前スレ947の代理で建てました。
おうおう懲りずにまた立てたんだねえwwwwwwwww
このスレは今日より僕の植民地だ!みんな僕にひれ伏すが良い!
はっはっはっは!
じゃあレスがたまったらまた来ますね
11 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/12(水) 23:08:52 ID:Og1I+D/L
12 :
JA時田様:2006/07/12(水) 23:18:27 ID:???
こんな糞スレ荒らす気にもならないですよ!!
>>1など全くのナンセンス手に負えませんよハハハハハハッ!!!
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
時田降臨時田降臨時田降臨時田降臨
( ^ω^)土曜日は26時間テレビの実況やるお
あぼーん
せわし
19 :
( ^ω^):2006/07/13(木) 15:44:30 ID:???
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((●)) ((●))゚o \ VIPではやりたくないんだお…
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ もうVIPにはいられないんだお…
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ だからこのスレでやるおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
エヴァオタキモイよキモイ
なんでこの板にいるの
エヴァオタキモイってば
なんで2chにいるの?
即レスかよ
ロックオンしてんな粘着
24 :
ハァハァ:2006/07/13(木) 18:18:07 ID:???
常時age
( ^ω^ )
モグモグ
誘導されますた
もげもげ
ヌプヌプ
ズポズポ
ウッ ドピュッ
フーッ キモチヨカッタヨ
このスレはメッチャ気持ち悪いわ
ハァハァ
>>23 ,. ‐''三ヾ´彡シ,=`丶、
/'".:=≡ミ_≧_尨彡三:ヽ、
//.:;:彡:f'"´‐------ ``'r=:l
/〃彡_彡′,.=、 ̄ ̄ ,.=、 |ミ:〉
'y=、、:f´===tr==、.___,. ==、._ゞ{
{´yヘl'′ | /⌒l′ |`Y} あきらめたら?
゙、ゝ) `''''ツ_ _;`ー‐'゙:::::l{
. ヽ.__ ,ィnmmm、 .:::|!
,.ィ'´ト.´ ´`"`"`゙″ .::::;'
イ´::ノ|::::l \ "' :::/
::::::::::::|:::::l ヽ、 ..:: .:::/.、
:::::: ::: |:::::ヽ ヽ、.......::::/..:::/!\\
あぼーん
/::::::::: l ::イ l / / !| _ヽ、 i、 ヽ::\_::ヽ
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛__,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/◎/ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ
/:::::/:: i、,| ヽ>、、 ! `  ̄`゛´ _,.;'ィ::::::;:〉、 i、 i::::ヽ::::l
/イ::/i:: l、i`r'゛__ '゛´/::/:/ ヽ!':, | ::::ヽ::l
゛ ! |l '; !'、/◎/< ‐ ,::゛ィ:::/ ゛ /! :::::`/ うひゃひゃひゃひゃここ気に入ったお!!!
';!|!; '、`、 ̄ ̄ ` / ´ /::/ / / i .:::::::l
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛__,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/◎/ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ
/:::::/:: i、,| ヽ>、、 ! `  ̄`゛´ _,.;'ィ::::::;:〉、 i、 i::::ヽ::::l
/イ::/i:: l、i`r'゛__ '゛´/::/:/ ヽ!':, | ::::ヽ::l
゛ ! |l '; !'、/◎/< ‐ ,::゛ィ:::/ ゛ /! :::::`/ うひゃひゃひゃひゃここ気に入ったお!!!
';!|!; '、`、 ̄ ̄ ` / ´ /::/ / / i .:::::::l
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛__,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/◎/ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ
/:::::/:: i、,| ヽ>、、 ! `  ̄`゛´ _,.;'ィ::::::;:〉、 i、 i::::ヽ::::l
/イ::/i:: l、i`r'゛__ '゛´/::/:/ ヽ!':, | ::::ヽ::l
゛ ! |l '; !'、/◎/< ‐ ,::゛ィ:::/ ゛ /! :::::`/ うひゃひゃひゃひゃここ気に入ったお!!!
';!|!; '、`、 ̄ ̄ ` / ´ /::/ / / i .:::::::l
ヽ!`;、ー`=- \________/ /:/ ,.、''ッ‐',イ l ::::::/
li:::`ヾー \ / /‐'゛,、': '" / /ノ:::/:l/
|l:::::::、`:.、_ \/∪ / ィ´:::::/
'、;::i:: `i‐-ミ=‐ ∪ ∪ /:'゛ |!'!:/´
あぼーん
あぼーん
こいつのことはもうほっといて続きを頼むからよませてくれ
いやだお(^ω^)
世界が悲しみに満ち満tッ…(あーもう!台詞噛んじゃった…なんで庵野はこんな面倒なこと言わせるのよ!)
リナレイじゃ劇場版は成り立たないだろうな…
,、‐ ''"  ̄ ``'' ‐- 、
/イハ/レ:::/V\∧ド\
/::^'´::::::::::::i、::::::::::::::::::::::::::::\
‐'7::::::::::::::::::::::::ハ:ハ::|ヽ:::;、::::::::::::丶
/::::::::::::::/!i::/|/ ! ヾ リハ:|;!、:::::::l
/´7::::::::::〃|!/_,,、 ''"゛_^`''`‐ly:::ト
/|;ィ:::::N,、‐'゛_,,.\ ´''""'ヽ !;K
! |ハト〈 ,r''"゛ , リイ)|
`y't ヽ' //
! ぃ、 、;:==ヲ 〃 このスレも災難だね
`'' へ、 ` ‐ '゜ .イ
`i;、 / l
〉 ` ‐ ´ l`ヽ
/ ! レ' ヽ_
_,、‐7 i| i´ l `' ‐ 、_
,、-‐''"´ ノ,、-、 / 、,_ ,.、- {,ヘ '、_ `ヽ、_
/ i ,、イ ∨ l.j__,,、..-‐::-:;」,ハ、 '、` ‐、_ ,`ヽ
/ l ,、‐'´ // ',/!:::::::::;、--ァ' / `` ‐ `'7゛ ',
/ l i ´ く ';::::::l / / / ',
/ ! l \ ';:::l , ' / i/ ',
35 :
JA時田様:2006/07/14(金) 20:29:41 ID:???
ハハハハハハッ!!
明日は私もまざりたいですねハハハハハハッ!!
>>33 成り立たないだろうなぁ
・無への回帰願望がなさそう
・リリスと同化したら量産機相手に大立ち回りしそう
>>36 よってたかってシンちゃんに何してるのよ…ってきゃあ!何よコレ!?服はどこぉ!?
みたいな展開になって大立ち回りは無理じゃないかな?
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお
,、‐ ''"  ̄ ``'' ‐- 、
/イハ/レ:::/V\∧ド\
/::^'´::::::::::::i、::::::::::::::::::::::::::::\
‐'7::::::::::::::::::::::::ハ:ハ::|ヽ:::;、::::::::::::丶
/::::::::::::::/!i::/|/ ! ヾ リハ:|;!、:::::::l
/´7::::::::::〃|!/_,,、 ''"゛_^`''`‐ly:::ト
/|;ィ:::::N,、‐'゛_,,.\ ´''""'ヽ !;K
! |ハト〈 ,r''"゛ , リイ)|
`y't ヽ' //
! ぃ、 、;:==ヲ 〃 vipのフリすんなよエヴァヲタなんだろ?
`'' へ、 ` ‐ '゜ .イ
`i;、 / l
〉 ` ‐ ´ l`ヽ
/ ! レ' ヽ_
_,、‐7 i| i´ l `' ‐ 、_
,、-‐''"´ ノ,、-、 / 、,_ ,.、- {,ヘ '、_ `ヽ、_
/ i ,、イ ∨ l.j__,,、..-‐::-:;」,ハ、 '、` ‐、_ ,`ヽ
/ l ,、‐'´ // ',/!:::::::::;、--ァ' / `` ‐ `'7゛ ',
/ l i ´ く ';::::::l / / / ',
/ ! l \ ';:::l , ' / i/ ',
そうか 俺には
「きゃー何よだれ垂らしてこっち見てんのよこのマ○コ覗き魔!!!」
と吠えつつ量産機を蹴り殺しまくるリリスの絵が浮かんだ
41 :
^ω^:2006/07/14(金) 21:40:45 ID:???
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)
( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)明日まで待ちきれないんだお( ^ω^)
( ^ω^)明日まで待ちき
俺には大きな伸びをして欠伸するリリスの絵が浮かぶ。
ゲンドウに胎ン中に手(アダム)突っ込まれるのなんて許しそうに無いしな>リナレイ
シュッシュッと軽快なフットワークで、「近寄ったら殴る」と示威行動に出てそうな。
意気揚々と「たっだいまー」とか言ってリリスに還りそうだ
突っ込んだ途端、波紋みたくリリスの体に広がった反動が、そのリナレイだと飛沫が飛び散るくらい
勢い良くなりそうだな(w
そして首だけ出して半べそで「…肉きらいだもの」と呟く。
いろいろブチ壊しだ(w
なんか……リナレイカワユスw
さあさあ
マナカナと3Pしたらおもしろそうじゃね?
マナカナって実は一人二役だって知ってた?
マナカナってホリエモンとかおすぎとピーコの真似するやつらだろ?
ぷにぷいももも(´・∪・`*)
54 :
ラg゚∀。):2006/07/15(土) 10:26:48 ID:???
DEATHだったらきっと一番最後にくることになるんだろうな
VIPPERに期待ageだお!( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー
( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー
( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー
( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー
( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー
( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー( ゚皿゚)ギィー
おまえらこの後6時から実況はじめますお
集合だお(^ω^)
うふふ
59 :
(^ω^) :2006/07/15(土) 19:08:15 ID:???
ぴーかんバディ見るお(^ω^)
26時間みろぉ
リリスんなったら「ちょっとだけよ〜、アンタもすきね〜」とか言いそうだよなw
いや、それは流石にないだろw
ちょっとっつーか、全裸やん。リリスって。
弐拾六話じゃ慌ててパンツ隠してたからね。
むしろその場にしゃがみこんで真っ赤になってるイメージが強いなあ。
そしてその直後に竜虎乱舞発動
前スレ923だけど、
>>1のリンク先一応更新してみましたよ。
>>66 おおお乙
…言うまでもないが問題は次の23話だなあ。
いよいよ弐拾参話か
ほしゅ
保守
前スレ923です。
>>1のリンク先、問題の弐拾参話を更新しますた。
もう、後戻りは出来ませんw
過疎化してるから、次からはこっちに順次投下してみようか・・・。
がんばれー
リツコ悪いよリツコ
乙であります!
自爆しようとしているレイへのアスカの対応がなんか好き。
前スレから参加してて2スレ目になってからは来てなかったんだが
まだ続いててビビッたw乙
涙は貞の方も庵野の方もアスカが影薄かったのにここだとシンジのが影薄いww
にしてもこれまさかカヲルまで生存させてしまうのか?
乙です!がんばってくれ!
>>80 何言ってんだ?と最初思ったが確かにそうかもしれん
このレイはシンジとカヲルのやりとりの側にいて黙って見てるとかやらなそうだからなあ
絶対説得するよな。説得に成功したらエンジェルバスターだな
夜 綾波宅にて
泣きじゃくるレイをとりあえず自分の家に連れてきたアスカ。
もっとも、自分の家とは言っても元々の家主はレイなのだが・・・。
「ぐすっ・・・」
小さなテーブルをはさんでアスカの向かいに座ったレイは膝を抱えてうつむいている。
ここまで黙りこんでしまったレイをアスカはこれまで一度も見た事が無い。
事実、レイは家に帰ってくる途中でも一言も喋らなかった。
普段のレイを知っているアスカには彼女のその異常さがよく分かる。しかし・・・
「ほら、テキトーにこれでも飲んでなさいよ。私はシャワー浴びてくるから。」
と、無造作にペットボトルのお茶をドン!と置いてさっさとバスルームへと行ってしまった。
約20分後、シャワーを浴びて出てきたアスカが見たのは、バスルームに行く前に見た姿のままのレイだった。
テーブルの上に置いたお茶に手をつけた様子は無く、
ペットボトルの表面にはすっかり水滴が付いてしまっている。
「ねぇ、ファースト。今日のご飯は?」
タオルを頭にのせ、髪を梳かしながらアスカがレイに尋ねる。
レイに食事の用意を催促するというのはヘンな話かもしれないが、
アスカがこの家の主となってからというもの、毎日朝晩2食の準備をしていたのは他ならぬレイなのである。
ふてくされたアスカをよそ目にご飯の用意し、きちんと自分も食事をしてから家を出て行く・・・
まるで使用人か家政婦さんの様でもあったが、当のレイが率先してやっていたものだから、
アスカにとってもいつの間にかそれが当たり前となっていたのだ。
劇場版もやるのかなρ'。')?
>>83 「・・・・・。」
レイは何も言わずに冷蔵庫を指差す。
アスカが面倒くさそうに冷蔵庫を開けると、
そこには前日の夕飯に出されたカレーの残りがやや小さめの鍋の中に入っていた。
「これ1人分じゃない。アンタの分は無いわよ?」
現在のカレーは自分のモノと確定させてしまっているアスカもアスカだが、
確かに彼女の言うとおり、どう見ても1人分・・・贔屓目に見ても1.5人分しかない。
いつものレイの食事量から考えればこの程度で足りるはずは無いのだが・・・
「・・・いらない。」
「え?」
レイの返答にアスカが思わず驚きの声をあげる。
なぜなら、どんな事があっても食事はいつも通り、
きっちりたっぷり摂るはずのレイからは考えられない言葉だったからだ。
シンジがEVAの中に取り込まれてしまった時ですら食事はちゃんと摂っていたのだが・・・
>>85 「ホントにいらないのね?」
アスカの前にカレーがあるだけのさっぱりとしたテーブル。
昨日のものとは言え、温めなおしたカレーからは湯気が出ており食欲を十分そそられる。
一応、アスカがレイに聞きなおすも彼女は何の反応も示さない。
家に帰って来た時からずっと変わらず黙ったままだ。
「いただきます。」
カチャ・・・カチャ・・・とスプーンとお皿の当たる音だけしかない部屋・・・
レイの部屋にはテレビやラジオの類のものが無いため、誰も喋らないと本当に静かになってしまうのだ。
これまではレイが口うるさく喋っていたのでそんな事は気にならなかったのだが、
今は肝心のレイが黙っているため、静かな部屋の中はほぼ完全に静寂に包まれてしまっていた。
「・・・・・。」
アスカはカレーを口に運びながら、チラッとレイを見てみるものの・・・やはりさっきと変わらない。
「ごちそーさま。」
食事を終えたアスカは、ジッとしているレイを半ばほったらかしにする形でそのまま床に付いた。
>>86 翌日 昼 葛城宅にて
「ったく、なんで何もないのよ〜!」
葛城宅の台所にてブツクサ文句を言っているのはアスカである。
空腹という身体状況も相まって、彼女のイライラはすでに限界に達しつつある。
と言うのも、前日に食べたカレーが彼女にとって最後の食事であり、それ以来水しか口にしていない。
いつもならレイが食事の準備をしてくれるのだが、今日は毛布に包まったまま・・・まるで動こうとしなかったのだ。
「・・・なんで私、こんな事してんのかしら。」
ふと我に返るアスカ。
だが、レイの家の冷蔵庫には食材が入っているのみで、それらを食べるには調理しなければならない。
当然アスカには自炊など出来るわけも無いため、せっかくの食材も宝の持ち腐れとなってしまっていたのだ。
現在の状況で空腹を満たすにはネルフ本部の食堂へ行くか、葛城宅へ戻るかの二択・・・
コンビニに寄るという選択肢は金銭上の問題から選択肢から外さざるを得なかった。
シンジやミサトに出会う可能性が最も低い方法・・・、
となるとミサトが仕事で不在な昼間に葛城宅に戻ってくるしか無かったのだ。
「あ〜もう!気が効かないわね〜!」
探索を続けるものの、めぼしいモノはまるで見当たらない。
だが、それでもレトルト食品とカップ麺をありったけスポーツバッグに詰め、
ダイニングテーブルの上にしっかり確保はしてある。
さらなる戦利品を獲ようと、冷蔵庫、戸棚と物色を繰り返していたアスカが別の戸棚に手をかけようとしたその時
ガタッ!
>>87 「!!」
アスカは突然の物音に肩をビクッと振るわせる。
シンジかミサトが家に居たのだろうか・・・?アスカが恐る恐る振り向くとそこには
「クェェッ?」
ペンペンが首を傾げ、不思議そうにアスカの方を眺めていた。
「なんだ・・・、ペンペンじゃない。おどかさないでよ、もう・・・。」
ため息をついてホッと胸をなでおろすアスカ。もう一匹の家族の存在をすっかり忘れていたらしい・・・。
今さら戻ってくるだけでもバツが悪いのに、こんなところをシンジやミサトに見られたらたまったものではない。
一応、当面の食料は手に入れたので、アスカはさっさと帰ろうと
スポーツバッグを手に玄関へ向かおうとする。だが・・・
「キャアッ!な、放しなさいよ!」
立ち去ろうとするアスカの足にしがみつくペンペン。
久しぶりに見る家族の姿に、彼はとても喜んでいるみたいだ。
「ちょっと・・・!放しなさいって言ってるでしょ!」
「クェッ!クェッ!」
アスカがどう言ってもペンペンは足にしがみついたまま離れようとしない。
振りほどこうとしてもまるで無駄、ペンペンはつぶらな瞳でアスカを見上げており
その眼はまるで遊んでくれと言わんばかりである。
>>88 「あれ?アスカ、帰ってきたんだ。おかえり。」
「げっ!」
玄関の方から聞こえてきた聞き覚えのある声に驚くアスカ。今の彼女にとっては聞きたくなかった声・・・
声の主はもちろんシンジである。
「べ・・・、別に帰ってきたワケじゃないわよ。ちょっと・・・取りに来るものがあっただけ―――」
半ば居直り強盗の様に悪態をつくアスカであったが、途中まで言いかけたところでシンジの後ろの人影に気付いた。
ケンスケ・・・違う?グレーの髪をした自分と同年代の男子・・・誰だろう?アスカにはさっぱり心当たりが無い。
「おや、誰かいるのかい?」
見知らぬ人影も家の中に入ってきた。端正な顔立ちの少年だが・・・
「あ・・・そうだ、紹介するよ。彼は渚カヲル君。新しいEVAのパイロットなんだって。」
「はじめまして。君は・・・?そうか、君がセカンドチルドレンだね?」
シンジに思い出したように紹介され、挨拶するカヲルという名の少年。
対するアスカはカヲルを一瞥するのみで何も返答しない。正直、アスカの嫌いなタイプなのだ。
「君の噂は色々と聞いているよ。高い能力を持ったチルドレンだってね。」
「フン、どーせ私は自称超エリートの落ちこぼれよ。」
半ばふてくされ気味、半ば自嘲気味にカヲルに返答するアスカ。
だが、以前の様なEVAに対する執着心や頑なさは幾分少なくなっている様にも見える。
>>89 「あのさ、アスカって今、綾波の家にいるんでしょ?綾波・・・元気にしてる?」
シンジが唐突にレイの事を尋ねてきた。
なんでシンジがそんな事を知っているのかと訝しげに思ったが・・・あのレイの事だ。
心配させまいとシンジやミサトに話していたのだろう。
そして、シンジの言葉からすると・・・今のレイに元気が無い事も知っているらしい。
「全然、昨日から引き篭もりっぱなし。あれは相当重症ね。」
やれやれといったポーズで答えるアスカ。
正直、アスカ自身もつい最近までは似たようなものだったのだが、その事は完全に棚に上げている。
「そうなんだ・・・、携帯にかけても繋がらないから・・・」
「そうなのかい?それは心配だね。それなら見舞いに行ってあげたらどうだい?」
レイの事を心配するシンジに対し、相槌を打ち提案するカヲル。
一方のアスカは、ヒッキー相手に見舞いは無いだろ・・・と、カヲルにツッコミを入れている。しかし・・・
「僕・・・、今の綾波になんて言ってあげたらいいか分からないんだ・・・。だから・・・」
「アンタ、これまで散々ファーストに面倒みてもらってたのに、こういう時に何もしないワケ?」
逡巡するシンジにアスカが半ば呆れたように言い放つ。
>>90 「ごめん・・・。でも、後で必ず行くから・・・。あ、そうだ。」
そう言うとシンジは冷蔵庫へ向かっていく。
何をするのかとアスカが見ていると、冷蔵庫からタッパーを取り出しアスカに差し出した。
「何コレ?」
「綾波が好きな玉子焼き。これ、渡しといてくれないかな・・・。今の僕にはこれくらいしか出来ないから・・・。」
さっき物色していた時は気にも留めなかったが、冷蔵庫の中にもちゃんとおかずは入っていたらしい。
しぶしぶタッパーを受けとり、彼女はそのまま葛城宅から出て行こうとするが・・・
「惣流・アスカ・ラングレー。また後でね。」
カヲルが穏やかな笑顔で語りかけてきた。
年齢と比べてずいぶん落ち着いた物腰の少年だが、アスカはそれが気に入らない。
「るさい!人をいちいちフルネームで呼ぶんじゃないわよ!」
やっぱりこの男とは反りが合いそうに無い・・・と、あらためて再認識するアスカ。
不機嫌な表情のまま、彼女は葛城宅を後にした。
今日はここまでです。投下してみて分かったけど結構長い・・・。
最後のシ者の後は劇場版の予定です。
いいよいいよー
REBIRTH編、楽しみです。
テレビシリーズの弐拾五、弐拾六話も見たかったり…
リナレイ登場シーンだけに、あそこで本編の綾波を出すのも面白いかな、とか
ググググッヂョブ
GJ!
GJ
よいねー。よいよねー
緊急浮上
アイ、マム!
○Z武−武藤 (56秒 コロコロダイブ)
ドラゴンスクリューもシャイニングウイザードも効かないZ武に手も足も出ない武藤。
奥の手の毒霧も眼鏡をかけたZ武には効果ナシ。
対するZ武は悪徳レフェリー西田敏行の手助けを借りて序盤から一方的に攻め立てる。
最後はトップロープからのコロコロダイブ→超高速3カウントで完勝。
試合後武藤は「試合前の握手を拒否され、さらに試合中ずっと
『ちょっとまって、おいらを攻撃するの?ただじゃすまないよ』と言われ完全に足元をすくわれた。
腕を磨いてまた手合わせ願いたい」と語った。
Z武は「スポーツマンシップが、次のリーダーシップだ。」と言い残し足早に会場を後にした。
翌日 早朝 綾波宅にて
「ふあぁ〜ぁ・・・。」
ベッドの上で上体を起こし大あくびのアスカ。
見回してみてもそこにはすでに見慣れた風景しか無い。
彼女はめんどくさそうにベッドから降りると、キッチンへ向かい朝食の準備を始めた。
もっとも、朝食の準備とは言っても昨日の戦利品がメインなので当然オールレトルトである。
こういった点ではアスカもミサトとそう大差は無い。
お湯を注いだカップ麺を両手に持ち部屋に戻ってきたアスカは、床に寝ているレイをチラッと見るが・・・
レイに変化は無い。
「どきなさいよ。ご飯食べられないでしょうが。」
そう言うと、アスカはレイを軽く蹴飛ばす。
「・・・・・。」
蹴りを入れられたレイはさすがに目は覚ましたが、ベッドが開いた事を確認すると
そのままベッドにもぐり込んでしまった。
もっとも、これは今日に限った事ではなくいつもの事なのだが・・・
「ちょっと、ファースト!いつまで引き篭もってる気よ!」
いい加減、この状況に耐えかねたアスカが怒鳴りつけたがレイは全く反応しない。
仕方なく、彼女はテーブルを置き質素な朝食を摂り始めた。
テーブルの上にはカップ麺が2つ・・・一応、レイの分も用意したのだが、さっきのやりとりからも分かるように
レイがそのカップ麺に手をつける事はおそらく無いだろう。
「ったく、人がせっかく用意したってのに・・・餓死でもしたいのかしら?」
「そうだね。もっとも、この食べ物はあまり身体に良くもないだろうけど。」
なんですって〜!と、反論しようとしたところで我に返るアスカ。
この部屋には自分とレイしか居ない・・・・・・はずである。
それに、さっきの声はレイのものではない。第一、声が聞こえてくる方向が違う。
アスカが声の聞こえてきた方向を振り向くとそこには
「やあ、おはよう。惣流さん。」
カップ麺を手に持ち、満面の笑みを浮かべている少年が1人・・・
「な!な!な!なんでアンタがここに居んのよ〜っ!」
そこに居るはずの無い人間に向けて声を張り上げるアスカ。
声の主は、昨日ミサトの家で初めて出会った新しいエヴァのパイロット・・・カヲルという名の少年であった。
「僕が居ちゃいけないのかい?ここはファーストチルドレンの家だろう?」
カップ麺をズルズルとすすりながら、さも当然であるかのようにレイの家でくつろぐカヲル。
初めてこの家に来訪したとは思えないくらいの落ち着きっぷりである。
「そういう問題じゃないわよ!第一、何しに来たのよアンタは!」
「お見舞いだよ。ファーストチルドレンはどうしたんだろう?と思ってね。」
肝心のレイは相変わらず2人にに背を向けて横になったまま・・・
カヲルが一言二言声をかけてみても全く反応が返ってこない。その様を見たカヲルはフッとため息をついた。
「どうやら本当に重症みたいだね。僕が来たところでどうにもならなそうだ。」
「別にアンタに来て欲しいなんて頼んでないっつーの。さっさと帰りなさいよ。」
神妙な顔のカヲルにカップ麺を食べながら悪態をつくアスカ。
アスカの人当たりが悪いのはいつもの事だが、カヲルへの対応はいつも以上に悪い。
さっきから、一度もカヲルの方を見ようとすらしていない。
一方のカヲルはと言えば、そんなアスカに気を悪くするわけでもなく・・・むしろ好意的ともとれる笑みを浮かべている。
「フフ・・・、分かったよ。それじゃ、僕はこの辺で失礼するよ。」
「それ、アンタが食べたんだからちゃんと捨てていきなさいよ。」
アスカに言われ空になったカヲルはカップ麺の容器を手に立ち上がる。
キョロキョロと辺りを見回すが、ゴミ箱らしきものは見当たらない。
「入り口にゴミ袋があるからそこに捨てろって言ってんの。ったく、要領悪いわね〜!」
アスカの言っている事はほとんど言いがかりに近いが、
一方のカヲルはやれやれといった態度でアスカの言葉を真面目に受け取ってもいないらしい。
彼はゴミを捨てるとそのまま帰っていった。
当然ながら、アスカはカヲルを見送るどころか返答すらしようともしなかった。
今日はここまでですノシ
GJ!つづきがきになるな〜
乙
レイの復活はあるのでしょうか……
そのためのシンジです
_ ∩
( ゚∀゚)彡 LRS!LRS!
⊂彡
俺はLAS派だけどこのスレは凄い好き
レヴェル高いなあ。文才が羨ましいなあ
同日 ジオフロントにて
アスカはジオフロントにあるスイカ畑の近くにあるベンチに腰をかけていた。
草むしりや水撒きのためでもあるが、日がな一日ここでぼーっとするのも日課の一つとなっていたのだ。
「加持さん・・・。」
アスカはジオフロントの天井を見上げながら加持の名を呟いた。
自分が思いを寄せていた人・・・恋愛感情だったのかただの憧憬だったのかは分からないが
アスカにとって加持は間違いなく心の支えであった。だが・・・
「・・・もう、戻ってこないのかな。」
なんとなくだが、そんな気はしていた。
これまでもフラッと居なくなってしまう事はあったが、今回の様にこれほど長く姿をみせない事は無かった。
レイは加持の行方を知らないとは言っていたが・・・多分・・・・・・
嫌な想像が頭をよぎったが、アスカはそれを否定するのを止めてしまった。
おそらくそれは当たっているのだから・・・。
「・・・・・。」
ふと横を見ると、そこには加持のスイカ畑がある。今は自分で毎日のように手入れをしている畑・・・
加持は一体どんな気持ちであのスイカに水をあげていたのだろう・・・?
考えたところで分かるはずも無いのだが、つい考えてしまう。
「はぁ・・・ファーストもファーストよね。なに引き篭もってんだか。」
ため息をつきつつ、今度は珍妙な同居人の事を考えるアスカ。
今日で3日目になるが、彼女は食事も摂らずに毛布に包まって寝込んだまま・・・。
何かあったのだろうけど・・・アスカには自分から聞く気になれなかった。それに、今聞いたところで何も答えてはくれないだろう。
昨日の晩、シンジから渡された玉子焼きを見せても何の反応も見せなかったくらいである。
今回の彼女の落ち込み具合は明らかにこれまでとは違っていた。
「エヴァのパイロットってどうしてこんなに変わったヤツばっかなのかしらねぇ〜。ファーストも馬鹿シンジもフィフスもさ〜。」
自分の事を完全に棚に上げた台詞である。
そういえばフィフスチルドレンは何のために来たんだろう・・・?とふと考えるアスカ。
一応、エヴァのパイロットである以上、気にならないというワケでもない。
ファーストが引き篭もっているから、その代わりにでもするのだろうか・・・?
ここで考えるよりはネルフ本部に行って、誰かしらに聞いてくるのが早いのだろうが・・・そこまでする気力は無い。
「それにしても・・・なんで私、こんなに落ち着いてんのかしら・・・?」
ふとアスカは我に返る。
つい最近までは人の事にかまけている様な心の余裕は無かったはずなのに・・・
PiPiPiPiPi・・・
物思いに耽るアスカを邪魔するかの様に、突然彼女の携帯が鳴り出した。
同日 弐号機ケイジにて
EVA弐号機に乗り込みスタンバイを終えたアスカに、ミサトから今回の命令が下された。
目標は修理を終えたEVA零号機を奪取、ターミナルドグマへ向け降下現在中である。
「使徒・・・?あいつが?」
「そう。今はシンジ君が先行して目標を追撃してるわ。アスカも急いで初号機を援護して。」
久しぶりに聞いたミサトの声は淡々としたものだった。
もっとも、暖かい出迎えを期待していたワケでも無い。むしろ、素っ気無い態度の方がアスカとしても気が楽である。
それより問題なのは来襲した目標にある。
なぜなら、今回の使徒はアスカも昨日今日と出会い、普通に会話すら交わしていたカヲルという名の少年だったからだ。
これまでの経緯から、使徒=化け物といったイメージが強かっただけに、彼が使徒だったという事実にはアスカも驚きを隠せない。
(フィフスを追撃・・・馬鹿シンジが?)
ふと、アスカの脳裏に昨日のミサトのマンションでの光景がよみがえってくる。
カヲルを家に連れてきたシンジはいつになく嬉しそうに見えた・・・、それだけに今回の事はショックだったに違いない。
トウジの一件から考えれば・・・正直、まともに戦えるのかどうかも疑わしい。
「EVA弐号機、発進!」
今、考えたところで何も解決はしない。
余計な考えを振り払うかのようにアスカは勢いよく弐号機を駆り、ターミナルドグマへの降下を開始した。
今日はこんなところでノシ
レイの出番マダー
乙。
さよならカヲル君
「カヲル君!やめてよ!どうしてだよ!」
シンジが叫ぶ。
初号機は現在、ターミナルドグマへの通路を降下していたカヲル、そして彼の制御したEVA零号機と交戦中である。
両機ともプログレッシブナイフを装備、壮絶な鍔迫り合いを繰り広げていた。
「EVAは僕と同じ身体で出来ている。僕もアダムより生まれしモノだからね。
魂さえなければ同化出来るさ、このEVA零号機は君達のEVAとは少々違っているからね。」
宙に浮かんでいるカヲルは諭すようにシンジに話しかけている。
一方のシンジはカヲルが使徒だという事実をまだ受け入れられないようだ。
そんな中、零号機に弾かれた初号機のプログレッシブナイフがカヲルへと向かう。しかし・・・
カキイィィィン!
「ATフィールド!?」
カヲルに刺さるかに見えた次の瞬間、彼を護るかの様に光り輝く防壁が出現した。
ナイフが眼前に迫っているというのに彼に動じた様子は無い。
「そう、君達リリンはそう呼んでるね。何人にも侵されざる聖なる領域、心の光・・・
リリンも分かってるんだろ?ATフィールドとは誰もが持っている心の壁だという事を。」
カヲルの言葉に戸惑うシンジの隙をつき、零号機が初号機の胸部にプログレッシブナイフを突き立てた。
対する初号機も零号機の首にプログレッシブナイフを突き刺す。
その間も、彼らはターミナルドグマへと降下を続けていた。
ズシィィィン!
大音響とともに大きな白い水柱の様なものを立ち上らせながら、EVA両機はドグマの最深部に降り立った。
「カヲル君!待って・・・・っ!」
背を向け奥へと進むカヲルの後を追おうとするシンジの初号機だったが、零号機に足首を捉えられてしまった。
シンジが反撃を試みようとしたその時・・・
「どおぉりゃぁぁぁぁっ!」
ズシィィィン!
ようやくアスカの弐号機が応援に駆けつけた。
上方から降りてきた弐号機は零号機の上に着地、そのまま同機を完全に押さえつけている。
「アンタはさっさとアイツを追いなさい!」
零号機から開放された初号機のシンジにアスカが怒鳴りつける。
地面にうつ伏せで押さえつけられた零号機はすぐに起き上がろうとしたが
アスカの弐号機に全体重をかけて馬乗りにされているため、立ち上がろうとしてもそれはかなわない。
「で、でも・・・」
「でも・・・じゃないわよ!アイツを先に行かせたらどうなるかくらい分かるでしょ!さっさと追いなさいっての!」
何かを言おうとするシンジの言葉を遮るアスカ。
確かに彼女の言うとおり、使徒であるカヲルを放っておいて良いワケがない。
この先にはアダムと呼ばれる白い巨人が収められており、
そのアダムと使徒が接触するとサードインパクトが引き起こされ、人類が全て滅びるとも言われている。
それが本当かどうかは分からないが、シンジやアスカ・・・いや、ネルフという組織が存在しているのはそれを阻止する為でもあるのだ。
「アンタが行かないなら私が行くわ。
言っとくけど・・・私は使徒を止めるのに躊躇ったりなんかしないわよ。」
「・・・わかったよ、アスカ。」
アスカの言葉が何を意味するかはシンジにもすぐ理解出来た。
すでに奥へと消えてしまったカヲルを追って、シンジの初号機も彼の後を追っていく。
一方、起き上がろうとしている零号機の頭を弐号機で小突きながら、初号機の後姿を眺めるアスカ。
(不本意だけど・・・、アンタに任せるしかないのよね。)
さっきは自分で追うと言ったものの、アンビリカルケーブルをパージしてある弐号機の内部電源はすでに尽きかけており、
追撃したとしてもおそらく途中で活動限界に達してしまうだろう。
機動性を重視し内部電源のみで出撃した事が仇となってしまった格好だ。
バックアップを要請する為に第二発令所と連絡を取ろうにも、どういうわけかさっきから通信がまるで繋がらない。
正直、シンジに任せる以外に方法が無かったのである。
しかし、相手は使徒とは言え人の姿と変わらない相手であり・・・シンジがまともに戦えるという保障は無い。
「・・・て、ジタバタすんじゃないわよ!」
あれこれ思案していたアスカだったが、彼女を邪魔するかのように零号機は絶えずジタバタもがいていた。
これまでは多少手加減していたものの、いい加減面倒くさくなりアスカは弐号機で零号機の後頭部に思いっきり踵落としを振り下ろす。
ゴッ!
