♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 9

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
純情可憐なシンジきゅんは女の子のほうがお似合いだと思ったことはありませんか?
ここはシンジきゅんを女装、女性化させてアンアンいわせたり
実は元から女の子だったということにして萌えあがったりするスレです。

●前スレ
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 8
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1141468001/

過去スレ、関連スレは>>2-3あたり
2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 09:31:56 ID:???
●過去スレ
倒錯シンジきゅんハァハァスレ
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/eva/1055333144/
♂倒錯シンジきゅんハァハァ スレ♀ 2
http://comic4.2ch.net/test/read.cgi/eva/1074280823/
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 3
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1085658253/
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 4
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1089894806/
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 5
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1097765444/
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 6
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111801902/
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 7
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1131761712/
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 09:34:01 ID:???
●関連スレ
☆男の子のまま愛でたい人はこちら
LOS専用 俺とシンジだけのLOSスレ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1137665932/
シンジが好きでたまらないスレッド8
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1155212670/

☆ついでに他のキャラの性別も変えてみたい人はこちら
もし、ガイナックスキャラの性別が逆だったら……
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1076258300/

☆新たな妄想を補充してくれるスレ
こんなエヴァ小説がどうしても読んでみたい!!15
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1138275603/

☆シンジきゅん統合絵板
http://ikari.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/shinji/bbsnote.cgi

☆2スレ88氏提供過去ログ倉庫
http://www.eva-lagoon.net/mana/etc/etc_idx.htm
4名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 09:37:46 ID:???
シンジキュンの萌え画像キボンヌ2
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1147441950/
5名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 09:38:40 ID:???
女シンジきゅんA(先天・女装)
女シンジきゅんB(先天・男装)
女シンジきゅんC(先天・強制女装)
女シンジきゅんD(先天・強制男装)
女シンジきゅんE(後天・女装)
女シンジきゅんF(後天・男装)
女シンジきゅんG(後天・強制女装)
女シンジきゅんH(後天・強制男装)

ふたなりシンジきゅんA(先天・女装)
ふたなりシンジきゅんB(先天・男装)
ふたなりシンジきゅんC(先天・強制女装)
ふたなりシンジきゅんD(先天・強制男装)
ふたなりシンジきゅんE(後天・女装)
ふたなりシンジきゅんF(後天・男装)
ふたなりシンジきゅんG(後天・強制女装)
ふたなりシンジきゅんH(後天・強制男装)

男シンジきゅん(自ら女装)
男シンジきゅん(強制女装)
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 09:39:58 ID:???
女シンジ×フタナリアスカ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1134493905/
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 09:40:27 ID:???
では、またみんなでシンジ(*゚∀゚)キュンキュン!していきましょう
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 11:40:46 ID:???
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 12:01:06 ID:???
>>1おちゅ
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 12:21:41 ID:???
もつかれー
11621の続きで:2006/08/27(日) 16:44:54 ID:???
「まーた考え事して。あんたって本当にガキね」
「な、なんでアスカはいつも私を子供扱いするのさ!?」
「だってそうでしょ。ノーブラで鈴原や相田とつるんでるわ。
 ファザコンだわ。大体好きな男のタイプが父親と真逆な人だなんてさ」
「な!ブラはするようになったでしょ!それにあれはたとえばの話だよ!」
前にアスカと話していたことを思い出す。なんとなく言っただけなのに。
どんな男の子が好きと言われて、具体的に男の子をどうこう思ったことはないから。
私の傍にずっといてくれる優しくて暖かい、太陽みたいな人。
父さんとは違う人。でも、その時点て父さんを意識している私。
どっちにしろ、私をそんな風に思ってくれる人も、私がそんな風に思う人もいるのだろうか?
また考え始める頭を振り払う。このまま言われっぱなしも嫌だったのでアスカにも聞いた。
「じゃあ、アスカはどうなの?」
「決まってるでしょ、加持さんよ。加持さん以外のまともな男なんていないわ」
「加持さんか…」
あの、優しくてどこか影のある人。
ミサトさんに優しく笑いかける人。
あの人がアスカの好きな人。
「あんたの好きは、皆好きと一緒なのよ。だからガキだって言ってるのよ」
「…え?」
「あんたの好きは、『みかんが好き』の好きと同じでしょ?
 誰かを好きになるってのはそういうことじゃないわ。
 好きだけの感情じゃなくても、特別誰かを思ったことないんでしょ?」
「そんなこと…ない」
言葉尻が小さくなってしまう自分が嫌だった。
「あーぁ、あんた女で良かったわね。男でそんなウジウジした性格だったら
 誰も相手にしてらんないわよ」
「ち、違うもん!私が男の子だったらもっと…」
「あら、言うじゃない。でもきっとそうよ。今と変わらないわ
 いや、男な分今よりタチ悪いかもね〜」
12621の続きで:2006/08/27(日) 16:49:12 ID:???
私はずっと男の子になりたかった。
男の子だったらこんな自分にはならなかったとおもうから。
男の子だったら父さんとの関係もうまくいってたかもしれないから。
それは願望にしか過ぎないのだろうけど。
面と向かって言われると、それはそれで傷つく。
そのまま黙っているのも癪だったので、反論すると
アスカはさらにとんでもないことを言い出した。
「男でも変わんないわよ。臆病で、キスするのも怖くてできない子よ」
「え!?き、き、キス!?」
「ま、あんたが男だったら暇つぶしにあたしがキスしてやってもいいけど」
「な、な、な、何馬鹿な事言ってるの!?」
「それはこっちの台詞よ。あたしはもしもの話をしてるのよ。
 あんたは男みたいな名前で 見た目も男みたいだけど、
 中身は女なんだから絶対にごめんよ!」
そりゃそうだ。私だってごめんだ。ファーストキスが女の子だなんて。
ホッとしていると、アスカは良いことに気が付いたように愉快気に私に尋ねてきた。
「でも、もしもの話だけでそんなに動揺するなんて、やっぱり怖いんでしょ?」
ニヤニヤと笑いながらとアスカが言う。だから私もつい強がってしまう。
「別に怖くないよ!キスなんて!」
「へぇ〜、どうだか。そんなに真っ赤になっちゃって」
「なってない!キスくらい私にだってできるもん!」
「あらそう?へぇ〜、お子様のシンジちゃんがキスねぇ〜。
 このあたしもした事がないのに、あんたにできるのかしらぁ?」
アスカは必死な私を楽しそうにからかう。完璧に面白がっている…。
だから私もよけいムキになる。
その悪循環を止めるように、前触れもなく辺りに眩い光が降り注いだ。
電気が、戻ったんだ。明るい光に目が慣れずにいると、
横のエレベーターがチンッという小気味良い音を立てた。
ゆっくりと開くそのドアを、やっと慣れ始めた目で追った。
そしてそこにいたのは…。
13621の続きで:2006/08/27(日) 16:53:35 ID:???

「…………なにやってるんですか?二人とも」
「…………なにやってるの?二人とも」

物凄くきまずい顔で絡み合う二人の男女。加持さんとミサトさん。
探していた張本人達だった。
アスカの顔がザーッと音を立てるかのような勢いで真っ青になった。
「なにやってるのよぉぉおおぉ!!」
「ち、違うんだってばぁああぁ!っていうかト、トイレ!」
光を取り戻した世界で怒号が響いた。


「ギャ!ギャッ!」
「はい、ペンペン。美味しい?」
ミサトさんがいない朝の日課であるペンペンの餌やり。
嬉しそうに羽をバタつかせ、ペンペンは魚を食べている。
ミサトさんは今日も帰ってこなかった。あんな後だからしょうがないかもしれないけど。
本部も後処理で大変そうだし…。あれは、一体なんだったんだろう?
リツコさんの言葉を思い出す。

『ブレーカーは落ちたというより、故意に落とされたと考えるべきね』

誰か外部の人間の手が入ったってこと?だったら、何故…。
「って、私が考えてもしかたないか…」
「クェ〜?」
心配そうに伺うペンペンになんでもないと伝えると、学校に行く準備をした。
「アスカ、まだ寝てるの?もう学校行く時間だよ」
この間の騒ぎから、イマイチ元気のないアスカはまだ自分の部屋から出てこない。
誤解とは言え、あんなの見ちゃったしな。ミサトさんと加持さんがエレベーターの中で…。
結局、脱出をしようと奮闘中に起きた事故らしいけど、
加持さんの事が好きなアスカにとってはショックだったのだろう。
「ねぇ、私先に行くからね」
14621の続きで:2006/08/27(日) 16:55:31 ID:???
最後にもう一声かけると、アスカの部屋の引き戸が開き
顔色が悪いアスカが出てきた。まだ気にしてるのかな?
いや、これは…。ひょっとして体調が悪いのかも。
そう思ってると、アスカは口を開いた。
「シンジ、学校行っちゃ駄目!」
「………はぁ?」
何で?テストも近いし、今日はトウジとケンスケ二人と遊ぶ約束してるし、
委員長に借してもらった料理の本を返さなきゃいけないし。
それに、いつまた行けなくなるかもわからないのに!
「駄目ったら駄目!今から本部に行くの!」
「えぇえぇえ!?な、なんでだよ!?」
「加持さんとミサトが本当に何も無かったのか聞いてきてよ!
 それから学校行って!」
「だから何で!?疑惑は解けたでしょ?あれは誤解だって…。
 現にミサトさんトイレに直行だったし!」
「そんなのわかんないわよ!だから本当に何も無かったか聞いてきてって言ってるの!」
顔色は悪い癖に、口の達者さはいつもと変わらない。
「だったら自分で聞けばいいでしょ?何で私が!?」
「あたしだって自分で行けるんだったらそうしてるわよ!
 でも今日生理2日めで死ぬほどお腹が痛いのよう!!」
「………わかった」
そうか、顔色が悪いのはそのせいか。
何だか一気に力が抜けた。アスカは生理が重いんだった。
私は軽い方だけど、来た日はさすがにぐったりしてしまうから。
その苦しみと不快感はわかる。私とアスカで唯一共有できる感覚。
周期的にやってくる自分が女だと思い知らされる現象。
ため息を付きつつ、部屋を出ようとするとアスカが伏せ目がちにポツリと呟いた。
15621の続きで:2006/08/27(日) 16:58:39 ID:???
「それに、本当に何かあったらって思ったら…」
「…アスカ」
気の強い彼女が時折見せる素の表情。普通の14歳の少女だと思わされる一瞬。
私はこのときが一番苦手だった。何もできなくなってしまうから。
アスカは本当に加持さんが好きなのだろう。
「じゃ、お願いね!絶対聞いてきてよ!」
アスカはわざわざ玄関から私を見送った。
そんなに心配なら、辛くても自分で行けばいいのに…。
口には出さなかったけど、心の中で思う。
1個言ったら、10個返ってくるのがアスカの性格だ。
より面倒くさい事態になるのは極力避けたい。
廊下の角で振り返ると、アスカはまだ私を見ていた。
でも、その目は私を見ていなかった。私じゃなくて、他の誰かを見ていた。
あの優しくて明るい性格とは裏腹にどこか影のある男性。
加持さん。あの人がアスカの好きな人。

『あんたが男だったら暇つぶしにあたしがキスしてやってもいいけど』

そんな事言っていたくせに。好きな人以外のキスなんか遊びだと言っていたくせに。
気丈な少女は、今は不安そうな小さな女の子みたいだった。
私が男だったら、アスカみたいな女の子を好きになっていたのかな?

好き…。

何だかアスカが少し羨ましかった。


そういえば、私は。
誰かに『好き』と言ったことも、『好き』と言われたこともなかったから。
16名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 17:24:12 ID:???
gj!
17名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 18:36:01 ID:???
今日もお〜つ!!
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/27(日) 20:58:58 ID:???
乙!
19名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/28(月) 16:14:42 ID:???
シンジきゅん、心配するな。
ここにいる沢山の人達が『好き』って言ってくれるからw
20621の続きで:2006/08/29(火) 00:26:19 ID:???
ギギギッ

力を入れて、非常用の手動ハンドルを回す。
不愉快な音を立てて、ドアがゆっくりと開く。
まだ電気が完全に戻っていないせいで、移動にも困難な状態だ。
「ふぅ…。やっと開いた」
額にうっすらと吹き出た汗を拭う。
ここのフロアは、いや他もきっとそうだろう。
施設の復旧は今現在進行中らしく、
どの自動扉も手動で開けるほかは開かなかった。
「だめだ。ここも開かない」
ちゃんと自動で開く自動ドアを探して歩き回っていると、ふと気が付いた。
……ここ、どこ?
「まずい…。完璧に迷子だ」
せめてもと来た場所に戻ろうとすると、足音が聞こえた。
良かった。職員かな?とりあえず道を聞こう。
「ミサトさん…?」
振り返り、足音の主を確認する。
しかし、彼女は私の事には気が付いていないみたいだった。
声をかけようとして、躊躇した。
その横顔は、私の知ってるミサトさんじゃなかった。
険しい顔をした彼女は、まるで別人のようだった。
そのまま戸惑っていると、いつのまにか見失ってしまった。
あてもなく歩く。確かこっちに来たと思ったのに。
どこも同じようなドアが並ぶ廊下で、それまでとは違うものを見つけた。
私は何故かそこに足を運んだ。
何故か行かなくてはいけない気がした。

立ち入り禁止区域、ターミナルドグマへ。
21621の続きで:2006/08/29(火) 00:28:02 ID:???
声がする。
誰かが言い争っている。
でも、その声もよく聞こえない。
どこから?どこから声がするの?

誰かいるの…?

声のする方向へ歩く。勝手に足が動く。
行きたくはないけれど、行かなくてはいけない気がした。
電源が復帰し、光が戻った施設で闇を見つけた。
暗く閉ざされた部屋。
立ち止まった時、カツンと軽く靴音が鳴った。

「シンちゃん…!?」

その部屋にはミサトさんと加持さんがいた。
そして、もう一つ。
いいえ、あれは。
もう一人?

十字架に貼り付けられた、白い、巨人。
突き出た真っ白な腹の下は、何もなかった。
ちぎれてしまったのか、生えている途中なのか。
いくつもの目が私を見下ろしている。
憐憫なのか、慈愛なのか、憎しみなのか。
それとも「何も無い」のか。
読み取れない感情を持ったそれは、神様みたいだった。
断罪を、最後の審判を待っているかのような。

「どうしてここにいるの!?」
22621の続きで:2006/08/29(火) 00:34:26 ID:???
ミサトさんが私をアレから遠ざけようと、ブラウスを掴む。
私は何も感じなかった。何も聞こえなかった。ミサトさんの肩越しの白い巨人だけを見ていた。

父さん。父さんは一体、何をしようとしてるの?こんな私には考えも及ばないもので。

父さんのことを考えることは、手で水を掬うことに似ている。
掌で受け止めた水は零れ落ちてしまった。
指先に残った雫は、蒸発して消えてなくなる瞬間、意味をくれた。
たった一つの本当のこと。

母さんの墓標に一緒に添えた、白い花。
父さんは母さんを愛してる。
だったら、ねぇ、父さん。
だったら、私は?
私のことは?

ねぇ、父さんは。私のことを、愛してる?

たった一つの本当のこと。ずっと思っていた。ずっと聞きたかった。
たった一つの疑問。

でも、もう雫は消えてなくなってしまった。

私は、気付いてしまった。もう父さんには近づけない。どんなに手を伸ばしても、届かない。
たまに見る悪夢みたいだった。目が覚めると忘れてしまう。
血と機械油の匂いのする夢。掴みかけた瞬間に儚く消えてしまう。
指先に残った、最後の雫のように。

母さんの墓標に添えた花も、もう枯れてしまっただろうか?

『自分の力で地に立って歩け』
それが、父さんのくれた最初で最後の父親らしい言葉だった。
23名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 02:53:56 ID:???
乙彼!
24名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 06:28:25 ID:???
頻繁な更新に感謝します。乙鰈。
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 15:58:04 ID:???
このシーン、おにゃのこだとより健気っていうか、可哀相になるね
26名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 18:09:00 ID:???


うーん
もうちっとオリジナリティがほしいところ
…というかこのへんはやりようがないか
27名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 19:05:16 ID:???
文句言うならおまいが書け
28名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 20:14:32 ID:???
>>27
白痴かお前??
29名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 21:29:06 ID:???
俺SSとか書いた事ないんですが、脳内妄想ぶちまけてもいい?
30名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 21:47:44 ID:???
叩き覚悟で投下するならば
反対する理由なない、存分にやりたまえ
31621の続きで:2006/08/29(火) 22:29:44 ID:???
エヴァのエントリープラグ。
何よりも居心地が悪くて、何よりも居心地が良いこの空間。
血の匂いがするLCL。いつかの悪夢のような。

「シンちゃん、どうしたの?」
「…何がですか?」
シンクロテストの後、リツコさんがいつものように結果を教えてくれた。
でも、今日はいつもと違い何か問題が合ったらしい。
「前回はハーモニクスが8も伸びていたのに。こんなに極端に下がるなんて」
「伸びたって言っても、あたしより50も少ないじゃない」
「あら、この短期間でこれだけ伸びたのよ。たいしたものだわ」
「たいしたことないわよ。実際今は下がってるじゃない!」
リツコさんとアスカの言葉も、もう私には何も感じない。
シンクロ率の著しい低下。きっと、あれを見てしまったせいだと思った。。
そうか、私はまだあんなことを気にしているのか。
父さんに捨てられて泣いていた、三つか四つの子供のように。
ミサトさんも言っていた。忘れて、と。
そうだ、全て忘れてしまおう。良いことなんて、一つも無いから。

プラグスーツを脱ぎ、シャワーを浴びた。温かいお湯が心地よい。
青い制服に袖を通す。スカートは相変わらず落ち着かない。
もう、血の匂いはしなかった。
「碇さん、どうかしたの?」
「…綾波」
帰り支度をしていたロッカールームで、綾波が話しかけてきた。
忘れようと勤めていたはずなのに、
自分でも知らないうちに元気がない顔をしていたらしい。
普段元気いっぱいとは決して言いがたい私だけど、
綾波にすら分かるということはよっぽどなのだろう。
32621の続きで:2006/08/29(火) 22:30:43 ID:???
「綾波の言った通り、この間父さんと話をしてみたの」
あそこで、母さんの墓の前で父さんを見たとき。
父さんが、私と同じ母さんの好きだった白い花を添えていたとき。
…嬉しかった。父さんと話ができることが嬉しかった。でも。
「でも、駄目だった。きっと、もう私は父さんと話ができる日なんて
 もう二度とこないと思う」
「そう…」
「私は私が男の子だったら父さんのことが理解できたのかなって、
 いつも思っていたんだけど。…そういうことじゃなかったの」
綾波は少し悲しそうな顔をした。けれど、私はその顔は横目で捕らえただけで
彼女の顔をはっきり見ることはできなかった。
「シンジ、こないだのことだけど。あんたちゃんと聞いてくれた?」
微妙な空気の中、アスカが割って入ってきた。
あの状態で、あんなことが聞けるはずもなく
実際あれから加持さんの顔は見ていない。
「ごめん。気持ちはわかるけどでもああいう事は、
 人に頼まないで自分で聞いたほうがいいと思う」
後ろで何か言っているアスカを背中で感じながら、私はネルフ本部を出た。

空が青い。蝉が鳴いている。日差しが優しく降り注いでいた。
もうやめよう。父さんのことを考えるのは。
綾波は言った。エヴァの乗るのは絆のためだと。
アスカはいった。エヴァに乗るのは自分を褒めてあげるためだと。
じゃあ、私は。私がエヴァに乗る理由は?
ずっと、憎んでいた。でも、どこかで理解したいと思っていた。
だから、エヴァに乗った。あれに乗っていれば、敵を倒せば
父さんが喜んでくれるような気がしたから。私を認めてくれるような気がしたから。
でも、違っていた。それももう…。
33621の続きで:2006/08/29(火) 22:33:58 ID:???
「どうした?そんなボーっとしていたら悪いお兄さんにナンパされちゃうぞ」
「…加持さん?」
横付けされた車から明るく声をかけられた。
あのときのことなんて、何もなかったかのように加持さんは話しかけてきた。
「…この間のことだったら。私何も言いませんよ」
「そうしてくれるとありがたいな。なぁ、帰るんだろ?送ってくよ」
そう言われても、こんなところアスカに見られたりしたらまた面倒なことに
なりそうだし。それに、加持さんは見た目通り女の人が大好きみたいだ。
まさかとは思うけど、一応言っておく。
「私、一応女ですよ?」
「ははっ。俺がナンパする悪いお兄さんか?まぁ、そう警戒するなって。
 ……君とも少し話しがしたいしね。お兄さんとデートでもしようか」
にこやかに笑う加持さんのサングラス越しの目を見ながら、私は助手席に乗り込んだ。

「綺麗…。こんな所があったんですね」
「どうだい?お嬢さん、デートのセッティングは気に入ってもらえたかな」
「…加持さんってもっと真面目な人だと思ってました」
「あははっ。冗談だよ」
街のはずれにあった小さな水族館。男の人とこんな所へ来たのは初めてだ。
空気のある薄暗いこちらとは違い、水の中の世界は明るく輝いていた。
目の前には、ガラス越しに色取り取りの魚達が楽しそうに泳いでいる。
ここから出たら、死んでしまう。そんな命。
「シンちゃん。ネルフについてどれくらい知っている?」
「使徒と呼ばれる正体不明の敵を倒すための特殊機関じゃないんですか?
 あと、未然に予想されるサードインパクトを防ぐとか。これはアスカの受け売りですけど…」
ここに来た意味も。加持さんが何を言いたいのかもわからない。
そして、父さんのこともネルフのことも。
わからない。違う。きっとどうでもいいんだ。それなのに、加持さんは語りだす。
私が知ってもどうしようもないこと。私が知りたくも無いこと。
「待ってください…」
それでも彼は語る。そんなこと。知りたくも無い。聞きたくも無い。
私がそんなことを知ったっていまさらどうしようもない。
34621の続きで:2006/08/29(火) 22:35:08 ID:???
震える手でスカートを握り締める。
指先の雫は消えてなくなってしまった。
墓標の白い花はきっと枯れてしまった。
「私がそんなこと知ったって、どうしようもないじゃないですか!!」
「君には真実を知る権利と、その義務がある。君は前に進まなくちゃいけない」
進むって…どこへ?私はこの場所で十分だ。
聞きたくない。今更何も変えられやしない。
そんなこと言わないで欲しい。
どうしたらいいのかわからなくなる。
「碇ゲンドウと、エヴァを作り出した碇ユイとの間に生まれた娘ならね」
「…母さん?」
私の知ってる母さんは、普通の母さんだった。科学者なんかじゃなかった。
顔も覚えていない母さん。でも、その手の温もりは何となく覚えている。
もう二度と触れることは無い母さんの手。だって、母さんは死んだから。

『かわいそうに。あの子の父親は自分の妻を…』

父さんの実験の犠牲になって、そして死んだって…。
「そう人から聞いたのか?それともそう思い込んでいるだけかい?
 君は見たはずだ。お母さんが目の前から消える瞬間を」
「母さんは…」
「君は辛いことを無意識に頭から忘れようとしてるだけだ」
ふらふらとベンチから立ち上がり、目の前の水槽に両手を付く。
掌にガラスの冷たい温度を感じた。魚が楽しそうに泳いでる。
透明な板一枚の向こうには、いくつもの命。
どこかで同じ光景を見たことがある。
そう経験したことがある。でもこの手はもっと小さかった。
ガラスの向こうにあるのはいくつもの命じゃない。
たった一つの命。
…母さん?
35621の続きで:2006/08/29(火) 22:36:38 ID:???

『何故ここに子供がいる?』
『この子には明るい未来を見せておきたいんです』
『脳波、心音、共に停止!』
『被験者生命反応がありません!』
『実験中止だ!!』

あの血と機械油の匂いのする夢。
目を覚ませば全て忘れてしまう夢。
あれが夢じゃないとしたら…?
父さん。母さん。そして、エヴァ。
私はエヴァを知っていた?
今まで忘れていただけ?
記憶が渦となって押し寄せる。
けれどそれは、もう少しのところで掴めない。
思い出せない。思い出したくない。
忘れてしまった。忘れてしまいたかった。
でもきっと、忘れてはいけなかった。
私の中に閉じ込めた、私だけの記憶。

胸が痛い。身体が軋む。心も軋む。
寒い。寒くなんかないのに。
声を出そうと思っているのに、上手く声が出てこない。
音が出てこない。
掠れた喉から嗚咽のような吐息が出るだけだった。

「すまない。無理に思い出さなくてもいい。それでも背けちゃいけない。真実から」

小さく震える私の肩を、加持さんがそっと抱いた。
その腕はとても暖かく、煙草の匂いがした。
36621の続きで:2006/08/29(火) 22:38:25 ID:???
次、四人目の適格者
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/29(火) 22:53:06 ID:???
まじ乙!しかもこんなに大量にww
38名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 00:17:14 ID:???
乙彼!
39名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 08:57:30 ID:???
乙彼。
この光景を見られてアスカ精神崩壊の余寒。
40名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 12:55:23 ID:???
四人目の適格者ってことは、そろそろ欝展開が近付いてきたな
41名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 13:01:24 ID:???
こっからがシンジきゅんの正念場だな…
42名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 20:07:30 ID:???
EDはやっぱりEOEな感じの欝エンドなんだろうか
43名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 21:09:06 ID:???
早い段階で、ゲンドウと決別しそう。
44名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 21:14:49 ID:???
このシンジきゅんは女の子なのに男の庵シンジよりも芯が強いコだからねww
45621の続きで:2006/08/30(水) 22:49:16 ID:???


「真実から逃げてはいけない」


優しい腕とは裏腹に、囁かれたのはそんな残酷な言葉。


そんなこと、そんなこと言われても、
私はどうしたらいいのかわからない。
真実なんていらない。
そんなもの私には必要ない。
今の私にはそんなものいらない。
楽しいことを見つけたんだ。
やっと楽しいと思えたんだ。
せっかく見つけた居心地のいい世界。
そこにずっといたいと思うことは、いけないことなの?

加地さん。
私は、今までそんな風生きてこなかった。
私はあなたみたいにはなれない。
私はあなたの様に生きる事なんてできない。
知りたい物が何なのか、何を知りたいのかすらわからないのに。


今更全てを背負って生きていくだなんて、私には重すぎて歩けない。

46621の続きで:2006/08/30(水) 22:50:36 ID:???
「シンジ、どうしたんだ?」
「……あ」
声をかけられてハッと顔を上げた。
あぁ、そうだ。もうお昼なんだ。考え事に夢中で気付かなかったらしい。
「シンジ!お弁当、お弁当!」
アスカが催促している。
アスカは私に女としての身だしなみをどうこう言う割に、家事がまったくできない。
だから私がアスカの分もお弁当を作っているのだ。
アスカは私を女らしくないと良く言うけれど、私から見ればお互い様だと思う。
「はい。残さないでね」
「わかってるわよ。あんたって見た目によらず料理の腕はまぁまぁイケるわよね」
「そ、そうかな?」
昨日は宿題がいっぱいでお弁当を作るのは疲れて大変だったけど、
そう言われると悪い気はしないな…。
「シンジ母ちゃんみたいやなぁ」
「案外主婦とか似合ってたりして」
「なにそれ…」
自分もお昼を済ませようと弁当箱を開くが、食欲がない。
ずっとあの日のことを考えていたせいだ。
私があの日に見たもの。
幼い私があの日に見たもの。
どちらも知らなくてはいけない真実なんだろうか。
だとしたら、私は…。
「シンジ、具合悪いのか?」
「え…?あ、うん。食欲ないんだ。代わりに食べない?」
二、三度箸を付けただけのお弁当を差し出す。
「えぇー。早く言えよ。俺もう食べちゃったよ」
「せやったらワシが貰うわ」
そう言うと、トウジは私の箸とお弁当を受け取った。
47621の続きで:2006/08/30(水) 22:51:35 ID:???
「え?トウジ、まだ食べるの?」
「男やったらこれくらい当たり前やで」
「私にとっては『これくらい』じゃなくて『こんなにも』なんだけど…」
トウジの机の上を見ると、牛乳や菓子パンや惣菜パンの空袋でいっぱいだった。
その上さらに私のお弁当を美味しそうに食べている。
その胃袋の容量に関心しているうちに、トウジはすでにお弁当を半分くらいにしていた。
そりゃ、体格も良くなるはずだ。
「うまいなぁ。シンジ、料理上手やな」
そう言って、彼は笑う。
口一杯におかずを頬張っている姿は何だか滑稽だったけれど。
「お世辞言ったって何も出ないよ?」
「いや、ほんまやで」
「私のはただの義務みたいなもんだよ。彩りとか結構いい加減だし。
 料理上手ってのは委員長みたいなのを言うんだよ。盛り付けも綺麗だしさ」
「や、やだ!碇さんたら」
「いいんちょも弁当自分で作っとるんか?」
「え!!う、うん、そうなの」
トウジはアスカと一緒に食べていた委員長のお弁当を覗き込んでいる。
委員長は薄らと頬を染めていた。
トウジと話しているときの委員長は何か変だ。
ケンカしてても何か楽しそうだし。かと思えばあんな風に真っ赤になるし。
トウジは何ともないのにな。どうしてだろう?不思議だなぁ…。
なんとなく二人を眺めていると、雑誌をめくっていたケンスケが声を上げた。
「あー!この新作ゲーム、今日発売だったんだ!なぁ、今日新湯本まで行かないか?」
「私はいいよ。買いたいCDあるし」
「すまん、ワシはパスや」
そう言って、トウジは帰り支度をし始めた。まだ午後の授業は残っているのに。
「ほなシンジ、ごっそさん。あ、買うたらワシにも見せてな」
不思議に思う暇もなく、トウジは空のお弁当箱を返すと教室を出ていってしまった。
私はその広い背中をただ見送った。
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 22:57:48 ID:???
初めてリアルタイムでみれたーー!!
49名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/30(水) 23:58:57 ID:???
ヒカリの嫉妬フラグが立つ前にうまく話を持っていったなw
やはりこのシンジ、空気読むことに関しては本編より数段上手だ。
50名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 00:18:56 ID:???
ブラックヒカリを見てみたかったw
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 00:37:09 ID:???
女シンジ←トウジのフラグ立つ←ヒカリ嫉妬

バルディエル戦、トウジ死亡

ヒカリ「どうして助けてくれなかったの!?鈴原を返してっ!!返してよぅ……」
シンジ、ヒカリの言葉で父親に怒りをぶつけることも出来ず、しかもこの時トウジが自分のことを好きだったと知らされ鬱突入

絶望的なゼルエル戦へ


なんて話を考えたこともありました
52名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 00:41:32 ID:???
ここで話題をぶった切ってSSを投下するぜ
53鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:44:18 ID:???
 シンクロテスト中の、突然の事故。
「初号機のシンクロ率が異常な数値を示しています!」
 マヤが叫んだ。
「今回の実験は…失敗だったかしらね」
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ!?この馬鹿リツコ!」
 静かにモニターを見詰めるリツコに、ミサトは声を荒げる。
「ミサト、どうなってんの!?初号機に何も繋がんないだけど!」
「落ち着いて、アスカ!こっちでも現在調査中よ!レイは平気?」
「はい…」
 回線が繋がったままの弐号機と零号機の無事は確認できた。
 だが、この突然の事故によって、初号機との回線は断絶状態になっていた。
「一部回線は回復、音声のみですが繋がります!」
「繋いで。シンジ君?シンジ君大丈夫なの!?」
 ミサトの呼び掛けに、返事はない。
 ただ、スピーカーから聞こえていたノイズに中には、微かだがシンジの声が混ざっていた。
「ザザッ…たす…ザザザ…」
「ノイズ絞って!」
「は、はい!」
 怒鳴るようなミサトの指示に、オペレーターは焦りながら指示を実行する。
 徐々にだが、ノイズは解消されていく。
 そして聞こえていたのは、絶叫だった。
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 00:45:06 ID:???
好きにやりんしゃいな
55鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:46:39 ID:???
「嫌だぁぁ!なんだよこれ!?助けて!出して、出してよぉ!!」
 何かに怯え、シンジは声を上げ続ける。
「シンジ君!?しっかりしてシンジ君!リツコ、どうなっているの!?」
「…わからないわ」
「わからないじゃないでしょ!?」
「え!?プラグ、強制排出されます!」
 ミサトとリツコが喧嘩のようなやりとりをしている最中、マヤが驚きながら報告をした。
 ミサトも、リツコも、皆が話すことさえ忘れ、室内は一瞬の沈黙に包まれる。
「シンジ君…!」
 蒼褪めたミサトが部屋を飛び出した。
「先輩…シンジ君は…」
「恐らく無事よ、自信はないけどね…」

「もしもし、リツコ?シンジ君、学校に行ったわ…アスカに付き添われてだけど」
『そう。“現在のシンジ君”の身体に異常はないはずだわ』
「異常はない、わけがないでしょ?」
『肉体の女性化、そして感情の欠落…そのことかしら?』
「そうよ…あんな状態でよく登校許可なんて出せたわね」
 カーテンの隙間から、リツコと通話中のミサトは二人の少女の登校風景を見ていた。
 一人はいつも見慣れたアスカである。
 もう一人は、女子の制服を着てはいるが、シンジであった。
56鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:50:52 ID:???
「いつもみたいに朝食もちゃんと作ってくれだけど…初めて会った時のレイみたいでどう接したらいいか」
『言い得て妙ね。でも感情の欠落は事故が直接の原因ではないはずよ』
「どういうこと?」
『シンジ君の肉体はあの事故で自我境界線を失って、一度はLCLと同化したの』
「……」
 受話器の向こうからミサトの唸り声が聞こえてくる。
『…つまり、一度は肉体を失い、そしてまた再構成された。なんの因果か女性の体でね』
「シンジ君が叫んでいたのは?前だったの?後だったの?」
『後ね。プラグスーツからも離れてしまったようだから、自身の体を見て激しく混乱してしまったのよ』
「裸の状態で、スーツ共々排出されてたのはそういうことだったの…」
 ミサトはもう一度窓の外を見た。
 シンジとアスカは、既にそこにはいない。
『感情の欠落はその際のショックによるものだと思われるわ』
「元に戻る可能性があるってこと?」
『確証はないけど』
「はっきりしなさいよ」
『本人と周囲の対応次第よ。頑張ってね、保護者さん』
 リツコはそう言うと電話を切る。
 保護者。痛いところを突かれて、ミサトの眉がヒクヒクと動いた。
57鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:52:25 ID:???

 通学路をシンジとアスカは歩く。
 時折、アスカはシンジを見た。
「さっきから僕を見てるけど何?」
 ちらちらと自分に向けられた視線に気付いていたシンジは、静かにアスカに訊いた。
「べっつにー。ただ、いつものシンジならそんな格好するの、泣いてでも拒むと思ってさ」
「そう」
「ほら、そうやって。そうとかうんとかあぁとか」
「ごめん。どうやって人と話をするのか…よく覚えてないや」
 前を向いたままシンジが言う。
 表情という表情を見せず、まるで人間の顔をした人形のようだった。
(ママみたい…)
 アスカの顔が歪む。
 今のシンジは、アスカ自身も含めて何に対しても興味を示さない。
 本来なら男であるはずの自分が、今は女であるという違和感も、感じてはいないのだろう。
「惣流やないか。おはよーさん」
「おはよう惣流。あれ?じゃあ隣にいるのは…?」
「なんやケンスケ、惣流の隣におんのは旦那様のシンジと決まって…って誰やこのお嬢さんは」
 やってきたトウジとケンスケ。
 いつもならここにシンジが加わって三馬鹿として騒がしくなるのだが、今日は違っていた。
58鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:54:24 ID:???
「誰の旦那様よ、馬鹿。シンジなら、あたしの隣にいるじゃない」
「誰が馬鹿や!?それにどこにシンジがおんねん!?」
「じゃあやっぱり、あのことホントだったんだ…」
「ケンスケもなんや?さっきからわけわからんで」
「パパのパソコンにあったんだ。エヴァの事故で、パイロットがヤバイことになったって」
「じゃあ、惣流の隣に…誰もおらへんやないかい!!」
 トウジのツッコミもよそに、シンジはすたすたと先を歩いていた。
「待ちなさいよ!馬鹿シンジ!」
「な、なんか綾波が一人増えたみたいだな…」
「せやな…」
「私がどうかしたの?」
「うわぁ!!なんやねんいきなり!?」
「あ、綾波…」
 いつの間にかレイがひょっこりとそこにいた。
「それじゃ」
「あ、うん」
「あやつは忍者かい…」
「鈴原!相田君!遅刻するわよ!」
 そして最後にヒカリがやってくる。
 いつものメンバー。
 ただ、そこには、あるはずのものが何が足りなかった。

 無表情なシンジの顔を、ぺたぺたとトウジが触る。
「はあ〜…ほんまにおなごなんやなぁ」
「うん」
「なぁなぁシンジ、一枚で良いから撮らせてくれよ〜」
「それはヤダ」
59鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:57:19 ID:???
 いきなり女生徒となって現れたシンジに一度は騒然とした教室だったが、
ホームルームが始まる頃にはいつもの教室に戻っていた。
 しかし、今のシンジを見れば、誰もが少女と見間違うだろう。
 顔も髪型も、どこも変わってはいないのに、シンジは一人の少女として形成されていた。
「二人共、席につきなさい!」
「なんやそんなに慌てんでも、利根川せんせなら平気やろ」
「実は今日、転校生が来るのよ」
「へえ。なんかもう驚きもしないなぁ」
 ヒカリの注意にトウジは渋々といった具合いに席につく。
 ケンスケも席に戻り、カメラのレンズを拭きながら鼻唄を口ずさんでいた。
「ねえねえ転校生だって、男かしら?男だったら加持さんぐらいの奴でなくちゃね」
「そう」
「シンジ…ほんとにあんたファーストみたいね」
「碇君と私は違うわ」
「そんなのわかってるわよ!てゆーか地獄耳ねアンタ」
 アスカがレイに対して、一方的に火花を散らしている。
 レイが口を挟むが、シンジはアスカに相槌を打っただけで、ただ前を見詰めていた。
 そんな中、利根川が教室に入ってくる。その後には、茶褐色の肌をした少年が入ってきた。
60鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 00:59:06 ID:???
「え〜、ホームルームの前に転入生を紹介します」
「ムサシ・リー・ストラスバーグだ、よろしく」
 簡潔にムサシと名乗った少年は言った。
 そしてそのまま、シンジの隣の席へと歩いていく。
「ここが空いているな、使わせてもらうぞ」
「そこは今日休みの子の席よ!」
「じゃあ次に来たら席を変わってもらってくれ」
 ヒカリの言葉に聞く耳を持たず、ムサシはシンジの隣の席に座った。
「さっきも挨拶したが、ムサシ・リー・ストラスバーグだ。君は?」
「碇シンジ」
「碇…シンジ?」
 一瞬、ムサシの顔が曇る。
(この子が…?)

 昼休み。
「さーて、今日も食うでぇ!」
「コンビニのサンドイッチと焼きそばパンを?」
「うっさいわいいんちょ!」
「そんなものばっかだと栄養摂れないんじゃない?」
「やかましいわ!むしゃむしゃばくばく」
 トウジとヒカリがいつものように痴話喧嘩をしている。
 ケンスケは軍用ヘリのプラモデルに色付けをしている。
 レイはじっと座ったまま動かない。ただ、少しだけシンジが気になっているようだった。
 アスカはそわそわとしていた。
(あいつ…お弁当ちゃんと食べられるのかしら)
61鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 01:00:40 ID:???
 目線はレイと同じくシンジに向かっている。
「アスカ、一緒にお弁当食べましょ」
「そ、そうね、ヒカリ」
「どうかした?」
「なんでもない!」
 ヒカリに声をかけられ、アスカはシンジから注意がそれた。
 レイの近くでは生徒達が雑談を始め、シンジへの視界が遮られる。
 シンジは立ち上がり、教室を出ていった。
 そんな一部始終をムサシは黙って見届けると、出ていったシンジを追い掛けた。
「碇さん!」
「…ストラスバーグ君」
「ムサシでいいよ、昼は弁当なんだな。知らなかったから、学食か売店があったら案内してくれないか?」
「うん」
 案外簡単にシンジが承諾し、ムサシは少々呆気にとられる。
 そういえばずっとこの少女は淡々と受け答えしていたと、ムサシは思い出した。
「聞いたんだけど、君ってロボットのパイロットらしいな」
「そう。エヴァのパイロット」
「エヴァ…」
 シンジの言葉を、ムサシは繰り返す。
「…碇さん、あの」
「うわっ!!」
「あ…」
 ムサシがシンジに話しかけようとした途端、廊下の角から少年が飛び出してくる。
 飛び出してきた少年はシンジとぶつかり、二人はその場に倒れ込んだ。
62鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 01:04:53 ID:???
「いてて…」
「ケイタじゃないか」
「あれ?ムサシ?」
「どうした?」
 ケイタと呼んだ少年と、ムサシが驚いたように目をあわせる。
「う、後ろ…」
 ケイタはおどおどしながらそう言った。
「転校生く〜ん、逃げてんなよ」
 やってきたのは上級生に見える生徒だった。
「俺の友達になんの用だ?」
「もしかして君も転校生?良かったからお金貸してほしいんだけど」
「断る」
「あぁ?調子乗ってんなよ!」
 上級生の生徒がムサシに向かって殴りかかってくる。
 だが、ムサシは睨むような瞳を崩さず、振り降ろされた
拳を掴むとそのまま腕ごと捻って上級生の生徒を組み倒した。
「このまま腕を折ってやろうか?」
「や…やめてくれ…」
 ムサシが手を離すと、上級生の生徒は一目散にその場から逃げていく。
「大丈夫か、ケイタ、碇さ…ん!?」
 何かを見たムサシの声が裏返った。
「この子がどうかし…たの……」
 続くケイタも、それを目撃すると絶句する。
 そして、二人の顔は真っ赤に染まり上がっていた。
「どうしたの、ムサシ君?」
「い…碇さん、パパパパパパパンティが見えています!!」
「パンティ?……あ。」
63鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 01:06:23 ID:???
 焦り過ぎてムサシは思わず敬語になる。
 倒れたまま身動きせずにいたシンジの制服のスカートは、これでもかというくらい捲り上がっていた。
 そして、ミサトから借りたランジェリーや、柔らかそうな太股がムサシとケイタを照らす。
「ごめん」
 シンジは物怖じもせず、捲り上がったスカートを直すと何事もなかったように立ち上がった。
「シンジ!!」
 そんな一騒動が終わると同時、アスカ達がやってくる。
「あんた何一人でほっつき歩いてんのよ!」
「何って、トイレ」

 明らかに心配しているように見えるアスカに、シンジは平然と答えた。
「なんやこんな大騒ぎする必要もあらへんかったやないかい」
「まだ塗装が終わってなかったんだけどなぁ」
「じゃあアスカ、お弁当食べに行きましょう」
「そ、そうね…」
「…早とちりだったようね」
「うるさいわねファースト!あんただって探すの手伝ってるじゃない!」
 いつものメンバーが、いつも通りに揃って、いつも通りに騒いでいる。
 いつも通りのはずなのに、いつも通りではない。
「…トイレまだ行ってないや」
「ちょっと!漏らすんじゃないわよ!!」
64鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 01:08:43 ID:???
「漏らしてくれたら絶好のシャッターチャンスなんだけなぁ」
「ケンスケそら変態過ぎやで…」
「……不潔」
「トウジ!委員長まで……」
 そんないつものメンバーのやりとりに、ムサシとケイタは置いてき堀を食っていた。
 話についていけない二人に気付いたのは、シンジだった。
「そういえば、ムサシ君お昼どうするの?」「あ…そうだった」
「君も、もしかしたらお弁当なかったりする?」
「あ、はい。あの、浅利ケイタです…」
 心配をしてか、それともムサシに言われたことを思い出してか、シンジは二人に訊いてみる。
 そんなシンジの瞳は、未だどこか冷たい。
「なんや転校生、お前ら弁当ないんかい」
「あぁ、知らなかったからな」
「じゃあ僕のお弁当、食べる?」
 シンジはまた平然とそう言ってくる。
「ちょっと!あんたはどうすんのよ?」
「なんか…いらないや」
 食欲がないわけではなかったが、何故か食べる気がしなかった。
 アスカに短くそう返すと、シンジは「トイレ」と一言告げて、一人その場からいなくなる。
「………」
「ア、アスカ…」
65鋼鉄のBoyfriends(前編):2006/08/31(木) 01:10:45 ID:???
 シンジの後ろ姿を睨みながら見送るアスカを、冷や汗を流したヒカリが恐る恐る声をかけた。
「やるわよ」
「な、何を…?」
「転校生の歓迎会!場所はあたし達のマンション!!」
 アスカは叫ぶ。
「ファースト、あんたも参加しなさい!」
「私は、関係ないわ」
「いいから!」
 アスカの目がシンジの行ってしまった方向を一瞬見た。
 レイは、それに気付く。
「…わかったわ」
「よし!じゃあ転校生、たっぷり歓迎してあげるから覚悟しなさいね!!」
「どういう意味の歓迎やねん……」
 ムサシとケイタを置いて、話はどんどん進んでいくのだった。
66名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 01:11:18 ID:???
GJ。
まさかシンジとムサシかケイタがくっついたりはしないよなぁ…
67鋼鉄のBoyfriends作者:2006/08/31(木) 01:13:28 ID:???
鋼鉄なんてサターン版を昔やったきりで全然覚えてないです
マナは出てきません
シンジの感情がどうなるかはまだ決めてないです
68名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 01:16:22 ID:???
GJ!!
世にも珍しいムサシ×シンジものか
まぁ性別が変わったならそっちんのが自然だねww
期待しとるよ
69名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 03:02:59 ID:???
ミサトのエロパンティと太股丸出しのシンジが目の前にいたら男なら襲うぞ
70名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 07:59:34 ID:???
ムサシ&ケイタ 「逃げなきゃダメだ」
71名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 08:05:08 ID:???
シンジきゅんのお漏らし生写真撮ってくれケンスケ
72名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 18:18:42 ID:???
あまり好きじゃない・・・・
73名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 18:41:51 ID:???
そういう場合はスルーですよ
74名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 19:12:11 ID:???
鋼鉄知らない俺はスルー
やらなくてもわかるサイトとかある?
75名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 19:29:17 ID:???
2ndは更迭じゃない
76名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 19:36:12 ID:???
これ元ネタはゲームなの?
77名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 20:37:03 ID:???
まぁ、マターリと続きを見てみようぜ
面白くないからとかで叩くにしてもまだ早いんジャマイカ?
78名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 01:23:17 ID:???
なんか書き慣れてない感があるので生暖かく見守りたい
79621の続きで:2006/09/01(金) 01:44:43 ID:???
「トウジ、どうしたのかな?」
「あぁ。今日は火曜日だから、妹のお見舞いだよ」
「…え?」
「何か負担かけちゃいけないって、昼からの面会になったんだってさ」
「…そうだったんだ」
トウジの妹は私が初めて初号機に乗ったときに、
めちゃめちゃに暴れたために怪我をしたのだ。
もう随分たつけど、経過が良くないのだろうか。
そういえば、まだ小学生だったけ。
「私も…一度お見舞いに行った方がいいのかな?」
ポツリと小さな声で呟いた。
言葉は疑問として出たけれど、誰に答えを求めるものでもなかった。
けれど、聞きつけたケンスケは不思議そうな顔をした。
「やだなぁ、責任感じてるの?」
「だって…トウジだって言ってたじゃない。妹が怪我したのは私のせいだって」
トウジが食べた空っぽのお弁当箱を片付けながら考える。
いつも優しく笑いかけてくれるから、気が付かなかった。
忘れていたわけじゃないけど、考えないようにしていた。
そうだ、私が傷つけたんだ。彼の肉親を。彼の心を。
初めて会ったときも、トウジは怒っていた。
あの時は何も感じなかったけれど、今思えば
あんなに素直に感情をぶつけてきた人は初めてだった。
たとえ、それが憎しみでも怒りでも。
けれどあの日、二人が私を心配してミサトさんのアパートに来てくれた日。
駅で私を出迎えてくれたあの日。
あの日にすでにトウジは私を許してくれてはいるのだろう。
それでも、私が傷つけたということに変わりはないのだ。
その事実を今更ながら思い出して、俯いた顔を上げられない。
「来てほしいんだったら、アイツから言うだろ。それにシンジが同情じゃなくて、
 本当に行きたくなったら行けばいいよ。アイツそう言うの大嫌いだから」
80621の続きで:2006/09/01(金) 01:46:30 ID:???
同情なんかではないだろうけど。
きっと、恐いんだ。私が傷つけたという事実を再確認するのが。
友達の悲しそうな顔を見るのが。
そして、私にもう笑いかけてくれなくなるかもしれないのが。
「妹のこと。お前に下手に気を使ってもらいたくないから、
 あまり言わないんだと思うよ。そんな暗い顔するなって。大丈夫だよ。
 トウジは嫌いな奴と一緒にいたら、あんな風に笑わないよ。」
私の心情を察したかのようにケンスケが声をかけてくれた。
それでようやく私は顔を上げた。
「…ケンスケって、トウジの事よくわかってるね」
「まーねー、付き合い長いし。アイツ単純だし」
「そんなこと言ったらトウジに怒られるよ」
そして二人で笑った。

青い空の下、悪戯っ子のように笑う黒いジャージの少年。
時々見せる、憂いを帯びた表情。
きっと妹のことを考えているのだろう。
私は、トウジを、他人のことをどれくらい解っているんだろう。
どれだけ解ることができるんだろう。
きっと私は何も解っていないのだろう。
ここへ来て出会った色んな人達のこと。
それだけじゃなく、自分自身のことすら。
81621の続きで:2006/09/01(金) 01:48:04 ID:???
「試作されたダミープラグです」
薄暗い部屋の天井には、エントリープラグが吊るされていた。
普段の白いそれではなく、真っ赤なエントリープラグが。
「レイのパーソナルが移植されてます。ただ、人の心…魂のデジタル化は出来ませんので
 …あくまでフェイク。擬似的なものです。人間の真似をする、ただの機械です」
リツコがそう告げると、ゲンドウがいつもの冷静な口調で答えた。
「信号パターンをエヴァに送り込む。エヴァがそこにパイロットがいると思い込み、
 シンクロさえすればいいのだ。初号機と弐号機にはデータを入れておけ」
「しかし、まだ実験中の問題が残っていますが」
「構わん。エヴァが動けばいい」
こちらを見ることなく、淡々と命令を下す。
だからこちらも科学者としての意見を述べ、そして従った。
それでいい。それでいいはずだ。
「機体の運搬はUNに一任してある。週末には届くだろう。後は君の方でやってくれ」
「はい。調整並びに起動試験は松代で行います」
「テストパイロットは?」
上部は無数のパイプが繋がっていた。その中央には液体に満たされた大きなガラスケース。
ぼんやりと光るその中には彼女が居た。私を誰よりも不安にさせる存在が。
「ダミープラグはまだ危険です。現候補者の中から」
「四人目を選ぶか」
「一人生理学的に持ち上げれば可能な子供が一人います」
「任せる。――――レイ、上がっていいぞ」
その言葉に、今まで眠っているかのように目を瞑っていたレイが
ゆっくりと目を開く。露わになる赤い瞳。あのダミープラグのような。
「食事にしよう」
『はい』
彼は一度もこちらを見ない。
だが、いつもの表情に比べ明らかに柔らかな表情になったのが手に取るようにわかる。
私を見ない背中が今は逆に有難かった。レイを見る彼のそんな顔など、見たくはないから。
82名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 01:52:37 ID:???
ナイスジョブ!
83名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 02:41:34 ID:???
GJ
84名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 04:27:23 ID:???
グッジョブ


あー死ぬんだな
トウジ死ぬんだな
あー
85名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 04:35:35 ID:???
ほう死にそうなのか
今まであぼんしてたけどトウジガ死んだら読んでみるかな
生死の結果だけ報告ヨロ
86名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 04:46:26 ID:???
鬱好きなの?
まぁ俺も鬱好きだけど

予想だけどね
貞版を踏襲してるから多分そうだろうかなと。
87名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 06:38:48 ID:???
>>86
どっちかというと好きかな?

