叩き落され、シンジやもちろん白い方には一つも当たらない。
黒い男と白い男、二人は耳の辺りを探り、指を離す。耳栓を抜いたらしい。
シンジはぼんやりと、世界に音が蘇ってきた事を理解する。まだ空気は唸っているが、何とか。
二人の会話が何となく聞こえてきた。
「トウジ、もう少し丁寧にやってくれないかい? シンジくんはこういう事に慣れてないんだ、怪我をさせたらどうするんだい」
白い方が憤慨した様に、しかし楽しそうに抗議する。
「しゃーないやん、これがワイの持ち味や。だいたいカヲルの鞭じゃアレ落とせへんやろ」
黒い方はにっと笑って言い、「巨大なパイプ」ハンドランチャーを投げ捨ててシンジを立たせる。
「碇シンジやったな。怪我ないか?」
シンジは応えられない。
この二人はいったい誰だ? 自分の名前は知っている様だが、こっちは二人が誰かも知らない。見た感じ歳の頃は同じくらいだとは思えるが、それだけだ。
「……聞こえとるか?」
黒い方はやや苛々した声を出す。それでシンジの眼の焦点はようやく合った。
「……あ、う、ん……聞こえて、る……」
「お前、ホンマ司令の言った通りやな」
黒い方はがり、と頭を掻いた。「俺は呆れました」と顔に書いてある仕草でだ。
「まあええ。行くで」
くい、と親指が後方を指し示す。
「い、く……って、どこ、に?」
答えはなかった。その以前に二人がかりで腕を取られ、引きずられたからだ。
「え、え……な、何?」
今度は女の声が聞こえた。
「おっそーいっ! さっさと行動、また来るわよ!」
大人の女の様だ。だが話し口調は若い。
「しゃーないやん葛城はん、こいつボケとってアカンのや!」
黒い方は言い、シンジは「ほれ!」と強引に載せられた。幌のないジープだ、と気付くのに呼吸三回分の時間が要った。
三人は何かを言い合っている。男が女に報告する感じで、女は細いデザインのサングラスを外し、言った。
「ようこそ、碇シンジくん。とんだ歓迎式になっちゃったわね。
さ、行くわよ! しっかり捕まってね!」
がくっと車体が揺れた。ギアチェンジが失敗した衝撃だ。そのままジープは乱暴に発進、助手席に転がり込んだ黒い方が文句を並べる。
「もうちょい優しく走らせぇや葛城はん、ガソリン無駄にすんで」
「何で鈴原くんはそういうとこ細かいかなー。将来いいお嫁さんになっちゃうぞ〜」
女はへらへら笑いつつも、バケモノの「行動」で荒らされていく街を案外スムーズに走り抜ける。不意に襲い掛かる瓦礫を上手に避ける辺り、実は運転センスは悪くないのかもしれない。荒っぽいだけで。
「……あ、のう……」
シンジはようよう声を出す。女は振り向かずに応えた。
「なぁに? お姉さんに言ってごらん」
「うっわ図々しい。もう三十近いオバハンやんけ」
黒い方の「失言」を「ぐー」で黙らせ、女は笑う。
「で、何?」
「……あのう、助けてもらったみたいなんですが……」
「『みたい』じゃなくって正味ね。放置してたらキミ、今頃は食べ頃のミンチよ」
笑えない冗談だ。青ざめるシンジに罪はない。たぶん。
白い方が「ミサトさん、不謹慎ですよ」と嗜める。女はあははっと笑った。
「ゴメンね〜。で、キミ、判ってるけど自己紹介してもらえる? 決まりなのよ」
何の、の説明はない。しかしシンジは答えた。つっかかりながらのゆっくりではあるが。
「僕は、碇……シンジ……中学生、です」
「よろしい。で、こっちは」
「ワイは鈴原トウジや」
黒い方が「ぐー」を食らった頭を撫でつつ「宜しゅうな」と笑う。
「そうそう。んで、そっちのイケメンクンが」
「僕は渚カヲル。最後の者だよ」
白い方はふわ、と笑う。女はそれが気に入らないのか、やけにきつい声で咎めた。
「ったく、カヲルはすぐそれなんだから!……あたしはミサト、葛城ミサト。作戦指揮官ってとこね」
車が加速する。シンジは内心で悲鳴を上げた。
「さ、くせん、しきかん、って」
何ですか、と訊こうとしたが、出来なかった。車は被害を避ける為にか急加速し、がくっとシートに縫い付けられた為だ。葛城以外、三人揃って呻いてしまう。
「い、たた……ミサトさん、あんまりですよ。ガソリン消費云々以前に貴女は運転技術が残念です。今度から僕が運転しますからね」
「なーに言ってんのよ、無免許のくせに!」
ゴッ、と鈍い音が横腹から聞こえた。ボディに重量物が当たった音だ。
「こんな事態で免許に何の意味があるんです。必要なら作って下さい。運転なんて一日あれば覚えられます」
「渚……道路交通法って言葉、知っとるか?」
「いいじゃないかトウジ。こんな時に法律なんて些細な問題だよ」
違う、と鈴原、葛城が同時にツッコんだ。シンジもツッコんだが心の中でのみのツッコミだったので言葉ではカウントされない。
とにかくジープは危なっかしく走行し、その間、シンジは何度も心の中で悲鳴を上げてしまう事態が発生していた。
これだけ。スマン。
いい感じじゃないか。続き頼むよ。
しかしこのメンツでこのシンジじゃシンジの胃に穴が開きそうだが、
どっかでグルグル目玉になるんだろうか。
ここは最後までシンジ君はシンジ君のままの方がいいようなw
もしかしてこれネオエヴァの人?
