3 :
829:2006/05/01(月) 21:34:34 ID:???
ユイの言う事に力強い説得力を感じながら歩いていた
なぜか納得してしまう、なぜか同意を感じてしまう
よくわからない事に戸惑いながらもシンジの部屋の前に付く
しかし部屋の前に着いた瞬間、そんな事は忘れてしまい、薄暗い廊下にノックの音が響く
「入っていいかしら?」
だが返事はなく、声が廊下に響いた
数十秒経って第二声
「入っていいのー?」
また返事が返ってこない
「入る・・・ね?」
と言いながら静かにドアを開ける
中は廊下より明るく、電気は付けっぱなしだった
シンジはベットで本を片手に寝ていた
レイはシンジの姿を見ると、行動に迷った
「・・・・・・」
シンジを起こさないようにシンジの寝ているそばに静かに座る
そうして寝ているシンジの顔を見つめ、安心感を覚える
レイは時間という概念を忘れ、見つめ続ける
(いるだけで・・・・・・)
しかし、経つ時間があまりにも早いことに焦りを感じた
だが時間は待ってくれない、さらに過ぎゆく
レイの想いは深まるばかり
不意にでたあくびを噛み殺しながらシンジの隣によこたわる
(いいよね?こんなこと今しかできないもの・・・・・・)
静かに眼を閉じて、遠ざかる意識
温もりを補いあう2人は時間を忘れた
4 :
829:2006/05/01(月) 21:39:21 ID:???
(2人の時間・・・壊したくないわね・・・)
料理ができた事を伝えようか迷っていた
(しょうがないわ・・・ご飯冷めちゃうし・・・)
とテーブルに置かれた料理を見て思った
「2人ともーご飯できたわよー!」
細くも強い声はシンジの部屋まで響いたが返事はなかった
(おかしいわね・・・行ってみようかしら・・・)
邪魔になる覚悟で歩き出す
ドアの前に立つとノックを一つ
「ご飯できたわよー」
しかしまた返事はなく、声だけが廊下に響く
しょうがなくドアを静かに開ける
ユイは2人の姿を見て、笑顔になりドアを静かに閉める
(布団かければよかったかしら・・・)
後悔感が残ったが台所に戻る
料理にラップをかけ冷蔵庫に入れ、洗い物を始める
(レイはちゃんと言葉の意味を分かってたみたいね・・・)
>>1 お疲れ様
>>3 の3行目 付く× 着く○
半年じゃないが少しROMってくる
でゎまた・・・
文末にはちゃんと句点(。)を打とうな。
一応、文を書く上での決まり事だぞ?
通常のカキコなら煩く言う気はないんだけどな。
>>5 それがさ、某LRS大手サイトで一時期、句点を打たないスタイルが流行ってさ、
それに感化された馬鹿が増えたんだよね
某とか、マタンキの小さい呼び方すんな。
実名でいけ、実名で。
あー、要はポエミーな奴か。
漏れは二行しか読めんけど、ああいうの好きな方面もいるわね。
三点リーダーくらい使え、とかよくあるよね。
てっきり帝国スレの奴が書いてんのかと思ったw
まぁ、「所詮は趣味なんだから、好きなように書かせろ」ってのも、一理くらいはあると
思うんだけど、
「だったら(読む人間の事を考えないなら)、公開すんな」とも、思うんだよな。
他人が読むことを前提とした文章なら、読む人間のことも少しは考えないとダメだろう。
書くのも自由、叩くのも自由
>>12 そうゆうやつがいるから書きたくなくなる。
現にこのスレ今まで誰も投下がない
まあ、のんびり行こう、のんびり。
角突き合わせてもいいことないし。
>>1と
>>3乙。
とりあえず前スレで一番気に入ったSSをあげてみないか?
大人しく投下待っとけっての。
そういうのは余所でやれ。
ある日のこと、2人はネルフの食堂にいた。
「僕は醤油ラーメン。綾波は何にする?僕のおごりだけど好きなもの頼んでいいよ」
『・・・チャーシューメン、チャーシュー大盛りで』
「え?綾波って肉嫌いじゃなかったっけ?」
『・・・・』
「(・・・ま、まあいいか)」
そして注文の品が運ばれてきた。
「いただきます。あ、綾波のチャーシューの量すごいね」
『そうね。チャーシュー、全部碇くんにあげる』
「え?いいの?」
『ええ。碇くんにプレゼントしようと思って、これを頼んだの』
「あ、ありがとう。(でも、僕のおごりなんだけどな・・・)」
「父さん、ああっ、父さん。きて」
『よし、いくぞッ!シンジ・・・ずぼっ』
「あひぃっ!いくぅん・・・」
『パンパンパンパン!うっ!でる・・・ピュッ、ドクドクッ』
「ああっ、おしりに入ってくるよぉ・・・」
>>16 気を悪くしたならスマン。要は程度問題なんだ。
>>20 そうだな。しばらく黙ってる。
27 :
☆:2006/05/08(月) 21:37:59 ID:???
その時僕は焦っていた。
使徒にとりつかれ、膝を折る零号機。モニター越しに聞こえてくる、綾波の苦痛に満ちた吐息。じわじわと広がっていく侵食。
綾波、と何度も叫ぶように名前を呼ぶ。
「初号機の凍結を現時刻をもって解除。直ちに出撃させろ」
ようやく出撃が許される。機械音に包まれ、リフトで上昇していきながら、僕は綾波のことを考え、ギュッと操作管を握った。
夕食の支度を終えると、僕はキッチンから大声を出してアスカにその旨を告げ、エプロンを脱いだ。
返事は無い。最近アスカは部屋に閉じこもってほとんど僕と顔を合わせようとしない。よっぽどこの前の惨敗がショックだったのだろうか。
「アスカ、僕ちょっと出かけてくるから」
やはり返事は無かった。靴を履き、ドアを開くと夜の街の喧騒が耳に飛び込んでくる。
僕はアスカのことを考え、ミサトさんのことを考え、それから憂鬱になったので止めた。
ドアをノックすると、待って、という小さな声が聞こえた。
足音が近づいてきて、綾波がガチャリとドアを開け、顔を出す。
「何?」
「あ、えっとまた夕飯作りすぎたからさ、綾波もどうかなって…」
「…入って」
僕は小さくお邪魔します、と呟き、部屋に入っていく綾波を追った。綾波は相変わらず制服姿のままだった。
「今温めるから。キッチン借りるね」
コクリと、綾波が無言で頷く。
持参した鍋を火にかけ、かき混ぜる。そうしていながら、僕は背後に感じる綾波の気配を嬉しく思っていた。
僕は、数日前から綾波の家に夕飯を届けるようになっていた。
きっかけは本当に夕飯の作りすぎだったのだけれど、今では計画的に綾波の分も作っている。
もちろん、綾波に会うために、だ。
28 :
☆:2006/05/08(月) 22:04:36 ID:???
「じゃ、これ冷めないうちに食べてね」と言って僕は帰る支度を始めた。
「帰るの?」
「え、まあ…うん」と曖昧な返事をすると「たまにはうちで食べていけば?」と綾波が言った。
「え?いいの?」
「嫌なら別にいいけど…」
「嫌じゃないよ、何言ってるんだよ綾波!」
「…じゃあ」と言って微かに綾波が頬を赤らめた。
「うん、一緒に食べようか」
食事中、ほとんど会話は無かった。
ハッキリ言って少し気恥ずかしかった。
お互い何となく顔を赤くしながら、料理に視線を落として無言で箸を進める。僕は何か話題はないかと必死に考えていた。
「おいしい…」と唐突に綾波が呟く。
「え?や、あ、ありがとう、うん」
「碇くんって料理上手よね」
「あ、ああ、いつも作らされてるからね」
「惣流さんはお料理したりしないの?」と綾波が尋ねる。
「前に食べたことがあるけど、アスカは…下手なんだ」
「そう」
それで会話が止まってしまった。
僕はやはり必死に話題を探していたが、考えれば考えるほど頭がこんがらがって、この部屋で綾波を押し倒したことを思い出して、鼻血が出そうになるだけだった。
そうこうしているうちに綾波が「ごちそうさま」と言って箸を置いてしまった。
29 :
☆:2006/05/08(月) 22:33:37 ID:???
食器を運ぼうとする綾波に「いいよ!僕がやるから!」と言って急いで立ち上がる。
「このくらいわたしでも出来るから…」
そう綾波は言い、食器を離そうとしなかった。
「いや、僕がやるから!」と言って食器を掴む。
「…いい」
「いやいや僕が!」
そんな風に言い合ってるうちに、いつの間にか食器を引っ張り合う格好になっていた。
何故こんなことになったのか分からないが、今更止める訳にはいかない。僕は渾身の力を込め、綾波の手から重なる食器を奪い取った。
「僕が…ハア…ハア…やる…ハア…から」
一体何を僕はハアハア言ってるのだろうか。
急に冷静になり、凄く馬鹿なことをやってしまった気がした。
ちらりと綾波を見ると、奪い取られた格好のまま硬まっていた。
「えーと、…綾波」
「じゃあ…お願いするわ」
「え?」
「食器」
「あ?ああ、うん」
急いで食器を洗い始める。
今更恥ずかしさが込み上げてきて頬が赤くなった。
「碇くん」と綾波が背後から声を掛けてくる。
「え?な、なに?」
「毎日料理を持ってきてくれて…ありがとう」
「いや、べ、別に。はは」
僕は綾波の言葉で急に有頂天になった。そして鼻歌まじりにゴシゴシ皿をこすった。
しかしそんな気分はすぐに打ち砕かれた。
「でも…」と抑揚の無い声で綾波が呟く「私にだって料理くらい出来るのよ」
嘘言ってんじゃねぇ!!
シンジがサムアップしながら叫んだ。
手当たり次第に周囲にあるものを綾波に向かって投げつける。
31 :
☆:2006/05/08(月) 22:56:08 ID:???
その日から僕は綾波に夕食を持っていくのを止めた。
結局僕のやっていたことは、独りよがりな善意の押し付けだったんだろうか?
ありがた迷惑以外の何ものでもなかったんだろうか?
綾波はそれを余計なお世話だと思いながらも、我慢してくれていただけだったんだろうか?
考えれば考えるほど、自分の愚かさと浅はかさが見えてきて、気分が沈んでいった。
そしてそんなことを風呂上がりにパンツ一丁で考えていると、風邪をひいた。
アスカには「馬鹿ね」と冷たく笑われた。
その通り、僕は馬鹿だった。
「馬鹿だ、俺は」と呟いてみる。
しかしそんなことをしても何にもならなかった。
明日、綾波に会って今までの非礼と無礼を詫びなくては。
朝がきて、今日は一日中寝てなさい、とミサトさんに言われる。
僕は大人しく従うふりをし、出勤する2人に力無くいってらっしゃいと言った。
しかし直ぐに起き上がり、服を着て髪を整えた。
重い体を無理に動かし、綾波のマンションへと向かう。
途中何度かめまいがして倒れそうになったが、ようやく何とか辿り着く。
ドアに体をもたれかけ、弱々しくノックをする。
しかし返事は無かった。
考えてみれば当たり前だ。アスカがネルフに行っていたんだからこの時間は綾波も行っているだろう。
僕は自分の馬鹿さ加減を自虐的に笑い、それから脱力して、気を失った。
32 :
☆:2006/05/08(月) 23:13:23 ID:???
気付くと、コンクリートの床がまず目についた。しかしよく見てみると、それは床ではなく天井だった。
僕は上半身を起き上がらせ、辺りを見まわした。
綾波の部屋だった。僕はベッドに寝かされていたらしい。
すぐそこのキッチンで、綾波がこちらに背中を向けて何か作っている。
「綾波…」と僕は言った。
振り向き、「起きたの?」と言う。
うん、と僕は言った。そう、よかったわね、と綾波が言い、またキッチンの方を向く。
多分、僕はドアの前で倒れ、帰宅してきた綾波に介抱されたのだろう。
急に情けない気持ちになってきた。
僕は何をやっているんだ?綾波に迷惑をかけてばかりじゃないか。
彼女に喜んで欲しくて何かをやっているつもりなのに全て空回りしている。
謝らければ、と思った。というかそのために来たんだった、今思い出した。
「綾波…」
「うどん…」
「え?」
「作ったんだけど、…食べる?」
そう言って厚手鍋をずいっとこちらに向けてくる。
「嫌なら…」
「いや、食べる、食べるよ!」
僕が起き上がろうとすると、綾波は優しくそれを制して枕元にうどんを置いた。
「口、開いて」と言って箸ですくったうどんに息を吹きかけてから、僕の唇に近づけてくる。
33 :
☆:2006/05/08(月) 23:40:15 ID:???
「いや、自分で食べれるから!」と僕は必死に抵抗したが、
「あーん」と言って、尚もうどんを近づけてくる綾波の唇に見とれているうちに、無理やり口の中に押し込められてしまった。
「おいしい?」と綾波が首を傾げて尋ねる。
僕は咳き込みながらも急いで飲み込み、「美味しいよ、ゲボッ」と言った。
実のところ、風邪で舌がいかれていて味など分からなかったのだけど、綾波が作ったのだから美味しいに決まってる。
もう一度近づいてくるうどんを、今度は抵抗なく口に入れてもらった。
ゆっくりと咀嚼し、綾波が吹きかけた息を想像して鼻血が出そうになりながら、しっかりと飲み込む。
そんな僕を綾波は満足そうに見ていた。
「だから言ったでしょう?」
「え?何を」
「わたしだって、料理くらい作れるの」
そう、いくらか誇らしげに綾波が言う。
「あのさ、それってそのままの意味だったの?」と僕は呆れて言った。
「え?」
「いや、なんでもないよ」
やっぱり僕は馬鹿だった。
安堵と恥ずかしさが込み上げてくる。体から力が抜け、安らぎが訪れてきた。
「ごめん、綾波。ちょっと眠くなってきちゃったんだけど眠っていいかな?」
綾波が少し躊躇する素振りを見せたので「そのうどんを全部食べ終えたら」と僕が言うと、微笑みながら頷いた。
僕は笑い、またうどんを口に入れてしまった。
幸福が、体中を包み込む。
ずっとこうした時間が続けばいいのに、その時僕は思っていた。
だが実際は幸せなど儚く脆いもので、永遠など有り得ないのだ。
数時間後、物凄い腹痛が僕を襲った。
何コレ、寒気がするのに汗が止まらない。
絶えずお腹がギュルギュル鳴って、液状のウンコが尻穴から溢れそうだ。
便座から一歩も動くことができない。
時折、吐き気も込み上げくるので、素早く立ち上がり振り向いて便器に吐く、
また素早く便座に腰を下ろす、という動作を繰り返していた。
吐いて出して、吐いて出してと、上と下の両方穴から排泄し、
更にこんな動作をしていては疲れも貯まって衰弱する一方だ。
綾波はトイレの前で、ごめんなさい、ごめんなさい・・・と泣きながら謝り続けている。
中に入れないのは、こんな姿を綾波に見せたくないからだ。
綾波に言って、赤木さんに連絡を入れてもらったはずだが、何故だか一向に来る気配がない。
このままでは冗談抜きで死んでしまうんじゃないだろうか。
死因が下痢じゃ親戚一同、末代までの笑いものだよ。
お願いします赤木さん、早く来て……。
35 :
☆:2006/05/09(火) 00:21:04 ID:???
「いい?シンジ君。急いでレイを救出して」
はい、と短く応える。
綾波、と僕は思いながら必死な思いで綾波の元に初号機を走らせた。
僕は君が好きだ。君を死なせたくない、君の居ない世界など考えられない、君が居ない世界など生きる価値がない。
「綾波ッ」と叫ぶ。
瞬間、使徒が急接近してきて、僕はそれを避ける。
ライフルを壊され、背中からプログナイフを取り出す。
どうすればいい?どうしたらいい?どうしたら綾波を助けられる。
また槍のように近づいてくるそれを避け、掴んで切り裂こうとする。
ふと、綾波の心が使徒を通して流れ込んできた。綾波の痛み、綾波の苦しみ、綾波の悲しみ、そして…。
『これは…しの……こころ?…碇く…と……しょに…りたい…』
モニターから酷く小さくて聞こえにくい声が流れてくる。
『ダメ…!』
「レイ!離脱して!」とミサトさんが叫ぶ。
『ダメ……しが離れ…ば…AT……ルドが…てない…だから……メ…』
「ATフィールド反転ッ!」
「レイ、自爆する気!?」
「綾波ッ!」と僕はもう一度叫んだ。それは僕の人生の中で一番大きな叫びでもあった。
零号機の背中から膨れ上がっていた使徒が、押しつぶされるように縮んでいく。
最後に零号機は子を守る母親のように胸に使徒を強く抱きしめた。
そして爆発が起こり、やがて閃光と涙で何も見えなくなっていった。
「目がぁ〜、目がぁ〜あああぁぁあぁ……」
だんだんレベル下がってきたな・・・
シンジとレイは長い間一緒に暮らしている
↓
碇一家が引越し。レイのみ残される
↓
その引越し先にレイがたまたま引っ越してきて無事ハッピーエンド
・・・という小説誰か頼む。
綾波は犬なのか?
俺はそんなんより前話題に出たゲンドウ巡って険悪な仲状態から入るLRSが読みたい
俺はそんなの読みたくない
44 :
829:2006/05/10(水) 00:12:34 ID:???
数時間が経過した後の事だった。
シンジは温かさというよりも暑さを感じていた。
それに加え、重さも感じながら眼を閉じていた。
額の辺りににじむ汗。お腹の辺りに感じる重さ。
そうした事で眼が覚める。
「ん・・・・・・」
暑さと重さを感じる方へ目をやる。
「あ・・・ふう・・・」
いつのまにかあお向けになって寝ていた事にも気づいたが
蒼い髪が胸の辺りにきていて、その胸から下に暑さを感じる事にも気づいた。
動こうにも動けないシンジは天井を見上げる。
しかし、それも長く続かずもう一度蒼い髪を見る。
今度は自分が抱かれている事に気づく。
「あっつい・・・どうしよ・・・」
身動きできずに時間だけが経つ。
そして、悪いと思いながらも声をかける。
「ごめん、起きて・・・」
しかし、状況は変わらず今度は少し強めに声を出す。
「綾波・・・起きて・・・」
(あ・・・)
少し異変を感じたが気にしなかった。
「う・・・・・・ん・・・・・・」
少し反応があり根気強く言う。
「ちょっと暑いから・・・さ・・・起きて・・・」
蒼い髪が動き、次に体が動く。
45 :
829:2006/05/10(水) 00:14:30 ID:???
「あ、ゴメン・・・今どくから」
だが、そういってから30秒程時間が経ってからシンジからおりた。
その間、背中に回された手が少しきつくなった感じがすることに気づく
まだ眠い目をしているレイを見てシンジは少し申し訳なく感じた。
「起こしてごめんね・・・暑かったから・・・」
まだお腹の辺りに温かさが残る中立ち上がる。
部屋に掛けてある時計を見ると午前3時を回っていた。
自然と2人ベットに座り込む
静かな雰囲気の中2人は行動に迷う。
「ねえ、お腹空いてない?」
「少し空いてるわ」
「それじゃあ、ちょっと待っててね」
シンジは夕飯の作り置きなど考えずに台所に向かう
(パンか何かあったかな・・・)
棚から出てきたのがジャムパンが2つ
(後はココアでも入れようかな・・・)
棚の奥にあったココアの粉取り出し、スプーンで取り出す
牛乳を入れ、かき混ぜ、おぼんの上に置き部屋へと運ぶ
ドアを足で雑に開け、部屋に入るとレイが一点を見つめて動かなかった。
「おまたせ・・・本当に少しだけど・・・」
おぼんを床に置いてパンを開けほおばるシンジ。
レイはココアを一口すする
(そういえば時間大丈夫なのかな・・・)
46 :
829:2006/05/10(水) 00:16:44 ID:???
「そういえば、時間大丈夫?」
コップをおぼんに戻す途中のレイに質問する
「別に大丈夫よ。家に人いないから。それにここに居たいから・・・・」
「そっか・・・」
シンジは何気ない返事をするとココアを飲み始める
レイがその姿を見た瞬間顔を下に向けた
「あ・・・シンジ・・・それ私の・・・」
「え゙!?」
コップを突然放し、コップが宙を舞う。
無情にもそれはレイの方に飛んで行った。
「キャァッ!冷たい・・・」
高い声が部屋に響く。
「ゴ、ゴメン!」
ココアはスカートと上着に付着し滲んでいった。
シンジはすぐにティッシュを取り、拭いたが
表面の水分だけしか吸えず茶色く跡が残った
「本当にゴメン・・・」
「うん・・・」
「着替えとか・・・あったかな・・・」
すぐにタンスを開け服を探し始める
「長いTシャツとかで大丈夫?」
「あ、別にこのままでも大丈夫だから・・・」
その反面制服のシミを気にしていた
「でも・・・風邪とかひいたら困るから・・・」
気遣いながら1枚の長いTシャツとジャージのズボンを出す
「これでいい?」
キレイにたたんである服をレイに差し出す
47 :
829:2006/05/10(水) 00:28:50 ID:???
「本当にありがとう・・・・後・・・」
シンジは状況を読み。
「あ、今出て行くから・・・」
とドアを開け急ぎ足で出て行く。
まだ口の中に'あのココア'の味は残っていた。
>>38 俺で良ければ密かに書こうか?
>>41 同意、読んでみたい
GW挟んだため投下遅くなりました・・・
なんだかグダグダかもしれませんがどうか最後まで・・・
でゎまた・・・
いい加減、自演ウザイ
ちょっとしつこいよ
キモウザッ
投稿催促するなよ、鬱陶しい
55 :
38:2006/05/11(木) 17:09:59 ID:???
↑こいつがなんの為にここにいるのか理解できない
投下まだかなー
保守あげ
名無しのレベルが小学生なスレですね。
保守
hosyy
ほsy
とりあえず待ってみるか
捕手
やや日が傾きかけたころ、私は一度車を降りて、ネルフ敷地内と外界の通行口となる警備員の詰め所で身分証明と身体チェック、所持品検査を受けていた。
営業に使う書類を持ち運ぶためのブリーフケースの中身を一通りチェックされ、仮の通行許可証を受け取り駐車場へと誘導された。
大抵の公的機関は五時にはその業務を停止するが、この機関に限っては違う。もっとも今から私が行こうとしている経理などの部署は業務を停止してしまうのだろうが……。
現在四時三十五分、ぎりぎりだ。
五時以降も働くなんて、公務員のメリットもクソもあったもんじゃないな……そんなことを考えながら私は胸に許可証を張りつけて車を降りた。
自動ドアを通ると入り口のすぐ脇に受け付けのブースがあり二人の受け付け嬢がにこやかにあいさつをしてきたので私もそれに返した。
受け付けのあるロビーは床がきれいに磨きあげられており、正面にあるエスカレーターは吹き抜けの上層へと続いていた。
この派手な吹き抜けは何か意味があるのかな……しばし考え込むと一つの考えが頭をよぎった。
たしかこのネルフという組織はなんとかっていう怪獣と戦う組織だ。そのため軍事的な意味合いをはらんでいる。反乱ゲリラなどが、このロビーから突入した場合吹き抜けを利用して上から一斉射撃で迎え撃つ……。
自分に向けられる大量の銃を想像して一瞬身震いをしたが、すぐにかぶりをふった。
考えすぎか……ま、建築の思想などどうでもいいがね……。第一平凡なサラリーマンの私にはそんなことどうでもいい。とっとと用を済ませて帰ろう。今日はデパートに帰らずに真っすぐ帰宅する許可をもらった。
私が許可証を見せて用件を伝えると受け付け嬢は慣れた口調でにこやかに経理課への行き方を教えてくれた。私は礼を言ってエスカレーターへと足をかけた。
すぐとなりの下りのエスカレーターに乗ったクリーム色の制服を着た何人かとすれ違った。どうやらネルフの制服らしい。どこか安っぽいタキシードを連想させた。
吹き抜けになっている二階部分は空中に突き出した回廊になっており、ガラスの手摺りが照明を反射させていた。
二階の回廊の上には三階の回廊、四階の回廊と段々になっており、制服を着た人間が壁にぽっかりと開いた通用口へとせわしなく出入りしていた。
エスカレーターからは空を飛ばないかぎりは乗り移れない。やはり襲撃に備えているのだろうか……。
受け付け嬢の説明によると、エスカレーターは五階まで続いており、そこからエレベーターでさらに十階までいかなくてはならないらしいが……なんて面倒な構造だ。
それに加えて建物の中は蒸し暑く、それがより一層私をいらだたせた。
額に汗が浮き出た。吹き抜けの建物のため、エアコンの効率が悪いのか、節電しているのか……エスカレーターで上に運ばれながらポケットティッシュで額の汗をぬぐった。
私は汗を拭ったティッシュをスーツのポケットにねじ込みながら背筋を反らせて大きくため息をついた。
一秒でも早く仕事を済ませてとっとと帰りたかった。
下りのエスカレーターの入り口に今まですれ違った人間とは異なる服装をした人間が現れた。
白いブラウスに青い……あれはワンピースか? とにかくフレアスカートだ。
彼女はエスカレーターに乗ってゆっくりとこちらに降りてくる。いや、私が彼女のもとに近づいていると表現したほうがいいのか? とにかくお互いに近づいているのだ。
彼女との距離が十メートルもなくなると……彼女がここの職員ではないことがわかった。どう見ても子供だ。14、5才。
着ているのは学校の制服のようで(何度か街中で見かけたし、この制服はうちのデパートでも扱っていた気がする)、胸の上で赤いリボンが蝶結びで行儀よく鎮座していた。
腰の前で重ねられた両手には、こげ茶色の学生カバンが握られていた。
職員の家族だろうか? しかし私のような許可証はつけていない。
そんなことを考えていると、彼女との距離が縮まりその顔がはっきりと確認できる距離になった。
髪の毛はボブカットをちょっぴり短くしたぐらいの長さで、顔の印象を隠すように内側にややカールしている。
シャギーがいれられた前髪が一まとまりになることなくパラパラと眉にかかっており、前髪と前髪の隙間からは、大きな瞳がのぞいていた。
顔立ちは整っており、日焼けとは縁のなさそうな白い肌は顔だけでなくブラウスやスカートからすらりと伸びた手足からもうかがえる。
背筋をぴんと張った姿勢の良さを崩さずに(というより微動だにしないのだ。この年代の少年少女から読み取れる落ち着きの無さが彼女からは微塵も感じられない)、エスカレーターを降りてくる姿は彼女の存在を子供らしくないものに見せており、私は不思議な感覚を覚えた。
大人びた……そんな印象を受けながら彼女に目を泳がせていたとき、それまで微動だにしなかった大人びた少女がこちらに首を傾けたため私達の視線は、お互いの距離距離は約3メートルといったところで鉢合わせした。
子供が興味のないおもちゃを見るような目線は私をまっすぐ射ぬいていた。その瞳はなんの感情も発していないことはカウンセラーでなくてもわかる。
軽く会釈をしようとしたとき、ある発見が私の会釈に待ったをかけた。
彼女の瞳は、血のように赤かったのだ。まるでその年ごろとは無縁の業を宿しているように……紅煉の双眸が私を見下ろしていたのだ。
私はしばし茫然としていた。我に帰ったとき少女はすでに目線を戻し、まっすぐ階下を見下ろしていた。
私は自分のさっきまで張りついていたであろう表情を取り繕うために彼女に軽く会釈をした。彼女は横目でこちらをちらりと見やり、小さく、本当に小さく顎を上下させた。
それを見届け私はエスカレーターの終点へと視線を戻した。
少女とすれ違う瞬間、囁くような……いや、つぶやくような声が私の耳に触れた。あの少女が発したのかどうかはわからないが確かに女の声であった。
抑揚の無い……一切の感情をはぎ取ったようなか細い声。しかし、その声は私の心臓を冷たい手で鷲掴みにしたことは確かだった。
額からは冷や汗が流れ落ち、脇の下や手のひらからは大量の汗が吹き出した。
後ろを振り返ると、赤目の少女の背筋を張った後ろ姿は徐々に遠退いていった。
私はしばらく彼女の後ろ姿を食い入るように見つめた。
落ち着け……何度も自分に言い聞かせながら私は荒くなった呼吸を整えようとした。
エスカレーターはすでに終点へとついていたが、私は少女の背中から目線を話すことはなかった。やがて少女が自動ドアをくぐって外へ出ていくのを見届けると、私は大きく深呼吸を何度も繰り返した。
落ち着け……しかしあの少女は一体……今からでも追い掛けて……いや、もう遅いか……。私はしばし、その場で考えこんだ。
……私に気付いたとは限らない……それに制服から学校を探すことはできる。
私は大きく息を吐き出すと、リノリウムの床を踏みしめ、エレベーターを探すため、回廊へと足を踏み入れた。
「……ちなまぐさい……」
あの声が何度も脳の中で繰り返されていた。
>>67-70 久々に投下キター!!けどこれってLRS?
今の所まだ謎だけど取りあえず続き待ち
生理中だったんだろ
そりゃ臭いよな
改行入れなよ
続き週末かなぁ。
wktk
面白くないから続きは要らん。
他の人に期待。
くそすれ
それにしても
>>75 は見切りが早いな。
俺にはまだ話が全然見えないけど。
そうなると、勝手に先を妄想しちゃうんで、あとが辛かったり。
「ここまで仄めかしといて、ここでヒキだな」という戦略をもって投下してくれると、
そのじらされ感に悶えたりもできて、二度おいしい。
そんなこんなでで続きキボン。
綾波レイは時折、セカンド・パイロット・惣流・アスカ・ラングレーと、買い物に行く。
アスカは、目がいい。………たぶん。
「あっ。ねえ、これ、どう?」
アスカが何かに目に留め、店の前で立ち止まったのはこれで9回目だった。
女性のショッピングの小型店舗使用件数としては多いほうなのだろうか?
それともこれが普通?
レイは僅かに首を右に傾け不満を示したが、それにアスカが気づくはずもない。
彼女はさっさと目をつけた雑貨店に入っていった。
「…ピアス」
追いついたレイにアスカは振り返り、彼女が気に留めたものを指し示してみせる。
アスカが立ち止まっていたのは、きらきらと光の揺れるガラスの化粧棚の前だった。
その小さな光の群れの正体は、風に揺れるように細工された耳飾。
まるで水底から覗く、湖面の光にも似ている。
レイは思い出すように目を細めた。
「これ、どお?」
アスカが手に取ってレイに見せたのは、深いブルーの透明な石でできた蝶。
小指の先にも満たない大きさのそれが、銀の鎖の先にとまっている。
「穴、開けていたの?」
「っ、何よ?今気づいたってわけ?」
あきれた…とでも言うように肩をすくめ大げさに頭を振れば、長い髪が首に流れ耳朶が露になる。
アスカの耳元には、銀色のクロスがついていた。
髪に隠れていたのだから見えなくても当然で、気づかなかったのはレイの注意力が足りないわけではない。
だが、どう反論すればいいのかとレイが迷っているうちに、アスカは悪戯じみた笑顔を作った。
「実はねー、せ・ん・しゅ・う、開けたの。
ほら、やっぱりテストがあると治りも遅くなりそうじゃない?
使徒が来ちゃったら仕方ないけどさ。
LCLって殺菌措置は完璧だって言うけど、気分的に。
とりあえず月末まではないから、今のうちに開けちゃえって思って。
でも、思ったより早く乾いたみたい。
…ねぇ、これ良くない?」
あけすけな言い方にも聞こえるが、アスカがエヴァに対しては真剣に取り組んでいるのをレイは知っている。
その生真面目さで同じ学校に通う少女たちに溶け込もうと努力していることも。
自分が異端であることを自覚するレイは、距離を置くことで己の立つ場所を確保している。
アスカもレイとは異なるが、本来ならば混ざることない資質の持ち主なのだろう。
けれど己が特出していることを知っていて、擬態している。
レイには、流行に耳を傾け、身を飾り、クラスメイトと呼ばれる少女たちに笑顔を振りまくアスカがそう見える。
「数、増やすの?」
「まあね。いっつも同じじゃつまらないでしょ?
気に入ってるって言えば問題ないかもしれないけど。
これも、ヒカリと見立てたやつだし」
クロスを弄りながらアスカは視線を落とす。
ヒカリというのは、二人の通う教室のクラス委員の少女だ。
アスカの友人。
レイにも声をかけてくれる親切な人。
異なりながらも近くにいてくれる友に対し、二人の思いは複雑にすれ違う。
その差が、選ぶ言葉を迷わせる。
会話の中、不意に訪れる沈黙を天使が通り過ぎると言うが、天意の訪れなどこの二人の間では悪夢に他ならない。
アスカは振り切るように手に取っていた蝶の飾りを買い物用の小さなトレーに放り込むと、色違いの蝶をレイにかざした。
「あんたには、こっちが似合いそうよ」
赤い蝶。赤い瞳。
「でも、…私、ピアス。開けてない」
視線が絡む。
アスカは、赤い色を好きだと思う。
アスカのエヴァと、同じ、だから。
「開ければいいじゃない?
そんなに痛くはないわよ」
アスカは思わせぶりに蝶を揺らす。振り子のように揺れる、赤。赤い蝶。
催眠術にでもかけようとしているかのように。
その赤に視線を据えたまま、無意識に伸びたレイの指が、傷のないふっくらとした自分の耳朶を辿る。
レイは、ピアスを開けることなど考えたこともなかった。
まして自分を飾ることなど………。
瞬きもせず考え込むレイにかまわず、アスカは二つのピアスをトレーに乗せた。
「んじゃ、買ってくるから」
「えっ…?」
「別にー、あんたにって言うわけじゃないわよ。
このデザインが気に入ったから。
なんか、一点ものみたいじゃない?
今買わないとなくなりそうだし。
ああ、でももちろん、
あんたがするっていうなら、あげるわよ。
…………。
でも、ほら、えーと、シンジって保守的じゃない?」
何故ここにシンジの名前が出てくるのだろう。
アスカの言葉の意味がわからず、レイは眉をひそめる。
真正面から見ていたからこそ気づける程度の変化だったが、アスカはそれがわかるちょうどいい位置にいた。
「何変な顔してんのよ。
見てりゃわかるって。
アイツ、あんたにだけは馬鹿みたいに過保護でしょ。
…あんたたちの間に何があったかなんて聞かないけど。
傍から見てるほうがわかりやすいのよ、そーゆうのって」
「………碇君。だめだって、言うの?」
「わかんないわよ、そんなの。アタシ、シンジじゃないし。
ただそんな感じがちょっとしただけ。
気になるなら聞いてみればいいじゃない?
ピアスしてもいい?って」
「…あんた達、いまいち会話かみ合ってないみたいだし。
………アタシのせいだとは思わないけど………。
たまにはプライベートで話してみれば?
………旅行に行くとかは、たぶん、仕事じゃなきゃ無理だから」
言うことがなくなったのか、アスカは素早く背を向け店の奥に行ってしまう。
あるいは、何かしら動揺するようなことを考えでもしたのかもしれない。
最後のほうの言葉は早口で、レイには聞き取り辛かった。
前回の使徒戦でレイが本部待機だったことを、アスカがひそかに気にしていることは知っている。
"外”というものを知らないレイにとっては、意識する必要もないほどの出来事だったが。
もしかしたらシンジが何か言ったのかも知れない。
レイはにこやかに会計を済ませるアスカを見つめ、シンジについて考えた。
強固さも派手さもないが、些細な言動で少女二人を振り回す彼は大物なのかもしれなかった。
数日後。
「ピアス?」
学校の放課後。
ネルフに直接向かうということで、シンジとレイは同じ道を歩いていた。
アスカは気を利かせたつもりなのか、「用事があるから」と言って先に行ってしまった。
あわてて追うほど時間がないわけでもなかったので、比較的ゆっくりと二人は足を進める。
レイが先日のアスカとの会話を持ち出したのはそのときだった。
「ええ。アスカがくれたから」
くれたと言うより押し付けるようにして、帰り際、アスカはレイの手の中にその小袋を滑り込ませた。
「買い物に付き合ってくれたお礼だから」と言う。
今まで幾度か一緒に歩いたが、そんなことを言われたのは初めてだった。
誰かから、プレゼントを貰うということも。
レイは今も鞄の中にあるそれを意識しながら、シンジの返答を待った。
「いいんじゃないかな。たまには」
「えっ?」
「綾波も、………女の子なんだし」
一瞬、何を言われたのかと思うほどレイは驚いた。
そして、自分が驚いたということさえも意外に思った。
レイは、シンジが反対すると思っていたのだ。
根拠はないけれど、その考えは当たり前のようにレイの中にあったらしい。
「ピアス。開けてもいいの?」
レイがピアスを開けようが開けまいが、本来シンジには何の関係もないことだ。
学校で止められているわけでもない。
なぜシンジが反対すると思ったのだろう?
レイは自分の思考に違和感を持ちながらも、再度尋ねずにはいられなかった。
「綾波がそうしたいなら」
突き放されているわけではないのは、シンジの口調がやさしかったからだ。
シンジは少しだけレイを見て、照れたように視線をそらした。
彼の足取りはさっきよりもさらにゆっくりになっていて、考えながら歩くレイに合わせていた。
その会話から、さらに数日後。
シンジとレイはネルフのロビーで顔をあわせた。
新しい兵装ビルの配置についての説明が入った地図を配布され、講習を受けた帰りだった。
レイが数日学校を休んだこともあり、お互いに会うのは久しぶりのような気がする。
シンジは備え付けのジュースボックスで飲み物を買うと、レイに注文を聞こうと振り返った。
レイはいつの間にかシンジのすぐ近くまで来ており、驚く彼にかまわず指で軽く髪を押さえる。
そのままうつむきかげんに少し首を傾けると、ほのかに染まった耳があらわになった。
レイがシンジに見せてくれたもの。
淡いピンクに染まった耳元。
そしてその先に、真紅の蝶がゆれていた。
「…………っ」
透明な、赤い蝶。
透き通るそれは儚いほどに繊細で、レイにとても似合っている。
けれど、でも。
止めるべきだった、と。
シンジは唇をかんだ。
後悔しても遅い。
レイの耳朶を貫く、小さな、小さな、傷跡。
その痛々しさに、シンジの胸は後悔で締め付けられる。
シンジは思わずレイの耳朶に手を伸ばし、そっと撫でようとした。
「あっ」
レイの肩がピクリと竦む。
痛みはもうなく、レイは驚いただけだったが…。
「ごめん」
謝罪の言葉が力なくシンジの口からこぼれた。
そして、シンジはレイを傷つけないように、静かに彼女の肩に額を寄せる。
「ごめん」
シンジの髪が、レイの頬をくすぐる。
レイはその不思議な感触に甘やかな酩酊を感じていた。
「…痛くないから。もう」
あやまらないで。
続くはずだったレイの言葉は、柔らかく回されたシンジの腕に塞き止められる。
―――そうじゃない。
レイに謝るシンジの気持ちは、そんなに浅いものではない。
触れた一瞬の痛みに溢れた「ごめん」ではないのだと告げられぬまま、シンジはレイを抱きしめるしかなかった。
シンジは、もうにどとレイを傷つけたくなかった。
熱いLCLを零したエントリープラグの中で、シンジの言葉に笑って見せたレイを忘れられない。
あんなに綺麗で、悲しく見えた笑顔は一度だけでいい。
もっと普通に、もっと他愛無いことで笑うレイが居ればそれでいいから。
それは、シンジの中に深く根ざした思いだった。
たとえどんなに小さな傷でも。
それが自分の意思で自分の体を傷つけることであっても。
いや、それだからこそ余計に、そんな決断をさせたことが悔やまれてならなかった。
どんな小さな痛みも、レイには与えたくない。
彼女を守りきるだけの力のない自分が歯がゆい。
「ごめん」それ以上の気持ちを表す言葉を、、何を言えば本当の気持ちが伝わるのかシンジにはわからなかった。
うまく伝えきれない心情を歯がゆく思いながらもシンジは深くレイを抱きしめた。
レイはおとなしくその腕の中で目を閉じていた。
レイは繰り返し耳元に落とされるシンジの言葉を静かな波のようだと思った。
体を包む水が微かに抵抗を持って自分に触れ溶けていく。
波の質感を感じなくなったとしても、それはなくなったわけではなくレイの周囲を包み続ける。
レイは自分がシンジに抱きしめられて安心していることを理解した。
シンジに謝られて、「何故彼が自分を止めるのではないか」と思っていた理由もわかった。
レイはシンジの意思を確証したわけではない、自分の気持ちをゆだねただけ。
「止めるのではないか」と思っていたのではなく、「止めてほしかった」のだと。
「自分を傷つけるな」などと、誰にも言われたことのない言葉をレイはシンジに期待したのだ。
傷つくことなど怖くはなかったし、自分の代わりが居ることは変えられない事実であって。
けれど、そこに現れたシンジと言うファクターを通してみた自分は、
「自分」と言う一個人ではないかと言う錯覚をおこさせるほどに優しいものだったから。
謝るべきはシンジではなく、自分なのだとレイは思った。
シンジに悲しい顔などさせたくはないのに、と。
「ごめんなさい。
…悲しませたくて、したわけではないから。
痛くないの。
もう、すこしも、いたくないの。だから…」
かなしまないで。
もしかしたら、またいつか、碇君が悲しくなるようなことをしてしまうかもしれないけれど。
でも、わたしは、いいの。 自分で決めたことだから。
あなたに出会って、わたしが考えて、そして選んだことだから。
ピアスをしたのも、レイが自分の意志で決めたことだった。
命令ではなく、やるべき義務でもないこと。
レイは自分で考えて、自分のために動いた。
アスカと行動を共にし、シンジの言葉を望んだ。
自分で考え、選び、動くこと。
レイは自分が少しずつ変わっていっていることを受け止めていた。
何もかも流されるままに終わりを待つだけの「形代」と言う存在から、意思あるものに。
それは「レイと言う存在」を認める、シンジやアスカが居るからであることもわかっていた。
シンジやアスカと生きると言うことは、その影響を断ち切ることはできない。
この先、自分がどう変わって行くのかレイにはまだ予測はつかない。
それでも、レイがシンジやアスカを否定することはありえないことだと知っていたから不安はなかった。
レイが欲するのは、変わっていくための力だった。
今、シンジとレイはとても近くにいる。
けれど、未来は不確定だ。
レイの変化をシンジが本当に理解していけるかどうかはわからない。
シンジの想いをレイが受け止めきれるかどうかも。
ただ計らずも二人の奥に秘めた願いは同じだった。
変わり行く時間の中で、ずっと共にいることを望んでいる。
そしてそのために、願うのだ。
共に生きるために、強くなりたい、と。
届く近さにある、その手が。
相手にむかって差し伸べられる、お互いの手があるかぎり。
〜 fin
なにこれ……メチャクチャ良い話ジャン。GJです。なんか綺麗な話ですね。
凄い良い感じのレイだと思うし,アスカとレイのクラスメートへの態度の考えも面白かったです
乙。 GJ
平日の昼間からご苦労様でした。
引篭もりから脱したい、強く生きたいという願い滲んでいました。
貴方にも差し伸べられる手があると良いですね。
>>93 職場で嫌なことでもあったのか……?
まあ、激甘LRSでも読んで元気だせよ。
>>80-90 ぐはっ・・・久々にキタコレwwwwwwwwwwwwwww
耳だしレイたん…萌
投下まち
age100
あげんなよ…
実際にレイがピアス開けると痛々しい感じがすると思う。頑張って開けたの。みたいな。
まぁそう言うところに萌える訳だけれども・・・
最近このスレもダレ気味だと思ってたらいつの間にかすごいの来てたー!
>>80-90乙。
自演乙
しつこい
>>70の続き 通常の建物ならエスカレーターの終点にエレベーターがあって然るべきなのだが、そこには鉄の扉は無かった。
エスカレーターの終点はちょっとしたホールになっており自動販売機やベンチが備えてあった。
右側の壁にはトイレがあり、前方と左側の壁に開いた通路の奥は薄暗い照明により内部に陰を宿していた。
私は受け付け嬢の説明通り左に曲がると、また十字路に遭遇した。
さらにそこを、言われた通り右に曲がると、やはり新たな十字路が出現した。
モスグリーンの壁には、案内標識の類は一切なく、また変化も見られなかった。通路内は静まり返っており、人の気配は一切無かった。
私は次の十字路を直進した。
受け付け嬢の話では、もう経理課についているはずらしいのだか、一向に部屋やドアは現われず、やはり新たな十字路が出現したのだ。
間違っていたのか?……。原因はわかっている。
あの少女の赤い瞳が頭から離れなかった。それは私の頭から、受け付け嬢の言葉を完全にかき消して……いや、ねじ曲げてしまっていたのだ。
さっきからあの声が耳元から離れることが無い。
私は十字路の中央で立ち止まった。
通路の奥は、まだまだ続いており、広大な迷宮……いや、私自身の迷いを象徴しているようだった。
「ちなまぐさい」
……私のことを言っていたのか……?
少女の言葉に思考を張り巡らせていたとき、出し抜けに右側の通路から足音が、近づいてきていた。
私は足音のする通路に目を向けた。
姿はまだ見えない、どうやら足音は、10メートルくらい先の十字路に差し掛かろうしているようだった。
私はその足音の主を確かめるため、十字路を注視した。
離れた十字路に現われたのは、予想していたネルフの制服ではなかった。
黒いズボンに白い開襟シャツ。さっきの少女と同年代くらいの……少年だった。
私は少女への思考を一時停止して新たな当惑へと思考をジャンプさせた。
……なぜ、年端もいかぬ少年(少女)がこんなところに……
私は心の中に疑問付を抱えながらも、道を尋ねるため少年へと足を進めた。
少年の方も、私に気付いたようであり私に目線を向けた。
目が合うと同時に右手を挙げて少年に声をかけた。
「すみませんが経理課への道を教えてくれませんか? 道に迷ってしまって……」
私は右手を胸まで下げて胸につけた許可証を指差した。
少年は最初きょとんとしていたが、許可証に目をやると合点がいったように私の方に近づいてきた。
「……経理課ですか……それなら確か……エレベーターに乗らないといけませんね」
変声期が終わりきっていない……やや少女を匂わせる高音混じりの声が返ってきた。
しかし気弱で貧弱そうな少年には妙にマッチしていた。
童顔の職員という可能性もあるので、念のため敬語で話し掛けたのだか、やはり少年のようだ。
それによく見ると開襟シャツの胸元からシャツの、下に身に付けている黒いTシャツの襟がのぞいていた。
それは大人の……公務員の身だしなみではなかった。
やはり少年だ……あの少女と同い年くらいの。私は再び疑問符を頭に宿したが、腕時計の針が私を急かしたてた。
「道順を知っているのかい? もし、よかったら案内してもらえると助かるんだが。……ここは複雑で」
少年はしばし考え込んだような表情を作っが 「……こっちです」と言って私が来た方角へと進み始めた。
私は礼を言ってその後をついていった。
「……軍事関係の極秘施設なんかは、襲撃や占拠に備えて複雑な構造にしてあるって聞いたことがあるけど、ここもそういうものなのかな?」
「そうなんですか?」
少年は少しだけ驚きを張りつけた顔をこちらに向けた。
「……いや、本で読んだ知識なんだがね。それにここは案内標識もないし……」
少年は立ち止まって、少し考えこむと、
「……かもしれませんね」と小さくつぶやいて再び正面を向いて歩き始めた。
私が少年の背中について、五回ほど道を曲がったが同じ景色ばかりで、道順はさっぱり覚えられなかった。
しかしそれは、連続した十字路のせいだけではなく、頭の中にある疑問符のためでもあったのだ。
「……ところで、この建物の中には学校でもあるのかな? ……いや、君は学生だろ?」
質問の意味がわからなかったのか、しばしの沈黙のあと、少年は振り返らずに答えた。
「いえ……父がここの職員なので……」
私たちは十字路を左に曲がった。何個目かはもうわからない。
「なるほど、お父さんを迎えに来たのか。一緒に家に帰るのかな?」
少年は何も答えなかった。心なしか急ぎ足になり、私は歩速を合わせた。
「さっき……君と同い年ぐらいの……セーラー服……じゃなくて、なんというか……まあ、学生服の子を見かけたんだが彼女もお迎えかな?」
「い……ええ」 声はよどんでいた。
「友達かな?」
「……クラスメートです」
根掘り葉掘り聞きたいところだが、私はここで質問をやめた。
それは、怪しまれるからというだけでく、少年の背中から発せられる陰欝な気配のためであった。
やがて今までと同じ通路の壁に鉄の扉があるのが目に入った。
「……このエレベーターで10階にいけばありますけど……その後の道、わかります?」
「いいや」 私はかぶりをふった。
「忙しくなければ案内してもらえると助かるね」
少年はこくりとうなづくと、ドアの脇にあるボタンを押してエレベータードア上部の回数表示灯に目をやった。
10……9……8……7……6。
5の数字が明かりを灯したとき、ドアは中心から左右にスライドした。
だしぬけに香水の匂いが私の鼻孔をくすぐった。
エレベーターの中には髪の長い女が腕を組んで壁にもたれていた。
服装はネルフ職員のそれではなかった。
髪の長い妙齢……30はいっていないようだが。
赤を基調とした上下。
タイトなスカートからしなやかに伸びるその脚は、若さだけでは得ることのできない艶めかしさを発していた。
よく手入れされていそうな髪の毛は縛らずににおろされている。
正面から見てもキューティクルを確認できる。背中に隠れて見えないがだいぶ長そうだ。それは私の心をくすぐった。
「あら、シンジくん。帰ったんじゃなかったの?」
髪の長い女は、壁から背を離した。
「……あ、ちょっと。この人に道を聞かれて……」
シンジと呼ばれた気弱そうな少年は私を指し示した。
女は私に視線を移した。何気ないようにあいさつされたが、その目は油断ならぬ厳しさを宿していた。
「どちらさまで?」 女は陽気な声だったが、やはり目は笑っていない。
私は胸の許可証を指し示して、簡単な自己紹介をした。
「……というわけで、ここにきたんですが、なんせこの広さで……そこに偶然彼が通りかかって……」
女の目線が私からシンジと呼ばれる少年に移ると、シンジはそれを察したように女に向けてうなづいた。
女はため込んだものを吐き出すように、軽くため息をついて言った。
「……そうですか。それじゃあシンジくん、その方ををお願いね。あと、今日遅くなるから。鍵しめて先に寝てて」
女は少年の返事を確認すると私に一礼して、少年に手を振ってエレベーターを出ていった。
振られたその手首を私は見逃さなかった。白く美しい手首がひらひらと優雅に舞を演じていた。
私の体に電流が走った。
やがて長い髪を左右に振って女は廊下の角へと消えていった。
私たちはそれを見送ってエレベーターに乗り込んだ。
「さっきの女性は、君のお姉さんかい?」
「いえ……」
シンジはエレベーターの扉の回数表示灯から目をそらさずに答えた。
私は壁にもたれかかりながら、少年の横顔を眺めていた。
エレベーターの中にはまだ香水の残り香が漂っていた。
(今日遅くなるから。鍵しめて先に寝てて)
確かにあの女はそう言っていたが……。兄弟ではないとすると母親……にしては若すぎる。
「さっきの女性はここの職員かい?」
少年は目線だけをこちらに向けてこくりと頷いた。
「いや、ここの制服じゃなかったようなんで……ちょっと派手めだったんでね」
シンジは少しだけ口元を緩めてこちらに顔を向けた。
「確かに派手ですね」
「優秀な公務員なのかな? 特例ってやつかい?」
シンジは初めて、少年らしい笑みを見せた。
「……優秀なのかな? たぶん。あの人は、僕の面倒を見てくれている人なんです」
「面倒? 父親がここにいるんじゃないのかい?」
「父さんは仕事が忙しいから……」
シンジの笑みは、少年らしいものから弱々しいものへと沈んでいった。
「なるほど、それであの女性と一緒に住んでいるのか」 少年はこくりと頷いた。
やがてエレベーターは、止まり、先程と同様に私はシンジの後をついていった。
「ここが経理課ですけど……帰りは大丈夫ですか?」
「ああ、すまなかったね。できたら帰りもお願いしたいね。頼めるかい?」
「ハンコをもらうだけだから……。少し待っててもらえるかな?」
私はシンジの返事を受けて経理課のドアをノックして部屋の中へと足を踏み入れた。
入り口の近くにいた男に用件を伝えると、担当のものを呼ぶために部屋の奥へと消えていった。
その間、私の頭の中にさまざまな事が駆け巡っていた。
赤い瞳の少女は何物なのか? 場合によっては正体を探り出さなければならない
あの長く美しい髪の持ち主の事。
その二人と繋がっているシンジという少年は最大限に利用できるということ。
私が思いを巡らせているとやがて担当の人間が現われた。
私は今日だけでうんざりするほど行なった自己紹介を再び繰り返した。
「私はカメユーデパートの吉良吉影と申しますが、契約書の件で……」
私は仕事の話の間、あの髪の長い女と遊ぶことを考えていた。
乙。吉良吉影かよW
……はやく LRS になりますように。wktk
>>107 この世界での吉良吉影はスタンド使いなのだろうか?
