大真面目には考えてなくないか
>>1だが、大真面目というのはネタのつもりだった
すぐ下に「笑えるネタから〜」と書いておいたし
わかりにくいな、すまん
一乙。
前のスレで潜在的リッちゃん好きだという事に気が付けた。
綾波目当てで前スレに来て、リツコ萌えになった俺も通りますよ
リッちゃんいいよリッちゃん
中の人もいいよ
なんか生活感なさそうな家庭だな
1乙です。
前スレで時田を投下してた俺が通りますよ
まず前スレ埋めるか
この3人(+ゲンドウ)で図書カード出てたんだね
>>9 前スレの影響でその絵のファイル買ったwww
キャラのチョイスが珍しくて良かったと思う
商品展開上仕方ないことだが通常綾波はアスカと組まされるし、
カヲルはシンジとセットにされることが多いから
もう片方のはシンジ、アスカ、加持、ミサトの絵だよね。
ふたつとも家族写真?
>>1乙!
>>11 去年のニュータイプの絵だよね
両方見ると対照的でイイ
アスカと加持を除きエントリーファイルにも載ってるね
「レイ、お風呂上がりに裸で出てこないでちょうだい」
「なぜ?」
「なぜって…。ねぇカヲル、嫌よね?」
「え、なんで?」
「ああもう!なんでこんなに常識が無いの!」
人外ゆえの天然というか非常識な子供2人と
一応常識人な親役リツコって組み合わせがいいね、この3人
「赤木博士」
「なに?レイ」
「…私たちの新スレが立ってるみたいです」
「あら…本当…」
「後半あれだけ過疎ってたけど僕達の生活はまだまだ続くんだね」
「…あなたは嬉しくないの?」
「え?当然。好意に値するよ」
「だったら2人とも>>1にお礼を言っておきなさい」
「ありがとう>>1」
「…>>1乙…」
「私からもお礼を言っておくわ、ありがとう」
「失速した前スレ、そして新たに仕切りなおされたsage進行の新スレ…これもシナリオ内ですか?」
「…すべてはこれからだ」
「明日…碇君、食事に付き合ってくれるかしら……」
「ファースト、シンジ君は僕が明日映画に誘うんだよ」
「碇君は、私の方に来てくれる」
「悪いけど、シンジ君はにんにくラーメンより映画の方が好きだよ」
「残念ね2人とも。彼は明日技術課で身体検査の予定よ」
「「!!」」
前スレの次スレ騒動を見て、そこそこ住人がいるんだなと嬉しくなった
この三人が組んだら最強だろ
補完計画くらいぶっこわせそうな気がするんだが
カヲル「赤城博士、貴方にお願いがあります」
リツコ「あら、赤城だなんて他人行儀はやめなさい。スレタイも変わった事だしリッちゃんでいいわよ」
カヲル「リッちゃんって年齢でも……(ボソッ」
レイ「……口は……災いのもと」
リツコ「カヲルの今日の晩御飯はねこまんまね。私はレイとイタリアン」
レイ「……うわーい(小声」
リツコ「じゃあカヲル留守番お願いね」
カヲル「ちょ…wwwww」
リツコ「じゃあ」
レイ「………いってきます」
バタンッッ
カヲル「参ったな。一緒に補完計画を阻止しようって言おうと思ってたのに。でも――」
リツコ「――――この一歩が、明日に繋がると思うから」
レイ(―――今は……それで)
ねこまんまは地味にうまい
補完計画阻止を他の2人に手伝って欲しいけど、
下手してバレたら消されるから
なかなか打ち明けられない3人 とかいいな
シリアスもギャグも出来そうなところがいいな
ミサトんち(和気藹々→ギスギス)と逆でリツコんちは(淡白→淡白→絆)ってなりそう
と妄想
レイのクローンを壊すリツコ 無関心なレイ 使徒の目的のことを考えているカヲル
よく考えると三人とも他人に利用されている人物だよな
綾波とカヲルに到っては、利用される為だけに生み出されたと言っても間違ってはいない
チルドレン皆利用されてるけどな
だがシンジ、アスカ、トウジは人工物じゃないし、
まるっきり何かの為に生み出された訳でもからなぁ
ちょっとレイとカヲルに失礼な物言いになってすまん
まあそんな二人が共感したり、そんな二人にリッちゃんが何かを思ったり…
職人のネタにでもなればいいかと書き込んでみた
最後の最後で大胆な行動するとこも共通してる
クリスマスネタ投下しようか考えていたがふと疑問
セカパク後って冬のイベントあるのだろうか…
オーストラリアみたいに
真夏のクリスマスで、サンタがサーフィンしてるとか
そんな感じならありそう。
だが版権絵でもふつーに雪が降ってる絵とかあるよな。
版権絵はビジュアル重視だろうな
貞絵のダッフル綾波の可愛さが異常だから許す
リツコさんが行事について説明してあげればいいよ
WEBアーカイブで前スレ600番くらいまで読んできた。
なにこの萌えスレ。
思わずエヴァ2の綾波シナリオでリツコを選ぶのもいいかもと思えてきた。
>>35 !!
やってくるw
綾波で、相手をリツコとカヲルメインにプレイしてみるわ
イスラフェルとの第一ラウンド後
「…先輩、コーヒーです。どうぞ」
「ありがと、気が利くわね」
「そんな…それじゃ、失礼します」
背中で扉の閉まる音を聞いてから、カップに手を伸ばす。
マヤの入れたコーヒーを含みながら、私が考える事は3つ。
使途が復活するまで、私に出来る事はエヴァの整備と使途の解析だけ。
それともう一つは…
「赤木リツコ君」
「はい」
司令室には碇指令と冬月副指令、そして私。
イスラフェルに無残にやられたビデオを見た後の話だ。
「君は、エヴァと使途との戦いを見てどう思うかね」
「…」
「私は別に君を責めている訳ではないのだよ」
指令は、いつものように顔の前で組んでいた手を下ろし、話を続ける。
「死海文書に記されている使途はあと10体。それをすべて倒さなければ補完計画は果たされない。
しかし…我々は使途に対抗しうる力を持っているとて、確実に殲滅しうるだけの力は持ち合わせていない」
「それは…わかっております」
「…先ほどの戦い、そして先日のラミエル、ガギエル戦、どれも紙一重の勝負ではなかったかね」
「シナリオの通りに使途は現れ、そして我々はそれを殲滅してきた。しかし、予定は狂うものだ」
「事実、ガギエルは死海文書の予言より早く現れている」
「しかし、これ以上エヴァを…」
「わかっている。私が要請したいのは予備のパイロットだよ」
「予備の…パイロットですか…?」
「エヴァが3体に対してチルドレンは3人…わかるね」
「チルドレンに何かあった場合…そのための予備でしょうか」
「そうだ。幸い、コアの書き換えにはほとんど時間を要しない」
「…わかりました。近日中にフォースチルドレンの選出を行います」
「対象は、集められた候補者から好きに選んでくれて構わない」
…そう、フォースチルドレンの選出。
私が対象者を選んで、マルドゥック機関を通しさえすれば明日にもフォースチルドレンは選出できる。
候補者の中から、目ぼしい人物を洗っていく。
…見つけた。ディスプレイに映ったこの顔…どこかで…まあいいわ、この子にしましょう。
鈴原トウジ。
「…先日の命に従い、フォースチルドレンを」
「どれ…うむ、問題なかろう。マルドゥック機関を通して後、再び君に伝える事にしよう」
同じく、司令室。
しかし今日はフォースチルドレン、鈴原トウジについての資料に目を通した副指令と私の2人だけだ。
「指令への伝達は必要なにのですか?」
「構わんよ、奴も私と同じ返事をするだろう…あいつは今会議中だ」
「会議、といいますと…」
「ゼーレの連中だよ。まったく…使途が目の前にいるというのに…」
「エヴァ初号機と弐号機はいつでも出せるようにしてありますが」
「チルドレンも葛城君の指示に従って昨日から使途殲滅への訓練を開始しているそうだ。…そうだな
フォースの選出は使途殲滅後にさせてもらうよ。君はそれまで使途の分析そのた業務にあたってくれ」
「了解しました。では…」
異常なまでに広い司令室を後にする。私がやることはまだまだ残っているのだけど…気になる事が。
廊下を闊歩しつつ、片手で携帯のメモリを呼び出す。
「もしもし〜?どったのリツコ?」
「いえ…ちょっとね。あなた今何してるの?」
「何って、使途をぶっとばす為に修行してんのよ修行!!今は休憩中だけどね」
「それって…やっぱり加持君のアイデアを?」
「…ぐっ…そうよ…仕方ないじゃない、他に思いつかなかったんだしィ〜」
「本当にやるとはね…まあいいわ、ちょっと気になっただけだから」
「あ、そ…よかったらアンタも見に来たら?そのほうがこの子達もやる気が出るだろうし」
とミサトが言い終わるか終わらないかのうちに、受話器の向こうから「何言ってるんですかミサトさん!!」とか「イヤよ!!絶対イヤ!!」
とか聞こえてくる。どうやら訓練は前途多難なようね…
「まあいいけど、ミサト、あなた始末書が溜まってるんじゃないの?」
「ギクッ」
「使途殲滅を優先ってことね…私は手伝わないから」
「ハイハイ、わーったわよ…それじゃ、訓練再開するからまたね」
本当に加持君のアイデアを採用したのね。まあ私にはあまり関係のないことだけど…
携帯を白衣のポケットにしまい、私は先を急いだ。
同時刻、ゲンドウは予想通りの言をゼーレの連中から受けていた。
「…まだ使途は殲滅していないというが」
「はい、エヴァとの先頭後、N2地雷にて…報告の通りです」
「碇、使途を倒さぬ限り、我々の人類補完計画は発動し得ないのだぞ」
「左様、一度たりとも失敗は許されないのだよ」
「…心得ております」
「…まぁいい、まだチャンスはある。過ぎてしまった事をせめても仕方がない」
「それに今回の議題はそこではない」
「第三使途から今回までの使途との戦闘を見て、我々は危機感を感じるのだ」
「左様。それに死海文書にある予定との齟齬も気になる」
…老人どもも、我々と考える事は一緒か。いずれにせよ、これでネルフへの資金増となれば、願ったりだ。
「…新たな戦力増強としてのエヴァは、現時点ではまだ完成まで時間がかかりすぎる」
「現在ある3つのエヴァだけで使途を殲滅しなければならぬことは当分避けられそうにない」
「そこでだ。碇。チルドレンの増員を要請する」
「…なるほど、しかし…」
「報告は、追って伝えよう。我々からの贈り物だ、丁重に扱え」
「そして予算増には一考しよう。お前は使途殲滅のためにいるのだからな」
「そのことを忘れるな、碇。」
なるほど、私には発言権は無いという事か。言われるまでもない。使途殲滅はシナリオの遂行には必須だ。
ただ…ゼーレからチルドレンを送ってくるのだろうか。
暗闇に包まれた部屋、ゆっくりと立ち上がる。
…私がゼーレから信用されていないことはわかる。私がゼーレを信用していない事と同じようにな。
しかし私を止める事はできん。ゼーレの刺客さえ、上手く利用するだけだ。
「…あなた、これで本当に大丈夫なの…?」
「まだ始めたばっかりだし、へーきへーき…文句があるならコイツに言ってよね」
「おいおい、俺はただアイデアを提供しただけだろ?」
そのまま家に直帰する予定だったのだけど、加持君に捕まって葛城邸にまで足を運んでしまった。
確かに興味もあったし、覗いていってもいいとは思っていたからいいわ。
「シンジ、アンタまた同じところで間違えたでしょ…」
「それは…しょうがないじゃないか!!疲れてたんだし…」
「それはアタシも一緒!!なんでこんなトロいのがチルドレンなのよ〜」
「…ハイハイそこまで。今日はこれくらいで…そろそろゴハンにしましょう」
「じゃ、アタシ先にシャワー使うから」
「それじゃシンちゃんは…」
「はいはい…僕が夕飯作るんでしょ…せっかくだから皆さんもどうです?」
その一言で私も葛城邸で食事を取る事に。全然緊張感がないみたいだけど本当に大丈夫かしら…
驚いた事に、シンジ君とアスカは思ったよりも仲良くやってるみたい。これもミサトの功績かもしれないわね。
「葛城、こんな時でもビールは欠かさないんだな」
「昔から変わらないわね」
「…あんまり深酒して、明日起きられないなんてことにならないでくださいよ…」
「だーいじょぶだーいじょぶ!!これくらい水みたいなもんよ」
「加持さん!明日も見に来てくれますか?」
「明日か…どうかなぁ、何とか顔を出せるようにしてみるよ」
「やったあ!!」
「ウゲ…アンタはもう来なくていいわよ…」
盛り上がる面々の中で、一人黙々とサラダを食べている少女を見る。
…綾波レイ。
チルドレンなのだから同席しているのは当然なのでしょうけど、思ったよりここに馴染んでいるみたい。
これもミサトの力なのかしら
昨日と同じ、碇君と弐号機パイロットの訓練を見学する。葛城一尉の命令だから。
私の零号機はまだ使えないけど、コアさえ書き換えれば私でも動かせる。
弐号機パイロット。うるさい人。でも碇君よりダンスの出来はいいわ。
学校にも行かないで、今日はずっと訓練の見学。途中で赤木博士と…誰?
「ちょっと加持、何しに来たのよ」
「作戦の発案者として、どうなってるのか見ておく義務があるだろ?」
そう、加持さん。この人は…よくわからないわ。
それにこの人が来てから弐号機パイロットがおかしくなってる。何故?
もしかして赤木博士のせい?…わからない。
気がついたらもう夜になってる。訓練はおしまい。
今日はこのまま赤木博士と加持さんも交えて夕食にするらしい。
私も生活リズムを整えるため、同席。だって命令だもの。
碇君の料理。おいしい。でも肉はイヤ。嫌いだもの…
「レイ、あなた、まだ肉は食べられないの?」
「!!…はい」
「だからといってサラダばかり食べるのは…何かタンパク質を含んだものを取りなさい」
「そういえば綾波は肉が食べられないんだっけ…ごめん、今度は魚料理にするよ」
「あれ、ファースト肉食べられないの?だったらアタシにちょーだい」
「あっ!ちょっとアスカ、それならアタシが…」
「ミサトはビールがあるからいいでしょ!それじゃもらうわよ〜」
躊躇なく豚の生姜焼きを差し出す。そのままフォークでかっさらう弐号機パイロット。
やっぱり、うるさい人。
「…シンジ君も大変だな、大食いが2人もいると」
「あっ加持さん…今日は運動したからいつもよりおなかが空いてて…」
「じゃ、アタシがもらうわねぇ〜」」
「…はい。肉、いらないから…」
なんかktkr
乙!続き待ってます
47 :
綾波レイ:2007/11/18(日) 23:16:51 ID:???
食後。今日も碇君の料理は美味しかった。今は台所で洗い物をしてる。
葛城一尉はまだビールを飲んでいるみたい。弐号機パイロットは加持さんと一緒。
私は赤木博士と一緒。
「…にぎやかね…」
「…弐号機パイロット、うるさい人」
「アスカ?…確かに、にぎやかかもしれないわね」
「…にぎやか…これが団欒…?」
「?…ミサト、悪いけどそろそろ帰るわ」
「帰るのかい?だったらリッちゃんを送っていかないとな」
「え〜っ、加持さん、もう帰っちゃうんですか?」
「玄関まで送りますよ」
「ありがと。…レイは帰らないの?」
「ああ、レイもうちに泊めてるのよ。これも訓練の一環としてねぇ〜」
そう、これも命令だもの。使途を殲滅するまで、私はここでみんなと過ごすの。
48 :
赤木リツコ:2007/11/18(日) 23:17:57 ID:???
「いーわね!最初からフル稼働、最大戦速でいくわよ!」
「わかってる、62秒でケリをつける」
MAGIの予想通りに、使途は再び活動を開始した。
前見たときとは違って、シンジ君の様子に自信が伺える。
…結果、使途の殲滅に成功。
これで私の心配事は一つ減ったわ。さて、殲滅した使途の解析の前にフォースチルドレンに関しての手続き、
それと…ゼーレが送り込んできた、フィフスチルドレン。
その子に会わなくちゃならない。
49 :
赤木リツコ:2007/11/18(日) 23:19:24 ID:???
数日前、指令直々の呼び出しを受けた。フォースについてかと思ったのに…指令の口からは、予想外の言葉が告げられた。
「…ゼーレからの通達だ。数日中にフィフスチルドレンが到着する」
「フィフス…ゼーレから直接ですか?」
「ああ。どうやら使途に脅威を感じているらしくてな。だが実際はわからんよ」
「…処遇は如何いたしましょう」
「わざわざ老人達からの刺客にエヴァを与えるわけにはいかない。完全な予備として使う」
「元々フォースと同様戦力として期待はしておらんがね…機体が来るまで、彼の出番はないよ」
「後日、マルドゥック機関を通してフォースと共に通達する」
50 :
赤木リツコ:2007/11/18(日) 23:21:24 ID:???
それが今日。きっと今頃、ミサトにも報告は届いているわね。
私には一足早くフォース、フィフス両名への接触の命が届いていた。
フィフスチルドレン…渚カヲル。
生年月日以外、すべての経歴は抹消済み。レイと同じ、赤い瞳を持つ少年。
…これはいったい何を意味しているの?
MAGIに解析を頼んでも、答えは得られなかった。
予定通り、フォースへの通達はすぐに済んだ。
彼には残念だけど、命令に拒否権はない。家族の方にももう連絡が届いているはず。
黒服が運転する車から、ネルフ本部をサングラス越しに見る。
…あそこに、フィフスがいるのね…。
>>51 乙カレー
ゆっくりやるヨロシ
wktkして待ってるよん
53 :
渚カヲル:2007/11/19(月) 00:22:58 ID:???
車から下ろされた僕は、そのままネルフの本部へゆっくりと歩いている。
夕焼けの空の色と同じように、赤く染まったなネルフ本部。その地下に、アダムがいる。
でも、今の僕にはそれは関係ないんだ。
「まったく…途中から歩いて本部に行けだなんて、ばかげた話だよ」
チルドレンなら誰でも護衛が着いてるだろうけど、今の僕にはそれは期待できないし。
それに、こんな時間だったら今日中にサードチルドレンに接触できるかもわからない。
どこかの学校からだろうか?心地よいメロディーが耳に届く。
これが唄なのかな?そのメロディーをぐるぐると頭に流しながら、本部へそのまま歩く。
「バカシンジ!さっさと歩きなさいよ!」
「そんなこと言ったって…」
「何よ、この程度の荷物も支えきれないの?なっさけなぁ〜い」
「違うよッ!!昨日は眠れなかったし、荷物が多くて歩きにくいんだよ…」
目の前から歩いてくるのは、僕と同じ服を着ている男の子と茶色い髪をした女の子。
そういえば、ここで会う最初のリリンだね。
そう思うと自然と視線がそちらに向う。…あの顔は、確か…
54 :
碇シンジ:2007/11/19(月) 00:28:49 ID:???
せっかく使途を倒して、家に帰ってゆっくりできると思ったのに…
アスカが「着地失敗とアタシにキスしようとした罰」とかいって買い物に付き合わされてしまった。
おまけに、今夜の夕飯の買い物もアスカの好物のハンバーグにしろなんていうから…すごい荷物になった。
「アスカも食材くらい持ってよ…」
「イヤよ。マンションまであとちょっとじゃない」
「それは関係ないだろ」
アスカに背中を押されながら歩く。前からは、鼻歌を歌ってる…僕と同じ中学生がポケットに手を突っ込んで歩いてる。
でも、あんな生徒見たこと…
「なによアイツ、変な奴ね」
「う、うん…」
警戒心を抱きつつ、その少年とすれ違う僕ら。なんの曲だろう…第九?そう思ったとき、メロディが途切れた。そして
「唄はいいねぇ…歌は心を潤してくれる」
「…?」
「リリンの生んだ文化の極みだよ。そう思わないかい?碇シンジ君」
55 :
渚カヲル:2007/11/19(月) 00:30:47 ID:???
「えっ…なんで僕の名前…」
「知らないものはいないさ、君はもうす」
「ちょっと!!なんなのよアンタ!!」
さっきの女の子が、シンジ君の後ろから出てくる。途中で隠れて見えなくなったからわからなかったけど、この顔は…
「…セカンドチルドレン。惣流・アスカ・ラングレー」
「へ?」
「な、何でアスカの名前まで…」
「有名だからね…君たちはもう少し自分の立場を考えた方がいいよ」
「あんたに言われなくても…それよりアンタは何者よ!!」
「アスカ、初対面の人にそれは…」
「それならコイツだって一緒でしょ!!」
…すごい剣幕でセカンドに迫られる。どうしたんだろう、シンジ君が困ってるみたいだ。
とりあえず質問には答えなきゃね。タブリ…じゃなくて
「僕はカヲル。渚カオル。フィフスチルドレンだよ」
56 :
渚カヲル:2007/11/19(月) 00:35:15 ID:???
「フィフス?…嘘おっしゃい!3人しかチルドレンは見つかっていないはずよ!!」
あれ…僕が来る事はまだ伝わってないのかな。
使途殲滅の直後だし、それに正式な配備は明日からだからそれも当然かもしれない。
まぁいいや、これでシンジ君との接触は果たしたんだし、本部に行かなくちゃ。
「…何黙ってんのよ」
「いや、何でもないよ。ところでネルフ本部にはこの道をまっすぐ行けばいいのかな?」
「あ、それならそこを曲がったところにあるバスに乗りなよ。終点が本部前だから」
「わかったよ、バスに乗れば着くんだね」
「シンジ!こんな変な奴に親切にしなくたっていいわよ」
「え、でも…」
「いいからもう帰るわよ!!」
「ありがとうシンジ君。さようならセカンド」
「ど、どういたしまして…」
「さっさと歩くのっ!!」
57 :
赤木リツコ:2007/11/19(月) 00:39:41 ID:???
ネルフ本部の一室。ここは喫煙が許可されている数少ない場所。
何本目になるかわからないタバコを灰皿に押し付けながら、左手首の腕時計を見る。
「まったく…どれだけ待たせるのかしら…」
倒した使途の分析は、悪いと思うけどマヤに当たらせている。フィフスと接触した後、徹夜で解析作業ね。
エヴァへのダメージはほとんどなかったから、整備に関しては殆ど出番はないわね。あとは…
そこで、ドアからノックの音。ようやく登場かしら…気を引き締め、返事をする。
「失礼します…赤木博士」
「フィフスが到着したの?」
「…フィフスチルドレンと名乗る少年が、警察署にて保護されたとの連絡が入りまして…」
58 :
赤木リツコ:2007/11/19(月) 00:50:50 ID:???
「まさかこんな所で会う事になるなんてね…始めまして。私がネルフ技術開発部技術局第一課所属、赤木リツコ博士です」
「フィフスチルドレン、渚カヲル…始めまして赤木博士」
そのまま車を走らせ、警察署へ直行。まさかとは思ったけど、本当に…
そこには、フィフスチルドレン、渚カヲルが補導されていた。
「…とりあえず…何と言えばいいのかしら…現金すら持たせなかったのね」
「すいません」
「バスに乗る前に、現金のチェックぐらいしておくことね」
「何かを得るためには対価を払わなければならない。そういうことですね」
「とりあえずあなたの保護者が誰か決めないと、ここから出られないんだけど…あなたの保護者は?」
「?さっきの人も言ってましたけど、なんですかホゴシャって。親とか言われましたけど親はいないし」
…この子…とんでもなく、常識が無いわね…日本語が不自由なのかと思ったけど、そうじゃないみたい。
でも、これと同じ感覚をどこかで感じたことがある。
綾波レイ…あの子も、彼に似ている。
カヲルこんなんじゃないだろ…
60 :
赤木リツコ:2007/11/19(月) 01:02:34 ID:???
「あなた、まさに放り出されてきたのね」
「そうかもしれないですね。住むところもありませんし」
それくらいならネルフですぐに用意できるわ。
問題は保護者か…こればっかりは…
「しょうがないわ、私があなたの保護者になります」
「…赤木博士がですか?」
「ええ、それが一番手っ取り早いもの…」
というのも、ここに来る時に警察の連中に私の事をそう説明してしまっていたから。
苛立っていたからか、そのままハイハイと答えていたらこの様。
とにかく時間がもったいないので、警察に何回か頭を下げた後、処理は他に任せてそのままフィフスをネルフまで連行する。
「…もう夜だけど…ネルフで話があるわ。それが終わるまで我慢して頂戴」
「わかりました…この車にはお金を払わなくていいんですか」
「ええ。これはネルフのものだから」
参ったわ、本当。
61 :
赤木リツコ:2007/11/19(月) 01:22:57 ID:???
セキュリティを通過し、ネルフ本部へ。
そのまま真っ先に、最初にいた喫煙可能の小部屋へ入る。灰皿には、まだ吸殻が残ったまま。
護衛には席をはずしてもらい、部屋には私とフィフスの2人だけになる。
「とりあえず…あなたがフィフスチルドレン、渚カヲルとして、明日からネルフ直属のエヴァンゲリオンのパイロットに所属してもらいます」
「…そのために、僕はここにきたんですよ」
「一応確認よ。それと契約の書類は後で渡すから、目を通して明日事務に渡して頂戴」
「じむ…」
「…いいわ、私に渡して。それから今日はネルフに泊まりなさい。部屋は後で案内してあげる」
「はい」
「…」
確認事項はここまで。私が本当に聞きたいのはその先のこと。
腕を組んだまま、フィフスの方へ向き直る。
62 :
渚カヲル:2007/11/19(月) 01:31:12 ID:???
バスが何なのかはわかっていたけど、運賃が必要だったんだね。
シンジ君を恨むつもりは無いけど、おかげでネルフ本部に時間通り到着するのは不可能になってしまった。
…まぁ、途中でネルフから迎えが来たからよかったけど…
僕の前に現れた人は、赤木リツコと名乗った。
何度か名前は聞いた事がある。エヴァ開発の責任者…とかなんとか。
とにかくその人にホゴシャとかいうものになってもらって、ようやくネルフにたどり着くことができた。
そして今、僕はその人に質問を受けている。なんだか変わった匂いのする部屋で。
「…あなた…どこから来たの」
「…書類に書いてありませんでしたか?」
「その程度の子供だましが通じると思って?」
流石に無理か。でも、僕も生まれた場所がどこかは知らない。
「悪いけど…僕もどこから来たのかは知りません。ただ、ここに来いと」
「そう、じゃあそれは誰の命令かしら」
「それは…」
ゼーレ。
僕を生み出した組織の名前。極力その名前を口にするなとは言われている。
こういう時は…
63 :
渚カヲル:2007/11/19(月) 01:32:53 ID:???
「…あなたがゼーレからの使者ということはわかっています」
「…なんだ、知ってたのか」
「じゃなきゃ、こんな質問はしないわ…それにまだ質問はあるのよ」
「なんですか?」
「あなたの目的は?」
「人類の滅亡を防ぐ事…だったかな」
「…あなた、何者なの?」
「フィフスチルドレン、渚カヲルですよ」
そう、僕は渚カヲルなんだ。
人類の為に、サードインパクトを起こす最後の使途。
そのために生まれて、そのために死ぬんだ。
「…もういいですか?」
「え?」
「僕が何者で、目的が何なのかだなんて…計画には影響を与えませんよ」
「…」
「赤木博士、今日はありがとうございました」
「…そうね…今はまだ…」
そういって赤木博士は、ドアのほうへ歩いていった。
「ここで待っていて頂戴。今日の宿はあとで教えるわ」
「わかりました」
そして僕は部屋に一人残された。赤木博士の質問には、上手く答えられたのだろうか?
とりあえずシンジ君に接触することと、ネルフにたどり着くことは出来た。
今後の身の振り方は、明日また考えればいいさ。
気がつけば、またあのメロディーを僕は口ずさんでいた
駄文&長文失礼。
カレー煮込んでるうちにふと思いついてダラダラ書き続けてしまいました。
>>59の指摘どおりカヲルにはちょっと違和感を覚えつつ書いてた。
でも前半飛ばして書いちゃったもんで今更と思い…とりあえずここまで投下しました。
正直、後悔してます。でも職人光臨待ちだったので「俺でもこんな駄文書いたんだから(ry
という意味で。。これを機にスレの活性化を願います。
>>64 いや、気にすんな
カヲルは結構天然ぽい気質だし自分は全然違和感無かった
リアルタイムGJ
地の文をもうちょっと入れてくれ。
会話が続くと誰の台詞なのか判りづらい。
後
>>38のリツコとゲンドウの会話のゲンドウの口調がちょっとらしくない。
副司令なら判るんだけど、ゲンドウのリツコやレイ、シンジに対する口調は
もう少し乱暴で紋切りっぽい「……だ」「……ではない」みたいな感じだと思う。
でもGJ!特に補導されるカヲル→保護者リツコっていうのはいいアイデアだな。
カヲル違和感あるなー
キャラなんぞいくら変えてもかまわん
自分が書きたいように書け
いくら変えてもというのは問題があると思うが…
ただ、庵カヲルは一話しか出てなくて脳内補完部分が入らざるをえないから、
違和感を感じる奴と感じない奴がいるのは仕方ないことだと思う
個人的には、妙な知識(難解な単語等)がある割に
日常生活においての一般常識から微妙にズレている感じを
アニメから受けたので、言われている程の違和感は感じなかったよ
続きがあったらまたカレーでも煮込んで投下してくれ
それと、使途じゃなくて使徒な
公式同人(笑)の育成カヲル他よりよっぽどまともだから気にすんな
こんな抜けてないよ
使徒だから人を俯瞰してるようなところはあるが知識や常識はある
本編では使徒としてしかもシンジやレイなどに対して教える立場だったから
本編で描かれてないような描き方をされたら違和感あるのはしょうがない
教えるというか指摘だな
チカンって何?
碇シンジさんここでも書いてたんだ!!!!
今から見るけど先に言っておきます。
GJ!!
ごめんなさい。間違いました…
同じ名前の職人さんがいたからてっきり…
でもGJです!
76 :
カレー:2007/11/19(月) 23:35:23 ID:???
帰宅→カレー→風呂ってからスレ覗いたらなんだか妙な流れに…
名無しでしたが間違った方がおられたので今はこれで。ご迷惑をおかけしました
>>74 それから使途→使徒とかゲンドウの口調とかのご指摘ありがとうございます。
それに句読点忘れも目立ちますね…すいません。
問題の「カヲルの違和感」についてですが
俺の中ではカヲルは「社交的で時折悟ったような考えを見せるけど常識知らずで素直」
といえばいいでしょうか、どっちかというと貞カヲに近い感覚がします。
とりあえずこのままじゃ中途半端なのでちゃんと3人同居させるまでは続かせるつもりです。
まぁ批判が多いようならとっととROMりますwww
こんなに長いのは実は初投下なんで多めに見てくださると助かります。
常識知らずってのは漫画版の設定じゃないかな?
俗なことや人の感情について疎いという
庵カヲは素直ってのとは違うかと
初対面の人間に「歌はいいねぇ……歌は(略」とか言い出すやつに常識とか関係ないwwwwwww
79 :
カニエ:2007/11/20(火) 01:03:04 ID:???
カヲルは保護者くらい知っている
レイ「赤木博士はなぜタバコを吸うの?」
リツコ「え…さ、さぁ…」
カヲル「タバコは百害あって一利なしですよ」
リツコ「つい吸っちゃうのよね。体に悪いとは分かっているけど、ね」
レイ「…私、赤木博士には元気でいてもらいたい」
カヲル「僕もですよ。いきなり倒れたりしたらどうするんです?」
リツコ「……」
ミサト「あれ? リツコ最近タバコ吸わないわね。禁煙?」
リツコ「ん…ちょっと、ね…」
今日は11月21日
カヲル「リツコさん、お誕生日おめでとうございます」
レイ 「赤木はかs…、……リツコさん……お、おめでと……ゴザイマス……」
GJGJ
ここ向けのイベントなのに忘れていた自分はバカだな
今日は11月21日・・・・
俺は忘れていない
リっちゃんおめでとう!
畜生・・・前スレ見れん
前スレ見てないのは勿体無いな
かなり神がかった投下もあったぞ
リッちゃんおめでとさん。
レイ「赤木博士…誕生日おめでとうございます」
カヲル「おめでとうございます」
リツコ「あら、ありがとう」
レイ「これ…プレゼントです」
カヲル「僕からはこれを」
リツコ「そんな…気を遣わなくていいのに……レイ、これは?」
レイ「…何をプレゼントしたらいいか分からなくて…葛城三佐に相談しました。
そしたら『リツコのヤツ、最近しわが増えてきたんじゃない?』って言ってこの美肌クリームを…」
リツコ「…」
カヲル「僕も加持さんに相談してこの美肌クリームを」
リツコ「……ありがとう…」
リツコ「あんた達、ちょっと話があるわ」
加持「おっと、パターン青、赤木使徒のおでましだ」
ミサト「総員退避!」
加持とミサトいいなw
「誕生日おめでとう、リツコさん」
「誕生日おめでとう、赤木博士」
リツコが部屋に入るとぱっと明かりがついた。壁には色紙で作った飾りつけ。
テーブルの上にはケーキ。形が悪いのは手作りだからに違いない。
カヲルが微笑んでいる。
レイが微笑んでいる。
リツコは二人を、それからケーキを見つめた。ケーキの上にはロウソクがたくさん立ててある。
「バカね。あなたたち、そんなことしてる暇があるなら……」
リツコはそこで言葉が詰まった。
――同居の件についてミサトと喋ったとき、私は何と言ったのだろう。
(ちょっと薄気味悪い面があるのは否めないわね、あの2人は。何考えてるか分からないし)
――パソコンの前でいつの間にか眠っていた私にレイが毛布を掛けてくれたとき、私は何と言ったのだろう。
(余計なことはしないで頂戴)
(風邪引くといけないから)
(勝手に入って来ないでって言ったでしょう? 一緒に住む以上、ルールは守ってくれないと困るわ)
――カヲルが私のIDカードをじっと見てたことがあった。あのとき私の誕生日を知ったんだわ。
(落としたよ、リツコさん)
(何を見てたの? さっさと返して。――何されたか知れたものじゃない。カード、変えてもらおうかしら)
「……あなたたち、バカね。私みたいにいい歳した大人が誕生日なんて――」
誕生日なんて自分でも忘れていたのに。誕生日を祝ってもらったなんて記憶にないほど昔のことなのに。
――バカはどっちかしら。
リツコは2人に背を向け、目尻を人差し指でそっと拭って言った。
「バカね」
感動した
なんという良スレ!
85じゃないけどお願いします
俺漏れも。
専ブラで保管してたのに手違いで消しちまったorz
俺も見たい。うp頼んます!
時期外れネタ
リツコ
時期外れネタ
リツコ「…ふぅ」
カヲル「お疲れのようですね、リツコさん」
リツコ「カヲル…そうね、本当は家で仕事なんてしたくないんだけど…」
カヲル「肩でも揉みましょうか」
リツコ「本当? じゃあお願いしようかしら」
カヲル「いえ」
リツコ「あっ…ん…っ! もう…ちょっと強く…」
カヲル「こうですか?」
リツコ「ん…気持ちいいわ…ありがとう、カヲル」
レイ「赤木博士…コーヒーどうぞ」
リツコ「あら、ありがとう。…少し甘いけど、温かいわ。ありがとう」
レイ「…いえ…」
リツコ「でもどうしたの二人とも。今日はやけに親切ね」
カヲル「いえ、今日は敬老の日じゃないですか」
リツコ「……それでどうして私をもてなしてるのかしら?」
レイ「敬老の日ってどういうものか分からなくて…葛城三佐が…
『敬老の日ぃ? リツコに感謝して親切にしてあげたら喜ぶわよ〜?』って…」
リツコ「……そう…まぁ…ありがとう、二人とも」
翌日
リツコ「ミサト、ちょっと向こうで話をしようから」
ミサト「おいでなすったわね」
ワラタwぐっじょぶ!
このスレのミサトさんも好きだw
リツコとミサト、良い関係だよねw
カヲル「シンジ君は好意に値するよ。好きってことさ」
リツコ(保護者として理解してあげなくちゃ…!)
リツコ「・・・何であなた方が私の家にいるんですか?」
キール「タブちゃんが心配だから様子を見に来たに決まっているだろう。
炊事洗濯掃除ゴミ出しを週6ペースで引き受けさせてたりはしていないだろうな。」
左様「左様。それとファーストチルドレンとの関係はどうだね?
仲が良いのは結構だが、やましい関係に発展しないように気を配るのが保護者の仕事だ。」
使徒だぞ
>>105 個人的には好きだが他スレネタは自重した方がいいかもしれん
他スレネタだったのか・・・?
しかもこれ他スレ2個被ってるね
リツコ・ゲンドウ・キールと全員親バカにしてしまえば何の問題も無い。
リツコ「今年ももう師走ね」
カヲル「リツコさん、師走って何ですか?」
リツコ「師走と言うのは……」
プルルル
ガチャ
リツコ「もしもし」
マヤ「先輩マギの件で少しいいですか?」
リツコ「あら、マヤ。分かったわ。
カヲル、ちょっと出かけて来るわ」
カヲル「はい、分かりました」
その日の夜
リツコ「ただいま」
カヲル「おかえりなさい。これ」
リツコ「あら、何かしら。
………クリーム?誕生日は終わったはずだけど」
カヲル「師走が何か分からないので葛城三佐に聞いたところ
『リツコの肌が荒れるくらい忙しい事よん♪』と」
リツコ「………そう、ありがとうカヲル(頬ひきつり」
リツコ「葛城三佐話があるわ」
ミサト「相手の都合を考えない。女にモテないタイプね」
112 :
カレー:2007/11/30(金) 22:12:36 ID:???
リッちゃんの誕生日なのにスルーした俺…ごめんリッちゃん。
遅れたけどおめでとう。
…で、需要あるかわからんけどちまちま書いてるので
ちょっとしたら投下します。いいよね?
問題ない、存分にやりたまえ
114 :
リツコ:2007/11/30(金) 23:15:57 ID:???
フィフスチルドレン、渚カヲルは結局、大人しくネルフ本部で一晩過ごしたよう。
しかし、不審感は当然まだ色濃く残っている。
徹夜で先日の使徒、イスラフェルの解析途中に入った報告を受けた私は、背中で扉の開く気配を感じた。
「…ミサトね」
「ご明察。チョ〜ッチ聞きたい事があるんだけど」
ズカズカと私の傍まで歩み寄ってくる。そして用件は案の定、新たなチルドレンに関するものだった。
「残念だけど、フォースはともかくフィフスに関しては報告書のこと以外は何もわからないわ」
「ホントなの!?…どう見ても怪しいわ、疑ってくれっていってるようなものじゃない」
「MAGIを使って探ってはいるけどまだ何も。昨晩に一度会ったけど…結局何もわからないままね」
パソコンに向ったまま、話を続ける。何もわからないのだから、こう答えるしかないもの。
多少ミサトはいらついている様だけど…何かわかったらすぐ報告して、と思ったよりすぐに扉の向こうに消えた。
そういえば、ミサトも使徒との戦いの後始末があるのよね。私と同じ徹夜明けだったのかしら…?
ミサトのスケジュールを確認すると、午前中にフォース、フィフス両チルドレンとの接見があった。
…警戒するのも…無理ないわ。一回会って、ミサトにはどう映るのかしら。
115 :
レイ:2007/11/30(金) 23:17:50 ID:???
朝、いつも通りの時間に起きる。
今日は放課後にネルフでミーティングと訓練があるだけで、それまでは学生として過ごす。
朝ごはんを食べてから制服を着て、学校に向う。
いつもと同じはずの環境。いつもと同じはずの行動。
…チガウ。同じじゃ、ない。
でも何が?
…いつも通りの環境。コンクリートの壁。パイプベッド。
違う、同じじゃなかった。
私は使徒を倒した昨日まで、葛城一尉の家にいた。
朝起きるときは私だけじゃない、碇君も、弐号機パイロットも一緒だった。
私が誰かと一緒に住んでいたのは、ずいぶん前だった。
ネルフ地下のあの実験室。ここと似ている部屋。でも実験室からマンションに来た時には、何も感じなかった。
葛城一尉の家と、自分の部屋と、実験室を順番に思い描いているうちに、後ろから声をかけられた。
116 :
レイ:2007/11/30(金) 23:21:05 ID:???
「おはよう綾波」
「…碇君…」
制服姿の碇君が立っている。昨日使徒を倒して、それ以来会っていない。
「おはよファースト…突っ立ってないでさっさと歩きなさいよ」
その隣の弐号機パイロットもそう。言われた通り歩き出す。
昨日までは一緒だったけれど、三人で登校するのは始めて。
訓練の時のように、うるさい弐号機パイロットと碇君が話している。たまに私にも話をふってくる。
それを返す。話が続く。それの繰り返し。
…使徒の殲滅は昨日の時点で終わった。だから私も葛城一尉の家から自分のマンションに帰った。
私たちの協調性を上げるための理由は存在しない。でも。
どうして私はそのまま教室まで一緒に2人といたのだろう。
二人とも私と協調する必要は無かったはずだわ…。
一人で教室に行かないで、二人に合わせて歩いていたのはどうして?
教室に着くと、碇君は相田君のところに。弐号機パイロットは洞木さんのところに行ってしまった。
…私は…いつものように、自分の席で本を読む。
私の思考は、本に集中していった
117 :
シンジ:2007/11/30(金) 23:23:07 ID:???
アスカと家を出て、途中から綾波と一緒に登校した後、ケンスケの所へ歩いていった。
授業開始まで時間があるとはいえないけど、それでもそっちに向ってしまう。
でもそこにはもう一人、僕の友達がいるのが常だった。
「…トウジはどうしたの?…また妹さんのお見舞いかな」
「さぁ?俺は何も聞いてないよ。トウジが風邪ひくとは思えないし、どうしたんだろうな」
カメラのレンズを磨きながらケンスケは答える。
前見たのとは違うレンズだ。いつの間に買ったんだろう…?
そんなことを考えていると、後ろから誰かに引っ張られた。
「ちょっとシンジ!」
「いたた…なんだよアスカ…」
「…昨日みたアイツよ。ここの中学かと思ったけど違うみたいね」
「アイツ?アイツって誰?」
「ハァ〜…昨日の帰りにいたじゃない!!あのフィフスチルドレンとか言ってた!!」
「あっああ…そういえば同じ制服だったね」
そう返したところで担任の先生が扉を開く。不機嫌そうなアスカと一緒に席に着いた。
確か…渚カヲル。彼の名前はそうだったはずだ。
本当にフィフスチルドレンが彼なら、フォースはもしかしたら…トウジ?
まさか、ね。
118 :
ミサト:2007/11/30(金) 23:25:46 ID:???
