楽々2ゲト
〃 /,ィ′ | | | | | | ヽヽ ヽヽ l ',
/ | | | . | |、 | | | | | l ハヽ ヽヽ || ',
! | | .l l | | |、|. | | ‖ ∧ | ∧|ヽ | |ヽ |.! l l
| | | | |ハ |ヾlト-! |、 |L../__ヽ| /__|| ヽヽ | | ヽ. | | | ヽ. l
ヽ! !l ∧Vlヾ┬ヽ |ヽ| | /、___∨ || ハ ヽ | | ', | | | ∨
!l/ 〉| | l::j ヽ !l/ ├'::「`ヾ||/ | V\/ V .| | /
/ ∧ ` `ー ′ 〃ハ ヽ / /!| |/
/ / ',/ // ∧∨ / / | | /
l /| lヽ / /∧/ / / / |/
| | | | |ヽ ‐ - / // !| / ////
__|」__!_ | | |ハ //// |レ' // /′
_| ``ヽ、ヽ 彡/ //| /l/
, --- 、 / レ-, /`フ'''ー-、゙ニニ、‐‐く /// l/ 1--- 、
/
>>1| / /ー/、 //,-───' ヽ,ハ ′ | ̄`>`!
| 乙 | / / / / /| / ____,..-‐' l | `y'´ 人
| ね | ./ / / / ,-| / / | | _,、-‐''´ /勹
| | / / / / / /7 /_,、-‐''´ ', .} 厂 / /\
ヽ、___ノ 〈 ' ノ /r'´ /(_/ | __ V /\ // / \
| (/ , '/゙ヽ/_/ / |l V | / / \
,iillllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllif;
.,illllllllllllllllllllllllハiillllllllllllllllllllllllii
,;illlllllllllllllllリハll 'lllハlメllll'llllllllllllir
;illlllllllllハlll'--lリ' リ -ト-lリlllllllllliii'
..illllトlハl ",,..._ ,,.. iilllllllルi
. 'iiトii、 ,; ;''"`''' '''"`''ヾ /ii"
'{、<`, , /"/
`ヾ、_、 , _ " ,// / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
'\ ヽ、_ブ ,/ < また僕と綾波の生活が始まるんだね
l゛ 、 / \________
| ゛' ..,_,, r "
ェ‐‐ー-----―rl、
/_,, `ー- 、
ノ '''¬- 、.. √7
l" ヽ 〉 |
/ `ヽ,くヽ,,L,,__
l _,,_ , y ^ \\ /
,, / へt-,,,._ ヽヽ/__
," / 7「 ̄;;;;`l
l , \ | 'l;;;O;;;;l
' " 丶 l l;;;;;;;;;;;;l
゛ / \/;;;;;;;;;;k'
゛ ヽ、 へ,;;;;;;;; >
ヽ `、 ゛ゝ;;;;;;",,
>>3 ちょwwww2ゲト出来てないwwww
それはそうと
>>1さん、乙です。
前スレ
>>989さん
確かに、ちょっとヒートアップし過ぎてたかも知れない…
気持ちを落ち着けて自分が書いた
>>988を見ると、うーん、キモス…
冷静な忠告ありがとうございます。これから気をつけます。スマソ
>>5 シンちゃん。自分のお嫁さんに「綾波」はないでしょう?
そういう夫婦もアリっつーか
むしろ本編との違和感が少なくていい感じ?
確かに夫婦別性という手もあるけどなぁ…
シンジ達がネルフ本部に召還されて半月が経った。
この半月で、彼らは学校を無期限休学し、住んでいた家から荷物を運んだ。
それまで住んでいた家は、7年前ネルフから開放された後、日本政府から半ば強制的に
住まわされていた家だったから、特に問題は無かった。7年前から、彼らはずっと監視
付きの生活を送っていたから、もはや慣れてしまって、当たり前のように生活していた。
特に行動に制限があるわけでもなく、ただエヴァやネルフに関する事を他人に口走らな
ければ安全だと言う事は、それぞれ実際の経験から学び取った。さすがに恋人と一夜を
明かす状況ともなれば、監視カメラのある自宅を出て外泊もした。そこまでは諜報部も
追って来ないからだ。
「ミサトさん」
「なに?」
「あの…副司令と…父さんは……」
「ああ!副司令なら元気よ〜。今は司令に昇格してるんだけどね、先月登山で腰痛めちゃ
って、入院してるのよ。もうすぐ退院して来るわ」
「司令…って事は、父さんは」
「…お父さん、碇司令は、あれ以来行方不明なのよ。諜報部が世界中捜してるけど、ど
こにも居ないし、死んだとしても痕跡すらない。まるで神隠しみたいに、ね」
「そうですか…」
ふと、隣に座るレイの顔が気になった。少し、悲しそうな顔をしている。
結果として、レイは最後に碇ゲンドウを裏切り、息子のシンジの元へとやってきた。そ
れが間違いではないとしても、やはり気にはなっていたのだ。
「…二人には、本当に迷惑をかけたみたいね」
「そんな…仕方ないですよ」
「まさか、結婚するなんて思って無かったから…諜報部も知ってたなら教えてくれれば良いのに!
肝心なところで役に立たないのよね〜」
「気にしないで下さい。それより、葛城さんはどうなんですか?」
「どうって?」
「結婚はしないんですか?」
ミサトは飲んでいたコーヒーを噴出し、一瞬きょとんとしたが、次の瞬間には大笑いしていた。
「レイ〜、あなたもなかなか言うようになったじゃないの〜」
「……」顔を赤らめ、はにかんだようにレイは微笑んだ。
「ど〜せあたしゃ行き遅れのおばさんですよ。賞味期限切れよ〜。」
「そういう意味では…」
「ふふっ、大丈夫よ、レイ。私はね、自分の意志で、結婚しないだけだから。その代わり、あなた
達には目一杯幸せになってもらわなきゃね」
ブーッ、ブーッ!突如警報が鳴り響いた!
スピーカーから日向三佐の声が響く。
「旧東京地区より、使徒の反応有り!まっすぐこちらへ向かっています!葛城副司令は発令所へ!
パイロットは、至急発進準備!繰り返す………」
「目標は!?」
「サイズが小さすぎて、カメラで捉えきれないみたいですね。上空からの映像も、同じです」
「現場付近の諜報部員に連絡。携帯のカメラでもいいわ。映像に捉えて送るよう指示して」
「小型の使徒だって」
「ちょっと、アンタなんでそんなに平然としていられるのよ?」
「へ?」
「へ?じゃないわよ!地球上には、もう使徒はいないハズでしょ!って事は、あの黒い月から
地球に来た使徒、って事じゃない!」
「そっか…」
「ハァ、相変わらずバカね。もうシンジもいらないわ。あんたは只のバカよ」
「なんでだよ!せめてシンジはつけようよ!バカでも良いからシンジはつけようよ!」
「シンジくん…プライド低すぎるわ」
しばらくして、発令所に映像が届く。「メインモニターに、画像を回します」
そこに映し出されたのは、紛れも無い、あの少年だった。
「…!嘘だ…カヲルくん…?」
待つこと1時間。
ネルフ本部へ向かう使徒、渚カヲルは、カメラに写された後電車に乗り、箱根までぶらり旅を
満喫していた。途中、黒服の男達に囲まれたり、マシンガンで撃たれたりしたが、A.T.フィー
ルドの前には無力だった。
シンジ達はエヴァを降り、カヲルが降りる駅で待つことにした。
「ちょっと…大丈夫なんでしょうねぇ。前にアタシの弐号機奪ったんでしょ?」
「大丈夫よ。彼には、私達と戦う理由が無いわ。」
「レイ…なんでそんな事がわかるの?」
「…ヤキモチ焼いてるの?」
「ち、違うよ!」
「おしゃべりはそこまで、皆、来たわよ」
駅の改札を抜け、こちらへ歩いてくる銀髪の少年。第17使徒タブリス、そしてフィフスチルド
レン、渚カヲル。
「やあ、久しぶりだね、シンジくん、そしてリリス…いや、綾波レイ、と呼んだ方が良いかな?」
「カヲル君!」
「……」
「あなたが、例のフィフスチルドレンね」
「君は…はじめまして、セカンド。あの時は弐号機を勝手に使って、すまなかった」
「……もう良いわよ。7年も前の事だし。で、使徒のアンタが何をしに来たのよ」
「戦う為さ」
ネルフ内の喫茶店。
「昔、シンジくんには言ったね。滅びを免れる生命体は一つしか選ばれないのだ、と」
「うん。あの時は意味が解らなかったけど、今は解るよ」
「僕達アダム側の使徒は、君達リリスとリリンに敗北した。だからこの地球は君達リリン
の物になったし、僕もリリンと共に、ヒトとして生きようと思った。だけど、もし例の
第二の黒い月が来たら、君達リリンだけじゃなく僕達白い月の民まで排除される事にな
る。つまり僕は、君達との共通の敵を前に協力しなければならないんだ」
「でも、アンタの乗るエヴァは無いわよ。あたしの弐号機は絶対貸さないからね!」
「ふふ、大丈夫さ。エヴァはもう一体ある。少し外に出ようか」
ネルフ本部上空に、ぽっかりと丸い穴が空いている。
カヲルがその穴を指差すと、突然穴を塞ぐように黒い円が出現した。その中心から、銀色
の物体が徐々に降りてくる。
「副司令、あなたには、これが何か解りますよね?」
「アレは…四号機!?」
銀色のエヴァは黒い空間から抜け出ると、真っ直ぐ目の前に落下し、地面に着地した。
「僕の友達さ」
16 :
次回予告:2005/12/03(土) 16:46:53 ID:???
かつて、シンジと心を通わせた使徒カヲル。
彼の再来に、シンジとの結婚を控えたレイの心は不安に苛立つ。
アダムとリリス、それは必ず対立する運命なのか・・・。
二人の神を前に、シンジのとった選択とは?
次回、「愛と友情」 この次も!「私がサービスしよう(冬月)」
カヲルは冬月が昇格したのを知らないから「副指令」って呼んだのか。
18 :
1:2005/12/03(土) 17:09:15 ID:???
新作者、乙です
少ししたら自分も投下してみようと思います
あくまで予定ですが・・・
>>11 アホですか?
監視対象が外出すれば追うに決まっているでしょ。
家の中だけなら、それこそ監視カメラ、盗聴器で十分で、人員は必要無いのに。
外出先で誰かと接触するのを監視するのが役目なんじゃないんですか?
一体何を監視しようとしているんです、その諜報部は?
それともシンジが馬鹿過ぎるという設定なんですか?
>>19 そんな理屈っぽく追求することじゃないしそういう場所でもない。
>>19 細かいことは気にしなさるな。どうしても気になるなら
素人に監視を気付かれるようで、諜報部がつとまると思うかね?
場面が変わっても状況説明描写がないので、
いつ、どこで、誰が、何をしているのか、が分かり辛い。
頭の中ではしっかり描写できていても、それが伝わらないのでは意味が無いですよ。
もう少し落ち着いて、読む人に分かりやすいように書くことを心がけては?
スレ住人さんも厳しくなりまつたね…
ガンガッテネ新しいシト。
そして
>>1殿、
∧⌒⌒∧ 乙デシ!!
t(从 从))b))
Yゝ゚w゚ν グー
ヾ/ o
しーJ
猫もガンガル。
猫氏キター!
そしてガンガル宣言もキター!
焦らないでゆっくり書いて下さいな。
26 :
11-16:2005/12/03(土) 19:01:09 ID:???
仕事前に一眠りしていたら、感想を書いて下さったみたいで、ありがとうです。
>>17 ゴメンナサイ…ここで言う副司令は、ミサトさんの事です。一応日向の台詞にあるのですが、
逆に何故カヲルがミサトが昇進して副司令になったのを知ってるか、という点で自分
がミスした事に気付きました。何故ちゃんと説明しなかったかは、後で書きます。
>>18 ありがとうございます。こうして不特定多数の人に見てもらえるのは
厳しい批判もあって怖いけど、楽しいものですぜ。負けないように頑張ります。
>>19 とりあえず、エヴァとかネルフの事とか、7年前の一連の事件をベラベラ一般人
に喋らないように、緩くはありますが一応監視しておこう、という目的です。
ニュースでは、戦自のネルフ占拠は成功し、ネルフは現代で言うテロ組織みたいな
扱い方を受けています。が、実際はあの戦いでネルフが勝利したものの、表向きは
ネルフが悪で、壊滅されたとした方が都合が良いと判断されました。
それを「本当はネルフが勝ったんだ!」なんて話が外部に漏れないように。とは言い
つつも、彼等を監視する指示を出したミサトは、仮にそこから情報が漏れるリスク
を負っても、ホテルまで立ち入るのはやめろ、という命令を出しました。これは
どう突っ込まれようと僕のミサトへの願望、エゴが入った事に変わりがないので、
お怒りになった方、ごめんなさい。
本文では詳しく書きませんでしたが、シンジは一度だけ、ついネルフの事を口走って
しまい、人気の無い所で黒服の男にボコボコにされている、という設定です。
物語の裏設定などは決めないほうがいい、自分の頭のなかで制約を付けるのと同じ事だから、 後ストーリー的には監視やら諜報部とかイラヌのでは? でもストーリー面白いYO頑張ってNE!!
28 :
11-16:2005/12/03(土) 19:20:33 ID:???
>>20 >>21 いやなんか、逆にスミマセン…。
えー、シンジが監視に気付いていたのは、
>>23の方が言う通り抑止効果です。
黒服にとっては、むしろ自分達の監視に気付いてもらえれば都合が良いのです。
わざと視界に入る所に立っていたり、街中でぶつかったふりしてメモをポケット
に忍ばせたり、色んな手段で監視に気付かせようとしました。結果、シンジも
監視に気付き、エヴァ等の事を口走らなくなったので監視員も減り、夜の密会
ぐらいは許してもらえるようになったわけです。それでもミサトが激甘だと指摘
されれば、ほんと頭を下げるしかないです。スミマセソ
>>22 >>17 やはり解りづらかったですか…。言い訳すると、わざとです。
前回の話と比べて、ト書き(状況描写)の比率をかなり低くしています。
変わりに台詞が多くなってます。なぜこうしたかと言うと、前回を自分で
読み返した時に、状況描写だらけな気がしたので、逆に思い切り削減して
みようと思いました。少ない説明で、どれだけ伝えられるか試したかった
のですが、やはり伝わらないようなので、次からは戻します。いや、逆に
増やしてみようかな・・・( ̄ー ̄)ニヤリ
でもそれだけちゃんと読んで下さった事に、感謝します。m(_ _)mペコリ
>>26 新作者乙!
厳しい意見もあると思うけどがんばって。
住人みんなが期待してるからこそ
作品の内容についていろいろ言われてるわけだし。
平和な結婚式を待ってますよ。
30 :
11-16:2005/12/03(土) 19:26:36 ID:???
>>24 猫様ありがとうございますー!
いや、スレ汚しみたいな事しちゃって…スマソです。これから精進します。
>>27 なるほど〜。僕は割と裏設定を考えてから本筋を作っちゃう方なので、
そういうやり方もあり、ですね〜。監視とか諜報部は、これからどんどん
出番無くなります。いや、只単に現段階で、この先の諜報部というアイテムの
使い道が思いつかないというだけなのですが…私の頭脳では、ここまでが
精一杯なのです…。
アドバイスありがとうです。頑張ります!!
31 :
1:2005/12/03(土) 20:26:34 ID:???
僕は、昔を話すのが苦手だ
それは、昔に良い事が無かったからかもしれない
それは、昔を思い出すのがイヤなのかもしれない
それは、昔が不思議な事ばかりで、信じてもらえないからかもしれない
出来る事なら、思い出を語る事無く自分の心に埋めてしまいたい
僕は、昔を話すのが苦手だ
けど今は、ちゃんと話さなくちゃって思う
自分の子供にぐらいは、話せるようにならないと
そう、思うから
まずは・・・君のお母さんとの事を話せるようにしよう
僕とレイの、思い出について――
>>26 外出というリスク、シンジ達の精神衛生を考えれば、
ホテルに立ち入るのを止めさせるより、寝室の監視を止めさせるのが普通では?
一応の監視の割りには家の中の監視が厳しいのは何でなんでしょ?
黒服がシンジをボコボコというのは誰の指示ですか?黒服の独断ですか?
33 :
1:2005/12/03(土) 20:27:27 ID:???
無謀にも投下
ガンガリマス,,,
これより質問厨は荒らし認定なのでレスを返さないように
メモを渡したりしなくても、ミサトが口頭で伝えれば十分だと思うけどね。
質問というより、不自然ですよってことね。
おかしいと思った箇所を指摘するのは、書いてる人にとっては邪魔なだけなのかな?
>>36 気にするな 全ては自分で 脳内補完
後
黒服がシンジをボコボコというのは誰の指示ですか?黒服の独断ですか?
これは、物語が進んでいけば判るんでないの?
投下!投下!
エゴだよ、それは!
って脳内で葛藤する俺
前スレの1000を名無しがとった件について
前スレは1000で埋まったようだ。
保存する者は急ぐべし。
1000を名無しが取ってしまった・・・
>>36 だったら疑問符つけんなよ低脳
おまえのレスは矛盾を指摘して得意がってるアフォにしか見えん。
自分で納得のいく解釈にもっていこうという努力くらいしろ。
転載板に依頼が出てるんだっけ?
>>43 前スレで誰か言ってた
確認はしてないけど
期待してるのは俺も一緒だがマターリ汗!
確認しますた。
管理人さんおいそがしい&量が多いので遅くなるかもみたいな雰囲気。
まったり待とう。
確認乙
マターリいきませう
なんかいきなり雰囲気変わって驚いた。まったりしよー
>バカでもいいからシンジはつけよう
…銀魂?
保存ってどうやってするんでしか
>>50 使うブラウザで違うんでない?
2chブラウザならdatで保存
IEとかなら全スレ開いて名前を付けて保存とか。
さんくす。そしてワクテカ
1000ぐらいageればよかったのにな
54 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/03(土) 23:19:29 ID:60Av6YOA
[sage] ≫51 携帯ではどうすればいいのでしょうか?
猫たん!!
56 :
1:2005/12/04(日) 00:37:21 ID:???
続き書いてみてます
16使徒戦でレイ救助成功して、最終決戦NERVの勝利でサードインパクト無し
っていうパラレルって有りだろうか・・・
自分の価値にもっと早く気付ければ、悩む事も苦しむ事も少なかったはずなのに。
『その手は、伸ばせば星をも掴めるの。』
「本当に?」
本当にそうなの?
恋い焦がれる感情はそれを初めてそうと認識したヒトにとって、何よりも刺激的な事だった。━━━━━━━━━━━━
「レイ、どうした?」
「…ぇ。いぇ、問題ありません。」
ケイジの奥にちらつく人影、赤と青のプラグスーツ…碇君とセカンド。
この間使徒の攻撃から救ったとか何とかの一件から仲が良い…
あれ以来セカンドの角がとれたと周囲は騒ぐけど、私の知った事ではないわ。
「レイ…残りの使徒が片付けば、いよいよ補完計画の手筈が完全となる。」
「はい、抜かり無く遂行します。」
司令の手が手袋を外し、頬に触れる…私をプラグから出した時の火傷は、見る度触れられる度にあの時を思い出させた。
「…失礼します。」
「あぁ、お前を信用している。」
自販機コーナーに座り一息つく…手に当たる何か。
手の平に収まるそれは、チョコレートの匂いがする箱?
「あれ、綾波?」
聞き慣れた声に驚き、私はその箱を握り締めて膝に置く…
「碇君…に、セカンド。どうしたのこんな所で?」
「え、アンタがここに居る方が珍しいじゃない?あたしら今帰りよ。」
「ミサトさん遅いらしいから、食堂で食べてこうってこっち来たんだ。綾波も一緒に行く?」
「…え、ぅ…ん。」
「ハ?良く聞こえないけど行くって事?」
「アスカ、綾波は急だから考えてたんだよ…僕らは行くけど、良かったら後から来なよ?」
「あ、ありがと…」
セカンドが私を覗き込み、満足そうに笑顔を見せる。
「あんたも人並みに挨拶できんじゃないの、そんじゃね。」
…二人は何か話ながら、食堂への角を曲がる。
セカンドにあんな事を言われるとは思わなかったから、私はどうしていいものか少し迷っていた。
こないだまで毛嫌いされていた様に思ってた事もあり、二人の食事に加わる事は全くの予想外となる…
でもこの際、二人と話して親睦を深めてみるのも悪くないかもしれない?
…食堂に来たけど、誰も居ない。
誘われた時から20分ぐらい後だったから?
そこに居合わせた青葉さんがさっき帰った所だと教えてくれた…
ここに居てもしょうがないので、私も帰る事にする。
部屋に着きベッドに体を横たえ、手にずっと握っていた箱をかざす…
『Black devil』と書かれた灰色のそれは煙草だった…私は特に興味もなかったので、それをゴミ箱へと放り、目を閉じた。
>>55殿、
>>54は猫じゃないデスガナ…(´・ω・`)
今回はアスカさんがひと味違います。
今、時間軸としてはアラエル…でしたっけ?光ってるトリみたいの、アレの直後くらいでつ。
うん、前回の話は全く…ま っ た く !!関係無いので、マイも柴田夫妻も別の話でつ。
今度のレイさんは、強ぇでつ。
>>49 すみません、その通りです。
まあこの後のレイの台詞も合わせて、後に意味を持つわけで、生暖かく見守って下さい。
ちなみに2022年には銀魂が100巻近く出てます。シンジもアスカも読んでます。更にこち亀は500巻達成してます(適当な数字なんでここには突っ込まないで)。
スミマセン、これで許して下さい。
>>59 なんだろう・・・光ってるトリっていわれるとサハクィエルしか思いつかない・・・
あれトリじゃねぇし_| ̄|○
サンダルフォンって羽化したらどんな格好でしたっけ
・・・コイツか?
色々突っ込み入れられるのは大歓迎です。
が、中には読んでる人が脳内補完出来る余白の部分を残す場合もあります。
そう、エチィシーンがそういう余白を残すとよりエチくなるように…
ただ、他の突っ込まない人もいる訳で、そういう人が不快にならない言葉遣いだけはお願いします。
逆に僕に至らない部分が多い為に、読む人が嫌な思いさせて申し訳無いです。頑張ります。
仕事の休憩中で、携帯から失礼しました〜。
63 :
1:2005/12/04(日) 01:35:05 ID:???
【そのかなり前/1】
綾波との出会いは、普通じゃなかった。
普通考えられる出会いでは、まずなかった。
父さんに呼ばれ、来た第三新東京市。
人類の敵と呼ばれる使徒と出会った。
ミサトさんと出会い、リツコさんに出会った。
父さんと再会して、そこでエヴァと出会った。
沢山の出会いがあったその中で、僕は、初めて綾波と出会った。
それからの日々は、目まぐるしく過ぎて行く。
ヤシマ作戦、アスカとの出会い、ユニゾン特訓、綾波の救助、カヲル君との出会いと別れ。
流れるように過ぎて行く日々の中、僕は少しずつ綾波に惹かれていった。
64 :
1:2005/12/04(日) 01:58:21 ID:???
ヤシマ作戦。
月に照らされた彼女はとても神秘的で、初めて見た彼女の笑顔はとても素敵だった。
思えば、この時から彼女を意識し始めるようになったんだと思う。
第十六使徒戦。
使徒が零号機に融合し、綾波が侵食された。
初号機は凍結中だったけど、父さんが出撃を許可した。
僕は訳の判らない何かに突き動かされて、必死だった。
気が付くと、使徒は倒されていた。
ミサトさん曰く「そういえばユニゾン訓練の時、二人とも息ピッタリだったわねぇー」と。
どうやら初号機と零号機の連携で倒せたらしい。
けど、その時の事は正直な話あまり覚えていない。
ただ、綾波を助けたくて必死だった。
彼女が無事だと聞いたとき、心底ホッとした。
65 :
1:2005/12/04(日) 01:59:14 ID:???
とりあえず助けてみた
批判が出れば、即削除します
「綾波、今帰り?」
下校時の下駄箱で、碇君に声をかけられた…
「何か用?」
「え、いや…一緒に、帰んない?」
少しまごついて喋る碇君は、靴紐を気にして屈み込む状態から顔を上げる。
「構わないわ、帰りましょ。」
「綾波って、もしかしてアスカ苦手?」
思わぬ質問に、私は目を大きく見開いた事を自覚した…
「何で、そんなこと聞くの?」
「はー、やっぱりそっか…だって僕と話すと普通だけどアスカと話すとすぐ会話終わらせようとするし、昨日はまごついてた。」
「…いつもまごつくあなたに言われるなんてね。」
「う…」
しばらく言葉が無くなって、気まずくなった…
赤く染まる景色の中で、私達の影は深く暗く地面を這いずる。
「…でも、綾波ももっと話してみたらわかるよ。」
突然に破られた沈黙の切れ端には、セカンドの影がちらつく…
「アスカってああ見えて、たまにすごく子供な所あるし…それに、こないだから良く笑うし…使徒と戦った後の事ね。」
「それは何度も聞いたわ、休み時間にも…想流さんのどこが、そんなに変わったの?」
「うーん…何だろう。明るいんだ、すごく。前からの明るさじゃない、なんかすごく…気持ちいい笑い方するんだよ、うん…」
そしてそれを語る碇君もまた、笑っていた…碇君の優しげな笑顔を初めて見た。
私には嬉しさと…何か、変な感情が生まれた。
「…綾波?」
「へぇ、そう。そうなの…私も笑えば、あなたも笑うかしら?あの時みたいに。」
「え…あの時?…あ、あぁあの」
パンッ
気付いたら、碇君の頬に平手を打ちつけていた…
「な…何で、」
「…ご、ごめんなさい…」
自分でもよく分からない…でも、何か大切な物を傷つけられた気がした。
「何で綾波は…君は、いつも僕を叩くんだよ!!ワケ分かんないよッ!!」
…碇君が走り去った後、私の手には微かな痺れと疑問が残る。
でも、心の中には…どこか、気の晴れた所もあった。
翌日から、碇君は話しかけてもくれなくなった…
見ればいつも、セカンドが碇君の前に居た。
セカンドが私をチラチラとこちらを見るけど、碇君は私を気にする様子は無かった…
その状態がなにか不快で、昼休みに私は屋上に上がる。
…日差しは暑いけど、日陰なら風もあってそこそこ過ごしやすいみたい。
空は雲もわずか、突き抜ける青さと照り返りで白い屋上のタイル…この場所なら不快な事は何も無いだろうと思えたし、何より誰も好き好み屋上には上がらないから…
「ねぇ、どうしたのよ?」
居心地の良さに意識を吸い込まれていた矢先、急にした声にとても驚いた。
「…アンタ、その反応は古典的すぎよ。」
セカンドはずり下がった私に向かって、手を差し出した…
「…へぇ、いきなりひっぱたいたの。そりゃビビるわよ。」
私達は何故だかこの間の出来事、お互いの事について等を色々質問しあっていた。
前に抱いていたイメージと違い、私の紡ぐ言葉をしっかりと手繰り寄せる感じを覚えた…
「初めて何か出来たーって時は、一番大切な思い出よね。シンジもバカだから、そこんとこデリカシー無いのは痛いわね。」
「…あなたがそういう見解出来るなんて、すごく意外。」
「あはは…でも前のアタシなら多分あんたの思ってた通りの奴よ、自分で恥ずかしい位にガキだったな。」
…そう言った彼女の横顔が本当に大人びてて、言い様のない感情が沸く。
「シンジはそれとなく説得するから、アンタもここでフテてんじゃないわよ?この暑い中カビでも生えちゃうわよ!」
…セカンドの笑顔は、日差しの中でも一層眩しく思えた。
言い様のない感情は、いよいよ膨らみ始める…
>>65サンスマソ、批評前に入ってしまた。
なんにせよ書いて下さいましな、千里の道もにゃんとやらデシ!
猫はねるぽ。
∧⌒⌒∧ Z
γ⌒t(从 从)) zZ
しゝっYゝーwーν
70 :
1:2005/12/04(日) 03:11:33 ID:???
【閑話休題/1】
コトコトと台所から聞こえるのは、心地よいリズム。
トントンというリズムも混じれば、いよいよ自分の胃が動き出す。
ゴロゴロと、少し控えめな前置きがあった後
グゥー
お腹のなる音が、部屋中に響いた。
・・・なんでこういう時に限って、大きな音が出るんだろう。
ちら、と台所を見ると、レイがこちらを見てクスクス笑っていた。
顔が熱くなるのが判る。
今の僕はゆでだこみたいに真っ赤だろう。
「そんなにお腹が空いたの?・・・我慢をしなくては駄目よ、シンジ君」
「わ、判ってるよっ!不可抗力じゃないか・・・」
レイに指摘され、更に顔が熱くなった。
駄目だ、このままじゃ頭が沸騰しちゃいそうだ。
クスクスと笑っているレイを尻目に、僕はベランダへ逃げる事にした。
71 :
1:2005/12/04(日) 03:12:49 ID:???
涼しい夜風が頬を掠める。
熱くなった顔を冷やすには丁度良い風。
空を見上げると、満月があった。
場所の関係もあるからだろう、月がとても綺麗で大きく見える。
ふと、昔の映像が脳裏を掠めた。
あの笑顔が、目の前の月に映る。
あの時よりも数倍魅力的になったけど、やっぱりあの笑顔も素敵だな
なんて、思ったりした。
・・・そうだ、綺麗だねってレイに言おう。
あの時みたいな、笑顔が見れるといいな。
気が付けば、美味しそうな匂いが鼻の奥を擽った。
今日はシチューかぁ。
と、少し上機嫌になりながら、僕は彼女の待つ場所へと戻る。
どうか今度も、同じ月が見れますように――
72 :
1:2005/12/04(日) 03:15:02 ID:???
【閑話休題/後日談】
「レイ、綺麗だよ」
シチューを食べる手を休めて、僕はレイに言葉を掛けた。
美味しいシチューを食べていたからか、自然と笑みも零れる。
初めレイはきょとんとして、言葉を良く理解していなかったみたいだった。
けど、次第に真っ赤になって、最後には俯いてしまった。
この後は、「ありがとう」って、とびきりの笑顔が見れるだろうなぁ
なんて、余裕を持って考えていた。
けれど、その後見えたものは――
辛うじて視認できた、高速ビンタ。
脳を揺さぶるその攻撃に、僕の意識はフェードアウトしていく。
・・・おかしいな、何でこんな事になったんだろう
消えていく僕の意識が、真っ赤な顔したレイの最後の言葉を聞いた。
「・・・いぢわる」
なんでさ
最後の踏ん張りで突っ込みを入れた僕は、そのまま気絶した。
どっとはらい
73 :
1:2005/12/04(日) 03:16:00 ID:???
ゴメン、おいらも気絶します
沢山投下してスマソ
起きたら沢山の投下に幸せを感じつつ、職人様にほとばしるほどにGJ!!
職人達による絨毯爆撃GJ!
もう死にそう。
想流か...弘法も筆のニャントヤラ
>>1 高速ビンタに萌えたww
猫氏も相変わらず素敵な文章で、感動!
間違えた…orz
>>1が書いた、
>>72だと言いたかったんだ…OTL
79 :
愛と友情:2005/12/04(日) 11:17:24 ID:???
カヲルがネルフへやって来た翌日。
午前7時、シンジを起こしに、ネルフ内のシンジの部屋の前まで来たレイだったが、
少し苛立っていた。
(昨日は渚君が来てから、シンジ君は私とあまり喋ってくれなかった…それどころか
渚君と飲みに行くとか言って、私と夜ご飯食べてくれなかったし、結局帰って来たのは
明け方みたいだし…いえ、そんな事は今までもあったわ。その時も確かに苛々したけど、
今の苛立ちとは違う。今までは、半分呆れていたのと、構って欲しかっただけ。そう、
シンジ君への苛立ちだったわ。でも今は違う。渚君への苛立ちだわ。これは…嫉妬?
私何を考えてるの?シンジ君と渚君は、只の友達じゃない。仲が良いだけよ。私との
関係とは違う…)
突然、目の前の扉が開く。その音にレイは、心の迷宮から現実に戻った。
「シンジ君、おは…」顔を上げたレイの前に立っていたのは、シンジではなかった。
「おはよう、ファースト」シンジのパジャマを着た、カヲルだった。
パァン!!
カヲルの頬を思いっきり平手打ちしたレイは、泣きながら廊下を走って行った。
「ん〜、どうしたの、カヲル君?」
頬を張った音に驚いて目覚めたシンジが、寝ぼけ眼で出てくる。
「おはよう、シンジ君」
「おはよう…って、顔に手形がついてる…」
「君のお姫様はとてもご機嫌斜めのようだね。あっちに行ったから、追いかけてあげなよ」
80 :
愛と友情:2005/12/04(日) 11:46:47 ID:???
レイは自室のベッドに顔を伏せて泣いていた。
半月前、シンジに言った言葉はなんだったのだろう。
『もしあなたがどこかへ逃げても、私はずっと待つわ。あなたは、絶対私の所へ帰って来る。』
余裕たっぷりに言った言葉が、自分の口から出たとは信じられなかった。
「レイ…ここにいたんだ」
シンジがドアから部屋を覗き込み、レイがいるのを確かめると中へ入って来た。
「どうしたのさ、急にカヲル君をひっぱたくなんて。何があったの?」
「…ごめんなさい」ベッドに顔を埋めたまま話す。
「え?」
「あなたを起こしに行ったの。そしたら渚君が部屋から出てきて、カッとなって、気付いたら
ひっぱたいてたの…」
「なんでカヲル君が僕の部屋にいちゃマズイの?」
「そういう事じゃないの…昨日、あなたは渚君とばかり喋って、私とあまり話してくれなかっ
た。夜ご飯も一緒に食べてくれなかったし、おやすみも言ってくれなかった。それで……苛々
してたの。でも解ってるの。あなたと渚君は友達だし、友達と遊ぶ事は普通だから。でも、渚
君があなたの部屋に泊まったのが、すごく…嫌だった」
そこまで言うと、レイはまた泣き始めた。
「そっか…ゴメン、レイ」
シンジは、レイを後ろからそっと抱きしめた。
81 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/04(日) 11:54:58 ID:ysIq6QFp
第二スレが立たされて本当に良かった!!
レイ猫s等職人様方、頑張ってください!
真剣に応援してます!
,、‐ ''"  ̄ ``'' ‐- 、
/イハ/レ:::/V\∧ド\
/::^'´::::::::::::i、::::::::::::::::::::::::::::\
‐'7::::::::::::::::::::::::ハ:ハ::|ヽ:::;、::::::::::::丶
/::::::::::::::/!i::/|/ ! ヾ リハ:|;!、:::::::l
/´7::::::::::〃|!/_,,、 ''"゛_^`''`‐ly:::ト
/|;ィ:::::N,、‐'゛_,,.\ ´''""'ヽ !;K
! |ハト〈 ,r''"゛ , リイ)|
`y't ヽ' //
! ぃ、 、;:==ヲ 〃
`'' へ、 ` ‐ '゜ .イ
`i;、 / l
〉 ` ‐ ´ l`ヽ
シンジ シンジ シン シン シ〜ンジ (ホッ!ハッ!)
使徒が踊るよ シ〜ンジ アスカでヌく〜よ シ〜ンジ
シンジ、シンジ、シンジと仲間達! (ホッ!)
チムポを立てろ〜〜〜 ホッホッホ〜! ホッホッホ〜〜〜!
阿呆たちがついて来る〜 〜〜 ♪
反則OK シ〜ンジ タイガージェットだ シ〜ンジ
シンジ、シンジ、シンジと仲間達 ♪
86 :
愛と友情:2005/12/04(日) 12:13:03 ID:???
「昨日の事は謝るよ。本当にゴメン。でもね、カヲル君も、君とは別の意味で大事な人…そう、
友達なんだ」
「解ってるわ」
「カヲル君の部屋が無いから、僕の部屋に泊めてあげてたんだ。しかもパジャマも持たないで
来ちゃったから、僕のを貸してあげてたんだ」
「……グスッ……」
「でも、僕も悪かったよ。確かに7年前は、カヲル君が僕に一番大切な人だと思ってた。もち
ろん、今でも大切な人だよ。だけどね、今一番大切な人は、間違いなくレイなんだ」
レイは顔を上げ、身体を捻ってシンジの顔を見た。
シンジはレイの身体から離れて、床に正座して座った。元々レイの肌は白いから、顔が赤く染
まっているのがはっきりと解った。
「…レイ、本当は今日会ったらすぐに言おうと思ってたんだけど…今度の日曜日、あのドレス
を買いに行こう」
「……どうして、急に?」
「ずっと悩んでたんだ。急にここに連れてこられて、結婚式もキャンセルになっちゃったし…
だけど僕も、レイと結婚したいんだよ」
「でも、今はそんな時じゃないと思うわ」
「違う、こういう今だからこそ、結婚するんだ!いつ死ぬか解らないんなら、死ぬその時まで
一緒にいたいんだ!死んでから結婚したかったって、後悔したくないんだ!」
87 :
UNKNOWN:2005/12/04(日) 12:15:17 ID:ysIq6QFp
初めまして。UNKNOWNと申します。
今回職人に憧れて少し書いてみましたので、
お暇でしたら、どうぞ読んでやってください。
88 :
UNKNOWN:2005/12/04(日) 12:17:21 ID:ysIq6QFp
(やっぱり早く帰って来ちゃったな)
夕焼け空を仰いで、シンジはそう思った。
今日はたまたま仕事が早く終わったので、レイに電話してみたが、繋がらなかった。
シンジは少し考えたが、その場でジッとしている訳にもいかなかったので、
とりあえず帰宅することにした。
途中、コンビニ等にも寄ったが、やはり、早く帰ってきたのだった。
(この時間にいないなんて…どうかしたのかな?)
そう。レイは必ずといっていいほど、夕暮れ時には家でシンジの帰りを待っているのだ。
家に着くと、やはり、ドアには鍵が掛かっていた。
シンジはポケットから合鍵を取り出し、ガチャリと音をたてて開けた。
「ただいまー」
一応声はかけてみるが、返事がない。
ソファーの側になんとなく音を立てずにカバンを置いた。そしてそのままストンとソファーに座る。
物音がしない。ひさしぶりの『完全な一人』だった。その感覚は、どこか初号機に乗っている感じに似ていた。
だが、この時はそのような張り詰めた緊張感がない。むしろ、リラックスしていた。
そして間も無く、うとうとシンジはまどろんでいた。
89 :
ありふれた日常の一幕:2005/12/04(日) 12:18:16 ID:ysIq6QFp
―どのくらい時間がたっただろう。ドアの向こうから物音がする。レイだ。瞬間的に、シンジは確信した。
頭のなかで計算を終えると、シンジは小走りに玄関へ向かって行った。
「あら、鍵が開いてる…。シンジ君、いるの?」
「うん、今日は早く帰ってこれて…ってレイ?」
文の最後に疑問符がついたのは、レイがあまりに似合わない格好をしていたから。
その格好は、普段着の上にエプロンをつけて、そして両手には食材で一杯になったスーパーのビニール袋を四つも抱えていた。
「冷蔵庫の中に材料がなくて…。少し買い物に行ったら、遅くなっちゃったわね、ごめんなさい。」
レイは少し頭を下げるとそのままゴトンと荷物を置いた。
「それだけ買ってちゃ、『少し』とは言えないよ。」
シンジは苦笑しながら、荷物を持ち上げようとした…が、その前に、レイの綺麗な手のひらに、赤い線が入っていることに気が付いた。シンジは無意識に、その手を握っていた。
「大丈夫?重かったんじゃない?」
シンジはその手をさすっていた。
「ええ、重かったわ…。『少し』だけ買い物をするつもりだったんだけど、ね」
レイは少し笑いながら、さすっている手を見ている。
「あはは、じゃ、中入ろう。寒いでしょ?運ぶの手伝うよ」
その荷物は本当に重かった…。
90 :
ありふれた日常の一幕:2005/12/04(日) 12:18:55 ID:ysIq6QFp
今日の夕ご飯はなにかなぁ?
そう考えながら、シンジは湯船につかっていた。
夕ご飯の準備をしている間に、お風呂に浸かってきたらどう?
レイがそういったので、シンジは先に入ることにした。
ぶくぶくと、小さな子のように、鼻の下まで湯に浸かって口から息を吐いて泡をつくっていた。
そんな自分が恥ずかしくなって、首を振った。
…と、レイがドアの向こうで何かしている。シンジが尋ねようとすると、
「タオル、ここに置いておくわ。ゆっくりしてね。」
シンジが面食らい、
「あ、ありがとう」
からうじてお礼を言った。
湯に浸かりながら深呼吸を4回して、風呂から上がった。
体から湯気が立ち込めている。変な確認をしながら、シンジはドアを開けた。
積まれているバスタオルに手を伸ばし、引き寄せる。
タオルに顔をつけた瞬間、頭が真っ白になった。
「…お日様の匂いがする、いい匂い…。」
シンジはすこし蕩(とろ)けてから、体を拭いた。
…今度は別のいい匂いがする。今日のご飯の匂いかな?
シンジはニヤけて、脱衣所を出た
91 :
ありふれた日常の一幕:2005/12/04(日) 12:19:25 ID:ysIq6QFp
リビングへのドアを開けると、湯気が部屋に溢れていた。
「あら、いい湯だった?」
レイが少し笑いながら尋ねるが、それには答えず、
「なに、これ?」
シンジは湯気がでている物体を指差しながら訊く。
「何って、お鍋じゃない。冬の定番でしょう?」
…久しぶりだな。それより、レイの口から『冬の定番』なんて言葉を聞けるなんて…。シンジは笑いそうになったが平静を装って、
「そうか、鍋か。今日は寒かったもんな…。
もう、食べてもいいのかな?」
「どうぞ、召し上がれ。」
またシンジは子供のような笑顔を浮かべ、箸を持って手を合わせ、
「いただきます!」
と、勢いよく食べ始めた。レイが向こうで微笑んでいる…が、気にしない。正しくは、気づかなかった、か?どちらにせよ、お腹がすいているシンジにとってはどうでもよくなった。
「美味しい?」
レイが、やはり微笑みながら訊いてくる。
シンジが言うことは決まっていた。
「うん、すごく美味しい。」
それは何か特別な日でもない、ごくありふれた日常の一幕。
92 :
愛と友情:2005/12/04(日) 12:39:10 ID:???
もう一度、シンジはレイを抱きしめた。今度は、力強く………。
「シンジ君…」一度は収まりかけた涙だったが、また溢れるように流れ出した。
「レイ…」
二人は見つめ合い、そして、長い時間キスをし、お互いの体温を感じあった……。
一方その頃、ミサトの執務室にて。
「現場の死体や遺留品、それに、この紋章から見て、間違いありませんね」
「これ…テレビで放送されたの?」
モニターを食い入るように見つめながら、コーヒーを口に含むミサト。
日向はマウスを動かし、映像の色んな部分を拡大しながら説明する。
「ええ、昨夜のニュース番組で放送されました。この映像を撮った記者と、
その関係者は全員、日付が変わるまでに殺されています」
「どうりで最近動きが無いと思ったら…犯人の特定は?」
「申し訳ありません…MAGIも回答を拒否するばかりで…」
マヤが様々な条件でMAGIにアクセスするが、答えは依然として出て来ない。
「MAGIが回答したくない人物……」
「あいつめ、相変わらずとんでもない事をする男だ」年老いた男性が、顔をしかめて言った。
「どうしますか?」ミサトが尋ねる。
「しばらく様子を見よう。その内、こちらに接触してくる。この事は他言無用だぞ」
「解っております。冬月司令」
(碇…ユイ君に会えなくなった今、お前は何をしようと言うのだ…?)
93 :
次回予告:2005/12/04(日) 12:51:34 ID:???
何者かによって暗殺された闇の男達…
その事件の背景に、碇ゲンドウの影が浮かび上がる。
補完計画を諦めた彼の次の目的とは?
そして宇宙より飛来する隕石群に、あの男が、三度立ち上がる。
次回、「人の造りし希望」 この次も!「アタシにサービスしなさ〜い!(アスカ)」
94 :
80:2005/12/04(日) 13:04:55 ID:???
>>85 名前…名前名乗っても良いのですか!!!
えーと、えーと・・・・・・次までに考えて来ますorz
>>UNKNOWN氏
良い!スゴク良い!
自分がひねくれた物を書いてるので、真っ直ぐな光という感じがしました。
続投キボンヌ。
>>57 レイ猫様に無条件降伏
アスカが良いですね〜。こういう番外編も、新鮮で良いものですね。
もう、お腹一杯です。おやすみなさい……
>>11>>87 すまん、ちょっと読みづらい。
読むほうとしてはもうちょっと行間を空けてくれるとありがたい。
ちょ、ハイペースだな。いや、嬉しいんだけどさ。面白いし
97 :
95:2005/12/04(日) 13:30:28 ID:???
>>11>>87 言い方を間違えた。orz
三行か四行ごとに一行空けてくれると読みやすくなると思う。
98 :
11:2005/12/04(日) 13:41:01 ID:???
>>95 おおぅ、アドバイスありがとうです!
僕も文字が固まってる本とか読む気力無くなるので、どうしたものかと
悩んでいたのですが…次回からやってみます。
>>96 文章を短くまとめられないのデス…スマソ。
読書感想文とか、ムダに原稿用紙十枚とか使う子だったもので…。
頑張ってコンパクトにまとめられるように努力しまっす。
99 :
1:2005/12/04(日) 14:29:11 ID:???
【閑話休題/2】
ある日曜日、曇り続きだった空が真っ青に拓けたので溜まっていた洗濯物を干している僕。
少し残っていた水滴が、ポタポタと2,3滴落ちた。
どうやら上手く脱水出来てない様だ。
丁度良いし、新しい洗濯機でも買おうかな?
なんて考えながら僕が洗濯物を干し終えリビングに戻るのと、レイが帰ってくるのはほぼ同時だった。
「何・・・これ」
テーブルにドカンと居座っている緑の球体。
とても大きく、普通の品とは一線を駕している。
パンパンに張った実に、網目が沢山浮き出ている様がとても特徴的。
「知らないのシンジ君。これはメロンと言うのよ」
「いや、それは判ってるってば」
そう、テーブルの上に置かれていた緑色の球体。
それはメロンだった。しかも大層ご立派な。
「・・・あのさ、レイ。今日、何か特別な日だったっけ」
「いいえ、今日は普通の日よ。・・・何故そんな事を聞くのかしら」
「え、あ、いや」
そうか、何でもないのか。
レイは大切な日を忘れてると怖いんだもの。
前なんて・・・・・・いや、あれは思い出さない方が良いと思う。
少し見ない間に随分と投下されてるな。
全部は面倒なので突っ込みは
>>92だけにしておく。
状況描写が少ないのは相変わらず。
>色んな
この言葉遣いは直した方が良いよ。
あと、投下するなら一度にまとめてすること。
間に他の話が入ると分かり辛くなるので。
このくらいかな。まあ、続きを頑張って。
101 :
1:2005/12/04(日) 14:30:06 ID:???
「なんでこんな立派なメロンがあるのかなぁ、って」
「安かったの。美味しそうだったから、一緒に食べようって思ったの」
安かったって・・・こんな立派なメロン、安くても結構な値段だと思うんだけど。
ねぇ、レ――ああもうそんな上目遣いで見られても困るだけで駄目?ってそんな駄目な訳無いじゃないか
気が付いたら、目の前には切り分けられたメロンがお皿に乗っていた。
・・・もういいや、気にしないでおこう。
レイは向かいの席で、もうメロンを食べ始めてる。
見ていたら、何だか僕も無性に食べたくなってきた。
スプーンで一口。
うん、美味しいや。
ひたすら無言で食べ続けていたけど、ふと思った。
102 :
1:2005/12/04(日) 14:31:58 ID:???