個人的には続きが楽しみなんだけど、LRS要素は薄そう…
吉良うぜえ
*lol* A G R E E
とうかまち
おなじく
待ち
>>107-112 前振りが長いんだったら、余所でやって欲しいようにも思う。
つか、LRSにならないんなら、叩かれる前に謝って余所行った方が良いぞ?
>>121 前半にはやんわり同意後半には激しく同意
ま た 叩 き か
↑よく読む
のんびり待ち
ちょっとグダグダやってるからってさすがに謝れって言い方ないだろ。
あるよ
スレ違いだろ
>>126 >LRSにならないんなら
って書いてあるのが読めないのか?
のんびりまち 2nd
うぜえ
>>131 まてまて、自己紹介しただけで追い出すなんて冷たくないか?
# 某アヤナミ改変系スレに投げようと書きはじめたのですが、
# カユLRS風コントができあがってしまいますた。
# アリキタリですみませんが、ココに落とさせてください。
「掃除のとき雑巾しぼってたろ? あれってなんか『お母さん』て感じがした」
「お母さん?」
「あんがい綾波って主婦とかが似合ってたりして」
「何を言うのよ……思っている本当のこと、言っていいのよ?」
「はい?」
「本当は別のことが言いたくて、昼間から私の方を見てたんでしょ?」
「別のことって何さ?」
「そう、とぼけるのね……
綾波はかわいいとか、
綾波を愛してるとか、
綾波は僕の女神だとか、
どうして正直にそういうこと言わないの?」
「なっ、そ、そんなこと思ってないよ!!」
「……どうしてそおゆうことゆうの?
碇くんは嘘つき。
碇くんは意地っ張り。
碇くんはツンデレ……っ!!
……碇くんはセカンドに侵蝕されているの?」
「し、侵蝕ってなんだよ?! 」
「だめ……碇くんが蝕まれてゆく……それはだめ……」
「あの、あやなみ?」
「……素直になるのよ、碇くん……ココロを開かなければエヴァは動かないわ」
「いや、エヴァ!? あのそれ僕に言うセリフじゃないだろ!?」
「いい、エレベーターの中だから」
「そういう問題じゃないって!」
「問題は私が処理しておくから、碇くんはATフィールドを開放して」
「処理、って何を言ってるのか分からないよ!」
「思ってる本当のこと、私に言えばいいのよ。そうしないと何も始まらないわ」
「始まる?」
「言えばいいのよ」
「ちょ、あやな…
「言うのよ」
「ひっ……うぁ、あの……僕…えと……
……あの……あ、綾波がお嫁さんだったらいいなって、ちょっと思った……かな」
「……! な、何を言うのよ……いきなり求婚の言葉…………」
「ちょ、求婚ってそんな、ちが……だ、だって、なんか言わないと綾波が……
って、あれ? 綾波? あやなみ?」
「……碇くん?」
「あ、なおった?」
「碇くん、私、ワカメとお豆腐のお味噌汁が好きなの……」
「え? ……あ、うん……」
──西暦2022──
「あの……味噌汁のことなんだけど……」
「私、ワカメとお豆腐のお味噌汁が好きなの」
「いや、たまにはさ…
「好きなの」
──終劇──
おもしろくねえよ
シンジはNOと言えない男
キモヲタの脳内設定はどうでもいいよ
141 :
134:2006/06/23(金) 08:11:48 ID:???
投下
時田「赤城博士、JAはほしくないですかな?」
リツコ「あら、くれるのかしら?」
時田「あなたの出方次第ですよ、実は今日ホテルを予約してあるんです…どうです?赤城博士」
リツコ「残念ね、私は行けないわ」
時田「それは残念です」
リツコ「でも安心して、代わりにレイを派遣するわ」
時田「ほーう、そいつはおもしろい、だが期待できますかな?」
リツコ「あら、私より若くてピチピチしてるわよ」
時田「なるほど、では私は先にホテルで待たせてもらうよ」
続き
リツコ「レイ、今日はあなたに行ってもらいたいところがあるの、もちろん行ってくれるわね?」
レイ「はい」
リツコ「じゃあお願いね」
いよいよレイがホテルに…
ぴんぽーん
時田「開いてますよ、入ってください」
レイ「はい」
ガチャ
時田「おおっ!?ハハハ、まさかこの年になって女学生とヤレるなんてな」
レイ「私は、何をすればいいですか?」
時田「ではまずシャワーを浴びてきてもらおうか」
レイ「……………はい。(やっぱり、するのね)」
今日lrs系のスレ巡回してたらほとんどに変な奴が湧いてた。
自分の気に要らない特定カップリングにここまで執着するのってちょっと恐いなと思う.
自分の好きなカップリングに執着するのは分かるんだがな
変なやつって?
ラブラブレイ×シロウスレ
略してLRSスレ
消えろ?スレ違いでもないのに自分が気に入らないからって追い出すなよ
ま た こ れ か
最近LRS系のスレで多いよねこういう頭文字使った屁理屈
自分が気に入らなければ屁理屈。
最近こういう人が多いよね。
なんでエヴァ板が過疎るかわかる?
そうやってすぐ追い出すからだよ!
ある程度人気が出てくると荒れるのもまた必然。
ヘタに書き込まないでいなくなるまでおとなしく待ったほうが。
……ってそれは俺もだな。
そうだね、プロテインだね
そうだね、プロテインだね
そうですね、プロテインですね
「そうかな、キシロカインじゃないのかな?」
「碇くん、それは全然違うわ」
「どうしてさ?」
「あなた、そもそも彼らが何の話をしているのか分かっているの?」
「……じゃ、綾波はどうなのさ?」
「……碇くん、私ソフトクリーム食べたい」
「ちょっと、そんな強引なごまかし方ってないよ!」
「私、碇くんの口移しでソフトクリーム食べたい」
「……すぐ買ってくる! ちょっと待っててね!!」
「……そう、これは欲望に流されすぎな碇くんなのね……嫌じゃない……」
そうだねぷろていんだね
ソフトクリームの口移しって
いくらレイ相手でも気持ち悪いだろw
いや、そこがエロい……ってスレ違いか orz
レイはそんな事、絶 対 に 言わないと思う。
ネタにマジレス カ(ry
なんだこの流れwwwwwwww
つまり投下まちで退屈なんだろう……たぶん
うん
こ
投下まだ?
ここの人達辛口すぎだし追い出されるの怖くて投下できない
ヘタレに用は無い
失せろ
読み手は失せろ
書き手だけこい
>>169 アンチが混じって騒いでるだけだから気にせず投下しろ
批判が怖いなら2chに投稿すんな
ちゃんと批判してくれるならいいんだけど、
エントロピ高すぎる辛口レスも多いからな。
でも
>>172 が実態かな、という気もするぞ。
試しに投げてみたらどうよ?
>>169
投稿サイトに投稿すりゃいいんじゃないの?
態々辛口で怖い2chに投稿する必要はないと思うんだが。
ほんとに
>>172が実態だろ。
あとは読む側じゃなくて投下する側がわざわざシンレイもの以外を投下するスレ違いっぷりを発揮したりとか。
この場合は叩かれて当然かと。
要するにスレに沿ってる内容なら堂々と投下しなよって事。
今のこのスレ状況を打開するには投下しかねえ!
というのが他力本願な私見です
>>175 2ch のレスポンスの早さやら遠慮のなさやらが楽しかったりもするw
まっ、シンレイとは書いてないんだけどな。
>>176 > あとは読む側じゃなくて投下する側がわざわざシンレイもの以外を投下するスレ違いっぷりを発揮したりとか。
> この場合は叩かれて当然かと。
ま、
>>169 がその辺まで含めて「怖い」とかぬかしてんなら
>>170 「臆病者は不要だ。帰れ。」 (意訳)
って話だけドナー
フィッシングかよ
まぁ、叩かれて痛い思いするのは169だしな。
そりゃ無責任に投下を進めるわな。
まぁ、ほめられて嬉しい思いするのも169だからな。
そりゃ他の誰の責任でもないわな。
「初日から遅刻とかってチョーヤバイよねー…ってきゃあああっ!」
「うわぁっ!」
パンをくわえながら走る、初めての通学路。
その希望と期待、不安に焦燥までミックスされた心持ちで臨む登校が一瞬にして中断された。
「痛てててて……何なのよあんたわっ!ちゃんと前向いて歩……」
未だチカチカと火花の飛ぶ視界の中に浮かび上がる人に、たまらず抗議の声をあげる。
「ね、ねぇちょっと。あなた平気?」
うつぶせに倒れたまま、ぴくりとも動かない少年に慌てて声をかけてみた。
肩に掌をあてて軽く揺すってみもした。
しかし少年が返事をする事はなく
代わりにアスファルトにどす黒い染を広げただけだった。
「嘘でしょ……死……嫌あぁぁぁぁぁっ!」
あれ?
乙。
この状況でよく投げたな。えらいw
乙ww
しんじ「レイかわいいよレイ」
ゲンドウ「レイかわいいよレイ」
レイ「キモス・・・」
しんじ「レイかわいい予鈴」
げんどう「レイカワイイよレイ」
レイ「キモス・・・」
しんじ「いや、マジで」
げんどう「そうそう、マジで」
どんどん赤面するレイ
レイ「・・・何を言うのよ」
二人は楽しい休日を過ごします他とさ END
はい、俺を褒め称えろ
存分に乙していいぞ、特別に許してやる
待ち
氏ね
落ち着けage
クソスレageんなチンカス野郎!
197 :
角:2006/07/10(月) 23:09:27 ID:casWdbnK
生まれて初めてのLRS小説です。
我ながら文才も無いと感じてます。
容赦なく言ってくれて結構です。というか言ってください。
とりあえず書いちゃいました。じゃ投下します。
痛いので 見たくなきゃ無視って飛ばしてください。
ダークです。
じゃ、↓から投下します。
198 :
角:2006/07/10(月) 23:11:03 ID:casWdbnK
波が寄せる音がした。
意識の辺縁で少年はそれを感知した。
再び波の寄せる音。二度…三度…四度…
今度ははっきりと。少年は自分自身の存在を認知した。
最初に感じたのは寒さ。鼻腔を微かにくすぐる血の匂い。そして疲労。
弱りきった少年は自分自身がどこか海辺にいるのではないかと推測した。
〈ならば何故血の匂いがする?〉
〈なぜ自分はここにいるのだ?〉
直後に殺到する無数の疑問。
少年は思い切って目を開けた。瞼が重い。
〈漆黒の暗闇〉
意識の片隅で、目を閉じてはならぬという断固とした主張。
少年は目を開けつづけることにした。
次第に目が映像を受け入れることに慣れてきた。
いったいどれほどの間、目を使っていなかったのだろうか。眼球がひりひりする。
最初に認識できたのは無限の星空。弱った目にもはっきりと映る。
そして天空を分かつように伸びる淡く、細く、そして赤い帯。
少年は体を起こそうとした。
〈何故こうも体が重いのだ〉
199 :
角:2006/07/10(月) 23:12:52 ID:casWdbnK
だが、ここでまた眠りにつくのも余り得策とはいえまい。
すでに波は彼の足を洗うまでになっていた。
片足で突っ張って無理やり体をひっくり返す。体が抗議の悲鳴を上げる。
そこには海があった。色が真っ赤であることを除けばまるっきり正常な海だ。
そして、顔。海に半分沈むような形で顔があった。とてつもなく巨大な。
脳が正常に情報を認識していない。
そう本能は主張していた。とにかく海から離れなくては。
すでに意識の朦朧としていた少年だったが、猛烈に痛む体に鞭打ち、腹ばいで、少しずつ、前進を開始した。
>>197 いきなり邪魔してごめんな。
sage で投下してはくれないか? 嵐がひどいんだ、上の方は。
201 :
角:2006/07/10(月) 23:14:19 ID:casWdbnK
長い時が過ぎた。
少年はこの世界で二度目の目覚めを迎えた。
一度目ほどではないが若干の意思の力を要して少年は目を開けた。
〈衝撃と混乱〉
雲一つ無い青い空。純白の砂浜。そして昨夜と変わること無い赤い海。巨大な顔。
再び意識が遠のき…
再び目覚めたとき、この世界は再び夕暮れを迎えていた。
赤い空。そして赤い海。巨大な顔。
辛うじて気を取り直した少年は背中に硬質な質感を感じた。
どうも自分はこれにもたれて寝たようだな。
とにかく赤い海と顔の正体を見極めなければ他のことを脳が受け付けないような気がした。
少年は立ち上ろうと努力したが突然の眩暈で体重をコントロールできずに転倒した。
そして振り返りざま偶然、自分のもたれかかっていたものが目に入った。
金属の円筒だ。ただのひしゃげた円筒だ。
ただ、
この世界に来て初めて目にするヒトの文字が描かれていることに気づくのにさほど時間は要さなかった。。
EVA-02
フラッシュバックのように記憶が戻る。
僕の名前は碇シンジ…そう、たしかそんな名前だった。
泣きながら砂のピラミッドを潰している僕…
ビールを飲んでいるミサトさん…
「さあ僕を消してくれ…」…
圧倒的な威圧感で僕の前に立ちはだかる使徒…
トウジが大きく拳を振り上げて…
〈ふと脳裏をよぎる金髪〉
セカンドインパクト…
「人造人間エヴァンゲリオン!」…
LCLの血の匂いが一層濃くなり…
「開けっ、開けっ、開けっ…!」…
光のムチが僕の腹を貫き…
僕は絶叫しながら量産機に殴りかかり…
〈澄んだ青い目〉
白い閃光が僕めがけて放射された…
「伏せてっ」…
生まれて初めて、本気で人を殴った…
それっきり僕に姿をみせなかった父さん…
「僕は…もうエヴァに乗れないんだ…」…
「あんたバカァ?」
自分自身がこの世界に来て始めて言葉を発しているのに気づいた。
「アスカッ」
シンジ「ねー!風呂はいろ〜?」
ゲンドウ「ああ、わかった」
元々シンジはやる予定、嬉々としてローションをを洗面所に設置していた。
ゲンドウ「シンジ、入るぞ」
シンジ「ん、はい、体洗って」
シンジの誘っている言葉はそっけない。
しかし後姿でちょこんと座る姿はユイのそれを髣髴とさせる。
ゲンドウ「大きくなったな……、シンジ……」
後ろから抱き付いて右手で乳首を掴むと左手で陰茎をゆっくり扱き立てた
シンジ「あぁっ…!」
先端を摘まれただけでシンジは少し大きめに声を上げてしまう。
シンジ「ヒ……っ……あぁぁ…恥かしいよぉ…」
舌先が首筋に這わされると再び声を上げてしまい、
シンジは自分の声に驚き、慌てて口に手を当てている。
シンジ「も、もっとゆっくりやって。僕達がヘンタイだって、ばれちゃう……」
ゲンドウ「近所には誰も居ないよ。居たとしてもきっとオレたちと似たり寄ったり、
同じようなヘンタイなことをしている。全く問題無いさ……。」
204 :
角:2006/07/10(月) 23:18:55 ID:???
=========
今日のストック使い果たしちゃいました。
いきなりsage忘れてすみません。
水曜日までには再投下いたします。
=========
ゲンドウの的確な指示がシンジを安堵させる。
シンジ「……なら…乱れさせて…僕をもっともっといけない子にして?」
妖艶な笑みを湛えてシンジはゲンドウの手を導き、更に愛撫を誘う。
シンジの手に支えられ、右手で陰茎を、左手で陰嚢を刺激する。
かつてユイにやったように、首筋のうなじに息を吹きかけた。
ゲンドウ「命令だ。もっと乱れて良いぞ。」
シンジ「あひっっ…!! そこっ……もっと……もっとぉ…」
指で軽く刺激されただけでシンジは身体を捩り、腰を突き上げるようにして、
父の愛を感じ取っていた。肉棒の先端からは大量のカウパーが溢れ出す。
シンジ「アハ…気持ち…イイ…自分でするよりいいよお……」
ゲンドウは既にパンパンに膨張している肉棒の先端にローションをたっぷりとつけると
それを息子の秘所の入り口に何度も擦りつける。
ゲンドウ「これ、挿入れて欲しいか?」
涅槃の入り口付近でのゲンドウの怒張が往復するとローションが
直腸の奥へ奥へと吸い込まれていった。
風呂場の中で卑猥な音が乱反射している。
シンジ 「あぁんっ……あぁぁ……いじわる、しないで…」
父の進入を求めるようにシンジは豊満な腰を自ら突き上げていた。
シンジ 「父さん……挿れて…もっとお尻の穴を……ぐにぐにして……」
ゲンドウ 「……挿れるぞ……何度もイカせてやるからな」
ゲンドウは自分のモノのカリを息子のの入り口にゆっくりとあてがう。
そしてカリを入り口に引っ掛けたままゆっくりと出し入れを始める。
シンジ 「んぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ゲンドウ 「……………。」
シンジ 「あ…あ……入って…きた……父さんの……大きい…」
シンジも優しくゆっくりとゲンドウの腰使いに合わせるように腰を動かし
父の怒張を括約筋で美味しそうに飲み込み、女のように締め付けていた。
シンジ 「父さん……気持ちいい?ねえ、気持…ち、いいで…しょ?」
ゲンドウ 「ああ、凄く良いぞ…」
前立腺に引っかかるたびに喘ぎながら、後ろを振り返ると
シンジは訴えるような潤んだ瞳で父を見つめる
「父さん…そんなゆっくりじゃなくて……もっと…突いて………」
さげ忘れがなんで何度も続くんだ?うぜえ
210 :
角:2006/07/10(月) 23:40:44 ID:???
破損し、穴が開いたエントリープラグ。
地面に鋭角に突き刺さっており夕日を受けて明るく輝いている。
暗い不安をよそに、辛うじて穴から身を乗り出し、中を確認した。
覚悟はできていた。はずだった。
だが、プラグの底には、
プラグスーツの残骸だけがひしゃげて転がっていた。
そして底に僅かに残ったLCL。
プラグの穴から転がり出るように離れ、嘔吐した。
吐くものがなくなったのに胃液をはき続けた。
喉が切れて、血が混じり出しても嘔吐は止まらなかった。
赤い海にはアスカや、ミサトさん、そして他の人々が形を失って溶けている。
そう気づいたのはいつの瞬間からだろうか。
僕は他人の存在を望んだ。裏切られても構わなかった。
だから僕は一つの個体としてここにいる。
だが何故誰もいない?他の人々は他人の存在を望まなかったのだろうか?
だが現に僕はここに、地上に独り取り残されている。
他の人々は恐らく海の中、いや赤い海そのものだ。
〈絶叫〉
残った体力を振り絞り、ふらつきながら赤い海まで駆けた。
波うち際につくと同時にバランスを崩し、赤い海へ、原始のスープへ、LCLへ、倒れこんだ。
泣きながら、力の続く限り海面を殴りつけながら、こんな世界を生んだ自分を呪った。
211 :
角:2006/07/10(月) 23:44:23 ID:???
sage忘れの謝罪をこめて無理矢理もう一話書きました。
そのうちレイっぽいのも出てくると思います。
もう眠いので寝ます。
駄文に付き合っていただいて本当にありがとうございました。
>>210 乙。
>>209 「人目引きたいage」だったら一回で充分。ただのミスだろ。
足りないのは品位だけにしとけよ。
214 :
角:2006/07/11(火) 00:09:00 ID:???
シンジ「父さん・・・僕のお尻にエントリープラグを・・・」
ゲンドウ「また入れるのか・・・」
シンジ「早く来て」
ゲンドウ「ふん!!!」
ズブズブズブ
シンジ「ひぃやあぁぁっ!!!」
ゲンドウ「た・・・たまらん!!!」
216 :
飛車:2006/07/11(火) 00:12:49 ID:???
投下
時田「赤城博士、JAはほしくないですかな?」
リツコ「あら、くれるのかしら?」
時田「あなたの出方次第ですよ、実は今日ホテルを予約してあるんです…どうです?赤城博士」
リツコ「残念ね、私は行けないわ」
時田「それは残念です」
リツコ「でも安心して、代わりにレイを派遣するわ」
時田「ほーう、そいつはおもしろい、だが期待できますかな?」
リツコ「あら、私より若くてピチピチしてるわよ」
時田「なるほど、では私は先にホテルで待たせてもらうよ」
続き
リツコ「レイ、今日はあなたに行ってもらいたいところがあるの、もちろん行ってくれるわね?」
レイ「はい」
リツコ「じゃあお願いね」
いよいよレイがホテルに…
お〜い、「帰れ!」の人。
客が来てるよ。
「帰れ!」の人って誰?
222 :
シンジ:2006/07/11(火) 00:29:39 ID:???
/::::::::::::::::::::::::::\〜プーン
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\〜プーン
|:::::::::::::;;;;;;|_|_|_|_|〜プーン
|;;;;;;;;;;ノ∪ / \ ヽ〜
|::( 6∪ ー─◎─◎ )〜
|ノ (∵∴ ( o o)∴)〜
| ∪< ∵∵ ∀ ∵> 綾波〜好きだ〜
\ ⌒ ノ_____
\_____/ | | ̄ ̄\ \
___/ \ | | | ̄ ̄|
|:::::::/ \___ | \| | |__|
|:::::::| \____|つ⊂|__|__/ /
223 :
レイ:2006/07/11(火) 00:32:43 ID:???
はぁ?きもいんだよピザ野郎
/ \
/ \
/ /@W∧WーVV \
/ /┌─┐ ┌─┐V│
| C/'┤¬├-.┤ー├)ミ
ミ |U└─( 。。 )─┘|V
(X)| ∴ ∴ /(X)
(X)\ 3 丿(X)__ カタカタカタ__
(X) ー────' | | ̄ ̄\ \
/ \/ \__| | | ̄ ̄|
/ \___ | | |__|
| \ |つ |_ _|__/ /
/  ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄| 〔 ̄ ̄〕
224 :
シンジ:2006/07/11(火) 00:34:54 ID:???
/::::::::::::::::::::::::::\〜プーン
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\〜プーン
|:::::::::::::;;;;;;|_|_|_|_|〜プーン
|;;;;;;;;;;ノ∪ / \ ヽ〜
|::( 6∪ ー─◎─◎ )〜
|ノ (∵∴ ( o o)∴)〜
| ∪< ∵∵ ∀ ∵> おめーに言われたくねえなピザ
\ ⌒ ノ_____
\_____/ | | ̄ ̄\ \
___/ \ | | | ̄ ̄|
|:::::::/ \___ | \| | |__|
|:::::::| \____|つ⊂|__|__/ /
225 :
角:2006/07/11(火) 12:50:57 ID:???
翌日、雨が降った。冷たい、容赦ない雨だった。
半壊したエントリープラグ内部しか、アスカが死んだあのエントリープラグにしか逃げ場が無いことを悟った。
戦うことによってしか自らの存在意義を表現することが出来ず散っていった、意固地な少女の墓場だ。
それから数日間、エントリープラグ内部の非常食で辛うじて命を繋ぎ、体力の回復を待った。
考えてもみれば初日、二日目と素っ裸だった。
プラグ後部にあった予備の赤いプラグスーツを発見できなかったら数日と持たなかっただろう。
風邪をひかなかったのは奇跡にも近いであろう。
未だに微かに血の匂いのこもるエントリープラグ内部でうずくまっていたとき、
頭の片隅で声がした。
…なぜ君はそこまでして生きたがる?アスカの遺品を利用してまで?
僕は答えをみつけられなかった。
再び、声。さらにはっきりと。
…君はこの後、どうするつもり?
これから決めるさ、と僕は独り吐き捨てた。
碇シンジが浜辺を後にしたのはこの世界が生まれて八日目のことだった。
#残りは校正後、30分以内に投下します。
226 :
角:2006/07/11(火) 12:58:06 ID:???
少年は瓦礫の中、歩を進めた。
未だ各地から無数の黒煙が立ち上り、鼻腔を刺激する。
巨大なクレーター、巨大な顔が浮かぶ湖、から逃れるように移動してはいたが三日目に入っても様子は殆ど変わりはしていない。
丘は削られ、天を突くようなビル群は強烈な熱線で溶解し、無数のヒトが居を構える住宅地は瞬間的に蒸発していた。
セカンドインパクトの混沌から再び未来へと歩を進めるべく立ち上がった人類の努力は無に帰したのだ。
かつて知恵の実を所持し、栄華を極めた使徒リリンの文明の末路。
知恵を得た彼らは生命の本質を考える力を得た。それは彼らの権利であり使命。
だが与えられた無限の知恵は自らへの不甲斐無さから来る憎しみと変わり、ついには文字通り自らの存在を消し去ろうとした。
他の使徒達の可能性を奪っておきながら、最後に殲滅すべきは己とは余りに皮肉ではあるまいか。
壊れた住居で夜露をしのぎ、比較的破損の少ない地域を見つけると半壊したコンビニやスーパーなどから食料を調達した。
そしてその都度、何も知らないまま形を失ったヒトの残骸、無数の衣服が散乱しているのを目撃するのだ。
そしてその都度、少年はほぼ無感動にその場を立ち去るのだ。
227 :
角:2006/07/11(火) 13:00:12 ID:???
十二日目、ついにシンジは緑を見た。
炭化した森林を歩いている時に偶然。
焼け跡から健気に生え出した若葉をみかけたのが緑を見た最初だったが反射的に摘み取ってしまった。
そして若葉を口に含み、噛み締めながらこの世界に来て何度目かの涙を流した。
山間から時たま見える赤い海は少なからずシンジを落胆させたが次第に増えてゆく緑は既に限界を超えた彼を歩かせる原動力となった。
一時は凄まじい熱風が吹き荒れたのであろう、木は黒く炭化しており土壌は力を失い侵食されるがままになっていた山肌に再び植物が芽生え始めたのだ。
湿度を感じさせない吹き降ろしの風が非常に心地よく感じられた。
この旅の意味はまだシンジには理解できていない。
だがいずれ意味を見出せるであろうという確信は着実に芽生え始めていた。焼け跡から芽生える新芽のように。
二十日目、シンジは殆ど損壊の無い山間の集落を発見し、ここに定着することにした。
多少、古風な木造住宅ではあるが。生活には問題ない。
幸い、畑も完全な状態で残っておりここで当分は暮らせそうに感じた。
228 :
角:2006/07/11(火) 13:02:47 ID:???
#ストック使い切っちゃいました。
#もう一話くらいは今日中に書けるかも…
#羽祖根我ぶっ壊れて今ネットカフェでがんがってるんですよ
229 :
角:2006/07/11(火) 13:43:25 ID:???
「…ただいま」
空き家となった木造一戸建てにシンジの声が響く。
もちろん返答はない。『馬鹿、僕は何やってるんだ』
シンジは苦笑しながら懐かしい藁の匂いを吸い込んだ。
ここが新しい僕の家。多少ガタはきているが僕一人で補修くらいは出来るだろう。
居間に上がったところで僕は凍りついた。
折り重なってくしゃくしゃになった四人分の服。
三人分は子供のもので一人分は母親のものであろう。
怯え、震える子供たちを抱き締めながら自らの形を失ったに違いない。
割れた窓から風が部屋を吹き抜ける。
僕はしばらくはショックで硬直していたが、丁寧に服を折り畳み部屋の隅に並べていった。
「僕には生きるためにこの家が必要なのです。しばらくこの家を貸してください…。」
シンジは一人呟いた。
最後にアスカのプラグスーツを同じく折り畳み、明るい窓際に置いた。
230 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/11(火) 14:33:26 ID:Onx+Oyb1
,.、‐'"´:/:::::ィ:::/ :/ ヽ `ヽ、:::::::::\
,、' 7゛:::::::l:::::/ ::/ / j |\ ` ヾ、::::::::::\
/::::::::: l ::イ l / / !| _ヽ、 i、 ヽ::\_::ヽ
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛__,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/◎/ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ
/:::::/:: i、,| ヽ>、、 ! `  ̄`゛´ _,.;'ィ::::::;:〉、 i、 i::::ヽ::::l
/イ::/i:: l、i`r'゛__ '゛´/::/:/ ヽ!':, | ::::ヽ::l
゛ ! |l '; !'、/◎/< ‐ ,::゛ィ:::/ ゛ /! :::::`/
';!|!; '、`、 ̄ ̄ ` / ´ /::/ / / i .:::::::l
ヽ!`;、ー`=- \________/ /:/ ,.、''ッ‐',イ l ::::::/
li:::`ヾー \ / /‐'゛,、': '" / /ノ:::/:l/
|l:::::::、`:.、_ \/∪ / ィ´:::::/
'、;::i:: `i‐-ミ=‐ ∪ ∪ /:'゛ |!'!:/´
232 :
角:2006/07/11(火) 15:08:56 ID:???
何十日ぶりであろうか、その夜、シンジはドラム缶一杯の水を利用して風呂を沸かした。
火照った体に夜風がに心地良い。
考えてもみれば浜辺で目覚めて以来、落ち着いてものを考えることさえ出来なかった。
精神的にも肉体的にも限界な状況でここまで歩いてきたのだ。
「風呂は命の洗濯…か…。」
かつて一時的に自分の保護者となった女性の言葉を思い返した。
シンジが山間の集落に居を構えて一週間が過ぎた。
畑の作物も利用できるし近所の商店から食料は調達できる。
水は滝川の水を使用すればよい。
灯油や薪も一人で利用するには十分な量がある。
絶望的な状況にもかかわらず、シンジはこの生活に慣れ始めていた。
〈他の人々が戻るまで僕は生き延びなければ〉
その意思だけでシンジは生きていたのかもしれない。
#PC直ったべえ
#書くぞ書くぞ書くぞお
233 :
角:2006/07/11(火) 16:12:57 ID:???
そして十日目、ここに来て始めて台風が襲来した。
一晩中、轟音とともに横殴りの雨が続き、谷川は氾濫した。
少年は一晩中、一人家の中でうずくまっていた。眠ることすら出来なかったようだ。
翌日、台風一過の快晴、少年は家から一歩外に出た。
次の瞬間から少年の心の暗い不安が再び彼を蝕みだした。
周囲の家は一見変わらないようであったが、瓦は飛び、窓が割れているものもあった。
谷川は濁流となり、ほんのわずかではあるが、着実に川岸を侵食していた。
このようなことが後十回、二十回と続いたら確実にこの集落は崩壊していくのであろう。
人類が生み出したものの全ては人類の存在無しにはこの世界では存在を許されない。
少年一人では人類の生み出したものの劣化は止められないのは明白だ。
少年は次第に朽ちてゆく人類の遺品に取り囲まれ、真綿で首を絞められるかのように死んでゆく己の運命に恐怖した。
少年の心に微かな焦りが生まれた。
数日後、少年は荷物をまとめてこの集落を立ち去った。
出来る限り部屋を清掃して。
「お世話になりました。」と言い残して。
…君はこの後、どうするつもり?
またも、明確な答えは見つけ出せなかったが、近い未来、明確な答えを準備できると確信した。
少年はもと来た道を戻りだした。
#本日はこれにてラストです。次の投稿は木曜日辺りの予感がします。
乙
乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙
乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙
乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙
>>233 乙。
人称がころころ入れ換わってて、しかもその意味付けがわからんから読みにくい。
----------------
>>226 > そしてその都度、何も知らないまま形を失ったヒトの残骸、無数の衣服が散乱しているのを目撃するのだ。
> そしてその都度、少年はほぼ無感動にその場を立ち去るのだ。
↓
>>229 > 居間に上がったところで僕は凍りついた。
:中略
> 僕はしばらくはショックで硬直していたが、丁寧に服を折り畳み部屋の隅に並べていった。
この反応の違いはどうしたことだ。
----------------
> 最後にアスカのプラグスーツを同じく折り畳み、明るい窓際に置いた。
シンジ、ふたたび裸で生活してんの?
240 :
角:2006/07/11(火) 23:27:57 ID:???
>>239 ごめんなさいw
慣れないもんで
>>226はネットカフェの料金が増加する前に慌てて製作途中のを投下しちまったんですわ
>>229ですが自分でもどうつなげりゃいいのか分からなくなっちゃって放置してたの忘れて投下しちゃったんです。
焦り杉ですわ。次から気をつけます。
241 :
239:2006/07/11(火) 23:33:56 ID:???
>>240 コメントありがとう
続き期待してますw
242 :
角:2006/07/11(火) 23:48:19 ID:???
あの白い浜辺に辿り着いたのはもう夜半を過ぎたころだった。
星が散りばめられた漆黒の空。赤い海。クレーターの中心に浮かぶ巨大な顔。沖合いで等間隔に並ぶ九体の巨人の外骨格。
麻薬常習者の幻覚にも負けず劣らず強烈な狂気を発散している光景に碇シンジは、再び向かい合っていた。
赤い海の中に一歩を踏み出す。
波が踝のところまで来た。
「僕は帰ってきたよ。帰ってきたんだ。」
沖に向かって歩き出す。
膝まで海水につかった。
「みんな、戻ってきてよ。そんなとこにいないで、さあ。」
知らぬ間に声を出しているのにも気づかず、シンジは歩き続けた。
243 :
角:2006/07/11(火) 23:50:11 ID:???
それまでシンジが戦ってきた使徒達。
彼らはアダムから生まれていながら群体として生きるのを拒否した。
群体として生きることを選択したのは第18使徒リリンのみ。
そしてサードインパクト。
一度は種の全ての個体が形を失ったリリン。
もしも種としてのリリンが再び単体として生きることを望んだとしたら?
その結果生まれたのが僕だとしたら?
そう、僕は確かに一人の人間として生きることを望んだ。
しかし。
第十八使徒リリンこと碇シンジ。こんなの悪い冗談にもならない。
他の人々は確かに戻ってくる。
彼らは自らの体を再びイメージすることが出来れば地上に戻れる。
彼らの望む体を。好きな時代に。
必ずしもこの段階で無限の可能性を収束させる必要は無いのだ。
「最初の人間」アダムは消えた。
その代わりに赤い海が生まれた。
数十億もの魂と無限の有機物の溶け込んだ文字通り、生命のスープ。
つまり赤い海はアダム以上の創造性を得た。
これが人類補完計画の真意。
そのことを完全に悟ったとき、水が腰の上まで来た。
いつも思うんだけど、あれって海じゃなくない?
245 :
角:2006/07/11(火) 23:51:09 ID:???
#今日はこんくらいで。
#次の更新でやっとLRSになれそうな予感。
キモイってば、投下すんな!
>>244 どういう意味で?
「湖」って書き方のFFもあるね。
>>247 一つのスレにここまで執着するとはな。
ガキはさっさと寝ろ。
>>250 一つのスレに執着するな、さっさと寝ろ!
このスレ臭いヨー
λ
( ヽ
( )
(____)
/ \ λ
λ / / \ .\. ( ヽ ________
( ヽ | (゚) (゚) | .( ) /
( ) | )●( .| (____) < もぐレイ大好き
(____) \ ▽ ノ / つ \
ヽ__ \. \__∪ / ./ 丿  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ,/
λ  ̄| | ̄ ̄ λ
( ヽ . | | ( ヽ
( ) |⌒\| |/⌒| ( )
(____). | | | | | (____)
| \ ( ) / |
| |\___人____/| |
| | | |
VIPがなんちゃらっつうクソスレが立ってからアホが増えて困る
>>257 アホも減るだろ。どっかのスレで通報されてる馬鹿も出てたし。
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271 :
角:2006/07/13(木) 16:21:04 ID:???
test
272 :
角:2006/07/13(木) 16:25:18 ID:???
>>243の続き
少年はもはや無言だったが足を止めようとはしない。
冷たい波が時折顔までかかる。
やるべき事もなく、たった独りで無意味に老いて死んでいかねばならぬ自分の運命。
これはその運命への反逆だ。
『やりたいことも無いので僕には生きていても意味が無い』
かつて「将来の夢」という作文を書かされたことがあった。そこに書いた一文。
あのころも自ら未来を切り開くことに消極的であった。
今考えてみると余りにも皮肉だったな。少年は微かに笑みを浮かべた。
顔が水面から殆どでなくなっても少年は前進をやめようとはしなかった。
もがきながら一歩一歩を踏みしめた。
そして空気をほとんど使い果たした時、
LCLの混じった冷たい海水を力いっぱい吸い込んだ。
無論、エントリープラグの中のように酸素で飽和してなどはいない。
高い塩分濃度の海水で肺が焼けているように感じる。
初めてEVAの中でLCLを肺に満たしたころを思い出しながら、
シンジは自分が死ぬのを待った。
#えらい荒れてるみたいなんでエヴァSSデータベースの投稿掲示板 に書き直したやつ投稿しときました。
#いよいよ綾波を登場させられそうです。うまく描けるかな?
273 :
角:2006/07/13(木) 16:26:30 ID:???
第一に、「死に損なった」と感じた。
また意識を取り戻しているのがその確たる証拠だ。
呼吸をするのは苦しかったが確かに呼吸している。
僕は僕自身の不甲斐無さに強く落胆した。
涼しい風が浜辺を吹き抜けている。閉じた瞼を通して微かな光を感じる。もう明け方なのであろうか。
しかし瞼を開ける気にはならなかった。波の音だけが聞こえる。
気を失って再び砂浜に打ち上げられたに違いない。
ぼくの右手を何かが掴んでいる。
振りほどこうとしたとき、僕はこの感触におぼえがあることに気づいた。
僕は目をあけた。
「気がついたのね…。碇君。」
透き通った、紅い瞳が僕を見下ろしていた。
274 :
角:2006/07/13(木) 16:30:02 ID:???
しばらくショックで何も考えられなかった。
最後に逢ったのはサードインパクトが発生した時以来だ。
赤い海の中で彼女に再び一人の人間して生きると約束した。その時以来。
彼女も赤い海から戻ってきたのだ。
「綾波…、生きてたんだ…。」
しゃがれた声で僕は呟いた。
「何故、死のうとしたの?」
突然の質問。
僕の手を握るその手に力が入る。
「た…たった独りで生きろなんてそんなの僕には無理だよ!
世界で僕ひとりなんだよ!
それになんのために生きるのかも分からなかったんだ!単に生きて、老いて、死んじゃうだけなのに!」
僕はこの世界へ来て二ヶ月近く、心の中に閉じ込めていた思いを一気に吐き出した。
僕自身にぶつけることしか出来なかった思い。
僕は無意識のうちに手を振り解き立ち上がっていた。
「碇君…。」
綾波が立ち上がって数歩僕に近づいた。
「近寄らないでよ!君は僕が…僕が二ヶ月も苦しんでるのを黙ってみてたんだ!
酷いよ!なんで、なんで今更現れるんだよ!」
僕は手を我を失って叫んだ。
275 :
角:2006/07/13(木) 16:32:55 ID:???
強烈な平手打ちだった。
元々ふらふらだった僕は体を支えきれずに僕はそのまま砂浜に倒れこんだ。
「フィフスの思いさえあなたは理解してなかったのね。」
僕を見下ろしながら綾波は静かに言った。
そう、フィフス、渚カヲルは何かを求めていた。
そして得た、碇シンジという少年。
彼が任務を遂行する上で最大の障壁となることが予想された存在。
にもかかわらず。
「それくらい…分かってるよ…」」
「それなら葛城三佐やセカンドの思いは理解できたのかしら。
僕はどこまで彼らを理解できたろうか。
自らを責めることによって彼らのココロを理解することから逃げていた。
「何故あなたはまた現実から逃げようとするの?」
幾度も他人に救われたにもかかわらず、その恩を忘れて。
僕はもう現実から逃げない。あの言葉を忘れて。
結果生まれた逃避行動の一つが、自分の存在を消すということ。
結果として何も生まないことは分かっていたのに。
地面が揺らいでいるように感じる。
僕は砂浜に倒れたまま嗚咽した。
綾波はその様子をただみつめていた。
276 :
角:2006/07/13(木) 16:36:43 ID:???
しばらくして、僕はやっと落ち着きを取り戻した
「綾波…ありがとう、助けてくれて…。なのにあんなこと言ってしまって…。
許してくれるワケ、無いよね。」
「私は許さないわ。あなたのこと。」
半ば予想してはいたが、その言葉は強烈だった。
僕は沈黙した。
そして数分の時が流れた。
「もう起きても大丈夫なの?」
「え…?」
「今日一日、寝ておきなさい。」
「あ…う、うん。」
綾波の毅然とした言葉に僕は反論できなかった。
そして、彼女はまだ僕を見捨ててはいない。
そのことがなにより嬉しかった。
でもこれだけは言っておかないと。
「綾波…、なんか着たほうが…いいよ?」
#ぐああー、綾波難すぎ
#絶対うまく描けてないよなぁ
277 :
角:2006/07/13(木) 16:38:23 ID:???
>>276続き
「碇君、これ。」
綾波は僕をテントの中に寝かすと紅茶を差し入れてくれた。
ほろ苦くて、暖かかった。
暖かいものが食道を通じて胃に溜まってゆく感覚。
僕は心の底から綾波に感謝した。
278 :
角:2006/07/13(木) 16:40:06 ID:???
その晩、テントの中で僕と綾波は二人仰向けになって床に就いた。
波が繰り返し打ち寄せる音だけが響く。
僕は思い切って聞いてみることにした。
「綾波は、どうやってこの世界に戻ってこれたの?」
「声が…聞こえたの。」
隣で寝ている綾波の体に微かな震えが走った。
「碇君の…碇君の悲鳴…」
僕は絶句した。
そして、綾波は突然僕にすがりつき、僕の胸に顔をうずめて泣き出した。
「私は…私は碇君だけは失いたくなかったの。
もうあなたの悲鳴は聞きたくなかったのよ!お願い…。」
綾波は本当に震えていた。
後にも先にも、綾波が取り乱すのを見たのは初めてだった。
「もう僕は死なない。死なないから…。
御免よ…綾波…」
僕には震える綾波を抱きしめることしかできなかった。
ひどい罪悪感を感じた。
#こんなので…いいの…かな…?
#ストック使い果たしたんでまた書きなおさな。アディオス!
>>278 乙。
1.
> 最後に逢ったのはサードインパクトが発生した時以来だ。
とか
> 僕は手を我を失って叫んだ。
とか。
こういうのが混ざってると気が散る。
2.
> #ぐああー、綾波難すぎ
> #絶対うまく描けてないよなぁ
……言い訳ミグルシス
君の描きたい綾波がどんな綾波だか、君以外の誰に分かるってんだ。
3.
ついに綾波キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
続きwktk
280 :
角:2006/07/13(木) 17:40:13 ID:???
綾波に出会って二日後、ある程度体力の回復した僕はここを引き払おうと決心した。
もう食料も尽きてきたしいつまでも此処に留まっていても無意味だと感じたからだ。
それに、僕たちが住める場所をみつけなければ。
「それじゃあ、行こうか。」
生活用品を詰めた大きなザックを担ぎながら綾波に声をかけた。
「ええ。」
綾波は動き回り易い服装で小さなリュックサック。
最後に海水の溜まった巨大なクレーターを振り返った。
中心に浮かぶ巨大な顔は今日も焦点の合わさらない視線を天に向けていたが、
こころなしか大きさが小さくなったようだ。
綾波の顔をちらっと盗み見たがいつも通り感情は読み取れなかった。
いつも通りの綾波だ。
ただ、じっとクレーターの中心を凝視していた。
彼女が振り返った。
「行きましょう。碇君。」
オレンジ色の夕日の下、僕たちは海沿いに移動を開始した。
今度こそ、何かをみつけるために。
#
>>279 #その通り、自信持って書いていきます。
#
#次の更新はちょい遅れるかも。
⊂二二( ^ω^)二二⊃ブーン
283 :
角:2006/07/13(木) 20:47:49 ID:???
,.、‐'"´:/:::::ィ:::/ :/ ヽ `ヽ、:::::::::\
,、' 7゛:::::::l:::::/ ::/ / j |\ ` ヾ、::::::::::\
/::::::::: l ::イ l / / !| _ヽ、 i、 ヽ::\_::ヽ
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛__,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/◎/ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ
/:::::/:: i、,| ヽ>、、 ! `  ̄`゛´ _,.;'ィ::::::;:〉、 i、 i::::ヽ::::l
/イ::/i:: l、i`r'゛__ '゛´/::/:/ ヽ!':, | ::::ヽ::l
゛ ! |l '; !'、/◎/< ‐ ,::゛ィ:::/ ゛ /! :::::`/ うひゃひゃひゃひゃここ気に入ったお!!!
';!|!; '、`、 ̄ ̄ ` / ´ /::/ / / i .:::::::l
/::::::::i: ', l | ;l /_,、‐'゛__,_ヽl \ ヽ::::::::::ヽ
i::::::::::::i, ノ、ヽヽ i ! |" ,'/◎/ ` ノ\ `:、ヽi:::、::::ヽ
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285 :
角:2006/07/14(金) 16:29:15 ID:???
>>280書き直し
綾波に出会って二日後、ある程度体力の回復した僕はここを引き払おうと決心した。
もう食料も尽きてきたしいつまでも此処に留まっていても無意味だと感じたからだ。
それに、僕たちが住める場所をみつけなければ。
少なくともここから半径100kmの円内にそれは無いのだ。
綾波も承諾してくれた。
「それじゃあ、行こうか。」
生活用品を詰めた大きなザックを担ぎながら綾波に声をかけた。
以前の僕ならこんなもの背負っていたとしたら立っているだけで苦痛だったかもしれない。
知らず知らず力がついてきた証なのだろうな。
「ええ。」
綾波は男性用の半袖シャツに長ズボンで小さなリュックサック。
最後に海水の溜まった巨大なクレーターを振り返った。
中心に浮かぶ巨大な顔は今日も焦点の合わさらない視線を天に向けていたが、
こころなしか大きさが小さくなったようだ。
綾波の顔をちらっと盗み見たがいつも通り感情は読み取れなかった。
いつも通りの綾波だ。
ただ、じっとクレーターの中心を凝視していた。
突然彼女が振り返った。
「行きましょう。碇君。」
黄金色の空の下、僕たちは海沿いに移動を開始した。
今度こそ、何かをみつけられるような気がした。
286 :
角:2006/07/14(金) 16:31:51 ID:???
私は暖かくて明るい世界を漂っていた。
無限の広がりをもった自我。
どこからが私でどこまでが私なのかが分からない。
…私は誰?
そんなことは今の私には無意味に感じられた。
私は悩みや悲しみ、苦しみにも抑制されずこの世界を漂い続けることができるのだ。
私が望むだけ。
そして、過去の辛い記憶、形容しがたい複雑な感情も形骸と化している。
残るのはそれが存在していた事実のみ。
魂の安息。まさにその言葉が相応しい。
突然、誰かの存在を認知した。
この世界が生まれて以来始めて出会った他人。
ちっぽけではあるがその存在は私の中で誇示されていた。
「邪魔しないでよ。」
だが純粋な興味に惹かれてもう少し対象物を感知しようとした瞬間、
私の中に絶叫と悲鳴が爆発した。
魂の安息は中断させられた。
287 :
角:2006/07/14(金) 16:36:09 ID:???
単なる肉体的な痛みから来た悲鳴ではない。
生きていながらも生きる意味を見出せないことへの焦り。
「誰か」の「誰か」自身に対する怒り。
孤独が生んだ絶望。
それら全てが凝縮させられた悲鳴だ。
絶えて久しい感情を一気にぶつけられた私は混乱した。
そして、「誰か」は確実に息絶えようとしていた。
私には「誰か」が死ぬということがあまり好ましい事態であるとは考えられなかった。
…「誰か」が死ねば再び安息の時を享受できるわ。好きなだけ。
駄目だ。理由は分からないけどそれはまずい。
…それなら、彼を助けに行くのね。
勿論だ。
私は迷い無く答えた。
次の瞬間、私の意識がある一点に収縮されていくのを感じた。
ここからが私のカラダ。ここまでが私のカラダ。
私は赤い海の波打ち際に立っていた。
足元には「誰か」が血の気を失って倒れている。
「碇…君…?」
288 :
角:2006/07/14(金) 16:38:04 ID:???
「碇君っ!」
私は目を覚ました。冷や汗で衣服が体に張り付いている。
慌てて彼の無事を確認した。
隣では彼が安らかな寝息を立てていた。
「夢…」
以前の私は決して悪夢など見なかった。
夢をみても決して何も感じなかった。
私は感情の振幅が激しくなってるのかしら。
亡くなった赤城博士はこのことを「感情の振幅」と言った。
いえ、理由は分かっている。
私が彼の悲鳴を聞いたあの瞬間、彼の心が私の中に流れ込んできたときのことを思い出した。
ドロっとして、胸を締め付けるような感情が渦巻いていた。
あれが、人のココロ。
あれが、彼のココロ。
まだ外は暗い。
彼を起こさないようにテントから這いだした。
289 :
角:2006/07/14(金) 16:39:57 ID:???
