振り回した拳が邪魔なシンジに当たった、
私を拘束していたシンジの体が突然ぐにゃりと崩れ落ちる。
「ちょっと、シンジ?」
異様な事態が私をシンジの方に向かせたのだろう
油断していた、私の後頭部に激しい衝撃と痛みが走った。
まるで酩酊の様にゆらぐ意識をつなぎとめ、痛みを感じる方に振り返る。
私の前にはファーストが立っていた。
ファーストは微笑んでいる。虚ろな瞳、口元に僅かながらの歪みを含んで。
「碇君は私が守るわ・・・」
「碇君をいじめるマザーファッカーは用済み」
「ビッチ、ビッチ、ビッチ・・・二号機パイロットは用済みのビッチ・・・」
ファーストは訳の分からない事を呟いていた。
右手に握っているのは私を殴ったであろう酒瓶
私はきっと怯えた表情で後ずさっていたに違いない。
ファーストが右手をゆっくりと振り上げた。
甘い果実の匂いを感じる、頭の中は真っ白になっていった・・・
(し、死ぬのはイヤァァァァ!!)
どうやってファーストから逃げたのかは分からない、
気づいた時私は雨に濡れた路を歩いていた。