「このメロンってさ」
「?」
「あの時の君みたいだね」
レイは、何の事か判らないといった顔をしている。
そうか、僕だけ判っていても駄目だもんな。
「零号機が使徒に侵食された時があったよね」
「・・・そうね、あったわ」
レイが少し嫌な顔をしている。
・・・しまった、デリカシーが無かったか。
「ご、ごめん、レイ」
「いいえ、気にしてないわ。・・・それで?」
「うん、それで、その時君も・・・その・・・」
「ええ、私も侵食されかけたわ」
まごついている所に助け舟を出される。
レイに感謝しつつ、僕は続ける事にする。
「うん・・・それで、その時の君の姿がメロンみたいだったなぁ・・・って」
「・・・」
レイの視線が、僕の食べかけのメロンに突き刺さる。
「ご、ごめん!変な話だったね!あ、あんまり気にしないで――「そう」
「へ?」
レイの言葉が、僕の弁明を遮る。
そうって・・・なにがそうなんだろう。
103 :
1:2005/12/04(日) 14:33:38 ID:???
「そう・・・そうなのね」
「ど、どうしたのレイ。あの・・・お、怒ってる?」
「いいえ、怒ってなんていないわ。・・・そう、そうだったのね」
だから、何が”そう”なのさ?
判らない。
判らないから、聞いてみた。
「あの、レイ。さっきからどうしたの?何か判ったの?」
「シンジ君・・・貴方はさっき私の事をメロンみたいと言ったわ」
いや、正確には昔の君は、なんだけど。
「そして、貴方は沢山メロンを食べているわ」
「?・・・まあ、結構食べたけど・・・」
確かに隣の大皿には、皮だけになったメロンが何個も積まれている。
けど、それが何なんだろう。
そういえば、いつのまにかレイの顔に赤みがさしている。
なんで照れてるんだろう。
「・・・ごめんなさい、シンジ君。私、迂闊だったわ」
「??」
全く持って判らない。
レイは僕に何を伝えたいのだろう。
104 :
1:2005/12/04(日) 14:34:53 ID:???
「・・・そうね、最近は確かにお留守だったわね」
「レ、レイ?!ちょ、な、何言ってるのさ!」
いや、そりゃ確かに最近は・・・そうじゃなくて!
何でレイとメロンでそんな話題になるのさ!
「メロンを私に見立てて、そんなに食べるなんて・・・」
「え?」
「私を・・・私をそんなに食べたかったのね」
・・・あ、何となく判った。
そっか、レイはそういう勘違いをしてたのか。
あー判ってよかった・・・
じゃなくて!
なんかレイ顔真っ赤だし気が付いたら横に居るしそんなゆっくり服脱いでかなくても僕が脱がすからいやいやそうじゃなくて好きにしていいのよ?ってそんな駄目だよ上目遣いでそんな事言っちゃ僕オカシクなりそうだよそれにまだ昼だよ絶対駄目だって
・・・
ご馳走様でした。
「・・・乱暴なのね」
どっとはらい
105 :
1:2005/12/04(日) 14:39:18 ID:???
ごめんなさい、長くなりました
お目目汚し申し訳ないです_| ̄|○
>>76 感想有難うございます。嬉しいです。とっても
お疲れ様でした
106 :
UNKNOWNの次回予告と感謝:2005/12/04(日) 15:15:46 ID:4u1nLvfq
>>95 真にスマソ。
以後、気をつけます。
>>80 ありがとうございます!
始めは続編をどうするかで迷いましたが、
頑張って書くことにしました。
次回の作品も宜しくお願いします〜。
では、次回予告〜
一応『芽生える種』という題にして考えております〜。
シンジのオヤヂくさいのをほじくりまわすお話です。
投下するのは…調子よければ今日中に。
(悪ければ年明け?)
では、またの機会に。
俺は逆に行間が頻繁に空いてると読み辛いんだが。
場面変更の時や、特殊効果を狙う時以外は空けなくてもいいんじゃないの?
レス数が増えるのもちょっと鬱陶しい感じがする。
職人自身に任せるぞ。
しかし、もう少しマターリしても誰も文句言わないよ。焦らず執筆汗!
つか、次回予告イランよなぁ。
110 :
1:2005/12/04(日) 15:50:10 ID:???
>>107 それだと、さっき投下した奴だと
初めの方の『なんて考えながら〜』
より後、全然行間開かないんですが
それでも良いのだろうか・・・
うん、まあ俺も普段サイトに書くときは1さんと同じ行間の空け方だけど、
やっぱ1レスの行数が限られてるからね
1行空け → 無し
3行空け(場面転換とか) → 1行空け
くらいに縮めればいいんでない?
112 :
1:2005/12/04(日) 15:53:47 ID:???
見てくれてれば判るんだけど
3行空けが、初めの『なんて考えながら〜』以外無いのよね
どうなんだろ
>>110 問題ないでしょ。
変に行空けるのは止めた方が良いと思うが。
114 :
1:2005/12/04(日) 15:59:10 ID:???
うむ、そうだったな
まあいいんでない、好きなほうで
>>114 95氏と俺の意見は違うからね。
俺は空けない方が良いと思う。
どうするかの判断は、書き手である君がすることだよ。
117 :
1:2005/12/04(日) 16:10:11 ID:???
今まで通りにしつつも、出来うる限り行間減らす
見たいな感じでFA
これよりマターリいきませう
いつの間にやらかなりの進行速度・・・出遅れた!?
作者も増え、なにやら内容のついての突っ込みもレベルが
高くなってきてますね。
ま、あんまり急いで書いても雑になるだけだと思うし、
落ち着いて行きましょう。
と、前スレで1つしか投下しなかった者が言う・・・
(今度はもうちょっと参加させてもらうつもり)
二日目にきて神の方々がどっと増えましたな。
続きぜひとも頑張っていただきたいです。
ただ、神の方があまりに多く、混乱してますです。
そこで、神の方にお願いですが、
・名前を名乗っていただきたいです。
・騙りに注意。
です。勝手ですが、お願いしますです。
1氏、UNKNOWN氏、乙です。だいぶ批評がハイレベルになってますが、
続き投下、頑張ってください。
また、猫氏も期待大であります。
いい意味でエヴァ板らしくないな、このスレ。
職人よ。そなたの思うようにするが良い。
前スレもう落ちました?
俺が落としたさ
「何よ、わざわざ携帯にかけるなんて?」
非番は大抵家にいるから、仕事の事関係は家の電話にかかってくる…それだって、あんまり無い事だけれど。
「アスカ、先日の使徒戦から何か異変は無い?」
「なにそれ…リツコ、何か見つけたの?」
呼び出しの張本人がふん反り返る正面に、私もひとまず腰を落ち着ける…
「前々回の使徒戦時と、前回の使徒戦時、その後のシンクロ率だけど…ここに来て急に跳ね上がってるわ、これは異常でなくて?」
「あ〜、ホント…確かにバーンと跳ね上がってるわね。良い事じゃない?」
「なっ!?何を呑気な事いってる」
…リツコが眉間にヒビを入れて、それこそ鬼の様に怒る。
「数値としてはシンジ君が取り込まれた時並みに異常事態よ!?それをッ…」
「保護者として見れば、むしろアスカは素直になってるわ…お目付けとしては、確かに驚きもあるの。」
「…あなた、一緒に居過ぎて情が移り過ぎてない?今から他の人間を監査に回しても良いのよ?」
「…大丈夫よ。最近気持ちがスレて、あんな笑い方なんて覚えてなかっただけ。」
私は席を立ち、ドアをくぐる…
「元はあの子達も、ただの子供なんだから…」
せめて使徒と戦う時意外では、子供であって良いと思う…でも、そんなにコロコロ気分の変わる人間なんて居ない。
居たとしても、他人と共存なんて出来ないのよ…
「ただいま。」
「おかえりミサト!」
…今のアスカの素直さは、それが本来の姿と言わんばかりに輝いて見えた。
「…」が多過ぎ。
場面が分かり辛い。
句点や「」、三点リコーダーの使い方が気になった。
偉そうだなぁ。
猫さんの昨日全部見たけど最高に良かったよ。感動をありがとう。
前スレからパワーアップしてFF作家の登竜門みたくなってきたな
アスカが利かせた気も、今の私と碇君には逆効果となっていた。
「何で二人ともこう、かたくななのよ…」
私がいつもの様に屋上に上がるのを追って、アスカも隣りで弁当を食べている…
「なんで私なんかに構うの、碇君の相手してあげたら?」
「え…っと、別にいいじゃないんな事!アタシはただあんたとも仲良くなりたいなーって…」
「それが変なのよ。」
「え…何が変なのよ?」
…一瞬、言葉に詰まる。
だって、元はと言えば私を嫌ってたのは彼女だと思ってたし、私達に接点なんて…
「だって、女の子同士じゃん?しかも同じくエヴァのパイロットしてるし。」
「はぁ…」
「しかも、友達の恋の悩みじゃん?相談に乗ってこそのアタシってもんでしょ!!」
と、胸を張るセカ…
「は、え?…何でッ!?」
「ノンノーン、アタシには判るのよ♪」
…そう、私碇君の事がす…いや、何か違う気がする。
それ以前な問題の気もする。
「あんたらアタシ居ないとこでは色々やってんでしょ〜?このこの〜!」
「ごめんなさい、あなたのキャラが掴めなくなってきたわ…」
やっぱり、先日使徒の精神波だかを受けた影響なの?
前とは違って、これはこれでやりにくい…
「落ち着いた?」
「えぇ…で、どうして私が碇君を?」
「えー?なんとなくそう思ったから、あいつもあんたの事まんざらじゃなさそうだし。」
「そ、そうなの…え、あなたはどうなの?」
「アタシ?アタシはただの友達。」
…随分バッサリとした言い方は、変わってない。
でも、多分前よりも話しやすい彼女…アスカに、私は次第に慣れてきた。
「…へぇ、それがあなたの特技?」
「まーねぇ♪」
そうやってアスカが後ろ手にピーナッツを放り投げては、次々に上手い事口へと入れていく。
カリカリ…「アタシさー」パクッ
「一旦止めたら?」
カリカリ…「あんたが男だったら良かったのにってー」パクッ
「はぁ。」
カリカリ…「だって気楽だし、結構面白いし」パクッ
「同性が付き合えるものなの?」
カリカリ…「アハハ…そうそう、たまにそんな変な事言うし!冗談だって!」
「…そういえば、転校生見た?」
「あー、アタシ休みの時に来たんだっけ?美形だってね〜…風邪ひかなきゃよかった。」
「私は好きになれそうになかったわ、あの人。」
「そりゃあんたはシンジLOVEだもんねー?」
「んっ!?ぐっ、ぃぅっ…がっ…」
「わ、あんた何してんのよッ!?」バンバンバン…
ゲホッ、ゲホゲホッ…
真似をしてピーナッツを投げたら、喉まで直に入って来た…死ぬかと思った。
「じゃあねレイ!」
「さよなら、アスカ。」
アスカと途中まで一緒に帰り、私はぶらりとコンビニに寄った…
「「あ。」」
碇君が何か立ち読みしてる所に出くわす。
「…やぁ。」
「それ、18禁よね?」
いかにも肌色の面積が多い雑誌を、碇君は慌てて棚に戻して私に向き直る…
「ケンスケに、頼まれたんだよっ!どれが良いか見て来てくれっ…て。」
「気にしてない、別に。男の子は当然なんでしょ?アスカも言ってたわ。」
…碇君の肩は跳ね、目を少し大きく開いていた。
「ぼ、僕が何だっていうのさ?」
「何も?」ガシッ
「…痛いじゃない、放して。」
「アスカが何も言わない訳無いじゃないか、僕のこと何か言ってたでしょ!?綾波ッ!?」
「…久し振りね、名前で呼んでくれたの。」
碇君と別れて、私は家に着いた。
ベッドにいつもと逆にうつぶせた時、床に転がる箱に気が付く…
Black devilは蓋を開けると、以前と同じく甘い香りを放つ…誰かがしていた様にくわえると、舌先に甘みを感じた。
そのまま呼吸すると、香りは薄れ口や鼻腔に広がり、消えた…
ドンドン、ドンドン…
そんな事を何度か繰り返した時、私の部屋にノックが響く…
当作品は喫煙の推奨や美化を計るものではございません、未成年の喫煙は成長や身体に害を成します…やめましょう、とめましょう。
はい、とまあそんな注意書きをしてみたり。
>>124殿、
何で…が多いか?シランデスガナー
文が「、」と「。」だけだと寂しいからだと自分弁護…前スレ頭よりは良くなったハズ、です。
今回の流れは「柔らかい暗さ」でしょか…
前よりもフットワーク軽やかに行きたいでつね。
>ぬこ様
今回のも、すんごいよさげでwktk〜
タバコ(葉巻?)アイテムなんか雰囲気あって(・∀・)イイネ!
フットワーク軽やかに? 更に(・∀・)イイネイイネ!!頑張れー
133 :
リュウ:2005/12/05(月) 01:38:26 ID:Yn5+lDlb
また携帯から失礼します。
「フォースインパクト」シリーズを書いてる者ですが、この名前に決めました。
エヴァに関係無い名前でごめんなさい。
色々考えましたが、自分のHPで名乗っているこの名前にしました。
今後もよろしくお願いします。
名前のヒント つ【エバの神】 格闘家ではありませぬ。
解る人だけ解って下さい(笑)
134 :
リュウ:2005/12/05(月) 01:42:32 ID:???
スマソ、ageてしまった…
>リコーダー
誰か突っ込んでくれよ……
136 :
リュウ:2005/12/05(月) 08:40:52 ID:???
>>100さん、突っ込みdクスです。
>状況描写が少ないのは相変わらず
はい!コーチ!
劇団の養成所で「まだまだ動きが控えめだから、もっとオーバーにやりなさい!」
と怒られていた日々を思い出しました。
>色んなという表現
そんな表現、どこで使ったっけ?・・・!!!
ウハwww無意識に使ってたwwwああ、もうダメダメです。
いや本当アリガトウゴザイマス。感謝。
>投下するなら一度にまとめて
ですね…。メモ帳に書くという知恵が働かなかった…だれか知恵の実チョウダイ…
>>109 いや〜、最初のを投下する前に、次回予告風に内容説明しちゃったから、
自分で引っ込みつかなくなってたんです。
「イラン」と言われたので、次回から予告無しで行きますが、
需要があれば復活するかも。
>>135 煤シ ビシッ!!
いや、「…」は本当に三点リコーダーて読むんだと信じちゃったヨ…
「旅の恥はかきすて」で聞きますが、本当はなんて読むのデスカ…?
137 :
リュウ:2005/12/05(月) 09:24:15 ID:???
※今日は、作者取材の為お休みしました。ご了承下さい。
最終話案がまとまったので、忘れない内に書きに行ってきます。
それに、
>>118さんの言う通りですね。
>ま、あんまり急いで書いても雑になるだけだと思うし、落ち着いて行きましょう。
何故か「毎日が締め切り」みたいな気になってたです、ハイ。
これからはノンビリいこう。
貞本先生も、きっとそう言ってくれるさ(つA`)
>>137 ?セ夲スス縺吶k縺ェ繧臥ー。貎斐↓縺企。倥>縺励∪縺吶∬?ェ蛻?隱槭j縺ッ閾ェHP縺ァ縺ゥ縺?縺?
辟。鬧?縺ォ辣ゥ譚峨√%縺薙?ッ2ch?スエ?スウ?セ橸スァ譚ソ縺ァ縺?
↑文字化けたorz
>>137 もう少しスマートにまとめる方が良いです、自分語り近況なら特に。
猫自身がそれ(自分語り特に)ウザスであることを前スレにて証明してます、良ければ自HPかチラ裏でどぞ?
140 :
リュウ:2005/12/05(月) 10:59:48 ID:???
「…」は三点リーダーですね。
「……」のように二回続けるのが通常の使い方だと思います。
会話で「…」を多用する人は、状況描写が足りていないという場合が多いようです。
>「何も?」ガシッ
>「…痛いじゃない、放して。」
この辺りなど手抜きに見えてしまいます。
もう少し描写に気を使ってみてはどうでしょう?
>「……」のように二回続けるのが通常の使い方だと思います。
いや、それは偏見だと思われ。
ていうか批評家気取りは職人を殺すだけなんで他所でやってくれ。
感想専用スレがあったろう。
面白いかつまらないかだけで端的に褒めるか貶すかするのはいいんだが、
変な奴が変な理由で噛み付いてくるという空気がスレに匂いだすとロクなことにならんし。
察してくれ。
職人といっても、プロじゃないんだ。
細かいことを、あまりつっつくと、職人が書くのやめちゃうぞ?
そのとおりだ。担当じゃあるまいし。
ていうか皆マターリ汗。
まあここのスレの職人さんはこんなことでへこたれないだっちゃ。つか僕猫さんのお話好きだから猫さん期待してるっちゃよ。
146 :
1:2005/12/05(月) 23:50:53 ID:???
【そのかなり前/2】
カヲル君。
彼はとても素敵な人だった。
彼を殺してしまったとき、とてもじゃないけど自分じゃ耐え切れなかった。
自分じゃ抱えきれなかったので、綾波に縋ってしまった。
優しく抱きしめてくれた時、馬鹿みたいに涙が溢れ出た。
綾波の抱擁は、心がとても温かくなって、満たされる感じがした。
サードインパクト。
僕はよく知らないけれど、きっとアレの事なんだと思う。
”アレ”としたのは、僕も内容が説明できないから。
綾波が尋ねた。
「貴方の望む世界を」
僕は望んだ。
「普通の世界を」
そして、世界が変わった。
アスカも居た。ミサトさんも居た。リツコさんも居た。加持さんも居た。
父さんも居た。カヲル君も居た。トウジもケンスケも皆居た。
勿論、綾波も居た。
けど、その世界の綾波は僕の好きな綾波じゃなかった。
147 :
1:2005/12/05(月) 23:51:15 ID:???
綾波が尋ねた。
「何故」
僕が答えた。
「違うから」
本当の綾波は、とても不器用だった。
綾波が尋ねた。
「貴方の望む世界は」
僕は望んだ。
「君と居られる、普通の世界を」
世界が変わる。
アスカも居た。ミサトさんも居た。リツコさんも居た。加持さんも居た。
父さんも居た。カヲル君も居た。トウジもケンスケも皆居た。
そして、不器用に微笑む君が居た。
148 :
1:2005/12/05(月) 23:54:14 ID:???
結局、サードインパクトは起こしました。
サードインパクトの件を書くと長そうなので省略。
出来る限り行間少なくしてみた。
まだ多かったら言ってくだせぇ。
>>142 >面白いかつまらないかだけで端的に褒めるか貶すかするのはいいんだが
正直、そっちの方が嫌だな
面白かどうかなんて好みで変わるのに貶されるんだよ、ウンザリする
つか、書いてる人はどうなの?
読んでる人が言っても意味無いような気がする
上の方で書いてる人が、指摘歓迎、みたいなレスがあったから続けてるんだろうし、
書いてる人が、指摘が怖くて書き辛い、とかレスすれば止めるんじゃない?
指摘って、結局腐すのしかならんだろー。
指摘自体が的外れで職人のモチベーションをくじく場合だってあるし、
指摘に指摘し返されて逆切れする厨とかも出るし、いいことなんてほとんどない。
さらに言えば、職人の書き込みと、それに対するGJ以外は何も書き込まれないくらいの方が
スレとしては健全に進むことが多いと思うよ、この手のスレは。
議論厨が涌いてる所って投下しづらいし、上手いか下手かなんて、職人が自分で判断しろって感じ?
つまらなければスルーされるし、面白ければ相応にGJレスが付く、それでいいじゃん。
確かに、読んでるだけの人が言っても意味無いな。
>書いてる人
その辺、どうですか?
152 :
リュウ:2005/12/06(火) 01:22:37 ID:???
>>151 指摘歓迎などと書いてしまったのは自分です。
ここで指摘してくれる人は良い指摘をしてくれるので、
落ち込むけど、ありがたく受けとめてます(社交辞礼ではなく)。
指摘を気にしすぎたら勢いのあるものは書けなくなるけど、
書く人のオナニーにならない為には必要だと思いますよ〜。
批判が怖いなら、それこそ自HPやチラ裏で書いていれば良い訳で…
他の筆者さんはどうなんでしょう?
あんまり狂信者的にGJGJ言われるのは勿論興ざめだけど、批評されたところで
直し様もない(言われて直るぐらいなら、最初からそうしてる)からなー
あんまり排他的になるのはどうかと思うけど、スレタイ以外の方向で火がついてる状態はイヤダ
気楽に落とせるのが一番いい
どーでもいいけど、三点リーダx2は六点リーダっつーんだね。
正書法として普及している、らしい。知らなかった。
正式かどうかに拘ることに意味があるとは思わないけど。
ていうか検索かけてたら速攻でモヒカン族が引っかかってきてワラタ。
スレ違いすまん。
引き続き職人さんドゾー。
155 :
リュウ:2005/12/06(火) 01:43:04 ID:???
>>153 >スレタイ以外の所で…
スミマセン…
今書いてるのを早めに切り上げて、
もっと気楽なものを創る予定なんで…
いや、気楽な作品にしろって意味じゃないと思われw
なんつーかこう、もう少し自分をしっかり持とう。な?
>>155 >>153の言う「スレタイ以外の所」ってのは指摘に関する議論のことを指すと思われ。
あと、内容に関しては
>>1のルールを守る限り投下する側の自由だと思うから、多少意見があっても、自分自身がちゃんと書きたいことを書ききれたと思えるものを投下すれば良いんじゃない?
猫タ━━━━━ン
159 :
リュウ:2005/12/06(火) 06:42:42 ID:???
>>156 >>157 スマソ…
>>153の文章を激しく読み違えた(´A`)
>書きたいことを書ききれたと思えるものを投下すれば良い
アリガトウ。
他の職人さんと違う色の作品だけど、最後まで読んでもらえればウレシイです。
160 :
1:2005/12/06(火) 16:20:34 ID:???
前スレこんなんだったっけ
どうにも批判とか入った所為でオカシクなった
もう少し広い心で作品見ようや、と言ってみる
ちなみにオイラのには批判も感想も特に無いので、現状維持でおkでつ
良いのかは判りませんが
現状維持を願うぞ。
てか、熱くなりすぎだよ、みんな。
作品以外のレスいらね(これも含むが)
「あの、聞きたい事があるんだ…開けてよ?」
魚眼に写る碇君の頭だけが見える…
ガチャッ
「一体何の用?」
「…最近アスカと仲が良いらしいじゃないか、何で綾波なのさ?」
碇君の顔は、今にも泣き出しそうな歪み方をしていた。
「そんな事知らないわ。私は彼女じゃないから、当然でしょ?」ガシッ
「僕はどうやってアスカの気を引いたかって聞いてるんだ!答えてよッ!!」
「放して。何もしてないし、私から何かした訳じゃないもの…っ」
碇君が私の腕を引っ張って、部屋に上がる…痛い。
「ちゃんと答えてよ!?アスカが君なんか好きになるはず無い!一体何したんだッ!!」
部屋の中央辺りで乱暴に腕を放されて、腕に引っ掻き傷がついた。
「…何故、怒ってるの?」
「うるさい!!答えろよ!!答えろよォッ!!」
「あなたの聞きたい事を、私に尋ねるのは見当違い。それならアスカに聞きに行きましょ?」
碇君の表情が一変した。
さっきまでの怒気は覚めて、急に足が震え始めてる…
「…ゃだ、無理だよそんなの。僕が聞くなんて、アスカに嫌われちゃうじゃないか!?」
「どうしてそんな事言えるの?聞いてもいないのに?」
碇君が苦しそうにしゃがみ込む…
「嫌われたい訳、ないじゃないかッ…」
床に、滴が落ちる。
「ぼくは…アスカに嫌われたく、ない…だから、聞きたくないんだッ…」
「彼女は簡単に人を嫌いになったりしないわ、特にあなたの事は…」
「嘘だッ!今までは僕と一緒に帰ってた、お昼もだよッ!」
顔をあげた碇君は、汗と涙で顔をビショビショにしていた…
「また、泣いているの?」
碇君が首を振り、
「…僕は、嫌われたくないだけなのに…もう、好きじゃなくても…良いから…ッ」
声を絞り出す…
「僕が好きでも…僕を好きになる人が、居ないんだッ…
ぼくのまわり、には…だれも…いないんだッ…」
「私はあなたの事、嫌いじゃないわ。」
「え…」
「あなたが嫌いなら、どうして私は目の前に居るの?」
「…本当にごめん、自分でもなんだか分からなくなってた。」
ようやく落ち着いた碇君に、濡らしたタオルを渡した。
「酷い顔だったわ、あなたのあんな顔初めて見た。」
「…誰にも、アスカには言わないで。」
タオルに顔を埋めたままの碇君に、私は頭を撫でる事で答えた。
何故だかそうしたかった、それが返事になるとは思えないのに。
だって、声は出してないもの?
「…ありがとう。」
それでも碇君は顔を上げて、『ありがとう』と言っていた。
その言葉を聞いて、私は滑らかなタオルケットに包まれる所が頭に浮かんだ…
よく分からないけど…前にもあった様な気のする光景は、私の気分を晴れやかにした。
「それじゃ、また明日。」
玄関で碇君を見送った時には、日は沈み外は暗くなっていた。
「あの…腕、ごめんね?」
「大丈夫、この程度…明日はみんなでお昼食べましょ?」
「ほ、ほんと!?あの、ありがとう…」
碇君が帰り、誰も居なくなった部屋。
私は何かが引っ掛かった気持ちになっていた…
「私は誰かに好かれている?」
声に出したかは分からないけど、私自身に聞いていた。
「碇司令は私を好き?いつも私の向こう側を見ているのに?」
私が碇司令の目を見ている時、あの人も私を見ていた
「碇司令は私を好き?いつも私の向こう側を見ているのに?」
私が碇司令の目を見ている時、あの人も私を見ていた
「私の事を見ている人は?」
…でも、それは私じゃない。
私の形をした別の人、その人がいつも司令の見ているヒト。
『本当にひとりなのは、私かもしれない』
━━━━━━━━━━━━気付くとむせ返っていた…手には灰色の箱を持って、目の前の地面にはくすぶる煙草。
「本当に寂しいのは、私なの?」
公園で一人、煙草にもう一度火を付けた。
『前世の記憶』風な、前スレの記憶?
シンジ君の情緒不安定材料はトウジ君とアスカさんでつよね、うん。
皆々様ギスギスしないでね、色々理由があろうとも。
冷静さも欠くし何より楽しくないデシ…
寛容であり視点を沢山持てる人が楽しめるのですよ、全ての物ごとは。
真っ先にGJ!!
作品に対しては素直に賞賛するのが第一ですよ。
その上でどうしても気に食わない点だけを
指摘すればいいんじゃないでしょうかね。
ま、あくまでこれは一つの提案にすぎませんが。
ネコさんGJ!
今回はアスカが重要な役を演じてますね・・・
期待してるワン▼・ェ・▼
171 :
1:2005/12/06(火) 22:55:22 ID:???
猫さん、GJです
前スレとは全然感じの違う作品にドキドキしながら待ってます
猫さんGJだっちゃ。前作とはかなり雰囲気変わっててそれを吟味しながら見てるっちゃ。次回投下も楽しみにしてるっちゃ。
不安定なシンジは繊細さが剥き出しでカワエェ
オッテュ
すいません、もし1日目のまとめが難航しているようでしたら、
拙サイトでよろしければお引き受けしますが、如何でしょうか
176 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/07(水) 09:25:18 ID:p58upHrT
それだ!
☆☆☆コスプレHできたよ☆☆☆
どぉもぉ〜 みなさんに耳寄りな情報が。
いままで女の子と接することがなく25年と3ヵ月…。
ようやく彼女ができました。
自分から声をかける事ができなくても女の子のほうから寄ってくるんだ。
少し試すだけなら無料だし、試してダメなら止めればいいよ
ttp://550909.com/?f4669686←ここから行けるよ!!
クリスマス前の今がチャンスだよ!!
携帯によるんじゃネ?
日曜日。
シンジはレイと共に、第2新東京市に来ていた。約束のウェディングドレスを買う為だ。
あの日の夜、二人は共にミサトに外出を嘆願した。
今日、初号機の改造工事が行われるおかげでもあるが、次の隕石到達まで時間があり、
当分はエヴァ出撃の必要無しと判断された為に、二人はこうして出てくる事が出来たのだ。
朝、ネルフの輸送機で第2新東京まで輸送され、着いたのは昼少し前だった。
街に出て早めの昼食をとり、二人はあのドレスを売っている店に向かった。
この街に住んでいた時は毎日通っていた商店街を、二人で手を繋ぎながら歩く。
「まだ残ってると良いんだけどね」
「そうね、あれから少し時間が経ったから、もう無い可能性もあるわね」
「無かったら、作ってもらえば良いよ」
二人は、久しぶりにエヴァの事を忘れ、ただの恋人同士に戻っていた。もちろん、ネルフや
エヴァの話題を口に出さないように気を付けながら、ではあるが。
同時刻、ネルフ本部では、予測していなかった事態に右へ左への大騒ぎになっていた。
突如衛星軌道上に前回の隕石とほぼ同じ質量を持った隕石が現れ、地球へ落下し始めたのだ。
「目標の落下地点は…沖縄諸島です!」
MAGIの計算結果を、マヤが伝える。
「あの速度で沖縄に落ちたら、第二の海底都市の誕生ね…」
「クソッ!ここから沖縄まで、隕石到達前にエヴァを派遣する事は不可能ですよ!遠すぎます!」
隕石の落下予想時刻と、沖縄までのエヴァ輸送時間を計算していた日向が悔しそうに言う。
「仕方ないわ…沖縄の全市民に避難命令を!県議会、地元放送局にも速やかに伝達して!」
店のショーケースにはまだあのドレスが残っていた。
ショーケースの中のドレスにうっとりするレイ。
「何してるのさ、早く中に入ろうよ」
「……うん」
自動ドアが開き、中に入ると店員が「いらっしゃいませ」と頭を下げた。
「本日はどのような物をお探しでしょうか?」
「あの…今度結婚するんです。それで、ウェディングドレスを…」
見ず知らずの人に、自分達が結婚する事を言うのは思いのほか恥かしかった。
「それはそれは、おめでとうございます!でしたら、あちらのドレスはいかがでしょう?」
店員が指し示す先には、まるで年末の歌番組で大物歌手が着るような、羽根のついたド派手なものだった。
「お見受けしたところ、奥様は落ち着いた雰囲気ですので、お召し物は逆に豪華になさった方が…」
店員はもっともらしい理屈を言うが、結局は高価な物を売りたいという意地汚さが、レイには不快に感じられた。
「そんなの、いりません」
「そ、そんなの…」
「私が欲しいのは、外に飾ってあるドレスなんです」
「しかし、一生に一度の記念ですから、思い切って…」
「あれを売れないのなら、私、帰ります。行きましょう、シンジ君」
シンジの手を引っ張り店を出ようとするレイ。
「ああぁ!お客様!解りました!すぐにサイズを合わさせて頂きます!」
その言葉に、レイは振り返る。
そして「よろしくお願いします」と、満面の笑みを浮かべて言った。
レイがサイズを測っている間、シンジは待合室でテレビを見ていた。
サングラスの司会者が芸能人とゲームをしている。シンジ達が生まれるよりずっと前から
放送されているらしく、司会者も随分年だ。
と、突然映像がニュースに切り替わる。
『先ほど、衛星軌道より突然隕石が地球へ向けて落下を開始しました。この隕石の落下地点は沖縄と
予測され、沖縄全市民の退去命令が勧告され……』
シンジの携帯が鳴る。預かっているレイのバッグの中でも、携帯が鳴り響いていた。
着信を見なくても解る。本部からだ。
3コールほどで、シンジに電話が繋がった。
「シンジ君、ニュースは見た!?」
『はい、ミサトさん!今すぐ戻ります!』
「そう言ってくれると思ってたわ。だけど、あなたは来なくて良いのよ。それを伝える為に電話した
んだから。それに、エヴァを沖縄へ送るには時間が無さ過ぎるわ…」
『でも!』
「気持ちは嬉しいけど、どうしようも無い時に諦めるのも必要よ。でも、用事が済んだら出来るだけ
早く帰って来てね。それじゃ」
ミサトは電話を切り、オペレーター達に指示を出す。
「避難は進んでる?」
「かなり遅れていますね…あちこちで住民同士の衝突も起きています。
全くこいつら、死にたいのか!」
青葉がデスクを叩く。
「目標、大気圏に突入!」マヤが報告する。
「間に合わない!?」
その時、どこからか通信が入った。発信地は沖縄の国連軍基地からだった。
『君達、我々に任せたまえ』聞き覚えのある声。
沖縄基地から映像が送られてくる。巨大なマシンが、平野に立っている。全部で7体。
「ジェット・アローン…量産型なの!?」
『国際重化学工業共同体代表、時田シロウだ。これはJAではない。JP、ジェット・ピープルだ』
JPと呼ばれたマシン達は円陣を作り、隕石目掛けて背中のロケットを吹かし飛び上がった。
『各機、スパイダーネット展開』
JP達は腕からワイヤーを発射し、隣のJPと連結させる。
JPの排気口から大量の蒸気が噴出す。ワイヤーに電気が流れ、光っている。
そして隕石はワイヤーの集まった円の中心を突破…しなかった!
何か、見えない力で円を超える事が出来ないらしく、隕石は徐々に上空へ押し戻されていく。
『強力な磁場を作り、斥力を発生させたのさ』
驚きに声も出ないネルフスタッフをよそに、時田は得意げに解説する。
『よし!とどめをさすぞ!JA改ハンマー装備、発進!』
基地から、かつて量産機戦でネルフを手助けしてくれた、あのJA改が上空へ射出される。
『君達ネルフの技術だけが最先端じゃない事を見せてあげよう!プログレッシブ・ハンマーだ!
塵にしてしまえぇぃ!』
JPに抑えられている隕石の上空に、JA改が飛び上がる。手に持ったハンマーを振りかざし、
隕石に叩きつける!
一瞬、何も起こらなかった。だが、時田だけは、不敵な笑みを浮かべている。
隕石の表面から砂がこぼれ落ちていく。いや、砂が付着していたのではない。
隕石自体が砂になっているのだ!
『うわっはは!やったぞぉ!』
「な、なんてインチキ…」ミサトはへなへなと床に座り込んだ。
だが、次の瞬間。・・・ドバシャァァァッ!
隕石は完全に砂と化し、下で支えていたJPを巻き込んで地表に落下した。
『あぁ!わ、私の…私のJPが…』
「さ、帰るよ、レイ」
「・・・・・・」
ムッとした顔で顔を背けながらシンジの後を歩くレイ。
ドレスは本部近くまで届けてもらう事になり、レイの手にはその注文書の控が握られている。
「怒らないでよ。出来るだけ早く帰れって言われてるんだから」
「解ってる。私が怒ってるのは、デリカシーの無い隕石と、あの使徒よ」
「隕石にデリカシーを求められてもなぁ…」
「何か言った!?」
シンジが一人愚痴るのを聞き逃さなかったレイは、強い語気でシンジを圧倒する。
「いえ!何も!」
「…はぁ、もういいわ。その代わり、夜はちゃんとサービスしてもらうから」
「さ、サービスって…」
「だって…もう半月も経ったから…たまには…」顔を赤らめるレイ。
(たまには僕がレイにサービスされたいよ…)
夜を楽しみにしながらも、徹夜は確定だと、覚悟するシンジだった。
そして…。
暗い部屋に、男が二人、隕石消滅の映像を見ている。
「これで、盾はそろったな」
「はい。世界主要都市に7体編成の、全部で119体のJPを配備し、またJA改の後継機ジェット・ホープも、
近々ロールアウト予定です」
「ふ、金の力はすごいものだ。これで守りは固まったな」
「出来る限り早く…一ヶ月後には完成させ、航海…いえ、航宙試験を行います」
「頼むぞ」
敬礼し、部屋を去っていく男。
そして、部屋に残された男は、顔の前に組まれた手の向こうで、
決して好印象ではない笑みを浮かべるのだった…。
187 :
リュウ:2005/12/08(木) 05:13:42 ID:???
>>185にて
「隕石はワイヤーの集まった円の中心」とありますが、
「JPに囲まれたその空間」って事にしておいて下さい…。
書き直す時にワスレテタヨ(つAT)
ついに来たな、GJだこのヤロウ
乙デシ。
「ああぁ〜っ、私のJ(ry
この時田さんはスパロボ風味でつね、何かよい。
190 :
リュウ:2005/12/08(木) 11:28:37 ID:???
>>188 >>189猫様
アリガトウです。
スパロボにエヴァが参戦する度に、今度こそJAが出ると信じていた。
そんな時代が私にもありました。(°ω°)遠い目
スパロボ好きとしてはこれは最高!
GJ!
GJ!
JPの洗浄と砂の撤去か。
国が一つ傾くよ。
我期待猫
194 :
175:2005/12/08(木) 21:09:01 ID:???
>>194 形式は読みやすいし良いと思うよ。
何より携帯でも読めるのがありがたい。
話の本筋に登場する人が、その人の視点から見た話(例えば浴衣に靴のレイを見た冬月とゲンドウの話)があったと思うので、出来たらそれもリンクしてほしい
>>194 乙です
>>195氏も言ってますが、読みやすいです
サイトが出来上がるのを楽しみにしておりんす
>>194 率先してまとめを作る神乙。サイト作りがんばってください。
>>194 まとめの神、乙!
なにより見やすくてイイ!
GJ
猫氏以外の人の奴もまとめてくださるの?
電車男みたいなノリだなw
エヴァ初号機新型装備の稼動実験前に、シンジは格納庫にて説明を受けていた。
「これが…初号機ですか?」
身体(特に腰)の疲れを感じながら、シンジは変わり果てた初号機の姿に圧倒された。
「そう。エヴァ初号機F型装備よ」
「赤木博士が残した設計図を元に開発したの。本当はもっと早く完成するはずだったんだけど…
先輩がいないだけで、3年は開発が遅れてしまったのよ」
マヤが資料を見ながら説明する。
かつての赤木リツコ博士にならって白衣を着ているが、彼女は特に白衣が必要な職務があるわけでは無い。
だが、三十路を越えても初々しい可愛らしさがある彼女はネルフ内でも人気があり、
特に白衣を着た姿は、独身男性職員の妄想とやる気を湧き上がらせるのだった。
「A.T.フィールドによるホバー移動と飛行が出来るようになったのと、両肩のインパクト・ボルト
って新兵器の他は今までと同じ運用方法で大丈夫よ」
「後は、今日到着するマゴロク・ソードが初号機用に。マステマ、デュアル・ソーが零・弐・4号機用
に配備されます」
「後は、航宙艦ラーマが完成すれば、黒き月に攻撃を仕掛けられるわね」
航宙艦ラーマ…セカンドインパクト以前に設計された、人類初の有人惑星探査艦は、月と地球の引力
が釣り合うラグランジュ・ポイントにて建造されていたが、セカンドインパクトの発生により建造を中断。
放置されていた艦をネルフが接収し、エヴァ搭載戦艦として建造中である。
「就航予定は、約一ヵ月後です。スケジュールではラーマに乗船後、月でロンギヌスの槍を回収。そのまま
黒き月へ向かう予定です。MAGIの計算では、冥王星より10万km離れた宙域で、黒き月と接触します」
昼過ぎ、シンジ、レイ、アスカ、そしてカヲルは食堂で昼食を取っていた。
今日は食堂のおばちゃんがパスタを作りすぎたとかで、全員パスタを食べている。
「初号機ばっかりすごそうな装備もらえて、い〜な〜」
足をぶらぶらさせ、行儀悪くテーブルに肘を付いて口の中の物を咀嚼しながらアスカが言う。
「S2機関を取り込んで、エネルギーの心配をしなくても良いのは初号機だけだからね」
カヲルはそう言いながら、コーヒーの香りを堪能している。
「そんな事、アンタなんかに言われなくても…って、ちょっと、アンタ」
アスカがカヲルの方を見て、驚いている。
「どうしたの、アスカ?」
ややげんなりした顔をするアスカに、シンジが尋ねる。
「ん?僕がどうかしたかい?」カヲルも見られている事に気付く。
「アンタねぇ、カッコつけるのも良いけど、口の周りのミートソースぐらい拭きなさいよ」
見ると、彼の口の周りが赤くなっている。
アスカはテーブルに備えてあるナプキンで、彼の口を拭った。
「あぁ!服にまでこぼしてるじゃないの!中々落ちないんだからね、気を付けなさいよ」
「あ?ああ、ゴメン」
胸の辺りのソースを、もう一枚ナプキンをとってふき取るアスカ。
その光景を見て、シンジとレイは顔を見合わせてクスクスと笑った。
「何よ、気味悪いわねぇ」
「いえ、アスカと渚君って、以外にお似合いかも…って思ったの」
そう言われて、アスカは思ったより近くにあるカヲルの顔を見て、恥かしさに顔を紅潮させて
彼から離れた。
「バッカじゃないの!誰がこんなナルシスホモと付き合うもんですか!」必死に否定するアスカ。
「僕はナルシストでも無いし、同性愛者でも無いんだけどなぁ。でも、お似合いだなんて言われるのは
悪い気がしないね」対照的にまんざらでもない感じのカヲル。
「この、ばか!」照れているカヲルの頭を、パシッと叩く。
「アンタも否定しなさいよ!」
「なんで?誉められているのに」
「誉められてるとか、そんなんじゃ無いのよ!」
カヲルの胸倉を掴むアスカ。さすがのカヲルもたじろいだようで、苦笑いを浮かべて言った。
「で、でも、君は美しいし強くて素敵だから、僕は好きだよ。だから落ち着いて」
「あ〜もう!そういう気持ち悪い事、いちいち言うな!」
アスカは顔を真っ赤にして出て行ってしまった。
取り残される三人。しばらく沈黙していたが、最初に口を開いたのはカヲルだった。
「彼女、立ち直ったみたいだね」
「ええ。シンジ君のおかげよ。彼女は、周りに元気をくれるわ」
「そ、そんな…」
シンジはアスカとの過去を思い出して、恥かしく、そしてレイに申し訳なく思った。また、その過去を
認めてくれているレイに、心から感謝もするのだった。
食堂を出たアスカは、本部の外庭に置かれたベンチに座り、人工川の流れを見つめていた。
と、そこへやってくるカヲル。
「こんな所にいたのかい」アスカの背後に立つカヲル。
「何か用なの?」アスカは振り向きもせずに言う。
「さっきの事を謝ろうと思って」
「いいわよ、別に。ただ、あまり人前で女の子にああいう事を言わない方が良いわよ。特に、嘘ならね」
「嘘をついたわけじゃないさ」
「…あんたも、人付き合いを勉強した方が良いわ。でないと、傷つくのはあなたよ」
「複雑なんだね、君達は。でも、だから面白い」
「そう、複雑なの。だから、人前で『好き』なんて軽々しく言わないで欲しいの」
「…じゃあ、人前じゃない今なら、良いんだね?」
カヲルはアスカの横に腰を下ろす。アスカは横へずれ、彼から遠ざかる。
「そうやって自分の領域を侵される事に怖くなるのは、使徒もヒトも同じなんだね」
「解ってるなら、なんで近づくのよ」
「君の領域に僕を入れて欲しいと思った…それだけさ」
「…それ、告白のつもり?」
「それが解らないから、教えて欲しいんだ。君を見ていると、僕も元気になる。それは、君が
いなくなると悲しくなるという事でもあるんだ」
「…あんた、私の事好きなんだ」
「この気持ちは、好き、という感情なのかな」
「他になんだって言うのよ。…で、どうしたいわけ?」
「どう…って?」
「私に好かれたいの?」
「…さっきも言った通りさ。僕が君の領域に踏み込む事を許してもらえたら、とても嬉しいと思う」
その言葉を聞き、アスカはしばらく考えて、わずか数センチほどだけ、カヲルに近寄った。
「これが、私が今許せる精一杯の距離よ」
「…ありがとう。安心したよ」カヲルは、自分の身体が強張っていた事に気付いた。
「あんた、見てて危なっかしいから、私が教えてあげるわよ。ヒトとして生き方を」
カヲルは、アスカが両脇についている手を見て、その綺麗な手に触れたくなった。
「手を…握っても良いかな?」
手をさっと引っ込めるアスカ。
「ダメよ。そうしたいなら、私が気を許せる人になりなさい」
初号機の起動実験は滞りなく行われた。装甲の変更による異常は見つけられず、今まで通りの運用が
可能だということが解った。
自室への帰り道、シンジはカヲルにばったりと会った。
「お疲れ様、シンジ君」
「カヲル君…アスカの様子は、どうだった?」
「ああ…彼女は、強くて、とても良い人だね」
とても晴れやかな顔をするカヲルを、シンジは不思議に思った。
「何か良い事があったの?楽しそうだけど…」
「良い事?ふふ、あったよ」
「もったいぶらないで教えてくれても良いじゃないか」
「ふふ、いくらシンジ君の頼みでも、それは秘密さ。彼女との約束だからね」
そう言って、カヲルは自分の部屋へ戻って行ってしまった。
「???…変なの…」
そして、数時間後。
シンジの部屋…もはやシンジとレイが一緒に寝ている事は、公然の秘密となっていた。
ベッドに横たわる二人。
「結婚式、いつにしようか?」
「一ヵ月後に出発だから、もうあまり時間は無いわね」
「明日、ミサトさんに相談してみるよ。出発までには、式をあげたいな」
「華やかでなくても良いから、ネルフの人達に参加してもらいたい…」
「そうだね。今までお世話になったお礼と…」
「これからもよろしくお願いします、を伝えたいわね。その為の結婚式ですもの」
シンジは優しくキスをして、レイを抱き締める。そして、おだやかな眠りに落ちていった…。
朝早くからGJ。
戦闘シーンが楽しみだ♪
こういう戦闘の幕間っぽい作品いいなあ。
LAKもイイ!
211 :
リュウ:2005/12/09(金) 18:45:00 ID:???
>>208 dクスです。
>>209 実は戦闘シーンは予定してなかったけど、209さんの為に頑張って書きます〜
>>210 実は投稿直前まで『ネルフの休日』ってタイトルで書いてたので、
幕間っぽい、というのは確変大当たりデス。
LAKは、アスカが余っちゃったので苦肉の策でカヲルとくっつけたら
意外に面白かったです。
212 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/09(金) 20:35:52 ID:du2/Vm2v
エヴァの武装を語るスレにいたね?
214 :
リュウ:2005/12/10(土) 01:13:24 ID:???
>>213 ああ…名前欄変え忘れた私を嘲笑ってくれ…orz
猫さん期待してんよ
216 :
結婚式:2005/12/10(土) 10:38:33 ID:???
シンジがミサトに結婚式を申し出ると、彼女は快く祝福して、許可を出してくれた。
先日のような緊急事態に出撃出来ないと困るので、式はネルフ本部で行う事になった。
式は半月後…ミサトはその日に、職員全員に休暇を与えた。
式の準備を慌しく進める中で、注文していたドレスが届く。
早速試着したレイ。鏡を見ながら、まるで自分ではない人間のドレス姿を見ているような、
不思議な感覚におそわれた。
タキシードを着たシンジと並んでみる。
「あ〜らぁ、お似合いじゃないの、レイ。とっても綺麗よ」
「ありがとうございます、葛城さん…」顔を赤らめ、うつむくレイ。
「シンジ君も、なかなか素敵よん。あと十年若かったら、私が奪っちゃいたいくらい」
「や、やめて下さいよ…恥かしいですよ」
そう言いながら、シンジはレイの様子を窺う。レイは時々、こういう冗談を真に受けて
怒り出す事があるのだが、レイがにこやかに微笑んでいるのを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「こうしてあなた達の結婚を祝福出来て、私も嬉しいわ」
「私も…こうして葛城さんが私達の結婚に立ち会ってくれる事が、とても嬉しいです」
「ありがと、レイ。何て言うのかしらね、子供が巣立つ心境って、こういうものかしら」
ミサトの目が少し潤んでいる。それを見てレイは、自分の胸にも込み上げてくる感情に気付く。
「ミサトさんに式のお金まで出して頂いて、すみません」
「良いのよ〜、気にしないで。その代わり、最高級のビールが飲めるんですもの〜、今から
楽しみだわ〜…おっと(じゅるっ)」
思わず口から溢れてしまった涎を拭うミサト。昔と変わらない彼女に、シンジは安らぎを感じた。
217 :
結婚式:2005/12/10(土) 10:40:27 ID:???