結局、何もわからないままこのときを迎えてしまった。
「始めまして二人とも。私がネルフ戦術作戦部作戦局第一課所属、貴方達の上司、葛城ミサトです。よろしく」
「よ、よろしゅうお願いします…」
「…渚カヲルです。よろしく」
MAGIも結局何も見つけ出せないまま。リツコはこの場にいない。
私の紹介に続き、オペレータたちが紹介を続ける。鈴原君は緊張しながら答える。
でも…フィフスチルドレン、渚カヲルは微笑を浮かべたままそれに答えるだけ。
「それじゃ、これからネルフ内部の案内をするわ。その後に指令と副指令のところに行くから」
「あの…ミサトさん、指令ってひょっとしてシンジの父親でっか?」
「…ええ。シンジ君からは聞いてなかったの?」
「父親がネルフにおるっちゅう事は聞いとりましたけど…」
「…そういえば、シンジ君の父君だったね」
「なんや、シンジのこと知っとるんか」
「うん、まあね」
…シンジ君のことを、知っている?何故?
どこかで会ったのだろうか?昨日は使徒を倒した後家に帰らせたから…
「彼も仕組まれた子供、だからね…君とは違う」
「なんやソレ?」
「君には同情するよ。本来エヴァとは関わる事のなかった因子だからね」
「そんなら…渚はエヴァに乗るん嫌ちゅうことか?」
「僕かい?僕はエヴァと同じ目的で生み出されたからね。嫌ではないよ」
「…ワケわからんわ」
119 :
ミサト:2007/11/30(金) 23:29:58 ID:???
ネルフの施設を案内しながら先ほどの言葉の意味に思考を巡らす。
『エヴァと同じ目的で生み出された』
生み出された?アスカと同じように、訓練を長年受けてきたということ?
でもマルドゥック機関の報告はなかった。
そもそも何で経歴を抹消する必要があるのか。それも完璧に。
…そういえば、もう一人パイロットで経歴が無い人間がいたわ。
もしかしてレイも、渚君と同じなのかもしれない。…何か秘密があるのね。
眼前には碇指令と冬月副指令が立っている。いつの間にか司令室までたどり着いてしまっていた。
「私がネルフ副指令、冬月コウゾウだよ」
「…ネルフ指令、碇ゲンドウだ」」
異常なまでに広く、薄暗い司令室。そしてそこの住人の二人の男。
初めて訪れるわけではない私でさえ、ここに来ると勝手に緊張が走る。
…そんな場所でも、やはり彼は微笑を浮かべたままだった。
120 :
カレー:2007/11/30(金) 23:37:57 ID:???
さっきまでちまちま書いてたのを投下終了。
寒くてキーボードが打ちにくいぜ…今思ったら展開遅すぎるよね。
几帳面に書きすぎな気が…ちょっと意識してテンポよく書くようにします。
ちなみに夕飯はカレーうどんでした。
指令か…
…いや、何でもない
カレー乙!
野暮で申し訳ないが指令じゃなくて司令だぞw
乙乙乙!展開遅すぎるなんてことないよ。丁寧に書いてくれ。
だがしかし、コテがカレーでいいのか?w
124 :
カヲル:2007/12/01(土) 02:54:53 ID:???
ネルフの設備には、正直興味は殆ど無かった。
見たことのない事も多かったけど、それより僕が気になるのはそこにいるリリンたち。
生き残るために、こんな施設を創り上げた。
そして、そのために時間を費やす。心も、体も酷使していく。
それは…このリリンも、同じなのか。
碇ゲンドウ。ネルフ総司令。未来のための執行者。
「始めまして…フィフスチルドレン、渚カヲル」
「…話は聞いている」
「聞いていた通りみたいですねですね、碇司令」
「…何がだ」
「何も…それでは、ここで失礼します」
未来の為に、忌むべき存在であるエヴァを、自分の息子をも使うなんて僕には…わからないな。
リリンは何を考えているのか。未来にそこまで執着するのはどうしてだろう。
約束の時まではまだ時間があるし、しばらくはリリンを見ているのも面白いかもしれない。
125 :
レイ:2007/12/01(土) 02:57:08 ID:???
授業が終わる。これからスケジュール通りネルフでミーティング後訓練。
椅子を引いて立ち上がると、碇君がやっぱり声をかけてくれた。
「綾波、一緒にネルフに行こうよ」
「…どうして?」
「え…どうしてって…どうせなら一緒に行ったほうが…」
「ミーティングの時間ま決まっているわ。でも一緒に向う必要は…」
「ちょ〜っと!!バカシンジ!ファースト!!早く行くわよ!!」
結局、弐号機パイロットが私と碇君を連れて行く。
ネルフ本部まではバスに乗ればすぐ着く。そのまま管制塔に向う。
登校したときと同じように、時々話題を振ってくる二人。私はそれに答える。
「あらー…早かったわね二人とも。じゃあ始めましょっか」
「そうね。ちょっとそこで待っててくれる」
管制塔の扉を潜ると、コーヒーを飲んでいる赤木博士と葛城一尉がいた。
しばらく立っていると、赤木博士の後ろから二人のヒトが出てくる。
「紹介するわ。…フォースチルドレン、鈴原トウジ。フィフスチルドレン、渚カヲル」
「今日から新しくチルドレンとして配属されたわ。仲良くしてね」
126 :
リツコ:2007/12/01(土) 02:58:44 ID:???
「そんな…まさか…トウジが…」
「ア、アンタ…ホントにチルドレンだったの!??」
「…ファーストチルドレン、綾波レイ」
予想通りのリアクションといえばそうね。特にシンジ君。それにレイも。
ただ一つ気になるのは…
「…ねぇアスカ、渚君と会った事があるの?」
「そうよ。昨日の帰りにシンジと…なんか自分がチルドレンとか言って」
私が思ったことを、先にミサトが口にしてくれた。どうやら一度面識があるみたいね。
まぁ、それはそれ。今回のミーティングはチルドレンの紹介のみ。
それが終わったらすぐに訓練の予定が入っている。聞きたい事はたくさんあるでしょうけど、それは後にさせてもらうわ。
チルドレン三人が管制塔から出て行った後、訓練と平行しながら新人チルドレン二人にエヴァの説明を行う。
…無論、渚カヲルには、当分エヴァに乗せるつもりはない。
彼は一体何者なのか。モニターを見つめる彼の横顔からは、何かを読み取る事はできない。
127 :
リツコ:2007/12/01(土) 03:00:37 ID:???
「…シンジ君のシンクロ率、平均より18%も下がっています」
「仕方ないわ…自分の友達が、チルドレンに輩出されたんだもの」
マヤちゃんから受け取った訓練結果に、素直に感想を述べる。
しばらくしたら、着替えたシンジ君がここにやってくるだろう。
…きっと、納得してくれないわね…どうして彼が選ばれたのか。
それでも納得してもらうしかない。使徒との戦いで、一番傷ついたのは彼だった。
そんな戦いに自分の親友を巻き込むなんて許せない。あの子はそんな性格だわ。
「…どうして、トウジなんですか」
「…仕方なかったのよ。彼しかいなかったんだから」
「でも…」
眉をひそめたまま、斜め下を向くシンジ君。
髪がまだ湿っている。…私はなんて言葉をかけるべきなんだろうか。
「納得できないのはわかるわ。でもこれはもう決まった事なの」
「…」
「話は後で聞くわ…仕事があるから、後でね」
「…はい」
「…差し迫ってる仕事なんて、無いはずだけど?」
「うるさいわね…」
シンジ君が立ち去った後、目ざとく突っ込んでくるリツコ。わかってるわよ、何も解決してない事くらい。
でもその後、予想外にアスカが現れた。…フィフスのこと?こっちもでっかい問題だったわ…
128 :
アスカ:2007/12/01(土) 03:03:33 ID:???
何でフォースがあんな…それよりも!
渚カヲル?いきなり現れて、それでホントにチルドレンだったなんて。
なんなのアイツ?それにあの態度…
訓練が終わって、制服に着替えたアタシはミサトに直接聞いてみた。渚カヲルについて。
「でも返ってきた答えは…『まだ何も言えない』ですって?おかしいわよそんなの。
ちゃんとマルドゥック機関が選出したんでしょ?ならプロフィールくらいわかるはずじゃない」
「うん…そうだね」
「聞いてるのシンジ?そりゃ鈴原がフォースだったのはショックかもしれないけどさ…決まったんだし考えても仕方ないわよ」
バカシンジ。そんなことでショック受けてどうすんのかしら。
本当に貧弱な奴ね…あーあ、家に帰ってもこんなしけた顔されてるのは勘弁だわ。
「ったく!シャキっとしなさいよ!!アンタ人類を守るために戦うんでしょ!!
そんなんじゃ使徒が来た時どうすんのよ!!」
「そんなこと言われても…」
「別に鈴原がチルドレンになろうが、アタシ達は使徒を倒すしかないのよ。そのためにエヴァに乗るだけ!
アイツがチルドレンでも機体がないんだから結局戦闘はアタシ達だけなのよ。もしそれで負けたら…わかってるわよね」
「うん…」
神妙な顔をしたけど、ちょっとはこれで元気になったかしら。
ま、それでも完全に割り切れてないみたいね…ハァ…
129 :
レイ:2007/12/01(土) 03:06:31 ID:???
弐号機パイロットは、訓練が終わるとすぐに更衣室を出て行ってしまった。
碇君ももういないみたい。やっぱり声をかける必要はないもの、先に帰ったんだわ。
そう思ってエスカレーターへと続く廊下を歩くと、学生服が目に入ってくる。碇君…じゃない。
「ファーストチルドレン、綾波レイだね」
「…フィフスチルドレン…」
「渚カヲル。…君は僕と同じだね」
「同じ?…どうして?」
「君も僕と同じ…いや、これはこんなところで話すことじゃなかった」
「そう…でも、同じ感じがするわ」
初めて見たときからそう思った。渚カヲル。この人はわたしと似ている。
どうしてだろう。
「君はシンジ君やセカンドチルドレン…リリンたちとはうまくやってるみたいだね」
「…よくわからないわ」
「僕達はリリンから憎まれる存在であるはずなのに、不思議だね。共存しているなんて」
「…何が言いたいの?」
「思ったことを言ってるだけさ」
人通りの少ない廊下では声が響きやすい。私達以外の声が、置くから響いた。
130 :
アスカ:2007/12/01(土) 03:10:06 ID:???
辛気臭いシンジの顔も見飽きたなぁなんて思ってたら、こんどは表情がないファーストの顔が出てきた。
そんでもって…好都合だわ、フィフスも一緒だなんて。
「やぁシンジ君。それにセカンド」
「アンタ、本当にチルドレンだったのね。驚いたわ」
「そう言ってたじゃないか。信じてなかったのかい?」
「…まあそれはいいわ。とりあえずチルドレンのエースはアタシよ、よく覚えといてね」
「それは頼もしいね」
「…アンタにはでかい顔させないんだから!よく覚えておきなさい」
いきなり選ばれたチルドレンなんかに負けるもんですか。でもアイツは全然動じてない。
そのうち格の違いを見せ付けてやるんだから。
「ねえ渚君…トウジ、見なかった?」
「カヲルでいいよ、シンジ君」
「う、うん…カヲル君、トウジ知らない?」
「彼はさっきトイレに行ったよ」
「…なんやみんな揃って…ワイの事待っとってくれたんかい」
シンジが心配してるけど、コイツは全然普通よね…
131 :
カレー:2007/12/01(土) 03:18:19 ID:???
うおっほwwwwまた変換ミスとか俺ドジっ子wwwっうぇwwww
本当にすいません。以後気をつけます…
とか言いつつ
>>127はリツコじゃなくてミサト視点です。ごめんなさい。
とりあえず片手間に書いてましたがいい加減眠いのでこれで続きはまた今度という事で。
もうすぐクリスマスなんでクリスマスネタを職人さんが投下してくれることを祈りつつ寝ます。
あとコテはカレーでいいです。もう半月以上つくり貯めたカレーを食べ続けてますし。
ネタが生まれたのもカレー煮込んでる時でしたし。何か他に案があれば変えてもいいですがwww
毎度の駄文失礼いたしました。スレの活性化祈願。
目欄のカレーはいらんな
うん、コテでわかるから目欄はいらない
とにかくGJ
乙
だが作者のコメントイラネ
面白かった。続きまってるよ。
136 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/12/02(日) 11:30:57 ID:NT7xt4s6
『お母さん!聞いて、100点取ったの!』
幼い黒い綺麗な髪をした少女は息を切らせ走っていた。小さな手に握られているのは、クシャクシャになった一枚の紙。
『お母さん!』
扉が、力強く開かれた
「……ッ!!…夢……」
ベッドの上、リツコは夢の中の彼女と同じ様に息を切らせていた。しかし一つだけ決定的に違う事があった。
夢の中の彼女は喜びに息を切らせていたが……。細い、白い指がそっと透明なソレを拭う。
いつだったか、古い友人が言っていた。涙の通り道にホクロがある女性は一生泣く運命にある、と。
「寝てる時の無防備さは自分でも呆れるわ」
汗で濡れたシャツにそう溢し立ち上がる。向かう先は冷蔵庫、水の入ったペットボトルを取り出しグラスに注ぐ。
朝が近いのだろう、わずかに差し込む朝日にグラスの中の水が小さな光を放つ。
闇の中の小さな、光。
赤木リツコ、30歳。特務機関ネルフ技術開発部技術一課所属。
知的な雰囲気と美貌から隠れファンも少なくない。
「……すみません。副司令もう一度言っていただけますか?」
眉間に指を当て迫り来る目眩を反芻する様にはそう言った。
その日リツコは珍しくネルフ本部の副司令である冬月に呼び出された。いつもなら司令である碇ゲンドウが彼女を呼ぶのだが冬月が呼ぶ事は珍しい。
「辞令だよ。今日付けでレイともう一人のチルドレンを君の家に住ませる」
冬月は本に目を落としながら、今日の晩はカレーだとでも言うかの様に呑気に言い放つ。
だが言われたリツコは溜ったものではない。
「副司令、いきなり言われても困ります」
「レイの住んでいた所が先日の戦いで壊れてしまってね、なぁに一ヶ月だけだよ。それにこれは碇からの頼みでもある」
結局、碇からの頼みの一言に弱いリツコは渋々ながらも了承せざるを得なかった。
「赤木リツコです」
「……綾波レイ」
「渚カヲルです。よろしく」
その日の夜、赤木家のリビングには片付けを終えた居候二人と仕事を終えた家主が顔を揃えていたと言うわけだがリツコは昼間同様、眉間に指を当て揉みほぐす。
リビングにはいきなり気まずい沈黙が流れ、それぞれが黙々と晩ご飯に箸を伸ばしていた。
(まさかとは思ってたけどここまでとは……)
リツコはチラリとレイを横目で見る。
ファーストチルドレン、綾波レイ。
うっすら青い髪とアルビノかと思う程の白い肌、そこに浮かぶルビーの様な瞳、間違いなく美人と言ってもいい。
しかしまるで人形の様に無口な上、無表情だ。
リツコは前途に多難を感じながら今度はカヲルを盗み見る。
渚カヲル、碇ゲンドウの知人の子らしいが、ゲンドウがそう言う時は何かあるとリツコは考えていた。
此方もアルビノかと思う程の白い肌に赤い目を持っているが、此方の髪は銀髪だ。
人的なライトにすらそれは映え光を放つ。それだけではなく、此方はレイに比べれば表情は豊かだ。
相変わらず会話はないが…。
「とにかく短い間とは言え同居するわけだからよろしくね」
短くリツコはそう締め括った。
お、こっちも期待
スレ活性化はいいね、GJ
wktk街
まだかな
143 :
ミサト:2007/12/06(木) 23:14:37 ID:???
ガリガリと机の上に溜まった始末書を消化していく。いつも使徒と戦った後の私の日課。
正直使徒よりも凶悪だわ…バケモノと戦ってるのに人間とも戦わなきゃならないなんて。
そういや昨日から寝てないんだっけ…
思い出した途端、一気にやる気がなくなったので背もたれに体を預け、腕を伸ばす。
今日はシンちゃんのためにも家に帰らなきゃ。がんばるのよミサト…!
「お、真面目にやってるみたいじゃないか」
「加持…邪魔しに来たの?」
「いやいや」
この間まで始末書の束で埋め尽くされていた机の隅に加持が腰掛ける。
と、同時に缶コーヒーが傍に置かれる。差し入れ?いいタイミングじゃない。
「アンタって昔っからこ〜ゆ〜とこはしっかりしてんのよね〜…」
「そうかい?…まぁ、今回は少々聞きたい事があったからな」
「その対価ってわけ?まあいいけど…なに?」
「フィフスチルドレンに会ったんだろ?俺はまだ会ってないからな」
フィフス…管制塔で見た、彼の姿が思い出される。
その姿に殆ど意味を成さないマルドゥックからの報告書が被さる。そしてあの言葉も。
「ねぇ…チルドレンの訓練施設って、日本とドイツだけだったかしら」
「ああ、それがどうかしたか?」
「ううん…そうそう、フィフスの事だったわよね…まだよくわからないわ」
やはりアスカとは違うのかしら…でもトウジ君と同じとも思えない。
なにか別の理由があってチルドレンに選ばれたんだわ。いったい…
144 :
ミサト:2007/12/06(木) 23:16:42 ID:???
あ、そうだ。コイツが隣にいたんだった。
「ゴミンゴミン、疲れてるみたいでボーっとしちゃった」
「そうか…葛城ならフィフスのことがちょっとはわかるかと思ったんだが」
「他にもあたってるの?」
「一応、な。人類を救う新たなヒーローにまだ会ってないのは俺だけだぞ?ちょっと気になってな」
「あっそ…」
何にでも興味持つのね。でも確かに彼はヒーローなのかもしれないわ。正体不明という意味ではね。
「それじゃ用が済んだから退散するとするか。あんまり無理するなよ」
「ハイハイ。コーヒーあんがとね」
ギシ、と音を立てて加持が机から離れていく。
なんとなくそこを眺めると、さっきまで加持で見えなかった場所にネルフ支給の置時計が見えた。時刻は…
「やば…」
加持からのコーヒーを一気に飲み干すと、再び机に向かった。
シンちゃん、もう少ししたら帰れるからね!!
145 :
シンジ:2007/12/06(木) 23:21:27 ID:???
トイレから出てきたトウジは、僕が知ってるそのままのトウジだった。
そりゃそうか、チルドレンになっても変わらないよね。僕みたいに。
「トウジ、今日はもう帰るの?」
「ん、ああ。また明日来てくれ言われとるけどな」
だったら、と無言の合意でそのままみんなの足がエスカレーターに向う。2、3歩歩いたところで後ろから声がする。
「…ねえみんな、これから何処へ行くんだい?」
「アンタバカぁ?帰るのよ」
「帰る…家に?」
ポケットに手を入れ、さっきの場所から一歩も動いていないカヲル君が答える。
「うん…僕とアスカはミサトさんの家に住んでるんだけどね」
「アンタ、余計な事は言わなくていいのよ」
「ワイなんて爺さんと2人やで…羨ましい限りや、センセ」
「…そうか、家では誰かと住むものなんだね」
何か納得しているカヲル君。
でもこの中には一人だけ一人暮らしをしている人がいる。
「でもカヲル君、綾波は一人で暮らしてるよ」
「そうなのかい?ファースト」
「ええ…」
「へぇ〜…ずいぶん長い間チルドレンやってるみたいだけど、身内とは一緒じゃないのね」
「…いないもの」
いつも通りぽそり、と綾波は言った。
146 :
シンジ:2007/12/06(木) 23:23:53 ID:???
僕は片親だし、トウジは両親を亡くしている。アスカは…わからないけど…ドイツにいるのかな。
今の世の中だと、親がいないなんてそんなにめずらしい事じゃない。クラスの人を見ればわかる。
でも…身内が全滅だなんて。
だから、あんな殺風景な部屋に住んでいたのかもしれない…
ずっと一人でエヴァの訓練を続けてきた綾波を想像して、僕はなんだか胸が詰まった。
「綾波…大変だったんやなぁ…」
「まぁ…優等生にとってはそれくらいどうってことないでしょうけど」
「アスカ、その言い方はよくないよ…」
「うるさいわね」
ぷい!とアスカは腕を組んでそっぽをむいてしまった。よくないと思うんだけどな…。
綾波は相変わらず表情が変わってない。カヲル君も
なんとなく気まずい空気に、僕とトウジはおろおろしていた。
147 :
レイ:2007/12/06(木) 23:26:45 ID:???
突然みんな押し黙ってしまった。
別に一人で生きてきた事がめずらしい訳じゃないのは知ってる。
身内がいないのがそうなの?でもそれに何かを感じたことは無い。
だって、わたしは…
ニンゲンジャ、ナイモノ。
身内がいないのは当然だわ。だから何も感じない。
そこで、ふと疑問が生じた。
「…でも碇君。あなただって身内と暮らしていない」
「うん、そうだね…昔は父さんと暮らしてたよ。ここに来た時も父さんと暮らせるって聞いたんだけど…」
「あの司令と暮らすなんて、死んでもごめんだわ」
「センセのオトンおっかないもんなぁ…」
司令と暮らす…ずっと昔、司令と私は暮らしていたかもしれない。
でも殆ど覚えてない。ずっと昔だったから?それとも一人目の記憶だから?
でも2人目の私は、司令と暮らした後、私は…
「そういえば綾波はずっと一人だったの?」
「いいえ。赤木博士と暮らしていたわ」
あの地下の実験室で。
148 :
カヲル:2007/12/06(木) 23:33:08 ID:???
みんなもう帰ってしまうらしい。
僕ほもうすこしリリンの、いやチルドレンたちについて知りたかったからこれで終わりにしてしまうのは忍びない。
そう思って動かずに声をかけてみたんだけど…僕を置いてみんな話を進めてしまった。
「え…ファースト、あんたリツコと暮らしてたの?」
「そうよ。ずいぶん昔の話だけど」
「初耳だわ…へぇ〜…リツコがねぇ〜…」
「ミサトさんが僕達と暮らしてるみたいに、チルドレンは保護されるんじゃないかな」
「じゃあなんで今ファーストは一人暮らしなのよ」
「…ワイ、保護とかそんな話何も聞いてないで…」
と、ここでみんなの視線が僕に集まった。
「…どうしたんだい?」
「そういえばカヲル君って、どこに住んでるのかなって…」
「僕はここ。ネルフに今は住まわせてもらってるよ」
正直満足はしてないんだけどね。狭いし…それに、ネルフ内よりも本部に来る途中にみた景色の方が楽しそうだ。
あまり目立った行動はするなと言われているけど。
「ふぅん…やっぱアタシと一緒か」
「なんでや?惣流はいまセンセんとこにおるやんか」
「その前の話よ。ドイツに来たばかりの時はしばらくネルフに住んでたのよ」
「なら、僕もそのうち違うところに住めるのかな」
そう願いたい。よく考えればセカンドと今の境遇は同じだね。それなら…
149 :
カヲル:2007/12/06(木) 23:42:06 ID:???
「セカンド、今から君の家に行っていいかい?」
「はぁ??なんでそうなんのよ」
「別にいいよ。昨日ダンスマシーンと一緒に部屋も片付けたし…」
「ホンマか?…ワイもセンセたちに色々聞きたい事…」
「ちょっと待ちなさい!決定権はアタシにあんのよ」
また僕一人置いてきぼりかい?
シンジ君とセカンド、フォースでもめ始めた。ファーストは僕と一緒にそれを眺めているだけ。
…やはりリリンと僕らは馴染まないみたいだね。
「いいわよ、家へいらっしゃい」
しばらく廊下でもめた後、胸を張り、腰に手を当てたセカンドが僕に言い放つ。
さらに横目でフォースを見た後、こう付け加える。
「先輩としてアンタ達にチルドレンたるものを教えてあげるわ。それにアタシの実力もね!」
きびすを返して廊下を進むセカンド。僕も、みんなもそれに続く。
別にそんなこと聞きたい訳じゃないんだけどな。とりあえず今のセカンドの境遇を見ることが出来るみたいだ。
長いエスカレーターの所で、僕の前にいるシンジ君がこっちを向いた。
150 :
カヲル:2007/12/06(木) 23:47:13 ID:???
「…ごめんね、アスカはああ言ってるけど…僕はみんなと仲良くやっていきたいから…」
「何のことだい?君が気にする事は何も無いよ、シンジ君」
「そ、そう?気にしてないなら、いいんだけど…」
言いながらシンジ君はまた前を向いた。エスカレーターはまだまだ続く。
シンジ君は僕の事を気にかけてくれているみたいだね。感謝すべきことだ。
それに…みんなと仲良くやっていきたい、と彼は言った。
それにはきっと僕やファーストも含まれているんだろう。
フォースやセカンドとはきっと仲良く出来るよ。碇シンジ君。
でもね。
僕とファースト。アダムより生まれしものはアダムに帰らねばならない。
それはリリンを滅ぼすことになる。君達にとっては僕らは死神と同じなんだよ。
それでも…僕らと仲良くなれるのかい?
151 :
リツコ:2007/12/06(木) 23:54:30 ID:???
フィフスチルドレン。渚カヲル。正体不明。
MAGIを駆使し、全力で正体を探った結果がこれだった。何もわからなかったってことね。
今日の午前中にフォースと行った健康診断…と称して色々と体を調べてみたもの、今のところ何もわからず。
体に何かを埋め込まれてはいないみたい。年齢から考えて、ゼーレからのスパイ…ではなさそうね。
正体はわからないものの、肉体に限ってはごく普通の少年。
そのことで少し私は安堵を覚えていた。
「それでも、まだわからない事のほうが多いな」
「ああ。引き続き調査を続行してもらう」
ネルフ司令室。昼も夜も均一の暗さを保つ中で、何度目になるかわからない三人での会合。
「わかりました…ところで、明後日からフォース、フィフス両名のシンクロハーモニクステストなのですが」
「コアに注入するフィフス用の魂がない、ということかね」
「はい…如何いたしましょう」
「正体がつかめるまでフィフスとエヴァの接触は防ぐ。フィフスは別名で待機させろ」
フォースは予定通りにテストを行う。これは元々私達がチルドレンの予備として彼を選び出したんだもの。当然行うべき。
フィフスにその間待機してもらう言い訳を考えておかなくちゃならないわね。
そのことを頭の片隅に置いて、研究室のパソコンに向う。流石に今日は徹夜したくないわ。
画面のスリープを解くと、報告が一軒入っていた。フィフスの血液検査の結果ね。今更どうでもいいのだけど…
152 :
加持:2007/12/06(木) 23:58:21 ID:???
ゼーレからの指令はなかなか厳しいな。あのリッちゃんが相手とは。
それでも直接にリッちゃんが血液のデータをとる訳じゃない。末端の研究員が作業を行うのなら簡単だ。
データを途中ですり替えるだけでいい。
「ま…俺がゼーレにまだ信用されてるってことの証と思えば、安いもんさ…」
一仕事終えた後の一服。今はネルフ特殊監査部の加持リョウジだ。
そして、ネルフ特殊監査部として今度はフィフスの調査を行わなければならない。
俺個人としても、フィフスの正体は知らない。
ゼーレからは渚カヲルの一部データを渡されたものと摩り替えろ、とのことだけだった。その元のデータは消去した。
そんな指令だ。そもそも、俺の手に残らないような仕組みになっている。
…彼は何者なんだ?よほど彼の正体をゼーレは知られたくないようだ。
彼についてはよく調べなきゃならないな。無論、これはネルフの指令じゃない。
俺自身の、俺自身への指令だ。
「MAGIでも何もわからなかったっていうからな…難しい仕事になりそうだ」
難しい仕事、それはつまり危ないってことでもある。
最後になるかもしれないタバコの煙を肺に満たし、長く空へ解き放った。
153 :
カレー:2007/12/07(金) 00:01:29 ID:???
今日はここまで。
コメントイラネといわれましたが、これだけは言わせていただきたい。
>>136-138 ポジトロンスナイパーGJ!!文章上手すぎです。俺の落書きとはやっぱ違うわ…
続きwktkして待ってます。
投下し終わるるの待ってたw
前より更に面白くなってきたよ
続きも楽しみにしてます
ここって画像の投下もありだよな?
日々は緩やかに、大きな変化もなく過ぎて行った。
変わった事と言えば食卓に並ぶおかずの品目が増えた事だろうか。
今日も今日とて会話もなくリビングには淡々と夕食の時間が流れる。
「………ごちそうさま」
「ごちそうさま」
最初に少食なレイが席を立ち、次にカヲルが席を立ち、残されたのはリツコと猫の顔のリツコの茶碗といくつかの料理だけとなった。
はぁ、とため息を漏らしリツコは煙草をくわえ火をつける。
レイやカヲルの前では控える様にしていた煙草だったがその本数は減るどころかますます増えていった。
「一週間、あとほんの一週間……」
そう呟くのが最近のリツコの日課だった。
「リツコ、あんたそんな所だけは昔から変わんないわねぇ」
ネルフ本部作戦部作戦会議室とは名ばかりのミサトの私室に響いたのは、彼女の呆れた様な声だった。
ミサトにレイやカヲルとの生活はどうかと尋ねられたからありのままを答えた結果がこれだった。
「どういう意味かしら」
ミサトとは大学時代からの友人であり掛け値なしに大切な親友だが、彼女にこう馬鹿にされると腹が立つと思い頬をひくつかせ尋ねた。
「そのまんまの意味よ。相手は中学生よ?アンタから歩みよらなきゃそりゃ駄目に決まってるわよ」
「………なるほど、一里あるわね」
ミサトにしては珍しくまともな意見だ、とリツコは思わず頷いてしまった。
元々、レイに良い感情を抱いていなかった面もあるからだろう。それにくわえ突然の同居に気持ちが立っていたのかも知れない。
「それにリツコは昔から冷たく見えるのよ。ファンがいるのにそれがみんな隠れなのもアンタが冷たく見えるから」
ビシッと人差し指を突きだし言い放つミサトはどこかアスカみたいだとリツコは小さく笑った。
反面、彼女の言う通りだと心で頷いた。
元々に冷たく見られる自分に対して、相手から、それも中学生から積極的に接しろと言うのは無茶を言っている。
少し冷静さが足りなかった、とリツコは内心で反省し立ち上がる。
「ありがとう、ミサト」
彼女に一言礼を言いそこを後にした。
数少ないエヴァ板良スレ
GJ
どちらも二次創作として面白いよ
ミサトの誕生日なので
リツコ「お帰りなさい、二人とも」
カヲル「ただいまリツコさん…今日聞いたんだけど、今日はミサトさんの誕生日だって」
レイ「…何か、プレゼントしたほうがいいって…碇君が…」
リツコ「なるほどね…なら、二人ともこれを送ればいいわ。きっと喜ぶわよ」
レイ「これ…」
カヲル「…リツコさん、これって」
リツコ「フフ…」
ミサト「ちょっとリツコ…あんた…誕生日にアタシがあげたハンドクリームを送り返すなんてどういうつもりよ」
リツコ「…私じゃないわよ」
予想はしてたがワロタ
wktk保守
162 :
カヲル:2007/12/11(火) 22:33:54 ID:???
ネルフ本部からバスに揺られて数十分。ここに来た時、バスで少々嫌な思いをしたので不快だった。
バスから解放された僕らは少しして目的地にたどり着いた。町外れのマンションの一室。
「みんなあがってよ。今からお茶でも用意するね」
言われた通り入って、セカンドを先頭にリビングに通される。シンジ君は台所へ向う。
「…あら?ファースト、アンタも来たの」
「…」
「ま、いいけどさ」
セカンドはファーストなんて眼中にないようで、そのままテーブルにどかっと座る。
僕は気づいていたけど、ファーストもずっと一番後ろから僕らに付いてきていた。バスの中では本を読んでいたかな。
「ほな早速質問やけど…エヴァの訓練ていったい何をするんや?」
「そーねぇ、プラグに搭乗して行うのがほとんどね」
「さっきセンセたちがやったやつか?」
…今日一日、僕はフォースと一緒だった。
163 :
カヲル:2007/12/11(火) 22:35:11 ID:???
ファースト、セカンド、サードチルドレンのことはあらかじめ知っていたけど、フォースチルドレンである彼のことは知らない。
ただ、僕と同時期にネルフが選び出したチルドレンだ、ということはわかる。
ネルフが先に僕が来る事を知っていれば、彼はチルドレンにならずに済んだだろう。
彼には同情している。…彼はエヴァが嫌いだと、午前中の休憩時間に話していた。
それは自然だと思う。使徒と拮抗する強大な力を持つ、アダムより生まれし巨人。
愛着を持つ事はなかなかできないさ。
でも今の彼は…今だけじゃなく、それ以外の場でも、エヴァやネルフについての説明はきちんと受けていた。
その時の表情からは、緊張は感じられたけど…嫌悪は感じられなかった。それは今も。
「…わからないな」
遅れて僕の隣に腰を下ろした、シンジ君が淹れてくれたお茶に口を付ける。紅茶じゃなくて日本茶だね。
ファーストも同じように、座って本を読んでいる。
「フォースはエヴァが嫌いなんじゃないのかい?」
「うん…僕もそう思うよ。誰だってあんなのに乗りたくないよ…」
「まぁな…でも、ワシが乗るしかないんやろ?しゃあないわ」
「ったく…シンジもだけど、アンタもやる気無いのね〜…ますますアタシの負担が増えるわ」
シンジ君も、フォースも、どうして嫌なエヴァに乗っているのか。セカンドは何故こんなにやる気を見せているのか。
それはやはり、未来を渇望するリリンの摂理なんだろうか。
またまた、シンジ君が今度はお茶請けを持ってきてくれたので、手を伸ばす。
なんだろうこれは…クッキーよりも硬くてしょっぱい。色合いも悪い。まあそんなことはいいか。
家を見渡すと、当然ながらネルフの私室より遥かに広い。
僕がまだゼーレに飼われていた時よりは狭いけど、僕はそこまで求めちゃいない。
これくらいの家なら住むのにちょうどいいのに。日本の家屋は狭いというけど、僕には荷物が殆ど無いからね。
164 :
トウジ:2007/12/11(火) 22:36:53 ID:???
夢にも思わんかった。ワシがエヴァのパイロット…チルドレンになるなんて。
ケンスケと一緒にエヴァを間近で見た時もあるし、そん時はセンセのおるプラグにも入った。
そこで、間近で「使徒」とやらの戦いも見させてもろた。
…好きや、ない。
それよりも、許せん事がある。
最初の使徒とエヴァとの戦い。あのせいで、ワシの妹は、今も病院のベッドで寝たままや。
…嫌いや。
金髪の…赤木リツコ博士は、ワイがエヴァに乗る代わりに妹をネルフ直属の大病院に移してくれると言っとった。
それに、無償でもっといい治療をさせてくれるとも言うとったな。
だからといって、ハイハイと乗れるわけない。でも…妹を助けたいとも思う。
ワシは悩んだ。でも、呼び出された校長室で過ごした時間は、数分だけやった。それはつまり…
黙り込むワシに、赤木リツコ博士が続ける。
「ご家族にはもう了承をとってあるわ…それじゃ、明日朝九時にネルフ本部に来て頂戴」
「…え、それって…」
「あなたはもう、フォースチルドレンということよ」
赤木博士はパイプ椅子から立ち上がり、ワシは校長室に残された。
…初めから、ワシに選択肢はなかったんや。
校長室から廊下、教室。授業が終わって放課後、家に帰っても、ワシは何も考えられへんかった。メシも食えんかった。
そのまま夜まで、布団の上に転がってたんや。明日ネルフ本部に行くっちゅう事思い出して、身支度するまではな。
といっても何持ってけばいいかようわからん。一応着替えとか鞄に入れて…それでようやく気づいたんや。
「ワシ、明日から…チルドレンなんやな」
165 :
トウジ:2007/12/11(火) 22:39:06 ID:???
気づいてからは、なんかワイも開き直ったんか知らんけど、そのまま寝てしもうた。
ケンスケが聞いたら羨ましがるやろな…とか。妹がよくなったらどうしよか…とか。考えてたら、気づいたら朝やった。
でも、いつもより早く起きたんやけど…
朝起きて、転がってるネルフ用に仕度した鞄を見て、やっぱ昨日のはホンマの事やったんやなと思った自分に嫌気が差したけどな。
わかっとったけど、今日からチルドレンなんや。
殆ど足を運んだことのなんて無いネルフ本部。妹の見舞いも行きたかったけど、この時間病院は開いてへん。
そういや妹はこのこと知っとるんやろか?…知っとるやろな。転院することになるやろし。
セキュリティとか大丈夫か思ったけど、職員に話したら中に入れてもろて…誰もいないロビーで待たされた。
ああ、誰もいないわけじゃなかったな。ワシと同じフィフスチルドレン、渚カヲルもそこにおったわ。
ロビーに並ぶ椅子の群れで、一人座って…目をつぶって、鼻歌を歌ってる学生服の少年。それが渚やった。
ワシがロビーに入ると、すぐにこっちに気づいて…そのまま目の前まで歩いてきた。
ネルフのロビーは明るく、眩しい。病院もそうやったな…渚の表情は逆光になって何も見えん。
銀髪やっちゅうことはわかった。というかコイツ誰や…ひょっとして
「君はフォースチルドレンかい?僕はフィフスチルドレン、渚カヲルだよ」
「チルドレンやと?…なんや、ワシと同じかい…」
「君の名前は?」
「ワシは…鈴原トウジや」
そうかい、と告げると、渚はまた椅子に座って、また鼻歌を歌い出した。なんや…変な奴や。
隣に座って、時間を潰す。フィフス…ワシと同じように、いきなりチルドレンに選ばれたんやろか。
そうすると今日一日一緒なんか?なんかようわからん奴やけど仲良くしといたほうがええよな…
166 :
トウジ:2007/12/11(火) 22:42:49 ID:???
鼻歌は途切れへん。だからワシも声をかけれへん。やきもきしとるとハイヒールの音が聞こえた。
「待たせたわね…少し移動するわ。着いてきて頂戴」
「おはようございます、赤木リツコ博士」
「おはようさんです…」
「鈴原君、その荷物は何?…邪魔になるから、どこかに預けておきましょう」
この前会った時とは違う白衣姿の赤木博士が現れた。
これから何するんやろ…渚は動じてないようやな。ワシ一人ビビッて格好悪いわ。荷物もいらんようやし。
ネルフ本部からジオフロントに移動して、いよいよ何するんやと思っとったら…なんて事ない、ちょっと大掛かりな健康診断やった。
「ビビッて損したわ…なあ渚」
「ビビって?」
「ああ…なんつーか緊張したというか」
「そうか、君は緊張していたんだね」
渚は外国から来たんか。惣流もそうやったしな。でも渚は緊張も何もしてなかったと言う。
チルドレンとかエヴァとか知らんのか思ったけど、診断の後、ミサトさんに連れられてエヴァをガラス越しに見せられても、渚は何も感じていなかったみたいや。
ワシは情けないけど驚いとったんやがな…渚は一度見たことがあるんやろか。
「無いよ」
「無いんか!?…で、実際エヴァ見てどうだったんや」
「そうだね…見た目じゃ何もわからないから何も思わなかったね。君はどうだったんだい?」
「ワシか…やっぱデカイなってのやな。それから…」
好きや無い。乗りたくない。そういった感じや…。
渚は何も感じてないような、そんな態度やろうな。そう思って横目で渚の顔を見る。目が合った。
カヲルが…
168 :
トウジ:2007/12/11(火) 22:49:40 ID:???
「エヴァに嫌悪感を感じる。それは自然なことだよ」
「…そか」
「それでも、その力に縋ってまで生き延びる道を選んだ」
「そのためのワシら、チルドレンっちゅうことか…」
しばしの休憩時間。ワシと渚はネルフ自動販売機コーナーの、安っぽい背もたれのないベンチに座っとる。
目の前では、ネルフの職員が忙しそうに廊下を闊歩しとる。…そういやワシも、ネルフの一員になったんやな。
「それに君は偶然選ばれた。君にはエヴァと関わらない生き方もあったはずなのに…同情するよ」
「さっきも言っとったな。それは渚も同じちゃうんかい」
「僕は初めからエヴァと関わる運命を背負った存在。君とは違うよ…ファーストやセカンド、それにシンジ君もね」
ワシだけ偶然選ばれたんか。他はチルドレンになるのが必然やったんか?
何れにせよ、ワシはもうチルドレンや。そんな事どうでもええわ。
使徒を倒さねば人類は滅びる。さっきそう説明があった。それを防ぐ為にたまたま、ワシが選ばれた。
いや…ワシが救いたい人は、もっと近くにおった。
「はは…何かのヒーローみたいやな」
「どうしたんだい?」
「何も無いわ…そろそろ時間やないか」
先に立ち上がる。後ろから渚もゆっくりと着いてくる。
元々ワシの頭は難しいことを考えられへん。たまたまワシが選ばれたんなら、それ以上何か考えても仕方ないやろ。
エヴァは好きになれん。使徒との戦いで死ぬかもしれんのや。もちろんそれは…怖い。その気持ちは消えてへん。
でもな…
ワシがチルドレンにたまたま選ばれたお陰で、妹にいい治療を受けさせることができる。ありがたいこっちゃ。
どんなに嫌がってもエヴァに乗るしかないんなら、少しでも前向きになろか。
妹も頑張っとるんや。兄ちゃんはこんな形でしか頑張れんけど…少しは、胸張れるようにするわ。
169 :
アスカ:2007/12/11(火) 22:52:44 ID:???
鈴原は思ったよりチルドレンに興味があるっていうか…やる気は無いみたいだけど。
イキナリ選ばれたはずなのに意外としっかりしてたわ。思ったより見込みがありそうね。
「でさぁ、アンタはなにか質問がないわけ?」
「僕は…そうだね…」
煎餅を齧っているフィフスがこっちを向いて答える。明らかにアタシの話を聞いてなかったわね。
「どうしてここに住めたんだい?」
「…なんでそんなどうでもいい質問になんのよ」
「それは僕と君の境遇が似てるからさ。今後の処遇を気にかけるのは当然じゃないか」
一理あるけどチルドレンってのはどうでもいいの?
「まぁ…元々こっちに来たのは使徒殲滅のための作戦だったんだけど。荷物もあるし、結局こっちにそのまま住んだのよ」
「え!?アスカそのまま住むの!??」
シンジがすっとんきょうな声を上げる。そういやコイツには話してなかったっけ?
