※重要※ローカルルール
☆投下神となる気構え☆
どのような作品であれ批判を行う人間が居るという事を理解しましょう。
こちらへ投下した結果住人に批判・叩きをされても自己責任です。
また、批判意見の中にも正論がある事を覚えておきましょう。叩きや煽り、荒らしとは明確な違いがあります。
ルール違反は厳禁。人の嫌がる事はしない。Webマナーは守りましょう。
★このスレはイタモノ禁止です。イタモノの定義はおすLASスレに準じます(以下引用)
>自分が痛いと感じなくても、多くの人が痛みを感じる場合があります。
>特に以下の3つのどれかが含まれる時には投下を控えましょう。
>○アスカとシンジが別の異性との絡みを持つ(惹かれる、キスやセックスなど)
>○想い合っていても、二人が離別・死別する
>○精神的な苦痛、肉体的な苦痛の描写が激しい
イタモノは【LAS人がイタモノでへこむスレ@本部】へお願いします。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1073830497/ ★荒らし、煽り、LAS叩きは無視しましょう。
付け入るスキを与えないのには無視が一番有効です。
★LRSについてこのスレッドに書き込まないでください。
作品論、SS論としてレイに触れるのはかまいません。その場合は表現に注意しましょう。
★議論について
熱く語るのは良いですが、他人を不愉快にする表現はやめましょう。
熱くなってきたときに煽りや叩きが入りやすいです。
★age sageは?
このスレは基本的にsage進行です。メール欄に半角で「sage」と入れましょう。
★次スレは?
基本的に
>>950が次スレを建てて下さい。また、周囲の人も気をつけてあげましょう。
★その他のルールについては
「書き込む前に」
http://www.2ch.net/before.htmlに準じます。
またエヴァ板ローカルルール
http://eva-2ch.hp.infoseek.co.jp/rule2.htmにも準じます。
あけおめことよろ
即死ってあるのかね?
保守
こーいうスレは、ちょうど投下する人がいないとつらいな。
とりあえず保守。
保守
つか大丈夫かここ?
捕手
今は新作を書く暇がないですが、お世話になってるスレなので即死防止には協力したく思います。
以前当HPで限定公開したやつの再録でよければ…
公開時に御覧くださった方は知ってる内容になってしまいますが。
そのうえ微微微LASですが。
お代官様、おねげーしますだ。
紫煙でくもる室内を、モニターの明かりが照らしだしている。
コンクリートと電子回路からなる完全無機空間。
サイドテーブルに手を伸ばして、
本日七杯目のコーヒーに口をつける。
赤木研究室の主たる私の今日の仕事は、
これでようやく終盤といったところ。
――――――――――――――――――――――――――――――
アンロジカリィ システマティック by 味噌の人
――――――――――――――――――――――――――――――
「午前2時、ね…」
応える者は誰もいない。
本部に残っているのは当直の者だけで、
したがって研究室には私以外の人間は存在せず、
つまりこれは私の独り言だと断定できる。
見事なロジックだ。
第一、この窓のない部屋においては時間なんていう概念は希薄で抽象的で、
『モニターの右下に表示されている数字の羅列』という程度の存在にすぎない。
ここにある全ての物質は、調査と分類と検討と保存のための機械であり、
それは私自身も例外ではないのだった。
目的は仕事。それのみ。
メインディスプレイに目を戻す。
表示されているのは、チルドレンのシンクロ及びハーモニクス推移グラフ。
先程MAGIから落したデータ。
彼女らの体調を把握し、実験のスケジュールを決めるのも
私というマシンに課された仕事の一つである。
折れ線で表されたラインは3本。
ほとんど上下しないのがファーストチルドレン。
対照的にあとの二人―――セカンドとサードは凹凸が激しい。
これが私の大きな心配事の種なのだ。
ことは直接人類の存亡に関わる。
「全く…どうにかならないかしら、この変動値」
近頃は二人そろって高数値だが、肝心の戦闘時に低下するようでは困り物だ。
重ねてみると二人の上下動はほぼ同じ時期に重なっているし、
これは葛城作戦部長の監督責任が問題なのではなかろうか。
保護者といえば聞こえはいいが、『酒豪』で『ずぼら』で『家事不能』とくれば
十分確実性のある推論である。
これもまた見事なロジックだ。
全く、後で小言を―――いや、忠告―――むしろ警告しておこう。
そう思った矢先に、背後でエア・ロックの音が響き、
「リっツコぉ〜!コーヒーちょーだい♪」
………などとお気楽に、本人お出まし。
「あらミサト、今日は残業?」
「そーなのよう」
いつでも天真爛漫な友人は、あはは、と笑いながら隣までやってきた。
「こないだの戦闘の後始末が大変なのよぅ。
被害報告と各方面への偽造文書、UNへの追加予算申請でしょ、あと苦情処理も。
いったい何百枚あると思う?おかげでここ一週間、ろくに帰ってないのよねぇ…」
「あらあら、あなたも大変ね作戦部長さん」
まぁ、本当に大変なのは彼女の笑顔の裏で日毎にやつれていく日向君だけど。
私の溜め息をよそに、ミサトはごきゅごきゅとコーヒーをからにしてしまっていた。
sage
『それは私のコーヒーよ』
『そのかわいい猫マグは私専用よ』
『コーヒーをいっきにあおるのは飲み方として間違ってるわ』
『そもそもここはコーヒー屋ではありません』
言いたい事は多々あるが、口にはしない。
ゴミンゴミン、などと一言で流されるのがオチだ。
彼女の性格から考えて、実にロジックである。
伊達に長い付き合いをしているわけではない。
人間は学び、成長するものなのだ。
その損得はともかく。
「それにしてもミサト、あなた保護者でしょ?
あの二人の管理、ちゃんとしてくれないと」
それでもこれだけは言っておく。
ミサトはちゃらんぽらんだが、その実信頼に足る友人ではあるのだ。
「ん〜。そうね…もう今日は帰ろうかしら〜」
日向君。あなたは帰れなくなったわ。実にロジックな展開上。
「リツコのその口ぶりからすると、マズいの?二人の調子」
「今のところはいいけれど。両者絶好調なのよ」
「あ、やっぱ?そりゃ心配だわ」
「?どうして?」
「あーいや、最近あの二人怪しくてさぁ。
おねーさんのいない間に、あ〜んなコトやこ〜んなコトしてたらどーしよ、なんて」
なはは、と笑うミサト。
―――前言撤回。
彼女に『信頼に足る』などという形容詞は使えない。
あ…頭痛がする…
「ちょっと待ってミサト…あの二人ってそんな仲なの?ネルフ内じゃ、どう見たって険悪じゃない。
つい二十三日と十一時間前には、アスカがシンジ君に怒鳴りつけてるのを見たわよ?」
「ん、ウチでもそうだったんだけどさ。内心まんざらでもなかったらしいわよ?
しかも意外なことに、シンちゃんがアスカを口説き落としたとか」
………頭痛が更にひどくなってきた。
しかしながら、確かに、胸は少しあたたかくなる。
そう―――そういう事情だったの。
ミサトの不在と、二人の好調。
それがもし、恋愛感情に絡むものだとしたら―――?
彼女達は、大人の都合で随分とつらい思いをして育っただろうに。
そんな二人が―――互いに想いを通わせようとしているなら。
ふいに、なんとも言えない感慨が私を走った。
「あの…リツコ?もしかして怒ってる?」
「どうして?怒っているように見えるかしら」
「い…いえ。笑ってるように見える」
「自分でもそう思うわ」
「………なんか、リツコが笑うのって久し振りかも」
そうね。
そうかもしれない。
機械としての性能を持つ私が、唯一機械と違うところ。
「恋愛はロジックじゃないものね…非論理機構も、捨てたものじゃないわ」
キーボードに向き直って。
自分でも惚れ惚れするタイピング速度で、訓練スケジュールを書きかえはじめる。
なるべく二人が一緒にネルフに来て、一緒に家に帰れるように。
…別に二人の恋仲を応援するわけじゃないわよ?
これで彼女達のシンクロ率が上がるなら、それも私の仕事ってこと。
…自分に言い訳してみても、頬がゆるんで止まらない。
全く、私もまだまだ甘いものね。
愛用のパソコンに向かって微笑む。
母さん―――あなたは何て言うかしら。
無視する?嘲笑する?それとも軽蔑するかしら。
いえ―――やっぱり微笑むでしょう。
女として生き、女として死んだあなたなら。
ロジックを目指しながら、アンロジックな恋を選んだあなたなら。
いいわ、アスカ。シンジ君。
私はいつも通り厳格だけど、こうして影からこっそり応援してあげる。
そうしてタイプを終えた後。
私はいつになくすがすがしい気持ちで、機械の群れの電源を切った。
時刻は3時前。
たまには星でも見に外に出るのもいいかもしれない。
モノレールは勿論止まっているだろうが、
管理者特権というのはこういう事態のために存在するのだ。
この暖かい、非論理機構的に私を満たす想い。
アンロジカリィ・システマティック。
もしかすると、世界を救うのは、
難解な数式や、練成の技術や、複雑な科学ではなくて。
ただこの『ぬくもり』なのかもしれない。
閉じこもりすぎて忘れかけていたもの。
人と人とが相互理解のための努力を惜しまない、
そんな世界への希望。
少し大げさかもしれないけれど。
子供達が大人に提示する一つの可能性。
それに懸けてみるのも悪くはないわね、母さん。
「ほんとに、笑えるくらいアンロジックね―――」
背伸びをして、天井のはるかむこうの空を思う。
今の一瞬、どこかでまた生まれている愛を思いながら。
( "unlogicaly systematic thing : love " is END.)
「リツコ?なによそのニヤケっぷり。むしろ怖いわよ、なんか」
「お黙り。さっさと戻って仕事をなさい。今日も帰らなくて結構よ」
「えぇ!?ひどい…リツコ、さっきと言ってることが逆ぅ…」
以上です。
全然LASじゃねぇよ、との御意見ごもっとも。
復帰時には甘い甘いのを持ってまた参りますのでどうぞよしなに。
いやこなくていいよ。
あんたの話つまらんし。
珍しく伸びていると思ったら新作?の投下があったのか
個人的にはじゅうぶんLASと思うよ
これからもなにとぞよしなに
お疲れさま
時間に余裕ができたらまた来てくださいね
待ってますよー
この程度のレベルの投下だけで盛り上がれるお前らテラスゴスw
他の人の作品読んでないのか?
わざわざこんなとこにスコップしに来なくていいぞwwww
保守乙。
もう少し時間を空けてレスしてくれたら更に良かった。
味噌氏投下→叩き
もはや定番化してきたなw
ともあれ味噌の人乙。
だって味噌のやつってつまらんし
33 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/01/29(日) 01:29:17 ID:PmvdSuEQ
ヒント:オウム信者
落ち着いて保守
バレンタイン物キボン
シャラララ
保守
終わったな
国立大学前期試験が。
リア工3の作家って誰よ?
ぶっちゃけ復活しても嬉しくない。
誰なのかもわからないし、俺好みかどうか知らないが
復活は普通に嬉しいね。喜ぶ人もいるんだろうしな
今更だが味噌はリア工3
HP見る限り落ちたみたいだが。
味噌って結構活動期間長くなかったっけ?
>>43 Gehen wir!が多分初投稿で、2003年夏からだな。
とすると書き始めた頃は高1か。
久し振りに伸びてると思ったら
>>40-44 本 人 乙
ばれないと思ってるのがあさましいwwwww
作品と同様に自演も下手ですねwwwww
46 :
41:2006/03/05(日) 22:45:56 ID:???
>>45 少なくとも、俺は自演じゃないぜ。おまえの精神構造も存分に病んでるなw
終了
hosyu
韓
日00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
00日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日
01米 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日
02米 米 日 日 日 日 日 日 日 日 日
03米 米 米 日 日 日 日 日 日 日 日
04米 米 米 米 日 日 日 日 日 日 日
05米 米 米 米 米 日 日 日 日 日 日
06米 米 米 米 米 米 日 日 日 日 日
07A A A A A A C 日 日 日 日
08韓 韓 韓 韓 韓 韓 韓 B 日 日 日
09韓 韓 韓 韓 韓 韓 韓 韓 B 日 日
10韓 韓 韓 韓 韓 韓 韓 韓 韓 B 日
おこしやす
ウホッw
例えば、生きることは、つらかった。
――――――――――――――――――――――――――――――
傷跡 by 味噌の人
――――――――――――――――――――――――――――――
全身が灼ける熱で、目が覚めた。
まぶたを開けて、それから、自分の顔に手を触れてみる。
どうやらアタシはまだ生きているらしかった。
体のどこにも火傷なんてない。
ただの悪い夢だ。
夜中の閑静な部屋に秒針の声が振動する。
寝巻は汗でぐっしょりと濡れていた。
眼前を染める灼熱の赤色と、
思考すら圧迫する圧倒的な死の気配と。
火口に沈む愛機が軋みだして、
あのとき初めて、アタシは『死ぬ』ことを実感した。
あっけない。
アタシが傷ついて、傷ついて生きてきた14年間に比べて、
それはあまりにあっけない終幕だった。
自分の死を想像することはもちろん今までにもあった。
けどそれは、戦って戦い尽くしたその戦いの末にズタズタに切り裂かれ、
失血の寒さの中で息絶えるような、そういうもので。
それがどうだろう。
アタシはこの不愉快なぬくもりの中に、溺れて潰れて焼け死ぬ。
本物の死を前に、すべては無意味だった。
天才の名も、その裏の努力も、絶えぬいた日々も、培った自信も、
すべては無意味だった。
絶望さえ無意味だった。
アタシはからっぽになった。
沈む。沈む。死に沈む。
何も無い。
何も無い。
何も無い。
何も無い
何も無
何も
何
何
何か
何かが
何かが、まだ、アタシをつなぎとめていて―――
そして、それを、アタシは、嬉しい、と思った。
そうして、この出来事は過去の話になった。
あの日の記憶は傷として心に残ったけれど、結果としてアタシは今も生きていて。
夢の中でこうして傷口が開くのも、それを苦しいと思うのも、
それはそれでアタシが生きていることの確かな証でもあるわけで。
汗に濡れた寝巻を替えながら思い返す。
差し出された手を握った感触は今も覚えていた。
あの時、いったいどんな感情があの馬鹿を衝き動かしたのか、
アタシは結局聞けないでいる。
いや、聞かないでいる、のか。
あいつと笑って、喧嘩して、頭を小突いてやったり、心配されたりして、
この微妙な距離感に一喜一憂するのも―――
今はそれなりに、楽しいと思えるから。
あの何も無い死の底に比べれば、この世界もさして悪くはないのかもしれない。
少なくとも今の生活は、玩具には事欠かないワケで、ね。
新しい寝巻をまとってほくそ笑む。
まだ夜は長いし。
アタシのベッドは汗でぬれてるし。
明日使徒が来るかもしれないから、床で寝て風邪ひくのは論外だし。
そこできちんとした寝床を探したいアタシ。
同居人は2人と1匹。
一人は寝相が悪すぎる。
一匹のほうは、まぁ、どう考えても無理だ。
となると消去法で行く先はしぼれるわね。
ふふふ、自分でも納得のロジックだ。
明日はあいつの狼狽を肴に楽しみますか―――アスカ、行くわよ。
全身を灼く熱は記憶の彼方に。
今は頬にだけ、小さく火が残っている。
(―――" Not so bad END. ")
以上です。
前スレのログあるいは拙作を保存して下さってる方はいらっしゃいますか。
自分の書いたものを保存し忘れている私を救ってください。
乙です。
救ってあげたいが、スレ持ってないや。
にくちゃんねるでも引っかからんし・・・
落ち着いて投下を待つ。
うむ
遅れ馳せながら味噌氏乙
またスレが伸びてると思ったらwwwww
自演厨房のおミソ君がようやくトリップつけて来まちたかwwwww
自演じゃないならこの過疎スレで
>>39-40の間が50秒なんてありえねぇwwwww
そして2日経っても自分の名前を出してくれる香具師がいなかったから
>>42で自己レスwwwww
ばれたらばれたで
>>46みたいに言い逃れ
病んでるのはお前だwwwww別人とか言っちゃってるよwwwww
そしてトリップつけて来るときはコレまでの流れは無かったかのようにスルーwwwww
別人のフリても文章の厨臭さが抜けてません
気づいてますか?もうこのスレにはおミソ君と俺くらいしか来てないですよwwwww
釣られちゃいけないと思いつつ
あまりの香ばしさに…
おはよう
保守しとくか
保守
最下層スレ発見!だが俺はsageる話のわかるやつ
落ち着いて投下待ち。
使徒は15年のスパンをかけてやってきた。
LAS小説もいつ投下されるか判らんからな。
69 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:29:07 ID:???
前日 A面 シンジの日記より抜粋
僕は、秘密を持っている。
それは茶色い壜の中に入っている。
壜は手の中に握りこめるほどの大きさで、振るとからからと音を立てる。
光に透かすと、二つ影が見える。
『本当に逃げたくなった時。
それか、もう充分に満たされたと思った時』
僕はこの中身を飲むと決めていた。
…だから、明日はきっとこれが飲める。
これを書いている机の横のベットでは、静かに眠る彼女の呼吸の音が聞こえる。
結婚式は明日なのに、アスカはいつものように僕のベットに滑り込んできた。
「慣れた枕がないと寝られないから」と言って。
温かい体を抱きしめながら眠ると、怖い夢を見ないと教えてくれたのはアスカだ。
そのアスカも、一日中、式の準備に忙しかったせいですぐに眠ってしまった。
僕も一緒に眠ろうと思ったのだけれど、なぜか目がさえて眠れない。
70 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:29:57 ID:???
それで、今こうして日記を書いている。
明日はたぶん忙しくて、書けないだろうと思ったから。
言い訳ではなくて、本当のこと。
明日、僕がこれを飲むのは、幸せだから。
何もかも満たされて、ストレスなんて一つもなくて、とても幸福だから。
これ以上に幸せになれることなんて、僕には考え付かない。
好きな人と、ずっと一緒に居られることを約束をする日。
今まで何度も飲もうと思って飲めなかったのは、この日が待っていたからなんだと思う。
アスカ、ありがとう。
上手く言えないけれど、僕は僕の全部を上げてもいいくらい、アスカが大好きです。
71 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:31:20 ID:???
――― 当日 B面 アスカ、式会場にて ――-
シンジは秘密を持っている。
神様の前で誓ったくらいで、あいつが全部理解できるなんて、あたしだって思ってない。
一人の人間の秘密を、すべて暴くことなんて出来ない。
どんなに近づいたって、溶け合うことはできないのだから。
でも、それがわかっているからといって、いまさら離してやる気にもなれない。
だから、逃げたがりのあいつを縛るつもりで、指輪を交わして。
白いドレスで、永遠を誓った。
みんなからの祝福の言葉を聞く間、シンジの左手はあたしの肩を抱いていた。
けれど、あたしに触れることのない、もう片方の手。
握り締めたその右手に持っているのが、シンジの秘密だとあたしは気づいていた。
誰よりも幸せそうな顔で、溶けるみたいに優しい声で。
何度もあたしを呼ぶくせに。
抱きしめてくれない、結ばれた右手。
乾杯の音頭がとられ、あたしの体からシンジの腕が離れる。
シンジは皆の前で、ゆらゆらと気泡の揺れる、細長いグラスを掲げてみせる。
その右手がゆっくりと動いて、シンジの口元の運ばれるのをあたしは見た。
72 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:32:07 ID:???
足が出たのは、反射的な行動。
シンジとの身長差を演出するため履いていた、ローヒールのパンプスが役に立った。
幾重にも重なるパニエを跳ね上げて、あたしはシンジを蹴り飛ばした。
噴き飛んだ花婿と、高々と足を上げた花嫁。
それは、喜劇の幕開け以外の何物でもない。
あたしはずかずかとシンジに近寄り、その胸倉を掴んで揺さぶった。
「何しようとしてたの!
これは、何!?」
グラスは砕けてなくなっていたが、シンジの右手は握り締められたままだ。
あたしは、怒りに任せてシンジの横面をひっぱたいた。
「また、逃げだす気なの!?
卑怯者!!
あんた、最低の卑怯者よ!」
だらりと下がったシンジの腕を持ち上げて、手のひらをこじ開ける。
出てきたのは、二粒の錠剤。
逃げることしか考えられない、バカなシンジが選んだ薬。
73 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:32:55 ID:???
もしも、これが胃薬なら、あたしはシンジに土下座して謝ってもいい。
もしも、これがただの薬局で売られているような薬なら、
…あたしは一生シンジの奴隷になってやってもかまわない。
シンジがあたしと生きてくれるなら!
共に生きようと思ってくれるなら!!
あたしは、取り返そうともがくシンジを押さえつけ、奪った薬を見つめる。
こんなもの!
「何なのよ、これは!
こんなものに縋って。
なんで!!」
「…ち、ちがっ。
アスカ…」
「じゃぁ、何よ?
ただの薬?
それなら、あたしが飲んでもかまわないわね?
あたし、飲むわよ」
嘘だとまるわかりの下手な言い訳を続けようとするシンジに、投げやりな気持ちになる。
74 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:33:42 ID:???
バカな男。
弱い男。
幸せが信じられない、どうしようもなく臆病な男。
あたしのことを愛していても、信じることは出来ない歪んだ男。
死ぬ前に走馬灯のように自分の人生が浮かぶというけれど、思い出すのはシンジのことばかりだ。
人生の4分の1を一緒に生きてきた。
それでも、シンジのことしか浮かばないのは、自分でもどうかしていると思う。
握った薬を口内に放り込んで、飲み下そうと口を閉じる。
その半瞬にも満たない間に、シンジの腕があたしに伸びる。
先ほどからされるがままにあたしに弄られていたのが嘘のような速さで。
顎が掴まれ、指が突っ込まれる。
掻き出そうというのか、無造作に口の中を探られ、吐き気がする。
見つからずにあせったのか、吐き気を抑える喉に気がついたのか、あたしのおなかに当身を入れようとするシンジをどうにかとめる。
本当に、バカな男。
こんなときばかり、必死な顔をして。
75 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:34:30 ID:???
「どう…し……て?
……アスカ…」
「どうして、って何よ!
あんた、バカにするんじゃないわよ!
なんで、それをあたしに聞くのよ。
あたしは、いったいあんたの何なの!?
聞きたいのはあたしのほうよ!
なんで、あんた、…あんた、こんなの飲む気になってるのよ!」
唾液で汚れた口元を拭えば、白い手袋は口紅で紅く染まる。
飲み込まなかった錠剤を床に吐き出し、脚で踏みにじる。
シンジがあたしを死なせたくないことはわかった。
だけど、こんなことぐらいでは、この腹立ちは治まらない。
このやるせないほどの悲しみも。
「だって、幸せだから。
今すごく幸せだから。
だから、もういいかなっておもったんだ。
しあわせなんだ」
安らかな顔で、子供みたいに「しあわせ」と繰り返すシンジ。
めちゃくちゃになった式場で、足跡のついた服を着て、花嫁に殴られて、それでも?
76 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:35:20 ID:???
あたしは、両腕をシンジの首に絡めて、強く抱きしめた。
もう、それ以外に、この壊れた男にしてあげられることが思いつかなかったから。
肩にかかる、シンジの頭の重み。
何度も抱き合って、よく知ったその熱。
何もかも無駄かもしれなくても、あたしは、この男がいい。
だから。
「ダメ。
まだ逝かせない。
そんな安らぎなんて、あんたには必要ないの。
あんたは生きて。
生きて、ずっと、あたしを想って。
苦しくても、あたしだけを見続けて」
「いやだ、あすか。
こわいよ。
そんなの、こわい。
たすけて、あすか。
ぼくを、たすけて」
77 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:36:07 ID:???
「イヤ。
あんたは逃げようとしてるだけなのよ。
『幸せ』なんて言っても、あんた、本当は信じてない。
あたしのことも、皆のことも、誰のことも信じてない。
信じたふりして目をつぶってるだけじゃない。
面倒だからって、全部捨てようとしてんのよ」
「ちがう。…ひどい。
あすか、ひどいよ。
どうして?
いきてるのはこわい。
いまは、しあわせなんだ。
しあわせだから、もういいんだ。
いま、しにたいんだよ。
しなせて。
ぼくは、しあわせなんだよ」
「幸せ」を口にするシンジ。
壊れたレコードみたいに、同じ言葉を繰り返す。
シンジは本当に、そう思っているのかもしれない。
このまま死なせてあげるほうが、シンジのためなのかもしれない。
でも、あたしにもエゴがある。
あたしは、死にたくない。
そして、もう何もなくしたくない。
78 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:36:54 ID:???
「死なせない。
あんたは、あたしと生きるの。
神様の前で誓ったでしょ。
ずっと、あたしの傍に居るって」
「こわいよ、あすか。
しなせて、いま、しにたい」
「怖くても。
あたしは、あんたを離したりはしないわ。
絶対に」
「…うそつき。
ぜったいなんて、どこにもないよ。
うそだ、うそ…。
…かわってしまうんだ。
ひとのきもちなんて、いつかかわってしまうんだ。
みんなそういってたって、さいごはぼくをすてるくせに。
ぼくをおいていってしまうくせに」
79 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:37:42 ID:???
「あんたに嘘なんて吐かないわ。
あたしは、あんたを捨てたりしない」
嗚咽が喉に絡まって、漸く言えたあたしのは声はシンジに伝わったかどうかわからない。
襟を大きく開けたドレスは、この乱闘でぐしゃぐしゃになってしまった。
それでも、むき出しの肩にシンジを感じる。
彼の細い吐息が肌にかかり、生きていることを知らせてくれる。
暖かな雫が、あたしを濡らしていくのを。
本当は、何もいらない。
祝福も、賛辞も。
白いドレスも、神への誓いも。
祝宴を惨事に変えた新郎新婦の醜態を、遠巻きに眺める招待客のざわめき。
気遣う声も、哀れみの言葉も、何も必要ない。
聴きたくない。
すべてを拒絶するように、あたしもシンジの肩に顔を伏せた。
確かなのは、伝わってくるこのぬくもりだけでいい。
他人がどう思おうとかまわない。
あたしに必要なのも、あたしが選んだのもこの男だけ。
80 :
狂想曲:2006/04/16(日) 13:38:40 ID:???
静かに涙を流すシンジを、あたしはいっそう強く抱きしめる。
その魂までも縛れるようにと肩に爪を立て力を込めながら。
届かないとわかってて、心の中で盛大に罵り声をあげながら。
バカな男、バカな男、バカなシンジ。
自分のことしか考えられないシンジ、最低のバカ男。
そして、それ以上に、あたしもバカな女だ。
おいて行かれる事を怖がるあまり、おき去りにするあたしのことを考えられないシンジ。
そんなどうしようもない男だとわかっていても、シンジの手を離せないあたし。
シンジがあたしから逃げることも、目を逸らすことも許せない。
誰よりも強い執着で、がんじがらめに縛りあうことを望んでいる。
狂っているのは、あたしも同じ。
愛している、世界よりも。
だから、あたしだけを見て、シンジ。
あたしは、あんたを誰にも譲りはしない。
たとえ、それが「死神」でも。
シンジがあたしに秘密を持つのはかまわない。
けれど、その秘密ごと、シンジは全部あたしのものだ。
fin
ありきたりだな。凡作乙
うーん、過疎化させてるのは、読者のほうみたいだね。
狂騒曲さん、おつかれ。
シンジがなぜ死に逃げようとしたのかもっと書き込んでくれると嬉しい。
作者にとって自然な流れかもしれんが、それは作者自身の病理を描いて
しまっていることになるよ……。
>>81 作品の内容云々以前に
お前の感想があまりにもつまらな過ぎ
あ、ゴメン、俺は読んでない
>シンジがあたしに秘密を持つのはかまわない。
>けれど、その秘密ごと、シンジは全部あたしのものだ。
この辺りの感覚とかは好きだし、文章も読みやすかったス。
FF作家としては上手な方だと思う。
>>82と同じく、シンジの自殺志願の理由が唐突で、読者置いてけぼりかなと。
本編で描かれたものの延長と考えられる理由なので、一応理解も補完も出来るけど、この短さでは、感情移入が追いつく前には話が終わる。
愛していても不安はある、てのは普通の範囲だけど、今幸せで先は分からないから自殺しちゃおう。しかもわざわざ結婚式の最中で。
これは異常の部類で、すぐには感覚が追いつかない。
結婚式で自殺(花嫁には酷いトラウマだなw)するほど自分の事しか考えられないシンジを、それでも愛するアスカ。
といった話なら、シンジの身勝手の部分はもう少し分かり易くても良かったのでは?
そうではなくてシンジの病理を描くのが目的なら、冒頭の説明のみに頼って描写が不足してるし、けっきょく何の解決も進展も無いに等しいままなのも気になってくる。
両方描こうとしていたなら、分量を増やさないとムリではなかったかと。
あと、結婚式の事件でアスカシンジ以外の動き・描写がほとんどないのはヘン。
どちらにしろキモイ。キモすぎるよ。
LAS人とかってこんなのばっかな
>85
今、LRSスレに特攻してLASマンセーするバカ(もういないが)と同じレベルの自分になってると気づこう
>>86 そうやって簡単に釣られるとお前も同レベルに(ry
うはwループwww
まぁでも実際さー 煽りでもなんでも無くて
こういう思考の人間がいたら素直に「キモイ」と思うだろ?
それをこうやって文章でネチネチと描写されたら尚更。
>煽りでもなんでも無くて
ww
マジでつまらないですけど何か?
つか、エヴァのSSってぜーんぶ語っちゃうのが多くて、読んでて恥ずい。
しかしさ、このLAS専用の小説スレで何を求めるのだ。
自覚無自覚は置いといて、ただのイタイ煽りだろ
スルーせ
内容がイタイんだもの。
イタイのが湧いてきて当然じゃん。
85=89=95
ガンバリ屋サンだね
うはwループwww
LASなんて存在自体イタイ
当然お前等もそんな事は分かってるんだよね?・・・ね?
最近はアンチの方がバカになっちゃったのか、そう見せたい偽装なのかw
お前も含めてどっちもバカだってwww
85=89=95=98=100
とってもガンバリ屋サンだね
あれ?
「うはwループwww」はまだ?
うはwループwww
まぁ、スルーできないヤツもクソって事で。
皆クソだってwww
85=89=95=98=100=104
とってもとってもガンバリ屋サンだね
うはwループwww
そもそもFFに関係なく進んでるのがこのスレの無意味なところだ
最下層で何乳繰りあっておるのだ、バカモノ
キモスレ上げたりするなよクズ共wwwww
うはw
浮上
「開け開け開け開け開け開け!!!」
「開け開け開け開け開け開け!!!」
シンクロ率が急激に上昇し、弐号機が二人の思いに答えるように使徒の口をこじ開けた
そして戦艦二隻から放たれた零距離射撃により使徒ガギエルは見事殲滅された
しかしこの時、弐号機の中では奇妙な事件が起こってしまったのである
「まぁ、サードチルドレンにしては良くやったわねって・・・・うそぉぉぉぉ!?」
「何で僕が目の前に!あれ?何で僕が惣流の声でしゃべってるんだ!?」
そう、二人の心が入れ替わってしまったのである
二人は呆然としながらお互いを見つめあった
「ちょっとあんたぁ!何であんたが私の格好してるのよ!!」
シンジの姿をしたアスカが突然叫ぶ
「そんなぁ・・・僕だって分かるわけないだろう?」
アスカの姿をしたシンジが困った顔をしながら答える
「あぁぁぁぁ!もう一体どうなってんのよ!!」
「ねぇ、騒いでいてもどうしようもないからとりあえずエヴァから降りない?」
「だぁぁっ!何であんたはそんな平気でいられんのよ?」
シンジは女言葉でわめいている自分の姿を見て心底気持ち悪いと思った
「(僕がおかまになったらこんな風になるのかな・・・)」
「はぁ!?何か言った?」
「な、何も言ってないよ」
「あっそ・・・あぁもう本当に訳が分かんないわよ!」
「夢じゃないよね」
そう言ってシンジは頬をつねった
「あんた私の体に何てことすんのよ!」
「ご、ごめんよ惣流!」
「もう、私の体なんだから大切にしてよね!」
「うん。気をつけるようにするよ」
こうして二人の奇妙な生活はこうして始まった
期待
しません
いや期待する
味噌氏の中の人が引退した今
投下作品を選んでたらこのスレの存在意義自体がなくなる
元々ない
>>113 「着替える時は私の体、ぜぇぇぇったいに見ないでよね!」
「そんなこと言われても目閉じて着替えるなんて難しいよぉ・・・」
「・・・じゃあちょっと待ってて」
そう言ってアスカはシンジの制服を持って物陰に隠れた
「何するの?」
「決まってんじゃない。着替えるのよ」
「えええぇぇぇ!!」
「何で驚いてんのよ?ずっとプラグスーツのままでいたい?」
「いやだって・・・その、あの・・・」
シンジは顔を真っ赤にしながらもじもじしてうろたえた
「あ、あ、あんたバカァ!?見るわけないでしょ!!第一見たくもないわよ!」
アスカも顔を真っ赤にしながら答えた
「う、うん・・・それならいいんだけども・・・」
「それより、絶対にこっち来ないでよね!」
「え、なんで?別に僕の体なん・・・」
「いくらあんたの体でも何となく恥ずかしいのよ・・・」
「うん。分かったよ」
そしてアスカはごそごそと着替え始めた
「ふぅ、上は完了ね。問題は下・・・」
アスカはしばらく目を閉じてから意を決したように
一気に下半身のプラグスーツを脱ぎさった
この厨臭さはなんだwwwwwwwww
煽り抜きに普通につまらん。
眠い
うはw
しかし味噌の中の人はマジで消えてんのな
引退しないって言ってたクセに
もうこりゃ終了かもわからんね
終了
保守
いまさら保守しても誰も来ないよ。
終了
再開
再終了
保全さげ
終了
132 :
無題:2006/05/12(金) 21:40:57 ID:???
「暑さ」とは何だろうか、と。
しっとりと肌に絡みつくような大気を掻き分けながら考える。
どうせなら、からりと乾いた砂漠のような暑さならいいのに。
けれど空気は湿度を含み、心なしか重くさえあるようだ。
圧し掛かられている。
不快な熱に吐き出したため息さえ、熱い。
時刻は午後をはるかに回り、西日が長く影を作る。
オレンジの光は忌々しいほどに鮮やかで、アスカは僅かに目を細めた。
彼女と碇シンジとは、長い付き合いがあるとは言えない。
実際、現在同居人の一人である彼とは、微妙な緊張感を伴う関係にあると言うほうがいい。
側に居る分、距離を縮めることは容易いが、まだはっきりしない感情を持て余すことも多い。
分裂すると言ういかさま技を繰り出した使徒に対する対抗策として、二対のエヴァによる多重攻撃と言う
案を持ち出されたのは記憶に新しい。
当然のことながら実行者に選ばれた人間としては、最善を尽くすしかない。
たとえ、出会って一ヶ月と経っていない男が相手でも。
133 :
無題:2006/05/12(金) 21:41:48 ID:???
行動を重ね、時間を重ね、嗜好、思考、決断のスピード、その反射に至るまで。
トレースするということの意味を、発案者は考えていたのだろうか。
シンジ、シンジ、シンジ、シンジ………、シンジ一色である。
今考えれば、いささか気持ち悪い。
そして、使徒戦を勝利で飾った後の染まった意識を引き剥がすことはさらに、骨の折れる仕事だった。
どこまでが自分の考えで、どこからがシンジのものなのかわからなくなることがあるのだ。
自我を持つ人間として、畸形な一卵性双生児にも似た精神状態はいただけなかった。
いっそ多少の距離があったほうが、もっと簡単に上手く行ったかもしれない。
好きとか嫌いとか、青臭くはあるものの相手に対する気持ちをそれなりに確認した上で、向き合うことが
できたなら。
シンジが自分についてどう思っているかはわからないのに、彼が次にやりそうなことはわかるのだ。
まるで、もう何十年と連れ添った夫婦のように。
無言のまま手を出されても、そこに乗せるのが胡椒なのか醤油なのかは考えるまでもなく。
パスタにかけるチーズ、親子丼には青海苔…、etc、etc。
喉が乾いたなと思った瞬間に、目の前に飲みたい飲料が差し出されると言う状態。
居心地のいい相手。
錯覚しているのではないかと思いたくもなる。………好意を。
134 :
無題:2006/05/12(金) 21:43:32 ID:???
この混乱の製作者の一人でもあり、本来なら裁定者であるべきはずの保護者「葛城ミサト」は、終わらぬ仕事に今日も不在だ。
部屋にいれば嫌でもシンジの存在を感じ、まるで世界に二人しか居ないとでも言うようなその空気に負けて、言い訳を探した。
冷蔵庫を覗けば殆ど空のような有様に、何故か安堵のため息をつき、「買い物に行く」と言って出てきた。
シンジが聞いていたかどうかは知らない。
食欲はさほど感じない。
コンビニで見つけた冷やし中華を二つほど籠に突っ込み、飲み物を物色する。
あっさりした物がいいだろう。
安物の中華ドレッシングと言うのは、舌に残るから。
それを洗い流せるような、きつい匂いのしないもの。
朝からずっと暑いのに、日も傾いた今になってもまだこんなに熱が残っている。
アトヲヒク。
ヒキズルネツ。
毎日毎日、どうしてこんなにも暑いのだろう。
手に提げたコンビニのビニールが照り返しに染まっている。
その色は安っぽいキャンディにも似た―――。
アスカはくるりと踵を返し、50メートルほど後方になったコンビニに再び向った。
135 :
無題:2006/05/12(金) 21:44:26 ID:???
「あー、…つめたぃ」
変な声。
アイスを舐めながら、喉の奥で笑う。
正直な発言だが、独り言を言うのはかっこ悪いとも思う。
見る限り他に人はいないが、溶けたようなゆるい声は自分で聞いていても恥ずかしい響きだった。
舌先が冷やされ、火照った体から熱が逃げていく。
ただ、単純に、
「…気持ちィィ」
頬の内側。舌の裏側。
やわらかな、喉の奥。
冷ややかな塊を、そっと押し当てる。
ぬるりと溶けて、甘く染み出すそれを嚥下する。
胸を降る頃にはもう、冷たさは感じない。
136 :
無題:2006/05/12(金) 21:48:13 ID:???
暑いから、…アツイカラ。 アイスを舐める。
欲求に率直な行為は、ひどく貪欲な感じがしてアスカは赤くなった。
引いたはずの熱が、また戻ってくる。
シンジの顔が浮かぶ。
口内に残る甘さ。
ゆっくりだった足取りが、早まる。彼が、待っているかもしれない。
何故か、シンジの顔が見たいと思った。
緊張にいたたまれず、逃げ出したのは自分だけれど。
成り行きではなく自分の意思で、たまにはシンジと関わってみてもいい。
大気と、夕日と、アスカの熱にさらされて溶けていくアイス。
雫を舌で受け止めながら、アスカはシンジを思い浮かべる。
彼も感じているのだろうか、このネツを。
ならば、この気持ちのまま貪欲に、率直に、わけあえるだろうか?
このアイスのように。
溶け出した甘さが、全身に広がる。
熱に、浮かされているのかもしれない。
………錯覚が嫌なら、触れてみればいいのだ。
舌で感じてみればわかるだろう。
それは冷たいものなのか、それとも甘いものなのか。
段々と小さくなってきたアイスを尚も貪欲に舐めながら、アスカはシンジが待つ部屋へと更に足を急がせた。 fin
悪い面白くないわ
すまん、面白いわ。
次作plz
読み直してみたらやっぱり面白くなかったわ。
ほんとすまんかった。
こういう事しか言えない奴ばかりになって行くのは、このスレの宿命みたいなもんなのかねぇ……
だが面白くないのも事実だし
>>132 GJ
投下すると叩かれるのはもうお決まりの反応だし気にせずに
少なくとも俺は次を楽しみにしてる
もうこないでね
つまんね
もういい加減変なのが沸きすぎだから
終了にしよう
ヨッコラショ
∧∧ ミ _ ドスッ
( ,,)┌─┴┴─┐
/ つ. 終 了 │
〜′ /´ └─┬┬─┘
∪ ∪ ││ _ε3
゛゛'゛'゛
みなさんなんだかんだで最下層到達ですよ
150 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/17(水) 01:58:21 ID:mXpUXhln
何の話だ?
アスカがシンジと付き合ってるけど別れて
シンジが綾波と付き合いだすけどやっぱり別れて
もう一度アスカとシンジが付き合うってヤツはスレ違いか?
>>151 テンプレの禁止事項に見事に引っ掛ってないか?
>★このスレはイタモノ禁止です。イタモノの定義はおすLASスレに準じます(以下引用)
> >自分が痛いと感じなくても、多くの人が痛みを感じる場合があります。
> >特に以下の3つのどれかが含まれる時には投下を控えましょう。
> >○アスカとシンジが別の異性との絡みを持つ(惹かれる、キスやセックスなど)
> >○想い合っていても、二人が離別・死別する
> >○精神的な苦痛、肉体的な苦痛の描写が激しい
surechigai
終了
>>147 確かにもう終了したと思っておいたほうが精神衛生上はいいかもしれない
味噌マダー?
終了
157 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/20(土) 00:59:09 ID:I6ID4+Yb
ほす
158 :
■■下請け韓国人アニメーターの陰湿な嫌がらせ■■:2006/05/20(土) 01:10:56 ID:epXTgAyj
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
うんこうんこうんこう
>>・バジリスク 原画から異臭
キムチ食いながら仕事してたか
シンジはソファーに体を沈めのんびりとテレビを見ながら、ゆったりとしたひと時。
しかしその至福の時間は一人の美少女によって、それは打ち破られた。
「あー、もう、暑い暑い暑い・・・どうして日本ってこんなに暑いのよ!
シンジ、何を余裕しゃくしゃくって態度でテレビ見てるの!」
「アスカおかえりー、今日のシンクロ試験どうだった?」
「このアスカ様よ!当然80超えてたわよ!
ちょっと、そこ、すこしずれなさいよ!ワタシが座れないじゃない、
こっちは疲れて帰ってきてるのよ、ちょっとは気ぃ使いなさいよ!」
シンジの座ってるソファーは大きめとはいえ一人用。14歳の子供二人が座るにはちょっと窮屈なサイズだ。
「えー狭いよ。僕こっちの座布団にいくよ。ソファーはアスカが使っていいよ」
「アンタもソファーに座ってテレビ見るのよ!このワタシが隣に座ってあげるんだから喜びなさいよ!」
「うー、わかったよ(本当はよくわかんないよ、まったく勝手なんだから、ちぇっ)」
「ん?なんか言った?」
「、い、いや、何でもないよ」
テレビでは、芸人たちが出ているのだが、やたらと内輪ねたで盛り上がり、たくさんの字幕やスタッフの笑い声がうるさい。
「なに、アンタ、こんな低俗なの見てるの?脳みそ腐るわよ」
「見てるっていうか、ただ流してるだけだよ」
「とにかく時間の無駄よ。もっとためになるのを見なさい。
今夜の世界不思議発見は、、、セカンドインパクトで沈んだ古代遺跡!ロマンだわー
ウルルンなんて駄目よ、あんなお涙頂戴、見てらんないわ」
「そう?僕はウルルン好きだけどなあ」
「なんだっていいわよ、シンジ、リモコン取ってよ」
「・・・アスカのほうが近いのに。なんで僕が・・・」
「ん?何か問題でも?シンジ様?」
「い、いえ、なんでもないです・・・人使い荒いんだから、まったく」
ぶつぶつ言いながらも、リモコンを手渡そうとして、シンジの目がふと輝いた。
よく見ると、テレビのリモコンとオーディオコンポのリモコンって形がそっくりではないか。
間違えた振りしてコンポのリモコン渡してみることにしてみた
「はい、アスカ、リモコン」
「ダンケシェーン!シンジ様ぁ!」
アスカはリモコンをテレビに向けてボタンを押すが、チャンネルは変わらない。
あれ?という顔をして、ボタンを押しまくるが、テレビは相変わらず芸人の出てくるバラエティを写し続ける。
だんだんアスカの顔がひきつってきて、壊れるんじゃないかって力でボタンを押しつづけ、
最後にはリモコンを壁に向かって思いっ切り投げた。リモコンのふたが外れて電池が飛び出した。
「きー!なにこのリモコン!腐ってんじゃないの!」
顔を真っ赤にして怒鳴ったアスカを見て、シンジはこらえきれずに笑い出してしまった。
「クク、、、アッハッハッハッハ!・・・」
高らかな笑い声に一瞬ぽかんとしたアスカだったが、すぐにシンジを凄みを含んだ目でにらみつけた。
「な、なによバカシンジ!何笑ってるのよ!早くナントカしなさいよ!」
「・・・ご、ごめん、笑って、ハッハッハ・・・はいこっちが本物のリモコン」
「な、なによ、さっきのリモコンは偽物だったの!ワタシをだましてたのね!」
「ごめんよアスカ、ちょっとイタズラしただけなんだよ。そんなに怒らないでよ」
アスカの勝気な目が一瞬うろたえた。
「お、怒ってなんか無いわよ!はじめからわかってた事よ」
「でもリモコン投げたりしたじゃないか」
「そ、それは、あそこに蝿がいたのよ!」
「蝿なんていないよ」
「うっ、、、いいから、リモコン、貸しなさい!」
シンジの手からリモコンをひったくるように奪い、チャンネルをZappingするアスカ。
しかしその目はテレビを見つめながらもまったくテレビの内容を見ていない。
そして、その硬直した横顔には「私は不機嫌です」というシールが貼ってあるかのようだ。
シンジは上目がちにアスカの様子を伺い、ちょっと悪いことしたかな、とあやまることにした。
「ごめんよ、アスカ、すぐ気づくと思ったんだ」
「うるさいわよ」
「ごめん・・・」
「・・・もういいわよ」
ちょっとの間、二人に沈黙が訪れた。
テレビでは料理番組が「塩小さじ2杯、胡椒少々・・・」とレシピを読み上げている。
沈黙を破ったのはシンジだった。
「・・・でもさ」
「なによ」
「アスカって頭いいのに、騙されやすいよね」
「・・・」
またしても長い沈黙。
「・・・ごめん」
謝るシンジには一瞥もくれずにアスカがぼそりとつぶやいた
「家でまで、だまされるなんて思ってなかったし」
ハっとして見上げたアスカの横顔はもう怒ってなかった。
こんなうるさいのでも、家族って良いかもしれないな、シンジはそう思ったのだった。
終わり
なんかほのぼのしたのが読みたくて、でもそういうのが見つからなかったので
書いてみました。難しいです。文章ってもっと楽に書けるものかと思っていたけど
全然すらすら書けないものですね。スレ汚しすみません、、、
本当に汚れたな。
2度と来るな。
何で粘着してるのかいまいちわからん
tumarane
もう少し優しくしてあげれば?
乙
>>165 乙。
ここは煽りが来やすいスレだから、無意味にキツいレスはスルーする心構えで。
リビングで勉強をするシンジと、ファッション雑誌を読むアスカ。いつもの構図だ。
暇になったアスカは音を立てないように雑誌を置いて立ち上がり、足音をしのばせ、シンジの背後に周る。
シンジは、といえば、アスカの挙動にはまったく気づかず勉強に没頭していた。
ニヤニヤ笑いを浮かべたアスカは、手にしたスリッパを頭上高く振り上げ、シンジの頭に狙いを定める。
シンジがなんとなくシャーペンで耳穴を掻くのと、アスカがスリッパを振り下ろすのは同時だった。
スパコーーーン!!小気味良い乾いた音が部屋中にこだまする。
頭をたたかれた衝撃で、シャーペンがグサリと耳奥に刺さり、そのあまりの激痛にシンジは悶絶。
「!・・・痛っ・・・・・・・」
「や、やべ、、、」
激痛に固まってしまったシンジを見て、同じように固まるアスカ。さすがにやばい状況だと思ったらしい。
たっぷり1分は痛みで動けなかっただろうか、シンジが耳を押さえながら振り向き、アスカを睨んで叫んだ。
「アスカッ!!」
「は、はいっっっっっっっ!!」
ビクっとしてアスカの背筋が伸びる。
「なんでこんなことをするんだよ!」
「い、いやぁ、、、シンジに喝を入れてあげようと思って、、、」
「鼓膜がやぶれるところだったぞ!バカ!」
「ごめん、、、ホントごめん、、、お詫びのしるしに、、、」
「ほー、アスカでも謝るんだ、珍しい、、、で、お詫びのしるしに?」
「しるしに、、、その、、、鼓膜じゃなくて、、、」
「鼓膜じゃなくて?」
「、、、アタシの膜を破る権利をあげるわ、、、」
一瞬の沈黙。
「膜、、、え!?アスカの膜?」ガタっと立ち上がって硬直するシンジ。ニヤリとほくそ笑むアスカ。
「うっそよーん」
「な、なんだよー、びっくりしたなあ」
「えー!もしかして本気にしたんじゃないでしょうね!このエッチバカ変態!」
みたいな話が読みたいと思ったので、また書いてたけど、やっぱり今一歩。
励ましてくださったみなさん、ありがとう。ありがとう!
下ネタはすかん
おもろい
tumarann
長い栗色の髪の毛が揺れ、ノートPCを前に思い切り伸びをする。
「やれやれ・・・今度は通るといいな、私の論文・・・」
今の今まで学術論文提出に追われていたアスカは、やっと5分ほど前に提出をすませ
ほっと一息いれた。もともと教授へのお義理で研究をしていたアスカは、
この論文にはいささかの愛着もなく、通ればOKと思い、手抜きをしてきた。
しかし、さすがに三度も論文をRejectされると、焦りを感じる。
今後こそは・・・と目をつぶって祈る。
「アスカ、お疲れ様」
そこに、シンジがコーヒーを入れて持ってきた。屈託のない微笑みがまぶしい。
「あ、ありがと」
カップを受け取り、その形のいい唇から一口すすった。
シンジはアスカにぴったりと寄り添うようにしてノートPCの画面を見ている。
犬っころのようにまとわりつくシンジをうるさいなあと思うときもあれば、自分以上に
大切だな、と思うときもある。そういえば最近シンジの相手を全然してあげてなかったっけ。
「ねえ、シンジ」
「うん、なに?」
「明日さあ、久しぶりにどっか行こうか?」
シンジの顔が明るくほころぶ。
「ええ!ほんと!」
「そう、ここ最近論文論文で全然遊びにいってなかったでしょ?だから・・・」
「どこに行こう?家でのんびりするのでも良いけど」
相変わらず歯切れが悪い男だ。ちょっといじめよう、アスカの瞳にSの光が宿った。
「そお?そんなんで良いわけ?せっかくこのアタシが相手してあげるんだから
どっかゴージャスなところに行きたいとか思わないわけ?」
「・・・ゴージャスって言われても、、、」
シンジはほとほと困った顔をする。シンジを困らせるのは、アスカ最大の趣味で
あり特権なのだ。いかにも不満です、と言いたげに頬を膨らませ、ジト目で
シンジの顔を見つめる。シンジはなおさら困って、そうだねえ、なんてぶつぶつ
言いながら悩むのだ。そんなことを楽しめる今の世界がアスカは本当に好きだ。
続きは
nai
勝手に考えて作ってみよう
どんなところにすればいいかなあ、としきりに呟いてるシンジを見て、こいつに任せておいたら
一日たっても何も決められない、とため息をつき、アスカは自分で遊び場所を探すことにした。
ノートPCを床におろして、自分も床にごろりとうつぶせになってだらだらーとPCを操作する。
アスカがこんな油断だらけの格好を見せられるのもシンジの前だけだ。
「遊ぶと言っても一日だけだからねえ、、、やっぱり近所で探すか」
検索エンジンで探し始めると、シンジも興味を持って後ろから覗き込んできた。
アスカが振り返ると子供のように目を輝かすシンジと目が合った。
ジロリと一瞥を投げつけるがシンジは睨まれても平然とニコニコしている。
「アンタは自分のPCがあるでしょ!自分ので探しなさい!!」
と軽く一喝したが、シンジはぜんぜんへこたれずに
「いやぁ、こうしてアスカと一緒にPCを見るのが楽しいんだよ」
と抜け抜けと言ってのけるのだ。アスカの細い肩に手を回し、つややかな髪の毛に顔をうずめて
「ああ、アスカって良い匂いだ、肌も白くて柔らかいなあ」
うっとりと目をつぶりながらぼそりとつぶやく。「我慢我慢」と念仏のように唱えるアスカ。
シンジはアスカが何もしてこないのをいいことに抱きしめるように豊かな胸に手を伸ばすが、
さすがにアスカの肘鉄が一閃。ゴツッ!!っという音を立てて胸骨に当たった。
「い、いたー!ひどいなあ、もう!」
それでも体を密着させているシンジは、さすがというべきか。
「ちょっと!邪魔よ、邪魔!明日遊ぶところ探してんだから」
「ご、ごめんアスカ、邪魔するつもりは無かったんだよ・・・あまりにステキでつい・・・」
体をパっと離し、決まりわるそうに頭をかきながら、はにかんだような上目遣いで
アスカの顔色を伺う。アスカが本当に怒っているかどうか、それを探っているのだ。
そんな情けないシンジシンジの様子を横目で見て、ほとほと情けない男を伴侶に選んだものだ
と心の中でがっくりとうなだれる。
思えばこのバカと結婚したのは、気の迷いだったのか、と悩むときもないではない。
七行目 アスカが振り返ると・・・ → アスカが上体を起こして振り返ると・・・
に脳内で置き換えてくれ
断る。うせろ
185 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/06/11(日) 07:24:59 ID:FGUzz9jC
ほしゅ
かなり前のログなんだけど、アスカが自信を失う&シンジへの当てつけから不良グループとつるむ。
そしてシンジはアスカを探したり、説得したりするんだけどすれ違いが続くってSSの結果がどうなったか分かる人いますか?
正直、当時はかなりアスカの身勝手な態度にイライラさせられたけど、今になって結果が気になってしょうがない
>>186 それスレ違い、正しいスレに移動してから聞いてくれ
>>186 未完で放置されているので、どこにいっても「結果」は訊けない。
未完だったのか、答えサンクス。おやすみ〜
182の続き
・・・今までと同じように、これから何年もこのバカシンジと生活し続けるるのか。
シンジはこっちの都合なんてお構いなしに、べたべた抱きついてきたり、服の下に手を
差し込んできたり、頬擦りしてきたり、キスしてきたり、、、寝てるときだって
油断なら無い、変な夢を見た!といっては熟睡してるアタシを起こしてきた。
ううー落ち込んできた、ヤバイヤバイ。頭をブンブン振って邪念を追い払うアスカ。
考えていたって仕方が無い、往生際が悪いぞ、と自分に叱咤をする。
それに明日はアスカにとって久しぶりに仕事から解放される貴重な休日、楽しんだ者勝ちだ。
前日から落ち込んでるなんて愚か者の行いだ。目の前のバカシンジよりもよっぽどバカ
ではないかと思い至り、先ほどまでの暗い考えを思考の外に追いやる。
そして、スっと一息吸い込み顔を上げる。そして自分に言い聞かせるように
小さな、しかし強い意志をこめた声を出した。
「さて・・・と、気合いれて探すわよ!いいシンジ?」
「頑張れ、頑張れ!アスカー!」
気の抜けるようなシンジからの声援。本当にコイツはバカだ、フフ、こんな奴と一生を
添い遂げようなんてアタシもとことん物好きねー。ちょっとばかり自嘲気味になりつつも、
鼻歌を交えながら検索を開始したのであった。
なんだかご機嫌になったアスカを見て、シンジはうれしくなってきた。アスカの右隣に
ぴったり寄り添うように寝そべり、アスカの整った横顔に見入る。高級化粧品のCMに
出てくる女優以上の美貌に、シンジは毎日クラクラさせられている。グラビアアイドル
のようなスタイルに、長い手足は世界レベルのトップモデルのようだ。さらにシンジには
理解しがたい難しい研究をしていて、しょっちゅう英語やドイツ語で電話をかけては
議論している。運動神経も抜群である。日本インカレではハードル、三段跳び、走り幅跳び
で日本記録にあと一歩及ばず、という成績をあげていた。
なんて自分は幸せな男なんだろう、こんなステキな女性と結婚できて、ああ世界中の人に
僕の幸せを分けてあげたい!!
