1 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:
JAじゃ無理だ!
群馬のガソリンロボを出せ!
3 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/01/17(火) 19:13:20 ID:/BLRGvpH
はいはい3get三げp
JAJAJAJA!!
乙ッ!!!!!!
6 :
522-524:2006/01/18(水) 19:11:06 ID:???
まさか、前スレ落ちた?
保存してなかったorz
落ちちゃったよ
そろそろ保存庫ほしいなぁ
続き転載しようと思ったけどキャップがないと書けないってさヽ(`Д´)ノ
うわ、落ちてるorz
誰かまとめサイトヨロ
ジェットアローンって言われても一瞬何かわからんかったw
ぶっちゃけJAって何で攻撃するの?
はり手
巨大ロボの武器は自らの拳だと鉄人の昔から決まっておるのだ!!
一気に読破した……
いやぁ感動した!!!
面白かった!!!
ジェットアローン保守
続きが来るまで新スレを保守し続ける!
期待sage
保守がてら
>>9に転載されてる以降の物転載しようかな
「JAはまったくと言っていいくらいの欠陥兵器です!!」
机を叩いて叫びをあげたのは金髪の女性だった。
まるで、視線だけで人を殺してしまいそうなほどの怒気をこめて目の前にいる中年男を睨む。
「それは言いがかりです!!」
その視線を向けられた当人は額にうっすらと汗を浮かべながらも答える。
その胸につけられたネームプレートには「日本重化学工業共同体 JA開発主任 時田」と大きな文字で書かれていた。
ほどよく空調の効いた薄暗い部屋。
そこで繰り返される二人の議論は世界の命運を決めると言っても過言ではなかった。
国連や日本政府に始まり、様々な機関の重鎮がこの議論を見ているのだ。
「遠隔操縦では著しく敏捷性に欠けていて使徒の攻撃を回避することもできません!」
「っ、……例え回避できなくともJAにはその攻撃を防ぎきる装甲を持っています!!」
「そうですか?耐久性の問題からしても不安が残ると思いますが」
そう言って彼女はプロジェクターのスイッチを入れる。
白い壁に映されたのは、数値化されたJA各部位の損傷と金属疲労のデータ。
極秘であるはずの資料をつきつけられ時田は思わず舌打ちをした。
(くそっ、いつの間に――)
どこから漏れたかを考えようとして無駄だと気付く。
決して日本重化学共同体のセキュリティが甘いというわけではない。
ネルフのハッキング能力が高すぎるのだ。
何しろ、オーバーテクノロジーと言っても過言ではないMAGIがある。
「格闘戦を前提とした陸戦兵器にリアクターを内蔵することは、安全性の点から見てもリスクが大きすぎると思われます!!」
「そのためのN2リアクターです、安全性は保障できます!!」
「敵生体が直接打撃を与えるというのに、この程度の耐久性でリアクターの安全性を保障できるのですか!?」
「それを保障するために、幾重の防護策を張り巡らせているのです!!」
「人的制御の問題もあります!!」
ほとんど平行線を辿る議論。
時田は思わず「お前の所のエヴァンゲリオンはどうなんだ!」と言いたい衝動にかられた。
しかし、それはできない。
ここでエヴァンゲリオンの話を持ち出しても鼻で笑われるに決まっている。
相対的なものを出しても意味がないのだ。
(なんとも、皮肉なものだ――)
つい先日までこの位置で質問攻めにあっているのがネルフのはずだった。
これほどまでに事態が変わるとは思っていなかった。
そして、今、ジェットアローンの価値が決められようとしている。
「それは――……」
時田の口が止まった。
これまでと同じ苦しい言い逃れをしようとした口が動かなくなった。
このままでいいのだろうか。
いつまでたっても終わりはしない。
「……どうなんです?」
「…………」
「なにも言えないんですか?」
時田の心は自分でも驚くほど静かになっていた。
先程まであんなに腹立たしいと思えた彼女――赤木リツコ――の言葉すら気にならなかった。
なにを言われようがジェットアローン自体の価値が変わるはずもない。
それを決めるのは彼女ではなく――、自分なのだから。
息を大きく吸って、告げる。
「聞いてください」
時田の目の色が変わっていた。
その場にいた誰もが思わず息を止めるほどの真剣な目。
揺らぐことのない自信。
それが、その場の雰囲気をも変える。
「先日の第三使徒との戦いでは化け物を相手に確かに戦い抜きました」
静かでいてはっきりとした声。
その言葉が広い会議室の隅々まで響く。
「ジェットアローンはもはや張子の虎ではないのです」
そう、自分たちの夢は結果を出した。
ATフィールドという未知のモノを使いこなす化け物相手に戦い抜いて見せたのだ。
既にこれは”夢”ではない。紛れもない”現実”なのだ。
JAにはそれだけの性能がある。
時田は顔を上げて曇りのない真っ直ぐな瞳で相手を見据えた。
(――そうだ、この事実は誰にも曲げられない)
「いつまでもネルフの時代ではありませんよ」
静まり返る会議室。
赤木リツコ博士は瞬時に頬を紅潮させ、何か一言発しようとした。
だが、それは言葉にならなかったらしい。
寸前でその言葉を飲み込み、静かに着席した。
「済みません、特に……」
(特に、貴女方を名指しして、この場で吊るし上げるつもりでは……)
つい気分が高揚して、発言してしまった。
瞬時に冷静さを取り戻す時田。
それとは対照的に、自分を羨望の眼差しで見つめる周囲の者達。
時田は自分自身の発言に、気まずさを覚えた。
「済みません」
時田も深々と一礼し、着席した。
「確かに、君の言う通りだよ」
「!」
「ジェットアローンにも課題は多い。だが……」
何時の間にか、会議室の扉の前に、初老の紳士が立っていた。
音も無く、入室の気配すら感じさせずに佇む男。
その声は低く、だが、不思議と力強い。
彼は唖然とする金髪の赤木博士の脇をゆっくりと通り過ぎる。
円卓に歩み寄り、彼は思わぬ一言を口にした。
「我々ネルフとて、それは同じ事だ」
「冬月、副司令…」
思わず時田も絶句した。
何故彼がこの場に――。
かつて憧れた京都大学大学院、工学研究科。
今尚、彼の胸にはその淡い想いが残る。
専攻こそ違うが、京大にその人ありと言われた形而上生物学の権威。
一研究者として、崇敬の念を抱く数少ない人物の一人が今、目の前に立つ。
嫌が上にも緊張が漲り、動揺を隠す事が出来ない。
「教授…」
古くも懐かしい呼び方に苦笑いしつつ、冬月は言葉を続ける。
「時田君、よくやってくれたな」
「赤木君、我々ネルフの目的とは何かね」
「それは…使徒から人類を防衛する事です」
「的確な答えだ。だが…」
一呼吸置くと、彼は淡々と話し始めた。
「我々は同じ目標の為に、違う道を歩んでいる。片やJA、片やEVAだ」
「副司令、お言葉ですが」
「聞きたまえ、赤木君。使徒の殲滅こそ我々の目標、否、我々の使命だ」
赤木博士の発言を制しつつ、彼は尚も続ける。
「我々は我々の信じる道を進む他はない。それが例え違う道、違う手段でも、だ」
「副司令、私には副司令の仰る所が分かりません」
「それは君が聞こうとしないからだよ。赤木君、君は少し感情に過ぎる」
「私の個人的感情から言えば、JAは理想の姿だ」
静まり返る会議室。
「だが、総合的な観点から言えば、現時点でEVAには遥かに及ばない代物だ」
「……」
「然し…単にその事実を以って、早急にJAを否定する事は我々の信ずる科学に対する冒涜だ」
「副司令…」
「時田君、我々は研究者だ。探求者として、君の歩む道の先に光があらん事を祈る」
「先生…」
「我々はJAから多くの事を学ぶ必要がある。赤木君、その諜報能力を、技術的に活かしたまえ」
「……」
咄嗟に立ち上がり、時田は一歩歩み寄り、冬月に右手を差し出した。
冬月はその手を強く握り返す。堅い握手。
時田には微かに、物言わぬ冬月の唇が動くのを確認した。
(期待している、宜しく頼む)
飛ぶように流れていく景色。
車の運転席から見えるそれはこれまでになく綺麗に思えた。
しっかりと舗装された道路と圧倒的な科学力を象徴するかのように立ち並ぶビル群。
緑に囲まれた公園でラジオ体操をしている老人達。
学校へ向かうのだろう子供達のはしゃぎ声。
窓を全開にしても生暖かい風しか入ってこない都市特有の蒸し暑ささえも爽快に思えてくる。
第三新東京市、ジェットアローンが守り抜いた景色。
助手席から声が飛んだ。
「……凄いことになりましたね」
そう言った加藤は車内クーラーの調子を必死で変えていた。
数年前からずっと使い続けているこのボロ車はなんとも調子が悪い。
ボンネットのへこみ、擦り傷は当たり前。
シャフトや液の交換も随分前にやったきりだ。
思えば、ここの所はずっと仕事一辺倒でJAにかかりっきりだった。
自分で修理する暇も、修理に出す暇もない。
そのことを不満に思っているのか、クーラーは生暖かい風しか吐き出してくれない。
「ああ、教授が出てくるとは私――じゃなくて俺も思わなかった」
久しぶりの公式な場に居心地の悪ささえ思えた。
体面的な言葉遣いもすぐには戻ろうとしてくれない。
「違いますよ」
「なにがだ?」
「冬月教授の言葉、あれは事実上ネルフが日重を認めたと言うことですよ」
ブレーキを小さく踏みこむと骨が軋んだ。
冷房の効きすぎた寒さは体にも堪える。
「少し違うな」
「え?」
「個人的感情だと言っておられただろう?」
「それでも!JAに学ぶところもあるとおっしゃって――」
なかなか言う事を聞いてくれない車を宥めながら緩やかなカーブを曲がる。
ガコン、と小さな音が聞こえた。
「『現時点でEVAには遥かに及ばない』と宣言されてしまったわけだ」
「それは……」
「まぁ、エヴァが正常に動くとしたら事実だろうしな」
喉に違和感を感じた。
今更になって喉が渇いていることに気がつく。
(ハハハ……それほど緊張していたのか、俺は?)
「でも!」
「ああ、個人的にでも認められたのは確かだ」
正面を向いたまま笑いかける。
どうしても口元が緩むのが止められない。
数々の苦労の日々を思い返す。
誰もが戦っていた。
誰もが願っていた。
ある時は無駄な努力と呆れられ。
ある時は無謀な挑戦と嘲られ。
それでも、ここまでやってきた。
ついに俺達がやってきたことが――JAが認められたのだ。
「それで、もう一つのJAは?」
「基本動作の稼動部分、各部装甲はほとんど完成しています。
回線検査、OSの互換性、各部の微調整、運用試験、ペイント……実際に完成となるとかなりの時間がかかると思いますが。
OSも実際に戦闘を行ったJAのをコピーして改良していますから大丈夫だと思います、ですが……」
「なんだ?」
「相変わらず武器がありません」
お互いに苦笑いしか出てこなかった。
人型ロボットの利点の一つに人間と同じように道具を使えるという部分がある。
それなのにJAは素手で戦った。
本来は武器を作ってから戦うはずだったのに、あまりにも実戦が早すぎて開発が追いついていない。
さすがに書類の段階からは進んでいたが今だ完成するには時間がかかる。
普通は武器を持っているんだ、と頭の中で考えるが。
それでも湧き上がる思いを抑えることはできない。
(――そう、JAはまだまだ強くなっていく)
JAは”希望”なんだ。
俺達の子供であって、相棒であって――。
どこまでも広がる未来なんだ。
「JAは戦いつづけられると思いますか?」
「ああ、そのために俺達がついているんだろう」
「そうですね……あっ」
走っているうちに機嫌をなおしたのか。
クーラーはいつの間にか涼しい風を送るようになっていた。
辺りには耳を劈くような機械音が断続的に響いていた。
機械油と金属臭が染み込んだ床が淡い光に照らされている。
ジェットアローンを収容した巨大な施設。
それは工場のような建物であり、工場にしてはあまりにも大規模だった。
どこまでも先があるように思わせるほど長い空間が遥か先まで続いている。
そして、そこに横たわる巨大なJAの体に幾人もの人間が乗っていた。
その様子はまるで巨人に群がる小人。
ガリバー旅行記のようだと時田は静かに苦笑した。
「JAの損傷復旧及び改装作業は?」
「進展はしていますが稼働率は76%です、実戦に耐えられるかどうかギリギリの数値ですね」
「あれから三週間、俺達も頑張ってるつもりだがな」
「時間もそうですが、なにより――」
「資金が足りません、か?」
そう言って、黒く焼け焦げた機械の装甲に触れる。
ざらざらとした感触が掌を刺激する。
ここには――、日本から、世界から集められた幾人もの優秀な技術者がいる。
それぞれの分野で一流と呼ばれる技術者たち。
それこそネルフに呼ばれてもおかしくないくらいのやつらが。
だけど、そんな人間が幾らが集まっても――……。
いくら民間企業からの援助があるとはいえ、日本政府が陰から出資しているとはいえ。
最新技術の塊とも言えるテクノロジーを詰め込んだ巨大ロボットは尋常ではない金喰い虫だ。
目も眩むような大金が湯水のように流れては消えていく。
それでも、資金が全く足りていない。
日本重化学工業共同体とネルフとの違いはそこだった。
いくら同じレベルの技術者が揃っていても国連直属の組織であるネルフでは資金の桁が違う。
もともとのスペアパーツの数が限られている。
「時田さん、どうでしたか?」
「あの化けモンをぶったおしたのに今更、指揮権譲渡とかは勘弁っすよ」
「第三新東京市の被害とかで文句言われました?」
「もしかしてJAの損傷具合にいちゃもんつけられたり……」
「馬鹿、主任にはお得意の口車があるだろ」
浮かない顔の時田を見つけてか数人の技術者が駆け寄ってくる。
それぞれの顔に期待や不安を張り付かせて時田の言葉を待っている。
機械を扱う腕は申し分ないが、灰汁が強くて自由気まま、上下関係なんてないかのように好き勝手言ってくれるやつら。
部下であり、同僚であり、かけがえのない仲間。
そいつらが時田の言葉を待っていた。
根拠も何もなくただ思う。
大丈夫だ、と。
使徒でもなんでもきっとなんとかなる。
日本重化学工業共同体には、ジェットアローンにはこいつらがついているのだから。
今までも、そしてこれからも。
きっと、大丈夫だ。
(こいつら、は――)
時田はわざと深刻そうな表情を作って言う。
「煮え湯でも飲んだかのようだった」
辺りが静まった。
(本当にこいつらは――)
作業しているの人間がいるのに音がしない。
聞き入ってるな、と。
予想とおり反応に時田は笑いを堪えながらゆっくりと言葉を続けた。
「JAが使徒を倒したと聞いた時のやつらの顔は」
「よっしゃあ――!!」
「うわ、見てー!!そいつらの顔すげぇ見てー!!」
「時田さん、なんで写真に撮って来てくれなかったんすかっ!」
「ふふ、笑いで腰痛も吹っ飛ぶわ!」
「やったぜ!!さっすが俺らの主任だ、そこに痺れる憧れるぅー!!」
「今日は主任のおごりで飲みに行くわよー!!」
「え、おい、ちょ「いやったあーっ!!」
其処ら中で湧き上がる歓声や嬌声。
時田の言葉を聞き入っていたやつらが盛り上がり。
”作業をしていた振り”をして話に聞き入っていたやつも走って近づいてくる。
横たわるジェットアローンの傍らに人が集まり始める。
時田を囲んでいた輪が広がる。
男も、女も、上下関係も、部署も関係なく、苦労し合った仲間たちが。
耐えきれない喜びに大声をあげて互いに肩を叩きあっている。
今までの鬱屈を晴らすように大声で叫びながら。
全員が一つになったかのような錯覚を覚える。
(まるで、子供だな――)
そう思いながらも、口元が緩むのが抑えきれない。
いつまでも子供のようなやつらだから。
こんなやつらが揃いも揃ったからジェットアローンを作れたんだろう。
清々しいと心の底から笑った。
そして、頭の隅で財布の中身を確認している自分を見つけてさらに笑った。
39 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/01/25(水) 23:23:08 ID:fZK6JNZa
乙
やはり面白い。
次回作期待大ですな
ジェットアローンなのに燃える・・・。
このスレ&前スレと1人の神SS職人のおかげで
今までどうでもいいキャラだった時田とJAがが急に好きになったw
エヴァ放送時から好きな奴は好きだったと思う
前進微速の表示パネルカッコイイ
JAが歩きながら使徒に突撃して原子炉爆発させれば勝てるんじゃね?('A`)
原子炉爆発はいわゆる水蒸気爆発。核爆発は起きない
核爆発で倒せるならN2で倒せちゃうだろうし。
それは疑問
age
保守
・・・
「何ですか、用って」
スラム街の狭間を縫う様に走る裏路地。
煤で汚れた赤提灯の並ぶ一角で、軍人は今日も自棄酒を呷っていた。
「一言、謝りたかったんだ」
「…」
よれよれのジャケット、薄っすらと生えた無精髭。
隣に座る、スーツ姿の男を横目で睨みながら、チビチビと熱燗を啜る。
「我々は素人だ。だが、君はプロだ」
「はは…」
空になった熱燗を手で催促する。
「飲み過ぎは体に良くない」
「それはどうも」
ゴクリ、と生中を飲み込むと、スーツの男は静かに言い放った。
「戦自に指揮権を返上したい」
「何を今更」
「思い出したんですよ…我々は戦争屋ではない、と」
「それは殊勝な事で」
男は大きく首を回す。長い内勤のせいか、最近では肩凝りをする様になった。
「俺達は用無しなのさ。通常兵器は雑魚扱い、核ですら使徒には効かんしな」
「…しかし、君達には“頭”がある」
「…」
時田は男を見据えた。
「経験がある、戦場を知っている、それ以上に何が必要なのか教えて欲しい」
「俺はあんたがたの玩具と遊ぶのは御免被る」
「我々は技術屋です、どこまでも…いえ、そうありたいと願っている」
生中のグラスに残る一滴を飲み干した。
「ジェット・アローンを活かして下さい、お願いします」
「俺に言われてもな」
深々と下げた頭を上げる瞬間、時田の拳が男の右頬に食い込んでいた。
「君はそれでも軍人か!」
「っツ」
派手に椅子から転げ落とされた男。
やれやれと立ち上がり、何事も無かったかの様にお猪口を取ろうと手を伸ばす。
「戦自には戦自の方針がある。俺には関係ないけどな」
「君は、この国を守りたくないのか…」
国…その一言が男の琴線を弾いたらしい。
「お前、黙って聞いてりゃ偉そうに。俺だってな、悔しいよ、悔しいんだよ。
もう何人死んだ、ああ?使徒に一発も当てないで何人死んだんだこの野郎!!!
民間人だってそうだ、あの瓦礫の下に何人眠ってるよ。ふざけるなよ、
俺ァ毎日毎日、市ヶ谷着くまで電車の窓越しに手を合わせてる。
俺にもっと…俺達にもっと力がありゃあな…、こんな、こんな…」
「って言うか、俺に素手で勝てると思ってる訳?」
「いや、今のは少し調子に乗ってしまった」
「って言うか何お前、スーツなんか着ちゃってよー。昔は裸がユニフォーム、とか
言っちゃって寮でブラブラしてたじゃん?」
「忘れてくれ」
「大体さー、いきなり呼び出されてマジ話だし。疲れてんだよ俺」
「あーハイハイ」
「って言うか聞いてよ、お宅のジェット何とかって使えなくない?俺はエヴァっちの方がいいね」
「ハァ?」
「いやー俺ロリじゃないけどさー何かこう妹っぽくね?」
「全く」
「俺こないだ行って来たんだけど、女の子多いしネルフ最高ー」
「ウザいなお前」
「メカオタクな連中よかマシって感じだけど」
「…お前に一瞬でも真剣になった自分が恥ずかしい」
「指揮権っていきなり言われてもなァ」
「まあ好きに使ってくれよ。俺は技術屋だからな」
「でも飛び道具もないし、白兵戦オンリーは辛いぞ」
「…N2も効かない時点で、火力系はナンセンスだ」
「サンダーフィストってネーミング、何とかならんの?」
「君も少しは考えろ!いちいち煩い」
「君君って、お前も偉くお上品になったもんだな、ギャハハハハ」
悪友に相談した事を今更ながら後悔する時田。
だが幼馴染の、戦自幹部に上り詰めたこの男の目は終始笑ってはいない。
「帰って相談するわ。ま、来週中にはこっちの科研をそっちに送るんで」
「助かる。人は多い方がいい」
「しかし大丈夫か?ネルフにヤられるなよ」
「赤木博士になら、本望ですよ」
堅物で通る男も、時には軽口を叩く様だ。
うおっ(;´Д`)
続きを掲載しようとしたら既に続きが書かれてる……。
俺が書いたの、どうしよう。
ぜひ投下してくれ。話に魅力があればこそ枝分かれも起こりうる。
新しい人も面白かったよ!
皆JAが大好きなのだ!
歩行前進微速右足前へ!
JA改のフィギュアを買って来たぜ!
時田の中の人つながりで
JAブルーディスティニー
頭部をやられちまった!データがぁ!!
意気揚揚と復旧作業に戻る技術者たち。
先ほどまでの浮かれたような雰囲気がいつの間にか薄くなっていた。
ジェットアローンは戦う機械だ。
実戦兵器として実用に耐えうる状態でなければ意味がない。
そのため、小さなミス一つすら許されない。
JAの作業にはそれほどの正確さが求められる。
ロボットが精密機械である以上、小さなミスからどんな大きな問題になって返ってくるかもわからない。
ニ足歩行ロボットとして複雑な構造を持たないロボットなどいないのだ。
時田はJAの右腕である部分を見上げる。
「……やはり、この前やられた右腕の損傷がひどいな」
「おかげで四肢の調整がどうにもうまくいかないんです」
そこでは作業員により修復作業が続けられていた。
黒く焼け焦げていた装甲がクレーンによって吊り上げられていた。
そして、その下にあるのは紛れもない精密機械の塊だった。
鈍く光を放っている剥き出しのシャフトに細いコードが絡み合うのが見えた。
外見からすればかなり簡素な内部。
ゆとりが少ないと外からの衝撃に弱くなって壊れ易くなるためあまり詰め込んだ設計にはなっていない。
これは安定したメンテナンス性を確保するためでもあった。
それだけの構造をしているJAだが。
それでも、たった三週間でこの状態に持ってこれたのは偏に人の努力の成果である。
試作品ゆえの各部品ストックの少なさ。
それによって専用の部品を1からまた作り始めなければならないという作業効率の悪さ。
そんな数々の困難をものともせず、ただの1日も休まずに修復作業が続けられたうえでの結果だ。
そのことに不平や不満を告げる者は誰もいなかった。
労働基準法なんてものは端から誰も気にしていない。
残業、徹夜が当たり前となって、仕事仕事仕事という極限のスケジュールが組まれた。
それが76%という数字に表れている。
受けた損傷を考えるとそれは本来なら出ないはずの数字だった。
「それにしても、ひどいな……」
「何がです?」
「目の下の隈、徹夜明け特有のハイテンション……」
「それは時田さんも人のこと言えないでしょう」
「そうか?」
「さっきの発表のためのデータ集め、お偉方への根回し、改修作業への資金繰り――、三日貫徹の人が何言ってるんですか」
「……責任者は責任をとるためだけにいるわけじゃない」
「無理しすぎて倒れないでくださいよ」
酷い顔を向き合わせて軽口を叩き合う。
引きつった顔で笑いあう。
働くのはいいことだし、時田も人のことを言えないのだが。
あまりに根を詰めすぎるとミスを犯しかねない。
ならば多少の財布の痛みなどどうでもいい。
どうせ、使う暇もない金だから。
今日の飲み会がみんなにとってささやかなガス抜きとなってくれることを願うばかりだった。
「この状況をオーツが見たらどう思うんでしょうね?」
「オーツって、作家のか?」
「はい」
「さぁ?驚きすぎてぶっ倒れるんじゃないか」
思わず苦笑する。
アメリカの作家、オーツがアルコール中毒と働くという単語を合わせて生んだ言葉。
それが『ワーカホリック』が。
そう、働きすぎの人、仕事中毒であるそれ。
それならば、ここにいる全員が紛れもないワーカホリックだった。
別にみんながみんな仕事が好きなわけではない。
既婚者がいる、今も家では愛しい人と子供が帰りを今か今かと待っている。
わざわざ休暇の予定を取り消した者もいる。
数週間前から計画していた旅行の予定をキャンセルしてまで。
その理由はただ一つ。
誰かがやらなければならないから。
次の使徒が来る確率があるのならすぐにでもジェットアローンを修理せねばならない。
いざとなってからでは遅い。
ならば、今やるしかない。
「そんなやつらばっかなんだよ……」
76%、それがジェットアローンの稼働率。
真新しい装甲が光っているその巨体を時田は見上げる。
その姿は完璧とまでは言えないまでもかなり修復されていた。
初めて今の姿を目にする人はこれがつい先日に使徒に握り潰され、焼かれ、折られ、砕かれていたとは誰も思えないだろう。
短時間での完璧なメンテナンス。
人型兵器を扱う上で大きなネックとなるそれを無理矢理やってしまおうというのだ。
これ以上各部を簡略化することも部品を量産態勢にすることもできない。
いずれはこれも、どうにかしなければいけないと時田が考えた瞬間――、声が聞こえた。
「主任、時田主任っ!!」
切羽詰ったような声に振り返るとそこには見知った人物が立っていた。
第三使徒戦で胃薬を届けて貰ったいつぞやの女性職員だった。
「ん?大丈夫か?」
どうやらここまで全力疾走できたらしく彼女の息が荒く、額には汗が流れていた。
「はっ、はい……放送機器の、調子、が、悪くてっ…ここ、まで、走って……!」
「ここの施設もずいぶんと古いからなぁ」
「……あ、あの、それが……」
「……どうしたんだ?」
言いよどむ彼女の姿になにか嫌な予感を覚えた。
そんなことになるはずがない、と自分に勢いをつかせて彼女を促せる。
「それが、国連軍より入電、新たな使徒を発見したとの報告です」
「っ――?!」
思わず息が詰まった。
あまりのことに時田の頭の中が真っ白になった。
新たな、使徒。
じわりと今まで感じたことのない汗が流れた。
スーツの上に着ている薄汚れた作業服が妙に息苦しく思えた。
JAが使徒を倒してまだ三週間しか経っていない。
いくらなんでも、そんな――
「使徒だって……?」
そう呟いたのは時田ではなかった。
ジェットアローンの修復作業を続けていた技術者の一人だ。
いつの間にか周りにはかなりの人が集まっていた。
もともと、いきなり走ってきた現場担当ではない普通職員の姿に注目が集まっていたのだ。
そしてそこに投げ込まれた言葉。
新たな使徒の接近。
「どうやら、飲み会は遅くなりそうだな……」
誰かが呟いた。
第四使徒キタ━━(゚∀゚)━━━!!!!
この分だとどう考えても本編の第七話を迎える頃には日重、
金もマンパワーも尽きてそうだなw
71 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/09(木) 19:18:23 ID:KyyjX3jX
更新AGEEEEEEEEEE!!!
連日徹夜を繰り返しても76%しか修理できないのがリアルっぽいw
それにしても時田カッコヨスwwwww
キッ、キタアアアアアア!!!!!!
投下乙です!
実績あげたんだからネルフに回る分金少し回ればいいなぁ。
チンコ降臨
JAとエヴァの協同作戦とかもイイな
弐スレ目発見!!
作品乙!!!
アンドアゲ保守
これだけ時田で面白いなら、ネルフの技術者の話も読んでみたいな。
78 :
生きるチカラ:2006/02/13(月) 02:44:22 ID:???
「意外と早いな」
「…我々には好都合だ」
サングラスの奥でニヤリ、と目が笑った様な気がする。
冬月は軽く溜息を着いた。
ここはネルフ。ジオ・フロント最深部に位置するこの発令所も、
序々に慌しさを増して行く。
使徒出現の第一報に戦慄が走ってから、まだ一時間も経っていない。
「加持君によると、今回、彼等の出番は無いかも知れん」
「彼等?…ああ、アレか」
一瞬、不愉快な感情を眉間に出したゲンドウ。
「あの損傷ではな」
「嬉しそうだな、碇」
「…」
79 :
生きるチカラ:2006/02/13(月) 03:02:42 ID:???
「冬月、後は任せる」
「君はどうするのかね」
白い手袋で何事か指し示しながら、部屋を後にする。
委員会への報告だろうか、忙しい男だ…などと、同情にもならない呟きを洩らす。
冬月は一人、寒々とした部屋で天井を仰いだ。
「――で、アタシ達はどうなる訳」
「知らないわよ」
コーヒーを啜りながら、手持ち無沙汰に腰掛ける赤木博士。
その気だるさは寝起きの所為なのか、それともお喋りな同僚の所為なのか。
80 :
生きるチカラ:2006/02/13(月) 03:08:24 ID:???
「取り敢えず帰って寝たら?」
使徒はまだ、遥か彼方の存在だった。
「仕事熱心と言うよりも、ちょっとした興奮状態ね。例えば遠足の前の日、みたいな」
「ハイハイ遠足遠足」
彼女とは大学時代からの腐れ縁だが、頼みもしないのに精神分析する癖は勘弁して。
しかも時折、その鋭い指摘には驚かされる事がしばしば。
心を覗かれる事ほど、気持ちの悪い事はない。
「コーヒー、こぼれてるケド」
「…通りで熱いと思ったわ」
気がつくと、足元に数滴。
分析対象を前に、研究者は我を忘れていたらしい。
何でそんなにテンション低いんだw
ネルフはネルフで頑張って欲しい
これがサキエルを倒した組織と倒せなかった組織との差かw
職人が増えてスレが盛り上ってきた気がする。
気だるいNervワロスw
シンジとかはどうしてるんだろ?
85 :
生きるチカラ:2006/02/17(金) 04:21:25 ID:???
その日は、まだ夜明け前だと言うのに全隊員が既にグラウンドへ整列していた。
戦略自衛隊朝霧駐屯地、午前4時45分。
「…お早う、諸君」
使徒出現、この切迫した状況の中で、新しい指揮官の着任式が執り行われる。
薄暗い朝靄の中、無言で立ち尽くす若き隊員達。静寂が周囲を支配する。
「使徒は既に、新首都方面へ向けて進出を開始している」
使徒…戦自では過去、『迎撃対象行動物』などと言い換えを図っていたが、
既に世間一般に『使徒』と言う呼称が浸透しており、隊員達の間でも普段では
『使徒』と呼び合っていた。だが、公式の場で『使徒』と呼称するのは初めてである。
一瞬、ざわめきが起こった。
「我々の任務は、可及的速やかに是を迎撃する事である」
迎撃…過去何度も試みられて来たが、未だ一度として、戦自単体で達成された事の無い任務。
既に使徒と言う存在が、N2爆雷すら効かない相手であると判明している今、通常兵器でしか
対抗出来ない組織には空しい言葉なのかも知れない。迎撃…
86 :
生きるチカラ:2006/02/17(金) 04:52:05 ID:???
壇上の指揮官は、眼下の部下達を見渡している。
深く一呼吸置くと、静かに、だが澱み無く語り始めた。
「我々はJA、ネルフと共同作戦を行う。だが、ジェット・アローンは損傷が激しく、
ネルフの決戦兵器は動作が不安定との報告を受けている。つまり、今現在有効な防衛手段は、
我々戦略自衛隊、陸海空合わせて35万人の力に掛かっている」
陸将補の握る拳が微かに震えた。
「敵う相手で無い事は分かっている…だが、それでも戦わなければならない」
彼等、眼下の部下達からまた何人の犠牲が出るのだろうか…この胸に去来する物は何だろう。
虚しさなのか、哀しみなのか、言葉にならない言葉が喉に詰まる。
「…頼む、俺と一緒に死んでくれ」
単刀直入な一言と共に、彼は深々と頭を下げた。
戦自隊員となったその日から、皆その覚悟で厳しい鍛錬を積んで来た。
最早無駄な抵抗なのかも知れない。
ただ、愛する人、愛する家族、愛する故郷を守る為に、今我々が死ななければ…
何者かも分からない相手に命を奪われるのは癪だが、ほんの数分でも、
自分より長く生きて欲しい、父よ、母よ、娘よ。
その為だけに、我々は盾になろう、喜んで。
87 :
生きるチカラ:2006/02/17(金) 05:03:33 ID:???
「何見てんスか…あっ」
若い隊員が後ろから覗くと、鬼陸曹が一通の手紙を見つめていた。
「勝手に見るんじゃねぇ、馬鹿野郎」
「娘さんからスか」
「うるせぇな」
「除隊勧告、受けないんスか」
「だからうるせぇな」
着任式の後、朝霧基地勤務の全隊員に早期除隊制度実施が布告された。
又、妻子を持つ陸佐以下の隊員には除隊勧告が出された。
「あんな事言われて、逃げる訳にはいかねぇだろ、馬鹿が」
「俺は辞めますよ」
「…そうか」
「使徒を倒して、退職金を貰ってから辞めるつもりッスよ」
88 :
生きるチカラ:2006/02/17(金) 05:14:21 ID:???
「…倒せる訳ねぇだろ」
「そうスね」
久々に笑った気がする。初めから負け戦と分かっていて、それでも戦う意味はあるのだろうか。
娘は既に長野へ疎開している。時折届く手紙には、芋掘りだのレタスの収穫だの、
自然の中で楽しげに笑う彼女の笑顔が透けて見えた。
もう7歳か…思えば駄目な父親だった。入園式、入学式、一度も出席出来なかった。
優しく笑おうとして、引き攣った笑顔に泣かれた事がトラウマだった。
子供とは不思議な物、親は無くとも子は育つ、いや、妻のお陰か。
「休暇ぐらい、取らないんスか…まだ接触まで時間は」
「会えば辛くなる」
真一文字に噤む口。噛み締める唇から、隠し切れない寂しさが漏れる。
「お父さん!」
「…殴るぞ」
89 :
生きるチカラ:2006/02/17(金) 05:35:08 ID:???
「…生きて優菜に会いたい」
偽らざる父親の本音。
「羨ましいッスね、守る物があって」
彼女は未だ、倒壊したビル…その瓦礫の下。
使徒なのかJAなのか、ネルフなのか…それとも戦自なのか。
戦闘に巻き込まれ、行方不明と言う曖昧な死亡宣告に涙も枯れ果てた。
復讐なんて柄じゃない、ただ、一緒になりたくて。君の所へ行けるのなら。
「靖国に行ったら、会えないんスかね…」
ポツリ、と呟いた若い後輩の頭を、立ち上がり様に派手にブッ叩いた。
「ってッ!!!」
「何馬鹿言ってんだ!気合入れて掘りに行け!!待ってんだろが」
「ハイ!!!」
そうだ、彼女は待っている。あの場所で、彼が見つけてくれるのをずっと。
君がどんな姿でも、俺は会いたい。抱き締めたい。
乙っす。
一つ勿体ないと思うのは、ここで出てくるのは戦自じゃなく国連軍=旧自衛隊だろうなと。
戦自は劇場版まで出てこないし、ネルフと共同戦線を張る義理は何一つ無いし、
たぶん35万も兵力はないはず。
戦自はトラウマです・・・
戦国自衛隊
怒号が飛交うその場所は戦場だった。
全ての手間を惜しんで作業を続ける個人の群れ。
それは軍隊のように統制された行動ではない。
特別にチームワークが整っているわけでもない。
組織として防ぎようのないこととして日本重化学工業共同体にも様々な軋轢が存在する。
部署同士がぶつかりあうことなどざらだ。
しかし、今はそれぞれがそれぞれのやるべきことを理解している。
命をかけて。
ただ自分のやるべきことを当たり前のようにやる。
機械類、道具、書類、人間、あらゆる物が散乱する壮絶な状況。
ここが戦場以外のどこだというのだろうか。
「状況はどうなっている!?」
焦りに駆られた誰かが叫んだ。
刻一刻と使徒が接近しているというプレッシャーが膨らんでいく。
「はい、それが、」
「どうした」
「その、戦略自衛隊が足止めをしているようで……」
その言葉に僅かなざわめきが起こる。
「戦自だって?」
「それは国連軍の間違いじゃないのか?」
「どういうことなんだ……畑違いだろう……」
「馬鹿!考えてないで手を動かせ!」
違和感を残しながらもその情報が伝えられていく。
情報を知ることは戦いを有利に導くことに繋がっている。
だからこそ、伝えられる。
作業をしながらも何かの希望にすがるように言葉を繋げていく。
それは戦場の中を通っていく異質な伝令だった。
――戦略自衛隊が動いた。
その意味を本当の意味で理解できたのはただ一人だった。
時田の頭に一人の顔が浮かんでいた。
「やってくれたな……」
確信する。
根拠なんてなにもない。
いったい、どういうマジックを使ったのかしらないが。
絶対に、あいつの仕業だ。
頭に浮かんだ顔が時田に向かってギャハハと笑っていた。
それは幼馴染の悪友。
「はは、はははは……本当にやってくれる!」
思わぬ援軍に心が揺さぶられる。
心の中にあった全ての迷いが消えていく。
人類は一つになれると、今だけは確信を持って言える。
あらゆる垣根を越えられるはずだと。
このことを教えてくれたあいつ。
そう、あいつに応えるためにも時田がやるべきことは見えていた。
無理だ無謀だは聞き飽きた。
できないじゃない、やるしかないんだ。
――――ジェットアローンを起動させる。
乙ッッッ!!!!!!!
頑張れ!!職人!!
負けるな!!職人!!
すげぇ、職人によって話がリンクして矛盾がなくなったw
すげえよ職人さんたちGJ!
ていうか、あれが挟まった事で522-524氏が路線変更したのか?
じゃね?まさにプロだな
路線変更かどうかはわからんが、うまく取り入れたもんだなぁと思った。
戦自くんを取り込むつもり!?
先の戦いで日重に指揮執らせたのも日本政府の意思だし、戦自とはうまくやれそうだね。
「…発動した覚えはありませんが」
「今は非常時です」
「これは…民主主義に対する重大な挑戦ですよ」
自分の息子よりも若い将官はニッコリと微笑み、言い放った
「命よりも大切な主義なんてありません、総理」
国連軍太平洋艦隊は既に浦賀水道を抜け、外房へと退避行動を開始。
陸に残る部隊も沈黙を守っている。
この國は一体、誰が護るのか、護らねばならないのか。
総理は深い溜息を付いた。
「世論は我々に同情的です」
勤勉な官房長官が事態の事後処理を促す。
「野党は私が何とかします」
老練な国会対策委員長も賛同している。
シビリアン・コントロール…この国是、禁忌を今私が破ろうとしている。
長い議員生活の中で、この様な日が来る事など想像すらしていなかった。
「時間稼ぎの為だけに、何人死ぬのかね…」
将官は一呼吸置き、真っ直ぐに総理を見つめた。
「私達は信じています、ジェット・アローンを」
「戦自が動いたらしい」
「当然です、副司令」
足元には季節外れの西瓜、無精ヒゲを撫でながら加持リョウジは続ける。
「彼らは馬鹿が付くほどの真面目ですから」
「…」
「ネルフは、どう動くおつもりですか」
「待機する他はあるまい、だが…」
戦自が足止めをしている。JAが連日徹夜で動いている。
我々は、我々ネルフは今、何をすべきなのか。
いやはや全く、つまらない話だ。
我々人類の存亡の危機と言う時に、かくも狭い世界で争う様では。
下らん、実に下らんよ加持君。
元々自分は軍人でもない、一介の学者に過ぎない身分だった。その筈だった。
それが今では副司令などと祭り上げられ、妙な責任を押し付けられる。
面倒と思いつつ、更にまた面倒を背負う、業の深い人生だな…。
冬月は自嘲気味に呟いた。
「加持君、私の判断は間違っていると思うかね」
「いえ」
「自分自身で驚いているのだよ、私の中にも、まだ正義感が残っていたのだとね」
「副司令、私は尊敬します、その御決断を」
二人の元へ、向こうから…赤木リツコが金髪を振り乱し駆けて来る。
冬月は心中密かに苦笑いした。まさに青天の霹靂だろう、彼女には。
「副司令!この辞令を取り消して下さい!!」
「君も行きたいのかね」
「まさか!」
ネルフ、日本重化学工業共同体へ協力を申し出。
第一陣として伊吹マヤ以下十数名の技術者を派遣。
今、組織を越えて連携が始まる。
「ボケちゃったのかしら、副司令」
「…」
「いやーまいっちったわね、なーんて」
「アンタはお気楽でいいわよね」
「そうでもないわ、年頃の男の子は難しいのよー意外と
あ…拗ねてるんでしょ、マヤちゃん取られて」
「貴女のその馬鹿さ加減、嫌いじゃないわよ」
「アリガト」
「日向君」
「ハイ!」
「取り敢えず第二種戦闘配置を継続。使徒から目を離さないで」
「任せて下さい、エヴァはいつでも出せます!」
「あの子たちは?」
「仮眠中です」
「そう…襲っちゃおうかしら」
「ミサト!」
「冗談よ、冗談」
博士の頭痛の種は尽きない。
>ネルフ、日本重化学工業共同体へ協力を申し出。
>第一陣として伊吹マヤ以下十数名の技術者を派遣。
やるな、冬月。
しかし後でゲンドウやゼーレの老人達からねちねち言われそうでカワイソス 。
てかこのスレで書いてる神は何人いるのだろうか。みんなすごいね。
戦自は積極的に動かさないほうがいくない?
チラシの裏だが。純粋な勝負ごとがイズムやら何やらでしち面倒臭くなりそう・・・
枝分かれしてそう言う話書けばどう?みんなでひとつの話を作るって縛りはないし
>>105-109 もしかして前スレでも書いてた人?
某スレでコテハン紹介やってる人?
いったい何人の手によってジェットアローンがネ申になるんだw
ざっと数えて4、5人はいるぞ、リレー小説かこれはww
後継機登場の妄想を垂れ流してみる。
コンピュータウィルス使徒がMAGIではなくJAに侵入、暴走するもパスワード『希望』にてプログラムごと使徒殲滅。(初號機と鬼ごっこ)
今までの戦闘でのダメージの蓄積で機体がボロボロの上にプログラムまで喪失、一からJAを組み上げる事に。
JA改誕生。ハンマーで使徒を撲殺するJA改の勇姿が!
EVA2の量産EVA戦でのJA改と時田さんカッコ良すぎ。鰻9尾のうち5尾は撲殺してくれました。
ところで本編では戦自は一度も使徒相手に戦ってないよな?
第三使徒戦で大変な被害を出したうえにその後は使い走り同然の扱いをされた国連軍哀れ…
「ママー…」
泣き叫ぶ少女、怒号の響く構内。人を押し退けて我先に進もうとする事は罪な事だろうか。
善波トンネルをようやく抜け、開けた視界の先にも人の波は延々と続いていた。
使徒出現、新東京へ向け依然進行中の報に、現場も混乱を極めている。
戦自隊員は頬にくっきりと涙の後の残る少女を抱き抱えると、大声で母親を探し始めた。
秩序の維持、的確な誘導、食料の配給、避難場所の確保…地味な仕事ほど難しい。
果たして使徒の侵攻を食い止める事に有効なのか、甚だ疑問とも思える土嚢積みに汗を流す若者達。
「…やっぱ、こんな袋じゃ無理ですよね」
「黙って積め馬鹿」
決戦は近い。
「んっフッフー♪」
「ご機嫌ね」
「悪いケド、農協の出番は無いわよん」
「農協?」
「トラクターの分際で生意気なのよねー」
「…」
葛城ミサト、29歳。
ジェット・アローンは耕作機械から発展したと信じる女。
>葛城ミサト、29歳。
>ジェット・アローンは耕作機械から発展したと信じる女。
ワロスw
光武はトラクターから進化しましたが、何か?
121 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 02:29:51 ID:z7JGeVs6
ほしゅ
122 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 02:36:07 ID:9ygbTUtI
ものすごい肺活量のキャラが 長い竹から 竜巻を発生させて ATフィールドを突破
123 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 02:39:30 ID:9ygbTUtI
日曜洋画劇場 コマンドー
ノノノソソソ ノノノソソソ ノノノソソソ ノノノソソソ
ミ _/ _| ミ _/ _| ミ _/ _| ミ o/o|
6 / ‖| 6 / ‖| 6 / ‖| 6 / ‖|
ゝ o/ ゝ O/ ゝ -/ ゝ o/
 ̄  ̄  ̄  ̄
コ マ ン ドー
http://live22x.2ch.net/test/read.cgi/liveanb/1141471954/l50 テレ朝 今日の21;00はみんな大好き 待望の「コマンドー」の時間ですよ!
メイトリクス娘人質に取られて言いなりになるけど、我慢できなくなって反逆
その後シンディを仲間に加え、武器屋で大量の銃調達してベネット邸へ
ベネット邸はメイトリク大暴れで壊滅、カービィ将軍部下連れて迎えに来る
,-‐――、
/ ┃┃ ヽ-、
し '' ∇ '' |‐'
ヽ___ _ノ、カービィ将軍
'ー-' ̄ `ー-'
このレスを時間までに3箇所にコピペしないと一生童貞確定
保守
動け、JA!
保守age
ジェットアローンをageよ!!
もう少しお待ちください……
おう!期待待ち♪
まだかな♪まだかな♪
JAが勝てるのはマトリエルくらいだろ
遅レスだが、
>>95にはゾクッと来た。
これが演出的にやったんではなくて、
>>94に収まりきらなかった結果だったら笑うがw
そういえばエヴァ2に出てくるJA改は格好いいよな。
7話のもカコイイ
135 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 20:33:42 ID:Qtn0qGPp
あげ
ジェットアローンって結局なんのためにでてきたんだ?
エヴァの話の上で必要性を感じない。
137 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/04(火) 03:52:49 ID:HHYUVmZE
エヴァの特殊性、可能性を視聴者に刷り込むための生贄
>>136 第壱話からの複線かと
戦自の通常兵器を供給していたのが時田の会社だとすれば
負けた借りは返したいはず。
ネルフ自体は国連の所属だから一度負けてる日本のプライドとか意地も
見せておいた方が話としては2015年におけるネルフと日本の微妙な関係も
浮き彫りになって面白いと思う
日本政府はネルフが国連直属の特務機関で日本の統治権が及ばない事に
よく思ってない様な感じだったしな
>>139 国連軍つったって日本所属部隊だろ
外人はいなかったから国連加盟の戦自と見るのが妥当
自衛隊が国連軍へ供出された後に戦略自衛隊が別個に創隊されている。
これは公式設定だった筈だが?
同じような組織が2つもあるのは勿体無いとは思う。
>>140 >国連加盟の戦自と見るのが妥当
……設定はちゃんと調べような。
evawikiが復活したら教えてやる。
>>自衛隊が国連軍へ供出された後に戦略自衛隊が別個に創隊されている。
>>これは公式設定だった筈だが?
言い方が悪かったか。どっちにしろその供出された国連軍で壱話で出てきてたのは
日本の部隊が受け持ったと考えられる、戦時にしろ国連に供出された日本軍にしろ
兵器を作ってたのが時田関連だったとは考えられないか。それなら問題なかろう
日本重化学工業共同体、なんだよなあ。
まあ、いわんとすることは分かる。三菱重工と川崎重工とIHIが合併したようなのを
想定してるんだろうよ。
ちなみにJAの起動プログラムには「防衛庁」の文字もある。
ちなみに「日本重化学」という会社は実在するw
http://www.jmc.co.jp/ 素材系なんだよね。
日本重化学工業共同体それそれww明らかに兵器供給してますよ
役所のお墨付きですよって感じだったから通常兵器が全く歯が立たなくて
悔しいと思うのは当然の心で、それをゼーレかネルフが事前に暴走するように
仕組んで以後はしゃしゃり出てこなくなる設定だったのかなーとw
たしかパス通らなかったよね。あれゲームと混同したかな・・・
もう好きにして
JAの話は、ヤシマ作戦の前にもってくるべきじゃなかろうか?
陽電子砲で使徒を殲滅した次の週には、エヴァ以外では倒せない
とかいってるのはどうかと思う。
そこが肝なんだろう。
矛盾を言っているということがわかるからこそ面白い。
いつまでもネルフの時代じゃない
ATフィールドも時間の問題
この二つはそこから来てるのか。アレがないとただの妄言になるし
手足を取って発電パックとして使うのは如何だろう。
移動は大型ヘリ5〜10台で吊っていくということで。
普通に発電機でいいじゃん('A`)
正直、大学始まってから書く時間がない('A`)
……もうちょっと待ってください。
まつよー^^大学頑張れ
そんなん全然大丈夫なのばっかだろ、ここは。
気にせず学生生活を楽しく送り、暇な時に書いてくれ
ネックはやはりATフィールドだな。
こればかりは、短時間でどうにかなるかは微妙。
リツコたちもその発生メカニズムを解明しきれてないのは、
エヴァの周囲にのみにしか展開できないことから明らか。
(機械的なものなら、本部ジオフロント施設に強力なAT
フィールドを展開しておけるはず)
JA改はどんな理屈でATフィールド貫通してんだろ
>>155 最終的にF型で用いられているように電力食うけど
ATフィールドを偏向しているつー設定でおkじゃね?
>>156 ゲームのシステム上は、量産機のATフィールドがないものとして扱われている。
公式掲示板での芝村の説明だと、設定的にはATフィールドを貫通しているらしいが、
JA改の攻撃のスペックだとそれは無理。
物理的な理屈じゃなく、もっと形而上的な理屈なんじゃない?
完全自律のロボットだと心はないから、心の壁であるATフィールドは無効化されるとか。
戦車砲弾にせよ戦闘機のミサイルにせよ、発射するのは人だけど、JA改の攻撃には
人は絡んでこないからね(オリジナルJAは人が操縦していた)。
時田も「敵わないのは、人の心か」とゲームでは言っていたから、多分そこがJA改の
最大の強みであり弱点でもあるのかなと。
つまり、目指せアトムか
インチキ霊能者の言い訳みたいだなw
ロボットにだって、心はあるんだ! byアトム
まあ、心というものが単なる神経細胞の細胞膜の電位変化の産物かどうかは
まだ決着のついていない問題だしね。
もし単にそうであるなら、当然ロボットにも心は生まれる余地があるだろうし
そうでなければ不可能だ。
JAに意志を持たせるフラグがたちましたよー。
JAを自律化してどうすんのよ?
こんな感じか?
遠隔操作と知った使徒、ATフィールドで操作妨害
↓
「くそっ、なんとかならんのか…!」いろいろ試す
↓
でも無駄、JAがボッコボコに
↓
「…我々は、JAを、幾度となく我々を救ってくれた自慢の息子を、ただの一度も救えぬというのか!?」的な台詞
↓
何故か動き出すJA
↓
使徒と心中、モニターに『アリガトウ』
心を持てばATフィールド使えるようになったりして
たぶんあれだろ。
「劇場版/ジェットアローンで使徒を殲滅せよ」
ついに人類補完計画が動き出した。
NERVとゼーレの対立が表面化し、戦略自衛隊に二つの命令が下される。
背信の疑いのあるNERV本部への突入。
そして、それと同時に日本重化学工業共同体研究所への突入。
共に戦ってきた仲間。信じてきた戦友。命を救われた恩人。
――命令。
それ一つで全てが覆される。
ネルフと日重への同時武力進攻。
対人戦用の設備を持つはずがない組織に対する無差別殺害。
そして、凶弾が時田を襲う。
自らの血溜まりに向かって傾ぐ体。
崩れ落ちる体から力を振り絞って最後の希望を託す。
「ジェットアローン、人間を――救え――」
NERV本部を襲うS2機関を搭載した9機のエヴァ量産機。
食い千切られた弐号機、十字架に磔にされた初号機。
――そして、審判の時が訪れようとしていた。
そこに現れたのは自律化したJA改。
残り時間は後僅か。
ジェットアローンが父から下された命令は「人を救う」こと。
武器は己の腕に搭載されたサンダーフィスト。
それは――、
全てを終わらせるための一撃。
こんなノリw
サンダーフィストはこのスレ発祥の名前だったっけ?
なんかAV男優の代名詞みたいなところが好きだ。
リツコ「馬鹿な!動力部を壊されて動くなんて非科学的な事が!JAの心の力は科学を超えると言うの!?」
良スレ
>>170 何のことか分からんくてググッてみた。機龍ってメカゴジラのことか。
つーか、特撮とか見た事ない俺は異端か…?
それはおもいあがりだ
俺も特に見たことないぞ。小さいころウルトラマン系見てた記憶はあるがよく覚えとらん。
遠隔操作では歯が立たず、時田がJAに乗り込むという設定はどうよ?
しかし、日本重化学工業共同体の面々は愛されてるなw
>>173 異端ではないと思うが、特撮を見ていないと楽しめないアニメのお約束、みたいなところはあるな。
エヴァで言うなら第3話の演出はまんまウルトラマンだし。
MAGIみたいな人格移植OS載せればいいんじゃない?
技術者としての時田、男としての時田そして…中間管理職としての時田
180 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/01(月) 15:39:18 ID:uGM2Kjly
希望age
J
A
誕生
>>179 時田は日重の代表だから、中間管理職ではないな。
183 :
乗せてみた:2006/05/01(月) 20:44:15 ID:???
リツコ「JAはまったくと言っていいくらいの欠陥兵器です!11!
遠隔操縦では著しく敏捷性に欠けていて使徒の攻撃を回避することもできません!」
時田「ふっ、それも解決済みです。JAには戦闘用仮想人格OS『MAJI』を搭載しています」
ミサト「なんなのよ、そのパクリっぽいネーミングは」
時田「パクリではない!本気と書いてマジと読むのだ!世界中から集められたケンカ野郎達
の人格を移植したのです!人類と異質の形態、異質の攻撃をしてくる使徒には、訓練された
兵士より場数を踏んだストリートファイターの方がよいのですよ!」
>>183 石川賢大先生の描くゲッター並の凶暴さで暴れまくるJAが目にうかんだw
>>184 EOEで覚醒初号機と量産機相手に戦う真JA。
「時田!!真・JAを動かすとは人類を滅ぼす気かぁッ!!!」と食って掛かる・・・
誰だろう?いいキャストが思い浮かばないやw
187 :
DDR:2006/05/04(木) 04:33:48 ID:???
「伊吹マヤ、日本重化学工業共同体、ジェットアローン開発推進本部へ只今着任致しました!」
見上げると、見慣れぬ制服を着た数名の技術者が整列していた。
「よ、ようこそ」
「ここへークッククック…」
「いや、そこは“ようこ”だろ」
「副部長、私はエリ子派だ。アイドル伝説は永遠に不滅なのだよ」
「?」
中年の真剣なやり取りに、何か不思議そうな顔をする伊吹マヤ。
分からないネタ振りについ、寝た振りをしたくなるなんて言わないわ絶対。
188 :
DDR:2006/05/04(木) 04:46:34 ID:???
オオォォォォォ
構内にどよめきが巻き起こる。
「何事だ」
「さぁ?」
どよめきとざわめきが時田へ近づいて来る。
時田は暫し手を休め、声の方を凝視した。
見慣れない制服…ああ、ネルフの人か。しかし、やけに若い。しかも女性か。
「あの…時田主任でいらっしゃいますか?」
(主任ではないのだが…)
時田は苦笑いを浮かべた。
「ええ、時田です。失礼ですが、貴女は」
「伊吹マヤ、日本重化学工業共同体、ジェットアローン開発推進本部へ只今着任致しました!」
颯爽と敬礼をする彼女に、戸惑いを隠せない。
期待していた人物とはかけ離れていた。
「初めまして、JAの時田です」
「宜しくお願いします!」
元気はありそうだが、しかし…この子に何が出来るのだろう。
過ぎる不安を余所に、周りを囲むJA職員達が次々に挨拶を始めた。
ここは学校か…確かに、可愛い転校生ではあるのだが。
時田の苦笑いはまだ収まらない。
189 :
DDR:2006/05/04(木) 04:55:27 ID:???
「伊吹さん」
「は、はい!」
「ここは軍隊ではないので、敬礼は必要ありません」
「そうですか…すみません」
「いや、その…まあ、つまりそう言う事です」
「…すみません」
「気にしないで下さい。ところで、ご専門は?」
「情報工学です!」
「情報工学…ああ、それでジェット・アローンの制御システムに…」
「はい、操作系統の再構築と制御システムの強化が主な任務と聞いています」
「任務…いや、ここは軍ではないから、仕事でいいですよ、伊吹さん」
「す、すみません!」
「あ、いやいや…こちらこそ」
「私、実は就活でネルフを受ける前、こちらも受けていたんです」
「そ、そうなんですか!」
「はい。ご縁って不思議ですね!」
「そうですね…」
若い女性は苦手だ。免疫がない。
時田「頑張れJA!負けるなJA!」
JA「マッジ!!!」
191 :
DDR:2006/05/04(木) 16:17:18 ID:???
アイドル光臨…このむさ苦しい世界に咲く、一輪の花。
今日と言う日を心から感謝せずにはいられない男達。
そう、我らが日本重化学工業共同体、汗に塗れる開発チーム総勢数十名。
国連特務機関ネルフから派遣されたのは、伊吹マヤを始めとする数名の女性技術者達。
これは…まさか罠。新手の懐柔策なのか、それとも。
「赤木さんはお元気ですか?」
「赤木“さん”?」
「あ、いや…博士でしたね」
「先輩はとてもお元気です。時田さんとは…ご面識があるんですか?」
「いえ、いつぞやの会議で一度お会いしただけなのですが」
「そうですか」
「その時、少し失礼な事を」
「伺ってます、先輩から」
「…すみませんでした」
「あの、私に謝られても」
「宜しく、とお伝え下さい」
「分かりました」
人類の敵は人類なのか。組織を越えて協力し合う事は可能なのか。
目の前の伊吹マヤが果たして本当の味方なのか、今の時田には分からない。
ただ、彼女達の力は必要だ。脇ではしゃぐ若き技術者達を横目に、
時田は一人気苦労が絶えない。
192 :
DDR:2006/05/04(木) 16:28:44 ID:???
「部長、僕をジェット・アローン開発推進二課に入れて下さい!」
「無理を言うな」
「無理を承知でお願いしています!」
「だから無理だ。君が抜ければプラント設計の人員が足りなくなる」
「構いません」
「君が構わなくとも、我々は困るのだが」
「何とかなりませんか」
「ならんね」
「そうですか、残念です…」
「大体君、基礎構造化学の人間がいきなり先進機械工学の分野に入れる訳がないだろう」
「燃料電池とか、核融合分野で僕の知識が」
「役に立つ…と、まあ諦めたまえ。君の様な異動願が殺到していてね」
「そ、そうなんですか」
「困ったものだよ、内部攪乱かね、これは。君も例の彼女達が目当てなのだろう?」
「い、いえ、そ、そんなつもりではっ」
「君は君の仕事を片付けろ。話はそれからだ」
日本重化学工業共同体が今、熱い。
いきなり石化されて、まだ回復できてません。
GJ!!