鈍い音が周囲に響き渡る。
踵落としがさすがに効いたのか、零号機はようやく活動を停止した。
今日はここまでですノシ
乙です。
次回、レイ乱入?
ないんじゃね
玉子焼きにも反応しないし。
>>121 おっつ
乙です。
貞エヴァもこちらも、佳境ですね。続きが気になる木になる。
同日 夜 第3新東京市跡にて
「カヲル君が・・・好きだって言ってくれたんだ・・・。僕の事・・・」
芦ノ湖と繋がった爆心地の畔でシンジは第3新東京市跡を眺めていた。
日は完全に落ち、周囲は暗闇に包まれている。
彼の隣にはミサト、そして少し離れたところにアスカがおり、シンジの独り言にも近い話を2人とも黙って聞いていた。
2人は知らないがこの場所はシンジとカヲルが始めて出会った場所でもある。
「僕なんかより、彼の方がずっと良い人だったんだ・・・。カヲル君が生き残るべきだったんだ・・・!」
「アンタ馬鹿ぁ?フィフスが生き残ってたらアンタも私らも死んでたのよ。そこんトコ理解してんでしょうね。」
シンジの後ろで佇んでいたアスカは、腕を組み仏頂面のまま叱り飛ばすように言い放つ。
一方のシンジは地面に座ったまま・・・返答すらしない。
アスカとしても、シンジに礼を言うためにここに来たはずなのに、なぜ彼を叱責してるのかよく分かっていない。
「シンジ君・・・、生き残るのは生きる意思を持った者だけよ。
彼は死を望んだ。生きる意志を放棄して見せかけの希望に縋ったのよ。シンジ君は悪くないわ。」
アスカに続き、ミサトも自分の意見を呟く。
シンジを慰める様な内容ではあるが・・・どこか淡々とした口調でもある。
「冷たいね・・・、アスカもミサトさんも。」
シンジは率直な感想を漏らした。
確かに、シンジにしてみれば冷たいと受け取られても仕方が無い2人の態度ではあったのだが・・・
「アンタさぁ、フィフスの言ってた事が全然分かってないじゃない。
馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、アンタ、ホントに馬鹿ね。」
今日の戦闘時、カヲルを追ったシンジは
地下に安置されていたアダムと呼ばれる巨人の前で僅かな時間ながら会話をしていた。
その状況はミサトの居た第二発令所には届いていなかったが、
すぐ近くに居たアスカの弐号機には二人の声が届いていたのだ。
― 滅びの時を免れ未来を与えられる生命体は1つしか選ばれないんだ。そして、君達は死すべき存在ではない。 ―
カヲルの言葉がアスカの脳裏に蘇る。彼の言葉が意味する事は彼女なりにだが理解はしていた。
あのまま彼を放っておいたら・・・本人の言うとおり、おそらく人類は滅びていたのだろう・・・。
だが、カヲルは人類を滅ぼして生き残る道ではなく、シンジに殺される事を自ら望んだのだ。
「シンジ、アンタがやらなかったら私が代わりに殺してたわよ。私は死ぬのはイヤなんだから。」
口ではこう言っているがアスカ自身、シンジと同じ行動が取れたかどうかは分からない。
また、出会ったばかりとは言え知り合いが死んだという事実は彼女にとっても気分の良いものではなかった。
さっきのアスカの台詞は、シンジをフォローしようとしたものだったのだが・・・彼は何の反応も示さない。
「ふぅ・・・、もういいわ。アンタとこれ以上話しても無駄ね。」
彼の気持ちは分からなくも無いがアスカとしては癪に障るものでもある。
シンジの態度に心底呆れたのか、アスカはその場から立ち去ろうとした。その時・・・
「アスカ、そろそろ家に帰ってこない?」
立ち去ろうとするアスカに声をかけたのはミサトである。
思えば、しばらく葛城宅には帰っていない。昨日の一時帰宅は例外として。
「今はまだ帰る気はないわ。じゃあね。」
アスカの返答はあっさりしたものであった。
一時期の様なEVAに乗れないスランプは無くなり、シンジやミサトに対する嫌悪感もほとんど無くなっている。
アスカ自身に、葛城宅に帰らない理由は無いのだが・・・
「そ・・・。でも、元気そうで安心したわ。」
ミサトの返答に対し、別に元気でもないわよ。と、手をヒラヒラ振りながらアスカはその場を後にした。
今日はここまでノシ
乙かれです。
仕方のないことながらも鬱展開……。
全部ゼーレが悪いんだヽ(`Д´)ノ ウワァーン
レイの出番マダー?
同日 夜 綾波宅にて
「たっだいま〜・・・。」
綾波宅の金属製の扉がバタンと閉まる。声の主は当然アスカ。
交通の便が悪くなってしまったせいか、ここに帰ってくるだけでも一苦労である。
しかも、室内は完全に真っ暗闇であり室内の配置を何も知らなければ前に進むのも困難だろう。
「え〜と・・・電気のスイッチは・・・痛っ!」
電灯のスイッチを探しながら進んでいたアスカが悲鳴をあげる。
ようやく見つけたスイッチを入れると・・・キッチンから奥の部屋へと続く入り口部分のちょっとした出っ張りが目の前に。
どうやら、足の小指を見事にぶつけてしまったらしい。あまりの痛さにうずくまって痛みをこらえるアスカ。
「いったぁ〜!なんでこんなトコに壁があんのよ!」
八つ当たり気味に出っ張りの部分に正拳突きを放つアスカ。鈍い音とともに壁が少し凹んでしまった。
まだ痛みの残る足に我慢しながら、ズンズンと奥へと進んでいく。そして・・・
「ファースト、起きなさいよ!私、寝るんだから!」
今度も八つ当たり気味に今度はレイに怒鳴りつけるアスカ。
勢いよく掛け布団を剥ぐと・・・そこには胎児の様な姿でベッドの上で丸まっているレイの姿があった。
だが、横にはなっていたものの寝てはいなかったらしい。
「・・・・・。」
レイは何も言わずにアスカが剥いだ掛け布団をむんずと掴むと自分の身体の上に乗せ、再び横になってしまった。
どうやら今回はベッドを明け渡すつもりはないらしい。
「・・・どく気が無いなら、せめて端に寄ってくんない?そのまんまじゃ私、寝られないでしょ。」
本来ならレイをムリヤリ引き摺り下ろしてでもベッドを独り占めしたかったアスカなのだが、
いつもよりなぜか実力行使は少ない。
それも何の事は無く、今日はカヲルの一件があったため酷く疲れており一刻も早く横になりたかっただけなのだ。
一方のレイは、アスカに言われるままモゾモゾとベッドの端に移動している。
その間にアスカは制服を脱ぎ、Tシャツとホットパンツに着替え寝支度を整えていた。
正直、シャワーを浴びたいのだが襲い掛かってくる睡魔には勝てそうに無い。
「ほら、もうちょっと向こうへいきなさいよ。寝にくいでしょうが。」
ベッドの上、レイの隣に横になったアスカだが、
ポジションが悪いらしくレイの身体をゲシゲシと蹴っ飛ばしている。
枕も1つしか無いため、レイが使っていた枕を奪いちゃっかり自分のものにしてしまった。
いつものレイなら反論の1つや2つが返ってくるのだろうが・・・やはり何のリアクションも無い。
アスカが喋らなくなったら、室内はとたんに静かになってしまった。
チラッと隣を見やるアスカだが・・・レイはアスカに背を向けてしまっていてその表情はさっぱり分からない。
もっとも、話しかけてところで何も返答は無いだろう。最近のレイから考えればそれは当然である。ところが・・・
「・・・アスカ、起きてる?」
今にも消え入りそうな小さな声でレイが話しかけてきた。
彼女が喋らなくなったのはここ数日の話だが、
レイが自分から話しかけてくるというのはずいぶん久しぶりの事の様に思える。
「起きてたら返事するわけ無いでしょ。で、何よ?」
面倒くさそうに返答するアスカだったが、レイはそれっきりしばらく黙り込んでしまった。
「・・・アンタ、人に話しかけといて寝てたりしたらアイアンクローじゃ済まないわよ。」
恐ろしく低い声で脅しをかけるアスカ。
その口調から、その言葉がただの脅し文句ではなく正真正銘の本気モードである事が伺える。
それでもレイから返答が返ってくる事は無かった。アスカも珍しく少しは待ってみたものの、やはりレイはだんまりのまま。
沈黙に耐えかねたアスカがレイの額に手を伸ばそうとしたその時・・・
「アスカ、あのね・・・・・」
レイが意を決した様に口を開いた。
彼女の声に、アスカもアイアンクローのために伸ばした手を止める。
だが、レイも以前みたいにハキハキ喋る事は出来ていない。しかし、それでも必死に言葉を選んで話そうとしている。
「あたしさ・・・、普通の人間じゃ無いんだ・・・・・・・。」
それからレイは自分の事をアスカに話し始めた。
自分の生まれた場所、育てられた場所、存在理由・・・レイ自身が知っている自分の事を全て・・・・・・
その中にはもちろんダミーシステムやダミープラントの事なども含まれている。
そして、それらの事実がシンジに知られてしまったという事も・・・・・・
「いつかは・・・知られちゃうって・・・わ、分かってたん・・・だけど・・・・ぐすっ・・・・・」
一通り話し終えたレイは再び泣き出してしまった。
彼女にとっては自分の事が悲しいというより、シンジに知られてしまったというのがショックだったのだろう。
「・・・・・。」
一方のアスカはレイの話を黙って聞いていた。
相槌を打つでも余計な茶々を入れるでもなく・・・ただ黙ったまま・・・・・
その後、長い間沈黙が続いた。時間にしてみれば1〜2分だったのだが、彼女達にとっては1時間にも2時間にも感じられた。
「ファースト、精子バンクって知ってる?」
唐突にアスカが別の話題を切り出した。思わずレイもアスカの方を振り向く。
その話にあまりに脈絡が無かったため、レイもアスカが何を言っているのかさっぱり理解出来なかった。
「私の父親はその精子バンクから買った精子の1つ・・・、私は試験管の中で生まれたのよ。」
アスカは天井を見ながら独り言の様に話している。
さっきまで泣いていたレイもキョトンとした顔でアスカの横顔を見ている。
「で、私の事どう思う?人の手が入ってるから、私は普通に生まれた人間じゃ無いでしょ?」
アスカはレイの方を向き直ると、いつになく真面目な表情で彼女に尋ねた。
「え?どう・・・って?何が?」
アスカの話が突拍子もなかったため、レイは状況がまるで掴めなかった。
どうしていきなりそんな話をするのか・・・、そんな状況でどう思うかと聞かれたところで答えられるはずも無い。
「あの・・・、よく分かんないけど・・・アスカはアスカだよね?」
素直な意見を口にするレイ。
「それと一緒。私にとってもアンタはアンタだし、多分・・・馬鹿シンジに聞いても同じ事を言うと思うわよ。」
「でも・・・、あたしは人間じゃ・・・・・・」
「アンタが人間じゃなかったら、この世に人間がいなくなるわよ。食う寝る遊ぶを地でいくアンタはどう見ても人間だっての。」
レイの言葉を遮るように悪態をつくアスカ。
途中で話を遮られてしまい、レイはどうすることも出来ずに黙るしかない。
「アスカ・・・、あたしの事聞いても・・・驚かないの?」
「何をどう驚けってのよ。
朝っぱらからどんぶり五杯かっ喰らういつものアンタの方がよっぽど信じられないわよ。」
不安そうに尋ねるレイに対し、アスカはまるで取り合おうとしない。
実のところ・・・アスカは少し前からレイが人とは何かが違うというのを薄々ながら感づいてはいた。
キッカケとなったのは十六番目の使徒・・・紐状の使徒が襲来した時の事である。
アスカがレイの零号機とともに使徒からの侵食を受けていたその時・・・
侵食されているレイの思考や苦痛と一緒に、もう1人のレイの様なモノとの会話も使徒の身体を通してアスカに流れ込んでいたのだ。
その時は漠然としていてよく分からなかったが・・・さっきのレイの話でそれらがようやく1つに繋がった。
「アンタさ、紐の使徒の時に零号機で変な事してたけど・・・アレ、死ぬ気だったんでしょ?」
これも十六番目の使徒の時・・・レイが零号機のATフィールドを反転させた時の話である。
コアが潰れればその後のEVAがどうなるかは分からないが、パイロットが無事で済む道理は無い。
「でも・・・、あたしは死んでも・・・・・・代わりのあたしが居るから・・・。」
「フン。外見がアンタでもアンタじゃ無いでしょ?そんなんじゃ意味ないでしょうが。」
アスカはそう言うとレイに背を向けてしまった。
まるで、それ以上話すことなど無いと言わんばかりに・・・
「私、もう眠いから寝るわよ。今度話しかけたら・・・踵落としだからね。」
ドスの効いた声でアスカはレイに念を押す。
あまりのアスカの迫力にレイは言葉を失ってしまった。
これ以上話しかければ間違いなく踵落としの刑に処せられるだろう。
「・・・うん、わかった。ゴメンね、アスカ・・・。」
そう言うと、レイは気まずそうにアスカに背を向けてしまった。
「ファースト、私にとってはアンタはアンタ。代わりなんて居ないんだから・・・それは覚えときなさいよ。」
そう言うとアスカは眼を閉じてしまった。疲れも相まって、すぐに眠りにつく事が出来るだろう。
正直、さっきの台詞はアスカにとっては気恥ずかしいものだったのだ。
一方のレイは・・・アスカの意外な言葉に驚いていた。
レイ自身、相当な覚悟で打ち明けた話だったのだが・・・
「・・・・・。」
アスカのさっきの言葉は、自分を元気付けようとしてくれたのかもしれないと感じられるレイではあったが・・・
それでも、自分の心を覆ってしまった暗く澱んだ感情を完全に振り払う事は出来なかった。
こんな感じで第弐拾四話終了です。次からはEOEの予定ですノシ
乙
…ついにEOEか。巨大化するのか?するのか?
そしてアスカの運命は…
ところで、誰かいんたーみっそんとしてTVの25、26話か か な い か ?
GJ
早朝 綾波宅にて
いつも通りの朝・・・、アスカの耳にチュンチュンとスズメの鳴く声が窓越しに聞こえてくる。
そして、久しぶりに感じる良い匂い・・・
「ふぁ〜あ・・・」
おおよそ、年頃の少女とは思えない程の大あくびをしながら眼を覚ますアスカ。
寝ぼけたままの頭でキョロキョロと回りを見回すと、すでにテーブルの上には朝食の準備がされていた。
御飯に豆腐の味噌汁、ハムエッグにキュウリの漬け物・・・と、和洋折衷とも言える献立であった。しかし・・・
「ファースト?」
テーブルの上の朝食はどう見ても1人分、おまけに狭い室内の中にレイの姿は無かった。
当然、アスカの隣に寝ているわけでもなく・・・バスルームに居る様な気配も無い。
「・・・どこ行っちゃったのかしら?」
とりあえずテーブルにつき、アスカは1人久しぶりのまともな朝食を摂り始めた。
オールレトルトで済ませてきた昨日までと比べれば今日の食事は最上のフルコースの様にも感じられる。
珍しく箸が進んだせいか、あっという間にご飯が無くなってしまった。
お代わりをよそる為、アスカが電子ジャーに手を伸ばしたその時
バン!
綾波宅の金属製の扉が大きな音とともに開かれた。
それは勢いよくというレベルをはるかに超え、壊してもかまわないと言わんばかりのものであった。
「ファースト!アンタなにやって・・・・へ?」
当然、アスカはレイが帰って来たものだと思い込んでいたのだが・・・
玄関の扉を開けてズカズカと入ってきたのは黒スーツにサングラス姿の男が2人だった。
「惣流・アスカ・ラングレーだな?」
あまりにも唐突な出来事にアスカは口をパクパクさせるのが精一杯だった。
そんなアスカをよそに黒スーツの男は言葉を続ける。
「我々はネルフ保安諜報部の者だ。
緊急事態につき君の身柄の確保に来た。至急我々と同行してもらおう。」
「緊急事態って・・・?また使徒でも来たの?」
アスカは自分でそう言ってはみたものの、そんな雰囲気でもない事に気付く。
これまでどんな使徒が襲来した時であっても今回の様にネルフの諜報部が迎えに来る事など無かったからだ。
「問答を繰り返している時間は無い。これは葛城三佐の命令でもある、いいね?」
丁寧な口調ではあるものの、黒スーツの男は有無を言わせぬ雰囲気を漂わせている。
「わかったわ。でも、ファーストが居ないんだけど・・・」
「ファーストチルドレンについては我々は感知していない。我々の任務は君の身柄の保護だからな。」
その後、アスカは着の身着のままネルフ本部へと連れられていった。
着替える時間が欲しいと言うアスカの意見は完全に無視されてしまったのである。
逆から言えば、そんな時間の余裕すら無いほどの緊急事態であるという事なのだろうが・・・
アスカにはそれが何なのかは見当もつかなかった。
短いですが、今回はこんなところでノシ
おつかれさまです 楽しみに待ってます
乙です
アスカ、戦自相手に大活躍の巻?
続き楽しみにしております
GJ!
?
同日 ネルフ本部第二発令所にて
「第8から17までのレーダーサイト沈黙!」
「特科大隊、強羅防衛線より侵攻してきます!」
「御殿場方面からも二個大隊が接近中!」
ネルフ本部の第二発令所にオペレーター達の報告が飛び交う。
ハッキングによるMAGIの制圧を阻止されたゼーレが
ネルフ本部の直接占拠を行う為、戦略自衛隊をネルフ本部へ侵攻させてきたのだ。
すでに第2東京からA801が発令されており、ネルフの法的保護・権限は事実上失われてしまっている。
第二発令所の主モニターにはノイズが走り、各末端施設からの映像が次々と消え去っていく。
「総員第一種戦闘配置、至急弐号機を迎撃に回せ。」
「了解です。」
冬月副司令の命令にミサトは短く返答する。
本来なら碇司令が直接指揮を執るべき状況なのだろうが、そこに居るはずの碇司令の姿はどこにも無い。
ミサトは碇司令の不在をいぶかしく思いながらも、今は自分の成すべき事をする以外に無いのだ。
「アスカ、分かってるわね?目標は戦自、接近中の部隊は全て殲滅するのよ、いい?」
「・・・分かってるわよ。」
ミサトからの命令にアスカは不貞腐れたような声で答える。
第16使徒の自爆により、その迎撃要塞都市としての機能がほぼ失われてしまった第3新東京市だったが、
北部のごく一部のみとはいえ防衛機構が生き残っていたのは不幸中の幸いと言えるだろう。
アスカの弐号機はその位置に陣取り、各方面から接近してくる戦自の動きを注視している。
弐号機の周囲には専用拳銃からポジトロンスナイパーライフルまで銃器が片っ端から集められていた。
「こういう射撃はファーストの仕事だってのに・・・」
手頃な大きさのビルを台座にポジトロンスナイパーライフルを構えた弐号機。
そのエントリープラグ内のバイザーには、強羅絶対防衛線を越え、射点に付くために一列に移動している
戦自の戦車大隊の姿がはっきりと映し出されている。
「このぉっ!」
アスカはためらう事無くトリガーを引いた。
ポジトロンスナイパーライフルから放たれた陽電子は一直線に突き進み、先頭を走っていたMBTを破壊。
陽電子と先頭車両の爆風のあおりを受けた車両も何台かが連鎖的に爆発。
破壊を免れた後続車両も先頭の爆発により進路を失い次々と追突していった。
また、ポジトロンスナイパーライフルの陽電子は車両だけではなく幹線道路も完全に破壊、
悪路に対応可能なMBTと言えど地面がクレーター状に吹き飛んでいては、そう簡単に進む事は出来ないだろう。
「・・・悪く思わないでね。」
遠方での惨状を横目に誰にも聞こえない様な声で呟くアスカ。
弐号機のモニターには大破し炎上するMBT数両・・・そして、死亡したであろう兵士の身体が映し出されている。
相手が人である以上こうなる事は当然の出来事なのだが、
頭で分かっていても気分の良いものではない。そんな時
「アスカ!ネルフ本部に敵が侵入してきたわ!地上兵力を優先的に殲滅して!」
「え?侵入って・・・?」
ミサトからの報告にアスカは驚きの声を上げる。
弐号機のモニターに映し出される戦自はまだ弐号機から遠く離れた場所に居たからだ。
包囲の体勢を取りつつあるようには見えるが、それでもまだ遠巻きに様子を伺っているようにしか見えない。
上空を飛んでいるVTOL機は例外としても。
「これ見よがしに包囲しつつ一方で部隊を突入させるのは連中の常套手段、でも心配はいらないわ。
アスカはそのまま地上で出来る限り敵を阻止し続けて。」
「そんなんで大丈夫なの?」
今のミサトの指示は平たく言うなら現状維持である。そのため、アスカの疑問は当然とも言える。
第3新東京市やネルフ本部は使徒に対する迎撃要塞都市であり
対人戦闘を考慮された施設では無いからだ。
「大丈夫、本部の直援はシンジ君に任せるから。アスカは地上で派手に暴れてちょうだい。」
「つまり、囮も兼ねてるってワケ?・・・りょーかい。分かったわ。」
そう言うと、アスカの弐号機は手にしていたポジトロンスナイパーライフルを捨て、
周囲に置いておいた銃器の中から
白い三角形の様な形状のポジトロンライフルを選ぶとそれを無造作に掴み上げた。
弐号機のモニターには他方面から接近してくるMBTや兵員輸送車両が捉えられている。
「ったく、なんで私ばっかり損な役回りなのよ・・・。」
アスカのこの言葉は囮役に対する愚痴ではない。
これから戦自と表立って戦う事・・・いや、一方的な虐殺をする事になるであろう自分自身への苛立ちから来たものだ。
通常兵装の戦自と弐号機とでは弐号機側に圧倒的に分があるのだから・・・
一方、ネルフ本部に突入した戦自部隊により同施設は寸断され始めていた。
すでに本部施設の第一層は戦自の制圧下に置かれつつある。
元々ネルフは技術者集団とも言える組織であるため、
本格的な対人戦闘に慣れた戦自とまともに渡り合えるはずは無かった。
その差を埋める事の出来る可能性を持った唯一の手段がEVAなのだが・・・
「EVA初号機発進!本部施設の直援に回して!」
「ダメです。パイロットがまだ・・・!」
初号機を出撃させようとしたミサトだったがそれは適わなかった。
青葉二尉がシンジの位置を捕捉したところ、
彼の現在地は初号機のあるケイジから遠く離れた通路にある事が判明したからだ。
モニターに映し出されたシンジは、暗闇の中で膝を抱えたまま動こうともしない。
「あの馬鹿、こんな時に・・・!」
ミサトは懐から取り出したUSPの弾装を確認しつつ舌打ち交じりに愚痴る。
シンジの居る位置にはまだ戦自の部隊は到達していないものの、このままではそれも時間の問題だろう。
ネルフの数少ない戦闘要員は方々での対処で手一杯なため、
ミサトは自分でシンジの救出に向かうつもりらしい。
「冬月副司令・・・、よろしいですか?」
ミサトは現時点での最上指揮官である冬月副司令に許可を求める。
地上で獅子奮迅の活躍を見せている弐号機と
ネルフスタッフの懸命の迎撃により、侵攻を出来るだけ遅らせているとはいえ、
戦自は今回の作戦に一個師団を投入してきておりネルフ側の不利は否めない。
そんな状況を挽回し得る存在である初号機を起動させるためには、シンジの存在は必要不可欠であり
何よりも優先的に確保しなければならないのだ。
「事態が事態だからな。仕方あるまい。」
冬月副司令は意外とあっさり許可を出した。
防御戦の指揮を執っているミサトが不在となるのは痛手でもあるのだが・・・言葉通り、仕方のない状況である。
「ゴメン、あとよろしく。」
ミサトは日向二尉に後を任せ第二発令所を後にした。
「・・・・・。」
ターミナルドグマの最深部・・・
暗闇の中、オレンジ色にぼんやりと光る水槽を前に中学校の制服を着た1人の少女の姿があった。
水槽の中にはかつて人だったモノの残骸が散らばっており、その凄惨な光景に彼女は呆然と立ち尽くしている。
「・・・ここに居たか。」
立ち尽くしていたのはレイであり、そんな彼女に声をかけたのは碇司令である。
ネルフ本部が敵の襲撃を受けている状況で、彼がこの最深部に居るという事はそれだけ重要な意味があるのだろう。
彼はどうやらレイの事を探していたらしい。一方のレイは黙ったまま・・・静かに碇司令の方を振り向く。
「・・・レイ、約束の時だ。いいな?」
「・・・はい。」
以前の元気に満ちていた頃とはまるで変わってしまったレイ。彼女は乏しい表情で短く返答するのみである。
約束の時という碇司令の言葉も理解しているらしい。
だが、返答とは裏腹にレイは自分の胸に手を当て、その場でそのままうつむいてしまった。
「・・・どうした?」
そんなレイの態度に、奥へ進もうとした碇司令は短い言葉で問いかける。
「あの、みんなに・・・まだ、お別れ言ってなかったから・・・」
レイの言う『みんな』という言葉が何を指すのかは彼女にしか分からない。
シンジやアスカ・・・彼女が知り合った人達の事なのか、かつてこの水槽の中にあったモノに対してのものだったのか・・・
「そうか・・・。」
碇司令はレイの言葉の真意を聞き返す事もなく・・・ただ、小さく頷くだけだった。
ネルフ本部のとある通路、周囲は静寂に包まれており、戦自が侵攻してきたとは到底思えないほど静かだった。
「シンジ君。行くわよ、初号機へ。」
階段の下の空間に膝を抱えて座っていたシンジに声をかけたのはミサトである。
第二発令所から一目散に駆けつけたミサトによりシンジは一応保護された格好となる。
戦自の制圧部隊もまだ彼女らの場所へは到達出来ていないため、今すぐ移動を開始すれば襲撃を受ける可能性も低いだろう。だが
「・・・助けて、助けてよ。綾波・・・アスカ・・・。」
「なに甘ったれた事言ってんのよ!
こんな時だけ女の子にすがって!逃げて!誤魔化して!中途半端が一番悪いわよ!」
ミサトはうずくまるシンジの手を掴み無理やり引きずりながら移動を再開した。
1分1秒でも時間が遅れればそれだけ自分達の生存率は確実に落ちる。戦自の部隊と遭遇してしまえば彼女達に勝ち目は無いのだ。
だが、シンジはそれらの出来事がまるで人事であるかのように、自分からはほとんど動こうとはしない。
前回の第17使徒・・・渚カヲルの死はシンジの心を完全に閉ざさせてしまっていたのだ。
「アスカも上で1人頑張ってんのよ!
アンタだってまだ生きてるんでしょ!だったら、しっかり生きて・・・それから死になさい!」
シンジを引きずりながらミサトは叱咤する。
いつものあっけらかんとしたミサトからは想像も出来ない言葉だが・・・
それだけ事態が緊迫しているという事でもあり、彼女の真剣さの表れなのだろう。
「私よ。シンジ君は確保したわ・・・。そう、今ならまだ大丈夫なのね?分かったわ、出来るだけ急ぐから。」
無線で第二発令所との連絡を取りながら、初号機ケイジへのルートを進むミサト。
一方、シンジはミサトに成すがまま・・・引きずられていった。
今日はここまでですノシ
乙
皆新劇場版の発表に気をとられてるな
もうこれを映画化しちゃえよ
これを映画化したほうが面白そうだ
リナレイはよく動くから映画栄えしそうだし
「こんのぉぉぉぉっ!」
地上で奮戦を続けていた弐号機だが、序々に劣勢に追い込まれていた。
劣勢とは言っても弐号機が負けるという事ではなく、
各所から侵攻してくる戦自を防ぎきれなくなってきているという意味である。
弐号機が健在でもネルフ本部が制圧されてしまえば本末転倒なのだ。
「どれだけ出てくれば気が済むのよ!」
ポジトロンライフルで主要な幹線道路を破壊、
足止めした部隊にスナイパーライフルやバズーカ砲で止めを刺すなど、
出来うる限り効果的に敵を足止めしていた弐号機だったが
周囲に用意しておいた銃器はそのほとんどが弾切れとなってしまっていた。
パレットライフルもVTOL機を撃ち落す為に使ってしまっており、あとは拳銃くらいしか残っていない。
「6時の方向から長距離爆撃機が接近中!」
第二発令所の日向二尉から警告が届く。
アスカが上空を見上げると、
黒い三角形をした全翼機が白い航跡を引きながら第3新東京市の上空に達しつつあるのが確認出来た。
爆撃機がこっちに向かってくるという事は、目標が取るであろう行動も容易に察しがつく。
「もう、何も無い・・・わよね。」
あらためて周囲を見回してみるが・・・やはり弾が残っているのは弐号機が手にしている拳銃のみだ。
一応、狙いをつけてはみたものの、
爆撃機の高度はあまりにも高く、撃ったとしても弾を消費するだけの徒労で終わるのは明白である。
そんな時、ふと地面に転がっている瓦礫がアスカの目に止まった。そして
「日向二尉!サポートお願い!」
弐号機はすぐさま瓦礫を拾い上げた。
その瓦礫は弐号機から見れば小さなものだが、実際には20tクラスのトレーラーの大きさを遥かに越えている。
普通に投げては当たらないだろうが、本部のサポートがあればおそらく・・・
「瓦礫の形状、組成、重量の解析終了しました!」
「目標との高度差、及び相対速度、入力完了!」
「EVA弐号機、投擲体勢!」
突然のアスカの行動だったが、本部のスタッフにはその真意がすぐさま伝わった様だ。
各人が行うべき作業を迅速・的確に遂行している。
一方の弐号機も腰を捻り、まるで円盤投げでもするかのような体勢に入る。
「投擲よろし!」
「どおりゃぁぁぁぁっ!」
日向二尉から投擲許可が下りると同時にアスカの弐号機は全力で瓦礫を投げつけた。
EVAの力により瓦礫は勢いよく爆撃機へと向かっていく。もうあと少しで目標に命中すると思われたその時・・・
「爆撃機が正体不明の物体を投下!これは・・・!」
青葉二尉が目標から投下された物体を捕捉。残念ながら爆撃は阻止出来なかった様だ。
だが弐号機が放った瓦礫は、その間も上空の爆撃機へと一直線に突き進み見事命中。
機体中心に激突した瓦礫は黒色の全翼機をくの字に折り曲げ
爆撃機はそのまま崩壊、空中に四散していった。だが・・・
「落下中の物体は新型のN2兵器と思われます!落着まであと5秒!」
「各員、衝撃に備えろ!」
解析を終えた青葉二尉の報告を受けすぐさま指示を出す冬月副司令。
実際、彼が指示を終えるのとほぼ同時にネルフ本部をすさまじい大音響と衝撃が襲う。
球状に広がった爆炎はかつて第3新東京市が在った場所を吹き飛ばしたのみならず、
ジオフロントの天蓋部をいとも簡単に消失させてしまっていた。
「いったぁ〜っ・・・なんて無茶すんのよ!」
ATフィールドでかろうじて爆炎を防いだ弐号機だったが、周囲の施設は完全に吹き飛ばされてしまっていた。
その時初めて、アスカはエントリープラグ内に表示されている
弐号機の活動限界を示す数値が減少しているのに気付く。
アンビリカルケーブルはちゃんと繋がっているはずなのに・・・
「アスカ!その区域への電力供給がストップしたの!すぐに本部へ戻って!」
伊吹二尉の報告にアスカは状況を瞬時に理解した。
アンビリカルケーブルが繋がっていようと、周囲の施設が吹き飛んでいては何の意味も無い。
おそらく、今繋がっている電力供給施設は機能していないのだろう。
活動限界を示す数値は3分を切っており、このままでは戦闘不能に陥ってしまうのは明白である。だが、その時
「弾道弾多数感知!こちらへ向かってきます!」
日向二尉が新たな敵の反応を発見した。
だが、彼の報告を聞くまでも無く、アスカの眼にもこちらへ向かってくるおびただしい数の光が見える。
弾道弾の行き先は多分ジオフロントだろう。
そう判断したアスカは弐号機のアンビリカルケーブルをパージ、
先程のN2兵器の爆発で大きく開かれたジオフロントの開口部へ駆け出した。
「うおぉぉぉぉっ!」
ズシィィィン!
ジオフロントに降り立った弐号機は一直線にネルフ本部の象徴でもあるピラミッド型の施設に駆け寄った。
地下空間であったジオフロントも、今はすっかり明るい空が見えるようになってしまっている。
「ATフィールド全開!」
間髪入れずにATフィールドを展開する弐号機、と同時に多数の弾道弾がジオフロントに降り注ぎ始めた。
周囲の綺麗な森林や地底湖は弾道弾の爆発により次々と破壊されていく。
だが、ネルフ本部周辺に飛来した弾道弾は弐号機の展開したATフィールドにより確実に防がれていた。
展開されたATフィールドの真上で弾道弾が次々と爆発している。
「確か、この辺りに・・・」
そして・・・アスカはその間も自分の足元にあるはずのあるものを必死に探していた。
「よかったぁ〜・・・!」
爆風が落ち着いたジオフロントの地面に目当ての何かを見つけ、アスカは思わず安堵の声をあげる。
第二発令所の面々にはさっぱり分からない事なのだが・・・アスカが守ろうとしていたのは加持のスイカ畑であった。
もちろん、ネルフ本部も守ろうとはしたのだが・・・彼女の中での優先順位はスイカ畑が先だったらしい。
「そこから4時の方向2kmの地点にアンビリカルケーブルを用意したわ!アスカ、すぐに接続して!」
伊吹二尉の切迫した声が聞こえてきた。気が付けば活動限界まであと2分を切っている。
今日はこんなところでノシ
乙乙
ケーブルは繋がってるけど発電施設がやられてるってのは何かいいね
「りょーかい。そんなに慌てなくても・・・・きゃあっ!」
突然、弐号機とアスカを襲う衝撃。
大型ミサイルが弐号機の頭部に完全にヒットしたのだ。しかも、追加のミサイルまで胴体に命中してしまっている。
ドオォォォォン!