東のほうが微かに明るくなっている。
今日の野営は山間の扇状地。
山地が盾になったためこの辺りだけは奇跡的に緑が残っている。物資も調達できた。
私は脱衣し、近くを流れる川に肩までつかって不快な汗を洗い流した。
冷たい清水が肢体をくすぐる。気持ちいい。
昂った神経が冷やされてゆく。
この川も上流に住宅地を擁する以上、かつては汚染の憂き目を見たに違いない。
だがヒトがこの世界から消え去ってまもなく三ヶ月、その水は信じられないほど澄んでいた。
ざばあっ…
レイは川の清水を両の手で掬い上げ、次第に明けゆく空に思い切り散らしてみた。
理由は特になかったが、飛び散り、広がり行く雫の一粒一粒がたまらなく美しく感じられた。
レイは自然と微笑んでいた。
#SSデータベースの投稿BBSに総集編放り込んどきました。
#やっと一区切りつきました。
#次の更新は月曜日になります。
292 :
角:2006/07/14(金) 18:19:52 ID:???
はぁはぁはぁ…
うっ…ピュッ
「また綾波でヌいちゃった…」
#これで完結です、みなさまありがとうございました。
トリップつけないと騙りが出るな
しょっぱなから
「 波 」
って言われちゃムリ。読むのムリ
297 :
角 ◆uTN4HfUPlw :2006/07/17(月) 08:24:48 ID:KtjMvhMI
「碇君…起きて…」
「うぅ…」
既に日は高く昇っているのに彼は目を覚まそうとしなかった。
ゆり動かしても、小さく唸るだけ。
余程疲れていたのだろう。
思えばここ一週間ほど、歩きっぱなしだった。
歩いても歩いても瓦礫や土砂の影響で距離を稼げない毎日にも関わらず、
焦らずに常に私のことを気にかけてくれていた。
「急がなくてもいいよ。綾波のペース歩こう。」
その言葉が嬉しかった。
もう少し寝かしてあげよう。
とりあえず、彼が起きる前には朝食を作らなければ。
調達できた食料はほとんど缶詰やインスタント食に限る。
調味料もそれほど所持していない。
さらに、普段、食事はシンジの役割だった。
だが、少しでもシンジの負担を減らそうとしたかった。
#鳥つけました
#今日もよろ。
298 :
角 ◆uTN4HfUPlw :2006/07/17(月) 08:25:51 ID:KtjMvhMI
調達できた食料はほとんど缶詰やインスタント食に限る。
調味料もそれほど所持していない。
さらに、普段、食事はシンジの役割だった。
だが、少しでもシンジの負担を減らそうとしたかった。
「チャーシューメン…」
真空パックされたチャーシューがセットされている高級インスタントラーメン。
チャーシュー抜きで二人前作ることにした。
「…何かないとお腹が減るわ。」
流石に食卓が寂しいことに気がついたのか、缶詰のシーフードを加えた。
熱湯に放り込んでから三分が経過した。
「これは…何…?味が無いわ…。」
セットには粉末のスープも追加されていた筈だが何処へいってしまったのやら。
困りきって食料を漁っているとザックの底にインスタントカレーが転がっているのに気づいた。
途端にレイの表情がぱっと明るくなった。
ミサトカレーの再来である。
299 :
角 ◆uTN4HfUPlw :2006/07/17(月) 08:26:39 ID:KtjMvhMI
朝食が準備できたところでシンジが目を覚ました。
「ご、ごめん、寝過ごしちゃったみたいだ。」
「朝食、できてるわ。」
「えっ?」
明るい青空の下、平然とカレーのようなものを食べている少女の隣で悶えながら「それ」を胃に流しこんでいる少年の図。
かつて少女が独り暮らししていたころ、一体何を食べて生息していたのだろうか。
「あ、そ、その…ラーメンとカレーは…ちょっと。」
「どうかしたの?」
「た、確かに美味しいんだけど
う、うどんとかならもっと美味しいと思うよ。」
「うどんなら、もっと美味しくなる?」
「も、もちろん。」
食事の後、異常にどもりながらシンジがレイに一言忠告した。
だが根源的な意味での忠告はシンジには不可能であろう。
300 :
角 ◆uTN4HfUPlw :2006/07/17(月) 08:28:37 ID:KtjMvhMI
「綾波、疲れてないんだったらそろそろ行こうか。」
テントを折りたたみながら碇君は私に呼びかけた。
「ええ。」
私はリュックサックを整理しながら返事をした。
この一週間、毎朝繰り返されていた旅立ち。
毎朝、巨大なザックを持ち上げることのできる碇君を私はじっとみつめていた。
重いはずなのに私の前では決して愚痴を言わなかった。
そう、彼は逞しくなった。精神的にも肉体的にも。
出会ったころ、まだ私の方が数センチ高かった身長も今では彼に追い抜かれてしまっていた。
彼に当時の弱弱しさは全くといっていいほどみうけられない。
その彼が自分で自分の命を絶とうとした。
私はその件に関しては絶対に彼を許そうとはしなかったしこれからも許すつもりはない。
だが彼の絶望とはどれ程のものだったのか。
一瞬の間、彼の意識の深淵を覗きみたとはいえ私には想像のつかないものだった。
私もいずれはあのような感情を持つようになるのかしら。
私は微かな畏れを感じた。
突然私は影におおわれて思考を中断された。
気がつくと碇君が目の前に立っていた。
「準備はできた?行こう。綾波。」
普段と変わらない優しい声で、彼は私に手を差し出した。
私は少し戸惑いながらその手を掴んで立ち上がった。
大きくて暖かい手だった。
ぐうっ、またsage忘れちゃった。
俺の馬鹿。
大体ストーリー自体の骨格は出来てきました。
もしかしたら後でもう一度更新します。
ストーリーが重くなりすぎるのも嫌だなぁ
ちょっと時間を下さい。
角は死ねよハゲ!
>>301 乙
でもカレーラーメン結構好きだぞおれ。カップヌードルでもカレー味あるし
た。た。た。た。た。た。た。た。
典型だな。
>>301 乙。
また人称がぶれてるよw
>>302 鳥つけられたからってw
どっちかって言うと藻前が死ぬことを望むよ。 bless you.
>>304 角 ◆uTN4HfUPlw について言ってるんなら、事実誤認だろうな。
自演乙
>>305 お前が死ねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
暗くしたくないな。まあしばらくお待ちを。
とりあえず一気に三章終わらせちゃうよ。
>>305 フォローありがとうございます。
人称のことなんですが、そもそも登場人物二人だけなので許してやって下さいw
久しぶりにドラム缶風呂を沸かすことにした。
僕は一ヶ月、綾波は一週間以上、風呂に入っていないのだ。
濡らしたタオルで体中を拭いたとしても限界がある。
僕、あるいは綾波が異臭を放ちながら歩き回るようなことは得策とはいえまい。
それに溜まって来た疲れを飛ばすには風呂が一番だということは学習済みだ。
石鹸は調達した。
燃料は足りなかったものの、かなりの量の湯を沸かすことができた。
肩まで浸かることは諦めなければならないとはいえ、湯を気が済むまで浴びることはできるはずだ。
とりあえず先に綾波に入ってもらって後で浴びることにした。
かなり疲れが取れるのではないかとは期待してはいたが、最近の疲れはかなり本格的で湯を浴びたくらいではどうにもならないようだ。
第一、ドラム缶で湯を沸かす事自体重労働だ。いたずらに疲れただけかもしれない。
黙々と体を擦る。やれやれ。
突然、後ろでボソッと声がした。
「碇君。」
「綾波!?」
「背中、流すわ。」
「ぼ…僕、裸なんだよ!?」
慌ててタオルを腰に巻きつける。
「それがどうかしたの?」
「どうかしたのって…僕は男なんだよっ?」
「そのタオル、貸して。流すから。」
駄目だ、全く聞く耳を持ってくれない。
そもそも意味が通じていない。
僕は観念した。
綾波は力をこめて背中を擦ってくれた。
僕は間違いなく真っ赤になっていたと思う。
でも、背中を擦ってくれたあの感触は、何故だか忘れられなかった。
旅立ちから十日余り、碇君が倒れた。
ある日、出発しようと私が立ち上がったとき、後ろで『どさっ』という音がした。
振り返ると碇君が地面に突っ伏していた。
私が駆け寄ると、
「あ、あぁ、大丈夫…大丈夫だから…」
彼はか細い声を返したが、その声はいたく頼りなかった。
そして彼は私の肩を手がかりに再び立ち上がろうとして、バランスを崩して転んだ。
私は彼に押し倒される格好になった。
地面に彼の脂汗がぽとぽとっと落ちた。
彼の口から苦しそうな吐息が漏れる。
ここで私は彼の状態を理解した。
「碇君!」
「う…」
額を触ると驚くほど熱く、呼吸も速い。
慌ててテントのビニルシートを天蓋状にして即席の日陰を作り、そこに彼を寝かした。
恐らくは風邪だろうが楽観はできない。
水で湿らせたタオルを額に乗せ、一時しのぎとした。
だが出発した時点で長い行程になるであろうことは明白であるにも関わらず、
一切風邪薬の類を調達していなかったのは大きな失策だった。
「碇君、そこで待ってて。薬探してくるわ。」
一時間ほどしてやっと発見した薬局。
割れたショーウィンドウの向こうの床には何組もの衣服が無造作に散らばっていた。
私自身はこのような光景を目撃するのは初めてだったにも関わらず、特にこれといった感情は持たなかった。
「風邪薬、これね。」
念のため数種類の風邪薬を確保して、私は薬局を後にした。
そして彼のところに駆け戻った。
風に揺れる天蓋の下、彼の額に乗せたタオルが地面に落ちていた。
碇君が、いない。
私はパニックに陥った。
彼のあの病状で出歩くなんて自殺行為だ。
あの熱で。歩くことさえ難しいのに。
数分後、100mほど離れたビルの陰で碇君が壁にもたれているのを発見した。
私は彼の顔に荒っぽく冷水をかけた。乱暴だとは思うがとにかく解熱剤を飲ませなければ彼が危ない。
辛うじて目覚めた彼はうわ言のように呟いた。
「う…く…薬くらい…僕が…探してくるよ…綾波は…待っててよ…」
「碇君、薬ならここにあるわ。飲んで。」
私は無理やり彼の口に解熱剤を放り込み、飲み込ませた。
「ごめん…ごめんよ…綾波…」
意識が朦朧としながらも彼は何かを謝った。
彼がよく反射的に口にする「ごめん」とは何か違っているような気がした。
彼が再び気を失ったのでテントの中に引きずり込み、そこで寝かせた。
二時間ほど見守っているうちに呼吸が安定してきたので私は安心した。
だが、一つ気になる事柄があった。
…彼はさっき何を謝っていたの?
私には全く思い当たる点がなかった。
彼は数時間おきに私が水分と薬を与える時以外は昏々と眠り続けた。
翌日の夕方、熱が下がり、やっと彼は話をできる状態に戻った。
「また迷惑…かけちゃった…ごめん…」
「碇君、あなたは昨日何を謝っていたの。」
私は不用意にも聞いてしまった。
彼の声のトーンが突然上がった。
「綾波は…君は…見てしまったんだろ、あれを。
君には…君にだけはあれを見てほしくなかったのに…」
「碇君…私は別に何も…」
「あれを見て苦しむのは僕だけでよかったんだ!
なのに…なのに…!」
彼は一気にまくしたてた。
私の脳裏にふと、閃くものがあった。
薬局の薄く埃の積もった床に散らばる衣服。
ヒトがその場所で形を失った証。
私はあの時初めてその光景を目撃した。
…何故?
いままで壊れた食料品店や工務店に物資を得るために入り込んだのは碇君ただ一人だから。
…何故?
私が入ろうとした時、常に碇君はやさしく私に話しかけた。
「中は狭いし、ガラスが飛び散ってて危ないから綾波は外で待ってて。」
それは嘘だ。
彼は私にそれを見せたくなかった。
…何故?
彼は、他の人々を消してしまったのは彼の深層心理と私だということを知っている。
彼は加害者意識に苦しんでいた。
『僕が、みんなを消してしまった…』
もしかして、もう一人の加害者である私にも同じ苦しみを与えたくなかったの?
しかし、あの光景を見ても私は何も感じなかった。
…何故?
私が大切なのは碇君ただ一人だから。
既にいなくなってしまった人の事を考えても意味が無いと感じたから。
これは、変なの?
私が変で碇君が正しいの?
私が正しくて碇君が変なの?
地上に二人しかいない現在、いつまで経ってもこの問いに結論は出ないように感じた。
しかし。
赤城博士が生きていたらきっとこう言ったでしょう。
「あなたは人間じゃないから。造られた存在だからよ。」
確かに私は周囲の人間とは違った。
心も、体も。
今考えてみれば違っていて当然だ。
しかし私はその言葉を否定し続けていた。
だが今、その言葉が急に現実味を帯びてきたように感じた。
私は現実に引き戻された。
目の前の碇君は寝袋の上にうずくまっていた。
「碇君…ごめんなさい。」
私は声を絞り出した。
生まれて初めて自分自身を憎いと感じた。
暫くの沈黙の後。
「…もういいよ。」
あの日の晩、明かりを消したテントの中で綾波はポツリと言った。
「私は碇君に対して何もできなかった。」
声が震えていた。
綾波はそれでも言葉を続けた。
「私はただの足手まといでしかなかったわ。」
僕は思わず大声を出した。
「そんなことないよ!」
「いえ、私は碇君に無理をさせていた。
碇君が無理をしていたのにも気づかなかった。
それなのに、私は碇君に対して何もできなかったわ。」
「違う!違うよ…、綾波が…君がいなかったら僕は生きていけなかったよ!
僕には綾波が必要なんだ。
自分は要らないなんて考えたら駄目だよ!
僕こそ、君に隠し事ばっかりしていた。
僕こそもっと早く、君に相談するべきだったんだ…」
テントの中は真っ暗だったけれど。
僕は綾波の顔を、綾波は僕の顔を、暫らくの間じっとみつめた。
「碇君、あなたは私が必要なのね?」
「うん。」
「私は要らない人間じゃない…」
「もちろんだよ。」
「…」
綾波は何も言わなかった。
僕は倒れた電柱を乗り越えた。
30kgを超える荷物を担ぎながら朝から晩まで歩き続けることは苦痛以外の何でもなかったが、
先行する綾波の姿をみていると不思議と心が落ち着いた。
あの一件以来、僕と綾波の関係は微妙に変化していた。
何かが。確実に。
旅は僕が風邪で倒れていた日を除いても二週間以上歩きっぱなしだった。
昨日の夜、綾波のかかとに血が滲んでいた。
ひどい靴ズレにも関わらず綾波は一切そのことを話さなかった。
だが記憶では前方のあの丘を越えればその向こうは以前と変わらない日本があるはずだった。
そして、僕達は丘を越えた。
「あっ」
綾波が小さく声を上げた。
綾波、どうしたの、と聞こうとしたとき、僕にもその理由が分かった。
視界に広がる森が黄色や紅色に変わっていた。
セカンドインパクト。
僕が生まれた年、世界は季節というものを失った。
紅葉というものを僕も綾波も記録映画や写真でしかみたことがなかった。
十五年間続いた夏。でも僕も綾波も特に変だとは感じなかった。
セミの鳴き声が聞こえなくなったのはいつからだろうか。
そして今、日本と呼ばれていた島々に絶えて久しい秋が訪れようとしていた。
僕が拾ってきたデジタル腕時計によると、2016年4月2日。
澄んだ秋晴れの下、ついに僕と綾波は我が家を手に入れた。
ストック使いきっちゃいました。
頑張ってまた書きます。
第三章はこれで終わりです。
次の投稿は遅れます。
ニート乙
、 /⌒⌒丶
、 ′ 从 从)
、 ヽゝ゚ ‐゚νボイーン
⊂二二ヽ・人・ノ二二⊃
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( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
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>>322 職人さん乙。
第四章からはシンジとレイの新婚生活?
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この家に居を構えてから二日。
もう歩かなくてもいいという安堵からか碇君はこの家から動こうとしなかった。
一日中、ごろごろしているだけだ。
その気持ちは分からなくもないが、私はこの町をもっと知りたいと思った。
「碇君、少し散歩してくるわ。」
私は玄関で靴を履きながら暗い家の中に向かって呼びかけたが返事は無かった。
おおかた、また眠ってしまったのだろう。
大きな庭のある私たちの家。
近代的な二階建てで二人で住むには十分すぎる大きさだ。
庭にはアロエや名前は分からないけれど様々な低木が植わっている。
当然ではあるが周囲は閑散としていた。
銀杏並木が黄色く色づいている。
誰もいない大通りを秋風が吹き抜ける。
本当にいい天気。雲ひとつない。
特に行き先も考えずに彷徨っているとある建物の前を通りかかった。
「大杉市立図書館」
不思議と、本を読みたい衝動にかられた。
入り口の自動ドアは閉じていたが隙間に手を入れて力を入れるとあっさりと開いた。
中は埃っぽかった。
一階は子供用の絵本や小学校低学年向けの本。
二階から三階は大人向けの難しい本が並んでいる。
二階から本を物色して回った。
小説には興味はないので一冊も読まずに棚の前を通り過ぎた。
政治経済…ドキュメンタリー…駄目、全く読む気が起こらない。
実用書コーナーで数冊を借りた。
「はじめてのクッキング」「旦那が喜ぶ料理百選」…など。
いつまでも碇君に負けてるわけにはいかない。
その他、サバイバル本を一冊。
怪我をしたときに応急処置の一つも分からないと困ると思った。
現に怪我しかけたことが二週間に幾度もあった。
三階の資料室には向かわないでそのまま一階に降りた。
もう日は暮れつつある。
一階を少し回ってから帰ることにした。
幼児向けの本はほとんど私の興味を引かなかったが、立ち去る間際、絵本の書棚の向こうにもうひとつ小部屋があるのに気がついた。
そこは紙芝居部屋だった。
百いくつもの紙芝居が小さな本棚に所狭しと押し込められていた。
ビニールの大きなファイルに入れられた紙芝居セット。
部屋の奥にある教壇の上で子供達に向かって読まれていたことだろう。
レイはそのうちの一つを手に取りビニールファイルから紙芝居の束を取り出した。
題名が気になったのだ。
そして教卓の上にきれいに並べると静かに、はっきりとした声で読み出した。
誰もいない紙芝居部屋にレイの声が響いた。
「100万年も しなない ねこが いました … 」
私が家に着いたとき、空は暮色に変わっていた。
「ただいま…」
碇君が出迎えてくれた。
エプロン姿の碇君。かなり似合っている。
「おかえり。遅かったね。」
「図書館に行ってたの。」
「へえ…本を読むのが好きなんだ。綾波って。」
「ええ…」
ここで私は家の中が明るいことに気がついた。
「そういえば電気がついてるけどどうしたの?」
「あ、そうそう。裏の倉庫を探ってたら発電機が出てきたんだよ。
ガソリンは十分余ってるから使うことにしたんだ。
一階だけだけど、電気が使えるよ。
じきに二階も使えるようにするつもりなんだ。」
私が出かけている間に発電機を配線に取り付けて電気系統を生き返らせたという。
彼にそんなことが出来たなんて。私は感心した。
「すごいわね、碇君。」
「いや、それほどじゃあないよ…」
彼は赤くなった、が突然、
「しまったっ」
突然何か焦げ臭い匂いがしたのだ。
彼は庭に駆けつけた。
「うわー、やっちゃった…」
冷凍の秋刀魚を七輪で炙っていたようだが、話に夢中になってしまって焦がしてしまったようだ。
焦げる、というよりも火がつく寸前のような状態に見えた。
うちわが地面に放り出してある。
失敗ではない。大失敗である。
何故だか、少し嬉しかった。
「これはもう食べられないなぁ…」
至極残念そうだ。
「碇君、焼きなおすのなら私にやらせて。」
「えっ、綾波、いいの?
ならお願いしてもいいかな。」
意外とすんなりと彼は了承した。
私は地面に落ちているうちわを片手にした。
彼に少しくらいいいところを見せなければ。
私がこんなことを考えるのは初めてのことだと気づいたのはずっと後のことだった。
数分後、彼は言い出しにくそうに私に話しかけた。
「あの…綾波…?」
「何…?」
「そんなに…七輪をみつめなくてもいいんじゃないかな…」
彼は言い終わるとぷっと吹き出した。
「何を笑っているの?」
大笑いしながら碇君は話を続けた。
「だって、綾波がじっとサンマとにらめっこしてるんだもの。面白くないわけないじゃないか。」
私もつられて笑い出すのを感じた。
私、笑っている。
「あはは…綾波も笑うんだ…」
「何を言うのよ…ふふ…あはは…」
すっかり暗くなった空に二人の笑い声が響いた。
その日の晩、碇君が発電機の電源を落としにいっている間、私は和室に二人分の布団を準備していた。
その時、窓辺に赤いプラグスーツが丁寧に折りたたんで置いてあるのが目に入った。
突然心の奥に冷水をかけられたように感じた。
私はその赤いプラグスーツはセカンドの遺品であると認識している。
だが彼の中では位置づけが違うのだ。
彼にとっては自らの無力さの象徴であり、
彼がいろいろな意味で憧れていた存在の最後のひとかけらであり、
彼に対してライバル意識を抱きながらも彼に理解してもらいたいと欲した少女の遺品でもあるのだ。
私が欠けた心の埋め合わせとして碇司令を想っていたころ、司令の眼鏡を司令の分身のように大事にしていた時期があった。
しかし、司令の眼鏡とセカンドのプラグスーツを同等のものだと考えるのは早計だろう。
私は思った。
彼はこれを捨てることは絶対にできないでしょうね。
そして、私は急に怖くなった。
私は彼の中ではこれに押し退けられているのではないだろうか。
これは、嫉妬という感情?
「モノ」に嫉妬するほど情けないことはない。
赤木博士はかつてそのようなことを言っていた。
いえ。私は赤木博士とは違う。
そう信じたかった。
だが、事実、私は確実に目の前の赤いプラグスーツに嫉妬していた。
他に碇君の気持ちを惹きつける存在があるのが許せなかったのだ。
急に部屋の明かりが消えて私は現実に引き戻された。
碇君が戻ってきた。
「綾波、戻ったよ。」
「じゃあ寝ましょう。」
私は平静な声を装った。
彼にこの醜い感情を知られたくは無かった。
それじゃ、今日はこれくらいで。
明日かあさってまた更新します。
シンジは「冷凍の秋刀魚」なんてどこで手に入れたんだろう?
電気無しでは、冷凍されていても既に溶けて腐ってるんじゃないかと思うんだが。
ニート乙
そこを突っ込んじゃマズイ
2016年4月5日、この町に来て四日目。
綾波がどうしてもというので僕は屋外にひきずりだされた。
誰もいない大通りを僕達は並んで歩いた。
何百枚もの黄色く色づいた銀杏の葉が風に舞っている。
ここへ来て数日、もう秋は終わろうとしていた。
これからやって来るのは冬。
生まれてから初めて体験するであろう冬に対して微かな不安を感じた。
「綾波、僕達これからどこへ行くの?」
「図書館よ。」
僕は意外な行き先に面食らった。
「図書館?なんでさ?」
「私たちは今年15才よ。本の一冊でも読まなければ馬鹿になるわ。」
「そうかなあ…」
図書館に着いた後、僕はすぐさま実用書コーナーに足を運んだ。
『家庭菜園入門』『季節の作物』…
来春には二人が食べる野菜を作らなければならない。
いつまでも乾燥野菜やインスタントに頼っているわけにはいかないからだ。
このままじゃいずれ栄養失調になってしまうし、既存の製品はいずれ腐ってしまう。
困ったことに電気配線に関する本が見つからない。
早く二階の電源も生き返らさなければならないのに。
「貸し出し中か…」
仕方が無い。
どうせ配線も調達しなければならないので専門店をみつけたらそこで探してみよう。
『渓流釣りを極める』…
フィッシング…僕は釣りをしたことはなかったがそろそろ新鮮な魚を食べたいものだ。
道具さえ揃えば…間抜けな魚くらいなら…釣れてくれるかも…。
この本も借りよう。
僕はあまり図書館に行ったことはなかったが、こうしてみると知識の宝庫のように感じる。
僕達は生きていくのにはこれらの知識をフル活用しなければならないのだ。
学問の本の書棚が並ぶ。
タイトルを読むだけで頭が痛くなりそうな本がずらっと並んでいる。
少しくらい馬鹿になったとしても構うものか…
しかし、僕は数ヶ月も本一冊読んでいなかった。
既に少なからず馬鹿になっているだろう。
やはり気になるので適当に数学と物理の参考書を数冊借りていった。
小説コーナーでも数冊面白そうな本をみつけたのでついでに借りていくことにした。
ところで、さっきから綾波の姿が見えない。
二階と三階には姿はなかった。
「綾波、どこにいるの?」
薄暗い館内に僕の声が響く。
一階にも綾波の姿は見えなかった。
その時、ふと一階の図書室の奥から微かに人の声が聞こえてきた。
声は図書室の奥の小部屋から聞こえてくるようだ。
「ねこは、白い ねこの そばに いって、
『おれは、100万回も しんだんだぜ!』と いいました。 …」
間違いなく綾波の声だ。
でも綾波は一人でなにをやっているのだろうか。
僕は部屋に踏み込むことができずに、聞き耳を立てた。
「『そばに いても いいかい。』と、白い ねこに たずねました。
「白い ねこは、『ええ。』と いいました。」
静かで、はっきりした声だ。
綾波は何か絵本を読んでいるようだ。
まるで誰かに読みきかせているかのような声。
「ねこは、白い ねこと いっしょに、いつまでも 生きていたいと 思いました」
ここで僕は気づいた。
綾波の読んでいる絵本は、僕も知っている。
もう四十年も昔の絵本だ。
僕がまだ子供のころ、母さんがひざの上で読んで聞かせてくれた。
当時の僕はその絵本の意味は分からなかった。
ただ、何か悲しい話みたいだということは覚えている。
「ねこは、はじめて なきました。」
そう。百万回の人生で、百万人の人から百万人分の寵愛を受けながらも自分からは誰一人愛することの出来なかったねこ。
何千匹、何万匹ものねこから求婚されても誰一人愛することの出来なかったねこ。
しかし、百万一回目の人生にして初めて心の底から一匹の白いねこを愛することができた。
自分自身の存在よりも大切なものを得たのだ。
そしてある日、必然的にその白いねこの寿命が尽きたのだ。
ねこは初めて愛するものを失う悲しみを味わった。
百万日間、朝から晩まで嘆き続け、そしてある日のお昼。
「ねこは、白い ねこの となりで、しずかに うごかなく なりました。」
「ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。…」
綾波の声が途絶えた。
僕はしばらくその場から動けなかったが、そっと小部屋から離れることにした。
頭の中で、綾波の声がまだ響いていた。
私はこの紙芝居を理解しようと反芻していた。幾度も幾度も。
昨日も碇君は家から出ようとしなかったので私は一人で図書館に通っていた。
そしてこの紙芝居を何回も音読していたのだ。
私はこれを完全に理解できるまで続けるつもりだった。
このねこにとって白いねこはどのような位置づけだったのかしら。
大切なもの…?
このねこにとって白いねこは大切なものだった。
自分自身よりも大切なもの…失いたくない…
私にとっての大切なものは何?
それは碇君…
碇君は私にとって大切なもの…自分自身よりも大切なもの…失いたくない…
頭の中で声がした。
本当にそれは正しいの?
かつての私が碇司令の割れた眼鏡を大切に保存していた時期があった。
何故?
何故なら司令は私にとって大切なものだったから。
私にとって司令の存在は自分よりも大切だった。
あの眼鏡は司令の分身だった。
あの眼鏡を守るためだけにであっても自分の命を懸けてさえ惜しくはなかったであろう。
そして私は司令を自分のものにしたかった。
誰のものでもない、私一人のものに。
所有欲。
司令への憧れや想いに紛れてそれは潜んでいた。
司令はモノではなかった。
そして、もちろん碇君もモノではない。
碇君は一人の人間だ。
彼を私一人のものにしたいという発想自体が間違えていた。
私は無意識のうちに碇君をモノとしてとらえていたのだ。
セカンドのプラグスーツ。
碇君はモノに心を奪われていたのではない。
あのプラグスーツは既に碇君の心の一部なのだ。
欠けた心の埋め合わせとしての眼鏡とは比べてはならないモノ。
私はそれを見誤っていた。
意地汚い欲望に惑わされ、真実が見えていなかったのは私のほうなのだ。
この瞬間から、私は彼を自分のものにしようという発想を放棄した。
彼は彼、私は私だ。彼は私のものではないし、私は彼のものではない。
彼の心の中にむやみに私が干渉するべきではないし、私も彼の心に影響を受けてはならない。
私は対等に碇君と付き合えばよい。
碇君が赤い海の浜辺で力なく横たわっていたあの時、私は必死で彼を助けようとした。
私がひとりこの世界に取り残されるのが怖かったのではない。
大切なモノを失ってしまうのが怖かったのでもなかった。
それなら、彼は私の中でどのような位置づけなの?
ふと、疑問が湧いた。
このねこは白いねこを愛していた。
世界中の何よりも。
私は碇シンジという一人の人間を愛している。
世界中の何よりも。
仮に見返りが無くても構わない。
彼が何を思っていても構わない。
それでも私は碇君を愛することができる。
第四集はこれで終了です。
明日投稿する予定だったのですが、マッハで書いてしまいました。
第五集に続きます。
今度こそ、ちょっと遅れます。
GJ。
『red moon』にリツコがレイに同じ話をする作品があった気がする…。
角死ね
僕が玄関の外で小一時間ほどまったところで綾波が出てきた。
「綾波、もういいの?」
「ええ。寒いのに待たせてしまって。ごめんなさい。」
「別にいいんだよ。早く家に帰って夕食にしよう。」
綾波の表情が何か晴れ晴れとしているように感じた。
まるで、胸のつかえが取れたような。そんな表情だった。
今日の夕食は、綾波に味噌汁を作って貰うことにした。
綾波の手料理は既に経験済みだが、どうしてもと言われては断ることもできない。
僕はある程度覚悟を決めていた。
だが、万が一味噌汁が甘かったらぼくはどのように対処したらよいのだろうか。
そして綾波は賞味期限内の食材を使ってくれるだろうか。
この状況下では食あたりは命に関わりかねないのに注意し忘れた自分を呪った。
いずれにしろもう手遅れだ。
脳内で恐ろしい妄想が繰り広げられていたところで綾波が二人分持ってきてくれた。
見た目は正常だ。
だが中身は…
以前、綾波がミサトカレー改を作った時のころ。
僕はただのカレーにみえたそれにフォークを差し入れた際、何か麺のようなものが大量に絡み付いてきたので戦慄したものだ。
綾波には失礼だとは思うが、今回も同じようなことが無いとは限らない。
とりあえず心を空にして味噌汁を口に運ぶ。
綾波、緊張するから僕が食べてるのをみつめないでよ。
…美味しい?
以外にも綾波の味噌汁は美味しかった。
隠し味で調味料も色々加えているらしいし、材料も足りないのに色々工夫している。
野菜も多くてとても健康的だ。
そう。間違いなく綾波の味噌汁は美味しい。
僕はきっと狐につままれたような顔をしていたのだろう。
綾波は心配になったのか、僕に話しかけてきた。
「碇君、お味噌汁…どうだった?」
「あ…うん…とても美味しかったよ。
綾波、味噌汁作るの上手いんだ。」
「ええ…あ、ありがとう」
そして少し戸惑うそぶりを見せてから、言った。
「次から私が夕食作っても構わないかしら。」
断る理由は無いし、綾波の実力は証明済みだ。
前回のは何かの間違いに違いない。
僕は夕食担当を綾波に一任することにした。
「もちろん。僕も綾波の料理、もっと食べたいな。」
自分でいっておきながら、つい僕は赤くなってしまった。
でも、綾波は本当に嬉しそうだった。
一日の終わり、碇君は発電機の電源を消しに屋外に出た。
私は窓辺に折りたたんでいる赤いプラグスーツに目を移した。
そして、私はそっと窓辺に近寄りプラグスーツを手に取った。
懐かしい感触だった。
柔らかいが極めて耐久性の高い繊維のそれ。
私たちがEVAに搭乗していたころ、彼女はこれを着ていた。
彼女とともに幾度も死地を乗り越えてきた赤いプラグスーツ。
一昨日のような醜い感情はもう湧いてはこなかった。
ごめんなさいセカンド。
ごめんなさい碇君。
赤いプラグスーツにぽとり、と涙が落ちた。
一滴、二滴…。
発電機のエンジン音が聞こえなくなり、明かりがふっと消えた。
私は涙を拭うとそっとセカンドのプラグスーツをもとの窓際に戻した。
おやすみなさい。
私はそっと呟いた。
すんません、やっぱしこれで第四集は終了とします。
区切りの良いとこまでいかないとね、ってことで書いちゃいました。
>>367 死ね!くたばれチンカス野郎!もう2chくんな!
>>367 乙。
> 材料も足りないのに色々工夫している。
> 野菜も多くてとても健康的だ。
足りないの?潤沢なの?
ニート乙
>>366書き直し
一日の終わり、碇君は発電機の電源を消しに屋外に出た。
私は窓辺に折りたたんでいる赤いプラグスーツに目を移した。
そして、私は静かに窓辺に近寄るとプラグスーツを手に取った。
懐かしい感触だった。
柔らかいが極めて耐久性の高い繊維のそれ。
私たちがEVAに搭乗していたころ、彼女はこれを着ていた。
彼女とともに幾度も死地を乗り越えてきた赤いプラグスーツ。
一昨日のような醜い感情はもう湧いてはこなかった。
ごめんなさいセカンド。
ごめんなさい碇君。
赤いプラグスーツにぽとり、と涙が落ちた。
一滴、二滴…。
発電機のエンジン音が聞こえなくなり、明かりがふっと消えた。
私は涙を拭うとそっとセカンドのプラグスーツをもとの窓際に戻した。
おやすみなさい。
私は呟いた。
「綾波、しっかりつかまっててよ。」
次第に砂利で粗くなる山道に自転車を走らせながら碇君は言った。
「ええ。」
この日、4月8日。
私たちは釣りをするために家から5kmほど離れた山の谷間にある渓流に向かった。
図書館で借りた本によるとこの川にはかなり豊富な種類の魚が生息しているという。
当初、碇君は自転車で現地に向かう計画を立てていたのだが、私が自転車を上手に乗りこなすことが出来なかったため、
苦肉の策として碇君の運転する自転車の後部に乗せてもらうことになった。
私はこれまで自転車に乗った事などなかったのだ。
碇君が運転手。私は自転車の後部に釣具を持って座らせてもらうことにした。
お尻が痛かったがこの際文句は言っていられない。
朝、家を出てから一時間と少し。
もう目的地は目の前だがだんだん山道が不親切になってきており、さすがの碇君もかなり息が切れてきたようだ。
倒木も多くなってきた。もう自転車で行くのは限界だろう。
私たちはここから歩いていることにした。
山の中は晩秋の香りが漂っていた。
何百枚もの色づいた木の葉が舞い降りるなか私たちは歩いた。
「碇君、もっとゆっくり歩きましょう。」
「ごめん、早すぎた?」
「いえ、もっと周りを見て歩きましょう。」
大体この辺りが本にも書いてあった釣りポイントだろうか。
私は川の上にかけられた木橋から、碇君は数mほど離れた大岩の上から釣り糸を垂らした。
鮎だろうか、たくさんの川魚が泳いでいるのが見て取れる。
15年続いた夏の影響か、巨大なものも泳いでいる。
にもかかわらず全く糸にかかってはくれない。
餌だけ見事にかすめ取られてしまうのだ。
「まあ…僕達、初心者だからね…仕方ないよ…」
碇君は苦笑していた。
だが、今日は昼食をあまり持ってきていなかった。
ここで魚を釣れなければかなりひもじい思いをするのは確実だ。
内心、彼はかなり焦っていたのかもしれない。
だがチャレンジから二時間ほど経ったあるとき、遂に私は一匹目を釣り上げた。
人生で初めて釣った魚にしては食べるには勿体無い程見事なものだった。鮎のようだ。
この魚が馬鹿だっただけかもしれない、と考えたが直後に、二匹目、三匹目と続いた。
ここの魚は余程馬鹿なのね。
だがそれにしても碇君は全く釣れなかった。
昼はとうに過ぎていたがせめて彼が一匹目を釣り上げてから昼食にしよう。
そして、昼の二時過ぎについに一匹目を彼は釣り上げた。
やや小ぶりだが立派な鮎だ。
彼は、余程嬉しかったのだろうか釣り糸の先で暴れている鮎をみつめている。
が、糸をぶらさげているだけで何故か魚を糸から外そうとしない。
数秒後、彼はかなり言いにくそうに私に話しかけた。
「…あ…綾波…できれば…魚…外してくれない…?」
「…?」
かなり元気な鮎らしく、釣り糸の先で猛烈に暴れている。
要するに彼は鮎を触ることができないのだ。
「あなたは鮎が怖いの?」
「う…その…死んでる鮎なら触れるんだけど…」
「生きてる鮎は触れないの?」
「…」
彼は赤くなってうつむいた。
私たちはその場で生きた鮎を串刺しにして塩焼きにした。
串に刺したのは私なのは言うまでもない。
久しぶりの新鮮な魚に私も碇君も無言でかぶりつく。
冷凍や真空パックの魚とは比べ物にならない。
たまにはこういうのもいいのかも知れない。
隣で豪快に鮎にかぶりついている碇君に目をやる。
私を後ろに乗せて何kmも自転車で走ることができる碇君。
30kgもの荷物を背負って朝から晩まで歩き続けることができる碇君。
どのような家事も楽々こなしてしまう碇君。
その彼が、生きた魚一匹触ることが出来ない。
私は思わず吹き出してしまった。
碇君と目が合った。
駄目、笑いが止まらない。
碇君の顔は真っ赤だったけれど。
その様子があまりに滑稽だったのだ。
「綾波?」
僕は後ろの綾波に呼びかけたが、彼女は返事をしなかった。
僕の背中にもたれかかっているようだ。
おおかた、眠ってしまったのだろう。
今日は一日、本当に楽しかったから…
横に吊り下げたクーラーボックスには魚が唸るほど詰め込まれている。
八割は綾波の戦果だ。
今日の夕飯を何にしようかということを考えても良かった。
でも、僕には気になって仕方が無いことがあった。
この数ヶ月間で幾度も反芻していながらも消化しきれずにいたこと。
僕達は世界で二人だけだ。
僕達が生きている間に他の人々が戻ってくることはまず望めない。
そして、綾波はこの世界で唯一の他人だ。
これからの一生、僕は綾波と暮らしていかなければならない。
僕は綾波なしでは生きていけないし、綾波は僕なしでは生きてはいけない。
僕は背中に綾波の体温を感じながら考えた。
綾波は僕の中でどのような位置づけなのだろうか。
大切な存在…?
綾波は僕を精神的に支えてくれている。
綾波がいなかったら僕はとうの昔に壊れてしまっていた。
綾波は僕を幾度も死から救ってくれた。
今の僕がいるのは間違いなく綾波のお陰だ。
でも、何か違う。
僕が綾波に対して抱く感情はそれだけでは説明できないのだ。
僕は綾波が好きなのかもしれない。
それは僕の勘違いだろうか。
だが、何故だろう。
綾波は異性だから…?
華奢な綾波は僕が護るべき存在だから…?
僕は綾波に近寄りがたい何かを感じていたころがあった。
周りのみんなもそうだった。
誰も綾波を少しも理解することはできなかった。
綾波も誰一人さえ理解することはできなかった。
だがそれを言うなら僕だって同じだ。僕が誰の心を理解できたというのだろう。
ミサトさんの心、リツコさんの心、アスカの心、それとも父さんの心か?
そう、僕だって誰の心も理解できなかった。
人と人とが完全に理解し合うことは決してできぬ、だっけ。
でも、今なら僕と綾波は分かり合える。
互いに分かり合える唯一の存在。
それが僕にとっての綾波であって綾波にとっての僕なのかもしれない。
だからこそ僕は綾波がこんなにも愛おしく感じるのだろうか。
「碇君、前。」
綾波の声で僕は現実に引き戻された。
「おっ、とっとっ」
僕は慌てて急ブレーキをかけた。
綾波の顔がごつん、と背中にぶつかる感触がした。
避けられたから良かったものの、危うく電柱に突っ込むところだった。
「考えごとしてたみたい、大丈夫?」
「別にいいわ。碇君、ここ、どのあたりかしら。
私、眠ってたみたい。」
「あ、うん。この坂下って、川渡ったら僕達の町だよ。
あと二十分くらいかな。ゆっくり運転するからさ、綾波は寝といていいよ。」
「ありがとう碇君。今日、本当に疲れちゃって…」
綾波は再び僕の背中にもたれかかって寝てしまった。
余程、疲れていたのかもしれない。
早く家に戻って綾波を寝かせてあげなくては。
そんなことを考えながら僕は夕日を背に受けて自転車を走らせた。
なんか久しぶりに盛り上がってるね。
GJ!いいです
ニート乙
ひっそり投下待ち
4月も終わりに近いある日、初雪が降った。
朝が寒くて起きたら窓の外は一面の銀世界が広がっていた。
家も、木も、田んぼも、遠くに望む山々まで真っ白だ。
「綾波!雪だよ。」
僕はつい興奮して綾波を叩き起こしてしまった。
綾波は朝早くに叩き起こされた上に布団から引きずり出されて相当機嫌が悪そうだったが、
僕と同じようにその不思議な光景に思わず心を奪われてしまったみたいだった。
僕と綾波は玄関から足を踏み出した。
薄暗い灰色の空から白いものが次々と舞い降りてきてる。
綾波が手を差し伸べて落ちてくる雪を触ろうとしていた。
でも、綾波の素肌よりも白い雪の欠片は手のひらにくっついた途端に体温で消えてしまう。
不思議そうな顔をしていた。
僕達は十五年間、終わらない夏を享受してきた。
だから相当、冬は体に堪える季節になるだろうな、とは思っていたが。
多少自覚が足りなかったようだ。
寒い。本当に寒い。
そのうち指先がかじかんできた。
僕は発電機の電源を入れるために家の裏に回った。
が、なかなかエンジンが動いてくれなかった。この寒さが原因かもしれない。
角死ね!
まあ、そんなことより早く朝食でも食べよう。
暖かいものでも飲まないと体が持たないよ。
そんなことを考えながら玄関の前まで戻ってきたとき。
綾波が門の前に仰向けで大の字になって倒れていた。
さらに目と口を空に向かって大きく開いている。
寝ているわけでもなさそうだ。
この奇怪極まりない光景を目の前にして僕はどう行動すればいいのだろうか。
僕はしばらく思考が停止していたような気がするが、覚悟を決めて話しかけてみることにした。
「綾波…何してるの…?」
しばらく気まずい沈黙が流れた。
「雪って味がしないのね。」
今修羅場ってるんで投稿が少し遅れるかもしれませn…
今日の朝は寒かった。
初雪からそろそろ一週間、雪は毎日のように降り続いていた。
積雪も30cmを超えているようだ。
太平洋沿いのこの地域ではセカンドインパクト以前は全くと言っていいほど雪は積もらなかったそうだ。
だから冬が始まったばかりなのにこの降雪は異常としかいいようがない。
季節が戻ったとはいえ、まだかなり気候に混乱があるからかもしれない。
考えたくはないが今度は冬が10年くらい続くことになったらどうしよう。
本当に夏が恋しい。
綾波が布団の中からかすれた声で話しかけてきた。
「ごめんなさい。私、体がだるいの。
今日は起きれそうにないわ。」
初雪以来、僕が出来るだけ外に出ないように努力していたのに対し、綾波は事あることに外を出歩いていた。
余程、雪というものが物珍しかったのだろうか。
だが、さすがの綾波もここまで寒い日が続いたためか体調を崩してしまったようだ。。
「あ、ならそのまま寝といてよ。暖かいものと薬持ってくるから。」
僕は台所に降りるとハチミツと砂糖漬けのフルーツを使って即席の暖かいレモネードを作った。
が、僕も何か調子が悪い。熱っぽいし寒気がする。
さては、二人で仲良く風邪を引いてしまったようだ。
出来るだけこのような事態を避けるために努力してはいたのだが、無駄だったか。
風邪をこじらせないように一日中暖まっていたほうがいいのかもしれない。
僕はとりあえず綾波にレモネードを持っていった後、僕自身も隣で布団にくるまった。
「碇君…?」
「ごめんよ。僕も風邪引いちゃったみたいだ。
今日は一日寝て治そう。」
「ええ…碇君も寒いの?」
小さく咳き込みながら綾波は僕に話しかけた。
「うん…。」
部屋は温めているはずなのに、なぜこんなにも寒いのだろう。
布団は何枚も重ねているのに。
そのまましばらくの間、僕は寝付けなかったので目だけつむっていた。
「碇君…寝ていたらごめんなさい。」
綾波が小さな声で呼びかけてきた。
「どうかしたの?」
「寒いの…碇君の布団で一緒に寝てもいいかしら。」
「…!」
…嬉しくないわけではないのだけれども。
でも、綾波は本当に寒そうだった。
断るわけにもいくまい。
僕は掛け布団を綾波の寝床に寄せてそこに潜り込むことにした。
「あたたかい…」
綾波がポツリと言った。
数分も経たないうちに隣で安らかな寝息が聞こえた。
一方僕はというと…案の定、眠気が吹き飛んでしまっている。
我ながら単純な男だと思う。
綾波が突然寝返りを打って顔を僕の胸に押し付けてきた。
さらさらした青い髪が何本か僕の顔に触れて、暖かい吐息が僕にかかった。
全てを僕に委ねたような、無防備な寝顔だ。
反射的に片手を綾波の背中に回してしまった。
これはマズい。
落ち着け、落ち着けよ俺。
もう安眠は期待できなさそうだ。
事実、そうなった。
私は部屋の中に一人座っていた。
ベッドと、医療機器と、ビーカーと薬の空き箱だけが転がる殺風景な部屋だ。
突然、赤木博士が部屋に入ってきた。
ノックも何も無かった。
唐突に赤木博士はこう切り出した。
鋭い棘を含んだ声。
「あなたは何のために生きているの?レイ。」
「何故そのようなことを訊くのですか?」
「あなたの存在意義が消えたからよ。
サードインパクトの誘発があなたの役目だった。
そしてあなたは役目を果たした。
あなたはその時点で消え去るべきだったの。
それなのにあなたはまだ未練がましく生きている。
だから訊いてみたのよ。」
「違う。まだ消えてないわ。
私にはまだ碇君がいる…」
私の声は嘲笑に遮られた。
「ふふ…まだ碇君がいるの…そう…。
確かにあなたは碇君に対して尽くしてきたわね。
折角手に入れた肉体を捨ててまでも。
あなたと碇君で好きなだけ愛し合えばいいわ。
それはそれで結構。」
「あなたは何が言いたいの。」
自分の声が震えているのを感じる。
赤木博士は構わず言葉を続けた。
「でも碇君はいずれ死ぬわ。あなたもいずれ死ぬ。
そして、あなたは人間との間には決して新しい生命を宿すことはできない。
あなたも知っているはずよ。」
「どんな下等な動物でも子孫を残すことくらいはできる。
彼らはそれで未来に希望を残すのよ。
でもあなた方にはそれができない。
人間の最後の生き残りと、人の容姿をした化け物の間にはいかなる形の生命も許されないのよ。」
「私は…私は…化け物じゃないッ…」
怒りと恐怖で部屋がぐらぐらと揺れているような感覚がする。
「そして、あなた達が死に絶えた後には赤い海だけが残るわ。
これが正しい世界の形よ。」
突然目の前の赤木博士の像に歪みが走った。
声も次第に変調されてゆく…
赤く蠢く口腔だけが異様に拡大された赤木博士はとどめの一言を付け加えた。
「せいぜい碇君を大切にすることね。」
不快な笑いがはじけ、世界が砕け散った。
僕が片手で抱き寄せていた綾波の体がびくん、と痙攣した。
「綾波…?」
突然、綾波は目を大きく見開くと僕の腕を払いのけた。
同時に胸に鈍い衝撃を感じ、息が止まるかと思った。
綾波が僕の胸を渾身の力で殴りつけたのだ。
息が荒い。
「綾波!?どうしたんだよ!」
綾波は再び僕の胸に顔をうずめるとさめざめと泣き出した。
普通、ただの夢でこれほどまで取り乱すことはない。
これはただごとではない、と直感した。
綾波はしばらくの間、話せる状態ではなかった。
僕はそっと綾波の頭を撫でながら、言った。
この数ヶ月間、言いたくても言えなかった言葉。
「綾波はこれまで何度も僕を助けてくれた…今度は僕が君を助ける番なんだ。
綾波が…君が…本当に辛くて耐えられないくらい心が張り詰めた時は僕が力になるって誓ったんだ。
もし…もしそうなら…僕に…その苦しみを分けてくれないかい?」
綾波は僕に全てを話した。
全てを。
今日はこれくらいで。
ストック使い果たしちゃいました…
また書かなきゃ。
乙
いいとこで切れちゃったな
つか、この荒らし何時までやる気なんだ?
マジで鬱陶しいんだが
もう荒らすの日課なんじゃね?よっぽどなLAS厨なんだろ。無駄だからほっとけ
つか、宣伝は余所でやれよ。
角死ね
私…寝てしまったの…?