「だってミサトがそう言ってたもの。アタシと暮らすのよ〜って」
「僕は…?」
「お払い箱じゃなぁい?ま、当然よね〜ここでの保護者はミサトだし」
「僕の保護者だってミサトさんだよ…」
「そうか、保護者と住むことになるのか」
パキン、といい音を立ててフィフスの煎餅が割れた。
「そうだよ、保護者と住むんだから僕もこのままミサトさんと住むんじゃないかな」
「まだアンタと暮らすのぉ〜…アンタは碇司令と一緒じゃない?そのほうが自然だし」
「え…た、確かに父さんと…でも…あのさ、綾波はなんで一人暮らしなのさ!?リツコさんと暮らしてたんでしょ?」
動揺してる…ほんとに弱いわねぇ、バカシンジ。アタシも碇司令と暮らすのは勘弁だけど。
170 :
アスカ:2007/12/11(火) 22:54:39 ID:???
優等生がさっきから読んでいた本を置いて、シンジのほうを見る。そういえばコイツ、何しに来たのかしら…
「私は命令があったからよ」
「命令って…誰の」
「碇司令」
再び本に目を落とす。シンジは「でもミサトさんならきっと…」とか言ってる。けどリアクションをとったのはフィフスだった。
「え、赤木博士と一緒には住めないのかい?」
「…ちょっと、なんでリツコが出てくるのよ」
「だって博士は僕の保護者なんだから。…博士と住めると思ってたのに」
博士…リツコがフィフスの保護者なの?
身寄りの無いファーストとも暮らしてたっていうし、意外と面倒見いいのかしら。猫が好きだから…って関係ないわよ。
フィフスは話を進める。
「ファースト、何で赤木博士と住んでいないんだい?」
「…一人で、あそこに住めという命令があったから」
「それなら、今なら博士とは住めるのかな」
「私、知らない」
本を読み続けるファーストと、煎餅を食べ続けるフィフス。こいつ口でかいわね。
静かになったと思ったら、落ち込んでるシンジを鈴原が慰めてる。そんなに司令と住むのが嫌なのかしら…
「赤木博士って、何処に住んでるか知ってるかい」
「…マンションだったと思うけど…」
「そこに一人なのかい?」
「…たぶん、一人」
フィフスも変な奴よね。初対面のファーストの態度に何も感じてないし。
アタシは話し相手がいなくなったから、煎餅に手を伸ばした。このままじゃフィフスに全部食べられちゃうわ。
…なんか、調子狂うわね。
171 :
レイ:2007/12/11(火) 22:58:17 ID:???
赤木博士は確か、マンションに住んでいたはず。
私と暮らしていた頃はずっとセントラルドグマの奥深く…あの部屋で暮らしていたけど。
そのころの博士はいつも忙しそうだったわ。エヴァを創っては、あの墓場に捨てていた。
最初の使徒が来るまでに、なんとか戦闘に耐えうるエヴァを完成させなくてはならなかったから。試行錯誤の繰り返し。
その為に、エヴァ建造の地下に篭りっきりだった。
私もそう。私はあの部屋からほとんど外へは出られなかった。私が育った場所は、あそこだった。
赤木博士が…それから、碇司令と冬月副指令も、たまに面倒を見てくれた。
司令と副指令は地下にいない時も多かったもの。基本的に地下にいる赤木博士が私の世話をするのは当然だわ。
でも、博士は私の世話をする時も…もちろんエヴァの建造中も、私をを見ることはなかった。
もっと他の何かを見ていた。それは多分、碇司令だった。
汎用決戦兵器として、ほとんどエヴァが完成したころ、私は地下のあの部屋から一時的にネルフへ移った。
もうその時には、私に一人暮らしをさせる事が決まっていた。
ネルフに移ったのは、一人で生活するための知識と訓練のためだったから、ほんの数週間の出来事だったと記憶している。
その間も赤木博士が面倒を見ていたわ。料理や洗濯、身だしなみといったことを赤木博士は教えてくれた
172 :
レイ:2007/12/11(火) 23:00:12 ID:???
…今思えば、そのころの赤木博士は私を見てくれていたわ。短い時間だったけれど。
料理は博士も苦手だったから、私はほとんど身に付かなかった。よく失敗して、「これで教える立場だなんて、笑っちゃうわ」と漏らしていた。
掃除は多少教えてくれたわ。博士は綺麗好きだったから。でも私はあまり掃除をしていない。
洗濯はコインランドリーに行っていた。ネルフの部屋には、洗濯機がなかったから。「高くつくからまとめて行きなさい」と教えてくれた。
その合間に、エヴァについての話もしてくれた。エヴァの構造は知らなかったから、私は本を読んで勉強した。
それが過ぎると、私は今のあの部屋に住んだ。そして、中学校に入学した。
時々、私の生活を見に博士は部屋を訪れたけど、その回数はどんどん減っていった。そして、来なくなってしまった。
中学生になってからは、碇司令も私のことをよく見てくれたわ。いつしか、赤木博士よりも碇司令が私を見るようになって…
気づけば、ネルフで最低限の用事を済ませるだけになってしまった。交わす会話も、機械的なものになっていった。
今の赤木博士は、私を見ていない。ずっと昔の、あの実験室の頃のように。
173 :
カヲル:2007/12/11(火) 23:01:09 ID:???
保護者と住むのなら、僕の保護者は赤木博士だ。なら、何れネルフの部屋から出て赤木博士と住むことになると思った。
でもファーストの話を聞くと、博士は以前ファーストと住んでいて今は一人。
ひょっとして博士は、誰かと住むことができない状態なんだろうか。
彼女は研究を専門とするし、あまり家に帰れないのかもしれない。でもそれは僕にとってむしろ有り難いかな。
「シンジ君、どうして君は葛城一尉と住むことになったんだい?」
「えっと…ミサトさんが無理やり連れてきたんだよ」
無理やり。無理やり住めるものなんだ…それならなんとかなるかもしれない。
よくよく考えれば、ネルフのあの部屋から出ることができればいいのだから、ファーストのように一人で暮らすのも手か。
目の前では、暇を持て余したセカンドがテレビを見ている。
テレビは…ネルフの食堂で見たっけ。ネルフの部屋にもあるけど、触ってないな。その画面の右上に数字が並んでいる。
「ありゃ…もうこんな時間か…悪いな、長居させてもろて」
「いいよ気にしなくて…それよりトウジ、明日は学校に来るの?」
「そやな、ネルフは午後からでええ言われたわ」
「ふ〜ん…あんまりベラベラチルドレンのこと話さないでよね」
「わかっとるわ!んなこと」
ああ、今度こそ帰るみたいだ。ファーストも本をしまっているし。
僕は何も荷物を持ってきていなかったから、先に玄関まで歩いた。すぐにファーストとフォースが追いついて…シンジ君も来た。
「それじゃ、シンジ君」
「…さよなら」
「うん、またね…トウジ、行かないの?」
「ああ、ちょっとセンセと話があるんや…二人とも先行っててくれや」
シンジ君はびっくりしている。セカンドが相変わらずテレビを見ているのは、去り際に確認できた。
一緒に帰る理由もないし、ファーストとその場を後にする。
174 :
カヲル:2007/12/11(火) 23:03:27 ID:???
ファーストと二人で夕焼けの中を歩く。シンジ君とセカンドと会ったのも、こんな時間帯だったっけ。
そういえば、ファーストの家は見てなかった。
「ねえファースト、君の家を見たいんだけど」
「…わかった」
すぐに承諾してくれた。一人暮らしになる場合、おそらくファーストと同じような環境に置かれるだろう。
それなら一度見ておきたい。少なくともネルフのあの部屋よりは広いと思うけど…どうだろうか。
ファーストの家はシンジ君の家とそこまで離れてはいなかった。ただ、シンジ君の家よりもなんというか…薄汚い。
明かりも少ない。きょろきょろ見渡す僕を尻目に階段を上がり、鍵のかかっていない扉を開けた。
「ここよ」
「ここがファーストの…汚いな。シンジ君の家とは大違いだ」
「…そうね」
一応、靴を脱いで中に入る。日本では部屋に入った時靴を脱げと言われてるからね。
むき出しのコンクリートに、パイプ椅子、パイプベッド。小さな棚と、これまた小さな冷蔵庫。破れたカーテンにクローゼット。
…なんだよ、ネルフの部屋よりも悪いじゃないか。床も掃除してないみたいだ。
これは部屋というよりもファーストのせいか。
「もういいよ。ありがとう」
「…そう」
「それから、掃除はした方がいいと思うよ」
ほとんど暗くなったファーストのマンションを見上げる。電気はほとんど点いていない。
…ここに住むのはごめんだね…それなら今のネルフ…それも嫌だ。
誰かの家に滑り込むか…赤木博士?葛城一尉でも、なんなら碇司令でもいいけどね。
175 :
シンジ:2007/12/11(火) 23:04:30 ID:???
カヲル君と綾波は、先に帰っていった。トウジの言うとおりに。
その姿を見送った後、玄関の扉をゆっくりと閉めて、夕日の中、僕はトウジと向き合った。
「それで…話って?」
「ああ…シンジ、ワシと初めて会った時のこと覚えとるか?」
「初めて会った時…」
初めて会ったのは…第四使徒シャムシェルと戦う直前だった。僕は…トウジに殴られたんだ。
その直後に召集があって…それは今はいいんだ。
トウジは僕がエヴァに乗って、結果妹さんを傷つける事になって、それで…怒って…
「ワシ昨日、チルドレンになれ言われてな…突然の事でようわからんまま、今日気づいたら…ネルフ本部におったわ」
「トウジ…」
「ようやくそこで考えたんや。色々とな」
トウジは荷物を床に下ろした。そのまま夕日を眺めて、マンションの壁に体を預けた。
「何でワシが選ばれたんか。エヴァを見て、なんや…嫌な気持ちになったわ」
「…ゴメン、僕が…」
「いやええ、シンジが謝るこたない…スマンな、気にせんでええ」
「そう?でも…」
「ええんやって。…続けるで。エヴァを見て、そんでワシが使徒と戦う…死ぬかもしれんのや。それは…怖い」
「…」
176 :
シンジ:2007/12/11(火) 23:05:56 ID:???
トウジは、続ける。
「それでもワシは選ばれたんや。たまたまかもしれんけど、ワシが選ばれたんや…選ばれたからには、出来るだけ前向こう思うねん。
それにな、チルドレンなる代わりにネルフが…妹にええ治療受けさせてくれるらしいんや。そないな機会、めったにないやろ?」
「そうだったんだ…うん、よかった」
トウジはもう許してくれてるみたいだけど、妹さんのことは気になる。これは仕方ない。
どうであれ妹さんが良くなるのなら僕は嬉しい。でもトウジの顔は晴れなかった。
「ああ、よかったわ…でもな、それでもやっぱりエヴァは好きになれへんし、死ぬのは…怖い。情けないけどな…
前は向けるかもしれへんけど、やっぱり怖いんや」
トウジが僕の方を向いた。太陽は殆ど沈んでいる。風が、トウジのジャージの襟と僕の前髪を撫でた。
「シンジ…あん時、あないなバケモンと戦って、ワシらを守ってくれたんや。妹のことは仕方なかったかもしれんけど…ワシはエヴァに乗ってもおらんのにこんな…
その恐怖に打ち勝って…シンジも怖かったはずなんにな。そんなこと、自分がチルドレンになるまで考えもせえへんかったわ」
「…スマンかったな、シンジ…シンジの気持ちなんて知らんと、偉そうに殴ったりして」
カヲル変
178 :
シンジ:2007/12/11(火) 23:09:41 ID:???
小さな音を立てて、頭上の蛍光灯が光を灯す。太陽はもう沈んで、辺りは薄暗い。
数分もすれば、あたりは闇に包まれるだろう。
…トウジが帰った後も、僕はマンションの廊下から動けなかった。
「あっ…何突っ立ってんの?ミサトは今日帰れるから、夕飯よろしくってさ」
「うん…」
「部屋探してもいないからどこに行ったのかと思ったわよ」
アスカが勢いよく扉を開けて、僕を見つけるまで僕はその場に立ち尽くしていたんだ。
冷蔵庫に食材はたんまりある。昨日アスカに沢山買わされたから。
今日は三人分か。ミサトさんは疲れてるだろうから、何か精がつくものにしよう。
体が勝手に動いてるみたいに、自然に夕食の準備を始める僕がいた。
台所で鍋を振る。油が飛び散る音と、アスカが見てるテレビからの笑い声。そんな騒音も、僕の耳には届かない。
179 :
シンジ:2007/12/11(火) 23:11:10 ID:???
小さな音を立てて、頭上の蛍光灯が光を灯す。太陽はもう沈んで、辺りは薄暗い。
数分もすれば、あたりは闇に包まれるだろう。
…トウジが帰った後も、僕はマンションの廊下から動けなかった。
「あっ…何突っ立ってんの?ミサトは今日帰れるから、夕飯よろしくってさ」
「うん…」
「部屋探してもいないからどこに行ったのかと思ったわよ」
アスカが勢いよく扉を開けて、僕を見つけるまで僕はその場に立ち尽くしていたんだ。
冷蔵庫に食材はたんまりある。昨日アスカに沢山買わされたから。
今日は三人分か。ミサトさんは疲れてるだろうから、何か精がつくものにしよう。
体が勝手に動いてるみたいに、自然に夕食の準備を始める僕がいた。
台所で鍋を振る。油が飛び散る音と、アスカが見てるテレビからの笑い声。そんな騒音も、僕の耳には届かない。
180 :
シンジ:2007/12/11(火) 23:11:57 ID:???
…昔ほどじゃないけど、やっぱりまだエヴァに乗るのは怖い。
人類を守るため、使徒を倒さなければならない。そのためのエヴァンゲリオン初号機パイロット。サードチルドレン、碇シンジ。それが僕。
…そのことは頭でわかっている。でも。
トウジは選ばれたからにはしっかり前を向くと言っていた。妹さんを助けたいという気持ちもある。
トウジはそのためにエヴァに乗ることを受け入れたんだ。
じゃあ僕は何のために、エヴァに乗ってるんだろう。人類を守るため?そんなの…実感が湧かない。
無理やり乗せられてるのか?エヴァから逃げて、先生の所に戻るのが嫌だから?そんな中途半端な気持ちで…僕はエヴァに乗ってたのかもしれない。
それで、いいんだろうか。綾波はみんなの絆だから、だからエヴァに乗ってると言ってた。身内がないのなら、その絆を大切にしたいんだろう。
アスカはわからないや…でもエヴァに乗ることを嫌がってない。きっと何か理由があるんだ。…二人とも、僕とは違う。
「たっだいま〜!…あ、いい匂いじゃなぁ〜い」
「お帰りミサト。悪いけどシンジがノロマだからまだご飯できてないわよー」
「いーのいーの、とりあえずビール飲むからぁ」
ミサトさんも、こうやってビールばかり飲んでるけど…ネルフの作戦部長として、今までの使徒殲滅に貢献してきた。
それを仕事としてるんだ。今日も徹夜明け…僕みたいな中途半端な気持ちで、こんな仕事を続けられるだろうか。
リツコさんや加持さん、マヤさん、日向さん、青葉さん…冬月副指令に…父さんも。みんな何かあるから、ネルフで頑張っているんだ。
僕はどうなんだ?
僕はこのままでいいのか?
僕は何のためにここにいるんだ?
GJ、待ってたよ
カヲル厨は空気嫁
これは本編とは全く関係のない二次創作だ
序盤で気になったなら以下の投下は個人でスルー位しとけ
もしくは自分で変じゃないカヲルのネタ投下してくれよ
大体FFどころか準公式ですらこれより酷いカヲルは腐るほどあるだろ
素直に二次として楽しんでいる身からすりゃ迷惑
乙です。
自分も短いネタ投下したいがなかなかうまくいかん・・
アバズレ
小ネタ投下
マヤ「先輩、お昼行きましょう」
リツコ「ごめんね、マヤ。まだ仕事が残ってるの。先に食べてて頂戴」
マヤ「先輩、そんなこと言って昨日も食べてなかったじゃないですか。体壊しちゃいますよ?」
リツコ「大丈夫よ。サプリメントで必要な分は摂取してるから」
マヤ「でも…」
青葉「お、マヤちゃーん!一緒にお昼どうだい?」
日向「赤木博士もどうですか?」
マヤ「え…と」
リツコ「マヤ、行ってきなさい。二人には私は仕事がある、って言っておいて」
マヤ「……はい…」
数日後
リツコ「それじゃ、行ってくるわね。帰りは遅くなるかもしれないから、晩ごはんは適当に食べてて」
カヲル「分かりました」
レイ「…了解」
リツコ「じゃ」
カヲル「あ、ちょっと待って下さい。ファースト」
リツコ「?」
レイ「赤木博士…これ…」
リツコ「これ…は…お弁当?」
カヲル「えぇ。マヤさんから聞いたんです。赤木博士、全然お昼食べないって」
レイ「…それで、フィフスと作ったの…」
リツコ「そう…ありがとう、二人とも…」
カヲル「味の保証はしませんけど」
レイ「…野菜多め…」
リツコ「ありがとう、お昼に食べるわね。じゃ、行ってきます」
カヲル「行ってらっしゃい」
レイ「…行ってらっしゃい…」
お昼
マヤ「先輩、お昼行きましょう」
リツコ「ごめんね、マヤ。今日はお弁当があるの」
マヤ「作ったんですか?」
リツコ「あの子たちがね」
マヤ「嬉しそうですね、先輩」
リツコ「そう?さ、早く行きなさい」
マヤ「は〜い」
リツコ「さて…中身は何かしら?
…本当に野菜多めね…。見た目はちょっと雑だけど…味は…。
……少し…しょっぱいけど…おいしいわ」
カヲル「今ごろ食べてくれてるかな、赤木博士」
レイ「…そうだと嬉しい…」
アスカ「何の話よ?」
シンジ「リツコさんがどうかした?」
カヲル「なんでもないよ」
レイ「…えぇ」
アスカ「?」
シンジ「?」
おまけ
ミサト「シンちゃ〜ん。リツコの奴ぅ、レイと渚くんにお弁当作ってもらってるみたいよ〜」
シンジ「え…そうなんですか?」
アスカ「あの二人がぁ?」
ミサト「私もお弁当ほしぃなぁ〜?食堂ばっかじゃ味気ないのよねぇ」
シンジ「わっ…分かりました。分かりましたから顔どけて下さい」
アスカ「自分で作りゃいいじゃん」
ミサト「朝は眠るためにあるのよ?」
アスカ「……こんな大人にはなりたくないわ」
シンジ「でも、簡単な物しかできませんけど」
ミサト「大丈夫よ、気にしなくて」
シンジ「…そうですか」
翌日・お昼
リツコ「あら、あなたもお弁当?」
ミサト「そ♪うちの主夫に作ってもらったわよん」
リツコ「…シンジくん…気の毒に…」
ミサト「さ〜て、中身は何かいな〜?」
リツコ「……」
ミサト「……」
リツコ「………日の丸ね」
ミサト「………えぇ、見事なほど我が国の国旗ね」
リツコ「……」
ミサト「……リツコ…」
リツコ「…」
ミサト「…私って愛されてないのかなぁ…」
シンジ「あれはまずいよアスカ…」
アスカ「いいのよ。シンジを家政婦扱いした罰よ」
シンジ「…自分だって扱うくせに…」
これはいい!
でもカヲルはともかくレイが弁当作ってる図って想像しにくいな。
カヲルがなにか作っている横で料理の本を読んでいるだけだったりしてな
淡々と朗読して指示してくれそう
>>192 レイ「材料を切ったらフライパンを熱して油をひき、まず野菜を入れていい頃合いになったら肉を入れて肉がいい感じになったら火を止めて隠し味として味噌を少sy」
カヲル「待って待って。早いよ」
レイは指示通りにやってくれそうだから逆の方が効率よさそうw
カヲルが読んでる本は途中からなんか別のものに変わってそうだな
リリスのキャラ弁当をこしらえるカヲル
リッちゃんびっくりするだろww
…一応リリスって重要機密だよな
>>196 ※カヲルはアダムのキャラ弁当だと思い込んで作っている
弁当箱を開けた瞬間のリツコの反応↓
「ありえないわ」
なにこの良スレ
>>202 リツコ「……寄り弁になってるわ」
ミサト「傾けたりするとそうなるのよねー」
リリスのキャラ弁はすでに形はなく……
辛くも秘密は守られたのだった。
ナイスw
街
規制解除ktkr
207 :
レイ:2007/12/21(金) 21:57:05 ID:???
何事も無く学校が終わる。鈴原君はチルドレンに選ばれた事を誰にも話してなかったから、放課後までいつも通りだった。
違うことといえば、いつもこの後ネルフに行く面々に一人、新しく鈴原君が加わった事。
「シンジ〜、ゲーセン行こうぜ」
「ごめんケンスケ、今日もネルフで訓練があるから…また今度にしてよ」
「今日もあるのか。残念だなぁ…仕方ないや、トウジ、行こうぜ」
「…スマンな、ワシも今日ちょっと用事があるんや」
碇君、相田君、鈴原君。弐号機パイロットが三馬鹿トリオと呼ぶ人たち。
毎回のように放課後になると、こんな話をしている。いつもならここで鈴原君が頷くはずだけど…今日はできない。
「そうなのか?…じゃあ仕方ないか…」
「おお、また誘ってや」
相田君はちぇっ、と言ってから、廊下へ向っていった。
弐号機パイロットは洞木さんとお喋りしている。相田君が去ったのを見送ると鞄を手にとって碇君のところへ行った。
「訓練?大変ねアスカ」
「別にたいした事ないわよ。じゃあヒカリ、また明日学校でね!」
「…それじゃあ行こうか。綾波も来るよね?」
「ええ」
「ほな、ワシも行くか」
四人で教室を出る。洞木さんは最後まで私達のほうを見ていた。
そういえば、また私は碇君たちと一緒にジオフロントへ向っている。それどころかここ最近ずっと一緒にいる気がする。
208 :
リツコ:2007/12/21(金) 22:00:09 ID:???
相変わらずフィフスの正体はわからない。ゼーレの動きも無い。
私としてはこれ以上身動きが取れない状態になっているわ。ゼーレが相手となれば、一筋縄ではいかないものね。
坦々と日々の雑事をこなす途中、ジオフロントの廊下でフィフスと出会った。
「こんにちは、赤木博士」
「あら今日は。…あなた、学校は?」
制服姿のフィフスについ、そう尋ねてしまった。肩を竦めてフィフスは答える。
「ないですよ。シンジ君達は今学校だそうですね」
「…そうだったわね。あなたが学校に転入したって話は聞いてなかったわ」
「何れ行ってみたいとは思ってますけどね」
くるくると辺りを見渡す。そう、フィフスへの監視はかなり厳重にしておいた。それに気づいているのだろうか?
「まぁ、僕はネルフから勝手に外には出られませんしね」
「で、ここに足を運んだというのね」
ケージ前。ここにはエヴァが三機収納されている。それ故…基本的に渚カヲルの行動は自由だが、ここには入ることは出来ない。
碇司令によって、渚カヲルとエヴァの接触は制限されている。
「ええ。それでネルフの中を歩き回っていたんですけどここには入れなくて」
「ほう、チルドレンなのにエヴァを見ることが出来ないのかい」
「?あなたは…」
突然話に入ってくる男。わかっている。加持君ね…そういえば彼はフィフスと会っていなかったと言っていたわ。
と、なるとおそらくこれが初見。彼の目に映る渚カヲルはどうなのかしら。
209 :
カヲル:2007/12/21(金) 22:02:21 ID:???
「どうだい?エヴァを間近で見て」
「大きいですね」
肩から上を水面から覗かせた三機のエヴァ。とりあえず昨日きいたフォースの感想を口にしておいた。
僕のカードじゃ入れなかったけど、加持と名乗ったこの人が僕をケージに入れてくれたので僕は今エヴァの間近にいる。
赤木博士は止めていたけど…結局博士も一緒にいる。
「…まったく…どうなっても知らないわよ」
「大丈夫だよ。記録には残ってないからな。ちょっとくらい構わないさ」
「でもそろそろ時間よ。これからフィフスは予定があるものね」
「…そうでした。エヴァの訓練がありましたね、赤木博士」
シンジ君達もこれから合流して、今日からエヴァの訓練が始まる。僕と同じアダムから作られしモノであるエヴァ。
それにシンクロする。それはいったいどんな感覚なのか、僕は楽しみだった。
「あらリツコ、今日は珍しく遅かったじゃないの」
「でも時間には間に合っているわ。問題ないでしょう」
ネルフ内のある会議室。赤木博士と一緒廊下を進み、僕らはそこへ入った。
既に中には葛城一尉と他のチルドレンが勢ぞろいしている。
「フィフスも一緒?…へぇ…」
「何よアスカ。言いたいことがあるなら今のうち言いなさい」
「別に。フィフスの保護者っていうのは本当だったんだな〜って思っただけよ」
「え、マジで?リツコそれホント?」
「…そうだったわね」
赤木博士は目頭を抑えている。…そんなに僕の保護者が嫌なのかな。僕が保護者になってくれと頼んだわけじゃないんだけど。
210 :
カヲル:2007/12/21(金) 22:04:37 ID:???
葛城一尉は興味津々といった感じで赤木博士に質問を浴びせている。その間、チルドレンの僕らは暇になってしまった。
「そいや渚、今日何するか知っとるか?」
「まだ何も聞いてないよ。シンジ君たちとは別みたいだけど」
「そか…なんやドキドキするわ」
「僕は楽しみだね」
と、そこで葛城一尉がパンパンと手を叩く。
「それじゃ時間だし始めるわよん」
「ファースト、セカンド、サードチルドレンはいつも通りのシンクロテスト。フォース、フィフスは今日もレクチュアね」
「レクチュアってまたあれかい…なんや、またビビッて損したわ」
「赤木博士、僕達はまだエヴァには乗れないのですか」
手元のファイルを見ながら赤木博士は答える。
「ええ、まだ無理よ」
即答。…エヴァに乗れないのか。そしてまた今日もあの退屈な講義か。今日一日は本当に退屈な日になりそうだ。
211 :
ミサト:2007/12/21(金) 22:06:04 ID:???
シンジ君とアスカ、レイはプラグスーツに着替えるためロッカールームへ。トウジ君、渚君はリツコに連れられていった。
私は一足先に実験をモニターできるボックスに足を運ぶ…途中で。
「よう、葛城」
「…何か用?」
加持に呼び止められた。自販機コーナーの壁に寄りかかり、缶コーヒーを口に付けたまま。
「用ってほどじゃないがフィフスにようやく会えてね」
「へぇ〜よかったじゃない。で彼、どうだった?」
「なかなか面白い存在だと俺は思うよ。もっとも、ほとんど会話はしてないんだがな」
カコン、とほとんど空のゴミ箱に加持の空き缶が中に吸い込まれる。
…加持は特殊監察部だ、ひょっとして渚君について何か知ってるかもしれない。
「ねえ加持…あなた、渚君について知ってるの?」
「まさか。さっき初めて会ったばかりだぞ?」
「初めて会ったからと言って、何も知らないとは限らないわ」
そうだな、と加持は答える。自販機コーナーには、今人はいない。
「だが彼については何も知らない。生年月日くらいだけだ」
「…彼がここに来た裏には、何かあるんでしょう?」
「だろうな。だが俺は何も知らないんだ。興味はあるがね」
「だったら…」
212 :
ミサト:2007/12/21(金) 22:07:53 ID:???
私が口を開く前に、加持はいつもの台詞を被せた。
「おっと、そろそろ仕事に戻らなきゃならないな」
すれ違う。その瞬間、彼に小さく…しかしはっきりとこう告げた。
「…何かわかったら教えて」
「人に頼るのかい?君らしくないな」
「なに言ってるのよ。MAGIをつかっても判らなかったのよ?私一人でどうこうできるレベルじゃないわ」
「それもそうか。なら、その時は食事でも」
いつもの調子で加持は去っていった。ま、加持でもどうこうできるレベルじゃないかもね。
よく考えてみれば、渚君の経歴もレイと同じで抹消されている。…ちょっと警戒しすぎかな、という気もした。
レイはチルドレンとして問題なくずっと過ごしてきてるし…チョッチ無口すぎだと思うんだけど…それに比べたら渚君は社交的な方だわ。
その他は…う〜ん…これ以上考えてもしかたないわねぇ…彼のパーソナリティーが謎を解く手がかりになるとは思えないし…
考えながら足を運び、目的地の実験室に入るとマヤちゃんと日向君が準備を進めていた。
今回私は実験に直接介入できるわけじゃないから、端の方で座って準備が整うのを待つ。今日もシンクロテストだったわね。
イスラフェルを倒した後の実験では、シンジ君やアスカはもちろん、レイもシンクロ率が上昇していた。
これも五日間の同居生活のお陰。チルドレン同士の結束は大事だとは思ってたけど、シンクロ率まで上がるなんて思わなかったわ。
新しく来た二人とも仲良くやってくれないかしら…そうすれば…
気づけば、リツコと新人二人はもう来ていて、シンジ君たちはプラグに搭乗する段階だった。いつの間に来たの?。
なんだか最近考え込むことが増えたわ…優先順位をつけて考え事を…
そうよ、考えるべきことは何よりもシンジ君の事だった。
だって昨日元気が無かったもの。アタシも疲れてたから特に干渉はしなかったけど…何かあったのかしら。
213 :
リツコ:2007/12/21(金) 22:10:19 ID:???
「壱番、汚染区域に隣接…零番、弐番まだ余裕があります」
「どうしたのかしらシンジ君。今日はハーモニクスもシンクロ率もずいぶん落ち込んでるじゃない」
…ミサトの言う通りね。実験の度にシンジくんの成績は右肩上がりのグラフを記録していたのだけど、こんなに落ち込んだのは初めて。
それに前回は三人揃ってシンクロ率を上昇させたというのに。
「…エヴァとのシンクロは心的要因によって左右されるわ、身体的な理由じゃなく、ね」
「何か、あったんでしょうか」
「それは同居人かつ監督者の葛城一尉の管轄」
隣にいるミサトもそのことはわかっているはず。だからか、やはり浮かない顔をしていた。
「確かにそうだけど…よくわかんないのよね、昨日帰ってきたらなんだか元気なくて。アスカと喧嘩したわけじゃなさそうだし」
「まったく…やっぱり、ミサトに預けたのは間違いだったのかしら」
「あによぉ〜…あんたこそ渚君の保護者なんでしょ?だったら彼の監督はしっかりしてるはずよね?」
ミサト…思い出させないで頂戴…監督も何も、成り行きで私が保護者になってるだけなんだから。
そもそも私にそういった役割は向いていないのだし、彼には監視がついてるもの。レイと同じ、形だけの保護者だわ。
「あなたと一緒にしないで頂戴。大体チルドレンの責任者はあなたじゃない」
「そうは言っても五人となると流石にね〜…」
「だから最初に言ったじゃない、遊びじゃないのよって…一番はそのまま維持、零番、二番はプラグ深度を5下げてみて」
「わかりました」
まだレイにもアスカにも余裕があるようね。彼女達は昔からずっとエヴァの訓練を受けてきた…
この間初めてエヴァに乗ったシンジ君にスランプが来るのも当然かもしれないわ。それでも初めての搭乗で41.3%という高いシンクロ率を叩き出したけれども。
コーヒーカップを口に付け、隣に佇む二人の中学生を見る。…この子達は、一体どれだけのシンクロ率を出してくれるのかしら。
フィフスの出番は当分なさそうだけど、フォースの鈴原君には期待をしている。
214 :
カヲル:2007/12/21(金) 22:12:27 ID:???
昨日とほぼ同じ光景を見せられる。シンクロテスト…アダムから生まれしエヴァと、リリスから生まれしリリンがシンクロする。
よくよく考えれば不思議なことだ。エヴァには彼らチルドレンの母親の魂がサルベージされて宿っている。だから可能だというのか…?
リリン同士ですら分かり合うことができないというのに、まったく違う種であるエヴァとシンクロできている。
…そういえば、綾波レイは他のチルドレンと仲良くしていたように見える。ひょっとしてエヴァとのシンクロも同様に行えるということか。
僕にはまだわからない事だらけだね。最も、ここにいる誰もがわかっていないのかもしれないけど。
「センセ、調子悪いみたいやなぁ…」
「そうだね…昨日君はシンジ君と残って何か話していたけど、それが原因じゃないのかい」
「そうやなぁ…そうかもしれへんわ」
それでもフォース、鈴原トウジはモニターのシンジ君の顔を見つめていた。
いったい何を話したんだろう?…人と人は傷つけ合う。それは使徒との関係も同じ。
トウジ君はひょっとしてシンジ君を傷つけしまったのかもしれない。もっとも心をだけど。
…シンジ君の、というかチルドレンの責任者は葛城一尉らしい。
心が傷ついて、シンクロ率が低下した場合の責任は葛城一尉にあるのかな。そうなると僕が傷ついた場合は葛城一尉が責任を取るわけか。
「零番、限界です」
「あら…レイもいつもより珍しくずいぶんと低いわね」
「アタシは知らないわよぉ?…リツコは何か知らないの?」
「知らないわよ。チルドレンの責任者は貴女でしょう」
「でもレイの保護者は誰だったかしら。アンタにも責任はあるわよ」
「それは…そうだけど」
保護者にも責任の一旦はあるわけか。でもファーストは赤木博士とどれだけ接触しているんだろう
215 :
カヲル:2007/12/21(金) 22:14:27 ID:???
赤木博士には僕の保護者になってもらったけど、僕とは接触はしてないな。となると…保護者と言ってるけど保護なんてしてないじゃないか。
…でもチルドレンの周りにはいつも監視、おそらくネルフ諜報部が有事にそなえて護衛がついている。
昨日シンジ君とトウジ君に何があったかも知っているだろう。でも諜報部は直接接触してこないし…一応保護はされてるということか。
「シンジ君とレイ、何かあったのかしらね?アタシはレイとは今日始めて会ったし」
「私は知らないわ。昨日は一緒に帰ってたみたいだけど」
「アタシはその時仕事してたし…ねぇリツコ、お願いがあるんだけどさ」
「何よ…今話さなきゃならないの?」
「あの先輩、指示を…」
「そうね…零番維持、弐番はもう3下げて」
赤木博士は、伊吹さんの後ろから素早く指示を飛ばし、ぶっきらぼうに葛城一尉に尋ねる。
フォースは…まだ、画面にシンジ君をじっと見ていた。
「で、何なのミサト?」
「まぁ別にここで話す必要もないんだけど…あーやっぱいいわ、後にするから」
「そう…わかったわ」
ちらり、と僕の方を見る葛城一尉。目が合うとすぐ逸らされた。
赤木博士はコーヒーを啜っている…僕もやることがなくて、モニターの三つの顔を眺めた。
216 :
レイ:2007/12/21(金) 22:15:37 ID:???
血の匂いのするLCLに満たされるわたし。何度も経験したシンクロテスト。
あのひとを心に浮かべて、私は操縦舵を握る。でも…今日の私が心に浮かべたのは碇司令ではなかった。
私と一緒にテストを受ける2人のチルドレン。そして新たに加わった2人のチルドレン。
順番に、その顔を思い浮かべる。…最近の私はチルドレンと一緒にいることが多い。
突然、目の前に現れたサードチルドレン。存在は知っていたけど会うのは初めてだった、セカンドチルドレン。
ただのクラスメイトだった、フォースチルドレン。始めて会ったはずなのに、私と同じ感じがするフィフスチルドレン。
彼らと仲良くしろという命令はなかった。葛城一尉はチルドレンの親交を深めるのも大切とユニゾン前に言っていたかもしれないけど。
親交を深める…私とチルドレンとの親交は、深まったのかもしれない。教室ではあまり話さないけど、登下校、ネルフ内、私に話を振ってくれることもある。
人と人との係関わり合い。それは必要な事なの?司令も赤木博士も何も言わなかった。
他人と一緒に過ごすこと。
ずっと…忘れていたのに…
昨日、ふとしたことで思い出したこと。短いけれど、赤木博士と過ごした日々が心に浮かんだ。
217 :
レイ:2007/12/21(金) 22:16:51 ID:???
いつ生まれたのか私は知らない。でも、私が生まれた場所は知ってる。
二人目の私はそれから世話をしてくれる人はいたけど、一人だった。私は何をしていたのだろう。今では思い出せない。
でもそれからの赤木博士との短い生活は覚えている。私が最初に他人と一緒に過ごす事を知ったのは…そのとき。
それが終わって、アパートでの暮らしが始まった時、私は…悲しい…多分、寂しかったんだと思う。
赤木博士が私の家を覗く回数もどんどん減っていった。仕事が忙しくなったから。
でもその代わり、碇司令が私を見てくれるようになった。
ネルフ以外でも、私に声をかけてくれるのは碇司令が多くなっていった。
短い赤木博士との生活ほどではなかったけど、私はそれを求めていたのかもしれない。
元々、私が生まれたのはこの人のため。一人で暮らしたのも碇司令のため。そのうち、赤木博士もだんだんと私との接触を絶っていった。
私を見てくれるのは碇司令だけになった。…だから私は、碇司令だけを見るようになっていった。
でも…司令が家に来る事は殆ど無かった。私は、誰かと一緒に過ごす事を忘れていった。
そのまま、碇司令のために訓練をして、使徒を倒して…その一環であるユニゾン訓練。
そこで…私は思い出してしまった。人と一緒に生活するということを…
「お疲れ様。三人とも上がっていいわよ」
赤木博士の声がして、私は目を開けた。
218 :
リツコ:2007/12/21(金) 22:19:25 ID:???
今日のテスト結果は、いいとは言えないわ。レイとシンジ君には少し灸をすえる必要があるかもしれないわね。
そう思って少し厳しい事をチルドレンに告げる。レイは無表情、シンジ君は俯くだけだった。
「まぁ、いいわ…今日は」
「チョッチ待ってくれるかしら。あ、鈴原君も渚君もちょっと来て。リツコもよ」
手招きして二人を呼び寄せる。私も聞かなくてはならないらしい。
一体なんなのかしらね…これから実験結果のデータ整理もあるっていうのに。
「みんな知ってると思うけど、私は作戦本部長でもあり、チルドレンの責任者でもあります」
「今更何なのよ…」
私も今更と言いたいところだけど…まさかミサト…
「ですがチルドレンを5人も同時に見る余裕はありません。よってリツコにもチルドレンの責任者になってもらいたいんだけど」
「やっぱり…ミサト、あなた…」
「シンちゃんとアスカ、鈴原君はアタシが見るからレイと渚君はお願いできない?」
「何言ってるのよ、できるわけないでしょう」
「でもアタシ以外で一番チルドレンと接してるのはリツコでしょ?適任じゃないかしら」
勘弁して頂戴。こめかみに手を当てて頭を振る。
219 :
リツコ:2007/12/21(金) 22:20:30 ID:???
私の反応を知ってか知らずか、ミサトは話を続けていく。
「レイも渚君も、別にいいでしょ」
「はい」
「赤木博士にはネルフで一番お世話になっていますから」
「ちょっとあなたたち…」
しかしふと思う。チルドレンの責任者になったからといって、私がいざ何かをするということになるだろうか。
レイには殆ど問題は無い。フィフスは軟禁状態にあるのだから、問題を起こすとは思えない。
実質的な負担はシンジ君とアスカ、鈴原君だけ…ミサトがそれでいいなら、それくらいのことな一肌脱いでもいいかもしれないわ。
「…まぁ、ここでは決められないことでしょう。司令に申請はしたの?」
「まだよ。さっき思いついたし、リツコの確認も必要だから」
「そう…そうね、レイと渚君だけならまあいいわ…でも総責任者はあなたよ」
「サンキュ〜!やっぱり持つべきものは心優しき親友よね〜」
どこかで聞いた台詞をミサトが投げかける。ミサトも忙しいものね。ミサトの言うとおり親友なら…それくらいしてあげてもいいわ。
ふっと息を吐いたところで、声をかけられる。渚カヲルだった。
「赤木リツコ博士、お願いがあります」
220 :
カヲル:2007/12/21(金) 22:22:06 ID:???
今日一日、ネルフで過ごして僕はもう嫌気が差していた。
行動が制限され、特に見るものも何もないネルフ内部。エヴァを見ることは出来たけど僕一人の力じゃない。
もっとも…僕の本当の力を使えば、そんなことは簡単なんだろうけど…
せっかくチルドレンも集まっているし、赤木博士の機嫌も葛城一尉の要望を受け入れたところから見ると悪くないのだろう。
だからそのまま僕は続けて、口を動かした。
「…ネルフ以外に住む事はできないのですか?」
「それは無理よ」
「そんなことはないでしょう。この町はネルフの管轄下、僕一人くらいの住居なんて簡単に手配できる」
「そうね、でもそういうわけにはいかないのよ」
赤木博士は僕の方に体を向ける。こうして対峙するのは何度目だったか。
「…前にも言ったと思いますが…僕が計画に影響を与えることはありえません」
「だから自由にさせて欲しいと言う事かしら?信用できないわね」
「そういっていつまでもこうしておけるとお思いですか?」
今日の退屈な時間、僕はどうすればネルフの外に出ることが出来るのか考えていた。
221 :
カヲル:2007/12/21(金) 22:23:10 ID:???
何とかネルフの上層部を動かさなきゃならない、そのための方法として…僕からゼーレに働きかける術は今のところない。
使徒の力も使えない。となるとやはり説得しかないだろう。
「警戒しても、僕はここのチルドレンと何も変わりませんよ」
「だったら、あなたの素性を明かしてもらいたいものね」
「僕はこれ以上何も知りませんよ。…ネルフから出られないのは酷いと思いますよ?さっきの説明のようにパイロットの精神状態はシンクロ率を左右する。
僕がチルドレンであるならそれくらいの自由を保障してくれてもいいでしょう」
他のチルドレンは、呆然と僕と赤木博士のやり取りを眺めている。僕の事情は知らないはずだから当然か。
葛城一尉は先ほどのほぐれた表情から一変して、無表情に僕を見つめている。
「…セカンド。移住の手続きはすぐに済むんだろう?」
「えっ?…あ、多分…ミサトがやったから詳しくは知らないけど…」
「それなら今すぐにでも可能だと思いますが」
「そうは言ってもね…」
「いいんじゃない?」
声を上げたのは、葛城一尉だった。
222 :
リツコ:2007/12/21(金) 22:24:37 ID:???