当然のごとく爆発するミサイル。火炎が周囲を赤く染め上げる・・・。
「いきなりなんなのよ!て言うか、なんで何の警告も無いのよ!ちょっと、聞いてんの?」
アスカの怒りの矛先は第二発令所のオペレーター達に向けられていた。
そのあまりの剣幕に一様に押し黙ってしまう日向、伊吹、青葉の3人。
レーダーサイトの幾つかが無力化されている状況では、彼らに完璧を求めるのは酷なのだが・・・
「へ?あ・・・あ・・・あぁ〜っ!は、畑・・・加持さんのスイカ畑がぁっ!」
ブツクサ言いながら周囲の状況を確認していたアスカが素っ頓狂な声をあげた。
弐号機の周りは先程のミサイル爆発の影響で火の海となっており・・・近くにあったスイカ畑も火炎に包まれてしまっていたのだ。
その時、ジオフロント上空の大きく開かれた開口部から侵入してきた戦自のVTOL機が多数。
・・・それはあまりにも間が悪すぎた。
「な・・・な・・・なんてことすんのよ!アンタ達はぁぁぁぁぁっ!」
「ちょっと、アスカ!アンビリカルケーブルを―――」
伊吹二尉が止める間もなく、逆上したアスカはジオフロント内に侵入してきたVTOL機群へと突撃していってしまった。
そのあまりの勢いに侵攻してきたはずの戦自の航空隊も後退を余儀なくされている。
距離を取りつつロケット弾による一斉射撃を行っているものの・・・弐号機に通用するはずもない。
「よくも!」
ドガッ!
「加持さんのスイカ畑をっ!」
バキッ!
「アンタ達のせいよ!」
ズムッ!
「なめんじゃ――」
ガンッ!
「ないわよっ!」
グシャッ!
瞬く間に5機のVTOL機が殲滅されてしまった。
殴る蹴る掴んで振り回す・・・まるで子供が玩具で遊んでいるかの様な一方的な戦いだった。
だが、それでも戦自の航空戦力は健在。
今度は散開し、弐号機の手足の届かない遠距離から攻撃を試みるつもりの様だ。
着かず離れずの距離を維持して攻撃するVTOL機群であったが、
ロケット弾やバルカン砲では弐号機にダメージを与える事は難しい。
「くぅ・・・このぉ・・・・・」
だが、アスカに対し精神的なダメージは確実に与えていた。
自らの攻撃が届かず、一方的に攻撃してくる相手に彼女のイライラはすでに頂点に達している。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!」
その時、弐号機は手を振りかざしATフィールドを展開。
今回はこれまでの様な防御の為ではなく、攻撃を目的としてATフィールドを使用したのである。
ATフィールドが展開された位置に散開していたVTOL機群は一瞬にして爆発、
難を逃れた機体も慌てて後退していった。
アスカ自身にもそんな事ができるとは思っていなかったのだが・・・とっさの出来事であった。
「アスカ、早く戻って!活動限界まであと1分も無いわ!」
伊吹二尉の懇願する声が聞こえてきた。流石にこれ以上の戦闘は危険だろう。
現時点で戦自の航空戦力は先程のATフィールドでほぼ壊滅。
地上の歩兵や戦車隊などはまだ残っているだろうが、
直接弐号機へ攻撃を仕掛けてくる部隊は今のところ見当たらない。
周囲に敵が居ない事を確認したアスカは弐号機をアンビリカルケーブルの設置場所へ移動させ、
すぐさまケーブルを接続した。
「これでよし・・・と。」
戦闘続きだったアスカだが、ここでようやく一息つく事が出来た。
弐号機内に表示されていたモニターの活動限界を示すカウントダウンは停止、
すでに外部電源の表示に切り替わっている。
幸いな事にジオフロントの電源はまだ生きている様だ。
「外はひとまず落ち着いたか。内部はどうなっている?」
冬月副司令が青葉二尉に尋ねる。
外の状況は第二発令所の主モニターにも映し出されており、
ひとまず沈静化した様子が見て取れるが
ネルフ本部に侵入しているはずの制圧部隊は弐号機では対処できない。
そのため、本部施設内においてはまだ安心できる状況では無いのだ。
「第一層、第二層は完全に制圧されました・・・。
第三層のBブロック、Fブロックにて交戦中ですが、なんとか足止め出来ているようです。
ですが、戦自がこれほど生易しい相手とは思えませんが・・・」
青葉二尉の疑問はもっともである。
日本国政府直属の組織であり
戦闘を主任務とする戦略自衛隊相手にネルフが善戦出来るはずも無い。
「弐号機への対策を練っているのか・・・さらなる強攻策を執るつもりなのか・・・
とにかく、今は時間が稼げただけでも善しだろう。
葛城三佐からの連絡は?」
「間もなく第七ケイジへのエレベーターに到着するとの事です。
念のため、グループBを葛城三佐の支援に向かわせています。」
即座に返答する日向二尉。
ミサト達の位置と戦自の制圧部隊との距離は離れているが・・・
相手が相手だけに安心できる状況では無い。その時
「・・・待ってください?これは・・・!」
日向二尉がインカムに手を当てている。どうやら何かの報告を聞いている様だが・・・
「どうした?」
「大型の輸送機がこちらに接近中!数は・・・9機です!」
冬月副司令の問いに答える日向二尉。
本来なら主モニターにその姿が映し出されてもいい状況なのだが・・・
先の戦闘でレーダーサイトが減少しているせいか、まだ主モニターで目標を確認する事は出来ない。
実際に確かめるには生き残った施設でその姿を捉えるまでは無理だろう。
「9機?まさか・・・!」
輸送機の数に何か思い当たることでもあるのか、冬月副司令が驚きの声を上げた。
ここ最近レイの出番がありませんが・・・今日はこんなところでノシ
乙
楽しませてもらってるよ
乙かれです。
今回は外部電源もあるし、量産機もコテンコテンにのばしちまえアスカ!
ってそれじゃあレイやシンジの出番がないか……。
ミサトはシンジを引きずりながらネルフ内の通路を黙々と進んでいた。
本来なら、とっくに目的地に着いていてもいいはずなのだが
肝心のシンジが自分から歩こうとしないため予想外の時間を浪費してしまっていたのだ。
おまけに、徐々にだが確実に銃声や爆発音が近づいてきている様に感じられる。
「着いたわ・・・。ここね。」
シンジにとっては何度か見た事のある場所・・・
そこは初号機のある第七ケイジへと続く専用エレベーターの入り口だった。
ミサトはふと自分が握っている手の主であるシンジを一瞥するが・・・
「シンジ君・・・エヴァのスタンバイは出来てるわ。乗るの?乗らないの?」
質問こそしているものの、答えはすでに決まったようなものである。
ミサトからしてみれば、シンジにも出撃してもらわなければ自分達の生存率が上がらないのだ。
つい先程、ミサトの元にも新たな敵が現れた事がもたらされており、
今後を考えるとシンジの力はどうしても必要となる。
だが、肝心のシンジは無気力にうずくまったままだ。
「僕はダメだ・・・。ダメなんですよ。
人を傷つけてまで・・・殺してまでEVAに乗るなんて・・・そんな資格は無いんだ。」
シンジは内に秘めていた感情を吐き出し始めた。
「トウジも・・・カヲル君も、殺してしまったんだ・・・。
綾波には何もしてあげられない・・・アスカみたいに強くも無い・・・。
優しさなんて欠片も無い・・・。ズルくて臆病なだけだ。
僕には人を傷つけることしか出来ないんだ。だったら何もしない方が良い!」
自分の思いを誰に言うとも無く叫ぶシンジだったが・・・
「同情なんかしないわよ。自分が傷付くのがイヤだったら・・・何もせずに死になさい。」
ミサトの反応は冷ややかだった。
いや、むしろワザと冷たい態度を取ったというべきだろうか。
「う・・・うぅ・・・。」
そんなミサトの冷ややかな言葉にシンジは涙を流し始めた。
嗚咽するシンジを、ミサトは今泣いてもどうにもならないと叱咤する。
「自分が嫌いなのね・・・。だから人を傷つける。
自分が傷付くより人を傷つけたほうが心が痛い事を知っているから・・・。
でも、どんな想いが待っていても、それはあなたが自分1人で決めた事だわ。価値のある事なのよ、シンジ君。」
「ミサトさんだって・・・他人の癖に!何も分かってないくせに!」
静かなミサトの言葉にシンジが叫ぶ。
確かにシンジの心は彼自身にしか分からない事だが・・・
この時のミサトの言葉は少なからず彼の内面を読み取っていたのだろう。
だが、そんなシンジの態度は努めて冷静に振舞おうとしていたミサトを変えるには十分だった。
「他人だからどうだってぇのよ!」
そう叫ぶと、ミサトはシンジの手を引っ張り上げ、
エレベーターの扉に叩き付ける様に彼を立ち上がらせた。
突然の状況にシンジは驚きの表情でミサトを見つめる事しか出来ない。
「アンタこのまま止めるつもり?今、ここで何もしなかったら・・・私、許さないからね!一生あんたを許さないからね!」
ミサトはシンジにしっかりと言い聞かせるように両手で彼の頬を掴んでいる。
いつもの楽天的なミサトはそこには無く・・・自分の感情を本気でシンジにぶつける1人の人間としての姿があった。
「今の自分が絶対じゃないわ。
後で間違いに気付き後悔する・・・私はその繰り返しだった。
ぬか喜びと自己嫌悪を重ねるだけ・・・でも、そのたびに前に進めた気がする・・・。」
さっきまでとはうって変わって、まるで自分にも言い聞かせているかのように切々と語るミサト。
先程までと同じ様にシンジにEVAに乗るよう説得こそしているものの、
今度は自分達が生き残る為ではなく彼自身の為の説得である。
「いい?シンジ君、もう一度EVAに乗ってケリをつけなさい。EVAに乗っていた自分に・・・
何のためにここに来たのか・・・何のためにここにいるのか・・・今の自分の答えを見つけなさい。
そして、ケリをつけたら必ず戻ってくるのよ?」
全てを言い終えたミサトは微笑を浮かべている。
シンジにとっての彼女は上司でもあり保護者でもあり・・・また、家族の様な存在だった。
今の今まで様々な表情のミサトを見てきたが、ここまで優しげな彼女の顔は一度も見た事が無かった。
「うん・・・。」
小さく返事をするシンジ。
小さな声だったが、それは確実に自分自身の意思だった。
「いってらっしゃ―――」
ドオォォォン!
シンジの肩に手を置き見送りの言葉を言おうとしていたミサトだったが、その声は爆発音に掻き消されてしまった。
彼らのいる通路の近く・・・閉鎖されていたはずの防壁が戦自の制圧部隊によって破壊されたのだ。
さっきまでは遠くに聞こえていたはずの銃声がすぐ近くに迫ってきている。
「くっ!」
ミサトはとっさにエレベーターの扉を開け、シンジを突き飛ばす様に奥へと追いやった。
「行きなさい!シンジ君!」
「ミ、ミサトさ―――」
シンジがミサトの名を叫ぼうとしたが言い終わるよりも先にエレベーターの扉は閉じてしまった。
銃声も聞こえなくなってしまい、ミサトがどうなったのかシンジにはまるで分からない。
無常にもエレベーターは何事もなく地下へと降りていく・・・。
シンジはミサトの無事をただ祈る事しか出来なかった。
一方、ジオフロントでは弐号機と新たな敵との戦いが始められていた。
敵は専用の輸送機によって送り込まれたEVAシリーズ・・・各国で建造が進められていたエヴァンゲリオンの量産機である。
量産機のその顔には眼が無く視覚的な要素がまるで無い。逆に、大きく開かれた口が量産機の特徴をさらに際立たせている。
全体的な白い姿はこれまでのEVAの姿そのものだが肩部に差異が見られた。
零号機や初号機、弐号機に見られる肩のパーツが無いかわりに量産機各機が巨大な両刃の大剣を携えている。
また、輸送機から降下する際には翼も展開していた。つまり、飛行能力の保持も実証されているのである。
さらにはS2機関を搭載しているためアンビリカルケーブルも必要としない。
その姿はまさにEVAの完成形の1つと言えた。
「Erst!」
だが、アスカはそんな相手に怯むどころか先制攻撃ですでに一機目を撃破。
突進から飛び掛り両手で頭部を破壊。さらに対象を高々と持ち上げ真っ二つにへし折っていた。
量産機の身体の裂け目から、弐号機の頭上に赤い液体がボトボトと降り注ぐ。
「アスカ!活動限界まであと4分40秒よ!」
「わかってるわよ!」
アスカの耳に伊吹二尉の声が届く。
先程、アンビリカルケーブルを接続した弐号機だったが量産機との戦いを始める直前に再びパージしていたのだ。
機動性を重視した選択であり、一機目を瞬殺した事でその判断の正しさが立証されたのだが・・・
「残り八機か・・・。MAGIによる解析結果はまだか?」
第二発令所の冬月副司令が、戦闘を続ける弐号機の姿を主モニターで確認しながら3人のオペレーターに問う。
「構成に若干の簡略化は見られますが基本的な性能は従来のEVAと大差ありません。
S2機関搭載型でダミープラグにより起動、単機による飛翔能力も確認されています。
武装は・・・やはりあの巨大な剣のみの様です。」
解析結果を見ながら伊吹二尉がその情報を掻い摘んで読み上げる。
「ですが・・・、あの剣についてはまだ解析が終了していません。
ただ、これまでに採取されたデータから、
従来のEVAに使用されている白兵戦闘用の武装とは明らかに異なったものだと推察されます。」
「そうか・・・。解析を出来るだけ急がせろ。」
いくら弐号機が障害となっているとは言え、現存するEVA量産型を全機投入してくるというのはあまりに仰々し過ぎる。
それに同時に全機投入するには、完成したEVAシリーズを一箇所に集結させておくか、
あるいはあらかじめスケジュールを組んでおかなければ無理な話だ。
つまり、戦自の任務遂行がどうなろうと、最初からEVAシリーズはここに投入される事になっていた可能性もあるという事だ。
そしてEVAシリーズを投入したその理由とは・・・?
(まさか、ここで起こすつもりか・・・?)
冬月副司令の脳裏から嫌な予感が離れる事は無かった。
今日はここまでですノシ
ターミナルドグマの最深部に安置されているアダム・・・
いや、第17使徒であるカヲルがリリスと呼んだ白い巨人・・・
レイと碇司令の2人はその前に立ち、赤く巨大な十字架に磔にされた白い巨人を見上げていた。
リリスと呼ばれるモノの顔に掛けられた、七つの眼が描かれた特徴的な仮面がその異様さをさらに際立たせている。
彼らはこの場所でこれから何かをするつもりなのだろう。
「お待ちしておりましたわ・・・。」
その時、どこからか落ち着いた女性の声が聞こえてきた。
声の主はリリスのすぐ近く・・・LCLのプールサイドに腰を下ろしていたらしく、
金髪に白衣姿のその女性はゆっくり立ち上がると二人の方に振り向いた。
「・・・・・。」
そこに居たのはリツコである。
彼女は白衣のポケットからリボルバー式の拳銃を取り出し銃口を彼らに向けた。
リツコは何も言わず・・・ただ、黙ったまま・・・
「活動限界まであと2分よ!アスカ、後退して!」
ジオフロントにて交戦を続ける弐号機はよく善戦していた。
彼我兵力差は1対9であるにも関わらず、量産機を1機1機着実に屠っていたのだ。
だが、弐号機は活動限界まであと半分の時間も無い。
「無茶言わないでよ!退けるわけないでしょ!」
弐号機の肩部に内蔵されていたニードルガンを量産型・・・EVAシリーズ10号機に撃ち込みつつアスカが叫ぶ。
残る量産機は2機だが、今の状況でアンビリカルケーブルの接続を試みる暇など無い。
ほんの僅かでも隙を見せれば危険な状況に陥るのは弐号機の方だからだ。
「負けてらんないのよぉ!アンタ達にぃぃぃぃっ!」
EVA5号機をビルに叩きつけ叫ぶアスカ。
弐号機の腕は5号機の胸部を潰しており、周囲に血飛沫が飛び散っている。
残るEVAシリーズはあと1機・・・13号機を残すのみだ。
「これで・・・ラストォォォォォォッ!」
先程押し潰していた5号機のその身体を13号機に投げつけ、そのまま同機へと突進するアスカの弐号機。
突進のスピードと弐号機の全体重をかけたボディブローは
投げつけた5号機の身体もろとも、13号機の赤い光球を捉えていた。
血飛沫をあげながらコアを潰されつつある13号機は、口を大きく開け苦しんでいる。
EVAシリーズの殲滅まであと少しと思われた。だが、その時
「MAGIによる解析結果が出ました。これは・・・まさか・・・・!」
第二発令所の日向二尉が驚きの声を上げた。
どうやら先程から行っていたEVAシリーズの解析が終了した様だが・・・
「あらゆるデータがオリジナルと酷似しています!あの剣はロンギヌスの槍のコピーです!」
「なんだと・・・!」
日向二尉の報告に冬月副司令の顔がこわばった。
ロンギヌスの槍の特性を考えればそれも当然と言えよう。
「なんですって・・・!アスカ、気をつけて!その槍はロンギヌスの槍なの!聞こえる?」
その事実は伊吹二尉からすぐさま最前線で戦うアスカに届けられる。
そして・・・当のアスカは、今まさにどこからか投げつけられた大剣をATフィールドで防ごうとしていたその時だった。
「これがロンギヌスの槍!?」
ロンギヌスの槍の事はアスカも知っている。
自分が第15使徒から精神攻撃を受けていた時にレイが使った特別な槍であると。
しかも、その槍は使徒のATフィールドをいとも簡単に突破した事も・・・
「まさか・・・!」
半信半疑だったアスカをあざ笑うかのように
弐号機のATフィールドに防がれ空中に静止していたはずの大剣は、見る間にその姿を二股の槍へと変化させた。
形を変えたその大剣は弐号機のATフィールドを今まさに貫かんとしている。
「くっ!」
その瞬間、アスカはとっさに弐号機の上半身を大きく仰け反らせた。
と、同時に大きく反り返った弐号機の上をロンギヌスの槍のコピーである大剣であったモノが通り過ぎていく。
どうやら間一髪のところで避ける事が出来た様だ。だが、さっきの攻撃は一体どこから・・・?
ついさっきコアを潰した量産機で最後のはずなのに・・・
「な・・・なによこれ?」
弐号機を起き上がらせたアスカが見たのは再起動を始めたEVAシリーズの姿だった。
各機とも損傷箇所はほぼそのままの状況だが、それでも何事も無かったかのように大剣を携え起き上がっている。
このままは分が悪いのは明白・・・さらに弐号機は活動限界まであと1分も無い。
状況はまさに絶対絶命だった。
今日はこれで終わり。今度こそ終わりですノシ
GJ!
でもレイがでねえwww
GJ!
アスカが無事だ!
>>186 主役は遅れて現れるものさ
今はただ・・・待つんだ
むしろアスカが主役
GJです!
>>186 まあAirは数少ない「エースパイロットアスカの巻」だもんね。
ともかく続き待っております……。
一方、ターミナルドグマでは、まるで時間が止まったの様な静かな時が流れていた。
碇司令、レイ、リツコ・・・磔にされたリリスの傍らに立つ彼ら・・・
旧知の仲である人間に銃を構えるという行為をとっているにもかかわらず、リツコのその表情は穏やかだ。
「ごめんなさい・・・。貴方に黙って先程、MAGIのプログラムを変えさせてもらいました・・・。」
淡々と話すリツコ。
口調こそ穏やかだが、銃を構えるその眼には並々ならぬ決意が秘められている。
「母さん、最後の頼みよ・・・一緒に死んでちょうだい・・・!」
ピッ!
白衣の左ポケットに入れられたリツコの左手が何かのスイッチを押した。
自身の死を覚悟し眼を閉じるリツコだったが、
1秒・・・2秒・・・時間は刻々と過ぎているのに周囲には何の変化も見られない。
「作動しない!?なぜ・・・?」
その状況に驚き、リツコは左手で握っていたコントローラーらしきものを取り出し確認する。だが・・・
「Casperが裏切った・・・!母さん・・・娘より自分の男を選ぶの・・・?」
予想していなかった状況に混乱するリツコだったが、すぐさま我に返る。
これまで2人を制止する目的で掲げていたリボルバーの照準を明確にある対象に向けたのだ。
さっきまでの穏やかな表情は消え去り、いつもの彼女からは想像も出来ないほど
ある種の激情に駆られているのが見て取れる。
「フ、フフ・・・。レイ、あなたが・・・あなたが居たから私は・・・!」
リツコ自身の言葉通り、その銃口はレイに向けられていた。
左手に持っていたコントローラーらしきものはすでに投げ捨てており、
両手で銃を握り確実に照準を合わせている。
碇司令も銃を構えようとはしたが、すでに銃口をこちらに向けていたリツコに対処するのは困難であり
レイにしても今から避けようとしたところで間に合うタイミングではない。
「・・・・・。」
その光景にレイは眼を閉じ全てを諦めた。
彼女はこれから自分を待ち受けているであろう運命を受け入れるつもりでいた・・・。
タァァァァン!
程無くして、閉鎖されたターミナルドグマ内に銃声が鳴り響く。
眼を閉じていたレイだったが・・・銃弾が自分に当たった感覚は無い。
リツコが狙いを外したのだろうか・・・?ためらいながらもレイは少しずつ眼を開けていく。
「え・・・?」
眼を開けたレイが見た光景・・・
それは、自分を庇う様に身を楯にしている碇司令の後ろ姿だった。
彼の足元にはポタポタと紅い液体が床の上に滴り落ち、小さな溜まりを作っている。
「あ・・・ああ・・・」
彼のその姿を見たリツコは驚愕の表情を浮かべていた。
首を横に振り、銃を持つその手はガクガクと震えている。
一方、銃弾を受けた碇司令は、やや腰を落とし中腰に近い姿勢で必死に耐えていた。
「赤・・木・・・リツコ君・・・、本当に―――」
タァァァァン!
碇司令の言葉を途中で遮る様に再び銃声が鳴り響いた。
撃ったのはリツコだが、今度はその銃口を自分自身の頭に押し当てて・・・。
リツコはそのまま・・・スローモーションの様に背後にあるLCLのプールへと落下していく。
自分のした事に対する悲しみに満ちた表情のまま・・・
「ぐ・・・うぅ・・・!」
リツコの死とほぼ同時に、碇司令もそのまま床の上に力無く崩れ落ちた。
銃弾を受けたその身体では、それ以上自分の力で立ち続ける事は困難であった。
「碇司令・・・!そんな・・・どうして!」
碇司令の横にしゃがみ、
なんとか彼の上体を起こそうと背中に手を回そうとしたレイだったが、
ふと自分の手が血まみれになっている事に気付く。
よく見ると、彼の黒いジャケットの裾から血が滴り落ちており、床の血溜まりはどんどん広がってしまっている。
碇司令の着ている赤いインナーも彼自身の血でさらに赤く染まっていた。
「す、すぐにお医者さんを呼ばないと・・・!」
制服のポケットから携帯を取り出しボタンを押すレイ。だが、碇司令はそんな彼女の手を取り制止させる。
「・・・無駄な・・・事はするな。それに私は、こうなって当然・・・の人間だ。」
「そんな・・・そんな事ない!」
碇司令の諦めの言葉をレイは首を振り必死に否定する。
彼がこれまで裏で何をしていたのか、彼女も全く知らないワケでは無い。
だが、碇司令が善良とは言えないまでも・・・
それでもレイにとっては幼い頃から育ててもらったかけがえの無い存在である。
「レイ・・・、お前は・・・すぐに上へ戻れ・・・。老人達の・・・ゼーレの・・・補・・完計画を阻止し・・ろ・・・。」
「え?」
碇司令の言葉はレイにとって予想外のものだった。
元々、レイがここに来たのは碇司令に呼ばれてのものである。
詳しくは知らされていないものの・・・自分が今ここに居るその理由は目の前にあるリリスとも関係しているはず・・・。
それなのに上に戻れというのは一体・・・?
だが、今のレイには上へ戻る事が叶うとも思えなかった。なぜなら・・・
ドサッ!
レイの左腕が突然ズルリと抜け、そのまま床に落ちてしまったからだ。
血が噴き出すワケでもなく・・・本当に抜け落ちてしまったとしか形容のしようが無い。
だが、彼女自身はそんな自分の状況に驚いた様子は無く・・・むしろ全てを悟っているかのような表情さえ浮かべている。
「やっぱり・・・・・、あたし・・・もう・・・ダメなんだね。」
碇司令の上体を右腕で支えながら、抜け落ちてしまった左腕を一瞥するレイ。
それを見る彼女の眼は、すでに諦めの感情に支配されてしまっていた。
「レイ・・・、私の右手・・・を・・・・・
私は・・・お前と融合するつもりで・・・いたが・・・もう、その必要も理由も・・・・無い・・・。」
「え・・・?それって・・・どういう・・事・・・ですか?」
唐突な碇司令の言葉にレイはまるで思考が働かない。
彼が力を振り絞り自らの白い手袋を取り去ると、
そこには紫色をした胎児の様な物体がその掌に結合されていた。
「じ、時間が無い・・・。
ATフィールドが・・・お前の・・・形を保てなく・・・なる・・・。
お前が・・・その・・姿で生きるには・・・・アダムと・・融合を果たす以外・・・道は無い。」
そう語る碇司令の表情には明らかに焦りの感情が見えた。
彼は無理矢理自分の上体を起こし、
紫色の胎児の様なモノが存在する自身の右手でレイの右手を握り締める。
重傷を負った状態で無理をすれば自らの死を早めてしまうのは確実だが・・・
レイの右手を握り締めた碇司令には信じられないほどの力強さがあった。
「始める・・ぞ・・・レイ・・・。A・・Tフィールド・・を、心の壁を・・・解き放て・・・。」
「碇司令・・・、何を言ってるのか分からないよ・・・!」
レイには彼の真意がいまだに分からない。
碇司令が何をしているのか、何をしようとしているのかが。
「ぐ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・。」
碇司令の呼吸は次第に切れ切れになりつつある。
このままでは本当に死は免れないだろう。彼は肩で大きく息をしておりその苦痛は計り知れない。
だが、レイの手を握るその力はまるで衰えない。
「レイ・・・、お前には・・・これまでつらい・・・思いをさせて・・きた・・・。
道具のよう・・に扱って・・・すまな・・かった・・・と・・思ってい・・・る。」
いつもは冷静沈着な態度を崩さない碇司令から聞く初めての償いの言葉・・・
彼は下を向き、レイから眼を逸らしている様にも見える。
「そんな・・・!碇司令は優しいよ!ご飯はくれたし、パンもくれたし・・・
それに、あの事故の時だって助けてくれたもん!」
泣くのを必死にこらえながら、思いつく限りの思い出を口にするレイ。
こんな時なのに思いつくのは食べ物の事ばかり・・・
だが、零号機の起動実験の時の事もレイはちゃんと思い出せていた。
シンジが第3新東京市に来る前・・・エントリープラグに閉じ込められた自分を必死になって助けてくれた碇司令・・・
目の前の碇司令はあの時と同じく優しげな表情をしてくれている。
「信じられん・・だろうが・・・私は、お前の成長・・・を嬉し・・く思っていた・・・。」
「え?でも・・・、あたしは・・・・・」
今さらながら自分の出生を思い出すレイ。
すでに当然の事と受け入れていた事実とはいえ・・・やはりその事による心の空隙は常に付きまとっていた。
忘れようとしても思い出さないようにしても、常に心の片隅に確実に存在した事実・・・
「・・・生まれは・・・・問題では無い。
レイ・・・・・・、私は・・・お前を・・・む、娘・・・の様に思・・っていた・・・。」
「あたしが・・・碇司令の・・・・・?」
想像もしていなかった碇司令の言葉にレイは言葉を失う。
自分は人の手で造られた存在であり、成すべき事の為に在った様なものなのだ。
EVAのパイロットとしての自分・・・碇司令の目的のために必要な自分・・・それは決して、自分だから必要とされたのではなく、
自分達・・・ダミープラントの中の内の1人だから必要とされているのだと思っていた・・・。
そして、それを当然の事として受け入れていた・・・。だが
「そう・・だ・・・。お前・・は・・・私にとって・・・大・・切な・・・・娘だ。」
「・・・っ!」
絶え絶えながらもはっきりと聞こえた碇司令の言葉・・・
その瞬間、レイは自分の心から壁が消えていくのを感じていた。
何をこれまで1人で悩んでいたんだろう・・・?
これまで自分が求めていた他者との絆・・・
自分には無い絆を持っているシンジやアスカを羨ましく思った事もあった・・・
だが・・・、それは無かったのではない。
自分で気付いてなかっただけなのだ・・・。
「あ・・・あぁ・・・。」
それと同時に自分の心に触れてくるとても暖かい感覚・・・
ふと気付くと碇司令の右腕がすでに自分の右腕と融合している。
「な・・・なにこれ?」
だが、レイがそれを認識した時には再びお互いの手へと分かれてしまっていた。
さっきの光景は・・・?幻覚かとも思ったがそうではない。確かに自分と碇司令の手が1つになってしまっていたはず・・・。
「そうだ・・・、それで・・・いい・・・。」
その光景に碇司令は僅かな笑みを浮かべ、彼は再び床に倒れてしまった。
レイがとっさに受け止めるものの、その体はさっきまでとは違い彼を支える右腕にはかなりの重量が圧し掛かっている。
なんとか碇司令を楽な体勢にしようと、レイは両手で彼を支えようとした。
「え・・・?」
その時、レイは初めて自分の左腕がある事に気付く。
そう・・・いつの間にか、先程失ったはずの左腕が再生していたのだ。
一度失ったとは思えないくらい当たり前に・・・あるのがさも当然であるかの様に自分の左腕はそこに在る。
一方、碇司令の右の掌にあったはずの、紫色をした胎児の様なモノは跡形も無く消え去ってしまっていた。
「アダムは・・・すで・・・に・・・お前と共にある・・・。
再生し・・た・・・左腕こそ・・・・・その証・・・、お前は・・・・・自由・・・・だ・・・・。
ぐ・・がはっ・・・・。」
碇司令の状態はさらに悪化し続けていた。呼吸も荒くなってしまい・・・かなり辛そうだ。
彼はいつの間にかレイから眼を離しターミナルドグマの上方を見上げている。
ぼんやりとした碇司令のその眼は視点が定まっている様には見えない。
「この時を・・・ただ・・・・ひたすら待ち・・・続けていた・・・。ようや・・く会えた・・な・・・、ユイ・・・・・。」
「え?」
思わずレイは周囲を見回す。だが、当然そこには彼ら2人の他には誰もいない。
いないはずなのだが・・・
「・・・私がそばに・・・・いると・・・シンジを傷・・つけるだけだ・・・。
だか・・ら・・何もしない・・方がいい・・・。
自分が・・・人か・・ら愛されるとは信じ・・・られない。
私に・・そんな資・・格は無い・・・。」
碇司令は、すぐそばに居る誰かと話をしているかの様に言葉を続けている。
それは・・・彼が内に秘めていた偽らざる本心であり、シンジに対する正直な気持ちだった。
身近にいたはずのレイですら知らなかった告白を終えた碇司令は、
再びゆっくりとレイの方に顔を向ける。そして・・・
「レイ・・・、すまな・・かった。
シンジ・・・にも・・・そう、伝えて・・・おいてく・・・・れ・・・。
シンジ・・を・・・頼・・む・・・・・・・」
振り絞るような声を吐き出し深く息をつく碇司令。
その行動にレイは嫌でも彼の死を感じ取らざるを得ない。
今も血は止め処なく流れ続け、彼の身体からは暖かさが消え始めているのだ。
「ダメ!碇司令・・・死んじゃダメだよ!
シンちゃんだって司令といっぱいお話したいはずだもん。絶対喜ぶよ!だから・・・!」
碇司令の傷口を手で押さえながら必死に叫ぶレイ。その眼には涙が溢れている。しかし・・・
「・・・・・。」
・・・彼女の願いも空しく・・・彼が再び息をする事は無かった。
碇司令に、苦しみをこらえていた時の表情はすでに無く・・・むしろ安らかな顔をしている。
「碇・・・司令・・・う・・・・・うぅっ・・・・・・。」
碇司令の胸の傷口を押さえていた自分の両手にポタポタと涙が零れ落ちる。
何をどう考えて良いのか・・・いや、何も考えられない・・・。
レイにとって、彼が死んでしまったという事実は到底受け入れられるものではない・・・。
だが、冷たくなってしまった碇司令の身体に自分の手が触れ・・・その冷たさは確実に伝わってくる。
それは冷酷にも彼女に現実を突きつけていた。
どれほどの時が経っただろう・・・。
実際にはそれほどの時間は流れていないが、レイにとってはたまらなく長い時間に思えた。
「泣いてちゃダメ・・・だよね。
それに・・・あたしにはまだ、やらなきゃいけない事があるもん・・・・・。」
レイは涙を拭うと床に横たわる碇司令の亡き骸の両手を胸の上で組ませた。
宗教的な事はよく分からないが、彼をそのまま放っておくのはあまりに忍びなかったのだ。
そして・・・、レイは碇司令のかけていた眼鏡を手に取り、それを自分の制服のポケットに入れる。
「シンちゃんに渡してあげなきゃ・・・ね。」
碇司令の死を・・・彼の想いをシンジに伝えなければならない。これは自分にしか出来ない事である。
出会った頃のシンジは碇司令の事を信じられないと言っていた・・・
だが・・・、第10使徒の時だったか・・・父と会話をしたと話した時のシンジはどことなく嬉しそうだった。
その後、トウジが死んでしまった時は・・・シンジと碇司令は喧嘩別れしていた。
それからは・・・よく分からない。
結局、お互いの距離は変わらなかったのかもしれない。
でも、多分・・・2人とも、不器用なだけだったのだろう・・・。今は、そう思えてならない・・・。
「・・・・・。」
レイはゆっくり立ち上がると碇司令の亡き骸に背を向けた。
そして、そのまま一歩二歩と出口に向かって歩み始め・・・気が付けばいつの間にやら駆け出してしまっている。
碇司令の方は一度も振り返らずに・・・
いや、振り返るときっと歩みを止めてしまうだろうから・・・きっとまた泣き出してしまうだろうから・・・
それが分かっていたからこそ彼女は振り返る事が出来なかったのだ。
(ありがとう・・・・・。そして・・・、行ってきます・・・父さん。)
それは心の中で呟いた。とても・・・とても小さな声で。
映画と区切りが違いますがこんな感じでAirは終了、次が最終話になります。
その・・・なんだ。リッちゃん・・・・スマン。
でも、リッちゃんもネルフのみんなにひどい事しようとしたからおあいこだよね(´・ω・`)
朝からGJ!