私が全てを碇君に話した後、私は彼の胸の中で気が済むまで泣いた。
彼は私を抱きしめながら一緒に泣いてくれた。
結局、泣き疲れて眠ってしまったようだ。
部屋の中は真っ暗だった。
汗で湿った寝間着や布団のシーツは寝ている間に新しいのに取り替えられており、額には濡れたタオルが当てられている。
熱は大分下がったようだ。身体のだるさも無くなっている。
だが隣に碇君の姿はない。
台所のほうからか、扉の隙間から微かに光が漏れている。
探しに行かないほうがいいのかもしれない。
私はそう感じた。
真っ暗な天井を見上げていた時、私は初めてかつて彼を襲った絶望が何であったのかを知った。
彼がかつて自分自身を消そうとしたのはたった独りだったことが寂しかったからではなかった。
自分が仮に今を生きぬいたとしても、未来に何も残すものが無いと悟ったからだ。
いや、どうあがいても何も未来に残すことはできない。
彼はそう考えたに違いない…そして…
今の私達も同じだ。
私はこれまでそのことを考えもしなかった。
いや、ただ考えることから逃げていただけかもしれない。
私が彼に全てを捧げ互いに愛し合ったとしても、またそれがいかに幸福であったとしても。
それはただの退廃的享楽だ。
私も、彼も、年老いて死んでいく。
夢の中の赤城博士が言ったように、未来に希望をつなぐことさえ許されない。
誰の記憶の中に残ることもない。
私たちは滅びの宿命を背負っているのだ。
フィフスや他の使徒達と同じように。
しばらくして、碇君が暖かそうな雑炊を作ってきてくれた。
上に、細かく切った野菜が乗っている。
「熱いから、ゆっくり食べてよ。」
彼も自分の分を用意してきたようだが、全く箸をつけようとしなかった。
そして、私も同じだった。食欲が湧かないのだ。
私はぽつりと、言った。
「ごめんなさい…私が…私が人間じゃないせいで…」
「何を言うんだよ…」
「私が…私が人間だったら…こんなことにはならなかったのにっ…」
私は布団の上に座り込んで噛み殺すように嗚咽した。
その時、突然碇君が立ち上がって部屋から出て行った、と思うと、すぐに戻ってきた。
片手に何かスケッチブックのようなものを抱えている。
彼はそれを私に差し出した。
「それ、読んで。」
突然のことでしばらく呆気にとられていたが、彼の言うとおり読むことにした。
「私の…顔…?」
私の寝顔がスケッチブックに大きく描かれていた。
鉛筆一本で描いたようだ。
髪の毛の一本一本まで丁寧に描写されている。
微かな乾いた涙の跡までしっかりと。
本当に安らかそうな寝顔だ。
私…こんな顔して寝ていたの…
「さっき…ちょっとした悪戯心で描いたんだ。」
彼は少し照れながら言った。
「前のページもみてみなよ。」
次は場面が変わった。
私が釣りあげた魚を手に、晩秋の渓流を背景に微笑んでいた。
「君が初めて魚を釣り上げた時のことを思い出して描いたんだ。」
あの時、私は知らずに微笑んでいた…
「悲しんだり、泣いたり、笑ったりすることができるのは人間だけだよ。
君にはちゃんと人の心があるじゃないか。
それに僕は君を一人の人間として考えているんだ。
だから、自分が人間じゃないなんて考えるのは間違えてるよ。」
私は何も言えなかった。
心の中で凝固していたものが次第に溶けていくのを感じた。
彼は一呼吸置いて、また話し出した。
「さっき君が話していたことについてなんだ…
僕達にはこれは運命だって諦めることも出来るんだ。
何も出来ずに死んでいく運命だからってね。
綾波はどう思う?
僕達はこのまま生きていても意味が無いって思う?」
「…」
「でも、まだ結論を出すのは早すぎるよ。
僕はもうちょっともがいてみようと思うんだ。この世界で。
一つお願いがあるんだ。
君が…もしそれでも構わないと思うのなら…僕と一緒に…」
彼はそのあとの言葉は続けなかった。
私は「ええ。」と言った。
今日はこれくらいで。
なかなか微妙な場所なんで書きにくかった。
明日こそは多分投稿できません。
乙。
……あの、「正念場」を台無しにするなよ? よけいな御世話だけどな。
乙。淡々としてるけどこういうの好きだ。
>>415 うん。
「正念場だから投稿きびしー」って話だったけどな……って思ったわけだ。
まぁ乙。
ニート頑張れ
ここなのか?
↑なにがここ?
りっちゃん怖えーな
2016年8月14日
最近、雪も以前ほど降ることは無くなった。
依然、積雪はあるもののもう冬は終わりかもしれない。
木々に積もった雪は次第に溶け出していた。
日中の最高気温が氷点を僅かに上回る程度の日がこれまで一ヵ月半ほど続いていたのだ。
晴れた日の明け方の空気は肌を刺すようだった。一体どれほど冷え込んでいたのか想像もつかない。
ひどいときは屋根が軋むほど雪が積もり、数回ほど雪掻きで屋根に登る羽目にもなった。
家から余り出なかったので綾波は読書、僕はその様子をスケッチしたりして暇を潰していた。
だから、僕達は次に訪れる春に期待に胸を膨らませていた。
この日の朝、綾波が痺れを切らして言った。
「碇君、久しぶりに外にでましょう。
身体がなまってしまうわ。」
「うん。ちょっと遠くまで行こうか?」
「ええ。以前釣りに行った山なんてどうかしら。
今なら朝も早いし歩いて行けるわ。」
「そうするかい?じゃ、弁当でも作ってくるよ。」
だが、多少見込みが甘かったらしい。
以前通った山道は完全に雪に埋もれていた。
どうもあの渓谷には辿りつけそうに無い。
平地には春の兆しが見えているのに、山はまだ完全な雪山の様相を示している。
このまま無理をしたら遭難してしまう。
この時点で膝の上まで雪で埋まるほど積もっている。
そろそろ疲れてきた。
仕方ないのでこの辺りで昼食にして帰ろうか、と考えていたとき、
ぼすっ、という心地よい音とともに僕の後頭部に雪球が命中した。
反射的に振り返ったところ、二個目が顔面に命中した。
「ぶわっ!!?」
雪が鼻腔まで入ってきた。
雪まみれの顔を拭うと綾波が笑っていた。三個目の雪球を片手に握りながら。
「碇君…その顔…くすっ…」
「奇襲なんてっ、ズルイぞ綾波!」
僕が慌てて雪をかき集めている僕の横顔に三個目が命中した。
速球だ。
上手い。どこで練習したんだろう。
「お返しだっ」
僕も負けじと投げ返した。
綾波の青い髪が一瞬で雪まみれになる。
「やったわね…」
綾波が復讐を宣言する。直後に四個目と五個目の雪球が飛んできた。
数分後、僕も綾波は雪に大の字になって倒れこんでしまっていた。
二人とも頭から爪先まで雪まみれだ。
笑いながら走り回ったせいか、息も上がっている。
「たまにはこんなのもいいね…」
「ええ…」
「そういえば…さあ…僕達、ここに来てからよく笑うようになったよね。
昔はこんなことなかったのに。
でも最近、心の底から遠慮せずに笑うことができるようになったんだ。」
「私も…そうね。
昔、初めて碇君が私のアパートに来た時…
あの時のこと…覚えてる…?」
えっと…
僕がミサトさんに頼まれてカード届けに行ったときのことだよな…
………!!
「今考えてみるとあの時ほど面白かったことはなかったわ。
碇君、真っ赤になって、意味の分からないことばかり言っていたわね。」
今更あのことを蒸し返されるとは思わなかった…
「でも、あの時は何も感じなかったの。
嫌だとも感じなかったけれど面白いとも感じなかった。
そもそも面白いというのが何かということさえ知らなかったのよ。
でも、あなたに逢ってから何かが変わったの。」
一瞬、綾波と僕の目が合った。
赤い瞳に何か普段とは違う感情が宿っていた。
綾波は目を逸らすと、思い出したようにこう言った。
「あ、碇君、さっきこんなの見つけてきたの。
雪の下に生えていたのよ。
これ食べられるかしら。」
綾波はポケットから緑色の塊のようなものを取り出した。
「それってフキノトウじゃない?食べたこと無いけれど天ぷらとかにできるらしいよ。」
「フキノトウ?」
「そう。冷たい雪の下でずっと春を待ち続けるんだ。何ヶ月もね。
だからいまの季節が一番美味しいんだよ。」
「私たちみたいね…」
「え…?」
綾波がポツリと言った…ような気がした。
それともただの聞き違えだったのだろうか。
春が来た。
2016年9月。
地表を覆っていた雪は消え、黒い土壌が再び現れた。
川には澄んだ冷たい雪解け水が勢い良く流れていた。
春のうららかな日差しの下、冬の間抑圧されていた植物が再び活動を始めた。
始めは小さな若芽から。次は低木が。
桜だ。桜が咲いた。
セカンドインパクト後の十五年間、桜は春を奪い取られていた。
桜の木は一年中緑を絶やすことはなかったが、常に情けないくすんだ色の花を幾つか枝につけていただけだった。
その鬱憤を晴らすがごとく、今年は本当に見事な花を咲かせた。
綾波が桜並木の間を歩いている。
しばらく歩くと立ち止まって上を見上げた。
桜吹雪が綾波に降りそそいでいる。
綾波も僕も、春を待っていた。
そして本当の意味での春は僕達にはまだ訪れてはいない。
でも、待ち続けるしかないと思うんだ。
雪の下で春を待ちわびるフキノトウのように。
そして夏が来て…年が代わり…その夏も暮れてゆき…秋が過ぎ去り…冬が…
時は、2018年。
僕達は「あの日」を迎えた
#なんか脊髄反射で明日のぶんまでかいちまった。
#だから明日は投稿できそうにありません。
#全く何やってるんだ俺は。
角さん乙です。レイはいいよな。本当に・・
続き期待です
同じく期待
次は明日の深夜または明後日になりそうです。
一気に最後まで行きたいと思います。
ちょっと量はかさばりますが。
オ〜、激しく期待
気持ち悪いスレ‥‥‥
最近、野茂とホモの違いが分からないとよく耳にします。
完投して喜ぶのが野茂、浣腸して喜ぶのがホモ
打たれるのをいやがるのが野茂、打たれるのを喜ぶのがホモ
野茂はホモを狙わないが、ホモは野茂を狙うことがある
好プレーするのが野茂、チンプレーするのがホモ
家族で楽しく見るのが野茂のプレー、家族で楽しく見れないのがホモのプレー
お尻を見せて球を投げるのが野茂、お尻を見せて玉を揺らすのがホモ
フォークが得意なのが野茂、トークが得意なのがホモ。
アメリカで観戦するのが野茂、アメリカで感染するのがホモ。
野茂は講演に行くが、ホモは公園に行く。
野茂はカレーが好きだが、ホモは彼が好き。
野茂のプレーは素晴らしいが、ホモのプレーは凄いらしい。
優勝して感動するのが野茂、融合して浣腸するのがホモ。
タマを投げてチームを守るが野茂、タマを触って彼を攻めるのがホモ。
野茂はバーモントカレーが好きらしいが、ホモはバーの元彼が好きらしい。
野茂は投手、ホモは同種。
野茂はお尻を向けて投げるが、ホモはお尻を向けて誘う。
野茂はあまり喋らないが、ホモはよくしゃぶる
第壱話 谷岡、襲来
第弐話 見知らぬ、ベンツ
第参話 帰らない、免許証
第四話 四つんばい、脱いだ後
第伍話 TDN、尻のむこうに
第六話 決戦、汚い尻の穴
第七話 後輩の造りしもの
第八話 HTN、来襲
第九話 瞬間、竿、しゃぶって
第拾話 ンギモヂイイ!!
第拾壱話 静止した菊門の中で
第拾弐話 挿入の価値は
第拾参話 TDN、侵入
第拾四話 DB、ホモの座
第拾伍話 嘘と沈黙
第拾六話 死に至る絶頂、そして
第拾七話 四人目の適格者
第拾八話 命の選択を
第拾九話 男の戦い
第弐拾話 竿のかたち 玉のかたち
第弐拾壱話 イサキ、誕生
第弐拾弐話 せめて、人間らしく
第弐拾参話 精液
第弐拾四話 最後のアッー!
第弐拾伍話 終わる選手生命
最終話 世界の中心でアッー!を叫んだけもの
うーん……このスレまだ落ち着いた状況になってみたいだな。
でもそんな状態でも投下してくれる角さん乙。
焦る必要はないので頑張ってくれ。
ば、バームクーヘン
#予想以上に長くなりそうなんで、ちょっと先に出来た分投稿しときます。
僕達は今年で17歳を迎える。
綾波と共同生活を始めてからそろそろ二年が過ぎようとしている。
僕は今、育ち盛りだ。声も少し低くなったようだ。
以前は動かすことも出来なかったであろう荷物を苦もなく持ち上げることができる。
今では綾波とも頭一つ分近く身長が違う。
綾波は以前と変わらず、華奢だ。
でも、紅い瞳に宿る強い意志の光は決して消えることはなかった。
僕達はこの二年間に畑を耕し、まだ実験的ではあるが食物を自給自足することを学んだ。
そのこと自体、かなり身体に負担を強いるものだった。
二人だけで生きていくのは本当に難しいのだ。
だが、初めて作った野菜類を収穫したときの達成感は決して忘れられない。
何が悪かったのか、収穫前の最後の段階でスイカが虫に食われてしまった。そのときの悔しさも。
綾波に負けない大物を釣り上げたときの喜び。
一方、半日糸を垂らしたのに全く釣れなかったときは忍耐力を鍛えることが出来た。
失敗を繰り返すたびに僕達は貴重な経験を得たし、成功は自信に繋がった。
仕事の合間をぬって効果的にストレスを解消することも学んだ。
僕は今、木工版画に取り組んでいる。
面倒くさいが、完成したときの達成感は相当なものだ。
勿論、仕上げの段階で失敗したときなど、放り出したくなるような衝動にかられたものだった。
いずれにしても良い気晴らしになる。
綾波も綾波なりの趣味をみつけた。
荒れていた庭を精魂こめて手入れするようになったのだ。
彼女の剪定のお陰で庭は元のカタチを取り戻しつつある。
天気の良い日の午前中は心地の良いハサミの音が聞こえる。
二人だけで生きることは全く辛くなかったといえば嘘になる。
気持ちが張り裂けそうになったことがこの二年間で何度あったのだろうか。
両の手の指でも数え切れない。
でも、綾波と一緒だったからこそ、僕は耐えられないような困難だって乗り越えることができた。
本当に満ち足りた日々だった。
だが、それも今日で終わりだ。
確証はない。ただそんな気がするだけだ。
2018年3月2日。
私は帰路を急いでいた。
ついつい図書館で長居してしまったようだ。
日が暮れる前に帰らなければ碇君が心配してしまう。
穏やかな秋の夕暮れだ。
「…?」
何か人の声がしたような気がしたのだ。
私は足を止めた。
誰も通らなくなって久しい大通りの上を落ち葉が風に吹かれて舞っている。
気のせいだったのかしら。
私は歩き出そうとした。
こんどこそ聞こえた…ような気がした。
私は振り返った
「誰か…いるの?」
返事は無かった。
すっかり葉を落としたポプラの木々が枝を揺らしているだけだ。
誰の姿もない…
再び前を向いたその時。
誰かが呟いているような声。
だがその呟き声は間違いなく私に向けていた。
気がついたとき、私は駆け出していた。
涼しい風が真っ暗な部屋を吹き抜けている。
決して寝苦しい夜ではないのに、私も碇君も全く眠ることができない。
布団に仰向けになって天井を見上げているだけだ。
「綾波…」
碇君が口を開いた。
「ええ…碇君も…」
やはり、彼も同じなのだ。
そういえば、今日の私たちは言葉少なめだった。
「変な気分がしてたんだ…一日中…
虫の予感ってよく言うけど、違うんだ。
何かが僕の心の中に小さな声でしつこく話しかけてくるような感じがするんだよ。」
「でも、声に耳を傾けようとするとそれは消えてしまう…」
「僕も全く同じなんだ…
それに…それに…」
彼は一瞬、言葉に詰まった。
「それ以上は言わないで…」
これ以上、碇君に喋って欲しくない。
彼が考えている事はきっと私と同じ…
「明日…明日で…もう綾波に会えなくなってしまうような気がするんだ…
まさか…気のせいだよね…アハハ…」
部屋の中の暗闇がいきなり深くなったように感じられた。
私はかすれるような声で言った。
「あなたの考えていること…多分間違えてはないわ…」
「…!!」
彼が息を呑む気配が伝わってくる。
「明日、何が起こるかは私にも分からない。
でも…私はもうこの世界には留まれない…
そんな気がするの。」
そして、その日が訪れた。
僕も綾波もたった一晩の間に憔悴しきってしまった。
その日は一日中、僕達はは全く物事に集中できなかった。
奇妙なな脱力感に見舞われていたのだ。
僕は部屋の片隅に座り込んでいるだけで何をするでもない。
綾波は時折思い出したようにすすり泣くだけだ。
僕達は互いにほとんど言葉を交わさなかった…
「綾波、君を描きたいんだ」
日もかなり傾いてきたころ、僕は覚悟を決めて綾波に話しかけた。
「…今?」
綾波の声はこれ以上ないほど微かだった。
今にも消えてしまいそうな声だ。
「ああ、今しか出来ないんだよ。お願いだ。」
「でも…こんな姿、描いて欲しくない…」
「構わないんだ。そこに座ってよ。」
僕は半ば力ずくで綾波を庭の隅に座らせて、スケッチブックを広げた。
綾波が特に気にかけて手入れしていた梅の幼木の前だ。
綾波は確かにこちらを向いてはいるが、みるからにやつれている。
これは多分、僕の最後の作品だ。
そう思って僕は筆を手に取った。
手の震えを無理やり押さえつける。
もう、僕と綾波に残された時間は余りに少ない…
碇君は一気に描ききった。
丁寧に、かつスピーディに。
「出来た。みてごらんよ。」
彼は私に出来上がったスケッチを見せてくれた。
絵の中に私がいた。
庭の片隅にちょこんと座りながらこちらに顔を向けている。
絵の中の私に笑顔はなかった。
だが、夕日に照らされたその顔に悲しみや憂いはもはや存在しない。
その目には強い意思の光だけが宿っている。
「これが私なの…私はこんな顔をしていたの…?」
「違う。違うんだよ綾波。
これはスケッチじゃないんだ。
これは僕が君に望む姿なんだよ。」
「私に望む姿…」
絵の中の綾波レイはまっすぐと私を見据えていた…
「僕の事なんか忘れてくれても構わない。
でも…この絵だけは…忘れないでくれないか?
君には最後まで自分自身を見失って欲しくはないんだ…。」
「ありがとう…碇君…」
「この先…何が起ころうとも…ね…」
搾り出すような声で碇君が言った。
鮮やかなオレンジ色の空に刷毛で掃いたような雲が浮かんでいる。
その空の彼方で何かが鋭く光った。
#十行書いては八行消してる状態です。
#最後の投稿は今日中か明日になると思います…
>>449 乙。
唐突な展開。警告は覚えてるけど、恐いね。
なんだこれ
長いだけで内容が糞
自己陶酔型の馬鹿はマジで鬱陶しい
>>449 乙
ただこの作品全体を通して、場面場面が切り変わるの早いように思う
いい場面がきて、おっと思ったらすぐ翌日になってたり
荒らしに構うから荒れるんだよ^^
>>454 だよなあー
我ながらそう思います。
さっさと終わらせなきゃって生き急ぎすぎてたとこがありました。
次、何かを書くとしたらの話だけれど、大きな反省点だとは思います。
今?
うまいこといったら夜中の三時ぐらいまでには書き終わってうpできると思います。
お願いします。待ってますよ
458 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/28(金) 00:29:38 ID:+rgezqBi
うむ
何かが炎の線を残し、信じられない速度で空を横切ってゆく。
僕達はその光景をただみつめていた。
うまく思考がまとまらない。
次の瞬間、鼓膜が破れるような雷鳴がこだました。
窓ガラスが衝撃で次々と破裂していく様子が見える。
超高速の物体に風穴を開けられた地球の大気があげる悲鳴だ。
僕はとっさに地面に伏せた。
そして再び顔を天に向けたその時…
紫の鬼神が炎の翼を広げて天を下ってくる。
千もの光の欠片をまき散らしながら。
「エヴァンゲリオン…初号機…」
綾波が呟くのが聞こえた。
エヴァンゲリオン初号機はA.T.フィールドの羽根を展開して急激に減速すると、僕達の家から少し離れた緑地公園に着地した。
腹の底に響くような地響きとともに巨大な土埃が舞い上がる。
遅れて落下してきた巨大な槍が公園の傍らにある市庁舎を粉砕する。
ウォォォォ…ォォ…ォ…ォ…ォォ…
咆哮だ。エヴァがあらん限りの力で咆哮している。
奇跡的に生き残っていた窓ガラスまでが割れていく音が混じる。
エヴァが僕達を呼んでいる。
何故だかそう感じた。
「行きましょう、碇君…。時間が来たわ…」と綾波が言った。
周囲の木々は衝撃で薙ぎ倒されていた。
根元から引っこ抜かれているものもある。
僕と綾波は公園の入り口に並んで立ちながら、一言も口を利かずに前方を凝視している。
僕達の視線の先、土埃の雲の中から初号機が現れた。
その色褪せた装甲には無数の傷がついており、コアも露出しているが、その威容は以前とは全く変わっていない。
ただ、頭部装甲は完全に剥がれ落ち、素体の頭がむき出しになっている。
それは…まるで…
「母さん…」
その頭部は疑いも無く僕の母親のものだった。
茶色の長髪が腰まで伸びている…
だが、その表情は人間性というものを全て捨て去っている。
まるで能面だ。
そして、その目にも全く感情はこもっていない。
黄色く光る目は確かに僕達の方向を向いている…だが本当に僕達を見ているのだろうか?
そして、喉元からは低い唸り声のようなものが聞こえてくる…
初号機が突然、地面に片膝をつき右手を僕達に差し出した。
まるで、乗れとでも言っているような…そんな仕草だ。
「やっぱり…」
綾波が小声で呟いた。
「綾波、何か知ってるの!?」
「たぶん…エヴァは…生命を創造しようとしているの…」
「生命を…?」
「ええ。いくら知恵の実と生命の実の両方を所持していたとしても…
エヴァには自由に生命を創造する力は無いわ…」
「そして…だからこそ…エヴァには…私の…身体が必要なのよ…
私は直接リリスから生み出された存在だから…」
「だから…どうだって…」
声に力が入らない。
足元がぐらつくような感覚に襲われる。
綾波が震える声で言った…
「だから…私は…行かなくてはならないの…」
まさか、こんなカタチで彼と別れなければならないなんて想像もつかなかった。
エヴァは私のカラダを利用して無限の創造力を手に入れようとしている。
そして、私がこのカラダをエヴァに捧げれば、私もまた無限の可能性を手に入れることができる
考え方を変えれば、これが私の存在を活かす最大にして唯一の方法なのかもしれない。
私がこの二年間、求めていたものが目の前にあるのだ…
私は無意識のうちに半歩、前に進んでいた…
でも、私がいなくなった後、碇君はどうなるの…?
彼はこの世界に独り取り残されて…そして死んでいくのよ…
心の中で冷静な声がした。
その通り。駄目だ。
私は行ってはならない。
絶対にそれだけは許されない。
私は碇君を心の底から愛している。
今でもその気持ちは全く変わることはない。
彼のためなら私はどんな犠牲を払っても構わないと思っている。
それなのに、こんなにまで揺れ動いている私の心が憎かった。
何故、私は迷っているの?
「碇君…」
私は彼の名前を呼んだ。
まるで彼に縋るように。
「私は…本当に…行くべきなのかしら…」
彼なら、私が行くのを踏みとどめてくれる。
そして力づくでも私を引き戻してくれるだろう。
そう私は期待していた。
だが…
「僕は君じゃない…
それは君が自分で考えることだよ。」
碇君が静かな声で言った。
私はその言葉に動揺した。
彼が…私を突き放した…?
「いいかい?
君は君が正しいと思う道に進めばいいんだ。」
「でも…」
「いいんだよ。
僕は僕のしなければならないことを見つけたんだ。」
「…」
「僕は全てを見届ける。
君が何を選択しようとも、ね。必ず。
これが僕がここに存在している理由なんだ。」
彼はきっぱりと言い切った。
私は選択しなければならない。自分の意思で。
永遠にも等しい時間が流れた。
「あなたの絵…忘れないわ…」
「ありがとう…綾波…」
紫色の巨人はその間、みじろぎもせずに私たちを見下ろしていた。
「碇君…」「綾波…」
私たちは同時に互いの名を呼んだ。
「あ…綾波から言っていいよ…」
「いえ、碇君から言って…」
「え…えっと…君を…抱きしめてもいいかい?」
「ええ…」
私たちは最後の抱擁を交わした。
「さようなら…碇君…」「さよなら。綾波。」
私の首筋に何滴か、涙が落ちたのを感じた。
私はエヴァンゲリオン初号機の手のひらの上に乗った。
途端に音も無くその腕が上にあがる。
地面で私を見上げている碇君の姿がどんどん小さくなっていく。
黒光りするコアの表面が近づいてきた。
こうしてみると巨大な壁だ。
奥に微かな光が踊っているのがみてとれる。
コアを目の前にしてその手が止まった。
そのまま入り込めということらしい。
硬質にみえるコアは私が入り込むその瞬間、液体のように振舞った。
指先が、手が、肩が、吸収されていく。
私は最後に碇君を振り向いた。
その顔は例えようもなく、穏やかだった。
さようなら。
コアの奥には、光が満ちていた。
真っ白な光に満ちた世界。
その中に一人、私は立っていた。
服はどこかに溶けて消えてしまったようだ。
暖かい。そして音も無い。
そこに存在するのは光だけ。
その彼方から音も無く人影が近づいてくる。
はじめはぼんやりとしていたが、次第にはっきりとしてきた。
背の高い人間の女性だ。
その顔には神秘的な微笑を浮かべている。
全ての不安を消し去ってしまうような微笑みだ。
私によく似た女性だ。
ただ、その髪は茶色で目の色は赤くない。
「あなた…誰…?」
その女性は何も言わなかった。
ただ、微笑んでいる。
「碇君の…お母さん…?」
『シンジのお友達ね…
そして、あなたは本当に大切な私の子供…』
今まで生きてきた中で聞いた事もないような優しい声だ。
反響するものもないのにいろんな方向から声が聞こえてくる…
「何故…あなたはエヴァと一緒に生きているの?」
『人類の進化の行方をこの目で確かめるためよ。』
「でも…その人類は滅んでしまったわ…
残っているのは碇君だけ…」
『あなたも人類の可能性の一形態よ。
もちろん、このままではあなたはいずれ滅んでしまう。」
「だから…人類を…私を…人工進化させるのね…あなたの望む形に…」
『エヴァは人類に真の福音をもたらす存在ですもの。
あなたの力があれば私は人類の歴史に新たな1ページを刻むことができるわ。
私は再び人類の母となるの。』
『私とひとつになりましょう…』
いつのまにか、「彼女」は私のすぐ前に立っていた。
次の瞬間、「彼女」は私を力いっぱい抱きしめた。
暖かい。
私の意志に関わりなく、私のカラダが「彼女」のカラダに融合しはじめた。
手が…肩が…乳房が…
私は自分自身がカタチを失ってゆくのを感じた。
心が生きることの重荷から解放されていく…
霧がかかったように視界がぼんやりとしてくる…
本当にこれでいいのかしら…?
薄れ行く意識の中で小さな疑問が生まれた。
「彼女」との融合が止まった。
既に半分近くが「彼女」に吸収されているが、私は辛うじて自我を保っていた…
『どうかしたの…?
心を開いて…さあ…』
様子がおかしいことに気がついたのか「彼女」が声をかけてくる。
その拍子に弱った自我が崩れそうになる…
でも、私は声を振絞った。
「嫌…」
『どうして嫌なの…?』
「あなたは勝手よ…
生き物の誕生や進化に個人的な意思を影響させてはならないわ…」
その女性の優しい声に微かに感情がこもったように聞こえた。
『いい?人類は今滅びかけている…
もし神に等しき力を得ることが出来るのならば、その力を人類のために使うのは当然のことよ…
だからあなたは私に協力する義務があるわ…』
「でも、あなたのそれはただの人間の傲慢よ。
あなたに生命を弄ぶ権利はないもの…
私やフィフスのような存在は二度と生まれてはならないの。」
『あなたが協力を拒めば、人類の未来を潰すことになるのよ。
あなたは自分の可能性を最大限活かすべきだわ…』
「私のカラダを返して頂戴…」
これ以上話をしても得るものはない。
私は無理矢理手を振りほどき、からだを引き抜いた…
恐ろしい悲鳴が周囲にこだました。
周囲の空間そのものが絶叫しているようだ。
「彼女」はのた打ち回って悲鳴を上げていた。
私と融合していた部分は彼女の身体から完全に抜け落ちていた。
『どうして…どうして…私を…私を拒絶するのっ…!』
「私と碇君は…人間として自分の運命を決める権利があるもの…
あなたの好きにはならないわ…」
自らの体積が半分以下になってもなお、力を振絞って「彼女」はこちらに顔をむけた。
その目は真っ赤に充血し、顔の半分は消えうせている…
『私を消せば…あなたもお終いよ…!それでもいいの!?』
「私は分かったの。
私は…人間が犯した過ちを振り出しに戻すために存在しているのよ…
さようなら。碇君のお母さん。」
私は「彼女」を消した。
世界が、崩れてゆく…
同時に私の意識は光の中に溶け込んでいった…
突然、エヴァンゲリオン初号機が吼えた。
エヴァの咆哮ではない…長々とした人間の悲鳴だ。
僕の母親の顔をした頭部は苦痛に歪んでいる…
どこからか、大量の水滴が僕に降りかかった。
僕は一瞬にしてびしょぬれになった。
懐かしい匂いがする…血の匂い…?
これは…L.C.L…?
一体エヴァに何が起こっているんだ?
僕は思わず後ずさった。
振り乱されたエヴァの頭髪が先端からだんだんと溶けてゆく…
装甲の間からも勢いよくL.C.Lが流れ出ている。
エヴァは絶叫しながら地面をのた打ち回っていた。
エヴァが、死にかけている…
蜘蛛の巣状のヒビがむき出しになったコアに入ると同時に、
エヴァの頭部が一瞬透き通ったかと思うとオレンジ色のL.C.Lの塊となって地面に落下した。
数瞬後、コアが砕け散り、エヴァはL.C.Lを撒き散らしながら地面に崩れ落ちた。
後には捻じ曲がった外部骨格とL.C.Lの水溜りだけが残った…
公園の傍らに突き刺さっていたロンギヌスの槍も、もはやただの金属の塊と化している。
「綾波っ!」
ショックから辛うじて立ち直った僕はエヴァの残骸に駆け寄った。
数分後、ぐしゃぐしゃになった胸部装甲の下で力なく横たわっている綾波を発見した。
僕は綾波を蒸気を上げる装甲の下から引きずり出した。
その身体は信じられないほど冷たかった。
まるで氷のようだ。
僕は彼女を抱きしめた。
「死んじゃ駄目だ!死んじゃ駄目なんだよ!綾波!」
まだ生きている…
僕が強く揺さぶると、綾波は勢いよくL.C.Lを吐き出してゆっくりと目を開けた。
「ゴホッ…う…い…碇君…!?」
「綾波!しっかり!」
「私…生きてるの…」
次第に頬に赤みがさしてきた。
綾波は気管に残るL.C.Lに咽ながらも僕に訊いた。
「エヴァは…エヴァはどうなったの…?」
僕はエヴァの残骸をあごでしゃくった。
「エヴァは…死んだよ…」
「そう…」
綾波は目を閉じるとそれっきり喋らなくなった。
私は碇君に背負われながら家に向かっていた。
月の光が誰もいない街に降りそそいでいる。
終わったか?
つまんねえよ
マジで糞
「ねえ…綾波…?」
碇君がそっと私に呼びかけた。
「なに?碇君。」
「エヴァの中で…何があったの?」
「私が存在している意味をみつけだすことが出来たの。」
これでは答えにはなっていないと思ったけれど、碇君はある程度は納得してくれたようだ。
「君は…馬鹿だよ…」と、彼が言った。でも、優しい声で。
「いいの。もう取り返しはつかないから。」私は明るい声で言った。
「それは…そうだね。」
彼は吹き出した。
そして、私もつられて笑い出した。
「いずれ、後悔するよ?」
「その時はその時よ。」
私たちは大笑いした。
その様子を青白い月の光が照らしている。
いまの二人は、ただの人間だった。
なんか切ない終わりでしたね。
でも乙です。また機会があったら
書いてほしいです。
角気持ち悪いわ、マジ死んでくれよ
せつねえーw
舌噛んで死ねばいいのに
角さん乙です
毎回楽しみに読ませてもらいました。
ラストはレイがいなくなるか心配だったんですけど
僕的には嬉しいかたちで完結してくれて
とても満足してます
機会があったらまた書いてくださいね
自演がとても気持ち悪くてひさしぶりにゾクゾクしました
読んで下さった皆様、ありがとうございました。
今回投稿した中編LRSについて少し。
「会話シーンを無駄に増やさない」「シンジ、レイの心理描写を出来る限り増やす」という二点にこだわって書きました。
お陰でかなり重い?作品になってしまいました。
もうちょい軽くしてもよかったのかな?
場面展開が速すぎるという指摘がありました。
個人的にはもっと落ち着いて書けばよかったかなあ、と少々後悔しています。
まだ構想段階ですが、次回作では決してそのようなことがないよう、心がけたいと思います。
なお、個人的には「登場人物の片方を舞台から退場させる」という結末にだけは出来るだけ収束させたくなかったのです。
そのお陰でこのような終わり方になってしまいましたわけですが。
無計画、行き当たりばったりに書き始めてしまったSSですが、皆様の応援とご指摘のお陰で最後まで書き終わることが出来ました。
本当に感謝しています。
糞コテ死ね!
491 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/29(土) 13:55:11 ID:sLD9kvi+
ざ
こ
後付けの弁明はマジでウザイ
何なんだこの馬鹿は…
角さん、次回作待ってます
乙です!
自分だけ擁護カプキメエ
ヤバい、本当に糞コテぶっ潰したい
>>498 コテハン叩きはルール違反ですよ あんた
角気持ち悪い・・・・
>>499 夏厨にルールもへったくれも通用せんよ。
皆さんも分かりきってる事でしょうが、ブラウザの読み込み段階で消すのが得策。
ホットゾヌ2の設定でage入力してる奴は大抵消しちゃう。
46個のレスを消去しました、って出てきて結構スレが綺麗になる。
後は一つ一つ手動で消していけばおk
すっげえスレが綺麗になる。
夏厨ども、だからお前らのやってることは無駄なんだよwwww
ブラウザサイコー
脳内ルールを押し付ける馬鹿はどこにでもいるよなぁ…
角キモイよ死ね!
これでいい?wwww
気になった事二つだけ
・
>>462、
>>463への些か突然な視点変更
・「蒸気をあげる装甲」の下にいた綾波が信じられない程冷たいっていうのも…
何かくだらないところで質が少し落ちているような。
とはいえGJ、ストーリーとか完璧だと思う
>>504 wwwwwwwwwwwwwww
必死に熱く語ってやがるwww
やっぱコテじゃないやつもキモイな、死ねよ!
だって自演だもん
コテ消しても体臭までは消せないさ
くっせーーーーーーーーーーー505
なんかできたので明日かあとで投稿します。
とりあえず相談したい事↓
・リナレイはスレ違い?
・僕の好きに書いてもいいですか?
書くならば早くしろ、でなければ帰れ。
>>508 お前馬鹿じゃねーの?きめぇんだよ帰れ!
書かなくて良い、帰れ
第二新東京市国際空港の特別搭乗口前に僕は立っていた。
窓の向こうには翼をきらめかせながら政府専用X-33超高高度飛行艇が待機している。
流れるような流線型で矢じりのような形のその特異なフォルムは否応でも人目を引く。
詳しいことは知らないけれど高度110kmをマッハ十いくつで飛行可能なのだそうだ。
科学も進んだものだとつくづく思う。
「おっまたせ!シンジ。ずっと待ってくれてたの?」
山吹色の髪の少女が荷物を転がしながらこちらに駆けてくる。
息がかなり上がっているようだ。
「うん。でも時間ギリギリだね。
もう飛行機出ちゃうよ?」
「大丈夫よ、私たちが乗らないと意味ないんだから。
あ、シンジのお父さん達なら後から来るよ!
シンジのお父さん、荷物検査で引っかかっちゃってね。」
「え、なんで?」
「金属探知で反応が出てね、係員に呼び止められちゃったの。
そしたらポケットから文鎮が出てきちゃったのよ、信じられる?」
目の前のアスカは腹を捩じらせて大笑いしている。
いい年して何やってるんだ父さん…
「それで質問の嵐に遭っちゃったんだけど、『ぶ…文鎮って英語で何ていうんだ…?ユイ?』だって!
お父さん、しどろもどろしちゃってさあ、アハハハハハハハ…ヒイヒイ…」
アスカが父親の声色を真似た。
もう情けなくなってくる。
「あ、そう…
向こうって結構寒いんでしょ?
風邪ひかないよう気をつけてね。」
とりあえず話題を変えなくては。
「当ったり前でしょう!
それに、私のこと心配するのもいいけどね、アンタこそ新しい学校でイジメられるんじゃないわよ!」
そんなに僕、イジメられたこと無いけどな…
あ、お父さん達来たみたいだよ!こっちこっち!」
グラサンを光らせながら父親がこちらに向かって歩いてくる。
後ろに必死で笑いを噛み殺している母親と、若い研究者達が続く。
「シンジか…」
「あ、父さん…」
「…」
「…」
「…なんで文鎮なんかポッケに入れてたの?」
母さんがプッと吹き出した。
「…お前には関係のない話だ。」
精一杯威厳を保とうとしているように見えるが、全く効果を発揮していない。
「私も知りたいな。碇。」
「…!
冬月先生…やめて下さい…」
飛行艇の後部からは白い霧のようなものが漏れている。
燃料補給も完了したようだ。
「これがジオフロントへの通行証だ。常に身に着けておけ。」
父親が僕に赤いIDカードを手渡した。
裏に僕の顔写真が張ってある。
ジオフロントとは箱根山地下数百メートル付近で十五年前に発見された巨大地下空洞だ。
空洞内部は大型の粒子加速器が数台設置されている他、多数の研究施設が林立している。
まさに、「最先端科学の街・第三新東京市」の象徴ともいえる存在だ。
その中心部に両親の勤務先である人工知能研究所の本部があるが、僕は一度も行ったことがない。
ちなみにジオフロントは一部区域を除き、一般人の立ち入りは厳しく制限されている。
これがあることは、空洞内部を自由に歩き回ることが出来ることとほぼ同義だ。
「研究所の赤木博士には何度か世話になるだろう。
着いたらあいさつのひとつくらいしていけ。」
「あ、ありがとう父さん。」
「礼には及ばん…」
そろそろ出発時刻だ。
アナウンスが聞こえる。
「行きましょうか、あなた。」
「ああ。」
「シンジ…
二年間、本当に迷惑をかけるけれど…」
母さんの目が潤んでいる。
「別にいいんだよ。母さん達も研究頑張ってね。」
アスカが言った。「夜、寂しくって泣くんじゃないわよ!」
「な、何言ってるんだよアスカ…」
彼女は僕の手を握りしめてきた。
「それと…手紙出すの忘れたらコロスからねえっ!
覚えときなさい!」
アスカは泣いていた。
僕の手の上に涙が何滴か落ちた。
「…うん。
また会えるからさ、泣かないでよ?アスカも。」
「あんたなんかに言われたくないわよっ」
寂しいんだろうな…アスカも…いくらお母さんの用事とはいえ…
僕もその手を握りかえした。力いっぱい。
最後に、搭乗ゲート越しに僕はみんなに手を振った。
「それじゃ、いってらっしゃい!」
ロケットエンジンの白煙が青空に吸い込まれていく。
彼らはもう行ってしまった。
「さてと。」
バスがもう出てしまう。
僕は床に置いてあったボストンバッグを担ぎあげた。
今後の生活用品一式が入っているのだから仕方ないのだが、重い。
明日からは新学年が始まる。
第三新東京市第一中学校…か…
僕はうまくやっていけるだろうか。
そんなありきたりのことを考えながら僕はバスターミナルに向かった。
そういえば、僕が第三新東京市に着くよりもずっと早く彼らは向うに着いてしまう。
何か不思議な気分だ。
『当機は飛行高度80kmで現在上昇中です。安定飛行に入るまでは、シートベルトをお閉め下さい…』
機体の後部では凄まじい轟音と共にロケットエンジンが燃焼しているが、機内の騒音は割と静かに抑えられている。
窓の外の空は既に真っ黒だ…あれは星だろうか…
さきほどまでは落ちこんでいたアスカは、今では窓に頬を押し付けて下を流れる風景に夢中になっている。
「本当にこれでいいの…あなた?」
ユイがさきほどとは打って変わって厳しい表情で夫に尋ねた。
「ああ…」
ゲンドウはシートの上で目を閉ざしている。
「もし…シンジが知ったら…きっと私たちを許してくれないでしょうね…」
「シンジは私たちの仕事を尊敬しているからな…」
ユイが静かに言った。「わざと…でしょう?」
「シンジはもう大人だ。
私たちにはシンジに本当のことを伝える義務があるからな…」
「私達が、いかにおぞましい人間かということを…ですね?」
「シンジには私たちのような人間になって貰いたくはないからな。
だが、シンジが私たちの仕事を尊敬し、その道を進もうとしている以上は…」
「シンジにはその心構えをさせておく必要があるということね。」
「ああ。」
突然、メインエンジンの騒音と機体の振動が小さくなった。
飛行艇が次第に水平になってゆく。
『当機は飛行高度90kmで安定飛行に入りました。
南極・コロンブス基地までわずか二時間程度ではありますが、ひとときの空の旅をお楽しみ下さい…』
これ以上無いくらい最悪なタイミングだ。
私は受話器を取ったことを後悔した。
『レイちゃん?夜遅くにごめんなさいね。』
「大丈夫よ…まだ起きてるつもりだったから。」
『そう。ところでお姉ちゃんは今いるかしら?』
やはり。来た。
「もう寝てしまったみたいよ。今日は疲れてたから。」
私は出来るだけ冷静に、状況を悟られないように、話を続けた。
『そう…
明日から、当分の間はお姉ちゃんと二人っきり。
お姉ちゃんから聞いているわよね…」
「ええ。知っているわ。」
今初めて知りましたなどとは口が裂けても言えない。
『…あんなお姉ちゃんだけれど、しばらくの間は面倒をみてやってね…
本当にごめんなさい…』
「ええ…」
この辺りで電話を切る潮時ね。
姉と同居生活の件はあとでじっくりと考えればいい。
そう思ったその時…
「そこにいるんでしょぉ〜?
一杯くらい付き合いなさいよ〜?ケチィ〜」
隣の部屋から大声が聞こえてきた。
かなり自我境界線が曖昧になっているような声だ。
私は咄嗟に受話器の送話口を手で抑えたが、しっかりと相手には聞こえてしまった。
受話器の向こうで相手が頭をかかえこむ様子が目に見えるようだ…
『あの馬鹿娘ッ…
ちょ…ちょっと!ミサトを出しなさい!ミサト!』
やはり爆発してしまった。
耳が痛い。
仕方がないので居間まで姉を連行しに行くことにした。
「お姉ちゃん…電話…」
だが姉は畳の上で安らかな寝息を立てている。
周囲には何本もの空き缶が散乱していた。
「お姉ちゃん…寝てるわ…」
『…っ!』
「起こしてもいい?」
『もういいわ…大声出してしまってごめんなさいね…』
もう諦め声だ。
この時点でこの後の展開はほぼ予想がつく…
『お姉ちゃんは生活無能者だし…
あの人も家族のことも考えないでまた出ていっちゃうし…
その上、私は当分第三新東京には帰れないわ。
全く…あなたにどう詫びたらいいか…』
鼻をすする音が混じる。
「大丈夫よ…お母さん…」
『お願いよ…レイちゃんだけが頼りなの。
あなたがいなかったら…お姉ちゃん、ゴミに埋もれて死んじゃうわ。』
受話器を通して啜り泣きが聞こえてきた。
姉の現状を省みれば、あながち冗談にも聞こえないのは気のせいだろうか。
20分後、電話は切れた。
居間に戻ると、先ほどまで寝ていたはずの姉がテレビを観ながらケラケラと笑い転げていた。
狸寝入りとはこのことらしい。
「電話終わったぁ〜?
ビィルどぉ〜、冷たくて美味しいわよ〜」
「…」
「な、なによその目は…
私なんか悪いことでもしたァ?
……
う…は、話は変わるんだけどさァ、明日転校生来るの知ってる?
男の子らしいよォ?」
興味のない話だ。
「もう寝るわ。おやすみなさい。」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよッ
まだ話が…」
私はベッドに倒れこんだ。
今夜はよく眠れそう。
交通渋滞で到着が遅れてしまった。
もう夜の十時過ぎだ。
早々、迷惑を掛けてしまうことになる。
「葛城…ここかな。」
僕はインターフォンを鳴らした。
十数秒後、ガチャッとドアが開いた。
「夜遅く申し訳ありません…いか…!」
「夜遅く非常識よアンタァ、酒くらいゆっくり飲ませなさいよォ!!」
勢いよくドアが閉ざされた。
何が起こったんだ…?
葛城博士が言うところの「聡明で溌剌とした自慢の娘」が今の…
そんなはずはあるまい。家を間違えたのだろうか。
だがしっかりと表札には「葛城」と書いてある。
恐る恐るもう一度ドアをノックしてみる。
ドアが開いた。
「夜遅く申し…」
「あなた誰?」
「いやっ…しばらくの間、葛城博士の家に住まわせて頂くことになっている碇と申しますが…」
「聞いていないわ。」
「えっ」
「私、眠いの。さよなら。」
「わー、ちょっとレイ!ストップストップ!」
先ほどの酔いどれ女が慌ててやってきた。
「そうそう!そういやシンジ君、シンジ君だよね!
入って入って!」
僕は二の腕をつかまれて部屋の中に引きずり込まれた。
後にさっきの女の子が続く。
居間には大量のビール缶が散乱している…
「もォ〜それならそうと言ってくれればいいのに〜
黙ってるからセールスマンか何かだと勘違いしちゃったわ。」
まさか…この人本気で…
かなり酒が回っているらしい。
「あ、あたしミサトって言うのよ、ミサトって呼び捨てでいいわよ!」
「ミ、ミサトさんでいいですか?」
「辛気臭いわね〜まあいいや。
あ、これ学生服!」
ミサトさんは僕に学生服を放って寄越した。
「あ、ありがとうございます。
ところでちょっとお聞きしたいことが…」
「なになに?全然オッケーよん。」
「その…今、ここに住んでるのはもしかして…さっきの女の子と葛城…ミサトさんだけ…」
「そ!いい勘してるわね〜
普段はお母さんもいるんだけどね、当分の間は戻れないそうよ?
お父さんも南極行ってるし〜」
嫌な予感がする。
「さっきの髪の青い女の子は…」
「レイのこと?私の妹よ、可愛いでしょ!
えっと…たしか…シンジ君と同じクラスだったっけ…」
「え?」
「そうそう、二人ともあたしの受け持ちのクラスよ。
2年A組!
学校ではミサト先生って呼びなさいよ〜?」
「ええ!?」
「レイ!ちょっち出てきなさいよ〜」
返事は無かった。
「寝ちゃったのか…仕方ないか。
あ、そこがシンジ君の部屋だから〜自由に使っていいわよ。」
「あ…ありがとうございます…」
「まだ早いからさぁ、寝る前にちょっち付き合わない?」
ミサトさんがビール缶を僕に突き出して来た。
「お断りします…」
頭の中の混乱は既に限界に達しつつある。
部屋の中で落ち着いて要点を整理しよう…
僕は部屋を閉め切ってベッドに座り込んだ。
と、尻の下にぐにゃりとした感触が…
「ギュッ、グエーッ!ギャー!!」
「う、うわあああああああっ」
猛然とそれは部屋を飛び出していった。
「あら、尻に敷いちゃったの…
そのトリね、ペンペンっていうのよ。
昔、お父さんが貰ってきてね。
レイによくなついてるのよね〜」
「は、ハハ、そ、そうですか…」
なにやら凄いことが起こりだしているらしい。
この家で二年間…
なんか結構長くなりそうです。
夏中一杯かけてのんびり書いていきますので。
よろしくお願いします。
角さん、コテハン乗せたまま
>>512みたいなことかいたら叩かれちゃうよ
気をつけてね。
何なんだこのニート
粘着すんなよ、気色悪い
>>513なんですが、冷静に読むと色々変なコトが分かってきます。
その辺は余り追求しないで下さい…
ちなみに文鎮ネタは自分の過去の経験に基づいています。
数年前、フィンランドのヘルシンキ国際空港でやらかしました。
荷物のレントゲン撮った直後に突然雰囲気が慌しくなりましてね…
いかつい係員に呼び止められて荷物引っくり返されました。
あ〜終わったァって思ってまた機械通したらまた反応するんですわ。
拘留時間は十五分位でしたが永遠のように感じました。
結局文鎮は返して貰えましたが…
それにしても何で文鎮なんかがリュックサックに入ってたんだろう…日本でたときはなんともなかったのに。
最後に書道をしたのは中学時代だったわけです。
我が人生最大の謎の一つです。
世にも奇妙な何とやらですよ。
角さえ居なくなりゃ消えるんだよこのハゲ!
角さえ居なくなりゃ消えるんだよこのハゲ!
>>535 ふかわのAAつかって再度投稿し直すことをおすすめします
角さえ居なくなりゃ消えるんだよこのハゲ!
人間関係がどうなってんのか?
名字すらよくわからん。
角さえ居なくなりゃ消えるんだよこのハゲ!
「知らない…天井だ…」
やはり夢では無かったようだ。
運悪く。
窓から、晩春の暖かい日差しが差し込んでいる。
まだ朝は早いけれど、とりあえず起きてみよう。
台所から軽やかな包丁の音が聞こえる。
女の子が朝食を作っていた。葛城…レイ…だっけ。
空色の髪に赤目なのに、不思議と違和感を感じさせない。
味噌汁かなにかの野菜を刻んでいる。
ふと、目が合った。
「あ…お早う。」
「…」
女の子は全く表情を変えずに調理に戻ってしまった。
気まずい沈黙が流れている。
「あのさ…えっと、僕、しばらくここで暮らすことなったんだ。
何か、手伝えること無いかな?」
「別に無いわ。」
僕、嫌われちゃったのかな…?
