ミサト×シンジの可能性を語るスレ 5回目

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864「20191208.txt」
年下の彼-3 投稿者:M  投稿日:2019/12/08 11:12
 
 
 その頃には、S君はAやRとも仲良くなり、私も元彼のK君との仲が元鞘になりつつあり、お互いに自分の領域で異性の繋がりを保っていました。
 普通に考えて、私がS君に言い寄ったり仕掛ける筋合いは無いのです。
それに奇妙な形とは言え、男一人女二人の疑似家族は円滑に機能するようになり、少なくとも表面上は彼も私も意識するような仕草は見せてませんでした。
 こんな状況で変な真似をしたら、目も当てられない結果になる。そう思うのは当然です。
 まして私はもうすぐ三十路になる、仕事に疲れ果てた独身女です。同世代ならともかく、S君に正面から「そういう意味」で向かい合う自信はありませんでした。
この掲示板にいる女性の皆さんなら分かると思いますが、女性にとって失われていく時間の恐怖感は、あの世間を騒がせた「使徒」さえも凌ぐ強大な物です。
 幾ら努力しても、年齢や時間には勝てない。それは痛いほど分かっていました。
 私は結局、それまで通りの保護者としての立場を保つ決意を固めました。時間と仕事が、全てを押し流してくれるだろうと信じて。
 
 それからしばらくの間、仕事上の激務が重なり、肉体的精神的に疲弊する日々が続きました。
 
 教育プログラムの過激化が進み、組織全体が常に緊張する状況が続いて、私もS君達への配慮にかける事が多くなっていきました。
 やがて子供達への負担は限界に達して、A、Rがリタイアし、S君も限界に近づき、そしてとうとう彼が倒れた時、
私は職場のど真ん中で、恥も外聞もなく、S君を返せと喚き散らしてしまいました。
子供達を激務に追い込んだ組織全体と、彼を守りきれなかった自分自身への憎悪が、理性の縛りを壊してしまったのです。
865「20191208.txt」:2007/07/15(日) 00:07:53 ID:???
 その日の夜、精神的にも限界を超えた私は他に縋る相手もなく、元彼のK君に誘われるままに、抱かれました。
 K君は女性経験も豊富で、その手のテクニックも扱い方も心得ていて、私はひとまず落ち着きを取り戻す事ができました。
そして彼の腕の中で、これで良かったのだと思いました。部下として酷使し、同時に家では息子か弟のように扱う相手を想うという行為に、疲れていたのです。
S君の為にも私自身の為にも、これで良かったのだと。
 しかし、それが彼に抱かれる最後の機会になりました。
 状況が一段落し、S君が意識を取り戻した頃、彼は私に何も告げずにまた別の赴任先へ行ってしまったのです。
しかもそれは、元々彼自身が得意とする地方(今は辺境と書いたらいけないんですよね?)での調査業務に、自分から志願して行ったらしいのです。
まるで、もう自分は必要ではないとでも言っているような、そんなタイミングでした。彼は私の全てを受け入れてくれる訳ではなかったのです。
 