どうしよう嬉しい!アスカがまだ生きてる(ノД`)
GJ!!
乙です!
うぉー!行けレイ!短絡思想集団ゼーレの企みなんてぶっつぶせ!
激しくGJ!!
まとめサイトへの転載も早いな、しかしwww
超GJ!
やばっ!読んでたら脳内で映像として再生されてる。もち声ありで
徹夜だからこそ為せる技か…
208 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/21(木) 20:39:44 ID:3p4HeBn1
イイ!乙です!
「アスカ!もうこれ以上は無理よ!エントリープラグを射出するから脱出して!」
「ダメよ!コイツらをこのまま放っておけるワケないじゃない!」
伊吹二尉が最終手段である脱出を指示するが、アスカはそれを拒否。
すでに弐号機の内部電源は残り30秒にさしかかろうとしている。
このままではEVAシリーズを殲滅する以前に、戦闘不能に陥ってしまうのは確実だろう。
だが、撤退しようにも周囲を完全に囲まれてしまっている為、もはやそれすらもままならない。
弐号機を取り囲むように立つ全てのEVAシリーズはその手に大剣を携え翼を展開させている。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!」
その状況にアスカは意を決し、弐号機を駆り一直線に突進させた。
目標は先程パージしたアンビリカルケーブル・・・。
進路を邪魔する量産機を突破、可能なら破壊しつつアンビリカルケーブルのある地点に到達し迅速に接続する・・・。
これが、アスカがとっさに考えた自身が生き残る為のプランであった。
猪突猛進ともとれる行動だが、小細工を弄する時間はすでに無い。
「アス――、今、――ンジ君が――へ―」
不意に第二発令所の伊吹二尉から通信が聞こえてきたが、アスカにはよく聞き取る事が出来なかった。
正直、今はそれどころではない。
突進を続ける弐号機は待ち受ける量産機・・・右腕が欠けていたその機体は7号機なのだが、
アスカが弐号機の両腕をその7号機に伸ばそうとしたその時、量産機は空へと舞い上がってしまった。
「な・・・!」
上空から攻撃されればひとたまりも無いが、今はそんな事を気にしている時間すら無い。
程無くして弐号機のモニターにアンビリカルケーブルのソケットが確認された。
アスカの弐号機はヘッドダイビングでもするかの様にソケットに手を伸ばす。
「はぁっ!」
アメフトのタッチダウンを髣髴とさせる動きで弐号機は地面をゴロゴロと転がる・・・。
そして、その手には見事アンビリカルケーブルのソケットが握られていた。
アスカはそのソケットを急いで弐号機の背中に接続する。
再び外部電源の表示へと切り替わる弐号機内のモニター・・・直前に見たそのカウントは残り10秒を切っていた。
だが、かろうじて活動限界を避ける事が出来たとはいえ、ホッとしている時間は無い。
いくら他に手段が無かったとは言え、その行動はあまりにも無謀だとアスカ自身認識していたからだ。
量産機が飛び上がったはずの上空をアスカは慌てて確認する。
「え・・・?」
アスカが予想していた場所に量産機の姿は無かった。
さっき自分が包囲されていた場所にも・・・その上空にも・・・再び包囲されたのかと思えばそうでもない。
一応、頭上も見てみたものの・・・量産機の存在は確認出来ない。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
「アスカ!シンジ君が!シンジ君が!」
突然聞こえてきた、シンジの絶叫と伊吹二尉の悲痛な叫び。
アスカが振り返るとそこには・・・
「な・・・なによ、あれ?」
両手両足をロンギヌスの槍に貫かれ、まるで磔にでもされたかの様に空中に拘束された初号機の姿があった。
でも、いつの間に初号機が出撃していたのだろう・・・。
そういえば、さっき聞こえてきた伊吹二尉の通信は・・・?
よく聞いてなかったが、シンジが出撃したというような事を言っていた様な気もする。
「ちょっと、馬鹿シンジ!出てきていきなり拉致られるなんて何やってんのよ!」
アスカが率直な感想を叫ぶが彼からの返答は無い。
聞こえてくるのは絶叫とガチャガチャとエントリープラグのレバーを操作する音のみ・・・
もっとも、戦自との戦いを経て量産機との戦闘に移行したアスカとは違い、今のシンジは戦意に欠けていた。
そんな状態で突然EVAシリーズ9機の襲撃を受けては、そうそう反応できるものでも無いだろう。
「初号機、高度1000mに到達!なおも上昇中!」
第二発令所から日向二尉の報告が届く。
その間も、初号機がEVAシリーズによって上空へと連れ去られていく光景をただ見上げるしかないアスカ。
だが、その時
「EVA零号機、ジオフロントに出ます!」
青葉二尉の声が聞こえるのとほぼ同時にジオフロントに青い色のEVAが出現した。
前回、渚カヲルに制御されアスカ自身で制止させた零号機・・・その時の損傷はすっかり修理されている。
あの時とは違い、零号機の中には人が乗っているはずだ。
「アスカ!遅れてごめん!だいじょぶだった?」
零号機から聞こえてきた慌てた様な声の主は、当然専属パイロットである綾波レイである。
だが、弐号機のモニターに映し出されているレイのその姿は、頭にインターフェイスヘッドセットを付けているのみ。
いつもの白いプラグスーツではなく第壱中学校の制服のままである。
どうやら、本当に慌しく出撃してきたらしい。
今日はこんなところでノシ
GJ!!
ついにはじまった最終話
長い話になりそうだ
レイが来た(゚∀゚)
ウナギなんか全部食べちゃえ!
「大丈夫じゃないわよ!馬鹿ファースト!遅すぎるっての!」
開口一番、アスカの罵声が飛んできた。
いつも通りの反応が返ってくるという事は彼女が無事である事を示しており
その事実はレイを少なからず安心させた。しかし・・・
「ねぇ、今って何がどうなってんの?それにシンちゃんは?」
その言葉通り、レイには今の状況がまるで分かっていなかった。
戦自の襲撃を受けている今のネルフ本部では、
いつもの様に出撃前に説明らしい説明を受けていられるような状況では無かったのだ。
第二発令所においても本部内に侵入してきた制圧部隊への対処やアスカのサポートなど
こなさなければならない仕事が山積みとなってしまっている。
おまけに作戦部長であるミサトが不在では・・・無理もない話と言えるだろう。
「・・・馬鹿シンジならあそこ。EVAシリーズに連れ去られちゃったのよ。」
一言二言で状況説明をあっさり終わらせるアスカ。
そして彼女が指し示した方向はジオフロントのはるか上空・・・
青い空と白い雲の隙間にEVA初号機と翼を広げたEVAシリーズが昇っていくのが見える。
「ちょ・・・ちょっと!なんでそんなに落ち着いてんの?なんとかしなきゃ・・・!そうだ、通信で―――」
「あいつ、今パ二くってるから無駄。
でも、今ならあの馬鹿を連れ戻すことが出来るかもしれないわ。」
慌てふためくレイに対し、冷静沈着なアスカ・・・
もっとも、冷静と言うよりは呆れた様な様子でもある。
「ねぇ・・・ねぇ!どうしよう!このままじゃシンちゃんが・・・!もしかしたらあの白いのに食べられちゃうかも・・・!」
「・・・EVAが共食いなんかするわけないでしょうが。」
ため息交じりにレイの妄想にツッコミを入れるアスカだったが・・・
そういえば・・・第14使徒が襲来した時に初号機がその使徒を捕食した事があったらしい。
アスカ自身、直接見たわけではないのだが・・・
使徒とEVAを同列に扱うのは無理があるかもしれないが、レイの意見にも妙な説得力が感じられる。
「とにかく人の話を聞きなさいって。今なら手があるんだから」
やんわりと自分の意見を述べるアスカ。
だが、一方のレイは上空に昇っていくシンジを目の当たりにし、ただオロオロするばかり。
彼女にとって希望となりえる発言をアスカがさらりと言っているにも関わらず、その事実に気付く気配すら無い。
そして、そんなレイの態度にアスカは段々腹が立ってきた。
「いい加減、落ち着きなさいよ!」
ゴッ!
アスカの怒りそのままに弐号機の拳が零号機の頭部に振り落ろされた。
嫌な鈍い音が周囲に響き渡る。
当然、神経接続されているレイにもその痛みがダイレクトに伝わってしまい、
零号機は頭を抱えてしゃがみこんでいる。
「いったぁ〜。」
レイはエントリープラグ内で頭を抱え痛みをこらえていた。
ふと見上げると、そこには仁王立ちをしているアスカ・・・もとい、弐号機の姿が。
「いい?ファースト。
EVAシリーズに連れてかれたシンジは、今も昇ってっちゃってるから当然私達の手は届かない。
私達のEVAは空を飛べないからね・・・ここまでは分かった?」
アスカの状況説明にコクコクと頷くレイ。
彼女はただ黙ってアスカの説明を聞いている。
「かと言って、狙撃すれば良いってモンでもないワケ。
EVAシリーズに効くかどうかは別として、私達がやらなきゃならないのはシンジの救出なんだから。」
「うん。でも、どうやって?」
レイの問いに、アスカは弐号機で遠方を指し示した。
その先にはジオフロントの森林が続いているだけで、これといって目に付くものは無いが・・・
今日はここまでノシ
GJ!!
仁王立ちの弐号機って結構想像しやすいなww
「あんたは向こうの方からこっちに向かって全力で駆けてきて。
私の弐号機は正面に手を組んで待ってるから、ファーストはそれに足を掛けて全力でジャンプ。
そうすれば、多分あの馬鹿のいるところくらいまでは届くはずよ。」
アスカの言う提案とは、
どうやら1機のEVAがアシストに回り、もう1機のEVAを上空へ放り投げるというものであるらしい。
EVA自体の重量は相当なものだが、EVAにはそれにも勝る筋力、そして瞬発力がある。
こういった事は初めての試みだが・・・もしかしたらうまくいくかもしれない。しかし・・・
「でもさ、うまく出来るかな・・・?」
初めてやる事だけにレイは不安の表情を覗かせている。
正直なところ、レイは自らの操縦技術にそれほど自信があるわけではない。
EVAの操縦に優れたアスカが2人いれば出来そうな事なのだろうが・・・
最悪、ジャンプできずに零号機と弐号機が激突という可能性だってある。
「うまく出来るか?じゃなくて、やらなきゃ駄目なのよ。
それ以外にシンジを連れ戻す方法なんて無いんだから。のんびり考えてる時間があるわけでもないしね。」
アスカの言う事も一理ある。
空を飛べないEVAがシンジの居る高度まで昇るには・・・今すぐに取りえる手段としては他に方法は無いだろう。
専用の輸送機を使う事も不可能では無いだろうが、今のネルフ本部にそこまでのサポートは期待出来ない。
結局、彼女達2人でどうにか対処する以外に方法は無いのだ。
「わかった。やれる事はやっとかなきゃならないもんね。」
そう言うとレイの零号機は弐号機から離れていった。
その間、アスカは第二発令所と連絡を取り、零号機投擲時の細かい調整を依頼している。
程なくしてEVA2体は約1km程の距離を開け・・・、お互いに向き合う形で対峙した。
「じゃ、行くよ!」
「りょーかい。しくじるんじゃないわよ。」
いつになく真剣なレイに対し、少々気が抜けている様に聞こえなくも無いアスカの返答。
アスカなりのレイを焦らせない様にする配慮なのかもしれないが・・・それは当の本人にしか分からない事だ。
直後、レイの零号機はアンビリカルケーブルをパージ。
EVA特有のけたたましい足音を轟かせながら弐号機に向かって突進を開始した。
一方のアスカは弐号機の正面で手を組ませ腰を限界まで落としている。
それなりの距離が開いていたはずが、EVAの脚力によりみるみる2機の相対距離が縮まっていく。そして・・・
「うあぁぁぁぁぁっ!」
「どおりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ジオフロントに響かんばかりの2人の掛け声。
弐号機が組んだ両手に右足を掛けるレイの零号機は一気に上空へと放り投げられた。
2機のEVAの力により、地上で踏ん張った弐号機の周囲の地面は崩れている。
そして・・・それらは一瞬の出来事であった。
「すごい・・・!ホントに空飛んでるみたい・・・!」
零号機のエントリープラグ内で周りを見渡しながらレイは驚きの声を上げていた。
上空の雲は見る間に通り過ぎていき、地上のジオフロントはあっという間に小さくなっている。
その間も零号機は凄まじいスピードで空中を昇っていた。
当然、推進力は時を追うごとに落ち始めてはいるが、
このままなら今も上空へと昇っている初号機にもなんとか追いつけるだろう。
「アスカ、すごい!とっさにこんな方法思いつくなんてさっすが〜!」
「フッ、当然よ。アンタはアンタでしっかりあの馬鹿を連れ戻してきなさいよ。」
モニター越しに映るニコニコ顔のレイに褒められ、勝ち誇ったような表情で笑みを浮かべるアスカ。
確かにこのまま順調に進めばシンジの元に到達するのは確実である。
「え・・・あれ?なんか・・・来た?」
レイの眼に上空から舞い降りてくる白い影が飛び込んできた。
「レイ!量産機が1機降下中だ!気をつけろ!」
間髪入れずに第二発令所の日向二尉から警告が入る。
確かに、上空から降りてくる物体が翼を広げた白いEVAシリーズの内の1機である事はまず間違いない。
巨大な剣を携えた量産機は一直線に零号機に向かってくる。
今日はここまでですノシ
うひょー大活劇!クライマックス!
続きが気になる木になる!
GJ!シカシ終わりが近ずく淋しさもアル
それに対し、零号機は即座にプログレッシブナイフを装備。
あの巨大な剣の前には玩具同然であるが、それでも装備していないよりはマシである。
「はあっ!」
零号機は手にしていたプログレッシブナイフを量産機に投げつけた。
だが、そんな攻撃が通用するはずもなく、量産機は手にしていた大剣でプログレッシブナイフを振り払う。
しかし、剣を振るった事で量産機に僅かな隙が生まれ・・・そして、その瞬間をレイは見逃さなかった。
「えいっ!」
隙の生まれた量産機に接近した零号機は、量産機に足をかけ再び跳躍。
落ちかけていた推進力を再び得て、零号機はスピードを増しながら再び上昇を開始した。
一方、踏み台にされた量産機は地上へと墜落していく。
「へぇ〜、アンタにしては機転が利くわね。」
地上で眺めていたアスカは珍しく感心した声を上げる。
そんなアスカに対し、モニター越しに得意気にVサインを決めるレイ。
だが、そんな明るい状況も長くは続かなかった。
零号機の接近が阻止できなかった事を確認した別の量産機が降下を始め、レイの零号機へと向かってきたからだ。
「あわわ・・・!ど・・・どうしよう!ねぇ・・・どうすれば良いの!?」
先程とはうって変わって、慌てた様子のレイはモニターに映るアスカに叫ぶ。
唯一の武器であったプログレッシブナイフはすでに使ってしまって、今の零号機は素手の状態。
地上ならレイにも対処方法くらい思い浮かぶのだろうが・・・ここは空中である。
独自に空を飛ぶことの出来ない零号機では攻撃はおろか避ける事すらままならない。
「どうしようって・・・!アンタ自分でどうにかしなさいよ!」
「そんな無茶な!」
突き放す言い方のアスカにレイは言葉を失う。
そして、そうしている間にも量産機は迫ってきている。
敵は大剣を正面に構えて突進してきており、このままの状態では零号機が真っ二つにされかねない。
だが、何も妙案は思い浮かばず・・・やむなく、レイは零号機の両手を正面にかざした。
「アンタ、なにする気よ・・・?」
「・・・し、白刃取り。」
アスカの問いに答えるレイの声には自信が全く感じられなかった。
それも当たり前の話で、レイは当然白刃取りなどやった事は無く、それをとっさに行えるだけの技量もあるかどうかも疑わしい。
仮に大剣を受け止められたとしても、そこから再びシンジの救出に向かえるかどうか・・・
だが、地上のアスカにしても何も策は思い浮かばない。そんな時
「レイ!肩に非常制御用の固体ロケットがあるわ!それを噴射させれば少しは推進力が得られるはずよ!」
「肩の・・・?」
伊吹二尉の提案をレイが理解するまで少し時間がかかった。
EVAの肩のパーツには、高度から着地した際の衝撃を抑えるためのロケットが左右に5基づつ内臓されている。
すっかり忘れていたがネルフが停電した時にやってきた使徒を倒す時に使った・・・様な気がする。
だが、量産機はすでに目前・・・今から作動させたところで間に合うかどうかは自信が無い。
「やっ!」
それでも、すぐさま非常制御用のロケットを点火させるレイ。
点火させると同時に先程までより少しスピードが上がった様に感じられた。
突然、目標としていた零号機のスピードが変化し戸惑う仕草を見せる量産機。
その量産機を下にかわし、同機をふたたび足場に跳躍しようとした零号機だったが・・・
ガシッ!
「わっ!」
ロケット噴射のタイミングが遅すぎた。
完全に避けきる前に量産機と接触、零号機の腰の部分をガッチリと抱え量産機は離脱を始めてしまった。
肩に担がれるような格好で零号機は連れ去られていく。
「ちょっと!なにすんのよ!放して!放しなさいってばぁ!」
必死に手の届く範囲をボカボカと殴るレイの零号機だったが、腰の入ってない打撃が通用するはずもない。
そして、初号機や他のEVAシリーズと十分に距離を取ったところでレイの希望通り・・・
量産機は零号機を振り落とそうと力を込め始めた。
逆に、今度は振り落とされまいと量産機の背中に必死にしがみつくレイの零号機。
高度はおよそ3000m・・・この高さから落ちてEVAが壊れる事は無いだろうが、
振り落とされてしまえばシンジの救出は絶望的となる。
今日はここまで。
結構、長くなるような気がしなくもないですが、もうしばらくお付き合いくださいノシ
GJ!!
どこまでもついていきます
「くぅっ・・・!」
全力で量産機の背中に手をかける零号機だったが、
EVAの背中には取っ掛かりになるような場所は無く、現在の状態を維持するだけでも一杯一杯である。
羽ばたいている量産機の羽も非常に零号機にとっては邪魔な存在だ。
おまけに、段々と手が滑り始めてきており・・・このままでは地上に落とされるのも時間の問題だった。
量産機の背中にある数少ない突起に手をかけ、なんとか耐えていた零号機だったが・・・
バキッ!
「へ・・・?なに?今のバキッって・・・?」
何か嫌な音がしたが、その原因が分からずキョトンとするレイ。
その瞬間、零号機を振り落とそうとしていた量産機の力がとたんに無くなった。
これ幸いと量産機の背中に掛けていた手の位置を直そうとした零号機だったが・・・
レイはふと零号機が手に何かを持っているのに気付く。
同機が手にしていたのは白いカバーの様なもので、その下には灰色をした何かの機械が付いている。
もっとよく確認しようとそのカバーを目の前に近づけた、その時
「え?」
その機械から細長い筒の様なモノがズルリと抜け落ち、そのまま地上へと落下していった。
赤い色をしたその表面にはアルファベットがなにやら書かれていて・・・
以前どこかで見たような気がする。何だろう・・・?
だが、レイにはそれを思い出す時間すら与えられる事は無かった。なぜなら・・・
「わぁぁぁぁ〜!」
その量産機が突然降下を始めたからだ。突然の状況変化に素っ頓狂な声を上げるレイ。
同機は翼をほんの少し広げ零号機を肩に担いだまま・・・、
真っ逆さまに地上へと突き進んでいる。
「やだ!放して!」
だが、量産機は零号機の身体をまるで離そうとはしない。
いや・・・放す放さないの話ではなく、どうも量産機が活動している様には見えない。
口や手足は硬直したまま、翼も中途半端な位置で完全に停止・・・
さっきまでの量産機とは動きがまるで違っている。
もっとも、レイにとってはそんな事を気にしていられる状況でも無かった。
「ね、ねぇ!放さなくても良いからとりあえず飛んで!このままじゃ墜落しちゃうよ?」
気が動転したのか、量産機に対し必死に話しかけるレイ。
もちろん、量産機がその声に答える事は無く、ただ地上へと降下するのみである。
なんとか抜け出そうとするも、零号機の腰は量産機の腕にしっかり抱えられており、
そこから抜け出す事も出来ない。
「ったく!世話が焼けるわね〜!」
地上でその様子を眺めていたアスカ。
彼女は文句を言いながらも、零号機と量産機が墜落するであろう地点に弐号機を移動させる。
万が一の場合に備えて零号機を受け止めようというのだろう。
(飛び上がんの・・・ファーストじゃなく、自分のほうが良かったかしら・・・?)
移動しながら、アスカはふと心の中で自身に問いただしてみる。
自分ならきっと量産機にも対処出来ていたはず・・・だが、上空に放り投げるというのも楽な仕事では無い。
レイに放り投げられていたとして・・・果たして、ちゃんと上空へ飛び上がれていただろうか・・・?
「・・・・・。」
否。おそらく、あらぬ方向に投げ飛ばされネルフ本部の建物にでも突き刺さっていた事だろう。
アスカは改めで自分の判断の正しさを再認識する。
「飛べ!飛んで!飛んでってば!」
一方、レイはエントリープラグのレバーをガチャガチャ動かしながら叫んでいる。
「今、行かなきゃ・・・!このままじゃシンちゃんが!」
レイの眼に映るのは上昇していく初号機の姿・・・だが、すっかり距離が離れてしまった。
初号機と、その周囲に在るEVAシリーズは浮かびながらそれぞれの配置に付き、宙に何かの模様を浮かび上がらせている。
何をするつもりなのかは分からないが・・・このまま放っておけるワケが無い。
「飛んで!飛べ!飛んでよっ!
じゃないとその羽、手羽先にしちゃうからっ!」
レバーを動かしながら精一杯の声で叫ぶレイ。
だが、量産機は何の反応も示さない。このままでは本当に量産機もろとも地表に激突してしまう。
「あたし・・・、あたし、どうしてもシンちゃんを助けなきゃならないの!
碇司令との約束・・・守らなきゃならないの・・・!
だから・・・お願い!飛んで!飛び上がって!」
レイの懇願するかのような叫び。
その瞬間、量産機の眼が光った・・・様な気がした。
もっとも、量産機の頭部には口があるのみで、その表面に眼は見当たらないのだが・・・
だが、さっきまでの硬直が嘘のように量産機は活動を再開。
再び翼を羽ばたかせ、零号機を抱えたまま滞空している。
「あ、やった・・・やった!助かったぁ〜!君、偉い!」
降下が止まった事に気付き、レイは零号機の手で量産機の頭をペチペチと叩いて喜んでいる。
彼女の言う君とは・・・おそらく自分の零号機を抱えている量産機に対してのものだろう。
本来、敵のはずの量産機に感謝の言葉を述べるのもアレなのだが・・・レイの素直な気持ちの表れでもあった。
それにしても・・・零号機に攻撃を仕掛けてきた時とは違い、その量産機には何の意思も感じられない。
「ファースト・・・、あんた何してんの?」
量産機に抱えられている零号機を眼に素直な疑問を口にするアスカ。
その量産機は自分がコアを潰そうとしていた13号機なのだが・・・
その13号機がなぜ大人しくしているのか分からなかった。
ダミープラグにより起動しているとは言え、その行動は決して生易しいものでは無かったからだ。
「よくわかんないけど・・・なんか、この子言う事聞いてくれたの。
じゃ、あらためてシンちゃんを助けに・・・わっ!」
レイの言葉が言い終わる前に13号機は行動を開始した。
だが、今度は急降下ではなく翼を羽ばたかせて上昇している。まるでレイの意思を汲み取っているかの様に・・・
一直線に初号機とEVAシリーズの居る場所へ向かってくれている。
「君・・・、どうして?」
13号機の背に乗せられた零号機。
そのエントリープラグ内でレイは率直な疑問を口にする。
少なくとも、EVAシリーズ・・・いや、EVAシリーズの主である彼らにとって敵であるはずの自分を助ける道理は無い。
だが、今の13号機の行動は明らかにレイにとって手助けとなっている。
今日はここまでノシ
GJッ!
13号機の離反。『13』。ユダ。
忌み嫌われた呪われた数字。
堕ちたダミーブラク。
エントリープラグ。ダミープラグ。
魂の座。偽りの座。
魂無きエヴァシリーズ。『13号機』。
動かしているのは…?
即興でそんな事を書きたくなる面白さ!
しかし、リナレイなら、敵であっても説得されちゃうのも無理がねえなw
GJ!!
>>226 量産機「俺を踏み台にしただと!?」
「もしかして、助けて・・・くれるの?」
その時、レイはふと量産機の背中に大きな穴が開いているのに気付く。
なんだろう・・・?背中の首元から少し伸びた部分・・・、その周辺のパーツがごっそり消えてしまっていた。
そこはダミープラグを挿入する場所であり、図らずも彼女が先程壊してしまった部分でもある。
つまり、今の13号機は通常の方法で起動しているワケでは無く・・・
「よ〜し!それじゃ、そのままあたしをシンちゃんのトコまで連れてって!」
その瞬間、さらにスピードを増す13号機。
一見、13号機の意思でレイを助けている様にも見えるが・・・
実のところ、この量産機を制御しているのは他ならぬレイ自身なのだ。
以前、渚カヲルが零号機を従えたのと同様の方法で・・・
もっとも、カヲルとは違いレイは無意識下で制御している為、彼女自身にその自覚はまるで無い。
「レイ!聞こえる?活動限界まであと2分、気をつけて!」
第二発令所から届く伊吹二尉の警告。
さっきまで色々あったのですっかり忘れていたが、
今の零号機は空中に昇るためアンビリカルケーブルを繋いでいないのだ。
一時はどうなる事かと思ったが13号機の協力のおかげで、もうすぐ初号機の元へとたどり着ける。
また、初号機の周囲に展開しているEVAシリーズは何かの儀式を進めているらしく、
そちらの方を優先するつもりの様だ。
レイの零号機が接近しているにも関わらず妨害しようとはしてこない。
「EVAシリーズ!S2機関を解放!」
「次元測定値が反転、マイナスを示しています!観測不能!数値化出来ません!」
青葉二尉と日向二尉の声がレイの元にも聞こえてくる。
上空で光り輝いているEVAシリーズと何か関係があるのだろうか・・・?
何が起きているのかは分からないが・・・のんびりとしている時間は無いらしい。
「はあぁぁぁぁっ!」
レイはATフィールド全開でEVAシリーズの待ち受ける空域へと突入していく。
もう迷っている時間は無い・・・。
目の前には、空中に磔にされ巨大な十字架の様な形のATフィールドらしきものを展開している初号機が在る。
「えい!」
それは意外とすんなりうまくいった。
零号機は初号機の腰を肩に担ぎ、そこから一気に離脱を開始。
彼女の行動に何の小細工も無かったためか、EVAシリーズ各機とも全く反応が出来ていない。
そのままの空域で呆然としているかの様に・・・ただ、浮かんでいた。
先程までの輝きも空に浮かび上がっていた模様も今はすっかり消えてしまっている。
「ありがと!今度はあたし達を地上に連れてって!」
自分を乗せてくれている13号機に指示・・・いや、お願いをするレイ。
13号機は嫌がる素振りも見せずレイの指示に素直に従ってくれている。
操っているのはレイ本人なのだから、当然といえば当然なのだが・・・
当の本人には量産機が協力してくれている様にしか見えない。
「・・・綾波?」
突然、レイの元にシンジの呟きが聞こえてきた。
彼は今現在の自分の状況が飲み込めていないらしい。
「シンちゃん、大丈夫?ケガとかしてない?」
ずいぶん久しぶりとなるシンジとの会話・・・。だが、シンジからの返事は中々返ってこない。
「・・・僕は・・・やっぱり駄目なんだ。
EVAに乗っても・・・何も出来ない。人を・・・みんなを傷つけるだけなんだ。」
エントリープラグの映像は繋がっていないが、弱々しいシンジの声は聞こえてくる。
今にも泣き出しそうな・・・そんな声だった。
「トウジも・・・カヲル君も・・・殺してしまったんだ・・・。僕は・・・僕は・・・」
自問自答するシンジの声。
そんなシンジの初号機を肩に担ぎながらレイの零号機はその背中を優しく撫でている。
「あたしも・・・一緒だよ。
あたしも・・・知らないうちに他の人の事を傷つけてた・・・。」
今のレイの脳裏に浮かぶのは、ターミナルドグマで出会ったリツコの姿だった・・・。
彼女が自分に対し抱いていたある種の感情・・・レイはその瞬間までその事に気付けなかったのだ。
銃口をこちらに向け憎しみと悲しみに満ちた眼で自分を睨みつけていたリツコ・・・
多分、あの眼は一生忘れる事が出来ないだろう・・・。
「多分、シンちゃんだけじゃなく・・・みんな一緒なんだと思うよ。
生きているんだから・・・生きていくんだから・・・・・ね。
気にしないのは駄目かもしれないけど・・・それでも、精一杯生きていった方が良いんじゃないかな。」
まるで自分自身にも言い聞かせている様なレイの言葉。
その間も零号機と初号機、そして彼らを乗せてくれている13号機は地上へと近づいていた。そして・・・
ズシィィィィン!
ある程度の高度から、零号機はシンジの初号機を抱えたまま地上へと飛び降りた。
そして、彼らに付き従うかの様に遅れて着地する13号機・・・
「今は・・・頑張ろうよ?このままだとみんな死んじゃうかもしれないし・・・。」
レイは、初号機を立たせ同機の両肩を掴みながらエントリープラグ内のシンジに言葉をかける。
「・・・うん。」
初号機から聞こえてくるシンジの小さな声・・・
とりあえず、レイの言う事を分かってくれた様だ。
「ファースト!アンタ、何やってんのよ!」
ふいに聞こえてくるアスカのいつも通りの罵声。
と、同時にレイの零号機の活動限界を示す数値が停止、外部電源の表示へと切り替わった。
「あ、アスカ。ありがと。」
アンビリカルケーブルを繋いでくれたであろうアスカに、レイは感謝の言葉を述べる。
だが、当のアスカにはそんなレイの言葉など届いていない。
「なんでEVAシリーズがそこに居んのよ!おかしいでしょうが!」
アスカにとっては、先程まで死闘を演じていたEVAシリーズ。
その内の1機がさも当然の様にレイの零号機の傍らに立っている・・・その事実にアスカは納得がいかなかったのだ。
「この子敵じゃないよ・・・。だって、あたしの事を助けてくれたもん。」
「んなワケないでしょ!そいつは敵よ、敵!」
レイがなだめようとするがアスカは聞く耳を持とうともしない。
一歩間違えば殺されていたアスカからすれば、そう考えるのも無理は無いだろう。
弐号機には量産機が手にしていた大剣が携えられており、その気さえあればいつでも13号機に振り下ろせる体勢にある。
ちなみに今、弐号機が手にしている大剣の主は、零号機が踏み台にした量産機であり・・・
同機は墜落と同時に、弐号機の手によりダミープラグもろとも完膚なきまでに破壊され、すでに亡くなっていた。
「駄目!アスカちゃんを殺さないで!」
レイの唐突な言葉に、手にしていた大剣が手から滑り落ちそうになるアスカの弐号機。
アスカは慌てて、よろめいてしまった弐号機の体勢を整える。
「綾波さん。どうして私をちゃん付けで呼ぶのかしら?」
満面の笑みを浮かべ、レイに尋ねるアスカ。
優しそうに微笑む彼女はどう見てもいつものアスカでは無かった。
おまけに彼女がレイの事をさん付けで呼ぶなど・・・これが最初で最後かもしれないし明日は嵐かもしれない。
「違うよ。アスカちゃんってこの子の名前。いつまでも君とかで呼ぶのは可哀想で―――」
ドゴッ!
レイの言葉が言い終わるか終わらないか・・・その瞬間に弐号機の回し蹴りが零号機の腹部にヒットした。
蹴りがクリーンヒットし思いっきり吹っ飛ばされるレイの零号機。
今日はここまでですノシ
アスカちゃんwww
俺の中で妙に愛嬌のある量産機が
出来上がってしまった
GJ!
GJ!
「ファ〜スト〜!なんでよりにもよって私とその白ウナギが同じ名前なのよ!」
ジオフロントに倒れ付す零号機に怒鳴るアスカ。
もっとも、質問する前からなんとなく分かってはいたのだが・・・
「酷い!アスカちゃんは白ウナギじゃないもん!」
首をフルフルと横に振り、眼には涙を浮かべて必死の主張をするレイだったが・・・
どう見てもワザとやっている様にしか見えず、
彼女のその行動はアスカの神経を逆撫でしただけに過ぎなかった。
「やかましい!」
簡潔な一言でレイをピシャリと黙らせるアスカ。
その間、零号機の頭にアイアンクローをかける弐号機の姿がジオフロントに在ったのは決して見間違いなどでは無い。
あまりの痛さに零号機ごとレイは両手をブンブン振ってもがいていた・・・。そんな時
「くぉらぁ〜!三馬鹿ぁ、何しとるかぁ!」
ふいに、馴染みのある女性の声が第二発令所から聞こえてきた・・・
「・・・ミサトさん!」
その声に驚いたのはシンジだった。
自らを命懸けでEVAのところへ送ってくれた人・・・
シンジが知っているのは戦自の制圧部隊の襲撃を受け、別れてしまったところまで・・・
もしかしたら・・・と、最悪の事態すら考えていたが、
通信により聞こえてくるミサトの声はいつもの調子そのままだった。
「現在EVAシリーズは高度3000mで滞空中、地上の様子を伺っている模様です。」
「こっちの出方を見ているのかしら・・・。」
日向二尉の報告に腕を組みながら思案をめぐらせているミサト。
上空の量産機はそれぞれ弐号機による損傷の痕が見られるが、
それでも戦闘能力そのものは依然健在と思われる。
手持ちのEVAの数から考えてもこちらの不利は否めない・・・。
だが、主モニターに映し出される光景に、真剣な彼女の表情が一気に呆れたものへと変わった。
「はぁ・・・、それにしても、この非常時にあの子達は何やってんだか・・・。」
弐号機と零号機のやり取りを見ながらミサトがため息混じりに呟く。
レイやアスカ・・・当人達にしてみれば真剣そのものなのだが、第三者の視点から見ればふざけている様にしか見えない。
アイアンクローを外された弐号機だったが、今度は踵落としを零号機にお見舞い中である。
そして、彼女らのやり取りの声は第二発令所にもちゃんと届いていた。
いまだに続いているアスカの怒号とレイの弁解はまるで終わりを見せようとはしていない。
「やれやれ・・・また恥をかかせおって。」
発令所の上部にある司令専用席の傍らで同じく主モニターを眺めていた冬月副司令。
頭を抱えてはいるが、以前とは違いその表情は苦笑気味である。
「・・・葛城三佐、お体は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。こんなのかすり傷みたいなモンだから。まぁ、ちょっちヤバかったけどね。」
心配そうに問う日向二尉に対し、彼を安心させるかの様に明るい口調で返すミサト。
彼女の左腕には包帯が巻かれている。
これは、戦自の制圧部隊との銃撃戦において負傷したものであるが・・・
ネルフ側の支援部隊が間に合い第二発令所へ戻ってくる事が出来たのは不幸中の幸いと言えるだろう。
「現在、戦自の部隊の大半が第二層の確保に当たっています。第三層への侵入は比較的小規模の模様です。」
「あっちもあっちで様子見ってワケか・・・戦自と言えど攻めあぐねてるってトコかしらね。
弐号機が踏ん張ってくれたおかげかしら・・・。」
青葉二尉の報告もあわせ、ミサトは現在の状況把握に努めている。
一個師団を投入してきた戦自だったが・・・やはり、弐号機による漸減はかなり効いていた様だった。
戦車大隊を始めとする地上戦力は序盤でほぼ壊滅。
後詰めとして期待された航空部隊も弐号機に対し有効な攻撃を与える事は出来なかった。
唯一の利点である制圧部隊での本部侵入も途中まではうまくいっていたものの・・・
やはり全体的な戦力が減衰していたためか、さすがの戦自も手詰まりと言った状況へ陥っていたのだ。
今日はここまでノシ
GJ!