とりあえずミサトさんが飲み散らかしたビールくらい片付けよう。
その張本人は居間の真ん中で大の字になって寝ている。ヒドい寝相だ。
缶を一通りビニール袋に放り込んだ後に、とりあえず布団を掛けておいた。
新聞を郵便受けまで取りに行く。
スポーツ新聞と真面目そうな経済新聞が一部づつ入っていた。
「朝ごはん、出来たわ。
それ頂戴。」
女の子はスポーツ新聞を手に取ると向こうに行ってしまった。
一方、経済新聞の方はというと…
『二十一世紀最大の発見』『第二の巨大地下空洞が南極に』
一面は大見出しに覆われている。
経済新聞が経済ネタを一面に全く置かないのは恐らく初めてではないだろうか。
人工衛星からのものとみられるカラーの重力の分布図が掲載されている。
図面の中央付近で、完全な円形を描くように色が黒褐色に変色している。
大空洞の直径は15km程度。ほぼジオフロントと同じだ。
そして、大空洞内部の60-75%程度は氷塊に埋まっている可能性が高いという。
僕はテレビをつけた。
そこには母さんがいた。
雲一つ無い青空、真っ白な氷原の真ん中に父さんと立っている。
重そうな耐寒服を着込んではいるが、その目は輝いていた。
南極からの中継らしい。
母さんの誇らしげな声がテレビから響いてくる。
『…これは人類の科学の勝利です!
厚さ2000mの氷と3800mの岩盤さえも私たちの目を欺くことは出来ませんでした。
そして私たちにはそこに到達することが可能なのです。』
母さんは父さんにマイクを手渡した。
南極でも相変わらずグラサンを手放さないようだ。
『私は確信しています。
あの人工的に造られた空洞の中に存在するものが何であれ…』
父さんは一度、言葉を切った。
『それは間違いなく我々人類のルーツを解き明かしてくれることでしょう。』
#今日はこのへんで。
#お休みなさい
角は悪魔のようなやつだな
人が嫌がってるのに平気で投下を続けるのか、氏ね!
角さんめげずにがんばってくれ!
俺は待ってるぞ
角は死ねよハゲ!
多分、こんどの投稿者はめげない。
ここまで荒らされても冷静な奴は久しぶりww
角ガンガレッ!!
550 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/01(火) 12:57:30 ID:gWE8ahAm
>>504 ストーリーとか完璧だと思う
完 璧 だ と 思 う
頭足りてない(´・ω・`)テラカワイソス
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i / ここは私のスレになりましたよっ!
| 《・》 《・》 |
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | がんばりますからヨロシクっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | 恋人募集中ですっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | モー娘。の矢口真理大好きですっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | でも、やっぱり女の子ならなんでもいいですっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | 見ました?今ぴったり1分でしたっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | なんだか楽しくなってきますねっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | 角さんって学生ですかっ!?私と同じですねっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i / ちなみにっ!荒らされると良スレっていうのは昔の話なんですっ!
| 《・》 《・》 |
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | 顔うpしてくださいよっ!うpうpっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i / 綾波レイですかっ?それより角さんですねっ!
| 《・》 《・》 |
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | 角さんセクースセクースしましょうっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
/ ̄ ̄ ̄`⌒\
/ ヽ
| _,___人_ .|
ヽ|´ ┏━ ━┓`i /
| 《・》 《・》 | 今度会えるといいですねっ!また来ますからっ!
(6| ,(、_,)、 |6)
ヽ トェェェイ /
ヽ ヽニソ /
`ー一'
うんこぶりぶり角ぴゅーぴゅー
ノ ∧ /) ∧
彡 ノW \从/V W \ ミ
( ノ | ノ \)
∩V 、、 | >V7
(eLL/ ̄ ̄\/ L/ ̄ ̄\┘/3)
(┗( )⌒( )┛/
~| \__/ | \__/ |~
爻 < | ; 爻
~爻 \_/ _, 爻~
~爻__/⌒ ̄ ̄ ̄~~ヽ_ 爻~
/ ー ̄ ̄\_ ̄\
_一‘ < ̄ ̄\\\J
<\ ー ̄ ̄ヽ_ヽJ  ̄\_
\ _ニニニヽ ) ~\
\ _/⌒|\ ヽ_~~ ~⌒\_
__/~ V \_| ~\_
うんこぶりぶりおしっこちゃー
グロ注意
や、やめて…。ト、トウジぃ〜っ…、やめてよ…、これ以上中に注入されたら…、うんち出ちゃうよぉ…
え、ええやんか、我慢せんと出せ出せシンジ…。ワシも…、出すぞっ! 精子かんちょう発射ッ! うっ!
ピュ
ブリブリッブチュチュバチュッ!!!ビチャビチャボトボトボトっ
はあっはあっ…、でちゃったよぉ…、うんち出ちゃったよぉ…
ヒックヒック
糞まぁいはスカトロがお好き
角はスカトロマニア
20 個のレスを消去しました。
本当に夏だな。
ミサトさんが起きだしてきたようだ。
心なしか、足元がふらついている。
「イタタ…ちょっち飲みすぎたわ〜」
と、頭をパカパカ叩きながらミサトさん。
「おはようございます。」
「あ、おはよ〜、そんっな堅っ苦しいあいさつなんてしないでいいわよ〜」
「え…じゃ…」
「オハョーでいいわよオハョーで。」
「あ…は…はい…」
酔いが覚めてもこの人はこんなキャラなのだろうか。
テレビ画面ではメガネのニュースリポーターが興奮気味に喋り散らしていた。
場面は変わって南極の氷原の上を何台もの大型ヘリが飛び交っている。雪上車の往来も激しい。
世界各国の調査隊が次々と到着しているらしい。
一週間以内に大空洞に向かって掘削が開始されるそうだ。
「それにしてもすっごいわね〜、これ。
シンジ君のお父さんたちも行ってるんでしょ?南極に。」
「はい。二人とも。
父なんて『人類の歴史が変わる』とか言いながらはしゃいでました。」
「あのすっごいいかつそうな人よね?お父さんって。
全く、想像もできないわね。」
僕も、あんなに父さんがはしゃいでいた姿はみたことがなかった。
「そういえば、葛城博士も南極に向かっておられるって聞きましたけれど。」
「うん…そうなんだけど…」
不意に、ミサトさんの顔が曇った。
「あ、何でもないわ。さっさと朝ごはん食べて学校行っちゃいなさいね。」
表に出た感情を隠すように再び明るく振舞いだす。
なんだったのだろう、今の。
レイと呼ばれた女の子が作った朝食はおいしかった。
味噌汁に魚の干物を焼いたものだ。
「レイ、今日も朝食ありがと!
それじゃ、ワタシ職員会議あるから先に学校行ってるわ。
あ、それとシンジ君?学校来たら一旦職員室まで来てね!」
「あ、は、はい。」
そうだ、今日は僕が新しい学校に通う最初の日だったんだ。
「それじゃ、行ってきまーす。出る前に鍵ちゃんと閉めてってね。」
ドアがバタンと閉まった。
「朝食おいしかったよ。ありがと。」
「…そう。」
女の子は全く表情を変えることなく、空の食器を流しに持っていってしまった。
しばらくして水を勢いよく流す音が聞こえてきた。
始業式が終わってしばらくして、姿を消していた姉が戻ってきた。
教室に入ってくるなり消しゴムを投げ合っていた鈴原と相田を一喝した。
「静まれー!
てんこうせいをしょうかいするー!
ささ、入って入ってぇ。」
一気に教室が静かになる。
腕を掴まれながら転校生が教室に引きずり込まれてきた。
「あの…碇 シンジです。
よろしく…お願いします…」
「きゃー、かわいいー」「優しそうー」「ちっ」「…いい顔をしている」
転校生は、クラスの反応が以外だったのか、かなり戸惑っているようだ。
「いわゆる、人畜無害っちゅうやっちゃな」
「鈴原!黙りなさい!」
「ぐほッ」
思うがままにコメントを述べた鈴原が洞木さんに殴られた。
「じゃ、席なんだけど、どこ空いてるかなーっと。」
「ミサト先生、一番前が空いてますけれど。」
「そっか。じゃ鈴原、ココ来なさい。」
「な、なんでやねん!ワイなんもしてないで?」
「今学期はね。
でもアンタと相田がひっつくとロクなことないのよ。
ホラ、さっさと来る!」
「セ、センセ…」
「鈴原、諦めなさい。」と洞木さん。
「それじゃ碇君、席空いたからそこ座ってね〜」
「あ、は、はい…」
鈴原は一瞬、これみよがしに転校生を睨みつけてから前の席に移動していった。
転校生の席は私の隣だった。
や、やめて…。ト、トウジぃ〜っ…、やめてよ…、これ以上中に注入されたら…、うんち出ちゃうよぉ…
え、ええやんか、我慢せんと出せ出せシンジ…。ワシも…、出すぞっ! 精子かんちょう発射ッ! うっ!
ピュ
ブリブリッブチュチュバチュッ!!!ビチャビチャボトボトボトっ
はあっはあっ…、でちゃったよぉ…、うんち出ちゃったよぉ…
ヒックヒック
「よお、転校生。
俺相田ケンスケっていうんだ。よろしくな。」
休み時間に隣のメガネの男の子が話しかけてきた。
アイダ…どこかで聞いたことのある名前だ。
「あ、よろしく…
ところでアイダって名前…今朝、ニュースに出てた…」
「ああ。親父が南極に行ってるんだ。
昨日電話したら、ニュースリポーターやっててこんなに嬉しかったことはないって言ってたよ。」
『歴史が変わる瞬間に立ち会える』だったっけ…なんだか興奮気味にそんなことを喋っていたような気がする。
そういえば相田もキャスターのお父さんにそっくりだ。
「ところで…碇ってさ、どこに住んでるの?」
「ミサトさんのマンションに居候させて貰ってるんだ。」
ケンスケのメガネがきらりと光った。
「俺は学校終わったら碇の家に遊びに行く。いいな。」
「だ、駄目だよ…」
「もうこれは決まったんだよ碇。あきらめな。」
「え…えええ?」
駄目だ。
このメガネの狙いがなんであれ、あの散らかった室内だけは見せられない。
「じ…じゃあさ、代りにジオフロントでも行かない?
僕も行くの初めてだし…」
「甘いなぁー碇。一般人はあそこには滅多に入れないんだよ。
だから俺だって行ったことないんだ。残念ながらね。
碇はいいよなあー、親御さんが関係者で。
俺なんて何回も申請出してるのになぁー」
ケンスケは残念そうにため息をついた。
「だったら一緒に行こうよ。」
僕、今日あそこに用事があるんだ。」
「お、おい碇。何言ってるんだよ。」
セキュリティレベルが低い区域なら三名の随行者が許可されると書いてたから…
彼らでも空洞内を出歩くこと位はできるんじゃないかな。
「三人くらいまでなら、身分証明があれば僕と入れるよ…カードがあるから…
うん。やっぱりそうだ。」
「ホントかよ!おいトウジ!」
トウジと呼ばれた背の高いジャージが弾かれたように飛んできた。
「碇のやつがジオフロントに連れてってくれるらしいぜ!」
「ほんまかい!早速世話になるで転校生!」
トウジは目を爛々と輝かせている。
「これで二人かあ…そうだ、委員長!」
委員長と呼ばれたそばかすの女の子がこっちを振り返る。
「今日、俺とトウジと一緒にさ、ジオフロント行かない?
碇が連れてってくれるらしいんだ。」
委員長は不意に顔を赤らめた。
「え…ご…ごめんなさい…
今日、忙しいの。」
「いいじゃんか、ちょっと付き合ってくれたらいいからさ。」
委員長はしばらく考え込んでから返事をした。
「…ええ。お願いするわ、碇君。」
話を聞いていた周りの生徒達はワケを知っているらしい。
なぜか笑いを噛み殺している生徒も数人いる。
「でも…ここに来るの初めてだから。
どうやって行けばいいのかなあ。」
「大丈夫だって!俺が案内してやるから。
放課後俺について来いよ。」
ケンスケが明るく言った。
#今日はこのへんで。
#あんまり進まないでごめんなさいね。
やっぱりZEEBRAは最高だね!
下手の横好きってヤツだな。
こういう馬鹿はマジで鬱陶しい。
劇の台本の様な描写ばかり。
そのくせ改行多過ぎ。
もう少し勉強してから来いよ。
>こういう馬鹿はマジで鬱陶しい。
>もう少し勉強してから来いよ。
こんだけ余分。
お前のが鬱陶しい。
「ふえー、キビシイねぇ」
ケンスケも参ってしまったようだ。
「テロ対策じゃないかしら。
南極であんなのが見つかった後だから、ここだって何が起こるか分からないわ。
研究施設だってあるし…」と洞木さん。
言うことが筋道立っている。
かなりしっかりしたタイプらしい。
「イインチョは頭ええなあ、意外と。」
「い、意外とって何なのよ…」
洞木さんは言い返しながらも顔を赤らめた。
やっぱりこの二人、何かあるのかな?
僕達の車両には誰も乗っていない。
不意に周囲が明るくなった。
人類以外の何かが残した大空洞…ジオフロント。
空洞、というよりは地底にもう一つ世界があった、というほうが正しい。
本で何度も読んだことはあるけれど…ここまで大きいとは思わなかった。
なんと、湖や森林まである。
リニアは真っ暗なトンネルの中を螺旋を描きつつ降下している。
もうかなりの深さのはずだ…
不意に周囲が明るくなった。
人類以外の何かが残した大空洞…ジオフロント。
空洞、というよりは地底にもう一つ世界があった、というほうが正しい。
本で何度も読んだことはあるけれど…ここまで大きいとは思わなかった。
なんと、湖や森林まである。
天井はきれいな丸みを帯びており、その天井のあちこちからオレンジ色の日光が漏れてきている。
地下400mの大空洞は夕日に照らされていた。
「地底でも夕暮れがあるんだ…」
思わず声が出る。
リニアは天井から吊るされた細いレールの上を走っている。
すごい高さだ。
1000mほど下に、豆粒のような研究施設が点在している。
空洞の周りを円形を描いて走ってる細い線が欧州物理学研究所の粒子加速器かな…
それで、あれが…
誰もいない車内に乾いたシャッター音が響く。
ケンスケが写真を撮っているらしい。
洞木さんとトウジはというと、声も無くこの光景にみとれている。
「なあ碇、碇の親父さんってあのピラミッドに勤めてるんだよな?」
ケンスケは脇目も振らずに写真を撮っているようでも、冷静に会話が出来るらしい。
ケンスケが指差す先には小さなピラミッドがあった。
「あ…うん。あれが多分、人工進化研究所だよ。」
「へえ…」
何かケンスケは気になる事があるらしい。
それっきり黙りこくってしまった。シャッター音も消えた。
「えらいとこきてしもうたなぁ、のう碇?」
トウジが上を見上げながら呟いた。
この光景に圧倒されっぱなしで口数が少なかった。
今、僕達は人工進化研究所のシンボルであるピラミッドの前に立っている。
彼らの権限ではこれ以上進むことは出来ない。
この空洞に来てからかなり時間が経つ。
大空洞もかなり薄暗くなってきた。
細い光の線となったリニアが大天蓋をゆっくりと移動している。
パッ、パッ、と道の傍らにある背の低い照明に光が点った。
「じゃあ、もう遅いし帰りましょうか。
ありがとうね碇君。本当に楽しかったわ。」
「ありがとな碇。
こんなトコ来たの初めてや。ホンマに感謝しとる。
また今度どっか遊びに行こうや。」
トウジが仰々しく言った。
「あ…うん。僕のほうこそありがとうね。」
「あ、そや。ミサトセンセと同居しとるんやて、碇?」
ケンスケ、やはり喋ったのか。
確かにミサトさんは美人…見た目は…
「今度ワイ、碇んち行ってもええか?」
「フケツ…」
洞木さんの顔が一瞬にして強張った…
完全に頭に来てしまったらしい。
「この馬鹿!さっさと帰るわよッ!」
「イタタタタ!
じゃ、碇、ケンスケ、明日学校でな!」
洞木さんに耳を掴まれたトウジが引きずられていった。
「じゃあまた明日ね!」「じゃあな、トウジに委員長!」
二人は帰ってしまったようだ。
「なぁ、碇。」
ケンスケが話しかけてきた。
「え、何?」
「何があるんだ、人工進化研究所には?」
「何って…僕…何も知らないけれど…」
「本当に?」
事実だ。父さんも母さんもそんなことを言ったことは無かった。
「うん…」
「なら仕方ないな…
碇なら知ってると思ったんだけど…」
ケンスケはうつむいて考え込んでしまった。
「…なんでもない。じゃあな碇!
また明日!」
「うん…じゃあね。」
ケンスケは走り去っていった。
一体彼は何を知りたかったんだろう。
僕が考えていたその時、研究所の巨大なピラミッドから小さな人影が出てきた。
ミサトさんの家にいた青い髪の女の子だ。
「あ…葛城さん…」
女の子は少し驚いたような顔をした。
「…何故あなたがここにいるの?」
「あ、父さんがここの関係者だから…
さっき、トウジやケンスケも連れてきたんだ。」
「そう…」
「もう暗いからさ、僕が送ってくよ。
懐中電灯持ってるし。」
「ええ。」
僕は前を歩く。その後ろを女の子がついてくる。
二人の間を沈黙が支配している。
参ったな、駅まだ1kmくらい歩かなければならないや。
何か話さなくちゃ…
そんなコトを考えていると女の子が話しかけてきた。
「あなたを、どう呼べばいい?」
「え…?」
僕は戸惑った。
どう呼べばって…いきなり言われてもな…
「ん…シンジでいいよ。」
アスカも僕をそう呼んでいた。
別に問題はあるまい…
「シンジ…」
女の子は小さく呟いた。
「君の事は…なんて呼べばいいのかな…?
葛城さん…とか?」
「レイ…」
「それなら、レイって呼んでいいかい?」
僕はアスカをファーストネームで呼んでいた。
この場合、少し恥ずかしいが…
「ええ。」
僕は、初めてカタチになった会話が出来た、と内心喜んでいたのだがこの後の会話は全く無くなってしまった。
ようやく、リニアの駅に着いた。
既にリニアは駅に停車している。
「シンジ。送ってくれてありがとう。」
女の子は無表情にそう言って、硬直している僕の前を通り過ぎた。
駄目だ、やっぱり恥ずかしい。
が、今となってはもはや訂正は不可能だろう…そんな気がする。
俗に言う手遅れってやつだ。
リニアが小さな空気が抜けるような音を立てて、ゆっくりと発車した。
そしてゆっくりと高度を上げてゆく。
下界がどんどん小さくなってゆく。
オンナの…もとい、レイはリニアの座席にもたれて、静かに文庫本を読み出した。
暗黒の中に色とりどり宝石を散りばめたような下界の景色にも全く頓着していない。
もしかして、レイは物凄い大人物か、変人なのかもしれないな。
ふと、そう思った。
それにしてもレイは何故、たった一人で人工進化研究所にいたのだろう…
#今日はこれくらいで。
#お休みなさい。
角気持ち悪いから死んでくだちい。
家に帰り着いた時は八時を過ぎていた
ミサトさんが出迎えてくれた。今日は酒を飲んではいないようだ。
「おかえりなさい、遅かったわね〜」
「あ、遅れてすみませんでした。」「ただいま…」
「ねぇ、二人でどこいってたのかなぁ〜?」
悪戯っぽい顔をしながらミサトさんが検索してきた。
「シンジとジオフロントに…」
夕刊に目を通しながら、レイがさらりと言う。
「えぇ〜お二人さん、仲がいいのねぇ〜」
「ちょ…ちょっとミサトさん…」
「ね、ね、ね、レイ、シンジ君はレイのこと何て呼ぶのォ?」
危ないくらいのニヤケ顔でミサトさん。
「レイ…」
「…!」
「きゃー、もしかしてお二人さん、早くもラブラブかなぁ〜?」
ミサトさんが僕の顔を覗き込んできた。
「や、やめて下さいよ…」
もう駄目だ。この人は止まらない。
恥ずかしいやら何やらで、僕は真っ赤になっていた…と思う。
「じゃあ私、夕食作るわ…」
レイが夕刊を置いて立ち上がった。
そういえば、かなり遅くなってしまった。
「あ、今日は僕が代わりに作るよ。ちょっと待ってて。」
僕はレイからエプロンをひったくった。
「でも…」
「僕もちょっとくらい料理できるから。
なにもかもしてもらう訳にもいかないしね。」
「カッコいいわよお兄ちゃん〜」とミサトさん。
とんでもない。この状況から早く逃れたいだけだ。
「むふっ、おいひいわねぇ、こへ。」
ありあわせの材料で作ったカツ丼を掻きこみながらミサトさんが言った。
口の中にモノ入れて喋らないで下さい…なんか飛んできました…
一方、レイは黙々と食べている。
だが、冷蔵庫の中をビールが占めていたときは本当に驚いた。
わずかに残っていた食材が無ければ夕飯さえも食べれないところだった。
一体どこまでこの人は、生活能力が破綻しているのだろう。
「ぷはあ、ごっちそうさま、さっすがねぇ!
あ、もう一杯お代わり頂戴。」
「ええ、家ではよく一人でしたから。
自然と鍛えられてるんです」
「ごちそうさま…」
レイが椅子から立ち上がった。
なぜか、カツ丼の「カツ」の部分だけがしっかりと残っている。
肉、キライなのかな。
でも、「カツ」を抜いたら「丼」しか残らないよなあ…
「ごめん、ちょっと待って。
肉嫌いならサラダか何か作ろうか?」
「…え?」
レイが振り向いた。
「レイ、お願いしちゃいなさい、折角なんだし。」
「…ええ」
「じゃ、ちょっと待ってね。野菜切ってくるよ。」
僕は背中を向けていたので、ミサトさんが不思議そうな目でレイをみつめているのを見なかった。
「ねえシンジ君?」
レイが寝てしまった後、ミサトさんが僕に話しかけてきた。
「はい?」
「あなたがここに来てからね、レイの様子がちょっと変なのよ。」
「え…?」
変と言われても昨日来たばかりの僕にはまったく分からない。
「あなたに関心を示している、とでもいうのかな。
今朝は普段と変わらなかった。でも、さっき帰ってきてからはちょっと違う。
あなた、何かレイにしたァ?」
「もう、からかわないで下さいよ〜」
「いいえ、冗談じゃないわよん?
八年間も一緒に暮らしてるから私にだって分かるのよ。ちょっとくらいはね。」
ミサトさんはビールを一気に飲み干しながらも、その目は真剣だった。
「八年間…ですか…?」
「ええ。レイはお父さんが養子にした子なのよ。
どこからやってきたかはお父さんもお母さんも全く言ってくれなかったけれど。
レイが来たときは…本当に驚いたわ。」
「え…?」
「言われたことはちゃんとやっていた。
同い年の子供なんか比べ物にならないくらい真面目にね。
質問をしてもちゃんと論理だった答えをする。
でもね、感情を表に出さなかったの。」
「それは…大人しいだけじゃ…」
ミサトさんは話続けた。
「いえ、違ったのよ。彼女は何に対してもそっけなかったわ。
彼女自身についても同じ。
だから、私も最初はどう相手をしたらいいのか分からなかったわ。
それに怖かった。機械か何かみたいで…
でも、最近では彼女もちょっち変わって来た…私やお母さんに対してはね。」
「そうだったんですか…」
「だから驚いてるの。
さっきあなたがサラダ作るって言ったときね、レイの表情見てなかった?」
「…」
「レイは緊張してたのよ。なんでもないことなのにね。」
派手な雪煙を立てながら氷原にめり込んでいる巨大ドリル・ブレード。
その高さ300mを超える櫓の上から下を見下ろすように二人の科学者が並んで立っている。
「開始から僅か10時間で230mの掘削を記録しています。
予想以上の性能ですね。葛城博士。」
「ああ。このペースだと一週間足らずで氷床を突破できる。
我ながら驚いているよ。」
初老の男性が得意げに答えた。
葛城博士の研究所が開発したドリルヘッドは今この瞬間も掘削の世界記録を更新し続けている。
長年の努力の結晶とでもいうべきものなのだろう。
「問題はその下の岩盤、ですか。」
「ああ。だがいずれにしても半年以内には突破できる。
来年の春、いや、こちらの秋か。
それまでには君の息子さんにも大空洞を見せてやれそうだよ。
何度か話をしてみたが、本当に頭の切れる子だね。シンジ君は。
そういえば、彼は今ミサトの所で生活しているそうだが?」
「ええ。そういえばシンジがメールで言っていましたわ。
ミサト先生との共同生活、ここ一週間ほど全く不便はありませんって。
博士こそ素晴らしい娘さんをお持ちではありませんか。」
葛城博士は微かに顔を赤らめた。
「ああ…
全く手を掛けられなかったにも関わらず、あの子はよく成長してくれた。
だが…もっと幼いころからミサトに構ってやれば良かった…そう思うことがある。
いや、私はいつも夢を追い求めてばかりだったからな。ミサトも私を恨んでいるに違いないよ。」
「博士、そんなことはありませんよ。」
「いや、自分のことは自分が一番よく分かっている…」
葛城博士は手すりにもたれながら霞んだ地平線に目を凝らした。
粉雪混じりの強風が櫓の上を吹きぬけている。
葛城博士はしばらく考え込んでから静かに言った。
「…ユイさん、君はそんな事を話しに此処まで来た訳ではないだろう?」
「ええ…レイの事です。」
#今日はこのへんで。
角死ねって何回言ったらわかんのよ?きめえんだよ糞が!
おもしろす。期待!!!
角死ね!
>>603 乙
前作もそうだったけど、人称をどんどん変えちゃうのにはなんか意図があるのかな?
a) シンジ視点一人称
b) レイ視点一人称
c) (神視点)三人称
が入り乱れてるよね?
シンジ & レイ が居ない場所(南極とか)の話もする必要がある、ってんなら
c) で統一しちゃえば良くない?そしたら
> 僕は背中を向けていたので、ミサトさんが不思議そうな目でレイをみつめているのを見なかった。
なんて無茶もしなくて済むじゃん?
あるいは視点変化の効果を読み取る読解力が俺に欠けてるだけかもしれんが、
なんかそのへん一考の余地があるように思います。
↑何熱く語ってんの?キモイwww
>>603 乙
>>610 登場人物が心の中で思ったことを書きやすいからだと思う。
三人称を使った場合、そのまま書くと「〜とシンジは思った」を多用することになり、
それを避けようとするとこうなるのではないかと。
この話の場合、
>でも、「カツ」を抜いたら「丼」しか残らないよなあ…
とかいうのを書きたいんだろうから、シーンをしっかり切り替えればa)とc)の混用はあり
だと思う。でもb) はあまり意味がないような気がする。単純に読みにくい。もちろん、
>視点変化の効果を読み取る読解力が俺に欠けてるだけかもしれんが
俺にもその可能性はあるわけだが。
>>610 >>612 前作品においては登場人物二人だけでしたのであまりそのへんは意識せずに済んだのですが…
今回は日本と南極、二つの地点で物語を同時進行させたいため、c)神視点を導入しています。
我ながら無謀、とは感じてはいました。
@シンジとレイ、二人の心理描写には徹底したい。
→この二人は一人称。
A若干、物語が複雑になる可能性が存在する。
→神視点の導入・あくまで傍観的に。登場人物の心理描写はしない。
で、単純思考で@とAをごっちゃにしちゃったワケです。
神視点では、あくまで傍観的に、登場人物の心理描写はしないなどのこだわりを持って描いています。
ただ、ここまで書いてから言うのもなんですが、確かにこれは読みにくいです。
反省しています。
ただ、c)を抜けば、脳内シナリオが破綻してしまいます。
次あたりから早い話、b)レイ視点を使用しない予定です。
これなら少しシナリオを変えれば無理なくストーリーを進行できそうなので。
614 :
610:2006/08/03(木) 19:14:00 ID:???
>>612 >>613 コメントthx。
うん。自覚的にやってることならもちろん作家の随意に。
視点混在へのチャレンジは、ひとつの価値ある挑戦だとは思います。
ただ、実際に多くの小説が三人称ですぐれた心理描写に成功している、
と言う事実は見逃せないと……個人的には……思う。
それから、重箱の隅的に感じられるかもしれないけど、
> 僕は背中を向けていたので、ミサトさんが不思議そうな目でレイをみつめているのを見なかった。
一人称の視点保持者が「見なかった」ことは決して書けない、ってのは重要なルールだと思う。
「なんでそれが描写できるんだよ」なんて思いながら作品に没頭することはできない。
……なんだか自分でも無意味な揚げ足取りのような気がしてきたな。
いずれにせよ、伝えたい物語をよりうまく伝えようという姿勢には多いに共感する。
そんで、つづきwktkで待ってます。
「LRSを!! 一心不乱のLRSを!! 」
角死ね
このニートは自己陶酔型の馬鹿だから、
何を言っても無駄だと思う
毎日毎日、暇なやつだよなぁ
↑こいつがそのニート
最近はアスカの直腸内の天然肥やしで作物を育てています(^^)
下痢便がタップリたまって発酵した頃合を見計らってアスカの肛門に種を挿し込むと、約2時間で発芽し、
アスカの下痢便の栄養と水分をタップリ含んだモヤシが大量にアスカの肛門から光を求めて這い出てきます。
今夜はアスカの腸内で育てたモヤシの冷製スープです(^^)もちろんモヤシは生で食べます(^^)
次はカリフラワーを育てる予定です(^^)肛門からニョキニョキカリフラワーを生やすアスカの姿は想像しただけで勃起します(^^)
越してきてから一週間ほど経ったある晴れた日のこと。
早くもこの学校には慣れてしまったようだ。
むしろ、前の学校より落ち着く。
昼休みで弁当を食べてると、数人の女子生徒が話しかけてきた。
「ね、碇君ってさ、趣味とか教えてくれない?」
「…モグモグ…趣味かぁ…。」
「うん。特技でもいいよ。」
「女の子を口説くコト。」
後ろにいたトウジとケンスケが代わりに返答した。
二人で漫画を回し読みしている。
「ばっ、何言ってんだよっ」
「カワイイ顔してるくせになぁ?オマエの素性は完全にお見通しや。
ミサトセンセと同居しとるだけでは飽きたらんのかぁ?うん?」
「トウジ、後ろに委員長がいるぞ?」と、ケンスケ。
「まあ…ピアノ…かな…?」
「あ、そうなんだ。なら都合がいいわ。
今日の放課後ちょっと音楽室に来てくれない?」と、洞木さん。
トウジの首を絞めている。
「え?」
「丁度、音楽部の演奏会があるのよ。
メンバーがちょっと欠席しちゃってね。
伴奏だけでいいから碇君に弾いて欲しいんだけど。」
突然だけど、まあいいか。
「あ、うん。別にいいよ。
葛城さん、今日は先に帰っておいてくれないかな。買い物は僕がしておくからさ。」
「ええ。」
レイは自分の席で静かに文庫本を読んでいる。
「委員長、トウジがアワ吹いてるよ。」
ケンスケが指摘した。
「あら、ごめんなさい。」
結局、「ちょっと」では演奏会は終わらなかった。
試しに一曲弾いたところ、拍手喝采。
それでもう一曲弾いてくれという流れになってしまい、なかなか解放してくれなかった。
日は既に暮れており、薄暗い通学路をコウモリが飛び交っている。
「女ってのはしつこいもんやなぁ?碇。」
「トウジだってずっと委員長にみとれてただろ?」
すかさずケンスケが指摘する。
「わ…ワイは音楽聴いてただけじゃ!」
「委員長の?」「トウジって顔に出やすいタイプだよね。」
「オマエラ…ええ加減なことを…」
トウジは真っ赤になってしまった。
もう遅いにも関わらずトウジとケンスケはずっと僕が終わるのを待ってくれていた。
もしかしたらトウジは別に理由があったからかもしれないが。
「お、おい碇、あれって葛城じゃないか?」
ケンスケが突然声を上げた。
レイが20mほど離れた暗い公園の片隅にちょこんと立っていた。
ただし、近隣の高校の制服を着た連中三〜四人に囲まれている。
嘲るように笑っているのもいる。
「なあトウジ、普通あれって絡まれてるって言うよな?」「あ…ああ。」
その時、レイが突然突き飛ばされた。そのままアスファルトにどっと倒れこんでしまう。
高校生連中の笑い声が一層大きくなった。
レイは街灯の淡い明かりの下、歯を食いしばって突っ伏している。
「あ、やりおった。」
気がついたら僕は駆け出していた。少し遅れてトウジとケンスケが続く。
本能的にレイを突き飛ばしたリーダー格にタックルをかます。リーダー格は呻きながら地面に転がった。
もがくリーダー格に何度か殴られもしたが、起き上がりざまにそいつの鼻面に頭突きをしてやった。
ぐにゃりという感触がして鼻血が飛んだ。
早くも一丁あがってしまった。
直後に近くにいた腰巾着に腹を思いっきり蹴られた。
衝撃で息が止まるかと思ったが、その腰巾着の顔面にトウジの拳骨がヒットする。
ケンスケはというと、レイを助けに向かったところでもう一人の大柄に殴り倒されてしまった。
と、トウジが唸りながら大柄の背中に飛び蹴りをした。
その勢いで大柄が植え込みに頭から突っ込んで動かなくなった。これで二人だ。
気がつくと、しばらくトウジと殴り合っていた腰巾着はどこかに消えてしまっていた。
結局、三人とも仲良く最低数発は殴られてしまったが、勝ちは勝ちだ。
「碇、オマエ無茶しおるなあ。」
ジャージに付いた砂埃を払いながらトウジが言った。
口の隅に血がついている。
「いや、それほどでもないよ…
トウジもすごいね。」
「伊達に学生稼業やってるワケちゃうからなぁ。」
トウジが満足そうに言った。
学生稼業がであるかは全く不明だ。
顔面がじんじんする。
結構アザとか出来てるんだろうな…ミサトさんにどう言い訳しよう…
ふと、気になった。
「ケンスケ、植え込みで倒れてる奴ってまだ生きてるよね?」
「ご愁傷様…まだ生きてるよ。」
ケンスケが忌々しそうに言った。メガネはどっかに吹っ飛んでいる。
「大丈夫…?」
レイは起き上がっていた。顔をしかめている。
服は泥だらけで腕から血が滴っていた。
突き飛ばされた拍子にガラスか何かで切ったらしい。
「あ、僕なら…全然大丈夫だよ。レイこそ大丈夫?」
「ええ…」
「ヒドイことしおるなあオノレェ…」
腹ばいになって逃げようとしたリーダー格の脇腹にすかさずトウジが蹴りを入れる。
リーダー格はぐえっ、と変な声を出すと再び地面に突っ伏した。
「俺さ、包帯持ってるよ。」
ケンスケが学生カバンから迷彩色の救急箱を取り出すと、慣れた手つきで包帯をレイの手に巻きつける。
痛みに微かに顔をしかめながらレイが言った。
「鈴原君…相田君…ありがとう…」
「ええねん。礼なら碇に言えや。」
「そうだぜ葛城。一番槍の功績は大きいんだ。」
トウジとケンスケが口を揃えて言った。
「ありがとう…シンジ…」
レイが小さく呟くように言った。
「…あ…うん。」なぜか、僕は赤くなってしまった…
「それじゃ帰ろうぜ。仲のよろしいお二人さん。
逃げた奴が仲間呼んでこないうちにさ。」
ケンスケは既に自分のとレイの学生カバンを担ぎ上げている。
「おお。いくで碇、葛城。
それともシンジとレイって呼んだほうがええか?」
トウジがニヤケ顔で言った。
「な…何言ってんだよ…」
「別に構わないわ。」
「おっかえり〜遅かっ…!
ちょ…ちょ…ちょっとアンタ達、どうしたっていうの!?」
顔面アザだらけ全身キズだらけの教え子が三人も転がり込んできたのをみて、流石のミサトさんも腰を抜かしたようだ。
思わず持っていたビール取り落としてしまった。
「ただいま…」
「レイも…その手…一体…何があったのォ!?」
口をあんぐり開けながらミサトさんが言った。
「いけ好かん不良連中しばいたったんですよ。」
自慢するようにトウジが言った。
「ミサト先生、すごい部屋が散らかってますね。」
すかさずビデオカメラで録画を始めながらケンスケが言った。
「ミサトさん…ごめんなさい…」
うなだれながら僕が言った。
「私が高校生達に取り囲まれてたら…
鈴原君と相田君とシンジが助けてくれたの…」
レイが一番分かりやすい答えを述べた。
「そう…言いたいことは分かったわ。」
しばらく黙っていたミサトさんが口を開いた。
一同、緊張する。
「アンタ達ね…本当によくやったわ!」
「怒らないん…ですか…?」
おずおずと僕が訊いた。
「あったりまえじゃん!
レイを取り囲んで怪我させるような連中、生かしておくのも間違いよ!」
「ほっらみい碇、ミサトセンセはちゃんと分かってくれとる!」「まだ殴り足りないってことですよね!」
「その通り!
相田君に鈴原君にシンジ君、こっち来なさい。手当てしてあげるわ。」
トウジもケンスケも本当に幸せそうな表情をしている。
ひょっとしてこいつらはこのためにここまで来たのかもしれない。
手当てが終わった後は三人とも絆創膏だらけになってしまった。
トウジはまるでガキ大将だ。
トウジもケンスケも本当に幸せそうな表情をしている。
ひょっとしてこいつらはこのためにここまで来たのかもしれない。
手当てが終わった後は三人とも絆創膏だらけになってしまった。
トウジはまるでガキ大将だ。
「アンタ達、変に貫禄出てきたわねェ。
あ、私からご両親には事情を説明しておくわ。
だから、ついでに夕飯食べていかない?」
「ミサトセンセの手料理…」「願ったり適ったり…」「えっ…」
二人とも、かなり興奮しているようだが…それは危険だと思う…
「いえ、シンジ君のよ。私はレイを病院に連れてくから。
そんな顔しないでさぁ〜、シンジ君の手料理ってホントに美味しいのよ?
じゃ、行きましょ、レイ。」
「はい。」
翌朝。四人揃って教室に入ったところ、急に騒がしくなった。
「ちょっ…鈴原、アンタどうしたのその顔!」
え…?碇君に相田君、葛城さんまで…」
委員長は絶句した。
「ちょっと…な。」
トウジは落ち着いた様子で学生カバンをどすんと机に置いた。
確かに変な貫禄がある。
「葛城、説明してやれよ。」と、ケンスケ。
「私が高校生達に取り囲まれてたら、鈴原君と相田君とシンジが助けてくれたの。」
なんだか今日は一日、変な視線に晒された。
#今日はこのへんで。
角死ね
>>角氏
おつです。
ニート、さっさと働け
仕事探せ
早く続き
事情により明日明後日の投稿は無理っぽいです。
数日後にまとめて投稿します。
いえいえ、毎度乙であります。
御無理の無きように、御自分のペースで投稿してくださいな。
自演乙
さっさと職安逝けよ
無理せず続けて下さい、角さん
楽しみにしてます
>>633 つ鏡
みつめなきゃ げんじつを ニートなんだもの
320
角ニートMAX
ヤツの投稿時間を見るとニート説も頷ける。
角死ね
角キモイ死ね!
角キショイネタ書くなキモイんだよ!
角…
死ねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
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( ヽ
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λ / / \ .\. ( ヽ ________
( ヽ | (゚) (゚) | .( ) /
( ) | )●( .| (____) < もぐレイ大好き
(____) \ ▽ ノ / つ \
ヽ__ \. \__∪ / ./ 丿  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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λ  ̄| | ̄ ̄ λ
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/⌒ヽ二二( ^ω^)二⊃ ⊂二二二( ^ω^)二⊃
⊂二二二( ^ω^)二⊃ / /⌒ヽ ブーン
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( ヽノ⊂二二二( ^ω^)二⊃ | / >ノ ⊂二二二( ^ω^)二⊃
ノ>ノ ブーン | / /⌒ヽ( ヽノレレ ブーン | /
三 レレ /⌒ヽ 二二( ^ω^)二⊃ ブーン ( ヽノ
/⌒ヽ二二( ^ω^)二⊃| / レレ /⌒ヽ ブーン>ノ
m9 ^ω^ )二⊃ / /⌒ヽノ ⊂二二二( ^ω^)二⊃レ
| / (⊂二二二( ^ω^)二⊃ /⌒ヽ /
( ヽノ 三 ノ/⌒ヽ | ⊂二二二( ^ω^)二⊃
ノ>⊂二二二( ^ω^)二⊃ ノ | /ノ>ノブーン
三 レレ | / ノ>ノ 三 (
_,,t-‐‐-、,-‐‐-、
三'::::::............... .....::::::`y,.
ナ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ
| ̄| V::::::::::::::::_{{ ({∫∬ノノjヾ:::::{
| ̄| | ̄| ナ::::::::::::::i`__,,,,,,,ァ_ _,,,,,_ t;;:ヌ そうだよエヴァオタだよ
| | | | イヘ::::::(ヾ~!,ャt、 !'''i ィtン )=f }f エヴァオタで悪いかよ
| | | | i {t)テ" ヘ' '___,イ ヽ_/ 介'
| | | | _,rヘ_,j|!' /ー--''! |'
|,.ィ―'''' ̄ /| | /二ク !
/;;:::'';;::''::;;:/ { ! 、 ヾニン ノ\
/'''::::;r|''':::;;;| | ! \ _,,./|::;;'''\
/:;;/ |;;;''::;;| 丶\ `__>-ー´ !;;;:'''::iヽ、
i/ |'::;;;;''|
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( ヽ | (゚) (゚) | .( ) /
( ) | )●( .| (____) < もぐレイ大好き
(____) \ ▽ ノ / つ \
ヽ__ \. \__∪ / ./ 丿  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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( ヽ . | | ( ヽ
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| |\___人____/| |
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/_ノ ヽ、\
o゚(●)) ((●)゚o
, -‐ (_). /::::::⌒(__人__)⌒:::::\ あまり私を怒らせないほうがいいおwwwwwwwwwwwww
l_j_j_j と) | \r┬ヽ |
\ `ー'ォ /
_、_
(;^ω^) ちょwwくんな、こっちくんなよwww
ノ \ o \o
( ヽ ノ_ bヽd_ノ __
ノ>ノ (^ω^ ) `〜 おっおっ
レレ (( U U ̄UU ))
お?ニコニコ
∧_∧
( ^ω^) キキーッ!
O┬O )
◎┴し'-◎ ≡
_,,..,,,,_
./ ,' 3 `ヽーっ
l ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"
∧_∧
( ) ニコニコ〜♪
(_ <ъ 、
,,0宀0~ ゙ 、`:
._,,..,,,,_..,,:''' ,,:' i i
. , - =;=:=.=/=,';$=#;:;#っ;;::-'´ , '´
/´ -;==:=.l=:= ⊃#,:'#''_つ;;::-'~
i /´ `'ー-〃`〃"
.; ヾ ノ'' ,:''
ヾ `"~""''" /
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∩( ・ω・)∩ ばんじゃーい
∩( ・ω・)∩ ばんじゃーい
∩( ・ω・)∩ ばんじゃーい
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( ゚д゚)ウラメシ・・・
l U U
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( ゚д゚ ) ヤ!!
U 9m
)ノ
下校時間――
「碇、早くーっ」
帰る用意をすませたケンスケが教室の出入口で廊下の方をチラチラ気にしながらシンジを待っていた。
今日は掃除当番の日だけど“本日限定プラモデル。1人1個まで”を買うために早く帰りたいのだ。
遊び用と保存用に二つほしいからって僕も付き合わされる事になっている。
ケンスケ、こーゆう事には目の色が変わるんだよなぁ。
委員長は職員室に呼び出されていて、教室にはいない。教室を抜け出すには今がチャンスだ!
「待ってよ、ケンスケっ」
夢中で走る事、やっと校庭の外に出た。
途中、先生に「廊下では静かに」って注意された気がしたけど。
「ハァハァ。良かった、無事に抜け出せたね。でも早く行かないと。」
??
後ろを振り返ると、ケンスケが余裕な表情でシンジの後ろを歩いていた。
「ここまで来れば大丈夫さ。それにプラモデルはちゃんと二人分、予約してあるからね。」
「えっ。そうなの?」
呆れた。ただ掃除をさぼりたかっただけなのか…。
―――ピトッ
グランド脇を歩いていたら腕に水が落ちてきた。ふと周りを見回す。視線の先には――
「綾波だ」
プールに綾波の姿があった。水をまいて、どうやら掃除中のようだ。
ホースの先から出る水が、太陽の光と交差して小さな虹ができている。幻想的な光景だけど、シンジの目には虹よりも綾波の青い髪の方がキラキラして眩しく光って見えた。
「そんなに見てるなら声かけたらいいのに」
「えっ!?」
急に声をかけられたので、少し声がうらがえってしまうった。
「渚……カヲルだ」
プールの方に視線を戻すと、カヲル君が綾波に何か話し掛けていた。
「そっか、カヲル君も当番なんだ」
………ん?
「なんか親密そうだな。」
あっ、近い!!
近寄りすぎだよカヲル君!ほらね綾波後ろ向いちゃった。
「あっ」
カヲルが綾波の手からホースを奪い取るような形になった次の瞬間、ホースが自由になって暴れだした。
慌ててホースを押さえる二人の姿がここからは見えるけど、何を話してるのかはわからない。
「あーぁ。綾波びしょ濡れだ。…なぁシンジ、こうしてもたもたしてたらアイツに追い越されちゃうかもよ?」
「僕は別に…」
「そんな事ばっかり言って、綾波が手の届かないとこに行ってもいいのかぁ?アイツだって、綾波の濡れて透けた制服みて、きっとその気になってるはずだっ!」
息を切らしながら何言ってるんだよ、ケンスケ。カヲル君と自分の考えを同じにしたらダメだよ。
でも…それにしても綾波の顔さっきとは違う気がする。水びたしなのになんだか楽しそうに見える。
あっ、綾波……
――翌日――
「よぅ、碇!」
「あっおはよう」
「昨日の作戦、覚えてるか?」
「えと、女の子との距離を縮めるには…相手を誉める事と、共通の話題を見つける事だったよね」
「完璧だな、碇なら大丈夫さ。昨日教えた通りにやるんだぞ!じゃ俺は図書室に寄るから。」
「あっ、ちょっと待ってよ。」
昨日の話をまとめると、女子は誉められるのが弱いからとにかく誉めて好感をもたせる。そんなの簡単だから僕にだって出来そうだ。でも、相手は綾波だもんな。なんかだんだん不安になってきた………。
「そこ、通してくれる?」
わぁぁぁぁぁぁ
「あっ、綾波!!」
「……」
しまった!綾波の顔が険しくなった。きっと変なリアクションしちゃったから不信がってるんだ!
「お、おはよう」
慌てて無理矢理に不自然な笑顔をつくった。そして教室まで並んで歩く。
さっきはイメージ悪い事しちゃったかな。名誉挽回しないと。あぁ、でも恥ずかしい、どうしよう。
……がんばれっ碇シンジ男だろ!
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。」
「さっきから何を言ってるの?」
ハッ。な、何か話さないと!
「あ、あのさ綾波!えと…今日は、いい天気だよね」
綾波が少し不思議そうな顔をして、確認するように窓を見た。
「そうね、碇くんも雨が好きなのね。」
しまった。今日は雨……
放置されてんな
可哀想だから感想を書いてやろう
糞
よかったな
何処をどう見たら放置されていると認識できるんだと(r
>>656-660 乙。「碇くんも」に期待大。
つづきヨロ。
>>661 まぁスレタイでも読んで落ち着け。
そんなにクロック早いのは藻前だけさ。
(;^ω^)おっおっおっ
(;^ω^)でるおっ
ヽ:: / o
O )/ ドピュ!
__,ハ__゚
/ Y \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
`=============’
i |
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| ノ ( :|
| ⌒ |
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| |
666 :
蚊:2006/08/07(月) 04:42:32 ID:???
特務機関ネルフ。
そのゲートを出た一人の少女。青いショートヘアーで目の色は不思議な事に赤だ。
肌は真っ白で、とにかく美しい。
彼女は綾波レイ。エヴァンゲリオン零号機のパイロットだ。
レイが帰宅中に気の弱そうな、そしてどこか優しそうな少年が「綾波!一緒に帰ろうよ。」と無邪気に話し掛けて来た。
彼はエヴァンゲリオン初号機のパイロットの碇シンジ。
レイは無邪気で優しいこの少年に好意を寄せていた。
レイは好きな男の子と一緒に歩いている。
頬を染めて、ボーッとしていた。
「綾波…一緒にご飯食べない?」
何とシンジの方からお誘いがかかった!
だが、後ろから茶髪で長い髪の美少女が不自然なほどおしりをフリフリしながら近づいてきた。
性格以外は最高のこの女の子は惣流・アスカ・ラングレー
レイにデレデレしているシンジの方を急接近していた、アスカが引掴んで思い切り引っ張った。
「バカシンジ!」その直後
「うわっ!!」
と言ってシンジはアスファルトに頭を打ち付けた。
アスカとレイはシンジが一向に立ち上がったり、痛がったりする代わりに後頭部から血が大量に流れている事に気付いた。
667 :
蚊:2006/08/07(月) 05:06:26 ID:???
しかもシンジは目を開けない。アスカがしゃがんで、揺する。
「ファースト!あなたは救急車呼んで!」
「分かったわ。」青い髪を揺らしながら電話を探しに走るレイ。
ドサッ
アスカは視線を上げた。誰かが大量に束ねた書類を落としている。
そこには今は一番最悪な人がいた。
「シンジ!どうした!?」
サングラス、髭、手袋。
シンジの父親であり、ネルフの総司令、碇ゲンドウ。
「セカンド!何があった!?」
司令が混乱して訳の判らない事を喋っている。「赤木リツコが爆発!」とか、「冬月は使徒だ!」とか本当に訳が判らない。この状態で何を言えばいいのかアスカには判らない。そこへ、丁度息を切らしたレイが到着した。
「救急車呼んだわよ。あと十分位で来るわ。」
相変わらずゲンドウは、「エヴァに地盤をぶつけろ!」とか「実は私が使徒のボス!」だ。
救急車が目の前に止まり、白衣を来た医者か救急隊員がシンジを担架に乗せて車の中にいれる。
もう三人目の隊員がレイに尋ねる。
「綾波さん?さっきの通報の。」
ハキハキと質問する隊員は少し足踏みし焦っているようだ。
「はい。綾波レイです。同伴はそこの惣流・アスカ・ラングレーさんと、碇ゲンドウさん。」
レイも負けずに素早く適格に答えた。
668 :
蚊:2006/08/07(月) 05:35:06 ID:???
ゲンドウとアスカは救急車に乗り込んでいた。
隊員に事故当時の説明をアスカがしていた。
アスカはゲンドウが呆れた顔をしてるのも、シンジの寂しい顔にも堪えれなくなり、「私のせいでシンジは…」ばかり繰返し呟いていた。
五分後
ゲンドウが立ち上がり、アスカの肩をポンと叩く。
「大丈夫だ、シンジは、あぁ見えて結構強いからな。」
アスカはゲンドウが少し笑った気がした。
「司令…ごめんなさい…。シンジ…ごめんね…。」
アスカは涙ぐんで呟いた。
その後に、「第三新東京都市立大学附属病院」に運び込まれ、一日がたった。
ゲンドウは仕事に戻ったので、
診察結果を聞きにアスカは医者の部屋へ向かう。
「シンジ君の後頭部の血管が切れていました。止血縫合を施すと完全に止まりましたので、一週間程安静にしてればすぐに治ります。意識がなくったのはショックです。後遺症は…まぁ、まず考えられません。意識が戻ったら室内にある、お知らせボタンを押して下さい。では…」
669 :
蚊:2006/08/07(月) 05:50:48 ID:???