そして、式当日…。
控え室のシンジは、一つ気になる事があった。。
それは、かつて第壱中学校での友人達の事だった。彼は、彼らに招待状を送っていない。
特に、鈴原トウジには会いたく無かった。会わせる顔が無い。
握り潰されたエントリープラグの中でかろうじて生きてはいたが、片足を失った彼は、今
どうしているだろう。
と、ドアをノックする音…。
シンジは返事をすると、ドレス姿のレイが入って来た。
「どうしたの、レイ?」
「ふふ、シンジ君に会いに来た人がいるわ」
レイがドアの向こうの誰かに呼びかけると、ドアを勢いよく開けて飛び込んで来た者がいた。
「シンジ〜!元気にしとったか〜!」
「よっ、元気そうでなによりだよ」
「おめでとう、碇君!」
「あ…みんな…」
なんというタイミングだろう。まさに今気にしていた、トウジ、ケンスケ、ヒカリの三人
が、二人を祝福しにやって来てくれたのだ。
だがシンジは、嬉しさ以上のいたたまれなさを感じて声が出なかった。
218 :
結婚式:2005/12/10(土) 10:41:58 ID:???
それに気付いたトウジが、シンジの頭をはたく。
「こりゃっ!なにシケた面しとんじゃ!」
「トウジ…」
「あんなぁ、昔は、あんな状況だったんだから仕方ないんや。ワシはお前の事恨んだり
してへん。もう、ええ加減自分を責めるのはやめぇや」
「学校にも来ないし連絡もしないし、心配してたんだぜ、碇」
「トウジ、ケンスケ…ありがとう」
「へへっ、改まって言われると照れるわ」
「あの…トウジ…脚は…?」
シンジは、片足を失ったトウジの姿を思い出した。だが目の前にいる彼は、二本足で立っている。
「ん?ああ、脚なら…ほれ」
ズボンの裾をたくしあげるトウジ。
「『銀色の脚スペシャル』…?」
彼は義足だった。人目で機械だと解る義足には、マジックでそう書いてあった。
「義足じゃからゆうて、うじうじ気にしとんのは性に合わん。これが、ワシの今の脚じゃ」
「ダサイ名前だろ〜?俺がもっと良い名前考えてやるって言ったのにさ」
「どこがダサイんじゃ!とうっ!」
義足でケンスケに蹴りをかますトウジ。
「あたっ!」
「ぬははは、どうじゃ、ワシの銀色の脚スペシャルは?」
「…プッ……」
二人のかけあいが懐かしく、つい笑い出すシンジ。
それを見て、顔を見合ってニカーっと笑うトウジとケンスケ。
「こんのぉ、何笑ってんだよ!」
「そうや、先生は今もスケベしとるんか?やっぱあの時、綾波のふくらはぎ見とったんやろ!」
219 :
結婚式:2005/12/10(土) 10:42:37 ID:???
まるで中学時代に戻ったかのようにはしゃぐ三人を尻目に、レイ、ヒカリと、様子を見に来た
アスカの三人もまた、思い出話に華を咲かせていた。
「三馬鹿トリオ、再結成ってところね」
「じゃあ私達はさしずめ、かしまし娘ってところかしらね?」
アスカの言葉を受けて、ヒカリが言う。
「綾波さん…本当におめでとう」
「ありがとう…来てくれて、本当にありがとう」
「そんな、私達こそ、呼んでもらえて嬉しいわ。アスカも元気になったみたいで、安心したわ」
「そっか…最後にヒカリに会ったの、私が入院する直前だったものね」
アスカが昔を思い出して、表情が曇る。それに気付いたレイは、とっさに話題を変えた。
「そう言えば、洞木さんは…」
「あ、私、もう洞木じゃないの」レイの言葉を遮るヒカリ。
「私、今は鈴原ヒカリになったの…」顔を真っ赤にして、うつむく。
「そうだったの…知らなかったわ、おめでとう。いつ結婚したの?」
「去年…みんなも結婚式に呼びたかったけど、どこに住んでるか解らなかったから…」
「な、なによ〜、みんなして結婚急いじゃってさ〜。私が行き遅れてるみたいじゃないの!」
「あら、アスカにだって良い人が出来たんじゃ無いの?」
レイの言葉に顔を真っ赤にさせるアスカ。
「本当!?ねえねえ、どんな人なの?」
「ば、バカ言わないでよ!あんな天然ナルシスト、予備よ予備!顔はまあまあだから、キープ
してるだけよ!」
「そうか…そうだったんだね…」
背後の声に、アスカは振り返る。そこには、自分が『天然ナルシスト』と呼んだ男が立っていた。
彼は目に涙を浮かべている。そしてくるりと後ろを向き、走り去って行った。彼が通った後には、
舞い散った涙が光に反射してキラキラと輝いた。
「あ!ちょっと待ちなさいよ!違うの、今の違うのよ!」
アスカはカヲルの後を追って走り去って行った。
「…アスカも幸せそうね」
「ええ」
220 :
結婚式:2005/12/10(土) 10:43:26 ID:???
そして、式が始まった。
すでに出来上っているミサトが、グダグダになりながら祝辞の言葉を述べる。
新郎の友人代表としてトウジとケンスケが、例の「ふくらはぎ事件」を誇張して語り、
レイに軽蔑の眼差しで睨まれながら焦るシンジをよそに、会場では大爆笑が起きた。
新婦の友人として、アスカとヒカリが、数少ない楽しい思い出を語り、レイも、会場の
来場者も、それぞれに涙を流した。
これまでずっと気を張り詰めていたネルフ職員一同は、心から二人を祝福し、自らもこのイベントを
大いに楽しんだ。
お約束のケーキ入刀では、ケーキを会場の人数分に――しかもご丁寧に縦に――分けるものだと勘違い
したレイが、ナイフを大きく振りかぶるという珍事件も起き、皆は呼吸が止まるほどに笑い転げた。
221 :
結婚式:2005/12/10(土) 10:44:48 ID:???
そして―――
冬月が神父の代役となり、誓いの儀式が始まった。
「汝、碇シンジは綾波レイを妻とし、健やかなる時も病める時も、支えあう事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「汝、綾波レイは碇シンジを夫とし、健やかなる時も病める時も、支えあう事を誓いますか?」
「…はい。誓います」
微笑んでうなずく冬月。
「よろしい。では、誓いのキスを」
二人はお互いを見つめ合い、シンジはレイの顔の前にかかるヴェールをゆっくりと上げる。
キスは今まで数え切れない程交わした二人だったが、このキスは特別だと感じた。
「……シンジ君…」目を閉じるレイ。
「……レイ…」ゆっくりと顔を近づけ、自らも目を閉じる。
そして、唇を重ね合わせる。
長いキスが終わり、瞳を開けると、微笑むレイの眼からは大粒の涙が次々と零れていた。
「おお、神よ!ここに新たな一組の夫婦が誕生しました!どうか彼らの旅路に、幸多からん事を!」
(碇…お前の子供達は、立派に成長しているぞ…。お前もどこかで、この二人を祝福しているのか?)
会場に湧き起こる拍手の中で、親の代からこの夫婦を見守り続けていたこの老人も、感極まって涙した…。
その頃、宇宙ステーションへと向かうシャトルの中で、この結婚式の映像を見ていた男がいた。
サングラスの下から、大粒の涙が宙に漂う。彼は周りに他の乗客がいない事を知っていたから、
遠慮なく声を上げて、泣いた。
222 :
リュウ:2005/12/10(土) 10:48:14 ID:???
今日はここまでデス。
結婚式がどんな順序で行われるか解らなかったから、展開重視で書きました。
順番おかしかったら教えてくださいマシ…
式が終わり、主にミサトを中心としたドンチャン騒ぎが始まった頃、カヲルはベランダの手すりに
よりかかり、風に当たっていた。
「何してんのよ、こんな所で」姿の見えない彼を探しに来たアスカが、彼の隣に、同じように
よりかかる。
「…ヒトは、こうして歴史を作って来たんだね」
「………」
「命に限りがあるからこそ、子を作る。その子供達もまた、人類を存続させる為に子を作り、親になる。
その過程で、それまで他人だった者同士が愛しあい、夫婦になる。その歓びを、共に分かち合える他人が
いるのもまた、歓びだね。単体で永遠に生きられる使徒では、絶対に得られない幸福だ」
「…アンタ、そんな難しい事いつも考えて、疲れないの?」
「難しい事?」
「そうよ。考えて理解するのと、心で理解するのは別物よ」
「…だけど僕は、まだ心で理解出来ない。ヒトとして生きる事がどういう事か、考えないと解らないんだ」
彼は寂しそうに言った。
「…手、握っても良いわよ」少し考えて、彼に手を差し出すアスカ。
「え……良いのかい?」
アスカは無言でうなずく。
差し出された手を、おずおずと握り締めるカヲル。アスカはその手に、自分の指を絡める。
「…何で、私の手を握りたいと思ったの?」
「それは…解らない」
「じゃあ、解ってるじゃない」
訳が解らず、彼は困惑した。
「生き物全体としてはアンタの言う通りでしょうね。でも、ヒトとして生きるって事は、いちいち
そういう事を考えないで生きる、って事なのよ」
「……」
「ロジックじゃないの、男と女は。当人同士は、ただ一緒にいたい、少しでも近くにいたい、少しでも
長く触れ合っていたい…それだけ。エゴなのよ。だから、間違いを犯す事もあるんだけどね」
「…そうか…ありがとう、アスカ」
カヲルは、アスカの身体を抱き締めた。彼女も避けようと思えば出来たはずだが、それをしなかった。
「ちょっと…誰も抱きついて良いなんて言ってないでしょ…」
「うん。これは、僕のワガママなんだ。だから君が嫌なら、突き飛ばしても構わない」
「……バカ…」彼を強く抱き返す。
酒に酔っていたせいでもあるのだろうが、二人のどちらからともなく、数回キスを交わした。
そして彼女は、慣れていない酒にフラフラになった彼を部屋まで運び、彼が眠る横で、ベッドに
もたれかかって眠るのだった。彼の手を握りながら…。
シンジはベッドに横たわるレイに、キスをした。
「なんだか、今までと違うね…」
「そうね…だから、初夜なんて言うのかもしれないわね……ん!…んんぅ…」
「ん……チュゥ…ねえ、レイ」
深くキスをして、彼は目を見つめながら言った。
彼が何を言おうとしているか理解したレイは、質問を聞く前に答えた。
「ダメ。まだ、子供は作れない」
「あ…やっぱり…」彼は少し残念そうに苦笑いをした。
「全部終わってから…そしたら、作りましょう」
「うん。変な事言って、ゴメン」
もう一度キスをして、緊張している彼女の身体を優しく愛撫する。
「ん…良いの…その、私だって……はぁっ…子供は欲しいから…」
胸元にある彼の頭に腕を撫でる。彼は更に、全身の隅々までキスを浴びせる。
二人はいつもより、長く深く、一つになる事を求め続けた。
そして、幾日が過ぎた。
鈴原夫妻とケンスケは、再会を約束して、第2新東京市へ(シンジ達とは離れた地区に住んでいたので、
意外に近くに住んでいる事をお互い知らなかったのだ)帰って行った。
ネルフはそのほとんどの職員とエヴァ各機、MAGIのデータディスクを種子島宇宙センターへ送り、
そこから超大型シャトルで宇宙を目指した。
シャトルは宇宙ステーションを目指す。その中で、エヴァの宇宙戦仕様であるS型装備への換装が
行われた。
「何よ、B型装備とほとんど同じじゃないの」アスカが何ら外観の変わらない弐号機を見て言う。
それを受けたマヤが、S型装備の説明をする。
「B型装備に、A.T.フィールド偏向装置と小型のスラスターを着けただけだから、運動性に支障は
無いはずよ」
「てっきりD型の時みたいに、ドラえもんになってるかと思ったわよ」
それを聞いてギクリとするマヤと、周囲の整備士達。
F型用のA.T.F偏向装置が完成するまでは、S型装備として人間の宇宙服に酷似した装備が用意されて
いたのだ。そんなものを見せれば、この気まぐれなお姫様がどう反応するか…考えただけで冷や汗
が出るのだった。
そして宇宙ステーションに着き、そこから別のシャトルに乗り換える。
発進したシャトルの前方に、巨大な建造物が見える。
それが、全長1kmに及ぶ超ド級EVA搭載戦艦『ラーマ』の姿であった…。
銀色の脚スペシャルワロス
228 :
リュウ:2005/12/10(土) 11:07:31 ID:???
今日はここまで、とか言いながら追加スマソ…
ここから宇宙編デス。EVAをエヴァが行うわけですよ。
親ばかゲンドウとふくらはぎワロス
漢ゲンドウテラモエス
男泣きゲンドウに不覚にもぐっと来てしまった・・・いい話だなあ。
リュウ氏、宇宙戦がんばって。
しんどかったらペース落としてもいいよ。
233 :
リュウ:2005/12/10(土) 13:18:21 ID:???
>>227 毎回小ネタ満載でお送りしておりマス
>>229-231 このスレのゲンドウは、二人の結婚に泣くのが基本パターソですので…。
ちなみにこのシーンは映画『2001年宇宙の旅』でフロイド博士が宇宙ステーションに
向かうシーンと同じカメラ位置で書きました。
>>232 お気遣いdクスです。
もう最終話まで作ってるのですが、何度も読み返して温めています。
後は宇宙での戦闘を書き上げれば、いつでも一斉投下出来マスゼ…
爆撃予告!?
そんな...相手は使徒じゃないのに...同じ人間なのに...
猫たんの爆撃待ちなのは俺だけ?
最近結婚生活関係ないネタ多いしね。
239 :
リュウ:2005/12/11(日) 02:03:05 ID:???
>>235 書いてる身ながら、猫氏の投下を望む心は同じデス。
前スレでも同じ話題が出たけど、マターリ待ちましょう〜。
待ちながら自らも投下するのも楽しいと思うデスヨ。
あれから私達三人は、昼休みを大体一緒に過ごして居た。
私と碇君との口数も増えたし、アスカは以前に増してよく笑う。
それはとても良い事、前よりずっと良いこと。
だけど私の気分は一向に晴れる事は無い、まとわりつく何かが溜まる度にblack devilに手を伸ばす…
「未成年の喫煙はヒトの身体に悪影響を及ぼす…らしいよ?」
マンションの屋上で煙草に火を点けた時、転校生から声をかけられた。
「あなたには関係無いわ、どこか余所に行って。」
紫煙を揺らし呼吸する度に、感覚が鋭くなる感じがした。
「僕に帰る場所は無いんだ。ヒトは何故命を削ってでも快楽や道楽に勤しむのか…君は知ってる?」
「知らないわ、そんな事。」
「でも、今君のしている事だよ?」
「…あなた、ムカツクわ。私の邪魔をして楽しいの?」
「ヒトの事を知りたいんだ、君は今道楽を邪魔されたと…怒ってるんだね?」
「わかったなら帰りなさい、あと30秒以内に。」
「君って人は他人との係わりを極端に嫌うね?」
「あなたがムカツクから嫌いなだけ、あと10秒。」
「フフ、繊細なんだ…またね、綾波レイ。」
話す内にすっかり短くなった煙草を転校生の居た場所へ叩き付け、私はまとわりつく不快感を燻し消す為に煙草へ火を点ける…
「…嫌な予感、大当たりね。」
「まぁ〜顔は良いけど言う事いちいちまだるっこしくてムカつくし、ね。
昔のあんた思いだ…や、ウソだってば〜♪痛っ!?冗談だってば、いたっ怒るんじゃないわよー!」
フィフスチルドレンとして配属されたのは、あの転校生だった。
どうしてまたあんな変なのが転校してまでやって来たのか…はともかく。
私は下手な冗談を行ったアスカを小突き回した。
「アスカも綾波も、なんでそんなに毛嫌いしてるのさ?悪い奴じゃないよ…彼は。」
「へぇ、肩持つの?」
「碇君、ヒトの外面だけで判断できる場合もあるのよ。」
一人転校生…こと渚カヲルの弁護に回った碇君が、なんとも困った表情で肩を落とす。
「その、彼はどこかスッキリしてるんだ…考え方も言い方も何か詩的で、僕は嫌いじゃない…」
「ふーん…アンタって、ホモ?」
「ホモ・サピエンス?」
私の言葉に、アスカと碇君が合わせたかの様にコケた…
「やるわね、レイ…あんたまさか関西の血が入ってんじゃないの?」
「綾波、『ホモ』っていう単語は男性の同姓愛者を指すものだよ…ちなみにアスカ、僕はホモじゃない!」
「だってアンタが女の子と居る所、見たことないも〜ん。」
「き、君ら女の子じゃないか?」
「あたしらパイロットじゃなきゃ多分会わなかった仲よ?普通のお付き合いがないでしょ、アンタには。」
碇君の顔が、何かを思い出した様にみるみる青ざめる…
「…僕には、どうせ普通に暮らす事なんて…出来ないよ…出来ないんだッ…」
走り去る碇君の背中を見送り、アスカを睨み付けた。
「う。しょうがないじゃない!?うっかり口が滑ったんだから…それに、死んだ人間は生き返らないもの…」
うなだれたアスカをその場に残して、私は急ぎ碇君を追いかけて走る。
こんなハズでは…
遅くなってごめんなたい、続きは後ほど。
猫にGJ!!(^o^)/ 綾波が吸ってる煙草のタールの強さどんぐらい?名前からしてかなり強そう
乙。しかし、「冗談を行った」...
時を少しさかのぼり…結婚式でシンジとレイとの思い出を語るトウジとケンスケ。
「それは、ある日の体育の授業中の出来事でした。男子は陸上、女子は水泳と、別々の
授業をしていたんです。ふと隣を見ると、新郎のシンジ君は、プールの女子を見つめているではありませんか!
その視線の先には、新婦の、綾波レイさんがおったんです」
と、ここで会場からヒューヒュー!と冷やかす声が上がる。
「そこで、ワシは彼に言いました。『なんや、綾波を見とるんか?』彼は認めました。ワシは、
『センセもスケベやのぉ〜。尻か!?胸か!?ふくらはぎかぁ〜!?』と彼を冷やかしました。そこ
で彼は彼女に釘付けになりながら、こう言ったのです。『ふくらはぎなんて興味ない!胸を見
ていたんだ!』と」
酒の回っている会場は、大爆笑した。
隣に座るシンジに軽蔑の眼差しを送るレイ。
「…そう、あの後私の胸に触ったの、わざとだったのね」
「ち、違うよ!誤解だよ!」焦るシンジ。
予備のマイクを持ったケンスケがこっそりとシンジに近づく。そして――
『「僕が見てたのは胸じゃなくて、ふくらはぎだよ!」』
……。
マイクに乗ってしまった言葉に、会場が静まる。
ゴトンと、ケンスケがマイクを落とした音が響く。
「…え?」一瞬、なぜ会場が静まったのか理解出来ないシンジ。だが、すぐに自分がとんでも
ない言い間違いをした事に気付く。
彼の発言を聞いた関係者の反応―――
葛城ミサト「私のようなナイスバディと同居したばかりに、溜まってたのね…あ〜、私って、罪なオ・ン・ナ」
冬月コウゾウ「碇…ユイ君…やはり君達がそばにいるべきだったのではないのか…?」
伊吹マヤ「不潔」
鈴原ヒカリ「不潔よ、碇君」
鈴原トウジ・相田ケンスケ
「「イヤーン、な感じ…」」
日向マコト・青葉シゲル両名
青葉「可哀想に…俺達が本当の女の魅力を、彼に教えなければ…なあ、日向!」
日向「シンジ君も解ってるじゃないか…確かにふくらはぎは良い…うん、あれは良いものだ…
ん?…どうした、青葉?」
青葉「……オマエ…( ゚Д゚;)」
惣流・アスカ・ラングレー
(まさか、あの時オカズにしてたの、私の胸じゃなくて、ふくらはぎだったの…?)
碇ゲンドウ「(私がそばにいなかったばかりに)…すまなかったな、シンジ」
そして目を丸くして固まっていた妻、綾波レイの反応。
「そう…そうだったの…」顔を真っ赤にしてうつむく。
「ち、違うんだよ!今のは言い間違えただけで…」弁解するシンジ。だが――
「それならそうと、早く言ってくれれば良かったのに…私、頑張るわ」
「へ?」
「あなたの為なら、どんなマニアックな要望にも私は応えるわ…」
何を勘違いしたのか…真っ赤な顔でシンジに流し目を送りながら、もじもじするレイだった…。
これが、ネルフに伝わる「ふくらはぎ伝説」の全容である…。
何と言い間違えたんだw
ジオフロント施設内を探し回るが、碇君の姿を見つける事は叶わなかった…
苛立つ私がblack devilを取り出して口に咥えた所で、見計らった様に碇君が顔を出して来た。
「…こんな時ばかりあなたと会うのね。」
「やっぱり煙草、吸ってたんだな…アスカに近付くなよ、ヤニの付いた手で!」
「これと彼女は関係ないでしょ?ましてやあなたを心配して捜しに出て来たんだから。」
「話を反らすな!お前が居たからアスカが側から居なくなったんだッ!!」ガシッ
「今度は殴るつもり?」
「なんだよッ!?」
パンッ
「いい加減にして、あなたムカツクのよ。」
色々と溜まっていたので、ここに来てそれが関を切って溢れ出した…
「本当に寂しいのはあなたじゃないわ、私なのよ!本当に誰からも見てもらえないのは、私なのよ!!」
「あ…綾波…?」ガッ
「あなたが騒がなきゃきっと気付かなかった!!あなたのせいで私まで苛立つのよ!!煙草もそのせいなんだからッ!!」
碇君を突き飛ばし、地面に転がして馬乗りに肩を押さえ付けた。
「あなた私が嫌いなのよね!?だからこんなふうに私を苛立たせるのよね!?」
「…ごめん」
「今更謝っても遅いわ、私の苛立ちは今こうしてあなたを押さえ付けてるのよ?」
改めて一本取り出し、火を点けた…
「うわっ!?やめろよそこで吸うなよ!!身体に悪いだろ!?危ないだろ!?」
「フー…喚かないで、大人しくしなきゃ灰が落ちるわ。」
「ゲホッ、ゲホゲホッ…」
「碇君、あなた責任とって?私がこうなったの、あなたのせいなんだから。」
「ゲホッ…な、何だよそれ!?」
「いや、あなたに選択肢は無いわ…私を見て。
ずっと、私だけを見て居て。よそ見したら」
碇君の二つの目の下に指をあてて
(この手で目をえぐってやるから。)
小さく、呟いた…
「どうなの?」
「わ、わかった…約束する。」
「私と居る時アスカの事で騒いだり、喚いたりしたら、容赦しないから。」
立ち上がって吸い殻を投げ捨てる…
「ぽ、ポイ捨てはいけないんだ…です。」
「ならあなたが拾っておいて、また明日ね。」
━━━━━━━━━━━━シンジはレイの棄てた吸い殻を拾い、しばらくそこで立ち尽くして居た。
彼女のあんな部分を見たのは初めてだったから、その驚きの前でただ呆然としていた。
シンジの運命もまた、レイによって狂わされてゆく事となるのか。
250 :
1:2005/12/11(日) 16:44:05 ID:???
風邪から戻ってみたらとんでもなく作品が投下されてましたね
作者方乙です
またいつか投下しまする...
猫氏の作品。
恐ろしいです。
ダークです。
臆病者ががたがた震えつつも続きを待っています。
がんばってください、猫さん。
プレッシャーになるかもしれんが猫様の話がどう終わるのか楽しみ
猫たん乙!相変わらず猫たんにはハラハラドキドキさせられますわ。でも面白いから次回も楽しみに待ってます。
すでに次スレを考えている俺
255 :
175:2005/12/11(日) 22:37:31 ID:???
256 :
1:2005/12/11(日) 22:47:10 ID:???
257 :
名無し鋼鉄:2005/12/11(日) 22:50:03 ID:???
>>175 オッテュ
そういや、リナレイ作者の作品が抜けてるが後日補完?
259 :
175:2005/12/11(日) 22:56:27 ID:???
>>258 なるたけカバーはしたいと思ってます
出来ればタイトル付きで発表してもらえるとすごく助かります
>>255さんへ、
∧⌒⌒∧ b))
t(从、从)) ソラタカクGJ!!
Yゝ*゚w゚ν
ヾ/ o
しーJ
携帯アクセスもバッチリでありまつた、ありがたや…
オーロラツアーの方も、お暇な時にやっつけていただけると…惚れマス
>>175氏
書き垂らしの放置放題のものまで回収していただき、本当ありがとうございます。
…実は毎回酒の勢いで書いていたため、タイトルと呼べる様なものは、どの投稿にもありません。
えーと、即興で
1番・冤罪とその証明・あるいはその代価。被告人の右頬と左頬、引き裂かれた無垢のシャツ
2番・猫と白魚
3番・濡れ犬にマナ板
3番は未完で放置してしまっていますし、1と2についても、今見返すと
なんじゃこりゃー!な出来もいいところなので、時間作って推敲しなおしたものを
お届けできればと思います。
現在仕事でテンパってしまっていて、この程度のことしか書けないのが申し訳ないですが、まずはお礼かたがた。
あと、今更こんなカミングアウト、何の意味もないでしょうけど、リナレイ書いてたのは俺でした…。
もしこっちらも収録していただけるなら、望外の喜びでございます。
披露宴吹いたw
猫氏のレイはまさに「ルナティック」(丁度『月の迷宮』聴いてた)ですね。
乙です!
あ、3番は(まだ書き途中の4番?との)間違いですね…
失礼しました。
酔っぱらいアスカの話は
・正妻さんと弐号さん。続く正妻の制裁
でお願いします。
…いいのかしら。
あ゛ー、みんなが一体になってるこの雰囲気が大好き。
言っててキモイけどおまえら愛してる。
265 :
リュウ:2005/12/12(月) 01:00:00 ID:???
披露宴ネタにコメント下すった方、ありがとうデス。
そして全国の日向ファンの人スマソ…
>>レイ猫様
相変わらずGJ!でつ
昼ドラのような女の情念、震えました。
コワイヨ…オカ-チャン…(つдT)
>>175氏、題名だけしか見れないのだが?私の携帯が時代についていけてないのかな。
自動挿入の広告があるとまずいのかな?
学校だりぃ〜。猫さん、リュウさん投下してよォ〜
271 :
175:2005/12/12(月) 19:41:43 ID:???
272 :
リュウ:2005/12/12(月) 19:59:38 ID:???
>>269 スマソ、今日は投下できませぬ。
待ちきれない、そんなアナタに耳寄りな噂話。
ヒソヒソ…次は月面で使徒と戦うらしいよ…
ヒソヒソ…空白の7年間が回想編で語られるらしいよ…
…シンジとアスカが壊れてるらしいよ…
しばらく妄想して悶えてオクレ。学校ガンガレ。
最終爆撃予告か...
274 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/12(月) 20:26:50 ID:WLIraoY4
まさに、登りリュウ(爆)
綾波が怖い...
でも、俺はそんな綾波も愛してるよぉ!
>>175氏、見れました。どうもありがとうございます。たぶん私以外でもほとんどの人が見れるようになったはずです。本当に乙です。
まとめサイト。確かに携帯でも見れることは見れるんだけど、作品が各話とも途中までしか見れないのは俺だけか…?
>>278 それは携帯の性能のせいだと思われ。
Google経由とかでページ分けて読むか、携帯用のブラウザ使うべし。
280 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/13(火) 02:38:15 ID:9XORF2Lp
ちょっと待て、皆SSをわざわざ携帯で読んでるのか?
この程度のサイズで見れないってんなら、恐らくどんなサイトのSだろうと嫁ねーぞ?
それなりに需要はあるだろう。
明らかにスレ違いだから、適当なところで手打ちにして欲しい話題ではあるが。
スタッフとエヴァの搬入を終えたラーマは、月を目指して発進する。
月への数時間の旅路は、(船酔い以上の苦しみである宇宙酔いを別にすれば)地球の海以上に
穏やかで、その間に無重力での生活に身体を慣らす事が出来た。
そして月面到着前に、エヴァでの船外活動実験を行った。が、結果は陰惨たるものだった。
初号機は危うく月の衛星になりかけ、弐号機と4号機はお互いのケーブルに絡まって身動きがとれなくなる。
きっと彼女だけはマトモな結果を出すと誰もが疑わなかったレイの零号機も、
スラスターの加減を間違えて艦の外壁に頭から突っ込むという、無様な結果を出した。
慣れた頃に宙でぐるぐる回って遊んでいた彼らに待っていたのは、強烈な吐き気だった。
早々と艦内に戻ったパイロット達が一斉にトイレにかけこんだ事は、言うまでも無いだろう。
パイロット達が自室で身体を休めている間に、ラーマは月の引力圏内に突入した。
白く輝く月面をなぞりながら進む。
「順調だな」司令の椅子に座る冬月が言う。
「ええ。不気味なくらいに…」ミサトがモニターを見ながら呟く。
しばらく沈黙が続く…その沈黙を破ったのは、青葉だった。
「あれ?なんだ、これ…?」
「どうしたの、青葉君?」
「いえ、三時の方向に、強力な磁場が観測されたのですが…」
「どこ?モニターに映せる?」
「これです…」
青葉がサブモニターに映した映像には、月では見慣れた平原があるだけだった。
「何も無いじゃない?」
「それが、この反応は地下六メートル以下から検出されています」
「磁気を帯びた岩か何かかしら?」
「気にはなるが、今は槍の回収と黒き月の殲滅が優先だ。平和になってから、調べに来れば良い」
モニターを凝視するミサトの後ろから、冬月が言う。ラーマはその磁気異常を後にして、槍を目指す。
そして月面を飛行する事30分…月に育つ木にも見える細い影…ロンギヌスの槍が、平野の向こう
に姿を現した。回収の為、エヴァに発進命令が下ったその時、艦内に警報が鳴り響いた。
「六時の方向に未確認飛行物体を確認!パターン青、使徒です!」日向が7年振りの使徒襲来を告げる。
モニターに映る新たな使徒。その姿は黒い円錐形で、観測結果によると全長五百メートル、
最大直径はニ百メートルもある巨体だった。
「そんな!?まさか、もう月まで来ていたの!?」
「目標は本艦を目指して直進!このままでは、後10分で本艦に激突します!」
MAGIによる計算結果を伝えるマヤ。
「目標を第20使徒と識別!エヴァ各機、後部射出口から発進させて!」
「…エヴァンゲリオン、後方に射出!…地表に着陸しました!」
突進する使徒の前に立ち塞がる四体のエヴァ。
「で、でかい…」目の前に迫り来る巨大な使徒に、愕然とするシンジ。
『コアが確認出来ない以上、あの巨体に砲撃は無意味だわ。本艦が奴の進路上から離れるまで、
どうにか抑えてて!』
「抑えるって…どうやってですか!?」
「あんたバカァ!?抑えるって言ったら、手で抑えるに決まってるじゃないのよ!」
言うが早いか、弐号機が使徒へ向かってジャンプする。使徒の先端部に張り付いて、
背中のA.T.F偏向装置をフル稼働させる。だが、使徒の速度は変わらなかった。
「くっそぉぉぉ!」
「アスカ!」カヲルが叫ぶ。
4号機は宙高く飛び上がり、使徒の上部に張り付く。使徒を地面に落とそうと言うのか、
上から全力で押し込む。使徒の速度が徐々に弱まり、高度が低くなっていく。
「す、すごい…」口を開けてポカンとしているシンジ。
「あと少しね…シンジ君!私も二人を手伝うから、あなたはソードで落ちてきた使徒を攻撃して」
言い終わらない内に、零号機も使徒に張り付く。
使徒の高度が下がっていく…そして、ついに月表面に接触し、地面を削るように、
それでもまだ突進するのだった。
初号機は迫り来る使徒の真正面に立ち、腰のマゴロク・ソードを居合の型に構える。
「来い…来い…アスカ!どいて!」
シンジの声に、弐号機が横に飛び退く。弐号機は使徒の側面を転がって吹き飛ぶ。
「3……2……1…うおおおぉぉぉ!!!」
安全装置を解除したソードを、一気に引き抜く!全長五百メートルの使徒を、真っ二つに切り裂く!
初号機と使徒がすれ違った、その瞬間…使徒の身体の丁度真ん中から、紫の血が噴き出す。
二つに分かれながら慣性によって地表を転がっていく使徒。
初号機が切り裂いた胴体の中心にあったコアも、綺麗に二つに割れていた。
そして―――激しい砂煙を上げながら、使徒は爆発した。十字架の光が、月面に立ち昇った…。
エヴァはラーマの外壁に立ったまま、ロンギヌスの槍を目指す。
艦を槍の横に固定し、外壁を降りた初号機が槍を引き抜いた、その瞬間に「それ」は起きた。
突然、初号機が苦しそうにもがいたかと思うと、F型仕様の装甲板が吹き飛んだ。
「な、何!?」予想外の出来事に戸惑うミサト。
「シンジ君、どうしたの!?」
「駄目です!通信、途絶えてます!プラグ内部の状況不明!そんな…なんで、暴走するの!?」
怯えながらも状況を報告するマヤ。
上半身の素体をほとんどさらけ出した初号機の背中から、光の羽が生える。
艦のカメラポッドからの映像では、空を仰ぎながら、吼えているようだった。
だが、初号機の暴走は、そこで終わった。
艦内に回収され、エントリープラグから気絶したシンジが救出される。
肉体にも精神にも、特に異常は見られなかった。槍を引き抜いた瞬間、気が遠のいて、
そのまま気絶してしまったらしい。
格納庫に収容された初号機にも、特に異常は無かった。ただ、以前より筋肉量が増しているのか、
重量が増えている。
「S型装備に戻す?なんでよ、せっかく作ったんでしょう?」ミサトが不思議そうに尋ねる。
「それが…F型の装甲は、B型やS型に比べて寸法を精密に設計したので…今の初号機には、
付けられないんです」マヤが説明する。
「B型の装甲を持ってきて正解だったわね…」
「すみません…」申し訳なさそうに謝るマヤ。
「仕方ないわよ、気にしないで…」激しく落ち込むミサトであった。
(ああぁ〜、予算が〜)
287 :
リュウ:2005/12/13(火) 13:35:00 ID:???
今日は二話仕立てです。
次の話に移る前に、お茶でも飲んでマターリしませう。
∬
つ 旦 サメナイウチニ、ドウゾ…
槍の跡地を出航したラーマは、近くのアームストロング基地へ向かう。
基地はセカンドインパクト以前に建造されたが、ラーマと同じ理由で破棄されていた。
この基地は都市としての昨日も備えており、今日はここで身体を休めるつもりだった。
そして、地球の標準時刻で夜9時になった頃…
基地のメインコンピュータ室で、冬月、ミサト、日向、マヤ、青葉の五人は
コンピュータに残っている情報を引き出していた。
「これは…」青葉が何か見つけたようだ。
「どうしたの、青葉君?」
「これはすごいぞ!今、モニターに映します」
モニターには、月の平原が映る。その向こうに青く輝く地球。更にその向こうには、輝く太陽が昇る。
「綺麗…月の夜明けの映像ですね!」女性らしく、うっとりとするマヤ。
「いやはや、自然はいつも人間の想像もつかぬ美しさを魅せるが、宇宙でもそれは変わらんのだな。
全く、長生きはするものだよ」冬月も元々細い目を更に細めながら微笑んだ。
「この基地では毎日日の出を録画していたみたいですが、これと同じ映像はこの日しかとれなかった
みたいですね…」メモリに収められた膨大な映像データを検索しながら、青葉が言った。
「この単調な月での暮らしで、先人達が見つけたささやかな楽しみだったのだな」
「・・・・・・あ!これは…」今度は日向が何かを見つけたらしい。
「どうしたの?」
「…2000年、9月13日…セカンドインパクトの日の映像です!」
「ここでも記録されていたのね…いいわ、見せて」
「…いいのかね?葛城君」
「大丈夫です。過去にいつまでも捕らわれていられませんから。日向君、お願い」
モニターには、先ほどと同じ平原・地球・太陽が映っていた。
そして、影になっている地球の南側…南極の位置に、一点の光が輝いていた。
そこに自分がいたと思うと、彼女は今でも身震いするのだった。
翌朝。
出航直前に、ラーマへ近づくシャトルがレーダーによって確認される。
カメラに映すと、そのシャトルにはネルフのマークが描かれていた。
出迎えるミサトやシンジ達。シャトルが艦の格納庫に入港する。
昇降口が開き、その中から一人の男が現れる…。
「え…父さん?」
髪と髭に若干白髪が混じっているが、紛れも無く彼の父、碇ゲンドウであった。
「久しぶりだな」
彼が生きている事を知っていた者も、知らなかった者も、まさかここに彼が現れるとは、
誰一人として予想していなかった。
「今までご苦労だった、冬月、葛城君」
「フン、老人共を殺して金を奪い、我々に送りつけていたのは、やはり貴様だったか、碇」
さすがの冬月も、険しい顔で彼を見ている。
「ゼーレは長く存在し過ぎた。補完が失敗した今、近く老衰する奴らの死を少し早めただけだ」
『補完が失敗』と言ったところで、彼はシンジとレイに目を向けた。
「何故、ここに……」
「父さんは!…父さんは…何をしに来たんだよ」
ミサトの言葉を遮って、シンジが父に問い掛ける。
もし、父と再会出来たら仲良くしよう。そう思っていたシンジだったが、
実際に目の前に現れた父を見ると、底知れぬ怒りと恐怖が込み上げてくる。
「…」質問に答えず、ゲンドウは息子の傍へ歩み寄った。彼の眼を睨みつけ、拳を固めるシンジ。
「…おめでとう、シンジ、レイ」彼は、笑って言った。
「え?」
サングラスの向こうに見える目は、記憶の中にいるかつての父とは違う優しい目だった。
人を祝福する笑みに慣れていない男の、不器用な、しかし心からの微笑みだった。
場合によっては父を殴りつけるつもりだったシンジは、その握り締めた拳を開いた。
「結婚式にも出られず、すまなかったな。シンジ、レイを頼むぞ」
その言葉に一瞬落胆したが、次の言葉にシンジは、初めて父を好きになれた。
ゲンドウはレイを見て、こう言ったのだ。
「レイ、私の息子を、よろしく頼む」頭を下げるゲンドウ。
「了解しました、碇司令」
レイは、反射的に昔のように返事をしてしまって恥ずかしくなった。
「ふ、私はもう司令では無いよ。これからは…その…う、うぉっほん!」
顔を赤らめ、照れる姿が様にならない事に苦笑しながらも、シンジは父が何を言いたいのか解って、
嬉しかった。
「これからは、その…お、お義父さんと…呼んでほしい」
恥ずかしさのあまり視線を反らしながらゲンドウは言った。
その言葉を聞いたレイの目から、涙が溢れ出した。
「はい…お義父さん…ありが、とう…ございます」
思わずゲンドウに抱きつくレイ。ゲンドウは、レイを優しく抱きしめる。
父に、そしてレイにも嫉妬を感じながら、シンジは思った。
(ありがとう…父さん)
かつての司令を迎えたネルフ一行は、月を飛び立つ。
彼らの旅路は、木星付近で第21使徒と接触する三ヵ月後までは、退屈な程単調なものであった。
だが、彼らは気付いていなかった。自分達の心を探るモノがいる事を…。
それは、レリエル・アラエルと呼ばれる使徒達が行ったような強引な侵入では無く、
もっと穏やかなものだった。
それは対象とした人物に、自ら過去を振り返るという錯覚を起こさせ、彼らの心を探るのだった…。
291 :
リュウ:2005/12/13(火) 13:44:08 ID:???
ハイ、今日はここまでデス。
>>269さん、満足して頂けたですか?
>>273 >>275 すごく恥かしいデス…まだもうちょっと続きマスヨー。
>>274さん宛てに伝言預かってます。
つ「不潔。 伊吹マヤ」
292 :
リュウ:2005/12/13(火) 13:54:06 ID:???
>>288の三行目…
× 昨日
○ 機能
脳内変換、お願いします…orz
乙。F型封印か。寂しいな
頭から突っ込んだ零号機…笑えますね。
リュウ様、乙です。
昼休みに読ませてもらいますた。俺が学校半とんしないかはリュウさんにかかってますよ(д・γ)
ええ話や・・・とか思ってたら最後の四行で一気に不安に。
じわじわ来ますか。続きが待ち遠しい。
次は量産型サキエルかな?w
「碇君、帰りましょう?」
「うん…ちょっと待って。」
碇君と私の不思議な関係は恋人と違い『碇君が責任をとる』というある種の拘束と独占。
逃げる事も関係を解消する事も、何かしらの行動によって出来るだろうこの状況下で…碇君は逃げなかった。
「碇君」
「え、なっ、何!?」
誰も居ない廊下で、碇君を壁に押し付けて鼻先まで顔を近付ける…
一緒に居るだけじゃ、今迄と同じだから、
「んぶっ…」
実感が欲しかった。
合わせた唇を縫って、私は舌を踊らせた…碇君の口の中に、探してる物があるみたいに。
「ん…ぷぁっ、はぁっ…はぁ…煙草臭い。」
唇を放すと、碇君が顔を赤くして眉をひそめていた。
「あなたの、心が欲しいの。」
「…そんな簡単にあげたり貰ったり出来るもんか、僕の心は僕のものだ。」
「その通りさ、綾波レイ」
「かっカヲル君!?」
「今度は一体何の用?こないだからチョロチョロして、ムカつくわ。」
転校生…渚カヲルが、階段から音も無くわいて出て来る。
「ヒトというのは理解し合う努力こそすれ、完全にその想いを分かち合う事なんてないらしい…まして君とシンジ君だ、第一碇君でなければならない理」ガッ
「あなたと交わす言葉、持ち合わせて無いわ。さよなら。」
その脛に蹴りをいれて、私は碇君の手を引いて階段をかけ降りる…
「綾波レイ、君も分かってる筈だ!僕らが満たされるなんて叶わぬ夢幻だって!!」
校舎に響く渚カヲルの声が嬉しそうに聞こえたのは、たぶん気のせい。
「碇君、あなた私の事好き?」
公園まで駆けて来て、私達は飲み物片手に一息ついていた。
「…僕は、君に責任とれって言われて一緒に居るだけだよ。」
「私はあなたが好き…だからこうして、あなたと居る事を望んだの。」
「ぼ、僕はア…いや、ごめんなさい。」
ベンチに座る私達以外に、人影は無い。
冷たい飲み物は次第に汗を浮かべてくる…
「私は、あなたじゃないとダメなの。あなたから想われたい、あなたから愛されたいの…どうすれば、私を想ってくれるの?」
「…そういうの、目の前の相手に聞く事じゃないと思うけどな。」
「言ったでしょ?私にはあなたしか居ないのよ、アスカもここ最近は見掛けないし。」
「…じゃあ僕に、優しくしてよ。」
「それで愛してくれるなら、いくらでもそうする」ギュッ
しがみ付いてきた碇君を、私もまた手をまわして抱き締めた…
どれぐらいそうしていたか分からないけど、そのうちに碇君が泣き出していた。
その姿を見て私はやわらかい気持ちになる、
「シンジ君…」
自然と私はそう紡ぎ出す。
その言葉もシンジ君の体温も、私へと染み込んでゆくのを感じる…
私はようやく、満たされる場所を見つけられたのかもしれない。
綾波カッコいいよ。愛してるよ
リュー乙。
↑どうでもいいけどこう書くと『リューネ』か何かに見えるね〜(気のせい)
それはおいといて漬ければよいのにー、どでつか硫酸?
で、猫のレイさん凶暴ですナ。
書いてると勝手に暴れるので手を焼いておるでマース。
↑漬ければって、酉の事ね。ゴメンメポ…
>>レイ猫。様
dクスです!そしてGJ!
今までやり方解らなくて酉は付けて無かったのですが、やってみました。
あと、先に謝っておきます。次からの回想編、今の猫様のシリーズに似てます…orz
偶然ですが、スミマセソ…
>>293 主人公機の最強装備は一回限りなのがお約束デス。FAZZ、V2ABのように…。
>>295 アンタまだ学生なんでしょ!だったらしっかり勉強して、それから来なさい!
ってミサトさんが言ってました。
>>297 残念!サキエルタンは出ませぬ。が、量産型は良い線いってます。
碇シンジの見た夢……
――僕とレイがエヴァ量産機を倒し、戦略自衛隊を撤退させた後、
約一ヶ月は、バラバラにされた弐号機の中で奇跡的に生きていたアスカの回復を待って、
以前のような個室で生活していた。
アスカの身体の傷は治ったが、心に再び刻まれた傷が治るにはまだ時間がかかりそうだった。
アスカが退院してすぐ、僕達は第2新東京市のマンションの、3LDKの部屋に
アスカやレイと一緒に住む事になった。
中学を卒業し、レイと共に高校に入学した。アスカはすでに大学を卒業している事と、
本人が望まなかった為に進学しなかった。
アスカはここに引っ越して以来、外には一歩も出ないでゲームをしている。新作ゲームや、
その他欲しい物があれば僕に買いに行かせるから、もう2年近く引き篭もっている事になる。
そういう生活が続いた、ある日。
僕がいつもより早く帰宅すると、玄関の空気が煙たかった。
火事かと思って慌ててキッチンへ行くが、特に火の気はない。
そしてキッチンから続いているリビングに行くと、アスカがテレビを見ていた。
そのわきには、灰皿とタバコ…
「誰か来てるの?」
「私一人よ」
「でも、タバコ…」
灰皿に乗っているタバコをつかみ、口へと持っていくアスカ。
煙を吸い込み、そして吐き出す。
「何やってんだよ!」
僕はタバコを取り上げた。
「なにすんのよ」アスカが座ったまま睨む。だがその瞳はぼんやりと濁っていた。
「いつから吸ってたんだよ!こんなもの、どこで…」
「そこの自販機で買ったの。いちいちうるさいわね」
だるそうに言うアスカ。声にも気力が感じられない。
「だって…未成年だし、身体にも悪いんだよ?吸っちゃダメだよ」
アスカがゆっくりと立ち上がる。
「私の身体なんて…どうなったって良いのよ」
「良くないよ!」
「良いのよ!エヴァが無い今、私がどうなろうと意味が無いのよ!」
「そんな事無いよ!エヴァなんて無くても、アスカはアスカじゃないか!」
「ハン、アンタもファーストも、エヴァシリーズに勝って余裕があるんでしょうけどねぇ、
私は、あんな無様な負け方して、しかももう挽回するチャンスが無いのよ!私は…エヴァに
乗る為に生きてきた。エヴァが無くなった私には、もう何も無いのよ!」
崩れるようにテーブルに顔を伏せて、アスカは泣いていた。
僕は彼女が落ち着けるように、キッチンに行ってコーヒーを入れる。背中を向けたまま、僕は彼女に言った。
「…アスカには、僕も綾波もいるじゃないか。何も無いなんて、悲しい事言うなよ」
「……何も知らないくせに…」アスカがボソリと言う。
「何も解らないくせに、偉そうに説教してんじゃないわよ」
「説教なんかじゃないよ!ただ…前みたいな元気なアスカに戻って欲しくて…」
「それが何も解ってないって言ってんのよ!」
立ち上がり、怒りに顔を歪ませて僕に詰め寄るアスカ。
「大体、アンタが来るのが遅かったから、私はあんな目に遭ったんだから!」
彼女は僕の脚を蹴飛ばす。
「くっ…それは…ゴメン」僕は痛みに耐えながら謝った。
「左目だってまだよく見えないし、右腕も時々痺れるの!どうしてくれるのよ!」
彼女は弐号機とのシンクロ率の高さが原因で、機体が受けたダメージが身体に直接影響を
及ぼしてしまった。
槍に貫かれた左目の視力は、少しずつ回復してはいるものの、当初は何も見えなくなっていた。
引き裂かれた右腕は、目と同じく神経に負荷がかかりすぎて、退院時は動かせなかった。
半年ほどで日常の生活は送れるようになったが、今でも時々痺れを感じる事があるらしい。
「…ゴメン」僕には、それしか言えなかった。
「あんた、この傷の事知らないでしょ…」そう言うと、彼女は突然シャツのボタンを外し始めた。
「わっ、何するんだよ!」
こんな時に彼女の胸に視線を向けてしまう自分が、恥かしく思った。
「…見てよ、このお腹…醜いでしょ」
アスカのお腹には、傷口を縫合した跡が残っていた。右から左に、斜めにざっくりと切れた跡が…。
「それは…」
「エントリープラグが潰されて、破片が突き刺さった跡よ…内臓は無事だったらしいけどね、
女の子がこういう身体になるって、どういう意味か解る?」
涙を流し、顔を赤くしながら訴えるアスカを、僕は直視出来なかった。
「ほら、見れないでしょ、この傷。もう私は、そうやって気遣われながら生きていかなきゃいけないの!