白ウナギじゃないもんで吹いたwww
GJ!
ミサト生存!
「シンジ君、レイ、アスカ、よく聞いて。」
考えをまとめたミサトが三人に指示を与えようとする。しかし・・・
「だって、アスカちゃんがこの名前が気に入ったって言うんだもん。ね〜?」
「ね〜?じゃないわよ!
気に入ったかどうかなんてアンタに分かるワケないでしょ!
・・・って、アンタもアンタで適当に頷いてんじゃないわよ!白ウナギの分際で!」
レイとアスカの口論はいまだに続いていた。このままだと本当に延々と口喧嘩が続きかねない。
一応、シンジが仲裁しようともしているのだが、
ほとんどオロオロしているだけで何の役にも立てていないのが原状である。
「だまらっしゃぁぁぁい!」
ミサトの怒鳴り声がレイ、アスカのエントリープラグ内に響き渡った。
当然、何もしていないシンジもミサトの大声による被害を被っており、
第二発令所の面々も同様に巻き添えを食らってしまっている。
あまりの声の大きさにレイもアスカもキョトンとしてそれまで続いていた口論を止めてしまった。
「あれ?葛城三佐・・・どうしたんです?」
「なに、ミサト?いつ戻ってきたのよ?」
ミサトの存在にたった今気付いたレイとアスカの二人組。
喧嘩に夢中だったため、先程のミサトの声はまるで届いていなかったのだろう。
「戻ってきたのはついさっきよ。
ところで、あなた達に聞きたい事があるんだけど・・・・・・・・・その量産機、何?」
「アスカちゃん。」
ミサトの問いに即答するレイ。
その直後、弐号機に拳骨を振り下ろされる零号機の図が第二発令所の主モニターに映し出されたのは言うまでもない。
「そんなの私らも知らないわよ〜。なんかファーストに懐いてるみたいだけど?」
頭を抱え蹲っている零号機をよそにアスカがやれやれといった態度で質問に答えている。
とは言っても、量産機がなぜ零号機・・・いや、レイと行動を共にしているのかはアスカにも解りようが無いのだが・・・
「あのアス・・・EVA13号機にエントリープラグは挿入されていません。理論上、起動出来るはずは・・・」
状況を察した伊吹二尉が現状で得られている情報をミサトに報告する。
MAGIによって得られた情報であるEVA量産機の基本性能や飛翔能力、
武装であるロンギヌスの槍のコピーの存在などなど・・・適度に掻い摘んで分かりやすく説明している。
しかし、今の13号機がなぜ起動しているのかまでは突き止められていない。
「でも、事実なのよ。まずそれらを受け止めて・・・そこから探ってみて。」
ミサトの眼に映る13号機には、敵対する意思はおろか独自に何かをしようという仕草すら感じ取れない。
常にレイの零号機の傍らに佇んでいるだけである。
本当に味方となってくれるのであれば心強い存在となりえるのだが・・・
本当に信頼できるかどうか・・・現時点ではまだ情報が足りなさ過ぎた。
「いい?みんな、よく聞いて。これからの作戦を説明するわ。」
ミサトがこれからの行動についての説明を3人に始める。
短いですが、今日はここまでノシ
おっつおつ
ゆっくりと‥‥だが、確実に進んでいくのが嬉しい。
乙!
こんだけ投下スピードが早いのは有り難い。
飢えなくてすみます
職人さん乙かれです。
>>254 > 「あのアス・・・(後略)」
マヤ……w
>>253 > アンタもアンタで適当に頷いてんじゃないわよ!白ウナギの分際で!
うんうん、ってしてる量産機想像してちょっと萌えたw
「・・・要は、EVAシリーズを全滅させれば良いってコト?」
「そ。残り8機のEVAシリーズを殲滅してちょうだい。私達が生き残るにはそれしかないわ。」
説明を聞いたアスカがミサトに確認する。
ミサトが下した命令は単純明快、ネルフが現有するEVA3体によるEVAシリーズの殲滅・・・
もっとも、アスカがすでに1機破壊しているため残るEVAシリーズは8機となるのだが。
しかし、そのミサトの作戦に異を唱える人間がここに1人・・・
「葛城三佐・・・。アスカちゃんは違いますよ。この子はあたしを助けてくれたんです。」
切々と自分の心情を上司であるミサトに訴えるレイ。
いつになく真剣な彼女の表情に、ミサトもやや引き気味である。
「え・・・あ、あぁ、そうね。一応、報告は聞いてるわ。
ま、とりあえず上空の7機は確実に殲滅して。
そのアス・・・あ〜、アンタ達の近くにいる量産機のコトは後で考えましょ。」
ミサトの提案は平たく言うなら問題の先送りなのだが、今はそれ以外に妙案も浮かばない。
第一、のんびり考えている様な時間的余裕は今のネルフには存在しないのだ。
「いい?シンジ君がオフェンス。アスカがディフェンス。レイがバックアップ。
再生能力の高い量産機を仕留めるにはエントリープラグの破壊が現時点で考えられる最も確実な手段よ。
今、それぞれの武器を上げるからそれを装備してEVAシリーズの攻撃に備えて。」
程なくしてジオフロントにEVA専用の武器が用意された。
初号機用のマゴロク・E・ソード、弐号機用のソニックグレイブ、零号機用のスナイパーライフル・・・
銃器は先程、戦自との戦闘で弐号機がほとんど使ってしまっていたが、
スナイパーライフルが残っていたのは幸運と言えるだろう。
「あ、私は要らないわ。コレがあるし。敵の攻撃を防ぐならこっちの方がマシでしょ。」
とはアスカの言葉。
彼女の弐号機には量産機からの戦利品である巨大な大剣が握られている。
たしかに、前にかざすだけであらゆる攻撃が防げそうな程、巨大で肉厚な大剣である。
「そう?アスカがそれで良いならこちらとしてもかまわないけど・・・
シンジ君、大丈夫ね?」
ミサトがまだ何か迷っているかのような態度のシンジに声をかける。
シンジは返事らしい返事もせず・・・その態度から見ると戦意はあまり感じられない。
だが、それでもシンジなりに気持ちの整理はつけているのだろう。
彼の初号機はマゴロク・E・ソードを手に戦闘準備を整えている。
「EVAシリーズ、全機降下開始!」
日向二尉の声はジオフロントの3人にも届く。
翼を広げた7機のEVAシリーズが舞い降りてくる姿が彼らの眼にも確認出来た。
「さ、いくわよ。シンジ、ファースト。」
そう言うと、アスカの弐号機は配置へと向かう。
EVA量産機に最も近いところで攻撃を防ぐのが仕事となるからだ。
フォーメーションは、アスカを先頭にシンジがその後方、やや離れた位置にレイの零号機が支援射撃のために待機する予定である。
アスカの後を追おうとしたシンジだったが・・・ふと何かが眼についたらしい。初号機はその歩みを止めてしまった。
「綾波・・・どうしたの?」
彼の眼に映ったのはいまだに地表に膝をついてしゃがみこんでいた零号機だった。
急がなければならない状況なのだが、レイの様子が気になったらしい。
今日はここまでですノシ
乙!
マゴロク・E・ソードキタ!
職人さんはスパロボやる方ですか?
どうしよ、わくわくして眠れないw
でもレイが心配だよ(・ω・`)
「うん。なんか・・・頭が痛くて。」
「アスカ。やりすぎよ。」
自分の頭に手を添えながら返答するレイの声を聞き、ミサトがアスカに注意する。
さっきまでアイアンクローや踵落としなどを食らわせていた為か、すっかり悪役に仕立てられてしまっていた。
「なんで私のせいなのよ!ちゃんと手加減してたっての!」
ズシンズシンと弐号機を進ませながらアスカが怒鳴る。
心当たりが無いわけでは無いのだが、彼女なりに手加減していたのに自分のせいにされたのでは面白くないだろう。
先程からのレイとのやり取りもあるため・・・今の彼女の機嫌は最悪だった。
「よ〜し!なんか頭が痛い気がするけど平気平気!アスカちゃんもがんばろ〜ね!」
他意は無いのだろうが火に油を注ぐレイの掛け声。
そして、彼女の声に呼応するかの如く、巨大な大剣を手に零号機の頭上へと舞うEVA13号機。
一方、後で必ずレイをとっちめてやろうと心の中で固く誓うアスカ。
その不満の捌け口は最初に降下してきた量産機に向けられた。
「どりゃぁぁぁぁっ!」
地上に降りようとしていた量産機に向け、弐号機は手にしていた大剣を衝き立てる。
その量産機も弐号機に対し上段から大剣を振り下ろそうとしていたのだが、わずかな差で弐号機に軍配が上がった。
弐号機が衝き立てた大剣は正確に量産機の胸部を貫き、その切っ先は背中にまで達しており・・・
その途中に目標であるダミープラグが存在した。
そして、弐号機は串刺しとなった量産機を地上に叩き付け、躊躇う事無くその身体を大剣で真っ二つに両断した。
「Erst。」
1機目を手際良く片付けたアスカが呟く。
「エステ?何それ?」
スナイパーライフルを手に装備の確認をしていたレイが率直な疑問を口にした。
ドイツ語で1つの意味合いを持つこの言語もレイにしてみれば聞きなれない摩訶不思議な言葉に過ぎない。
「るさい!いちいちツッコミ入れるんじゃないわよ!」
怒鳴るアスカと怒られてしょぼくれてしまうレイ。
量産機との戦いはすでに始まっているも同然なのにこの有り様・・・第二発令所のミサトはすっかり頭を抱えてしまっていた。
「う、うわぁぁぁぁぁっ!」
初号機も別の量産機との戦闘に突入していた。
しかし、先程の弐号機との戦いとは違い、量産機は初号機の破壊ではなく捕獲に重点を置いた動きをしている様に見える。
攻撃こそしているものの、相手を倒そうという意思がまるで感じられない。
だが、そんな手加減をして捕獲出来るほど初号機は甘く無かった。
「このおっ!」
大剣を大振りに振り回していた量産機の隙を見逃さず、
左脇に構えていた鞘からマゴロク・E・ソードを一気に抜き放つ。
それはさながら剣術における居合い抜きの動きだった。
戦意に欠けているとは言え、シンジもずっと訓練を受け続けてきたEVA専属パイロットの内の1人。
マゴロク・E・ソードの剣閃は弐号機の攻撃同様、確実にダミープラグを捉えていた。
ズシイィィィィン!
糸の切れた人形の様に量産機は仰向けに崩れ落ちる。
ダミープラグを失ったためか、再起動も再生も行われる気配は全く無い。
戦闘開始からものの5分も経たずに彼らはEVAシリーズを2機撃破、残るは5機となった。
「すっごぉい!シンちゃん、頑張れ〜!」
初号機と弐号機からやや離れた場所で手をブンブン振って声援を送るレイの零号機。
応援された当のシンジは少し照れくさそうに頬を赤らめている。
一方、私には何も無しかよ・・・と、心中穏やかではないアスカ。別にレイに褒められたいワケでも無いのだが・・・やっぱり面白くない。
「アンタもさっさと仕事しなさいよ!
それから・・・その量産機!そいつも遊ばせてないで何かさせなさいっての!」
「え〜と・・・何かって言われても・・・・・・それじゃ、突撃ぃ!」
何かしろと言われても、13号機を制御しているレイ自身にその自覚が無いのではどうにもならない。
だが、とりあえず思いつく行動を13号機に示し・・・対象は彼女の想いに応えた。
零号機の直上で羽を羽ばたかせていた13号機は行動を一変、同じく上空を飛んでいるかつての仲間に対し突撃を開始した。
13号機とそれに反撃するEVAシリーズの内の1機・・・・彼らは上空で大剣同士をぶつけ鍔迫り合いを始める。その時
ダンッ!ダンッ!
大きな音とともに、13号機が相手をしていた量産機の胴体に二つの穴が開いた。
それは、スナイパーライフルによる狙撃の痕であり、もちろんその攻撃はレイによるものである。
「アスカちゃん!今だよ!」
ふいに響くレイの声。シンジやアスカ、第二発令所の面々にはきちんと聞こえる声だが・・・
彼女の声は肝心の13号機にも届いているのだろうか・・・?
だが、そんな疑問を振り払うかの様に13号機はレイの声に反応。手にしていた大剣を的確に目標の肩口から脇腹へかけて振り下ろす。
両断された量産機は地上へと墜落・・・ジオフロントに広がる森の一角に無造作に激突した。
今日はここまでノシ
>>264 よくやりますよ。大好き。
量産機を初めて可愛いと思ったwww
乙!
次回が楽しみ!アスカちゃんに燃える
「ナイスだよ!アスカちゃん!」
レイの声に反応した13号機が微妙に頷いた・・・様に見えた。
13号機はそのまま地上に転がる量産機の身体に剣を突き立て完全に止めを刺す。
一方、他の量産機と大剣をぶつけ合いながら、味方であるレイに確かな殺意を覚えるアスカ。
シンジはシンジですでに2機目を撃破。戦い方はちゃんと身体が覚えているらしい。
程なくして、アスカも対峙していた量産機の破壊に成功・・・EVAシリーズは2機を残すのみとなった。
「フン、歯ごたえが無いわね。」
量産機の返り血を浴びた弐号機、そのエントリープラグ内でアスカが呟く。
かつて、9対1の彼我兵力差でEVAシリーズと互角以上に渡り合った彼女にしてみれば
慢心とも受け取れかねないこの言葉にも説得力がある。
「シンちゃん、気をつけて!そっちを狙ってるよ!」
主戦場からやや離れた位置にいる零号機には、図らずとも現在の戦況が手に取るように分かる。
2機のみとなり、数の上でも劣勢に立たされたEVAシリーズは再び上空へ飛翔。
一定の高度から地上の様子を伺っている。そして・・・
ドスッ!ドスッ!
2機の量産機は大剣を二股の槍の形状へと変化させ、上空から初号機を貫くべく攻撃を開始した。
「くうっ!」
寸での所で敵の攻撃をかわす初号機。
量産機の執ったその戦術は、シンジの頭上の死角を利用しており、確かに一理ある行動の様にも思えたが・・・
すでに数に勝るレイ達からしてみれば、彼らの行動は単に隙を作っただけに過ぎなかった。
「えい!」
ガギィィィン!
零号機のスナイパーライフルによる牽制に続き、さらなる上空から奇襲をかける13号機。
13号機の攻撃をとっさに防ぐ2機の量産機だったが、スピードの乗った突撃の勢いを受け止める事は出来ず、
それぞれバランスを崩し地上へと墜落していった。そして・・・
「うおぉぉぉぉぉっ!」
「こんのぉぉぉぉっ!」
地上で待ち構えていた初号機と弐号機が落下してきた量産機を確実に仕留めた。
初号機の攻撃はマゴロク・E・ソードによる居合い斬り、弐号機は大剣をそのまま叩きつけるという豪快なものである。
ダミープラグも完全に破壊され、残っていたEVAシリーズ2機は双方共にその機能を停止させた。
「EVAシリーズ、全て沈黙しました!」
第二発令所の青葉二尉が明るい声を上げる。
その報告を証明するかのように、ジオフロントに散らばるEVAシリーズは物言わぬ肉塊と化していた。
「終わったわね・・・。みんな、お疲れ様。」
第二発令所のミサトが激戦を戦い抜いた3人+1機に労いの言葉をかける。
短い言葉だが・・・その心は十分に伝わっているだろう。
「今度こそ本当に大丈夫なんでしょうね・・・?」
疑心暗鬼気味のアスカの一言。
前回、倒したはずのEVAシリーズが再起動したという経緯があったため、彼女が疑いを持つのも当然と言える。
「大丈夫よ。今度は何の動きも見せてないから。」
とは伊吹二尉。安堵したその声は幾分嬉しそうなものだった。
「そ。んじゃさっさと回収してもらえない?いい加減に疲れたし。」
帰る気満々のアスカ。
彼女の弐号機はさっきまで手にしていた大剣もすでに捨ててしまっていた。
態度にこそ示さないが、最初から戦闘に参加していた彼女の疲労はかなりのものだったのだ。
「ちょっと待って。あんた達はその場で待機。もうしばらくはそのままにしてて。」
アスカにとっては意外すぎるミサトの指示。
「えぇぇぇ〜っ!」
「ど・・・、どうしてなんですか?もうEVAシリーズは・・・」
あからさまに嫌そうな声を上げるアスカ。
また、彼女だけではなくシンジもミサトの指示に疑問を持った様だ。率直な疑問を口にしている。
「ん〜とね。これから日本政府と交渉しようかと思うんだけど・・・
ほら、ネルフ本部ん中にも周りにもまだ戦自の連中がいるのよ。
だから、あんた達はそのままの状態で待機して・・・適当に睨みでも効かせといて。」
確かにミサトの言葉通り戦自の部隊はネルフ本部を包囲しており、部隊の一部はネルフ本部内にも侵入している。
また、A801が発令されている今の状況では、例えEVAシリーズを殲滅したとはいっても
彼らの安全が約束されているワケでは無いのだ。
「イヤよ!なんで私らが大人の都合に振り回されなきゃなんないのよ!」
「そう言わないで。
あんた達にそうしててもらないと交渉しようにも出来ないものなんだから。
ま、私達なりの砲艦外交ってトコかしらね。」
文句を言うアスカにやんわりと受け応えをするミサト。
交渉と言うのは双方にとって落としどころを探すもの・・・
ネルフ側にとっての優位点がEVAの存在である以上
それらを利用して交渉に臨む以外に、生き残る術は無いのかもしれない。そんな時・・・
「綾波?どうしたの?元気無いみたいだけど・・・」
ずっと黙ったままのレイの様子が気になったのか、シンジが心配そうに声をかける。
「う、うん・・・。ちょっとね・・・。」
いつになく気の無い声で返すレイ。
下を向き、うつむき加減の彼女からはいつもの元気が感じられない。
「あのさ・・・、お腹すいたとか・・・言わないよね?」
シンジの脳裏には以前の光景が蘇っていた。
第五使徒を倒した後でレイを救出した時のあの一言・・・
もう少し違う言葉が来るのかと思っていただけに、あの時は本当に脱力してしまった。
「う・・・、なんで分かったの?シンちゃんって超能力者?」
涙目でモニター越しにシンジの方を見るレイ。
予想を裏切らない彼女の言葉に、やっぱり・・・とシンジは呆れ顔でため息をついた。
「アンタが引き篭もってたのが悪いんでしょうが。自業自得よ。」
そのやりとりを横で聞いていたアスカも同様、全力でため息をつく。
考えてみればレイはここしばらく食事をしていた形跡が無い。
餓死するんじゃないかと思うくらい絶食していたのだから、空腹であっても当然なのだが・・・
「葛城三佐ぁ・・・。」
ポロポロと涙を流し、第二発令所のミサトに訴えかけるレイ。
その眼は早く上がらせて、早くご飯食べさせてと言っているかの様だ。
そして、そんな彼女にミサトも少し引いている。
「しょ・・・しょーがないわね。レイは上がって良いわよ。」
ミサトの言葉を聞いてレイはホッとした様な表情に変わる。
レイが先に上がる事に憤りを隠さないアスカと、そんなアスカをなだめるシンジ。
一方、動きらしい動きも見せず、ただ佇んでいるだけのアスカちゃん・・・もとい、EVA13号機。
「んじゃ・・・あたし、先に上がるね。後、よろしく〜。」
アスカに対しては燃料を注ぐ一言でもあるが、
一応、貧乏くじを引かされる羽目となった同僚に声をかけてその場から立ち去るレイの零号機。
程なくして、零号機を乗せたエレベーターはネルフ本部のケイジへと降りていった。
今日はここまでですノシ
GJ!
乙!
どんな風にまとめるか楽しみです ノシ
GJ!
ヒッキーライフの影響がこんなとこに・・・
零号機から降りたレイは、1人ネルフ本部の通路を当て所なく歩いていた。
その足取りは重く・・・今にも倒れてしまいかねない程フラフラとしている。
「あぅっ・・・」
EVAシリーズと戦う前に感じた頭痛がかなり酷くなってきていた。
さっきシンジに尋ねられた時は、お腹がすいたからとは言ったものの・・・、
空腹も確かに今の彼女の不調の原因のひとつではあるのだが・・・本当の理由は頭痛にあったのだ。
風邪をひいた時の様な感じとは何かが違う痛み・・・
何がヘンなのかは分からないが・・・何かがおかしかった。
「あたし・・・どうしちゃったんだろ・・・。」
あまりのつらさにレイは歩くのも止めてしまう。
通路の壁に手をかけ・・・、
寄りかかるようにして立っているものの、それすらもやっとという様な状況である。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
だんだん息も荒くなってきた・・・。
医務室に行った方が良いのかもしれないが・・・正直、医務室に行ったところでどうにかなるのかも分からない。
人とは生まれの違う自分・・・
そんな自分がこの身体をこれまで維持出来たのはリツコのサポートによるところが大きかったのだ。
しかし、頼るべき彼女はすでにこの世にはいない・・・。
もっとも・・・、仮に生きていたとしても自分を助けてくれただろうか・・・?
「あ・・・ぅ・・・頭が・・・痛いよ・・・・。」
床に膝を付き必死に耐えるレイだが、頭痛は収まるどころかさらに悪化し続けている。
痛みのせいか段々と意識が遠のいていく・・・。
気がついたレイが見たのは、
さっきまで自分が居たはずのネルフ本部の通路ではなく、
一面に広がるオレンジ色をした水面が延々と広がっている空間だった。
水面の上は真っ白い空間でそれ以外は何も見えない・・・・・そこが何なのか、何処なのかも分からない。
初めて見る光景・・・。
いや、どこかで見た事がある。だが・・・どこで・・・・・?
「ここって・・・?確か・・・」
そう・・・、これは第16使徒から精神と身体を侵食されていた時に見た光景そのものであった。
確か・・・前はそこに自分の姿を模した使徒が居たのだが・・・
今回、向かい正面に立っているのは4〜5歳くらいの幼女。
彼女の頭髪は自分と同じ特徴的な蒼・・・また、濃い赤をしたボタン締めのワンピースを着ている。
顔の上半分は髪の影に隠れてしまっていて、レイからはその表情をうかがい知る事は出来ない。
― かえりましょ ―
目の前の幼女がレイに語りかけてきた。
耳に聞こえる声ではなく直接頭の中に入ってくる感覚で・・・その声は確かに聞こえてきた。
「帰るって・・・?それにあなたは誰?」
思わずレイが幼女に聞き返す。
その子の特徴は自分によく似ているのだが、レイには心当たりなど無い。
幼い頃の自分かとも思ったが・・・何か違う気がする。
― あなたは私・・・、私はあなた・・・、私たちはかえらなきゃいけないの・・・ ―
そう言うと、彼女は歩く事無くレイの方へと近づき始めた。
その動きにレイも反射的に後ずさる。
空中に浮かびながらゆっくりと近づいてくる幼女は
やや下向き加減に俯いており、どんな顔でこちらを見ているのかすら分からない。
「わかんないよ・・・!誰なの?」
オレンジ色の水面の上を後ずさり、なんとか距離を開けつつ幼女に聞き返すレイ。
状況は分からないものの・・・何か嫌な予感がする。
一歩さがるたびに波紋が周囲に広がっていく・・・。
― 逃げちゃ駄目・・・、あなたにもやらなくちゃいけない事があるんだから・・・ ―
親しげに語りかけてくる幼女だが、その声に親しみはまるで感じられない。
「ダメ・・・!来ないで!」
彼女から発せられる不気味な圧力に押し潰されそうになりながらも、レイはなんとか距離を取ろうとする。
距離を取ったところで逃げられるかどうかは分からないが・・・そうせずにはいられなかったのだ。
もう少し・・・、あの幼女からもう少し離れたら一気に駆け出そう・・・。
レイが頭の中でそう判断したその時・・・
「きゃあっ!」
突然、何かに足を取られ水面にしりもちをついてしまうレイ。
慌てて足元を見ると・・・
「な・・・なにこれ・・・!」
水面の下から現れた何か・・・人の手の様なモノにレイの両足首は完全に掴まれてしまっていた。
振りほどこうとしても華奢な彼女にそれが叶うはずも無く・・・・・
もはや、逃げるどころか立ち上がる事すらままならない。
「・・・う・・・くっ!・・・・っ!」
それでも必死に逃げようともがくレイ。
そんな時、ふと自分が手をついているオレンジ色の水面の下に
見覚えのある多数の人影が彼女の眼に飛び込んできた。
オレンジ色の水面の奥に漂う見慣れたシルエット・・・
それらの人影も近づいて来たかと思うと、たくさんの腕が次々と自分に向かって伸びてきた。
「や・・・止めて!放してよ・・・!」
水面から現れた無数の手によりレイはがんじがらめにされてしまう。
四肢はおろか全身が拘束されてしまい、その身体はほぼ自由が利かなくなってしまった。
かろうじて動かせる頭で周りを見回すレイ・・・。
自分の身体を捕らえている人影・・・それは、ダミープラントの中にあった自分と同じ姿をしたモノ達だった。
彼女達は屈託の無い笑顔を見せながらもレイの身体を離そうとはしない。
それがまるで彼女達の意思表示でもあるかの様に・・・
― さぁ・・・、かえりましょ・・・。 ―
宙に浮かんでいた先程の幼女がゆっくりと近づいてきた。
水面の上に仰向けになったレイからすると幼女を見上げる格好となる。
「・・・っ!」
彼女がこちらを見た事で・・・ようやくその表情が見えた。
こちらを見ているであろうその眼は髪の影に隠れてよく見えないが、その口には笑みを浮かべ・・・、
おおよそ4〜5歳の女の子には似つかわしくない禍々しい顔をしている。
「う・・・、あ・・・あなた・・・、何をするつもり・・・なの?」
努めて気丈に振舞ったつもりだが、言い知れぬ恐怖にレイの声は震えていた。
一方、その幼女はクスクスと笑いながらレイに語りかけてくる。
― この世界をやり直すの・・・。リセットして・・・最初から。 ―
「・・・っ!」
再び気が付いたレイが見たのはターミナルドグマの最深部だった。
リツコに撃たれ・・・碇司令と別れた場所・・・。
いつの間にここへ来たのだろう・・・?
それに・・・さっきのは夢・・・?
そう思いたかったが、そのかすかな希望はあっけなく打ち砕かれた。
― さぁ・・・、始めましょ・・・。 ―
再び幼女の声が頭に聞こえてきた。
彼女の姿はどこにも見えないが・・・確かにはっきりと聞こえた。
レイの前には七つ眼の仮面を付けた白い巨人が赤い十字架に磔にされている。
それに気が付いた瞬間、彼女の意思とは裏腹に自分の身体が宙へと浮かび上がり・・・
白い巨人へと引き寄せられ始めた。
「やだ・・・止めて!」
レイ自身の身体のはずなのに自分の意思はまるで無視されてしまっている。
さっきの拘束された感覚が現実の事であるかのように・・・まるで動かせない。
その間も、白い巨人の身体は確実に近づいてくる。
「司令・・・アスカ・・・・・シンちゃ―――」
何かを言おうとしたレイだったが、その言葉を最後まで終わらせる事は出来なかった。
白い巨人に引き寄せられたレイは、
巨人の胸部から突き出した白い身体に包み込まれ・・・その中に消えていった。
今日はここまでですノシ
せっかく量産機やっつけたのにレイが(ノД`)
でもGJ!
GJ!
補完発動?
wktk!
乙です
ギャー!シンジかアスカ何とかしてやれyo!
ネルフ本部の第二発令所、
その慌しさは先程までと変わらないが、作業を行う職員達の表情は少し違っていた。
「まさか、戦自の方から停戦を申し入れてくるとはねぇ〜。」
誰に言うとも無く呟くミサト。
彼女の言葉通り・・・つい先程、戦自側からネルフに対し停戦交渉をする用意があるとの呼びかけがあったのだ。
ミサトも自分から戦闘の停止を呼びかけようと思っていただけに、
彼らから提案してくるとは意外だった。
「あちらもこれ以上戦力を消耗させたく無いのでしょう。うちにはアレがありますから。」
そんなミサトに日向二尉が相槌気味に返事をする。
だが、交渉の申し入れというのも無理も無い話なのかもしれない。
戦自側としても、新たな師団を投入して力押しで制圧するという選択肢もあるのだろうが・・・さらなる被害を被るのはまず間違いない。
なぜなら、日向二尉の言うアレが戦闘態勢のままジオフロントに待機しているからだ。
「ところでシンちゃん達の様子はどう?」
「パイロット両名の状態に問題はありません。長時間の戦闘による疲労はありますが・・・」
ミサトの問いに伊吹二尉が答える。
もっとも、アスカはずっと文句を言いつつブーたれているのだが。
また、EVA13号機は特に変わった動きも見せず、大剣を握り猫背のまま・・・ただ立っているだけだった。
「さーて、そろそろ時間ね。
それじゃ交渉に行ってくるわ。あと、よろしくね。」
とはミサトの言葉。
交渉場所はネルフ本部の第三層で行われる予定であり、そのためのセッティングはすでに終了していた。
後は、交渉役となる人間がその場に赴くだけである。
だがその時、ミサトを見送る日向二尉の表情が一瞬にして緊迫したものへと変わった。そして・・・
「か、葛城三佐!ターミナルドグマに高エネルギー反応!パターン青!」
「なんですって!まさか使徒?」
日向二尉の唐突な叫びにミサトは一瞬状況が理解出来なかった。
すでに全ての使徒を倒したはずなのだから、新たな使徒が来るはずは無い。
全ての使徒を倒したからこその一連のゼーレの行動なのだから・・・
「違います!人間です!」
そんなミサトの思案を吹き飛ばす日向二尉の報告。
そして、日向二尉がその言葉を終える前に、第二発令所の主モニター付近に巨大な白い人影が現れた。
「これは・・・!」
第二発令所の下から床や壁をすり抜けるようにして現れた
人間の女性の姿の様な巨大な物体。
大きさこそ違うものの、無造作に短く切られた頭髪らしきものやその華奢な身体付きから・・・
彼らには1人の少女が思い出された。
「青葉君!レイの現在位置は?」
「特定出来ません!最終位置は・・・ターミナルドグマです!」
青葉二尉の報告にミサトは言葉を失う。
彼女達のやりとりをよそに、その巨大な人影は第二発令所の天井をすり抜けそのまま上へと昇っていってしまった。
ミサトも全てを知っているわけでは無いが・・・
先程まで目の前にいた巨大な人影の正体はすぐに見当がついた。
短いですが、今日はここまでですノシ
毎度グッヂョブです!
融合、巨大化キターーーー!
シンジ君、今回は耐えろよな(汗
乙!
巨大化レイのリアクションが気になるYO!
リリスもリナレイ風味なのだろうかw
「ったく、いつまでこうしてなきゃなんないのよ〜!」
愚痴るアスカ。彼女は戦闘が終わってからというものずっとこの調子である。
特に、レイが先に上がった後から輪をかけて酷くなってきた。
「しょうがないよ・・・。ミサトさんがこうしててくれって言うんだし・・・。」
と、アスカにフォローを入れるシンジ。
そんな事を言っても何の意味も無いという事は分かっているのだが、彼女を放置しておいても何も良い事は無いのだ。
今の彼にベストな選択など無く、ベターな方法があるだけ・・・
「そーやって、他人の言う事をホイホイ聞いてるだけなら楽よね!
あーもう!大体、なんでファーストだけ先に上がれんのよ!重役出勤してきたかと思ったら自分だけ早退なんて笑えないっての!」
と、EVA13号機を弐号機で羽交い絞めにしつつ、アスカはありったけの不満を口にする。
不満のはけ口になってしまった13号機は必死にもがいているが、今抜け出すのは非常に困難だろう。
シンジは、自分がアスカの八つ当たりの対象にならなかった事に安堵しつつ、彼女と13号機のやりとりを苦笑気味に眺めている。
状況はまだ安心出来るものではないが、いつになく和やかな時間が流れていた。そんな時
「シンジ君!アスカ!よく聞いて!」
第二発令所から聞こえてきたミサトの声。
さっきまでやりとりしていた時はいつもの調子だったのに、今回の声は非常に切迫していた。
「いきなりなによ?まさか戦自と何かあったとか?」
アスカは思いついた事をそのまま口にした。
ネルフ本部でこれから交渉するという事は彼女も知っており、その交渉のために自分達はジオフロントで待機させられているのだ。
EVAシリーズはすでに殲滅しているため、何かあるとすれば戦自がらみの事だろう・・・。
アスカはそう判断したのだが・・・
「違うの!今そっちに―――」
「な、なんだ?あれ・・・?」
ミサトの声とシンジの呟きがアスカの耳に同時に聞こえてきた。
シンジの方を振り向こうとした時、異様な白い物体が彼女の眼に映る。
ジオフロントの地面から猫背気味に現れた巨大なそれは、彼女達にとってもよく見覚えのあるものだった。
「綾波・・・レイ?」
アスカの言葉を代弁したのはシンジである。
両手を広げて空中に浮かぶその姿は大きさこそ違えど・・・彼らのよく知っている綾波レイそのものだった。
だが、口元に薄笑みを浮かべたその表情は酷く歪んでいた。
いつものレイからは考えられないほど・・・
「シンジ君!レイ!これより目標を第二使徒リリスと識別するわ!目標の殲滅、急いで!」
「せ、殲滅って・・・?あれ、ファーストじゃないの?