アスカは気が楽になり、スキップしながらシンジの部屋のドアまで辿り着いた。
中から話声が聞こえるので、好奇心で盗み聞きしてしまった。
「ねぇ、シンジ…本当に自分で転んだんでしょうね。」
シンジのお母さんの…碇ユイさんの声だわ。
「母さん…。疑わないで!
アスカの事好きじゃなくて愛してるんだよ!僕は本気だよ!」頼りない細い声、無邪気な声、優しい声、シンジの声だわ!
ガララララ
「シンジ!!」そう叫びながらシンジに近づいて、抱き締めた。「アスカ…!」
シンジもアスカに手を回し、ギュッと抱き締めた。
ゲンドウもいつの間にか出現しゲンドウとユイは並んで椅子に座り、夫婦で将来の夫婦をユイはニコニコ…ゲンドウは少し暖かく…見守っていた。
>>666-669 です。名前の欄に手違いがありました。
御詫びといっちゃあ何ですが、短編を書いて置きます。叩くのは結構ですが、理由の箇所をつけて下さい。
ネルフ第一発令所にて
「赤木君、少し来たまえ、」
グラサンと手袋に髭を装備したオジサンが、自分の席に結構若い女博士を呼び出した。
「はい、今行きます。」
タッタッタッ。
初めて碇司令の机の裏見たわ…。ユイさんの写真だらけ……。
「ところで、今日の夜は予定…
博士が言葉を遮った。「合コンは無理です。」
「…ゼーレの会議なんだが…?」
赤木博士は顔を真っ赤にして「………分かりましたぁ!」と言ってどこかに行ってしまった。
>>670乙
・問題点@
>叩くのは結構ですが、理由の箇所をつけて下さい。
こういうのを書くと更に叩かれるであろう事がなぜ分からんのだ。
そこまで低脳中学生に批判されたいか?
読者>>>>>作者、という立場をわきまえろ。
・問題点A
>>666-669 改行くらいしておいた方がいい。
・問題点B
>>668 >「第三新東京都市立大学附属病院」
なんか、いろいろ変だよw
・問題点C
全体として読みにくい部分が多すぎる。違和感ありまくり。
自分で読んでて気づかないか?
・問題点D
どこがLRSなんだよ。即死しろ。
673 :
671:2006/08/07(月) 08:59:47 ID:???
>>670 ・問題点E
コテ叩きってワケじゃないんだ。ちょっと聞いてくれ。
名前欄のさ、「疾風の名無し名人」 ってのがあるじゃん。
普通、名前欄ってのは出来るだけ厨房を刺激しないような安全な名前にするものでしょ?
第一、「名人」ってのもなあ〜
君が職人志望なのは分かる。でも自分から名乗るのもなあwww
余程、君が自分の文章に自信があるのなら別だけど。
こんなこといっちゃ駄目かもしれないけれど…君の文章はあまり上手くない。
問題点@〜C、Eより。
改善点は多いと思う。
でも、真の職人というのは批判されようが罵倒されようが、意地でも投稿を続行するものなんだわ。
だから君もこのスレに足跡を記した以上は、責任もって書き込み続けるべきだ。逃げるなら今だぞ。
674 :
671:2006/08/07(月) 09:06:30 ID:???
まあ、俺はSS書いたことないけど。
言いたい放題スマンかった。
角の煽りに対するスルーっぷりを見習ってくれという事だ。もはや彼はスルー職人といえる…
>>670 乙。 これで終わってるという前提で。
・問題点 7
嫌がらせなら嫌がらせで、
身悶えする程のLRS展開が身震いする程の大どんでん返しで地獄のようなLASオチ、ってネタを
きっちり書いてよ。
大事な「どんでん」がなんでこうまで手抜きの中途半端?
> アスカは気が楽になり、スキップしながらシンジの部屋のドアまで辿り着いた。
そんな脳味噌軽いヤツおらんやろ。お前が怪我させた事実はミジンコほども変わってないぞ、とか。
> 「ねぇ、シンジ…本当に自分で転んだんでしょうね。」
> シンジのお母さんの…碇ユイさんの声だわ。
> 「母さん…。疑わないで!
> アスカの事好きじゃなくて愛してるんだよ!僕は本気だよ!」頼りない細い声、無邪気な声、優しい声、シンジの声だわ!
シンジ、それじゃ話の展開が異空間だよ。
好意的にとっても「アスカがやりました」って言ってるようなもんじゃん、とか。
・問題点 1) 補足
>叩くのは結構ですが、理由の箇所をつけて下さい。
具体的箇所まで指摘してもらって、それを叩き呼ばわりする気かよ。
そういうのは批判とか批評とか言うんだ。
・問題点 7) の問題点
そんなことができる能力があればLASスレで神になってんじゃねぇの?
677 :
じんひろ:2006/08/07(月) 10:48:51 ID:???
俺はこんじや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここでは嫌がらせSS投下だとか、非現実スレでは聞いてもないのに「LASは現実」とかいうレスがばっかだし、なんでそんな自己主張激しいの?
頼むから自スレでやってよアスカ
釣りだろ
ところで
>>670 は LAS投下スレの疾風(ry と同じ人?
……下手さの種類がちょっと違う気もするから、ダシにされて劣化コピーされただけなのかな……。
いや、むこうで褒めてもらえなくて、泣きながらこれ書いたのかなってちょっと想像しちゃった。
勘違いならご無礼御容赦を(もちろんあっちの「疾」氏 に)。
そうでなければ、まぁ、元気だせよ。
必死に解説するところがキモチワルイヨー
今日は朝から雨が降り続いている。
湿気も多いし、なんだか嫌な天気だ。
「あ、ミサトさん、コレお弁当です。」
朝、僕はミサトさんに手作りの弁当を手渡した。
最近は、三人の弁当を作るのは僕の日課になっている。それに、中々好評である。
「今日もありがとうね…シンジ君…」
「ええ、どういたしまして。」
今日は朝からミサトさんは暗い。
まあ、理由は分かりきっているが。
「ごめんなさいね…私のせいで…」と、ミサトさんが弱弱しく呟いた。
それに、決して二日酔いの影響ではない。
「いいんですよ。もう。三日我慢すれば済むんですから。
それじゃ気をつけていってらっしゃい。」
「ええ…いってきます…」
ミサトさんは肩を落としながら家を出た。
事の顛末はこうだ。
不良に絡まれていたレイを僕らが助けた翌日の放課後のこと。
なんと、僕がやっつけたリーダー格の両親が学校まで怒鳴り込んできたのだ。
彼らは大体、次のようなことを主張したらしい。
子供が夜の公園で乱暴な中学生の集団に襲われた。
確かにこちら側にも「わずかながら」過失はあるが、自分達の子供は現に怪我をしている。どうしてくれる。
彼らは病院の診断書(顔面の打撲・鼻骨折・その他)とやらをひらつかせて、学校側に謝罪と関係者の処分を求めた。
応じなければ弁護士に相談するという。
そして、対応した校長先生はその場で関係者の処分を約束してしまったのだ。
リーダー格の両親に対して、学校として謝罪までしたらしい。
その両親は嫌味を撒き散らしながら帰ってしまったそうだ。
その直後の職員室の喧騒といったら…
僕が直接見ていた訳ではないが詳細は委員長が教えてくれた。
ドアの隙間からこっそり見ていたらしい。
「なんですってェ!
アンタ!冗談も休み休み言いなさいッ!」
放課後の職員室にミサトさんの怒声が響く。
怒り狂ったミサトさんが凄まじい剣幕で校長に詰め寄った。
「葛城先生、抑えて抑えて!」
同僚の教師達がミサトさんを必死でなだめる。
このまま放っておくとどうなるかは明白だ…
「…葛城君…本当に残念だが…今言った通り…」
と、校長先生が額の汗を拭きながら言った。
「ふざけんじゃないわよッ!
こっちの言い分はどうなのよッ!こっちの言い分はッ!」
「学校としては…これ以上事態を複雑にするわけには…だから…」
「…レイだって…もう少し傷が深ければ…縫うとこだったのよ…」
ミサトさんの声が急に低くなった。
怒りのボルテージが急激に上がってゆく…
その後の校長のコメント…
「向こうの言う通り…こちらにも…過失が…」
「女のコを…三人がかりで…恐喝するような…連中の…言うことを…ねェ…」
ここで、危険信号を察知した加持先生が慌ててミサトさんを抑えにかかったのだが…
「へいへい素直に聞くのかッ!アンタわあッ!!」
校長の顔面にミサトさんの拳骨が炸裂した。
かくして、碇シンジ・鈴原トウジ・相田ケンスケ、以上三名の自宅謹慎三日間が決定した。
謹慎三日といっても、日曜が間にあるから実質的には四日だ。
四日も家で何しよう…ペンペンの相手でもするのかな…
そういえば、もう8時10分過ぎだ。
レイもそろそろ行かなくてはならないだろう。
が、彼女は学生服に着替えてすらいない。
「レイ、これお弁当。
もういかなきゃ遅れるよ?」
「いらないわ。」
レイがきっぱりと言った。
「えっ?」
「私、今日は学校に行かないもの。」
予想外の言葉に僕は驚いた。
ミサトさんによると、レイは去年一年間、無遅刻無欠席だったそうだ。
「な、なんでだよ。」
「助けてもらったのに…
私だけが行くわけにはいかないわ。」
ああ、そういうことか。
つまりレイは謹慎中の僕たちを気遣ってくれていたのだ。
「そんな…僕たちのことなんか、気にしてくれなくてもいいよ?」
うおっまぶしっ
「いいの。私は行かない。」
「よ、よくないよ!
それに君は何も悪いことをしてないじゃないか。
さあ、早く行きなって。」
レイはしばらく黙って考え込んでいたが、突然立ち上がって台所まで歩いていった。。
冷蔵庫を開けてミサトさんの缶ビールを一本取り出すと、その中身をジョッキに注いでゆく。
「レイ、な、何してるの…?」
レイは無言で冷えたビールを飲みだした。
「え…えええ!?」と僕は素っ頓狂な声をだしてしまった。
が、レイは全く気にとめずにそのまま飲み干してゆく。
完全に空になったジョッキがごつん、と机に置かれた。
底に僅かに泡が残っているだけだ。
そして呆然と立ちすくんでいる僕には目もくれず、携帯電話を取り出すと学校に電話をかけ始めた。
「2-Aの葛城レイと申します…生活指導の加持リョウジ先生はいらっしゃいますか?」
しばらくして加持先生が電話に出たようだ。
『やあ、葛城の妹さんだね?俺に何か用かい?』
受話器の向こうから快活そうな声が聞こえてくる。
「私を謹慎処分にしていただけませんか?」
『いきなり面白い事をいうなあ君は…ハハハ…
だが、何もしてないのに君を謹慎には出来ないよ?
例の件は俺も本当に残念だと思っているが…』
「たった今、お酒を飲んだの。中学生の飲酒だから私は謹慎処分ね。
葛城先生にも…ゲプッ…連絡しておいて下さい。さよなら。」
『お…おい…ちょっと待…』
レイは電話を切ると静かに言った。「これでいいわね。」
僕は完全に気圧されてしまった。
人は見かけによらないとはまさにこのことだ。
「で…で…でも…僕も君も家でじっとしていなきゃ駄目なのに…
それに…やることもないよ…?
家で何するつもりなの?」
レイは何も言わなかった。
やはり、そこまで考えていなかったのか。
#今日はこのへんで。
#でもあとで、また投稿するかも…
自分の都合が悪くなるレスはスルーか…
まさに外道だな
確実に上手くなってるww
>>695 いや、角さん、批評と呼べるものにはちゃんとレスを返してると思うし、ただの叩きや煽りをスルーすんのは基本。いちいち煽りを相手してたらグダグダになるからな。
なので
>>675の言うスルー職人ってのは褒め言葉だろ。
というか、これは俺もだが
>>692みたいのはスルー推奨
>>691 乙
レイにゲップをさせたのはLRS史上あんたが初めてだ多分w
疾風の名無し名人て前LASスレでエロ小説書いてなかった?
全然スルーできてませんね馬鹿w
角は自分の都合の悪いレスはシカトですか?
答えろやハゲ!
てめえみてえなやつはくたばれやボケ!
>>696 > レイにゲップをさせたのはLRS史上あんたが初めてだ多分w
more love, more happy ;v.Rei
なんてのが……
うんこMAX
701 :
695:2006/08/07(月) 20:45:35 ID:???
>>696 いや、マジで判断に困ったんだわ。別の文脈があったからさ。
なんかちゃんと言いたいことがある人なんじゃないかとか思っちゃって。
うん、もう困ってないけど。
==============冂=========冂=========冂===============
ノ ̄ ̄ ̄.ノ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|
ノ Z ノ 武 .ノ 食 | 堂 |
-─-─-' '-─-─'└─-─└-─―-┘
┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
らっしゃいなのさ〜 | | | | | た | .| | | | | | .| |
| コ | | 手 | .| だ | .| 毒 | | 乙 | | カ | .| フ .|
| ロ | | 羽 | | じ | .| | | カ | | タ | . | グ .|
,-―――-. | コ | | 先 | .| ゃ | | 丼 | | レ | | ワ | | 刺 .|
/ | . | ロ | | | .| ス | | | | |.| | き | | し .|
l"Z武食堂 l. | ッ | | | | ル | | | | .| | そ | | |
lー――――l. | ケ | | .| |
Z武が武藤敬司に勝利
○Z武−武藤× (56秒 コロコロダイブ)
ドラゴンスクリューもシャイニングウイザードも効かないZ武に手も足も出ない武藤。
奥の手の毒霧も眼鏡をかけたZ武には効果ナシ。
対するZ武は悪徳レフェリー西田敏行の手助けを借りて序盤から一方的に攻め立てる。
最後はトップロープからのコロコロダイブ→超高速3カウントで完勝。
試合後武藤は「試合前の握手を拒否され、さらに試合中ずっと
『ちょっとまって、おいらを攻撃するの?ただじゃすまないよ』と言われ完全に足元をすくわれた。
腕を磨いてまた手合わせ願いたい」と語った。
Z武は「スポーツマンシップが、次のリーダーシップだ。」と言い残し足早に会場を後にした。
初めて投稿するです。よろしくです。
空。どこまでも青い、どこまでも澄んだ空。
――それはきっと、一点の曇りも、少しの迷いもない私のココロ。
雲。白い、綿のような柔らかい雲。
――それはきっと、あの人に向けた私の想い。あの人を、包み込むように。
白と青の向こうから射す、まぶしい光。太陽。
――それは、ヒトが恐れた暗闇を削り取るモノ。
私は、私のことがよくわからない。
私の心の奥底に、わら人形のようにぽっかりと穴の開いた部分があるから。
その暗闇が、怖かった。だから、それを埋めようとした。
前は、碇司令を想うことで。
でも、碇司令では埋められなかったのだと思う。
いつからか、碇司令のことを想っても、虚ろな不安が癒されることはなくなってしまった。
なのに今、日の光の暖かさが私の暗闇を溶かしていく。空っぽな私のココロを、満たしていく。
まるで――あの人みたいに。
気がつけば、両手をいっぱいに太陽に伸ばしていた。
その光の暖かさに、私のココロに水を差してくれたあの人を重ね合わせていたのかもしれない。
でも、いくら腕を伸ばして求めても、遥か空のてっぺんにある太陽には届かない。
私のココロも――あの人に届かないまま終わるのだろう。
最後のこんな瞬間に気づくなんて。
碇君。
私、もっと、あなたと――
太陽の輝きがひときわ強くなる。世界が光に満ちていく。
それを最後に、彼女の思考は四散した。
ごめん、今夜はここまで。
>>707 乙。
次からもうちょっと書き溜めて投下してくれるとうれしい。
この分量だと、お話もなにも見えないから。
==============冂=========冂=========冂===============
ノ ̄ ̄ ̄.ノ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|
ノ Z ノ 武 .ノ 食 | 堂 |
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┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
らっしゃいなのさ〜 | | | | | た | .| | | | | | .| |
| コ | | 手 | .| だ | .| 毒 | | 乙 | | カ | .| フ .|
| ロ | | 羽 | | じ | .| | | カ | | タ | . | グ .|
,-―――-. | コ | | 先 | .| ゃ | | 丼 | | レ | | ワ | | 刺 .|
/ | . | ロ | | | .| ス | | | | |.| | き | | し .|
l"Z武食堂 l. | ッ | | | | ル | | | | .| | そ | | |
lー――――l. | ケ | | .| |
ところで、ここに書いたやつを何処かのLRSサイトに寄稿するってのは、
やってもいいの?
もともとは投稿を目論んで書いた話なんだけど、あることで悩んでいて
途中で行き詰ってしまってて、とりあえず出来てる分だけ見てもらって、
皆さんの判断を仰ごうと思ってるんですが。
わからんが、俺は別にいいと思う。
これはあくまで一意見な
レイは食卓についたまま俯いているし、僕も似たような状況だ。
互いに話す事もなくて、時間だけが過ぎてゆく。こんなのがあと四日も続くのかな…
しばらくしてレイが立ち上がったが、足下がふらついてかなり危なっかしい。
テーブルに手をついて、身体を安定させている。
「だ、大丈夫…?」
「え…ええ…」
突然、何かに躓いたのか転びそうになる。
「危ないっ」
慌てて立ち上がってレイを受け止めた。
レイは完全に僕にもたれかかっている。まともに立ってさえいられないようだ。
「ごめんなさい…私、お酒に弱いの…」
本当に申し訳なさそうにレイが言った。
そういえば、顔がほのかなピンク色にに染まっている。
それくらいならやめときゃよかったのに…
第一、この状態はちょっと困る…僕も一応男なんだよ…え…?
「ちょ…ちょっと…こんなとこで寝ちゃ駄目だよ…レイ…?」
「…」
レイはもう眠りかけだ。自分の足で立とうともしていない。
仕方なく、力づくで僕のベッドまで引きずっていく。
彼女はベッドに横たわるが早いか、安らかな寝息を立てはじめた。
やれやれ。もう完全に酔っ払いだな…
ミサトさんと何年も同居していると、人間、随分と変わるものらしい。
少なくとも、今のレイはミサトさんが言うような「機械みたいな」女の子ではない。
めでたく謹慎仲間となったレイ。
彼女の無防備そうな寝顔を、そっと横目にみながら僕はそう思った。
正午前、インターホンが鳴った。
僕がドアを開けると…
「オッス、元気か碇!」「おじゃまするで!」
なんと、トウジとケンスケが訪ねてきた。
二人とも謹慎処分を痛いとも感じていないらしい。
トウジ曰く、「謹慎なんて学生の勲章や!」
ケンスケ曰く、「こんなの春休みの延長だって!」
ただ、気になることがある。
「でもさ、『自宅』謹慎だったはずじゃない?外出てきちゃっていいの?」
「ええねんええねん。担任の家で謹慎するんやから問題ないやろ。」
確かにそうだ。
でも、彼らにとっては、これは謹慎になってないと思うけれど…
とにかく、彼らは勝手に上がりこんできた。
ケンスケのリュックがやたら大きいけど、何が入ってるんだろ…
想像する事に難くは無いが…
「お、おい碇、なんで葛城が寝てるんだよ?」
ケンスケは僕の部屋を開けて驚いたらしい。
レイはすうすうと柔らかな寝息をたてている。
「それが…実は…」
僕は事情を説明すると、二人は驚きのあまり口をあんぐり開けてしまった。
「明日は雪やな…」と、トウジがぽつりと言った。
ケンスケなど、言葉も無いようだ。
「そ、そこまで驚くことは…?」
「碇。あの葛城が、だぞ?」「よりにもよって謹慎、やで?」
二人とも、ただごとではない、という顔をしている。
「でも…僕が来る前から、君達はレイを知ってたんじゃないの?」
「ああ、葛城が小学生の頃からな。」ケンスケが答えた。
「無口な奴だったよなあ、トウジ。」
「ああ。いっつも本ばっかし読んどったな。
で…アレがあったんは…ワシが小学六年のころやったっけな…」
トウジが懐かしい事を思い出すように言った。
「そうそう、小六のちょうど今ごろだったよな…ひどかったよなあ…」
ケンスケが相槌を打つ。
「ふ、二人とも、なんの話してるの?」
「なあ、センセ。よう聞けよ。」
トウジが初めて真剣そうな表情をみせた。
「あ、うん。」
「葛城はあのころイジメられとったんや。」「それは、ひどく、ね。」
二人の記憶によると、始めは些細なものだったらしい。
誰かが「葛城の泣き顔を見てやろう。」と言い出したのだ。
いつも教室の隅でじっとしていた葛城レイ。
何にも興味を示すことが無い葛城レイ。
そして、誰も友達がいない葛城レイ。
葛城レイという少女は、いじめられっ子の条件を完全に満たしていた。
始めは授業中に消しカスを投げる程度。
消しカスは次第に大きくなり、紙屑や折れた鉛筆に変わった。
が、レイは当たってもみじろぎひとつしなかった。
次に靴を隠された。
レイは夕暮れ時まで下駄箱の前で立ちつづけていた。
用務員さんが落書きされ、泥だらけになった靴をみつけた。
レイはその靴を履いて帰った。
椅子に画鋲を仕掛けられた時…
その時に限ってレイの椅子に座って雑談しようとしたトウジが犠牲になった。
誰かに足を引っ掛けられた事もあった。
その場で派手に転んで、机が引っくり返る音が静かな教室に響いた。
レイは身体に異常が無いことを確認すると、何も無かったかのようにその場を立ち去った。
嫌がらせにも全く動揺しないレイに対して、苛立ちと、奇妙な好奇心が募っていった。
それにイジメっ子には、レイは決して誰にも告げ口をしない、という安全の保証があった。
どこまでやったら泣くんだろう。
そして、四月も終わりのある日の昼食時…
突然、レイの給食が引っくり返された。
落っこちた皿が金属質な音を立てならが床に散らばった。倒れたミルクが床に広がってゆく。
レイはゆっくりと目をあげた。
目の前にはクラス一の大柄が立ちはだかっていた。
これまでのイジメの主犯格であり、乱暴なことで有名だった。
さらに困った事に、先生は不在だった。
クラスの顔だったトウジも、給食当番をサボって屋上で寝ていた。
イジメっ子達にとっては絶好の状況だったのだ。
「葛城、てめえ、何で泣かねえんだ。」
大柄の少年は低い、凄んだ声で言った。
「…どいて。」
レイは大柄を押しのけると、落ちたコッペパンやハンバーグなどを皿に集めていく。
ドスン!という鈍い音がした。
わき腹を思いっきり蹴られたレイはそのまま床に倒れこんだ。
皿が空を飛び、集めた食材が再び勢いよく散らばる。
「無視るんじゃねえ!この人形野郎!」
さらに、レイの青い髪をひっつかむと勢いでロッカーに叩きつけた。
ガシャン、という鋭い音がする。
「ちょっと…多田野…!それやり過ぎだって…!!」
慌てた女の子達が悲鳴を上げる。
さっきまでは囃し立てておきながら、現金なものだ。
「うるせえ!こいつは俺を馬鹿にしてやがる!」と、大柄は叫んだ。
レイはゆっくりと身を起こすと、大柄の視線を真っ向から受け止めた。
「おい…何を見てやがるんだ…」
大柄の声が初めて微かに震えた。
数瞬後、蹴り飛ばされたレイが後ろの机に叩きつけられた。机が倒れて中の教科書が床に次々と落ちる。
レイは再び身を起こした。額が切れて鮮血が滴っている。
血が、レイの制服を染めてゆく。女の子達が本物の悲鳴を上げた。
にもかかわらず、再び大柄の目をみつめる。依然と感情をもたない目で。覗き込むように。
「なんだよ…やめろよ…やめろって言ってんだろォ…!」
悲鳴に近い声をあげた大柄はレイを更に蹴りつけた。まるでレイを少しでも自分から遠ざけたいかのように。
だが、しばらくして再び顔を上げたレイの顔、半分ほど血だらけになったその顔にも、全く感情は存在していなかった。
ロッカーに寄りかかって立ち上がったレイはゆっくりと大柄のほうに近づいていった…
トウジが給食当番をサボりきって悠々と帰ってきたのと、大柄が絶叫しながら教室を駆け出していったのは、ほぼ同時だった。
#修羅場って申し訳ありません。
#残りはあとで投稿します。
>>720 乙。
……ママン、つらいよぅ、くるしいよぅ、「大柄」に制裁を加えておくれよぅ。
>>720 ちょww多田野てwww
狙ったのか?ワラタそして乙
>710
問題は、投稿者が2chに上げた本人だという証明をどうやってするかだな。
>>724 トリついてるし、なんとかなるんじゃね?
>>723 狙ってませんwww
今初めて多田野を知りました…名前だけは聞いたことはあるんですが…
いつの間にか脳内に刷り込まれてたみたいです…恐ろしい事ですね…
「そんなことがあったんだ…」
僕は力なく答えた。これは僕にとってかなりショックな話だ。
「ああ。それ以来、みんな葛城からは距離を置いているんだよ。怖くてな。」
「多田野やったっけ、あいつもあれから学校来んようなってもうたしな。」
「で、問題はこれからなんだよ。碇。」神妙な顔をしてケンスケが言う。
「朝起きて、学校来て、飯食って、家帰って、寝る。
去年一年間も葛城は今まで通りやった。」と、トウジ。
「それなのにだな。今学期、葛城の様子が変なんだ。」「まだ新学期が始まって一週間しか経っとらんのに、やで?」
だから、いきなり変と言われても、なぁ…
「ど、どこが…?」
「オマエ、本当に鈍いやっちゃなあ。」「鈍いなあ、碇は。」
二人とも、ニヤニヤしている。
鈍いって…お前らに言われたくはないのだが…
「葛城はオマエを一日中、飽きずにみとるんや。休み時間も、授業中も、下校中も、やで?」
「昨日は特にヒドかったな。」
レイが…僕を…一日中?
「お、赤くなってきおったで?」「ほう、碇シンジ君もその気ありですかな?」
「な、何を…
トウジだって委員長を…」
突然、頭をグー殴られた。
「ま…まあ今は許したろ。
でや、それで挙句の果てに今日は飲酒で謹慎処分。
今までの葛城と比べるとこんなん信じられへんことや。」
「ここは、絶対に何かあったな、と憶測されるのが自然な流れではないかな?
どうだね碇シンジ君。」メガネをきらりと光らせながらケンスケが言った。
…僕…何かしたっけ…
「ぼ、僕は何もしてないよ…!」僕は思わず叫んだ。
「さ、吐いてまえ。な。」「楽になるぞ?碇。」二人が僕に詰め寄ってきた。
「鈴原君に相田君…何をしているの…?」
突然、後ろで声がした。
ケンスケとトウジが慌てて姿勢を正す。「おじゃましてまーすっ!」
レイが眠い目をこすりながら起きてきたのだ。
頭は寝癖でボサボサだ。
「ミサト先生の家のほうが落ち着いて反省できるんだよ。」と、ケンスケ。
「葛城、ビールって旨かったか?どんな味やった?」と、トウジ。
レイがぼそりと言った。
「麦茶にサイダーを混ぜたみたい…美味しくない…」
トウジと僕は顔を見合わせた。
確かにそれは美味しくなさそうだ…それなら、ミサトさんは味覚音痴なのだろうか。
「酔いはもう覚めたの?大丈夫?」
「ええ…でも…ごめんなさい…シンジの部屋を使ってしまって…」
「ええねん、コイツなんて別に気にせんで。」トウジが代わりに返事をした。
「そう…まだ眠いの…おやすみなさい…」
#また中途半端なとこで終わっちゃいます。
#ごめんなさい。
うんこMAX
ブリブリバチュバチュ
ふらぁ
「綾波っ!」
急に目の前で倒れかけた綾波にかけよる三人。
「あかん、二日酔いってやつや。部屋まで送ったる。おい!ケンスケ手かしてくれ!碇はなんか薬持ってきてくれ!」
「うん、わかったよ!」 そして綾波をベッドにねかしつけ、二日酔いにどう対処していいかわからない二人は、とりあえず熱をはかってみる。
「はい、綾波口開いて」
「……」
「あかん、もう寝ちゃったわ。……仕方ないな、綾波すまん」
体温をはかる為に、パジャマの第二ボタンまでをはずす。パジャマの上からでも綾波の熱を感じとれる。
その日の夜遅く。
ベッドに入ってしばらく経っているが、いっこうに眠気は湧いてこない。
今日は結構疲れたとは思うんだけどな…
レイはミサトさんに大目玉を食らった。いや、食らっている。
現在、居間で謹慎処分のオマケとしての反省文1200文字を書いているのだ。
レイにとってこれは想定外の事態だったらしい。
居間から話し声が聞こえてくる。
「ハア、これで800文字かぁ…
後400文字、何を書くゥ?レイ、あんたもちょっとくらい考えなさいよ!」
現在、レイに代わってミサトさんが反省文書いている。
「…午前8時20分頃、缶ビール350mlを冷やしたジョッキに注ぎ、飲用。
午前9時00分頃、泥酔状態に陥り…」
「…アンタねェ、そんな事しか書かないからさっき200文字しか書けなかったんでしょ?」
「…ならどうするの。」と、レイ。
深夜まで起こされたからなのか、少し機嫌が悪そうだ。
「アタシならビールの味とかも書くわね。」
レイがぼそりと言った。
「炭酸水に麦茶を混入した様な味。ひどく不味く…」
しばらくしてミサトさんが小さな溜息をついてから、落ち着いた声で言った。
「レイ、アンタも変わったわね…」
「そう…」
しばらくの間、部屋は静まり返った。
「シンジ君でしょ?」と、ミサトさんが唐突に言った。
ミサトさんの思考回路ってトウジと同じなのかな…
レイの返事は聞こえなかった。
「無理して言わなくてもいいわよ。レイ。
でもね…あなたはシンジ君と一緒にいる時、本当に嬉しそうに見えるの。」
「私が…嬉しそうに…?」
レイの声にはかすかな戸惑いが込められていた。
「あら、もうこんな時間ね。
続きは私が書いておくから、あなたはもう寝なさい。」
ミサトさんが優しく言った。
「え…でも…」
「いいのよ。まだ謹慎は三日残っているわ。
反省する体力くらい、残しておきなさい。
それじゃお休みなさい。」
「…お休みなさい。」
ミサトさんがレイを寝室に押し込んだようだ。
襖が閉まる音がした。
居間の明かりはしばらく消えることはなかった。
「メガネ買えよボケ」
レイは冷たく言い放った。
「なめてんじゃないわよ!!!」
#やっぱし中途半端は嫌いなんで、キリのいいところまで書きました。
#ストック使いきりです。次の投稿は数日後になりそう。
改行多過ぎ
レスが無駄に増えるだけ
もう少し押さえろ
>>739 乙。
>>740,
>>742 この板だと(板ごとに違うんだよね?)1レスで最大 2KB or 32行 まで書けるらしい。
“改行”については「表現上の都合」とかあると思うし、
一行が長すぎるのは実際読みにくいけど、レスの過剰消費は抑えた方がいいんじゃあるまいか。
……というのも「小説投下スレなど、1レスの容量が大きいスレではスレ容量制限にかかって
レスが1000まで行かない場合もあります」なんてのをどっかで見たことがあって、
小説スレでそういうの、ちょっと見てみたい気がするのだ私は。
空行が多過ぎるんじゃないの
736とか内容カスカスの酷い有様だし
レスの水増しは勘弁して欲しい
>>744 > 空行が多過ぎるんじゃないの
でも段落間、発話間で一空行って書式は結構普通に見かけるよな。横書日本語って
段落間で行頭字下げだけだと読みにくい。2chのレイアウトだと殊に。
会話の発話間は俺も詰めちゃうけどね。実際「32行しか書けねぇのかよ!」って思
いとのせめぎあいだよね。
> 736とか内容カスカスの酷い有様だし
3(4?)レスでワンセクションで、しかもそれさえ全体のホンの一部ってとこで、
1レスつだけ抜いて内容が無いようとか言ってもあんまり意味ない希瓦斯……。「そ
のセンテンスいらね」とかって指摘の方が実効性がありそう。角氏の場合とくに。
まぁ、
>>736 の最後の改行は
>>737 の頭にあった方がふいんき(ry 出るかなって
気はするかな。俺は専ブラで読んでるから、あんまし関係ないんだけど。
> レスの水増しは勘弁して欲しい
水増しってよくわかんね。投下するときって、投下レス数が多い方が嬉しい?俺は
どっちかてぇと、レス数が多くなるのは心苦しい上にめんどくさい。
と、以上は一行38文字・段落間空行無しのインデントのみ・センテンスごとの改
行無し。もっと長文の方がサンプルとしてはよかったかも知れんが、これ以上「言い
たいこと」の水増しは難しい。御参考まで。
角ってマジうんかす溜ってて汚ねえ、ケツ穴くらい掃除しろや
>結構普通に見かけるよな
2ch以外ではな。もし2chでこれ同様に空行入れてるのがあるなら紹介してくれ。
短編ならともかく、長編でこれをやってりゃ叩かれるだろ。
>1レスつだけ抜いて
1レスだけのはずがないだろ。全体的に内容が薄く、特に736は酷いから挙げただけ。
>水増しってよくわかんね
分からないなら黙っていたらどうかと。
怪文章を垂流して喜んでるヤツの考えることなど常人には理解できないだろうから。
>>747 お前は人を不愉快にさせない書き方ができんのか?
ガキ臭い反論なら他でやれ。
賞味期限6/4のところてん食べて腹壊しました。
病院行ったら感染性の胃腸炎だとか言われました。
すぐに治したければ入院が必要だそうな。
数日間は絶食&点滴生活。更に病院にはPC持ち込み禁止。
こうなる公算が非常に高いです。
もうおしまいだ。俺。
ということで、数日どころか当分はこのスレに来れそうにありません。
一応、それだけ伝えに来ました。
>>749 お大事に。
> 賞味期限6/4
あー……自戒の足しにはするが、同情は出来んなw
>>749 2カ月前のもんなんか普通やめとくだろww
まぁ頑張って治してまた来てな。待ってるわ
食ってから賞味期限に気づいたのか、
それとも知りながら食ったのか・・・どっちにしても無謀だよアンタw
>>747 > 2ch以外ではな。もし2chでこれ同様に空行入れてるのがあるなら紹介してくれ。
> 短編ならともかく、長編でこれをやってりゃ叩かれるだろ。
そんなもんかね。キツ目のレイアウトをいじりようがない2chだからこそ、
スペースたくさん取りたい気がするけど……って思いながら改めていくつか覗いてみたら、
1) 段落間で空行 : 普通
2) センテンスごとに改行 : 普通
なんだけど、
3) 発話間で空行 : そんなやつぁおらんやろ
って感じだった。 3) は“普通”じゃない。撤回するわ。
ってなると、発話文だらけの
>>735-737 は、いきおい空行が多くなるわな。
あとまぁ、この投下にはパラグラフの感覚は希薄かもしれん。
> 特に736は酷いから挙げただけ。
うん、だから君はそこだけ拾って特筆してんじゃん?
2KB or 32行 (
>>743) なんて制限のある所で、レスの区切れには大した意味は無いと思う、って
言いたかったわけ。
>>736 と
>>735、
>>737 に違いを見出して「特に」とか言っても虚しかろうと。
> 分からないなら黙っていたらどうかと。
難しい書き方して御免な。
「レスの水増し」なんつう不毛な発想がどっから出て来るんだい?って言いたかったんだ。
レス数が多いからって誰も喜ばねぇのにわざわざ水増しするヤツが居るの?って。
つまり俺によくワカンネェのは君の考え。暇だったら今度聞かせてくれよな。
>>748 書き方なんざ瑣末な問題だろ。ここ2chだよ。
コワモテキャラなんかどこにでもいるじゃん。
つか、「」でいちいち空行入れるのもどうなのよ。
何でコイツはこんなに空行が好きなんだ?
>うん、だから君はそこだけ拾って特筆してんじゃん?
該当レスが複数ある。で、それら全てにアンカーをつけろと?
1レス例として挙げれば十分だろ。
>レスの水増し
その誰も喜ばないであろうことを延々と続けてるヤツがいるじゃん。
その本人に聞いてくれ。何であんなに空行入れてるんですか?ってさ。
^^;角キモイヨー
角はケツにウンコつけながら書いてるから臭い臭い
角はチンカス溜め放題だな
ウンコマン角
ウンコマン角
ウンコマン角
ウンコマン角
ウンコマン角
馬鹿、お前ら
>>749は「しばらく名無しで反論させてもらいますよ」って意味だろ。察してやれよ。
ついでに最近沸いた他の作家を削除したいんじゃないの
>>754 その張本人は腹の中でレクイエム鳴り響いてるそうだから、多分お前の質問には答えられないぞ。
お前ももう少し落ち着けよ。
違うよ、角がいなくなる理由はそんなことじゃないよ
今日未明、角容疑者(48)が街角で痴漢行為を働いているところを近くの住民が目撃、通報しました。
角容疑者は物陰に隠れ、通りかかった女性に対し「僕のウンコたべてー」「脇のにおいかげよ」などと声をかけ痴漢行為を働いた模様です。
その後駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
角容疑者は警察の取り調べに対し
「腹壊したからウンコしただけで何が悪いんですか?女性とスカトロプレイは最高でしょう」
と供述しています。
↓逮捕送検される角容疑者(48)
λ
( ヽ
( )
(____)
/ \ λ
λ / / \ .\. ( ヽ ________
( ヽ | (゚) (゚) | .( ) /
( ) | )●( .| (____) < 女性とウンコは大好きです
(____) \ ▽ ノ / つ \
ヽ__ \. \__∪ / ./ 丿  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ,/
λ  ̄| | ̄ ̄ λ
( ヽ . | | ( ヽ
( ) |⌒\| |/⌒| ( )
(____). | | | | | (____)
| \ ( ) / |
| |\___人____/| |
| | | |
粘着ってすげーな
>>770 文章の性質、書き込み時間帯から察するに、粘着は多分二-三人くらい。
私怨粘着一匹と夏厨二匹と見た。
死にかけてたスレを生き返らせてくれた角 ◆uTN4HfUPlw がダウンしちまったのか。
これを機に新鋭作家を育成したいとこだな。
SeventySix ◆DTDSamiQ9U はどうなったんだ?
めっちゃ続き読みたいんだけど。
粘着がいる限り無理な希ガス
>>744 と
>>754 は同じ人?
にしては同じことしか言ってない気もするけど……
とりあえず
>>754 コメント付けてくれてありがと。 でもホントに
>>753のレス、読んでくれてる?
# 文章が冗長なのは自覚してるけど、俺そんなに難読な悪文を書いてるのかな? > 第三者
>>うん、だから君はそこだけ拾って特筆してんじゃん?
> 該当レスが複数ある。で、それら全てにアンカーをつけろと?
1レス1パラグラフなどの方策を取らない限り、レス単位で語る意味は薄い。
あるいは、 「『そこだけ』じゃなくて『特筆』が論点なんだよ。アンカーなんざどうでもいい。」
>レスの水増し
> その誰も喜ばないであろうことを延々と続けてるヤツがいるじゃん。
> その本人に聞いてくれ。何であんなに空行入れてるんですか?ってさ。
君の主張においては「空行の挿入」と「レスの水増し」が同義に扱われている。
そのような“概念の混用”が主張から論理的整合性を奪っている。
あるいは、「空行入ってりゃ水増しかよ。短絡過ぎ。」
って今度は書いてみるよ。
重複投稿ですみません。 > all
>『そこだけ』じゃなくて『特筆』が論点なんだよ。アンカーなんざどうでもいい。
736は内容カスカスの酷い有様、というのが『特筆』だと言いたいの?
で、この場合の『特筆』というのはどういう意味で使っているの?
>空行入ってりゃ水増しかよ。短絡過ぎ。
前にアンタが自分で言ってたように、コイツは普通の人とは違う箇所にまで空行を挿入している。
その結果、レスが無駄に増えてる。それを指して水増しと言うのは短絡的か?
普通の空行とコイツの空行では意味が違うだろと。
自演乙。
まあ何だ、発話文間に空行はいれないでねっつーことでFA?
俺としては地の文をもう少し増やした方が良いように思う。
現状でも読めるけど、なんか軽いんだよね。
,/⌒\
⊂二二(´・_ゝ・`)二二⊃フーン
| /
( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
777 :
角は肝杉:2006/08/11(金) 04:22:40 ID:???
ウンコマン角はびびって名無しになりました
バーカ
これ,いいかげん運営にアク禁要請できるレベルじゃないの?
779 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/11(金) 05:16:18 ID:G18BE4qw
↑は?
運営にアク禁要請できるレベルってどこからなんだ?よっぽどすごい荒らしじゃないとそこまでならんだろおそらく。
このスレの前の方でも、エヴァ板に通報された馬鹿が出たって話題でそういう話あったけどよくわからんな
そうだよな、角はアク禁になるべきだよな、キモイし
もぐレイスレのやつらはもっとひどい目にあってるってのにおまえらときたらこの程度でアク禁騒ぎか。
よっぽど耐性ないんだねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
783 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/11(金) 06:25:38 ID:BEGVjFJt
と、アク禁に怯える粘着
おはようございます♪角さん、頑張ってくださいね。
消えて失せろ!
角はもぐレイで決定だな、ウンコ垂れ流しまくりだし
===この流れはここで断ち切ります===
さあ、まったりと投下を待とうではないか!
お前ら、専ブラは勿論使ってるよな。
たーらこー
たーらこー
たーっぷーりーたーらこー
角 ◆uTN4HfUPlw
↑
逃げ出したウンコw
791 :
773:2006/08/12(土) 14:20:38 ID:???
>>774 > 736は内容カスカスの酷い有様、というのが『特筆』だと言いたいの?
言いたい、じゃなくてそれは俺の素朴な事実認識。
> で、この場合の『特筆』というのはどういう意味で使っているの?
【特筆】:
特にとりたてて記すこと。殊に目立つように書くこと。多く、強調してほめる場合にいう。
# もちろん「君は736ほめてる」ってつもりはないけど。
言いたいのは“レス単位で語る意味は薄い (
>>773)”の方。
付言・換言すれば「内容に言及するには参照が乱暴じゃねぇか」って。
> その結果、レスが無駄に増えてる。それを指して水増しと言うのは短絡的か?
【水増し】:
実質を落しても見かけの量をふやすこと。実質・内容の貧弱なものを、見かけだけそれ以上のものにすること。
よって、
a) 増量を目的として空行を挿入するのは「水増し」
b) それ以外の目的で空行を挿入し、その結果レスが増えるのは「水増し」では無い
そんで、
> 普通の空行とコイツの空行では意味が違うだろと。
“地の文”と“発話の文”が密着してる所もあれば、一行中に発話文が連続してる所もある。
空行の意味を「増量目的」と即断するのは論理が短絡している。
付け加えて“誰も喜ばねぇのに云々(
>>753)”は
「増量で見かけが『より良く』なるとは思えない。水増しとは言えない。」って意図から。
増量しても、むしろ『より悪く』なりがちじゃねぇか、と俺は思うよ。
空行が多くてがんがんレス区切りを跨いじゃうから、
文章自体の構成が見えにくい、って気はするけどね。 > 角 ◆uTN4HfUPlw
それにしても、「あるいはバージョン」は誤解しか生んでないね。ごめんなさい。
#
>>775 FA踏みにじってゴメン。堪忍してぇ。
792 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/12(土) 21:17:03 ID:skvsR31q
暇だから自作を投下してみる
自信はないがな。
ちなみにいっておくが鬼畜系だ
793 :
792:2006/08/12(土) 21:17:54 ID:skvsR31q
■asuka 序章
ある一室、何も無い殺風景な部屋で少女の卑猥な声、悲鳴が鳴り響く。
部屋にはうめき声をあげる少女と、そして人間とは到底思えない狂った嘲笑を浮かべる少年のふたりしかいない。
「うげぇぇっ…げええぇっ…おええぇぇっっ…!」
アスカは激しく嘔吐していた。少年が必要以上に腹部のみを殴打しているからだ。
794 :
792:2006/08/12(土) 21:18:49 ID:skvsR31q
出るものはすでに胃液しかでてこない。アスカの幼くとも美しいその顔は
すでに自ら嘔吐した胃液と唾液そして涙によって醜くそして淫靡ものになっていた。
「はぁ…はぁ…ひいっ…どうして…嫌…もうやめて!」
アスカの切実な言葉は懇願というより恐怖そのものでしかなかった。これから自分がどうなるか頭の良いアスカには
理解できているのかもしれない。
795 :
792:2006/08/12(土) 21:19:41 ID:skvsR31q
「…嫌?くくくっ…きひひ…あはははは…何言ってるんだアスカ。
楽しみはこれからだというのに。そうか、全力でしてほしいんだね」
少年は嫌らしく楽しみに満ちた表情でアスカに語りかけ体を近づける。
「ひっ!そうじゃない…違っ…ひぎぃぃぃぃぃ」
796 :
792:2006/08/12(土) 21:21:51 ID:skvsR31q
時はさかのぼる
シンジはごく普通の少年だった。普通より頭が良く性格が内気なだけで他の人とはなんら変わりは無い。
違うといえば以前エヴァンゲリオン・サードチルドレンとして特殊機関NERVに所属していた。
人類の危機を救ったという点では有名人かもしれない。
3人の少年少女により使徒殲滅、人類のほぼ大半が生き残るという功績を残したのだから有名人なのかもしれない。
797 :
792:2006/08/12(土) 21:23:38 ID:skvsR31q
現在、シンジの精神は醜く澱んでいた。無理もない。まだ中学生だというのにわけもわからず、
エヴァンゲリオンのパイロットとして選出され、初めてできた友達の一人を自らの手で葬り、
周りの大人たちにいいように利用されつづけてきたのだ。
「許せないっ。何がエヴァだ…何が「シンジ君!よくやってくれたわね!」だ。
僕がどんな思いでエヴァに乗っていたか!人の気も知らないで!」
誰も知ることのないシンジの醜くそして歪んだ感情は常に増加していくことしかできなかった。
798 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/12(土) 21:25:40 ID:skvsR31q
誰からも反応ないか
んじゃやめるか
第三新東京市第七環状線。
大電力を注ぎこんだリニアの動力に相応しい快速で、モノレールの上をすべっていく11両編成の車体が、
夕日のオレンジ色をまぶしく跳ね返していた。
山並みの向こうに今まさに沈まんとする今日の夕日は、夕焼けなど嫌というほど見慣れているこの街の
住人さえ、息を呑ませてしまう程の艶やかさを見せている。
だがその車中の人である一人の少年は、車外のそんな光景など意にも介さない風情で、座席で力なく俯いていた。
少年の名を、碇シンジと言う。
形のいい耳に押し込まれたインナーイヤーのヘッドホンからカシャカシャと迷惑な音が漏れているが、
彼は気に留めていなかった。今の彼には何も聞こえていなかったのだから。
意識されることもないポップミュージックが、空しく充電池を消耗させながら垂れ流されていくだけ。
また、それを迷惑がる乗客も実のところ居はしない。騒音を撒き散らすシンジの周囲には誰もおらず、
彼一人が座席を占有している有様だから。
乗客はシンジのいる車両だけでも数人いるかどうかと言う有様。その誰もが、どっかりと真ん中に
座り座席を独占している。それでも尚、空いている座席のほうがすっと多いのだ。
赤字必至の悲惨な乗車率なのは明らかだ。この分では他の車両だって似たようなものだろう。
そしてもう二度と、昔のようなすし詰めの乗客で車内が満たされることは無いことを、乗っている誰もが知っているのだった。
「もう、いいや」
そう吐き捨てて、シンジはいらつきながら愛用のSDATの電源を切った。
ヘッドのドラムが止まる音と共に、ヘッドホンからの耳障りな騒音も止まる。
(くそ…)
忌々しそうに、シンジは胸で悪態をつく。
こうも電車の中でぶっ通してSDATを聞き続けたのは、この町に来てまだ間もない頃に家出した時以来だ。
あの時もずっと好きな音楽を聴いていたけど、それを苦痛とは感じなかった。音楽を聴いて心が晴れるわけでも、
当面の問題が解決するわけでもなかったけれど、少なくとも音楽に逃避することは出来ていたのだから。
それが、今日は違った。
何度も聞き慣れた曲なのに、気休めにも辛い現実から逸らしてくれていたはずの曲のはずなのに、
今は小さな胸をフラストレーションで掻き回すだけのノイズにしか聞こえない。
802 :
792:2006/08/12(土) 22:12:47 ID:skvsR31q
サードインパクト後、シンジはミサトとアスカの三人で暮らしていた。
シンジにとってミサトも他の大人たちと同じ対象でしかなかった。
都合のよいときばかり家族面をして、
都合の悪いときはNERVの上司として命令する。
(ミサトさんも他の大人と一緒だ。
僕やアスカや綾波がどんな気持ちだったかなんて考えもしないで!
都合のいいときだけやさしいふりをして!…もううんざりなんだよ偽善者ぶりやがって!!!)
シンジの醜く澱んだ精神にはミサトのシンジに対するやさしさや感情等を
理解できる精神はすでに持ち合わせていなかった。
今のシンジのよりどころはアスカそのものだった。
共にエヴァパイロットであり共に使徒を殲滅した仲であり
シンジの気持ちを理解しているからだった。…いや、シンジがそう思っていた。
(アスカ、他の大人たちは僕たちを利用することしか考えていないんだ。早く二人だけで暮らそう)
なぜだろう――と浮かんだ疑問を、冷めた心のどこかがわざとらしいねと嘲笑する。
(わかってるくせに)
すっかり潤いと温もりをなくしてしまったその部分が、そう言っていた。
(冷たいんだね。そうやって『彼女』から逃げるんだ?)
なおも頭に響く声を、彼は頭を振って追い払おうとするが。
(もう『彼女』のことを忘れたいの?
ついこの間、ようやく気づいた本当の気持ちだったのに。
それを聞き飽きた音楽なんかで紛らわせられると、本気で思ってたの?
本当に馬鹿だね、君は……ううん、『僕』は!!)