ゼーレが直接送ってきたフィフスチルドレンは、ただの少年とは思えない。報告書からわかるように、大きな秘密がある。
しかし、身体的には特別な点は見られなかった。赤い瞳と銀の髪も、アルビノ種であれば生来備わっているもの。
今日一日、彼はネルフ内部を特に目的も持たずにぶらついていただけのようだ。何か特別な技術も無いのかもしれない。
…ただ、油断はできない。そうでしょう?ミサト。
「確かにそうだわ。…でもだからこそネルフ内に閉じ込めておくのは危険だと思うのよ」
「機密情報はネルフ内にあるものね。むしろネルフ外に閉じ込めておくべきということ?」
「聞こえは悪いけどね…チョッチ監視が甘くなるけど問題なさそうだし」
ネルフ内部の長い廊下をミサトと二人で歩く。
ミサトの片手には、先ほど話した内容の書類。私は渚カヲルの転居についての書類。
渚カヲルの要望は、とりあえず司令のところへ持っていくこととした。
あのままミサトも他のチルドレンも渚カヲル擁護に回ってしまったから、ひとまず提案だけはしてみることになったのだ。
…それにしてもミサト、何も考えていなかったわけじゃないのね。
司令室のドアを、二人で潜り抜ける。いつもと変わらぬ司令と副指令。
「…チルドレンの監督責任者についての企画書をお持ちいたしました」
薄い書類を受け取り、ぱらぱらとめくると司令はすぐに机の上に置いた。
「…葛城一尉、赤木博士を選んだ理由は何だ」
「ネルフ職員の中で、赤木博士が最もチルドレンと接触していると判断したためであります」
「なるほどな…確かに葛城一尉の負担も大きかろう、どうする、碇?」
「構わん、許可する」
ありがとうございます、と一言いい、ミサトは後ろに下がった。
223 :
リツコ:2007/12/21(金) 22:28:11 ID:???
ミサトと入れ違いに、今度は私が前に出る。変わらずに佇む、司令と副指令。低い声で、司令が口を開いた。
「赤木博士、用件を聞こう」
「フィフスチルドレンから住居移転の希望がありました。彼の処遇についての指示を仰ぎたいのですが」
「フィフスの正体は掴めたのか?」
「…目下、捜索中です」
「彼については秘密が多すぎる。うかつな事はできまい」
「しかし…彼もチルドレンです。エヴァのパイロットとして使徒と戦闘を行うのであれば精神的衛生面にも気を使うべきではないかと。今の処遇では…」
ミサトが口を開く。もしかしたら、今回のシンジ君のシンクロ率の落ち込みがミサトを焦らせているのかもしれない。
その後、廊下で話した理論を司令、副指令に展開する。…二人はどう動くだろうか。
「確かに葛城君の言い分ももっともだ…彼についてどう思うかね、赤木博士」
「今のところ脅威となるような要素を持ち合わせてはいないと思われますが、油断はできないかと」
「その通りだ。しかしいつまでもこうしておく訳にもいかない」
…そう、それは渚カヲル本人もそう言っていた。
彼の正体が掴める目処も立たない。いずれゼーレに知られ、処遇について何か言われるでしょうね。
出会った当初に比べて、彼への警戒心は多少薄れつつある。
何処に住まわせるかは私にとって決めかねること、でも候補を挙げる事はできる。
「一応、ネルフ管轄下の居住区域の名簿を持参いたしました」
「…赤木君、君はフィフスの意見に賛成なのかね?」
「返答できかねます。ただ、葛城一尉の意見も一理あるかと」
「確かにチルドレン責任者の意見は傾聴に値するかもしれんな…」
数瞬の後、書類が碇司令の手から離れ、机に静かな音を立てて重なった。
「後日、追ってフィフスチルドレンおよびチルドレン監督責任者にフィフスチルドレンの処遇を通達する。以上だ」
司令室は、再び静寂に包まれた。
224 :
ゲンドウ:2007/12/21(金) 22:29:02 ID:???
先に口を開いたのは、冬月だった。
「どうするつもりだ?碇」
先ほどのやり取りで気づいているだろう。どうしても私の口から言わせたいつもりらしいな。
「フィフスチルドレンは我々の計画において直接的な障害になるかはわからん。だがそれほど警戒する必要も無いようだ」
「セントラルドグマはもちろん、エヴァ、MAGIとの接触も避ければな」
「それに奴はゼーレから手向けられた代物だ。ここで老人共に忠誠を見せるのも得策かもしれん」
ゼーレの送ってきたチルドレンだ、必ず何かある。だがチルドレンならば…エヴァと関係があることはほぼ間違いない。
そしてチルドレンらしく管理していれば老人の要望に応えたことになる。
「なら、フィフスの要求を呑むということか」
「監視がネルフの外か中かだけの話だ。結果は変わらん」
場所は赤木博士からの資料から選べばいい。ネルフ以外での行動に制約は特に必要はない。
無論、監視は付け、不穏な動向は取り締まるが。チルドレンとの接触もフィフスが大きな影響を与えるとは思えん。
「シナリオに狂いは無い。少年一人でゼーレの機嫌が取れるのならば安いものだ」
「フィフスの保護者は赤木君だったな。あまり彼女に迷惑をかけるのは得策とは思えんぞ」
「補導されたという報告があったな。問題ない」
「…お前がとやかく言える義理ではないか…」
そういえば昔、迷惑をかけたことがあったか。…思えば冬月と始めてあったのは警察署だったな。
あの頃は私も冬月も、このような運命を辿るとは思っていなかっただろう。
…フィフスを迎えたのは赤木博士だという報告はある。この二人にも、不思議な因果があるのか。
どちらにせよ、赤木博士は私の手中にある。赤木博士とフィフスが接近しても何の問題もない。むしろ有利になるだろう。
なんの問題もない。住居はどこも似たようなものだ、チルドレン責任者にフィフスは任せるとしよう。
225 :
カレー:2007/12/21(金) 22:42:59 ID:???
今日の投下は以上です。
カヲルについてはアニメ見直す等々行いましたがどうでしょうか…
人それぞれの「カヲル像」はとても幅があるので万人受けするカヲルは難しいと思うのですが。
個人的には自然に仕上げたつもりです。
とりあえず以前申したように同居スタートまでは書きますので、次回かその次くらいの投下で一旦終わるかと。
毎度の駄文、申し訳ありません。でもGJとか乙とかくれた人ありがとう!!
リアルタイムGJ
自分はこのカヲル好きだ、続き待ってる
前スレも見てーな。
>>225 投下キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
GJ!
カヲルについてだが、口調からして著しく違うという訳ではないし
そもそもネタスレという前提があるんだから気にするな
細かいこと気にしてたら同居設定自体原作じゃありえないということになる
>>227 今すぐは無理だが近いうちうpするわ
>>228 ありがたい。
できれば携帯からも見れるように頼みますorz
カヲルくん
カヲル「シンジくん、今日僕の家に夕食を食べに来ないかい?」
シンジ「え、行ってもいいの?」
3人の家にシンジがやってきた。
シンジ「あ、あの・・・お邪魔します。」
カヲル「やあ。よく来たね、シンジくん。」
シンジ「うん・・・あれ?綾波もカヲルくんと一緒に住んでるの?」
レイ「ええ、そうよ。」
リツコ「目が覚めたらここに3人で閉じ込められていたのよ。」
シンジ「リツコさんまで・・・」
レイ「ゆっくりしていって。碇くん」
シンジ「うん、ありがとう。」
レイ「ひとつ重大な問題があるわ。」
リツコ「ええ、そうね。」
シンジ「え・・・何ですか?」
カヲル「夕飯の準備がまだできてないんだよ。
シンジくん、君が作ってくれるかい?」
シンジ「(・・・なんでだよ。)」
これもシナリオの内ですか?赤木博士
ゲンドウ「すべてはこれからだ」
レイ「赤木博士が走ってるわ…」
カヲル「師走、というやつかな?」
リツコ「徹夜が堪えるわ…」
レイ「…もうそこまで若くないもの」
カヲル「それはストレートに言い過ぎじゃないかい?」
保守
1月1日 0:00
TV「新年明けましておめでとう御座います!」
カヲル「明けたね」
レイ「そうね」
カヲル「やっぱり赤木博士は起きてこなかったか」
レイ「帰ってきたの、さっきだったもの…寝ていなかったみたい」
カヲル「じゃあそろそろ僕らも眠ろうか。ここ片付けるよ」
レイ「ええ」
カヲル「…ファースト、君みかんいくつ食べたんだい?」
レイ「7個」
保守
239 :
カヲル:2008/01/12(土) 04:55:21 ID:???
訓練後のミーティングが終わり、葛城一尉と赤木博士はさっき話したことを司令に伝えるために、足早に部屋を後にした。
僕らチルドレンもそれに続いて部屋を出る。
二人ともネルフ内では相当な地位に就いている。言い方にもよるだろうけどとりあえず状況が変化する糸口は掴めたみたいだ。
それもチルドレンのお陰。感謝の言葉を…さっきはありがとう、と僕を擁護してくれたチルドレンに言った。
「気にすな渚!それくらい」
「そういう訳にもいかないよ。気にするなと言われても気持ちは消せない。誤魔化すことはできるけどね」
「んん?でもまだどうなるかわからん訳やし、礼は早いやろ」
お礼は全部終わってからでもいいか。どんなにうまくいっても今日中に僕の家が変わるってことはまず無いだろうし。
またジオフロントからネルフ本部へと上がって、部屋に戻るんだろうな。
ファーストはあんな家に住んでいるけど僕みたいに違う場所に移ろうと思ったことは無いのだろうか。
隣を歩いているファーストは無表情だった。それ以外の表情を見たことはまだ無い。感情を読み取った事もない。
…ここで、赤木博士の言葉を思い出す。
『…エヴァとのシンクロは心的要因によって左右されるわ、身体的な理由じゃなく、ね』
見えなくても、彼女には心があるんだ。
僕と彼女は似ている。でも僕は彼女の事はまだわかってない。シンクロ率の低下の原因が、僕にわかるはずもない。
何が彼女の心をかき乱したのだろう…僕の知らない場所でなら…学校かな。
「ファースト、何かあったのかい?」
「何故?」
「シンクロ率がいつもより低かった。…それじゃ理由にならないかい」
「…低かった原因は、きっと考え事をしていたから」
「集中できていなかったのか。一体何を考えてたんだい?」
「…昔のこと」
彼女の経歴も抹消済みだが、僕は知っている。僕と同じ、リリンの都合で生み出された存在だ。
そんな彼女が今までどんな生活を送ってきたのかは知らない。何か思い入れでもあるのだろうか。おそらく思い出したくない事だったんじゃないかな。
エヴァ、ネルフ、碇ゲンドウ、彼女にかかわるものには深くて暗い闇がある。
240 :
カヲル:2008/01/12(土) 04:56:09 ID:???
「一人は寂しいの?」
突然、ファーストが僕に尋ねる。一体なんだろう?
「寂しい?よくわからないな…でも一人でも平気だよ」
だって僕は使途。リリンとは違う生き物だ。他の使途と同じ、他者と分かり合えることは無い。
「赤木博士と住みたがっているように見えたわ」
「それは僕がネルフから出るための口実だよ。一人が嫌なんじゃなく、ネルフの立地や部屋が気に入らないんだ」
「そう…」
「ファースト、君は一人が嫌なのかい?」
「…そうかもしれない」
表情は変わらないが、言葉にはいつもよりも重みがあった。
…以外だな、彼女がそんなことを思っているなんて。こうやってわかっていくのかもしれない。
一人でいることが嫌…寂しいのかな、彼女は。それがシンクロ率低下の原因だとしたら、彼はどうなんだろう。
むすっとしたセカンドと話すフォースの後ろを一人歩くシンジ君にファーストから視線を移した。
今日のシンジ君はいつもとちょっと変だ。いつもならセカンドかフォースと話しながら歩いていると思っていたけど…
まだ知り合ってから日も浅いし、今までが仲良く見えすぎただけかもしれない。彼のことも、これから知っていくのだろうね。
241 :
シンジ:2008/01/12(土) 04:58:11 ID:???
何度目になるだろう。この気持ちは。
同じことを何度も何度も胸を駆け巡る。考えすぎなのかもしれない。そもそも、考える必要なんてないのかもしれない。
それでもこの気持ちは拭いきれない。そのことを考えなくても、何かが溜まっている感じ。
ここ第三新東京市に来てから、何度も見てきたエヴァ。
父さんに言われるままにエヴァに乗って、リツコさんに言われるままエヴァを動かして、ミサトさんに言われるまま使途を倒してきた。
僕が歩く廊下は、ジオフロントの内部。人類の未来のため、築かれた最後の砦。そこで人類のために働くネルフ職員。
言われるままに動く僕がこんな所にいること自体、間違ってる気がしてくる。
エヴァって何なんだ?…僕って、何なんだ。
どうして、僕しかエヴァに乗れないんだろう。…どうして僕はエヴァに乗っていたんだっけ。
家出して…パイロットを抹消されたあの日、結局僕はまたエヴァに乗る道を選んだ。
どうしてかはわからないけど、僕はここでの生活に縋っていたから、エヴァに乗ったんだと思う。
エヴァが何であろうと僕には関係がなかった。だって、この生活の方が大事だったから。エヴァに乗れば、ここにいることが出来る。
でもそんな勝手でパイロットを続けていいのか。綾波みたいに絆のためだといっても、僕には戻る場所がある。
僕みたいに半端な気持ちで乗り続けられるのは迷惑なんじゃないだろうか。あのとき、ミサトさんが言っていた言葉だ。
何のためにエヴァに乗ればいいんだろう。そんなものが無くても僕はエヴァに乗り続けると思うけど。
ちゃんとした理由が欲しい。僕がここにいてもいい理由が欲しいんだ。
どうしたら見つかるのかな…いらない子供だった僕が、卑怯で、臆病で、弱虫で…そんな僕が、ここにいていいのかが。
242 :
アスカ:2008/01/12(土) 04:58:53 ID:???
アタシは今日も絶好調。ファーストはちょっと調子悪かったみたいね。これがアタシとアンタの違いよ。
…シンジはもっと悪かったわ。ま、あんな貧弱な奴で最初から40%越えのシンクロ率を出してたんだから、いつか落ちるとは思ってたけど。
別にシンジのシンクロ率はどうだっていいんだけど、気分まで落とさないで欲しいわよね。
なんだか気が抜けちゃってるみたい。何を言っても「うん…」で終わっちゃうし。昨日の夜からそんな感じよね。
鈴原にしつこく聞いてもよくわかってないみたいだし。こいつと話した後だと思うんだけど、何を話したかも言わないし。
「それじゃ、ここまでだね」
後ろにいたフィフスが言う。ネルフに住んでるからもう帰るのね。次は鈴原が抜けて、ファーストが抜けて、アタシとシンジだけになっちゃう。
今のコイツと一緒なのは嫌なのよねぇ…鈴原は相変わらず「スマンな、これは言えへんのや」で口を割らないしそのまま逃げられた。
ファーストはいてもいなくても変わらない。挨拶を交わして、シンジとアタシだけになった。…そういえばファーストと挨拶なんていつもしてたっけ?
「…ねえアスカ。どうしてアスカはエヴァに乗るの?」
二人きりになった途端、アタシに話しかけるシンジ。相変わらず表情は辛気臭いまんま。
「決まってんじゃない、自分の才能を世の中に示すためよ」
「…自分の存在を?」
「まあ似たようなものねぇ。アンタはどうなのよ」
ぶらぶらと家路を辿る。背中を丸めたまま、ちょっと自嘲気味に笑ってシンジは答えた。
「わからないんだ。無理やり乗せられてるかもしれないし…自分で乗ってるのかもしれない」
「はっきりしないわねぇ」
「うん…僕しか乗れないから、僕が乗るしかないんだけど…」
243 :
アスカ:2008/01/12(土) 04:59:16 ID:???
煮え切らないシンジ。アタシたちチルドレンは人類を守るために選ばれた存在…だから完璧なのは当然。でもシンジや鈴原はそんなことないわよね。
そういえばアタシも何でチルドレンに選ばれたのか詳しいことは知らないわ。
「きっと何か理由があるんでしょ。実際に乗れるのはアタシたちだけだしね」
「でもそれでいいのかなって」
「確かに…アンタじゃアタシみたいに世の中に示すほどの才能があるわけじゃないし、エヴァに乗れるから乗ってると言えるわね」
「そうかもしれないけど…僕は自分で選んでエヴァに乗ったんだ。でも、どうしてエヴァに乗ることを選んだのかわからないんだ…
こんな半端な気持ちでエヴァに乗られても、迷惑だと思うから…」
家に着くとアタシは真っ先に自分の部屋に向った。ペンペンの出迎えは無い。
制服を脱ぎ捨て、下着姿のままベッドに仰向けに転がった。
…そんなことで悩むこと自体、半端なのよ。アタシたちはエヴァのパイロットとして、人類を救うための存在。選ばれたのよ。
それ以外になにか理由があるとすれば、アタシはさっき言ったとおり、才能を示すため。誰に?世の中に。
だから今まで訓練を続けて、シンクロ率を上げてきたのよ。アタシにしかできないことをしてきて、それで…
それで…何なのかしら…世の中に才能を示して、示してどうしたいの?アタシは、何に拘ってるの?
寝返りを打ってうつぶせになる。アタシがパイロットであることと同じで、才能を示したいことにも何か理由がきっとあるんだわ。
それが何なのかわからないけど…今までどおり、アタシはエースパイロットであり続けなきゃ。鈴原にもフィフスにも負けない。
絶対…負けられないんだから。
244 :
リツコ:2008/01/12(土) 04:59:38 ID:???
ファースト、サードチルドレンのシンクロ率低下。シンクロ率の低下は結果としては褒められたものではないけど、データとしては貴重なものだわ。
こういう場合科学者としての地が出てしまって、チルドレンにきつく叱れないのは問題ね。まあ、それはそれ。
いつもより少しだけ長く残業をして、その日は家路に着いた。そして今日。いつも通り研究室に顔を出して、一日のスケジュールをチェックする。
その時、あがってきた報告書に目を通す。
「…結局私もチルドレン監督者になったのね。こんなに早く申請が下りるとは思わなかったわ」
ミサトは喜ぶのかしら。それから技術局からの報告書が続き、もう一枚の報告書が目に留まる。
…フィフスの住居変更の申し入れも通ったようね。相変わらずフィフスの正体は掴めないまま。しばらく束縛を緩めて様子を見るという事かしら。
そこまではいいのだけど、チルドレン監督者…そしてフィフスの保護者として新たな住居転入は私の権限で行い、責任をとるのも私。
成り行きで保護者になったのはいいけれども、面倒なことになったわね…フィフスは今日も午前中は丸々空いている。
適当に連れ出して今日中に決めておくことにするわ。こういうことは早めに済ませる方がいい。
あらかじめ決まっていた予定を多少やりくりして、フィフスのための時間をつくる。
今日は朝から忙しいわ…スケジュールをパソコンに入れて、私は研究施設へ向った。
245 :
レイ:2008/01/12(土) 05:00:22 ID:???
朝、私は今日は学校へ行かずにネルフへ向っている。
今日はダミープラグの搭載実験。これは他のチルドレンにはできない。一人、ゲートを潜り、セントラルドグマへ向う。
やることはいつもと同じ。いつも通りのシンクロテストのように私はただ集中して、LCLに満たされるだけ。
「…お疲れ様。もういいわよ」
どれくらいの時間そうしていただろうか。短く返事をして、巨大な機械に繋がるカプセルから出る。
シャワーを浴びて着替えを済ましてセントラルドグマを後にする…途中、昔住んでいたあの部屋を通り過ぎた。赤木博士とは会わない。
「おや…ファースト、こんな時間に会えるとは思わなかったよ」
その後ネルフで出会ったのは、赤木博士ではなくフィフスチルドレンと、加持さんだった。
廊下で談笑しているところに、私は鉢合わせた。
「おはようレイちゃん。今日は学校があるんじゃないのかい?」
「…休みました」
「で、ネルフにいると…赤木に付き合わされたってところかな」
「…あなたは?」
「たまたま廊下で渚君に会ってね。それだけだよ」
「僕は赤木博士に呼び出されたんだ。これから会いに行くところさ。ひょっとしたら昨日の話、通ったんじゃないかな」
「そう…よかったわね」
そのまま通り過ぎようと思った。その時、後ろから赤木博士がフィフスに声をかけた。
「あら、廊下で会えるとは思わなかったわ。それにレイや加持君も一緒だなんて」
「こんにちは赤木博士。…今日僕を呼び出した理由は?」
「申請した転居の件よ。喜びなさい、あなたの申請は認められたわ。これから決めるのは具体的な場所ね」
「へぇ…僕にも裁量が与えられているんだ」
私の場合、住居はネルフによってあらかじめ決められていたわ。どうして、フィフスとは違うのかしら。
246 :
レイ:2008/01/12(土) 05:00:45 ID:???
…もし…私の時にも裁量が与えられていたら…
「それにしても意外ね、レイと渚君が仲良くお喋りしているなんて」
「たまたま会っただけですよ。見かければ声くらいかけますし…そうだ博士、これから場所を決めるんですよね」
「ええ…それが?」
「ファーストにも手伝ってもらいたいんですけど。ファースト、今日はもう予定がないんだろ?」
「1630からパイロット用の格闘訓練プログラムが組まれているわ」
「だったらそれまで手伝ってよ。いいですよね、赤木博士」
すこし考えるそぶりを見せた博士。ちらりと加持さんの表情をみてから、私に確認を求める。
フィフスの言うとおり、私は今日の午後まで予定はない。学校に行くつもりもないし、命令ならそうする。
「なら決まりだな。渚君、いい新居を見つけられることを願ってるよ」
「はい。加持さんは?」
「悪いが俺は仕事だ。リッちゃん、ちゃんと親身になって見繕ってやるんだぞ」
「わかったわよ。それじゃ行きましょう」
赤木博士とフィフスの後について、廊下を進む。小部屋で地図を広げる赤木博士。その中から候補を選んで、実際に行って住居を決める。
私はどうして呼ばれたのかわからなかったけれど、フィフスはそれぞれの候補地の環境を私に質問してきた。
まだフィフスはここに来たばかり。知らないのも当然。…だから私を呼んだのね。
時間はあまりない。いくつかに絞った後、護衛が運転する車に乗って、私たちは出かけた。
247 :
カヲル:2008/01/12(土) 05:01:28 ID:???
朝に届いた報告。僕らチルドレンの監督者に赤木博士があらたに加わったこと、そしてその博士からの呼び出し。
その理由は僕の転居に関わるものだ。おそらく、認められたのだろう。言われた通りに指定された場所へ向う。
途中、加持さんと出会ったのは予想外だったけど…それより予想外だったのはファーストとも出会えたこと。
この時間帯にはチルドレンとは出会えないものだと思っていた。そしてさらに都合がいいことに、転居先の決定に付き添ってもらえた。
「…で、どうなの?ここの部屋は」
「僕一人住むには広すぎますね。それにネルフ行のバス停まで遠い」
「あなた、前も同じ事を言ってなかったかしら」
いままで見てきた部屋にはすべて、僕は住めそうにないと答えてきた。
事実、大半がそういった部屋だった。ファーストのように住みにくそうだ。そうでない部屋もいくつかあったけどそれも切ってきた。
ここまでは僕の作戦通り。いつまでたっても決まらない僕の様子に、赤木博士も不満のようだ。おまけに時間も無くなってきている。
「わかったわ…次に行きましょう」
その一言の後、部屋を後にして車に乗り込む。車内では会話は無い。
ファーストはいつも通りだが、赤木博士は助手席で腕を組み、眉を顰めたまま視線を下げている。
僕は地図を読む振りをしながら様子を観察していた。そろそろ言っておくべきか…信号待ちで停止したタイミングにあわせて、僕は顔を上げる。
「赤木博士はどちらに住んでおられるのですか?」
「…そんなことを聞いてどうするつもり?」
「ほかのチルドレンの住居を以前見せてもらったんです。葛城一尉はシンジ君とセカンドと同居していると聞きましたし、赤木博士の住居も参考にしたくて」
「私が住んでいるのはただのマンションよ。ミサトの家と似たようなものだわ…これで十分でしょう?」
「実際に見せてはくれないんですか?」
「見せられるものじゃないわよ」
ぶっきらぼうに言い放つ博士。やっぱりそう上手くはいかないか…でも、ここで折れるわけにはいかない。
博士の後頭部に向けて、僕は話を続ける。
248 :
カヲル:2008/01/12(土) 05:02:52 ID:???
「博士は一人暮らしをしているんですよね」
「ええ」
「僕は一人暮らしは初めてでして。シンジ君は一人暮らしじゃないですし実際を見ておきたいんです」
「それならレイも…」
そこまで言って口を閉ざした。ファーストの生活環境は僕はもう知ってる。
まさかあれが普通の一人暮らしの生活環境だとは流石に僕も思わない。赤木博士もそれを知っているのだろう。
ここで、最後の一押し。
「お願いします。それを見れば決められると思うんです」
「……仕方ないわね…ごめんなさい、行き先を変えるわよ」
車が右折し、赤木博士の家へ向う。博士の家はシンジ君の家よるネルフからやや近い、マンションの一室だった。
それにシンジ君のマンションよりも大きい。でも、住んでいる人は少ないようだった。
案内されるままに部屋へ。一つ意外だったのは、僕よりもファーストの方があたりを見回していたことだった。
「あまりじろじろ見ないで貰いたいものね…レイ、あなたに言ってるのよ」
「…すいません」
「赤木博士はこの部屋に満足してるのですか?」
「そうね、猫も飼えるし交通の便も悪くないわ」
僕に動物を愛でる趣味はないけど、そこらじゅうにあるパソコンとファイルがつまったキャビネットが気になる以外は綺麗な部屋だ。
249 :
カヲル:2008/01/12(土) 05:03:32 ID:???
赤木博士はパソコンで少し作業をしている。スケジュールの変更…かと思ったらそうじゃないみたいだ。
あまり自分勝手に動き回るのもどうかと思うので、廊下を歩いた後トイレを借りて時間をつぶす。そういえばファーストはどこに行ったんだろう。
「渚君、もういいかしら」
「そうですね、少し広いかなと…まだすべての部屋を見たわけではないですけど」
「流石に見せられない部屋もあるわ。ところでレイは?」
「知りませんよ、さっきまでトイレにいましたし」
「どうしたのかしら…少しここで待っていて頂戴」
ファーストはすぐに見つかった。勝手に部屋に入っていたらしい。赤木博士に怒られて、少しうなだれているファースト。
普段ならそんなに怒らないんだろうけど、今はストレスが溜まっているからかな。リリンは理不尽なところがあるらしい。
「もういいわね。次に行きましょう」
玄関へ振り返った博士の背中に、最後の一押しをかける。
「博士、提案があります」
再びこちらを向き、ため息を吐いた後今度は何?と腕を組む。
博士の家は予想よりも綺麗だったし、広い。環境には文句の付け所がない。さっきまで見てきた部屋とは、比べ物にならないくらいに。
250 :
カヲル:2008/01/12(土) 05:04:20 ID:???
「赤木博士は僕の保護者ですし、チルドレン監督責任者でもありますね」
「形だけではあるけどね。…それがどうかしたの?」
「シンジ君やセカンドと同じように、僕もここに住まわせて下さいませんか」
「…何ですって?」
まぁ、そう言うだろうな。でもここまで上手くいったんだ、なんとか叶えて貰えないだろうか。
「僕に一人暮らしの経験はありませんし…それならば最初から博士に頼るべきだと思ったんです」
「そんなことは無理よ。それにこの部屋はネルフからの候補になかったでしょう?」
「シンジ君やセカンドだってそうでしょう。博士の権限があれば、それくらい可能でしょう?」
「私が認めないわ。私以外も…司令や副指令が認めないでしょうね」
「僕はまだ知らないことが沢山あります。このまま一人で暮らせば、また博士に迷惑がかかると思いますよ。それに自信もありません」
「大人しく過ごせば問題は無いはずよ。事実、ここ数日は何もなかったでしょう?」
「でもこれからは何があるかわかりません。赤木博士を信頼して言っているんですよ」
どう切り返してくるだろう。やはり僕を受け入れるつもりは無いらしい。
そこまで嫌われてたのかな僕って。でもここに来て一番接しているのは間違いなく赤木博士…
「私もできれば博士と住まわせてほしいです」
「ちょっとレイ、あなたまで何を言い出すのよ」
…予想外だ。僕の提案を擁護してくれればいいなとは思っていたけど、まさかそう来るとは。
ファーストと二人で同居というのは嫌だけど、赤木博士と三人なら多分問題ないだろう。博士の部屋は綺麗だし。
ひとまず僕は口を閉ざして、二人の成り行きを見守った。
251 :
レイ:2008/01/12(土) 05:07:06 ID:???
赤木博士の部屋は始めてみるけど、初めてじゃないかんじがする。
研究室と同じようにパソコンと書類の山。ねこの置物。飾り気のない壁。綺麗好きな赤木博士らしく片付いた部屋。
…もし、私が一人で暮らすとき、裁量が与えられていれば私もフィフスと同じ、赤木博士と住みたいと願っただろう。
命令があったから、私は今のあの部屋に移り住んだ。
あの頃とは私も、赤木博士も変わってしまったけど…でも。
「…いけませんか」
「あなたには同居する理由が無いわ。そんな申請も来ていない以上、認めるわけにはいきません」
「私が受けた命令は依然継続中なのですか」
「…どうだったかしら…どちらにせよ、同居する理由がないしあなたの転居は申請もされていないのよ」
「先ほど、博士の権限があれば可能と聞きました。…私の希望が理由にならないでしょうか」
「ミサトなら通るかもしれないけど、私が認めない限り無理よ」
もし、昔だったら通ったのだろうか。それを考えると、通らなかったかもしれない。
赤木博士は、命令だったから私の世話をしていた。それ以外のものは無かったのかもしれない。
「博士、僕もできればファーストと一緒に住まわせて頂きたいですね」
「今度はあなたまで…まったく、どうしたっていうのよ…」
「ファーストの生活環境は良いとはいえません。これは保護者である博士にも責任があるのではないですか?」
「レイの健康管理はしっかりしているわ。問題ないはずよ」
「だからといってこのままにしておく理由もないでしょう?この家には十分スペースがありますし」
「でも私が保護者として相応しくないわ。帰ってこないことも多いし、あなたを監督できるとは思えないもの」
「それは一人暮らしより良いでしょう。それにファーストと二人なら博士が帰らなくても問題ないでしょうし」
「…私も、そう思います」
フィフスの意見に乗る。
ただ、私は赤木博士ともう一度過ごしてみたいだけ。叶わなくても、構わないけれど…でも。
252 :
リツコ:2008/01/12(土) 05:08:37 ID:???
どうして、家に来る事を断らなかったのだろうか。フィフスだけでなくレイとの同居…
レイとの同居ならまだいいわ。ただ、家に一人置いておくのは少し心配ではあるけれど。問題はフィフス。
彼の正体は掴めぬまま。ただ、ゼーレからの使者であることは確かだ。
なのに彼を私のそばに置くという事は…シナリオや機密事項がフィフスを通じてゼーレに伝わる恐れがある。
ネルフよりセキュリティが薄い自宅では、そういった重要事項のデータは持ち込まないが何をされるかわからないことは確かだ。
許可する事はできない。
だが…ここに来る前、司令からの命令の内容が脳裏を掠める。
『出来る限り、フィフスの要望には応えろ。…ゼーレに対する忠誠を見せるよい機会だ』
今のところ、彼に脅威は感じない。しかし…
「無理なものは無理よ。二人とも」
「わかりませんね。シンジ君やセカンドは可能であったことなのに」
「ミサトと一緒にしないで頂戴」
「葛城一尉の判断は正しかったのではないですか。エヴァとのシンクロを左右する心的ケアを行うには絶好のポジションでしょう」
「そうかしら。それが逆になることもあるわ。私はミサトと違って人当たりは良くないもの」
そのくせ、寂しがりやなのが私。それくらいはわかっているわ。
…今は猫達が私を出迎えてくれる。その前は…今目の前にいるレイが出迎えてくれていた。それっきりね。
でもレイからは何の感情も見えなかったわ。今更同居を言い出すなんて、本当、どうしたのかしら。
「何の問題も無いはずですよ。前にも行ったとおり、僕は何も影響を与えませんから」
「それは信用できないと言っているでしょう」
「ここ数日軽い軟禁状態にしておいても、まだ信用されませんか…そのうち、彼らが動き出しますよ」
やれやれと両手を広げた後、微笑むフィフス。
彼はゼーレの使者である。だから、警戒しなければならないが手荒な真似はできない。
表立っては正式なチルドレンとして選出されているのだから、尚更扱いに慎重にならなければならない。
253 :
リツコ:2008/01/12(土) 05:09:23 ID:???
これ以上、ここで話し合っても無駄のようね。
今回は私の負け。完全にフィフスに乗せられたわ。私と同居したいと言うなんて思いもしなかった。
この問題は先延ばしにして、残りの候補を見て回った。
流石に気づいていたけど、やはり渚カヲルの感想は前回のものと一致している。私との同居に拘っているわね。
…先ほど、問題は先延ばしにしたと言った。それはつまり、こういうことだ。
「…結局、今日中には決まらなかったようだな」
「申し訳ありません。しかし、これも司令の命令どおりフィフスの要望を反映した結果ですので」
「まぁいい。すべての候補地を回ったわけではなかろう。それで話とは何かね?」
司令、副指令。そして私。何度フィフスについて頭を悩ませることになっただろうか。
きっとそれはこれからも続く。とにかく、目先の問題を解決するのが先よ。
フィフスの、そしてレイの進言を伝える。流石に司令から却下されれば諦めるだろう。
「これは予想外だな碇…まさか同居を願い出るとは」
「フィフスはシンジやセカンドとは違う。まして葛城一尉と赤木君の立場も違う」
「フィフスの正体もいまだ掴めておりません。やはりこれは…」
「…これはフィフスの要望なのだな?」
「はい」
沈黙が訪れる。何を迷っているのだろう。ゼーレとの定期集会はまだのはず。フィフスを警戒する司令の考えが変わったとは考えられない。
…でも、昨日ミサトとここに来た時、考えが変わっていたとしたら…。
254 :
リツコ:2008/01/12(土) 05:09:46 ID:???
「赤木君。君には昔、レイの生活訓練を受け持ってくれた事があったな」
「はい。もうずいぶんと昔の話ですが」
「老人達が君を警戒していることも知っているだろう。フィフスとゼーレにパイプがあることはまず間違いない。
今のところフィフスに表面的な脅威は見られないが…まだ油断はできない」
「おい碇、まさか…」
「来週、老人たちとの定例集会が行われる。シナリオ通りとはいえ、老人たちの目を欺くことは必要だ。君のことだ、自宅には機密書類は残していないだろう」
「…はい」
「まさか老人たちが君に直接的に危害を加えるとは考えられない。もしあるとすれば、隠密行動くらいだろう。フィフスからゼーレへ何らかの情報が伝わる事は避けられない。
だがしかし、それでゼーレを欺けるのであれば…」
碇司令の命令とあれば、反対する理由は私の個人的な感情だけになる。それは何の意味もなさない。
自分のために利用できるものはすべて利用する。そういう人だったわ。それには私もフィフスも、隣に立つ冬月副指令も含まれている。
「赤木リツコ君。君には本当に迷惑をかけることになるが…フィフスおよびレイの進言を認許する。これも君を信用しての事だ。…わかってくれ」
わかっている。そういう人だ。
…私は絶対に口を割らないし、へまもしない。私から機密事項が漏れることは、まず無い。それくらい、この人は理解している。
それから…こうやってこの人に頼まれると、私は絶対に断れないということも。
客観的に見たら、ただ利用されているだけの、ばかな女に見えるのかしら。でも、母さんならわかってくれると思う。
…数日後、私の家には小さな段ボール箱を抱えたレイと、渚カヲルが玄関に立っていた。
255 :
カレー:2008/01/12(土) 05:19:52 ID:???
あけましておめでとうございます。
今日の投下は以上です。ね、眠い…明日が土曜だからって調子に乗りすぎた…
どれだけ需要があったのかわかりませんが、とりあえず以前アナウンスしたように
同居スタートまで書いたので一旦ここで終了です。よくこんな駄文載せられたな俺。
少し私生活が忙しくなるので、それが一段落してスレのふいんき(ryで続きを投下できそうであれば
また続きをやると思います。何より俺がやりたいのでwwwwww
>>226>>228いつもレスありがとう。本当に嬉しいです。
256 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/12(土) 16:32:42 ID:/ZKr3IV2
GJ!!
キテター!!
風呂入ったら読みます
GJ
乙!
絵心があったら挿絵描きたいわ
259 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/13(日) 01:10:05 ID:PhBSKCD/
―――ガラッ
リツコ「あらっっ!!!・・・・ったく!!!!お風呂入る時はちゃんと誰かいるか確認してから服脱ぎなさいってあれだけ言ったじゃない!!」
カヲル「すみませn」
リツコ「次やったら罰金ね」
―――ガチャ
リツコ「!!・・・ちょっ!!いったいいつから裸なの!!!洗濯物はどこに放置したの!!?まったく、洗う方の身にもなりなさい!それにお風呂はこれからカヲル君が入るのよ!!」
レイ「ごめんなさい。でも、お風呂は入らないわ。歯を磨くの」
リツコ「あらそう。ってカヲル君は何やってるの早く入りなさい風邪ひくわよ」
カヲル「あの、僕も歯を磨きにきました」
リツコ「だったらなん・・・もういいわ、勝手にしなさい。風邪だけはひかないように」
260 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/13(日) 01:35:57 ID:PhBSKCD/
リツコ「まったく・・・またトイレにパンツが落ちてる。あの子、一度脱いだら絶対出かけるまで着ないのね」
リツコ「あらあら、これで5回目・・・。あの子ったら、一体何回ズボンのポケットを貫通させたら気が済むのかしら。」
リツコ「もう仕事が山ほどあってこりごり。疲れるわ・・・」
陰でこっそり聞いていたレイ「あなた、もうズボンに手をつっこむのやめたら?」
陰でこっそり聞いていたカヲル「ファーストこそ、ちゃんとパンツ履きなよ」
レイ「わかったわ。ちゃんと履くからあなたもその癖やめて」
カヲル「わかったよ。リツコさんには色々世話になってるからね。ちなみにファーストは今パンツ履いてるの?」
レイ「履いてない」
カヲル「へえ、・・・・・今、君の言葉を聞いてなにか熱い物を感じた。特に下半身を中心に」
レイ「それは、誉めてくれてるの?」
カヲル「うん。あの、もう一回履いてないって言ってみて」
レイ「履いてない」
カヲル「おかしいな・・・何か違う。明日シンジ君に聞いてみよう」
レイ「そうね。聞いてみるといいわ」
だめだこの子たち・・・早くなんとかしないと・・・
何着てんだとか酢豚の豚抜きって何だよとか、
ツッコミどころが多すぎてレスしにくいwww
GJ
「今日の夕食はカレーよ」
「昨日も一昨日も…私が赤木博士の家に来てからずっとカレーです。たまにはニンニクラーメンを…」
「僕はお腹が満たされれば何でも良いよ」
リツコは初めて綾波レイの自我を確認したのだった。
「仕方ないわね。今日はニンニクカレーに変更するわ」
「…ごめんなさい、こういうときどんな顔をすれば良いのかわからないの」
「君には同情するよ…」
本日赤木家ではミサトカレーを越える凄まじく馨しい匂いが充満したそうな…チャンチャン
そして料理をカヲルが担当するようになり、なし崩し的に家事の全てを押し付けられるんだな。
266 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/14(月) 17:50:40 ID:9viPzj7O
綾波やカヲルよりもパンツルックに白衣なリツコに萌えたァ!
ほしゅ
269 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/20(日) 23:14:18 ID:q++wbOd0
カヲルもレイも料理できなさそうなイメージだ。
人外のものつくってリツコがぶるぶる青ざめるぐらいの。
以下妄想文注意↓
そんなカヲルの料理にレイは顔を少ししかめて無言で席をたつか、
同じ人外同士で気にせず黙々食べてるかのどっちかで。
リツコはそんな二人の料理に恐れをなして、自分で拙い料理作って振る舞うが、
不器用さ溢れる仕上がり。
でもカヲルは「美味しいですよリツコさん」とか褒めてて、
リツコを姉か母のように慕うレイは僅かに微笑みながら残さず食べる。
二人の様子にリツコはマヤやシンジやカジに聞きながら料理を頑張るようになる。
最初は迷惑げに二人の面倒を見てたくせに…と
悪戦苦闘しつつも生き生きしているリツコを見て微笑むミサト。
そしてついに改心の作(みそ汁)ができる。
みそ汁を一口すすり小さな声で「…おいしい」と呟くレイ。
リツコご満悦。
小説書けないからこんな妄想文しか書けないorz
誰か書いてください。
いや妄想文でも十分満たされたよ
しかし自分でやってみると如何にFFが難しいかわかるな…
何度挫折したことか
271 :
269:2008/01/21(月) 18:59:25 ID:???
>>270 マジで?ありがとう。
こんな妄想文でよければ沢山あるよ。
私も小説じゃなくても構わない、他の人もネタや理想があれば書いてほしい。
SSではなく妄想文です。
リツコは有能な科学者だけど、家事には不器用な設定がいいな。
几帳面でなんでもそつなくこなすイメージもあるけどね。
コンビニで弁当を買うことが多かったのに、
カヲレイが来てからはスーパーで食材を買うようになり…
コンビニ弁当なんて体に悪いですよーとリツコを心配してたマヤが、
そんなリツコの環境の変化に安堵しつつ、カヲレイに小さく嫉妬したり。
レイに「女の子は料理ぐらいできないと」と料理を教えようとするが自分も失敗。
血を吐く思いでミサトにシンジを借り出してとか
ミサトに内緒にしてねとシンジに頼み込むがアスカにばらされるとかで、
ミサトに爆笑されながらシンジに家事を教えてもらうリツコとレイとカヲル。
いつもクールで大人なリツコの拗ねたり照れたりキレたりしてる姿はかわいらしいと思う。
273 :
カレー:2008/01/25(金) 00:38:42 ID:???
合間に覗いてみたら
なんだよおい…
>>272>>269 これから同居スタートのほんわかムードでやりたかったネタじゃねーかよ…
やっぱこの3人はこういった雰囲気がいいかなって思ってたからちょっと安心だぜ。
そして絵師乙。来月か再来月くらいに投下るかもです。
要するに皆リッちゃん萌えだとw
絵やSSや妄想投下してくれる職人ありがとう
引かれてなかったようでホッとしたw
リツコの心境の変化にミサトが喜びつつ茶々入れる光景が見たいなー。
マヤちゃんは安心しつつ少し嫉妬。
…ゲンドウはどうなるの??