見ちゃいけないモノ、見たら可哀想なモノとして、みんな私を見ないようになるの!」
「でも…僕のせいじゃない!僕は、エヴァに乗りたくても乗れなかった…」
自分の嘘に抗議するかのように、脳裏に浮かぶのは、
ミサトさんに引っ張られるまでうずくまるだけだった自分の姿…。
「言い訳してんじゃないわよ!」
アスカに突き飛ばされる。後ろのサイフォンが倒れ、床にコーヒーがこぼれる。その上に、僕は
倒れてしまった。肩が、熱湯に焼けるのを感じた。
「ぐぅっ…」
「あ……」アスカが声をあげるのが聞こえた。
僕は立ち上がって、アスカを見た。震えて涙を流している。動揺しているみたいだ。
「アスカ…もう、エヴァの事は忘れようよ。僕達は、これから別の…」
「うるさい!」
アスカの手が伸ばされ、僕の首をつかむ。ギリギリと締め上げられる。
「うるさい…うるさいうるさいうるさい!うあぁぁぁぁ!わぁぁぁぁぁあ!!」
「や…やめてよ……うっ、くるしい…よ…」
パニックになっているアスカには、何も聞こえてなかった。意識が遠のく…。
「何やってるの!?アスカ!」
ふっ、と首にかかっていた手がはずれ、呼吸が出来るようになった。
レイが助けてくれたらしい。
「大丈夫?碇君…」
「げほっ、ごほっ…はぁ…はぁ…うん、ありがとう、綾波…」
「…何があったか解らないけれど、こういう事は二度としないで、アスカ」
「何よ、偉そうに…ファーストの癖に、アタシの名前を呼ぶなんて百年早いわよ!」
叫ぶアスカの頬を、レイの細い手が平手打ちする。パチンと、綺麗な音が響いた。
「…アスカ、私達はもうチルドレンじゃないの。私もファーストじゃない。綾波レイよ」
「うるさい!人形の癖に!」
そう叫んでアスカは自分の部屋に逃げ込んでしまった。
「…追い詰められてるわね、彼女」
「でも、僕も悪いから…」
「…火傷、痛む?」
レイは洗面器に水を汲み、火傷した肩から腕にかけて水をかけ、傷薬を塗って包帯を巻いてくれた。
長くなるので、今日はここまでです。続きは、また明日…
おー、シリアスだ。
アスカ頑張れ!
うわっ最低臭がぷんぷんして息ができない!
邪魔したな。
猫さん、リュウ共に乙&GJ、リュウさん今日は完璧に学校行って来たぜ、サンクス
そしてその夜。
僕がベッドで横になって音楽を聞いていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「誰?」
「私よ」その声はアスカだった。「今、ちょっと良い?」
僕はドアを開けた。そこには、涙で赤くなり、うつろな目をしたアスカが立っていた。
「どうしたの?」
「…さっきは、ゴメン。火傷、大丈夫?」
「うん…僕もゴメン」
「…お願いがあるの」
「なに?」
「今日、一緒に寝ても良い?」
予想外の言葉に、僕は動転した。
「そ、それはまずいよ!」
「どうしてよ」
「だって…綾波だっているし」
「あの子は関係無いでしょ」
アスカが無理矢理僕の部屋に入る。もう何を言ってもムダだと思った僕は、
アスカにベッドを譲って自分は床で寝る事にした。
「ねえ」
「なに?」
「あんた、ファーストの事好きなの?」
僕はイヤホンを外して、起き上がった。
「いきなり何を言うのさ!?」
「別に、聞きたかっただけよ。…じゃあ、私の事は…好き?」
僕は答えに困った。好きだなんて軽々しく言えないけど、もし好きじゃないなんて言えば、
また彼女を傷つけてしまうかもしれない…。
僕が答えに困って黙っていると、アスカは更に言葉を続けた。
「少なくとも、私の身体は好きなんでしょ?」
僕はドキッとした。アスカの外見は、すごく可愛い。顔も良い、スタイルも良い。
性格も、癖はあるが悪い子じゃない…こういう女の子と付き合えたらと、大抵の男なら思うだろう。
だけど僕がドキッとしたのは、もう一つ、後ろめたい事があるからだ…。
「どういう、意味だよ…」
「知ってるわよ。アンタ、私をオカズにしてるでしょ」
心臓がバクバクいっている。罪悪感が僕の心を覆う。そう、本当の事だ。けど、絶対に言えない…。
「な、何を言い出すんだよ!」肯定するわけにいかないから、必死に否定する。
「この前、部屋の前通ったらアンタがハァハァしてるの聞こえちゃったのよ。あの時、アスカ、って
言ってたのも…」
僕は背中が寒くなって、ガタガタ震えた。そして、泣きたくなった。
「男は良いわよねぇ。吐き出す術があるんですもの。
女は自分を慰めても、汚れていく自分を再認識するだけなのよ」
アスカが、そういう行為をしている姿を想像してしまった。こんな時に…自分が最低だと思った。
「ゴメン…もう、しないよ…」
「そう。それで、今度はファーストの裸を考えるんでしょ」
そこまで考えていたわけでは無かったけど、きっとアスカの言う通りだと思った。
「あ、でもファーストなら、本当にヤらせてくれるかもねぇ。人形らしくて良いじゃない」
さすがにその言葉にはカッとなった。
アスカは、レイがアスカの事をどれだけ心配しているのか解ってない。
「やめろよ!そういう言い方!」アスカを見て、思わず怒鳴る。
そこで僕は初めて、アスカが僕を軽蔑の眼差しで見ている事に気付いた。顎をあげ、見下すように…
口元がかすかに笑っている。僕を追い詰める事を楽しんでるみたいだった。
「へぇ〜…頭の中で私を人形扱いしてる癖に、よく言えるわねぇ」
僕はもう嫌になった。アスカの言葉が罪悪感を大きくさせる。
「お願いだから、許してよ…僕を追い詰めないで…」
あの、心と身体がバラバラになった感覚が戻って来る。
気付くと僕は、下を向いて泣いていた。
「許してよ…お願いだから…許して……」
「許さない。…私が助けて欲しかった時に、いつも助けてくれなかった癖に!」
突然怒鳴られた事に怯え、僕は子供のように泣きじゃくった。
「うわぁぁあああ!…うっ…あぁ……許して…助けて…」
「私が弐号機の中で苦しんでる時も来なかった癖に!
私がそばにいて欲しい時に、ファーストと遊びに行ってた癖に!絶対…絶対許さないわ」
彼女も泣いていた。僕は、自分を責めた。
「う…ううぅ…ごめん。ごめん…なさい……許して…許してよ…アスカ…」
「じゃあ、私のモノになって」
アスカがベッドから降りて、僕に近づく。僕は座ったまま、彼女を見上げた。
「アンタ、私を自分のモノにしたかったんでしょ?良いわ、アンタのモノになってあげる。
その代わり、アンタも私のモノよ…」
「どうすれば…いいの?」
アスカが僕の唇を奪う事に、抵抗しなかった。抵抗する気力自体無かった。
濃厚なキスを終えて、彼女は僕の顔を両手で掴み、曇った目で僕をじっと見つめたまま、言った。
「私だけを見て……私を必要として……」
「うん…」
「ファーストの事は見ないで……ファーストと遊びに行くのもダメ…
学校から帰ったら、ずっと私といるの。解ったわね…?」
「うん…わかったよ」
そして彼女は、僕をベッドに誘い、僕の上に跨る。
さっきまで僕を追い詰めようとしていたのが嘘のように、僕を気持ち良くしてくれた。
だけど、その快感が終わって眠りにつこうとする頃には、空しさと彼女への憎しみが溢れそうになっ
て、僕は泣きながら眠るのだった…。
名前をタイトルに戻すの忘れてタヨ…orz
>>310 スマソ…アスカが復活するの、もうちょい待ってて…
>>312 おめでとう
おお...!弐作品ともシリアス!
てか、シンジ裏山シー。
猫たんいつも楽しませてもらってます。期待してんよ。カイリューさんもとっても良い感じです。期待してんよ。
リュウGJ!学校行く位でなんで誉めてんだよww甘やかすなよな (`・дγ)
ううう・・・辛いなあ。
最近生ぬるい物しか読んでなかった身にはこたえまする。
が、おもしろい。続き、期待してます。
学校がつらい人間もいるんだ!てかスレチガイか
あんま
たまには、スレ違いもいいもんだ。 職人方次回爆撃を期待
期待とプレッシャーは同義なんだ。職人にとってはね。
それから、僕はレイの誘いを全て断るようにして、学校から帰ってからは、ずっとアスカと共に部屋
に閉じこもった。食事の用意はレイに任せろと、アスカが言ったから…。
食事の用意が出来ると、僕達は服を着て、リビングに向かう。
「はい、シンジ…あ〜ん」アスカが甘い声を出して、僕の口に食べ物を運ぶ。
僕は、それを食べる。
「ふふっ…それじゃ、私にもして」アスカが口を開けて待ち構える。
僕は箸で彼女の口に食べ物を運ぶ。彼女はそれを食べる。
そんな恋人同士の真似事をする僕達の横には、レイがいる。
レイは僕達を見ないように、テレビに身体を向け、黙々とご飯を食べている。
「ねぇ〜、次は、口移ししてあげる…」
彼女は飲み物を口に含み、僕はその口に吸い付く。
彼女の口から、唾液と共に液体が流し込まれ、僕は、それを飲み込む。
そのまま、アスカは僕にキスをした。わざと、大きく音を立てて僕の唇を吸う。
それは間違いなく、レイに聞かせる為だった。
横目でレイを見ると、箸を握り締め、うつむいている彼女の背中が震えていた。
泣いているのか、鼻をすする音も聞こえる。
「アスカ…レイがいるから、ここでは止めようよ…」
「ファーストには関係無いでしょ…それより……ん…くちゅっ…んふぅっ」
更に深く、粘膜のぶつかる音を響かせるように僕の口に舌を這わす。
レイの泣き声が少し大きくなり、彼女は立ち上がってリビングを出て行った…。
今日は短めで。夜中に追加するかもデス…読んで下さってる皆様、アリガトウ(つAT)
>>319 先を読めば、シンちゃんを羨ますぃ〜などと思えなくなりますよ…多分
>>320 僕はポケモンだったのか…
>>321 飴と鞭でつよ…orz~〜大 ピシッ!!
>>325 だがプレッシャーは、同時に成長への喜びでもある。
猫様のレイと硫酸のアスカがかぶるよ...
329 :
1:2005/12/15(木) 17:29:56 ID:???
【そのちょっと前/1】
サードインパクトの後、僕らの生活に大した変化は無かった
強いて言えば、ネルフに行かなくても良い様になった事。
ネルフの施設そのものは残ってるけど、EVAは半永久的に凍結らしい。
お払い箱となった僕らは、晴れて自由の身となった。
といっても、僕がミサトさんのマンションに居るのは変わらないしアスカも居る。
学校にも、もちろん通ってる。
サードインパクトがあっても、僕らは大した変化を感じず普段の日常を過ごしていた。
そういえば、その数日後ぐらいからだったっけ。
綾波のお弁当を作り始めたのは。
330 :
1:2005/12/15(木) 17:30:52 ID:???
「碇君」
呼んでくるのは綾波。
屋上でお昼を済ませ、教室に戻ってきた時だった。
「なに、綾波?」
「・・・それは、誰が作っているの?」
それと言い指差したのは、僕の持っているお弁当箱。
先程美味しく頂いたので、中身は既に空っぽだ。
「え、誰って・・・僕だよ。ミサトさんは作れないし、アスカは作らないし」
何だろう、言ってて自分が虚しくなってきたな。
何で自分で自分のお弁当なんか作ってるんだろう?
「じゃあ、セカンドのお弁当は?」
「・・・それも僕だよ」
勿論、アスカの分も僕が作る。
中身が同じなら大した苦労は無いのだけれど
アスカ曰く「もっと良い物を」との事なので、僕とアスカでは弁当の中身が違う。
その為、朝は結構な苦労をしている。
331 :
1:2005/12/15(木) 17:31:34 ID:???
「誰か、手伝ってくれると嬉しいんだけどね」
本音がポロッと出た。
本当、誰か手伝ってくれるなら良いのに。
「・・・そう、じゃあ碇君」
「え?」
まさか。
まさか、僕に救いの手が差し伸べられるなんて!
ああ、綾波、君が輝いて見えるよ!
そっか、君が手伝ってくれるんだね!
「私のお弁当も作ってくれないかしら」
・・・え?
綾波、さっきの僕の言葉聞いてたのかな。
あはは、きっと僕の聞き間違いだよね。
うん、そうに決まってる。
「あの、綾波・・・何て言ったの?」
「私のお弁当も作ってくれないかしら、と聞いたわ」
綾波さん?
僕、今でも朝が大変なんだけどなぁ。
君の分も作ってたら、僕倒れちゃうよ。
龍さんの話はシンジの夢だよな?
333 :
1:2005/12/15(木) 17:33:23 ID:???
「ええと・・・綾波、悪いんだけどさ・・・」
「そう、セカンドには作って私には作ってくれないのね」
あう。
ああ、そんな泣かれると僕も困るんだけど。
罪悪感に駆られて、オロオロしている僕を他所に
綾波はシクシクと泣いている。
うう、周りの視線が痛い。
「わ、判ったよ!お弁当、綾波の分も作るから!」
「本当?」
「うん、本当だよ」
「そう、私、嬉しい」
パッと顔を輝かせる綾波。
ああ、可愛いなぁ・・・じゃなくて。
ねえ、さっきまで泣いてたんじゃなかったの?
全然いつも通りなんだけど。
334 :
1:2005/12/15(木) 17:33:46 ID:???
「あの、綾波?」
「約束よ、碇君」
「いや、あの――」
「約束を破っては駄目よ、碇君」
ずぃ、と綾波の顔が近づいてくる。
鼻と鼻がぶつかりそうで、心臓がバクバクと音を立てている。
綾波に聞こえてるんじゃないかって程に。
「う、うん」
そんな状況で僕が勝てるはずも無く、あっさりと負けてしまった。
「じゃあ、明日を楽しみにしているわ」
そう言い残して、去っていく綾波。
僕はそこにポツンと突っ立ったままで、しばらく動く事が出来なかった。
――明日から、どうしよう
335 :
1:2005/12/15(木) 17:37:07 ID:???
シリアスの途中に投下、申し訳ないでつ...
GJダヨ。まあ、同じ内容の弁当なら大変ではないと聞くが
シンジカワイソス
職人たちGJ!
振り返ると2スレ目初期の慌ただしさが消えたな。
皆さんGJ。職人今何人居るんだ?3人?リュウさんの作品大奥みてーだょ、今してるしww
翌日の放課後…僕はレイに誘われて、一緒に家に帰る事になった。
昨日の件もある事だし僕は断ったけど、彼女が無理矢理ついてくる形で、一緒に道を歩く…。
なんで昨日の今日で僕と帰ろうとしたのか、レイの考えが解らなくて、僕は怖かった。
僕もレイも、無言で夕暮れの中を歩く…。
その沈黙に耐えられなくなって、僕の方から彼女に話し掛けた。
「綾波…昨日は、ゴメン」
「……」彼女は何も答えないで、ただうつむいている。
「僕は嫌だったんだ。だけど、アスカが無理矢理…」
「そんなの、言われなくても解ってるわ…」
「じゃあ、僕がアスカの事を好きじゃないのも、解ってくれるよね」
僕は彼女に助けを求めた。彼女なら僕の事を解ってくれてる。そう、信じていた。
「…だから?そんな事言って、私にどうして欲しいの?」
「それは…」逆に聞き返されて、僕は言葉に詰まる。
ふと、彼女の歩みが止まる。
「助けて欲しいんでしょ?私に甘えたいんでしょ?私に同情して欲しいんでしょ?」
彼女の肩が、また震えてる。うつむいた彼女の顔は、髪に隠れて見えない…。
僕は、自分の気持ちを正直に言った。
「そう…助けて欲しいんだ。本当は綾波ともっと一緒にいたいんだ!もっと話がしたいんだ!
…だけどアスカが、もう綾波と一緒にいるな、って…」
「今更そんな事言われても、私はどうしたら良いの?嫌なら言う事聞かなければいいじゃない」
「でも、もし約束を破ったら、アスカはまた僕を責めるんだ。アスカが傷ついたのは、僕のせいだ、って…」
「じゃあ、私が傷つくのは良いの…?」
彼女は顔を上げて、僕をキッと睨みつける。顔を真っ赤にして、泣いている。
「じゃあ、私が傷ついたのが碇君のせいだと言ったら、私の言う事を聞いてくれるの!?」
「そ、それは…」
「…私がそんな事しないから…自分に優しくしてくれると思うから、甘えるんでしょう!?」
僕はその時、初めて彼女が怒鳴るのを見て面食らった。
「それは…ゴメン」また、いつもの癖で謝ってしまう。
「また謝るのね…謝れば、許してくれると思って…」
「…そうだよ…許して欲しいから謝るんじゃないか!?」
僕はつい大声を出してしまう。彼女の身体がビクッと震え、怯えた目で僕を見る。
「僕はどうしたら良いんだよ!僕はただ…綾波も、アスカも、傷つけたくないだけなのに…」
僕はレイに詰め寄る。
「ねえ、教えてよ!ねえ!」
パンッッ!
僕は一瞬、何が起きたのか解らなかった。左の頬が熱を帯びてくる…レイが、僕の頬を叩いたんだ。
「いい加減、人に頼るのやめたら?そうやってあなたが何も決められないでいるから、みんな傷つく
んでしょう?」
僕は叩かれた事のショックもあって、何も答えられない。涙が目ににじんで、視界が霞む。
「あなたも、アスカも、自分を変えなければ今の関係を止めても何も変わらない。
あんな関係を持ってしまったのなら、人に言われて解決すると思わないで!」
彼女はそう言って、家の方向へ駆け出す。
「綾波!」僕が呼び止めると、彼女は立ち止まった。そして……
「夜ご飯、部屋の前に置いておくから。あなた達が来ると、部屋が臭くなるから嫌なの」
振り向きもせずにそれだけ言うと、彼女は走り去ってしまった…。
その夜、扉をノックする音が聞こえて、扉を開けてみると、床にはお盆に乗せた夕食が置かれていた。
アスカはその事に満足しているみたいだったけど、僕の胸は締め付けられるように痛んだ。
下着だけは身に着け、僕とアスカは食事をとる。
その時のアスカの表情が晴れ晴れとしている事に、僕は腹が立った。
食事を終えた後も、アスカは当然のようにベッドに僕を誘う…。
「さ、邪魔者はいなくなった事だし、続きしましょ」
僕は食器をお盆に乗せ、部屋の外に置いてから、彼女の元へ行く。
「ご飯食べると白けちゃうのよね…ちゃんと初めからやり直すのよ」
彼女が僕に愛撫をねだる。僕はその言い方に、激しい怒りを覚えた。
(お前のせいだ!お前のせいで、レイも傷つけたんだ!)
僕はその怒りを、彼女の身体にぶつける。乱暴に、彼女の身体を壊すつもりで、僕は自分の身体を
叩きつける。彼女が泣いても、僕は止めなかった。
そして僕も疲れ果て、僕達は密着したままで横たわっていた。
「シンジのバカ…」ようやく泣き止み、呼吸を整えたアスカが呟く。
「なんでだよ…」僕も力無く答える。
「ふふ…違うの、嬉しいのよ。あんなに夢中で私を抱くなんて…ちょっと、乱暴過ぎたけど。
でも、やっと私を本気で求めてくれたのね…ありがとう、シンジ」
僕は彼女のその言葉に、収まっていた怒りが戻って来るのを感じた。
「違う!」
僕は怒鳴って、無意識に彼女の上に跨り、その細い首を両手で締め付けていた。
「!!…シン…ジ……んぐぅっ」
彼女が苦しそうに、声にならない声を出す。
僕は更に力を込めて、首を締め付ける。
彼女の顔に、一瞬恐怖の色が浮かび上がる。
でも、次の瞬間、何故か彼女は僕に微笑みかけた。とても悲しそうな目をして、僕の頬を撫でる。
僕は首から手を離した。首には、僕の手の跡がくっきりと付いている…。
彼女の身体がぐったりとし、虚ろな目が僕を見つめる。目尻から、涙が流れる…。
「アスカ…」僕は、その虚ろな目を見た。寂しげに僕を見る瞳がそこにあった。
「アスカ……ゴメン…ゴメン…」僕の目からも涙が溢れた。
僕は彼女の上から降りて、彼女の身体を優しく抱き締め、頭を撫でる。
「……シンジ…ごめんね…」彼女が、小さくそう呟いた。
僕は、初めて自分から彼女にキスをした。
この時から、僕のアスカへの想いが変わった。
アスカは、寂しいだけだったんだと、はっきり解った。
僕が見ている事で、彼女は安らげるかもしれない。元のように、元気になれるかもしれない。
だったら、彼女の事をずっと見ていてあげよう。抱いていてあげよう。心からそう思った。
そして、アスカが変わり始めたのも、この時からだ。
今までの虚ろな目に、光が灯り、すっきりした顔をするようになった。
その日までのような身体の交流よりも、言葉の交流が増えた。
彼女が外に出る事はまだしばらく無かったが、
僕達は家の中で、ゲームをしたり、料理をしたり…部屋に閉じこもる事が少なくなった。
そんな日常の生活を送りながら僕達は、お互いが抱えていた苦しみ、悲しみ、怒りを、言葉で話し合った。
どちらかが落ち込むと、必ずどちらかが抱き締めて慰める。
結局身体を重ねてしまう事になってしまっても、前のような脅迫によるものではなく、
もっと優しい、本当に幸せを感じられる行為だった。
それを傷の舐め合いと言われようと、当時の僕達には必要な事だったんだ。
アスカが少しずつ昔の明るさを取り戻すにつれ、あの第3新東京市での生活を思い出した。
いつも死と隣り合わせで怖かったけど、彼女といる時…例えば家や学校…は、とても楽しかったんだ。
同情なんかじゃない。僕はアスカが『好き』なんだと自覚した。
僕は彼女といる事が本当に幸せだと感じていた。
レイも少しずつアスカの事を認めるようになった。
学校からの帰り道で、レイが僕に微笑みながら呟いた言葉…
「今の彼女、輝いてるわ…」
レイに認めてもらえたのは嬉しかった。
これで僕とアスカは、本当の恋人同士になれたんだと、信じていた。
だから、アスカから別れを切り出された時、アスカに裏切られた、捨てられたんだと感じた。
喜びに踊っていた心が、絶望と怒りに凍りつく。
だから僕は、アスカを無視する事にした。それが、僕のアスカへの復讐だったんだ。
それから、僕はレイと恋人の関係になれるまで、またアスカと友達に戻れるまで、
延々と心の迷宮をさまようのだった…。
>>328 そこには触れないでくれ…僕も気にしてるんだorz
>1氏
GJ! このスレに、爽やかな風が吹いた…
>>332 彼の夢は、本編の前に起きた事件の記憶デス。
>>336 しかしシンジの場合、普通の自分用・豪華なアスカ用・肉無しのレイ用と、
三種類作るはめになる…テラカワイソス(つA`)
乙。書籍化できそうだな、このスレ自体
オッテュ
「やぁ、碇シンジ君。」
渚君がフィフスチルドレンだと聞かされ、更には今しがたシンクロテストを済ませた帰りの電車。
僕らは二人きり、綾波も近付くべきじゃないって言ってたのに…
「あー、やぁ…偶然だね?」
「この時間にジオフロントから出るのは、僕らぐらいさ…そうだ、質問しても良いかな?」
「な、何を?」
「何故ヒトは、他人を求めるのかな?」
「…分かんないよ、そんな事。」
「例えば何故綾波レイは君の存在、君の心を求めるのかな?」
「変な事言うなよ、君には関係ない事だろ!?」
「綾波レイにとって近しい人物は君でなく、指令だった筈だよ?」
「きっ、君がどうしてそんなこと言えるのさ!もうやめてよ!!」
渚君が僕へと近付いて来る…
「もしかして君、指令の代わりじゃないと求められて無いのかな♪」
「父さんは関係無い!!僕も綾波が必要なんだッ!!」
「綾波レイは、何て言うかな?」
電車から駆け降りた僕は、必死に逃げた。
どこまで行っても渚君の言葉がまとわりついて離れなくて、気付いた時には綾波の部屋の前に居た…
助けて欲しかった。
あんな奴の言葉を信じる必要ないって、僕を守って欲しかった。
ドンドンドンドン「開けて綾波、僕だよシンジだよ!」
ドンドンドンッ「綾波、居ないの!?」
ドンドン「お願いだよ…開けてよぉ…」
ドン…
綾波は、出て来なかった。
足を引きずって家に帰るとアスカが居た…
僕は彼女に泣き付いてしまった、どうしようもなく心細かったから。
「そう、大変だったわね…渚カヲル、今度会ったらシメてやろうかしら。」
家に帰る途中、アスカからシンジ君が何かされたらしいと携帯に入ってきた。
〈ホンッと、顔の割に性格は大した事無いわよねー。どうする、今から家来る?〉
「うん、詳しく聞いて万倍で返してやりたいから。」
〈オッケー。あんたも気をつけなさいよ、あの男何やるか判ったもんじゃないわ!〉
携帯を切り、急いでシンジ君の所へ…
許さない。
渚カヲル、絶対に許さないわ。
「シンジ君!」
着くなり私は彼を抱き締めた…
「私が一緒に居る、だからもう大丈夫よ。」
「…ゃなみ…」
「あいつに何をされたの?怪我は無い?」
「…」
その日はもう、碇君が喋る事は無かった。
碇君が私の制服を放さなかったので、私はそのまま泊る事にした…
「レイ、シンジ寝たんだ?」
夜も更けてきた頃、寝付いたのかシンジ君の手が解けた。
「アスカと話す事も有ったから、ほんの少しの間側を離れた所。」
「あンのバカシンジ…レイだけじゃなく私にまで心配かけさせんじゃないっての。」
「何にしてもパイロットの精神上までちょっかい出すのは、葛城三佐達にも報告しておくべきよね。」
「へぇ、恋人に色々何かされた割には冷静ねぇ?」
「恋人じゃないわ、それ以上だけど…それと公な辞令や処分が決まってからよ、私が制裁加えるのは。」
「はぁーなるほど、確実に潰しかけるの…アンタってやっぱ怖いわ、敵に回したくないわね。」
硫酸乙&皆様お久しブシ。
>>339殿、
もっと職人さん増えると良いデシネ、そしたら読む側も待たずして色んな作品を見れますし。
…前にも増して遅筆、イヤーンな感じでつ。
猫さんGJ〜、てか惚れたよ俺の物にならねぇ?(`・∀・´)
猫って男なんだろ
猫が男でも女でも、引きつける魔性には変わりないのさ
>>356で言い忘れたがGJ!
マイペースでドゾー
>>355で言い忘れたがGJ!
マイペースでドゾー
やっべ。コンガラガッテキタ
読みなおして来るわ
トントントントン……
包丁を扱う小気味の良い音がキッチンから響く。
その隣で、鍋の半分まで満たされたお湯がぐつぐつと煮立っている。
「彼」はその中に細切りにした大根を入れ、数分煮込む。
大根が柔らかくなった所で『だし』を入れ、更に味噌を入れる。
「これで良し……まだ起きて来ないのかなぁ」
彼は妻を起こしに行く。
妻は、シーツの中で横向きになって眠っていた。
彼は、そのシーツが妻のしなやかな身体のラインをくっきりと浮かび上がらせているのを見て、
胸が高鳴った。
「レイ…もう朝だよ。朝ご飯出来たから、起きなよ」優しく肩を揺さぶる。
「ん……んん……おはよう、シンジ君」
「おはよう、レイ」
レイは寝ぼけ眼で起き上がり、控えめにあくびを一つ…。
「あふ……眠いわ…」
「やっぱり低血圧だと寝起きが悪いの?」
レイがシンジを横目で睨む。
「あなたが寝かせてくれないからよ」レイの頬が少し赤らむ。
「あ……ゴメン」シンジもまた、昨夜の事を思い出して顔を赤くした。
「あなたはスッキリしてそのまま眠れるから良いわね。
私は気持ちが落ち着くまで、寝れなかったんだから」
シンジは昨夜、いつ眠ったのか覚えていなかった。
(そう言えば起きた時、僕だけ裸だったな…)
「ご、ゴメン。それより、味噌汁が冷めちゃうから、早くおいでよ」
食卓につくシンジとレイ。
二人とも食事中はあまり喋らない方だから、その時間はとても静かだった。
「美味しい?」
「……ええ」
と、シンジの問いかけに答えたレイが箸を置き、うつむいてしまった。
「…どうしたの?」
シンジが彼女の顔を覗き込むと、彼女は涙を流していた。
「ど、どうしたのさ!?魚の骨が喉に刺さったの?」
首を横に振るレイ。シンジは、実は自分の料理が不味かったのではないかと不安になる。
「ねえ、何で泣いてるの?」
「…グスッ……美味し過ぎるの…私が作るより、遥かに美味しい…」
「そ、それは、僕の方が料理の経験多いんだし、レイの料理だって美味しいじゃないか」
「…うぅっ……ごめんなさい…私、妻として失格ね……」
すっくと立ち上がり、駆け出すレイ。シンジは彼女を後ろから抱きとめた。
「料理なんて関係無いよ。レイは、立派に僕のお嫁さんだよ」
「…グスッ…本当?」
「本当さ………愛してるよ、レイ」
「…ありがとう、私も愛してるわ。シンジ君」
キスを交わす二人……
そして二人が再び食卓につく頃には、味噌汁はすっかり冷めていて、温め直す事になるのだった…。
回想編が重いので、緩衝材としてラブラブエッチ投下しました。
>>レイ猫様
GJ!ヘタレなシンちゃんに萌え〜
綾波怖いですねぃ。カヲル君も前歯へし折られるぐらいじゃ済まなそう…。
〆切があるわけでないので、マターリしませう。
猫たんのレイ怖くなってきてある意味ドキドキ。
363 :
1:2005/12/17(土) 01:53:52 ID:???
【その少し前/2】
翌日。
普段より1時間早く起きた僕は、ねぼけた頭のまま朝の支度を済ませた。
時間はまだ余裕があるがのんびりはしていられない。
僕はなるべく早く、台所へと向かった。
「出来た・・・!」
目の前には、彩り鮮やかな三つのお弁当箱。
一つ、毎日使っている僕のお弁当箱。
一つ、ゴージャスで中身がかなり偏っているアスカのお弁当。
一つ、僕と似て色とりどりだけど、肉は一切入っていない綾波のお弁当。
綾波のお弁当箱は、昨日の内に買っておいた。
彼女に似合いそうな、青色のお弁当箱。
白い花柄がポイントである。
364 :
1:2005/12/17(土) 01:54:18 ID:???
僕は自身の会心の作に満足していた。
僕はやったんだ、やり遂げたんだ!
という、達成感に満ち満ちていた。
袋で包み、準備はOK。
後は、残った物で朝食を準備すれば良いだけだ。
丁度、アスカも起きてきた。
・・・綾波はどんな顔をするだろうかな
期待と不安で、胸が一杯だった。
365 :
1:2005/12/17(土) 01:55:04 ID:???
お昼。
今朝の間に綾波に渡しておいたお弁当箱が、ずっと気になっていた。
「ありがとう、とても嬉しいわ」と言って貰ってくれたが、果たして食べてくれるだろうか。
口に合わないかもしれない。
綾波の嫌いな物を入れてしまったかも。
考えれば考えるほど、どんどん駄目な考えに行ってしまう。
これじゃあ、駄目だと気を持ち直して教室へと戻る。
丁度、綾波も戻っていた。
いつもの窓際の席に佇んでいる彼女に声を掛ける。
「綾波」
期待と不安、バクバクと心臓が脈を打つのがまた聞こえ始めた。
見ると、彼女の机の上には今朝渡したお弁当箱が置いてあった。
袋の結び方が多少違うので、多分開けてくれたんだと思う。
「なに、碇君」
いつもの調子で聞き返してくる綾波。
綾波がこちらを向いただけで、また緊張してきた。
落ち着け・・・落ち着け・・・と心の中で呟いても、自分の心臓は一向に治まる気配を見せない。
366 :
1:2005/12/17(土) 01:55:48 ID:???
「え、ええと・・・その」
聞こうと覚悟しても、まごついてしまう僕。
そんな僕を見かねたのか
「お弁当、美味しかったわ」
と言って、お弁当箱を僕に差し出してくれた。
・・・美味しかった?
美味しかったって、言ってくれたの?
「あ、え、美味しかった?本当に?」
「ええ、嘘をついても意味無いもの」
さらりと返す綾波。
・・・そうか、美味しかったんだ。良かった・・・
安堵の溜め息が漏れる。
「良かったよ、綾波の口に合って」
とても心が軽くなって、そのまま綾波と別れた。
そのまま居ると、顔がニヤけて綾波に気づかれそうだったから。
367 :
1:2005/12/17(土) 01:56:09 ID:???
夕方。
帰り際に、また綾波に呼び止められた。
何?と聞き返すと
「また明日も」
と返ってきた。
僕は勿論作るつもりで居たので
「判ってるよ」
と返して別れた。
お昼の事がまだ頭に残っていて、心も体も弾んでいた。
久しぶりに良い日だったなぁと思う。
368 :
1:2005/12/17(土) 01:57:19 ID:???
【その少し前/2 後日談】
僕は帰宅して、まず台所へと向かった。
お弁当箱を洗う為だ。
まず、僕のお弁当を洗い、次に綾波のお弁当を洗う。
中身は空っぽだったので、更に嬉しくなった。
けど、どうしてか箸を使った跡が無かったんだ。
綾波、手で食べたのかな・・・
いや、そんな事は無いだろうし・・・
何でかな
369 :
1:2005/12/17(土) 02:01:06 ID:???
また長くなってしまいました...うう
>>336 dクスです。
お弁当は内容が同じなら作るものを二倍すれば良いだけなので簡単なのです
>>337 シンジはいつでも尻に敷かれるのです
>>リュウ氏
dクスでつ。シリアスは全く持って書けないのでガンガッテくだせぇ
そして、『ソレ』は次に、惣流・アスカ・ラングレーの心に侵入した…。
私は、特別シンジの事を好きなわけじゃなかった。
でも、嫌いでも無かった。どちらかと言えば、『好き』に近かったのかな…。
ミサトの部屋で一緒に暮らしてた時も、なんだかんだで楽しかったし、
あいつだってやる時はやるんだって事は、使徒との戦いの中で解ってたから。
それに『エヴァのパイロット』という付加価値より、
私自身を見てくれた(と、私が認識した)最初の人だった.
でもあいつのうじうじした態度を見ていて、本当にムカツク事もあった。
私の気持ちは、『好き』と『憎悪』が混じった不思議な感情だった。
そんな中、シンジとレイとは、同じパイロット同士それなりに上手くやっていたと思う。
今になって思うと、それを全てぶち壊した原因は、私だったのかもしれない。
私の余計なプライドが、シンジやレイと衝突する原因だった。
私の余計なプライドが、私自身を追い詰め、存在意義を見失わせる原因だった。
一度は立ち直ったけど、それはエヴァ量産機に陵辱されるという形で、一瞬にして幕を閉じた。
しかも追い討ちをかけるように、失明同然の左眼と麻痺した右腕、
そして傷跡の消えない身体になった私は、他人と会う事が怖かった。
シンジ、レイと共に暮らす事になってから、私は自分の部屋に篭もり、TVゲームばかりしていた。
ご飯時になれば二人のどちらかが呼んでくれるから、三人でご飯を食べて、また部屋に閉じこもる。
そんな生活が2年ぐらい続いた。
それでも、毎日のお風呂と髪の毛のセットを欠かさなかったのは、
自分が惨めな姿になりたくなかったから。
シンジもレイも、私を立ち直らせようと励ましてくれたけど、
それは私が自分自身を惨めに思う原因にしかならなかった。
二人の優しい言葉は私を追い詰める。
しかも二人の仲が進展したのか、休日には二人で遊びに行く事も多かった。
遂に私を見てくれる人がいなくなったんだと感じて、私は自暴自棄になっていた。
二人に気付いてもらいたくて、こっそりお酒を飲んだり、タバコを吸ったりしてみる。
でもあの鈍感な二人だから、シンジが私の喫煙に気付いたのは奇跡に近かった。
気付いて欲しくて吸ったタバコも、いざ気付かれて注意されると鬱陶しかった。
彼は私の事を心配してくれてるのに、私は彼に酷い事をしてしまった。
あのレイに引っぱたかれた事も、当時の私には屈辱だった。
結局、私は尚更自分の居場所が無くなるような事をしてしまったのだ。
誰でも良い。私を見て欲しい。必要として欲しい。
私は一番身近な男であるシンジが、私を求める想像をした。気持ち良かった。
だけどソレが終わった時に残るのは、それが現実では無い空しさだけだった。
だから私はその夜、シンジの部屋に行った。
彼の性格は解っていたから、彼が自分を責めるのに充分過ぎるほどの言葉を浴びせた。
酷い事をしてるのは解ってる。いつしか感情が昂ぶり、私も泣いていた。
でも、私に責任を感じた彼が泣き崩れる姿を見るのは、快感だった。
私の鞭に叩かれて彼が壊れる寸前に、私は飴を二つ与えた。
私のモノになる代わりに、許してあげる事。そして、身体を一つにする快楽。
私は彼の上で、満足の内に眠りに入った。
でも彼は、次の日に早速約束を破った。
中々部屋に来ないと思ったら、レイと仲良く夕食の準備なんかしてる。
私は夕食が終わるまで待った。そして―――
「ふざけんじゃないわよ!!」
彼を私の部屋に強引に連れ込み、頬を思いっきり叩く。
「アンタを見てると、本っ当にムカツクのよ!」
怯えた顔で私を見るシンジ。
「次やったら、絶対許さないから!」
「だって…僕が一緒じゃなきゃ、綾波はまだ一人で料理出来ないんだ…」
「うるさい!」
もうニ度、三度と、彼の頬を引っぱたく。彼はベッドに顔を埋めて泣いた。
「なんでだよ…アスカは僕を自分のモノにしたいのに、なんでこんな事するんだよ…」
私は彼を引っ張り上げ、仰向けに倒してその上に覆い被さる。
「そうよ…でも、アンタが全部私のモノにならないなら、私、アンタなんかいらない」
「だったら僕に優しくしてよ!」
「優しくしてあげるわよ…」
彼の衣服を少しずつ脱がし、全身にキスを浴びせる。
そして、彼のモノを口で咥える。彼の身体がビクンと震える。
「アスカ……う、はぁ……はぁぅ!」
「ほら、優しくしてるでしょ?でももし今度約束を破ったら…」
そう言って、私は大きくなった彼のモノに噛み付く。
「ぐぅっ!うああぁぁぁぁぅ!」
私が口を離すと、彼は股間を抑えてうずくまる。歯を食い縛って、止まらない涙でシーツを濡らす。
「何よ、私なんか身体全部喰われたんだから…そんぐらいで泣き喚いてんじゃ無いわよ!」
「嫌だ…嫌だ……助けて…助けて!綾波!綾波ぃ!!」
彼は大声であの女の名を呼んだ。私は慌てて彼の口を塞ぐ。
「アンタを助けられるのは私だけよ…私を満足させれば、アンタも救われるのよ」
催眠術をかけるように、彼の耳元で囁く。
「もう一度聞くわ…私のモノにならないなら、ここで女の子にしてあげる。
私のモノになるなら、優しくして、気持ち良くしてあげる…どっちがいいの?」
「う…優しくして……気持ち良くして…」
「じゃあ、学校から帰ったら真っ直ぐ私の部屋に来なさい…解った?」
「解った…だから、もう酷い事しないで…」
「ふふ、最初からそうしてれば良いのよ…ん、んふぅっ…」
彼の口内を舐め回す。彼の眼が溶けるようにトロンとしてくる。
私は彼が満足の内に眠るまで、何度も彼を私の中に導いた…。
続きはまた明日…
>>369の1様
GJ!長さなら大丈夫、僕の方が長いから…orz
すっきりまとまっていて、とても読み易いと思うデスヨ。
弁当を作る事に達成感を感じるシンジは、とても良いお嫁さんになれますね…テラモエス。
マヂで話が混ざってきたorz
まとめぺーじギヴミ゛ィィ!!!
さぁ、なんか眼が冴えて早く起きちゃったので
誰も知らないうちに投下。
カラミとか面白みのあんまりないほのぼのネタが嫌いな人は飛ばして読んでね。
378 :
芽生える種:2005/12/17(土) 09:05:32 ID:???
「畑?野菜をつくるの?」
レイは目を丸くしてシンジを見つめた。
「うん。隣の人がね、無料で貸してくれるって。」
シンジは笑顔で少し呆けているレイに言った。
事の原因は、今日。
シンジはいつもの帰り道で、畑になっている色鮮やかな野菜に見とれていた。
トマト、ピーマン、キュウリ、パプリカ、etc。
シンジはレイと同居することになってあまり料理をすることがなくなった。
スーパー等を覗いてはみるものの、今年の野菜は不作であまり美味しく無さそうな野菜ばかりならんでいるので、めっきり料理をすることが無くなったそうだ。
だが、シンジは実際のところ料理が好きなので、ずっと料理をしていないと少し何か『作らなきゃ』という衝動にかられることもしばしば。
自分で野菜を作るならば美味しくも不味くも作れるだろう、と思い立ったシンジは、思い切って畑を借りてみることにしてみた。そしてこれを機に、また料理をするようになれば…と、考えていた。
379 :
芽生える種:2005/12/17(土) 09:06:30 ID:???
シンジはニコニコしながら夕ご飯を食べていた。
あまり見ない上機嫌な顔だった。
一方、レイはというと。
(「シンジって、こんなにジジィくさいことを考える人だったかしら…?」)
などと相手にとってとても失礼な事を考えていた。
表面上は、優しそうな眼ににっこり笑った口なのだが。
「それで、何の野菜を植えるの?」
「うん、キャベツと、トマトと…」
そこでシンジは何故か、言葉を切った。
「と?」
「あと、苺を作ろうと思ってるんだ。」
「苺?なんで苺なの?」
シンジは食べる手を止めて、ふっと笑ってから、言った。
「苺ってね、栽培するのが初心者だったら難しいらしいんだ。でも、僕はちょっと自信があるからね。絶対美味しい苺を、レイに食べさせてあげるよ。」
シンジは自分で言ったことに照れて、食べる手を早めた。レイは今聞いたことを少し考え、顔を真っ赤にしているシンジをくすりと笑った。
「うぐぅ!げほげほっ!」
「わっ、だ、大丈夫?」
シンジは照れ隠しに思いっきり食べていたので、思いっきり喉に詰まらせていた。
380 :
芽生える種:2005/12/17(土) 09:43:43 ID:???
その夜。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
パチリ、と電気を消した。
シンジは疲れが溜まっていたのか,すぐ寝息をたてて寝てしまった。
レイは、というと。
今日の夕飯での出来事が気になって、寝付けずにいる。
(「シンジ、苺を作って、食べさせてくれるって…。食べたいけど、シンジはちゃんと作ってくれるかしら…?でも、シンジは作れるって。 でも…」)
そんなことを考えていると、ずーーっと眠くならなかった。やっとウトウトしてきたのは、東の空が明るくなってきた時だった。
381 :
芽生える種:2005/12/17(土) 09:45:07 ID:???
シンジが目覚めたのは、レイが眠ってから一時間とたたないまだ薄暗い早朝だった。
いくら早く寝たとはいえ、睡眠時間はたいしたものではない。それでもシンジの眼は冴えていた。
そして手早く、あまりセンスがいいとはおせじにも言えないジャージを着て、タオルと、借りた農具を担ぐと、レイが起きないように、コッソリとドアを閉めた。冷たい風が吹きぬけた。
今日は土曜日。シンジはトマトとキャベツと、それから苺の苗を持って畑へと向かって行った。
シンジは決して広くなく、でも狭くないといった不思議なスペースの荒地のような畑を見つけた。
周りは住宅街とは言わないが、数件の家に囲まれている程度である。
(「だから無料なのか…。」)
シンジは一人、心の中で呟きあらかじめ持って来ておいた鍬で畑を耕し始めた。
…硬い。数回鍬を振り下ろすが、あまりまともに地面を耕せない。
でも、シンジは諦めなかった。それは子供のような意地と、脳裏に浮かぶ大好きな人の笑顔を見るためだろう。
数時間、シンジはカチカチの地面と格闘していた。
そしてようやっと、数本の畝(うね)を作ると、種と苗を植えた。
シンジは苗が植えてある畑を眺めながら、優越感に浸っている。
気づくと、首に掛けてあるタオルは汗できっちり湿っていた。
すると、不意にふっとシンジの後ろから影が落ちた。
ちょっと吃驚してふりかえると、そこには寝ぼけ眼のレイが、
バスケットを持ってシンジの顔を見下ろしている。
シンジはちょっと笑ってレイの寝ぼけている顔をみつめた。
382 :
芽生える種:2005/12/17(土) 09:46:42 ID:???
「わざわざお弁当作ってまで見に来なくても…。」
シンジはすこし大きめのおにぎりをパクつきながら言った。だがレイは、
「苺、ちゃんと出来るか心配だったもの…。」
と、すこしボンヤリしながら言った。
レイは、昨日(と今日の明け方まで)の思案の末、シンジと一緒に苺を作っていくことにした。
だが、レイは農業には詳しくないので、シンジがちゃんと苺を作ってくれるかの監視、程度しかできないのではあるが。
今の二人は、シンジはあぐらをかいて座って、レイは三角座りでシンジの肩に頬をのせている。
レイの格好は、寝巻きのパジャマの上にカーディガンというすこし寒そうな格好だ。
「僕って信頼ないなぁ…。大丈夫、ちゃんと美味しく作って見せるよ。」
そんなシンジのセリフと、暖かさにほっとしたのか、レイはシンジの肩に頬を乗せたまま、寝てしまっていた。その表情は、微笑んでいた。
変わり行く日々の中で種は芽吹く
この二人の幸せを守るように
ただ今はまだそのときではない
二人が赤く実った苺を食べるのは
ここからまだ少し先のことである
ほのぼのGJ!&乙。
ほのぼのマンセー。
寝起きレイ萌えv
レイ+寝起き+パジャマ=???
