血が髪にまとわりついて、まだらに赤く染めていく。
そんなシンジをみながら、もう一人の制服のシンジが、つぶやくようにいう。
「そう。なら、また未来を変えればいいんだ。流竜馬がやったようにね。
まだ間に合うよ……今から運命の歯車を元に戻して人類補完計画を発動させれば、僕ら
はLCLという一つの生命になって安息の時が得られる。地獄で苦しまずに済むんだ」
誘いかけるかのようにいう。
シンジはしばらく目をつむって思考したが、やがて、
「……だめだ」
といった。
それを受け手制服のシンジの顔が歪む。
「酔いどれ亭でみんな約束したんだ、人類補完計画は阻止するって。それに思い出せば
竜馬さんはこういう地獄のような未来を変えるためにゲッターの導き手として、エンペラー
も支配するって言っていた。
だまされないぞ、お前は僕じゃない。この世界も未来じゃない、幻覚だ」
毅然といった。
さらに表情を歪ませる制服のシンジがはあ、と大きくため息をひとつつく。
次の瞬間、瞳の中の黒目が猫のように細まった。
うっ、とそれを見たシンジが息につまる。
制服のシンジは、その細い黒目でシンジを睨み付けながら無表情にいった。
「つくづくゲッター線に触れた人間は、意思が強くなって困るよ」
「なにっ」
支援
そういうと、制服のシンジの姿がぐにゃりと崩れて球体のレリエルに変わる。
はっ、とするシンジ。
と同時に視界が一気にプラグ内のものへと戻っていく。
「やっぱり幻覚だった……くそ、僕を元の世界に返せ!!」
「ドノミチ、エンペラー二感ヅカレレバ終ワリダ。シカシ、人類補完計画ノ要デアル君ヲ
手放シハシナイ。碇シンジ」
その言葉と共に、シンジの足下を何かがカサリ、とうごめいた。
一方、同じ時刻に黒い影に飛び込んだゲッターは、凄まじい速度で影の底を飛んで進ん
だがいくら行っても暗闇が続くのみで何もない。
たまりかねて竜馬が怒号を発した。
「どこだここは!? シンジの野郎はどこにいきやがったぁッ!!」
その叫びに、ジャガー号のリツコが答える。
なにか思い当たるフシがあるようだった。
「いや、そんなはずは……でも、あるいはディラックの海。流君、ここは負のエネルギー
が無限につまった空間で理論上は……」
「俺のわかるように言え! いけどもいけども果てがねえってこたあ、異次元なんだろ。
シトめ味な真似しやがる……だが、破壊規模のことも考えなくていいわけだ。
ちと強引な手段だがしかたねえ。来い、エンペラーーッ!!」
竜馬がゲッターエンペラーを呼んだ。
すれば、突如としてブラックゲッターの視界が真っ赤に染まり、いままで暗闇だったは
ずの空間がみるみる内に赤だけの空間となっていく。
リツコもゲンドウも、なにが起こっているのか理解できなかった。
それも無理はない。
竜馬は、今このとき一つの宇宙と同じだけのサイズに進化したエンペラーを、無限空間
へ呼んだのだ。
無限なだけにエンペラーがはみ出してしまうことはないが、人間の知覚力でその大きさ
を測り知ることなどは到底、不可能なことだった。
ただ、その体色である赤の色が視界の全てとなっていくだけである。
竜馬がいう。
「リツコ、ゲンドウ。もはや目など役にたたん、心でゲッターをイメージしろ」
「イメージだと」
「そうだ。目を閉じてエンペラーを思え。そうすりゃ心で空間を見ることができる」
今度は二人が竜馬のいっていることがよくわからない状態だったが、ともかくもいわれ
たままに目を閉じて、エンペラーが無限の世界を往く姿を想像してみる。
すると。
「こ、これはッ」
「すごい。流君のいっていた、ゲッターエンペラー……なんて途方もない」
二人の脳裏に、エンペラーのイメージが流れ込み、その存在を知覚させていく。
見えたものはゲッターロボの顔。
とてつもなく巨大でそれのみで宇宙すらも飲み込むほどの大きさの、顔だった。
だが人間は対比物がないと、対象の大きさを判断できない存在だ。
だからエンペラーは彼らのイメージのなかに、宇宙を風船にたとえて、そのなか一杯に
つまった状態の自己を想像させた。
さらにその風船をやぶり、別の世界にまで浸食するイメージだ。
「エンペラーの力でシンジを探す。すでにシンジはゲッターの記憶と共にある、どこにい
ようとこの繋がりさえあれば、必ず見つけ出せる!」
「……まさか、シンジをゲッターに乗せたのはそのためか」
「それだけじゃねえ。感じてみろ、エンペラーと共にある存在を」
「むっ」
そうすると、果てしないエンペラーの側に同じように宇宙を破裂させて進む紫色の、な
にかがイメージされる。
考えてみれば、それはエヴァ初号機と同じ感覚であった。
初号機が大口をあけ、つぎつぎと宇宙を飲み込んでいく。
「これは……エヴァだと」
「そうだ。時天空を倒すのはゲッターだけじゃねえ。あらゆる時空の力が集っていくんだ
エヴァの果てにあるものもまた、そのひとつ!