まあ、今まで読んでなかったわけだし、作者氏が書きたいのを書くのが一番なんで、
是非欝にしてくれっていうわけでもないんだけど……
88名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 20:18:19 ID:???
そもそも始まりが、鬱展開の話してて作者さんがじゃあちょっと書いてみようかみたいな感じだったような

毎日更新はすごいね
夏休みの宿題も7月中に終わらせるタイプとみた
89名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 20:47:53 ID:???
確かにすごいよなww
まさかこんなにすごいものがくるとは思わなかった。しかも更新速度の速いこと速いこと!
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 20:50:29 ID:???
バジメちゃんの人(エヴァπだっけ?)も毎日だったな
ここの職人は凄いw
91名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 20:52:14 ID:???
バジメって凄く・・・バジルっぽいです・・・正しくはハジメだな
LCLの海に飛び込んでくる
92名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 21:07:31 ID:???
大丈夫
そのうち人の形を取れるようになる
安心して溶けてきな
93621の続きで:2006/09/01(金) 21:30:34 ID:???
窓に手を付いて、外の景色を眺める。
掌にはガラスの冷たい感触。
どこか遠い昔に感じた同じ感触。
血と、機械油の匂いを残して消えてしまう夢。
ガラスの向こうに確かに存在した命。微かな記憶。
二度と会えない母さん。もう二度と語り合うことのない父さん。
エヴァ。新しく出会った人たち。使徒。地下の巨人。そして私。
本当のことが、どこにあるのか自分でもわからない。
手に入れたと思った瞬間、指の隙間から砂のように零れてゆく真実。
その真実に手が届くものならば、私は。

私は…、どうするんだろう?

「…さん。碇さん?」
「え?あ、ごめん。委員長」
気が付くと、委員長が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
なんでもないと、笑いかけると彼女も安心したように笑った。
「どうしたの?ボーっとして。考え事?」
「ううん。なんでもないよ。さ、掃除しなきゃね」
私は今週掃除当番だったので、気を取り直してモップを手に取って教室を出た。
今週の掃除区域は、廊下と階段だ。下校する生徒がひしめく中でゴミを掃う。
そうしていると、いつもの見知った少年が雑巾がけをしているのに気が付いた。
掃除のときは、遊んでよく怒られてるトウジが珍しく働いている。
不思議に思って隣にしゃがんで彼と同じ目線になってみた。
天井が高く感じる。そのまま何となく目線を上げてみた。
「…うわぁ」
まぁ、なんてイヤらしい景色。
下から見上げてみると、階段を上る女子生徒のスカートの中が丸見えだった。
なるほど、だからか…。ぼそっと雑巾掛けをしていた彼に声をかけた。
「女の敵だね…。トウジ」
「シンジ!?お前何やっとんねん!」
94621の続きで:2006/09/01(金) 21:33:31 ID:???
って言うか、それはこっちの台詞だと思う。
今まで私には気が付かなかったらしい。それだけ夢中だったのか…。
男の子って皆こうなのかな?そういえばアスカも言ってたっけ。
「男の子ってバカでスケベで信じられない」って。
一理あると思う。冷ややかな目線になってしまうのが否めない。
「アホ!男がスケベやなかったら人類滅びてまうわ!」
「そりゃそうだけどさ…」
だからって、私に熱弁しないで欲しいと心底思う。
こんな階段の踊り場で一般男子の代表意見を聞いたって、私にはどうしようもない。
と言うか、委員長やアスカがよく言うアレだ。

「不潔」だ…。

その辺り、私も女の子だなぁと改めて自覚した。
なので、その一般男子に一般女子として率直な意見を申し上げた。
「そんなんじゃ、好きな子できたときに確実に嫌われるよ?」
「…マジで?」
「…マジで。普通はそうだよ…。でもトウジ好きな子いるの?」
そういうと、トウジの顔が少し赤くなった。
トウジの肌は褐色に日焼けしているから、わかりにくいけれど、
確かに頬が赤く染まったのがありありと見て取れた。
………へぇ〜。何か面白い。
アスカが私をからかった時もこんな感じだったのかな?
「人のことはどうでもええやろ!お前はどうやねん」
「人のことはどうでもいいのに私は聞くんだ…。私?う〜ん…。
 いないんじゃないかな。そういうのよくわかんないし」
「そ、そうか…」
それとなく答えるが、トウジの受け答えもあまり耳に入らない。
さっきから、何故か私もトウジと一緒にしゃがんだままなので、
見上げると視界に入る何とも言えない景色に魅入っていた。
最近の女の子の下着はカラフルで可愛いのが多いなぁ、と
恐ろしくどうでもいいことを考えた。
95621の続きで:2006/09/01(金) 21:35:30 ID:???
そして、はたと気付く。まさかとは思うけど…。
「…私のは見てないよね?」
「お前のは前にモロ見とるからなぁ…」
赤い顔はそのままに、記憶を反芻するかのようにトウジが言う。
…ちょっと待って。
勢い良く立ち上がってトウジを見下ろした。
前に、とは。ミサトさんの昇進パーティーのときだ。
昔の写真を見られるのが恥ずかしくて、着替えもそこそこに飛び出したあのとき。
確かあの時は見てないって言った!見てないって言ってたのに!
「やっぱり見てたんじゃないかぁ!」
「みみみ見てへん!水色のレースなんて見てへん!」
「しっかり見てるじゃないか!嘘つきー!!」
ぎゃあぎゃあ喚いていると、階段上から高くよく通る声が響いた。
「鈴原!もぅ、ちゃんと掃除しなさいよ!」
委員長だ。
…あ。まずい、その位置だと。
「…白や」
「え?あ!きゃあぁあああぁあ!!!」
「………外道だね、トウジ」
委員長は真っ赤になってスカートを押さえていた。
「こらまた、ええもん見たわぁ」
「す〜ず〜は〜らぁ〜!今日と言う今日は許さないから!待ちなさい!」
階段から降りてきた委員長が逃げるトウジを追い回している。
委員長には女の子の代表として、是非とも一発殴って頂きたいと思った。
本当に男の子って…。別次元の生き物だと実感する。
私はずっと男の子になりたかったけど、こういうのを見るとやっぱり思い止まる。

ああ、でも…。
そうだ、私はきっと。

96621の続きで:2006/09/01(金) 21:37:57 ID:???
「こら!待ちなさいってば!」
「助けろ!シンジ!」
「嫌だよ!って、わぁあぁああ!」

ガシャン

トウジを追いかける委員長と、逃げ回るトウジにぶつかって
立て掛けてあった掃除道具が私に倒れてきた。
「だ、大丈夫か?:
「碇さん!大丈夫!?」
「び、びっくりした…」
幸い、モップやらバケツやらの軽いものだったので
大事には至らなかった。と、思っていると委員長が声を上げた。
「碇さん!血!」
「え?」
よく見ると、腕にモップの金具で傷ついたのかかすり傷ができていた。
でも、言われるまで気付かなかったし、全然痛くないし大丈夫だと思うんだけどな。
「たいへん!保健室いかなくちゃ!」
「平気だよ。こんなのかすり傷だし。痛くないよ」
「今はびっくりして感じないだけなのよ。駄目よ、女の子が傷作っちゃ!」
これくらいの傷は日常茶飯事だし、平気だと思ったけれど、委員長は慌てていた。
ついでにトウジも。でも、こちらはただ慌てているだけで特に役に立ちそうになかった。
「早く消毒しないと!」
「だ、大丈夫なんか?」
「あんたが着いてきてもしょうがないでしょ!ちゃんと掃除してなさい!」
いざ緊急事態になると、男より女の方が強いなぁと、頭の隅で考えた。

「ごめんね」
委員長が私の傷に消毒液をかけながらそんなことを呟いた。
「どうして?」
「だって、半分は私の責任じゃない」
「そんなことないよ。言っちゃえば、全面的にトウジが悪いと思う」
97621の続きで:2006/09/01(金) 21:40:07 ID:???
ぶつかったのは、二人にだけど原因を作ったのは確実に彼だ。
だから、委員長が反省する点は何もないと思う。
「男の子ってどうしてああなのかしらね」
「それは私も思う」
ああいうのもそうだけど、ケンスケの趣味とかも全くわからないし。
ここに来てから初めてできた友達。
よく遊ぶのはトウジとケンスケだけど、たまに委員長と遊びに行くと
やっぱり男の子と女の子は違うなぁと思うことがある。
二人とはとても気があって、一緒に居るのは楽しいけれど。
まぁ、多分ケンスケの趣味はきっと特殊だ。
同じ性別で、私より付き合いの長いトウジさえ引いている時があるし。
「碇さんて、鈴原と仲良いよね。なんであんなバカと仲良くしてるの?」
「なんでって…?」
「さっきだって、ああだったし」
手馴れた手付きで傷の手当をしながら委員長が言った。
まぁ、男の子だからしょうがないって言うのを差し引いても
さっきのは私もどうかと思う。女として。
でも、それでも。
「そりゃトウジは、あんな風なことあるけど…。私よりずっとしっかりしてるし。
 何だかんだいって面倒見がいいし。凄く良い奴だよ」
委員長は、傷の手当ては一度止めて、私を見つめた。
それに、きっと私は…。
「私ね、ずっと男の子に生まれたかったって思ってたんだ。さっきみたいなのは
 ちょっと嫌だけど、きっとトウジみたいな男の子に」
そうだ、あんな風になりたかった。
あんな風に、はっきりと物が言えて、しっかりした意思を持った、強い男の子に。
もう二度と父さんとは話ができないとは思うけど、あんな風に生きれたら
その前に何とかできたのかもしれない。
そんなことは夢物語でしかないことはよくわかってるけれど。
「あんな風な男の子に生まれてたら、私も少しは強くなれたかなって…」
98621の続きで:2006/09/01(金) 21:42:23 ID:???
そこまで言うと、何だか照れくさくなって頭を掻いた。
そうしていると、委員長が言った。
「碇さんは十分強いわよ。私、碇さんが羨ましいな…」
「え…?」
その言葉はあまりに小さくて、私はよく聞き取れなかった。
「あ、なんでもないの。さ、早く済ませちゃわないとね!」
「あ、うん」
そういうと、委員長は手当を再開し始めた。
そして、最もな結論を告げた。

「でもバカはバカよね」
「うん、バカはバカだね」




投下する作品は休みの日に一週間分まとめてます。
というわけで明日は休みなんで、投下は日曜か月曜に。
99名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 21:51:47 ID:???
GJ!!!
やっぱラブコメ(?)はええなぁ〜
シンジ←トウジに思えたんだけど、多分フィルターかかってる
100名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 22:36:04 ID:???
なぬっ!?そんなにというかそこまで真剣に取り組んでくれてるのか?

このスレは恵まれてるなぁ…( ̄∀ ̄*)
101名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 22:45:59 ID:???
やっぱオリジナル部分は光る
102名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/01(金) 23:24:48 ID:???
この展開だと時かけ的な人間関係でもしっくりくるなw
103名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 00:11:28 ID:???
職人のおかげでなんかスレよく伸びてるなw
104名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 00:20:17 ID:???
レスが書きにくくなった人も居るけどな。

投下してる人は木にするな。
105名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 00:57:18 ID:???
>>104
終わったら存分に喋ってやるよ
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 01:15:36 ID:???
>>104確かにそうだが、それを犠牲にしてでも得るものは多いなww
107名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 01:26:51 ID:???
つか過疎スレだし
別に今でも語ろうと思えば語れる


最近女装シンジきゅん割合が少ないなぁ
ギャグならいくらでも書けそうだが
108名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 01:34:49 ID:???
evaに乗って性転換。
ショックのあまりうじうじ鬱鬱でツンツン街道まっしぐらなシンジキュンが好きなので
以下略
109名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 01:36:17 ID:???
何を持って過疎と断言できるのか小一時間問い正したい
110名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 01:46:17 ID:???
>>108
エヴァに溶けて、出てきた時には女のシンジと男のシンジに別れてましたーってのは考えたことがある
しかも二人とも同じシンジとしての記憶を持ってて、意識もシンジ
でも片方は女で、女であるから周りからシンジ扱いされずに居場所がどんどん無くなってしまう
シンジだけどシンジでありえないの。女だから


これが第一話の時点だったらギャグですむけど、
人間関係を形成した後じゃ鬱まっしぐら
111名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 02:14:11 ID:???
性転換コメディー→女シンジきゅんの自分探しか
落差が素晴らしい良い欝じゃないの
YOU書いちゃいなYO!
112名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 02:19:41 ID:???
YOUここで諦めたら終りだYO! ←(前HEY×3で赤西[亀梨?]がジャニーズ落ちた時にジャニーから言われたって言ってた)
113名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 02:50:51 ID:???
今思ったんだけど女の子シンジきゅんはBLOOD+の小夜の声が似合う気がする
まぁ、声だけね。中の人は整形してるらしいし
114名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 02:58:24 ID:???
そーいえばさ、暴走したときってダミーシステム付きのプラグで乗ってるんだよね?
てことは、下手に再構成に成功してたら、やっぱ綾波の情報と混ざって二身合体状態だったんだろうか?
115名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 03:01:46 ID:???
そうなる場合もあれば、ユイママの加護があるかもしれない
要は作り手次第
116名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 03:03:47 ID:???
シンジ自体が疎まれるのはやだお
だから>>110
そこをなんとか幸せにしてやって

でもちゃんとしたのを実際書こうとしたらなかなか難しいんだろうね…
117名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 03:11:28 ID:???
人間関係が崩壊し始めたゼルエル戦くらいなら分裂してもイケそうな気ガス
いっそLSSとかにしてそれから起こることに2人でなんとかかんとか互いを支えあってくみたいな
118名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 03:21:25 ID:???
女シンジが逆行してシンジの妹になりシンジとセックスしまくるSSを思い出した
119名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 03:54:34 ID:???
女シンジきゅんだとEOEで、「私と一つになりたいんでしょう?」と言う
ミサトやアスカやレイは、トウジやケンスケや加地になるのだろうか…
120名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 04:15:29 ID:???
>>119なんか前にもその書き込みあったな
121名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 04:18:05 ID:???
実際どうなんだろう?
性的な意味じゃなくて、ただ子供のように抱き締めて貰いたいとか
そういう願望だったら女でもいいんじゃ?
122名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 12:10:49 ID:???
母胎回帰願望みたいなもんかと
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 12:31:22 ID:???
あんま難しく考えなくてもいいジャマイカ
124名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 13:52:36 ID:???
でも女が、同級生の女にそれを感じるのは変ジャマイカ?
せめてミサトぐらいで…
125名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 14:37:18 ID:???
大人が恐くて、男に走る女にも恐くてなれないから、同世代の女子に縋るのはアリじゃないかと
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 14:43:28 ID:???
>>125百合?
127名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 14:48:22 ID:???
うわー…
今そういうの書いてるわ。
128名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 14:57:25 ID:???
俺もそんなプロットばっかり考えてるw
129名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 15:20:45 ID:???
>>125
父性を求める女シンジきゅんが名も無きオヤジと援交しちゃうやつなら書いたことある
24話後のボロボロになったシンジきゅんが淋しさのあまりに

なんだかちまたの女子高生が読みそうな内容になってきたので止めた
130名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 15:44:57 ID:???
百合じゃなくて、あれくらいの年ごろだったら
親や男よりも同性の友人を頼りにしそうだからさ
131名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 20:01:55 ID:???
>>130
あるなぁ。アスカに縋りそう。

って変わんねーじゃんw
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 20:09:22 ID:???
女が女を頼りにしたら即百合なのか?
恋人とか親とかよりも、友達と一緒にいた方が癒されるってことあるじゃん
そういうことじゃないか?
133名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 20:13:20 ID:???
>>132まぁ、たしかにね…
134名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 20:14:12 ID:???
>>132
だって百合にしたほうが萌えるだろ?
135名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 20:16:18 ID:???
まぁ、職人さんは好きに書いて投下してくれればいいよ。
墓標にゲンドウと同じ花添える下りがうまいなと思った。
136名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 23:04:45 ID:???
思春期の女子は一時的に同性に傾倒する傾向にあるらしい。
その後異性を意識しだしたりして精神的に女性になっていくんだって。
だから中学生が百合っぽくなるのはリアルでもあり。
137名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 23:11:34 ID:???
それ、女子だけじゃなく男子にも言えるらしいな
あのくらいの年ごろの子供は同性に擬似恋愛感情抱きやすいんだと
まぁ、あくまで擬似だけど
138名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 23:20:47 ID:???
>>137やめてくれ、さむぼろが…
139名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 23:27:54 ID:???
インドとか異性に触れたり話したりできない文化を持ったところは凄いらしいな
男女で触れられない分、女同士、男同士でハグキス。でも同性愛ではない
140名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/02(土) 23:30:46 ID:???
まぁ、中学生くらいだったら同性に依存するよな
高校入ったらいきなり異性意識したり、モテはじめたり
141621の続きで:2006/09/03(日) 22:17:37 ID:???
細く女の子らしい手が手早く包帯を巻きつける。
その手付きに感心していると、委員長が少し言いにくそうにポツリと呟いた。
「ねぇ、碇さん。鈴原、私のこと、その…何か言ってない?」
突然の言葉に、私は疑問符しか浮かばなかった。
「あ!意味は特に無いんだけどね!私、委員長として色々注意しなきゃいけないでしょ?
 だから、口うるさいとか、仕切りやとか、おせっかいとか言われてないかなって!」
不思議に思って見つめていると、委員長の白い頬が赤く染まり、
いつものはきはきした口調ではなく、しどろもどろに言葉を紡いだ。
この様子はなんとなくどこかで見たことがある。
そう、委員長は注意とかお小言以外でトウジと話すとき、こういう風になるのだ。
「別に、何とも言ってないんだったら…それでいいんだけど…」
委員長は更に真っ赤になって、一瞬黙った。
そして、ちょっと困った顔をして決意したように私に問いかけた。
予想も付かないとんでもないことを。
「鈴原って…、アスカのこと好きなのかな…?」
…………………………。数秒かかって、脳がようやくその言葉を認識した。
「…………………はぁ!?」
つい、大声をだしてしまうのは許されることだと思う。
何をどうしたらそういう結論になるのだろう。
「だ、だって…いつも仲よさそうにしてるし…」
え…?アレが? 日頃の二人の関係を思い出す。
今日だって、アスカをからかうトウジに彼女は盛大な蹴りをお見舞いしていた。
アレが仲が良いって言うならば、戦争がこの世から消えると思う。
そして、世界中の男女はもっと簡単に恋人同士になると思う。
「ありえない…。それはありえないよ…」
うん、絶対違う。ぶんぶんとクビを横に振った。
まぁ、あの二人ケンカ友達みたいなものだし。
そこにある感情は決して「嫌い」ではないだろうけど、
そういう意味の「好き」ではないだろう。
アレが「好き」って言うんだったら、私の考える「好き」とは違う世界だ。
それとも、私の常識が覆されつつあるのか…。
ちょっと考える。…いや、きっと私の方が正しいよね?
142621の続きで:2006/09/03(日) 22:25:28 ID:???
「やだ、ごめんね!私ったら変なこと聞いて」
自問自答していると、委員長がそこで質問を終了した。
良かった。このままだと思考が無限ループに突入するところだった。
手馴れた手付きで私の包帯を巻きなおす。
その手付きを眺めていると、彼女はチラチラと私を見つめてきた。
そういえば、赤い頬は先ほどと変わらない。
「あの、碇さん…。もう一ついいかしら?」
さっきの質問より凄いことはもうないだろう。というより、そう思いたい。
肯定の返事をすると、彼女は一呼吸置いてまた決意の目で私を見つめた。
「あのね…、碇さんって…」

「おーい!シンジ」
委員長の言葉が最後まで終わらないうちに、誰かが保健室のドアを開き、私に声をかけてきた。
「…ケンスケ。どうしたの?」
「お前、今日当番だろ?昼の授業で使った教材そのままだったから
 先生が早く片付けろって言ってたぜ」
そう教えてくれると、ケンスケは帰っていった。今日もまた軍艦や戦車だかを見に行くのだろう。
その姿を見送ると、委員長に向き直った。まだ質問の途中だったからだ。
「邪魔が入っちゃったね。で、続きは?」
「あ!いいの。やっぱりもういいの」
「え…?でも…」
「いいの、たいしたことじゃないから。手当ても済んだし」
腕を見ると、包帯はきちんと巻かれていた。
教材の片付けと、掃除に戻ろうと保健室のドアに手をかけて
救急箱を片付ける彼女を振り返る。丁寧に手当てされた傷。
ああ、本当に委員長は良い子だ。
「ねぇ、委員長」
「…え?」
「トウジはきっと、アスカみたいなタイプじゃなくて、もっと家庭的な優しい子が好みだと思うよ?」
そういうと、彼女は嬉しそうに笑った。それを見て、私も何だか嬉しくなった。
だから彼女がどうしてあんなに嬉しそうに笑うのか、どうしてあんなことを聞いてきたのか
私に聞きたかったことが何なのかは忘れてしまった。
143621の続きで:2006/09/03(日) 22:27:24 ID:???
下校を告げるチャイムが鳴り響く。掃除も無事終了。残った生徒達のまばらになった。
今日も無事に委員長としての私の一日が終わる。あっと、いけない。まだ一つ残ってたっけ。
カバンを持って帰ろうとしている鈴原に声をかけた。
「なんやねん、いいんちょ」
「あなた今日週番でしょ。これプリント。休んでた分届けてあげて」
「えぇ〜。そんなん相方がおるやん」
「その相方が休みなのよ」
「あぁ、綾波か」
プリントの束を渡すと、彼は露骨に面倒臭そうな顔をした。
でも、ダメ。だって週番は週番だもの。ちゃんと役割を果たさなきゃ。
「そんな顔してもダメよ。ちゃんと届けてね」
「せやかて、女の家に一人で行くんもなぁ…」
そういえば鈴原はそんな硬派な性格だった。
そこが良いところでもあるんだけど。
一人で女の子の家に行くのは抵抗があるのだろう。
そうだ。だったら、私が一緒に行ってあげれば…。
これは委員長としての義務であって、
別に一緒に帰りたいとかそう言う訳じゃないんだから。
いいわよね、これくらい。
誰が聞いてるわけでもないのに、頭の中で言い訳をしてしまう。
提案しようと声を出しかけると同時に鈴原が口を開いた。
「おーい、シンジ。お前一緒に付いてきてくれへんか?お前綾波と仲ええやろ」
鈴原は下校しようと教室の引き戸を開けている碇さんに声をかけた。
女の子とはあまり話をしない鈴原だけど、碇さんとは仲が良い。
さっぱりした性格の彼女は、男の子と気が合うのだろう。
相田君とも仲が良いし。
「別にいいけど。綾波いないかもよ」
「せやったら、郵便受けかなんかに入れとけばええやろ。な、いいんちょ?」
「え!?そ、そうね。できれば手渡しがいいんだけど」
「綾波の郵便受けっていっぱいだからなぁ…。気付くかな?」
「まぁ、ええやん。行くで。じゃあな、いいんちょ」
「ええ、また明日ね」
144621の続きで:2006/09/03(日) 22:28:51 ID:???
そう行って鈴原は碇さんと行ってしまった。
はぁ、私ってダメだなぁ…。ため息を付いてしまう。
せめて二人に付いて一緒に行こうとかすれば良かった。
もっと鈴原とちゃんと話ができたらいいのに。
あの二人って…。そんな素振りは全くないけど…。
でも碇さんは本人はわかってないけど、可愛くていい子だし。
今日、保健室で傷の手当てをしているときに尋ねようと思ったけど、
つい聞きそびれてしまった。
「もう!私らしくない、やめやめ!」
パシッと両手で頬を叩いて気合いを入れた。最後に教室の点検をしなくちゃ。
ヒカリは思考を入れ替えて見回りを始めた。

恋する少女は色々複雑らしかった。


「綾波、いる?」
相変わらず無機質で殺風景な綾波のマンション。
ドアを叩いて在宅を確認する。
「おい、何でチャイム鳴らさへんねん」
「それ、壊れてるの」
何回かドアを叩いたが、反応はなかった。どうやら彼女は留守らしい。
ちらりと郵便受けに目をやると、そこは相変わらずいっぱいだった。
しょうがないか。ひんやりとした感触のする金属のドアノブに手をかける。
「待てや、勝手に入ってもええんかい!」
「だって、こんな状態の郵便受けに入れたってきっと見ないよ。
 大事なプリントもあるんだし」
事実、郵便受けはすでにゴミ箱と化している。
これに突っ込んだって、ただゴミを増やすだけだ。
何か言いたげなトウジと一緒に部屋に入った。
145名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/03(日) 23:02:13 ID:???
146名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/04(月) 06:52:03 ID:???
乙。
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/04(月) 20:43:10 ID:???
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/04(月) 21:21:10 ID:???
149名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/04(月) 21:35:56 ID:???
この流れがウザイので感想をば
家庭的という表現がシンジ自身を含めて言ってるようだ
シンジ、怖い子…
150名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/04(月) 21:57:22 ID:???
いや、シンジきゅんは自分でよくわかってないから天然で言ってるんだ!
そうだ!きっとそうだ!
と思ってみる
151621の続きで:2006/09/05(火) 00:24:04 ID:???
「うはぁ…。これが女の部屋かいな」
綾波の部屋は、物が無いと言うか、殺風景と言うか。
とにかく生活感がまるでない部屋だった。
いつか見たシンジの部屋もおおよそ女らしいとは言い難いが、これよりましだ。
とりあえず、頼まれたプリントをベッドの上に置く。
これで仕事は終わった。と思っていると、シンジが床に屈んで何かをし始めた。
「お前何しとんのや?」
「掃除。ほらゴミがいっぱいだし。トウジも手伝ってよ」
「嫌や!男のすることやない」
「そういうのって、ミサトさんに嫌われるかもよ」
シンジのもう一人の同居人兼上司である葛城ミサト。
自分やケンスケは彼女に憧れを抱いていた。
今の男は家事くらいできないと駄目なのだろう。
自分だって母親がいないので、一通りのことはできる。
しかし、いくらなんでも男の自分が勝手に女の部屋を弄るのは抵抗がある。
「かまへん!ワシの信念が許さへんねん!」
古いなぁとぼやくシンジを尻目にそこらにあった椅子に座る。
そうして甲斐甲斐しく働くシンジをぼんやりと眺めていた。
「ねえ、綾波ってちゃんとご飯食べてるのかな?」
「あー?急にどうした?」
「さっき台所通ったでしょ。でも紅茶くらいしかなかったから」
「綾波って何や食わんでも生きていけそうな感じやもんな」
「でも綾波って以外とニンニクとか香辛料好きなんだよ。
 こないだミサトさんが私達にラーメン奢ってくれたんだけど、
 そのときもニンニクラーメン食べてたし」
「へぇー」
「コンビニでもよって、何か買ってきてあげればよかったかなぁ?」
彼女は掃除の手は休めずに楽しそうに話す。
昔の彼女はこんな風に人の事を気にするような性格だったろうか。
いや、違うな。そう、初めて会ったときは…。その事実を認識して何だかおかしくなった。
「どうしたの?そんなに笑って」
152621の続きで:2006/09/05(火) 00:24:52 ID:???
無意識に笑っていたらしい。
ゴミ袋を持ったシンジはきょとんとした顔でこちらを見つめていた。
その仕草が何だか小さな子供のようで微笑ましかった。
「お前、変わったなぁ。他人に関心見せるようになるなんぞ」
「え?」
「何や最初会うたときは、ウジウジしていけすかん女や思ったんやけどな」
初めて会った時、無気力で無関心で妹の事も、
自分のことすらどうでもよさげな彼女にムカついた。
いや、その時は「彼女」とは露とも思っていなかったが。
接しているうちに少しづつ表情が増え、感情も豊になっていった。
「まぁ、余裕ができたんやろな。心の。前見た写真よりも、今の方がずっとええで」
いつか見た彼女の昔の写真。
白い肌によく似合うワンピースを着て
長い黒髪をなびかせた彼女は確かに綺麗だった。
だけど、どの写真の彼女も、笑顔で写っているものはひとつもなかった。
感情と言うものがなかった。
今は違う。
ぎこちなさはまだあるが、本当に嬉しそうに、楽しそうに笑う。
その笑顔を見るのが、何だか楽しかった。
そこまで言うとシンジは、明らかに戸惑った表情を浮かべていた。
どうしたらいいのかわからないといった風だった。
大きく目を開いて自分を見つめる。
吸い込まれそうな瞳だった。
あぁ、そういえば彼女はこんな目の色をしていた。
153621の続きで:2006/09/05(火) 00:28:17 ID:???
トウジの言った言葉を理解するのにしばらく時間がかかった。
ここに来て、私は変わったと思った。でも、それは私の世界だけだと思っていた。
だけど、それは他人の世界にも影響を及ぼしていたらしい。
私は変われるのかもしれない。だけど、それが私には信じられない。
だって、そんな風には生きてこなかったから。そんな風に言ってくれる人はいなかったから。
自分でも思ってもいないことだったから。

「…碇さん。鈴原君?」
何も出来ずにいると、ドアが開き綾波が帰ってきた。思考を打ち切るにはちょうど良かった。
「おかえり、綾波。ごめんね、勝手に入っちゃって」
「プリント届けにきたんや。ほれ、そこ置いといたで」
「そう…」
綾波は辺りを見回す。部屋の変化に気付いたようだ。
「あの、部屋片付けておいたから」
「え?」
「大丈夫、ゴミ以外触ってないから」
そう言って、ゴミ袋を手渡した。
綾波は不思議そうな、驚いたような顔をして僅かに頬を赤く染めた。
あまり感情を見せない綾波にしては珍しい。そして、思いもかけない言葉を貰った。
「あ、ありがと…」
「え、あ?ど、どういたしまして」
綾波は小さくお礼の言葉を口にした。私も返事を返す。
ありがとうなんて言われるの、久しぶりだ。こうして返事を返すのも。
当たり前だけど、父さんにだって言ったことも言われた事もない。
何となく恥ずかしくなって、私も顔が赤くなってしまった。
「お前ら何二人で気恥ずかしいことしとんねん…」
「へ?あ、その。えへへ…」
微妙な空気の中、トウジがそんなコメントをくれた。
そう、何でこんなに恥ずかしいんだろう?気を取り直して、綾波に話しかけた。
「そうだ、綾波ちゃんとご飯食べてる?紅茶くらいしかないし」
「一応食べているわ。でも紅茶ってあってもいれたことなかったから…」
その後、綾波の家で紅茶を飲んで帰った。それは少し苦かったけど、とても暖かかった。
154名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 02:35:22 ID:???
レイとトウジって意外な組み合わせだよなぁ
新鮮だ
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 05:56:54 ID:???
GJ!
156名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 08:05:07 ID:???
これってトウシンになるの?
でもこの先トウジは死ぬんだよな
157名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 14:02:32 ID:???
分かんないぞ
分かんないぞ
158名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 15:33:52 ID:???
7巻22ページで、ゲンドウに殴りかかるシンジきゅんが
おにゃのこにしか見えない俺はもう駄目ですか?
何か、胸あるように見えるし
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 16:04:09 ID:???
>>158ああ、もう手遅れだ…
すでに、戻れないくらい君もナカーマだよ
160621の続きで:2006/09/05(火) 21:55:56 ID:???
白い湯気がゆらゆらと立ち昇る。
良い香りのする茶色い温かな飲み物。
舌に感じた僅かな苦味。
火傷した指先が少し痛む。
だけど、痛みは生きていることの証。

「綾波、大丈夫?ちゃんと冷たい水で冷やしておいてね」

碇さんが、熱湯の入ったやかんを触ってしまった私を気遣う。
黒い瞳が心配そうに彼女は私を見つめた。
そして、もうひとつの瞳が私達を眺めているのに気付く。
幾分背の高い彼が、私達を見下ろしながら言った。
とても興味深げに。

「なんやお前ら姉妹みたいやな」

姉妹。
私達が。
同じものから生まれたもの。
似てるということ。
仲がいいということ。
彼が言いたいのはそういうことだろう。
でも、わからない。
そういうことは、よくわからない。
161621の続きで:2006/09/05(火) 21:58:17 ID:???

「でも綾波はお姉さんというより、『お母さん』みたいだよね」

そう言って、彼女は笑う。
何故そう思うのだろうか?
意図が分からず彼女を見つめるていると
少し考えた後、何かを思い出したように言った。

「前の掃除のときの雑巾の絞り方。あれが何だかお母さんみたいだったから」


母親。
何かを生み出せるもの。
何かを育てることができるもの。
彼は私達を姉妹のようだと言う。
彼女は私を母親のようだと言う。
よくわからない。
そういうことは、わからない。

けれど。

「なにを言うのよ…」

けれど、不思議と悪い気はしなかった。
162621の続きで:2006/09/05(火) 21:59:15 ID:???
「じゃあ、綾波。また明日ね。紅茶ご馳走様」
「じゃあな」
「火傷、ちゃんと手当てしてね。薬が無いときはバター塗るといいって聞いたことがある」
「年寄りかお前は…」

彼女達はそう言って帰っていった。
いつもは無機質で殺風景な部屋は、綺麗に片付けられ
彼女の温かさがまだ残っているような気がした。
いつもの、無機質な空間。
私はそれが一番落ち着くのに。
それなのに、どうしてだろう。
ベッドにうつ伏せになって考える。
初めて言った言葉を。

 『ありがとう』

感謝の言葉。
あの人にさえ言ったことがなかったのに。
私の心の中にある空っぽの部分。
そこにあるのは、闇なのか、穿たれた穴なのか、
それとも「何も無い」のか。
けれど、その空っぽの空洞を碇司令を思うことで
埋められると思っていた。
私と碇司令の絆。私とこの世界の絆。
けれど、今は違うもので埋めようとしているのかもしれない。
以前に碇さんに言った言葉を思い出す。
何も始まっていないのは、きっと私の方だ。

紅茶の温度は、心まで温めたようだった。
163名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/05(火) 23:40:57 ID:???
綾波…
164名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/06(水) 00:28:04 ID:???
アロエ貼ったほうがいいっておばあちゃんに聞いたよ
165名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/06(水) 01:23:14 ID:???
このまま行ったらEOEどうなるのか楽しみ
166名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/06(水) 22:37:03 ID:???
今日のトリビアのシンジきゅんが女の子にしか聞こえなかった
可愛いよ、可愛いよシンジきゅん

むしろ快感です
むしろ快感です
むしろ快感です
167名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/06(水) 22:44:17 ID:???
あぁ、シンジきゅん愛してるよ。
168名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/06(水) 23:23:57 ID:???
やっぱ女シンジきゅんでも声は緒方さんだなぁ
169621の続きで:2006/09/07(木) 00:02:11 ID:???
マンションを出ると、もうだいぶ夕闇が迫っていた。
オレンジ色の雲がいくつか空に浮かんでいる。

「はぁ…エヴァのパイロットっちうんは、ホンマ変り者が選ばれるんやなぁ」
「だから、なんだよそれ…」
帰り道、トウジはまたそんな事を呟いた。
咎めつつも、完全に否定ができない事実が痛い。
「まぁ、怒るな。でもアレやな。変り者もそうやけど。
 エヴァのパイロットっちうんは顔で選んどるんか?
 なんや、綾波も惣流も綺麗な顔しとるからな。中身はともかく」
「あぁ…確かにね」
うん、中身はともかく。
「お前も根性悪やけど顔は綺麗やからな」
「へ?」
思わず、素っ頓狂な声をあげてしまう。トウジは、今何を言った?
「お前なぁ…。女やったらそこで礼言うか、照れるかしろや」
「私がそんなことしたって気持ち悪いだけじゃない」
私が綺麗?何を言ってるんだろう。
綺麗って言うのは、綾波やアスカや委員長やミサトさんの事を言うのだ。
私以外の女の人のことを言うのだ。
私なんてちっとも綺麗なんかじゃない。
だからトウジは何を言ってるのかわからない。
「お前ちっとは客観的に物事見たほうがええで。そのうちエライ目にあってまうわ」
やれやれ、と言った感じでトウジが肩を竦める。
その仕草が何ともからかわれたような、子供扱いされたような感じがする。
アスカといいトウジといい、何だって人を子ども扱いするのだろう。
このまま黙っているのも何なので、意趣返しをすることにした。
「良かったね。じゃあ、トウジは一生パイロットに選ばれることなんてないよ。
 変わり者っていうのは当たってるけどね」
170621の続きで:2006/09/07(木) 00:03:38 ID:???
一瞬ポカンとしたトウジが私を見る。数秒のち、やっと言葉を認識したようだった。
「何やとコラァ!!シンジ!もう一辺言ってみぃ!」
「わぁ!うそ!うそだってば!」
案の定怒りだしたトウジが私の頭を抱えて、拳骨をぐりぐりした。
痛いっ!痛いって!
笑いながら、言った。今度は本当のことを。
「嘘だよ。トウジは格好いいよ。本当にそう思うよ」
「ななななな!何言うとんねん!と、当然や!!」
トウジの夕日に照らされた赤い顔がもっと赤くなった。
…おもしろい。
青い空の下で笑う、無邪気な少年。
きっと彼はこのまま大人になって、優しい綺麗な女の人と結婚して、
子供をいっぱい作って。愛して、愛される人生を送るのだろう。
私が、ずっと欲しかった家庭を彼は作るのだろう。
「どうしたの?」
トウジは口の中でもごもご言葉を繰り返していて、よく聞こえなかった。

目の前には赤い夕日。
どこまでも伸びる影。
子供のときのあの頃とどこか似た光景。
でも、全然違う光景。
私もこんな日々が過ごせるなんて、思いもよらなかった。
早足になったトウジのあとを追いながら、私はまた笑った。
171621の続きで:2006/09/07(木) 00:04:33 ID:???