息子も娘も愛人(恋人っぽさはないよね)も完全に手元から離れたんじゃ淋しいよね。
冬月に無意味に構いたがるようになったりしてw
ゲンドウ一直線なレイが外の世界に目を向けたら…
安心しろ、スレタイがこうだからキャラ完全無視のひどいネタでもない限り住人はひかない
多少の妄想はないとやっていけないからな
むしろ燃料だ
277 :
sage:2008/01/30(水) 19:31:18 ID:ZnHb8Dvw
>>275のネタのSSがみたい。
誰かかいてくれ。頼む
ageんな死ねカス
279 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/30(水) 20:14:05 ID:LS2tOMUl
クレクレと馴れ合いの巣だな
頭悪そう
280 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/01/30(水) 20:21:44 ID:7P5HZztY
リツコは夜な夜なゲンドウとSEX
カヲルは夜な夜なオナニー
見た目には現れないもののレイの精神状況は極限に
みんなageないでくれ。
みんな仲良くやろうよ。
それと
>>275のネタSS俺も読みたい。
住人が荒れてる訳じゃないから大丈夫だ
「うるさいと思って窓見たら外で犬が喧嘩してるw」程度のこと
誰かパート1のスレをうpしてくれ
時田ネタがまたみたいなw
時田ネタはなんかもういいやって感じだった
一発ネタならいいけど
テスト終わったから記念に今晩前スレ再うpする
携帯には対応してないけど
↑wktk
ATフィールド月 全開日 失敗曜日
今日も博士はとても忙しかったらしい。
昨日、自分の書斎で「ネコの手も借りたい」と、ぼやいていた。
博士にはいつも迷惑を掛けているので、たまには手伝いたいと思った。
そこで博士の愛猫の "クロ" の手でも借りてもらった。
博士が席を立った隙に、クロを書斎に放った。
流石は博士のネコだ。すぐに端末のキーを叩き始めた。
博士が戻ってきたので、私とクロは入れ替わりに出て行った。
しばらくすると書斎の方から、叫び声が聞こえてきた。
何事かと思い行ってみると、脱力しきったような博士が居た。
なんでも、もうすぐ完成しそうだったデータが "でりぃと" したそうだ。
ちなみに "ばっくあっぷ" がはいっていたソフトは、クロが爪を研ぎをしてしまっていた。
流石は博士のネコだ。消すなら完璧に、ということか。
博士は明日は家に帰れないそうだ。
「ファースト、ご飯出来たよ」
「今行くわ」
リツコさんのおっぱいをもっと丁寧に描写してください
285だが今日はパソコン妹が使ってて無理だった
すまん
いや、誰描いてるかはわかる点で俺よりうまい
うp乙
このスレではミサトもなかなかいい味で好きだ
保守
バレンタイン保守
テスト期間だが保守
べっ、別に保守するわけじゃないんだからね!!
リツコ「…………。」
カヲル「…………。」
レイ 「…………。」
リツコ「……今日は何か変わった事はあった?」
カヲル「シンジ君と一緒にトイレに行ったよ。」
レイ 「碇君のお弁当、タコさんウインナーでした。」
リツコ「勉強でわからないところはある?」
カヲル「シンジ君は数学が苦手みたいだね。」
レイ 「明日の家庭科、シンジ君にカツ丼を作ってもらいます。」
リツコ「……NGワードに『碇シンジ』を加えます。テストはどうだった?」
カヲル「…………。」
レイ 「…………。」
リツコ「もうイヤ……」
ミサト「どしたのリツコ?」
律儀にNGワードを守る二人可愛いよ
リツコ「……今日は何か変わった事はあった?」
カヲル「あぼーんと一緒にトイレに行ったよ。」
レイ 「あぼーんのお弁当、タコさんウインナーでした。」
リツコ「勉強でわからないところはある?」
カヲル「あぼーんは数学が苦手みたいだね。」
レイ 「明日の家庭科、あぼーんにカツ丼を作ってもらいます。」
ちょwwwwwww
最高にGJだがパソコン許可してるか?
携帯なら見られるが潰れるから勿体無い
そうか、ありがとう
>>305 お礼も詫びもいらんさ
ただにょろーんとしてくれればそれでいい
にょろーんGJ
308 :
275:2008/02/24(日) 16:22:47 ID:???
>>290 亀レスですがありがとうございます!
りっちゃんかわいー!
カヲレイが部屋掃除してたらリツコの学生時代の写真発見。
シンジアスカに即効でばらし4人で、ミサトと加地に話を聞きに行きつつ、
マヤや青葉達にも写真を見せたりw
学生時代の写真発見ネタはおいしいなw
310 :
275:2008/02/24(日) 22:57:06 ID:???
「リツコさん、最近家に帰れないぐらい忙しいから少しでも負担が減るように掃除しようか」
そんなわけでカヲレイで大掃除開始。
「…何年掃除機かけてないんだろうね」
いくつも重ねられた資料入りの段ボール箱、埃がつもる資料室内。
「そういえば昨日相田君から面白いゲーム借りたんだよ!さぁ君も一緒に…」
言い出しっぺのくせに何食わぬ顔でレイの肩を抱き資料室を後にしようとするカヲル。
そんなカヲルの服の裾を小さく掴み、無言で見つめるレイ。
「…」
「…」
しばし無言で見つめ合う二人。
「う…じゃあ君は右端の棚を整理してきて」
カヲルの言葉にコクリとうなづき棚の整理をし始めるレイ。
紙で指を切らないようにねとカヲルに注意を促され、丁寧な手つきで整理する。
ふと本棚と壁の隙間に小さな紙が落ちているのを発見するレイ。
「ん…」
細腕を目一杯伸ばして紙を拾いあげる。
「これ…」
僅かに目を見開きながら葉書大の紙きれを見つめるレイ。
「どうしたんだい?」と重い段ボール箱を3つ重ねて持ち上げ移動させていたカヲルが、
座り込むレイに気付き段ボール箱を置き近付いてくる。
ほうけたように何かを見つめているレイ。
「何を見ているの?」
レイの手元を覗き込むとそこには
続く
311 :
275:2008/02/24(日) 23:25:45 ID:???
りっちゃんが金髪にしたのはネルフ(ゲヒルン?)入ってからですよね?
ミサトとであった大学時代にすでに金髪でしたっけ?
あと加地ミサトリツコの3人組の写真では、りっちゃんの髪は何色でした?
学生服(高校のセーラー服?)着てたとき黒髪だったのは覚えてるんだけど…。
赤子〜高校時代と大学時代の写真どっちが出てきたほうが面白いかな?
初代赤木博士は仕事にかまけてリツコに母親らしいことしなかったらしいから、
写真は学生時代の修学旅行ぐらいのもんしかなさそうだが。
4人が加地ミサトに聞きに行くなら当時を詳しく知ってる大学時代だけど、
高校時代のほうはカヲルレイアスカシンジに年齢が近い分チルドレン達の心理状態が面白そう。
アスカは加地ミサトリツコの出会いの時期を加地から聞き出していそうだなー。
いやミサトと付き合ってたこと知らんかったから聞いてないか。
高校時代のセーラー写真のほうがこういう会話がしっくりくるかな。
リツコ「ちょっあなたたちそれを何処で!?」
レイ「…かわいい」
カヲル「リツコさん可愛いですね(´∀`)」
リツコ「///////…大人をからかうもんじゃないわ…」
大学時代の写真見て「リツコさんわかーい!」とか地雷踏むのもありだけど。
大学のときは金髪だね
313 :
275:2008/02/25(月) 00:31:09 ID:???
加持な
しかし写真ネタはマジでおいしい
あと、赤木博士→リツコさんになる経緯とかも妄想がはずむ
リツコ「レイ、悪いけどコーヒー入れて貰えるかしら」
レイ「コーヒーきれてる…」
カヲル「じゃあ僕がコンビニに行ってくるよ」
カヲル「ただいま」
リツコ「おかえりなさい」
レイ「おかえりなさい」
カヲル「コンビニにポトレが置いてあったよ
ファーストは6種類もあるなんて凄いな」
レイ「そうね、あなたはひとつしかないもの」
リツコ「仕方ないことよ、ブラインドボックスで男フィギュアはハズレ扱いされるものだから」
カヲル「…」
カヲル「赤木博士だって1種類のくせに…ハズレ扱いされてるくせに!!」
リツコ「1種類だからなんだってぇのよ!」
しかし1種類だけだがリツコのポトレは出来がいいぞ
おもちゃ板ではキャラの好き嫌い抜きに考えて、
ポトレ1弾の中で一番の出来の良さと言われていた
そのネタ精神的にキツいわ
最近ポトレの存在知ったんだ…
第一段なんてどこも売ってなかった
ベストが発売になると聞いてリッちゃん来るか?と期待していたら
リッちゃんは来なかった…
何がベストだ
リッちゃんがなくて何がベストだ!!
安心しろ、317を書き込んだがリツコだけ持ってないんだ
しかもただ持ってないだけならまだしも、バラ売りしているのを見かけていたんだ
後日リツコ買いにいこうと悠長に構えてたら店から消えてたんだ
あのとき買っておけば…
綾波とカヲルとリツコを揃えて撮影出来たのに…
私もリッちゃん持ってない…。
なので、ぷちエヴァで家族ごっこさせよう。
そっちの方が二人は制服だし。
それがあったな
あとでやってこよう
保守
321 :
リツコ:2008/03/06(木) 23:56:11 ID:???
同居に先立って、ちょっとした出来事を振り返っていた。
まず最初に思いつくことは、どこから聞きつけたのか知らないが…同居の件が通ったことを知ったミサトが私の研究室にずけずけと入ってきた時のこと。
「リツコ、結局渚君を引き取ってくれるなんて流石ねぇ〜」
「…なんでもう知ってるのよ…」
「いつかこんなことになるんじゃないかって思ってたんだけど」
シンジ君と同居すると言い出したとき、私はミサトを非難した。
その仕返しにでもしてきたのかしら。確かに、思ったよりもシンジ君との関係は今のところ良好と言える。
シンジ君の適応力の高さなのか、ミサトの保護者としての能力から来るものなのかはわからないけど…今の状況にミサトは同居したことは間違いではなかったと自負している。
無表情でディスプレイに向かい続ける私にかまわずしゃべり続けるミサト。私は適当に返事をする。
…どれだけそのやり取りが続いただろうか…ミサトは、最後にこんなことを言った。
「ん〜っと…あとさリツコ、がんばってね」
「…?」
「何かあったら協力するから」
そう…仕返しに来たわけじゃなかったのね。
椅子ごと回転して振り返ると、ミサトはもう部屋を出て行くところだった。そのまま、シュっと音を立てて扉が閉まる。
協力するから…か。昔からお節介なミサトだけど、こんなことを直接言うことはなかなか無かった。
それだけ今回の同居に警戒しているのかしら…。
322 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:02:19 ID:???
ディスプレイを切り替え、MAGIへとアクセスする。
ここ数日で見飽きた文字列が並ぶ。
―――渚カヲルに関わる情報は検出されず。引き続き調査を実施中―――。
ミサトは、彼がゼーレから送り込まれた使者ということは知らない。
だから私が思っている以上に、渚カヲルに警戒心を抱いているのかもしれない。
…しかし、ネルフとゼーレは裏で対立している事実がある。
アダム、リリス、そしてエヴァ。これらすべてが今、ネルフ側の手札に回っている以上迂闊なことはゼーレも出来ないだろう。
同居の申請が受理され手続きが済んだのが昨日のこと。今日の訓練後、そのまま二人とも私の家に移り住むことになっている。
身一つで来た渚カヲルはもちろん、話によるとレイも荷物はほとんど無いらしい。
私も研究に関するものを覗いたら、あまり私物は多くないのだろうけど…ひょっとして、レイは最後に見たあの殺風景な部屋のまま変わりない生活を送っているのかもしれない。
レイの深層心理を構築するのはセントラルドグマのあの無機質な部屋。
私が指導した期間じゃそれを払拭するのは無理でしょうから、きっとあのままね。
我が家の環境はどうなることやら…
323 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:04:38 ID:???
「先輩、アメリカ支部からの報告書です」
きちんとノックをした後、入ってきたマヤが書類を手渡す。
指輪もネイルもない、飾り気はないけれど…白くて綺麗なマヤの手を見る。
少し潔癖症なくらいのこの子との同居なら、家庭環境は期待できるものになるかもしれない。なんて思いつつ、書類を受け取った。
「先輩聞きましたよ?レイちゃんとカヲル君と一緒に住むとか…」
「そうよ。…まったく、噂っていうものは足が速いわ」
「ほかの職員もみんな知ってますよ。みんな不思議がってましたし、それに…」
「何?」
「えっと…心配していたというか、何というか…」
末端の職員は渚カヲルの経歴が抹消されているなんてことは知らない。もちろんレイも。
そしてマヤの反応…なんとなく予想はつく。私とて他者からの評価は一応、わかっているつもりだわ。
たいてい有能な研究者とか、美人でクールな科学者だとかだけれども、中には私のことをマッドサイエンティストだなんて邪喩する輩もいるわけで。
そういう方々にとって、私は何を考えているのかわからないと捉えられているみたいね。
「心配ないわよ。ミサトと同じで…ただ単に一緒に暮らした方が都合がいいから、たまたま私が選ばれただけよ」
「そうだったんですか!私、安心しました」
「平気よ。子守くらいなら私だって出来るわ」
「先輩、そんな言い方は良くないんじゃないですか?二人とも中学生なんですし」
マヤは昔、私がレイの世話をしていたことを知らない。
レイのことは碇指令を抜けば私が一番わかっているつもりだわ。あの子は私の言うことを何でも聞く。駄々をこねない分、子守よりも簡単かもしれない。
表情も変わらない。ただ、あの赤い瞳の奥に…時折何かが浮かぶ時がある。
324 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:05:18 ID:???
「…そうね。レイも学校では問題なく過ごしているようだし、年齢的にも子供とは言えないかもね」
「そうですよ!レイちゃんくらいの年頃の女の子は難しいと思いますけど、先輩なら大丈夫ですよね」
「ふふ、どうしたのマヤ…心配してくれてるの?」
「いえそんな、私は…失礼します!」
慌てて研究室を出て行く。きっと心配をしていたのだろう。
でも私に憧れを抱いてるあの子のことだから、あんな言い方しか出来なかったのね。
渚カヲルにも気をつけなければならないけど…レイにも気を配る必要があるのかもしれない。代りがいるとはいえ、チルドレンの一人なのだから。
…今思えば、どうしてレイは私と住みたがったのだろう?
渚カヲルに対して好意を抱いているとは思えない。だったら私に好意を抱いていた?…ありえない。
レイが見ているのは碇指令だけよ。それ以外のものは私も含めて、ただの障害物くらいにしか思っていないはず。
でもどうだろう。前回のシンクロテストで、レイの成績はいつもに比べて落ち込んでいた。
表情からはまるで感情の読み取れないレイ。その心に何か刺激があったことが推測できる。それはつまり、レイにも心が芽吹いていたということ。
レイと碇指令との接触はシンクロテスト前において、普段と変わったことはなかった。
それ以外で、何かにレイの心が揺り動かされたと見るべきだろう。
ただ無表情に、私の言うことだけを聞いていたレイ。あれから何年たったかしら…今のレイは、あの時のレイとは違うかもしれない。
まして使徒が再び現れた今。レイの心理面に対するケアには十分に配慮しなければならない。
325 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:07:15 ID:???
「それじゃ入って頂戴。レイの荷物は…それだけかしら」
「はい」
二人を玄関からリビングへ通す。二人が来るということで、いつもより片付けてはいる。
そのままレイの部屋と渚カヲルの部屋を案内。元々私にとっては少し広めのマンション、二つ空き部屋を作ることはそう難しくなかった。
そして二人を再びリビングに集める。
「これで一応、引越しは終わりね…ところで渚君、あなた寝巻きはどうしていたの?」
「寝るときは学生服を脱いで、そのまま寝ていました」
「…下着の換えは見当たらなかったけどもしかして…」
「学生服はハンガーに吊るして、下着は一応洗っていたんですけど…今着ているものしかないですよ」
ゼーレ…どうしてそれくらい彼に与えてやらなかったのよ…もしかしたらと思ったが、レイはちゃんと下着は持っていた。というか荷物の殆どは下着だった。私服は持っていないけれど。
それでも下着姿でうろうろされるのは困る。私たちはまず、近くのデパートへ向かった。
「なんだか色々とありますね…どれがいいんですか博士」
「私に聞かないで頂戴。自分で気に入ったものをいくつか選んで持ってきて」
「…私は…」
「そうね…私とレイは二人で買うものがあるから、ちゃんと選んでおくのよ」
「わかりましたよ。どうぞごゆっくり」
男性下着コーナーまで渚カヲルを連れてきた後、私はその場を後にした。
彼と同居することにならなかったら、こんな所に来ることなんて無かったでしょうね。それから…
「赤木博士…これは」
「寝巻きよ。気に入ったものを選んで」
「…わかりました」
レイとこんな所に来ることも無かった。レイの世話をしていたときにもこうやって二人で買い物、なんてことは無かったわね。
326 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:09:14 ID:???
デパートの一角にある婦人服売り場。さらにその一角のパジャマが並ぶコーナーに立つレイの姿に少し違和感を感じた。
これくらいの年の女の子ならデパートで洋服を買うくらい当たり前の事なんでしょうけど…たとえばアスカみたいに…
「あれ?ファースト、アンタこんなとこで何してんの?」
思った矢先、その声の主が奥から現れた。レイと同じ制服姿という所から推測するに、訓練後まっさきにこちらに来たようね。
アスカはまだこちらに気づいていない。
「服を選んでるの」
「へぇ〜…なんか意外ね。パジャマ?」
「そういえば綾波、制服と下着しかないみたいだったし…」
アスカに続いて、シンジ君も出てきた。アスカに制服の袖を引っ張られている所から推測するに、無理やり連れてこられたようね。
立ち並ぶ洋服の影に隠れて様子を伺う。レイは白地のパジャマを両手に持ったまま…それが気に入ったのかしら?
「ってなんでアンタがそんなこと知ってんの?」
「そっそれは…」
「碇君、私の家に来たことあるもの」
「あっそう。それは仲がよろしいことねぇ〜…でも下着のことまで知ってるなんてやっぱり…」
「違うよ!あれはリツコさんに頼まれて家にいったんだよ。それで…その時…」
「…あの時は少し驚いたわ」
レイがぽつりと言葉を放った後、見る見るうちに赤くなっていくシンジ君。一方アスカの顔はだんだんと歪んでいく。
「…フケツ」
「アスカ違うよッ!!僕はそんなつもりじゃなくて、イ、インターホンが壊れてて、それで仕方ないから…!!」
シンジ君がそんな大胆なことが出来るわけないわ。でも相手がレイだったらとも思う。
いやまさか…でも…
327 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:11:27 ID:???
「赤木博士」
「ッッ!!…カ、カヲル…びっくりさせないで…」
「いつまでたっても来ないんで…下着ってこんなのでいいんですか?」
袋詰めされた男性下着の束を、顔の高さまで持ち上げる渚カヲル。
見たところ変わったものは含まれていない。あとは彼の寝巻きも選ばないと…
いつのまにか疑いと軽蔑の目を向けるアスカと、それを誤解だと説得するシンジ君の二人で議論が交わされ、レイは置いていかれていた。
そして先ほどのパジャマを一枚持って、私のところまで歩いてきた。
「それにするのね」
「…はい」
「ファースト、これって?」
「パジャマよ。あなたもこの後寝巻きを選んで」
続いて男性物のパジャマを選ばせる。男性の服装はあまりよくわからないわ…シンジ君に聞けばよかったかしら。部屋着くらいならTシャツにパンツでいいでしょうけど。
渚カヲルは興味深そうにさっと見回してから、あっさりとパジャマの一着を選び出す。続けて同様に部屋着も一着づつ。悩まない分時間が省けてよかったわ。
まだ足りないものがあるような気がするけどそれは今の段階じゃわからない。また時間が出来たら買いに行けばいいでしょう。
紙袋を抱えた私たちは、帰路を辿った。
そして帰った直後に気づく。
「そういえば…夕食がまだだったわ」
「どうするんです?その冷蔵庫の中に何か入ってないんですか」
「だめ。お水しかないわ」
冷蔵庫を開けたレイが答える。渚カヲルは言葉とは裏腹に買ってきた下着とパジャマに興味津々で、袋から取り出している最中だった。
もともと料理なんてそんなにしない私にとって、今レイが開けた…ちょうど肩より下くらいの冷蔵庫は十分な大きさだった。でもこれからは大きめの冷蔵庫が必要かもしれないわ。
…と、それより今は夕食ね。お腹が空くのは困るし何より私にはまだ仕事が少し残っている。買いに行く時間は惜しい。
328 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:14:17 ID:???
腕を組んだまま視線を上げると、渚カヲルの隣に移動してレイもパジャマの袋を開けている。二人ともそれはいいのだけれども…袋を散らかさないでくれるかしら。
床に落ちた袋を拾いながら、私は提案を持ちかけた。
「それじゃ出前でも取りましょう。せっかくですからお寿司でも…」
「オスシ?なんですそれ?」
「日本の料理ね。渚君は生魚は平気かしら」
「リツコさんがそれでいいなら何でも構いませんよ」
パンツを見ながら答える。レイもパジャマを見たままだわ。本当にいいのかしら…
まあ、ここでの決定権は私にあるわけだし、しばらくお寿司なんて食べてなかったからちょうどいいわ。部屋の隅にある固定電話に手をかけたとき、渚カヲルが私に向かって口を開いた。
「リツコさん」
「何?もうお寿司にするわよ」
「そうじゃなくてですね」
振り返る。渚カヲルは相変わらずの微笑を浮かべたまま、私をじっとみていた
329 :
リツコ:2008/03/07(金) 00:15:04 ID:???
一度あげた受話器を下ろして、彼の目を見据える。レイと同じ、赤い瞳が動く。
「これからよろしくお願いします、リツコさん」
「え、ええ…そうね」
「僕のことはカヲルと呼び捨てにしてくださって構いませんから。ファーストもちゃんと挨拶をしたほうがいいと思うよ」
「…よろしくお願いします」
ぺこり、と二人並んで頭を下げる。なんだか二人とも似ているわね…仲良くやってくれるのといいのだけれど。
「ええ、よろしく…」
私は仲良くやれるかしら。出来ることならこの同居は一時的なものにしたい…というのが、私の本心。
得体の知れない少年、渚カヲル。彼と衣食住を共にすることは居心地の良いものではない。
そして…綾波レイ。彼女もまた、私にとって心地よい存在ではなかった。
「今回の同居は、二人の意見を尊重した結果実現したものだけど、何かあったらすぐに解消を申請するわ。そのつもりでいて頂戴」
「…はい」
「わかりました」
再び受話器を取る。
発信音を聞きながら…この二人にお寿司をご馳走するなんて、ちょっと私らしくないわね…一人、そんな事を思った。
330 :
カヲル:2008/03/07(金) 00:17:18 ID:???
これが…オスシ…
「これがお醤油ね。これにちょっとだけ浸けてから食べるのよ」
割り箸を渡される。そして、お醤油が入った小皿と、大きな器に敷き詰められたオスシが食卓を飾っていた。
見た目は綺麗かもしれない。いろんな色があるし。
「それじゃ…いただきます」
「いただきます」
少し遅れて、僕もいただきます、と手を合わせて言った。
リツコさんはすぐに、赤いつぶつぶしたやつをさらっていった。おいしいのかな?僕もそれを取ってみた。
隣に座るファーストはそれとはまた別の、銀色の…魚かな、それを取って口に運んだ。
「口に合うかしら」
「う〜ん…変わった食感ですね。でもおいしいですよ」
「他にも色々あるわ。一人一カン…一個づつね」
じゃあこんどはこの黄色いのにしてみよう。卵焼きみたいだけど焼き色はついてないな。
「どうしたのレイ!?」
「なんだか…鼻が…」
ファーストが俯いたままリツコさんに答えていた。
331 :
カレー:2008/03/07(金) 00:30:27 ID:???
久しぶりの駄文投下です。が!
アク禁くらって今携帯から書いてます…
あとちょっとある続きの投下は明日やります。
すいませんでした。
サビに悶えるレイかわいいw
乙です
買い物いいな…続き楽しみにしてるよ
335 :
カヲル:2008/03/07(金) 18:11:54 ID:???
どうしたんだろう。…横から顔を覗きこむと、目に涙を浮かべていた。
「ファースト…具合でも悪いのかい」
「…わからない」
「ああ…ひょっとしてワサビのせいかしら。レイ、お寿司を食べるのは初めて?」
「はい」
「すぐに慣れるわ。今度頼むときはサビ抜きにしたほうがいいかもしれないわね…」
ティッシュをファーストに渡しながら答えた。
リツコさんはファーストにはレイって呼んでるのに、僕のことをカヲルと呼んでくれない。
やっぱり、いきなり迷惑をかけたし、僕のことを警戒してるからだろうな。
でも約束の時までまだまだ時間はある。焦ることなんて無いさ。
「食べたことが無いのならそう言えばよかったのに」
「あなたも無いんでしょう?」
「そりゃあね。でもおいしいじゃないか、ファーストみたいにはなら…」
赤くてつやつやしたやつを口に放り入れたとたん、鼻の奥に何かが突き刺さった。
なんだ。これは…くしゃみが出そうで出ない。…目頭がそっと熱くなり、視界がぼやける。
「…リツコさんティッシュください…」
「…ブザマね」
ささっとティッシュを渡してくれたリツコさん。でも食卓にはそれ以上、会話らしい会話はなかった。
僕とファーストはその後もワサビとの戦いに少々苦戦をして、ティッシュを少々過剰に消費してしまった。
どうしてリツコさんは平気なんだろうか。慣れだろうか。でもお寿司はおいしかった。
336 :
カヲル:2008/03/07(金) 18:13:28 ID:???
三人そろってごちそうさま、と再び手を合わせた後、リツコさんが小皿をキッチンへ運びながら話を切り出す。
「私はこれから仕事があるから部屋に少し篭るわ。二人ともどうするの?」
「どうする?ファースト」
「決めていないわ」
「…何をしていても良いけど、あまり変なことはしないで頂戴。それから、私に用があるときはノックを忘れずにね」
「困ったな…どうしよう。って、どこに行くんだよ」
「部屋…読みたい本があるから」
「本か。僕にも読ませてくれないかな」
リツコさんの視線を背中に感じながら、僕らはファーストの部屋に入った。
部屋にあるのは、ここに来たときファーストが抱えていたダンボールとさっき買ってきた服。
それにリツコさんが用意したであろう布団が隅に畳まれていた。床はタタミじゃなくてフローリングだけど…そのうちベッドを用意するのかな。
ファーストはつかつかとダンボールのそばまで歩き、その中から一冊の文庫本を取り出した。
「僕の分は?」
「…はい」
よく確かめもせず、また一冊の文庫本を僕に差し出した。
それを受け取ると、一人で部屋に備え付けられた椅子と机に向かい、静かに本を読み出した。
…やることもないし、僕もそうしよう。渡された本の表紙を見ると、生物学の本のようだった。リリンの体と僕のからだは構造的にはほぼ同じ。
読んでおいて損はないかもしれない。静かに部屋を出て、その向かい側にある僕の部屋へ向かった。
337 :
カヲル:2008/03/07(金) 18:14:49 ID:???
この部屋は使ってなかったのかな。今気づいたけど、カーテンがない。リツコさん、あわてて掃除したんだろうな。
…ファーストの部屋とほとんど同じつくりの僕の部屋で、中央に布団を敷いてその上で寝転がっていた。
脇に転がっているのは、ファーストからさっき受け取った本だ。
日本語の訓練は受けたけど、完璧じゃない。学術書の類は僕にとっては少し荷が重かった。よって、すぐに読むのをやめて放り投げてしまった。
ファーストの部屋からは物音一つしない。リツコさんも部屋に篭ったきり出てこないし、特に用事もないのにノックをするのは気が引けた。
リビングにあるものを勝手にいじるのもなんだかよくない気がして、結局部屋に戻ってきた。
そのまま何をするわけでもなく…今に至る。
「…結局これじゃネルフと変わらないじゃないか…」
部屋はもちろん、がらんとしている。
聞こえてくるのは蝉の声と、衣擦れの音だけ。扉の向こうから足音がすることも無い。
ファーストもリツコさんも外交的ではないから、最初のうちはこんな感じなのも仕方ないかもしれない。
ゼーレは僕がここに移ったことを知っているのだろうか。ネルフの主要人物との接触はもう終えた。次の指令はまだ何も貰っていない。
…もうしばらくすれば、次の使徒が出現するはずだ。エヴァに接触できない以上僕が出来ることはあまり無いかもしれないけど、何か通達があるだろう。
338 :
カヲル:2008/03/07(金) 18:16:42 ID:???
…眩しい。
瞳を閉じているはずなのに光を感じる。この感覚は…
「いい加減起きなさい。目覚まし時計も必要みたいね」
「あ…リツコさん」
上半身を起こして、腕を組んでいるリツコさんを見上げた。
もう朝ってことは、あのまま寝ちゃったんだな。何時だろう?この部屋には時計もかかってない。
「とりあえず顔を洗ってきなさい。場所はわかるわよね」
そう言って扉を開けたまま部屋を出て行った。僕は目をこすって…そういえばシャワーを浴びてなかったことに気づく。
顔を洗う前にシャワーだな。立ち上がった時、半身に掛けられていたタオルケットが布団の上に滑り落ちた。
部屋を出て、朝日に包まれたリビングに足を踏み入れる。相変わらずいい天気だね、ここは。
窓に向けた視線を戻したところで、制服姿のファーストと鉢合わせる。
おはよう、と声を掛けると小さく返事をしてくれた。でもそのまま僕を通り過ぎて自室へ…そういえば、ファーストに本を返してないな。
でもその前にリツコさんにシャワーを使っていいか聞いておかなくちゃならない。
キッチンの奥に見えた、コーヒーを淹れている後姿に話しかける。
「リツコさん、シャワーを使いたいんですが」
「シャワー?いいけどそんな時間あるのかしら。もう家を出ないと間に合わないわよ」
「エヴァの訓練は午後からでしょう?」
「レイも仕度してるじゃない、学校よ」
「学校ですか…」
ふう、と小さいため息。振り向いたリツコさんの顔に、コーヒーの湯気がゆっくりと被さる。
339 :
カヲル:2008/03/07(金) 18:17:53 ID:???
僕はまだ学校に行けないんですよ。手続きがまだですから。
「…なんですって…」
「シャワーの後は予定はないですから、僕はここで留守番でもしていましょうか?」
眉間に皺を寄せる。結構感情が表情に出ますよね、リツコさんって…とは言わないでおいた。
せっかくだから学校にも行ってみたいな。皮製の鞄を持ったファーストが通り過ぎて、コーヒーの湯気が揺れる。
さっきのは冗談として、まだこの町のことをよく知らないですから、少し散策してみます。訓練までにはネルフにいますから、と言っておいた。
「そう…私は仕事だから夜まで帰らないけど。鍵はレイに預けておくわね」
「そうですか。で、シャワーは?」
「好きに使っていいわ。あと朝食の準備が出来てないの。すまないけど、外で食べてきてくれる?」
「そうするしかないんでしょう?それじゃお借りします」
バスルームへ向かう。この家を出た後、どうしようか。
素直にあたりを散策して、それからネルフに行けばいいか。ここに来た時以来だな、一人で外を歩くのは。
340 :
リツコ:2008/03/07(金) 18:19:18 ID:???
淹れ立てのコーヒーを片手に、リビングのテーブルへ向かう。
その上には、数枚の書類の束、今日のスケジュール表が乗っている。それをもう一方の手で捲りながら、今日の予定を頭に叩き込む。
「赤木博士、そろそろ出ます」
「わかったわ。学校への道順はわかるわよね?」
「はい…いってきます」
「鍵はなくさないで頂戴」
ドアが開閉する音が聞こえる。ここはネルフまでは車で少し飛ばせば10分もすれば着く。まだ私が家を出るまで余裕があるわ。
使徒との戦いで前回のイスラフェル上陸時には使い物にならなかった迎撃設備も、今はほぼ完全に稼動できるそう。三人のうち二人のシンクロ率が下がっている今では、あのオモチャにも頼らざるをえない。
そういえば、レイのシンクロ率低下の原因は何だったのかしら…。
昨日のレイの態度を見る限り、特に変化は観察できなかった。彼女にとって一人で住むことも他人と同居することもほとんど変わらないでしょう。
ただ、碇指令だけを見ているもの、あの娘は。…それは私も同じかもしれないけどね…。
「リツコさん、どうしたんですか、ぼーっとして」
「何でもないわ。もう準備は出来たようね」
制服姿の渚カヲルが、ポケットに手を突っ込んだまま隣に立っていた。
荷物は無い。また前回のように警察の世話になるような真似は避けたいので、少し多めにお金を渡した。
「これで食事を済ませて頂戴」
「ありがとうございます…もう出発ですか?」
「そうね、そろそろ出なきゃならないわ」
二人で玄関までの短い距離を歩く。彼との生活はいつまで続くのだろうか。
鉄の扉を開けて、先に渚カヲルを通す。銀色の髪を無意識に目で追った。そしてしっかり鍵を掛ける。
「それじゃ、ネルフで」
そう言い残して、彼は先に進んでいった。
エレベーターから先は二人とも目的地は違う。私は車の運転席に体を滑り込ませてルームミラーに移る自分を見る。
彼らが来たところで、赤木リツコに変化は見られない。
341 :
カレー:2008/03/07(金) 18:25:08 ID:???
今回の投下はこれで一通り終わりです。まさかアク禁くらうとは…
一息に投下したかったですね、なんだか間が悪いことになってしまいました。次から気をつけます。
しばらく留守にしていた間にいろんなネタが膨らんでいてなんだか創作意欲が掻き立てられますねwww
GJ
ていうか寿司食いてえ
アク禁あるあるww
本人にはどうしようもないことだから気にすんな
GJ!
アク禁を喰らっていたんですか。
止めちゃったのかと思っていたけど、続きが読めて良かったー!
345 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/12(水) 22:58:07 ID:zyEIO2GY
上にまいりま〜す
投下系スレでは職人がアク禁食らわないように適当なところで支援レス挟むもんだろ
あるあるwじゃねーよ馬鹿女
ちゃんと協力してやれよ
遭遇してないと支援は出来ないもんだがな
自分の話だが、他スレで作品連投してもなんともなかったこともある
釣りにマジレスだったか
age厨も未だ粘着してるしな
>>347のSSはオナニー臭ぷんぷんのうんこに決まってる
読んだ人間がどういう印象持つかも想像できない、自分語り中心のオナニー文章
うプププッ
腐女子の鑑ですな
あーあ。
投下がきてた所で、記念に前スレうpするよ
前妹がパソコン使っててうp出来なかったから
352 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/14(金) 01:40:30 ID:S9yUXsSJ
>>347 すごいテンプレどおりの反応…
釣り…だよね?
特定厨消えろ
レイ「赤木博士…、あまり無理しないでください。若くないので…」
カヲル「人間は年と共に体が衰えて行くのですよ。僕らの若さに任せて休んでいてください」
リツコ「皮肉ね…砕けてきたいい証拠ね…シクシク」
そんなこと言ったら…2人共殺され…。
いや、何でもない。
シクシクが「…ククク」に見えた
最初は同じように、「…ククク」って書いてあるのかと思い
2人の身を案じていたけど、読み直したら「…シクシク」だったので、少し安心した。
リツコ「保守するわ」
カヲル「じゃあ僕も保守しようか
ホームがなくなるという事実は不幸に繋がる、良くないことだからね」
リツコ「あら、今日はレイの誕生日じゃない」
カヲル「そうなのかい?悪いねファースト、何も用意していなかったよ」
レイ「教えたことないもの…気にしなくていいわ」
カヲル「じゃあ僕がハッピーバースデーでも歌おうか」
レイ「結構よ」
リツコ(ラーメンの出前でもとろうかしら)
362 :
カレー:2008/04/01(火) 22:56:35 ID:???
時事ネタ
「…何のようだ」
司令室の住人は、珍しく碇ゲンドウ一人だった。傍らに立っているはずの冬月はいない。
そして彼の眼前には、二人のチルドレンが並んで立っていた。
「リツコさんから伝言を預かってまして」
「…それをお伝えに参りました」
「ほう」
白い手袋が、口元から下げられる。それに合わせるようにして続きを話し始めた。
「正確に言うと伝言ではないんですが…これを見渡すようにと言われました」
封筒を手渡す。封は最初からされておらず、その場で中に入っている紙を引き出す。
そして机の上に広げる。四角い紙面が、ゲンドウのサングラスに映っていた。
「確かに、お渡ししました。それでは失礼します」
「碇司令…今日の日付を見て」
完全に司令室に一人になった後、首から上だけを動かして机と一体化しているデジタル時計を見た。
時刻と同時に、日付も表示されているものだ。
April 1
「…け、結婚記念日か…」
ひとつ、掠れる声が響いた。
363 :
カレー:2008/04/01(火) 22:57:48 ID:???
所変わって、司令室を出た二人はそのまま肩を並べて食堂まで来ていた。
食堂にいるのは加持とミサト。二人の姿を発見すると、にっこりと笑って、座ったままのミサトは手を振る。
「で、どうだった?」
「何事も無く渡せたので、そのままさっさと引き払いましたよ」
「う〜ん…表情が変わったりしてなかった?」
「かわりませんでした」
「俺は最初から、こんなことが上手くいくとは思ってないがな…」
虚空に目線を向け、ぼそりと呟く加持。
その後ろから、紙コップを持った冬月が静かに口を開いた。
「碇の反応が楽しみだな」
「お言葉ですが副司令、本当に成功すると思っているんですか?こんな小細工…」
「…偽造婚姻届を渡す…」
「なぁに、心配いらんよ。事情を知らない赤木君の報復のほうが心配だ」
「いくらエイプリルフールだからってねぇ…ま、楽しそうだからいいケド」
「俺もリっちゃんの報復が怖いな…勿論、副司令が責任を取ってくれるのでしょうけど」
「もちろんだ。俺の言い出したことだからな…あいつめ、最近何かと俺に雑務を押し付ける上に将棋の邪魔までしおって…」
コーヒーをあおった後毒づく。
紙コップをテーブルに置いた直後、頭上の丸いスピーカーから館内アナウンスが流れた。
『赤木リツコ博士、赤木リツコ博士…至急、司令室まで…』
「…早かったな」
ニヤリと笑う冬月。半信半疑といった表情で加持が席を立つ。
ミサトはもう駆け出していた。
364 :
カレー:2008/04/01(火) 22:58:47 ID:???
「早く!リツコより先に司令室に行かなきゃ!」
「…やれやれ、絶対にリツコさんより早く着くのに」
「覗き見なんて趣味の悪いことはしたくないんですがね…」
「それを趣味じゃなく、仕事としている連中がネルフにいると聞いたが?」
「諜報はのぞきじゃないですよ。司令には見つからないんでしょうね?」
「当然だ。さて、急ぐか」
相変わらず司令室の机には、ゲンドウ一人がたたずんでいる。
その様子を、司令室の隣の部屋からモニターを通して観察している冬月たち。
「あんまり変わらないわねぇ…」
「机に置いてあるのは、婚姻届ですよね?最後に見たときと変わってないなぁ」
「…あ、立ったわ…」
「落ち着きがない司令…始めてかもしれないわ」
手を後ろに組んだまま、広い司令室に置かれたソファの周りをぐるぐると歩き回るゲンドウ。
どうみても落ち着きが無い。何週目かわからないがその動きを目で追っていると、ふと立ち止まり、顔を上げるゲンドウの姿に切り替わった。
「…おいでなすったわね」
その視線の先。見間違えるはずがない、金髪と白衣の姿。…赤木リツコ。ただ、いつもと違うゲンドウの出迎えに多少面食らっているようだ。
加持がボリュームのつまみを上げる。ノイズが少し目立った。
「…司令、椅子に座られたらどうです?」
「あ、ああ…」
椅子に座り、思い出したように数瞬の間を置いて両手を眼前に組んだ。
それを見納めた後、リツコは口を開く。
365 :
カレー:2008/04/01(火) 22:59:15 ID:???
「ところで…何か用件があったのではないでしょうか」
「そうだ…ご、ごほん!」
「…」
わざとらしく咳をするゲンドウ。リツコはいつもと変わらぬ表情と言えるだろう。
しかしそれをこっそりと見ている者たちはそれぞれに楽しんでいた。
「え??ウソ…司令本気にしちゃってるんじゃない?」
「碇司令…単純…」
「リッちゃんはまだ気づいていないみたいだな。しかしこれはまずいことになりかねないぞ…」
「クク…グフ…ッ…アフッ!…グッ!!…プククク…
「副司令…大丈夫ですか?司令がそろそろ動きますよ」
笑いを必死でこらえる冬月をたしなめつつ、モニターにカヲルは指を向けた。
ゲンドウが、何かを言っている。
「赤木…いや、リツコ」
「…リリツコ?」
「…正直に言おう。私は君の気持ちに気づいていなかった…」
「え…司令…」
口に手を当て、目線を落とすリツコがそこには映っていた。
ゲンドウは組んでいた手を再び下ろし、微動だにせず。しかし、発せられる言葉の余韻からは緊張が見える。
「副司令、そろそろ潮時では…」
「ええ、もうチョッチ見たいんだけど…」
「僕もリツコさんをこれ以上騙すような真似はしたくないですし…」
「私も…そうです…」
「仕方あるまい…これは録画されている、今後いくらでも楽しめるしな」
制服のポケットから携帯電話を取り出し、通話ボタンを押す。その操作を確認した後、再び食い入るように画面を見つめた。
366 :
カレー:2008/04/01(火) 23:00:46 ID:???
さて、似つかわしくない甘ったるい空気のながれる司令室では…。
「司令…何を」
「…聞いてくれ」
ゲンドウはゆっくりと立ち上がった。手は後ろに組まず、流れるようにリツコの肩に置かれた。
口元に当てていたリツコの手は、今は胸に当てられている。そして、目線は上に…ゲンドウをとらえている。
画面に食い入る。そしてゲンドウが何かを口にしようとした時…
「ジョークでしたーーー!!!」
司令室に、シンジとアスカの二人が飛び込んできた。
そして両手には、”エイプリルフール”と書かれた長い帯の両端をお互い持っている形で。
それを見て、固まるゲンドウとリツコ。威勢よく入ってきたはいいものの、司令室の空気にも呑まれ、立ち尽くすシンジとアスカ。
367 :
カレー:2008/04/01(火) 23:01:43 ID:???
…沈黙を破ったのは、リツコだった。
「…エイプリルフール?」
「そ、そうですッ!!」
「…そう…そういうことだったの…」
司令室の空気が、変わった。
「…ま、マズイわ…シンジ、ひとまず退散よ!」
「え、でもちゃんとネタばらしをしないと…」
「んなもんエイプリルフールの意味でわかるでしょ!ほら急ぐわよ!!」
再び、司令室には二人だけの空間となる。だが、そこには甘ったるい空気など存在しない。
むしろいつもの司令室よりも陰鬱な…いや、殺気を孕んだ濃い空気が充満していた。
上げられていた目線は下げられ、リツコの表情は見えない。ただ、不気味に口元だけは見えた。赤いルージュ。
「離して」
「…え」
ゲンドウの返事も待たず、肩に置かれたては音を立てて払いのけられた。
そのままの勢いで司令室を後にするリツコ。
「リツコさん怒ってますよ…どうするんですか」
「ってかシンちゃん!!何アスカと逃げちゃってんのよ〜…」
「副司令…」
「大丈夫だ…彼女は碇が仕組んだと思っているだろう…MAGIに見つかる前に撤収するぞ」
「…赤木博士…ごめんなさい…」
モニターには、地面に手を着いて動かないゲンドウの姿が流れていた。
その後、シンジとアスカは、リツコの特別訓練(外部非公開)を数時間受けさせられることとなった。ミサト、加持、冬月の三人は何事も無く職務を遂行している。
彼らが存命できているのも、怒っているであろうリツコに対して、同居人の二人が最高グレードのサービスをその晩に提供したところによるものが大きい。
368 :
カレー:2008/04/01(火) 23:05:48 ID:???