>>386 =超低血圧でフラフラして、壁に頭ゴッツン……かな?
レイさん+寝起き+パジャマ=シンジ君暴走、その日は遅刻。
このエロス達めw
↑とは言いながらもエチー好きな
>>389であったww
391 :
389:2005/12/17(土) 17:41:20 ID:???
エチーで構わないぞ。
朝ご飯の用意は出来た…けど、まだレイが来ない…
「レイ〜、もう起きてよ〜」僕は彼女を起こしに行く。
布団にくるまって寝息を立てている彼女を揺すって起こす。
「ほら、ご飯冷めちゃうよ」
「ん…んん?…おはよう、シンジ君」頭をフラフラさせながら、やっと起きるレイ。
「ほら、起きて。先に行って用意してるからね」
僕がご飯をお茶碗によそった頃に、ようやく彼女が来る。まだ頭フラフラしてるよ……と思ったら!
「レイ…鼻血出てるよ!?」
「ん〜?……多分、何回か壁にぶつかったからだわ」
僕は彼女の鼻にティッシュを詰め、廊下を見に行く。
廊下の壁から壁へと、赤い点々が蛇行しながら、彼女の部屋からリビングまで続いている…。
そして、彼女のニンジン模様のパジャマにも、赤い染みが…血は中々落ちないのに…。
僕の視線に気付いたレイが、顔を赤らめて横を向いてしまった。
「どうしたの?」
「シンジ君…朝から胸を見るなんて…いやらしいのね」
はぁ…僕は朝から疲労感を感じながら、まだ寝ぼけ眼の彼女の服を着替えさせるのだった…。
さっきの「レイ+寝起き+パジャマ」で作ってみますた。
「着替えさせた」ハァハァ
夫婦になってある程度時間が経つと、
着替えさせるくらい恥かしくないのでつよ。多分…。
――アスカの見た夢…続き――
それから彼は、学校から帰ると、朝が来て学校に行くまで、ずっと私と一緒にいてくれた。
彼が私だけを見てくれている事と、レイから彼を奪い取った事に、私は狂喜した。
だけど私はそれだけでは満足しなかった。
私がシンジを奪っても、まるで平気な顔をしているレイが気に入らなかった。
私はあいつを叩きのめしてやりたかった。泣かしてやりたかった。壊してやりたかった。
だから、彼女の前でわざとシンジといやらしい事をした。
顔は見ていないけど、彼女は間違いなく泣いていた。
レイが去った後のリビングで、私はシンジと抱き合った。
レイの部屋はリビングと直接繋がっている。リビングを通らなければ、トイレにもお風呂にも行けない。
もし彼女が部屋を一歩出れば、裸で抱き合う私達を見る事になる。
私はそうなった時の彼女の顔を見てやりたかったけど、彼女は朝まで部屋から一歩も出なかった。
翌日の夜…レイがいつもみたいに私達を呼びに来たかと思ったら、
部屋の前に食事を置いていっただけだった。
私は今度こそ、あいつに勝ったんだと実感した。
私は彼を独占した優越感を確認したくて、彼に続きをねだる。
食事を間に挟んだ事で興奮が冷めていた。
彼はおとなしく私に覆い被さる。
そして、いつものように臆病なほど優しく私の身体を触ってくれると思ったけど、その時の彼は違った。
乱暴に私の中に入って、がむしゃらに腰を打ち付ける。
その痛みに、私は泣いた。泣いて、やめてと懇願した。
でも彼は止めなかった。
彼が疲れて私の横で仰向けになってからも、私は泣き続けた。
私は泣きながら、なぜ彼がこんな乱暴な事をするのか考えた。
多分、私の事を憎んでる。私が彼に自分の事を見るように強要すればするほど、彼の心は遠のいて行く。
でも私は、それを認めたくなかった。だから私は、自分を誤魔化すようにした。
(彼は私に夢中なんだ。だから、あんな激しくしたんだ。きっとそうよ。これは喜んで良いのよ)
それをシンジに言ったら、彼は「違う!」と叫んで、私の上に乗りかかる。
そして、私の首をギリギリと締め上げた。
彼の顔に、殺意の色が浮かんでる。私を殺そうとしている。
私は怖くなった。
でも同時に、私は彼の怒りが理解出来た。
走馬灯じゃないけど、息が出来ず遠のく意識の中で、私が彼にした事を振り返った。
(私…最低……)
そう思って、私は彼の頬をそっと撫でた。出ない声の代わりに、謝罪の意味を込めて…。
(今まで、ゴメンなさい…)涙が頬を伝うのを感じた。
そして、意識が途切れる寸前に、彼の手が首から離れた。
苦しくて、必死に呼吸を整えようとしながら、私は彼を見つめた。
彼は、自分の手を見つめて涙を流していた。
私は、彼を見つめながら心の中で思った。
(今までゴメン……私の事、嫌いよね……でも、もし許されるなら、もう少し、私を見捨てないでいて)
私の想いが伝わったのか、彼は私の身体を優しく抱き締めて、頭を撫でてくれた。
私は声に出して彼に謝った。ちゃんと声が出ていたかは解らない。
でも彼にはそれが通じたみたいで、初めて彼の方から、私に唇を重ねてくれた……。
それから彼も、私も、変わった。
それまでは夜の快楽の一時を楽しみにしていたのが、日常の彼との交流自体が楽しくなっていたのだ。
一日の中で部屋に閉じこもる時間が少なくなり、
それまでシンジとレイに任せきりだった掃除や料理もするようになった。
そして私は、彼の事を本気で好きだと感じるようになった。
だけどレイが再び閉ざした心は、中々開いてくれなかった。
私は、彼女に声をかけるようにした。
だが彼女は、まさに昔の彼女のように無表情に応え、だが微かな怒りの表情で私達を睨むのだった。
また、彼女が体調を崩して学校を早退・欠席する事が多くなった。
原因は私にあると解っていた。あんな酷い事をしたんだもの…。
自分への嫌悪感を忘れたくて、私は毎晩シンジに慰めてもらった…。
そのままズルズルと関係は続き、三ヶ月が過ぎた。
その日も彼女は学校を早退してきて、私と一緒に居間でお昼ご飯を食べていた。
私も、彼女も、一言も話さない。
だけど私は、勇気を出して、恐る恐る彼女に聞いてみた。
「ねえ、アンタ、シンジの事が好きなの?」
「…どうして、そう思うの?」レイは無表情に答える。
「…私の事、怒ってるわよね」
「なんで?」
「私が、シンジを奪ったから…」
「別に。二人が愛し合ってるなら、好きにすれば良いのよ。私には関係無いわ」
彼女の言葉が一つ一つ私の胸に突き刺さる。
「違う…愛し合ってなんか、無いわ」
「…じゃあ、一緒に寝るのやめたら?子供が出来てから、あなたそんな事言えるの?」
「解ってるわ!でも、シンジも私を求めて来るの…私が喜ぶと、あいつも喜んでくれるの!
私が離れたら、あいつ、きっと悲しむ…」
「なぜ、彼を悲しませたくないの?なぜ、彼を喜ばせたいの?」
「私、シンジに酷い事したのよ…私が傷ついたのを彼のせいにして…
あいつはいつも私を見てくれたのに、気付いて無かった…」
「そう」
「最低だわ…私…」
「…そう思う?」
「最低よ!人を脅迫して…無理矢理自分に服従させて…アンタの気持ち、解っててやってたのよ!
……私なんて、死んだ方が良いんだわ…」私は、苦しくて、顔を抑えて泣いた。
私が追い詰めた時のシンジは、もっと苦しかったのかな…。
レイは何事も無いかのように、味噌汁をすする。部屋には私が泣く声と、テレビの音だけが響いた。
そして、少し間を置いて、彼女は言った。
「私も、あなたには死んで欲しかったわ」
そんな事を直接言えちゃうのが彼女らしいんだけど、でもその時の私には、とてつもないダメージになった。
私は我慢できなくなって、テーブルに突っ伏し大声で泣き喚いた。
「うっ…ヒッ…う、うああぁぁぁ!」
「泣けば、どうにかなると思ってるの?」
「あああぁぁぁぅ!…ごめんなさい……ごめん…なさい…」私は彼女に心から謝った。
レイはお茶をすすって、またしばらくして、口を開く。
「…でも、今は死んで欲しくないわ」
その言葉に、私は止まらない涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で、レイを真っ直ぐ見つめる。
レイも、私を真っ直ぐ見ている…。
「きっかけはどうあれ、碇君といる事であなたは変わったわ。前は、そうやって謝る事も、
自分が悪いと認める事も出来なかったでしょう?」
その言葉に、私はまた、自責の念にかられる。そう、彼女も私を見ていてくれてたんだ。
「今のあなた、私は嫌いじゃないわ。
自分を責めるのも、今の自分を否定するのも、良くないと思う」
「アンタ…私の事嫌いじゃなかったの?」
「嫌いだったら、こうしてまた一緒にご飯を食べたりしないわ。」
私は、涙が涸れるまで、声が枯れるまで泣き続けた。
床にうずくまって泣く私の頭を、そっと撫でてくれるレイ。
私は初めて、彼女に心から感謝した。
その夜は、私がシンジの部屋に行こうと思ったけど、彼が先に私の部屋に来た。
シンジは早速私の身体をベッドに押し倒し、唇を奪おうとする。私はそれを阻止して、言った。
「ねえ、もう、こんな関係やめよう…」
「え?」目の前の彼の顔が青ざめる。
「私が無理矢理作った関係だから、虫の良い話かもしれないけど…もう、終わりにしましょ。
これ以上続けたら、またお互いを傷つけるだけよ」
彼の手が、私の肩から離れる…彼の目に涙が浮かぶ。
「嫌だよ…イヤだよ!」うつむくシンジ。ベッドの上に、水滴が落ちて染みを作る。
「今まで…酷い事して、ごめんなさい…」私は謝った。
「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!僕はアスカと一緒にいて楽しかったんだ!
最初は嫌だったけど、アスカの事、本当に好きになってたのに!」
まるで駄々ッ子のようなシンジ。
「…私も、好き…」つい、呟いてしまう。
「じゃあ良いじゃないか!ずっと一緒にいようよ!」
彼は私を抱き締めて、ベッドに倒れ込む。
「…ねえ、また気持ち良くなろうよ…そしたら、一緒にいてくれるよね?」
「…ゴメン……」
私の言葉に反応して、彼は上半身を起こす。
私の上にのしかかったまま、私の肩を揺さぶる。
「なんで皆、僕を裏切るんだよ!ちくしょう!ちくしょう!」
「シンジ…」
「いつもそうだ…僕を振り回して、弄んで!もっと僕に優しくしてよ!もっと僕を大事にしてよ!」
私は揺さぶられながら、自分が彼を傷つけてしまった事に気付いた。
いや、あの時関係を持ったからには、いつかはこの時が来るのだと、漠然と思っていた。
「ゴメンね…ゴメンね、シンジぃ……」私は起き上がって彼の事を抱き締め、泣きながら謝った。
「うぅ…グズッ……嫌いだ…アスカなんか嫌いだ!」
彼は私を後ろの壁に押し付け、私の脚を無理矢理開き、自分のパンツを下ろす。
「シンジ……あぅっ!」
抵抗出来たのに、私には出来なかった。彼が、直接私の中に入る事を許してしまった。
それが、せめてもの償いのつもりだったのかも知れない。
それとも、ゴムの壁を隔てないで交わる事への興味だったのかも知れない。
壁に押し付けられながら、私は懺悔しながら、彼の怒りを身体の中に受け入れた。
この壁のすぐ向こうには、レイがいるんだ…私は、心の中でレイに謝った…。
その日以来、私とシンジが一緒に寝る事は無くなった。
最後の日の事がずっと気になっていたが、生理は毎月来たから、私は安心した。
私とレイは、少しずつ交流を深めて行った。お互いに冗談も飛ばせるし、真剣に相談もしたりする。
そう、親友と呼べるまでの仲に発展した。
シンジはレイにやたら優しくしている。その代わり、私の事は完全に無視するようになった。
レイはその事で彼を何度も叱ってくれたみたいだけど、彼は頑なに拒んだ。
そして、いつの間にか二人の仲は進展してるみたいだった。
彼は私との関係で味をしめたのか、やたらレイの身体をベタベタ触る。
レイもやんわりと抵抗してる癖に、喜んでいるようにしか見えない笑みを浮かべている。
そういう二人の姿を見ているのは、正直嫌な気分になった。
でもそれがニ人を否定する理由にはならない。私が彼らに与えた仕打ちに比べれば…。
結局、シンジとは元通りに仲良くはなれなかった。
現在のような親友に戻れる日が来るのは、それから更に二年近く経ってからだった……。
アスカ編終わりで、次からレイ編突入です。
やっとスレの趣旨にそった、二人の馴れ初めが書けます。
>>UNKNOWNさん
GJ!!これは…麦わら帽子のレイさんが見れそうですねぇ。
407 :
175:2005/12/17(土) 20:15:07 ID:???
408 :
175:2005/12/17(土) 20:26:33 ID:???
あ。 それとですね
携帯で見れないとのご指摘ですが、
このまとめはPCで読むことを前提に作ってますので
あくまで携帯からは「読めたらラッキー」程度に思っていただければ
有り難いです。
もしガチでどんな携帯にも完全対応を目指すとなりますと、
10行ぐらい表示して次のページ作成→
10行ぐらい表示して次のページ作成→ ……
と、ひとつの作品完結まで数百ページ作らないといけませんので
そこまでは出来ません。ご了承ください
硫酸&175(イナゴ)さんGJ!
量産機戦だけ読めたよ。
アルエっていいよな
411 :
1:2005/12/18(日) 00:04:31 ID:???
【その少し前/3】
更に翌日。
昨日のように会心の作であるお弁当を持って、登校していた時。
目の前に綾波が居た。
お弁当を渡さなければ、と思い声を掛ける。
「おはよう、綾波」
僕の声で気がついたのか、くるりとこちらを向く。
数回瞬きした後、「おはよう、碇君」と言って微笑んだ。
綾波は最近、とても素敵になったと思う。
喋りはまだ下手だけど、よく笑うようになった。
といより、喜怒哀楽がハッキリしてきたのだと思う。
嬉しい時は笑うし、哀しい時は泣く。
それを彼女で見るのはとても新鮮でとても可愛いと思う。
あ、でも笑うって言っても極々限られた人しか変化が見抜けないってのも、どうかと思うなぁ
・・・じゃなくって
「はい、これお弁当」
鞄から昨日と同じようにお弁当を手渡す。
「ありがとう、碇君」と言いながら、彼女はそれを受け取った。
ふと、昨日の疑問が浮かび上がる。
412 :
1:2005/12/18(日) 00:05:33 ID:???
「あ、そうだ、綾波」
昨日のお弁当。
空っぽだったけど、なんでか箸が使われてなかった。
それが、昨日の間ずっと引っ掛ってたんだっけ。
「何、碇君」
「うん。昨日さ、お弁当どうやって食べたの?」
「・・・・・・・・・普通によ」
・・・嘘だよね、それ。
だって普通にって事は箸を使ったって事だし。
というより綾波、出来てないよ嘘。
目が泳いでるし、挙動不審だよ。
嘘、下手なんだね。
「でもさ、使われてなかったんだは「洗ったのよ」し――え?」
聞き返しても、頑として口を開いてくれない。
ええと、洗ったって言ったんだよね。
というか早すぎだよ、言うの。怪しさ満点だよ。
413 :
1:2005/12/18(日) 00:06:24 ID:???
「あ、そうなんだ・・・じゃあ、もう洗わなくても大丈夫だから」
でも、本当の事は言ってくれなさそうなのでここは釣られておく。
綾波は上手くいったと思ったのか
「そう、判ったわ。じゃあ、また後で」
と言い、逃げるように去っていった。
・・・そっか、綾波は嘘が下手なんだ
なんだか、新しい発見が出来てちょっぴり満足になった。
414 :
1:2005/12/18(日) 01:03:10 ID:???
お昼。
いつもの様にお昼を食べに行く・・・ふりをして綾波の後を追う。
ずっと追っていると、屋上まで行ってしまった。
そうか、ここでお昼を食べてたんだ綾波は。
膝の上にお弁当をおく様は、なんというか・・・可愛い。
これを見れただけでも、綾波を追った甲斐があったというものだ。
そして綾波は、お弁当箱を開ける。
綾波はジィっとお弁当の中身を見ていて、僕は何故か凄く恥ずかしかった。
しばらくして、見飽きたのか彼女はパッと顔を離しおもむろに――
「タッパ?」
――懐からタッパを取り出した。
あまりに予想外の事で、口から疑問が漏れてしまう。
慌てて口を塞いで様子を観察したが、気づかれてはいなかった。
ホッと胸を撫で下ろし、様子を見続ける。
415 :
1:2005/12/18(日) 01:04:55 ID:???
彼女は手で具材を取ろうとして・・・止めた。
今朝の事を思い出したのか、側の箸でタッパに詰めていく。
ひょいひょいと軽快に詰め込んで、最後に蓋をする。
結構詰め込んだ割にはまだ残っていたお弁当の中身は、綾波に頂かれていた。
食べてもらえたのは嬉しい・・・嬉しいんだけども。
なんだか悲しくなってきた。
そんなに美味しくないのかな、僕のお弁当・・・
屋上の影で、僕は一人打ちひしがれていた。
とぼとぼと教室へ戻る僕。
まだお昼を食べてない事に気がついたけど、もう食欲も無い。
そのままの気分で僕は、午後を過ごした。
416 :
1:2005/12/18(日) 01:07:02 ID:???
放課後。
帰り際になって、綾波からお弁当箱を返して貰っていなかったのを思い出した。
気が引けたけれど、仕方ないのでお弁当箱を貰いに行く。
丁度、綾波も教室に残っていた。
「・・・綾波、お弁当箱返して貰える?」
「ええ、はい、これ」
手にお弁当箱が乗せられる。
軽かったけど、その軽さが今はとても苦痛に感じられた。
「・・・あのさ、綾波」
「なに、碇君」
そのまま帰ると、ずっと引き摺りそうで嫌だった。
聞かないままで居ると、後悔しそうだった。
だから、勇気を出して聞いてみた。
「お昼にさ、悪いと思ったんだけど・・・君をつけてたんだ」
「・・・」
綾波はちゃんと聞いてくれているのか判らない。
もしかしたら怒ってるかもしれない。
けど、怒られてもいいから真実が知りたかった。
417 :
1:2005/12/18(日) 01:09:19 ID:???
「タッパに・・・お弁当の中身詰めてたよね」
「見ていたのね・・・」
「何でなんだよ・・・僕のお弁当、美味しくないの?食べたくないの?」
「いいえ、そんな事は無いわ」
その一言が何を引いたのか、一気に怒りがこみ上げてきた。
「なら何でだよ!美味しくないならそう言えばいいだろ!何で嘘つくんだよ!」
「・・・嘘、ついてないもの」
「そんな事ないだ―――あ・・・」
そうだ、綾波は嘘が下手なんだった。
今の綾波は別にどこも変化は無い。
今朝のように、目が泳いでいたり挙動不審という事は全く無い。
「・・・ごめん」
「謝るのは私の方。あなたに酷い事をしたわ」
ごめんなさい、と綾波が謝ってくれた時心が軽くなった気がした。
昨日とは別の意味で、軽くなった。
「良いんだよ、そんな・・・それより、なんでタッパなの?」
落ち着いた僕は、当然の疑問を彼女のぶつけた。
418 :
1:2005/12/18(日) 01:10:04 ID:???
「それは・・・・・・・・・」
長い沈黙。
彼女は戸惑っているのか、珍しくまごついていた。
しばらくして、観念したのか重い口を開いた。
「・・・お料理を勉強しているの」
・・・
ええと、ええと、綾波の言葉が理解できない。
ゆっくりと噛み砕いて、頭で理解する。
綾波が、料理を、勉強している、と。
・・・
「ええええええ!!!!!!」
長い間が有った後、とんでもなく驚いた。
綾波が、料理を勉強してるだなんて!
・・・あれ、でも
「じゃあ、タッパって何に使ってるの?」
そこである。
綾波が料理を勉強してるのは判った。とても素晴らしい事だと思う。
でも、それとこれとでは話が合わない。
419 :
1:2005/12/18(日) 01:11:07 ID:???
「・・・味見に使っているの」
「味見?僕のを?」
どういう事だろう、まだ判らない。
味見・・・料理・・・うーん
「ええ、あなたのお料理はとても参考になるわ」
参考・・・ああ、判った!
そうか、綾波は僕の料理を参考に勉強してるんだ!
・・・ん?それなら
「なら、僕に言えば良かったのに」
そう、言ってくれれば手伝ったのに。
独学じゃ大変だし、タッパなんかで持って帰らなくてもその場で作るのに。
そう言うと綾波は顔を真っ赤にして、否定した。
「それは駄目、駄目なの」
「うん?なんで?」
「それは・・・・・・」
また長い沈黙。
口をパクパクと動かして、言おうか言うまいか躊躇っているようだ。
やがて、先程と同じように意を決して言葉を紡ぐ。
「・・・い、碇君を、驚かしたかった・・・から」
420 :
1:2005/12/18(日) 01:12:24 ID:???
・・・
今度は大丈夫、ちゃんと理解できた。
理解できたからこその沈黙。
どんどん顔が熱くなるのが、嫌でも判る。
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
言葉を掛けないといけない気がするのに、口がいう事を聞かない。
「あ、あやなみ」
辛うじて紡げた言葉。
けど、綾波は恥ずかしさが最高潮に達したのか、言葉をかけるとバン!と走り去っていった。
教室に残されたのは、僕とお弁当箱。それと、彼女の残り香。
明日から、どうしよう・・・
421 :
1:2005/12/18(日) 01:15:03 ID:???
縮小する術を誰か・・・誰か教えてください(´・ω・`)
>>リュウ氏
読みやすさを目指してます
目指してると長くなるのです・・・うぅ
175さんのサイトいってみれば……コモレビやん!
ココノさんグッジョブです。貴方は本当にLRS界の英雄ですよ。
レイ猫さん、なんかレイが恐くてわくわくしてしまいますね。カヲル君も性格悪いし、
アスカはちょびっといい人っぽいし、人物が面白いですね。
リュウさん、一番割食っている格好になっている肝心のレイの心情が遂に明らかになりそうで
今から色々想像してしまいます。一番キツイコト思ってるのやっぱりレイのような気がしますしね。
目の前での「私も、あなたには死んで欲しかったわ」は痺れました。
1さん、こういうほのぼのも大好きです。ただただ幸せそうな二人も良いですよね。
料理を勉強するレイちゃん。
シンジの料理と自分の料理の味を比べながら「いつかは……」
萌えますねー。
明日からどうするのか楽しみです。
本当に、職人の皆様、お疲れ様です。
>>1氏
いや、今のままで良いと思いますよ〜。
一人称(シンジ視点)で書いてる事を考えれば
これ以上削ったらそれこそ内容が伝わらないと思うので、
現状がベストではないでしょうか?
ちなみに僕は、また描写不足と言われないように
出来るだけ細かく書いて、そこから削っていくようにしてます。
半分ぐらい削って、それでも長いのが悩みの種ですが…orz
読んでる人はどうなんでしょう?
言い忘れてたけど、GJ!!デスヨ
タッパ-を持参する綾波カワユイ(*´д`*)ハァハァ
おこんばんは。
皆様に喫茶スレからたこ焼きのお土産ー
∬∬∬
ヽ ◎◎◎ノ
 ̄ ̄ ̄
最近ここのレス加速に付いて行けてない希ガス…
>>リュウ氏&
>>1氏
GJ!Σb(`∀´ )
両作品とも、どんな風にレイとシンジとラブラブになるかすごい楽しみ。
あと
>>1氏、コテハンと酉を付けてみては?
レイ猫氏も焦らずにじっくり書いて下さいな。
スレ住人はみんないつまででも待ってますよ。
いつの間にか400越えか...
早いな、はたしてシンジ達は1000までに結婚するのか
皆ゴメソ。数えてみたら俺のレスが50ぐらいあった...
『ソレ』は、レイの7年前の記憶を覗き込んだ…。
「碇君!」
『綾波?』
「その槍を使って!ロンギヌスの槍で、エヴァシリーズのコアを破壊して!」
私の声に、シンジ君は初号機を動かした。
喉元に突きつけられたロンギヌスの槍を掴み、戦闘態勢に構える。
彼は、迫り来る9機のエヴァシリーズを全て倒した。
戦略自衛隊が本部を占拠しようとしたけど、
死んだはずの渚君が現れ、A.T.フィールドで副司令や発令所の人達を守り、
シンジ君が初号機を使って、隊員達を踏み潰すという大虐殺を行った為に、彼らは撤退した。
初号機が無理矢理侵入したおかげで本部はボロボロになったけれど、事実上のネルフの勝利だった。
そして私は、ヘヴンズ・ドアの向こうに磔にされたリリスの元へ向かう…。
鉄の仮面に描かれた目が、私を見つめている気がした。
私も、その白い巨体を見つめる…。
「ごめんなさい」
"・・・・・・?"
「私、あなたの元へかえれない。もう少し、人として生きたいの」
"・・・・・・"
その巨体が言葉を話す事は無かった。いえ、私がいる以上、魂すらない、からっぽの肉体のはず…
だけど、リリスの身体が私を寂しそうに見つめているのは、気のせいではないと思う。
「さよなら」私がそう言って、背を向けた時――
"さようなら"という声が聞こえた。
私は碇君にお願いして、初号機に一緒に乗せてもらう。
「これが無ければ、もう人の力では補完は出来ないわ」
ロンギヌスの槍を、再び空の彼方に投げる。
槍は偶然か、自らの意思か、また月に落ちる事となった…。
と、今回はここまでデス。
>>422さんのレスを読んで、この先の展開を変える事にしました。
422さんの想像を超えられるだろうか…。
気負う必要はない。
やりたいようにやりたまえ。
有り難う御座います。
とても楽しませていただいて居ります。
ここに来てのマターリ進行、・・・悪くないな
『地球』に四季が戻った頃、第三新東京市に一人の女が到着した。
黒いロングコートに黒いブーツ、その手には黒い手袋が填められ今その手が口にくわえられた煙草に火を付けた。紫煙が彼女の頭を覆う。
上から下まで隙間無く黒で埋められた体躯に不釣り合いな青い髪。不気味なほど赤い空がその髪を紫に染める。
彼女の名はレイ。
碇ゲンドウの妻、ユイのコピーにして人類保管計画の要であった者である。
「あれから何年経ったのかしら…。懐かしいわね…」
この時の彼女の感情は決して良い記憶を振り返るだけではなかった。
「あのコンビニ、まだあるのかしら…?」
別にコンビニでもどこでも善かった。ネルフへ行く時間までまだ時間があったし、どこかでシンジに逢ことを望んでいたのかもしれない。
コンビニへ行ったが取り立てて変わったこともなく、またしばらくぶらついていたときだ。
「あっ…」
聞き覚えの無い幼い声に引き留められたのは。
「ん……?」
振り返ると三歳、いや五歳ほどの少女が口を馬鹿みたいに開けて立っていた。
「……誰?」
少女は訝しげな顔を隠そうともせず言った。
「しらないひとになまえおしえちゃいけないってダディが」
「そう……えらいのね…。私は、レイ。綾波レイよ」
名前を聞いて少し警戒心を解いたのか少女は強ばらせていた体を楽にした。
「レイ?へんなおなまえ!でもあたしレイちゃんのことおうちでみたことあるよ?」
あぁ、そうか。レイは確信した。話していて、その容姿で気付くべきだったと後悔した。
この娘、アレに似てるんだわ…。だから…
「どうしたの?」
少女が心配そうに上目遣いで見てきた。その表情は彼にそっくりだった。
「いいえ。何でもないわ。ねぇ、私は名前を教えて、知らない人じゃなくなったでしょう?だから、お名前教えてくれる?」
少女は少し考えたようだが、笑顔で言った。
「あたしはねー、アイっていうんだよ!」
「アイ、ちゃん…?」
「んー?」
屈託のない笑顔。レイには持ち得なかった、その笑顔。少し、悔しくなった。
然し、その想いは、声によって遮られた。
「アイ――――!?どこ――――!?」
アイ、ちゃんが後ろをぱっと振り向く。
「お父さんね……?」
「うん!ダディはねーとっても優しいんだよ!!ママももちろんだよ!!」
その男はアイちゃんを見つけるやいなや、レイの存在を確認できなかったかのように駆け寄ってきた。
「アイっ!!」
小さな体が宙に浮く。
「公園に行てって言ったじゃないか…よかった…何もなくて…」
男は息を切らせながら娘の無事に安堵していた。
「奥様に似て、とっても可愛らしいお子様ですね…」
「いやはや、どうも…」
とやっと気付いたように恐縮そうに眼を細めて礼の言葉を並べようとするが、それは叶わなかった。
「……碇君」
「!!……レイ……!?」
「えぇ、それで問題ないわ碇君。私は貴方の元妻の綾波レイよ」
シンジの顔は再会に喜ぶべきか、彼女から逃げてしまった事を謝るべきか解らない、引きつった表情を浮かべている。
「セカンドは元気にしているのかしら?」
レイの質問にしどろもどろに答える。
「えっ…ま、まぁ…元気っていうか…元気にしてる…よ」
「そう」
アイちゃんはキョトンとした表情でシンジを見ている。
「こんなに可愛らしい子供も産んで、家族として生活して…さぞかし幸せでしょうね」
シンジとレイは以前、一度だけ夫婦に成った。レイからの一方的な結婚だったが日を重ねるうちにだんだんと打ち解けてきた。
然し、その生活も長くは続かなかった。
子供が出来なかったのだ。レイはそれをシンジのせいにした。頭では自分の身体が悪いと解っていた。だが、信じたくなかった。彼女は毎日のようにシンジへ暴言を吐いた。
いつの間にか、シンジは居なくなっていた。
シンジが居なくなって数日、渚カヲルから連絡があった。
『シンジ君はどうやらセカンドのところにいるらしい。どうする?行くのかい?』
『私は……………』
シンジがレイと住んでいた家に行ったとき、レイは持う家にはおらず、姿を完全に消していた。
そのレイが目の前にいて、話している。
シンジは夢か幻を見ているようだった。
「アイちゃんは、幸せ?」
話しかける相手をアイに変えたレイに内心ほっとしながらも、また冷や冷やする。
「んー?しあわせってなあに?」
レイはふっ、と少し笑った。
「アイちゃんには難しすぎたかしら?」
こうしているとシンジは昔のレイに子供が出来たらこんな感じなのだろうか、と思った。
「はっきり言って、碇君」
"碇君"の響きがシンジを少し悲しくさせる。
「レイ…もう僕のことを名前で呼んではくれないのかい…?」
レイは眼を伏せがちに言った。
「はっきり言って、碇君。少し、少しだけ今の貴方が憎いわ…」
シンジはぞっとした。その時のレイの眼が、出会ったときの人形のような眼だったからだ。
そんなシンジを余所にレイは話つづける。
「さっきの質問だけど、それはないわよ…。貴方はまた、逃げたんだもの」
シンジはギュッと何かに掴まれたような感覚に陥る。
「そして今、再会した。私はどうするの?貴方達をどうしたいのかしら?」
そう言いながら煙草に火を点ける。
彼女の周りに紫煙が漂う。
「私は、殺したいわ。貴方達を残らず、ね」
シンジは生唾を飲み込む。身体を強ばらせる。
レイは真剣な、それは表情の概念が通用しないほどの無表情でシンジの頭に、煙草を持った右手で銃の形を作り、撃った。
「Bang.」
と冷めた声と共に。
レイと碇父子との間に沈黙が横たわる。
するとレイが吹き出すように笑った。
「フフフッ。アハハハハハハ…」
シンジがキョトンとする。腕の内のアイはスヤスヤと寝息をたて始めている。
「冗談よ、冗談」
「え……え……?」
その狼狽える姿は滑稽だった。
「ま、昔の私なら本当にやっていたもしれないわ…。でもね、今は寧ろアイちゃんを不幸にしたら許さないから」
レイは自分から出た言葉が信じがたかった。でも、そうかもしれないとアイの寝顔を見ながら想う。
「い、言われなくても解ってるよ!!絶対だ!!」
やっと落ち着いたシンジがそう約束する。
「うん。頑張ってね、お父さん」
「レイ……」
レイは気づいていなかった。その時の表情が、とても優しかったことに。
「じゃあ、私行くから」
そう言って歩き出す。
「どこにだい?」
すがりつくような声でレイに訊く。
「どこか…」
行き先はネルフ本部だったが、気分的にそう
「どうやら逢えたようだねファースト、いや、綾波レイ。ん?まだ"碇"レイだったかな?」
ネルフ本部に向かっている最中、後ろから声がした。
だが、今度は少女ではない。
「やっぱり貴方だったの」
渚カヲルは片手を挙げて軽く挨拶をする。
「ずっと覗いていたのね?変態」
カヲルは苦笑しながら言った。
「そこまで無粋じゃないさ。せっかくの再会なのに、さ」
「…………ありがとう」
ボソッと言った。
「ん?何か言ったかい?」
聞こえていたのかいないのか解らない反応をする。
「何でもないわ」
「ま、別に良いけどね。ところで、質問に答えてもらえないかい?」
"質問"シンジが居なくなった時にカヲルへの調査依頼。その報酬が"質問"だった。
「いいわ」
満足そうにうなずくと謳うように訊いた。
「結婚とは、どんな感じだった?」
レイはふっと笑った。
「相手を見つけて、自分で体験した方が良いと思うわ」
カヲルはまた苦笑しつつ言う。
「ファースト、どうだい?僕と結婚ってのは?」
レイは口に煙草をくわえながら言った。
「考えておくけれど、今後逢えるかしらね?」
ちがいない、と振り返り鼻歌交じりにその姿を消した。
不気味な程に赤い太陽がレイの髪を紫に染め上げる。
その姿は、華奢で、儚く見える。しかし、彼女の心は今や誰よりも強く成っていた。
今日シンジに会って何かが吹っ切れた。アイちゃんや、他の子の未来を支えられたら良いと思った。自分には子供が出来なかった、でもそれで終わりではない。未来を、支える。
「我ながら、良いことを言ったわ」
その口にもう煙草は無かった。
ENDE.
いつの間にか新しい人が…
バツイチのレイに衝撃を受けつつ、GJ!
先の展開にドキドキです。
えっと…未熟者ですいません。
しかも
>>441ミスりました…(´・ω・`)
「どこにだい?」
すがりつくような声でレイに訊く。
「どこか…」
行き先はネルフ本部だったが、気分的にそう言っていた。
「また、逢えるよね?」
「あら、別に貴方には会いたくなくってよ。アイちゃんになら会ってあげるわ」
シンジは苦笑しつつレイを見送った。
っていうのが入るはずだったのですが…すいません。
リロードしてみたら完結してた…
読みきりでしたか…スマソ
しかしGJ!でございました。
こんな時間にありがとう御座います。
半分が誤字脱字で出来ており申し訳ない気持ちでいっぱいです。
と、言うより猫さん、ごめんなさい。
煙草レイのインパクトが2nd並だったので…
仕事の休憩中なのですよ〜。お気になさらず。
誤字脱字は慣れれば減るから、気にしないで、
気が向いたら次回作を投下するんだ!
良い作品を、ありがとう
いえいえ。そんな川'σ川
携帯だと書きすぎると400文字以降が消えちゃったりして…(´・ω・`)
はい。また妄想浮かんだら書きたいと思います。
誤字脱字をなくして…
がんがります(`・ω・´)
猫たんファイツ
浮気禁止なのにバツイチ…
結婚生活なのにバツイチ…
>レイはそれをシンジのせいにした。頭では自分の身体が悪いと解っていた。だが、信じたくなかった。
>彼女は毎日のようにシンジへ暴言を吐いた。
そりゃ逃げるわな…と思うのは漏れだけだろうか?
(´゚ω゚`)そ、そうですよね…。
そしてネルフを離れて、私はシンジ君とアスカと共に暮らす。
そこで私は、二人の関係に苦しむ。
シンジ君がアスカと寝ている事に気付いたのは、二人の関係が始まってすぐだった。
私の部屋の隣に位置するアスカの部屋から、シンジ君の叫び声が聞こえた気がした。
アスカの怒鳴り声も聞こえる。
私は二人に何が起こっているのか解らなかったけど、
とにかくシンジ君を助けようと思って、アスカの部屋に入ろうとした。
でもそこから聞こえて来たのは、世間知らずだと言われる私でも解る、男女が抱き合う声…。
私は部屋に帰り、アスカの部屋側の壁から出来るだけ離れて、泣きながら眠った…。
それから、私は二人と暮らすのが苦痛になった。
その時はシンジ君とは恋人では無かったけど、私は彼の事が好きだった。
料理、上手な買い物の仕方、掃除、洗濯、遊び…そんな普通の生き方を教えてくれたシンジ君に、
私はいつの間にか心惹かれていた。
でも、その彼はアスカを選んだ。悲しくて、悔しくて、憎くて…
しかも私に見せつけるようにシンジ君にべったりするアスカに対して、私は憎悪を覚えた。
二人に開いてたはずの心の扉が、再び閉じて行くのが自分でも解った。
ある日の夕食時、アスカが私の横でシンジ君とキスをした。
私は二人を見ないようにテレビに身体を向ける。
でも、アスカがわざと音を立てて、私にその音を聞かせている事が腹立たしかった。
私はその場にいるのが辛くて、部屋に逃げ込む。
しばらくすると、いつもは隣の部屋から聞こえる声が、さっきまでいたリビングから聞こえる…。
私は耳を塞いだけど、それでも聞こえる…。
辛くて、声を押し殺して泣いている内に、いつの間にか眠っていた。
次の日、私はシンジ君を誘って、学校から一緒に帰った。
気まずかったけど、もしここで私が彼に近づかなかったら、彼は本当にアスカのモノになってしまう。
そう思ったから…。
でも、一緒に歩いていても前のように言葉が出て来ない。何を話せば良いのか、解らない。
そうする内に、彼の方から昨日の事を謝ってきた。
私がどう返事して良いのか迷っていると、彼はまくし立てるように言い訳をし始めた。
彼は、私に甘えてる…そう感じて、私は彼に腹が立った。
だから私は彼を突き放した。
彼から聞きたかったのは、言い訳なんかじゃない。
私が欲しかったのは、「これからはアスカとは寝ない」の一言…。
それすら自分で結論を出せない彼が嫌いになった。
もう、汗と体液の混じった臭いがする二人と食事したくない…。
その翌日から、アスカが部屋から出るようになって、私は驚いた。
彼女は料理をシンジ君に教わっているらしく、時々彼女が夕食を作ったりもした。
しかもシンジ君も彼女と一緒に笑う事が多くなった。
それは、昨日私が彼を突き放したから、彼に見限られたのだと思っていた。
私は、誰一人として信じる事が出来なくなった。
ある日の夕方…彼女がエプロンを見につけ、私に話し掛ける。
「ねえ、ファースト…今日の夕食、何食べたい?」
彼女が緊張した声で私に聞いてくる。彼女が私に話し掛ける時は、いつもこんな声を出す。
私は無視しようかとも想ったけど、そんな事をしたら私が悪者になるから、一応返事だけは返す。
彼女をこの場で消してしまいたい、という感情は見せないように気を付けながら…。
「私、いらない。食欲が無いの」
「そう…」彼女は悲しそうに目を伏せる。
でも、あなたが悪いの。無視されないだけ、ありがたく思って。
そうは言っても、彼女が好感の持てる人になりつつある事には気付いていた。
でも認めたくない。私の憎しみの行き場がなくなるもの。
そして、私の被害妄想は更に飛躍する。
アスカはシンジ君に気に入られようとしているんだわ。
良い人ぶって、彼を信用させて、いつかは私をこの家から追い出すつもりなのよ。
だから信じてはダメ。彼女は悪なの。悪者でなければならないのよ。
自分にそう言い聞かせる。
だけど、彼女を本当に好きになりつつあるシンジ君がいるのも、事実だった。
学校の帰り道、彼が私の後ろからやってきて、私に話し掛ける。
「アスカ、最近変わったの、気付いてる?」
彼は嬉しそうに眼を輝かせて彼女の事を語る。今の彼は、本当に楽しそう…。
私の汚い心が彼を否定する。
騙されてるのよ。彼女は本当は悪い人なのよ。
彼にそう言いたい気持ちを抑えて、精一杯の作り笑顔で、彼に嘘をつく。
「今の彼女、輝いているわ」
× エプロンを見につけ
○ エプロンを身につけ
またやってしまった…orz
>>445氏
というわけだから、誤字脱字など気にするな、という事ダス (´・ω・`)
リュウさん乙です!!
こっちが悲しくなりましたよ…シンジのバカァンヽ(`д´)ノ
でも、そこがいいっす…
私は食欲も無くなり、体調を崩しがちになった。
反対側の壁に移したベッドの中でも、二人の声が聞こえる…。
アスカさえいなければ、きっと私が彼の元にいるのに…彼女さえ、いなければ…。
そう考える内に、私はアスカの代わりに彼に抱かれる自分を想像して、自分を慰めた。
自分の体液に濡れた手が酷く汚らわしく感じて、私は石鹸で何度も、何度も洗った。
そして憎しみは、シンジ君にも触手を向ける。
私が隣にいる事を解ってて、なんでそんな事が出来るの?
彼も私を嫌っているのだという、思い込みが強くなる。
いえ、彼らだけじゃない。私は沢山の人に憎まれていた気がする。
記憶の、いえ、魂の底から、知らないはずの記憶が蘇る…。
幼い一人目の私を殺した赤木ナオコ博士…私の代わりに、予備の身体達を壊した赤木リツコさん…
碇司令も、私に優しくしてくれたけど、本当は違う何かを見ていた…。
462 :
1:2005/12/20(火) 21:40:46 ID:???
【その少し前/3】
更に翌日。
いつもの様に早起きをした。
昨日ならそのまますぐに台所に行くのだが、今日は足が向かない。
足が動かない、とした方が良いのかもしれない。
何故だろうか。
そんなの決まってる。
昨日の綾波に動揺したからだ。
僕に料理を作りたかったと、彼女は言った。
という事は、どうなのだろう。
綾波が料理を勉強している。
それはとても素晴らしい事。
でも、それじゃあ僕のお弁当は居るのだろうか。
料理を勉強したい為に、僕に頼んだんじゃないのか。
足が台所へ向かわない。
台所を避けるようにして、洗面所へと向かう。
冷たい水で顔を洗い、ふと思う。
僕はどうしたいのだろうか、と。
彼女に何をしたいのだろうか、と。
・・・
頭の中で整理をつける。
僕は―――
463 :
1:2005/12/20(火) 21:41:45 ID:???
通学路。
目の前に綾波を見つけた。
僕は昨日と同じ様に、彼女に声をかける。
「おはよう、綾波」
綾波は僕の声が掛かるとは思っていなかったのだろうか。
必要以上に体を跳ねさせ、こちらへ振り向いた。
「・・・おはよう、碇君」
声は返されるが、昨日の微笑みは見られなかった。
怯えとか困惑とか、何か色々混ぜ合わせたようなそんな顔。
「何か用?何も無いなら・・・」
と、そんなにこの場から去りたいのかすぐに踵を返してしまう。
僕は慌てて彼女を呼び止める。
「ま、待ってよ綾波!忘れ物だよ!」
振り向いた彼女の目の前に差し出すのは、あのお弁当箱。
目の前の彼女はいよいよ不思議そうな顔をする。
464 :
1:2005/12/20(火) 21:44:12 ID:???
「・・・何故?」
「何故って・・・頼んだのは綾波でしょ?」
「・・・けど、私は「あのさ、綾波」」
彼女の言葉を遮る。
こうでもしないと、聞いてくれなさそうだし。
照れくさい僕は、早口で用件を伝える。
「綾波、料理勉強してるって言ってたろ?だから、今度から僕が教えるよ。
後、僕が良いって言うまで綾波のお弁当は僕が作るからね」
目の前の綾波は眼をパチクリさせている。
・・・何か言ってよ・・・恥ずかしいから
しばらくして、綾波の口が開く。
「碇君、そんなに迷惑は掛けられないわ」
遠まわしにだけど、キッパリ否定された。
いや、まあ予想はしてたけど。
465 :
1:2005/12/20(火) 21:45:24 ID:???
予想はしていたので、予定通り鞄で軽く彼女の頭を小突く。
軽い悲鳴をあげた彼女は、驚いてこちらを見る。
「そういう事はちゃんと料理が出来るようになって、僕を驚かしてから言ってよね。
綾波一人じゃ、どうやって勉強するか判ったもんじゃないよ」
伝えたい事は全て言った。
綾波に何か言われる前に、僕は早々と去っていく。
後ろの方で「碇君」と呼ぶ声がしたが、気にしないで突き進む。
・・・だって、予想以上に恥ずかしかったから・・・
466 :
1:2005/12/20(火) 21:52:40 ID:???
また風邪ひきました・・・いつもより短くて申し訳ないです...
寒いんだウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!
>>442氏
ほのぼのが好きです。幸せが一番でつ
>>リュウ氏
いつもいつもレスありがとうございます
とりあえずこの状態で頑張ってみます
>>425氏
ゴメンナチャイ・・・酉付け方判んないでつ
コテは特に案が無いのでつよ
>>466 酉は名前欄に
#とその後ろに好きな文字列
で付けれると思いまつよ。(#は半角で)
御一考を。
作品の方、GJです!
なんか皆さんほのぼのがお好きなようですね。
ほのぼの…ってなーんだ?
(´゚ω゚`)
>>468 いや別にほのぼのじゃなくてもいいと思う。
気になったのは無理やりシンジを悪者にしているように感じたこと。
自分に問題があると分かっててシンジを責めるのはレイらしくないと思うんだ。
あ、そう言うことすか。
なんて言うか、シンジと触れ合うことによって良い意味でも悪い意味でも感情が芽生えた結果、と言い訳したtst。
ありがとうございます。いろいろ為になりますです。
たとえ責められても相手を気遣う…
それが碇シンジクオリティー
話が混ざってきた俺の脳に666プロテクトがかかりますた。
硫酸、作り笑顔のレイ最高。
猫様、カモォォォゥゥン!!
マウスの調子が悪くて、一部しか送れなかった…orz
続きは朝方投下シマス。
>1氏
いや、色々偉そうに言ってしまってスマソ…
今の弁当話の雰囲気が大好きなんですよ〜。
>Erz氏
大丈夫。
今、最もほのぼのから遠ざかってる僕がいるから(´・ω・`)
誰も私を愛してくれなかった。そう思うと、胸が締め付けられる。
今まではさほど気にしていなかった過去が、途端に憎くなる。
憎しみの中心に、またアスカが現れる。
『人形の癖に!』『アンタ、碇司令のお気に入りなんですってね〜』『優等生』
『ファーストには関係無いでしょ…それより…』『あの子、さっさと出て行ってくれないかしら…』
『ンン…アァン…シンジぃ…ア、アアァッ!』
「うるさいっ!」
私は枕を、声が聞こえる方の壁に投げつける。頭に血が昇ってクラクラするほど、私の怒りは爆発しそうになっている。
私は机の引出しからカッターナイフを取り出し、立ち上がる。
アスカを刺すつもりだった。
隣の部屋に押し入って、裸の彼女を切り刻んでやりたかった。
私は部屋を出ようと、ドアノブに手をかけた所で、ハッと冷静になる。
もし彼女を殺したら、碇君は私を憎むわ。だから、彼女を殺すのは、ダメ……。
刃を剥き出しにしたカッターを床に投げ捨て、ベッドに潜り込む。
私の怒りは行き場を失って、身体を、心を押し潰そうと暴れまわる。
私はこのままではおかしくなりそうで、ベッドの面している壁を力の限り殴り続ける。
でも、気持ちは更に沈んでいく…。
何で私、こんな目に遭うの?なんで私を愛してくれないの?