「松代での参号機の起動実験。パイロットは四人目を使うわよ」
「四人目?フォースチルドレンが見つかったの?」
リツコに呼び出され、研究室に訪れたミサトは思いもかけない言葉を聞いた。
「マルドゥック機関からの報告は受けて無いわよ」
「昨日報告を受けたのよ。正式な書類は明日届くわ」
コーヒーの香りとキーボードを叩くカタカタという音が部屋に広がる。
ミサトは淡々と告げるリツコの姿に眉をひそめた。
「リツコ、私に何か隠し事してない?」
「別に…」
「ふぅん…。まぁ、いいわ」
こんな時期に都合よく四人目が見つかるなんて…。
疑問はまだ残るが、それは頭の隅に追いやった。
彼女を問い質したところで大した情報は得られないだろう。
ならば、なりふりはかまってられない。
しかし、その前に確認はしておかなくては。
「で、その選ばれた子って?」
リツコが手馴れた動作でキーを叩く。そこに記された真実に言葉を失った。
「…よりにもよって、この子なの?」
液晶モニターは鈍く光を放ち、ただ一人の子供のデーターを映し出していた。


【TOUJI・SUZUHARA】

172名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 00:37:33 ID:???
死亡フラグktkr
173名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 00:41:33 ID:???
ウワァァァァァァン
174名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 00:48:17 ID:???
トウジー死ぬなー(つД`)
175名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 01:03:24 ID:???
サヨナラ、トウジ…
176名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 01:17:45 ID:???
片足がなくなってもいいから助かってほしいが
…無理だなorz
177名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 01:24:07 ID:???
やばい、展開を知ってるからさらに切ない…
178名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 01:36:48 ID:???
初恋は実らないんだなぁ
179名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 07:06:05 ID:???
この先の展開知ってると>>170がすげえ哀しいな
知らないと単にラブに発展する布石としか取らないんだが
180621の続きで:2006/09/07(木) 22:02:24 ID:???
夕飯のおかずはもう作り終えた。
あとは、ご飯が炊けるのを待つだけだ。炊飯器から白い蒸気が立ち上る。
もうすることはないので、テレビのスイッチを付けた。
今日はミサトさんが仕事でいないから、加持さんが来てくれることになっている。
今日はエビチリに棒々鶏。コンセプトは中華。
ご飯、足りるかな?まだ時間あるからついでにスープも作っちゃおうかな…。
そんなことを思いながらテレビを見ていると、同居人の少女の悲鳴が響いた。
「あっつうぅぅぅぅぅい!!何よあのお風呂の温度!火傷しちゃうわ!」
見ると、バスタオル一枚のアスカがバスルームから駆け出してきた。
人のことはとやかく言うくせに、自分はそんな格好で…。
「ご、ごめん。でもそんなに熱くなかったと思うよ」
「熱いものは熱いのよ!何度で設定したの?」
「41℃」
「めちゃめちゃ熱いじゃない!!」
そんなことない。日本人ならお風呂の温度は41℃だ。
あ、そうかアスカはクォーターで、今まで外国で暮らしてたんだっけ。
「水で薄めれば?」
「今そうしているのよ。まったくもう」
アスカは、バスタオル一枚の格好はそのままで
お湯が冷めるまで私と一緒にテレビを見ることにしたらしい。
「こんなババ臭い番組のどこが面白いわけ?もっとマシなのにしなさいよ」
そう言って、アスカはチャンネルを変えた。
テレビからは、アイドルが歌う歌謡曲が流れている。
特別見たい番組があったわけでもないので、私は台所に戻った。
「なに?なに作ってるのよ?」
「スープだよ。アスカも手伝ってよ」
「何すればいいの?」
くつくつと煮える鍋に興味を持ったのか、アスカが覗き込んできた。
そうだ。ここで料理の一つや二つ覚えてもらえば、私も楽になるかも。
ミサトさんは、家事とか料理とかそういう問題ではないから…。
いつか作ってもらったカレーは凄かったな。
普通はカレーって誰が作っても、大体食べられるレベルになるんだけど。
181621の続きで:2006/09/07(木) 22:04:56 ID:???
「じゃあ、おたまで灰汁すくって」
「『あく』って何よ?出汁と違うの?」
「……やっぱり味見だけでいい」
「えぇ?何で?」
いきなりやらせようって言うのが間違っていたのかもしれない…。
そんなやりとりをしながら、チラチラとアスカを横目で見る。
綺麗な顔をしていると思う。それに、女の子らしい体つきで…。
「なによ?なに見てるのよ?」
視線に気付いたアスカが不思議そうに私を見つめた。
「あ、アスカは胸が大きくていいなぁって…。どうしたらそんな風になれるの?」
「そうねぇ…」
アスカは興味ありげに隣の私をじろじろ眺めると、またしてもとんでもない行動にでた。
「ぎゃぁ!!」
「うわっ!胸って言うより、骨って感触が…」
「ひ、ひどい…!」
アスカは私の胸を後ろから鷲掴みにしたのだ。そしてこの感想…。
まぁ、もともと掴むほどないから…ってそういうことじゃなくて。
彼女は掌に残った感触を思い出しているようだった。
何か凄い失礼だと思うんだけど…。
「あんたは細すぎなのよ。そうね、そこだけ暖めれば大きくなるんじゃない?
 物は暖めると大きくなるのよ。熱膨張の原理ね。お風呂で揉めば?」
「熱膨張って、人体にも応用できるの?」
「やってみなきゃわからないじゃない。あんた、その大きさじゃ
 胸囲で言ったら相田や鈴原の方があるわよ」
「…………」
「………悪かったわよ。そんなに落ち込むことないじゃない」
薄々感じていたが、はっきり言われると…。
いい。どうせアスカの言うとおりだ。うじうじと床に「の」の字を書いた。
でも一応今日お風呂に入ったらやってみようかな…。
しかし、アスカの格好にも困ったものだ。バスタオル一枚でうろついて。
同じ女同士だけど、こっちまで恥ずかしくなる。…まぁ、私が言えた義理じゃないんだけど。
182621の続きで:2006/09/07(木) 22:06:13 ID:???
「アスカ、もうすぐ加持さんがくるんだから…」
「何言ってるのよ!加持さんが来るからこそ、清潔にしたいじゃない?
 あーん、あんたがいなかったら加持さんと熱い夜を過ごせたかもしれないのにぃ」
そうじゃなくて、その格好…。まぁ、いいか。まだ時間あるし。
熱い夜…ねぇ。そうだ、アスカは加持さんが好きなんだっけ。
この間帰りに水族館に行ったことがばれたらまた何か言われるかな…。
子供の憧れとは違う意味で、アスカは加持さんが好きなのだろう。
だから、きっと昼間のあの質問はありえない。
「ねぇ、アスカ」
「なによ」
それでも一応確認しておこう。
「トウジのこと好き?」
「はぁぁ!?何であたしがあんなゾウリムシのことなんて
 好きにならなきゃいけないのよ!気色悪い!」
「ゾウリムシ…」
確かこの間はサルだった気がする。
霊長類からいきなり微生物に格下げらしい。物凄い退化の道を辿っている。
「決まってるでしょ。鈴原がゾウリムシで相田がミトコンドリア。
 あんたはそうね、ハムスターかしら?」
私は、げっ歯類とはいえ最初から哺乳類らしい。別に嬉しくはないが。
まぁ、それは置いといて。とにかくありえないってことだ。
アスカは好きな人には優しくして、ちゃんと好きと伝えるタイプだ。
トウジに聞いてもきっと似たような反応だろう。
良かった。よくわからないけど、何だかホッとした。
でもどうしてこんなに安心したのかな?
そうだ。きっと私の常識は正しかったと再認識したからだろう。
「でも何でそんなこと聞くのよ」
「別に…」
つらつらとそんな事を考えていると、アスカが仕返しのように言い出した。
口の端を少し吊り上げて、意地悪っぽく笑う。
183621の続きで:2006/09/07(木) 22:07:17 ID:???
「あんたが好きだのなんだの、そういうこと聞いてくるなんて
 以外と女らしいとこあったのね〜。どういう風の垂れ流し?」
「なんだよそれ…」
「早く例のあんた好みの男が現れるといいわねぇ」
アスカがからかうように笑った。
私の好みって…。アレか…。
もう!また私を馬鹿にしている!
以前、考えていたことを思い出す。

『私が男の子だったら、アスカみたいな女の子を好きになってたのかな』

前言撤回。これこそ、ありえない。
我ながら馬鹿な考えをしたものだ。
自嘲気味に冷ややかな眼差しになってしまった。
「ちょっと!何なのよ!なに人の顔見て笑ってるのよ!」
「べっつにぃ〜。ちなみにアスカ。『風の垂れ流し』じゃなくて
 それを言うなら『風の吹き回し』だよ?」
「…ッ…うるっさいわね!あんたって奴は人の揚げ足ばっか取って!」

また怒り始めたアスカを笑って宥める。
もうすぐ、加持さんが来て三人でご飯を食べる。
明日の朝はミサトさんもきっと帰って来る。
学校では、皆と勉強をする。
委員長やトウジやケンスケ達と遊ぶ。

私はそんな楽しい日常がずっと続くとは思っていない。
でも、それが壊れる日がくるのはまだまだ先のことだと思っていた。
184名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 22:19:26 ID:???
乙!!
可愛いなぁこのふたり…
加持さんうらやましいなぁ…
185名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 22:20:53 ID:???
シンジきゅんをハムスターにたとえるということは
つまりシンジきゅんは小動物系で可愛いという解釈で(ry
186名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 22:29:26 ID:???
完璧に死亡フラグたったな…
187名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/07(木) 22:35:38 ID:???
トウジ「碇…この戦争が終わったら俺たち結婚しよう」
188621の続きで:2006/09/08(金) 23:30:50 ID:???
「センセ!頼む!数学の宿題見せてんか!?」

トウジが手を擦り合わせて私を拝んでいる。
いつもの朝の風物詩。そんな風物詩、はっきり言っていらないんだけど。
「…また?最近私の宿題あてにしてない?」
「ええやん。一生のお願いや!」
その台詞もとうの昔に常套句になっている。
トウジの一生って何回あるんだろう…。
輪廻について思いを馳せながら、ノートを手渡すと
彼は素早く自分のノートに写し取っていた。
「たまに間違った答えも書いとかんとな。ワシはお前みたいに
 頭の出来がようないし」
そういう事には頭の回転が速い。
その発想を他の事に使えば宿題なんて自分でできるだろうに。
半ば呆れながら、トウジを見てると視線を感じた。
ふと顔を上げると、前の席から委員長が振り返って私を見ていた。
私を。違う、彼女が見ているのは…。
それに気付いてもう一度彼女を見ると、薄っすらと頬を染めて
視線を戻してしまった。こないだのことと言い、委員長は何か変だ。
「ねぇ」
「ん〜?」
黙々と宿題を写す目の前のジャージの少年に声をかけた。
「たまには他の人に見せてもらったら?たとえば委員長とか」
「アホか!あんな堅物ドケチが見せてくれるわけないやろが!」
トウジは気付いているのかいないのか、わざわざ委員長を指をさして言った。
ああ、またそんなこと言って…。
「何ですってぇ!誰が堅物ドケチよ!!」
「誰もお前のことゆうてないやんか!」
「しっかり指さして言ってたじゃない!宿題くらい自分でしなさいよ!」
189621の続きで:2006/09/08(金) 23:31:44 ID:???
案の定、戦争勃発。
これまたいつもの風物詩。お決まりのケンカが始まった。
でも、良かった。いつもの二人だ。
昨日委員長が少し変だったので、何かあったのかなって思ったのだけど
この様子なら安心できそうだ。
でも…。
「なんでお前はいっつもワシを怒るんや!」
「あんたがいつも怒られるようなことするからでしょ!」
「………」
私を無視してケンカはまだ続いている。
よく飽きないと思う。仲良いなぁ。
なんか、一生やってなさいって感じ…?
その時、校内放送が入った。
二人のケンカが一瞬にしてピタリと止んだ。

『…2年A組の鈴原トウジ。至急校長室まで来なさい』

「トウジ、呼んでるよ」
「あぁ?なんねんな、一体」
「あなた何かやったの?」
委員長が怪訝そうに聞いた。
「アホ。心当たり無いわ。まぁ、何や知らんけど。とりあえず行ってくるわ」
そう言ってトウジは校長室に向かった。
その背中を、委員長が心配そうに眺めていた。
「何かあったのかな?校長室だなんて」
近くにいたアスカに声をかけると、私の質問は無視して彼女は立ち上がった。
「あーあ、見てられないわね。行くわよ!シンジ!」
「へ?あ、あの。アスカ?」
疑問符だらけの私を引きずって、アスカは委員長の肩を叩いた。
190621の続きで:2006/09/08(金) 23:32:44 ID:???
「まったくもう〜、駄目じゃん。そんなんじゃいつまで経っても進展なしよ!」
開かれた屋上は空が近い。青い空にはいくつかの雲。
風が気持ちいい。きっとこういう状況じゃなきゃそう思えただろうに。
アスカがなんで委員長をここに呼び出したのかわからない。
何故私が引っ張り出されるのかはもっとわからない。
そんな私は関係無しに話は進んでいるようだった。
「水臭いんだから!何でもっと早くあたしに相談しないのよ」
「なんのこと?私にはさっぱり…」
「もう!とぼけるのもいい加減にしなさいよ!ヒカリの態度を見てたら
 誰だってわかるわよ!」
いや、わからない人がここに一名いるんですけど。
でも、ここで口を出すとせっかくの話の腰を折ってしまいそうで黙っていた。
委員長は伏せ目がちに言いにくそうに切り出した。
「いいのよ。私は別に、このままでも…」
「駄目よ!そんなの!」
びっくりした。
アスカは普段声を荒げることはよくあるけど
普段のそれとはまったく違っていた。
アスカは真面目な顔をすると、精一杯の言葉を紡いだ。
それはまるで、委員長だけじゃなく自分自身にも言い聞かせてるみたいだった。
「今のこの時代のことを考えて御覧なさいよ。あたし達、今はこうして
 のほほんとしてるけど、明日はどうなるかわからないのよ」
いつまたあの敵が攻めてくるのかわからないそんな毎日。
だからこそ、悔いが残らないようにと彼女は言う。
「伝えたい気持があるなら、ちゃんと伝えないと」
そして、アスカは悪戯っぽく片目を瞑った。
そのまっすぐな言葉は私の心に強く残った。
そして、それはきっと委員長にも。
「そう…よね…」
委員長は、そう小さく呟いた。
その呟きは本当に小さなものだったけど、しっかりとした決意に満ちていた。
191621の続きで:2006/09/08(金) 23:34:00 ID:???
ようやく話の本題に入れそうだ。
その前に、一つ聞いておかなければならないことがある。
「あの、アスカさん。一ついいですか?」
「はい、シンジさん。手早くね」
「あの…結局なんの話をしているの?」
私の言葉に、アスカの顔が一瞬歪んだ。
信じられないものを見るような眼差しのあと、呆れた声で言った。
「あんたバカぁ!?本当ッ鈍いわね!ヒカリはね、鈴原のことが好きなのよ!!」
「へぇ、そうだったんだぁ。…………って、えぇぇえぇえぇえ!?」
近くなった空に私の奇声が響いた。
だって、二人はいつもケンカばっかりしてるし。
そんな風には全然…。
「ふぅ…。お子様のあんたに恋心を理解させるってことが土台無理な話だったわ…」
「お、お子様!?だって…!」
「鈍いにも程があるわね…。恋をすると人は気を引くために色んな行動を取るの!
 それが女心よ!気付いてないのはあんたと鈴原本人くらいよ」
アスカがうんざりしたようにため息を付いた。
また馬鹿にされたような気がしたけど今はそんなのどうでも良かった。
やっと気付く。そうか、委員長が何かにつけてトウジに注意したり
話しかけていたのは、好きだったからなんだ。
そう考えると合点が付く。
でも、好きな人に冷たくしちゃうのも女心か…。
ミサトさんも加持さんに冷たいし。
じゃあ、私は好きな人が出来たら、どうなるんだろう。
私はずっと思ってた。
私を一人にしないで傍に居てくれる人。
優しく抱きしめてくれる暖かい太陽みたいな人。
そんな人がいるのかどうかはわからないけど。
そんな人がいたとしても、私を好きにはなってくれないだろうけど。
思考が違う方向に行きそうになるのを止めた。
192621の続きで:2006/09/08(金) 23:35:00 ID:???
「じゃあ、前保健室で色々聞いてきたのは…」
「あ、あの、碇さん。そのことなんだけどね…」
委員長が組んだ手を胸に添えながら私の前に来た。
その姿はまるで祈りの姿のようだった。
そして、あの日の保健室で見たときのような赤い顔で私に言った。
「碇さんって…。鈴原と、付き合ってるの?」
「違うよ」
「即答ね。シンジ」
脳内で言葉を認識すると同時に答えを出した。
だって、違うものは違うんだもん。
それでも、しばらく押し問答は続いた。
「でも…」
「うん?だって、違うし。ありえないし」
「本当?」
「こんなので嘘吐かないよ」
だってトウジは友達だ。
一緒にいて楽しいし、話していると面白いし。
それにトウジには私なんかふさわしくない。
彼は私なんか好きにならないだろう。
彼には幸せになって欲しい。
だってトウジは私が夢見た、ずっとなりたかった理想の男の子だから。
綺麗で、優しい人と一緒になるんだ。
優しい彼は、同じ優しくて綺麗な人を愛して、愛されて。
私が幼い頃夢見た温かい家庭を作る人だ。作れる人なんだ。
そうだ、委員長みたいな可愛くて優しい女の子と。
そんな想像を思い描き、うんうんと一人で頷いた。
「じゃあ、話は早いわ。シンジ!」
アスカは私に向き直ると指をさして言った。
「あんた鈴原と仲良いんだからわかるでしょ?」
「何が?」
「どうしたらあの熱血ジャージとヒカリがラブラブになれるかよ!」
なるほど。だから私が呼ばれたのか…。でも。
193621の続きで:2006/09/08(金) 23:35:51 ID:???
「そんなのわかんないよ…」
「あんた達、大体いつも一緒につるんでるんだから
 あいつの好きなものとか、何でもいいから心当たりあるでしょ?」
そんなこと言われたって…。
さっきまで、鈍いだのお子様だの言われて実際そうだった私が
どう考えたらクラスメイト達の恋のキューピッド役ができるのだろう。
それでも、何か言わなきゃ罵倒されそうだし…。
何か言わなきゃ。何か…。
トウジは何が好きだったけ?
いつもどんなことをしてたっけ…?
「……あ、そうだ」
「何か浮かんだ?言いなさいよ」
「えーっと、お弁当とかどうかな?あいつ、いっつも購買のパンばっかだし
 委員長、料理上手だから手作り弁当とか作ってあげたら…?」
トウジが、以前私のお弁当を美味しそうに食べていたのを思い出した。
トウジも母親がいないし、他の大人は忙しいので誰もお弁当を作ってくれる人が
いないらしい。だからきっと、喜ぶと思うんだけど…。
「ど、どうかな?」
「………」
そう提案すると、アスカは腕を組んで考え事をし始めた。
青い瞳が私を見つめる。
………また罵倒?
審判を待っているとアスカは言った。
「それ採用!あんたにしては上出来!単純かつ古典的だけど
 あのバカには効き目ありそう!」

…良かった。しかも何か褒められた。

194621の続きで:2006/09/08(金) 23:38:31 ID:???
そうかぁ、委員長はトウジのことが好きだったんだな…。
薄っすら頬を染めた彼女を見つめて考えた。

「鈴原、食べてくれるかな?」
「そんなの当たり前じゃない!ね、シンジ」
「え!?う、うん」

 ………あれ?

「どうしたの?」
「な、なんでもないよ。きっと、喜ぶよ」

 あれ…?何だっけ?

今、なんとなく胸がもやもやしたような?
喉元まで疑問が出かかったような気がしたけど…。

 えーっと…。


 何だ?


「じゃあ、明日さっそく作ってこようかな」

でも、それはほんの一瞬だった。
委員長が本当に嬉しそうに笑ったから。
その笑顔を見たら、その時覚えた違和感は全部消し飛んでしまったので
私はそれをもう二度と思い出すことはなかった。
195名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 23:50:25 ID:???
GJ!
嗚呼、トウジ・・・・でも、好きな人?に殺されれば幸せかな。
196名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 23:52:28 ID:???
GJ!!
し、シンジきゅん…!!
それはもしかして、嫉妬というやつでは…!?
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 00:41:45 ID:???
モツカレー
198名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 05:58:27 ID:???
>「あの、アスカさん。一ついいですか?」
>「はい、シンジさん。手早くね」

なんかいいね
199名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 09:26:48 ID:???
シンジきゅん、トウジが好きなんて。裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったなw
200名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 10:53:40 ID:???
ぬるぽ
201名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 11:04:57 ID:???
イインチョをもっと活用せんと
202名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 19:19:17 ID:???
シンジが女だとアスカもこんなに素直なのか
203名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 19:39:45 ID:???
女にあのままだったら、凄いことになるだろうが
でも仲良し風なだけあって後半欝展開がなぁ…
204名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 19:58:30 ID:???
初期はとんでもないDQNだった
205621の続きで:2006/09/09(土) 22:23:20 ID:???
「鈴原、どうしたのかな?」
「結局あれから教室に戻ってこなかったもんね」
「何かよっぽど悪いことでもしたのかしら…」

帰り道、委員長とケンスケと歩く。
高く高く澄み切った青空に蝉の声が響く。
太陽の光を受けたビルは、反射して白く輝いて見えた。
アスファルトからの照り返しが暑い。
いつもの帰り道。
でも、いつもとは少し違う。
彼がいないから。
トウジはあの校内放送で呼び出されたあと、結局戻ってはこなかった。

「でも、トウジはそんな悪いことするような奴じゃないよ
 きっと、ただのサボリじゃないかな?」
心配そうな委員長を安心させるために言った。
トウジは確かに短気なところがあるけれど、
無意味に誰かを何かを傷つけるような性格ではない。
「……碇さんって、本当に鈴原と仲が良いのね」
「…え?だって、友達だし」
「うふふ…。じゃあ、碇さん。私、こっちの道だから」
そう言って彼女とは途中で別れた。
返り際、小さく手を振りながら委員長は微笑んだ。
少女らしい優しい笑顔だった。

その細い背中が小さくなるのを見届けていると
会話が終わるのを待っていたのか、ケンスケが
眼鏡の位置を直しながら伏せ目がちに言った。
「ところでさ、ちょいと気になる情報を仕入れたんだけど」
「…なに?」
206621の続きで:2006/09/09(土) 22:26:07 ID:???
彼は、以前も聞いたけどエヴァのパイロットに憧れている。
そのせいで、父親のパソコンから私達ネルフ関係者しか知らないような
情報を仕入れては、私に問いただすのだ。
今日もまた、新しい機器が入っただの前回の使徒殲滅についてだのの質問だろう。
そう高をくくっていると、彼は言った。予想もしなかったことを。
「エヴァ参号機。アメリカで建造中だったんだろ?」
「参号機?そんなの聞いたこと無いよ」
「松代の第二実験場で起動実験やるって噂だよ。ホントに知らないの?」
ネルフ本部に現在存在するエヴァンゲリオンは、
綾波の零号機、私の初号機、アスカの弐号機だけだ。
それ以外は存在しないし、他にあるだなんて聞いたことが無い。
「…うん」
知らない。そんなこと私は知らない。
発表が遅れているのか。
だから私達にはまだ知らされていないのか。
でも、幾ら考えたって私には知る術がない。
そう考えてると、ケンスケがいきなり私の肩を掴んだ。
「隠さなきゃいけない事情もわかるけど教えてくれよ!パイロットはまだ決まってないんだろ!?」
「そ、そんなこと言われても」
「あ〜、ミサトさん俺にやらせてくれないかな?な、お前からも頼んでくれよ!」
一通り肩を揺さぶったあと、またしてもいきなりその手を離し
今度は指を絡め天に祈るようなポーズを取った。忙しいな…。
そうだ、参号機があるってことは新しくパイロットが増えるってことだ。
だからこの慌てよう…。ケンスケも好きだなぁ。
でも、いくら私がネルフ関係者だからって
パイロットの選抜に私が口を出せるはずは無い。
たとえ本当に参号機がこちらに移送中だったとしても。
「ちぇ!でも千載一遇のチャンスなんだよなぁ〜」
乱れたブラウスを直しながら告げると
ケンスケは、しょんぼりと肩をすくませて悔しそうにしていた。
そして、次の瞬間に呟かれた言葉は私を酷く混乱させた。
207621の続きで:2006/09/09(土) 22:27:17 ID:???
「アメリカで建造された四号機は欠番になったって言うし」
「…なにそれ?」
「ほんとにそれも知らないの?」
きょとんとした顔でケンスケを見つめると、彼もまた不思議そうな顔をした。
「第二支部ごと吹き飛んだって、パパのところでは大騒ぎだったんだぜ」
ミサトさんからは何も聞かされていない…。
私だけじゃない、きっとアスカも。
最近ミサトさんは帰りが遅い。
もしかして、ケンスケの言うとおりだから?
だったら、どうして…。
「あ…。やっぱ末端のパイロットには直接関係の無い事だからな。
 言わないって事は知らなくてもいいってことなんだろ」
知らずに無口になった私を気遣ってかケンスケが言う。
そうだ。きっとそういうことなんだろうけど。
でも。
「ごめんな。変なこと聞いて。じゃ、明日な」
彼もまた、家路に着くため途中で別れた。
やっぱり私はその背中を見送ることしかできなかった。

空が青い。
高く澄み切った空。
蝉が鳴いている。
少し翳った日差しは先ほどより和らいでいた。
もう誰もいない。
一人で立ち尽くす。
見上げてみると、頭上には太陽と白い雲。
日の光は変わらず惜しみなく降り注ぐ。
いつもと変わらない町並み。
小さく一歩を踏み出した。
眩しいくらい輝く空の下、私の心は晴れなかった。
208621の続きで:2006/09/09(土) 22:28:18 ID:???
なんだろう、なんだか。
嫌な予感がする。
ここに来て、私の世界は変わった。
一人ぼっちだった私の世界には少しずつ他人が増えた。
灰色だった私の世界には少しずつ色が着いてきた。
私は、変われるのかもしれない。
だけど、それがまだ私には信じられない。
私が思うとおり、世界はきっと変わったのだろう。
でも、元居た私の世界が色づき始めたように
ここに来て変化した世界もまた、いずれ変わってしまうのだとしたら?
他者の手によって、簡単に壊れてしまうような脆弱な世界だとしたら?
真実はいつも遠すぎて掴み所がなく、私の手には届かない。
私の知らない所で、私には止められないほど強い大きな力で世界は動いてる。
真実を知って、どうしようっていうんだ?
真実を手に入れて、どうなるっていうんだ?
それに手が届いたとき、私は…どうするんだろう?
胸のざわざわが収まらない。
こんなことはただの考えすぎだと思いたい。
ケンスケが言っていた、エヴァンゲリオン参号機の起動実験。
だったら、もう一人パイロットが増えると言うことだ。
一体誰がまた、この戦いに巻き込まれるんだろう?
私も今まで、死にかけたり、散々な目に合って来た。
自分が傷つくのは怖い。
でも今は、自分が傷つくよりももっと怖いことは…。

209621の続きで:2006/09/09(土) 22:29:26 ID:???

気が付けば、ずっと足元ばかりを見て歩いてる。
失くした物がそこに落ちてることを信じているみたいに。
太陽が傾きかけ、影はさっきより伸びている。
その向こうにあるものが知りたくて、私は顔を上げた。


「………トウジ?」

「シンジ…」


影の向こうに居たのは、見知った一人の少年だった。
同じ年頃の男の子達と比べ、幾分発達した体格。
日に焼けた健康そうな褐色の肌。
短く切り揃えられた張りのある黒髪。
いつもと変わらない彼。
でも、その瞳はいつもの挑みかかるような強い視線ではなく
どこか淋しげな色をしていた。

「どうしたの?こんなところで…。トウジの家、こっちじゃないのに」
「ちょっと、買い物」

そう言って、トウジは今まで寄り掛かっていた柵から立ち上がった。
彼の家はこの道とは逆方向のはずなのに…。
でも、それじゃあまるで。

まるで…私がこの道を通るのを待っていたみたいだ。
210621の続きで:2006/09/09(土) 22:31:06 ID:???
そんなはずは、ないだろうに。自嘲気味に笑った。
「あれから、教室戻ってこないから、皆心配してたんだよ」
「あぁ、別に大したことじゃあらへんかった」
手持ち無沙汰に鞄を弄りながら、こちらは見ずに彼は独り言のように呟く。
いつも、人と話すときは相手の目を見て話すトウジなのにそのときは違っていた。
「けど、ちょっとと教室戻るんがかったるかったんでな」
彼は視線を合わせない。私を見ない。
虚ろに何処か遠くを見ている。
誰かに似ていた。
誰に?
そうだ、昔の私だ。
灰色の世界に一人ぼっちだったあの頃の私。
「トウジ…?」
小さく彼の名を呼んだ。
少し傾いた太陽に照らされた横顔は私の知らない男の子のようで、少し恐かった。
私の呼ぶ声にトウジは一度だけ瞳を伏せ、そしてゆっくりと開いた。
黒い瞳に私が映る。

「なぁ、シンジ」

そのとき私は初めてトウジの顔を見た気がした。トウジは私の目を見て言う。

「今日、これからうち来いへんか?」

「……え?」

いつもの、挑みかかるような強い瞳。けれど、どこか淋しそうな眼差し。

「ホンマはお前のこと待っとったんや。…聞きたいことあんねん」
211名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/09(土) 23:01:13 ID:???
乙です。

>そのとき私は初めてトウジの顔を見た気がした。
このFF通して一番はっとした表現ですね。
212名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/10(日) 00:31:34 ID:???
だんだん上手くなってるよな


毎日の楽しみだが、胸が締め付けられるわけです
213名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/10(日) 11:30:31 ID:???
GJ!!
214621の続きで:2006/09/10(日) 21:58:51 ID:???
「ねぇ、何か手伝おうか?」
「ええからお前はじっとしとき。
 ワシ、料理中に手ぇ出されるんが嫌なタチやねん」
「あー、でもほら。人参でかっ!!」
「やかましいわ!お前はワシのおかんか!」

あの後、とりとめない会話をしながらトウジの家に向かった。
家路に着くまでの彼との会話はどこかぎこちなかった。
それでも、いずれいつもの調子を取り戻していた。
夕飯のカレーを作るトウジの手つきを覗き込む。
先程感じたぎこちなさはもう消えていた。
「ええからお前は座っとけ」
危なっかしい手つきに、つい口を出してしまう。
渋々テーブルに着き、辺りを見渡す。
トウジとケンスケと一緒に帰ったり遊んだりすることはよくあるけど、
こうして男の子の家に上がるなんて、そういえば、初めてだ。
今更気付いた。何か変な感じだ。
台所に立つ彼の背中を見つめる。いつもと変わらない、はずなのに。
その背中は、私からわざと目を逸らそうとしているみたいだった。
215621の続きで:2006/09/10(日) 22:00:11 ID:???
「どや、いけたやろ?ワシのオリジナルカレー」
「…うん」

出されたカレーはとても美味しかった。
そのことを言うと、トウジは嬉しそうに笑った。
だけど…
「ねぇ、聞きたかったことって…。カレーの感想?」
後片付けをしていたトウジは、振り向いて一瞬こちらを見た。
ああ、まただ。
縋るような淋しげな目。
「何やったかな。忘れてもうた」
その視線もすぐ遮られた。背を向けて彼は言う。
聞きそびれたのか、はぐらかされたのか…。
トウジが何を聞きたかったのか、私にはわからない。
言われなければ、私にはわからない。
言いたくないのか、言えないのか、それさえも。

「後片付け、私も手伝うよ」

だから、聞かなかった。
216621の続きで:2006/09/10(日) 22:01:42 ID:???
沈黙は嫌いではない。
元々、お喋りな性質ではないから。
ここに来て、話をしなくても間が持つ存在が増えたから。
お皿を洗う水音と、食器が擦れ合う音が響く。
「なぁ…」
「…なに?」
おもむろにトウジが口を開く。
「そういえば、腕の傷。大丈夫なんか?」
傷…?
そうだ、前に掃除中に委員長とトウジにぶつかったとき
掃除用具が落ちてきてできた傷。
大げさに血が出た割には、擦り傷程度だったので
もうすっかりよくなっていた。
「平気だよ。かすり傷だったし」
「そうか」
トウジはぼんやりと返事を返す。
お皿を拭きながら、トウジの顔を見ようとした。
そのとき、彼は小さく呟いた。
「ワシはお前を傷つけてばっかやなぁ…」
その声はとても小さなものだったので、危うく聞き逃すところだった。
今日のトウジはどこかおかしい。
「…トウジ?」
今度こそ聞こうと、口を開くと後ろから声をかけられた。
トウジのお祖父さんだ。新聞からは目を話さずに言う。
「あんた、うちの人が心配しとるんとちゃうの…?
 女の子が連絡も無しにこんな遅うまで追ったらあかんよ」
「あ、これ洗ったらちゃんと帰りますから」
それから私達は一言も喋らなかった。
217621の続きで:2006/09/10(日) 22:03:15 ID:???
「じゃあ、ご馳走様。もう帰らないとミサトさんうるさいから」
「ああ、遅うまで引き止めて悪かったな」
外は確かに暗くなっていた。
空はオレンジ色の光と紺色の闇のグラデーションになっている。
もうすぐ日が沈んでしまう。
「また明日。学校でね」
「あ、ああ」
そうしてマンションを出た。トウジは私の背中を見送っていた。
同じ様なドアが並ぶ廊下を歩き出す。
数歩歩いたところで、私の足は止まった。
止まらずを得なかった。
「シンジ!」
肩に置かれた大きな手。
後ろを振り向くと、そこには信じられない暗い目をした彼が居た。
「トウジ…。どうしたの?」
肩に置かれた手はそのままに、虚ろに私を見つめる。
縋るようなその目。
帰るところがわからない迷子の小さな子供のような。
「シンジ…お前、何であれに乗るんや?」
「……トウジ?」
「初めて、エヴァンゲリオンに乗ったとき…どないやった?」
「……トウジ?」
「怖かったか?痛かったか?せやったら、何でアレに乗るんや…?」
唐突な問いかけに、言葉を失くす。
それでも彼は虚ろな目のまま言葉を続ける。
トウジに向き直り、彼の顔を見た。
愕然とした。
どうしようもない程の影が、彼を覆っていた。
夕闇が迫る。
太陽はもうすぐ沈んでしまう。
「なんでそんなこと…」
「ええから答えてくれ!!」
218621の続きで:2006/09/10(日) 22:04:07 ID:???
トウジは叫んだ。知らない人みたいだった。
その声に、一瞬怖くなって逃げ出したくなったが思い留まる。
トウジは深い深い闇に沈んでいくように見えた。
断罪を待つ罪人みたいな。
でも目の前にいるのは知らない人間じゃない。
罪人でも人殺しでもない。
私の知っている彼だ。
「どうしてそんなこと聞くの?」
こんなこときっとうまく言えない。わからない。
自分のことなのにうまく説明できない。
トウジは、初めて会ったときに私を殴ってしまったことを未だに引きずっているのか
傷ついた妹のことを思い出すのか、あまり深くネルフの話はしない。
それなのに、今更…。

陽が、傾く。

陽が。

やがて最後の陽の光も途絶えたとき、トウジは口を開いた。

「ワシ、今日…。ネルフの人来て―――。パイロットになれ、言われたんや」

彼の言葉を、知覚するのに時間がかかった。
視界が歪む。
世界から他の音が消えたみたいに、トウジの声だけが耳に響いた。

オレンジ色だった雲は、いつのまにか燃える様な深い闇に染まっていた。
燃えさかる黒い炎の様だった。
219名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/10(日) 22:31:31 ID:???
キター!!!!
ああ、もうすぐか…
220名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 04:39:51 ID:rtaXCSWy
トウジー!!
死亡フラグがビンビンに立ったな…
221名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 18:42:19 ID:???
GJ・・・・・・・
222名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 20:49:39 ID:6zbFZiMB
age
223名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 22:25:36 ID:???
さようなら、さようなら。トウジ。
224621の続きで:2006/09/11(月) 23:06:33 ID:???
最後の陽の光も沈んでしまった。
血のように赤い夕日が闇に染まる。
雲は燃えさかるように影に色付く。
黒い炎みたいに。

「エヴァのパイロットやるんやったら、
 妹を本部の病院に転院させてくれる言うねん。
 そこやったら…今んとこよりずっといい治療受けられる言うし…」
聞こえるのは、二人の浅い呼吸音と自分の心臓の動悸。
そしてトウジの声だけ。切れ切れの呼吸の中、彼は言う。
「エヴァのパイロット言うたら、お前ら女だけやろ?
 せやったら、ワシにもできる筈やろ?…大したことなんてあらへん」
トウジの唇が小さくが歪む。それは理性か、なけなしの正気か。
暗い影はトウジから離れようとはしなかった。

「せやけど…ずっとそうやって言い聞かせとったんやけど…」

トウジはそう言って、私の前に一歩踏み出した。
私は動かなかった。動けなかった。

「こわい…」

彼はそう小さく呟くと、私の肩を掴んだ。
そのまま縋り着くように崩れ落ちる。
「見てみい…手ぇ、震えとる。…止まらへんのや」
225621の続きで:2006/09/11(月) 23:07:54 ID:???
そう呟くと、トウジは自分の掌を見つめた。
私とは違う骨張って無骨な大きな手。
何だって掴めそうな優しくて大きな手。
その手は小刻みに震えていた。
いつもの彼とは明らかに違っていた。
闇に怯える子供のようなその顔。
何とかして震えを止めたくて、
彼を闇から救ってあげたくて私は必死で言葉を紡ぐ。
声が掠れてしまうのが嫌だった。
「大丈夫…だよ…」
肩を掴むトウジの手を握り締めると、その手はまだ震えていた。
膝を着いて縋る彼と視線を合わせようと私も屈んだ。
「心配ないよ…。最初は怖いけど、すぐに慣れる。
 確かに戦うのは私達だけど、スタッフが全力でバックアップしてくれるし…」
握り締める手の力を強くする。
トウジは俯いたまま、顔を上げることはなかった。
「それに…エヴァの中は案外安全なんだ。トウジなら大丈夫。できるって。
 私が…。私がやってるくらいなんだから」
喉から零れ落ちる言葉は、やたら掠れて嘘臭く響いた。
アレに乗るのはきっと男も女も関係ない。
何回乗ったって恐怖は薄れることは無い。
死にかけたし、痛い思いも怖い思いもした。
そして、何より怖かったのは記憶を失くすような戦闘をしたときだ。
自分でも気付かないうちに、
誰かを何かを傷つけてしまっているのではないかと不安になる。
226621の続きで:2006/09/11(月) 23:09:16 ID:???
あぁ、こんなときどんな言葉を言えばいいんだろう?
いつだって、迷ってしまうのは私だったから。
いつも隣にいて、黙って手を差し伸べてくれたのは。
苦しいとき後ろに立って、そっと肩を押してくれたのは。
いつも他の人だったから。
こんな時、どうしたらいいのかわからない。
こんなこと言ったって気休めなのはわかってる。
わかってる。
それでも。
「大丈夫…大丈夫だよ…」
震えるトウジの体を抱き締める。
そしていつかの自分の様に、言い聞かせるように言葉を繰り返す。
今度は自分ではなく、彼に伝わるように。
トウジの体は酷く冷たく感じた。
顔を上げずに震える姿は、まるで泣いてる様だった。
暖めるように抱き締める腕に力を込める。
「すまん…」
「なに言ってるのさ」
「ワシ、お前の気持も知らんと…偉そうに殴ったりして」
「なに言ってるんだ」
懺悔のように呟く。
体は相変わらず冷たいままだ。
触れた体温から思いまで伝わればいいのに。
トウジが落ち着くように。
あの嫌な影が消えてしまうように。
ただ抱きしめた。
227621の続きで:2006/09/11(月) 23:10:37 ID:???

「すまんな…もうええわ」

どれくらいそうしていたのだろう。
すでに雲も空も真っ暗になっている。
トウジが少し恥ずかしそうに顔を上げた。
まだいつもの元気はなかったが、もうあの影は消えていた。
ホッとして息をつくとトウジは肩を掴む手はそのままに、
真っすぐな瞳で私に問い掛けた。
何かを決意したように。

「なぁ…シンジ、もしワシが上手くエヴァを動かせたら…」
「…え?」
「全部終ったら…、お前に言いたいことあんねん。聞いてくれるか?」
「…?うん、いいよ」
「………そうかぁ」

彼は笑った。
太陽みたいに。
それは、ほのぼのと暖かい柔らかな日差しの様な笑顔だった
だから吊られて私も笑った。
沈んでしまった太陽の代わりに、ぼんやりとした外灯が私達を照らしていた。
228名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 23:21:05 ID:???
GJ!

しかし、これはフラグか? フラグなのか?
229名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 23:23:45 ID:???
この光景を買い物帰りのヒカリが目撃していたら修羅場だな。
230名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 23:24:47 ID:6zbFZiMB
乙です!!トウジにはぜひ生きててほしいとこだが…('・ω・)
231名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 23:25:51 ID:???
生きてくれ!トウジ!
232名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 23:43:12 ID:???
>>229
まあ、はたから見ればなにこの厨房カップルって感じだからな。
しかしトウジいいキャラだったのに。
233名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/11(月) 23:55:31 ID:???
まぁ、あれだ…今までありがとな、トウジ…
234名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:08:08 ID:???
うあぁぁ…
あかん…悲恋やあぁぁ…
235名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:11:36 ID:???
>>230
死ぬと分かってるからこそのこの切なさ…
パラレル書いてあげたいぐらい
236名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:14:44 ID:???
>「全部終ったら…、お前に言いたいことあんねん。聞いてくれるか?」

か・・・完全に死亡フラグや!

乙です。まだなのにもう涙出そうだ・・・
237名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:18:50 ID:???
しかもシンジきゅん、ちょっとトウジのこと好きになりかけてたっぽいのに
238名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:24:35 ID:???
シンジきゅんの好みのタイプが
>優しく抱きしめてくれる暖かい太陽みたいな人。

んで今回
>彼は笑った。
>太陽みたいに。

自分でも気付かないうちに惚れてたんだな、シンジきゅん…。
初恋は実らんのですな。
239名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:39:47 ID:???
シンジがあっさり耐えてるのにトウジはなんで怖気づくの?と思ってたが
よく考えたら何回死んでもおかしくないくらいの体験はくぐってきてるんだな。すまんかったトウジ。
240名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:43:12 ID:???
トウジ死ぬなぁ!!生きるんだ
241名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:44:42 ID:???
そなの?
シンジがあまり怖がらない(表面的には)のは、生に対する執着心が薄いからだと思ってた
242名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 00:54:28 ID:???
別にトウジが最悪死んでもいいのは俺だけ?
243名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 02:36:57 ID:???
死亡フラグ大盤振舞
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 07:39:11 ID:???
使徒戦で生き残っても委員長に菜っ切包丁で刺されそうなトウジに合掌。
245名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 10:26:59 ID:???
菜切包丁ワロス
246名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 11:24:28 ID:???
菜切包丁でどうやって刺すんだよwwwww
斬りつけるならともかくw
247名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 11:36:08 ID:???
そこを無理やり刺すところが恐ろしいわけだよ
楽には死なせないと
248名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 12:31:03 ID:???
菜切り包丁ってほとんどが鉈とか中華包丁みたいな形だぞ
どうやって刺すんだよw
249名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 14:24:26 ID:???
こうしてみると、委員長はダークを持った地雷女ってイメージがあるんだなwww
250名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 15:58:06 ID:???
というか、エヴァキャラ全員
251名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 16:24:48 ID:???
死ぬ前にシンジきゅんに抱き締めて貰えたから幸せじゃないか
252名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:16:29 ID:???
ttp://www.geocities.jp/koke_fumiwo/shikkoku15.html

↑これちょっと良かったww
253名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:19:29 ID:???
このスレ的には生まれながらの女なのか
男に生まれたが、エヴァに乗ったせいで女性化のどっち?
254名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:26:21 ID:???
>>253当然どっちも桶ジャマイカ
255名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:30:18 ID:???
なんでどっちかを選ばなきゃいけないんだ?
256名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:31:07 ID:???
悪かった。
俺が馬鹿だったよ。
257名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:37:03 ID:???
>>256
君の人生も一歩前進だ
258名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:41:18 ID:???
>>252
名前でワロス

>>252
つ女装

忘れてるぜ
259名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 21:41:45 ID:???
新参乙としかいいようがないな
お前のせいでいらぬとこで荒れるとこだっただろ
自重して過去スレ嫁
260名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 22:10:46 ID:???
切ねえとか言いながら死ぬのをwktk
261名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 23:41:59 ID:???
>>245,246,248
なんかヒカリというと菜切包丁というイメージが。
文化包丁でもいいかもしれないけど。
262621の続きで:2006/09/13(水) 00:08:39 ID:???
「じゃあ四日程留守にするけどよろしくね。何かあったら加持に連絡して」
「はい…気をつけて下さいね」
エヴァンゲリオン参号機の起動実験のため、ミサトさんは松代に出張だ。
全部本当だった。目が覚めたらみんな夢なんじゃないかと思ったけど。
そんな奇跡みたいなことは起きるはずもなく朝が来た。
「アスカもね、わかった?」
アスカは昨日遅く帰ってきた後、一歩も部屋から出ていない。
ミサトさんの言葉に、面倒くさそうに襖が開いた。
じっとりとした目で玄関にいる私達を睨むが、すぐに襖は閉められた。
「なんなのかしら、あれ?」
「…ミサトさん」
ミサトさんはきょとんとした顔で私を見る。
整った綺麗な顔。でも今日に限ってその顔はちゃんと見れなかった。
「どうして、トウジなんですか?」
一瞬の沈黙の後、ため息と共に申し訳なさそうにミサトさんは言った。
「決まってしまったものをとやかく言ってもしょうがないわ。
 あたし達がついてるんだから心配しないで。今日はただの起動実験だし」
安心させるように肩を叩くとミサトさんは松代に向かった。
その姿を見送ると、アスカの部屋の前に立ち中にいる彼女に声をかけた。
「アスカ、もう学校行く時間だけど…」
「うるさいわね!!入ってこないで!あんたといい、あいつといい…。絶対嫌よ!わけわかんないわ!」
襖の前で立ちすくむ。ああ、そうか。アスカも知ってるんだ。
フォースチルドレンが、その人物が誰かということが。
扉の奥でアスカは拒絶している。でも、本当は違う理由があるからだ。
小さい頃から訓練を積んでパイロットになったアスカは
エヴァの乗ることにプライドを持っている。
何の訓練も実戦もなしにパイロットに選ばれると言うことが気に入らないのだ。
私の存在もまた、きっと面白くは無いのだろう。でも、だからってどうしようもない。
エヴァに乗らないとここにいることが出来ないから。まだ、ここにいたいから。
今の私には、エヴァにはもう乗らないと決めることなんてできない。
いつもとはちょっと違うけど、それなりの朝の風景。
それでも嫌な予感は昨日から消えない。しみのように心に張り付いたままだ。
263621の続きで:2006/09/13(水) 00:12:21 ID:???
『フォースチルドレンが到着しました』
『第二班はすみやかにエントリー準備に入ってください』
事務的な声が広大な実験場に響く。先ほど参号機は航空機によって、この松代に到着した。
十字に固定された黒い機体はまるで張り付けられた罪人のようにみえた。
この機体が納入されれば完全に直轄部隊に配属される。
それでこのネルフに存在するエヴァは4機。
エヴァを4機も独占か…。その気になれば世界を滅ぼせるわね。
「鈴原君、どうしたの?緊張してる?」
ケイジに固定された参号機を見上げる見知った少年に声をかける。
一瞬驚いたような顔をした彼は、それでも気丈に微笑んだ。
「ああ、平気ですわ。こんなんどうってことあらへん」
「…ごめんなさいね。急に決まってしまって」
アスカはいい。エヴァに乗ることにプライドがあるから。レイも、少し違うが同じことだ。
きっと、私達に関わってもいいことは一つも無い。それをよくわかっているのはあの子だ。
だから言い出せなかった。結局、秘密のままにはできなかったけれど。
「ええんです。これは、ワシが自分で選んだことなんですから」
「でも…」
「神様なんておらんからな。自分の力でやらなあかんねん」
この子は。そしてあの子達はきっと…。
きっと自分が思ってるよりずっと、世界の仕組みをわかってる。だけど…。
「そう。やっぱ男の子は違うわねぇ。もうアスカやシンちゃんなんてさぁ〜」
だけど、あの子達には私みたいなひねた大人にはなって欲しくなかった。


「じゃあ、もうすぐ始まるから。気が済んだら戻ってきてね」
緊張をほぐそうと、優しく微笑んだ彼女を見送ってから黒い機体をもう一度見上げた。
「はぁ…これがワシのエヴァかい。何や怖い顔しとんなぁ」
そんな感想を抱きながら、昨日のことを考える。自分らしくない恥ずかしい所を見せてしまった。
それでも、昨日思ったことは本当だった。
「―――――――――。」
全てが終わったら彼女に言いたいことを呟いた。
その声は、実験場にこだまする機械音に紛れ、たぶん、誰にも、自分の耳にも届くことなく――――消えた。
264621の続きで:2006/09/13(水) 00:15:38 ID:???
そろそろ始まるころかな…?参号機の起動実験。

太陽はちょうど頭上で輝いている。
いつもの屋上の片隅で思考を巡らす。
きっと、夜には実験も終了するはずだ。
早く夜になればいいのに。
心を焦げ付かせるこの不安が取り越し苦労だったと思いたい。
そうだ、すぐに終わる。
少なからず変わってしまうとは思うけど、いつもの日常は戻ってくる。
そしたら、トウジが私に言いたかったことをちゃんと聞こう。
でも、彼は何を言いたかったのかな。
空を見上げてぼんやりと考えた。太陽が眩しい。
「考えたってしかたないか…」
いくら考えたって私にはわからない。
言われなければ、私にはわからない。
だけど、それでもいいはずだ。
全部終わったら聞けばいいんだから。

夜が来れば。明日になれば。

「碇さん…お昼まだなの?」
「委員長?」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこには委員長が居た。
「うん。今日は、お弁当作る時間なかったから。購買で何か買ってこようかと思って」
「そうなの。ねぇ、だったらこれ食べない?」
そう言って手渡されたのは、可愛らしく包まれたお弁当箱。
これって、ひょとして…。
「わ、悪いよ。だってこれ…」
「いいの。今日あいつ休みだし。残しても腐っちゃうし」
掌に感じるその重みに何だか心が温かくなった。
恋とか好きとかは、私にはまだわからないけど、委員長のその気持ちが感じられた。
そうだ、きっとこの嫌な予感はただの思い過ごしだ。
265621の続きで:2006/09/13(水) 00:17:10 ID:???
「あのね、碇さん」
手渡されたお弁当箱を眺めていると、委員長が小さく言った。
その声を聞き取って、顔を上げると委員長ははにかみながら言った。
「今度、鈴原が学校来たらね。ちゃんと言おうと思うの。私の気持ち…」
白い頬を薄く染めて、少し恥ずかしそうに言葉を続ける。
「アスカの言うことって、最もだなぁって思って…。
 たとえ結果がどうあれ…、鈴原を好きって気持ちだけはちゃんと伝えたいの」
「結果って…?」
「うふふ…」
何を言ってるんだろう。そんな筈ない。だって、委員長はとても可愛くていい子だ。
そんな子に思って貰えるなんて幸せなことだと思う。きっとトウジだって彼女を好きになる。
そんなこと、ありえないのに…。
目を大きく開いて彼女を見つめていると、委員長は元気良く私を指差して言った。
いつもの、きびきびとした良く通る声で。
「いい?碇さんも自分の気持ちに気付く時が来たら、ちゃんと伝えないとダメよ!」
「委員長?」
「じゃあ、碇さん。あとで教室でね」
そして、委員長は振り返り屋上を後にした。その姿はとてもとても綺麗だった。
教室でよく見る、皆のために一生懸命な委員長の姿に似ていた。
光が差し込む教室で委員長は、一際輝いてみえた。そして、去ってゆく今の彼女も。
その後ろ姿に私は見惚れていたので、委員長の言葉を理解することができなかった。


今思えばあれが、私が誰かと分かり合える最後のチャンスだったのかもしれない。





携帯の着信音が無機質に鳴り響く。
何かの合図みたいに。
266名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 00:40:27 ID:9Ob4h0f9
投下乙です!!
…ついに起動実験…トウジが…トウジがぁぁー(ノД`)。゚・。
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 07:16:53 ID:???
乙。崩壊のシナリオが始まる。
268名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 07:24:38 ID:???
乙です。ここから話がどう進むのか楽しみ。
がんばってくだされ(´・ω・`)ノシ

誰かトウジの死亡フラグ数えてみたか?俺は忘れちまった。
269名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 07:30:22 ID:???
>今思えばあれが、私が誰かと分かり合える最後のチャンスだったのかもしれない。

この先の展開を暗示している一行ですな。。。
アスカもあのまま奈落へまっしぐらなんだろうか。
270名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 10:36:30 ID:???
委員長はトウジの気持ちもシンジの気持ちも知ってたんだな…
271名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 11:01:18 ID:???
刺すような子じゃなくてほんといい子だ
272名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 14:17:36 ID:???
同じく堕ちたアスカと共に慰めあうシンジきゅん
273名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 14:24:26 ID:???
百合になんの?
274名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 16:57:31 ID:???
さて、どーかのう
カの字の登場も控えてる品
ここはただ待つべし
275名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 17:11:40 ID:???
カの字ってなんだ?加地?と思ったら
カヲルかwwwすっかり忘れてた
276名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 18:26:56 ID:???
カの人は貞版なの?
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 18:52:15 ID:???
この流れなら貞カヲ…と思ったけど、アニメのエピソードも少し組み込まれてるしな
278621の続きで:2006/09/14(木) 00:21:47 ID:???
血のように赤い夕日。
影に色づいた雲。
燃えさかる、黒い炎。

陽が、傾く。

陽が。


『目標接近。全機地上戦用意』
近づいてくる敵。使徒。夕日を背にゆっくりと歩くそれ。
光を受けるその存在の輪郭がはっきりとしてくる。
その輪郭を完全に捉えたとき、私は自分の目が信じられなかった。
「うそ…」
目の前にいるのは使徒。
まぎれもない私達の敵。
倒すべき現在の目標。
だけど、その形は
「目標って…目標ってこれなの?」
だって、だってこれは…「エヴァ」じゃないか…。
私達の仲間になるはずだった存在でしょう?
それに…あれには…あの機体には…。

「シンジ、これはもうエヴァではない」

嘘だ。だって、アレはエヴァだ。
違うと言うのなら…何だというの?
何だっていうんだよ!