なんだかご機嫌になったアスカを見て、シンジはうれしくなってきた。アスカの右隣に
ぴったり寄り添うように寝そべり、アスカの整った横顔に見入る。高級化粧品のCMに
出てくる女優以上の美貌に、シンジは毎日クラクラさせられている。グラビアアイドル
のようなスタイルに、長い手足は世界レベルのトップモデルのようだ。さらにシンジには
理解しがたい難しい研究をしていて、しょっちゅう英語やドイツ語で電話をかけては
議論している。運動神経も抜群である。日本インカレではハードル、三段跳び、走り幅跳び
で日本記録にあと一歩及ばず、という成績をあげていた。
なんて自分は幸せな男なんだろう、こんなステキな女性と結婚できて、ああ世界中の人に
僕の幸せを分けてあげたい!!
しかしその幸福を感じると同時に、シンジは自分がだまされてるんじゃないか?という妄想に
駆られる。こんな完璧な女性が自分の妻だなんて、本当は嘘なんじゃないか、夢なんじゃないか、
壮大なドッキリなんじゃないか?かような不安感に居ても立ってもいられなくなると、
思い立ったようにガバっとアスカに突進し
「アスカーー!大好きだーー!」
と叫びつつ、抱きついたり、キスをしようと試みるのだ。そのたびにアスカに蹴っ飛ばされたり、
頭突きをされたり、グーで殴られたりする。痛みを伴って初めて「ああ、これは現実なんだ」と
シンジは思い知るのであった。
そして今夜も急激に思い立ったかのようにアスカに抱きつこうとするが、それを察したアスカは
一瞬早く身を翻すと、シンジの顔を突き飛ばすべく、右足でもって蹴りを入れた。
「甘ぁーーい!このアスカ様に抱きつこうなんざ100万年早い!」
シンジの顔面に右足裏がめり込みの同時に、アスカはニヤリと勝利の笑みを浮かべるが、すぐに
その顔は予想外の状況に凍りついた。なぜならシンジが右足をガシっと抱え込んで、足の裏に
がぶりと甘噛みしたからだ。
「うーーん、アスカの足裏はおいしいなぁ!」
「やめろ変態ーー!」
マジで死ね。
氏ねじゃなくて死ね。
>>192 叩きイクナイ
趣味に合わないときはスルー汁
味噌氏が帰ってきません
いつもより少し早めの朝。
アスカは目を覚ました。
アスカの目覚めは決して悪くはない。
それでも、昨夜の疲れが残っているのだろうか、僅かに倦怠の気配を残して彼女は体を起こした。
独り寝にはいささか広すぎるベットの上、遮るものなくシーツを滑ったアスカの指が感じる熱は一人分。
それは別に珍しいことでもないので気にもせず、くつろいだ猫のようにしなやかに伸びをひとつする。
後は乱れた髪を手櫛で軽くまとめ、年寄り並みに早起きな恋人が作ってくれているだろう朝食を目当てに、ベットを降りた。
寝室とキッチンはドア一枚。
けれど、アスカが開けた扉の向こうは、無人だった。
アスカは朝、あまり重い食事を取る習慣がない。
そのため、ダイニングではなく、キッチンにある備え付けのコーヒーテーブルでの朝食が常だった。
いつものようにコーヒーと朝刊、サラダとヨーグルトが並んでいる。
しかし、肝心のシンジは居ない。
向かい合って座っていてもキスできてしまうくらいに細いコーヒーテーブルは、アスカが選んだものだ。
朝ごはんがそろっていても、彼が居なければ意味がない。
テーブルをはさんでシンジが座る。
それで初めて、アスカの朝が始まるのだから。
アスカはキッチンの扉を閉め、シンジの探査を始めることにした。
次にアスカが開けた扉は、バスルームだった。
窓を開けて湿気を払ってはいるが、まだ床が乾ききっていない。
シンジが朝から入ったのだろう。
ボディシャンプーのボトルも濡れている。
シャンプーや洗顔具は別々だが、ボディボトルは兼用だ。
ユニセックスで、あまり匂いのつよくないものがいい。
そして、………苦くないもの。
初めてそれを口にしたときの情動と味覚を思い出し、アスカは眉を寄せた。
味覚の記憶のほうが、まだ勝っているらしい。
―――ちゃんと流してから舐めれば、問題なかったのよね。
若さと言うものは時に暴走する。
いい思い出とだけ笑うには、もうちょっと時間がかかるのも仕方ないかもしれない。
そのまま居ると朝から不都合なことが浮かんできて収拾がつかなくなりそうだと思い、アスカは手早くドアを閉めた。
バスルームの隣、トイレにも居ないのは確認済み。
廊下に出ると、左は書室という名の倉庫、右は玄関になる。
念のために覗いてみた玄関のたたきには、二人の靴が行儀よく並んでいる。
シンジが外に出た様子はない。
そういえば…と、アスカは思う。
シンジの靴は、昔から大きかった。
出会ったばかりの頃、シンジの身長はアスカとあまり変わらなかった。
正規の訓練を受けていたアスカは、少女の丸みを残しながらも腕などは確りと筋肉が張っていた。
だから、腕相撲を挑んだときも、アスカが全戦全勝で勝てたものだった。
アスカは性格的におしとやかとは言いがたい言動で彼を振り回し。
時には文句を言いつつも、シンジはそれにいつも付き合ってくれていたから。
彼が、アスカとは異なる性を持ち、アスカとは異なる成長をすることに、彼女は長い間気がつかなかった。
玄関先に並んだ、大きさの違う靴。
アスカが、その差に気付いたのはいつのことだったろう?
指の長さ、首から肩の線、………視線の高さに、気がついたのは?
いつの間にかアスカを置いて、一人でシンジが行ってしまうような気がして。
苛立ちとは異なる胸のざわめきに、アスカは前とは違う場所に自分が居ることに気がついた。
ライバルとして競い合い、友として隣にいるだけでは足りなくなっていた自分に。
今は、この靴たちのように、静かに並んでいられるけれど。
―――ここまで来るのは、そんなに簡単なことじゃなかったな。
アスカの視線は、玄関の扉に向かう。
あのドアを開けて、二人で靴を脱いだときの、一番最初のあの興奮。
歓喜というものが、あんなにも静かに溢れることがあるなんて知らなかった。
訓練で得たシンクロの実感よりもずっと深いところで、共振し共鳴する感情。
シンジが自分と同じようにその思いに浸っていることが、何の疑いもなくアスカには感じ取れた。
時には回り道をし、背を向けあったこともあったからこそ、得られた、喜び。
傷つくいたことも、泣いたこともあったけれど、あきらめず手放さなかった自分を褒めたい。
つい緩みそうになる表情を、アスカは強く引き締める。
アスカはシンジにまだ「おはよう」と言っていないことに気がついたからだ。
玄関に背を向け、足早に廊下を進む。
ここで暮らすことになってアスカが手に入れたもの。
目が覚めて一番に挨拶する権利を勝ち取ったのに、これを行使しないなんてもったいない。
パタパタと、自分の立てる足音がやけに廊下に響く。
この音に気がついて出てくればいいのに…。
はやく、はやく、と。
訳もなく急いだ気持ちになって、アスカは突き当たりのドアを開けた。
「シンジ?」
「…えっ、ああ、アスカ?
もう、そんな時間だっけ?」
首をかしげて振り向く仕草は、昔と変わらない。
アスカを見つめて、少し目を細める様も。
「うん。
………おはよ」
「おはよう、アスカ」
落ち着いたシンジの応えに、急いだ自分が恥ずかしくなり、アスカの声は萎む。
シンジは特に気にした様子もなく、いつものようにアスカを見ている。
シンジは、ボタンの止まった白いシャツとスーツのズボンを身に着けていた。
ネクタイも締めようとしていたのか、片手には解けたそれを持っている。
正装とまでは行かなくとも、揃えたジャケットも椅子に掛けてある。
いつものジーンズでも、軽い服装でもない格好のシンジ。
寝起きのパジャマのまま、上着すら羽織らず彼を探した自分。
アスカは、困惑ともつかない胸の靄に眉を寄せる。
まるでアスカばかりが、シンジを求めているような気がして。
しかし、
「どうしたの?
えーと…、お腹すいた?
……ジュースのほうがよかったかな?
あっ、今日はリンゴしかないんだ。
もしかして、オレンジジュースが飲みたかった?」
慌てたように重ねられる言葉と、こちらを覗き込むような視線。
些細な変化を察してくれるシンジの声に、アスカの気鬱はすぐに晴れる。
人によったらシンジのその腰の低い態度を、卑屈だと思う者もいるかもしれない。
確かに昔のシンジは、人の顔色を伺うようなところがあった。
嫌われたくなくて。
自分に自信がなくて。
でも、それも昔の話だ。
不特定の誰か。
誰でもいい、そんな「誰か」に嫌われたくない様は、臆病者にしか見えないけれど。
今、シンジが気にするのは、アスカだけだから。
アスカに嫌われたくないのは、アスカが「好き」だからだ。
アスカにやさしくしたいから。
それをお互いにわかっているから、シンジの態度はアスカを喜ばせるばかりだ。
自分が特別に思われていることを実感して、アスカはくすぐったげに笑みほころぶ。
恥ずかしげに、でも嬉しさを隠し切れずに緩むアスカの表情は特別製で。
シンジにしか与えられることがないのだから、シンジの自信もつこうというものだ。
素直にそれを理解するには、時間もかかったけれど。
今は不器用ながらも、アスカとシンジは、少しずつお互いを補い合えていた。
相手を探りあうように、見合うこと暫し。
シンジの一言で容易く機嫌が直ってしまったことを隠すように、アスカは口を開いた。
「別に…。
お腹、すいてないけど。
ねぇ、何でアンタそんなかっこしてるの?
どこか行くの?」
不安が緩めば、好奇心が生まれる。
アスカはシンジに近寄り、彼の姿を間近でまじまじと見つめた。
「うわっ、そんな見ないでよ。
なんか、恥ずかしいから。
たいしたことじゃないんだけどさ。
…今日、研究室にお客さんが来るんだ。
別に研究を見せるわけじゃないけど、挨拶はしないといけないから」
「アタシの知ってる人?」
「知らない…、と思う。
関係があったら、アスカにも連絡が行くだろ。
なにも言われてないのなら、関係もないんだと思うけど…」
「ふーん」
…使徒戦が終息し、補完計画とやらが失敗に終わっても。
アスカとシンジがネルフから解放されるわけもなく、保護義務という名の下に留めおかれている。
失った人を思い出される辛さに対する反発もないわけではなかったが、行く当てもなかった。
部署は異なるが、二人は今もネルフに所属している。
「制服じゃないってことは、個人的な相手でしょ?
まぁ、大体想像はつくけどね」
「………。
ごめん」
「気にしないで。
アタシだって、『会わせろ』って言われてもすぐには無理だもの。
心の整理って、そんなに簡単につくものじゃないでしょ?
お互い様、ってコト。
いつか、でいいわ。
いつか、…シンジの覚悟が決まったら」
「ありがとう。
まだ、本当は、…会うのも迷ってる。
………もう、先生しか、いないんだけどね。
でもっ。
アスカのことは、覚悟がないとかそんなんじゃ」
手にしたネクタイをジャケットの上に落として、シンジは椅子の背を握り締める。
その手の下で、きつく皺のよった上着が彼の真剣さを物語るようだ。
アスカはその手をなだめるように、自分の手を重ねた。
「わかってる。
わかってるから。
…。
ネッ、なんか、新鮮。
ネルフの制服って、ネクタイしないじゃない。
せっかくだもん、アタシに締めさせてよ。
ほら、こう、日本の古いドラマとかにあったでしょ。
『あなた、いってらっしゃい』とか言っちゃって?」
明るくおどけて見せて、アスカはネクタイに手を伸ばす。
アスカもネクタイを締めたことは数えるほどしかない。
それも、自分のためだけにだ。
人のネクタイを締めるのは当然初めてで、アスカはちょっとどきどきした。
Yシャツの襟を立て、首の後ろからネクタイをまわす。
シンジが自然に背を屈めたのがわかって、アスカは上目ににらんだ。
シンジは苦笑いをする。
キュっと、絹の滑る音。
「んっ」
締まりすぎたのか、シンジが小さく声を洩らす。
「あっ、ごめっ。
きつかった?」
「大丈夫」
そう言われても心配だ。
アスカはネクタイの隙間に指を入れて緩める。
とくとくと脈打つシンジの鼓動を、指先に感じる。
体温と、鼓動。
力を入れたら、―――止まる。
ネクタイを締めるのは首を絞めるのと似ている。
命を殺める、ことと。
「ごめんね」
そう言いながら、アスカはシンジの首を撫でた。
撫でて思う。
苦しいときの顔は、ちょっとだけ、あのときの顔に似ている。
シンジがアスカの中で、イク時の顔に。
エクスタシーは「小さな死」とも言うなと、アスカは思う。
何だ、シンジを手に入れられたという喜びだけが共通点じゃないんだ、とも。
咽元にされる愛撫。
特にキスマークをつけられるときに感じる倒錯した喜び。
それが、あの混乱の最中、シンジに首を締められた感覚に似ているとアスカは思っていたけれど。
もしかしたら、自分だけじゃないのかもしれない。
眉を寄せて息を継いだシンジの顔が、…同じなら。
命を握られた感覚は、快感ととてもよく似ているということだ。
だって、あの時、本当に終わりにしてもいいと、アスカは思っていた。
気持ちが通じ合っていなくても、二人の世界は二人きりで閉じていた。
けれど、シンジは最後まで力をこめることはできず。
アスカもまた、シンジと終わらせることはできなかった。
アスカはネクタイを締めたシンジを一歩はなれて見つめる。
シンジは照れくさそうに「ありがとう」と言った。
新婚さんごっこがよほど恥ずかしかったのか、耳が赤い。
「変じゃないかな?」
「いいかんじ、いいかんじ」
言いながら、アスカは一歩分の距離をもう一度つめた。
シンジの体温を感じる。
変わったこともあれば、変わらないこともある。
以前の二人なら、交わせない会話があり、縮まらない距離が埋まる。
過去を繰り返すだけではない、新しい関係を築きかけている。
二人だけで暮らし始めたことも、新しい試みだ。
何かを始めることには勇気がいるが、そこには痛みとともに喜びもある。
こうして生きている。
いつか、あの選択を後悔することがあっても。
今、二人がいることを否定しないで生きていきたい。
アスカはシンジの首筋に顔を寄せた。
シンジが自然に回してくれる腕が、あたたかい。
きちんと締められたネクタイのせいで見える部分は少し。
アスカはその少しの場所に唇を寄せ、きゅっと吸い付いた。
驚いたシンジが体を動かしても、拘束は緩めない。
鼓動を確かめるように肌を摺り寄せる。
視界の隅に映る赤い花は、命の証。
生きている。
アスカも、シンジも。
この部屋から出て社会に歩き出しても、絆は消えない。
「んー、痕つけちゃった。
これで、公認ね」
悪戯気に、嬉しそうに笑うアスカを、シンジは深く抱きしめてくれた。
〜fin
つまらねえな、本当につまらねえな
↑ツンデレ
落ち着いて投下を待つ
面白かった。ありがトン
>>191 のつづき
数分後、激しい格闘の末なんとかシンジを引き離すことに成功したアスカは、
ぜぇぜぇはぁはぁと肩で息をしていた。
「はぁはぁ・・・離れて!あっち行って!」
「ご!ごめん!」
「何が『ごめん』なの?」
「僕が、アスカの足を・・・食べようとしたから・・・」
「・・・へぇ、それで?」
「つ、つい気持ちが高ぶっちゃって!で、でも、ごめん、悪かったよ!も、もうしないよ!」
「・・・よく分かった」
「ほんと!わかってくれたの?ごめんね、アスカごめんね!」
「そうじゃない。アンタが何が悪いか理解しないで、ただ謝ってるってのが、よーく分かった」
「う・・・ごめん・・・」
「そうやって、ただ謝るだけでアタシが許すとでも思ってるの?」
「・・・ご、ごめん・・・」
「やれやれ、ね」
たっぷりと不信と軽蔑をこめた目つきでじろーーーーりとシンジを睨みつけた。シンジは
反省した素振りでアスカの眼差しを真正面から受け止める。しばしの間、こう着状態が
続いたが、先にあきらめたのはアスカのほうであった。
「ったく、しょうがないわね。もういいわ、不問にしといてあげるわよ」
「本当!?」
「ほんと」
「わーい!アスカは本当に優しいなあ!」
シンジは拝むように両手を合わせて、瞳をうるうるさせてアスカを見上げた。
アタシって本当にコイツに甘いよなぁと、軽い自己嫌悪。でもコイツのバカを差し引いて
考えてもアタシは十分幸せだ、と思うのであった。なにしろシンジは料理は上手だし、
家事全般を必要以上にこなしてくれるし、アスカの時間不規則な仕事に理解を示してくれるし、
夜中に海外の研究者と電話会議をしていてもニコニコしながらコーヒーをそっと淹れてくれるし、、、
そんなシンジの甲斐甲斐しさを思い出していたら、いつの間にかニヤけてしまっていたらしい。
「アスカ、なにニヤニヤしてるの?」
シンジに鋭く突っ込まれ、慌てふためきつつ反撃する。
「う、うるさいわね!な、な、なんでもないわよ!」
もっと気の利いた受け答えが出来ないものか、とまたしても自己嫌悪に陥るアスカであった。
さて、気を取り直し、本題に話を戻そう。
「それで、明日なんだけど」
「明日?」
「アタシの仕事がひと段落ついたから遊びにいくって話してたでしょ?」
「ああ、そうだった、そうだった」
「・・・忘れたの?」
「い、いや覚えてるよ。大丈夫。心配しないで」
「ふーーーん(じーー)」
「な、なに?ほ、本当だよ、覚えてるよ、忘れてなんか無いよ」
「・・・ま、いいわ。で、明日なんだけど、ここはどう?」
手タレのような整った指で、ノートPCのモニタを示した。
「えーーっと、スパ&リゾートホテル、Seele?」
「新しいところよ、ウチから近いのよ」
「へー、温泉もあるの?」
「そう、水着つければ男女混浴も出来るのよ、こういうところでのんびりするの、
シンジ、温泉好きでしょ?」
「わーい!アスカと混浴なんて夢みたいだよ!」
「大浴場からは第3芦ノ湖が見れるのよ、見晴らし最高よ」
「絶景を見ながらのんびりだね」
「そ、そういうこと。明日はのんびり一泊しましょ」
にっこりと笑顔を向けたアスカを見て、言葉に出来ない幸せを感じるシンジであった。
「わーーい!やっぱりアスカは優しくて気立ても良くて、美人で、、、うううーー!
もう我慢できなーい!」
またしてもシンジは感極まりアスカに抱きつこうと突進を試みた。が、当然のように
アスカの膝蹴りをお腹にくらってうずくまってしまった。
「バーカシンジー。アンタの行動なんて見え見えなのよ、ヘッ!」
「・・・ひどいよ、アスカ」
「さーさ、寝るわよ」
と言いつつ、戸棚に向かい、睡眠薬を取り出した。何年も飲み続けてるいつもの白い楕円形の錠剤。
緑色のシートから一錠取り出し、水と一緒に飲み下した。一瞬苦味が喉を通る。
、、、睡眠薬、いつから飲み始めたっけ。大学生のとき?いや、高校生のときだったっけ。
もう10年以上飲み続けてることになるわね。
シンジはお腹をさすりながら立ち上がり、アスカが睡眠薬を飲むのを無言で見つめている。アスカは
シンジと目線があうとニコっと微笑んだ。シンジもニコリと微笑で返す。
217 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/03(月) 12:04:39 ID:m3xMtl0k
ほしゅ
kusosureagenna
最下層人と範馬勇次郎は早く死ねお!!!キモイお!!
⊂⊂( ^ω^)⊃⊃ ブーーーーーーーーン⊂⊂( ^ω^)⊃⊃ ブーーーーーーーーン⊂⊂( ^ω^)⊃⊃ ブーーーーーーーーン⊂⊂( ^ω^)⊃⊃ ブーーーーーーーーン⊂⊂( ^ω^)⊃⊃ ブーーーーーーーーン
最下層人と範馬勇次郎は早く死ねお!!!キモイお!!
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息が切れて倒れこんだ場所に僅かな湧き水が流れていた。落ち葉に口を押し付けるようにして飲む。
甘い。水をこんなにうまいと思ったのは初めてだった。後方からライトが幾筋も追ってくる。
追跡者達はまだ諦めていない。湧き水の中に体を浸し、水が染み込んで来るに任せる。いくらかでも体温が下がれば
対人センサーをごまかせるかもしれない。15分、20分。体の感覚がなくなるほど冷え切った。
だがまだ動くわけには行かない。見つかった瞬間には銃口をアゴに当てて引き金を絞ってやる。
そのままつかまったらどんな目にあうか、分かりきっていた。
この山を無事に越えさえすれば、みんなと合流できる可能性は高い。
ふと気がつけば1時間近い時が過ぎていた。いつの間にかまどろんでたらしい。
まどろむと言うより疲労と寒さで気を失っていたに近い。
這い出るように湧き水の流れからゆっくりと滑り出した。
追跡者たちは既に山を下っていったのか、漆黒の闇だ。うまくやり過ごせたようだ。
体の感覚は既にないほど冷え切っていた。ブランデーを飲めば温まると言うのは
俗説だと言うことは知っていたが、朦朧としている。気付けが欲しい欲しいところだった。
この場合、制服のポケットにチョコレートかキャンデーでも入っていないものかどうか。
だがそれを望むのは無理というものだ。火を使えばたちまち赤外線センサーにひっかかる。
背のナップサックに押し込んであるビーフジャーキーとチョコレート、非常用水と濾過ストロー。
塩の錠剤とアスピリン。保温用アルミケットが手持ちの全てだ。
谷間から砂浜に出た。
大きな岩と岩の隙間に僅かに顔だけを出して埋めてあるシンジのところへ駆け寄った。
「シンジッ、生きてるっ?」
揺さぶっても反応は無かったが、首筋に手をやると拍動に触れた。ほっと息をつく。
非常用水のパックにストローを差込み、指で押さえ、僅かな量を少しだけ唇に垂らした。
ひび割れた唇から水滴が浸み込むように口の中に消えていく。
それを幾度も繰り返すと、のどがごくりと動いた。はっとして顔を寄せると目が開いた。
「ここは…アスカ?」
「そうよ。やっと気がついた。あんたはずっと眠り続けていたのよ。」
「眠り続けていたって?それじゃあ海の中であったことは全部、夢の中のこと?」
「どんな夢を見てもいいけど、起きた以上は現実に抗わないとね。」
「今、どういう状況なの。」
「ネルフは壊滅状態。あたしと弐号機が暴れたから自衛隊の方にも大きな損害が出て主力の機械化部隊は
引いたわ。今はチリジリに本部外に逃げたネルフの人々を自衛隊の歩兵部隊が駆逐している状態よ。」
「初号機は?」
「どこでどうなったのか分からないわ。あたしも記憶が途切れる直前に初号機を見たとしか覚えてないのよ。」
つまらんからやめてくれ
投下用スレだからやめろとは言わんが
せめてトリップぐらいつけろや
へい、やめます。
とにかくシンジを砂から引き出し、僅かな水でジャーキーを戻した。
味は最低だが、シンジの体力を考えると噛む力が惜しい。
それを細かく歯でちぎって口の中に押し込む。そのまま飲み込んでもいいからとにかく食べて欲しい。
吐いてしまったら元も子もない。少しづつ根気良く続ける。
あたしがシンジに対してこんなに気長に何かするなんて初めてだったろう。
シンジは時々気がついてかすかな声でしゃべり、また眠ってしまう。
こんなことは男が女にすることよ。いや、看病するのは女の方でいいのか。
山の中で追われたあと、敵は姿を見せない。
どういう状況になっているのかもさっぱり分からない。
だが、この状態でもう一度シンジから離れることはできない。
「シンジ、そろそろ移動しないと危険なような気がする。」
「そうだね。でも僕はまだ動けない。アスカ、先に行ってもらえない?」
あたしが拒絶するのをシンジは読んでいたらしく、どの道アスカが僕を担いでいくなんてことはできないんだから、
助けを求めにいって欲しい事、じっと隠れていればそうそう見つからないと言い張った。
「そんなこと言うだけ無駄だって思わないわけ?馬鹿シンジ。
あんたの考えなんて底が割れてるって言うの!」
断固として拒絶した。あたしには少なくとも抵抗できるだけの拳銃と弾丸がある。
完全に口にするものが尽きるまで、ここにとどまった方がシンジの体力は回復する。
敵影がない以上、それが一番助かる可能性が高い。
乾いた海草で岩の隙間をできるだけ塞ぎ、シンジの頭を抱くような格好で丸くなって眠る。
この格好が一番体温を失わない。海草は思った以上に風を防いでくれた。
まるで海燕かなんかの巣ね。
スープの高級食材を思い出してにやけてしまった。さしずめシンジの頭は卵ってところ?
早く元気になりなさいよね。いつでもあんたは行動が遅いのよ。
確かに投下時にはトリップもしくはタイトルをつけてもらいたいものだ。
無題ならレス番でもいいし。
だからつまんないって
うん。なんらかの識別方法はとって欲しいな
それがないと擁護しにくい
こんなくそSSを擁護する必要なし。
だからさっさと消えてください。
別に擁護とかじゃなくて、元々そのためのスレだからね
神だろうと糞だろうと投下する気があるなら止めないので頑張ってくだされ
なるほど、糞スレに相応しい糞SSってわけだな。
>>237 糞スレはお目汚しでしょうから、雲上人にはスレッドあぼ〜んをお奨め致します。
糞スレですね
>>225,
>>226,
>>227,
>>228,
>>231 シンジの意識は大分しっかりしたが、身体のほうがさっぱり回復しない。
骨が折れているわけでも、打撲があるわけでもないのに。
必死で起き上がろうとしているシンジに肩を貸しても力が入らないようなのだ。
「こんなことを続けてたら、アスカだって危なくなるのに!」
唇を噛んで悔しがっても力の入らない手足。どこか中枢の神経に重要な傷があるのだろうか。
「いいかい、アスカ。とにかく君は一人で山を越えるんだ。このままじゃ2人ともつかまるのは目に見えてる。
幸いここ何日か敵の姿はない。引き上げるか、索敵範囲を別に定めているんだとおもう、だからいまのうちに。」
さすがにもう選択肢はない。シンジに言われるまま、残った食料と新しい水を残して山を登った。
森の木々の間から朝日が差し込んで来る。頂上にたどり着いたのだ。
少し向こうに頂上展望台がある。壊れたレーダーサイトもある。散策小路に水の蛇口があり、」ひねると水が勢い良く出た。
浴びるほど水を飲み、水筒に注ぎいれながら目を上げると峰線から見渡した海は一面真っ赤に変わり、向こう側に見える都市は半壊していた。
敵どころではない。何もかもがなくなっていた。一面、人の気配がない荒野のようだった。
私たちが逃れたこの3日間で何かが起こったんだ。
思わず水筒を取り落としていた。激しい水しぶきをあげて空っぽの音を上げる水筒。
「なによ。なによこれ… 一体何が起こったのよ。」
>>231、
>>244 はっとして水筒を取り上げて音を止めた。敵がいなくなったのかどうかはまだ分からないじゃいの。
拳銃を手に握ると、小路沿いに展望台に駆け寄った。敵が進行して来た方向の窓や壁面は、銃弾の後が残り、半分崩れている。
その床に、異様なものを見つけた。
戦略自衛隊の制服、それも装備はそのままボタンもはずさず、ベルトもそのままに、自動小銃も、ヘルメットも人がつけているような形のまま、床に転がっていた。
それが、少なくとも床に20人分ほど。壁に寄りかかったような姿勢のもの、ベランダの手すりに、歩哨の姿勢のまま引っかかったようなものもある。
なに、これって一体何が起こったのよ。
展望台のさらに向こう側の駐車場にあった軍関係の車両にも人はおらず、ただ服だけが散らばっていた。
兵員輸送車のドアを開けると、水が流れ出た。
馬鹿な。まさかみんな溶けてしまったとでも言うのだろうか。
車両のラジオをつける。タウンFM局が音楽を流し続けているがこれはおそらく深夜の放送休止の音楽ガそのままになっているんだろう。
まともな放送は全くとらえられない。短波も軍用周波数も何も捕まえられない。
世界中が、この状態だというの?
私はとにかくそこにあった武器、食料と水を後部座席に放り込むと小型4WDでシンジのいる浜辺に向かって道を走り降りた。
>>225,
>>226,
>>227,
>>231,
>>244,
>>245 シンジを抱き起こすと、とにかくたっぷりと水を飲ませた。そして服を着替えさせた。
こいつ、無闇に恥ずかしがるんじゃないわよっ!って叫んで、そうよ。あたしが恥ずかしくないなんて思ってるんじゃないでしょうね。
エヴァのプラグスーツは機能的だけど、それはコックピットにいればこそであって、電源もない外部においては下着と変わらない。
やたらと薄手なので防寒機能も枝や石くれからの保護機能もないのと同じ。
シンジを砂の中に埋めたのも少しでも保温のたしになるかと思ったからよ。まして年頃の娘にとっては身体の形なんかはっきり出てしまう、とんでもない代物よ。
知ってるんだからね、あたしたちを見るたびにシンジが(表面的には)恥ずかしそうにしてたの。
恥ずかしそうにしてた裏で、どんな目であたしを見てたか。
とにかくあたし自身もだぶだぶとは言え服を着れたし、とにかく敵の脅威はひとまず去った。
現実世界の把握をするためにもどこか安全で人目につかないところに潜む必要がある。
まずはシンジのために医者を探せないものだろうか。
>>225,
>>226,
>>227,
>>231,
>>244,
>>245,
>>246 稜線を越えるところの道路沿いの展望所。朝にあたしが上った展望台よりは低い位置だが見晴らしはいい。
あたし達のいた小さな入り江だけが赤く色づいていたわけではなかったのだ。
遥かかなたまでが茜色の海は水平線近くまでいってやっと青くなっていた。
でもそれはスペクトラムのせいで、実際にはどこまでも赤いのではないか。
「ラジオも何も入らないなんて。」
「とてつもない事が起こったとしか今は考えられないわね。」
「ネルフの秘密回線は?」
「1000回線以上もあるネルフ本部の通常回線が全て駄目な上に、リツコやミサトの個人回線にも応答なし。秘密回線も、レイにも。」
「僕が最後に射出された時に、本部は既に自衛隊によって殆ど壊滅状態だった。アスカもだめだって。」
「あたしが…だめ?」
シンジが振り返った。
「僕が見た弐号機は、エヴァシリーズの白い機体に蹂躙されて、食い殺されて、形も無かった。」
「何よ。そんな記憶、あたしには…」
コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル…
「そんな記憶は、無いわよ。あたしは、あんたが来るのを待って。」
コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル…
太陽から落下してきたような槍が、自分を貫いた、あの場面が出し抜けに蘇った。
「きゃあああああああっ、ああああああっ!」
>>225,
>>226,
>>227,
>>231,
>>244,
>>245,
>>246,
>>247 「アスカっ!大丈夫っ。落ち着いて。」
頭をかきむしるあたしをシンジが不自由な体でやっと抑えてくれた。
そうだ、確かにあった、そんな目にあたしは会って、そして、そして、死んだ?
その後の記憶が、全くない。
気がついたとき、あたしはシンジを引きずるようにして、森の中を逃げていた。
あの浜辺にまろび出して、あそこの大岩に陰にシンジを埋めて、乾いた海草で覆ったんだ。
あの槍に貫かれた激痛の後、弐号機を捨てて、シンジと何とか合流したということ?
「もう、大丈夫。訳の分からないことはあるけど、とにかく今はあんたが病気であたしは元気ってことよ。
病人はあたしに従って大人しくしてること。いいわねっ。」
「わかった、何事も現状優先でいくよ。」
「馬鹿シンジはそれでいいのよ。」
稜線を下って、あたしたちは都市部から少し離れた温泉病院に滑り込んだ。
ここなら薬品も、食料もある。襲われた時にシャッターを下ろすこともできるし、第一鉄筋だ。
それに、風呂に入れる。
それが一番の理由だったかもしれない。3日以上風呂に入らないままだった。
このままシンジと一緒にいることは耐えられなかった。
ストレッチャーにシンジを乗せ、力いっぱい押して院内に入った。
まだ新しい建物らしい。ナースセンターや薬剤部、医局を回ってみたがやはり人影はない。
ただ展望台と同じように人々の服や白衣がぺちゃんこになって打ち捨てられている。
皆同じように、赤い液体に染まって生乾きになっている。
通常に生活していて、唐突に溶けたように見える。一体何が起こったのだろう。
そのうち安価大杉エラーになるぞ
乙
投下のかたまりの最初にだけアンカしてもらえればわかるよ。
もしくは直前のレス番とか。
まあ個人のスタイルなら別にいいけど。
やっぱつまらんな
まあ「面白いLAS小説を投下するスレ」じゃないから
寝たきりシンジとお風呂と来れば次あたりむふふふ。
>>247、
>>248 病院と売店の倉庫には食料や薬品の他に人が暮らすための物品がふんだんにあった。
250床の病院はほぼ満床だったらしい。普通の病院ではなく温泉治療のための病院だから
昔と違って病院というよりはケアのための療養施設に付属の病院部があるというイメージだ。
多分ここはかなり高級な施設だったんだと思う。クアハウス部分が日本にしては豪勢だった。
あたしは安全のためにそこを使うのは諦めた。一階の平屋の施設ではいくらなんでも無用心だ。
と言って病院部分のペントハウスである高級差額ベッドの病室も明かりをつけると目立ちすぎる。
結局全館を監視できる警備員室とそこに続くスタッフルームを使うことにした。
「い、いやだよ。」
「体裁言ってる状況じゃないでしょ。何日も海岸で海草と砂の中に埋もれてたんだよ。」
シンジはいいかもしれないけどあたしの方がたまらない、という理由で無理やり衣服を引き剥がした。
まるで時代劇の悪人のように、じたばたするお姫様を手篭めにしてる気分。
にやつきながらタオルを引き込んで丸まったシンジをストレッチャーごと浴場に連れ込んだ。
もともと温泉を利用して治療をする施設。ストレッチャーや車椅子ごとお風呂に入れるプールのような浴場がある。
あいつは自分で身体ぐらい洗えると必死で主張したけど、それも許さない。
「ふふふ…今お姉さんがあんじょうしたるさかいなあ。大人しくしいやぁ。」
>>248、
>>255 自分でもいつこんな台詞がインプットされたんだか笑える。頭から体から泡だらけにしながらシンジを磨き上げた。
ほら泡だらけになるとシンジも身体が見えなくなったと思って安心するでしょ。
隅々まで洗ったわよ。
だって脇とかあそこだって汚れてるに決まってるしいくら目は逸らしたって存在するものは存在するんだし。
しょうがないじゃない。
「あ、アスカ。そこは勘弁してよぅ。そこは敏感なんだからっ、うひゃあああっ。」
「静かにしなさいよっ。あたしだってやりたくてやってるわけないでしょ。」
むくむくと形状変化していく。こ、これが男の子なのね。知ってるわよ、でも知ってるのと実践は全然こんなに違うものだったなんて。
うそ、いやーっと叫びたいのを必死でこらえた。そういう態度見せたら今後舐められちゃうじゃない。
タオルを垢擦りに持ち替えてごしごし乱暴に洗ってやったわ。 シンジは真っ赤な顔してひいひい言ってた。いいきみよ。
あたしがちょっと優しくしたからっていい気になって大きくしたりするから罰が当たったのよ!そうよバチ!
この後、お湯からでて体を洗い流して拭くときまた一悶着あったけれどまぁそれは省く。
さすがに丸出しの股間とかパンツとかの面倒をお湯の外で泡というバリアなしではこっちだって恥ずかしい。
脱がすときはお遊びだったけどさ。
あたしだってほんとはゆっくり入りたい。
お湯を見た途端に頭や体が痒くなったように思えたけど、シンジを洗ってしまわないとゆっくりできないじゃない?
患者用の浴衣を着せ終わるとほんとに温泉に遊びに来たみたいな感じになった。
何でここで照れるのよ、変なあたしっ!
乙
一転してラヴコメチック
>>255、
>>256 シンジの着替えを終わらせると次は自分の番。ペントハウス下の従業員用らしい浴室を見つけた。
一応シンジの部屋は鍵を閉めて、前後の防火シャッターを下ろした。
浴室前後のシャッターも下ろし、浴室の明かりはつけない。まだまだ油断するわけには行かないんだ。
更衣室まで小銃を持ち込む。
ざっとお湯を身体に被ると手足を伸ばしながら浴槽に浸かった。
ああ!何ていい気持ち。これで冷たいワインでもあったら最高なんだけどなー、病院ではのぞめないか。
だからつまらないんだって。
もうやめてくれない?
つーかいちいち安価とかいらないからコテハンつけてくれ
それで読みたい奴も読みたくない奴も幸せになる
>>260がいいことを言った
>>259みたく続き読みたくない奴も居れば
俺みたく続き読みたい奴も居る
投下屋がコテつければ楽なのは確か
どうしてコテが必要なんだろ
こんな糞スレをスクツにしてる奴もいるんだなー
>>262 ブラウザ使ってれば説明されるまでもなくわかるだろ
次からテンプレに作者はコテ推奨って書くか
俺も続き読みたいね
ミンナシネバイインダ
ここは投下スレなんだから、読みたくなければスルーしろよ。
どんなものでも読みたいって言う奴だけ来ればいいんだ。
そういうことですね。
NGの練習台乙
ツヅキ!ツヅキ!
272 :
コテ:2006/07/25(火) 04:13:41 ID:???
>>256、
>>258 髪を久しぶりで洗うことができた。
LCLがそのまま乾いただけの状態で、潮風に曝されていた髪だ。おしゃれなど今後も期待できはしないわね。
いっそ切ってしまった方が良いのは分かっていたけど、それをためらう気持ちもまだあった。
自分は戦士であって、あの中途半端な覚悟さえないシンジとは違うと思っていたけれど子の件に関しては踏ん切りがつかない。
自分の中の女の子の部分が悲しむ、とか言うつもり?アスカ。
自分で自分を蔑む声がする。長い美しい髪を一体誰に見せるというのよっ!ほんとに馬鹿よね。
その、甘ったれた気分の最中、いきなりものすごい風の音と一緒に何かが壊れた音が外で響いた。
とっさに洗面器の中から拳銃をつかみ出し、目元まで湯に沈みながら構えた。その後は何の音もない。
ステンレス製の銃を構えたまま低い姿勢で更衣室に入る。
ロックはしっかりと掛かったままだが病院だけあって非常時には外から開けられる仕組みになっている。油断はできない。
もし、あの音が侵入者を示す物音だったとしたら。下にいるシンジが危ない。
ゆっくり着替えている暇などなかった。スポーツショーツとブラだけを身に付けると廊下に進み出た。
相変わらず何の物音もない。もっとも外は風に加えて大粒の雨がが叩きつけるように窓を打っている。夕立か。
しかし、確認ができるまで警戒は怠れない。
273 :
コテ:2006/07/25(火) 04:15:26 ID:???
>>258、
>>272 エレベーターは動いていない。一気に階段を駆け下りた。シンジのいる部屋の隣。総合監視室に駆け入りモニターを見回す。
北側の大きな木の枝が折れて、自転車やごみバケツなどを置いてある納屋のトタン屋根に被さっている。
これが多分さっきの音の原因だろう。ホット溜息をついてシンジの部屋のドアを開けた。
その途端に病院全体の照明が落ちた。工作?咄嗟にまた伏せたが多分ただの停電。すぐに点灯するだろう。
「だれっ!」
シンジの声。
「あたしよ。なぁによびびっちゃって。雷が怖いのかな。」
「馬鹿言うなよっ。アスカこそ怖くてお風呂から飛び出してきたんじゃないのっ?」
「なぁんですって?もういっぺん言って見なさいよっ!」
叫んで立ち上がった途端に電気がついた。地下から伝わる振動。自家発電装置ね。
「アスカ、そ、その格好。」
「えっ。」
シンジがベッドの上で顔に布団を被ったのと、あたしが身体を隠しながらしゃがみこんだのは殆ど一緒だった。
274 :
コテ:2006/07/25(火) 04:37:17 ID:???
>>272、
>>273 「見、見なかったでしょうねっ!」
って、見えたに決まってるじゃないっ、だから叫んだんでしょ、馬鹿。
「見てないっ、ほんの一瞬だけ。細かいところは全然見えてないから。大丈夫。」
一体何が大丈夫なのよっ。下着姿を見られたってこと自体が問題なんじゃないのっ!
背もたれつきのソファのカバーを引き摺り降ろし、身体に巻きつけて立ち上がった。
「ほら、もう大丈夫だから布団取りなさい。」
肩に担いできた小銃の筒先で布団を払いのけた。ホンと、このまま撃ってやろうかしら。
「ご、ごめんっ。」
「なぁに謝ってんのよ、今更このくらいで恥ずかしがる仲じゃないでしょ。」
できるだけ平気を装う。こんなことできゃあきゃあ言う娘だなんて思われたら返って悔しいじゃん。
275 :
コテ:2006/07/25(火) 04:40:28 ID:???
>>273、
>>274 「な、仲っていっても。」
「さっきあんたの体を洗ってやった時、あたしのシャツ、濡れて張り付いてたでしょ。あんたのストレッチャーの脇でズボンは着替えたし。
知らん振りしながらちらちら見てたの知ってんだからね。」
「それこそ、誤解だよっ!」
「ふん、どうだか〜。」
「ほぉんとだって!」
そう言ってやっと目をこっちに向けたシンジの顔は真っ赤でそれがなんともおかしかった。
「じゃあ、裸のあたしを想像してHなこと考えてたのかなー、男の子って、そのいろいろ凄いんでしょ。」
「何が…さ。アスカは、自意識過剰なんじゃないのっ。胸なんかミサトさんの半分もない癖にっ。」
こんな侮辱ってないっ!!
「なんですってっ!この年であんなのがついてたら返って化けもんでしょうがっ。あたしは清純派なんだよ。」
276 :
コテ:2006/07/25(火) 04:55:58 ID:???
清純派って、わがままとかいわないし、命令口調とか使わないし、怪我をいたわったり食事を食べさせたり、まだ子どもでも優しいお母さんみたいな女の子のこというんだよね。
特に日本では、そういうのを良妻賢母とか言って特に尊重するんだって。
そう、ヒカリみたいな子のことよね、きっとそう。
『だからわたしもリツコも売れ残ってるのよねー。』
『のよねーって、一緒にしないでくれる?私は少なくとも高校までは自分のお弁当は自分で作ってたし、大学時代だって自炊してたわよ。』
『ああ、あのパソコンコードだらけの部屋で自炊してたんだ。確か流しにまでキーボードがあったわよねえ。』
『お、お湯さえあれば食事もできるし、コーヒーも飲めるからいいのよっ!』
この分ではお弁当も何を持って行ってたのかしらね。良妻賢母って言うのは二人とも違うと思う。
277 :
コテ:2006/07/25(火) 04:57:48 ID:???
278 :
コテ:2006/07/25(火) 05:05:36 ID:???
>>276、
>>277 そんなことを思い出しながら、シンジの襟元を直して乱れてた髪を手で梳いた。
「あ、ご、ごめん。」
「こういうときはさ、『ありがとう』って言うんじゃない?日本語では。」
「あ、ああそうだよね。ごめ…ありがとう、アスカ。」
「うん、それでよし。一旦ちゃんと着替えてから、ちょっと外回り見てくるからちゃんと寝てんのよ。」
「うん。でも、気をつけて。」
「もちろんっ!」
そう言って、ドアを閉めた。
乙gj
ちょwwwコテってwwwww
でもgj
nanikonokusoss
GJ
GJGJGJGJGJ
エロかったらいいのかよおまいら。
285 :
コテ:2006/07/27(木) 08:15:44 ID:???
>>277、
>>278 病室を出た後、ヤッケを着こんで自動小銃を持ち、病院のぐるりをみて回った。特に異常なし。
だが、その時病院のある丘のすぐ下の段に学校の体育館があるのに気づいた。明かりがついている。
他の建物は皆明かりが消えていたのに、なぜここは明かりがついているんだろう。
念のため、道は行かずに丘の斜面の木立をかき分け、滑り降りていく。目論見どおり学校の裏手に出た。
小型乗用車が何台も停めてある。ここの先生達の車なんだろう。自転車もぎっしりと停められている。
生徒達はまだ下校していなかったようだ。
今まで見てきた景色をまた思い出す。ここでもまた、大量の抜け殻のような服を見るだけなんだろうか。
校庭側に回り込んだあたしは、反射的に茂みに飛び込んだ。
大量のテント、戦車、装甲兵員輸送車、大型トラック、4WD車、攻撃ヘリまでが広い校庭に展開していた。
286 :
コテ:2006/07/27(木) 08:34:23 ID:???
>>278、
>>285 しかし、良くみると同じように全く人気がない。隠れた茂みのすぐ前の渡り廊下に、空き缶が一つあった。
その周囲に、迷彩服が数枚と銃、そしてそこにタバコの吸殻が落ちている。
そうか、タバコを手放す暇もないほど急に起こった事だったんだ。突然皆、一瞬で溶けてしまったんだ。
臨戦態勢の軍一個師団が、おそらく何が起こったかもわからないまま消えてしまったのだ。
教室を外から覗いていく。教科書は開かれたまま、生徒たちの服が机や椅子の上に張り付いたように投げ出されていた。
もう、おなじみの景色だった。体育館も全く同じだった。
煌々と明かりがついているのは、単に体育館では照明がなければ薄暗いというそれだけの理由だった。
あたしは、身体を震わせながら舞台の裾にあった配盤を操作して灯りを消した。
見るに耐えられない光景。体操着が建物中に散らばっていた。
突然身体が溶け落ち、体育着だけが暫く液体を抱えたまま走り続け壁に突き当たって弾けとんだ。
ボールは転がり、その先で溶けた別の子の濡れたジャージで止まったのだ。
その景色が想像できる。
気がつくと身体が震えていた。それだけじゃなく、確信できたのよ。
この世にはもう、あたしとシンジしか残ってないんだと言う事が。
コテ視ね
このスレへの書き込み終了
話はまだこれからだと思うが、テンポが悪くて読みにくい。要修行
290 :
コテ:2006/07/29(土) 00:49:00 ID:???
>>285、
>>286 部屋の明かりをいきなり全部点けたので、シンジは眩しそうな目ををしながら「どうかしたの?」と尋ねた。
「別になんでもないわよ、この町には特に危険はなさそうだと思っただけ。」
「そんならいいけど。あのさ、アスカ。」
ためらいがちにシンジが何かいいそうになった。
「あ、トイレね。」
「うん。」
「あんたもいいかげん慣れなさいよ、そう急に直りそうでもないんだし、いちいち恥ずかしがってちゃ身が持たないわよ。」
「だからって、アスカおしっこ〜なんて簡単にはいえないよ。」
「それだってトイレまで肩貸すってだけじゃない。ゆっくりでも手足は何とか動くし、腰掛けることもできるんだからまだましよ。」
と言ったって、シンジにしてみりゃ屈辱以外のなんでもないわよね。
でもここであたしが一緒になって恥ずかしがったって何のたしにもならない。男の子みたいにからっと行くしかない。
「ま、あたしがそうなった時までの貸しにしといてやるわよ。」
そう、あたしは医者じゃないからシンジがこうなった原因も何も分からない。
でも仮に戦闘が原因の精神的なストレスが原因なら、もう争いあう人間同士もない、おそらく使徒も全滅したのならストレスも消えたことになる。
シンジの体も自然元通りになるんじゃないかと思う。でも、それまでどのくらい時間が掛かるか。
この際あたし自身もふっきってこの状況を楽しむくらいじゃないといけないわねっ。
291 :
コテ:2006/07/29(土) 01:14:21 ID:???
>>288、
>>290 状況を楽しむってどういうことよ。自分で言ったことにびっくりした。
ええとつまり、シンジをいたぶるとかシンジに悪戯するとかそういうこと?
確かにお風呂に入れたときなんか結構おもちゃ扱いだったけど、だってあいつの反応っていろいろ面白いんだもん。
真っ赤になって恥ずかしがったり、へんなとこ大きくしちゃったりでさぁ。
あの手の中でむくむくと膨れ上がった感触、とんでもないわよねっ!
第一恋人とかガールフレンドとか言う関係でもないただの戦友にでも欲情できちゃうってとこが信じがたいのよね、男子って。
ああもう、変な感触思い出しちゃったじゃないのよ、ええいっ!
ぶんぶんと顔を振り回したけど多分あたしの顔も赤くなってたわよね、シンジに見られないように気をつけないと。
調理場の自動ユニットにはほぼ完成した昼食が大量に残っていた。
そのまま運び出せなかった、おそらく昼食がそのまま保存されて冷蔵庫に並んでいる。
同じ献立だけど、悪くなっていないから暫くはこれで普通の食事が取れる。
正直言って料理を作るほど身体は休まっていない。シンジの事がなければ今頃泥のように眠り込んでいるはずだ。
森の中で逃げ回っていたとこからこっちうとうと位しか寝ていない。
相変わらず無線もラジオも例のタウンFM以外うんともすんとも言わない。この世界にあたしとシンジの二人、本当にそうならこれからどうすればいい。
ほんとにどうしたらいいの、シンジの面倒を見ながら、こうやって2人だけで暮らしていくの?
それは、あたしにとって、誰からも捨てられない、絶対的に自分が必要とされる世界でもある。だけどそれが永遠に続くことに耐えられる?
「ここのトイレって自動洗浄機付きで助かるよ。」
「まぁそうよねえ、自分で拭けるとか言ってもやっぱり支えは必要なわけだし。」
「く、臭…」
「その先は言いっこなし、あったりまえのことでお礼もなし!それともあんたはあたしがこうなったら助けてくれないとでも言うの?」
ニカっと笑ったら、シンジも照れながら笑った、うんそれ、いい笑顔じゃない!
292 :
コテ:2006/07/29(土) 01:33:51 ID:???
>>290、
>>291 うわ、凄いこと言っちゃった。馬鹿シンジのやつ、絶対あたしがトイレ入ってる場面想像したに決まってる。
ほら、ちょっと赤くなってるもん。こいつ、すぐ調子に乗るんだからっ!
「はうっ!な、なにすんだよっ!」
「あ、あんた今あたしのお尻とか想像したでしょっ!」
「え、えぇぇー?どうして、わっ。」
慌てて手を口に持ち上げても遅い、やっぱりねぇ。
「待ってよ、そんなこと考えてないっ、いや、ほんのちょっぴり、これっくらい。」
「あんたには、お風呂場での反省とか、恩人への遠慮とかないのかこのバカッ!」
「ご、ごめんっ!」
「しょうがないとは思うけどさ、いつもそんな目で見られてるかと思うと哀しいな。」
「ア、アスカ… 悪かったよ。」
なーんて素直な奴。これだからたまんないのよねえ。
「だからこれだけで許してあげる。」
そう言ってビンタ一発で許したあげた。だからその後の食事も素直にあーんと口を開けたわ。
いつもだと自分で食べられるとか、赤ちゃん扱いするなとか煩いんだから。
大体海辺では最初干し肉をあたしが歯で引き裂いたり少し噛んで柔らかくしたの食べてたくせに今更何言ってんのよ、ねえ?
麦茶もわざわざ吸い口を探してきてそれで飲ませた。
あんまり過保護すぎるとリハビリも大変になるから、おもちゃ扱いは今後はリハビリを兼ねた時にやるけどね。
結構病み付きになりそうだわ、あはは。
293 :
コテ:2006/07/29(土) 02:41:37 ID:???
>>291、
>>292 結局一緒の部屋に寝ることにして、部屋の畳の部分に布団を広げた。
シンジが寝ているベッドは仮眠用で、こっちは熟睡用ってことなのかな。
障子に囲まれているのでいろいろ着替えとかにも都合がいい。寝姿も見られたくないしね。
着替え終わってから、シンジにはトイレに行きたくなったら起こすように言いつける。
「無理してベッドから落ちて骨折でもしたら返って面倒になるんだからね、ちゃんと呼ぶのよ。」
「わかったってば。」
ってシンジは言ったけど遠慮の塊だからなこいつ。しょうがない目が覚めたら起こして連れて行くか。
ここに留まるのもいいけど、もうすこし都市の方に移動してみようかとも思う。
都市部にも病院はあるだろうし、物資も豊かだと思う。万々が一シェルターに誰かが生き残っている可能性だってゼロではないだろう。
脅威となる軍は外にいたから溶け、あたし達はエヴァの中にいたから溶けずに済んだとも考えられるじゃない。
人間は一人きりになるよりは悪魔とでも一緒にいたいものって言うことなのかな。
シンジのことだけ考えれば、そして安全性からもこの温泉病院に留まればいいのに、あたしは先に進みたがってる。
パジャマに着替え終わって、シンジのベッドの横に立つ。シンジは眠ってしまっていた。
294 :
コテ:2006/07/29(土) 02:49:59 ID:???
>>292、
>>293 「シンジ…」
外の風きり音が部屋の中まで聞こえる。あんたを連れて先に進んでもいいのかな。
あたしはどうして先に進みたいんだろう。動けないシンジの事がやはり不安なんだろうか。
そうよね、医者が生き残っていれば一番いいわけだし、少なくとも誰かネルフの関係者とめぐり合えれば。
今は小さな弟のように眠っているシンジ。あたしにとってシンジは友達で弟みたいで、Hで馬鹿な同僚で、同居人。
ほんとに可愛い顔して寝てるわね、こいつ。
声変わりだってまだろくにしてないし、かっこつけて学校では「おれ」何ていってるけど全然似合わないよね。
ま、当たり前か。あたしだってシンジだってまだ子どもの年だものね。
でも、あたし達はすぐ大きくなる。
大きくなれば、もしこの世界に二人きりだったらまるでアダムとイブみたいだけど、そんな残り物同士でくっつくなんてヤだからね。
とんでもない設定よ!人類がそれで滅びたからってあたし達の責任じゃあないわよ。
第一その後はどうすんのよ、その後は!兄弟同士で増えて行こうって言うわけ?冗談じゃないわよ、そんな不健全な関係は母親が許さないんだから。
ええ、何でもう母親があたしって前提になってんのよ、腹立つーっ。
こいつ、平穏無事な顔しちゃって、一発ぶん殴ってやろうかしら。見てると腹立ってくるから、寝よ。
その晩、あたしはシンジを引きずる様にして森を走り続けている夢を見て、あまり良く眠れなかった。
GJだ
しかしコテ氏専用っぽくなってるなこのスレ
味噌の人はもう帰ってこないのか
296 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/07/29(土) 18:40:26 ID:vfqlXvNC
fight!!!!!
>295
複数の人が同時投下する状況の方があまりないんじゃないか?
何はともあれ俺は楽しく読んでます
全員こてはん使ったとしても、ドシリアスとギャグが混在したら一つの話の中では面白いけれど(最近はそういう作りの漫画とかも多いけど)読むのがめんどくさくて適わんよな。
実際このスレってやつはほんのちょっと書くと本文が長すぎますって出たり、段落が多すぎますなんて出て書きにくいのに、良く書いていく奴が来るもんだと感心する。
大概GJ
>>293、
>>294 先に進みたいと言う気持ちを抑えて、シンジのためにここに居座り続けた。
まるで芝居のカキワリのように背景になっているこの町が次第に白々しいと思えてくる。
シンジの車椅子を押して、海とこの先の道を見渡せる 坂道の上にある景勝地に、毎朝やってくる。
監視システムのある警備員室に続くスタッフルームは、便利だが空気の流れがわるい。
だからこの景勝地に連れ出すんだけどね。ここはふかふかの芝生があり、長い手すりがある。
これを使って実際に歩く練習をさせている。いいか悪いかは分からないけど、外傷もないのに動けないでは筋肉が落ちてしまう。
ほんの一週間、寝たきりでいたらかけっこのタイムがどのくらい落ちるか知ってる?