それにはシンジに生きる意思がなくては……。
これは未来の可能性のひとつに過ぎん。見ろ、すぐにおぼろげになっちまう。シンジに
何か起きてるんだ」
「見つかったのか」
「ああ。一定の方向にシンジの存在を感じる。いくぜ!!」
そういうと、ブラックゲッターが赤の空間を突き抜けて飛んだ。
すぐにそれは真っ暗闇へと戻るが、しかし、その中に一点だけ光る場所があるのが見え
てきた。
「あれだッ」
竜馬がいった。
瞬く間に近づいていき、初号機の姿が見えたかと思うとすでにゲッターはそれを抱きか
かえるようにして飛んでいた。
支援
初号機は、まるで胎児のように丸まっていた。
ゲンドウが呼びかける。
「シンジ!」
だが反応はない。
すかさず竜馬がさけぶ。
「とにかくここから出るぞ、もう一度エンペラーを呼ぶ!」
「待って」
と、リツコが竜馬を止める。
あまり余裕のない状態で水を差されたようになった竜馬が、不機嫌に「なんだ!」と応
えるが、リツコは躊躇なくいった。
「私をエンペラーに預けて。呼んでいるのよ、来いって!!
あれはずっと私にささやき続けたゲッターの声だわ!」
エンペラーが呼んでいる。
それを操るはずの自分ですら聞かなかったゲッターの声を、リツコが聞いた。
こんな空間でウソをいう意味はないし、エンペラーも何の意味もなく彼女を呼ぶはずがない。
竜馬はわずかな思考時間の後、腹部のジャガー号のハッチを開放した。
それをモニター越しにリツコが見つめている。
眼が、透き通っていた。
「必ず戻るわ。約束する」
「ああ」
そういうと、再び視界は赤で一杯になる。
エンペラーが来たのだ。
リツコはコクピットからプラグスーツ姿のまま飛び出し、やがて赤い空間に吸い込まれ
消えていった。
「よし、俺たちも戻るぞ」
リツコがエンペラーへ行ったのを見送ると、竜馬は気を取り直して操縦レバーを握る。
そんな彼に、今度はゲンドウが語りかけてきた。
「……すっかり、リツコ君は君と心が通じているようだ」
彼女の親の代から利用するだけの愛人とした者に、ついに愛想をつかされた。
ゲンドウは、自嘲めいた表情でそういったのだ。
だが、竜馬は中年のそれなど相手にしない。
「ぐだぐだ言ってんじゃねえ! 悪いと思ったなら土下座でもして殴られとけ!」
それだけいうと、あとは「帰るぞッ」といってレバーを倒した。
すれば、赤い空間が一瞬、ねじれたかと思うと瞬時に光が広がり空間を突きぬける。エ
ンペラーの力が、レリエルの空間に作用したのだ。
やがて青い空が見えてきた、次の瞬間。
ぶわっ、とどす黒いものがゲッターの頭から降りかかってくる。
無限空間をレリエルごと切り裂いて、その球体の内部からゲッターと初号機が再び第三
新東京市の上空に現出していく。
レリエルの空間は影が入り口で、球体が出口だったのだろうか。
外からは攻撃が通じなくとも、内部は別だというのであろうか。
それらは、結局わからずじまいだったが、ゲッターはレリエルの血しぶきを撒き散らし
ながら第三新東京市を染めていく。
支援
支援
もうぎりぎりだ。次スレがいる。立ててくる
規制くらました。
といっても残り一レスだから、
これは次の分に。
残り9KB・・・うおお!まだこのスレは死んじゃいねえ!
レス数の方は大丈夫でも、容量がいっぱいになっちまった
1000取りだいなしさね
1レス100Bytesなら…とか思ったが名前欄他で50Bytes以上使ってるぜ
916 :
コテ:2007/11/15(木) 21:42:49 ID:???
入れれば減らせるんだな
カサリ?
まさかインベーダーか?
もしもそうならあの二人登場フラグ?
>どす黒いものがゲッターの頭から降りかかってくる
まさか、既にレリエルは・・・マトリエルが出なかったのもこいつらの仕業か?
まだだ…まだ終わっちゃいねえ!
熱
く
な
れ
夢
見
た
明
日
を
必
ず
い
つ
か
ま
え
そのまま行くのかーーー!!
ゲッター2のスピードなら・・・行ける!!
走
り
だ
せ
ド
ワ
オ
ドワオすなw
麦茶フイタwww
何
ボインパイヤーおもしれえwwwwwwwwwww
つか収録作品みんなエロイギャグなんだな。
近所の本屋&古本屋探しても石川漫画が手に入らない…
注文だ!注文なら手に入る!
意識を集中して本屋に注文するんだ!