195 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 12:39:12 ID:ooMZaORh
保守だーッ
┃
/|゚・
彡 | | 。・゚・
∧,,∧ _ 彡 ヽ| .。・
(∩`・ω・)) チャーハンフィールド展開!
/ /
しー-J
ねぇねぇ、勝手に続き書いたら怒る???
199 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/16(火) 13:24:57 ID:U9K6Y3rO
>>95そして
>>189辺りから分岐シナリオで書いちゃうお。
「現在、国連軍並びに戦略自衛隊群が使徒を迎撃中、足止めしています!」
雑踏の中に館内放送が響く。どうやら放送機材の調子はよくなったようだ。
「挨拶もそこそこで申し訳ないのですが、さっそく力を貸していただけますか?」
「はい、分かりました。」
若い女性技術者。正直、場違いのような気もする時田であったが、時は一刻を争う。
いくら迎撃に戦略自衛隊が加わったといっても、到底使徒にダメージを与える事などできない。
「伊吹さんたちには、両腕の制御プログラムの再構築をお願いしたいのですが」
稼働率76%。見た目こそは修復されたように見えるJAだが、使徒との戦闘に耐えられるレベルとは言い切れない。
すでに多くの内部部品が交換され、それでも足りないパーツは開発中のJA二号から流用した。
しかし、完全互換性ではない部品も多く存在する。その僅かな違いが、四肢の制御に問題を生んでいた。
さっそく彼女を、先ほどから運動制御シミュレーションと格闘している部署に案内する。
200 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/16(火) 13:32:00 ID:U9K6Y3rO
>>199続き
「一つ・・・言いたいのですが。」
ワークステーションに向かった伊吹二尉に話しかける時田。
「JAは・・・ジェットアローンは・・・私達の大事な希望なんです。
あなたがたNERVのエヴァには、確かに及ばないかもしれない。
でも、こうして、NERVが私達に協力してくれたことに、本当に感謝しています。」
恥ずかしい事を言っているなと自分でも気づくが、それでも時田の言葉は続く。
「どうしても・・・もう一度歩かせてやりたいんです。
世界を守る役目をちゃんとさせてあげたいんです。
・・・だから・・・どうかよろしくお願いします・・・」
時田だけではない、部署の技術部員達までが黙って伊吹二尉を見つめている。
「・・・大丈夫ですよ。かならず、ジェットアローンさんを立ち上がらせて、世界を守りましょう!」
―― 一時間後。 JAの稼働率は98%に到達していた。
――――時は少しばかりさかのぼる。
「敵使徒に上陸されましたっ・・・!」
モニターには、数時間ほど前に発見された使徒の姿が映っている。
昆虫のような、爬虫類のような、なんともいえないフォルムは、神の使いの名にふさわしいとも言える。
「引き続き、誘導爆撃を続けろ!」
発見直後から、国連軍と戦略自衛軍は使徒への攻撃を続けていたが、
予想通り、ATフィールドにはばまれ、髪の毛一本ほどの傷もつけられずにいた。
「どんな手段でもかまわん!目標の進行速度を抑えろ!時間を稼ぐんだ!」
ここにも一つの戦いが生まれていた。
「日重工からの連絡はっ!」
「JAの実戦可能稼動率に到達するまでに、あと一時間かかると!」
怒号の飛び交う中、JAの状況が伝えられる。
「大型VTOL戦闘機部隊は!?」 「第五大隊が一分後に到達予定です」
戦況はあまり芳しくない。こちらにまだ死者こそ出ていないが、一方で敵にもダメージはない。
近接戦闘以外に傷をつけられない相手に、もはや敵の進行速度を落とすことしか打てる手はなくなっていた。
数分後。VTOL機が戦線を展開する。
さすがに、蠅のようにあたりを飛び交うVTOLが鬱陶しくなったのだろうか。
使徒は滑空をやめ、コブラが敵を威嚇するように頭をもたげた。
「そのまま使徒の気をひきつけろ!特科にSRBM発射用意を・・・ 『――バシィン!』
「4番機、大破!」
突如として使徒のまわりに光る触手のようなものが現れ、一機の戦闘機を叩き落す。
「くっ、全機、離陸体制をとれ!使徒の攻撃範囲から脱出しろ!」
まるで鞭のように触手をふるい、次々と友軍機を叩き落していく。
VTOL機も急いで回避行動を行うが、使徒の鞭は思いのほか射程が長い。
もはや、戦闘機軍の全滅は時間の問題に思われた。
「ちくしょうっ・・・撤退だ!全機撤退だ!」
悔しさに滲む命令が司令所内に響き渡る。
あとに続いて使徒に攻撃する予定だった国連空軍もあわててきびすを返す。
「俺達は、こんなにも無力なのかっ!!!!」
――――そのときだった。
「日重工より入電!ジェットアローン、実戦稼働率に到達!空輸準備に入りました!」
日本重化学工業共同体からは、ついさっき、JA配備まで一時間はかかると連絡をうけたばかりだ。
まだ、先の連絡から30分ちょっとしかたっていない。足止めに失敗して、このタイミングでの連絡・・・。
もしや、という不安が彼の頭をよぎる。稼働率が実戦可能域に到達しないままに・・・・!?
「それでJAの稼働率はいくらだ!?」
「そ、それが、すでに98%に到達したと・・・!」
「なんだとっ!」
・・・いつもアイツは俺を裏切りやがる。それも、いい意味で。
『今からすぐ向かう!それまで頼む!』
スピーカー越しに彼の耳に届く時田の声は、自信に満ち溢れていた。
「よぉしっ!皆、JA到達までもう少し頑張るんだ!全方位から誘導ミサイルでプレッシャーをかけてやれ!」
かつてない爆音が、 使徒を包んだ。
つづく。
205 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/17(水) 19:07:47 ID:5hFzdY/x
パトレイバーを思い出すな
GJ、面白い。
そして凄いなマヤ、流石はリツコの一番弟子。
JA輸送機・・・かつての大国、アメリカで、爆撃機として考案され、デスクプランで終わったYB49・・・。
翼長は200mを超える巨大航空機だが、その登場人数はわずか10人だ。
その中に小さな小型端末をいくつも広げた技術者たちの姿があった。
「こちら加藤、時田さん聞こえますか?」
時田はJAの戦闘指揮を行うべく、先に現場に入っている。
『あぁ、聞こえているよ』
「こちら、全モニター信号、正常受信を確認。まもなくJAの起動準備に入ります」
『了解、さて・・・』
当然ながら前回同様、作戦らしい作戦はまだない。
しかし、戦自のおかげで使徒の攻撃方法が事前に分かった以上、前回よりは少しマシといえる。
端末ごしに、急遽作戦会議が始まった。
>>207書き直し。
JA輸送機・・・かつての大国、アメリカで、爆撃機として考案され、
デスクプランで終わったYB49をベースに建造されたものだ。
翼長は200mを超える巨大航空機だが、その搭乗可能人数はわずか10人。
その狭い搭乗室に、たくさんの小型端末を広げた技術者たちの姿があった。
「こちら加藤、時田さん聞こえますか?」
輸送機内でジェットアローンの起動を担当するのは時田の右腕の加藤だ。
時田本人はジェットアローンの戦闘指揮を行うべく、先に現場に入っている。
『あぁ、聞こえているよ』
「こちら、全モニター信号、正常受信を確認。まもなくJAの起動準備に入ります」
『了解、さて・・・』
当然ながら前回同様、作戦らしい作戦はまだない。
しかし、戦自のおかげで使徒の攻撃方法が事前に分かった以上、前回よりは少しマシといえる。
端末ごしに、急遽作戦会議が始まった。
問題はあの”鞭”だ。
姿形が常識はずれな使徒だからこそ納得できるものの、科学的な原理は全く不明。
分かっている事は、攻撃範囲が数100mにわたり、自由自在に操れるということだけ。
戦自から伝えられた情報が正しいなら、あの鞭の攻撃にはジェットアローンの装甲などひとたまりもない。
「国連軍は既に撤退!戦自は未だ明星ヶ岳付近で抗戦中!」「JA投下地点到達まであと12分!」
またしても、時田は頭を悩ませていた。敵は使徒だ。失敗は許されない。
残されている時間はもう僅かであることも彼の頭をしめつける。
「戦自より入電!時田主任に回線をまわせと言ってきていますが・・・」
このタイミング・・・おそらく・・・。
時田が答えるより早く、管制室に声が響きわたる。
「おぉい、時田ぁっ、ちゃんと作戦考えたかぁ?」
確認するまでもない。時田の旧知の友、敷島であった。
【本編とは関係ないよ】
書いてみた「ジェットアローンで使徒殲滅」話。
もし、このまま好評なようでしたら書き続けるとです。
(ダメだったら、こっそり最下層スレにうつるつもりです)
最初に書かれていた中の人の話の続き、ということで、
勝手に書いてますんで、522-524氏とは関係ないです。
分岐としてお楽しみくださいませ。
それにしても、本当にジェットアローンってカッコいい。
ケンスケがジェットアローンのパイロットだったら
212 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/18(木) 09:05:29 ID:Y/mLQ8iG
GJ!
ジェット!ジェット!
GJ!
いいよいいよ!
199-200氏
GJ、wktkして待ってます
>>211間違いなく秒殺されるだろw
「すまない、敷島!君達の足止めのおかげで・・・」
「そんな社交辞令なんか言ってる場合じゃねーぞ。戦自もそろそろ撤退する。
時間がないぞっ!」
「あぁ、分かってる」
時田の耳には、SOUND ONLYと表示された画面の向こう側でも、ここと同じく
大声が飛び交っているのが聞こえた。
「だが、俺たちは技術屋だ・・・何か、いい案はないか?」
「言うと思ったぜ。いいか、よく聞けよっ!」
ヤツの武器はあの変てこな触手だけだ!前のヤツみたいにビームは持ってねぇっ!」
彼の作戦とはこうだった。
JAは、使徒に対して当然近接戦闘を挑む必要になるが、それにはあの鞭をさける必要がある。
先の戦自の攻撃で使徒の鞭は、後方からの攻撃に対して、鞭での反撃は行わずに
わざわざ反転して向きを変えて攻撃してくることが判明した。
そこで、JAを使徒の後方に投下、以降常に使徒の後方から攻撃、殲滅する。
「とにかく速力が武器だ。ヤツは胴体が長い分、反転に時間を要する。
お前のジェットアローンなら、やれるだろ?」
「・・・すまないな、色々と」
「謝るのは負けたときだぜ?とにかく、今から戦自を撤退させる!あとは頼んだぞ!」
――――使徒の足止めのために死者が出ている。
その事実は、ついさっきまで時田の胸を強く締め付けていた。
世界を守り抜く人々の命の重さ、そして、自分とジェットアローンに託される希望の重さ。
『謝るのは負けたときだ』・・・敷島の言葉が頭に響く。
「(・・・ジェットアローンで・・・世界を守る・・・)」
彼のいる管制室内では、戦闘準備のために多くの仲間が駆け回っていた。
ここ、ジェットアローン強羅制御管制施設は、JAによる戦闘の現地指揮のために
急遽、二週間前から建造が始まったものだ。お世辞にも広いとはいえない。
次々に送られてくる情報をたくさんの端末に処理していく職員のなかには椅子のない者すらいる。
218 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/19(金) 19:24:50 ID:FY+IHBCP
ネルフはなにをしてんだ?
199−200氏、できればそっちの描写も頼む!
「(俺が・・・俺が震えていてどうする・・・!みんな必死なんだ・・・!
俺が、・・・ジェットアローンを信じなくてどうするっ・・・!)」
『時田さん、JAの起動準備完了しました。投下地点はどうしますか?』
スピーカーから聞こえてきた加藤の声に、現実に引き戻される。
先ほど敷島から聞かされた作戦が、時田の頭の中で一気に再構築されていく。
「よし、さっきの話は聞こえてたな?いいか、使徒がCポイントを通過したら、
その後方に投下だ!」
『了解っ!』
「冷却班!補助冷却装置の設置、今から配備できるか?」
「えっ!?補助冷却装置は第3新東京市にありますから、急げば強羅までもってこれますが・・・」
「では、至急手配してくれ」
「まさか、時田主任・・・!」
「あぁ、みんな、高機動モードだ」
『高機動モード』・・・それは冷却液の流速を限界まで引き上げ、リアクターぎりぎりの性能で
ジェットアローンを動かすモードだ。
前の使徒戦では、JAの冷却性能そのものに問題があったが、今回はリアクターの冷却装置には問題はない。
しかし、言うまでもなく高機動モードには大量の冷却水が必要となる。
「しかし、主任!冷却水の水源がありません!芦ノ湖では遠すぎます!」
「前の使徒にN2地雷を使って出来た湖があるだろう、あれを使うんだっ」
「ですが、あまりにも・・・」
「・・・俺達がJAを信じなくてどうするっ!」
時田の言葉に、一瞬の静寂が訪れる。が、それもすぐに指示の嵐に変わる。
「第二研究室に連絡しろ、至急補助冷却装置の準備だっ!」
「はぁ?何度も言わせるな、リアクターの制御はB-7だ!」
「五分、いや三分でやるんだ!急げっ!」
おのおのが、ある者は端末に向かい、ある者は通信で指令を出す。
そうしている間にも、モニターの使徒を現す輝点は第3新東京市に近づいていく。
「使徒、Cポイントを通過!」
『時田さん、こちら加藤です。OSの高機動モードでの起動準備完了しました』
「よしっ、ジェットアローン、降下だっ!」
「しかし・・・まさか戦自が動くとはな」
主モニターに映し出されている第四使徒を見ながら冬月はつぶやく。
彼が見下ろす下、発令所の面々は忙しいとは言えないまでも情報収集のために手を動かしている。
「またあの農協マシンが出てくるわけぇ?
使徒を一匹倒したくらいでいい気になっちゃってるんじゃないわよ」
「あら、ミサト、酷い言い様ね。NERVよりも先に戦果あげたのは事実よ」
「アンタ・・・端末握りつぶしながら言うのやめてくれる?」
「それにしても、ずいぶんと日本政府はしぶりますね」
エヴァとの通信や情報解析を担当する青葉は、マヤがいないオペレータ席でコーヒーを飲みながらつぶやく。
「国家予算だって割いてるのにな。
まぁあのロボットが使徒に負けたら自動的に指揮権もこっちにくるさ」
日向は、青葉以上に仕事がない。ルービックキューブを組み立てている。
「エヴァのパイロットは?」
「ファースト、サードともにエントリープラグで待機させています」
「かわいそうだけど仕方ないわね」
NERVの作戦局は、暇の極である。
「冬月・・・」
碇ゲンドウが司令席に帰ってくる。
「碇、早かったな」
「委員会には作戦行動中と断った。老人の愚痴に耳を貸す暇はない」
「(嘘をつきおって・・・暇以外の何ものでもないだろう?)
委員会の焦りが伺えるな」
「ふ・・・問題ない」
「使徒、強羅絶対防衛線に差し掛かりました」
「上空を飛行中のJA輸送機より連絡、これよりJAを降下するとのことです」
主モニターには、ゆっくりと侵攻してくる第四使徒の姿が映っている。
NERVは第一種警戒態勢とはいえ、日重工に戦闘指揮を奪われている以上
傍観者に徹する事しか出来ない。
「さぁて、ボロボロの農協ロボでどこまで戦えるか見ものだわ」
・・・だが、この一分後、ミサトはJAの姿に目をむくことになる。
なんだ、このNERVのグダグダ感はwww
ネルフが暇すぎでぐだぐだんなってて大爆笑したw
けど、なんかさ、ネルフって組織としてここまでレベル低いか?目的と手段が入れ代わってるっつーか。
援助をゲンドウに上申する日向とか、子供達が戦場に出ずに済んで複雑だけど少し喜ぶミサトとかいても…
…いや、そこまでやると暗くなるからしゃーないか?あんまりそっち詳しくやってもJAが目立たないしな。
何より、文句言ってても俺には書けないからなぁ…うだうだとスマン、本当にGJです
エヴァ板に来て2日でこんないいスレを見つけたことを俺は幸せに思う。
JA・・・。武器はハンマーと素手のみ。
エヴァというきわめて異質なアニメの中でそれだけが古きよき
昔のアニメのかほりを感じさせる。
「な、何アレ!!!」
「…大きいわね」
「ヤダ…あの大きさ、ヤバ過ぎるわよホント」
「ミサト、アンタちょっと見つめ過ぎ」
「アスカこそ、子供の見る物じゃないから!ハイハイエントリープラグに戻る戻る」
「ちぇーケチっ」
「だが碇、彼等も中々やるではないか」
「ああ…」
ああ?
職人キテタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━
もう最高!超GJ!
ジェットアローン頑張れっ!
228 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/21(日) 20:28:57 ID:urno85iX
もしエヴァ2に時田シナリオがあったら
ステータス
初期AT74
事務62
情報17
開発59
白兵10
IMP200
所持金40万円
こんなもんかな
事務はデスクワークの能率、情報はエヴァの謎をどれだけ
知っているか、開発はJAの性能を上げる、白兵は個人の戦闘力
IMPは行動するためのエネルギー
ネルフスタッフとはなすと「ネルフを挑発」コマンドが出る
第三新東京マップで「日重工」へ行ける
日重工スタッフとはなすと10万円消費して「飲み会へ誘う」コマンド
が出る
戦闘時はミサトシナリオのように、JAに移動、攻撃の指示を出す
「高機動モード」を選ぶと攻撃の威力とそのチャージが早くなるが
短時間で機能停止してしまう
522-524氏、199-200氏、他諸氏、アイデアを勝手に借用してスマソ
>>228 一夜(一週?)で十万も飛ぶのは辛いな・・・
部下から五〜十人選んで、五〜八万位にしてやろうよ。
で、親密度付けて。仲良くなると割り勘や逆オゴリも出るけど、一部と仲良くし過ぎると他の評価が下がる。
仲良くなればネルフの人も誘える・・・といいなぁ、という俺の願望w
ガシィィィィィィィィィィイイイイインっ!
着陸地点から数キロも離れていない管制室内に、彼ら自慢の”息子”の地響きが響き渡る。
「JA、降下完了しました!」
「損傷個所なし」「各接続部、駆動系、以上ありません」「主冷却装置作動開始」
「リアクター起動開始」「熱量103で安定、全動力伝達!」
「JA、起動!!システム、オールグリーンですっ!」
いくら実戦投入可能な機体だろうと、ジェットアローンが戦場にたつのは、まだ二度目だ。
いささか不安があったものの、とりあえず正常に起動したことに、時田は胸をなでおろす。
「よし、続いて高機動モードへ移行する!給水チューブを接続しろ!」
ジェットアローン後部の冷却水タンクに、補助冷却装置から伸びている冷却チューブが取り付けられる。
「エア抜き完了、補助冷却装置、稼動開始します」「二次冷却水の流量、順調に上昇中」
「システムは高機動モードへ」「ポンプの圧力、最大」
スクリーンに映し出されるJAからは大量の水蒸気が噴出され始めていた。
「リアクター稼動、臨界突破!ジェットアローン高機動モードへ!」
管制室にいる誰もが息を呑む。
「・・・システム、エラーなし! ・・・高機動モードに移行完了しました!」
瞬間、制御管制室内に男たちの歓声が響き渡る。
システムモニターを食い入るように見つめていた時田も顔に笑みがやどる。
「よし、なんとかうまくいったな。では・・・」
マイクを握る手に力がこもる。
「JA歩行、全速前身っ!敵使徒の背後をとれっ!」
ガシンッ――ガシンッ――ガシンッ――ガシンッ――
使徒を倒すため、再び、箱根の地を踏みしめるJA。
父親から命を受けた彼は全力で走り出す。その姿は前回とは比べ物にならない。
人が走っているようだとは行かないまでも、前回のそれよりはるかに躍動感あふれるJAの動き。
疾走するJAの姿は、管制室内の日重工職員に留まらず、戦自の兵士をも感動させた。
皆が夢にまで見ていた理想の動き、それを今目のあたりにしたのだ。無理もない。
ガシンッ――ガシンッ――ガシンッ――ガシンッ――
「ま、まもなく使徒と接触します」
JAの光学センサー、すなわち視覚部分をモニターしていた職員が声を発する。
と、今までJAを見つめていた職員たちは、はじかれたように自分の仕事に戻る。
「熱量185から上昇、イエローです!」「脚部アブソーバ全開!」
「ろ過装置、五番と七番を予備に切り替えます!」「超音波センサー、敵の位置を補足!」
いくつかの計器が警告を示すランプをともらせているが、まだ前回に比べれば余裕もある。
マップスクリーンでは、使徒の輝点とJAの輝点が重なろうとしていた。
「使徒と接触します!」
「JA、速度を落とせ!敵の尾をつかむんだ!」
――戦いは、まだ始まったばかりである。
233 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/22(月) 02:03:57 ID:kE9uPtql
GJ!
234 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/22(月) 19:27:16 ID:dgr8JjTu
228の追伸
時田シナリオでは使徒が襲来したとき、出撃するか否かを決められる。
(エヴァ3体が中破以下の損害の場合のみ)
出撃すると戦闘へ移行、JAが倒されるか(JAはロストする)「撤退」
コマンドをえらぶとネルフが代わりに戦う
ミサト、冬月,ゲンドウいずれかとの好感度が「気になる」以上で「ネルフを
挑発」コマンドを10回以上使うと「ネルフと模擬対決」イベントが
発生、JAは時田との一番好感度の低いパイロットのエヴァと戦う
このイベントでは共に武器を使えず、体力は耐久力ゲージのみ
勝つと「ネルフVIPカード」が手に入る。(ケージ、執務室以外のネルフ
施設に入れる)
負けても「敢闘賞」が手に入る(ATが常に5高くなる)
このイベントの損害は加算されない
保守
保守あげ
職人町
238 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/25(木) 22:06:06 ID:jGKl1tSY
保守
必殺アローンジェット
240 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/25(木) 22:22:23 ID:bJFZmGC/
て言うか俺、リアルタイムで見てたんだけどアスカまだ出てなかっただろ?
だからやけに時田が目立ってたからこいつ準レギュラーになるんじゃね?と思ってた。
劇場版でも周りに「あの時田が絡んでくるかもしれん!」と周りに言ってたから恥をかいた
何で時田出さねぇんだよ!もっと話面白くなっただろうが!
声優が忙しかったから1話しか出なかった、だったりして。
242 :
時田ファン:2006/05/25(木) 23:00:16 ID:bJFZmGC/
てか本気でEVA面白くねぇよ!!何で時田さんみたいないいキャラ1話しかでねぇんだよ!!ふざけんじゃねぇよ!期待して見ていた俺の身にもなれよ!!!
243 :
時田ファン:2006/05/25(木) 23:16:41 ID:bJFZmGC/
連投すまん。でもさぁ時田さんスゲェ信念じゃん。今の世の中であんな人いる?格好いいよ。あの話はミサトとリツコはただの馬鹿だと改めてわかった話だ。
劇場版に出しておけば良かったんだよバカヤローが!!冬月と交替させろよ!!!マジむかついてきた。これからも書いてやるからなバカヤロー!!!
244 :
(゚_゚):2006/05/25(木) 23:24:19 ID:???
うわわわわわ・・・
>>241 そういえば時田の声ってスラダンで仙道の声やってた人だったよね。
246 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/26(金) 00:00:59 ID:u6pz9qUY
エヴァ2では時田さん大活躍ですよ
247 :
時田ファン:2006/05/26(金) 00:02:40 ID:bJFZmGC/
JAの回しか面白い話ねぇよ他はみんな雑魚だ!
あの話が何で評価が低いのか俺にはわからねぇ!!
EVAのテーマ性が一番よくわかる話じゃねぇか!!!にわかのEVAオタはもう1回見なおせ!!話はそれからだ。バカ野郎が!
まあ落ち着け。
確かに時田さんはいい。
だからここは黙って職人を待とうじゃないか。
このスレに人が増えるときっと時田ファンも増えるさ。
こんなの相手してたらキリがないよ
ま、保守代わりでいいじゃない
使徒は背後から近づくJAに気づいていなかったのか、あるいは単に無視していたのか。
JAの手が、なんの困難も使徒の尾を抱えるようにしてつかむ。
「位相空間は観測されません。ATフィールドは展開されていない模様!」
「よし、そのまま振り回して山にぶつけてやるんだ!」
使徒が保有する絶対防壁、ATフィールド。それさえなければ勝機はある。
そのうえ今回の使徒は、前回の第三使徒より明らかに反応が鈍い。
――グゥウウウン・・・・・・ドカーン!
JAはそのまま使徒を右手の山肌に向かって吹き飛ばす。
やはり、まだあの赤い壁はあらわれない。
「(なぜATフィールドを展開しない・・・?体力でも温存しているのか・・・?)」
「続いて、右腕部で使徒に打撃します!」
使徒がJAのほうに反転する前に、打撃を打ち込む。
前回の使徒戦で得られたデータを元に、唯一の攻撃方法である打撃を生かすため、
腕部の強度は遥かに強化されていた。
だが・・・
――ボフッ
JAが放った拳が使徒の表面――いや、皮膚というべきか?――でとまる。
超合金の拳は、使徒の体に凹み一つつけていなかった。
「目標にダメージなし!」
「かまわん、両腕での打撃を続けろ!」
時田は考える。
「(まさか・・・ATフィールドを展開するまでもないというのか?)」
――ボフッボフッボフッボフッボフッ
空しい音だけが管制室内に響き渡り続ける。一向に使徒はダメージを受けている様子はない。
が、そのときだった。
シュルルルルル・・・
使徒から先ほど戦自のVTOLを叩き落した鞭が現れる。
「いかん!後方に緊急回避行動だっ!」
高機動モードのJAは軽い身のこなしで使徒の後方数百メートルまでバックステップする。
一方、使徒も、やはり後方への攻撃は慣れていないのだろうか、鞭を飛ばすもJAには当たらない。
「敵、反転行動をとり始めました!」
「む、、、そのまま背後に回れっ!」
このままで勝ち目はあるのか・・・?
ATフィールドを使わずとも形を保てる強固な肉体。自由自在に飛び回る鞭。
先ほどまで有利とみてとれていた戦闘だったが、まるで打つ手がない今、
打撃、回避行動、背後をとる、の繰り返しのまま徐々に膠着状態となっていった。
「熱量上昇、200を突破、危険域です!」「腰部の稼動部の反応が遅れてきています!」
JAの状態も目に見えて悪くなっている。高機動モードでの長期戦闘は自殺行為に等しい。
「(NERVに指揮権を移譲すべきか・・・?もはや打つ手はないのか・・・?)」
悔しさのあまり歯を食いしばる。
NERVに指揮権を渡すのが悔しいわけではない。
確かにエヴァンゲリオンなら使徒を倒せるだろう・・・だが。
JAと異なり、パイロットが乗り込む兵器である。死者が出ないとは言い切れない。
足止めのために命を散らした戦自や国連空軍の兵士達。
奇麗事と言われようとも。
もう誰も犠牲にはしたくなかった。
もうJAの機動力はかなり落ちてきている。敵の背後をとるのも精一杯だ。
――そのときだった。
「と、時田主任!敵の正面、腹部に光球らしきものがっ!」
「なにっ?」
すぐさま光学センサーで確認する。確かに、赤く鈍い光を放つ光球があった。
今まで背後を取り続けていた分、誰も気づかなかったのだ。
先の戦いで使徒の弱点だった光球・・・今回も弱点とは限らないが、可能性は高い。
「背後確保はもういい!攻撃対象を敵の正面、あの光球にしぼる!」
また・・・賭けか・・・。ふと笑みをこぼしてしまう。
余裕の笑みでもなければ諦めの笑みでもない。時田の胸にあるのは希望だった。
使徒がようやく反転を終え、JAと対峙する。
スクリーンいっぱいに映し出された使徒の顔は、まるで昆虫の拡大写真のようだ。
もっとも、あれが使徒の”顔”かどうかは定かではないが。
「体勢を低くして、全速前進!敵の懐にもぐりこめ!」
「しゅ、主任!そんな無茶な!」
静かに答える。
「いつだって、無茶は承知さ。
だが・・・無理ではない。」
スクリーンに水蒸気の影が映りこむ。冷却装置もそろそろ限界が近づいてきた。
「あの光球に対しサンダーフィストを放つ。
・・・総員、サンダーフィスト、準備ぃぃ!!」」
【本編とは関係ないよ】
熱い時田ファン(JAファン)がいらっしゃったようで。
漏れもやはりJAの回は熱いと思う。
エヴァが未知のテクノロジなら、JAは既知の、だが、最新のテクノロジ。
まるで生体のようなボディのエヴァに対し、あくまで合理性を元に作られるロボットのデザイン。
そういう対比が、よりエヴァを引き立てているし、逆にJAのカッコよさの原点でもあると思ってる。
話がずれた。
今後も駄文ながら書き続けていこうと思いますが、エヴァ2をやったことがないため、
その辺の設定からは大きく外れると思います。
だから、設定が違うよーとか言われても、多分わかんないw
あと、使徒の倒し方とか、ネタとか希望があったら書いてください。
スレ全体でわいわい盛り上がってやってくほうが書き手としても嬉しいですから。
256 :
時田ファン:2006/05/26(金) 05:28:33 ID:mRZ5MLli
俺もゲームで最後に時田さんが出てきてびびった
あれこそ理想の展開だね。あの時田さんかっこよすぎだったな・・・・
時田さんって人間と科学の距離をもっと近付けようとしていた。科学を信じる事は人間を信じる事でもあるから改めてこの人は教えてくれた。
スタッフも自分達の過ちを認めたからせめてゲームに出させたんだろうね
あの話が一番面白くなかったよ£
258 :
時田ファン:2006/05/26(金) 06:11:30 ID:mRZ5MLli
まぁわからねぇ奴には一生わからねぇと思う(笑)
監督は恐らく後の話でも使いたがってたんだよ
マグバダイバーや停電の時とか絶好の出番だっただろうが!!!!
俺スゲェ期待してたのにマジショックだ。カオルも1話しか出てないのに人気あんじゃん。時田さんの方がいいだろうが!!
ずっと我慢してたんだ!
書いても書いても飽きたりねぇよ!!皆もう一度見なおせ。今度何であの回が最強なのか教えてやるよ
259 :
(゚_゚):2006/05/26(金) 06:23:57 ID:???
あぽがいるよ。皆スルーしてね(゚_゚)
エヴァ2やった方がいいですよう。
サンダーフィスト(って名前はこのスレの職人さんのネーミングだけど)の
画像処理はかっこいいよ。
あと、ハンマーの振るい方が、いかにも産業用ロボットっていう動き方でこれもいい。
このFFではハンマー持たせていないですよね。あれば随分話も変わってくるんですけど。
職人乙。
エヴァ2そんなにおもろいのか?
誰か時田のとこだけムービーにして、ようつべとかにうpしてくんないかな。
>>261 自分でストーリーやプレイ目的を作れる人には良ゲーだよ、エヴァ2。
逆に、既に存在するストーリーを観るためにゲームをプレイする人間には合わないと思う。
>>262 PSP版はその点、チュートリアルの「使徒、襲来」シナリオが原作再現シナリオだから
その面での取っつきづらさは解消されてると思う。
264 :
時田ファン:2006/05/26(金) 21:52:04 ID:mRZ5MLli
まず加治が邪魔だ!時田さんと交替しろよ
あれだけ大人ぶってシンジを諭したのに余計に引きこもられてんじゃねぇか!!時田さんならJAのパスワードに「希望」とする程の人だぞ
もっとシンジに前向きなメッセージを届けられたはずだ!!!!
>>264 おまいさんは熱い男だぜ!!
仮にエヴァがだらだらと続いていたら
時田は何話目かでレギュラーに成れたかも
使途への噛ませ犬かもしれんが……
>>264 ヒント
エヴァの大人の大半はアダルトチルドレン
そう、時田シロウを除いては・・・・・
つまり、まともな大人は時田だけってこと?
268 :
時田ファン:2006/05/27(土) 12:33:25 ID:b9Ae9BDf
>>266 その通りだ!結局EVAはシンジの成長物語なんだよ
あんな訳のわからん大人達ばかりと絡んだばかりに最後は雑魚終わりだっただろうが!!!!
もし、時田さんとシンジがもっと絡んでいたらスゲェいい終わりになったよ
社会的道徳や理念、自分の仕事に信念を持つ。けして自分を疑わない・・・・全部シンジにもっとも必要な物だろうが!!!!!!!!!
次回から制作者側の罪を暴いてやるからな!覚悟しとけ!
JAの歩行実験が邪魔されずに成功していたらなあ。
今はまだATフィールドを打ち破る術がないとしてもどんどん改良されていくだろうし、
囮という使い方もあるから、シンジと時田が組めばもっとスムーズに使徒殲滅出来るはず。
ネルフの連中ときたら自分は前線で戦うわけじゃないからパイロットに無理難題押し付けて、
しまいには使徒を手で受け止めろとか吐かしてバカジャネーノ。
トウジだってJAの協力があればあんなことにならなかったよ。
アスカや綾波2号もやられなかったはずだよね
270 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/27(土) 13:40:28 ID:jLUuz+HP
すみません。
ジェットアローンって何ですか?
農協の正式名称です
仮に加持と時田さんを交代させたとして。
時田さんが撃たれるシーンを想像しただけで、俺は...
青空の下、緑に囲まれた高台に大きな木が一本。
その木の横に時田さん。
後ろから歩いてくる人影。
振り向く時田さん。
時田さん「決意は決まったのか?あの時もこんな空だったな。希望...か。」
「-無言-」
パン
>>272 青空の下、緑に囲まれた高台に大きな木が一本。
それは凄くわかる。
何か本当に正統派と言うかなんと言うか。
青空の下大きな木が一本・・・という設定は碇ユイのイメージがある
シンジを抱いて「だって生きているんですもの」
このセリフは時田さんが言ってもしっくりくるね
時田「生きてさえいればどこだって天国になるさ。生きているのだから」
JAの問題点はEVAこき下ろしてごまかす嫌な奴、っつーのは黒歴史なのか?
他の奴の作品馬鹿にして悦に浸るようじゃ科学者として下の下だと思うが。
…好きだけどな、時田。どこまでも普通人っぽくて。
>>254の続き。
あわただしくなる管制室内。
サンダーフィストへの準備をしつつ、JAに敵の懐にもぐりこむため、体制を低くする制御信号を与える。
――ウィィイイン
ゆっくりと腰を落としていくジェットアローン。
一方、使徒も、上体を起こし鞭を正面に構えながら様子を伺っている。
武士が一瞬の間合いを探るように、二体の巨大な影は動きを止めていた。
相手は全く正体不明の巨大生物、いや生物かどうかすら怪しい未知の敵だ。
と、しびれを切らしたのだろうか、使徒は突如鞭を振り上げた。
「よし、いまだっ!体制維持のまま、右に回避しつつ突撃しろ!」
「了解!体制維持、右に回避後突撃!」
復唱が読みあげ終わるころには、すでにJAは回避行動をとり前に進み始めていた。
――ヒュルルー バシュンっ ・・・ズゥウウウン
敵の鞭がむなしく地面にぶつかる。その一瞬の隙をついて、JAが使徒に向かって走りこんでいく。
――ガシッ ガシッ ガシッ
光学センサーからの映像を表示したスクリーンに映っている使徒の姿がどんどん大きくなる。
あと数歩で敵の懐に飛び込むはずだった。
だが。
――カキィーンっ バシン、ズサっ・・・・!
スクリーンの映像が激しく乱れる。
一瞬何が起こったか理解できない一同を、刹那の間の後に激しい警報の嵐が襲う。
「相転移空間確認!間違いありません!ATフィールドですっ!」
「腹部に敵の攻撃を受けた模様。鞭はトルソーの装甲を貫通していますっ!」
「衝撃による破損発生!左ヒートシンクに五箇所の亀裂ですっ!」
すばやく状況を飲み込む時田。
使徒はATフィールドを展開しJAの突撃を防ぎ、同時にもう一本の鞭でJAの腹部を貫いたようだった。
先ほどの攻撃は、しびれを切らしたのではなく、最初からJAを誘い込むつもりだったのだ。
「トルソー内に高エネルギー反応!敵の鞭より急激な金属腐食が始まっていますっ!」
「緊急離脱だ!リアクターの稼働率を一時的に引き上げろっ!」
「ダメです!制御回路の応答がありませんっ!」
使徒の鞭に串刺しにされたままもがくJA。
しかし、その動きには先ほどまで見せていた機敏さはない。
時田の顔にあせりだけでなく苦悶の表情が浮かぶ。
「使徒の攻撃、きますっ!」
使徒は、先ほど攻撃を繰り出した鞭をJAに巻きつけるつもりだろうか、一気に引き寄せている。
そして、次の瞬間。
バシィンっ! ブシュゥゥゥゥっ!
「給水チューブ切断!二次冷却水の圧力、急激に低下していきますっ!」
後方から飛んできた鞭はJAの冷却水チューブを引きちぎり、
そのままJAの背中から首にかけて巻きつく。
新作北!
279 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/28(日) 16:45:33 ID:VNhUCQWf
なにかNERVより必死さが伝わってくる
大人のドラマだな
280 :
えす:2006/05/28(日) 17:20:23 ID:avE6L++Y
「シンジは何をしている。初号機は出ないのか」
「出れません。JAを戦闘に出したくないからと、JAで農業に勤しむとかで」
272の続き?なんだが、
加持が殺されるのも、当初この設定だったんだとさ。
で巨大なプロペラの前に変更になったとさ。
282 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/28(日) 21:40:46 ID:93BJP5Bk
熱狂的な時田ファンに一言申すが、奴は所詮自分の邪魔になる奴を非難し、絶対的自己満足に浸りきった野郎。その癖、JAが暴走した時にはワードを葛城に教えた位。所詮奴は、お偉いさんの元で働く1人の人間にすぎん。
だからこそだというのがわからんのか
まぁ、偉大な人物にこそ敵は多いからな。
285 :
時田ファン:2006/05/28(日) 22:13:48 ID:HPsmh67L
>>282 テメーふざけんな!!それは長所であって勝手に短所みたいな言い方をするな!どう考えてもそう言う人間臭い所が時田さんの魅力じゃねぇか!!
じゃあ他のキャラはどうなるんだ?スイカ野郎や白手袋なんて狂気キャラ過ぎるぞ!?その中だからこそ時田さんが輝くんだ。テメーはもう来るな!!!!!
286 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/28(日) 22:57:30 ID:CckR3AAM
>>282 お偉いさんの元で働く1人の人間にすぎん
なぜ、その立場で【希望】という文字を忘れなかったか知ってるか?
全て俺達の為だよ。
周りに敵を作ろうとも、自分自身を削ってでも作り上げた、
それが人を守る為に造られたJAだ。
俺も時田ファンだ。エヴァ2の漢気に惚れた。
でも加地も好きだ。貞本版の覚悟に惚れた。
つまり何がいいたいかっていうとお前が時田ファンなようにいろんなファンがいるから
卑下するのはそいつらに悪いってことだ。
むしろ卑下する事無く魅力を伝えたらお前は最高の時田ファンだ
でも時田かっこいいよな
ただの馬鹿だろw
時田なんてww
やめてー!時田さんのことで争うのはやめてーーーーーー!!
加持さんも結構常識人なきがする。
ゼルエルのところとか。
まぁ時田はあのメンバーの中では常識人すぎたな。
そこがよいのだけど。
あんな世界じゃなくて今のような平和な世の中に生まれても
活躍しそう
291 :
時田ファン:2006/05/29(月) 09:41:58 ID:Ge38ZiTu
>>288 お前はEVAの何を見てきたんだ?呆れて物もいえねぇよ。もう来るな!!!
さ あ 荒 れ て ま い り ま し た
何か無意味に厨くさいコテが来たな。このままだと職人さんも書きづらくなってきそう。
時田ファンを名乗るそこの君そろそろ落ち着いたらどうだ
今の君を見て時田ならどう言うと思うかね
きっとヒステリーを起こした女性のようで手に負えないとか何とか言うんじゃないかな
JAの話がなくても何も困らないがね。
エヴァには不要だねJAも時田も。
295 :
時田:2006/05/29(月) 17:20:15 ID:???
私を必要としてくれることは嬉しい。
私を慕ってくれていることも。
だがもちろん、私を憎み、邪険にする人々、敵も多いことは私自身承知している。
私は君たちに問う。
失敗を恐れているか?
大事なのは完成された形じゃない、大事なのは思いなんだ。
希望、それが全ての答えになるとは思わない。
ただ、希望を捨てなければ、実現は可能だ。
これだけは覚えておいて欲しい、
先にある『希望』は誰にも平等に与えられていることを。
え、時田さん!?
Mr.TOKITA!!
アイシテル
時田さんなの?
決して問題点には触れず、優しく語り掛けるような文調…
時田さん!!
酷いな。
ああ。
>>277の続き
ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!
リアクターのモニタリングディスプレイに現れる「緊急事態 EMERGENCY」の文字。
チューブが断線した今、冷却機能の大幅な低下が、リアクターの温度をどんどん上昇させる。
「危険レベル最大です!このままでは炉心がっ・・・!」
もはや高機動モードによって生み出された熱を廃棄する術を失ったJAのN2リアクターは、
その温度と圧力をさえ際なく増加させていた。
と、ディスプレイにサブコンピュータによって計算された炉心融解までの残り時間が表示される。
「どれくらい持ちそうだっ!?」
「このままの出力では、空冷装置最大稼動であと3分30秒!」
「最大出力のままでいい!全力で離脱するんだ!」
ガクゥン、ガクゥン、ガクゥン
ジィイイイイ・・・・・・・ミシッ・・・ミシッ・・・
JAが間接を動かす音に混じって、金属の溶ける音に装甲がきしむ音だろうか、
いやな音が聞こえる。
無常にもディスプレイの残り時間の数値は減っていく。
「離脱にはまるで出力が足りませんっ!」「腹部最終装甲板融解!下半身の制御に異常発生!」
「リアクターの温度、圧力、さらに上昇!食い止められません!」
徐々に無残な姿へと変わっていくJA。
背後の噴出口から噴き出している熱風のせいだろう。
時田の目には、JAがもがき苦しんでいるように見えた。
自分達が持てる現代テクノロジーの粋を集めた二足歩行型決戦兵器、ジェットアローン。
この三週間、職員全員が夜を徹して修理した彼らの息子。
NERVに欠陥兵器と呼ばれ、実験段階でろくに動けないままに戦場に出され、
だが、未知の敵生体「使徒」を倒した、彼らの自慢の息子。
職員達誰もが、同じ胸中のままに、スクリーンに苦しみ、もがく我が子の姿を見つめる。
動きを封じられ、最終兵器であるサンダーフィストを出せないJA、
彼を見つめる職員たちが出来る事は もうそれほど残ってはいなかった。
「残り2分をきりますっ!」
もはや勝機はないかに見えた。
ふと、一人の職員が自分のモニタに映る何かを食い入るように見つめると、
時田に向かって叫んだ。
「と、時田主任っ!」
管制室内の皆が彼を見つめる。
「相転移空間が収縮していますっ!敵はATフィールドを発生させていません!
・・・今なら、、、やれますっ!」
絶対恐怖領域、ATフィールド。何をも阻む光の壁。
確かに前回の使徒も、自らの攻撃中はATフィールドを展開していなかった。
もしセンサーの情報どおり、ATフィールドが展開されていないのならば、
敵の光球に攻撃をしかけることができるのは今しかないということになる。
「・・・主任・・・?」
時田は震えていた。なぜ気づかなかったのだろう?なぜ逃げようとしたのだろう?
もし攻撃を続けていれば、リアクターの出力が下がる前にサンダーフィストを放てたはずだった。
JAを信じていなかったのは自分だった・・・。悔しさ、自己嫌悪、ありとあらゆるものが彼の頭をめぐる。
しかし、今は悩んでいる場合ではない。
彼は決断する。
「離脱行動中止。・・・攻撃再開だっ!」
彼の言葉の直後、職員達は再び自分の端末に向き合う。もはや一刻の猶予もない。
「左手で敵の鞭を掴め!そのまま手繰って敵を引き寄せるんだ!」
時田の指示に、復唱もままならないまま、制御命令が組まれていく。
打ち込まれるキーボードの音、そして行きかう声。
「上腕部制御アルゴリズムは近接イの4だ!」「おい!下半身の電力を上に集中させてくれ!」
「敵の拘束を一時的に離脱できないか?」「装甲をパージするしかない、タイマーの値をあわせろ」
「了解!タイミング入力完了!」「こっちも完了!」「回路応答に異常なし!」
すでに指示系統などあったものではない。各自が飛びかう言葉全てを聞き取り、そして指示をだす。
「いくぞ、みんな、制御信号送出!」
残り時間が一分をきるのを目の前に、JAは離脱行動を中止する。
そして、次の瞬間。
バシっ!ガシッ!ズシィィィイイイイン!
頭部から背中にかけての第一表皮装甲を切り離し、敵の鞭の拘束から離れる。
さらに、腹部を貫通していたもう一つの鞭を左手でつかみ、そのまま使徒を自らのほうへ引き寄せる。
使徒は油断していたのだろうか、 抵抗する間もなくJAにぶつかった。
「左手でそのまま敵を捕捉!右手で攻撃開始だっ!」
ちょうど使徒を左腕で抱き寄せる形になり、使徒のみぞおち部分、光球を右腕で殴る。
装甲は剥がれ落ち、腹部からは煙があがり、足の関節には無数の亀裂が走るJA。
一か八かのその作戦で、下半身の電力の半分以上を両腕に回しているために
足の踏ん張りがきいていないが、それが功を奏したのだろうか。
JAにがっしりと抱きこまれた使徒は、鞭では突き放すことが出来ず、
また、体で押し返しても、JAはずるずるとすべるだけで、
引き離すどころか、いっそうJAと密着してしまい、先ほどとは打って変わってもがき始めた。
その間にも、JAの拳は敵の光球を打つ。
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
すでに残り時間一分をきっている。もう今のJAには、数時間前の稼働率98%の姿など見る影もない。
敵の光球を破壊できない場合、あるいは破壊しても敵が動きを止めなかった場合、
JAの敗北は決まり、そして、おそらく使徒に完膚なきまでに破壊されるであろう。
もしJAが敗北しても、第3新東京市にはエヴァンゲリオンがある。
しかし、JAに捨て身の攻撃を命じたのは、自分達である。
負ければ、自分達の息子はその命を失うのだ。勝負はここで決まる。
誰もが、祈った。 勝利を。 誰もが、信じた。 ジェットアローンを。
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
JAの超合金の拳が使徒の光球にぶつかるたびに、火花が飛び散る。
「リアクター停止まであと30秒!」
まだヒビすら入らない敵の光球に対し、ただひたすらに拳を繰り出すJA。
いつしか、管制室はJAを見つめる沈黙のみに包まれていた。
「あと20・・・・15、14、13、12、11・・・」
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
ただ、ひたすらに。
「10、9、8、7・・・」
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!バキィンっ!
光球に亀裂が一本だけ入る。
「6、5・・・」
ガシィンっ!バキィンっ!
誰もが、息を呑んで見守る。
「 4! 」 バキィンっ!
「 3! 」 バキィンっ!
「 2! 」 バシィイイインっ!
「 1 ! 」
ガキィィィィイイイン!
――ヒュウゥゥゥゥン
JAの電源が落ちる。
「N2リアクター停止・・・!」
そして。
「目標・・・完全に、、、沈黙しましたっ!」
-------------------------------------------------------------
JET ALONE 戦闘報告
EPISODE:3 第四使徒
JET ALONE 大破 (冷却チューブ破損含)
戦略自衛軍航空隊 VTOL17機大破 死者41名 負傷者7名
国連軍航空隊 STOL4機大破 死者7名 負傷者1名
第三新東京市の被害 なし
第四使徒 原型を残したまま撃破
日本語認識システムKOZAIC7.ver2.1.3 for JA_Hi-SYS
(c)Reset Co.Ltd
-------------------------------------------------------------
乙です。
しかしこうして考えると、少なくともハンマーを持たせる事は不可欠のような。
一定の距離をとって戦えないからこういう身を切るような戦いになってしまうわけで。
【本編とは関係ないよ】
第四使徒戦後半、投下。これにてシャムシエル戦は終わりです。
ずいぶんと引っ張ってしまいました。。
どうもうまく書けず、やたらと油ギッシュで読みにくい文になってしまい、申し訳ありません。
(とくに擬態語・擬音語の描写に困り、そのへんは適当に書いてしまいました)
どうしても「チューブ切断」→「残り時間○○」というシーンを書いてみたかったので、
多少無理があるのは覚悟のうえでやってみました。どうだったでしょうか?
後の伏線にするかもしれません。いや、回収しない可能性もありますが。
さて、今回、最後に「EPISODE:3」としましたが、今後は本編と同様に
進めていきたいと思います。一話一話の量はかなり変わると思いますが。
前回以上に苦戦したJAですが、次はラミエル戦です。乞うご期待ください。
いや、読みたくないって人がいたらFF練習スレにでも行きますw
乙です
しかしシャムシエル戦でここまで苦戦するとゼルエルとは…
309 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/30(火) 18:49:07 ID:8kJFqN4C
<<308、いや、ここからJAは鰻殺せるぐらいの力をつけていくんだよ。
JA2号機にも期待しとこうや
JA2号機って量産機相手に健闘できるからな
丁度倍ぐらい強いんだっけ
>>310 結構強かった、2〜3機破壊してやられてたけど。
その後時田さんがトウジと会話した後笑顔で帰っていった
このスレのせいで激しくエヴァ2が欲しくなった。
わりとシリアスな時田がいいな。
頑張れJA!
313 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/30(火) 21:19:15 ID:8kJFqN4C
ところで522-524氏、もしくは199-200氏、この小説に出てくるオリキャラたち
のフルネームはなんというのですか? 教えてください
314 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/30(火) 21:55:08 ID:/uldkbhG
JA暴走を停めたのは、葛城さん。その時の時田のセリフです。「ぐっ、駄目か。」第7話の劇中のセリフです。ヤハリ、「希望だけじゃ無理。」
興奮した・・・かつてのガイナ展開が、ここにはある・・・!!
E P I S O D E : 4 「 雨 、 し ば し の 静 寂 」
――ブゥウウン
「NERV技術者の民間企業への派遣・・・これはNERV司令の権限を逸脱している」
「碇・・・一体どういうことか説明してもらおうか」
人類補完委員会――現在の国連の最高幹部会であり、NERVの直属の上位組織である。
「詳細は報告書のとおりです。使徒殲滅を優先しました」
暗い防諜室内では、碇ゲンドウの表情は伺えない。そばに立つ冬月も同じだ。
「・・・言い訳にはもっと説得力を持たせたまえ」
「左様、本来エヴァが殲滅すべき使徒を、民間の兵器が迎撃することとは、我々のシナリオにはない」
「何のために我々が多額の費用をかけたと思っている。これでは先行投資の意味がない」
「エヴァはまだテストタイプである初号機しか実戦投入はできません。
この状態でエヴァが敗北した場合、我々の補完計画に支障が出ます」
ゲンドウの答えに引き続き、冬月が答える。
「エヴァ一回の運営や修理には多額の費用がかかりすぎます。
第3新東京市の第六次建設計画が大幅に遅延している今、そちらに予算を投資すべきと思いますが」
「冬月先生、あなたの意見を聞いているわけではない」
「役に立たなければ無駄と同じだ。無駄使いと後ろ指を指されても仕方あるまい」
「左様、現に多数の餓死者を出している発展途上国からの批判の声は大きい」
「分かっております。ですが、戦闘指揮権をいまだ日本政府が掌握している以上、
我々NERVが動く事はできません」
「日本政府には現在国連側から圧力をかけている。」
キール・ローレンツ――補完委員会議長である。
「だが、日本政府が、例の民間兵器と戦略自衛隊による勝手な使徒迎撃作戦の成功で、
NERVに対して疑念を持ち始めているのは事実」
「左様、NERVが技術者を派遣した事も
我々の立場を悪くするのにつながったのは紛れもない事実。
「現在も指揮権移譲を拒み、予算の捻出すらしぶり始めている」
「今後NERVがあの民間兵器に劣るようでは計画の頓挫すらありうる」
「左様、我々の計画実行のためには、エヴァと第3新東京市の能力を
見せ付ける必要があるのは自明じゃよ」
「日本政府からNERVへの指揮権移譲はまもなく行われるであろう」
「当然、君達が使徒迎撃に失敗することは絶対に許されん」
「日本政府が我々の妥協案を呑めば、例の民間兵器も君の指揮下となろう」
「碇・・・君が新たなシナリオを作る必要はない」
「分かっております・・・全てはゼーレのシナリオどおりに・・・」
――ブゥウウン
定例報告会議が終わり、ゲンドウは椅子から立ち上がる。
「老人達の機嫌はすこぶる悪かったな」
「冬月先生・・・あなたのせいです」
「なに、いつも面倒ごとを俺に押し付けている俺だ」
そして、数時間後。
NERV、日重工、日本政府の三者の関係は大きく変わることになる。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
――ザァァァァァァ・・・・
「徐行運転かよ・・・」
「仕方ないだろ?こんな大雨はめずらしいしな」
第3新東京環状七号線。リニアで動くモノレールだが、その速度は遅い。
その車両の窓の一つに、ロンゲ男とメガネ男の影が映る。
「まぁ、俺達は時間がありあまってるからな」
「まさか今回もあのロボットが勝つとは思わなかったからなぁ。・・・お、三面そろったぞ」
日向はしゃべりながらルービックキューブを組み立てている。どうやらあれ以降ハマったらしい。
「発令所につめてるだけで給料が入るっていうのもアレだよな」
「確かにな。まぁでも、葛城さんは喜んでたけどな。ビールをケースで買い込んでたぞ」
給料泥棒のよい例である。
「シンジくんたちも可愛そうだよな。連日訓練やってるのに、実戦はなしだもんな」
「そうか?俺としてはシンジ君たちが戦場に出ずにすむし、悪くはないと思ってたんだが」
「ん・・・そうだったな」
二人の間に沈黙が訪れる。
作戦局の立場である以上、普段から子供たちを戦力としてしか
捉えていなかった自分に嫌悪する日向。
それに気づいた青葉がフォローしようと声をかける。
「仕方のないことさ。あまり考えるなよ?」
「いや、・・・すまん、シゲル」
NERVの大人たちの心情は複雑である。
世界を守ると自負し、厳しい試験の勝ち抜いて入ったNERV本部。
が、実際は民間のロボットが使徒を迎撃するのを見守るだけだった自分達。
しかし、一方で、エヴァを戦場にたたせることは、子供達を戦場にたたせることと同義。
延々と降り注ぐ雨は、彼ら二人ばかりでなくNERV職員皆を憂鬱にさせていた。
気まずくしてしまった空気を換えようと日向が言葉をつむぐ。
「暇とはいえ、なかなか仕事も減るわけじゃないな」
「そうだな。自宅で洗濯できる日がくるとは思ってなかったよ」
「そういえば、来週は零号機の起動実験だな」
「あぁ。今回は成功するといいよな。前回は・・・」
再び訪れる沈黙。
自分達は、本当に何を守ろうとしているのだろうか。
ジェットアローンの存在は、思わぬ疑問をNERVに問いかけていた。
【本編とは関係ないよ】
今回はちょっとしたインターミッション的話になりました。
だいたい、今後の話の筋が頭で決まったので頑張ります。
>>308-309 もちろん、徐々にJAは強くなっていくのです!
JA二号機や例のハンマー、その他武装も書いていく予定です。
>>310-311 前にも書きましたが、私はエヴァ2をやったことがないので、
このストーリーは完全にオリジナルで進みます。すいません。
25話26話もぜんぜん違うかたちになると思います。
>>313 実は、私が作ったオリキャラはいません。
登場した時田の旧友で戦自幹部の男は私のキャラではないのですが、
勝手に522-524氏に登場した「加藤」も引き継いで使わせてもらっています。
時田より若く、ですが優秀な時田の右腕の技術者という設定です。
ちょっとキャラ設定はあいまいなので、今後固めていきたいと思います。
【本編とは関係ないよ】
※誤植がありました。
※このレスで訂正とお詫びにかえさせていただきます。
>>317 五行目
「だが、日本政府は、例の民間兵器と戦略自衛隊による勝手な使徒迎撃作戦の成功で、
NERVの存在意義に対して疑念を持ち始めている」
>>318 七行目
「なに、いつも面倒ごとを俺に押し付けているお礼だ」
【本編とは関係ないよ】
※連投となり申し訳ありません。
>>320に書かれていたオリキャラについてですが、補足説明です。
522-524氏が書かれていたSSに登場していた「加藤」はそのまま引継ぎ、
なるべく違和感のないように使わせてもらっています。
また、中途から登場した時田の旧友で戦自幹部の男は
私のキャラではないのですが、勝手に「敷島」という名前をつけて
使わせてもらっています。戦艦の名前ですね。
残念ながらフルネームは設定していません。
>例の民間兵器も君の指揮下となろう
JAがネルフの指揮下で戦う展開も悪くないと思うのは漏れだけだろうか。
エヴァが使徒のATフィールドの中和をして、JAが前に出て攻撃の方がリスクは少ないし確実に倒せるんじゃ。
日向のルービックキューブに笑った。
ギャグ路線かと思いきや、大人たちの複雑な心境が書かれているとは。
マジGJ!
522-524氏って、このスレ今も見てるのかな?