父さんが機械的に要点だけを伝える。

「使徒だ」
279621の続きで:2006/09/14(木) 00:23:01 ID:???
「パイロットは…?パイロットは乗っているの!?ねぇ、アスカ!!」
「ここからじゃわかんないわ…。でも、乗ってるんだったら何とか助けなきゃ」
モニターに写るアスカに叫ぶと、動揺を隠せない声で彼女が呟く。
その瞬間、ウインドウは雑音と共に砂嵐に閉ざされる。
上がるアスカの悲鳴。轟く地響きと轟音。
「アスカ!?」
『エヴァ弐号機完全に沈黙!』
『目標移動!零号機へ』
動かない弐号機に興味を失くした様に
黒いそれは不気味に眼を光らせ再び歩き出す。
私達と同じ機体のはずなのに、まったく別の生き物に見えた。
『レイ、接近戦闘は避け、目標を足止めしろ』
「了解」
『聞いたなシンジ。急げ』
「綾波!!」
事務的に命令を下す父さんの声。
その声が耳に入る前に駆け出していた。
「まだ撃たないで!私が行くまで待ってて!エヴァ参号機には…」
だって。
だって、あれには。
あれに乗っているのは…!
「トウジが…。トウジが乗っているんだ!」
彼が乗っているのに、攻撃なんてできるはずがない。
傷つけるなんてできない。
その言葉に立ち止まった零号機に呼応する様に参号機も移動を停止する。
動きを止めた参号機はゆっくりと振り返り――――あとは一瞬だった。
信じられない動きで飛び上がった参号機は零号機を押しつぶす。
肩口から白い粘液を零号機の左腕に垂らし、侵食を始める。
綾波が声にならない呻き声を上げる。
280621の続きで:2006/09/14(木) 00:24:16 ID:???
「まずい。切断だ」
冷静に告げる父さんの声のあと、零号機の左腕は剥離された。
神経接続をカットする暇も無く切断されたため、
綾波の悲痛な叫びがモニターから響いた。

「綾波!!」

血のように赤い夕日。
影に色付く雲。

陽が、沈む。

陽が。

赤い夕日。
夕日は好きじゃない。
昼と夜との一瞬の隙間。
ほんの一瞬交わるだけの瞬間。
決して一つにはなれないと思い知らされるから。
わかりあえることはないと、嫌でも思い知らされるから。



でも君と一緒に歩いた、あの帰り道は

傾いた陽に照らされ、照れるように笑った君の横顔を見たときは


あの日君と見た夕日は――――


エヴァ参号機は、使徒は、私を認識し射程内に入れた。
281621の続きで:2006/09/14(木) 00:27:50 ID:???
>>273
百合には、多分ならないと思う。
異性を意識した描写や、性的な表現はなるべく書き換えるようにしてるので
>>276
ゼルエル戦終わったらアニメ版の欝展開予定なので、庵カヲかな…?
途中で変更するかもしれませんが。
282名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/14(木) 01:25:11 ID:wcfNcn9R
乙です!!
起きててヨカタ(ノ∀T)トウジ生きててくれ…と、淡い希望にすがってみるorz
283名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/14(木) 13:16:43 ID:???
621氏乙
トウジvsカヲルが見たい・・・
無理なのはわかってるので脳内妄想だけにしておく
284名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/14(木) 13:59:01 ID:???
トウジVSカヲル…無理だとはわかってるがちょっと見たい
はっ!!ラストがテレビ版だったら学園エヴァで実現するかも…


戯言です
285名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/14(木) 19:43:21 ID:???
ああ、戯言だな
286621の続きで:2006/09/14(木) 22:19:25 ID:???

――見てみい…手ぇ、震えとる。…止まらへんのや

――そんな暗い顔するなって。大丈夫だよ。
  トウジは嫌いな奴と一緒にいたら、あんな風に笑わないよ。

――転校生、ちょっと顔貸せや

――ごめんですむか!!ボケェ!!

――碇、ワシを殴れ!

――ええんじゃ!誤解とは言え女殴ったなんぞ、ワシの信念に反するんや!!


 おもいだすのは、きみのこと


――全部終ったら…、お前に言いたいことあんねん。聞いてくれるか?


ねぇ、君は。
君は私に何を言いたかったの?
ちゃんと言われなければわからない。
私にはわからない。

自分のこともわからないのに、他人のことがわかるはずもない。


 私は――――――
287621の続きで:2006/09/14(木) 22:21:40 ID:???

『シンジ!どうした!何を突っ立っている!』

父さんが叫ぶその声にやっと自分の置かれた状況に気付いた。
それと同時に使徒は雄たけびを上げ、空中に飛び上がる。
次の瞬間感じた衝撃。激しい痛みが私を襲う。
だけど、それでも…。
使徒は蹴りの反動で飛び上がり、四つんばいで着地する。
倒れ落ちた初号機と距離を置き、こちらの様子を伺っている。
そのとき、見えた。
白い粘液がくもの巣状に覆っているエントリープラグ。
乗って…いるの?
乗っているんだ、彼が。
「トウジ!トウジ!答えてよ!」
立ち上がり呼びかける。
彼がそこにいる。
傷つけるなんてできない。
攻撃なんてできない。
「無事だったら返事して!何とかして助けるから!」
その声は、多分君の耳には届くことなく消えた。
通常のエヴァでは考えられない動きで使徒の腕が伸びる。
その瞬間、初号機の首筋は使徒の掌に包み込まれた。
「あぅっ…う…あ…ッ…ト、トウジ…!」
そのまま両腕に掴まれ、木々をなぎ倒し山に叩きつけられる。
首を絞める腕の力が強くなる。
「はぁ…はぁ…っ…くぅ…ッ…んっ…うぅううう」
息ができない。
鼓動が収まらない。
叩きつけられた身体が激しく軋む。
288621の続きで:2006/09/14(木) 22:26:15 ID:???
『生命維持に支障発生!パイロットが危険です!』
『シンジ、何故戦わない!?』

「私には…できない…よ…」
苦しさにぼんやりと霞む頭に父さんの声が響く。
使徒は初号機に覆いかぶさり、更に力を強めた。
「私には…戦えない…」
戦う?
誰と?
何と?
何を、誰をまた傷つけるの?
目の前の使徒は真っ黒な機体に目だけを爛々と輝かせ、
腕の力を更に強くする。
違う。
使徒なんかじゃない。
これは…。
これは…エヴァだ…。
「友達が…友達が…乗ってるんだ…戦えるわけないじゃないか!」
押しつぶされた声帯で、それでも必死に叫ぶ。
『お前が死ぬぞ』
「いいよ!友達を殺すよりは…人を殺すよりはいい!!」
そんなことをするんだったら、私が死んだほうがいい。
だけど次の瞬間、苦痛の開放と同時に世界は闇に閉ざされた。
289名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/14(木) 23:41:14 ID:???
GJ

苦しい喘ぎがエロく見えました
290名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 00:34:26 ID:5T+Kr/gW
乙ッスm(_ _)mついにあれを使うのか…トウジの運命やいかに!!
291名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 00:43:16 ID:???
ていうか、女になってこの流れにしてみると、逆にシンジのヘタレぶりが増すよな。
なんで戦わない、ってその通りじゃん。
292名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 01:45:34 ID:???
ヘタレてこそシンジきゅんですよw
293名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 02:24:21 ID:???
戦わなかったというより戦えなかったんだよ。友達と殺し合いスレスレの事しなきゃならんのだから、まともな神経してたら出来ないだろ。
アスカなんかも瞬殺だったしヘタレとかいうのはあんまりだと思うがね
294名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 02:35:55 ID:???
心を落ち着かせるために前スレの最初から読み直してみたら益々泣けてきたorz
トウジ…さよなら
295名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 02:58:02 ID:???
>>293
>友達と殺し合いスレスレの事し
そう思う前に「助ける」ほうが先に来てないとおかしいだろ
ましてこの話じゃエントリープラグ確認してるし。
296名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 03:11:56 ID:???
問題は全部パイロットまかせで、ろくに指示を出さないネルフスタッフにあると思うんだ
いつも「戦え」とか「ダメです」しか言わないし
297名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 04:42:55 ID:???
>>296
サキエル    手探り状態→初号機暴走
シャムシェル  指示を出すもシンジが無視、からくも勝利
ラミエル     作戦通りに殲滅
ガギエル     アスカが出撃するも、ミサトの作戦で殲滅
イスラフェル   一戦目、指示出すも敗北 二戦目、事前の訓練のおかげで勝利
サンダルフォン アスカの機転で勝利
マトリエル    アスカが作戦立案、三人のチームワークで勝利
サハクィエル   一応、作戦通り・・・か?
イロウル     リツコとネルフ職員のおかげで勝利
レリエル     独断専行した初号機により作戦がメチャクチャに。騒ぎの張本人の初号機暴走で勝利
バルディエル  シンジがまたもや命令無視。ダミーシステムで勝利
ゼルエル     アスカは普通に敗北。レイは片腕が無い為ほぼ戦力外。初号機暴走で勝利
アラエル     アスカは命令通りに行動するもまた敗北。零号機のロンギヌスの槍でなんとか勝利
アルミサエル   様子を見るも敵が突っ込んできて零号機自爆
タブリス      シンジの判断で殲滅

そんなにパイロット任せかな・・・?
298名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 07:29:31 ID:???
トウジはシンジきゅんの心に傷を残したまま死んでしまうのかな
悲しいな
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 08:55:29 ID:???
つか俺のシンジきゅんに向かってヘタレとか言うと前歯全部折るぞ
300名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 11:47:54 ID:???
>>297
サキエル→何の訓練もしてないド素人をいきなり使徒の目の前に。
しかもとりあえず歩けとしか
シャムシエル→指示は出したが、シンジが命令違反。その前は効かなかったパレットライフルをもう一度使えと指示。
ラミエル→一話同様、敵の能力が未知数にも関わらず真っ正面にシンジを出す。何の指示を出したかは分からないが、結果シンジ死にかけ。
しかし、その後は作戦通りに行動し、使徒撲滅。
ガギエル→ミサトの機転と指示、2人の力で使徒撲滅。
イスラフェル→初、弐号機による波状攻撃を指示。二機が敗北してからは、加持の提案で作戦を立案。
無事成功し撲滅。
サンダルフォン→パイロットの命より自分の復讐を優先した指示を出す。
勝利はしたが、シンジが助けなければアスカが道連れにマグマの中に沈み死んでいた。
マトリエル→とりあえず使徒撲滅、みたいな
サハクイェル→無茶な作戦立案、初号機の超加速が無けりゃ失敗してただろなぁ…
イロウル→リツコとネルフのみんなのおかげ
レリエル→初号機の独断専行、作戦無視により作戦が無茶苦茶に。
その後はリツコによる、人命は無視で初号機の回収と使徒の撲滅を最優先とする作戦にアスカもレイも従う。
301名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:07:24 ID:???
まぁ、ネルフは庵野曰く「素人集団」らしいから…
それにしたって、ちゃんとした指示出せる軍人とか雇えよな
302名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:09:32 ID:???
バルディエル→経緯の説明不足、パイロットの精神的負担も考えずに、ただ撲滅しろとのみ。
シンジは戦えずに、ダミープラグの起動を余儀なくされる。
ゼルエル→敵の圧倒的力の前に、作戦も指示も無意味に。
敵をジオフロント内へ侵入を許すが、シンジの機転で外へ排出。その後は初号機の暴走で撲滅。
アラエル→アスカが作戦無視して勝手に先行。
後に許可し、長距離砲による撲滅を指示するが敵が射程距離外のため無意味。
パイロットが敵の精神攻撃に襲われる。撤退命令を出すがアスカは無視。
碇司令の槍の使用許可、零号機による投擲により使徒撲滅。
アルミサエル→弐号機バックアップ、零号機を中心に撲滅を指示。
使徒の能力が未知数のため、ろくな指示も出せず。結果、零号機が使徒に浸食される。
弐号機が動かないため、初号機にレイの救出を指示。レイの心がシンジまでも取り込もうとしたため、レイが使徒を抱え込み自爆。使徒撲滅。
タブリス→ シンジと交流を持っていた少年が使徒。
事実を事実とだけシンジに伝え、使徒撲滅を指示。
シンジは指示通りに撲滅するが、好きな人を殺してしまった責任と事実に、心が壊れてしまう。
303名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:13:30 ID:???
要するに「髭と牛はとっとと氏ね」というだけのことをそこまでまわりくどく書かなくてもw
304名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:14:42 ID:???
>>301
命令を受ける側も、兵士でなく子供だからねぇ…
幼い頃から特殊訓練を受けてきたアスカですら、命令違反してたから
お互い中途半端すぎたんだろうね…


使徒の能力が未知数すぎて、作戦の立てようも無いし。
まあそれなら事前に能力をはかれ、と言いたくなるけどそこはアニメ
305名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:17:59 ID:???
>>303
いやいや
そんなこたぁ無いです
304の通り、お互いだと思うけど…
ネルフ側は大人だし上の立場だからね
非難されるのは仕方ない


それがゲンドウ嫌いとかミサト嫌いに繋がるわけじゃない
むしろ私はどっちも好きだ
306名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:31:26 ID:???
ネルフとは反対に、普段はギャグ集団だけど一旦事あれば
非常なプロ集団、っていう構図は、結構漫画的には一般的かなあ。
と言いつつ、今すぐ出せる例が漫画版パトレイバーのシャフト企画七課、
ってとこが微妙なんだがw

ネルフの場合はどっちかつーと、特車二課の裏返しなのかなあ。
307名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:54:15 ID:???
たとえ、ゲンドウがエントリープラグ引っ込抜けって指示出しても
貞版はトウジ侵食されてる表紙とかあったから、
助けても間に合わなかったと思うんだけど
わかってたからあえて倒せって言ったとかは考えられない?
308名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 12:59:11 ID:???
なら、そう説明すればいい
309名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 13:02:23 ID:???
>>306
パトレイバーは普段も何だかんだ言ってプロだし

エヴァは素人同士で頑張ってみましたって感じだろか
310名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 13:21:27 ID:???
でも実際友達と殺し合えって言われたら、指示出されても結局何も出来ないと思う
ましてやまだ中坊だし
エントリープラグ握り潰す前にダミーシステム停止させりゃ良かったのに
これが一番の得策
311名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 13:29:43 ID:???
ゲンドウ的には中の人も殺そうとしてたのかも知れない
312名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 13:32:14 ID:???
ダミーシステムの実験データー欲しかったんじゃないの?
313名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 14:08:25 ID:???
使徒に乗っ取られた3号機を止めるには
エントリープラグからの信号を止めるしか無かったからじゃないか?
314名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 14:11:30 ID:???
いや、首絞めた時点でピクリとも動かなくなったんだが
315名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 14:31:14 ID:???
>>314
しかし、使徒である以上それで油断せず徹底的に殲滅することが必要。
ただ、バルディエルが3号機の素体をズタズタにしただけで殲滅というのは
ちょっと不可解なところではある。

それこそ最終的にトウジの身体を乗っ取ったのだとすれば、
ダミーがエントリープラグを潰したのも、ゲンドウが止めなかったのも
すごく理解できるんだけどね。
まあ、アニメ版が下手に生き残されたのが本来まずいのであって、
トウジは焼却処分だろ。
316名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 14:59:02 ID:???
まぁ遺体は返されなかっただろうな。サンプル保存とかされたかもしれない。
葬式やったって描写もないし
委員長やケンスケもトウジの死を薄々感じてはいるが、
はっきりとはわかってないみたいだし

やべぇ、怖いな。ネルフ
317名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 15:17:00 ID:???
アニメも最初は殺す予定だったから

カヲルもトウジも、シンジは殺すしかなかったんだなぁ
命令だから仕方ない、使徒だったから殺さなきゃいけなかったと考えようとしたけれど、
シンジは優しいから結局自分のせいにしちゃった
318名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 15:25:50 ID:???
少年兵みたいなもんだしなぁ…
あの世界、子どもの権利条約とかどうなってるんだろう?
319名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 15:34:05 ID:???
そんなのはあったとしても超法規的な組織だからモウマンタイ
320名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 15:35:27 ID:???
キャラの性別逆だったらスレって落ちたの?
321名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 16:44:41 ID:???
うん
全部逆には興味ないからどうでもいいけど
322名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:03:09 ID:???
>>310
あの時点でのダミーシステムは未完成の半欠陥品。
停止できたかどうかすら不明。
後、土壇場で使徒相手に手加減したらまずいので、パターン青が途切れるまでやらせてみた、とか。
結局、トウジのプラグをトウジごとあぼんさせないと使徒は消えなかった、ということになるけど。
323名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:19:48 ID:???
何かシンジきゅんの話題よりトウジの話題で盛り上がってるなww
324名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:26:46 ID:???
シンジにとってトウジはなくてはならないものだからね
325名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:27:44 ID:???
バル戦クライマックスだから
326名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:32:19 ID:???
>>323まぁ、それにしてもそう長くは続かないさ
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:34:24 ID:???
職人いると伸びるの早いな
328名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:42:06 ID:???
楽しいなこのスレぬるぽ
329名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 17:47:48 ID:???
楽しいよねガッ
330621の続きで:2006/09/15(金) 22:33:27 ID:???
掌の中で霞んでゆく命。
それを消そうとしているのは紛れもなく自分。
この指を、腕を、止めたかった。
薄れ行く意識の中、それだけを思う。
自分の中に何かが入り込み、侵食していく。
「正気…失うわけには…いかへん…のや…」
いつかこれと同じエヴァの中で見た小さな背中。
泣きたい筈なのに、涙も流さず細い肩を震わせていた彼女。
その時まで本当に何もわかっていなかったのだ。
たった14歳の子供の肩に、どれだけ重いものが乗っているのか。
「シンジ…傷つけるわけには…いかへんのや…!」
無知のまま奮った拳。
何も知らず、投げつけた感情と行為。
ようやく笑うようになった彼女。
もうあんな思いはしたくなかった。
手に入れたと思ったはずの力は、ただ傷つけるだけの力になった。
伸ばした腕は、誰にも届かず中を舞う。
言葉はきっと、誰にも届かない。
あの実験場で呟いた言葉のように。


だから初号機の瞳が赤く瞬いたそのとき
彼女の悲痛な叫びが耳に届いたとき、嬉しくて笑った。
やっと眠れるような気がしたから。

そして意識は闇へと溶けた。




悲しかったのは、彼女が泣いていることと
この思いがもう届きはしないこと。
331621の続きで:2006/09/15(金) 22:34:20 ID:???


一体どうしてこんなことになっているのか
わけがわからない。


わからない。


「何だ……?」
暗闇のエントリープラグの中で、後部のディスクが高速回転を始める。
黒に満たされた闇の中、突然プラグ内が真っ赤な光に染まる。
嫌な予感がする。
何を…
「何をしたの!!父さん!」
ゆっくりと、ゆっくりと初号機の腕が動き始める。
その腕はそのまま使徒に襲い掛かった。
ギリギリと軋む音を立てて、その存在を締め付ける。
小さくうめき声を上げる使徒。
目の前の光景が信じられず、ただその様子を見ていた。

何が…起こっているの?

どうして…

どうして何もしてないのに


何で勝手に動くんだよ!?
332621の続きで:2006/09/15(金) 22:35:14 ID:???
渾身の力を込めて絞められる使徒の首。
装甲が砕かれる破壊音が響き、もがく様に腕が中を彷徨う。
やがてかくんと糸が切れたマリオネットのようにその動きが完全に経たれた。
活動を停止した使徒。
それでも初号機は不気味な雄たけびと共に、それを地面に叩き付けた。
「くそ…っ…何で言うこと聞かないんだよ!?」
何を…一体何をしたんだよ!!父さん!!
どうして…もうシンクロはカットされてる筈なのに!!
初号機はぐったりと意識を失くした使徒の上に跨り、拳を叩きつける。
叩き潰された頭部から血が大量に溢れ、
その勢いで近くにあったトラックを押し流した。
「父さん!やめて!!やめてよ!こんなの嫌だっ!」
何の感情も理由も無く、初号機の拳はただ振り下ろされる。
装甲が機体から剥がされる嫌な音がする。
腕が引き千切られる鈍い音がする。
肉が潰れる不快な音がする。
耳を塞ぎたくなる様な音の中で、さらに耳障りな音が響く。

こんなときに…ッ!!
なんだよ…なんなんだよ!!

「止まれっ!止まれ止まれ止まれ止まれ!!」


そして気付いた。
ああ、この音は。


私の声だ。

333621の続きで:2006/09/15(金) 22:36:33 ID:???
ちょっと明日から出張なんで、次は月曜か火曜の夜に投下しますノシ
334名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 22:46:17 ID:???
>>330
>「シンジ…傷つけるわけには…いかへんのや…!」
トウジ(つД`)
335名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 22:46:54 ID:???
ちょっとひいた
336名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/15(金) 22:59:10 ID:???
まぁ、もうすぐ死ぬから


乙です
337名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/16(土) 00:27:43 ID:???
>>336
そんな悲しいこと言わんといてえな
338名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/16(土) 00:36:11 ID:???
だから全部終わったら何かするっていうのは
絶対叶うことが無いと母ちゃんあれほど(ry

さよなら…トウジ。お前のことは忘れない
339名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/16(土) 07:11:28 ID:???
今までご苦労様、トウジ。バイバイ
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/16(土) 08:52:17 ID:???
みんな死ぬの限定だなww



俺もだけど
341名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/16(土) 11:24:19 ID:???
トウジが死亡で終了でいいよ
カヲル殺しは見たくない
342名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 15:25:50 ID:???
>>341お前の都合なんか知るかよ

LOSスレから飛んできましたがこれはよいSSですね。
どっかでチルドレンのナンバーが入れ替わってるSS見たけどあれのバルディエル戦も鬱だったなあ
343名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 17:33:37 ID:???
カヲル殲滅wktk
344名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 18:31:36 ID:???
この調子でどんどん書き手が現れんかな。
バイオレンスな後転TS物読みたい。
貞エヴァで有ったように、事件を起こして親父を呼び出してやると思ってグレて
暴力沙汰を起こすが、ゲンドウが選んだ保護者もなかなかの権力者で、事件をもみ消してしまう。
逆にそれに反発したシンジは、さらに事件を起こそうとするが、そういう態度が
保護者に事件をもみ消してもらえるから調子に乗って暴れてると思われ、数名の不良にリンチを食らう。
満身創痍ながら、そばに落ちていたバットで帰ろうとする不良に反撃し、洒落にならん大怪我を負わせ、
もみ消しも出来なくなり、保護者も愛想をつかし、ゲンドウの元に送り返すが、そこにちょうど使途が攻めてくる。
ゲンドウはシンジをエヴァに乗せる気は無かったのだが、レイがやられ、仕方なくシンジ出撃。
シンクロ率400%暴走、溶けて、サルベージしたら女になった。
男子の制服のまま学校に行くことになり、何時もの通りトウジに殴られイベントが起こる。
普段のシンジなら、一撃目も軽くかわせるのだが、女性化したことで足が竦んでしまい、かわすが尻餅。
そんな自分が許せずトウジに反撃し、経験の差で圧倒するのだが、いかんせん非力な肉体で決定打が打ち込めず
もみ合ってるうちにマウントを取られ、上から殴られそうなところを思わず女みたいというか、女らしく悲鳴を上げてしまう。
キャーとかイヤァ。
そんな悲鳴を上げてしまった自分が悔しく女の子っぽく泣き出してしまい、それも悔しくてさらに泣く。
トウジはパニック。超殴られ損。
みてーなの読みたいんですけど、僕の熱意は伝わりましたか?
たとえるならDISTANCEミカエル計画
345名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 19:00:32 ID:???
>>344
そこまで熱意(?)があるなら自分で書け。
346名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 19:11:58 ID:???
そーだそーだ
347名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 19:13:39 ID:???
きちんと題名をつけてくれれば言うことは無い
348名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 19:27:19 ID:???
>>344
でもシンジきゅんって一歩間違えればそういう不良少年になりかねないよな
349名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 19:28:09 ID:???
>>344理想郷にでも逝ってこいよ
350名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 20:56:32 ID:???
>>349
つチラシの裏
351名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 21:09:25 ID:???
甘系の女シンジならなんでもいいよ
352名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 21:46:54 ID:???
>>351軽く同意
353名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 22:04:49 ID:???
甘系とはどんな感じ?
354名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 22:36:28 ID:???
>>353そこなんだよな、漏れもあんまイメージが湧かない。
他のキャラよりもよっぽど女の子が似合うとは思うんだが元が男だからなぁ…
355名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:15:11 ID:???
>>344の妄想読みてー、とか思ったのは俺だけでいい
356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:24:07 ID:???
>>354
貞シンジはツンデレだし、
庵シンジは庵シンジで仲良くなるまではハリネズミ
仲良くなっても毒舌


甘系が具体的に分かれば書きようがあるけど
357名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:31:17 ID:???
>>356わかる気がする
358名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:43:15 ID:???
既存の女性化FFでいえば碇カスミなんかが甘系ではないか?
359名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:51:01 ID:???
激甘だったな
360344:2006/09/17(日) 23:52:35 ID:???
まぁ、微妙にダメっぽいけど
つまり下六行ぐらいの部分が
読みてーのだ。
361名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:53:24 ID:???
>>358
どんなんだったっけ?忘れちった
362名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/17(日) 23:57:45 ID:???
>>360
ミニスカセーラー服の警棒を持ち歩いてるベリーショートツンツンシンジきゅんしか思い浮かびません
363名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 01:16:08 ID:???
>>361
俺も知らんのでぐぐった。今から読んでくる
364名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 01:55:57 ID:???
>>361
レイと病院で感極まってキスしちゃってミサトに見られちゃったり
パイロットを下ろされるからもう会えないと
アレしちゃたり、えろいレイに頬染めちゃうみたいなFF

俺が言った甘系っていうのは
かなりファンフィクションのフィクションが強いから
非難されそうだから言うのやめとく。
とにかくイタモノとかシリアス路線はお腹いっぱいと言いたかった。
バカネタとか軽い感じのデレな女シンジが見たいのだ
365名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 02:09:49 ID:???
>>364
俺的にはシリアス路線も好きだけど…
>バカネタとか軽い感じのデレな女シンジが見たいのだ
ここには激しく同意。
366名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 02:20:27 ID:???
あ〜、カスミってレイと百合になるやつか。今思い出せた
367名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 09:55:57 ID:???
甘系好き多いなぁ・・・。
情緒不安定でツンツンツンデレぐらいが。
強く在ろう、強く在ろう、強く在ろう
でも、やっぱり私は女なんだなぁ。
見たいに苦悩するのに萌えを感じるの。
368名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 10:19:36 ID:???
>>364
ああ…あったなあ
しかし白痴みたいに感じてしまうんだよな
甘系は一歩間違えれば
369名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 12:21:46 ID:???
シリアスも好きだが、エヴァGのように一作でシリアスもバカも熱血もパロも楽しめるような
ごった煮のような作品が好きだったりする。
370名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 13:10:01 ID:???
シンジの姿を追い求めようとすると、シンジからあまり剥離したキャラが出来にくくなる
カスミやユイやめたもるシンちゃんみたいな
371名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 19:48:22 ID:???
カスミは原型キャラもかっこ「ごめんね」が口癖だったから笑えた。
372名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 23:21:39 ID:???
シンジと似ても似つかない女シンジを見て楽しいのか?
かわってるな
373名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 23:28:29 ID:???
そこが文字のつらいとこだよな。絵が本当にシンジにそっくりだったらオリキャラ度も少しは抑えられるんだが…
374名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 23:47:19 ID:???
>>372
SSや絵が書けない以上
所詮は作者の妄想の尻馬に乗っかる事でしか楽しめまい。

>シンジと似ても似つかない女シンジ
可能な限り脳内で理屈変換している。
中には余りにもかけ離れすぎていて、萌える事ができない女シンジもあるが……。
375名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 23:50:08 ID:???
普段投下系のスレ見るくらいで、個人サイトのFF読まないからなぁ
そんなにかけ離れてるの?
原作みたいな良い女シンジきゅんはおらんものか
前投下してくれた絵師がまたこないかな?
そして、バル戦の続きはまだかな?
376名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 23:56:08 ID:???
シンジを女にするとき、そのままじゃアレだから名前変えるよな
そのときレイは大丈夫だけど、全然違う他の名前になった女シンジきゅんだと
イマイチシンジきゅんの姿として脳内変換できない俺は
まだ修業が足りないのだろうか?
377名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 00:07:33 ID:???
似ても似つかないって女シンジに対するものか?
個々の作品に対する批判ならまだしも。
いまいち頭ごなしに感じる。
378名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 00:21:13 ID:???
いや中には物凄く違う女シンジきゅんもいるって話じゃないのか?
何かどっかで見た18禁のトウジ×女シンジきゅんの碇ユカだっけか?
俺はあれくらいかけ離れてなきゃいける
379名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 00:26:50 ID:???
シンジのような女シンジと
立ち位置だけがシンジの女シンジでは全然違うよな。

前者は内罰的、内向的な性格を含んでいたりしてまだ何とか脳内変換できるけど
後者は無理。
挌闘家風味の女シンジにどうやって萌えろと……。
380名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 00:46:45 ID:???
後転TS好きとしては
名前もシンジで全然おk
381名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 00:51:49 ID:???
>>376そんなことはない、それが普通
382名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 00:53:47 ID:???
>>379
俺が言いたいことを言ってくれてありがとう
383名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 01:04:08 ID:???
>>380かなり同意
384名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 01:16:19 ID:???
今の投下作品のシンジきゅんはいい感じだけどさ、
カヲルが貞カヲだったら血を見るような気がする
385名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 02:17:02 ID:???
貞カヲvs貞女シンジきゅんのバトルも見てみたいww
無理やりキス(過呼吸の治療)してシンジきゅんにビンタされちゃう貞カヲwww
386名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 08:25:08 ID:???
シンジきゅんの唇を奪うなんてお父さんは許しませんよ
前歯折ってやるっ
387名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 11:42:18 ID:???
>>379
その「格闘家風味の女シンジ」の最たるものがエヴァGだがな。
ありゃドモンとその他もろもろがくっついて、元のシンジの性格はほとんど消えてる。
たまに出ても、おそらく作者が元の性格が嫌いなんだろうが、とても皮肉げに書かれているな。

まあ俺はそんなのであってもシンジであれば萌えられるし、ああいう作品の雰囲気も好きだ。
女シンジならなんでもおkがこのスレだろう。
388名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 11:46:31 ID:???
>女シンジならなんでもおkがこのスレだろう。

女シンジと名前がつけば性格が別人でも
似ても似つかない外見でもおkなスレではないはずだがw
389名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 11:54:37 ID:???
可愛い子って可愛くない
390名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 12:29:27 ID:???
欝でちょっと毒舌で仕草が可愛い原作のシンジきゅんがそのまま女の子になったような
女シンジきゅんじゃなきゃ受け入れられないな
格闘系元気娘なシンジきゅんじゃダメだ
391名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 13:12:12 ID:???
>女シンジならなんでもおkがこのスレだろう。

>>1を読め
392名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 13:34:30 ID:???
他人の趣味に要らざる口を出すな、ってことだが?
別にそういうSSをうpしてるわけでなし。
393名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 13:43:58 ID:???
うん

個人的には趣味は一致しないが、別に>>1で特定のシンジきゅんを定められてるわけでもないし。
まあ女シンジ好きとシンジストを兼ねてる奴も多いですから
394名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 15:04:21 ID:???
スパシン嫌いな人間は>>372みたいなのは嫌悪しそうだ
395名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 15:25:09 ID:???
なんかわかる気がしないでもない
396名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 15:48:44 ID:???
何かここ数日互いの理想のシンジきゅん感を語るのはいいけど
ちょっと自分の中の理想像と違うと、否定傾向になってない?
397名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 16:26:25 ID:???
それは言える。シンジらしくないシンジ、というのは確かに否定されやすいが
それが好きな人間が少数ながらいるのも事実。
他人は他人で、互いに貶さないのが一番の共存方法じゃないかね。
そういった別ジャンルのシンジに関する文章を読むことすら耐えられないのなら、そもそもNGワードにでも放り込めばいいだけ。
>>379>>388のようなレスは場を荒らすだけだ。
398名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 16:30:40 ID:???
>>396おまい良いこと言ったww
まぁな、みんな女シンジきゅんの理想を否定されると普通の人が理想の彼女を否定されたみたいでいらっとくるんジャマイカ?
もう少しもちついたほうがいいとはおもうが…
399名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 17:02:30 ID:???
語るのはいいが否定するのはね
400名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 17:05:05 ID:???
以下落ち着いたところでwktkしながら職人待ち
401名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 17:13:25 ID:???
そうだなwktkして続きを纏う
402621の続きで:2006/09/19(火) 21:05:10 ID:???
血の匂いで吐きそうだ。
雨のように、命の欠片が降り注ぐ。
ビルに。道路に。信号に。
飛び散った赤い雨は川に流れ落ちる。
全てが赤く染まる。
空も街も何もかもすべて。

「トウジ!返事してよ!このままじゃ…殺されちゃうよ…!!」

初号機は目の前の「参号機だったもの」を蹴り付ける。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

「ふ…うう…う…ぅ…」
泣いたってどうにもならないことを、10年前のあの日に知った。
父さんに捨てられたあの日に。
だけどあの日と同じように、流れる涙は止まらない。
零れ落ちた涙は膝に落ち、レンズのように光った。
「お願い…止まってよ…」
掠れた声にならない声で呟く。
誰か冗談だって言って欲しい。
こんなの悪い夢だよって…。
403621の続きで:2006/09/19(火) 21:08:07 ID:???
ふいにあれだけ響いていた嫌な音が止んだ。

突然訪れた静寂に顔を上げる。
目の前にあるその形を認識して目を見開いた。
初号機の手に握られた、白いエントリープラグ。
命が入っているそれ。
トウジが乗っている。
そこに彼はいる。

「やめて…」

掠れた声で呟いた。
届かないとわかっていても。


『トウジの奴、反省してた』


夢みたいな解法を待っている。こんなにも望んでいる。


『妹に怒られたらしいよ。私達を救ってくれたのは、あのロボットなのよって』


そんなこと望んでも起きやしないことは、よく解っているはずなのに。


404621の続きで:2006/09/19(火) 21:09:19 ID:???
青い空の下、太陽みたいに笑う少年。


「うわぁあぁあぁああぁあああぁあぁあぁあああ!!!」
 

―――神様は、どこにいるの?



『神様なんておらんからな。自分の力でやらなあかんねん』













     トウジ
405621の続きで:2006/09/19(火) 21:10:22 ID:???
『参号機回収班より連絡』

太陽は沈んでしまった。
最後の陽の光も随分前に消えてしまった。
黄昏は黒に染まってしまった。
夜が来る。

それなのにここは真っ白に明るい。
真っ白な、真っ白な、目も眩む様な白い世界。
白熱灯に照らされた世界から、声が響く。

『20時07分。参号機パイロットを確認』
『頭部裂傷。右足切断。脾臓破裂』

『心音、脈拍、共にありません』

状況だけを伝える、無機質で無関心な声。
醜く歪曲しLCLに塗れたエントリープラグから
人形みたいに青白い肌をした人が引きずり出された。

最後まで私達の間には距離があった。
血に塗れた君の横顔。
虚ろに開いた君の目を、知らない回収班の調査員がそっと閉じた。

もう何も映すことはない黒い瞳。


その目が私を見ないのは、トウジが私を拒絶しているからだと漠然と思った。
406621の続きで:2006/09/19(火) 21:11:16 ID:???
『ダメです。初号機の連動回路、カットされました』
『シンちゃん!聞こえてるか!?ああしなければ、君がやられていたんだぞ!?』

「わかってるよ…そんなこと…」

声が震えてしまうことに酷く嫌悪を感じた。
頭の中は、驚くほど真っ白で何も考えられないのに
身体が収まらない。爆発してしまいそうだ。
わかってる…そんなことわかってる…。
だけど…!
「私はその方が良かったんだ!!」
声と同時にレバーに力を込める。
残された予備電源はあと185秒、これだけあれば本部の半分は壊せる。
壊れてしまえばいい。
父さんが築き上げたものなんて。
あいつの大事なものなんて。
私が全部壊してやる。
父さんが…!
父さんのせいで…!!
「うっ!…がはっ…!!」
突然息苦しくなり、呼吸がままならない。
薄れゆく意識の中で感じたのは、怒りと憎しみ。

ちくしょう
ちくしょう
ちくしょう

ちくしょう!!
407621の続きで:2006/09/19(火) 21:12:22 ID:???
どこか遠くで音が聞こえる。
菜を刻む包丁の音。
コトコトと煮える鍋の音。
フライパンをかき回す音。

「今度のお弁当は…ちゃんと食べてくれるかなぁ?」
夕暮れ時、オレンジ色の光に照らされて楽しそうに料理をする細い背中。
その背中に手を伸ばそうとした瞬間、光は閉ざされ暗転した。
目の前にいたのは、悲しそうな目をした見知った一人の少女。
「碇さん、鈴原知らない?ずっと探してるんだけど、いないのよ」
小さな掌に、少し大きめのお弁当箱を抱え込んで呟く。
「碇さんが鈴原を隠したの?」
ちがう
「碇さん、鈴原君を…返して」
ちがう
「碇さんが隠したんじゃないの?じゃあ、鈴原君はどうなったの?」
私じゃない!
トウジを殺したのは私じゃない!!
「殺した…?鈴原君死んだの?」

目の前で、失われた命。

「返して」
「返して」
「返して」
「返して」

声は止まない。
408621の続きで:2006/09/19(火) 21:13:15 ID:???
違う。違う。違う。
私だって返して欲しい
そうだ…私のせいじゃない

私はやめてって、嫌だってあんなに言ったのに…

父さんが!

父さんがトウジを殺したんだ!!


悲しそうに、淋しそうに、哀れんだような委員長の瞳。

叫んだ言葉は真っ暗な空間に耳障りに響いただけだったけれど、
私は聞こえない振りをした。


自分の叫び声で目が覚めた。
飛び込んできたのは、真っ白な天井。
夢を見ていたような気がする。
嫌な夢。
「気が付いたみたいだな」
病室の隅にいた加持さんが声をかける。
私はあのままエントリープラグから強制排除され、
裸の状態でベッドに寝かされていた。
それを恥ずかしいと思う前に、加持さんは言った。
「司令が話をしたいそうだ。
 気は進まないだろうが、意識が戻り次第這ってでもくるようにとの仰せだ」
409名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 01:12:49 ID:???
もう何かほかの読みたい
410名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 01:26:18 ID:???
超乙!!!やっぱトウジ死んじゃったか
これからの展開がかなり気になるよ
411名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 01:35:20 ID:???
あんだけサムいセリフを連呼して生き残ってたら立場がないだろ
コメディーなら逆にありかもしれないが

>>409
そういういらんカキコはせんでよろしい
412名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 01:38:12 ID:???
あのまま生き残って結局悲恋で別れたら
補完のとき迎えに来るのがカヲルじゃなくてトウジになっちまうwwww
413名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 01:54:45 ID:???
巨大トウジが「もうええのか?」とか言いながら出現するのですか
414名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 01:58:10 ID:???
でもそれはほんの一瞬で、真っ白な巨大トウジが再び綾波に戻るのですね




見たくない
415名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 02:04:31 ID:???
せっかくのカヲルの見せ場がなくなるよ…
416名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 02:05:44 ID:???
カのことだから普通に心の隙間に入り込んでくるんじゃないの?
あいつはそういう奴だ
417名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 02:10:32 ID:???
EOEとは限らないぞ。
テレビ版の学園エヴァ→私はここにいてもいいんだ!→おめでとうエンドかもしれん。
418名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 02:16:35 ID:???
確かにEOEカヲルの役どころがトウジに変わったらはっきりいってキモイな
419名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 02:45:09 ID:???
あー、トウジ死んじゃったんだ…
420名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 02:53:43 ID:???
逆に言えば生き残ったらトウジを補完するのはシンジきゅんになってしまう。
421名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 05:04:02 ID:???
加持の立ち位置が凄まじくうらやましい件
422名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 07:11:22 ID:???
>>418
カヲルの位置じゃなくてアスカの位置じゃないのか?
他人とか異性の象徴
カヲルとレイは分かり合えるかもしれない希望


>>420
裸のシンジきゅんがトウジを抱きしめてパシャですか?
423名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 07:43:47 ID:???
別に裸じゃなくてもいいじゃん。マヤのりったんや日向のミサトは服着てたしwww
それがトウジの望んだレイの姿。
トウジの願いそのものだったらLCLの海から引き摺りだして殴る
424名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 08:26:19 ID:???
加持→シンジもいいなあ
で、それにアスカを絡ませると
425名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 08:44:54 ID:???
次回は「女の戰い」か。
426名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 08:59:53 ID:???
>>424
複線もナシに今更絡められんだろ

でも、シンジがエヴァを降りた後、再び乗る動機はどうするんだろ
漫画版の加持の言い分ですらキツかったのに、ましてや相手は女の子
427名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 10:12:36 ID:???
シンジきゅん…かわいいよぉ
428名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 11:21:55 ID:???
>>426
それでも・・・それでも職人なら何とかしてくれる!!
429名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 20:04:43 ID:???
ワクテカ
430名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:12:31 ID:???
展開そのものにまったくオリジナリティがないからな。
なんか性別が単に変わっただけ、でしかない。

まあ、だからってスパシンTueeeeeになっても困るというジレンマ。
431名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:15:27 ID:???
口調を変えてだけの性別逆転スレのよりはましかと
432名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:18:28 ID:???
どこまでの改変なら許せる?
433名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:21:01 ID:???
>>431
あそこ落ちたし
434名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:21:30 ID:???
>>430
そう、だから展開に多少違和感が出ることも



しかし、本編シンジはこの女シンジよりヘタレというレスがあったけどやってることは一緒なんだけどな
やっぱ性差ってのはデカイんだなあ…
435名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:24:36 ID:???
他に職人は来ないのかい?
436名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:30:49 ID:???
そういうレスするもんじゃないよ
437名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:33:10 ID:???
だってこのままオリジナル展開ないままEOE行くの?
かなり長いぞ?少なくともカヲル殲滅までは行くみたいだし
438名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:33:16 ID:???
それじゃ誰も投下するなって言ってるようなもんだ
439名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:37:49 ID:???
元々過疎スレじゃん

こうやって職人さんが毎日投下してくれることが嬉しいけどなあ
440名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:44:51 ID:???
>>65の続きってどうなったんだ?
441名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:45:59 ID:???
このスレみたいに職人が居るだけ幸せだと思うけどな。
良スレでありながら、話途中で星のように消えたスレがいくつあった事か・・・
442名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 22:56:08 ID:???
今の投下作品って、確か前スレでこういうのが読みたいっていうレスがあって
じゃあ書くよって投下してくれるようになったんじゃなかったっけ?
それもほぼ毎日投下。オリジナル展開なくても面白いと思うけどな
443名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 23:00:42 ID:???
本編再構成ってやつだな
間違い探し的に細かい差を探すような楽しみ方をするという

読者も何人もついてるようだし、NGワード登録できるように題名も付けてくれてるんだから、
NG登録しておとなしくしているよろし
444名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/20(水) 23:09:17 ID:???
今はこの職人さんのやつの方が全然見たい
445621の続きで:2006/09/21(木) 00:27:45 ID:???
「思ったより元気そうだな」

背を向けそう語る父さん。
ゆっくりと振り返り、私と向き直る。
どんな顔をしているのかと思った。
私にあんなことをさせた父さんが、どんな表情で私を見るのか興味があった。
「命令違反。エヴァの私的占有。それによる本部施設の一部破壊。
 これらは全て犯罪行為だ。…何か言いたいことはあるか?」
ただ要点のみを伝える父さんの声。
そこには何の思いも感情もなかった。
「父さんこそ…私に何か言いたいことがあるんじゃないの…?」
そんな何もなかったように淡々と。
自分にとってはとるに足らないことだったかのように冷静と。
どうしてそんな風に私と向き合えるの?