知らないんだったら一度試してみたら?まぁ、それを試せる人なんていないかもしれないけどね。
一日同じ姿勢で内勤業務やってたら、胸の筋肉がつぼまって、息が苦しいような気になるでしょ。あれと同じよ。
シンジ自身も少しあせっている。そりゃあ、何が原因かも分からないまま筋肉が突然力を失ったら誰だって仰天する。
あたしだったら泣き喚いてわが身の不幸を嘆くだろう。
だけど、シンジはこういうことだってあるさ、という感じで飄々としてるのよね。
こいつ、生への執着が薄いんじゃないかと思う事がある。
武士は死ぬ事が肝要。死ねと言われて死ねないなどと言うことは不断の心が無いからでござる。
時代劇で言ってたけど、あいつのはそういうのとは違う。
日本人は諦めることが美徳であると教えられてきたけど、決して生に執着が無いわけじゃない。
ただ、投げ出して思考を中断させてしまうのよね、見なければそれがなかったと言わんばかりに。
>>294、
>>301 現実を見ないで無かったことにするのよ。無いモノは怖がらなくていい、それが日本人の小児性ってこと。
シンジはそれが得意。あせっているのを気取られまいとする。今回のことも夢の中の出来事としてしか把握してないんだわ、きっと。
柵を手すり代わりに、100歩以上歩くことができた。手の指はまだ良く動かないが足はまだ身体を支えられる。
良く観察すると、手指を動かせないからつかめない。足先の感覚が無いからバランスが取れないということで歩けないのだ。
何か突発的にこれが起こった事なのだろうか。どこかに頭部をぶつけたんだろうか。
説明書を読んで、何とか全身のスキャンをしてみたが、自動判別診断の結果では異常なし。
第一シンジ自身にもあたしと同じように記憶の脱落があるのだ。最初の記憶はあたしは森だったがシンジは浜辺だった。
それ以前のことは夢なのか現実のことなのか、はっきりしないという。そこで何かが起こったのだ。それはいつ。
あたしとシンジに意識が戻ったのが同じ時期なのかどうかも確信はないのだ。
「アスカ!」
はっとしてシンジを見た。手すりから何歩かを踏み出している。え、歩けたの?すごい!
シンジが手を伸ばした。それを捕まえて、抱き合うようにして支えてあげた。
「久しぶりに歩いたら、なんか感触が違うね。歩くってこんなことだったっけっていう感じ。」
「良かったじゃない。この分なら少しずつ歩けるようになりそうね。」
「そりゃあ、出来たらアスカに抱かれるよりは抱きしめる方がいいから。」
思い切り突き倒してやったわよ。
何この馬鹿、あたしがこんなに心配してるのに自分ばっか気楽な顔して。腹立つ!
303 :
コテ:2006/07/30(日) 11:15:55 ID:???
>>301、
>>302 シンジって少し性格変わったんじゃないかしら。昔のシンジだったらあんなこと冗談にせよ言わなかったと思うし。
あ、あたしを抱きしめるですって、冗談じゃないわっ。
あたしはあんたがもろに倒れそうになったから慌てて抱き上げただけなんだからねっ。
抱き上げると抱きしめるじゃ、全然意味違うじゃないっ。
「ひ、ひどいよアスカ。突き飛ばすことないだろ。」
でんぐり返って転がったシンジは泥だらけの顔をあげた。あーこりゃひどい。
「急に突拍子も無いことするからでしょっ。」
「抱きしめたのはアスカで、僕は何もしてないよ。」
「抱きしめてなんか無い、あれは抱きとめただけっ。何であんたなんかを抱きしめなきゃいけないのよ。」
そりゃ動けなかった人が倒れかけたら誰だってそうするでしょうよ。
それを自分に惚れてるから抱きしめたとでも言おうって訳?出るとこにでるわよ、このっ!
なんなのよ、この打って変わった俺様ぶりは。やっぱりどこかで頭打ったに違いない。
304 :
コテ:2006/07/30(日) 11:16:44 ID:???
>>301、
>>302 シンジって少し性格変わったんじゃないかしら。昔のシンジだったらあんなこと冗談にせよ言わなかったと思うし。
あ、あたしを抱きしめるですって、冗談じゃないわっ。
あたしはあんたがもろに倒れそうになったから慌てて抱き上げただけなんだからねっ。
抱き上げると抱きしめるじゃ、全然意味違うじゃないっ。
「ひ、ひどいよアスカ。突き飛ばすことないだろ。」
でんぐり返って転がったシンジは泥だらけの顔をあげた。あーこりゃひどい。
「急に突拍子も無いことするからでしょっ。」
「抱きしめたのはアスカで、僕は何もしてないよ。」
「抱きしめてなんか無い、あれは抱きとめただけっ。何であんたなんかを抱きしめなきゃいけないのよ。」
そりゃ動けなかった人が倒れかけたら誰だってそうするでしょうよ。
それを自分に惚れてるから抱きしめたとでも言おうって訳?出るとこにでるわよ、このっ!
なんなのよ、この打って変わった俺様ぶりは。やっぱりどこかで頭打ったに違いない。
305 :
コテ:2006/07/30(日) 11:18:07 ID:???
ダブった。反省。
俺はむしろ味噌氏よりコテ氏が好きだ
GJだぜ!
GJ!
ii!
309 :
コテ:2006/07/30(日) 23:09:31 ID:???
>>302、
>>304 人間の身体にはいろいろなものが溜まっていて、それが状況によって身体の働きに影響を与えるんだって聞いた事がある。
その日のリハビリが終わったあと、シンジをお風呂に入れながら思い出していた。
自己免疫疾患なんかが突然原因不明のまま突発的に発症するってことはその事例であるんだって。
例えば、何もかもを溶かし出すLCLの様なものを引用していれば細胞の中に溜まっていた不純物が溶け出して体循環に載ることになる。
そのまま体外に出てしまえば良いけれど、再度どこかで吸収されたりすれば、そちらでは溜まっていたものを一気に取り込むわけだから
一気に致死レベルを越えてしまうかも知れないでしょう。そういうことよ。
シンジはエヴァに乗り始めてから数ヶ月で、それまでは普通の生活してたわけよね。
あたしはほんの子どものころからLCLに浸って生きてきたから今更何の影響も無いんじゃないかしら。
そう思いついて、再度詳しく観察した限りのシンジの症状を詳しく記入し、血液の自動分析を実施してみた。
可能性の欄には若年性リウマチなどの自己免疫疾患がいくつか並んで出た。
でもこれだけじゃ何にもならない。自己免疫疾患に効く薬なんて殆どなくて、ベテランの医師が手探りで治療するしかない疾患だから。
とても自動治療装置の手に負える病気ではないんだから。頭を抱えてしまった。
それでも、最近は自律作動型の医療コンピューターがあると聞いていたのを思い出した。
つまり首都の高度医療センターに行けばわかるかもしれないとうこと。
決めた。とにかくシンジが取り返しのつかない状態にならないうちに先進医療コンピューターのある施設を見つけるのよ。
なんか妙にシンジが明るいのも気になる。まぁ、こうなったらいいのにと思ってた理想のシンジ像ではあるんだけど。
だって、実際そうなってみたらちょっと違和感あるんだもん、仕方ないじゃん。
わがままで言ってるんじゃなくて、…今までのシンジの方が自然なのよっ!文句あるわけっ!
思い立ったらさぁすぐに行動したくなるのがあたしの長所でも欠点でもある。
310 :
コテ:2006/07/30(日) 23:24:45 ID:???
>>304、
>>309 「アスカァ。」
「なによっ。」
「何よって、寒いんだけどな… 何考えてたの。」
ああ、しまった。シンジを洗ってる最中だったんだっけ。あたしは介護用の赤い水着と短い白衣。
シンジは当然真っ裸なわけで、そのまま温泉治療用の車椅子に乗っている。
ぼんやりしてて、暫く吹きっさらしにしてたのよ。体が冷たくなっちゃってる。
慌てて温かいお湯を何杯かかけてやった。
そっぽを向いてこの先あんたの病気をどうしたらいいかなって思ってただけよって言った。
「ごめん、心配かけてるよね。」
「ほら、そこで謝るなって言ってるじゃない。あんただってあたしがこうなったらこうやって面倒見るでしょ。」
「それはそうだけど、アスカに僕の世話を焼かせるなんて。悪いなって思ってるよ。」
「いいのよっ、好きでやってるんだから。」
え?好きでやってるって、何?あたしは仕方なくやってるのよ。この馬鹿どじ間抜けなシンジを置き去りにするわけにはいかないし、頼んでいく他の人間はいないから。
馬鹿なこと言った。シンジが目を丸くしてんじゃない。
「好きで?」
誤解すんじゃないわよとか、何とか言おうと思ったのよ、誓ってそうだったの。
シンジをへこます大チャンス!だけどあたしは、馬ッ鹿みたいにこういってたのよ。
「シンジのこと心配だからよっ!ほっとけないじゃない。」
あたしにとって、その言葉は告白に等しかった。何でこんなこと口走ったのか分からなかった。
カーッと顔が真っ赤にのぼせたのが自分でわかって慌てて湯船を飛び出して頭から冷たいシャワーを被った。
「ああ、なんかのぼせちゃったみたい。」
アスカもシンジもオリキャラ化してるな。
だが、どんだけ叩かれても投下する姿勢は評価する。
そして、少しは期待している。悪いなツンデレで。
312 :
コテ:2006/07/31(月) 04:11:21 ID:???
>>309 4行目 引用⇒飲用(ここでは体内にLCMを取り込む事を指す。)
タイプミス萌え
314 :
コテ:2006/07/31(月) 22:37:40 ID:???
>>309、
>>310 指のリハビリはかなり辛そう。指を伸ばしたり反らしたりするだけで激痛が走るらしい。
整形外科とリハビリセンターの図書館の指導書を見て指の牽引とかマッサージをした。
あと、シンジの腕に、見つけ出した高振動リハビリ装置を取り付けたりする。
温泉に浸ったあとで行うとで効果がでるのは、温泉に溶け込んでいる高圧下で溶け込んだ空気が弾けて微振動を体に伝えるからなんだって。
この装置はそれと同じ効果を筋肉に伝え、指のリハビリのような比較的辛い症例を楽に受けられる工夫の一つ。
柔らかな粘土のような物質を使って何かを形成する訓練。指から測定した弱電流を感じ取って適格な負荷を与えてくれる。
この分野の研究って随分進んでたのね。シンジのためにはとっても嬉しいことだけど、こういう運動療法以外の治療はどうしようもない。
だから…もう少ししたらあたし達は彼方の大都市に向かって旅立たねばならない。
そして、出来れば生き残りの人を見つけ、シンジを見てくれる医師を探すことが出来れば。
315 :
コテ:2006/08/01(火) 04:44:09 ID:???
>>310、
>>314 脂汗を流しながらリハビリをしたおかげで、シンジの指は少しずつ動くようになった。
曲がって固定化していた指がスプーンくらいならつかんだりする事ができる。
実際にはつかむというか巧く挟む程度なんだけどね、それでもシンジを思わず抱きしめて歓声を上げてしまって恥ずかしかった。
「アスカ、アスカ痛いってば。」
「良く頑張ったね、シンジ。指さえ動けば大分楽になるわよっ。」
「腕もかなり上まで上げられるようになったしね。」
腕も肘の高さまで上げられるようになった。もう少し頑張れば自分で食事が楽に取れるようになるわね。
歩く方は安定感が増したけれど、歩ける距離はさほど伸びてはいない。階段もまだ上れない。
だけど、一旦落ちた筋肉が、大分付いてきた。もう一息だ。
この病院に来てから半年が過ぎていた。
相変わらずラジオにも無線機にも何も入ってこない、タウンFMの放送も聞こえなくなった。どこか故障したんだろうか。
屋上から双眼鏡で先を見渡したり、シンジを載せて山の展望台まで行ってみたりしたが変化は無かった。
あたしとシンジはこの温泉病院の施設に留まることを選び、この先へと進めないでいた。
それは行けなかったのではなく、この先に待ち受けているものに対面する事が恐ろしかったから。
ついでに言えばそれを決めていたのはシンジではなくあたし本人だった。
316 :
コテ:2006/08/01(火) 04:45:18 ID:???
>>314、
>>315 「シンジ、この先に進まなくちゃいけないわね。」
「そうだね、この先には誰かがいるかもしれない。何かが待ち受けているかもしれない。」
「行かなければわからないよね。」
この施設の名は健康福祉施設「エデン」併設温泉病院「ケルビム」大きな修道院教会の寄付で建てられたものだ。
エデンにケルビム。出来すぎたネーミングよね、と思わず笑いが浮かぶ。
あたしがここを出るのが嫌だと思うもう一つの理由がそれだった。
エデンを出て行く男女という一致になんとなく不吉さを感じたのよ。笑っちゃうような話なんだけど。
でも、あたし達はここを追放されるわけではない。自らの生き方を決定して出て行くんだから。
あたしは、乗っていくつもりの軍用4WD車にガソリンを入れたり、付いていた機関銃の弾を補充した。
少しづつ服や食料、水、薬品やタオルも積み込めるだけ詰め込んだ。
そして、いよいよ旅立つ日を今日と決定した。
真っ青な空、カレンダーでは今日は10月1日だ。目指すは首都の国立医療センターだ。
乙。ガンガレ、応援してる・・・のかな?俺は。
318 :
コテ:2006/08/01(火) 20:57:55 ID:???
>>315、
>>316 長い急勾配の坂を一気に駆け下る。ターンした瞬間に、目の前一杯にまだ茜色のままの海が広がった。
海沿いの2車線の道を80kmほどで走り抜けていく。
関東平野には海面が深く入り込んでいるが、伊豆半島は隆起したため古い道を舗装しなおしただけでそのまま使われていた。
しかしそれも重戦車が配置された熱海以北では掘り返された様な状態になっていた。
海沿いで進むのはもう限界に近かった。
「シンジ、海沿いに進むのはもう無理みたいね。」
「いや、助かるよ。もうお尻の感覚がなくなりそうだったんだ。アスカはお尻大丈夫かい?」
「ひ、人のお尻の心配なんてしなくていいのよっ、Hなんだからっ。」
「え、エッチで言ってるんじゃないよ。」
ガソリンスタンドが目に入ったので滑り込んだ。
こまめに補充しておかないと次のスタンドまでどのくらいあるか分からない。ガソリン缶をいくつか積み込んだ。
ここでトイレも済まし、座席用ソファーをいくつかもらっていくことにした。これであたしのお尻も少しは持つでしょうよ。
シンジは強がっているけれどあたしより体位変換ができないので辛いに決まっていた。
後ろの座席には横に倒れられるようにソファーを並べた。
スタンドをでた後山を越えて西伊豆の土肥に向かう。そこから御殿場に出て高速を使えたら大分行程を圧縮できるだろう。
「富士山が見える。」
「ほんとね。」
あたしの知っている富士は今の形だけれど、シンジの知っている富士はもっと左右対称に近かったそうだ。
噴火を繰り返し、高さは海抜4000mを越え、山の半分は大きく口を開けて噴煙を上げている。
だが、その富士もあたしは好きだ。死んだように眠っていた火山が大きく伸びをしたその姿。
人が前に向かって進んでいく姿そのもののように感じられるから。
319 :
コテ:2006/08/01(火) 21:21:18 ID:???
>>316、
>>318 高速道路は高架が所々落ちていて、そのたびに迂回したため思ったより時間が掛かった。
この先は山脈が続く上、人々が消えて半年も経つというのに未だに黒煙を上げている都市もあった。
早めに宿泊施設に入った。幹線道路をはずれ、わき道の奥にある旅館を見つけ、その庭の奥に車を停めた。
一見したところ外からは全くその姿が見れない。
「ああー、ほっとする。やっぱり日本人は畳が好きなんだなぁ。」
「ストローマットにそんなに愛着があるなんて、やっぱり日本人って変わってるわよね。」
「ストローマットって言われるとなんか違う感じだなあ。畳みは藁で出来てるわけじゃないんだよ。」
「藁じゃないの?」
「イグサって言う、藁とは全然別の植物さ。」
「へえ、知らなかったな。」
「アスカって知ってることと知らない事が極端なんだよね。」
「なによ。あんたのドイツの知識よりずっとマシよ。どうせあんたなんかドイツにはビールとバームクーヘンしかないとか思ってんじゃないの?」
「そ、ソーセージだって良く食べるってことも知ってるよ。あとポテトとかハンバーグとか。」
「何よ、そんなのあたしの好物並べただけじゃん。」
ほら、ぐっと詰まった。ほっんとシンジって単純。
厨房を調べたら缶詰のソーセージとか冷凍になったママのひき肉や乾燥たまねぎがあった。
これは今夜はハンバーグステーキにするしかないわね。
「ああ、お腹一杯。」
「お風呂に行こうか。」
「いいわね、ここは岩風呂しかないからまた混浴になっちゃうわよ。」
「う、うん。アスカが嫌じゃなかったら。」
「ここ、もう病院じゃないからいろいろな器具はないわよ。シンジの方こそ恥ずかしがって逃げたりしない?」
「だ、大丈夫さっ!」
あら、ほんとに? あたしもちょっとどきどきしながら応えていた。
「冷凍になったママのひき肉」
バーニィ・・・
321 :
コテ:2006/08/01(火) 21:27:18 ID:???
>>319 ママのひき肉⇒お、恐ろしい間違い。(冷凍になったままの挽肉や)です。
322 :
コテ:2006/08/01(火) 21:29:17 ID:???
tukkomi hayai
介護エヴァ小説というのは時流に合ってるなw
とにかく乙
>>321 変換の間違いだけど腹痛くなるほど笑っちゃったよ
325 :
コテ:2006/08/02(水) 16:16:27 ID:???
>>318、
>>319 畳の部屋はシンジの気に入ったのはまずよかった。
ミサトと3人で暮らしていた頃は床に直接厚めのカーペットを敷いて暮らしていたのよね。
だから畳の部屋で二人で寝るのは初めてなわけ。
そのこと自体はいいんだけど、シンジを畳の部屋に寝かせると大変なことがあったの。
それは、シンジを立たせたり寝かせたりすること。
ベッドは脚を下ろせばそのまま立ち上がって車椅子に腰掛けられるんだけど畳ではそうはいかないでしょう?
寝ている位置から起き上がるのはいい。そこから立ち上がるのはちょっと技術がいるんだけど、それが問題なのよ。
「じゃ、行きましょうか。」
「う、うん。」
「何よ、早速照れちゃうの?」
「照れてなんか。」
「じゃ、ほら。行くわよ。」
後ろ側にたってシンジの脇から手を入れ、しゃがみこんでおへその辺りで両手を交差させしっかり腕同士をつかむ。
そして、ぴったりと背中に身体の正面をあわせてゆっくり立ち上がりながらシンジの体をずるずるっと抱き起こすの。
無駄な力も要らないし、とっても楽に起こせるのよね。
でも、こうするとシンジの背中にあたしの胸がさ、ぴったりくっつくでしょ。
ちょっとでもシンジが抵抗すると揺らいで危ないのよね。
「う、うんっ。」
「行くわよ、身体の無駄な力抜いて、逆らわないでね。そーら。」
ぴったり合わさった背中と胸。実はあたしだって結構恥ずかしい。でもシンジのためだもん。
しょうがないって覚悟して平気を装ってるんだよ。
326 :
コテ:2006/08/02(水) 16:22:36 ID:???
>>319、
>>325 「ほーら、巧く立てた。」
「あ、ありがとう。アスカ。」
「いいってことよ、シンジ。」
笑ったまま立ち上がったシンジのシャツやズボンを脱がせ、パンツ一枚になったところで浴衣を着せる。それからパンツを取り替える。
いつになってもシンジは照れくさそうにするから一連の流れでやんなきゃね。
だいたいあんたがそうするからあたしまでいつまでも恥ずかしいんじゃないの。
それから腕と肩を貸すようにしてゆっくりと浴場に向かった。
つるつるの廊下は足を滑らせるようにして進めるのでシンジも楽だ。
浴場で、シンジの浴衣を脱がし、次にあたしが浴衣を落す。湯舟から溢れる温泉。
「さ、あたしにつかまるのよ。肩に手回して。下、濡れてるんだからしっかりつかまらないと危ないわよ。」
ああもう、顔から火が出そうだけど、ここで恥ずかしがっててシンジが転んだりしたら取り返しつかないじゃん。
「なにしてんのよ、しっかりやらないと本当に危険なのよ。デレデレしてないでしっかりつかまって!」
声を励まして、シンジにつかまらせる。シンジの肌の感触が生々しくてどきどきするけど、こらえた。
シンジの手に力が入って、しっかり右肩をつかまれた。お腹の前にある左腕に左手が重なる。
背中に背中がかぶさる。ゆっくりゆっくり湯舟に歩を進めて真ん中に立った。
ここからしゃがむのが問題。シンジの後ろに回ってお腹に両脇から腕を回し密着した。
そしてゆっくりと腰を下ろしながら後ろへ下がる。シンジのお尻が湯槽の底につくまでそっと引いていく。
本当は心臓が爆発しそうだった。今までは治療用の水着と白衣越しだったけど、そんなものまで持って歩けないでしょ。
覚悟を決めて、こういうことだって出来なきゃいけないと思ったのよ。
そう、シンジは病気なんだから。
でも、息がつまりそうだった。並んで温泉につかったとき、あたし達は並んでいたけれど何も言えなかった。
sine
('A`) …。
(ヽ/)
<●>
●
('A`)ノ ハッ !!
(ヽ )
<●>
●
(('A`) ハッ !!
( /)
<●>
● ●
(('A`)ノ ハッ !!
( )
<ω>
__[警]
( ) ('A`)
( )Vノ )
| | | |
両方裸ってことか・・・こりゃー何かしらの間違いがあっても・・・
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
,, -‐- ,,
./ ヽ 『ダウンもしたし無様な姿を見せてるなコイツw
/ u' ', と思ったら新チャンピオンだった』
_ /¨`ヽ {0} .|
/´ i__,,.ノ u' | な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' `ー- ', おれも何がおきたのかわからなかった…
,゙ / ) ノ u' '、
|/_/ ヽ ダマされそうそうだった…
// 二二二7 u' __ ヽ
/'´r -―一ァ"i '"´ .-‐ \ 地の利だとか印象点だとか
/ // 广¨´ /' /´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ :::/ / ヽ }
_/`丶 / ::i {:::... イ もっと恐ろしいジャパンマネーの片鱗を味わったぜ…
331 :
コテ:2006/08/04(金) 01:56:49 ID:???
>>325、
>>326 何も言葉を交わさないままお湯の中を見ていた。あたしの健康的な足とシンジの青白い脚が並んでいる。
この足は自分でも気に入っている身体のパーツの一つ。真っ直ぐでいい形をしていると自慢に思っている。
あれだけ色々訓練をしてきたのに運よく傷一つ残らなかった。それに比べるとシンジの足はあちこちに傷がある。
戦闘だけじゃなくて訓練中に何かにぶつかったり切ったりして幾度か縫った事があるのを知っている。
足先から腿の方へと目線を移して行って、はっとして目をそらせた。
やだ、変なとこに目が行っちゃうところだった。あたしは照れ隠しもあって大きな声で言った。
「さぁ、もう大分ゆだったから出ましょ。」
そう言いながらざっと立ち上がりかけた途端、シンジがあたしの方を見上げたのに気づいた。
「こらっ、見るんじゃないっ。」と、胸を押さえ飛沫を上げて湯の中に戻った。
シンジは慌てて後ろを向いた。見られた、見られた、見られた。
「このっ、すけべっ!」
「わっ、ごめ・・」
謝る間も与えず頭をお湯の中につけてやった。両手をばちゃばちゃさせながらシンジがもがいたけど、あたしは完全に頭にきてた。
シンジの筋肉に力がないなんて忘れきってた。はっと気がついた時はシンジの抵抗がなくなってたのよっ。
332 :
コテ:2006/08/04(金) 02:01:36 ID:???
>>326、
>>331 「あっ、シンジッ!」
さっすがに慌てた。髪をつかんで顔を持ち上げると、凄い勢いでシンジは咳き込んで、苦しそうに涙や涎を垂らした。
ああっ、何てことしちゃったのっ!
そのままシンジを抱えて立ち上がり、横抱きにして浴槽から洗い場に引きずり上げた。
咳をする力も弱くなっているんだっけ。背中をさすって押すと、お湯を勢い良く吐き出した。
はぁはぁと息遣いが落ち着いて来たので、やっと安心してヘタヘタと床にしゃがみこんでしまった。
うつ伏せにして、膝をあわせた上に胸が来るようにし、さすりながら気管からの自然排出を待つ。
ごめんとか何とか言わなきゃいけないのに、気が動転して言葉が出てこない。
「あ、アスカ…」
やっとシンジが声を出した。体位を変えて仰向けにする。この方が声を出しやすいから。
「わざとじゃ、ないから。つい振り返っちゃったんだ。ごめん。」
「何言ってんのよ、あたしが悪いんじゃん。」
「そんなこと。ない。でも」
「なに。」
「あの、この姿勢だと、見えちゃう…よ。」
シンジは、急にぎゅっと堅く目を瞑った。
「え?何が。」
え、なんで?そしてやっと落ち着いて周囲の状況が見えた。
一瞬あと、あたしは悲鳴を上げて思い切り飛び退っていた。当然シンジの頭は。
ゴンッて凄い音がした。
333 :
コテ:2006/08/04(金) 02:33:03 ID:???
>>321、
>>332 く、何ていう不覚だろう。こっちに弱みがあったとは言え、いきなりシンジなんかに、あ、む、胸を見られちゃうなんて。
そりゃあ、汚いものを見せたわけじゃないし、むしろあいつには一生待ってたって見れないものを見せたんだからねっ。
くそ〜、ほんとに悔しい。介護上仕方がないものはやむをえないけれど、そうじゃない事はシンジにサービスするつもりはないんだからねっ。
布団を敷いて寝かすと、もう後は貸し借り無し!
334 :
コテ:2006/08/04(金) 03:52:09 ID:???
>>332、
>>333 浴衣だけ羽織らせ、ずるずると怒りに任せて廊下を引きずって部屋に戻ったわよ。
布団を敷いて寝かせてやった。もう後は貸し借り無し!
「もう怒った。2度と面倒見てやんないっ!」
何回シンジの方を振り返ってそう叫んだろう。
冷蔵庫から出した2本目のコーラがなくなった頃には怒りよりもだんだん心配になって来た。
大体、元々相当覚悟を決めて一緒に裸になったんじゃない。少しくらい裸が見えたからってきゃあきゃあ騒ぐつもりはなかったのよね。
それを、確かに急にシンジの視線が凄くいやらしい目に感じて手が出てたの。
覚悟を決めたとかいって、恥ずかしくて仕方なかった。シンジなんか男として認めてないから恥ずかしくない、筈だった。
布団ににじり寄った。枕もなしで引きずってきたまま布団にうつ伏せで放り出されてるシンジ。そっと後頭部に触れると膨れて熱を持ってた。
「シンジ、大丈夫?」
335 :
コテ:2006/08/04(金) 03:55:11 ID:???
>>333、
>>334 返事はない。思わず脈を取ったけどそれは正常だった。多分のぼせたのと頭を打った事のダブルパンチで気を失っているだけだ。
しょうがないな。もう一度廊下に出て洗面器を探してきた。調理場で氷を調達。 部屋に戻ってタオルを絞ると後頭部に乗せた。
「ありがとう。」
「なによ、気がついてたの。」
「たった今ね。」
「・・・・・・」
「え?」
「悪かったわねって言ったの。」
「いや、別にいいけど。見ちゃったの、僕のほうだし。」
「ううん。それはもういいや。」
「アスカ。」
「なに。」
「二人きりなんだね。」
「だからって、あ、あたしがあんたを選ぶとは限らないわよッ。」
またとんでもない事を口走ってる、あたしの口ってどうにかならないの?
336 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/04(金) 10:16:18 ID:h8jaUAhc
>>1にさ、こんな事項があるでしょ。
★このスレはイタモノ禁止です。イタモノの定義はおすLASスレに準じます(以下引用)
>自分が痛いと感じなくても、多くの人が痛みを感じる場合があります。
>特に以下の3つのどれかが含まれる時には投下を控えましょう。
>○アスカとシンジが別の異性との絡みを持つ(惹かれる、キスやセックスなど)
>○想い合っていても、二人が離別・死別する
>○精神的な苦痛、肉体的な苦痛の描写が激しい
このスレで「登場人物があまり苦しまない」っていう制限を設けた時点で問題だと思うんだわ。
こういうのってさ、結構LASの可能性を収束させてるって思うんだよね。
結果がある程度、分かってる時点で読んでる側も面白く無くなってしまう。
作者側にとって、自由に描けるってのは結構重要だと思うんだ。
そのへんどうかな。
338 :
コテ:2006/08/04(金) 20:13:08 ID:???
>>334、
>>335 「あ、当たり前じゃないか。何で僕がアスカをっ。」
そう言われるとカチンと来る。あたしのどこが不足よっ、とかなんとか叫んでいた。ああ、あたしまた自分の首締めてるっ。
「あんたはとにかくあたしの言う通りにして、大人しく身体を元通りにすることだけ考えてりゃいいのよっ!」
いつもならしんみりした空気なんかいっぺんに吹き飛んでしまうとこだったんだけど、その夜はちょっと違った。
シンジは両手を突いて上半身を起こし、真っ赤になって怒った様な声を出し、その後うなだれた。
「そうだよな。僕なんかアスカの足手まといになるだけだ。アスカだけならもうとっくに新東京なり長野に着いて保護されてた。
僕がいるばかりに、半年も足止め食って、今日だってこんなとこに泊るはめになって、食料の調達から看護まで、くたくたになって。」
シンジの鼻の先からひっきりなしに涙が垂れてた。
「朝も昼も夜も、僕を背負ったり肩貸したり、休む暇もない。僕は、僕は情けなくて。」
「やめてよっ!」
叫んでた。
「あたしがいつあんたのことを足手まといだなんて言った?疲れたなんて言った?」
両肩をつかんで揺さぶってた。
339 :
コテ:2006/08/04(金) 20:16:03 ID:???
>>335、
>>338 「仲間でしょっ、一緒に戦ってきた友達でしょっ!」
「仲間?友達?」
「そんなこと一度も言ってなかったかも知れないけど、あたしとシンジは他人なんかじゃないでしょ、分かってくれてると思ってたのにっ。」
「ア、アスカ。」
あたし、シンジの左右の髪をわしづかみにして自分の頭をゴリゴリと押し付けてた。
「何で、何でそんな情けないこと言うのよ。馬鹿っ。」
いつの間にか腰まで起き上がってるシンジにあたしは泣き声で訴えてた。情けなくて、悲しくて、シンジが哀れで。自分が可哀想で。
「どうして、あたしがあんたの面倒見るのは当たり前だとか、当然だとか思えないのよっ。
家族でしょっ。ミサトがいつも言ってたじゃないっ。馬鹿、馬鹿よシンジは。」
「アスカ、ごめんよ。ごめん…ごめん。」
それから暫く二人。肩にしがみつき、頭を押し付けあって、泣いた。
なんか、身体の中に溜まっていた毒が、全部流れ出て行ったみたいに、いっぱいいっぱい涙が出た。
生まれて初めて、こんなに泣いたの。シンジが、おずおずとあたしの背中に手を回した。
その感触は、何の照れくささも恥ずかしさも感じさせなかった。何でこんなに安らぐの。不思議だった。
totemotumaranaidesu
yomanakyaiinoni
乙です
介護は、する方もされる方もいらない気をつかったりして大変だよなあ
LAS小説におけるアスカとシンジの場合は互いに愛情があるからいいけど
>>336 ageてる上に総合スレも知らず、その注意書きの意図も知らずと、かなりの初心者さんだな。
いわゆるイタモノ分類になるような苦痛ってのは、相当にスプラッターな域だと思ってくれ。
その辺りの境界線つーかさじ加減は、FFやレスを色々読んでれば段々分かってくるが、とにかく、普通にFF書く分には制限にもならない。
まぁどっちにしろ総合が別にあるわけだけど。
話し合いながら長く時間かける内に今の状態が出来上がったわけで、ルールだって、そんな考えなしに定着したもんじゃないよ。
kusotumaraneeyo
kokodewa hanasi ni nami wo tukeru koto wo kinziteru karana
俺は楽しみにしてるよ
ianaramut
348 :
コテ:2006/08/07(月) 07:29:40 ID:???
>>338、
>>339 「はぁ、あたしどうかしちゃったのかな。」
縁側に座り込んで、胡坐をかいて月を見上げた。部屋の隅にあった蚊取り線香をともすといい香りだった。
友達のうちに遊びに行ったときこれを知った。面白い意匠だと思ったし、少々煙たいがいい香りだとおもった。
おまけに防虫効果があるという。日本の夏には欠かせないものよって教えられた。
夏はとっくに終わっていたが季節商品が年中売れるようになって、これを作っていた会社は大もうけしたんだろうな。
本部を出て山の中を逃げている時、蚊には随分悩まされた。本部には蚊なんかいなかったし、家にだって。
もしいたとしても火事になる危険があるから使えない、と許可されなかったろう。精密機械のあるところでも駄目だろうし。
10月の日本家屋の庭からはいろいろな音がする。日本人はそれをいい声だとか言う。月の景色と一緒にあわせて風流と言うんだ。
その感覚は、あたしにはよく分からない。分からないけど、わかっていたいとは思うようになった。
あたしの中にある日本人の血が、いつかはそれを理解させてくれるかな。それとも一生分からないかも。
ええいっ、これはあくまで月とか虫の音の話なんだからねっ。
嘘じゃないわよっ。
自分で苦笑した。でも誓って言うけどついこの前まではそんなこと思ってもいなかったんだからね。
この感情を誰かに気がつかれてからかわれたり、恥ずかしい思いをする心配がなくなったからじゃないわよ。
隠してたわけでもないし、実際あいつのことなんかなんとも思ってなかったんだから。
じゃあ、今は?
今だって同じよ。この感覚はスキとかキライとかいう気持ちとは違う。違うと思う。同情?哀れみ?
そして、全部のもやもやした気持ち。これは、恋愛とかそういう気持ちとは違うと思う、…そう思うんだけどな。
「あ〜あ。なんなのよ一体。」
そのまま後ろにひっくり返った。胡坐のままだったから浴衣の裾が乱れて足もパンツも丸出しになった。
お月様はあたしのお尻を見てびっくりしてるわね。そのまま、起き上がる。にょっきり出たあたしの白いかっこいい足。
お風呂の中で並んでたあいつの足とはぜーんぜん価値が違うわよね。
349 :
コテ:2006/08/07(月) 18:13:12 ID:???
>>339、
>>348 庭には話に聞いていた日本の秋の気配が濃厚だったわけだけど、あたしがやっていることってぶち壊しよね。
そう、不思議なことに季節が戻ってきていた。それに気づいたのは伊豆の温泉病院にいた時だったんだけどね。
朝でも25℃を下回るのが珍しいこの地域で昼間の気温が30℃を上回らなくなった時に、おかしいと気づいたわけ。
青々としていた木の葉が元気がなくなり明らかに落葉が増え始めていたのよ。このまま行けば紅葉も始まるわね。
朝の気温も下がり、山の上の方に行くと肌寒いくらいだった。
人が消えただけじゃない。気候も変わっていたのね。植物はそのままだったけれど動物はどうなんだろう。
鳥は良く見かける。スズメやカラスは日常的に目にするけど、獣はどうなんだろう。
犬や猫はあまり見かけないように思う。家畜は餌をやる者がいなくなったから街から離れるか餓死したかもしれない。
牛や羊や馬はどうだろうか。牧場で飼われていたものはある程度生き残るかもしれないけれど。
これは、興味があるってだけのことじゃない。
これから冬がやってくるってことよね。今はまだ電気やガスは不自由なく使える。だけどこの先は?
電気が止まれば冷蔵されていた食品は全て朽ち果てるだけ。
今からくよくよしても仕方ないけど、考えておく必要はあるわね。
350 :
コテ:2006/08/07(月) 18:14:20 ID:???
>>348、
>>349 部屋に戻るとさっき二人でしがみつきあって泣いた事が嘘みたいに思えた。
シンジはぐっすり眠っていて、相変わらず子どもみたいな、あどけない表情してたからなおさら。
2つ並んだ布団。あたしが敷いたんだけどなんか当たり前みたいに敷いた自分が大胆に思えた。
でも、温泉病院でずっと同じ部屋で寝起きしてたわけだし、あれからいろいろなところで一緒に寝たから今更うろたえない。
冷蔵庫からもう一本、今度はサイダーを出して飲んだ。
大人から見たら、シンジもあたしもまるきり子どもに見えるんだろうな。あたしから見るとシンジだけが子どもに見えるけど。
この世界の中であたし達二人の子どもが遭難していて、助けを求めて東京を目指している。
そんな映画を想像した。男の子は動けず、女の子はその子をかばいながら旅を続けている。敵がいるかもしてない、天変地異が襲ってくるかもしれない。
それでも二人は大都市を目指す。そこにいるかもしれない大人達や仲間を求めて。
「ちょっと格好いいかもねー。」
明日はどこまで行けるかしら、と思いながら布団にもぐりこんだ。
介護冒険小説乙かれ
果たしてどういう結末になるのか?
そろそろ、ぐだぐだ感が・・・
乙です
353 :
コテ:2006/08/07(月) 23:39:40 ID:???
>>349、
>>350 それからいろいろなことがあった。旧東京市街は荒廃し、何もかもが崩れ果てていたし、生き物の姿は何もなかった。
富士の噴火で全ては60cm以上も積もった降灰の下に埋もれていた。病院も住宅もビル街も粉塵が舞うばかりだったわ。
それでも何とか先進医療センターを探し当て、最新の医療コンピューターにシンジをかける事ができた。それで処方と薬品を手に入れ東京を離れた。
その後に目指したのは松代だった。ネルフの実験場も新設の都市もあり、人口も100万を越えていた都市だったがそこにも人はいなかった。
シンジとあたしはそこで初めての雪を見ることになった。
「アスカ、お誕生日おめでとう。」
「ありがと、シンジ。どこから持って来たの、このケーキ。」
「暇に任せて作ってみたんだ。デパートからオーブンレンジを借りて来た。」
秋に実ったせっかくの米は収穫することも出来ずに田で腐るに任せるしかなかった。
だけど米はF1のハイブリッドではない。やせていくかもしれないが、毎年繰り返し実り続けると思う。
各地の備蓄米はあたし達2人が食べていくだけだったら無尽蔵にあるといってもよい。
もちろん電気の供給が暫く続けばだけど、火力発電が続かなくなっても水力や原子力発電所が動き続ける限り日本を照らし続ける。
重要な軍事施設でもある松代に軍がいないという事にあたし達は安心した。
まず組織的な軍は消えてしまったと言うことだけは確かだったから。
簡単な軽飛行機程度ならあたしも整備や操縦が出来る。空からの偵察は爽快だった。
シンジを載せて遊覧飛行をするのもなかなか楽しかった。
そして、12月の声を聞き、あたしは今日、15歳になった。シンジは簡単な調理が出来る程度には指も回復した。
あたしも料理の腕は大分上がったわよ。なんと言っても春から冬までの間シンジの世話をしてきたんだから。
途中かもしれんが乙
これで世界に二人しかいないことが決まったってことか?
まだこのくそつまらんSS続けるの?
いい加減やめて欲しいんだが。
>>355 まだこのくそつまらん叩き続けるの?
いい加減やめて欲しいんだが。
専ブラ使えばいいと思うよ。
357 :
コテ:2006/08/08(火) 23:54:59 ID:???
なぜみんなはいなくなってしまったのか。細菌とかウイルス、そして何らかの爆発にしても、この広い日本列島の隅々までそれがいきわたるなんて事があるだろうか。
当たり前のことにふと気づいた。この現在のあたし達の日常は余りにも不自然だと言うことに。
あたしは、この今の状況に陥って何か得をするだろうか。シンジに聞いてみた。
「アスカはこの世界では僕の面倒を殆ど見なくちゃいけない。飛行機に乗っても、車で出かけても、必ず僕のところへ戻ってこなきゃいけないよね。」
そんなの昔のアスカだったら我慢できるはずはないと思うよ、とシンジは応えた。
「昔だったら?昔のあたしと今のあたしはそんなに違うかしら。」
「アスカは、君と僕は兄妹みたいな物で、家族同然だって言ってたでしょ。」
「言ったわよね。」
「あの時は僕も感激しちゃって、2人で抱き合って泣いたりしたんだけど…」
「嘘の感情だったって言うわけ?」
「確かにそういう感情もある。だからこそあそこで泣けたんだけど、ほんとに昔からそんな感覚を持っていた?いつごろから?」
「何言い出すのよ。ずっと持ってたわよ。日本にやってきて、ネルフで一緒に活動を始めて、あんたに浅間で助けられて、そして…」
「最初ははっきり嫌ってたんじゃないの。」
「ほ、本当は初めて出来た同い年の友達、仲間だったからもっと仲良くなりたいと思ってたわよ。でもいろいろあたしも意地を張るほうだから。」
「アスカのことを綺麗だとか可愛いなとかは思ってたよ。なんていっても憧れの存在って言うか、眩しかった。」
「な、何言い出すのよ。」
あたしはシンジの顔を真っ直ぐ見れなくなって、俯いた。
358 :
コテ:2006/08/08(火) 23:59:32 ID:???
359 :
コテ:2006/08/09(水) 00:52:49 ID:???
>>353、
>>357 「そうやって恥ずかしがったりするアスカは、前は見ることはなかったよね。あの頃だったらどこか具合が悪いんじゃないかって心配したと思う。」
「ま、たしかにね。あたしでもそう思うわよ。」
口調だけは強気ね、あたし。
「僕をいつからそんなに大事だと思うようになったの?」
「だ、大事って。」
また、そんなことはないんだとか言いそうになったけれど、今更そんなことを言っても説得力はないと思い返した。
今のあたしがシンジを大切に思ってるって事は、シンジにも伝えてしまったことであり、今更撤回は出来なかった。
「この世界の最初の記憶、シンジを抱えて森を逃げていたときからよ。」
あの時は、シンジをどこか安全なところに隠して。自分が囮になっても守らなきゃってその事ばかり考えてた。その前の記憶は?
途切れていた。その前の記憶は、あのおぞましい復活した量産EVAに殺された瞬間の映像。
うっとうめき声を上げて、あたしは耳をふさいで口を堅く噛み締めながら、床にしゃがみこんだ。吐き気をこらえて体を震わせた。
確かだ。この後の記憶はいきなり森の中でシンジを担ぐようにして逃げていた記憶に繋がっていた。
あの白い機体によってたかって殺された記憶の前、それをあたしは思い出せない。いや、そこで起こったことは映像のように思い出せる。
それなのに、その時自分はどういう感情でその行為を行っていたのかそれがさっぱり思い起こせなかったのよ。
まるで、映画を見ているよう。
目の前で起こっている(架空の)現実は、その主人公であるあたしの外にある。当然その感情は分からない。
大体、自分の姿が自分の記憶の中に出てくるわけ無いじゃない。自分の表情が見えないから、人間は醜い行為を繰り返すことができる。
360 :
コテ:2006/08/09(水) 01:07:04 ID:???
>>357、
>>359 そこで死ぬ前の自分の顔を思い出せない。自分の感情を思い出せない。シンジをどう思っていたのか。
「どこまでも飛んでいけるのに、夕方には僕のところへ帰ってこなきゃいけない、帰ってきて食事を作り、洗濯をし掃除をして暮らす日常。」
「そんなこと、なんでもないわ。」
「僕の体が不自由だから、面倒を見なきゃいけないから。だから。」
「そうじゃないわ。同情や哀れみじゃない。」
「そうじゃないよ、この世界を形作っている意志の問題だよ。僕の体を不自由にしたのは誰か、君をここに括り付けているのは誰かってこと。」
「くくり、つけている、意志、ですって?何のことよ。」
「つまり、」
アスカをこの世界に引き込んだのは、君を失いたくない独占したい、僕の卑しい、惨めったらしいこころなんだ。そうシンジは言った。
君の本来の心を捻じ曲げ、僕に愛着させ、逃げられないような条件を自分の体に刻印した、自分自身なんだ。濡れた目をしてそう言った。
その、歪んだ君への執着が、君をここに縛り付けているんだ、と。
「馬っ鹿じゃないのっ!」あたしはシンジを睨みつけて言った。
「たかが人ひとりの心が世界中をこんなに変えてしまうことなんて出来る分けないでしょっ。
そんな事ができるのは、いるのかいないんだか分からない神という存在だけよ。あんた神様にでもなったって言うの?」
もしそんなものがいるんだとすれば、それがシンジならば、あいつは寂しさのあまりあたしという今の存在を創り出したことになるじゃないの。
まるで、アダムが神にイブを与えられたのと同じように、あいつに尽くすためだけの存在として与えられたことになる。
それだったら、あたしにとってこの世界は創世記の世界だとでもいうの?
急展開乙です
続き期待してますです
もうやめて
もうかえって
もうしんで
急展開!
ぐだぐだになら無かったですね。
期待してます。
364 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/10(木) 03:05:00 ID:rTfvMBUf
>>359、
>>360 例えあたしがこの地球の上にいなくても、シンジがいなくても世界は変わりなく存在し続ける。当たり前のことだ。
この世界が自分の心の中にできている世界、自分の世界だなんてことは妄想に過ぎない。
シンジが言うように、この世界がシンジの妄想ならばもっともっとシンジにとって都合のいい世界のはずだ。
あたし一人だけを自分のものにしたいが為の世界にしては、夢が余りに慎ましくささやかじゃないの。
むしろいつでもシンジを自分だけのものにしたがっていたのはあたしかもしれない。
レイはいなくなり、あたしをイラつかせるクラスメート達も消えた。
束縛するミサトやリツコも消えた、ネルフが消え、エヴァも消えた。世の中の大人たち全てが消えた。他人は全て消えた。
森の中であたしを追ってきたのはあたしが、あたしとシンジを隔てる有象無象から逃れる心象風景だったともいえるじゃない。
第一あの温泉病院施設はエデンという名前だった。あたし達はエデンの東に置かれて追放さえたようじゃん。
病院の名前はケルビム。エデンの東に置かれたケルビム達に追放され、あたし達は食料を捜し求めて苦労している。
偶然にしては良く出来た符牒よね。聖書では追放された2人は次々に子どもを生み増えていく。
あたし達は子供だからそういうことにはないけれど。でも、そのうち世界に二人きりの男女であれば自然とそうなってしまうと言うの?
少なくともシンジを求めて世界を変えられるんであれば、あたしがその首謀者だと言う可能性だってある。
シンジと2人きりの世界をあたしは決して嫌っていないのだから。と、いうより好んでいると言ってもいいかもしれない。
だって、シンジの言う束縛、遠くへ飛んで行ったりしても夕方には戻らねばならないという束縛を、あたしは感じたことはない。
あたしこそ、この世界を作った張本人なのかも知れない。
そんなにもシンジを欲していたのだろうか。そんなことを、あの時点では意識なんかしていなかった、はず。
365 :
コテ:2006/08/10(木) 23:12:58 ID:???
>>360、
>>364 仮に妄想ではなく、あたしかシンジのいずれかがこの世界を望み、実現させたんだとしても、どちらの思いがこの原因なのかは分からない。
シンジもこの世界を望んだのだし、あたしが願っていた世界でもあるからだ。
もし、あたしとシンジが真に望んでいる事がもっとあったなら。
本心のさらに奥底で欲していることがあるのなら、それが全てかなえられた時こそ、この世界は完結するんだろう。
完結した先に何があるのか、あたしはそこから先を想像できない。
そう言ったらシンジは何故か落胆した顔をした。
だって、そこから再び動き出した世界が前の続きになるのか、新しい世界の産声が聞こえてくるのかは想像の外なんだからしょうがないじゃない。
あたし自身が、真に望んでいることもまだずっと先にあって、今の時点ではまだ思いついてもいないことなのかもしれないじゃない。
そんな風なことをあたしはシンジに話した。
「シンジ、この話が分かる?あたしの言ってる意味がわかる?」
「僕がこの世界で望んでいることは、アスカを僕だけのものにして独占したいってことだって、言ったじゃないか。」
「そう?それはもう実現してることじゃないの?この世界で、まださらにあたしに望みたい事が残っているって事?」
「そ、それは。」
何よ、そんなに真っ赤になっちゃって。この世界にあってなお、まだあたしに望む事があるの?随分贅沢な話じゃない。
あたしはもうあんたを放り出したりあんたから逃げ出したりするつもりはないわよ。
そう言ってみたけどシンジはますます赤くなるだけだった。一体何を考えてるんだろ、変な奴。
あたしは、きっともうシンジよりずっと先のことまで考えてるんでしょうね。だってあいつ、餓鬼だもん。
このまま、ずっとシンジと二人きりで生きていく可能性だって大きいのは分かってる。あいつが考えてることも薄々ね。
だけど簡単にわかってなんかやらないんだ。女の子にはそうする権利があるんだもん。そう思わない?
そうね、あと3年くらいはこうやって旅を続けながらリハビリしていくのもいいんじゃないかしら。
>>364、
>>365 「シンジ。」
「何、アスカ。」
「そんなに、あたしに執着してるの、それってどういう事なんだか、よく分からないんだけど。」
「ひ、ひどいよアスカ。」
頬を染め耳や首まで赤くしたままシンジは精一杯あたしに抗議したわけ。でも、こういうことはきちんと区切りをつけてもらわないとね。
「はっきり分かるように言いなさいよ。」
「そっ、それは。僕が、アスカのこと。」
「うん、なに?」
「この世界全部と比べてもいいくらい、」
あたしも意地が悪いなぁ、もうそろそろ赦してやろうか、と思ったときだった。
「アスカのこと、大好きなんだ。自分よりも好きなくらい。」
怒ったみたいにシンジは大声で叫んだ。誰もいないのが分かっているのにあたしは周りをとっさに見回して、
「ば、馬鹿、大声でっ!」なんて叫んでた。
シンジはそういいながらあたしの両肩をつかんで唇を押し当てていた。あたしの、唇に。
「バカッ!何すんのよっ。」
「謝らないからね、僕はアスカのこと好きなんだ。嫌なら思い切りぶん殴っていいよ。」
「ひっぱたいていいよ、って言わないところがあんたあたしのこと良く分かってるわよねえ。」
「そりゃ長い付き合いだからぐはっ。」
綺麗にショートアッパーが決まってシンジはひっくり返った。もがいてるところにあたしは踊りかかってシンジを押さえつけた。
そして、目をシロクロさせているシンジの唇を奪ってやったわ。ここから先は3年後ね。(終)
367 :
コテ:2006/08/10(木) 23:19:44 ID:???
ご要望もあり、手早く終わらせました。以上です。
読んでくださっていた方、ありがとうございました。
>>366 (ちょっと終りを改定。)
「バカッ!何すんのよっ。」
「謝らないからね、僕はアスカのこと好きなんだ。嫌なら思い切りぶん殴っていいよ。」
「ひっぱたいていいよ、って言わないところがあんたあたしのこと良く分かってるわよねえ。」
「そりゃ長い付き合いだからぐはっ。」
綺麗にショートアッパーが決まってシンジはひっくり返った。もがいてるところにあたしは踊りかかってシンジを押さえつけた。
そして、目をシロクロさせているシンジの唇を奪ってやったわ。
あたしの唇を「奪う」なんて、けっこう情熱的じゃない。それがとても嬉しい気がした。
他の奴なら絶対赦さないくせに、と自分で自分を可愛いと思う。
でも、ここから先は3年後だからね。あたしは唇をぬぐって立ち上がると、シンジを見下ろして笑った。
おわり
乙。
手早く終わらせなくても良かったけどぐだぐだ続いてもあれだし、
ちょうどよかったのでは?
とにかく楽しく読ませてもらいました。
乙かれー
終わっちゃったんだ…面白かったよ。
他の小説読んでも、大抵エロいのばっかで、なんだかな〜と思ってたけど…
この人のは面白かった。ありがとう。
なかなか良いラストでした。乙です。
空気読めてない事自覚しつつも言う。
>>368 めっさ面白かったです。
evaFF板でまとめて良いですか?
yappatumaranakattana
最近では面白かったと思うよ。
でも噛む胃大先生の足元にも及ばないからな!
面白くないと言いつづけてた人、出番ですよ。
hannou suruwakenai
dogusareno hikyoumon damonona
暫くぶりに来たら終わってた。コテ作。
よかったよ、また書いて。
afobakkadanakonosureha
omaehasonohittoudatoiukotowozikakusiro.
皆日本語でおk
ミ〜ソ!ミ〜ソ!
( ゚∀゚)プップー
なんだ、誰も書く奴いないのかよ。
コテのクォリティが高すぎた
てかそんなに次々と投下する人が現れるスレの方が珍しい
kokohakusogatamarukusosuredesukara
保守
稲荷町
十日町
391 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/08/31(木) 20:48:15 ID:dKSCliZL
あげ
みそ
久しぶりに海に来た。
いつものメンバーで、浜辺にテーブルやパラソルを出してのバーベキュー。
ミサトは早くも出来上がっているし、焼き奉行の司令は肉を食べないファーストのためにトウモロコシなんて焼いてる。
シンジは波打ち際で加持さんの水上バイクをおろすのをお手伝い。
私はと言えば、昨日シンジが即寝したせいで不完全燃焼気味。
ミサトの横でコーラをあおりながら(ビールはさすがにダメだった)、なまっちろいバカシンジの背中なんぞを眺めていたわけ。
平和になったもんよね。
生死をかけて使徒と戦ってたなんて
まるでとーおい昔のことのようじゃない。
こうやってみんなで遊んだりするようになるなんてね…
久々にきたら過疎ってるな・・・
投下しようと思うんだがいろんなやつとの絡みのある長編にしたいんがこのスレでもオケ?絶対LASオンリーじゃないとダメなのか?
しかしそのスレは新人を理不尽に叩く諸刃の剣
素人には
「ねぇアスカ、加持さんに教わって覚えたんだ。一緒にジェット乗らない?」
戻ってきたバカシンジが にこやかに声をかけてくる。
私はパラソルの陰におさまったまま、思いっきり舌を出してみせる。
「だぁれが、あんたなんかと」
「あら、いいじゃない」
遮るようにミサトが言う。
「じゃあミサトが行けば?」
つっけんどんに応える私にやれやれ、とため息をついてみせて ミサトは戻ってきた加持さんに缶ビールを差し出した。
「あの…」
「なによ」
「行こうよ。…きれいなとこ、見つけたんだ」
私はたまに、びっくりする。最近、シンジが男らしく見えたりすることがあるからだ。
「…しょーがないわね。乗ってやるわよ」
だから、投下はコテつけてやってくれよ。
>>397 過疎が進んだから、(お互い)粘着君以外は以前ほどでも無いんでね?
ほす
402 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/19(火) 12:20:23 ID:JJggdXHY
いま2ch内で投下してるヤシどのくらいいる?面白いのあったら教えて欲しいんだけど
投下まち
>>399 398じゃないが一言。
コテ付けて叩かれたら嫌じゃないか。定期的に投下する気も無いのに。
>>404 コテって言ってもレス番でいいんじゃね?
間に別人の小説が挟まったら前後がわからなくなる。
ほす
まち
投下よろ
ほす
hosyu
まち
待機
保守
保守
まだ
まつ
たか子
LAS小説投下、頼んます
Do you love me?
いつの頃か私達―は求め合うようになっていた…。
きっかけはよく覚えていない。もしかしたら私も、シンジもただ、一人が嫌だった
だけなのかもしれない。
EVAのパイロット選ばれた、特別な子供達―だけど本当は、特別になれないことを感じていた。
だから私達は―お互いの『特別』になった。
耳元にかかる吐息が気持ちよかった。すごく近くに、シンジを感じられた。
シンジの手が私の体をなぞる度に頭の中まで熱くなるのが分かった。
そして―シンジの鼓動が高まっていくのが分かった。
少しずつ服を脱がされ、指や、舌が敏感になった体を刺激する。
恥ずかしいのと気持ちいいので頭が狂っちゃいそう…。
ただ、快感へとのめり込んでゆく…。
そして私は―シンジと一つになる。
シンジが動くたびに体がはじける、声が…抑えられなくなる。
押し寄せる快感の中、私はただ、シンジの名を呼ぶ。
シンジも私の名を呼ぶ。
自分にとって大切な相手を、相手にとっての大切な自分を―
どちらからともなくお互いに確認しあうように…。
私は何度も達し、シンジの体にしがみついた。
そして、シンジも私の中で―
“Do you love me?”
