うは♪
ATフィールド全開…!
やってしまったか…(汗)
とりあえずテャーハン作るよ!
洗濯もするよ!
このスレ…落とすには惜しい(汗)
とりあえず肉はNGなので、ニンニクの芽炒めと卵チャーハンを作ってみた。
無言でいただいてくれた。これが幸せというものか(汗)
洗濯をしたがレイさんの下着の替えがないらしい。
困ったものだ、「かまわない」とおっしゃるがかまう(汗)
と思っていたらいつのまにかタンスがあって替えがあった
あいかわらず出られないが、レイさんは元気です
なぜここにいるのか、と聞いたら、「わからない。でも…」
自爆装置のロックを解除して、いままさに光に飲まれたとき、気を失って、
気が付いたらここにいたそうだ。
しばし無言だった。神というものがいるのなら、よほどに残虐なものにちがいない。
だが、ともあれ生きている。鼓動を打っている。私の目の前で。
ならば、帰れないものでもないだろう。今はそれでいい。
レイさんはあいかわらずお元気。なによりもうれしいが、
同時にその瞳にある感情を読み取れぬようでは、この人を想っていた甲斐がないと思う。
部屋中をいろいろと探ってみたが、別段出られそうなところもない。
必要最低限のものはそろっているが、窓すらない。換気は大丈夫か、と心配したら、
何故か空気がさわやかになったようだ。誰かがここを見ているのか。
身勝手な連中だ。
はたしてこれは幸運か不運か?そのようなことを、
体育座りで本を読んでいるレイさんを見て考えるのだが…
今日は、隣の部屋にあったPS2で
某進化する戦闘メカアクションで対戦をさせていただいた。
データがないので初期機体どうしだったが、
驚くのは、レイさんのぎこちなさがみるみる消えていくという真実
最後にはブレードでなで斬りにされた。
こうでもしなければ、生き残れなかったのかと思うと、
なんだか情けなくなった。
×なんだか情けなくなった
○なんだか自分がなさけなくなった
この日記を誰かが読むことがあるのだろうか…?
さて…。
今日の朝ごはんはメルバトーストとマーマレードのジャム、
スクランブル・エッグにカリフラワーのサラダだ。
適当に見繕って出したものだが、レイさんは残さずいただいてくれた。
「ごちそうさま」
「おそまつさまでした」
一礼すると、不思議な顔をなされた。
ごちそうさまにはそう返すのだ、と教えたら、
「おそまつじゃない…」と、ほんの少し眉を下げておっしゃられた。
ビリッと来た。
急いで風呂場で水を浴びた。
さて。
何もしないでいるのもあれなので、勉強をするというレイさんを見てみた。
一応中学二年くらいの勉強はわかっているつもりだが、逆に教えられることもしばしば。
やはり教育課程はとっておくべきだったか?とも思うが、いまさらせんないことよ…
だが漢文なら得意分野だ。論語から枕草子までまぁ、一応読める。
レ点上中下点などの見分けは難しい上にやっかい。
こんなことを覚えて、なんの役に立つのか、というようなことを訊かれて、
しばし口ごもったが…
本棚からいろいろと小説を取ってきた。読んでいただけるかどうかわからんが、
マイナスにはなるまい。
きょうはレイさんが寝ている間にPS2でエヴァのDVDを観る。
なんと、弐拾参話の続きがあった。プラグを覗いてもだれもいないので
赤木博士があたふたしている。シンジ君はマジで辛そうだ。
アスカさんもさすがにコタえたのか無口だ。さて、どうなるやら、
と思ったら、ご丁寧にこの先はない。やれやれ。これはレイさんにはみせられんな。
今日はいろいろと話させていただいた。
レイさんの過去は興味深い。碇司令もそれほど
邪険にあつかっているわけでもないようだ。少しだけ見直した。
突然なにもかもぶちまけたい衝動に駆られたが、
真実を知って必ずしも得とはならんのが世のサダメ。
とりあえず当たり障りのない範囲で教えた。カヲルは使徒だとか。
「どうしてそんな事を知っているの?」
返答に窮する。いままで貴方を見つめていたからだ、などとは言えぬ。
「なぜそんなことを教えてくれるの?」
「貴方には、悲しい未来を見て欲しくないからだ」
この知識が役立つときが来るのを望んでいるのか、自分でもわからぬ。
レイさんの読んでいる本は、幅が広く、ほぼノンジャンル。
小説から詩集、SFなど… 読んでいるレイさんもお美しい。
感想を聞いてみたら、「…私みたいな人はいない」
う〜む ライトノベルでもあればいいのだが…
それでも、一冊本を読むたびに、何回も見返す部分があったり
本を閉じた後しずかに吐息をついたりするのは、
やはりなにがしかの影響をあたえているのだろうか…?
ライトノベルでもあればいいのだが。
なんと棚にラノベが増えていた。
そしてレイさんは虚無の使い魔を読んでおられる
「…あなたが私を召喚したの?」
サモン・サーヴァントはできませぬ。
タバサさんについてはスルーだった。
この部屋に入ったときに聞いていたMDを聞いていたら、
「碇君もそうやって聞いていた…」とおっしゃられた
迷ったがMDを貸してあげた。その晩は気まずくて寝付けなかったが
「…ともがらよ みえるかここに…」
レイさんは順応性が高い… すごい
今日の夕食はニンニクラーメン(レイさんは多少こちらを見たりしている)
刻んだニンニクを軽くいためて茹で上がったラーメンの上にトッピング。
部屋中ニンニクっぽいが、この至福!
余ったニンニクを生でかじっていると、レイさんに聞かれた。
「私のいたところでは消毒で生でかじるのもあり。ついクセで すいませんつい!」
レイさんがおそるおそる生ニンニクを口元へ。とめるかとめないか逡巡したが、
その間に一口かじられていた。
「………」
気に入られたらしい。
口元が少し微笑んだような気がした。
あれからニンニクの匂いが充満してるが、換気もしてるらしいので
気になるほどではない。
レイさんの制服のところどころにガタがきてるので、まことに不躾ながら
縫ったりボタン付けをしたりした。レイさんは黙って見ておられる。
ここで指にハリを刺したらどうなるかなどと邪念が湧くが、
そんな事を考えてると仕上がりがダメダメになるので、明鏡止水の心だ!
…玉止めをミスった…
そこだけ上から縫いつけたんで気になるが、レイさんは「ありがとう」と言ってくれた。
日々これ修行なり。
そろそろ二週間弱になるが、どうもわからん
部屋自体は普通の部屋であるが、出られんとはこれいかに
ニュートン力学の通用しない空間ではなさそうだが…
そんな事を思ったのも、どうも昼夜の感覚が鈍らないことにありそうだ
どこからか日光のようなものが差し込んでいるのかもしれん
レイさんと協力してすみずみまで回ったが、今のところ手がかりナシ
レイさんに「やはりどうにかしてここから出なければ」というと
「……」
その視線に込められているものは、私を突き通っているのか、
それとも…
壁をタンタンと叩いてみる。どうやら普通の普請のようだが…
「ちょっと大きな音を出しますよ」と言って、
とりあえず包丁でガリガリと削っていくが、先が見えん
「……!」
レイさんが頭を押さえて蹲った。あわてて包丁を置いて
肩を押さえると、かすかに震えておられる どうなさったのか?
ともあれ、まぁ、今日はもう寝よう。書き忘れたが私は和室に布団引き、
レイさんは別室になぜかあったパイプベッド。夜中は気になって
何度も見に行こうかとも思ったが… この甲斐性無しめ。
ゲン直しに今日はアニメのDVDをPS2で見る。(エヴァは隠した)
ファーストガンダム劇場三部作から始まって、
劇場Z、逆襲のシャアと来たが、
アムロとシャア、ララァが出てくるたびに、レイさんの形のよい眉が萎められる
終わった後に、感想を聞いてみたら、
「…わからない。でも…」
でも…?
「哀しい、でも、それだけじゃない気がする」
今の(弐拾参話時点)のレイさんなら、お分かりになるのだろう。
レイさんが一年戦争に興味を抱き始めたらしい。
今日は棚の小説版ガンダムシリーズを見ていた。
トミーノの電波文章はアレかとおもったが、そうでなく
0080や0083、さらにはゲームの一年戦争シリーズらしい(ジオニックフロントなど)
とくに0080を読んだ後はなにかしらないが、今まで見ていたレイさんには
みられなかったような感情というか、雰囲気になっていた
バーニィのビデオは私も感動したが…
さんざオチで叩かれてる小説版0080だが、レイさんには
なにかを与えてくれたようだ。
オーラバトラー戦記に行く前に止めた。
「いつ、どこでも、人は戦うのね。
自分の意思を貫くために 自分の大切なものを守るために」
「…私は、大切なものを守れたのかしら…」
「…ええ。きっとそうです。保証しますよ」
「…どうして?」
「え!? そ、それはあqwせdrftれい」
いつかエヴァのDVDも見せなければいけませぬかなあ。ふぅ。
スクワットをやっていたらいつのまにかレイさんに見られていた。ビビクゥ!
お水を差し出され申した。「感謝いたします」常温で少しだけ塩が入っているようだ。
赤木博士あたりが教えたのか…
換気もすんだころ、風呂から上がると、レイさんがトレーニングをなさっているご様子。
興味深いが… いやまてしかし覗きは… しかしトレーニングだし
チラ
百目蝋燭の炎がビンタのスナップだけで消えていた。すさま、ならぬ素晴らしい。
物置をあさっていたら鉢植えと腐葉土、アサガオの種を見つけた。
部屋の中で育つかどうかわからぬが、とりあえずまきますかまきませんか… まきます
「何故そんなことをするの?」
まぁとりあえず、この部屋に私とレイさん以外の生物が育つかどうか、
ということは、脱出の手がかりになるかもしれませんからね。
だがまぁ本質的には…
「きっとレイさんにプラスになりますよ。水遣りは交代でいたしましょう」
レイさんの持つ如雨露から出る水が土に染み渡る。
分量を越える前に止めまして。さて、どうなるかな…
今日は鉢植えに変化ナシ。まぁ一昼夜でどうこうなるわけでもないが…
レイさんがもっとさまざまな音楽を聴きたいとおっしゃったので、
棚にあった洋楽のCDを一緒に聞く。
スティングやムーディー・ブルースなどの曲から初めて、
クイーンなどを。さまざまな音楽に触れるたびに、
レイさんの瞳に微妙な変化が混じる。
The Music is Powerというやつか…
ボヘミアン・ラプソディを聴いているあたりでふと見ると、
レイさんはうつらうつらしているようなので、今日はこのへんで。
双葉の一部が生えてきた。レイさんがじっと見つめていたのが興味深い。
レイさんが自習をなさっている間に考える。
・なぜ出られないのか?
ドアがないから。壁を削っても先が見えんし、レイさんがよい顔をしないので
断念。
・なぜ生きていられるのか?
何故か生活インフラが完備されている由。食料は気がつくと置いてある。
蛇口をひねれば水も出るし、電気ガスもある。請求書が来たためしはないが。
…ビューティフル・ドリーマーか?
・ここを出るべきか?
…まぁ、出るべきだとは思うが…
双葉がのびる。いずれ本葉も生えてくるだろう。
レイさんは何を思って水をおやりになっているのか…?
レイさんの部屋にお邪魔してみた。ちょっと散らかっているので、
お手伝いをしようとしたら、「それはいい」と言われた。
まぁ、そうでしょうなあ… やや、さみしくもあるが、
それも今のレイさんなら当たり前のことか。悲喜こもごも。
今日はナスとジャガイモのグラタンにした。意外と作り方は簡単だが、
焼き加減がむつかしい。案の定ちょっと焦がしてしまった。
自分でもれなく処理いたした。レイさんは…
「初めて食べた味」
とおっしゃった。グラタンって、自分で作らん限りなかなか食べる機会がないからなあ…
「…おいしい」
だがまぁ、このお言葉で救われた。今日はそれでいいさ。
本葉が生えてきた。茎もどんどん伸びよう。
レイさんは今日も読書をなさっている。何を読んでいるかと思ったら…
「何をするだー…?」
つ、ついに入ってしまわれたか…
いや、おそらくレイさんにもプラスになるはずだ、と、おもわないでも…ない
これからどんどん茎が伸びるので、支柱を立てた。
間引きはちょっとアレなので種は少なめに撒いたが、ちゃんと生えてきてくれて
ありがたきことよ。
レイさんはレイの…例の書物を読んでおられる。
…合わない人には合わないものだが、なにやら夢中のご様子。
というわけで?今日はニンジンとブロッコリーとサヤインゲンのシチュー。
支柱だけにね。…
ヤケドをなさらぬようご注意した由、味わっていただいてくださったようだ。
コショウのビンをときおり指で弾いていたが…
… ま、まぁ、よい
茎からツタが伸びるが、これはちょっとアレなのかしら…とも思ったが、
レイさんは別に気にしていない様子。私の考えすぎか。
蔓は延びる、螺旋の如く… まぁよい
冷蔵庫を整理していて、魚が余っていたので捨てようとしたら、
「大丈夫。魚や卵は平気」
そうだったのですかー エヴァ2でもNerv食堂でソレらしきものをいただいてましたしね〜
というわけで今日は秋刀魚の照り焼き(油飛ばしめ)、キャベツとトマトのスープ、
刻みネギ煎り卵のメニゥ。 油を飛ばしたのがよかったのか、レイさんも残さずいただいてくれた。
「無理をしていませんか?」 「大丈夫… ありがとう」
レイさんにありがとうといわれるとは、至福の極みだな…
しばらくは蔦待ち? まぁよい
今日のおやつはアップルパイ… といってもレンジで作るやつだが。
「そういやレイさんはおやつなどは…?」
「…たまに食べていたわ」
やはり一女子中学生!外せないな
いつかモンブランでもご馳走してあげたいが…
甘美な考えだが、はてさて。
そろそろつぼみらしきものが出てくる頃だが。はてさて
ここへ来てからもう3週間ほどになるが、いまだ出られん
もういっそこのまんまでよ… くはないだろう、お互いに。
レイさんはカエルのマスコットを上から拳で押すようなことをしておられる
き、今日も平和だ…
隣の部屋にはゲーム機が一通りある模様。
誰が用意したんだか… まぁいいや
「ンフハハハハハハ!マイコーゥ!」
「ンリッチャーーー!」
「デリィイシャスダァジリンティィ」
「ハードユゥライクミーナァゥ!」
「ナッシングイズポイントレス!」
「オールメイクユージャストコーポレイトチィーズ」
「ユーガーイズアーローストチッキン!」
レイさん最初ヒいてたが、しだいに瞳がデデデストローイになっている…
レイさんもアツい大統領魂を感じたのか…
レイさんは昨日アツい魂に触れたせいか、今日はそわそわぎみ。
デリィシャスダージリンティーを作って飲んでも落ち着かない様子…
これもまたレイさんのカタチ。それはそれでよいのさ
…はたしてレイさんがここから出るときに、
その後のエヴァの物語をどうつむいでいくか、興味はあるが…
そこに私は・・・ ?
いやいや、こういうときこそこういうべきかもね
「Nothing is Pointless!」
つぼみが生えてきた。いつ咲くであろうか
今日はとくにやることもなかったので二人ともゴロゴロしていた
まぁ部屋は別々だけど。
たまに聞き耳を立てていると「…容赦せん…?」とか
聞こえてくるが、これはいいのか…
多分… よかろうなのだ
レイさんがそわそわなさっている
あさがおの花のことか… いや、今までいろいろと触れてきたものから
その意志をゆさぶられているのか…
以前崩したカベのほうをちょくちょくご覧になる
ふむ、もしや…
…ともあれ、私は私にできることをしようか
と、洗濯をしながら思う 洗濯機でもいいが痛みに弱いものは手洗いせねば
これは役得ではござらぬ… これは役得ではござらぬ…
つぼみが咲く準備を始めておるようだ。明日当たり咲くかな…
レイさんは例の書物を第三部あたりまで読み終えたらしい
ぱっと見いつもと変わらんように見えるが、なんか背後を気にしているような
時がある まさか…
レイさんにとって既存以外の文化に触れることはマイナスにはなるまい
とりあえずもっといろいろと本やDVDがあればいいがね。
綺麗な青色のあさがおが咲いた。レイさんの髪のような
みつめているレイさんがお美しい…
デジカメでもあれば残しておけるんだが、まあ記憶に刷り込むのが一番
今日は食事の後に菊の花のお茶を出してみた
良い香りがするが、人を選ぶかも… と思っていたが、
暖かく召し上がっていただけたようでなにより。
ときどき、レイさんがほんの少し微笑まれる
アルカイックスマイルなどではけしてない、それを見られるというのは、
うれしいの一言。
さて…
昨日咲いた花はしおれてしまったが、新しく2つも咲いたので、
レイさんもどことなくうれしそうである。よきことだ
今日は隣の部屋でメタルギアソリッドをプレイ。
初代から2までをやったが、レイさんも見つかったときはビックリしておった
まぁあれを初体験したらだれでもビビるからなあ…
心を読んでくるサイコ・マンティスが、「だれか好きな人がいるようだな」と
言っていた ん… このようなセリフはあったか…?
勢いで2までクリアなさったのですが、最終シーンに出てくるソリダス、
その言葉に、レイさんは何かしら感じ入るものがあったようだ。
そういえば恐るべき子供達はみなビッグボスのクローンであった…
エンディングのスタッフロールを聞きながら、レイさんは何を思う…?
今日はレイさんはいろいろな小説を読んでおられるご様子
夏目氏あたりからはじめていろいろと。
ふと気づいたが、ここには私が知っている本しかない
やはり…?
これは脱出のための手がかりであろう
明治〜大正の人の価値観はレイさんにとってどう映るのか…
こころから門までの3部作は、どうもアレかとも思うが、まぁ…
ゲン直しになにかゲームを探していたら、某有名ゾンビシューティングを発見
これは… どうかな、と思っていたら意外にも構わないご様子
…スゴい 初見にも関わらずほぼ命中100%。
淡々と目の前の障害を排除し、レスキューも成功させている
「Type-α EMPEROR」 こいつは弱点不明だが…
「…あの胸のコアが弱点ね」 …流石です、レイさん。
『その答えは俺たちが見つけるしかない… 人が生きつづける限り…』
はたして、レイさんの未来は…
冷蔵庫にいきのいいナスが入っていたので、今日は焼きナスに
ナス入りオムライス。水分を飛ばすコツがいるなあ
今日ははっきりと聞いてみた。
「レイさんはここから出たいですか?」
「………」
しばし食べる手を止めて考えておられる。これは吉か凶か…
「……帰らなきゃいけない、そう思う」
時間が全てを解決してくれよう、とは誰のセリフであったか…
ともあれ、今はまだその時期ではないのでしょうなあ…
今日は早めにお休みになったレイさん。
その隙に、先ごろ削ったカベに向かう。土くれはその横に袋に入れて置いてあった。
改めて触ってみても、普通の材質以上のものは感じないが…
なるべく音を立てぬように僅かづつ削っていくのだが、やはり先が見えない
普通の家屋は少々掘れば穴が開くはずではあるが… 石造りでもないのに…
「…うぅ…」
隣の部屋からレイさんの声が聞こえたので、ふと手を止めたとき。
「…!?」
削っていたところから、一瞬だが僅かに光が漏れた。そしてそこに見えたもの…
白く輝く…
「奴は…」
…成程な。これはうかうかしてはいられなくなったようだなあ…
今日はレイさんは調子が悪いご様子。昨日のアレが原因か…
私に責任があるので、今日はゆっくり休んでいただいた。
寝ているとき額に汗が浮かんでいたので濡れタオルで拭く。
さて… いろいろと考えなければならないが、今はレイさんの看病に専念だ
少々火照った頬を見つめながら考えるが…
やれやれ…
なんとか御元気になられたレイさん、まぁまずはよかった。
これからがたいへんだけどね…
そして今日はアサガオの花が全てしおれた
寂しげにレイさんは見つめていらっしゃるが
花が落ちた後には、その種が残る その部分を見て
「この花はこの種を作るために咲いたのです
ですからそれ自体を悲しむことは無いのですが…」
まぁ、それをそれというだけで斬って捨てられる
モノではないでしょうがね
>>漢文なら得意分野だ。論語から枕草子までまぁ、一応読める。
ルリヲすげーな。俺、そっちのほうはぜんぜん駄目よ。
なにやら誰かの声が聞こえた気がした!確かに聞こえた!
おーい、出してくださいよー レイさんといると非常にアツくて… ゲフン
ん…彗星かな… さて。
押入れを漁っていたら漂白剤の缶を見つけた。主成分ベクスライト…
ふふん これは使えるな〜
とりあえずレイさんの見えないところにかくしておこう 手は多いほうが良い
できるかぎりのことはしないとね。
本を読み続けているレイさんを見つめながらそう思う…
もう一ヶ月ちょいか…月日は早いな しかしここでの生活
幸せにつきる
といっても髪の毛は伸びてくるしな〜
しょうがないから鏡見ながら…
「私が」
「え」
「私がやってあげる。大丈夫」
まさかこのような光栄が与えられるとは… しかしレイさんも
美容院行けないときとかあったのであろうか?
そういえばレイさんはいつも同じ髪である 何日かごとにちょっとづつ切っておられるのか?
継続は力なりだなあ ちょっと違うかもしれないが
「終わったわ」
(アホ毛…? これで三倍だシメシメ 何が?)
>>アホ毛…? これで三倍だシメシメ
ワロタ
びょよん、びょよんと引っ張って遊べる 「これはこれで」
「初号機」 「?」 「初号機みたい」
レイさんの見ていないところで腰になわとびのなわを結んだり そしてこの諦念…
というわけで、今日はプラモデルを作ってみた
HG初号機とHG零号機改であるが、素組みでもそれなりに出来栄えがある
「足の先のアーマーは取れやすいので、両面テープで止めるのがよいです
…固定すると可動域が狭まるので、これが一番よいですな」
広義に言えば軍事機密の漏洩?とも取れる図だが、レイさんは別に気にしない様子
さすがレイさんだ なんともないぜ ニッパーの使い方も堂に入っておられる。
MGゴッグ(の箱。まだ作ってないから)とジオラマを作ってみた。
元ネタはゴッグ最強伝説。意趣返し成るか?
今日はレイさんといろいろな卓上ゲームをやった。
ポーカーはまさしく勝てる気がしなかったし、
神経衰弱の正答率もピカイチ
オセロはあれよあれよと端を取られて敗北
麻雀は… アレかなかとも思ったけど
「点棒がいっぱい」
四暗刻で撃沈… レイさんはギャンブラー向けかな…
いやいや、先を顧みないから強いのではない、それはいえるだろう
さらし粉の分量はこれでよいとして…
通じるにしろ通じないにしろ、やるだけのことはやろう
…レイさんとしりとりをしてみる。
前にやったことがあるそうだ。幕間のどのあたりかなとも思う。
「ガンダム試作2号機」 レイさん「幾何学」
「栗」 レイさん「倫理」
「リーオー」 レイさん「桶」 「結婚し… 結婚」
レイ「…あなたの負け」
…ベタ過ぎたか…
今日はアフタヌゥゥンティィの時間にチャイを作った。
元々は極東の地でできたものが、インドに伝わって独自の進化を遂げたものであり
日本に渡ってきた各種茶のまたいとこあたりともいえるであろう飲み物である。
簡単な作り方としては、別に特別な葉っぱなどは必要なく、
備え付けの紅茶で充分である。苦さに対抗するには甘さではないが、
そういう打算は抜きにして精一杯作るとしよう。
まずは手鍋にお湯を沸かし、スプーン大盛り二杯分… 「このくらいかな」でいいや
沸騰したら葉を入れ、火を止めて葉っぱを開かす。
のちに牛乳(水と同量)とお好みによって砂糖やシナモン等を入れ、飲み頃になったら茶漉しでこして完成!
さてレイさんのご感想は…
「…甘いわ」 暖かいわ、のお顔とはまた違ったお顔… と思ってたら口に手を。
漉しきれなかったか!と思ったら… クラゲ!?
「…玩具よ」 なんだ玩具か。どこで売ってるのかな…
って!?(ゴゴゴゴゴゴ
方向性がおかしくなってきてないか?
協力してリビングを整理していたらなんと我々以外の生命体を発見!
対象Gはソファーの陰から現れた
…迂闊に近づくと逃走を図られる恐れがある 確か押入れにゴ○ジェットが…
…レイさん!? ビシッ!
こ…これは 殺気がまったくない! 殺気を発せずに戦えるのか!
「…殲滅したわ…!」 (Gは「二匹」在ったッ!?)
レイさんの腕に張り付いたヤツを今度はなんとかハタキで叩き落し、
おもむろに踏み潰して終了。 やはり体の大きさというのはアドバンテージになる
使徒も人間も同じようなもの… レイさん!?
顔の前に手を振っても反応が無い… レ… レイさん!?
ちっぽけな空間であるこの地球に閉じこめられていることを認識し、
少年よ、輝け!
あと働け。
あのあとしばらくいしのなかにいる!のような状態でありましたが、
しばらくして早足で洗面所へ。帰っていらっしゃった後も
脱脂綿であれが付いたところをこすっておられた
ちょっと下がり眉で必死なレイさん…
これは… いや… なんとも… 違う。
ふむ、しかし○キジェットか これも使えるな ちょっと工夫すれば…
世は応用性に満ちて… あとはもう一押しできるようなモノを用意しなければ
それはそれとして、あのあれの二の舞を避けるため掃除機を必死にかけるレイさん、
すさまじく… 違う。
いやあレイさんも一女子中学生、やはりゴ○には弱いんだなあ…と思っていたら
ついつい顔に出てしまったらしい
「あなたがああなったら」 …確かに。これは失礼を致しました
「でも… 払ってくれた」 いやはや。それはまあ…
気分なおしにビートマニアGBGM2をプレイ。残酷な天使のテーゼがあるが
画面グラはエヴァとあんまり関係ないのでOKだろう。
「なつかしい 感じがする…」 まぁ、結構前のゲームですからな 違うか?
結果は私の敗北。 「訓練で似たようなこともやったわ」
意外とアーケーダー的な訓練であったのか? いや、それも失礼な見方なんでしょう…
夕飯のやや失敗したスープスパをこの野郎とばかりにいただいた後
(レイさんのぶんは作り直した)
押入れを漁っていたら、麻縄の束を見つけた
ふむ、煮締めてあって強度も良好 長さも充分だ
物干し竿の予備も使えそうだな さて、これを軸にして…
百科事典があってよかったよ あとは根気との勝負だな
ぐるぐる巻き 端でリベット止め ぐるぐる巻き 端でリベット止め…
いつのまにかレイさんが手伝ってくださっていた 共同作業だな…
などとうかれずに作業作業 レイさんが寝た後も夜なべしてやらなければ…
ぐるぐる巻き 端でリベット止め ぐるぐる巻き 端でリベット止め…
網目が細かければ細かいほど良い これは一昼夜では終わらんな
レイさんのためにもがんばろう。
今日も朝から麻 縄編み… いやマジメな話
レイさんが手伝いつつも「何に使うの?」とおききになった
「出来るだけ網目を細く 強靭に そうすれば奴も…」
「…奴?」
「…いえ、こちらのハナシです」
完成したら隅に重りを付けて。とにかく編み網。
なんとか完成した(汗) ぶきっちょだが強度はありそう(汗)
まぁおいおい補完していくことにしましょう
という連想ではないですが、きょうはサンマの網焼きにしてみた
ジュージュー焼くので煙が出るが、高性能換気扇があるらしいのでおk。
レイさんには大根をおろしていただいた やったことがないらしいので
おろし金で御怪我をなさらぬようにご注意。アレはイタい
しょうゆと大根おろし、つけあわせにほうれん草のおひたし
お味噌汁… レイさんとこのようなお食事ができるとは夢のようですな
レイさんは半分食べたところでお腹一杯のご様子ですゆえに、
骨とワタを取って裏側は取っておいた。明日は炊き込みご飯に入れようか…
なんという至福!なんという至高…
お昼をいただいた後、レイさんが額を押さえておられた
「あの薬飲まないと…」
あ、あの日か…? 違う!