「何のことだ?質問してるのは私だ」

考えるよりも早く身体が動いた。

「シンちゃん!よせ!こんなことしてもなにもならない!」
だけどその腕は加持さんの逞しい腕に掴まれ、行き場をなくした。
「離して!離してよ!」
こんな彼の掌一つで収まってしまう様な細い腕で何をしたって変わらない。
こんなことしたって、父さんは私のことを何とも思わない。
現に父さんは無表情でただ私を見ている。
逃げるわけでもなく、止めるわけでもなく。
涙が流れた。悲しみとも怒りともつかないそれ。
「私はもう…エヴァには乗りたくない!!」
浅く息づく呼吸の中、搾り出すように声を出す。
「もうエヴァには乗れない!ここにもいたくない!!」
ぽろぽろと頬を伝う生ぬるい水が邪魔に感じた。
この涙は、誰のため?…自分のため?
446621の続きで:2006/09/21(木) 00:29:29 ID:???
「父さんの顔はもうみたくない!!」
「わかった。ならば出て行け。お前には失望した」
良く響く低い父さんの声。
「もう二度と会うことは無いだろう」
喉まで何か言いたいことが出かかったが、歯を食いしばって耐えた。
きっと、この声はもう届かない。この腕ももう届かない。
踵を返し、私は司令室を出た。


「もう一度考え直す気は無いの?」
「ありません」
ずっと願っていた。
手を伸ばせばすぐそこに誰かがいる生活を。
「鈴原君のことは、わるかったと思ってるわ。彼が自分で選んだとはいえ…。
 どんな言葉で取り繕っても貴方の傷は癒せないでしょうけど」
だけど今の私とミサトさんは一定の距離をおいて話をしている。
「けれどこれだけは覚えておいて。あたしは貴方に自分の夢・願い・目的を
 重ねていたわ。いえ、あたしだけじゃない。それが貴方の重荷になるのが
 わかっていても、あたしたちはそうするしかなかったの」
伏せ目がちだったミサトさんは目線を上げて私をみると
はっきりとした口調で話し出した。
それが何だか煩わしくて、私は口の端を少しだけ上げた。
「ミサトさんの夢って…願いってなんですか?」
嘲笑みたいになってしまうのはしょうがないことだと思った。
「人類の平和ですか?人の命を踏みつけにしてまで?」
トウジが自分で選んだ?
エヴァに乗ることを選んだのは私や彼の意思でも、
そう仕向けたのは他の存在による力なのに。
そう、父さんやミサトさんや…他の大人の。
「人の命の重さはおなじなのに?」
「ごめんなさい…勝手な言い分だったわね」
447621の続きで:2006/09/21(木) 00:33:00 ID:???
そこまで言うと、今までじっと私を見つめていたミサトさんは
初めて目を逸らした。
「本部までのパスコードとあなたの部屋はそのままにしておくから」
「無駄です」
あそこはもう私の帰る家じゃない。
私はもう、エヴァには乗らないから。

「さよならミサトさん」


空が青い。
高く澄み切った空。
蝉が鳴いている。
見上げてみると、頭上には太陽と白い雲。
日の光は惜しみなく降り注ぐ。
いつもと変わらない町並み。

そう何も変わらない。

私がエヴァに乗るのをやめても、友達が死んでも。
448621の続きで:2006/09/21(木) 00:36:30 ID:???
それなのに、青いはずの空は何故か色をなくした灰色に見えた。
あの頃の。昔の私の世界のように。
昨日までの私は怒りと憎しみで出来ていたのに、今はもう何も感じない。
もう私には「何も無い」
大丈夫。最初に戻っただけだ。ここに初めて来た頃の私に。
そう、きっと大丈夫。私は生きていける。
ほら…もう皆の顔も思い出せない。
トウジの顔も思い出せない。

―――トウジ

―――彼はどんな風に笑っていたっけ?

「幾らなんでも悲しいはずなのに…もう涙も出ないんだ…」
謝る代わりに風で翻るスカートを握り締めた。
その時けたたましいサイレンの音が当たりに響いた。

十字の光の柱が幾本も立っている。
あそこに使徒はいる。あの光の柱の数だけ街が破壊されている。
その光景は目に入ってはいたが、私はどこか別の世界のことの様に見ていた。
そう思い込もうとしているのかもしれないことは考えないようにした。
頭上を幾つもの戦自の戦闘機が白い飛行機雲を靡かせながら飛んでいく。
あんなもので敵を倒せるのだろうか?考えるのはそこまでにした。
だって、私はもうエヴァには乗らないって決めたから。
思考を打ち切ろうとすると、誰かが私の腕を強く掴んだ。
449名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 01:49:51 ID:???
この時期のシンジの感情って、読み直すたびに違和感があるなあ。
まさか初陣もせず死ぬことは考えてなかったとはいえ、トウジなりに覚悟を決めて乗った以上
その覚悟を尊重するのもひとつだと思うが。
原作シンジなら、トウジがエヴァに乗った経緯を具体的に知らなかったからまだしも。
4話あたりで書かれたクラスメートの作文の冷静さとえらいギャップがある。
450名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 02:01:58 ID:???
モツカレー
451名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 02:15:42 ID:???


親友が死んだ重みに耐えられへんたのだろ
452名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 02:32:33 ID:???
>>449
シンジが元から第三新東京市の市民ではない、
つまり急に戦時体制下に放り込まれたただの子供であることを忘れないように。
453名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 02:39:17 ID:???
>>449
ぶっちゃけまだシンジきゅん達は14の子供だぞ?
454名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 02:50:31 ID:???
中の人のひととなりを知っている身からすると

あの1/3で良いから男らしさを分けてやれれば熱血風主人公になったのにと言う考えが離れない。

銀河にほエロ! はショックだったなぁ。
455名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 02:55:30 ID:???
シンジはオナニー好きな一介の中学生に過ぎないことを忘れちゃいかんね
456名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 03:16:20 ID:???
オナニーやって自己嫌悪するぐらいのシャイボーイさ
457名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 03:28:57 ID:???
トウジの遺体ってどうなったのかな?
無難に使徒に侵食された人間としてサンプル保存か?
委員長達見てると本編で葬式やったって描写ないし。
458名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 03:37:21 ID:???
なんか前も似たようなレスあったな

>>456
馬鹿。このスレだったらシャイガールだろうが!!
誰をおかずにして自己嫌悪?
459名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 05:50:58 ID:???
トウジの件で精神崩壊したヒカリの病室で。
最低。私って・・・ とか。
460名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 08:54:37 ID:???
>>454
熱血なシンジきゅんなんて見たくない
461名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 10:05:06 ID:???
愛と正義のためってのが熱血だと思ってるんだけど
怒りと悲しみと憤りで戦うのって
熱血って言うのかな?
462名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 10:38:01 ID:???
理由はどうあれ熱い血が燃えていれば熱血。
島本和彦を嫁。
>>457
そもそも一般人にはトウジが死んだことすら知らされてないんじゃないか?
463名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 12:24:17 ID:???
ネルフこぇぇええ
464名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 12:33:54 ID:???
でもトウジの親ってネルフ職員だよな?
ネルフ恐いよ。ネルフ。
465NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:42:15 ID:???
>>344
をみて初めてSSというものを書いてみた。
落ちがない、中途半端なTSものだからNGワード登録を推奨する。
466NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:43:19 ID:???
『僕はいらない子供なんだ』

今から転入する学校に行く途中ふとそんな事を考える。
前の家で散々事件を起こしたが、唯一の肉親である父親は結局来てはくれなかった。
今回は傷害事件を誤魔化しきれなくなった自分を叔父夫婦は父の元に送り出したのだ。
内心はっきり言って父に会えると少しだけ喜んでいた。
だがそんな物はすぐに消えてしまった。
父の元へ着いたらわけのわからないロボットそう『エヴァ』とか言うものに無理やり乗せられて、散々痛い思いをしたと思ったら気を失って、病院のベットで気がついた時には自分の性別が変わって居た。
何日間か体の検査の為に入院していたが父は僕のお見舞いには来る事はなかった。
偶然見てしまったのだが、父は自分と同い年くらいの少女にお見舞いに行っていた。
とてもそんな父と同居する気もせず、なし崩し的に父の部下の家にお邪魔することになった。

「馬鹿みたいだ…」

ぐるぐると思考の海に沈んでいた事に嫌気がさし一人呟いてみたが、気がつくと職員室に到着していた。

「碇シンジです。よろしくお願いします」

無難なあいさつをして転校初日の挨拶を終える。
席に着く時にワイシャツの隙間から見えた包帯に目を落とすと昨夜の光景が思い浮かんだ。
467NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:44:45 ID:???
「シンジ君かわいいわね〜お姉さん惚れちゃうかも」

目の前の女性ミサトさんはビールを飲みながら僕に話しかけてきたが、その言葉は聞き捨てならなかった。

「僕は男なんですよ。かわいいなんて言われてもうれしくないです!」

すぐさま反論するが、目の前のミサトさんは気にせず話を続けてきた。

「でも今は女の子でしょ〜これはお父さんからプレゼントよん」
「女子の制服…ID…碇……レ…イ? な、なんですかこれは!?」

渡された物は女子の制服と下着、碇レイと書いてあるIDカード。
薄々意味がわかってしまったが聞かずにはいられなかった。

「シンジ君明日から学校だから困るでしょ? 女の子になってしまったんだから女の子の制服とIDよ」

なおも目の前のミサトさんはビールを飲みながら楽しそうに続ける。

「なんだってあの子の名前なんですか!? 僕は男なんでこんな服いりません!!」

そういくら僕が女の体になってしまっても精神的には男なのだ、しかも名前が父が僕より大切にしている子とまったく同じ…そんな物受け入れられるはずがなかった。
しかも鏡で見ると僕は綾波レイという女の子と似ているのだ。
そこが何より気に食わなかった。

「ごめんね…シンジ君の気持ちもわかるけど……学校どうするの? その胸と体つきはどうみても女の子よ」
「胸に包帯でも巻いていきますよ! 僕はあの子の名前なんて名乗りたくない!」

ミサトさんはビールを飲むのを止めて深刻そうな顔で話しかけてきたが、僕は結局怒鳴る事しかできなかった。

「胸の形崩れるちゃうのに…いいの?」

最後のミサトさんの言葉は無視する事にした。
468NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:46:03 ID:???
<ピピピッ!>

また思考の海に浸っていた僕を現実世界に返したのはパソコンのメール音だった。

<碇君って本当は女の子なの? Y/N>

内心かなり動揺したがNOをクリックする。

<碇君は綾波さんの親戚? Y/N>

知らない…彼女と父の関係は僕が知りたいくらいだ、もちろんNOをクリックする。

<碇君があのロボットのパイロット? Y/N>

少し考えてみる…周りを見てみると後ろの女子が手を振ってきた。
これはYESだろうと思いYESをクリックした。

「ねえねえ、どうやって選ばれたの?」

「テストとかあったの?」

「怖くなかった?」

「必殺技とかあるの?」

YESと答えた瞬間に黒山の人だかりができた。
かなりびっくりしたが…こういうのも気分は悪くなかった。
前の学校だと事件ばかり起こしていたので、学校にいてもこんなに質問されるのも初めての事だった。
469NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:49:04 ID:???
放課後呼び出しを食らったので校庭に向かう。不良という奴はやはりどんな学校でもいるらしい。
こういう奴は徹底的にやるしかない。やらないとこっちがやられる。
校庭の中庭に着くとジャージの男が殴りかかってきた。すぐさま避けるが、思ったように体が動かず尻餅をついてしまった。

「何よけてんねん! 女みたいな顔して…またんき付いとるのか?」

今の言葉は許せない。近くに落ちている小石を握り込み立ち上がると同時にジャージの男を殴り飛ばした。

「僕は男だあやまれ!! 前歯全部折ってやる!!」

ジャージの男はすぐさま立ち上がると胸倉を掴んできた。もみ合っているうちに馬乗りにされてしまう。
前の体なら押し返して逃れる事ができたのに、今の非力な体ではビクともしなかった。

「すまんな転校生、わしはおまえを殴らなあかん。殴らなあかんのじゃ」
470NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:50:01 ID:???
「いやぁああ!!」

殴られると思った瞬間声が出ていた。自分の出した声があまりにも情けなくて涙がでてきた。

「転校生……おまえ女なんか?」

胸倉を掴んだ拍子にワイシャツのボタンが取れてしまい、もみ合っているうちに包帯が取れてしまっていたらしい。
僕の中学生にしては大きいそれがワイシャツの間から顔をのぞかせていた。
ジャージの男と連れのメガネは困惑した顔でこちらを見ている。

「あなた達何をやっているの?」

ふと目線を声の方に向けるあの子がこっちを見ていた。
泣き顔をみられてしまった事が悔しくてさらに涙が出てきた。
とめようと思う程逆に涙はあふれてきた。
少し怒った顔をした彼女は僕の上に馬乗りのままになっているジャージの男に蹴りをいれた後

「非常召集………先行くから」

とだけ言って去っていった。
僕は彼女に助けて貰った事を理解すると、涙はとまり不思議と安心した気持ちになった。
伸びてるジャージ男と呆然とするメガネ君を残しすぐさま彼女の後を追った。
471NGワード登録推奨:2006/09/21(木) 17:56:12 ID:???
正直すまんかった>>344の内容を誰か書いてくれ…実は俺も読んでみたいんだ。
俺が書くと中途半端で落ちがない。>>344こんなんでよければ読んでくれ。
むしろ書いてくれ。
472名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 18:01:10 ID:???
もっとひねくれてツンツンの、貞シンジ強化版みたいにすればいいんじゃないか?
473名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 18:51:08 ID:???
ちゃんと書かないと難しいよな。ひねくれ具合ひとつをとってもいき過ぎると最低系になりかねないし
474名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 21:25:42 ID:???
>>472
それだと単なる、周囲すべてに噛み付く狂犬のようなガキの一丁あがり。
475名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:15:49 ID:???
トウジ「スマンなぁ…転校生。ワシはお前を殴らないかん。殴っとかな気がすまへっ…んっ…のっ…やあ!!なっ、避けんなアホ!!」
シンジ「やだよ…だって殴られたら痛いじゃないか」
トウジ「ここは男としておとなしゅう殴られんかい!!女みたいな顔しやがって、マタンキついとるんか!?」
ピクッ
シンジ「お、女みたいだって…?」
トウジ「へ?」
ドガァッ
トウジ「ふ、ふぐっ」
シンジ「僕のっ」
ドゴォッ
トウジ「うがぁ」
シンジ「どこがっ」
ベキィッ
トウジ「お、おぅっ」
シンジ「女みたいだって言うんだよっ!?」
トウジ「うげぇっゲホッゲホッ…」
シンジ「かかってきなよ…いくらでも相手してあげるよ…」
トウジ「お、おのれぇ…覚悟せぇよ…」




き、狂犬シンジ…?
476名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:18:01 ID:???
あーなんか面白いかも・・・
477475:2006/09/21(木) 22:25:36 ID:???
そ、そうか?
うーん…
478名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:28:47 ID:???
本気で長編やられたら引くかもしれんがなw
479名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:34:00 ID:???
実際問題男のときにあれだけ体格差あって、さらに女になってからだったら
トウジがよっぽど油断してない限りボディに入れるのは難しいと思うんだよな
途中で止められそう。パンチかましても大したダメージは与えられないというか
480名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:34:19 ID:???
最低系かw
481名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:34:39 ID:???
なんか、チキンと言われるとキレちゃうマーティ・マクフライを思い出した
女みたいだとか言われるとキレて、相手をボコボコにwあ、これカミーユ…
482名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:36:56 ID:???
>>479
虚構には不可能はないのさ
483名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:37:34 ID:???
>>479
三寸切り込めば人は死ぬ。

つまり急所を狙えば…
484名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:50:47 ID:???
馬乗りになられたとき膝立てればいいじゃん
485名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:52:23 ID:???
たしかにカミーユだな。
急所…トウジのマタンキが大変な事になってしまうぞ…
486名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 22:55:06 ID:???
何かトウジって色々使い勝手のいいキャラなんだなぁ
487名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 23:13:58 ID:???
関西弁というだけで強烈な個性を醸し出し、なおかつ熱血おばかさん
使いやすいな
488名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 23:29:59 ID:???
ジャージ、関西弁、熱血バカ、鈍感、主人公の親友、途中退場

たしかにおいしいキャラだな。
489621の続きで:2006/09/21(木) 23:41:32 ID:???
「こんな所でどうしたんだ?
 ボーっとしてたら悪いお兄さんに攫われちゃうって言っただろう?」
「加持…さん?何でここに!?」
「誰もいないなら俺が攫っちまうぞ?」
私の言葉は聞こえていないのか聞いていないのか。
加持さんは腕を掴む手はそのままに、辺りをきょろきょろと見渡した。
「連れ戻しに来たんですか…?父さ…、あの人の命令ですか?」
もう全部が煩わしくて、問いただした。
ぐいぐいと力強く腕を引っ張って彼は歩く。
歩幅が合わないので多少小走りになりながら私はされるがままだった。
「いや。俺の意思だ。監視がだいぶ厳しかったけどな。こうでもしないと
 君と話す機会は二度とないだろうからな」
「話?なんですか?私は話すことなんてなにもありません!」
思わず叫んで腕を振り払おうとしたけど無駄だった。
加持さんは一瞬立ち止まり、私を見た。
その目はいつも通り優しげだったけど、それ以外の感情をはらんでいた。
490621の続きで:2006/09/21(木) 23:43:26 ID:???
「来たわね!!」

大きな大きな天井は破壊され、気味の悪い顔をした敵がゆっくりと降りてきた。
「シンジなんかいなくたって…!あんなのあたし一人でお茶の子さいさいよ!!」
あの、いつも人の機嫌を伺うような卑屈な目をした黒髪の少女。
時折何もかも見透かしたような瞳で自分を見る少女。
けれど、言葉としては何も言わないくせに。
今だって、ここにいないくせに。結局何も出来ないくせに。
あんなのがいなくたって、一人で十分過ぎるくらいだ。
「こんのぉぉおぉおぉお!!」
ライフルの引き金を引くと同時に轟音と閃光が使徒を包んだ。
天空から速度は変わらずに、ゆっくりと使徒は降りてくる。
その時ライフルの弾が切れ、引き金からカチカチと間抜けな音がした。
「次!!」
予備のライフルに手をかけ、撃つ。撃つ。撃つ。
それなのに、敵は攻撃をものともしない。
「ATフィールドは中和してるはずなのに…!」
ゆっくりと、使徒の近づく距離が狭まってきている。
「なんで平気なのよっ!?」
先日の使徒との戦い。
中に人が乗っていると考えたため一瞬攻撃を躊躇した。
その結果があの様だ。
情けなく地に這い蹲って救助を待つしか出来なかった弐号機。
そして、結局使徒を倒したのは―――

「もう二度と負けらんないのよ、このあたしは!」

苛ついた様に引き金にさらに力を込めた。
491621の続きで:2006/09/21(木) 23:45:31 ID:???
連れてこられたのは、ジオフロントの端にある小さなスイカ畑。
「こんなところで何をしてるんですか?」
「アルバイトが公になったんでね。戦闘配置に俺の居場所はなくなったんだ
 以来ここで水を撒いてる」
「こんなときにですか?…ッ…!?」
青々と茂るスイカから目を逸らし、見上げたその瞬間見えたものは。
「アスカッ…!?」
遠くに見えたのは、首と腕を無残に切り落とされた弐号機の姿。
鋭利に切断された傷口から血が噴出したのか、カラーリング以外の赤に染まっていた。
身体が小さく震えた。パイロットは…?アスカは無事なの?
いや、違う。こんなこと考えたって。私が考えたって…。
だって私は、もうエヴァには乗らないって決めたから…。
そう決めたんだから!
最大限の努力で、私は弐号機を見ない振りをした。震える拳は隠した振りをした。
「俺はここで水を撒いて、これを育てることしか出来ないからな。君が羨ましいよ」
じょうろを手に、加持さんは目の前で繰り広げられている戦闘など見えていないのか
何事も無かったかのように畑に水をまく。
「私が羨ましいって…どういうことですか?」
「言っただろう?俺は水を撒くことしか出来ない。育てることしか出来ない。
 けど君は、君達女性は何かを育てるだけじゃなく生み出すことが出来るだろう?
 女体の神秘ってやつだな」
水を撒く手を一瞬止めると、彼はいつもの優しい顔で私を見た。
けれど、私にはその目をまっすぐに見ることが出来ず伏せ目がちに目を逸らした。
いらない。そんなもの、私はいらない。
私が欲しかったのは。私がなりたかったのは…。
「私は、加持さんの方が羨ましいです」
「それこそどういうことだい?」
492621の続きで:2006/09/21(木) 23:46:58 ID:???
あんな、加持さんの片腕一つにすっぽり納まってしまうような細い腕。
拳を叩き付けた所で何の意味にもならない小さな力。
うじうじとして、情けない私。
私は強くなりたかった。
男の子になりたかった。
たとえそれがただの願望であっても。
力が。
ただ、力が欲しかった。

そして、私はただ。

―――――私はただ

「じゃあ、欲しかった力を手に入れたというのにどうして君は何もしないんだい?」
その言葉を理解するのに恐ろしい程時間がかかった。
本当は、ほんの一瞬だったかもしれないけど。
嫌な汗が吹き出た。鼓動が収まらない。身体が動かない。
呼吸は浅く小さく空気を吸い込むだけだった。
「あなたも…私にあれに乗れって言うんですか?」
目の前で失われた彼の命。
その償いのために?
「私じゃない…」
父さんは義務で。
ミサトさんは私に自分の夢を押し付けて。
勝手な言い分で取り繕って。
今度は彼を殺した償いのため?
違う。私のせいじゃない。
選んだのは私でも、そう仕向けたのは貴方達だ!
「トウジを殺したのは私じゃない!父さんのせいでトウジは死んだんだ!」
やっとの思いで搾り出した言葉を、加持さんの真っ黒な瞳が受け止めた。
「君は前に進まなくちゃいけない」
493621の続きで:2006/09/21(木) 23:50:49 ID:???
加持さんは、私の言葉には何も触れなかった。
ただ口に出したのは、いつかのあの場所で言われたその言葉。
彼は全く同じ口調で同じ言葉を繰り返した。
嫌だ。
嫌だ。
そんなものいらない。
そんなもの私には必要ない。
「進むって…何処へですか?」
気が付いたら叫んでいた。
「アレにもう一度乗るのが私の道だって言うんですか?」
目の前で失われた彼の命。
人形の様に青白い肌。虚ろな目。
違う。こんなんじゃない。
きっと言いたいことはこんなんじゃない。
だけど、止まらない。
「私はもう戻らないって決めたんです」
だって、私にはきっともう何も無い。
何も無いはずだ。
認めてはいけない。考えてはいけない。
「私には道なんてもう何処にもない!!」

私は。

――壊れてしまうから。

「あるさ」
それでも、彼は大したことではないかのようにさらりと告げた。
「ありませんよ!」
少なくとも、私にはそんなもの見えない。
俯いたまま、加持さんの顔を見ることができずにいると
頭上から声がした。
494621の続きで:2006/09/21(木) 23:53:27 ID:???
「俺は君に道を提案してるだけだ。
 強制はしない。選ぶのは君の意志だ。こんどこそは本当にな」
強制はしない?嘘だ。選ぶのは私の意志でもいつだって…。
「シンちゃん。君がどうしようと、たとえ前に進みたくなくても
 生きてる限り道は続くんだ。だったら自分で納得した道を選びたいだろう?」
彼は私の考えを読んだかのようにはっきりと言った。
そう…本当は私にもわかってる。
わかっていた。
けど。
「ただ、どの道を選ぶとしても、後悔はしないようにな。自分で見届けなければいけない」
「…見届ける?」
「このままもう進めないというのなら、死んで終わらすこともできる。
 ほら、敵が好き勝手に攻撃しているしな」
空にはいくつもの閃光。飛び交う戦闘機。無残に切り刻まれた弐号機。
そして次の瞬間、目の前の山が切り開かれ抜けるように青い色の零号機が出てきた。
「綾波…?」
先日の戦闘で左腕を切断された零号機。修理の暇もなく敵が襲来したため
痛々しく剥離された肩はそのままに。使徒に突進する。
ライフルも持たずに。たった一つのN2爆雷を残された右腕に抱えて。
嫌だ。やめて。待ってよ。そんなことしたら…。
「綾波!!」
その言葉と同時に熱風と爆音が辺りを襲う。
光に慣れた目に飛び込んできたのは、破壊された零号機。
どうしてこんなに胸が痛むのか。どうしたらいいのか私にはわからない。
違う。胸なんて痛まない。涙も出ない。
もうエヴァには乗らないって決めた。
そう、大丈夫。私は生きていける。
だから…。
495名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 00:26:36 ID:???
どうなるかと思ったけど、うめぇぇええ
496名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 00:31:50 ID:???
>>471
途中まで読んでて、なんか俺が言ったネタに似てんなぁと思ってたら、書いていてくれたのか。
感謝。
漫画の打ち切り風味に中途半端に終わってもいいなら
みたいなってもいいなら、いつの日か書いて落としてもよかですか?

それでも僕は、その生き方を選択することしか出来ないのだ。

みたいに。

あと関係ないんですけど、男でも痛みでショックを受けると泣き出すんですね。
自分が344で書いたみたいに。
497名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 03:08:51 ID:???
反対する理由はない投下したまえ。
498名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 03:36:46 ID:???
アスカ視点出てきたけど、精神崩壊の伏線になるのかね?
何か読み返すと細かい伏線張ってる職人だから
499名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 12:47:52 ID:???
アスカよりシンジきゅんだ。シンジきゅん。
500名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 17:21:27 ID:???
いや、この職人のことだからなんか仕掛けかがあるんだって
501名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 21:49:57 ID:???
wktk
502621の続きで:2006/09/22(金) 22:15:16 ID:???
「そして、死んで終わらせるにしろ、何処か道を見つけて進むにしろ、
 君は君がしたことの結果を見届けてからにするんだな」
…私。
「君は君が傷つけた者の傷を見たことがあるかい?」
……私は。
「血を流し、膿んだその傷口は君が付けたものだ。もう二度と治らない」
目の前で血を流し戦っている彼女達。
もう二度と戻らない彼の命。
私が傷つけたその存在。
「君は本当に、そのまま何もなかったようにこのまま生きていけるのかい?」
でもついさっき、空を見上げながら思った。
きっと大丈夫。私は生きていける。
そうだ、生きていける。
ここから逃げたって、何もしなくたって、私は平気。
涙も出ない。胸も痛まない。…ほら、大丈夫。
「全部一人で抱え込んで。そんなにも、苦しんでいるのに」
その言葉に私は俯いていた顔を上げた。
「前も言っただろう?君は辛いことを無意識に頭から忘れようとしてるだけだ」
何を…?
私が、何を?
私は大丈夫。
大丈夫…なのに…。

「その涙は誰の為だい?自分だけのものじゃないだろう?」

トウジの、考える権利や笑う権利を奪ったのは誰だ?
彼に確かにあった筈の、夢だとか希望だと未来だとか、そんなものを全部奪ったのは…。

青々と茂るスイカ畑に塩辛い水滴が落ちる。
幾つも幾つも。雨のように。
指摘されて初めて私は自分が泣いていることに気が付いた。
503621の続きで:2006/09/22(金) 22:18:18 ID:???

ずっと考えないようにしていた。
ずっと見ない振りをしていた。


私はずるい。


本当自分が何をしたか理解している。
それなのに、あれは不可抗力だとかしょうがない事だったとか考えてる。
殺したくないのに人を殺してしまった自分を可愛そうだと思っている。
彼の死を言い訳にして私がいなくなった後の、あの二人の事も考えないようにしていた。
彼が全てが終わったら私に何を言おうとしてたのかは知らない。わからない。
私は本当はトウジをどう思っていたのか、どうして欲しかったのか。
もう知るすべはない。
わかったところで、どうしようもない。
だって彼はもういないんだから。
私のせいで死んだ。
私が殺した。
だけど一体私に何ができた?
やかましく泣き喚く他に何ができた?
14の子供に、他に何ができた?
助けられたかもしれない。でも助けられなかったかもしれない。
私の所為じゃない。
父さんの。父さんが…。

―――違う。そんなんじゃない。そんなこと今更自覚するために泣いたわけじゃない。

こんなに胸が痛むのは。
一番私が汚いところは。
504621の続きで:2006/09/22(金) 22:20:41 ID:???
考えようとすらしなかったこと。
言い訳にして利用しようとしたこと。
忘れようとしたこと。

アスカも綾波も戦っているのに。
あんな風に傷ついているのに。それを見ないふりをして。全て忘れて。
そう、彼のことも全て。
忘れた。忘れてしまった。きっと忘れたかった。
でも本当は全部覚えている。
トウジの笑った顔。怒った顔。照れた顔。
私に縋って泣いた君の少し冷たい体温。
あの日君と見た夕日。
全部。全部。全部。
だけどもう彼の思いも、私の思いも知る術はない。

それでもたった一つだけ思い出した。
いつか学校の保健室で委員長に言ったことを思い出した。
今更のように。

「君には君にしか出来ない、君になら出来ることがあるはずだ。
 誰も君に強要はしない。自分で考え、自分で決めろ」

気が付くと、私は私の足元を見ていた。
この足で私は何処にだって行ける。
あぁ、だけどトウジはもう何処へも行けないんだ。
私がトウジを食べてしまったから。
私の中に取り込んでしまったから。

君の髪も、指も、声も、視線も。

―――心以外きっと全部。
505621の続きで:2006/09/22(金) 22:25:32 ID:???

   私はただ、君に。



   君になりたかった。


だけど、欲しかったのは、望んだのはこんな結果じゃない。

踏み付けてなんて、進めない。
私はきっと、私を許せない。

本当は君が太陽みたいに笑う暖かい人だって、とっくの昔に知っていたのに。


「加地さん、一つだけいいですか?」
「なんだい?」
それでも聞いておきたいことが一つだけあった。
どこか私と同じ目をしている彼に。

「もしあなたが、自分のせいで大切な人が死んでしまったとしたら?」

加持さんは、一瞬不意を付かれたような顔をしたけど
すぐにいつもの優しいはっきりした声で答えた。
「……そりゃあ、必死になって気を付けるだろうな」
「…気を付ける?」


「次はもう殺さないようにさ」
506名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 23:10:57 ID:???
gj
507名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 23:11:56 ID:???
加持gj。
EoEでただ自虐に走らない伏線になりえるかな。
508名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 23:18:02 ID:???
伏線の使い方がうまいんですけど
509名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/22(金) 23:39:17 ID:???
うまー
乙です
510名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 00:09:34 ID:???
乙。GJ。
何かもうテレビ版の学園エヴァでいいからトウジとシンジ幸せにして欲しい
511名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 02:13:35 ID:???
すげー
職人は本当になんとかしてくれた
512名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 02:57:34 ID:???
うまいなぁ
513名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 03:10:34 ID:???
すみません。ぶっちゃけ女シンジとトウジの組み合わせって正直微妙でした。

君になりたかった。
で涙腺爆発になったけど俺はただ涙脆いんだ。
きっとそうだ。







゚・゚(ノД`)ウワァァァン



すまんかった。超すまんかった。
514名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 07:18:53 ID:???
この加持さんは貞本版だから、話さなかったけどやっぱり弟や仲間が
自分のせいで死んでるんだろうな。だからシンジの問いに一瞬動揺したと。

このやりとりで加持側にも何か心境の変化があれば、生き延びるまでは無理でも
アスカが壊れるのを防ぐような予防線やケアをして「気をつけて」から逝ってくれるかな・・・
ドイツからのつきあいだったくせに、漫画やテレビじゃあアスカのことは
ほぼ放りっぱなしで勝手に死んだからな。
515名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 07:58:31 ID:???
もう殺さないために戦ったのに、アスカは精神崩壊だわ綾波は自爆するわ
とどめにカヲル首チョンパでシンジは欝になるわけか
516名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 10:16:09 ID:???
>>510
学園エヴァとなると、役柄としては
朝起こしに来る幼馴染ですか?それとも転校生ですか?
どっちが美味しいだろうか。
517名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 12:24:34 ID:???
>>515
加持の台詞だけで劇的に変わるとは思えないが、
少なくとも少しは気をつけておくんじゃないだろうか。
ただ原作どおりに欝ってアヒャって首絞めるだけじゃ、何の芸もないし。
518名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 12:58:06 ID:???
シンジきゅんを毎朝起こす、もしくは
シンジきゅんが毎朝起こしに来てくれるなら、朝立ち見られて殴られても本望だ
519名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 13:06:38 ID:???
>>514
マンガの方だと、加持のアスカに対するフォローっぽいのが一応あったけどね。
520名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 16:44:24 ID:???
>>518
シンジきゅんは殴るなんてひどい事はしませんよ
521名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 17:28:36 ID:???
>>510
こんなん?

「起きろ!起きんか!」
「はっ!?」
「ようやくお目覚めかい」
「なんだ。トウジか」
「何だとは何や。このワシが毎日起こしにきてやってるんやで」
「うん。ありがと…。だからもう少し寝かせて…」
「だー!!起きろ!寝るなーー!!」

あー、ただのラブコメだ…。
トウジは死ぬからいいんだな。
522名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 17:36:21 ID:???
加持が良いトコ取り役得だな
死ぬけど
523名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 19:46:23 ID:???
まぁ一見わかりやすいハッピーエンドはテレビ版だよな?
庵野曰くEOEはハッピーエンドらしいけど、自分としてはどうもハッピーエンドに思えない
524名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 20:25:45 ID:???
確かに庵野の主観であって大多数から見たらはぁ!?って感じだよな
525名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 20:44:20 ID:???
あくまで庵野の中のハッピーエンドなんだよな。
説明されなきゃわからない。かと言って説明されても、ハァ?だからな。
普通に見たら明らかにバッドエンドだ。
でもテレビ版ラストはダメだ。たぶん幼なじみ役であろうトウジが羨ましすぎwww
526名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 21:13:43 ID:???
>>521
逆じゃないかな?

シンジ「おーきーろっ!!トウジっ、もうっ起きろってば!!」
トウジ「んぁぁ・・・なんや・・・シンジかいな・・・」
シンジ「はぁ、やっと起きた?もう早くしてよ、また遅刻しちゃうよ・・・」
トウジ「おおきにぃ・・・分かったから、もうっちょっとだけ寝かせてぇや・・・」
シンジ「あー!!もう!!トウジっ、いい加減にしてよねっ」

ばさぁっ

シンジ「・・・・・・あっ」
トウジ「うわっ寒ぅっ。何すんねんアホゥ!!・・・・ん?なんやシンジ、顔まっかっかにして」
シンジ「えっ・・・あっ・・・、は、早く服きてね。外で待ってるから!!!」
トウジ「??まぁええわ。えっとジャージジャージ・・・」



トウジ「あ、朝立ちしとる」
527名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 22:16:39 ID:???
何か可愛いな。
今投下してる職人さんおまけで書いてくれないかな
とか言ってみる
528名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 23:20:57 ID:???
トウジだったら妹が起こすんじゃないかと思ってしまった。
529名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 23:24:11 ID:???
妹公認のGFならいいんジャマイカ
530名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 23:28:30 ID:???
>>528-529
1)シンジ、トウジを起こしに来る
2)優しく起こすも起きないトウジ
3)「このアホ兄貴、碇さんまで遅刻させる気かいな!」妹激怒
4)はぎとられる布団
5)「キャーーーッ!」「このドあほう!」
531名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 23:31:03 ID:???
…トウジってなにかとおいしいとこ持って行くな
532名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 23:59:11 ID:???
>>529
…ガンダムファイト?
533名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 00:03:41 ID:NkMUUwQZ
キモチワルイ
534名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 00:06:29 ID:???
別にいいじゃん。
まぁ今日も今日とて職人待ち
535621の続きで:2006/09/24(日) 01:05:24 ID:???
私は走り出していた。
考えるよりも先に身体が動いていた。
息が苦しい。足がもつれる。
それでもただ走った。

「乗せてください!!」

辿り着いたケージで、私は叫んでいた。

「私を初号機に、乗せてください!!」

出せる限りの大きな声を上げた。
今度こそ、父さんに届くように。

「シンジ、何故お前がここにいる」

『使徒がネルフの地下に眠るアダムと接触すればサード・インパクトが
 起こると言われている。今度は人類の命の全てが奪われるだろう』

『それを止められるのは、使徒と同じ力を持つ。――エヴァンゲリオンだけだ』

私には、人類の未来とか、夢だとか、願いだとか、そんなものはわからない。
真実なんていらない。私には重過ぎる。
だけど、たった一つだけ言える事があった。

「私は、エヴァンゲリオン初号機パイロット…碇シンジです!!」
536621の続きで:2006/09/24(日) 01:06:11 ID:???
「うあぁあぁあぁあぁあぁあぁぁぁぁあ!!!」
発令所を襲おうとしていた使徒に拳を奮う。
本部施設は飴細工のように簡単に壊れていった。
とうとうこんなところにまで!
ちくしょう。
ちくしょう!
もう一度拳を叩きつけようとしたその瞬間、
不気味な顔をした使徒の真っ暗に穿たれた目から光が走った。
「あぁああぁああぁあぁぁあ!!」
閃光と同時に千切られた初号機の左腕。
痛みは感じなかった。ただ私にあったのは…。
この存在を消し去ってしまいたい。きっと、それだけ。
そのまま残された右腕で使徒を殴りつけ、射出口の壁に叩き付けた。
「ミサトさん!!」
「…ッ!!五番射出、急いで!!」
発射された勢いを利用して敵を壁に押さえ込んだ。
摩擦で起きる火花が眩しい。
耳障りな音を立ててそのまま地上に昇ってゆく。
地上に飛び上がったところでその勢いを利用し、使徒に馬乗りになった。
「…はぁ…はぁ…ッ…………ッ…!!」
荒く息を吐き、鼓動を落ち着かせる。
そして辺りを見渡したそのとき、目に飛び込んできたのは―――。
537621の続きで:2006/09/24(日) 01:07:49 ID:???



『君は君が傷つけた者の傷を見たことがあるかい?』



無残に切り刻まれた、弐号機と零号機。
辺りの木々はどす黒い血の色に染まっていた。
私が傷つけた。
私が流させた。
その…色。
アスカ。綾波。
私…私は……。

「わぁあぁあぁあああぁぁぁあぁ!!」

ありったけの力を込めて殴りつけた。
何度も何度も何度も。
あの時と同じ。今の私はきっと、憎しみと悲しみだけで出来ている。
どうして。どうして、この存在はこんなにも許し難い?
私の大切なもの全部。全部。全部!!
538621の続きで:2006/09/24(日) 01:09:53 ID:???
不気味な顔をしたそれは、苦痛に悲鳴を上げた
スカッとした。
私を苦しめる全ての枷が外れたような気がした。
こんな状況なのに、口元には笑みが浮ぶ。
醜い化け物が苦痛に歪んでいる。
その事実に体が、心が歓喜を感じる。
私は狂っているのかもしれない。
でもいい。
それでもいい。
仮面の部分を掴み、ギリギリと抉るように引き絞る。
限界に達した肉と肉が千切れる不快な音が心地好い。
悲鳴がより強いものになる。

死ね。
死ね。
死ね。
死ね。
死ね。
死んでしまえばいい。

この、傷つけるしか、壊すことしかできない存在。



 まるで―――



 私みたいな――――――
539621の続きで:2006/09/24(日) 01:13:42 ID:???
>>527
今日で今週投下分くらいまでは作ったから
書けるっちゃ書けるけど、トウジと女シンジのラブコメ(?)なんて
読みたい人いるの?
540名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 01:25:56 ID:???
自分は別にいいです
今のだけで十分さ
541名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 01:43:03 ID:???
乙〜
あーいいなぁ狂気のシンジきゅん
ぬははー

>>539
書いていただけるなら喜んで読みます
けど、大変ならいいよ

トウジの夢、叶うことのなかった現実
みたいに最後に夢オチラブコメ……だったらどうしよ
542621の続きで:2006/09/24(日) 01:55:09 ID:???
いや、アラエル戦を纏めるのに行き詰っていて何か息抜きしたい気分だったから…
自分は大抵のカプは平気ですが、苦手な人もいると思うのでどうしましょう?
543名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 01:59:31 ID:???
そーだなー
うちもカプは何でもイケるクチですが、
中には苦手な人もおるしなあ
で、個人的にはすごく読みたいわけです……

あらかじめ注意して、苦手な人はNG登録出来るようにしてから投稿されたら大丈夫じゃないかな?と思うんですが
他の人の意見も聞いてからにしてみまひょ
544名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 02:25:34 ID:???
すまん、苦手だorz
ただ、ラブ※までで済むならOKです。
完全カプ成立しなければ楽しめると思う。
545名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 02:59:00 ID:???
NGワード設定で良いんじゃないの?
投下作品の幅を狭めるようなことがあってはならんよ
546名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 08:48:21 ID:???
自分はパスだけど、他にはいるかも。

NGワードとかあるから問題ないんじゃ?
547名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 10:11:07 ID:???
NGワードを指定してくれればスルーできるからいいんじゃないの。

俺は621氏の作風が好きなので読んでしまうと思います。w
もちろん自分に合わなくても文句をつけるつもりはないので
気楽にやってください。
548名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 15:02:01 ID:???
てか、アラエル戦に手ぇかけてるってのが凄くね?
549名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 17:59:36 ID:???
そろそろサルベージか。
エヴァの中で女シンジは素っ裸か
550名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 20:24:11 ID:???
スク水シンジきゅんに見える
ttp://shinjikyun.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/src/shinjikyun0017.jpg
そういえば、前スレのスク水シンジきゅんなくだりに萌えたなぁ…
551名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 20:35:38 ID:???
おお、シンジきゅんだ
でも、すらりと育ったけど風が吹いたら折れそうな貞的貧弱さが欲しいのう
552名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 21:07:17 ID:???
カヲルとくっつかれるよりはトウシンになったほうがいいんで、ひっそりとラブ米を待ってます

>>550
これシンジきゅんなのか?違うキャラ?
553名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 21:16:47 ID:???
これは苺ましまろの千佳ちゃんだな
554621の続きで:2006/09/24(日) 23:32:05 ID:???
それでも時は無情に終りを告げた。
――――エネルギー切れ。
電源が落ちたエヴァの中は闇に染まった。
「くそ…ッ…!!」
真っ暗なエントリープラグ。
いつか同じ体験をした。
また私は何も出来ないの?
何も…守れないの?

「嫌だ…」

いやだ!!

「動け!動け!動いてよ!今動かなきゃ何にもならないの!!」

他には何もいらない。
何も望まない。
何だって構わない。
私にみんなを守れる力があったら

「動け!動けよ!」

固い金属がぶつかり合う耳障りな音がうるさい。
エントリープラグにヒビが入る不快な音が大きくなる。
鉄の板一枚向こうにはあの使徒の鋭い触手。
変わらず沈黙を保つエヴァの中で叫ぶ。
狂ったようにレバーを動かした。

「今動かなきゃ、今やらなきゃみんな死んじゃうんだ!!」
555621の続きで:2006/09/24(日) 23:33:24 ID:???
奇跡なんてきっと起きない。
でも、その代わりになんでもする。
なんでもするから。
私の大切なもの全部、守るためなら。
もう誰かが死ぬのは。
誰かが私のために何かをするのは。
そんなのは…。


他には何もいらない。

何も望まない。



「そんなのもう嫌なんだよ!」


壊すことしかできない敵にも。


「だから…ッ…!」


傷つけるしかできない私にも。


「だから、動いてよぉッ…!」



心なんか失くなったって構わないから。
556621の続きで:2006/09/24(日) 23:35:03 ID:???

  ド…クン


「………ッ!?」


  ドクン


匂いがする。


  ドクン


誰かがいる。


  ドクン


私はこの匂いを知っている。

ずっと待っていた匂い。
懐かしい匂い。

私の他に誰かがここにいる。


その時感じたのは、恐怖と…そして懇願。
557621の続きで:2006/09/24(日) 23:36:23 ID:???



―――神様は、どこにいるの?


 神様なんて、いない。




だから、何だって構わない。


他には何もいらない。

何も望まない。



この存在を消し去るだけの力だけを、私に下さい。

558621の続きで:2006/09/24(日) 23:37:24 ID:???

さめないゆめをみていた
おわらないゆめをみていた

ような

きがする

ここがきっとげんじつなのかもしれない

だってゆめがいちばんこわいから

すくなくともここはあたたかいから



「………まだ生きてる」
開かれた自分の赤い瞳に映るのは、真っ白な天井。
いつか見たのと同じ天井。
この目が再び何かを映しているという事は、自分は死なずにすんだらしい。
それも特に意味を持たないことかもしれないが。
それでも、目が覚めたとき思ったのは。
天井の白さよりも先に受け止めたのは。
「…碇さん?」
559621の続きで:2006/09/24(日) 23:40:00 ID:???
「あの女が無事だっていうのはわかったわよ!ミサトもいちいちあたしにそんなこと連絡してこないで!!」
耳障りな言葉を並べる携帯の電源を切ると、壁に叩き付けた。
散らかった部屋に不快な音が響いたが、もう気にはならなかった。
ただ一つ、心をこんなにも乱すのは…。
「何も、何もできなかったなんて…!!」
情けなく地に這い蹲るしかなかった。無残に切り刻まれ、立ち竦むしかなかった。
そして、結局敵を倒したのは。あの卑屈な目をした黒髪の少女。
「あのバカシンジに助けられたなんて…!!」
もう何も聞きたくない。何も見たくない。ベッドに横たわると、枕に顔を埋め、耳を塞いだ。
心の中にある感情は一つだけ。

「くやしい…ッ…!!」


「シンちゃんのサルベージ計画?」
「彼女の肉体は自我境界線を失って量子状態のままエントリープラグを漂っていると推測されます」
「そう、彼女の精神――――魂と呼ぶべきものと一緒にね」 
素体に白い包帯を巻いただけの痛々しい姿の初号機。
活動は停止したはずのそれは、それでも目だけは爛々と輝き
歯をむき出しにしたその口は嘲笑っているかのように見えた。
そんな場所で告げられたのは思ってもいなかったこと。
暴走した初号機のエントリープラグは排出されなかった。そう、彼女はもうそこにはいなかった。
代わりに残されたのは、彼女がいつも着ていた青と白を基調にした
プラグスーツだけ。彼女は消えてしまった。いや、取り込まれてしまった。あの初号機に。
「シンちゃんの肉体を再構成して定着させるわ」
「そんなことができるの?」
「マギのサポートがあればね」
「理論上は…でしょ」
でも今はその理論に縋ってやってみるしかないのだ。
昔の自分の姿を重ねてしまう、あの黒髪の彼女を取り戻すために。
560621の続きで:2006/09/24(日) 23:46:17 ID:???
トウジと女シンジのラブコメですが、オリジナルで話考えてみたら物凄い
イチャイチャしたラブコメになりました。こりゃだめだwwww
苦手な方もいらっしゃると思うので、
TV版最終話の学園エヴァ設定で、トウジ片思いみたいな感じで行こうかと。
でもそうなると割りと長めになりそうです。

サルベージ編終了後には、ご意見なければ投下しようかと思います。
本当は他の職人さんが書いたのを見てみたいんですがwww
561名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/24(日) 23:53:39 ID:???