答えは聞かなくてもよかった。
握った手のぬくもりが、教えてくれたから。
私の気持ちと、同じだって。
乙
せっかくだからage
エロいけど美しい
もう少し完熟させたレベルでの表現がほしいな。別にこれでも悪かないけど。
保守
ほす
職人の投下待ち!
まつ
保守
429 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/23(木) 15:49:43 ID:GQ+0UsXJ
まつざわぎゅう
430 :
中途:2006/11/24(金) 04:22:39 ID:???
乙、ただ英語で呼びかける意味は無いようでしたが。
ほす
432 :
IU:2006/12/09(土) 19:16:09 ID:???
「こんなところでお団子売ってたなんてねえ。」
嬉しそうに呟くアスカの横顔を盗み見ると本当に嬉しそうだったのでほっとした。
「あんた、よくこんなとこ知ってたわね。」
「このお寺は、知り合いのお墓があるんだ。それで。」
アスカはちょっと眉間に皺を寄せた。
「悪いこと、聞いちゃった?ごめん。」
「いや、本当にささやかな知り合いだから。」
この町は新しい街だから、そんなに古いお墓があるわけはない。母さんのお墓があのそっけない集団墓地にあるように
むしろそういうのが普通なんだ。ここに入っているのは特別なこだわりのあるお年寄りとか、家族が集団墓地を嫌った、
そういう人たちだけが入ってる。
「だから、アスカはこのお団子を楽しんでくれればいいのさ。」
じっと見つめた後、アスカは「ん。」と返事をしてあんこ団子をぱくっと口に入れた。
「このさらし具合が、只者じゃないって感じよね。」
「もともと、東京の上野にあった老舗のお団子やさんらしいよ。」
「ふーン、江戸前って奴かぁ。」
お団子でも江戸前なんていうのかどうか知らなかったけど、僕はあいまいに肯いて抹茶をすすった。
アスカも、おうすを抱えて,器用に器を回して飲んでいる。こんな事どこで身に付けたんだろう。
時々アスカって不思議だよな。言葉だってべらんめえ調の江戸っ子ことばだし。
「ああ、それはね。」
もう一個。今度は粒餡のかかった草団子だ。
「最初に日本語を教えてくれたのがママだったからよ。ママって東京で育った時期が
あったのよ。」
そんなこと聞いたこともなかったよ。
「浅草雷門はなんとかで〜帝釈天で産湯を浸かり〜って、うなってたわ。」
それって、大分離れた場所だけど、どこかで混乱しちゃったんだろうな。とにかく江戸っ子だったんだ。
「研究者としては澄ましこんでたけど、家では落語聞いて大笑いしたりしてたわよ。」
アスカのお母さんはリツコさんのお母さんやうちの母さんと並んで有名な人だったらしいから、抱いていたイメージが崩れそうになった。
「ごふっ、ごふっ。」
思わずむせると、アスカが背中を思い切り叩いた。
「何よッ、失礼ねっ!」
その顔が笑っていた。
433 :
IU:2006/12/10(日) 05:52:32 ID:???
続くの?
434 :
IU:2006/12/10(日) 06:41:32 ID:???
雪が降っていた。その日もアスカは僕に着いて来た。
「雪だし、今日は団子屋さんは休みかもしれないよ。」
「その時はその時よ。」
石段を登り、山門を前にするとアスカも僕もその見事な様子に歓声をあげてしまった。
左右から張り出した、ケヤキや桜の枝々に積もった雪の重なり。
山門の瓦を写し取ったように白く積もった雪。それらにさらに斜めに降りかかっていく雪の線。
その線は、目を凝らすと一ひらずつの雪の切片だ。
アスカは傘をたたんだ。それを僕に押し付けると山門までの石段をさらに駆け上がっていった。
白い斜線の向こうにいるアスカの姿が薄くなったように感じ、僕は不安になった。
山門のところで彼女は振り返って手を振ったけれど、その表情は見えなかったから。
「アスカ?」
僕が山門に辿りついた時にはアスカの姿はそこにはなくて、只僕より少し小さな足跡が社務所の一角に続いている。
アスカの足跡は飛んだり跳ねたりしている。それを辿っていくと、雪見障子の向こうに上がりこんで座っている彼女が見えたわけで。
軒が張り出している場所に、アスカのレインシューズがちょこんと並んでいて片一方は倒れていた。
そこを開けると、紅い敷物があり、すそを払って長靴を脱いで上がり、アスカのと僕の長靴を揃えた。
「遅かったのね。ま、あんたが下向いてその植木の向こうを通っていくのが見えて面白かったけど。」
「アスカの足跡を追ってたんだ。」
「上手に追えた?」
「猟師に追われたウサギごっこだったわけ?」
「あら、よくわかったじゃない。」
435 :
IU:2006/12/10(日) 06:44:05 ID:???
「アスカの本棚は僕も見てるからね。」
紅葉の頃に来たときは、アスカがどんな本を持ってるかなんて知らなかった。
「本棚を見ると、その人のメンタリティーがわかるって言うけどちょっと情報公開しすぎたかな。」
「僕の本棚だって見てるじゃないか。」
「あんたのメンタリティーなんて知ってもも知らなくてもなんら変わらないわ。」
「そ、それってどういうことだよっ。」
「単純明快にお見通しだからよ。買ってきた本にすぐ影響されるけど長続きしないし。」
「悪かったね、単純…」
そこに、店の人が何かを運んできた。そういえば何も注文してなかったっけ。
甘酒と、餡団子2本。そして煎茶。
「こちらでよろしいでしょうか。」
「はい、ありがとうございます。」
アスカったら「完全に余所行き」の声でそう答えた。僕との会話で声を抑えていたのはそのせいか。
「では、ごゆっくり。」
「ア、アスカっ。」
「何かしら、シンジ君。」
「図ったね。」
キロッとした目でちょっと僕を見上げるようにして、くしゃっとした顔で笑った。
「そ、そんな顔したってごまかされないからな。」
「あら、何をごまかすって言うの。」
ぼ、僕がアスカのその表情に弱いの知ってて、女の子ってなんてずるいんだ!
「なんでもないっ!」
そう言って、団子を2つ、いっぺんに口に押し込んだ。
436 :
IU:2006/12/10(日) 07:48:18 ID:???
想像していたよりこの街は雪が多かった。
降り込められた毎日。学校のほかは出かけるのは大晦日の買出しとかお正月の準備とかだけ。
お重を作るなんて事を何でアスカが知っているのか尋ねると、アスカのママはドイツに戻ってからも
年末にはお重を作っていたらしい。もちろん中身は違うけどね。
「お重自体は日本から持って帰って来たらしいわ。立派な漆の黒いお重だったもの。」
「へえ、今はそんなの手に入らないかもね。」
「たぶん、ママが亡くなって家を父親が売り払ったとき、何もかもガラクタとして売り払われたんじゃないかな。」
僕はちょっとしんみりしてアスカにかける言葉を捜したけれど、彼女の方が立ち直りが早かった。
「でね、ママのお重のメインはとにかく10種類はあるソーセージとハムとケーゼなのよ。
あと、最高なのはツンゲンブルートヴルスト。血のハムの中にタンのハムとか何種類も入ってるの。」
「へえ、日本でも手に入るのかなあ。」
「どうかな、生ハムを自分とこで作ってるようなお店なら今時分だったら作るかもね。」
「生の血を使うとなると、特別な免許とかが必要かもしれないね。豚一頭潰して作るようなお店じゃないとなぁ。」
検索してみると、何とあの時々行くお寺の坂を下まで下っていった先の商店街の中に、
そういう「こだわりのハムソーセージ」を扱っているお店があるらしい。
さっそく出かけて行った。100g450円決して安い金額ではなかったが横目で見たアスカの表情って。
高いからやめようなんて言い出せる雰囲気じゃなかった。
「散財させちゃった。ごめんね。」
437 :
IU:2006/12/10(日) 07:50:01 ID:???
最近アスカの雰囲気がどんどん変わって来てる様に思う。「ごめんね?」アスカが?
それは僕らの住んでるこの日本の気候が変わって行っているように。
10月には鮮やかな紅葉だったし、11月半ばには雪が降り出した。12月末の今は雪が50cmも積もって、気温は零下5度にもなる。
よくわからないけれど、昔の青森とか北海道って感じなのだろうか。暑い夏日が毎日続いた反動で今度は雪ばかりになるとか。そんなうわさも聞いたことがある。
「久しぶりだから、甘酒でも飲んでいこうか。」
「いいね。いこ。」
石段を上がりながら、アスカは自然に僕の腕を取って自分の傘を閉じた。
振り返った僕に「枝が撓って降りてきてるから、傘が当ると危ないでしょ。」と言った。
団子屋さんは今日もちゃんと店を開けていて、新年15日まではずっと休まないと言うことだった。
「甘酒を二つね。アスカはお団子食べる?」
「シンジは?」
「うーん、どうしようかなぁ。」
「じゃあ、一皿取ろうよ。」
「あ、それがいいな。すいません、一皿だけお願いします。」
雪がまだ降り続いていて、今日はどうやら大分積もりそうだった。そういえば、初めてアスカとここに来たときは団子を5皿も食べたんだった。
ミサトさんもそうだったけれど、アスカは食べるだけ食べても太らない「お得な体質」だ。
この間見せてくれた写真もアスカを抱き上げているママはすらりとした人だった。
アスカによく似ていた。僕も母似だとよく言われていたっけ。
「ほら、甘酒来てるわよ。」
気がつくと、アスカが甘酒の湯飲みをふーふーと一生懸命吹いていた。
「あれ?僕の分は?」
「ちょっと待ってなさい。いま。」
そういいながら、今まで吹いていた湯飲みを僕に渡した。
「なんて目ぇしてんのよ。この間あんた、いきなり飲んで舌やけどしたでしょっ。」
「う、うん。だから、冷ましてくれたの?」
「そうよっ、悪い?」
いや、悪くなんかないけど。そういう目をし、アスカを伺いながら口を付けた。
丁度いい温度だったので、ずず、と続けて飲んだ。
アスカの付けているルージュが微かに香った。
438 :
IU:2006/12/10(日) 10:56:57 ID:???
水仙が咲き始めるともう春だね。誰もがそういうのだが僕は冬も春も迎えるのは初めてだ。
だから、どこからが春なのかよくわからない。
アスカに言わせると冬って言うのはもっと厳しくて暗くて辛いものだって。
「あたしんちは一番寒い田舎だから。マイナス15度くらい簡単にいくのよ。玄関も2重で外の玄関に皮のブーツを
置き忘れたりしたらカチンカチンに凍っちゃうのよね。」
「へえ、なんか怖いね。」
「そんな日に鉄製品を外で素手で触ったりしたらはがれなくなっちゃうんだから。」
「それに比べたら日本の冬なんてたいした事ないような気がする。」
「日本人はそういう冬になれていないだけよ。ドイツにいた人たちはちゃんとやってたし。」
「ミサトさんや加持さん?」
「まぁね。ミサトが呑み助になったのはドイツの冬を送ったせいだったかもしれないわ。」
思わず笑ってしまう。
そうやって暮らしていくうちに雪は融けていき、小さな花々や梅の花なんかが開いた。
メジロとかウグイスとかシジュウカラとか、冬の間見かけなかった小鳥たちを見かけるようになった。
学校帰りの大きな木の下には、冬の間中小鳥の糞とか木の実の滓が一杯落ちていた。
この木の実を食べたり、ここをねぐらにしていた小鳥たちが結構いたんだと思うけど、雪がなくなると
同時にその痕跡が次第になくなっていった。
そんなある日、僕はまたあのお寺を訪ねた。その日は一人だけで。
439 :
IU:2006/12/10(日) 11:32:27 ID:???
この街で見かける1月の花というと、水仙、沈丁花、蝋梅、梅、馬酔木、連翹、山茱萸(サンシュユ)
くらいでしょうか。
440 :
IU:2006/12/10(日) 13:26:31 ID:???
いつもの茶屋は既に緋毛氈を敷いた台を日当たりのよい事務所の隣の池端に出していた。
茶釜が高いところに置かれ、その向こうでは蒸し饅頭が湯気を上げていた。
僕は坂の途中にある花屋で買った質素な花束を水桶と柄杓、箒と線香を持って慎重に歩いた。
日陰ではまだ薄く氷や残雪が残っているときがあるからだ。
何回もここには来ている。だが、中々お参りをする機会はなかった。
アスカと一緒だったからというのは理由にならない。別々に行動する日だってあるのだから。
むしろ、今日こそは行こうと思っている日にアスカの周りをうろついて「一緒に帰ろうか?」と言わせているのは僕だ。
そう。僕はここに来ることを迷っていた。来なければいけない場所ではあったが来たくなかったのだ。
今日こそは、と思いながら今日もアスカと来ればよかったとまだ思っている。
だが、もう花を買ってしまったし線香も用意した。逃れるいいわけはない。
目を瞑って、まっすぐに石畳を進んだ。
そこにある墓の前に立ち、古い花の滓と線香の後をさっさと取り除き、花束を2つに割って活けた。
水を足し、線香に火をつけた。これでおしまいだ。義務は果たした。
僕は振り向くと、さっさと石畳をもとの道に戻りはじめた。
「待ちなさい。」
うわぁっ、何でこんなとこにパフェ食べにいったんじゃなかったのっ。
「やっぱ、シンジじゃん。あんた都心に買い物に行ったんじゃなかったの。」
「もう、行ってきたんだ。」
441 :
IU:2006/12/10(日) 13:37:23 ID:???
アスカは立ち上がってこっちにやってきた。年明けに急遽決まった制服だから、縛りがあまりない。
規定はイエローのセーターと淡いブルーのカッターシャツ。僕らはグレーのズボンで、女の子は濃い青のスカートだ。
色は大体そうであればいい、ということになっているのでクリームからカドミウムイエローまで色々。
コートは何でもいい。アスカは丁度今盛りの水仙のような上品な黄色を選んでいる。といっても僕も彼女が買ってきたのを
着せられてるのでおそろいなんだけどね。アスカは妙に着るものに煩い。
自分だけじゃなくて、僕が着るものまでおせっかいを焼く。僕なんかその辺のセーターで済ませたほうが気楽なのに。
「素材と品質で上品さが違うし、そんなことで人間としての差まで図る奴がいるんだから、公的な服はできるだけいいものを着る。」
のが当たり前だ、なんて言うんだ。そのアスカが僕の前にのしっと立ちふさがった。
「な、なんだよ。」
「気に入らないわ。」
「な、なんでだよ。」
「シンジ、あなた私に嘘ついてるでしょう。」
いきなり決め付けられた。
「う、嘘なんかつくもんか。」
「そう。」
アスカはもう一歩近づいた。そしてもう一歩。待って、待てよ。
そして、もう半歩。僕とアスカの顔はぎりぎりまで近づいて、もうほんとにもう少しで。
「白状したら、シンジくん。」
アスカの息の匂いが僕の顔にかかった。ぼ、僕は昼飯のあとで歯を磨いたっけ。
そんなことじゃなくて、まっすぐにこんな近くでアスカに見つめられるなんて初めてだったからっ。
「何も白状することなんかないってばっ。」
僕は目を瞑って横に顔をそむけて叫んだが、アスカの冷たい手が僕の両頬をしっかりつかんで正面に向かせなおした。
「こらっ、目をそむけないっ。」
442 :
IU:2006/12/11(月) 06:00:32 ID:???
ここで終わり。
443 :
IU:2006/12/11(月) 06:06:56 ID:???
土日で書ききれなかった為。いずれ最後まで描いてどこかに投稿します。
IUさん、あんたの話しんみりと身に染みて良いなwぜひ続きが読みたい!!
どこかに投稿する…ってあるけど、続きは他のスレに投下するの?
>>444さん ありがとうございます。
クリスマス向けに書いていますが土日に書き切れませんでした。
投稿先は決定しましたらここに書き込ませて戴きますので、是非読みにいらしてください。
446 :
444:2006/12/11(月) 21:41:19 ID:???
>>445 IUさん、分かりました!その時まで楽しみに待ってますw
活性化期待age
米乙
誰でもいいから何か投下してくれる奴期待。
12月になって結構HP更新が活発になってきたから、ここに用はない。
そんなに活発か?
452 :
IU:2006/12/24(日) 17:52:26 ID:???
453 :
IU:2006/12/24(日) 18:00:33 ID:???
LASはいい。いいなぁ。
あれは良いものだ
ちょっぴり切ないLASのような恋をしてみたい
二次元の中で・・・
うーむ、それも見果てぬ夢だな。俺はできれば3次元での方がいいけど。
1
「………」
「どうしたの?」
「…………」
「えーと?…アスカ?」
「………」
「怒ってる?」
俯いていることで、落ちた前髪が表情を隠している。
アスカは何も言わない。
それでも、彼女の機嫌が悪いことがシンジには伝わった。
緊張?
いや、もっと生々しいカンジ?
どうしたのだろうと、シンジは首をかしげる。
いつものアスカらしくない。
彼女は確かに短気だけれど、その理由はいつだって明確でわかりやすく表現されてきた。
目の前で黙ったまま不機嫌の理由も教えてくれないなんて、らしくない。
あまりにらしくないから、かえって離れられない。
何か言ってくれないかなと思いながらシンジは待っていた。
そしてようやく彼女にその思いが届いたのか、顔は上げないまでもアスカはシンジに話しかける気になってくれたらしかった。
2
「空高く…」 ぼそりとアスカが呟く。
「何?」
「空高く、馬肥ゆる秋」
「ああうん、今日国語のとき出てきたね、それ。
でも、それがどうしたの?」
「……シンジ、【秋】っていつだと思う?」
「何時って?
日本は、って言うかこの辺は秋にはならないんじゃないかな。
生態系が戻ってきているとはミサトさんも言っていたけど、
『気候の変動はこれ以上はない』みたいなことをニュースで聞いたような気もするし」
「『気候の変動』…今より涼しくなれば、【秋】」
「どうだろう?
う〜ん、よくわかんないけど、でもそうかもしれない。
【夏】が終われば【秋】になるんだよね、季節って。
そういえば、今は『終わらない夏』だって先生は言ってたな」
「…………。
先週末、………涼しかったわよね」
「そうだっけ?」
『話し方が、なんだか綾波みたいだ』などと思いながら、シンジはアスカの問いに懸命に答えていた。
アスカが何を話したいのか、シンジにはさっぱりわからない。
それでも、むっつり黙り込んでしまわれるよりはいい。
話を途切れさせないようにしていれば、彼女が怒っている理由もわかるかもしれない。
シンジは、彼が怒らせたわけでもないのに、
何故だか機嫌の悪いアスカを宥めなくてはいけないような気分にすっかりなっていた。
3
「この前の、土曜」
「買い物に行った日?」
「そうよ。
曇りでもないのに、風が冷たくて…」
「…って、それ。
アイス屋のはしごなんてしたからじゃ…」
「冷たかったのよ!
シンジだって帰りにコーヒーでも飲もうかって言ったじゃない!!」
「いやだからそれはお腹が冷えたからで……」
「とにかく、あれが【秋】だったのよ!」
「は?」 急な展開についていけずシンジの頭にクエスチョンが飛び交うが、話は進む。
「だから、【秋】だったのよ」
「あき?」
「この前の土曜日」
「なんで??」
「ばかシンジ!!
私に言わせる気!?」
「何を?」
「もう!だから、【太った】って言ってるの!!」
『なんで?』『どこが?』と滑りそうになった口をシンジは慌てて閉じた。
前に似たようなことをミサトさんに言われ、同じ事を聞いて抓られた覚えがある。
ミサトさんも大人気ないが、アスカがミサト以上に大人である可能性は皆無だ。
「触らぬ神に祟りなし」…わからない部分には触れないほうが良いという事をシンジも学んでいた。
それでも、「太ったようには見えないけど……」とは言っておく。無難だから。
「あんたにはわからないわよ」 と、返る応え。アスカはそっけない。
『じゃあ何で僕に言うのさ』とは、シンジの心の声。
それが聞こえたかのように、キッ、と向けられた視線にちょっと怯む。
「12カロリー」
「なに?」
とす。
ぶつかる肩。
「10カロリー」
「え?」
濡れた感触。
「…キスしよっか、シンジ」
今のは何? 事後承諾?
思わず口元に手を持っていきかけて、シンジはあきらめた。
いつの間にか回り込んだアスカが彼の目の前に居たから。
自分の腕を上げるには二人の体の間に割り込ませねばならない。
それくらい、………近い。
「知ってる? 『セックスで減量するダイエッターのためのガイド』
軽いキスで10カロリー、優しい抱擁で12カロリー」
5
歌うような声が、耳元でする。
「その先はどれくらいなのか…、知りたい、シンジ?
例えば、」
「………たとえば?」
「フルコース」
「ぜんぶで……」
「200カロリー」
やわらかくて、いい匂いがする。
アスカは逃げずにシンジに寄り添っている。
こうなるともうシンジには考える余裕なんてない。彼女の言いなりになるしかない。
何時もこれで誤魔化される。でもそれでもいいと思ってしまうほどに、参ってる。
怒りっぽくて気まぐれで、シンジを振り回してばかりいるアスカ。
なのに、甘えてもらえた瞬間、全部リセットしたように許せてしまうのだ。
「太ったのはシンジのせいよ。
シンジがアイスをおごってくれたから。
だから、責任取って」
「…うん」
顔を上げたアスカがにっこり笑う。
「【秋】のせい」、から「シンジのせい」にいつの間にか理由が変わっていたが追求する気にもなれない。
だって、今も、彼女の、青い目が近い。唇が近い。
『キスしてもいいのかな』とシンジが下心にゆらゆらしていると、さらに彼女の笑みは深くなった。
「もう一つ教えてあげる。
1キロ減らすのに必要なカロリーは、7000カロリーよ。
よろしくね、シ・ン・ジ」
新年初LAS
あけましておめでとう。本年もどうぞよろしく。
通常の食事は一日2800からちょっと行けば3000kcal.減量食では1800Kcalに落とす。
つまり一食分減らすってことだな。それと活動量が多くなる方向で食べる。6時以降は食べないなどの配慮が
大事になってくる。ヲタクの肥満は夜食と朝寝と運動不足、炭水化物摂取過多からくる。
昼夜逆転は簡単に鬱(うつ)に結びつくので、ますます外へでなくなり閉じこもりが増える。
その辺を踏まえて読むと面白いかな。
セックスで燃焼するKcalはもっと多いような気がするけれど、激しさによって差があるのは確かだろう。
15分で終わる人たちと1時間する人じゃ違って当然だ。
愛は肥満を救う。
俺、肥満じゃないけど救われないな。愛なんて存在しないもん。
愛のあるSEXなんて長いことしてないな
あるのは義務感だけだ
なるほど食事量を半分にして一週間で1kg減か、納得するな。
>>465と話の終りのアスカのセリフ。
たった7kcalで1kgも減量できるのか。
んじゃ一日飯食わなかったら相当やせられるんじゃね?
食わなくなると体が食糧がないと勘違い、少しの栄養で生活するように切り替え
そのまま対応してしまうから元の食事量になおしたときに必ずと言っていいほどに太る。
リバウンドの主な原因の一つ。
達成直後の暴飲暴食よりもクルらしい。
失敗するとケーキのどか食い。痩せられるわけないわな。
保守
前回書き込んだとこがネタスレだったので、
再度ここに書き込ませてもらいたいと思います。
↓ ↓ ↓
今日、世界が終わる夢を観た…。
いや、詳しく言うと終わってない。僕ともう一人、同じ年くらいの女の子だけが生き残った。
左目と右腕に痛々しく巻かれた包帯…うぅ、思い出すだけで頭が痛い。
朝ごはんの支度しなくなちゃ。
今年の梅雨は少し遅いらしい。このニュースを聞くのは今日はもう2回目。
「おはぁよ…」
同居人のお目覚めだ。
母さんが死に、父さんが海外へ転勤になり、遠縁にあたるミサトさんに引き取られることになったのはもう3ヵ月前のことになる…
「あ、おダシ変えた〜?」
この人は普段鈍感なくせに味噌汁にはうるさい。
「えぇ、ちょっと白味噌を混ぜてみました」
「おいしい♪おいしい♪」
親戚同士で僕の処遇をどうするか話し合った時、みんなが拒む中ミサトさんは一人手を挙げてくれた。らしい。
その話しを聞いた時はとても嬉しかったけど、ただ家の事してくれるお手伝いさんがほしかったんじゃないかなと思う今日この頃。
でもこの人のおかげで今の僕がいるんだ、感謝しなきゃ。
学校へ行ってみると、もうすぐ夏休みだというのに転校生がやってきた。
「惣流・アスカ・ラングレーよ」と、腰に手を置いて話す転校生。その姿を一目見ただけでも自我の強さが覗える。
空いていた隣の席に座ると彼女は僕の方をジロジロと見てきた。というよりチェックしてきた。
「よ、よろしく…ランゲージさん」
「ラングレーよ!バカ!はぁ〜、なんで日本の男子ってこうも冴えないやつばっかなのかしら」
名前を間違えたとはいえ、挨拶しただけで罵られたのは初めてだ。
そのあと彼女はしれっとした顔で「アスカでいいわよ…」と小さく呟いた。
なんなんだこの女。
でも、夢に出てきた子に少し似てる…?
昼休み、いつものようにトウジ達とごはんを食べる準備をしていたら転校生が目に入った。
眉を立て、強気なところを見せているけど僕には分かる。
僕も3ヵ月前同じ思いをしたから…
「あ、あの、一緒にどう?こっちは男3人だけど」
「はぁ?あんたバカァ?なんでこの私がムッさい男共と一緒にランチしなきゃいけないのよ」
同情心丸出しの顔がカンにさわったのかな…。
その後すぐに学級委員長の洞木さんが誘ってくれてるのを見て僕は少し安心した。
「それにしても惣流の奴、いけすかんのう」
「全くだよ。クォーターっていっても、7割日本人、残りの3割はドイツ人の骨格が性格に反映されてるんだよ」
妙に的を獲ているケンスケの見解に思わず納得。
「センセはどや?」
どうって何が?もしかしてあの転校生のこと?
「碇は尻に敷かれるタイプの方が合うかもな〜」
勘弁してよ、あんな傲慢女。
転校生がやってきて一週間が過ぎたある日のこと…
その日、下校途中の僕は宿題のプリントを机の中に忘れてしまい、商店街まできたとこで学校へと引き返した。
おかげで嫌なものを見てしまった…
転校生のクツ箱に書かれた落書きの数々。
『死ね!』『消えろ!』『ドイツ帰れ!』
もちろん、僕に向けられた言葉じゃない。けどすごい嫌な気分になった。
自業自得だよ…。そう片付けてしまいたい自分にも嫌気がさした。
次の日の朝、思いっきりクツ箱で転校生と鉢合わせた。
僕の方を見ると表情一つ変えずにクツ箱を閉めた。その場にいる誰もが手を止めるほどの音を発てて…
教室に入ると転校生は顔を机に伏せるようにしていた。
隣の席に座るだけで強烈な罪悪感を感じる。
なんだよ、僕が悪いわけじゃないの…なんで僕がこんな思いしなきゃならないんだよ
僕はただただ隣の席を見ないようにしてやり過ごすしかできなかった。
放課後、当直日誌を書き終えた僕は職員室から戻ると、教室で白いリボンをつけた3年の女子が転校生の机にカラーペンで落書きしているのを見てしまった。
「なに?あんた?」
そう言われてつい目線を反らす…なんて臆病なヤツなんだ。
笑いながら教室を出て行く先輩達を見えなくなるまで見届けたあと、僕は転校生の机をぞうきんで拭いた。
『ヤリマン』『キチガイ』『男たらし』…見るに耐えない言葉ばかりだ。けど一生懸命拭いてもなかなか消えない。
『ガタッ』と物音がして入り口の方を見てみると転校生が立っていた。
相当焦った、
「ち、違うんだ!これ書いたの僕じゃないよ!僕は消そうとして、その…」
転校生は近づいてきて、僕の顔にぞうきんを思いっきり投げつけた。
「…あんたなんか大っ嫌い!!」
なんなんだ、この女…。
だから他人に干渉するのは嫌なんだ。
そう思いながらぞうきん臭い顔を石鹸でパシャッと洗い流した。
あんなやつ、もう知るもんか。
「センセ、今日はごっつ機嫌悪いのう」
「そ、そんなことないよ…ただ」
「ただぁ?」
トウジ達がやけに探りを入れてくるので僕は二人に昨日の事を話した。
「そりゃアレや、3年の間宮って人やろ」
「知ってるの?」
「有名だからな」
「あの人らのバックにはなぁ、ごっつぅ恐ろしい男子の先輩共がついてるっていう話しやで」
「惣流もタチ悪いのに目つけられたなぁ」
大丈夫かなあの子…いや、知るもんか。
もうどうでもいいだ、あんなヤツ。
「ま、出る釘は打たれるっちゅーことや。のう、ケンスケ」
「あ、あぁ…」
その時トウジとケンスケがアイコンタクトを交わしたように見えたのは気のせいだと思った。
東京は今日から本格的に梅雨入りしたらしい。
じめじめとした湿気が肌にへばりつく。それ以上に僕と転校生の席の間はじれっとしてて居心地が悪い。
「今日は三神さん休みなんでー…女子の日直は惣流さん、代わりにお願いします。碇くん、よろしく頼んだわよ」
「えー!イヤよ!こんなヤツと一緒にだなんて!」と、くるんだろうと予想していたが彼女は何も言わずに承諾した。
ちぇ、なんでこうもついてないんだろう…。
雨が降る放課後…
僕と転校生は一言も交わさなかった。
彼女がしてくれた仕事は黒板を消しただけ。しかもチョークの粉が制服に付いただけで壁に蹴りを入れる始末。
はぁ…今日何度目のため息だろう。
日誌を職員室に届ける間もきっちり5mの間隔をとってついてくる。
クツ箱ではお互いにけん制し合ったから、僕はわざともたつくフリをして先に行くのを待った。
彼女が傘立てからお似合いの真っ赤な傘を取り出す。それを見て僕はようやく靴を取り出す。
『バサッ』と傘を広げる音
スニーカーに履き替え、顔を上げた瞬間、蒼褪めた…
彼女の傘が刃物で八つ裂きにされていた。
ザーーーー
雨音が急に大きく聞こえた。
ひどい……
けど、僕にはどうすることもできない…。
同情すればまた怒るだろうし。そう自分に言い聞かせるので精一杯だった。
僕の傘には何もされていない…当たり前か。いっそのこと自分の傘を八つ裂きにされていればよかったって?
それは偽善だよ…
わかってるんだ自分でも。彼女を助けてあげられないことを…それなら関わらない方がいいんだ。
母さんが生きてたら、叱られるだろうな…
横目に彼女を見るといつもの強気な眉は平行、いや少し上を向いていた。
僕は彼女を置いて外に出た。
なんでだろう、傘を差してるのに雨が胸に突き刺さるように痛い。
自分が悪いんじゃないか
逃げちゃダメだ…
その性格直せばいいんだよ
逃げちゃダメだ…
ほーら言わんこっちゃない
逃げちゃダメだ…
逃げちゃダメだ!!
僕は体を反転させ転校生の前に立ち傘を差し出した。
「はい…」
怒られると思った、殴られると思った、でも今こうしないと一生後悔するような気がした。
「……」
彼女がなかなか受け取らないので無理やり手に渡し、逃げるようにしてその場を走り去った。
バカだな…これであの子を救ったつもりか?ヒーロー気取りもいい加減にしろ。
雨がやけに身にしみる……明日学校行きたくないな。
へっくしょぃ!!
「シンジくん?シンジく〜ん?」
んん…体がダルい…。
ミサトさんに起こされるなんて初めての登校日以来だ、時計を見るまでもなくタイムオーバー。
「どうしたの〜?調子悪いの?」
「…はぃ」
「わかった、じゃあ学校に連絡しとくね〜」
こういう時ミサトさんが保護者でよかったなぁとつくづく思う。母さんだったらいろいろと余計な心配するんだろうな。
ダルさも手伝ってミサトさんが出掛けたあとすぐ眠りについた。
…………?
インターホンが鳴ってる。何だろう?勧誘かな。めんどくさいな…
とても動ける状態ではなかったけど何度もしつこく鳴らすのでしょうがなく玄関の扉を開けた。
て、転校生!?
「え、あ、え?」
「これ!」
彼女はつんとした顔で昨日僕が貸した傘をつき出した。
「あ、あぁ。別に急がなくてもよかったのに…」
「こんな薄汚い傘いつまでも持っていたくないのよ!」
たぶんこれが惣流・アスカ・ラングレーという女の子なんだろう。
「ははは、確かに汚いよねこの傘…」
「ちょっとあんた家の人はいなのぉ!?」
と部屋を覗きながら訊いてきたので、僕は今の処遇を簡単に説明した。
「あんたバカァ!?風邪でもヒドイと死ぬのよ」
と云いズカズカと家の中へ入ってくる彼女。
勝手に冷蔵庫を開け、何の断りもなしに料理をしはじめた。
危なっかしい包丁さばきを毛布に包まりながら見学していたら、
「あんたは部屋で寝てなさい!」
と包丁を立てられて本当に恐くなったので部屋に退避した。
何で彼女がここにいるんだろう?何で家の住所知ってるんだろう?
…体がダルいと全く頭が回らない。
そんなこと考えてたらウトウトしてきたのも束の間、部屋の襖を思いきり開ける音にばっちり目が覚めてしまった。
「あんたねぇ、どこの部屋にいるかぐらい教えなさいよ!」
「ご、ごめん」
彼女が持ってきたお盆の上にはお粥となぜか生卵…
「言っとくけど、これはあんたのためなんかじゃないわよ。私のためなんだからね」
何を言ってるのかよくわかんない…日本語まだヘタなのかなぁ。
「あんたに貸し作ったまま生きてると思うとムカムカすんのよね!」
と云い、お粥をのせたレンゲを乱暴に僕の口に持ってきた。
「い、いいよぉ!自分で食べるよ!」
「私が食べさせてあげるって言ってんだからあんたは大人しく口開いとけばいいのよ!」
僕はいう通りに口をアーンした、
「まぬけな顔」
そう云われとても恥ずかしくなった…でもとても温かい気持ちにもなった。
ヒトに干渉したりされたりするのは苦手だけどやっぱり構ってほしい時もある。
「あ、ありがと…惣流さん」
「アスカでいいって言ってるでしょ」
「ありがと…アスカさん」
「ア・ス・カ!」
「は、はい!…ありがとう、アスカ」
そう呼ぶと少し頬を赤らめた。
「あ、あんたは何て言うのよ…」
「碇…碇シンジ 」
「ふーん、それじゃバカシンジね」
今の僕には言い返す気力もなかったので「アスカって、お母さんみたいだね」と云ったら、
真っ赤にして「…バ、バ、バカ!」と怒られた。
僕が笑うとアスカは本気で頬をつねってきた。
そんなことをしていたらミサトさんのご帰宅だ。
「たっだいま〜♪シンちゃ〜ん、生きてる〜?」
その夜、意気投合したミサトさんとアスカは僕を置いてカラオケに行ってしまった…。
2日後…
回復した僕が学校に復帰すると先輩達によるアスカへの嫌がらせはなくなっていた。
そのかわりにトウジとケンスケの顔はアザだらけになっていた。
洞木さんに聞いた話しだとトウジとケンスケは先輩達にいじめへやめさせるため『ケジメ』をつけてもらったらしい。
そんな友人を僕はとても誇らしく感じた。
けど何も知らないアスカは自分を助けてくれた二人を「ジャージ」と「そばかす」なんて呼んでいるけど…。
『季節はずれの、転校生』 完
『Entschuldigen,sie』に続く…
学園物は糞しかないな、と再確認させられました。
内容も然ることながら文章としても劣悪です。
もう少し読点の使い方を練習してください。
とても読み辛いですよ、と。
句読点厨キター!!
エヴァ板ネタスレの華ですよ
このスレは批判が多いから、あんまり気に病むなよ?
俺にとっては面白かった。
続きが読みたい。
Sieは大文字だと思うんだけど、いいのかな。
要は、続きを読ませてください、と。
自演乙
続きはまだかい?
>>467 大丈夫!愛なんかいらないよ!だって無駄だもん!
GJ!!
2018年
某所
?「…アンタ。」
シンジ「…はい?」
?「……運が良かったねぇ…」
シンジ「…は?あの、何がですか?」
?「アタシと一緒にこの車に乗った事がだよ。」
シンジ「は…?」
?「ハハ…まぁ、すぐに分かるさ」
シンジ「?」
─僕の名前は碇シンジ。今僕はこの金網がはりめぐらされている大きな車の中で女の人と二人…正確には四人だけれど荷台にいるのは僕らだけ。
話せば長くなるけど2年前ぐらいか…僕は半分拉致のような形で得体の知れない人達に保護され、それから何故か必要以上の特別な待遇を受けるも盥回しにされた挙句に精神異常者とされて今はその病院に搬送されている途中だ。
あの得体の知れない連中が誰かなのかは大体想像はつくけれど…多分昔いた“あの施設“繋がりの人なんだろう。
…にしても数ヵ月前に内戦が終わったからと言ってこの搬送の適当ぶりはちょっと…と思った─
窓からは内戦の後が残る建物の廃虚が立ち並び不気味で仕方ない。
このハイウェイだけが舗装されていてまるで外の廃虚とは別世界のようだ。
…にしてもこの女の人が言ったさっきの言葉は何なのだろう?
…まぁ大方頭おかしいから訳のわからない事を言っているだけだろうな。多分。
?「……何かにつかまってな。」
シンジ「え?は?」
?「良いから!死にたくないならつかまりな!」
突然突拍子も無い事を言われて慌て手すりに捕まる
と、その時
前からもの凄いスピードでこっちに迫って来る大きな車が…
ドゴーーン!!!
気付いた瞬間には車全体に大きな衝撃が走り余りの揺れに手すりから振り払われそうになった
次の瞬間顔を何かで隠した連中が荷台のドアを開けて
「ボス!」
と叫んで来た。
?「随分遅い到着じゃないか…まぁ良い。さっさとズラかるよ」
そう言うと女の人は荷台から出て来る前に僕の方を向いて
?「言ったろうボウヤ?まぁ…たまたまだろうが感謝しなよ?それじゃあね」
と言ってどこかへと消えて行った
497 :
GTAぽいLAS:2007/02/04(日) 02:18:20 ID:EYhtIhqN
僕は呆然としていたけれどこれはチャンスだと思った
荷台のドアは空いたしこのままいても保養所送りになるなんてまっぴらゴメンだ。
僕は手錠を付けたまま猛ダッシュで車から離れた。
外はもうすっかり暗くなっていてハイウェイなのに車の音すら余りしない
走り出した勢いでつまずいて転んでしまった。
顔を打ってしまった痛さを我慢して立ち上がろうとしたその時、
後ろから誰かに殴られて又地面へと倒れた。
ふらふらになりながら殴った相手を見ると怪我を負ったさっきの車の運転手だった…
ガスッ……
ガスッ……
…ここは何処だろう…?
あの運転手さんを見たのが最後で途中で記憶が途切れていた
気絶でもしたのかな…
ガスッ…
ウゲッ!!!
ドゴッ…
ヒデブ!!
何だろうこの音は?さっきから鈍い音がしてるけど椅子らしき物に縛られている上に袋も被せられてて辺りで何が起こっているのか全く把握出来ない
…しばらくたつと音が止み被らされていた袋がやっと取られた
保養所係A「よぅ…やっとおめざめかいクソガキ?」
シンジ「……???」
保養所係B「オッラ!まだ堕ちるんじゃねーぞキモデブ野郎!」
ガスッ!
キモイ人「ブビィ;!!!も"…も"うやめぇ;;;!!!」
保養所係A「見ろボウヤ。あれが人間サンドバックって奴だ。
あのデブ野郎が何でこうなったかわかるか?」
シンジ「……」
僕は混乱しながら首を横に振った
保養所係A「まぁ、しいて言やぁキモかった上にオタクっぽかっただけだ。この意味…わかるよなぁ??」
シンジ「……;?」
保養所係A「俺たちゃあキモイだの気分だけで人をボコれる立場なんだよ。テメェみてぇなドコの馬の骨とも知んねぇクソガキ、ヤっちまうなんて訳ネェってこった。」
シンジ「な…だから僕が何して…」
保養所係らしき人はいきなり僕のコメカミに銃を突き付けてこう言った
保養所係A「コロンビアンカルテルのアジトを教えろ。」
シンジ「コロンビアンカルテルなんて僕は知りませ…ドゴッ!ウグッ!」
腹を蹴られる
保養所係A「あからさまにあの女と車から一緒に逃げておいて知らねぇは無いだろ???えぇ!?」
シンジ「だから僕には何の事だk
保養所係A「良いかぁ!?こかぁ80年代のキューバ移民みたいななまっちょろい扱いはしてねぇんだ。来た奴来た奴皆このデブみたいな扱い受けてる。分かるか!?」
シンジ「本当に!知らないんですってば!」
保養所係A「おうおうそうか…なぁら腕づくで喋らせ…ん?なんだ電話じゃねーか」
何でアスカがいじめられてるのかを
トウジとケンスケの会話の中でもちっと書いたほうがいいんじゃないか?
たとえば、不良男子をふったらそいつのツレの不良女子が逆恨みしだとか。
それと何でアスカの問題なのに、
トウジとケンスケがいきなりケジメだといって殴られなければならんのよ?
それらしい伏線はあるけど弱い。アスカがいじめられてるところを見て、
止めるよう頼み込んでしめられるシーンを軽くでいいから描写すべき。
(てゆーか、LASなんだからシンジもまぜろよw)たぶん頭の中ではそれらをできてるんだろうけど、
文章化する際に省略されてる部分が多すぎて読み手は置いてきぼりな気がする。
あと読んでて文がつまらないのは致命的。
…だった。…だった。…だった。って小学生の読書感想文かよ!
今後に期待
うはwww501は季節外れに対してのレスねwwwww
しかも亀レスだしwwwwwww
吊ってくる……
保養所係A「俺だ。で、なんだ?……………Σ何ィィ!!??畜生あの糞野郎共!!!」
シンジ「;???」
保養所係A「あぁ…何とかしてやる。待ってろ」
プチ…
保養所係A「……まずい…糞不味いぞ…」
保養所係A「…Σそうだ!!テメェ、カルテルとは関係ネェって言ってたよな!?」
シンジ「は…はい…そうですけど…」
保養所係A「なら今から猪木頭通りに行ってカルテルのクソ共を車でひき殺して来い!!そうしたら信じてやる。」
シンジ「Σなっ;何を無茶な…」
保養所係A「無理なら此処で殺す!」
シンジ「な…は…はい;!やります;!やりますから;!」
保養所係A「…ようし良い子だ。」
保養所係A「さっき同僚から連絡が入った。
何でもそこの通りでカルテルの糞共と衛生局員がドンパチやってて同僚がビビって手出しできないんだとよ。他の奴らも一緒らしい。
…まぁ、立場上俺らが出ていかんのも非常に不味いんでな…。
そこでテメェに行って貰う事にしたんだよ。
良い考えだろ?形だけは何とかなるって事だ。」
保養所係A「車にゃあカーナビが付いてるから場所はすぐにわかるさ。ブッコロしたらさっさとこっちに戻って来い。
後…逃げようとかそう言う妙な気起こすんじゃねーぞ!?
そんな事した日にゃテメェは全国のお尋ねモンだ。」
保養所係B「行ったらしいがあんなんで大丈夫なのかぁ?」
保養所係A「なぁに。ただの形だけさ。保養所の人間を殺したとなればコロンビアンカルテルも更に評判下がるって寸法よ。」
保養所係B「なるほどなぁ。しっかりしてるぜ章造はよ。オラ、キモデブ。まだ終わってネェぞ?」
キモイ人「……………」
保養所係B「…こっちの野郎は逝ってるみたいだぜ」
保養所係A「上手いwww」
その頃外では
シンジ「ど…どうしよう;なんか知らないけど大変な事にぃ;;
行けったって僕車の動かし方も知らないよ;」
シンジ「こ…これなのかな;?」
ドゥルルルル!
シンジ「はっ!動いた!これなら行けるかも!」
そして又中
保養所係A「あんだあの野郎!?なぁにてまどってやがる?」
保養所係B「キョドってんじゃねーのか?」
保養所係A「言えてるぜちょっくら見て来…
バリーン!!!
保養所係A「な…ななな…Σピギャーーーー!!!!」
保養所係「しょ…Σ章造ーーーーー!??;」
シンジ「あ…あはは、あの、何か知らないけどバックしちゃったみたいで…」
保養所係B「テメェ章造をよくもぉ!!!」
シンジ「え…ちょ違;に…逃げなきゃ;」
スタタァ…
保養所係B「畜生…章造…章造ーーー!!!」
ミッション1
クリア
報酬0円
GJ!!
あァーー早くサンアンドレス買いてええええ
ってゆかもう出てんの?
出てる 俺も欲しいが買ってない
かなりキてるらしいぞ
いまさらだけど
>>419が某閉鎖サイトのマンガのパクリな件
匿名掲示板だしパクリ自体は別にいいけど
発覚するとやっぱ嫌な気分になるので自己申告して欲しいところだ
2018年
某日
ここは旧第三新東京市、猪木頭通りに面する泣く子も黙る日向一家
日向「…………」
したっぱ「兄貴…いきまっせ…」
日向「わ、分かってるよ;は、早くヤっちゃって!」
したっぱ「……」
したっぱ「……せーの!!!!」
日向「ち…ちょっと待ったーーー;!!」
したっぱ「??」
他組織幹部「おぉやおや。天下の日向一家大幹部さんが手打ち一本でビビっとんのかいな??」
日向「す…そそそそそ、そんな事ありません;!!ちょっと心の準備が……よ…よし佐々木!やっていいよ;!」
したっぱ「へい!」
日向「Σあ…アッーちょっとストップストップスト(re
じ…自分のペースでやりたいから包丁貸して;」
したっぱ「………へい」
他組織幹部「なんや、やっぱぁビビっとんやないか。おぅ、わしらも応援したるさかいさっさと手打ちやれや」
他組織幹部「ほーい、ゆーび切りwゆーび切りwゆーび切りww」
日向「く…くそぅ…手拍子なんかしやがって……や…やってやる…やってやるぞーーー!!!」
シンジ「ご…ごめん下さーーい!!!」
日向「!!?」
シンジ「あ…あの…道に迷ったんですけどどなたかいらっしゃいませんかー!?」
したっぱ「Σて…テンメ何ぬかしとんのじゃこの大事な時にーー!!!!」
シンジ「え…え…;?だからあの…道に迷……???…???;」
日向「…し、シンジ君!?」
シンジ「…日向…さん?」
マジでつまらんから、もう止めとけ。
チラシの裏にでも書いてろ。
GTAってなによ?マジでシランのだが。
Great
Teacher
Asuka
>>516 Grand
Theft
Auto
っていう洋ゲー
保守
誰もいない電車の中、一人碇シンジはぼんやりと座っていた。
「あら、エースの碇シンジ様ではないですか、今お帰りですの?」
「…アスカ、止めてよ。エースなんかじゃないって」
彼の前に現れたのは紅い髪の少女、先ほど停車した時に乗り込んでいたのだろうか
「よろしいのかしら?可愛い恋人を放っておいて、昨日は楽しそうにご歓談なされていたようですけど」
「…恋人なんていないよ、アスカも知ってるだろ?からかわないでよ」
「嘘ね、元の鞘に収まったからって調子くれてんじゃないわよ」
「…は?」
「今頃ファーストの奴アンタの事思ってるんじゃないの?碇クン…ってさ」
「…綾波か、綾波とはそんなんじゃないよ」
「ハ、どーだか、あんなに楽しそうに話してたじゃない、昨日駅のホームで」
「見てたの?」
「眼に入ったのよ!」
沈黙、少年は憂鬱な気分になる。何故こうも嫌な事が続くのか、と
せめて彼女とだけは、何時もの様に親しくしていたかったのに
「…綾波とは何も無いよ、特別親しくも無いと思う、…何話していいのか分からないし」
「そうなの?アンタ達アタシが来る前から付き合ってたんじゃないの?」
「何でそうなるのか分かんないよ…アスカと綾波だったら多分アスカとの方が関わってる時間が長いんだよ?後に知り合ったのに」
「ふーん、そう、なーんだ、ツマンナイの」
そう言って彼女は腰を下ろした、彼のすぐ隣に。
彼女と共にあった不機嫌は消えていた、彼女自身、自分が不機嫌であった自覚も無ければそれが解消された自覚も無いのだが
「…最近アンタ帰り遅いわよね、今日もこんな時間だし」
「アスカもだろ?何してたんだよこんな時間に一人で、危ないだろ」
「アタシはナンパされてたのよ、それでお茶してご飯奢ってもらって、キスされてたの」
「え・・・」
「うそー、焦った?途中まで本当だけどね、肩掴まれたから即腹部及び頭頂部への痛恨打撃(仮)を喰らわせてやったわよ」
「あ…そう、なんだ…」
「ムカつくわ、たかがご飯でアタシの唇を奪おうだなんて、そんな安いもんじゃ無いのよ、お分かり?」
「う、うん…」
「あー分かってないわねこりゃ、ってそんな話じゃなく、アンタは何してたのよ、アンタが遅いから不味い外食してんのよ?」
「僕?僕は検査と実験だよ」
少年は少し悲しそうな顔をした
「ふーん、今のアタシには縁の無い話ね、弐号機壊れたマンマだし」
「修理、遅いよね」
「後回しにされてんのよ、最近役立たずだから」
今度は二人、悲しそうな顔をした
「それにしてもこんな時間までやってんの?何を検査してんのよ?」
「…ほら、僕こないだ、帰ってきたじゃない、エヴァの中から」
「…ああ」
「やっぱり大変な事みたいでさ、色々調べられるんだ、色々、本当に色々」
つまりモルモット、貴重なサンプル
「今日なんかさ、まず裸にされて、そしたら…」
「いいわ、その話は聞きたくない」
「そっか、ゴメンね」
「…ミサトは?何か言ってないの?」
「今日はネルフに泊まるから、ガスの元栓とかには気をつけて、だってさ」
「そうじゃなくて。…まあいいわ、またお泊りか、最近帰ってきてないわよね」
気付いてるから何も言えない、彼女が仕事に逃げている事に、彼女もまた人間なのだから、それも弱い部類の
気付かなければ憎めたかもしれない、そうすれば楽だったかもしれない、でも二人は気付いてしまった
「…やっぱり重荷なのかな、ミサトさんにとって僕たちって」
「そりゃそうでしょ、家族ごっこももう限界が近いって事、余裕無いのね、皆」
「・・・そっか、そうだよね」
「・・・そうよ」
「・・・やっぱり僕って、皆にとってはサードチルドレンなんだね、碇シンジじゃなくて」
「アタシも同じよ、セカンドチルドレンとして価値が無くなったらオシマイ、ここにはいられない」
「・・・」
「・・・似たもの同士、か・・・」
「・・・え?」
「ね、シンジ、キスしよっか?」
彼女は分かってしまった、分かっていた。自分は弱い存在で、縋るものが無いとダメな事に
あの時も縋っていたのだろうか?だからあんなにも悲しかったのだろうか?あんなうがいで誤魔化して
依存している、他人に依存するなんて自分らしくも無い。でもコイツならいいかと思う自分もいる。
ここで拒絶されたらどうなるだろう、きっと私はおかしくなる、でも――
「・・・うん」
――ああ、やっぱり。
ダメだ、どっちにせよおかしくなる、コレはダメだ、良くないモノだ
おかしくなる、自分が自分でなくなる、碇シンジに、狂う。
「・・・何よ、ちゃんとしたキス、出来るんじゃない」
「・・・うがい、しないの?」
「バカ」
「・・・ねえ、この戦いが終わってさ、二人とも無事だったら、一緒に家出しない?」
「家出?いーわねそれ、でも誰か捜しに来てくれるのかしら?」
「来てくれるよきっと、前に出た時はミサトさん来てくれたし」
「…じゃあ、もし来てくれなかったら?」
「その時は、うーん…」
「家出し続ける?ほら、あの湖のほとりの小屋、今空き家」
「そうだね、いいかも」
世界はおかしくなっていって、二人も一緒におかしくなって、それでも生きていられたら
何も残らなくても、このぬくもりだけは、きっと。
短いしオチも無いけど何か出来てしまったので投下してみた、なんかゴメン
早速大好きだスレからやってきました
なんか甘酸っぱい余韻が残るね
こんなアスカは大好きです
GJ
Qアスカに萌えた
アスカにムーンサルトプレスされたい
>>526 わかる人間がいたかwギガスの方が密着率高いぞ、痛いけど
528 :
GTAの…:2007/02/21(水) 21:43:58 ID:???
流石に場違い過ぎだし専用スレができてるみたいなので移りますお
「ギャ!グッワ!待ってくれ!待ってくれ!」
オヤジは、叫んだ。
「許してくれよ!入れたかっただけなんだから」
「バキッ!ボコッ!」
ケンはかまわず殴り続ける。
「ヒッー!助けてー!助けてー!」
オヤジが悲鳴に近い叫び声をあげた。
「お前みたいな奴がいるからいけないんだ!」
ケンが叫びながら殴り続ける。
「ギャー」
オヤジの血があたりに飛び散った。ケンのコブシも血で染まっている。
「世の中!狂ってんだよ!狂ってんだよ!」
ケンの形相は、もうフツウではなかった。その様子を見ていた、ミクも従業員も言葉を失ってしまっていた。思わずミクが言った。
「店長!それ以上やったら死んじゃう!」
「ガッシ!ボカ!」
ケンには、まったく聞こえていない。オヤジも失神したのか動かなくなった。
「キャー、やめて!」
ミクが叫んだ。
「あっ……はい」
従業員が後ろからケンを押さえた。
これは新しい
LRSにもかいてやがる。なんだこれ?冷やかし?
三十歳を過ぎて、先月初めてエヴァを全編一気に観ました。
色々考えさせられました。
自分なりにシンジとアスカに少しでも明るい未来を用意してあげたくて、
書いてみたんですが、ちょっと長いんです…。
こちらに投下してみてもよろしいもんでしょうか…。
イタモノは注意があった方がいいけど
普通の話は勝手に投下しておK
>>534 テンプレぐらい確認しろよ
ここはイタモノ禁止
そういえば、イタモノってどこに投下すればいいの?
539 :
為:2007/03/03(土) 13:06:48 ID:???
第一章
普段なら見えないような暗い星々も今日はくっきりと瞬いている。
砂浜に打ち寄せる紅い波。
心なしか、空気も血の臭いと味がする。
横たわる1人の少女。
紅い髪、紅いプラグスーツを着た彼女は、その蒼い瞳で天空をじっと見つめる。
何を見ているのかは、わからない。
右腕には包帯が巻かれ、左目には眼帯。
何も言わずに、ただ、空を見ている。
隣には、少年。
うずくまり、泣いている少年。
その手は砂をかきむしり、肩は打ち震えている。
540 :
為:2007/03/03(土) 13:11:35 ID:???
>>539 第一章その2
ここは、どこ?
私は、死んだはずではなかったの?
最後の記憶はどこにあるのか、それもよくわからない。
陵辱され、カラダを切り刻まれ、想像を絶する激痛の中、意識を失った。これで死ぬんだと思った。
死ぬのは嫌だったけど、ママと一緒ならそれでもいいと思っていた。
だが、気がつけば、ここに寝ている。
私は、生きているの?それともここは、天国?
いや、天国じゃなさそうだ。だって、あいつがいるから。
気がついたのは、あいつが私の首を絞めたから。
なぜかわからないけど、この期に及んでまだあいつはバカをやっている。そう思った。
そう思ったら、なぜか急にあいつが可哀想になった。動くはずのない右手が動き、あいつの頬に触れた。そしたら、あいつは泣き出しやがった。女々しいったらありゃしない。
私が憎いんでしょ、だったら殺せばいい。なぜもっと力を入れないの?なぜ最後までやろうとしないの?私もあんたが死ぬほど憎い。私があんたなら、迷わず殺しているわ。いいよ、やりな。その意味での右手。
それを、泣き出しやがった。こっちは無抵抗なのに。思わず口に出た「気持ち悪い」の言葉。でも、その瞬間、あいつの気持ちがなんとなく分かった気がしたの。
541 :
為:2007/03/03(土) 13:14:04 ID:???