こ これは一大事、といってもどんな薬だ?
とりあえずいろいろと探るけれども、バフoリンくらいしかない
貞本版などで注射もなさっておられたが、あるわけはないし
「……」
レイさんがいままで以上に無口になられてしまった これはマズイ
とりあえずなんでもかんでも漁っていると… ? 錠剤?
「その薬 でも何故…?」
…どうもこの部屋には謎が多い だが、まぁ当面の危機は脱した
だれに感謝すればいいのかわかりませんが…
執筆のペースが落ちたな・・・読んでてもどかしい。
忙しいの?
(ペース自体は一日一レスということで変わっておりません(汗)
内容がトロく先延ばしということにはドウーイ(汗)
今日は朝からレイさんがふらふらしていらっしゃった 朝食も半分以上残された
「…大丈、夫 あの薬飲むと いつもこうなるの でも…」
でも…? し、しかし無理に起きていらっしゃることもございませんし 休養なされたらいかがですか
「…そうする 多分明日まで起きないと思う」
レイさんを支えるようにして部屋に送る …レイさんの肩はこれほどに細く 繊細である
このようなレイさんがいままで見てきた、戦ってきた世界、あらためて修羅の巷であったのでしょう
寝床に就かれてからも心配はつのる 気持ちを四捨五入して洗面器に水を張って部屋に入ってみた
レイさんの部屋にはいまや 読み掛けの小説や 一緒に作ったプラモなどが飾られている
アサガオで作った押し花の色紙も飾ってある
レイさんは早くもおやすみになられていたが どうも今まで見た中で最も具合が悪そうに見える
このようなことを今まで、私が見ていた中でも… しかし、これはたちの悪い風邪よりも酷い
薬を飲んだ、ただそれだけなのか…?
「……」
寝苦しそうに吐息をついておられるレイさん なにかしら手助けができればいいが それも叶わぬ
見ると シャツのボタンを上まで留めっぱなしでおやすみになられたよう 息苦しいのはいけない
ボタンを一つ外したとき、レイさんが寝返りをうたれた !
…このような時に私は… 頭を振ってなんとか追い出して 毛布をかけたとき
「…りく…」
今日は一日レイさんはお起きになられなかったので、隣の椅子に座って看病していた
りく… 陸上自衛隊 なにを書いている
起きた後はレイさんは本調子のようでよかったよかった
…まぁ レイさんが元気ならばそれでよいのかもしれませんな
今日は以前から続けていたワイルドアームズ2ndの最後当たりをプレイ。
ぶっちゃけて言えば負ける要素のあんまり無い半イベント戦闘なんですが
熱いシナリオはレイさんになにかを与えてくれる、か、も。
「『英雄』が居ない時代… そう言ったな 違う…違うよ 「いない」のではなく「いらない」んだ
『英雄』なんていらないっ!」
「そんなものによって守られる世界になんて 価値などありはしないんだ・・・
誰もが心をひとつにして立ち上がることができたなら
そう 『英雄』なんて生け贄にすがらなくても世界を支えていけるッ!
奇跡だって起こすことができるッ!!」
どんな ときでも あなたは ひとりじゃないよ… ♪
いやまあ、ひさしぶりにプレイしたがいいシナリオだ
まぁ、陳腐と言えば陳腐だが、言いたいことは伝わってくる
「…でも、現実はうまくいかないことも多いわ」
「それはそうでしょうね」
「どうにもならなくなって 何をしていいかわからなくなることも」
「確かに」
「でも… それでも… 」
「…そうですな。 今回はうまくいかなかったとしても…いつかはたどり着くだろう?
向かっているわけだからな… というやつですか 「向かう」のが大切なんだとも思いますよ」
「…殉職した警官のセリフ」 「ぶふっ! も、もうそこまで」
今日は気分を上げるためにリビングでカラオケ! カラオケセットなどなくともステレオはある
要は楽しんで歌うことが肝要!
「つかの間の安らぎも振り切ぃいって〜 ひたすら真っ直ぐぅに〜♪」
レイさんが一緒にいるのだ 下手な歌は歌えぬ…今までで一番緊張したカラオケだッ
「おぼえていますか…? 目と目が合ったときを…♪」
まさかレイさんにこの曲を歌ってもらえるとは… なんと素晴らしい これこそ究極の感動美!
「君の涙が枯れ 声さえ尽きたとき 共に泣く頬と咽喉をやろう!
もしも血の一滴 残っていないなら この胸を裂き 全部やろう! 愛より熱い 歌になりたい…!」
最後はレイさんには珍しく血の温度が上がっていらっしゃったようで、デュエットをして精一杯歌った
のど飴とオレンジジュースを飲んで、今日は気持ちよく寝られそうだ…
朝、お湯を沸かそうとしたら火が付かない コンロの故障でないとなると…
ホースを辿るとプロパンの中ボンベが。微妙に小さいな カランカラン 空か…
お湯は電熱器で沸かすとして 火が無いとキツイな 物置に替えが無いかゴソゴソ
割とあっさりと見つかった 3本ほど有る ふぅむ…?
これは多少というかかなり危険だが 利用価値は有るな…
あと純綿の布団もあった この部屋に季節があるかどうかはわからないが
寒くなったときのためにまぁ出しておこう いろいろと使い道もあるであろうし
今日は土鍋でつみれ汁を作ってみた なんでも摩り下ろして丸めるだけ、というわけじゃないが
比較的簡単に作れるのはよいね〜 火の通し具合がポイントだ
すりすりすり 擂り粉木で山芋やら鯖やらを摩り下ろし こねこねこね これもまた楽し
レイさんはニンニクを入れておられた …好きなんだ やはりッ!
ダシ汁にワカメや山菜を入れ ぐつぐつと土鍋で煮込んで楽しみに
暖かくいただく事が出来た のこり汁にはご飯を入れて雑炊に アバウトな食事もまたよいものだ
「…おいしいですか?」 レイさんにこういえる事、それ自体が嬉しい
「食べたこと無かった… でも、美味しい」 はむはむはふはふといただいているレイさん
料理はナントカとはよく言ったものだなあ〜
何か…何かを忘れている気がするな レイさんのことに関する大切ななにかを…?
これはものすごく失礼なことではないかとも思うのだが… 何だったっけ…
そんなことを思いつつ昼ごはんの煎り卵をつくろうと卵を割ったとき
「卵を割る…」
「卵が割れる…」
「ひよこが生まれる…?」
はっ! そうかっ! レイさんに関する大切な何かとは レイさんの誕生日のことだったのかっ!
(例の日は3月24日) …レイさんの誕生日は3月30日だから…? ひぃふぅみぃ
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
「とっくに過ぎて「…どうしたの?」
「あ、いやそれはそのないあるあるない(ry」
「…?」
過ぎたことは仕方がない 今日から準備をしよう!
さてここで問題だ… メインターゲットは3つある
1・レイさんに知られてはならない
2・なんとかプレゼントを用意しなければならない
3・今やっている「作業」と同時進行しなければならない
3はまぁヨナヴェをすればいいことですが1と2は重いな
私ごときものにこのような栄誉が与えられたのだから
とりあえず何をプレゼントしようか… このような幸福、受け止めるにはちと重い
だがこれが幸せの重みと言うやつか…
などと考えていると後ろからレイさんの声がした
「レイさん?お風呂に入っていたはずじゃ… !!!」
さっ、さすがにIDのときのように無防備ではないが、これはこれでクルものがあるな…
「私は… もういい。 …先に休む」
FREEZE
凝固!中の私の横を通り過ぎて部屋に向かうレイさんの肩が震えていた理由は、
風呂に入ったときシャンプーのベトベトの中からよろめきながら現れたヤツの存在が教えてくれた
…本来のレイさんはこういうお方なのだ 私も気合を入れて誕生日を祝ってあげたい…
材料は…卵、グラニュー糖、薄力粉、無塩(重要)バター…
バニラエッセンスもあって、つくづく用意周到だと思うよ
だがまぁ、なかったら困っていた ともあれ材料はあるようだ
今はよい、今は。そう思って冷蔵庫を閉じる 鮮度が重要だから
パチ パチ ニッパーのいれかたひとつとっても、いままでとは気合が違う
「…プラモを作っているの?」
「レイさん」
「…私も手伝う」
「あ、いや、その、これはええっと」
ピピピッ
「お、お風呂が沸いたようですし、お先にどうぞ」
「手伝ったら汚れるから、その後でも…」
「いやあやはりレイさんには一番風呂で」
フゥ。レイさんに隠し事はしたくないが、これもまたよし、だ
昨日の夜…正確には今日の朝だな…
レイさんの誕生日とはべつの作業… ヨシェ…ヨナヴェ…夜なべも終えて頭がややクラクラしているとき、
私は押入れというか倉庫というようなところに資材を返しに行った。
そして…壮大に何かにつまづき… 頭からモノがつんである場所に突っ込んだ
擬音はいろいろとやかましかったので省略する。メメタァとか。
「あいててて… 無理はしすぎるものではないなあ…」
さて、立ち上がったときに掴んだ横のシーツのようなものは、べつに固定されていなかったのか
勢いよくひっぱられ、またも転びそうになったが 今度はなんとか踏みとどまった。
私がいた。 一瞬戸惑ったが、これは… 大きな姿見の鏡だ。ブーメランパンツのホクロが見たら
喜ぶだろう。やれやれ、割れなくて良かった… !
コレは使えるッ! ヨナヴェの作業をしているのは、いろいろと「準備」をするためだが、
これもまたよい材料というかなにかになるであろう!
鏡は土台に滑車が付いていて、レイさんのお手を煩わすことなく運び出せた
表面にキズもないし、明度も明るい こいつはイケる… とおもったが、ここで一つ気づいた
我々は眼があるから鏡が見え、その中に居る自分自身も見える。だが…?
まぁいい、打てるだけの手は打っておいてしくはない カードは多ければ多いほど良い。
そんなことを考えてると、レイさんが鏡を見てじっとしておられた。全身が映り、レイさんが
2人になったかのような感じを覚えて、私はつい口走ってしまった。
「レイさんもおしゃれを気にする年頃ですからね〜 鏡も見…」
「鏡は嫌い」
…ドジこいたーッ! かりにもレイさんを良く知るものが、このような配慮すらできなかったのかッ!
やれやれ… 画竜点睛… いや蛇足とはこのことだなぁ…
今日搬出したもののリスト
・なぜかあった大きな鏡 ・なぜかあった水彩絵の具 ・なぜかあったひき肉ミンチマシーン
どれもこれも…特に三つ目は使い道がなさそうだが どれも工夫と応用すればよい。
どうも昨日の件以来 レイさんと目を会わせられぬが、迂闊といえどミスはミス
「もうしわけありませんでした」 ペコリ
「……?」
レイさんは意外と切り替えの早いお方であった そもそも怒っていたのだろうか…
修行が足りぬ 未熟未熟ゥゥ!
軽食の(モッツァレラチーズとプティトメェトゥのサラダなど)ときに、
それとな〜くレイさんに欲しいものを聞いてみた
「…欲しいもの…」
唐突に聞いたわけではないが、いかにもそういったことに答えなれていない様子で
首筋から手を入れて肩を掻いていらっしゃった。べつに上着を脱ぐことをすすめたりはしない。
「私は… …との…」
なんだか私が食べたチーズはもともとタンパクな味なのに、塩味がちょっとだけ利いていたような。
素組みが終わったのでもう一度バラして今度はエアスプレーで塗料を塗る
色むらができないように慎重に… 間違えたらシンナーで落とさなきゃならんし
換気扇全開といえどあれはクラクラするから… レイさんにあの頭痛を味あわせる
わけにはいきませんからな〜
と言っているうちにレイさんが起き始めた気配がしたので40秒で隠蔽。
…といってもレイさんは部屋からお出にならない なにをしてるんだろう?
とも思うが、私も隠し事をしているのでしかたない フィフティフィフティかな
起きてきたレイさんが顔を洗った後食卓に現れたとき、桜の花びらのようなその唇に
薄くルージュの後が残っていることに気がついた …! 落としきれていませぬ
ここ数日ファッション誌などを読んでいらっしゃったようですし、それだけでも
ここにレイさんが来た意味はあったかな? しかし、誰に見せるためなんだろうか…
「アイクローセッドザバレーイスザジャーストミッラーンズ
トゥサーチザサードキィートゥオープンザゲーツ…」
今日は午後からレイさんがお昼寝をなされていたので、ふたたび
誕生日のプレゼントを作る作業に戻る。マスキングテープを使って
色と色とをきちんと分けなければね。
「ファイナリーハーッペンドザサーンリットゼアアーイズ
ザスペルワズクリェイティングストレンヂゲィムスオヴラーイ♪」
エメソを小声で歌っていたつもりだが、ついノってしまって声が大きくなってしまったらしい
それでも感じた背後の清涼なる気配…
「レ、レイさん!?」
「も、もももうしわけない!起こしてしまいましたか」
もはや隠す暇もない。プラモを作ったのは初めてではないし、それ以前に
レイさんを起こしてしまったことのほうが重要だったから。
「…その歌…」 「え?」 「聞いたことがない」
まぁ、いつもはMDでなくIPODに入れていたんだけど、ここに来るときはもっていなかったし…
「…これ?」 と、音楽CDの棚から取って来たらしいラプソディーのマキシCDをお見せになられた
そうか、この前聞いたときはつい、聞きそびれたなあ いつも歌っている歌だから
意識していなかったのかもしれない。
「…お聴きになりますか?」 「…何か… 心に伝わってくる歌だから」
たしかに私は好きで毎日聞いているが、シンフォニックメタルはあまりレイさんになじみがないような…
それをいったらこの前聴いていた洋楽もそうか。手を止めてレイさんとともにリビングへむかった
リビングで音量控えめにして聞きはじめた。耳に負担をかけるのはよくないゆえに
「トゥサーヴラィアイディーアルスアンドジャースティスフォアオール!」
ラプソディーのつむぎだすサーガの転換場面、エメラルドソード。
歌詞はFFかドラクエかというようなものだが、それだけに英語としてもわかりやすく
アップテンポの曲とあわせて人の心をうつ
ソファーに座って聴いていたが、いつもより… レイさんとの距離が近い気がする
気のせいか、ともとれるくらいの微妙な差だが…
「サーンクストゥヒッデンミラーアイフォウンドマイロストウェイ…」
何の因果か、私はここに送り込まれ、レイさんと会うことが出来たが…
それは、私にとってなにかを再発見させてくれる出会いだった
「オンリィーアウォーリアーゥィズクリアハート クゥドハヴザホーナートゥビーバイキッスドザサン…」
レイさんを大切に思う気持ちは変わらない、だが、その気持ちがさらに磨かれていくような気がしたのだ
「フォザキーング フォザラーンズ フォザマーゥンテン
フォザグリーンバレーイズウェアドラゴンズフラーイ…」
この身はレイさんのために生きようと思い、現実となんとか折り合いを付けて生きてきた
ならば、ここでレイさんとともにいることも、なにかレイさんだけでなく、私のためにも
なることなのかもしれない 歌詞カードを見ながら、だんだんとおおきく、力強くなる
レイさんの歌声を聴きながら思う
「フォザグローリィザパワートゥウィーンザブラックロード…」
ここにいるレイさんの笑顔をかけがえのないものだと思えるから、それを奪い、
踏みにじったものに対する怒りを覚えずにはいられない だが、怒りは判断を鈍らせる
怒りはその両足に込め、己を支える礎とせよ(C)葉隠覚悟
勝てるかどうか、それはわからないが、私自身の理のため、レイさんの笑顔のため、
私は私なりのエメラルドソードで立ち向かおう それも私のできることのひとつ
願わくば、もしレイさんがここから出られたのならば、レイさんもレイさんなりの
エメラルドソードを以って、自らの運命に立ち向かって欲しい その手伝いをしたい
「…アイウィルサーチザィエーミラルドソード!」
曲の最後の歌詞、レイさんが最後に歌った部分は、どうなるにせよ、生涯忘れることのない思い出だ。
おつ♪
投下マダ〜?
後付の他会社製のパーツとのすり合わせもうまくいって、ついに完成!
ううん、カッコイイ 実はコクピットには赤いクリアなBB弾を入れてあって
コアということにし、本当のコクピットはもう少し後ろという設定…
まぁ誕生日パーティーが待ち遠しい… プレゼント以外の準備はしてないんだけどね
それと平行してすすめているのは、例の穴のある部屋のチェック。レイさんもたまに
この部屋に入られるため、レイさんの目に触れぬようにいろいろと仕掛けるのは神経がいる
某誇り高き血統のお方はスゴい。戦闘中にあれだけ… まねできんな
「戦いというのは戦う前にすべて決定されている」とはよくいったものだ
レイさんが朝のお風呂に入っているうちに、うまく作動するかチェック グイッ バサッ
うむ、なんとかなるだろう …なんとかじゃ困るんだがな…
気を張り詰めていたら朝からどっと疲れた まぁヨナヴェのせいもあるんですがね
リビングで雑誌を読みながらエスプレッソをすすっていると 自習を終えられたレイさんが
その手にどっさりといろいろな本を抱えていらっしゃった 最近は、すこしづつレイさんと
一緒にいる時間が増えている気がする 純粋にうれしい。
ちら、ちらとレイさんの読んでいる本を覗き見ていた
某世紀末救世主伝説や某ススメなども混ざっていて危うく噴出しそうになった
無理に押し留めようとしたので気管に直撃してなおむせた
…どうにも、この部屋の本棚には私とレイさんの知っている本しかないとはいえ、
かたよっているなあ… とも思う(ファッション誌はレイさんが知っていたらしい。意外… でもないか)
本を読んでいるレイさんの表情は一見変わらないように見えるが、たまに、瞳の色がぶれる
普通の人ではここまで気づくまいなあ、とも思うと、レイさんを想っていたのも無駄ではないなあ
と、まぁ、私はお料理の本をひそかに雑誌に挟んで、誕生日にどのようなおもてなしをしようかと
考えていた 一方でいろいろな仕掛けを考えながら 一方でレイさんを喜ばせなければいけない
「両方」やらなきゃならないのが レイさん好きの辛いところだな
覚悟は…
おつです。
今日の昼のアラビアータソースのペンネは大成功。会心の出来!とはこのことだろうな〜
本来会心の一撃!ってのはこういう使い方をするもんなんですがね
「カタチがペン先に似ているからペンネっていうんですよ」 などと雑学を披露しながら
いただいていると、レイさんが、唐突に先割れスプーンを置かれた
(もしやマズったかッ!? わ、私の味覚とレイさんの味覚がズレていたのかッ!?)
表情には出しはしないが(汗はかいていたかどうかまではわからない)レイさんを見つめて
どうするか考えていたが、と、ともかく最初の一歩を踏み出さなければなにも変わらない
もっこに土を一杯盛って積んだだけでも「山を作り始めた」ということにはなるっ!
「も、もしかしてお口に合いませんでしたか…?」
だが、レイさんの口から出たのは想像を斜め上に行ってさらに四回転半を決めたようなお言葉。
「とても… とても美味しい」
ホッ、としたのは否めない もはやこれがレイさん流の味皇的表現なのか、とやや混乱した頭で
考えていると。
「私… あなたのことを 何も知らない」
ハっとした。
普通の、レイさんを知らない人ならばこうはならなかっただろう。だが、
レイさんを知らない人ならば今レイさんが言ったお言葉の意味を捉えることはできまい。
アンビバレンツ
二律背反とはこのことだな…
レイさんはそれ以上なにもおっしゃらない。だが、その言葉だけで、レイさんの真意はだいたい察した。
自らの命をかけて、最後に涙を流しながら、自分が消えるという瞬間、レイさんはここにいた。
そこには、どこから呼ばれたのかはわからないが、この「私」が。 そう、レイさんのことをよく知っている「私」が。
今まで当然のようにレイさんと一緒に過ごしていたが、それは、あくまで私が「レイさんのことをよく知っている」
という前提に立ったものだからだ。
それがレイさんにとっては不可解であったにちがいない。
もし、仮にレイさんといっしょにいたのが、レイさんを知らないただの人ならば、
レイさんもそれを心配する必要はなかったのだ。一緒に生活していくにしても、
「そこから」新たな人間関係が現れていくのであろうから。
だが、私はレイさんのことを「知って」いたのだ。
以前、レイさんに差しさわりのない範囲で、これからの(脱出後の)アドバイスをしたとき、
私は「レイさんには、悲しい未来を見て欲しくはないからだ」と言った。それはとにもなおかく、
レイさんの「悲しい未来」を知っているということではないのか? …いや、そこまで発展せずとも、
得体の知れない男(ヤロウともいう)が、まるで自分のことをすみからすみまで… とはいわずとも、
知っている、というのは、レイさんから見れば、奇妙であり、居心地の悪いものであったに違いない。
あの時私は、全てを明かす勇気がなかった。それはよくよくに考えれば、
「あなたがそれを知る必要はない」と、レイさんを見下していたかのように取られても仕方がない。
だがかといって、あのときに全てを明かしていたならば、レイさんの心にどのような影響を
与えるかはわからぬ。あの時点ではレイさんにそれを明かせなかった。 どうしていればよかったのか。
これもまたアンビバレンツだ、とも思う。
ともあれ私は悟った。いままでの関係はフェアではなかったのだと。別に、その関係が
もしや戦いであろうと、一緒に生活することであるというのとでも、それは適用される。
フェアではなかった。
レイさんを大切に思う自分が、知らず知らずのうちとはいえ、レイさんを軽く扱うような
マネをしてしまったのだ。レイさんが怒るのも無理はない。
「…申し訳ありませんでした」 ただそれしか口からは出てこない。
だが、そのように思っていた私に投げかけられたレイさんのお言葉は、叱責でも、謝罪を求める
言葉でもなかった。
「どうして… 謝るの…?」
その言葉を聞いて、ハッと顔を上げたとき、私は確かに、レイさんのそのルビーを溶かし込んだかのような
その瞳に、薄く膜が張っているのを目にした。悲しくも美しい、その瞳を。
「…………それは」
言いかけて、何を言ってよいかわからなくなった。レイさんは怒っているのではないのか…?
レイさんだって怒るときもあれば、泣くときもある。それは私は良く知っているが、自分を軽く見ていたであろう
ものに対して、いまのレイさんが感じている感情を、とっさにはかりかねた。いや、いくら時間をかけても、
それはわからなかっただろう。 しばし、皿から立ち上る湯気をも見逃さんとしていた私に、レイさんが、
語りかけていらっしゃった。
「…私は、何もなかった」
「…何もなかった、とは?」
私はそうではない、そうではないんだ、という感情を必死に押しとどめるようにして、聞いた。
「私は… 命令に従って… 実験を受けて… 碇司令のために…
ずっと…」
あのレイさんが、何を言えばいいかわからないように、言葉をつむいでいる。このような
レイさんは、今まで見たことがなかった。
「碇司令は… 司令のことは、私にはわからない」
…これは、レイさんの感情なのか。
…私は、それを大筋で理解しているつもりだ。
あの男が見つめているのは、あの女性であって、レイさんではないのだろう。
だがこれも私の考えであって、実際はどうということはわからないが…
どうにもそういった要素が強い。あの男は、自分以外の人間は全て石ころかなにかのように
しか思っていないのかもしれぬ。 いや… そう思おうとしているだけなのかもしれん。
少なくともレイさんの前では。 彼はきっと、レイさんとあの女性の間で揺れているのだ。
柱時計の振り子のように。
「私は… 碇君に会った」
転入生。碇司令の子供。同い年の少年。
最初は、自分の唯一のよりどころである碇司令を取られるのではないか、とも思っただろう。
やり場のない感情が渦巻いていただろう。だけど。
「碇君は… 碇君は…」
レイさんはそこで言葉が詰まって、真に何を言えばいいかわからないようであった。
だが私にはわかる。碇司令以外で、自分に興味(といえばいいのかわからんが)を向けてくれた
他者。チルドレンという、いわば運命共同体のようなものであるといって切り捨てるのは簡単だ。
だが、そういった関係であろうとも、関係を持った以上、そして彼のなかにそれだけではない
感情があったというならば、レイさんにとってそれは、心地よいものであったに違いない。
だからこそ、命をかけられた。自分にはかわりがいる、そう思っていたが、いざ、そのふちに立ったとき、
その瞳からは涙が溢れていた。そこにこめられたものはなにか。ここでそうすれば、彼は助けられる。
だが、そこに自分はいない。かわりがいるというのは、自分が一番よく知っているというのに。
レイさんは、死にたくないと思っただろう。さぞかし、無念であっただろう。
私もそれを思い出すと、レイさんのように涙が出てくる。私でさえそうであったのだから、
当のレイさんの心はどれほど張り裂けそうだったのだ。どれほど溢れそうだったのだ。
レイさんでありレイさんでないお方が詠んだ詩に、このようなものがある
「 これは何
涙
なぜ零れたの 私の中にあるこの気持ちは何
何…
何…
何…
それを知るのはうれしいこと
それを知るのはこわいこと 」
「 涙は水
つめたくて
あたたかい
悲しい水
優しい水
淋しい水
なぜ
どこから来るの 」
「 『何か』で心がいっぱいになる
なりすぎて
あふれて零れる
そう
涙は心という入れ物から
あふれだした『感情』
喜び、悲しみ
気持ちが水に変化する
冷たくて暖かい 」
気付けば、レイさんの瞳からは涙が溢れていた。 そこで私は今度こそ途方にくれた。
碇司令やシンジ君のことを想って泣いておられるのだろうか…?とも思った。
かわいそうと思わずにはいられなかったが、それを口に出すのははばかられた。
それはレイさんのあの場、あの時の決断を侮辱することになるのではないか、とも思ったからだ。
…それとは別に、すこしだけチリチリするものがある。それはどうしようもない。
私が私であるゆえに、そのチリチリするものもまた、存在する。
私は少しだけ焦りはじめていた。
だが、それもレイさんが次におっしゃられたことに押し流された。
「どうして、あなたは」
「どうして」
稲妻に打たれた人の気持ちが理解できる気がした。 いや、それとも違う。
そして、先ほど思っていたこと。レイさんを軽く見ていたのではないか、それを
レイさんに悟られたのではないか、というようなことは、すべてが誤りでないにしても、
(事実、自分でハッと気付いたように、そういった要素はあったのだ)
一部は誤りであったのだということに気付いた。
レイさんは、私の好意を受け止めてくれていたのだ。
レイさんは見知らぬ男の好意を際限なく受け止めるような人ではない。
だから、だからこそ、レイさんは言ったのだ。「どうして」と。
そのことに対する私の罪は、先ほど私が感づいたことの罪よりもはるかに重い。
だが… どうすれば、どうすればいいのだろう。
そう、どうすればいいのかわからない。どうすればいいのか。
いろんな感情が表れて、渦を巻きそうだった。動けば、口を開けば
とんでもないことをしそう、言いそうだったので、どうにもならん。
迂闊には動けなかった。 大波に飲まれたときどうするか…?