>>320続き
「はぁ〜、やっぱ本部は涼しいわねぇ〜」
完璧な空調設備による人類の勝利である。
先週から降り続いている雨は、今週になってもその勢いを落とさない。
これほど雨が降り続くのはなかなか珍しい事だ。
「ねぇ、リツコ〜、こんな大雨でNERVは大丈夫なわけ?ジオフロントとか水没しない?」
「あら、ここは外部から隔離されても自給自足できるコロニーとして作られているわ。
独立した系を持つから外の世界には関係ないのよ」
「いやぁ、分かってるけどさ〜、この大雨でしょ?排水とかが溜まったら・・・なんて
考えちゃうじゃない。やっぱ地下だし」
「まぁ水没してもおそらく機能するでしょうね、ここは」
「げ、マジで?」
「NERVをなめないで頂戴」
今日はエヴァ零号機の起動実験である。
「今日の実験、成功すればエヴァの配備数は二機になるわね」
「そうね。技術部としては実戦がなかった分日程が早まって、助かったわ」
「あの農協ロボのおかげで?」
「断じて違うわね」
リツコとしては未だに解せないのがジェットアローンと日重工の存在である。
確かに兵器開発企業ではあるが、しょせん民間の企業団体なのだ、
そこの開発したロボットが事実戦闘指揮権を握り、使徒二体撃破という
戦果まで挙げている。
その実地指揮にあたったのは、何を隠そうNERVとエヴァの存在を
否定する発言をした時田本人らしいのだ。
そのうえ、副司令である冬月は日重工への協力姿勢をとっている。
NERVとエヴァのテクノロジーに自信を持つ技術部長としては、
時田とジェットアローンは憎悪の対象にすらなりえていた。
「これより、零号機の再起動実験を行う」
ゲンドウの低い声が実験室に響く。
前回の暴走から僅か二週間足らず。
出撃がなかったNERV技術部はその鬱憤を零号機修復にぶつけ昇華した結果である。
「第一次接続開始」
――グゥゥゥゥウウウウウウン
実験窓の向こう側の橙色の巨人がうねりをあげる。
『主電源コンタクト』『稼動電圧、臨界点を突破』・・・・
すでに二度、同じ大型人型兵器の活躍を目の当たりにしている。
焦りと祈りの入り混じった心情が、再起動を始めたエヴァ零号機に向けられる。
『絶対境界線まで、あと2.5、1.7、1.2、1.0、0.8、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1・・・・突破』
「ボーダーラインクリア、零号機、起動しました」
職員の面々に安堵の表情が浮かぶ。
「了解、引き続き連動実験に入ります」「了解」
とりあえず山場は越えたことになる。あとは微妙な誤差修正をしていくだけだ。
「じゃ、リツコ、アタシとシンジくんはこれで行くわね」
「分かったわ。データが出たらあなたの端末に送っておくわ。ちゃんと確認しておいて頂戴」
「はいはい、これであの農協ロボを出し抜けるわね」
ミサトに限らず、誰もが心中でジェットアローン打倒を意気込んでいた。
打倒すべき相手を間違っているのではないか、そう考えたのはシンジだけである。
―― 一方で・・・
雨の降りしきる第3新東京市、その郊外の日重工第ニ研究所。
かつてはJAのためのケージビルだけだったここは、この数週間で大きく様変わりしていた。
二度にわたる使徒襲来、そしてその撃破。
第三使徒殲滅によってその必要性を認められたJAは、第三使徒戦後、
日本政府から予算がおり、より大規模な施設へ改築された。
そして、・・・。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
時は先週にさかのぼる。
第二研究所内、第一会議室。
各部署の管理職を務める人間が、時田の来室を待ちかねていた。
バタンっ
ドアが開き、時田が入ってきたと同時に職員は彼に詰め寄る。
「主任!一体どういうことなんですか!」「指揮権を日本政府経由でNERVへ返上って!」
「ジェットアローンは勝利したじゃないですか!」「政府だって我々の必要性を知っているんでしょう!」
様々な声が飛ぶが、その内容は一律、数時間前より流れ始めた噂――日重工は、国連並びにNERVへ
指揮権を返上したらしい、というもの――であった。
「皆、まず、落ち着いてほしい」
彼の声にしぶしぶ席に戻る職員達。
そのまま彼の言葉を待つ。
「これから話す内容は、館内放送を通じて全職員にも通達する。
何か質問があっても、話終えるまで待っていてくれ。」
「聞いている職員もいるようだが、我々日重工は、本日を正午を持って、
正体不明の敵生体、通称「使徒」の迎撃作戦の全指揮権を、日本政府経由で、
NERVに返上することになった」
噂で聞いていたとはいえ、真実を改めて聞きうなだれる職員達。
「突然で申し訳ないが、これは日本政府、内務省からの要請なんだ。
事実上、我々には抗議する権利はない」
誰もが、失望していた。自分達のジェットアローンは確かに勝利したはずだったのだ。
国にしても、特別予算を組んでくれた第三使徒戦後の扱いとは、ひとく差がある。
「さらに、国連経由でNERVから、我々日重工へ、我々のジェットアローンを、
使徒戦の第二迎撃体制へと組み込みたいとの要請があった」
大きく動揺する職員達。まさか、NERVは自分達の息子を奪う気なのか?
「そして、私の独断で申し訳ないが・・・その要請を今日、正式に受理した」
さらに動揺の広がる職員達。自分達の信じていた時田が、彼らのの不安を的中させたのだ。
彼らの怒りが頂点に達する。
「主任一体どういうつもりなんですか!俺達のJAを売るつもりなんですか!」
立ち上がった一人の職員が、時田に向かって叫ぶ。
それに誘発されてか、続々と立ち上がり怒鳴り始める職員たち。
「JAは我々の息子だといったのは主任、あなたですよっ!」
「自分の息子を捨てるんですか!」「あなたは我々の努力を裏切るつもりなんですか!」
館内放送のスイッチは入ったままだ。怒号は館内全てに響き渡る。
時田は下を向こうとする。が、思い直して正面を見つめる。
「まだだ、もう少し私の話しを聞いて欲しい、頼む」
彼の声には、いつもの熱意が含まれている――それに気づいた職員達は
彼の言葉のとおり、そのまま椅子に座り時田から次の言葉がつむがれるのを待つ。
「今後、使徒戦は、国連軍による第一次迎撃、戦略自衛隊とJAによる第二次迎撃体制、そして、
いずれの作戦も失敗し絶対防衛線を使徒に突破された場合、
NERVの決戦兵器、エヴァンゲリオンが最終迎撃にあたることになる」
戦略自衛隊までもが迎撃体制に組み込まれている。
日本政府は何を考えているのか?職員たちに新たな不安が広がる。
「そして、我々、日重工は第二次迎撃体制において、戦術指揮権を担当する事になる。
一連の戦略指揮権はもちろんNERVだが」
時田の言っている事が飲み込めない職員達。
「分かりやすく言うと、我々は戦闘における現地での指揮権はそのまま継続、ということだ。
まぁ、その、NERVは私達の息子を扱うことなど、・・・・・とてもじゃないができそうにないしな」
そういってにやりと微笑む時田。意味を理解する職員達。
「じ、じゃぁ指揮権返還というのはかたちだけ・・・?」
「・・・そのとおりだな」
黙ってうなずく時田。
まさかの事態。つまり、NERVは事実上ジェットアローンを認めた、ということ。
そうなれば、状況は違ってくる。職員達の顔に満面の笑みが浮かび始める。
「まだ続きはあるんだ。
この指揮権の委託は、NERVの副司令冬月教授・・・いや、今は教授じゃないんだが、
名前を聞いた事もある人もいると思う・・・とにかく冬月さんの意見だ」
冬月教授・・・かつて京都大学で形而上生物学の権威として世界に名を知らしめた天才の一人。
セカンドインパクト後に、その表舞台から姿を消し、NERVの副司令となっていた人物。
そして、NERVで唯一、ジェットアローンの存在を否定しなかった人物。
「そして、冬月副司令からさらに、我々との技術者の相互交換の申し出を受けた。
つまり、技術面での提携、というわけだ」
まさか、という顔が一同に現れる。そう、まさか・・・
「当然、現在日重工に在籍している、戦自の技術研究部とも情報交換を行うことになる。
もちろん、三者の各々の極秘事項の保持は認められているが、まぁ協力体制には変わりない」
誰もが予想し得なかった事態。
NERV、日重工、そして戦自技研の三つ巴の関係が、まさかの協力体制。
「さらに、NERV指揮下になったことで国連から我々にもJA開発推進予算が組まれることも
本日付で決定された」
もはや開いた口がふさがらない職員達を尻目に、子供っぽい笑みを浮かべながら話を続ける時田。
「今後、ジェットアローンと日重工は、ここ第3新東京市を拠点とし、JA二号機の開発もここで行う。
将来的には、国連軍、NERVとの共同軍事作戦の展開も予定されている」
NERVとの共同作戦、それは、つまりエヴァとジェットアローンとの共同作戦・・・
「いいか、皆、NERVの一連の姿勢は、・・・私達をライバルと認めたということに他ならない。
これは、日重工とNERV、エヴァとジェットアローンの勝負なんだ」
NERVに、エヴァには遥かに及ばないと言われたジェットアローン。
それが、今、彼らにはジェットアローンが脅威として見えているという事実。
情報交換によるアドバンテージの解消、純粋な技術力の勝負。
「だがしかし!勘違いしてはいけない!俺達の目標は世界を守ることだ!」
時田の声が響く。いつの間にか、「我々」が「私達」となり「俺達」へと変わっている。
もはや時田の、いや彼らの熱はとまらない。
「・・・これからが真の戦いだ・・・!皆・・・これからも、俺に協力してくれ・・・・」
時田が頭を下げようとする。が、その前に職員達に囲まれる。
「主任っ!」「ライバルだぜっ!ライバル!」「JAもついにここまできましたね!」
「次の使徒も俺達の息子でやっつけてやりましょうよ!」「もう時田主任に一生ついていくぜ!」
「こうなったら三徹でも四徹でもいくらでもやってやりゃぁ!」「絶対に世界を守るんだ!」
(まるで、子供だな――いや、前にもこんなことがあった・・・)
時田の記憶がフラッシュバックする。
そう、たしか、あれは――第三使徒線直後、戦闘報告会議の帰り、開発部に立ち寄ったとき。
(俺達は・・・家族なんだよな、きっと。
・・・ジェットアローンという絆でつながった、家族・・・)
館内放送により全館に伝わったこの模様は、そのまま全職員のお祭り騒ぎへとつながった。
【本編とは関係ないよ】
EPISODE4、終わりです。なんか読み直したら面白くなかったorzごめんね。
誤字脱字もちょっとありそうなんで、その辺は脳内補完してくださいorz
さて、今回で、資金面、情報面でNERVと互角になった日重工。技術力勝負と
なっていきながらも、二つの組織は協力しながら使徒を殲滅して人類を救う事
が出来るのでしょうか。そして、人類補完委員会とSEELEの思惑は一体どこへ・・・?
彼らはこの事態を尻目に何をたくらんでいるのでしょうか。
ネタが固まってきたので、文章がまとまり次第投下しますね。
あと、チルドレンも出して欲しいとか、そういう意見あったら書いてくれ。
正直、日重工と時田だけ書くほうがいいのか、ほかのエヴァ的要素も書くべきなのか、
ちょっと悩んでいるところもある。
522-524氏、勝手に続き書いちゃってごめんなさい。
もし、見ていらっしゃるのであれば、オリジナルの続きもぜひ読みたいので、
気にせずガンガン投下してください。
次回はヤシマ作戦ですね。ちょっと長丁場になりますが、2、3回にまとめて投下予定です。
>打倒すべき相手を間違っているのではないか、そう考えたのはシンジだけである。
やっとシンジが出てきたけど、ここまでエヴァとそのパイロット達の影が薄い話も珍しいw
できれば彼らの出番をもう少し増やしてあげてください。
まさかの良スレだな。
職人GJ!
しかしこのテンポで最後まで行くのか?
良作ほど途中で頓挫するから不安だ。ぜひ完結までしっかり書いてほしい
336 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/06/03(土) 18:56:14 ID:P3UfCL8f
偶然見つけました。いいスレです。メカ好きの自分の好みです。
ジェットアローンいいね。
職人超GJ
共闘最高じゃないか
向かうところ敵なしだな
興奮に水さすようで悪いが・・・
JA水中と溶岩と大気圏外大丈夫かな・・・
職人、もう片方のほうも頑張れよ。期待してっから。
水中は放射能さえ無視すれば冷却水の心配はないから却っていいかもw
海水じゃ錆びるだろw
つーか、JAってエヴァのような特殊合金より、ボ〇ボロットみたいに鉄製なイメージあるんだがw
けどアラエルには無敵じゃね?
精神攻撃じゃJAは傷一つつかないぞ?
いや、こっちもなんもできないから硬直状態になる。
あ、空輸して空中から狙撃すればいいのか
パック換装システムにして水中パック、空中機動パック、遠距離狙撃用ランチャーパック、保湿パック
346 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/06/04(日) 13:42:24 ID:E0B0eBWv
ゆうパック
郵パック:駐車違反ステッカーを張られない防御力を持つ
いいなぁ
見たい
>>342 , -‐;z..__ _丿
/ ゙̄ヽ′ ニ‐- 、\ \ ところがどっこい
Z´// ,ヘ.∧ ヽ \ヽ ゝ ヽ ‥‥‥‥
/, / ,リ vヘ lヽ\ヽヽ.| ノ 最近のスパロボのボロットは強力です
/イル_-、ij~ ハにヽ,,\`| < ‥‥‥‥!
. N⌒ヽヽ // ̄リ:| l l | `)
ト、_e.〉u ' e_ ノノ |.l l | ∠. 現実です
|、< 、 ij _,¨、イ||ト、| ヽ ‥‥‥!
. |ドエエエ「-┴''´|.|L八 ノ -、 これが現実‥!
l.ヒ_ー-r-ー'スソ | l トゝ、.__ | ,. - 、
_,,. -‐ ''"トヽエエエエ!ゝ'´.イ i l;;;;:::::::::::`::ー/
ハ:::::::::::::::::::::| l\ー一_v~'´ j ,1;;;;;;:::::::::::::::::::
. /:::;l::::::::::::::::::::;W1;;;下、 /lル' !;;;;;;;;;::::::::::::::::
/:::::;;;l:::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;|: :X: : : : : |;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::
/:::::;;;;;;|:::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;|/: : >、: : :|;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::
>>349 使えば強いんだろうが、補給でレベル上げるのがダルくてな。パイロット変えるとその機体が使えないし。
とか言いつつ、途中離脱するのが分かり切ってるレイ(3αは違ったが)は育ててしまうw
そういやこのスレ、何気にNERV嫌い多いのか?
「シンジくん、それじゃいつものとおり始めるわよ。
インダクションモード、スタート」
モニタに映る影に狙いを定めて、スイッチを押す。
「・・・目標をセンターに入れてスイッチ・・・」
初号機のスクリーンに映っているのは第三、第四使徒を解析して
そのデータをもとにシミュレートされた仮想の敵だ。
ここ第二実験場で行われる初号機の実戦想定訓練プログラムは、
今回で27回目を迎えている。
『目標、沈黙・・・使徒殲滅です』
モニタに映る”作戦成功”の文字。
「シンちゃんやったじゃない!」
「え?」
「パーフェクトよ、 パ・ー・フ・ェ・ク・ト !」
モニタにはミサトの満面の笑みが映っている。
そしてもう一つ・・・
「よくやったな・・・シンジ」
NERV司令、碇ゲンドウその人の姿であった。
E P I S O D E : 4 「 N E R V 、 心 の む こ う に 」
「これなら、あの農協ロボが負けてもうちで勝てるわね〜」
「そうね、元々そのためのエヴァだもの、あの農耕機には負けないわ」
未だにNERV内部ではジェットアローンを農協と読んで揶揄する者が多い。
確かにエヴァとはずいぶん嗜好の異なる姿であり、物々しく厳つい装甲に覆われた姿は、
見る人にトラクターやクレーンといった重機のようなものを喚起させるのもまた事実ではある。
「それで、零号機の調子はどうなわけ?」
「そうね、昨晩やっと連動実験の最終調整が終わったわ。
ハードのほうの誤差、フェードバックの調整も完璧よ」
コーヒーをすすりながらリツコが答える。実は昨夜もまた徹夜だったのだ。
「若干、レギュレーターの数値が落ち着きませんが、レイのシンクロ率を
考えれば、今のところはとくに問題はありません」
となりでデータをまとめているマヤはまだ元気だ。若さの違いというものか。
「よっしゃぁ、これでエヴァ両機の整備は完璧なわけね!」
「まぁね。第3新東京市の兵装ビルも稼働率はほぼ100%、準備としては申し分ないわね」
「エヴァとここがフル稼働したらあの農協なんて用はないわっ!」
「それはどうかしら?あまり楽観視できるわけでもないわよ。未だに使徒への有効な戦略がないしね」
「まぁ〜そのためにアタシがいるんだからさぁ〜」
「・・・あなたのそういうところ、嫌じゃないわ」
軽口をたたきながら廊下を歩く二人。
その足で二人はそのまま外へ向かう。今日も外は快晴である。
目的地は、先日から始まった第四使徒の解析及び解体の現場だ。
「それにしても、最近の司令、ずいぶんと変わったわよねぇ」
「碇司令?」
「そう!今までレイばぁーっか相手にしてたのに、今はシンジくんに付きっ切りじゃない!」
「そういえばそうね。さっきの訓練も見に来てたし」
「『よくやったな・・シンジ』って。ほめるなんて珍しいけど、
自分の息子なんだからもうチョット優しく接して言えばいいじゃない」
「きっと不器用なのよ、司令は」
「なぁんだかイメージ崩れるわ〜」
事実、職員の間で噂になっているのが、碇司令のシンジへの関心の高さだ。
確かに自分の息子なのだから、当然と言えば当然だが、あの冷たい司令が
自分の息子を気にかけるなど、普段の冷徹な態度からすれば、NERV職員ですら想像できない者が大半のようだった。
そういうわけで、NERV内でも司令とシンジの話題は昼食時の会話のネタランキングで一位を独走中である。
「きっと司令もあせってるんじゃないかしら?委員会からのプレッシャーもあるんでしょうね」
「そうなの?アタシは聞いてないけど。ま、確かに指揮権の移譲もあったしね〜。
あ、だからシンジくんをおだてて強くしようって考えてるのかしら?」
「さぁね、碇司令の考えてることなんてMAGIを使ったって想像つかないわ」
「子供はほめれば伸びる〜なんて前世紀くさい考え方よねぇ。
いまどきの子供にそんな素直なのいないわよぉ。生意気なガキばっか」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「最近、センセ元気やなぁ?」
「そうだな、碇のやつなんかあったのかな?」
どうも、シンジはほめられて伸びるタイプらしい。
僕は・・・父さんに言いたい事があってここに来たんだ・・・
本当は、父さんに一言言ったら帰るつもりだったんだ・・・
でも、いきなり変なのが襲ってきて、それで、なんか父さんにロボットに乗って戦えって言われて・・・
そしたら、NERVのじゃない、別のロボットが敵を倒しちゃって・・・
NERVは・・・別に嫌いじゃない・・・
ミサトさんは、ちょっとズボラだけど、優しくしてくれる。
リツコさんやマヤさんも、日向さんやロンゲさんも、みんな、優しくしてくれる・・・
それに・・・父さんも・・・
それは、僕がエヴァのパイロットだからかもしれない。ううん、多分そうだけど。
でも、それでもいいんだ。僕の居場所があるから。
学校だって楽しい。
クラスのみんなだって優しくしてくれる・・・
僕がエヴァのパイロットだってこと、あまり関係ないみたいだ・・・
みんなエヴァを知らないからかな?(ケンスケだけは妙に突っかかってくるけど)
でも、綾波は・・・なんだか苦手だ。最近僕のことを睨んでいるような気がする。
エヴァのせいで酷い怪我をしたみたいだけど、全然気にしてないみたいだし。
もっと綾波のことを知りたいのに・・・避けられてるのかな、僕。
使徒・・・僕らが倒すべき敵。
今は日本重なんとかってところのジェットアースっていうのが倒してくれてる。
だから、僕は戦わなくていい。
でも、もしあのジェットアースがまけたら、僕は戦わなくちゃならない。
それでも・・・皆が優しくしてくれるなら、いいかもしれない。
僕の居場所があるなら・・・それでいいのかもしれない。
――碇シンジ、14歳。後に、「人類の存亡」という、大きすぎる運命を担うことになる少年である。
――キィィイイン、カンカンカン・・・・
第四使徒解体現場に響き渡る重機の音。
あたりを駆け回る影には、NERV技術部の赤い制服と白い制服、日重工の灰色の作業服、
戦自技術研究部の緑の制服に青い作業着など、鮮やかな色合いが重なっている。
「これが・・・使徒か・・・」
初めて肉眼で見る未知なる生命体、使徒。
これまでは特撮映画の怪獣のようにしか時田の目には映っていなかった使徒が、
今、目の前に、リアリティをもって存在している。
「それで、解析結果は?」
「今のところは全くだめですね。やっぱりうちのスパコンじゃ全然能力不足ですよ」
「やっぱりその辺はNERVのMAGIに頼るほかないか」
リツコたちより一足早く現場に到着した時田と加藤。
前回の使徒戦ではJAが使徒をほとんど原型をとどめたまま撃破したため、
NERV、日重工、それに戦自技研の三者共同で解析にあたることになった。
「なんだかうちの手柄をよそに取られてるみたいで、いやですね。戦自は別にいいですけど」
だが、現実問題、日重工の使徒解析能力はNERVのそれに比べれば足元にも及ばない。
演算能力が低いわけではない。日重工のメインフレームは超高速第六世代並列型有機コンピュータだ。
それでも、MAGIの能力は桁違いに高いうえに、元々工業技術者の集まりである日重工である。
彼らにとって、生体解析、といったものはもとより専門外なのだ。
そういうわけで、解析研究はNERVと提携、重機担当を戦自に依頼したのである。
「もうしばらくしたらNERVの赤木博士たちも到着するそうです」
「そうか。赤木博士にお会いするのはずいぶん久しぶりだな」
「なんだか時田さん嬉しそうですね」
「い、いやぁ、そういうわけじゃないが。前は失礼なことをしてしまったからな」
「まぁこないだの合意以来、NERVは好意的ですし、今回も建設的な話題になるんじゃないですか?」
「俺もそれを願うよ。お互いの上げ足取りばっかりやっていれば、勝てる戦にも負けるかもしれないしな」
「やっぱり時田さん嬉しそうですよ」
「・・・いいからお前は黙れ。 俺は、午後にはまた第一研究所に戻ってJA-2の開発推進会議やら
何やらいろいろあるからな。午後のことは、加藤に任せる」
「あ、分かりました」
数十分後。
「お久しぶりです、赤木博士。先日はとんだご無礼を・・・」
「いえ、気にするほどのことではありません、時田主任。今日は敵生体”使徒”の解析作業ということで、
NERVの作戦部の人間を連れてきました。こちらは、NERV戦術作戦部作戦局第一課課長、
並びに使途迎撃作戦本部長の葛城です」
「はじめまして、作戦本部長の葛城ミサトです。このたびのジェットアローンによる敵殲滅、お見事でした」
「いえ、とんでもない。運が向いて勝ったような戦いばかりですよ」
「ご謙遜なさらずとも結構です。ですが、次使徒戦以降、戦略指揮は私の担当となります」
「・・・あなたが、作戦指揮官でしたか。NERVの手腕に期待していますよ。いえ、嫌味ではなく・・・」
「もちろん、そちらの期待は裏切りません」
やや気まずい雰囲気が流れる。どうも女性相手に話すのは苦手な時田だ。
「早速ですが、MAGIを使った解析入りたいと思うのですが」
「あぁ、すみません。解析室までご案内しますよ」
「いえ、そこまでして頂かなくとも結構です」
そのままリツコとミサトは言ってしまう。
「なんだか敵意丸出しって感じですね」
「あぁ、俺はもう少し建設的な話し合いが出来ると思っていたのだが・・・」
男ばかりの現場を歩く美人女性二人。さすがに周りの目を引く。
「それにしてもミサト、ずいぶんと敵意をむき出しにしたわね?」
「そうかしら?あんたこそ、随分とクソご丁寧に言ってたじゃない」
「あら?私こそ普通に対応したつもりだけど」
「よく言うわ・・・」
彼女達に反して、他のNERVの技術部職員たちは、日重工や戦自技研の人間と仲良くやっているようだ。
もとから日重工は兵器企業として技術面で戦自技研とパイプが太いので、二組織間での仲はよい。
が、それ以上に、根っからの理系男達にとって、未知の物に対する好奇心は
NERVや日重工や戦自技研といった、ささいな組織の壁など微塵も関係ないのだ。
もとより同じ大学の出身者も多い面子でもある。作業中の雑談の話も自然と広がる。
「ったく、うちの技術部の男どもにはライバル心ってものがないのかしらねぇ」
「屈託のない心というのも大切よ、ミサト。仲良くなってから闇討ちぐらいがいいのよ」
女のひねくれ具合は三十路前に極大値をとる、というのも概ね事実のようだ。
「さてと、・・・これが日重工の解析したデータね」
「へ〜、あの農協集団でもできるんだ、解析なんて」
「その言い方辞めなさいよ、ミサト。あら、でも、確かに農耕集団としては随分と解析が進んでるわね」
「・・・」
端末画面に、使徒の固有波形パターンやコアの構造などが所狭しと並ぶ。
「でも、やっぱりMAGIがないとこの辺が限界なのねぇ」
「そうね、それでもよく頑張ったほうかしら。
・・・それにしても、ホント理想的なサンプルね。コア以外は原型をほぼ留めているわ」
「ふーん。んで?何かわかったわけ?」
「まぁ待ちなさいよ、今ハイパーチャネルをMAGIに接続したところだから」
”データ転送中”の文字がしばらく表示され、その後に、”解析中”の表示。
そして、
ピー
「なにこれ?601?」
「解析不能を示すコードナンバーよ」
「つまりわけわかんないってこと?」
「ま、そういうことね。さて、これを彼らにも見せてあげなくちゃね」
「え〜?いいんじゃない?あの農協じゃ一生解析なんて無理よ?」
「そういうわけにもいかないのよ、ミサト。それに、こんなところでアドバンテージ稼いで勝っても面白くないわ」
「・・・そりゃそうね。もっと徹底的にやりたいわ」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
端末に向かうリツコを囲む時田と加藤。ミサトはやや後ろに下がってその様子を見つめている。
「つまり使徒の構成物質は、今の段階では全くの未知のものといっても過言ではありません」
「MAGIをもってしてもそうですか。・・・それで、例の光球についてですが」
「コア――NERVではあの光球をコアと呼んでいますが――をMAGIに解析させたところ、
84.6%の確率で使徒の動力源と予測しています」
「すると、そのコアがやはり使徒の弱点と?」
「間違いないと思われます。おそらくS2機関を内蔵しているか、それに相当する役割を果たしている
と思われますが、コア自体の原理はやはり不明です」
先ほどと同様、リツコは何の情も込めずにただ淡々と説明していく。
「S2機関?主任、なんなんです、それは?」
「あぁ、かつての日本のある教授が提唱した新領域物理エネルギー理論の一つ、S2理論によって導かれる、
半永久的に動作可能とされる動力機関のことだ。機関の実用化は愚か理論の裏づけもまだと聞いているが・・・」
未知の敵に未知のテクノロジー。技術者である時田にとってはあまりに現実を飛躍した話だ。
再びリツコが話を続ける。
「NERVではすでにS2理論によるS2機関の存在は確認しており、S2機関こそが使徒の一連の動力プロセスと推測しています」
「そう、ですか。なにぶん私は技術者ですので、そのあたりは専門ではありませんが・・・。
S2機関の実用化、そしてエヴァやJAへの搭載は可能なんでしょうか?」
「今のところはイエスともノーともいえません。ですが、エヴァへの搭載の可能性はあります」
「というと?」
「エヴァはロボットといえども生体をベースにしたものですから」
「なるほど」
よく分からないがそういうものなのだろう。
未だにエヴァを見たことがない時田と加藤は、とりあえずそれで納得する。
「いずれ、NERV支部のどれかのMAGIで解析すると思います。もちろんその結果もそちらに通達しますので」
「そうですか。ありがとうございます」
「また、今回の構造解析で、使徒の情報伝達物質に値すると思われる部分が明らかになりました。
人間で言えば遺伝子の役割を持つDNAに相当する部分です」
リツコがキィをたたくと、画面に複雑なパターン模様と文字が現れる。
「この部分の固有波形パターンは、人間のDNAのパターンと非常に酷似しています。
構成物質こそ違いますが、その信号の一致率は99.89%にも上ります」
「99.89%・・・」
「この数値が何を示しているのかは私達にはまだ分かりません。が、使徒が我々が認識している”生命”とは
大きく異なるとはいっても、別の次元において、やはり”生命”と呼ぶべき存在であるのは確かです」
「我々のジェットアローンなどを考えると・・・人類の知恵の浅はかさを思い知らされますね・・・」
そのまま黙ってしまう時田と加藤。ミサトが彼らに近づく。
「それでは、私達はNERV本部に戻ります。今日はご協力ありがとうございました」
「あ、いえ、こちらこそありがとうございました。たいした力になれなくて申し訳ありません」
「いえ、実戦でご協力いただければ、それで結構です」
「・・・そうですね。 今後ともよろしくお願いします」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「・・・なんだか随分と敵視されてましたね、俺達」
「そうだな。・・・まぁNERVはこの手の分野を専門にやってきた集団だ。
俺達や戦自がしゃしゃり出るのをあまり快くは思わないんだろう」
やっとのことで緊張状態から抜けだした二人。コーヒーを片手に先ほどの分析画面を見つめる。
「それにしても、まるで宇宙人ですね、これじゃ」
「宇宙人、か」
数年前、人類補完計画や使徒に関する諜報報告書に日本政府から極秘に通達された。
そこには、襲来すると予測される使徒のおよその大きさ、質量、そして、その使徒が生ずるという
ATフィールドの存在とその効果のみが記されていた。そして、その報告書を元に
ジェットアローン計画は日重工の通常業務の水面下で日本政府主導のもと行われたのだった。
「まだ使徒の発生やその目的は不明らしい。案外宇宙からやってきているかもしれないな」
「ま、第3新東京市を目指すと概ね分かってるだけでも、宇宙人よりマシかもしれませんね」
「・・・そういえばセカンドインパクトの前に、宇宙人が円盤でせめて来る映画が大ヒットしなかったか?」
「もしかして、”独立記念日”ってやつですか?」
「あぁ、それだ。懐かしいな。まさか将来、自分がこんなやつらと戦うことになるとはな。
現実は小説よりも奇なり、とは、よく言ったものだ」
そう、今、自分は、昔自分があこがれた、いわゆる”地球防衛軍”の一員なのだ。
そう考えると、使徒の解析不能のメカニズムも何だかふさわしいものに思えた。
「ま、この世はとかく謎ばかりだ。
さてと。これから旧東京まで行って来るから、その間の留守番たのんだぞ」
「分かりました。あと、JA-1の輸送はいつにするんです?」
「いつ使徒が来るとも分からないからな、今日中には第二に輸送するつもりだ。
できれば、例の武装系の装備実験の準備までやっておいてもらえるか?」
「了解。これで武装開発課の連中が報われますね」
「あぁ、彼らには長らく待たせてしまったな」
「自分も楽しみですよ。いよいよロボットらしくなりますね」
「そうだな」
先日の指揮権譲渡に伴い、国連で承認された日重工への開発推進予算。
その予算によって、前から議論され設計図まで完成していたジェットアローン専用の武装の製造が急ピッチで行われ、
ちょうど昨日の明け方、第二研究所に納品されたのだった。
また、今、旧東京にある第一研究所で、修復と改良を行っているジェットアローン一号機は、
第3新東京市郊外の第二研究所が政府の予算でJAが十分運用可能なレベルまで大幅に増築されたため、
今後本拠地を移すこともかねて、機体修復が終わり次第、第二研究所に輸送される手配になっている。
「いよいよか・・・」
今まで素手での攻撃に頼らざるを得なかったジェットアローンも、ついに武装を持つことになる。
日重工の職員の誰もが楽しみにしているジェットアローンの次なる姿。
新しい希望への期待を胸に、時田は旧東京への輸送ヘリに乗り込んだ。
>>351-361 乙!ついにJA専用の武装か。最近はスレの流れも速いしうれしい限り。
初代スレが立って3年目にしてJA黄金時代だな。
職人乙です!
ついにハンマーか!!
そしてシンジ君の『ロンゲさん』発言
ひでぇ
シンジ君名前覚えようよ
シンジ君、「ジェットアース」は殺虫剤だ…
このままJAが戦い続ける限り、弐号機が日本に来る理由もないんだよな。
たぶんゲンドウも呼んでないだろうし、高い金を使って呼ぶことには
委員会も反対するだろうし。
哀れだなアスカ。最低ものだと用もないのに作家が無理矢理呼ばせて
存分に赤毛猿ぶりを発揮させるわけだがw
用がないなら呼ぶ必要もないと言う事をわかってないんだよなあ。
まあ、それこそ来日はゼルエル戦の後までは引っ張れるだろう。
空気を読めない君のほうが哀れかもしれない。
次になぜかゴキブリ型使徒発生。今までだるだるしてたリツコやミサトが大パニック!
もちろんマヤとか女性職員も!
>>365 ジェットアローンが全部使徒倒して用無しになったらアスカ精神崩壊するだろうなwwwww
こ、ここはジェットアローンスレだよな…?
そうだよな?
そうと言ってくれよ!
どうしちゃったんだよ!
俺はお前を信じてたのによ!
自演って楽しいんだろうか。
今酷い自演をみた
自分にレス付けてまで流れをアンチアスカに持っていこうとする擬人化
>>365萌えー。
とりあえず職人を待とうぜ?
今読んだ。
ちょっとテンポが悪いかなと思ったが、それを補って余るほどの文才だと思う。
すごいよ職人!完結まで是非書いて。
「そうですね、あと二時間すれば修復作業も終わります」
日本重化学共同体第一研究所。
水没してしまったかつての東京都直上を埋め立てて作られた広大なコンクリートばりの土地。
再開発が断念され、いまや”放置区域”の名をかせられたそこは、過去の栄光の面影などない。
埋め立てが決定した直後から、日重工の本拠地として使われ始め、今や35区ある放置区域のうち
30区画が日重工の土地であり、各種実験場や研究施設が立ち並んでいる。
「残っている作業は?」
「OS側の微調整だけです」
「分かった。これなら今日中に第二まで運べるな」
「主任、こっちにも中継で映像まわしてくださいよ?JAに武器を持たせる瞬間を」
「心配するな。なんならハイビジョンで送ってやるよ。それで、改良はどこまで済ませた?」
ケージの中にたたずむのはジェットアローン一号機。
もとは実験機として開発されながら、すでに二度の使徒戦に勝利した英雄機である。
すでに新しい装甲を張りなおされ、またいくつかの部位に改良がほどこされている。
「脚部の各種アブソーバーと腰の駆動系の改良は終わりました。
腕の制御信号線も、バックアップ用ラインの増設まで完了しています」
「となると、第二で冷却部と通信システムだけやればいいんだな」
当初、改良は全て第一研究所で行われる予定だったのだが、すでに第二研究所の増築が
終わった今、わざわざ第一研究所を使う必要がなくなった。
使徒襲来が予測できない今、JAをあまり第3新東京市から離しておくわけには行かない。
誰もが考えていたことだったため(第一研究所の職員には大変惜しまれたが)予定を早めて
第二研究所へ空輸することになったのだ。
「それにしても主任、高機動モードの持続はやはり難しいですよ。問題は冷却だけではありません」
「む・・・分かっている。だが、相手は使徒だ。ATフィールドがある以上、速力なしに撃破は無理だ」
「でも、給水ケーブルで行動範囲が狭まったら、せっかくの100日連続稼動リアクターも宝の持ち腐れですよ」
「・・・確かにな。やはり今後は二号機をベースに考えていくしかないか・・・」
時田の視線の先には、隣のケージで開発が続けられているJA改の姿があった。
二足歩行型決戦兵器改良型 ジェットアローン二号機。通称”JA改”。
本当ならば、実験機である一号機ではなく、この二号機が、N2リアクターが搭載される最初の二足歩行型決戦兵器となる予定であった。
だが、突如として現れた使徒への迎撃命令がスポンサーである日本政府から出され、しょうがなく四肢の調整用の実験機であった一号機が出動したのだった。
事実上、ジェットアローン初号機であるJA改だが、実はその機体は第三使徒戦後までには完成するはずであった。
だが、いざ完成間近というときに、第三使徒戦で大破した一号機を修復するため、JA改の多くの内部パーツが一号機に明け渡された。
続く第四使徒戦後も、装甲を除き、一部互換パーツをまたもや一号機に渡すはめになった。
そんなわけでJA改の開発予定は遅れに遅れ、実戦投入までにあと一ヶ月ほどかかる見通しとなっている。
「まぁ改のほうは随分と性能が上がりましたからね、無印JAと二体で戦わせれば使徒迎撃もかなり楽になるはずですよ」
「ん、そうだな。ぜひそうであってほしいものだ」
不幸中の幸いともいうべきか、開発が遅れてはいたが、一号機による使徒戦のデータはJA改開発推進課に多大に貢献した。
一号機ではもはや改良不能な部分の再設計や、新型システムの採用など、互換機体とはいえその性能は大きく一号機を上回っている。
使徒戦という、何もが想定不能な戦いを現場とするJAにとって、より実戦的で合理的システムの獲得は大変重要なポイントだ。
そういう意味では、JA改は文字通り、人型汎用決戦兵器としての信頼性を非常に高めた機体ともいえる。
「まぁ政府だけじゃなく国連からも予算が出るようになって、随分と楽になりました」
「無駄遣いはするなよ。我々のお金ではないからな」
「分かってますよ。むしろ改開発推進課なんて貧乏性がついちゃってついついコスト削減ばっか考えてますよ」
「ははは、それはいいことだ。
・・・それにしてもよくやってくれた。まさかここまで進んでいるとは思っていなかったよ、俺は」
「やっぱ主任たちが頑張ってると、いくら第3新東京市から離れててもその熱気は伝わってくるもんですよ。
俺達もやらなきゃな、ってそう思うわけですよ・・・・・・そういう気持ち、JA改にぶつけてきたんです」
「あぁ・・・。 一号機に負けず劣らず・・・コイツも最高の機体になりそうだな」
「・・・もちろんですよ」
まだ腕部の換装が終わっていないジェットアローン二号機。
だが、磨き上げられた装甲からは、何か自信に満ちた光が放たれているように時田は感じていた。
「・・・また会いに来るよ、二号機。それまで俺達は、全力でお前のお兄ちゃんを支えるよ」
時田はきびすを返すと、そのままデータセンターへと向かう。
ふと見上げた窓の外の空には、赤く染まる背景の中に、まるで希望のような一番星が輝いていた。
【本編とは関係ないよ】
最近、ネタは思いつくのですが、書くのがちょっと億劫です。
どうしても書き始めると長文になってしまうのです。
皆さんは、細かく投下されるのと、一区切りで投下されるのとどちらが読みやすいでしょうか。
今のところは、なるべく区切れる場所で区切ってから投下しようと思ってるのですが。
どうも半端に切れてるときもありますが、スルーしてください。
>アスカ&弐号機
出します。当然。ないとやっぱりエヴァじゃないです、えぇ。
個人的に、弐号機が日本に来る理由について、使徒迎撃はもちろんですが、
ドイツ支部にあったオリジナルアダムを本部に運ぶ護衛というのが、その最大であったと考えています。
ドイツ支部が完成していたエヴァを本部にすぐに移譲しなかったのは、
アダム再生計画の要部分を担っていたからだと。おそらく弐号機はアダム型の最初の機体でしょうし。
まぁ勝手な設定とも言えるので、スルーしてもかまいません。
いずれ、弐号機、アスカは出す予定です。ですが、結末がどうなるかは分かりません。
ちなみにJA改は”二号機”、エヴァは”弐号機”です。
>375
ご意見ありがとうございます。なるべくテンポよく読めるように心がけます。
ただJAや日重工のメカ的熱さも出したいので、そのへんが油ギッシュになることはご了承ください。
>>379 乙です。
>出します。当然。
出ますか。赤毛猿にはしないでください。おながいします。
まあ、アスカも大卒なら理性では状況を絶対理解できる筈なんですが。
>弐号機が日本に来る理由
ゲンドウの台詞から言っても多分間違いないんでしょう。
しかし加持が逃げ出してるところを見ると、はなっから空輸するか、襲われたら飛べばいいわけで。
結局庵野がアスカのパンチラやりたい以外に理由ってないんだよなあ。
だからいろいろ描写が矛盾する。でも、護衛で貫くのがいちばん自然ですね。
>>380 魚は魚でも、跳び魚みたいな使徒だったらまずいだろw
イロウル戦見る限り、ゼーレも使徒の詳しい形状と能力は分かってないっぽい。使徒ってば自己進化するし。
なるほど。
翔び魚なガギエルだったらマジ怖いな
てかJA水中戦闘はどうするんだろうな?
>>381 だから、はなっから空輸しろって話なわけでw
別にあの話とは別に、アダム持ってこさせていいわけで。
>>382 エヴァって、庵野の書きたい話があって(例えばパンチラとか)、
そこから話が出来ていく。
だから極端なはなし、このFFならガギエル戦はカットしても構わない。
貞本版ではばっさり中盤の使徒戦カットしたでしょ?
あれができるのは、エヴァって言う物語がそう言う風にできているから。
サンダルフォンは昔のアニメの定番「前半の伏線を後半ヒントとして活用」だし、
マトリエルは庵野式文明論だし、イロウルは磯光雄のSFだし、レリエルは心理劇。
どれも貞本版には要らないからね。
まぁ待て、落ち着け。
そういう設定云々は結局職人さんが決めることだ。我々に決定権はない。
ある意味ものすごいスレ違いな話になってきたから一回JAの話題にしようぜ?
個人的にバルディエル戦が気になる。
時田は子供入ってるエヴァ相手に戦えるのかと。
結局ターニングポイントはこのあたりになるだろうな。
そもそも参号機を日本に運ぶ理由があるのか?
シャムシエルのコアをドイツ第三支部に運んで、S2機関の研究して、
それをアメリカ第二支部に持っていって、実験失敗して、
恐れをなしたアメリカ政府が参号機を本部に押しつけて、
それが空輸中に寄生されるわけだが。
作家によってはバルディエル戦をアメリカでやっちゃう人もいるな。
それこそエヴァ2みたいにカビ掃除で終わらせる手もあるw
ここも作家次第でしょ?
つまり君が言いたいのは
ジ ェ ッ ト ア ロ ー ン ハ リ ウ ッ ド 進 出 !
でおk?
>>385 だからジェットアローンの話をしろよ
そんなお前のエヴァの話なんか誰も聞きたくないよ…
戦自の自走陽電子砲を持たせて
ジェットアローンスナイパーカスタム!!
>>383 >>385 「ぼくのかんがえたえう゛ぁんげりおん」はどうでもいいんだって。
話がアスカヘイトになろうがアンチネルフになろうが実はJAは使徒でしたの超展開になろうが、
俺らは読むか離れるか自分で書くかの三つしかないんだから。
一応突っ込むと、
アダム空輸…それに気付いた時点で自己進化→アーロンばりにシャークオンダーツ
の可能性がある。使徒の目的はアダムへの回帰だから。だったら現れた時点で迎撃で良くね?どうせ倒すんだし
という理屈でいいじゃん。エヴァの強さもアピール出来て一石二鳥。
参号機…アメリカはこれ以上大変な目に遭いたくない(元からあんまり協力的でないし)
→戦場は日本だろ?日本に押し付けても戦力増強になるし、まあ断らないんじゃね。
という打算だったと解釈できる。他の国は変な物背負い込みたくないし。
これ以上何かあるなら謎・疑問スレ行けば?
次は屋島作戦だよな。やっぱJAによる狙撃になるのかな。
読む限りエヴァもそろそろ出そうな気配だが。
次も熱く書いてくれ、職人さん!
>>390 指揮権も統合したし、ちょうどいいんじゃね?
ヤシマ作戦って、実はネルフでなくてもできる使徒撃滅だしさ。
戦自のメンツも立てながらやるにはちょうどいい。
>>389 ツッコミが甘いと思う。
>それに気付いた時点で自己進化→アーロンばりにシャークオンダーツの可能性がある。
どういう使徒が来るか分かってて海輸した可能性が高そうだ。
だって空から来る使徒が来ちゃったら逆にいい的だし。
>参号機
じゃなくて、シャムシエルのコアから原作通りにS2機関できるの、って話と思われ。
もし違うなら、4号機は事故を起こさないし、3号機も来ない。
今回日重とかからんでるし、シャムシエルのサンプルネルフで独占できるの?って
ことジャマイカ?
(あぁ・・・気まずいな・・・どうしよう・・・)
(でも・・・さっきの話題にするわけにいかないし・・・いや、今は集中しないと・・・)
「シンジくん、どうしたの?脳波、乱れてるわよ!」
「あ、リツコさんすいません・・・」
「ちゃんと集中しなさーいシンちゃん!
それとも、さっきレイの家にカード届けたときに何かあったのかなぁ〜?」
「ち、ち、ち、違いますよ!」
「先輩、ハーモニクスの乱れが急激に増加しています」
「・・・(自爆してるわ、シンジくん)」「・・・(ナイス、マヤちん!)」
いくらNERVが実戦に出ていないからといって、パイロットの訓練やテストを怠っているわけではない。
いや、むしろ実戦に出ていないからこそ、彼らに対する視線は厳しい。
そんなプレッシャーの中、先ほどの綾波の胸の触感が忘れられない碇シンジ14歳。
心の動揺を表には出すまいと思っていても、NERVの技術力はそれをいとも簡単にあばく。
「シンジくん、今日は随分とハーモニクスがゆれていたわよ」
「すいません・・・」
「まぁそれほど危ない数値ではないし、シンクロ率は維持しているから、
レイの家で何があったかは、私は聞かないわ。でも、たぶん・・・」
「シンちゃ〜ん?何があったのか、ちゃーんと吐いてもらいますからねぇ〜」
「・・・ということになるわね。まぁ頑張りなさい、シンジくん」
「そ、そんな、ミサトさん、ぼ、僕何もしてないですよっ!」
「ふーん、何かしたんだ・・・。レイに聞こうかな〜?」「や、やめてください!」・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
日重工がNERVの指揮下に入ったとはいえ、完全な指揮権を持っているわけではない。
だが、エヴァ二体の配備体制が整ったこと、第3新東京市の迎撃システムが完成した事は、
ここ最近のNERV内の緊張を和らげるよい中和剤となった。
無論、いつ襲来するかも分からない使徒への緊張感は持ってはいるが、それでもだいぶ余裕があると言ってよい。
日重工への怨念も、――二人の女性を除いては――比較的穏やかである。
一方の日重工。
「いよいよだ・・・!」「ついにこの日がきたぁ」「居酒屋の予約したっけ?」「ちゃんととってるぜ?」
昨日の夜中、時田とともに第二研究所へ到着したジェットアローン一号機。
JAの武装する姿を見たいがために、職員が徹夜で頑張った結果、残りの改良作業は日が昇る頃には終わり、
ついに、”彼”が武器を持つことになった。
「まさか半分の時間で終わらせるとは・・・皆そんなにJAの武装した姿が見たいのか」
「そういう主任もめちゃめちゃ頑張ってたじゃないですか」
すでにモニタールームは人でごった返しており、急遽社員食堂にテレビを運ぶ始末になっている。
「第一研究所のほうにもライブ中継で飛ばすそうですね」
「そりゃぁ皆リアルタイムで見たいだろうしな」
JAの武器装備は、様々な紆余曲折をえてここまできたのだ。
いつもは協力する職員達が派閥に分かれたのも、この武器設計が初めてだった。
もっとも、分裂した派閥というのが”肩掛けロケット砲”派、”ビームサーベル”派、”ロケットパンチ”派といった、
おのおのの子供時代の理想兵器であり、自然と世代別に分かれてしまったのだが。
結局、ATフィールドの存在や、素材調達のたやすさ、メンテナンス面といった実用性を第一に考え、
単純に物理攻撃ができ、さらに敵との距離を適度にとれるハンマーということになった。
職員内からは「かっこ悪い」との不満の声も上がったものの、いざデザインが決定し
製造前にJAがハンマーを持ったイメージ図が所内に回ると、一気に賞賛の嵐となった。
それほどまでにジェットアローンの重厚さに似合った装備だったというわけである。
一方で、第三使徒戦での防御面での不安から、防御用の盾も同時に設計される事になった。
議論の結果、SSTOの耐熱船床底部をベースに、特殊合金でコーティングしたものが採用された。
製造はハンマーに比べて時間がかかるが、少なくとも今までの二使徒の攻撃に十分に耐えうる強度が保障されている。
「よし、そろそろ時間だな。では、・・・ジェットアローン起動準備」
所内のあらゆるモニターには、たくさんの職員たちが詰め掛けていた。
「まだなのか?」「今どうやらJAが起動したそうだ」「本当か?」
「じゃぁ扉が開いたらもうハンマー持ってるわけだな!」「ついでに盾もだぞ」
誰もが、今か今かと見つめる。
時田や一部の技術者だけが、ケージ内で一足先にJAの武装した姿を見ているはずだ。
と。
――ウィィン
モニターに映し出されている扉が徐々に開き始める。
誰もが息を呑んで見つめる。自分達の夢、理想・・・その最初の具現化。
「おぉ・・・・・」
ハンマーを握り、盾を携えた姿がモニタいっぱいに映し出される。
「こりゃぁ・・・・・・」
古代壁画に出てくる兵士のような、重々しさと勇敢さを兼ね備えた姿。
頭部の赤を除き、装甲の白銀に包まれているジェットアローン。
その右手には見ているだけで威圧感を感じる巨大なハンマー、左手にはこれまた巨大な逆三角形状の盾が装備されている。
銀と黒で塗装されているハンマーには、JAの頭部と同じ色である赤色がアクセントカラーとして使われており、
盾は、コーティングされている合金が深い黒色の中に僅かなブルーの光を反射させている。
「まさに・・・戦士・・・だな」
誰もが、その勇士に、感動に、言葉を失った。
一方、再びNERV。
「もしかしてぇ、ここじゃ話せないようなコトしたわけ?」
「だ、だから、何もしてないって言ってるじゃないですかっ」
「じゃぁレイに聞いてみていい?」
「そ、それはダメです!」
相変わらずミサトはシンジをからかっている。
シンジの心の動揺は確かにエヴァのシンクロに影響するが、それでもシンジのシンクロ率、
ハーモニクスは、ともにすぐの実戦でも困らないレベルに達している。
「さぁさぁ、そこの二人、実験室そろそろ閉めるわよ」
「なによ〜今日はデータ解析とかやらないの?」
「今日はね。ちょっと別の用事が・・・」
そのときだった。
――ウィィィィィィィイイイン ウィィィィィィィイイイン――
突如、警報が鳴り響く。
『未確認飛行物体接近!総員第一種警戒態勢!繰り返す!未確認飛行物体接近・・・』
「まさか?」
「ついに来たわね・・・」
第五使徒、ラミエル襲来である。
突然のことに、日重工はちょっとしたパニックに襲われていた。
ほとんど、いや全職員がJA武装披露の様子をモニターで見ており、自分の配置を離れていたからである。
「いったいどういうことだっ?」
「はいっ、たった今、国連軍より連絡、太平洋沖で、第3新東京市に向かう未確認飛行物体の接近を感知したとのことです!」
「みんな、自分の配置に戻れ!」
鳴り響く警報の下、先ほどの恍惚感は一瞬で吹っ飛び、あわただしくJA出動準備に入る日重工の面々。
「装備はどうしますかっ?」
「何言ってる!当然、このまま出動させるぞ!何のための武装なんだ!」
「分かってますよ、主任!確認しただけです!」
多くの指示の放送が飛ぶ中、時田と加藤は急いで中央管制ルームへ向かう。
「予想上陸時間は28分後!」「戦略自衛隊より連絡、航空隊の出動準備完了まであと13分!」
「国連軍が迎撃を開始した模様!」「状況をサブモニターにまわせ!」
さらにあわただしさを増していく。今回の使徒の移動スピードは第四使徒と同等、いやそれ以上に高速だ。
本来であれば強羅にある管制所で光学補足しながら戦闘指揮をとるのだが、今回は強羅まで移動する時間も惜しい。
「強羅管制所へは行かずにここで指揮をとる。各種モニタリングデータのリアルタイム表示を頼む!」
「了解。強羅からのデータをそのまま写せ!回線の帯域を目いっぱい空けるんだ!」
加藤がすばやく通信網の再構築を行っていく。
また、国連軍からのデータをもとに敵侵攻予測進路が画面にトレースされていく。
「おそらく敵は飛行状態のまま芦ノ湖上空を突っ切ってくるつもりですね」
「そうか。となると、配置は必然的に第3新東京市の対岸になるな」
「国連軍より映像きました。メインスクリーンに出します!」
一瞬画面が白くなった後、映し出される第五使徒の姿。
「なんだあれは・・・」
「もはや生命体の域をこえた形状だな・・・」
ブルーの正八面体からなる、まるで何かの結晶のような姿の第五使徒。
第三、第四と、まだ理解できる範囲であった使徒の形状も、今回は誰もが想像できない姿を模していた。
「ジェットアローン空輸準備完了!」
「よし、芦ノ湖をはさんで第3新東京市対岸に降下、ハンマーとシールドを装備した状態で戦闘準備だ!
それから、補助冷却装置は湖岸に設置、芦ノ湖からの給水ができるよう準備しておけ!」
スクリーンには、大量の誘導ミサイルの攻撃を受けながら、傷一つつかないままに
悠然と飛行を続ける第五使徒の姿があった。
「ATフィールドの展開なしでもダメージゼロ・・・今回も、敵の表面の強度は異様に丈夫そうですね」
「そうだな。だが、それ以上に攻撃手段が分からない。加藤はどう思う?」
「確かに・・・今までのと違って攻撃に使えそうな器官を有してませんね」
第三使徒はその形状から攻撃手段を割り出す事が出来た。
もちろん予期していなかったビームによる攻撃もうけたが、それでも一発しか放っていない。
第四使徒も、戦自の足止めで、エネルギー収束させた鞭で攻撃することが判明した経緯がある。
「戦自に連絡。なるべく敵の攻撃手段を明らかにしたいから協力を頼むといっておいてくれ」
あと数分で敵は上陸し、そこからは日重工と戦略自衛隊による第二次迎撃体制の管轄である。
大量の誘導爆撃にも一切反撃せず、ただ淡々と飛行を続ける第五使徒。
全く攻撃手段の予測できない敵に、時田は漠然と不安を感じていた。
ハンマーと楯装備のJAキタ━━(゚∀゚)━━━!!!!。
…しかし今回はハンマーの出番は無さそうですねorz
最悪、JA一号機が初号機の楯になって大破?
199-200氏お疲れ様です。
>>391 フォローありがとう。つか
>>385誤読してたんだな、スマン。
400 :
398:2006/06/09(金) 14:57:27 ID:???
…間違えた。
「楯」じゃ飾りだorz
職人乙!
一体どうやってラミと戦うんだろ?
やっぱ戦自と一緒にポジトロンをぶっぱなつのか?
それともエヴァがぶっぱなしてJAは守りなのか?
何のための盾とハンマーだ!加粒子砲を防ぎつつ近寄ってブレードを叩き折るんだよ!
ブレード?
>>403 シールド掘削機の事ではないかと。
ダルマ落しよろしく叩き折れということでは?
逆にそれを利用して装甲が抜かれた瞬間に真下から狙撃
とか思ったけど陽電子砲は直進しないことを思い出した。
ラミエルは飛んでるのでドリル折られても転ばない件について。
っていうか、そもそもエヴァより大分反応遅いのに加粒子砲受けられんのかな?
確かに。
高機動モードで戦えばなんとかなるんじゃね?
高機動モードったって足は速くなっても反射神経が鍛えられるわけじゃないんじゃ?
ビーム視認→よ〜そろぉ〜〜って時点で風穴空いてる気がするw
>>407 アフォですか?
ビームを視認したってことは、つまりすでにビームが目に当たってるってことだろ。
ビームのスピード考えたらさ。
加粒子ビームってどんぐらいまで加速できるん?
>>408 いや、分かってるってばw
ビームだ!避けろ〜!!とか言ってる時点で穴空いてるのに、動き速くした位でどうやって避けるのよって事。
ま、誤読させちまったんなら謝るよ。
やっぱ屋島作戦と言ったら狙撃だろ、狙撃。
おい、粒子ビ−ムと光線は違うぞ。
光って見えるのは励起された周りの空気だから、
別にビームが目に当たるワケじゃない。
(確かに間に合わんとは思うが)
んで、どのくらい早く出来るんだ?
加粒子ビームは。
ビームライフルと同じくらいのスピードじゃね
レーザーとどう違うん?
レーザーは波長の同じ光を発射してるんだな。
ようは光。光ビーム。
ビームは、加粒子ビームは、いろいろ種類があるけれど、
まぁ電荷を持たせた粒(だいたいはプラズマ化した金属イオン)を加速してバヒューンと打ち出すやつ。
なので、光速よりは遅いが、弾丸やミサイルよりは圧倒的に早い。
ポジトロンは、広義では加粒子と同じように荷電粒子加速型兵器だけど、使ってる粒子である
ポジトロンが対消滅を起こすので、非常に強力。
ぶつかる衝撃以上に、対消滅によるエネルギーも加わるので強い。
どっちにしろ、通常質量兵器に比べると、圧倒的にエネルギー効率が悪いので、実用的じゃない。
宇宙空間での戦闘か、あるいはラミエルくんが来たときにしか使わないと思う。
実用化されたら強そうなのは、たぶん、パレットガン。うん。レールガンも電力食うけど。
いよいよ農協とエヴァの共闘かぁ。
ところで、ポジトロンって反物質だよな?あんま科学には詳しくないんだけど、生成した途端にライフルと対消滅しちゃうんじゃないの?