それは、ほかならぬ彼自身の心の声。ここ数日、昼夜も場所も問わず少年を追い詰めてきた自責の念だった。
「く…!」
葛藤から逃げるようにヘッドホンをシートに叩きつけてから、シンジは夕日の色に染まる車内を見回す。
その車両には、彼以外の乗客など本当に片手で数えられるほどしかいなかった。毒々しいほどに鮮やかに
窓から差し込む斜陽の色が、殺伐とした雰囲気にかえって拍車をかけている。
804 :
792w:2006/08/12(土) 22:14:08 ID:skvsR31q
■asuka 一章
「ただいまっー」
シンジは部屋に帰ってきた。
シンジにとって同居しているアスカと一緒にいれるこの時間が一番幸せだった。
「アスカ?帰ってきてるの?」
返事は無い。シンジは部屋に誰もいないことを確認すると
醜悪な笑みを浮かべつつミサトの部屋に入っていった。
醜く澱んだ精神は性欲へと姿を変えてきていた。
そう、誰にも向けることのできないシンジの感情はミサトに向けられていた。
おもむろにシンジはズボンをおろしていく。
(くくくっ…ミサトさん…いつも僕がミサトさんをどういうふうに見ているかわかりますか?
まさか家族の一員として、とか言いませんよねぇ?
…きひひひっそんなわけないじゃないですか?ミサトさんは都合のいいとき
ばかり家族面して実際には僕のこと家畜として見ていたんですよね?
あはっ!あはははは遠慮しなくていいですよ。実際僕は
家畜以下の惨めな存在ですから。
くくくっ僕はあなたのことを性欲処理の道具としてしか見ていませんよ。
他の大人と同じ偽善者のくせに犯しがいのある顔しやがって。)
この時間ならば、部活帰りの学生や帰宅の途につくサラリーマンでごった返しているはずなのだが、
シンジはそれを訝る様子も見せなかったし、それは数少ない他の乗客も同じだった。
その理由を、誰もが嫌というほど知っていたからだ。
少し前までなら、この路線はそれこそ座りきれないほどの人を運んでいたのだ。
それが、数日前突如として市街地の中心部で起きたこれまでにない大爆発によって死傷者多数、
市街の中核を丸ごと喪失した第3新東京市は、都市機能そのものに深刻な打撃を受けたのである。
避難先のシェルターで難を逃れた者も疎開を余儀なくされ、街の人口はここ数日で一気に減少したのだった。
こんな状況下では、この環状線で仕事や買い物に出かける人の多かろうはずもなく、それが今のガラガラの
乗車率となって現れている。
いつもなら混雑しているはずの車内が閑としている様は、誰の胸にも被害の大きさを改めて突きつけずには
おかないのだろう、どの顔も陰鬱として俯いていた。
シンジはチラリと車両の一番左端の座席に遠慮がちな視線を送る。
そこで、彼の小さな胸を乱してやまない対象が本を読んでいた。
夕日を照り返す空色のショートカットが印象的な、ルビーの瞳の少女。
シンジや他の乗客たちの重く沈み込んだ雰囲気を気に留めない風情で、ただ黙して読書にふけっている姿
はまるで一枚の絵になりそうだが、シンジの胸は締め付けられる。
一人静かに本を読むその少女の姿なら、シンジはこれまでに何度も見慣れていた。
見るたびに、何かほっとするような感じに癒されていたものだ。
でも今、それを目にするシンジの胸にはそんな安堵など微塵も去来しなかった。
あるのはただ、痛みを伴うほどに狂おしい懐かしさ。
こうして本を読む少女を前に見たのはいつだったかと、たわいない疑問が浮かぶ。
いちいちあげんな
ほんの一週間くらい前のことだ。
時間にすれば、たったそれだけの隔たりでしかない。
なのに、それをずいぶんと昔のことのように感じ始めている自分に、シンジは小さな驚きを覚える。
(3人目だもんな……僕の知ってた綾波とは、違うんだ……いくら似ていたって!)
残酷だが、それは厳然たる事実だった。
さっきのような幼稚な自問自答で、一度気付いた想いを忘れようとする行為をいくら卑下しても、
自嘲という名の逃避でしかない。
そして、いくらその偽善じみた行為で己の非を糾弾しても、それ以上に残酷な現実は何も変わらない。
そう、彼の目に映る彼女は、『3人目』なのだった。
1人目の彼女がどんな人間だったのか、少年は知らない。
2人目なら――知っている。と言うより、2人目だけがシンジの知り得る少女の全てである。
少年の初陣は、傷ついた彼女を見かねてのものであった。
その恩返しという訳でもないだろうが、後日の戦闘では彼女が少年を守る任を負った。
「あなたは死なないわ。私が守るもの。」
そう言い放った言葉に偽りは無く、少女は自らを盾とし、見事にそれを完遂した。
それ以来、二人の距離は大きく縮まった。
その後もいろんなことがあった。使徒と称される脅威との戦いは続いていたが、二人は戦友としてそれを切り抜け、
また級友としてつかの間の平穏な時間を共有した。
そんな日々に、突如残酷な終止符は打たれる。
先日、後にアルミサエルと呼称された使徒との一戦において、少女は自らの機体もろとも消滅したのである。
少年を巻き添えにすることを良しとせず、自ら選んでの自爆であった。
少年は、その瞬間を網膜に焼き付けていた――侵食され異形と化した機体が、ATフィールドの中で閃光と
共に砕け散っていくのを。
結果的にそれは、第3新東京市に壊滅的な痛手を与え、少年の命と引き換えに何人もの死者を
もたらすこととなる。それを知れば数多の死者の遺族は、友人は、皆例外なく少女を罵倒することだろう。
それを恐れたから、シンジは彼女の死を親しい級友さえにも口外せず、ただ自分の胸のみに秘めて
今日までの何日間かを耐えてきたのだ。
だが、それも限界に近いことをシンジは自覚せざるを得なかった。
『3人目』の彼女が現れたからである。
その生い立ちを知ったとき、シンジは震えた。
『3人目』の存在は、ある意味で『2人目』に対する最大級の侮辱であった。少なくともシンジにはそう思えた。
(『2人目』は死んだんだ。僕の知ってた綾波は本当に死んだんだ。)
そう思い知らされたとき、空っぽになったはずの胸に痛みが走った。尽きたと思っていた涙がこぼれた。
胸が痛くなるという言い方は比喩でなく真実だったのだと、そのとき彼は初めて知った。
2人目から受け継がれたという記憶のバックアップなど、彼にとっては何の意味があるだろうか。
2人目でも3人目でも、僕にとっては同じ綾波だよ――そんな台詞は、とても吐けなかった。
口にすれば、よく知っていた2人目を侮辱しそうな気がして。
自然、彼と3人目の間には距離が出来始める。
最低限必要なとき以外、口も利かなくなった。同じ電車に乗るにしても、こうして離れた席に座る。
――2人目といたときは、有り得なかった二人の距離。
これから先、これ以上縮むことは無いだろうし、縮めようと努力することも無いだろう――そんな諦観を感じながら、
シンジは読書を続ける少女から意識して視線を逸らした。
不意に、疲れが襲ってきた。
着くまでにはまだ時間がある。少しウトウトするくらいの時間の余裕はありそうだ。
寝すぎて乗り過ごしても、どうせ環状線だ。最終まで乗っていたとしても、タクシーでも使えば帰宅は出来る。
もちろん、ミサトさんには絞られるだろうけど。
(いっそ、このままどこか遠くに消えてしまいたい……)
そう弱音を吐いたら、強烈な眠気が襲ってくる。自分がひどく疲れていたのだと、シンジは今更のように気がついた。
(眠い……)
瞼を閉じる寸前、環状線の進行方向の空が視界に入る。
ちょうど、沈む夕日の方向だ。
はじめて見る夕焼けの空の色だった。光の加減でこんな色に見えることもあるのかなと、ぼんやり少年は思った。
夕焼けの空が裂けている。
夕焼けのオレンジ一色の中で、青空の覗くその一角だけが異を唱えていた。
裂けた雲の間から、真昼と見間違いそうなくらいに眩しく真っ白な光が降り注いでいる。
シンジを乗せた車両は、まさにその真下に向けて風を巻いて走っていく。
(夢の中だけでも、『二人目』の君に会えるといいな……)
空しい願いだと、自分でもわかっていた。夢で会えても、現実の『二人目』はもういない。
閉じた瞼に涙を滲ませたその思考を最後に、シンジは眠りに落ちていった。
凄い投下スピードだね!
今日はここまでで勘弁。今日は他にも作家さんいるようだし。
あと、上のほうでちょっと出ていた空行etcの話ですが、話を書いてUPする側の立場に
すると結構頭の痛い問題かも。私自身、今まで投下してそう感じました。
何というか、テキストエディタで書いてるときのイメージと、2ちゃんに投下したときの
イメージが全然違うんで、投下する前に改行や空行をいろいろいじらないといけないです。
エディタで書いてるときは、セリフとセリフの間の微妙な時間の空きを視覚的に表現する
ため計算して入れた空行が、2ちゃんに投稿すると間抜けに見えたり。
>>814さん、間の表現は難しいよね。
その人のクセはしょうがないよ。荒らしさんに負けず、頑張ってください♪
>>814 (*^ー゚)b グッジョブ!!
空行で間を表現する手法は2chでは余り向かないのかも。
数行開けてオチで笑いをとるタイプのものは別だけどね。
>>792 「sage」でやってくれないかな。
それとLRSメインでないSSなら他所に投下してね。
もっとも俺がイタガリータなだけなんだけどね。
最下層の悲しき自演
あ〜続きが読みたいな
>言いたいのは“レス単位で語る意味は薄い (
>>773)”の方。
1レス単位で語ることに意味はあると思うが。具体例があると問題点が明確になる。
>>736を無かったことにしたいが為に、そんなことを言ってるようにしか思えないんだが。
>「内容に言及するには参照が乱暴じゃねぇか」
アンカーが乱暴かな?
そもそも、レス単位で語る云々も違うだろと。
>>736があるから空行云々言ってるんじゃない。空行の弊害の一例として736を挙げてる。
736がなければ他のレスを挙げてただろうし。
>水増し
>3) 発話間で空行 : そんなやつぁおらんやろ
>って感じだった。 3) は“普通”じゃない。撤回するわ。
アンタ自身が普通じゃないと認めてる。
コレが水増しでないのなら、ヤツは異常者だということか?
>空行の意味を「増量目的」と即断するのは論理が短絡している。
そうだね、即断すれば短絡だね。けど、これは即断じゃないよね。
>増量しても、むしろ『より悪く』なりがちじゃねぇか、と俺は思うよ。
アンタはアイツじゃないからな。
だから、アイツに聞けと言ってるんだが。
最終的に本人に対して行なわないと意味無いよな>批評・批判
んで、その本人がリアルで片足魔界に突っ込んでいる現状では平行線を辿るだけだろうし、
このまま不毛な罵り合いに発展して荒れるのははた迷惑だしなあ。
横槍になるが第三者の俺の意見を述べると
この作者の投下パターンは
ある程度書き溜めた作品を適当な長さに区切ってスレに連投
のようだから、”レス単位で云々”事態が意味が無い。
大本のレス
>>744も別に辺じゃないと思うが。
>>744にしてみれば分けて投下された中では特に
>>736が酷く見えただけなんだろうし。
>>736が無くても「空行が変に多くてウザイ」事実に違いはないしね。
まして
>>735-736はそのままでも2レスで済む量だから尚更。
作者はおそらく水増すつもりで空行を入れてはいないだろうけど、
客観的には充分「水増し(見かけの量を実質よりも増やす)」になるね。
発話文間の空行といい、地の文の少なさ(今回だけかもしれんが)といい
明らかに作者の力量不足なんだから
批判スレのつまらん細かい所をつつく事に何の意味があるのかと(r
822 :
821:2006/08/13(日) 03:09:05 ID:???
っつーかさ、野球部と思えばいい。野球部。
もし、野球部で補欠にもなれない奴が、
レギュラーに「お前のバッティングフォーム、根本から間違ってるよ」とか逝ったらお笑い種だろ。
一方、素人が、プロ野球選手のプレーを批判するのは何の問題もない。
自分のことは棚に上げて「あいつ、守備下手だな〜」とか言っても、全然OK。
何が言いたいかっていうと、批判は本来自由だけど、一定の「場」では立場をわきまえろってこと。
空行云々で叩いてる奴は、角氏よりちっとはマシなFF投下しろよ、と。
少なくとも「小説を投下するスレ」という「場」では空行より叩きの方がよっぽどウザイ。
もしかすると、叩いてる奴は素晴らしいFF作家なのかも知れんが、
そうだとすれば、名無しで他の作家叩く行為は余計タチ悪いだろ。
例えが野球ではちょっと判りにくいな。
このスレッドを映画館だと思えばいい。
映画(SS投下スレ)は本来静かに見るものだが
きにならない程度なら私語もある程度は許容できるだろう。
だが、館内に響き渡るぐらい大きな声で映画の画質について議論しているとしたらどうだ?
傍の人間には至極迷惑である事この上ないではないか。
要するにだ、批判をしても結構だが度をわきまえろという事だ。
罵り合いの揚げ足取りなぞウザイだけだ。
そんなもん投下するよりSSの一つでも投下しろと自分に(r
いや、野球部のが分かりやすい。
補欠にもなれないやつがレギュラーを叩くからイタいんだよ。
レギュラーがレギュラーを叩くんなら問題ない。
要するに角よりマシなFF投下してくれりゃ、角叩いても誰一人文句言わない。
叩かれるのが嫌なら2chに投稿すんなよ。
文句言ってる823=824こそ「場」をわきまえたらどうよ。
つか、投稿したはいいが袋叩きあうなんて、そっちの方が笑い種だっつうの。
批判内容に反論できなくなってきたからって、
今度は批判自体を否定し始めたのか。
ぶっちゃけ、ファビョって即レスしてくると思ったのに案外頭いいみたいねw
つーか、角の改行は多すぎるとは俺も思うけどね。
一般論として、「叩くよりマシなFF投下しろ」は正しいだろ。やっぱり。
ま、ほどほどに叩けよ。
>>814 GJ!
シンジ×三人目は適度にイタくて凄まじく萌える
>>829 一般論として「袋叩きに合うような糞FF投下すんな」が正しい。
833 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:46:22 ID:???
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所でもあった。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな孤独に包まれる。
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを向き立ち止まる。
シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
834 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:47:20 ID:???
「………カヲル君は、好きだって言ってくれたんだ。……僕のこと」
その沈黙を先に破ったのはシンジのほうだった。
塞ぐ心を奮い立たせるように、シンジは小さく吐き出したため息に混ぜて言葉をつないでいった。
「初めて、初めて人から、好きだって言われた」
それは彼が心を寄せた少女に、告げることなく終わった言葉でもあった。
少女は長く彼の傍らにいたのに、臆病なシンジが声に出すことを恐れたために、
伝わることなく失われてしまった言葉だった。
「僕に似てたんだ。………綾波にも」
―――彼らのあの透明な笑顔はどこから来たのだろう。
シンジの記憶の中で、幾度か目にすることができたレイが向けてくれた微笑みはカヲルのそれと重なる。
「好きだったんだ………。
…………生き残るなら、カヲル君のほうだったんだ。
僕なんかよりずっと彼のほうがいい人だったのに。
カヲル君が、生き残るべきだったんだ」 ―――あるいは、綾波のほうが。
自分を守って死んだ少女。
たとえ彼女が人ならざるものだったとしても。
その命が造られたものだったとしても。
レイがシンジにくれた気持ちは、今もシンジの中に変わらずに存在している。
カヲルが「使徒」でありながらも、確かにシンジの「友」だったように。
835 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:49:02 ID:???
シンジは抱えた膝の上に顔を乗せ、目を閉じた。
彼は外界の一切を拒絶し、胸の痛みだけを感じ取ろうとしていた。
シンジにとって今はそれだけが、二人の残してくれたものに思えたから。
背中を丸めたシンジの上を、湖を渡った風が優しく撫でていく。
シンジの言葉を黙って聞いていた女性は、彼に触れることなく距離を置いたまま静かに言葉を返した。
「違うわ。生き残るのは、生きる意志を持った者だけよ。
彼は死を望んだ。生きる意志を放棄して、見せ掛けの希望に縋ったのよ。
………シンジ君は、悪くないわ」
―――なら、綾波は?
シンジの閉じた目の奥は、燃えるように熱い。
痛みに耐えるようにいっそう体を小さくしたシンジは、けれど泣けなかった。
ただ胸のうちで荒れ狂う叫びに耐えていた。
―――彼女は死にたくなんてなかったはずだ。
彼女は僕を守ろうとしただけだ。
それでも、彼女は死んでしまった。
僕のせいだ。僕がいたからだ。
僕が(初号機が)、彼女の(零号機の)そばにいたから。
綾波は使徒から僕を守るために…。
あの時。僕は使徒を倒せなかった。有効な攻撃が出来なかった。
だから、綾波は…!
だから、今度こそ、僕は絶対に「使徒」を倒すと………。
836 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:49:53 ID:???
でもそれで、どうなった?
絶対に、「使徒」を倒す。
必ず、「使徒」を殺す。
次は、躊躇ったりしない!!
………そう、誓った挙句、僕は次に誰を殺めた?
綾波は死んでしまった。
カヲル君を僕は殺した。
みんな、みんな僕のせいじゃないのか?
僕がいたから、僕が殺した、僕のせいだ、全部僕の、ぼくのせいで!!
シンジの中の嵐は静まることを忘れたようだった。
慙愧が、後悔が、シンジ中で膨れるだけ膨れて彼の心を押し潰そうとしていた。
出口を求めるように暴れるのは、感情の波。
けれど、飲み下せない悲しみという塊が喉を塞ぐ。
悲鳴にも似た彼のその叫びを押し留め外に出すことを許さない。
ほんの僅かに漏れたのは、シンジが口を膝頭に押し付け殺した嗚咽を混ぜた空気だけ。
「・・……冷たいね、ミサトさん」
―――いっそ責めてくれる方が苦しくないのに。
病に伏せる者のように、細く掠れたシンジの声は風にまぎれてしまうほど儚い。
半分ほどしか音にならなかったその彼の言を、ミサトが聞き取れたのかどうかは判らなかった。
しかしミサトはそれ以上は何も言わなかった。
シンジもまた口を閉ざし、他者を拒絶する気配をまとわせたまま顔を伏せた。
「はっ!?」
眠りから覚めて、シンジは飛び起きた。
どれだけの時間が経過したものか、夕焼けの色に染まっていた車内の空気は、深い海を思わせる色に変わっている。
いったい何時だよと覗き見た腕時計は、秒針が凍りついたまま微動だにしない。
針は眠りに落ちたときよりだいぶ進んでいたが、止まっているのだから無意味だ。
「電池切れ? この前替えたばっかりだよ?」
ならば故障かと諦めて、シンジは窓の外を見た。
見慣れた外の風景を見れば、今どの辺りを走っているのか、降りる駅までどの位なのか見当がつく。
「良かったぁ、次の駅だよ……」
思わず安堵する。車窓の外を流れる馴染みのビル群の光景は、シンジがいつも降りる駅の直前辺りの、
見慣れたものだった。
とは言え、乗り過ごさずに済んだのではなさそうだ。
時計が使い物にならないので断言は出来ないが、外の暗さを見る限り結構時間が経ってしまってるようなので、
たぶん環状線を一周してしまったのだろう。
(綾波、もう降りたかな)
よく知っていた少女に生き写しの姿を見れば、自分の胸が痛むと判っていたが、左端の座席に視線を飛ばす。
さっき確かに座っていたはずの場所に、少女――綾波レイは居なかった。
自分が寝てる間にどこかで降りたのかとも一瞬考えたが、ある物を目にしてシンジはレイの居た席に歩み寄る。
838 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:50:52 ID:???
彼女は蹲るシンジを見ることもなく来た時と同じ姿勢で立ち続け、やがて踵を返した。
すれ違う時シンジの背に向かい、「あまり遅くならないように」とだけ声をかけるだけで、
彼を連れ帰ろうとはしなかった。
彼女の足音が離れていく。
シンジはミサトが遠ざかるとそこから意識を切り離すように、再び湖を見つめた。
水面は、まだ暗い。
それからどのくらい経った頃だろうか。
シンジの視界の隅に、ぼんやりと白い影が映った。
白い影はまだ遠く朧げながらも人の形をしているようだった。
興味なさ気にぼんやりと、頭を動かす気力すら失ったかのように動かないシンジに、
それはだんだんと近づいてくる。
水面をすべるように。
漣に触れることなく。
やがてシンジの正面で静かに止まったその影は、少女の形をしていた。
月すらない闇の中に佇みながら、その肌は自ら燐光を発するように仄かに白かった。
薄青の髪の下、覗く瞳は赤。
シンジもよく知る造詣を持つその者の名は、綾波レイ。
それは、………『エヴァから創り出された、唯一つの魂を入れるための器』
文庫本が、レイの代わりに席の上に置かれていた。
(綾波、忘れたのかな?)
忘れ物なんて彼女らしくないと、つかの間考えてしまったシンジの顔は、次の瞬間こわばった。
忘れ物などしないはずと一瞬思った、彼の知るレイは『二人目』。
だがこの本を読んでいた綾波レイは、『三人目』なのだ。
ならば『二人目』とは裏腹に、『三人目』が忘れ物しやすい性分であったとしてもおかしなことではないかも知れない。
(やっぱり『二人目』とは違うのかな)
新たに胸を刺す痛みに耐えつつ、シンジはその文庫本を手に取る。
表紙を見れば、生物学の最先端研究をテーマにした、いわゆる教養本であった。
中学生の女の子が読むような本には思えないけど、綾波レイらしいといえばらしい。
こんなところは、『二人目』も『三人目』もあまり変わらないのだろう。
(明日にでも、綾波に返そう)
他の考えを散らそうとするように、ただそれだけを思う。
やがて、手の中の本にじっと視線を注ぐシンジを乗せた車両が止まる。
降りる予定の仙石原駅に着いたのだ。
「……あれ?」
立ち上がったシンジは、そこで小首を傾げた。
いつもなら車内に流れるはずの、到着を告げるアナウンスが無かったことに今になって気がついたのである。
訝しく思いながらもドアまで歩いて、少年は今度こそ立ちすくんだ。
840 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:52:00 ID:???
湖の上、シンジの手が届くほどの近さで、綾波レイは無音に佇む。
シンジの目はただ虚ろに水面に立つレイを映す。
それ以上の動きは、ない。
動かないシンジには、彼なりの理由があった。
彼にとってのレイはただ一人だけだった。
言葉を交わし、時に助け合い、僅かながらも触れ合うことの出来た、ただ一人の、少女だけ。
それ以外の『綾波たち』が、同じ形をし、…もしかしたら同じ魂を宿しているのだとしても。
三人目との最初の邂逅の時。
『綾波レイ』は、シンジをまるで見知らぬ人でも見たかのようにその瞳に映した。
形ばかりはどんなに同じでも。
それが、彼にとっての「レイ」、幾度も彼が「綾波」と呼びかけた少女と同一の存在だとはとても思えなかった。
それに、その後に起こった幾つかの出来事も、新たな『綾波レイ』をシンジに関わり付けたりはしなかった。
新たに知った事実により、『彼女達』の成り立ちを不憫だと思う気持ちはシンジにもある。
だがその時も、悲しいほどに心が痛んだのは彼の「綾波」に向かってだけだった。
いつかシンジが彼の父を詰った時、レイは怒りに手を振り上げた。
彼女はあの時どんな思いで怒ったのか。
思い起こせば自分の不用意な発言の多くがレイを傷つけたかもしれない。
今の『綾波レイ』を見ても、シンジの頭に浮かぶのは記憶の中の「彼女」のことばかりだった。
リツコに壊された『綾波レイ』達を見て感じた恐怖さえ…。
それの齎すグロテスクさへの嫌悪よりも強く感じた痛みは、
壊れ失われていくその『カタチ』に零号機とともに散っていった「彼女」の最後を重ね、
その苦痛を共感したが故のものだった。
841 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:52:53 ID:???
「レイ」の『形代』を見るのは辛い。
どんな形であれ『綾波レイ』なのだ、それでいいじゃないか、と、シンジの中の悪魔は囁く。
絆を求め、不器用ながらもシンジに向かって手を差し出していたあの少女とどこが違う?と。
記憶喪失だとでも思えばいいじゃないか、もう一度最初からやり直すだけ、それだけのこと。
そんな風に………、後悔に疲れ果てたシンジの心は揺さぶられる。
けれど。
違うのだ。
同じではない。彼女とは違う。
その瞳が。 その声が。
同じ色、同じ音であっても、そこに映る感情の揺れが、その音に乗せられた想いの彩が…。
…シンジに錯覚を許さない。
『綾波レイ』と関わることはシンジをさらに深く傷つける。
見れば辛さが増す。
だからシンジは『綾波』を避けた。
『綾波』に心揺れる自分も嫌だった。
同じ辛く苦しいことでも、シンジは出来るなら「彼の知る綾波」のことで苦しみたかった。
だから目の前にいる存在から、目をそらす。
シンジはその衝動に沿って、『綾波』を無視しようとしていた。
842 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:53:44 ID:???
「…碇君」
声は、夜を震わせる。
「碇君」
震えるのは、夜ばかりか?
「碇君」
それは懐かしい、響き。
「碇君」
どうして?
「…碇君。
……………ごめんなさい。
泣かないで」
失われた、彩。
心を伝える音。
抑えられた抑揚の中に確かに感じられる、情(こころ)。
頭で考えるよりも先に体は反応した。
シンジの見開かれた目から、涙が溢れていく。
その涙を映し揺れるのは、赤い瞳。
そこには確かにシンジを想う気持ちが映っていた。
彼の全身を、強烈な違和感が捕らえる。
(おかしい。何かいつもと変だ。)
目の前のホームに人影は無かった。レイの自爆が原因で利用客が減ってるのだから当たり前――ではない。
乗客ばかりか駅員の姿さえ見えず、文字通り人っ子ひとり居ないのだった。
いくら人が減ったとは言え、こんなことはありえない。
(違う。僕は何か、もっとおかしな事に気づきかけてた気がする。)
胸の奥で、鼓動の早鐘が警報のように鳴り始める。
シンジはゆっくりと後ろを、車内を振り返った。
そこには誰も居ない。
床あるいは座席の上に点々と、持ち主に忘れ去られたままのステッキ、読みかけの新聞、
ハンドバッグその他諸々が残されているだけ。
数少ない乗客たちが座っていた、まさにその場所に。
(何のことは無いさ、忘れ物が残されてるだけじゃないか……数が少し、多すぎるけど。)
忘れ物なんて、誰にでもあることだ。シンジは止めていた息をついた。
心配が杞憂に終わりそうなことに安堵しつつ、シンジはそれらに視線を飛ばしていった。
(そうだね、綾波の本じゃないけど、忘れ物が多すぎるかな。なんか、忘れて困りそうなものまであるよ。
眼鏡に、指輪に……って、普通指輪なんか忘れるかな?)
面食らいながらも、いささかの好奇心も手伝ってかシンジは観察を続ける。
不意に、視線がある座席の一点で止まった。少年の全身も凍りつく。
844 :
―道行―:2006/08/13(日) 09:55:50 ID:???
「………どうして……」
聞きたいのはそんなことではないのに。
これが夢なら覚めるなと、シンジは怯えながら願う。
夢でもいい。
幻でも。
レイの声に震えた心がシンジを急き立てていた。
混乱した頭は、「今」を繋ぎ止めようと必死になる。
消えるな、消えないでと祈りながら、触れようと無意識に伸ばされるシンジの手。
しかし、その手はレイに触れる寸前、………力なく落ちた。
苦しげに細められたシンジの目に宿ったものは、深い慙愧。
―――レイに触れていいはずがない。
何故一瞬でもそれを忘れたのか。
シンジは罪に塗れた自分の手を握り締めた。
汚れてしまった自分の手は、永久に彼女に届くはずもない。
黒い嵐が再びシンジを覆っていた。
二つの命を手にかけた、失わせてしまった罪の意識は強くシンジを縛っている。
シンジにとってレイは誰よりも大切にしたい大事な少女だ。
たとえ今ここにいるレイがシンジの夢の住人なのだとしても、彼女を汚すことなど出来ない。
触れればきっと汚してしまう。
手を伸ばすことすら許されぬこと。
自分はもうとうにその資格を失ってしまったのだ、と。
再会の喜びに輝いたシンジの目が、僅かな時も許さず絶望と諦念に染められていくのをレイは見ていた。
------------------つづく
「あ……え?……」
言葉にならない声が搾り出されるまで、数秒。
そこにあったのは、今度こそは有り得るはずのない忘れ物。
それは、シンジのすぐ左の座席の上で規則正しく脈を打っていた。
医療機器の知識など無いシンジだが、それが何かくらいは直感できる。
――人工心臓、ペースメーカーと呼ばれる物が、持ち主に忘れ去られたまま作動を続けていたのだった。
残された眼鏡、指輪に入れ歯。そして、ペースメーカー。
それらだけを残し、まるで有機物――人体だけが煙のように消失したかのような異様な光景。
どのくらい微動だにせず立ち尽くしていたのか、そのときの事をシンジ自身も思い出せない。
両側からドアの閉まり始める音がするや、悲鳴だけ残してシンジは脱兎のように走り出していた。
人気の無いホームを全速力で駆けて、階段を何段も飛ばして転がるように駆け下りる。
今自分がどこに向かおうとしているのかなんて、彼自身にも分からないに違いない。
シンジが駅舎を飛び出したとき、彼を運んできた環状線はドアを閉め、ゆっくりと走り出す――何処へ?
よ、読みにくー(;´Д`)
書き込む前にリロードすればいいとおもう
横入り二度目だよ
849 :
773:2006/08/13(日) 16:45:42 ID:???
>>820 > 具体例があると問題点が明確になる。
では、あくまで例示として極端に。
[レス番で参照した批評]:
「
>>736はスカスカ、イラネ」
これは無意味だよね。削除しちゃうと文章がつながらなくなる。必要なことは自明。
[レス番を補助として具体的文言により参照した批評]:
「『ミサトさんの思考回路ってトウジと同じなのかな…(
>>736)』って、イラネ」
だと、一考に値するコメントとなりうる。レスとしてこれだけを書いても実際には無意味だけど。
# 例示の極論とはいえ失礼。 >> 角 ◆uTN4HfUPlw
……って訳で、自分のマヌケさに気づいた所さ。
> 空行の弊害の一例として736を挙げてる。
「内容」って、君は物理的内容量のことを言ってるんだね。改めて読んでみりゃそうだよね orz
俺はすっかり「小説的内容」のつもりで、噛みあわんことをぐだぐだと述べてた訳だ。
「小説的内容」について(まさにその辺に)個人的に思う所があるもんで、思い込みからの脱出がますます遅れました。
申し訳ない。
> そうだね、即断すれば短絡だね。けど、これは即断じゃないよね。
「“地の文”と“発話の文”が密着してる所もあれば、一行中に発話文が連続してる所もある。(
>>791)」
って状況下で、論拠を示さずに「この空行は増量目的だ」ってのは即断だよ、やっぱり。
# それとも「普通じゃない」ってのが君の論拠なのかな?
# 小説の批評で「普通じゃない」なんて、特徴の指摘以上の意味はないと思うけど。
# おまけに「なにが普通か」のコンセンサスも貧弱な現状だし。
むしろ
> まして
>>735-737はそのままでも2レスで済む量 (
>>821,
>>822)
って指摘なら一考の価値があるけど(レス区切れ間に空行が無いと仮定すれば)、
それでも
>>814 みたいな視点もある訳で。
空気読まなくて悪いけど、せっかく有意義な話が出来てるから大事にしたいんだ。御免ね > all, esp. 作家
盆と正月がいっぺんに来たな とにかく御二方GJ!
>>846-847 こ、これは失礼(汗・・・
確かに、リロードして確かめずに連投した自分の落ち度なんですが、
偶然にも同じ時間帯に集中して投下してる御仁がいたとは・・・
それも前日に続いて二度までも・・・
シンジは公園のベンチに座り込んでいた。駅を飛び出してからずいぶん時間も経ってしている。
あれから、人恋しさにあちこちを歩き回った。
ミサトのマンション、彼の通う中学校、そしてNerv本部まで。
そのどれにも、異常は無かった。
今日シンジが電車に乗る前までに目にしたままの姿で、ちゃんと存在していたのである。
ただひとつ――いずれも人影がまるで見えない事を除いては。
そう、彼の良く知る人々の姿はそのどこにも見当たらなかったのだ。
駅で降りてから、誰にも会っていない。
シンジは頭を抱えた。
何がどうなっているのか、さっぱりわからない。
いったい、アスカやミサト、Nervの皆はどこへ行ったのか。
なぜ姿を見せないのか。
そこまで考えて、あの電車の中の不可思議な光景が脳裏に浮かんだ。
まるで、人間の体だけが煙のように消失したとしか思えないような怪異。
(まさか、アスカも、ミサトさんも、Nervのみんなも……)
シンジの体に身震いが走る。
有り得ないとは思ってみても、考えは悪い方向に向かうばかりだ。
街の人々も電車の乗客同様、消えてしまったのだろうか?
ならば、なぜ同じ電車に乗っていた自分だけが無事なのか?
そして、3人目のレイのいた座席に唯一残されていた本。
3人目の彼女も、他の乗客と同じように消滅してしまったのだろうか。
やりきれない思いで、シンジは空を見上げた。
空は電車から見たのと依然変わらぬ青い光を湛えている。それ自体が既に異常でもある。
シンジが電車を降りてからもう3時間が経過していて、本当なら空に星が見えておかしくない時間なのだ。
実のところ自分は、夢でも見ているのではないかと何度も少年は思った。
本当の自分は環状線の中で今も眠っていて、ここはまだ夢の世界なのではないか、と。
けれども直感が答えを告げている。ノーと。
今まで何度か見た夢では有り得なかった、リアルな生々しい五感は明らかに現実のものだ。
「もう一度、人を探してみようかな」
そう一人ごちてから、シンジは立ち上がった。
今度は誰かと会える保証でもあるのか?
もちろん、そんなものは無い。ただ、他にすることが何も無いだけだ。
今度は自分の知ってる所だけでなく、第3新東京市全部を探してみよう。
知ってる人でなくても、誰かに会えるかもしれない。
もし第3新東京市に誰もいなければ、市外に出て日本中を、日本で駄目なら他の国へだって……
唐突な出会いだった。
シンジが公園を出て最初の角を曲がったとき、向こうからやってきた人物とぶつかりそうになったのだ。
電車を降りてから、初めて会った他人だった。
その人影を見て、彼は思わず立ちすくんでしまう――見慣れたジャンパースカートの制服を着た、彼の良く知る空色のショートカットの少女。
「あ、綾波……」
「碇君?」
呆然の二文字を顔に貼り付けて名前を呼んだシンジと同じく、少女もまた、ちょっと驚いたような表情ででシンジを凝視していた。
なじみ薄い三人目のレイだと知りつつも、人に会えた嬉しさのほうが先立ってシンジは破顔する。
「よかった……綾波、無事だったんだね」
「ええ……碇君はどうしてここに?」
笑いかけるシンジを、レイは少し怪訝そうな面持ちで見つめる。
かつての二人目を思い出させるその人間らしい表情に、シンジの胸は針で刺されたように一瞬痛んだが――
「あ、うん……さっき仙石原で電車を降りて……あちこち歩いてここに来たんだ」
「電車で、ここに?」
ありのままを話しただけなのに、どこかレイの口調は訝しげだった。
微妙な違和感とでも言うのか、胸の奥に立ち始めたさざ波のような揺らぎを、このときシンジは自覚
した気がした。
「綾波こそ、僕が寝てる間にどこで降りたの?
僕、綾波がどこかに消えてしまったのかと思ったよ」
「……」
しゃべり続けるシンジを凝視しているレイからの返事は、しばしの間無く。
「……綾波?」「碇君」
耐え切れなくなったシンジの呼びかけを遮って、レイは言葉を続ける。
「……私、あなたと同じ電車に乗っていたの?」
あくまで静かなレイの言葉に、しかしシンジは一瞬、二の句が継げなかった。
「そうだよ? もしかして……憶えて、ないの?」
「いえ、知らないの」
そっけなく言い放ったレイの言葉が、シンジの胸の奥をかき乱す。
三人目に初めて会った時、そっくり同じ言葉を返されたのを思い出したから。
さっき感じたように思った小さな疑惑の波紋は、これだったのか――
シンジに胸の中で途方もない、けれど、凄絶なリアリティを持った仮説が徐々に形を取っていく。
その真偽を確かめる手立てが、少年の手元に1つだけあった。
ゴクリと唾を飲み込んで、シンジはあの文庫本を差し出す。
「これ、綾波のだよね? 見覚え、ある?」
それを手に取り、ぺらぺらとめくって検めたレイの返事は短かった。
「……ないわ。私の持っていない本だもの。でも――」
「でも?」
「でも、私の持ち物なのは、間違いないわ」
なんだか矛盾することを言いながら、レイはシンジに本の表紙裏を見せる。
Rei Ayanami
綺麗な筆記体のサインがしたためられている。
「私の字だもの」
シンジは全てを理解した。あまりに残酷な真実だったが。
レイの言葉を信じれば、この本は彼女のものであって彼女のものでなし、ということになる。
まさに矛盾そのものだが、目の前にいる少女に限って言えばそれは矛盾しえない事を、既に彼は知っていた。
綾波レイという少女は、無数ともいえる肉体のスペアを用意されたクローンである。
つまり目の前のレイは、電車にいた三人目とは別の綾波レイであるということ。
すなわち四人目以外に有り得まい。
LCLの水槽の中で、粘土細工のように崩れていくレイの形をしたモノ達の断末魔をシンジは思い出していた。
あの時三人目の肉体だけを残して、残りはすべて惨殺――リツコに言わせればただの『破壊』だそうだが、彼はそこまで
割り切る事の出来る人間ではない――されたものだと思っていたが、自分の知らない所で四人目がひそかに
用意されたのだろう。
二人目とも、三人目とも寸分違わない姿を視界に納めながら、なんだか空しさばかりが胸を埋めていく。
おそらく三人目のレイは、あの電車の中で他の乗客同様に消滅したのだろう。
「じゃあ君は……四人目なのか」
虚ろにつぶやいた言葉に、レイの瞳が微かに動いたようだった。
「碇君……こっちで少し、休みましょ」
言い終わるが早いか、唐突にレイはシンジの手を取り、公園に引っ張っていく。
握り締めるレイの手が、心なしか――熱い。
「ち、ちょっと、綾波?」
柔らかい手の感触に、少し狼狽するシンジの顔も見ずに歩き続けたレイが足を止めたのは、さっきシンジ
が座ったのとは別の、脇にジュースの自販機のあるベンチである。
「碇君、座って」
立ったままそう呼びかけるレイに、けれどシンジは動かない。
「……? 先に座って。碇君」
訝しげに促すレイに、
「あ、あのさ……あの……」
顔をわずかに紅潮させたシンジは、目を泳がせながら無様にどもるばかりだ。
「?」
「座るから、手、離してくれないかな……」
言われてレイが視線を落とせば、シンジの右手を握って放さない、自分の手。
これでは、シンジが先に座れるはずもない。彼女には珍しく、なぜか少し慌てて手を放す。
シンジが座るのを待って、レイもその傍らにちょこんと腰を下ろす。
チラッとシンジを伺うが、残念ながら彼の視線はレイを見てはおらず、視線に気づいていない。
腰を下ろしたシンジは、その右手をじっと見つめていた。
今さっきレイが握った感触を頭の中で反芻しているのだとは、レイ本人には知りようもない。
ソレは、シンジの手の中にまだ確かに残っていた。
握り締めた、柔らかく暖かな体温と、絹のような肌の感触。記憶と何も変わっていなかった。
4人目になっても、その手の感触はなにも変わっていない――あの2人目と、なにも。
じっと見つめていた右手が不意に揺らいで、少年は自分が泣いていることに気付く。
一度溢れ出してしまうと、涙は堰を切ったように止まらない。
シンジはただただ泣いた。
二人目のレイが本当に死んだと実感したときにあれだけ泣いて、もう涸れたと思っていた涙を、シンジは手の甲で拭い続ける。
そんな彼に、レイは問う。いつかとそっくり同じ、あの言葉で。
「何泣いてるの?」
と。
その懐かしい口調までが、殊更にあの時を思い出させた。
「あ、綾波、綾波ぃ……」
顔をくしゃくしゃにしてその名を呼びながら、シンジは止まらない涙を手の甲で拭った。胸の奥に秘めていた気持ちがそのまま素直に言葉になり、シンジの唇から漏れてゆく。
「僕は…二人目の君と…ずっと一緒に…いたかったんだ…」
それを四人目の彼女に語りかけても詮無いことだとわかってはいるが、さっき手に感じた温もりの懐かしさが、そんな冷静さを押し流していた。
「約束したんだ。二人目だったときの君と、一緒に生きようって」
「……」
「二人目の君と、ずっと一緒にいたかった……いつまでもそばにいて欲しかった……」
目の前の地面の一点を濡れた目で見たまま涙声で語るシンジを、傍らで四人目は静かに見守っている。
二人の間にしばしの沈黙が流れ。
「……ごめん」
それだけ、シンジは笑い混じりにぽつりと漏らした。
「ほんとに、ごめん。なんだか僕ばっかり勝手にしゃべっちゃって。
その…今の綾波には全然関係ない話なんだよね、ははは……」
自分でもなんて空しい笑いだろうと、自分の笑いを聞きながら痛いほどに思う。
好きだった綾波レイという少女が、いま傍らにいる。
けれど、その彼女はやっぱり彼が知っている『あの』綾波レイではなくて、同じ姿をしただけの別の人格なのだ。
確かに、性格は良く似ているのかもしれない。時間がかかっても『あの』彼女と同じように接していけば、
いつかは同じように心を開いてくれるかもしれない。
しかしそれでも、二人目と完全にイコールには決してなり得ないのだろう。
四人目はあくまで四人目、二人目の代用品では決してないのである。
だから今のシンジの告白も、四人目にはさして興味もない思い出話でしかないだろう。
――だが。
「話して」
四人目は静かに、けれどもはっきりと言い放ったのだ。
「聞かせて。あなたの知ってる、二人目の私のこと。」
「え?」
一瞬言われた意味がわからず呆気にとられるシンジに、
「あなたと二人目の間にあったこと、二人目へのあなたの気持ち、聞かせて」
突然何を言い出すのかと思った。シンジが次の句を継ぐまでに数秒を要したのも致し方ないだろう。
「……どうして?」
「知りたいの。あなたが知ってた、私のこと。」
「……わかったよ」
シンジは観念したように彼の記憶の中の二人目のことを話して聞かせた。
――ベッドに寝せられた痛々しい姿の彼女と、初めて会ったときのこと。
――二人して第五使徒に勝利したときのこと。そして、その後に交わした言葉。
――彼女の部屋でいっしょに紅茶を飲んだこと。
二人目と共にあった思い出を語るほどに、思い出すほどに、シンジの心は裂けて真っ赤な血を流した。
ほろ苦いけれどもちょっぴり幸せだったのかもしれない日々を思い出すほど、あの最期の瞬間を
思い出してしまう――そのギャップが辛い。
いつしか、あの子宮の名を持つ使徒との激戦にまで話は進んでいた。これを話し終れば、彼の話はすべて終わりだ。
「僕は…何も出来なかった…零号機が爆発するのをただ見てただけだった」
あまりに悲しい思い出だったけれど、それに耐えつつシンジはすべてを話した。
二人目の凄絶な最期と、失った後でようやく気づいた彼女への想いまでも。
「みんな手遅れになってから、やっと気づいたんだ……僕は二人目の君を…失いたくなかったんだって!」
最後にそう叫んで、今度こそシンジは声を上げて号泣した。
「何もかも手遅れになってから、ようやく気づいて……」
身を折って泣き続けるシンジの背中を、暖かい感触が何度も何度も優しくさする。
見て確かめはしなかったが、そうするまでもなく、それが四人目の手だとシンジにもわかっていた。
「僕は…馬鹿だ…」
かつてのように親しいわけでもなく、まだ会って間もない四人目だったが、そんな心遣いが嬉しくて、
けれど二人目を思い出させるその手の暖かさがやっぱり辛くて、シンジは尽きることのない涙を流し続けた。
どの位経っただろう。
「碇君」
まだしゃくりあげるシンジの頬に、その声と共に冷たい感触が押し付けられる。
驚いて見上げれば、四人目がジュースを差し出していた。そばの販売機で買ったものだろう。
その二人目の生き写しの姿に堪えようも無く湧き上がる、腕の中に抱きしめたい衝動をシンジは
どうにか抑え込んだ。
彼の想い人と同じ容姿を持ってはいても、所詮この四人目は別の人格、別の綾波レイなのだから。
二人目を彼女に重ねることは、二人目への侮辱だと彼は思っているのだった。
そう考えを至ってしまえば、今度は新たな後悔もわく。
自分のさっきの独白を、一方的にぶちまけた二人目への想いを、この四人目はどんな気持ちで
聞いたのだろう。
自分は所詮疎外者なのだと、四人目なりに傷つきはしなかっただろうか……
ばつの悪そうな顔をしながらも、シンジはありがとうと礼だけ言って、ジュースを受け取る。
缶を見れば、好きで良く飲んでいる銘柄だ。まさか四人目が彼の好みまで知っていたとは思えないが、
どちらにしてもありがたい。
偶然でもこれを選んでくれた四人目に感謝しつつ、シンジは中身を喉に流し込む。
「碇君。この公園、覚えてる?」
シンジが飲み始めるのを待っていたのか、周りを見回しながらレイが語りかける。
それがどこか嬉しげな声に聞こえたのは気のせいかなと、シンジは思った。
「え?」
言われて見回せば、確かに前にも一度、ここに来たことを思い出す。
(あれは確か――)
胸の痛みと共に、甘くてほろ苦い記憶のプレイバック。
(そうだ、あの時の……)
はっきりと思い出した。
この街に来てまだ日も浅い頃、渡すように頼まれた更新カードをレイの部屋に持っていった事があった。
あのときはシャワーから裸で上がってきたレイに動転して、逃げるように部屋を飛び出したのだったが。
部屋を飛び出した後、確かにこの公園で、綾波に絶対嫌われただろうなと悔いながら苦虫を噛み潰す思いで
ジュースを流し込んでいた自分を思い出す。
綾波レイという無口な少女に惹かれながらも、どう接していいかわからなかった、あの頃。
あれから、いろいろあってふたりの間の距離はずいぶん縮まったけれど――そんな僕は、あの頃に比べて
成長したのだろうか?
(したと思う。たぶん)
根拠は特にあるわけではないが、それなりに確信を持ってそう思うし、実際そうなのだろう。
でも、でもやっぱりまだきっと、自分はどこか幼いんだろう。子供なのだ。
ずいぶんと縮まったはずのレイとの距離を、それ以上詰めることは結局、叶わなかったのだから。
>>849 自分の間抜けさに気付いたのなら前半部分は消しとけよ。
無駄に長くなるだけだろ。
>「“地の文”と〜ある。」
規則性が無いのが逆に問題なんだよ。
規則性があるのなら勘違いで分かるんだが、それが無いから別の理由で挿入してることになる。
で、散々言われてるように、アイツの空行の挿入は表現としては見苦しいものにしかなっていない。
あれが表現の為だとするのなら相当の馬鹿ということになるが、流石にそれは無いと思って除外してる。
他に考えられる理由があるのなら提示してから言って欲しい。
>>814は2ch投稿前提の作品には当てはまらんだろ。
2〜3レスなら分かるが、それを延々と続けてるし。
(どうして?)
その答えはわかっている。わかっていると、思う。
正直な自分の気持ちに、気づくことが出来なかったからだ。
胸の奥に秘めたレイへの想いに気づけないほど、自分はやはり子供だったのだ。
それを素直に認める事が、幼い少年にはまだ照れ臭かったのかもしれない。
そんな自分だから、レイを失ってからようやくその想いに気付いたのだろう。もし彼女を失わなければ、この先も
一生気付く事もなかったのかもしれない。
ならば。ならば、今の自分ならば、臆することなくその想いを伝えることができるのだろうか?
もし今、目の前に二人目の彼女が現れたなら?
(出来ると思う。ううん、出来なくちゃ駄目なんだ。)
これといって根拠はなかったけれど、少年は自分にそう言い聞かせる。
(だって、そうじゃなければ、二人目の綾波に申し訳ないから)
青臭い決意ではあるが、それも彼がまだ子供なりに一歩だけ成長した証なのかも知れない。
だとしたら、それはきっと喜ぶべきことなんだ。
……ただ一つ、二人目の彼女がもう二度と還ってこないことを除けば。
自問自答の末に、当然のように辿り着いた悲しい結論。
ひとときだけ体の奥底に燃え上がりかけた情熱は、容赦ない現実の前にあっけなくかき消されて、
意識を現実に戻したシンジは、失意のままぼんやりと視線を回りに走らせた。
そういえば、あのとき座っていたのは、このベンチじゃなかったっけ?
もしかして、あのとき飲んでいたのも、このジュースじゃなかったっけ?
ジュースを口に含みながら、そんなことを脈絡もなく考え始めた自分を白々しいと心底思う。
こういうのを、世間では現実逃避と言うんだろうか?
なのに、今浮かんだ思考は不思議にシンジの心を捉えて離さなかった。
失った二人目の思い出のもたらす胸の痛みとは別に、もやもやとした何かが胸の奥底で疼きだしたのを
シンジは自覚する。
不思議に嫌な感じではなく、むしろ好ましい。出来ることなら、その何かに溺れていたい。
ただ、それを直視する事は何故か躊躇われる――怖いのだ。
求めているのに怯え、怯えているのに求める矛盾したココロ。
初めて感じる矛盾した感情に幼い心は困惑し、そして震える。
言葉でそれを形容し尽くそうとするなら、この言い方以上に相応しいものは恐らくないだろう。
――すなわち、『怪しい歓喜』。
無意識に救いを求めようとしたのか、シンジは傍らに座るレイを見た。
その視線を紅い瞳でしっかりと受け止めて、レイは言葉を紡ぐ。
「覚えてる? 私に新しいカードを持ってきてくれた後のこと。
碇君、ここに座ってそのジュースを飲んでた」
その言葉にシンジは驚く。
レイの言う通りだったから。
綾波は四人目になっても、あのときの記憶を憶えていてくれたのだと知る。
例えそれが、二人目から移植されたに過ぎない偽りの体験であったとしても。
そういえば、あのとき座っていたのは、このベンチじゃなかったっけ?
もしかして、あのとき飲んでいたのも、このジュースじゃなかったっけ?
ジュースを口に含みながら、そんなことを脈絡もなく考え始めた自分を白々しいと心底思う。
こういうのを、世間では現実逃避と言うんだろうか?