どうにもならない。ただ、必死にその波が過ぎ去るのを待つだけだ。
…だいたい何分かたったかわからない。人はよく、時間の流れには緩急がある、
というが、まったくもってそのとおりだ。一時間か、一日か、あるいは一年か、それ以上か…
ともあれ、私はなんとか、なんとか口を開いた。
「そのことは そのことは… そのことは」
言いたい。だが言えるか。言ってよいものか。いや言ってよいものだ。だが今言ってよいものか…
相変わらず、アラビアータソースのペンネの湯気がたなびいていた。
イイヨイイヨ〜!
頑張ってるな
「…今は」
今は言えない、ということを搾り出すために湯気が冷めるほどの時間を費やした。
しかし、そのかわりに、何故私がレイさんを知っているか、ということを教える、と
約束した。レイさんの瞳が先ほどとは違う色になっていた。落ち着いた様子…
しかし…
人間ってのはどこまで醜くなれるんだろうねえ。やれやれ。
今言えない理由ってなんだい? …なんだろうな〜
ともあれ、冷えてしまったペンネを暖めなおして、二人でいただいた
なにをするにもまずは活力がないと。レイさんはペンネをいただいてくれた、
今はそれだけでも、教えることの重圧をやわらげてくれる別の活力になった。
なんせ大成功したからね。
食事が終わってお互いにこまごまとした用事を済ませた後、
私はレイさんと一緒にPS2のある部屋に向かった。
十三階段を登るときと言うのはこういう気持ちがするものなのか?さて…
とりあえずPS2とモニターを付けて、メモリーカードを確認する
このタイプ(15000番台)は頑丈だしメタルギア3の通信シーク問題も突破するが、
メモリーカード(正確にはDVDプレイヤーのデータ)がないとDVDが見られないのが難点だな
レイさんは先ほどの感情とは代わって、不思議そうにその動作を見つめておられる
そりゃそうだ、何故私を知っているか、で、何でゲームをするようなことをしだすのか?
ちょっと侮辱に当たるのではないかとも深読みしたが、レイさんは不思議そうなだけで、
別に怒ってはいないらしい。だがその視線は、怒りのこもっていない視線が、
私には痛い。
だが、すでに「覚悟」は決めている。「覚悟」とは暗闇に光をもたらすもの…
ならば、どうなろうとも、教えること、が大切。私は棚の死角に隠してあった袋を取り出した。
DVDのケースはかさばるしレイさんの目に触れやすいので、まとめてテーブルの土台の中に
入れてある ここにあるのはスリーブに入ったDVDの束だ 黒に縁取りされたDVDには
赤い文字でこう打刻してある「NEON GENESIS EVANGELION」と…
一枚、第一話から第四話までが入っているVol.1を取り出して、レイさんに見せた
レイさんは不思議そうにそれを見つめた後、打刻されている文字に言い知れぬものを見たようだ
手の中でDISCを回した後、私はおもむろにッ!それを自分の頭にッ!
ホワイトスネイクのように差し込んだッ! というか、差し込もうとした。
「…多分、無理」
それはそうだ〜 だ、だがまぁ、レイさんの口元が少しだけ笑みを浮かべたのを見て、
私の目的は達せられた、あの書物を読んだ今のレイさんの気持ちをほぐすには、
結構なネタだったと思う これから来るであろう衝撃に対して、心を柔軟にして欲しい…
ま、少し時間を置いたことで、そういうネタをかます余裕はでてきたということかも。
「…これは何?」
「…口で説明するより、見たほうが早いと思いまして」
詭弁だなぁ。実際は口で説明したときに、信用してくれる自信も、うまく
説明できる自信もないからだが。神ならぬ身、修辞学くらいは取っておくべきだったか?
『ざ〜ん〜こ〜く〜な〜…』
始まりましたよ。やれやれ。レイさんといっしょになってから(そういう意味ではない)は
このDVDを見つけて確認の為に見た日以来だな。しかし、そこまで考えて、
私はとほうもない幸せ者であるということを再確認したのでもあった。
レイさんはどういうふうに見ている…? OPにはレイさんやシンジ君やミサトさんや
その他いろいろなお方が(もしこの場にいたら殴られているな)カットシーンで出ている。
それらが瞳に映るたびに、レイさんの表情がごくごくわずかに変わるのは、見ていて…
なんだろう?痛々しい?初々しい? さて?
焼けたアスファルトに立つ少年、それを見たとき、レイさんの瞳がぶれた。
そして、シンジ君がふとみた先には…
私は、無粋とは思いながら、長年の疑問が噴出してくるのをとめられなかった。
「レイさん、このレイさんは、一体?」
…しまったァァァーッ! このとき(第一話)レイさんは怪我をしておられた!
ならば当然、ICUかどこかで治療を受けておられたはずっ! ドジった!
言わないで後悔するよりは言って後悔しろとはいうが、程度問題だな…
「……」
レイさんはしばらくだまっていたが、流れていく場面を見て、何かを思い出しておられる
ようだった。
「わから…ない だけど、 覚えてる… 夢、を、見てた…」
レイさんはご自分でそうおっしゃって、夢、の部分でハッとなされたご様子だった。
「碇君… を、見ていた… 気がする」
使徒襲来、呼ばれた子供、電池窃盗、…まぁ、このへんは第一話としては、
導入的によい引きだとは思うけれども(汗)
初号機の上に立つ黒衣の男、それが映ったとき、レイさんの肩が震えた。
隣に座っているのに何もできんとは… 無力感を味わう中。
「予備が使えなくなった。もう一度だ」
何度見ても憎たらしいなこのヒゲ。なんとか態度に表すのだけは避けた。
レイさんはというと、その後現れたストレッチャーの上に居られる…
「……」
驚くのも無理はない、が、べつに驚くことでもないのかもしれない。
「我々」だって日常生活の一部を切り取って保存しておくこともある。
つまり今モニターに写っているのは「過去の記録」のレイさんだ。
だが、この記録はまるで絵物語のように… ぶっちゃけて言えばアニメのように
進行している それがレイさんには驚きの原因だろう、とも思う
逆の立場で考えれば、ね。
使徒襲来、呼ばれた子供、電池窃盗、…まぁ、このへんは第一話としては、
導入的によい引きだとは思うけれども。
初号機の上に立つ黒衣の男、それが映ったとき、レイさんの肩が震えた。
隣に座っているのに何もできんとは… 無力感を味わう中。
「予備が使えなくなった。もう一度だ」
何度見ても憎たらしいなこのヒゲ。なんとか態度に表すのだけは避けた。
レイさんはというと、その後現れたストレッチャーの上に居られる…
「……」
驚くのも無理はない、が、べつに驚くことでもないのかもしれない。
「我々」だって日常生活の一部を切り取って保存しておくこともある。
つまり今モニターに写っているのは「過去の記録」のレイさんだ。
だが、この記録はまるで絵物語のように… ぶっちゃけて言えばアニメのように
進行している それがレイさんには驚きの原因だろう、とも思う
逆の立場で考えれば、ね。
その後も物語は続く。まだレイさんは本格的に出てこない。教室で囲まれるシーンのときの
レイさん、さて、今のレイさんはどういう風に… !
クラス中に囲まれているシンジ君を見ている現レイさんの瞳がちょっと紅い!
こ、これは! …シンジ君をうらやましく思うぜ…
だが。
その後シンジ君は家出するし諜報部に連れ戻されるしだが。シンジ君が帰ってきたとき、
「ただいま」
その言葉に、今度はレイさんが、うらやましそうな瞳を向けていたのは気のせいだろうか?
…いや、私が気のせいにしたいだけなのかもしれない。
そしてディスクは入れ替えだが。この先はいよいよヤシマ作戦、んでもってアスカさんの来日だ。
ん?何か忘れているよーな気がするな。 ってまぁ、別にそういうわけではない。
ちゃんとJAさん というか時田さんのことも覚えていますって。
DVDで見るときはCMがないから今は開始から一時間半ほど過ぎている。
DVDの注意書きにもあるとおり、一定時間で休みを入れたほうがよいか。
「飲み物か何か持ってきますね」
ひょっとしたら口実を作って逃げ出したのかもしれない。だが、ここでは、
レイさんを少しの間だけ一人にしたほうがいいのかもとも思ったのだ。
それもいいわけに過ぎないかもしれないが。
だが部屋に戻らないつもりなどはない。
奇妙な鑑賞会はまだ始まったばかり。
第伍話、レイ心のむこうに。題名からしてレイさんはいぶかしく思っておられるようだ
そしてゲンドウとの会話シーン。楽しそうに笑うレイさん…
「このときは碇司令とどのようなお話を?」
ついつい聞いてしまうが、レイさんが答えてくれると言うのは、喜ばしいことだ
(レイ、学校はどうだ)「ふん!私にとってはゴミクズ同然」(そうか、ならばいい)
ウフフフフ…
うわああ! 「…冗談よ」
ま、まさかレイさんが冗談をおっしゃられるとは… 誰の影響か 私?
よくは覚えていらっしゃらないらしい。
…最初にレイさんが包帯グルグル巻きだったのは、起動実験のときに
お怪我をなされた体という事は、われわれならば当然知っている
先ほどとは変わって瞳を伏せがちにしているレイさん、なにもおっしゃらないが
その気持ちは推し量ることが出来る
シンジ君が来たら自分は不要になってしまうのではないか?と、
激しく葛藤なさっていたのであろう。それが暴走と言うカタチになったに違いない。
そこをゲンドウに救われた。
それゆえ、ゲンドウに括る気持ちも、わからなくはない。 わからなくは…
曰く、シンジ君をビンタしたときは勝手に体が動いていた。
曰く、戦自の研究所の屋根を剥いだときはちょっと楽しかった。
曰く、寝ぼけて、その格好で来ないでね。は、なぜそう言ったのか
自分でもわからないと (多分、無意識にシンジ君に対してトゲがでていたのか…?)
レイさん自身からつむがれる思い出話は興味深い。
レイさんは、自分の感情に整理をつけるためにおっしゃっているのだろうか…
『絆だから』
そう、絆。レイさんはなによりも絆を大事にする。人のアイディンティティを保つ
一要素。だがその比重が、レイさんにとっては重い。
ならば私は…
『さよなら』
この挨拶に対しては、レイさんはなにもおっしゃらなかった。
そして…
ズキュゥゥゥウーーン(擬音)
『別れ際にさよならなんて… そんな 悲しいこと言うなよ…』
レイさんの瞳が少し見開かれた。ゲンドウのフラッシュバックは、おそらく
あの時のレイさんの脳裏に浮かんだものなのであろうが…
『…笑えば、いいと思うよ』
「…こんな顔を していたのね…」
…まぁ、本当はあと2通り(3通り?)くらいあるのだが、それはそれでよい。
「私はこのときのお顔も好きですね」
無意識に口にしてしまったが、レイさんはなにやら感じ入った様子で私を見つめていらっしゃる。
とりあえず、もってきたアイスティーを照れ隠しにあおった。
閑話休題というわけではないが、次の回は人の作りしものだ。
レイさんは先のヤシマ作戦の後休養をとっておられたのであろう。聞いてみると、
神経系のパルス異常が出て、矯正するのにいくぶんかかかったという。
レイさんはほんとうに大変だ。
Nervの裏工作などの面が強く現れる回だが、レイさんはというと
ふだん見慣れぬシンジ君の葛城家での生活ぶりが気になるらしい。
そういえば例のつまようじのシーンでもちょっと顔を赤らめられていたな… ニヤニヤ
しかし改めて考えると朝からビールがぶ飲みするような感じになったら、
あきらかにアルコール依存症ではないのか? …まぁよい。
レイさん曰く、お酒は軽いものしか呑んだことがないらしい。
誰とか… まぁ聞かないことにしよう。
まぁ、ミサトさんも結構な重圧をせおっておられるし、あれくらいですんでいるのは
むしろ程度が軽いほうか? 某トウゴウのパーキンソン病みたく? まぁいい。
さて…次は。
双璧?を為すおかた、アスカさんがいらっしった。レイさんを見つめるが、
その瞳からは、今はなにもうかがい知ることが出来ない。
感情を内に込めておられるのかとも思う。
すったもんだで、開け、開け…だが、その前にアスカさんがシンジ君の頭を
オラ無駄しているときにはちょっと背後にオーラが出ていた気がした。紫色の。
千首龍撃とか出しそうな。 …やはり、レイさんは、なにも知らぬ人ではないのだ。
最後に発令所に現れたアダムと呼ばれるもの、それを見たとき、
レイさんの体がひとつ大きく震えたのには、苦い思いをした。
とりあえず持ってきた三色コロネとカフェ・ラテをおすすめして、場面は移る…
おつかれ
レイさんがお菓子をいただいたのち、鑑賞再開 なにか食べられるほど余裕があるというのはいいことだ
もっとも、今はエヴァの展開のなかでも陽の部分だから…
陽といえば陰陽マークのイスラフェル。「瞬間、心、かさねて」
ミサトさんと加持さんのシーンで、レイさんは何かしら思うところがあったらしい
ロジックじゃないのね、男と女は、とはよくいったものだ。
レイさんはやっと復帰したという。だからこそ部屋にもいるわけだけど…
「………」 命令ならそうするわ、という要素が強いレイさんだが、いまここにいるレイさんは、
もはやそういった要素だけでこのシーンを見ているわけではないだろう。
何度見てもツイスターゲームのシーンは微妙にニヤけるな…
「レイさんは以前にあの類のゲームを?」
「…コツを掴めば簡単よ」
それはつまりシンジ君と心をあわせていたということか。
心をゆらして 心をゆらして… と、なぜか古い歌をつぶやいてみたくなったな…
シンジ君とアスカのユニゾン特訓シーンを見て、レイさんはすこしだけ微笑んでいたようにも思う
…割とレアどころの話ではないな〜 ま、ほほえましい、というような感じだけれども
だが深夜のS−DATのシーンが来ると…
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
す、すさまじいまでの気迫ッ まるで空気が固形化してかぶさってくるようだッ!
…やはり、レイさんのとなりには… ガシガシと頭をかくくらいしか今の私にはできんのか…?
修学旅行に行けない、というのは中学生の女の子としては結構残念なのではないかな、とも
思う中、戦闘待機というのはいかにも割りのあわないことだ、とも思う。レイさんは平然としているが。
しかしシンジ君プールサイドにパソコン持ち込んでお勉強というのはどうなのか…
まぁ、フラグ立てのためには仕方ない、か?
「…まえまえから疑問に思っていたんですけれども」
「…?」
「レイさん、このとき息継ぎしてました?」
「…潜水は得意なの」
ふむ、なるほど。となると、その後に「私が弐号機で出るわ」といったときのレイさんの
お言葉にも新たな意味が表れるのかな? …まぁ、弐号機は動かないと思うけど
個人的にはあのスーツのレイさんも見たかったが、まぁ塊魂みたいなのでやめておこう。
それにレイさんには危ない目にあってほしくはないからね。アスカだから、
熱膨張云々のフラグを生かせたというのもあるだろうし。
…私は破廉恥な男かもしれん… だがまぁ、レイさんの身を案ずるなら、畜生道にも落ちようさ。
「しかしまぁ、このときのシンジ君は私もかっこいいと思いましたよ」
「…そう」
「我々で言えば、熱湯コマーシャルなんてものじゃありませんからね
おそらく相当に全身アツかったと思いますよ」
『…バカ、無理しちゃって』
「……そうね」
自分個人の主観、というか色眼鏡でレイさんを見るのは失礼だとわかってはいるが、
ちょっと肩がおちたように見えるレイさんにどういう言葉をかければよいのだろう?
だが、最後のシーン…
「膨張……?」
レイさんには意外と天然なところがあった。
>>126 ルリヲ、お前がその身でレイさんに膨張の意味を教えてやれよwww
妙な空気をまとったまま部屋の中にフライミートゥザムーンが流れる。
最初から意識はしていたことだが、事実上キャストの部分にいろいろとレイさん的には見逃せないような
文字が並んでいるんだけど、レイさんはそれを見ていて観ていないようであった。
いろいろとあった過去の思い出を再確認しているのだろう。
どちらにしろ最後には言わなければならないことだ。
私という存在がなぜレイさんを知っていたかを。
だが、第拾弐話が始まったとき…
「レイさん!? どうしました!?」
「…うぅ…!」
レイさんが、頭を押さえて前のめりになってしまわれた。何故か?
原因はおそらく、画面にうつったものであろう。
緯度が限りなく90゜に近い場所で起きた大破壊。その中心にいるものは…
私はあわててPS2コントローラーのR1ボタンを押す。チャプタージャンプボタンだ
DVDプレーヤーとしては最低限の機能だが、このコントローラーの操作に
習熟していたのは僥倖だった あわててリピートなどしてしまったらどうなっていたか
背筋が寒くなるな…
おかげで雨宿りとか科学は人の力だよとか飛ばしてしまったが、レイさんが落ち着くまで
とりあえず一時停止してレイさんを支えていた
「レイさん、しっかりしてください」
咄嗟に脇にあった飲み物を出したが、オレンジジュースを出してしまったのは
私としては痛恨の失敗であった。あの液体に似ているから
「…ッ…!」
とりあえず白磁よりも白くなってしまったレイさんを支えて洗面所へ。
人は真実に直面したとき痛みを覚えるというが、これは残酷すぎるぞ
自分自身の迂闊さを呪いたい気分だ…
私はあわててPS2コントローラーのR1ボタンを押す。チャプタージャンプボタンだ
DVDプレーヤーとしては最低限の機能だが、このコントローラーの操作に
習熟していたのは僥倖だった あわててリピートなどしてしまったらどうなっていたか
背筋が寒くなるな…
おかげで雨宿りとか科学は人の力だよとか飛ばしてしまったが、レイさんが落ち着くまで
とりあえず一時停止してレイさんを支えていた
「レイさん、しっかりしてください」
咄嗟に脇にあった飲み物を出したが、オレンジジュースを出してしまったのは
私としては痛恨の失敗であった。あの液体に似ているオレンジジュース…
「…ッ…!」
とりあえず白磁よりも白くなってしまった顔色のレイさんを支えて洗面所へ。
人は真実に直面したとき痛みを覚えるというが、これは残酷すぎるぞ
自分自身の迂闊さを呪いたい気分だ…
洗面所を出たときはなんとかマシになっていらっしゃったけれども、
まさかこうなるとは思わなかった 迂闊どころの話ではない
と、同時に 頭の中に浮かんできたもの
それは、ここにいるレイさんがまさしくレイさんであるということ
そんなことは最初からわかっていることだろう、と自分に言い聞かせるが
もう一つの心、黒い部分がざわめきだす
椅子に座って呼吸を整えているレイさんの肩に左手を伸ばす。
…なんだ? どうしたいのだ私は?
気が付くと、右腕で左腕を押さえていた。 左脳は右腕をつかさどり、右脳は左腕をつかさどるという
つくづく度し難いな…
「…今日はもう遅いですし このくらいにしておいたほうがよいでしょう」
頭を振って自分でもわからない何かを追い出すと 私はレイさんにそう言った
レイさんも衝撃が抜け切れていないのか、力なく頷いたのみ
ふらつく足取りをあわてて支えて自室へと案内した。
「…申し訳ありませんでした」
ドアが閉まる瞬間、私はつぶやいた。 その言葉は二つの謝罪を持つ
レイさんはそれに答える余裕はないようだったが
その瞳には、明らかに困惑の色が浮かんでいた。
ドアが閉まって、レイさんがベッドへとむかう気配がした後、
私はそのドアに背中をつけて大きくため息をついた
そして左腕で思い切り顔面にパンチを食らわせた。
ルリヲって何?
第拾弐話の始めってどんな話だっけ
セカンドインパクトの発生シーン
ミサトが「…お父さん?」と言っていたな
光が強いほど闇は濃くなる、というが。 闇があるからこそ光の尊さがわかるというもの
一時の気の迷いなどにとらわれる必要はないということかもしれないな〜
朝食のあと、ホットミルクをレイさんのコップに注いだとき、
さて、今日はどうするかな、とも思った DVD自体はあるのだからいつでも見られるわけだし
無理に連続しても…
「…観に行きましょう」
知らず知らずのうちに先延ばしの心が出ていたのに気付いて、多少赤面した
そしてレイさんの強さを改めて感じた
抱きしめたら折れてしまいそうなレイさんの心には
きっと黄金色に輝くものがあるのだろう…
DVDのルートメニューから選択。この画像でもレイさんにはいぶかしく映るのか…?
とも思うが、しかたない。
出撃前に遺書を書くというのは特攻隊員のならわしだが、あらためてみるとかなり
残酷なシーンでもある ミサトさんやゲンドウは指揮官の責務でここから離れられんし
シンジ君は作戦だからどうにもならんし 失敗したらそのときは…
となると、やはり遺書などは必要ないのか?
いや、私はそうは思わんが、とりあえず「遺書を書く」という事じたいが、
この場面では残酷さの象徴になっているのだろうな。 キツイことだ…
「肉はあまり好きじゃない。 …血なまぐさいから」
レイさんが唐突におっしゃったのは、そういった気分を無理にでも中和なさろうとしたのだろうか?
しかし… サハクィエル、まさか本部ごと吹き飛ばしてアレにたどりつけると
おもったわけでもないだろうが、ううむ。 ちょっとだけでもアレにふれればよいのだろうか?
ま、終わったことに対してどうこう言っても仕方がないが、他山の石というし、あらためて気に留めておこう
作戦前、ミサトさんがシンジ君に過去を語るシーン。
エディプス・コンプレックスの告白ともとれるが、
レイさんには、どのような目で見られているのだろうか?
「…………」
レイさんにはその対象がおられない、ということになるのだろうか? 内心はらはらしていたが、
「人にはそれぞれの戦う理由がある。 …私には…」
いままでガンダムやその他の小説などを見てきたレイさん、以前と同じ視線では捉えられないのでしょう
まぁ、それはだれしにもある レイさんにも 私にも 使徒にも
だから、「私には…」とおっしゃったレイさんに、何か言葉をかけようとしたんだけれど…
チリチリとしたものが邪魔をする ……
なんとかエヴァ三機の連携によってサハクィエルを撃破。
『弐号機、フィールド全開!』と言ったときのレイさんのお顔、
まさに戦乙女の表情だ 凛々しく、そして美しい
レイさんは今始めてそのときの自分のお顔をご覧になったのだろう。
このような顔をしていたのか、というお顔をなされておられる
なにかわからなくとも、レイさんにはその「理由」が確かにありますよ。
ハセオ
>>『弐号機、フィールド全開!』と言ったときのレイさんのお顔、
>>まさに戦乙女の表情だ 凛々しく、そして美しい
同意。
戦闘中で緊迫感があるとはいえ、レイがあんな厳しい口調で
アスカに指示したのは、最初見たとき凄く意外だったな。
第拾四話、地味に来るのはヒカリの作文か
もはやそういった事態が日常と化しているのか…
かなりの修羅場を何とかぬけた後、今度はベクトルの違う危機が迫る
イロウルの侵攻だ 杜撰な建築に取り付いて進入するとはなかなかの策士
サハクィエルと同様、自爆攻撃を仕掛けてくるが やはり一部だけでも
触れればよいのだろうか…?
などと、顔を隠しながら音声だけでお送りしております
隣にレイさんがいるのに17回もアカ落としの後を直視できるものがいるか?
いなァァァーいっ! …人それを甲斐性なしという …違うか?
だがさすがに、レイさんのモノローグのときは隠しているわけにもいかない
だが、横を見ると今度はレイさんが下を向いてうつむいていた
先ほどの自分の行動が酷く失礼な気がしてきたな…
『碇君の匂いがする』
あえてノーコメント。 人間は嗅覚というものは比較的衰微している動物なのだが、
やはりレイさんとシンジ君の間には絆があるということか…
零号機及び初号機互換成功により、提唱されるダミーシステム。
このあたりからだんだんとキナ臭くなってくる
横にいるレイさんは無表情のように見えて さまざまな感情を投げかけてくる
さらにそのランゲージが現れるのは 感情が沸石したときだろうか?
零号機の暴走時、よほどチャプターを飛ばすか、もしくはレイさんの視界を隠すか
したかったが どちらも何故か出来なかった レイさんに悪感情を抱かれてもいいから
とめるべきだったか? もはや過ぎ去ったシーンに対する感傷を押し流しながら場面は進む。
ここでの暴走、それはやはりレイさんにも、心の底に黒い部分があるということなのか…?
だが、それがあるからこその人間だ。
ゲンドウに命じられたらしく 例の「槍」を持って歩む零号機の背中
その背中とレイさんの背中を見比べて見るが…
拾四話を総集編的な位置づけとするなら、拾伍話は幕間劇というところか?
学校でレイさんによく話しかけるシンジ君
この間の実験の成果はともかくとして、それがきっかけとなって
レイさんとの距離がすこし近づいたのかもしれない
レイさんの雑巾掛けのシーンもあればよかったが… これは邪念か
気持ちの切り替えの早さも時と場合によりけりだ
『何を言うのよ』
「……今でも、そう思いますか?」
「…………」
一面の墓場でのゲンドウとシンジの会話シーン。
この墓もただの飾りか…
古い人の言った言葉に
「骨がなくとも墓は墓だ。 墓を立て、そこに葬られた人を偲び、
情と節を以って接する限り、それは立派な墓なのだよ」 というものがあるが…
ゲンドウは忘れることを恐怖しているように見える。なまじ何かがあると
それに頼ってしまい忘れてしまうかもという事を懼れているのか…?
かといって、シンジには「人は忘れることによって生きていける」というあたり
身勝手な男だとも思う シンジに対して遠まわしに励ましているつもりなのかも知らんが、
そうであってもやはり身勝手な男だ
出迎えのヘリに乗っているレイさん 何を思ってこの風景を見ていたのか…
当時始めてみたときには、シンジはどうやって帰ったのだろう、とか思っていたが
今は私の視界がシフトしている これも年月の積み重ねが少しでも出ているからだろうか
乙。DVDが終わったら貞エヴァ読ませるといいかもね(
>>145)
『あ〜かあ〜おきいろの〜♪』
この歌は某アルバムに載っているが、実はレイさ… まぁいい。
しかしそんなことは比較的どうでもよい。問題は…
「い、いやあははは、なんというか、そのね、ひ、ヒマだからといってですな」
常識的に考えてヒマだからキスはしないだろうよ。あまりにおそれおおい…
おそれおおいと思っているうちはダメか?とも思うが、それはまた別の話
いまのレイさんをどう表現すればいいか? そう、「焼けるように冷たい」というやつか?