>>540 あいつは、バカだ。バカだから、不安なんだ。
私の気持ちも分からずに、私のココロの奥底を覗いたこともないくせに。
直感的に感じるが、今、この世の中には私たち2人だけしかいない。
そんな中、唯一の他人、私が怖いんだ。怖くて泣いている、ただの赤ん坊だ。
独りはもっと怖いくせに、駄々をこねるただのガキんちょだ。
私には、信じられるものができた。あいつには多分まだないんだろう。
だから、ちょっと優しくしてやっただけなのに、もう混乱している。
…。なんか言いなさいよ。いつまで泣いてるの!
わかったわよ、もう。だからいい加減に泣きやみなさいよ、バカシンジ。
542 :
為:2007/03/03(土) 13:16:41 ID:???
>>541 第一章その3
気がついたら、僕はここにいた。
母さんに別れを告げ、戻ってきた。はずだった。
けど、ここはどこだ?ここは、ついさっきまで僕が知っていた場所じゃない。
海は紅いし、量産型の屍があちこちに立っている。
みんなはどこ?みんなも戻ってきているんじゃないの?
せっかくみんなともう一度会いたいと思ったのに、誰もいないの?
ふと横を見ると、そこに1人。
アスカ。
最初は嬉しくて飛び上がりそうだった。僕は独りじゃなかったんだ、そう思った。
けど、アスカのカラダの傷を見たら、色々思い出した。
そうだ、僕はなんてことをしてしまったんだろう。僕がしっかりしていなかったから、サードインパクトが起きちゃったんじゃないのか?
いつまでもメソメソしていたから。もう嫌だ、と肝心な所で逃げ出そうとしたから。だからミサトさんは撃たれ、弐号機は悲惨な最期を遂げたんじゃないのか?僕がもっとしっかりしていれば、ミサトさんも撃たれずに済んだし、弐号機だってやられずに済んだかもしれない。
罰が下ったんだ。これ以上ない罰が。
543 :
為:2007/03/03(土) 13:18:11 ID:???
>>542 僕のせいだ。みんな僕のせいだ。僕がみんなを殺したんだ。
そう思ったら、怖くなった。僕は何をしたらいいんだろう?
僕が居てもいい場所はここだったの?
そして、隣で横になっているこの少女に対して、僕はなんて言ったらいいの?
わからない。わからない。わからないよ。どうしたらいいの?!
誰か教えてよ。誰か助けてよ。
でも、その「誰か」はどこにもいない。綾波もどこかへ行ってしまった。
自分でもなぜだかわからない。けど、気がついたら僕はアスカの首を絞めていた。
アスカは生きていた。暖かかった。首に手をかけると、ドクン、ドクンと彼女の命を直に感じた。
けど、絞めた。力一杯。
アスカは抵抗しなかった。それどころか、ケガをしている右手で僕を受け入れてくれた。僕のココロに触れてくれたんだ。
次の瞬間、力が抜けた。涙が自然に出た。バカだ、僕は本当にバカだ。これじゃ今までとおんなじだ。繰り返しじゃないか。また僕は逃げようとした。アスカというかけがえのない人を殺そうとしたんだ…。
涙が出るのを、泣くのを止めることはできなかった。
ごめんよアスカ。ごめん。本当にごめん。
みんなも、ごめん。本当にごめん。僕のせいでこんなになっちゃった。ごめん。
544 :
533:2007/03/03(土) 13:20:35 ID:???
こんな感じで話進みます。
当方、2ちゃん初心者&初投下なので
「イタモノ」としての境界線は
どのあたりにあるのかはっきりわかりません。
もし、イタモノであるとの判断であれば、上記スレに移動させて頂きます。
よくある駄作って感じでつまらん。
テンプレ見て書いてるのか?
546 :
533:2007/03/03(土) 22:39:01 ID:???
一通り、スレ読みました。
総合に行こうか悩んだんですが、こちらの雰囲気が好きだったので、
こちらで強行します。
目障りだ、という方はお手数ですがスルーしてください。
これはちょっと氏ねだろ
548 :
為:2007/03/03(土) 22:41:12 ID:???
第二章
「ちょっと…、いい加減泣きやみなさいよ…。」
苦しい息の下で、アスカが呟くように言う。その声はシンジに届かない。
「…バカシンジ…」
アスカはありったけの力で体勢を少しずつ変え、右足でシンジを蹴飛ばす。
蹴飛ばす、と言っても今の彼女にはつつく、くらいが精一杯だが。
シンジが気づく。
「ごめん…ごめんよアスカ…ごめん、本当にごめん」
「ごめんって…謝ってもしょうがないでしょ…。
今の…あたしたちに…出来ることをまず…考えなさいよ…」
苦しそうに目を閉じる。
(いやはや、こりゃ生き残ったと言っても瀕死の重傷だわ)
エヴァに乗っていたとは言え、あれだけの目に遭ったのだ。
右腕は痺れて動かない。左目は眼帯がされているが、見えている感じはしない。
他にも、肋骨が何本かやられている。足も自由が利かない。
(まあ、折れた骨が肺に刺さってないだけマシか…。)
とりあえず、優先事項としては、このカラダの治療。
「シンジ…、ここ、どこだかわかる?」
鼻をすすりながら、シンジ、アスカににじり寄る。
「いやわからないけど…。アスカ、大丈夫?」
「大丈夫なわけ…ないでしょ、バカ」
「どこかに病院はないのかな?」
「言ってる暇、あったら…探しなさいよ」
「う、うん」
シンジ、駆け出す。とりあえず、高いところへ。常にアスカが視界に入るように、
慎重に砂浜を突っ切り、崖を駆け上る。
549 :
為:2007/03/03(土) 22:42:27 ID:???
>>548 「うわっ…」
目の前に広がる廃墟。サードインパクトの爆風の影響で、主立った建物はみな倒壊している。看板などを見るに、ここはとりあえず日本のようだ。
(でも街があるということは、どこかに病院があるはず)
とりあえずアスカをここまで連れてこよう。そう思ったシンジは急いで駆け戻る。
「アスカ、大丈夫?」
アスカは返事をしない。意識がない。
(大変だ!急がなきゃ。)
病院に行けば、予備電源はあるだろうし、簡単な検査や治療なら機械がやってくれる。
とにかく急がなければならない。シンジはアスカを抱き上げる。
「ぐっ…」痛みでアスカの顔が歪む。まだ、生きている。
シンジが見たところでは、右手、左目の他、頭部に裂傷、鎖骨と肋骨が何本か折れているようだ。左足も膝の靱帯が切れている。
(とにかく急がなきゃ)
とは言っても乱暴に扱えば、折れた骨が内臓を傷つける。そうなったらシンジにはお手上げだ。
「ごめんよ、アスカ。ちょっと我慢してね。」
シンジはアスカを背負い、ゆっくりと歩き出した。
550 :
為:2007/03/03(土) 22:45:32 ID:???
>>549 第三章
「…ママ」
「ママ、ごめんね、ママ」
はっと目が覚める。
(ここはどこ?)
アスカはベッドに寝かされている。カラダ中ギプスで固定され、左手には点滴まで射されている。
遠くでうなるディーゼルエンジンの音。白い壁に無機質な天井。
(病院?誰かいたの?)
首を起こそうとして、痛みに顔をしかめる。そのしかめた顔が捉えたモノは、
シンジの寝顔。
ベッドに突っ伏して眠っている。横には血まみれの包帯と、ガーゼと洗面器。
(こいつ…看病してくれてたの?)
唯一まともに動く左手でナースコールを探し、押す。が、何の反応も返ってこない。
と、その気配にシンジが気づく。
「アスカ!アスカ!良かった、良かった…。」
後は涙で声にならない。
「バカ、何また泣いてんのよ。それより…」
「うん、ここには誰もいないよ。ここに来てもう一週間になるけど、誰も現れない。」
シンジの答えはある程度予想していたものの、やはりショックだった。
551 :
為:2007/03/03(土) 22:46:17 ID:???
>>550 アスカの顔色に、その気持ちを読みとったシンジが慌てて続ける。
「予備電源が生きていたのが幸いだったよ。ここは、大学病院だったみたいで、
大半は壊れちゃってたけど、それでも使えそうな機械はまだ残ってた。
完璧とはいかないけど、検査もしたよ。内臓に傷はないみたいだから、大丈夫。」
「何が大丈夫よ…、何が…」
「ごめん、アスカ…」
「だからなんで謝るのよっバカ!」
「うっ、ごめん」
「本当に誰もいないの?本当に2人だけなの?」
「うん。ここに来てからも見晴らしのいいところに登って様子を見たりしているんだけど…。」
「…」
「アスカ?」
「…。」
シンジが心配そうにのぞき込む。
「やめてよ、ちょっと疲れただけだから。少し寝るわ。」
「…そう、わかったよ。早く良くなってね。」
シンジはアスカの頬を伝わる涙を見てしまったが、気づいていないふりをした。
そしてそのままアスカが眠りにつくまで、ずっと彼女の動かない右手を握っていた。
552 :
為:2007/03/03(土) 22:48:01 ID:???
>>551 第四章
1ヶ月でアスカは車椅子に乗れるほどに回復した。
日々、少しずつ良くなっていく、その様子を見ているだけでシンジは嬉しいようだ。
「良かった、良かった」を連発する。
(最近の専売特許ね。)
アスカも半ば呆れるくらい、シンジは彼女の一挙手一投足に感激をする。
そのくせ、時折とんでもなく悲しそうな、辛そうな顔をして、
どこかをぼんやりと眺めているのをアスカは知っている。
(まだ気に病んでるんだわ)
まあ、あいつの性格からして、そうそう思い切れるわけはない。
いつかはその気持ちと対決しなくてはいけない時が来るのだろう。
(その時まで、私が逃げ場所、か…。)
アスカはなんとなくわかっている。シンジが自分の看病、介護に集中することで、
今の自分の負い目とも言うべきものから逃げ出していることに。
(はぁ、まあしょうがないわよね。世界はここだけにしかないんだもの。)
彼女はふと、溜め息をつき、それからシンジを探した。
「バカシンジィ、いつまで私をほっとく気?風が冷たいわ。そろそろ戻りましょうよ」
ここは、おそらく以前公園だったであろう場所。
シンジは晴れていれば毎日アスカをここに連れてきている。
「ごめんアスカ、お待たせ」
シンジが現れる。浮かない顔をしている彼を見て、彼女は気づく。
(だから今、それを考えるのは止めなさい。もうちょっとしたら、私も付き合ってあげるから)
彼女はまだよく動かない自分の右手をちら、と見、それから彼を見上げる。
「帰ろ。お腹、空いちゃった」
553 :
為:2007/03/03(土) 22:55:33 ID:???
>>552 第五章
アスカは変わった。
「こんな状況になって、変わらない方がバカでしょ」
と彼女なら言うかもしれない。
どこが変わったのか。一言で言えば、以前より自分に素直になった。
弐号機の中にいた母の魂に触れ、守られることの暖かさを知った。
独りで意地を張ることのつまらなさを知った。
シンジに首を絞められ、相手の気持ちを慮ることを知った。
そして、今、彼がいなければ生きていけない状況下で、人の温かさを知り、
人を信じることの美しさを知ろうとしている。
554 :
為:2007/03/03(土) 22:57:04 ID:???
>>553 (それが罪の意識からだとしても)
シンジがどのような気持ちでアスカに接しているか、彼女にはまだよくわからない。
ここへ来てからの最初の数週間は、まさに寝たきり老人介護だった。
最初の一週間、意識がない彼女の体調管理、カラダの清拭、
下の世話、体位変え、全てシンジがやった。
それに気づいた時、アスカに沸き上がった感情は、まず怒り。
(私のカラダを勝手に!おまえ殺されたいのか!いや殺してやる!)
でもすぐにその怒りは諦めへと変わる。
(いや、でも私のカラダの管理をする人間は目の前のバカしかいないんだわ…)
(そう、今のこいつのおかけで私は生きているんだ)
諦念は、感謝へ。そして今は半ば同情へと昇華している。
意識が戻り、ある程度話もできるようになった頃、シンジに訊いたことがある。
「あんた、なんでここまでできるの?」
シンジはおかゆの入った匙をアスカに向けたところできょとんとした顔をする。
「え…、だってほら、ネルフにいた頃、応急救護とか怪我の処置とか、
講習受けたじゃないか。それを実践してるだけだよ。
あーそうか、アスカはバカらしいとか言って受けなかったよね…。」
…質問の意味が分かっていない。
「あんた、バカぁ?」
思わず口に出る。
「あはっ。久しぶりに聞いたよそのセリフ。なんか嬉しいな。」
「…バカ」
「え?何?」
「…早く寄こしなさいよ、冷めちゃうでしょ!」
「あ、ごめん」
「…あんた、優しいよね…。」
アスカの呟きはシンジには届かない…。
555 :
為:2007/03/03(土) 23:01:43 ID:???
>>554 第六章
セカンドインパクトによって傾いた地球の地軸がサードインパクトによって更に傾いたらしい。
ここ数日、とんでもない量の雨が続く。
この病院はある程度の高台に位置しているからまだ大丈夫そうだが、
下の方はかなり水没してきている。
倒壊した建物もこの数日の雨で更に傷んだらしく、あちらこちらで崩壊が始まっていた。
アスカ。只今歩行訓練中。
556 :
為:2007/03/03(土) 23:03:50 ID:???
>>555 第六章その2
人間様のカラダってスゴイわね。我ながら笑っちゃうわ。
あんなにひどいケガをしたのに、たかだか1ヶ月ちょっとでここまで回復している。
まあ、このカラダについた傷跡は一生残るだろうけれどね…。
3日前、シンジがトイレに行っている隙にベッドを抜け出して鏡を見たわ。
ひどい顔だった。これじゃあシンジが部屋中の鏡を隠すのも無理ないわ。
そのくせ女子トイレには立ち入れないところもシンジらしいけど。
数ヶ月前までは自慢だった白い肌。シミひとつない綺麗な肌。
今は、傷だらけ。傷跡はおそらく一生消えない。
他にもあちこちにアザやどす黒い跡が残っている。
これじゃあ、みんなが戻ってきても私だとはわからないんじゃないかしら?
でも、不思議と平静だった。
今までの自分であれば、自分のアイデンティティを失うような事態に発狂していたかもしれない。
確かに最初は頭が真っ白になったわ。
予想していたとはいえ、ここまでひどいとは思わなかったもの。
思わず、涙が出た。
でも、同時に思えたの。
これは、ママと一緒にいたという証。
557 :
為:2007/03/03(土) 23:04:42 ID:???
>>556 誰かが、囁いた気がした。
びっくりして後ろを振り返ったけれど、勿論誰もいない。
でも確かに聞こえたの。
「私はあなたのそばにいるわ」
それは、ママの声。
「大丈夫、全て受け入れなさい。今のあなたになら、それができるはずよ。」
確かにママはそう言ってくれたわ。
もう戻れない。戻れないから、受け入れるしかない。
私はもう一度、自分の顔を眺めた。
うん、覚悟を決めた顔って意外と凛々しくていいじゃない。
そう思えたから、私は私を捜すバカシンジの声に答えてあげた。
「ちょっとバカシンジ!紙がないじゃない!持ってきてよ」
困ったような奴の返事に私は声を出して笑った。
またちょっと涙が出た。
カラダの傷は残るかもしれないけれど、
ココロの傷は消すことが出来そうだわ。
ありがとう、ママ。
558 :
為:2007/03/03(土) 23:06:34 ID:???
>>557 第六章その3
アスカに見られちゃった。
アスカに自分の顔を見られちゃった。
包帯を代えるたびに目にした紫色の傷跡。
カラダを拭くたびに網膜に焼き付くどす黒いアザ。
彼女が自慢してきたものが失われてしまった。
それも僕のせいで。
僕はどうしたらいいかわからなかった。
だからとりあえず部屋中の鏡を隠した。
今はまだアスカには見て欲しくなかったし。
でも、アスカは僕がちょっと席を外した隙に、
女子トイレに駆け込んで自分の今の姿を見ちゃったんだ。
僕は呼ばれてトイレットペーパーを持っていくまで、それに気づかなかった。
おずおずとトイレに入って、そこに並んでいる鏡を見て
初めてアスカがわざわざここまで来た意味を知った。
そして、彼女の頬に流れた涙の跡に、アスカがどんな思いで今を見つめていたかを。
僕には「ごめん」としか言えなかった。
あれから3日、アスカは何も話してくれない。
やっぱり僕を許してはくれないんだろう。
僕はただ、黙って食事を作り、身の回りの世話をするだけ。
雨がひどくて散歩にも出られない。
アスカから逃げるつもりはないけれど、でも、彼女になんて言ったらいいのかわからない。
こうしていると、つらい。
>>546 あのさ、前にお前みたいに自分勝手に強行したやつがいたせいで
このスレではきっちりしたテンプレを作って、それを順守することに
なったんだ。
そういうことを理解できずに好き勝手にやられると作品の内容以前に
迷惑だから出てってくれ。
(いやだったらスルーしてくれというのは論外。それで以前問題になったん
だから)
560 :
533:2007/03/03(土) 23:28:52 ID:???
>>559 そうだったんですか。大変失礼しました。
まだまだ勉強不足した。しっかり学んで出直します。
ご不快・ご迷惑、すいませんでした。
だがちょっと待ってほしい。この話は別にテンプレ違反していないのではないだろうか。
読んでいないけど、違反していないならOKよん
>>560 それ以来粘着さんが張り付いてるからテンプレ違反じゃないなら気にしなくても良いよ
564 :
560:2007/03/03(土) 23:58:36 ID:???
みなさんありがとうございます。
結局どこからがイタモノでどこまでがイタモノでないか、
という線引きに悩みました。
アスカもシンジも背負っているココロの傷を、少しでも軽くしてあげたい、
そんな思いで書きました。
なので、心理描写はこの先も続きます。
この程度?の登場人物の悩み・苦しみは大丈夫、
という判断をしてもよろしいのでしょうか。
長文すいません。
2ちゃんでそこまで人の顔色窺わなくてもいいよ
566 :
563:2007/03/04(日) 00:21:36 ID:???
現状で判断するなら俺はおk、ほかの奴はシラネ
今後の展開次第の面もあるからそれ以上はワカラン
ここで特にイタモノとして扱われるのはテンプレ
>>1にある
★このスレはイタモノ禁止です。イタモノの定義はおすLASスレに準じます(以下引用)
>自分が痛いと感じなくても、多くの人が痛みを感じる場合があります。
>特に以下の3つのどれかが含まれる時には投下を控えましょう。
>○アスカとシンジが別の異性との絡みを持つ(惹かれる、キスやセックスなど)
>○想い合っていても、二人が離別・死別する
>○精神的な苦痛、肉体的な苦痛の描写が激しい
の三種類。他のものはエヴァ板のローカルルールと一般常識の範囲内であれば
問題ないと思う。
568 :
為:2007/03/04(日) 00:36:29 ID:???
ではご厚意に甘えて再開させて頂きます。
あまり一気に投下はせず、ゆっくりとやっていきますので、
よろしくおねがいします。
第七章
「ねえ、今日は外に出れそうよ」
朝、突然アスカが言った。
「え?う、うんそうだね。雨も止んでるみたいだし。」
シンジはちょっと驚く。久々に聞く彼女の声。思わず涙ぐむ。
「はぁ?あんた何泣いてるの?バカぁ?」
アスカ節が帰ってきている。
「ご、ごめん。すぐに支度するから」
シンジ、大あわてで食事の後かたづけ。
569 :
為:2007/03/04(日) 00:38:34 ID:???
>>568 第七章その2
あれからしばらく考えたわ。
今までの私は、臆病な自尊心に固められた幼い子供だった。
誰かに見ていて欲しい、誰かに認めて欲しい。
そのためにエヴァに乗ったし、それだけが生き甲斐だったわ。
加持さんを好きだったのも、彼が私の傍にずっといてくれたからだったのかもしれない。
私は多分お父さんを求めていたのね…。
だけど、シンジと会って、私の臆病な自尊心、高慢な虚栄心は粉砕された。
使徒との戦いで私はそれを暴かれ、汚された。
私は二度、死んだの。戦自が攻めてきた時、私のココロは死んでいたの。
それを蘇らせてくれたのは、ママ。
ママが弐号機にいて、ずっと私を見ていてくれた。
私がATフィールド、ココロの壁を開くとママが抱きしめてくれて。包み込んでくれて。
ママのATフィールドがずっと私を守っていてくれた。
私は、生まれ変わった気がした。
探していたモノが、そこにあったような気がしたの。
もう、誰かを求めなくてもいい。ここにママがいてくれるから。
量産型と戦っている時、私は幸せだったわ。
でも、その時間は呆気なく悪夢に変わった。
私はここでもう一度死んだの。
そして、あの砂浜でまた生まれ変わった。
570 :
為:2007/03/04(日) 00:39:45 ID:???
>>569 リンネテンセイ、って言葉があるんだってね。
人は死んでも生まれ変わる。生きて、死ぬ。それを繰り返す。
色々な罪を犯しながら、周りを許し、許されながら、人生を繰り返す。
シンジがいて、首を絞められて、それがわかった。
今、私にはココロの中にママが、
目の前にはシンジがいる。
シンジの事は憎んでいたし、大嫌いだった。
私をこんな目に遭わせたのもシンジ。
だけど、私はシンジを許そうと思う。
ココロの奥底に、私のそばにいたシンジを思い浮かべることができるから。
今のあいつの気持ち、なんとなく分かる。
あいつは私ほど変わってはいない。というか、全く変わっていない。
きっと今でも自分を責め続けている。
シンジ、独りで背負わなくてもいいんだよ。
あんたにも心の中であんたを見守ってくれている人、
目の前であんたを見続けている人がいるんだから。
571 :
為:2007/03/04(日) 00:41:11 ID:???
>>570 第七章その3
今日、久しぶりにアスカが話しかけてくれた。
ここ数日は何を話しかけても生返事ばかりだったから、すごく嬉しい。
嬉しい。けど、不安だ。はっきり言えば、怖い。
アスカは自分の状況を的確に把握しているだろう。
自分のケガの状態、もう元には戻らないカラダ。
みんな、僕のせいだ。
僕は泣き虫で卑怯者で、素直になれなかった。
今の世界は僕が作ったと言ってもいい。
みんな死んじゃえ、と思った。
そしたらみんな死んじゃった。
僕も死んじゃえ、と思った。
それなのに僕は帰ってきてしまった。
みんなともう一度会いたい、そう願ったから僕は戻って来れた。
けど、みんなは戻って来れなかった。
ミサトさん、綾波、リツコさん、ケンスケ、委員長、伊吹さんに日向さんに青葉さん、副指令。
そして父さん。それにトウジや加持さん。
みんなみんな、僕の大切な人だったんだ。
僕はみんなを殺してしまった。
それなのにここで生きている。
今まではアスカの傷の手当てとかしなくちゃいけなかった。
けど、アスカももうだいぶ良くなった。
きっとアスカは僕のしたことを許してくれないだろう。
僕には謝ることしかできない。
いや、謝る以上のことをしなくちゃいけないと思う。
でも、向こうに行っても誰も許してくれないだろうな…。
僕は世界を破滅させた悪魔なんだから。
572 :
為:2007/03/04(日) 00:43:03 ID:???
>>570 第七章その4
シンジは片づけを終えた。
彼の性格からして、部屋の中は綺麗に片づいている。
そこの机の引き出しには、食料の貯蔵場所、医療機器の簡単な操作方法などが描かれたメモが入っている。
彼は、その引き出しを二度、トントンと軽く叩いてから、隣室のアスカの部屋に声をかけた。
「準備できたよ。まだそんなに天気も良くないし、早めにすまそう」
「だったらもうちょっと早くしなさいよ、レディーを待たせるなんてサイテーよバカシンジ」
シンジは微笑みを浮かべて、アスカのところへ向かった。
573 :
560:2007/03/04(日) 00:47:36 ID:???
とりうえず、今日はここまでにします。
もしよろしければ、明日以降、順次投下します。
皆さんのご支援に感謝致します。
ありがとうございました。
LRSスレ荒らすのは止めてください
巣に帰れ
576 :
為:2007/03/04(日) 22:57:55 ID:???
>>572 第八章
雨は止んだとは言え、雲はまだ多く、風も強い。
「んー、これは今日もちょっと無理か…」
珍しくアスカがそう思ったくらいに。
「いや、今日を逃すとまたしばらく缶詰になりそうだから、
行けるところまで行ってみようよ」
珍しくシンジが決めた。出発。
病院の廃墟からシンジの介助でアスカが進み出る。
アスカ、この頃はもう松葉杖。
まだ早い、というシンジの声を無視してこれに決めた。
なにより、シンジをぶっ叩くのにちょうどいい。
そのたびによろめいて、今叩いた相手に支えてもらうのだが。
ゆっくり、ゆっくりといつもの公園に向かう。
一週間以上続いた大雨で、海抜の低いところは完全に水没している。
あの砂浜も今は見ることが出来ない。
「あ、アスカ、今日はこっちの方へ行かない?」
シンジがアスカの答えを聞く前に坂を下り始める。
「ちょっ、どーしたのよ待ちなさいよバカシンジ!」
アスカ、慌ててついていこうとするも、松葉杖だけになかなか進まない。
577 :
為:2007/03/04(日) 22:59:11 ID:???
>>576 15分ほど大汗をかきながらシンジにおいつくと、そには黒く焦げた棒、
鉄パイプ、コンクリートブロックなどが整然と並んでいる。
「何よこれ…?」
答えを半ば予期しつつ、アスカが答える。
「うん、お墓だよ。これがミサトさん、これがリツコさん、これが綾波で…」
シンジが淡々と説明する。
「お父さんが前言っていたんだ。ココロの中にいればそれでいい、って。
だから僕の母さんのお墓も形だけのもので、実際に母さんがそこにいるわけじゃない。
けど、僕は自分たちの心の中で生きているみんなと会うために、ここへこういうものを作った。
石が見当たらないから、そのへんは適当なものなんだけど…。」
アスカは一瞬呆気にとられたが、すぐに反発する。
「あんた、バカぁ?どうしてミサトやファーストを死んだものとして決めつけるのよ!
きっと帰ってくるわよ!」
シンジは無言でアスカを見つめる。涙をためた目。アスカをじっと見る。
「な、なによ…」
シンジは何も言わず、しばらくアスカを見つめた上で、微笑んだ。
「ごめんね。」
アスカは、シンジの気持ちの重さをなんとなく理解した。
そうしたら、やっぱり、何も言えなくなった。
2人は無言で坂を上る。
今度はシンジがアスカに肩を貸して。
578 :
為:2007/03/04(日) 23:08:26 ID:???
>>577 第九章
「はぁ、ようやく着いたわ。」
もう昼時になる。普通に歩けば、墓のある丘を経由しても病院からは徒歩30分ほどであろう。
けれども今のアスカのカラダにはそのペースでの移動は無理だ。
たとえ驚異的な回復をしているとしても。
「ねえシンジ、何か食べるもの持ってきていないの?」
アスカの問いにシンジは答えない。
ベンチ(と言っても、噴水が崩れた後に残ったコンクリのブロックなのだが)
に腰掛けているアスカからちょっと離れて背を向けている。
「ねえ、アスカ」
「ん?まさか弁当忘れたんじゃないでしょうねぇ」
アスカはゆっくりと松葉杖をそばに引き寄せながらシンジを睨み付ける。
579 :
為:2007/03/04(日) 23:09:19 ID:???
>>578 「僕、色々考えたんだ。」
シンジはアスカの問いかけを無視して続ける。
「どうしてサードインパクトが起きたのかを。」
(知っているわ。)
アスカは分かっている。が、返事をせず、彼を見つめる。
「結局、僕がだらしなかったから、こうなったんだ。
アスカが苦しんでいる時に僕はアスカにひどいことをした。
アスカが戦っている時、僕は逃げようとしていた。
ミサトさんが撃たれたのは僕がぐずぐずしていたせいなんだ。」
「…」黙って聞く。左手は松葉杖を握りしめたまま。
「人類補完計画は僕が壊れたことで始まってしまった。
みんな大きくなった綾波のようなものに吸い込まれ、帰ってこなかった。
僕は母さんに出逢い、みんなと再び会いたい、
他人の恐怖が再び始まろうと、みんなともう一度会いたい、そう思った。
そうしたら、僕はここに戻ってきた。」
アスカはうなづく。シンジに気づかれないように寄りかかっていた背中を若干前屈みにする。
「けど、誰も戻ってこない。アスカ以外は。正直に言うよ。
僕はアスカが戻ってきて、嬉しかった。けど、次の瞬間は怖くなったんだ。
僕はアスカにひどいことをした。僕のせいでみんな死んじゃった。
僕は悪魔だ。アスカの看病をずーっとしていたのだって、
自分の罪の重さから逃げていただけなんだ!」
さらに右足に重心を移動させ、腰を若干浮かせる。
「それで、シンジは何を考えているの?何をしたいの?」
「アスカはきっと僕を許してはくれないだろうし、なにより僕は僕を許せないんだ。
全てから逃げ、曖昧なままで過ごしてきたせいで、僕はこれ以上ない罪を犯したんだよ。
僕にはもうこれくらいしか残されていないんだ」
580 :
為:2007/03/04(日) 23:10:10 ID:???
>>579 全てが一瞬だった。シンジがこちらを振り向きざま、ナイフを取り出し喉を貫こうとするのと、
アスカの右足での跳躍から左手に握られた松葉杖が彼の右腕を打ち付けるまで、
おそらく1秒もかからなかったのではないか。
右手をしたたかに打たれ、ナイフを取り落とすシンジ。
地面に落ちたナイフを、手を打ち付けたその勢いで遠くに飛ばすアスカの松葉杖。
「バカ!バカバカバカバカ!バカシンジ!」
真っ赤になって叫ぶアスカ。
「あんただけじゃないのよ!ここにもう1人、同じ思いを抱いている人間がいるのよ!」
最後の方は涙で声にならない。
「アスカは違うよ。みんな僕が悪いんだ!僕はこの世界で生きてちゃいけないんだ!」
そういうと、シンジはアスカに背を向けて走り出した。
「ごめんアスカ。さよなら」
アスカは必死に追いかけるが、追いつくはずもない。
「神様!シンジを死なせないで!」
足を引きずりながら懸命に追うアスカ。
ふいに光につつまれた気がした。
「ママ?」
「アスカ、早くお行きなさい。そして、あなたの愛する人を救いなさい。
あなたしかいないのよ、彼を救えるのは。」
母の声に敢然とした表情で頷くアスカ。
彼女は松葉杖を投げ捨てると絶叫をあげ、シンジの後を追った。
581 :
為:2007/03/04(日) 23:12:43 ID:???
>>580 第九章その2
バカシンジ!
バカシンジ!
バカシンジ!
あんたはいつもいつも自分の気持ちだけで自己完結を計ろうとしていたわ。
私も昔はそうだったからわかる。
でも私はサードインパクトで変わることが出来た。
シンジにいてもらって変わることが出来た。
私にできて、あんたにできない筈はないのよ!
あんた何をしてほしいの?
何が欲しいの?
私が持てるものなら全てくれてやるわ!
私はまだあなたを憎いと思っている。
けど、その気持ちを上書きするかのように、
シンジを想う気持ちが大きくなっている。
ここで死なせやしないから!
私、まだ変わるんだから!
私、まだ伝えていないんだから!
だから、待ちなさいよバカシンジ!
頑張れアスカ、ここであいつに死なれたら、私は一生自分を許さないからね!
足が折れても筋が切れてもまた治るわ。
けど、あいつを失ったら、もう私のココロの傷は治らない。
絶対死んでも追いつけバカアスカ!!
582 :
為:2007/03/04(日) 23:42:17 ID:???
>>581 第九章その3
シンジは廃墟と化したビル、おそらくデパートか何かであった建物の中に駆け込んだ。
痛みが激しい。すぐにでも崩れそうだ。
上に上れそうなルートを探る。
ここは地下駐車場があった関係で、崩れた建物は地上二階程度の高さだが、
下は地下四階程度まで穴が空いている。
ナイフを奪われたらここにしよう、と以前から決めていた。
店内のほぼ中央にエスカレータの残骸がある。だがここは完全に埋まっている。
奥の階段に若干のスキマがあり、そこから上れそうだ。
「…バカ!バカシンジ!」
奥の階段に顔を突っ込もうとした時、後ろから泣き声ともつかぬ絶叫が彼を貫いた。
シンジの動きが、止まる。
「バカ!バカシンジ!」
見てなくても肩をふるわせているのが分かる。
泣き顔を人に絶対見せたがらない女が肩を震わせて泣いている。
「弱虫!意気地なし!なんでそこでまた逃げるのよ!」
「アスカに僕の気持ちなんてわからないよ!」
思わず口に出た言葉。瞬間、シンジのココロに浮かぶのは
アスカにまたひどいこと言っちゃった、という罪悪感。
だが、その答えはシンジには予想外だった。
「よく分かるわよ!だってシンジは私だもの!」
「アスカが僕?」思わず振り返ってアスカを見る。
「そうよ、何が僕のせいよ!この世界に生き残ったのはあんた1人だとでも言いたいの?
私もいるのよ!あんたがサードインパクトを引き起こしたというのなら、
弐号機で量産型を止められなかった私だって同罪よ!」
「そんなことはないよ!僕がもっとしっかりしていればよかったんだ!」
「あんたバカぁ?私たちはエヴァのパイロットよ!初号機だけ特別扱いは許さないわ!
私たち、一蓮托生だったのよ、運命共同体だったのよ!一緒に戦ったじゃない、仲は良くなかったけど。」
「…。」
583 :
為:2007/03/04(日) 23:44:39 ID:???
>>582 「あれから私はあんたにプライドを傷つけられ、使徒に自我を崩壊させられ、
廃人同様になったわ、けど、そうなったことで、
ママが弐号機で私を守ってくれていたってことがわかったし、
弐号機は死んだけど、ママは私の心の中にいて、私を見守ってくれているわ。
シンジ、初号機にあんたのママもいたんでしょ?」
「でも母さんは初号機に残ったよ。遠くへ行ってしまった。」
「でもそれはシンジが望んだことなんでしょ?」
「…そうだ。そうだよ。みんなに会いたかったから。けど…」
「けど、じゃないのよ。確かにみんな戻ってこないわ。
そしてあんたはそれを自分のせいだと責め続けている。
自分が殺したんだと責めている。
じゃあ、私たちは今まで何人の人間を殺してきたの?
私はこの前の戦自との戦いでおそらく数百人単位の兵士を殺したわ。
でも、悔やんではいない。そうしなければ私が殺されていたから。
そして、私はそのことを忘れない。
私の命は、その数百の命によって守られたものである、ということを。」
「で、でも…」
「シンジだってそうでしょ!あんたの命は、
あなたの大切な人たちが守ってくれたから、いまそこにあるんでしょーが!
それを何?捨てるの?それこそ欺瞞、偽善だわ。
ミサトやリツコがそんなこと望むと思うの?あんたの母さんがそれを望むと思うの?」
584 :
為:2007/03/04(日) 23:49:05 ID:???
>>583 シンジの動きが止まった。ここからが勝負。アスカが身構える。
足場の悪いここからシンジのいる場所まで一足飛びで2秒半。
シンジが階段脇のスキマから上に姿を消すことができるまで1秒ほどだろう。
ここで追いつけなければ、今のアスカに瓦礫の山を登る体力はない。
チャンスは一度。彼の反応を遅らせられれば…。
アスカは覚悟を決めた。シンジを見つめる。左目はまだほとんど見えないが、
澄んだ蒼い瞳がシンジの心を射抜き、包み込む。深呼吸をして、一気に吐き出した。
「それに、私は、シンジがいなくなっちゃったら、生きていけない!」
シンジが慌てた表情で、こっちへ突進してくる。
(何?じゃあ私を殺して自分も死ぬってか?ハッそれでもいいわよ。
私は少なくともこの世界に1人で残るつもりは毛頭ないから。)
「アスカ!危ない!」
声が聞こえるのと、シンジが彼女を抱きかかえて外に飛び出そうとするのがほぼ同時。
そして、天井が崩れてアスカの頭上に落下したのも、ほぼ同時。
585 :
為:2007/03/04(日) 23:51:58 ID:???
>>584 第九章その4
まさか、あんなこと言われるなんて思わなかった。
アスカは絶対僕のことを恨んでいると思っていた。
僕もアスカのこと、恨んでいたかもしれない。
助けて欲しい時に、助けてくれなかったから。
でも、今になって思える。彼女が一番ココロを開いていてくれたのは、この僕だった。
僕は、自分しか見ていなくて、彼女のサインに気づかなかったんだ。
なんて僕はバカなんだろう。
バカシンジって言われるのも無理ないや。
突然の告白を受けて、頭が真っ白になった。
その分、反応が遅れた。
天井が崩れ、2トンはあろうかというコンクリの角材がアスカの頭上へ。
瞬間叫んで走り出しながら、それをきっかけに次々と崩れていく建物を感じた。
ダメだ、いけない、アスカを死なせちゃいけないんだ。
僕ってつくづくバカだよな。
彼女を抱きかかえ、光の見える方向へ滑り込むように身を投げ出しながら、そう思った。
こんな時になって自分の気持ちに気づいても、死んじゃったら伝えられないじゃないか。
586 :
為:2007/03/04(日) 23:52:57 ID:???
>>585 思えば、第一印象は最悪だった。なんだこの高飛車女は、と思った。
けど、イスラフェル戦、あの数日間で僕の見方は少し変わった。
アスカは、普通の女の子で、むしろ弱い部分を隠すために、ああいう態度を取っているのじゃないかな、って。
でも、とりあえず、そう思ったからって何かが変わるわけじゃない。
普通の戦友として、友人の1人として、つきあえるようになっただけだ。
でも、あのディラックの海から帰ってきた頃から、
ミサトさんとの3人での共同生活がうまくいかなくなったころから、
僕はアスカを見ていた。
いや、アスカに甘えていた。だってアスカしかいなかったから。
アスカしかいなかったから。まだまだお互い子供だったけど、
ああ、今でもまだ子供さ、
けど、今、アスカは死なせちゃいけないんだ。
僕を見ていてくれた、僕を許してくれた、僕のココロに触れてくれた、
そんなアスカを死なせちゃいけないんだ…。
あれ、でもこれってなんだか走馬燈のようだよね…。
死ぬのかな…?
嫌だ、死にたくない。
アスカにもう一度、会いたい…。
四円
588 :
為:2007/03/05(月) 00:03:45 ID:???
すいませんまた長くなってしまった…orz
次で終わると思います。
もうしばしお付き合い下さると嬉しいです。
規制かと思った
読んでるよー
楽しみにしてますよ〜。
591 :
為:2007/03/06(火) 00:30:52 ID:???
>>586 第十章
轟音とともに、その建物は崩れ落ちた。
あたり一面の埃は直後に再び降り出した雨で、すぐに収まった。
「死なせるもんか死なせるもんか絶対死なせないから!」
アスカが泣きながらシンジにすがりつく。
「バカシンジ!起きなさいよ!死んだら一生あんたを許さないわよ!」
「ねぇ、ダメよ、置いていかないで、イヤよ死んじゃイヤ。」
シンジの半歩の踏み出しの遅れが、まさに半歩差で彼だけを瓦礫の下に押しとどめた。
腰から下がコンクリの角材の下敷きになっている。
アスカ1人の力では抜けない。頭でも打ったのか、本人の意識は既にない。
「ダメよ、ダメ、バカぁ、一緒に帰って晩ご飯作ってよ!」
アスカは半ば半狂乱でシンジの頭を抱きしめて泣いている。
「神様お願い、私の命を半分あげてもいい、シンジを助けて!」
「私がようやく見つけた愛する人を奪っていかないで!」
592 :
為:2007/03/06(火) 00:31:46 ID:???
>>591 次の瞬間、シンジに光が差した。
呆気にとられるアスカ。
「シンジの…ママ?遠くに行っちゃったんじゃなかったの?」
その光は人の形をつくりだす。
「人?いや、これはエヴァだわ、初号機だわ。」
その光は、大きさはアスカよりやや高いくらいとは言え、
初号機のシルエットそのままだった。
なぜ?という疑問を考える余裕はない。
アスカとエヴァ初号機は手近に転がっている長めの鉄材を隙間に押し込む。
テコの原理を使おうという考えだ。
そんな中、アスカは気づく。
ああ、今になって気づく。
普通に動いているこの右腕。
(私の右手は、シンジを離さないために、
離れてほしくなかったから、動かなかったんだ…。)
593 :
為:2007/03/06(火) 00:32:33 ID:???
>>592 「シンジのママ、助けて!」
今や初号機となった光の陰は、ゆっくりと鉄材を掴むと、
やがて渾身の力で角材を持ち上げ始めた。
「お願い、お願い、あと少し!」
シンジをゆっくりと引っ張り出す。
「シンジ!シンジ!」
頬をひっぱたく。反応がない。
「はやく帰らなきゃ!」
光のエヴァ初号機は、シンジを引っ張り出すと、そのままアスカの方を向く。
「え?」
アスカがとまどっているうちに、光は消えた。
「うっ」
シンジが叫ぶ。意識が一瞬戻ったらしい。
「シンジ!ぜったい助けるからね!」
今度こそ私の番だ!
アスカはシンジを背負いながら思った。
594 :
為:2007/03/06(火) 00:34:02 ID:???
>>593 第十一章
ここは、どこだろう?
アスカを抱きしめて、外に向かって突進したのは覚えている。
後は、轟音がして、目の前が真っ暗になった。
ここは、どこ?天国?それとも地獄?
僕は、死んだのかな?死んだんだろうな…。
僕は、アスカを愛していた。大好きだった。
でも、今それに気づいても遅い。
もうこの口で僕の気持ちを彼女に伝えることはできない。
今まで、逃げてばかりいた。不安で、怖くて、人が信じられなかった。
僕の両手は血で染まっている。
いくらみんなのためとは言え、僕はたくさんの人を殺したんだ。
その罪を償うことはできない。
「…」
え?誰?
「シンジ…」
「…母さん?」
「シンジ、まだよ。あなたはそうやって自分を責め続ける。
それであなたが救われるなら、それでもいいわ。けど、そうではないの。」
あなたは、優しい子。優しいから、人を傷つけるより、自分が傷つく方を選ぶ子。」
でも、母さんは、そんな思いやりのあるシンジが大好きよ。」
「…そんなことないよ、母さん。僕は、アスカを1人にしてしまった…。
アスカを1人にしてしまうことの意味に気づかなかった。
アスカを愛しているという真実からも逃げ出してしまった…。
結局自分勝手なだけなんだ…。」
595 :
為:2007/03/06(火) 00:34:53 ID:???
>>594 「そうね、確かに死のうとしたのは勝手だわ。けれどもまだ遅くはないの。
あなたは死んでもいないし、アスカちゃんを1人にしてもいないわ。」
「え?じゃあ僕は…生きているの?」
「戻りなさい、彼女のいる世界へ。そして、いろんな経験をしなさい。
戦いや苦悩ではなく、触れ合いや喜びを経験なさい。
人を嫌い、避けるのではなく、人を愛し、信じることをしてみなさい。
そうすれば、あなたはきっと素敵な大人になれるわ。」
「経験?」
「そう。色々な経験をすることで、あなたの世界への扉が1つずつ開かれるわ。
あなたは戦いばかりを経験してきた。それじゃあダメ。
まだまだ他の経験という栄養が足りないのよ。
何もしないで傷つくなら、何かをして傷つきなさい。
それはとても怖いことかもしれないけれど、必ずあなたを大きくするから。」
「母さん…」
「わかっているわ、さあ、早く目を覚まして、アスカちゃんに伝えなさい。
あの子が人一倍寂しがり屋だったこと、あなたは知っているはずよ。
そして、今のあなたなら彼女に自分の気持ちをおそれることなく、伝えられるはず…。」
そして、アスカちゃんと一緒に、その一歩を踏み出しなさい。
彼女もあなたと同じ。喜びや愛を2人で経験しなさい。2人ならそんなに怖くはないわ。」
「…うん、わかったよ。ありがとう、母さん。」
「私は、あなたのココロの中にもいるわ。
忘れないで、私はいつも見守っているから。シンジを、アスカちゃんを。
さあ、早く彼女を安心させてあげなさい。わかったなら、さあ、いきなさい。」
「うん。…ありがとう、母さん。」
596 :
為:2007/03/06(火) 00:36:15 ID:???
>>593 ×光の陰
○光の影
です。誤字すいません。
597 :
為:2007/03/06(火) 00:38:15 ID:???
>>595 第十一章その2
目をうっすらと開ける。無機質な白い天井。
あれからどれくらいの時が流れたんだろう…。
顔をあげる。
「痛っ…」
全身が軋む。首を起こすのがとりあえず精一杯。
だが、今のシンジにはそれよりも…。
「アスカ…」
ベッドに突っ伏して眠るアスカに声をかける。
「ひゃっ!」
アスカ、飛び起きる。目が赤い。まぶたが腫れぼったい。
「ごめんよ、アスカ。もう大丈夫。もう死んだり…」
シンジの言葉はアスカの抱擁によって遮られた。
「…シンジ、よかった…。」
泣くアスカの顔に自分の顔を付き合わせる。
澄んだ瞳が綺麗だ。こんな美しいアスカは初めて見る。
「ごめんねアスカ。でもアスカが無事で本当に良かった…。」
アスカ、声にならない声で頷く。
「夢の中で母さんに会ったよ。母さんは僕に教えてくれた。
僕にはまだまだ色々な経験が足りないって。
僕はそう言われて気づいたんだ。僕の気持ちに。
アスカと一緒に色々な経験をしていきたいっていう僕の気持ちに。」
アスカは泣きじゃくりながらシンジにしがみつく。
「ダメ、もう絶対どこにも行かないで…。」
「うん。行かないよ。
僕の中の臆病で我が儘な暗闇はあの時死んだんだ。
僕はアスカと共に生きる。」
アスカの髪を撫でながら、シンジは窓の外を見た。
雨は止み、青空が広がっていた。
598 :
為:2007/03/06(火) 00:41:45 ID:???
>>597 最終章
翌朝、目を覚ましたシンジは、
珍しくアスカが自分より先に起き出していることを知った。
「アスカ?どこにいるの?」
アスカはここにはいない。
彼女は先日シンジと訪れたお墓に来ていた。
友人や、ミサト、リツコ、ネルフの仲間たち、そして綾波。順番に花を手向ける。
最後に、碇ゲンドウと、碇ユイのところへ。
「ありがとうございました。」
深々と礼をする。
あの時、近づいてきた光はアスカにこう言ったのだ。
「2人で生きなさい。息子を頼むわね。」
確かに心の中にそう響いた。
エヴァとシンクロしている、ということは、アスカのママやシンジのママも
少しずつ私たちに取り込まれていたのではないか、アスカはそう感じている。
特にシンジはゼルエル戦で400%という空前絶後のシンクロ率を叩きだし、
エヴァに取り込まれ、結果、LCLに1ヶ月間溶け込んでいた。
その間に、碇ユイの、エヴァ初号機の魂を、若干でも取り込んだのではないか、
そんな気がしている。だから、あの時、エヴァが現れた。アスカはそう思っている。
「また来ます、おかあさん。」
そういうと、アスカは、シンジの待つ病室に向かった。
599 :
為:2007/03/06(火) 00:42:54 ID:???
>>598 後日談は短い。アスカは少し素直になり、色々な事を学んだ。
だが、あの口の悪さと手の早さだけは直ることがなかったのはご愛敬。
シンジが、アスカに改めて自身の気持ちを告白した時、
彼女の反応は、そっぽを向いた上で
「ハン、しょうがないわねぇ。あんた私に一生尽くすのよ」
だった。そのくせ、デコピンでもしようとシンジに向き直った時には泣いていた。
シンジはそんな彼女を抱きしめ、キスをした。
そこにユイがいたら、その美しいキスに微笑んだことだろう。
そして、その年のアスカの誕生日に、2人は病院を出て、どこかに向かった。
2人が、新世界のアダムとイヴになったのかどうかは、この際どうでもいいこと。
了
600 :
為:2007/03/06(火) 00:47:53 ID:???
長い間無駄にレスを消費しまして失礼致しました。
これで終わりです。
新参者が不届きなことをしでかしたと今になって恐縮しております。
暖かい目でお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
とてもいい話でした。お疲れ様。
また書いてみてくださいね。
長いウンコだったな
もう来んなよ、臭いから
>後日談は短い。
このフレーズいいな。今度どこかで使わせてもらうよw
乙です。
結局スレのルールとしても問題なかったし、そんな恐縮しなくても大丈夫。
むしろ作者自身のコメントとかそんなに出さなくても大丈夫です。あまりに卑屈だと、却って印象悪くするし。
感想や批評批判以前のしょーもない煽りは、この手のスレのお約束なので、やはり気にしないでください。
また新作あったらヨロシクお願いします。
面白かった。乙
夜明け前の街。
その街の坂を幾重も下った先に小さな船着き場がある。
1人の少女が佇んでいる。
いや、佇んでいるというよりは、誰かを待っているようだ。
それもかなりイライラしながら。
と、彼女が見上げる。坂の頂上あたりを。
足音が聞こえる。それも駆け足。
人影が現れ、転がるように坂道を下り、彼女の元へやってきた。
「はあっ、はあっ…。」
息を整える暇もなく、上から目線の声が響く。
「おっそっいー。いつまで待たせるつもりよーっ。」
怒っているようで、甘えた声。
「ごめん、アスカ。ちょっと出発に手間取っちゃって。」
「何よー言い訳なんて聞きたくないわ。
私をこんなに待たせておいて。」
「だからごめんってば。でもね、後から追っかける身としては、
準備が大変だったんだよ。」
「はいはい、言い訳は後で聞いてあげる。そろそろ出発の時間よ。」
>>606 2人は手を繋いで船に乗る。美しい木造の帆船。
水鳥の羽を模した装飾に目を見張る。
「スゴイ。綺麗な船だね。こんなのに乗せてもらっていいのかな?」
「当たり前よ、なにせキアダン工房の船よ。
今や工芸品、美術品モノなのよ。選ばれた人しか乗れないのよ。」
「へー。すごいね。そんな船に乗せてもらっちゃってよかったのかな?」
「いいのよ。もう、キアダン工房の人に無理言って
特別に2人部屋だって造ってもらったんだから。」
そう、普通ならみんな1人なのだ。
彼と彼女は特別に2人で渡ることを許された。
>>607 朝靄がかかる中、やがて音もなく船は岸を離れる。
「そういえば、アスカのその格好…」
「何よー今頃気づいたの?」
「いや、すぐに気づいたけどさ、言い出すタイミングなかったし…」
「そうね、シンジもそんな感じよ。」
2人ともあの使徒との戦いの頃、ちょうど14〜15歳の姿に戻っている。
「あの頃がお互いにとって一番充実していた、ってことかな?」
甲板で湿った風を浴びながらシンジが言う。
「そうね。お互いその頃の想いが一番強いからじゃないかしら。」
後ろ髪を束ねながらアスカが応える。
>>608 「シンジ…」
「ん?なぁにアスカ?」
「…約束、守ってくれて、ありがと。」
「約束?」
「死ぬ時も一緒だよ、って約束。」
「え?ああ、そんなの当たり前じゃないか。
僕たちは2人で1つ。どちらかが欠けることは考えられないし。」
「本当はね、怖かったの。不安だったの。
シンジが来てくれないんじゃないかって。」
「バカだな、アスカは。僕が君との約束を破ったことが今まであった?」
黙ってかぶりを振る。
「ね。君の最後の朝が終わった。
そのあと僕は身の回りの整理をして、
そのまま君の隣で最後の夜を迎えた。
それだけだよ。別に自殺する必要もなかった。
眠ったら、それだけでここまで来られたよ。
それより、アスカが待っててくれないんじゃないか、って
そっちが心配だったよ。」
「バカ。そんなわけないじゃない。」
アスカ、ぷーっとふくれる。それを見てシンジは微笑む。
アスカが一番好きな表情。
「シンジ…」
「アスカ…」
もうこれで2人を分かつものは何もない。
抱き合う2人に朝日が差す。
霧が晴れ、海鳥が2人のキスを祝福するかのように飛び立った。
>>609 帆が張られ、船は湾外へ滑り出る。
西へ。
2人は船室へとタラップを降りていく。
「ねえシンジ、」
「ん?何?」
「愛してるわ。」
「ところで、向こうの世界ではどういう格好で私たちは死んでるの?」
「ん?最後に思いきり抱きしめて、そのまま眠っちゃった♪」
「げーっ。80過ぎたおばあちゃんとおじいちゃんがそれじゃあ気味悪くない?」
「そう?多分子供も孫も『らしいや』って笑ってるよ。」
了
「そうそう、ベッドは特注のクイーンサイズにしてもらったから♪」
「ぶっ」
「ふふっ」
連続投下です。調子乗ってすいません。
今朝、通勤途中にふいに思いつき、
思いついたが最後、仕事が手につかず…orz
こんなことしてるようではクビも間近かwww
なんか洒落てるな
アメリカンな気分なんだぜ
乙
ほしゅ
あげるよ
>>612 GJ!ところで個人的にちょっと気になったんだが貴方は
他人の書いたエヴァの二次小説読んだ事は有るのかな?
前にイタモノの境界線が分らないってカキコしてたけど、
読んだ事は有るけどここでの境界線が分らなかったのか、
そもそも全く読んだ事が無いのかどっちだろ?と思って。
618 :
612:2007/03/30(金) 23:49:03 ID:???
>>617 お褒め頂きありがとうございます。
エヴァの二次小説は数は少ないものの読んだことはあります。
だけど、いわゆる「イタモノ」ってのは読んだことないので、
境界線がよくわからなかった、っていうところが実状です。
初心者ですいません。
>>618 レスサンクス。やっぱりそうなんだ。まあこのスレで貴方が書いたのは、
個人的には全くイタモノでは無かったよ。これからもこの路線で行けば、
「イタモノ出てけ!」とは言われないと思う。期待してるから頑張って!
下がり過ぎてるのであげ
『ねえねえ見て。この桜、とっても綺麗でしょ。
学校の裏にこんな立派な桜があるなんて知らなかった。
私、日本に来てから桜が好きになったわ。
散っているところなんて、なにか切なくって、好き。
シンジにも見せてあげたいから、写真貼付します。』送信。
携帯の画面を見つめて、メールが送信されていくのを確認するアスカ。
と、送信完了のメッセージが出るか出ないかのうちに、メール受信。
「あれ、シンジからだ。うわーレス早いわねー。」メールを開けてみる。
『駅前通りの桜がとっても綺麗だったから、
アスカにも見て欲しくて、写真送ります。
今日の晩ご飯はハンバーグだから、早く帰っておいでね。』
そこにあったのは、綺麗な桜並木。
でも、アスカが受け取ったのは、それだけじゃない。
送信時刻は、アスカがメールを送信する1分前。
「なによ、考えてることは同じってこと?
あーあ、イヤになっちゃうわ。シンジと同じなんて。」
そこにヒカリがいたら、
顔を真っ赤にしたアスカになんて突っ込んだんだろう?
>>621 夜。ネルフを出るのが遅くなったアスカ、
ハンバーグを食べたくて急いで帰る。
と、ジオフロントを出たところで広がる夜空の星。
「わぁ、綺麗。冬の星座も、もう終わりね。
オリオン座が西の空に沈んでいくわ…。」
ふと、思いついて、試してみたくなる。
ひょっとしたら今頃あいつもベランダで…。
携帯を開く。その瞬間にバイブが震える。
メッセージ受信。え?まさか…。
『晩ご飯できてるよ。早く帰ってきてね。
それはそうと、夜空がすごく綺麗だよ。
僕はオリオン座くらいしかわからないけど、
もう冬も終わりなんだなぁって、思うよ。
もし良かったら、晩ご飯食べてから、一緒に見ようよ。
食べずに待ってるから、連絡ください。』
「…。」
返信ボタンを押したまま、携帯を胸にぎゅっとあてたまま、数分。
メッセージを打つ。
けど、それは送信されることなく、携帯のメモリーへ。
『シンジへ。私のこと、わかっててくれてありがとう。
同じ気持ちでいるなんて、すごく嬉しい。
いつまでも失くしたくないよ、この気持ち。
離れているけど、一緒なんだね。
急いで帰るから、待っててね。』
その夜のハンバーグの味は今までで一番。
荒れ地か?