以上、「電車で揺られてたら思いついたんで帰ってから書いたネタ」でした。
他スレタイの「ゲンドウとリツコが結婚したら…」と、妄想氏のリツコに逃げられたゲンドウが寂しさのあまり冬月に構うというお話からインスパイアされたかと。
ざーっと書いたので色々説明不足かと思いますが、主犯は冬月です。その他シンジとアスカも含めて冬月の命令に従っただけです。
まあ最近過疎気味だったのでこれくらいの駄文には目をつぶっていただきたいと思います。
ゲンドウ…不憫すぐる………w
GJ!
リツコさんには幸せになって貰いたいもんだ
このスレは癒される
名前だけ見ると癒されそうもないメンバーだがww
保守
リッちゃんはゲンドウの汚まんage
リツコ最高
リッちゃんかわいいよりっちゅあああああん
保守
エヴァで一番好きな
のがこの三人。
同じ感じがする
三人共どこか薬品の匂いがしそうなんだよな
レイ 「キノコは食べないわ…。ばい菌だもの」
リツコ「そんなわけ無いでしょう!
…ってカヲル、あなた何を食べてるの?それは生肉よ!」
カヲル「え…いけませんか?」
この子達には、まず食育が必要だと感じるリツコだった。
>>378GJ
レイは何が食えるんだw
カヲルの天然ぷりにワラタ
リツコさんがんばれー
ホシュ
シンジアスカミサト=太陽
レイカヲルリツコ=月
リツコとカヲルって
話合いそう。
シンジアスカミサト=陸上の動物
レイカヲルリツコ=水の中の魚
身に纏う空気の温度が違う感じがする
あ、あと並べて初めて気付いたんだがレイとカヲルは同じ位なのに対し、
リツコだけ二人よりちゃんと背が高くて良かった
割と食玩系は身長関係なく作られてしまうものなので大人と子供の差があるだけで嬉しい
おお!良いね!!
家族写真、レイとカヲルがカメラ目線なのに、
リッちゃんだけ視線逸らしてる。照れてるんだなww
>>383 GJ!!!
この三人を並べて手元に置いておけるとは
うらやましいな…
やっぱり、三人の纏ってる雰囲気が似てると思う
ええ話や・・・
やべー…和んだ。
余談のカヲルボケまでGJ!
最初のカヲレイと余談に噴いたw
和むわw
394 :
リツコ:2008/05/19(月) 22:59:25 ID:???
白衣に袖を通し、予定をこなしていく。研究者としての仕事をこなす合間を縫って、一つ、頭に残っていた懸念材料を片付けにかかる。
必要な書類など、簡単に手に入る。窓口まで持っていくのは少々面倒だけど、それは仕方が無いこと。
作業の完了まで時間は殆どかからないだけよかったと言える。
「…正体不明であっても、学校に転入させることは可能…前は疑問に思ったけど、今は感謝するべきね」
帰り際、喫煙室に立ち寄った。安物のベンチに腰を掛け、タバコに火をつける。
渚カヲルの学校転入はレイと同じケース。
ネルフという組織は政府からの干渉をある程度跳ね除けることが出来る。
理由により、渚カヲルの素性は公表できないこととした上で転入届を出せばよいのだ。
ネルフという盾に守られている限り、それでその程度の手続きは済んでしまう。
不満な点も多いけれど、この組織の利点はそこ。法を犯す…とまでは言わないが、法を出し抜くことが出来る。
煙を吐きながら思う。この組織のトップ、碇ゲンドウ。
そういえば最近は事務的な言葉しか交わしていない。
渚カヲルが学校へ通うようになれば、何れ言葉を交わす機会もあるだろう。
最近接触がなかったのは、彼のせいなのだから。
灰皿にタバコを押し付け、廊下へ。この後にもまだ予定はある。今日の実験が終われば、すこしは今後にゆとりが持てそう。
395 :
リツコ:2008/05/19(月) 23:06:26 ID:???
午後、シンクロテストへ。
今回は前回のシンクロ率低下を踏まえ、訓練というより多少実験的な意味合いを含む。
目をつぶった三人のチルドレンの顔が、モニターに映されている。
「…二番、限界です」
「ありゃ、アスカも調子悪いみたいね…どうしたのかしら」
「前回の実験から調整を加えたのに…今使徒が攻めてきたら…」
三人とも同時にシンクロ率を平均時よりも大きく割る結果だった。
重苦しい空気が流れる。
何が問題なんだろうか。今も、こうして取られているデータを参考に明日も技術的な調整を施す必要があるだろう。
だが、おそらく主要な原因はチルドレンの精神状態に起因するものでしょうね。
「ミサト」
「わかってるわよ。何かあったのかしら…」
低い声でミサトは呼びかけに答えた。
危機感を含んだ声。
「なんや、センセら調子わるいみたいやなぁ…」
「エヴァに僕らには乗ったことが無いからね。的確なアドバイスは難しいと思うよ」
「余計なこと、言ってしもうたんかな…」
「ん?心当たりがあるのかい?」
「いや、そんなんやない。…疲れとるん違うか?」
背中で補欠チルドレンの会話を聞く。
保護者のミサトよりも、友人関係である彼ら…鈴原君の方が問題解決には適任かもしれない。
いや、それは早計か。
396 :
リツコ:2008/05/19(月) 23:29:06 ID:???
どちらにせよ、これ以上実験を続けてもチルドレンの負担が大きくなるだけでしょうね。
「マヤ、データの集積状況は?」
「計器に問題はありません。順調ですが…」
「今日の実験は予定より10分早く切り上げます。わかったわね」
私の声が部屋に響いた後、ミサトがマイクの方へ体を倒す。
「聞こえた?今日はいつもより早く帰れるわよん」
いつもの調子で語りかけた。
傍らのチルドレン二人に目をやる。ただ、モニターを見ているばかりだった。
見学の二人に釘を刺す必要はなさそう。二人ともみんなのケアをしてくれると結構だけれども。
あの二人は少し頼りない、むしろあまり関わらせないほうがいいという答えが私の頭の中に浮かんでいた。
397 :
リツコ:2008/05/19(月) 23:44:46 ID:???
いつもより10分早く終わったため、空いた時間をミサトと二人で過ごすことに。
場所は私の研究室で、書類の束に頭を乗せたミサトがぼやいている。
「んもぉ〜どうしたのかしらね〜…二人ともいつもとそんなに変わってないわよ」
「表面上は、でしょう?あの子たちの心の中では、見えない葛藤が渦巻いているかもしれないわ。あの不安定な年齢だったらそれも当然ね」
「当然ねって、そうも言ってられないのよ。人類の未来がかかってるんだから」
「人類よりも全生命の未来と言い換えたほうがいいんじゃなくて?」
「…そうね。サードインパクトで滅亡するのはあたしたちだけじゃないもの」
そこから、二人とも何も言わなかった。
私もレイのことを考えていた。彼女はアスカやシンジ君よりもわかりにくい。
おそらくもう家に帰っているだろう。そして渚カヲルも。
彼が彼女に何か影響を与える可能性は無いとは言い切れない。
いや、これから何か影響を与える可能性のほうが高いだろう。
「ミサト、そろそろ時間じゃなくて?」
「え、もう?それじゃ退散しようかしら」
「ここは休憩所じゃないんだから、そんなに頻繁に来ないで頂戴」
「わーったわよ」
ミサトが去るのと同時に仕事に打ち込む私がいた。
あの二人は一緒にさせておいても害はなさそうだが、私の目の届かない範囲だとどうにも不安が募る。
レイの不安定さも気にかかるところだった。
398 :
カヲル:2008/05/19(月) 23:52:48 ID:???
シンジ君とファーストは、無口だった。セカンドは、不機嫌だった。
エヴァにウソはつけない。シンクロ率の低さは彼らの精神状態をよく表している。
テスト後の反省会でリツコさんは「それぞれ自己管理を徹底して頂戴」とだけ言っていたけど、それは彼らの精神状態を良好に保つようにってことだったんだろう。
三人とも…ファーストはいつものことだけどその言葉に何も返さなかった。自覚しているんだろう。
「ほな、帰ろや。ここにいてもしゃあないやろ?」
「わかってるわよ。シンジ、今日の夕飯何?」
「ええっと…麻婆豆腐にしようかななんて」
「麻婆豆腐?今日はもっとゴージャスなのにしなさいよ。ステーキとか」
「買ってこなきゃ作れないよ。それに今日って何かの記念日だった?」
「単純なアンタならそういうの食べたらちょっとは元気出るんじゃない?シンクロ率下がってたじゃない」
「それはアスカも…」
「アタシはたまたまよ。足引っ張られちゃたまんないからね」
食事によって精神状態も変化することがあるんだろうか。
あまり僕は食事に対して無頓着な方だったけど、昨夜のオスシみたいにこっちでは色々と口にする機会が増えそうだ。
「そういえばファースト。君もシンクロ率が落ち込んでいるみたいだね」
「…そうよ」
「じゃあ僕らもステーキにしてみないかい?」
「イヤ」
鋭い視線と同時に、いつもと違ってなんだか湿り気の帯びた声が突き刺さった。
399 :
カヲル:2008/05/20(火) 00:02:30 ID:???
ここまで強い拒絶をされるとは思わなかった。シンクロ率の低下は精神状態の不安定が原因なら、彼女もまた不安定なのか?
それで感情を僕にぶつけてきたのだろうか。
そうだとしたら驚きだ。綾波レイは事前の報告だと、感情を表に出すことは殆ど無い様だと聞いていた。
こんなに早く感情らしきものを表現する彼女を見ることができるなんて。
「それじゃ仕方ないね。なら君の食べたいものにしようか」
「赤木博士に任せるわ」
「…そうだったね…所詮僕らはリツコさんの管轄下にあるのだから、彼女の意向に従うしかないんだったよ」
リツコさんに何か要望を言えば、それを叶えてくれるのだろうか。
僕の場合は無理だろうけどファーストなら少しは希望があるかもしれない。
ここに来てからは新しいものに出会うことが多くて、夕食もまたその一つだ。
朝食、昼食はどこで購入すればよいのかわからないから食べなかった。S2機関があるから平気だし、町をふらついていた。
思ったよりリリンの姿は多くなかった。ここは使途迎撃のための都市だからそれも仕方が無いのかもしれない。
僕からしてみれば17の使途と会合できるこの地から離れるのは残念なことだと思うけれど。
「…あの二人にはいいの?」
「シンジ君とセカンドのことかい?今は僕の出番じゃないみたいだから後で声くらいかけてみるさ。君は?」
「私はいい」
相変わらずだった。また睨まれるのも嫌だし、シンジ君に声をかけようか。
死海文書の予定ではまだ次の使途が現れるのに時間があるし、シナリオでは人類が勝利する。
400 :
カヲル:2008/05/20(火) 00:08:34 ID:???
でも予定の変更はつきものだ。彼のシンクロ率が上がれば、シナリオにより近づくだろう。
「どうだいシンジ君。調子は悪いみたいだけど」
「そんなこと、ないと思うんだけどな」
「エヴァに嘘は付けないよ。何か心当たりはないのかい?」
シンジ君の目線は下を向いていて、僕の方を向いていない。言葉も途絶えてしまった。
隣でセカンドとフォースがなにやら言い合っている声が聞こえた。
「悩んでいるみたいだね。生きていく上で、葛藤を避けることは出来ない。そしてそれが克服されることで人は進むことが出来る」
シンジ君は、視線を下げたままだった。
「でも、必ずしも上手く克服できるとは限らない。…シンジ君、僕は君にそうなってほしいとは思わないんだよ」
視線を感じた。でも、僕は前を向いたまま歩いていった。
白くい外壁に囲まれたネルフを抜けて、夕暮れの少し冷え込んだ中をバス停まで歩く。
ファーストのように、誰も口を開かない。セミの鳴き声だけが耳に届いた。
GJ!
今日はもう無理だから明日の昼辺りゆっくり読む
402 :
シンジ:2008/05/20(火) 00:11:03 ID:???
カヲル君の言葉が、頭の中で繰り返し流れていた。
いつの間にかバスから降りて、アスカと二人きりになっていた。
「シンジ、帰るわよ」
肘で僕を軽く突き飛ばして、先に歩いていった。
さっきまではあまり変わったように見えなかったけれど、なんだかアスカの様子も変な気がする。
不機嫌みたいだ。アスカの後ろに付いていって、考えを巡らした。
葛藤、なんだろうか。
僕はただ、エヴァに乗っている理由が欲しいだけなんだと思っていた。
僕が乗ることが出来るから、という理由とは別に、なんの理由があるのだろう。
初めてエヴァを見たとき、その存在に圧倒された。そして、父さんが僕に言った。
『必要だから呼んだまでだ』『お前が思っている通りだ』『乗るなら早くしろ。でなければ帰れ!!』
結局、僕は父さんに言われたまま、エヴァに乗って今もここにいる。
僕は嫌だった。エヴァに乗るのはもちろん、父さんに会う事だって…。
あの手紙を受け取って、僕は何を期待して父さんのいるここに来たんだったっけ。
いらない子だと思われていた、そのことを否定してくれる事実が欲しかったんだ。
何もない先生との生活に、不満はなかったと言えば嘘だ。色々と、足りなかった。
でも一番足りていなかったのは、僕を必要としてくれる人がいない事だったんだと思う。
ここには、ミサトさんも、アスカも、綾波もトウジもケンスケもカヲル君もいる。
エヴァとのつながりから生まれた、新しいつながり。
居心地がいいかはまだよくわからない。ミサトさんはぐうたらだし、アスカはすぐ怒るし。
403 :
シンジ:2008/05/20(火) 00:13:04 ID:???
でも、そこに僕がいなかったら?
もし僕がいなくても、ミサトさんは生活していただろうし、アスカも変わらなかったに違いないんだ。
トウジもケンスケも、僕と出会う前の生活…。そうだ、トウジの妹さんを傷つけることもなかった。
たまたま僕が乗った、僕しか乗れなかったから、あんな結果になってしまったんだ。
それでも僕は乗り続けた。
完全に逃げ出すことが出来ないのは、わかっていたはずなのに。
一度引き戻されて、そしてまたネルフを離れることが決まったとき、トウジたちの言葉があったから、結局また僕はここに戻った。
二人は僕のことを理解してくれていた。
ミサトさんも、そうだったと気が付いて、僕はそれを求めた。
そのつながりを保ちたくて、ぼくはエヴァに乗っているんだろうか…
「シンジ、ご飯どうするのよ」
「え?」
「夕飯よ!ミサトは今日帰ってくるみたいだし、はやく仕度しなさいよね」
アスカに思考は遮られた。もうマンションに足を踏み入れている僕。
夕飯か…確か、ハンバーグをリクエストされていたっけ。
冷蔵庫を開けると挽肉があったけど、3人分は厳しい。豆腐を使えばできるかもしれない。
アスカにとやかく言われそうだから、しっかりこねて豆腐ってわからないようにしておいたほうがいい。
綾波は、エヴァに乗るのは絆だから、と言った。
それに似たものが、僕にもあるのかもしれない。
…あのとき、僕は駅から動けなかった。その絆が、ここから離れたら無くなってしまうことを知っていたからなんだろう。
ああ、でも本当にそれだけなんだろうか。
それ以外にも理由がある気がした。でも、一応、一つだけ理由は見つかったんだと思った。
404 :
アスカ:2008/05/20(火) 00:19:33 ID:???
シンクロ率が下がってしまった原因はわかってる。私の中に迷いが、生まれたから。
エヴァに乗ることを通して、私は世の中に才能を示す。示して…
んもう!ダメだわ。そこからは、どうにも答えが出てこない。周りからちやほやされることを求めているのかしら。
大学を卒業したとき、周りの人は喜んでくれたわ。それに褒めてもくれた。
でも何か埋まらないものがあったことを強く覚えている。
その空白は、何なのかしら。それは今になってもわからない。
結局私がやったことはエヴァに乗って使途を倒すのも、大学を卒業するのも、結局同じ目的なの。
人から認められたいの。でも、それだけ?
誰に認められたいのか考えたとき、誰の顔も浮かばなかった。
やっぱり私はちやほやされたいだけなのかしら。
加持さんはあんまり私を見てくれていないから、そのため?でもそれじゃ加持さんと出会う前の行動が説明できない。
昔から、わたしはなんでも頑張ってきた。
フィフスの言葉が浮かぶ。
『生きていく上で、葛藤を避けることは出来ない。そしてそれが克服されることで人は進むことが出来る』
じゃあ、このままだと私は前へ進めないって言うの?冗談じゃない。アンタの言葉なんて信じない。
私が向かう先はよく見えなくなってしまった。
今までは目の前の課題を、最高の成績でクリアすることに集中していた。
そして、チルドレンとしてサードインパクトを防ぐことを目的としていた。
405 :
アスカ:2008/05/20(火) 00:21:01 ID:???
…また詰まってしまった。
使途が現れた今、私はシンクロ率トップのエースパイロットとして活躍してるはず。
今までの努力は無駄じゃなかった。
これ以上考えても仕方が無いのなら、考えることをひとまず置いておくわ。
今までにも何度か、こんなことはあった。
でも立ち止まってなんかいられない。使途がいつくるかもわからないし、やらなくちゃいけないことがある。
何かきっかけがないと解決できない問題なのかもしれない。
それなら尚更考えることにエネルギーを使うのは損だわ。アタシは止まるわけにはいかないのよ。
進まなきゃ、見えてこないものもあるはず。
アスカじゃなくて、セカンドチルドレンとしての思考に切り替える。
今度のシンクロテストではいい数字を出す。それがアタシだったんだから、エースパイロットのアタシなんだから。
それに…それを続けていたら、何か見えるかもしれないから。だから、進むことにするわ。
406 :
リツコ:2008/05/20(火) 00:25:41 ID:???
仕事が終わった。予定よりも少し、早く済んだ。
レイと渚カヲルが二人で家にいる、ということに一抹の不安を覚えた私はすぐに研究室を出た。
途中で加持君に声をかけられたけど今日は急いでいるとだけ言い残して、足早に切り抜けた。
そして今、見慣れたマンションの扉の前にいる。
「ただいま。…変わりないようね」
玄関から覗く我が家は、いつもと何の変化も無かった。
スニーカーとローファーがあるだけ。これがあるということはあの二人はどちらも家にいるに違いない。
靴を脱いで歩を進めると、なにやら騒がしかった。
「赤木博士、お帰りなさい」
コップを持ったレイが出迎えてくれた。制服姿のまま。
その後ろでは渚カヲルの胡坐を掻いて座っている後姿。こちらは私服…というか部屋着だ。
そして彼の視線の先にはテレビのバラエティー番組があるのだろう。やけに賑やかなのは、これが原因ね。
「あ、リツコさん」
「ただいま。…大人しくしていたようね」
頭だけこちらに向けて、見上げる形で挨拶をする渚カヲル。
まったくの無害さと無邪気さが見える。彼の膝の上には、私の愛猫が乗っかっていた。
緊張感が抜けてしまった私は、鞄を一旦自室に置いて、再び居間に戻った。
すると、今度は二人が私を待ち構えていた。何かしら。
「赤木博士、夕飯を…」
「ああ…そうだったわ。買出しには行っていないわよね」
ひょっとして、私の不安の種はこれだったのかしら。
407 :
リツコ:2008/05/20(火) 00:28:54 ID:???
時間は早く帰れた甲斐もあってまだスーパーは開いているはず。
また出前をと言う一人の進言は無視して、家を後にする。またいつ買い物にいけるかわからないから、多めに買っておくべきよね。
今日は荷物持ちが2人いる。その分食い扶持も増えたわけだけど…冷蔵庫の容量一杯に買っておく必要がある。
スーパーに着き、私がカートを押しつつ商品を手に取っていった。それにただ着いてくるだけの二人。
「あなたたち、少しは手伝って頂戴」
「そうは言っても…どうすればいいですかね」
「そうね…じゃあ、代わりにこれを押してもらえる?」
カートを手渡す。彼に品定めは無理だろう。
レイは?彼女に出来そうな仕事は…何かあるかしら…
「リツコさん、今日の夕食は何にするか決まったんですか?」
「残念だけど、お惣菜にするつもりよ。何か食べたいものでもあるの?」
お寿司は以外でお願いしたいところね。
「いや、ファーストのシンクロ率が下がってるみたいですし、食事によって彼女の気分を盛り上げることができませんか?」
「無理でしょうね。きっかけにはなりえるでしょうけど」
とんちんかんな事を言うものだわ。レイは基本的に食事に興味がないし、期待できそうも無い。
あきれつつ進んでいると、レイが私の袖を掴んだ。ゆっくりと前進していたカートも停止する。
「どうしたんだい?何か食べたいものでも?」
「…そっちはだめ…こっちよ」
力ずくでカートを奪うと、私を追い越して陳列棚を曲がって消えていく。それを追いかける渚カヲル。
私も突っ立って傍観しているわけにはいかない。あの二人にはトラブルがつきもの…そんな予感がするのよね…。
カートを押しながら軽やかに店内を進むレイを捕まえて、私の後に続くように強く言っておく。
短い変事。言うことをちゃんと聞いてくれるのはこの子たちのいいところね。アスカやシンジ君だったらそうはいきそうにない。
癖のつよい二人だけど、素直なのは保護者としてとても助かるわ。ミサトも苦労しているようだし。
408 :
リツコ:2008/05/20(火) 00:39:08 ID:???
その後比較的スムーズに買い物は進み、先ほどレイに飛ばされた精肉コーナーも通過。惣菜も適当に選んで、レジへ向かう。
「会計は私がするから、あなたたちは荷物を袋に詰めていって頂戴」
「…結構な量ですね」
「大丈夫よ。三人もいるもの」
大人しく、周りの買い物客の見よう見まねで食料品を袋に詰めていく。
代金を払い、レシートを受け取り袋詰めを手伝う。そして、何事もなく帰宅。惣菜を広げた夕食。
「リツコさん、シンジ君の家では彼が料理を振舞っているそうですよ」
「そうらしいわね。今日はお惣菜でごめんなさい。次からは私が作るわ」
「…赤木博士が…?」
「レイ…少なくとも、ミサトよりは」
「いえ…赤木博士は忙しいのに、そんな時間があるのでしょうか」
「それもそうね」
「それに博士の料理は…」
レイ、覚えていたのね。
料理は確かに苦手だわ…でも栄養の摂取という食事の存在意義を満たすレベルには到達しているはずよ。
この話題はもう終わり、というように、話題転換を行う。
「ああ、そういえば…渚カヲル君。明日からレイと一緒に学校へ通ってもらうわ」
「学校ですか…明日とはまた急ですね」
「このままだとあなたも退屈でしょうから。基本的に学生生活を謳歌していただくわ。でも、有事の際にはネルフにね」
「それはわかっていますよ。ファーストと扱いは同じでしょう?」
「ええ。それじゃあレイ、明日は彼の案内を任せたわよ」
レイは、横目で彼をちらりと見た後、はい、と短く返事をした。
渚カヲルは微笑みを浮かべている。この二人は仲良くやれるといいのだけれど。
409 :
リツコ:2008/05/20(火) 00:39:32 ID:???
これからは同級生という関係も付加されていくのね。クラスは他のチルドレンと同じになることはもうわかっている。
鈴原君とは比較的上手くやれているよう。アスカとは険悪になりそうね。シンジ君とはまだ何ともいえないけれど、彼にずいぶんと近づいている様子が伺える。
とりあえず監視はしっかりしていたほうがいいわね。チルドレンは補完計画の要でもある。特にレイとシンジ君は。
そういえば、惣菜で買ったはずのから揚げが見当たらないわ。冷蔵庫に食材を移すときにも、赤い色は見なかった気がする。
「そういえば変ね…お肉が見当たらないわ買ったはずなのに」
「肉なら、スーパーで袋詰めしているときにファーストが全部持って捨ててましたけど」
「…ごちそうさまでした」
「レイ!!待ちなさい。あなた何を考えているの!??」
「肉…嫌いだもの」
そういえば、そうだった…彼女の偏食に私も困らされたものだった。
蛋白源は必要不可欠な栄養素だ。大豆や卵、そして魚介類を中心に摂取するように努めていたわ。
まだ治っていなかったのね…それも致し方ないことかもしれないけど一緒に生活する上でそれは厳しいわ。
頭を抱えて食卓に肘を突いた。やっぱり…シンジ君とアスカと住んだ方がよかったかもしれないわ…
410 :
カレー:2008/05/20(火) 00:42:48 ID:???
ハイパー久々の投下です。何だかんだで五月下旬になってしまいました。
次はカヲルの登校&マグマダイバーあたりをやる予定です。
いい加減使途戦ってかシナリオ進めないといけないんでwwwww
それから上のぷちえヴぁ職人GJです。ニヤニヤしてしまいましたwwww
次回の投下はもっとペース上げたいですね。
超乙
大変だと思うけど毎回楽しみにしてます
GJ
楽しみだが無理すんなよ
413 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/23(金) 02:34:24 ID:5izy+aNP
待ってました
本当に乙です!
ごめん、アゲてしまった
保守
赤木リツコは疲れていた。
仕事に追われ、時間に追われ、気が付けば三十歳。
たまの休みにすら昼まで寝てこうしてシャワーを浴びる位だ。
レイもカヲルも学校に行っていない、部屋が妙に広く感じた。
「…………はぁ」
ため息を吐きバスルームから出る。
鏡に写るのは疲れた顔をした三十路の女がいた。いつからこうなったのだろうか、楽しかった学生時代に想いを馳せリツコは髪をバスタオルで拭く。
鎖骨に落ちる雫、妙になまめかしいと自分では思う。
バスタオルを胸に巻き鏡の前で手を頭の後ろにあてポーズをとる。
「私もまだまだいけるわね」
自分で鏡の中の自分を自賛するが込み上げたのは虚しさだった。 馬鹿馬鹿しさに頭を振った時、不意に学生時代からの友人ミサトの言葉が思い出された。
『アンタは真面目すぎんのよ』
昼まで寝たせいだろうか、それとも煙草の吸い過ぎだろうか、はたまたビールの飲み過ぎだろうか、赤木リツコは少し疲れていた。久しぶりに一人なったのもあったのだろう。
「見てなさい、私だって凄い面白いんだから」
小さく、深く息を吸いリツコをついに………
「だいさんしとサキェル」 アホになった。足を開き、いつもの聡明さからは及びもつかないアホな顔をした。全裸で。
「第四使徒シャムシエル」
今度はいつもとおりの真面目な表情。
「第五使徒ラミエル」
「だいろくっしとがぎぇるぅ!」
リツコはノッてきた!これはこれでアリじゃね、みたいなテンションになっていた。全裸で。
「だいじゅうさんしとっばるでぃおる」「だいじゅうごしとあらえる」
夢中になっていた、真面目一辺倒な自分の新しい一面に。
「さーどぉちるっ゛れんいかりしんじ」
ウィィィン!
自動ドアが開き光が不意に差し込んだ。
何が起こったのか理解するより速く飛び込んだのは綾波レイの紅い瞳。
それが写すのはアホな顔で足を開いた赤木リツコ博士の姿。しかも全裸。 それだけならまだ良かった。その後ろにはやらかしたみたいな顔をした碇シンジの姿が……。
リツコは何食わぬ顔で髪をかきあげた。
「大人の芸よ、かえってきたら続きをしましょう」 リツコは逃げ出した。
保守
419 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/15(日) 08:46:32 ID:yjKN7HjY
たま゛まなかやさはらあかさは
やなはらやなあたまやわらはかあた赤さはヮ股納屋なかなやはさかたや
なやかさはやまたあ
仮名やわあ多ま゛さは等玉名左派や高菜や股か
谷中は皿やヮ股亜多ま゛や腹皿ヮ股中安宅な゛まや納屋わ゛またあなかや゛魔柵原魔
かなやたまはらはら
柔ら博多魔柵原や仲佐花山金山や
仮名梁や納屋か悩まな玉平原仮名は納屋な
カヲルが早めにネルフに来て三人で暮らすのを想像してたら
23、24話で泣きそうになってきた
それでもカヲルなら…カヲルならきっと何とかしてくれる…!!
前にも言われてたが、この三人で協力して補完計画未然に防ぐよ。
レイはわからんが
リツコさんとカヲルって
絶対話合いそうなんだよなぁ。
なんか絵づら的にも合う
保守
保守
428 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/11(金) 20:30:11 ID:LKLR6PoR
補
429 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/16(水) 10:06:00 ID:LuAHRp+z
ほ
>>428 IDがラブラブカヲルリツコレイ
異論は認める
保守
ほす
支援
434 :
リツコ:2008/07/31(木) 17:07:10 ID:???
重ねられた食器類を流しに放り込む。
これだけの量の洗い物をするのは、いつぶりだったかしら。
「あなたたち、洗い物くらい手伝いなさい」
「…命令なら」
「洗い物ですか…まあいいですけど」
私の両隣に彼らが移動する。
少し狭いけれど、なんとか三人並べる。無駄に広い私のマンション、キッチンもそれなりに広い。
私が洗い、レイが拭き、カヲルが並べる。黙々と作業を行う。
水がシンクをたたく音と、リズムよく皿を服だけが静かに、私たちを包んでいた。
「それでも、時間がかかるわね」
「洗い物ですか?」
「え?ええ…」
ふと思ったことが 口に出てしまったようだった。
体を反らして壁掛け時計を見る。思ったより、時間が経っていた。
時間もそうだけど、財布のほうも深刻になりそうだわ…中学生を二人養うのだから。
できるだけ自炊で済ませたいわね。
「でも赤木博士は忙しいですしそれに料理は…あまり…」
「う、うるさいわね…」
「あ、リツコさんって料理、苦手なんですか」
「別にそういうわけじゃないわよ。あ、そういえば…カヲル」
「はい?」
キュッと音をたてて、シンクを叩き続けていた音が止まる。
皿を拭き続けているレイの隣で、カヲルは手持無沙汰なようだった。
435 :
リツコ:2008/07/31(木) 17:08:20 ID:???
「明日から中学校へ転入してもらうわ」
彼の表情は変わらない。予想はしていたが。
「中学校ですか…シンジ君たちと一緒に?」
「そうなるわね。レイも一緒よ。明日からレイと一緒に登校して頂戴」
「…よろしく」
拭き終った最後の皿をカヲルに渡しながら、レイはそう言った。
よろしく、と笑顔で返すカヲル。
その光景に違和感を覚えた。どちらも、変わってるものね。
それに挟まれている私も…普通とは言えないわね。
「それじゃ、仕事に戻るわ。たぶん深夜までの作業になるわね…先に寝てていいわ」
「シャワーも借りていいですか?」
「勝手にどうぞ。それじゃ、明日は寝坊しないでね」
キッチンに佇んだ二人を置いて、自室へ一直線に向かった。
暗い部屋に入り、鍵をかける。
436 :
リツコ:2008/07/31(木) 17:12:23 ID:???
今日も朝食はない。
よくよく考えると、今まで一度もこの家で朝食をとった記憶がない。
「それじゃ、準備はいいわね?」
リツコさんが僕に言う。
昨日は何時まで起きていたのだろうか。疲れがほとんど見えない。
彼女もS2機関を搭載しているのではないかと疑いたくなる。
「はい」
隣にいる、制服姿に身を包んだファーストと同時に返事をする。
ぼくも同じように、制服に身を包んでいる。それと、さっきリツコさんが渡してくれた鞄を手に。
今日の予定もいつもと変わらずネルフでの訓練の見学だ。
でも、それまでの時間の過ごし方には今まで大きく差がある。
「それじゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい。シンクロテストには遅れないで頂戴」
今日も暑くなりそうだ。常夏の第三新東京市にも慣れてきた。
先を行くファーストに合わせて、僕も歩く。
「私についてきて」
「わかってるよ。道を覚えるまでは、これからもエスコートをお願いしたいね」
ファーストの背中と、周りの風景を見ながら登校というものを楽しむ。
437 :
かれー:2008/07/31(木) 17:13:25 ID:???
ごめん、上のかリツコじゃなくてカヲルです
438 :
カヲル:2008/07/31(木) 17:14:43 ID:???
僕らと同じ服を着た人があちらこちらで見られる。
リリンは僕らと違って、沢山いるからね。だが、どれも同じようで違う。
それが孤独を生む。そして葛藤を生む。
「ファースト、学校ってどんなところだい?」
「…勉強をするところよ」
「勉強か…確かに、ファーストはよく本を読んでいるね」
「あれはまた別だわ」
「なるほど。セカンドが優等生というのも頷けるね」
「…でも、彼女は大学をもう出ているわ。彼女の方が学問の上では優秀なはずよ」
「そうなんだ。でも、中学校に通っているよね?」
「ええ」
「勉強はしなくても、彼女は問題ないんじゃないかな?」
「そうね。でも彼女の成績、あまりよくないわ」
「大学を出ているのに?」
「ええ」
彼女は確か、ドイツ支部からやってきたと記憶している。
ドイツでの教育水準はそこまで低いのだろうか。
それもよくわからないけれどもね。まず、僕にとって学校というものがわからない。
中学校や大学だって、語としての定義を知っているだけにすぎない。
「あれが、中学校よ」
しばらく進んで、ファーストが指をさす方向に白地の壁をもつ建物が見える。
あれが、学校か。チルドレンの集められた、人類の希望が集められた場所。
騒々しい校内へ、僕は歩を進めた。
439 :
カヲル:2008/07/31(木) 17:19:07 ID:???
「はじめまして。カヲル…渚カヲルです」
しばらくして連れてこられた部屋。そこには、同じ格好をしたリリンが一斉に僕を見ていた。
立たされたまま、自己紹介をしろ、と言われた。
「みなさん、仲良くするんだぞ」
その声に促されて、僕は開いている席に案内される。
空席がいくつもあるから、どれなのか少し迷ったけれど、ここでよかったようだ。
腰をおろして、前を見ると未だに部屋のほとんどの視線とぶつかった。
だが、一際突き刺さる視線が一つ。
「アンタ…なんでよりによってこのクラスなのよ…!!」
知らない。僕は言われたままについてきただけだった。
まあチルドレンが一か所に集められるのは当然の処置だろう。
よろしく、という意味を込めて微笑みを返した。
そしてそれを受けて、セカンドはさらに目を鋭く光らせ、勢いよく前を向いた。
授業はあまりよくわからなかった。
リツコさんが用意した鞄には、パソコンが一台。
周りもそれを開いているので、僕もそれをとりあえず開けて、そのまま部屋の風景を眺めていた。
440 :
カヲル:2008/07/31(木) 17:22:05 ID:???
時間がすぎていく。
今日はここまで、という合図のあと、キリッ!!という声を誰かが上げた。
なんだ?と思う前に、教室のリリン全員が立ち上がる。
そしてそれと同時に、警報が流れた。
使途か?予定よりずっと早い。
シナリオに書かれていない不測事態か?
まだゼーレとのコンタクトは取れていない。さて、どうするか…
「レイ!!」
ファーストの名前!?また、さっきの声がした。
机に座ったままの僕は、その声に警戒する。そして前のほうに見えるファーストに視線を移す。
彼女もまた立ち…いや、頭を下げている。なんだ??
そうして一瞬のうちに、部屋の中が騒々しくなった。
僕は、リリンに囲まれていた。
「なっ…」
「あの、渚くんもひょっとして…」
渚…僕の名前だ。
目の前にあるのは、リリンの顔だ。
「渚君もチルドレンなんでしょ??」
違うリリンが右から僕に声をかける。
僕は、ああ…と曖昧な返事しかできなかった。警報は??使途なのか??
回りはそうぞうしいままだ。リリンに囲まれて詳しい状況は分からない。
441 :
カヲル:2008/07/31(木) 17:23:02 ID:???
リリンに囲まれたまま身動きが取れない僕の目の前に、見知った顔が飛び込んできた。
「はいはい、ちょっとどいてね…フィフス、よくもまあアタシのクラスにずけずけと入れたわね」
「セカンド…今の警報は何だったんだい?」
「は?警報?」
少しの間をおいて、セカンドの後ろからシンジ君の前髪が見えた。
そして彼の声が届く。
「警報って、チャイムのことじゃないかな…」
「ちゃ、いむ?」
「ああ、あんた見たところマトモな教育受けてないみたいだしね。さっき鳴ったのはチャイムよ。警報じゃないわ」
「へえ…じゃあみんな立ち上がってたけどあれは」
「あれは…シンジ、なんて言うんだっけ??」
「号令、かなあ…あれはね、授業の始まりと終りにやるんだよ」
「そ、ちゃーんと理解しなさいよね?アンタ、協調性なさそうだし組織としてアタシ達はここに組み込まれてるんだからね」
「ネルフと同じか…人は人とうまくつながらなければならない。その仕組みが組織なんだね」
立ち上がる。よく見ると僕の周りのリリンは女性ばかりだ。
それを押しのけて輪の外に出る。すると、肩をたたかれる。
「おう!渚も同じクラスなんやなぁ…惣流の時もそうやったし、こないな事になるんやないかと思ってたんや」
「ああ、君もいたんだね…鈴原トウジ君」
「トウジでええって。それにこっちはケンスケや」
彼の隣りにいる、眼鏡をかけたリリン…ケンスケを見る。
442 :
カヲル:2008/07/31(木) 17:24:57 ID:???
彼は僕の知りうる限りでは、シンジ君の友人の一人だったはずだ。
いずれにせよ、彼と付き合っていくならばかならず接触することになっていただろう。
「よろしく、ケンスケ君」
彼の眼は僕をとらえている。そして一瞬右を向いたと思うと、再び視線を戻した。
そして右手を差し出した。
「僕は相田ケンスケ。呼ぶときはケンスケでいいよ。よろしくな、渚」
手を握った。彼の手は、僕のより少し小さく、ごつごつしていて硬かった。
先ほどから何かを磨いている。小さな戦車だ。これは、彼が作ったのだろうか。
そこに、一人のリリンがまた入ってきた。
「はじめまして、渚君。私はクラス委員長の洞木ヒカリです。なにか困ったことがあったら、なんでも聞いてきてね」「委員長、委員長か…」
キール議長を思い出したけど、ここにいるのはそれと対極のイメージ。
彼女の情報は僕には入っていない。でも彼女もチルドレンと仲がいいみたいだ。
それなら僕もケンスケ君と同じ理由でいつかは接触しなければならない運命にあるのだろう。
すべてはリリンの流れのままに…そうして、僕はまた差し出された右手に応えた。
そうやって紹介され続けているうちに、再びチャイムが鳴った。
どやら授業の前後に鳴るらしい。号令と同じみたいだ。
やり方は彼らに合せていればいいだろう。そうやって合わせ続けて、僕の学校、初日は終了、ネルフに向かう。
443 :
トウジ:2008/07/31(木) 17:26:17 ID:???
渚が来てから、まあ思った通りの展開やな。
あいつは不思議で、おもったよりなんつーか…浮世離れしとるっちゅーか…
学校生活にはなかなか馴染むのに時間がかかりそうやな。
それよりもケンスケが問題や…
「どうや、ケンスケ、前話したやろ?あれが渚やで」
「…トウジ」
「ん??なんや?」
「ありがとう」
「は?」
いいんちょと握手している間、ケンスケはワシに頭を下げ続け取った。
なんやろう。ケンスケが指さす方を見ると、渚の机に群がった女生徒たちがずっと渚をみとる。
まさか…
「惣流と並ぶ新たな市場開拓に成功したぞ!!早速注文票を作らなきゃ…フィルムも追加で仕入れないと」
「ケンスケ、おまい友人として付き合う気はないんか」
「何言ってんだい、もちろん友達だよ。友達の写真を撮って何が悪いのさ」
「何って…売ったらあかんやろ」
「それは欲しがる人がいるからだよ。で、値段をつけるのは重要に供給が追い付かないから仕方なくさ…」
「嘘つくなワレ、写真刷るのにいくらかかるんじゃい!!」
「でもトウジ、そのおかげでゲーセン、安く行けるんだぜ?」
「ぐ…」
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
今から読みます!
ほんと楽しみにしてたよ
445 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/07/31(木) 20:37:00 ID:1VGKb5q+
まってましつぁ^^
GJ!!
リツコ「カヲル君、部屋にあったこの本は何かしら」
カヲル「それはココナッツの801本…。部屋に勝手に入ったんですか?」
リツコ「掃除しようと部屋に入ったら机の上に堂々と置かれてたわ。せめて隠しなさい」
カヲル「プライバシーの侵害ですよ。いくら同居してるからと言ってもこれは許せませんよ」
リツコ「あなたの趣味に口出しするつもりは無いけれど、せめて普通のにしなさい」
カヲル「僕にとってはそれが普通です」
リツコ「ならせめてナッツココにしなさい」
カヲル「いい加減にして下さいよ。僕は酷く傷つきました。家出します」
リツコ「…えぇ、勝手にしなさい」
カヲル「…じゃあ、さよなら」
「新劇場版:序」に続く
腐女子消えろ
すぐ腐女子言う奴って相当ボキャブラリーも脳の容量も無いんだろうね
数字を数える時も999でカンストするんじゃね
いや、普通のスレでホモネタ出されたら気持ち悪いのは当たり前だろ
本気で面白いと思ってるのか知らんか自重してくれ
カヲルが登場するならそんなネタになるのも当然だと思うが?
前スレもそういうネタあったし。君の好みだけのためにスレはあるわけではないのだよ
452 :
トウジ:2008/08/02(土) 19:32:01 ID:???
後で聞いた話によると、「渚カヲルファンクラブ」が結成されたらしい。
アホか。惣流のファンクラブみたいなことすんなっちゅーに。
今度は渚の写真を売る手伝いせないけんのか。まあええ小遣い稼ぎにはなるからええか。
渚には黙っといた方がええな…
「それじゃ、いつも通ね。それから…鈴原君とカヲル、あなた達用のプラグスーツができたわ。一緒に更衣室に行って試着して頂戴」
ネルフでのテストは、ワシらはいつも見とるだけやったけど今日は着替えるんか。
ずしりと重みのある、なんやらつるつるしたよくわからん素材で出来たモンを受け取って、シンジについってった。
更衣室はもちろん男女別れとるし、ワシとシンジ、渚の三人でロッカーの前に立っとる。
「これがプラグスーツかい?みんなそれぞれデザインが違うみたいだね」
「一応専用に作られてあるから…えっと、じゃあ着方だけど…」
すっぽんぽんになって、スーツの中に着ぐるみみたいに入って左手首のボタンを押すんやと。
といってもほんまに大丈夫なんか?