嫌い。みんな大嫌い!私を愛してくれない碇君も嫌い!…………
…………だからみんな、死んでしまえばよかったのに…。
負の思考がループして、世界の全てが憎く見えてしまう。
我に返って、そんな自分が憎くなる。消えてしまいたくなる。
こんな汚い自分。弱い自分なんて、嫌い!前は辛くなかったのに、なんで今はこんなに辛いの?
ワガママになった自分が、大嫌い!だから、私も死んでしまえ…!
私は初めて、他人の恐怖が解った。補完を目指す人達がいたのも、理解できた。
その甘き死が、私を誘惑する…。
あの時、リリスにかえっていれば良かったという想いが、心の片隅に芽生える。
私は必死に否定しようとしたけど、心に生まれた憎悪がみるみると膨れあがり、潰されそうになる。
そうだわ、今でも私があの身体に戻れば、私が望めば、無条件に生命をリセット出来る。
そうすれば碇君とも一つになれるんだわ。こうして、他人に傷つく事も無くなる。
碇君も、アスカも、私もみんな、誰一人傷つかない世界……それは、幸せな事なんだわ…。
私は決心した。明日、行こう…。
ようやく苦しみから逃れられると思うと、少し安心して、眠る事が出来た…。
「あら、おはようシンジ君。」
「…ッ!!何で君が居るのさ!?」
「昨日そのまま泊ったから。アスカは先に学校よ、私達も行く?もうすぐお昼になるけど。」
「今日は、行かない。
しばらくカヲル君には会いたくないし…」
部屋からヨロヨロと出て来たシンジ君が椅子に掛け、大きな欠伸を一つ…
「コーヒー、淹れる?」
「あ、うん。お願い。」
「ごめんなさい、瓶が見つからないわ…」
「えっ?あー、家のはインスタントじゃなくて豆からなんだ…ほらココ。」
シンジ君はキッチン上部の戸棚から紙袋とプラスチックの筒を取り出すと、片手間にポットを水で満たして火にかける。
「ミサトさんがリツコさんから貰ったらしいんだけど、最近じゃ『インスタントは邪道!』とか言ってこれ使ってるんだ。」
豆を入れてフタを押さえ付けると、モーター音と砕ける音が混じり合う…不思議な音。
「ミルサー、だっけな…これの名前。綾波、コップ出してよ?」
言われるがまま私はカップを並べ、しばらくすると火にかけたポットがボコボコ音をたてる…
「お湯は最初ちょっとだけで、豆を蒸らしてあげると良いらしいんだ。」
そう言ってシンジ君が少しだけフィルターにお湯を注ぐと、ついさっきまでの香りはより一層深みを増して辺りに立ち込めた。
「シンジ君、自分では気付いてるかしら?」
「え。は?一体何の事?」
残りのお湯を注ぎながら変な顔をするシンジ君。
「最近見てなかったから、あなたのそうやって笑う所。」
「そっか、僕ってそんなに笑って無いのか…君に言われるぐらい。」
「ここの所変な事ばかりだろうから、それも当然と言えなくないけど…」
シンジ君の淹れたコーヒーを、まずは何も入れず一口。
「苦い。」
「えっと、じゃあミルクと砂糖を」
「でも、優しい薫りだわ。私にも分かる、あなたって上手いのね。」
「…あ、ありがとう。」
そう言って俯いてカップを眺めるシンジ君、誰にも邪魔されず穏やかに過ごす時間…今まで無かったそんな一日を、私は深く胸に刻み付けておく事にする。
「少しベランダに居させて貰うわ。」
「…灰皿はミサトさんの部屋にあるから。」
空は雨を降らせないまでも灰色、一面の雲。
私は手摺に寄り掛かって火を点ける…
「綾波、やっぱり君は煙草止めないの?」
少し開けたままのガラス戸の奥から、言葉が漏れて来た。
「私の問題だし、誰かに迷惑かけてないもの?」
「僕は心配だよ、肺ガンになるらしいし成長も止まるって…」
「そうやって心配してくれるのはあなただけみたいね。」
「アスカ達は知らないだけでしょ?知ってたら絶対に止めてるさ。」
私の吐く煙は、空へと登り掻き消えた…
「こっちきて、シンジ君。」
ベランダの隅でシンジ君の肩を抱き寄せ、コンクリートで煙草を捩じ消す。
「成長した私を見たい?」
「将来的にね。もっとも、僕らが生きてればの話なんだけど。」
「私がきっと守る、あなたもアスカも…だから絶対、裏切ったりしないで側に居て。」
私はシンジ君の首筋に唇をあて、甘噛みした。
トゥルルルル、トゥルルルル…
「綾波の携帯、取って来るよ。」
そう言ってシンジ君が私の腕から抜け出て部屋に…私もすぐに後を追う。
電話はネルフから、使徒出現の報せ。
確か今回で最後…ならなんとしても、私は勝ってみせる。
シンジ君の肩を、この先も抱いている為に。
10分と掛からずジオフロントへ降り、出撃。
「おあつらえ向きね、アイツが使徒なんて。」
「全く!いけ好かないとは思ってたけど使徒だとはねぇ〜。」
「…君達、驚きは無いらしいね。」
監視カメラと出現反応から、MAGIが正体を渚カヲルと断定。
私達はジオフロントのさらに下へと降りて行く…
〈皆、司令からの伝達よ。『目標が降下しきる前に撃破、万が一最下層まで侵入を許した場合人類に未来は無い』
相手のフィールド出力はハンパ無いらしいから、くれぐれも気をつけて…そろそろ相手の通信妨害区域に入るわ、生きて帰りなさい!!〉ザッ
「…だってさ。」
「まぁ、渚カヲル相手なら負ける気はしないわね。レイ、あんたが仕留めなさいよ?」
「そうさせてもらうわ、シンジ君が色々お世話になったらしいから…ね?」
「…綾波、ちょっと怖い。」
そんな矢先私達はモニターに目標を捉えた。
シンジ君のパレットライフルもアスカのグレネードランチャーも効果無し、さすが最後のシ者。
「やぁ、随分と派手な歓迎だね♪でもあいにく最後に残るのは優れたモノ、つまりは僕さ。」
ただいまデス。
>>473 出来るだけ穏便に事を進めたかったが致し方あるまい。
>>473の脳の直接占拠を行う。
ってキール議長が言ってました。
>>474 dクス!!
おはよぉみなたま。
「こうなりゃとっととカヲルやっつけて結婚だね、あー見るの面倒くさ。」
とか思ってくれると良いな、いくらでも裏切れる。
いや、心裂かれる痛い裏切りでなくてね。
待て次回。
|ノシ
レイ猫様いつの間に!邪魔してゴメンナサイ…(´・ω・`)
あれ?レイ猫様が急に現れたのは、もしかして、補完され バシャ
お二方、乙デシ。
リュウさん、補完されるのは結構ですが、LCLになるのは完結してからにしてください。
486 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/21(水) 09:01:00 ID:2h8TIVQv
猫さま(゚∀゚)キター!!
今書いてる人何人います?
488 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/21(水) 16:18:55 ID:bmD8Y4QP
玄関から向かって右、開かずの部屋がある。
私だけがこの部屋に入れる、鍵を持っている。
今日も空調をガンガンに効かせ、消毒をする、甘い結婚生活に腐敗臭は
似合わないから・・・・・
「綾波、ずっと聞きたかったことが・・・・」
シンジは言いかけて口を噤んだ。
そう、私の視線を正面から受けた時に彼は、いつも言葉を失う。
「何?」
私は席を立つと、シンジの顔にじぶんの顔を近づけた。シンジの息がかかる。
脅えているのね・・・・
結婚生活2年目、浮気もしないし記念日にはいつもプレゼントを買ってくれる、
最高の夫だ。
私は彼を不満に思ったことなどない、そして絶対に失いたくないと思う。
彼を自分の傍においておく為ならなんだってしようと思う、たとえそれが、
人の倫理に反することでも・・・・・
「あの部屋のこと?」
シンジは身体を強張らせながら小さく肯く。
「入ってきちゃ・・・・ダメ。」
そう言って私はまた一人、開かずの部屋に入って行く。
489 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/12/21(水) 16:28:05 ID:bmD8Y4QP
私は幸せな筈なのに、欲しいものは全部手に入っているから、
幸せな筈なのに、笑顔が作れない・・・
シンジの傍に居たのはアスカだった。
アスカには敵わないと思っていた。それでも・・・シンジが欲しかった。
3年前のあの日、私は言葉巧みにアスカを呼び出した。
「なぁに?ファースト、このあたしになんの用?」
「・・・・目障り。」
「え・・?」
「あなた、目障りなの。」
ズブッ・・・・
あの日のアスカはあの日のまま、今も私達の家で眠る・・・・・。
「俺たちは、子供だよ……ルーシー・モノ・スト━━ンの━」
「ルーシー・モノ・スト━━ン…」
「量産型で十分だった…よ…な…」
「量産…?」
ちょっと質問が。
ここにいるおまえらはマターリ系の話がいいのかそれとも
すこし重い話がいいのか
意見求む
個人的にはマターリ系がいいな。前スレの流れは気に入っていたし。
マターリ系に一票。
綾波さえいれば俺はどんな話でも。
結婚生活なんやから重くせんと幸せ〜なマターリな感じで行ったらええと思うで、男女のドロドロした感じもあんまりおれは好かん。
↑に同意
俺もマターリ系が大好きだぁ〜!
でも重い話やドロドロした話もあってこそ、マターリなシンレイにより萌えられるんだという気もする。
ついに『萌え』が来た (゜Д゜)
500get!
むしろイマサラディスカ?
翌日は土曜日だったから、二人に気付かれずに出かける事が出来た。
私は始発の電車に乗り、ネルフ本部へ向かう。
そこに着いた時には、もうお昼頃だった。
丸く空いた穴の遥か下に、ネルフの三角錐の建物が見える。
私は穴の縁にギリギリまで近づいて、遥か下にある本部を見下ろす。
どうやって中に入ろう…それが問題だった。
私は「立ち入り禁止」の看板まで戻り、侵入計画を練っていると、背後から聞き覚えのある声に呼びかけられた。
「こんな所で何をしているんだい?ファースト」
振り返ると、そこには長い間行方不明だった渚君が立っていた。
「渚君…何故ここにいるの?」
「君こそ…何か、あったんだね?」
私は彼に全てを打ち明ける。自分の怒り、悲しみ、憎しみ…全てを彼に吐き出した。
「そうか…だが、もし君が本当にリリスに戻ろうとするなら、僕は君を消さなきゃいけないな」
「え?」
「だってそうだろう?僕は一応5thチルドレンなんだから。
サードインパクトを起こそうとする使徒を倒すのは、チルドレンの仕事だろう?」
彼に言われて気付く。今の私は、人類にとっては、ネルフを襲い続けた使徒達と同じなのだ、と。
「私が…使徒…」
「今の君は…そう、第2使徒リリスとでも呼ばれるのかな?」
「そう…そうね」
「僕は今ここで、君を消す事も出来るんだよ…」
彼はそう言って、私の首に手をかける。
「う!?」
突然首を絞められて、私は怖くて、彼の手を剥がそうと抵抗する。
彼の手は私の首から離れた。
「死にたい割に、抵抗したじゃないか」
彼は残酷な微笑を浮かべて、咳き込む私を見下す。その言い方に、私は反発した。
「違うわ…私が死んで、アスカが生きるのが嫌だったのよ…勘違いしないで」
「何でそこまで、セカンドの事を嫌うんだい?」
「あんな人、好きになれるはずが無いわ。私の事を『人形』と呼んで馬鹿にして、
私の目の前で碇君と抱き合うのよ。それに、彼女が私の事を嫌ってるから……」
「彼女は君の事を嫌って無いよ」
「嘘!」
「嘘じゃないさ。以前はともかく、彼女は何かのきっかけで変わったんじゃないのかな?」
「何でそんな事が解るの?あなた、アスカと会った事も無い他人の癖に」
「解るさ。彼女は自分の罪を償おうとしている。
罪を償うなど無理でも、それでも諦めず、君からの罰を甘んじて受けている彼女を、僕は気に入ったよ。
会えるなら、会ってみたいね」
彼の言葉は、私が自ら否定した、彼女への想いと同じ…なら、間違っているのは、私?
「今日は帰りなよ。遅くなると、二人が心配する」
家に帰る…そう思うと、私は怖くなった。
もしかしたら、二人は今頃私がいなくなった事を喜んでいるかもしれない。
帰って、私のお茶碗はあるかしら?お箸は?いえ、私の部屋すら無いかもしれない。
そう思うと、もう私には居場所が無い気がして、悲しくて、涙が溢れてくる。
「イヤ…帰りたくない」
「駄目だ。帰るんだ。それとも、ここで僕に殺されたいのか?」
彼は私に脅すように言う。
でも、その彼なら、私の居場所になってくれるかもしれない。そう、思った。
「嫌…もう、あの家に帰りたくない。私と一緒にいて…私を、あなたのそばにいさせて…」
私は彼に抱きつく。彼は優しいから、きっと私を抱き締めてくれると思った。
でもその期待はあっさりと裏切られる。
彼は、私の身体を引き離す。
「残念だけど、それはできない。君の心が求めているのは、僕ではないからね。
今の君は、シンジ君やセカンドと一緒さ」
「やめて!あんな人と一緒にしないで!」
「同じだよ。手に入りやすい代用品で、自分を誤魔化そうとしているだけさ。
それが相手を、自分をも傷つけるのだと解らない、愚かな行為だ」
私は呆然とする。私は、彼にも見放された…?
「とにかく、送るから今日は帰るんだ。大丈夫、近い内に、きっと変化があるから」
彼はそう言って、私を家の近くまで送ってくれた。
何時間もかかる電車の旅の間、彼は私を元気付けようと、世界中を旅した話を聞かせてくれた。
そして、世界の人々は皆、何かしら傷つきながら生きていると知った。その傷を乗り越えて、皆生きている。
私だけの都合で、その全ての人々を消そうとしていた自分が恥かしくなった。
そして、家の前に着いた頃には、夜になっていた。
「僕は君が羨ましいよ」唐突に彼が口を開く。
「なぜ?」
「君は、僕より遥かにヒトらしくなっているからさ」
「こんなに、苦しいのが羨ましいの?」
私の問いかけに、彼はいつもの笑顔を返すだけだった。
「じゃあね。いつか、また逢おう」
そう言って彼は私の額にキスをして、今来た道を引き返して行く…。
彼はどこでこんな事を覚えたのかしら…。
彼の唇が接した部分が熱くなる。
私は額を抑え、しばらくその場から動けなかった…。
彼の言う変化は、それから一週間後に訪れた。
私は、彼の言葉と、アスカを認めたくない自分のプライドに板ばさみになっていた。
そして体調を崩して、学校をお昼前に早退した。
家に帰り、リビングでお弁当を食べようとしていると、アスカがやってきた。
「ねえ、私もここで食べて良い?」
そう言えば、私がお昼前に早退するのは初めてだわ。彼女はいつもここでご飯を食べているのね。
テーブルを挟んで、彼女と向かい合う。沈黙…。
彼女は何回か私を見て何か言いたそうにしていたけど、中々言い出せないみたい。
でも彼女は、深呼吸を一つして、私に話し掛けた。
「ねえ、アンタ、シンジの事が好きなの?」
ほら来た…シンジ君がいないのを良い事に、私をまた苛めるつもりなんだわ。
どうせ続く言葉は、「彼は私のモノだから取らないでよね」とかそんな事なんでしょう?
「…どうして、そう思うの?」私は逆に聞き返す。あなたの目論見に乗ってたまるものですか。
「…私の事、怒ってるわよね」
彼女の言葉は、全く予想していなかった。けど、心の底で期待はしていた…。
「なんで?」私は出来るだけ平然を装って、答える。
「私が、シンジを奪ったから…」
解ってるのね。解っててやってるのね。なら、罪は更に重いわ。
だから私は、皮肉を込めて彼女を肯定してあげる。
「別に。二人が愛し合ってるなら、好きにすれば良いのよ。私には関係無いわ」
「違う…愛し合ってなんか、無いわ」
また予想外の答え…でも、私が望んでいた答え…。
「…じゃあ、一緒に寝るのやめたら?子供が出来てから、あなたそんな事言えるの?」
つい本音が出てしまう。
「解ってるわ!でも、シンジも私を求めて来るの…私が喜ぶと、あいつも喜んでくれるの!
私が離れたら、あいつ、きっと悲しむ…」
「なぜ、彼を悲しませたくないの?なぜ、彼を喜ばせたいの?」
「私、シンジに酷い事したのよ…私が傷ついたのを彼のせいにして…
あいつはいつも私を見てくれたのに、気付いて無かった…」
「そう」やっと気付いたのね。この馬鹿女。
「最低だわ…私…」
「…そう思う?」私も、そう思うわ。
「最低よ!人を脅迫して…無理矢理自分に服従させて…アンタの気持ち、解っててやってたのよ!
……私なんて、死んだ方が良いんだわ…」
彼女は顔を伏せて泣き始める。
私の心にぽっかり穴が空く。彼女も、傷ついていたのかしら…。
次に何を言って良いのか解らなくて、味噌汁をすする。部屋には彼女が泣く声と、テレビの音だけが響いた。
でも、彼女に復讐したい気持ちはまだあった。だから――
「私も、あなたには死んで欲しかったわ」
これだけは、彼女に言いたかった。
「うっ…ヒッ…う、うああぁぁぁ!」
テーブルに倒れ込み、大声で泣き喚くアスカ。今更後悔したって、私の怒りは収まらないわ。
「泣けば、どうにかなると思ってるの?」彼女を追い詰める。
「あああぁぁぁぅ!」彼女の声が一際大きくなる。
快感だわ……だけど…さっき心に空いた穴が、大きくなるのを感じる…。
「…ごめんなさい……ごめん…なさい…」
彼女の言葉に、私はある事に気付く。
彼女が私に謝るなんて…今まで無かった。もしかして、本当に謝っているの?
全身を震わせて泣き続け、時々痙攣を起こす彼女の肩は、とても小さく見えた。
(もう、彼女を許しても、良い?)
私は自分の心に問い掛ける。そして、心に空いた穴の正体に気付く。
この穴は、罪悪感…私の良心なんだわ。
胸を満たしていた黒い粘液が洗われていく…
憎悪、嫉妬、殺意、恐怖達が、消え去る事は無くても、薄まっていくのが解る。
それは、とても清々しい気分…苦しみは、憎しみは、もう無かった。
だから私は、彼女を許す事にした。
「…でも、今は死んで欲しくないわ」
この時から、私と彼女は少しずつ交流を深める。
彼女は私を名前で呼ぶようになり、いつしか友達と呼べる関係になる事が出来た。
でも、それで全てが丸く収まるわけでは無かった。
その夜、また隣から二人の声が聞こえる。
私は仕方ないと思った。不思議と憎しみは生まれない。
私が彼女を認めた以上、二人は堂々と恋人同士でいられるのだから…。
だけど、その私の予想に反して、シンジ君はアスカを無視するようになる。
二人が一緒に寝る事も、それから無くなった。
その代わりなのか、彼は私に優しくなった。
また以前のように、日常の大半を共に過ごすようになる。
私はそれが嬉しかった。けど、彼がアスカを無視する事には苛立つ。
wktk
私は堪り兼ねて、夕食の準備をしながら彼に注意する。
「もう、アスカを無視するのはやめて。そんなの、碇君らしくないわ」
「だって…アスカは僕を裏切ったんだ……僕を振り回して、傷つけて…」
「でも、彼女はその関係を止めようと言ったんでしょ?」
「そうだよ。だけど、その時には僕はアスカが好きだったんだ…
本当に恋人同士になれたんだって、信じてたんだ」
彼は拳を握り締める。顔に怒りが浮かび上がる。
「今でも、彼女の事好き?」
「嫌いだよ!だって、僕を捨てたんだ…大嫌いだよ」
彼の言葉が、今は理解出来る…本当は彼女が好きなのね。
好きなのに見てもらえない辛さ、私があなたに抱いていたのと同じ感情…。
「じゃあ、なぜ私に優しくするの?」
「…好きなんだ……綾波の事が好きなんだよ…そばにいてほしいんだ」
「でも、アスカの事も好きなのね」
「それは…そうかもしれない」
自分でも、気付いていたのね…でも、そういうあなたを、認めるわけにはいかない。
「私と、キスしたい?」
「な、急に何を言い出すんだよ!?」焦るシンジ君…顔を真っ赤にして、ちょっと可愛い。
「答えて。あなたは、私とキス出来る関係になりたい?」
「それは…したいよ。綾波と、ずっと一緒にいたい」
「いいわよ」
私があっさりと答えた事に、彼は驚いたみたいだった。
「でも、一つだけ条件があるわ」
「条件…?」
「そう。アスカに謝って、仲直りする事。出来ないなら、私はあなたを好きになれない」
「なんであんな奴に謝らなきゃいけないんだよ!謝るのは、アスカの方だろ!?」
「あなた、最近謝らなくなったわね」
「そうだよ。みんなが、僕に『すぐ謝るな』って言ったんじゃないか。
だから僕は、謝らないようにしてるんじゃないか!強くなろうとしてるんじゃないか!」
なんて子供なんだろう…彼への想いが冷めていく気がする…でも――
「でも私は、そういうあなたが嫌いじゃ無かったわ」
「え…?」
「人を傷つけないように気を遣い過ぎるのも良くないけど、
今のあなたみたく人をわざと傷つけるよりは、よほど良い事だと思う…」
「綾波…」
「私がアスカを許したのは、彼女が謝ってきたからよ。謝る事は弱い事でも何でもない。自分の過ちを認められる、
強さだと思うわ。だから今の碇君は嫌い。昔の碇君に、戻って欲しい…」
私の言葉に、彼はしばらくうつむいて、呆然としていた。
でも、拳をギュッと握り締め、顔を上げて私の目を見つめて、言った。
「ありがとう、綾波…アスカに、謝って来るよ」
彼はエプロンを脱いで、アスカの元へ走って行った。
これで良い…もし二人が、恋人同士になっても、私は良いと思った。
その時は、喜んで二人を祝福するわ…。
しかし、彼は私の元へ帰って来た。
今まで見た事ない、すっきりとした笑顔…私には、彼の笑顔が誰よりも光を放っていると思えた。
「アスカ、許してくれたよ…」
「そう…良かったわね」
「そしたらさ、『そんな事より、早くご飯作って来い!』なんて、怒られちゃったよ」
「ふふっ、彼女らしいわね…おめでとう」
「ありがとう……あ…」
私は彼に口付けをする。
彼は私の背中に腕を回し、優しく抱き締めてくれる……暖かくて、幸せな感触…。
「…私の事、好き?」私は口を離し、そっと囁く。
「好きだよ…綾波」
「私も…好き……ずっと、一緒にいて欲しい…」
そして、もう一度、唇を重ね合わせる…。
そう、この時から、私達は恋人になった…。
アスカは気を遣ってくれたのか、マンションの隣の部屋に引っ越した。
食事は三人で食べていたけど、その他の時間は私とシンジ君の二人きりで、
甘く、幸せな生活を送る事になる…。
その夫婦生活のリハーサルを終え、本当の夫婦になろうとした時、
私達がまた戦いの海へ投げ出されるなんて、夢にも思わなかった…。
516 :
:2005/12/22(木) 02:29:00 ID:???
ヤベェッス泣ケマスタ。今後も目が釘付け
はい、ようやく回想編終了デス。
最後少し駆け足&強引ですが、皆様ドロドロがお好きで無いようなので…。
>>491 どっちも好きデス。面白ければ何でもバッチコーイ!フォーーー!!
今日は途中で書き込み規制喰らって、投下時間が空いてしまった…ゴメンナサイorz
>>516 さっきwktkしててくれた方ですかな?心から、dクス!
519 :
:2005/12/22(木) 02:34:47 ID:???
リュウすゎん、GJ乙式です
520 :
:2005/12/22(木) 02:37:15 ID:???
>>518 そうっす。
因みに私は依然調子に乗ってバツイチレイを作っちゃった椰子です。
明らかに逆流です。
本当に有り難う御座いました。
アゲ
うんこが食べたい・・・あぁ、うんこが食べたいわ!!!
食べたいの!!!!!!!!!!!
↑今日カレーだったんだけど
随分と能天気な展開だな。
ご都合主義というかなんというか・・・。
こんなのが長々と続くのか?
よくやるなぁ。
だが、それがいい。
人間達の心が解析されていく中、渚カヲルだけはその静かな侵入者に気付く。
「君は…誰だ?」
”あなたは…だれ?”
「…そうか、君は…僕と同じ…」
”あなたも…わたしとおなじ?”
自分の思考と繋がっている『彼女』の思考が、微かに伝わる…。
同じ存在を見つけた事への、歓びと悲しみ…。
「君は、どうするつもりだい?」
カヲルは問い掛ける。
その問いに返って来たのは、『彼女』の記憶…。
当ても無く宇宙の無限の海をさまよう…突然襲い来る、異なる起源を持つ生命体。
黒き月に空いた穴…そこから、魂を取り込んだLCLが流れ出す…。
その怪物達に対抗するため、それらに似せて急遽生み出された『彼女』の使徒達…。
もはや生命の種として機能出来なくなり、存在理由を見失う…。
それでも、すでに生まれた使徒達を繁栄させる為に星を探しつづけ、やっと見つけたのは、地球。
「そうか…だが、不完全に生み出された君の子供達は、いつかは絶滅するだろう…」
”解ってる…でも、どうしたら良いの?”
「ヒトと共に生きる事も出来る。僕や、リリスのようにね」
”どうやって?”
「種の魂は消えない。君の肉体を…殺さなければならない」
”死ぬのはイヤ…生きて、あなた達と一緒にいたい”
「それは無理だ。君が地球へ行けば、種として与えられた価値に従い、地球の生命体を滅ぼす事になる。
かつては僕も同じだった…だが死を迎え、ヒトになれたなら、自由が与えられる」
”死にたい…でも、死ぬのはイヤ…助けて…怖い…苦しい…寂しい…”
「どちらにせよ、君が地球へ行くのなら、僕達は君を殺す。そのあとは、君の自由だ。待っていてくれ」
ラーマ内の擬似重力区画に設けられた食堂で、シンジとレイは向かい合って座り、朝食を摂っている。
二人は、昨夜見た夢について話し合っていた。
「同じ夢を見るなんて、気味悪いなぁ」
「ええ…。何で今頃、昔の事を思い出すのかしら」
「二人共、朝から辛気臭い顔してんじゃ無いわよ〜」と、アスカがやってくる。
「あ、おはよ…アスカ、どうしたの?」
彼女の姿を見たシンジが、驚きの声をあげる。
左眼に眼帯をし、右腕をまるで骨折したかのように吊っている。
「昨夜変な夢見ちゃって…朝起きたら、また左眼が見えにくくなってるのよ。
右腕も感覚無くて、知らない内にぶつけて怪我したらマズイってんで吊るしてもらったの」
「まさか、あなたの見た夢…昔の事じゃない?」レイが、もしやと思って聞いてみる。
「えっ…そうだけど、何で解るのよ?」
彼らはその夢について話し合う。
皆、同じように昔の記憶を夢に見ている…偶然とは思えなかった。
「つまり、使徒の心理攻撃って事かしら?」
「そう、ね…そう考えるのが、一番妥当だと思うわ」
重い沈黙が流れる…過去とは言え、お互いが傷つけあっていた記憶を呼び覚まされて、
あの時の心の痛みまでもが蘇る。
アスカの身体の変調も、それだけ精神に負担がかかったという事だ。
「……アスカ、あの時は、ゴメン…」シンジが最初に口を開く。
「ちょっとぉ、もう昔の事なんだから謝らないでよ。
それに、あれは私が悪かったんだし…レイにも、酷い事してたから…」
「アスカ、私も気にしてないわ…それなら、私もあなたに謝らないといけない…。
でも、もうあの事で自分を責めるのは、やめましょう」
そうは言っても、自責の念はそう簡単に振り払えるものではない。
彼らの心は、深く沈んで行く…。
この空気を断ち切ろうと、再びシンジが沈黙を破る。
「そういえば、カヲル君は何か言ってなかった?…ねえ、アスカ」
「なっ、ちょっと、何で私に聞くのよ!」
「だって、彼の事一番わかってるの、アスカじゃないか」
アスカの顔が真っ赤になる。
「バカ!部屋違うんだから…その、起きてすぐに会うわけじゃ無いわよ…」
「そうなんだ…あ、ちょうど良い所に。カヲル君!」
アスカとレイの後ろから、カヲルがやって来た。
シンジの声にアスカはビクッとして、肩を縮こまらせる。
「やあ、おはよう」挨拶しながら、シンジの隣に座る。
「カヲル君、昨夜は変な夢見なかった?」
「夢…?」彼は一瞬顔を曇らせ、何か考えているようだったが、すぐに笑顔に戻った。
「いや、見なかったな」
「そう…」
「夢といえばアスカ、昨夜は随分うなされていたけど…」
「うわ〜!!バカぁ!こんなとこで何言ってんのよ!」
カヲルの言葉を遮り、真っ赤になって大声を出すアスカ。
「ね、ねぇ、そうなの?カヲル君」少しにやけながらカヲルに事の次第を聞くシンジ。
「………」黙々とご飯を食べながらも、顔が真っ赤に染まっているレイ。
そして、食堂中から注目されている事に気付き、アスカは着席して、咳払いを一つ…。
「私…あの時のミサトの気持ちが解ったわ…あぁ〜、もう最悪〜」
と、テーブルにうなだれてしまった…。
2時間後…シンクロテストを受ける彼らは、いつもと違っていた。
「シンクロ率、昨日より20%も下がっています…なにか、あったんでしょうか?」
マヤがディスプレイに表示された値を見つつ、ミサトに報告する。
「今まで80%台をキープしていただけに、気になるわね…ところで、カヲル君には異常は?」
「彼なら…いつも通り遊んでます」
マヤの言うカヲルの遊びとは、エヴァとのシンクロ率を自由に変動させられる彼がテストの際に
いつも行っている事で、0%から100%まで、上げたり下げたりしている。
「困るんですよね、異常なのかどうか、解りにくくて…。私、あの子嫌いです」
「はぁ…マイク貸して…すぅ〜」彼女は息を大きく吸い込む。そして――
「くぉらぁ〜!ぬゎに遊んでんのよ!」
『うわっ!ビックリするじゃないですか…』
「カヲル君、着替えたらロッカールームで待機!みっちりお説教してあげるから、覚悟なさい!」
ガンッ!!
テストが終わり、全員が着替え終わったロッカールーム…。
カヲルはアスカに胸倉を掴まれ、壁に押し付けられていた。
「ど、どうしたの?そんな怖い顔して…」
「あんたは良いわよ。エヴァと自由にシンクロ出来て。そりゃテストも退屈でしょうねぇ!」
「そんなに怒らなくても…」
「いい加減にしてよ…」アスカがうつむき、呟く。
「え?」
「いい加減にして、って言ってんのよ!こっちは必死に頑張ってるのに、横で遊ばれると、ムカツクのよ!」
彼をもう一度、ロッカーに叩きつける。
「アスカ、やめなよ!」見るに見かねたシンジが止めに入る。
「アンタは黙ってて!今までは、ただ人間の経験浅いって言うから許してたけど…今度ばかりは、許せない!」
カヲルの目を睨みつけるアスカの目には、涙が浮かんでいる。
「アスカ、少し落ち着いて。僕が悪かったよ。謝るよ」
その瞬間、彼の胸倉を掴んでいた左手が離れ、その手が彼の頬に強く打ち付けられた音が部屋中に響く。
「アンタ反省してないんでしょ!口で謝られたって、余計ムカツクのよ!」
「アスカ…」彼女に叩かれた頬に触れ、呆然としているカヲル。
「もう私に話し掛けないで…もう近づかないで!アンタなんかに、人間の事が解るわけないのよ!!」
そう叫ぶと、アスカは部屋を飛び出してしまった。
ベンチに座り、未だに呆然としているカヲルを、ただ立ち尽くしながら見守る事しか、
シンジとレイには出来なかった。
そこへミサトがやってくる。
「ねえ、アスカが泣きながら走って行ったけど…何かあったの?」
シンジは、ミサトに事情を話す。
「そう…それは、カヲル君が悪いわ。それは、解るわね?」
「はい…本当に、すみません」
「あなたがヒトとして生きるのは、単なる興味かも知れない。あなたにとっては、遊びと同じなのかも知れない。
でもね、私達は必死に生きてるの。それを、横であなたのような態度をされたら、イヤなのよ…」
「…すみませんでした…」
彼は今までも口では謝ってきた。だが、今回は本当に打ちのめされているようだった。
今にも泣き出しそうな表情をする彼は、今まで見た事が無い。だから、ミサトは今日の彼を信じた。
「アスカに引っ張たかれて、どう思った?」
「…辛いです。何か、大切なモノを失ったような…本当に悪い事をしてしまった…そんな気持ちです」
そして、彼は嗚咽を漏らす…。彼の眼から、涙が流れた。
「泣いているの…渚君?」レイがぽつりと呟く。
「泣いている…僕が…」濡れた手を見て、彼も呟く。
「カヲル君!アスカの所に行って、謝ろうよ!僕も一緒に行ってあげるから…」
「シンジ君…ありがとう。でも、僕一人で行くよ」彼は立ち上がる。
「彼女なら、居住区に向かって行ったわ。しっかりね、カヲル君」
「ミサトさん…本当に、すみませんでした」
そう言うと彼は、アスカを追って部屋を飛び出す…。
「彼も、辛いんでしょうね…」ミサトが悲しそうな顔で言う。
「相手に近づけば近づくほど、A.T.フィールドがお互いを傷つける…。
渚君も、他人の恐怖を実感しているんだわ」
今日はここまでデス…
なんか人がイナイ…テラサビシス。
泣
泣くなってば。
リュウさんからエンディングで泣かせるとの宣言がありました。
寂しいことなんて無いさ!私はいつでも投下待ってます。
LAKな続きもワクテカで待ってます。
もはやメインがLRSじゃ無いので弁護できない
勃
結婚生活ぽくないですね
春の日差し、独特の暖かさ。
吹き抜ける風、心地よく私を包み込む。
私は目を瞑り上を向く。目の裏側が赤く染まっている。聞こえるのは弾む高い声と、少し低い声。
サクッサクッと足音が近づいてきたとき、再び目を開ける。
その瞬間、小さな身体が私の胸へ飛び込んでくる。
黒くサラサラな髪に、大きくクリっとした赤い目。
「ママー」
と抱きついてくる。
「ん?もういいの?」
頭を優しく、愛おしく撫でながら訊く。
「うん。マイもうつかれちゃったの」
「いや、ははは。本当に元気がいいよ。こっちもクタクタ」
と、夫も私の隣に腰を下ろし、ゴロンと横になる。
「あら?体力落ちたんじゃない?」
とからかってみる。「あの頃は毎日ハードだったからだよ」
夫は少しむくれて言う。その子供のような表情は今も昔も変わっていない。
「じゃあ、お昼にしましょう」
傍らに置いておいたバスケットに手をかける。
「たべるーおべんとなあにー?」
と聞いてきたので
「何だと思う?」と返してみた。
マイは少し考えて
「じゃがいも!!」
と答えた。
「どうだろうねー?」
そう言いながらバスケットを開ける。
すると二人は驚いた。
「すごーい」「…すごい」
その言葉が嬉しくって、思わずにやけてしまう。
「ちょっとがんばって作ったんだけど、どうかしら」
ランチボックスの中は私が用意した料理の数々でいっぱいになっている。
サンドイッチ、フライドチキン、ハンバーグ、サラダ、マイが食べやすいように小さめに作ったおむすび、春巻き、アスパラのベーコン巻きet cetera,et cetera…
「全部朝作ったの?」
夫に関心したように尋ねられた。
「全部じゃないけれど、殆どよ」
ヘェーすごいや、と言ったときにマイが
「たべてもいい?たべてもいい?」
と手を伸ばそうとしたのでそれを止めた。
「マイ、手を拭いてからよ」
「はぁい」
可愛らしく手を挙げて返事をする。
「はい、あなたも」
「ん、ありがと」
そう言って夫も手を拭く。勿論私も。
「はい、じゃあ食べる前はなんだったかな?」
夫がマイに聞く。
「いただきますだよ」
「はい、せーの」
「「「いただきます」」」
私達は"ごちそう"を食べ始めた。
食べ始めてから少し経ってから夫が「痛ッ」と言った。
「…どうしたの?」
口の中の物を飲み込んでから答えた。
「舌噛んじゃってさ」
と苦笑した。
「パパどこかわるいの?」
と夫にとてとて、と音がしそうな小さな足で近付き、心配そうにぺたぺたと触った。その手がフライドチキンの油にまみれていたので「大丈夫よ」とそれとなく引き離した。
「マイは優しいね」
夫が手の甲で愛おしそうに娘の頬を撫でる。
マイは「ふふっくすぐったい」とはにかんだ。
「おなかいっぱーい」
「よく食べた。ごちそうさま」
二人ともそう言って寝転がった。食べてすぐ寝ると牛に成っちゃうわよと思いながら聞いた
「おいしかった?」
「おいしかったー」「おいしかったよ」
二人とも笑顔で答えた。私もよかった、と笑顔で言った。
食欲を満たし、微睡んでいると後ろから声がした。
「ほらおとーさん、おかーさんやっぱりマイちゃんだよ!」
名前を呼ばれたマイは「ん〜?」と振り向くと同時に声を上げる。
「あぁー。コウくんだー!!」
栗色の髪に、生命の神秘を体現したような紫の瞳、の少年が走って近づいてきた。
「あら、コウ君ちょっと背、大きくなったんじゃない?」
頭に手を乗せてそう言うと
「あったりまえだよ。おれ、もうすぐおにいちゃんになるんだぜー」
と自慢げに腰に手を当ててフフンと鼻を鳴らした。
「こら!コウ。そんな言葉使いするんじゃないの!」
そう言ったのは私がよく知っている声だ。
「ふふ。相変わらずねアスカ。お腹の子は順調?」
「ばっちりよ。二回目だと余裕ができるわね」と、天気が良いから家族で散歩に来たことを伝えられた。アスカの隣で眩しそうに空を見ているフィフスチルドレンの渚カヲル、アスカの夫。
「カヲル君、仕事ははかどってる?」と夫が聞いた。
「いやぁ、どうかな…ここ暫く良いストーリーが思いつかなくてね…」
「だから気分転換に連れてきたのよ。だってね、ここ最近ずっと家に籠もりっぱなしでそりゃもう引きこもりかってのよ。しかも子供の相手もしないわで…もうっ」
相変わらずの毒舌振りを発揮するアスカ。全然変わってない。
ははは…とカヲルは苦笑する。
「渚君の小説、いつも楽しませてもらってるわ。だから無理しないで、頑張ってね」
そう言うと
「ファンと家族は大事にしないとね。ま、やれることをやるだけさ」
と照れくさそうに頭を掻いた。
渚君は結婚してからちょっと昔の夫に似てきたような気がするのは…気のせいね。きっと。
あの今でこそ少し落ち着いた感じがするけれど、大学時代の渚君はきっと大変だったでしょうね。
「…………………………たのママ?」
いけない。少し飛んでたわ…目の前には愛娘が上目遣いに私を見ている。
「うんん。ごめんね?少し考えごとをしてたのよ。何かな?」
「あんねーコウちゃんとむこうのこうえんであそんできていーい?」
「いいよでも…」
そう言ってアスカの方を見る。アスカも私の方を見て「いいわよ?」と言った。
「いってきなさい」
「うん!コウちゃんいこっ。ねぇねぇわたしねー…」
何の話をしているのかは分からなかったけど、マイの笑顔を見ているだけでも幸福感を得られるようになった。
これが、家族というものなのね。と昔の私は言うだろうか?それとも、そもそも家族と言う概念に興味がなかったかもしれない。
でも今は違う。
家族は大切、家族は愛情。そんな簡単で、なぜか難しい関係が今は普通になっている。
本当に変わったわ…私。夫のおかげで。私の中にはまだ、"碇君"だったころの夫がいる。
彼に会わなかったら、今の私はいないから…。
いつの間にか渚くんと談笑している夫に視線を遣っていた。
アスカはそれに気付いたのか、こんな質問をしてきた。
「子供の計画は今後どう考えてるの?」
私は少し顔が赤くなるのを感じた。
「まだ…マイは小さいし…でも、もう一人くらいは…ほしいかもしれない」
「レイからこんな台詞が聞けるなんてあの頃は思いもしなかったわよ」と笑った。ちょっと照れくさかったけど。
「シンジのおかげ…」
そう言った。するとアスカが
「あんなバカシ…、って失礼…ごめんね?で、シンジ君のドコに惹かれたのよ?」
過ぎ去ったあの日々に思いを馳せながら私は語り始めた。
「アスカは知ってるだろうけど…あの頃の私は…二人目の私は、零号機に乗ることでしか私の存在意義を確認できなかった。友情、ましてや愛情なんて持ち合わせてなかったわ…」
アスカは黙って頷く。
「そこに彼が来たの。最初は別に何とも思わなかった…むしろ話しかけてきたり、おどおどしている彼が鬱陶しかった」
アスカも回想しているようだ。
「でも、八面体の使徒との戦いで、彼に助けられたとき何かが変わった。それが何かは分からなかったけど…変わった、そんな気がした」
「私が来る前の話、ね」
「ええ。あなたに"人形"って言われる前の話よ」
そう言って意地悪く笑ってみた。
「あの時は…悪かったわ。ゴメンね」
アスカが謝る。
「あ…こっちこそごめんなさい。私ったら。もう…何年前のことを掘り返してるのかしら…」
「でも、昔はそんなことさえ言わなかった娘だったもんね。私たち、馬鹿な子供だったわ…」
そうね未熟だったわ、と言って話を本題に戻す。
「でね、その助けられた時から何か分からない感情が芽生えたの。今でこそ分かるけど、あの時は分からなくて不安だった。そして、分からないまま私は三人目になったわ」
アスカは私を見つめている。
「彼は私が私じゃないのを悲しんでくれた。でも私は彼が私にとってどんな存在だったか忘れてしまっていたの。わらっちゃうわよね…。サードインパクトの時のこと覚えてる?」
「忘れられるわけないわ…」
アスカは左手で右手をさすりながら言った。
「あの時私、指令を選ばなかったの」
「どうして?」
「体は別でも、心が彼を忘れられなかったのか…彼と一緒にいたかった…私はいつの間にか二人目の私に戻っていたのね…」
アスカが目を伏せがちに「レイ、あなたには感謝してるの」と言った。
「え…?」
アスカは続ける。
「あなたがシンジを選ばなかったら私はカヲルに会えなかったもの…ありがとう」
二人は"ファースト"と"セカンド"にいつしか戻っていた。
「お礼は…シンジに言うべきよ」
そう言うと
「『何で私がバカシンジに礼なんて言わなきゃいけないのよ!』」
と冗談混じりに言ったので笑ってしまった。
私達が話している間に子供の相手をするために公園にいった夫がくしゃみでもしてるかな、と思いながら。
「ありがとうねコウ君。またマイと遊んであげてね?」
「おう!マイまたな」
とやんちゃな感じで言うコウ君。
「呼び捨ては良くないよ、コウ」
と諭す渚君。
「いいのよぉ、マイちゃんこそまた遊んでやってね」
と言うその妻。コウ君に負けないくらい元気な子供を産んでね、アスカ。
渚一家と別れた後、「ねむくなった」と夫の背で眠るマイ。
私の手にはバスケット。特にそれが何か、と言うわけではないけれど。
「マイ、暫く見ない内におっきくなったな…」
夫が独り言のように言う。
「暫くって言ったって、一週間位じゃない」
「でも…本当に久し振りだったよ。今日は楽しかった」
「マイが提案したのよ?この子ったら行くって聞かなくて…」
とマイの頬を人差し指の裏ですっ、と撫でる。
「予定なくてよかったわね。あったらマイ、あなたが嫌いになっちゃってたかもね」
「それは…ぞっとするはなしだね」
と困り顔で笑った。
家についてお昼に使った食器類を洗っていると、マイを布団に入れた夫が手伝ってくれた。
「これでおしまい?」
「うん、ありがとう」
リビングに移動して、二人で紅茶を飲む。
「はぁーなんか癒されるなぁ」
「ん?」
「いやね、こういう日もなきゃ駄目だなって思ってさ」
と言って溜息をついた。
「あまり働きすぎて御義父様みたいにならないでね?」
夫はピクッと背中を震わせる。
「どうかした?」
「想像してた。気を付けなきゃ…」
よくよく考えると、すごく失礼な事を言ってしまった。ごめんなさい御義父様。
しばらく静かな時間が流れていた。
「アスカと何話してたの?」と唐突にシンジが話しかけてきた。
「本当に知りたい?」
と真剣な表情で言ってみた。
「う…うん。しりたい」
そんな大した事ないんだけれど、と前置きして話した。
「そ、そそそっか。あはは、はは…」
私はちょっと頬が熱を帯びているのをかんじた。
「どうかしら…?」
夫を見ると顔が赤くなっていた。
「ど…どうって…ま、まぁ…うぅ…レイがいいなら…」
そう言って夫は潤んだ目で私を見る。あぁ、そんな目で見られたら…。
「ちょっとした冗談よ」
私はそっと抱きついて言う。
「冗談?冗談なの?…もう、君はホントに…」
「二人目が欲しいのは本音よ?でも、それにはあなたの協力も重要になるの…マイの送り迎え、とかね」
夫は仕事の都合上家にいる時間が短い。だから私は不安なのだ。
「わかったよ。でもやっぱり、もうちょっとお給料が増えて、マイが自分で自分の事出来るようになってからでも…いいかい?」
夫が私の体を引き離して、お互いの顔が見えるようにしてから言った。
「うん…でも、少しは早く帰ってくるようにして…?マイも私も顔を忘れちゃうわよ?」
「ごめんね?努力はしてみるよ」
そう言って髪を撫でてくれる。私は目を瞑る。夫は唇を何も言わずに私の唇に重ねる。幸せ。
何分たっただろうか…とんとん、とマイの歩く音で慌てて離れた。寝ぼけている様子でトイレに向かう。その姿を見て、何故か笑ってしまった。
「マイ、もう結構色々出来るのよ?ボタンが留められない、ってごねる事もあるけど」
夫が頬をポリポリと掻く。
「それじゃ、家族が増えるのも時間の問題かな?」
と冗談混じりに言う。
「その時は宜しくね、碇君?」
と私も冗談混じり。
その呼び方、久し振りだね?綾波…と微笑んだ。
今、私はあなたとこうしていられて幸せです。私に愛を気付かせてくれたあなた。「結婚して下さい」プロポーズされたとき嬉しかった。その感情もあなたがいなければ気付かなかったことでしょう。
心からあなた感謝します。
だって"私達"は、あなたのおかげでやっと "一人"に成ることが出来たのだから。
本当にありがとう、碇君。そしてこれからもよろしくね、あなた。そう思いつつ布団に入る春の宵だった。
(´゚ω゚`)…………
(´゚ω゚`)どうも、バツイチレイ書いたものです。ほのぼの系を書いてみた次第です。
(´゚ω゚`)それはそうと、今更VIP STAR見ました。
(´゚∀゚`)おもしろいっすね!!
(´゚ω゚`)そんなことないですかそうですよね…と、こんな感じです。
おぉ、ナマ遭遇…GJ!
こーいう幸せ的な話は前スレ以来(?)で懐かしい。
生GJ!
前スレの流れが戻って来たようです。
シンジは子供を虐待しそうだよな。
内弁慶でドメスティックバイオレンスだよ。
不勃
ほのぼの系やっぱり良いね〜
猫氏&リュウ氏のシリアスな作品と1氏&Erz:ahler氏のほのぼのな作品があって、どちらの種類の良作も読めるこのスレが大好きだ!