荒れ地のことか?
>>619 激励感謝です。枯れ木も山の賑わいになれれば。
一応、上のネタ、似たような話があちこちに転がってるんでしょうけど、
こんな駄作でよろしければ時々の投下にもお付き合い下さいませ。
では失礼しました。
>>624 GJ!Jungle Smileのおなじ星を思い出した・・・。
ホシュアゲ
627 :
ぬむるひょ:2007/04/26(木) 23:39:53 ID:???
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
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628 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/05/02(水) 03:57:40 ID:CAEH5uni
あ
そうやってわざわざ反応するヤツがいるのが楽しいんだろ
駄作ですが、よろしければスレと時間の埋めがてらにどうぞ。
「僕を、平和の道具として、使って下さい。
君の心に苦しみや悲しみがあった時、
それを晴らすものとして。
君の肉体に疲れや異変があった時、
それを癒すものとして。
君の行く道が苦難にみちたものである時、
ちょっと息をつける場所として。
君自身が自己嫌悪に襲われたり落ち込んだりしている時、
君を包み込むものとして。
君の行く人生に、僕を使って下さい。
僕を平和の道具として。
もしも、アスカがそう望んでくれるのなら、
それが僕の幸せなんだよ。」
>>632 たまたま部屋の整理をしていたら出てきたシンジからの手紙。
もうお互い将来を意識しあっていて、けれども踏ん切りがつかなかった時に、
海外出張で出かけて行ったシンジが私に残していった手紙。
一瞬色々なものが目の前をよぎり、
その中には勿論忌まわしいものもあったけれども、
シンジは十分に私にとって「平和の道具」として傍にいてくれた。
だから、私は決意したんだっけ。
出張から帰ってきたシンジを出迎えた空港で、
「あ、あたしはそんなにおしとやかじゃないし、がさつだし、
料理はヘタだし、掃除も嫌いだし、
サボテンだって枯らす女よ。それでもいいの?」
な、何口走ってるんだ、とその時は思った。
けど、シンジはにっこりと笑って言ってくれた。
「そんなアスカが僕は好きだし、だから僕はアスカの為に生きたいんだ。」
衆目の前で抱きついてキスしたのは、後にも先にもそれっきり。
その手紙を書いた主は、隣の寝室で眠っている。
ふいに彼にキスをしたくなる。
私は、あなたの平和の道具として役に立ってる?
明日はあの日以来2度目となる、みんなの前で彼とキスをする日。
それと、永遠の誓いも。
手紙がキモイ。
ポエム書きたいならチラシ裏でやってくれ。
保守
LASで検索するとLASのコレが出ないんだよなぁ…
『エヴァキャラメールスレ』に投下予定でしたが
内容的にもこっちのがいいと思ったので、こちらに・・・
それでは、誕生日記念短編いきます
640 :
639:2007/06/06(水) 10:48:19 ID:???
・・・6月6日午前0時・・・
toシンジfromアスカ
ちょっとシンジ、いまからアタシのへやにきなさい!
toアスカfromシンジ
なんだよ藪から棒に・・・
隣の部屋なんだから直接呼べば良いだろ
toシンジfromアスカ
なによ、あんただってちゃっかりメールしてるじゃないの!
だいたい『?から?に』ってなんてよむのよ
ぐだぐだいってないでさっさときなさい!!
toアスカfromシンジ
うっ・・・わかったよ、行けばいいんだろ?
今行くからちょっと待ってて。
・・・そして・・・
「ったく、こんな時間になんだよ、
アスカはいつも自分勝手なんだから。
・・・でも、そんなところもかわいいんだよな」
コンコン・・・響くノックの音
「アスカ、入るよ?」
ミサトを警戒してかいつになく小さなシンジの声
対照的に大きく脈打つアタシの胸
『やばい、来ちゃった。
・・・大丈夫、今日はちゃんと伝えるって決めたんだから・・・
アスカ、いくわよ。』
シンジの気持ちを知ってか知らずか、こっちはこっちで
想いをめぐらせてるようで・・・
「ど、どうぞ」
ガチャ
「いったいどうしたんだよアスカ・・・
って、そんな格好でどうしたのさ!?」
「いいから、そんなとこに突っ立ってないで
こっち来て座りなさいよ」
「う、うん」
シンジが自分の隣に座ったのを確認すると
「ねぇ、覚えてる?この服。アタシとシンジが初めて逢った時の服よ」
アスカは静かに話し始めた・・・
642 :
おわり:2007/06/06(水) 10:56:11 ID:???
「あの時はあんたの事ほんと『冴えない奴』って馬鹿にしてた
でも、一緒に生活して一緒に使徒を倒してくうちに
だんだんと認識が変わってきたの・・・」
じっと前を見て話すアスカ
それを優しい顔で見つめるシンジ
お互いの気持ちは同じはずなのに、
今まで幾度となくすれ違ってきた二人
それでも今夜は、なにかいつもとは違う雰囲気を感じながら
静かに夜は更けていく・・・
「誕生日おめでと、シンジ」
乙!
そしてシンジおめでとー!
くだらねぇ
645 :
一日遅れた:2007/06/07(木) 01:17:22 ID:???
初夏を思わせるこの時期の太陽は、夏の到来を感じさせる様な力強さを感じさせるくせに、ヨク雲に隠れている
なんか恥ずかしがってるような、それとも隠しきれないような、
どうせ出てくるんだから表にでてくればイイのに、堂々と尻尾を見せて隠れたつもりになっている、なんだか微笑ましい
今はそんな季節だ・・・・
「ボーットしてんじゃないっ!」
夏の尻尾を見つけた感じだなぁ、なんて空をみてた僕に突然言葉が落ちてきた
なんかコレ、落雷みたいだな
「え?」
突然の落雷に何も考えずに浮かんだ反応だけが口からとびだして
「『えっ?』って何よっ『えっ?』って!」
右足を力強く踏みしめながら彼女は全身を使って不満をボクにぶつけてくる
最近の雷神様は落雷と同時に軽く地団駄を踏むらしい
「あっゴメン、ボーットしてて、いや・・・ははっ」
とりあえず誤魔化しようのない非が自分にあるだけにココは正直に、非情に素直に謝って彼女の不満にサグリをいれてみた
「はぁーボーットしてんのはアンタの専売特許だけど、こんな近距離で話しかけてる事ぐらいは反応してもイイんじゃないのっ?」
「ご、ごめん、」
「で、どっから?」
「え?」
「だから、どっから?」
もう一回聞き返すとこれは殴られるね、うん
「信号を見てたら青になって、それから上を見たら空に目を奪われちゃって・・・」
自分が意識を手放したタイミングを彼女に報告した
「ア、アンタ信号ってスンゴイ前じゃないっ、その間ズーーットあたしは一人で楽しくアンタに話しかけたってわけ!?」
振り返ってみると今は赤く点灯している信号機が陽炎でボヤケテ見えて、それがボクの失態の長さを物語ってるようでもあったわけで
一瞬だけ長考してみた、、
「はは、」
ハニカンデみた、、
「はは、じゃないわよコノ バッ カ シンジーーーーー」
本物の落雷がカバンの形をしてボクの頭を直撃した
おかげでボクは母さんのバツの悪い笑顔に会えた
真っ白な星と共に・・・・
「いったいなっ!そんなに強く殴る事ないだろ!」
母さんとの再会を果したボクは、その不満と共に彼女に抗議する
「これぐらい強く殴っといた方がいいのよっアンタには!」
いや、だって母さんに会っちゃうぐらいですよ?
「大体アンタおおげさね、おっおっげっさっ」
いや、カバンの角がヘコンでません?
「はぁーこのアタシが話しを聞いて貰えないで怒る事があるなんて・・・アンタある意味最高の贅沢な存在だと思うわよ、
ホ、ン、ト、ウッ」
最高の贅沢ってのはカバンがヘコムぐらいの衝撃で母さんに会う事なんだろうかと未だにジンジンする頭を擦りながらアスカに
問いかけてみた
「ごめん、本当ボーットしてて、でもどうしたの?」
そういうと彼女は少し顔を赤らめて
「アンタ今日誕生日なわけでしょ、だから、何かリクエストがあるかって聞いてんのよ」
こういう彼女はチョットカワイイ、言ったら今度は本当に母さんと同居しなきゃいけなくなりそうだし、
それに少しの優越感をもってボクはこれを独占している。
「あ、別に何でもいいよ、祝ってくれるならそれだけで嬉しいから」
本当の本心(何か変な表現だよね)でボクは彼女に答える
「あんたねぇー」
そう言った彼女はどこか疲れたような、少し諦めたような何とも複雑な表情で(でも少し頬が赤いよね)
「じゃあ聞くけど、アンタ半年後、逆にアタシに『何でもイイわよ』って言われたらどうすんのよ?」
半年後、そうか、半年経てばアスカも17になるんだなぁ
「うーん、何か美味しい料理を作るよ」
「あたし、現在、カッチリ、出来ません」
(カップラーメンでもいいよ・・・うん、黙っておこう)
「じゃ・・じゃあ服をプレゼントすると」
「『向上心』とかプリントされたシャツ着てハシャゲっての?」
(別にそういうシャツばっかじゃないよ!)
「手編みのマフラー」
「それはケンカもプレゼントしてる?」
(手芸部に入ろうとしたらメチャクチャ怒られたなぁ)
ことごとく跳ね返される提案を抱えながら、他に何があるんだろうとボクは自分のスキルが可能な範囲で考えにハマッテいる姿に落胆した彼女は
「アンタほんとーにコウイウことには鈍いっていうか素敵!っていう部分に欠けるんじゃないのぉ」
しょうがないじゃないか、てかそれって身もふたも無い・・・いやその前に今日はボクの誕生日だろ!
「そ、そんなの急に言われたって難しいよっボクだって半年あればチャント考えられるよ!」
そう言ったボクを少し驚きながら見つめる彼女は
「あら、意外と強気な発言じゃない、言っとくけどアタシは優しくないわよ?改めて11月ぐらいにこんな質問しないけど、
本当にその時は大丈夫なのかしら?」
『意地悪な顔』そんな題名がピッタシな表情で楽しそうに投げかける彼女を見ながら少し腹をたてたボクは、なぜか唐突に出てきた願いに
少し驚いて、でも悩むのも面倒臭いっていうか、これは自分の本心、本当に欲しいものだから素直に言葉に出た
「じゃあ居て」
「?」
意表を突かれる彼女、こういう時の表情も他人には渡せない、だから続ける
「居てよ、隣に、側に、すぐ近くに・・・・」
「!?」
「そ、そうすればアスカの誕生日までにイイ案が浮かぶかもしれないし、それにさ、」
「・・・・・」
「それがボクはやっぱり嬉しいんだよ、うん、代えがたいんだ」
雲に隠れていた夏の日差しが突然顔をだして
ドンッと彼女はボクに自分のカバンを突き出して
反射的にそれを抱えたボクを尻目に
「バーーーーーカッ」
それは昔、彼女が乗っていた赤鬼さんより赤い表情で
昔のボクには信じられないような幸せそうな不機嫌な顔で
あの時は見てくれなかった、見れなかったお互いの瞳をしっかり確認して
そんなお互いを確認した様に一つ頷くと彼女は一目散に走り出した
その先には学校があるんだ
そしてあの時は望んでなかった友達が居る
彼女だけじゃない、ボクも包んでくれる暖かい日常の空気が、そこにも待っているんだ
そんな幸せな空気に彼女は一時退避、もう、見事なまでに退避していってる
紅茶色だった髪が何時の頃からか黄金色の輝きを宿しだしてた、
淑女と呼ぶにはマダマダかわいい彼女の後ろ姿を見つめながらボクはまた空を見上げた
そこにはヤッパリ雲に隠れた太陽が居て
そのお陰でボクはそれを眩しいけど直視する事ができて
暖かい日光に包まれながらボクは思った
ボクのプレゼントは?
651 :
一日遅れた(完):2007/06/07(木) 01:34:48 ID:pwLxYSHr
「シンジーーーー」
陽炎の向こうの太陽がボクを呼ぶ
「誕生日までなんてゼッタイだめだからねっ、ズットよ!覚悟しなさいっ、ハッピバーースデーー!」
少し泣きそうだ、ってココ通学路だよアスカ
色々あったと思う、これからも色々あるだろう、ボクの誕生日、それはボクの節目
ボクの節目ってのはボクだけじゃない、ボクを彩る沢山の人たちに対する節目でもあるのかもしれない
今ボクはここに居て、そして彼女がココに居てくれた
確認出来た事は素直に嬉しいと思おう、
これから有るかもしれない不安には少し捻くれて迎え入れよう
でも、これだけは変わらずに大事に思おう
来年も、その先のボクにとっては永遠に続く今日を迎えるたびに
「アスカが側に居てくれる事を」
皆も居るだろう?
だからそう思う度に言おう心から、心だけでも
「ありがとう」
そう言おう、ボクから君達に、君達がボクに
そしてボクはアスカに
652 :
一日遅れた:2007/06/07(木) 01:36:01 ID:???
適当に書いてみました
最後に上げたのは確信犯ですゴメンね
わざとageた時点で乙と言う気が失せたわ
アゲない方が叩かれないよ
sageて見てくれる人は いい人達だからちゃんと評価してくれるし
某職人より
unko
乙。
最近ここも活性化してきて嬉しいかぎりw
内容はいいと思うんだけど、
昭和四十年代風の少々不自然なカタカナが目に付くのがちょっと…
作者の年代が偲ばれるな
ホヒュ〜
干す
hosu
なんか最近スレが流れるの早いな
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
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糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
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糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ糞スレ
ほ
保守
667 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:01:36 ID:???
今日は7月7日、七夕の日なのよね、願い事を笹につるすと願いが叶うっていうそういう日
それにしても日本人ってのはクリスマスにはサンタに願うくせに、今は織姫とか彦星って意外と節操ない性癖よねぇ
アタシには理解しがたいし、そう全然理解出来ないわね、だからこれは偶然
そう、ここにたまたま赤い紙と赤いマジックが有るのはそういう事!
赤に赤ってところがまさに偶然、上手く行かないところねぇ、うんこれなら見られても分からない、いや違う
これは偶然、そう偶然。
だったらまぁ書いて見てもいいわけよね、うん、むしろ書け、こーーーライトだわっ
いつものマンションのいつものリビングで赤い髪を揺らせた少女は、テーブルに置かれた赤い紙と赤いマジック
を難しい顔をしながら見つめ続けていた
ときおり溜息をついたかと思えば、急に勢いいさんでマジックを手に取り魂を刻むかのように紙に向かおうとすると
「はぁー」
また溜息でマジックをテーブルに置く、そんな行動を実に2,3時間繰り返している
日頃の彼女をしる少女が見たら苦笑し、その少女の思い人が見たら爆笑し殴られる、そんな状況がいつものマンションで
いつものように繰り広げられていた。
668 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:02:41 ID:???
「はぁー」
何度目かは分からない彼女の溜息に呼応したわけではないだろうが、それに答えるように彼女の視界の先
窓の向こうに有るベランダで一人の少年が楽しそうに何かをしていた。
高層マンションのベランダに繋がれる笹は現代的な建物のなかで妙に似合うオブジェ
そのオブジェにかいがいしく短冊を括りつけている少年は晴れ渡った夜空の星を見ながら、少しこのまやかしな風習が
現実になるんじゃないかと期待していた。
「アンタもう願い事書いたの?」
カラカラっと窓が開くと同時に掛けられた声に笑顔で頷くと
「うん、こっちはねアスカはどう?」
「こっちはそれ所じゃないわよ」
「え?」
「いっいや何でも無い!」
簡単なやり取りにまでうろたえてる自分を叱りつけ、彼女は努めて冷静に話しを進めた
顔は赤い・・・うるさいっ
「で、シンジは何て書いたの?」
既に何枚か笹に掛かっている短冊の一枚を手に取り眺めた
669 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:04:24 ID:???
『皆の笑顔をいつまでも』
「何これぇぇ、こんなんならあんたの場合『世界平和』だの『無病息災』だのの方がしっくりくるんじゃないの?」
「むびょうそくさいって・・・アスカよく覚えたね、そんな言葉」
少々呆れながら少年は目の前の短冊を指にとって見つめた
「やっと戻って来たじゃない、ミサトさんや青葉さんとか加持さんとかさ
そういうのずっと続いて欲しいって思うんだ」
つまんだ短冊を手から離し、星空を見上げたシンジの顔を月明かりがやさしく照らす
670 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:05:16 ID:???
そんな横顔を見ながらコイツらしい、確かにコイツらしい、しかしこれでは不味いんではないだろうか、これでは、これだけでは!
こういう所が良い、そこがシンジのつぼだ・・・しかし、こぉーもうちょっと、つかガッツリ個人的な所で!
『あの子とずっと居られますように』なんて書いてぇ
「あ、あの子って誰よっ?」
「あっあの子ってあの子だよ!」
「あの子じゃ分かんないでしょっ!」
「そんなの目の前じゃ言いづらいよ・・・」
「なんで言いづらいの?」
「それはね、」
シンジがアタシの目を優しく見つめながら、やがて覚悟したような光をやどして
「それは?」
急に大人びた眼差しを見せるアタシは期待と不安に揺れながらシンジの目を見つめ返すのよ・・・そしたらアイツがさ
「短冊に君への思いを込めたからだよ」
かぁぁぁぁぁ
来たっエナジーと楽園と絶頂、まじインパクト!
もう来い!シンジ来いっ!むしろシンジ恋っ!
そんな風に熱く語られちゃぁアタシはもう止められないはっ、しっかり確定モード突入、人生のドル箱積み上げちゃうのよ!!!
アタシは親指をぴっと上に突き上げてシンジに最高の笑顔を送ってやったは
「シンジっぱーーーーふぇくとよ!」
「・・・えっと、何が?」
671 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:06:43 ID:???
あのジェスチャーって便利ね、だって親指しまえば即拳の完成じゃない
お陰で躊躇置かずに行動がとれて少し溜飲が下がったってもんだわ
結局突然殴られた少年は、
「なっなんだよっ急に殴ることないじゃないか」
痛い、すんごい痛いです、そりゃそうじゃないですか?
急にバッチグー(古い?)なサインを出して得意げに頷かれたって訳が分からないと思うんだよね、うん絶対不信だって
そしたら今度はバッチグーがグーになって、飛んで来たんだよっ?訳分かんないと思いません!?
だからこうやって怒ってるのに彼女は平然っていうか、さも当然な感じでさ
「アンタってのは馬鹿よバ、カ、はぁ最悪だわ」
672 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:07:26 ID:???
そう言って殴られたこっち以上に痛そうな顔して塞ぎ込んじゃうんだよ、世の中ってのは先制攻撃する人が被害者になるのかなって
少しそんな訳の分からない法則を考えちゃったんだけどさ、
でも、本当に悲しそうな顔を彼女がするもんだから、それ以上何も言えなくて、本当は何か気が効くことを言いたいんだけど
結局言葉が浮かばない僕は少し悲しかった
こういう時、あの人なら何て言うんだろう
「女ってのは彼岸の彼方の存在さ、だからいつも探し続けるんだよ、彼女の本心をね」
そんな格好良いことを言いながらきっと今の彼女に気の効いた事を言えるんだろうな・・・でも真面目に探してるのかな?
はぁ後で短冊追加しよ・・・
673 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:08:30 ID:???
いや、まいったは、いきなり妄想と現実が繋がっちゃうんだもん
何でよりによってバッチグー(古いわね・・・)だけ現実に出ちゃうのかしらね・・・
お陰で願い事を叶えるどころか、自分で破り捨てっちゃったじゃないっ
結局、昔っからアタシはいっつもそう、こうやって大事な物を自分で傷つけていって、それで自分が傷ついて
繰り返す度に辞めたいのに、やっぱりやっちゃうのね
アタシ本当に反省してるのかな、もう、無理なのかな
見上げる夜空はこの時期には珍しく雲が無いため視界には星が散乱している
どこが天の川かは分からない、だけどその夜空に向かって彼女は願う
『私は笑える様になりたい、何にも意識せず、何かをねだるわけでもなく笑いたい
たまにはアタシにだってそういう笑い方が出来てたかもしれない、でも、自分の記憶にそんな笑顔は無い
自分が笑った時を振り返ってみた時、そういう笑顔ばかりのそんな未来が欲しい』
隣のこのニブチンが見せるようなさ、、、
「アスカ」
「はいっ!?」
674 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:09:21 ID:???
な、何よ急に驚くじゃないっ
思わず自分の手を確認した彼女は、自分の妄想が外に出てなかった事を確認すると、少し怒った表情で彼に向き直り少年を睨んだ
えっとアスカ、あのね
「アスカ、あのね」
短冊に書きながら思ったんだよ
「笑顔で居て欲しいんだ」
君が嬉しいと思う時に笑って欲しい、嬉しい事がこれから多く多く起こって欲しい
「君の笑顔が一番見たい」
その時僕が傍に居れたら、それが僕の願い事なんだ
「それがずっと続いて欲しいって、」
「シンジ?」
「アスカ、僕は・・・」
時間が止まり、紡がれた言葉に笹が揺れた
675 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:10:09 ID:???
き、き、来たっ彦星来た!!!織姫来たっ!!!
嘘?冗談?妄想?
あっちょっと抓ってみよ
「いっ痛っなんだよ!」
あ、これ現実みたいじゃないっ何々ありあり??
かぁぁぁぁぁぁぁ
ゴチンッ「くはっ」
頭蓋骨と胸骨が激突した音を表現するとしたらこんな感じでしょうか?
シンジの胸に飛び込んだ少女は、今の自分の気持ちを言葉にだそうと必死に天才脳を動かすんだけどね
だけど、そう簡単には無理なわけですよ
だってずっと願ってた事が叶った瞬間を言葉に出来たら、それはトンデモナイ偉業なわけです
有史史上それを言葉にしようと数多くの文豪達が努力し、その殆どが結局成し得なかった偉業なんです
でも、ほんの僅かな人たちが作り出した数少ない言葉の一つ、そこに落ち着くしかない彼女は
「シンジ、好き」
676 :
七夕に:2007/07/07(土) 05:11:08 ID:???
短冊に綴られたそれぞれの願いは、天の川を登って落ちて、また登って
1年に1度の逢瀬を紡ぐ二人の下に静かに落ちた欠片
欠片を二人は紡いで下界に振りまいた奇跡
その奇跡の欠片が二人の上に降り注いだ、
そんな七夕の夜が更け、本当は結構当り前に訪れるはずの嬉しい場面が現実になった、今はそんな日常です。
677 :
七夕に:2007/07/07(土) 06:01:58 ID:???
「もう一度言いなさい!」
「えっ?えぇーーー」
「仕方ないじゃない、聞こえなかったのよ、はいもう一度」
「い、いや、、えっと」
「もう一度」
絶対言わす!もう一度どころか後1000回言わす!!そしてアタシの胸に刻みこんで
アイツの海馬にも刻み込んで、アンタの一生を確実に絶対にアタシの物にするのよっさぁ!!
「言ってっ」
逃げちゃだめだ(棒読み)逃げちゃだめだ(引き気味)逃げてたいな(切実)
よしっ(暴走)
「アスカ!僕は君が好きなんだぁぁぁぁぁ」(夜空に突き刺さればかやろぉぉぉぉ)
「シンジィィィィ」(よっしゃぁぁぁぁぁ)
シュポッ、ガラガラ(ブルトップが開いて、窓が開いて)
「あーら、あんた達、随分素敵なスタントかましてるじゃな〜い、今リツコも呼んだからふかーく話しましょ♪」
・・・・ミサトが居たのは計算外ね・・・・
678 :
七夕に:2007/07/07(土) 06:02:52 ID:???
結局少女の願いは短冊に書かれる事は無かった
ただ、その日大騒ぎしている今の喧騒を見ていた笹に一枚だけ過去形を含んだ短冊が結ばれていた
『笑顔をありがとう、この笑顔はずっとあなたに届く、そう一生!』
まぁ笹だしね、七夕だしね、多少はね
そんな彼女の我侭を月と星と少年は何時までも優しく見守るんでしょう
イ:::/::,:ィ,. --t-゚:.::ヽ=ニ二二ニ丶、
、__!,イ::r''' ‐=、',::::::::::ヽ:. :.ヽ `ヽヽ
_,r'´:::::i/ r==、 { _ノ`ヽ::ト、:::.::::::} ヽ
`ヽr:::! | } !´::::: : :!) }::::::::::! o゚
`´! !__丿<_:;、::::::: !'´::::::::::l
o ゚ !..__ _..ゝイ/:::::::::::::::!
,..⊥:! |::::::::::::::::::::::',
, ' | ,.ゝ-―- 、::::::ヽ
__,,..........ノ.. 〈 _/_ノ ヽ::::::',ヽ
,ゞ'´ ,. -;=、ー-´ ',: ::::ヽ\
/ / _,.ノヽ ',::. 丶、
{ / ´ ハ !.. . :. ::..::.``
ヽ ,. { / /::::', !:::::::::::::::::::..
` ー/ ヽ / /::: :: : :', ',:::::::::::::::::::
! ` ー-‐ ' ´ /.:.. ', ',:::::、、::::::::
折角の七夕なんで書いてみたんですが、投稿規制に引っ掛かったときは悲しかった
てか、寝たかった
んじゃー
GJ!GJ!
いつもより早起きしてよかったぜ
ほ
ほ
し
Prologue
「ここは・・・?」
LCLの海、白い砂浜、溶け合う心
すべての人々が一つに・・・でも、あの人はいない・・・
「碇君・・・」
「ようやくお目覚めかい?綾波レイ」
「あなたは・・・フィフス・・・そう、そうだったわね」
「そうだよ、サードインパクトは起こり人々は皆LCLとなった・・・
今は言わば、醒めることの無い夢の中といったところかな。
ただ二人を除いてね。」
サードインパクト
・・・その実は碇シンジを寄代として行われた人類補完計画であった。
しかしそれは、ゼーレ、碇ゲンドウ両者の思惑とは裏腹に
シンジが他者の存在を望み、惣流・アスカ・ラングレーと共に
現実世界へと戻ることで終わったかに思えた
・・・が、それはもう一つの始まりでしかなく
世界は再び彼の手に委ねられた
えーっと、初回だけあとがきを・・・
まずはお詫び。
しばらくアスカ、シンジは出てきません。
ですが、最終的にはLASになるはずですので
しばらくお待ちください
あと、仕事との兼ね合いで更新は遅くなりますが
一通りは完結する予定です。
では稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、また次回。
なんというテンプレ通り
これを読むには間違いなくスコップが必要
それ以前にプロローグで完結にならないでくれよw
期待さげ
取り敢えず期待
これあれだろ
そのうち、本文よりあとがきの方が長くなっていくんだろ?
初回だけってあるじゃないか
待ち
まだー?
一週間経過
期待ほすぅ
遅すぎるだろ……
飽きたな
秋
秋田
まち
700gets
ほす
保守
ほす
まだ?
まち
諦めちゃ駄目だッ!!
まぁあれだ
今たぶん壮大な『あとがき』を書いてくれてるんだろう、うんうん
だからあえて申し訳なさそうに言うんだが
書けないんだったら送信すんな
ふはははははははは。
ほす
さてさて…
ほし
ほそ
ほさ
ほせ
ほち
最近、アスカがよそよそしい。
学校が終わるとなんだかんだでいつも僕の脇にひっついて一緒に帰っていたあのアスカが、
ここ数週間は僕が帰り支度を終える頃にはもう校内にいない。
昼休みにお弁当を一緒に食べることもなくなった。
委員長は何か知っているらしいんだけれど、僕を避ける。
「そりゃぁセンセイ、残念ながら、う わ き!ってやつでんなww」
「まあそう落ち込むな、惣流ばかりが女じゃないって」
…はぁ、この2人に相談してみたのが間違いだったよ…。
「アスカ?そう言えば最近寄り道せずに真っ直ぐ帰ってるみたいね…何シンちゃん喧嘩でもしたのぉ?」
いや、そんなに目をキラキラされても困るんですけど…。
「シンジ君もそろそろ大人なんだし、女心の機微を研究しないとこういう事態になるってことよね…」
そんなに冷たい目で見ないで下さいよ…。
「そんなことより昨日のシンクロ試験だけど、シンジ君の数値が下がって…」
あ、急用を思い出しました。失礼します!
結局僕の不安は増大こそすれ、ちっとも解消されることはなかったな…。
>>716 家に帰ってきた。鍵がかかっている。あれ?アスカはまだ帰ってきていないのかな?
鍵を開けてドアを開くと、中からチェーンロックが。
「アスカ?帰って来てるの?開けてよ!」
ドアの隙間から声をかけてみる。
…しばらくしてから慌てた感じでアスカがやってくる。
「ちょっとあんた、家に帰ってくるなら事前にメールくらいしなさいよ!」
何言ってんだろ?今までそんな事した試し、ないじゃないか。
どーにもおかしい。
翌日、仕方なく僕は最後の手段に頼ることにした。
「他ならぬ親友の頼みなら断れないけど、高いぜこれはwww」
そう言いながら早速小型カメラをいくつも鞄から出すこのケンスケという友人の将来に
一抹の不安を覚えてしまう。
とりあえずネルフ本部に今度連れて行くから、とできそうもない約束をして、契約完了。
あとは結果を待つのみ。
でも、その結果が出るまでが待てないんだよ…。
ほら、今日もドアは中からチェーンロック。
「このバカシンジ、昨日あれほど言ったでしょーが!」
「いや、だって今までこんなことなかったじゃないか…」
勇気を出して抵抗してみるも、みぞおちにクリーンヒットを喰らい、沈黙する僕。
>>717 結果は意外と早く出た。翌日の放課後、ケンスケが僕の所にやって来る。
「ご依頼の件ですが…」
ごくり。唾を飲み込む音が聞こえたかも。
そのまま肩を抱かれて体育館裏に連れて行かれる僕は、
まるでこれからリンチに遭う下っ端チンピラのようで。
「詳しい証拠は掴めなかったけど、こりゃ限りなくクロだねぇ」
何枚かの写真には、不安げに携帯をのぞき込むアスカの姿や、
昼休みだろうか、屋上で熱心にメールをしているアスカ、
放課後、家とは逆方向の電車に乗るアスカなんかが写っていた。
「まぁ、だからなんだ、惣流だけが女じゃないって」
よっぽど僕は落ち込んでいたらしい。
どうやって家に戻ってきたのかは覚えていない。
気づくと僕は自分の部屋のベッドに突っ伏していた。
このままじゃいけない、自分で白黒つけるんだ!逃げちゃ駄目だ!
そう決心した僕は、覚悟を決めてアスカの部屋に向かった。
>>718 今日はアスカはまだ帰ってきていないようだ。
「アスカ?開けるよ」誰もいないと分かっていても、おそるおそる襖を開ける僕。
アスカの部屋の中は、ぱっと見、様子がおかしいところは見受けられない。
誰もいないと分かっていても、足音を立てないようにつま先立ちで室内へ侵入する僕。
携帯はアスカが肌身離さず持っているからどうしようもないとして、
他に何かないだろうか、手紙とか?
見つからないことを願っている筈なのに、どうして探してしまうのだろう?
「なんだこれ?」ベッドの下を覗き込んだ時に、僕はそれを見つけた。
小さな、けれど頑丈そうな鞄。なんとなく見たような気がするな…こういうの。
留め金をパチンパチン、と外す。蓋を開けると中から出てきたのは…
「フルート?」
「見 た わ ね…」
声が後ろから不意に僕を貫く。僕は自分の座高がいっぺんに10cmは延びたんじゃないか、
というくらいにびっくりして腰を浮かす。
けれども後ろを振り返ることができない。
「はぁ〜、バレちゃったか。」
え?何?
急に緊迫感のない声に変わって僕の浮ついた腰はそのまま180度回転する。
そこにいたのは壁に肘をついたアスカ。
「ちぇっ、折角秘密にしていようと思ったのにな」
>>719 訊けばネルフの忘年会(そんなものあったのか)で、余興代わりに
クラシックの演奏をすることになったとのこと。
「シンジがチェロ弾けるのは知ってたけど、これは女子だけのいわば隠し芸みたいなもんだったしさ」
家とは逆方向の電車に乗っていたのはレッスンのため。
チェーンロックは、家での練習を聞かれないため。
メールは?
「は?そんなのミサトやリツコと進捗具合について打ち合わせしてただけよ」
あの2人もグルか…orz
「まぁ、驚かそうと思っていたけど、失敗だったわね…」
夕食時のミサトさんは相変わらず呑気なものだ。
「ったく、僕の気も知らないで…」
「ん〜?シンちゃんはアスカが浮気してるかも?って心配でたまらなかったんでしょ?」
ミサトさんの酔いに任せた意地悪い突っ込みで、僕とアスカは赤面する。
室温が2、3℃上がったかもしれない。
>>720 夜、アスカが僕の部屋に訪ねてきた。
「あの…シンジ…」
珍しく何か言い淀んでいる。
「何?あれ?手に持っているのは楽譜?ごめん僕はフルート教えられな…」
「違うの…」
そう言って僕に突きだしたのは、バッハのトリオソナタ。
「え?一緒に、ってこと?」
「う…うん、じゃない、違うわよ、バレちゃって私クビになったのよ、
でもここまで練習した私の超絶美技を皆様に披露できないなんて犯罪モノじゃない?
だからシンジ付き合いなさいよ!」
「う…うん、僕で良ければ喜んで。」
「…あ、ありがと」
「あれ?でもバイオリンが足りないよ?」
「え?聞いてなかったっけ?ヒカリが今猛特訓中よ。」
委員長までグルだったのか…orz
しかし、これが実はアスカの誕生日に向けての綿密な計画の一端だとは、
この時の僕は知る由もないわけで…。
劇終
ここで終わり?
続き期待していいの?
GJ
これは続きがあるとみて
なぜ知る由もないのかそれもまた知る由もないのである。
とりあえずまち
保全
永遠の謎になりそうだな。計画の全貌はw
>>716-721書いた本人だけどさ、本当にその場で作ったから、
プロットも何も作ってないのよ。
続き書いてもいいけど、ちょっと待って。
書かんでいいよ。
頼まれたから仕方なく、という自演はウンザリ。
>>729 自分で何も書けないんならせめて他人の投下の邪魔をするなハゲ。
ほす
とある深夜残業を終え帰宅したミサトは居間に子供達が居ない事を確認すると部屋へ閉じこもりガサゴソ怪しげな音をたてた。
そっと戸を開けもう一度居間に子供達が居ない事を確認すると、アスカの部屋へ足をむけた。
「アスカ〜はいるわよ〜」
返事がない。
「……流石に寝てるか」
部屋の主の許可を得ずに戸を開ける。
「いない……まさか……また家出?」
焦りを感じ、もう一人の子供の部屋へ向かう。
「シンちゃん大変よ!アスカがいないの!」
勢いよく戸を開けると黒と赤が仲良く寄り添って寝ていた。
「……へ?」
間抜けな声を出し立ち尽くしてしまったミサトに柔らかい塊が飛んできた。
「うっさいわね!こんな夜中になんなのよ!」
「そうですよ〜どうしたんですかミサトさん」
寝ぼけ眼をミサトに向ける子供達がみたものはカボチャのかぶりものをした29歳未婚作戦部長であった……。
って保守の仕方もあり(・∀・)?
733 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/10/31(水) 23:34:01 ID:J5AvxU3N
あり
734 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/01(木) 11:46:15 ID:EGmSOY15
ありまと
古来より人間は平等たる行為を模索してきた。
集団行為においてそれは必要不可欠なのである。
その行為の結果は誰にも文句を言えるものではない。
だからこそ必要なのである。
そう、『じゃんけん』は。
じゃんけーんぽん!
「へっへーん、頂きぃ!」
「くぅー、最後のコロッケがー、アスカの元にぃー!」
「とほほ、じゃんけん苦手なのに……」
ここ葛城家でもこの行為は大きな意味を持つ。
ありとあらゆる面で融通が利くその行為はこの家庭でも必要不可欠なのである。
まずは定番、最後のおかず争奪戦。
じゃんけーんぽん!
「よっしゃぁ! 今日はあのドラマが見たかったのよねー!」
「ぶーぶー! ミサトが見てるあのドラマ退屈なのよねぇ」
「とほほ、今日の『ガッテン』は見逃せない回なのに……」
お次も定番、チャンネル争い。
さてさてお次は……
じゃんけーんぽん!
「よっし! 今日もアタシが一番風呂ー!」
「むぅー、まぁ二番目になれただけでも良しとしましょ」
「とほほ、ふたりとも長風呂なのに……」
これもある意味定番?お風呂の順番決め。
さてさてお次は?
じゃんけーんぽん!
「あっ……こういう時だけ勝っちゃうんだ……」
「……ふん、さっさとやりなさいよ」
「あらあら、アスカ。顔が真っ赤よ?」
「ウッサイ!」
「じゃあ、まずはミサトさんから……」
「はいはい、どーんときなさい」
ちゅっ
「……お休みなさい」
「あはは、これぐらいで照れないの、本番はこれからなのに」
「ほ、本番ってなによ!?」
「なにかしらねー?」
「むむむ……!」
「じゃあ、次はアスカね……」
「ど、どーんと来なさいよ! ほらぁ!」
「いや、顔を突き出されても……、ほっぺを突き出してもらわないと……」
「わ、解ってるわよ、馬鹿!」
「唇にして欲しかったりするわけ?」
「ウッサイって言ってるでしょうに! 外野は黙ってなさい!!」
お休みなさいのキスをする担当決め。
何とも初々しいというか、恥ずかしいというか。
それもこれも家族だから。
三人合意の元の行動なのだ。
これからも三人仲良く幸せに家族として暮らせますように、おやすみなさい。
「でも、このふたり、家族って言うよりも恋人って感じなのよねぇー」
「ニヤニヤしながら訳解んないこと言ってんじゃないわよ!」
「……恥ずかしいから早く済ませたい……」
そんな葛城家。
GJ
葛城家シリーズお引越しか(´・ω・`)
しかし和むわ萌えるわイイシゴトだ
葛城家は本当に和むな…
いつもありがとう
おつかれー。
葛城家いいよー
GJ
続編に期待
「あ、雨」
気付いたのは窓際に座っていた女子生徒1人だった。
ポツリと零れたその一言にクラス中の目線は外へと注がれ、あちゃー、や、私傘持ってきてないよぉ、
などと溜め息混じりの声が授業中であるにも関わらず漏れ出している。
しかし、教師と呼ばれる存在も人であり、その突然の自然現象には成す術は無く、生徒と同じように窓
の外を眺め、少々困った表情を見せていた。
が、そこはやはり大人である。
その表情も一瞬の出来事であり、お静かに、という一言を大声ではなく力強く発することにより教室の
静寂は守られた。
けれどもそれで天気が変わるわけではない。
これから起こる行事、帰宅という面においてこの雨は避けては通れない試練である。
静寂に包まれた教室内とは言え、生徒達の心は晴れない。
それはもちろん、少年と少女も同じであった。
「やまないね」
「やまわないわね」
授業も全て終わり、後は帰宅するだけとなったところでふたりは足を止めていた。
当然と言えば当然なのだが、このままこうして学校内に居てもただの延命処置でしかない。
それを悟った生徒等の多くは濡れながらも走り帰宅する姿がちらほらと見て取れる。
自分達もその行動しか残された術はないのだが、どうも憂鬱だ。
ただ濡れるだけ、そう考えれば良いのだが、どうもそれだけはない感覚。
皆様にもないだろうか?
「はぁーあ、やんなっちゃうけど走るしかないわねぇ……」
「そうだね」
「ミサトのお迎えでも期待したいところだけど……」
「仕事中だろうし無理は言えないよ」
「解ってるわよ、そんなの」
自分達の姉を思い浮かべる。
が、駄目。頼りにならないだとか、そういうことじゃない。
仕事中であろう時に無理は言えない、甘え過ぎるわけにはいかない。
「……雨、嫌いだな……」
「……アスカは雨が苦手なの?」
「ううん、嫌い、なの。なんでかなぁ、嫌なことばっかり思い出しちゃうから」
気の持ち様、だとは良く言う言葉。
だったら悲しい気持ちでいれば少女のようになってしまうのも道理ではないだろうか?
良い風にだけ捉えれば済む話など、人間様には難しいことだ。
「……うん、何となく解るよ、僕も」
「……でしょ?」
ざぁざぁ、と振り続ける雨を見続けるふたり。
その心には何を想っているのだろう?
悲しみだけが巣食う世界なのだろうか?
そうだったとしても、それは人間様だから致し方ない。
「でもさ」
「え?」
突然、少年が少女の手を取り出し外へと駆け出す。
外は雨、どんどん体は濡れていく。
それでも少年は少女の手を離さずに走り出す。
「僕達はまだまだ子供なんだから。こういうのも楽しむべきだと思うんだ」
息を切らし、精一杯濡れながら走る少年。
そしてそれに引っ張られる形の少女。
今の少年の台詞、何てことはない台詞。
少女にだけはその意味を知っている。
自分はもう大人だと思っていた頃、同年代をガキだと思っていた頃、精一杯背伸びをして大人びていた
あの頃。
それはあんまり今と変わっていないかもしれない。
でも、年齢は誤魔化せない。
結局のところ自分はまだまだ子供なんだ。
だから少年は言ったのだ。
そんなに片意地張らないで、精一杯子供として楽しんで、精一杯頑張って成長しようと。
どこまでも、どこまでも、どっこまでも少女のツボを突付いてくる。
だからこそ少年は少女にとって最高なのである。
「言うわねぇ! にしてもアンタには珍しく強引ね!」
「ほら、そこは雨のせい、ってことで!」
「何それ!? バッカみたい!」
雨の音に負けないように、声のボリュームを少し上げて楽しそうに濡れて走るふたり。
しかし、そこでふたりの時間は終わりを告げる。それは唐突に。
「待ったぁー!」
どこからともなく聞こえる声。とても聞き覚えのある声だった。
振り返れば傘を差しながらこちらに向かって走ってくる女性の姿。
「ギリチョンセーフ!!」
「ミサトさん、どうしたんですか!?」
「仕事は!?」
ゼェゼェ、と息を切らしながらふたりの上に傘を翳す女性。
期待していたとは言え、雅か本当に現れるとは思ってもいなかったふたりは困惑顔。
「どうせ濡れて帰るつもりだろうなぁ、と思ってね。というかその考えがドンピシャだったわけだし」
「でも仕事が……」
「そうよ、何も無理してこなくても……」
「はいはい、子供が大人に気を使ってんじゃないわよ。ほらほら、起きちゃったことは仕方ない。後悔は後だろうが先だろうが立てるもんでなし、ちゃっちゃと帰るわよぉ」
女性の台詞に苦笑を浮かべるふたり。
こういう時、子供というのは今みたいな台詞を言われれば反抗したくなるものだが、つい先ほど自分達はまだ子供だと認めただけになんとも言えない。
「あはは、やっぱりミサトさんには適わないですね……」
「なんのこと?」
「まっ、別に良いけどさぁ……もうちょっと空気読みなさいよね……」
「空気読んで傘を持ってきたんでしょうが! 何よ、私邪魔?」
「べっっにぃー、そうとは言ってないわよ」
どうやら少女としてはふたりっきりで何とも言えない良い雰囲気を壊されたことに少しお冠の様子。
ふたりの時は男女の仲となれるのだが、女性が現れると家族として一纏めにされてしまう。
それがとても幸せだということは解っているのだが、どうにもこうにも歯痒いのである。
「はいはい、悪ぅござんしたね。じゃあ、こういうのはどうよ?」
そう言って女性は傘を持ち、左隣に少年を、右隣に少女を携える。
「これにどういう意味があるのよ?」
「相合傘に決まってるじゃない」
「……アンタ、相合傘の意味知ってる?」
一本の傘に男女が入ることを相合傘と世間は言う。
現状では女性の割合が高すぎるわけだ。
「勿論、知らぬわけがなかろうて」
「じゃあ、なんで相合傘になるわけよ」
「ふたりの仲は傘に守られてこそ、だったら傘を持つ私がしっかり守ってあげるわよ」
女性は冗談のつもりで言ったのかもしれない。
だけどその言葉は少女の心に、少年の心にも深く刻み込まれていた。
所詮は『ごっこ』でしないのかもしれない。
けれども幸せなら、誰がそれを笑い飛ばせるのだろうか。
大体、この光景はどう見えるだろう?
きっと仲の良い家族が楽しくじゃれ合っている姿に見えるに見えるに違いない。
それだけで十分なのだろう。
だからこそ女性が用意したふたりの傘は開かれず、3人で入るには些か小さめの傘だけを使用していない。
「さっ! 濡れるのは良い気分じゃないし、さっさと帰りましょー!」
「帰ってお風呂の準備しなくちゃ」
「じゃー、アタシが一番風呂!」
「そこはお迎えに来た私に譲りなさいよ!」
「それとこれとは別問題よ!」
「じゃー、何時も通りじゃんけんで決めましょ」
何時までも家族として幸せでいられるように。
何時までも家族でいられるように。
3人は前へと歩き出して行く。
「そういえばアスカ、相合傘は否定しないの?」
「……コホン、じょーだんじゃないわ! 誰がこんな――」
「はいはい」
「……相合傘ってなんなのか、聞くべきじゃないよね……」
そんな葛城家。
で、この家族の後方。
もうひとりのチルドレンである少女。
この少女も雨に悩まされていた。
濡れて帰るという選択肢しかないのだが、後の事を考えるとどうにもこうにも躊躇してしまう。
風邪を引くわけにもいかないのだ。孤独の自分なら尚更。
しかし、そんな少女の前に猫のプリントがされた可愛らしい傘が視界に入る。
「レイ、帰りましょ」
「赤木博士……」
そこに居たのは仕事場で出会う女性。
少女は驚きながらも差し出された傘を受け取り、礼を言う。
「気にしなくて良いのよ」
女性はそれだけ言って少女が隣に来るのを待っていた。
そしてふたりは雨の中、並んで歩く。
妙な沈黙がそこにはあったが、少女にとってそれは嫌なものではなかった。
「少し冷えたでしょ? 帰ったら暖かい野菜スープを作るわね」
わざわざ迎えに来てくれたのだろうか?
少女にはその理由が良く解らなかった。
けれど、今は「喜び」という感情に浸れればそれで良いと思う。
不意に女性が少女の手を握る。
「ほら、こんなに冷えて。早く帰りましょ」
「はい……赤木博士……」
「リツコ」
「え?」
「リツコで良いわ」
少し照れ臭そうにしながら笑顔を見せる女性。
自分には何も無いと思っていた、少年に違うと言われてもそう思っていた。
確かに何も無いかもしれない。
けれど無いところから生まれるものもある。
それは何かは解らない。
けど、これが『家族』としての暖かさかもしれない。
「はい……」
だって、自分の手から伝わるこの暖かさは本物だから。
「……リツコ博士」
「そうぢゃなくて」
ガックリと項垂れる女性。
これからゆっくりと頑張りましょう。
そんな葛城家と愉快な仲間達。
何このいい話。・゚・(ノД`)・゚・。
葛城家の人GJ過ぎます
なんでか規制されてたので携帯から。
最初、改行おかしいとこあるがスルーしておくれ。
携帯から二度と投下せん、こんなんでよくやれる人いるな
心が暖まる
葛城家いいっすなあ。GJです。
LAS小説総合スレ落ちた?
癒されたー
756 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/25(日) 22:04:04 ID:V0S7kDNO
age
保守
マズイ…もう三日だよ…何を用意したらいいんだ…うう…
誰もいないリビングでシンジは一人のたうちまわった。明日は同居人アスカの誕生日。なにも用意しなかったら半殺しに違いないと怯え、一ヶ月前から悩み現在に至る。
もう…これしかない…
シンジは思い詰めたまま自室にもどった。
「ふぁ〜よく寝た〜まだ6時かあ。もう一眠りしようかな…」
ガチャ
「アスカ!誕生日おめでとう!」
「……!レディーの部屋にノック無しで!…んあ!?」
そこには顔を赤く染め内股でもじもじしながら身体に巻き付けたリボンをいじるシンジの姿が…
ほ…ほしゅ
なんというw
ほっしゅ
760 :
お誕生日に:2007/12/04(火) 02:15:42 ID:???
近頃シンジがかまってくれない。
家事を早々に切り上げて、チェロばっかり弾いてる。
女も楽器と一緒でたまには触れてあげないと
いい声出さなくなるんだぞ!
腹立ち紛れにヒカリとショッピング。
2時間たっぷりダベってご機嫌で帰宅した。
なのに、シンジのやつ、
どこいってたの?とか、帰りが遅いとか、
ぐじぐじ言い出すもんだから
あたしもカッとなってしまって
せっかくの上機嫌が台無し。
些細なことから口論になって、大喧嘩。
部屋中引っ掻き回して手当たりしだい物を投げまくってたら
手元が狂ってチェロに直撃。
こともあろうかチェロの弦を切ってしまった!
761 :
お誕生日に:2007/12/04(火) 02:17:37 ID:???
「っつ…!」
「アスカ!」
撥ねた弦が指に紅い飛沫を散らす。
慌ててシンジがとんできた。
大事なチェロ…ではなくて、あたしに。
な、な、なんで。あんなに大事にしてるチェロなのに。
「…あたしなんかより、チェロの方が大事なんでしょ。
ごまかさなくたっていいわよ!バカ!」
「…、実はアスカの誕生日が近いから、
アスカの為にいい音聴かせたくて
特訓していたんだ。
僕にはこれしかできないから。
でも、アスカを知らないうちに傷つけてたんだね。
ごめん、僕はバカだな…。」
バカなのはあたしだ。
最低だ。チェロにまで嫉妬して。
挙句、壊しちゃった。
762 :
お誕生日に:2007/12/04(火) 02:19:02 ID:???
「いいんだ。気にしないで。
楽器はいつでも直せるけど、
アスカの指の怪我と、傷ついた心は
僕じゃなきゃ治せないから…
他の誰かじゃ意味ないだろ?」
傷つけたのが僕なら、
癒すのも僕の役目って真っ赤な顔して
あたしを抱きしめた。
ありがとう、シンジ。
チェロは聴けなくなったけど、
あんたの思いやりの気持ちは
受け取ったからもういいの。
後日
「チェロ修理に出してくれたんだ。ありがとう、アスカ。
結構かかったんじゃない?
お祝いするつもりが逆にプレゼントされちゃって、なんだか申し訳ないよ」
「別に。壊したのはあたしだし、それに、…あたしの為だもん。
早くいい音聴かせなさいよ。
そのあと…いい声で鳴いてあげるわ…」
ずいぶん昔に「こんなアスカは大好きだ」スレにあったチェロアスカを思い出した
アスカかわええ(*´Д`)
十日町
八日町
767 :
ハナミズギ:2007/12/23(日) 04:50:52 ID:???
夕食の準備も終わり、少しだけ開放された時間の中で僕は何時もどおり自分の中に篭る
液晶でスタートの位置を確認して再生を押す
イヤホンから流れてくる音が僕をユックリ周りから遮断してくれる
『果てない夢がチャント終わりますように・・・』
夢ってなんだろう?
夢があったとして、チャント終わるって何だろう?
夢だけを考えたら、ある
うん、あるなぁ
『あるなぁ』
そう、僕には夢っていうのか分からないけど、望みがある
ある、ある、ある、ある、ある
6回目の確認の前に曲が終わり、液晶の記号が三角から四角に変わってボクの思考はまたユックリと現実に戻っていった
音の止まった役に立たないイヤホンを耳に感じながら考えてみる
どうしようも無い事だけど
考えてみる
768 :
ハナミズギ:2007/12/23(日) 04:52:36 ID:???
リビングで僕は相変わらず音が無くなったイヤホンを耳につけながら、さっきまで流れていた
歌を頭の中で、もう一度ながしてみる
『君と好きな人が百年続きますように』
すごい歌詞だよなぁ、好きな人と百年続くぐらい近くに居てくれてるんだよね
いいなぁ
百年じゃなくてもいいけど、ほんの少しだけ他人より近く、長く傍に居たい
彼女は他人を怖がるから一歩近づくとスゴク怒りだして遠ざけるけど
その手をかいくぐって、彼女の懐に入れたとしたら・・・
そしたら、すごい間近に彼女の顔が僕の顔と一緒になって
彼女はビックリして言葉が出なくて
僕はビックリして言葉を出せなくて
『どうか来て欲しい、みずぎわまで来てほしい』
さっきまで聞いてた曲が頭のなかでコダマして
僕は一歩近づいて、君の唇を見ながら言ってみるんだ
「百年じゃなくてイイ、、でも、ずっと居て欲しい」
驚いた彼女は、彼女は、、、
769 :
ハナミズギ:2007/12/23(日) 04:56:32 ID:???
はぁ〜妄想なのにここが限界だよ・・・
カチッ
テープが空白を終えて、また次の再生を続けようとしてる
もうすぐ歌が始まる
賭けをしてみようかな
もし次の歌が始まる前に彼女の声が聞こえたら、行ってみよう水際まで
すごい有り得ない確立だから
昔納屋だった自分の部屋、暗くて接触が無くて、だから、一人で居ようと思えば何時までも
一人でいられた部屋
ここに居れば誰も話かけてこない、
だからサッキの考えも妄想で完結してくれるんだから、妄想だから
770 :
ハナミズギ:2007/12/23(日) 04:57:55 ID:???
だからサッキのケツイはシテモイイヨネ
コエガキコエタラ、ボクハイキマス、ミズギワマデ
ココロヲコメテ
ヒャクネンツヅキマスヨウニ
開きそうににない襖を眺めながら、絶対安全な決意を胸に苦笑してみた
バンッ!!
襖が開いちゃった
「何してんのよ!?」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええ
ええ!?
「あ、アスカなんで!?」
「はぁ?何でって何がよ!、あんたが何時までも出てこないから、こうやって来てやってんじゃないの!!!」
「あんたねっ・・・って」
水際まで来た彼女を抱きしめた
「なっちょっとアンタ!なにっ」
771 :
ハナミズギ:2007/12/23(日) 05:00:21 ID:???
僕は鈍感なくせに暴走するらしい
聡明な彼女が不意をつかれた状況をこんこんと説明している
いわく、「あんたアタシのタンクトップの意味わかって無かったじゃない!」
「ていうか、何で一緒に住んでるか考えた事ある?」
「アタシはねっ・・・・」
ごめん、
僕はもう一度彼女を抱きしめる腕に力を込めて、君にだけ伝わるように囁いた
「ごめん、大好きなんだ」
瞬間僕の腕の中で震えた彼女は
「あやまんないでよ」
772 :
ハナミズギ:2007/12/23(日) 05:06:24 ID:???
僕は鈍感なくせに暴走するらしい
聡明な彼女が不意をつかれた状況をこんこんと説明している
いわく、「あんたアタシのタンクトップの意味わかって無かったじゃない!」
「ていうか、何で一緒に住んでるか考えた事ある?」
「アタシはねっ・・・・」
ごめん、
僕はもう一度彼女を抱きしめる腕に力を込めて、君にだけ伝わるように囁いた
「ごめん、大好きなんだ」
瞬間僕の腕の中で震えた彼女は
「あやまんないでよ」
歌を聴いてて書いてみました。
無茶な所はご容赦ください。
カチッ
歌がまた最初から歌詞を紡ぎだしてる
「好きなんだ」
あやまるのは辞めた
薄紅色の唇に、そっと自分の唇を押し当てて、
罪悪も
幸福も
我侭も
欲望も
全部君の唇に押し当てて、
「謝らないからね」
その時の彼女の顔を僕は一生忘れない、僕の目を見つめてハニカンダ君の顔を僕は忘れたくない
「この事忘れたらコロスわよ!」
果てない夢が今始まった
すいません、肝心のラストをヘタこいた−−−−−
てことで、721の続きが724です(--;)
本当にすいません><ノ
よかったよGJ!
おつ
なんかすごく上手い。 GJ!
779 :
年末に:2007/12/29(土) 05:37:25 ID:???