そういえばファーストはどこへいったのよ!」
ミサトの命令に思わず聞き返すアスカ。
先に上がったはずのレイ・・・だが、その姿をしたモノが今、自分達の眼の前にいる。
どうしてかは分からないが、アスカにも・・・そしてシンジにも、ある種の嫌な予感が浮かんでいた。
「レイは・・・行方不明よ。
それよりも・・・・・このままリリスを放っておくわけにはいかないの。目標の殲滅・・・いいわね?」
ミサトの冷徹な命令にアスカは何か言おうとするが・・・、
彼女の声が感情を押し殺したモノであると分かったため、それ以上何も言えなくなってしまった。
しかし、行動をすぐに起こせるほどアスカも物事を割り切って考えられるわけではない。
「う、うわあぁぁぁぁっ!」
唐突に聞こえたシンジの叫び。
いつの間にか、リリスが初号機を左右から包み込むように手をかざし、
そのまま同機を自身の胸元へと浮かばせてしまった。
「っの馬鹿!何度拉致られりゃ気が済むのよ!」
攻撃しようと構えるアスカの弐号機だったが、今の装備は大剣・・・宙に浮かぶリリスにはその剣も届かない。
「っ!!」
攻めあぐねているアスカが周囲を見渡すと、
ネルフ本部の周辺施設から多数の砲弾やミサイルがリリスに向かっていくのが見えた。
おそらく、ミサトが生き残っていた施設を用いて総攻撃をかけているのだろう。
だが、リリスの周囲には強力なATフィールドが展開され・・・それらの攻撃は完全に無駄なものとして終わった。
ドオォォォォォン!
そして次の瞬間、リリスが一瞥を加えただけで
先程攻撃をかけていた施設の全てが大音響とともに押し潰される様に破壊されてしまった。
その攻撃は、直接的なものでも光線や加粒子砲の様なものでもなく・・・
「まさか、ATフィールド・・・?あんなの相手に・・・どう戦えってのよ。」
先程のリリスの攻撃は、アスカが戦自との戦いで偶然使ったATフィールドによるものと同じ方法だと思われる。
だが、リリスの放ったATフィールドのその出力はあまりにも桁違いだった。
まともに喰らえば弐号機と言えどもただでは済まないだろう。
どうする事も出来ず大剣を手に佇むアスカの弐号機をよそに、
リリスは初号機と共に悠然と空へと昇っていってしまった。
きょうはこのへんでノシ
>>299 ×「シンジ君!レイ!(ry
↓
○「シンジ君!アスカ!(ry
脳内補正よろしくお願いします・・・(´・ω・`)ノシ
なんと、リリスを攻撃する展開になるとは想定外
wktk
リリス殲滅作戦開始かよ…。
だが、どうにもならないでかさと攻撃力…。
どこぞこの宇宙怪獣よりヤバイ。
想像を超える事態にどうなるんだろうか?
テカワクで続きをお待ちしております…神ジョブ!
あぁ・・・巨大化してしまった・・・
そうだよね、リリスは第2使徒だったんだよね。
乙!
これからの展開が楽しみ。シンジがレイを倒さなきゃいけない流れになるか?
「これを使えば・・・もしかしたら・・・!」
アスカは自分が手にしていた大剣の特性に気が付いた。先程、EVAシリーズ相手に孤軍奮闘していた時・・・
確か、投げつけられた大剣が二股の槍へと変化し、弐号機の展開したATフィールドをいとも簡単に突き破ったはず。
どう、使えば良いのかは分からないが・・・今の彼女が出来るのは・・・
「うおぉぉぉぉぉっ!」
アスカの弐号機は大剣を構えると、両手を使い全力で投げつけた。
これまでの投擲対象とは比較にならない大きさのリリス相手なら、ネルフ本部にサポートを要請するまでも無い。
かなりの重量の大剣なのだが・・・どういうわけか、投げた時にそれほどの重さは感じられなかった。
大剣はすでに二股の槍へと変化し、そのままリリスへ向かって上昇中。
一方のリリスも槍の接近に気付いたのか・・・面倒そうに槍に対してその視線を向ける。
カキィィィィィン!
リリスの視線の先に展開されるATフィールド。当然ながら、相転移空間を肉眼で確認できるほど強力なものだ。
だが・・・今、ATフィールドに接触している槍は弐号機のATフィールドを突き破ったという実績がある。
今回も二股の槍はATフィールドを貫こうとしていた。だが・・・
「そ、そんなっ・・・!」
予想を裏切られて言葉を失うアスカ。
弐号機が投げつけた槍はリリスの展開したATフィールドにはじき返されてしまった。
行き先を失った槍はクルクルと回転しながら落下。大剣へとその姿を戻し、そのまま力無くジオフロントに広がる森林の一角に突き刺さった。
「っ!」
ふいに何かを感じ、急いでその場を離れるアスカの弐号機。
次の瞬間、さっきまで弐号機が居た場所が不自然にゆがみ始め、その周囲に在ったもの全てが粉々に圧壊されてしまった。
これもおそらく、リリスのATフィールドによる攻撃だろう。
その圧倒的な力の前にはコピーされたロンギヌスの槍の力も通用せず・・・弐号機に、もはや打つ手は残されていなかった。
リリスの力に制され、共に上空へと昇っている初号機。
そのエントリープラグ内でシンジは必死に初号機を動かそうとしていた。
シンジの眼の前には、彼のよく知る姿をした・・・それでいて初めて見る白い物体があり、
その歪んだ顔は先程から変わらない薄笑みを浮かべたまま、自分の方を興味深そうに眺めている。
「くそぉ・・・!動け動け動け!動け!動いてよ!」
シンジはEVAのコントロールレバーを動かすが、初号機はまるで反応を示さない。
シンクロこそ維持しているものの初号機の機能は完全に停止・・・
いや、まるで別の何かに制御されている様な・・・不自然な状態だった。
「シンジ君!そっちに何かが高速で接近中だ!」
日向二尉の声がシンジの元に届く。
初号機を動かす事は出来なくとも、第二発令所とのやりとりはまだ出来るらしく、その事実はシンジを少なからず安心させた。
しかし、高速で接近する何かとは・・・?
シンジの眼に映るのは、太陽光が反射され紅く輝く長細い物体・・・それが高速でこちらに迫ってきている。
「くっ・・・!」
目前まで迫ったその紅い物体に思わず眼を閉じるシンジ。
1秒・・・2秒と時間が経過するが、初号機にも自分にも何の異常も感じられない。
彼が恐る恐る眼を開けるとそこには・・・
「な・・・なんだよ、これ・・・?」
シンジの目の前に在ったのは紅く長い螺旋状の物体・・・
鈍く紅い光を放つその物体は、先端を初号機の喉元に突きつける形で空中に静止していた。
今日はここまでですノシ
GJ!!
シンジが正気なのが救い・・・なんだろーか
前の時は、自殺願望か何かに反応したのか、
突如、槍が初号機の喉元まで飛んできた訳だが、
(自殺しようとしたのを初号機かリリスが止めたとも取れるが。
はたまた、自殺する勇気が無くて、寸止めになってしまったのか?
…まあ、これはエヴァ特有の演出で、
あらゆる角度の解釈が出来るようになってるだけだが。)
今回はじたばたするなと脅す為に、喉元まで飛んできた感じがする。
いずれにしろ、『儀式』に必要な道具な訳だし、一石二鳥だろう。
…うわ!なんか、いろいろ考えちゃうほどな展開にGJを叫ぶケモノだよ!
GJ!!
このリリスはレイの意識・・・じゃないよなあ、やっぱり
「うぅ・・・。」
うめき声と共に意識を取り戻すレイ。
しかし・・・今、自分がどこにいるのか・・・どうしてここに居るのか・・・さっぱり分からない。
重いまぶたをなんとか開けて、周囲を確認してみる・・・。
「あれ・・・?ここ・・・どこ・・・・・?」
彼女の前に広がっているのは、ただ真っ白いだけの世界。
見渡す限り白一色・・・それ以外には何も見えない空間がどこまでも続いていた。
一体どれだけ気を失っていたのか・・・?いや、気を失っていたのかどうかすら分からない。
自分の身に何が起きたのか・・・レイは出来るだけ冷静に思い出そうとする。その時・・・
― 目が覚めた? ―
レイの耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
頭の中に直接届いているかの様にハッキリ聞こえる女の子の声・・・気が付けば1人の幼女が眼前に立っている。
その姿を眼にしたレイの脳裏に先程の記憶が一気に蘇ってきた。
「あ、あなたは・・・!」
レイは思わずその場から逃げ出そうとするが、それは叶わなかった。
見ると、自分の肩から下が白い壁の様なモノに完全に埋め込まれてしまっていて、自由が効くのは頭だけ・・・
もはや逃げる事はおろか、指一本すら動かす事が出来なくなってしまっていたのだ。
― 必要なモノは揃ったわ・・・。後は・・・始めるだけ。 ―
赤いワンピースを着た幼女は意味有り気な表情でレイに笑いかけている。
だが、その笑顔は決して好意的なモノではない。
「始めるって何が・・・?全然分かんないよ!」
恐怖に押し潰されそうになるのを必死に堪えながら、レイは幼女に聞き返す。
まるで叫んでいるみたいに大きな声を出してしまったが、そうでもしなければ聞き返すことすら出来なかっただろう。
こうして向かい合っているだけでも恐怖を感じるくらいなのだ。
その容姿とは大きくかけ離れた力を秘めているであろう幼女・・・、彼女はレイの問いに静かに答える。
― 素晴らしい事よ・・・、貴方には特等席で見せてあげる・・・。 ―
その声に反応し、幼女の背後にある光景が映し出された。
青い空に白い雲・・・下の方には緑の森林が広がるジオフロントの一部も見える・・・。
そして、光景の中心には初号機、そしてその喉元に突きつけられているロンギヌスの槍の姿が。
「シ、シンちゃん・・・?な・・・なに?あなた、なにをしてるの・・・?」
レイは状況が分からず不安げに尋ねる。
聞いた所でまともな返事が返ってくるとは思えないが・・・それでも聞かずにはいられなかった。
― 彼の欠けた心で世界を悲しみに包んでもらうの・・・。そうすれば・・・あなたも彼と1つになれる。 ―
幼女の声に呼応したロンギヌスの槍がその矛先を初号機の喉元から胸部へと変更した。
動きはゆっくりとしたものだが、確実に初号機を貫かんと進み始めている。
「ダメ・・・!ダメだよ!止めて!」
その光景を眼に、たまらず悲鳴の様な声を上げるレイ。
唯一自由の効く首を横に振りながら、懇願するかの様に必死に叫んでいる。
― ダメ・・・?碇君と1つになりたくないの?これは貴方が望んだ事なのよ? ―
一方、幼女はレイの意見を聞くつもりなどさらさら無いらしい。
クスクスと笑いながら・・・まるでこの状況を愉しんでいるかのようだ。
その間も槍は空中を突き進み、あと少しで初号機に接触してしまうところまで達している。
「あ・・・あ・・・・・」
レイには幼女が何をしているのか・・・何をするつもりなのかは分からない。
だが、このままではシンジの身に危険が及ぶ事だけは直感として理解出来た。
それなのに自分には何も出来ない。助けに行く事すら叶わない。自分の無力さを嫌でも自覚させられてしまう。
「ダメ・・・!シンちゃんが・・・止めてよ・・・!」
溢れる涙を拭う事も出来ず・・・ただ眼から涙を零しながら悲痛な声で訴えるレイ。
だが、そんな彼女の想いも空しく、無常にも槍は初号機の胸部に突き刺さろうとしている。
幼女が止めとばかりに一瞥を加えようとした、その時
「ダメぇぇぇぇぇーっ!」
「綾・・・波・・・・・?」
シンジの耳にレイの声が聞こえた様な気がした。
それと同時に初号機とロンギヌスの槍を拘束していた力が一瞬にして消え去り、両者は地球の重力に引かれ落下を始める。
彼が上空を見上げると、そこには以前と変わらず空中に静止しているリリスの姿が。
だが・・・先程までとは違い、その顔は・・・彼がよく知る少女の顔そのものだ。
哀しそうにシンジの方を見る赤い眼、そしてその唇が僅かに動くのが見える。その時
ガシッ!
「!!」
落下していく初号機を受け止めたのはEVA13号機だった。
いつの間にか、初号機の元へと駆けつけてくれていたらしい。
また、その手には同時に落下していたはずのロンギヌスの槍も携えられている。
そして、EVA13号機はシンジの初号機を抱えたまま降下を開始した。まるで上空のリリスから逃げるかの様に・・・
「・・・・・。」
降下しながら、呆然と上空のリリスを見上げるシンジ。
遠ざかっていく中、リリスから聞こえてきた小さな声が彼の脳裏に思い出される・・・。
「殺・・・して・・・。」
レイの声でリリスが発した小さな声・・・その呟きがシンジの耳から離れる事は無かった。
とりあえず今日はここまでノシ
乙、着々と進んでいくね。
乙!
嗚呼、どうなっていくんだろう?
GJ!
ちっこいレイの正体(?)が気になります
今、初号機降下から13号機が初号機を受け止めるまでの流れが、
脳内で映像化されて、再生された!
そして、非情の『続く』のテロップまで見えた…。
リリス(レイ)が言った台詞で〆ながら。
ヤバイぐらいに先が気になる!
GJッ!!
「初号機、地表部に到達。弐号機はケイジに回収、これより作業を開始します。」
現状報告する日向二尉、ネルフ本部では新たな作戦に向けて着々と準備が進められていた。
第二発令所でも所員が慌しくそれぞれの作業を行っている。
「葛城三佐、第三層の戦自側から現状を確認したいとの要請がありますが・・・」
報告を受けた青葉二尉がミサトに報告する。
本来なら、ネルフの今後を賭けた戦自との交渉がとっくに始まっているはずなのだが、
リリスが覚醒し、その対応に追われてしまったため、そういった話はどこかへいってしまったのだ。
「ふぅ・・・。今はそんなことやってる場合じゃないんだけど・・・。要請してきてるのはあっちの隊長さん?
う〜ん・・・、仕方ないから、ここへ通しちゃって。」
「え・・・?ここへ・・・ですか?」
意外なミサトの言葉に思わず日向二尉が聞き返す。
いくら戦闘を停止しているとは言え、先程まで交戦していた相手である。
第二発令所に彼らを通してしまうというのは、ネルフ本部を明け渡してしまうも同然なのだ。
「口で説明するより直接見てもらった方が分かりやすいでしょ。
ほら、百聞は一見に如かずって言うじゃない?
それに、この現状を見てそれでもネルフ本部の接収を進めようなんて考えるほど、あちらさんも馬鹿じゃないわよ。」
と、日向二尉の心配をよそにあっけらかんと答えるミサト。
程なくして、戦自の現場指揮官とおぼしき口髭を生やした無骨な印象の男が
数人の部下とともに第二発令所に現れた。
「はじめまして。特務機関ネルフ、作戦課の葛城ミサトです。」
すぐさま真面目な表情に変わり来訪者を出迎えるミサト。
一応、表面的には和やかに接しているが、先程まで生死のやりとりをしていた相手でもある。
彼女の心中には含むものが数多くあるのだろう。
もっとも、それは戦自側の指揮官も同じ事で、数多くの部下の命を失っているのはミサトだけではなく彼らも一緒なのだ。
「約束の時間はとっくに過ぎているが・・・どういう事なのか説明して頂きたい。」
濃い紺色の戦闘服に身を固めた戦自の指揮官がミサトに尋ねる。
「現在、ネルフでは滞空している目標に対し、殲滅作戦の準備を遂行中です。
遺憾ながら、あなた方との交渉は作戦完遂後に改めて行うという事で了承して頂きたいのです。」
淡々とした口調で話すミサトに対し、戦自の指揮官は憮然とした表情を崩そうとしない。
口に出すまでも無く、ミサトの出した提案には不満が隠せない様だ。
「我々には無理して交渉を行う理由は無い。そちらの出方如何では、直接制圧を続けても良いのだぞ?」
「ご自由に。ですが、このまま目標を放置しておけば、
遅かれ早かれサードインパクトが引き起こされ全人類は滅亡するでしょう。
その事実をあなた方が知らないとは思えませんが。」
戦自指揮官のブラフに対し、口調は丁寧ながらもミサトは一歩も退かない。
もっとも、交渉材料の点ではどちらかと言えばネルフの方に分があるため、戦自の指揮官にはそれ以上高圧的に出る事も難しい。
全体的な戦力としては戦自が上回っているものの、EVAには対してはどう足掻いても勝算が無いのだ。
それに、ミサトの言葉通り・・・現在の状況が認識出来ないほど、彼らも現実が見えていないワケでは無い。
「・・・それで、我々に何か要請したい事でもあるのかね?」
戦自の指揮官がミサトに聞き返す。
これまで何も口に出さなかったミサトだが、第二発令所に自分達を呼び寄せた彼女の真意は感じ取っていたらしい。
その声に、ミサトは日向二尉に眼で合図を送る。
「目標はATフィールドを直接攻撃に転用する力を有しているものと推察されます。
現在はどうやら、攻撃を加えた対象にそのまま報復するという形を取っている模様です。
ATフィールドの破壊力はミサイル施設を瞬時に粉々にしてしまう程のもので、EVAと言えど直撃を受ければ安全とは言えません。」
「目標の身体に従来の使徒に見られたコアは確認されていません。
もちろん体内にある可能性も捨て切れませんが・・・MAGIは判断を保留しています。」
「目標は現在、高度12000mにて滞空中。依然、沈黙を守っています。」
日向二尉、伊吹二尉、青葉二尉が続け様にミサト達に現状を報告する。
まるで戦自側の人間に忙しさをアピールしている様にも見えるが・・・
実際、猫の手も借りたいくらいなのだからどうしようも無い。
「お聞きになった通り、目標はATフィールドを利用して攻撃を行います。
こちらから迂闊に攻撃をしても反撃に遭うだけで効果が無い事も既に実証済みです。
これに対抗するには、現存するEVAによる近接攻撃しかありません。」
ミサトの説明を戦自の指揮官はただ黙って聞いている。
眼を閉じたまま・・・何かを考えている様だが、何を考えているのかは本人にしか分からない。
「EVAの目標への接近を成功させる為には支援火力による援護が不可欠なのですが・・・
先の戦闘でネルフ本部の攻撃力はほぼ全て失われてしまっているのが現状です。
稼動する施設を総動員したとしても十分な弾幕を張ることは出来ません。」
とはミサトの言葉。
先の戦闘とは、リリスがジオフロントに出現した直後の攻撃の事を指しているのだろう。
「・・・つまり、我々に支援砲爆撃をして欲しい・・・と。そういう事か?あの白いヤツに通常兵器での攻撃が通用するとは思えんが。」
ミサトの考えを理解したらしく、戦自指揮官は自分の中で考えをまとめた様だ。
その上で導き出された結論、そして疑問を口にする。
「これまで採取されたデータにより、目標は視認により攻撃対象を選別しているものと考えられます。
支援の目的はEVAの援護ですので、目標の眼を晦ませる事が出来れば目的は達成されます。その為の援護をお願いしたいのです。
もっとも、今回のあなた方への要請に関して正式な書類はありませんが。」
と、一応の説明を終えたミサトは、さっきまでの真剣な表情を一転させ人懐っこい笑顔を見せる。
そんな彼女の姿に毒気を抜かれたのか、やや呆れた様な態度でため息を付く戦自指揮官。
「私の権限で許されているのは作戦の遂行とネルフとの交渉に関する事までだ。
残念ながら協力までは許可されていない。」
そう言うと、戦自指揮官はミサトに背を向けてしまった。
彼はそれまで微動だにしていなかった後ろの部下達に何かを指示。
どうやら、何かの機械を準備させている様だが・・・
「・・・私だ。ネルフとの交渉は決裂、連中は切り札を持ち出してきた。」
どうやら戦自の指揮官はどこかと連絡を取っているらしい。
専用回線を使っているらしく、ミサトにはそれが何処へ向けてのものなのかは見当もつかないが・・・
今はとりあえず、彼の様子を注視するのみである。
「そっちのレーダーにも芦ノ湖上空のデカブツが映っているだろう?・・・ああ、そいつだ。
我々はそいつに対し総攻撃を行う。だから、そっちからも長距離弾道弾で支援してもらいたい。・・・・・なに、時間?」
戦自の指揮官がミサトの方に眼を向けた。
一方、瞬時に状況を理解したミサトは両手を使って、彼の問いに対し的確に合図を送る。
「総攻撃の開始は14:00だ。その時間に弾着するよう調整してありったけ撃ちこんで来い。
・・・座標?そんなもの無くても当たるくらい大きいヤツだ。
間違っても味方の上に落とすんじゃないぞ。」
戦自指揮官はそこまで言い終えるとさっさと受話器を置いてしまった。
言い方こそ違えど、どうやらミサトの要請に応えてくれたらしい。
御協力に感謝します。と笑顔で礼を述べるミサトに対し
「これ以上、我々がここに居る理由もあるまい。現場に戻らせてもらう。
今後に関する交渉は後日改めて行おう。」
それだけ言うと、戦自指揮官は部下を引き連れて第二発令所から出ていってしまった。
今日はここまでノシ
職人さん、乙。
何故かGガンダムの最終回を思い出しました。
いや、ラスボスの体内に取り込まれたヒロインってところしか共通点ないけどw
(他にもそういう作品あるんだろうけど、自分はGガンダムしか知らないもので…)
すげぇええええ!
この職人さん自分が今まで読んだFFの中でダントツだ。
GJ!
続きが楽しみです!
地上で待機していた初号機と13号機、そして非常用バッテリーを装着し再び地上に現れた弐号機。
初号機にはオリジナル、弐号機と13号機にはコピーのロンギヌスの槍がすでに装備されている。
「シンジ君、アスカ、これからの作戦の説明をするわ。よく聞いて。」
ジオフロントに立つ3機のEVAに対し作戦説明を始めるミサト。
今回の作戦は、上空のリリスの殲滅が目的である。
第一段階として戦自の協力による長距離弾道弾、およびネルフ周辺施設からの攻撃により目標周辺に弾幕を展開。
第二段階は支援射撃中に接近させたEVA3機で目標が展開するであろうATフィールドを一点突破。
第三段階でリリスを直接攻撃、目標を殲滅するというものだ。
「作戦はこんなところね。質問はあるかしら?」
「大ありよ!大体、なんで私達のEVAであいつのATフィールドを突破出来るって分かるのよ!」
作戦説明を終えたミサトに対し、アスカがいつも通り不満を述べる。
だが、確かにアスカの言う事も一理ある。
いくらEVAと言えどロンギヌスの槍のコピーですらはじき返した目標のATフィールドを突破出来る保障は何処にも無いのだ。
「これが一番可能性の高い方法なの。
EVAで目標のATフィールドを中和しつつ、ロンギヌスの槍で突破を図る・・・これ以外に方法は無いわ。」
アスカはまだ不満を持っている様だが、他に方法が無い事くらい彼女も分かっている。
文句を言いながらも不承不承、一応納得したらしいが・・・
「ところでさ・・・。ファーストってまだ見つかんないの?」
突然、別の話を切り出すアスカ。
先に上がったはずのレイが行方不明になっているというのは既に聞いていたのだが・・・
しばらく時間が経っているのに、ミサトから何の話も出てこないので不審に思っていたのだ。
「ごめんなさい。レイは・・・まだ捕捉出来ていないの。」
いつに無く力の無いミサトの言葉。
そして、ミサトの返事に、そう・・・。と、アスカは気の無い返事で返す。
作戦開始まで間はあるものの双方とも口を開く事無く・・・、
ほんの少しの時間だが場が沈黙に支配されてしまった。そんな時・・・
「ミサトさん・・・。あの、綾波の声が聞こえたんです・・・。あそこから・・・
綾波は多分・・・あそこに居るんだと思います。」
ずっと黙ったままだったシンジが小さな声で話し始めた。
彼の言うあそことは、当然空中に静止しているリリスの事だろう。
だが、シンジの言葉を聞くまでも無く・・・アスカもミサトも薄々そんな気はしていた。
白く巨大で初めて見る敵とは言え、リリスの姿形は綾波レイそのものなのだ。
それでもこれまでその事に触れようとしなかったのは、根拠がなかったからでもあり・・・その事実を認めたくなかったからでもある。
「僕・・・、綾波を助けたいんです。
これまでずっと綾波に助けられてばっかりで・・・、だから・・・・・」
「シンジ君。仮にレイがリリスの中に居るとして・・・
そこから助け出すって言うのは、目標の殲滅より難しい事なのよ。」
自分の意見を述べるシンジに対し、ミサトは真剣な顔でやや冷徹ともとれる現実を口にする。
確かに、彼女の言うとおり・・・現状でも目標を撃破出来るかどうか分からないのに、
さらに困難な、救出という要素を絡めてしまっては作戦の遂行はさらに難しいものとなってしまうだろう。
一方のアスカはシンジとミサトのやりとりを黙って聞いている。
ミサトの言葉に一瞬ためらいの表情を見せるシンジだったが・・・
「お願いします!もう・・・嫌なんです!
トウジもカヲル君も助けられなかった・・・・・綾波まで失ったら・・・僕は・・・僕は・・・・・!」
中々言葉にならないながらも懸命に自分の意見を言うシンジ。
「分かったわ。シンジ君。」
それに対し、ミサトの返事は意外すぎるほど短いものだった。
だが、彼女の表情はさっきまでとは変わり、やや嬉しそうにも見える。
「シンジ君、アスカ。作戦第一段階の変更はもう出来ないけど―――」
と、先程の作戦を修正してその内容を2人に伝えるミサト。
その内容にシンジは静かに頷き・・・一方のアスカも軽口は叩いているもののやる気は十分の様だ。
「ところで、この作戦の要はアスカちゃんなんだけど・・・大丈夫かしら?」
「アスカちゃん言うな!こんなの白ウナギで十分でしょ!」
今さらながら、今回の作戦における一番の不確定要素に関する不安を口にするミサト。
そんな彼女に対し、すっかり名前の定着してしまったEVA13号機の呼称に不満ありありのアスカがツッコミを入れる。
正直なところ、今回の作戦にはEVA13号機の飛行能力が必要不可欠であり、
ミサトの思惑通りに動いてもらわないと作戦の根幹に関わってしまうのだが・・・
「あ・・・、大丈夫だと思いますよ。アスカ・・・ちゃんって僕達の言う事、ちゃんと分かってくれてるみたいだし・・・」
「ちょっと!馬鹿シンジまで何を言い出すのよ!つーか、頷くな!白ウナギ!」
珍しく楽観的な意見をいうシンジとそれに頷く13号機に怒鳴るアスカ。
この後、大事な決戦を控えているのだが・・・
気負いや緊張が無くなったという点ではこれもプラス要素と言えるのかもしれない。
今日はここまでですノシ
GJです。
あとはシンジの告白とラブラブ天驚拳を待つばかり。
おつです!
話が進むのはうれしいけど、終わりに近づいてると思うとさみしいね。
乙!
ラブラブ天驚拳見たいかもwww
でも、それだとGが混ざったエヴァだからなw
ともかく、テラワクでお待ちしております。
神・ジョブッ!
明げの砂漠
リリスの体内で・・・白い空間に映し出された青空を眺める幼女。
さっきまで手中にあった初号機とロンギヌスの槍はすでに彼女の手を離れ落下してしまっていた。
ロンギヌスの槍で初号機を貫こうとしていたあの時・・・、
あのまま何事も無かったら・・・おそらく彼女の思うとおりの状況になっていたのだろう。
― 貴方も困った人ね・・・。せっかく碇君の望む世界で全てを1つにしてあげようと思ったのに・・・。 ―
「・・・・・。」
幼女の言葉に対し、彼女の思惑を頓挫させた張本人であるレイはずっと黙って俯いている。
彼女は白い壁の様なモノに肩まで埋め込まれた状態のまま・・・
何かを聞こうとするわけでもなく、逃げようとするのでもなく、全てを諦めてしまったかの様にまるで動こうとしない。
一方の幼女は、その顔にずっと変わらぬ薄笑みを浮かべている・・・。
邪魔をされたというのにその状況すら愉しんでいるかの様だ。
― まぁ、いいわ。アレはただの余興。私達さえ居ればそれで十分なんだから・・・。 ―
そう言うと、幼女はふわりと浮かび上がりレイの目の前までやってきた。
その光景にレイは一瞬ハッとした表情を見せたが、幼女を見まいとすぐに顔をそむけてしまう。
唇をキュッとかみ締め・・・眼の前に在る恐怖に必死に耐えているのだろう。
― どうして私を見てくれないの?私はあなたなのに・・・。 ―
クスクスと笑いかけながらレイに話しかける幼女。
相変わらず意味深な事を言っているが・・・その本意や意図がどこにあるのかは飄々として掴ませない。
― でも・・・それで良いの。私にそうしてくれている様に、この世界もそうやって拒絶してくれれば・・・それで十分なんだから。 ―
「世界を・・・拒絶って?」
幼女の意味ありげな言葉に、レイは思わず聞き返す。
一方、ようやくレイが反応を見せた事に、幼女は嬉しそうな表情を覗かせている。
― 言ったでしょ?貴方にもやらなきゃならない事があるって・・・。 ―
「っ!」
途端にレイを襲う激しい頭痛。ネルフ本部の時感じた痛みより、さらに酷く頭に響いてくる。
まるで、直接刃物を突き立てられている様な鋭い痛み・・・
「あ・・・うぁ・・・・痛いよ・・・・痛い・・・・。」
身体の自由がほとんど失われてしまっているため、レイは手で頭を抑える事すら出来ない。
唯一、自由に動かせる頭を横に振り、襲い掛かる痛みを必死に堪えている。
― それは頭が痛いんじゃない・・・。その痛みは貴方が閉じ込めておいた心の痛み・・・。 ―
「分からない・・・何の話か分からないよ・・・。」
首を振り、誰に言うとも無く呟くレイ。気を抜けば一瞬にして意識を失ってしまうだろう。
一方、そんなレイを満足そうに眺めながら幼女は言葉を続ける。
― さぁ・・・心を解き放って・・・。 ―
その幼女の声は届いたのだろうか・・・。
気丈に耐えるもレイの精神は限界に達し・・・彼女の意識は再び暗闇に落ちていった
短いですが、今日はここまでノシ
乙!
あと少しでラブラブ天驚拳が!ってしつこいか…
リナレイなら、ラブラブ重破斬…。
…いや、そのエンドは幻に終わったが、
イラストはあるのよ、これがw
ともかく、神ジョブ!
「あれ・・・?あたし・・・・・あれ?」
ガコンガコンという工事を続ける重機の音に眼を覚ますレイ。
見回してみると・・・そこは、いつもと変わらない自分のマンションの一室だった。
「え〜と・・・、あれ?・・・・・なんだっけ?」
何か大事な事があった気がするがさっぱり思い出せない。
「あ・・・そうだ!学校学校!えと・・・時間は・・・?」
ひとしきり頭を捻っていたレイだったがすぐさま我に返る。
時計を見ると、いつも家を出る時間はとっくに過ぎていた。
「うわ!遅刻しちゃう!急がなきゃ!」
ベッドから飛び起き身支度を整え始めるレイ。
ブラウスに袖を通しスカートを穿き・・・キョロキョロと眼で周りを探してみるが、どういうワケか鞄が見当たらないのだ。
もしかしたら、学校に置きっ放しなのかもしれないが・・・いまいち思い出せない。
「う〜ん・・・、ま、いっか。」
と、思い出すのをあっさり止めてしまうレイ。
実際問題、のんびり思い出している時間は無いし遅刻する訳にもいかない。
支度もそこそこにレイは慌しくマンションを後にした。
いつもの通学路、見慣れた街の風景・・・だが、何かいつもと違う気がする。
「おはよ〜!」
学校も近くになるとクラスメイトの姿も増えてきた。
いつも通り大きな声で挨拶をするのだが、どういうわけか声をかけても返事がまったく返ってこない。
誰に声をかけても同じ・・・無視されるような心当たりは無いし、これまでそんな事は一度も無かった。
どうしたんだろ・・・?と訝しげに思うレイだが、考えてみてもさっぱり分からない。
「あ、アスカ、ヒカリ・・・!おはよ!」
学校の下駄箱でアスカとヒカリを見つけ声をかけるレイだったが、2人からの反応も無い。
これまで出会ったクラスメイト同様に無視・・・
いや、レイの存在にすら気付いていなかった様にも見える。
彼女達は楽しそうにおしゃべりしながら学校の中へと行ってしまった。
「・・・どうしちゃったんだろ。」
学校の廊下を歩きながら考えるレイだが・・・やはり心当たりが無い。
段々、足取りも重くなってきている・・・。
これじゃいけないと思い直し、レイが改めて2−Aの教室に入ろうとしたその時
「あ、綾波。おはよう。」
声をかけてきたのはシンジだった。
彼のそばには紺色のジャージを来た少年とメガネをかけた少年が一緒にいる。
「シンちゃん!おはよ〜!あのさ―――」
何かとても大事な事を忘れている様な気もするが、ようやく声をかけられ嬉しさ一杯のレイ。
彼女は元気に話しかけようとするが・・・
「え・・・?」
突然、自分の背後から現れたありえない人影にレイは言葉を失った。
現れたのは、自分と同じ蒼い髪に透き通る様な白い肌・・・そして特徴的な赤い眼をした同い年くらいの少女。
身体的な特徴だけではなく、着ている制服の着こなし方まで全てが一緒なのだ。
彼女が手にしている学生鞄も自分と同じもの・・・
違うと言えば表情くらいのもので、その少女はシンジに声を賭けられてもほぼ無表情のままである。
「・・・おはよう。」
少女はそっけない態度で挨拶するとさっさと教室に入っていってしまった。
さっき、シンジが声をかけたのは自分に対してではなく、その少女に対してのものだったのだろうか・・・?