待ってる
562名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 06:13:18 ID:???
おっつ

期待してます
563名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 07:56:11 ID:???
むしろオリジナル話のイチャイチャラブ米の方が気になるワケで
どんなんだwwwww
564名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 08:27:10 ID:???
まあシンジトウジが気にいらねって奴もいるだろうし。
人の趣味に文句はつけないのが一番。
それこそトウジとバカップルだろうが、格闘家だろうが書きたいものを書いてうpしたいものをうpすればいい。
565名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 08:48:18 ID:???
サルベージ中のシンジきゅんはすっぽんぽんなんだよな…?
誰か描いてくれ
566名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 15:33:29 ID:???
女シンジトウジケンスケで飛べ!イサミを思いだした
567名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 17:37:30 ID:???
あとカヲルも加わればドラえもんみたいになるね
568名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 17:49:57 ID:???
カヲルは出来杉君だと思うよ
569名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 20:21:14 ID:???
>>560
何でも読みたいっす。
570名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/25(月) 20:40:13 ID:???
ありがとう、621氏。
ヘタレな僕の願いを聞き入れてくれて。

キス以上の恋愛交渉が無ければ、トウシン平気なんですけどねつД`)
原作男性キャラ同士のイチャイチャエロエロが受け付けなくて……。

でも個人的嗜好なので、もしイチャイチャを投下される時はNGワードを設けて頂けるとありがたいです。
そのときは、できましたら普通のラブ※も書いていただけると嬉しいなあ。
571621の続きで:2006/09/25(月) 23:44:08 ID:???
ここはただおそろしくここちよいゆめのようなところ
わたしをただやわらかくつつみこむばしょ

でもわたしはどこにいるの?

遠くで泣き声が聞こえる。
誰が泣いているの?
その泣き声を止めてあげたくて、耳を傾けた。

「お父さん。行かないで!お父さん。あたしをおいて行かないで!」
「我侭を言うな。先生のところでいい子にしてろ」
「お母さんは!?お母さんはどこにいるの?」

泣きながら小さな手を伸ばす幼い女の子。
あれは…私?

「母さんは死んだ」

「嘘よ!」

「お前も知っているだろう?そしてもう会っている」

不気味に居心地の良いエントリープラグ。
それでも、生まれ堕ちた赤子を再び母親の胎の中に戻すような
そんなおぞましい違和感は抜けない。
その瞬間迫り来る鼻をつくような嫌な匂い。
溢れ出したLCL。
血の匂いで吐きそうだ。
血。血。血。
血の匂い。
誰の流した命の欠片?
誰が流させた命の残骸?
572621の続きで:2006/09/25(月) 23:48:15 ID:???
何故いまさら?父さんは私が要らないんじゃなかったの?

「嫌だ…!」
フラッシュバックするあの光景。
「嫌だ!!」
何の感情も理由もなく振り下ろされる拳。
「やめて…!!」
腕の中で消えてゆくたった一つの命。
「やめてよ!父さん!」
もう何も映すことはない黒い瞳。
「やめて――――――!!」
沈んでしまった太陽。

気が付けば、一人。
でも目の前には父さんがいる。
でも、私の心は一人だった。

憎い。

「よくも…よくもトウジを殺したな…!」

憎い。

「よくも…母さんを殺したな…!」

憎い。

「よくも…!私を裏切ったな!!」

感触は、驚くほど軽かった。
まるで、柔らかな羽毛に突き立てたみたいな。
ずるりと濡れた感触と共に、真っ赤な血に濡れた―――――父さん。
573621の続きで:2006/09/25(月) 23:50:50 ID:???

ああ、なにもかもまっかにそまったせかい

ながれるちのいろはただただあかい

それなのに

ああ

なにもかも



――――まっしろだ




『現在LCL濃度36を維持。酸素密度に問題なし』
『放射電子パルス異常なし』

修理は完全に済み、初号機の素体はもうすっかり元通りになっていた。
そう、見た目だけは。しかし彼女はまだあの中に取り込まれたままだ。
「まさか一生あのままってわけじゃないわよね…」
柵に肘を付き、ぼんやりと考えた。そしてはっと気づいた。
「別にあんな奴どうなったっていいじゃない…」
そうだ、別にシンジなんかいなくたって。
あのまま好きなだけぷかぷか浮いてればいいんだ。
「何よ…。あたしはどうせ負けたわよ。あんたなんかに…。」
本当は最初から気に入らなかった。あのいつだってこちらの機嫌を伺うような目をした少女。
時折何もかも見透かしたような目をするくせに、その実何も見ていない瞳。
あんな子なんてあたしにはいらない。必要じゃない。
574621の続きで:2006/09/25(月) 23:52:05 ID:???
「シンちゃんが心配か?アスカ」
「加持さん!」
そっと肩に置かれた掌の主は、あの優しげな瞳をした彼だった。
「残念でした。これであたしの活躍の機会が増えるって喜んでいたのよ」
「またまたそんな意地張って。シンちゃんにはお世話になってたんだろう?
 掃除から炊事まで全部やってたって話じゃないか」
「あれはシンジが好きでやってたの!あたしに何もやらせてくれなかっただけよ!」
「ははっ!シンちゃんお母さんみたいだな」
「なにそれー!気色悪ーい!」
からかうように笑う加持さんの逞しい胸を軽く叩いた。
加持さんは派手に咳き込むような振りをして、冗談だよと笑っていた。
ああ、あたしは加持さんのこんなところが凄く好きだと思う。
胸に置かれたあたしの手を加持さんの大きくて暖かい手が包み込んだ。
「その意気だ。アスカ」
「…え?」
「きっと彼女も必死で戦ってる。だからお前もお前で頑張れ」
いつもの優しい瞳。優しげな声。
でも何を言ってるのかよくわからなかった。

「加持さん?」
「じゃあな」

加持さんはいつだって男らしくて優しくて。
そう、あたしにも優しくて。
でも、あたしが欲しかったのは優しさだけじゃなくて――――。
だから。

「何があってもお前はお前だ。それだけは忘れるなよ」

だから彼の最後の言葉は、いつまでもあたしの耳にこびり付いていた。
575621の続きで:2006/09/25(月) 23:59:46 ID:???
>>570
同じく、キス以上の恋愛交渉は苦手です。って言うか、書けません。
オリジナルの方はイチャはあってもエロはなく、ましてやキスもないんですが
描写がどうしようもなく少女マンガみたいになったので中断いたしました。
TV版学園エヴァ風には、ご指摘通りNGワード設定推奨と注意文を
添えさせていただきます。では、名無しに戻ります。
576名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/26(火) 02:35:10 ID:???
乙です

サルベージかぁ
シンジきゅん真っ裸だな
577名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/26(火) 08:34:22 ID:???
ああ…裸神だな
578名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/27(水) 01:31:08 ID:???
まちまち
579名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/27(水) 14:25:29 ID:???
裸だな・・・
ちょっと、期待してる俺がいる
580名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/27(水) 14:31:33 ID:???
>>579不覚ながら漏れもだ
581621の続きで:2006/09/28(木) 00:36:46 ID:???
あそこからこえがする
わたしをよぶこえがする

ここはあたたかい

ただゆめのようなばしょ




生まれたままの姿で眠るようにまどろむ。
「…母さん?」
根拠もなく呼んでしまった。
言ってしまってから、それに気が付いたけれど
だけどそれは間違いじゃなかった。
『そうよ…あなたを待っていたの』
私を…待っていた。そう、私だって待っていた。
突然目の前から消えてなくなった母さんを。
今でも覚えている、母さんの優しい手の温もり。
『シンジ……』
母さんは私を優く抱きしめた。
暖かい。母さんだ。これは母さんだ。
ずっと待っていた。ずっと望んでいた。
でも――――。
「母さん。でも、私。行かなくちゃ」
『どこへ?』
何処へ?
何処へだろう。
わからない。
だけど、誰かに、何かに誓ったような気がする。
「わからないけど…。私、前に進まなくちゃいけないんだ。
 前に…。エヴァに乗って、守らなくちゃ。戦わなくちゃいけないの」
582621の続きで:2006/09/28(木) 00:38:40 ID:???
ああ、意識が白く白く遠のいていく。
何か大切なものがあったはずなのに、この白さで思い出せない。
この暖かな温度は、私を酷く安心させる。

『いいえ、あなたはよくやったわ。だからもうお休みなさい』

そうなのかな―――


そうなのかもしれない―――


母さんの手が私の頬に触れる。
裸で触れる肌と肌が心地よい。
母さんの柔らかな胸。
優しい体温。
ああ、ああ。

―――――私は。


『いままでのことは夢だったのよ。いいのよ、ずっとここにいて―――』



意識が遠のいていく。
ああ、ここは暖かい。
懐かしい良い匂いがする。
安心する。

夢?
そう、夢。
583621の続きで:2006/09/28(木) 00:39:49 ID:???

ああ、夢って本当に怖い。
あれが夢で良かった。
あんな恐ろしいものと私が戦うなんて。
あんなに簡単に、私が人の命を奪えるなんて。



わたしはここにいてもいいんだ

ずっとここにいよう

ここはわたしをこばまないから



すくなくともここはあたたかいから





だけど重い目蓋を閉じた瞬間、胸がつきんと痛んだ気がした。







そんな気がした。
584621の続きで:2006/09/28(木) 00:43:33 ID:???
ああ、ここはなんてあたたかい
それはゆめのようなせかい

あくむのようにおそろしくいごこちのよいばしょ


サルベージは着々と進んでいく。
その様子をミサトは釈然としない思いで見ていた。
胸がもやもやする。どろどろした思いが心を焦がす。
それでも今は、この「科学の力」とやらに頼るしかない。
「第一信号送信します」
「エヴァ信号を受信。拒絶反応なし」

あそこからこえがする

「続けて第二第三信号送信開始!」
「対象カテクシス異常なし」


わたしをよぶこえがする


『シンちゃん』


おこさないで


『シンちゃん!』


わたしはここにいる
585621の続きで:2006/09/28(木) 00:46:32 ID:???
「全波形域を全方位で照射してみて!」
異常はすぐに起きた。
「発信信号がクライン空間に捕らわれている!?」
大仰な機械類が立てる甲高い音とオペレーターの緊迫した声が
辺りを包む。空気が酷く硬く感じた。胸がもやもやする。先ほど感じた嫌な予感。
「どういうことよ!」
「つまり………。失敗」
青ざめたリツコの口から告げられたのは、そんな言葉。そしてたった一つの疑問。
「これは…何故?帰りたくないの?」


ここはあたたかい
なつかしいいいにおいがする

あんしんする

こわいゆめなどみないから
ゆめがいちばんこわいから

もうどれくらいここにいるのかわからない

おそろしくいごこちのよいゆめのようなばしょ
さめないあくむのようなばしょ


おこさないで

わたしはここにいる


「作業中止!電源を落として!」
「ダメです!プラグが排出されます!」
586名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 01:05:20 ID:???
え、え?
シンジきゅん帰らないの?
ずっと裸?
587名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 03:26:36 ID:???
>>588もちつけ
588名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 03:34:32 ID:???
よし、もちついたぞ。
589名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 04:21:53 ID:???
この職人さんの女シンジきゅんが逆行して
トウジや加地やアスカ助ける話ってどうか?
自分の気持ち押し殺してトウジを助けてヒカリとくっつけたり
アスカが精神崩壊しないように頑張ったり
いや、思いついただけ…
590名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 07:22:10 ID:???
シンジきゅんはそんな万能じゃない
591名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 07:44:11 ID:???
それは他の職人さんに期待しよう
俺はこのままの路線でいってもらいたい
592名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 11:05:57 ID:???
>>589
このシンジきゅんは、まず現時点では自分を助けることが第一だろう。
593名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 16:02:25 ID:???
トウジ助けたら、そのまま参戦しちゃうかもしれないじゃないか
加地にいたってはどうやって助けるんだww
594名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 17:28:54 ID:???
>>589
トウジvsカヲルをみてみたいなw
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 17:36:02 ID:???
前にシンジきゅん描いてくれた絵師また投下してくれないかな
あのシンジきゅんは、シンジきゅんなのにちゃんと女の子って感じで良かった
596名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 17:53:49 ID:???
597名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 18:06:16 ID:???
このシンジきゅん、隠れ巨乳だなwwww
598名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 18:11:30 ID:???
>>596
あ、あの神のシンジきゅん!!!
懐かしい
599名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 18:12:09 ID:???
>>596なんかキモイナ。オカマみたいだ…
600名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 18:32:38 ID:???
前スレで、ショートカットとロングヘアのシンジきゅん投下してくれた絵師さんが理想だった
あれのショートの方のイメージで読んでる
601名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 18:33:24 ID:???
602名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 19:05:59 ID:???
元々が女っぽいからな・・・。
女にしても男に見えてしまう・・・。
全てはこれでいい
603名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 19:17:02 ID:???
いや、これは女の子っぽくて可愛いと思う
604名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 19:17:54 ID:???
>>601
596と同一神のだ!!データ消えちゃってたんでもらっとく。あんがと

>>602
元々少女っぽい容姿だから、女にした時に容姿で変えるところがあまりないんだよ。
髪型変えれば、いいんだけどさ。
605名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/28(木) 20:18:01 ID:???
>>600ああいうのを本物の神っていうんだよな。
606621の続きで:2006/09/28(木) 20:46:18 ID:???


あそこからこえがする



『本当に怖いのは現実でしょう?』




あそこからこえがする



『もう戻らないつもりなの?』


『そこにいてはダメ』


『戻ってきて』



あそこからこえがする



607621の続きで:2006/09/28(木) 20:47:17 ID:???


―――――それは何処にあるの?―――――


―――――そしてここは何処?―――――



『戻ってきて』


わたしをよぶこえがする



誰の声?




その瞬間、世界は砂の城の様に崩れ落ちた。
「いやあぁあぁあぁ!!」
目の前にいたのは、母さんではない得体の知れない化け物。
掴まれた腕は暖かい優しい腕ではなく、痛いほど冷たい感触。

「助けて…!」
608621の続きで:2006/09/28(木) 20:48:01 ID:???


いやだ


いやだ


嫌だ!!


ここは嫌だ!!


「助けて!!母さん!!」



覚めない夢をみているみたい。

白く白く、ただ真っ白な世界。




母さん。



609621の続きで:2006/09/28(木) 20:49:23 ID:???


『あら、生きていこうと思えばどこだって天国になるわ。
 だって生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ』

『そうか、そうだったな』





―――――母さん?



生まれたばかりの赤子を抱いて、慈愛の表情を浮かべる女の人。
その傍らで、優しく見守る男の人。


私が望んでいた「幸せ」の姿。




ここは暖かい。
懐かしい良い匂いがする。
安心する。

起こさないで。

私はここにいたい。
610621の続きで:2006/09/28(木) 20:52:05 ID:???
でも――――。


『でも、ここにいたくなかったら…。いいのよ。前に進みなさい。
 自分の進む道は、あなたが自分で決めるのよ』


あそこから声がする。
私を呼ぶ声がする、

匂い。
人の匂い。

綾波?

ミサトさん?



『もういいの?』











『そう、良かったわね』
611621の続きで:2006/09/28(木) 20:53:16 ID:???
夢を見ていた。
夢を見ていた。

目が覚めれば忘れてしまう。


そんな、壊れそうに儚い夢。




特に聞きたいわけでもないけれど、ウォークマンのスィッチを入れる。
いつもの音楽。退屈な音楽。それでも、これを聞いているときは、
流れる音楽と同じ速度で時間が流れるから。
そのはずなのに、時間は一定の速度でたゆたったままだ。
私の思考が止まらないから。

夢から覚めたとき、一番最初に目に入ったのは。
真っ白な、真っ白な世界。
夢の続きのような気がした。
だけれど、白いだけだと思っていた世界は
よくみると、陽の光に照らされた見慣れた天井だった。
会いたかった。
お礼を言いたかった。
どうしてそう思ったのかはわからないけれど
どうしてその人に会いたくなったのかはわからないけれど。
あの、青い髪の淋しげな目をした少女の顔が見たかった。
612621の続きで:2006/09/28(木) 20:54:26 ID:???

前に…進まなくちゃ。

夢から覚めたときからずっと心の中で呟き続けている。
道が何処に辿り着くのかわからないけれど、ただ前に。
生きている限り道は続く。
だったら、自分の行きたい道を選んだほうがいい。
行きたいところはどこかわからないけれど。
でも、ああ、でも。
続いてゆく道の真ん中で、立ち止まった時
その時は――――どうなるんだろう?
立ち止まってしまったら、どうなるのだろう?

『貴方はこれで良かったの?』

目が覚めたとき、初めて会った人は
望んでいたあの少女だった。
これで良かったのかは正直わからない。
けれど、私は彼女に会えて嬉しかった。
みんなに会えて嬉しかった。
それだけは、本当のこと。

それでも、あの恐ろしい程居心地の良い真っ白な世界。
全ては覚えていないけれど、あの空間に囚われていた時は
たとえ幻でも、ほんの少しの間でも

確かに幸せだった。

あのままずっとあのおぞましい幸せにたゆたっていたら――――
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 14:20:14 ID:???
614名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 19:42:44 ID:???
今日は俺くらいしかいないんだな
615名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 19:45:01 ID:???
そんなkとは無いぜ
倒錯野郎
616名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 20:06:10 ID:???
シンジきゅん素っ裸で出てきたのか。
ところで、女シンジきゅんはひんぬーが好みなんだが、他の意見はどうか
617名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 20:56:46 ID:???
ポン貴の描くようなちょい巨乳な女シンジきゅんでも萌える。
ま、一番心をくすぐるのは貧乳だが
618名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 20:57:27 ID:???
微乳で美乳なんだよ
619名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 23:50:53 ID:???
つーか14歳で巨乳つったらデブの類ではなかろうかと。
綾波・アスカの胸が異常なのは漫画的表現ですよ。本当は鶏がらで当たり前。
620名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/29(金) 23:57:24 ID:???
胸ある奴ってのは、同時にいらん肉も付いてるからな
621名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 00:29:11 ID:???
13歳のアスカは肥満体系でバストが既に80を超えていた。
しかし、加持と出会った事でダイエットを決断。
持ち前の負けん気と努力で見事なダイエットを成功させるとともに
バストサイズの減少も最小限にとどめる事ができた。





よく考えたら成長期にダイエットはいかんだろ。orn
622名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 00:41:38 ID:???
貧乳がいいな
シンジきゅんの胸うっかり触ってしまって、
真っ赤になってるシンジきゅんに「え!?今の背中じゃないの!?」
とか口走って殴られたい
623名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 00:51:28 ID:???
本当の女子にやったら
ナにこいつきも・・・
だってことをわs(ry
624名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 01:51:47 ID:???
そんなこと言ったら、このスレ自体がキモ(ry
625621の続きで:2006/09/30(土) 01:56:58 ID:???
「ただいま。…アスカ?…ミサトさん?」
ウォークマンのスイッチを切り、玄関のドアを開けた。
久しぶりに帰ってきた私の「帰る家」
もう仕事に行ってしまったのだろうか?
人がいる気配は酷く薄かった。

リビングまでの廊下を抜け、部屋に入ろうとしたその時聞こえたのは
電話越しの男の人の声と、声を押し殺した女の人の嗚咽。


あのままずっと、あのおぞましい程の幸せにたゆたっていられたら―――



「今の留守電なに?何で泣いてるの」



道の真ん中で立ち止まってしまえたら――――



「ねぇ、何で黙ってるのよ!加持さんがどうかしたの!?ミサト!」






加持さん―――――

626621の続きで:2006/09/30(土) 01:58:07 ID:???
ずるずると膝の力が抜け、私はその場にしゃがみこんだ。
ウォークマンのスイッチを入れ、その上からさらに掌で耳を塞ぐ。
この数歩向こうにある現実が見たくなくて
ミサトさんの泣き声も、アスカの叫びも聞きたくなくて。
必死で耳を塞ぎ、目を閉じた。
「……シンジ?」
「……………」
たとえそれが無駄だとわかっていても。
部屋の空気が耐え切れず、外に出ようとしたのかアスカは玄関に蹲る私に気が付いた。
「…あんた、いつからそこにいたのよ!?まさか、さっきの全部聞いてたの?何か知ってるの!?」
「……ッ…ら…ない…」
「答えなさいよ!ねぇっ!!加持さんがどうかしたの!?」
「…知らない。私、何も知らない!」
ウォークマンの音量は最大なはずなのに、何も聞こえないはずなのに
ミサトさんの嗚咽もアスカの糾弾も全て耳に入っていた。

きっと、加持さんにはもう二度と会えない。

ふと、ただそれだけ頭に浮かんだ。
わかってる。加持さんがやってきたのはそういうことだ。
彼にだって覚悟があったのだろう。いつかこんな結果になるとわかっていたはずだ。
でも、そんなことアスカに言えるわけがない。
それに私がその時思っていたのは、アスカに対する思いやりではなかった。

『真実から逃げてはいけない』
『君は前に進まなくちゃいけない』
627621の続きで:2006/09/30(土) 01:59:34 ID:???
私の心をかき乱し、そして励まし勇気付けた加持さんの言葉。
私はただ、酷く加持さんが羨ましかった。
世界の終わりで加持さんは何を見たのだろうか?
もう彼は真実なんか背負わなくて済む。
前に進まずに済む。
遣り残した全てを悔やみながら、それでも
あのおぞましい程の幸せの中で眠ることができるのだろう。


それでも、私は――――



『君は本当に、そのまま何もなかったようにこのまま生きていけるのかい?』


そんな風にいまさら生きられない。
私はきっと、私を許せない。


守りたいものができた。
彼のように真実を背負う覚悟はなくても、
神様なんていなくても生きて行くって誓った。
628621の続きで:2006/09/30(土) 02:00:39 ID:???


だから、私は――――



あの時の加持さんの言葉をふと思い出す。

私も同じことを思った。



前に、進まなくちゃ――――



ここはまだ、世界の終わりではないのだから。



『次はもう殺さないようにさ』










そんなことが本当にできるのかどうかは、まだわからないけれど。
629名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 02:01:54 ID:???
シンジあれだけで気付いたのか。スゲー
630621の続きで:2006/09/30(土) 02:05:31 ID:???
>>560で言ってた26話の学園エヴァパロのラブ米(?)が出来たんですけど。
ラブ米って言ってもたいしたことないけど、元ネタ色々弄ったら
かなり長いものになりました。NGワード登録で投下してもいいですか?
それとも、このままアラエル戦行ったほうがいいですかね?
631名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 02:07:24 ID:???
おっつん

投下!投下!!!
632名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 02:47:14 ID:???
起きててよかった!
ラブ※お待ちしてます
633名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 09:58:37 ID:???
>>630
何でもイイから早く読ませろ!!










読ませてくださいお願いします。
634名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/30(土) 23:45:20 ID:???
ちょっと本編・漫画のシンジきゅんとズレてきたか?
これがつもりつもって、最後は少年漫画風の熱血アグレッシブシンジになってほしいよ。
635621の続きで:2006/10/01(日) 01:01:45 ID:???
TV版26話の学園エヴァパロのラブ米投下いたします。
最初に言っておきます。すみません…。
ラブ米苦手な方もいらっしゃると思うので、極力表現控えてみました。
たいしたことないと思いますが、一応注意文を。

・一応ラブ米
・女シンジの幼馴染トウジが片思い。ひたすら片思い。
・転校生が貞カヲ
・リナレイがシンジの妹
・無駄に長い

以上の点が含まれますので、耐えられない方はNGワード設定推奨です。
636NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:04:19 ID:???

恋より怖いものは無し



「起きんかい!ゴラァ!!」
見事な巻き舌と共に先ほどまで夢の世界にいたシンジの頭に衝撃が走る。
いつもの朝の風物詩。こんな乱暴な風物詩、はっきり言っていらないんだけれど。
「ようやくお目覚めかい!」
いつもの、少し低めの良く通る声。
「………なんだ、トウジか」
「何だとは何や!お前が遅刻しないよう毎朝起こしに来てやっとるんやないか!」
でもそんな風物詩がなくなってしまえば困るのは確実にシンジだった。
「うん…。ありがと…。持つべきものは幼馴染で親友だね…」
そう言うとトウジは納得しないような不満そうな顔をした。
最近トウジはおかしい。そんな変な表情が多い。
本当はかなり以前からおかしくなっているのには気が付かないシンジだった。
「何やお前今日はいつもよりぐっすり寝とったな?疲れてたんか?」
「そんなに…?そういえば何かたくさん夢見たかも…」
忘れてしまったけれど。
ああ、でもこの布団の温もりに身を委ねたら思い出せるかも…。
シンジはそう考えながら人肌に温まった布団に逆戻りした。
「って!!何もう一度寝ようとしとんのや!!」
「お願い…。…あと…………………五時間………むにゃ…」
「ほうか。五時間か。しゃあない。それくらいやったら
 …って!学校終わってまうわボケ!!」
軽快な乗り突っ込みが入ったところで勢い良く布団を捲られた。
布団の中でぬくぬくと過ごしていたシンジの身体に冷たい外気が襲う。
「お、お、お、お、お、おまっ!!」
「……ん〜、なに?」
637NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:07:24 ID:???
中を舞っていた毛布が音も立てずに床に落ちる。
それと同時に普段は顔色の変化がわかりにくい
トウジの日焼けした褐色の肌が、見てわかる程真っ赤に染まっていく。
それでも視線はシンジから離れない。
その様子をシンジはベッドに横たわり薄目で不思議そうに見ていた。
「お、お、お、お前はなんちゅー格好しとるんやぁあぁあ!!」
そして気づく。シンジの寝巻きはキャミソールに下着一枚という何とも目のやり場に困る格好だった。

「きゃあぁあぁあぁあぁあ!!なに勝手に見てるんだよぉおおぉお!!」
「わあぁあぁあぁあああぁ!!そんな格好しとるお前が悪いんじゃあぁあぁ!!」

爽やかな朝に不具合な二つの悲鳴と小気味の良い音が響いた。


「シンジ、ちゃんとトウジ君に謝りなさい」
「………ごめん」
「………いや、もうええわ」
驚きのあまりつい手が出てしまった。トウジの左頬は見事なもみじがプリントされていた。
でも人のパンツを見ておいてこれで済んだんだから、安い物だろう。
口に出しては決して言わないが、シンジはそう思った。
「さ、二人とも学校に行く時間よ。そうそうシンジ、レイのお弁当届けてくれる?
 あの子朝練で朝早く学校出たんだけど、持っていくの忘れてたのよ」
「いいよ。でもあのレイがお弁当忘れるなんて珍しいね」
シンジじゃユイから少し大きめのお弁当を受け取った。
「じゃあ、行って来ます〜」
仲良く登校する二人をユイは微笑ましく見送ったが、気が付くと背後に気配を感じた。
「あなた…」
「ユイ…一ついいか?」
「何ですか?」
「シンジはトウジ君と。……………付き合っているのか?」
638NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:08:42 ID:???
見た目は強面な上に酷く無口な彼は、その実娘を溺愛していた。
その愛情がイマイチ伝わってはいない部分もあるが。
「さぁ?でもいいじゃありませんの。トウジ君なら安心だわ」
「………………私は男女交際はまだ認めないぞ」
表情は一切崩さずにゲンドウは言うが瞳は不安げに揺らいでいた。
ユイは彼のそんなところが可愛らしくて好きだった。


「トウジ、ちょっと早いよ」
「アホ!お前がもっと早う起きれば走らんでもすむんじゃ!」
朝の通学路を走る。歩幅が違うためか体力の差か。
シンジは口に朝ご飯のトーストを咥えながら少し距離を置いて着いてきた。
「酷いな。今日は、その…たまたまだよ!別に何か目的があったら私だって早く起きれるもん。
 母さんがいないとき、レイと父さんのお弁当作らなきゃいけないときとか…」
「たまたまがいつまで続くんや!学校行くのは目的やないんかい!」
「って言うか、トウジも昔は朝苦手だったのにどうして平気になったの?」
「…………まぁ…人間色々あんねん…」
言えない。毎朝妹に叩き起こされるからとは。もともと朝は苦手だ。
できれば少しでも長く眠っていたい。人間人生の3分の1を眠って過ごすと言うが、
トウジはできれば人生の半分を眠って過ごしたいとすら思っていた。
それでも、そんな睡眠時間を削ってまで朝シンジを起こしに行くのは――――。
「トウジ!早いってば!」
「情けないやっちゃなぁ!」
その瞬間、トウジはついやってしまった。

「うわぁあぁああぁ!す、すまん」
「へ?何が?」

遅れて走るシンジの手を握ってしまった。何のことはない。
自分の後ろをついて回る妹の手をとるのと同じ行為を無意識のうちにやってしまったのだ。
しかし、この手は妹の手ではない。トウジは慌ててその手を振り払った。
639NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:09:55 ID:???
「何で?いいよ。小さいときはよく手を繋いだじゃない」
シンジは不思議そうな顔で微笑みながら、ひらひらとその手をもう一度差し出した。
あぁ、笑顔が眩しい…。っていうか、人の気も知らんと。
トウジは一人ごちた。毎朝起こしに行くのも、手を握って動揺してしまうのも、
引いては全て自分の恋心のためだった。自覚したのは最近だ。
自覚しただけで、本当はもっと昔から惚れていたのかもしれないが、それは置いておく。
先程握った自分とは違う細くしなやかな掌。とてもじゃないが、繋いでなんていられない。
一日の幸せがメーターで計れるなら、この登校時間の間にぶっちぎりで消費されてるのがわかるだろう。
「ええんや!男には色々あんねん!」
「変なの…。じゃあ先行くよ?」
そう言ってシンジはトーストを食みつつ走りだした。

ああ、ワシはヘタレや。

こんなんだからいつまでたっても幼なじみの親友止まりなのだ。
あげく幼い妹にまで
『早よ告れアホ!何のためにウチが毎朝お兄を起こしとると思っとんのや!』
と急かされ馬鹿にされるのだ。
でも、あのド鈍の天然なお子様に何をどう伝えればいいというのだろう…。
好かれてはいると思う。…多分、幼馴染の親友レベルには。
いいとこお兄ちゃんだったらいいのに…レベルだ。


―――どっちも恋愛要素皆無やんけ…。


盛大に肺からため息が吐き出された。
640NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:12:16 ID:???
「きゃあぁあ!」
気が付くと少し先を言ったシンジが悲鳴を上げているのが聞こえた。
「シンジ!?」
トウジは慌てて駆け出し、角を曲がった。その時目に入ったものは…。
「いたたた…」
真っ赤になり制服のスカートを押さえるシンジと、尻餅を付き座り込んだ見慣れない男子生徒だった。
「お前!何しとんねん!痴漢か!?」
そう、その位置だと確実にシンジのスカートの中が丸見えだった。
まぁ自分も朝見たが。やっぱ早起きは三文の得ってホンマやなぁ…
って今はそんなことを考えてる場合じゃなくて。
少年は埃を払いながら立ち上がると、きょとんとした顔で二人を見つめた。
「なんだい?君は。チカンって何?」
「痴漢は痴漢や!じゃなきゃ変態や!」
全く悪怯れた様子もないその少年の肩を掴もうするのをシンジが止めた。
「ストップ!ストップ!トウジ!私がぶつかったんだってば!」
「…その制服。第一中学のだね」
「…え?あ…うん」
「連れてって」
「…え?」
騒動の張本人は何食わぬ顔で瞳を向けた。
「道に迷った。こんな所にくるはずじゃなかったのに」
少年はシンジににっこりと笑いかける。
透けるように輝く銀髪。燃えるような赤い瞳。白い肌。
トウジの男臭い容姿とは対極な女のように綺麗な顔。
「君…転校生?」
「まぁね。それより早く連れてってよ」
シンジの肩に手をかけつつ、彼は微笑みを浮かべながら言った。
やけにシンジに異常接近するのが気にいらないが、とりあえずトウジも聞きたいことがあった。

「お前、さっきから何食っとるんや?」
「あ、これ?さっき落ちてるの拾ったんだ」
「………私のパン」
641NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:14:48 ID:???
「何ですってぇ!それで、パンツ見られちゃったわけ!?その変態に!」
「わかんないけど…。パンツより私のパン…。朝ご飯…」
「甘い!シンジ、男の子ってのは皆馬鹿でスケベで信じらんないのよ!
 そんな奴がクラスメイトになるかもしれないなんて!一発殴っとくべきよ!」
「アスカ、何もそこまで…。大人っぽかったらしいからきっと三年生よ。
 でも珍しいわね、こんな時期に。碇さん、名前は聞かなかったの?」
シンジに激しく巻くしたてるアスカにヒカリが助け船を出した。
「聞こうと思ったんだけど、急いでたし。それに職員玄関にその子案内してすぐ
 トウジが私を教室に引っ張っちゃったから聞きそびれちゃった」
「あー、なるほど…」
「何か私凄く気に入られちゃったみたいでさ…。振り回されっ放しで凄く疲れた…。
 いったい何考えてたんだろう…?あの子…」
「大変ね、鈴原も…」
「へ?何でトウジが?」
ヒカリは何処となく複雑な表情で微笑み、気の毒そうな目でトウジを見た。
「シンジもヒカリも甘いわ!男はみんな野良犬よ!」
「アスカ、それを言うなら狼…」
「とにかく!まともな男は一人だけよ!」
「………誰?」
ヒカリに指摘された点はスルーしてアスカは断言した。
大体予想は付くが形式としてシンジは聞いた。
「加地先生よ!そして噂をすれば!いやーん!加地せんせーい!」
アスカは登校してきた加地に窓から身を乗り出し、激しく愛想を振りまいている。
まだ恋心が理解できないシンジはその様子をぼんやりと眺めた。
「アスカ、本当に加持先生が好きなんだね…」
「青春だねぇ…。乙女の恋心ってやつだな」
「あいつの場合は行動力だけは人一倍やからな」
「そういうお前はどうなんだ?」
「ややややややかましいわ!!」
ケンスケとトウジがアスカにそんなコメントを出していた。
途中から矛先は違う存在になったようだが、シンジは気が付かなかった。
642NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:15:42 ID:???
「でも本当に綺麗で大人っぽい男の子だったんだよ。私のパン勝手に食べちゃったけど」
「幾ら綺麗でも男じゃなぁ…。でもシンジがそんなに他人の事を気にするなんて珍しいな」
「そう…かな?不思議な子だったからかな?何かやけにくっついてきたし」
「そうそう。絶対そう。な、トウジ?」
「…………」
面白そうに語りかけるケンスケとは対照的に、トウジはむっつりと不機嫌な顔をしたままだった。
「青春だねぇ…」
ケンスケがそう呟いたとき、教室の入り口で物静かな声が響いた。
「碇シンジさんは…いるかしら…?」
「何や?どないした?」
「鈴原くん………、と」
青い髪の物静かな少女は、最初にトウジを見た。
そして次に隣のシンジを認識した瞬間、教室に甲高い叫びが響いた。
「シンジお姉ちゃぁあぁあぁあぁあん!!」
「レ、レイ!?」
教室の引き戸から飛び出してきたのは、肌の白さこそ同じだが、シンジの黒髪と対照的な
色素の薄い青い髪と紅瞳をしたシンジの妹、レイだった。
「もーサイテー!お弁当忘れてきちゃったぁ!!今日部活の朝練あって、
 しかもお昼前にプール授業あるのにかなりやばいって感じだよ!どうしよう!どうしよう!」
「レ、レイ!落ち着いて!ほら、お弁当!」
「わー!わー!お姉ちゃんサイコー!大好きー!」
レイはシンジを抱き締めぐりぐりと頬擦りをした。
一つ年下の妹。人見知りをする少し内気なシンジと違って元気で可愛い女の子だった。

可愛いんだけど…………。

「シンジお姉ちゃん大好きー!!」

シンジはクラスメイトの視線が痛かった。
黙っていれば美少女なのに。なすがままに頬擦りを受け入れていると、
その行為がピタリと止んだ。レイがじっと何かを見つめているようだった。
643NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:17:26 ID:???
「……どうしたの?」
「鈴原くん、それおいしそうだね!」
見ていたのはトウジが食べてる朝ご飯。
朝シンジを起こしにくる前にコンビニで買った菓子パンだった。
レイが何を言いたいか、トウジはわかりきっていた。
わかりきっていたが、わかりたくはなかった。

「いや、うまいけど」
「おいしそうだね!」
「いや、もうこれしかあらへんし」
「おいしそうだね!!」
「いや」
「すっごくおいしそうだね!!」
「…………」

レイはトウジの返事を待っている。
激しく期待を寄せて待っている。
ワクワクしながら待っている。
瞳をキラキラ輝かせて待っている。

ジャージの少年は…………負けた。

「………………食うか?」
「うん!!!」

あぁ、自分はいつになったらこの姉妹に勝てるのだろう…。

「わーい。鈴原くん大好き!持つべきものは幼なじみ。そして姉の親友だね!
 もう鈴原君がお兄ちゃんだったらいいのにー!」
「そうだね。ナツミちゃんが羨ましいよね」
「あ、やっぱりお姉ちゃんもそう思う!?そう思う!?」
644NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:18:58 ID:???
…妹はともかく本人すらこの認識らしい。ばれていないだけ有り難いと思えということか。
しかし、いい加減本気で改めた方がいいかもしれないと今度はトウジが頭を抱えた。
それにしても、彼女のように気軽に好きとも言えない。自分はそういう奴だから仕方がない。
そう思っていると、レイはとんでもないことを提案していた。
「ほらほら。お姉ちゃんにも半分あげるー。じゃ、私自分の教室帰るねー!」
「って!それはワシが口付けた…」
「ありがと。朝ご飯食べそびれてお腹空いてたんだ」
シンジは礼を言いながらメロンパンを齧りだした。
それはだからワシが口を付けた…。
口を…。

口…を…。

「間接チュー?いやーんな感じ」

隣で何か言ってるケンスケの頭をトウジは裏拳で叩いた。

…あぁ、たぶんここ数日分のワシの幸せ、音を立てて消費されてってるわ。
うわぁ…、メーターぶっちぎりや。

「平和だねぇ…」

お花畑と化した頭の中で、ケンスケがそんなことを言ってるのが頭の隅で聞こえた。

「おーい。席付け、席」
本鈴と同時に加地が入ってきた。その姿に今までボーッと夢見心地なトウジがやっと気が付く。
「今日は女子のみんなに良いお知らせだ。転校生を紹介するぞ。彼氏候補にどうだ?」
「えぇー!いい知らせじゃないわよ!加地先生以外の彼氏なんていらないわ!」
アスカはそんなことを言っていたが、耳が認識したのは違う言葉。……転校生?
645NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:21:14 ID:???

「僕は、渚カヲル。よろしくね」

そこにいたのは何処かで見たことのある、銀髪、紅い瞳、白い肌の細身の男子生徒。

「……朝のパン泥棒?」
「やぁ、君か。また会ったね」

驚きに目を見開いたシンジに、カヲルと名乗った少年は小さく微笑む。
その様子に、シンジと同じく目の前の現実に驚愕していたトウジが立ち上がった。
「ちゃうやろ!朝のパンツ覗き魔や!ただの痴漢や!」
「パンツならトウジだって朝私の見たじゃん…」
「みみみみみみ見てへんわ!水色のレースなんて見てへん!」
「な、な、な、な!やっぱり見たんじゃないか!嘘つきー!」
ぎゃあぎゃあ喚き立てる二人を物ともせずに、カヲルは冷静に言った。
「痴漢って何さ。っていうか、何だい?君たち出来てるの?」
「『出来る』知ってて何で痴漢を知らんのや!」
「あのさ、なんで君はそんなに必死なの?」
噛みあわない二人の会話に終止符を打つかのようにヒカリは声を上げた。
「もう!やめなさいよ二人とも!もう授業中よ!」
「そうだよ。それに渚君…だっけ?」
「なんだい?」
シンジはすうっと息を吸うと声高らかに宣言した。

「『出来る』なんてそんな日は、一生こない!!」

「ふーん。そうなんだ」
「って、うぉおおぉおぉぉーおい!マジかい!!」

そう広くもない教室にトウジの怒号が響いた。
「…何で怒ってるの?」
トウジはきょとんとした顔で尋ねるシンジが憎らしかった。
646NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:22:44 ID:???
そんなクラス中に、見知らぬ綺麗な顔をした転校生に
堂々と『一生友達宣言』をしなくてもいいではないか!
なので、うっかり。本当にうっかりだった。



「当たり前やろ!ワシはお前が好きなんやから!!」




騒がしかったはずの教室は一瞬で静寂につつまれた。



ああ、コイツはド鈍のお子様やからな。
ちゃんと段階踏んで告らんとあかんやろ。
勢いに任せて告白なんて思いのほかや。
そうや。きっとそうや。


「………は?」


そのはず…なのに。


目の前のシンジの頬が薄っすらと、そして徐々に耳まで赤く染まっていくのを見た。
ああ、コイツ色白いなぁ…。そんな恐ろしくどうでもいいことを考えているうちに
自分が何を口走ったのかトウジはやっと自覚した。
647NGワード設定推奨:2006/10/01(日) 01:25:04 ID:???


「…………………ち」
「…………………ち?」


体中の血液が顔に集まってくるのをリアルに感じた。
真っ赤な顔できょとんと見つめるシンジの顔以上にトウジの顔は赤く染まり―――


「ち、ち、ち、ち、違うんやぁあぁああぁあぁぁぁぁあぁ!!!!!」


気が付くと雄叫びと共にトウジは教室から走り出していた。


「……何だか、面白いことになってきたね」


クラスメイト達が呆然と見送る中、カヲルのどこか楽しげな声だけが
静まり返った教室に凛と響いた。


「な、な、な、なにが面白いことなんだよぉおおぉぉお!!」


教室にはシンジの叫びが、外にはトウジの奇声が響いていた。

二人が更なる紆余曲折の上、ちゃんと想いが重なるかどうかは――――


また別のお話。
648621の続きで:2006/10/01(日) 01:26:15 ID:???
次の投下は普通にアラエル戦から投下します
649名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/01(日) 01:58:50 ID:???
乙。トウジ青春してるなあw
650名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/01(日) 02:25:52 ID:???
トウジが激しく羨ましい件について
カヲルがトウジよりも先にシンジきゅんと間接キスしてる件について
651名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/01(日) 02:35:20 ID:???
カヲルめー

トウジのやつ幸せだなぁ…(ノд-。)
でも…トウジはもう…
652名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/01(日) 02:44:44 ID:???
>また別のお話
ではその別のお話を待とうではないかwww


>>651
補完前に死んだミサトやリツコまでLCLに溶けたんだから
ひょっとしたら奴や加持だってLCLの海から戻ってくるかもしれん…
とかありえないことを言ってみる
653名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/01(日) 02:50:05 ID:???
もう焼かれちゃってるんじゃね?
器がなけりゃ戻れない…orz
654名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/01(日) 03:03:20 ID:???
ど、土葬だ!それかサンプル保存だ!でもミサトは真っ二つになってたんだけどな。
まぁ、 あ り え な い から

しかし青春ラブ※だな…
毛色は違うが>>594の願いがちょびっと叶ってるなw
655名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/02(月) 02:39:32 ID:???
これを読み終えると、おそらく体を引きちぎられる予定の本編カヲルが不憫でならない。
それとも貞元版毒舌カヲルなんだろうか。
656名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/02(月) 03:17:05 ID:???
前に庵カヲ予定とか言ってなかったか…?
すでに死んでいるトウジも中々不憫だがなwww
もう誰か続き書いてくれよ
657名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/02(月) 10:12:22 ID:???
やはりここはアスカvsカヲルかなw
その二人の争いに巻き込まれるトウジカワイソス
漁夫の利を得るのはお姉ちゃん大好きリナレイで
658名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/02(月) 11:49:45 ID:???
ここはお約束で、カヲルが碇家に同居生活だろう
トウジがやきもきすればいいよwww
659名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/02(月) 14:19:56 ID:???
トウシンラブコメもいいが
アラエル戦も待ってます。
660名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/02(月) 16:25:50 ID:???
>>657
>>658
そこまで考えてるなら続き書いてよw
661621の続きで:2006/10/03(火) 00:44:22 ID:???

あの丘を越えたら。
あの丘を越えれば。


あの丘のずっと向こうには――――





あたし、何だってするわ
どんなものにだってなれるわ



貴女が望むのなら







世界は要らないものが多すぎるけれど
貴女だけは綺麗
662621の続きで:2006/10/03(火) 00:45:46 ID:???

