種や種死の世界にEVAが乱入したらどうなる

キラ　「なにか役に立ちたいんだ。
　　　ずっと一緒にいたいんだ。
ラクス「じゃぁ、なにもしないでくれませんか？
　　　　もう側に来ないで下さいませ。
　　　　アナタ、私を傷つけるだけですもの。
キラ　「ら、ラクス…助けてよ。
　　　　ねぇ…ラクスじゃなきゃ駄目なんだ…
ラクス「嘘ですわね…
キラ　「…っ！！
ラクス「アナタ、誰でもいいのでしょう…
　　　　アスランもカガリさんも怖いから。
　　　　シンさんもフレイさんも怖いから！
　　　　私に逃げてるだけじゃないですの！
キラ　「助けてよ…
ラクス「それが一番楽で、傷つかないですもの。
キラ　「ねぇ…僕を助けてよ！
ラクス「ホントに他人を好きになったこと無いのですよ！
　　　　自分しかここにいないのですね…その自分も好きだって感じたこと、無いのですわ！
テーブルをひっくり返してキレるキラ。
ラクス「…哀れですわね…
キラ　「助けてよ…ねぇ、誰か僕を、悩みから僕を助けて…
　　　　助けてよ…僕を助けてよ！
　　　　一人にしないで！僕を見捨てないで！僕を殺さないで！！

……イヤですわ

キラの中で種が割れる。
狂気の顔でラクスの首を絞める。逆切れ。

やめてよね、ラクスだって同じじゃないか。
やめてよねやめてよねやめてよねやめてよねやめてよねやめてよねやめてよね

キラ　　「誰も判ってくれないんだ…
アスラン「何も判っていなかったんだな。

キラ　　「嫌なことは何にもない。揺らぎのない世界だと思っていた。
アスラン「他人は自分と同じだと、一人で思い込んでいたんだな。

キラ　　「覚悟はある！　覚悟はあるんだ！！
アスラン「行動が伴わないくせに口先だけは立派なんだな。

キラ　　「みんな僕を要らないんだ…だからみんな死んじゃえ…
アスラン「でも、その手は何のためにあるんだ？

キラ　　「僕が居ても居なくても誰も同じなんだ…
　　　　　何も変わらない…だからみんな死んじゃえ…
アスラン「でも、その心は何のためにあるんだ？

キラ　　「僕しか居ないほうがいいんだ…だから僕も死んじゃえ…
アスラン「では、何故ここにいるんだ？

キラ　　「ここにいてもいいの…？

(無言)

キラ「うわぁあああああああああああああああっ！
　　　ぼくはっ！　ぼくはいまないてるんだぁ！
　　　ばかがぼくをいじめるって今ないてるんだぞ！　なんでそれがわからないんだぁ！」

(無言)

キラ「うわぁああああああああああああああっ！」

ムウ　　「この時を…ただひたすら待ちつづけていた…
　　　　　ようやく会えたな、マリュー。
　　　　　俺が何か言うとキラもステラも傷つけるだけだ。
　　　　　だから何もしない方がいい…
マリュー「キラ君もステラさんも怖かったのね…
ムウ　　「自分が人から愛されるとは信じられない…
　　　　　俺にそんな資格は無い。
レイ　　「ただ見えてるだけなんだ。
　　　　　自分が傷つく前に世界を拒絶している。
マリュー「人の間にある、形もなく、目にも見えないものが、怖くて
　　　　　心を閉じるしかなかったのね…