でも、彼は確かに綾波と言ったはず・・・
「綾波って、あたしの事じゃないの・・・・・?」
レイがあれこれ考えている間に、シンジはジャージ姿の少年に小突かれつつ教室へと入っていこうとしている。
彼を引きとめようと、レイは思わず彼の肩に手を伸ばすが・・・
「そ、そんな・・・!」
伸ばした自分の手が彼の身体をすり抜けてしまい驚愕するレイ。
状況か分からず、レイは自分の身体を触ってみるが何も異常は無い。
その間にシンジ達は何事も無かったかの様に教室へと入っていってしまった。
呆然と立ち尽くすレイの事は気にもかけずに・・・
「なに・・・、これ・・・?」
廊下から教室の中を覗いたレイは自分の眼を疑う。
先程の自分とよく似た少女が自分の席に座っており、自分の居場所がどこにも無いのだ。
手を伸ばせばすぐに届くはず、得られるはずの日常・・・
しかし、今のレイには決して届かない。
― これはもう1つの世界の姿・・・、数ある可能性のうちの1つよ。 ―
ふいに聞こえる幼女の声。
振り向くとそこには、赤いワンピース姿の幼女がさも当然の様に立っている。
そして、彼女の姿を見てレイは自分が眼にしているこの光景が現実では無い事を知った。
― ほら、あなたが居なくても世界はちゃんと動いてる・・・。 ―
確かにレイの眼にも、普通の日常が過ぎていく光景が見える。
そっけない態度ながらもシンジやアスカと会話をするレイの姿に違和感は無い。まるでそれが当たり前であるかの様に・・・
レイの眼に映る青髪の少女は綾波レイそのものではある・・・だが、それは決して自分では無い。
― 分かった?必要とされているのは、綾波レイとしてのあなたじゃなく、綾波レイそのものなのよ・・・。 ―
「これ・・・あなたがやったの?元に戻してよ!戻して!」
この世界が虚構である事を知ったレイは幼女に向かって叫ぶ。
彼女は幼女の言葉を聞くつもりは毛頭無い様だ。
次の瞬間には周囲の光景は消え去り、再び真っ白い世界へと戻ってしまった。
― なら、現実に戻してあげる・・・。でも、この現実にあなたの存在理由ってあるのかしら・・・? ―
「え?」
あまりに唐突な幼女の言葉。
自分の存在理由・・・?EVAに乗る事・・・?使徒と戦う事・・・?碇司令の目的のため・・・?
いくつか理由は思い浮かぶが口からは中々出てこない。
― もう使徒は現れない・・・。碇司令も居ない・・・。あなたがこの世界に必要とされる理由って何? ―
自分の心の内を読んでいるかの様な幼女の問いかけに対し、
レイは返す言葉が見つからない。
「分からないよ・・・。でも、碇司令はあたしの事・・・」
自分の事を娘と言ってくれた人・・・。だが、彼はもうこの世界には居ない。
その現実をレイは改めて自覚する・・・。
スカートのポケットに入っている眼鏡の感触・・・それは、レイに彼の死を再認識させるには十分だった。
― でも、彼はもう居ない・・・。それに、彼が死んだのはあなたのせいなのよ・・・。 ―
「っ!・・・そんな!だってあれは・・・!」
予想外の幼女の言葉・・・、それ聞いたレイの心臓の鼓動が一気に早まった。
胸に手を当て、平静を保とうとするも・・・鼓動の激しさが収まる事は無い。
そんなレイをよそに幼女は再び周囲の光景を変化させている。
「ここは・・・?」
レイの眼に映るのはオレンジ色の水槽と天井からぶら下がっているパイプ群・・・
彼女にとって、この光景はあまり気分の良いものではない。
そして、その光景の中心に白衣を来た1人の女性の姿が在った。力なく立っているだけの彼女に生気は感じられない。
「赤木・・・博士・・・・・?」
― 彼女はダミープラントを破壊して・・・最後は碇司令もろとも死のうとした・・・。彼女がどうしてそんな行動をとったのか分かる? ―
そんな事を言われてもレイには見当がつかない。
ターミナルドグマで銃を突きつけられるまで、リツコが自分にあの様な感情を抱いていたとは知らなかったのだ。
ダミープラントにシンジやミサトを連れてきた時ですら、何かの間違いかと思っていたくらいなのだから・・・
― 彼女は貴方の代わりに詰問を受けたの・・・。ゼーレという組織の人達に呼び出されてね・・・。 ―
初めて聞く幼女の話にレイは何も言う事が出来ない。
― 冷静な彼女をあそこまで駆り立てたんだから、相当酷い事をされたんでしょうね・・・。本当はあなたがそうなるはずだったのに。 ―
「そんな・・・!どうしてあたしが呼び出されなきゃならないの?」
クスクスと笑いながら話す幼女に聞き返すレイ。
ゼーレという組織については碇司令と冬月副司令の会話を聞いた事もあり、全く知らない訳では無かったが・・・
それでもレイには縁の無い話のはずである。だが・・・
― 貴方はロンギヌスの槍を勝手に使った・・・。呼び出されるには十分よ。 ―
幼女が言っているのは第15使徒の来襲時の話である。
衛星軌道上の目標を撃破するため・・・アスカを救うためにレイが独断で槍を使ってしまった戦い・・・
特別な槍だとは知っていたが、使徒を倒す為に使ったのだから問題があるはず無い。
少なくとも、レイはそう考えていたし、何か問題があるなら碇司令が止めたはずである。しかし・・・
― 碇司令にとっては大丈夫でも、ゼーレにとっては問題があったのよ。それに、第3新東京市消失の原因を作ったのも貴方だしね。 ―
レイの心を見透かしたかの様に幼女は冷ややかに言い放つ。
第3新東京市の消失とは第16使徒が来襲した時の話だろう。3機のEVAで交戦し、最終的には目標が自爆してしまったが・・・
確かに、第3新東京市消失の直接的なきっかけはレイが作っていた。
「あ・・・あ・・・・・」
幼女の言葉に耐え切れず、レイの身体は震え始めている。
両手で自分の両腕を抑えるようにして必死に堪えてはいるが・・・
― そして、貴方は・・・結果的に彼等を殺してしまった。 ―
「止めて・・・!そんな話、聞きたくない!」
止めとばかりに言い放たれた幼女の言葉にレイはしゃがみこんで両手で耳を塞いでしまう。
頭に直接響く声なのだから、そんな事で聞こえなくなるわけは無いのだが・・・そうせずにはいられなかったのだ。
― そんな事をしても無駄よ・・・。事実は変わらないわ。 ―
幼女はしゃがみこんでいるレイのそばに近寄り、彼女の顔を覗き込む様にして語りかけている。
いつの間にか周囲の光景は白一色に戻ってしまっていたが、レイにはそれを認識出来るほどの余裕は無い。
― 碇君がこの事実を知ったら・・・どう思うかしら?お父さんとの会話・・・喜んでいたわよね? ―
「っ!」
もはや言葉を返す事も出来ず、両耳を押さえながら首を振るだけとなってしまったレイ。
そんな彼女の様子を幼女は満足げに眺めている。
― そういえば・・・、碇君にとっての貴方って・・・それほど重要な存在なのかしら? ―
畳み掛けてくる幼女の問いかけ・・・、聞きたくなくてもレイの頭の中に直接入り込んでくる声。
分かりたくないのに、その言葉の意味を瞬時に理解してしまう・・・。
― 惣流さんの時は彼女を一生懸命探していたのに・・・、貴方が塞ぎこんでいた時には一度も来てくれなかった・・・。 ―
シンジがレイの見舞いに行かなかったのにはの彼なりの考えがあっての事だったのだが・・・
幼女は自分の目的の為なら全てを利用するつもりだ。
シンジの意図を省き、事実を歪曲してレイに思い出させている。
いくらレイでも、普段の精神状態ならこのくらいの小細工はすぐに見抜く事が出来たのだろうが・・・今回は事情が違う。
「あ・・・、や・・・やめて・・よぉ・・・・・。」
― 寂しいんでしょう?心が痛いんでしょう?だから・・・、満たされたいんでしょう? ―
これまでとはうって変わって誘惑するかの様な幼女の言葉。
その声にレイはピクンと身体を反応させる。
― 他の人達との絆が欲しいのよね?今より、もっと・・・もっと・・・・・ ―
レイを覗き込む幼女の顔は慈愛の表情に溢れている。
偶然、見上げたレイの眼に映った幼女のその表情に対し・・・もはや抵抗する力を失っていた。
「そう・・・、だって・・・・・あたしには・・・何も無いんだもん・・・・・・。何かしなきゃ・・・誰もあたしを見てくれない・・・・・。」
レイはこれまで心の内に閉じ込めていた思いを語り始めた。
友達や知り合いをたくさん作ろうとしたのも・・・誰に対しても訳隔てなく面倒見が良かったのも・・・
それらはもちろんレイの心からの行動ではあったのだが、
何も無い自分に、他者との絆が欲しかったからというのが一番の理由だったのだ。
「でも・・・もう、駄目だよ・・・。
あたし・・・要らないんだもん・・・・。あたしじゃなくても・・・・・何も変わらないんだもん。」
レイの言葉通り、これまで信じていた絆はすでに無い・・・。
自分ではあると思っていても向こうがどう思っているかが分からず、不安で自信が持てない・・・。
実際はそうではなくても、先程の幻覚や幼女の言葉に惑わされており、
レイは他者とのつながりが失われたものと思い込んでいるのだ。
「どうしよう・・・、あたしのせいで碇司令と赤木博士が・・・鈴原君だって・・・!
どうしよう・・・!あたし・・・・どうすれば・・・・!」
レイは彼らの死も自分のせいだと思い込んでいる。
彼女は完全に情緒不安定になってしまい、その精神は限界ギリギリまで追い込まれてしまっていた。
― 大丈夫・・・。今の貴方にも出来る事はある・・・。世界を元に戻せるの・・・。 ―
レイの頭を優しく包み込む様にして語りかける幼女。
涙をボロボロと流していたレイは幼女に縋り付く様にして大声で泣き出してしまった。
追い込まれていたレイにとっては、彼女を追い詰めた張本人である幼女の提案であろうと、
自分にも出来る事があるなら・・・自分が必要とされるのなら、それは一筋の希望の様に思えてしまう。
一方、幼女は優しい声をかけながらレイの頭をゆっくりと撫でている。しかし・・・
(フフ・・・、これで全ては整ったわね・・・・・。)
幼女が心の中で呟く・・・。
すると、次の瞬間にはさっきまで浮かべていた優しい表情は何処にも無くなり、
元の薄笑みを浮かべた禍々しい顔へと戻ってしまった。
そして・・・レイは幼女のその変貌に気付く事無く、その身を幼女に委ねていた。
今日はここまでですノシ
乙です。続きにwktk
うぁぁあ!チビレイめ、レイをいじめるなー
でもGJ!
明るいレイになったら明るくなったなりの
暗さがでてくるね。
とにかくGJ!!
乙!
大分鬱傾向が強くなってきたかな?
「シンジ君、アスカ、時間よ。準備はいいわね?」
第二発令所の主モニターに映るシンジとアスカ。
すでに戦自の各基地からは長距離弾道弾が発射され、その軌道もネルフ本部ではすでに捕捉している。
リリスへの着弾は戦自の指揮官が要請したとおり・・・14:00に命中するものと推察された。
現在の時刻は13:50、高度12000mのリリスへ到達するまでの時間も加味しなければならないので、
直接攻撃を行う彼らは弾道弾の着弾以前に行動を起こさなければならない。
「アスカ、活動限界には気をつけて。無理するんじゃないわよ。」
「分かってるっての。」
ミサトが珍しくアスカに対する気遣いを見せる。
これまではこういった言葉は彼女の神経を逆撫でするだけだったのだが・・・アスカは意外にも素直に返答した。
「シンジ君・・・、チャンスは一度よ。この作戦はあなたの行動に全てが掛かっているの。頑張ってね。」
「・・・・・。」
今度はシンジに激励の言葉を送るミサト。
S2機関を搭載、そして、ミサトの指示が正確に届く初号機が今作戦の主軸を成すのだ。
シンジは言葉にこそ出さないが・・・決意の程は、その真剣な表情から見て取れる。
「シンジ君、アスカ・・・アスカちゃんも・・・必ず生きて帰ってくるのよ。」
「ファーストを連れて・・・でしょ?」
2人+1機に対するミサトの言葉に対し、アスカが軽口を叩く様な口調で返答する。
そう・・・彼らはリリスの殲滅だけではなくレイの救出もこなさなければならないのだ。
だが、任務の遂行がさらに困難になってしまったというのにどういう訳か彼らに不安の表情は無い。
あるいはすでに達観してしまっているのかもしれないが・・・。
「日向君、上空のリリスは?」
「依然、変化無し。目標は沈黙を守って・・・・・・待ってください、これは・・・!」
ミサトが何気なく聞いたリリスの現状。
だが、報告の途中で日向二尉の口調が緊迫したものへと変わった。
主モニターに映し出されているリリスは先程までまるで動いていなかったのだが、
猫背気味に前屈みになったかと思った次の瞬間、背中から無数の羽根の様なモノを展開させ始めたのだ。
しかも、姿形だけが変わったというだけでも無いらしい。
「目標よりアンチATフィールドの発生を確認!出力が増大していきます!」
「なんですって!」
日向二尉の報告に驚きの声を上げるミサト。
彼女の脳裏に今後起こりえるかもしれない最悪のシナリオが想像される。
「まずいです!このままでは個体生命の形を維持出来なくなります!」
続けて聞こえてくる青葉二尉の声。彼からの報告はミサトの想像を裏切らなかった。
「アンチATフィールドが臨界に達するまでの時間は!?」
「これまでの経緯から、あと5分で臨界に達するものと思われます。」
ミサトの問いにすぐさま返答する日向二尉。
ミサトの手元には即興で組み立てた作戦スケジュールと現有戦力を記したボードがあるのだが・・・
彼の返事と、手元のボードに記されている情報にミサトは唇をかみ締める。
「状況は最悪ね・・・。どうするか・・・。」
頭の中で現在の状況を再確認するミサト。
現在、ネルフ本部が有している対空迎撃システムの稼働率は5%にも満たない。
一方・・・リリスのATフィールドによる反撃は正確無比であり、一度攻撃してしまえば二度と使えなくなってしまう。
十分な弾幕を展開するにはある程度の火力を集中させる必要があり、数回に分けて波状攻撃を行えるだけの余裕は無い。
つまり、今のネルフの戦力では、リリスの注意を引く事が出来たとしてもせいぜい1回きり・・・そこまでが限界なのだ。
また、戦自の長距離弾道弾が来るまで待っていられる余裕も無い。
(迷っている暇は無い・・・か。)
もう時間は無い・・・。
これ以上の逡巡は自分達の生存率を落とすだけと判断したミサトは決断を下す。
「シンジ君、アスカ、出撃よ!至急、リリスへの接近を開始して!」
今日はここまでです。皆さんの感想ありがたいです。
話も佳境ですが、もう少しお付き合いください(´・ω・`)ノシ
乙!
あとちょいで終わりかー。淋しくなるな
乙!
もうね、これを映画にすればいいと思う。
↑激しく同意
GJッ!
もー、最後の最後まで目が離せない!
ミサトからの指示を受けた初号機と弐号機、
そして13号機は与えられた役目を果たすために行動を開始する。
「いまいち不安だけど・・・、落としたりすんじゃないわよ?」
EVA13号機に抱えられるようにして待機する弐号機の中で、やや疑心暗鬼気味ながらアスカが13号機に声をかける。
一方の初号機はおんぶする様に13号機の背後に回り、その背中にしがみつく。
2機のEVAを上空へと運ぶ役目を負った13号機は心配するなと言わんばかりに翼を大きく展開、
一度羽ばたかせた後で、その身体を宙に浮かばせた。
「多分、大丈夫だよ。アスカちゃんは信頼できると思う・・・。」
アスカの顔色を覗うように、自分の意見を口にするシンジ。
他人の顔色を気にする彼の性格はいつも通りだが、こうして自分の意見をちゃんと言うようになったのは1つの進歩と言えるだろう。
だが、自分の言った内容がアスカの神経を逆撫でしていた事までは気付いていない。
「うるわいわね!アンタに言われなくても分かってるわよ!」
「な、なんだよ!アスカを安心させるために言ったんじゃないか!そんな言い方ないだろ!」
予想を裏切らないアスカの怒鳴り声と、それが癇に障ったのかシンジも怒鳴り返す。
その2人のやりとりは当然、第二発令所にも届いており、ミサトの眼にも映っている。
「止めんか、2人とも!
・・・アスカ、そのアンビリカルケーブルの長さは3000mよ。高度2800でパージしなさい。」
「分かってるって言ってるでしょうが!」
ミサトの指示にもアスカは怒鳴り返す。
ちなみに、アスカの弐号機は活動時間を少しでも延ばすため、まだアンビリカルケーブルを付けたままなのだ。
その後ケーブルをパージした後は非常用バッテリーを使用。最終的には内部電源に頼るしかないのだが・・・
スケジュール通りに作戦が推移すれば十分間に合うはずである。
程なくして弐号機はアンビリカルケーブルをパージ。彼らを連れたEVA13号機はさらに上昇していく・・・。
「アンチATフィールド、出力の増大率が変化しました!臨界推定時間まで後1分!」
ミサトの耳に青葉二尉からの報告が入る。
それまでの計算では後2〜3分の余裕があったはずなのだが、新たに起こった変化がそれらの時間的余裕すら失わせてしまった。
「地対空戦闘開始!目標は高度12000mのリリス、頭部に集中攻撃!」
「了解!全ミサイル発射!弾着まであと25秒!」
報告を受けたミサトは迷う事なく命令を下した。
ミサイルの軌道をモニターする日向二尉正面の主モニターには上昇していくミサイルの映像が映し出されている。
「頼んだわよ・・・。シンジ君、アスカ・・・・・。」
ミサトが直接使える兵装は全て使い果たしてしまった。
他に出来る事と言えば戦況そのものを見渡し、シンジやアスカに出来るだけ的確な指示を与える事のみ・・・。
後は・・・、上空へ昇っていった彼らに任せるしか無いのだ・・・。
短いですが、今日はここまでノシ
乙!
続きがぁぁ!続きが気になるぅ!
GJ!!
早く続きが見たいけどまだまだ終ってほしくない
という感情の板ばさみにあってます
羽根の様なモノを展開させ、ジオフロントの上空でアンチATフィールドを発生させ続けているリリス。
その体内で、幼女はネルフ本部の周辺施設から発射されたミサイルが自分達の方へ向かってくるのを見つけた。
これまでならATフィールドでその攻撃を防いでいたのだが、今回は様子が違う。
ATフィールドが展開されるべき空間には何も現れず・・・
ドドドドォォォン!
「う・・・あぁぁぁっ!」
リリスの身体に命中する多数のミサイル。
だが、その攻撃に、苦痛の声を上げたのはレイの方だった。
先程までの肉体的な拘束はすでに解かれているが、虚ろな表情で力無く立っているだけの状態・・・
そんな時に突然襲ったミサイルの直撃に、レイはリリスとシンクロでもしているかのように
身をよじって痛みを堪えている。
「やだぁ・・・、どうして邪魔するのよぉ・・・?あたし・・・・・良い事しようとしてるのに・・・!」
― そうね。貴方は世界を救おうとしてるのに彼らは何も分かってない・・・。分かろうとしてくれない・・・。 ―
幼女にその精神を蝕まれ、正常な判断を下せなくなっているレイ。
それに対し傍らに立つ幼女はレイの顔を覗き込む様にして彼女に微笑みかけている。
― でも大丈夫・・・。私は貴方の事が分かってあげられる・・・。いつまでもそばにいてあげる・・・。 ―
「・・・うん。」
幼女の穏やかな囁きにレイは言葉少なに頷く事しかしようとしない。
そんなレイの様子に幼女は嬉しそうな表情を浮かべている。
彼女は、先程のミサイルもレイの精神を追い詰めるための手段の1つとして、あえてその身に受けさせたのだ。
アンチATフィールドの臨界突破を遅延させる結果にはなってしまったが、
彼女にとって時間的な余裕は十分過ぎるほどにある。
むしろ、レイをより自分の意のままに動かせる様になったという点から見れば、かなりのプラスなのだ。
実際、彼女はレイの精神を掌握しつつあるのだ。
― ・・・・・。 ―
幼女は何も言わずに地上の施設に視線を送る。
僅かな間をおき、先程ミサイルを放ったであろう施設の全てが灰燼と消え去ってしまった。
これでもう、ネルフ本部からの攻撃は無いだろう・・・。
以前の攻撃と合わせて、目に付く施設は全て破壊したのだから・・・。
― 来たわね・・・。 ―
そんな中、幼女の視界に入るEVAが3機・・・、
今となっては彼らなど取るに足らない存在となってしまったのだが・・・万が一という事もある。
(フフッ・・・、貴方にはさらなる絶望を贈ってあげるわ・・・。)
幼女が心の中で呟いたその言葉は誰に対してのものなのか・・・何を意味するのかは彼女にしか分からない。
リリスは彼女の意思に応える様に、向かってくるEVAに対し迎撃体勢を取り始めた。
今日はここまでですノシ
GJ!
おつ!
EVA13号機によって抱えられた弐号機と背に乗る初号機。
高度は既に10000mに達しており、彼らの眼にも羽根を大きく広げたリリスの姿がハッキリと捉えられていた。
また、先程ネルフ本部から発射されたミサイルの着弾も確認している。
ATフィールドを防御に使わなかったリリスに対し、疑問を口にするシンジだったが・・・
「そんなの考えたって分かるわけないでしょ。
んな事より、アンタはファーストを助ける事だけ考えてなさいっての。」
と、アスカから返ってくるのは何の実にもならない返事。
確かに、リリスの行動やその意味などは彼らが考えても分かるはずが無い。その時
「キャッ!」
エントリープラグの中で思わず悲鳴をあげるアスカ。
上昇していたはずの13号機が突然進路変更し、約90度の角度で方向転換したのである。
あまりにいきなりの行動だったため、少し油断していたアスカは大きく揺さぶられてしまったのだ。
「ちょっと!いきなり何すんの―――」
アスカは途中まで言いかけたところで、
さっきまで自分達が居た空中にオレンジ色の楯の様なモノが展開されているのを確認する。
「ATフィールド・・・?」
疑問とも呟きとも取れる声を発するシンジ。
さっきの13号機の方向転換はアレを避けるための行動だったのだろう。
リリスのATフィールドによる攻撃を受けた場合どうなるのかは、ネルフ本部での出来事で実証済み。
とっさの13号機の行動で避ける事は出来たが・・・
「なんであんなにムキになって攻撃してくんのよ!」
彼らを追いかけるように展開されるATフィールドに対し、苛立ち叫ぶアスカ。
今はどうにか避ける事が出来ているが、
どれだけ持ちこたえられるかは13号機任せなためさっぱり分からない。
何より、リリスに対し水平に避けているため、このままでは目標に接触する事すら出来ないのだ。
おまけに弐号機には活動限界という避けては通れない問題もある。
すでに非常用バッテリーの残量はごく僅かとなってしまっているのだ。
「おい!なんとかして接近しなさいよ!何か方法くらいあるでしょ?」
怒鳴りつけるアスカに対し、それが聞こえたのか首を横にふる13号機。
確かに今の状況では避けるのに精一杯でリリスへの接近など不可能に近い。
おまけに攻撃に使われているリリスのATフィールドは、
後を追うばかりではなく、彼らの未来位置を予測しそこに展開するまでになってきているのだ。
「もう無くなっちゃったか・・・。」
アスカの眼に映るモニターに活動限界までのカウントダウンが表示される。
弐号機の非常用バッテリーは尽き、無常にも内部電源へと切り替わってしまったのだ。
このままでは何もしないうちに活動限界を迎えかねない。そんな時・・・
「リリスから発生されているアンチATフィールドが一時的に停止したわ!
あなた達はリリスから距離を取って攻撃態勢を維持して。もうすぐ戦自の弾道弾がそっちにいくから!」
第二発令所からのミサトの指示。
どうしてアンチATフィールドが停止したのかは分かりようも無いが・・・時間が確保出来たのは良い材料の1つではある。
程なくして、前線のシンジ達の眼にも上空から飛来する幾つもの光が飛び込んできた。
まるで空から落ちてくる流れ星の様にも見えるソレは、巨大なリリスへと命中するかの様に確実に落ちていく。しかし・・・
「え・・・?」
リリスが不敵に微笑った様に見え、思わず驚きの声を上げるシンジ。
次の瞬間、リリスは上を向きその方向に右手をかざす。そして・・・
ドドドドドドォォォォォォン!!
ATフィールドを攻撃に転用したリリスにより、弾道弾はその全てが彼女のはるか上空で破壊されてしまった。
破壊された弾道弾の破片が空しくリリスの周囲へ降り注ぎ、そのまま地上へと落ちていく・・・。
突入するための準備をしていたシンジ達だったが・・・ただ呆然とそれを眺めるしか無かった。
弾道弾の命中でリリスの注意を引く予定だったのが、それが全く出来なかったからだ。
「どーなってんのよ!これはぁ!」
活動限界が近いアスカが誰に言うとも無く怒鳴り散らす。
そんな中、リリスは再びシンジ達に攻撃を加えようと、視線を彼らに向ける・・・。
状況は正に絶体絶命となってしまった。その時
ドドドドオォォォォォン!
リリスの至近距離で突然起きる無数の爆発。
予想もしていなかった攻撃に不意を突かれたリリスが視線を下方に向けると、そこには・・・
今日はここまでですノシ
乙であります!
何者の攻撃なんだろう?
続きwktk
すげぇ、俺いま3年ぶりくらいに興奮してる。
乙!
誰の攻撃?
もしかして農協?ちがうか…
「何をしているの!そこから逃げなさい!早く!」
リリス周辺で爆発が起きる少し前・・・
第二発令所で日向二尉のインカムに向かって叫んでいるのはミサトである。
弾道弾の攻撃が失敗に終わってしまったのは彼女にとっても予想外の出来事だったが、
それ以上に想像していなかった事態が起きていたのだ。
「デカブツへの総攻撃だというのに、地上の我々が何もしないというのはヘンな話だろう?」
先程の戦自指揮官らしき男性の低い声が返ってくる。
それと同時に、第二発令所の主モニターには、ネルフ本部を包囲する様に取り囲んでいた戦自の残存部隊から、
無数の対空ミサイルが上空のリリスへ撃ち出されるのが表示されていた。
戦自が撃ち出しているのは地対空ミサイルであり・・・元々の彼らの目的であったネルフ本部制圧には必要の無い兵装である。
ネルフがリリス殲滅作戦の準備を進めている間に彼らも準備を進めていたのだろうか・・・?
だが、今の問題はそこでは無い。
「上空のリリスは、自らを攻撃してきた対象にほぼ100%の報復攻撃を行ってきます!
このままではあなた達が危険なんです!」
ミサトの言うとおり・・・リリスはATフィールドで的確な反撃を行ってくる。
その攻撃でネルフ本部の迎撃システムはその機能の全てが失われてしまったのだ。
森林の陰に隠れ、出来るだけ見えにくいように展開している戦自の部隊とて、それは例外では無いはずである。
「戦場はどこも危険なものだ。我々に楽な仕事など無い。」
戦自の指揮官からの返事はまるで人事のような口ぶりだ。
本来ならリリスには手を出さない様、あらかじめ言い含めておくべきだったのだが・・・
今回、戦自が投入してきた戦力はあくまで対地攻撃用のものが中心であり、高度12000mのリリスには攻撃が届かないはずである。
ミサト自身、その事を知っていたからこそ、戦自が直接リリスに攻撃を仕掛けるなど夢にも思わなかったのだ。
しかもネルフの施設と違い、彼らが使用している地対空ミサイルの搬送や設置、管制などは有人で行う必要があり、
そのための人員もミサイル発射台周辺に配置されているはず・・・
リリスの反撃を受けてしまえば・・・ほぼ無防備な彼らはひとたまりも無いのだ。
「どうやらここまでの様だな。作戦の成功を祈―――」
通信はそこで途絶えてしまった。
ミサトが呼びかけてもそれっきり・・・何の応答も無い。
おそらく、リリスのATフィールドによる攻撃に遭ってしまったのだろう・・・。
主モニターにはジオフロントのあちこちで爆発が起きている光景が映し出されている。
その無残な光景をミサトは複雑な表情で見つめていたが・・・戦自の攻撃を無にするワケにはいかない。
「シンジ君!アスカ!今よ!」
ミサトはすぐさま上空で待機しているはずの彼らに指示を送った。
「シンジ!白ウナギ!作戦通りにいくわよ!」
ミサトの指示が届くか届かないか・・・
彼女の声が聞こえるのとほぼ同時にアスカが先陣を切って突撃を開始した。
下方に顔を向け完全に無防備となったリリス・・・
その頭部よりほんの少し上の高度から13号機に放り出してもらった弐号機はロンギヌスの槍のコピーを手に
目標目掛けて、その槍を突き立てようとしている。
「うおぉぉぉぉっ!」
ATフィールド全開で突撃する弐号機。だが、リリスも同機の接近にすぐに気が付いた様だ。
カキィィィン!
リリスは左手をかざしてATフィールドを展開。
弐号機の持つロンギヌスの槍が貫こうとするのを完全に防いでいる。
ATフィールドを中和しよう試みる弐号機だったが・・・出力が違いすぎるため、中和しきれていない。
カキィィィン!
ふいに何かを感じ、自身の背後に右手をかざしATフィールドを展開するリリス。
その先には弐号機と同様、ロンギヌスの槍を構えて突進している13号機の姿がある。
2機同時に中和してもリリスのATフィールドを貫く事は出来ない。
バシィィィィッ!
その状況に、勝ち誇った様に口元に笑みを浮かべ、リリスはATフィールドをさらに増大、
弐号機と13号機をいとも簡単に吹き飛ばした。
さらに、吹き飛ばした2体のEVAに向けてATフィールドで追い討ちをかける。
13号機は単独での飛翔能力があるため避ける事が出来たが、弐号機にはそれは不可能である。
リリスのATフィールドが弐号機に命中するかと思われたその時
「なめんじゃないわよぉぉぉっ!」
弐号機もリリス同様、攻撃に転換したATフィールドでリリスのATフィールドを迎え撃つ。
双方のATフィールドが展開され、オレンジ色の防壁が光を放ちながら空中で衝突した。
しかし、出力の違いから弐号機は完全に劣勢となってしまっている。
だが、危機的状況だと言うのに、アスカの表情に不安なものは感じられない。なぜなら
「シンジ!今よ!」
ふいにアスカが叫ぶ。
その叫びが聞こえたのだろうか・・・?
リリスは周囲を見渡し確認しているが、初号機の姿は見つからない。
そういえば、先程弾き飛ばした13号機の背には乗っていなかった・・・。一体どこに・・・?
何者かの接近を感じ上を見上げるリリス。
そこには他のEVA同様、ロンギヌスの槍を手に接近してくる初号機の姿があった。
「!!」
しかし、初号機は太陽を背に突撃しており、その眩しさにリリスの眼は一瞬眩んでしまう。
ほんの僅かな時間だったが・・・それが彼女にとって明暗を分けた。
「綾波ぃぃぃぃぃーっ!」
レイの名を呼びつつ突撃するシンジ。
ATフィールド全開でさらに自重もプラスさせた初号機の突撃に対し、リリスもATフィールドを展開して防御したが・・・
「!!」
初めて見せるリリスの驚きの表情。
初号機はリリスのATフィールドをいとも簡単に突き破り、そのままリリスの肩口から内部へと突入していった。
オリジナルのロンギヌスの槍の力なのか・・・?それともリリスのATフィールドの展開が間に合わなかっただけなのか・・・?
とにかく、彼らの作戦はこれで成功したも同然である。
「あとはアンタ次第よ・・・。馬鹿シンジ。」
一方、その光景を見届けたところで弐号機は活動限界を迎えた。
エントリープラグ内のモニターも消え、周囲の光景は闇へと変わってしまった。
アスカにはそれ以上どうする事も出来ず・・・ただ、地球の重力に引かれ落下していくしか無かったのだが・・・
ガシィッ!
突然、弐号機を襲う衝撃。
いや、衝撃と言うよりは何かに持ち上げられている様な・・・
自分の身に何が起きたのか・・・弐号機の機能は完全に停止しているが何となく察しはついた。
「ったく、助けてなんて頼んでないってのに・・・」
エントリープラグの中で呆れ気味に呟くアスカ。
落下していく弐号機を受け止めた13号機はそのまま地上へと降りていった。
上空のリリスの状態はジオフロント地下の第二発令所でも確認されていた。
初号機突入後、アンチATフィールドの発生はそれ以上の増加が止まっているのだ。
もっとも、それまで臨界寸前まで展開されていたアンチATフィールドは消えていないため、
予断を許さない状況ではある。
「弐号機回収、パイロットの救出を急いで!」
ミサトの声が第二発令所に響き渡る。
戦いは一応の目処がついたが、まだやる事は沢山あるのだ。
「葛城三佐、戦自隊員の救助作業は順調に進んでいます。ですが・・・」
日向二尉が報告するがその声はいつになく暗い。
彼の言うとおり、ジオフロントでは先の戦闘で傷付いた戦自隊員の救助作業が行われているのだ。
戦自独自で救助作業を行おうにも指揮系統が混乱している現状ではそれもままならず・・・
何より、一番近くにいるのは他ならぬネルフなのだ。
それがさも当然であるかのように、生存者の救出を命令したミサトだったが・・・
「分かってるわよ。人間、そうそう物事を割り切れるモンじゃないものね・・・。」
ミサトの内心は複雑である。
いくら協力してくれたとは言え、戦自は先程まで交戦していた相手でもある。
彼らの手で殺されてしまったネルフ職員の数は決して少なくない。
人命尊重は理解出来ても、リリスのATフィールドによる攻撃で発生した負傷者・・・戦自隊員の救助は
ネルフの職員にとって気分の良いものではないのだ。
「それでも彼らがいなかったら、今の私達は無かったかもしれないのよ。
気持ちは分かるけど・・・任務はきっちり遂行させなさい。」
「・・・了解しました。」
ミサトの命令に素直に従う日向二尉。
一方、司令塔の最上部に位置する冬月副司令は、指揮をミサトに任せ1人考え事に耽っていた。
今はずっと主モニターに映し出されたのリリスを見つめたままだ。
「人の未来は彼らに委ねられた・・・か。」
誰に言うとも無く呟く冬月副司令。
主モニターに映るリリスはその身を空中に浮かべ・・・ただ、佇んでいるだけであった。
今日はここまでですノシ
ウナギがかっこいいw
アスカちゃんの気配りのよさは
レイの影響?
GJ!
乙!
何気にいいとこ見せたアスカチャンwww
_ ∩
( ゚∀゚)彡 天驚拳。天驚拳。
⊂彡
リリスの体内に侵入したはずのシンジ・・・。
その体内がどうなっているかなど想像も出来なかったのだが・・・
それでも、今見ている光景は彼の予想には無かったものだ。
「ここは・・・?綾波の部屋・・・?」
シンジの目の前にあったのは、彼が幾度か訪れた事のあるレイの部屋だった。
壁はコンクリート剥き出しで床にはゴミが散らばっている・・・
そういえばばEVAに乗っていたはずなのに、いつの間に降りてしまったのだろう・・・?