 その後、S君達と私達が業務の最後の仕上げを行ったのですが、一応今でも機密に当たる内容らしいので、この辺は割愛します。
 
 全ての集中業務が終了して一公務員としての退屈な日々が戻り、S君達も高校に進学するまでの暫くの間は今まで通り同居する事になって、
これまでに無い賑やかで楽しい時間が訪れました。
 一般公務員らしいのんびりとした仕事の後には毎日のように仲間達と飲みに行き、休日にはS君達とのんびり過ごす。
それは今までの色々な事に思い悩み苦しんだ時間が嘘のような一時で、ふと当時の事を思い出してしまい、突然泣いてしまう事もありました。
 そんな私をやはり気遣い、労ってくれたのがS君でした。
866「20191208.txt」:2007/07/15(日) 00:09:04 ID:???
 人目に付かないように陰に隠れて泣いている私の傍にいてくれて、涙が止まるとそっと手を握って、
「大丈夫ですよ。もう、全部終わりました」
と言ってくれます。
私はその度、子供みたいに頷きながら涙を拭いたり鼻をかんだりするのです。
立場としては、以前は私が沈んでる彼に色々言って支えてり叱ったりしていたんですが…全く逆になってしまいました。
 そんな事が何度かあってから、ある日また私が泣いていると、彼がいきなり私を抱きしめて、
「大丈夫ですよ。僕はずっとあなたのそばにいます」
と、力強く言ったのです。
 一瞬、言葉の意味を理解するのに時間がかかり、その隙に恥ずかしさからなのか、S君は脱兎のごとく逃げ去ってしまいました。
意味をちゃんと確認できなかったのが悔やまれましたが、離れたのはむしろ好都合でもありました。
彼の言葉が頭の中でグルグル回転して、私の心臓はより早く力強く鼓動していったからです。
この鼓動を彼に聞かれたくありませんでした。
S君が、15も年上な私を想っているかもしれない。
その事実に喜びを感じている私の身体を、彼に近づけたくなかったのです。
止める者がいなければ、そのまま後戻りできない所まで一気に転げ落ちてしまうかもしれなかったから。
867「20191208.txt」:2007/07/15(日) 00:10:32 ID:???
年下の彼-4 投稿者:M  投稿日:2019/12/08 11:29
 
 
 それから暫くして私の31歳の誕生日になり、晴れて本格的に三十路入りの日をヤケクソ気味に祝う誕生会という名の飲み会が行われ、
未成年のS君達もアルコール抜きで参加しました。みんなそれぞれ適度なレベルのプレゼントを用意してくれましたが、
S君はAやRと共同で新しいハイヒールをプレゼントしてくれました。
それはそれで嬉しかったのですが、この間の事もあって期待していた私は正直拍子抜けしました。
と言っても金額や物の価値ではなく、彼らしい物を独自にくれるのを期待していたのです。それが秘密のキス一つだけでも嬉しかったのですが…
 
 しかしお開きになった後に、サプライズがありました。私の部屋の前でS君が一人で待っていたのです。
 
「S君、こんな夜中にどうしたの?」
「あの、これ、みんなの前で渡すのは難しいと思ったから」
 そう言って小さな箱を差し出しました。指輪が入っている例のアレです。中はカルティエの指輪でした。誕生日用の物で値段も結構張る物です。
予想外の物が出てきて、嬉しさよりも保護者としての不安が先に来て、こんなに高価な物をどうしたの、と聞いたら、
例の集中業務の報酬分からお金を下ろしたと言いました。確かに総額にすると中学生には不相応な金額が彼の口座には入ってましたが、
その金額故に月々バイト代程度の決まった額だけ使える仕様になっていた筈です。
 つまりこの子は、それを毎月殆ど使わずタンス貯金をして、指輪を買ったのです。
868「20191208.txt」:2007/07/15(日) 00:11:42 ID:???
「どうして?こういう物はもっと大事な人に渡さないと…」
「だって、Mさんが一番大事だから」
 
 数日前の鼓動がまた私の中に蘇り、同時に頭の中ではこの子の相変わらず極端なやり方に呆れていました。これがS君なのです。
 私が不覚にも惚れてしまった男の子なのです。
 