鳴き方が同じだw
>>928 yes!中途半端なお目汚しで申し訳ない
心を込めて保守
誰か以前あったガイナックス戦記また貼ってくれないかな。
儒生歴のアレ?
うん、アレ
浅間山が噴火した件について
ソース
tp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090202-00000005-yom-soci
なんという真ドラゴン覚醒の兆し。
地獄の釜の蓋が開いちゃったのか。
浅間山の噴火は珍しいことではないが、都内まで思いっきり灰が飛んできたなんて
生まれて初めてだ。
>>933 >5000光年のノノリリ
グレートアトラクターの手により意識を保ったまま原子レベルまでに分解され、
太陽系より5000光年離れたブラックホールに封印されたタカヤ・ノリコ。
『地球のみんなを守りたい』ただそれだけの思いを1万2000年も念じ続けた結果、
ノリコはついにトップレスや宇宙怪獣をも越えた超能力・空間支配能力に覚醒した!
自らを生体ゲッター縮退炉と変化させたノリコは太陽系(魔皇星含む)と同じ大きさの
超巨大ガンバスターの姿をしたオーラ状支配空間を展開、ブラックホールより帰還!
さらに同時期、エグゼリオ変動重力源と相討ちになったバスターマシン7号こと
“ノノ”を特異点より召喚、再びダイバスターとして転生復元! 己の軍団へと編入す。
「あなたは一体……まさか!」「私を呼ぶ時はノノリリと呼んで」「ノ…ノ……リ…リ……コ………!!」
「そう……私は………5000光年の彼方よりこの宇宙に還り、そして新たなる宇宙になぐりこむ“ノノリリ”よ!!!」
儒生暦14276
ノノリリの軍団、ラ=グース戦線に参戦。神の軍団に対し宣戦布告!
儒生暦15821
ノノリリの軍団により宇宙怪獣絶滅!
儒生暦16783
宇宙超獣、ロクロームの戦いにてバスターマシン3号を模したブラックホール爆弾を使用。
ロクローム、ブラックホールに飲み込まれる。(後のブラックホール・ログローンの誕生)
儒生暦17008
グレンラガン艦隊8億、オネアミス宙域にて宇宙超獣軍団と激突!
戦いは105年間におよぶ。(オネアミスの戦い)
儒生暦18140
グレートアトラクターのデストエキゾチックマニューバ(精神破壊波動)のため、グレンラガン艦隊一時撤退。
儒生暦18244
福音宇宙最後の地球人類・碇シンジこと福音王、絶望の縁より復活。
平行宇宙(二次創作)のあらゆるSHINJIを呼び寄せ、エヴァンゲリオン軍団を結成!
儒生暦19520
神の軍団次々と敗れ、ラ=グースに撤退。
これより1万2000光年攻撃が開始。しかしラ=グースにおよばず。
儒生暦20684
ラ=グース、成長期が終わり覚醒!!
儒生暦20789
ノノリリ、バスター軍団と平行宇宙殴りこみ艦隊を率いてアンチ・スパイラルの同族と激突。これを大破、殲滅!!
儒生暦21564
グレンラガン艦隊総司令・示門王戦死!!