現実、そうなるわけだけど、今の最新科学で電磁力を使って隔離する技術が出来てる。
それに、ライフルだと円環型加速器だから、同じところをぐるぐるまわるので、
ライフル部分には触れないで生み出せるはず。
ま、実用化は厳しいとは思うけど。
職人を激しく待っている。
珍しく平日型の職人さんだよな。
じゃあ使徒まで飛ばすときも途中で反応しないように電磁波使ってるのかな。
確かにこれは電気を食いそうだ。でもライフルに電力回しちゃったら農協動けるのか?自家発電だけじゃ無理だろうし・・・。
空気中は確かに対消滅を起こすけど、その時にガンマ線やらなんやらが発生して
そのエネルギーで空気中の分子が避けるから、さほど影響はない。
職人町
>>397の続き
『目標、上陸しました!依然、第3新東京市を目指し侵攻中!』
『国連軍航空隊は撤退!まもなく日重工と戦自による第二次迎撃体制に移行します』
使徒接近に伴い、NERV本部もあわただしさを増している。
国連軍のこれでもかという誘導爆撃も全く効果がなく、それ以上に、まるで生命とは思えない形状が、
いつもは余裕なNERV職員たちの心に、僅かばかりの警鐘を鳴らしていた。
「エヴァは?」
「零号機、初号機、ともに発進準備は出来ています!」
ミサトも前々回、前回の汚名を晴らそうと気合が入っている。・・・だが。
「敵の侵攻速度が思いのほか速いわね・・・日向くん、対空迎撃システム起動、第3新東京市を戦闘形態に移行して。
それから、エヴァ零号機を西のD-19、初号機を南のA-6に配置してちょうだい」
「え?しかし、まだ・・・」
「なんか嫌な予感がするのよ・・・」
「・・・分かりました。 迎撃システム起動、対空迎撃戦用意!」
のちに、図らずもミサトの女の勘の鋭さは証明されることとなる。
「碇、今度もジェットアローンが勝つと思うかね?」
「・・・彼らには負けてもらわなければ困る」
「そうか?俺としては、チルドレン達を戦場に出すのには、どうも納得がいかないがね」
「・・・冬月・・・そんな良心など役に立たん。我々の目標は、あくまで使徒の殲滅だ」
「人類補完計画もな」
「そうだ。誰もがなしえなかった神への道だ。多少の犠牲が出る事はやむを得ん」
「それが、自分の息子でもか?」
「・・・問題ない・・・」
『日重工より連絡!ジェットアローンを旧箱根エリアに降下、迎撃はそこで行うとのことです!』
『戦略自衛隊の航空部隊、まもなく目標と接触します!』
いよいよ日重工と戦自による第二次迎撃体制が展開される。
いまだに敵が攻撃手段を見せない事に、ミサトも、時田同様、不安を感じていた。
「いい?各種センサーは全部使徒を捕らえるようにして。もしかしたら、攻撃の兆候ぐらいはあるかもしれないわ」
「了解!」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「・・・」
「・・・」
「・・・あのさ・・・綾波は、・・・怖くないの?」
「何が?」
「・・・つまり、その・・・エヴァが出てるってことは・・・は、初めての実戦になるかもしれないじゃないか・・・」
「・・・そうね」
「・・・だから、さ、その、・・・戦うのが、怖くないの?」
「どうして?」
「・・・だってさ、死ぬかもしれないじゃないか」
「・・・死ぬ?」
「そうだよ・・・前の戦闘で、自衛隊の人が何人も亡くなったって・・・ミサトさんが言ってるの、聞いちゃったんだ・・・」
「・・・あなたは、死ぬのが怖いの?」
「当たり前じゃないか・・・僕は、まだ死にたくないよ・・・」
「そう・・・」
「これで、・・・死ぬのかな・・・」
「・・・貴方は、死なないわ。・・・私が、守るもの」
「・・・え?」
ピピっ 『レイ、シンジくん、まもなくJAが使徒との戦闘に入るわ。一応、起動に入って』
「は、はい!」「了解」
綾波レイ、14歳。彼女もまた、過酷な運命を背負わされた存在である。
「JA、降下完了!」「「損傷個所なし!」「各駆動系、異常なし!」
「主冷却装置、正常に稼動!」「リアクター起動開始」「熱量102で安定、全動力伝達!」
すでに起動段階の部分では、制御OSや各種パーツの調整も相まって、ほとんど問題は起こらない。
「続いて高機動モードへ移行します!」「給水チューブ接続、補助冷却装置、稼動開始!」
「システム、高機動モードへ」「リアクター、通常臨界突破!」「高機動モード、移行完了!」
「よし、そのまま微速前進、旧箱根町付近で待機だ」
高機動モードは、実験、実戦を総計しても、まだ7回しか使っていないのだ。
無事にシステムのモード移行が出来た事に、職員達がほっと息をつく。
「目標は?」
「戦略自衛隊が現在攻撃中ですが、いまだ反応らしい反応はありません!」
「とんと無視、か。JA戦闘可能域到達までにはどれぐらいかかる?」
「進行速度が可変しているのでなんともいえませんが、早ければ、あと五分後には・・・」
ただでさえ、使徒迎撃の作戦立案には頭を悩ませている時田だが、今回の使徒はさらに、敵の攻撃手段がまったく分からない。
予想できれば何とかなるものの、あの形態ではどのような攻撃を繰り出すのか、人間の経験論では図れるものではない。
しかも、相手は空中を飛行するタイプだ。今のところ、中空での機敏な動きは見せていないものの、それがないとも言い切れない。
前回、第四使徒も空中を滑空するタイプであったが、あくまで移動手段として、低空飛行していただけだった。
が、今回の使徒は、明らかに空中移動を基本としているようだし、見る限り着陸する可能性が極めて低い。
――おそらく、初の地対空迎撃戦。
スクリーンを見つめる時田の額に、大粒の汗が浮かぶ。
「ちくしょう、なんでだよっ!」
VTOL航空部隊が展開し使徒を牽制しつつ、大型航空機が誘導爆撃を打ち込む。
何度も繰り返された行為だ。
「・・・ATフィールドは?」
「相転移空間確認できず。おそらく発生していません」
「N2を使いたいが、政府からは許可が下りねぇし・・・ちくしょう、手詰まりだな」
もとより物理攻撃で使徒にダメージを与えられるなどとは考えていない。
が、敷島にとって、無力なことほど腹立たしい事はなかった。
敵は、自分達の必死の攻撃に対し、ATフィールドを展開せずとも傷一つ負わず、反撃もしない。
ほとんど無視といってもいい状態だ。
「ジェットアローンは?」
「すでに戦闘準備が完了、旧箱根町周辺で待機している模様です」
時田からの通信で、敵の攻撃手段を明らかにして欲しいという要請があった。
自分は使徒にダメージを与えるどころか、それに応えることすら出来ずにいる。
セカンドインパクトの世で、各国の固有軍や国連軍をおさえ、世界最強の軍と謳われた戦略自衛隊。
だがしかし、今、使徒という正体不明の敵を目の前にして、現実、無力なのだ。
指揮する立場として、なんとか旧友の要望にこたえようと敷島は知恵をめぐらしていた。
「特科隊と航空隊に連絡!15秒後、第1小隊が誘導爆撃を行ったら、残りの隊はそのレーザー誘導を追尾、
同一点に連続攻撃をしかけろ!うまくいけば、一点突破できるかもしれねぇ」
「分かりましたっ!」
数秒後には隅々まで伝わる指示。部下達の士気は悪くない。が、敵がどうにも強すぎる。
「連続攻撃、開始しました!」
大きな爆音に、世界は揺れていた。
「・・・戦略自衛隊より連絡、迎撃に失敗。撤退するとのことです」
敷島の尽力空しく、敵は反撃することなく自らの進路に沿って悠然と飛び去った。
「・・・そうか」
おそらく今頃悔しさに唇をかみ締めているであろう旧友の事を思う。
今回は敵の反撃がないために死傷者が出ていないのが、せめてもの救いだ。
「使徒をJAの光学センサーがとらえました!」
「よし、メインスクリーンの映像に出すよう切り替えろ!」
遥か遠く、先ほどの爆撃の熱で揺らいでいる中心に、不気味に青く光る使徒の姿があった。
「接触まであと一分」
今回の迎撃地点はすぐ山が目の前にある。前のように走りこんで敵との間合いをつめるわけにもいかない。
敵が空中を移動している以上、ここで我慢強く待機するほかない。
時田は、使徒がJAの攻撃範囲内に入った瞬間に、ハンマーによる打撃を試みようと考えていた。
が。
「も、目標に高エネルギー反応!爆発的に上昇していきます!」
「なにっ!」
――まさか、という一瞬の想いが頭をよぎる。
そして、次の瞬間。
――ドッカァァァァァァァァァアアン!
一瞬スクリーンが白に染まり、そして続く巨大な倒壊音。
メインスクリーンの映像が切れたことで、大パニックになる管制室内。
「何が起きたぁっ!?」
時田が叫ぶ。
「て、敵のビーム攻撃ですっ!胸部に直撃した模様っ!!!」
「胸部最終装甲版、完全に融解!」「リアクター圧力、急激に上昇っ!安全装置作動しません!」
まさに予想だにしていなかった事態。超長距離からの高エネルギービームによる攻撃である。
ありえないほどの運動エネルギーと熱を持ったビームが、JAの胸部を直撃、彼を後方に吹っ飛ばしたのである。
「敵のデータを解析するんだっ!第二射があるかもしれん!それまでにJAを立ち上がらせろ!」
今までの二度の使徒戦で、冷静になることの重要さを認識していた時田は、すかさず管制室内に指示を飛ばす。
だが、モニタを見つめる職員から次々と悲鳴が上がる。
「ダメです!下半身の電力伝達回路に異常発生!油圧ポンプの圧力も上がりません!」
「リアクターの強制停止システムが作動開始しました!あと10秒でリアクター完全に停止します!このままでは立ち上がれません!」
「制御システム、応答ありません!衝撃によって何らかのエラーが発生した模様!」
と、メインスクリーンに、駒ケ岳光学観測所からの映像が届く。
映し出された映像には、芦ノ湖の波打ち際に大の字で寝そべっているジェットアローンがいた。
「目標、予想進路に沿って再侵攻開始しました!第二射の兆候ありません!」
倒れてもがいているジェットアローンの上を悠々と飛行していく第五使徒。
―― ジェットアローン、 初の敗北であった。
【本編とは関係ないよ】
ついに第五使徒戦が始まりました。
これに先立ち、ワールドカップも併催中です(嘘
ヤシマ作戦、ネタは練りあがったので、文章がまとまってから
投下したいと思います。それまで少しばかりお待ちください。
あとどうしても綾波にあの台詞を言わせたくて、途中にいれました。
やや無理があったでしょうか?
スレが伸びて嬉しい限りです。
今後も投下頑張ります。
サッカーよりこのスレが気になる俺がいる
JA!!!!!!!!
何もさせてもらえないなんて・・・。
想像通りだけど強いな・・・。
べらぼうに強い。
どうやって倒すんだろう。
今から気になる
このまま終わってしまうのか!?
なんとか再起動に成功して横合いから思い切り殴りつけて欲しい
「日重工より連絡!JAによる使徒迎撃作戦失敗!指揮権をNERVに移譲とのことです!」
NERVのモニタにも、大の字に倒れているJAの姿が映っている。
胸部の装甲は見事なまでに溶けきり、煙を上げている。
「総員、第一種戦闘配置。対空迎撃戦用意」
ゲンドウが低い声で命令を出す。が。
「ちょっと待ってください、司令」
ミサトが口を挟む。
「なんだね、葛城一尉」
「目標は、のうきょ・・・いえ、JAに対し、先制攻撃を放ちました。これは今までの使徒に見られない特徴です。
また、目標の攻撃能力は、現段階でのエヴァの防御能力を遥かに上回っているものと推測されます。
以上の理由より、エヴァ二体での目標の殲滅は困難を極めると予想されます」
早口でまくし立てるミサト。それを黙ってゲンドウは聞いている。
「そこで、可及的速やかにエヴァ両機を回収、18番リニアレールよりR-18からJAの救出に向かわせ、
JAの修復ののち、エヴァ両機を含む計三体での作戦行動による撃破が最も確実と考えます」
ミサトの意外な意見に、リツコや冬月に限らず、日向や青葉をも顔を見合わせる。
「・・・使徒殲滅の作戦担当は、葛城君、君だ。全ての戦術、戦略指揮権は君にある。好きにしたまえ」
「ありがとうございますっ」
いつもとは調子の違うミサトに、発令所内の誰もが口をあけて彼女を見つめる。
迎撃を放棄してJAを救出??そんなバカな。
しかし、当のミサトは、身を翻すと、すぐに日向へ指示を出し始める。
「いい、とりあえず弾幕はって。あと、18番の用意お願いね」
「え、あ、はい、分かりました」
あまりの展開についていけなかった日向だが、ようやくミサトの目を見て、事態を飲み込み始める。
「シンジくん、レイ?作戦中止、二人とも一回戻って。回収地点はシンジくんは2番ルート、レイは67番ルートを使って」
「え?戦わないんですか?」
「えぇ、とにかく説明してる暇はないの。急いで向かって」
「「了解」」
こうしている間にも、使徒は芦ノ湖を通過し、まもなく第3新東京市に侵入しようとしていた。
「目標、第3新東京市南ブロックに侵入しました!」
「零号機回収完了!そのままR-18に連絡します」
先にレイ操る零号機が回収される。シンジの操る初号機も2番回収地点まであとわずかだ。
だが、そのとき。
「目標内部に高エネルギー反応っ!!!先ほどと同じ現象ですっ!!!」
「まずい!シンジくん、急いで!」
滑り込むようにして回収ゲートに乗る初号機。
「2番!緊急収容!」
一気に初号機の影が地下へ消えていく。だが、その直後。
―― バシュゥゥゥゥゥゥゥン!
ついさっきまで初号機のいた場所は、第五使徒のビーム砲の直撃により跡形もなく蒸発していた。
「一体どういうつもりなんですか、葛城さん」
「そうね、いつも目の敵にしてるあのロボをかばうなんて、貴方らしくないわよ」
「違うわ、かばったわけじゃないわよ」
ここはNERV本部作戦課 第二分析室である。
「あのままエヴァ二体でまともに戦っても、私達が勝てる見込みは薄かったわ」
「どういうことですか?」
「敵のビーム、あの農協ロボを吹っ飛ばしたわ。普通に考えて、あれは零号機、初号機のATフィールドを
貫くのには十分のエネルギー量よ。それに、初号機はともかくとして、シンクロ率の低い零号機じゃ、
あの攻撃にはまともな回避行動もとれないわよ」
「たしかに・・・」
「・・・そこまでミサトが考えていたなんて驚きだわ。ミサトの言う通りよ。これを見て」
スクリーンには、先ほどの、JA、1/1バルーンダミー、12式独自走臼砲が攻撃を受けた瞬間が映し出されている。
「使徒のビームは、おそらくプラス電荷をもつ粒子による加粒子砲と考えられるわね。
ミサトの言うとおり、直撃していたらタダではすまないほどのエネルギーを有しているわ」
マヤが説明を続ける。
「これまで採取されたデータから推測すると、目標は、一定距離内の脅威となる存在を自動的に排除するものと思われます」
「その射撃制度、敵を事前に察知する能力から考えれば、かなり高度な知覚器官を持ってるのは確かだわ」
「ATフィールドはどうなの?」
青葉が端末を操作するとスクリーンに使徒のATフィールドが映し出される。
「健在ですね。相転移空間を肉眼で確認できるほど強力なものです。エヴァ二体が展開できるものよりさらに強力と考えられます」
「攻守ともにほぼパー璧・・・まさに空中要塞ね。で、問題のシールドは?」
「現在、目標は直上、第3新東京市ゼロエリアに進入、直径17.5mの巨大シールドが、ジオフロント内NERV本部を目指して穿孔中です」
「直接ここにブチこもうって魂胆ね、しゃらくさい」
ミサトの憤慨を横目に、スクリーンはさらに使徒の攻撃予想進度の表示に変わり、再びマヤが説明を続ける。
「MAGIによる計算の結果、敵シールドは、明朝午前0時06分54秒には全装甲板を破壊、NERV本部に到達すると思われます」
「あとざっと10時間か」
「それで、どうするのミサト?エヴァでの近接戦闘は無理よ。何か別の作戦は考えてあるんでしょう?」
「んま〜チョッチね。とまぁ、その前に・・・そろそろいらっしゃる時間だわ」
――ピ
と、分析室の扉のランプが、赤からロック解除を示す緑へ変わり・・・・・
「あの空中要塞をやっつけるには、彼らの協力が必要になるわけよ」
ドアに立っていたのは、日重工JA開発主任、時田シロウと、その副主任、加藤ヨシオであった。
【本編とは関係ないよ】
サッカーが負けたので、むしゃくしゃして投稿した。
今は反省している。
というのは冗談で。次回から本格的にヤシマ作戦に入ります。
あっさり負けてしまった日重工とNERV。ラミエルを撃破しようと共闘します。
初の共同作戦はうまくいくのか??
ま、ご期待ください。
足跡ひとつない雪原に足を踏み入れる気持ちで
この二文字を書き込む俺がいる
GJ
次の展開にwktk
W杯よりおもしろいじゃないかっ!
久しぶりに顔を出してみるテスト。
199-200さん、いつもいつもGJです。
その執筆スピードには頭が上がりません。
自分のオリキャラである加藤を使って頂けて嬉しいですw
完結まで頑張ってください!
なんて言える立場じゃないですが(;´Д`)
>お待ちの皆様
まことに勝手ながら私生活の方で問題が起きてとても顔を出せるような状況ではありません。
元々遅い執筆スピードがさらに低下しています。
というよりこの問題が解決できるまで精神的に書けそうもありません。
例え解決したとしてもこれからの自分の境遇がどうなるかはわからないので
これからの事について何も計画を立てられない状況なのです、御容赦ください。
>>441 おひさしぶりー
なにやら大変なご様子ですね。無理せず体など壊されませぬように
E P I S O D E : 5 「 決 戦 、 第 3 新 東 京 市 」
「NERVへようこそ・・・と言いたいところですけれど、ことは急を要します。
早速、本件の作戦立案に入りたいのですが、よろしいですね、時田主任?」
「えぇ、もちろん。我々はそのために出向いたのですから」
ミサトが改まった口調で時田に尋ねると、時田も真顔で答える。
両者ともに前回のように皮肉の響きは込められていない。
「すでにそちらにも報告がいっていると思いますが、目標は一定射程内の脅威を非常に強力な加粒子砲によって排除、
一方で、強力なATフィールドを発生させており、JA、エヴァのどちらでも近接戦闘は絶望的です」
再びスクリーンには使徒がATフィールドを展開した瞬間の画像が表示されている。
「私は本件に関して、目標の射程外、超長距離からの直接射撃以外に目標を殲滅しうる手はないと考えています」
あまりにも普通すぎる作戦に、一同がミサトを見つめる。すかさず時田が尋ねる。
「し、しかし、あなたもおっしゃっていたように、目標は超強力なATフィールドを保有している。並の攻撃ではとても不可能なのでは・・・」
「そうです。”並”の攻撃ではATフィールドの突破は不可能です。一方で、近接戦闘に出れば泣きを見るだけなのも明らかです」
「では、一体どうやって・・・??」
「日向くん、さっき話したレポート表示して」
日向が端末のキーをたたくと、スクリーンにテキストで構成されたレポートファイルが表示される。
「今回の使徒殲滅作戦についての要は3つあります」
「まず、一つ、目標は、おそらく攻撃中はATフィールドを展開できません。
これはさきの第三使徒、第四使徒における貴方方のJAによる戦闘データから推測されるものです。
当然、第五使徒がこれに倣わない可能性もありますが、きわめて低いと考えていいでしょう」
第三使徒戦でJAが打撃を加えた画像と、第四使徒戦でJAが使徒を引き寄せている画像が映し出される。
「次に、今回の使徒はかなり高度な知覚器官、あるいはそれに相当する何かを保有していると考えられます。
あれほどの国連軍や戦自の攻撃に対して無頓着ながら、射程内にJA、エヴァを捕らえた瞬間には
砲撃している事からも間違いありません」
先ほどと同様、第五使徒がJA、エヴァに対して加粒子砲を放つ瞬間の画像が表示される。
「――最後に、ATフィールドの突破に関してです。
私達NERVは、当然ながら使徒のATフィールドという障害を除去すべく様々な方法、武装を研究しています。
その中でも、ポジトロンライフル――いわゆる、陽電子砲です――は、そのエネルギーの強力さから、
脆弱なATフィールドであれば突破できることを、すでにNERV技術部で検証済みです」
「ちょっ・・・葛城一尉、それは部外秘事項のはず・・・」
「今、日重工はNERVの戦略指揮権下にあるわ。もう部外者じゃないわよ」
自分達の技術が他者に伝わるのはリツコとしては我慢ならないのだが、ミサトの言っていることは正しい。
先ほどから自分の意見を的確にまとめているあたり、何かいい方法があってのことだろうと、
旧友の考えをくみ、リツコはとりあえず口を閉ざす。
「ATフィールドに関しては、まだその実態や発生のメカニズムについては詳しく分かっていません。
伊吹二尉、守秘項目にあたらない範囲内でATフィールドの概要を説明してあげて」
「あ、はい」
突然指名されたマヤは、一瞬うろたえるが、すばやく頭を切り替えて話し始める。
「えぇと、ATフィールドは、使徒やエヴァのみが持つ特殊な”ベクトル場”と予想されています。
ATフィールドは”展開”されることによって、相転移空間を生みだし、これによって、あらゆる物理攻撃を無効にするんです」
脇では、日向がスクリーンにATフィールドのモデルを表示させ、マヤへのフォローをする。
「当然、ベクトル場なので、逆向きの場が存在した場合は中和されますし、同方向であれば強固になります」
再びミサトが話を続ける。
「私達NERV作戦部では、エヴァによって使徒のATフィールドを中和、その後物理攻撃という方法を
使徒迎撃作戦の雛形とし、訓練してきました」
だいたい話が飲み込めてきた時田と加藤。
いや、時田に限らず、その場のNERV職員もようやくミサトの意図に気づいたらしい。
いったん説明をやめ、大きく深呼吸するミサト。そして。
「以上を踏まえ、使徒迎撃戦戦略指揮官として次の作戦を提案します」
・攻撃手段はポジトロンライフルを使用、ATフィールドを中和せずに高エネルギーによる一点突破。
・エヴァ一体が射手となり、超長距離から質量センサーとMAGIによって誘導、狙撃。
・別のエヴァ一体が、おとりとして、使徒の注意をそらし、かつ、攻撃を誘発させてATフィールドの展開を妨害。
・万が一のため、おとりとなるエヴァにはJAの特殊合金の盾を所持させ、被害を最小限に抑制。
・JAは狙撃地点にてポジトロンライフルに、リアクターから電力供給。
・さらに万が一反撃された場合、JAによって射手を加粒子砲から防衛。
「まだMAGIによる検証はしていませんが、これが最も確実な方法と考えます」
「・・・なるほど・・・」
時田は手をあごにあてると、その場で考え始める。
「主任・・・これじゃJAが・・・」
加藤が不満をつむごうと口を開きかける。
だが、時田は、彼を手で制すると、そのまま考えを続ける。
正直な話、電力供給はまだいいとしても、盾もなしにJAが射手のエヴァを守れば、間違いなくJAは大破する。
しかし、JAには狙撃ができるような腕部の精度もないし、それ以前にポジトロンライフルがない。
かといって、おとり役を買って出たところで、高機動モードにしたとしても給水チューブの制約がつきまとうし、
通常モードでは使徒の加粒子砲を避ける事などままならない。当然、この場合も命中すれば大破だ。
JAが作戦に参加しないということも一瞬考えた時田であったが、無人兵器であるJAに対して、
エヴァはパイロットが必要な有人兵器だ。
――みすみす死者がでる可能性を見逃すわけにもいかない。
それは、あえて遠隔操作による無人兵器を設計した、ある意味で、時田のプライドでもある。
幸い、JA改のほうの開発は順調だ。
通常なら実戦投入まであと一ヶ月ほどは必要だが、第一と第二の両研究所の職員が徹夜で戦えば
おそらく2週間程度で実戦投入可能になるだろう――
「・・・提案の概要は理解しました。我が日重工とJAも全力で協力します」
「もとよりその前提で話を進めました。・・・ご理解が早く助かります」
残り時間9時間10分。
第五使徒殲滅に向けて、おのおのが動き始める。
【本編とは関係ないよ】
ヤシマ作戦、前編です。
本編のエヴァとはちょっと異なった作戦になります。
JA大破の可能性すら出てきた今回。
次回は、時田や日重工が頑張ったりして意外な展開になるかも。
>>522-524氏
私の駄文を評価いただき、ありがとうございます。
勝手に話を横取りしてつないだ上に、オリキャラも許可なく使って申し訳ありません。。。orz
まだまだ書き屋としてはへたくそで、なかなか522-524氏のような、
シンプルかつ熱いテイストを生み出すには至っていません。
やはり第三使徒戦は素晴らしくて、何度も読み返し、執筆の参考にさせてもらっています。
実生活のほうが、大変とのことですが、もし問題が解決しましたら、
また、その手腕を振るったJAを描いて投下していただければ、一ファンとしては嬉しい限りです。
一度、途中から書き始めた以上、自分は自分なりに完結まで努力しようと思いますので、
その間もスレを見ていただければ幸いです。
【本編とは関係ないよ】
※誤植がありました。 このレスで訂正とお詫びにかえさせていただきます。
>>351 最終行 E P I S O D E : 4 「 N E R V 、 心 の む こ う に 」
→ E P I S O D E : 5 「 N E R V 、 心 の む こ う に 」
>>443 第一行 E P I S O D E : 5 「 決 戦 、 第 3 新 東 京 市 」
→ E P I S O D E : 6 「 決 戦 、 第 3 新 東 京 市 」
なんか話数があわないなと思っていたら、かなり前にコピペ間違いをしていたようです。
なるべく本編に準拠した番号で話をわけて執筆していくつもりですので、
E P I S O D E : 26 で完結させたいと思っています。
そのほか、変換ミス、助詞間違い等あると思いますが、そのあたりは脳内補完をお願いします><
やべ、展開が楽しみすぎる。
・・・何気にエヴァは初実戦かな?
ネ申スレだなちくしょう
451 :
JA時田様:2006/06/14(水) 13:47:52 ID:???
神は私だよ!!!おや?私を知らない人もいるようですね・・・ハハハハハハッ!!!
ついにヤシマ作戦か。
JAが大破するのはいやだなぁ。なんとかして無事な話にしてくれ!
初代1です。久しぶりにこのスレ覗きましたが・・・
マジで神スレに成長してますね!感無量!職人さんとみなさんの力に感服!
個人的にはガイナにOVAでこれを作れッ!と言ってやりたいです!
NERV内、廊下。
「JAのほうはどうだって?」
時田はリツコからの資料を見ながら、先ほどまで第二研究所に電話をしていた加藤にたずねた。
「あと3時間ほどもあれば修理は終わると言ってました」
「3時間だって?随分と早いんな」
「どうやら先の制御不能のトラブルの原因はは制御用コンピュータにあったようです。
吹っ飛ばされた衝撃でSSメモリーが全部飛んでしまったとかいう話で・・・」
「・・・そうか!それで各種モニタにも異常が現れたわけか」
「えぇ、JA自体は、胸部装甲板の融解だけですから、メモリ差し換えて、装甲板を換装すればまたすぐに実戦に出れるとのことです」
すでにNERVは、作戦の具体的検討に入っている。リツコとマヤはMAGIを用いた計算をするため、技術部へと向かい、
第二分析室に残った日向とミサトは使徒を確実に殲滅するための作戦立案を始めている。
「では加藤、悪いんだが、第二に戻って作戦の概要と修復作業の指揮をとってくれないか?」
「え?自分がですか?主任はどうするんです?」
「あぁ、俺はここに残って葛城さんや赤木さんたちとともに作戦立案に参加する。
もしかしたらJAを助け、かつ目標を殲滅するいい方法があるかもしれん。もちろん、こちらから逐次連絡は入れる。」
「分かりました。指揮を執りに第二に戻りますね。・・・それから、時田さんの考えも皆に伝えておきます」
時田の考え――すなわち、決して死者を出さないこと。
JA喪失の可能性のある今回の作戦の概要を、第二で待機している日重工技術者たちに伝えれば、必ず反発はおきるだろう。
だが、それでも、エヴァにはパイロットが乗っているのだ。どうしても、今回だけは彼らを納得させなければならない。
きっと自分の熱意、考えは伝わるだろう、という確信の下での作戦参加の独断。
日重工とNERVという大きな組織がきちんと一つにならなければ、今回の作戦は成功しない。
組織を引っ張る者として、それをひしひしと感じている時田だからこその決断であった。
「じゃぁ俺は葛城さんのところに戻る。あとは、頼んだぞ」
「任せてください」
再び第二分析室。
「分析した結果、目標の射程は約5km。 当然、これ以上の射程を持つ可能性も考えられますが、
敵の攻撃手段が加粒子砲である以上、ある程度距離をとれば、自然とその威力は減衰します」
スクリーンに映るデータを見ながら、日向の説明を聞くミサトと時田。
ミサトはあごに手をあて、何かを考えている。時田もJAの電源部の配線を頭のなかで考えていた。
と、突然ミサトが時田のほうを向き、問いを投げかける。
「・・・時田主任、ジェットアローンには、N2リアクターが内蔵されているとのことでしたね。最大発電力はどの程度でしょうか?」
「本来、通常稼動であれば50万kW(キロワット)ですが、高機動モードで冷却性能を最大に引き上げれば200万kW、
最大瞬間出力で250万kWまで出せるように設計してあります。
無論、そこまでの実験はリアクター単体でしか行ったことがありませんが・・・」
「分かりました。日向くん、第3新東京市の最大発電力は?」
「太陽光発電、地熱発電、外部からの電源供給もあわせて、せいぜい1GW(ギガワット)、つまり100万kWが限界ですね」
「すると、おおよそ計300万kW、か。これをうちのエヴァ専用陽電子砲、円環加速式試作20型にもってくれば・・・」
「無理よ、葛城一尉」
突然の否定の声。開いたドアから現れたのは、NERV技術部部長、赤木博士である。
「どういうこと?」
「たった今、MAGIでの計算結果が出たわ。これを見て」
スクリーンには、MAGIから送られてきたデータが映し出される。
「目標のATフィールド突破に必要なエネルギーを換算してんだけど、ざっと、単位面積あたりで
秒間180GJ(ギガジュール)ものエネルギーが必要なのよ」
「なんですって?」「赤木博士・・・それは本当ですか?」
単位面積あたり毎秒180GJ、すなわちそれは単純に電力にすれば1億8000万kWにも達する。
さきの300万kWなどという発電力では到底間に合わない。
「ATフィールドは常にそのAT場を維持するためのエネルギーを供給するわ。
単純な高エネルギー収束帯をぶつけたところで、秒間180GJの壁を越えなければ突破できないのよ。」
「ちっ・・・」「なんということだ・・・」
絶対恐怖領域、ATフィールド。まさか、これほどまでとは、時田も予想だにしていなかった。
だが、ミサトは驚いた風を見せずにリツコに質問する。
「では、長時間かけてライフルの電磁チャンバーで大量の陽電子を生成を行い、一気に発射する方法は?
60秒あれば1億8000万kJ(キロジュール)分は生成できるはず・・・」
「それも無理よ。うちの陽電子砲じゃそこまでの大出力には設計されていないわ。
だいたいあれはまだ試作段階、今のところ有効射程が4500mなのよ?陽電子の対消滅による減衰も考えれば、
所要エネルギー量はもっと必要だし、そもそも180GW(ギガワット)というのは単位面積あたりでの話よ。
長距離からの射撃で1平方メートルの範囲内へビームを収束させるなんてMAGIを使っても不可能よ」
沈黙がおりる。リツコが示したデータ。それは彼らに絶望を突きつけた。
仮に使徒が侵攻する前にポジトロンライフルを完成させたとしても、60秒以上の充電が必要となれば、
無論、誤射は許されなくなる。外せば第二射撃までに、囮り、射手ともに使徒の加粒子砲の餌食だ。
犠牲者を出してもいいのであれば、もとより近接戦闘による白兵戦がベストなのだ。
これでは長距離射撃の意味がない。
と、そのとき、時田がひらめく。
「あの・・・戦略自衛隊技術研究部の陽電子砲を借りてはどうでしょうか?」
「戦自研!? もしかして・・・!」
「そうです。彼らが開発中の自走陽電子砲プロトタイプは、大出力の射撃を前提とした大型兵器だったはず」
日重工と戦略自衛隊の技術研究部は、今までにも様々な兵器の共同開発や研究を行ってきた。
先日、時田が読んだ戦自研からのレポートに陽電子砲開発の一報がのっていたのだ。
「リツコ、それならどう?」
「そうね、砲身が耐えられるのであれば、不可能ではなくなるわね」
ミサトは思わぬ助け舟に驚き、問いかけられたリツコも相槌をかえす。
が、まだリツコは納得したわけではない。
「ただ、それでも、まだ電力供給の問題が残ってるわ。かなりの大電力が必要なのよ?
NERVとJAのリアクターだけでは、短時間での陽電子装填は無理に近いわよ」
リツコの厳しい指摘に対し、ミサトがニヤリと不敵な笑みをこぼす。
「日本中・・・から集めたら、どうかしら?」
残り8時間27分。
史上最大の作戦が、今静かに動き始めようとしていた。
発令所に向かうミサトとリツコ。
「それにしても無茶な作戦を立てたわね?」
「そう?無茶でも無理ではないわよ。残り8時間以内でやれる作戦だもの」
「頭の固い戦自研がよく陽電子砲の徴収に応じたわね?いったいどうしたの?」
「癪だけど、彼よ、日重工の時田主任。彼が掛け合ってくれたおかげでこっちも助かったわ」
「また借りが増えたんじゃないの?」
「なぁに言ってるの、今はアタシの指揮権下。部下を有効に使えなきゃ上司は務まらないわ」
すでに陽電子砲は戦自研本部のあるつくば市から空輸されてNERV本部へ向かっている。
NERVも技術部の総力をあげて送電システムの構築に乗り出した。
日重工もJAの修復作業に全力を挙げている。
「それで、MAGIはなんだって?」
「あら、もう作戦を始めてるのに、いまさら聞くの?」
「まぁね、いちおう」
「・・・賛成2、条件付賛成が1よ。勝算は8.7%」
「あら、高い数値じゃない?」
「・・・貴方ってほんとに楽天的よね」
発令所に到着する二人。発令所内はいつもとは違って非常にあわただしい。
「考えて見れは、NERV初の実戦が、想定していたエヴァによる近接戦闘じゃないとは恐ろしいわね」
「そうかもね。だけど、ようは勝てばいいのよ、勝てば。使徒殲滅のためには手段を選んでる場合じゃないわ」
「最近、貴方のあの農協ロボへの偏見が減ったのはそのせい?」
「断じてないわよっ。あれは、私の部下なの!」
「はいはい」
彼女達の手前ではオペレータ達が忙しそうに端末をたたいている。
青葉は送電システムの構築とシミュレーションを、マヤはエヴァの狙撃システムのプログラミング中だ。
日向は狙撃地点に適当なポイントをMAGIで検索している。
初の実戦ということで、皆気合は十分だ。
普通に部下へ徹夜を強制することを前提にしている時田最高ww
でもまぁ確かにこのスレの日重の連中は時田が頼めば応えてくれる連中だけどね
NERV本部内B-09ブロック、シルバーベル。
旧東京駅の待合場にならって名付けられたこの場所は、NERV職員にとって憩いの場所でもある。
飲料やインスタント食品、各種栄養ドリンクの自動販売機や、守秘回線を通して外部への通信が可能な公衆電話も備えている。
「・・・もしもし、俺だ」
第二研究所に戻るため、地上に向かっていた時田は、とりあえず帰還する旨と状況を把握するために、
ここの公衆電話から第二研究室へ連絡を入れることにした。
『あ、時田主任ですか?』
「そうだ。加藤につないでもらえるか?」
『分かりました、ちょっと待ってください』
事務の女性の声に変わって、保留のメロディが流れる。
『はいもしもし?』
「加藤、状況はどうだ?」
『あ、主任でしたか!え、はい、あ、状況ですね。順調そのものですよ!すでに胸部第三装甲板の換装に入りました!』
「そうか。・・・それで、皆は納得してくれたのか?」
『えぇ、もちろん。もう皆時田さんの考えには同意ですよ。ちょっと盾が使われるのが惜しいですけど仕方ないですよね』
「まぁ盾ならすぐに新しいものが作れるだろうからな。」
『あ、でも・・・』
「どうした?」
『実は第一研究所が騒ぎまして・・・今からJA改を完成させるとか躍起になってるんです』
「なんでまた、そんな急に・・・」
『JA-1が大破するという噂を聞きつけたらしいんですよ。』
「それにしてもやりすぎだ。まだ大破すると決まったわけじゃない。今から徹夜しては業務運営に支障が出る」
『とはいっても・・・第一の連中は皆そういう人ばっかですからね。努力、熱血、ど根性!だけですよ、彼らは』
「・・・まぁいい。もう少ししたらそちらに戻る。それまで頼むぞ」
『はい』
――ガチャン
受話器をおろし、そのままエレベータホールに向かう。
―― カタ、カタ、カタ、チンっ!
エレベータの扉が開く。と。
「ふ、冬月教授!」
「おや、時田くんかね」
意外な人物の登場に面食らう時田。
「まぁ乗りなさい。扉が閉まってしまう」
「あ、はい」
―― カシュー ・・・カタ、カタ、カタ、・・・
「君に逢うのは久しぶりだな。今回、ジェットアローンは狙撃主の防御を担当すると聞いたが」
「はい・・・」
時田の返事は弱弱しい。かつての憧れの存在の前に、弱さを見せてしまう時田。
「君にしては暗いな。やはりJAが大破するのを危惧しているのかね?」
「いえ、・・・それもあるんですが、それ以上におとり役のエヴァがいると聞いて・・・
そちらのほうが当然危ないと思うんですよ。だから何とかJAが代わりたいんですが・・・」
「だが、君達のJAには機動力の問題があり、解決しようとすれば給水チューブの問題がある」
「そうなんです・・・」
「今回の作戦において、狙撃にはある程度の時間が必要と聞いている。もし、その間に敵の攻撃があれば、作戦成功は難しい。
敵の注意をひきつける役も必要なのだよ。おとり役には君達が設計した盾を持たせるのだろう?
エヴァにはATフィールドもある。そう危惧することでもあるまい」
「えぇ、まぁ・・・例えばですよ、教授、エヴァはおとりをせずに我々のJAが盾を持ち狙撃主のエヴァを防衛する方法はダメなのでしょうか」
「葛城くんからはその方法も提案されたよ。だが、そうすれば君達はもろに使徒の加粒子砲を食らう事になる。
長時間の攻撃を受ければ盾も融解し、JAもエヴァも共倒れになる可能性が高い。事実、MAGIもそう判断した」
冬月は話しながらエレベータの回数表示を見つめている。そろそろジオフロント内の地表に出る。
「ではJAが狙撃を担当し、エヴァ2体のATフィールドと盾で防御、危険な状態になったらエヴァだけでも退避という方法は・・・」
「それも葛城くんが既にMAGIで検証済みだ。もっとも真っ先にそれを考えていたようだが・・・。
だが、そもそもJAには長距離狙撃ができるほどの精度は持ち合わせていないのだろう?
結果として、失敗すれば我々は使徒を殲滅する決定的チャンスを失う事になる。
もし万が一、使徒がジオフロント内に侵入すれば、遠距離からの攻撃はより困難になってしまうからな」
「・・・しかしっ・・・」
「君の熱意は分かる。だが、ときに軍隊というものは任務達成のためにある程度の犠牲は考慮しなければならないのだよ。
大切な事は、犠牲をどれだけ少なく出来るか、あるいはどれだけ小さな被害にとどめるか、ということだ。
もちろん、私は葛城くんとは違って従軍経験はないし軍人出身でもない。だが、それが世界を守る最も合理的手段なのだよ」
「・・・」
エレベータの中を沈黙が包む。と、冬月が口を開く。
「私の好きな言葉がある。――”人の歩みを止めるのは、絶望ではなく諦めだ”
時田君、君はまだ諦めるには早い。私も確信をもっては言えないが、君なりの答えが必ずあるはずだ。
前にも言ったかな。早急に否定をする事は我々の信ずる科学に対する冒涜だ、と」
それは第三使徒線直後、戦闘報告会議での冬月からの言葉。それほど前でもないのに、大昔のように感じる。
―― ・・・カタ、カタ、カタ、チンっ!
エレベータのドアが開く。
「時田くん、君には期待しているよ」
冬月が本部棟に向かって立ち去っていくのを、一人、時田は神妙な面持ちで見つめていた。
『敵シールド、第七装甲板を突破!』
響き渡るアナウンス。だが、それも多くの雑音と怒鳴り声でよく聞こえない。
ここはNERV本部技術局第三課大倉庫内。
「超伝導ケーブルのグレード4をくれ!」「シンクロトロンのプログラムへの割り込み処理はできたかっ?」
「線形加速バレルのテストは2分後にやります!」「おい、誰かこっちを手伝ってくれ!」
赤いNERV技術部の制服と戦自研の緑の制服がコントラストを生み出す。
組織間の隔たりすら感じさせない、怒号のスピードで作業は進められていた。
「ここの仕様はどうなってるんですか?」「おい、カテゴリー5の電磁吸収板くれ!」
「NERVのエヴァ給電互換ケーブルになんとかつなげそうだな」「グリップ運ぶぞー頭上注意しろー!」
―― プルルルルルっ プルルルルルっ
倉庫壁際の内線電話がなる。
「課長!発令所から葛城部長です!」
「あぁ、今いく!」
走って受話器の元に向かう三課課長。額は汗と油で汚れている。
「はい、順調です!技術部三課の意地にかけてでも、あと三時間でカタチにしてみせますよ!
俺達に任せてもらいましょうか」
「NERVの課長さん!試験準備できたぞ!」
戦自の若い技術者から声がかかる。もはや礼儀など無用の長物、かろうじて丁寧語なだけだ。
「今行く!」
共通の敵を前にして、世界最高の技術者たちが全力で戦っていた。
一方、こちらは技術部第一課専用電算室。
青葉とマヤ、赤木博士、そして戦自の陽電子砲設計者が一同に介し、画面に向かっている。
「つまり、FX-1はシステムの起動から陽電子の生成、加速までに、給電が開始されてからおよそ70秒かかります。
2発目の場合には、最短で20秒、その間に連続して陽電子の生成が可能です。もちろん理論上ですがね」
「なるほど。青葉二尉、そっちはどうかしら?」
「計算の結果、全国からの発電力3億kWのうち、医療施設で停電できない部分や
非超伝導ケーブルのロスを考えると、実際に期待できる発電力はおよそ2.6億kWです」
「となると、我々の陽電子砲が20秒フルで陽電子生成を行うとすると、理論上ではおよそ5.2TJ(テラジュール)分になりますな」
計算結果が表示され、バックグラウンドでMAGIがロスすると思われるエネルギー量の計算を始める。
「マヤ、軌道は?」
「はい、通過距離は13km、目標に到達した際のビームの直径はおよそ10m^2(平方メートル)まで収束可能です」
「するとATフィールド到達瞬間時に1.8TJ分の陽電子があればいいわけだから・・・これは、なんとかなりそうね」
世界最速のコンピュータ、MAGIを駆使してでの精密狙撃のための入念なプログラミング。
たった一つの計算ミスも許されない。事細かに不確定要素が計算されていく。
「あとは、砲身が射撃に耐えうるかどうかね・・・マヤ、ミサトに連絡して」
技術者たちの戦いは頭脳戦でもある。
第一発令所内。
作戦の指揮をつかさどるミサトと日向はここで各種情報の統括を行っている。
「ポジトロンスナイパーライフルのほうは何とかなりそうね」
「日重工のほうも順調なようで、あと少しで調整も終了するとのことです」
「奴らも仕事はやいわね〜。うちの技術部も負けてらんないでしょうね」
―― プルルルルルっ
NERV内専用の内線電話が鳴る。すかさず受話器をとるミサト。
「はい、あら、マヤちゃん?え?そう、いけそうなの。分かったわ。うん。リツコによろしく〜」
―― カチャ
「技術部一課からですか?」
「えぇ、狙撃地点は双子山山頂で大丈夫だそうよ」
「葛城さん、もう変電車両を双子山に向かわせてたなんて赤木博士が知ったら、いろいろ言われますよ?
技術部がもしダメだと言っても元から聞く気がなかったんでしょう?」
「日向くーん、細かいこと気にしちゃだめよぉ?これは女の勘なの。男には分からないのよ〜」
「MAGIが泣きますよ、それじゃ・・・。そういえば葛城さん、あの時どうして早めに迎撃システムやエヴァを起動させたんですか?」
「え?あぁ、あの農協ロボがやられたとき?あれもね、女の勘よ」
勘、と言い切られた日向は不満そうな顔だ。
「まぁまぁ。正直に話すとね、使徒を見たときに全く攻撃手段が分からなかったでしょ?先の二使徒とは違うなって感じたのよ。
それに、前にも言ったけど、使徒の攻撃を見た瞬間、勝てる見込みがないなって感じたのもあったわ」
「では、なぜ、わざわざJAの回収を?」
「いやぁ〜実はJAじゃなくて、あの盾を回収したかったのよね。
あれとエヴァ両機でATフィールドを展開でビームを防ぎつつ近接戦闘させるつもりだったのよ、本当は。
ま、使徒の攻撃の射程と威力が尋常じゃなかったから諦めたけどね」
この人はもしかしたら性格破綻者?
日向は心のそこからわいた疑問を無理やり押し込む。(恋は盲目、とはよく言ったものだ。)
「いろいろ考えたんだけどね、結局遠距離射撃&おとり作戦しかいいのがなかったのよ」
「ですが、いくら盾を持ったとしても零号機ではあまりに回避能力が低すぎます。最悪、大破も・・・」
「そのために色々考えてるんじゃない・・・第3新東京市の迎撃システムを駆使すれば何とかなると思うわ」
ミサトがパネルに触れると、ウィンドウに第3新東京市の詳細図が現れ、零号機がおとりとして
走る予定のルートが赤い軌跡で表示される。そのルートは兵装ビルの隙間を縫うようにして走っている。
「各種遮蔽壁をうまく使えば、目標の加粒子砲をよけながらでも注意を引けるわ。
もっとも、遮蔽壁もあの加粒子砲じゃ1.2秒しかもたないってリツコは言ってたけど」
「それじゃぁ・・・」
「・・・それにね、これは碇司令とレイ自身の要望でもあるのよ」
「司令とレイちゃんが??」
「えぇ・・・どういう風の吹き回しかしら。司令はなんとなく予想つくわよ。でもシンジくんとあまり仲のよくないレイが、ね・・・」
―― プルルルルルっ
再び電話がなる。
「はい、作戦部よ!え?えぇ、それで、見通しはどうなってるの?・・・そう!がんばってねん!」
―― カチャ
「今度はどこです?」
「技術部第二課。送電システムの設営は2.3%遅れてるそうよ」
「まぁ許容範囲内ですね。23時10分までに間に合うでしょうか」
「向こうはそう言ってたし大丈夫でしょ。技術部の長はなんてったってあのリツコ、底力は知れないわ」
「そういえば、葛城さん、作戦名はつけないんですか?」
「作戦名?」
「えぇ、”対第五使徒への遠距離狙撃による殲滅作戦”なんて長すぎますよ」
「そうね。NERV初の実戦になるわけだし・・・」
ミサトが考えようとした、そのとき。
―― ビィー ビィー ビィー
使徒のシールドが第9シールドを突破することを知らせる警報がなる。
ミサトは目を瞑り、そして、館内放送用のマイクをつかむ。
『作戦部よ。たった今敵シールドは第9装甲板を突破したわ。
”対第五使徒への遠距離狙撃による殲滅作戦”開始まであと6時間45分。
これからは放送する間も惜しくなるはず。だから、今後、本作戦を”ヤシマ作戦”と呼称します。
ヤシマ作戦成功のためには、各自の協力と努力が必要だわ。よろしく頼むわね!以上!』
日向は唖然としてミサトを見つめている。
「ちょっち無理があったかしらね?」
「い、いえ・・・でも、ヤシマ作戦って響きがいいですね」
「えぇ。那須与一が扇を的に矢を射た話、聞いた事あるでしょ?」
「あぁ、その屋島ですか。葛城さんがそんなこと思いつくなんて意外です」
「ちょっとだけ思い入れがあるのよ、この話はね」
現代の最先端テクノロジーを駆使して行われる狙撃、ヤシマ作戦。
――第五使徒のシールドは、静かにNERV本部へと穿孔を続ける――
【本編とは関係ないよ】
ヤシマ作戦、前編その2です。
思いのほか長くなりました。本当に長文な駄文ですいません・・・。
どうしても余計なことを書きたくなってしまいます。
結果として時田や日重工のシーンがあまりかけませんでした。次こそ書きます。
今回いろいろ出した数値ですが、これは私自身が概算で出したものです。
世の中には割りとヤシマ作戦に関する考察文書は結構多くて、
柳田氏の読本しかり、山本のこんヘンしかりで、ネットにも色々な論があるのですが、
とりあえず原作に忠実に、
・ATフィールドをやぶるのには1億8000万キロワット
・銃の装填には20秒。(これは貞元版より拾いました。よってちょっと原作と違います。
実際にストップウォッチで図ってみたところ、アニメでは第一射までは約70秒でした。
何気に第一射と第二射までも70秒なんですが、なぜだww)
をもとに算出してみました。
そのほかは、勝手に概算した数値ですので、科学的突っ込みは勘弁してください><
雰囲気を出したかっただけですので。
それ以外の指摘、感想ありましたら、書き込んでいただければ幸いです。
次回は後編その1になると思います。今度こそ、時田活躍?
簡潔に、GJとだけ
>>468 乙です。ヤシマ作戦の計算については、自分もやろうとして面倒でやめたので、
とくにそこが感心しました。
>アニメでは第一射までは約70秒でした。
>何気に第一射と第二射までも70秒なんですが、なぜだww
こだわってるんだと思いますよ。その辺。
だからユニゾンの62秒も本当に62秒でやっちゃうわけで、その辺が庵野の
職人的こだわりというか、巨神兵だったりロケット発射だったりするわけで。
だから、山本弘もそこは70秒で計算してますしね。
職人神業。ゴッジョブ。
巷ではエヴァの続編がどうのこうの言ってるが、
漏れはそんなんよりこっちに期待したい。
ていうかこれをOVA化しろガイナ!
マジGJ!(ギガジュール
乙。199-200氏、ARMS好きだったのかw
そのうち時田も切り返すのかな?
補完計画ギリギリで「諦めてしまっているのはあなたではないのか?!」みたいな展開とかだと熱いな。
ギガジュール!
ガイナ自身が忘れて久しい、文化祭前夜のような熱狂が生きている・・・!
色違いの作業服が入り乱れるポジトロンライフル組立現場燃え!
長い長いエスカレータ。そこを出ると地上へつながっているリニアのハブステーションがある。
ジオフロントのほぼ中央に位置するNERV本部ビルのすぐ脇だ。
採光ビルから伸びる光ファイバケーブルを通じてジオフロント内に降り注ぐ陽光がまぶしい。
「科学に対する冒涜、か」
時田は地上に向かうため、リニアのプラットフォームに、一人佇んでいた。
皆地下で仕事をしているのだろう、NERV職員の姿は一人も見当たらない。
「次の上りは・・・あと5分後か」
もうそろそろJAの修復作業も終わるころだろう。今から第二研究所に戻っても、さして仕事があるわけでない。
ぼぉっとそんなことを考える。いまさら出来る事は少ない。
作戦に関しても、当然、立案から決行まで全てNERVの指揮下だ。日重工の出番はない。
ヤシマ作戦――前代未聞の、日本中の電力をかき集めて行う狙撃作戦。
もし使徒がその名の通り神の使いならば、この作戦は全身全霊をもってして行う人類のテクノロジーの挑戦だ。
そして、敵を撃破する狙撃主の護衛役となったジェットアローン。
せっかく彼のために作られた武装も、彼は一度も携えることなく、ほぼ身をはっての護衛をしなければならない。
目標の知覚能力、攻撃能力を考えれば反撃は必死だ。加藤にはああ言ったものの、まず大破してしまうだろう。
さすがに腹部にある中枢システムをやられてしまえば、リアクターが無事でもJAの再建は厳しい。
もちろん、彼の任は、その弟のジェットアローン二号機・・・JA改に受け継がれるだろう。
テスト機であり、上層の権利の闘争に巻き込まれ無理やり実戦に出されたJA一号機。二度の使徒戦を、辛くも勝ち抜いたJA一号機。
おそらく、第二に戻り最終チェックをするときが、JA一号機を見る最後の機会になるかもしれない。
第一の二号機に、全力で支えると言った自分が情けない・・・
そこまで考えて時田は気づく。
なんて馬鹿だったんだ、俺は・・・!
不安なのは、おとり役のパイロットが死ぬかもしれないからじゃない・・・!
ジェットアローンが・・・自分の息子が死ぬかもしれないからだ・・・!
いまさらになって、ヤシマ作戦について葛城作戦部長に抗議すべきだったと後悔する時田。
だが、すでにMAGIも今回の作戦を最適解として提示したという。
「なんて・・・馬鹿、、なんだ・・・」
ジェットアローンは、日重工の仲間たちと何年もかけて育ててきた、自分だけではない、皆の息子なのだ。
未知の敵、使徒を迎撃すべく、時田たちが人類の希望を込めてつくり上げたジェットアローン。
それを人類を救う正義という大儀と天秤にかけたとき、時田が選んだ選択肢は正義だった。
当然、間違った選択ではない。「世界を守る最も合理的手段」――冬月副司令もそう表現した。
NERVにとっても、パイロットを守るほうが、民間の兵器企業のロボットを守ることより遥かに重要なことだ。
たとえJAが大破するとしても、パイロットの人命を守ることは、常に最大限の努力をもってして取り組まなければならない。
だが、割り切れない。どうしても、割り切れない。
立ち上がらせるために幾多の汗を流し、徹夜を続け、そしてそれに応えるかのように、
何度も時田たちに奇跡を見せ、人類を救ってきたジェットアローン。
彼を見捨てるなど、いまさらできるわけがない。
「・・・俺は・・・どうすればいい・・・」
もはや時間はない。
JAも、パイロットも助け、さらに使徒を撃破する方法があるとしたら、今にでも見つけなければ手遅れだ。
見上げれば、ジオフロントの外縁部にそって螺旋状に敷設されたレールの上を、リニアがこちらに向かって下ってきている。
これに乗れば、もうNERV内部には戻れない。螺旋を走るリニアトレインが、彼に決断を迫る。
走り去るリニアトレイン。待ち人がいなくなった駅は無人となり、静けさだけが残る。
だが、トレインの中もまた、無人であった。
(うぅ・・・緊張するな・・・)
NERV内部、パイロット待機室。
制服のまま椅子で寝転んでいるシンジは初戦を控え緊張の真っ只中にあった。
(5時半までにケージに行けばいいんだよな、確か・・・それにしても、綾波はどこにいったんだろ・・・)
待機室内にはNERV発令所から送られてくるデータを見るためのモニタがあるが、
今はあわただしく動き回る職員の姿しか映っていない。おそらく監視カメラの映像だろう。
(プラグスーツに着替えるのは5時にして・・・まだ3時間近くある・・・)
待機命令を出されたが、こう退屈だと緊張ばかりが高まってしまう。シンジは時間をもてあましていた。
(ミサトさんはNERV内部にいればいいって言ってたし・・・ちょっと散歩しようかな)
広大な地下空間に建設された大深度地下施設群には、職員のための様々な施設がある。
とりあえず、食堂に向かおうと考えたシンジは、待機室から出て、似たり寄ったりの風貌が並ぶ廊下を歩く。
来た頃は迷ってばかりいたが、今はなんとか目的地まではたどり着けるようになった。
もっとも、未だに行ったことのないブロックや施設も多く、下手に歩き回ればまた迷子だ。慎重に現在位置を確認しながら歩く。
「あれ??」
シンジの視線の先には、見慣れたNERVの制服とは違った服装に身を包んだ男性が一人。
(あれって確か、ジェットアーロンの人だ・・・たしか、時田さん、とかミサトさんが言ってたな・・・)
モニタでしか見たことのない人物だが、確かに時田その人には間違いなさそうである。
よく見れば、壁にかかっている案内板を必死で見つめている。どうやら迷ったようだ。
「あの・・・どうかしましたか?」
急にかけられた声に驚いて振り向く時田。そこには制服を着た男子学生が一人 ――― なんで学生が???
「き、君は・・・その、ここの職員なのかい?」
「え?えぇ、まぁ一応、そうですけど・・・」
思わぬ答えに驚く時田。まさか中学生が職員とは思ってもいなかったのである。
いや、だがNERVは優秀な人間を年齢関係なく集めている組織だ。きっと彼も優秀な能力を持つ少年に違いない。
勝手にそう解釈した時田は、早速この窮地を救ってもらおうとシンジにたずねる。
「道に迷ってしまってね、申し訳ないんだが、発令所まで案内してもらえないかな?」
「発令所って第一発令所ですか?いいですよ」
あっさりと承諾され、安堵する時田。道に迷っている時間などない。
「悪いね、君も何か仕事があるんだろう?」
「いえ、仕事といっても、まだ僕は待機命令なので・・・ちょうど暇だったんです」
やっぱり職員なのか。NERVの常識を疑いつつもシンジについていく時田。
「あの、時田、さん・・・ですよね?」
「そうだが、、、なぜ君は私の名前を?」
「あぁやっぱり!ジェットアーロンを操縦している人ですよね!」
ジェット"アローン"だっ!一瞬そう言い返しそうになるのをこらえる。
「・・・あぁそうだよ」
「僕、ジェットアーロンの戦闘、発令所でずっと見てたんです!この前の第四使徒戦凄かったです!感動しました!」
ちょっと興奮気味に話すシンジ。だが、一方の時田は、シンジが発令所に出入りできる職員だということに愕然としていた。
一体何者なんだ、この少年は。
いくつかのエスカレータを使い、廊下を歩くこと数分、彼らの前に「第一発令所:中央入り口」と書かれた扉が現れる。
「ちょっと待ってくださいね」
そういうとおもむろにポケットからIDカードを取り出し、スロットに通すシンジ。
時田に発行されているIDカードはゲスト用のものだ。当然、ゲストレベルでは発令所には入れない。
シンジがカードを通し終わると、ピッという電子音とともに「ROCK」の赤い字が消える。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「ミサトさ〜ん」
「なにシンちゃん?今アタシ忙しい・・・」
シンジを追い返そうと振り返るミサトが目にしたのは・・・
「と、時田・・・主任?」
そこに立っていたのは、先ほど帰ったはずの日重工所属、時田シロウその人であった。
「こ、ここは部外者立ち入り禁止です。いったい何の用件でしょうか?」
思わぬ来訪者に動揺しつつも、とにかく対応をとるミサト。さっきと言ってることが違ったような気がしたが気にする彼女ではない。
「・・・実は、ヤシマ作戦についてなのですが」
「すでに作戦の準備は整っていると聞きましたが、何か問題でも??」
時田の話に顔が曇るミサト。何事かと端末に向かっていた日向も振り返る。
もしJAに何かトラブルが発生していて初号機の護衛につけないなどということになれば、作戦の変更を余儀なくされるからだ。
「実は・・・JA大破を防ぎつつ、おとり役のエヴァの危険を回避する方法を思いついたのです」
彼の思いもよらなかった一言に、発令所の面々は動きを止めざるを得なかった。
【本編とは関係ないよ】
すいません、最近は、携わっている別のスレでの活動が忙しくてかけませんでした。
今日はこれだけです。後編に入れなかったので、中編ということでお願いします。
今回も誤字脱字あると思いますが、大きなミスはありません。
申し訳ありませんが、小さな誤植に関しては脳内補完お願いします。
次回は、時田が、誰も思いつかないであろう意外な作戦提案をします。
サービス、サービス!