だが、その中にも爪月のようにかすかに見えるものはなんだろう?
シンジ君が演奏していたのはどうやらバッハの無伴奏チェロ組曲の編曲だろう…などと
薀蓄を語っていたころからマズイとは思っていたが、これは流石に
以前深夜のS-DATのシーンからもうアレだとは思っていたが、ふぅ。
ヒマだからキスする… まぁ、ベクトルが違えば、ごく当たり前のことかもしれませんが、ね。
だがまぁ波乱はここだけではないんだ今回は。
何度、私は席を外して、と言い出したくなったかわからない。だが、それでは
そもそもレイさんと一緒にこのDVDを見ている意味がない。それは、レイさんに
「なぜあなたを知っているか」ということを教える上での、最低限絶対に為さなければならないことだ、
とも思う。
『…レイ、上がっていいぞ。食事にしよう』
このヒゲは何を思って… だれかに転化できるうちは、私もまだ心底あわててはいないのだろう
意を決してレイさんを見つめる。だが、その視線に気付いたのか、レイさんも私を見つめ返してきて
くだされた。 目を閉じられれば逃げることはできただろうが、そうするわけにはいかないのだ!
…レイさんの瞳には何が写っていたか、都合のよいように考えればすがるような瞳…か?
自己満足もたいがいにすべきだが、その視線も加持さんがミサトに見せたものによって終わる。
「…違う」
そう、私も知っている、違う。それは。 …だがまぁ、なんということだろう。
こんなものをデウスエクスマキナとは認めたくないものだ。
いややはり違うんだ。ヒマだからキスするのではなくて、「ヒマを使ってキスをする」んだよ。そう、そうだ。
私は間違っていない!きっと。 いい加減それから離れろよ。 フライミートゥザムーンも流れてるんだしさ。
次回予告のなか、レイさんを見つめる。そのときちょっとした想像が浮かぶ。もし、レイさんが
そのようなことをおっしゃってくださったのなら、私はどうするか!? 一気に脳の処理能力がパンクした
パソコンなら常時CPU使用率100%でダウンしそうだ。だが、まぁ、なんとか… 答えは出した
(キスは… し、し、ない)
MAGIで言えば条件付否決、といったところか?いや、否決ではない、否決ではないんだが…
そうだ。ヒマだからキスをするのではない。「ヒマを使ってキスをできる」その日を待ってキスしよう。
だがそんなことは所詮高望みではないのか?もしそのような事になったら、理性でおさえられるか?
そんなこんなで一見気難しそうな顔をしていたらしい、レイさんに
「…大丈夫?」 と心配されてしまった。 「だだだだだだいじょうぶです」
大丈夫じゃないだろ、常識的に考えて…
まぁ先ほどの妄想は妄想ということで片付けて、脳内のテンポラリファイルに放り込んだ。
ゴミ箱じゃないのが賢しらなところであり黒いところだ。だがまぁ、それも生きるための糧になろうさ。
ヘンな理由だ。
そんな心境を表すかのように、突然道路が黒く染まった。きましたよ、
リツコさん曰く「別の宇宙とのゲート」 …違ったか?
もしかしたらレイさんも私もこいつを通ってきたのかな、とも思うと、
使徒をもし作ったものが居るとしたなら、レリエルを採用すべきだと思った私の動機は不純。
だがしかしここは採用すべきだろ。ジオンがゲルググを採用したようにあたりまえの…
ん?しかしレリエルが採用されていたのなら我々はいない。となると宝の持ち腐れ…?
よくわからなくなってきたとき、シンジくんは先走ってエヴァ用デザートイーグルをぶっ放した。
物事を一面からだけ見ようとするな、とは、よくいわれるが、この場合まさにそうだろうな。
だが実際あのゼブラストライプの部分が本体ではないといわれても、信用されまい。
リツコさんたち技術部のおかたはそういった多面からの見方ができていたということだろう。
これもまた私にとってはよき教訓となろう。このDVDを見せ終わったあとか、レイさんの誕生日を
祝ったあとかわからないが、かならず訪れる「奴」との最後の場において役立つだろう。
脳裏に刻み付けておかねばならないだろうな…
おつです。
『待って!まだ碇君が…』
その後のミサトさんの『命令よ… …下がりなさいッ』に押されているが、このシーンも
レイさんとしては珍しく感情的に反対しているシーンですな。
ここですかさずアンビリカルケーブルを巻き上げればよかったのでは?とも思うが、
吸い込まれている以上、なんらかの吸引力があったらしい ガギエルの引っ張りに
耐えるアンビリカルケーブルも、切れてしまったら元も子もないということか…?
結局、どこかで切れていたらしいけれど。
アスカさんが憎まれ口を叩いているが、心配しているのは確か。だが、それに
レイさんが「スッ」という感じで割り込んでいくのは、レイさんの心が豊かになっていた証拠か。
所詮これは過去の映像だが… 今のレイさんも心配そうな表情を浮かべている
ナノメートル単位の暗黒空間こそが使徒の本体。そこに現存するN2爆弾をたたきつけて
干渉するという、ある意味実現していたらエヴァ史上最大級の作戦をたてたリツコさんたち。
ミサトがビンタするのは指揮官としてはあれだが、個人としてはしかたないだろう
「…危険でも、やらないよりはいいわ」
レイさんもおっしゃったように、そう考えるのが、理論としては正しいだろう。だが。
人は理論を体現するために生きているわけでもないだろうから、ミサトさんの激昂もある意味
仕方がないといえる。リツコさんははたかれ損… いや、憎まれ役を引き受けた、のかも。
損な役回りですな… つくづく。
シンジ君はとりみだしながらも、暗黒空間で救助を待っている。これは大事だと思う
ただ「死にたくない」という感情であっても、「救いを待つ」ということは、大事だ
「皆が僕を救ってくれる」という感情の上に成り立つことだからね
義務か、信頼か… ともあれ、シンジ君の考え方は一般的だ。 …しかし…
…結局、TPO、時と場合に応じて、か。ふぅ。
な け る ぜ
「…Story of my life.」
「……?」
ついつぶやいてしまった言葉を、レイさんは聞き逃されなかったようだ。こういうときは…
ごまかしようもないな。
「ままならないものですな、という意味ですよ」
「………」
だがまだ、シンジ君には救いがあった。それを見たとき、レイさんは、震えた肩を両手で抱え込むようにして
画面に見入っていた。
私は、そっとその肩に手を置いた。 レイさんはレイさんさ。それ以上でもそれ以下でもない。
レイさんを安心させたい、という気持ちはあったけれど、レイさんがそっと手に触れてくださったのには、
ちょっと心が跳ねた。
だが、レイさんを少しだけ揺さぶったその存在が、エヴァに力を与える。
虚数空間を引きちぎり本体の影の中から現れるエヴァ…
私は、前々から、ここでレイさんに聞きたかったことを聞いた。
リツコさんとアスカさんは感情を言葉に表してくださったけれど、レイさんは…
「さしつかえなければ… このとき、どう思ったか、教えていただけませんか」
「… 怖い、 と、思ったわ」
…自分でも賢しいと思うが、 やはりレイさんはレイさんであって、レイさん以外の何者でもない、と思いたい。
だが、画面の中のレイさんは、シンジ君が見たお方と同じことばを言われる
…だが、私はそう思いたい。 そう信じている。
(一応、今は「閉じ込め中にDVDを一緒に見ているということなので(汗)
(誰か私以外にも書いて欲しいな〜とも思う今日この頃)
メル欄にルリヲって書いてる上の方の名無しも◆i6LROeveXU さんの文なの?
続きもの?
(そうです)
ここからはトウジとそれにかかわる人びとを描くシナリオ。
レイさんにトウジのことについて聞いてみると…
「碇君と仲がいい。 …それ以上は、つかみきれない」
わからない、ではないところが、トウジもまたレイさんに影響を与えているとも見れよう
ゼーレのメンバーのミサトへの詰問。使徒は知恵をもちつつあるとか…
まぁ、普通に考えていれば、そういうふうにもなるだろう。あの手この手で攻めてくるからな
そしてこれからはその傾向が如実になっていく
『問題ありません』 先ごろのレイさんの冗談の元にもなった会話。
改めてレイさんに聞いてみると、特に目立ったことも無く、(使徒迎撃を目立ったことでない、と
いえるならばだが)クラスの中でも平穏無事であったようだ。これは本当にホっとした。
レイさんの性格からして、もしかしたら、とイヤな想像もしていたが、
そういう芽はそもそも出ていないのか、それとも出た途端刈られているのかわからないが、
レイさんのまわりが平穏無事というのはいいことだ。
…そういう問題か? そういう問題でもあろうし、そういう問題でないとも言える
まぁしかし、トウジ君はできた子であるな、とも思う
私の中ニのころはここまで性格ができていなかったな…
これはヒカリが惚れるのもわかると言うものだ。
この時代に生きている子には、ある程度そういう資質があるのか…?
となれば、レイさんも… 及ばぬな、所詮。
トウジがレイさんに、その洞察力を以って語るシーン。
はっと気付くような感覚がレイさんにあったのは、幸せなことだとも思う。
こんな状況下でなければ…
ダミーシステム… それが映るたびに、私は内心で痛みを覚える
やはり、ありのままに見せるというよりも、なんとか口で説明したほうがよかったのか?
…だが、もう止まりはしないし、ここで止めたらなおさらレイさんによくないだろう。
言ってはなんだが、私はトウジにまで構っている余裕はない。
いまここにいるレイさんのことだけで精一杯で、それすらもできていないかもしれないが…
ここにレイさんがいるというのならば、トウジやシンジ君やその他のお方(殴られそうだな…)
もいらっしゃるのであろうが、私にはレイさんしか見えていない。
人の器のなんと狭く浅い事よ。だが、私はその器をレイさんだけで満たしたいと思う
そのことに対して後悔はない… 善悪などは個人個人によって変わるものだ、などという
後付をしなくとも、それは変わらない。
ゆえに、使徒に取り付かれた3号機が、零号機を侵食するシーンは、
となりにレイさんが居なくとも、今はさらに、痛ましく写る。
戦っているのだからそういう描写があるのはあたりまえだというのは、
当時としては先進的な考えだと思うが、理屈だけでは納得できないこともあるのだ。
レイさんは思い出したかのように、左腕を押さえておられる。
それはそうだろう、擬似的とはいえ。
私は後半は見てはいたが、観てはいなかった。
隣に座っておられるレイさんに意識を向けていたようにも思う。
常日頃観ていたときには、ゲンドウは「使徒を倒さなければトウジも救えないぞ」
などといえばよかったのではないか、などとも思っていたものだが、
今のレイさんにそれを言うのははばかられた。過去は過去、もはやどうにもならない。
「………」
お互いに気丈に振舞っているであろうトウジとヒカリの会話シーンを、
レイさんはその瞳に、羨望や諦観、あるいはその他の感情を満たして観ていられたように思えた。
私は頭に浮かんだ言葉を言いたかったが、それを言ってもここでは残酷にしかなるまい。
「トウジだけでなく、レイさんに代わりなどはいない」と…
シンジ君の瞳孔が狭まるシーンは、屈指の出来であると共に、
レイさんにも痛々しさを伝えたようだ。 あのときレイさんは救護室で手当てを受けていたらしい
今のレイさんは、他の人の痛みをわかってあげられる。
ごくあたりまえのことだが、それが出来ていない人が多い昨今、複雑だが、うれしいことだ
そして、発令所での問答。
「…碇君が、本気で怒っている」
…シンジ君がこうまで感情をあらわにしたことに、レイさんもやや戸惑い気味であったようだ。
そしてある別種の感情も。私の感じとしては、シンジ君のその感情は、あのときもあったのだろうか?
今ここにいるレイさんがここに来る前にあった… だが、それもまだ先のこと。
しかし…エヴァに乗っているときならばともかく、エヴァから降りたシンジ君に
4重掛けで手錠をかける意味はあったのだろうか? シンジ君が暴れだす、という
ことは容易に想像できんな… それも友のためか。DVD版でよかったというところ、か?
まぁ、いい。 つまりこれも、当初のシンジ君と今のシンジ君の違いを表す結果なのだろう。
成長、と置き換えてもよいかもしれない。
そしてそれはレイさんにもあるだろう。二日とおかず使徒襲来、初号機に乗って
出撃しようとするレイさん、だが。
『ダメなのね… もう』
ここで、私は口を開いた。
「こんなときに、こんなことを言い出すのも不謹慎だとは思いますが、
これはレイさんにとっては、必ずしもマイナスではなかったのではないでしょうか?」
不謹慎も極まる。 だが、ここでもしレイさんが初号機に乗って出撃していたら、
どうなっていたかはわからなかった。また、それだけではない。
初号機とのつながりが薄くなっているということは、それ以上の意味がある。
この先の展開を知っている私としては、
この言葉もまたレイさんを見下していることになるのかもしれなかったが、
それでも私は言いたかった。
「…そう… そうね そうかもしれない」
レイさんはレイさんであるから、ここでのある意味、決別ともいえる描写は、
複雑ながらも、私の印象に残っているのだ。
この美しくも醜い人間、か…?
弐号機の弾幕はまったく通じない。流石は力を司る天使ゼルエル。
使徒の中でも戦闘力に限って言えば一ニを争うであろう。
初めて見たころは、人型兵器とは両腕を飛ばされてしまえば無力化
されてしまうものだ、などと、邪智をめぐらしていたものだが、
今は先の展開を知っているというのに、レイさんのことのみが気になる。
これも、レイさんといっしょにいるという今の環境が、私を素直にさせてくれているからか…
『…私が死んでも、代わりはいるもの』
ここでも又私は言わなければならない。もしかしたら、それは私だけの独善かもしれない。
だが、これは私が一番伝えたいことでもある。
「そんなことは絶対にありません。 …今のレイさんにならば、解かって下されるものと思います」
「………」
レイさんはなにもおっしゃらなかったが、その端正な顎が、すこしだけ下がったのは、
私の目から見ればだが、頷かれたようにも思われたのだ。 信じたいだけなのかもしれないが。
N2爆弾を抱えて突撃する零号機… 今のレイさんの目から見れば、どう映っておられるのだろう?
そして考える。今のレイさんがもう一度この状況下に立たされたならば、どうなさるだろうか?
やはり同じように捨て身で当たられるだろうか? …おそらくは、そうなるのかもしれない。
だが、その際の感情のうねりは、この今見ている零号機の中にいるレイさんよりも更に激しいに違いない。
弐号機の弾幕はまったく通じない。流石は力を司る天使ゼルエル。
使徒の中でも戦闘力に限って言えば一ニを争うであろう。
初めて見たころは、人型兵器とは両腕を飛ばされてしまえば無力化
されてしまうものだ、などと、邪智をめぐらしていたものだが、
今は先の展開を知っているというのに、レイさんのことのみが気になる。
これも、レイさんといっしょにいるという今の環境が、私を素直にさせてくれているからか…
『…私が死んでも、代わりはいるもの』
ここでも又私は言わなければならない。もしかしたら、それは私だけの独善かもしれない。
だが、これは私が一番伝えたいことでもある。
「そんなことは絶対にありません。 …今のレイさんにならば、解かって下されるものと思います」
「………」
レイさんはなにもおっしゃらなかったが、その端正な顎が、すこしだけ下がったのは、
私の目から見ればだが、頷かれたようにも思われたのだ。 信じたいだけなのかもしれないが。
N2爆弾を抱えて突撃する零号機… 今のレイさんの目から見れば、どう映っておられるのだろう?
そして考える。今のレイさんがもう一度この状況下に立たされたならば、どうなさるだろうか?
やはり同じように捨て身で当たられるだろうか? …おそらくは、そうなるのかもしれない。
だが、その際の感情のうねりは、この今見ている零号機の中にいるレイさんよりも更に激しいに違いない。
だからこそ、私は言わなければならなかった。レイさんにそれをあらためて、気付いて欲しかった。
今見ている映像は過去のもので、今のレイさんには、零号機もない。
そして使徒はおそらく、あと2体。一体はカヲル君だが、これはまだ救いがあろう。
後一体は、なんとかしなければならないが。
だが、それを乗り越えてなお、レイさんには常人には思いもつかぬ波乱が待ち受けている。
もしかしたら、レイさんがここにいることによって、筋書きがかわるかもしれないが、
(そしてそれは私が望んでいることでもある)
どちらにせよ、何も無くてオシマイという事にはならないだろう。
…よしんばそれをも乗り越えたとて、レイさんの人生にはいろいろな、規模的には劣れど
質的にはそれよりもなお重い波が襲い掛かってくるかもしれない。だが、
それは同時に幸福でもある。普通の人が、当たり前にやっていることなのだから。
私が言うのもなんではあるけれど、レイさんがその人生の荒波を越えていくためにも、
ここでは私は言わなければならなかった。 そして、それに後悔は無い。
これも、私にとっては幸福に当たる、と思いながら、声を荒げてレイさんを心配する
(ように見える… のは多分私の邪智。まこと人間とは美しくも醜い不可分の存在だ)
ゲンドウの顔を見つめているレイさんを見ながら思うのだが…。
(また二重カキコ orz もうしわけありません)
レイさんの決死のN2爆弾突撃すら通じぬ最強の使徒…
その後のシーンは私のほうが思わず両目を閉じてしまった
しばし暗闇の中に居ると、その暗闇の中にぬくもりが…
レイさんが私の肩に手をのせて下さっていた
「これは過去の事… 私はここにいるわ。大丈夫」
いままでレイさんとともに在ったが… ここまで、レイさんを親身に感じたことは
これが初めてだったかもしれない。レイさんに感謝するとともに、
ちょっとした気恥ずかしいような感情を得る。
…しかし、この爆発の中でも冷静な加持さんが流石だ。
弐号機は既に倒されているのであるが… ふだんお茶らけている人ほど、
その中に眠るものは深いのだろう。
この時代の青年の皆さんは、あの地獄を乗り越えてきただけの「凄み」がある
それは諦念とは違う何かだ。覚悟、と置き換えてもいいかもしれない
ここでエヴァに乗るというシンジ君… そこにも「覚悟」があるように、私には見える
アスカさんやレイさんというような女性のお方が戦っているのに、という
男としての矜持もあったであろうが、常人なら混乱して動けなくなってしまうかも
しれない状況下で、加持さんの導きがあったとはいえ、いくさ場に赴けるという「覚悟」
その想いが、ゼルエルを圧倒するが… ここでは多少ハイ!になりすぎていたのだろうか?
大抵必要以上にハイ!になった人はアレなんだが… それも仕方ないか
わかる人が嗅げばアドレナリンの匂いがプンプンだろう
某寄生虫がいたら確実に変身しているものと思われる。まぁ、それはいい。
『だから… 動いてよォォォーッ!』
ド ク ン
「…ッ」
「…!?」
いままでにも、レイさんとエヴァのDVDを見ていて、レイさんが影響を受けた、と思われる
シーンはあった(その中には酷くざわめくものもあった)が、ここでのレイさんは、例えるならば…
二つの音叉が共に音を感応したような感じであったのか… 持続自体は短かったが、
その一瞬の衝撃は強かったように思える
シンクロ率400%の限界突破… それは例えて言えば完全に自分をエヴァに委ねていることにほかならない
生物としての生存本能を丸出しにしているようにも見えるが、そのきっかけになったのは
シンジの生存本能「だけではない」感情である 引き金、マスターキーと言ってもいいか
おそらく、それが使徒とくらべて圧倒的に生命自体として弱く脆い人間をして、
使徒と同列に並ぶ資格を持つだけの力なのだろう。エヴァはその媒介であり、その思念を実体化する装置でもある
ゼルエルを斃すというより 屠った 後、初号機はゼルエルを喰らう。
リツコさんによれば、スーパー・ソレノイド機関を取り込んでいるのだというが…
「人間はほかのどの生物よりも好奇心が強いから進化したのだ」とは、だれのセリフだったか…?
ともあれ、それが使徒と人間をして一線を隔てているものであって、また一つの強力な武器なのだろう
…となれば… 「この先現れた」使徒… それらはその武器を手に入れようとしたのだろうか?
そういうふうにもとれるが…
そんなことを考えながら、闇に吼える初号機を見つめているレイさんの横顔を見つめるのだが…
心のかたち、人のかたち… このあたりからキナ臭さというよりも、暗雲が立ち込め始める
まだ雨が降り出しては居ないが、その雲の厚さはだんだんと増してくるという感じか
ゼーレメンバーは、直接レイさんには関わっていないゆえ、いままでのシーンでも
レイさんが特に関心を寄せるような感じは受けなかった。だがまぁ… よくは思っていないようですな
しかし… 改めてみるとたまらんな 弐号機と零号機はヘイフリックの限界を超えているという
これは、学術用語で、人間の細胞のテロメアに従って、細胞分裂する限界が定められているという意味だが、
ここではまぁ、そういったよくわからん言い回しよりも、実際写っているエヴァ二機の画像のほうが説得力がある
…だがここで私は考える。
もし、レイさんの乗る零号機が、うまいことレイさんだけ助かって、あとは修復不能なまでに
壊れていたならばどうだったろうか…?
レイさんは、少なくとも最前線からははずされるであろうし、あのような目にあうことも…
頭を掻く。 そんな都合のいいことはそうそう起こらないものだ。 第一、零号機がそこまで傷ついたら、
レイさんにも危険が及ぶということではないか。
だが、そのような「都合のいいこと」を、「となりに居るレイさん」を見ながらも思い浮かべてしまう自分が居て、
酷く自己嫌悪に陥る。 やれやれ…
『我々がどれほどの時と金を失ったか、見当も付かん』
…これが、彼らの組織「ゼーレ」のやり方なのだ…
「…前線から遠のくと楽観主義が…」
どこぞの特車二課課長のセリフを出だしだけつぶやいてみる。彼らも楽観はしていないのだろう、が、
彼らの口ぶりは嫌悪感をそそるに充分だった レイさんもそのすべらかな眉が若干くもっている
鈴たる彼、加持リョウジの中にあるものは一体… まぁ、レイさんは「アスカの気になっている人」
という程度の認識なのでしょうが(それでも充分に私にとってはうれしいことだが)
碇司令と含みのある会話を交わす彼に何を思っているのか…
…今のシンジ君がいるのはおそらくエヴァの中… と、表現するのがいいか?
そこは現実とのつながりが曖昧な空間であろうから、「プラグスーツを擬似的に
実体化などという現象もまかり通るのかもしれないが…
漠然と「プラグスーツ」というイメージはあるかもしれないが、そうまで細部まで
印象に残るものかな? いや、チルドレンとしては、スーツの機能をいやというほど
叩き込まれているであろうし、デザイン的にあるいろいろな部分にもそういう機能が
あるんだろう。 ま、そういったことは末端の些事に過ぎない。
…などと思っていると。
「碇君は… 帰りたくないの?」
「!」
唐突に、そう、唐突に発せられたレイさんの言葉に驚愕する。
レイさん自身も、思わずつぶやいてしまった自分の言葉に驚いておられる様子だった
これは過去の記録であるのだが…
そのレイさんの呼びかけに対する答えは当然ながらない。
『これも… 誰かの意志だって言うの!?』
『あるいはエヴァの』
そう、そうかも… シンジ君の感情だけでなく、そちらの理由もあるかもしれない
だがまぁ、このシーンではまだわからない。ミサトさんの激昂が印象に残るのみだ。
ミサトさん、公私を弁えないでは指揮官としては…
まぁ、私にそこまで構っている余裕はないのだが。 重要なのは…
『…まだ生きてる』
病室で目覚めるレイさん。このセリフは危険な要素を孕んでいる。
まだ生きてる、のあとにもしセリフが続くとするならば…
「…レイ、さん」
「……何?」
「『覚悟』とは、犠牲の心ではない、 …のです」
逃げたな。自分の言葉で伝えるのが怖くて逃げたのだ。だから意味合いも違ってしまう
私としては、レイさんには自暴自棄は似合わない、というふうに言いたかったのだが。
(…駄目なのね、もう)
改めて思うと、やはりあのときのレイさんは多少自棄になっていたのか?
たとえエヴァに出てくる人の、いや皆がレイさんを必要としなくても、私は…
…格好良すぎて涙が出そうだ。
レイさんが、それは解かっている、というお顔をしておられたので(それは慰めにはなった。やはり、
マンガや書物などから得られるものは人に影響を与える)わたしは言い直した。
「…捕捉すると、『生きることが戦いだ』ということになりますかね」
レイさんはまだ種は観ていないのだがやはりここでも私は逃げてしまった。
本気で修辞学の講義を取っておけばよかったと思う。 だけど。
「… 今なら… 解るわ」
レイさんには伝わったらしい。それで私は満足した。だがこういう都合のいい展開はそうそう起こるまいよ。
なんとか自分の言葉で伝えたいものだけれど…
レイさんと一緒にエヴァを観ていると吐き気がするほどメランコリックな気分になる。
無論レイさんのせいではないのだが。これも責任という奴だ。レイさんといっしょにいる私の。
ノブリス・オブリージュというやつか。 レイさんといっしょにいるということは、幸せでもあるが、
同時に非常に重い責任をともなう。 だが、それを喜んで背負えるのもまた、幸せの一つ。
レイさんといっしょに居られると言うノブリスの立場に甘えてはいけないが…
だがまぁ次の瞬間にはイラついているこの身よ。
『あの女が無事だって事は分かったわよ!ミサトもいちいちそんなことで私に電話しないでよ!
も う !』
「そんなこと… か」
多少言葉に棘が出ていたのは否定しない。 だが、まぁそれも所詮価値観や立ち位置の違いに過ぎない。
アスカさんがそういった事自体にどういう感想をもつかは別のこと。それを言うこと自体を攻めるわけにはいかん
時と場合にもよろうけどね… 理屈では分かっているつもりだが。
「………」
「…! あ、いや、これは、その…」
知らず知らずのうちに怖い顔になっていたらしい。レイさんが多少心配そうに私を見てくだされた。
わたしとしては、レイさんに心配はかけたくない(それもある意味、贅沢な悩みだ)のだが、
神ならぬ人の身、意識しないうちに凶の部分が顔に出てしまったのか。
まこと、人は人であるというだけで自由ではないものだ。
…だが、それがいい。
『シンジ君の生命といえるものはまだ存在しているわ』
生まれろ… 新しい生命よ… ではない。
まぁシンジ君がNervにとって欠かすことの出来ない存在なのは確かなのだし、
リツコさんもああまで突き放すような言い方をしなくてもよさそうなものだが、
ふとして感情に流されるよーなミサトさんにクギをさす意味もあったのかもしれませんな
だがまぁ… もしこの会話をシンジ君が聞いていたら 親元から帰りたくない意味も分かるというもの、か?
親元、のあたりはレイさんに聞かせてよいものか… 判断に戸惑う、が。
…人間としてのカタチをとどめなくなったシンジ君の回想シーンに現れるレイさん…
これはレイさんの意思は介在しているのだろうか? いや、していまい
これはあくまで初号機の中に居るシンジ君の見ている映像のはず
だが、もしそこに初号機の意志が介在していたとするならば…?
画面に映り、シンジ君を強持てに言えば糾弾しているように見えるレイさん、
その髪はほんとうに蒼いか? その瞳は本当に紅いか…?