「じゃ、じゃあ僕が見本を見せるよ!ちょっと待っててね」
そう言うとロッカーの影に隠れて、着替えだした。
別に男同士やろ、なんも気にすることないっちゅうに。隣の渚は何を考えているのかわからんけど、そう思わんか?
453 :
トウジ:2008/08/02(土) 19:35:37 ID:???
渚の表情が緩む。その先にはさっきのだぼだぼのプラグスーツを着たシンジがおった。
「シンジ…ほんまにそれでええんか?」
「うん、ちょっと見ててよ。ここを押すとね」
手首を指さし、その後親指で手首を攫むようにギュッとボタンを押す。
それと同時に、音をたててスーツが収縮しおって、元のシンジの体系になる。
「うおっ!なにしたんや!??」
「こういう仕組みなんだよ。わかった?」
「なるほど…で、これは何なんだい?」
渚が手荷物のはヘアバンドやったか…妹がもっとったな、あれやった。
そういや惣流がつけとったな。
「それはヘッドセットで、普通にそのまま頭にくっつければいいよ。あ、向きに注意してね」
「わかったよ、ありがとう」
「ほなワシらも着替えるか」
シンジの説明で全部事足りた。しっかしなんかの戦隊モンみたいやなあこのカッコ…
でも体が締め付けられる感覚はちょっと新鮮やった…
454 :
ミサト:2008/08/02(土) 19:38:02 ID:???
渚君が2−Aに転入したことは今日の朝だったわね。
正式な手続きを踏んでのことだという。ということはもちろん
「リツコ、渚君、今日から学校に行くのね」
「ええ…その方が私にも彼にも利益があるもの」
「彼…今まで学校に行ったことあるのかしら?」
「さあ…まあ、チルドレンにとって学校がそこまで重要とは思わないわ。特に彼にとっては」
「彼を監視し拘束できる絶好の空間って訳ね」
「そうね。私も仕事に集中できるわ」
まだ彼の正体はつかめてない。
管制塔には、あの使途襲来時の騒々しさとはかけ離れた空気が流れている。
最近は使途やその他、変わった動きもなく、みんないつもに増してのほほんとしている。
「葛城さん、第三新東京市都市開発事業部から通達が届いてますが」
「あー、また?今回は結構おとなしい戦闘だったのにまだ請求がくるわけ??」
「私のところにもまだ戦自研のことでいろいろ来るわよ?ポジトロンライフルの件ね」
といってもリツコはそれほど気にしていないみたい。
白衣姿で壁に寄りかかり、資料を何やら読み込んでいる。
その傍にはマヤちゃんがパソコンに向かい、黙々と作業を続けている。
「葛城さん、それと学校…中学校から連絡がありますが」
「学校??あの子たち、何かやったのかしら」
「さあ…でも事務的なものみたいですよ。書類が届けられているはずです」
「かっは〜…リフレッシュしにここまで来たのにもう戻んなきゃなんない訳?」
「他人の邪魔をするのがいけないのよ。さ、お仕事がんばりなさい」
455 :
ミサト:2008/08/02(土) 19:45:59 ID:???
自室に戻る。
最近は戦闘がなかったと言った。おかげで私の仕事も少なくなっている。
机の上の書類は数センチの段を残すのみで、これくらいならすぐに片付くだろう。
「はぁ〜…」
いすに座り、だらんと体全体を背もたれに預ける。
どうして仕事が少ないとやる気が減退してしまうのだろう。人間の性質なの?
残った仕事は適当に判子を押すのではなくて、しっかり読んで一々報告書を書かなきゃならないもの。
本気になれば数日で終わるでしょうけど、面倒だ。
手をつける気がしない。ほかのルーティンをこなしたり、ちょっち珍しく机を整理したり。
そこで気がつく。
「ん、何かしらこれ…第3新東京市立第壱中学校?」
それとぶっきらぼうに置かれた茶封筒。中学校の交渉が刷印されている。
これが日向君の言ってたやつね。中身は?
456 :
ミサト:2008/08/02(土) 22:23:12 ID:???
「ええ〜〜〜っ!!!修学旅行に行っちゃダメぇ??」
我が家では同居人のアスカが喚いていた。
そんなに行きたいってことは、もうクラスには溶け込んだみたいね。
「どうして??」
「戦闘待機だもの」
「そんなの聞いてないわよ!!」
「今言ったわ」
ビールを空ける。ま、今日修学旅行欠席の手続きが済んだことを知らせる封筒が届いたんだもの。
なぜかPCではなく封筒のやり取りなのよね、あの学校。担任のせいかしら。
アスカの言葉に適当に答える。
私の権限で変えることはできても、変えるつもりもない。
というか、当然の選択だろう。それがわかったのか、アスカの矛先はシンジ君に向かった。
「ま、二人ともこれをいい機会だと思わなきゃ」
すっと、右手にフロッピーを。
それを目の前に。シンジ君はまあまあといった成績だけど、穴もいくつかある。
むしろチルドレンとの両立でこれくらいの成績なら褒めてあげられるかもしれない。
でもそれが勉強しなくてもいい、なんて免罪符にはならないわ。
>>451 何故カヲルでそうなるのかがさっぱり理解できない
悪い公式同人に毒されすぎてるとしか思えん
>>456 投下ペース早いな!
もっと後にくると思ってた
超GJ
>>457 カヲル=ガチホモ
というのはいわゆるお約束みたいなもの
君こそ非公式同人に毒されすぎてるのではないかね
459 :
ミサト:2008/08/02(土) 23:48:03 ID:???
そしてアスカは文系科目がほぼ全滅ね…英語は楽勝みたいだけど。あと数学ね。
原因はわかってるけど、いろんな意味で日本に馴れてもらわないと。
「あ、そういえばシンジ君、きょうから渚君が転入したんでしょう?」
「あ、はい…そうですけど」
お茶をすすりながら答える。アスカの罵倒も全然気にしてないみたいだ。
それはこの家に順応したのかしら。
「どう、彼の様子は」
「人気者でしたよ。アスカが来たときみたいな」
「アタシとあいつを一緒にしないでほしいわね」
「まあ、あの容姿なら当然かもしれないわねぇ…」
銀髪のアルビノ種みたいな容姿だもの。
レイだってそうだけど、それでも驚くに決まってるわ。それに美形だし。
…そういえばレイも美形だけど…彼女の性格を考えるとあまり人気は出なくても当然か。
隠れたファンは多いでしょうけどね。
「修学旅行中はチルドレンはネルフに来てもらうわ。ここらで交友を深めるのもいいかもしれないわね」
「ミサトさんさっき勉強しろって…」
「それはもちろんだけど。ねえアスカ、なにか要望はないの?できることならしてあげても構わないわ?」
460 :
ミサト:2008/08/02(土) 23:51:00 ID:???
「ほんとに!??なら…んー…スクーバしたいなー」
急に笑顔に変わり、さっきの罵声とは180度違うかわいい声を出すアスカ。
そういう子供らしい素直なところはとってもいいんだけど…ごめんねぇ〜…潜れそうな場所なんて手配できそうにないのよ。
「それは難しいわね…実験用のプールならあるけどあれは管轄外もいいとこだしリツコには頼んでも無理そうだし…」
今は実験が急ピッチで行われてるらしいわ。
前々回の使途襲来は水中船を余儀なくされた。またそんな使途が現れるかもしれない。
そのための対策ということらしい。
「あ、でも普通の競泳用プールなら何とかできるかも」
「当然貸切よ?」
「…まあ何とかなるでしょう。たまには息抜きもして頂戴」
もう一本の缶ビールに手を伸ばす。
この家にいると、家事はぜーんぶシンジ君がやってくれるから楽でいいわ。
一人になりたいときはどこかに行けばいいし。
ただ食費がちょっとねー…お財布が寂しくなるわ。だれか奢ってくれないかしらねー…
そう思ったとたん、あいつの顔が出てきた。
そういえば最近見ないわね。何してんのかしら。
461 :
かれー:2008/08/03(日) 00:02:52 ID:???
すいません、実はアク禁をくらいましてですね…
携帯で報告しようにもdocomoは規制されてて形態からカキコもできず。
さらにPCがぶっ壊れて今、動作が不安定ながらもリカバリを行いちょこっと残りを投下してました。
楽しみにしてくださった方々(いるのか…?)遅くなってごめんなさい。
とりあえずPC買い換えてまたがんばります。
あとカヲルのホモネタで何やら物騒なふいんき(ryですが
個人的にはガチなホモネタじゃなく、あまりに連続でホモネタ投下されないかぎりはいいかなーと思います。
自分以外の投下が最近なかったんでちょっとうれしかったのもありますがwww
ネタとして楽しめるならいいんじゃないかな、と。
公式にはカヲルはホモではないと思いますしね。
PC買いに行かなきゃ…高いorz
楽しみにしてる者の一人ですが待ってます
投下されるネタについてだけど
「※カプ要素のあるネタは荒れる原因になるので該当スレで」
これが守られてて尚且つひどい別キャラじゃなければまあいいんじゃないか
元々過疎だし
気持ち悪いと思ったネタはスルーの方向でいこう
保守
ほしぃぅ
保守だよ
ほしゆ
次回のぷちえう゛ぁにリツコがいるのでまた何かうpしたいな
ほしゅ
一話からこの三人だったら、面白そう
鬱アニメすぎるwww
最後に来るのがシンジなのか
そこまでくるとチルドレンの順番が違ったらスレ向きだけどな
ほしゅ
475 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/09/06(土) 23:58:48 ID:XwF+RgIE
この三人だといきなり核心に近すぎる
先に核心を見せるという古畑式です
保守
カヲルを祝うネタを投下したかったんだが、
レイやリツコさんが誕生日を祝ってくれる姿が想像出来なくて無理だったww
ごめんよカヲル
保守
まごころLDのジャケット、リツコの正面にカヲルがいるのが良かったな
レイもそっち側にいればより良かったのだが
どれ?
カレーくいたい
ミサトカレーで良ければ、たんと召し上がれ。
赤木さんちはカレーよりシチューが似合うと妄想。
>>483 いいねぇ、シチュー。
3人が食卓を囲んで、無言で食べる姿がありありと目に浮かぶ。
無言ww
リツコのポトレ買い逃した奴に朗報
次回の新劇版ポトレにリツコが出る
ラインナップには買い逃し多そうな制服レイも付くから、
現在発売している制服カヲルを買って待機しとけ
おお!!絶対揃えたいっ
ただし白衣ではなくノースリだし、
制服綾波は包帯だからやっぱり前のやつが欲しいところだ
ノースリだと、自宅の時の服装みたいで良いではないか。
スレの趣旨から外れるが、
ポトレ、水着に白衣も出してほしいなぁ。
括れる程じゃないな。似て非なる三人だからして案外賑やかかも
最初は沈黙、徐々に賑やか、そして騒がしく、一転して鬱、最期は「おめでとう」
保守
保守
保守
カレー待ち
ハロウィンで余ったカボチャでカボチャカレーを作る3人
保守
>>497 こんな感じ?
レイ「ハロウィンのかぼちゃのオバケを作りたい‥‥‥」
リツコ「‥‥‥‥‥」
カヲル「何?ハロウィン?リリンのする事は解らないよ」
レイ「‥‥‥碇くんに聞いてみる」
一生懸命作るレイ
レイ「かぼちゃ‥‥‥」
リツコ「そう。もったいないから食べましょう」
その日の夕食はかぼちゃカレー。デザートはかぼちゃプリンにかぼちゃ饅頭。
カヲル「今日はかぼちゃ尽くしだね」
レイ「そう。かぼちゃだけ‥‥‥」
リツコ「‥‥‥‥(怒)」
微妙にズレてるorz
お粗末!
マジレスするとジャック・オー・ランタンに使うカボチャは食用じゃないけどな
普通のカボチャ使ったのかな
10年前普通のカボチャで作ったことあるぞ
スイカで作ればいいじゃない
504 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/16(日) 22:17:05 ID:Z6ktSWb0
リンゴやなんかも良さそうだ
505 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/16(日) 22:18:07 ID:Z6ktSWb0
カヲル君料理上手そうだな。
いや逆だろ
レイもカヲルも生活感まるでなし
カヲルは教えられた事なら上手にやりそう
レイは言われた事なら素直にやりそう
リツコは料理できるとしても二人に教える時間はあまりなさそうだ
つまり教えられてない状態の二人が感覚で料理をすると大変なことになる訳か
本見ながらなら出来そうかな
写真の少ない本やレシピだけ見たら何か誤解しながら作るかも
米を洗剤で洗いそう
味噌汁の具が気になるな
料理未経験者にありがちな…
リツコ「この鍋からハミ出てる大量の不気味な黒い物体はなんなの?
――はっ! まさか、新手の使徒?!」
レイ 「……ワカメの味噌汁です」
リツコ「これが味噌汁ですって?! 汁気なんてどこにも無いじゃない!!」
カヲル「まさか、乾燥ワカメがここまで膨張するとは…」
リツコ「……ねぇ、あなた達。
三人前のワカメの味噌汁作るのにどれだけ乾燥ワカメ入れたの?」
カヲレイ「「一袋」」
>>513GJ
料理作ってくれるなんて良い子達じゃないかw
今日の晩ご飯はワカメの味噌煮
そういえばカヲルが食べ物食べてるシーンて見たことない
そりゃ出番が10分ないからなw
でも泊まったりで半日以上一緒にいたシンジが怪しんでないから、
多分普通に食事していたと思う
貞エヴァではシンジが数日泊まっていたから、こちらはよりその可能性が高い
まあ人間といるときは一応二人とも人間に近い生活をするだろう
貞エヴァカヲルは食うシーンなかったけど、水なら飲んでたよな
>>518 そうだっけ。 ああ、エビアンだっけww
保守
521 :
加持:2008/11/25(火) 21:15:25 ID:???
渚カヲルの招待。それに近づいてはいるのだろうか。
マルドゥック機関の存在はほぼ100%ないと言えるだろう。
となると、送り込んだのは誰だ。ネルフの狼狽ぶりを見ると、ネルフ外から直接、それもネルフに拒否権がない形で送られたこととなる。
そうなると、もう答えは出ているようなものだった。
「お久しぶりですねキール議長…今日はどうされたんですか」
「どうということはない。もうわかっていただろう」
暗室。そこに佇む。
まあ何ということはない、いつも通りの調子で構わない。
議長の話は簡単だった。
渚カヲルはゼーレからの使者であり、今後、彼とゼーレをつなぐ役割を俺が果たす、ということだった。
「まったく…彼が来る前にそういうことを言っていただきたかったですね」
「早急に決定されたものでね。何、碇とて扱いの仕方はわかっていただろう。何しろ我々から直接送られたものだ」
「今ようやく落ち着いたというところですかね…赤木博士のところに、今は厄介になってるみたいですよ」
522 :
加持:2008/11/25(火) 21:16:03 ID:???
まさかリっちゃんのところに行くとはね。彼女の家には行きにくいな…
それでもシンジ君たちと同様チルドレンである限り、ネルフで接触できるだろう。
「それではよろしく頼むぞ。有事の際は君の他にも、彼へのパイプを伸ばすがな」
「それはありがたい。私一人では責任が重すぎます。なんせ諜報部ですからね」
「わかっている。だが諜報の計画に遅延は許されない。通達は以上だ」
ふっと、存在が消えたのがわかる。暗室には俺一人取り残された。
相変わらず一方的なやり取りだ。雇われの身なら、それも致し方あるまい。
今のところ彼に通達すべき内容は無いらしい。
「ま、すぐに出てくるだろうが…準備期間を与えてくれたことに感謝しますよ。キール議長」
暗室を、ある方向へ向かって歩いて行った。
ここを出れば、またいつもの日常がある。俺の戦場がある。
523 :
加持:2008/11/25(火) 21:16:46 ID:???
屋外に出ると、紅い世界が俺を出迎えてくれた。
セカンドインパクトの後だと、こんなに奇麗な夕焼けももう珍しく感じることもない。
ドイツにいた時はほとんど拝めなかったが。
…そういえば、まだスイカに水をやってなかったな。
そう思い、俺の畑へ向かう途中に意外な人物と会った。
「ほう、奇遇だな、こんなところで出くわすとは」
「…副司令」
ジオフロント中、夕焼けで赤く染まる世界。
その中でオブジェのように一人立っている。
俺を待っていたのだろうか。警戒しつつ、警戒を悟られぬよう副指令の隣へ歩を進める。
「お一人ですか」
「見てのとおりだよ。いつも碇といるわけではないからな」
俺が傍までやってくると、副指令は視線を上げた。
その横顔を見た後、同じ方向へ顔をゆっくり向けた。
なんてことはない、そこにはプラミッド型をしたジオフロントがあるだけだ。
今のところ、使途の進入は果たされていない。
いつまでこの整然としたままでいられるか…俺には、あまり関係ない事かもしれないが。
524 :
加持:2008/11/25(火) 21:22:03 ID:???
「君は、どう思うかね」
ふと、副指令が俺に問いかける。
「我々は、ここにあるものだけで戦い抜かなければならない。
ここが使途との戦いにおける最後の砦となるからな。…そんな場所にしては、美しすぎるとは思わんかね」
整備されたネルフ本部だけではない。
湖畔、森林、ベンチ、そして太陽の光。ここはコロニーとしても作られていると聞いた。それゆえにここまで、自然にあふれているのだろうか。
「セカンドインパクト後の世界で、最も美しい場所はここかもしれませんね」
「…ここが戦場にならないうちに、この目に焼き付けておこうと思ってな」
手を後ろに組んだまま、副指令は赤い世界が終わるまで、ここにある世界を眺めていた。碇指令と副指令は野望を共有しているはずだ。
それは災いなのか、はたまた神への道なのか。ただの自己満足に過ぎないのか。
そんなことは、俺にとってどうでもいい。
だが、この星で生まれた命であることには違いない。
だから俺も、赤い世界が終わるまで、この景色を焼き付けてしまったのだろうか。
525 :
カヲル:2008/11/25(火) 21:41:32 ID:???
ここで迎える何度めかの朝。
あまり僕は朝が強くないことがようやくわかり始めてきた。ファーストも同じようだ。
それに比べて、リツコさんは全然そんな様子ない。彼女はいつ寝ているのだろうか。
「私だって夜になったらきちんと自室で横になるくらいのことはするわよ」
「ベッドで寝ないんですか」
「寝るわよ?ほら、はやく支度しなさい」
「ファースト、急いだ方がよさそうだよ」
「…眠いわ…」
眠そうなファーストを引っ張って玄関を出る。
3日に一度はこんなふうに極端に朝に弱い日が来る。
しかしそんな睡魔もいったん家を出て、登校という運動をすれば彼女も普段と変わらないくらいにすぐ回復する。
口数が少ないのは変わらないけれど。
「あ…」
不意に、彼女が声を発した。
三歩ほど前を歩いていた僕は、くるりと上半身をひねって彼女の方を見る。
彼女の視線を追うが、それがとらえているのは僕ではない。
「おう!綾波に渚やないか!!」
手を振る彼に彼女の焦点は合っていた。
526 :
カヲル:2008/11/25(火) 21:53:40 ID:???
今まで登校中に彼と会ったことはない。僕らの姿を見つけた彼は、言葉の勢いそのままに僕らの方へ走ってきた。
「やあ鈴原君。奇遇だね、この時間に君と出くわしたことはなかったのに」
「今日はたまたま早く起きれたからなぁ」
僕とファーストの間に割り込むような形で立ち止まった。
ファーストはそれを何でもないかのように、また歩を進めて彼を抜き去る。僕もそれに続く。
鈴原君はそれに少し遅れて、僕らについてきた。
「どうや渚、学校には慣れたかいな」
「どうだろう。まだ知らないことが多いかな。この町のこともよく知らないし」
「渚はあんまり外に出かけへんのか?」
「時間がないからね」
チルドレンとしてネルフに拘束されっぱなしだ。
ネルフの外でも僕には監視が特別強くついている。あまり身勝手な行動は避けたい。
それに慣れないことと言えば…
「あ…渚くんだ…!」
「あれが噂の…」
「となりの綾波さんと同じ銀髪ね…」
「…」
ひそひそと声が聞こえる。
僕らが歩く道は、学校で定められた通学路に沿っている。
当然のように僕らと同じ服を着込んだ生徒がそこらじゅうにいる。
でも、僕とファーストはそのなかでも随分と違っているみたいだ。
色素の抜けた髪の毛、紅い瞳、白い肌・・・彼らとは違う。
527 :
カヲル:2008/11/25(火) 21:56:46 ID:???
それは当たり前のことだと僕も理解している。
ただじろじろと見られるくらいなら僕も気にはかけないんだけど。
「今日も、ね」
ファーストがぼそりと言った。
彼女も迷惑がっているのだろうか。
「なんやなんや…まるで惣流みたいな事になってるやないか…」
鈴原君も戸惑っているようだった。彼が登校中にこの様子を見るのは初めてか。
僕らの後ろには、中学校へ向かって歩を進めるたびに行列のような人だかりが増えていく。
早く中学校へ行ってしまおう。のんびり行く理由もないし。
528 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:05:19 ID:???
玄関を抜けて、教室に入ってしまえば先ほどの騒動はもうない。
…たまに僕を覗きにくる生徒が廊下にいたりするけど。
「…はぁ」
僕の席のまわりには誰もいない。
ファーストは窓辺にある自分の席で、何かの文庫本を読んでいる。
その後姿を眺めながら授業が始まるのを待っていると、斜め横から一瞬、光が浴びせられた。
「…?」
「今のはよかったよ渚!!」
「今のは?」
「物憂げな表情がなんとも…これは価値が出そうだなぁ」
カメラを持つ相田君が、にやにやしながら僕に話し掛けてきた。
今のは僕を撮っていたのか。姿をさらすこと自体は今更なんとも思わないし、まさか彼がネルフの諜報機関の一員だとしても問題ないだろう。
たいして警戒もしないまま、頬杖をついたポーズを崩さないでいた。
続けざまにフラッシュが焚かれる。
「眩しいな…」
「こらケンスケ!!お前また写真売る気かいな!!」
「いって!…何するんだよ」
写真を売るつもりだったのか。
…誰が買うんだろう。というか、利益が出るんだろうか。
「しょうがないじゃないか、女子達に頼まれてさ…」
「女子達にやと?…なるほどな…惣流の時とそこまで同じかいな…」
「アタシが何??」
セカンドが割り込んできた。
なんだか急に周りが騒がしくなってきた。もう授業が始まるというのに。
529 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:06:37 ID:???
セカンドが来たならシンジ君の姿もあるはずだけれど、姿は見えず3人だけで会話が進行していく。
「別に惣流は関係ないよ」
「そのカメラは何よ。またアタシを撮ろうと思ったの?」
「いやいや…残念だけどモデルは君じゃないんだ」
「ケンスケの次の狙いはこいつやで」
「…フィフス?」
「どうやら市場シェア図を書き換えなきゃいけなくなりそうだよ」
人差し指ですっとメガネを上げる相田君だった。
セカンドの写真もあったのか。もしかして、彼はチルドレン専門カメラマンか何かのつもりなのかな。
「こら!!もう授業が始まるんだから席に着きなさい!!!」
「委員長…うわ、もうこんな時間か」
「アンタたちのせいで怒られちゃったじゃない」
「ワシのせいかい」
「今日のHRは修学旅行の予定表を発表しなきゃならないんだから…鈴原の班、まだできてないでしょ?」
「予定なんて立てんと好きなことすりゃええやないか…なあ?」
「いや、予定の把握は大事だよ。どこで誰が何をしているのか知らないとカメラマンとして…」
「残念だけどチルドレンは修学旅行不参加だからねっ!!」
机の上に鞄を開いて、赤いパソコンを取り出しながらセカンドは事務的に言った。
530 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:13:10 ID:???
相田君が大袈裟に両手をあげて言った。
「…まあ、そんなことじゃないだろうかと思ったけどね」
「ホンマなんかシンジ!??」
「うん…仕方ないよ、有事の際に僕たちがいなかったら困るし」
「そうなんだ…残念ね碇君」
「僕もケンスケと同じでなんとなくそう思ってたからいいよ。気にしないで」
「どうせならもっと早くいって欲しかったわよね。まったくもうっ!!」
「まあ…ワシらがシンジの分まで楽しんできたるさかい、お土産期待せえや!」
「う、うん?」
ドカンと大きな音を立てて椅子に座るセカンド。
そのセカンドと最初から椅子に座っていたシンジ君の間に立っていた鈴原君に、すっとんきょうな声をあげて答えるシンジ君。
委員長さんは鈴原君の隣に控えているが、意識はセカンドの方にいってるみたいだ。
「トウジもチルドレンなんだろ?」
「…はっ」
いったんカメラを置きに机に戻った相田君が、わざわざ鈴原君に一言言いにやってきていた。
言うまでもなく、鈴原君はまぎれもなく、フォースチルドレンだ。
シンクロ率も低く、まだ実戦では使い物にならない。
でもチルドレンとしてネルフの名簿にしっかりと記載されているはずだ。
531 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:14:44 ID:???
僕と同じで彼も修学旅行には参加できないんだろう。
修学旅行を良く知らないから特に感情を抱いたわけではないけれど、セカンドの反応を見るあたり楽しいイベントだったのかな。
「いや、でもワシは補欠みたいなものやし…」
「トウジ、あんまり期待しない方がいいよ。ただでさえチルドレンは不足しているんだから」
「ワシは修学旅行に行くで」
「無理じゃないかな…」
「こら鈴原、席に着きなさい」
根府川先生が教室に入ってきて、鈴原君は肩を落としながら席に戻って行った。
修学旅行云々の話はすでに知っている。
チルドレンが遠く離れた沖縄にいるなら、もし使徒が現れた時にただ指をくわえて終焉の時を待つしか選択肢がなくなる。
チルドレンが第三新東京市に待機しているのは妥当な選択だろう。
そして補欠扱いの僕らも待機との指令だ。
おそらくネルフは僕への監視を緩めたくない、という考えもあるのだろう。
修学旅行がなくなった場合、僕らは何をするのかな。
学校に行く必要はなくなるだろうけど、そうなると本当にやることがない。
それまでに何かゼーレから通達が届いているだろうか。
不思議な事に、今の今までゼーレのことを考えていなかった。
ひょっとして、僕は思ったよりここでの生活に追われていたのかもしれない。
ネルフの監視は厳しい故、僕へのコンタクトにかなり苦労しているのは想像に難くない。
それに予想外だったが、他の生徒の監視も厳しい。学生以外僕と接触することは難しいだろう。
次の使徒は死海文書の記録ではもう少し先だ。
532 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:40:03 ID:???
常夏の第三新東京市。
その青空の中をゆっくりと突っ切っていく、白い巨体。
伴う轟音は、屋上にいる僕らの耳朶を叩いた。
「あーあ、行っちゃったわね」
先頭で、仁王立ちしていたセカンドが振り返った。
見送りにチルドレン全員が参加することになっている。素直にみんな時間通り集まりただ見送るだけ。
こんなことはセカンドあたりが抗議しそうな内容だけれども、誰も文句は言わなかった。
というのも、これからみんなでネルフのプールへ行くからだ。
修学旅行の行先は沖縄であり、内陸の第三新東京市で海水浴はできない。
多くの生徒は修学旅行のなかでも海水浴に期待しているようだった。
僕はどうでもいいと思っているんだけど、他のチルドレンはそうでもなく、それをくみ取った葛城一尉のアイデアがプール貸切だったのだそうだ。
アイデア自体はセカンドのものらしいけど。
533 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:40:48 ID:???
他の修学旅行に行く生徒と同じように、空港に集まっていた僕らは見送りの後引率の先生の計らいでそのままネルフまで送ってくれた。
学校が借りたバスをチルドレン5人で貸切だ。
そうは言っても対して語るような内容はなく、ネルフのロッカールームへ場面はすぐに移った。
あの、いつもプラグスーツに着替えるところだ。
「しかしミサトさんは流石やな。粋な計らいとはまさにこのことやで」
「うん…そうだね」
「シンジなにしとんのや、はよ着替えて行こうや」
「僕はいいんだよ」
鈴原君はもう既に準備万端。水着を下着のように学生服の下に着てきたようだった。
これは確かに頭がいいやり方だね。まったく思いつかなかったよ。
僕は素直に着替えるという行為を行う。
水着なんてものは持ってなかったけど、前日にリツコさんが買ってきてくれた。
公で決められている規格のものだ。今後授業でも使うことになるんだそうだ。
ロッカーを閉じて横を見ると、鈴原君も同じものを穿いていた。
「なんでや?水着忘れたんか?」
「僕は、宿題があるから泳ぐつもりはないんだよ」
「はあ〜〜!??」
手ぶらで半裸の鈴原君と、鞄を持ち学生服のシンジ君。
なにやら肩を怒らせている鈴原君の隣を横切って、僕はプールサイドへ向かった。
534 :
カヲル:2008/11/25(火) 22:41:23 ID:???
「…本当に貸切だね」
プール施設の屋根には、いくつも巨大な電灯が吊るされている。
50mとプールの縁に書かれている。深さは3m。大きい方なのかな、これは。
そっと水際までよって、右手を浸してみる。
「温かい。ただの水じゃないのかな」
「ちょっとファースト!待ちなさいって!!」
「…」
「あたしが最初にプールに入るんだから!」
セカンドの声が反響する。
振り返れば、白い水着を着込んだファーストと、赤と白のツートンカラーの水着を纏ったセカンドがもつれるようにやってきた。
セカンドはさらに何やら大きな荷物を持っている。
「それはなんだい?」
「フィフス…あんたもういたの?これはボンベとゴーグルと…まあそんなとこね」
「プールにはそれも必要だったのかい?」
「あたしは潜るからね。ファーストみたいにただ泳ぐだけなら水着だけでいいわよ」
言い終わるか終らないかというときに、後ろでファーストが水面に飛び込んだ。
そのままするりと水面をゆく。
僕はプールに入るのは初めてだけど、水の中にいるのは慣れている。あれくらいの芸当はできるかもしれないな。
ファーストがそこから飛び込んだのであろう、コンクリートの台座に右足をかけたところで今度は鈴原君の声が聞こえた。
「もう知らんで、ワシは泳ぐさかい」
「僕はそこで勉強してるから、水はかけないでよ」
「わかっとるわ!」
結局さっき見たとおり、シンジ君は学生服のままプールサイドにやってきていた。
彼がイス座るのを見届けて、僕は水面に飛び込んだ。
535 :
リツコ:2008/11/25(火) 23:32:07 ID:???
朝の慌ただしい時間が過ぎ、一人になった私は管制塔へ来ていた。
NERVを動かす一因として、主要なメンバーとのコミュニケーションは欠かせない。
それは碇司令、冬月副司令とミサト、オペレーターの3人だが、司令と副司令は壇上にいるため、あまり話しをすることはない。
有事でない限り、二人とも司令室にこもることも多い。
今日も、二人の姿は管制塔に見えなかった。
私が入ると、忙しくない限りはすぐにマヤが私の姿を一番に見つけて挨拶をする。
もちろんそれに応えて、他のオペレーターを交えながらどうということのない、雑談を交わす。
それにミサトが加わったりもする。
でも、今日は各々がてんでバラバラに過ごしていた。
あのマヤでさえ、文庫本に夢中になって私の姿にも気付かなかったくらいだ。どうやらこっちも本格的な休憩時間なようね。
動き回っていたミサトと軽く挨拶をかわして、寄り掛かりながら午後の会議のための資料を開いた。
「まったく気楽なものよね」
「…休憩時間なんだから、いいじゃないの」
ななめ前に立っているミサトが独り言のように言った。
視線は紙に向いたままだが、私はミサトの独り言を返した。彼女との会話は、こんな風に始まることも多い。
536 :
リツコ:2008/11/25(火) 23:32:40 ID:???
学生時代も、私が研究中によくミサトが現れてはこんな風に視線を交差させることなく、私たちは取り留めもないことを話したっけね。
「ちがうわよ。子どもたちのこと」
「あの子たちは修学旅行に行けないでしょう?」
「まあね…今頃貸切プールを楽しんでると思うんだけど」
「プール…」
「どちらにせよ、私たちの頃とは違うわね」
昨日の夜のことを思い出した。
いきなり明日は修学旅行だけど、僕らはいけない代わりにネルフでプールなんだよとカヲルが言い出したのだった。
ああそう、と聞き流していたのだが、よく考えると考えるとカヲルは水着を持っていないはず…。
昨日の夜に車を走らせ、購入しに行ったのだ。
「プールの貸切はいつ決まったのよ」
「え?そうねえ…アスカに修学旅行の話した次の日だから、結構前だわ」
「あなた…そういうことは私にもちゃんと伝えてもらえるかしら」
視線は紙ではなく、ミサトに向いている。
こういうときは自然とそうなるものだ。ミサトはコーヒーカップを両手に持っていたが、すぐにあははと笑って謝った。
「ごみんごみん、よく考えたらリツコにも言っとくべきだったわ」
「彼、水着がないなんていうものだから大変だったのよ」
「そういえば彼は手ぶらで来たんだものねぇ」
一応、経費で彼の衣食住の大体の部分は賄えるから金銭的負担はそれほどではないのだけど。
時間はとられてしまうわ。それに考えれば考えるほど不審な彼そのもの。
精神的にも擦り減らされているのかもしれない。
537 :
リツコ:2008/11/25(火) 23:38:41 ID:???
レイについてはすべて知っているも同然なので、そんなことはないのだけれども彼女も世間知らずなところがある。
掃除や料理は全然できないし…掃除はカヲルが行っているようだけど。
料理はいつも出来合いのものを外から調達している。
今夜は何にしようかしら…栄養バランスが偏っているわよね。
レイが動物性蛋白質を毛嫌いするのだから、総菜の中でもコロッケやトンカツなどは選べない。
ベーコンやハムなどはどうなんだろう。それが食べられるのならばピザという選択肢が生まれる。
しかし出前は金銭的負担が大きいし…
「それじゃアタシ、そろそろ戻るわ」
「!…ああ、そう…それじゃ午後の会議で」
別れ際のミサトの表情は、少々暗いものだった。
修学旅行は私たちの時代になかったけれど、それが原因かしら。
…確かに、あの頃の私たちは悲惨なものだったかもしれないけど、今のチルドレンはもっと悲惨なのかもしれないわね。
学生としての楽しみがないどころか、全人類の希望を背負って戦いに赴いている。
それは仕方のないことなのだけれども。
ミサトはマジメだ。変に責任を感じているのだろうか。
538 :
リツコ:2008/11/25(火) 23:45:48 ID:???
それにしても…そんなことに気づかないほど私はミサトを見ていなかったのだ。
いつの間にか思考が手に持っているコピー用紙から夕飯へとシフトしてしまっていた。
こんなことは今までにない経験。やはり生活環境が変わると仕事にも影響が出るものね。
思えば、これほど劇的な変化があっただろうか。
少女時代から大学進学までは家族と暮らしていたけど、母をはじめ家族は家を空けることが多く、家では私一人になりがちだった。
大学では下宿をしていた。もちろん一人だ。
それから今の三人暮らしが始まるまではずっと一人暮らしだったのだ。
一人のときは気楽なものだったけれど、いきなり二人の中学生を養うとなると大変だ。
二人とも中学生なのだから、幼児のような煩わしさはないけれどそれでも負担は大きい。
もともと私の仕事はハードワークだ。…タバコの本数も増えているような気がする。
「はぁ…私も戻ろうかしら。誰も気づいていないみたいだしね」
オペレーターたちはまだそれぞれ有意義な時間を使っているように見える。
思考が空転し始めた私は、自分の研究室に戻ることにした。
愛用のPCと、白い壁。愛用のマグカップ。それに包まれている方が、ここにいるよりも仕事に集中できるでしょう。
イスラフェル来襲から、さまざまなタイプの使徒に対応する必要が出てきた。
まさか分裂するなんて…それにより、戦自研とは違うコンセプトのもと、現在特殊武器を開発部は企画、プロトタイプを製作している。
エヴァの損傷はもう完全に回復し、今はそちらに注力している。
もちろんATフィールド発生要因やシンクロ率について、なんていう項目は減らずむしろ増えているわけだが。
日に日に忙しくなるが、私はなんとなくアクセルを踏めずにいる感覚を覚えている。
539 :
リツコ:2008/11/25(火) 23:54:25 ID:???
いや、むしろアクセルを踏んでいるのに前に進まない感覚、というべきか。
このままではいけない。
スリープ状態のパソコンを立ち上げると、先ほど管制塔でアナウンスされていた内容が目に飛び込んだ。
浅間山地震研究所からのデータ。不審な影…不審とはつまり、使徒の疑いがあるということだ。
画面を注視する。背もたれに体を預ける。
このような情報は時々やってくるが、今回は本能的に何かいつもと違う感覚をかぎ取った。
捕えきれない危機感。ようやくギヤがドライブに変わった気がした。
午後の会議の中で、このことを話すことにしよう。
幸いにも、現在「使徒ノ疑イ有リ」とされている情報のなかで確認されていないものはこれだけだ。
しかし、火山の中にも使徒は現れるのだろうか。
海と空からは今までに来たことがある。地中から責められる場合も考えなくてはならない。
仕事が仕事を呼ぶ状態だ。でも、私にはそれが似合うと思う。今は仕事に没頭しよう。
そして実際、午後の会議でミサトが現地調査に行くことになった。
ミサトはめんどくさがるかと思ったが、二つ返事で了承した。
彼女も仕事を求めているのかもしれない。そして次の日の正午、A-17が発令されることになる。
540 :
カレー:2008/11/25(火) 23:59:10 ID:???
三か月以上も放置…してしまった…すいません。
少しづつ書きためていこうとしていたのですが、どうやら自分、一気に書くタイプみたいです。
先日までの三連休のうち一日ほど時間が使えたので、その中で一気に書き上げて投下しました。
推敲が不十分なんで、最初の加持のあたりの文章とか歯切れ悪いですなあ…
PCがクラッシュした際にプロットもどきもクラッシュしてしまって、執筆がかなり滞りましたが
一応月一ペースでの投下には戻れるはずですので。
期待してくれてたひとありがとうございます。
>>540 乙カレー
戻ってきてくれてありがとう
続きをwktkしながら待ってる
543 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/26(水) 03:00:47 ID:nvhdXzzA
乙カレー様です!
待ってました!今一気に読んだよ
超乙
トウジも一緒にチルドレンしてるのが嬉しいなあ
パソコンの件はご愁傷様ですorz
545 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/11/26(水) 16:14:47 ID:NEfG2Ez6
いつの間にかカレーキテター!!
激しく乙乙乙
>>540 乙カレー様です
ご自分のペースで続けていただきたいです
楽しみにしてます
保守
カ&レ「おかえりなさい」
残業を終え帰宅すると、2人が玄関で出迎えてくれた。
リ「ただいま」
リビングに向かいながら、ニコニコとカヲルが話し始めた。
カ「今日シンジくんの家でファーストとケーキを習って作ったんです。」
リ「あら、凄いじゃない。」
カ「それで初めてにしてはうまくいって、シンジくんが箱に入れて持ち帰らせてくれたんです。もしよければ食べませんか?」
リ「……そうね。せっかくのクリスマスだし、みんなで食べましょうか。」
私がそう返事をするのを待っていたのか、レイが少し微笑みながら「良かった…」と小さく呟いた。
カ「そう言ってくれると思ってファーストと飾り付けして待ってたんですよ。」
そんな事を言う2人を見て、子供らしくクリスマスにウキウキとしているのが可愛らしいと思いながらリビングのドアを開けた。そこには…
http://imepita.jp/20081222/806100 部屋の飾りはミサトの家のシンジくんの物を参考にしたのだろう。確かにクリスマスらしい。
しかし、あのケーキに刺さっている物は…。
リ「…ケーキにさしてあるのはお線香よね?」
カ「あぁ、ロウソクが見当たらなくて色々探した結果の代用品です。それより〜…」
その後カヲルはシンジくんとのケーキ作りについて色々と話し、レイは褒めて貰えるのを待っているようだった。
私は呆然としながら明日、本屋でお線香がどういう法事等で使われるか分かりやすく書かれた本を探して絶対2人に読ませようと思った。
クリスマスの話が思い付いたので…。話を文字にするのは初めてなんでヘタクソですいませんm(_ _)mそして絵もへたくそで申し訳ないorz
カヲル「べははははは!!俺は天才だぁ!!」
レイ「・・・・・・・・何が言いたいの?」
リツコ「厨二病よ」
リッちゃんの表情良いなwww
いかにも変わり者の子供二人に手を焼いてる感じで。
レイ・カヲル「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」」
リツコ「あけましておめでとう。今年もよろしくね。ところで、今日のカレーには何故お餅が入っているのかしら?」
レイ「・・・おぞうに」
カヲル「正月には餅を入れたお雑煮を食べると聞いたので、作ってみたんですよ」
リツコ「・・・・・・そう」
カレーww
でも、イケると思うよ。
558 :
レイ:2009/01/08(木) 03:50:25 ID:???
修学旅行、二日目。
でも私たちは行けない。代わりに、今日から登校しなければならない。
昨日はプールへ行けたのだけれど、今日は学校で自習。
私は渡されていた問題集を解いていくことになっているわ。
以前行われたテストはまあまあの出来だった。そのテストをもとに自習のスケジュールが組まれている。
「ねえシンジ…」
セカンドは漢字書き取り1000問。
碇君は理科と数学の課題プリント。
「あたしの分半分やってくんない?」
「え…ダメだよアスカ、アスカの課題でしょ?」
「もう手が痛くて動かないのよー」
朝登校してから、ずっと教室で自習が続いている。
先生は入れ替わり立ち替わりでやってきて、今は教壇に誰もいない。
沈黙が支配していた教室だったけど、セカンドが打ち破ったので今はみんなセカンドの方を見ている。
そのなかの一人、鈴原トウジが今度は声を発した。
「そうや、惣流の言うことなんて聞かんでええでシンジ」
「アンタは黙ってなさい」
「それよりセンセ、ここ教えてくれへんか…」
「理科ならアスカに聞きなよ。昨日僕に教えてくれたし」
「あの熱膨張の問題でしょ?あれくらい解けて当然じゃない」
「熱膨張ちゃうねん。というか理科ちゃうねん」
立ち上がり、碇君の机の横まで鈴原君が移動していった。
559 :
レイ:2009/01/08(木) 03:52:52 ID:???