乙
個人的に、チルドレンの順番が変わってたらスレに次いで、良スレだぜ!
このぐらいの熱さがエヴァの新作にもあればいいんだがなぁ…
時田の策が気になる。
エヴァ新作…TVシリーズを4部作にした奴だっけか。
当然JAも出…るかなぁ
時田age
>>486 あまりの電波妄想っぷりに第一章の前半で挫折した。
488 :
JA時田:2006/06/18(日) 05:45:47 ID:???
まったくのナンセンスですなハハハハハッ
私のホームである400%スレを荒らす事をおすすめしますよ
氏ね誘導厨
490 :
JA時田様:2006/06/18(日) 06:41:16 ID:???
同感ですな。最近は私の紛物が多くて困りましたな。これも有名税の一部ですかなハハハハハハッ!!
>>486 どこがJAに関係あるのか小一時間問いつめたい。
>>486 それ、謎・疑問スレでテンプレ警告されてる「悪名高き電波サイト」だよな?
JAのオイルは青かったんだよ!(AA略)
>>486 他のスレでも張ってる椰子だ。うぜぇ
職人町
GJ!!時田さん鈍過ぎwwwwww
「・・・それは一体どういうことでしょうか?」
「つまり、おとり役のエヴァの危険性を限りなく低くし、さらに確実に狙撃する方法を考え付いた、ということです」
一瞬沈黙するミサト。だが。
「残念ながら、すでにヤシマ作戦は先の立案どおり計画が進んでいます。よって、現段階で作戦内容の変更は認めません」
思わず口から出たのは拒絶、否定の言葉。軍人としての的確な判断――そのつもりだった。
一体どんな方法かは分からないが、今の段階で計画の変更をすれば確実に間に合わない。
使徒が本部に到達したら、それこそ迎撃は難しくなる。
そんなミサトを見つめながら、しばしの沈黙ののちに口を開く時田。
「・・・目標の加粒子砲を簡単によける方法を思いついた、と申し上げたら、どうでしょうか?」
「!!!」
使徒の放つ加粒子砲。それは今回の使徒迎撃作戦で最も厄介とされている項目だ。
いや、それ以前にあの長距離加粒子砲さえなければ、わざわざ面倒な狙撃などせず、近接白兵戦を挑んだほうが遥かに早い。
すでに時田の意味するところを知った日向も、ミサトを見つめて判断を待っている。
「・・・今から赤木博士を呼びます。話はそれから聞きましょう」
「では、時田主任、お話いただけますか?」
発令所第一フロアには日向、ミサト、リツコ、そして青葉が集まっていた。
シンジは結局締め出され、また、マヤは狙撃プログラムのチューニングに忙しいため来ていない。
「はい、先ほども申し上げましたが、敵の加粒子砲をほぼ確実によける方法、そして、
JA大破の危険性を冒すことなしに狙撃役のエヴァを守る方法を考え付きました」
日向の端末をかり、立体ディスプレイに簡単な数式を打ち込む。
「これです」
「・・・。これがどうかしたのですか?」
狙撃プログラムの構築を邪魔されて機嫌が悪いリツコは、きつい目で時田にたずねる。
一方、科学にうといミサトはあまりよく分かっていないようだ。
「リツ・・・赤木博士、この数式は一体なんですか?」
「これはローレンツ力の公式――高校で習う初等物理の教科書にすら書いてあるほど単純な公式よ。
それで、時田主任、これが先ほど述べられた方法とどのように関係あるのですか?」
「赤木博士・・・分かりませんか?使徒の放つビームは中性粒子砲ではなく、プラス電荷の加粒子砲。
電荷を帯びている以上、磁場の中に入ればローレンツ力を受け軌道が湾曲することになります」
さらに式を打ち込み、グラフ化させる。そこには緩やかな曲線を描くビームの軌跡のモデルが表示されている。
「はい、それは承知しています。NERVも陽電子砲の軌道が地球磁場によってずれないよう計算はしています。
それに先の使徒の加粒子砲の射撃の精密さから考えらうるに、使徒も磁場等の外的要因を計算して射撃していることが分かっています。
いまさら磁場で加粒子砲を曲げるなどとは・・・」
「私が言いたいことはそういうことではありません。 我 々 が 、磁場を生じさせればよい、ということです」
「しかし、第3新東京市には磁場発生の装置はありませんし、エヴァにもそのような機能はありません」
「・・・葛城作戦部長、何か忘れていませんか?」
「・・・まさか」
「えぇ。我々のJAであればそれが可能なんです」
日向から紙と鉛筆を借りると、JAの腕部の図を描き、ミサトらに説明する。
「JAにはサンダーフィストという・・・いわゆる必殺技があります。第三使徒に使用し撃破、実績のある攻撃手段です」
手首の部分のリングをさらに細かく書いていく時田。
彼の頭の中にはJAのありとあらゆることが、克明に記憶されている。その筆に一抹の迷いも見受けられない。
「両手首にあるリングから超高圧電流を放電し、その状態で張り手を放つというものです。
現時点ではまだ欠点、欠陥も多いですが、JAの最強の攻撃手段といっても過言ではありません」
大電流を流すように設計されている手首の通電リングの部分は、当然ながら電気抵抗がきわめて低い
最高グレードの超伝導ケーブルが使われている。
左右の手首のリングを平行に構えて大電流を流せば、当然、リングの中心を通る方向に大規模な磁場が発生する。
この磁場を使って使徒の加粒子砲の軌道をずらし、回避しようというわけである。
JAがエヴァの替わりにおとりをすれば、わざわざ有人兵器をおとりにする必要がなくなる。
「続けて申し上げますと、これには問題点も少なからずあります。
まず、JAは遠隔操作による無人兵器ですので、人的制御に限界があります。そのため、たとえ高機動モードにしたとしても、
使徒が軌道補正した攻撃を放った場合は咄嗟の判断での回避が難しいということです」
機動性、そして咄嗟の反応による瞬発力さえあれば、おとり役はJAがやってもかまわなかったのだ。
だが、現実、JAは機動性は高いとはいえず、また咄嗟の回避など絶望的だ。
「次に、とうぜん強力な磁場を展開するので、周囲に鉄分を多量に含んだものがあった場合、
あるいは磁場による影響を多大にうけるものがあった場合、第3新東京市の迎撃機能に傷をつける恐れがあります」
ミサト、リツコは、時田の説明を聞きながら、彼の方法の採用でどれだけ勝率が変化するかを自らの頭の中で考えていた。
確かにおとりが零号機というのは不安がある。プロトタイプの零号機が大破すれば、装甲から新作しなければならないこと必死だ。
持たせている日重工製の大型防御盾も使徒の加粒子砲のエネルギーに耐えられるわけではない。
「質問があるわ。あなたの考えだと、おとり役をJAがやってうちの零号機が初号機――狙撃主のことです――の
護衛役につく、ということでいいのかしら?」
ミサトが作戦部長という立場から訪ねる。
「いえ、違います」
時田が答える。
「では初号機の護衛は誰が行う予定ですか?まさか護衛者なしに狙撃をしろとでも?」
「いえ、我が日重工のジェットアローン二号機、通称JA改に防御盾を持たせ、エヴァ初号機を防衛します」
「・・・JA改?!」
NERVの面々も、噂にだけは聞いていた”もう一体のJA”。
本来、日重工がジェットアローンとして設計・建造していた”本物”のジェットアローンという。
だが、度重なる使徒戦により、計画は大幅に遅延し、まだ実戦投入には時間がかかるときいていた。
「そのJA改、・・・本当に動くんですか?」
「・・・正直に申しますと、まだ完成してはいません。ですが、片腕の換装だけなら数時間で終わります。
腕一つあれば我々の防御盾を装備し、エヴァ初号機の防衛任務をこなせると確信しています」
先ほどから続く時田の思わぬ提案にミサトも判断を迷っていた。
確かにプロトタイプの零号機はシンクロ率が低く、機敏な動作は苦手だ。
今回のおとり役も、シンクロ率の高い初号機でなければ、狙撃の際の誤差が致命的になる、という理由から止む無くのことだった。
一方で、おとり役が十分に使徒の注意を引きつけていなければ、狙撃の成功はおろか、初号機の大破すらありうる。
時田の案は合理性の観点から見れば十分採用してもいいものだ。
考えうるリスクも、最悪でJAの二体大破だが、それでも迎撃体制にはエヴァ2体が残る。悪くはない。
「(例え農協ロボ改が作戦開始時刻までに間に合わなくても、零号機が盾を持てばいいはずだし・・・)」
時田はミサトを見つめる。顔はあくまで余裕を装っているが、JAの未来を決める提案だ、内心、拒絶されるのではという不安が大きい。
「・・・どうでしょうか」
「分かりました。今回のヤシマ作戦の第二案として採用します。至急JA改の換装作業を始めてください。
もし万が一、第二案が実行できない場合、我々NERVはあなた方の了承なしに第二案を放棄、初案を実行します。いいですね?」
「かまいません。
――必ず間に合います」
時田の自信に満ちた声が、発令所に響き渡った。
「・・・ヤシマ作戦の内容変更点は以上です。何か問題がある場合には作戦部に連絡を頂戴」
ミサとは館内放送を終えると、早速、日向とJAの走行ルートについて見当を始める。
時田はすでに発令所を後にしており、第二研究室へ急いでいる。
まずはJAのリング部分を磁場が確実に発生できるように調整しなければならない。
―― プルルルルルっ
電話がなる。 赤の受話器ということは守秘回線だ。
「はい、作戦部」
『ミサト?』
「あぁ、リツコ?どうだった?」
『そうね、彼からのデータをもとに計算したところ、あの出力で地面と水平方向に磁場を生じれば、
ほとんどの加粒子砲を避けれることが分かったわ』
「そう、じゃぁ彼らがちゃんと機体の調整してくれれば、第二案でいけるってコトね」
『いいえ、そう簡単ではないわよ。MAGIにシミュレーションさせたけど、やはりJAの反応じゃ厳しいわ」
「なんでよ?ビーム避けられるなら関係ないでしょ?」
時田がいない今、自然としゃべりもフランクになる。だが、しゃべりこそ余裕でも、内心は別だ。
『あなた仮にも作戦部長なんでしょ?もう少し考えなさいよ』
「・・・赤木博士、コトは急を要するわ。可及的速やかに・・・」
『分かったわよ、説明してあげるわ・・・』
「さっすがリツコ、やっさしぃ〜」
『もし使徒が、JAの放つ磁場に気づいて、その軌道を変更したとすれば、加粒子砲はJAではなく、
彼の手前の地面を直撃する事になるはずよ。そうなれば路面は融解、しかも爆風でJAがバランスを崩す可能性だってあるわ』
「・・・なるほど。何とか遮蔽壁で防げないかしら?」
『それを考えるのが貴方の仕事でしょう?今、日向くんのほうにMAGIからデータを送ったわ。
残り時間で何とかあの農協ロボをうまく使う方法を考える事ね』
「わぁってるわよ〜もぉ。なんか釈然としないわぁ」
場所は変わり、NERV総司令官公務室。
相変わらずだだっ広いこの部屋の中央で、冬月は各所から送られてくるヤシマ作戦のデータに目を通していた。
「いいのか?碇」
「冬月・・・お前が勝手に許可を出したのだろう」
「そうか?お前が黙っているから俺はてっきり賛成だと思ってな」
先ほど、ミサトからヤシマ作戦第二案を提案されたときのことである。
内心で、今回の作戦でJAを大破させ、しばらくは使徒迎撃の指揮権をNERVが保有しようと目論んでいたゲンドウは、
JA改という思わぬファクターの出現に、判断のためのしばしの沈黙を要した。が、その間に冬月が許可を出してしまったのである。
「しかし、あれだな、彼らは疲れというものを知らないのか」
「・・・・・・」
「二週間前の加持君からの報告書では、まだ装甲すら装備していない状態だと聞いていたが」
「・・・・・・ふゆつき」
「しかし、JA二体とエヴァ二体、計四対のロボットによる迎撃戦、俺が子供のころに見ていたアニメよりも派手だな」
「・・・・・・冬月」
「ましてや相手は難攻不落の未知の生命体。映画化決定だな」
「冬月」
「なんだ?」
「確信犯という言葉を知っているか?」
「お前の言わんとすることは分かるが、碇、それは謝った用法だ」
「・・・さすが冬月先生、文学部にでも転向なさったらどうですか・・・」
「棒読みではいかんぞ、碇」
ゲンドウを相手どり、からかいながら時間をつぶす冬月。
「冬月・・・ちょっと出かける。しばらく頼む」
「そうか、まぁ任せておけ。お前の椅子、借りるぞ」
ついに嫌気がさしたのだろうか、ゲンドウは廊下に続く扉へと向かう。
今まで立っていた冬月は、持ち主のいなくなった椅子へ飄々と腰をおろす。
「・・・さて。彼は、・・・彼らは何を見せてくれるかな」
先ほどまで夕日の差し込んでいた公務室も、徐々に暗闇に支配され始める。
すでに作戦開始時刻まで6時間をきろうとしていた。
【本編とは関係ないよ】
前回大きなミスはないと言っていたら、非常に大きなミスがありました
>>478 六行目
(5時半までにケージに行けばいいんだよな、〜
→(7時半までにケージに行けばいいんだよな、〜
十一行目
(プラグスーツに着替えるのは5時にして・・・まだ3時間近くある・・・)
→(プラグスーツに着替えるのは7時にして・・・まだ2時間近くある・・・)
時間軸が本編とやや違う(少しばかり後ろにずれている)設定ですので、上記が正しい時間となります。
じゃないとちょっとヘンな事になりますし、時田がミサトに提言できないww
>>473 そうです、ARMSは好きでした。あの台詞だけで分かるとはさすがです。
ARMSも科学的、宗教的な要素が入り混じっていて、何度も読み返してました。
次回、後編その2、完結するかどうかは分かりませんが、ヤシマ作戦、いよいよ正念場へ。
映画化決定で不覚にも噴いたw
すげぇ〜文系だったからよう分からんが、磁場って磁石のやつ?
誰か馬鹿な俺に説明してください><分かりません><;
そして職人とにかくGJだ!
>>503 GJです、毎回熱い展開にwktkしてますw
ああ…何か見覚えがあると思ったらこの作戦、魔獣vs帽子y(ry
507 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/06/21(水) 15:46:19 ID:eHXXlDzk
KWSK
>>507 >>506のことか?ARMSっつー漫画で、主人公が荷電粒子砲を超電磁砲に使う電磁力で逸らしただけなんだが。
それ以上の繋がりはない(と思う)し、あってもお前は本当にそれを知りたいのかと小一時間問い詰めたい。
せっかくなのに展開が読めちゃあアレじゃないか。
でもARMSおもろいよな。
ジャバウォックのデザインが凶悪で好きだった。
おー、あれかー
初号機…ジャバウォック
零号機…ハートの女王
弐号機…騎士
参号機…
四号機…白兎
実家のパソコン見れば参号機分も判明するだろうが、とにかくコレでSS書いてみようと思ったことはある。
割りとおもろそうだな。参号機はグリフォン(だっけ?)だろ。
で、リリスがハンプティダンプティ、アダムがアザゼル。
職人頑張ってくれー
エヴァゲースレでも何か凄いのやってるみたいだが、こっちも頼むぜ!
>>512 リリスはバンダースナッチだろ?シンジ最大の見せ場だ。
他にもイロウル戦で和解するシンジと初号機、アルミサエル戦で覚醒する弐号機等々…
アルミサエル戦で覚醒ってナイトっていつ覚醒したっけ?
>>514 グリフォン戦。「傷つけるためじゃなく、護るために戦う」事が引き金だったからな。
お前らスレ違いだろ。俺もARMSは知ってるが。
職人今日は来なかったかぁ…
おとなしく職人町
大深度施設内のある一角。そこで綾波レイは時間をつぶしていた。
ゲンドウが声をかける。
「レイ・・・・・・ここにいたのか」
「・・・はい」
「調子はどうだ」
「・・・問題ありません」
「そうか」
二人の間に流れる沈黙。
「・・・碇司令、今回の作戦には私は参加しなくて良いのですか?」
「葛城君の放送を聞いたか・・・。そうだ、おとりはあのロボットがやる」
「・・・私ではダメなのですか?」
「そういうわけではない」
困惑――彼女が抱いた感情。
「・・・碇くんを、守らなくても良いのですか」
「・・・あの命令は――」
ゲンドウが言葉に詰まりかける。が、そのとき。
――ピピピッ ピピピッ
ポケットの小型端末がなる。
「なんだ、冬月」
『碇、葛城君がまた来ている。作戦について、一部修正案があるそうだ』
「お前が対応しろ」
『待て、葛城君は零号機とレイの出撃を希望している』
「・・・。わかった。今行く」
この数分前。第一発令所内。
「んなぁによぉ!どうしてダメなわけぇ!?」
「・・・葛城さん、キーボードたたくのやめてくださいよ。キーが外れて・・・」
そう言ってる間に、F21と印字されたキープレートが床に転がる。
「ちょっとMAGI逝かれてるんじゃないの!?」
「そんなことないですってば」
ミサトたちが揉めているのは、JAのおとりのための走行ルートだ。
第3新東京市内の兵装ビルの間をジグザグに走り、敵の加粒子砲を避ける。
遮蔽壁が出せる地点でビームやその爆風を避けつつ方向転換し、南から北西ブロックまで走りぬけ、
初号機の狙撃時間90秒を稼ぐ予定であった。だが。
「どうしても北東ブロックのこの直線、難しいですね」
そう、あらゆるルートを試してみたが、どうしてもある直線区間を遮蔽物なしで走りきらねばならず、
その間に敵の加粒子砲が命中、あるいは誤爆による爆風でJAは吹っ飛んでしまう。
加粒子砲の歪曲は、磁場によってJA上方にそらされる事になっている。
つまり、ちょうど正面からビームが来た場合、JA頭部の上空をビームが通過する想定だ。
が、敵が補正して加粒子砲を打ち出した場合、それを考慮してJAの足元を狙って撃ってくるとMAGIは計算したのだ。
とりあえず南ブロックから北東ブロックまでは、磁場歪曲や遮蔽壁で何とかなるが、その後の直線がどうしても難しい。
「かぁといって、農協ロボに水あげて高機動モードにするわけにはいかないし・・・」
「どうするんです、葛城さん。初案に戻したほうがいいんじゃ・・・」
「それじゃぁNERVのプライドがぼろぼろじゃないっ!いい、あいつらは二度も自力で勝利してんのよ。
専門組織のNERVが出来なくてどーすんのよ!」
思わぬ壁にぶつかったミサトは、やり場のない苛立ちを日向にぶつけている。上司失格である。
「だいたい、農協ロボは咄嗟の判断が出来ないくせに今まで勝ってきたなんておかしいのよ!」
「これで、あと少し機動力があって、回避行動できれば完璧ですからね。赤木博士に相談したらどうです?」
「無理よ、二度もアタシのお願い聞いてくれるほど優しくないもん、リツコは。親友なのに」
「困りましたね・・・もう時間がありませんよ。JAがATフィールドを展開できたらよかったんですが」
「そうよ!ATフィールドなしに使徒に勝つなんてルール違反だわ。エヴァがJAに乗っかって出撃を・・・」
そこまで言って、ミサトは言葉を止める。日向がそのわけを尋ねようとしたとき・・・
「そうよ!その手があったじゃない!」
再三、赤木博士へのコールがなることとなった。
【本編とは関係ないよ】
すいません、最近なぜか専ブラがフリーズしてばかりで書き込めませんでした。
そして、あんまり熱くない上にどうでもいいことgdgd書いてすいません。
ヤシマ作戦、最終立案、次回完成。あと2回程度でラミエルやっつけます。たぶん。
もち、JA大活躍の方針で。
>>506-515 ARMSネタ盛り上がってますね。
台詞は確かにインスパイア・・・ですが、電磁場で荷電粒子砲避けるのは偶然の一致です。
これは前から考えていたことなので。JAならではのラミエル戦として。
ARMSとクロスさせるFF、もしあったら読んでみたいな。
>>512 何人か気づいた方もいるようですが。
言い訳になってしまいますが、今ちょっとそっちのほう大詰め?なので、
ちょっと書くペースが落ちてしまっています。すんません。
そっちにも遊びに来ていただければ幸いです。
初めてリアルタイムで見ますた。大変でしょうが頑張ってください。
うほっGJ
第3新東京市を覆う空が、赤から深紫へと変わりつつある頃。
「電気系統、最終チェック、完了」「走行制御プログラム、チェック完了」
「N2リアクター安全装置確認完了」・・・・・・
第二研究所では、JA1の最終調整が行われていた。
すでに腕部、サンダーフィストの機構の改造は終わり、まるで胸の前で祈っているかのように手が組まれている。
「手を固定した分の制御プログラムの書き換え、思いのほか早く終わりましたね、主任」
「あぁ・・・どうにか、いけそうだな」
時田と加藤はいつもと雰囲気の違うJAを見上げる。人工的明かりに照らされるその姿は、昼間の印象とは随分違う。
胸部では、換装されて真新しい装甲が、大型LED灯が放つ光を鈍く反射している。
「すでにJA改は第一を出発、まもなく須雲川付近に降下するそうです」
「おい、加藤、第一の連中はまだ未完成のJA改を、輸送機からそのまま直接降下させる気なのか?」
「いえ、何でも事前に開発していた緊急大型パラシュートを使ってだそうです」
「・・・いつの間にそんなものを・・・」
ほとほと第一研究所の方針には呆れてしまう。とは言っても、時田がジェットアローン開発推進部主任として、
第一研究所にいた頃から、彼らのJAに対する熱意はクレイジーの域であったから、さほど驚きはしない。
今や前線として活躍する第二研究所にも第一から多くの人員が異動してきているが、未だに第一のマンパワーには叶わない。
JA一号機があれほど驚異的スピードで保守修復ができたのも、彼らの熱意もあってからこそだ。
しかし、一体どうやってパラシュートを作る予算を確保したのだろうか。
時田はあえてその疑問には目を瞑ることにした。主任だからこそ、知らないほうがいいこともある。
「とりあえず、自分たちも移動始めましょうか?」
「そうだな。NERVから通達された時間も近いな。よし、JA起動準備だ!」
使徒に補足されないよう明かりを消し、箱根山を影にして迂回する形で双子山へ向かうJA一号機。
時田たちも後ろからヘリで追従する。
「・・・見えてきましたね」
「・・・すごい明かりの数だな」
道を埋め尽くすおびただしい数の変電車両、送電車両の数々。這わされた電源ケーブルの数、太さは数え切れない。
大型重機が巨大なパーツを路上に積み上げ、その合間をNERV、戦自研の技術者たちが走り回っている。
双子山、そして駒ケ岳の影になっているおかげで使徒からは見えないのだろうが、それでも
作戦がバレてしまいそうなほどに、現場は熱気と活気に満ちている。
そのまま強羅管制室からの制御信号により、山のふもとに体育すわりをするJA一号機。
手を組んだまま膝をよせて座る姿は滑稽だったのだが、それすら技術者たちは目に入れる余裕がない。
時田たちがヘリを降りると、彼らに向かってくる二つの影があった。
「JA一号機、運搬ご苦労様です。時田主任、加藤副主任」
「いえ、こんなことは苦労のうちには入りませんよ、葛城作戦部長、赤木博士」
「それもそうですね。あちらに指揮車両があるので、そこまでご案内します」
変電機が設置されている道路より少し離れたところに停車している14式大型移動指揮車。
電磁波遮断素材で覆われた内部は、端末で囲まれていることもあってかなり狭い。
「実は時田主任、通達していたヤシマ作戦ですが、第二案より若干修正があります」
「・・・!?」
作戦修正など連絡を受けていない。それを言及しようとすると。
「先ほど第二研究所に連絡しましたが、こちらに移動中ということでしたので」
とってつけたようにミサトは言葉を付け加える。
真っ当なことを言っているようだが、ようは中継して伝えるのが面倒だっただけだ。
「まず、JA側の作戦行動には大きな変更はありません」
言葉を続けるミサト。その脇ではリツコが端末をたたいている。
「修正内容として、おとり役として、我々NERVのエヴァ零号機も出撃します」
「…!! エヴァも出撃ですか!?」
「そうです。JA一号機の後方を追尾する形でおとり役を務めます」
――JAと違いエヴァは有人兵器。。。
あそこまで時田を悩ませ、JAのおとり役を決定付けた零号機の出撃有無を、いまさら変更したのだ。
急に頭に血が上る。
「しかしっ!それではまるでJAをわざわざ出す意味が!有人兵器をおとりなど・・・」
「それにはちゃんと理由があります!」
彼の言葉をさえぎるように発言するミサト。だてに作戦部長の任をこなしているわけではない。
「まず、聞いてください」
ミサトの冷静な声を聞き、一気に平常心を取り戻す時田。冷静さをかけた自分を恥じる。
「貴方方が提案された第二案を元に、NERVでは、おとりとして走行するルートを熟考していました。
これが、当初の走行ルートです」
右手のディスプレイに第3新東京市の詳細図が映し出される。
「赤木博士、お願いします」
端末に向かっていたリツコが顔を上げ、ミサトの説明を引き継ぐ。
「MAGIによる戦術シミュレーションを実行したところ、北東ブロックのB-15から18までを走りきる際、
使徒の加粒子砲による攻撃を受ける可能性が95.8%、加えてJAの磁場による回避不能の可能性が提示されました」
画面には「Expected direction(敵予想攻撃方向)」と表示され、直線の軌跡が引かれていく。
「JAの磁場による加粒子砲回避に使徒が気づいた場合、あるいは敵が誤射した場合、
78.3%の確率で、JAの足元に加粒子砲は命中、その際に爆風によってJAが倒れる可能性は99.9%です」
「この場合、JAは大破、また目標がこちらに攻撃、あるいは反撃をするのは間違いありません」
「さらに、盾についてですが、MAGIは、最短で17秒、運がよくとも、もって25秒で融解すると解を提示しました」
「NERVと戦自のくみ上げた陽電子砲は初発まで最低70秒、二発目までに20秒はかかります。
つまり、もし万が一、貴方方のJA一号機が大破した場合、JA二号機、さらにエヴァ初号機すら大破する恐れがあるのです」
「・・・・・・」「・・・・・・」
時田と加藤は黙って聞いていた。予想以上にシビアな戦いだということを実感させられる。
JAの二体同時大破。これはなんとしてでも避けたい事態である。
「そこで、エヴァ零号機をJA一号機に追従させることを作戦部として提案しました。
幸い、エヴァのATフィールドは加粒子砲こそ貫かれますが、爆風程度では破れるものではありません」
先ほどの第3新東京市の詳細図の上に、JAの走行ルートを現す赤い軌跡を沿うように青い軌跡が描かれる。
「このルートで走り出し、直線区間で攻撃を受けた場合、JAの磁場発生と同時にATフィールドを展開させれば、
被害を最小限に抑える事が出来ます。直線区間を走行後はエヴァ零号機は回収スポットにより地下へ回収、
JA一号機はそのままおとりとして走行を続けさせます。あとは初案どおり、全てのルートをおとりが走りきる前に
陽電子砲によって狙撃、使徒を撃破します」
「MAGIの結果は・・・?」
時田が尋ねると、正面モニタに大きく数字が映る。
「25.41%――――これが、ベストな方法です」
初案で出された勝算は8.7%。それを考えれば随分と高い数値である。
零号機が出撃するのは、実質、使徒の攻撃を受ける可能性のある直線区間だけだ。
それもJAへの爆風を防ぐためのATフィールド展開役としてである。
スタイリッシュでもない。あるいは、トレンディーでもない。だが、これが今あるうちの、最もスマートなやり方だ。
「・・・分かりました。それで行きましょう、葛城部長」
「ご理解が早くて助かります、主任」
もとより作戦指揮権、戦略指揮権はNERV作戦部にある。もし従わなければ、超法規的権利の元でジェットアローンと
その制御権はNERVに徴収される可能性だってあるのだ。JAが二体とも無事なままに作戦を遂行できるなら、それに越した事は・・・
そこまで考えて、ふと、時田の顔には皮肉な笑みが浮かんでしまう。
――結局、俺はJAのことしか考えてないんだな・・・
その表情を見て見ぬフリをし、そのまま話を続けるミサト。
「まもなくこちらにパイロットとエヴァが到着します。隣にもう一台、簡易指揮車両を用意させましたので、
そちらで待機していてください。急ごしらえの車両ですが、日重工にもちゃんとつながるはずです」
「・・・あ、はい、分かりました」
時田もようやく現実に戻る。どうもJAのこととなると、頭がいっぱいになってしまうらしい。
「ほかに本作戦について疑問点等ありますか?」
「いえ、特には」
「それでは、よろしくお願いします」
―――ポッポッ ピーっ
時報が午後7時を伝える。あたりはもう暗い。 ――ヤシマ作戦開始まで残り5時間。
【本編とは関係ないよ】
おはようございます。昨夜投下しましたが、ものすごい間違いに気づきました。
ていうか、半分寝ぼけてました。
J A 一 号 機 を 双 子 山 に 向 か わ せ て ど う す る ん だ
・・・。 orz かなりしくじりました。
双子山に向かうのはパラシュートで降下するJA二号機です。
JA一号機は第二研究所ハンガーで待機でした。すんません。
以下、訂正分です。
>>524訂正
使徒に補足されないよう明かりを消し、箱根山を影にして迂回する形で双子山へ向かう時田たちのヘリ。
「・・・見えてきましたね」
「・・・すごい明かりの数だな」
道を埋め尽くすおびただしい数の変電車両、送電車両の数々。這わされた電源ケーブルの数、太さは数え切れない。
大型重機が巨大なパーツを路上に積み上げ、その合間をNERV、戦自研の技術者たちが走り回っている。
双子山、そして駒ケ岳の影になっているおかげで使徒からは見えないのだろうが、それでも
作戦がバレてしまいそうなほどに、現場は熱気と活気に満ちている。
時田たちがヘリを降りると、彼らに向かってくる二つの影があった。
「JAの調整が終了したそうですね。ご苦労様です、時田主任、加藤副主任」
「いえ、あんなことは苦労のうちには入りませんよ、葛城作戦部長、赤木博士」
「それもそうですね。あちらに指揮車両があるので、そこまでご案内します」
変電機が設置されている道路より少し離れたところに停車している14式大型移動指揮車。
電磁波遮断素材で覆われた内部は、端末で囲まれていることもあってかなり狭い。
「実は時田主任、通達していたヤシマ作戦ですが、第二案より若干修正があります」
「・・・!?」
作戦修正など連絡を受けていない。それを言及しようとすると。
「先ほど第二研究所に連絡しましたが、こちらに移動中ということでしたので」
とってつけたようにミサトは言葉を付け加える。
真っ当なことを言っているようだが、ようは中継して伝えるのが面倒だっただけだ。
職人さん乙です。
実は零号機をお姫様抱っこしながら駆け抜けるJA一号機を期待していましたw
んなこたぁない
現実の事なんか考え出したらエヴァの設定そものだって変な部分たくさんあるじゃん
細かいことは気にせずに雰囲気を楽しむだけいいんだよ
双子山はすごい光景だったんだろうな。
職人さんの文に興奮すた
保守
職人学生説浮上?というわけで保守
「ケンスケ、お前の親父さんの話、本当なんやろなぁ?」
「間違いないね。パパのデータをちょろまかして見たんだ。今日の今日の七時半、R-20さ」
第3新東京市外れの山間、第壱中学校屋上。少年達はエヴァを一目見ようと集まっていた。
あたりはもう暗く、彼らの明かりとなるのはケンスケが持っているカンテラだけだ。
「それにしてもエヴァっちゅーのは、あのごついロボとは違うんやろ?」
「そうさ。あれは日本重化学共同体のジェットアローン。NERVの主力ロボットはあんなもんじゃないらしいぞ」
「ほな言うても、あのじぇっとなんとかでちゃんとバケモン倒してるんやろ?」
「まぁね。でもかなり苦戦を強いられてるらしい。今までNERVがエヴァを出さなかったのは秘密兵器だからさ。それも超強力なね」
「それにしても、えらい遅いのぉ。わいら避難してないのバレたらタダじゃすまんぞ」
と、そのとき。
―――ビィ ビィ ビィ ……グゥゥゥゥゥゥゥゥン ガシャン!
「や、山が割れおった!」
山間の射出口から現れた深紫の影が一つ。手には逆三角形状の大きな盾を持っている。
「エヴァンゲリオンだぁ!」
少年達が歓喜の声を上げる。
「かっけぇぇぇ!」「なんだあの盾!」「すげぇよ、エヴァすげぇ!」
「エヴァンゲリオン初号機、NERVの主力決戦兵器だよ!」
ケンスケがビデオカメラ片手に解説を入れる。
「あのじぇっとなんとかっつーのとはえらい違うのう。なんつーか・・・」
「そう、なんといってもエヴァはかっこいい!」
少年達の羨望のまなざしを受けながら、夜の闇の中を歩いていく初号機。
「それにしても、あんなにカッコいいんだったら、碇のやつも無理やりにでも連れてくればよかったなぁ」
「しゃぁないやろ?センセは病院行くゆうてたんやし」
ミサトの口止めにより、彼、碇シンジがパイロットであることはまだ知られていない。
一方、双子山。
―――ヒュルゥゥゥゥン ・ ・ ・ ・ ・ バサっ!
「時田主任、JA-2切り離し完了したそうです。現在、パラシュート展開、降下中。
予定通り須雲川に着地後、セーフモードで起動予定だそうです」
「セーフモードだって?」
「なんでも新しくつけたそうですよ。昔のOSへのオマージュで、起動と安定最優先のモードらしいんですが」
「・・・・・・」
かつて自分も第一研究所でもまれていたが、果たしてその時の自分にここまでの発想力があったか。
わずかながら、自分の発想の弱さを反省する時田。JAのような大型ロボに必要とされるのは何も技術力だけではない。
―――ピピ
『時田主任、エヴァとパイロットが到着しました。NERV指揮車両前で作戦の最終確認を行います。至急お越しください』
スピーカーからNERVオペレータの声が聞こえてくる。いよいよエヴァ、JAがそろって作戦に臨むときがやってきたのだ。
「パイロットも一緒に作戦確認するんですよね?」
「だろうな」
「じゃ、いよいよエヴァのパイロットとも顔合わせ、ということでしょうか。どんな人なんでしょうね、一体」
「あぁ、何もかもが謎だったからな。エヴァンゲリオンは」
汎用人型決戦兵器、エヴァンゲリオン―――まだ時田は、諜報資料と、先のJA救出の際にしかその姿を見たことがない。
誰が、どのように操縦しているのか、そして、どのような原理で動いているのか。本当にATフィールドを展開できるのか。
同じ大型ロボットを作る技術者として、エヴァに対する科学的興味もつきない。
指揮車両前には、ホワイトボードが置いてあり、リツコとミサトが何かを話し合っている。
「葛城作戦部長、ただいま到着しました」
時田と加藤が軽く敬礼をする。
「いえ、貴方方は軍隊ではありませんから、敬礼は不要です。今までどおり、楽にしてかまいません」
「ご配慮ありがとうございます」
「それより、JA二号機がこちらに到着したようですね」
「えぇ、今起動に入っています。まもなくこちらに移動する予定です」
「そうですか。では、時間がないですので、ヤシマ作戦の最終確認を行いたいと思います」
時田や加藤のほか、戦自の責任者、NERVの技術課長たちが集まる。
「まず、NERV職員には不要ですが、パイロットの紹介をしたいと思います。シンジくん、レイ出てきなさい」
指揮車両の隣の車両から、やや華奢な影が二つ。まるで子供のような・・・
子供??
時田たちの目に飛び込んできたのは、ぴっちりとしたウエットスーツのようなものを着込んだ二人の少年少女であった。
そして。
「き、君は・・・あの時のっ・・・!?」
「あ、時田さん、お久しぶりです」
ぺコンと頭を下げるシンジ。思わぬ人物の登場に驚きを隠せない時田だが、間髪いれず、ミサトは説明を続ける。
「彼ら二人がエヴァを操縦します。狙撃担当は初号機専属パイロット、碇シンジ、おとり役担当は零号機専属パイロット、綾波レイです」
まさかパイロットが、この少年少女たちとは思っていなかった二人。一瞬混乱する。
「ちょ、ちょっと待ってください。彼らが、この子たちがエヴァに乗るんですか??」
「そうです。彼らはNERVの正式な職員であり、専属パイロットです」
「しかし、こんな危ない役、おとり役には女の子を出すなんて、狂気の沙汰だ!一体、NERVは何を考えているんですか!」
「お言葉ですが、彼らはこのような作戦のために幾度となく訓練を行ってきました。また、彼らでなければエヴァは動きません」
「動かないってそんな・・・じゃぁ、子供じゃないと動かせない兵器だってーいうんですか、エヴァンゲリオンは!?」
予想していたことではあるが、二人の反論はしつこい。
当初、ミサトはパイロットの詳細を明かさないつもりでいた。だが、リツコから、後でバレて反感をもたれる前に今回で納得させておくべきだ、
という助言があったので、日重工の二人に明かすことにしたのである。
今後も共同作戦があることは確かだろうし、そのほうが楽だろうとミサトは考えたのだ。
「それにつきましては、守秘事項のため、貴方方に申し上げる事は出来ません。
ですが、今回の作戦に関しては、いかなる事象があろうと、彼らがパイロットを務めます」
きっぱり言い切るミサト。彼女の目は本気だ。
それを見て仕方なしに黙る二人。腑には落ちないが、ここで言い合っていてもしょうがないと判断したからだ。
「作戦の確認を続けます。午後12時、つまり明朝午前0時ジャストに作戦スタートです。
0時0分10秒に陽電子砲に電力供給開始、起動させます。
同時刻、JAは南東より第3新東京市Cブロックに侵入、目標に距離1000まで接近。
その後、40秒間、先に指定したルートを、腕部の磁場発生装置より磁場を展開しつつ走行。
ここまでで、何かありますか?」
「いえ、特に問題はないと思います」
「0時0分50秒、B-15から西へ方向転換、同時にエヴァ零号機射出。二体併走でB-18まで走行。
B-19の回収ポイントで零号機は緊急回収します。その間、0時1分20秒、陽電子砲発射、目標を殲滅予定です」
「第一射が失敗した場合は・・・?」
「第一射が外れた場合、再装填まで20秒かかりますので、JAに、B-18から、これも先に指定したルートを
A-17まで走行させ、おとり役を続行してください。補足ですが、目標が反撃してきた場合には、予定通り、
JA二号機に防御盾による狙撃主防衛をさせます。計算上では目標の攻撃にも24秒までは持つ予定です」
「24秒、か・・・・・・」
たかがというべきか、されどというべきか。失敗したときのチャンスは24秒。
目標が果たしてどれだけ連射できるのか、あるいはどのぐらいの長時間の射撃が可能なのかといったことは、まだ不明だ。
近接戦闘に比べれば圧倒的に成功する可能性は高いとはいえ、未知数が多すぎる。
だが、なんとしてでも成功させなければならない。
そうでなければ、子供達が危ない―――。
「主任、いいんですか!?あの女の子、まだ中学生ですよ!そんな子を戦場に出すなんて・・・!」
ミーティング直後、加藤は早速時田に食って掛かる。
「自分はもう一度NERVにエヴァ零号機の出撃を中止することを要請してきますよ。あれじゃ酷すぎる!」
加藤の憤りは最もだと思う。だが、熱くなるわけにはいかない―――それは使徒戦の間に時田が学んだ、一つのルールであった。
「加藤、待て」
「主任!」
「お前の気持ちは分かる。だが、俺達にはどうにもできない・・・。あれが、ベストな方法なんだ」
「ですが!」
「・・・何のためのJAだ?」
「え?」
唐突な問いに返答の言葉もない加藤。
「確かに危険はある。だが、今後使徒が攻め続けてくる以上、彼らがエヴァのパイロットである限り、
彼らが危険にさらされるのは間違いない・・・・・・。
だが、もし彼らを出さず、今回たとえ俺達だけで作戦を成功させたとしても、次回はそうとは限らないだろう」
「・・・」
「だからこそ、無人兵器のジェットアローンを設計したはずだ。誰も犠牲が出ないように、な」
「そう・・・でしたね」
「そうだ。守ることが、JAの本当の目的だ。だから、俺達は全力であの子たちの乗るエヴァを守らなければならない」
まるで自分に言い聞かせるかのように語る時田。内心のNERVへの憤りを沈めるかのように、彼の言葉は、重く、強い。
「戦うことは、手段でしかない。だが、だからこそ負けられない。近接戦闘が望めない以上、俺達の今回の任務は、
最初から何も変わってないんだ。エヴァを護衛し、目標を殲滅。――それしかない。」
「・・・分かりました」
ちょうど二人は簡易指揮車両の前までたどり着く。遠くには、片腕のJA二号機の姿とエヴァ初号機の姿がある。
「・・・・絶対に、エヴァ零号機が敵の攻撃にさらされるようなことがあってはならないんだ。いいな」
――ヤシマ作戦開始まで残り240分。
決戦の時は、近い。
乙です。
しかし片腕のJA二号機で、一号機を吹っ飛ばす程の威力の加粒子砲を耐えきれるのか心配だ。
気づかぬうちに投下されてた
職人さん乙!
時田関連の糞スレと思いきや、メカ燃えの分かる良スレであった。
GJ
199-200氏、乙。522-524氏もあなたも、ホント面白い文書けるんだなぁ…。
>>547 前スレは多分コテの方より先だぞ。つーかエヴァ板の住人って前からあんな厨くさかったっけか?
>>548 そうだな、よく見たら思ってたより古いスレだった。
やつは最近だもんな。
かなり続きが気になる。
>>549 まあ、古いってほど古くはないがな…エヴァ板的には。
確か「山岸マユミの相談室」なんか、単発スレなのに数年間続いてたし。
このスレの時田は真面目で真摯で、でも熱く人望のある人物に感じた。
多分本編の時田もそうなんじゃないかと思う。あんな男だったし。
アホみたいに馬鹿真面目な姿勢こそが、読み手の燃えを誘発させるよ。
職人GJ
『敵シールド、第17装甲板を突破!本部到達まで、あと3時間55分!』
『ハブ変圧システム、問題なし』『四国及び九州エリアの通電完了』『各冷却システムは試運転に入ってください』
双子山にアナウンスが響き渡る。いよいよ作戦に向けての最終段階に突入しようとしていた。
『戦自研開発、エヴァ専用改造用電子砲FX-1、配置完了』『ジェットアローン二号機、予定位置で待機』
「シンジくん、作戦はさっき言った通り。本作戦では、あなたは狙撃主、今回の作戦成功の鍵を握るわ」
「で、でも、ミサトさん、こんなのやったことないですよ・・・」
「大丈夫、インダクションモードでMAGIが誘導するわ」
「けど・・・」
ミサトの話に不安を隠しきれないシンジ。エヴァによる実戦は今回が初であり、そのうえ想定していた近接戦闘ではなく、
訓練も皆無な狙撃による殲滅作戦なのだ。無理もない。
「いい、シンジくん。陽電子は、地球の自転、磁場、重力の影響を受けて直進しないわ。そのためにも精度の高いオペレーションが必要なのよ」
「そう、リツコの言うとおり、初の実戦だからこそ、シンクロ率の高い初号機が砲主を担当する必要があるのよ」
「分かりました。でも・・・綾波は、その、本当におとりなんですか?」
「えぇ。作戦を成功するためにはやむをえないわ」
「けど・・・」
自分とて安全ではないが、それでもおとり役に比べれば断然リスクはない。だが、おとり役はその逆だ。
自分が同じ年の女子を差し置いて、安全な役を担当する事に、シンジもいささか抵抗がある。
「シンジくんの言いたい事は分かるわ。大丈夫、零号機が担当するのは、距離としては僅かだし、JAも併走して敵の攻撃を防御するわ。
それにエヴァにはATフィールドがあるもの」
「・・・分かりました」
使徒の加粒子砲は、今の零号機のATフィールドごときでは防ぎきれるものではないことを、シンジもミサトも理解している。
だが、あくまで今回の作戦は、確実かつ精密に目標のコア一点を狙撃すること。
そのためにおとりが必要なことを、そしてそのおとりを確実におとり役としてたらしめるために、零号機が必要なこと。
シンジの心の中では分かっていても割り切れないものが残った。
午後11時。
『目標、第20装甲板を突破!』
「青葉くん、お願い」『はい!』
指示車両からNERV本部へ指示を出す。いつもは影の薄い彼だが、仕事は確実にこなす人物だ。
『これより国内の全電力ラインの通電を切り替えます。3,2,1…切り替え開始!』
彼の掛け声とともに消えていく第3新東京市の明かり。
いや、其処に限らず、日本中の明かりが、まるで湖に小石を投げ入れたかのように、波紋のごとく消えていく。
『東海地方、完了』『関東、中部地方完了!』『四国、中国、九州までのラインに予想より1%のロスが発生、誤差修正内』
『東北、北海道まで通電完了、異常なし』『全エリア接続確認、通電よし!今のところ問題ありません』
ほっと胸をなでおろす一同。
「続いて、JA、JA2の起動お願いします」
『了解しました』
時田にも命が下る。彼も早速第二研究所主管制室へと連絡をとる。
「JA2、セーフモードで起動開始!JAは通常モードで起動、その後作戦開始位置まで移動せよ!」
双子山狙撃地点近くで、体育すわりをしていたJA2が、ゆっくりとうなりをあげ始める。
まだ片腕がなく未完成部分が多いとはいえ、新型N2リアクターの動作は完璧だ。
『JA、起動完了、作戦定位置にて到達、以後待機します』
『JA2、起動完了、出力72%、熱量150で安定』
「・・・分かった。作戦開始時刻まで待機してくれ」
僅かに時田の顔が引きつる。それもそうだ。JA2のセーフモードでの熱量が150という数字。
JAの通常モードでの熱量を100としているのだから、単純に考えて、セーフモードですら1.5倍の出力を保持している事になる。
確か自分がJA2を設計した段階では、通常モードで150のはずだった。どうやら第一研究所での改良が思いのほか有効だったらしい。
「これなら・・・おそらくJA2の通常モードは、JA1の高機動モードに匹敵する出力になるな」
思わず独りつぶやいてしまい、ばつの悪さに苦笑いをする時田。
幸いにも加藤は車両内モニタに映し出されるJA2の資料を読んでいるようで、時田の独り言は聞こえなかったようだ。
手に持つコーヒーを飲もうとすると、加藤から声がかかる。
「主任、まもなく作戦開始時刻ですよ」
「分かってる」
「見てくださいよ」
モニタの一つには、陽電子砲の置かれている現場が映っている。
腹ばいになり、陽電子砲を構えるエヴァ初号機。そしてその右隣で、防御盾を片手でもち、片膝立ての状態で構えているJA2。
「ものすごい絵になりますよね」
「・・・分かってる」
まもなく、時刻は作戦開始時刻を迎えようとしていた。
すまない、言わせてくれ。
あまりの高揚感にちんこ立った。
>>555 あんたまだオナ禁してんでしょ?!だったらしっかり抜いて、それから読みなさい!!
557 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/07(金) 04:44:01 ID:jx2tSBPg
お気に入りに入れた俺がきましたよ。
あげるなよ…
職人乙。
よくまぁここまで中身を濃く書くな。関心するわ。
期待してるけど息切れしない程度に頑張ってくれ。
職人さん乙です。
一言だけ言わせて下さい。
あなたはネ申です。
星湯
時田「天元突破あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
保守
563 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/16(日) 08:17:44 ID:32nZUBgU
199-200です。携帯から失礼します。
屋島作戦直前で中断して申し訳ありません。今リアルでちょっと忙しいのですが、もうしばらくしたら復帰します。
保守すいません。
565 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/19(水) 19:56:02 ID:3a+J92vK
保守
――グゥゥゥン グゥゥン
いつも聞こえる夜夏の虫の音にかわり、双子山から聞こえてくるのは、特殊電気車両群の放つくぐもった低音だけだ。
すでに技術者たちの影はなく、さきほどまで地面を照らしていた大型LED灯も、明かりを落としてすっかり暗闇に溶け込んでいる。
『…まもなく午前零時零分、零秒をお知らせします』
その暗闇に混ざって大きな影が二つ。
ひとつからは水蒸気の吐出音が聞こえ、ひとつからは特殊重合装甲のきしむ音がわずかになっている。
だが、それらの音も電気車両からの雑音で気配を消されてしまい、大きな影たちは、まるで息を潜めているようにも見える。
――ピッ、ピッ、ピッ …ピィーっ!
午前零時を知らせる時報がなる。
そして。
「シンジくん、日本中の電力、あなたに預けるわ!頼んだわよ!
ヤシマ作戦、 スタートっっ!!!」
『第一次接続開始!』『了解、第一次接続開始、東北ブロック接続!』『第1から第803区間まで送電開始!』
「葛城さん、送電開始しました!」
「そう、続けてJA一号機、行かせてっ!」
「主任、葛城部長より行動開始サインです」
「よし!…ジェットアローン一号機、前進全速!目標、第3新東京市!進めっ!」
――…ガシンッ!……ガシンッ!・・ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!
最初はゆっくりと、そして徐々に速度を上げながら、第3新東京市に向かってJAは走り始める。
『JA、作戦予定通り、第五使徒に接近中!第3新東京市侵入まで、あと1000!』
『第3新東京市、迎撃システムの主要防衛遮蔽壁は、展開準備に入ります!』
「ここまでは問題なし、か。日向くん、ポジトロンライフル、起動は?」
「あと0.2、いえ、たった今起動電圧に到達しました!」
「じゃぁこっちも行くわよ!ポジトロンライフル起動開始!」
『陽電子砲、システム、起動シーケンス開始!』『第1から第4電源までの電力供給開始!』
『質量センサ、第五使徒を捕捉!MAGIにデータ送る!』『問題なし、フェーズ2、陽電子生成プロセスへ移行!』
何せ急ごしらえの兵器だ、当然アナウンスの量もとたんに増える。
陽電子生成中に事故が起これば使徒殲滅どころか、初号機も危ない。
『臨界電圧突破!』『目標に以前変化なし!沈黙を守っています!』
『JA、第3新東京市、南ブロックへ到達!目標の完全有効射程内です!』
「…おかしいわね。青葉二尉、使徒に加粒子砲の兆候は?」
『はい、今のところ衛星、地上の両センサーも赤外線は感知していません。ほか、各種レーダーも異常なしです』
「…使徒には知能があった、というのは間違いだったのかしら…。でもMAGIの判断は…」
青葉率いるNERV本部内発令所では、使徒の加粒子砲の兆候を見逃さないよう、第3新東京市の各種レーダー、センサーの
ほとんどすべてを使って第五使徒を捕捉している。万が一の捕捉洩らしはないはずだ。
『陽電子砲、全加速器運転開始』『強制収束機、作動!』『第三次接続、問題なし!』
『陽電子流入、順調なり!』『零号機、リニア発射位置へ』
「葛城さん、零号機、射出準備完了しました。JAもそろそろB-15へ差し掛かります」
いよいよ問題の区間だ。使徒が攻撃してくるとしたらこの間が一番確率が高いとMAGIははじき出した。
第3新東京市の防御遮蔽壁なしに走りきらなければならない。
「…JA、射出準備ポイント通過しましたっ!」
「いいわね、レイ!リニア電源オン、零号機、射出!」
地上を走るJAとタイミングをあわせて合流するよう、零号機がリニアレールを上っていく。
だが、そのとき。
『目標内部に高エネルギー反応っっ!!!』
「なんですって!!!時田主任っ…!」
『わかってる!』
ついつい上司であるということも忘れて叫んでしまう時田。が、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「よしっ!加藤、ジェットアローン一号機、電磁バリアー展開だっ!」
「はいっ!ジェットアローン、電磁バリアー展開しますッ!!」
走行しているJAの腕部が光り始める。と、路上の乗用車がものすごいスピードでJAの腕に引き寄せられていく。
「電磁バリアー、まもなく電圧極大値に到達ッ!」
そのまま乗用車はJAの腕部の装甲にぶつかり、グシャリと音をたてて大破する。
いまや乗用車だけではない、鉄を含むあらゆるものがJAの腕に引き寄せられていた。
「エヴァンゲリオン零号機、合流します!」
JAが零号機射出口に到達しようとしたまさにそのとき。
―― …バシュ――――ンっ!!!!!!
一瞬、フラッシュのような閃光のあと、一筋の光の軌跡が、JAそして射出口を目指して放たれる。だが――
「…て、敵、加粒子砲、軌道湾曲!北北東の空へ消えてきますっ!!!電磁バリアー成功です!!!」
ちょうどJAの頭部を掠めるように加粒子ビームは湾曲し、その光の筋は漆黒の闇へと消えていく。
『よっしゃぁっ!』『いいぞ!』『さすが俺たちのJA!』『グッジョブ日重工!』
ミサトを皮切りに、NERV職員から日重工の技術者たちが、ビームをそらしたJAの姿にそろって歓声をあげる。
あの加粒子砲さえなければ、作戦の勝機は一気に跳ね上がる。
そして、この直後、無線にあふれる歓声の中で零号機は地上へと射出された。
「零号機、射出完了!外部電源パージ、JAと併走開始!」
ガッツポーズをしている上司を横目に、日向が状況を伝えて零号機に指示を伝える。
――ガシンガシンガシン! ――ガシャンガシャンガシャン!
二つの巨大な影が兵装ビルの間を抜けていく。そして、その一方の影をさまざまな鉄含物があとを追いかけている。
「目標内部に再び高エネルギー反応です!おそらく第二射!」
「何度でもかかってらっしゃーいっ!こっちにはJAの磁場とエヴァのATフィールドがあるんだから!」
ミサトはいまだに興奮気味だ。あえて電磁バリアーというダサい名称を避けているところがミサトらしい。
だが、そう安心してもいられない。日向がポジトロンライフルの状況アナウンスをスピーカーに出す。。
『陽電子の円環加速、限界値まであと35!』『第七次接続、全エネルギーポジトロンライフルへっ!』
「葛城さん、こっちも出番ですよ!」
「そうね。いよいよこっちが攻撃にでる番ね。シンジくん、インダクションモードに切り替えて!」
『はい!』
今のところ、陽電子砲への給電に問題はない。冷却機能の理論値を超えた発熱だが、それでもまだ大丈夫なようだ。
「最終安全装置解除、激鉄、起こせ!」
ガシャンと大きな音を立てて、特注ヒューズ――これはNERVと日重工の両技術者たちの意向で作られたものだ――が
ポジトロンライフルに充填される。
一方、使徒も次なる攻撃を放つ。
『目標、加粒子砲、来ますっ!!!』
―― …バシュ――――ンっ!!!!!!
わずかに先ほどと違う軌道を描いて空に消えていく第五使徒の加粒子砲。
どうやら使徒も軌道補正して撃ったようだが、零号機のATフィールドがより強くビームを偏向したようだ。
『敵の第二射、回避!!』
「作戦どおりね!攻撃までは!?」
「陽電子砲発射まであと10秒っ!9!8!7!6!」
だが、三度目、同じ警報音が鳴り響く。
『目標に高エネルギー反応っ!』
「……5、4、3、2、1っ!」
「ちっ、撃てぇぇぇ!」
―― ピカッ…ブシュ――――ンっ!!!
バシュ――――ンっ!!
緩やかな弧を描きながら、光の筋が第五使徒へ向かっていく。
だが、時を同じくして使徒からも、陽電子砲に比べれば弱いとはいえ、一筋の光が放たれる。
そして。
―― ドッカ――――ンッッッ!
『第一射、命中ならず!』『敵攻撃、第7編電車群に命中っ!2車両が炎上中です!』
使徒の放った加粒子砲は陽電子と反発、軌道をそれて双子山の変電車両群に命中した。
想定もしていなかった思わぬ事態に、NERVオペレータたちから悲鳴に近い被害報告があがってくる。
『2487から2635区間までの給電システムダウンっ!出力がどんどん低下していきます!』
『冷却システム、限界値を突破!』『第15ハブ変圧装置、反応なし!』『周波数同調装置も7番機が応答なし!』
「伊吹二尉!第二射はっ!?」
「だめです、送電網に問題が発生しています!」
「復旧までは!?」
「給電ラインのバイパスをくみ上げるまでまだかかります!」
一部の変電車が破壊されたことで、連鎖的に負荷の上昇が相次ぎ、陽電子砲への送電網がどんどん寸断されていく。
「ちっ、青葉二尉、B-18、Fビルにパレットガンを出して!
レイ!パレットガンを装備したら使徒に攻撃、その間JAは電磁バリアを展開、なるべくいいから時間を稼いで!」
ミサトの判断は早かった。おとりの二機で使徒の気をそらすほかないと考えたのである。
レイもすばやく移動すると地下から現れたパレットガンを手にする。
だが、これを認める時田ではない。四の五の言える状況ではないのだが、子供を前線に出させるわけにはいかない。
「くっ、お嬢さん、JA一号機が護衛する!JAの影に隠れて射撃するんだっ!
「了解、零号機、攻撃開始します」
時田の言葉に従い、JAの影から使徒へと攻撃をはじめる零号機。
バババババババッ!!
規制?
やばい、全体の構成もだが、細かいディティールが本当凝ってるよ・・・
ところで ま だ 射 精 し ち ゃ だ め で す か
職人乙!今回もすげぇ。
職人さん絶対理系だろ?なんかそう直感しただが。
時田が綾波に「お嬢さん」…
紳士だなぁ…
確かに本編のイヤミ時田は影も形もないよなw
…だが、それでこそ世界で初めて人型巨大機械を開発したチームの主任だ。
エヴァンゲリオン・クロニクルには年表がついてくるんだが、それによると
JAプロジェクトが始まったのは2009年らしい。
もし21話までいったら、ネルフ史の代わりにJAプロジェクト史でいきますか。
>>578 ヘェヘェ(AA略
じゃぁ6年であそこまでこぎつけたのか。すごいな日重工は。
時田はいくつなんだろ?結構(主任にしては)若いよな。
お嬢さんって…
紳士だなぁ時田のオジサマ
時田カコ(・∀・)イイ
JAに隠れて射撃する零号機ってめちゃめちゃ絵になるよな〜
ここの職人はいい絵になるような展開を意識してるのかな?
『零号機、目標への攻撃を開始しました!』『…っ!相転移空間確認!ATフィールドです!』
プラズマによる電磁誘導機構を用いて超高速で発射されたウラン劣化弾は、本来なら極めて貫通力と
破壊力に優れた兵器である。しかし、使徒のもつATフィールドの前では、ただ粉塵を巻き上げるほか効果はない。
「ダメです!目標にまるで効果がありません!」
「ちっ、やっぱりだめか。日向くん!復旧はまだなの!?」
「待ってください!早くてもあと400秒はかかりますっ!」
「なんですってっ!?」
もはや絶望的である。まもなく使徒の攻撃も再開されるだろうし、そうなれば零号機、JA一号機を失う可能性は高い。
特に零号機を喪失すると、ATフィールド中和を要とする接近要撃線は、今後困難を極める。
「仕方ないわ。レイ、撤収して!青葉二尉、弾幕をはって、その隙にB-19で零号機を回収して!