『… そしてあの時、僕は逃げ出したんだ。父さんと母さんから!』
…何が なんだか わからない… というのは冗談としても、だ。
実際改めてみてもよくわからない。知恵無き身の悲しさだ。
そして人の目と口と耳は他者にその欠けた部分を補ってもらうために進化したのだというが…
ここで私はレイさんに尋ねてみたかった。
だが、ここでレイさんにエヴァのDVDの内容について聞くのは屋根に上げてはしごを外すような
ものなのかもしれないかとも思ったので、結局そのままにしておいた。
だが、結局レイさんにもシンジ君の考えていたことはわからないかもしれない。
けれども、完全にわからないかというとそうでもない、というような感じを、
私はレイさんの瞳の中に見た 気がした。
シンジ君、里帰り一ヶ月目。今使徒が来たら、おそらく弐号機と零号機も本調子ではあるまいし、
どういうふうになったのかねえ… 加持さんではないが、これもシナリオのうちですか?
まぁ30日も自問自答?を繰り返していたのだろう、シンジ君の主張も多少は整合性を帯びてくる
『…これまではわからなかった。でも今はわかるような気がする』
なんにしろ、寂しさや幸せを実感できるようになったら一歩進んだということだろう。
いきものは認識によって先に進めるからね。だがまぁ… そこからどうするか、だ
『僕のことを大事にしてよ!僕に優しくしてよ!!』
…どこかの星のかなたの老人が言っていた、人間とは方程式を体現するために存在するのではない、
これだけの感情をそそげばそれと等量の感情が返ってくるというわけではないのだ、という事を
ここで私は非常に心臓を鷲づかみにされるような感覚を覚えた。
私がレイさんといっしょに居て、炊事や洗濯を(今ではレイさんにも手伝ってもらっているが)
したり、普通に喋ろうと思ってもどうしても敬語になるのは… 何故だろう?
そうしたほうが円滑なコミュニュケーションが取れてナイスだ、ということもあろうけどね
そこにそれ以上の何かが混在していないとは言い切れまい。いや、確かにある。それは認めなければならない
だがそうだとしたら私は… レイさんに何を求めている?
いきものは認識することによって先に進める、とは先ほど思ったことだが
今までの私はレイさんという存在と、そのレイさんがある結末へと至った道筋を認識していた
だがここに、現にここに、私のとなりにレイさんがいる以上、私はそれまでの認識とは
違う認識をしなければならないよな。 そんな理由は、とうに認識しているつもりだったが…
『それはとてもとても
気持ちのいいことなのよ』
そう、そうさな。確かにレイさんといっしょにいるときは心地よい。なんか精神が意図的に
セリフの前半部分を端折った気がするが、まぁいい。今はそれでいい
…私が認識している事、それは…
(私はレイさんに幸せになってほしかった そして今は レイさんに今度こそ幸せになってほしいと思っている)
私は一つの答えにあらためて到達しました
この答えも不十分かもしれないが 認識した以上 足りないところや過ちを加え正していくことは出来るだろう
まことに失礼だが、私は映像に映っているシンジ君の心象風景や、シンジ君がクライン空間
(クラインの壷のようなものか?)にとらわれていることなどを観ていなかった
そういうシンジ君を心配しているレイさんのみを見ていた
幸せは罪の匂いとはよくいったものだが 私はそれで満足した 自分勝手にだが…
リツコさんたちが外部からシンジ君によびかけていた信号は、シンジ君にはああいうふうに見えていたのか…
まことに人それぞれの生、それぞれの感じ方だな
先ほどの映像にちょっと頬を染めていたレイさんも、まさに今目の前で(過去の記録だが)
起こっている事を改めて中継されたせいか、その瞳が真剣な色を帯びている
後で聞いたところによると、レイさんはこのとき検査のときに打たれた鎮静剤で
(おそらく睡眠導入剤でも入っていたのか?)眠っていたという。起きた後は、全てが終わった後だったとか…
なにか、心にやりきれないものを感じたらしい。それはミサトさんやリツコさんの不器用な優しさか、
とも思うのだが、この場合は逆効果になったのではなかったのか…
『お母さん』
オカエリナサλ、シンジ君、といったところか。
生身のミサトさんの呼びかけに、母のイメージが重なったということなのか…
となると、ミサトさんには母性の要素があるということになるのかな、シンジ君にとっては
もしこの場にいたのがレイさんだったならば… やはりシンジ君は帰ってくるだろう。私はそう思う。
ミサトさんに関しては、『私の力じゃないわ。あなたの力ね。たぶん。』というリツコさんのセリフが
それを裏付けているとも言えなくも無いですな。
しかし母性か… 当然母性の前にはいろいろとあるわけで…
(止め絵音声のみそして10年前とはいえ、よく6時台に放送したものだと思うよ)
内面だけでつぶやいた後、レイさんに向き直る。
ゲームとかのオープニングによくある、「この映像には〜」のアナウンスが心に浮かんだが、
それを抜かしてはレイさんとDVDを見ている甲斐がないし、いままでにも
レイさんが押し倒されるシーン(原文ママ)などもあったのだから、
それを言ってはミサトさんだけでなくレイさんをも軽んずることにもなろう。
そう納得してなんとか画面に向き直った。
だがまぁ… 理屈では感情は押し込めない場合も往々にしてあるわけで…
別に一人で見ているときはどうということもなかったが、隣にレイさんが居るというのなら別だ
『だから知ってるのは、加持君だけよ』
残念!最早レイさんも知っておられる。
…いや、まぁ実際には私が気にすることではないのかもしれませんが、
これはなんというか、隠しておいたヤバいモノが帰ってきたら机の上に置かれていた、
というあの感情に近いのか?いやそれ以上か。
なんとなくレイさんのほうをちらちらと見てしまうな。まぁそれもしかたない。
(密室ていうのも、いろいろなメディアで書かれるほど気楽ではないということか)
甲斐性無しが。いつのまにかレイさんから少し距離を取っていたのに気付いて、口の中
だけでつぶやいたとき、頬を先ほどよりも紅く染めたレイさんが私を見てくだされた。
「……?」
OK、ここが男の見せ所… というわけでもないが。視線は合わせつつ
素数を脳内で数えることで乗り切るんだッ 2…3 5…7…11…
おかげでミサトさんと加持さんが話していたわりかしと大事であろう事は、
お互いに聞きそびれた様子だった。 まぁ聞きなおすのもなんだ…
しかし次回予告のミサトさんの声で、なんとか我に返った
やれやれ、次の回は今回以上にハードなことになるかもしれないな…
81 : ◆0pYnyBOxCA :2007/11/21(水) 00:36:48 ID:???
). _.∞.,.,
(. ●'"'" * '"'.;, みんなのおかげで無事新スレが立ちました。
) \.从 从 ;:;ミ これもひとえにみなさんの応援のおかげです。
( ゝ´∀`ν ;:;ミ. ∞
) カタカタ・・・| ̄ ̄ ̄ ̄|,;:;ミ(´∀` ) これからもマターリ頑張りますので
(.∴,., . | ばいお |(,.,ノ;ミ __)__ みんな応援よろしくね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'|____|/ ̄
======⇒∞∞━━━━━━━
82 : ◆0pYnyBOxCA :2007/11/21(水) 00:37:49 ID:???
みんなカゼに気をつけてね・・・・
,.ノノノ,,,, お や す み
,,:;" * """`''';;;〜
●从 从 ';; Zzzzz・・・・・
c⌒っ´ー)っ∞ ∞⊂ゝ´ー`*ν(,,,ノ.,;;ミつ
ルリオ、削除されてもまたたてれば言いだけの事(汗)
世は全て事も無しですぞ(滝汗)もぐが行くと荒らされるかもだけど今後ともヨロシクね(滝汗)
81 : ◆0pYnyBOxCA :2007/11/21(水) 00:36:48 ID:???
). _.∞.,.,
(. ●'"'" * '"'.;, みんなのおかげで無事新スレが立ちました。
) \.从 从 ;:;ミ これもひとえにみなさんの応援のおかげです。
( ゝ´∀`ν ;:;ミ. ∞
) カタカタ・・・| ̄ ̄ ̄ ̄|,;:;ミ(´∀` ) これからもマターリ頑張りますので
(.∴,., . | ばいお |(,.,ノ;ミ __)__ みんな応援よろしくね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'|____|/ ̄
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82 : ◆0pYnyBOxCA :2007/11/21(水) 00:37:49 ID:???
みんなカゼに気をつけてね・・・・
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●从 从 ';; Zzzzz・・・・・
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ルリオ、削除されてもまたたてれば言いだけの事(汗)
世は全て事も無しですぞ(滝汗)もぐが行くと荒らされるかもだけど今後ともヨロシクね(滝汗)
539 :代:2007/11/18(日) 05:07:13 HOST:softbank220001071150.bbtec.net
削除対象アドレス:
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1188894652/ 削除理由・詳細・その他
3. 固定ハンドル(2ch内)に関して
スレッド
(固定ハンドルが占用している・閉鎖的な使用法を目的としている)
5. 掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿
レス・発言
(スレッドの趣旨から外れすぎ、議論または会話が成立しないほどの状態)
6. 連続投稿・重複
連続投稿
※このスレッドはいわゆる“閉じ込め系”と言われる、主に『エヴァのキャラと他作品のキャラが同一空間上に居たら』
を想定してレスするネタスレですが、それとは無関係なFF(ファン・フィクション)の連投を一人のコテが繰り返し行っています。
(内容も綾波レイと自分の同居・同室とは縁遠い内容です)
対象スレ
>>156-157のやりとりで誘導されるも移動せず。(スレ違いである事を認識している)
補足すると、スレの
>>158-159のやりとりから
>>4から今までほぼ全てに於いて同じコテによる書き込みですので
スレッド自体に問題はないのですが、レス削除ではなくこちらに依頼しました。
宜しくお願いします
草加さいたまさん以外の方も消したいらしいなプゲラwww
弐拾壱話はいろいろとアレだ… 前の話の比ではない
実際過去のさらに過去という話しだし、できればスルーしようかとも思い、
レイさんに問いただそうとしたとき…
「…ここまで来たら… もう止められないわ。
…何があっても… 私は 私… だから 」
言葉の後に、なにかをいい足そうとしていたのかな?という余韻があった
「…今は、二人で見ていますから」
遠まわしになってしまったが、私のいいたいことは伝わってくれたようで、
レイさんはひとつ頷いてくだされた 覚悟を決めなければいけませんな
とりあえず見る前に二人で某ハンティングアクションをやった。 準備体操のようなものか
心をからっぽにして挑みたい
…レイさんが某初号機竜の尻尾から延髄を二つも剥ぎ取っておられた…
これが、物欲センサーも無効にする真の無心の力…!
私は堅竜骨・鎧竜の堅殻だった まだまだ明鏡止水の精神には遠いということか…
エピソード21:
彼はいまだ自分が子供であることに気付いた… か
大人と子供の境目とはなんだろう? 覚悟か?
自分なりに覚悟完了して画面に向き直ると、同じように覚悟を決めたであろう
加持さんが最期のメッセージを残していた
『…まるで血の赤だな』
その画面を見つめるレイさんの瞳… それは血の赤か?
純生物学的に言えばそうであろうけれど、私はそうではないと思いたい
内なる意志を込めたガーネットのきらめきであると…
『拉致されたって?副司令が?』
ミサトさんが驚いている… まぁV・I・Pである冬月副司令、ゲート単位でログを残しているとしても
急に消えたとなれば内通者の存在を疑うのも無理はないか…
(…敵でも味方でもない)
渋い声で脳内に浮かんできたセリフを流している間に、レイさんを見ると…
かなり驚いている様子だった レイさんに聞くと、
このときは平常と変わらずに、修復した零号機の起動実験などをこなしていたらしい
Nervも流石だ。情報管理はしっかりしている 何も知らない人からは何も得られないし、
また危険にさらすこともないだろうからね
しかしまぁ… レイさんが心配しているのは誰だろう?
冬月副司令ですら拉致されるとなれば… どうも考えが飛躍しすぎるな 自重すべき、か?
ゼーレのモノリスは画面外から見ていれば微妙に可笑しいものだけど、
いざ目の前にあるとなると相当な威圧感があるような気もするな…
それにまったく動じていない副指令、流石ですな
『…我々は新たな神を作るつもりはないのだ』
…よくもまぁいけしゃあしゃあとおっしゃる…
レイさんにはいまだ詳しくは話してはいないが、連中の考えていることはな…
『やむなくの処置』か。…レイさんを利用することも『やむなく』の処置かい?
そういうのはまず自ら率先して『やむなく』の位置に回してから言うもんだろうが。
(革命はいつもインテリが始めるが、夢見たいな目標を持ってやるから、いつも過激なことしかやらない…)
レイさんといっしょに見た、印象的なセリフが頭をよぎるけれども。
…まぁ前のこともあるし、なるたけ顔に出さないようにして見ていた。ここからは1999年からの話…
つまりはレイさんが生まれる前から、いままでのダイジェスト。
1999年… 私の視点からすれば8年前、か… まだ高校生だったな
だがまぁそういうことはいい。問題は… 副司令の回想に出てきた
『碇……、ユイ君だったね?』
なかば予想していたことではあったが… レイさんを見ると、
胸に手を当てて画面を見つめておられる しかしその目はどこも見ていないような気がした
いや、その瞳の色が…!?
「…レイさん!? レイさん!」
レイさんの肩に手をあてて、やや強く揺すぶると… レイさんがはっとしたように
画面から目をそらし、私を見てくだされた その瞳の色も、今はガーネットの暖色。
だが、先ほどは… その色に、かすかに、ほんのかすかにだが、鳶色が混じっていた。
(…Shape Memory Arroy… ということなのか?)
認めたくは無かった。 …が…
はたしてムサイから切り離されたコムサイはムサイの一部たりえるか?
そのような場違いな考えすら浮かんできてしまうものだが(もっとも、一般人はそうは考えまい)
そもそも、そういう喩えすら間違っているかもしれないので、どうにもならん
ともあれ、レイさんは、以前のアレを見たときと比べて言うならば、特に目だった変調を
きたしているとはいえなかったが… むしろ、こちらのほうがより深刻かもしれないな
ともあれ、私はなにかあればいつでも対応できるようにしていなければならなかった。
元はといえば私が始めたことだ。その責任は取らなければならない。
…Aパートからもう波乱は始まっているんだな… やれやれ。
>>1999年… 私の視点からすれば8年前、か… まだ高校生だったな
ルリヲ若杉www
じゃあエヴァが大ブームだった頃は、シンジたちと同じくらいの歳か?
一体どんなきっかけでエヴァを知ったんだ?
(加持さんと同年代?ということになりますかね
エヴァ初見は確かアスカ来日。ふ〜んってな感じで見てたら
え?この子何(ズキューーーz___ン
ビデオで1〜6話まで見て(ドッギャァァーーーーz___ン
勢いで全部見てシト新生&EOEまで見て(ショボーーーーーz___ン orz)
コテ占有はマジでするな。ここは雑談スレでもお前のスレでもないだろう・・・
分別ぐらいつけてくれ・・・最低だな・・・間違ってたら去ってのも口先だけなのに・・・
200 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/22(木) 07:11:42 ID:kRoi59IZ
俺は楽しんでるが
左様
てかアンチコテ居場所無くなって色んなスレ登場しすぎw
今はいいコテは擁護の時代。時代も変わったもんだ…
・・・まぁ削除人さえわかってくれれば烏合の衆が何を言おうと別段構わないのだがな・・・
コテ=偉い・なんでもあり と考えてる奴を擁護するバカがいる事は知っているし
このスレのどこが閉じ込め系だが。FFならそうおうのスレがあるのに
糞コテの自己占有性格は手に負えないな
〃〃∩ _, ,_
⊂⌒( `Д´) < ヤダヤダ!
`ヽ_つ ⊂ノ 避難所なんて2ちゃんじゃないし誰も見て
くんないからヤダヤダ(滝汗)!
_, ,_
(`Д´ ∩ < ヤダヤダ
⊂ ( FFスレじゃボクの個性が埋没するからヤダヤダ(汗)!
ヽ∩ つ ジタバタ
〃〃
〃〃∩ _, ,_
⊂⌒( つД´) < ヤダヤダ
`ヽ_ ノ ⊂ノ LROスレ消されて削除議論じゃ削除人にスルーされて
自分がムチャクチャ言ってるのわかったけどコテ占有&連投
したいぃ!!ヤダヤダ!!ボクが正しい(滝滝汗)
∩
⊂⌒( _, ,_) < ヤダヤダ…
`ヽ_つ ⊂ノ
ヒック...ヒック...閉じ込めとかスレなんか関係ない・・・僕だけの場所がホスィ(汗)
>>201 擁護したいならここで存分に助けてやれ。リンクなんか貼らなくても下の
「このスレを見ている人は」にあるかw
きっとしょっちゅう気になって見に行く輩がいるんだろうなw
『…碇ゲンドウ。 信用に足る人物かな?』
狐と狢の騙し合いとはこういうことを言うのであろう。
「信用」という言葉の価値が限りなく下落している気もするが、世はおしなべてそのようなものか…
いや、そうではないと思うには思う、が。
『…人に好かれるのは苦手ですが 疎まれるのに慣れています』
「…司令?」
レイさんはおそらく碇司令の若い頃を始めてみたのであろう あのヒゲは写真とか撮らなさそうだしな
かといってレイさんがおぼえているかと言うと… うわぁ〜
ものめずらしげに、ややシンジ君に受け継がれている雰囲気をまとっている若き日の司令を
見つめているレイさんを横にして、せっかく決めた「覚悟」が揺らぎそうになってくる。
…どうしてもアレなようであれば、私がなんとかしない、と…
人の印象は第一印象で大部分の方向性が定まるとは言うが、やれやれ。
しかし、副司令も最終的には懐柔されたようだから、一概にそうとも言えんか
思えば…もはや何ヶ月も前のような気がするが…
部屋に帰ってきた、と思ったら… 見慣れたドアの向こうには見慣れぬ空間。
そして、夢にまで見た(事実ではある)憧れの人がそこに…
(君は「引力」というものを信じるか?)
ならば、私とレイさんの出会いもまた、なにかの意味を持つのだろうか…?
いや、それ自体に意味を見出そうとするだけでなく、自分から意味を作っていこうとする
ことこそ、人が生きるということではないのだろうか? 結果は大事だが、それはあくまで前提…
ならば、私は今は私なりに決めた「意味」を守るために存在しているのか。
それならばこれ以上の至福は無いな…
ま、いまさらといえばいまさらだけど。 …そして場面は芦ノ湖の湖畔へ。
『あの人はとてもかわいい人なんですよ。みんな知らないだけです』
レイさんには見慣れぬであろう「秋」の風景の中、未来の副司令に語りかけるお方。
今はレイさんもそのお方に大分慣熟してきたようで(?) 私から話しかけても、答えを返してくれる
「以前にも聞きましたが… 碇司令というお方は、どのような…」
割ときわどい(と思われる)問いをかけてしまう自分が情けないが、先ほどのように引き込まれそうになるよりかはいい。
…そういうふうに考える自分がいるが、それを全面的に肯定できないのもまた事実。
…関係ないが、思えば某KING様は本当に自分に素直なお方だった 間違ってはいたかもしれないが、そう思う
(…俺とお前には決定的な違いがある… それは 『欲望』 『執念』だ!)
やれやれ。あこがれてしまうが、どうやらそういうふうにするには私はまだ修行不足らしい。
ん… あの山はもしかしたら妙義山あたりか? というか今はあの惨事の前であった
意識がレイさん側にシフトしているのかもしれないが、どうも軽くコンフュがかかっているような気もする。
だが、レイさんの話は落ち着いて聞かなければ
…碇司令は、以前は公務以外でレイさんに直接コンタクトを取る事はあまりなかったそうだ。
だけど、それでもたまに食事に誘ったりはしていたらしい。まぁそれ以上のことは無いだろうが…
まぁ、公務には絶対に遅れたことが無かったそうだけど。
…どうだろうな。今でも迷っている、今回のBパートを見る限り… いや、だからこそ、か?
完全無欠な人間などいないのだから、そういうことも… それは後にしよう。
以前「ゲンドウはユイとレイさんの間で揺れている」というふうに考えたことがある
となればその煮え切らない態度にもいちおうは納得できるかもしれないが。
我々がレイさんのコンパーチブルキャラを見るようなものか?
…いや、これはいくらなんでも喩えが卑近過ぎるし失礼であろう。
「…私には、「絆」がある 今だから… 分かる」
レイさんが感情の池の底から、いろいろな要素を攪拌するようにおっしゃられた。
成程、今のレイさんならば… それがおわかりになる。いや、そうではない。
それをはっきりと言葉に挙げられたということが、ここでは大事かもしれない
「…でも… 碇司令は…」
そこまで言って、レイさんは返答に窮したご様子だった。
「…レイさんにも、司令には掴みきれないところがある、と…?」
多少僭越であるこの問いは、無意識にかまをかけていたのだろうか…?
レイさんの前ではそういったことはしたくないのだというのに。
「……」
レイさんは押し黙ってしまわれた。肯定とも、否定とも取れぬ様子だった。
「絆」… か。
それは、私にも… そう、先ほどの質問よりも僭越な思考に内容を進めようとしたとき。
[2000年 南極大陸]
『セカンドインパクト。20世紀最後の年にあの悲劇は起こった』
[2001年]
『そして、21世紀最初の年は、地獄しかなかった。
他に語る言葉を持たない年だ』
…それはそうだろう。 そういう見方もできるかもしれない。
だが、私にとってはまた別の意味を持つ。私の知っている知識が正しければ、
その年はレイさんが生まれた年でもあるからだ。 もう少し、別の説もあるが。
時代は進む 世代は交代する それが良き事であれ 悪しき事であれ
そのときの人々にはそれを判断するには時間が無さ過ぎる…
かといって、後から判断するには往々にして遅すぎる事が多々ある
これも… 定めか…
頼むから死んでくれニート
お前の親がでもいい
南極にハガキを送るには普通の50円ハガキでよいそうだが(南極に家族や縁者がいるかぎり)
「結婚しました。
碇ゲンドウ ユイ」
…まぁ、直接持って来るほうがいいしな。それにそういう問題ではないな
ハガキがきちんとピンと張っている所は、
ゲンドウの生真面目さか… まぁそれだけではあるまい
「……」
レイさんは画面に映る冬月と同じように、ハガキの文面を見つめておられる
どこかなつかしげな色が写っているのは…
(…まぁ、ユイさんが念押しして頼んでいたらしいしな となると、この絵柄を
選んだのも当然…)
疑念を押し流すには、その思考はやや薄かったのは否めない。
「…今は子どももいるので」
レイさんは、その子がすなわちシンジ君だということに、はっと気付いた様子だった。
その胸中はいかばかりか。
冬月の思惑や、かつてのミサトさんの様子(その様子を見て、レイさんは今の葛城三佐との相違に
やや眉を曇らせていた だれしも触れられたくない過去はあるものだ となると…)
などをはさみながら、場面は進む
『…この光の巨人、謎だらけだよ』
心配していたが、今回はレイさんは特に何もなく観ておられた 実物(?)と写真ではやはり
違いが出るものなのか しかし、これはDVD…
いや、レイさんにとっては、それが過去の出来事であろうとも、そこがレイさんの「世界」なのだ。
ならばそういうことも頷けるだろう。
そう…そして、それが私がレイさんにDVDを見せた理由。
見終わった後、伝えなければならない事。
その覚悟はしているとはいえ、ふとしたときにぐらつくのはどうしようもない
特にレイさんがいろいろと「揺さぶられている」ときは。
それだけでもキツいのに、この先はさらに…
冬月による推測では、ユイはやはりゼーレとなんらかのつながりがあったらしい
となれば、ゲンドウはそれを狙って…
しかしまぁ、見ている限り、どうにもゲンドウは、ユイさんに向けるまなざしだけは
取り繕っている感じがしない それは認める
そこで苦しんでいるのか… まぁ同情などはしないが。
激昂する冬月をいなしたゲンドウは、彼を導いて広大な地下空間に誘う
そう、そこはレイさんも見慣れたジオフロント。そこに居る人は当然ながら、別だが
『そうです。 アダムより、人の作りしもの。 ――エヴァです』
発言者の顔をみたとき、レイさんの口元が、なにかをつぶやくかのように動いた。
「―レイさん?」
「…?」
お名前をお呼びしたとき、レイさんはそれに気付いておられないご様子だった
呼びかけたまではいいが… 何を言っていいかわからなくなった。仕方なく、
「…エヴァというものは、そういうものだそうです」
割と大事であると思うことだが、レイさんは「…そう」とおっしゃられたのみ。
いかに優れたヴィオラニストといえども、ヴィオラそのものを作ることはできない。
無論関心はあるのだろうけれど、レイさんにとってのエヴァとは零号機だ。
御していた立場から言えば、まさに「そう」としかいいようがないのだろう… とも思う。
まぁ、御していたか、どうかはともかくとして。 だから、ゲンドウが見せた、
神のプロトタイプと呼ばれる零号機(らしきもの)を観たときにも、別段反応はなさらなかった。
その数には、多少の嫌悪感をもたれていたようだけれども。
『冬月。 俺と一緒に人類の新たな歴史を作らないか』
…大きく出たなゲンドウ。呼び捨てとはね。ユイもいるし思惑は順調とあって、
彼の顔は自信たっぷりだ。幸せそうでもあるな。
うらやましい限りで。 先を知らぬからこその自信か。 人の原動力だな。
もしゲンドウがこの時点で先を知っていたならば、計画をとめただろうか?
多少の軌道変更というもんじゃない、悩みながらもとめるだろうか?
そしてそれは私にも当てはまる。もしこの先を知っていたならば…
いや、私はこの先を知っている。 だから今一度思う。
レイさんにDVDを見せる(それによってなぜ私がレイさんを知っているかという事を伝える)
事の意義から言えば、すべてをありのままに見せるのが一番いいのは分かっている。
だが… はたしてレイさんに、この先の一部分を見せるのが適当か?