手には数学の問題集。鈴原君の課題は私たちチルドレンの中でもっとも多く広いものみたい。
彼はあまり勉強が得意じゃないと思う。
フィフスはほぼ自習だった。頬杖をついて三人の成り行きを見守っている。
私と同じように。
「えっと…この問題はこっちのページにある公式を使うんだよ。そうすれば」
「なんでアタシはほっといてバカトウジ手伝ってるのよ。アタシの言うことを聞けないわけぇ??」
「だってアスカはどこがわからないとかないじゃないか…それに僕がやったら字が違うからバレちゃうよ」
「頑張って似せれば大丈夫よ。イタタ…」
右手を左手で揉みほぐしているセカンド。
さっきから机に伏しているようにして漢字を書き続けていたが、姿勢が無理だったのかしら。
余計な力が入っていたからか、手が痛いというのは本当のようだった。
結局セカンドは碇君に頼るのをあきらめて、一人静かにしかめっ面のまま右手をもみほぐしていた。
フィフスももうこの三人に興味を失って、空いている手でペン回しの練習を必死にしている。
でも全然成功していない。
課題に取り組もうと思った時に、携帯電話の振動が制服のポケット越しに伝わってきた。
私の携帯電話が鳴ることはほとんどない。非常招集以外は。
「非常招集…」
「え…本当?」
「たぶん」
反射的に非常招集と口に出していた。
確認のため、携帯電話を取り出す。
非常招集だった。
詳細はジオフロントに行ってみないとわからないけど、使徒だと思う。
「非常招集。ネルフに行きましょう」
「ほんまかい……使徒っちゅうやつか?」
「わからないわ」
560 :
レイ:2009/01/08(木) 03:56:13 ID:???
返事をしながら机の上にある問題集や筆記用具を片づける。
私に釣られるように、他のチルドレンも鞄を開いて片づけを始めていく。
学校を出ようというときに、碇君が私たちを呼び止めた。
「あの、一応先生に一言…」
「何言ってんのよ、非常招集よ!??そんなの後回しでいいわよ」
「でも…」
「待って。僕にいい考えがあるよ」
教室の出入口の前で頓挫している中、フィフスが一人抜け出して黒板の前に立った。
そしてチョークを一本つまみあげ、カツカツと黒板に字を書いていく。
それが終わると、彼は黒板からこちらに顔を向けて言った。
「ほら、きみたちも署名しないと」
「ええ、そうするわ」
「…これで大丈夫なのかな…」
「何もないよりいいでしょ、それより急ぐわよ」
「使徒…ついに、使徒と闘うんか…」
私たちがいなくなった教室の黒板には、真中に「非常招集につき早退します」という文字。
その周りに、色とりどりのチョークで私たちチルドレンの名前が書きなぐられていた。
561 :
レイ:2009/01/08(木) 04:01:13 ID:???
ネルフに到着すると、ジオフロント内部の会議室に通された。
私たちチルドレンは横一列に並べられ、正面には束になった紙を持つ赤木博士。その隣に伊吹二尉。
足元にはプロジェクタの電源が入っており、暗いままだが僅かに光を発している。
その僅かな光が、私たちを足元から照らす。
「それでは今回の作戦概要を説明します。足元のスクリーンを見て頂戴」
カシャカシャという音を立てながら、オレンジ色の中に黒いノイズが混じった画像がいくつか展開される。
そしてその中から、だんだんとあるものが浮かび上がっていく。黒い楕円形の何か。
「何、これが使徒なの?」
「ええ。でもこれは正確には使徒になるまだ前の卵、さなぎみたいなものね」
「どうして映像がいつもとこんなに…赤外線?」
「説明がまだだったわね。この使徒は浅間山…マグマの中で発見されました。そして今回の作戦内容は使徒の捕獲よ」
赤木博士が紙の資料から目線を私たちの方へ向ける。
思わず姿勢を正して、その内容に聞き入る。今回は使徒の殲滅ではなく、捕獲が作戦内容…
「浅間山火口からマグマ内へ沈降、そして使徒を捕獲した後地上まで上昇。有事の際には作戦内容を使徒殲滅に変更しますが、絶対的優先課題は使徒をできるだけ完全に近い形で生きたまま捕獲することよ。作戦担当者は…」
「はいはい!私が潜る!」
セカンドがいきなり手をあげて、一歩前に出た。
562 :
レイ:2009/01/08(木) 04:05:17 ID:???
赤木博士はすでに目線を資料に移し、そのまま言葉を続ける。
「アスカよ」
「こんなのカンタンじゃーん!」
「シンジ君は初号機と共にアスカの二号機と共に火口付近で待機。レイは初号機と共に本部で待機を命じます」
「あの、ワシらは…」
「鈴原君とカヲルも本部で待機してもらうわ」
「それが妥当だろうね」
「なんや、使徒見てみたかったんに」
「映像をリアルタイムで本部に流すわ。それをみてエヴァの操縦の参考にして頂戴…伝達は以上よ。A−17が発令された以上すぐに出るわよ。支度して」
そう言い放つと赤木博士は資料をわきに抱えて部屋から出て行こうと背を向けた。
それに合わせて、セカンドが私たちに言う。
「残念ねえ、温泉、行けなくって」
「温泉なんて行けるんか?」
「当然、ミサトに頼んで行かせるわよ。お土産期待してなさいね〜」
「くっそ…」
「いや、でもわからないから…」
「ねえ、オンセンてなんだい」
フィフスが私すぐ横で質問してきた。
彼が一体どこから来たのか知らないが、たまに知らない言葉があるらしくよく私に聞いてくる。
家にいる時なんていつもそう。
テレビを見ていたりするとすぐに私のところに質問が飛んでくる。
「地中から地上へわき出る温水で、普通の水とは違いさまざまな成分が含まれていて日本に多くみられるわ。薬用効果があるものが多くお風呂として使われるわ。」
「へえ…お風呂か…ネルフの大浴場とはまた違うんだろうな」
「全ッ然、違うわよ。露天の旅館でも貸し切りにしてもらいたいわ」
「浮かれてないではよ着替えてきたらどうや惣流」
「わ、わかってるわよ」
563 :
レイ:2009/01/08(木) 04:09:02 ID:???
待機命令が出ているが、私たちもプラグスーツに着替える。
セカンドと同じ更衣室で着替えるが、赤木博士も同席している。
「…耐熱使用のプラグスーツっていっても、いつものと変わらないじゃない」
くるくると体を回しながら確認しているセカンド。
私のスーツも耐熱使用だというけど、出番はないと思う。でもセカンドの言うとおり、いつものスーツと着心地は変わらない。
見た目も変わっているようには見えない。
「右のスイッチを押してみて」
資料に目を通したまま赤木博士が言う。
ぺたぺたと体を触ってスイッチを探してみたが、手首にあるスイッチを押すと、だんだんとセカンドが膨らんでいく。
「えっ…あああ…い、いやあ〜〜〜っっ!!」
セカンドがおなかから膨らんでいく。
まるでボールのようだわ。
「なによ、これえ〜〜!!」
赤木博士の表情は無表情のまま。つまりこれで問題なしということ。
今のセカンドの体型は普通の人だったら問題あり…肥満体形と言えるわ。
564 :
レイ:2009/01/08(木) 04:12:59 ID:???
セカンドは露出の多い服が好き。熱いから当然だけど。
もしセカンドがこの体系になったら、あの服は着れないわ。
「ちょっとファースト、何じろじろ見てるのよ」
「肥満体形…」
「アンタ、今何て言った??」
「弐号機の仕度もできてるわ。急ぐわよ」
赤木博士が場を牽引して更衣室から出て行った。
廊下を必要以上のスペースをとりながら歩いて行くセカンド。とても歩きにくそう。
途中ですれ違うネルフ職員が驚愕の目でセカンドを見ているが、セカンドは前だけを向いている。気にしていないふりね。
私たちが向かったのはいつものブリッジではなく、格納庫だった。
弐号機を浅間山まで輸送しなければならないから、そこに行くのは当然。
いつもはそこにおとなしくいるはずのエヴァだったが、今日は見慣れない姿をしている。
「きゃああーー!!なによぉ、これぇ〜〜っっ!!!」
「耐熱耐圧耐核防護服。極地戦用のD型装備よ」
「…これが…あたしの弐号機……?」
昔見た、宇宙服のような装備を装着した弐号機を見上げるセカンド。
その背中に、笑い声が浴びせられた。
「ぎゃははははは!!なんやそのカッコ!!」
「アスカ…その…ごめん」
「な、何笑ってんのよ!!…」
振り返って、先に到着していたチルドレン…碇君と鈴原君、フィフスを指さすセカンド。
碇君は苦笑いというか、笑いをこらえているみたい。鈴原君は文字通り爆笑。
フィフスはセカンドを見ないで、自分のプラグスーツをさっきのセカンドのように体を回しながら見ている。
自分もああなるのかもしれないと思っているみたい。
565 :
レイ:2009/01/08(木) 04:16:01 ID:???
「いやだ!!あたし降りる!!こんな姿で人前に出たくない」
「アスカ…」
「こういうのはシンジの役目でしょうが!!」
セカンドが碇君の方を指さす。碇君はもう笑っていないけど、鈴原君はまだ笑っている。
その声が響き渡った後で、別の声が響き渡る。
「残念だなぁ、アスカの勇姿が見られると思ったのに」
「加持さん??」
加持さんだった。いつの間にか、上段の手すりに体を預けてこちらを見ている。
セカンドは何か言いながら出入口まで走り抜けてしまった。
こんな格好じゃ恥ずかしくて出れないとかわめいている。
駄々っ子。
「困りましたね…」
「そうねぇ…」
顔を見合わせる伊吹二尉と赤木博士。
A-17が発令された以上、すぐに行動すると言っていた。時間がない。
「…私が弐号機で出るわ」
加地さん、が出てきてから静かになった中で、何か言おうとしていた碇君より先に私が手を挙げた。
セカンドができないなら、私が。
赤木博士の反応を見ようとしたとき、急に上げた右手を払われた。
「あなたにはアタシの弐号機に触ってほしくないの!悪いけど!」
セカンドだった。
566 :
レイ:2009/01/08(木) 04:20:00 ID:???
私を見ている。そして赤城博士の方へ向き直った。
「ファーストが出るくらいなら、私が行くわ」
かっこ悪いけど…と静かに続けたセカンド。
私は払われた右手の甲を見た。かっこ悪い…使徒殲滅となんの関係もない。
セカンドの横顔を見つめる。その視線は私の方ではなくて、弐号機に向けられていた。
567 :
レイ:2009/01/08(木) 04:22:22 ID:???
それから私たちは、碇君とセカンドが初号機、弐号機と一緒にUNの飛行機によって運ばれていくのを見送った。
会話はなかった。鈴原君が切り出すまでは。
「いってもうたな…」
飛び立った飛行機を管制塔で見送る。作戦状況はここのモニターに映される。
葛城一尉や赤木博士、伊吹二尉を始めとしたオペレーターもみんな、浅間山へ行った。
残されたのは私たちチルドレン3人と、碇指令、そして冬月副司令だけ。
「作戦開始までまだ時間があるけど、僕らはここで待機命令が出ていたよね」
「作戦は1500からよ。まだずいぶん時間があるわ」
「ヒマやな…」
管制塔は、人が違ってもオペレーターがついて何か作業をしている。
上段にいる司令と副司令も、いつもと変わらない。
しかし、これから始まる作戦の直前だからか、いつもより空気は張り詰めている。
「なあ、何か飲み物でも買うていかんか?」
「いいよ、ファースト、君は?」
「私は…」
「このまま立っていても疲れるじゃないか、大丈夫だよ、時間には戻るから」
肩を抱かれてそのまま引き寄せられる。
フィフスのいいように自動販売機まで連れて行かれた。
ベンチに腰かけている後姿。
「君たちか…お留守番だったね」
「加持さんですか」
フィフスが私から離れて、彼のところへ行く。
いつの間に面識があったのだろう。フォースもフィフスに遅れて彼の所へ行く。
カレーきたああああ!!!途中で切れてる感じだけどアク禁?
ようやくストーリーが動き出しそうな予感…続きwktkしてまってます
569 :
レイつづき:2009/01/08(木) 21:24:23 ID:???
「加持さんは浅間山へいかへんのですか?」
「俺は仕事がないからな。ここでコーヒーを煽るくらいしか今はやることがないのさ…なにか欲しいものがあるかい」
「おごってくれはるんですか!」
「ああ、レイちゃんもどうだい?」
立ち上がって、自動販売機の前まで歩いて行った。
セカンドを焚きつける発言をしたけど、実際は彼は現場にいない。
だまされてるのね、セカンド。
「どれがいいかな」
自動販売機のボタンを押す直前のポーズをしたまま、こちらを向く。
私はのどが渇いていないのだけれど。結局オーソドックスにオレンジジュースにした。
それを手にして、加地さんを中心にベンチに座って話す。プルタブが固い。
「そういえば加持さんて何の仕事してはるんでっか?」
「気になるかい?まあ使徒殲滅とは関係ない仕事だよ」
「事務かなんかでっか」
「それとは違うけどな…俺の肩書を見ればわかるよ」
加地さんの肩書…なんだったろう。
確か所属は特殊監査部だったと思う。
ドイツでセカンドの監督としていて、その前は大学生…赤木博士がそう言っていた。
それに指がいたいわ。
「二人共はここでの暮らしには慣れたかい?」
「ええ、おかげさまで」
「でも使徒の戦闘は未経験だ。よく観察しておくといい」
私の手からオレンジジュースを取って、プルタブを空けて私の手に戻した。
その間も、ずっと二人のチルドレンに話し掛けている。
私はその内容を、オレンジジュースを飲みながら聞いていた。
570 :
レイ:2009/01/08(木) 21:46:14 ID:???
そのまま、三人の話は続いた。でも、時間は刻々と過ぎていく。
「おや、そろそろ時間だね」
「そうかい?じゃ、俺も動くかな」
立ち上がり、ゴミ箱まで歩いた。そのまま、加持さんと別れて管制塔へ行った。
私にはあまり話しはふられなかったけれど他の二人とはよく話していた。
ネルフの職員として、新たなチルドレン二人を気遣っているのね。きっと。
管制塔は、先ほどと変わらない空気が支配していた。
加持さんと話していた時とは違う空気。もっと固い。
管制塔の中央モニターには、クレーンが映っていた。
そして吊るされている弐号機。あれを利用して、火口へ沈降するように見える。
初号機がその傍に待機している。紫色の機体は、遠目からでもすぐにわかる。
「赤城博士やミサトさんはあの車の中だろうね」
モニターの端に、フィフスの言ったように作戦本部が映されていた。
その周りには、白い屋根をもつテントがいくつか見える。
作戦が始まるまで、あと10分ほどあった。
モニターを見渡している私たちの後ろに、誰かが近づく。
「おお、戻っていたのか」
冬月副司令だった。
571 :
レイ:2009/01/08(木) 21:55:53 ID:???
碇指令は管制塔の上にたたずんでいる。
「作戦内容は使徒の捕獲だが…今後の使徒殲滅の参考になるかもしれん。わかっているな」
「はい」
それだけ言うと、碇指令の所へ行ってしまった。
私たちはおとなしくその場で、モニターを見ている。
「今ん副司令やろ…なんかでかいなあ…」
「碇司令より大きいわ」
「そうなんや…」
「最終チェックに入ったみたいだね。作戦が始まるよ」
フィフスが私たちに向けて言う。
クレーンには、弐号機ではなく四角い箱が吊るされている。
そこからレーザーがマグマの中へ打ち込まれ、そしてそれと入れ違いになるようにアームを持った弐号機がクレーンの先へ。
葛城ー尉の、発進という声がスピーカー越しに聞こえた。
572 :
カヲル:2009/01/08(木) 22:13:09 ID:???
僕が使徒をみるのは、今回が初めてだ。
シナリオ通りといってもいいが、まさか胎児の状態で発見されるとは思わなかった。
二つ前の使徒、ガギエルも予定より少々早い襲来だった。
修正はできているようだけど、また狂いが生じるかもしれない。そのために僕はここにいる。
作戦が遂行された。
「見てみて〜シンジ!ジャイアントストロークエントリー!!」
D型装備を纏った弐号機が溶岩中へ侵入していく。
火口付近で待機している初号機のシンジ君は、呆れ顔だ。
「始まったでえ…」
「使徒との予定接触地点までまだ1000以上あるわ」
隣のチルドレンは、緊張した面持ちだ。
そして作戦が始まった直後から、僕たちがいる管制塔は不思議な空気に包まれている。
歩きまわる人はおらず、それぞれのオペレーターがコンソールを前に作業を行っている。
ここは作戦本部ではないが、それぞれネルフの職員は作戦を支える重要な歯車の一つなんだろうね。
そして、それを見守るのが、頭上にいる碇ゲンドウ。
副司令の冬月コウゾウの口が動いているのが見えた。だが、内容までは聞き取れなかった。
彼らは何を思っているのだろう。
使徒の捕獲を断行しているところを見ると、委員会もそれをよしとしているのは見える。
使徒の正体の解明をネルフは急いでいるみたいだね。
僕も使徒だということだけど…僕自身のことなんて興味がない。
そもそも、使徒は独立した存在。リリンが理解できるものとは思えない。
…たとえ知恵の実を手に入れていたとしても。
573 :
カヲル:2009/01/08(木) 22:24:18 ID:???
「目標予測地点です」
オペレーターの声がする。
ようやく、生きている使徒を見られると思ったけど、モニターには何も映っていない。
予定より使徒は流されたらしく再計算をしながら、弐号機は潜っていく。
「限界深度、オーバー」
「目標とまだ接触していないわ。…続けて」
葛城一尉の声の後に、セカンドの余裕そうな声が聞こえる。
クレーンは限界など知らないように、均等なスピードでワイヤーを降ろしていく。
管制塔の人々も、変わらず緊張した空気の中で作業を続けている。
「なあ…大丈夫なんか?限界超えとるんやろ!??」
「ええ」
「エヴァがぶっこわれたら、どうするんや」
「使徒を見つけるまで、作戦続行だもの。弐号機のことは後回しよ」
「そないな事…!!」
ファーストは、いつものように冷静そのもの。僕もそうだ。
今回の使徒が倒されることはシナリオに書かれている。だから安心してこの状況を僕は見れているのかもしれない。
でも鈴原君は感情的に、今の状況を危機的状況だと捉えている。
ここにいる人の誰よりも、彼は感情的だった。
言葉に答えたファーストに向かって、まくしたてようとする鈴原君。
確かに、弐号機に何かあればセカンドが心配だろう。
そんな考えが浮かんだ時、僕と鈴原君の肩に手が置かれた。
見上げるとさっきと会った時と同じ顔がある。
加持リョウジ。
574 :
カヲル:2009/01/08(木) 22:36:28 ID:???
「鈴原君、今は落ち着いてモニターを見るんだ」
「そないな事言うたって」
「ネルフとエヴァは、使徒殲滅の為に存在している。それができなければ、俺達の存在理由も無くなるからな…それに」
「それに?」
「葛城はそんなに無責任な奴じゃないさ。大丈夫、信じるんだ」
加持さんと同時に、モニターを見る。
相変わらずオレンジ色一色の世界に、動きがあった。
黒い影が鮮明に映りだしていく。
「…いた…」
「目標を映像で確認」
「捕獲準備」
弐号機の持つキャッチャーが伸縮し、捕獲体制に入るようだった。
しかし、僕の注意は使徒に向かっている。
使徒…アダムより産まれし、天使の名を持つ、リリンの忌むべき存在。
そして僕と同じであり、まったく別の存在。
われらの母たるアダムへの回帰を目指して、産まれるはずだった存在。
このまま捕獲されてしまうのかい?
それはおそらく…ない。シナリオでは、消え去ることが義務付けられている。
僕が彼に会うことはない。
「電磁柵展開、問題なし。目標、捕獲しました」
「…終わったんか?」
管制塔の空気が一変する。
575 :
カヲル:2009/01/08(木) 22:40:06 ID:???
使徒の捕獲が今回の最優先事項だったから、それが遂行された今、作戦の半分以上は終わったとみているみたいだ。
このままクレーンが逆回転を始め、弐号機と捕獲された使徒を引き上げていく。
ゆっくりと。
それをまだ、僕は作戦開始の時と変わらぬ気持ちで見つめていた。
「…まだ、作戦は終わっていないわ」
そう、まだ作戦は終わっていない。ファーストの言うとおりだ。
おそらくこの後、使徒は倒される。
それがどういったやり方なのかは分からないけど、おそらくエヴァによる殲滅。
このまま柵の中でおとなしく捕まっているはずはない。
「…レイちゃんの言うとおりだな。まだ捕獲作業は終了してない」
「火口から引き揚げるまでは少なくとも終了ではないわ」
「まあ、そうやけどな…」
「このまま使徒が大人しいままといいんだけどね」
でもそうはいかない。
瞬く間に使徒の姿が変わり、キャッチャーは寸断される。
シナリオ通り。
そして使徒は溶岩の中へ消えていった。でも反応はある。
作戦が使徒捕獲から使徒殲滅へ変更される。
再び、さっきよりも緊迫した空気が管制塔を覆う。
僕とファーストだけが、動かずモニターを見ている。
ファースト…ひょっとして、君もシナリオを知っているのかい?
まさかそんなことはないと思うが、碇司令に近しい存在ならその通りかもしれない。
まぁ、どちらにせよ僕らはここで見ていることしかできない。
バラストを開放し、使徒の第一撃を回避する弐号機。セカンドは使徒を睨みつける。
別のモニターでは、UNの飛行機がN2爆弾の投下準備に入った。
シンジ君も臨戦態勢に入ったのか、姿勢をやや低くし、火口のぎりぎりまで近づいている。
576 :
カヲル:2009/01/08(木) 22:46:01 ID:???
使徒。アダムより産まれし、天使の名を持つ、リリンの忌むべき存在。
それは逆に、使徒にとってもリリンは忌むべき存在。
使徒の二回目の攻撃が、弐号機を捕えた。
577 :
シンジ:2009/01/08(木) 23:02:17 ID:???
僕は、今回の作戦は火口付近での待機命令が出ていた。
有事の際、アスカのサポートおよび使徒殲滅のためだ。
初号機にD型装備をつけることはできないから、いつもと同じ装備のまま立っていた。
すぐに始まる捕獲作戦。
…父さんの呼び出した、N2爆雷を積んだ国連の飛行機が見守る中、アスカはおちゃらけながら溶岩の中へ消えていく。
作戦が遂行されている間、僕は黙っていた。
僕が口を出すことはない。出しても、アスカやミサトさん、リツコさんの邪魔をするだけだ。
それに…アスカのことだ、殲滅じゃなく捕獲くらいなら、簡単に済ませられると思っていたんだ。
「きゃあぁーっっ!!何よこれーっ!!」
リラックスしたムードのアスカから流れる声。
モニターからでも確認できた。捕獲された使徒が、殻の内部でうごめいて、混ざっていく。
そして他の職員たち、ミサトさんやリツコさんの声も、プラグ中のスピーカーを通して僕の耳に伝わる。
緊急事態だ。火口のぎりぎりまで、僕はエヴァを走らせた。
「ミサトさんっ!!」
呼ぶが、返事はなかった。
モニターには、キャッチャーを破った使徒が弐号機に向かって手を伸ばす姿が見えた。
「作戦変更、使徒殲滅を最優先。弐号機は撤収作業をしつつ、戦闘準備」
「待ってました!」
アスカはいつもどおりのアスカだ。自信満々で、使徒を迎え撃つつもりだ。
僕は見ていることしかできないけど、使徒を倒さなくちゃならない。
使徒はキャッチャーから飛び出し、一度距離を置いて弐号機と対峙する。
モニターからは、使徒の姿が正面にある。アスカは何も言わない。集中しているのがわかった。
その沈黙の中、相変わらず旋回を繰り返している、国連の飛行機の音がした。
…そうだ、ここで使徒を殲滅しないと…みんな死んでしまう。
578 :
シンジ:2009/01/08(木) 23:06:32 ID:???
「バラスト放出!!」
一瞬のうちに、使徒の攻撃が始まっていた。
アスカは間一髪のところでよける。しかし、電子音と共にその使徒の姿は消えた。
アスカの言うとおり、見逃したんだ。
「アスカ、今のうちに初号機からナイフを落とすわ。受け取って」
「了解!」
直接ミサトさんからの指示はなかったが、僕のやるべきことはわかった。
ナイフを取り出し、振りかぶる。
その間に、アスカが沈降する前に照射されたビームが打ち出された。
日向さんの声。
「シンジくん、そのビームに沿ってプログナイフを投げ込むんだ」
「わかりました」
思いっきり、ナイフを溶岩に向けて叩き込む。
アスカにしっかり届くだろうか。届かなかった時は、どうすればいいんだろう?
祈りながら、僕は溶岩中へ垂らされているワイヤーを睨んだ。
電子音がまた、響く。
「使徒、急速接近中!」
「いやぁ〜っこないでぇ〜っ!!ああ〜ん、早く来てぇ〜っっ!!」
ぎゃあぎゃあわめくアスカに、ナイフが到達する。
579 :
シンジ:2009/01/08(木) 23:18:05 ID:???
そしてその直後に、使徒が襲いかかる。ナイフで受け止める弐号機。
「しまった!」
でも、もう一本の手が弐号機の左足を掴んだ。冷却パイプが一本、引きちぎられた。
D型装備は見るからに格闘戦には向いていない。
僕の見る映像は弐号機からの映像だ。目の前には使徒の姿がある。
その使徒が、口を開けて弐号機に噛みついた。
「まさか、この状況かで口を開けるなんて…」
「信じられない構造ですね」
リツコさんとマヤさんの落ち着いた声。
そうだ、落ち着くんだ…僕がここで焦ってもしょうがないんだ。
LCLを吸いこみ、深呼吸のようなことをする。
アスカの唸る声が聞こえる。アスカが地上まで出てこれれば、僕にも何かができるかもしれない。
それまで、僕はD型装備のアスカの戦闘のアシストと、火口まで安全に離脱できるように準備をするくらいしかない。
「左足損傷!」
「耐熱処置!…こんちくしょおおおお!!」
使徒の腕を受け止めていたプログナイフを、今度は使徒本体に向かって突き立てる。
ガンガンと使徒の装甲を叩く音がするが、ダメージは確認できない。
その間にも、D型装備の装甲は確実に使徒にやられていってしまう。
「高温高圧…これだけの極限状態に耐えているんですもの、プログナイフじゃ駄目だわ」
「では、どうすれば…」
高温高圧……そうだ。
580 :
シンジ:2009/01/08(木) 23:22:42 ID:???
アスカが僕の思考とほぼ同時に、さっきのやつ!と言った。
アスカも気づいたんだ。
三番パイプを切断し、使徒の突っ込む。
「…なるほど…熱膨張ね」
リツコさんの声。そう、熱膨張だ。
冷却液の圧力を三番に集中しろ、とアスカの命令が来る。
冷却液…確かに三番だ。その隣のモニターに目をやると、アスカが火口近くにまで上がってきていることがわかった。
熱膨張による攻撃がうまくいくかは分からないけど、アスカをうまく地上に引き上げなくちゃ。
クレーンは使徒の重みにも耐えているけど、どうなるかはわからない。
「こんのおおおお!!」
冷却液は三番に集中した。
そして使徒を逃さないように、プログナイフを使徒に突き立てる。
…逃がしたら、後はない。もがき、左右に揺れる使徒と弐号機。
風船のように、使徒の体が膨らんで変形していく。それは弐号機の視点からでもわかった。
きいてる。アスカはまだ上がってこない。
モニターを見るに、深度はあと300をを切るところだ。
もう少しで、アスカが出てくる…
そう思った途端、ケーブルの断裂反応が出た。
目線を違うモニターに映す。
あの膨張し始めていた使徒は、崩れ落ちながら弐号機から離れていった。
それを見送る前に、上を向く弐号機。ケーブルが引き裂かれている。
三番の冷却液が流れ出ている。
「バカ…無理しちゃって」
アスカの声が聞こえた気がした。
581 :
ミサト:2009/01/08(木) 23:51:24 ID:???
使徒捕獲には失敗。その後作戦を使徒殲滅へと変更。
結果、使徒殲滅。
初号機小破、弐号機中破。
第参新東京市の被害は無し。
「まあこんなところよね…多分」
今回は危なかったかもしれない。
我ながら、ちょっと無理させたかな…とも思う。
けど結果オーライ。被害は弐号機と初号機だけだし、被害者はゼロ。
D型装備は大破したけどね…アスカもシンジ君もダメージはなかったし。
リツコは使徒のサンプルが手に入らなかったから残念がっているけどそれは仕方ないわよね。
今までの使徒の解析だってまだ終わってないんだし、これ以上技術開発局の仕事を増やしたくないわ。
「はあ〜いミサト、いる〜?」
「ミサトさ〜ん」
愛車ルノーの中でよりかかっていたところに、今回の作戦に関わった二人のチルドレンがコンコンと窓ガラスを叩く。
横眼で二人の顔を見る。二人とも、プラグから出た後に一度シャワーを浴びてもらったから、制服姿。
車に乗るように促す。
「ちゃーんと約束、果たしてもらうわよ」
「はいはい。もう旅館は押さえましたー。モチ経費でね」
「いいんですかミサトさん、そんな使い方で」
「いーのいーの、じゃ…シートベルトして掴まってんのよ」
と言ってもまだネルフの管轄内だから、派手な運転なんてできないんだけどね。
検問を抜けるまでは安全運転徐行運転で進む。
ここでリツコあたりに見つかったら、せっかくの温泉がパアだから仕方ないけどね…
582 :
ミサト:2009/01/08(木) 23:54:53 ID:???
「ミサトさん、今日はすごく安全運転ですね」
「今だけよ。ここ抜けたら一気に加速してやるんだから…」
「早くしてよねー。…あ、加持さんからだ」
アスカが携帯電話を耳にあてた。
加持?なんであいつが…アスカを褒めるのかしら。
いいタイミングだわ。ここにいるはずはないんだけど、アスカの手が空いた途端に電話してくるなんて。
前々からこういうところは外さないのよねー…
「もしもし加持さん?…うん、うん…でっしょぉ〜!!」
何を言っているのかわからないけど、アスカの携帯電話から加持君の声が漏れてくる。
アスカは上機嫌だし、このまましばらくしゃべってくれるとありがたいわね。
シンジ君はおとなしく座っているけど、退屈ではないみたい。シンジ君も日本人だし、温泉はやっぱ好きよね。
検問の前まで来ても、アスカは加持君とまだ話していた。
まあ顔パスよね。そのまま少し入りこんだところまで入っていく。
検問を抜けてしまえば、運び込まれた機材による騒音は存在感を消していく。
それと反比例して、アスカと加持君の声が聞こえてしまう。
「加持さんにもナマで見てもらいたかったなー…あ、でも作戦終了後はあんまり会いたくなかったわ」
「アスカ…いつまで話してるのよ。舌噛むわよ」
「え、うんミサトよ。いまから温泉に行くんだー。加持さんにも来てほしいなぁ」
「バッ…アスカ、何言ってるのよ!!」
「ミサトさんッッ!!前、前!!」
アスカから携帯電話を奪って加持にまくしたてる。
583 :
ミサト:2009/01/08(木) 23:57:51 ID:???
「ちょっと加持!!」
「お、葛城か?運転中に電話かけちゃいけないぞ?」
「うっさいわね!いい?旅館に来るんじゃなわよ!!」
「貸切だってな。残念だけど俺は仕事があるから行けないよ。代わりに今度二人きりで…」
「だまらっしゃい!!」
携帯電話の赤いボタンを親指で押して、後ろにいるアスカに放り投げる。
すでに運転席に座っているから、ステアリングを両手でにぎる。
「わっとと…ちょっとぉ、ミサト!何で切っちゃうのよー!」
「文句は旅館に着いたら聞くわ。…怪我しないでよね」
下り坂にちょうど良く差しかかった。
一気に加速させて黙らせてやるわ。体がシートにめり込む感覚が心地よい。
誰もいない道路を駆け抜ける。
シンジくんをネルフに送った時以来の感触だわ。
584 :
加持:2009/01/08(木) 23:59:22 ID:???
葛城の罵声と共に、電話は切れてしまった。
最後くらいアスカにかわってやれよ、と思う。まあ切れてしまったものは仕方がない。
「ホンマに温泉行くんでっか…ええなあ…」
「そんなにいいものなのかい?オンセンって」
「貴方も、お風呂は好きでしょう?」
「好意に値するよ」
「なら、きっと気に入るわ」
そういえば俺も温泉になんてしばらく浸かってないな。
ネルフの銭湯すらほとんど使わないからな…いやはや、本当に羨ましくなってきたぞ。
使徒を殲滅した時点で、チルドレンの仕事はもうない。
だから彼らは制服姿だ。このまま家まで送ってやろう。
「もう帰るんだろう?送っていくよ。遠慮はいらない」
「いいんでっか?」
「仕事もあるからな。それに葛城の家にも用事があるんだ」
「赤木博士は今日はどうなるんだろう」
「たぶん、徹夜。帰ってこないわ」
ちなみに俺の用事は、葛城宅の愛らしいペットを旅館まで送り届けることだ。
そして仕事は…もちろん、ゼーレへの今回の作戦の一部始終の報告だ。
温泉旅行とはかけ離れた世界だな。
それに今聞いたが、渚君とレイちゃんもペンペンと同じ状況か…
「温泉旅館は貸し切りらしい。君たちも行けるんじゃないか?」
「オンセンに行ける、ということですか?」
「そうだな。そのかわりに頼まれてほしいものがあるんだが…いいかな」
ペンペンは彼らに運んでもらおう。
浅間山まではネルフの護衛に運んでもらおうか。それくらいしてくれるし護衛にとってはチルドレンが固まっていた方が都合がいい。
俺のコネもあるしどうにかなるだろう。
585 :
加持:2009/01/09(金) 00:09:29 ID:???
手配は電話一本で済む。葛城の行く旅館もすぐに調べられる。
チルドレンと同行して葛城の家に行ったあと、そのまま護衛に預けるか。
「あの、シンジの家まで来たわいいでっけど…入れるんですか?」
「まあな。一応、こういう仕事もこなさなくちゃならないんでな」
と思わせぶりなことを言いながら、カードキーを通してお邪魔する。
ペンペンの居場所はすでに知っている。
彼の城である冷蔵庫から呼び出し、抱き上げて葛城邸を後にする。
「もう少しゆっくりしたかったのに」
「おいおい渚君、一応、無断で侵入してるんだぞ。長居は無用さ」
「…私の家のほうが、広いわ」
「はよ行こうや」
その間に探らせておいた葛城の予約…ネルフ名義で、今日押さえられた浅間山周辺の温泉旅館を洗い出しておいた。
当然一件のヒット。そして呼び出しておいた護衛隊。
マンションの一階に降りると、彼らが既に準備万端で立っていた。
「じゃ、あとはよろしく頼むな」
「…責任は、とりませんからね」
「了解了解。それじゃここでお別れだ。みんなによろしく言っといてくれ」
チルドレンとペンペンを乗せて、車は走りだした。
温泉旅行、か。
リッちゃんは今回のデータ解析で忙しいそうだから、葛城がチルドレン5人の面倒を見ることになりそうだ。
葛城はひょっとしたら疲弊して帰ってくるかもな。
でも修学旅行にいけなかったのは寂しいだろう。ちょっとは、はしゃがせてやってくれ。
586 :
ミサト:2009/01/09(金) 00:12:02 ID:???
「と、いうわけで世話んなります」
「クアックアッ」
「ここがオンセンか…」
「ここは旅館よ。オンセンじゃないわ」
三人で貸切のはずの旅館が、六人と一匹で貸切になっちゃったわ。
アタシの運転でアスカはあっさりダウン。以外にもシンジ君はまだ戦えそうだった。
旅館に入ったらアタシはアスカの面倒を見て、シンジ君は部屋で待機してもらったわ。
そんななか、謎の訪問者。リツコじゃないでしょうね、と冷や汗をかいたがどうも出迎えに行ったシンジ君の様子がおかしい。
のぞきに行くと、この面子がそろっていた。
そして半分開いた旅館の扉の向こうで、ネルフ諜報部の車が静かに走って行った。
…加持君の仕業なの?
「温泉はそこを右だよ」
「クワワワ〜!!」
ペンペンが退場する。
そういえば今日は一泊する予定だったから、ペンペンをほっとくことになるとこだったわ…
チョッチ加持君に感謝。
で、この三人のチルドレンだけど。
「アンタたち、何しに来たのよ…」
「オンセンというものを見てみたくてね」
「そんな理由!??鈴原、アンタは何で来たのよ」
「おまえらだけにいい思いされてたまるかっちゅうねん。ワシかてチルドレンやぞ」
「あんた今回何もしてないじゃない!…ファーストは…いいわ…」
うつむくレイ。ひょっとして、理由があったのかしら。
アスカは横になってしまった。
587 :
ミサト:2009/01/09(金) 00:17:49 ID:???
あー…ちょっと運転ハジケすぎちゃったかしらねぇ。
また気分悪くなってきたと漏らすアスカ。
「アスカ、今調子悪いんだよ…車酔いしちゃったみたいで」
シンジ君がそうたしなめる。
…ここまで来てもらって追い返すのもなんだし、このままチルドレン5人で温泉宿泊旅行になりそう。
司令にどやされたりしないわよね…リツコが保護者だけど多分渚君やレイは放任だろうし、問題ないわよね。
「よーっし!!歓迎するわよ。温泉を存分に楽しむがいい!」
「うるさいってミサト…」
「じゃあシンジ君、部屋に案内してあげて」
「ええっ?僕どの部屋をつかっていいか知りませんよ?」
「シンちゃんの部屋に渚君と鈴原君も泊まるのよ。レイはこの部屋ね」
「はい」
「ファーストと一緒とか…嫌…」
「嫌なら家に返すわよ。レイなら静かだし、今は体調回復に努めなさい」
「わかったわよ…」
それじゃ、とシンジ君を私たちの部屋から追いだす。
アスカは敷いた布団の上で横になったまま、後頭部をこちらに向けている。
レイは立ちっぱなしだったので、座布団を取ってきて座るように促す。
588 :
ミサト:2009/01/09(金) 00:20:44 ID:???
「レイ、お茶でも飲む?」
「はい」
備え付けのティーバッグをとってきて、湯呑の放り込む。
そこにポットのお湯を注ぐ。緑茶の爽やかな、少し甘い香りが広がる。
「アスカが回復するまでもうチョッチ休憩ね。お茶菓子も食べていいわよ」
「はい」
お盆に乗っかっている煎餅を一枚とって。少しずつかじるレイ。
壁掛け時計の秒針と、レイの煎餅をかじる音。
そして少し空いた障子の窓から、セミの声といっしょに夏風が柔らかく吹き込む。
ゆったりとした時間のはずだけど、ちょっと罪悪感を感じる。
まあ、半分仕事放り投げたもんだしね…
それに、先ほどまでの使徒の捕獲、戦闘の緊張感から乖離された今の時間に対する違和感。
わたし、こんなことしてていいのかな、と思う。
使徒に勝ったのに、どうして弱気になっているのかしら。
アスカはまだ横になっている。今回の作戦で疲れたのもあるっでしょう。ゆっくり温泉に浸かってリフレッシュできるといいわね。
レイも…彼女の素生はまったくわからないけど、でも彼女のことをもっと知りたいと思うわ。
せめて、アスカともうチョッチ仲良くできないかしら。
そのきっかけになればいいのだけど。
それを作るのも、わたし自身によるところか…落ち込む場合じゃないわね。
せっかくの温泉なんだし、憂鬱でいたっていいことないわ。
エビチュも買ってきたし、温泉で一杯やりますかぁ!!
「アスカ、まだダメ?」
「ううん…別にそんなに気分悪いわけじゃないわ」
「なら、温泉はいっちゃいましょ!!」
アスカが起き上がり、レイもお茶を飲みほしてフィニッシュ。
なら、シンちゃんたちも呼んで、温泉に繰り出しましょうかねぇ!
589 :
カレー:2009/01/09(金) 00:23:46 ID:???
あけおめです。カレーです。
正月投下にカレーネタが使われてて吹いたwwwGJです。
今回調子にのって沢山書きすぎたので、投下に手間取りました…
多少脱線はあるかもですが、さくさくと進めていく予定です。
あと、このスレにどれくらい駐在者がいるのかわかりませんが、連投規制回避のために途中で何かレスつけてくれるとありがたいです。
あと今回りっちゃんの影が薄いですが簡便してくださいorz
>途中で何かレス
投下中っぽいから終わるまでレスやめとこうと思ってたw
大量投下超乙です
カレー来てた〜
やっぱ好きだわ
いつのまにか!!!
カレー乙!後でじっくり読みます
キテター!
寝る前に携帯から読むわ
うおっ気付かなかった
亀だけど乙です!
最近来たんだが
遭遇したら回避手伝います
保守
保守
保守
保守
名スレ保守
601 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/03/18(水) 23:35:52 ID:a/AspgVY
このスレまだあったんだ
保守
せめて温泉ネタは見たいよ
保守
良スレ保守
605 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/04/08(水) 11:43:18 ID:DDwnhQLr
ほしゅ!
606 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/04/10(金) 18:41:04 ID:1uIGqdFd
リツコ「私のウンチ流したの誰?」
レイ「…あの」
カヲル「流しちゃ駄目だったのかい?」
携帯の待ちキャラをぷちえう゛ぁのカヲルにしてみたんだ
シンジやアスカとかもカヲルと一緒に出てきたりする
カヲルがバイオリン弾く→猫が寄ってくる→リツコも出てきて猫に抱きつく
の流れがすごく可愛くて好き
チビ波も出てくるんだが、長女のレイも次女のレイも今のところ出てこなくて残念
本編で会話あるのに
今更ながら保守
ここが一番好き
カレーさん乙です☆
マイペースに頑張ってくださいっ
キャラ弁www
ほしゅ
611 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/05/22(金) 18:32:12 ID:k54jGsNy
>>606のつづき
遊びに来てたシンジが『流しちゃだめだ 流しちゃだめだ 流しちゃだめだ 流しちゃだめだ 流しちゃだめだ 流しちゃだめだ…
カヲル君 やります 僕が流します』
リツコ『ありえないわ』
612 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/05/23(土) 00:27:00 ID:nkYzXQXs
レ「………私、誰…。」 リ「カチッ、シュボッ……フゥ…」 カ「フンフンフンフンフンフンフンフン歌はいいね〜♪」
保守
614 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/05/28(木) 04:12:32 ID:GEz9w4JF
レイ「赤城博士…」 リツコ「家に居てまで博士って…ね」 レイ「では何とお呼び…」 カヲル「お姉様、ちょっと出かけてくるわ」 ―レイ「…お姉さ…」 リツコ「真似しなくていいのよ!」
リッちゃん
新劇でカヲルは早期登場してリツコに引き取られる…そう思ってた時期がry