それから時田主任、申し訳ないけど、あなたたちのJAにはもう少しがんばってもらうわ!
零号機回収後もおとりを続行!何でもいいから時間を!」
ミサトが命令を出し終わるやいなや、兵装ビルから弾幕ミサイルが放たれ、同時に煙幕が張られる。
だが、それと同時に新しい警告音がなる。
「今度はいったい何のよ!?」
『目標に再び高エネルギー反応です!おそらく第四射!標的は不明!』『敵シールド、ジオフロント内に侵入しました!』
「まずい!加藤、もう一度電磁バリアーの準備を…」
ちょうどJAと零号機は指定の回収ポッドまで到達しようとしているところだった。
時田が指示を出そうとしたそのとき、再び轟音とともに空が明るくなる。
「…?ど、どうした!?」
「主任!敵の加粒子砲攻撃です!Fビルに直撃した模様!」
「まだなの!?急いで!!!」
NERV専用指揮車両内。いまや全職員が陽電子砲給電システムの復旧にあわただしく戦況把握も遅れ始めた。
「葛城さん!日重工の副指揮車から入電です!」
「なんなのよ、このクソ忙しいときに!農協ロボはなにやってんのよ!」
二人の隣では、マヤとリツコが端末に向かい、MAGIに復旧の最適バイパスを計算させている。
『葛城部長!今から一分間、ミサイルで弾幕を張ってください!JAで接近戦に出ます!』
先ほどの爆音で、もしや加粒子砲が命中し大破したのではと思っていたミサトだが、時田の放った言葉はまったくその逆であった。
「な、何を言ってるんですかっ。指揮官は私です。私の指示に従ってください!」
『目標は、先ほどの攻撃をはずしました!いいですか、外したんです!おそらく目標は、赤外線を知覚して加粒子砲を撃っています!』
「え!日向くん!」
「はい!」
日向が画面を確認する。確かに第四射の直撃で炎上しているのは、先ほどパレットガンを出した兵装ビルだ。
先ほどJAと零号機が立っていた地点と使徒とを結ぶ直線の延長上にある。
時田の言うとおりであれば、使徒は弾幕でJAと零号機の姿を赤外補足できず、唯一、射出の摩擦熱で高熱を発していた
兵装ビルを標的と勘違いして撃ったということになる。
『葛城部長!おそらく弾幕を張りながら目標に接近すれば、目標の攻撃をもろに食らうことはありません!』
「………っ!」
一瞬、情報が追いつかない。
確かに、第五使徒は攻撃する相手を選ぶとはいえ、今まで常に熱源に向かって攻撃している。
もし本当に彼の言うとおり赤外での知覚であれば、赤外線を飛ばしまくる弾幕の中を進む方法は敵の目を欺くには最適だ。
「…だてに兵器作ってるわけじゃぁないってわけね…。赤木博士、どう思う?」
「確かに、絶対とはいえなくとも可能性は高いわ。今は時間を稼ぐのが最優先でしょう?葛城一尉」
「接近戦か…」
仮に接近に成功したとしてもATフィールドが健在ならば意味はない。だが、かなりの時間は稼げるだろう。
零号機でATフィールドを中和すれば接近戦も不可能ではないが、零号機のシンクロ率と喪失のリスクを考えれば得策ではない。
使徒が本当に赤外知覚なのか、それすら賭けに近いのに、さらに捨て身での接近戦という選択肢――
「わかったわ!今からもう一度弾幕を張ります。その間にJAは目標に可能な限り接近、陽電子砲第二射までの時間を稼いでください!」
こんな混乱の真っ只中でも人命を守りながら使徒殲滅を遂行しようとする。
――おそらく彼らも意地なのだろう。…私にはわからない、男の意地ってものがあるに違いない。
ミサトは無意識に、自分の父親のことを思い返していた。
―― ヒューン、ドッカーンっ!ヒューン、ドドーンっ! …
再び小型ミサイルが雨あられと降り始める。それと同時に粉塵と爆風が空に舞い上がり、JAの姿を隠す。
『零号機、収容完了!』
「よし、今だ!JA一号機、目標に向かって全速前進!」
すでに使徒の周りは粉塵と煙りで視界はさえぎられており、また続けて起こる大量のミサイルの爆発が多量の赤外線と熱を放出している。
爆発の中を進むJAだが、新作された装甲はJA二号機と同系同素材のものだ、この程度の爆発ではびくともしない。
「まもなく噴煙を抜けて敵の正面に出ます!」
光学モニターはもはや真っ黒だ。超音波センサーと短波レーダーで使徒を補足する。
「主任、弾幕抜けますっ!」
と、目の前に巨大な物体が現れる。第五使徒側部、ちょうど正八面体で”辺”の中央部分だ。
「位相空間は!?」
「相転移確認できず!ATフィールドは無展開です!いけます!」
「よし、とにかくぶん殴れ!」
「はい!JA!とにかくぶん殴れ!」
かつてはまどろっこしい言い回しに加えて、その復唱を行っていたが、三度目の使徒戦にはすでに復唱にしかその面影はない。
現場の判断、指示を最優先し、そこから下された命令を管制所にいるオペレータが解釈し、JAへ制御信号を送る。
反射行動や咄嗟回避といった人的制御のきかないJAを素早く確実に遠隔操作するために自然とこのスタイルに落ち着いた。
はたから見れば大の大人が大型ロボットに向かって叫ぶ姿は、その手のアニメの風景に酷似して見えるだろう。
そして、文字通り、JAが使徒を”ぶん殴り”始める。
――ガツーン! バキーン!
JAのパンチが使徒に向かって繰り出される。再三無力といわれてきた近接物理攻撃だが、
徐々に制御プログラムが洗練され、また出力も増したJAパンチは、その破壊力もかなりものになっている。
「日向くん、目標とJAの状況は?!」
「JAは目標に対し近接攻撃を実行中! しかし、やはり…未だダメージはありません」
「くぅ、なんとかそのまま黙ってもらえれば… リツコ、あとどれくらい?」
「MAGIがもう新しい送電網プログラムを組んだわ。あとは現場の技術者次第よ…」
JAが使徒の牽制攻撃に徹している間にNERVや戦自の技術者たちは電力網の復旧に全力を傾けていた。
「おい!消火器もってこぉい!炎上してる!」「感電するなよ!これを7番の(イ)のプラグにつなげ!」
「誰か熱ヒューズもってきてくれ!」「西日本はおおよそチェック終了だ!ぐずぐずするな!ハブシステム急げ!」
――ガツーン……! バキーン……!
彼らの耳に入ってくるのは、遠く第3新東京市でJAの使徒を殴る音。やはり今回の使徒の表層も相当強硬なのだろう。
聞こえてくる音の大半を占める低い金属音はJAの手部装甲がへこむ音だ。
と、彼らのざわめきを塗りつぶすような大音量の警報アナウンスが流れる。
―― ビィ!ビィ!ビィ! ……目標に高エネルギー反応!加粒子砲第五射の可能性あり!
復旧にあたっている技術者は早急に退避せよ!繰り返す!早急に退避せよ……!
もし双子山を狙って撃ったのであれば装甲車の外に出て作業をしている技術者たちもその直撃を受ける。
人的被害を防ぐべく、指揮車両の大型スピーカーから緊急退避命令が繰り返されるのだが、誰もが持ち場を離れない。
いや、、離れられないのだ。
「うるせぇ!誰かあのスピーカー壊せ!」「あと少しなんだ!あと少し…!!」「JAが頑張ってるんだ、負けられるかよ!」
「あと少しだ!チェック入れろ!」「動け、動け、動けぇ!!」
ある者は重機を操って大破した変電車を押しのけ、ある者は両手に抱える太さのコンセントプラグをつなぎ、
ある者はハブ車両の端末に新しい送電制御命令を打ち込んでいく。
もう一度日本中の電力を、陽電子砲に届けるために。
もう一度、使徒に勝つために。
「葛城さん!退避が…!」
「…ちっ、うちの技術部も彼らに触発されたか…。 仕方ないわね!シンジくんそのまま第二射の準備に入って!」
『え?はい!』
「時田主任?JA2を防御体制へ!」
JA2が足を踏ん張り片手で大型防御シールドを構える。まるでローマ時代の兵士のようだ。
その足元、シールドの影で、腹ばいになっている初号機が再び陽電子砲の安全装置を解除していく。
『作戦局!何とかできましたぜ!』
ちょうど通信に技術者たちから復旧完了の言葉が届く。
「ありがとう!あなたたちはいいから急いで退避して!時間がないわ!日向くん!第二射準備!」
「はい!初号機!激鉄起こせ!!!」
一方、JAの攻撃も使徒に対して決定打にこそなってはいなかったが、僅かながらダメージを与えていた。
使徒の表面には小さいながらも亀裂が数本入っている。
… … … パッッキーンっ!!!!
「また亀裂が入りました!あと少しで表皮に穴を破れそうです!」
「そのまま出力維持で攻撃続行だ!もうすぐ陽電子砲第二射がくる!そしたら緊急退避しろ!」
安定した攻撃でただ一点を殴りつづけるJA一号機。やはり特殊合金といえど拳の装甲はぼろぼろになっている。
しかし、そのJAを尻目に第五使徒の内部高エネルギー反応の上昇はとどまるところを知らない。
『目標!さらにエネルギー反応上昇!い、今までにないほどの高エネルギー値です!』
無線の向こう側でNERVの観測担当者が不安に声を荒げているのを時田は耳にする。 そして。
―― バシューン !!!
うおーリアルタイムで読んだよ!よし、とにかく殴れw!
投下乙!
今回も燃えたわ〜!
職人乙!!
殴り続けるJAかっけえ!!
GJ!!
投稿も一時期に比べて活性化してきたし、最高だな。ぶん殴れ!
「目標から加粒子砲第五射、来ました!!!!」
「総員!対ショック体勢!!!陽電子砲は?」
「強制収束に入っています!あと30秒!!」
やはり緩やかに弧を描きながら、使徒の放った超高エネルギー粒子の塊は初号機、そしてJA2を目指して飛んでいく。
まるで引き寄せられるかのように光の筋はJA2のシールドへ衝突した。
『加粒子砲、シールドへ直撃!融解していきます!』『空気分子がプラズマ化、推定最高温度6万度!』
『ダメです!まるでもちそうにありません!』
「まだ?!」
「…21,20秒前!円環加速最大!全エネルギー傾注!」
『加速器、電圧臨界突破!極大値です!』『冷却機構、限界!』『シールド40%融解!!』
衝撃でゆれる車内で、必死に体勢を支えながら時田と加藤は、雑音に混じって所々聞こえてくるアナウンスを聞いていた。
「時田主任!このままじゃ!」
「待て!JA1はどうなってる!?」
二人とも壁に張り付き手で体勢を支えながら、JA1のモニターを覗く。
「!?…これは!?」
「…まさか!?」
「キャァ!」「うわぁ!」
同じくNERVの作戦指揮車も激しい揺れに襲われていた。
「リツコ、何なのこれ!」
「当然だわ!融解して蒸発したシールドの金属原子が衝撃波を起こしているのよ!!」
「葛城さん!発射まであと10秒!9!8!…」
すでに端末のモニターは緊急事態をあらわすEMERGENCYの文字でほとんど埋め尽くされている。
中央に表示されている発射までのカウントを示す数字は一桁になっている。もう0に近い。
「5,4,さ…!?なんだ!?」
急にそのカウントにも”ERROR”の表示があらわれた。
「どうしたの?」
「だ、ダメです!加粒子砲の出力が強すぎます!…え?MAGIが軌道の再計算に入りました!」
「どうなってんの!!リツコ!!」
「使徒は先の攻撃で自らの砲撃が陽電子をそらすことを覚えたのよ!!MAGIの再計算が終わるまで待つしかないわ!」
激しい揺れのなかでマヤとリツコが端末にしがみつき、状況を確認していく。
ふと日向が見やったJA2のシールドの融解率を示すモニタに写っていた数字は、89%。
「か、葛城さん!もうシールドが…!」
日向がシールド融解を告げようとしたそのとき、車両の揺れがぴたりと止む。
「な、何が起きたの…??」
「どういうこと!?マヤ、状況は?」
「はい、今…え?え!?信じられません!も、目標の加粒子砲の軌道が…上空へ偏向されています!」
「…!」
確かにモニターには、加粒子砲が一直線に上空に向かっている姿が映し出されていた。
誰もが状況を飲み込めない中、真っ先に我に帰ったミサトが指示を出す。
「日向くん!陽電子砲はっ!?」
「あ、はいっ!…いけます、システムオールグリーンですっ!」
「シンジくん!いいわね! …ポジトロンライフル、第二射、発射ぁ!!!」
ミサトの掛け声とともに陽電子砲から光が放たれる。
そして、すべるように芦ノ湖上空を通過した光は――
―― ドッカァァァァーーン!
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JET ALONE 戦闘報告
EPISODE:6 第五使徒
JET ALONE 01 中破 (両手腕部損壊)
JET ALONE 02 軽微 (防御シールド完全融解)
エヴァ零号機 なし
エヴァ初号機 なし
特殊変電車両 5台
ハブ変圧装置 7機
周波数同調装置 2機
その他各種電気関連装置を破損。
第3新東京市の被害 防御遮蔽壁*3 (完全融解 )
兵装ビル*1 (完全融解)
ジオフロント防衛用特殊装甲 (第1〜22までの装甲に貫通穴)
その他各種関連施設に被害。人的被害はなし。
第五使徒 一部を残したまま撃破 第3新東京市にて解体予定
日本語認識システムKOZAIC7.ver3.0 for JA_Hi-SYS,JA2_Sf_SYS
(c)Reset Co.Ltd
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【本編とは関係ないよ】
お久しぶりです。今回でいちおうEPISODE6は終了です。え?とか思ったかもしれないのですが、
どうして加粒子砲が曲がったのか、そのネタばれは次回にしようと思います。
それにしてもずいぶん引っ張ってしまってすいません。
実生活で環境が変わったり、PCが変わったり、せっかく書き溜めていた原稿を消してしまったり。・゚・(ノД`)・゚・。
なんだか読み返すとグタグタっとした文章になってしまい申し訳ないですorz次回からよりいっそう努力します。
やはり、ヤシマ作戦は前半の山場ということで、熱さというかメカ燃えを前面に押し出しました。
(というかナディアを借りてきてN-ノーティラス号に触発されたりしたせいもありますがw)
自分の中で、このJAの物語は一貫してリアルに進めたいと思っています。
リアル、というのは、エヴァ本編ほど奇跡チックに使徒に勝つのではなく、たとえば、裏で技術部が汗を流し、
また、現場で指揮官が頭を悩ましつつも、といった感じでしょうか。
たとえば、(個人的に)日重工JA管制所はNERV発令所よりもNASAの管制室、そんなイメージです。
アポロ13の事例のように、緊急事態に対して全職員が一丸となって思慮をめぐらす、そんな組織なんじゃないかなと。
本編エヴァでは時田やJAや日重工はちょこっとしか出てないのですが、時田の人間くささ以上に、さりげなく
行動の早い日重工職員たちが自分のお気に入りだったりしています(`・ω・´)
今後も、あくまで努力、メカ燃え的姿勢で書かせていただこうと思います。
感想等のレスがつくと非常に励みになります。住人の皆様、今後もよろしくお願いします。
このスレの衝撃度はすごい
GJ
見事なり!
乙です。
ミサトの職名をどうするかは難しい問題ですね。
アニメではこの辺では部長と呼ばれているのですが、十四話以降は「課長」に統一されるので。
たぶん、一尉で「戦術作戦部作戦局第一課所属(主任?)」だったのが三佐昇進で「第一課長」になり、
それまでは「中央作戦部部長」だったのかなと。
職人乙です!!
ネタばらし気になる!!
どうやって勝ったんだー!!何で可粒子砲が逸れたんだろう。
やっぱ電磁バリアで曲げたんじゃね?
今回は電磁バリアとか所々にナディアの影響がみられてニヤリとしたww
乙カレー。
ぶら下がってサンダーフィストでも叩き込んだか?
JA保守点検
最近知ったのだが、
サンダーフィストって「 稲 妻 握 り こ ぶ し 」
って意味らしい。
なんかJAらしくていいなぁと思ってしまった。そのまんま感がいいw
↑夏だな……
んだよ、別にいいじゃんか!
何が「夏だな」だ、夏だな厨め。サンダーフィストでもくらってろ
っていうか、そんな感じの意味以外で受け取れる電波は中々いない。直訳すると雷手(もしくは雷握りこぶし)だし。
…ちなみに、稲妻はthunderではなくlightningだ。
>>606 といいますか
意味らしい
ってさも自分が最初に気付いたといってるように見える言葉使うとことか
>>608の対応の仕方が厨丸だし。
そういや2015年に冬休みあるのかな?
一週間くらいの短期の正月休みになってるかも。
現在も寒い地方は東京に比べて夏休み短くて冬休み長かったりと
地方で調整してるから。
うむ、東北〜北海道は冬休みが長いな。
サンダーフィストってネーミングはオフィシャルなの?
エヴァ2やったことないからわからん。
もちろんこのFFのオリジナル設定。
このスレのFF職人って描写がこってる分、文章量があるよなぁ。
良い悪いは別として、最近、軟弱なFF書き達が多い中、異彩を放ってると思わないか?
…いや、思わないならいいんだ。。。
>>614 異彩を放つ…か。あ、デキッコナイス氏とか七瀬由秋氏とかは?
いわゆる最低系に分類されるが、あれだけインパクトあるもの書けるって凄い。
>デキッコナイス氏
「誰もいない」の続きが読みたいです…orz
>>615 デキッコ氏や七瀬氏のは最低系とは言わないだろ。
>>617 そうか?シンジが別物になっててアスカやらミサトやらのヘイトなとことか最低系の要素だと思う。
…確かに十億円要求したり改名して暴れ回ったりはしてないけどw
スレ違い?
>>618 形式的な要素を満たすことだけが最低の条件ではないだろ、と。
ここは JAスレだぞ…
>>619 『原作無視のぶっとんだ設定&展開』という分類を最低系と解釈してるんだが…面白い面白くないは別として。
直接シンクロや生身ATFや王子シンジや断罪シンジや猿牛髭電柱etc。
まあ、あれだ。これ以上は最低FFスレにでも行くべきだな。すまんかった。
>>621 619じゃないが、個人的に最低系の条件はそれには限らないだろう。設定無視でも面白いのはある。
あ〜職人来ないかな。次はやっぱり暴走すんのかな
―― ミィーンミンミンミン…
街中が蝉の大合唱に包まれている。
第3新東京市外れ、響き渡る蝉の音に混じって、日重工第二研究所からは大きな重機の音が聞こえてくる。
「…それにしても、右手腕部の新作予算、これも国連が出してくれるんですか?」
「そうらしい。今後、使徒戦における予算は国連に請求しろとも言われてきたよ。まぁ予算に困ることは当分なさそうだ」
第一ケージでは、右手がぼろぼろに腐食したジェットアローン一号機が、技術者たちの手により急ピッチで修理されていた。
指から肘にかけて、装甲は完全に融解しており、内部の部品がところどころ飛び出し、焦げ付いたままに張り付いている。
「別に文句をいうようなことじゃないんですが……」
「そうだな」
加藤が言わんとしていることを時田も理解していた。
今、国連が使徒迎撃にさいている予算は、先進国、後進国の関係なしに各国が一定の率で負担してまかなわれている。
当然、オーストラリアをはじめ、セカンドインパクトにより大打撃を受けた国家、あるいは産業発展どころか復旧すら
ままならない発展途上国も、自国の経済発展を捨て置いて、使徒戦の予算を組んでいるのだ。
中には、毎年大量の餓死者を出している国も少なくない。
使徒戦による特需ともいえる資金投入を受けた日本経済は、他国に比べれば極めて恵まれたほうなのである。
「考えても仕方のないことだ、加藤。俺たちがやらなければいけないのは、一刻も早くJAを戦線復帰可能状態にさせることだ」
立て続けに三度、使徒を迎撃したことで、その真価を大きく評価されたジェットアローン。
第五使徒戦前、日本政府、国連、NERVからそのお墨付きをもらった日重工は、予算、立場の面で数ヶ月前とは大きく変貌していた。
いまや第二研究所も、地上にJA収容ビルを含めた大型ビルが3つが立ち並び、さらに地下六階に渡る専用施設の建造も始まっている。
「で、来週のJA二号機実演会、本当にやるんですか?」
「あぁ、万田さんの頼みだからな…予定通り、第一研究所の実演場でだ」
「使徒がいつ来るかもしれないっていうのに何考えてるんですかね。これだから政治家ってのは…」
国連独立組織、NERV指揮下でありながら、日本政府の支援、そして戦略自衛隊との共同戦闘体制をもつ日重工は、
ちょうど国連と日本政府を仲介する立場としても、政治的に重要になってきていた。
来週の実演会も、安全保障理事国の首脳を招いて開くものだ。各国にJA二号機の有用性を示して使徒迎撃予算を
日本に集中させる目的ではないかという憶測は、時田に限らず日重工職員の多くが抱いているものだった。
実際、ドイツ、アメリカはJAの有用性を否定し、前第五使徒戦でのエヴァの機動性の高さ、臨戦時の人的制御の有効性を評価した。
だが、皮肉にもその評価が、JA実演会を行ってる際に使徒が襲来してもエヴァのみで対処できるだろうという日本政府の意見を
生み出し、ことの運びとなったのである。
ともかく、時田たちのJAに対する思いなど何処吹く風、すでにJAは政治的道具として使われ始めていたのだった。
「来週の実演会、JA二体での模擬戦闘ってことですけど、武装はどうするんですか?」
「シールドも融解してしまったし、まぁ模擬戦闘だ。武装はなしでいいだろう」
「すると、とにかく手腕部の修理待ちってところですか・・・」
加藤が見上げる先で、JA一号機の手腕部は一枚一枚、丁寧に腐食した装甲がはがされている。
「JA2についてだが、正式名称は”改良型二足歩行型決戦兵器/ジェットアローン二号機”でとおることになった」
「でも、どうせそんな呼び方は…」
「…ん、そうだ。もちろん、あくまで正式名称だ」
「まぁみんなJA2とかJA改とか読んでますしね。ここ第二はもっぱらJA2の呼び名でしょうか」
「第一研究所の意向も汲んでやりたいところだが、通称の件は”JA2”となるだろう。」
先の第五使徒戦で辛くも破損を免れたJA2。戦闘後、再び輸送機で第一研究所のある旧東京に運搬され、
今現在、実演会に向けてのチェック作業の最終段階を迎えている。
「主任、時間です。そろそろ行きましょうか」
「そうだな」
二人は一路、JA2のチェックが行われている第一研究所へと向かう。
第一研究所に向かうVTOL機の中で、時田は先の使徒戦のことを思い出していた。
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「時田主任!このままじゃ!」
激しい揺れの中で、時田の耳に加藤の声が届く。思いのほか激しい第五使徒の攻撃で、JA2のシールドは
あっという間に融解していく。
このままではまずい――時田がそう思ったときだった。
あたりを包む激しい轟音の中で、ひとつだけ、甲高く金属的な音、シールドの融解音とは異質な何かが時田の耳に聞こえた。
「(この音はなんだ…?? ………まさか…いや、そうか、そうだ)」
パニック状態寸前の中で、時田の思考が数分前の状況を再構成し、音の正体を思い出させる。
「待て!JA1はどうなってる!?」
時田の声に応じて、加藤が激しい振動でぶれているモニターを手で抑えて画面を切り替える。
「!?…これは!?」
「…まさか!?」
モニターに表示されているのはJA1の光学センサーからの映像だ。激しい閃光を撒き散らしながら加粒子砲を打ち出す
第五使徒のすぐそばで、JA1は両足を踏ん張らせながら、使徒への攻撃を続けていた。
「管制室!聞こえるかっ!!JA一号機の制御は生きてるのか!?」
『ジジ……ジジジ…主任…きてます…JAは……制御中です…ジジジ…いけます!主任、指示を!……ジジジ』
ノイズの中に聞こえる第二研究所管制室の声。
時田も加藤も、JA1は加粒子砲発射時の衝撃波で吹き飛ばされていたものだと思っていたのだが、
どうやら咄嗟に管制室が姿勢制御信号を出し、JA1をふんばらせたらしい。
「主任!これを見てください!」
唐突に加藤が叫ぶ。言われたとおり、モニターに目をやると、そこには表皮が破れ内部が露呈しはじめた使徒の姿があった。
JA1は、執拗にもその部分に拳をたたきこみつづけている。露呈した内部には、なにやらファイバー状の構造が見え隠れしており、
周縁部には光の筋が浮かび上がっている。
「こいつは…まさか粒子加速器か?」
「…!主任、だったら!」
そう、ここを破壊すれば使徒は加粒子砲を撃てなくなる。まさに決定的な弱点なはずだ。
だが――時田は考える。まだJAの攻撃力よりも使徒の強度のほうが勝っている。
表皮を破るのにこれほど時間がかかっているのだ、たとえ内部組織といえど破壊するのには時間がかかりすぎる。
『シールド融解率、…ジジシ…゙60%を突破!』
ノイズの中、シールド融解の危機をつげる警報は、さらに騒々しさを増している。もはや残り時間は僅かだ。
「(何か手があるはずだ…必ず有効な手段が…!!)」
モニターの信号もノイズの影響を無視できなくなってきたのだろうか、たびたび映像が乱れる。
膨大な運動量、電荷をもつ粒子が生み出す電磁波は無線、有線かかわらず通信に大規模な影響を与えていた。
と、時田の頭に、赤木博士の言葉が思い浮かぶ。ちょうど作戦開始前のことだ。
――『おそらく敵の加粒子砲は重金属イオンを加速したものだと思われます。状況によっては無線通信が…』――
そう、加粒子砲はプラス電荷を持つ粒子を、電磁場を利用して超高速まで加速し発射するものだ。
JAの光学センサー越しに見える使徒の構造は、円環構造であり、人類が開発した円形加速器に酷似している。
―― 使徒が、いわゆるサイクロトロン、シンクロトロンのような人工加速器と同じ構造ならば……
「管制室!至急、サンダーフィストの準備!全出力を右手放電トロードに傾注しろ!いいか、全出力だっ!」
『ジジ……了か…ジジジ…ぜ、全出力、ジジ…右手へ!!!』
「主任!?全出力なんて、そんな高電流を流したら!!右手ごと融解してしまいますよ!」
「それでいい!とにかく敵加速器に!電場をかけれればそれでいい!そうすればやつのビームの軌道は制御できなくなるはずだ!」
たった一瞬だけ加粒子ビームをそらせれば、必ずやNERVの陽電子砲が使徒のコアをしとめるだろう。
もはや、それにかけるしか手はない。すでにシールドの融解は間近だ。車内の揺れも、激しい縦揺れとなっている。
「聞こえてたな!?右手が融解してもいい!サンダーフィストを使って敵加速装置を制御不能にするんだ!!」
『了解!!!』
――そして、激しい警告音とともにJA1のモニターが消える。
VTOLの窓の外には、広大な埋立地が見えている。
かつて花の都と呼ばれた世界屈指の大都市、東京都は、2000年に落とされた新型爆弾、そしてそれに続く
セカンドインパクトの影響による海水上昇によって、その大部分が壊滅した。
武蔵野台地など西部の多摩地区などは未だ行政区画として再編成されて旧東京市という名称で市町村となったが、
特別行政区の大半は封地にされ、日重工や戦自研、あるいは各省庁のための実験施設が僅かに点在するばかりである。
「主任、そろそろ着きますよ」
後ろの席から加藤の声がかかる。窓を見下ろせば、見慣れた発着場がある。
日重工でJAの開発をしてきたJA開発推進課は、ここ、旧東京市の第一研究所を長らく拠点としていた。
今でこそ、徐々にその人員、機材は第3新東京市へ移行しつつあるが、それでも大規模な実験や兵器開発を行うのは
第一研究所であり、――そして、時田達にとっては数々の思い出の地でもある。
「なんだかここに着くと落ち着きますね」
VTOLを降り立つと、吸水コンクリートで固められた地面の独特の感触が二人の足に伝わってくる。
「そうだな。俺は昔はこのだだっ広さに落ち着かなかったものだったが……」
ふと、昔を思い出して苦笑いする時田。
ちょうど国立第三試験場に隣接している第一研究所は、まさに陸の孤島そのものと言ってもいい。
周囲は数キロに渡りコンクリートで埋め立てられており、ところどころ、遠くにほかの施設が見えるだけだ。
そのため、第一研究所内では職員の宿舎に始まり、各種食堂やちょっとした娯楽施設までが用意されていて、
ある意味閉鎖系のコロニーと呼んでもいいような環境でもある。
今回のJA模擬戦実演会も、第一研究所となり、国立第三試験場内で行うことが正式に決まっている。
―― だが、実演会で起こりうる事態など、時田たちにはまだ知る由もなかった。
E P I S O D E : 7 「 人 の 造 り し も の 」
【本編とは関係ないよ】
さて、第七話、冒頭シーンを投下です。
ずいぶんと長くお待たせしてしまいすいません。。。
いろいろと推敲、文章のコンパクト化を進めたのですが、どうも中身が薄いような気もして…
かなりネタばれが適当で、期待していた方、すいません。
昔、ソ連だかが開発していた加粒子砲の話を読んだことがあるのですが、なんでも加速装置が弱点…みたいな
話を覚えていて、それをもとに書いてみました。
とはいえ、かなり昔に読んだ割と怪しい本なので、科学的突っ込みはご遠慮願います><
(実際のところ、加速器って外部からの電磁場による影響は大丈夫なんでしょうか?)
だいたい話のプロットが出来上がってきていて、長期にわたって(体力気力が続けば)EOEまで
書きつづけたいと思ってます。指摘する方もいらっしゃいましたが、エヴァ以外にもいくつか
メカ燃え、SF燃えする作品の影響を所々受けていて、そのネタも一部混じってますが、
基本的にエヴァ本編の設定から想像できる範囲内で書いていこうと思ってます。
ところでエヴァクロニクルでJAの特集号ってないんでしょうかねぇ。
いろいろと資料がほしいところなんですが。。。今のところ実在するものから推測(妄想)してるので、
ちょっとSF考証面が弱いかななんて思ってて、非常にそこんとこ気になります。
それにしても、6年でJAを完成にこぎつけた日重工にすごいしびれるwww日重工に就職したいwww
>>629 今回も気合いの入った投稿乙です。
>ところでエヴァクロニクルでJAの特集号ってないんでしょうかねぇ。
とりあえず次の第4号ではJA停止作戦がフィーチャーされるようです。
ミサト特集に合わせてアルピーヌA310改まで特集されるくらいなので、
JAそのものの特集もあるのではないかと。
相変わらず熱いな。お疲れ。
今度はJAがJAを止める話になりそうだなぁ。
期待。
もう寝ようとPCの電源切った一分後に来てたのか。起きてりゃよかったなぁ。
今日は王さん退院日だし亀田世界戦だしすごい日だよ。職人ありがとう。
俺も日重工就職したいなぁ。体力だけはあるから荷物運搬なんか請合うんだけどな。
とにかく彼らと一緒に戦いたい。働きたい。情熱をもって仕事したことなんかないもんな。
乙ー
JAスレがたったのかなり昔だよな。
まさかこんなに進化してるとは思わんだ。
職人乙。
保守
636 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/12(土) 04:23:30 ID:3aIiyBOc
待
そういや火付け役の522-524氏は大丈夫なんだろうか?
>>441で何か現実世界が大変みたいな事言ってたが。
つーか前スレ最初から常駐してる人とかまだ居る?
はーい(*゚▽゚)ノ
キターーー〜
一気に読んだ。
なんだこのスレは!
俺が理想としていたエヴァがここにあるじゃないか!
久々に興奮した。マジ。エヴァ板でこのクオリティはやばい。
マジ職人頑張れもっと頑張れ!
年中真夏の第3新東京市ではあるが、早朝のジオフロントはやはり肌寒い。
この広大な地下空間の静けさもあいまって、薄霧に包まれたNERV本部ビルがよりいっそう寒々しく見える。
そして、その霧の中、ピラミッドの上部に位置するNERV総司令官公務室。
『…本当にいいんですね、碇指令』
「あぁ、かまわん。例の計画は予定通り頼む」
『わかりました。すでに準備はできています』
「…また君に借りができたな」
『返すつもりもないんでしょう?では、シナリオ通りに…』
…ガチャ。
「…碇、本当にいいのか?」
冬月が神妙な面持ちでたずねる。
(とはいえ、神妙な顔つきなのは、手にしている毎朝新聞の第三面の記事の文字が小さすぎるからであるが)
「ふ…問題ない…。日本政府に批判が集中しているこの時期こそチャンスだ。」
「…だが、民間とはいえ彼らとて、その程度の問題で挫折する連中ではあるまい」
「所詮、一企業に過ぎん。予算がなければ何もできまい。すでに委員会はドイツ、アメリカの両政府に介入している」
「…しかし、予算がなくても彼らはやりそうな気もするが…」
「……。 …問題…ない」
「おい、碇」
顔の前に組んだ手袋とサングラスの下で、ゲンドウはいやな汗を流していた。
「…それにしても碇」
「なんだ」
「おまえ、まさか八百長の試合でもするつもりはあるまいな?」
「…冬月、新聞の読みすぎだ」
公務室の割に公務が少ない二人である。
照りつける太陽があたり一面のコンクリートを熱し、いったいは熱された空気で揺らいでいる。
ここ、国立第三試験場では、来るJA公試実演会に向けJA二号機の最終チェックが行われていた。
「N2リアクターの調子は?」
「はい、7回の実働実験でいずれも問題はありません。制御プログラムのほうも十分洗いました」
「となると、おおよそ制御関連は全部クリアか」
時田は、めまぐるしく寄せられる各課の報告に目を通しながら、JA2の最終点検に不備がないかをチェックしている。
「主任!」
「ん、加藤か。OSのほうはどうだ?」
「シミュレーションでは問題なし、ベンチもオールクリアです」
「そうか。JA一号機は?」
「第二開発課の6班が可動部の最終チェック中ですが、疲労しているパーツは全部取り替えたみたいなので大丈夫でしょう」
「よし。デバイスチェックが終わり次第、第二課の連中には休憩に入るように言っておいてくれ」
「わかりました」
今、ここ日重工第一研究所には、JA開発部のほとんど総員が集まっている。何せ次の実演会は各国の首脳も来るのだ。
第二研究所の面々も、実演会が成功するように、JA一号機のチェックに総力をあげている。
「やっぱ装甲の色は白と青が理想だよなぁ」「馬鹿いえ、赤と黒がいいに決まってる」「…遠距離武器が…ない」
「なぁ、音声認識の実装企画はどうなったんだっけ?」「あれ?確か新開の7課がやるとか言ってたけど」
「電力効率の面から考えればHD455タイプのほうがいいかもしれないな」「あとで実験してみる?モジュールの手配は…」
普段の倍の活気にあふれている研究所内だが、いたるところでの話題はジェットアローン一色である。
設計の話題からJAの今後の進展まで、彼ら一人一人が、JAに自らの夢を重ね、語っている。
実演会はいよいよ明日ということもあり、職員の微妙な興奮と緊張が時田にも伝わっていた。
―― ピンポーン
葛城家のチャイムに反応したのは、その主ではなく、同居人とペットのペンギンであった。
「はいはい……あれ?リツコさん?」
「あら、シンジくん、おはよう。ミサトは?」
「あぁ、ミサトさんなら多分……」
遠くからどたばたという音とともに、主の声が聞こえてくる。
「ごめぇーんリツコ!あと少しでメイク終わるから待っててぇ!」
「…だそうです」
数分後、ちょうどリツコがぼやき始めたころに、ミサトが現れる。
「ごめんごめん!ちょっち今日寝坊しちゃってさ〜」
「貴方最近乱れてるわよ。前は公務の日ぐらいはしっかりしていたのに。だいたいメイクぐらいVTOLの中でもいいんじゃなくて?」
「何言ってんのよ、ノーメイクで外出られるほど余裕ないわよ。あんたはどうなのよ?」
「…なんだか泣ける話ね」
シンジにしてみれば早朝の玄関先でこんな話をされるのは、はた迷惑な話であるのだが、二人はお構いなしだ。
「じゃぁシンちゃん、今日は遅くなると思うから先食べててね」
「はい、わかりました。あの、保安部の人たちには…」
「そうねぇ、また何か差し入れると喜ばれるかもね。じゃ、行ってきます」
シンジを残し、ミサトとリツコは部屋を後にする。今日は、シンジは学校がないので留守番なのである。
…余談ではあるが、シンジの料理の腕前は日に日に上昇している。
もちろん、その理由はここでは特筆しなくてもよいだろう。
「それにしても、シンジくん、割と元気ね。先の戦闘のショックのあとを引かなくてよかったわ」
「そうね。一時はどうなることかと思ったけれど。まぁ今回はトリガー引くだけだったしねぇ〜」
第五使徒の戦闘では、初号機はJA2とシールドに守られて被害こそなかったものの、目前に加粒子砲が向かってくるさまを
目の当たりにしたシンジは、戦闘後、ショックで気絶してしまった。
その後、心的外傷後ストレス障害などを懸念したミサトやリツコは、シンジのカウンセリングにあたり、
なんとか事なきを得たのである。
いまやエヴァパイロットであるチルドレンは、NERVにとって最優先で保護しなければならない存在であり、
さらにレイに比べて抜群のシンクロ率を誇るシンジは、日重工に対抗するための要と言ってもよい。
無論、本人はNERV全体の期待を知ってか知らずか、使徒戦後もまじめにエヴァの訓練を続けている。
「うまくいけば、今月中にもエヴァ弐号機が配備されるんでしょう?」
「そうね、碇司令がドイツ支部、ドイツ政府と調整中よ。JAのこともあって引き渡しは間近とみていいわ」
「エヴァが三体いれば結構楽になるわね〜。作戦部としては嬉しいわ」
「そうかしら?日重工に使徒迎撃の予算が割り振られたせいで、今後NERVの予算の縮小もありえるわよ?」
「げっ!」
国連から日重工に対し使徒迎撃のための予算が割り振られたものの、予算が増えたわけでない。
NERV内ではJAの実績次第では予算縮小もありえるとして、先の使徒戦では協力的だったものの、
特に技術部を中心に日重工への技術的・心的な対抗心は根強い。
実際のところ、委員会が国連に対しNERVへの予算の増額を求めているものの、議会での承認は得られていないという。
「そういえば使徒の解体予算もどーたらこーたらとか言ってたわねぇ」
「そ。解体のための予算を削減して、今は技術部2課に言ってるわ。兵器新作のためにね」
「…じゃぁあの風景はしばらく続くわけ。あ〜さわやかな朝が台無しね」
二人が乗っているVTOLの窓の外には、解体中の第五使徒の姿がある。コアの回収こそできなかったものの、
外皮とも呼べる部分は何らかの無機化合物でできていたのだろうか、第四使徒と異なり腐食も少ない。
「そうそう、話は元に戻るけど、シンジくんの学校生活のほうはどうなの?」
「順調みたいよん?こないだも二人、男の子の友達が遊びに来てたしね」
「エヴァのパイロットであることを守秘義務にしたのは正解だったかしらね」
「そうね〜。あ、でも、ただひとつ、レイと仲が悪いみたいなのよ」
「レイと?」
綾波レイ ――ファーストチルドレン。ミサトにしても謎の多い少女だ。
チルドレンは、本来作戦部直属となるのだが、レイだけは事実上ゲンドウの直下と言ってもよい。
すべての情報が封鎖しているため、レイの詳細を知る人間はほとんど皆無に等しいのだ。
「あたしにもよく分からないけどねぇ」
「レイ自身には問題はないわよ。零号機とのハーモニクスも改善してるし、こないだの使徒戦ではシンクロ率の新記録を出したわ」
「…そういう技術的問題じゃぁないわよ。まぁいっか。今のところは問題もないし」
すでにVTOLは高度をあげ、第3新東京市から離れつつある。窓の外の風景もビル群から山々へと移り変わっていく。
「それにしても、シンジくん、保安部のガードと仲いいの?」
「ん〜、そうみたい。休みの日なんか昼食作って差し入れしていたときもあったわ」
「そんなんでいいのかしらねぇ、うちの保安部は…」
「平和ってことじゃないの?」
VTOLが目指すのは、JA実演会の行われる国立第三試験場だ。ミサトとリツコはNERVの代表として呼ばれているのである。
だが、ミサトもリツコも、今回の実演会が、NERVが裏で糸を引いたものであるということは知らない。
【本編とは関係n(ry】
遅れてすいません。ちょっと忙しくて…
第七話Aパート前半部分を投下です。
ちょっと趣向を変えて、あまりシリアスじゃない日常的シーンを書いてみたつもりですが、どうでしょうか。
(なんかgdgdな気がしてならない…こういうのは省略していいよって意見が多かったら次からはしょります)
次はAパート後半にあたる部分になると思います。さて、JAはいったいどうなることやら…。
【本編とは(ry】
文章に不備がありました。以下、差し替えです。
>>644 >国連から日重工に対し使徒迎撃のための予算が割り振られたものの、予算が増えたわけでない。
>NERV内ではJAの実績次第では予算縮小もありえるとして、先の使徒戦では協力的だったものの〜
⇒
国連から日重工に対し使徒迎撃のための予算が割り振られたものの、全体の予算が増えたわけでない。
NERV内では、今後のJAの実績がエヴァに勝っていた場合、NERVへの予算縮小もありえるとして〜
(ちょっと分かりづらい文章でした。つまりJAの有用性がエヴァ以上に認められるとヤバイっつーことです)
>>645 >「そ。解体のための予算を削減して、今は技術部2課に言ってるわ。兵器新作のためにね」
⇒
「そ。今期は使徒解体のための予算を削減して、浮いた分を技術部2課にまわしてるわ。兵器新作のためにね」
(誤字があったうえに誤解を招きそうでしたので修正。NERVだってやりくりしてるんです)
>199-200
GJ超GJ
>遅れてすいません。ちょっと忙しくて…
無理せず自分のペースで書いてくれよ、あんたのことは妊婦並みに
大事に思ってるんだ。良いものほど人を待たせるものだしね。
>ちょっと趣向を変えて、あまりシリアスじゃない日常的シーンを
>書いてみたつもりですが、どうでしょうか。
自分はこういうのもあるといいと思う。いつもの熱々展開が引き立つし
話しにより深みが出ると思う。
しかし唯の口止めじゃなくて、シンジにちゃんと守秘義務があるんだねえ。
4th選出の時どうなるか今からwktk
職人乙。
メカ燃え部分もそうだが、何でもデティールにこだわるタイプなのかな?
風景描写が必ずあるし、そことなく台詞で説明が入ったり芸が細かい。
好きなときに投下して下さい。保守なら任してくれ。
>だが、ミサトもリツコも、今回の実演会が、NERVが裏で糸を引いたものであるということは知らない。
むむ?リツコも知らないのか?
となれば一体誰が・・・。
まとめがほしくなってくるところですな
あれ?前にまとめ無かったっけ?
653 :
651:2006/08/19(土) 23:11:01 ID:???
ごめん、なかった。前スレの抽出の勘違いだったわ…
まとめは欲しいかもな。199-200氏のはかなり文章量あるし。
専ブラでフィルタかけると前のリレー部分が読みづらい…
あと誰か前スレのHTML持ってないか?
確かリツコと時田のエピソードがもう少しあったと記憶してるんだが。
だ〜間違えた
>>653は651じゃなくて652だ。
スレ汚しスマソ
保守
なかなか投下できなくてすいません。
最近ちょっと立込んでおりまして、8月いっぱい投下できるかどうか分かりません。
最初の頃のペースからすると竜頭蛇尾になってしまいました…すいません。
みのさんだって夏休みはとったし天地を創造した神も七日目には
休んだそうじゃないか。すいませんなんて言ってくれるな。
>>656 謝ると逆になんかあれだ。
焦るこたぁない。住人はみんなそう思ってるさ。
9月に期待してるよ。
気楽に書きたいときにどうぞ。商業じゃなから無理して書くこともないんだし。
大体エヴァ板的には三ヶ月〜半年くらいは許容範囲じゃないかと。みのもんたは嫌いだが。
一応保守
上手だなあ・・・先が気になる書き方にwktk。
JA暴走気になる。
復活遅いなぁ。
まだかな職人さんは。
―― ガシッ
廊下を歩いていた時田を後ろからどつく男が一人。
「痛っ、まったく誰…」
「よぉ!」
振り返りざまに、時田の視界に入ってきたのは、見慣れぬ緑を基調とした制服――すなわち、戦略自衛隊の制服である。
「はぁ…君か…」
「お、なんだよ、驚かないのかぁ?」
「君以外にこんなことをするやつはいない」
「古き良き友人に君君ってのはいただけないな、とりゃぁ」
もう一発拳を繰り出す敷島だが、もちろん本気ではない。時田も片手でそれを受ける。
「お宅の新しいジェットアローン、わざわざ小田原から見に来てやったんだぜ?」
「呼んだ覚えはないんだがなぁ、まぁ来てしまったものは仕方ないな」
「よく言うねぇ。寮暮らしのころはよく俺に語ってじゃないか?いつか平和を守るロボットを作るってな」
「…君は本当に嫌なことばかり覚えているんだな、まったく」
「何でも覚えられたら俺も日重工に入れるかい?」
人目を幅からず絡んでくる友人に、時田もその顔を緩めながら応対する。
日重工内でも人望の厚い時田ではあるが、時田がここまで気兼ねなく接することのできる人間は敷島だけである。
「まぁすでに世界が認めるロボなんだ、自信持てよな」
「何を言う、当然だ!わ、私は、微塵たり、、、、とも不安など、感じていな…」
「…ほんとは緊張してるんだろ?え?」
「…いや…まぁ…それは、な…」
内心を見抜くのも、長い間柄だからこそできる技だ。時田は、言い当てられたことにむしろ安堵も感じていた。
「お偉いさんの目なんか気にすんな。いつだってお前は頑張ってきた。だからJAだって結果を出してきてるんだ。
堂々としてろ。NERVなんか目じゃないってな」
「…悪いな、敷島」
「…なに、お互い様さ」
敷島の言葉はうそではない。自衛隊員たちも、何度JAの頑張る姿に励まされたことか。
自分達は決して無力などではない。その思いを抱かせてくれるのはJAの姿があったからだ。
「さて、じゃぁ俺は行くからな。じっくりとJAを見させていただくぜ」
「あぁ、、、君の期待は裏切らないさ」
笑顔のまま踵を返し廊下を戻る友を見つめながら、この後の披露パーティーでの演説に思案をめぐらす。
いかなる政治的思惑が交錯しようとも自分達には関係ない。ただ、JAのすばらしさを伝えるのみ。
職員が一丸となって文字通り戦ってきたのだ。いまさら二号機のロールアウトに不安を覚えることなどないはず。
「…相手はただの人間だ…使徒に比べれば………よし」
なお、余談だが、後になって、主任がなにやら独り言をしゃべりながら廊下で拳を握り締めていたという噂が
職員で話題にのぼった。これはまた別の機会に触れるとしよう。
新作乙です。
敷島ってEOEじゃジオフロント侵攻作戦に参加していたような、記憶が曖昧。
寮ってのは、高校時代なのかな?
あと、幅かる→憚る、ということで後々校正おながいします。
「本日は、ご多忙のところ、我が日本重化学共同体の実演会におこしいただき、誠にありがとうございます」
ホールの中が拍手に満ちる。時田からはステージライトの逆光でよく見えないのだが、この中には
JAの視察にきた各国の首脳陣もいるはずだ。緊張から、思わず声に力が入ってしまう。
「皆様には後ほど、管制室のほうにてジェットアローン一号機と二号機による模擬戦闘をごらんに頂きます。
が、その前に……」
時田は前もって打ち合わせていたとおり、ステージ脇の女性職員に合図を送る。
彼女は合図を受け取ると、電源パネルからホールの照明の電源のスイッチを切りはじめる。
ホールの電灯が完全に落とされると、ステージのスクリーンへプロジェクターによってある画像が映し出された。
「このたび正式に使徒迎撃任務に着任する、我が日重工の誇る二足歩行型決戦兵器、ジェットアローン二号機の
説明をさせていただきます」
スクリーンいっぱいに映し出されているのは、2体のジェットアローンである。
「左側に映っているのが、今までに3度の使徒戦を勝ち抜いてきたジェットアローン一号機です。
当初ロールアウトされたものは四肢制御実験用のモデルでしたが、、、」
と、画像が切り替わり、現在のJA一号機と実験モデル当時のJA一号機が並んで表示される。
「N2実験機となった直後に出撃、第三使徒戦にて勝利を得るも大破しました。
この後、メンテナンス性やパーツの生産性を考え、装甲の多くを二号機と互換のものに変更しています。
また、制御システムも実戦で得られたデータをもとに改良を加えています」
再び先ほどの一号機二号機、2体のJAが並んだ画像に切り替わる。
「さて、このたびロールアウトします我がジェットアローン二号機ですが、一号機での戦闘結果をもとに大幅な改良が
施されています。…えぇ、次の画像」
ふと、時田は、自分の緊張がうそのように消えていることに気づいた。いや、緊張どころか楽しいぐらいである。
みながJAに興味をもってくれている。話を聞いてくれている。
まるで少年の心に戻ったようにそんなことを嬉しく感じる自分に、苦笑いをしながら、時田は説明を続ける。
「ごらんのとおり、二号機は黒を主体としたカラーリング(※1)にしています。
これは、万が一、夜間の戦闘になった場合の隠密性をより高めるためです。
と同時に、黒色の装甲を利用することで、若干ではありますが全体の排熱効率も改善しています」
二号機の黒をベースに、アクセントカラーとして間接部分などに青色を加えられた姿は、見る人に、よりタイトな印象を与える。
画像はそのままJA二号機の肩部のアップ画像へと切り替わる。
「さて、排熱に触れましたが、JA二号機では冷却機構を大きく見直し再設計(※2)したことで、
一号機に比べて大幅に改善されました。
写真に写っていますのは、新しく取り付けられました排熱用のパイプです」
今度は二号機を後ろから見た画像だ。背中部分からは数本の排熱パイプと制御棒が延びている。
一方、下半身の臀部、すなわち人で言う尻の部分には大きな円柱状の冷却タンクが飛び出ている。
「二号機の臀部にはこのように冷却タンクが取り付けられています。
二号機は二次冷却水にこのタンクの水を使用することで、給水ケーブルなしで高起動モードを最大30分間、維持できます(※3)」
さらに画像は切り替わり、今度は内部構造を示した画像になる。
「えぇ…、これが二号機用新設計のN2リアクター(※4)で、同じN2燃料で一号機より
20日間多い150日間の連続無補給運転が可能です。
とはいっても、あのせっかちな使徒が、女性の買い物より長い長期戦を挑んでくるという想定はナンセンスですが…」
時田自身は冗談を言ったつもりなのだが、会場からは反応がない。少しばかり落ち込みながらも、さらに次の画像に進める。
「さて、今回ジェットアローン二号機における最大の新機能が……この人工知能型自律制御システムです!」
スクリーンに映っているのは、何の事はない、ちょっと形の変わったチップセットの拡大画像だ。
会場の反応が薄い中、時田はさらに説明を続ける。
「かねてより、ジェットアローンはその人的制御に大きな問題を残していました。
すなわち遠隔操作のため初期反射での行動が不可能、という点です。
我々も一号機設計段階からこの点は大きな課題としてあげていました」
スクリーンには、ポップアップで「一号機制御用チップセット」という文字とともに別のチップセットが表示される。
「そもそもJAの制御機構は、中央に搭載された3つの統合制御チップが、
我々から指示された制御プログラムを 通して”目的”を理解、
その目的にふさわしい動作を自動的に取捨選択することで、抽象度の高い命令を
複雑で綿密な制御へトップダウンさせていました(※5)。」
ポップアップ横に、一連の処理のフローチャートが表示される。かなり複雑だ。
「しかし、このためにはあらかじめチップ側のメモリへ膨大な量の動作命令
とそのシミュレーション結果を 入力する(※6)ことが必要で、
またソリッドメモリのため、その学習には膨大な時間が必要でした」
スクリーンのポップアップウィンドウは消え、再び二号機の奇妙な形状の制御チップセットが表示される。
「今回、二号機に搭載された制御チップは、従来のソリッドチップに加えて、
さらにより高度な学習が可能な有機チップ(※7)を採用しました。
これにより行動学習の必要時間が大幅に減ったほか、 必要に応じて、
3つの有機チップが、その場で新しい命令を自動的に学習します。(※8)
我が日重工では、このシステムをNERVのMAGIシステムになぞらえて、
マジシステム、などと呼ぶものもいますが、、、」
再び冗談を言ったつもりだったのだが、今度は反応がない。
そればかりか右手奥のNERVのテーブルから殴打音らしき音が聞こえてくる。
「えぇ、、、ごほん!
と、正式名称は、人工知能型自律制御システム(※9)…ジェット・リフレクスです!このシステムの採用により、
一号機では不可能だった生体反射に近い運動が可能になりました。
すなわち、ジェットアローン自らが危険と判断した場合には、制御プログラムなしで回避行動をとる、というわけです!」
さすがにインパクトがあるシステムだったのだろうか、会場内も幾分反応がある。
自分の冗談のせいでしらけたのではないかと内心あせっていた時田だが、ようやっと安堵の息をつく。
「このシステムの採用により、今後の使徒戦においては、より迅速かつ正確な制御が可能です。
もちろん、NERVのエヴァンゲリオンのような人的制御までとは行きませんが、それでもかなりの域に
達しており、いずれはエヴァに負けずとも劣らないものになると自負しております!」
自信を持って胸を張る時田。
このシステムの実装には、制御ソフト課の連中の死ぬほどの努力があったのだ。
それを知っているからこそ、どうしてもつい、エヴァを引き合いに出してしまう。
無論、NERVと関係をこじらせたいわけではないのだが、言ってしまってからではもう遅い。
「えぇ…では、、、何かご質問のある方は、この場にてどうぞ」
時田がそう言うやいなや、凛とした声とともに会場の右手奥から手があがる。
【本編とは関係のある?勝手な解説】
以下の設定はすべて勝手な設定です。今後、自分が書くFFでは以下の設定に準拠していく予定です。
※1:カラーリングとシルエット
全体はつやのある黒色。(エヴァ2のJA改のオレンジの部分がブルーにかわったものをご想像ください)
JA一号機より僅かながら身長が低いが、それは上半身がよりコンパクトになったため。
(エヴァ2のJA改とほとんど同じような形状、とご想像ください)
※2:黒色の理由
時田が言ったように夜間戦闘を想定して…というのは建て前で、本当は日重工職員の「装甲塗装色決定投票」で決まった。
一応、それに準じて夜間用赤外線センサーの数が、一号機の倍の個数搭載されている。
※3:冷却系の改良
新しく排熱用パイプが増設されている。これは単純な排熱パイプではなく、二次冷却水の水蒸気の排出や、
内部につながっているヒートパイプ、さらにヒートシンク、それを冷却する駆動ファンといった空冷機構も備えている。
※4:新型N2リアクター
一号機のN2リアクターと炉心の構造が異なる。エネルギー変換効率は一号機と比べて約155%改善されており、
生み出される電力も100万KWクラスになり、最大発電力は400万KW以上になる。
※5:ジェットアローン一号機の制御システム
中央統合制御チップセットの各チップは、ボディ全体の各制御チップと専属バスラインを通して接続されており、
チップ上の制御OSが全制御デバイスを一連のボディフレームシステムと認識させるという仕組みを採用してる。
3つのチップのうち、1つが上半身、1つが下半身、残りの1つは冗長性を高めるための補助処理を担当している。
別に分散処理をしているわけではない。
【本編とは関係のある?勝手な解説】
※6:チップセットのメモリ
チップセット上には大規模なメモリが搭載されており、ここに細かな動作プログラムとアルゴリズムが格納されている。
各チップは、管制から与えられた制御信号から、必要な動作を割り出し、それらをどのように組み合わせるべきかを
判断、メインメモリ内のアルゴリズムを選択し、動作プログラムを実行する。
アルゴリズム群は、研究所のシミュレーションシステムでプログラムされたもので、まれに実機で不具合を起こす。
※7:有機チップ
現実では、生体ニューラルチップの研究がようやく実用化まできた程度と聞いていますが、2015年なので、当然有機回路や
ニューラルサーキット等が普及している、ということにします。(いわゆるDNA有機演算チップではないです。)
JA一号機で搭載されなかったのは、ソリッドチップ以上に熱に弱く、50度を超えると凝固して使えなくなるため。
二号機では徹底した冷却のために、チップセット全体が微細冷却網で液体冷却されている。
※8:ジェットアローン二号機の制御システム
中央統合制御チップセットには3つの有機チップと3つのソリッド(トランジスタベースの超集積回路)チップで
成り立っている。(一号機のシステムと違いソリッドメモリは搭載されていない)
制御OSは一号機と同様、ソリッドチップ上で走り、デバイスの制御、ボディフレーム認識などを行うが、
動作選択のすべては有機チップのほうで行われる。
この有機チップは、完全な生体ニューラルシステムであり、動作プログラム、アルゴリズムを記憶、
また動作選択の際、3つのチップ同士が最適な動作を協議・決定、場合によっては新しいプログラムや
アルゴリズムを生成、記録する。
3つの有機チップが乗っているが、これはそれぞれが分散処理、補正処理を行って冗長性と正確さを高めるためで、
一号機のように部位に分かれて処理しているわけではない。
※9:人工知能型自律制御システム
厳密に、人工知能かどうかは怪しいので呼称に関してはスルーをお願いします。
ですが、イメージとしては、より生体の身体制御機構に近い発想とお考えください。
リアルタイムで見てました。言葉に表せないくらいGJ!