見せないのはおそらくレイさんを侮辱することになるとはわかっている。
それでは私がなぜレイさんを知っているか、というレイさんの問いに全力で答えることにならない。
だが… この回を見るレイさんの様子を見る限り、心理的作用か、はたまた別のなにか、なのかは
わからないが、この頃の記憶はレイさんにとってうろおぼえに近いであろうことはわかる
まぁ、私だって子供の頃のことはあまり覚えていないから、普通なことといえばそうだが…
忘れていることを無理に思い出させるようなことをしてもいいものか… しかもあのようなことを…
だがそれも私の基準だ。堂々巡りになりそうだったので、私は感情を四捨五入してレイさんに問いかけた。
「レイさん」
「…何?」
そこで挫けそうになったけど、なんとか肺の空気の残りを駆使して言い切った。
「…この先には、「一人目の」レイさんが出て来ます」
「………」
更にレイさんに軽蔑されるのを覚悟で言う。
「あくまで… あくまで私の考えですが、この先は、レイさんにとって、イヤな事になると思うのです」
「………」
「レイさんを知っている理由を話すといっておきながら、申し訳ないことですが」
レイさんの瞳には、怒りとも悲しみともつかない色が浮かんでいる。その視線は
私を責めているのかどうか… 私にはわからなかった。 他人の感情を真に100%
わかることなどはできはしない。 だから、私にはその視線が痛く感じられた。
レイさんは、しばらく押し黙っておられた。その時間はいつかの食卓に似て、
精神にヤスリをかけるような気がする… だけど。
「…ありがとう」
「…?」
「私を気遣ってくれていることは、分かる」
「……」
「だけど… だから、 私は、あなたが何故私を知っているのか」
「何故私を気遣ってくれているのか、 それが知りたいの」
「……!」
そう言うと、レイさんは一時停止してあったPS2のコントローラーの、○ボタンに指を添えておっしゃられた。
「前に言った事、嘘じゃない」
「これは過去の事、私はここにいる」
「だけど もし… 何か あったら…」
「…そのときは お願い」
そう言って少しだけ微笑まれ、○ボタンを押したレイさんのお顔は、切なさに満ちていて。そして、同時に。
「……わかりました」
私はそう言って、改めて画面に向き直った。 胸中は正直言って複雑であったけれど、
今はそれ以上に私の心に、安らぎとも歓喜ともいえる感情が満ちていた。これは素晴らしいことだ。
私はレイさんに頼まれた… そうだ。 それは「絆」だ。
人は所詮、他人という人の心を100%理解することはできない。
だけど、だからこそ。 それがほんの少しでも、それこそ一瞬の間でも 通じ合って、
そこに「信頼」という絆が生まれるのならば。
人間に生まれてきてよかったと、素直に思えるのだ。
『あの……、先輩』
『あ、ごめんなさい。 レイの再テスト、急ぎましょう?』
アイキャッチ後、ここの会話から分かることは、マヤはミサトをさんづけしていることと、
レイさんはこのときはもう復帰なさっており、各種テストをこなしていたという事ですかね。
快足なイメージがあるエヴァとしては、一ヶ月弱というのは結構なスローペースだったという
ことになるでしょうな …現場の人はそうも言っていられないでしょうが。
どうも見ている限り、レイさんはリツコさんにはあまりいいイメージを持っていないように思われる
だけど、レイさんが生きていくためには必要な人であるし、なかなかに大変だ。
リツコによる葛城三佐の過去やそれに対する述懐は、母への手紙という形でつづられる
今から思えば、疑うべきだった…
いや、充分に疑ってはいたが、なにかあっても、対応できるということを思っていたからかもしれん。
浮ついていたのだ。
つまり、慢心だ。自信ではない… なんとまあ未熟なこの身よ。
『ごめんなさい、冬月先生。私が連れてきたんです』
その声をも自然に受け止めて、眼下の珍しき光景を目にしているのは、いまだ小さいシンジ君。
レイさんにもほほえましく映っていたのか、その瞳はどこか温かみがあった。
私は、先の心配はしていたけれども、ついそのレイさんの瞳に釣り込まれていた。
このときから準備をしていればな… だが、それもせん無きこと
この日記を書いている以上はね…
そして実験の結果… 彼女、ユイは居なくなった、らしい。
ここでも一抹の不安を抱いてはいたが、直接見たわけではないからなのか、
レイさんは特に何も言われなかった。だが、その瞳に見えた温かみは消えていたけれど。
ゲンドウの奥に、一本筋金が通っていることは認めざるを得ないな。
私だったら一週間、いや一ヶ月、いや一年たってもダメかもしれない。
だがまぁ、それも… 彼にとっての『手段』を見出したからかもしれん
…やはり、好きにはなれんがね
『……まさか、あれを』
『そう。
かつて誰もが為し得なかった神への道。 …人類補完計画だよ』
一週間の彷徨でとげとげしくなったな。まぁもとからともいえるが…
それにしてもその瞳に宿る煉獄の炎のような光はどうだ。
やはり人は人を変えるのだ。変わっていくのが、上にしろ、下にしろ。
だがまぁ、そのときの私はもはや画面よりも、レイさんに注意を払っていた
…このときはもっとやりようがあったはずだ。 今になってこの文を書いている手にも
震えのようなものが走る。
…冗談でなく、私がミョズニトニルンであればよかった。
しかし… それはあまりに自己評価が高すぎるともいうものか?
「自分がこうしていたらこうなっていた」とは高望みが過ぎるのではないか?
けれど、結局それが正しいのだ。人がなんらかの事を為すと言う事は、結局
その結果を生むということだ 単純なようだが 「予想外の結果」をも含むという意味では
まさにこの世の真理だろう。 だから、このときの私はもっと多くの「やりよう」を揃えておくべきだった
…のか?
…ま、もしや神の頭脳があったところで、どうにもならんかったかもしれないけれどね
最悪の事態が避けられただけでもよしとしよう。
ともあれ、画面は移り、場面は転換する
『本当にいいのね』
『ああ。 自分の仕事に後悔はない』
『嘘! ユイさんのこと、忘れられないんでしょう。 ……でもいいの、私は』
…このDVDとは「別の」メディアでは、ゲンドウは一人で居ることに耐えられなかったご様子だ
彼のような偉丈夫、鉄でできているかのような人間でも、支えが無ければ容易にその心は
平衡を失ってしまうものか…
ちょっと視線を流して、レイさんを見つめるが、レイさんはとくに反応はなかったように見えた…
ここで私は「見る」というよりも「聴く」べきであった。
このあたりからもう私は緊張のしっぱなしだ。まぁ緊張していないよりは、よかった。
そんなことは考えられんがね…
『所長、おはようございます …お子さん連れですか? …あら。でも確か男の子……』
ソリッド・アイボリー.
(…忘れるなよ。) かりにもそういう仲だろうに… ま、前の人の子、となればそうもいかんか
そしてこのレイさんこそが、レイさんの世界に生まれた最初のレイさんだ。
『知人の子を預かることになりましてね。 綾波、レイといいます』
(……この子……誰かに……。 ……ユイさん!)
わざわざ極秘資料にまであたるとは。
ウィメン.
…女性とは怖いものだ。 なけるぜ
まぁ、今だからこういうことが書けるのであって、そのときはドキドキしっぱなしだったが。
『男と女はわからないわ。 ロジックじゃないもの』
改めて思い返してみると、若い頃からのリツコさんの口癖だったのだね。やれやれ
…そのとき、レイさんといっしょにいた私は、何か、違和感を覚え始めていた
焦りから来る錯覚か?とも思っていたが、たしかにその違和感はあった
ただ、それがなにかがわからなかったが… それも次の瞬間に判明した
『道に迷ったの』
『あら、そう。 じゃあ、私と一緒に出よっか』
『いい』
『でも、1人じゃ帰れないでしょ?』
「う… うぅ…!」
「レ… レイさん!?」
その違和感とは… 『レイさんの呼吸音が聞こえない』ことだったのだ。
だが、そのときはその違和感が何を意味するかが分からなかった。
「…!」
まず始めに思ったことは、どこかのシンジ君も経験した過換気症候群というやつだった。
主に身体的条件や心理的圧迫によって呼吸に異常が生じ、体内の酸塩基平衝がくずれるというアレ。
とっさに、私はレイさんをささえつつも、あいている右足でPS2の電源ケーブルを抜いた。
まずは元を断つ。それから全てが始まる。上記の症状を、DVDとは別のメディアで知った後は、
その対処法も調べてきた となれば…
(確かリビングにビニール袋が…!)
人間なんてつまらないものだ、といわれるところが多分にある。このとき真っ先に頭に浮かんだ
対処をしていれば、結果的には予後はやや増しになっていたものを。
そのとき私は、立ち上がりかけて、自分の考えていたことが見当違いであったことに気付かされた。
そもそも過換気症候群ならば呼吸する音が聞こえるはずだ。
(何たる馬鹿だ、この俺は!)
人間の意志の力というものはすさまじいものだ。たとえそれが意図しないものであっても。
いや、この場合は思い込みといったほうが正しいか? …それも違うかもしれないが、その類のものだった
催眠状態に置いて目隠しをした人に、「今からお前に○○○○を当てる」と言ってボールペンを腕にあてがうと、
まるで本当にそうされたように皮膚に炎症が生じるとは、
あまりその範囲の知識がないわたしでも聞いたことがある
後から思えば、このときのレイさんは、一人目の記憶に振り回されていたのではないだろうか?
いや、それとも…
私が青白くなってしまったお顔のレイさんが首に回している手の隙間から見取ったもの…それは…
(そんなことではハサウェイも死人に引き込まれるぞ!)
なぜかそのとき私の頭に浮かんだのは、戦場で恩人の子を叱咤する大尉の姿だった。
もしかしたら何かをしなければならないという私の意識が生み出した、自分自身への叱咤であったかもしれない。
「…ッ… はっ…」
レイさんの肩が細かく震えていた。
(これは…横隔膜が機能していない…!)
私は以前雨道の中で自転車に乗っていて、もろに転倒して胸を強く打ったことがある
そのときもそのような感じで呼吸ができなくなったものだ。しばらく雨に打たれてじっとしていたら
だんだんとよくなったが… 今のレイさんは違う
「退けっ! 退きやがれ! 今更なんだあんたは!」
私は自分でも何を言っているかわからないまま、レイさんの首に跡を付けているであろう
今はここにいない存在に向けて叫び、レイさんの咽喉からそれを振り払った。
それが効いたのかどうかはわからないが
(おそらくは、純粋に内因的な現象だったのだろう
だが、もしかしたら、私が振り払うことによって、レイさんの中からそれが追い出されたのかもしれない
そう考えると神主さんやエクシソシストの皆さんも馬鹿にはできないな)
ともあれ、これでこれ以上事態は悪化しないのか、などとも思え始めたのだが… そうではない
改めて自分の鈍さ加減を呪うところだ。レイさんのお顔はいつも以上に白くなってしまっている
このままでは明らかにまずいッ!
そのとき、自分がなにを思っていたのかは今でも曖昧だが、そう思っていたことだけは確かだった
頭の中に何か、遠い昔、子供の頃に見た映像が思い浮かんだ、ような気もした
今、改めて日記を書いているときになって、思い出した
(私の酸素… 全部あげる)
ま、結果から言うと、レイさんは今は寝室で寝ていらっしゃる。
あの後いろいろと治療のようなものがあった。
というか、某静岡をやっていてよかったと思ったのは確かだ。
冷蔵庫にあった豚のレバーのかたまり(まぁ私がたまに炒め物にして自分で食べたりする)
を持ってきて、電子レンジで煮詰めない程度に解凍した後適当に切り開き、
救急箱の中にあった純過酸化水素水(オキシドール)
を浸した洗面器の中に入れた。シュワシュワ言っているな…
焼け石に水かもしれないが、やらないよりは増しだ。
だがあまり長い時間吸っていると今度は逆に最初に心配したことになりかねないので、
レイさんの顔に赤みが差したタイミングをはかってレイさんを寝室に案内した
まこと…人の知恵というものは素晴らしいな。だがまぁ…そんなことよりも、
今はあの時とっさに行動できたのが驚きだ 最悪の事態は避けられたのだから
それは結果としてはそうだろう。そもそも、私がもう少し知恵があって、
DVDを見せずともレイさんに納得してもらえる手段を見出せていたなら、
こんなことにはならなかったのは確かなんだが…
やれやれ。 ともあれ、今日は寝るわけにはいかないな
レイさんが規則正しく寝息をたてておられるのに安心しながら、
私はベッドの横の椅子に腰を下ろして一晩そこにいた。
その日は朝から大変だった。往々にして事態そのものよりも事後処理のほうが大変なことは
人の世に常々あることなのだが。 だがまぁ… 陽性の騒ぎだったのでよしとしよう。
(Firs… …ssからはじ…る ふ…りの …いのHis…)
「…ううむ」
(この…めいに …うかけた 君が突然… あらわれ…)
なんか起きがけから節々が痛い。… はっ、 しまったな。イスに寄りかかってつい寝てしまったか
耳も多少ジンジンする。寝ないようにMDを聞いていたけど、音量を落としたのが逆効果だったか
あくびしながら立ち上がろうとしたとき、背中に違和感を感じた… 私のコート?
そういやこのコートを最後に着たのはいつだっけ?まぁいいや…
! 急激に目が覚めた。 レ、レイさんは… 先に起きられたのか。
となるとこのコートを掛けてくれたのは…
…ありがたいことだ。感謝してもしきれないな…
コキコキと慣らしを入れながら洗面所に向かう。レイさんといっしょの日々が当たり前になってきているな…
これはとてつもなく幸せなことだな… しかしはて、まだ寝ぼけているのか、どうも頭がはっきりしない
まぁいいや… 寝過ごしてしまったな 今日の朝ごはんは多少手間を省いて作るか…
昨日みたら冷蔵庫にメザシがあったし、シンプルに卵かけご飯と味噌汁と… ? この匂いは… はて
朝からズキューンと来たッ すでに食卓にふろふき大根とほうれん草のソテー、ご飯におみおつけが出ている…
私は作った覚えないしッ となれば…
「…おはよう」
「…! おはようございます」
朝から脳のCPU稼働率が80パーセント越してしまっているな… いままでレイさんと一緒に食事を作ったことはあれど、
なにからなにまでお任せしたことはなかったゆえに。それ一色でほかに考える余裕が無いッ
とりあえずいつも以上に感謝の祈りを捧げた後、席についていただきます。
ふろふき大根はよく味が染みていてまことに美味しい。ほうれん草のソテーもよく火が通ってる
どこぞの不良高校生ではないが、幸せの繰り返しだな… 間違いなく今、世界で一番幸せだと断言出来る!
「…どこか問題、ある?」
「!い、いいいいいいいえ何も! 大変美味しいです 『感謝いたします』」
「…そう、よかった」
「!」
アナウンス:
CPU稼働率が90パーセントを越しました。
OK、落ち着け。強制冷却だ。クールダウン…
「いやしかしその… 申し訳ない 寝過ごしてしまいまして」
そういやどうして寝過ごしたんだっけ?などという疑問は未処理のままとりあえず謝意を示す。
すると、レイさんが何故かちょっと驚かれたような顔をなされておっしゃられた。
「…また」
「…?」
「…また、助けてくれた」
……
アナウンス:
CPU稼働率が120パーセントを越しました。危険域です
(えぇい!バランサーが狂ったのか!)
揺れる揺れる視界が揺れる。なんとか赤い人の幻影と自律神経の意地を見せて、
噛んでいた芯の微塵もないご飯を飲み込んだ。
「あ、あのそれはですね私としてはほら当然のことでしてその別にそのなんというか…」
口に物をいれたまま喋るな。小さいころに叩き込まれた教訓が生きていて良かったが、
喋る内容は支離滅裂だなッ
レ、レイさんが多少頬を赤らめておられる 暖かい視線だ… まるで「初めての○○ あの人にも…」
とでも言いたげなッ いや、それは妄想も度が過ぎるというものかッ
(つねに冷静であれ 激情は判断を鈍らせる)
そ、それは分かっているんだが! どうにもならなくなるときというのはある!
だが、そこであえて落ち着けるものが最後には勝利を手にするのだ。
自制心をフルに発揮していると、いつか某元グリンベレー氏著の危機対応マニュアルの
航空機事故で生き残るにはの部分の一文を思い出した。
『…だが私の行為は緊急避難なのだから、罰せられない。』
「そ、そそそそうです!私としてはレイさんの安全を確保するのが務め!緊急避難です!
ですからノーカン!ノーカンです!」
相変わらず口からでる言葉は支離滅裂だったけれども。
「…?」
レイさんがちょっと首を傾げられた。「…そうなの?」と言いたげな… 『それは妄想だ』(By D.O.M.E)
実際は言っていることがわからなかっただけでしょう。多分。
とりあえず喋るとさらにボロを出しそうなので(それがいけないことかどうかは判断しかねたが)
私はいそいでお茶碗の中のご飯の残りをいただいた。 かき込んではならぬ! テーブルマナーだ。
しかし…本当に美味だ。 大変に失礼ながら、レイさんが料理をなさるイメージは私としては…
知らず知らずの上で視線に出ていたのだろうか…? しかしレイさんはありがたいことながら、
言葉を返して下された。
「…ずっと見ていれば、わかるわ」
門前の子習わぬ経を読する、というものだろうか?だがそんな事を考える余裕もそのときにはなかった。
「そそそそれはよかった… よろしければ御代わりをいただけMassかッ」
CPU使用率依然フル稼働中。人、それを混乱という! だが、レイさんが頷いてお茶碗を受け取って
キッチンに向かったときには、レイさんの姿が一時見えなくなったせいか、一気に沈静化した。
「…は、はは…」 …What a Wonderful World!
(…もし君が… つまづいて 落ち込んでも… )
「…ん?」
そういえばMDの電源入れっぱなしだったことにそのときようやく気付いた。
240 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 19:52:37 ID:VP+k1tJk
241 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 19:53:18 ID:VP+k1tJk
242 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 19:54:12 ID:VP+k1tJk
243 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:13:47 ID:VP+k1tJk
244 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:14:41 ID:VP+k1tJk
245 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:15:34 ID:VP+k1tJk
246 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:18:06 ID:VP+k1tJk
247 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:19:05 ID:VP+k1tJk
248 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:20:12 ID:VP+k1tJk
249 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:22:26 ID:VP+k1tJk
250 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:23:06 ID:VP+k1tJk
251 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:25:04 ID:VP+k1tJk
252 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:27:16 ID:VP+k1tJk
253 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 20:28:18 ID:VP+k1tJk
254 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:13:53 ID:TzljoRoF
255 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:16:20 ID:TzljoRoF
256 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:24:19 ID:TzljoRoF
257 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:30:21 ID:TzljoRoF
258 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:31:50 ID:TzljoRoF
259 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:33:33 ID:TzljoRoF
260 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:43:47 ID:TzljoRoF
261 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:48:12 ID:TzljoRoF
262 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:49:40 ID:TzljoRoF
263 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:50:56 ID:TzljoRoF
264 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 21:55:41 ID:TzljoRoF
265 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 22:11:13 ID:UKr3aYhb
266 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 22:12:46 ID:UKr3aYhb
267 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 22:17:14 ID:UKr3aYhb
268 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 22:19:39 ID:UKr3aYhb
269 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 22:26:40 ID:UKr3aYhb
状況からして、あまり根を積めてもしかたがないので、今日はブランクデイ
虚無の曜日、などとも言うが まぁ、際限なく先延ばしにしてもいいものじゃないけど。
今日は以前物置で見つけた水彩絵の具を使って何かしたいと思っていたけれど、
あいにく私には絵心が無くてなあ… 絶対に必要というものではないけれど。
デジカメでもあればよかったんだが…
「…? 何を、描くの」
「いや、記念に一枚、レイさんの絵でも描ければいいな、と」
不躾なお願いだが、カモフラージュにはなっているだろう… か。しかし厚かましいな本当に。
だがまぁ私の画力では不可能。素直にあきらめるとしよう… というときに、レイさんが絵筆を取られた。
「…あの鏡、ある?」
これは… まことに僥倖というべきものですな 返す返すレイさんには失礼をおかけします
ときどき鏡を見ながら絵筆を走らせるレイさん。私はせめてものお手伝いとして飲み物を運んできたり
言われた色を混ぜたりしていた。そしてだいたい2時間ほどしたのち…
「レイさん、絶対そちらのほうに才能がありますよ!」
これはむしろ写真よりも真なり… まるで生きているようだ とあるメディアでレイさんの絵画の才能は
知っていたけれど これほどまでとは…
「…見るんじゃなくて、観る」
・ ・ ・
某海洋学者さんの教えが生きているのか… ともあれ素晴らしい。乾いたら早速のこと仕上げに入りましょう
テ
…レイさんの気持ちを利用しているようでいたたまれないが… 策は深く、切り札は多いほどいいですからね…
271 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:30:05 ID:kpHl/8qf
272 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:32:11 ID:kpHl/8qf
273 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:33:44 ID:kpHl/8qf
274 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:42:05 ID:kpHl/8qf
275 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:50:22 ID:kpHl/8qf
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:51:13 ID:kpHl/8qf
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:52:24 ID:kpHl/8qf
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:53:27 ID:kpHl/8qf
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:54:05 ID:kpHl/8qf
280 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:54:56 ID:kpHl/8qf
281 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/26(月) 23:59:42 ID:kpHl/8qf
282 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:00:11 ID:h6xHh7Uu
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:03:27 ID:kpHl/8qf
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:08:44 ID:h6xHh7Uu
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:13:49 ID:h6xHh7Uu
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:23:28 ID:h6xHh7Uu
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:31:02 ID:h6xHh7Uu
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名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:39:26 ID:h6xHh7Uu
289 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:56:56 ID:h6xHh7Uu
290 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 00:58:15 ID:h6xHh7Uu
291 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:09:55 ID:h6xHh7Uu
292 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:19:09 ID:h6xHh7Uu
293 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:19:53 ID:h6xHh7Uu
294 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:24:39 ID:h6xHh7Uu
295 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:25:39 ID:h6xHh7Uu
296 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:30:33 ID:h6xHh7Uu
297 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:35:14 ID:h6xHh7Uu
298 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:36:17 ID:h6xHh7Uu
299 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:43:41 ID:h6xHh7Uu
300 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:46:51 ID:h6xHh7Uu
301 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 01:48:53 ID:h6xHh7Uu
302 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/27(火) 02:13:15 ID:h6xHh7Uu
303 :
1/6:2007/11/27(火) 17:52:28 ID:???
304 :
2/6:2007/11/27(火) 17:53:40 ID:???
つべ何?見る気もないけど
ふむ。この絵はここに貼って… その奥にはこれをゴソゴソ 入れれば作動するタイプでよかったな〜
…などとゴソゴソと仕込みを、例の部屋でしていると。 後ろでドアが開いた
「…レイさん?」
さりげなく作業を隠しながら(これもいけないことではあるだろうが…) レイさんに向き直った
「…観に行きましょう」
リビングからの逆行に写るレイさの瞳の色… 何者にも屈しない「覚悟」をたたえた眼だ…
ならば、それに答えなければなりませんな…
まこと、レイさんはお強い。 見上げる思いがする
(その前にいろいろと準備を… と言っても今回はあまり「関係ない」から、飲み物程度でいいか…
オレンジジュースはNGだから白桃のジュースでも…)
前の話は後半飛ばしたので、加持さんが死んだ?ところとか見ていないが… 今更、どうしようもないな
EPISODE:22 Don't Be.
…直訳すれば、「そこに居るな(あんたなんかいらない)」
米国の指導要領では、親が子供に言ってはならないセリフの十指に入るというが。
やはり土葬なのかな。ともあれ喪服姿の幼いアスカさん、無表情なのが逆に来るな
しかしチルドレンの皆さんは各者各様なものを抱えていらっしゃるな
それがチルドレンの条件とするならば… 罪深いものだ
だがまぁ、私にはさほど関係ない とも言い切れないか
ここでアスカさんが踏ん張ってくれていたなら レイさんも…
まことに浅ましいな…
…観る前にあまり「関係ない」といったが、それは楽観だったようだな…
今回は出るコマ出るコマがいちいち禁則事項だ。
レイさんは動じていないように見えるが…
『…しかしあれではまるで人形の親子だ。
ま、人間と人形の差なんて紙一重かもしれません』
…前にも思ったかもしれないが、このときに、レイさんの眉がほんの少しだが、
確かに下がったのを見逃すようでは、レイさんを想っていた甲斐が無いと思う。
『困ったわね、この余裕のない時に。…やはりレイの零号機を優先させましょう。
今は同時に修理できるだけのゆとりはないわ』
…効率よく嫌われるためには、正論を並べていればいい、というのがあったな
まぁここではリアリストに徹しなければならない理由もよくわかるが、それだけに嫌悪が先に立つ
先ほどのアスカの父親といい、この世界の大人はだれもかれもメンタル面でどこかタガが外れている
といわざるを得ん …「こちら側」がまだまともかどうかはわからないが、
少なくともあそこまでではない… 尊敬できる人もかなり居る
…そうか、幸福だったのだな、私は。
『本当に大切なものほど、目に見えず、気付きにくい』
(あのアダムより生まれしもの、エヴァシリーズ。 セカンドインパクトを起こしたものまで流用しなければ、
私たちは使徒に勝てない。 逆に、生きるためには、 自分たちを滅ぼそうとしたものを利用する。
それが人間なのね……。 やはり私はエヴァを憎んでいるのかもしれない)
…それは確かにそうかも、しれないが… それは究極の公私混同というやつではないのですかミサトさん?
大体それならばチルドレンたちのメンタルケアをするなり、究極的に、打算的な意味でも
稼働率の向上に努力すべきではないのか?アスカのシンクロテストの様子を見ても、
病人を鞭で叩いて走らせるより、まずは薬を処方すべきではないか
『…ラル大尉のようなお方を使い捨てにするようでは、もうジオンは終わりです!』
どこかで読んだ記憶がふと蘇るが。 …いや? もしか、して…
チルドレンを管理する側も、どんな薬を処方すべきかがわからないのでは…
これこそ「悪」より悪い「最悪」と呼ばれるものだ。
…閉鎖的な組織の弊害だなぁ… 画面を見つめている私には、どうにもならないことだが。
…しかし、まぁこれも私の価値観かもしれない。だがしかし、素人目で見ても
ダメっぷりがにじみ出ているようではどうにも…
今思えばあの終局への伏線であったらしいエヴァ量産機生産の察知、
ギスギスとした食卓を囲む葛城家の様子を写しだしている画面を見つつ、
私はレイさんに、そのことについて問いかけてみたかったが…
(…私には、他に何も無いもの)
…今はそうではないとしても、過去のレイさんがある程度そういう要素を持っていたことは事実
となれば、ハードな訓練や実験でも不平不満を言った事はなかったのだろう…
そもそも私はレイさんにそれを問いかけることによって、どんな言葉を返してほしがっているのだ。
「Nervの仕事はキツイから辛かった」とでも言ってほしいのか?
そうまで単純でないにしろ、だ。 ともあれ、外部の人間が(つまり私が)そういうふうな事を
言うのは筋違いである事は確かだろう。だが、それによってレイさんに関わる事柄に
不穏の影が増すのならば… 黙っているわけにはいかないではないか?
『臨界点突破? 楽しかった家族ごっこもここまで?』
『ネコで寂しさまぎらわせてた人に言われたかないわね、そんなセリフ』
改めてこのセリフを聞いたときは、まことに残念ながら絶望を禁じえなかった
上の人がこれではどうにもならん… 頭を抱えたくなる
アスカさんじゃないが、もうおしまいかもしれんな
だがいつまでも抱えているわけにもいかない。レイさんが出ていらっしゃる
私はレイさんに、何故このときアスカさんと会話をしたのか聞いてみた(やや精神力を要したが)
「…言わなきゃいけない、そう思ったから」
…レイさんなりのアスカさんへのアドバイスのお心だったのでしょうが
場合が悪かったのか?
相性が悪かったのか?
表現が悪かったのか?
