作戦は成功したかに見えた。しかし、この時点で重大なミスを犯していた事に気付くのは、シンちゃんのほっぺたに紅葉の手形が
くっきりと残った後だった
「ねぇシンジ、その双眼鏡貸してよ。アタシも星見た〜い!」
「うん、いいよ。ハイ」
「サンキュ。へぇ〜っ、カッコいいじゃないこれ。どれどれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
シンジィ・・・アンタこれ・・・夜戦用の暗視スコープじゃないのよっ!一体これでどこを覗いてたのよっ!このスケベっ!痴漢!
ヘ!ン!タ!イ〜〜〜ッ!」
小気味良い乾いた音が澄んだ空気に響き渡る。一瞬の出来事に反応できず涙目になるシンちゃん・・・ やっても〜た、確かに、
冷静に考えれば、私の部屋にある機器類に民生品は殆ど無かったっけか・・・
「・・・アスカ・・・碇君に乱暴しないで」
「だってねレイ、コイツったらこんな本格的で破廉恥なガジェットを使って・・・」
「・・・碇君」
「・・・ハイ・・・」
紅葉色の頬を摩りながらレイの言葉を真摯に待つシンちゃん。何故だかちょっとモジモジしてるレイ
「・・・言ってくれれば、私が、いつでも全部見せてあげる」
「「んなっ、どさくさに紛れて何言ってんのよレイッ!」」
見事なハーモニーを奏でるアスカと私
収集が付かなくなりそうな雰囲気、ここは大人として、絶妙なタイミングでシンちゃんに助け舟を出す
「まぁまぁ、ほら、シンちゃんだって多感なお年頃だし・・・」 あ、失言、泥舟出航・・・
「ハァ? アンタ一応保護者でしょ!?コレはれっきとした犯罪よっ!それともアンタ、シンジを犯罪者にしたいのっ!?」
あまりに最もなご意見でぐぅの根も出ない。いやいや、本当は見てないのよアスカ、シンちゃんは絶対そんな事するような人じゃ
ないんだから、それに、シンちゃんがそんな不埒な事しなきゃ収まらないほど欲求不満になってないわよっ!私がいつも(自粛)。
と本心をぶちまけたい衝動を抑え、ここはシンちゃんに敢えて「悪者」になってもらって二人の好感度が下がる事に注力する
アスカの沸点が下がるまでの数分間、シンちゃんと私で仲良く小言を頂戴した。レイは、ナイトスコープが相当気に入ったらしく、
私達が説教を受けている間中方々を覗き見していた
「盛大に怒られちったねぇー、シンちゃん」
「僕は怒られ損の上にひっぱたかれ損です。それに、今日の学校が怖い・・・」
「まぁー、いいじゃない?こうして二人で夜空を眺められたんだから」
「うまく丸め込まれてるように感じるのは気のせいですかね・・・」
「いいのよ。二人でいられる時間が、今は何より幸せなんだから・・・」
とっても恥かしい事を無意識に口走って思わず赤面の私。シンちゃんも私の言葉が心に届いたと同時に赤面。二人して俯くのであった。
こんな初々しい二人のまま、これから先もずぅっと一緒に同じ時間を過ごしたい、と強く願う
ベランダで二人仲良く星を眺めながら(正確には、アスカによって締め出された)、一時間ほどシンちゃんと楽しいひと時、偶然にも
こんな時間を作ってくれたアスカに感謝しなきゃね・・・ もしかしたらあの子、気付いちゃってるのかしら・・・
こうして私の、普段通りの、何気なく、とても愛に満ち溢れた日常がまた、心のファイリングに収まってゆくのでした、
メデタシメデタシ
後述:
翌日、憔悴しきった顔で執務室に現れたシンちゃん、どうやらアスカがお友達にコトの仔細を暴露したようで
ヒカリちゃんからは「そんな事する人だとは思わなかった!不潔よっ!」と怒鳴られ
鈴原君と相田君からは「我が心の師匠!是非ともその暗視スコープを我等に・・・」と崇められたそうです
レンタル料、取るわよ
〜終〜
・如何でしたでしょうか、あまり深刻なお話が好きではないので(ミサシンにはいつもハッピーであってほしい、という願いから)、
また機会がありましたらこの(フルメタルパニックのふもっふ、的な)ノリで書いてみようと思います。またミサト目線になると
思いますが(シンジ目線は年齢的に語彙の制限を受けるので難しい為)・・・
個人的には、「シンジの事が何より大切なミサト」が好きです(逆に、本家のミサトは嫌いです)。なので、シンジ以外の事に
関して若干冷淡な部分がありますがお許しを
それでは