ますますアカデミックになってきたけど門外漢にもわかり易く書いてあって
すごいうれしい。JAが人間チックになってるんだな。更に愛着が沸くというか
生き物を見るような目で見てしまうね。
【本編とは関係ないです】
お久しぶりです。スレの保守ありがとうございました。そして、遅れてしまってすみませんでした。
今回の部分は、全体の流れとしては「人の造りしもの」の中盤あたりでしょうか。
ついつい、自分の趣向そのままに無駄に長い注釈をつけてしまいました。
とはいっても、もともとSSのほうで、直接、時田が説明する感じで書いていたのですが、
あまりにも読みにくいので、あまり関係のない内容は分けて書いた、という感じです。
>>648 ありがとうございます。4thとかも一応流れは考えてますが、詳細は秘密であります><
>>649 すいません、今回はめちゃめちゃ凝ってみました。なんだか厨房くさいですが、許してください。
>>653 もし要望が多かったらテキストファイルでまとめたものうpするかもしれません。
とはいえ、個人的にほかの職人さんのものや前スレもまとめたまとめサイトはほしいのですが。
前スレにはもっとネタが書いてあった記憶が…
またゆっくりと書き進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
>>670-671 設定資料集キター!
最低ものならこれだけで連載終了となるところですがw
厨度100%の俺にとっては垂涎ものですよジュルジュル
>本当は日重工職員の「装甲塗装色決定投票」で決まった。
この手の投票をするとまず間違いなく「赤」になりそうな気がするのですがw
そこをあえて黒にした日重のへそ曲がりぶりがいいですね。
国際学会とかのプレゼンでは、最中に必ずジョークが入るのですが、
日本人はそういうところで空気が読めないから困る。
199-200氏はそういう場を経験してますね、多分。どうでしょう。
リアルタイムに見てるやつ多いなw見逃したぜ…
今回のクオリティは異常。つーかヤバイ。
199-200氏は理系院生かかなりのSF好きと見た。
なにはともあれGJ!
おかえり職人!
休みはさんでもクオリティはそのままだな!GJ!
ちょwwwマジシステムってどこかで見たなと思ったら
>>183だwww
なかなか心憎いことをするな199-200氏はw
もうハードSFみたいになってきたなぁ。興奮しまくりだ。
ぜひ最後まで書ききってほしい。
>>678 あーそれか!俺もなんか覚えがあると思ったらw
680 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/06(水) 19:39:19 ID:VUHM0HmG
あったっけ?
【本編とは(ry】
うん、ついにというか、やっぱりというか、新作がきたようですね。
新作でジェットアローンが活躍してくれることを祈ります。
このスレでなら言える
科学は人の力だよ
おお、新作だ。
素晴らしい!!小学生の頃伝説の剣と魔法とドラゴンを
量産品の剣と人海戦術と知力と根性で叩き潰す物語を妄想していた俺とって
なんとも琴線に触れるssだ。
冷静だが嫌なガキだなw
なんつーか、ここまでリアルな描写を含むFFは始めてだな。
ここまでチルドレンの描写が少ないから、後半の鬱展開がどうなるか不安だ。
時田が鬱になって、JAを媒体に時田でサードインパクトだったりして。
まあ、エヴァ本来の設定では
サードインパクトは不可避みたいだからそれもアリ。
FFだと回避しちゃうけどね。
今後こういう設定が増えるならまとめが欲しいところだな。
薄暗い中でも、金髪は目立つものだ。一目で彼女だとわかる。
「…これはこれは、、、赤木博士…」
NERVからも代表者が出席するとは聞いていたが、技術部長じきじきのお出ましとは……
おそらく隣に座っているのは葛城作戦部長だろう。時田に静まりかけていた緊張感が一気に戻ってくる。
「質問よろしいでしょうか?時田主任」
「えぇ、それはもちろん」
会場内のほかの招待客の視線も、この金髪の女性に自然と集まる。
「先日頂いた仕様書を拝見しましたが…二号機に搭載される新型N2リアクターの出力は、一号機の
約2倍近いとの記述がありましたが、それに見合う冷却系は備えているのでしょうか?」
当然、想定していた質問である。おおよそ最初に疑問が集まるのはN2リアクターの安全性だ。
無論、時田たちも何の知恵なしに新型N2リアクターを搭載したわけではない。当然だ。
「まず、新型N2反応炉は発電機構が一号機とまったく異なっており、熱効率面でかなり改善しています。
出力は倍ですが、排熱量も倍、というわけではありません。
加えて、二次冷却装置には冷却材による液冷のほか、ペルチェ効果を用いた大型サーモモジュールが
取り付けられており、余剰電力をこのサーモモジュールにまわすことで強制冷却も可能です」
もともとN2を搭載する初のJAになる予定だった二号機。
その冷却システムに盲点は、ない。
「しかし、JAは使徒との近接戦闘を想定した兵器。万が一の場合、冷却装置の故障による炉心融解の
危険性がないともいえないのでは?いくら放射性のないN2とはいえ危険なことには変わりありません!」
これも想定済みの質問だ。もっとも、JAが三度も使徒戦に勝利したことで、この手の疑問を投げかけてくる
人物は少ない。先の質問も含めて、あくまで社交辞令的な質問ともいえる。
「そうですね。しかし、JAは一号機、二号機ともに、一次冷却系に異常が発生した場合はESSが、
二次冷却系に異常が発生した場合はECCSが作動するようになっています。
万が一のことがあったとしても、NERVの足を引張るようなことはありませんよ」
「では、冷却や動力、駆動系ではなく、先に紹介されていた制御系が故障した場合には?」
殴られた拍子にプラグが抜けました、などということはないのか。
リツコに限らず誰もが感じるであろう戦闘ロボットの不安面である。
「JAの制御システムは、ほかの部分とは独立した特殊なケージ内に収められています。
ケージは特殊合金とカーボンフレームで構成されていて、耐熱・耐衝・耐放射能に非常に優れたものです。
無論、システムそのものにも冗長性がありますので、仮に故障したとしても問題はありません」
JA内部の重要部分には、もともとSSTO(単段式宇宙往還機)用に開発された技術が多く詰め込まれている。
厳しい環境下での運用という面に限れば、リツコたちが思っている以上に優れているのだ。
「では、通信系は?」
突然、疑問を投げかける声が変わる。質問したのはリツコの隣で今まで黙っていたミサトだ。
JAは言うまでもなく無人遠隔操作型のロボットだ。エヴァとは異なりパイロットに負担をかけるようなことはない。
遠隔操作ゆえに陸戦兵器として運用するには多くの問題点が立ちはだかっていたのも事実だが、
現実に使徒殲滅に成功した今、通信系の問題はあまり重要ではない。
「そうですね、JAは無線による遠隔操作を実現していますが…無論、使徒からの攻撃には十分耐えうる強度の
通信アンテナを内蔵していますし、通信装置も暗号化されたデジタル通信が2系統、補助用のアナログ通信も
ついています。特に問題になるような点はありませんが…」
思わぬ質問にうろたえつつも、時田は答える。一方ミサトは、そう、とだけ返事を返すとそのまま質問を終えた。
いつもの雰囲気とは違うミサトに少し違和感を覚えた時田ではあったが、再びリツコが質問を投げかけたことで
そのことは忘れてしまった。
------------------------------------------
その後、しばらくリツコからの技術的質問が続いたのち、政府関係者、各国の首脳からもいくつか質問をうけたが、
無論リツコに比べればたいした疑問ではない。こなしているうちにあっという間に時間が過ぎる。
「では、そろそろ時間ですので公試運転のほうに移りたいと思います。では、会場の皆さんは管制室のほうへと…」
職員の誘導にしたがい、管制室への移動が始まる。
実演会のためだろうか、急ごしらえと分かるカーペットや観葉植物など、普段の研究室の無機質感を取り除く努力が
いたるところにチラホラと見られる。
とは言っても、さすがに研究一筋の人間が多い施設である。お世辞にもセンスがあるとはいえないようだ。
「ミサト、さっきは何かあったの?ずいぶんとおとなしかったじゃない」
「あぁ、あれね…」
パンフレットと双眼鏡を片手に第一研究所実験管制室へ向かう。
「いずれはエヴァが前線に立って戦う日が来るわけじゃない?」
「そのためにエヴァが建造されたんですもの、それはそうよ」
リツコは歩きながらパンフレットを丹念に読んでいる。きっと内容に落ち度がないか粗探ししているのだろう。
「なんかさ、ちょっと考えちゃったのよね。アタシ達、子供たちに戦争を強要してるわけじゃない?」
「戦争じゃないわよ。あなたも分かってるでしょう?私達が生き延びるためには使徒を倒すしかないのよ」
「それはわかってるんだけど……」
普段とは違う、友人のあまりに神妙な雰囲気に、リツコは顔を上げてミサトを見遣る。
「エヴァも遠隔操作できないかな、なぁんて思っちゃったりしてね」
「それは作戦部から技術部への正式な要請ととらえればいいのかしら?」
少し茶化しながら、ミサトを覗き込むリツコ。
「そりゃぁね。余力があれば。でも、エヴァってパイロットが直接エントリーしなきゃ動かないんでしょ?」
「それはどうかしら?まだエヴァには分からないことが多いから…」
父の敵をとるべく、使徒への復讐を誓ってきたミサト。当然、JAは、その復讐を邪魔する存在であった。
一方で、遠隔操作で決して犠牲者を出さないというコンセプトに基づいて作られたJAが戦いつづけるのを
見つづけているうちに、自分が子供達を戦場に立たせるという事実――そして、罪悪感を意識せざるを得なくなっていた。
かつてセカンドインパクトという惨禍で、10代という貴重な時間を失った少女時代。
今自分がやっていることは、サードインパクトを防ぐ、という名目で、子供達から10代を奪っていることでもあるのだ。
「忘れなさい、ミサト。
彼らがやっていることも、貴方がやっていることも、人類の平和を守ることには間違いないわよ。
中途半端な悩みを持つほうが、あの子たちにとっては不幸になるわ」
「…中途半端な悩み、か。そうね。もしあの子たちを守るとしたら、アタシがやらなきゃいけないことだものね」
NERVという超法規的組織に守られた自分と、何の後ろ盾もないものの信念だけで戦いつづける時田と日重工。
立場の違いとはいえ彼女の自分への懐疑は、もはや無視できないものになっていた。
【本編とは関係ないよ】
前回投下した設定が以外に好評のようで……嬉しい限りです。
ちょっとやりすぎたかななんて不安に思っていたので。いつも読んでいただき本当にありがとうございます。
さて、前回に続き、同じように補足説明です。。。(すいません!)チラシの裏ということで。
<チラシ>
劇中ではN2がなんなのか明示されていませんでしたが、(No Nuclearとかいろいろ諸説あるようですが、)
本FFのなかでは、極めて放射性の低い(半減期が短い)核反応の一種、ととらえて進めていきたいと思います。
やっぱりN2地雷とかきのこ雲でしたし、核反応のイメージを意識してるのは間違いないと思いますので。
(もしほかになんかオフィシャルの記述とかあったら知りたいので是非教えてください!!)
で、JAは両機ともにN2リアクター、つまりN2炉心による核動力炉を持ってます。
ただ、原理的には軽水原子炉とかとちょっと違って、放射能がないので一次冷却水でタービン回してます。
そして、二次冷却水が冷却とか圧力調整とか。ポンプで直接水が使えるのもそのためってことにしておきます。
あんだけコンパクトに収まるのは、原子炉と違って放射線遮蔽壁が必要ないからかもしれません。。。
考えてみると、結構夢の装置のような気もw
あとESSは緊急停止装置、ECCSは緊急炉心冷却装置、両方とも実際に原子炉についてる装置から名前借りました。
ペルチェモジュールはPC自作パーツのひとつから思いつきました。(前々から使いたかったのです。)
それからJAについては、スペースシャトルとかをちょっと意識しています。
最近知ったのですが、シャトルには5系統のコンピュータが搭載されていて、多数決で判断するそうです。
しかも、そのうち1系統はバグを防ぐため、ほかの4系統と違ったプログラムなんだそうです。
ちょwMAGIじゃん!と思わずにはいられませんよね。
スペースシャトルも実際の運用で問題点が露呈して、年月とともに改良してきてますし、
現場も巨大ロボットの建造現場に一番近い感じがするんじゃないかなと思ってます。個人的には。
あと、JA一号機と二号機の関係は、エンタープライズ号とコロンビア号の関係みたいなものと思うとよいかもです。
エンタープライズ号は宇宙にいってないので知らない方も多いと思いますが…。
それから、時田は制御システムは頑丈なんだぞ!とか言ってますが、第五使徒戦で、
最初に一撃でJAがやられてしまったのは、その制御システムのメモリをしっかりと固定してなかったからです。
いや、固定してたけど弱かったと。だから、外れてしまった。
それで、今度はがっちり固定しようってことになって、ボルトとか樹脂とかで固めてます。
…そんな舞台裏もあるといいなとも思ってしまう。
</チラシ>
以上、ちらしの裏でした。
なんかgdgdですいません。無駄に長いし。
メカ燃え期待している人すいません、次回こそはJAが暴走します。
リアルタイムktkr
N2は公式設定無いっぽいんだよね?
いやほんと凄いよ。なんか本当にその場の雰囲気というか。
場を作ろうと隠した何気ない中に本物を隠しておく、というか。
描写が「凝らないリアル」っていうのかな、その場に居た者にしか
わからない作られたものではない質感がある。
よぉ、早かったじゃないか>職人
スペースシャトルはMAGIつんでんのか。トリビアだな。
698 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 11:24:24 ID:Zh29oE7W
更新AGE。JAが活躍するFFは他にもあるけど、大概かませ犬。
しかしこのスレを読んでると農協がカコイク見えてくる不思議。
新作でJA出るかな?暴走するだろうけど、立体化してもいいようにデザインとか変わりそう。
>N2地雷とかきのこ雲でしたし
キノコ雲は核兵器でなくても発生させられるとは思うが……
エヴァンゲリオンは結局は敵と同じ力なわけで、いわば敵を捕まえて洗脳して戦わせてる感じだけど
JAで使徒を倒す事は死海文書もシナリオも関係なく人類が自ら道を切り開く事になるんだよな
これは燃えないわけがない
一気に読んだ。
エヴァFFもまだ捨てたもんじゃないな。普通に面白い。
しかしアレだ、これから先の使徒はJAで倒せるのかね。
サハクイェルやアラエル、イロウルやレリウルは厳しいように思える。
あとサンダルフォンやガギエルは特殊装備とかで戦うのかな。
>>696 やっぱ時田って根が善人って感じだなぁ。
やっぱり登場人物中では一番リアリティのある大人。
>>702 他のキャラと比較するのはやめようぜ…荒れるしさ。
それと、雑談の時はトリ取り外したら?ポリシーなら言うことはないが。
第一研究所の管制室は、そもそもJAの各種運動実験のデータ観測を目的に作られているため、
第二研究所のそれとは大きく異なる。広い空間には、やや余裕を持って各種端末、装置がおいてあり、
前方にはモニタースクリーンのほか、のぞき窓から肉眼で確認するための観測所が備えられている。
「準備は?」
「JA一号機、二号機、ともに最終チェック完了、起動準備OKです」
しかしながら、今回の実演公試運転では二体のJAを制御する。そのため、一号機の制御のために
わざわざデスクと端末を搬入しており、本来はスペースである部分にも端末各群が並べられている。
第一、第二の両職員が作業にあたっているが、床には大量のケーブルが這わされているために
不用意に歩き回ることもできない。
「よし、一号機、起動、所定の位置まで移動!」
時田の掛け声とともに、各員が端末をたたく。すでに一号機の起動は手馴れたものとはいえ、
初めて外部の人間の目にさらされるのだ、職員の間にも気の緩みはない。
――ガシーンっ ガシーンっ
「歩行停止、JA一号機、予定位置にて停止しました!」「制御、駆動、動力、すべて問題なし!」
初めて目の当たりにする大型ロボットに、観測所から双眼鏡片手にJAを覗いているスーツ姿たちから
歓声があがる。
「皆さん、これよりジェットアローン二号機の公試運転ならびにJA二体による実演会を行います。
何ら危険はともないません。そちらの窓から安心してご覧ください」
今日に至るまでありとあらゆるチェックをしてきた。二号機に不備はない――確信に満ちた声が響く。
「ジェットアローン二号機、起動!」
――ガシャーンっ! ウィィィィイイイイイン
大きな地響きとともに管制所前方のケージビルが左右に開きはじめる。
と同時に、初めてその完成した姿を日の下にさらすJA二号機。
艶のある黒に塗られた装甲が、熱く照りつける陽光で鈍く光っている。
「起動シーケンス、正常に実行中!」「N2リアクター、可動開始!回転数順調に上昇中!」
「二次冷却水、流速予定値に到達!」「全制御バス、接続確認!」「熱量160を突破!」
次々とモニターからの報告があがってくる。JAにとって、もっともトラブルが起きるのは、起動の最中だ。
すでに一度、実験で正常起動しているが、今回とて同じとは限らない。
各職員が注意深く自分の担当する部位のモニターを見つめる。
「熱量192で安定!」「出力問題なし!」「動力伝達完了、、、、JA二号機通常モードで起動完了しました!」
ほっと一息つく時田。管制所内からは拍手もあがっている。
「まだ気をぬくな。 続いて、二号機、前進微速で歩行開始!そのまま所定位置へ移動!」
――ガシーンっ ガシーンっ! ……
ゆっくりと、だが確実に大地を踏みしめる黒い巨影。コンクリートの大地に広がるJAの影もあいまって、
見た目以上に巨大な存在が移動しているように見える。
「移動完了しました!」「脚部駆動系異常なし、リアクターも安定しています!」
ちょうど対峙するかたちで、一号機の前に立つ二号機。
二体の大型ロボットが向き合う姿は、実に壮大である。
「主任、JA両機に模擬戦闘プログラムを送り込む準備ができましたっ!」
今回の公試運転の目的は二つある。
一つは、欧米各国から派遣された軍関係者、首脳にJAの姿、そしてその有用性や安全性を訴えること。
そしてもう一つは、新たに着任するJA二号機の信頼性を、JA一号機の模擬戦闘を通して確認することだ。
模擬戦闘については、前々から職員の間でも意見が上がっていたのだが、JA一号機は、常時、第3新東京市にて
戦闘待機をしなければならず、また、二号機が第3新東京市に運送されたとしても、
安全性の面から、一般市民の住む町で模擬戦闘など許されるわけもなかった。
今回、二号機のロールアウトに合わせて、一号機、二号機ともに公開実験が行われることが国連で決まり、
一号機は、一時、ここ第一研究所に戻ってくることとなった。
これで模擬戦闘実験ができる、と日重工が一息ついたのも束の間。この実演会のあと、すぐに両機とも
第3新東京市へ着任、という旨が国連から伝えられたのだ。
そこで、実演会にあわせて模擬戦闘実験も行おうという案が第一研究所から時田に送られたのである。
失敗すれば、今までのJAの輝かしい実績の評価を失うどころか、大きな事故にもなりかねない実験である。
しかし、それでも実演会で模擬戦闘を行うことを決定したのは、ひとえに第一研究所の職員、ひいては日重工
の自信の表れともいえる。それだけ彼らは二号機にプライドを持っていたのだった。
「ん、ゴホン。…これより、ジェットアローン一号機と二号機による模擬戦闘を行います。
もちろん、あくまで模擬戦闘ですので出力は落としてあります。何の危険もありません。
先ほど説明しました、二号機に新搭載のジェット・リフレクスの成果をご覧ください!」
つい、マイクを持つ手に力が入ってしまう。
自信満々に言い切ったものの、模擬戦闘で予想外の事故が起こるとも分からない。
不安と期待にはさまれつつ、時田は指示を出す。
「プログラム送信、、、模擬戦闘開始!」
―― ウィィィィィイイン
静かに二体のJAが拳を構える。
無機質な動きだが、しかし、構えた姿はまるでお互いの隙をうかがっているかのようだ。
「一号機、近接戦闘準備、目標JA二号機。両腕による攻撃を開始します」
一号機の制御を担当しているのは、加藤率いる第二研究所の職員達だ。
オフィスデスクの上に各端末を並べただけの急ごしらえの発令所から一号機へ指示をだす。
「二号機、近接戦闘準備、目標JA一号機。ジェット・リフレクスによる即時反射防御プログラムを展開しろ」
対する二号機の制御は、第一研究所の責任者、小松である。
彼も時田より若干若いエンジニアではあるが、二号機開発には設計から関わっている人間だ。当然、二号機への
愛着は誰よりも強い。彼は、二号機着任後には、時田をサポートのために第3新東京市に転勤が決まっている。
時田は、彼らの後方でJA両機の状態をモニターしている。
彼も、JAの二体同時展開が基本となるだろう今後の使徒戦を想定し、不測の事態に備えていつでも指示を出せる
ように二つの機体の状態をチェックしているのだ。
「一号機、右腕による打撃開始!」
指示と同時に一号機が一歩前に踏み出し、右腕を二号機めがけて振りかざす。
いくら出力を落としているとはいえ、巨大な腕から繰り出される一撃は強烈だ。
―― フゥゥーン! ヒュゥッ!
だがしかし、一号機が放った拳はむなしく空を切る。
一号機の一撃があたる直前、二号機が膝を落として体制をずらしたからだ。
「ジェット・リフレクス、正常に動作!」
二号機制御チームからは大きな歓声が上がる。
制御信号を送らずとも自動的に、そして瞬時に回避する――これこそが、彼らの目指したジェット・リフレクスの真骨頂なのだ。
二号機のモニターには、青のマーカーとともに「JR作動中」との文字が点滅表示される。
「一号機、そのまま第二撃だ!左腕にて打撃!」
さらに一号機が踏み込み、二号機めがけて拳を繰り出す。
が、今度は二号機が一歩引いて、攻撃をよけるどころか、一号機の腕をつかむと脇の間にはさみこむ。
「制御プログラム解釈は順調!目標を捕らえました!」
二号機制御チームが送出した命令信号は、単に目標を抱え込め、という抽象的な内容でしかない。
しかし、JA二号機はその命令をしっかりと解釈し、攻撃回避と同時に一号機の腕を捕らえるというもっとも効率的な方法で示した。
さすがに、遠隔操作のロボットがこれほど人に近い動きを見せるとは思わなかったのだろう。
観測所で模擬戦闘を見つめるギャラリーからも大きな歓声と拍手がわきおこる。
「一号機、安全保証数値内の最大出力で離脱行動!こっちも歴戦の戦いを見せてやれ!」
しかしながら、一号機も、今までの実戦で収集されたデータをもとに構築された、十数万パターンにわたる行動制御プログラムがある。
たとえ抽象命令をこなせずとも、戦い抜いてきたノウハウがあるのだ。瞬時に右肩の出力が上昇し、一気に後方へ離脱する。
「一号機、リアクター出力+6.6!安全保証数値内です!」「離脱成功!姿勢制御系の瞬間負荷、誤差範囲内!」
「二号機、下半身駆動部に圧力!アブソーバーで衝撃吸収しました!」「目標を光学で再度補足!」
今回の模擬戦闘は、名前こそ戦闘だが、あくまで二号機のジェットリフレクスと性能チェックが目的だ。
無論、回避行動の鈍い一号機に直接攻撃をしては大変なので、今回の実験では、一号機だけが攻撃を行い、
二号機は専守防衛に徹する予定である。
「…さすがに自信を持ってこの実演会でやるだけはあるわね…」
「そうね、思いのほかよくできたシステムだわ」
観測所のすみで、双眼鏡片手に二体のJAの組み手を見つめるミサトとリツコ。白と黒の影が会重するたびに
見学者達からは歓声とどよめきがおこる。
「そっれにしても、農協の次は、電車なんて…」
「…? …ミサト、それはどういう意味?」
「あれよ、あのモニター。JRって書いてあるじゃない。狙ってんのかしら?」
ミサトが指差す先は、二号機のモニタースクリーンだ。
二号機が回避運動をするたびにブルーのマーカーが光る。
「あぁ…国鉄ね」
「リツコ、何それ?」
「司令と副司令が言ってたわ。JRの前身の名前だそうよ」
無論、JRとは日本国有鉄道ではなくジェット・リフレクスの略である。
【本編とは関係ないよ】
>>703 あれ…
>>702を書いた記憶がない…(;゚Д゚)
うとうと寝ぼけながらYoutube見てたせいかな。。。なんか変なこと書いててすいません…以後気をつけます。
もちろん言うまでもなく、エヴァのほかのキャラクター達もとても気に入っています。
ただ、時田シロウというキャラはあの中では異色だよなぁと見た当時から思っていました。
あと、今後、もう少し書くペースをあげていこうかなと思っています。
結構長丁場になりそうなので、モチベーションが落ちないうちに書き終えたいです。
ちなみに、もちろん、普段は固定ハンドルやトリはつけていません。
(でもほかのスレでも投下するときは同じトリを使っています)
オリジナルを知っているだけにこの後の展開が怖いな。
JAと日重工の運命は・・・しかしこのクオリティでこのペースは凄いな。
俺も時田はエヴァの中で微妙な浮き方してたと思う。
なんか人間くさいというかアニメのキャラって感じがしないんだよな。
あれは時田の中の人の影響もあるんじゃない?
よく洋画とかで吹き替えやる人の声じゃん。
妙に説得力があるんだよねw
乙!!!
非常に面白いのでぜひ完結させて欲しい。
模擬戦展開もお互いに見せ場があって非常にイイです。
いいJAだな・・・少し借りるぞ(二体とも)
>白と黒の影が会重する
劇場版ふたりはプリキュアMH2を思い出したのは俺だけでいい。
しかし熱いな。原作通りに行くと白JAが逃げるのを黒JAが追いかける形になるのか。
ここまで続きが待ち遠しいSSも久しぶりだ。
ェ・・・逃げるのはてっきり黒だとばかり。
専守防衛だからな…一号機が追い付かない速度で逃げるのはある意味当然かも
まさか二晩連続投下とは思わんだ。
GJ!
マダ?
焦るな。199-200氏だって週末は忙しいのだろう。
しかし白が黒を止めるのか、黒が白をとめるのか、はたまたエヴァが
どちらかを止めるのか…
気になるな。
「フォー」と言う声とともに時田の筋肉が膨れ上がり、服が破けて時田がみんな止める
段々本気になってきた白黒に割り込んだ初号機
「テメェら俺を嘗めてんのかよッ」
だがWサンダーフィストで沈黙
三日ぶりの保守
726 :
199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/09/22(金) 00:04:48 ID:pr4NTiRI
―― ビィビィ…ピピっ
「加藤、何の警告だ?」
時田の耳に入ってきたのは、一号機のモニターからの聞きなれぬ警告音だ。
「はい、…あれ、おかしいな。。。先ほど何かのアラートがなったのですが…」
「どうした?」
「モニターには何の異常も表示されてません。……制御、駆動、動力、すべてに問題ないです」
依然、一号機と二号機は模擬戦闘を繰り返している。徐々に一号機が複雑な攻撃を繰り出していくのだが、
二号機もその動きに遅れることなく追従し、華麗な回避行動をとる。
「念のため、各部を再チェック。それから重大な警告はログに残っているはずだ。ログを追跡してみてくれ」
もともと、どんな小さな問題でも必ずモニターに表示されるようになっているのだが、扱う情報量が膨大なだけに、
重要度に応じてその表示は入れ替わる。そのため些細な問題の場合でも、担当のオペレータが見逃さないように、
毎回警告音がなるように設定されている。
「上半身のチェック完了しました。上半身は、特には問題は発生していません」
「そうか。続けて、下半身駆動系とリアクター制御も頼む」
「分かりました」
「エラーのほうは?」
「ログ追っていますが……今のところ、それらしきエラーは見当たりません」
今まで何度も一号機は起動、運用してきたが、警告音だけというのは初めてだ。
もっとも、実戦中はより多くの警告音に満ちるため、聞き逃していたということもないとはいえない。
しかし、仮にそうだとしても、今回は念には念を入れてチェックしたのだ。
もし、何らかの問題が発生したのだとすれば、それは未知の問題という可能性すらある。
727 :
199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/09/22(金) 00:18:23 ID:pr4NTiRI
「模擬戦闘プログラム、最終フェーズに入りました!」
いよいよ実演会での模擬戦闘も最後の演目となる。
最後を締めくくるのは、第四使徒戦の一号機の戦闘データをもとに構成されたプログラムで、
一号機は常に移動しながら二号機を攻撃、二号機は一号機の隙をうかがい最後に一号機を押さえつけて終了となる。
人間の格闘技ともとれる近接戦闘想定戦であり、両号機の動作手順も極めて慎重をもって組まれたものだ。
「よし、みな最後まで気は抜くな。特にリアクター、可動部のモニターはしっかりチェックするんだ」
約150日間という、その連続稼働時間がウリのJAではあるが、もちろん戦闘継続可能時間がそれというわけではない。
どれだけ戦闘状態を持続できるかという点に関しては、実験のしようがなく、あくまでシミュレーションによって得られた
数字のみであり、実際、過去の使徒戦では、長時間の激しい動きに可動部のいくつかが疲弊してしまうということもあった。
もちろん、現段階で分かっている、あるいは予測しうる各駆動部、可動部の補強はすでに完了しているが、それはあくまで予測範囲内だ。
今のところ、二号機のJ・リフレクスは正常に動作しており、その動作も時田たちの予想以上に軽快で正確だ。
今回の模擬戦闘プログラムでは、あくまでJA本体には負担をかけないよう、動作一つ一つは単純なものを選んでいる。
それらを組み合わせ、動きをおおぶりにすることで、派手なパフォーマンスとなるようにもしているのだ。
「一号機、二号機右方向に回りこめ!側面から攻めるぞ。パワーで勝負だ!」
「二号機、一号機がうってくるまで距離を維持、まだ動くな。第一研の本気を見せてやろう!」
728 :
199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/09/22(金) 00:20:47 ID:pr4NTiRI
二つのチームが、それぞれのJAを操りながら、予定の動作をこなしていく。
あくまで決められた動作を、制御プログラムを調整しながら実行しているだけだが、制御を担当している当の本人達は、
もはや模擬戦闘であることを忘れたかのごとく、子供のように自チームのJAに声を張り上げている。
「最終演目、勝負に出るぞ。最後の攻撃だ、一号機、右ストレート!」
「二号機、第二の連中の鼻をあかしてやれ!回避と同時に押さえつけろ!」
声が交錯するのと同時に、両機は一気に間合いを詰める。
一号機がするどい右ストレートを出した束の間、二号機は腰を落とし一号機の一撃をよけ、
一号機の腹を抱きかかえるように押さえつける。
一号機の離脱行動をもろともせず、がっしりと押さえつける二号機。
「あー!ちくしょう、結局一発も入れられずに終わりかぁ…」「わざわざプログラムを書き換えたのになぁ…」
「よぉし、これでこそJA改だ!」「ふ、ジェットリフレクスをなめるなよ」
一号機を操作していた第二研究所チームからは落胆の声があがり、一方、第一研究所からは歓声があがる。
本当に子供のようだなと思わず腕を抱えて苦笑いしてしまった時田だが、内心では模擬戦闘とJ・リフレクスの成功に
安堵のため息をついていたところだった。
「よし、模擬戦闘プログラム終了!各自、終了フェーズへ……」
そのときである。
―― ピィっ! ビューン………ガチャン、ガチャン…
「どうしたっ!?」
一瞬甲高い音が鳴ったのも束の間、管制室のありとあらゆるモニターの表示が消える。
いや、モニターだけではない。電灯、端末、空調…あらゆる装置の電源が突然にして切れたのだ。
「まさか、、、停電か!?」
突然のことにギャラリーたちもざわめき始める。
「リツコ、、、これは…停電かしら?」
「まさか。いくら日重工でも予備電源ぐらいあるはずでしょう?」
「ちょっとアタシ聞いてみてくるわ。もしかしたら不足の事態かもしれない」
ミサトはやや薄暗い中を足元に気をつけながら時田の元へ歩いていく。
「なんだってっ!では、予備電源は!?」
「こちらも電圧がゼロです!」
「そんな馬鹿な!」
思わぬ事態に日重工の面々も混乱状態となっていた。時田が必死に指示を飛ばし、状況の確認を行う。
幸いなことに、窓から差し込む日光が、管制室が暗闇に染まってしまうことを防いでいた。
「何があったのですか、時田主任!?」
「…!葛城部長!」
「…そちらの想定外の事態、ということですね?」
「…えぇ。現在確認中ですが、第一研究所全体の電源が落ちたようです」
「予備や副電源等の設備はないのですか?」
「一部実験棟にはディーゼル発電が備えられているのですが、、、」
暗い中でも時田の表情が曇るのが分かる。
「はぁ、、はぁ……し、主任!」
「どうだ?」
「はぁ…ん、ごほんっ!…ダメです!ディーゼルのほうも本館に接続できません!
地下のケーブルが断線しているか、本館の配電盤、変圧器が故障しているようです!」
日重工は、通常、外部の発電所からの送電に、その電源のおおよそを頼っている。
一方で、万が一の場合のために、本館にはディーゼル発電が備え付けられており、緊急時には
そこから最低限の電力を配電することができるようになっている。
そして、その手立てを失った今、日重工の施設の大半の電源は落ちてしまったのである。
「すると、、、まともなのは南館だけか?」
「いえ、中央電算室も蓄電池で何とか稼動中です。といっても残り5,6時間で落ちてしまいますが…」
日本重化学工業共同体が始まって以来、これほど大規模な停電は遭遇したことがない。
指示を出す時田も、このあまりに異常な事態に困惑を隠せずにいた。
「仕方ない。まず南館第6実験室に電源を回せ。あそこなら空調がきくはずだ。来賓をそちらに誘導し…」
―― ゴォォ …ドッシィーンっ!!!!!!!
突然、大きな地響きが響き渡る。と、観測所からJAを見ていたはずのギャラリーから悲鳴が起こる。
「まさか…!?」
急いで観測窓に駆けつけた時田たちの目に入ってきたのは、豪快に倒れたJA二号機と、その脇を後方に向かって
歩いていくJA一号機の姿だった。
「そんな馬鹿な………!」
「一号機が……暴走……!?」
仰向けに倒れている二号機を尻目に、多量の熱気を吐き出しながら、一号機は何かに取り付かれたように歩いていく。
「いかん!」
一番最初に現実に戻ったのは時田であった。
「水島!なんでもいい管制室に電源を引く方法を考えろ!村上たちは来賓の方々を南館へ可及的速やかに退避させてくれ!」
突然の時田の檄に、はじかれたように動き出す職員達。
「第二研究所職員と小松の班は、施設内のありったけのノートPCを探すんだ!」
停電下でのJA暴走という想定外の緊急事態。もはや困惑を通り越し、時田の頭は事態の打開のためフル回転していた。
「葛城部長!」
「な、なんでしょうか、主任」
「部長と、赤木博士も南館のほうへ避難してください。ここは暑くなるでしょうし、万が一の場合、暴走したJAが向かってくるとも
限りません。ここは我々が何とかします」
「…しかし!」
「今は使徒殲滅の作戦行動中ではありませんから、私は貴方の指揮下ではありません。
…最悪の事態は避けたい。今ここで争うことは時間の無駄でしかありません。人死にを出すわけにはいかないのです」
いつになく、時田の目は真剣である。いや、声の落ち着きとは裏腹に、焦りがにじみ出ているといったところだろうか。
「…。…分かりました」
時田の言葉どおり、今は言い争っている場合ではない。ミサトの脇からリツコが時田に口をはさむ。
「時田主任、今のこの状況下で貴方達はジェットアローンを止められるのかしら?」
「…止めて見せますよ、、、必ず…必ずね」
指示された第6実験室に向かうミサトとリツコ。
「ミサト、、、」
「えぇ、分かってるわ。…電源は、故意に落とされた」
「それも外部の人間がわざわざね」
前を向きながらミサトが答える。
「そうね。考えかたによっては、NERV関係者っていう可能性もあるかも…」
「それはないわよ。まず第一に私達がここに招待されている。これは矛盾だわ」
「それもそうね…」
リツコの否定に同意しながらも、ミサトは、彼女にとっての”最悪の事態”を考えていた。
もし万が一、JA一体が損失、ということになれば、使徒殲滅作戦へ大きな影響が出るのは考えるまでもない。
ミサトもリツコも、普段は敵視しているJAではあったが、今回の事態があまりに異常なものであるということは認識していた。
「仕方ないわね」
ミサトは歩みを緩めると、ポーチから携帯電話を取り出す。
「ミサト、あなた………それはダメよ、いくらあなたの権限だからって、これはNERVの管轄外よ?」
「分かってるわよ。エヴァは出さないわ。ただ、、、、ね」
そのままダイアルをプッシュする。
「あ、アタシよ。日向くん?悪いんだけど、ちょっと大事な頼みがあるの。
えぇそうよ。 そう。 …緊急事態よ」
【本編には関係ないよ】
お久しぶりです。長らく投下できず、待っていた皆さんすいませんでした。
先週末に急に予定が入ってしまい…。いろいろとストーリーを考えたりしているうちに遅くなってしまいました。
ペースあげるとか言ってるそばからこれで、すいません。とりあえず最低週1のペースは保っていこうと思います。
今回は特筆することはないですね。本編の流れを周到してますが、本編とは異なるように配慮してます。
というわけで、次号に続きます。
来た来た来た来たある意味JAの本当の本編が…
停電ネタをまさかここに持ってくるとは思ってもいなかった。
GJ
これは……いつにも増して凄くなる予感が…今はただ期待。
所詮、人間の敵は人間か
皆、通勤時間にスレチェックしてんのか?
まぁ俺もそうなんだが。
前回からなかなか伏線が多くて気になるところだ。
お疲れ様です。
暴走するのはJA1号でしたか。エヴァに暴走してもらいたかったのですが…
何を思ったか突然会場を破壊し暴走するエヴァ、それを追いかけるJA2機。燃えません?
>>740 JA1号機の暴走とそれを止めようとするJA2号機。
停電の中、事態を収拾させようと奔走する時田をはじめとした日重共職員。
動き出したNerv。
燃える。
今エヴァ板で一番熱いスレだ。
これは燃えるわ。
「加藤、まず一号機の暴走の原因を検討特定するんだ。小松たちのほうは二号機を動かす方法を考えろ」
「「分かりました」」
ついさっきまで興奮が満ちていた管制所の床には、第一研究所中から集められたノートPCやハブ、100V供給バッテリーパック
などが並べられ、そこから何本ものネットワークケーブルが中央電算室へと伸びていた。
先ほどまでJAの制御に使用されていた端末群は、裏のパネルなどが開かれ、おのおのの職員達が懐中電灯を照らしながら
内部の結線の一部をほぐし、ネットワークケーブルに接続しようと奮闘していた。
「JAの位置はっ?」
時田の手には紅白のメガホンが握られている。これは数年前の社内運動会で使われたもので、無線通信のできない
管制室内で古典的コミュニケーションツールの役割を与えられていた。
「すでに目視では限界っ!これ以上になると双眼鏡では詳細は得られませんっ!」
観測窓のそばで双眼鏡を片手にJA一号機を監視していた職員が叫び返す。彼が手にしているのは黒いメガホンだ。
すでにJA一号機は前進全速状態のまま、はるか遠く、熱せられた空気のゆらぎの向こう側に消えようとしていた。
――プルルルル、プルルルル
と、時田の作業着のポケットからLEDの点滅とともに電子音が漏れる。彼の携帯電話だ。
「もしもし、俺だ。。。な、なんだって!?……そうか、それで?…うむ。とりあえずほかに方法がないか調べてくれ。頼む」
通話を終わる時田の表情は先にもまして険しいものになっている。
「どうしたんですか?主任?また悪い知らせでも……」
「……本館の変電室の主分岐盤が、、、爆破されていたそうだ」
「爆破!?」「そんな…!!」「じゃぁこの停電は……」
職員の間にも動揺が広がる。――この停電は人為的なものなのだ。それも悪意をもった人間のだ。
「みんな、、、落ち着いて聞いてほしい」
時田が静かな声で話し始める。
「今回の停電……どこの誰かは分からないが、人の手によるものということが明らかになった。
最悪、何らかのテロ行為、、、という可能性もないとは言い切れない」
――今混乱してはJAを止める術がなくなってしまう。
何度も学んできた、冷静であることの重要性。
「だが、どうやら人的被害を出すのが目的ではないようだ。そして、この騒動の目的は、多分俺達のJAだ…と思う。
今は一号機を停止させるのが、今俺達がやらねければいけないことだ」
ここにいる人間は、戦場に立ってきた人間ばかりではない。中には恐怖を募らせている職員だっているだろう。
彼らを引っ張らなければいけないのは自分なのだ――時田は大きく深呼吸をして言葉を続ける。
「JAを守らなければいけないのは俺達だ…なんとしてでも一号機を止めるんだ。みな、頼む」
時田の言葉が沈黙の中に浸透していく。
「作業を続けてくれ。時間がない」
だが、職員たちは感じていた。
――そんなことなど言わなくとも、自分達はついていくと。
停電から48分、JA一号機暴走から36分が経過していた。
すでに一号機の姿は観測窓からでは確認できない。そして、横たわる二号機は沈黙したままだ。
『主任!電波塔まで電力回せるとのことです。通信復旧の見込みが立ちそうです!』
「分かった。こちらも何とか管制BIOSをPCで立ち上げられそうだ。復旧次第追って連絡する」
館内での連絡はもっぱら携帯電話に移行している。幸いというべきか、外部との回線連絡を担う交換機は
専用の予備電源で動いているため、日重工の研究所内では携帯電話が使用できる。もっともそれもいつまで続くとも分からない。
「おおよそ推定されうる位置はこのあたりだろうな」
「長距離無線が復旧するんでしたら、ヘリを使って追跡してみましょうか?」
時田と加藤が頭を悩ませているのは、一号機の現在位置だ。一号機の移動速度や放置区域の地形を考慮に入れ
地図の上でおおよその位置を検討してみたのはいいものの、結局確認する方法がない。
「時田主任っ!」
と、管制室入り口から時田のほうに向かってくる女性が一人。
「葛城部長…なんでしょうか?」
この状況の中だ。あまり良い表情で返答できない。
「たった今、NERVが暴走中のジェットアローン一号機の位置を特定しました」
「なっ!…NERVが!?」
「今回の停電、暴走事件は、何らかの悪意を持ったテロ行為と我々は判断、万が一の場合、使徒殲滅作戦の影響が
出ないとも限りません。NERV作戦局並びに中央司令部は、今回の事件に収拾をつける支援を行うことを決定しました。
なお、これらはのことはすべて特例8に準拠します」
思わぬ申し出に面食らう時田。
だが、NERVの情報収集能力の高さが味方になるのであれば、これほど心強いものはない。
「分かりました。ご協力お願いできますか?」
「もちろんです」
停電のために空調がとまり、管制室は35度近い温度になっている。
「この状態ですので、NERVとは携帯電話による秘匿音声通信しかできませんが……」
しかし、ミサトの表情は崩れない。
「日向くん?現在位置を」
彼女の手にあるのはもちろん携帯電話だ。加藤はミサトの携帯電話の音声出力をPCのスピーカーから出すため、
音声変換ケーブルを彼女の携帯電話に取り付ける。
『今しがた、IGS-4でも目標を補足しました。第一研究所から東に12kmの地点を平均時速31km程度で走行中です』
日向のアナウンスが、ノートPCの小さなスピーカーから鳴り響く。
「思いのほか速度が出ていないのが幸いだな」
「しかし、主任、このまま東に進むと……」
「あぁ、旧東京市の市街地にぶつかる可能性がある……」
その大半が放置区域として封地になった旧東京跡地だが、まだ東のほうには旧東京市が残存している。
時田の額には嫌な汗が浮かんでいた。
日重工の適応力が笑えるほど凄いな。時田の指導力のおかげか。
なんだか『アポロ13』のようだ。
>>749 分かる。
この人もしかして航空宇宙関連の人かね?
つ東京電力関係者
…ほら、原子力だしさ?
>>752 すごく・・・ヱヴァンジェル書院文庫っぽいです・・・
前スレにも書いてたかもしれないし、職人さんは普通に知ってるだろうけど、
知らない人も居るかもしれないので葉書のを一応書いておく
ほぼ原文ままで変なところもあるけど気にしない
「JA改」
●新型炉N2リアクターを実装した機体で、JAより一回り小さいですが、出力は大きく比較的敏捷で、冷却系統を一次系しか
持たないくていい代わりに、膨大な量の水を消費するので、長時間運用時は、近くには水源地が必要です。
●N2リアクターの実装は当初から危ぶまれていたが、公試に間に合わせることが絶対条件だったため
旧来のシステムに既存の核リアクターを搭載し、開発中の四肢の調整をするためのテストベッド機を
書類上JAプロトタイプと詐称し、それがそのまま公試まで進んで暴走することになる
●新型炉実装型の本機体はその間ただの実験機の扱いとなり、偶然とはいえ暴走の謀略を仕組んだ側のマークも
逃れ解体を免れる不思議な結果となった。つまり、名前は改だが、事実上のJA一番機
○膝から下は円盤を重ねた風のラジエターといかヒートシンク。湖の中や川の中に沈める位置にある
○上半身 あちこちから蒸気を常にはいてます。モクモクと雲をはき出してる風に
○タービン通って出てる排気です。機関車みたいな音をあてないように注意してください
○ハンマーを振り回す時とか腰を完全に一回転させたりして下さい
○手首のリングから放電できる
○つぎめで肩が回る
このスレだとJA改は黒を基調にしたカラーらしいね
アラエルあたりは対エヴァに特化した使徒っぽかったし、使徒が進化してる云々のゼーレの発言あったし
このままJAが使徒を倒し続けたら原作とは違う進化を遂げる可能性があるかな?
あんまり詳しくないんで的外れな事言ってるかもしれんが
>>755-766 まぁ本編第一話からのパラレルだしね。
エヴァの暴走で倒した使徒とか、後半の展開がかなり楽しみだ。
しかし、毎回思わぬ展開と有り得ないぐらい細かい描写にしびれるのだが、
この分量ペースで進むと劇場版の頃には5、6スレ目にいってそうじゃないか?
マジHTML詳しい人、誰かまとめサイト作ってほしい。
お願いエロい人!
はじめはJAの性能や使徒戦における運用などを考えるスレだったが
199−200神が降臨するとその圧倒的にファンキーでエキサイティングな文章に
あっという間に事実上の専用スレと化した。そのことに誰も疑問を差し挟まない
ほど彼のSSは素晴らしかったからだ。だがスレを199−200神のみの力に
任せきりにしてしまうのはいささか無責任といえよう。働いたら負けかなと
思っている人じゃあるまいし、ただ楽しみに待つだけにとどまらず我々も
なにかこう、ネタを・・・
>>752のように画像を貼るもよし、
>>754のように設定を
確認するもよし、初心にかえってJAの性能や戦略を議論するのもよかろう。
まあつまり何が言いたいかというと、まとめサイト頼むエロい人。
>>758 当初から小ネタ(使徒をジャイアントスイングで宇宙にサヨナラさせる奴とかw)なんかもあったし、SSスレに変えたのは522-524神だけどな。
書き手が三人くらいになった時点で小ネタや考証がなくなり、199-200神のみ残った辺りから完全に待つだけになった希ガス。
設定書いてる時はあえて言わないようにしてたけど…
改めてみると尻のタンク浮いてるよなあ…
>>760 乙。本編JAはナンセンスでいてハイセンスというかダサカッコイイというか
狙ったのか狙ってないのかよくわからないのが俺的魅力だな。
あのさ、このSSって最近ないジャンルじゃないか?新ジャンルとまでは呼ばないけどさ。
ロボットモノだがロボットには乗らない。熱血モノだが根性だけで勝つわけじゃない。
わりとロボットモノは未知のテクノロジー(あるいは他の敵とは違う何か)が必ずあって、
それで正体不明の敵やら軍やらを倒すわけじゃん。パイロットが叫びながら。
だけど、このSSは主役のロボットは敵にはまるでかなわないテクノロジだけで
とにかくスタッフが走り回って、なんとか勝つってパターンじゃん?
なんつーかだなぁ、ジャンルと言われたらロボット「運用モノ」というかなんつーか。
すごい新兵器とか必然的奇跡で倒しました〜って感じじゃなく、
裏で勝つためにこんなに苦労してる、こんなに頑張ってたってのにフォーカスをあてたロボアニメって
なかなかないんじゃないかね?
ヤマトとか似てるかなぁとは思ったけど、ロボではないしな。
アポロ13っぽいって意見には禿げ同だがまぁアニメじゃないし。
つまりね、俺が言いたいのはまとめが欲しいってことよエロイ人。
言いだしっぺの法則だっぺ。
捕手
今夜あたり来そうだね。
こんな時田はイヤだ
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!ジェットアローンパアアアアアアアンチ!!!」
「叫ぶ必要あるんですかね?」
「・・・言ってやるな。」
それはそれでアリだと思ってしまった…
以前、心底「いいひと」な時田を書いてみようと思ったが諦めたなぁ。
披露時にネルフの料理を用意してないと知り、当日朝早く起きて重箱に手料理を作ってくるというw
材料は農協から買ってくるんだな。
すでに一号機の足音も聞こえてはこない。
加藤をはじめ、管制担当の職員たちがノートPCに一号機制御のための代替管制プログラムを
手動で書いていた。これも、時田の指示である。
「電算室から管制経由で主電波塔まで、、、ん?――デジタルでだ。…そうだ。。。あぁ。分かった」
時田は各所での復旧の指揮を携帯電話一つで行っている。一方で、手元のデスクにおいてあるラップトップからは、
NERVからの一号機追跡情報が次々と飛び込んでいた。
――プルルルっ プルルルっ
時田が通話を終えるや否や、続け様に携帯電話が鳴り響く。
「俺だ」
『主任!小松です!』
電話口から届く彼の声の後ろから、いささか耳障りな騒音が聞こえてくる。
時田は、倒れこんだ二号機の状態を確認するため、彼ら、小松率いる二号機制御チームを現場へと向かわせていた。
その大きすぎる巨体のせいで、目の錯覚から二号機が倒れた地点は目の前にも感じるのだが、
実際には結構距離があり、徒歩ではちょっと辛い。
『今、JA二号機のデバイスチェックに入りました!――見たところESSが働いたようで、二号機の
リアクターは完全に停止しているようです!』
もともと国立第三試験場に限らず、旧東京の放置区域の移動手段はVTOLヘリが基本で、車両移動はめったにしない。
というのも、施設の一つ一つとの距離が遠い上に目印になるようなものもない場所だ。
車両移動などしようものなら、すぐにその広さのために迷ってしまう。
「分かった。今こちらも一号機との通信確立を目指して作業中だ。安全第一だぞ?万が一の場合もある」
しかし、ヘリでは検査機器類を運ぶのに手間取ってしまう――いや、そもそも日重工には、長距離移動用の
旅客運搬ヘリしかなく、物資運搬用のVTOLは、生憎、第一研究所には配備されていない。
そこで、彼らが目をつけたのは、本来は施設内での短距離物資運搬に使う、超大型の特殊運搬車両である。
今の時勢には珍しく、化石燃料だけで動くタイプで、普段はその燃料確保の面倒さから、超重量物を運ぶときに
しか使われていなかった。
だが、電気が使えない今、燃費の悪い電池型車両や充電型車両に比べると、その馬力ははるかに心強い。
しかも、もともとリアクターや大型アクチュエータなどの運搬を主用途に作られたためか、内部に発電機構まで
搭載している優れものなのだ。
これ幸いとばかりに、小松たちはありったけの人員と機材を乗せ、横たわる二号機へ横付けしたのである。
『大丈夫ですョ!親を踏み潰すような躾はしてませんからね、ウチは……っと、今、デバイスチェック終わりました!
各装置、異常なしです。どうやら普通に耐衝緊急停止しただけのようです。起こしますか?』
「主任っ!」
と、おもむろに加藤が端末群の影から頭を出し、通話中の時田を呼ぶ。
「加藤、ちょっと待て!…それで、小松、そのまま起動、目的命令信号を入力して、半自律行動させることはできそうか?」
二号機は、内部搭載の有機チップのおかげで、一号機に比べるとその制御信号の形式ははるかに簡素化されている。
うまく行けば、初期行動バッファに予めプログラムを走らせることで、一号機の追跡をさせることもできるかもしれない。
『制御信号をなしでですか?二号機のリアクターは――』
「分かっている。二号機のリアクターは、10分以上管制から応答がなければ自動停止、だろう。
俺が言いたいのは……つまり、それをあえて外すんだ。…制限30分までゆるめて、一号機を追跡させられないか?」
出力の大きい二号機は、一号機以上にリアクター制御にシビアである。
唯一、リアクターは自律制御システムからは切り離された、安全重視の独自の制御系なのだ。
それを手動で緩めることは、管制からの制御なしでの、自律行動レベルを拡大する変わりに、
万が一の炉心融解のリスクを増やすことにも繋がりかねない。
『…30分、でいいんですね、主任…?』
「それ以上だと負荷がかかりすぎる。30分で追いつけなければ、、、意味がない…」
微かな進路変更を繰り返しながら暴走を続ける一号機。
市街地到達まであとどれほどの猶予があるのかは分からないが、もし30分以上の追いつづけてもダメな場合、
一号機を破棄するしかない。
そして、それならば、二号機には負荷をかけるべきではないのだ。
『…勝負、ですか』
横のPCから、またNERVから一号機の進路変更の報告が入る。
あくまで人の手で止めなければならない以上、急ぐべきは管制室の復旧である。
「あぁ…。時間との…な」
小松との通話を終えると、今度は足元に注意しながら加藤のもとまで歩いていく。
電灯なしの管制室はほとんど暗闇に近いが、天窓の僅かな日光とPCのモニタの光のおかげで、
かろうじて薄暗い管制室内でも作業できる。
「書き終わりました。多分、これで大丈夫だと思います」
彼のモニターには黒をバックに緑の文字がびっしりと並んでいる。
停電のために完全に使えなくなった実験用管制システム。
それらの一部を代行するためのプログラムを、本来はシミュレーションに使う中央電算室内のコンピュータ上で走らせ、
一号機を緊急停止、暴走の原因を特定した上で管制を確保、試験場まで帰還誘導させる――
限られた手段だけで、確実に事を進めるということ。
未だ電力の復旧する見込みがない以上、問題との長期戦は必死だ。
傍から見れば遠回りに見えるかもしれないが、この方法でしか一号機を完全に停止する方法はない。
いや、少なくとも暴走の原因が判明しない今、尽くせる手段がこれぐらいしか思いつかなかったのだ。
「…よし、、、これで行こう」
蒸し風呂のようなうだった暑さの管制室へ、少しばかりの涼しい風が吹き込む。
先ほどまで照り輝いていた太陽は、その姿を雲の後ろに隠そうとしていた。
さらに暗くなってしまった第一研究所の片隅で、小さな明かりが灯る。
「主電波塔へ電力供給開始」「東館の余剰電力はゼロ、これで限界だ」「電圧-0.2、矩形波に近いが安定してる」
水島たち率いる電気担当班が、手持ちの電卓と第三試験場の設計図から計算した方法に基づいて、
電波塔に予備電源からの電力を分配していた。
すでにディーゼル発電機の重油は、かなりの量を消費しつつある。
無論、携帯電話やノートPCなどのバッテリーも例に漏れず、その残量は目に見えて減ってきている。
すでに何名かに、第三試験場内の電気自動車両に搭載してあるであろう蓄電器をありったけ確保に向かわせたのが、
そもそも車両数が少ない以上、それにもあまり期待はできない。
「そうか、分かった…こちらも準備完了だ」
時田の通話の相手は、もちろん水島だ。
「あぁ、頼む……そうだ。何か異常が起きたらすぐに知らせてくれ」
今日一日で、もう何度目か分からない通話を終える。
すでに着信、発信履歴は見慣れた部下の名前ばかりだ。
「主任、電波塔は?」
「あぁ、今動いた。まずネットワークのチェック、それがグリーンだったら管制システムを起動してくれ」
「分かりました」
加藤が先ほどとは別のノートPCに、コマンドを打ち込んでいく。
ほかのノートPCは節電のためにモニタの電源を落としているため、明かりは加藤の操るPCと時田のNERVとの連絡PCだけだ。
先ほどのNERVの報告によれば、一号機はやや南の方角に進路を変更したらしい。
進路がぶれるのは、おそらく長時間の歩行によるリアクターの排熱で、下半身の制御に乱れが出てきたためだろう。
このままでは、一号機の熱暴走の危険性もある。
「…主任、ネットワーク、オールグリーンです」
画面に表示されるいくつものOKの文字。
「…よし、管制システム、起動開始」
時田の掛け声と同時に、彼の指がエンターキィをはじく。
すべての機能、とまでは行かないが、実験用管制システムとほぼ同じ機能を汎用コンピュータ上で再現するため、
急遽、既存のコードを改変、コンパイルして造られたJA制御用のモニタリングシステム。
いつも見慣れている大型モニタや専用端末による機能制御分担こそできないものの、それでも理論上は管制システムとしての
役割は果たせるようになっている――
はずであった。
「ん…!?エラー!?」
「どうした?」
加藤の声に時田が画面を覗き込む。
「…そんな馬鹿な……主プログラムが走りません!」
「……ちょっと待て…」
おかしい――
時田が真っ先に感じたのは、何かの違和感であった。
そもそも、この研究所に関わらず、すべてのJAの管制用システムはその端末からプログラムまで、一から日重工が設計したものだ。
その主たるモニタリングシステムは、将来的な柔軟性を確保するため、なるべく汎用言語を利用して製作したのである。
いくら急ごしらえのプログラムとはいえ、その大部分はプロジェクトのものをそのまま流用してコンパイルし直しただけだ。
「このプログラムのソースのバージョンは?」
「2015年度版の最新のものです。来月、第二のほうにも採用する予定のやつですよ」
管制システムに限らず、多くの技術、テクノロジは、第一研究所でその安定性、信頼性をチェックされた後に、
第二研究所で採用される。
「万が一のバグという可能性もあるな…一つ前のバージョンでもう一度やってみてくれ」
「しかし、主任、時間が……」
「加藤…焦るな。それほど時間がかかるわけじゃない。やるんだ」
かえって原因を探して時間を食うよりは、安定しているシステムを使ったほうが早いはず――
内心では自分の判断に確信をもてない時田ではあったが、ここで迷いを見せるだけ時間の無駄だ。
加藤たちが慣れた手つきでキーボードをたたく様子を見つめながら自分の心の中を整理する。
(爆破による停電、一号機の暴走………やはり、テロ、、、なのか?)
考えれば考えるほど、今回の事件が、日重工を敵視する相手からのテロとしか思えない。
しかし、そんな組織など心当たりは一つしかないのだ。
(まさか……NERVが…)
――プルルル
と、再び時田の携帯がなる。
『主任、JA二号機、起動完了しました!』
――ドッシィィィイイインっ!!!
時田の耳に、地響きのようにとどろく二号機の足音が入ってきたのであった。
【本編とは関係ないインターバル】
遅くなってすいません。gdgdな上に読みづらくてすいません。
なんか今回は、エンジニアさんから見たら、イロイロ突込みどころがあるかもしれませんが、ご容赦下さいましorz
それにしても、「行数が多すぎます」とか文句いわれるなぁ最近。専ブラも動きが重いです。
777レス目おめっとうさんです。乙。
携帯で知らせを受けると同時に登場するJA2号機にシビれる憧れるゥ!