多分全てだろうな… レイさんには悪いんだが。
『やっぱり人形じゃない! あんたって人形みたいで、
本当に昔っから大キライなのよ! ……みんな、みんな、大ッキライ!』
一瞬腹の底から殴りたくなったが、その怒気が行き場を失って空回りする
(…アスカ君。他人を見下したからって、自分の価値が上がるわけじゃあないぞ)
どこかの平行世界でアスカに薫陶を行った大尉。
(他人を負かすってのはそんなに難しいことじゃないんだ… 最も難しいことは「自分を乗り越える」事さ)
どこかの漫画家の言。
つくづくNervにはそういった人材がいないということに思い至る。唯一思い当たる人といえば
加持さんだが、彼はもう居ないしな… そうなると、彼も結局はミサトさんやアスカさんを
大事には思っていなかったということなのか? … いや、それは違う、断じて違うだろう
・ ・ ・
だが、ここで加持さんが居れば… と、痛切に思う 私のあくまでも打算的な立場からとしてもだ。
…だがしかし、アスカさんがレイさんに手を上げたということは別の話だ。 私としては譲れん
「…レイさんは、怒らなかったのですか?」
多少語気が荒くなってしまって、必死になってそれを押さえた。
「…しかたなかった」
そうかな… そういうものか?
「でも…」
…でも?
「…すこし、 悲しかった」
(私は人形じゃない)
…レイさんは、こういうお方…
そこが哀しい。切ない。 そして愛しい。
しばらくこみ上げてくるものを抑えるのに苦労した。
荒らしに負けるなルリヲ!
508:◆0pYnyBOxCA 11/28(水) 01:37 ??? [sage]
ただ和やかな「もぐレイ」スレが復活してくれればそれでいいです。
それだけなんです。
しかしそれ自体が無理なのかなあ。そもそも必要も需要も
無かったのかな?
私の一人相撲だったのかな。
それとも私が消えたら問題は解決するのかあ・・・・・。
( ,,∞.._ どういう形になるにしても
) .,;:''" * "''● もぐレイ関係のAAは
(. ∞ ミ;;;; 从 从./ なんとか使って欲しいな
) ( ´ー`)ムツカシイ・・・ ミ;;; ゝ´ー`ν. ____
(. ( ) ミ (,,,)(,,,) / / 歴代もぐレイさんたちの
\ し-J 人.,,,_O,__/ ばいお. / 優しさが詰まってますから・・・・。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \/ /
 ̄ ̄ ̄ ̄
綾波レイを飼いたいな。
↓こんな感じの部屋に南京したいな。綾波レイとオレ物語
ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related ttp://www.youtube.com/watch?v=evbotaB87L0&feature=related
『シンジ、今日も来ないな。 …綾波はいつものこととして』
『アスカも来ない。 鈴原もまだ退院できないし』
『学校どころじゃないんだな、今や』
…もしかして彼らの日常での最後のセリフか? しかし、悲しい
学生は勉強が本分であろうに… 畜生… 何もしてやれん
「……」
ひさびさにクラスメートの皆さんのお顔を見たせいか、レイさんの瞳にも
憂えげな色がかかっている レイさんがちゃんと安心して勉強できるようになればいいが…
それには、いまや私にも責任があるのだと思うと、身が引き締まる
完璧にはできないかもしれないけれど、最善を尽くそう。そう思う
『あなたは私の人形なんだから、黙って私の言うとおりに動けばいいのよ。
なんで兵器に心なんて要るのよ。 邪魔なだけなのに。
とにかく、私の命令に逆らわなきゃいいのよ。
……ん?
……バッカみたい」
このセリフは聞けば聞くほど深い。 そういったふうに考える、というか話しかけるということが、
すでに弐号機を「心あるもの」としてあつかっているということに気付いたのが、
最後の自嘲気味のセリフなのだろう。
アスカさんはゲームが好きなご様子だし、一度ウルフファングの高生還率ルートエンディング
を見せてあげたいな… などと、場違いなことも考えたりするが。
まぁゲームの類では逆効果か… ともあれ、表面上は飄々としているようにも見えるが、
その心の奥底にある亀裂はクレバスのそれに似て、きっかけがあれば…
「……」
エヴァには心がある。そう言ったレイさんにとって、このつぶやきはどう映っているのか…
そしてその 「切欠」はきたる
『使徒? まだ来るの!?』
第拾伍使徒アラエル。鳥をつかさどるといわれる天使。実の鳥にはありえぬ、絶対零度の真空を飛ぶ。
『ここでダメなら、アスカもここまでということね』
リツコさんのセリフはかなり重症だ。ほっぽっておいてそれはないだろう、とも思う
無論、負ければ破滅、という場面ではリアリストの考えが大切だろうが、
となるならばなおさら… もはやせん無いことか。
『もう!さっさとこっちへ来なさいよ。じれったいわね!
……あ!』
ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルの宗教曲、「Messia」
これは本部の人々にも聞こえていたのだろうか…? それともアスカだけが…?
ともあれ、演出としては皮肉というほかない。
「天にまします父なる神」の元に、人の精神の奥底まで蹂躙するとはな。
「……ッ」
となりで聞いているレイさんも、この曲が本来の意味を履き違えたように思っているのだろうか…
その顔が強わくなる。
後で聞いたところによると、レイさんにはこの曲は聞こえなかったそうで、
ただ計器が敵攻撃解析不能の表示を繰り返していたそうだ。
○○の こうげきの しょうたいが つかめない! というやつか…
アスカの悲鳴が、彼女の過去の心象風景と重なって悲痛さを増す。
「次のヤツ」とは違うが、こいつもまた下衆だ。
(お前は自分が『悪』だと気付いていない… 最も『ドス黒い』悪だ…)
一歩間違っていればレイさんもこのような目に遭っておられたかとも思うと、虫唾が走る
…だからこそ… いまここにいるレイさんを大切にしてあげたいのだが…
『イヤ! 絶対にイヤ! 今戻るなら、 ここで死んだ方がマシだわ!』
アスカさんはもう焼き切れるギリギリだ。プライドの高さというものも良し悪しだな
(ここは… 『退く』のだ これは敗北ではないッ! 俺には絶頂に返り咲く能力があるッ!)
そういうふうに考えた某ボスもいたようだが、結局は「ここで退いたら『誇り』が失われる… 次は無いッ!』
と踏み出して… そして…
「誇り」 か… たしかにそれは大事だが…
…私にはわからん レイさんを守るためならば 指も詰めるし便器も舐めようさ
ん… それが「誇り」というやつなのか? ならば…
私にとってはレイさんこそが「誇り」なのだろうか… ? わからないな…
『最終安全装置、解除!』
『確認』
『すべて発射位置!』
すこし昔のアニメなら、この一発でダウンさ、なのだが… そうもいかんか
大気摩擦との減衰もあろうが、この距離では威力がまるで足りん
「……」
レイさんに後で聞いたところ、あれでも最大出力だったらしい。ラミエルをも
ぶち抜くビームも、「距離の防壁」に阻まれたということか…
『汚された……私の心が。 ……加持さん!
汚されちゃった。 どうしよう?
汚されちゃったよぉ……』
アスカさんの呟きに答えるべき加持さんは… 既に…
こうしてみるとアスカさんもそうとうなアレで、私ですらもある種の感情を励起されずにはおれない
そして、あらためて見つめているレイさんの顔にも、それはあった
しかし、その感情を向けられたと知ったら、彼女はさらに激昂するか… もしくは…
…ヤルダバオートの悪意が透けて見えるな。この場合、その偽なる創生主とは…
あわや零号機が「ちょっと宇宙まで行って来る」のような事態になるかというところで、
シンジ君が出撃を切り出す。シンジ君はシンジ君なりに、アスカを心配していたのだろう。
『だったら、やられなければいいんでしょ!?』
無敵のスーパーシンジ…とまでアスカに言われた、シンジ君だが。
物事にはおのずから限界があるということか。
「勇気」と「無謀」の差とはなんだろうな。 だが、その意気込み、私は敬意を表す。
隣で見ておられるレイさんも、シンジ君を観る瞳になにか、憧憬のようなものを
映している… ように、見えた。
『かまわん。 レイ。ドグマを降りて槍を使え』
碇司令の貴重な指揮シーン… というわけでもないが、この状況下ではそれがベストなのだろう
他の人はサードインパクトを危惧するが… そのとき、改めてみた私の頭の中にあったもの、それは
「勿体無い」 だった。
…!
それに気付いたときは、もう一つのことにも否応無く気付かされた
(お前は自分が『悪』だと気付いていない… 最も ドス黒い『悪』 だ…)
この空に浮かぶ使徒、そして次に来る… 使徒… そして私。
違いはどこにあるのか?
『理由は存在すればいい。それ以上の意味はない』
何故だろう?常日頃私があまりいい印象を持っていない碇司令のこの言葉が、
今は素直に頷けるのは…?
私がここに、レイさんとともにいる理由。それは、今度こそレイさんに幸せになってもらいたい
という事。それは確かだ。揺らぐことは…
『理由? おまえがほしいのは、口実だろう?』
揺らぐことはないというならば、なぜ冬月の言葉に動揺する?
冬月が言っているのはまったく違う事態に対することだろう?
…だが、まぁ、それはそれでいい。
レイさんのためならば、そんなつまらない感傷…? など犬に食わせてしまえばいい。
犬が吐き出すかもしれないけれど。
『時計の針はもとには戻らない。 …だが自らの手で進めることはできる』
前後するが… 碇司令のこの言葉は、何故だか今は、そう… 今なら、納得できたのだ。
『…カウントダウン入ります。
10秒前!…
8、7、6、5、4、3、2、1、0!』
見事な投擲姿勢で放たれたロンギヌスの槍は、零号機によって与えられた以上としか思えない
運動エネルギーを以って、狙いあまたず宙に浮かぶ使徒に吸い寄せられるように直進し…
使徒のATフィールドをまるで己が意志があるようにぶち抜き、その存在を言葉通り『消滅』させた。
(…何たるすさまじい『槍』… 神殺しとはこういうものを言うのか)
その威力を改めて目の当たりにした後、私の心にはやはり「勿体無い」という思考が浮かんだ。
…それも私だ。否定できるものでもない。
一人座り込むアスカさんに対して、シンジ君は生還を労う… 心中はどうあれ、
いまのシンジくんには、それくらいしか… いや、それだけのことをするのに、
どれほどの辛苦をなめたのか… だが、無常にもその言葉は届かぬ。
『うるさいわね! ちっともよくないわよ!
よりにもよって、あの女に助けられるなんて。
…あんな女に助けられるなんて!
そんなことなら 死んだ方がマシだったわよ!』
その言葉は、その場には居なかったレイさんには届かなかったが… ここにいるレイさんには届いた。
我ながら、レイさんにありのままを見せるという判断の是非を問いたくもなるが… これは…
すこしうつむいてしまったレイさんに、どういった言葉をかければよいかわからなくなって。
私は、レイさんの肩に手を置いた。 …人間の手には、こういう使い方もある。
叫ぶように先ほどの言葉をおっしゃられたアスカさんに、こういう状況下だったとはいえ。
心の中で一片の氷心を見出すしかなかった 私には、アスカさんに対してどうこうできる立場にない、
ということだけは確信できるだろう。
…だからといって…? 今、レイさんの肩に手を置いた 私は、レイさんに対して「どうこう」できる立場に
あるのだろうか…? 今、レイさんとともに在る、という空間的条件を抜きにしても。
さて…? それはまた別の話になるのかもしれない。
そして… 「その時」 は来る。
350 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/30(金) 03:53:29 ID:Y+DSRERr
おまえは何年2ちゃんに居るんだ?
ここはスレッド削除が提出されてまだ未処理なのに
なにレス削除なんか持ち込んでるんだ?
それでなくても諸事情からおまいの印象は削除人から良く思われてないだろうに…
名前もまたラピスとかにしてるし…LRO人で固定じゃなかったのかよ…
スレ違いだが今ここは実質おまいのコテ占有だからここでいっとく…
いつになったらモラルやマナーをおぼえてくれるのやら
…さて。ディスクチェンジをする前に、改めてレイさんを見つめる
…以前は、弐拾参話はあまりに哀しいので、あまり観ていなかった
だが、今はレイさんがここにいる ゆえに 私も覚悟を決められる
ひとつ頷くと、レイさんもそれに答えて下された ディスクを入れて…
EPISODE:23 Rei II……
…ん!? 今何か違和感が… 気… 気のせいか?
『鳴らない、電話……か』
この前は、加持さんの最期を飛ばしてしまっていたが…
レイさんも感づいておられるようだ いつだって それはあっけないもの… か
アスカさんの苛立ちや、ゼーレの査問などのシーンを通じて…
いよいよ、「奴」は現れる。
『使徒を肉眼で確認、……か』
いつ観ても憎たらしいミミズだ…
『どうでもいいわよ、もう』
いつもは、このあたりでもう胸が詰まって直視できなくなるものなのだが、
今は隣にレイさんがいる だからか…? 割と、落ち着いていられる
だが… その代わりに 頭の中に、いつの間にか曲がかかっていた
愛 ふるえる愛 それは 別れ歌
拾う骨も 燃え尽きて 濡れた肌も 土に還る
『レイ。しばらく様子を見るわよ』
『いえ。来るわ』
…ダメだ、何度観ても、ここからは… どうにも…
荒野を走る 死神の列
黒く歪んで 真っ赤に燃える
『……動かない。
……動かないのよ……』
疾風の如き 死神の列
抗う術は 我が手にはない
(私とひとつにならない?)
… 憎しみと共に… 湧き上がってくるものがある
いままでも そしてこれからも
『ATフィールド全開!
レイの救出、急いで!』
『はい!』
死にゆく 男達は 守るべき 女達に
『…碇君!?』
『これが私のココロ?
碇君と一緒になりたい……?』
『……ダメ!』
死にゆく 女達は 愛する 男達へ
『ダメ。
私がいなくなったら、
ATフィールドが消えてしまう。
だから、ダメ』
『レイ…! 死ぬ気!?』
『コアが潰れます…! 臨界突破!』
何をかけるのか 何を残すのか
『 あ… あぁ…』
I pray pray to bring near the new day…
「… っくッ … う… うぅ…」
…やはり駄目だった。 どうにも抑えることができない
理性ではどうしようもない そういうもの このあふれるものは
その時…
「大丈夫」
「大丈夫…」
この暖かさを持った者こそが「人間」
レイさんは まぎれもなく「人間」だ……
…そうだった。
レイさんは ここにいる。
あの瞬間に… 何かの力によって… ここに。
まだ涙は止まらなかったが なんとか それを拭うことができた
そして、ここからは 私が知っている筋書きとは違う 「その先」
『第16使徒の構成物質… および ファーストチルドレンは未だ発見できず。 現在、探索作業・・・』
『赤木博士……』
『ありえないわ…』
『…ついに第16の使徒までを倒した』
『そう… そう思えるな』
『しかし… これは どういうことだ?』
『約束の刻の前に…』
『死海文書の記述にも無い』
『事実を知るものは… 居ない』
『ミサトさん……、 出ないんだ、涙。
…悲しいと思ってるのに、
出ないんだよ。涙が』
『…まだわからないわ。 現場からはレイの居た痕跡は見つからなかった…
…「いなくなった」と 決めるのは早いわ』
『 …でも… 綾波は… 居ない』
『…………』
その後、いろいろと細々な事が流れた後…
暗転。
この先は無い。
本来ならば、あったはずの「その先」 それはもはや存在しないとでも言うのか…?
「…これで、おしまい。一応は…」
「………」
レイさんも怪訝な顔をして、私を見つめ返してくださる。ならば… 今がレイさんに答えるとき。
私はもう泣いていなかった。 PS2からディスクを取り出して、レイさんに向き合う。
「レイさん… 信じられないかもしれないですけれど」
「………」
「私はレイさんの世界の人間ではありません」
…しばし、押し黙られるレイさん
やれやれ、普通の人間はこういう風には言うまいな いや、だからこそ私がここにいるのか?
こういう嗜好、いや思考に染まった人間というものは、ある種の適応力は一流だな
町にウイルスが溢れても、エイリアンが侵攻してきても「それは大変だ!」と「言える」適応力…
ま、こういうときでもないと生かす機会はないだろうけどね…
「つまり、レイさんの世界と私の世界、という区分けが存在すると言うことです」
レイさんも、信じられないと言うふうに思っているのだろうか…? いや、レイさんの世界では、
「まさかありえない」というようなことが沢山起こっているのだから、そういうこともないものなのかな…?
そう推測していると。
「…別の…世界…」
ああやはりすこしは驚いておられるんだ、と、気付いた。まぁレイさんの環境におかれても、
そういうことはまずありえないのだろう。…かな? レリエルとかいたし。 まぁ、それはいい。
「そして私の世界では… レイさん、そしてレイさんをとりまく人々、そしてその世界は、
…一つの『物語』として存在していました」
レイさんになるべく心配を掛けさせまいと、言葉を選ぶ。それはそうだろう、
「自分だけでなく」自分の生きてきた世界そのものが、誰かの作り出したものだと言うことを
知れば(まぁこの表現でもお気づきになられるでしょうが)それは、レイさんにとって
「二重の」悲しみになられるかもしれませんからね。
だが… それをいったら、私の世界や、私という存在そのものもそうでないとはいいきれまい…?
まぁ、今は自己同一性やら哲学の世界に浸っている余裕はない。
「…そして、私は、その『物語』の「ある結末」を見ていました」
「…ある… 結末」
ここでまた… 私は選択をしなければならないなあ…
「具体的にいえば… レイさんが 『ここに来なかった場合』の、続きを知っていると言うことです」
残酷な言い方だが… 事実ゆえ、どうしようもない
「………」
レイさんがここに来なかった場合… それはつまり、あのとき、あの場所で、光の奔流の中に…
「…レイさんが、なぜ、あのとき、この場所に来たのかは、私にも分かりません
そもそも、私がなぜ、違う世界の住人であるレイさんといっしょにいるのかも、分からないのです」
一つ目の答えはウソをついていない。本当にわからないのだ。
だが二つ目の答えは… 真実を言っているとはいいがたい
…いや、それは、「願望」なのか?
だが、一概に簡単に「その願望」が叶ったから、レイさんがここにいる、というふうにはとれまい
爆発の際の異常なエネルギーが次元の空間に干渉してどうしたこうしたのかもしれん。
まぁ、そんな風な解釈も出来なくはないということだ。かな〜〜り無理矢理だが。それにそれでは、
いままで何万回何億回と「私の世界」で見られていたであろうレイさんの「そのとき」のときに、
レイさんがこうならなかった理由の説明にはならない … 根本的なところで何かが間違ってる気がするが、
となれば… やはり、私か、あるいは誰かの意志によって、レイさんはここに来たのだろうか…?
だが今はそのような答えはどうでもいいのだ。重要なのは、このめぐり来た「機会」を最大限に生かすこと…
(チャンスは最大限に生かす。それが私の主義だ)
どこぞの赤い人のセリフではないが、あの日、あのとき、部屋の中に倒れていらっしゃったレイさんを見たときに、
私は決心していたのだろう。
(…今度こそ、レイさんを…)
…そう。だからこそ。私は。 それは元々「その物語」を創った何者かの意図には沿わないことかもしれない
(それが何だというんだ!そんな○○どもの痛みなど、レイさんの痛みの比ではないわ!)
切実にそう思う。そうだ。レイさんを作ったのが彼らならば、奪ったのも彼らなのだ!
そのような彼らが今更なんだというのだ。 善悪の問題ではない!
「…だからこそ… 私は。
今度こそ… レイさんには… 「幸せになってもらいたい」 …それだけなのです」
色々な感情が混じっていたが、口から出た言葉は、正真正銘私の意志だった。
「そう… それが私の真実なのです
レイさん、あえて言います、 私の世界では、レイさんたちの世界は『物語』でした、
ですが、レイさんの生きてきた世界、レイさんの人生そのものは、間違いなく、本物です
レイさんが… レイさん以外の何者でもないように。 そして、それはレイさんとは違う世界にいた
私にとってもそうです 「レイさんは レイさん」 それが、私にとっての真実です
…ですから。レイさんは何もお気になさることはありません
今…見たとおり、レイさんの世界の筋書き… 私の世界で存在していた『物語』とは
もはや大きく異なっているのです 最早、誰かの書いた筋書き通りには進んでいません
…いや!もし、そうでないとしても! …レイさんの人生は、レイさんのものです かけがえの無いものです
…ですから… レイさんは 何もお気になさることは無いのです」
これで… 答えになっているだろうか… 言い終わった後、私はそんなことを考えていた…
しばし、再び無言の時間が来た。 私を見つめてくださるレイさんの紅い瞳は、
驚愕、戸惑い、疑念、どの色に染まっているのだろうか…?
(人がそんなに便利になれるわけない…)
赤い人の親族さんが言っておられた言葉、今ならよくわかり、胸に突き刺さる
そして、レイさんが口を開かれた。
「… そう… なの… ?」
私は、自分自身全てをかけて答えた。
「そうです」
レイさんは、その返答にしばし考え込んでいるようだったが… やがて、その瞳に、
私にもわかる 「決意」 と 「覚悟」の色をたたえて、おっしゃられた。
「… お願い … 教えて。 あなたが知っていた 『続き』 を」
先ほど考えていた 「しなければならない選択」 それを。今、レイさんから提示されて。
迷っていた私の心は決まった。 …それは残酷なことだろう。無慈悲なことかもしれない。
だが今ならば分かるのだ。 私の言葉に、確固たる「意志」を以って答えてくれたレイさんならば。
それを乗り越えられると。もはや、その筋書きに進んでいない、ということもあるが、
…ここを出たのち、その残滓がレイさんにふりかからないとは言えまい。
それは、運命といいかえてもいいかもしれない… 人は皆運命の奴隷なのだ… そういう言葉もあるが
今のレイさんの瞳に宿っている覚悟… ここでレイさんといっしょに過ごさせていただいた毎日の中で、
改めて感じられた 「黄金色に輝くもの」… それがあるならば。
運命すらも、乗り越えられる。そう信じている。
だから、私も、今は迷いはしない。先ほどは迷っていた。だが、今は違う。
レイさんが「覚悟」を以って問いかけてくださっているのならば… 私は、私の知る全てを伝えよう。
「…すこし… 長い話になります それに聞き辛いことでもあるでしょうから…
なにか、用意してきますね」
それは逃げか? いやそうではないだろう。目的がありそれに到達しなければならないとしても、
手段は吟味すべきものだ。もしレイさんがその話を聞いて、また変調をきたされるようであれば、
それに対応しなければならないしな… だから、これは「備え」でもある
「パラベラム」というやつか? …やや意味が異なるかもしれないが。 ともあれ、私はレイさんの
肩に手を置くと立ち上がって、リビングへと向かった。
…(さっき肩に手を置いたのは、なれなれしすぎるかな? いや、まあそうでもあるまい…)
自分としても心の均衡を保つためにそのようなことを考えていたのかは、わからないが。
そのやや浮ついた心は、リビングから例の部屋に続くドアの前で一瞬にして拭い去られた。
「…!」
その事象が脳に届き、理解する前に、私は手近にあったモップをひっつかんで
ドアを蹴破る勢いで開け、中に文字通り… 「突入」していた。
キ サ マ
「 貴 様
ミ
見 て い る な ッ ! ! !」
そう叫んで、私はモップを思い切り… 「その穴」に叩き付けていた。
ガコッ!という鈍い音がして、モップの先端が砕けて外れた。穴のふちから、土くれが飛び散る。
おそるおそるモップを外したときには、その気配はもう消えていた。 …甘かった、油断をしていた。
私はひどく舌打ちをしたい気分にかられたが、後ろに、おそらくはその音を聞いていらっしゃった
レイさんを認めて、それを押し留めた。
「…レイさん、もうしわけありませんが、今日は… 先ほどのお話をするわけにはいかないようです」
声にやや強わいものが混じっていたのは、どうしようもなかった。
「……」
レイさんが、やや怯えたような顔をなさって、私を見つめている。
レイさんの前でこういう面は出したくないんだが… しかたないこと、なのか。
モップをその場に放り捨てて、私はレイさんを促してリビングへ出た。
その後はややぎこちない空気だったけれど、レイさんがローズティーを淹れて下さったので、
張り詰めていた私の心もなんとか落ち着いた。だが依然張り詰めているのにはかわりない
…今日も寝るわけにはいかないな…
もっと… 厳しくなるな … これからは…
とりあえず、プラモを作る時に使う(なぜか大缶であった)パテを持ってきて
穴を塞いだ コンクリに比べれば強度は(悪い意味で)段違いだが
まぁ無いよりはいいだろう。しかしこれで安心してはいられない
あくまで悪い意味だからこんなものはすぐにでも突破されるかもしれない
なぜか今は「奴」は覗いているだけのようだが… いつ考えを改めるか分からないからね
だから穴のパテが固まる前に、一見わからないように鳴子をたくさんしかけておいた
どの部屋にいても穴に変化があればこれが鳴って知らせる
まぁ無いよりはいいだろう。
…レイさんもうすうす感づいておられるのかな
だがまぁ… できるならば… レイさんには負担を掛けずに私がケリを付けたいところだ
さて、昨日のことで中断してしまったが、今日は、いよいよレイさんに全てを伝えなければならない
とりあえず朝食の後、腹ごなしが済んだややのち、いろいろと準備をした上で、リビングで
レイさんと向かい合った。私のソファの後ろには洗面器や救急箱などが用意してある
昨日のことでなにか聞かれるかも、と思っていたが、レイさんは先の問題に注視しておられるようだ
ホットチョコレートを淹れた後、私は例のDVDの残り4枚を取り出して、レイさんに見せた
それぞれ、『最後の使徒』および『最初の結末』のDISCと、『後の結末』のDISCだ
後半二枚には『DEATH/TRUE』及び『Air/まごころを、君に』と刻印してある
アルジャーノンのお墓に… そんな一文が浮かぶが まぁそれは今は関係ない
「そうですね… まずは、この前言ったカヲル君のことから確認しましょうか」
今のレイさんは、カヲル君に会ったことは無い。あの時点のレイさんはまだ彼に逢っていない。
少なくとも、「この筋書きの中では」 …まこと、人生にはいろいろな可能性があるものだ
以前にも言ったが、フィフスチルドレンとして着任してきた彼、渚カヲルは使徒だった。結果的には。
だが彼は他の使徒たちとは違い、人間に極めて近く、他の使徒には見られなかった高度な「自己」
があった これは、私は、カヲルはレイさんと同じような存在であるからではないか、と思っていること。
それと、私はもうレイさんについての全てを(あくまで映像に表れた全て)を知っているということも、話した。
以前、「一人目の〜」云々、と言ったときに、もう気付かれていたのだろうけれども。
…だがまぁ、そんなことは私には関係ない。レイさんはレイさんだ。昨日言ったとおりさ。
だから私はレイさんに弁明をしたりはしない。 レイさんが私をどう思おうとも… それが私の「覚悟」。
話がそれたが、ともあれ彼はシンジ君と仲良くなり、心を通い合った仲になったと思われたのだが…
使徒のサダメに沿って、彼は始めてNervの最下層に立った。「そして御使いは神の前に立つ」という賛美歌を
背後に。そして、真実に気付いた。
(地下のリリスがアダムではない、ということは、以前「アスカ来日」の時点で
説明しておいた あの時のアダムはベークライト越しだったせいか レイさんにも気色悪い以上の影響は与えなかったが)
そして、シンジ君と対話し… 自らの自由意志に従って、死を選んだ。
私はこのことについては淡々と事実を告げるだけに留めた。自分の言葉で語ると、
どうしても主観が入るものだからな… まぁそれを完全に排除することなどできはしないのだが。
自分の感情や意見を交えて語るのは、カヲル君の選択を侮辱することにもなるかもしれんからかな…?