>>Erz氏
GJ!
まさかカヲルが小説家になっているとは…そのアイデアも好きデス。
>>539 >>542 結婚生活は書いてますが、LRSやLAS、LAKなどカップリングには興味無かったりする…。
こういうのも一つの可能性として、生暖かく見守って下さいマシ。
>>558 そんなあなたは人生を楽しめる人だ。そういう人、嫌いじゃないぜ…(*´ー`*)
カヲルがアスカの部屋に着いた時、部屋の明かりは消えていたが、ドアは開いたままだった。
「アスカ…いるのかい?」
一応ノックだけはして、中に入る。
廊下から入り込んだ明かりが、ベッドにもたれかかるアスカの姿を浮かび上がらせる。
「アスカ…寝てしまったのかい?」
そして、部屋の明かりを点けて見えたものは、真っ白なシーツを赤く染め上げるおびただしい量の血液…。
その血液は、彼女の口から流れ出していた。
「ア…スカ?」
カヲルの連絡により駆けつけた医療スタッフがアスカを病棟へと運び出す。
緊急手術を受け、どうにか一命を取り留めたものの、今だ意識不明、生死の境をさまよっていた…。
パイロット達とミサトは、手術を待つ間、喫茶室で待っていた。
そこに、艦医からの報告書を受け取ったマヤが、アスカの容態を伝えに来る。
「吐血の原因は、極度のストレスから来る、内臓からの出血、だそうです…」
「不調になった左眼と右腕、そして内臓…あなた達の言っていた、夢の影響かしら…」
「はい…あの夢は、夢と呼ぶにはあまりに生々しかったので、
恐らく量産機との戦いのダメージも思い出してしまったのだと…」
ミサトの問いに、レイが答える。
「いくら幻痛とは言え、生きたまま内臓喰われる痛みは、想像したくないわね…」
「そこに、僕がバカな事をして彼女を怒らせたから…」
カヲルが椅子の背もたれによりかかり、力無く自分を責める。
「カヲル君、結果的にはそうでしょうけど、自分を責めるのはやめなさい。
それにあなたのおかげで、彼女は死なずに済んだのも事実なのよ」
今までに無いほど落ち込むカヲルを、ミサトは優しく励ます。
その言葉にしばらく反応出来なかったが、やがて何かを決心したかのように立ち上がる。
「……アスカの所に行って来ます」
「…解ったわ。いってらっしゃい」
ミサトの微笑みに、カヲルも笑顔で返す。そして、病室へと駆け出していった。
「あの子…大丈夫かしら…」走っていく彼の背中を見送って、ミサトが心配そうに溜息をつく。
「カヲル君なら、大丈夫ですよ。強いですから…」
傷が完全に塞がるまで面会謝絶だと看護士に言われ、彼は仕方なく廊下の窓から病室を覗く。
いつもの元気など少しも感じられない。まるで、人形か死体…。
彼はそこまで考えてゾッとした。
ガラスに額を押し当てながら泣き、何度も「アスカ」と呟く…。
ふと、視線を感じて顔を上げる…ベッドに横たわるアスカが、顔だけこちらに向けて見ている…。
「アスカ!」思わず叫んでしまった。
その声が彼女に届いたかどうかは解らないが、彼女はにこりと笑い、口をパクパクさせている。
「あ、り、が、と…か、な、ら、ず、か、え、る、か、ら、ま、て、て」
アスカの口の動きから、そう言っていると思った。
カヲルも彼女に解るように、口の動きを大きくして、一音ずつ言う。
「わ、か、た。お、や、す、み、ア、ス、カ」
通じたのだろうか、彼女はもう一度微笑み、顔を天井に向けて、また眠りに入った。
閉じたまぶたから、一筋の涙が流れ、枕を微かに濡らすのだった…。
「ねぇ…レイ……あいたっ!」
「シンジ君、こんな時に、する気分にはなれないわ」
ベッドの中で身体に触れようとしたシンジの手を、軽く叩く。
「レイが落ち込んでるから、気を紛らわそうとしたんじゃないか…」
「嘘ね。気を紛らわしたいのは、あなたの方でしょう?」
心の内を言い当てられて、シンジはドキッとする。
「解っちゃった…?」
「当たり前でしょ」
「あ、あはは…ゴメン」
すっかりその気になっていたシンジは、盛り上がっている感情の行き場に困りながら、
レイから身体を離す。
「良い機会だわ」レイが切り出す。
「な、なにが?」
「あなた最近節操無かったから、アスカが退院するまでは禁止にしましょう」
「そ、そんなぁ〜」
「いつでも抱けると思ったら、大間違いよ。それじゃ、おやすみ」
そう言って、シンジに背を向けて眠るレイ。
この時のシンジは、正に餌を前におあずけを食らう獣と化していた。
呼吸に肩が上下するレイの背中を抱き締めたい。
いっその事、寝込みを襲ってしまえば…だが、彼の記憶に悪夢が蘇る。
以前、彼女が寝ている時に無理矢理抱いた事があるが、
レイは大泣きし、その細腕からは想像出来ない力でボコボコに殴られ、
危うく別れるかどうか、という所まで追い詰められたのだ。
結局彼は悶々としたまま朝を迎え、寝不足の日々がしばらく続くのであった…。
シンジのようになりたい。とは思いません。しかしカヲルのようになりたい。とは思います。
あのカヲルが泣くとは。
でも心が通じてそうでよかった。
そしてシンジはいつまでも成長しない。
自業自得だろう(酷
というわけで(?)リュウ氏乙。
寒い季節なので身体に気をつけて。
アスカの入院から一ヶ月…彼女は順調に回復していた。
まだ固いものは食べられないが、食事もカヲルと共に食べている。
カヲルの献身的な介護のおかげか、二人の仲は更に深まり、
トイレ以外の時間はほとんど一緒に行動するようになった。
それを見ていて一番面白くないのが、レイだった。
(シンジ君、私が倒れたら彼のようにずっと横にいてくれるかしら…)
もしかしたら自分は愛されていないのではないか。
他人と比べるのもおかしな話ではあるが、カヲルとアスカがお互いを想う愛情が、
自分と夫の間にあるそれよりも強いと思うと、悔しかった。
そこで彼女は、夫の愛を確かめる為に、ある作戦を練る…。
その頃ラーマは、地球〜木星間に立ち塞がる小惑星帯に差し掛かっていた。
小惑星帯と言っても、全体を平均すれば、一点の半径50万km周囲に岩が一つあるか無いか、
という空間であり、そこいらを漂う岩ですら常に移動している。
衝突の危険性は、限りなくゼロに近かった。
それでも万が一を考え、岩石の接近が観測された場合、
エヴァを二体ずつ周辺宙域の警戒に当たらせている。
同時に、細かい塵の衝突によって出来た外壁の修理も手伝わせている。
アンビリカルケーブルを漂わせ、艦に取り付くエヴァの姿は、かつてスペースシャトルや
国際宇宙ステーションでEVA(船外活動)を行った宇宙飛行士の姿に酷似しており、
名称の一致から「エヴァでEVAをする」というジョークを、
パイロット達は艦内スタッフから延々と言われ続ける事になる。
そしてその日は、シンジとレイが当番の日だった。
先日観測された、岩同士の衝突で飛び散った破片が数多く漂っている。
この宙域を抜け出すまで、計算では1時間。
その間、二人は艦の前方にA.T.フィールドを展開し、石ころから艦を守る任務が与えられる。
それはパイロットにとっては、普段の作業より遥かに楽で、退屈なものだった。
うっかり眠りそうになりながら、退屈な1時間が過ぎ、周囲の石がほとんど無くなった頃、
二人は艦外壁のチェックと、時折漂ってくる石の撤去作業に移る。
レイが行動を始めたのは、その時だった。
ガンッ!!
コックピットに鳴り響いた衝突音に、シンジは初号機に何かがぶつかったのかと思った。
だが、モニターの横にいつの間にか開かれていた零号機のコックピットの映像には、目を閉じたレイの姿が…
慌てて零号機を見ると、頭部とほぼ同じ大きさの岩が、顔面に直撃しているではないか。
「レイ!!」
シンジは急いで岩をどけてやり、レイに呼びかける。
「う…シンジ…君」頭を抑え、目を開けるレイ。
「レイ…ぷっ…うっくくく」
「シンジ君…?」
「レイ…君って、意外とドジなんだね……あっはははは」
笑い出すシンジに、レイは激怒した。
近くを浮遊していた岩を掴み、初号機の顔に叩きつける。
「ぐはっ!…な、何するのさ…」
「知らない。今は任務中よ、あとでじっくり話し合いましょう」
そう呟くレイの眼は、軽蔑と怒りに震えていた。
そして、帰還後…ロッカールームにて。
「シンジ君がそういう人だとは思わなかった」
「な、なんだよ、急に…」
「アスカの心配はしてくれても、私の心配はしてくれないのね」
無表情に、静かに言葉を発するレイ。
それは、彼女が心底怒っているという危険な信号だった。
「違うよ!アスカの怪我とは違うじゃないか!それに、レイが隕石にぶつかられるなんて、
すごく意外だったから…」
「もういいわ。今からあなたとは口利かないから」
そう言って部屋を出て行こうとするレイ。
「ちょっと待ってよ!僕が悪かったよ!」
シンジの言葉など聞こえないとでも言うように、レイは部屋を出て行ってしまった。
wktk!
続きは明日の朝方にでも投下シマス…。
>>564 シンジは憧れの対象となるキャラでは無いですからね〜。
と言いつつ、劇場版で他人の存在を望んだ彼は、僕の中で最高のヒーローです。
>>565 書いてる僕も、まさかカヲルが泣くとは思ってなかったデスヨ…ビックリしますた。
シンジは結局、流されるままにサードインパクトを防いだって感じなんで、
相変わらずヘタレなのです。
そしてお気遣いdクス!皆様も風邪にお気をつけて…メリークリスマス!
そういや今日クリスマスなんか・・・(・д・。)サビシスギ
573 :
1:2005/12/24(土) 14:47:14 ID:???
【その少し前/4】
日曜日。
なんだかんだで綾波に料理を教える事になった。
頑として意見を変えない僕に、綾波の方が折れたから。
玉子焼きを作るから準備しておいて、と言っておいたがさてどうなっているやら。
で、気がつけば綾波のアパート前。
彼女の部屋に鍵は・・・勿論掛かってない。
いい加減、掛けた方がいいと言っているのに・・・
もう一つ言う事が増えたなぁ、などと考えながら彼女の部屋に入る。
「おじゃましまーす」
返事は無い。
辺りは静かすぎて、だんだん怖くなってくる。
「綾波ー、居るのー?」
このままでは、逃げ出しそうだったので綾波を呼んでみる。
けれど返事は返らず、辺りに僕の声が響き渡るだけ。
おかしいな、ちゃんと言っておいたはずなんだけど。
少し不安になった僕は、自分の足で彼女を探す事にする。
574 :
1:2005/12/24(土) 14:48:33 ID:???
綾波はすぐ見つかった。
・・・寝てたけど。
静かに寝息をたてて寝ている彼女。
日の光が柔らかく彼女を照らし、輪郭をあやふやにさせる。
そんな彼女はとても綺麗で―――
「・・・あ」
つい見惚れてしまっていた。
間抜けな声が彼女の耳に届いたのか、閉じていた瞼をゆっくりと起こす。
「・・・」
「・・・」
視線が交わる。続く沈黙。
長くて短い、よく判らない時間が流れる。
「・・・どうしてここに碇君が居るの?」
その沈黙を破ったのは、彼女の能天気な声だった。
575 :
1:2005/12/24(土) 14:51:00 ID:???
商店街の帰り道。
お昼だからだろうか。
大した混雑に会わず、帰ってこれた。
さかのぼる事数時間前。
料理を教えに来た事を説明すると、彼女は早々と支度を済ませた。
僕は尋ねた。
「玉子焼き、作る準備しておいた?」と。
彼女は答えた。
「ええ、ちゃんとしておいたわ」と。
良かった、と安心して冷蔵庫を開ける。
卵はあった。
卵はOk、次は・・・と、フライパンを探す。
・・・・・・無い。
フライパンが何処にも無い。
僕は尋ねた。
「本当に、準備しておいた?」と。
彼女は答えた。
「ええ、卵を用意しておいたわ」と。
・・・
いくら僕でも卵だけで玉子焼きは作れないなぁ・・・
という事で、僕らは買出しに出かけた。
必要な物を適当に見繕い、籠へと放る。
ついでに、料理に最低限必要であるであろう道具も買っておく。
なにせ、本当に何も無いんだもの。
576 :
1:2005/12/24(土) 14:52:11 ID:???
帰宅、玄関前。
必要な物を買って行ってたら、とんでもない量になっていた。
綾波と二人で分けて持ってきたけども、それでも重かった。
下に置くと、ドシンと重量感のある落下音がした。
よく持てれたなぁ、と自分で関心する。
「綾波、手、大丈夫?」
気になったので声を掛けてみる。
なるべく軽い袋を手渡したが、それでも女の子にしてみれば重いと思う。
「・・・少し痛いけど、平気」
”少し”というのが気になった。
彼女の少しは僕の少しとはズレがある。
見ると、遠目からでも判るぐらい赤くなっていた。
彼女の手は、それでも白いからよく目立つ。
「綾波・・・痛いときは痛いって言おうよ」
僕はその白い手を握り擦ってやる。
やっぱりもう一個、僕が持つべきだったかなぁ・・・
「私、痛いって言ったわ」
いや、でも少しって言ったでしょ
こんなに真っ赤なのは”少し”じゃなくて”とても”なの
まったく・・・もう少し僕を頼ってくれても良いと思うんだけど
577 :
1:2005/12/24(土) 14:53:13 ID:???
・・・・・・
そういや、綾波の手って可愛いな・・・
ん?手?
そう、手。
・・・・・・
「うわわっ!」
自分がしている事に今更驚き、慌てて手を離す。
「ご、ごめんっ!」
いつもの癖で、また謝ってしまう。
どうにかしなきゃとは思いつつも、なかなか直ってくれない。
「なぜ、謝るの?碇君は何もしてないわ」
淡々と返す綾波。
うぅ・・・僕だけ一人慌ててたのか
「えっと、その・・・ごめ―――いや、そうだね」
謝るといつもの繰り返しなので、謝らないように努力した。
謝らないのを努力するって、何かオカシイ気がするけど。
578 :
1:2005/12/24(土) 14:54:05 ID:???
「ええ。・・・そろそろ行きましょう?」
綾波に言われて気がついた。
そうか、こんな所でモタモタしてられない。
料理を教えなくちゃいけないんだから。
僕は目の前の袋の一つを綾波に渡し、残り4つを僕が持った。
綾波が止めたけど、もう少しだったから
「いいから、いいから」
と、部屋へ運んでいく。
さっきは謝らないように出来たけど、また謝りそうだなぁ
なるべく謝らないように努力しよう・・・
変な決意を胸に、僕は綾波の部屋へと向かっていく。
579 :
1:2005/12/24(土) 15:01:21 ID:???
お久しぶりです
ちょっと離れてたら結構進んでたのでビクーリです
酉orコテですが、とりあえず料理編が終わってから考えます
クリスマスネタが明日にでも大量に降ってきそうな悪寒...
準備しとかなきゃ
>1氏
(´゚ー゚`)書いていますよフフフ…
(´゚ω゚`)間に合うかなぁ…?
メリークリスマス!みんな。
猫ターン!!どこいった〜!!?
そして、夜。
シンジはバーで酒を呑んでいた。もう、だいぶ酔っ払っている…。
そこへカヲルとアスカが腕を組んでやってくる。二人共、少しお酒が入っているようだ。
「シンジ君、こんな所にいるなんて、珍しいね」
「レイは?一緒じゃないの?」
「カヲル君…アスカ…」
「アンタ、本当に女心が解って無いのね〜」アスカが呆れたように言う。
「レイはさ、本気で心配して欲しかったのよ」
「でも、今までそんな事無かったのに…」
「…もしかして、私とカヲルを見て、嫉妬したのかしらね〜」
隣に座るカヲルの肩にしなだれるアスカ。
「嫉妬?」
「そう。ま、私達のアツアツぶりを見て、レイもあんたに甘えたくなったのよ。ね〜、カヲル」
「あはは、アスカは甘えすぎだよ。でも、君が甘えてくれると僕も嬉しいよ」
「じゃあ、もっと甘えちゃお」
シンジは隣にいるだけで恥かしくなって、呆れ顔でウーロンハイを煽る。
「ねえ、シンジ」
アスカが突然真剣な声で呼びかける。
「なに?」
「レイも、ああ見えて寂しがり屋だし、もっと構ってあげなさいよ。
あんた達の事だから、最初から落ち着いた感じで来ちゃったんでしょ。
いくら愛してたって、表現しなきゃ伝わらないわよ。
もっと情熱的に、恋の炎が燃え盛るくらいでも、良いんじゃない?私たちみたいに、ね〜カヲル」
「ね〜」
ベタベタくっつきあう二人。
「情熱的…か…」
「あんたはそうしてきたつもりでも、表に出さないと伝わらないわよ。私達を見習いなさいって」
「いや、そこまではちょっと…」
「とにかく、彼女も寂しがってるだろうから、早く帰ってあげた方が良い」
「そうそう。今から私達、愛を語りあうんだから、辛気臭い奴はさっさと帰りなさい」
「解ったよ。ふふっ、おやすみ。カヲル君、アスカ」
アスカののろけに、シンジは苦笑しながらも、会計を済ませて帰る事にした。
部屋に帰ると、レイはベッドに仰向けになって本を読んでいた。
視界の片隅にシンジの姿を捉えると、避けるかのように背中を向ける。
「レイ、今日は本当にゴメン」
「……」レイは何も答えない。
こんなとき、何を言えば言いのだろう…シンジは苦悩する。
「あのさ、明日、デートしない?」
「……どこに?艦内は全部見尽くしたでしょう」
「あ…そうだ、映画観ようよ。図書館から借りてきてさ」
「何の映画?」
「それは…一緒に行って決めようよ」
「………別に、いい」
まずい…本気で怒ってる……。シンジの背中が汗でびっしょりになる。
「…レイ、今まで、ゴメン」
その言葉に、レイの身体がピクッと反応し、硬直する。
「レイ、あまりどこかに行きたいとか、何がしたいとか言わないし、
その、カヲル君とアスカみたいにしたいなんて、知らなかったから…」
「そういう事じゃ無いわ」
「あ…うん。だから、カヲル君がアスカを心配してたみたいに、心配してほしかったんだよね…。
その…レイは、何があっても僕のそばから離れないって、甘えてたんだと思う」
「私は、あなたがいついなくなるか、いつも不安なのに?」
「え…」
レイの身体が震えている。
「何があるか解らないもの。あなたが違う人を好きになるかもしれない。
使徒と戦って死ぬかもしれない。いつ、また私が一人になるか、怖いのに。
あなたは、私を大事にしてくれてないのね」
「違うよ!」
シンジはレイの肩に手をかける。
「こっち向いてよ、レイ」
肩を引っ張り、レイを仰向けにする。レイは、泣いていた。
「あ…ゴメン。これからは、もっと大事にするから。だから…」
レイは彼の頬をそっと撫でる。
「本当に?」
「うん…約束する…」
「じゃあ…明日一日、私のして欲しい事、全部してくれる?」
「うん。僕に出来る事なら、なんでも…」
シンジはレイにキスをして、ベッドに潜り込み、優しく抱き締める。
二人は互いのぬくもりの中で、穏やかな眠りへと落ちていった――。
ガバッ
「…………なんだ、夢か…」
そう、全ては夢だった…。
END
↑ちょっとワロタ
夢ヲチ バロスwwwww
まあ、レイとは夢でしか会えないだろうしな。
そんな事言ったら、このスレのレゾンデートルが無くなるぞww
>>581 最近さぁ、夢に綾波が出て俺と喋ってくれるんだぁ・・・
朝起きたら悲しくなるわけよ。
リアルに俺自身を見てるようだからやめてくだぱいよぉ。。。。。
四季が戻ったとはいえ、未だ四季を通して若干温度が高い。だからマイは雪を見たことがなかった。
そんな彼女の話。
「さんたさん?さんたさんってなぁに?」
興味を持ったのか絵を描いていた手を止める。
「サンタさんはね、良い子の所に来るおじさんなの」
「おじさん、きてどうするの?ゆうかい?」
まったく…夫が見る刑事ドラマのせいで変なことばっかり覚えちゃって…もう。というより、本職が公安系なのに何で好きなのかしら?とか思いつつマイに説明を続ける。
「その子が一番欲しいプレゼントをくれるのよ?」
「ほんとう!?」
私は目を閉じて首を横に振る。
「ただし、それには必要な道具があるの…」
マイの目を真剣な表情を装い見つめる。マイはちょっとしかめ面で私の目を見る。…かわいい。私って親バカかも。
そして息をすっと吸い、言う。
「それは、靴下よ」
『で…靴下を作ってあげてるわけね』
プレゼントを帰りに買ってきて貰おうと携帯に連絡を取ってみた。
「でも、それはいいのよ。本題はプレゼント。まだ聞いてないけど、買ってきて貰う形になると思うから、よろしく」
『わかったよ。じゃ、また後で』
さぁ、マイちゃん?あなたの欲しいモノは何かしら?あまり高いモノはサンタさんくれないわよ…あはは。
いけない。私、今私じゃなかった…?プレッシャーと言うやつかしら。
相変わらずお絵かきに没頭するマイに近づく。さりげなく、聞く。さりげなく聞くのよ、レイ。
「マイはクリスマス、サンタさんに何をお願いするの?」
きっと、さりげないはず…?
「うんーとね、マイね、雪が欲しい!」
「じ、じゃ…さんたさんに、おねがいしないとね…」
まずいわね…想定外の回答…流石私の娘、じゃなくて…シンジ、雪を買ってきて頂戴。
『雪?あーそうきたか』
と夫が笑う。
『流石に雪は無理だなぁ』
「そうよね…」
でも、ここでマイがサンタの存在を三歳にして偽りであることを確信させれば、ひねくれた子になってしまうかもしれない。それは避けなければ。
『思ったんだけど、今ジオフロントって天候も管理できるんじゃなかったっけ?』
それは初耳だった。
「そうなの?」
『うん。父さんが趣味で何だか知らないけど一角にそういう場所を作ったらしいんだ』
「頼んでみる?」
『うん、お願いできるかな?』
「うん。わかったわ」
『あら、珍しいわねレイ。マイちゃんは元気?』
「お久し振りです伊吹さん」
ネルフ本部に電話をかけると電話に出たのは伊吹マヤさんだった。
「あら、聞いてない?私、青葉になったのよ?」
…初耳が多い日だわ…私が知らないだけだろうけど。
「知りませんでした…あの、おめでとうございます。」
『ありがとう。婚姻届だしただけだから無理ないかしらね?あ、で用件は?』
伊吹さんが結婚したと言う事実に多少ながらも驚いていた私は本題を忘れかけていた。
「あ、碇司令に繋いで戴けます?」
『はい、すぐにお繋ぎします』
と、言うとすぐに繋がった。
『久し振りだな、レイ。マイは元気か?』
その声は以前より威圧感が和らいでいる。ああ見えて、本当はすごく優しい方なんですもの。
「えぇ。偶には会いにいらっしゃって下さい。幼稚園になってから会ってないんですし」
『ああ…その内行かせてもらう。用件はなんだ』
「はい。ジオフロントの一角に天候を管理できる所を作られたというのは本当ですか?」
『ああ。道楽だが…それがどうかしたか』
「雪、降らせて欲しいんです」
『何故だ』
「マイが、クリスマスに雪が欲しいと言っていて…」
しばしの沈黙。
『愛すべき孫の願いは聞き入れたいのは山々だが、偽りの雪を見せられて彼女は幸せだろうか』
その言葉にチクリときた。
「そうですよね…ありがとうございます御義父様」
『ああ。気にするな』
「…と、言う訳なの」
『そっか。確かにそうだね…他人に頼るなんてまだまだだな僕は…』
「そんなことはないわ…でも、どうする?」
『どうしようかね…あ、ちょっと仕事入った。ごめんね。とにかく何か考えないといけないね。じゃ』
「うん…」
どうしようかしら、と考えても思いつかない…。はぁ……。
―一方そのころ。
第三新東京市立幼稚園、年少の澪組。
「はーい待ちに待ったクリスマスがやって来ますよ〜。みんな、クリスマスのは何で出来たか知ってる?」
喋るのは澪組担任の黒鷺ミユキ先生だ。クリスマスの起源なんてそんな事は知らない幼稚園児達はもちろん
「しらなーい」
と答える。その言葉を待っていたとばかりにミユキ先生は滔々と語り始める。
「そもそもですね、クリスマスとはキリスト教の神、イエス=キリストの誕生日を祝うものとされていますが、実はキリストの誕生日は分かっていないので定かではありません。
ですが一つ分かることはキリストは殺されたという事実です。『裏切り者のユダのせいだ!』と思う人もいると思いますがそれも違っていて…あんの臆病者のクソヤローどもが!!!!」
ヒートアップしてきたミユキ先生をまたか、と言った雰囲気で子供達ははなし始める。
「なぁなぁマイ」
隣にいるコウがマイに話しかける。
「なに?コウちゃん」
「おまえさ、サンタになにたのんだ?おれはーしにがみせんたいツヴェルガーのへんしんベルトたのんだよ」
死神戦隊ツヴェルガー。ハイパー戦隊シリーズの最新作にして現在最大の人気を誇っている特撮番組だ。その内容は…おっと、これ以上は話の腰を折ってしまうから控えよう。
「へぇー。わたしはねー、ゆきたのんだよ!」
コウが口をあんぐり開ける。
「ゆきはしばらくふらない、ってきのうのニュースでもいってたぞ?」
「そんなことない!サンタさんゆきふらせてくれるもん!」
そう言ってマイはうわぁんと泣き始めてしまった。
「あーコウくんがマイちゃんなかしたー」
「わ、わ、ご、ごめん。なくなよ、な?」
「………」
マイは泣き止んだが、黙ったまま帰宅の時間になった。
「はぁ…どうしようかしら…」
ここにも一人気が沈んでいる人が。
「どうしようもないわ…はぁ」
こんな姿をマイに見せられないわ、と自分の頬を両手でぺちっと叩く。
「マイちゃーんお母さんが来たわよー」
「マイ、帰ろう…」
たたた、ひし。マイが私の太ももに抱きついて顔を埋めてきた。
「マイ…どうかしたの…?」
マイの頭を撫でる。
「マイちゃん、喧嘩、って程ではないんですけど、泣いてしまって…聞いても黙ったままで…すいません」
とミユキ先生が謝ってくる。
「いえ、どうも。マイ、帰りましょう」
茜さす、照らされる帰路、伸びる影。二つの大小のそれはどこか悲しげに見える。
「………」「………」
何故か、会話がない。結構これでいて、夫に似ている。つまり譲らない所、とか。沈黙を破ったのはマイだった。
「ねぇ…ママ」
そんな声、ママは悲しくなるわ…その思いが口調に出てしまう
「…なに…?」
「サンタさん、ゆきいっぱいもってきてくれるよね?」
右頬の辺りに視線を感じる。
「うん…たぶん…たくさん降らせてくれるよ…」
わたしは視線を合わせられなかった。
「わ、わ、ご、ごめん。なくなよ、な?」
「………」
マイは泣き止んだが、黙ったまま帰宅の時間になった。
「はぁ…どうしようかしら…」
ここにも一人気が沈んでいる人が。
「どうしようもないわ…はぁ」
こんな姿をマイに見せられないわ、と自分の頬を両手でぺちっと叩く。
「マイちゃーんお母さんが来たわよー」
「マイ、帰ろう…」
たたた、ひし。マイが私の太ももに抱きついて顔を埋めてきた。
「マイ…どうかしたの…?」
マイの頭を撫でる。
「マイちゃん、喧嘩、って程ではないんですけど、泣いてしまって…聞いても黙ったままで…すいません」
とミユキ先生が謝ってくる。
「いえ、どうも。マイ、帰りましょう」
茜さす、照らされる帰路、伸びる影。二つの大小のそれはどこか悲しげに見える。
「………」「………」
何故か、会話がない。結構これでいて、夫に似ている。つまり譲らない所、とか。沈黙を破ったのはマイだった。
「ねぇ…ママ」
そんな声、ママは悲しくなるわ…その思いが口調に出てしまう
「…なに…?」
「サンタさん、ゆきいっぱいもってきてくれるよね?」
右頬の辺りに視線を感じる。
「うん…たぶん…たくさん降らせてくれるよ…」
わたしは視線を合わせられなかった。
帰宅して暫くすると、マイが寝息をたてていた。
「もう…風邪引いちゃうよ?」
天使のような、なんて使い古された言葉だけれど、使ってもなお足りないほど愛しき、愛娘。
閉じられた瞼から伸びる長い睫、病的に白い肌、顔。その顔を覆う濡れ羽のような髪。
でも……でも、天候なんて操れないのよ。どうしたらいい…?
その質問に答える者はいなかった。
もうそろそろ夕飯の準備しないとだわ…。
先ず、野菜を切って…トマト、レタス、きゅうり…サラダ。冷蔵庫に。ケーキはチョコ。メインディッシュはチキン。ふんぱつしてホールサイズ。
プレゼント、雪。無理。
「はぁ…。どうする?シンジ…」
『どうしようかね…』
暫く黙り込んだ後、夫が提案した。
『あのさ、あれ。振ると下に溜まったやつが舞い上がって…』
「あぁ、あれね。でも…」
『そうだよね…じゃあこの前言ってた色鉛筆、買っていくよ』
もうこの際仕方ない。ごめんね、ごめんねマイ…。涙が出そうだった。
「ただいまー」
手に持った荷物をすぐに隠す。
「ほら、パパ帰ってきたわよ?」
「パパおかえりー」
「よーし」とマイを抱き上げる。「お嬢様は良い子にしてたかな?」
「うん」と笑顔で頷く。
「じゃあ、着替えたら食べましょう」
「豪華だな〜」「おいしそー」
マイは涎が垂れそうだ。
「ごめんね?ちょっとチキンは買ってきたやつだけど」
私はグラスに飲み物を注ぎながら言う。
「ううん。いいよいいよ。じゃ、たべない?お腹空いちゃって」
「はいはい。それでは、クリスマスおめでとー、カンパーイ」
夫と私はワイン、マイはアップルジュースが入ったグラスをチン、とぶつけて晩餐会は始まった。
「ねぇ、手で食べても良いかな?」
ナイフとフォークで食べることに億劫になった夫が聞いてきた。
「好きに食べればいいわ。マイなんて手と口の周りにあんなに油付けて食べてるじゃない」
視線の先にはとても美味しそうにチキンを食べるマイがいる。
「マイ、野菜も食べてね」
と私は夫とマイに小皿に盛ったサラダをわたす。
「はーい」
「トマトはちょっと…」
「好き嫌いしない。もぅ、マイを見習って欲しいわ」
そんな私は未だに脂っこい肉類は苦手なんだけど…。
「二人共ケーキ食べる?」
「まだおなかいっぱーい」
と言ってリビングに行く。
「暫くしてからでいいかな?ちょっと食べ過ぎた…」
とお腹をさする。
「もう、明日の分に取っておけばって言ったのに」
なんでこううちの家族は腹八分目を実践しないのかしら。
テーブルで雑誌を読んでいると隣に夫が座った。
「取り敢えず色鉛筆買ったけど」
「どうしようかしらね…」
とまた溜息が出そうになる。
「奇跡を信じよう」
「ええ、それで問題な…ってありすぎ」
不安のせいでノリツッコミをしてしまった。こんなの私じゃないわ。たぶん。
「でも、実際そうなのよね…」
奇跡でも起こらない限り雪なんて降ることはない。それは分かってるんだけど…。
「僕は降ると思うよ」
「どうして?」
自信満々に言う夫に聞く。
「だって、あんなに可愛い子を泣かせるなんて、神様も罪悪感感じちゃってできないよ」
なんて笑う顔がとても可愛く、それでいて素敵で。その可能性に賭けてみようと、他力本願。なるようになる、わよね?
「ま、ケーキ食べましょ」
「そうだね」
夫がマイを呼んでテーブルに座らせる。それじゃあ切り分けようかしら、と思ったらチャイムが鳴った。
『ピンポーンピンポーン』
受話器を取ると外の映像が映る。
「あら、今お開けしますね」
「誰?」
夫が聞く。
「ふふ、珍しいお客様がお見えよ」
鍵を開けた玄関から入ってきたのは黒い服を着た男だった。
「父さん!?」
「ああ、こうして会うのは久しぶりだなシンジ、レイ。マイ、元気にしていたか?」
603 :
紅の装束、白髭の老人―HappyChristmas!―:2005/12/25(日) 18:39:17 ID:wIqSew5t
「急にどうしたのさ父さん」
夫はかなり驚いているようだ。
「プレゼントをマイに渡しにきたんだが、迷惑だったか。すぐに帰る」
「いいえ、わざわざありがとうございます御義父様。ケーキ、食べていって下さい」
「チョコか」
「はい」
「…いただこう」
「やはりケーキはチョコに限る。美味かった」
「紅茶のおかわりはいかがですか?」
「ああ、すまんな」
といった所で服の内側から何か細長い箱を取り出した。
「マイ、こっちに来てくれ」
猫と猿の人形で遊んでいたマイが御義父様の所に行く。
「おじいちゃんなあに?」
「メリークリスマス。まだイブだが、プレゼントだ」
箱の中身を出してマイの首にそれを付けた。
「父さん、それ…」
夫が何か気づいたように言う。
「ああ。マイ、これは私の妻つまりお前の祖母に当たる人物が着けていたネックレスだ」
「御義父様、いいんですか?」
私がそういうと眼鏡の位置を直し言った。
「問題ない」
照れているとき眼鏡を直す癖、変わってないな、と思いながらマイにお礼をしなさいと促す。
「ありがとーおじいちゃん。」
「礼には及ばん。それでは仕事に戻る。急に押し掛けて悪かったな」
と私たちに背を向ける。
604 :
紅の装束、白髭の老人―HappyChristmas!―:2005/12/25(日) 18:41:37 ID:wIqSew5t
「いいんだよ父さん。また来てよ」
「ええ。今度いらっしゃるときはゆっくりしていって下さい」
「またきてね、おじいちゃん」
「ああ」
御義父様はそれだけ言って帰っていった。その顔は笑っているような気がした。
「びっくりしちゃったよ連絡なしに父さんが来るなんてさ」
と夫はまだ驚いている。
「あら、たまには良いじゃない。ね?マイ。プレゼント良かったわね。大切にしなさい」
「うん」マイはさっきからずっとネックレスをいじくっている。
時間は流れて、夜。
「マイ、もう寝なさい。目がおねむよ」
「うん…ねる」
マイが寝静まった後、夫と二人でまったりしていた。
「なんか…つかれがどっと…」
「来た感じね…」
ふたりでふぅ、と溜息をつく。
「もう置いておいてもいいんじゃない?」
「そうだね」夫が寝室に行ってプレゼントを置いてくる。
「大丈夫よね?」「きっと喜んでくれるよ」
その言葉に多少安心する。
「そうよね。私たちも寝ましょうか」
「うん。すぐ寝れそう」
布団にはいると眠気が直ぐに襲ってきた。
「おやすみ」「おやすみなさい」マイが怖がるから小さい電球だけをつけて、眠った。
クリスマスの朝、珍しく早くに目が覚めた。寒さのせいだ。
少し乾燥した目をこすりながら左に目をやる。手前にマイ、奥に夫が寝ている。
川の字に並んでいる一番奥にはカーテンの掛かった窓がある。でも折角の休みだから、開けないでおいた。
キッチンに行ってミルクをレンジに入れる。
何でこんなに寒いのかしら。と考えているとレンジが鳴った。
ミルク。牛のお乳。白い色。白?あれ?なんか私忘れているような…。
そして私は気付く。何でこんなに寒いのか、それは「もしかして…」口がにやける。
私はリビングのベランダに繋がる窓のカーテンに手を掛け、ばっと開ける。
目の前に広がるのは灰色の乱立する無機質な都市ではなくて…
「ふたりともっ」
「はいっ!!部長すいま…って夢か…どうしたの?」
「ママ、マイまだ眠い」
暢気なことを言っている二人を尻目にカーテンを開ける。
「外、外見て!!」
寝ぼけ眼の二人の布団を引っ剥がし窓に引き摺っていく。
「ほら!」
二人の目が開かれる。
「すごい…」
「わぁ…雪だぁ」
目の前に広がるのは白銀の世界。
「サンタさんきた!きたんだよね!?」
その目は輝いている。
「そうよ。マイへのプレゼントよ」
「よかったね、マイ」「…うん!」
朝ご飯を食べ終わってマイがやっと枕元のプレゼントに気が付いた。
「あれぇ?なんだこれ」
それのことをすっかり忘れていた私たちはドキッとした。
「な、何だろうね」
引き吊る夫の顔。
「あ、あけて…みたら?」
上擦る私の声。
ビリビリ、ビリビリ、ビリ。
「わぁ色鉛筆だぁうれしいなぁ」
どうやら喜んでくれているようで、ほっとする。
「でもぉサンタさんはひとりにひとつしかプレゼントくれないってミユキせんせいがいってたよ?」
う…何でそんなことを…。
「サンタさんは雪って言う自然なものしか頼まなかったマイに、特別に色鉛筆もくれたんじゃないかな?サンタさんにお礼を言わなきゃね」
と夫が頭を撫でる。
「うん。サンタさん、ありがと」
その笑顔は、とても素敵だった。
―一方そのころ。
家で疲れきって寝ているカヲルを優しい眼差しで見つめるアスカがいる。
子供達の為に奔走した、夫への感謝の眼差し。
しかし、カヲルはただそれだけで疲れているわけではなかった…。
―――今日未明
第三新東京市上空。
月明かりに照らされる人影。
「冬空は流石に冷えるね…さて、使徒の力をこんなことに使うことになるなんてね…愛する者を思う気持ちありき、なのかな」
何日前か、カヲルの妻が言った『雪見てみたいわぁ』の一言。
「じゃあ、やってみるかな」
暫くするとカヲルの周りに雲ができる。そして…
「驚いた…やれば出来るもんだね。アスカ、メリークリスマス。そして我が息子達」
口では言ってみたが、二度とやるもんじゃないなと思うカヲルだった。
また一方、ジオフロント内ネルフ本部。指定席に座っているゲンドウの右ポケットには四枚の遊園地のチケット。
「またか、また誘えなかったのか碇」
「ああ、誰かと行ってこい」と言って副司令に渡す。
「私は行かないから、ほかのスタッフにやってもいいか?」
「ああ、好きにしろ」
その後中途半端な日に遊園地に行こうとしている青葉、日向、伊吹、赤木の事を聞き込み中のシンジが目撃したのはまた別のお話。
ENDE.
(´゚ω゚`)…………
(´゚ω゚`)ワケわかんないオチ、
(´゚ω゚`)ワケわかんないストーリー
(´;ω;`)スンマセン
(´゚ω゚`)どうみてもサゲ忘れています。本当にあ(ry
GJに値するよ。
それにしても猫様は元気かいな。
ぐーじょっぶ!おじいちゃんが何とかしたかと思えば、渚さんですか。
ちょっと読みが外れて嬉しかったです。
公安系?
(´゚ω゚`)公安、っていうか刑事職?
(´゚ω゚`)加持さんみたいな感じにしたいと思ったら
(´゚ω゚`)いつのまにか刑事になってました
(´;ω;`)スイマスン
613 :
1:2005/12/25(日) 22:32:16 ID:???
【閑話休題/4】
12月25日。
俗に言うクリスマス。
街には、待ってましたとばかりに立てられているセールの看板。
どこから持ってきたのか巨大なクリスマスツリー。
色とりどりのイルミネーション。
たった1日なのにこうも盛大にやるものか、とも思える。
まあ、かくいう僕もちゃんとそれにあやかってるんだけどね。
片手にプレゼントの袋を持ちながら街を歩く僕。
辺り一面クリスマス一色と言った感じで。
サンタの格好をした人が風船配ってたり、ケーキを売ってたりと色々賑やかだ。
ただ、少し外れた住宅街に出れば、街の賑わいが嘘のように静か。
けれど周りの家々の明かりはとても暖かくて、街のそれに負けていない。
614 :
1:2005/12/25(日) 22:35:28 ID:???
今日は素晴らしい日になるだろうか。
ある期待を胸に、僕は家路につく。
家に明かりは一つ。
居間には僕の奥さんが待っている。
今日は何だか準備があるらしく、夕方頃に家を追い出された。
それのついでに彼女へのプレゼントを買ってきた訳だ。
玄関を開け、声をかける。
「ただいまー」
・・・
奥の方からドシンとかガシャンとか聞こえた。
何かあったのかも!
僕は慌てて音のした方へ走った。
どうやら音は居間からのようだった。
僕は声をかける。
「レイ!大丈夫?!」
・・・
返事が無い。
代わりに、ガチャンとまた聞こえた。
大変だ。
やっぱり何かあったんだ。
615 :
1:2005/12/25(日) 22:36:31 ID:???
扉を開ける。
目の前にあったのは―――
「・・・助けて、シンジ君」
何故か輪飾りに絡め取られている僕の奥さんの姿だった。
後、周りにはグラスとかお皿の破片も散らばっていた。
音の正体はコレだったんだろう。
うわぁ・・・結構割れてるよ。片付け大変だなぁ。
・・・そうじゃないだろ
「何やってたのさ、レイ」
輪飾りをゆっくりと取っていく。
ちぎればすぐなのだがレイに止められたので断念した。
折り紙で作られているので力加減が難しい。
「・・・飾りつけ」
自分の?
・・・判ってるって、部屋のでしょ。
冗談ぐらい判ってよ。
痛いって、殴らないでってば。
616 :
1:2005/12/25(日) 22:39:18 ID:???
「でも、なんで飾り付けでこうなっちゃったの?」
「・・・・・・・・・転んだから」
ああ、それは残念。
レイがコケる所なんて滅多に見れないから見たかったなぁ・・・
・・・だから痛いって。
そんなこんなで輪飾りを取る事が出来た。
所々はちぎれてしまったが、直したので問題無い・・・と思う。
後はコレを飾るだけだし。
飾りつけ終了。
大半は終わっていたので数分で飾り付けれた。
見ればなかなかに華やかになっていて、とても満足した。
ちなみに、割れた皿とグラスは即刻片付けておいた。
怪我すると危ないからね。
「すごいね、ちょっと飾っただけなのにこんなに綺麗になったよ」
「・・・そう、ね」
レイの返事に元気が無い。
見れば相当落ち込んでいるようだった。
617 :
1:2005/12/25(日) 22:40:16 ID:???
「どうしたの?」
心配になったので声を掛ける。
「・・・驚かそうと思ったのに、失敗したわ」
それだけ言うと深い溜め息を吐いた。
・・・なんだそんな事か。
「いいや、僕、とっても驚いてるよ」
レイがこちらを向く。
まだ落ち込んでいるようだったけど、少し明るくなっている気がした。
「・・・何故?」
「君が準備してくれた事、それだけでも驚いてるんだよ?」
去年までは僕が準備していたから。
彼女から「今年は私がやるから」と聞いたときは本当に驚いた。
「それに、こんなに綺麗になったのにも驚いたし」
自分が準備したときとは、全然違う。
心の底から湧いてくる驚きと感動がある。
「これ以上驚いちゃったら、大変だよ」
最後は苦笑いで。
彼女は最後まで無言だったけど、最後に微笑んでくれた。
618 :
1:2005/12/25(日) 22:42:15 ID:???
「さあ、ご飯ご飯。僕、お腹空いちゃったよ」
さっきまでの事が無かったように、少し大きな声で。
彼女は「今年も、頑張ったから」と一言。
それだけで僕のお腹が動き出す。
・・・さて、今年のはどんなのだろうか。
家の外は白い雪。
カーテンの隙間から覗く黒と白と黄色の世界は、まるで別世界。
ああ、そういやホワイトクリスマスは初めてだ。
ちょっと寒いかもしれないけど、後で外に行こうか?
きっと、この部屋ぐらい素敵かもしれないよ―――
「・・・いや、この部屋には負けるかなぁ」
ボソリとつぶやく。
レイが不思議そうにこちらを見ていた。
「なんでもないよ」と返して、彼女の元へ。
外も勿論素敵だけど、今は彼女の居るこの家が一番だと思う。
・・・あ、そうだ
少し前の僕へ
今日は、とっても素晴らしい日だったよ
ギシギシアンアン
あぁ、今日は素晴らしい日だ
ギシギシアンアン
気持ちいい
ギシギシアンアン
620 :
1:2005/12/25(日) 22:45:50 ID:???
準備しとこうとか言っておきながら、さっき急いで作りました
粗とかあるかもしれませぬがご容赦ください
遅ればせながら皆様メリークリスマス、一人身の私を誰か慰m(ry
前スレから読み返して過ごすクリスマスは最高ですぜ。
(´゚ω゚`)誰か私と補完しませんか?
(´;ω;`)独り身カナシスギス
期待保守
質問なんですけどこのスレ作品はコモレビに置かれるんですか?
知るかよボケ
喧嘩腰イクナイ
マターリしようよ
>>Erz氏
>>1氏
GJ!こんな事なら僕もクリスマス用に作ればよかった…orz
それは、平和な世界。
リビングで朝食の準備を進めるレイ。そして、それを待つシンジ。
「ねえ、レイ」シンジは妻に呼びかける。
「なあに?」妻は夫に聞き返す。
「今日、どこか遊びに行かない?」
「良いけど、どこも混んでるわよ」
「でも、せっかくのクリスマスなんだし…ね?」
「じゃあ、私に何かプレゼントくれる?」
「あ…ああ、もちろんだよ…」
(最近、妙に物欲が出てきたからなあ。また宝石買ってとか言われたら、どうしよう…)
「どうしたの?」
「あ、いや、何でも無いよ…ご飯食べたら、仕度しようか」
後悔先に立たず。
気にせず執筆汗!
再建されつつある第三新東京市。
首都らしく賑わい、かつての戦いの悲惨さは微塵も感じられない。
その街を、二人は歩いていた。
映画を観て、食事をして、ショッピングをして、気付けば夜になっていた。
なんて事はない、普段のデートと変わらないのだが、今日はどこか特別のように感じた。
「寒いね」
「ええ、寒いわ」
「手、繋ごうか」
レイの手を優しく握る。互いの手袋越しに、身体の温もりが伝わって来る。
「なんだか、恥かしいわ」
「もう、何年付き合ってるのさ」
「…あなたは、慣れてしまったの?」
レイは寂しそうに彼を見つめる。
「いや、そういうわけじゃないけど…」
「私は、手を繋ぐのも、キスするのも、一緒に寝るのも、いつも緊張しているわ。
初めての時の、不安、恐怖、喜び、それを全部含めた幸せを、いつも感じているわ」
「レイ…」レイの切なげな表情に、自分が迂闊だったと反省する。
「本で読んだの。最初の感情を忘れたら、いつかはその人に飽きてしまう…。
あなたも、私に飽きてしまったの?」
今にも泣き出しそうな瞳で見つめられ、シンジは罪悪感に押しつぶされそうになる。
「ゴメン…もう、レイがいる事が当たり前だと思ってたから…
僕がバカだった…本当にゴメン」
「本当に反省してるの…?」
「もちろんだよ!これからは、もっと君を大切にするよ…」
「じゃあ、あの指輪買ってくれる?」
「もちろんだよ!指輪ぐらい、君が喜ぶなら…って、え?」
レイが指差す先には、蒼い宝石を埋め込んだ指輪…値札を見ると、20万円の文字が…
「ずっと…欲しかったの…」
「でも、20万って…そんなにお金無いよ!?」
「あなたの持ってるニ個目の口座から降ろせるわ」
「なんで、それを…?」
「駄目なの?」冷たい目で見つめられ、たじろぐシンジ。
「うう…あれは、車と免許の為の貯金で…」
「そう。車にも、免許にも劣る女なのね、私」
いかにも悲しそうに目を伏せ、視線を横に反らすレイ。
どこで覚えて来たのか(恐らくテレビの影響だろう)、
彼女は最近こういう仕草を覚えてしまった。
(演技だとは解ってる…解ってるけど…)
「解ったよ…銀行行って来るから、待ってて」
「嬉しい!愛してるわ、シンジ!」
笑顔になって抱きつくレイ。
その笑顔は彼女の本心なのだと思うと、
免許を取りに行くのは、少し先でも良いか、と苦笑いするシンジであった…。
まってましたっっっ
そして家に帰り、そこそこ豪華なディナーを食べる。ワインを飲んで、二人共少し酔っ払い気味だ。
「シンジは、サンタクロースに何をお願いしたの?」
「え…僕は、何も…レイは何かお願いしたの?」
「うん…」頬を紅潮させ、微笑むレイ。
シンジと向かい合って座っていた椅子から立ち上がり、シンジの横の椅子に移動する。
そして、彼の耳元でそっと囁く。
「私、サンタクロースに、子供が欲しいって、お願いしたの…」
翌朝、二人はそれからの記憶が、全く無かったが、
目覚めた時に裸だったことから何があったか予想はついて、二人は顔を赤くするのだった…。
約十ヵ月後、レイにとって、十ヶ月遅れか、はたまた二ヶ月早いかは解らないが、
サンタクロースからのプレゼントが無事に届いた。レイは、心からサンタに感謝するのだった…。
即興で作ったので、色々と変な所があっても、見逃してくだせぇ…
エチーシーンもあった方が良かったですかな?