いつものリビングでこの時期特有の特編番組がテレビを賑わせながら、相変わらずの二人がくつろいでいた
「今年もあと少しだねぇ」
ティーカップに注がれた紅茶を香りながら、緩やかなアルトで傍らの人に語りかけている
『そぉねぇ〜相変わらずっていやぁ変わらない一年だったは』
視線はテレビから逸らさず、時折煎餅を噛み砕く音を立てながら答える
「いや、でも今年は僕らの映画があったじゃない、十分変わると思うよ」
『あーそういやぁ随分懐かしい時代の話が始まってたわねぇ、ま、アタシ出て無いし』
『シンジ様と綾波レイ様にとっちゃ〜いい年だったんじゃない』
「もーまたそうやって僻むんだから」
『はっ僻んじゃないわよ、ただアンタの心配してやってるだけよ』
「心配って何が?」
『だってアレってあの時の事でしょ』
「そうだよ」
『んじゃーアンタはまた皆様の期待通り思春期全開の自家発電をフルスクリーンで公表するわけじゃない』
「んっなっ!?」
『いやぁ〜アンタ流石はエースよ、あのシーンのお陰で[映倫]の二文字が光って見えるって話よ』
「そ、そ、そ、そんな事いったらアスカだって胸を晒したじゃないか!」
『で、あんたは自家発電』
「・・・・」
780 :
年末に:2007/12/29(土) 05:39:48 ID:???
昔の事だ、もう十分冷静に、いやむしろ少し笑いながら話せるようになった、でも時折ピンポイントで心に
重い圧力を感じるのはやはり時間でも治せない痛みのせいなのだろうか
パンッ
景気良く頭が叩かれる音が響きわたる
『下らない会話で一々落ち込んでんじゃないわよっ元はと言えばアンタが振った話でしょ!』
「だってアスカがそんな事言うから」
『まぁいいじゃないのアレだって十分前向きな介錯が出来るわよ』
「前向きって?」
『勇気を与えたは』
「勇気?」
『そう、矮小だと思う自分を曝け出しながらも全力で頑張るって中々出来ないわよ』
「そ、そうかなぁ」
彼女の一言がいつも彼を救う
『自家発電をね』
彼女の一言がいつも彼を突き落とす、でも負けない、今日は負けられないんだ!
「そっちかい!!大体そういう風に思わせ振りに言うのってタチ悪いよ!」
『あらそう、ごめんなさいねぇアタシってホラ、日本語苦手じゃない』
「ふんっそうだね、あっちなみにさっきの[介錯]ってのは[解釈]が正しいんだよっ」
『あら伝わらなかった?、アレ介錯よ、正確に、国語的に使ったのOK?』
「・・・・・こんな時どういう顔をすればいいのかな?」
『さばきなさい、腹』
781 :
年末に:2007/12/29(土) 05:41:49 ID:???
昔の事だ、もう十分冷静に、いやむしろ少し笑いながら話せるようになった、、
た、
たぁ〜
たったたぁ〜意識を失いかけた彼の目には
(あっ見慣れたお腹だ・・・・)
「最近腹でた?」
『うっさいんじゃ!ボケシンジッ!!カスシンジ!!バカバカバカバカバカシンジッ!!!!』
62秒とか掛けられずLCLにもなれない彼は半分亡骸にハローな状態で
「おっぱぴぃー」
『62秒かけて殺してやろうか?』
彼は強くなり、彼女はモット強くなったんだろう
言葉通りインパクトされ、相変わらず繰り広げられる光景を肴にしながら妙齢の女性が溜息を吐く
(はぁーいつ振りなのかしらね、こうやって呆れる気持ちになるのは)
「あんた達ぃいい加減漫才やってないで呼び出した理由をおせーてもらえないかしら」
その一声で蘇った彼は決意を胸に「あっあのボ」
『復活が早いっ!』
再度しばかれた、シンジ沈黙
782 :
年末に:2007/12/29(土) 05:44:04 ID:???
「相変わらずだな、シンジ君もアスカも」
いつも通りの喧騒を、両手にエビチュウの男がさらりと流していく
「まったく相変わらずの惚気見せられるために呼ばれたのって感じよね」
男の片手にあった方を「さんきゅ〜」と奪った彼女はブルトップを開き再度目で訴える
この出来の悪く、愛しい弟と妹を
『別にアタシに聞かれても知らないわよっ呼んだのはこの遺骨だし』
そんな目には弱い彼女は、出来立ての遺骨を指差し強い口調とは裏腹に、そっと爪先でやさしく生存確認。
「だったらアスカ、シンジ君を苛めるのは少し控えてやれ」
「そうそう、そうしないと今に液っちゃうわよ〜」
「・・・・葛城、もう少しビールは美味く飲ませてくれよ」
783 :
年末に:2007/12/29(土) 05:46:58 ID:???
『あーもうっシンジ、すたんだっぷ!』
どんっと床を打ち鳴らす彼女の足に敏感に反応するかのように彼は立ち上がり、確固たる意思を宿した目を
彼等にとって家族というべき人たちに向ける
「僕は、エヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです!」
『何年前だっ!』
再度沈黙、しかし復活
「ご、ごめん、アスカ、」
『はぁ分かればいい』
「膨張してしまった…はずかし」
『更に逆行かっ?冒頭思春期ネタも重複でおいしぃねぇ〜って感じで逆行かっ!おまえツメンぞっ!」
『ってアタシのセリフは『』で締めるのに『」になったわっ!!!」
[っ]と[!]の数だけフルボッコ
未だに蹴り続けるアスカに危機を覚え加持が捕縛
それを乗り越え復活するシンジに、リツコは喜ぶんじゃないかしらと考えながらもミサトは再度話しを元に戻し
「もー分かったからシンジ君、いい加減話を進めて頂戴」
784 :
年末に:2007/12/29(土) 05:51:35 ID:???
そして肝心のシンジは、
今までの喧騒で痛む節々を確認しながらアスカ、ミサトさん、加持さん、ここに集まってもらった三人を
見ながらユックリと自分の考えを言葉する
「ミサトさん、加持さん」
彼の真摯な言葉は二人に十分注意を向かせ、
「アスカ」
彼のその一言だけで彼女は大人しくなり、皆は彼が発する次のセリフに固唾をのみながら待った
「あれから十年経ちました、今改めて僕らの記録を皆さんに見ていただいてます
あの時僕らは14歳で幼かったんです、そして未熟でした」
少年だった彼の言葉に3人は黙ったまま耳を傾けた
「そんな僕等を、いえ、僕を見られるのはツライ部分もあります、何より僕はアスカの悲しい顔を
また見るのが辛いです」
少女だった彼女の顔に浮かんだのは痛み以上に、その言葉を続けようとする彼への労わり
「でも僕は14じゃありません、あの時より、あの時より少しだけ強くなったと思います」
過去追い詰めた女は、その言葉を静かに聞くしかなかった
その女を愛した男は利己的かと責めながらも女を支えようと望んだ
785 :
年末に:2007/12/29(土) 05:53:04 ID:???
「ミサトさん、加持さん」
そんな二人を少年だった彼は精一杯の自分を認めてもらおうと、
そして大事な他人に伝えるための決意を胸に秘め、伝えた
いままで貰った勇気のお陰で
「僕は、僕じゃない俺はアスカと結婚します」
その言葉に偽ることの出来ない彼女は告げようと
「シンちゃん、」
そんな女を愛していた男は、あえて恨まれる覚悟を胸にしながら
「シンジ君、実はな」
『あっシンジ、ちょっと』
誰よりも彼の中心の人の声が響き、今更に驚いた彼が慌てて弁解しだすのには少し懐かしさを覚えてしまうが
「あっあっあのごっゴメンえっと、アスカは怒るかもしれないかなって思ったんだけど、でも二人に居て
欲しかったんだ」
「ボク、いや、俺のプロポーズに」
786 :
年末に:2007/12/29(土) 05:55:14 ID:???
『あんたバカァ?』
「へ?」
『出来るわけ無いじゃないまた結婚なんて!』
「はい?」
『ちょっとミサトッ日本ってそういうパターン可能なの?』
「あー・・・っと、うん、出来ないかぁって、、」
「シンジ君、いや、シンジだな、もうそう呼ばせてもらうよ、
シンジ、えっとそれ無理」
「え・・・え・・・」
『あんたアタシと何回結婚したいのよ?』
「え?いっや、一回だよ」
『じゃあムリ』
「なんで」
『してるから』
「なにを?」
『けっこん』
「けっこん?」
『うん』
「いつ?」
『まえ』
「だれと?」
『あんたと』
「いつ?」
『まえ』
「だ・・・」
787 :
年末に:2007/12/29(土) 05:56:17 ID:???
だーーーーーーーもっう、絶叫と共に懐かしく自分の立場を思い出した保護者は叫び
「えっとシンジ、知らなかったのかな?」
珍しくうろたえた元スパイは成す術も無く
「シンちゃん、あんたトーーーーックに結婚してるわよ!」
片手のエビチュウを潰しながらミサトは叫び、この状況がどれだけ無意味か説明しようとした
その役を、アスカが変わった
『シンジ、あんた何歳?』
「いや、24だよ」
『じゃあ、今日で12月29日だからアタシも24よね』
「うん、この前祝ったもん」
『そう、あの時のお祝いも嬉しかったわぁ♪』
チュッとアスカにキスをされたシンジは気勢をそがれる形になってしまい
『じゃあアンタいい加減アタシの性格しってるわよね?』
「えっと、うん、そこ・・いや、結構」
そこそこと言おうとしたシンジを一睨みで沈黙させながら、目的に解答を得られたアスカは仕上げに
788 :
年末に:2007/12/29(土) 05:57:19 ID:???
『あたしは好きな物を?』
「残さない」
『そんで?』
「すぐ食べちゃう」
『シンジのも』
「食べられる」
『アンタがアタシに告白したのは?』
こんな大胆な事をハッキリ言うくせに、顔が赤いんだよな「十八の誕生日です・・・お・・・ボクの・・・」
『じゃあ、結論は?』
「え、、、え!?」
『け・つ・ろ・ん・は?』
微笑みを浮かべた女神に顔は正に般若で間違える余裕も無く、
「ぼ、ぼくは」
『ぼくは?』
「あ、アスカと」
『アスカとぉ?』
「結婚、、して」
『して?』
「た」
『はい♪』
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
789 :
年末に:2007/12/29(土) 06:13:21 ID:???
『何驚いてんのよっ!』
「い、、いやだって僕知らないよっ」
『ボケーっとしてるからでしょ』
「そ、そういう問題じゃないだろっ」
『あんっ?じゃあアンタッ別れるつもりだったの!?』
「いやっそんな事ないよっ、って、それだったら今日プロポーズしてないじゃないか!」
『あ〜んそれ言われちゃうと辛いわねぇって、だったら問題ないじゃない!』
「も、問題ってそういう問題じゃないだろ!!」
『じゃあっどういう問題よっ!』
「どういうって、ほらっそれって未成年だと保護者の同意とかが必要・・・」
そこまで言ってやっと気がつく[保護者]の存在
一旦アスカから目を逸らし、その当事者を見ると
「いやぁ、そうっアタシはアスカ側の保証をしただけよ、ねぇ加持?」
で元スパイは
「あっああ、俺もアスカの保証人?、ってヤツをしただけなんだ」
もはや斬った張ったとは無縁の世界に過ごして長い二人にはウロタエルしかなく
そんな二人を一部諦めながら、それは納得した事なんだが、やはり釈然としない部分だけをぶつけるしかないく
「いやっアスカ側はいるけど、ボク側は誰だよ!」
そんな必死な抵抗もアスカには面倒な問答に他ならず、でも少し嬉しそうに
790 :
年末に:2007/12/29(土) 06:15:29 ID:???
『綾波レイ』
「ええええええええええええええええええええええ」
『あんど』
「あ、あんど!」
『MAGI』
「え?」
『だから、レイ&MAGIよ、あんたの保証』
「いやいや、いやいや、綾波もMAGIも何で保護者なんだよ!」
『レイはアンタのママでしょ』
「ママってそれってDNA的でしょ?」
『いいじゃない、犯罪者だってDNAで決まるんだから、十分な証拠よ』
「いや、犯罪者って・・、ってじゃあMAGIって何だよ!、MAGIってコンピュータじゃないか!」
『違うわよ、生体なんだし』
「生体なんだしって、アンタそれだけだったら明日からハムスターの子になるは!」
『いいけど、否決で終了、で他は?』
「いや、他って根本的に・・」
791 :
年末に:2007/12/29(土) 06:16:04 ID:???
風向きは五分五分な空気をいち早く呼んだのはやはりアスカなわけで
『アンタッあたしと結婚するのイヤなの!』
「い、いやn」
『すきって言ったじゃない!』
「う、うん」
『捨てる気ありってこと?』
「そ、そんなの、言うなよっ」
本気で怒りだしたシンジに少しウレシク感じながら
『じゃ、いいわね』
「えーだってボク知らなかったんだよ?、既婚暦6年って・・・・」
『はんっそんなんはアンタがモジモジしてたんが悪よっ!』
「じゃあさ、一個だけ教えてよ」
『何よ?』
「結婚記念日は何時?、6年分、そしてこれからも祝いたいんだ」
この一言に撃沈した彼女は、しどろもどろに成りながらも、精一杯強がり
そんな妹にエールと弟に気合を送り二人は宴を後にした、
792 :
年末に:2007/12/29(土) 06:16:55 ID:???
もうすぐ年を終えそうとする夜空のなか歩む男女の二人
ブチブチと文句を言いながらも、実は笑顔を隠せない女を、ただジットいつものように苦笑する男
「加持」
君は無い
「なんだよ、葛城」
「かーじ」
遠慮も無い
「はぁ、いまか?」
「そう」
「みさと」少し照れた男の声に
「泣いていい?、今、幸せなの」
=おまけ=
「そういえばミサト、何でアスカが怒ったか分かるか?」
答えを知ってるがいえの余裕を含ませながら意地悪く尋ねる男に
「アスカが怒ったってどの場面のトコよ、ずっと怒ってたじゃないよ」
そんな返答に彼はタネを明かすように言う
「明確に一個あっただろ、」
「明確?」
「そう、」
「勿体ぶらないでよっ、一体何?」
タネ明かしは完結に
「お腹が出たって言っただろ、あれは?」
「えっあれって何時ものじゃなくて・・・・」
タネはシンプルだがインパクトが大きすぎた女は、喜びと嫉妬を抱えながら最後は、諦めたように男に向かって言うはめになった
「先越されたわねっ!」
漫才みたいにしてみたいと思いましたら脱線しました・・
長いなぁ〜とは思いますが、LASで有る所で勘弁してください
では良いお年を
俺も泣きそうになった
有り難うGJ!
良いお年を
みなさん、あけましておめでとう!
そして
>>779-794 GJ!!
新年早々、良いお話を読ませていただきました^^
新年おめでとう
そして職人GJ
まち
投下町
ヤベッ
ってこっちも浮上〜
町
「Remembrance」
この名作に対して勝手にエピローグを作りました、
怒られてもいいんで転載してみます。
「認めない」
ふいに出た彼女の言葉に少し驚いた僕はただ彼女を見つめるしかなかった
「認めない、認めるわけないじゃない!」
「アンタが惚れたのはアイツなんでしょ!アタシじゃなくアイツ!ゴメンなさいねアイツじゃなくて、本当に申し訳ないわっ」
そう一息で告げる彼女はどこか僕に余裕と希望をくれながら
「だから諦めなさいっアンタの目の前に居るのはアタシよっアイツじゃないの」
窓際に立てかけられた写真立て、それを掴んだ彼女はマタ僕を睨んだ
ん〜今日はよく睨まれる日のようだ 、僕の感想を他所に彼女の怒りは続き、
「ここに写ってる幸せそうなバカ顔はアタシと似てるけどアタシじゃないの、それはアンタが一番分かってるでしょ!」
「だからホットイテッ、そうアタシは寛大だからアンタを許してあげる、だからもうアタシにかまわないでっ」
「アンタが惚れたのはアイツなんでしょ・・・・」
そう言った青い瞳は、少し潤んでいて僕を見つめた
やっぱり今日はよく睨まれる日だ。
そんな瞳を見ながら僕は少しだけ息を吸い込み、少しだけ微笑みながら彼女を見つめた
「ボクが好きなのはアスカだよ」
噛みあってない・・・
これで納得しないのは分かってる、むしろ疑問を増やすだけなのも、だけど、これが僕の答えなんだ
「はっ?薄ら笑いだけじゃなくてっその場しのぎも上手くなったわね」
乙
GJ!
ありがとう!
>>806 URLのLASの「S」を「D」に変えたら変なサイトが・・・
811 :
806:2008/01/21(月) 04:27:49 ID:???
>810
変なサイト呼ばわりイクナイ
落ちLASスレは初代スレまで掘り返し終了
取りこぼしがあったら指摘ヨロです
あんたグッジョブだよ!
変なサイトいってみた
これはないわwwww
>>806 お疲れ様です!
本当に良い方ですね!!
これはGJせざるを得ない
GJ!そして保守☆
>>806 他はまだしも、こんなアスカ〜スレまで掘り起こしてるのがすげぇ
改めて読むとこんなアスカスレに俺ちょこちょこ書いててワロタ
暇なんだな
>>806 お陰様で自分で投下しておいて保存していなかった作品をサルベージできました。
神に感謝です。m(_ _)m
まとめ保管庫を勝手に作ってしまった者です。
まずお伺いを立てずに先走ったことをお詫びします。
各作品の作者様で転載の可不可をお伺い出来ませんでしょうか?
スレ住人の方がよろしければこちらで、またはサイトのメルフォでご連絡いただければと思います。
転載許可を頂ける場合で無タイトル・無記名の作品やスレ番、レス番が不明の作品は内容を簡単に併記して頂ければこちらでお探しします。
ご迷惑をおかけしますが宜しくお願いします。
サイトURL
ttp://las.nobody.jp/ ※現在は転載許可の降りたもの以外削除してあります。
尚、各スレへお伺いする書き込みを致しておりますのでマルチ投稿になってしまいますがご容赦下さい。
>>821 連絡ないヤツはどうするんだ?
作者の中にはもうエヴァ板にいないヤツもいるだろ。そんなかには名作もあるっていうのに、再び埋もれさせるつもりか?
>>821 まとめのような好意的な甜菜の場合は本人の許可はいらんとオモ。
そもそも投下したものを甜菜されるのが嫌なら自分のサイト作ってやれって話。
ただもちろんアフィ目的にまとめ作ったりすると問題だがな。
ということでGJ
>>821 何にしろアリガト!
毎日少しずつ読んでる。
例えバレンタインデーのチョコレートを贈るという習慣がお菓子業者の陰謀であり、この一連の話の主人公がバレンタインデーとチョコレートが全く結び付かないドイツ出身の少女であったとしても、恋している少女は何故かあらがえないのである。
なんだかんだで全て終わった訳であるが、少女――惣流アスカラングレー――は故国へ帰国する事は無かった。
それはひとえに同居する少年が89%くらいの割合で関係しており、帰らない理由はそこに起因する。
簡単に言えば、少女は少年に恋をしていたのである。
アスカは最近、髪留めに使っていたヘッドセットインターフェイスから普通の髪留めに変えた。
エヴァを振っ切る為だと少女自身は語っているが、勝負事の前には鞄に着けている片方のヘッドセットインターフェイスを触る癖がある。
そしてその日がまさにその時だった訳だ。
さて、場所は学校である。
日が日であるからか、教室内とは言わず学校全体に酷く殺気だった空気が立ち込めている。
アスカは綺麗にラッピングした手作りのトリュフチョコレートを机の中に隠して、ヤキモキと碇シンジを睨んでいた。ギラギラと寝不足の蒼い瞳を輝かせ、射抜き殺しかねない視線だ。
因みに、朝のうち靴箱の中に入れておくと言う作戦は失敗であった。シンジ少年と共に登校した為である。
その上、シンジの靴箱に入れられていたチョコレートが休み時間の内に綾波レイの手によって排除されているのを見てしまっては、諦める他ない。
しかし目の前に展開している光景に、アスカは机を蹴り上げてしまいたい衝動に駆られた。
クラスの女子、約半数がアスカを牽制し、チョコレート(義理も本命も合わせて)を渡そうとアスカの様子を伺っているのだ。
アスカはまるで、卵を守るペンペンの様な心持ちだ。
しかし渡せないのはアスカとて同じ。衆人環視の中で渡すのは、流石にプライドが許してはくれない。
しかし帰り道は、高校に入って別クラスになった綾波レイが居るし、帰宅しても同居人の葛城ミサトがいる。酒のつまみにされるのがオチだろう。
八方塞がりである。
内心で、アスカは「あたしのプライベートはどこよぅ!」と叫びたい気分であった。
さて巡り巡って放課後である。
結局チョコレートを渡す事が出来なかったアスカであるが、逆にシンジへのチョコレートは完全に阻止した。
それについては、アスカは自信を深くしていた。
だが、その時少女は、ひとつ大きな計算違いをしていた。何をしでかすかわからないイレギュラーな存在、綾波レイの存在を失念していたのである。
「碇君……これ……。」
帰り道でレイがシンジに手渡した蒼い包み。
「これは……?」
呆然としているアスカの前で堂々と繰り広げられる。
「チョコ……今日はバレンタイン。好きな男性にチョコを渡す儀式の日。」
頬を赤らめるレイの姿はまるで少女の様に、アスカには見えた。
「あ、ありがとう綾波! 実はもう諦めてたんだ!」
不意を突かれたアスカであるが、復活したのが、不覚にもレイが走り去った後であった。
「ち、ちょっとぉ! なに恭しく受け取ってんのよぉ!」
「あ、『恭しい』なんて難しい言い回し、覚えたんだ。」
脳天気なシンジ。
「あ……そう? 実はこの前図書室の本読んでたらたまたま……って話を反らすなぁ!」
アスカには、鞄の中に収まったままのチョコレートが、急に重くなった様に感じられた。
そして、第四ラウンドと言うべき自宅である。
因みに引っ越されており、前のコンフォートマンションの様に、シンジの部屋が物置と言う事はない。キチンとした、三者平等の面積である。
アスカは自室にて、チョコレート片手に襖へ耳をくっつけて台所の様子を伺っている。
二人きりの家。ミサトも未だに帰っていないが、どうにも踏ん切りがつかなかった。
そうこうしているうちにミサトも帰ってくる。料理が出来る、夕食を取る、自室に入り、日付が変わる。シンジは一人でにこにことレイからのチョコレートを食べるだろう。
アスカは激しく頭を振った。
それはなんとしても阻止せねばならない。
最悪の妄想がアスカの背中を押す。
アスカはずずっと襖を開く。フローリングをのしのし歩き、台所のドアを開ける。手にはチョコレートの包み。
そこでインターフォンが鳴った。
「シンちゃーん、アスカぁ! 大黒柱のお帰りよお!」
アスカは後ろにチョコレートを隠した。
夕食を最後に食べ終わり、皿を流しに置くと、アスカは晩酌をするミサトを一瞥してソファに突っ伏す。「肥るわよぉ?」とミサトのからかい。反応しない。
シンジが心配する。「食べ過ぎですかね? それとも美味しくなかったのかな……。」
落ち込むシンジを慰めるミサト。「そんなことないわよん。いつもと同じでビールが進む進む。」
ははははは。
笑い声。
アスカは機嫌が悪くなる。「うっさい! 風呂!」
「何よ準備出来てないじゃない!」
「とろいわよ、グズ!」
心にも無い事を吐き出す。悪循環で更に機嫌が悪くなる。
「シンジなんか嫌いよ! 大っ嫌い!」
いーだ! と、風呂から出た少女は自室に入って行った。
「やっぱりご飯美味しく無かったんでしょうか……?」
違うわよバカ!
「さぁねん?」
解ってるクセに、バカミサト。
アスカは緩い午睡の中へ落ちて行った。
アスカが目覚めたのは十時半だった。もちろん朝のではない。
バレンタインデーの夜十時半だ。
アスカは扉に耳を当ててみる。微かにかちゃかちゃと音がしている。シンジが明日の弁当を用意している音だ。
ずず……と襖が開く。アスカは周りを見回し、壁の影まで行ってリビングとダイニングを偵察する。
ミサトはいない。
台所をアスカは確認していないが、ミサトは基本台所には出入りしないので(台所の冷蔵庫のスペース確保の為に、ダイニングにミサトのビール専用の保冷庫がある)見る必要はない。
アスカはしっかりとチョコレートの小箱を握り締めている。
台所のドアを開けるアスカ。シンジは作業台で弁当のおかずを小分けにタッパへしまっていた。
「あれ? どうしたのアスカ?」
アスカは自分の顔が真っ赤になっているのが解る。
普段ならばここで「ありがたく受取りなさいよ!」とかなんとか言って突き出すのだが、その一言がアスカの口から出てこない。
その時だ。
「あらぁ? アスカぁ、なぁに持ってんのかなぁ?」
「わひゃうっ!」
アスカが飛び上がらんばかりに驚いて後ろを振り向くとそこに居たのは葛城ミサト。もし全ネルフ職員に聞いたら皆、口を揃えて言うだろう。「酔っている。」
「ちょっ、何よミサト!」
ビラッとアスカの掌中からチョコを奪うミサト。
「むふぅん……あんたもそんな歳になったのねぇ……。」
にやにやと嫌らしいとも見える笑い。
「う、うっさい、三十路の行き遅れぇ!」
ぶぅらぶぅらとラッピングを摘んで揺らしていたミサトの手から奪い取ろうと跳び跳ねるアスカ。
「シンちゃんにでもあげるつもりだったのかしらぁ?」
アスカの顔はもう真っ赤だ。
「そ、そんなんじゃないわよぉ!」
ミサトの隙を突いてやっと自らの掌中へチョコレートを取り戻す。
シンジは少し落胆した様子である。
「じゃ、何よそのチョコレートは?」
「そ、それは……。」
アスカは必死に思考を駆け巡らせる。高速回転をゆうに十五秒続け、やっとアスカの口から出た言い訳は
「これはただのチョコレートよ! ヨーロッパの誇るべきホットチョコレート用なのよ! 今から作るのよ!」だった。
スタスタと歩いて行き、シンジを押し退け、鍋にドバドバと牛乳を注いで火を浸ける。
ぶつぶつと煮たって来ると、アスカはチョコレートの包装を破いてバラバラと手作りチョコを手で砕いてホット牛乳に投入した。
涙が浮かびそうになるのを我慢する。
良く溶けたのを確認すると新しい牛乳を更に注いで一煮立ちさせてからマグに注いだ。その数ふたつ。
「あれ? アスカは……?」
「ふ、肥るからいいっ!」
ドタドタと騒がしい足音の後、ぴしゃりと閉まる襖の音。
「ふふん、素直じゃないわね。折角協力してやろうと思ったのに……。」
そう言うミサトは限りなくシラフに見える。演技だったのだ。
「あの、ミサトさん……飲みますか?」
「ああ……。」
ミサトはひらひらと片手を振った。
「私はいいわ。アスカに殺されたくないし。」
首を傾げるシンジ。
「鈍感ってのは罪よねぇ〜。」
歌うように言いながら、ミサトは自室に引っ込んで行った。
「なんだろ……。」
ズズズ……とマグからホットチョコレートを啜るシンジ。
「こんなに飲めるかな……。」
鍋一杯の牛乳とチョコの混合物を見て、溜め息を吐くシンジであった。
今更であるが、チョコレートに施されたラッピングの中には『アスカはシンジが大好き。』といったメッセージカードが入っていた。
さてそのメッセージカードはどこにあるのかと言うと、それはアスカが破いたラッピングと一緒にゴミ箱に入っている。
当然シンジとしては、ガサツな同居人の為にわざわざゴミ箱を漁って分別しなければならない訳であり、と言う事は捨てられたメッセージカードはシンジの目に触れるのである。
十年後。
「はい、パパ。バレンタインデーのチョコレート!」
黒髪の男性は赤髪碧眼の少女からひとつの小箱を貰う。
母より手早く仕上げたのは男性の遺伝子がなせる業か。
「ありがとう、アイ。」
ふふんっと胸を張って迎け反る少女に、ゲンコツ一閃。
「威張るんじゃないの。」
「威張ってないもん!」
頭を擦りながら金髪碧眼の女性に反論する少女。
微笑ましくそれを見ている男性。
「さ、次は私の番よ。」
そう言うと、女性はとたとたと台所へ向かい、鍋とマグを持って戻ってきた。
にこにことそれを見ている男性。
トロトロと茶色い液体が、湯気を立てながらマグに注がれていく。
「はいどうぞ、シンジ。」
「アスカ、ありがとう。」
こくりと甘く柔らかい舌触りのホットチョコレートを飲む男性。
「ねぇ、なんでママだけココアなのよ。」
父の膝に手を置いてぴょんぴょん跳び跳ねるアイ。
「これはココアじゃないの。ホットチョコレート。」
ポンとアイの頭に手を乗せる男性。
「アイがもう少し大きくなったら、教えて上げるからね。」
「ずるいよぅ!」
胸の前に手を置いて、いやいやと体を捩るアイを見ながら、アスカとシンジは微笑みあった。
終
朝思い付いて、行き帰りの電車内で、急ピッチで仕上げました。「アスカの性格違わねぇか?」とか「文が厨二っぽい」とかは自分で解って投下しましたが……
後悔はしてないっ!
てか間に合ってない!
因みに私が貰ったバレンタインのチョコは、某コンビニの一口チョコのサービスくらいorz
いいねいいねGJじゃないか
ニヤニヤしたぜ
これはヨイ
うむ。GJ
おつ!
程好い空腹感が脳を刺激する夕方時。
何時もならば喧しいほど賑やかなその家庭で、ペンギン一羽はほとほと困り果てていた。
そう、今日に限って空気が悪いのだ。どんよりと。
その理由など些細な事である。
少女と女性が他愛も無い恒例行事である口喧嘩を開始させ、食事の準備に勤しんでいた少年がその行為を咎める発言をした。
ここまでは良くある光景なのだが、今宵は女性陣ふたりがヒートアップしており、何時もなら従うその少年の言葉も強い口調で一蹴してしまったのである。
何とかそれでもふたりのボルテージを下げようと必死になる少年だったが、何時しか状況は三つ巴と変化していた。
唯一の防波堤であった少年がまさかの戦争へ参加表明を宣言したことにより、事実上この修羅場を抑えられる存在はペンギン一羽だけなのだが、悲しいかな彼の言葉は伝わらない。
「「「・・・・・・いただきます」」」
うっわっ、お通夜でございますか!?という突っ込みがどこからともなく聞こえて来そうなこの雰囲気。
だがペンギン一羽は何故か冷静に、そこはちゃんと言うんですね、と突っ込みを忘れない。葛城家順応の証である。
しかし、順応されようともやはりこの沈黙は戴けない。と言うよりもあってはならないのだ。
どうしたものかと頭を捻るが、既に語ったように言葉が通じないのであるからして手の施しようがないのだ。
ほとほと情けない話ではあるが流れに身を任せることがペンギン一羽に残された最後の手段。
沈黙したまま食事は進む。
味噌汁に手を付ける女性。
「……あ、シンちゃん、お出汁変えた?」
「あっ、マズかったですか?」
「ううん、普段と違うからなんか新鮮だなぁ、と思って。味は何時も通り美味しいわよん」
「良かったぁ、何時ものお味噌じゃなくて今回は―――」
「オホン!」
少女の咳払い。
そうだった今は喧嘩中。
再び沈黙が葛城家を襲う。
「あーーーー! 今日見たいドラマあったんだったぁーーーー! 見逃しちゃったーー!!」
「そうなると思ったから予め僕が録画しておいたよ」
「えっ!? ウソ!? ホント!?」
「録画は男の仕事、なんてね」
「良かったぁー!! さっすがシンジ、だから大す―――」
「ん?」
「ナンデモナイヨ」
「なに、その急な片言は? 何を言いかけたのさ?」
「ナニモナイアルヨ」
「……あからさまに怪しいね……何を言うつもり―――」
「うぉっほん!」
女性からの咳払い、と言う名の助け舟。
そうだった今は喧嘩中。
再び沈黙が葛城家を襲う。
「そうそう、アスカ、聞いた?」
「何を?」
「ほら、オペレーターのハルちゃん、やっと彼とゴールインしたみたいよ」
「うっそー、あれと? あんな優柔不断の男のどこが良いのかしら、趣味わるぅー」
「あと、スイちゃんもやっと彼氏が出来たって」
「あのどん臭い子にぃー!? なんかショックだわ……」
「アスカも負けてらんないわよねぇ〜!?」
「そりゃあ、こっちには幾らでもチャンスはあるわけだから―――」
「お、おほん……」
少年からのやるべきかやらざるべきか散々迷った挙句の控え気味な咳払い。
そうだった今は喧嘩中。
もう無意味な気がするが再び沈黙が葛城家を襲う。
「そうだ、今度のお休み、晴れたら何処かドライブに行きましょうか?」
「どうしたんですか、突然?」
「最近お外に出てないなぁ、って思っただけなんだけどね……」
「たまには良いかもね、体動かしたいし」
「あら、だったらバトミントンでもする? 言っとくけど私強いわよ?」
「ほっほー、それはそれは……楽しみね。若さに楯突くその愚かさを存分に後悔することね」
「ふん、経験どころか尻も青い若造に負けるほど老いてないわよ……ふふふ」
「じゃあ、お昼はサンドウイッチにでもしましょうか」
やいのやいのと次の休日の予定を考える三人。
しかし、同時にピタッと会話が止まる。
そうだった、今は喧嘩中。
再び沈黙が―――
「もう、そろそろ良いですかね?」
「そうね、無意味すぎるわ」
「同感、じゃあ『せーの』でね」
「せーの」
「「「ごめんなさい」」」
何とも自然な流れで三人同時に『ごめんなさい』。
そしてその後はまた楽しく談笑を始める三人。
その全てを見ていたペンギン一羽は、自分の心配があまりにも杞憂であったことに気付かされる。
最近の雰囲気でそれは感じ取っていた。
けれど、『あの葛城家』を見ていたペンギン一羽だからこそ、ほんの些細な亀裂から、また『あの葛城家』が蘇ってしまうのではないかと考えてしまう。
「楽しみねぇー、早く日曜になんないかなぁー」
「折角外に出るんですから、飲酒は無しですよ?」
「ねぇねぇ、どうせだし雨天決行ってことにして、雨の時の計画考えない?」
でも、もう大丈夫。きっとじゃない、絶対大丈夫。
この世界はそういうところだから。
きっと三人は幸せになるんだろう。
ペンギン一羽は嬉しそうに一声挙げて、羽をパタパタとバタつかせていた。
そんな夕食時。
そしてペンギン一羽は思う。
私と一緒に住んでいる人達は、不器用で、優しくて、暖かくて。
そんな人達に飼われている自分はなんて幸せなんだろう、と。
そして、今晩のメインである焼き魚を頬張る三人を見て更に思った。
アレ、絶対、わたしの餌だ、と。
そんな葛城家。
意地っ張りな葛城家ええなぁ〜
乙!
投下街
844 :
月影零:2008/03/02(日) 10:34:11 ID:???
初めまして
皆さんのを見てたら書きたくなったので書かせてもらいますo(≧∀≦)o
設定は
シンジ君が事故に遭い植物人間になってて、それを看病するアスカってのが背景ですm(_ _)m
何分、幼稚な作文じみてますが読んで頂けたら幸です
845 :
月影零:2008/03/02(日) 10:39:29 ID:???
僕は病院のベットで寝ている…
どれ位、時間が過ぎたか解らない…
でも、僕の右手に確かに感じる温もり…
それに導かれるようにして
僕は、ここに帰りたいと思った
………いや…………
僕は、願ったんだ
君に、もう一度逢いたかったから………
え!?終わり!!!?
いい最終回だった
t
849 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/03(月) 01:38:53 ID:N47nd1ye
ちょwwwwww
名作ktkrwwwwwwwww
これが噂の携帯小説か・・・
(^-^)
( ゚Д゚)
>844の説明がなかったら、なんだかさっぱり分からんw
投下してくれるのはありがたいけど、
次は頑張って説明無しで成立する小説を書いてみてくれ
短編でいいから
……信じられないわ
855 :
月影零:2008/03/03(月) 23:38:46 ID:???
すいませんm(_ _)m
一応、まだ続きは有りますよ( ̄▽ ̄;)
携帯の動作不良で書けませんでしたが…(ノ_・。)
ゆっくり投下して行くので、長い目で見てあげて下さい
m(_ _)m
856 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/03(月) 23:48:59 ID:7eK7k2q+
>>845 目覚め〜シンジside1〜
暗闇から抜けるようにして目覚めた僕が目にした物は
真っ白な天井だった…
体中に纏わり付くように取り付けられた
点滴や心電図等のコード類の冷たい感触…
…………でも………
僕の右手だけは温かかった…
僕は、目線を温もりを感じる右手に向けた…
そこに映ったのは、僕の右手を包み込むように握る少女の姿だった
不意に、少女の目線と僕の目線が重なった
少女は碧い瞳を潤ませ、涙を零しながら満面の笑みを浮かべていた
857 :
月影零:2008/03/03(月) 23:55:18 ID:???
>>856 目覚め〜シンジside2〜
少女の満面の笑みは
僕の記憶の奥底にある
夢か現実か分からないけど
赤い瞳の少女が見せた微笑みよりも
遥かに美しいと思えた笑顔だった…
僕は、その笑顔に安らぎを覚えながら
重くなる瞼に抗う事無く
再び、僕は目を閉じた……………………
幻想的でいい! GJ!
ホウホウ
860 :
月影零:2008/03/04(火) 23:59:21 ID:???
>>845 目覚め〜アスカside〜
ベットで痛々しいくらいに機械類のコードを巻き付けられて眠る少年
と
ひたすら、少年の手を握る少女…
静寂が支配する空間に
心電図が一定のリズムを刻む音
と
少年の呼吸機の音と
少女の泣き声を押し殺してるような鳴咽が交差している…
少女は自分が手を握ってあげる事しか出来ないのが歯痒くて仕方なかった…
………何で、私には何も出来ないの?………
自分を責める事しか出来なかった……
861 :
月影零:2008/03/05(水) 00:13:52 ID:???
>>860 目覚め〜アスカside2〜
少女から零れ落ちる冷たい涙…
そんな時
僅かに
ほんの僅かにだけど
少女の握る右手を少年が握り返した
少女は胸から、さっきのとは別の熱い何かが込み上げてきた…
862 :
月影零:2008/03/05(水) 00:15:17 ID:???
>>861 目覚め〜アスカside2〜
少女は少年の顔を見つめた
少年は目を開いて天井を見ていた…
そして…
ゆっくりだけど、少女に目線を移して行った…
少女は嬉しさの余り
熱い涙を頬に伝えながら
自分でも今まで出した事の無い
最高の笑顔を少年に向けた
やがて、少年は安心したのか再び瞼を閉じた…
だけど
少女だけは見ていた
目を閉じて行く時に
少しだけ見せた微笑みの瞬間を…
863 :
月影零:2008/03/05(水) 00:22:10 ID:V+P0rbjw
アスカside
書いていたら、めっさグダグダになりましたm(_ _)m
それと
2が重なってますが
下段のが
3になってます
とりあえず乙
アスカsideは第三者視点からなのな。
>>863 コテだけは立派だけど内容が伴ってない 情景を描写してるだけじゃん
読んでてすごくつまらない
もっと話を展開させたらどうです素人さん?
>>865 シンジは目覚めたものの、その身体は病魔に蝕まれていた。
その事をアスカに悟られないよう悪く振る舞う事で、シンジは自分からアスカを離そうとする。
ってな展開でおk?
恋空(笑)乙www
>>866 展開言うなよw
だが
>>1 によるとそれはもはやイタモノじゃね?
このスレではイタモノ禁止ってなってるからLAS小説投下スレの方がいいと思うけど・・・
あまりに携帯小説チックだとどのスレでも白眼視だろうね
頑張れ頑張れ〜
色々言われるのが当たり前って考えときゃいいよ。初めてだし
そうだよ 初めてなんだから才能ないのは仕方ないよ
871 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/03/06(木) 16:00:04 ID:gTdXMAuO
才能というかFFは回数こなせば上手くなるもんだから頑張れ
まあ叩きや煽りは気にすんな
俺のが上手いわw
>>872 でかい口は投下してから叩こうぜ
どうせ会話onlyの底辺小説だろうけどw
とりあえず文章だけ読んでいても情景が全く浮かんでこないので、
キャラクター以外の描写も頑張ってほしい。
文章なんてのは場数こなせばいくらでもうまくなる。
叩きレスを単なる荒らしで終わらせるか肥やしにするかは自分次第。
頑張れ。
期待ageにょろ
町
待ち
零さん止めちゃったのかな?
続き待っとるよ
「シンジ〜この写真見て♪」
「なんだよ」
「メガネとジャージとバカ♪」
「・・・・・」
「もしかして、怒った?」
「いっつも、いっつもバカって言うな!」
「い、いーじゃない!アタシだけがバカって呼んであげてるのよ!特別に、よ!」
なぜか特別にという言葉に反応したシンジきゅん。それ以後、バカと呼ばれるたびに、喜んだそうだ・・・
アホの坂田の逆だなWWWW
「ふーん、平和ねぇー」
久し振りに日のあるうち、しかもまだ昼過ぎと言える時間に仕事を終えた
彼女にとって、まだ明るい部屋の中でビールを片手に過ごす時間は幸福では
あるも若干の物足り無さを感じている自分に驚きを覚えた
帰って一人なんて当り前だったのに寂しく思うなんてアタシも慣れちゃった
もんねぇ
暇つぶしに揺らした視線が壁掛けのカレンダーに止まったのは幸か不幸か・・・
そうかぁもうすぐ4月か、これは使えちゃうじゃないのぉ〜
そんな彼女に答えるかのように、一人の少女がエアサスの軽い排気音を背に
玄関を開けたのは、やはり持って生まれた役回りじゃないかと結論するに忍びない
「ただいまぁって暑いわねぇー、あっミサト珍しいじゃない」
蜂蜜色の髪を外気を纏いながら揺らせる少女はリビングの家主を見て思わず声をもらす
「まぁねぇ〜、最近忙しいんで逃げてきたのよぉ」
適当に答えるも、そのタイミングの良さに顔の緩みを隠しきれないのは困ったもんだ
そんな事も知らず少女は久方ぶりに見かける家主を脇目に、冷蔵庫を開き目標をセンターに
ロックオン
「あ、アスカ、ちょっちいいかな?」
牛乳パックを直接口にあてながら、中の液体を流し込んでいる少女からの返答は無い
はぁこれがかのセカントチルドレンって公表したらドイツの人達驚くでしょねぇー
「あーすーかーー!」
少し声を張り上げた声に渋々、何よと少女は答える
「もうすぐ4月1日ってのは知ってるわよね?」
何を言うのかと思えば、当り前のセリフに牛乳を飲みながらどうしたんだと表情で答えると
「あれってバレンタインと同じで、こっちって少し違うから気をつけ無さいよぉ〜」
「ん?何がよ」
冷え切った牛乳の喉ごしが心地よい
「シンちゃん告るわよ」
「ゴホッ」
むせ返す少女の反応の何と心地よいことか
「4月1日は特別だからねぇ〜覚悟必要だと思うのよねぇ〜」
持っていた牛乳パックを握り潰し顔を赤らめる少女を十分堪能できたがせいか、
それとも以前よりも心地よい気持ちのせいか
「4月1日は嘘って事にして男の子が大事な気持ちを声にする日なのよ」
「そ、そんな」
慌てだす少女は愛をしく、改めて自分に冗談だと言い聞かせながら
「まぁどちらにしても口元が牛乳まみれってのはいただけないんじゃないのぉ」
にやけた表情でつげる彼女に
それほんとう?
顔を赤らめながら彼女は洗面所に消えていった
再び流し込んだビールの酸味は苦くもあり、懐かしくもある
自らが撒いてみた種だが、意外に伸びそうだと思う彼女を待ってたかのように
黒髪の少年が玄関の向こうより現れる
「ただいまぁ、あっミサトさんおかえりなさい」
自分を見つけた少年が掛けた言葉は、何かこそばゆい
「ただいま&おかえり」
心地よく返す言葉に笑いながら少年は帰ってくる
=計画に誤差は無い=
「しんちゃーん、もうすぐ4月1日ねぇ」
「あー、確かにもうすぐそうですね」
帰り際だからなのだろうか、普段より無防備な少年に今日最大の罠をかける
「4月1日は特別よ、知ってた?」
「何がですか?」
「嘘と真、内気な彼が愛を語ってもいい日よ♪」
それっきり答えてやらずに放置してると、シンジの方から怒り出した
「からかうんだったら後にしてくださいよ」
自前のエプロンを胸にキッチンに目をそらそうとする彼に向かって今日ダメ押しを
「シンちゃん、4月1日の告白は特別だからね」
そう投げかけたシンジの背中に反応は無い、必死で隠しているんだろう
「あたしが加持に気持ちをぶつけたのも1日よ」
本当はアイツから言わすつもりだったんだけどねぇ〜っと照れ笑いする彼女を
見つめながら、でもいまだ自信がわかない・・・・まったく困ったもんね
呆れながらも言わなければなるまい、この少年の姉であり、この少女の姉なのだから
「シンちゃん、待ってるわよ、あの娘、4月1日ってのはね、正直に喋っていい日なの
シンちゃんやアスカ、あ、あと、アタシやリツコみたいにねw」
思い切り強く弟の背中を殴ったミサトは
「ゴフッ。やり過ぎですよ・・・」
そんなシンジを見ながら、はっきりと呟く、
「悔いのないようにね、」
=嘘を言っていいといわれた、あの日から、彼女は本当の言葉を口にすることになる
少年からの真摯な気持ちに・・・=
ってなるはずよねぇ
葛城みさと、お気に入りの酒と、お気に入りの肴、そして得ることの無い
そう諦めていた温もりに酔いながら、今日もユックリとその日を待っている
ま、来週だけどね!
GJ!
気回してんだか回してないんだか判らんがミサトの企みに乾杯
GJ!
文章がすごく上手いです!!
>>884 企みに乾杯といっていただいて嬉しかったです
>>885 いつもナンですが、酔っ払って書いてるんで、文章は粗が目立ちますよ
それでも、上手いと言ってくれてる事はスゴク嬉しかったです
去年から適当に書いていたんですが、今年になって何か書きたいと思いながらも
形にならずここまできました
話は前後するかもしれませんが、まとめSSサイトに登録していただけたら
嬉しく思います。
では、皆さんにエビチューをこめて、乾杯とさせていただき、今後も末端ですが
よろしくお願いします。
こちらこそ、これからも素敵な作品をよろしくお願いします!
「愛してるっていえる?」
「言える」
「ジャンケンでも?」
「ええ」
じゃあ
「ジャンケン」
「グー」「グー」
「アイコは?」
「アイコは決めてない」
「もう一回?」
「やだ、もういい」
「好き」
それじゃあ「アイコ」じゃないバカ・・・・・
889 :
888:2008/04/05(土) 04:18:48 ID:???
3分で出来る『落ちLAS』でしたぁ
3分なので、ちょび乙!
三分LASクッキング
いや言ってみただけ
=碇シンジ君へ=
あなたと初めて会ったとき、胸が刺される思いでした
決意を秘めた凛々しい眼差し、絶望を目の前にした悲しい瞳、
その全てが私には新鮮でした、、
そんなアナタと過ごした僅かな時間
本当、天に昇るような気持ちになれました
胸に刺さった痛みは幻のようで、ただアナタの傍に居られるだけで満たされた思いです
でも私は近寄れない、、、
あなたには大切な人がいたから、、、
だから私は眺めるだけ、、、
でもっ、そんな私もアナタと一緒に飛んだアノ時、一生忘れません
空に向かっていく途中、アナタ泣きましたね?
その顔を見て私は諦めました
ホンの僅かな時間ですが、アナタのこと忘れません
サードインパクト忘れません
〜量産6号機より〜
「あれ、一応トラウマなんだけどな・・・どうしよう?」
「捨てなさい!」
※ただ待つのも暇なので、パクリ待ちさせていただいた事、ごめんなさい
いやいや
乙です
あの人のやつか
ちょっとニヤリとしたw
保守
落ちないぞ
投下街
あげ
ほしゅ
保守
901 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/15(木) 00:10:18 ID:78k44H8C
休日の昼下がり、騒音とも取れる人混みのメロディーを聞きながら男性はほとほと困り果て、後悔していた。
誘うべきでは無かったと。
カラコロと鳴るアイスティーの氷が、眩しい太陽の光を浴びて幻想的に輝いている。
その太陽に負けないほど、少女の笑顔もまた眩しい。
「ねぇ、ねぇ、加持さん。次はどこ連れてって来れるの?」
「いや、まぁ……そうだな……」
男性にしては珍しく、何とも歯切れの悪い回答だった。
それほどまでに男性はこの状況に身震いするほどの悪寒を感じているのだ。
ただ久しぶりに誘ってみるのも悪くない、そう思っただけで他意は無い、本当に。
しかし、如何に本人に悪気など無かろうが第三者はそんなこと知ったことではないし、堪ったものではない。
「どっか行きたいところある?……シンジ君は?」
「……別に……僕はどこでも良いですよ……」
好意を抱く相手を休日に連れ回されたとあっては第三者はやはり黙ってなどいられないのだ。
少年は珍しく不機嫌な態度を露ほども隠そうとせず、心成しか頬を、ぷくっ、と膨らませている。
なんでこうなるかなー、と心の中で溜め息を吐く。
時期的にそろそろ問題無いと思ったのだが、その考えがどれほど甘いのか良く解った。
「なによ、アンタ、その態度は。ってゆーか、アンタは何時まで着いて来るつもりよ?」
「……むぅ、なんだよそれ。僕が居て何が悪いって言うのさ」
「空気読みなさいよね、アタシと加持さんのふたりっきりにさせるのが道理ってもんでしょ」
「アスカの我が儘……」
「むかっ! 言いたいことがあるならはっきりと言いなさいよ!」
「ヤダ。どうせ言っても怒るし、言わなくても怒るでしょ。だったら言わない方がよっぽどマシ」
「なーまぁーいーきぃー!」
懇々と繰り返される言い合い。
自分がこの出来事を招いた張本人となれば、それを黙って見過ごすわけにもいかず、大人として、男としてこの事態の収拾をさせなければならない。
できることなら自分に火の粉が降り掛からない様に。
「まぁまぁ、ふたりともそこまでにしておけ。折角のお出掛けなんだ、喧嘩ばかりしてても詰まらないだろ?」
「……加持さんがそう言うなら……」
「判ってるなら誘わなければ良いのに……」
ぼそりと男性だけに聞こえる台詞があったがここは聞かなかったことにする。
そういうことにしておく。
「ふたりとも何処でも良いって言うなら映画でも行くか? 丁度見たいのがあるんだ」
出来る限り会話が発生しない場所が良いということでこの選択肢を提示する男性。
見たかった、という気持ちも嘘ではないのだが、大人としての、男としての役割は当に捨てて、保身に走っているのは人間として仕方ないのかもしれない。
平和な日常が続く世界なら尚のこと。
「見るとしたら何をですか?」
「面白いって評判の恋愛もののやつ。正直、苦手なジャンルなんだが、こうも話を耳にするとね、年甲斐も無く気になるもんさ」
「あ、それ僕も見たかったんですよ。ひとりで行くのも何だか恥ずかしかったし、丁度良いです!」
「そりゃあ良かった。じゃあ、映画で決定―――」
「あっ!」
突然声を上げる少女。
きょとんとする少年とビクッと体を強張らせる男性。
「どうしたの?」
「ごめん、シンジ! 何も聞かずにここのフロアをぐるっと一周して来て!」
「何ソレ? 何かあったの?」
「見間違いじゃなければ……アンタにも判る筈! だからここは何も聞かず、ねっ?」
普段の少女とは違った態度。
これが何時も通り強気な命令口調だったならば少年も反論し、その願いは却下していただろう。
だが、ぱんっ!と両手を合わせて必死にお願いするその姿から察するに余程の訳有りと感じ取り、男性と少女がこのままどこかへ消えてしまうかもしれないという可能性を疑いもせず、
戸惑いながらも承諾し、歩を進めた。
ちらちらとこちらに振り返りながらも、少年の姿はどんどん小さくなる。
それに反して男性の鼓動は大きくなる。
それは何故かと問われたら、答えは簡単。
「……さて、シンジもちょっとの間だけですけど席を外したことですし、ゆーっくりお話しましょうか、加持さん?」
にっこりと天使の笑顔を曝け出す少女がいたから。
「……いや、あの、たまにはさー、いいかなーと思ったわけです……はい……」
「ほぉー」
「……ゆっくり話したいなぁー、とそう思った次第です……ええ……」
「へぇー」
「い、良いじゃないか、弟みたいに慕ってるんだから、シンジ君を遊びに誘っても」
天使の笑顔を崩さずにいる少女。
男性にとっては悪魔。
如何なるものでも貫けない盾と、如何なるものをも貫く矛を対決させるよりもそれは矛盾していた。
「今日はですね、ある乙女はある少年をデートに誘おうとしてたんですよねー」
まだまだ笑顔を崩さずに語り出す少女。
もう当日なのにまだ誘えてなかったのか!?なんて言葉はぐっと喉元で押し潰す。
「いーろいろショッピングなんかしたり、今いるようなカフェで楽しく談笑したり、極めつけはどっかの誰かさんが行こうとした映画を観に行こうとしたり、
それはもう夢心地だったんですよねー、その乙女的には」
「それは、まぁ、その乙女も難儀だな……」
あっはっはっは、とふたりして笑う。
だが両者、目は笑っていない。なんだこれ。
「加持さん、邪魔してる?」
極上の笑顔でニッコリと。しかし、左手に握られているグラスはピシッと悲鳴を上げる。
白衣の女性がいれば「ATフィールドを物理的に破った音」と比喩するほど素晴らしい悲鳴だ。
「滅相もございません」
その光景を見て誰がこの少女に反論する返事を返せるのか、それほど広くない世界で彼はそんな人物を見てみたいと思った。少年以外で。
「なら、答えはお判りですね?」
「了解です、お嬢様」
「はい、結構。…………あ、シンジ、どうだった?」
冷汗を拭いながら少女が声を掛けた方を見れば首を傾げる少年の姿。
「別に何も無かったよ? 何だったの?」
「んー、やっぱり見間違いかー。実はね、ユキそっくりな子がいたの」
「同じクラスの?」
「そそ。で、何か彼氏っぽいのといたからちょっと見て来て欲しいと思ったのよ」
「アスカが行っても問題無いんじゃない?」
ガタガタと音を立てながら椅子をひく少年。
そんな少年を見ながら、昔は自分がそのポジションだったのになぁ、と少し感傷にふける男性。
「仮にユキだったら正直に彼氏って言わないわよ。だからってこそこそ様子を窺うのも恥ずかしいし。その分アンタなら、ユキに見つかってもスルーされるだろうし」
「そんなもの?」
「そんなものよ。で、アンタから見たそのふたりの様子がどうだったか知りたかったのよ、事前情報を与えずに。アンタってそういうのに疎いでしょ?」
「そんなアンタからでも恋人同士に見えたら、それはもう疑う余地もなく恋人同士ってなるわけ」
良くもまぁ、咄嗟に思いついた言い訳にしては壮大な物語になったものだ。
嘘っぽさはどうしても拭い切れていないが、真実味もそれなりに滲み出ているのが素晴らしい。特に少年には効果的だったに違いない。
ふーん、なんて言いながら全然疑っていないのだから。自分自身のことを少々小馬鹿にされたと言うのに。
「それにしても無駄足だったわけね。ごめんね」
「んーん、別に良いよ。じゃあ、気を取り直して映画行きましょうか」
「あっ、そのことなんだが……」
ギラリと光る眼光。形容し難い威圧感が圧し掛かるほどの鋭さ。
判ってる、判ってるから、そんな眼で俺を見ないでくれよ……。
「ついさっき連絡があってな、ちょっと仕事が入ったみたいなんだ」
少女に比べて自分の嘘は何と薄っぺらいものだろう。まぁ、太けりゃ良いものじゃないのだが。
「えっ……そうなんですか……、残念ですね……」
心底残念そうにしている少年。その姿を見ると良心が痛んでしまう。
「そうなのよー、ほんっと残念よねー!」
片や少女はこたばとは裏腹に嬉々とした感情を言葉から消去しきれていない。
本当に昔は慕われていたのか、その過去さえ怪しく思えてくる。
「じゃあ、今日はもう帰りましょうか?」
「なぁーに言ってんのよ、アンタ映画見たかったんでしょ? アタシが付き合ってあげるわよ」
「えっ? あっ、でも加持さんも見たがってたし、やっぱりみんなで行こうよ」
その言葉が少年の口から出たと同時にまたしてもギラリと光る眼光。
判ってる、判っております!