着ているのはプラグスーツだから・・・EVAに乗っていたのは現実のはずだ。
「・・・!」
だが、それより気になったのは部屋の隅で膝を抱えて座っている人影の存在である。
シンジに背を向けて座っているその人影はシンジのよく知る学校の制服を着ており・・・その小さな肩は時たま震えていた。
「綾波・・・、綾波なんだろ・・・?」
あまり自信が無い様なシンジの問いかけ。
しかし、シンジに背を向ける人影は何の反応も示さない。
だが、短めに無造作に切られた感のある蒼い髪は間違いなくレイのものだ。
目の前の人物がレイである事を確信したシンジが彼女に近づこうとしたその時
「来ないで!」
レイが発した拒絶の声・・・、その声にシンジはその歩みを止める。
今までのシンジならそこで止まったまま、レイの様子を伺うなり立ち去るなりしたのだろうが・・・
「綾波・・・、みんな・・・心配してるよ。帰ろう?」
シンジはそう言いながらレイに近づいていく。その足取りは実にしっかりとしたものだ。
「ダメ!来ないで!
あたし・・・シンちゃんにそんな事言ってもらえる資格なんかない!
あたし・・・・あたしは・・・・・!」
頭を両手で抑えて必死に叫ぶレイ・・・。
シンジはもしかしたら彼女のそんな姿を見るのは初めてかもしれない。
思えば、レイはいつも明るく自分に接してきてくれた・・・。
時には怒ったり泣いたりもしたが、それでもこれほど人を拒絶した事は無かったはずである。
少なくとも、シンジはそんな彼女を知らなかった。
― フフ・・・、何を言っても無駄よ・・・。貴方の声でも・・・もう届かない。 ―
シンジの耳に幼女の声が直接聞こえてきた。
振り返ると、そこには赤いワンピース姿の幼女が立っている。
幼女の出現とともに周囲の光景は瞬時に消え去り、何も無い真っ白な空間へと変化した。
そして、自分の後ろに居たはずのレイは、いつの間にか幼女に寄り添うように虚ろな眼のままその傍らに立っている。
「綾波・・・レイ?」
そのシンジの言葉は彼のよく知るレイに対して投げかけられたものではなく・・・目の前に居る幼女に問いかけたものだ。
だが、幼女はそんなシンジの問いを完全に無視している。
― さぁ・・・、心を解き放って・・・。貴方が世界を救うのよ・・・。 ―
「そう・・・、あたしが・・・・・あたしがやらなきゃ・・・・・」
レイの声に反応し、彼女から衝撃波の様な何かが発生して周囲に広がっていく。
身体に受ける衝撃と突風の様なモノのあおりを受けながらも必死に耐えるシンジ。
「これは・・・もしかして・・・!」
シンジの脳裏にある嫌な予感がよぎる。
作戦開始前ミサトから、このままアンチATフィールドが増大していけばサードインパクトが起きるという事は伝えられている。
しかし、肝心のアンチATフィールドが何なのかはシンジにもよく分かってない。
もしかしたら・・・今の綾波から出ている衝撃波の様な何かがそうなのかもしれないのだ。だとすれば・・・
「駄目だ・・・!綾波・・・、そんな事しちゃ駄目だ!」
何が起きているのかは確信が持てないが直感的に危機を感じ取り叫ぶシンジ。
その声にレイは僅かな反応を見せる・・・。
今の自分を否定された彼女は、今にも泣きそうな・・・哀しそうな顔でシンジを見ている・・・。
「だって・・・こうしなきゃ・・・・ダメなの。
みんなを元に戻さなきゃ・・・シンちゃんにも・・・・みんなにも嫌われちゃう・・・。」
「嫌われるって・・・そんな事ないよ。それに、綾波はみんなに好かれてたじゃないか・・・?」
シンジは思った事をそのまま口にした。
レイの言葉の意味がシンジには分からなかった。
彼女が人から疎まれているという話は聞いた事が無いし、そんな噂すら聞いた事が無い。
むしろ、シンジはそんなレイの事を羨ましく思っていたくらいなのだ。
「それに、僕は綾波を嫌ったりなんか―――」
― そうかもしれないわね・・・。でも・・・これを知ってもそんな事を言えるのかしら・・・? ―
彼の言葉を遮る様に答えたのはレイではなく・・・傍らに立つ幼女だった。
彼女が手をかざすと同時に、何も無かった空間に1人の男性の姿が浮かび上がる。
その姿はシンジのよく知る・・・・・それでいてほとんど知らない人物だった。
「父さん・・・?父さんがどうしてここに・・・!」
シンジの眼の前に現れたのは碇司令である。
彼もレイと同様、両腕をダラリと前に下ろし・・・ただ力なく立っているのみだ。
― 彼は・・・もう死んだわ。そして、その原因を作ったのは貴方の目の前にいる彼女なの。 ―
「!」
碇司令の死を突然知らされ、呆然とするシンジ。
「そう・・・、あたしのせいなの・・・!碇司令はあたしを庇って・・・!
でも、赤木博士があんな事をしたのはあたしのせいで・・・!だから・・・だから・・・!
あたしはシンちゃんに優しくしてもらえる人間なんかじゃないの!」
涙を零しながら父親の死の経緯を話すレイの声もすでに彼には届いていない。
死んだと言う幼女の言葉が頭から離れなくなってしまったのだ。そして・・・それは幼女の思惑通りでもある。
(フフ・・・、これで終わりね。)
うろたえるシンジの様子に、幼女は歪んだ笑みを口元に見せる。
これで、レイだけではなくシンジも精神が保てなくなり世界を拒絶する様になるはず・・・。
そうなれば、幼女はようやく自身の目的が果たせるのだ。
すでにレイは自分を失っており、完全に幼女の意のままに動いてくれている。
「でも、あたしなら戻せる・・・、みんなを助けられるの・・・。
碇司令も・・・赤木博士も・・・鈴原君だって・・・・・みんな・・・・みんな・・・・・」
― 世界が悲しみに満ち満ちていく・・・。空しさが人々を包み込んでいく・・・。孤独が人の心を埋めていく・・・。 ―
眼は虚ろながらも嬉しそうな表情を浮かべるレイ。そして、彼女の傍らで満足げな表情を浮かべる幼女。
レイから発せられる何かがさらに増大し、その衝撃がシンジを襲う。
(綾波・・・!)
衝撃を受けた事が幸いしたのか、シンジはハッとしてすぐさま我に返る。
眼の前にいるレイはいつものレイではない。
彼女をこのまま放っておけば取り返しがつかなくなるし・・・何よりレイを助ける事が出来ない。
「綾波・・・、みんなが助かるって事は・・・僕の母さんも?」
「え・・・?」
唐突なシンジの問いにレイは言葉を失う。
シンジの家族に関する話は父親の話題がほとんど・・・とは言っても、普段の生活ではまず話題になる事は無かったし
母親についての話はそれ以上に話す機会が無く・・・まるで聞いた事が無かったのだ。
しかも、幼女からは元に戻せると聞いているだけで、実際に世界がどうなるのかは分からない。
考えようともしなかったし考えたくも無かった・・・。
自分の信じていたモノに陰りが生じ、不安気な表情へと変わるレイ。
「母さんは・・・・・もう死んだんだ・・・。
トウジも・・・カヲル君も・・・・・
リツコさんや父さんの事は分からないけど・・・・・死んだ人はもう、戻らないんだ!」
レイに問いかけるというよりは、自分自身に言い聞かせる様に叫ぶシンジ。
一方、彼女はシンジの声を否定するかの様に首を横に振るのみ。
「そんな・・・・そんな事ないよ・・・。だって・・・・」
レイは先程までと同じ様に弱々しい声で何かを言おうとしているが・・・中々言葉にならない。
「今の綾波は、ただ逃げてるだけだ!前の僕と同じ様に・・・!
でも、現実から・・・自分から眼を背けちゃ駄目なんだ!そんなんじゃ何も変わらないんだ!
逃げたって・・・何も変わらないんだよ、綾波!」
レイをしっかりと見据え大声で叫ぶシンジ。
彼の言葉は以前、加持に説得された時に言われた事でもあり・・・これまでの経験から得られたものでもある。
そんなシンジの声がようやく届いたのか、レイの顔は見る間に驚きの表情へと変わる。
「だって・・・、あたしのせいで碇司令が・・・みんなが・・・・・」
レイは頭を抱えて苦しんでいる・・・。
自分の信じていたものが分からなくなり・・・何をどうすれば良いのか完全に見失ってしまった様だ。
(そんなはず・・・!父親の死を知っても自分を失わないなんて・・・!)
だが、それ以上に驚きの表情を浮かべていたのは、これまで一度たりとも冷静な態度を崩さなかった幼女の方だった。
初めて見せるその顔は、現在の状況が信じられないといった表情である。
幼女にとって眼の前の光景はありえないものだったのだ。
(どうする・・・?どうすれば・・・?)
このままでは・・・非常にまずい事になる。
手遅れになる前に、ここでシンジを殺してしまえば・・・?いや、それではレイの絶望の矛先が自分に向けられかねない。
世界に向けてアンチATフィールドを展開させなければならないのだから・・・それでは意味が無いのだ。
「ほら、覚えてる・・・?
いつだったか、僕を使徒の攻撃から守ってくれた時の事・・・
あの時・・・・綾波が無事で本当に良かったと思ったんだ。嬉しかったんだと思う・・・。」
次の一手に迷いを見せる幼女をよそにシンジはレイに語りかける。
「僕が使徒やEVAに取り込まれた時も、綾波が助けてくれた様な気がした・・・。
さっきだって綾波は何度も僕の事を助けてくれた・・・。
綾波が居なかったら・・・僕はここには居なかったかもしれないんだ。」
優しく語りかけるシンジに対し、
レイは頭を抑えながら後ずさって距離を取ろうとする。
しかし、それ以上の速さでシンジが近づいてくるため、二人の距離は確実に縮んでいた。
「違う・・・違うよ!だって・・・あたしだから必要とされたんじゃない・・・
EVAのパイロットが必要だったから・・・綾波レイが必要だったから・・・・・それが偶々あたしだっただけ・・・・・!
あたしでも、別のあたしでも・・・何も変わらないの!」
「違うよ・・・。綾波が居たから僕はこうしていられるんだ。
僕の眼の前にいる君が居たから・・・」
そう言いながらシンジはレイにゆっくりと近づいていく。
彼を見るレイの眼は、まるで迷子の子犬が飼い主を見つけた時の様に・・・・・驚きに満ちていた。
「綾波・・・、君はいつも元気で、明るくて、僕を支えてくれて、僕には無いものを持っていて・・・・・すごく羨ましかった。
だから・・・、君がこんなに悩んでいたなんて・・・想像も出来なかったんだ。
これまで、僕は君に何もしてあげられなかった・・・・・ごめん。」
「ダメ・・・、あたし・・・シンちゃんにそんな風にいってもらえる資格なんか無いよ・・・。
何も出来ないし・・・酷い事しちゃったし・・・・・あたしなんか・・・・・」
眼を逸らし、俯き加減に呟くレイ。
そんな彼女の言葉にはあえて返答せず・・・シンジは両手をレイの肩に優しく置いた。
今にも倒れそうな彼女を支え、安心させるかのようにしっかりと・・・
「う・・・・ぐすっ・・・・うぅ・・・・・。」
優しく抱き留めるシンジにレイは力無くその身を預ける・・・。
涙をポロポロと零していた彼女は耐え切れなくなり・・・ついに大きな声で泣き出してしまった。
そんなレイの頭をシンジは優しく撫でている。こうして泣きじゃくるレイの頭を撫でるのは何度目だろう・・・?
シンジは何も言わず・・・ただ黙ってレイの身体を支え続けている。
― ・・・・・ ―
一方、その状況を幼女は苦々しい表情で見つめていた。
今まさに、これまで自分が積み上げてきた全てが無になりかけているのだ。
― もう・・・いい。私は私の力で世界を元に戻す・・・。 ―
決意を秘めた幼女の声・・・。
その声が聞こえたのか、ようやく泣き止んだレイが幼女に向き直る。
しかし、レイのその顔は、自分を利用しようとしていた相手に向けるには似つかわしくないくらいとても穏やかなものだ。
「あなたには・・・無理なんでしょ?
そんな事が出来るなら最初からそうしてるはずだもん。」
― !! ―
レイの言葉はあまりに核心を突いていたのだろう。その一言に幼女は言葉を失う。
確かに・・・幼女にはそれが出来ない。
だからこそレイを我が物として意のままに操ろうとしていたのだ。
「それに、あなただって誰かとの絆を・・・繋がりを求めてる。あたしには分かるよ。」
― 違う・・・違う・・・・!私はいらない・・・私は嫌い・・・。だから壊すの、憎いから・・・! ―
幼女は下を向き、レイの言葉を必死に否定する。
まるで自分の存在意義を確かめるように・・・
「ごめんね。あなたの存在に気付いてあげられなくて・・・・ずっと寂しかったんだよね。」
いつの間にか幼女の眼の前までやってきていたレイ。
彼女はその場にしゃがむと、そのまま幼女をしっかりと抱きしめた。
さっき、シンジが自分にしてくれたのと同じ様に・・・
― ・・・・・ ―
レイの体温が幼女に伝わってくる・・・。
彼女が最後に感じた他人の体温は・・・自らの首を締め付ける拒絶の感情だった。
苦しさは感じなかった。ただ・・・自分が拒絶されたという事と・・・だれも助けてくれなかったという絶望感・・・
幼女にとってはそこまでが人生であり・・・・・それが全てだった。
ほんの少し前まで2人目となる今のレイの中で眠っていた自分・・・。
だが、ある出来事がキッカケとなり過去の記憶を持ったままリリスの魂として覚醒した・・・。
だからこそ・・・自分はリリスへと還り、全てを無に返そうとまでしようとしたのだ。しかし・・・
「自分で言ってたでしょ。あたしはあなたで、あなたはあたしだって・・・
だから・・・あたし、これからずっと一緒にいてあげる。」
自分を抱きしめているレイの言葉に・・・嘘偽りは感じられない。
自分と同じ存在であり・・・自分とは違う存在・・・これまで良い様に利用してきたはずなのに・・・
彼女がどうしてそんな事を言うのか・・・幼女には理解出来なかった。
― ・・・それは無理。だって・・・ ―
幼女は拒絶の言葉とともに、レイの顔を見つめる。
だが、その顔はそれまでの様な禍々しいものではなく・・・哀しさとほんの少しの喜びが出ていた。
― このままだと、アンチATフィールドが放出されてしまう・・・。そうなればセカンドインパクトと同じかそれ以上の事が起きてしまうの。 ―
レイが増幅させてしまったアンチATフィールド・・・
今は臨界寸前で止まっているが・・・これが世界へ向けて放出されてしまえば
全人類が滅びる事は無くとも、幼女の言うとおりセカンドインパクト並の大災害となってしまうのは確実である。
そうなれば・・・ようやく再建されてきた世界はふたたび地獄へと戻ってしまうだろう。
― だから・・・、そうなる前にリリスを地球から遠い所へ運ばなければならない・・・。そして・・・それは私の役目・・・。 ―
「違うよ・・・あなたの役目じゃなくて、あたし達の役目。」
いまだ、幼女を優しく抱きしめるレイ。その顔には決意が秘められていた。
「ごめんね、シンちゃん・・・。あたしにもやる事が出来ちゃって・・・・・、一緒に帰れそうにないんだ・・・。」
立ち上がり、シンジに振り返ってそう話しかけるレイの顔は・・・どこか哀しげだった。
さっきの幼女の声はシンジにも聞こえており、その内容も理解出来ている。
このリリスをどうにかしなければならないという事も・・・、そして、その方法が1つしか無い事も・・・
「そんな・・・!そうだ、他に方法があるよ!初号機とロンギヌスの槍があるんだ。それを使ってリリスを止めれば・・・」
レイの帰れないという言葉に不安を感じ、ふいにシンジが提案する。
彼がリリスへの突入に使った初号機とロンギヌスの槍・・・
使徒を倒せるのだからリリスにも槍の力は通用するのかもしれない。そう考え提案したシンジだったが・・・
― 駄目・・・。それでも蓄積されたアンチATフィールドは無くならない・・・。たとえリリスを殺しても・・・無くならないものなの。 ―
幼女があっさりとその提案を却下した。
彼が口にする前から・・・色々考えてはいたのだろう・・・。
区切りが悪いですが、今日はここまでノシ
ラブラブ天驚拳は採用しませんでした。
ごめんなさい。こういう時、どんな顔をすればいいのか(ry
少なくとも俺は笑顔でGJを贈る。
GJ!
・・・レイィィ〜〜行かないで〜〜(涙)
GJ!
シンちゃん強くなったなぁ
乙!
強くなったシンちゃんは頼もしいね
いよいよ大団円も近くなって来た感じ。ここ数日ずっとwktkしてる俺ガイル
とにかくGJ!
コ-ソリ見させてもらってます。
GJ!GJ!GJ!
・・・でも、終劇が近いと考えると(ry
「でも・・・、えっと・・・
ミサトさんに連絡とって聞いてみれば良いんじゃないかな。きっと、何か方法があるよ!」
シンジなりに考えた末での提案なのだが・・・
レイは首を横に振るしかない。
彼女も一生懸命考えてはみたものの、どう考えても1つしか結論が出てこないのだ。
実際問題、アンチATフィールドの影響から地球を救う方法は1つしか無い・・・。
「ごめんね、シンちゃん。
せっかく来てくれたのに・・・。でも・・・、会えて嬉しかった。
きっと帰ってくるから・・・またね!」
久しぶりに明るい笑顔を見せるレイ。
彼女の言葉が終わるか終わらないか・・・
レイの意思を感じ取った幼女がシンジの周囲にATフィールドを展開させる。
「綾波!待って!僕も一緒に――――――」
シンジの言葉は最後まで聞く事は出来なかった。
彼の周囲に展開されたATフィールドは球状にシンジを包み込むとリリスから一気に離脱。
シンジの思いを無視するかのようにそのまま地上へと降下していった。
そして、その光景はリリスの中のレイと幼女が居る空間にも映し出されている。
― 本当にあれで良かったの? ―
シンジをリリスから脱出させた幼女がレイに尋ねる。
ATフィールドで包み込んだ後も、シンジはその中で何かを叫んでいた様だった・・・。
そして、幼女には彼が叫んでいた内容も分かっていたのだ。
「うん、良いの。だって、あたし達だってちゃんと帰ってくるんだから・・・。
さ、行こ!急がないと手遅れになっちゃうし!」
努めて明るく振舞うレイ。
しかし・・・、彼女はどこか無理をしている様にも見える。
シンジに対しても、他にもっと大事な・・・何か言いたい事があったはずなのだ・・・。
「それに・・・、シンちゃんともっとお話してたら・・・お別れが辛くなっちゃうもん・・・。」
寂しげに話すレイに対し、幼女もそれ以上踏み込んだ質問をしようとはしない。
もちろん、それは彼女なりにレイを気遣っての事なのだろうが・・・
(シンちゃん、さよなら・・・。)
白い空間の中に映し出された外の風景を見ながらレイは心の中で呟く。
彼らを体内に秘めたリリスは背中に展開した無数の羽根を大きく広げ、ゆっくりと上昇していった。
地上に落とされたシンジは、ただ空を見上げていた。
その空に先程まであったリリスの姿はもはやどこにもなく・・・・・すでに雲の上の向こうへと消えてしまっている。
「綾波・・・。」
結局、シンジはレイを救う事は出来ても連れて帰ってくる事は出来なかった。
ただ呆然と空を眺めているが・・・レイが帰ってくるワケでも無い。
「アンタってホント大馬鹿ね!
なんでムリヤリ連れて帰って来ないのよ!つーか、ファーストもファーストよ!
ったく、自己犠牲なんて、そんな柄じゃないでしょうに!」
シンジの傍らで声を荒げているのはアスカである。
彼女はさっきから地面の砂を力任せに蹴飛ばしている。
さっきから、ワケの分からない怒りに苛立つ自分を抑えきれずに居るのだ。
「自己犠牲じゃないわ。レイに死ぬつもりなんか無い・・・、いつかきっと帰ってくるつもりなのよ。」
外敵からの脅威が消えたジオフロントで、ミサトが空を見上げながら2人を諭す様に呟く。
EVAパイロットの確保を名目に地上へとやって来た彼女だったが・・・
そこで待っていたのは、レイが遠くへ行ってしまったという現実だった。
「分かってるわよ!分かってるけど・・・!」
アスカはそう言うと、2人に背を向けてしまった。
レイの行動は彼女にとって気に入らないものではあったが・・・他に方法があったとも思えない。
だからこそ、何も出来なかった自分に腹が立っているのかもしれない。
「綾波・・・、帰ってくるんですよね?」
シンジがやや力の抜けた声でミサトに尋ねる。
ミサトはミサトで彼にかける事の出来る言葉が見つからず・・・笑顔を返すのが精一杯であった。
だが、そんなミサトの笑顔も今のシンジを元気付ける事は出来そうに無い。
世界を救うための行動であり、それがレイの意思だったとは言え・・・やはり別れは寂しいものなのだ。
(さて・・・、これからの事・・・どうするか。)
心の中で今後についての考えを巡らせるミサト。
リリスはロスト、EVA量産機も1機を除いて殲滅は完了。
だが、切り札を失ったとは言え、ゼーレという組織が瓦解するわけでもなく・・・彼らの影響力は健在だろう。
日本政府と交渉したとして・・・果たして、自分達の生存権は得られるのだろうか・・・?
いまだEVA2体を保有しているとは言え・・・先行きはあまり芳しくない。しかし・・・
(せっかく、レイやみんなが救ってくれたんだから・・・なんとかしなきゃね。)
ミサトは顔には出さないものの心の中では固く誓っている。
レイの想い・・・、これまで亡くなっていった人達の想い・・・それらに報いなければならない。
「綾波・・・。僕は待ってる。君が帰って来るのを・・・」
そう呟くシンジの眼に涙は無かった。
レイはいつか必ず帰って来る・・・少なくとも彼女はそう言って行ってしまったのだから・・・。
笑顔で送り出せる程割り切って考えられるものでもないが、
泣いて見送ってしまっては彼女の気持ちを無にしてしまう・・・。
その後は、3人ともただ・・・、彼女が消えた空を眺めているしかなかった・・・。
今日はここまでノシ
乙!
最終回まであとすこし、頑張ってください
乙です!
てっきりユイと初号機でリリスを運ぶと思ってたんですが…
しかし、リナレイ(コメディ)は明日にも帰ってきそうで怖い…
思わず鳥肌が立つ・・・乙です!
頑張ってください!
レイカムバック・・・
着実に地球から離脱しつつあるリリス・・・
高度はすでに400kmを突破しており、ジオフロントはもう見えなくなってしまった。
だが、もっと地球からリリスを遠ざけなければならない。そうしなければ・・・
― 今ならまだ帰れるわよ・・・。私だけでも十分なのに・・・。 ―
遠ざかる地球を見ながら、幼女が傍らにいるレイに話しかける。
一方のレイは青く輝く地球を見つめるのみ・・・返事をしようとはしない。
― どうして・・・、世界を1つにしようなんて・・・思ったのかしら・・・。 ―
幼女は自分自身に問いかけるように呟く・・・。
先程まで自分の中に満ち満ちていた憎悪の感情は今となっては微塵も無い・・・。
「寂しかったから・・・じゃないのかな。
それに世界を1つにしたいって思ったのは・・・あたしも一緒だから・・・。」
そう話すレイも幼女と同じ様に地球を眺めている。
まるで、生命の息づく青い星のその姿を眼に焼き付けておくかの様にしっかりと・・・
「でも・・・大丈夫。これからはずっと一緒なんだからさ。
それにこれは、あたし達がやらなきゃならない事だもん・・・ね?」
と、傍らの幼女にニッコリと微笑むレイ。
そして、そんなレイに幼女も年相応の子供らしい笑顔で返す。
それは、これから地球を離れ、希薄な宇宙空間へと旅立つにはあまりに似つかわしくない笑顔だった。
どこまで行けるかは分からないが・・・とにかく、地球から出来る限り離れなければならない。一刻も早く・・・
「違うわ。あなた達にも必要としてくれる人がいる・・・。あなた達はここで帰りなさい。」
「え・・・?」
突然聞こえてきた女性の声に驚きの声をあげるレイ。
幼女は先程から傍らにいるし・・・シンジが居なくなってしまった今となっては、
自分と幼女以外にリリスの中に他に人が居るはずがない。居るはずがないのだが・・・
「あなたは・・・?」
レイの眼の前に現れたのは白衣姿の女性・・・。
やや短めに切られた髪の毛や顔の造詣など・・・どことなく自分に似ている。
「ヒトはこの星でしか生きていけない・・・。それはあなた達だって同じ事・・・。」
その女性の言葉に・・・レイと幼女は返す言葉を持たなかった。
アンチATフィールドを放出してしまえば、きっとリリスはその姿を保てなくなる・・・。
そうなれば・・・多分地球へ戻ってくる事は出来なくなるし、
宇宙空間で生きる事の出来ない人の身体では、その末路は決まっている様なものなのだ。
「でも・・・EVAは無限に生きていられる。
例え50億年経っても・・・地球や太陽が無くなっても残るものなの。
たった1人でも生きていけるから・・・とても寂しいけど生きていけるから・・・心配は要らないわ。」
その言葉と共に、先程自分達がシンジにしたように、レイと幼女の周囲にATフィールドを展開させる白衣の女性。
「待ってください!あなたは一体誰なんですか!」
レイの叫びも最後までは聞こえなかっただろう。だが、その言葉の意味は伝わっていたらしい。
優しげな微笑を浮かべた白衣の女性は、確かにレイの問いに答えていた。
「シンジをお願いね。私はシンジの―――」
目を覚ましたレイが見たのは、ジオフロントの地底湖だった場所の畔・・・。
近くには森林があり・・・つい先程、そこが戦場となったとは思えないほど自然が残っている。
身体を起こし、辺りを見回してみるが・・・そこに居るのは自分1人、他には誰も居ない。
さっきまで一緒だったもう1人の自分は何処へ・・・?
そう思った時、自分の中から何か返事の様な何かが聞こえた気がした・・・。
(あたしの中に・・・居るんだね。これからもずっと一緒に・・・)
幼女からの返事は無い・・・。
だが、自分の中に居るのは分かる・・・それは、ちゃんと実感として感じられるのだ。
「・・・・・。」
鳥の鳴く声が聞こえてくる・・・。
もし、あのままリリスとしてアンチATフィールドを放っていたら・・・
リリスから生まれた全ての生命がLCLとなってしまっただろう。
もちろん、人間だけではなく・・・その他の主だった生命全てがその姿を保てなくなっていたはずなのだ。
本当に・・・間違った事をしなくて良かったと思う・・・。
レイはふと、さっき自分の身に起きた事を思い返していた。
「あの女の人・・・、もしかして・・・」
自分の代わりにリリスと共に地球を離れていったあの白衣の女性・・・
初めて見る人だったし・・・レイ自身に彼女の記憶は全く無い。
だが、それでも・・・なんとなくだが、あの女性が誰なのかは分かった様な気がした。
多分、あの女性は・・・
「・・・・・。」
レイはゆっくり立ち上がると、あらためて周囲を見回してみる。
かつては地底だったジオフロントも今はすっかり日の光が差し込むようになってしまった。
正直、これから自分がどうなるのかは分からない。
第3新東京市は消えてしまったし、学校も・・・自分の暮らしていた家も無くなってしまった。
使徒を全て倒してしまった今となっては、ネルフにも存在意義が無くなり・・・
当然、EVAのパイロットとしての自分も・・・必要の無い存在となってしまうだろう。しかし、それでも・・・
「帰ってきたんだ・・・。みんなのところへ・・・。」
何も無いところから生まれた自分・・・、他の人とは違う自分・・・
そんな自分に、レイはずっと引け目を感じていた。
他の人が羨ましいと思った事もあった。自暴自棄になりかけ、自分を見失った事もあった・・・。
だが、それでも、自分の事を必要としてくれる人がいる・・・。自分が生きていて嬉しいと言ってくれた人がいる・・・。
多分、今も自分の帰りを待ってくれているのだろう・・・。
「あ・・・あぁ!」
地底湖の向こうに人影を見つけたレイ。
遠くてあまりよく分からないが、それはレイにとってよく知っている人達のはずである・・・。
人影を見つけるや否や、レイは自分でも気付かないうちに駆け出していた。
「お〜い!みんな〜!」
見つけた人影に向かって駆けながら、レイは右手を振りながら大声で叫ぶ。
その声が届いたのか、青いプラグスーツを着た少年はレイの姿を見て驚いている。
赤いプラグスーツの少女は・・・一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐにそっぽを向いてしまった。
赤いネルフの制服を来た女性は、安堵の表情を浮かべている様だ。
他にも何人かネルフの所員が居るみたいだが・・・やっぱり自分の事を見て驚いているらしい。
「綾波レイ!ただいま帰りました〜!」
走りながら、とびっきりの笑顔と大声でただいまを言うレイ。
彼女は今、確かな幸せを感じていた。
こんな感じで26話終了です。
どう見ても、途中で趣味に走りすぎて長くなっています。
本当にありがとうございました。
おまけみたいなのも考えているので、気が向いたらもう少しお付き合いくださいノシ
超乙カレさまでした
>427
おまい嫌い
三十路過ぎたオサーンを朝っぱらから泣かすなよ
GJ!
おつかれ職人!
そしておかえりレイ(ノД`)
超乙!
貞本エヴァのラストはこれでいいよね
GJ×7!!
我の心は補完された。
おまけも待ってます
Evaってちゃんと終わらせられるんだなwww
貞は見習うように
GJを、君にヽ(*´∀`)ノ
テラ乙です!
とりあえず、エピローグで学園エヴァの最初のシーンを再現してほしい。
本当におつかれさまです
おまけ期待してます
>>426 GJ!!そしてお疲れ様です!!
こんなラストが見たかったんだよ(⊃A`)
感動した!
レイもアスカもシンジもミサトさんも健在
良いエヴァでございました
おまけ町
まとめサイトで見て急遽こっちに来ました。
感動というか何と言うかホッとしました。
久々にすがすがしい気持ちです。
作者さんまとめサイトの管理人さんありがとうございました!
440 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/07(火) 15:31:24 ID:joqWvEfb
庵野よ、わかってんのか?
こーゆーやつを作れっていってんだ
こんな良スレがあったとは知らなんだ。
職人さんGJ!
でも、ラストはセイバーマリオネットJに似てるとオモタ。
おまけも期待してまふ。
「おっはよ〜!シンちゃん、起っきろ〜!朝だぞ〜!」
朝っぱらから響き渡るレイの大声。
棚の上では、珍妙な人型の目覚まし時計が起きろ起きろと急かすかのように鳴り続けている。
一方、この部屋の主であるシンジは布団の中で何かの幼虫の様にモゾモゾと蠢いたかと思ったら動きが止まってしまった。
どうやら、まるっきり起きるつもりは無いようだ。
「う〜ん・・・、あと5分・・・」
「ダーメ!ほら、アスカちゃんだって起きろって言ってるんだから、はい!起きた起きた〜!」
と、思い切り布団を剥ぐレイ。
ちなみにアスカちゃんとはさっきから大音量で鳴り続けている目覚まし時計の愛称である。
持ち主のシンジを差し置いてレイが勝手に名づけてしまったのだが・・・
何かのキャラクターらしいのだが、どう見ても白ウナギにしか見えない。
一方、布団に包まる様に眠っていたシンジは無様にもゴロゴロと床の上に転がり落ちてしまった。
「っ!」
床の上に仰向けとなったシンジは一瞬にして硬直。そんな彼を見て、色白なはずのレイの顔が見る間に朱色に染まっていく。
「ちょ・・・!やだ!シンちゃん、パンツ見たでしょ!見たよね?」
とっさにスカートを押さえ恥らうレイだったが、女の子らしい態度を見せたのはそこまで。
次の瞬間にはシンジの返答を待つ事無く、彼に拳打の嵐を振り下ろす。レイのあまりの猛攻にシンジはなす術がない。
「綾波、あの・・・誤解・・・・です・・・・・見てません・・・・・。」
「うそ!見た見た!絶対見た!シンちゃんのエッチィィィィッ!」
シンジの必死の弁解もレイの耳には届いていない。こうなったら最後、彼に出来る事は嵐が過ぎ去るのを待つ事だけである。
碇宅のダイニングルーム。
一家の主であるゲンドウはテーブルにつき新聞を読んでいる。
シンジの母親であるユイはキッチンにて洗い物の最中。
そこへ慌しくやってきたのはレイと、彼女に引きずられる様に連れてこられたシンジ。
彼の顔は普段の姿がどこかへいってしまったかの様にあちこち変色・・・もとい、アザが出来てしまっている。
「おばさま、ゲンちゃん、それじゃ、行って来ますね!」
けたたましく響くレイの声。
だが、それも朝の風物詩となっているこの家では、別段それに気を止める者はいない。
シンジの両親とレイの両親は家族ぐるみの付き合いをしており、シンジとレイも幼馴染の様な関係なのだ。
そのため、レイがシンジを迎えに来るというのもさほど珍しい光景では無い。
もっとも、唐突にゲンちゃんと呼ばれた一家の主はお茶を吹いて咳き込んでいるのだが。
「・・・ああ、気をつけてな。」
咳払いをして一応の態勢を整えたゲンドウが2人に見送りの言葉をかける。
レイは笑顔でブンブンと片手を振っているが、シンジはボソリと二言三言挨拶らしきものを口にするのみ。
一応、食卓にはシンジのために朝食が用意されていたのだが・・・
自らを引きずっているレイはどうにも止まる様子が無い。
「綾波・・・、ご飯まだなんですけど・・・」
生きていくのに必要最低限の欲望を満たしたいと思うシンジだったが・・・今の彼はレイに引きずられている身。
ダイニングルームはあっという間に通り過ぎていく。
いってらっしゃいと言うユイの声も今のシンジには恐ろしく恨めしい・・・。
「すぐに起きなかったシンちゃんが悪いんだからね。ほら、ちゃっちゃと靴はいて出発しんこー!」
今日はここまでノシ
みなさん、感想ありがとうございます。
>>441 >ラストはセイバーマリオネットJに似てるとオモタ。
うん、自分はその作品は知らない。だから無問題(ry
wktk
それにしてもゲンちゃん呼ばわりかwwwwwwwwww
アスカちゃんもすっかり定着wwwwwwww
乙!
くそっおまえはどこまで俺を夢中にさせたら
気が済むんだ!
アスカちゃんww
GJ!
久しぶりに続きがきてるYO!
保守
1スレ目から見てたがやっぱりこのスレ最高だ