こういう演出、大好きです。お忙しいでしょうが次回も期待してます
とりあえず一区切りか…激しく乙
ほんとにこんなJAを見れるのはここだけだな
何やら時田、エリオット・グローヴナーめいて来たな。
こうなったら、もう、
使徒迎撃しつつ、ネルフもゼーレもシメちまってくれw
次のエヴァクロニクルはメカニックがJAらしいから期待
毎回次の展開が気になるから困る。
プログラムのバグも伏線か?
>>781 なんかもはやこっちのJAのほうが設定が細かい気がする。
まぁ独自設定が多いと思うけど
・研究所の名前
・JA1号機にもN2リアクターがついてる(でも稼働時間は120日?
・JA2(JA改)はエヴァ2のJA改とはちょっと別物
・加藤とか職員の名前
って設定がここのオリジナルだよな?
そういやエヴァ2で、冷却水チューブがついているのにガシガシ動き回るJA改を見て思ったこと。
赤木博士、内部電源よりも長いケーブルを開発してくれっ!
長さはともかく丈夫さはガギエル戦で定評が・・・と言いつつブチブチ切れまくってる印象の方が強いなw
きっと引っ張り強度が高いんだろう。
でもケーブル切れたの何気に2回だけじゃない?
シャムシェルと戦自以外にあったっけ?
レリエル?
まあれは仕方ないか。
ガギエル戦はケーブルの強度より、空母の飛行甲板への接着強度の方がトンデモ。
772 名前:ES ◆jH3Q3bIrRM メェル:sage 投稿日:2006/10/04(水) 20:52:04 ID:???
公式の情報が来なくて寂しいですね、やっぱり公式のちゃんとした情報が欲しいですよね
でももう少しですよもう少しの辛抱だから…
前編の戦闘の迫力はクライマックスだけじゃないですよ、3つのシーン全て手抜き無しです。
EOEの弐号機VS量産機の重量感を凌駕します。しかし戦い方はなぞりません。
JAは登場しますが結構デザインが変わりますね、使いどころも変わります。扱いは・・まぁ旧作に近いですが。
とにかくあと少しの辛抱なのでしばらくお待ち下さい。
・・・?よくわからない。
新作の話だろ。JAはやっぱり噛ませ犬か…
エヴァとJAとトライデント(リツコによる魔改造済み)が共闘とか無いかなぁ。いや、あったら別作品かw
まぁ仕方ないっちゃ仕方ないさ。むしろ新作に出るってことを喜ぼうぜ。
てっきり「人の造りしもの」は切られると思ってたしなぁ。
まぁ新作なんかよりこのスレに期待するよ俺は。
スパロボに登場させろ!
ロボットでもないエヴァが登場してるなら、JAもきっと!
>>792 扱い的になぁ…。ナデシコのデルフィニウム(だっけ?)みたいなもんだし。改は違うが。
ただ、
雑魚扱いで即刻退場→強力な援軍として再登場(EVA2)
というパターンは バ キ の 本 部 に 似 て い る !
JA一号機はぜひボスボロットと格闘してほしい
ロボットってのは機械の事じゃないぞ
人間の道具になってて
半自立的に働くのなら、立派なロボットだろ
>>795 リツコさんが、ロボットじゃないわ、とか言ってなかったっけ?
汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン…という響きは当時の自分には超ショックだった。
万能文化猫娘
798 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/07(土) 13:25:52 ID:i1Wc7l0n
保守
人造人間はロボットだよ
まぁエヴァは知らないけどJAはロボットだな。
人造人間でもエヴァは人が乗るものだからロボットなのかな?
電子機器も大量についてるし。生体ロボットか。
このスレにいると、毎週期待しながらロボットアニメを待っていた子供の頃の心境を思い出す。
ヤフー辞書より
ロボット【robot】
「ろぼっと」を大辞林でも検索する
1 電気・磁気などを動力源とし、精巧な機械装置によって人間に似た動作をする人形。人造人間。
2 目的の作業・操作をコンピューターの制御で自動的に行う機械や装置。人間の姿に似るものに限らない。自動機械。「産業―」
3 自分の意志でなく、他人に操られて動く人間。傀儡(かいらい)。「軍部の―である大統領」
『一号機の識別信号を追跡するようにセットしました。行動制限はレベル3まで開いてます』
「分かった。一号機はそれほど速度を出していない。それで行けるだろう」
いくら高度な人工知能を持っているとはいえ、やはり遠隔制御のように融通が利くわけではない。
あくまで二号機は一号機を足止めさせるだけだ。暴走を止めるのは人の手で行うしかない。
「こちらも間もなく管制復旧する見通しだ。ひとまず本部のほうに戻ってくれ」
『分かりました。…ようやっと、なんとかなりそうですね』
「だといいが…」
――ドッシーン!ドッシーン!…
二号機が足を踏み出すたびに、その振動が床から体に伝わってくる。
ロールアウトしてすぐの半自律制御には若干の不安もあったが、少なくともこの程度の簡単な指示なら
確実にこなせるほどに、二号機の中枢は高度な機構を持っている…いや、持たせたのだ。
ここに至るまで様々な苦難があったが、いまや世界でも最高水準と言える自律制御を可能にしたJA二号機。
二号機に限らず、決して制御不能を許さないその信頼性こそが、両JAの唯一の強みであった。
(…今ここで事態を収拾できなければ、JAの有用性は失われてしまう…)
政治家のごとく利害で動くことを、もともと技術者出の時田は良しとしない性格である。
しかし、現に、多大な政府援助金を投入され、日本政府による国内外でNERVに対抗するための最後の切り札として、
ジェットアローンが政治的立場を得てしまった今、JAの存在意義の喪失は、日重工のそれを失うことに等しい。
自分が責任を取るだけではすまされないかもしれない――
日重工の解散という最悪の結果が彼の頭によぎる。
すでに国連から使徒迎撃作戦の一環としての補助予算を承認された以上、日本政府と国際世論の二つの立場に挟まれて
そのギリギリを日重工は歩んでいるのだ。
なんとしてでも、JAを止めなければならない。
「――主任、時田主任!」
加藤の声が耳に入る。
「あぁ、すまない。なんだ?」
怪訝な顔を時田に向けていた加藤であったが、すぐに表情を切り替える。
「リコンパイル完了しました。主プログラム、実行します」
「よし、走らせろ」
加藤がキーをたたくと同時に、文字列が目にも止まらぬ速さでモニタ内に映し出されていく。
「行けそうか?」
「そう…みたいですね。今度は大丈夫のようです」
文字列が一瞬停止すると、画面が切り替わり、”日重工JA管制システム”と書かれたGUIの起動画面が移る。
そして。
「主任、管制システム、起動しました!」
加藤の声とともに、14インチの画面に見慣れたウィンドウが複数重なって開かれる。
もっとも、いつもは専用端末の大画面モニタで見ているものではあったが。
「よし!まず、ほかのPCへとタスク振り分けだ。最低、手動制御シェルとN2リアクタ、RT光学センサーのモニタリングだけでいい。
ネットワークはのほうはどうだ?」
「はい、メインフレームへのリモートログインは正常、主信号回線インフィニティへのバイパスもOKです」
これで、少なくともJAの手動制御だけはできるようになるはずだ。
「分かった。いいか、みんな、……JA一号機を停止させるぞ」
暗闇に数台の高輝度液晶画面が浮かぶ。
「今、広域通信を開放しました。一号機と二号機を探索中です」「NERVの通信とつなぎました。衛星からの位置情報をマッピング中」
「グリッド処理に問題なし。ブレード数を12%蹴ってもまだいけます」「二号機からのデジタルで応答確認、制御を手動遠隔に移します」
いつもの端末、とは行かないものの、システムさえ起動してしまえば、あとは彼らにとっては得意なものだ。
「処理に余裕があるなら蹴って電力浪費を抑えるんだ。二号機の現在位置は?」
状況の全体を見渡すモニタがないために、各員の間を行ったり来たりしながらも、時田はすかさず指示を出す。
「一号機と約1.2Km離れています。ですが、光学で補足しました。速力は原速、リアクターも正常です」
「そのまま後方から接近、一号機を捕らえるんだ。一号機のほうから応答は?」
「それが、妙なことになってるんです。初期応答は返ってきたんですが恐ろしく返答が遅くて。
モニタリングはできますが、信号の断絶が激しくてリアルタイムでは確認できません。やはり内部の問題でしょうか?」
停電と同時に暴走が起こったことを考えれば、停電によって管制信号が失われたことが暴走の原因かとも考えられたが、
一号機の制御チップは管制下を離れて15分以上たった場合、自動的に停止するように組まれている。
すると、制御チップの処理のどこかで問題が発生したとしか考えられない。
だが、応答が返ってくるところを見ると、外部からの信号も正常に処理しているようでもある――
「何らかの原因で、制御チップがビジーになった可能性も考えられるな。自己チェック信号を送信してみてくれ」
もしハード面でチップに異常が出ているのであれば、予備用のチップに切り替えればいいだけだ。
それから緊急信号を送出すれば、少なくとも停止だけは出来るはずだ。
「主任、今戻りました。……歩行しつづけるところを見ると、下半身の制御チップでしょうかね?」
と、管制室の入り口から先ほどまで二号機再起動現場にいた小松たちが入ってくる。
外にいて機材を運び降ろししていたせいか、彼らは汗だくだ。
「分からん。レスポンス自体はあるようだ。だが…」
「JAはあらゆる事態を想定してプログラムは組まれている、そうですよね」
無論、小松の言葉は嫌味などではない。彼はJAの制御に関してもっとも労力を投じた男だ。
JAの制御原理、初期実装、そして二号機のJRシステムの搭載も、彼の貢献によるところが大きい。
「そうだ。例え制御回路に異常があったところで、歩行を続ける、ということは有り得ない」
「二号機のほうはどうです?」
「特に異常はない。あと少しで一号機に接付するところだ」
覗き込むPCの画面の右上には小さなウィンドウが二号機の光学カメラからの映像を映し出している。
一号機の背中まであと少しだ。
「主任、チェック信号のレスポンス着ました。システムは正常、チップ0、チップ1、ともに生きてます」
「…変だな。下半身制御切り替え、予備回路へ移せ。それから緊急停止信号を送出」
制御チップが正常に稼動している――そうなると、暴走の原因はよりいっそう不透明になる。
(だとすると、駆動系の問題か…?いや、そうだったら歩行もままならないはずだ…)
「チップ1、チップ2へ切り替え完了しました……あぁ、ダメです。やっぱり停止しません」
「停止信号は拒否か?」
「いえ、レスポンスなし。どうやら受信していないようですね…」
信号そのものを受信しなければ、遠隔からの停止は難しい。そうなれば、あとは力づくで止めるしかない。
「主任、二号機が今一号機を捕らえました。出力68%で負荷は47!」
職員の一人から声があがる。
PCの画面には、二つの輝点が重なって表示されている。
「もう一度、一号機へ緊急停止信号を送信。二号機はそのまま一号機を足止めさせるんだ」
まだ強制的に押し倒してしまうわけにはいかない。打つ手はまだあるはずだ。
「小松、加藤、ほかに考えられる原因は何があると思う?」
「あまりに状況が不可解すぎますね…。モニタリング信号も出してはいるのに断絶している、こちらからの
管制も受信しているかどうか怪しい。けれど、制御チップに異常はない…」
「信号自体も、その返答の時間、返答確率はランダムですし…」
手をあごにあて考え込む時田たち。
ふと、小松が顔を上げる。
「加藤、そういえば一号機のモニタリング信号は受信できているようだな?」
「デジタルのBchとアナログの併用で確認できるだけで、リアルタイムじゃないですけど。まだN2には臨界まで余裕があります」
「…ちょっと待て、じゃぁ命令信号はどっちで出してるんだ?」
「デジタルのAchで、応答もデジタルチャンネルで返ってきてます。」
JAには、一号機、二号機ともに3系統の通信装置が搭載されている。1系統が管制との通信、1系統が敵味方識別信号、
そして、バックアップ用である。もっとも運用時には、各チャンネルが決まった役割をこなすことは少なく、状況に応じて、
柔軟に送受信チャンネルを変更するため、役割分担はあくまで建て前上のものでもある。
「アナログでは通信できないのか?」
「アナログでは応答してこないですね。ちょっと距離がありすぎるのでは…」
「待てよ……そうか分かったぞ!」
小松が急いで二号機のモニターに駆け寄る。
「小松、どういうことだ?説明しろ」
時田が小松のもとに駆け寄る。当の本人は、二号機の光学センサーの映像を最大解像度にしている最中であった。
「主任、おそらく原因は通信系です!」
「なんだって?だが、3系統が同時に落ちるはずなんか…」
「電波妨害ですよ…おそらく」
画面上のウィンドウでは二号機の光学センサーの映像をキャプチャしている旨が表示される。
「ちょっと待て、妨害だとして、二号機に影響がないのは一体…」
「おそらく一号機そのものに狭域ジャマーが取り付けてあるんでしょう。そしてさらに、そこから一号機に歩行信号を送出し続ける。
こうすればこちら側からの信号、特にアナログは受信できないし、モニタリング信号も断絶します」
キーをたたきつづけながら小松は続ける。
「JAの通信装置にはシールドとフィルターがついてますから、超近距離からの信号であればジャミングに埋もれず受信してしまう。
歩行信号を送出しつづけられているなら、チップは管制下であると認識して、ESSは作動しない」
最大解像度でキャプチャされた静止画像が徐々に画面に姿を現す。撮影されたのは一号機の背中にあたる部分だ。
「今回の一連の暴走はやっぱりテロリズムですよ。そうでなければ、俺達のJAが暴走するわけがない!」
小松の一言――そう、幾度の使徒戦を乗り越えてきたJAが、そう簡単に内的要因で暴走するはずはないのだ。
時田と加藤は納得する。
「そうか…有り得なくはない。むしろ、それなら確かにつじつまが合うな」
「じゃぁジャミング装置は…一号機に直接取り付けられているってことですか?」
PCの画面をの静止画像を指差して小松が口を開く。
「それを今から探すんだ」
日本の光学レンズ技術の集約させて設計されたJAの光学センサー群。その一つに超高解像度カメラがある。
小松が引き出した静止画像は、そのカメラを使って一号機の後部を撮影したものであった。
「おそらく信号発信やジャミングの効率から考えて、ジャマーは一号機の上半身にとりつけられている可能性が高いでしょう」
「となると、……このあたりか、このあたり…あるいはここか?」
「制御棒に隠れているってこともありますしね」
時田が指した部分をさらにズームアップする。JAの排熱のせいで一部画像がややぼやけているものの、かなり詳細な画像だ。
「内部に取り付けられている可能性も否定はできないが、まず外郭部から探そう。PC一台に二人一組であたれ。
画像を分配する。とにかく怪しい影を探すんだ」
各PCにそれぞれ画像の部分部分が表示され、各職員たちでそれらを入念にチェックしていく。
とはいえ、この暗闇の中だ。液晶を長時間見つづけるのは目に堪える。
「左腕腋下は特に怪しいのはないな…」「第3制御棒周り、…特になし」「くそ、頭部第二アンテナ周辺も特にはなし」
じんわりと汗ばむ中で、黙々と確認作業が続けられる。だが、チェックにチェックを重ねても怪しい影は見当たらない。
(やはりジャマーは内部に取り付けられているのか?)
時田に限らず誰もがそれを感じ始めていたときだった。
「…っ!?時田主任!」
一人の職員が声をあげた。
声をあげた職員のもとへと駆け寄る時田たち。もはや二号機の関節疲労もかなり蓄積されている。時間はない。
「これ、これなんじゃないでしょうか!?」
彼が指差す先にあるのは、制御棒と制御棒の間の影にうっすらと見えるでっぱりのようなものだ。
「なんだこれは…確かにここには何もなかったはずだな…。小松っ!」
「分かってます!今二号機のズームレンズで補足中です」
二号機のカメラで再度、先ほどの部分をズーム撮影する。
「データ転送開始。もう少しで来ます」
彼の言葉から数秒後、徐々に画面に指定部分の拡大写真画像が現れる。
そして、その中央。
「…これ、、、だな」
平べったい円形状のものが、JAの後部に張り付いているのが見える。
白く塗装されたそれは、ちょっと見ただけではよく分からないものだ。
「よしっ!ジャマーかどうか分からんが、二号機でコイツをそぎ落とす!小松たちは制御準備、加藤は一号機のモニタリング再開!」
時田の指示が下ると、すぐさま皆がすでに慣れてきたノートPC前の床という配置につく。
「JA二号機、左手で一号機をおさえて、右手でコイツをとるぞ。左足前、重心を後方へ移動!」
二号機がやや後ろに体重をかけ、片手で一号機を抑える。
「左腕出力98%、損傷限界ギリギリです!」「体重移動完了、下半身前駆同系には問題なし!」
「よし!そのままあれを取り去るんだ。右手の出力は抑えろ!制御棒と排熱口に注意しろ!」
二号機が、ゆっくりと、少しずつ、その右手を一号機の背中に伸ばしていく。
一号機を抑える左手は、いささか軋んだ悲鳴を上げている。
「あと少しだ、焦らず慎重に…!」
思わず時田の手にも力が入る。
「あと、10、8、7、6、4、3、2、1、……」
大きすぎる指が、円形状の装置を、まるでかさぶたを取るように剥ぎ取る。
そして。
「…一号機からの信号受信を確認!」
およそ丸一日に渡る、長い戦いの終わりであった。
NERV総司令官公務室。
あいも変わらず、公務室のわりに公務が少ない。
「では、配電設備の破壊、管制プログラムの書き換えは第三者の仕業だと?」
冬月が中空に表示されているホログラムにたずねる。ホログラムに映っているのはもちろん加持リョウジだ。
『えぇ、当然日本政府が日重工の施設を破壊するとは考えにくいですしね』
「しかし、まさか碇と同じ事を考えるやつが、他に二組もいるとはな…」
そう、JA一号機にジャミング装置を取り付け、今回の実演会を失敗させること――これらはNERVによるものであった。
「管制プログラムの書き換えは恐らくNERV本部に対するテロ行為と見ていいだろう」
「もしバグのあるプログラムが第3新東京市の第二研究所で使われていたら、使徒殲滅作戦に支障をきたしただろうしな」
「あぁ。むしろ今回の事態で発覚したのは幸いと言える」
ゲンドウがサングラスを中指で持ち上げながら答える。
『しかし、司令、日本政府がそのような動きをしたとの情報は掴んでいませんが』
「何も日本政府だけが我々に対抗心を燃やしているわけではないよ」
「あぁ。戦自、NERV中国、ドイツ、アメリカ支部、あるいは他にもいるだろうな」
しかし、運悪く、他の組織も(その意図こそ不明だが)日重工に対し工作をしており、事態はゲンドウたちの予想外の事態へと展開した。
結局、今回の暴走はテロによるものと片付けられ、またJRシステムも成功したことから、JA両機の評価は下がることはなかった。
『すでにJAは政治的力学の中心にいる…そういうことですかね』
「気にすることではない。まもなく、君とともにエヴァ弐号機も本部の管轄となる。我々の目的はあくまで補完計画だ」
『分かっています。今のところ、こちらも予定通りです』
「そうだ。イレギュラーをも抱えたとして、死海文書の記述に影響はない」
『分かっています。すべてはシナリオ通りに…』
加持との通信が切れる。
「ときに碇」
「なんだ冬月」
「死海文書にはJAの記述は本当になかったのか?」
「…」
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JET ALONE 報告
EPISODE:6 実演会公試運転における暴走
JET ALONE 01 外的要因により暴走、損傷なし
JET ALONE 02 損傷なし
第一研究所国立第三試験場 一部電力施設が破壊される
その他テロと思われる事象 停電/管制プログラムの書き換え
備考 : JET ALONE 02はジェット・リフレクス・システムの試運転に成功
日本語認識システムMAJI-SYSTEM for JA_Hi-SYS,JA2_Sf_SYS
(c)Reset Co.Ltd
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【本編とは関係のないブレイクタイム】
※最初の二稿、コテハン付け忘れてました。すいません。
盛り上がってますね。自分の投下だけってのも何なんで、こうやって話題・ネタがくると安心です。
ロボットってやっぱりメカメカしいイメージがあるんですけど、広義にはエヴァもロボットなんじゃないでしょうか?
今回も結構話を引っ張ってしまってすいませんでした。ちょっと突込みどころの多い話だったかもしれません。
特にジャミングとか電波障害とか、そういうのはかなり適当なので、専門の人から見ると
何だコレって思うかもしれませんがスルーしてくださいw
これから本格的に使徒戦が続いていきますが、なるべくJAが倒すことにしたいと思ってます。
(が、イスラフェル、サハクィエル、サンダルフォン、レリエルは結構悩んでいます)
まぁエヴァも少しは活躍しないとダメなので、今後はもっと出すようにしたいと思っていますが。
いよいよ次回、アスカが来日します。(でも、やっぱり主役は時田です)
GJ!
暴走の原因とかよく考えたなあ
素直にスゲー
イスラフェルとかはやっぱり一号と二号で連携するとか?
…ここまで凄いとレスしにくいのだがw
さりげなく「日本語認識システムMAJI-SYSTEM」になってるし。
今日はいつもより時間帯早かったのかぁ。リアルタイム見逃した。
ほんとお疲れさん。
お疲れ様。やっぱおもすれーw
しかし、JA2の速さに驚いた。
尤も、これからの戦闘でその速さを生かす機会は少なそうだが。
次回はアスカ登場か、JA専用D型装備の登場に期待。
>>814ソレダ
JAの真骨頂精密機械制御による0.000000001秒以内での同時荷重攻撃燃え
プログラマーはデスマーチで死にそうだけどwwwwww
「ヤダヤダ!JA二号にはオッパイミサイルを搭載するんだー!」
「だ、だれか主任を止めろ!かまわん、強制終了だっ!」
次のガギエル戦はやっぱ弐号機が倒すのかな。
さすがにJAも水中はきつそうだし…
むしろ廃熱の心配が要らない水中戦こそJAの力を最大に発揮できるのでは?
問題はあの現場になぜJAが居るのか?というツジツマ合わせだが
無理してJAが倒すことないんでね?
ガキエルみたいに遠隔地で倒した使途は普通にエヴァの戦果でいいと思うが。
>>821-823 たまにはエヴァやチルドレンたちの話も読みたい気もするしね。
まぁどっちにしたって職人さん次第か。来週も楽しみだ。
うーむガギエルか・・・水中戦になるかどうかはわからないけどJAって空気は
要らないのかな?N2リアクターって燃焼させるんだよね?まあ要るとしても
日重工の根性ならどうにでもしてしまいそうだがw
でもまあ日重工視点ならエヴァの活躍を見てみたいってのはあるな。
JAのリアクターって反応炉だから空気はいらんだろ。
むしろ水圧やら金属剛性とかが不安だ。
ガギエルに喰われた2号機inアスカ&シンジ。
「ケーブルを巻き上げようにもそれだけの馬力がありません!」
絶望するネルフ&Over The Rainbow乗組員。
だが、奇跡は起こった。空から甲板へ降下するJA、ケーブルを掴み引き上げる。
「必殺!JA一本釣りじゃ!使徒よ、喰らえ!サンダーフィスト!」
これでどうよ?
ワラタwwww
もうエヴァとNERVの立場ないしアスカがしょっぱなからシンクロ低下じゃねぇかw
ネルフアンチスレってわけじゃないんだし、ネルフにも活躍してほしいかな。
確かにエヴァが倒した使徒をJAが倒せるかの考察がこのスレではあるが、SSはそれに縛られなくてもいいと思う。
気になるならJA対使徒戦だけに絞って断片的なSS書く(或いは書いてもらう)って手もあるし。
>>828 真面目な話、JA肯定派のシンジとは揉めるかもしれんね。
すげぇ盛り上がってるなぁw
あまり期待しすぎても職人さんのプレッシャーにもならないかね?
皆はさ、JAはどの使徒で一番苦戦すると思う?
俺はやはりバルだと思うんだけどさ。
俺はバルディエルでJAが敵に回る可能性もあると思う
イロウルはMAGIを乗っ取れた
バルディエルが乗っ取るならJA三号機か?
>>831 やっぱアラエルだろうよ。衛星落とすのはさすがにキツイだろ。
そこでJA in 宇宙ですよ
SSTOに乗り込んだJAと日重工。JA初となる宇宙空間での死闘が
展開される!アニメ本編では謎に包まれてたアラエルの真の能力が明らかに。
迫る炉心融解の危機。その時ネルフは!?
>>834アラエルの精神攻撃はJAには効かないはず。
JAを無人輸送機で空輸、ネルフに借りたポジトロンでアラエルあぼーん。
JAツヨスwww
いや、無理だから・・
やるならJA自体を巨大なブースターで打ち上げ。
(耐えられるかどうかが問題だけど、
あと、帰りと )
こう考えると後半は苦戦続きになりそうだな。
俺はセオリーにゼルエルが一番キツイかと思う。
ゼルエルの前に、サハクィエルが。
空から降ってくる超重量を、JAでどう受け止めたらいい?
ゼルエルとかには勝てる気がしないんだが、そこは原作どおり捕食かな?
となるとどっかで一回シンジを暴走させておかないと・・・。
一瞬JAがゼルエルを捕食するのかとおもっちまった
JA「むぅこれは、マターリとしていて、それでいてしつこくなく・・・。」
時田「使徒を・・・食ってる?」
JAシリーズ…完成していたの!?
怖ぇなそれは・・・
>>840 別に捕食でなくても、普通に初号機に倒させればいいんじゃない?
本編の方は初号機の電源切れなきゃ倒せてたと思えるし。
>>845 そしたらS2機関獲得なしか・・・でもそしたら初号機凍結もなくなるしな。
ま、エヴァがどうなるかは199-200氏にまかせようぜ。
やっぱJAで倒しづらい使徒ならサハクィエルだろう。
ATFのないJAじゃ厳しそう。
>>843 投下されてから立ち上がるまでに半数はやられるぞw
>>840 初号機暴走→共闘→暴走初号機JAを襲う→使徒捕食
つまり、
初号機「なんちゅう使徒を食わせてくれた・・・これに比べたら、JAはんの使徒はカスや・・・」
JA「な、なんだってー!?」
【本編とは関係ある訂正】
すんごいスレが伸びていて驚きました。やっぱりJAって何だかんだ言って記憶に残るメカなんでしょうか。
さて、前回の最終稿、また馬鹿なミスをしてました。
訂正:
EPISODE:6⇒EPISODE:7
ですね。コピペして、修正するのを忘れていました。このレスで訂正とお詫びにかえさせていただきます。
そして、最近、サブタイトルの英文キャッチも微妙に考えていたり。
>>850 殆どのSSでJAシリーズが一発ギャグ要員かゴミ扱いされてる中で
これだけ熱いもの書かれたら興奮するのはJA好きとして当然ってもんです
あと自分のJAとの出会いはこんな感じ
JA初見→何このニヤリ面→JA改発見→これはなかなか→JA再見→よくみればイイ!
サハはJA2機とエヴァ3機の合計5機でキャッチ
↓
「喰らえサンダーフィストぉぉぉぉ!!!!」
屋台でラーメンをすする時田とミサトとチルドレン
>>852 屋台のシーンが死ぬほどシュールだwww
サハクィェルはキツイだろうね。
JAも一緒に支えるったって、ATフィールドで支えてるんだから
エヴァ以外じゃ意味ないんじゃないか?
それとこのスレ、そろそろ容量いっぱいで落ちそうだし、
早めに新スレ立て&新タイトル考えたほういいんでない?
そのまま「ジェットアローンで使徒を殲滅せよ3」かな?
とりあえず、最終スレは強くなりすぎたJAをどう倒すかについて議論する
「使途でジェットアローンを殲滅せよ」に一票。
脅威なのはジェットアローンそのものよりも時田はじめ日重工のド根性
「使徒で日重工を殲滅せよ」なら釣られてやる
しかしこのままJAが活躍していればチルドレンの負担も減るから、トウジがあぼ〜んしたり二人目が死んだりアスカが壊れたりも、少しは救いが出てくるかもね。
貞版のアレで、ガギエルはアスカが来る途中で片づけたって事にすればいい。
シンジ達はまだハンパな事しかしてないし、文句無しにアスカがエースだ。
あとは時田の
「ATフィールドも時間の問題ですよ(  ̄ー ̄ ) ニヤリ」
>>857 「ジェットアローンでATフィールドを殲滅せよ」
「【時田と】JAで使徒を殲滅せよ3【日重工】」
「JAシリーズで使徒を殲滅せよ3」
造られしモノ達
使徒ってどこまで浸食できるんでしょうか? 自分もJAが活躍する方法を考えていたのですが、
何でも浸食できるなら地面も隔壁も浸食してしまえばいいのに、それをしないのだから、
きっと有機物でないとうまくいかないのだろう、なら合金やセラミックなどで外装を作っているなら、
バルディエル相手でもいけるのでは? 回線をすばやく遮断すればイロウルも大丈夫、と考えました。
この話では、チルドレンの方が心配です。シンジとレイの仲が悪いと、後の展開が不安です。
サハクィエルに潰されるとか、闘志不足でゼルエルに敗北とか、帰還を拒否してサルベージ失敗とか、
ありそうです。
〜浸食系使徒〜
イロウル…原初生命が進化してウイルス化。MAGI以外に侵食するなら違う形に進化すると思われる。
バルちゃん…粘液型。プラグを自身で止めたり手足を伸ばしたりするところを見ると、粘液の癖に知能と力はある。
恐らく素直にエヴァ乗っ取る。敢えてやるなら、JAと組み合った時に制御系に物理干渉ってとこか。
アラエル…人の心に接触。前までの使徒の大半がJAにやられてる場合、時田達の心に接触するのだろうか?
超長距離兵器か槍で倒すしかない。ほぼ原作通りかと。
アルミサエル…うどん。割と見境無しに物理融合。貞版のデュアルソー浸食や外部装甲の脈打ち等から無機物にも浸食可かと思われる。
原作通り自爆か、爆弾か何かに取り憑かせて爽やかにスイッチオンが望ましいか。
んな感じか?
ついでに。
>サハクィエルに潰される
レイが不思議パワーで守ったわけでも、レイを思うシンジの謎パワーで止めたわけでも無い。
素直に死にたくないだけでも火事場の馬鹿力くらいは出るし。
>闘志不足でゼルエルに敗北
これもレイのために頑張ったでは無い。そもそもアスカやレイが負けたのは戦術ミスって感じだしな。
中・長距離戦が無敵な分、レイの特攻には防御しかしてない、シンジの不意打ちには成す術無しだったから。
>帰還を拒否してサルベージ失敗
JAが活躍して本編より楽な分、みんなに会いたい衝動のが大きそうだ。
だが、確かにこれはレイのおかげで帰って来た。レイが「碇君は用済み」とか言い出したら帰ってこないかもw
長文スマンかった
そういやゼルって電源さえ持てば暴走ナシでも勝てたんだよなぁ…
そう思うとさほど強くもないな。密接して殴り合いに持ち込めば武器がないし。
近づけば勝てるならシンジの不意打ち戦法で十分勝てるよな。
でも、そうすると後半の展開がかなり変わるんじゃ・・・?
後半の人間関係の崩壊やエヴァ、NERVの秘密をどう処理するかがSS作家の
力量が問われるところだよなぁ。
できればハッピーエンドにしてほしい。
>>866 >後半の人間関係の崩壊やエヴァ、NERVの秘密
そんなもん日重にとっては興味も関心もない。
その辺はスパッと省いてしまうのも手だな。まぁ、加持の死後、困ったシンジが時田に助けを求めるとかも無くはないが。
【主任の】時田シロウの憂鬱【責任】
年中、初夏と晩夏をいったり来たりしているような第3新東京市であるが、今日は思いのほか湿気が少なく過ごしやすい日である。
だが、いつものごとく、熱い男の集まり・日重工の温度は第3新東京市より+2度…
そして、今日はさらに+1度であった。
すでにクーラーの設定温度は23度にまで下げているのだが、それでも、この人だかりのせいで蒸し暑い。
本来、この視聴覚室は、会議室などがつかえない場合に使うことを想定されているもので、
せいぜい50名ほどの収容力しかない。
しかし、昼食の休憩時間ということもあってか、今文字通り、第二研究所中の職員が視聴覚室へと押しかけていた。
あまりの人の多さに、急遽、会議室なども開放し、そこでも同じ映像を流しているのだが、
それでもまだ人の垣根は増えつづけている。
「困りましたね…」
「…いっそのことネットで所内に配布したほうがよかったか…」
「それじゃぁ先にサーバが落ちるでしょうョ、主任」
立ち尽くす三人をよそに、壁にかけてある温度計は31度を指し示していた。
ここ、第3新東京市 日重工付属 第二研究所も、先日のJA二号機の正式着任に伴い、第一研究所からかなりの人数が異動してきた。
加えて、国連主導、いや、NERV主導のもとで始まった拡張計画も、今まさに、工事真っ只中といった状態である。
当初、市内に建造される日重工の地下施設は地下6階相当ということだったのだのだが、JA二体の運用、さらに第3新東京市の各施設、
NERV本部の地下インフラとの連動を強化するため、計画は地下11階相当へと拡張されていた。
もっとも、これらは日重工側からの要求というより、NERV側が第3新東京市の戦略機能の強化を狙ったものであったのだが、
元来、ジオフロントという巨大な地下施設を抱える第3新東京市である。 その地下には、過去に建造拠点や試験シェルターなどとして
建造されたまま放棄された空間が多数存在する。 よって、実際のところ、工事の手間や費用というものは見た目ほどはかかっていない。
すでに、エヴァ回収ゲートを改造したエヴァ/JA兼用リニアラインなるものまで作られ、来月にはジオフロントへの直通ラインも完成する見通しだ。
第五使徒の解体のせいで工事の進行具合はあまり芳しくはないとはいえ、このように、かなり大規模な開発が日々続いており、
第3新東京市の人口と賑わいは、日々増している……――そんな日々が長らく続いている最中での出来事であった。
「しかし……何度見てもすごい映像ですな」
「…全くだ」
「はぁ…………小松さんも時田主任も、この人数を何とかすることを考えませんか?これじゃ廊下が埋まりますよ……」
彼らの視線の先、プロジェクターが映し出すスクリーンの中には、太平洋艦隊を足場に華麗なジャンプを見せる赤い姿があった。
E P I S O D E : 8 「 2 n d チ ル ド レ ン 、 来 日 」
「ようやっと弐号機、そしてセカンドチルドレンの着任か」
「あぁ…ドイツ政府もずいぶんと渋ったものだ」
先日、久々の公務に使われたNERV総司令官公務室。
「しかし皮肉なものだな、碇」
「…何がだ」
「ジェットアローンの出現が、ドイツ政府を焦らせたのではないかね?」
「…否定はせん」
ドイツ、アメリカ、中国といったNERVの大規模な支部を抱える主要先進国は、当初、その利益が日本に集中するのを危惧し、
エヴァの各機体の建造権を主張、エヴァがNERV本部に集中することを避けたい意向を持っていた。
しかしそれに反発していたのが、その予算を捻出させられていた後進国である。
そのうえ、ジェットアローンという民間企業が建造した兵器が、次々と襲い掛かる使徒に対しそれを確実に殲滅、
その有用性を示したため、日本政府をはじめ多くの国で、エヴァンゲリオン開発の大量予算投入に対する疑問の声が強くなっていた。
実際、現段階ではエヴァ零号機、初号機は第五使徒殲滅作戦にしか参加しておらず、その作戦も本来想定していたものとは違う、
長距離射撃という内容であり、NERV、そして委員会が主張していたエヴァの必要性に絡んだものではない――
―― ガチャ、プシューっ
「まぁドイツもこれ以上風当たりの強いままにはいられなかった、ということではないでしょうか?」
公務室のドアが開き、長身、長髪の男性が入ってくる――NERV特殊監査部、加持リョウジである。
「君か…」
「加持君、せめて入るときぐらいノックはするべきだろう?」
ゲンドウと冬月がチラリと加持のほうを見遣る。しわのだらけシャツに緩んだネクタイと無精ひげといった風貌は、
(冬月の詰将棋練習場にしか使われずほぼ開店休業に程近い)この公務室ですらあまりふさわしい格好と言えたものではない。
「失礼、以後気をつけますよ、副司令」
「うむ。…それで、ドイツ政府の対応には何か問題は?」
黙ったままのゲンドウを横目に、冬月が話を続ける。
「今のところは問題ないですね。引き続き量産機の建造権は主張し続けるでしょうが、それはこちらの想定の範囲内です」
「そうか。今回ばかりは仕事を重ねに重ねてしまったな」
「いえ、それほどのことじゃぁないです。内偵は得意ですし、情報操作も、ね」
少しだけゲンドウのほうを見る加持。相変わらずゲンドウは黙ったままだ。
「司令の示唆したとおり、当初からNERVドイツ支部は、独政府の指示で、エヴァンゲリオンの完成を
隠し続けるつもりだったようです。 初のプロダクションタイプである弐号機が完成などと本部に伝えれば、
あっという間に徴収されるのは目に見えていましたからね」
「もっとも、君のおかげで我々NERV本部はその事実をすぐに認知し、国連に提示したわけだが」
「ま、あとはお察しのとおり、独当局は国連内部で散々どつかれたようでしてね」
ついに零号機や初号機のような試作機ではない、本物のエヴァが完成したというのに、それを隠蔽していたドイツ政府。
プロダクションモデルの実戦投入を見送りつづけるのは予算独占のためだと、諸外国から激しく叩かれ続けた結果、
ドイツ政府並びにNERVドイツ支部は、NERV本部からの徴収要求を飲まざるを得なくなった。
そして、それらの一連の情報収集を行っていたのが、加持リョウジというわけである。
「これで次使徒戦でエヴァが活躍できなければNERVそのものの存在意義が無くなるという意見もあるようですが?」
「それはなかろう。老人達は自らの保身と補完計画遂行のためにはいかなる手も尽くす。
我々だってただ黙っているわけではない。弐号機がそろった今、単にエヴァが使徒を殲滅すればよいだけの話だ」
引き続き冬月が答える。質問の答えとしてはあまり適当ではない回答に顔をしかめつつ、加持は話題を変える。
「ところで、例の計画のほうは……?」
「……アダム再生計画は順調だ。君が気にするべきことではない」
今まで沈黙を守っていたゲンドウが答える。
その表情はサングラスと組まれた手に阻まれて確認できない。
「そうですか。いやぁ、長い船旅で肌身離さず持ってたもんだから、愛着が湧きましてね」
加持リョウジ――その茶化した表情の裏に、真実への執念を持つ男である。
「だいたいにして、あれほどの瞬発力など機械駆動じゃ無理だろう」「やはり三極ケーブルということは交流で給電してるのか?」
「安全固定ラック兼ウェポンラックを肩に持ってくるとは考えたな…」「あの動きからすると二重装甲か?」
終業時間になっても、帰り道、いたるところで話題のタネに上がっているのは、エヴァ弐号機だ。
自分達が理想としてきた以上の、ある意味、想像すらしていなかった動きを見せ付けられたショックは大きい。
まともに動かないエヴァ、人の心によるアバウトな制御、膨大な電力消費――口には出さなくとも、
立て続けのJAの勝利に、エヴァを下に見ていた職員も少なくはなかった。
しかし、今回見せ付けられた弐号機の映像は、少なくとも技術者たちの度肝を抜くには十分過ぎるインパクトであった。
ゆうに数百メートルを一気に跳躍する能力、海中という精密機械にとってはかなり過酷な環境での動作、
想像以上に強度のある電源ケーブル、そして、ATフィールド中和による通常火薬での目標の破壊。
今までJAにその誇りを持ちつづけてきた日重工であったが、改めてNERVの技術力の高さを痛感したのである。
自分達のJAにあの動きをさせるには、どのような技術が必要か――
今一度、現状に満足せず、自らのJAをより成長させる必要があること、そして初心に返りJAを開発していくこと――
誰もが同じ事を考えていた。
無論、時田も例に漏れず、第二研究所の消灯確認の見回りをしながらも、JAの動作系の改良を考えていた。
内心、NERVを少しだけ馬鹿にしていたことを恥じながら。
第六使徒が現れたという知らせを聞いたのは、ちょうど昨日の正午過ぎであった。
先日のテロ事件を受けて、新横須賀で政府と共同の各JA関連施設のテロ対策の発案会議に出席していた時田は、
弁当を食べる暇もなしに、押っ取り刀で第二研究所に舞い戻ってきた。
管制室では既に加藤と、そして新しく異動となった小松が対応にあたっていたのだが、なんと相手は海洋上で現れたという。
JAを出すわけにもいかず、また領海外なので戦略自衛隊も動けない。
国連軍太平洋艦隊が一方的に攻撃を受けているという情報だけが届き、いっそう時田たちを焦らせた。
が、その3時間後、彼らの元に使徒殲滅の知らせが届く――なんと運搬中のエヴァンゲリオン弐号機により、戦艦二隻を使徒へ
直接突入させ、ゼロ距離射撃と自爆で破壊せしめた、ということであった。
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そして、今朝、ミサトに呼び出された時田は、これ見よがしに、戦闘の一部始終を撮影したディスクを受け取ったのだった。
同封された資料には使徒殲滅時の大雑把な状況説明が書いてあったが、これ以上のことは日重工の職員に
伝達するわけにはいかない、とも書かれていた。
無論、それはパイロットの詳細(そして、パイロットが"チルドレン"であるということ)、今回のエヴァの運用方法などに
ついても含んでいるが、これは保安上の理由からであり仕方のないことだろう。
しかし、時田をはじめ日重工の面々が(弐号機の映像で自らを律しながらも、)今日一日悶々としながら過ごすことになったのは、
まるでエヴァ弐号機に関する記述がなかったからである。
NERVの技術流出を防ぐため、情報守秘は存在していたが、今までエヴァ初号機や零号機に関しては、少なくとも
電源をはじめとした各種規格、重量や長身、センサーなどの情報提供がなされていた。
ところが、弐号機に関しては一切極秘なのだという。
時田をはじめJA運営責任者数名へは、詳細を明日のNERV/日重工合同の戦略戦術会議で公表するということで
あったのだが、時田にはそれにも納得がいかなかったのであった。
……要は、NERVは秘密だらけでずるい、ということである。
そんなこんなで、あっという間に過ぎていった今日一日。 気づいてみれば、すでに窓の外は暗い。
節電のため、終業時間になると決まって各フロアの消灯確認の見回りをしてしまうのは、第一研究所 所属時代からの癖だ。
もっとも、例の映像のせいか、今日はまだ電灯のついている部屋も多い。恐らく各課、班でJAの改良余地の議論でもしているのだろう。
角を曲がると、また一つ、明かりの洩れている部屋がある。ここはJA武装開発課でJA用兵器を担当している部署だ。
ふと立ち止まると、ドア越しに白熱した議論が聞こえてくる。思わず、時田はドアをあける。
「なかなか熱い議論だな…」
「あ、主任!?」「おぉ、主任でしたか!」「お、時田主任かい」
数台のコンピュータが並ぶこの部屋、至るところに様々な仕様書や比較実験の報告書が重なっている。
同様に書類だらけの丸テーブルをかこんで議論をしていた数人の男達が、時田を見遣る。
若い技術者たちの顔ぶれが並ぶが、その中に一人、年配の見慣れた顔がいる。
「いやぁね、ほら、エヴァの2番機が出てきたでしょう?」
「あの機動性には、しょーじき、ウチのJAじゃぁまだ及ばないですからねぇ」
「まぁ、つーわけで新しく共同作戦時に使える支援兵器を考えようってことになりまして、それで、おやっさんに話を聞いてみようと」
おやっさんと呼ばれた技術者――本名は谷治というのだが――おそらく前線である第ニ研究所で
働いている人員の中では、もっとも年配な方だ。
だが、未だにその体は衰えを感じさせないほどに強靭であり、今でも徹夜の作業をこなす人でもあった。
「いやぁ、谷治さん、こんな遅くまでいていいんですか?」
「ふふん、コッチはまだまだ若いのに負けるつもりはなくてね。時田主任も相変わらず最後の見回り続けてるってか?」
「まぁ癖みたいなもんですから。それで、谷治さんは、武装についてはどう思うんです?」
時田も長年お世話になってきた人であり、また学問としてではなく現場でのロボット工学を教えてくれたのもこの人だ。
自然と彼の意見が気になる。
「まぁそりゃぁ理想としては短距離から遠距離まで様々用意して、状況に応じて持ちかえるっつーのが理想だろうな。
それが人型兵器の利点っつーもんでもある」
今現在、JAが持っている武装は、例のハンマーとシールドだけだ。
結局、今の段階では、汎用的に武器を扱えるというメリットを生かせていないのは事実である。
「今のハンマーは、JAの強力な出力を生かせるっつー意味では最適だと思う。だが、ネルフのアレが、
あそこまで機動力を持っているとなると、もう少しJAのポジションも考え直さなきゃぁいけないと思うんだな」
近くにあった椅子をひきよせ時田も一緒になって丸テーブルを囲み、彼の話に耳を傾け続ける。
「それでだ、俺が思うに、だ。今後、あの…えぇとなんだっけ、あの力場よ」
「ATフィールドっすか?」
「そう、それ。それをあのネルフのヤツが突破できるなら、ヤツらが近接戦闘で、JAが後方支援っつー可能性も増えてくるだろう」
なるほど、と時田は思う。JAが第三使徒を撃破して以来、その改良点は近接戦闘を想定したものばかりであったが、
今後、エヴァ三体とJA二体であれば、JA二体とも近接に出るというのは、それほどないはずだ。
「だからな、やっぱり中・長距離を想定した火器も必要だと俺は思うんだよね」
「で、それはやっぱり肩掛けのランチャーなんすか?」
「そりゃーお前カッコよさは大事だろう?」「えーでも」「そしたら…」
再び若い技術者たちとおやっさんとの議論が始まる。
どうやら先ほどの議論も、JAにキまる後方支援兵器は何か、という議題だったらしい。
「じゃぁ俺は見回り続けますから…」
議論が再び加熱しそうな気配を見せたので、時田が席を立つ。
「おうよ、明日はネルフの偉い人に呼ばれてるんだろ?今日は早く寝たほういいぞ主任」
「今夜はそうしますよ」
ぶっきらぼうながら優しいおやっさんの声を背中に受け、部屋を出る。
最近といえば、連日、先日のテロ騒動の対応に明け暮れて睡眠時間もまばらであった。
なにせ、暴走の原因が外的因子とはいえ、JA本体にその妨害装置の接着を許したのである。
いくら日重工が民間の団体で相手はプロだからといっても、これは大きな管理問題だ。
昨日の会議でも、政治家たちから、ずいぶんとしつこく言われたものだった。彼らがJAによって大きな利益を手にしていることを
時田は知っていたのだが、当然そんなことを口に出すわけにはいかない。
政治家とは自分の都合の悪いものは棚の上にあげる人種なのだ――数少ない時田の偏見である。
地上フロアをあらかた回ると、地階の管制室へと向かう。
夜勤の当番の者に声をかけ、また、同時に館内のセキュリティのチェックをしておくためだ。
IDカードを通すと、管制室とフロアを隔てる重厚な扉が開く。
(これは、先々週の拡張工事の一環で取り付けられたもので、先日のテロとは関係のないものだ)
さらにもう一つ、認証のない普通の鉄製扉を開けると、そこに管制室がある。
普段、人が出入りしている日中は外隔の遮断ドアは開けっ放しになっているのだが、
夜勤の際は保安上の理由から、閉じたままにしているのだ。
『管制室入り口(禁煙)』と書かれた扉を開くと、なにやらいい香りが時田の鼻をつく。
「夜にカップラーメンを食べると太るぞ?」
声をかけた先には、夜勤担当の二人の職員がそろってカップラーメンを食べているところであった。
「いやぁ、主任に見られちゃうとは…」
「いつもの時間になっても主任の姿が見えないもんですから、てっきり今日は来ないのかと…」
明確なルールがあるわけではないが、基本的に管制室内は飲食禁煙は禁止である。
万が一の場合、精密機器を壊してしまう可能性もあり、管制室に不具合が生じれば、JAの運営にも当然問題が生じる。
「こぼさないように気をつけてくれよ?もしそうなったら、それこそ禁止にせざるを得ないからな」
だが、時田には彼らの気持ちがわからないわけでもない。
なにせ、管制室から食事のためのラウンジや売店のある外のフロアに出るには、
毎回あの重厚な外隔扉を開け閉めさせなければならないのだ。面倒なことこの上ない。
それに夜勤とはいえ、NERVと違い監視任務や情報収集を行うわけではない。
彼らの仕事はNERVからの緊急連絡が入った際に、日重工職員への緊急事態宣言発令とJAの起動準備をやるだけなのだ。
一応、警備室としての機能なども兼ねているが、館内には監視カメラがそれほどあるわけでもなく、
また防犯センサー類もコンピュータが自動的に監視している状態だ。
そういうわけで、夜勤となると、結局持ち込んだ夜食を食べながら映画を見たりJAの戦略シミュレーションなどを
しながら暇をつぶすほかないのが現実であり、それらは暗黙の了解だ。
「一応、ちゃんとセンサー類が稼動しているか毎時間のチェックは忘れるな。ここにはJAが二機もあるんだからな」
「アイアイサー、分かっております、時田大佐!」「拠点防御なら我らにお任せください時田大佐!」
「…大佐、ね。。。
…お前ら二人とも腕立て伏せ100回だっ!」
「えぇー!?」「ちょっ!?」
静かな所内に笑い声が響く。
日重工のいつもと変わらぬ日常、そして緊張の合間の休息である。
【本編とは関係のない休み時間@】
すんごいスレが伸びていて驚き桃の木決戦兵器。
さて、噂のガギエル戦はスルーしました。貞元方式採用でした。
期待していた方いらっしゃいましたら、すいません…。やっぱりJAの水中戦闘はまだ厳しい…ですね。
今回は軽いノリというか、久々に日常っぽいのを書いてみようとやってみたのですが、何か微妙でしたorz
つくづく表現力とボキャブラリーにかける…推敲にもかなり時間がかかってしまいました。
それから、申し訳ないのですが、今後、チルドレンの描写は、なるべく省こうかと思ってます。
ストーリーの根幹に関わるとか時田・JA・日重工がらみ以外は割愛する方針です。
あくまで、JAでどうやって使徒を殲滅するか、というのがテーマだと思いますし、
どうせ自分なんかが書いても、本編の焼き直しにしかならないような気がするので…
(世の中チルドレン描写に優れたSS/FFはいっぱいあると思いますし)
もちろん、全く描写なしってわけではないです。
でも、日常は、なるべく脳内補完でお願いしたいと思います。すいません。
あと、NERVとのかかわり方は徐々に描けていけばいいかなとは思っております。
やっぱり人類補完計画とかにノータッチでも変な感じが。
【本編とは関係のない休み時間@】
今月のエヴァクロニクル、買いに行かなければなりません。
前回のJA停止作戦の特集が残念すぎる内容だっただけに、今回のJA特集が気になりすぎる。
※補足っぽいことを何点か。
>>601 めがっさ亀レスになってすいません。
本FFでは日重工側からすればミサトは”使徒殲滅作戦部長”という扱いなので、部長です。
>>817 言われて気づいたorz
でも、JA一号機は約250Km/h出せるらしいので、きっとJA二号機は300Km/hぐらい出せて追いついたのです。多分。
※小松はオリジナルキャラです。レギュラーっぽいかもです。
※加えて、おやっさんは522-524氏(神)をお借りしました。名前は勝手につけました(すいません>522-524氏)
登場シーンは
>>9リンク先を参照してください。
※それから
>>645で書いたとおり、守秘義務で、今のところシンジとレイがエヴァのパイロットであることは
クラスメイトは知りません。レイはNERV関係者とは疑われていますが、シンジは、親戚がNERVの付属病院にいると
いうことにして、学校を抜けてます。
※あと、トウジやケンスケは、シンジがミサトと同居していることは知っています。(彼らにはミサトは親戚の知り合い、と弁明しています)
ちなみに一般人にとっては、今のところNERVは評判は悪くもよくもなく、第3新東京市もあんまり壊れてないので、
市民疎開もまだ全然始まっていません。GJ日重。
やっぱサハクイエルはJAは厳しいかなぁと考えてしまいます。日々、様々な使徒殲滅方法を考えてるんですが、
結構楽しくてやばいwww
人型から徐々に侵食型に使徒は変化してるんですよね。さて、どうしよう…。
それから、ちょっとお聞きしたいのですが、皆さんは時田の年齢はどのくらいだと思いますか?
乙です。
谷地のおやっさんの読みは「やち」でいいんですね?
チルドレンの描写はご意向に異議はありませんが、ジェットアースみたいなのを入れてくれると
このFFらしい疎外感が伝わってGJ、だと思いますです。
時田の年は40代半ばと思っているのですが。
日重工の職場が目に浮かぶようだな。
こんな物分かりのよい上司がいたらなぁ…
時田の人望の厚さの理由が分かる話だ。
つ40歳前後
更新乙です
時田は三十代半ばぐらいだと思ってます
こういう日常描写が何か物足りない…
チラシの裏になって申し訳ないが。
こういうの悪いわけじゃないんだけど(むしろFFの中でも文章力高いほうだとは思う)、
でもやっぱメカ的なシーンと比べると差が出ちゃう。雰囲気や状況の細かい描写とか
無駄に激しい設定とか、そっちはもうすごすぎる。天才的。
だからチルドレンと同じくあまり関係ないのはスルーしても良いんじゃないかと思うよ。
以上チラシの裏。
時田は38〜45歳程度では?
勢いから見ると30代っぽいが日重工の代表ってことはもう少し年いってるかなと。
保守
エヴァクロ、期待はずれ…
おれはエヴァクロよかったと思ったけど
情報量としては少ない気がするけどたぶんここの大規模設定になれてるからだと
一番良かったのは本文最終行
NERVの所有するEVAは未知の存在を元に建造したものであり、
人類自身の力で作り上げたとは言い難い。
このJ.A.こそ「技術の粋を尽くした」と称するにふさわしい兵器であろう。
J.A.かっけえぇぇぇ!!!!!
896 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/22(日) 17:05:33 ID:+9gzclfD
>>884GJ!
日常描写、自分は楽しませてもらったよ。
こういう日常の描写の細かさが、戦闘ばっかりじゃないEVAっぽさなんだと思う。
ともかく、続きが楽しみで・・・もう・・・。
EOEも気になるな。もしや日重と戦自がネルフに攻め込む事を迫られるのか?
リアルタイムで放映時にでてきたっけ>JA
>>896 同意。ステーキばっか食ってたら偏食だしなw
>>898 一瞬誤爆かと思ったw同意。エヴァ世界と違い現実には四季があるが
一年中真夏でもそうめんばかりじゃ飽きる。それの逆だな。
>>899 分かりづらくてスマンw
戦闘描写がステーキで日常描写がその他ってことな。
付け合わせの野菜やライスやスープ、それらがあってこそステーキを美味しく食べられるのだ、と。
俺家がビンボだったから、毎日ステーキでも問題ない・・・って、そういうことを言ってるんじゃないかw
今夜は投下なしかな。
なかなか眠れないぜ。
そろそろ次スレ立てたほうよくない?
立てられる人頼む。
486KB
500で落ちるんだっけ?512で落ちるんだっけ?
いずれにせよ、そろそろヤバいな。立てたほういいかもしれん。
199-200氏投下直後にDAT落ちされたら困る。
おつ
。とりあえずスレを保存しないと・・・
携帯から失礼します。
投下遅れてすいません。最近無駄に忙しく、しかもアク禁をくらってばっかです。
近いうちにまとめて投下します。(ちょっとだけ富樫の気分が分かったw)
で。
出すぎた真似かもしれませんが、こんなものを作りました。ってか作ってます。
http://www20.atwiki.jp/jp-tokita/ もとはネタメモとか昔の投下を見るために使っていたのですが、履歴消して新しくまとめてみました。
もし住人の皆様がこれでよいというのであれば、まとめサイトとして運用しようかなと思ってます。
なんかでしゃばってすいません。
それから
>>907乙です。
次回はそっちに投下したほうよいでしょうか?
UHOOOOO! COOL!
ところで、そのジェットアローンの画像ははどこから?
マジ乙。
普通にコレまとめサイトでいいっしょ。見易いし。
そんなに焦らなくてもいい。こっちは気長に待ってるから。
>>913 次スレに張るのを間違えましたorz
投下は次スレのほうに行いました。よろしくお願いします。
イミダス1998 P.88
世界の原子力発電所・ダム より
原子力発電所「人類の危機を救う夢のエネルギー」として、大きな
期待を集める一方、廃棄物の処理の難しさ、事故の危険度の大きさな
どから、つねに論議の的となってきた。特に、1986年のチェルノブイリ原
発の事故以降は、その存廃をめぐってさまざまな議論が交わされている。
96年現在、世界の原子力発電所は、32カ国で4343期が運転しており、
合計出力は365,694,000kW。これは世界の電力の約18%にあたる。
一方、水力発電のもととなるダムの建設も、自然や環境問題との関
係が無視できなくなっている。(以下は省略)
原子力発電所は主に西欧・米国、日本に集中している。
×4343期
○434基
正直そんな知識の書き込みだけじゃ
どう反応すればいいかわからない
うわ、新スレ落ちた
ちょwwww
即死判定のこと忘れてたなぁ…
とりあえず誰か新スレ立て直してくり。
タイトルは「ジェットアローンで使徒を殲滅せよ3(改)」にするんだっ!
ああ、でもまとめサイトがテンプレに入るなら、これもいい機会かもね。
>915
だれもいなくなった世界ではすべてがヤバイ。
冷蔵庫のモノは腐るし道路は放置された車で動けないしタンクに穴が開けば
有毒物質垂れ流し。
その中でもとりわけ原子炉ヤバイ。マジヤバイ。海岸で寝てる場合じゃない。
はじめて読んだけど、燃えるなこれ
ヤシマの戦闘報告で
>エヴァ零号機 なし
>エヴァ初号機 なし
これでぞくっときた
誰か次スレ立ててくれage
950くらいで良いでしょ。
同じ轍を踏む必要は無い。
容量がヤバイ。正確には知らんが、投下途中で逝く可能性もあるはず。リンクや>>数字のアンカーも普通の文字レスより負担かかるし。
つーワケだ
誰か立ててくれ
>>931ちょーGJ
これでやっと・・・・やっと?
「やっと」何だ?うわ、意味ワカンネ
933 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/04(土) 01:58:35 ID:fdCqTaJA
ないす
投下も新スレにうつったし、埋めないか?
劣化ウラン弾埋め