「ははっ、気にするな。まだ帰るにも早い時間だろ? のんびりと過ごして行けば良い。大体、子供が大人の事情に気を使うもんでもないさ」
「だってさ、加持さんもこう言ってるし、行こ!」
先ほどの自分といることに対して嬉しそうにしていた仮面を脱ぎ去って、自然な感情で少年を誘う少女。
アスカ、そんなのだと、さすがのシンジ君でも怪しんでしまうぞ、なんて言葉を心の中で語りかける。苦笑付きで。
「それじゃあ、加持さん、また誘って下さい」
「加持さん、またね!」
デパート前で別れの挨拶。
ああ、と笑顔で男性はそれに答える。
ふたりはゆっくりと右手を振って前へと進み出した。
ふぅー、と溜息をついて胸ポケットに仕舞い込んでいた煙草を取り出す。
しゅぼっ、とライターに火を点け、口に銜えた煙草を近付けようとした時、何かが視界内で動いているのに気付いた。
ふとそちらに目をやれば、むっとした表情の少年と少女がこちらを凝視している。
どうやら煙草に関して異議を唱えているようだ。
ははっ、ともう一度だけ苦笑を零し、銜えていた煙草を折り曲げ、右手を軽く挙げてその異議に了承の合図を送る。
その光景に満足したのか、ふたりは笑顔でもう一度だけこちらに手を振り、また歩を進める。
が、少女がぴたりと足を止め、踵を返してこちらに振り返り、少し困った顔でゆっくりと口を動かした。
ゴメンネ
それはこの出来事に関しての謝罪なのだろう、だが、男性は同じように、気にするな、と口を動かす。
その言葉に安心したのか、少女は先ほどみせた天使の笑顔を浮かべる。だが、悪魔の部分は感じられなかった。
少女が踵を返したことを疑問に思ったのだろう、困惑顔をしながら少年もこちらへと視線を向ける。
ここでばれてしまったら全てが水の泡になるのもそれはそれで難儀である。
それを悟られないように、今度はふたりに対して、いってらっしゃい、と口を動かし、何も無かったことをアピール。
どうやらそれは悟られずに済んだようで、少年はまたしても笑顔で、いってきます、と口を動かしていた。傍らで同じように少女も。
そして、ふたりの姿は人混みの中に消えていった。
ふたりの姿を見届けた後、男性は余った時間をどうしたものかと考えて、取り敢えずまずは約束を果たすことが先決と、折り曲げた煙草、そしてまだ何本か入っている煙草の箱をゴミ箱へと放り込む。
「まぁ、恋する乙女に敵う奴なんていないってわけだな」
昔のように慕われていないのは少し寂しいと思う気持ちは少なからずあったが、何よりもふたりがこれからも幸せでいてくれるなら男性にとってもそれが一番素敵な世界になる。
そんなことを考えながら、男性は携帯を取り出し、余りに余った時間をどう有効に使うべきか手っ取り早い解決法を実行する。
「よぉ、葛城、今暇?」
そんな昼下がり。
「よぉ、葛城、今暇? ん? ああ、見事に振られたよ。ってお前も随分不機嫌そうだな。 なに? 誰かさんに家族をふたりも奪われたから?
勘弁してくれ、さっきアスカにこってりと絞られ……何!? 腹いせにふたりの邪魔をする!? おい、なんだそりゃ! 意味が……
あっ、お前、ふたりがひっついたら自分だけのけものにされそうで寂しいんだろ? 怒鳴るな! 怒鳴るな! 冗談だってば。
って、本気で邪魔するのか? マジで次はアスカに殺されるって……。……拒否すればお前に殺されるのかよ……。
前門の虎、後門の狼だな……、いや、ホント、止めろ! 止めろって! 止めて下さい!」
そんな葛城家と愉快な仲間達。
久々にキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
相変わらずGJです、最後のミサトの様子が可愛い!
久し振りのリハビリを兼ねて。
書き方忘れてしまってる。
思い出す意味も込めてまたちょくちょく投下させて頂きたい。
おっつ!
GJ!続編期待!
干す
914 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:41:09 ID:???
草木も眠る丑三つ時。
資料やら空き缶やらが散乱した散らかり放題の部屋の中。
そんな空間にピッタリなグシャグシャのシーツの上、唯一この部屋の中で美しいといえる存在がだらしない姿で眠っていた。
そんな何事も無い部屋に外部から微かな足音。
…ぺたり
そんな小さな小さなフローリングと裸足が奏でる音色に、彼女はゆっくりと両目を開き、半開いていた怠け口をキュッと閉める。
ぺたり…ぺたり…
こちらに来る
徐々に近づく足音に対して彼女は音も無くベッドの上に座り直し、
枕元に用意された『人殺しの道具』を手にする。
ぺたり…ぺたっ
部屋の前で足音が止まると、彼女はベッドの上で木製の扉を睨みつけながら、そっと銃口をそちらに向けた。
・・・しばしの沈黙が続き、足音は弱々しい少女の声に変わった。
「み、ミサト?起きてる?」
「・・・・・ふぅ。起きてるわよ」
彼女は右手に持った拳銃を枕元に戻す。
そして扉を睨みつけていた両目を細め、小さく自笑した。
なにを怖がってるんだろうあたしは・・・
915 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:43:02 ID:???
『1つ掛け布団の下で』
部屋に入ってきたのは、ピンクのパジャマ姿のアスカ。
胸にはしっかりと大きな枕を抱きしめながら、ジッとミサトを睨むようにしている。
「なに怖い顔してんのよアスカ?」
「だって…なんかさ…」
そう言うとアスカは恥ずかしそうに顔を伏せ、左足を床にグネグネと擦りつけながらプゥっと膨れる。
今更なにを照れてるんだろうかこの娘は…
「ほら、おいで」
自分の枕を左に移動させたミサトは、ポンポンと布団の右側を叩く。
「・・・うんっ」
ミサトの一言に少し表情を崩したアスカは、ゴミの海を飛び石の要領でピョンピョンと移動し、そのままベッドの上に上陸した。
「よし。・・・ねぇ、もうちょっとつめなさいよ!ただでさえ狭いベッドなんだから!」
「なんですってぇ!人のベッド使っといて最初のセリフがそれか!」
枕を『ボフ』っとベッドの上に置くと、アスカは自分の陣地いっぱいに寝ころんだ。
その隣でミサトも同様に寝ころぶ。
「どーせ甘えん坊のアスカちゃんは、またあたしのおっぱい枕で寝たくて来たんでしょ?
だったらベッドが狭くても問題ないじゃない」
「う…うっさいわね!アンタそんなこと大声で言ってんじゃないわよ!」
916 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:45:04 ID:???
ミサトの一言に顔を赤くしたアスカはそれを隠すように、隣で寝ているミサトのタンクトップを押し上げる膨らみに、鼻から思い切り突っ込んでいった。
「ちょ、ちょっと!
・・・ったく、ホントこの子は何なのかしら…?」
「んぅ〜…。何の意味も無いアンタの巨乳を使ってあげてんだから、有り難く思いなさいよ…」
「なんですってぇ!?あんた人の胸を何だと思ってんのよ!」
憎まれ口を叩きながらも、アスカは仰向けに寝転ぶミサトの上に全体重を預け、柔らかい2つの膨らみにとても安心した表情で頬ずりし始める。
「あんたのおっぱいって気持ちいいのよ…温かくて柔らかくて…」
そして、熱っぽい吐息がミサトの胸を包む。
そんな甘えん坊をいじらしく感じ、ミサトはアスカの長く伸ばされた髪をゆっくりと撫でてやる。
「ぅん…」
すると気持ち良さそうに目を細め、アスカは小さく鳴く。
「でもアスカ?そんな事言いながら、ホントはもっと顔を押し付けたい胸があるんじゃないの?」
「ん…?」
「も〜っと甘えん坊になりたい相手がいるんじゃないの?って言ってんのよ」
「ん〜…?」
「誰か当ててあげよっか?」
「ん…??」
「シンちゃん」
「ば、バカ!」
917 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:47:13 ID:???
ミサトがドイツ支部にいた頃、セカンドチルドレンであるアスカと訓練で遠征に出かけたことがあった。
その頃の2人の関係はあまり良いモノでは無く、ミサトがどんなに話しかけたりご機嫌取りをしても、全くアスカが心を開かなかった。
数少ない笑顔を向ける相手であった義理母や父に対しても、どこか本音をこらえている感じ。
ドイツ支部内には、そんなアスカを手懐けられる者は1人もいず、彼女はいつも周りを凍りつかせていた。
毎日のように、アスカの冷たい瞳がミサトを貫いていた。
しかし事件が起こったのが、遠征先のホテルの一室。
アスカの護衛を任されたミサトは、もちろん彼女と同室で身体を休めていた。
遠征先の訓練がかなり過酷だったこともあり、ミサトはグッタリとソファーの上に寝転んでいた。
そして完全に眠りの世界に墜ちて一時間後
・
・
・
目を覚ますと、あのセカンドチルドレンが絶対零度の碧い瞳から涙をボロボロと流しながら、自身のおっぱいに顔を擦りつけていたのだ。
あまりの驚きに声も出なかったミサトだが、それが幸いしてかアスカはミサトが目を覚ましたことに気付かず、そのまま小さな涙声をあげていた。
『ママ…ママ…』と・・・
918 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:49:04 ID:???
あの後、泣いてるアスカの頭撫でたら、絶叫しながら殴られたっけ?
・・・でも、あれから少しずつ心を開いていってくれたのよね…。
「なに笑ってんのよミサト…?」
「ん?あたし笑ってた?」
おっぱい山からヒョコっと顔を出したアスカが、ミサトをジッと見つめている。
「笑ってたわよ!言っとくけどアタシはシンジのことなんか何とも思ってないんだからね!」
(あぁ、確かその話だっけ…)
ちょっと昔にタイムスリップしていた頭を現在に戻したミサトは、再びアスカをおちょくるため、過去を思う笑顔から悪戯を企む子供のような笑顔に切り替えた。
「あら、本当にシンちゃんのこと何とも思ってないの?」
「はんっ!なんでアタシがあんなヤツのことを、何とか思わないといけないのよ!」
「ふ〜ん、じゃあシンちゃんが誰かのモノになってもいいんだ?」
「べ、別に関係ないわよ!アイツが誰のモノになろうと!
ま、あんな冴えないヤツをどうにかしたい女なんかいないと思うけどね」
「あら、シンちゃんって可愛いから好きだけどな〜
誰も買い手がいないんなら、あたし貰っちゃおうかしらん?」
「な、なに言ってんのよ!アンタには加持さんがいるでしょ!」
919 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:51:01 ID:???
「あら、ていうことはアスカは加持のこと、もうあきらめちゃったの?」
「う…うるさいわね!」
「はは〜ん。さては加持が占領していた心の乙女を、愛しのシンちゃんが横取りしちゃったのね?」
「ち、違うわよ!」
「素直になんなさいよバカたれ♪」
「知んない!!」
言い争いのために上げていた顔を再びミサトの胸に押し付け、アスカは必死に否定するようにグリグリと動かす。
「ふふっ、あんたバカぁ?」
そんな恥ずかしがり屋の頭をミサトは慈しむように両手で抱き締め、アスカの得意技をポツリと呟く。
顔は微笑みを作っているが、けしてアスカを言い負かした喜びからではない。
「そんなに意固地にならなくていいじゃない。なんでシンちゃんが好きな自分を隠しちゃうの?」
「…だって」
「人を好きになるのって当たり前のことだと思うわよ?それは恥ずかいことなんかじゃないわ」
「シンジは家族としか思ってないわよ…」
「そんなことないわ。ちゃんと1人の可愛い女の子として見てるわよ
お風呂上がりの時なんかセクシーすぎて、シンちゃん見とれてんじゃない?」
「…えっち」
誰にむかって呟いたのやら?
アスカの髪の間からヒョッコリ出た2つの耳が赤く染まっていく。
920 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:52:41 ID:???
「あとは同居中の可愛い女の子から、大好きな女の子にステップアップするだけよ」
「べ、別にアタシは…」
「例えば、シンちゃんに見せたことのない自分を見せてみるとか」
「・・・・・む」
何か言いかけたアスカだったが、ミサトの言葉に興味を示したのか、黙って赤く染まった耳をミサトに傾ける。
「そんなちょっとしたことでも、男の子ってドキドキしたりするのよ?
あんた髪型とかいつも一緒でしょ?ポニーテールとか似合うんじゃない?」
そう言うとミサトは、アスカの髪を両手でひとまとめにしてポニーテールの形を作ろうと試みる。
が、アスカはそれを拒むように首をフリフリ動かし、ミサトの指を嫌う。
「イヤ?」
「・・・別に変える必要なんかないもん…」
未だに意固地な態度をとる彼女に苦笑いを浮かべたミサトは、両手をアスカの頭から背中に移動させ、そのままギュッと抱きしめる。
「シンジくんを好きな自分を受け入れられないのね?」
「・・・・・」
「でもね、いずれ受け入れなくちゃいけない時がくるわ」
「・・・わかってる」
「じゃあ大丈夫。シンちゃんのこと逃がしちゃダメよ?」
「…うるさいバぁカ」
その言葉を最後に、部屋は寝息に包まれた。
921 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:54:16 ID:???
・
・
・
カーテンの隙間から漏れる光が朝を告げた。
「んぅ・・・まぶし」
そんな小言を呟きながら目を覚ましたミサトは、見慣れた天井をボンヤリと見上げる。
睡魔と理性の戦いを脳内で繰り広げながら、欠伸を1つ。
そして、のそのそとベッドから這い出ようとしたミサトの寝ぼけた耳をつんざく悲鳴がキッチンから・・・
「いったぁーーーーーーーいっ!!!!」
「ちょ、ちょっとアスカ大丈夫!?」
「なによこの包丁切れすぎじゃないの!?ち、血が出てんじゃないのよ!!」
「アスカが慣れてないのに急いで切るからだろ!」
「いいから早く絆創膏とって来なさいよぉ!アンタ出血多量で殺す気!?」
「もう…。ほら指出しなよ」
「え…!い、いいわよ自分で巻くから」
「そんな濡れた手で絆創膏触ったらすぐ剥がれちゃうだろ。あ、ネギに血が付いちゃうよ!早く指出して!!」
「う、うん」
「うわぁ痛そう…大丈夫?」
「・・・・・」
「はい出来上がり。もうテーブルで待ってる?あとは僕がやるから…」
「な、なに言ってんのよ!アタシが手伝ってやるって言ってんだから、アンタは黙ってアタシの優しさに酔ってればいいのよ!」
「逆に邪魔してるだけじゃないか…」
922 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:55:55 ID:???
「おはろ〜2人共♪」
「ふぁ…おふぁひょうごらいまふぅ」
キッチンにやって来たミサトが見たのは、アスカに口を横に伸ばされているシンジの姿だった。
「アンタ最近生意気なのよぉ!」
「ご、ごみぇんなしゃいぃ…」
そんな2人を見ながらクスリと笑うミサト。
「アスカ〜そんなに怒ったらシンちゃん可哀想よん?」
「うるさいわね!事情も知らないクセに、しゃしゃり出てくんじゃないわよ!」
「なんにせよ怒り過ぎは体に良くないわよ?
ほら怒り過ぎで『ツノ』生えてるじゃない」
「痛っ!や、やめてよミサト!」
ミサトに頭から大きく伸びた『一本角』を掴まれ、顔中を真っ赤にしながらアスカは暴れだす。
「あ、ミサトさんも気付きました?これ『ポニーテール』っていうんですよね」
「違うわシンジくん。ただのツノよこれは♪」
「ツノじゃないわよ馬鹿!サッサと離しなさいよ酔いどれババア〜!」
「はいはい、じゃあ酔いどれはビールでも飲むとしますか!」
キーキーわめくアスカのツノを解放して、冷蔵庫のえびちゅを取り出すミサト。
一方アスカは、ミサトに馬鹿にされたことがよっぽど恥ずかしかったのか、髪を留めていたヘアゴムを外しにかかる。
923 :
パッチン:2008/05/23(金) 01:59:55 ID:???
「あ、外しちゃうのそれ…?」
「うるさいわね!どうせアンタも馬鹿にしてんでしょ!」
青い目にはうっすらと涙。けしてミサトに掴まれた痛みで泣いているワケではない。
そんなアスカを見ながら、少し頬を赤く染めたシンジはポツリと呟く。
「僕は好きだけどな…」
「え…!?」
「み、ミサトさんに馬鹿にされるのが嫌だったら、ミサトさんがいない時だけ…でも…。
・・・ご、ごめん!」
恥ずかしそうに俯いていたシンジは、エプロンをモジモジ弄りながら、火のかかるフライパンの元に逃げていく。
何かを誤魔化すように懸命にフライパンを振り続けるシンジの真っ赤な横顔を、ポカンとした表情で見つめるアスカ。
そんな彼女にビール片手に忍び寄ってきたミサトは、アスカの耳元で
「よかったわね♪」
と、囁きかけた。
すると思い出したようにアスカは顔・・・いや、全身を真っ赤に変化させていく。
更にミサトはアスカの左手をむんずと掴むと、その赤く染まりきった顔の前に持っていく。
そこには五本ならんだ白い指があり、その中の絆創膏が巻かれた『薬指』を見つめ、トドメの一言を放った。
「結婚指輪みたいねコレ」
おわり
リアルタイムおっつ
925 :
パッチン:2008/05/23(金) 02:02:24 ID:???
総合投下スレが何作か連載中ですので、短編は気が散りそうな気がしてコチラさんに失礼しましたw
恐るべしパッチン・・・!
前の話から更にレベルアップしてやがる…!
かなりよかったです。超GJ!
つか「生きる道」とネタかぶりしてるからでね?
とりあえず投下GJ
>>927 作者比較は止めよう。荒れるから。
パッチンGJ!
正直960氏の投下が限りなく遅い現状では、個人的には
あなたの作品だけが楽しみでエヴァ板に来てる。
>>928 比較してるわけじゃない。しょせん二次創作のパターンなんて知れてるから
タイミングの問題。まあ書かないほうがよかったな。すまん。
みんな可愛いなぁ
超GJ!!
いいねぇいいねぇ
GJです
待ち
933 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/05/31(土) 19:47:17 ID:R+4qEJGA
そうやって、わたしは見つけた。
お兄ちゃんが書いていた小説。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の話を使った小説を。
業界、って言うか、この界隈では二次創作って言うジャンルの、ネット小説。
お兄ちゃんはそこで、作家をしてたらしい。少し読んでからファイルを閉じた。
ぜんぜん判んない。わたしがエヴァンゲリオン見たのは幼稚園の頃で、憶えてない。
お兄ちゃんの部屋にDVDでもないかと思って探したけど、見当たらなかった。
何日かして近所のレンタルビデオ屋からエヴァンゲリオンを借りて見る。
幼稚園の頃はロボットがあんまり戦ったりしないマンガだって思って見てたけど、今見ると余計に判んなくなった。
最初はちゃんとしてたのに、後になってくると宗教の勧誘か自己啓発セミナーみたいになってくストーリー。
律儀に映画まで借りて、その訳判んなさに「金返せ」って叫んでクッションをボスボス殴って。
で、わたしはもう一度お兄ちゃんの小説を読んだ。
はっきり言うと、お兄ちゃんは才能がない。
読書感想文よりかはマシなんだろうけど、凄い下手に見えた。
現実、つまりパソコンの外側の世界に住む高校生が主人公。
で、ある日突然、精神だけが碇シンジ君に乗り移って、って言うか、碇シンジになっちゃう。
読みかけて別のいろんなサイト、お兄ちゃんの残したお気に入りの中のエヴァ関係サイトを調べて、
そんな小説が他にもあるのを知った。
だいたい酷かった。オタクの妄想の垂れ流しみたいなキモい展開、似たような内容。
お兄ちゃんのもそう。高校生なのに銃と格闘の達人で、軍隊にも詳しい。
見かけは碇シンジだって書いてあったのに大人、ミサトさん達なんかよりも偉そうにしてて人気者。馬鹿じゃないの?
その妄想小説とおんなじフォルダに入ってた、書き掛けみたいなのも酷い。
ミサトさんとか碇司令とか、を極悪人にして惣流アスカや綾波レイと相思相愛。
あの最低映画じゃないけど「気持ち悪い」ってしか言えないわ。
投下、
待
ち
「ん、どうしたの、アスカ?」
アスカがお気に入りのクッションを胸に掻き抱きながらダイニングに入ってくる。
「……眠れないのよね……。」
宿題をするシンジの向かいに座るアスカ。シンジはおもむろに立ち上がると「ホットミルク飲む?」と言ってシンクへ。
冷蔵庫から出された牛乳が、アスカのマグに注がれて電子レンジの中で回る。
その間、アスカは膝を丸めて、クッションに顎を乗せながらこっくりこっくりと揺れていた。
「何の宿題?」
シンジは「数学。」と少し顔を擡げて答える。
やがてチンッと電子レンジが鳴る。シンジが可愛らしいおさるの描かれたマグをアスカに手渡す。
「ありがと。」
「どういたしまして。」
宿題に戻るシンジ。
ちびちびと、少しずつ乳脂肪の浮いた牛乳を飲むアスカ。
シンジのシャーペンがカリカリと音を立てる。
「自分の部屋でやればいいのに。」
「あそこはなんだか狭くて落ち着かないんだよ。」
ノートのページが捲られる。
シャーペンの頭でうなじ辺りをこりこりと掻く。しばらく悩んだかと思うと、すぐにペンは順調に滑る。
しばらくアスカはそれを見ていたが、やがてやっと眠くなったのか、マグをシンクに置いてダイニングを出ていく。
「……アスカ。」
「ん……。」
呼び止めるシンジ。顔は赤く、ペンは走っていないが、瞳はノートを見ている。
「……好きだよ。」
「あたしもよ……。」
アスカは軽く微笑んで、自室に戻って行った。
終わり!
……ってなんだこれ?
投下乙
けっこう好きだw
続編期待
939 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:40:10 ID:???
ちょいと長めと思うので2つに分けて失礼
940 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:41:38 ID:???
嫌い・・・大嫌い。
なんであんなのと一緒に住んでるんだろ?
作戦上仕方なく始まった同居。でも男と女が一緒に暮らすなんて異常だ。
嫌い・・・大嫌い。
朝から夜までずぅっと一緒。だからずぅっと顔を合わせなければいけない。
確かに外見は悪くない…。クラスの人間からの評判も良い。
でも周りの評価なんて関係ない!
嫌い・・・大嫌い。
時々見せる笑顔…。コチラを見つめる瞳…。
たまにそんな様子が愛し・・・くない!!
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!
あんなのを好きなワケがない!
最近、身体の調子がおかしい。いつも胸の奥がドキドキしている。
四六時中一緒だから…?
ち、違う違う違う!!!
まるでこんな表現をしたら、あんなのに『恋』してるみたいになってしまう!
胸がドキドキするのは、嫌い過ぎてどうしようも無いくらい腹が立つからに違いない!
ホッペが赤くなるのも、イライラが溜まり過ぎだから!
絶対にそうだ・・・そうに違いない・・・
あんなのを好きになるハズがない!
嫌い・・・大嫌い。
僕はアスカなんか大嫌いだ!
941 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:43:18 ID:???
『好きと嫌いの狭間』
2人きりの葛城家の夕げ
「シンジおかわりちょうだい」
「あ…。う、うん」
「頼んだわよぉ下僕のシンちゃん♪」
そうやってヘラヘラとアスカは笑う。
やっぱり嫌いだ、こんなヤツ。
「はい、これで炊飯器ラストだから」
「さんきゅっ、じゃあ半分やるわ。ラストなんでしょ?」
「え…?い、いいよ」
「情けないアンタが早く大きくなれるように、このアスカ様が半分やるって言ってんのよ!ほら、茶碗貸しなさい」
そう言うとアスカは僕の青いお茶碗を分捕り、赤いお茶碗から3分の2ほどの御飯を自らの箸で移動させ、満足気な表情で手渡してくる。
「ほら、優しいアスカ様に感謝しながら食べなさい」
「・・・うん」
すると何ともなかった僕の身体に異変が起きる。
まただ…キュルキュルと胸が痛い。
僕はアスカから差し出されたお茶碗を手に取ろうと左手を伸ばす。
「「あ…!」」
小さいお茶碗に2つの手が僅かに重なる。
途端に異変が身体中に広がっていく…
心臓がバクンと跳ねて、頬がカァっと熱く燃え、肩がビクンチョする。
「あ、アスカごめ…」
「ご、ご馳走さま!」
言うが早いか御飯を残したまま、アスカは自室に飛び込んでいった。
942 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:44:44 ID:???
葛城家、命の洗濯場
「ふぅぅ…」
あの後自室に逃げ込んでしまい、ずっと出てこないアスカ。
そしてダイニングに取り残された僕も御飯を残したまま、お風呂に飛び込んできてしまった。
何故か火照って仕方ない身体を冷ますため、少しぬるめのお湯に浸かりながら、小さく溜め息。
「…ちょっと触れただけなのに、あんなに嫌がるなんて」
やっぱり僕のこと嫌いなのかなぁ…
「・・・ん」
目についたのは、さっきアスカの手と重なった左手。
またしても小さく小さく、心臓が跳ねた。
「ばか…」
誰にともなくそう呟くと、僕はそのまま目を閉じて左手にそっとキス・・・
「!!!!?」
唇が軽く触れた瞬間、僕は一気に沸点に達し、急激に熱くなった顔をぬるま湯に思いきり沈めた。
な、何をやってるんだよ僕は!!別に嫌われたっていいじゃないか!!なんでアスカが触った手にキスしなきゃいけないんだよぉ!!
熱くて熱くて…身体中が全く冷めない。
「ぷはぁっ!の、のぼせちゃったのかな…?ちょっと長湯だったし…」
自分に言い訳するように呟いた僕は、急ぎ足でパジャマに着替えると、風呂上がりの牛乳も飲まず自室に駆け込んで行った。
943 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:46:19 ID:???
『たっだいまぁ〜!葛城家の女王、ミサトさまのおかえりよ〜ん♪』
締め切った扉越しに聞こえるミサトさんの酔っぱらった声も遠く、僕はベッドの上で掛け布団代わりのタオルケットにくるまる。
「はぅ…もうヤダよ。なんなんだよこれぇぇ…」
枕をギュッと抱きしめるように胸に押し付け、ドクドクと必死になって働く心臓を落ち着かせようとする。
『シンちゃ〜ん?この御飯残してるのって、あたしの分〜?』
心の何処かからくる急激な恥ずかしさに、たまらず目を瞑ると『アスカの笑顔』が瞼の裏に張り付いているかのように、僕の感覚を支配してしまう。
もちろん異変はそれらの部分だけではなく、熱く燃える頬は、未だ鎮火してくれない。
『じゃあ、お風呂入ってから食べるわよ〜?』
お風呂…。
そうだお風呂のせいだ…!
ぬるめに沸かしたハズなのに、かなり熱くしてしまっていたのかもしれない!
「・・・そうだよ、アスカ相手にこんなに身体が熱くなっちゃうワケないじゃないか。
そうだよお湯のせいなんだ…熱すぎたお湯のせいだ…」
『つっめたーーーーーい!!!シンちゃん何よこのお風呂、氷水じゃない!!なんかの罰ゲームなのコレは!?』
「・・・・・」
944 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:48:02 ID:???
・
・
・
「・・・デート?」
「そ、明日ね。だから昼御飯いらないから」
お風呂冷水事件の翌日、この日はミサトさんも参加しての、3人での夕飯だった。
久しぶりのミサトさん一緒と食べる夕飯ということで、僕も張り切って料理を作ったのだが、
ちょうど僕が肉じゃがに手を伸ばした瞬間、アスカから明日デートに行くことを聞かされた。
取り損ねたじゃがいもがコロリとテーブルの上を転がった。
「あら、前のデート途中退場でこりたんじゃないの?」
「ん〜。でもヒカリからのお願いだしねぇ」
「ふぅん。また遊園地?」
「ううん、なんか新しく出来たデパートだってさ。なんかボンボンらしくって、欲しい物あったら何でも買ってくれるとか言ってたらしいし、ちょっと今回は楽しみかな」
「ひゅ〜ひゅ〜♪そのまま恋仲とかになっちゃったりするんじゃない?」
ガタンッ!!!
「ごちそうさま…」
アスカとミサトさんの浮かれた会話を聞いた僕は、自分でも驚くような勢いで席を立ち、驚くほど覇気の無い言葉を吐く。
「ごめんなさい…寝ます。食器は明日…ごめんなさい」
自分でも何を言ってるのかわからない状態に陥りながら、僕はフラフラと自室に入っていった。
945 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:50:04 ID:???
リビングにイヤホンをつけた僕と、テーブルに突っ伏すアスカが見える。
キスしよっか?
『え?』
キスよキス。したことないでしょ?
『う、うん』
じゃあしよう
『な、なんで?』
退屈だからよ
『退屈だからってそんな・・・』
アタシが他の男の子とキスするのイヤ?
え…?
舞台が歪み、知らない場所になる。
僕の知らない物しかない、何なのかもわからない、とても居心地の悪い気持ち悪い場所。
知ってる姿はアスカしかない。でもアスカは、とてもこの空間にウットリした様子だ。
僕の見たことのない表情がそこにあって、僕はまた激しい疎外感に襲われる。
アスカはそんな表情を、ある一点に集めながらそちらに行ってしまう。
そこには僕じゃない誰かがいて、アスカはソイツに向かって両手を伸ばしながらフラフラ歩いてゆく。
『行かないでよアスカ!』と、僕は叫ぼうとした。
叫?ぼ?う?と?し?た?
なんで叫ばないといけないの?僕はアスカが嫌いじゃないの?
アスカがソイツの手を握りしめる。
やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ…!!
心がグチャグチャになっていく・・・
なんでこんなことになるの・・・
僕は…僕はアスカが好きなの・・・?
946 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:51:42 ID:???
「な、なんて夢見るんだよ僕はぁ…」
早朝5時。おぞましい夢によって叩き起こらされた僕は、ジットリと汗に濡れた髪をグシャグシャとかき乱しながら深いため息を吐く。
「僕はアスカが好き…」
夢の中で出てきた言葉をポツリと呟き、僕は心の中が虚しさでいっぱいになるのを感じた。
「違う、絶対に違うよ…」
僕はその言葉を否定しながらゆっくりとベッドから降り、異様なほどの喉の渇きを癒やすためキッチンに向かった。
・
・
「まだ起きてたの…?」
「ん?なによ。休みなのにえらく早いじゃない」
先程まで暗い部屋で眠っていた僕には、眩しすぎるリビングの光。
その蛍光灯の下でさっき夢に出てきて僕を困らせたアスカが、懸命にテレビゲームに熱中しているのだった。
・・・今日デートのハズじゃないの?
「ちょっとアンタこのゲーム、クリアしてたでしょ!この鰻の化け物どうやって倒すのよ!?」
「え、ちょ、ちょっと待ってよ!」
麦茶をコップに注ぎ始めていた僕は慌ててアスカの元にむかい、ソファーの隣に腰掛けた。
「いい?今日中にクリアするからアンタ付き合いなさいよ!」
そして、とても今日デートに行くとは思えない台詞をアスカは吐くのだった。
947 :
パッチン:2008/06/06(金) 20:52:28 ID:???
続きは近々…
GJ!!
続きが気になるなぁチクショウめ
949 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:24:07 ID:???
そして朝10時。
すっかりゲームにのめり込んでいたアスカは、クリアした解放感からか、グーッと伸びをして眠そうに目を擦る。
「…眠いの?」
「あったり前でしょ〜朝まで寝ずにやってたんだからぁ」
じゃあ今日はデートなんか行かないで、一緒にお昼食べて昼寝しよ?
何故かそんな言葉が喉の奥に絡まって離れない。
「ふぅ、じゃあそろそろ寝よっかな?」
「えぇ!?」
「えぇ!?って何よ。アタシ今日一睡もしてないのよ?」
いきなり僕の喉に引っかかる一言を、ズバリ言い放ったアスカは、欠伸を一つ漏らすと、そのままソファーの上にコロリと寝転がる。
そんな様子を眺めていた僕は『デートはどうするの?』と、いう言葉が飛び出そうになった。
・・・そう。『出そう』にはなったんだけど、何故か僕はその言葉を静かに飲み込んでしまう。
これを言うとアスカがデートに行ってしまう気がする…
いや、行って構わないハズなんだけど…
あの悪夢のように、アスカがどこかに行ってしまう気がして…
どっかに行ってほしかったんじゃないの?こんなやつ…
あの夢を見てから、アスカがデートに行くと聞いてから…
ううん、それよりずっと前から、変な気持ちが止まらなくて…
950 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:25:52 ID:???
マッタリとした時間が流れる午後の休日。
ホントは1人で過ごすハズだったリビングには、小さな寝息をたてる人がもう1人いて…。
それは僕が嫌いな人。大嫌いな人。
だけど僕は今、その大嫌いな人をボーっと見つめながら小さく笑っている。
「ア、ス、カ…」
自分でも恥ずかしくなるくらいの優しい声で呼びかけてみる。
「・・・すぅ」
そんな僕になんか気付かないアスカは、すっかり眠ることに夢中になっている。
その寝顔は、今日のデートのことや学校のこと、そしてエヴァのことですら忘れてしまったみたいで…。
ダラリとソファーの上で仰向けに寝るアスカの、ダラリとこちらに伸びた右手をソッと握ってみる。
トクトクッと、僕の胸が小さく急ぎだす。
「柔らかいんだね…」
いつも僕をひっぱたく恐怖の右手。
その手を今僕は自らの意志で握りしめ、そしてその手は僕の手を受け入れてくれたかのように、軽く握り返してくれる。
そんなことが、たまらなく嬉しくて、嬉しくて…。
何でそんなことが嬉しいのか全然わからなくて、わからなくて…。
「僕…変だよねアスカ?・・・バカシンジだよね」
自分の気持ちの答えも見つからない…ホント、バカシンジだよね…。
951 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:27:31 ID:???
・
・
・
夕焼けがベランダから射し込む午後5時半。
昼前から先程まで、飽きることなくずっとアスカの手を握っていた僕の右手は、今包丁を握りしめ、トントンと人参を切っている。
「・・・カレー?」
「あ、おはよう。カレーだよ」
包丁がまな板を叩く音に反応したのか、ソファーの上にのそりと起き上がったアスカは、寝ぼけ眼でこちらを見ている。
「・・・・・」
トントントン…
「・・・・・」
トントントン…
「・・・・・デート断ったから気にしなくていいから」
トントン…
「断ったの?」
「アンタ昨日怒ってたでしょ?だから断ったのよ」
「え…」
意外な理由に驚く僕に対して、アスカは立ち上がってゆっくりコチラに向かって来る。
「あ、アスカ…?」
「・・・・・」
そのままキッチンに入ってきたアスカは、無言のまま調理場にいる僕の隣に立つ。
「なにビクついた顔してんのよ?」
「だ、だって…」
「アンタは今日からアタシより年上でしょ!ピシッとしなさい!」
「は…?」
今日から年上?
・・・そっか今日は…。
「6月6日だ…」
952 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:29:06 ID:???
「はぁ〜あ、自分の誕生日忘れるなんてアンタらしいわね」
「そっか…誕生日だったんだ今日」
最近はエヴァのことやアスカへの悩みに頭を働かせすぎたせいか、全く気付かなかったみたいだ。
・・・まぁ誕生日をお祝いしてもらったことなんてほとんど無かったし、僕にとって毎年この日は…
「何シケた面してんのよお兄ちゃん?」
「ふざけないでよ…別に誕生日とか言われても」
「ま、確かにアタシもプレゼントとか用意してないんだけどね」
「ううん、いいんだよ。誕生日だからってお祝いしてもらうつもりなんて…」
「おっと、勝手にネガティブになるんじゃないわよ?ホントはアタシ、ちゃんとプレゼント決めてたのよ」
そう言うとアスカは、調理場の隣の料理本等が積んである棚から一枚のパンフレットを取り出した。
「この圧力鍋欲しがってたでしょアンタ?」
そこには2015年が産んだ科学の結晶。最新圧力鍋が、圧力鍋とは思えない値段で表示されていた。
「うん。でも高いからダメだってミサトさんが・・・・・ま、まさかアスカ!」
「買ってないわよ」
「・・・はぁ、そうだよね…。僕と同じお小遣いだもん」
953 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:30:51 ID:???
「でもさぁ同居人である、碇シンジ君にはアタシも何とかプレゼントしてあげたいな、と考えてたのよ」
「でも高いよ?これ」
「だから今日のデパートデートで相手の男に買わせようと思ってたのよ」
「・・・はぁ!?」
あっけらかんと言い放ったアスカは、少し赤らんだ頬をポリポリと指で掻きながら、僕から少し目を逸す。
「ぼ、僕へのプレゼントを他の人に買わせようとして、デートに行く約束したの!?
そんなことのために…他のヤツとデートを…」
「だってそうでもしなくちゃ、こんな高い物買えないんだもん!!」
「そんなプレゼントで僕が…僕が喜ぶと思ったの!?」
「・・・だって」
一気に訳の分からないワケのわからない感情に包まれた僕は、ひとしきり声を荒げると、床にへたり込んでしまった。
なんか…ドッと疲れた…。
「でも昨日夕飯の時にその話したら、アンタ怒って出てっちゃうし…。なんか間違ってたのかな?って気がして、あの後電話で断ったのよ…」
「うん…」
「ねぇ、怒ってんの?」
そう言うとアスカは僕の目線までしゃがみ込み、覗きこむように僕の表情を伺ってくる。
「・・・な、泣いてんのアンタ!?」
うん…泣いてた…。
954 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:32:12 ID:???
「うっ…ひっく…」
「な、なにも泣くことないでしょバカ!」
僕の心の中にあった悪夢の中で見た光景が…崩れていって…。
そしてアスカが僕のためにしようとしたこと…。
それがすごく…すごく…嬉しくて…切なくて…。
涙がボロボロと両目から止めどなく流れ落ちてしまう。
変な泣き癖が止まらなくて、必死で呼吸しようとすると、よりいっそう『ひんっ、ひっく…』と変な声が出てしまう。
「悪かったわよ!一緒にミサトに圧力鍋買うようにお願いしてあげるから、泣き止みなさいよ!」
「ふぇっ…。ば、ばかぁ…!」
この期に及んで素っ頓狂な事を言ってくるアスカに対して、僕はエプロンで顔全体を隠すように涙を拭う。
そして・・・叫んだ。
「ぼ、ぼくは…僕はアスカが好きだから泣いてるんだよ!!」
「え…」
「あ…」
とんでもないことを聞いてしまい、目を見開いてコチラを見つめるアスカと、
とんでもないことを叫んでしまい、目を見開いでアスカを見つめてしまう僕。
僕の瞳から涙が…止まった…。
アスカの瞳から…涙がこぼれた…。
『僕はアスカが好き…』
その言葉が、今朝とは全く違う言葉のように僕の心を駆け巡っていった。
おわり
955 :
パッチン:2008/06/06(金) 23:36:46 ID:???
ツンデレなシンジを書いてみたくて…まあデレ分がかなり多めでしたがw
シンジ誕生日おめでとう!今の年くらいならちょうど貞で自転車盗んでるくらいでしょうか?
一番ツラい時期ですね…
GJ
自分はかなりツンツンしてたと思う
GJ
良かったんだぜ
958 :
戌将軍 ◆8EgVG9lmPs :2008/06/09(月) 00:51:45 ID:R+91Q1S3
GJ
良かったよ
もひとつ書いてみた
NO.2
真夜中のメロディ
漂うメロディ。
拙く聴こえるそれは、月明かりの射す暗闇に消えていく。
アスカはベランダに横座りになり、瞳を閉じながらハーモニカを口許で動かす。
演奏が終わると、アスカは目元の滴を拭った。
「今のって、ドイツの子守唄?」
背後からの声に、アスカは吃驚してハーモニカを落としかける。
「な、なによっ、急に声掛けないでよ!」
「ご、ごめん……。」
とっさに謝るシンジ。最早手慣れたものだ。
「こんな所で何してるの?」
所在無さげに窓枠に手をかけていたシンジだったが、アスカがそれを見かねて座らせた。
「何って……何なのよ……。」
アスカは曖昧に答える。死んだ母を想っていたなどとはとても言えはしない。
「……そう。」
アスカは頬杖を突いて夜空を見上げた。
そこには、地軸の歪みのお陰で南国の星座が浮かんで見える。
「綺麗だね……。」
ボソリとシンジが呟いた。
「そうね……。」
御座なりにアスカは応える。
「ねえ、聴かせてよ。」
アスカは、それがハーモニカの事を言っているとは、すぐに気が付けなかった。
「もしかして、ハーモニカ?」
頷くシンジ。
「だって、僕のチェロだって聴いたじゃないか。」
『あれは不可抗力よ!』と悪態を吐きかけるが、アスカは止めた。
聴いたことは事実だし、拍手だってしてしまった。エピソードに罵倒はしたが。
「いいわよ。聴かせてあげる。」
「…………へぇ……。」
吹きかけて、アスカは止めた。
『…………へぇ……。』ってどういう事よ!
「なによその反応は……。」
慌てて手を振るシンジ。
「別になんでもないよっ!」
「へぇ〜……。」
ジトっとした目でシンジを睨む。
もしシンジが『……まさかアスカがお願い聞いてくれるなんて思わなかった。』などと吐いていたら、アスカはビンタを当てて部屋に戻った事だろう。
「ま、いいわ。特別に聴かせてあげる。」
そう言って、アスカは血色の良い唇にハーモニカをつけた。
柔らかいメロディが夜空に流れる。
アスカは、自分でこんなにも綺麗で優しげなメロディを紡げるとは思わなかった。
そして、いつも滲む涙は、何故か浮かばない。
何故だろうと思う前に、演奏は終わった。
吹き終わって隣を見ると、シンジは目を瞑ったまま、ぱちぱちとまばらな拍手をしていた。
「……凄く、上手だった……。」
アスカはくすりと笑う。
「もっと何か言えないの?」
「……ごめん、上手だとかしか言えない……。」
シンジは苦笑いしながらアスカの顔色を伺う。
いつもはアスカに苛立ちしかもたらさないそれも、何故か少女は不快に思わなかった。
「ま、あんたにゃ期待してないわよ。」
「ごめん……。」
「ふん、もういいわ。戸締まりは私がしとくから、あんたはもう寝なさいよ。」
「あ……ごめんね、なんか邪魔したみたいで……。」
シンジが去ったあと、アスカは空を見上げていた。
ゆっくりと子守唄の一節を吹いてみる。
が、しかし、もう、あの優しげなメロディは流れなかった。
それは、綺麗だがどこか棘のある角張ったメロディだった。
そう、それはシンジが居て初めて奏でられたメロディだったのだ。
母を想った時の、悲しみを帯た物とは違う。
演奏には人の心が現れる。
気が立っていれば茨のような音がたち、心穏やかならば優しげなメロディが紡がれる。
そう、そういう事なんだ。
アスカは、かつて加持に聴かせた時との違いに、何故か不思議と狼狽は全くしなかった。
ただシンジを想い、ベランダの片隅で母のハーモニカを吹くだけだった。
終わり
964 :
掌編名無し:2008/06/09(月) 16:39:14 ID:???
調子に乗ってまた書いてみた
アスカさん+ハーモニカ……ってとこかな
二人の距離感はコレぐらいが個人的にベスト
GJでした
まったくだ
おっつ!
まち
街
LASが公式
970 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/06/27(金) 07:19:04 ID:KJup9OQ/
冬月「…おい、碇どうゆうつもりだ!?」
ゲンドウの手が冬月の股間に伸びる
冬月「お、おい!マズイぞいかウホッ!」
続きお願いします
保守
シンジきゅんとアスカたん
973 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:33:16 ID:???
『おかずの価値は』
放課後の夕焼け染まる静かな教室。
掃除が終わった3バカトリオは、何やらトウジの机に集まって密会中。
「ねぇ見せたい物ってなに?」
「へへっ、シンジに見せんのは初めてだったかな?最新号が出たんだよなトウジ?」
「そやそや、ほなご開帳やでぇ〜♪」
そう言ったトウジの鞄から飛び出したのは、絶対に18歳未満が見てはいけない本
「な…なななな!!なんだよコレぇぇ!!」
「あ、アホ!声がデカいっちゅーねん!!」
あまりの衝撃に声を荒げるシンジを必死で抑える2人。
「だ、だってコレ!」
「なに14歳にもなって、エロ本くらいにビビってんだよ!」
「なんやシンジはエロ本見たことないんか?」
「な、無いよ!そんなの犯罪だよ!」
顔を真っ赤にしてエロ本から目を離さずに声を荒げるシンジ。
「みんな見てるでコレくらい?ほれほれ、ヤらしいやろぉ♪」
「う、うわっ…!」
トウジがページをめくる度にシンジを初めて襲うピンクタイフーン。
いくら女性2人と同居してても、同僚である裸の少女を押し倒した経験があっても…
「エロい撮り方やでコレ〜。よかったら貸したるでセンセ?」
「そ、そんなの…!」
一週間だけ借りた。
974 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:34:45 ID:???
「おかえり〜」
「た、ただいまアスカ!今日はミサトさんも帰ってこないし、ご飯にしよっか?」
「は…?早くない?」
「早い方がいいよ絶対!今日の夜はだって…」
「夜?」
「あ…いや…何でもないやゴメン」
・
・
「珍しく出前かと思ったら…何よコレ」
「す、スッポン。なんか食べたくて…」
今夜のピンクタイフーンに思いを馳せるシンジは、微妙な顔をするアスカに対して愛想笑いを浮かべながら、パクパクとスッポンを食べていく。
「アンタ、スッポンなんか好きだったの?」
「きょ、今日は食べなきゃダメなんだよ!」
「今日は…?」
・
・
夕飯後、シンジに急かされるまま早めにお風呂に入ったアスカは、いつものタンクトップとホットパンツ姿でリビングに登場する。
「まだ6時半じゃない。寝るにはまだ早いわね」
「・・・」
「シンジ?」
「あ、ゴメン!」
ポーッとした表情で露出度の高いアスカを見つめていたシンジ。
夕方に見た本の内容が頭を駆け巡ってしまう。
「…なにしてんのよアンタ」
「も、もう寝ようかアスカ?」
「はぁ!?まだこんな時間よ!?」
「だ、ダメなんだよ僕…もう…ごめん!」
そう言うと、自室に駆け込んでしまうシンジ。
975 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:36:53 ID:???
「あ、アスカ怪しんだかな…?」
閉めた扉にもたれかかりながら、胸を両手でグッと押さえて溜め息を吐く。
そして、そのすぐ後で隣にあるアスカの部屋のドアが閉まる音が小さく聞こえた。
「ふぅ・・・アスカが寝付くまで待とう…」
本が入った鞄を見て、少しドキリとしながらベッドに入っていくシンジ。
一時間ほど後に来る楽しい時間に思いを馳せながら…。
が・・・
スパーーン!!
「うわっ!?」
いきなり開いた扉に目を移すと、そこには枕を片手にコチラを睨みつけているアスカ。
「な、なんだよ急に!」
「こっちのセリフよ!アンタが来る前にこっちから来てやったのよ!!」
ドスドスと音をたてながらベッドにやって来るアスカに、目を白黒させながら戸惑うシンジ。
「夕飯がスッポンだったり…早めに寝かそうとしたり…風呂上がりのアタシの身体ジロジロ見たり…」
「あ、アスカ…!」
言いながら自らのタンクトップを脱ぎにかかるアスカ。
甘過ぎる香りがシンジの鼻をかすめていく…。
「アンタが考えてることなんか全部お見通しなのよ!!
でもアンタの思い通りになんかなってやらないから!!」
「あ、アスカ誤解してる!誤解してるよ!」
シンジは半裸に近いアスカに、ベッドの端へとジリジリ追い詰められていく…。
「アタシから夜這ってやるんだから!!」
「あ、アスっ!あ…あぁ−!!」
その叫びと共に、鞄の中の雑誌がただの紙切れに変わったのだった。
976 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:38:40 ID:???
『白』
「人が他人に抱くイメージっていうのは、第一印象が8割らしいね」
「ふ〜ん…。ていうことは、第一印象の良し悪しで相手の人間と上手くやっていけるかが、ほとんど決まっちゃうワケね」
「みたいだね。ちなみにアスカから見た僕の第一印象ってどんなだった?」
「冴えないヤツぅ〜って感じだったわね!」
「じゃあ今の僕と第一印象の僕のイメージって、やっぱり8割いっしょ?」
「10割じゃない?今も全然冴えないじゃない」
「・・・ふん」
「冗談よバぁカ…かなり変わったわよ。良いイメージにね」
わしゃわしゃと、いじけたシンジの黒髪を撫でてやる。
「じゃあ逆に質問するけど、アンタから見たアタシの第一印象ってどんな感じだった?」
「う〜ん・・・白かな…」
「なにそれ?白人ってこと?」
「ううん。下着が」
『ガスッ』と撫でていた手をグーにして殴る。
「いたい…」
「自業自得よ!どんな第一印象なのよそれは!」
「うぅ…でも、第一印象から今のイメージはかなり変わったよ!」
「なに?アタシそんなに変わった?」
「うんっ、白以外にもピンクとか黒とか…」
ガスッ!
977 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:40:17 ID:???
『七夕1』
「さぁさのはサ〜ラサラ〜、の〜きばにゆ〜れるぅ〜♪」
「…なにしてんの?あの子達」
学校帰りの通学路にて、子供が小さい笹を振り回しながらハシャぐという見慣れない風景に、キョトンとするアスカ。
「パンダ来日?」
「違う違う…。あれは七夕の笹、今日は笹を飾る日なんだ」
「七夕…?ささ…?
あぁ!出たわね日本の意味不明行事!!」
「いや…そんな言い方しなくても」
先々月の今頃、民家に立てられた鯉のぼりに対してアスカが「でっかい洗濯物ね」と言ったのは記憶に新しい。
「で、なんで今日は笹なんかがいるのよ?」
「えっと…短冊っていう紙に願い事を書いて、その笹にくくりつけるんだ」
「で?」
「すると、願い事が叶うっていう…」
「迷信でしょ!」
「・・・うん」
今年の初め、神社に初詣に行った際、おみくじの『大吉』を引いたその日に、加持さんからのお年玉入り財布を落としたアスカ。
それ以来、すっかり日本行事に嫌悪感を抱いてしまったらしい。
「だいたい笹に願い事ぶら下げて、願いが叶うなんて発想がどっから来るのかが知りたいわホント」
「う〜ん…昔からある風習だしね。織り姫様と彦星様が叶えてくれるのかな?」
978 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:42:11 ID:???
「ま〜たワケわかんないのが出て来た…誰よソイツら」
「えっと、天の川は知ってる?」
「ミルキーウェイでしょ?この前の停電事件の時に見えたやつ」
「うん。織り姫様と彦星様は愛し合ってる恋人同士なのに、ずっと離れ離れで暮らさないといけない可哀想な2人なんだ。
けど一年に一度、そんな2人の間に天の川が掛かる日、その日だけ2人は天の川を渡って、逢うことが出来るんだよ」
「ふ、ふ〜ん…」
不覚にもちょっといい話ね…と思ってしまった自分の頭をフルフルと振るアスカ。
「しんきくさい話ねぇ!やっぱり日本って暗い話が多くて嫌んなるわ!」
「そうかな…?」
「そうよ!だいたい一年に一回しか逢えないような2人が未だにラブラブだってことが信用ならないわよ!」
「う〜ん…まぁでも作り話だし…」
「それでも納得いかないの!!実際の世界には毎日顔合わせてもラブラブできない可哀想な子がいるのにさぁ!!」
「実際って…。誰のこと言ってるの?」
「え゛っ!?・・・あ…。」
アスカの顔が一気に赤に染まる。
「・・・ひ、ヒカリと鈴原のことよ!!」
「え…えぇっ!洞木さんってトウジのこと好きだったの!?」
「うっるさい!!鈍感バカ!!」
979 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:43:33 ID:???
『七夕2』
夕方6時
葛城家の夕飯前。家主のミサトが、ネルフ帰りに笹と短冊を買ってきたらしい。
ベランダに飾るらしいその笹は、三人分の願い事を吊すには少々大きすぎるように感じるが…
「えびちゅ♪えびちゅ♪えびちゅっちゅ♪」
1人で何枚もの『えびちゅ短冊』を吊すミサトのお陰で、すっかり華やかな笹になってしまっている。
「ハンバーグ♪ハンバーグ♪ハンバーグ♪」
下校時はアンチ七夕だったハズのアスカだったが、今は何故か嬉しそうに短冊に願い事を書いている。
しかし・・・
「ミサトさんもアスカも『えびちゅ』とか『ハンバーグ』とか、単語ばっかり書かない方が…」
「なによ〜文句あんのシンジ?」
「だ、だって願い事って普通文章にしない?『なんとかになりたい』とか…」
「いいのよぉ♪願い事なんて人それぞれ、十人十色なんだしっ」
「で、でも…」
「そういうアンタはなに書いたのよ?・・・ちょっと見せなさい!」
「あっ!」
言うが早いか、シンジの書いた短冊をハヤブサのように分捕るアスカ。
980 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:46:30 ID:???
「か、返してよアスカぁ!!」
「なになにぃ?『健康でいれますように』
夢な〜い!!なによコレ」
「あら、シンちゃんらしくていいじゃない」
「シンジらしすぎなのよ!お願い事ぐらい夢あるのにしなさいよ」
「ぶ、文章なだけいいだろ!早く返してよ!」
「ダメよぉ〜♪ここはひとつ、アタシが夢のある願い事に変えてあげるわ!」
そう言うとアスカはペンを片手に、ニヤリと笑う。
その笑顔にあまりいい思い出が無いシンジは、「やめてよ!」とすがりつくが…。
「で〜きた!」
「な、なんだよこの願い事!」
「いいじゃん♪アンタなんかには絶対できない夢のあ〜る願い事よ!」
「こんなの外にくくりつけるの恥ずかしいよ!」
「いいじゃない!ホントはアンタだって、こういうお願いしたかったんでしょ!」
「だ、誰がそんなお願い…!」
「違わないわよ!アンタがどうしても実現させたい夢に違いないわ!!」
「・・・それはアスカも一緒でしょ…」
ボソッと呟くミサトの視線の先に、
『いつまでもずっとずっとアスカと一緒にいられますように』
と書かれた短冊が、シンジとじゃれあうアスカの手にぶら下がっていた。
981 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:47:57 ID:???
『七夕3』
深夜1時
絶対に入るな!と書かれたプレートがぶら下がったドアが、ゆっくりと開く。
中から出てきた人影はリビングを通り、ベランダに向かって一直線に進む。
見上げても星が見えない都会の空の下。
彼女は、既に笹にぶら下がっている自らが書いた短冊に目を移し、小さく溜め息。
そして、左手に持っている先程書いた『もう一つの短冊』を、くくりつけようとした。
・・・が、出来なかった…。
情けない自分に対して膨れっ面を作ると、彼女は手近にあった笹の枝をブチ折ると、自室に引き上げていった。
・
・
深夜3時
布団に入ってスヤスヤと眠る彼女の枕元に空き缶に刺さった小さな笹の枝がある。
そのか細い枝が重そうにぶら下げている赤い短冊。
「シン…ジぃ…」
彼女は今夢を見ている。
天の川の上で、愛しい人と一緒に仲良く遊んでいる夢。
一年経っても百年経っても、絶対に消えない天の川の上で遊んでいる夢。
何故ならそれが彼女のお願い事だから
『いつまでもずっとずっとシンジと一緒にいられますように』
そう書かれた短冊が、アスカの枕元で揺れていた。
982 :
パッチン:2008/07/07(月) 22:49:44 ID:???
このスレももうすぐ終わりなんで、埋め代わりに前からやってみたかった小ネタ連投w
いいよいいよー
素晴らしい!
さすがパッチン氏GJ!!
どれもこれもいいネタがそろってるなぁ
GJ!
超乙です。堪能させていただきました。
>>981 アスカの夢が、なんだか切ないっす。
小ネタGJ
所で次スレは990?