「…ねえS君、こういうのって受け取る側の心理も考えないと意味無いのよ?」
「何か…いけなかったですか?」
「そうじゃないけどねぇ、いきなりこんな高価な物渡されても引いちゃうわよ」
私の態度に彼は本気で困っているみたいでした。でもコレは10万近くする物で、そのお金で服とか他に買う物があるだろうと言いました。
「そうなんですけど、でもあの、テレビで見てどうしても贈りたいって思ったら」
「もう止まらなくなった訳ね」
「はい」
「全く、そういう極端なのも時には大事だけど、もうちょっとバランスって物を考えないとダメよ?」
「ごめんなさい…」
すっかりしょげてしまった所を見計らって、ゆっくりと指輪を取り出し、月明かりにかざして見せます。
その数十gの重さの中に、彼の想いが詰まっているみたいで、私にとってはプラチナよりも貴重な指輪になりました。
勿論口には出さず、何となくという振りをして指にはめます。
「うん、でもコレは有り難く頂戴するわ。ありがとう。S君」
彼は素直に喜び、ぱっと花が咲くような笑顔を見せました。
頭では冷静なつもりなのに、心臓が早鐘どころか祭の太鼓の強さとリズムで暴走していました。
「それよりさ、こんなの貰ったら私からもS君に何かあげないと、釣り合いが取れないんじゃない?」
「えっでも」
「靴貰っておいて、その上指輪もだなんて、オバサンの誕生日に度が過ぎるじゃない?だから、さ」
「オバサンだなんて、そんな…」
「何でも良いわよ?欲しい物、言ってごらん」
869「20191208.txt」:2007/07/15(日) 00:13:46 ID:???
何を言うべきなのかは、彼にも分かっている筈です。ここで言えなければ、この先には何も無いでしょう。
それにここまでしても、純粋に家族として好きだ、なんて可能性すらあり得るのです。彼はそういう子です。
必死で不安を押し隠し、指輪を眺めている振りをしている間、S君は物凄く深刻な表情をしていました。
そんな彼を見て楽しんでいる私は、本当に鬼そのものです。
 でも、その鬼に惚れたのは、君なんだよ。
 
「Mさん、僕と、デートして下さい」
 
 真っ直ぐに私を見つめる目は真剣そのもので、そのくせ暗闇の中で涙で潤んで光っていました。
きっと自分の中で渦巻く恐怖と疑念に耐えられなかったのでしょう。それでも、彼は壁を乗り越えて来てくれました。
私は返事の代わりに、抱き締めてキスをしました。唇に、深く、長いキスです。正直、我慢できなかったんです…
 ところでこの掲示板の皆さん、家族間でするキスって、みんなこんな感じなんでしょうか?
甘くて、いつまで吸っても飽きず、今までどんな相手でも感じた抵抗感はまるでありませんでした。水を飲んでいるみたいな…
でも、3分くらい経ってS君が苦しみ始めて、離れてあげると本当に窒息しているみたいでした。
「ね、どうして息止めているの?」
「だって、そうしろって…」
言いかけて黙ってしまった彼の頭を、軽く小突いてやりました。
「誰に言われたか知らないけど、自分で考えておかしいと思わない?」
「そうですけど」
「大体、私の身体に何百回もキスするかもしれないのに、その度に息を止めてられる?」
870「20191208.txt」:2007/07/15(日) 00:16:01 ID:???
 この時になって、やっとS君の中でも明確なイメージが形になったみたいでした。
 
 今度は彼の方から抱き付いてきて、背が届かない私にキスしようと懸命に背伸びしてきました。
私はをそれを迎えるように、彼の顔を引き寄せて、再び唇を重ねます。
舌と身体がどこまでも絡みつき、私とS君の、したいしたい今すぐここでしたいという願いが、皮膚と服を挟んでほんの数ミリまで接近していました。
「ダメよ、今、ここってのはダメ。分かるでしょ?」
「うん…」
事実上、自分自身に対する説得だったのですが、彼も何とかそれで留まってくれました。何せすぐ側でAが寝ているのです。
それでも一度くっついてしまうとなかなか離れられず、S君は私のタンクトップ越しに胸を吸ったり、私は彼の額に連続キスしたりしながら、
デート決行の予定を小声で相談しました。大まかな形としては、翌日の休日を丸々使う事で決まりました。
 その中で、行き先とする事は全て私が決めるという条件を出すと、彼は少し渋る素振りを見せました。
もしかすると、彼なりにそういう予定を一生懸命に考えていたのかもしれません。
「私達には、チャンスも時間も無いの。だから、全部私に任せなさい」
きゅっ、と私を抱き締める力が強くなって、それが了承の印でした。
「分かりました。Mさんについて行きます」
「久しぶりのお仕事モードで行きましょ?」
二人だけの秘密が生まれ、最後にもう一回、軽くキスしました。