儒生暦21589
ノノリリが故郷、エーテル宇宙消滅!!
儒生暦30458
福音王、スーパーエヴァに搭乗し“福音の巨神兵・エヴァンゲリオン”の大軍を
率いてグレートアトラクターに挑む!!
「逃げちゃだめなんだああああああ!!!」
そう叫びながら宇宙超獣を攻撃する福音王。
その目の前に突如として惑星ほどもある巨大な少女――――の顔が現れる。
“少女の顔”は褐色の肌を引きつらせ、藍色の髪を振り乱しながら福音王に告げた。
『福音王!! 福音王よ! グレートアトラクターの真理を教えるわ!!
80億の同志を犠牲にして見たすべてをあなたに託すのよ。あたしを受け入れなさい!!』
儒生暦35670
アトランティス天ナディア王降臨す!!
ガイナ戦記 - [未完]
つーか今の技術ならば、虚無戦記を完全にアニメ化出来るはずだ!!
ノノと虎ってどっちがつおいの?
そら虎でしょ。
ていうかエクゾチックマニューバ(だっけ?)ってアレ、どう見ても空間支配だよなw
影から出てくるシーンが泣きのグズ蟲に見えた
保守
さらに保守
そろそろ950超えるけど、新スレ立てるより「ゲッター線が他作品に〜」に統合したほうがいいかもね
更なる飛躍を…?
二次創作とかでエヴァとゲッターってのはないの?
ないじゃん
2ちゃんネタ以外で、って言いたかったのか?
いわゆるファンサイトってこと?
てか、Wikiに登録されてない作品多すぎじゃね?
「そこで問題だ! このえぐられたスレでどうやってwikiに登録するか?
3択−一つだけ選びなさい
答え@ハンサムの
>>921は突如登録のアイデアがひらめく
答えA真ゲ対エヴァの人が還ってきて登録していく
答えB「問題ない」。碇の返事はいつも同じであるby冬月
961 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/04/08(水) 21:57:25 ID:7x6dJVoD
ゲッター保守!!
ほ
そろそろ950超えるけど、新スレ立てるより「ゲッター線が他作品に〜」に統合したほうがいいかもね
948 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/02/27(金) 19:08:59 ID:???
更なる飛躍を…?
949 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/03/02(月) 13:41:17 ID:???
二次創作とかでエヴァとゲッターってのはないの?
950 :名無しが氏んでも代わりはいるもの
wiki 404?
クロスオーバーSSの?
生きてるよ?
はちか
age
エヴァ板良スレ保守党
970 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/04(土) 00:55:54 ID:JVyeMwyH
ガン!ガン!ガン!ガン!
971 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/04(土) 00:57:49 ID:1b18C5R4
ゲッター2+ゲッター3=仮設5号機
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/04(土) 00:55:54 ID:JVyeMwyH
ガン!ガン!ガン!ガン!
若い命が真っ赤に燃え〜て♪
流れをゲッタートマホークでぶった切る。
いや〜、まさかケン・イシカワ目のシンジが見れるとはね。
それだけでも劇場版:破を見に行ったかいがあったよ。
<エヴァ破超泣けたシーン再現>
いま〜わたしの〜ねがいことが〜
ドッカン
m ドッカン
=====) )) ☆
∧_∧ | | /
( )| |_<だめなの ∧_∧ <綾波どこだ!?出てこい綾波っ!!
「 ⌒ ̄ | | || (´Д` )
| /  ̄ | |/ 「 \
| | | | || || /\\
| | | | | へ//| | | |
| | | ロ|ロ |/,へ \| | | |
| ∧ | | | |/ \ / ( )
| | | |〈 | | | |
/ / / / | / | | | |
/ / / / | | || | |
/ / / / =-----=-------- | |
シンジ
エヴァ板良スレ保守党
破で「真のヱヴァンゲリヲン」ってセリフを聞いて
真ゲッターロボや真ゲッタードラゴンを連想し、
どんな人智を超えた進化するのかと期待してしまった。
エヴァ板良スレ保守党
エヴァもゲッターとやりあえそうなくらい進化してるなぁ
>>941 製作側が虚無に帰ることになります
つーかどうでもいい話なんだがアークの悪く描かれてるゲッターや新ゲの仏共見てて
ラ=グースが時天空を倒したゲッターの最終進化状態なんじゃないかと妄想したりした
宇宙を食らうって表現がなんか似合うし
最後まで行ったから「進化に行き詰った」なんて言われたりして