だけどあたしはもう、そんなものに頼らなくても生きていけるの
誰もいらない。一人で生きていけるの。
あたしはもう大人なんだから。

だからあたしに優しくしなくてもいい。
あたしの頬に優しくキスをしてくれなくてもいい。
あたしに触れないで。
あたしを抱きしめないで。
あたしを見ないで。



「アスカ、聞こえる?いつも通り余計なことは考えないで」



あたしを殺さないで。




「……ッ…やってるわよ!」


ママ



世界で一番貴女が綺麗
世界で一番大事な人
663621の続きで:2006/10/03(火) 00:46:35 ID:???
何日かは平穏無事に過ぎていった。
使徒はまだ襲って来はしない。私のシンクロ率も順調。
だけど、私はあれから一度も学校には行っていなかった。
昼間はネルフへ行く日以外は、ずっと自分の部屋に閉じこもっていた。
だってどうしたらいいのかわからない。
どんな顔して委員長やケンスケに話をすればいいのか。
いや、どんな風に二人の顔を見ればいいのか。
私は、トウジを殺したのに。
彼が眠っているであろうあの共同墓地にすら、一回も行っていなかった。
そこに本当に彼がいるかどうかはわからないけれど。
自分なりのけじめは何一つつけてはいない。
それでも、守りたいものができた。
エヴァに乗る理由ができた。前に進むと誓った。
たとえ薄皮一枚ごしに元通りに戻った日常でも。
すぐにでも打ち壊れるような脆さで保っていても。
そう、今の私達みたいに。

最近の私達はいつもぎこちない。
今日もせっかく三人そろっての久々の食事なのに、会話は一切ない。
無理もないかもしれない。二人ともそれぞれ加持さんの事を背負っている。
それでも私は何も言えなかった。何も出来なかった。
それが歯がゆいと思っていても、本当に何も出来なかった。
気まずい雰囲気を打ち消すかのように、電話の着信音が鳴り響いた。

「あら、無敵のシンジ様にこのような雑務をさせて申し訳ないですわね」
「何それ…」
664621の続きで:2006/10/03(火) 00:47:44 ID:???
アスカは皮肉とも揶揄ともつかない言葉を私に投げかけると、奪うように受話器を受け取った。
知らない国の知らない言葉でアスカは電話越しの相手に語りかけている。
その姿は、まるで私が知らない別人のようだった。
電話の相手はアスカの母親のようだった。
母親…。本当の母親は死んだみたいだから義理のお母さんか…。
でも私は、義理のお母さんでもあんな風に家族の会話ができるアスカが羨ましかった。
「ずいぶん長電話だったね」
「別に、好きでニコニコしてるわけじゃないわよ。義務よ、義務。上っ面だけ」
話し終えたアスカは面倒くさそうに髪をかきあげた。
「でも…別に嫌いってわけじゃないのよ」
そう言う彼女の横顔は、まるで私じゃなくて別の誰かに語りかけているようで。
「ちょっと苦手なだけで…」
その俯いた淋しそうな横顔を私は見つめるだけしか出来なかった。
その言葉が終わるか終わらないか、アスカはハッと何かに気づいたように顔を上げた。
「何であんたにこんなこと話さなきゃいけないのよ!」
「…ご、ごめん」
「あんたなんかに同情されたら、このあたしも御仕舞だわ!」
同情なんて…。そんなこと思っていないのに。
「うるさいわね!触らないで!あたしもう寝るわ!」
そう言い残してアスカは自分の部屋の扉を閉めた。私は何もできなかった。何も言えなかった。


私はそのとき何も気付いていなかった。

前に進むことに精一杯で。



本当に、何も。
665621の続きで:2006/10/03(火) 00:50:45 ID:???
アラエル戦、アルミサエル戦に入ると
アスカ視点とかレイ視点が多くなってしまうので申し訳ありません。

ラブ米、色々端折ったんですがそれでもあんなに長いものになってしまいました。
反応が怖かったんですが、お優しい言葉ありがとうございました。
666名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 01:58:38 ID:???
前スレで読んだとき、ここまで長編になるとは思わなかった
そして女シンジとトウジのカプOKな人がこんなにいるとは思わなかったwww
いや元が男同士だからさ…OTL
667名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 02:19:27 ID:???
だって女シンジきゅんならシンジきゅん女だし。
性転換なら百合がいいけど。
668名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 02:23:38 ID:???
後転TSなら
アスカを男にしてしまいたくなるな。
シンジがなったのと同じ方法でさせちゃう。
アスカとくっつければLASだし、綾波とくっつければ百合が実現できる。
結局のところ、カップリングすると話が進め安いんだな・・・。
甘いのは嫌いだけど。
つーか、倒錯アスカって少なくねぇ?
使徒擬人化のなんかで一回読んだぐらいだ。
669名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 03:21:26 ID:???
誰か書いて投下してくれよ
670名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 03:30:29 ID:???
倒錯アスカって…スレチだろそれwww読みたいけど。
長編投下な職人いると他の職人が投下しにくいという弊害が生まれますな
671名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 04:39:30 ID:???
女シンジが誰とくっつくと幸せになれるか考えると、トウジが一番無難なんだよな
カヲルは何か違うような気がする
だが百合だと誰とくっついても結構幸せになれるから不思議
672名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 04:57:30 ID:???
加持さんとか父さんとか冬月とかケンスケとか青葉とか

幸せにしようとすればいくらでも。
しかし801じゃないんだが801っぽくなる罠
673名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 07:34:38 ID:???
トウシンでもLASでもLRSでも、そろそろオリジナルな話が読みたいんだが
別職人待ち
674名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 08:24:26 ID:???
もう…駄目なのね…
675名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 09:57:50 ID:???
>>672
日向さんを忘れないでくださいw
676名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 10:11:44 ID:???
>>671
レズは嫌いだな。例え精神的にはホモに近くても、男女のカップルのほうがいい。
677名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 10:42:21 ID:???
>>655
逆にホモくさくなるなら男女のカップルもいらんw
678名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 11:38:49 ID:???
カヲルと出来上がるくらいなら、トウジとくっついてほすぃ
679名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 11:43:43 ID:???
>>676-677
そういう差異のある趣味を一緒くたに入れてるスレなんだから、
文句を言うのは筋違い、ってな。
680名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 11:55:49 ID:???
誰か何か投下してよ
681名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 12:19:26 ID:???
他力本願乙。無意味な書き込みをするくらいなら、自分で投下するんだな。
文才があればの話だが。
682名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 12:24:42 ID:???
定期的にこういう書き込みがあるね
今のだけじゃ駄目か?
683名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 12:34:43 ID:???
今ので十分じゃね?学園エヴァも良かったし。
本編と話が変わっていくとしたら、ここらへんくらいからだろうけどね。
何も変わらなかったとしても、それもまた一興かと。
684名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 12:59:03 ID:???
まぁそろそろオリジナルも読みたいのも事実なワケで
685名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 15:25:06 ID:???
いや、君がそう思っていたとしてもまだ続きが見たいっていう人もいるんだし
何より職人が投下しにくくなるのはイクナイよ…
686名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 21:49:43 ID:???
女シンジということで、シンジが某○メロード姫で召喚される○法騎士三人、○ガー○がゲンドウという図が浮んでしまった
687名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 22:32:20 ID:???
はぁ?
688名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/03(火) 22:39:13 ID:???
こりゃまた微妙な空気になってきましたね
689名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 00:37:04 ID:???
エメロード姫の緒方ボイスはびっくらした
690名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 00:38:29 ID:???
ときメモでも凄かったけど菜>緒方
691名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 00:44:38 ID:???
>>690
出てたっけ?
692621の続きで:2006/10/04(水) 00:46:32 ID:???
あたし、貴女が望んだとおりの子になったわ。
貴女が望んだ特別な子に。
だから、もう他人の言葉や視線なんて気にしないで生きていけるの。
そんな卑屈な目をしないで。

きっと貴女が言っていた「あの女の子供」にも負けないわ。

だからそんな目であたしを見ないで。
あたしのこと全部見透かしたような目であたしを見ないで。
そのくせ、何も見ていないその瞳で。

あたしを見て。
あたしを抱きしめて。
あたしに触れて。


ママ


ママがいればいいの。


他にはなにもいらないから。

だから、あんな子はいらない。




あれはあたしに必要じゃない。
693621の続きで:2006/10/04(水) 00:49:49 ID:???
いつものシンクロテストを終えた、血の匂いのする身体にシャワーを浴びる。
熱い湯が心地よかった。血の匂いが消えていくのが気持ちよかった。
だけど、身体の中から溢れる血の匂いは消せなかった。
自分が女であるとそのたび思い知らされる生理現象。
『あー、もう!何で女だからって毎月こんな目に合わなきゃいけないわけ!?』
『しょうがないよ。これがなきゃ子供産めないし』
『ふん!子供なんて絶対いらないわよ!いいわよね〜、あんたは軽くて』
アスカは、そんなことを言っていたっけ。
そんな風にアスカと普通に話をしたのはどれくらい前だっけ…。
湯気で真っ白なシャワールームでそんなことを考えた。

見慣れたネルフ本部の廊下を一人で歩く。
無機質な同じ並びの廊下は相変わらず冷たい感じがした。
前はこの廊下を三人で歩いた。アスカと綾波と、そして私と。
そんな日常はいつのことだったか、気が付くと―――思い出せない。
たとえ薄皮一枚で保っている日常でも、すぐ壊れてしまうようなものでも
守りたくて。やっと見つけた大切なものを失いたくなくて。
それでも、確実に日々は深く傷が穿たれてゆく。私の掌では、塞ぐことができないほど。
「やっぱり人形じゃない!あんたって、昔から人形みたいで…」
エレベーターの前を通りかかったとき、ちょうどその扉が開かれた。
「本当に、大ッ嫌いなのよ!!」
アスカが飛び出してきた。そんな叫ぶような声を上げながら。
そして、閉まっていく扉の向こうに見たものは、頬を赤く腫らした綾波だった。
「アスカ…?何を」
「うるさいわね!あんただって…同じよ!何にもわかってないくせに…!」
アスカはエレベーター前にいた私を睨みつけて呟いた。
「嫌い!嫌い!皆、大ッ嫌い!!」
呪うように、アスカは言葉を吐き出す。
「犬に餌やるみたいに、そんな簡単に言わないでよ!あたしに触らないでよ!」

『総員第一種戦闘配置!対空迎撃戦用意!』
694621の続きで:2006/10/04(水) 00:53:33 ID:???
アスカがそう叫んだとき、スピーカーから施設内に警報が響いた。
「使徒!?まだ来るの?」
その放送を耳に入れると同時に、駆け出そうとしたアスカは
糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。
「アスカ!!」
「離して。自分で歩けるわ」
でもアスカの顔色は青白く、まるで人形のようだった。
「触らないで!あんたなんかに触られたくない!」
アスカは私の手を払って立ち上がる。
「あんたなんかに…、こんな事くらいで…負けちゃいられないのよ。あたしは…」
「アスカ…」
私は何も言えなかった。いつだってそうだ。
でも私はきっとそのとき彼女に何か言うべきだったんだ。

たとえそれが、アスカを傷つけるだけだとしても。
傷つけることしか出来なくても。

ねえ、でも―――


私は何も気付いていなかったんだ。
私が何よりアスカを傷つけていたことも。
私がいなかったら、アスカは楽になっていたかもしれないことも。

私は本当に何も気付いていなかったんだ。





君が私を疎み、嫌いながらも、私のことを呼んでいたことも。
695名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 01:34:16 ID:???
ttp://www.youtube.com/watch?v=abxOF85bE4s&mode=related&search=
このスレのトウジのためにこれを奉げようww
改めて見るとエヴァ全話の中で一番グロいんじゃないかってくらいグロい…
696名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 02:35:33 ID:???
よく見たら、頭部殴られたときに目ん玉飛び出てるんだな…
これで生きてるアニメの方がおかしくね?
3バカなあの頃は良かったなぁ…
697名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 02:49:29 ID:???
別に乗っ取られた後も3号機とトウジがシンクロしてるわけでないし。
仮にシンクロしてたって、痛みは擬似的なもので肉体にはフィードバックしないし。
698名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 02:59:44 ID:???
でもエントリープラグぐしゃっとなったとき「あ。中の人逝った」と思った
699名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 03:07:12 ID:???
>>697
シンクロ率低そうなのが幸いかなぁ<トウジ

精神と肉体は一つ。
外傷はなくとも痛みを感じてショック死することだってありますぜ
700名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 03:14:38 ID:???
直接的な死因はエントリープラグ握り潰されたことによる内臓破裂で圧死と左足切断時による出血死だろう
つか、グロい…。目の前で友達乗ってるものがこんなんなったらそりゃ欝になるわ
701名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 03:28:04 ID:???
このスレも700まで来たか…
702名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 13:56:43 ID:???
http://cream.ath.cx/ichigo/dl.cgi?filename=IchigoCream0052.gif
これって映画のどのあたりで見られる映像かわかる?
703名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 15:31:19 ID:???
>>693
乙。少しはアニメの鬱々シンジじゃないほうがいいな。
704名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 16:37:03 ID:???
ttp://www.youtube.com/watch?v=CyqPj-R1XAs&mode=related&search=

3馬鹿がいた昔は良かった…
705名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 19:23:52 ID:???
シンジきゅん…かわいいよ、シンジきゅん…
706名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 19:28:04 ID:???
なんかケンスケがやたら目立ってる
707名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 20:21:28 ID:???
エロいの読みたい
708名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 21:41:06 ID:???
エロか…
百合?男女カプ?
709名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 21:46:24 ID:???
職人さんかえ?
ぬしの得意なほうで・・・
710名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 22:18:02 ID:???
百合じゃないのがいいなぁ
レズ物はちょっと…
711名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 00:00:07 ID:???
職人たくさん増えて、スレが活性化するといいね
712名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 00:14:42 ID:???
今のスレが活性化してないとでも?
713名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 00:20:56 ID:???
何故そういう風にしか取れない
714名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 00:33:29 ID:???
>>710
まあ好みは好き好き。職人さんだって自分の好きなものを書くだけだし。
言い方が悪くなるが、嫌なら見なければいいだけだよ。
715621の続きで:2006/10/05(木) 01:20:35 ID:???
「目標は衛星軌道上に停滞中。映像で確認しました」
「最大望遠にします」
「これは…」
モニターに映った敵は、真っ白なまるで翼を広げた鳥のようだった。
「衛星軌道上から離れませんね」
「降下接近の機会をうかがっているのかしら…?」
「ミサトさん…!どうして私だけ出撃じゃなくて待機なんですか?」
納得がいかない。アスカも綾波も戦闘配置についているのに
私はエヴァに乗ることも許されずに発令所で待機のままだ。
「碇司令の絶対命令なのよ。あんな事のあとじゃしょうがないわ」
あんな事…。この前の戦闘で暴走した初号機。
私の意識はなかったけれど、またあんなことがあっては守るものも守れない。
頭では理解できても、その奥底ではどうしても納得がいかない。
だって、エヴァに乗らなきゃ私には意味がない。
守るということが出来なければ、どこに進めばいいのかわからなくなる。
「そんな…」
震える手で青いスカートを握り締めた。
せっかくエヴァに乗る理由を見つけたのに。
理由を見つけた今でも、何も無かった昔でも何も変わりがなかった。

そのとき、モニターに眩い光が映し出された。
真っ白な光の中に照らされる真紅の弐号機。
「アスカ!?」
敵はまだ衛星軌道上で停滞してるはずなのに、これは一体!?
「敵の指向性攻撃なの!?」
「いえ、熱エネルギーは反応ありません!」
アスカの心理グラフに異常なまでにノイズが入る。
「まさか…使徒の心理攻撃?人間の心を探るつもりなの!?」
「アスカ…」
716621の続きで:2006/10/05(木) 01:22:02 ID:???

『くぅうぅ……ッ…ちくしょぉおぉおおぉ!!』

叫びと共に狂ったようにライフルを撃ち放す弐号機。
しかしやがて残弾も尽き果て、残されたのはアスカの悲鳴だけ。

『いやぁあぁああぁあぁあぁあぁぁぁ!!!』

「精神汚染Yに突入しました」
モニターから響く耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴。
「私が…私が初号機で出ます!」
「だめだ。目標は精神を侵食するタイプだ。同じ目に合うだけだ」

「だったらアスカを見殺しにしろって言うの!?」

アスカのあんな悲痛な声は聞いたことがなかった。
目の前で彼女が苦しんでいるっていうのに、何もしないの?
私は何もできないの?
これじゃあ前と何も変わりがないじゃない。
アスカに何が起きているの?
717621の続きで:2006/10/05(木) 01:23:25 ID:???
「ママ!」

広い広い、見渡す限りの草原。
赤みかかった金の髪の少女が丘を目指して走っていた。

アレは誰?

「ママ!聞いてママ!あたし、選ばれたの!」

あの丘を越えたら

「人類を守るエリートパイロットなのよ!大勢の中からあたしが選ばれたの!」

あの丘を越えれば

「あたし、特別なの!ママが望んだ通りになったのよ!」

あの丘を越えれば、いつものように優しく温かく迎えてくれる

「だからママ!こっちを向いて!」

あの丘を越えれば

「ママ!」


あの丘を越えたら
あの丘を越えれば


あの丘の向こうには何があるというの?
718621の続きで:2006/10/05(木) 01:24:23 ID:???
何かオリジナル展開なくてごめんなさい
つまらなかったらやめるから…
719名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 02:07:28 ID:???
>>670
いや、アスカの倒錯じゃなくて
シンジが好転的に女になったら
カップリングはーって話なんだけどね。
以前、シンジがグレて女になって泣くとか読みてぇとか落とした者だけど。
生理で子供なんていらないのにーとか言ってたから
男にしてやったらどうなるかなと・・・。
720名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 02:19:24 ID:???
>>718
乙!!
やめんといてくれ…

オリジ展開というか、
女シンジというイレギュラーによる変化もちっとは期待したいのも本音だけど、毎回楽しみにしてるんで…
721名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 02:24:39 ID:???
後天的TSでセックル依存症になってしまうシンジきゅん
相手が男でも女でもセックルセックル
722名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 03:11:01 ID:???
とりあえずこの職人のが完結する日を待つよ
723名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 03:34:24 ID:???
いつくらいに終わるかねぇ?ラストはEOE?テレビ?
724名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 16:26:26 ID:???
エロが見たいのも事実だ
725名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 20:58:09 ID:???
>>718
毎日乙GJ

毎日楽しみにしているのでやめないでください。
それにあなたがいなくなったら職人がいなくなってしまう。
726名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 21:00:09 ID:???
書きたかったら書く
やめたいならやめる
商売じゃないんだから好きにしなされ
727名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/05(木) 22:14:28 ID:???
でも完結まで書いて欲しい読み人の我侭
728名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/06(金) 03:05:17 ID:???
>>718

(´・ω・`)
729621の続きで:2006/10/07(土) 00:02:37 ID:???

あの人がああなってしまう前から

「あなたは特別な子よ。特別に作られた特別な子なの」

あの人が時折見せるあの瞳が嫌だった

「私の可愛い子。だからママの期待を裏切らないでね」

他人の視線と言葉を気にするような


「あの女の子供だけには…負けないでね」



卑屈なその瞳



『アスカちゃん。ママ今日あなたの大好物を作ったの』
『好き嫌いしてるとあそこのお姉ちゃんに笑われますよ』

あの人がああなってしまった今では、その瞳は向けられることはなかった。

だけどその代わりに向けられるのは

何もかも見透かしたようで、何も見ていない空っぽの視線
730621の続きで:2006/10/07(土) 00:04:06 ID:???
だけど、あたしはそれでも良かったの
ママがそこにいるならそれで良かったの
ママがママを止めてくれなければそれで良かったの
だからそんな人形なんて見ないで
その人形があなたの子供なら、あたしは誰なの?
だからねぇ、ママ
お願いだからママをやめないで

いらない物が多すぎる世界で必要なのは貴女だけ
世界で一番貴女が綺麗
世界で一番大事な人

あの丘を越えれば
あの丘を越えたら

あの丘の向こうには

あの丘の向こうには



あの丘のそのずっと向こうには―――





    ははっ!シンちゃんお母さんみたいだな

731621の続きで:2006/10/07(土) 00:05:54 ID:???
本当は最初から気に入らなかった。
あのいつだってこちらの機嫌を伺うような目をした少女。
時折何もかも見透かしたような目をするくせに、その実何も見ていない瞳。


短く切り揃えられた卑屈な目をした黒髪の少女


     痛い


―――なんであんたがそこにいるのよ!―――

  痛い

―――ママみたいにあたしを助けてくれない!―――

   痛い
 痛い

―――ママみたいにあたしを見てくれない!―――


痛い

   痛い

―――ママみたいにあたしに触れてもくれないくせに!!―――


   痛い
732621の続きで:2006/10/07(土) 00:08:04 ID:???

あの丘を越えれば

あの丘の向こうにさえ辿り着けば



あの丘の向こうには――――




   じゃあほんとうのままはあなたになにをしてくれたの?



ゆっくりとあの人の綺麗な顔が振り向いて
やっとあたしに触れてくれた、その指はあたしの首筋に絡みつく
力を込めるあの人の肩越しには、あの黒髪の卑屈な目をした少女。
あたしをただ見つめるだけで、何もしてくれない。

その少女が背負う闇の奥。
真っ暗な闇のそのずっと向こうには―――

引き裂かれたあの人形

そしてその頭上には

吊るされた――――
733621の続きで:2006/10/07(土) 00:10:13 ID:???
愛してくれるんじゃなかったの?
あたしはただ、あなたが好きなだけなのに
違う。違う。
こんなものいらない。あたしには必要ない。
違う。あたしは愛されたいの。
あたしを見て欲しかったの。
違う。いらない。
あたしは一人で生きていくの。
だからこんなものいらない。

いらないのよ。こんなもの。



   ほんとうに?



この頬を伝う生温い水が、涙だなんて認めたくなかった。
いつかのあの人の言葉を今更思い出す。
あたしに優しさをくれたあの人。優しさ以外はくれなかったあの人。


『何があってもお前はお前だ。それだけは忘れるなよ』


だめだよ…加持さん…


きっともう……手遅れだ……
734名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/07(土) 00:20:11 ID:???
うぉおおおGJ!!!!


アスカはシンジきゅんに母性愛を感じとったのかw
確かに葛城家のおかんみたいだった


相変わらず心情描写うまいなあ
735名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/07(土) 03:54:15 ID:???
毎日大量投下乙
何か漫画描きたい
736621の続きで:2006/10/07(土) 23:49:02 ID:???
あの丘を越えたら
あの丘を越えれば


あの丘の向こうには


「アスカ!!」

声が聞こえる。
それと同時に自分の身体全体が掴まれる感覚。
ずるりと引きずり出される感覚。
回収班の一人がエントリープラグからぐったりとした身体を救出した。

「アスカ、大丈夫?あんな目にあって…」

声が聞こえる。

「あれは綾波の零号機がやっつけたよ。無事で…良かった…」

無事?
そうね、確かに無事ね。
でも、あんたの言う『あれ』に汚されたあたしはなんなの?
あたしを汚した『あれ』に負けたあたしはなんなの?
あんな女に助けられたあたしはなんなの?
何もしてくれなかったあんたはなんなの?

どんなに洗っても、どんな言葉で取り繕っても
あたしは汚された存在なのよ

737621の続きで:2006/10/07(土) 23:51:03 ID:???

違う。
あんたの言葉なんていらない。
あんたなんていらない。
誰もいらない。


あの丘を越えたら――――



あたしがこんな風に、考えてもしかたのないことを考えるようになったのはどうしてなの?
あたしがこんな風になったのはどうしてなの?

どうして何もわかってないくせに、そうやってあたしの傍に来るの?

「アスカ…?」

あたしは、ただ

あたしはただ



あの丘を越えれば―――――
738621の続きで:2006/10/07(土) 23:52:43 ID:???


あの丘を越えれば



あの丘を越えたら、そこにはなにがあるの?





シンジ





 ――――あの丘を越えたって、きっとそこには何も無い――――




あたしはただ





心まで暗く染まった闇に身を委ねた

739621の続きで:2006/10/07(土) 23:54:44 ID:???
どうして私は、肝心なときに何もせず見ていることしかできないんだろう
どうしていつも、失ったあとに大切なものだと気づくのだろう。

アスカは虚ろに目を開いたまま空を見つめている。いつもの勝気な表情はそこにはない。
そう、何もない。
私はいつも口に出る言葉は言わなくてもいいことだけで
この身体が示すのはやらなくてもいいことだけで
傷つけるとわかっていても、それしかできないんだ。
いや、傷つけているとすら自覚していなかったのかもしれない。
でも私はそれしかできなかったんだ。だって、そうでもしないと私は何もできないから。
何かをすることが生きている証なら、何かをすることが私の道を見つける術なら
こうでもしないと私はただ立ち止まることしかできないじゃない。
「アスカ…」
いつものアスカはもうどこにもいない。精神に負担をかけ過ぎたらしい。
いつこの状態から元に戻るのか、それすらわからない。
「アスカ…」
もう何も掴むことのない君の手をそっと握った。
「ごめんね…」
何に対して謝っているのか。彼女に対してなのか、それとも私自身?


私は、気付いていなかった
きっと、気付きたくなかった。
何もできないただの子供だということに。

そして――――

「ごめんね…」

だけど君のその手が握り返すことはなかった。
740621の続きで:2006/10/07(土) 23:57:12 ID:???
学校には相変わらず行っていない。
外に出るのはネルフ本部へ行くときだけ。
それ以外は薄暗い自分の部屋に閉じこもっている。
ミサトさんは仕事で帰ってこない。
アスカは退院できない。

ネルフ本部でシンクロテストをする。
終わったあとはシャワーを浴びる。
血に匂いの消えた身体でアスカのお見舞いに行く。
その繰り返し。
なるべく考えないようにしていた。

私はどうしてここにいるんだろう。

前に進むと決めたはずなのに。
こんな風にテストを重ねたって、実戦に出れなければなんの意味もないのに。
守ると決めたのに、せっかく決めたのに。
何も出来ないなんて…。

心を焦げ付かせる想いを消す代わりに、強くシャワーのコックをひねった。

741621の続きで:2006/10/07(土) 23:58:07 ID:???
「碇さん…」
小さく声をかけられた。
その言葉で、自分の世界に沈みきっていた私はやっと浮上した。
「綾波…。なに?」
隣のシャワー室から綾波が顔を覗かせる。
「今日も惣流さんのところへ寄るの?」
「ううん。今日は面会できないんだって」
「そう…」
綾波は何事も無かったかのように、自分のシャワー室に戻った。
人と話したり、人に触れたりするのは苦手かもしれない。
だけどここに来て色んな人に出会って、私は変わった。
変われると思った。けれど、そう思っただけに過ぎなかったのかもしれない。
前も考えた。

ここに来て変化した世界もまた、いずれ変わってしまうのだとしたら?
他者の手によって、簡単に壊れてしまうような脆弱な世界だとしたら?

そんな世界で、私は守ることができるのかな…。
もう殺さないようにすることなんてできるのかな…。

現に私はアスカを守れなかった。
考えないようにしてきた。認めたくなかった。気付きたくなかった。
私は―――。
742名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/08(日) 00:24:12 ID:Yz4evImc
モツカレー
743名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/08(日) 09:50:53 ID:???
アスカ退場、今度はレイか。
こうやって文章で内面描写をされると、シンジが追い詰められていくのがよくわかるな。
何の主体的行動も起こせなかったのも分かる希ガス。職人多謝、乙。
744名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/08(日) 11:52:04 ID:???
あんた、誰でもいいんでしょ!具合が良くわかりますな
745名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 00:27:34 ID:???
確かに誰でもいいというか、こうやって読むと、
ロボットアニメのパイロットがどれほど常人離れした神経を持ってるかがよくわかるな。
746名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 00:33:56 ID:???
誰でもいいんでしょって感覚わかるけど
可能な限り理性的に考えてみれば
誰でもと言っても、生きているうちに偶然出会えた人間なわけだし
ある意味運命?
747名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 02:48:40 ID:???
14のガキにそんな透徹した運命論が理解できるわけもない。
これがまだしも、お互い20がらみなら色々理性的に見れる余地も少しはあったんだろうけど。
748621の続きで:2006/10/09(月) 04:25:53 ID:???
制服のブラウスに袖を通す。
学校には行っていなくても、この制服はずっと着ていた。
何か繋がりが欲しかったのかもしれない。
あの楽しかった時間と。皆がいた夢のような時間と。
もうその時間は定かには思い出せないけど。
「碇さん」
着替え終わった私に綾波が声をかけた。
彼女は私より早く着替えが済んだはずなのに、まだロッカールームに残っていた。
「これから時間あるかしら」
「…え?大丈夫だけど…」
凛とした声が響く。
「彼女があんな事になって、私達だけこんな風に
 仲良くおしゃべりなんかできる感じじゃないのはわかっているのだけど」
彼女から私に話しかける事は珍しかった。
いや、そうでもないか。今更ながらその事実に気付いた。
「一緒に行きたい場所があるの。…行かない?」
そう言って、綾波は白く細い指を持った掌を私に差し出した。

いつからだろう?
私と綾波の距離は少しずつ縮まっていった。
あの一緒に戦った夜から。
あのエントリープラグの中で彼女の笑顔を見たときから。
あの学校の屋上で彼女と話したときから。
あの彼女の部屋で感謝の言葉を聞いたときから。
あの彼女の部屋で一緒に紅茶を飲んだときから。
でも、一定以上の距離を置いて私達は存在している。
これ以上彼女との距離が縮まることはあるのだろうか。
そんな事を思っていた。
749621の続きで:2006/10/09(月) 04:27:19 ID:???
この手を握ってもいいのかな。
私がこの手を取っても。
この距離を縮めても。


私もそっと掌を差し出した。
彼女は何も言わずその手をゆっくりと握った。

握り締められた掌はほのかに温かく、

私はきっと、嬉しいのだと思った。



子供のように綾波に手を引かれて連れてこられた場所は
ネルフの職員のための休憩所のようだった。
噴水から水が噴出して、光に照らされキラキラと輝いている。
「綺麗…。本部の庭にこんな所があったんだね」
「私も最近知ったの」
「…え?」
確か綾波は私がここに来る以前からネルフにいるのに。
こんな綺麗な場所を今まで知らなかっただなんて。
「必要のない所には、行ったことがなかったから…」
綾波は白く細い指先を水の中に入れながら言った。
「最近。そう、碇さんに会ってから少しずつ色んな所へ行くようになったのよ」
私と会ってから…?
「こんなの、私らしくないかしら?」
「…ううん。そんなことないよ」
「ありがとう…」
水に浸した指先はそのままに綾波は小さくお礼を言った。
750621の続きで:2006/10/09(月) 04:28:49 ID:???
「鈴原君があんなことになって、惣流さんもいつもとに戻るかわからなくなって…」
その小さな細い背中を見つめていると、綾波はおもむろに言い出した。
「あの時碇さんが言ってくれたことができるかどうかわからないけど」
あの時の…。思い出した。いつかのあの学校の屋上で二人で話したこと。
去りゆく小さな背中に私は声をかけた。

全部終わったら。そう、こんな戦いが全部終わったら。
皆でお祝いをしよう。
ミサトさんや、加持さんや、アスカや、みんなと…。

その言葉が果たせないだなんてその時は思ってもいなかった。
考えてはいたけれど現実のものになるだなんて予想もしてなかった。
もういない人がいる。もう私に笑いかけてはくれない人もいる。
もう、あの約束の日にはもう戻れないほど遠くへ来てしまった。

だけど――――

「もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?」

綾波はゆっくりとこちらを振り返った。

「せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…」

それは悲しいことかもしれない。
奪ったものが多すぎて、失ったものが多すぎて。
お祝いだなんて決して言えるものではないだろう。
生きてここにいる私達の自己満足かもしれない。
だけど。それでも。
751621の続きで:2006/10/09(月) 04:30:00 ID:???

「うん…。約束だよ」

それでも、綾波があの約束を覚えていてくれたことが酷く嬉しかった。
きっと、嬉しいとか喜びだとか幸せだとか。私がそんな事を考えてはいけないのかもしれない。
一瞬で、トウジの考える権利と笑う権利を奪った私が。
守ると決めたのに何も出来ずにただ見ているだけで、アスカを守れなかった私が。
「もう帰ろうか。日が沈んじゃう」
「そうね」
綾波の事を考えると、色んな想いが交差する。前も思った。
綾波は。何だか懐かしい感じがする。話していると心地よい感じがする。
遠く昔に引き裂かれた半身のような。
私にお姉さんがいたら。いや、姉というよりは、もっと近い…。
でも、ここにいる彼女は本当は違う。
私の半身でも、姉でも。

――――母親、でもない。


私の大切な友達の一人。
何者でもない、かけがえのない一人。


「行こう、レイ」

彼女の名を呼んだ。精一杯の思いを込めて。

「ええ」

綾波は、レイは微笑んだ。
今度はそう見えたのではなくて、本当に。
いつかエントリープラグの中で見た、あの綺麗な笑顔で。
752621の続きで:2006/10/09(月) 04:31:17 ID:???
エヴァのエントリープラグの中。
その存在自体が苦痛でしかないというのに、変わらず不気味に居心地の良いその空間。
傷つけることしか教えてくれなかった。
肝心なときになにも出来なかった。
この血の匂いのする液体に浸り、敵と戦うことが前はあんなに嫌だったのに。
今はこうして何もせずに待つだけが辛くてたまらない。
ウインドウには敵の様子を伺いながら待機する零号機の姿。
その青い機体の中には彼女が乗っている。
もう失いたくない。

もしこれ以上何か失ったら。
綾波を、レイに何かあったら。
あったら、私は――――


「レイ!」

『目標、零号機と物理的接触!!』

円形のらせん状に空中を漂っていた使徒は、
零号機を認識するとその線を断ち切り帯状に変化した。
そして零号機を認識するとまるで触手のように襲い掛かる。
ライフルでの攻撃は効かず、零号機の青い機体にそれは突き刺さった。
753621の続きで:2006/10/09(月) 04:32:36 ID:???
『零号機の生体部品が侵されています!すでに5%以上が融合されています!』

突き刺さった零号機の腹と、使徒を掴む腕。
使徒と繋がるそこから血管のような痕がどんどん広がっていく。
「父さん!私を出して!今すぐ私を出してよ!!」
意味が無いとわかっていても、必死にレバーを動かした。
苦しげに呻くレイの声が聞こえる。

「早く!父さん!レイが…!レイが!」

弐号機のときは、アスカのときは父さんは私を出さなかった。
また、守れないの?
あのときと同じように。
いやだ…そんなの嫌だ!!



私は私。
誰でもない、誰にもなれない。
私は私。

私の中に入ってくる。
何かが入ってくる。

誰?
エヴァの中の私。
いいえ、違う。
私じゃない。
私に似ていても私じゃない。
754621の続きで:2006/10/09(月) 04:33:44 ID:???

誰?


私は私
私はひとり
私はたくさん



「レイ、あなた最近変わったわね。何だかあなたらしくないわ」



私らしいって何?



いつかのあの時の光景を思い出す。
薄く汚れた白い壁に包まれた部屋。
嫌な感じのにおい。
嫌な感じのする部屋。
いつ来ても慣れない。

「表情が人間らしくなってきたわ。どういう影響かしら」
755621の続きで:2006/10/09(月) 04:36:31 ID:???

私は私。


私らしいって何?


今存在する私が全て。
私の後の私のことは、わからない。

私は私。


でも私はたくさん。


「ただの人形かと思っていたら、あの人の娘に取り入るなんて」

私は私。

人形じゃないわ。

「でもね、レイ。あなたがどんなに変わってもそれは意味のないことなのよ」




  わかっているでしょう?



756名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 12:05:55 ID:???
朝早くから乙
757名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 14:44:53 ID:???
このスレの住人に合いそうな・・・
vipだけど。
http://ex16.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1160218963/
758名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 19:54:37 ID:???
小公子セーラが女シンジきゅんに前から思ってたわ
759名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 21:05:27 ID:???
でもあれって、今読み直せばあまりにマゾっぽくて少し萎えるかも。
もっと男らしく、燃えと熱血と不屈の勇気で逆境を乗り越えるセーラが見たいような。
760名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/09(月) 21:08:00 ID:???
毎回よかった探しをするセーラ。
761名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 01:16:45 ID:???
社交界の花となり、やがてロシアに渡って啓蒙専制君主として名を馳せるセーラ。
762名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 01:39:21 ID:???
見た目がさ、ロングの女シンジきゅんみたいだなあと
763621の続きで:2006/10/10(火) 02:17:56 ID:???
血管の様な痕はみるみる零号機を包み込む。
やがてその青い機体の背中が盛り上がり、肉の塊となって膨れ上がった。
あれは…今まで倒した使徒?こんなの尋常じゃない。
「―初号機の凍結を、現時刻をもって解除。ただちに出撃させろ」
低い声が発令所に響く。
「…はい。シンちゃん。聞こえたわね?」
聞こえた。ずっと待っていた言葉。
「はい!」



―――私と一つにならない―――


いいえ、私は私

あなたじゃないわ




―――そう、そうね―――


―――あなたが一つになりたい人は―――

―――あなたがなりたい人は私じゃないのかもしれないわね―――



764621の続きで:2006/10/10(火) 02:19:43 ID:???

わからないわ


―――でも、もう遅いわ―――



―――痛いででしょ?―――

―――心がが痛いでしょ?―――




私は私
私はひとり
私はたくさん




―――私達はたくさんいるのに、一人でいるのが嫌なんでしょ?―――



サミシイ?


サミシイノ?

765621の続きで:2006/10/10(火) 02:20:37 ID:???



―――それはあなたの心よ―――




―――鈴原君のことでここを出て行ってしまった碇さんを見てどう思った?―――
―――毎日惣流さんの病室へ行く碇さんをみてどう思った?―――



―――鈴原君を自分の命に取り込んでしまった彼女を見てどう思った?―――
―――毎日目を覚ますことのない惣流さんの手を握る彼女を見てどう思った?―――



―――羨ましかったでしょう?―――


―――彼女になってしまった鈴原君が羨ましかったでしょう?―――

―――彼女が見て、触れられる惣流さんが羨ましかったでしょう―――



766621の続きで:2006/10/10(火) 02:21:42 ID:???

痛いって何?
寂しいって何?


私らしいって何?


好きってどういうこと?


そんなこと今までわからなかった。


けれどあの人は微笑んでくれた。
彼女は私の手を握ってくれた。

彼女は私と約束してくれた。


私が死んでも変わりはいるもの。


私が死んだらその思いも消えてしまうの?





―――それがあなたの心よ―――

767名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 02:22:51 ID:???
GJ!!

レズだあ
768621の続きで:2006/10/10(火) 02:23:02 ID:???
『シンちゃん!ATフィールド全開!目標と接触しないように気をつけて!』

初号機が射出されると同時に、こちらに気付いたのか膨れ上がった肉塊から
触手を伸ばし、襲い掛かる。
ライフルも効かない。迫り来る敵の一部を握り締め動きを止める。
そしてナイフを突き立てようとしたその時
「………ッ…!?」
真っ白な光の触手は徐々に形を作り始めた。
誰でもない、たった一人の存在。
私の友達。
私が握った白い掌。

…レイ?

「く…ッ…あっ……!!」
握り締めた初号機の腕から何かが私の中に入り込んでくる。
先ほど見た零号機の姿と同じ。血管状の痕が私の腕から広がってゆく。
そのときは私の脳裏に、身体に、心を支配した激しい奔流。
「何…?」
痛みと同時に流れ込んでくる他のもの。
抑えきれない衝動。


涙…?


私は泣いていた。


769名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 02:24:21 ID:XCsSl4yX

「何……?これ…?」


生温かくて、どろっとしてて、ゆっくり胸を締め付けられるような―――



「あ…っ…く…くぅ……!」

血管状の痕は体中に広がっていく。
痛い。でも痛みなんて関係ない。

助けなきゃ。

今度誰かを失ったら。
今度君を失ったら。

「あ…綾…波…」


私は――――



「…ッ…レイ!!」


770621の続きで:2006/10/10(火) 02:25:08 ID:???
あれ?何かあげちゃった…。すみませんorz
771名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 02:26:58 ID:???
ごめん、途中邪魔しちゃいました
乙です

シンジきゅんの喘ぎハァハァ
772621の続きで:2006/10/10(火) 02:28:04 ID:???
>>767
ごめん。限りなく百合に見えても百合じゃないんだ…
773名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 02:49:54 ID:???
バル戦といい、あんたわざとシンジきゅんの喘ぎ声エロくしてるだろwww
カヲル登場が近づいてきたな
774名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 08:09:28 ID:???
エロ声ハァハァ。
これが映像で当時流れてたら、確実にこれで抜いてたな。
775名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 14:13:15 ID:???
綾波にも死亡フラグ成立しちゃってるからなぁ・・・
やっぱり死んじゃうのかな(´・ω・`)
776名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 16:41:24 ID:???
貞版準拠でここまできたけど、貞版追い越した後は?
777名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 16:50:47 ID:???
アスカの精神崩壊とか徐々にアニメ版になってるから
EOEで終わるんじゃね?
カヲルも庵カヲらしいし
778名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 20:24:13 ID:???
アニメ版か…。カヲルと風呂入るのかなぁ…
779名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 21:45:48 ID:???
一緒に風呂入るとしたらカヲルが女湯に乱入だろうな。
洗面器をカヲルに投げ付けるシンジが見たいかも・・・
780名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 22:13:45 ID:???
シンジきゅんと風呂なんぞ入ったらトウジが化けて出ます
っていうか、庵カヲだよな?
この欝展開で貞カヲだったらシンジきゅんマジでぶっ壊れるぞ
781名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/11(水) 01:53:07 ID:???
>>748-751
とてもいいね
漫画版の台詞のアレンジが入ってたり
レイをレイとして受け入れる下地ができてたり
782名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/11(水) 16:53:16 ID:???
貞カヲじゃなく庵カヲなの?
庵カヲに傷心のシンジきゅんがときめくのか…
783名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/11(水) 19:33:15 ID:???
貞カヲにときめかれた方が嫌じゃね?
784名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 00:43:57 ID:???
>>779
変態くさいカヲルだなあ。
785名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 07:35:53 ID:???
アスカいわく、ナルシス変態ホモだそうだからw
786名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 17:40:09 ID:???
とりあえずホモじゃなくなるな
787名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 21:26:51 ID:???
そういえば、落ち込んでる女の子に言い寄る男ってごく普通のシチュエーションじゃないか。
788名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 22:21:15 ID:???
相手がトウジなら許せるんだが
カヲルだと許せない心の狭い俺
789名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 22:30:22 ID:???
安心しろ
お前の心は広い
俺なんか両方許せん
790名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 22:49:07 ID:???
よう、俺。
791名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 23:06:42 ID:???
>>789>>790
俺もだ。
792名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 23:14:05 ID:???
俺がいっぱいだ
793名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/12(木) 23:24:01 ID:???
シンジきゅんの幸せを考えると相手がトウジでもいいかな…と
嘘です。本音は同じです。俺が何人いるんだよ?
こう…なんか娘を嫁に出す気分だ。
794621の続きで:2006/10/13(金) 00:15:41 ID:???



本当に羨ましかったのはきっとあなたの存在。



他人を嫌い怯えながらも、それでも繋がろうとしたあなた。








帯状の真っ白な光、私の形を象って初号機に襲い掛かる。
紫の機体に広がっていく使徒。


あれは私の心
碇さんと一緒になりたい私の心


このまま何もせず見届けていればあなたになれる

このまま見届ければ全てが手に入る



795621の続きで:2006/10/13(金) 00:16:33 ID:???



このままあなたと一つになってしまえたら





あなたになれたら













なんて幸せ







796621の続きで:2006/10/13(金) 00:18:47 ID:???



火傷した指先は少し痛んで
白い湯気を立てる紅茶は僅かに苦くて

私を見て彼女が笑って

鈴原君を見て彼女が笑って
惣流さんを見て彼女が笑って
葛城三佐を見て彼女が笑って

碇司令を見て少し悲しそうな顔をして


繋いだ手はとても温かくて

私の指先とあなたの指先が触れ合って



触れ合って――――――



「…………ッ……!」



797621の続きで:2006/10/13(金) 00:21:24 ID:???


あなたになれたら


それは夢のように幸せ









覚めない悪夢のような幸せ









このまま見届ければ全てが手に入る

このまま見届ければ全てが終わる

798621の続きで:2006/10/13(金) 00:24:27 ID:???


「……ダメ」



彼女の命に取り込まれた彼は、最後に何を思ったのだろうか?




幸せだった?








いいえ



あなたになってしまえばあなたにはもう触れられない



「だから……だめ…」

799621の続きで:2006/10/13(金) 00:26:53 ID:???
痛みと共に広がる思念の奔流。
痛い。痛い。痛い。
身体が?
それとも心が?

だけどそれは一瞬のことで、次の瞬間消えうせた。

『レイ。………死ぬ気!?』

我に返った私の耳に届いたのは、モニターから流れるミサトさんの声。
蹲った零号機は使徒を押さえ込み、その肉塊を潰していく。
「レイ!?」
潰れた肉を抱きしめる零号機の元へ走り出す。


最初は君が苦手だった。
どうしたらいいのかわからなかった。

だけど、君と話して
君に触れて
君は私の大切な友達になった



たった一人の大切な友達



君を失ってしまったら
君までいなくなってしまったら
また、守れなかったら
800621の続きで:2006/10/13(金) 00:28:18 ID:???


私は――――


肉塊はほとんど潰れてしまって、零号機はまるで自分自身を抱きしめてるみたいだった。
その腕の中が徐々に眩い光を放ち始める。

手を伸ばす。
伸ばした手は、いつだって届かない。

それでも必死に伸ばした。


君の手を握ったこの手を。






―――伸ばした手は、いつだって届かない






爆音と閃光が辺りを包んだ
801名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/13(金) 22:14:44 ID:???
嗚呼GJ
802名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/14(土) 02:00:03 ID:5oefwt4A
展開は本編と同じはずなのに…あれ?おかしいな?
泣いてるのは俺?
803執行者:2006/10/14(土) 02:06:04 ID:YGfpFC2g
804名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 01:20:41 ID:???
人いないな…
805名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 02:10:12 ID:???
もともと過疎スレだし語りつくした感もあるんで、ネタが無ければこんなもんだ
806名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 02:47:36 ID:???
最近目覚めた俺はどうしたらいい
807名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 02:53:13 ID:???
>>806
入門編に新性記エヴァンゲリオンG読んで来い。
泉のシンリ物はまだ読めたっけ?
808名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 02:55:34 ID:???
>>806
過去ログに一通り目を通してどんな話題があったかだけでもつかんでおいてくれ
809名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:02:10 ID:???
ありがとう。
とりあえず過去ログから手を付けはじめるよ。
810名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:06:50 ID:???
>>809
過去ログ倉庫の「女シンジきゅんに萌えるスレ」が実質初代スレな
811名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:11:06 ID:???
今日は寝ないで読むよ
ここ読んで女シンジとトウジがくっつくのもいいなって思った
まぁくっつかなかったけどさorz
812名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:50:21 ID:???
>>807
入門編にしてはキツすぎないか、あれ?w
シンジの性格も違うし、無数のパロディが突っ込んであるし
たとえば本編シンジきゅんが女になっただけのような女シンジが好きな人はかえって嫌悪感を覚えるかもしれないな。
813名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:52:11 ID:???
仕方がない。
それでは[僕の部屋]から『YOU ARE MY PET』だな。
814名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:54:39 ID:???
>>811
女シンジとトウジがくっついてるのが見たいなら家族スレ行け
815名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 03:58:44 ID:???
新規が増えると活性化するな
816名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 07:52:39 ID:???
どうせ女になるなら
格好いい女になってくれ派


新性器は個人的にダメだけど。
鬱々としながらも、やることはやる。
ギリギリでって感じ。
817名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 09:14:05 ID:???
恥じらいを持った女シンジが好きな俺はあのね氏のSSが好きだ、個人的に
818名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 10:47:20 ID:???
>>817
シンジの性格が違うような気がするけど、俺も大好き。
819名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/15(日) 23:43:59 ID:???
やっと追いついた
820名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 00:52:46 ID:???
>>816
何気に同意。元のシンジがあまり積極的にカコイイというタイプじゃないし
拒否反応持つ人がいても当然の気が駿河。
俺は逆に新性記は結構好きだけれど。今川ノリが好きだから。
821名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 01:09:43 ID:???
影があったり、悩むならとことん悩みまくるキャラが男女問わず格好いいと思う俺は少数派。
まあその中で女体化萌えまで行き着いたのはシンジしかいなかったわけだが
822名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 02:59:46 ID:???
やっぱシンジきゅんを超えるいい女はエヴァキャラにはいないな。
823名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 08:01:13 ID:???
>>821
それはただの中二病なんでわ
824名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 08:23:21 ID:???
でも厨房らしいかっこよさもヤダ
スパロボのバンプレストオリジナルキャラみたいな
825名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 08:52:33 ID:???
>>823
中二病患者は悩む自分が格好いいのであって、二次元だと美形や天才設定キャラが好みなことが多いものさ
826名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/16(月) 09:47:16 ID:???
カヲルスキーとか
827名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/17(火) 16:35:40 ID:???
>>813
あの女シンジは俺も一押しだな。
難点は何年も更新されてないことと、途中からアスカやレイに関する話が多くなって
女シンジの影が薄くなっていってるとこか。
828名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/17(火) 16:54:05 ID:???
あれはシンジきゅんらしい女シンジきゅんだったな
むしろ男シンジのほうがシンジらしくない、と
829621の続きで:2006/10/18(水) 03:07:26 ID:???