だが所詮カヲル君だからこう冷静でいられるのだ。もしカヲル君の立場がレイさんだったなら、
こうまで冷静に語ってはいられまい。
だがまぁ… もしあそこでカヲル君がシンジ君と一緒に生きていく世界を選んだならば、
最後はああもならなかったのかな、とも思うと、改めて自分が「傍観者」だということを強く認識させられる
いや、正確には「傍観者だった」だ。
…だからそれゆえに、今語っていることはもはや無き事となった、「ありえたかもしれない未来」の筋書き。
実際に、弐拾参話以降のDISCはみなブランクディスクになっているのだから…
そう思うと、カヲル君の死の前に現れた「三人目」のレイさんについて語るときにも、
あまり重々しく考えないで済んだ。
『一つ目の結末』については、あまり多くを語るまい。シンジ君は最後に殻を破ったように…見える。
だが、レイさんのことについては、一言あってしかるべきだろう。
具体的には、弐拾伍話のレイさんパートのことだ。
『あの人が必要だから私はいたの。
でも終わり。
いらなくなるわ、私。
あの人に捨てられるの、私。
その日を願っていたはずなのに、
今は……怖いの』
よくもまぁ人を人形みたいに扱うものだよ、そのおかげでレイさんが啼いているじゃあないか
涙というものは涙を流すだけではないというふうに私は思っているからかな…
だから、このセリフは印象に残っている
「レイさん、誰かに必要とされるために人は生きる、というのも、一つの真実ではありましょう。
ですが、人生というものはそれだけではないと、私は思っています」
「………」
「それに… もし、誰もがレイさんを必要と… …。」
「…… 何?」
「…… いえ」
「つい主観がまじる」とはこういうことを言うのだ。やれやれ。
DEATH編はいままでの再構成だからよしとして… だがまぁ、一度聞いてみたかったことを訊いた
「レイさん、いままでにヴィオラを弾いたことはございますか?」
「…ヴィオラ?」
レイさんはヴィオラ自体は知っているようだが 弾いたことはないとおっしゃられた
「でも… 何故か 音色を知っているような気がする」
それは、弾いたときの感覚、といったようなものなのか
しかし… となると… シンジ君のチェロを筆頭とした、パッヘルベルのカノン、あれはなんだったのだろう…?
やはり、よくわからない。心象風景だということなのだろうか…?
シンジ君のチェロに対しては、いろいろと諸説がある
曰く、チェロは最も欧米の壮年男性の声を連想させる楽器だとか、
そのおかげでアスカはシンジ君に「男」を感じたとかいろいろだ
しかし残念なことに、私は弦楽器には詳しくない チューバ吹きだったものでね…
だからレイさんが弾いていたヴィオラに秘められているであろう意図は読み取れなかった
ただ… あの時 まだ子供の範囲を脱しきれていなかった頃聞いた
あのパッヘルベルのカノンの弦楽四重奏
この心に何か秋空に舞う一枚の紅葉のように残っているのだ。
>>チューバ吹き
ルリヲってブラスバンド部だったの?
有り余る肺活量を駆使してチューバを吹き鳴らすルリヲ・・・なんかイメージと違うなw
ホットチョコレートの二杯目を淹れてきた。 一杯目はお互いにあんまり減っていなかったから
二杯目というよりは継ぎ足しになるのかもしれない
さていよいよ、というわけでもないが… EOEにいたるというわけ
しかし、EOEは私からしても曖昧な結論しか出せていないし、それを言葉で説明するとなると…
というわけで、繋ぎも展開も切れ切れになってしまうだろうけど、ある程度仕方ないかな…
「それでですね、アスカさんは心神喪失、というような事になってしまったわけですけど」
結構迷ったが、結局は当たり障りの無い表現になってしまった
「シンジ君がお見舞いに行っていたようですよ」
見舞いか… おみまいの意味が違うんじゃないか まぁ… 思春期だしなあ
そしてそれが、ガラスのように繊細な日常が打ち破られる寸前のときだったわけだ。
あくまで淡々と言ったつもりだったが、視線をそらしていたのに気付かれたのか、
レイさんは多少戸惑ったような顔をなされていたが。 やれやれ、これから先はどうなる事やら。
全ての使徒を排除し、障害がなくなったことにより… 黒幕は部隊に姿を現す
Nervの陰に潜んでいた魂… SEELEが。
元々Nervというのはエヴァという強大な力を持ちながら、その性質ゆえに
極端に対人戦に疎いという弱点を突いてきた、戦略自衛隊の襲撃。
務めて感情を排する様に喋っていたが、やはり、どこかに嫌悪がにじみ出るのは
どうしようもないのか…? それはそうかも 後から思えば、戦略自衛隊は
決して真実を知って攻めてきたわけではあるまい。
彼らが知っていたのは、「Nervが使徒を全て殲滅し終わった後、その「特異」な思想をもとに
セカンドインパクト以上の惨劇をもたらそうとしている」という「事実」だったのだろう。
汚いやり口だ。「二つの善意の第三者」というわけか 自分達の手を汚さず
彼らはナプキンを巻いて銀の皿の前で待っていると言うわけだ。彼らの目的云々を抜きにしても、
そういったやり口を行う以上、性質が悪いとは言えるだろう
「……」
…いまだ「二人目」のレイさんも、 その事について眉をそばだたせておられる
「…しかし、Nervにしても、それを事前に察知できなかったのは大きいです」
彼らを擁護するわけではないが、これは言っておかなければならなかった レイさんの人生の足しに
なるだろうと思ったからだ 結果論的な要素も人生にはあるから
(あるいは、「察知はしていたが放置していた」のか…) そうも思うが、いたずらに複層化するのを避けるため
それは黙っていた。
第一陣は、デジタルな手段で。これは、例の事から来る「謹慎」から解かれた赤木博士が対応したことにより、
事なきを得た
だがまぁこれも前哨戦だったわけだ これですめば最良といったところだろう
「結果」は変わらないかもしれないが。戦自が突入することによって、それが遅いか早いか…
それだけの違いなのだろう あるいは… 「個人個人に終わる」か、「一斉に終わるか」の違いとも言えるか?
第ニ陣は極めてアナログな手段で来る。つまりは「直接」ということだ。
――その「直接」っぷりは、私はなるべく避けて話していたのだけれど、聞いているレイさんも、
その「直接」の内容を想像されたのか、顔色が更に白くなられていた。
『…相手は使徒じゃないのに。同じ人間なのに』
伊吹二尉の搾り出すような呟きが思い出される。
人間というのは、「大事なものを守るため」ならば、いくらでも残虐になれるといういい証左だろう
しかしそれもゼーレから伝わった偽りの事実。まこと、人は他人を100%理解することなどできはしない
その弊害がそこにはあった。ましてや、相手はそのことのプロだからな。どうにもならん
だがまぁ、それ自体は否定されるものではない、ということを、私はあえて言った
それはしかたのないことではある。その心を利用しけしかけるものこそ邪悪であるということも含めて。
私もかつて、初めてそれを見た日は、食欲があまり無かった、ような記憶もある
だから、このへんは簡潔にしておいて、(うっちゃっておいたともいう)
チルドレンのお話に話を移した。 といっても、前者の話題と完全に切り離せるわけでもなかったが。
私はミサトさんがうずくまるシンジ君に言った言葉を一字一句正確に覚えていたわけではないけれど…
これは全てのレイさんの世界の物事の根本に関わることだったので、特に時間を割いて
丁寧に説明した。 ミサトさんの言葉は、Nervのバックデーターから引き出したものだから、
かなり信憑性は高いだろう。そういって以下にまとめたことを言った
・セカンドインパクトは、アダムの覚醒を防ぐために仕組まれた事象だったこと
・人間は「アダムではなく」「リリスから生まれた」「18番目の」使徒であったこと
・他の使徒は別の可能性だったこと。つまりはありえたかもしれない人のカタチだったこと
・そして使徒の襲来は、その先にある「何か」を目指していたと言うこと。それはサードインパクト
の後に来るなにかであること
言っているうちにホットチョコレートが固まってしまった。まぁ、暖めなおす暇も無いけれど
「そういった意味では… レイさんにも、シンジ君にも、他の人にも、なんら違いは無いと言うことにも
なるでしょう そういう考えかたもあります」
換骨奪胎とはこのことだが まぁそいう見方が出来ることは確かだ
「私」を含まなかったのは あくまで私はちがう世界の人間だからな… そういう枠にないのかもしれない
「………!」
レイさんが驚いておられる そうまで驚かれることでは… とあわてたとき 私は改めて
私の世界とレイさんの世界が違うことに気付いた。レイさんにしてみれば、
自分のレーゾン・デートルに深く関わる事であろうから。
「……同じ…」
レイさんは、しばらくその事実を胸の中で繰り返し確かめておられるようでしたが…
ふと、その顔に険しいものがよぎった。
レイさんが正確に何を考えていたのかはわからなかったが、私は先手をきって言葉を紡いだ
「ミサトさんも言いました、使徒はお互いを拒絶するしかなかった哀しい生命体だったと。
しかしそれも我々人の側から見た感傷とでも言うべきものですから、一概にそれについて
どうこう思うのも、どうかな、とは思います ただ一ついえるべきことは……」
そこで私は一回言葉を切って、慎重に言葉を選んでレイさんに言った。
「レイさんが、他の皆さんを大切に思えたからこそ、レイさんは、使徒というものと戦ったのでしょう。
ですから、それ自体は間違ってはいないと私は思います。レイさんたちがいなければ、
ほかの人びとも…」
そこまで言って私は咄嗟に言葉に詰まった。考えすぎかもしれないが、もしやレイさんが、
先ほど話したような、Nervの皆さんの「直接」な受けっぷりとこの言葉を重ねて考えてしまえば、
余計に(言わなければよかったと思うほど)心を沈ませてしまうのではないか、とも思ったからだ
例えるならば、末期癌の患者に延命措置を施すような… あくまで「治療」ではない…
いや、そういうものでは断じて無いだろう。私はそう思うが… しかしレイさんは…
「… そう… そうね」
レイさんは完全には納得していない、というような顔だったけれど、なんとか折り合いを付けられたようで、
そうおっしゃられた。
…やれやれ、どうやらまた私の考えすぎだったらしい。どうも私は穿って考えるクセがある。悪い癖だな
だがまぁ気付かないよりはいいのかな… そんなことも思う。
レイさんにしても、今まで戦ってきたのは、皆さんを守るためで、先ほど話したような目にあわせるためでは
ない、断じてないと思っていらっしゃるなら、私としては安心できるのだけれども。 …今はそれはいい。
とりあえず私は話を進めた。
戦自の攻撃によって目覚めたアスカさん、ミサトさんによってケイジへと送り出されたシンジ君
(ミサトさんについては、送り届けたというところで切っておいた 今更なんだ、と思うのだが、
やはり改めて言うのはキツいものだ 優柔不断のそしりを受けるに値するが、ね…)
ここまで「三人目」のレイさんには触れていなかったが、ここまでくるとイヤでも触れなければならなくなる
(あくまでこれはありえたかもしれない未来 今のレイさんには関係のないことだ)
そう思えばこそ、ゲンドウとともにリリスの前にたたずむレイさんのことも話せる
「……司令は…」
レイさんも何を言っていいかわからない様子だった
心の中で思っていたことが、つい口についたのかもしれない
――今のレイさんは二人目のレイさん。三人目のレイさんの心のうちはわかるまい。
そんなふうに思う私はどうだろうか?
もしかしたら、私が「分かりたくない」だけなのかもしれないが。
しかし、その思いが私の心の大切な部分を形成している。 勝手な思い込みと言えばそれまでだけれど、
それが人を信じる、ということなのではないのだろうか。
…それを「身勝手」というならば、いくらでも言うがいいさ…。
…ここからは更に救いが無くなる 赤木博士は自分なりに全てを清算しようとしたのだろうか?
本部施設ごとなくなってしまえば すべておしまいだからね… ま、そのときには自分もいないし
まさに全ておしまい、というところか。
『最後まで… とうとう最後まで ……の心を掴むことができなかった…
……の心には いつでも お前がいたからだ』
そういう心情に立たされた人には、同じような感情が溢れるものなのだろうか?
どこかの場面を思い出しながら、レイさんに語る あくまで簡潔に
レイさんにも 複雑な感情を与えてしまうかもしれないし
(リツコさんが最期に見た 制服姿のレイさん?…
もう「始まっていた」ということか そういえばミサトさんのときにも…)
なんというか だんだんと口数が少なくなってしまうな これではいかんのだが…
「…量産機は斃されても復活し 弐号機は敗退しました
そこに、シンジ君が乗る初号機が現れたのですが… もう、シンジ君のコントロールを
受け付けてはいないようでした」
内容からして内容だものね… ある意味、こうやって言葉で伝えたほうがよかったのかもしれない
直接見るよりかは。
「そして地下では… 司令とレイさんが」
ATFを解き放ち、不要な体を捨て、欠けた心の補完を行う…
改めて言葉にしてもよくわからない。だから、そのままをレイさんに伝えた
レイさんは…
「魂を… 一つに…」
その視線の焦点がややぶれているように見えたので、さりげなく、その手に
プリッツを渡した。
…引き込まれないように、蜘蛛の糸のように配慮するのも、当然といえば当然、だな…
「『私をユイのところへと導いてくれ』と、司令は言いました そして、レイさんには既に…」
アダムが、と言いかけたところで、声が出なくなってしまった。無理にでも、カップを持ち上げて
ホットでなくなりかけている二杯目のチョコレートを含む。何故か、その甘さが、
今の私には非常に不快に思われた 味覚は体調や精神状態の影響をいの一番に受けると言う
これではいかん、と思い、いっきに飲み干した後、言葉を続けた。
私はレイさんを信じている。それならば、言うこともできるはず。
「…アダムと一体になったレイさんは、「私はあなたの人形じゃない」という言葉と共に、リリスへと還られました」
「その時既に、レイさんは、シンジ君の叫びを聞いていたのでしょう」
「碇君が呼んでる… そうおっしゃったときのレイさんは、レイさんでした…」
が、と続けたくなったが、飲み込んだ。
「………」
レイさんが、初めて会ったときのように、無口になってしまわれた それもしかたのないこと、か?
さまざまな感情がごった煮のようになっているのかもしれない。絵の具のチューブを水の中に
適当に放り込んだときにできるあれにも似ているか。 まぁ それだけでなく、
誰とても、自分が自分でないような感覚に陥れば、喚き散らすか、押し黙るかしかないだろう。
…そしてここからは、シンジ君のインナー・スペースとなる。まぁ、先ほどまでと比べてなら、
落ち着いて話すこともできるかも、だ。 だいたいどういっていいか分からないのだが…
ペイルライダーもトランペッターも出てこない黙示録の終焉…
世界が悲しみに満ち、空しさが人々を包み、孤独が人の心を埋めていく、と彼女は言った
だとすれば、その悲しみ、空しさ、孤独とは誰のものだったのだろうか?
シンジ君か?アスカさんか?ゲンドウか?もしくは…
いや、それは人々が多かれ少なかれ持っているもの。それをなんらかの形で埋めているだけだ
やはり、EOEはよくわからない。
…最後に、シンジ君とアスカさんは戻ってきた。それは彼らの選択の結果。だから私には何も言いようが無い
しかし…下らない、じつに下らない。
なぜかは分からないが 「下らない」ということだけが印象に残る 何故か?
それはそうだろう。私にとって最も重要なのは、そんなことではないからだ。
シンジ君たちには悪いけどな。 割と「どうでもいいこと」だからだ。
そういった感情を顔に出さないように努力していたつもりだったけど…
「…レイさんは、自らの力で自分自身をイメージできれば、誰もが人の形に戻れる、
とおっしゃいましたが」
それならば、シンジ君やアスカさんと共に… レイさんも戻ってきているはずではないのか?
ただ単に時間の問題なのか? それとも…
「! …すいません」
つい、問いかけるようなまねをしてしまったことに、レイさんに対して謝る。レイさんが、多少
責を感じておられるような感じに見えたから。 …レイさんに何の責任がある?
それも、いまのレイさんには何の関係もないことだというのに。
そう、今ここにいるレイさんには関係のない… ないのか? …いや、多分それは
聞いてはいけない疑問。私のレイさんへの信頼にも関わってくることだからね
…初めてそれを見たとき、私はレイさんが遠くに、手の届かないところへ行ってしまったかのような
感覚を覚えたものだ …そして、レイさんの残り香を追い続けて生きてきた
そして、今、ここでレイさんと出会えたのならば… もう前のことは気にしないほうがいいのかな、
とも思う。だが、知識として教えさせていただかなければならないから言っているだけだ。
ならば、こうまで感情的になる必要もあるまいよ… まだ、修行が足りんな
「…それが、私が見た「ありえたかもしれない」未来の、姿です」
全部話したらいっそさばさばした。レイさんには悪いけれど(これは、先ほどシンジ君たちに感じた
ばつの悪さとは数段違うものだった。だがまぁ、それを感じたことを私は、誇らしくも思える)
「…こういうふうに言うのが、失礼に当たるのかどうか、分からないのですけれど」
「その展開の結末は… 私にとって、あくまで私にとって、レイさんによくないように思われました」
正直言って、あんなふうになるのはレイさんの魂にとっての「侮辱」である、と思うからだ。
「侮辱」に対しては「殺人」も許されると言っていたヤツがいたっけ… そんな感じだ
「ですから、私はレイさんに、その道へ進んでほしくはありません」
言ってしまった。まぁ、少なくともウソを言っているわけではないから、その点は正直でよろしい。
「…わからない」
レイさんは、最後に一言、そうおっしゃられた。
「運命」というものに宿命付けられているとでもいうのだろうか? それとも、レイさんの「世界」を
創ったものたちの意思か?
そんなものは知らん。 レイさんは今ここにいるのだ。 私の、目の前に。
「…考える時間は、まだありますよ」
それがレイさんに対する慰謝になっているかどうか、自分自身でもわからない。
要は… 基本的な考えがカオスなんだろうな… ロウでなく
レイさんの幸せを純粋に望むのも そのためについ独善的になってしまうのも
相反する観念じゃあないということだろう
…だがまぁ、自重して行きたいものだ
今日はインターバルということで、お互いに一日のたっとして過ごした。
まぁ、私は見た目ほどのたっとはしていられなかったが。
昼間、レイさんがリビングで本を読んでいるときに、まことに失礼ながら
同じリビングの大ソファで仮眠を取らせていただいた。まったく、最近は睡眠不足だ
といっても、某柘植氏がしたように「片目で寝て、片目で警戒する」というのをやってみてはいた
流石に途中でうまくいかなくなってつい寝てしまったが。
ハッとして起きてみると、私の上に毛布が掛けられていた。レイさんはいまだ同じ場所で
本を読んでおられた 積んである本が減っていたけれども
「…大丈夫。見ているから」
今はレイさんも大分感づいておられるな… 情けなく、ふがいなく、そして申し訳ないことだ
しかし、「見ているから」、に、見ているものが二つ、だったらいいな、とも思いつつ、
申し訳ないがもう少し眠らせていただくことにした。
レイさんも私も、ここを出なければならないのは分かっている
ただ、今は、もう少し、この暖かい空気の中で…
今日はレイさんと部屋の掃除をした後、ゲームを一時間半ほどやってレイさんは就寝。
まぁ私も寝たいところだが、今は多少昼夜逆転でもかまうまい。まだ若いと思うしね
さて!夕ご飯のときにあらかじめ下準備をしておいたものを取り出そう!
材料:
・卵 4個 ・グラニュー糖 120g ・薄力粉 120g ・無塩バター 30g ッ!
まずはバターを湯煎して溶かし、振るった薄力粉も用意 卵を湯煎しつつグラニュー糖を何回かに分けて混入ッ!
ハンドミキサー …はないので泡だて器で。 小学校の頃教わった記憶では、つまよーじが立つほどが最も良いッ!
そうなったら更にやわくかき混ぜる。 気泡が残ると見た目だけでなく強度的にもアレだからね〜
オーブンの予熱を確認したら薄力粉をいれ、「のの字」にボールを廻しながらゆっくりしゃもじでかき混ぜる。
このへんは百科事典の受け売りだ。 あくまで激流を制するは静水… のいきおいで あわてるとふくらまんぞ
とろけたバターを加えてさっくり混ぜたら、あらかじめ用意してあったカタに入れてオーブンで焼くッ!
温度は170度 30分で焼き上がりッ!
タンタタ タタタ タンタタ タタタ タララッ タララッ タララッ タララッ タララララン!
ウッルトラじょうずに焼けました〜♪ 三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだな〜
カタから外して予熱を取り、ラップにつつんでおく 換装、ならぬ乾燥するとガビガビになって美味しくない!
まぁクリームは鮮度的に明日の朝でもかまうまい。イチゴも鮮度のあるものがあって何よりだ。
(レイさんに喜んでもらえるといいのだけれど)
後片付けをした後、 精神のスイッチを切り替えて、例の部屋に向かう
仕掛けを確認。配置しておいた手順を今一度頭に叩き込む
私は別に超能力者でもなんでもないので、ヤルさいには頭を使わなきゃならんからな…
問題は一応なし。確認しすぎて困ることは無いけれども、見られると困る
まぁ今は視線は感じないが…
先ほどの多少浮かれていた自分、 今の目つきが厳しくなっている自分、
そしてレイさんの部屋のドアを開けて、レイさんの寝息を聞いている自分。
どれも私自身だ。 … ならば、まぁ迷うことはないのだろう、な。
「I Just Keep Burnning Love… 君にめぐり合うために…」
レイさんが寝返りを打ったので、その後の歌詞は飲み込まざるを得なかった
こういうときは、頭を掻いてごまかすのが一番、と言った人もいたな。 …やれやれ。
後になって、ドア開けてなんかブツブツ言っているのはあきらかに○○だ、と気付くも遅し。
…百戦して百勝ともいくまい、失点は償わなければね…
さて、いよいよ当日! 昼前にレイさんが部屋で自習をなさっていた間に、生クリームを
スポンジに塗って、星型の搾り出しクロスでデコレーション。後ろを気にしていたせいか、
ちょっと失敗したところがあったが(割と痛恨事)ウエハースにチョコでレイさんの名前を書いた
プレートを乗せてフォロー。そして今日のメニューはシーザーサラダに、とろけるチーズを入れたアランチーニ、
サーモンのフィレンツェ風グリル、シンプルイズベストなペペロンチーノ。バジリコソースたっぷりだ。
レイさんは、次々はこばれてくる料理に、ちょっと驚いていた様子だった。
もうしわけないような、うれしいような気持ちがないまぜになって、つい相貌がほころぶ
そして最後に、イチゴのショートケーキを持ってきた。レイさんは、そのケーキの上に
載っているウエハースに書かれた名前を、読み上げてくれた。
「Happy Birthday Dear…」
「レイさんへ。お誕生日おめでとうございます」
アイボリーホワイトの花、月下美人(余った布と糸で作った造花)を、花瓶に刺してまとめ。
レイさんにはふさわしい花だと思う
この部屋には種も無かった、というのもあるけれども、
本来、月下美人は、その名の通り朝になると萎んでしまう儚い花…
それゆえに、造花、というイメージがレイさんに与えるマイナス面を考慮しても、なお、捧げたいと思った花。
レイさんには、いつまでも綺麗に微笑んでいてほしい。そう思う。
無論、花は枯れるから素晴らしい、というのもあるけれども…
何個かの試作品を経たとはいえ、やはり写真を見ただけでは完全には程遠いぶきっちょなものだったが、
レイさんはそれをしばらく見つめて下された。
「…私の、誕生… 日…」
「最初にレイさんに逢ったときに思い出せなくて、もうしわけありませんでした」
そう謝った後、レイさんの誕生日は、2001年3月30日だ、ということを教えた。
そして、ケーキにろうそくを立てていった。すこし大きいのを一本、その周りを囲むように5本。
「改めて、レイさん、15歳のお誕生日おめでとうございます」
チャッ○マン(風情が無いが、安全的にはよい)で、すべてのキャンドルに火をつけた
照明の明かりを絞ってあったので、やや薄暗かった中に、炎の色彩が現れ、
レイさんの紅い瞳を照らす。
綺麗だ。 自然に、そう思った。レイさんのガーネット色の瞳に、炎のゆらめきがうつり、
レイさんの髪もその色と交じり合って、薄いパープルに見える。
しばらくそうしてお互いに炎を見つめていたが、ろうそくの先端から蝋が一滴落ちたところで、
私はレイさんに、
「さあ、ろうそくを吹き消してください」 と、言った。
レイさんは、最初戸惑っていたようだったけれど、知識としては知っていたのか、
最初はやや控えめに、二息目からはやや強く、ろうそくの火を消していらっしゃった。
立ち上がって照明の明度を明るくして、私はレイさんに向き直った。
「ちょっと日付がずれてしまいましたが、レイさんの誕生日を祝えてうれしいです」
「…うれしい…」
レイさんはいまだちょっとした戸惑いから抜け出せないようなので、ちょっとアレだけれども、
私は質問した。
「…今までにも、こういうことはあった、と思いますけれども」
そう。私は今になって思い出す。いつか、レイさんに碇司令のことを聞いたとき。
いつも何ヶ月に何回か、一緒に食事をしていらっしゃったという。その中でも、
一年に一度くらい(ここで気付くべきだったな)真っ白なショートケーキを添えた食事があったことを。
(司令もわざわざ日付をずらしてまで…よくやるよ)
ちょっと口の端を吊り上げてしまったけれども、まぁ、その事は今は頭から追い出す。
今は、私がレイさんの誕生日を祝っているのだから… これくらいはいいだろう。
「レイさんももう15歳ですね。これからもっと楽しくなります 本当に、この日を祝えてよかった」
「……」
「誕生日というのは、単純に、年齢を重ねたことを祝うというだけでなく…
その人に、「生まれてきてくれてありがとう」という、意志を伝える日なんです」
「…!」
「本当にそう思います… レイさん、生まれてきてくれてありがとう」
いつものちょっと斜に構えている私なら、ここでいろいろと考えすぎてしまうところだったかもしれないけれど、
その時の私は、心からけんが取れて、純粋な気持ちになっていたと思う。
レイさんの瞳が私のそれと重なっている。その瞳は細かに揺れていたようだけれど、私は、その瞳を
しっかりと見つめなおした。 とても穏やかな気分だった。 激しい喜びももちろんあったけれど…
まるで、心の底に染み入るような、穏やかなうれしさが、私の心に染みていた。
「…さ、いろいろと作りましたから、冷めないうちにいただいてください」
私はきっかけを作って、そう言う。同時に、倉庫の中にあったブルゴーニュ・ロゼのコルクを抜いた。
…イタリア料理なんだからイタリアのワインならよかったかな、とも思うけど(実際あった)
やはり甘い口当たりのよさはフランス、ブルゴーニュが有名だからね。
シャンソン・ペール・エ・フィスの1995年ものだ。