なのに、今浮かんだ思考は不思議にシンジの心を捉えて離さなかった。
失った二人目の思い出のもたらす胸の痛みとは別に、もやもやとした何かが胸の奥底で疼きだしたのを
シンジは自覚する。
不思議に嫌な感じではなく、むしろ好ましい。出来ることなら、その何かに溺れていたい。
ただ、それを直視する事は何故か躊躇われる――怖いのだ。
求めているのに怯え、怯えているのに求める矛盾したココロ。
初めて感じる矛盾した感情に幼い心は困惑し、そして震える。
言葉でそれを形容し尽くそうとするなら、この言い方以上に相応しいものは恐らくないだろう。
――すなわち、『怪しい歓喜』。
無意識に救いを求めようとしたのか、シンジは傍らに座るレイを見た。
その視線を紅い瞳でしっかりと受け止めて、レイは言葉を紡ぐ。
「覚えてる? 私に新しいカードを持ってきてくれた後のこと。
碇君、ここに座ってそのジュースを飲んでた」
その言葉にシンジは驚く。
レイの言う通りだったから。
綾波は四人目になっても、あのときの記憶を憶えていてくれたのだと知る。
例えそれが、二人目から移植されたに過ぎない偽りの体験であったとしても。
「はは……僕はたったいま思い出したよ。よく覚えてたね、綾波は」
嬉しさのほうが先立ったけれど、シンジの笑いにはどこか空しさのようなものも混じっていた。
「ちゃんと覚えているわ、碇君の手も」
レイの口調がどこか嬉しげに聞こえたのは気のせいだろうか。
そう思った胸の奥底で、何かが大きな脈を打った気がした。
「……え?」
シンジがそう問い返すまで、数瞬の間。
さっきからの胸の疼きが、いっそう強くなっている事にシンジは気づいただろうか。
そんなシンジを置き去りに、更にレイは続ける。
ただし今度は、少しだけいたずらっぽく。
「碇君の手……二度目に触れたあの時は、少しだけ気持ち悪かったわね」
惚けた顔で自分を凝視するシンジを傍らに、レイの言葉は続く。
「三度目は、今でも覚えてる。とても暖かかった」
間違いない。これと同じ言葉を自分は聞いたことがある。
二人目とそっくり同じ言葉を、目の前でテープレコーダーのように繰り返す四人目。
それが意味するところは何なのか?
その疑問を意識したシンジの胸の奥が、また大きく波立った。
「四度目は、嬉しかった……私のことを心配してくれる、碇君の手が」
微かに頬を染めて伏し目がちにそう言うレイに、それ以上は堪らず、シンジは息せき切って尋ねる。
「……ね、ねえ綾波、どうしてそんな細かいことまで覚えてるの?」
言ってから、そんなことを聞いてどうしたいんだろうと自分でも思う。
なぜ、そんなことを聞いてみたいと思ったのだろう、と。
四人目の綾波が、想像以上に細かいところまで覚えているから?
それが意外だったから?
一体、それがどうしたというのか。
自分がが思っていたよりも、ずっと緻密な記憶のバックアップが取られていた――それだけで説明
できてしまう疑問ではないのか。
(そうかも知れない。でもなんかこう、上手く言えないけど……違う理由のような……)
特に根拠があるわけでもなく、シンジはそう思う。
(何だか……話してる綾波の感じが昔みたい……だから?)
胸がまたざわめきだしていた。それは、予感に似ていた。
しかも、何かとんでもなく嬉しいことが起きてしまいそうな時の。
(もしかして、有り得ないけど……もしかしたら!)
狂ったように期待する心の声を意識しながら――シンジはレイの答えを待つ。
時間にすればほんの数秒のはずなのに、シンジには息の詰まりそうなほどに長い時間が過ぎる。
「だって私――碇君の知ってる二人目だもの」
ヤシマ作戦で見せた、あの見惚れてしまったくらいに綺麗な微笑みをシンジに向けて、
彼女はそう答えたのだった。
改行削りとコピペに疲れた。
今日はここまで。
GJ!
「四度目は、嬉しかった……私のことを心配してくれる、碇君の手が」
微かに頬を染めて伏し目がちにそう言うレイに、それ以上は堪らず、シンジは息せき切って尋ねる。
「……ね、ねえ綾波、どうしてそんな細かいことまで覚えてるの?」
言ってから、そんなことを聞いてどうしたいんだろうと自分でも思う。
なぜ、そんなことを聞いてみたいと思ったのだろう、と。
四人目の綾波が、想像以上に細かいところまで覚えているから?
それが意外だったから?
一体、それがどうしたというのか。
自分がが思っていたよりも、ずっと緻密な記憶のバックアップが取られていた――それだけで説明
できてしまう疑問ではないのか。
(そうかも知れない。でもなんかこう、上手く言えないけど……違う理由のような……)
特に根拠があるわけでもなく、シンジはそう思う。
(何だか……話してる綾波の感じが昔みたい……だから?)
胸がまたざわめきだしていた。それは、予感に似ていた。
しかも、何かとんでもなく嬉しいことが起きてしまいそうな時の。
こういうのを、世間では現実逃避と言うんだろうか?なのに、今浮かんだ思考は不思議にシンジの心を捉えて離さなかった。
失った二人目の思い出のもたらす胸の痛みとは別に、もやもやとした何かが胸の奥底で疼きだしたのを
シンジは自覚する。不思議に嫌な感じではなく、むしろ好ましい。出来ることなら、その何かに溺れていたい。
ただ、それを直視する事は何故か躊躇われる――怖いのだ。求めているのに怯え、怯えているのに求める矛盾したココロ。
初めて感じる矛盾した感情に幼い心は困惑し、そして震える。言葉でそれを形容し尽くそうとするなら、この言い方以上に相
応しいものは恐らくないだろう。――すなわち、『怪しい歓喜』。無意識に救いを求めようとしたのか、シンジは傍らに座るレイを見た。
その視線を紅い瞳でしっかりと受け止めて、レイは言葉を紡ぐ。「覚えてる? 私に新しいカードを持ってきてくれた後のこと。
碇君、ここに座ってそのジュースを飲んでた」その言葉にシンジは驚く。レイの言う通りだったから。
そういえば、あのとき座っていたのは、このベンチじゃなかったっけ?もしかして、あのとき飲んでいたのも、このジュースじゃなかったっけ?
ジュースを口に含みながら、そんなことを脈絡もなく考え始めた自分を白々しいと心底思う。
こういうのを、世間では現実逃避と言うんだろうか?なのに、今浮かんだ思考は不思議にシンジの心を捉えて離さなかった。
失った二人目の思い出のもたらす胸の痛みとは別に、もやもやとした何かが胸の奥底で疼きだしたのを
シンジは自覚する。不思議に嫌な感じではなく、むしろ好ましい。出来ることなら、その何かに溺れていたい。
ただ、それを直視する事は何故か躊躇われる――怖いのだ。求めているのに怯え、怯えているのに求める矛盾したココロ。
初めて感じる矛盾した感情に幼い心は困惑し、そして震える。言葉でそれを形容し尽くそうとするなら、この言い方以上に相
応しいものは恐らくないだろう。――すなわち、『怪しい歓喜』。無意識に救いを求めようとしたのか、シンジは傍らに座るレイを見た。
その視線を紅い瞳でしっかりと受け止めて、レイは言葉を紡ぐ。「覚えてる? 私に新しいカードを持ってきてくれた後のこと。
ただいま。現世に戻ってまいりました。
水・木・金・土・日と病院食0.7食とミルクティ5杯で生息していました。
ただちにでもSS製作に入りたいところですが…とりあえず飯食ってきます。
落ち着いたら投稿しますので、またよろしくお願いします。
>>752 知ってて食べました。他に食うもの無かったし。
微妙に水が濁ってたんですが…これも仕様かなと思って三杯酢で食べました。
スレッド連載中の投稿作品が50kb超えたので.txt形式でうpしました。
スレが読みにくければどうぞ。
ttp://www.geocities.jp/miyatuno/rei1.txt
>>871 乙。GJ
>>839 四段目の説明、無くても十分意味伝わるよ。
たぶん無い方が、意味以上のものまで伝わるよ。
>>856 > シンジは全てを理解した。あまりに残酷な真実だったが。
「シンジは確信した」とかの方がフェアじゃない?
実際には、真実を理解してはいなかった訳だよね?
角さん帰還オメ。投下待ってるよ
>>737続き。
碇はこんなことは一言も言っていなかったぞ。と、冬月教授は内心毒づいた。
特設の大講堂の中には何百人ものマスコミ関係者達が詰め掛けている。
地の果てにも関わらず、彼らは世界各国から押し寄せてきているのだ。
流石の冬月教授も演壇に上がってからは緊張しっぱなしだった。
全く、このフラッシュとやら、どうにかならんものかね。
「…ご静聴、感謝します…では。」
やっと質問攻めから解放されたようだ。
それが教授には何よりも嬉しかった。
冬月教授が演壇から降りた後のこと。
ロビーで一息ついていると、どこからか懐かしい声が聞こえてきた。
「お久しぶりです!冬月センセ。」「今度もお世話になります!」
教授が振り向くと、二人の日本人記者が駆け寄ってくるのが見えた。
二人とも大手民放の名物記者だ。いろんな意味で。
「やあ、君達か。相田君と鈴原君…だな?
こんな地の果てまでよく来たなあ。」
冬月教授は思わず顔をほころばせた。彼ら二人、とは本当に長い付き合いなのだ。
「ええ。それにしても、ここの飯は本当に不味いですねえ。」
眼鏡をかけたほうの記者が、たまらない、とでもいうようなかぶりを振った。
「ワイは寒いのが苦手なんですよ。こんなトコ、さっさと退散するに過ぎますわ。」
頭を丸刈りにした記者が肩をすくめた。
そういえば、タオルを首に巻きつけたこの男は標準語と大阪弁をごっちゃにした面白い言葉を話す。
「ハハ、私はあと数ヶ月はここに缶詰だ。
世界中を自由に飛びまわれる君達が羨ましいとつくづく思うよ。」
「まあまあ、センセ、そんな事は言わずに。」「この件が片付いたらどこにだって連れて行って上げますよ。」
あまりに寂しげな表情の冬月教授が余程哀れに見えたのか、慌てて二人がフォローする。
「そんな教授にちょっとしたお土産がありましてね。」「こんなもんなら暇を紛らわせるんやないかと。」
二人は怪しげな笑みを顔に浮かべながら言った。
「ほう…それは楽しみだな。」
彼らのことだ。また度胆を抜くような何かを持ち込んできたに違いない。
危険なものでなければいいが。
「で、こっからが本題なんですわ。」「教授、『遺産』標本UG-89325って覚えています?」
「UG-89235…2001年に焼失してしまった標本のことか?本当に残念だったよ。あれは。」
冬月教授は苦々しそうに言った。その一件は教授の心の中に大きなわだかまりとして残っている。
「ご名答!」「その通り!」
「あれが…どうかしたのかというのかね?」
「あれは焼失してなどいませんぜ。」「早い話、みっけましたよ。全部じゃありませんけどね。」
丸刈り頭の記者がリュックサックから分厚いビニルファイルを取り出した。
「…!!」
冬月教授は声もない。
普段から決して冷静さを失うことが無かった教授が人前でこんな様子をみせるのは恐らく初めてではないだろうか。
「2014年に南アフリカ共和国で開かれた非合法オークションに出されていたんです。
私達もその場に張りこんだんですけど、あいにく現物は手に入れられませんでした。
その代わりに、一部はスキャンすることに成功しましたよ。そのファイルの中に入ってます。」と、眼鏡の相田記者が言った。
冬月教授は震える手でファイルを開けた。
プリントアウトの一枚目には逆三角形に七つ目の奇妙なマークが大きく描かれている。
「これは…ああ、間違いない…」
二枚目以降には、二匹から三匹のミミズがのたくっているような奇妙な文字が描かれている。
一枚につき横20文字×縦20文字。そのようなプリントアウトが80枚ファイルに入っている。
「何が書いているかは私達は存じませんよ。それにこれは教授の専門分野じゃないんですかね?」と、相田記者。
「君達…本当に…」
冬月教授の目は微かに潤んでいる。
「こんなとこで…やめて下さいや、センセ。今の私らがあるのはセンセのお陰なんですから。」「まあ、これで借りは返しましたよ?」
二人とも、少し恥ずかしげだ。
「感謝しているよ。だが…」
突然、教授の顔が曇った。
「UG-89325を落札した奴ですがね…実は私達も詳しくは分かっていないんです。」「落札した途端に姿をくらましおったんですよ。」
「そうか…」
残念そうに冬月教授は呟いた。
落札者の身元さえ分かれば文書の残りの部分を回収することも不可能ではないのだが…
「あ、もう時間ですね。じゃあ私達はこれで。行くぞ、コウジ。」
腕時計をふと、見遣った相田記者が慌てて言った。
「おう。」と、大きな撮影機材を担ぎ上げながら鈴原記者。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
#今日はここまで。
#なんか、結構ストーリーが広がりそうです。
>>845って、S・キングの「ランゴリアーズ」を意識してるのかな?
金歯や入れ歯、ペースメーカーを残して、人々が煙のように消えちゃうところとか。
いや、別に悪いっていってるわけじゃないよ?違ってたらごめんね?
ちなみに、ペースメーカーは脈打たない。
電気的刺激で心臓を動かすだけだから。
一見、金属の塊だよ。
>>881 > こんなトコ、さっさと退散するに過ぎますわ。
急ぎすぎw
>>889 一応
>>578にもある通り、一週間くらい前からお二人はいらっしゃったって設定なんでw
分かりにくくてごめんなさいw
なんか、漏れの投下SSの一部をコピーして貼ってる人がいますね。
別に怒りはしませんが、意図が読めません・・・
>>867のときは自分のミスを疑いましたが、
>>873-874の投稿時間には、俺もう寝ていたし。
>>角氏
退院おめでとうございます。
>>878 そういうツッコミ歓迎です。元々、どこかのLRSサイトに投下するつもりの作品ですので、
そのとき推敲するのに参考にさせてもらいますね。
>>888 2ちゃんって怖いねw
いつかはパクリ呼ばわりされるのも覚悟はしてたけど、こうも早いうちからモロバレw
まあ、背景はランゴリアーズをなぞってもらってると思って間違いないです。
ランゴリでは飛行機だったのを、このSSでは電車に変えただけ。
貞本版の二人目自爆のモノローグが切なくて、なんとか二人目を生かしてあげて、
シンジとくっつけてあげたいなと思ったのが出発点です。
それに加えて、元々、異世界物を書いてみたいなって思いもありました。
ただ、RPGみたいなファンタジー世界とか、TV最終話のような平和な学園物は
性に合わないし、エヴァの世界観から外れすぎてると思えて書きたくなかったんです。
でもディラックの海とかは出てきているし、そんなSF話なら自分では許容範囲かなと。
前に見たランゴリが印象に残ってて、これを元に両方を満足できる話を書こうかなと
思ったってのが、そもそもの出発点です。
あ、聞き忘れた。
ペースメーカーを人工心臓に変えれば、矛盾ありませんか?
頭をガツンと殴られたような衝撃。
シンジの時間は止まった。
今の彼が意識できるのは、網膜に焼きついた少女の微笑みだけ。
「あ…あ…」
金魚のようにパクパクするだけの口からは、上手く言葉が出てこなかった。
(言わなくちゃ…何か綾波に言わなくちゃ…何か…)
雷にでも打たれたように真っ白になった脳味噌で、シンジはそれだけを呪文のように反芻するが。
見つからない。
二人目を失ったとき言いたいことは山ほどあるはずだったのに、今は言葉が見つからない。
たっぷり時間をかけた挙句に、ようやく探し当てた言葉は『好き』でも『会いたかった』でもなくて――
「あ、あのさ、綾波……」
「なに?」
「あの、あの…5度目は?」
「?」
「5度目は……5度目は、どう思ったの?
5度目に…その…僕の手を…握ったときはさ……」
自分でもなんて馬鹿な質問なんだと思うような台詞。
でも、何よりそれを知りたかったのかもしれない。
もっとありふれた言葉を告げるより前に。
なぜならそれは、二人目の綾波レイにしか答えられない問いだったから。
シンジと同じ時間を、体験を共有したあの少女でなければ。
今度はレイが言葉に詰まる番だった。白磁の肌を染めながら、少しの間、その視線を宙に泳がせる。
「……した」
小さく呟いただけの言葉は、半ば呆然自失のシンジの耳には聞き取ることが難しくて――
「え? なに?」
そう少年は問い返してしまう。
「その……なんだか胸が……ドキドキした……」
目の前で少し俯いて頬を染め、目をぱちぱちさせながら答えた彼女に、今度こそシンジは確信した。
この少女は本当に二人目の綾波レイなのだと。
だとすれば、少年にもう迷いはない。
「綾波」
少女の名前を呼んで、彼は膝の上に載せていたレイの右手を取る。
そのまま目の高さに掲げた真っ白い肌を見て、
(綺麗だ)
シンジは心底、そう思った。
思えば、今まで何度か触れた事はあっても、こうやって観察するのは初めてだった。
雪のように白い肌の色。
指先から少しだけ伸びてはいるけれど、綺麗に形良く切りそろえた爪先。
細いけれど、それでいてふくよかさも備えた五本の指。
少し小ぶりな手に、女性としての美が結晶されている。
本当に、綺麗だと思う。だから、思わずその手を口元に引き寄せたのかもしれない。
「あ……」
そのまま手の甲に唇を付けるシンジに、レイは短く声を上げる。
肌が放つ微かに甘い香りに、そのままシンジはしばし酔った。
唇から伝わるレイの肌の温かさこそ、二人目のレイが今ここに実在している確かな証。
レイの手の甲に、レイの肌より熱い雫がポタリと滴る。
シンジの涙が。
「綾波……良かった、良かったぁ……嬉しいよ、僕……」
レイの手の甲に何度も接吻しながら、シンジは涙声でそう訴える。
接吻しながらちょっとだけ舌先で触れたレイの肌は、自分の涙で少し塩辛かった。
「綾波……今は、どう?」
握ったレイの手の甲に唇を当てたままで、シンジは問う。
「え?」
「今の僕の手……6度目の僕の手は、どう思う?」
「……そうね」
「……」
「離したくないって……碇君に、いつまでも触れていて欲しいって……そう思う」
それは、告白だった。そして、彼の想いもまた同じ。
それだけで、シンジにはもう十分だった。
視界の中のレイの笑顔が不意に揺らぐ。涙が溢れ出して、止まらない。
「僕もだよ!…綾波…ありがとう…ほんとに、ありがとう……」
次の瞬間、彼女の細い体はシンジの腕の中に抱きすくめられていた。
まだ幼さが残っていると思っていた少年の細い腕が、心なしか今は一回り逞しさを増して、
レイの細い体を包み込んでいる。
それに身を委ねる暖かさに、頬を染めたレイが酔っていられたのも束の間。
その少年は、彼女の『初めて』までもあっさり奪ってしまう。
「……んぅ!?」
いきなり唇に吸い付かれて、レイは驚きの声を上げる。
彼女のファーストキスは今こうして、あまりにもあっけなく奪われたのである。
「……んぅ!?」
いきなり唇に吸い付かれて、レイは驚きの声を上げる。
彼女のファーストキスは今こうして、あまりにもあっけなく奪われたのである。
「ん、んむぅ……い、碇君っ?」
シンジに熱く吸いつかれた唇の間から、レイはどうにかそれだけを訴えるが――
「好きだよ、綾波」
その言葉にピクリと反応したレイの動きは、そのまま凍りついてしまう。
「大好きだよ」
目を見開いたレイの唇にさっきよりも強く吸い付きながら、シンジは言えないままだった秘めた想いを打ち明けた。
告げるべき人を一度失ったとき、価値を失ったと思った言葉。この先もずっと、告げることは無かったはずの想い。
「綾波……愛してる!」
その言葉と共にレイをより強く抱き寄せて、もう一度シンジは彼女の唇に吸い付いた。
レイは拒まなかった。シンジの頭をかき抱いて、彼の求めるままに唇を捧げる。
自爆の時以来の涙が、彼女の白磁の頬を静かに伝っていく。
求め合う唇に等しく、握り合う二人の手の指もまた絡み合う。
もう二度と離すまいとするように、限りなく熱く。
これで――6度目。
6度目に握り合ったレイとシンジの手は今度こそ、その姿がレイの部屋の扉の奥に消えるまで離れなかった。
そこに住む者の姿が失われても、科学の力で全自動化された要塞都市、第3新東京市はいつもと
変わりなく息づいている事をシンジは知った。
レイの部屋の壁のスイッチに触れれば当たり前のように電気が灯り、コックを捻れば蛇口は惜しみなく
水を吐き出したのである。
街を歩いてみれば、立ち並ぶ高層ビルのエレベーターは何の問題もなく動作するし、完全オートメーション化
された電車(シンジの乗ってきた環状線だが)も不気味な置き土産を乗せたまま、プログラムされた
時刻表のままに空しく延々と走り続けていたのだった。
そんな街を、その日のシンジは地上200mの高みから見下ろしていた。
市街の一角を占める、高層ホテルのスイートである。
本当ならば、中学生の懐では寄り付くことさえ叶わない高級ホテルの、それも最上級のスイートをシンジ
とレイは独占していた。
エヴァの操縦席からの光景に比べても、その更に倍以上の高さから見下ろす街並みはなかなかに壮観である。
青い色の中に沈む主なきビルの群れは、海中に没した巨大な都市遺跡のように見えなくもなかった。
「碇君。シャワー、使って」
「あ、うん」
バスタオルを首にかけただけの格好で風呂から出てきたレイに生返事を返してから、そのまま視線を
街並みに戻す。
レイとここを訪れて、初めて見たこの眺めに感激したのはもう数日も前の事。
そのときから黎明のような青はいつも変わらず街を包んでいたし、それはこれから先もずっと変わらない
光景であろう事を、既にシンジは知っていた。
裸のまま腰を掛けている巨大なダブルベッドが、小さく揺れる。
見れば、傍に腰を下ろしたレイが髪を拭いている。そんなレイを眺める視界の隅には、壁に掛かったアンティークの時計。
秒針さえ凍りついたまま、時を刻む役目を失ったそれは、今やただのオブジェと化している。
(2時53分か)
シンジの脳裏に、レイの部屋で見た半月前の光景がプレイバックされていた。
「2時53分?」
見慣れた白いプラグスーツ、その手の甲に埋め込まれたディスプレイが示す時刻を、シンジは
ちょっと素っ頓狂な声を出して読み上げた。
「そんなはずないよ、僕は家に帰るために夕方の電車に乗ったんだ。僕の時計も壊れてるから
確かなことは言えないけど……あれからずいぶん経ったし、今はもう夜の10時頃じゃないかな?」
部屋のドアが閉まるや今何時かなと言ったシンジを少し見つめた後で、部屋の片隅に脱ぎ捨てられた
葉脈みたいな侵食の跡が残るプラグスーツを取って戻ったレイが、スーツ内蔵の電子時計を示した
ことに端を発するやり取りだった。
あの公園で抱擁し合った後、二人はレイの部屋に場所を移していたのである。
「そうね」
シンジが言い終わるまで聞いていたレイは、それだけをポツリと漏らす。
「本当に碇君の言うとおりなら、今はその前後の時間でなくてはいけないわ。でも外を見て。さっきから暗くなっていないわ。」
その通りだった。
外の明るさはシンジが電車を降りたときのまま、変わっていなかったのである。
「座りましょう」
レイの指摘に言い返す言葉もなく立っているままのシンジに、ベッドに腰を下ろしたレイからそう声がかかる。
うん、とだけ頷いてシンジは従った。
そこに住む者の姿が失われても、科学の力で全自動化された要塞都市、第3新東京市はいつもと
変わりなく息づいている事をシンジは知った。
レイの部屋の壁のスイッチに触れれば当たり前のように電気が灯り、コックを捻れば蛇口は惜しみなく
水を吐き出したのである。
街を歩いてみれば、立ち並ぶ高層ビルのエレベーターは何の問題もなく動作するし、完全オートメーション化
された電車(シンジの乗ってきた環状線だが)も不気味な置き土産を乗せたまま、プログラムされた
時刻表のままに空しく延々と走り続けていたのだった。
そんな街を、その日のシンジは地上200mの高みから見下ろしていた。
市街の一角を占める、高層ホテルのスイートである。
本当ならば、中学生の懐では寄り付くことさえ叶わない高級ホテルの、それも最上級のスイートをシンジ
とレイは独占していた。
エヴァの操縦席からの光景に比べても、その更に倍以上の高さから見下ろす街並みはなかなかに壮観である。
青い色の中に沈む主なきビルの群れは、海中に没した巨大な都市遺跡のように見えなくもなかった。
「碇君。シャワー、使って」
「あ、うん」
バスタオルを首にかけただけの格好で風呂から出てきたレイに生返事を返してから、そのまま視線を
街並みに戻す。
レイとここを訪れて、初めて見たこの眺めに感激したのはもう数日も前の事。
そのときから黎明のような青はいつも変わらず街を包んでいたし、それはこれから先もずっと変わらない
光景であろう事を、既にシンジは知っていた。
「碇君が止まった時計に気がついたのは、いつ?」
「え? 電車の中だったかな……」
まだ生々しい記憶をたどって、答える。
「電車に乗る前までは、動いていたのね?」
「確か……そうだ、確かに動いてたよ。乗る前にホームで時間を確認したからね」
「そう。じゃあ電車の中で、何か変わったことは起きなかった?」
「!」
シンジの脳裏にさっき見たあの光景が浮かんで、彼は言葉を飲み込んだ。
彼が眠っている間に消えた乗客と、怪異な置き土産。
突如言葉を失ったシンジの様子に、レイも何事かを察したらしい。
「何かあったみたいね。聞かせて」
「う…うん」
どこまで信じてもらえるか怪しいものだとは思いながらも、シンジはレイに見たままの全てを語った。
それでなくても、碇シンジと言う少年は人を欺けない真っ直ぐな心の持ち主だったのである。
つい居眠りしてしまったこと。
目覚めたら、忘れるはずのない忘れ物を残したまま他の乗客の姿が消え失せていたこと。
時計が故障したことに気づいたのも、その時であったこと。
そして三人目の綾波レイも、さっき見せた本だけを残して姿を消していたこと……
「江頭2時53分?」
見慣れた白いプラグスーツ、その手の甲に埋め込まれたディスプレイが示す時刻を、シンジは
ちょっと素っ頓狂な声を出して読み上げた。
「そんなはずないよ、僕は家に帰るために夕方の電車に乗ったんだ。僕の時計も壊れてるから
確かなことは言えないけど……あれからずいぶん経ったし、今はもう夜の10時頃じゃないかな?」
部屋のドアが閉まるや今何時かなと言ったシンジを少し見つめた後で、部屋の片隅に脱ぎ捨てられた
葉脈みたいな侵食の跡が残るプラグスーツを取って戻ったレイが、スーツ内蔵の電子時計を示した
ことに端を発するやり取りだった。
あの公園で抱擁し合った後、二人はレイの部屋に場所を移していたのである。
「そうね」
シンジが言い終わるまで聞いていたレイは、それだけをポツリと漏らす。
「本当に碇君の言うとおりなら、今はその前後の時間でなくてはいけないわ。でも外を見て。さっきから暗くなっていないわ。」
その通りだった。
外の明るさはシンジが電車を降りたときのまま、変わっていなかったのである。
「座りましょう」
レイの指摘に言い返す言葉もなく立っているままのシンジに、ベッドに腰を下ろしたレイからそう声がかかる。
うん、とだけ頷いてシンジは従った。
「思っていた通りね」
全ての話が終わった時、そうポツリと漏らしたレイを、シンジは驚きと共に見やる。
常識離れした途方もない話だったはずなのに、レイの口調には疑念の影は微塵も伺えず、
むしろ予期していた感じさえあったから。
「思ってた通りって、一体どういう事?」
答える代わりにレイは再びプラグスーツの時計を見せる。
「え? 2時53分って、さっきと同じじゃないか」
話しこんでる間にずいぶん経ったはずなのに、一向に変化のない時刻を見てシンジは驚いた。
当然のごとく浮かぶ「なぜ?」と言う疑問。
一番最初に頭に浮かんだ可能性を、そのままレイにぶつける。
「ねえ綾波、このプラグスーツの時計、壊れてるんじゃない?
ほら、スーツが使徒に侵食されたからきっと時計にも影響が……」
「……そうね、故障の可能性はゼロではないと思う。でも、そうではない可能性のほうが高いと思うわ。」
「ど、どういう事?」
「この世界には、時間そのものが無いのよ。」
シンジがその意味を理解するのに、少しだけ時間がかかった。
「碇君が止まった時計に気がついたのは、いつ?」
「え? 電車の中だったかな……」 まだ生々しい記憶をたどって、答える。
「電車に乗る前までは、動いていたのね?」
「確か……そうだ、確かに動いてたよ。乗る前にホームで時間を確認したからね」
「そう。じゃあ電車の中で、何か変わったことは起きなかった?」 「!」
「碇君が止まった時計に気がついたのは、いつ?」
「え? 電車の中だったかな……」 まだ生々しい記憶をたどって、答える。
「電車に乗る前までは、動いていたのね?」
「確か……そうだ、確かに動いてたよ。乗る前にホームで時間を確認したからね」
「そう。じゃあ電車の中で、何か変わったことは起きなかった?」 「!」
シンジの脳裏にさっき見たあの光景が浮かんで、彼は言葉を飲み込んだ。
彼が眠っている間に消えた乗客と、怪異な置き土産。
突如言葉を失ったシンジの様子に、レイも何事かを察したらしい。
「何あったみたいね。聞かせて」
「う…うん」 「何あったみたいね。聞かせて」
「う…うん」 「何あったみたいね。聞かせて」
どこまで信じてもらえるか怪しいものだとは思いながらも、シンジはレイに見たままの全てを語った。
それでなくても、碇シンジと言う少年は人を欺けない真っ直ぐな心の持ち主だったのである。
つい居眠りしてしまったこと。
目覚めたら、忘れるはずのない忘れ物を残したまま他の乗客の姿が消え失せていたこと。
時計が故障したことに気づいたのも、その時であったこと。
そして三人目の綾波レイも、さっき見せた本だけを残して姿を消していたこと……
「思っていた通りね」
「思ってた通りって、一体どういう事?」
全ての話が終わった時、そうポツリと漏らしたレイを、シンジは驚きと共に見やる。
常識離れした途方もない話だったはずなのに、レイの口調には疑念の影は微塵も伺えず、
むしろ予期していた感じさえあったから。
「思っていた通りね」
「思ってた通りって、一体どういう事?」
答える代わりにレイは再びプラグスーツの時計を見せる。
「え? 2時53分って、さっきと同じじゃないか」
話しこんでる間にずいぶん経ったはずなのに、一向に変化のない時刻を見てシンジは驚いた。
当然のごとく浮かぶ「なぜ?」と言う疑問。
一番最初に頭に浮かんだ可能性を、そのままレイにぶつける。
「ねえ綾波、このプラグスーツの時計、壊れてるんじゃない?
ほら、スーツが使徒に侵食されたからきっと時計にも影響が……」
「……そうね、故障の可能性はゼロではないと思う。でも、そうではない可能性のほうが高いと思うわ。」
「ど、どういう事?」
「この世界には、時間そのものが無いのよ。」
「ど、どういう事?」
シンジがその意味を理解するのに、少しだけ時間がかかった。
一体何なんでしょうね、このコピペ?
まさかおかしなウイルスに感染してなければいいんですが。
「……んぅ!?」
「好きだよ、綾波」
いきなり唇に吸い付かれて、レイは驚きの声を上げる。
彼女のファーストキスは今こうして、あまりにもあっけなく奪われたのである。
「好きだよ、綾波」
「ん、んむぅ……い、碇君っ?」
「好きだよ、綾波」
シンジに熱く吸いつかれた唇の間から、レイはどうにかそれだけを訴えるが――
「……んぅ!?」
「好きだよ、綾波」
「……んぅ!?」
その言葉にピクリと反応したレイの動きは、そのまま凍りついてしまう。
「……んぅ!?」
「大好きだよ」
「……んぅ!?」
目を見開いたレイの唇にさっきよりも強く吸い付きながら、シンジは言えないままだった秘めた想いを打ち明けた。
告げるべき人を一度失ったとき、価値を失ったと思った言葉。この先もずっと、告げることは無かったはずの想い。
「……んぅ!?」
「綾波……愛してる!」
「……んぅ!?」
その言葉と共にレイをより強く抱き寄せて、もう一度シンジは彼女の唇に吸い付いた。
レイは拒まなかった。シンジの頭をかき抱いて、彼の求めるままに唇を捧げる。
自爆の時以来の涙が、彼女の白磁の頬を静かに伝っていく。
「……んぅ!?」
求め合う唇に等しく、握り合う二人の手の指もまた絡み合う。
もう二度と離すまいとするように、限りなく熱く。
「……んぅ!?」
これで――6度目。
「……んぅ!?」
6度目に握り合ったレイとシンジの手は今度こそ、その姿がレイの部屋の扉の奥に消えるまで離れなかった。
なんなんだこれ 読みにくなぁもぉ
「え?」
「言った通りよ。私たちがいるこの世界は、時間というものが無い世界なのかも知れないわ。」
「ちょっと綾波、何言ってるの?」
「推論よ。今まで得られた状況証拠から一番破綻の無い可能性を導き出しただけ。この世界には時間が無い。
だから、時を刻む時計が動かないの。」
シンジは言葉を継ぐ事が出来なかった。レイの推論があまりに突拍子も無いものに思えたからだ。
それも、安っぽい三流のSF小説にしか出てこないような設定の。
よりにもよって、時間が失われた世界とは!
「この世界って言い方は、つまり……」
そう前置きしてから、
「つまり綾波は、僕たちのいるここは別の世界で、例えば異次元みたいなものだって言ってるの?」
シンジがそう言葉を続けてレイの言わんとすることを確認すると、その目の前で、レイはこくりと頷いた。
思わず吹き出すのを、シンジは堪えられなかった。
それほど、レイの意見は途方もない暴論に思えたのである。
「え?」 「言った通りよ。私たちがいるこの世界は、時間というものが無い世界なのかも知れないわ。」
「ちょっと綾波、何言ってるの?」
「推論よ。今まで得られた状況証拠から一番破綻の無い可能性を導き出しただけ。この世界には時間が無い。
だから、時を刻む時計が動かないの。」
「ちょっと綾波、何言ってるの?」
シンジは言葉を継ぐ事が出来なかった。レイの推論があまりに突拍子も無いものに思えたからだ。
それも、安っぽい三流のSF小説にしか出てこないような設定の。
よりにもよって、時間が失われた世界とは!
「この世界って言い方は、つまり……」
「ちょっと綾波、何言ってるの?」
そう前置きしてから、
「つまり綾波は、僕たちのいるここは別の世界で、例えば異次元みたいなものだって言ってるの?」
シンジがそう言葉を続けてレイの言わんとすることを確認すると、その目の前で、レイはこくりと頷いた。
「ちょっと綾波、何言ってるの?」
思わず吹き出すのを、シンジは堪えられなかった。
それほど、レイの意見は途方もない暴論に思えたのである。
なんかコピペする人がいて、気持ち悪いです・・・
スマンけど、今日はここまで。
死ねよカス
おい せっかくがんばって書いてくれてんのに気分悪くしちゃったじゃねーかよ うっとうしいから消えろお芋野郎
「……んぅ!?」
「好きだよ、綾波」
いきなり唇に吸い付かれて、レイは驚きの声を上げる。
彼女のファーストキスは今こうして、あまりにもあっけなく奪われたのである。
「好きだよ、綾波」
「ん、んむぅ……い、碇君っ?」
「好きだよ、綾波」
シンジに熱く吸いつかれた唇の間から、レイはどうにかそれだけを訴えるが――
「……んぅ!?」
「好きだよ、綾波」
「……んぅ!?」
その言葉にピクリと反応したレイの動きは、そのまま凍りついてしまう。
「……んぅ!?」
「大好きだよ」
「……んぅ!?」
目を見開いたレイの唇にさっきよりも強く吸い付きながら、シンジは言えないままだった秘めた想いを打ち明けた。
告げるべき人を一度失ったとき、価値を失ったと思った言葉。この先もずっと、告げることは無かったはずの想い。
「……んぅ!?」
「綾波……愛してる!」
「……んぅ!?」
その言葉と共にレイをより強く抱き寄せて、もう一度シンジは彼女の唇に吸い付いた。
レイは拒まなかった。シンジの頭をかき抱いて、彼の求めるままに唇を捧げる。
自爆の時以来の涙が、彼女の白磁の頬を静かに伝っていく。
「……んぅ!?」
求め合う唇に等しく、握り合う二人の手の指もまた絡み合う。
もう二度と離すまいとするように、限りなく熱く。
「……んぅ!?」
これで――6度目。
「……んぅ!?」
6度目に握り合ったレイとシンジの手は今度こそ、その姿がレイの部屋の扉の奥に消えるまで離れなかった。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
「君達、今度はどこに飛ぶんだね?」
「ちょっと西欧に、ね。」「落札者について何か情報が入りそうな気がするんですわ。」
荷物を担ぎ上げながら、二人が同時に言った。
「君達、そこまで…!」
「ま、その代わりにその文書、何が書かれているか分かったら一番に教えて下さいよ?」
「じゃ、さいならセンセ。また会いましょう。」
相田・鈴原の両記者は後ろを振り返りもせずに、粉雪が風に舞っている暗い雪原へと飛び出していった。
裸のまま腰を掛けている巨大なダブルベッドが、小さく揺れる。
見れば、傍に腰を下ろしたレイが髪を拭いている。そんなレイを眺める視界の隅には、壁に掛かったアンティークの時計。
秒針さえ凍りついたまま、時を刻む役目を失ったそれは、今やただのオブジェと化している。
(2時53分か)
シンジの脳裏に、レイの部屋で見た半月前の光景がプレイバックされていた。
裸のまま腰を掛けている巨大なダブルベッドが、小さく揺れる。
見れば、傍に腰を下ろしたレイが髪を拭いている。そんなレイを眺める視界の隅には、壁に掛かったアンティークの時計。
秒針さえ凍りついたまま、時を刻む役目を失ったそれは、今やただのオブジェと化している。
(2時53分か)
シンジの脳裏に、レイの部屋で見た半月前の光景がプレイバックされていた。
裸のまま腰を掛けている巨大なダブルベッドが、小さく揺れる。
見れば、傍に腰を下ろしたレイが髪を拭いている。そんなレイを眺める視界の隅には、壁に掛かったアンティークの時計。
秒針さえ凍りついたまま、時を刻む役目を失ったそれは、今やただのオブジェと化している。
(2時53分か)
シンジの脳裏に、レイの部屋で見た半月前の光景がプレイバックされていた。
裸のまま腰を掛けている巨大なダブルベッドが、小さく揺れる。
見れば、傍に腰を下ろしたレイが髪を拭いている。そんなレイを眺める視界の隅には、壁に掛かったアンティークの時計。
秒針さえ凍りついたまま、時を刻む役目を失ったそれは、今やただのオブジェと化している。
(2時53分か)
シンジの脳裏に、レイの部屋で見た半月前の光景がプレイバックされていた。
どうしようもないクズ野郎、いや、クズ野郎がいますね。
>
>>849 > 自分の間抜けさに気付いたのなら前半部分は消しとけよ。
> 無駄に長くなるだけだろ。
どういう具合にフーセン頭だったか、よりよく分かって欲しくてw
> 規則性があるのなら〜除外してる。
論拠 thx
> 他に考えられる理由があるのなら提示してから言って欲しい。
衆目に晒すに足るほどの仮説はもってない。
「表現としては見苦しいものにしかなっていない。」って見解が
君(や皆?)とは違うってだけ。でもま、それも俺の主観だしね。
長々と最後までつき合ってくれてありがと。 愛してる。
922 :
888:2006/08/15(火) 00:00:32 ID:???
>>891 まあ、そんなの気にしなくていいと思うよ。
ただし、原作読んでる俺でさえ満足させるような、そんなオチにしてほしい。
原作が屁にも思えるような、そんなオチを書いて欲しい。
それを心の底から願います。&続きを超期待。
>>912 ウイルスじゃないと思うよ。
どっかの馬鹿が作品の空欄詰めたコピペを投稿してるだけ。
ま、嫌がらせもこんくらいは序の口ってことだ。
反応しちゃ駄目だよ。
さらに注文をつけるなら、不快にも思わないだけの神経を磨くこと。
「あら、お久しぶりね。シンジ君。」「お久しぶりです。リツコさん。」
早いもので、今日でもう五月だ。
放課後に、研究所の赤木博士に挨拶をするために人工進化研究所に来ている。
リツコさんが出迎えてくれた。
旧東京に住んでいたころは、よく家まで遊びに来てくれていた人だ。
ちなみにリツコさんの母親である赤木ナオコ博士も僕の両親と長い付き合いがある。
ナオコ博士は遺伝子工学の世界的な権威であり、ここ、人工進化研究所の主席研究員だ。
「父が第三東京に来たらリツコさんとナオコ博士には色々とお世話になるだろうから、と言っていました。
それで挨拶に来たのですが…ナオコ博士は今、いらっしゃいますか?」
「母さん?今、ちょっと姿をくらましてるのよ。
しばらくは戻ってこないとは思うわ。」
「あ、そうですか…」
「ま、時間があるならちょっとくらいゆっくりして行きなさいよ。私も仕事、疲れてたとこだしね。サボる理由が出来るわ。」
リツコさんはソファーにどさりと腰掛けると、タバコに火をつけた。
「そういえば、シンジ君ってミサトと同居してるんだって?
ミサトが言ってたわ。」
「リツコさん、ミサトさんをご存知なんですか?」
「ええ。高校時代からの友人よ。
それにしても災難よね〜、寝相は悪いし家事は出来ないし。
どうせ家事は全部シンジ君に押し付けてるんでしょ?」
リツコさんはタバコの煙を吐き出した。
この人はミサトさんのことをよく理解しているらしい。
そういえばリツコさんとミサトさんは性格も似ているかもしれない。変に豪快なところとか…
「え…ま…まあ。
でも、元気は良いですよ。」
「それにしてもシンジ君は偉いわね。私が同じ状況だったら絶対家を飛び出してるわ。」
飛び出そうにも…なあ…
「そ…そうですか…ありがとうございます…」
ひとつ、以前から頭の片隅に引っかかっているコトがあった。
「ところで、以前ジオフロントに立ち寄った際にレイを見かけたんです。
どうしてレイがここに来ていたのか知りませんか?」
「レイ…ああ、ミサトの妹さんね。あの青い髪の女の子でしょ?」
「あ、はい。」
リツコさんは考え込んでしまった。
「私はまだここに入って日が浅いから彼女の事は全く分からないの。
本部の施設の中でさえ、迷うことがあるくらいだから。」
「そうなんですか…」
「ええ。でも、そういえば母さんが彼女と一緒に研究所内を歩いているのをみかけたことがあるわね…」
>>921 >増量で見かけが『より良く』なるとは思えない。
>増量しても、むしろ『より悪く』なりがちじゃねぇか、と俺は思うよ。
>空行が多くてがんがんレス区切りを跨いじゃうから、
>文章自体の構成が見えにくい、って気はするけどね。 > 角 ◆uTN4HfUPlw
「すみません。少し気になっていただけなので。
じゃあ僕はこのへんで帰ります。
時間とってしまって申し訳ありませんでした。」
「いいのいいの。引き止めたのは私だし。
気をつけて帰ってね。ミサトにもよろしく言っておいて。」
研究所の外はもう薄暗くなっていた。
早く家に帰らないと、またミサトさんに小言を言われてしまう。
僕はリニアの駅まで自転車を走らせた。
#今日(8/15)はこのへんで。
>>925 うーん、ごめんなさい。
次からは気をつけますので…
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所でもあった。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな孤独に包まれる。
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを向き立ち止まる。
シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所でもあった。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな孤独に包まれる。
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを向き立ち止まる。
シンジもまた視線を上げることはない。シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所でもあった。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな孤独に包まれる。
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを向き立ち止まる。
シンジもまた視線を上げることはない。シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。
SeventySix氏、角氏、乙であります。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所で。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へと向。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。孤独
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを向き立ち止まる。
シンジもまた視線を上げることはない。シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこ
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていない馬鹿が粘着しているな。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
SeventySix氏、角氏、SeventySix氏、角氏SeventySix氏、角氏。
変な粘着荒らしがいるみたいだけどめげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
余分な空行と、空行が余分の意味の違いに気付いていないSeventySix氏、角氏が粘着しているな。
めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。めげずに頑張ってください。
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所で。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へと向。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。孤独
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを
シンジもまた視線を上げることはない。シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこ
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所で。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へと向。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。孤独
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほうを
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを
シンジもまた視線を上げることはない。シンジもまた視線を上げることはない
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこ
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られれば 切になったであろ 散った場所で。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へと向。
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見えない。孤独
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほうを
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを
シンジもまた視線を上げることはない。シンジもまた視線を上げることはない
しかし、彼は自分の隣に立 に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこ
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られれ 目 切になったであろ 目 散った影にしか場所で。
シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へと向。
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見えない。孤独
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほうを
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げることはない
しかし、彼は自分の隣 に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこ
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影にしか場所で。
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へと向。
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見えない。孤独
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほうを
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げることはない
しかし、彼は自分の に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いた けてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者で もあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこ
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなこと
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われないことが、シンジを僅かに
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影にしか場所で。
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見えない
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在すら見失
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてしまえ
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほう
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほう
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げることはない
しかし、彼は自分の に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いた けてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者で もあるその人は、座り込む彼に
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言わ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。ある方向へと向かっていた。
けれどその心 いつの間にかあろ ていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影にしか場所で。
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見えない
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在すら見失
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてしまえ
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほう
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほう
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げることはない
しかし、彼は自分の に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いた けてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者で もあるその人は、座り込む彼に
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言わ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向かっていた。
シンジがふらふ 子はまるで亡霊の ある方向へと向かっていた。
けれどその 心われた都市 つの間にかあろ ようだった 目にはていた。生まれた湖。
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所でもあっ
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所でもあ
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影にしか場所で。
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都市を抱い
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある方向へ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見えない
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在すら見失
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてしまえ
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほう
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほう
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げることはない
しかし、彼は自分の に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いた けてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者で もあるその人は、座り込む彼に
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言わ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
お2人の投下乙です
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当て
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向
シンジがふらふ 子はまるで亡霊 る方向へと向か
けれどその 心われた都市 つの間にか へようだった。 はていた。生
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った場所
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った場所
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影にしか
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都市
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。ある
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてし
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづけた。
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いたほう
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほう
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げることはない
しかし、彼は自分の に垂らしたその女性が何者
彼女はシンジに言いた けてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者で もあるその人は、座り込む彼に
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言われ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言わ
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当て
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向
シンジがふらふ 子はまるで亡霊 る方向へと
けれどその 心われた都市 つの間にか へようだった。 はていた
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影に
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。あ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてし
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 えて、そこにただじっと座りつづ
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞い
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げるこ
しかし、彼は自分の に垂らしたその女性
彼女はシンジに言いた けてきたのだろうと思
けれどシンジの保護者で もあるその人は、座り込
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も言
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当て
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向
シンジがふら 子はまるで亡霊 る方向へと
けれどその 心われた都市 つの間にか へようだった。 はていた
そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。散った
彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、散った
時を得られれ ○ 切になったであろ ○ 散った影に
シンジは湖の水際 砂浜に腰を下ろし、ゆっ 吐きだした。都
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。あ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてし
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 て、そこにただじっと座りつづ
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞い
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げるこ
しかし、彼は自分の 垂らしたその女性
彼女はシンジに言い てきたのだろうと思
けれどシンジの保護者 るその人は、座り込
何も言われないことが、 ンジを僅かに安堵させた。何も言
けれどシンジの保護者 あり上司でもあるその人は、座り
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当て
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向
シンジがふら 子はまるで亡霊 る方向へと
けれどそ 心われた都市 つの間にか へようだった。 はていた
そこは、 ヴァ零号機によって れた都 抱いて生まれた湖 散った
彼、碇シ が初めて「渚カヲル という 出会った場所であ 、散った
時を得られれ 切になったで った影に
シンジは湖の水際 所で砂浜に腰を下ろし、ゆっ 所で吐きだした。都
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。あ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてし
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 て、そこにただじっと座りつづ
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞い
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げるこ
しかし、彼は自分の 垂らしたその女性
彼女はシンジに言い てきたのだろうと思
けれどシンジの保護者 るその人は、座り込
何も言われないことが、 ンジを僅かに安堵させた。何も言
けれどシンジの保護者 あり上司でもあるその人は、座り
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当て
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向
シンジがふら 子はまるで亡霊 る方向へと
けれどそ 心われた都市 つの間にか へようだった。 はていた
そこは、 ヴァ零号機によって れた都 抱いて生まれた湖 散った
彼、碇シ が初めて「渚カヲル という 出会った場所であ 、散った
時を得られれ 切になったで った影に
シンジは湖の水際 所で砂浜に腰を下ろし、ゆっ 所で吐きだした。都
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。あ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてし
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 て、そこにただじっと座りつづ
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞い
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げるこ
しかし、彼は自分の 垂らしたその女性
彼女はシンジに言い てきたのだろうと思
けれどシンジの保護者 るその人は、座り込
何も言われないことが、 ンジを僅かに安堵させた。何も言
けれどシンジの保護者 あり上司でもあるその人は、座り
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何
碇シンジには、どこに行く当てもなかった。碇シンジには、どこに行く当て
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。ある方向へと向
シンジがふら 子はまるで亡霊 る方向へと
けれどそ われ つの間にか ようだっ はていた
そこは、 号機によ れた都 て生まれ 散った彼は自
彼、碇シ て「渚 というこ った場 、散った麗に洗
時を得られれ 切になったで った影にのだろ
シンジは湖の水際 所で砂浜に腰を下ろし、ゆっ 所で吐きだした。都
空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。あ
幾つかあったはずの壊れかけたオブ すら、シンジの目には影にしか見
その場所で動かずに微かな波音だだ 意識を傾ければ、自分の存在
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、この 全てを綺麗に洗い流し消えてし
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖 て、そこにただじっと座りつづ
しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞い
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく
シンジもまた視線 ることはない。シンジ た視線を上げるこ
しかし、彼は自分の 垂らしたその女性
彼女はシンジに言い てきたのだろうと思
けれどシンジの保護者 るその人は、座り込
何も言われないことが、 ンジを僅かに安堵させた。何も言
けれどシンジの保護者 あり上司でもあるその人は、座り
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何も
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。何