ああ、私は嬉しかったのね




私の無事をあなたが喜んで泣いてくれたとき
あなたが一緒に生きようと言ってくれたとき
全てが終わったら皆で過ごそうと言ってくれたとき
私とあなたが姉妹の様だと言われたとき
あなたが私を母親の様だと言ったとき



あなたと手を繋いだとき
あなたと約束をしたとき


あなたが私の名前を呼んでくれたとき


私を、ただ一人の私を、





――――友達だと思ってくれたとき


830621の続きで:2006/10/18(水) 03:08:57 ID:???


私は嬉しかったのね




最後のこんな瞬間に気づくなんて







碇さん



ねぇ








私はね――――――

831621の続きで:2006/10/18(水) 03:10:16 ID:???


私は多分酷いことをしている。


あれからもう何日経ったかわからない。
この前のときとは違う。
ATフィールドの内側で吹っ飛んだ。


死んだのかな?レイは…。


涙は出なかった。

泣いてしまえば彼女が死んでしまったことを認めてしまうようで嫌だった。


変わらず学校には行っていない。家にも帰れなかった。
家に帰ればミサトさんはきっと私を慰めるだろうから。
そんなことをされてもレイの死をありありと実感してしまうから嫌だった。
832621の続きで:2006/10/18(水) 03:11:54 ID:???
私は多分、酷いことをしている。
あの事件が起きてからずっと私はアスカの病室で彼女に寄り添っていた。
アスカは目を覚まさない。私を拒絶しているかのように。
レイがいたころはそれが嫌だった。
だけど、今はそれが心地よい。
ここには誰もいないから。
レイの死を悲しむ人がいないから。
アスカはきっと、レイがあんな目にあってもそんなに悲しみはしないと思うから。
守れなかったくせに、今更そんな風にアスカに頼るなんて。
利用するなんて。

アスカが起きて私を見たら何て言うだろう?



私はきっと、酷いことをしている。



だけど





きっともうそれしかできない。




携帯のバイブレーターが小さく響いた。
833名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/18(水) 17:56:32 ID:???
乙!
百合に見えるが百合じゃないのか・・・
834名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/18(水) 18:11:16 ID:???
そんなギリギリラインに萌える俺
835621の続きで:2006/10/19(木) 00:31:24 ID:???


―――――いらっしゃい、真実を見せてあげる――――――



君の笑顔を覚えている。
君と交わした約束を覚えている。
君の手の温もりを覚えている。
君の言葉を覚えている。


君の無事を聞かされて嬉しかった。
君と初めて一緒に戦ったとき
エントリープラグの中で目を開けた君を見たとき以上に。


だから平気。



「私は多分、三人目だから」



初めて会ったときの様な何も無い瞳。

だけど私はちゃんと覚えている。
836621の続きで:2006/10/19(木) 00:33:25 ID:???

君が何者であっても平気。
君は君だから。
君はたった一人の私の友達。



たった一人の




それだけはたった一つの真実


そう、真実





「これが、真実よ」






――――真実

837621の続きで:2006/10/19(木) 00:35:42 ID:???
真っ暗な部屋の中に響く音は低い機械音だけ。
足元の小さなランプが部屋を薄暗く照らしている。
オレンジ色のぼんやりとした光と共に露わになる水槽。

その中には。



―――君は




『もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?』




―――君は一人




『せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…』




―――だけど君はたくさん


838621の続きで:2006/10/19(木) 00:37:42 ID:???
透明なオレンジ色の光を放つ水槽の中には、私と約束をした彼女。
私の手を握ってくれた、私がその手を握った彼女。


綾波…レイ。



いくつも、いくつも。



それはそこに「在った」



「在った」




真実。

これが真実?


「そう、これが真実よ。こんな物のために私は今まで苦しんできたの」

抑揚の無いリツコさんの声。

「だけど、その苦しみもこれで終わるわ」
839621の続きで:2006/10/19(木) 00:39:06 ID:???
細く形の良い指先がリモコンのボタンを押した。
小さな電子音と同時に響く破壊音。
オレンジ色の世界は瞬く間に薄暗い闇に染まっていく。


私は世界は汚れていて、綺麗なものなんてこの世には存在しないとか、
世界の全てを見てきたような、何もかもわかったような口を効く気はない。
でも、特別綺麗なものもないと思っていた。
単調な世界。モノクロの世界。
それがたった一人の私の世界だった。

だけど私の単調な灰色の世界で、君は私に色をくれた。
あの時見た君の笑顔はとても綺麗だった。

「………レイッ!!」

君が壊れていく。
あの時見た綺麗な笑顔と共に。
ちぎれて、崩れて、形を失くしていく。
私はまた見ているだけで何もできなくて。

それでも何かしたくて、水槽に手を伸ばそうとした。

「安心していいのよ。これはあなたの知ってるレイとは違うものだから」

こちらを見ずに背中越しにリツコさんは語る。

「ここにあるレイはただの入れ物。あなたの知ってるレイとは違うものよ
 あの日会ったレイもね。あなたの知ってるレイはもうどこにもいないの」
840621の続きで:2006/10/19(木) 00:40:48 ID:???

「リツコ!!」

その言葉が全て終わる前にミサトさんが叫んだ。
だけどその制止も私の耳には届いていなかった。


君が壊れていく。
微笑みながら千切れていく。

「そんな…だって、それでも…!レイは私の…」


私の友達。
たった一人の存在。


だけど


これはまるで―――――


「物よ」


残酷に言い放たれた真実。



「人の形をしたただの物よ」
841621の続きで:2006/10/19(木) 00:42:46 ID:???

君は一人。

君はたくさん。


これが、真実。
逃げては行けなかった真実。



レイ……いや、綾波


母さん






―――――父さん





「ただ『物』が壊れただけなのに、どうしてあなたはそんなに悲しそうな顔をするの?」



壊れていく『物』を背に、ゆっくりと振り返って微笑んだ彼女は泣いているみたいに見えた。
842名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 15:10:25 ID:???
リツコがすごく残酷に見える件について。

思えば、ユイそっくりのレイをあれだけ敵視したんだから
ユイの息子ではなく娘のシンジなら、余計ムカついてたとしても不思議はないな。
843名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 17:07:00 ID:???
>>842
あれはゲンドウがレイに執着していたからじゃないのか?
放任されてたシンジなら逆に同情されても不思議じゃないと思う。
844名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 17:11:07 ID:???
いよいよカヲル登場か…
845名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 17:13:26 ID:???
大ッ嫌いなレイと、愛する男の娘が仲良かったら複雑な気分になると思う
846名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 19:34:13 ID:???
レイたんカワイソス
シンジきゅんもカワイソス
847名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 19:42:47 ID:???
カヲルに手籠めにされてまう
848名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 20:25:06 ID:???
リツコさんにとってレイは作られたモノでしかないから
これほど残酷になれるんだろう
849名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 21:43:12 ID:???
このままカヲルの野郎に、シンジきゅんを盗られてしまいそうだ
850名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 22:41:33 ID:???
>>843
シンジがどれほど母親似なのかにもよると思う。
851621の続きで:2006/10/19(木) 22:54:20 ID:???


縋る小さな身体は酷く痩せていて。
いつまでも鳴き続けていた。

私だけを映し出す澄んだ瞳。




私はどうすれば良かったんだろう?















―――――あの小さな身体は今頃どうしているのだろうか?

852621の続きで:2006/10/19(木) 22:56:29 ID:???

「どうする?明日からの中間テスト」

空は相変わらす青い。蝉の声がうるさい中でケンスケの声が響いた。
「どうなるかわかってたら苦労せんわ…」
「私は…腹をくくるよ…。アスカは?」
「あたしは大学出てるから別に」
「ちょっと皆…。やる気だしましょうよ」
うんざりした声で返事を返すと、委員長は力なく励ましの言葉をくれた。
「シンジ!お前向こうの学校じゃ優等生やなかったんかい!?」
「しょうがないよ…。こっちに来てから勉強する暇なんてなかったもん…」
「だらしないわねぇ!」
「そう言うアスカだってこないだの小テスト散々だったくせに!」
「うるさいわね!何書いてるかわからなかっただけよ!!」
ああ、なるほど…。アスカは漢字がまだ駄目だったっけ…。
でもそれを口に出すときっと怒られるから言わないでおく。
「こうなったらシンジん家でテスト勉強や!」
「さんせー!!」
「何で私の家なの!?」
「ミサトさんに会えるから!!」
ああ、なるほど…。二人は寸分違わず一緒に返事をした。
「まぁいいや。ねぇ、委員長。私に数学教えてくれない?」
「いいけど…。私英語が駄目なのよね…」
「それだったらあたしが教えてあげるわ。その変わり国語教えてくれない?」
「じゃあ俺らは…」
「全部でしょ!!」
今度は私とアスカと委員長三人が一斉に同じ返事をした。
そんなたわいもない話をしながら歩いた帰り道。
いつもの帰り道。けれどそのときは少しだけ違っていた。
853621の続きで:2006/10/19(木) 22:57:28 ID:???
「たぶんミサトさん仕事でいないと思うよ?」
「それでもいい!!」
二人の若い男の子達は元気に返事をした。
「元気だね…」
「元気出さなやってられんわ…」
「中学って、留年が無くて良かったよな…」
「…………うん」
委員長はとても成績がいい。アスカは大学を出ている。
空はあんなに青いのに、私達三人の顔は曇り空だ。
立ち止まって、同時にため息を吐いた。
そのとき。
「うわっ!!」
「ど、どうしたの?碇さん」
「いや…何か足に変な感触が…」
足元に感じたふわふわした頼りない感触。恐る恐る目線を下に下げると。
「……ネコ?」
そこにいたのは真っ白な小さな子猫。抱き上げるとその身体はあばらが浮いていて酷く痩せていた。
「私に擦り寄っても何もいいことないよ…」
そう呟くと、白い子猫はわかっているのかいないのか、にゃあと小さく鳴いた。
「捨て猫かしら?」
「そうみたいだね。私とアスカじゃ飼えないし…」
「あったりまえでしょ。ヒカリは犬がいるから駄目だし…」
「俺も駄目。パパが多分許してくれない」
「ワシも無理や。うちのマンションペット禁止やし」
痩せた子猫の大きな瞳は私をだけを写していた。綺麗な澄んだ瞳で。
「…ごめんね」
だけど、私はその瞳を見ることができなかった。抱き上げた子猫を元居た場所に戻した。
「着いて来ちゃ駄目だよ。飼ってやれないんだから!」
854621の続きで:2006/10/19(木) 22:58:16 ID:???

縋るように子猫は鳴いていて。
酷く痩せた小さな身体で力いっぱい鳴いていて。

大きな瞳にたった一人だけ写して。


母親とはぐれたのか、一人ぼっちで鳴いていて。

鳴いていて。






泣いていて。




いつかの私みたいだった。


「トウジ、お菓子持ってたでしょ」
「あ?ああ。でも何するん?」
「ちょうだい」

手渡された少し残っていたスナック菓子を、白い子猫の前に置いた。
855621の続きで:2006/10/19(木) 22:59:11 ID:???
それがいいことかどうかはわからなかった。
何をすればあの子にとって一番いいのかわからなかった。


だけど、何かしたかったんだ。






楽しかったあの頃の思い出。

















あの痩せた白い子猫は今頃どうしているのだろうか?
856621の続きで:2006/10/19(木) 23:00:46 ID:???
ほんの少し前はあの教室で授業を受けていた。
あの屋上で弁当を食べた。
あそこに皆がいた。



私は笑っていた。





ほんの少し前は。



先日の避難勧告のあと、シェルターの外は酷い有様だった。
そして、ここも。
窓ガラスはほとんど割れて、透明な欠片が床に散らばっている。
机には砂がかぶっていた。
「委員長は先に疎開するんだっけ?」
「相田君は私のあとで行くのよね。また、会えるといいわね」
「そうだな…」
記憶の残骸が残る教室で、ケンスケとヒカリは話していた。
粉々になったガラスが靴底で小さく音を立てて更に割れた。
その音がやけに不快で、顔をしかめてしまう。
「ここにみんながいたなんて、信じられないわね」
そう言いながら、ヒカリは窓枠に肘をついた。
その背中は酷く小さく見えた。
彼女は知っているのだろうか。あれからトウジが学校に来なくなったわけを。
857621の続きで:2006/10/19(木) 23:03:11 ID:???
「あれ…?」
「どうしたの?」

ガラスが全て無くなった窓を覗き込む。けれど彼女の視線の先には何も無かった。
何かあったとしても、瓦礫の山に隠れてきっと見えなかっただろうけど。
「今、あそこに学校の制服を着た子がいたように見えたの」
「誰もいないけど…。俺達みたいに疎開前に最後に見にきたのかな?」
「女の子の…制服、だったわ」
彼女はそう小さく呟いた。


女子生徒。


その言葉で思い出したのは、きっと二人とも同じだっただろう。

淋しげな目をした短く切り揃えられた黒髪の少女。

「もし、そうだったとしても…良かった」
「………え?」
「彼女に会ってしまっても、元の通り、友達として普通に話したくても
 きっともう、あんな風に話すことなんてできないと思うから…」
ヒカリはそう呟くと、悲しそうに微笑んだ。



もう、戻れない。どんなに戻りたくても。




それをどんなに望んでいても。
858名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 23:47:50 ID:???
GJ!!!!

TSカヲルの予感
859名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 23:52:50 ID:???
TSカヲルはやだなぁ・・・
860名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 00:18:21 ID:???
久しぶりのトウジが…三馬鹿が…委員長が…

・゚・(ノД`)・゚・
861名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 00:39:28 ID:???
百合の花が作
862名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 01:17:20 ID:???
もしTSカヲルなら他でやって
気持ち悪いから
863名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 01:18:52 ID:???
864名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 01:45:02 ID:???
865名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 01:51:10 ID:???
普通にシンジが学校見に来たんじゃないの…?
866名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 02:08:20 ID:???
そだろwwちゃんと嫁


ともあれGJ
回想の日常描写に涙がうるっと出た
867名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 16:43:40 ID:???
868名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 17:02:17 ID:???
>>862の人気に嫉妬
869名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 18:01:45 ID:???
870名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 18:08:06 ID:???
はずれ
871名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 18:30:43 ID:???
>女子生徒。


>その言葉で思い出したのは、きっと二人とも同じだっただろう。

>淋しげな目をした短く切り揃えられた黒髪の少女。

シンジを見たとは書いてない
TSカヲルの悪寒
872名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 18:38:28 ID:???
TSカヲルはイラネ
873621:2006/10/20(金) 18:55:56 ID:???
何か物議をかましてるみたいだから、先に言っとく

カヲルは男
ヒカリが見た女子生徒はシンジ
874名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 19:09:17 ID:???
みんなハズレだったな
875名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/20(金) 20:45:02 ID:???
俺は男でも女でも誰であろうとも
シンジきゅんといちゃいちゃされるのが嫌だ
俺と代われと言いたくなるのでw

>>873

投下を待ってる
876621の続きで:2006/10/20(金) 23:16:58 ID:???
走った。
途中で何度も転びそうになっても。それでも。
息を切らせて辿り着いた部屋で、私はすぐに身に着けていた物を脱ぎ去った。
青いベストもスカートも、ブラウスも、下着も全部。
そして、また着替えなおす。
あの頃の、先生のところに居たあの頃の私の服に。
白いシャツに、インナーにTシャツ。黒のパンツ。
そしてまた部屋を出た。

壊れた学校の教室を見上げた。
崩れかけた校舎。
あの教室に居た二人の生徒。

一瞬だけ私を見た瞳。


今更あのときに戻れるだなんて思っていない。



それでも、何処かで望んでいた。





何も出来なかったのに。



私は汚い。
877621の続きで:2006/10/20(金) 23:19:03 ID:???
私が男の子だったら、こんな想いをせずに済んだだろうか?
私が大人の女の人だったら、誰かに何かに頼って楽になれただろうか?

こんな男の子みたいな服を着たって、私は女だ。
どんなに背伸びをしたって、私は何も出来ない子供だ。
取り繕っても男の子にもなれない。
大人の女の人みたいに男の人に縋ることも怖くてできない。

守りたかった、守れなかった、大切なもの。


私の命に取り込んでしまったトウジは、まだ私の中にいてくれるのだろうか?

水槽の中で壊れて行ったレイの欠片は、一体何処で眠ればいいのだろうか?


君が


君が目を覚まして私を見たら、なんていうだろうか?










私はきっと、酷いことをしている。
878621の続きで:2006/10/20(金) 23:20:15 ID:???


「ねぇ。私、どうすれば良かったのかな…?」


気が付いたら、アスカの病室に居た。
心電図が定期的に軽い電子音を立てる。
それ以外の音も、アスカと私以外の人は存在しない白い空間。
何も言わずに眠り続けるアスカの前に立ちに話しかけた。


「ねぇ、学校壊れかけていたよ」


私はきっと酷いことをしている。


「あそこもあんな風になったんだから、きっとあの畑もなくなっちゃたよね」

もう跡形も無いだろう。
何かを生み出すことが出来ない男の人が一生懸命育てたスイカ畑。
私の心を揺さぶって、勝手な言葉を投げかけて、勝手に自由になったあの人。
あの人はもういないのに。

「ねぇ…、加持さんはもういないんだよ…?アスカ…」


私はきっと酷いことをしている。


「ねぇ…、私どうすれば良かったの?」
879621の続きで:2006/10/20(金) 23:21:01 ID:???

私はきっと酷いことをしている。




私はきっと。




いや、違う。






「ねぇ…どうすれば良かったのかなぁ…?」









私は酷いことをしている。
880621の続きで:2006/10/20(金) 23:23:16 ID:???

――――――約束は何一つ守れていない





『ねぇ、全部終ったら。こんな戦いが全部終ったら。皆でお祝いしようよ。
 ミサトさんや、加地さんや、アスカや皆と…』


『きっと、楽しいよ。綾波も一緒にお祝いしよう。皆で一緒に笑おう』


『全部終ったら…、お前に言いたいことあんねん。聞いてくれるか?』


『じゃあ、碇さん。あとで教室でね』










――――――何一つ守れてはいない
881621の続きで:2006/10/20(金) 23:24:25 ID:???


『もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?』


『せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…』




―――――取り返しの付かないくらい遠くに来てしまった





『次はもう殺さないようにさ』










―――――あの日々さえも思い出せないほど
882621の続きで:2006/10/20(金) 23:25:32 ID:???

もう戻れないの?








歌が聞こえた。

















きみがうたったうた。
883621の続きで:2006/10/20(金) 23:26:34 ID:???


「歌はいいね」


幾分おかしなメロディだった気もしたけど、
低い声で奏でられた鼻歌は心地よかった。
夕日に照らされた湖に打ち上げられた像の上で歌う少年。


「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ」


オレンジ色に染まった横顔が振り返って私を見た。




綺麗な澄んだ瞳が









私を。

884名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/21(土) 00:53:10 ID:???
続きを!!
885名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/21(土) 00:59:09 ID:???
886名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/21(土) 01:03:09 ID:???
だけど音程はちょっとヤバめ・・(笑)
職人さん乙〜
887名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/21(土) 08:17:52 ID:???
age
888名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/21(土) 10:19:59 ID:???
タバサ〜♪
889名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 09:43:54 ID:???
サバディ〜♪
890名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 16:37:24 ID:???
891名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 19:31:37 ID:???
上手い!!これはかなりイイ!
892名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 20:12:36 ID:???
素敵ですのう
893名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 20:56:28 ID:???
つかコレってあの絵師のじゃん
894名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 21:13:05 ID:???
>>890
いやもう、たまりません。これこそ理想のシンジきゅんです。ハァハァ
895名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 00:56:02 ID:???
>>893
前スレで色んな表情のシンジきゅん描いてくれた神のだな
893の神のブログも、女シンジきゅんのブロック崩しの神のブログも発見した俺は勝ち組
896621の続きで:2006/10/23(月) 01:42:11 ID:???
「そう感じないかい?碇シンジ君」

名前を呼ばれたことで我に返った。
それと、もう一つ気付いた事。
「あの…?」
「知らない者はいないさ。
 失礼だけど、君は自分の立場をもう少し知った方がいいと思うよ?」
「そう…かな…?」
ずっと昔、加持さんにも似たようなことを言われた様な気がした。
もうあの日々も、こうして似たような経験の上で
掘り出されるような記憶と化してしまったけれど…。
もう一つ気づいたことを言いたかったけれど、その前に聞きたいことがあった。
「あの…君は?」
恐る恐る口に出した質問に返ってきた返事は、予想もしないことだった。
「僕はカヲル。渚カヲル。君と同じ、仕組まれた子供達。
 ――――フィフスチルドレンさ」
フィフスチルドレン?
アスカがあんな風になってしまって、新しく仲間が増えることは知っていたけど。
まさか、この男の子が…?
「じゃあ…、君が…渚くん?」
あの光景を見てしまってから、
アスカ以外の名前を言葉として口に出すのは本当に久しぶりだった。
声が震えてしまわないように、必死で名前を呼んだ。

「カヲルでいいよ。碇くん」
897621の続きで:2006/10/23(月) 01:43:37 ID:???
彼は微笑んで返事を返してくれた。
それがまるで、何か大切な贈り物を貰ったような
心が温まる感じがして、私は頬が熱くなってしまった。
だから私も彼の名前を呼んだ。
誰かの名前を呼ぶのは本当に久しぶりだ。

いや、違う。


人と話すのが久しぶりなんだ。


しばらく感じたことのない感情が蘇ってきた。


「あの、シンジでいいよ?………カヲル君」






嬉しい。


898621の続きで:2006/10/23(月) 01:44:39 ID:???
「あの…でも…」
「…なんだい?シンジ君」
小さく微笑む彼に、さっき気付いた事を漸く言った。
「私、こんな服と髪だけど…女の子なんだ…」
「ああ、ごめんね。名前と写真だけ知っていたから…」
申し訳なさそうにカヲル君は言った。
前にもこうして間違えられた事があったっけ…。
ミサトさんと、トウジと…。
彼の存在は私にしまいこんだはずの記憶を思い出させる。
けれど…。
「いいんだ。よく間違われるし。だから、そのままでいいよ」
「そうかい?じゃあ、シンジ君」
もう一度彼は私の名前を呼んでくれた。
そのことが、何だか本当に嬉しくて私は忘れそうになっていた表情を作った。

私が『笑う』と、彼も、カヲル君も微笑んだ。
透き通るような赤い瞳を細めて、嬉しそうに。
オレンジ色の光に照らされた銀髪は輝いていて
白い肌を一層引き立てていた。


なんて綺麗な人だろうと思った。

微笑みも、その姿も。






なんて綺麗な人だろう。
899621の続きで:2006/10/23(月) 01:45:53 ID:???


―――――なんてきれいなひとだろう?



笑ったのは、人と話したのは久しぶりだった。
それでも、ネルフでシンクロテストを受けて
その受け答えや返事は返してはいたのだけれど。
『話した』のは久しぶりだった。
他人をからくり人形かなにかに見立てて、自分とは違うものだと
認識をしていたのかもしれない。
誰とも会いたくないと思っていたのに。
彼と接して、幾らか心が楽になったのは確かだった。
たとえ、まだ消えない闇が私の中で燻っていても。

それが消えることは許されなくても。

「やあ、僕を待っていてくれたのかい?」

シンクロテストが終わって、シャワーも浴びずにぼんやりと考え事をしていた。
いつもは結果を聞かされるのに今日に限っては何故かそれはなかった。
でもそれもどうでもいいことだった。
もう誰もいなくなってしまったのだ。
私がアレに乗る理由は何一つなくなってしまった。
900621の続きで:2006/10/23(月) 01:47:45 ID:???


「え?あの…そんなわけじゃ…」

すでに暇つぶしにかけているだけで、
耳には届いてはいなかったウォークマンのスイッチを切った。
微笑みながら彼は話す。

「今日は?」
「これからシャワーを浴びて家に帰るだけだよ」

穏やかな口調で話す彼に、私の口は勝手に話し出していた。
カヲル君に話しても仕方の無い事を。

「本当は、あんまり帰りたくないんだけど…」

アスカもいなくなってしまった。
もう彼女は私を見ないだろう。
ミサトさんともどう接していいのかわからなかった。
私を昔の自分と重ねる彼女。
私はあんな風な大人の女の人はなれはしないだろうから。
ずっと願っていた。
手を伸ばせばすぐそこに誰かがいる生活を。
私を必要としてくれる人を。
少しずつでもいいから歩み寄ってくれる人を。
ここに来て漸く手に入れたと思っていたのに。
それは、一瞬で泡のように消えてしまった。
901621の続きで:2006/10/23(月) 01:48:35 ID:???

「帰る家。ホームがあるという事実は幸せに繋がる」

カヲル君は中腰になって、座っている私の目線に合わせて言葉を紡いだ。


「良いことだよ」



ああ、まただ。



「僕は君ともっと話をしたいな」



私だけを見つめる澄んだ綺麗な瞳。





壁にかけられた時計をちらりと見ると、彼は言った。

「まだ間に合うね。見せたいものがあるんだ。一緒に行かないかい?」
902名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 01:56:28 ID:???
さすがに一緒に風呂には入らないか

続きwktk
903名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 02:07:59 ID:???
おつ

あー奴がきてしまったよ
トウジの霊がたぶん守ってくれる
904名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 03:05:10 ID:???
二人目綾波も守ってくれる
905名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 03:34:58 ID:???
追いついた!
続きwktk

あとこの長編オワタら自分も書いていい?
906名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 05:38:16 ID:???
反対する理由はない。存分にやりたまえ
907名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 07:04:59 ID:???
age
908名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 13:53:09 ID:???
腐女子とキモヲタが集まるスレはここですか?
909名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 14:08:14 ID:???
職人はトウシン腐女子?カヲシン腐女子?
910名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 15:53:09 ID:???
馬鹿がageるからこうなる
age厨死ね
氏ねじゃなくて死ね
911名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 16:49:08 ID:???
風呂はないけど、二人で夜の新芦ノ湖遊泳だろw
912名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 17:46:49 ID:???
>>908
腐女子に会いたいならカヲルスレへお行き
913名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 18:17:26 ID:???
最近トウシン腐女子の方が幅を効かせているじゃないwwwww
914名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 18:27:07 ID:???
はいはいスルー。
915名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 19:06:06 ID:???
これEOEまで行くのかな…?
やっぱりカヲルが迎えにくるのかな?
リビングで女シンジきゅんとアスカのキャットファイト
全裸で綾波に膝枕される女シンジきゅん
オナニーはさすがにないな…
916名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 19:43:18 ID:???
>>915
シンジきゅんのオナヌー
(; ´д`)ハァハァ
917名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 19:57:34 ID:???
カヲルが迎えにこなきゃ青葉みたいに恐怖のあまりパシャか?
つぅかあのシーンなかったらカヲルに他に出番は
あと全裸綾波に膝枕される全裸シンジきゅんを眺めるシーンくらいしかないぞw
918621の続きで:2006/10/23(月) 23:14:30 ID:???
目の前には赤い夕日。
何処までも伸びる影。
雲も空も景色さえもオレンジ色に染まっていく。
空と同じ色に染まった水面に瓦礫の破片が落ちて波紋が広がった。


「綺麗だろう?」


オレンジ色の世界の中で彼は笑った。
白い頬を同じ色に染めて。
彼が連れてきたのは、彼と初めて会った場所だった。
あの時と同じように、目も眩むような大きな夕日。

「ひょっとして。あのときも夕日を見にここにいたの?」
「そうだよ。…君は夕日が嫌いかい?」
「うん…。私はあんまり」

赤い夕日。
夕日は好きじゃない。

多分、あれは私の中の別れのイメージだ。

子供のころ、逆光で何も見えない中で一人で砂遊びをしていた。
母さんの墓参りをしたときも。
あの光は父さんの拒絶するような背中を染めていた。
トウジがもう私に笑いかけてくれなくなったときもそうだ。
陽が傾く中で、私は泣き喚くことしかできなかった。
919621の続きで:2006/10/23(月) 23:15:43 ID:???

昼と夜との一瞬の隙間。
ほんの一瞬交わるだけの瞬間。
決して一つにはなれないと思い知らされるから。
わかりあえることはないと、嫌でも思い知らされるから。


「昼と夜との一瞬の隙間。ほんの少しの間に見れるものだからこそ
 こんなにも綺麗に見えるのかもしれないね」

だけど、眩い光に目を細めてカヲル君は言った。

「ほんの一瞬交わるだけだからこそ、一層輝いて見えるのさ。
 人も同じ。どんなにわかりあえたと思っても、やっぱり人は一人なんだ」

人は何故か分かり合おうと努力をする。分かり合えたと思う。
だけどそれは違う。分かったと思っているだけ。
いつか父さんが言っていた言葉。
私と父さんは、もうわかりあえることはないのだろう。
そんなこともう嫌になるくらいわかってる。
わかってしまった。

彼は更に言葉を紡いだ。

「それでも、たとえそれが間違いだったとしても…。わかりあいたいと思い
 わかりあえたと感じることは、素晴らしいことだと思うよ」
920621の続きで:2006/10/23(月) 23:17:29 ID:???
そう言い終わると彼は私をみてもう一度笑い、また視線を夕日に向けた。
夕日に染まった横顔。
ずっと前にもこうして西日に照らされた誰かの顔を見た気がする。
私が、わかりあえたかもしれない、でもわかりあえなかった存在。
私が一度だけ夕日を好きになれた、あの帰り道を一緒に歩いた。
そのときの『彼』とは明らかに違うのにそんなことを思った。

私達は一定の距離を置いて沈み行く太陽を眺めていた。
それ以上の距離を縮めることは私には出来なかった。
オレンジ色の明るい光は、血のように赤い夕日に変わっていく。
赤に照らされた彼の横顔が振り返って私を見た。

「一次的接触を極端に避けるね。君は。怖いのかい?人と触れ合うのが」

血のように赤く染まった光に照らされた彼はそう口にした。
唐突に言われた言葉に、私は一瞬自分が何を言われたのかわからなかった。
でも、そんな風にまっすぐに私を見る瞳を見て必死で声を出した。
コワイ――――
そうだ。
きっと怖いんだ。
私が誰かに触れることが。
誰かが私に触れてくれることが。
その温もりが消えてなくなることも、裏切られることも。

「そう…なんだと思う。でも、それはきっと皆同じことだと思うよ」

誰だって、好きじゃない人に触れられてもきっといい気分はしないだろう。


「好きじゃない…?」

921621の続きで:2006/10/23(月) 23:18:26 ID:???

だから私は誰にも触れない。
だから誰も私に触れない。

それでいいと思っていた。



それでいいのに。


「うん…。あ!でも…私は、カヲル君のことは嫌じゃないよ!?」


自分が何を言ってるのかよくわからなかった。

好き…とは言えなかった。
きっと怖かった。
そういえば、私は誰かに好きと言ったことも
好きと言われたこともなかった。
そんな風に思ってもらえる存在ではないとわかっているから。



彼は微笑んだ。
初めて会ったときのような綺麗な笑顔で。


私はその笑顔に見惚れるだけで、立ち尽くす以外何もできなかった。
922621の続きで:2006/10/23(月) 23:19:47 ID:???
太陽はもうほとんど沈んでしまっていて、水平線に小さく光を残すだけだった。
輝くような明るいオレンジ色の夕日はいつのまにか真っ赤に染まっていた。
血のように赤い夕日と、その赤に照らされた白い横顔。
その姿がまるで、そのまま何処かに消えてしまいそうで私は酷く怯えた。

「もう戻ろうか。もうすぐ沈んでしまうしね」
「そうだね。もう暗くなっちゃう」

そして、カヲル君は白い掌を私に差し出した。

「そこ、危ないだろう?掴まって」

少女のような白く細い指先。
まただ。いつか何処かで同じ体験をした。
彼は私にどうしようもないくらい懐かしい記憶を思い起こさせる。
もう戻れない。あの頃の思い出。


だけど、もう一度だけ

もう一度だけやり直せるとしたら?







戻れるとしたら…。

923621の続きで:2006/10/23(月) 23:20:32 ID:???


私が誰かの手を自分から握るのは、きっとこれで四度目。



一度目はトウジ。
怯えるような震えを何とか止めてあげたくて大きな掌を握り締めた。

二度目はアスカ。
彼女がまたその目を開いて私を見てくれることを願って握った。

三度目はレイ。
君との距離をもう少しだけ縮めたくて、近づきたくて、私も掌を差し出した。



そして、四度目は――――




「ありがとう…」



私もそっと掌を差し出した。
彼は何も言わずその手をゆっくりと握った。



優しく、微笑みながら。
924621の続きで:2006/10/23(月) 23:21:56 ID:???
血の匂いが消えていくのが心地よいと思った。
幾分冷えた身体が温まっていくのを感じた。

心が―――

心が楽になって行くのを許されないことだと感じていても
それでもこの温かさは消えることが無かった。

湯船につかって暖かな温度のお湯を掌で掬った。
指の隙間を零れ落ちていく透明なそれ。
人を思う事に似ていると思った。

どんなに掬い上げても手の中を流れ落ちていく、透明なそれ。
いくらそれを残そうとしても水は手から零れ落ちてしまう。
その手には何も残らない。

けれど彼は言った。

わかりあいたいと思うことが大事だと


掌には何も残らなくても、指先には雫が残る。
たとえそれが一雫でも。


その雫の意味がなんなのかわからなくても



それでも―――――

925621の続きで:2006/10/23(月) 23:23:58 ID:???
水滴の残る指先を見つめていると、こもった音だけが存在する
白い湯気の立つ浴場に声が響いた。
「シンジ君。いるかい?」
「か、カヲル君!?」
その声に膝を抱えてお湯に浸かっていた私はそのままの姿勢で飛び上がった。
実際は飛び上がるほど驚いただけだったけれど。
聞き慣れた声がどこから響くのか辺りを見渡してしまう。
「こっちだよ」
「………あ」
声は隣の男湯から聞こえてきた。
私はきっと、酷く間抜けな声を出してしまっただろう。
「どうかしたのかい?」
「な、なんでもないよ。どうしたの…?」
幾らなんでも女湯に入ってくる男の子はいないか…。
当たり前のことなのにきょろきょろしてしまった自分が恥ずかしくて
頬が熱くなってしまった。
「僕の石鹸小さくて使えないんだ。ほら。君のを貸してくれないかな?」
その言葉と共に、男湯と女湯を仕切る塀の上から小さな欠片が投げ込まれた。
慌ててそれをキャッチすると
それは消しゴムみたいな大きさになってしまった石鹸だった。
これじゃあ身体を洗うのは無理そうだ。
私が今まで使っていたロゴが少し擦り切れた
まだ新しい石鹸を同じように塀の向こうに投げ込んだ。
926名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/23(月) 23:37:42 ID:???
乙です!
続きwktk
927名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 01:45:24 ID:???
ちょwwwwカヲルただの痴漢wwwww
928名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 01:45:47 ID:???
>>919
ルシオラと横島を思い出した

乙です!!
どうなるのかwktk
929名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 01:48:44 ID:???
>>927
女湯に乗り込んでないからまだ痴漢ではないw
それにしてもシンジきゅんの使った石鹸使うのか…
930名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:06:12 ID:???
痴漢ではないな。
女湯にも平気で声をかける四谷さんや横島のようなもの。
931名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:08:41 ID:???
カヲルはスケベってことか
932名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:10:31 ID:???
今までトウジウラヤマシスと思ったけどカヲル…いいなぁ…
俺だったらシンジきゅんの使った石鹸持って帰る
933名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:14:24 ID:???
何かまたage厨いるなぁ…
氏ねばいいのに
934名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:15:01 ID:???
だってトウジは死んじゃうもんな
いや、カヲルも死ぬな


シンジきゅんに関わった男たちはみな死ぬのか…
魔性の女(((゜д゜;)))
935名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:20:40 ID:???
加時も?

アニメ版トウジならオイシイかも
シンジきゅんに介護してもらう(;´Д`)
936名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:25:39 ID:???
アニメは生きてたっけ。シンジきゅんに介護…。

身体を拭いてもらおう。
尿瓶を使ってもらおう。
あーんして食べさせてもらおう。

(*´Д`)
937名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:28:03 ID:???
何故あげる?
938名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:28:53 ID:???
萌えたから
939名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:30:59 ID:???
いくら萌えたと言えどもage厨真っ盛りの時期にageるのはやめなされ
何なんだ?最近のageっぷり
940名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:39:51 ID:???
何かこの前801スレに暇人どもが集まって荒らしの相談してたみたいだから
そのせいじゃないのか。
荒らし報告してアク禁にしてもらうか
941名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:40:43 ID:???
職人さんGJ
942名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:43:46 ID:???
別に腐女子もキモヲタも同じなんだから放っておいてくれればいいのに…
943名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 02:55:33 ID:???
ttp://p.pita.st/?tm3zjcis

某スレから拾ってきた。
ひんぬーおっぱーい!!!
944名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 03:01:05 ID:???
これはいい貧乳ですね
945名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 03:04:55 ID:???
おおお!!やっぱシンジきゅんの基本は貧乳おっぱいだ!!
946名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 07:52:57 ID:???
シンジきゅんが女の子だと
余計にカヲルの態度が変態っぽく見えてしまうw
947名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 11:40:17 ID:???
>>890
!?
なんちゅー掲示板に貼られてるんだ・・・別にいいけど。
てか、これ多分前にもここに貼ったような気もしなくもない。

>>943
おっぱいおっぱい!!
貧乳おっぱいにパワーをもらった。

ttp://shinjikyun.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/src/shinjikyun0020.jpg
ttp://shinjikyun.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/src/shinjikyun0019.jpg
ちょいエロ注意。

>>621
乙です。
カヲルがどう見ても下心丸出しに見えます。
948621の続きで:2006/10/24(火) 15:17:59 ID:???
水が流れる音と、水滴が濡れた床に落ちる音だけが空間を満たしている。
白い湯気がゆっくりと立ち昇るように、時間も穏やかに流れていた。
この塀の向こうに彼がいる。そのことに酷く安心した。
それと同時に違う意味だ良かったと思った。
あの、私だけを見つめる澄んだ瞳。あれが今は無くて良かった。
彼は私に懐かしい記憶を呼び起こさせる。
あのまっすぐな瞳もいつか何処かで見た気がした。
あの瞳は何故か私を怯えさせる。それを何処で見たのかは思い出せなかったが。

「カヲル君。お湯、熱くない?」
「そうだね。ちょっと熱いかな。でもこの熱さは心地良いよ」
「ずっと前に一緒に入った子がいたんだけど、その子も熱いお湯苦手だったんだ。
 こんな熱いお湯によく入れるわねってよく言ってた…」

取り留めない話が幾つも口から出て行った。
彼はそんな話にも付き合ってくれた。
塀の向こうで顔は見えないけど、
きっと先ほど見たように微笑んでくれているのだろう。

どうしよう…。

何だか。



何だか、喉が痛い。
949621の続きで:2006/10/24(火) 15:19:54 ID:???



「ごめんね。私だけ勝手に話しちゃって…」


「…君は本当は何が話したいんだい?」




喉が。




「僕に何か言いたいことがあったんだろう?」





あのまっすぐな瞳が今は閉ざされていて本当に良かった。




ああ、喉が痛い。

950621の続きで:2006/10/24(火) 15:22:15 ID:???

「ここに来る前は、先生のところにいたの…。穏やかで何もない日々だった」

水の流れる音が響いている。
白い湯気は周りをぼんやりと白く染めている。
「でも、それでも私は良かったんだと思う。私には何もないから。
 なにも…することも、できることも無かったから…」
ポツポツと私は話し出した。
あの頃のことを思い出していた。
先生の望むとおりの私を演じていたあの頃の私。
「でも、ここに来ていろいろあったんだ。
 私がやらなくちゃいけないことも増えた。私はそれが凄く煩わしかった」

何をしたって私は変わらない。
私には何も無い。
一人ぼっちの灰色の世界。
それが私の世界だった。
だけど…。

「人が嫌いなのかい?」

水滴が滴る音だけの空間に心地よい低音が響く。

「わからない。きっと、どうでも良かったんだと思う」

ただ父さんは嫌いだった。

嫌いで良かった。
951621の続きで:2006/10/24(火) 15:23:05 ID:???


だけど―――――


「だけど、ここで色んな人と出会って、話をして…」

一人ぼっちだった世界はここに来て出会った人達で増えていった。
灰色だった世界は出会った人の数だけ色が付いた。
私は彼に話をした。
ここに来て出会った人たちのこと。
たくさんたくさん。
守りたかった、守れなかった大切なもの。
彼は何も言わずにただ話を聞いてくれた。
そして、とうとう話すことが何も無くなった時、彼は言った。

「彼は君に好意を持っていたと思うよ」
「…コウイ?」


『彼』


太陽みたいに笑っていた少年。
もう会えない存在の一人。

952621の続きで:2006/10/24(火) 15:24:54 ID:???


銀髪の綺麗な少年は言う。



「好きってことさ」





私が一番欲しかった言葉。
でも誰もくれなかった言葉。


「そんなの…私にはわからないよ…」


もう、きっと誰もくれない言葉。



だってもうそんなものをくれる人はいない。
私は誰も守れなかった。
953621の続きで:2006/10/24(火) 15:26:01 ID:???


「君は人に触れるのが怖いと言ったね」


それでも彼は言った。

「他人を知らなければ互いに傷つけ合う事も裏切られることもない。
 でも同時に寂しさを忘れることもないよ。さっきも言っただろう?
 人は一人だと。いくら、わかりあいたいと…わかりあえると思っていてもね」

壁一枚向こうに存在する私に彼は語りかける。

「ただ、忘れることができるから―――、人は生きていけるのさ」


忘れる――――



そうだ、忘れたかった。
忘れてしまいたかった。
嫌なこと全部。
辛いことが多すぎた。

「でも、忘れることはできても消すことはできない。無くす事はできない。
 記憶や傷跡や感情や、何かしらその存在や経験が確かにあった、欠片が残ってしまう」
954621の続きで:2006/10/24(火) 15:26:53 ID:???


忘れることと無くすことは違う。




「人は無を作れない」



私は―――――




「君は淋しいんだね」




サビシイ―――?





「わからない」

955621の続きで:2006/10/24(火) 15:28:16 ID:???
一人でいることをサビシイと思ったことは無い。
今まで一人だったから。
自分が他人に好きになってもらえるような存在だとは思っていない。
人に触れてはいけない。
求めてはいけない。
どうしたらいいのかわからなくなる。


私は―――――


「人は誰しも心に痛みを感じている」


喉が痛い。


「心が痛がりだから、生きるのも辛いと感じる」


痛い。


「ガラスのように繊細だね。特に君の心は」
956621の続きで:2006/10/24(火) 15:29:18 ID:???
この痛みには覚えがある。
いつか何処かで感じた痛み。

ああ。


ああ、私は。





どうして。






君はどうして…。

「どうしてカヲル君はそんなに優しいの?」


どうしよう。
957621の続きで:2006/10/24(火) 15:30:50 ID:???

なんだか――――――




「好意に値するからさ」






泣いちゃいそうだ。



言わないで欲しい。
どうしたらいいのかわからなくなる。

だから。
958621の続きで:2006/10/24(火) 15:31:46 ID:???

そんな言葉も感情もいらないから――――


今そんな風に言われたら
今優しくされたら




「僕は君が好きだよ」




泣いちゃいそうだ。




泣いてしまう。
959名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 16:23:19 ID:???
>>958
おっつ!
960名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 16:27:51 ID:???
乙です!
カヲル怒涛のように口説いてるな
どうなるシンジきゅん
続きwktk
961名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 17:00:37 ID:???
乙。カヲル凄い口説いてるな
トウジは勿体ぶらずにさっさと告っとけば良かったのに
962名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 17:10:02 ID:???
>>890マジGJだ!!セーラーシンジきゅんもまた可愛いなwww
963名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 17:13:08 ID:???
ところで次スレ立ては980くらいを踏んだ人でおk?
964名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 17:13:35 ID:???
>>947
ロープは痛そうだけど、ひんぬー縞パンGJ!!
965名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 17:20:16 ID:???
>>943
これくらいの貧乳が好みな俺はやばいですか?
966名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 18:02:49 ID:???
>>965
よう、俺
967名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 18:16:24 ID:???
>>943
これ左のやつ乳当たってるな
968名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 18:24:41 ID:???
ようやく終盤にまで来たな

続きwktk
969名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 18:35:18 ID:???
いまさらだが、前スレから読んどけば良かった
970名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 18:57:58 ID:???
今更だが初代スレから読んどいてよかった
971名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 19:11:07 ID:???
>>947
またエロ絵よろしく
やっぱりシンジきゅんはイジメられるのが似合う
972名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 19:36:01 ID:???
次スレの時期ですな
いよいよ二桁の大台突入
973名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 20:02:38 ID:???
やっぱシンジきゅんにはセーラー服だなあ
壱中の制服もまぁ、可愛いけど

980よろ
974名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 20:07:12 ID:???
こんだけ口説いたカヲルぬっ頃すのはさぞかし欝であろう
975名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 20:22:21 ID:???
>>972おい!、その台詞は俺が言おうと思(ry
976名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 20:37:23 ID:???
わくわくてかてか
977名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 21:02:57 ID:???
何か活性化しとるね
978名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 21:18:20 ID:???
キモ
979名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 21:46:51 ID:???
age厨氏ね

次スレよろ↓
980名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 23:18:41 ID:???
GJでした。
981名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/24(火) 23:49:58 ID:???
↑次スレ
982名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/25(水) 00:08:08 ID:???
980です。

関連スレ他はこんなんでよろしいですか。

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☆シンジきゅん統合絵板
http://ikari.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/shinji/bbsnote.cgi

☆2スレ88氏提供過去ログ倉庫
http://www.eva-lagoon.net/mana/etc/etc_idx.htm
983名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/25(水) 00:17:21 ID:???
乙!!んな感じでィィと思う
984名無しが氏んでも代わりはいるもの
いいんジャマイカ?