ムウ。フリーダムに握り締められて動けない。

ムウ　　「その報いがこの有様か…
　　　　　済まなかったな、キラ…　ステラ…。

ムウ。フリーダムに握り潰される。
そして落ちるヘルメット。
それを拾うレイ。
そこにはレイだけではなくクルーゼと、そしてステラ、スティング、アウルが立っていた。

キラ　「ねぇ…
ラクス「なに？
キラ　「夢って何かな…
ラクス「「夢？
キラ　「そう、夢。

映画館で上映を待つ観客が映る
そこへ重なる文字

　気持ちいいの？

キラ　「わからない…現実がよく分からないんだ…
ラクス「他人の現実と、自分の真実との重さが、正確に把握できないのですね…
キラ　「幸せが何処にあるのか、わからないんだ…
ラクス「夢の中にしか、幸せを見出せないのですね…
キラ　「だからこれは現実じゃない。誰もいない世界だ。
ラクス「そう、夢。

繁華街に後ろ姿が映る

それは、キラ、アスランのコスプレ…

キラ　「だからここには僕が居ない。
ラクス「都合のいい作り事で、現実の復讐をしていたのですね…
キラ　「いけないのか？
ラクス「虚構に逃げて、真実を誤魔化していたのですね…
キラ　「僕一人の夢を見ちゃ、いけないのか…？
ラクス「それは夢じゃない。ただの現実の埋め合わせですわ。

キラ　「じゃぁ、僕の夢はどこ？
ラクス「それは、現実の続き。
キラ　「僕の、現実はどこ？
ラクス「それは、夢の終わりよ。


　　　　　●現実とアニメの違いは？
　　　　　　所詮アニメでの戦争はファッションでしかない。新聞は朝日と毎日を読んでいるけど、
　　　　　　アニメのそれはそれほどシリアスじゃないし、反戦論って言っても、難しいからわからん。
　　　　　　息子とテレビ見ながら戦争っていけないねーっとか、その程度。


パソコンには福田監督の中傷記事が映っていた。
ガンダムＳＥＥＤを見たことが無い人も叩いていた。

キラ「…っ、レイ・ザ・バレル…ここは？
レイ「ここはＬＣＬの海。生命の源の海の中。
　　　　　ＡＴフィールドを失った、自分の形を失った世界。
　　　　　どこまでが自分で、どこからが他人だか判らない曖昧な世界。
　　　　　どこまでも自分で、どこにも自分が居なくなっている脆弱な世界。
キラ「僕は死んだの…？
レイ「いえ、全てが一つになっているだけ。
　　　これがお前の望んだ世界、そのものだ。
キラ「うん、そうだ。そうだと思う。



キラ　　「あそこでは、嫌なことしかなかった気がする。
　　　　　だからきっと、逃げ出してもよかったんだ…
　　　　　そして、逃げたところにもいいことはあったんだ。
　　　　　だって、誰もいないもの
　　　　　誰も僕を馬鹿にしないもの。
アスラン「お前も居ない世界だけどいいのかい？
キラ　　「構わない。でも、僕の心の中にいる君たちはなに？
レイ　　「希望なんだよ。人は互いに分かり合えるかもしれない、と言うことの。
アスラン「好きだ、という言葉と共にね。
キラ　　「だけどそれは見せかけなんだ。自分勝手な思いこみなんだ。
　　　　　祈りみたいなものなんだ。ずっと続くはず無いんだ。
　　　　　いつかは裏切られるんだ。僕を見捨てるんだ。
　　　　　だからみんないらない。僕はずっとここに居る」
アスラン「そうか……」
レイ　　「さよなら。キラ・ヤマト……」
消えていくアスランとレイ。
そしてキラもＬＣＬへと還元されて……　他人が居ない、誰も自分を馬鹿にしない世界へと消えていく。

どこかの水辺に、ラクスが一人で、横たわっている
遙か遠くには巨大レイのちぎれた腕がかすかに見えている…

ふと、水辺を見るとレイ・ザ・バレルの姿が…
夢か幻か…瞬きの瞬間に、彼は消えてしまった…



誰も居ない海辺…
ラクスしか居ない海辺……



ラクス「気持ち良い…


ＴＨＥ　ＥＮＤ　ＯＦ　ガンダムＳＥＥＤ　終劇