ガンガッテ脳内補完してハァハァして下さいマシ。
(´゚ω゚`)GJす。
(´゚ω゚`)LRSはこれくらいが心地いいっす
(´゚∀゚`)ぐぐぐぐぐGJ
何かレイがうざい女になってて萎える。
こんなに自己主張の激しい性格じゃないっしょ。
レイの皮被ったマナじゃないの?
>>636 シンジはきっと、綾波育成計画に失敗したんだよ。
>>636 多少リナレイの怪が否めない。
あ、リナレイもレイだから問題なしか
「碇く〜ん、イブって空いてる?」
「は?」
脈絡のない質問に事態を把握出来ないご様子のシンジに、レイはなおも続ける。
「だ、だからイブだよイブ!もうすぐクリスマスじゃない!?」
「あー。でもさ、夏ばっかの僕らにそんなの意味なくない?」
「…確かに季節感無いけど。でも、ハワイとかオーストラリアじゃサマーサンタも居るのよ!サーフィンだし!!」
「サンタねぇ…ミサト先生のサンタガール見たいなぁ。」
「ワシもや。」
「俺もー」ガスッ ギャー
「と、も、か、く!空いてるんでしょ?」
「あれ?そういや僕んちで皆でクリスマスパーティするって言ってなかったっけ?」
「がーん!?そんなのきめてたっけェ!?」
「…君が率先して決めてた。」
逆上る事数週間、教室の一コマ。
「もうすぐクリスマスだね。」
「そだね。やっぱさ、イベントは楽しく騒ぎたいよねー♪」
「そう?僕は静かに過ごすのもオツだと…」
「シンジってばジジ臭〜い。若者ははっちゃけてこそ若者でしょー!」
「はぁ…そんじゃやる?皆呼んでさ。」
更に回想、アスカとレイ教室にて。
「へぇ、随分余裕ね?ビッグタイトル棒に振るなんてさ。」
「ハァ?」
「ま、アタシは加持先生も来るなら良いんだけどー。」
そこに来てようやくハッとなるレイは
「あ、あたしだってガキには興味無いもん!!」
…明らかに動揺していた。
そして時間軸は現在に戻る。
「今から皆にどういってキャンセルかけるのさ?無責任すぎだよ、綾波は…」
「し、シンジだって全然素振りも見せなかったじゃないの!賛成してたじゃない!!」
「そりゃそうさ。皆で騒ぐの楽しいし、何より君が言うまで予定なんか無かったし。」
墓穴、見事な墓穴。
レイは口から魂でも抜ける様な顔で2、3歩よろめき、シンジの座る席の机に突っ伏してしまう…
「おーい綾波ぃー、大丈夫ー?」
シンジの声に無言で起き上がるレイはさっきと打って変わって全快な笑顔、何考えてるか判らず怖い。
「あは、大丈夫だよ。それじゃ24日ね!たのしみー♪」
そう残してその場を去るレイに、シンジは当日まで拭う事の出来ない不安を抱えるのでつた。
(そうよ、ピンチからチャンスに転じてこそ女が上がるってもんよ!
ていうか、そうでも考えなきゃ無理っぽいなぁ。
軽く泣きそうだよ…トホホ)
一方シンジの不安の原因は持ち前の楽観主義でもって何とか穴から這い出そうと、まずは自分を奮い立たせる事から始めていたのでつた。
そして時間軸は瞬く間に決戦当日へ。
実際数日しか無かった猶予の中で、新しく計画練り直しても仕方ないとレイは悟る。
彼女の辞書にはこういう時に便利な言葉が刻まれている…
『考えるより行動すべし!』
全く、後悔なんて別次元の話である。
「何や、碇はおらんのけ?」
「アイツならさっき、電話で呼ばれて慌てて出てったわよ。」
さりげなく料理当番だったりするアスカは、キッチンでお店に頼んでおいたオードブルや自分で作ったちょっとした料理とかを盛り付けている。
「へー、まぁええわ。どないする?人数ある程度そろったら始めてしもてええんかー?」
よくあるパーティ用の三角帽子をくるくる回し、居間からトウジが身を乗り出す。
「良いんじゃない?二人ともお腹減ったら来るだろうし!」
「ほーぃ了解…え、二人って碇と誰や?」
「あン?あたしんなこと言った?」
「聞きまちがいかー。ほなら皆、始めよか!」
その頃、シンジは呼び出しの相手を探してうっすら汗をかいていた…
夕方とは言え、走れば少し暑い。
「シンジ!」
声のする方を振り返り、そちらへ一目散走り寄る…
「はぁ、はぁ…一体どうしたってのさ、もう皆始めてる頃だよ!?」
「だって非常事態なんだもん、しょうがないじゃん?」
「…とにかく、一体何?その大変な事って。」
シンジが呼び出された理由を聞くのに対し、レイは黙ったまま地面を見つめている…
「綾波ぃ?聞いてんの?」
「聞いてるよ、あのね」
風が吹いた。
近くないと言葉は聞き取れないが、それを聞いたと思われるシンジの顔が驚きに満ちている。
「…な、いや、あの…」
「答えてくれなきゃ、パーティには行かない。」
「ちょ、ちょっと待ってよ、急に聞かれたらびっくりするだろ!?」
「ちっがーう!!嬉しいならまずは喜んだりとか何かしら…違う反応、するもん…」
珍しく尻すぼみなレイがシンジの目には何時にも増して可愛く、でも悲しそうにも見えて…シンジに答えを選ぶ権利は無い様にも思えた。
「…へぇ、それでママたちつき合いはじめたんだぁ?」
いかにもクリスマスな見た目の女の子が、椅子の上で足をぶらつかせる…
「そうよ♪それでパパったらその後のパーティで『僕ら、付き合う事になりました!!』とか言い出しちゃって…アスカが大暴れしたのよー♪」
シンクに向かう女性が楽しげにその様子を語り、女の子もそれを聞いてうっとりする。
「あなたにはまだ、早い話かもしれないけどね♪」
ガチャッ「ただいまー。」
「パパおかえりー!」
「おかえりー♪ケーキ買って来た?」
「君ったら出迎え早々にそりゃないよ…」
とは言いつつしっかりケーキを持ってる男性に、それを受け取る女性。
「あーん、そんな顔したらサンタさん来ないわよ?ダーリン♪」
「そりゃ困るなぁ、僕も今夜は楽しみでしょうがないんだ♪」
男性も笑顔になり、3人は居間へと向かう…
犬も食わない夫婦喧嘩、それ以上に食えないラブラブの夫婦。
これは後者、そんな夫婦のクリスマスにまつわる小話。
クリスマス明けましておめでとうございまつ。
はい、その昔リナレのリクエストあったの思い出して書きました。
…よく見たらリナレって不評?あらら。
年内には君と悪魔抱き寄せても何とかしたいデシね、いやほんとでつよ。
その意気でガンガレ
これはガチだ
猫様久しぶりにキター!GJ!!
良い。全てはこれで良い。
(´゚ω゚`)…………
(´゚ω-__ パシャ
猫様に敬礼(AA略)
小惑星帯を抜けたラーマは、木星へ向けて直進していた。
木星の引力を使い、一気に加速するスウィング・バイを行う為である。
艦はすでに木星の引力に捕まっているが、重力加速度と同じ速度で前進している為、
無重力状態は維持されていた。
それは、木星へと落下するエレベーターの中にいるのと同じ状態である。
「木星大気圏突入まで、後20分」
「艦内の突入準備は?」
「完了しています」
「現在の突入角度、及び速度に誤差はありません」
スタッフに緊張が走る。
もし何か一つでもミスを起こせば、この艦は木星の中へ落ち、
その本体地表を見る事無く一つの金属の塊になってしまう。中にいる人間達も含めて…。
運良く大気圏を抜け出したとしても、地球に帰還する事も、黒き月に接触する事も不可能だろう。
パイロット達は、室内の物を全て固定した後、エヴァの中で待機を命ぜられた。
もし今度の使徒にも知能があるなら、このタイミングで攻撃を仕掛けてくる可能性は充分に考えられるからだ。
初号機のコックピットに、零号機から通信が入る。
「シンジ君…怖くない?」
「ちょっと…怖いかな。レイは?」
「私も、怖い。今度は、あなたを守る事も、あなたに守られる事も出来ないから…」
レイが不安げに呟く。
「大丈夫だよ。ミサトさん達が、上手くやってくれるよ」
そうは言いながらも、自分も恐怖に身体が震えている事に気付く。
「大丈夫。きっと、大丈夫さ」
そう自分に言い聞かせる。と、その時…使徒の襲来を告げる警報が鳴り響く……。
「四時の方向に、未確認物体多数確認!!」
「分析パターン、青!使徒です!くそっ、やっぱり来たか!」
「総員、突入準備をしつつ第一種戦闘配置!エヴァを出撃させて!」
艦外壁にエヴァが出撃する。
『皆、その位置から離れないで!15分後には大気圏に突入するわ!
万が一その場を離れる事があっても、時間内に必ず回収ポイントに戻らないと、
大気との摩擦で吹っ飛ばされるわよ!』
「「「「了解!」」」」
それぞれに射撃武器を構える。
「突入まで後14分!目標との接触まで、後1分!モニターに映します」
モニターに映る使徒…全長10mほどの緑色の丸い胴体に三対の短い脚、
胴体前部に眼のようにコアがあり、その下部に昆虫の顎のような口がある。
「数は!?」
「駄目です、測定出来ません!現在約七千…八千…なおも増加中!」
「四時方向…零号機にマステマを装備させて!」
『レイ!N2ミサイルを目標中心部に向けて発射して!』
「零号機、了解」
装備していたパレットライフルと射出されたマステマを交換する。
「いきます」マステマからミサイルが発射される。
ミサイルは光跡を残して直進し、使徒の群れに侵入する。
そして――巨大な火球が暗い宇宙を照らす。
「やった!?」
「レーダー回復!目標、一千まで減少!マズイ…艦を取り囲んでいます!」
艦上部では、弐号機と四号機が応戦していた。
「ちょこまかちょこまかと、ウザイっつってんのよぉぉぉ!!」
A.T.フィールドを投げつける弐号機。眼前に無数の火球が炸裂する。
「118機撃破!一人頭250として、まだ半分以上いるのね…突入まで、後10分か…」
『アスカ、油断するな!こいつらの顎は、装甲を貫通するぞ!』
「近づかせなきゃ同じでしょ!」
『それはそうだが…ぐあああぁぁぁ!』
「カヲル!?」
後ろを振り向くと、四号機が吹き飛ばされて艦から遠ざかっていた。
「ミサト!四号機のケーブル巻き戻して!」
四号機のケーブルが巻き戻される。
人間の意図を察知したのか、使徒がケーブルに取り付き、その強靭な顎で齧り始める。
ケーブル内を走る超高圧電流に使徒が四散すると、その同じ場所を別の使徒が食いつく…
それを繰り返し、ついにはケーブルは切断されてしまった。
四号機はすでに艦へ向けて移動していたから、どうにか艦外壁に取り付く事が出来た。
急いで予備のケーブルを接続し、再び戦列に加わる…。
一方、艦底部の初号機、零号機…。
彼らもまた、パレットライフルでの一斉掃射を行っていた。
使徒の耐久力は皆無に等しく、弾丸が一発でも直撃すれば撃破出来るのだが、
その機動性と数の多さに彼らは舌を巻いていた。
「突入まで後5分…時間が無いわ」
『二人共、聞こえているか?』ゲンドウから通信が入る
「父さん?」
「お義父様?」
『奴らを殲滅しなくても、艦を守りきれればそれで良い。無茶はするな』
そこで通信は切れた。
「父さん…ありがとう…」
「シンジ君、そっちに一機逃げたわ」
「了解!」
初号機の上を通過しようとした使徒へ向け、ライフルを発射する。
四散した使徒が、内臓と紫の血液を進行方向に飛び散らせる。
「突入まで、後1分!もう限界です!」
「解ったわ。エヴァ各機、回収!安全装置で固定する時間は無いから、
エヴァは自力で壁にしがみついて!」
「全艦、大気圏突入まで、30秒!目標、後退して行きます!」
「エヴァ回収完了。各機、進行方向の壁にしがみついています!」
「アンブレラ展開完了!全アンテナ、砲台の収容も完了しました!
角度、及び速度全て許容範囲内です!!」
「突入まで、10秒!…8…7…6…5…4…3…」
「総員、対ショック姿勢!!」
ラーマは、木星の大気圏に突入した。
先端部に開かれた防護シールド――傘の様に見える事から、『アンブレラ』と呼ばれた――が
大気との摩擦熱で白く輝く。
内部の人間達は皆、椅子に身体を押し付けられ、このまま潰されてしまうのではないかという
恐怖に襲われた。
格納庫では、エヴァが"床”に手を突いた部分がめり込んで行く…。
「むうぅ…老体にこれはきついな、碇…」
特製のクッション付きシートに座りながら、冬月が呻き声を上げる
「一緒にするな、俺はまだ老体じゃない」
そして、徐々に圧迫感が消えていく…気付けば大気圏を脱出し、
木星の回転エネルギーを分けてもらったラーマは、さらに遠くの宇宙へと、飛び出して行くのだった…。
そして、格納庫。
一方の壁が、見事にエヴァの形にくり抜かれている…。
「すみません…」謝るシンジ。
「ごめんなさい…」同じく、レイ。
「仕方ないじゃん!この脆い壁が悪いのよ!」逆ギレするアスカ。
「さすがにあの重力では、僕もエヴァを浮遊させるのは無理でした」さらっと弁解するカヲル。
葛城ミサトは涙を流しながら、必死に笑顔を作ろうとするも、口元が引きつっていた。
「あ、あはは、良いのよ…仕方ない……そう、仕方ない…(ああ、予算がぁ〜)」
また、冬月司令が身体を痛めたのは言うまでも無いが、
碇ゲンドウもまた、しばらく腰痛に苦しんだのは、艦医だけが知る秘密であった……。
クリスマスの流れをぶった切って、投下デスヨ。
>>297 約束してました、量産型使徒がようやくお目見えデス。
>>Erz氏、お前もユイ君に逢えたのか?
>>リュウ氏
ああ。
すまなかったな…シンジ
『かの者、神の位を奪われし者。その武具、巨大な鎚の型を模してはいるが破壊力に於いては他の神の追随を赦さない。曰く、神の鉄槌(トールハンマー)。』
(簑村修英著"北欧神話に於ける人物像"より)
Enz:ahlungT
異端者としての使徒
「シンジ君」
呼ぶのはひどく白い肌、蒼髪、紅い目をした少女。
「ん?」
対するは中性的な顔立ちの黒髪、黒い瞳をした少年。
「欲しい本があるんだけど、つき合ってくれる?」
二人が着ているブレザーの胸ポケットには"第二新東京市立高校"と刺繍されたワッペンが付いている。
「いいよ」
その、およそ男性にはほど遠い笑顔で少年が答える。
碇シンジ、綾波レイは恋人同士である。本来なら第三新東京市で卒業式を迎えるはずだった彼らは、その被害状況から第三からの移動を余儀なくされた。
そして現在、二人は住居を共にしている。アスカが居たら小言を言ったであろうが、彼女はサードインパクト後、消息が途絶えている。
第二での生活は最初は空しく思えていた二人。しかし今は幸せを噛みしめていた。
この生活が続くものだと思っていた。
それはそうだ。サードインパクトが起きたことにより、もう目の前に驚異が迫ることなど無いと思って居たのだから…もう悲しみは、要らない―ReplayedFATE―
(´゚ω゚`)………
(´;ω;`)しくった
(´゚ω゚`)で、様子見す
(´゚ω゚`)厚かましいですが
(´゚ω゚`)なんとなく続きが読みたいなって人が居たら
(´゚∀゚`)続き書きます!!
(´゚ω゚`)おめんさい
(´゚ω-__ パシャ
661 :
1:2005/12/26(月) 17:03:25 ID:???
【いつかの夢】
「君と一緒になって、いつかはこういう日がくると思ってたけどさ」
ある一人の青年が、一つの墓石を前に佇む。
その手に花を携えて。
「ちょっと、早すぎやしない?」
彼は墓石に語りかけるように呟いている。
深く帽子を被っているので、その表情は伺えない。
「君と話したよね。こういう日が来なければいいのにって」
周りに人影は無く、ただ線香の香りが鼻腔を擽るのみ。
「でも、そんな事はありえないから、出来る事なら一緒にって」
彼の声が震え始める。
「僕を残して行くなんて、酷いよ?」
彼は静かに、手に持っていた花束を置く。
662 :
1:2005/12/26(月) 17:05:06 ID:???
「ああ、でも僕が死ぬときに、君が僕と同じ思いはをしなくて良いから、それは幸いかな」
頭に被っていた帽子を取り、胸の前に。
うかがい知る事の出来た青年の顔には、涙が溢れていた。
「ねぇ、レイ。僕も後を追っちゃあ駄目なのかな」
空いた左手で、墓石の銘に触れる。
「Rei Ikari」とだけ記された墓石に。
「そっか、駄目かぁ。・・・うん、頑張ってみるよ」
触れていた手を離し、静かに帽子を被る。
―――そこで、彼の夢は終わった。
頬には涙の後。
隣で眠る愛しい人の温もりに安堵し、また眠る。
―――願わくば、死せる時も彼女と共に―――
663 :
1:2005/12/26(月) 17:07:48 ID:???
ほのぼの?シリアス?
夢オチで締めましたが、即興は内容がないですねぇ・・・
ごめんなちゃぃ
(´゚ω゚`)そういうのは思いつかんかったっす
GJ
>>663の1氏
夢オチとは言え、彼女の死を書こうとした勇気と心意気にGJ!
実は今書いてる話のラストで、同じようにレイが死んでしまうのも考えたけど、
悲しかった&ご都合主義過ぎたので没にした案があるんですね。
後で番外編としてやってみるか…
>>Erz氏
続きをぜひ!
>>661 1氏、乙ですー
帽子をとった男の顔が老人だったら余韻あったかも…なんて思いマスタ
でも夢オチで良かったwGJ
>>硫酸
使徒って「機」で数えるん?
(´゚ω゚`)おお
(´゚ω゚`)書きます!
(´゚ω゚`)使徒は体ですかね?でも◆は機で数えても問題ないような
イロウルとかはどう数えるんだろ?あ、スレ違い棚。
つか、だんだんスレタイから離れた話が増えてきたな。
そういうのは他のスレに投下してくれよ。
じゃあ最後に一つ。
何故「第十九使徒ムニエル」のスレに猫様がいたのか
>>670が言ったのは作品のことジャマイカ?
遠のいてもいいと思うが...
>>667 多分、「体」で数えるんでしょうね〜。
悩んだんですが、「機」の方が語呂が良かったんで機にしちゃいました。
「118体撃破!」って言いづらい気がして…気になったらスマソ。
>>670 気持ちは解ります。
が、結婚していれば何が起きても結婚生活なわけで、
結婚までの過程も、夫婦の周りで起きる事件も、
夫や妻の死に立ち会うのも、全て含めて結婚生活の一部だと思うデスヨ。
僕は単に初期のエヴァの雰囲気が好きだから、
ああなっちゃってるだけですがww
などとマジレスする俺テラキモスww
気付かなかったw
一瞬でも言及してりゃ良いんだw
冒頭2行に
シンジとレイは結婚した。
それなりに幸せに暮らしている。
と入れておけば、後はどんな内容でも問題ないと?
>>671 本当だwww
>>676 揚げ足取りかもしれんけど、書いてある事鵜呑みにすればそうかと。
まぁ、ニュアンスは違うでしょうね。
>>676 おまい、MAGI並に
天 才 じ ゃ ね ?
「もう20年か…君は今、どうしてるんだ?」
目の前の墓石は、何も答えない。
私が妻を亡くしたのは、30歳の時だった。
「また、必ず逢えるわ」
病院のベッドに横たわった妻が、私の手を握って言う。
「必ず?」
「そう。私が死んで、もし生まれ変われたら、必ず逢いに行く。生まれ変われないのなら、
きっとリリスの中へと還る…そこで、あなたを待つわ」
「本当に、また逢えるんだね?」
「もちろんよ…ヒトの魂は、リリスのS2機関の中に還って、生まれ変わる時を待つの。
だから、また逢える…」
その言葉を最後に、妻は笑顔のまま、波乱に満ちた生涯に幕を降ろした…。
妻が短命である事は、覚悟の上だった。
だが、その死は私にこの上ない悲しみと、苦痛を与えた。
それからしばらくは、何もする気力が起きなかった私を救ってくれたのは、父の一言だった。
「お前も、かつての私と同じく補完を願うか?
そうすれば、死を迎える事無く、永遠にレイと共に生きられる…それが、お前の望みか?」
心の底では、それも悪くないと思った。だが――
「やめておくよ。そんな事、レイが望んでないと思う」
そう言った私に、父は優しく微笑む。
「そうだ。生きる事が、レイの、そしてユイの願いだからな」
父には、本当に感謝している。父の一言が、私に生きる力を取り戻させてくれた。
年を重ねる毎に、その父に似てきた自分を、少し誇らしく思う。
それから私は、魂に興味を持ち始めた。
ネルフの厳重な情報規制の下、既に人類の起源については公表されていた。
世界はパニックに陥ったものの、人の順応能力は予想以上に強かった。
もはや魂の研究の妨げとなる宗教は、なりを潜めた。
アダム、そしてリリスを作った、第一始祖民族と名付けられた者達は、どのようにして
魂を生み出し、卵の中へ封じ込めたのだろうか?
昔なら「神の領域」とされた研究に、私はひたすら打ち込んだ。
そうする事で、いつか、補完とは別の形で妻と再会出来るかもしれないという希望にすがっていた。
一方ネルフでは、魂の復活に成功していた。
かつて戦った使徒達のサンプルから、その複製を作ろうとしたのだ。
結果は、何故か人間の女性の姿をしたモノが生まれたと、友人のアスカから聞いた。
彼女もまた、早くに亡くした夫を蘇らせたいという想いにとりつかれたのだ。
そして夫の細胞を元にクローンを作った所、何故か女性になったという…本当だろうか?
かつての親友が女性になった姿は、想像出来ない。私はまだ、会いに行く勇気が出ない。
妻との間に生まれた二人の子供も、既に独り立ちして、たまに電話をするぐらいだ。
私は気兼ねなく研究に没頭する事が出来た。
父の紹介で、京都大学に研究室を設ける事が出来た。私は今、そこで研究を続けている。
その日、私が出勤すると、私の補佐をしてくれている男がとあるレポートを持って来た。
「碇教授、あなたに会いたいという生徒がいるんですが…」
「私に?」
「ええ、面白い子で、あなたの研究を真っ向から否定する論文を書いてきましたよ」
彼に渡されたレポートを読む。タイトルは『魂の絶対性』…。
「憧れの人を否定するファンってのも珍しいんでね、ちょっと会ってもらいたいんですよ」
「解った。今日の午後三時から空いているから、その時間に来るように伝えてくれ」
私はその論文に記された名前を見た。『綾波レイ』…まさかな。
世の中には『綾波レイ』という名前の人物は何人か存在しているだろうし、レイという名前など、
いくらでもいる。
若き頃はその名を聞く度に、妻の生まれ変わりではないかと声をかけたが、その都度期待を裏切られてきた。
おかげで、校内では変人とあだ名されるまでになってしまったが…。
そもそも生まれ変わったからといって、名前が同じとは限らないではないか。
自分の子供じみた期待に、思わず苦笑する。
その時、研究室のドアをノックする音が聞こえた。
「綾波レイです…入ってもよろしいでしょうか?」
私は時計を見た。まだ2時40分…早いな…まあ、良い。
「ああ、開いているよ」
「失礼します」
私は論文に夢中で、入って来た人物を見なかった。
同僚からは悪い癖だといつも怒られているが、相変わらずこの癖は治らなかった。
「遅くなって、すみませんでした。碇先生」
「いや?私が指定した時間より、だいぶ早いが…?」
「読んでいただけましたか?私のレポート」
「ああ、読ませてもらったよ」論文から目を放さず答える。
「2,3疑問は残るが、面白い着眼点だ。近年稀に見る刺激的なレポートだよ…」
私はそこで、やっと彼女の方へ目を向けた。
そして、彼女の姿を見て、身震いをした。
青い髪に赤い瞳…髪は少し長いが、顔立ちも、紛れも無く、この20年間ずっと忘れなかった顔…。
「まさか…レイ?」思わず立ち上がる。
にこりと微笑む彼女の顔は、在りし日の妻の顔、そのものだった。
「本当に…本当に君なのか…?」
「ええ。遅くなって、ごめんなさい…」彼女は、あの優しい笑顔のまま、答える。
「ただいま…シンジ」
歓喜に震え、身動き出来ない私は、ただ涙を流して、こう答える事しか出来なかった…。
「おかえり…レイ」
終劇
昨日約束した、レイの死後のお話でつ。
>>676 冒頭の二行だけはさすがにwww
シンジとレイがメインで登場していて、
なおかつ結婚しているor結婚に繋がる話が境界線では無いかと。
まあ、あれだ。自分の読みたいものは自分で書くしかないって事デスヨ。
>>レイ猫様
しばらく来てくれないと思ったら…お食事中でしたかwwww
生まれ変わっても前世の記憶があるレイ。
愛の力だねぇ...
(´゚ω゚`)…………
(´゚ω゚`)>>リュウ氏………GJ
(´;ω;`)
驕ゅ↓豁サ蛻・竊堤函縺セ繧悟、峨o繧翫ロ繧ソ縺ェ縺ョ縺ァ縺、縺ュ縲?
窶ヲ縺昴l縺薙◎隗ヲ繧後■繧?縺ェ繧峨↑縺?遖∵妙邉サ縺�縺ィ諤昴▲縺ヲ縺セ縺、縺溘ゆサ翫∪縺ァ縲?
縺ァ繧ゅ∪縺√∬?縺医※縺ソ繧後?ー譌「縺ォ3rd?スイ?セ晢セ奇セ滂スク?セ?襍キ縺阪◆蝣エ蜷医√b縺励¥縺ッ騾?陦後ロ繧ソ縺ョ蝣エ蜷医?ッ縺昴l(豁サ蛻・)縺ォ蠖薙◆繧峨★縺ィ繧る□縺九i縺夊ゥイ蠖薙☆繧九s?セ??セ橸スシ?セ遺ヲ
縺ィ縺玖?縺医◆繧峨←縺ァ繧ゅh縺上↑縺」縺溘?
縲後□縺九i縲∫エ�逶エ縺ォ隍偵a繧九?ョ縲?
遑ォ驟ク?スク?セ橸スシ?スョ?セ鯉セ槭?
↑何故に化ける、もぅいやん
遂に死別→来世ネタなのでつね。
…猫は禁断系のネタだと思ってました、今まで。
でもま、よく考えたらサードインパクト起きた後の世界の事と当たらずとも遠からず該当するんデシネ…
そう考えたらどでもよくなった、失礼な意味は孕まず。
「だから、素直に褒めるの」
硫酸グジョブ。
文字化けドンマイ。
ゆっくり下降する私達は『相手にしている力の強大さ』を思い知らされていた…
「ATフィールドは心の絶対領域、まして僕のは君達に決して開かれる事は無い扉…壁だ。何をしようと見ているしか出来ないのさ♪」
「ちっくしょぉぉ…アンタのその顔ぶん殴ってやんだからぁッ!!」
「カヲル君ッ、こんなの間違ってるよぉっ!?」
シンジ君並びにアスカは口々に理由を述べてはフィールドに食らいつくけど、その手もプログレッシブナイフも奥に突き抜ける事は無かった…
まさに、絶対領域。
「綾波レイ。君は良く分かっているみたいだね、それが正解さ。」
私だけ、零号機だけが未だ上から下ろされ続けるコードを掴み、それらの光景を睨み付けていた。
「はン、上等よ!!レイ抜きであんたなんか十二分だっての!!」
「おやおや、その割に手は動いてないね?」
「あんですってぇ!?」
「邪魔、どいてよ」
「っきゃぁぁぁぁッ!!」
言うやいなや勢い良くはね飛ばされた弐号機が壁へ叩き付けられる…
「アスカッ!?よくもやったなぁッ!!うぁ゙ぁぁぁぁっ…」
初号機も渾身の力を込めてナイフを突き立てる…が、やはり通らない。
「…無駄なんだってば。」ガインッ
言葉と共に今度は初号機…の掴んでいたナイフのみが吹き飛ぶ。
「へぇ、君の壁はなかなかなんだ」ガキィィィンッ
今度は弐号機が真上から落下の勢いに乗せて蹴りつける…
幾許かたわんだフィールドを疎ましそうに一瞥して、弐号機が再び跳ね除けられた。
「クソッ…第一アンタらなんでサードインパクトなんか起こそうとすんのよッ!?」
「人を理解する為さ。世界の心は一つに交ざり会い、そして全てを理解して再び生まれ出る。」
「そんな事の為に!?」
「そんな事とは何だ!!」
渚カヲルの顔が初めて怒りに染まり、同時に圧迫感が襲って来た…
「くっ…アスカは、そんな事しなくても…理解出来る方法が有るって、言ってるのよ!」
「ふぅん、じゃあ言ってごらんよ?もしかしたら僕は、それで考えを改めるかもしれない。」
「あなた、人として暮らしなさい。人は必ずしも、約束を守る生き物じゃないわ。」
再び上下に笑い声が…気味悪い。
「綾波レイ!君が生まれてから何を得たか知らないけど、僕には解る!!
君は愉快な奴だ!
君の様な奴が他にも居るなら、僕は時間をかけて紐解きたいと思ったよ!!」
「そう、良かったわね。私達があなたを処理した事にするから、とっとと気配消して何処にでも行くと良いわ。」
「フフ…つくづく愉快だ。最後に聞かせてくれ!僕がもしまたサードインパクトを起こそうとしたら、どうするつもりだい?」
「その時があなたの最期よ。」
「アハハハハ♪君みたいな奴を探すのは大変だろうなぁ♪じゃあね」
…周囲が静まり、通信が入って来る。
〈皆、やったの!?やったのね!?〉
「えぇ、倒しました。」
「…そ、そうよ!!最後は呆気なさすぎてびっくりしたけど、あたしの華麗な動きの前には敵わなかったみたい!」
アスカが上手い事言って自分の手柄にしたけど、とりあえず最後の使徒も『去った』
それにしても、渚カヲルの言ってた言葉の節々が気になった。
…補完計画。
司令には悪いけど、私も約束は果たせそうにないわ。
誤解の無い様申し上げますと、
『生まれたばかりのカヲル君は好奇心の塊だろう』
という猫の考えの下にあるます。
読者方の中には抵抗感じる人の居る展開やもしれませぬ。
簡単に言えば、
『解ろうと努力するのは大変だけど楽しい』
という訳デシ。
見方はそれぞれだからな。
それよりムニエ(ry
(´゚ω゚`)ネコタソ氏お久しぶりです。
(´゚ω゚`)ムニエルは如何でしたか?
(´゚ω゚`)なんにせよ、GJす
もう700か...早いな。
>>猫様
dクスです。そしてGJ!
来世ネタに手を出したものの、生まれ変わりネタは嫌いなんですよ、実は。
ただレイに関しては身体を乗り換えてるから、まあ不可能じゃないかな、
と思って作っちゃいました。
都合の良いハッピーエンドですが、
バッドエンドよりは読んでて楽しいと思うんで…。
禁断とまでは考えてなかったデス…まあ、これも一つの可能性、という事でユルシテ。
ところでムニ(ry
猫GJ.
帰ってきてうれすぃ〜...ところでムニ(ry
む、ムニエル?
何の事やら…
し、知らないでつ。
しらないでつ…
つhint「小骨」
700
どこが結婚生活の話なんだ?
もうグチャグチャだな
このスレは[只のLRS板]に成りました。
と、
>>701が申しております
まあ、作者が言い訳を述べるような話はだいたい糞なんだけどな
×板
〇スレ
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
>>698 レイ猫様、酉変えました?
まさか……二人目…??
さすがに700にもなると荒れてくるな。
糸冬
────────────────[創作エヴァスレ]として再開──────────────
正直、ワケの解らない設定だらけの
気合の入った長編なんてココでは読みたくない。
では、何故ここにいるの?
正直主要な二人以外の作品しか読んでなかったです。すいません反省してます。
それ、基本じゃん
つ【ひとそれぞれ】
【ひとそれぞれ】=「おまえの意見なんて、知ったことか。うるせー、馬鹿」
↑?
間違えました。主要な二人の作品しか読んでなかったと言いたかったです。猫さんとリュウさん以外の作品は後ほど読むと思います。
喧嘩なんて下らねぇぜ!
そんな事より、俺達の作品を読めぇぇ!
>>716 むしろ今すぐ読む事をオススメします。
猫様と並べて主要と言ってくれるのは嬉しいけど、
このスレ一番の異端が僕ですからねぇ…。
1氏やErz氏の作品も個性があって面白いですよ〜。
読みたくないやつは来るな
まぁそう怒らずに。
皆、これを見て和むんだ。
つ【ムニエルを捕食する猫様】
猫様…ゴメソ…
さらし者でつか…(´;ω;`)ブワッ
>>706 そうそう、この前は別端末からカキコして酉間違えたのデシ。
『結婚が絡めば良いじゃないか』の流れは(前スレ参照)猫のわがままで生まれたのでつ、不快である方にはゴメンニ。
猫としては結婚する経緯無しに結婚生活語るのも(まして未婚なのに)思い入れが薄くなるなー、と思ってやってしまたので。
だから
>>718は、『結婚生活だけ読みたい人はもうちょっとだけ待っててね?』
に変換すると酔い筈。
翌日から渚カヲルは姿を眩ませた、もちろん真相を知ってるのは私達3人だけ。
教室には、また一つ空いた机と椅子が増えた…
放課後、誰も来る事はない屋上。
私はシンジ君の肩を抱き、シンジ君は私に頭を寄せる…
「綾波のにおい、僕好きかもしれない。」
「どんなにおい?」
「前は柔らかいにおいがしてた、懐かしいにおい…今は、少しタバコ臭い。」
シンジ君が私の制服のリボンに手を掛け、解く。
「だけど、今はその匂いも好き。」
ブラウスのボタンが二つ三つ外され、そこに鼻をあて、次に唇があてられる…
「こんなに君に夢中になるなんて、思わなかった。
アスカも可愛いし良い匂いがするけど、今の君には敵わないや…」
私もシンジ君の頭を撫で、顔を寄せて耳を舐める。
「あなたはもう私のもの、そして私もあなたの一部だもの…」
多分、それまでで一番長いキスをした。
シンジ君と私のにおいが交ざり合って、溶け合い、一つになる。
どちらともなく唇を離せなかった、ずっと一つでいたかったから
バサッ
「…あっ、アス」
アスカが来るまでは。
不意に断ち切られた感覚は後味の悪いものを残す、彼女はその日家に帰らなかったらしい。
「友達には、戻れないのかな…?」
「彼女次第だわ、あなたと私の事は知ってたはずだけど。」
…でも、アスカは2週間足らず帰っては来なかった。
MAGIが第三新東京市に近付く人や車両等の不穏な動きを確認し、エヴァ各機にも待機及び迎撃態勢の命令が下る━━━━━━━━━━━━
「人が、相手になるのかな。」
「そうね、使徒なら…全部倒したから。」
アスカは何も話さなかった、実際に戦闘の始まった後は怒号と叫び声だけで。
飛来した量産型を文字通り粉砕、戦車砲や武装車両を制圧もしくは殲滅し、辺りに静寂が戻る頃にはエヴァも街もボロボロだった。
「…終わったの、ね?」
それが久し振りに聞いたアスカの声、そして戦闘の幕引の言葉になった。
━━━━━━━━━━━━それからエヴァに乗る事は無くなった。
今じゃどうやって動かしてたのかもよく分からないかもしれない…
司令はどこかに行ってしまって、他の人も散り散りになったりならなかったり。
アスカもどこかに行ってしまったし、私の居たマンションも無くなった。
でも、シンジ君はずっと側に居た。
二人でしばらく一緒に暮らして、もう5年目にはなるかも。
あの場所に立つまでは、エヴァに乗っていた時の事は夢の様に思えていた…
はーい、そなわけで前フリ終わりデシ。
「…700越えてからなのかよ」
「マチクタビレター(AA略)」
「猫イラネ」
等の苦情は下記のフリーダイヤルから受け付けてません。
済んだ事気にするとかっこいい大人になれませぬ!
でつ。
今回の二人(レイシン)はちょっと不思議な関係。
ていうかシンちゃんてチョト変t(ry
猫様…ホントにゴメソヨ…
それはそれとして(オイ)、GJ!!
二人は良い雰囲気なのに、ちょっと怖い…読み違いだったらゴメソナサイ。
いつもの事だけど、シンちゃんエロイww
所詮はオスよ...
(´゚ω゚`)……………
(´゚ω゚`)タバ娘レイに萌えながらのGJ!
(´゚ω゚`)今書いてるヤツを見て思った。結婚するまで、スレちがいだ、と。
(´゚ω゚`)
(´゚ω゚`)
(´゚ω゚`)
二人は結婚した。 終
はダメだぞ。
おまいらに一言物申す このスレで「萌え」は禁止だ、そこいらの低俗な美少女アニメやらと一緒にするでない(・Д・)
猫たん、GJ!
さすが前スレの神でやす。
(´゚ω゚`)………
(´゚ω゚`)
>>727さん、それはBADなエンドですね。
(´゚ω゚`)それは無いんですけど、二人が一緒に成るまで時間が掛かるんすよね。
(´゚ω゚`)萌より燃え重視な私の駄文、も少しで一話が完成するのでよければ。
(´゚ω゚`)見てみて下さい。
(´゚ω゚`)
僕は作者の皆さんが思う通りに作れば良いと思います。スレの趣旨をある程度守れば個々によって個性が出るのは当たり前ですし。ということで今回は猫氏乙です。他作者の方々にも期待しております。
>>728 同志!エヴァはねぇ、萌えじゃないよね。
庵野監督がキレちゃったのもちょっと解るデスヨ。
>>729 惜しいが違いますぜ。猫様は、前スレ"から”の神なんですぜ。
>>Erz氏
(・∀・)ワクテカしてまつ。ガンガッテオクレ。
猫タン漏れちんちんおっきした
クンカクンカ(*´д`)ハァハァレイいいによいだよレイ
『かの者、最高神の位を奪われし者。その武具、巨大な鎚の型を模してはいるが破壊力に於いては他の神々の追随を赦さない。曰く、神の鉄槌(トールハンマー)。』
(簑村修英著"北欧神話に於ける人物像"より)
Erz:ahlungT
異端者としての使徒
「シンジ君」
呼ぶのはひどく白い肌、蒼髪、紅い目をした少女。
「ん?」
対するは中性的な顔立ちの黒髪、黒い瞳をした少年。
「欲しい本があるんだけど、つき合ってくれる?」
二人が着ているブレザーの胸ポケットには"第二新東京市立高校"と刺繍されたワッペンが付いている。
「いいよ」
その、およそ男性にはほど遠い笑顔で少年が答える。
碇シンジ、綾波レイは恋人同士である。本来なら第三新東京市で卒業式を迎えるはずだった彼らは、その被害状況から第三からの移動を余儀なくされた。
そして現在、二人は住居を共にしている。アスカが居たら小言を言ったであろうが、彼女はサードインパクト後、消息が途絶えている。
第二での生活は最初は空しく思えていた二人。しかし今は幸せを噛みしめていた。
この生活が続くものだと思っていた。
それはそうだ。サードインパクトが起きたことにより、もう目の前に驚異が迫ることなど無いと思って居たのだから…
駅前の商店街にある本屋は少し寂れた様子だが客は多い。それはたぶん、そこそこ広い店内に天井から床まである本棚に本が目一杯敷き詰められているからだろう。その様子は"そろわない本はない"と言っているようである。
他の客がいて少し狭い通路を半ば強引に抜けて、レイは目的の物が有るであろう一角で立ち止まった。
「シンジ君、ちょっと待ってて。直ぐ探すから」
と申し訳なさそうに言う。
「ゆっくり探しなよ」
と笑うシンジにレイもうん、と笑った。
肩をとんとんと叩かれてシンジは今流行のライトノベルの世界から帰還する。
「あ、もう買ったの?」
「うんん。無かったわ。店員に聞いても分からないって。やっぱり存在しないのかしら」
と残念そうにため息を吐く。
「本の題名は?」
聞かれてレイはシンジの瞳を見据えて言った。
「『芸術論』」
どんな本なの、とシンジが聞いたがレイは「怖い本」と言うことしか分からない、という事だった。
「すっかり暗くなっちゃったね」
本屋を軒並みハシゴしていたので、日はすっかり暮れている。気付けば空気は冷えていた。
「ええ。それに寒い。早く帰りましょ」
寒さが苦手なレイはシンジの腕に抱きつくような形で歩を進めている。
冷蔵庫の中身をお互いに思い出し、ああでもない、こうでもないと夕飯の献立を考ながら帰宅するのは久し振りだった。
二人とも違う部活動―シンジは帰宅部、レイは文芸部だ―なので別行動で家で合流、がいつものことだった。
因みに夕飯は茄子のボロネーゼスパゲティとキャベツのサラダで落ち着いた。
大通りに出るとサイレンの音がけたたましく鳴り響く。
「なんだろ?ネズミ取りかな」
「さあ。うるさいわ」
そんな他愛のない会話は一瞬で打ち切られる。
鳴り響くサイレンの中に聞き慣れた音、日常にはほど遠い音が鳴り響いたのだから。
「!」
「只の交通違反者ではないようね」
冷静にそう言った直後に爆発音。二人は歩を止める。
「不味いよね、これ」
「あのビルの向こうみたいね」
いかにも警戒した声で言う。
やがて風向きのせいで黒煙がビルの脇を抜けて空に立ち上るのが見える。
そして黒煙の中から人影がぬうっと姿を現す。
小さな体のそれは、遠目でも肩を震わせているのが分かる。
―巻き込まれた?大丈夫だろうか。
気付けばシンジはレイを置いてそれに向かって歩み寄っていた。
「待って…シンジ君…」それは、何か違う。何かが違うの!声がうまく出ない。いっちゃだめぇ…「シン…ジ…君…」
あつい。煙りの熱気はシンジの体を汗ばませる。
振り向くとレイが後ろでこちらに手を伸ばして何か言っている。だが分からない。シンジはそれの約10m範囲に来ていた。
それは予想より多少大きかった。
まだ肩を震わせている。
「大丈夫?どこか怪我しているの?救急車呼ぼうか?泣いて」いるの?
それは泣いていなかった。笑っているのだ。
それはクレッシェンドの要領で笑い声大きくしていく。
そして一際大きな声で笑った後、前までの笑い声が嘘であるかのようにぴたっと静かになった。
顔を少しづつ上げる。無表情だ。完璧にシンジに顔を見せ、目を見据える。
「あ…の…」
やっとの事で声を出す。
その声に反応したのか、どうなのかは定かではないが、それ―少女が口を醜く歪ませる。
「え…?」
「今晩わ。あたしは、サキエル。第参使徒サキエル、よ」
「え?あの―――」
使徒?この少女が?何かの冗だ…そう思おうとしていたシンジの思考は次の一言で停止する。
「そして、御機嫌よう、適格者イカリシンジ」
身に纏っていたローブのようなものから出てきたのは、少女の手ではなく…黒く、無骨なそれであった。
そしてそれを目にも止まらぬスピードで振り被り、叩き落とした。
ぼう然としていたシンジはやっと自分がアスファルトに口付けていることを確認する。
はは、夢だったんだぁなどと呟きながら起き上がったシンジが目にしたものは、クレーター状に陥没したアスファルトだった。
ガッ、ドゴン。
一回目の衝撃音のあとに鳴るさらに大きな音。ゆっくり視線を上げると、二つの人影が見える。
レイが…戦っている!?
「レイ!!」
その声に反応してレイが相手の攻撃を巧みにかわしながら言う。
「おじさまに連絡を取って!!早く!!」
いつも冷静な彼女が張り上げる声に驚きつつもシンジは反論する。
「そんな事…!」
「私のことはいいから、行って…お願い、シンジ…」
その言葉を聞くやいなや体を翻らせ、走り出す。
「絶対、戻ってくるから!」そう叫びながら。
サキエルが突然攻撃の手を休める。レイがその隙に強く地面を蹴って、相手との距離を離す。
はぁ、と溜息を吐きながらメンドクサイと言う。
「どうせ彼も直ぐに、送って上げる、ケド」
「そんなことさせないわ」
「じゃあ、どこまでやれる、か。見せて貰おう、か」
拳を握りしめる。
「反逆者、第弐使徒の力、を」
そう言うとまた唇を釣り上げた。
「はぁっ、はあっ」
息も絶え絶えにシンジは非常用の端末に携帯電話を繋ぎ、手を忙しなく動かしている。
「よしっ」
コール音が鼓膜を揺らす、揺らす、揺らす。
「早く出ろよっクソっ!」
20コール目にしてやっとオペレーターが気だるそうな声で出た。
『この端末は現在…』
「碇ゲンドウに繋げ!」
声を荒げる。出た瞬間に耳をつんざくほどの大声を聞き、驚きつつも、流石と言うべきか向こうも職務を全うしようとしている。
『ですから、この端末は非常用でして、民間人の方の利用は禁じられていますので』
ここで冷静になる。
『碇シンジ、元エヴァンゲリオン初号機パイロット、サードチルドレンの碇シンジです』
『えっ?』
オペレーターがまた驚く。電話の向こうの状況など気にしないで続ける。
「早く、父に繋いでください」
『はっ、すぐお繋ぎします』
間髪を入れずに父、特務機関ネルフ総司令が出る。
『シンジか珍しいな、何の用だ』
久々の会話だったが、前置きなど言っている暇はない。
「使徒が…今、レイが戦闘中です」
『使徒…だと?こっちにそのような情報は…』
ええい、じれったいと口早に言う。
「軍隊?とにかく応援を頼むよ!位置はどうせすぐ分かるだろ!?」
その正気を失った声にゲンドウは何かを感じた。
『分かった、直ぐに送る。そこでじっとしていろ。おい、聞いているのかシンジ』
シンジはもうそこにはいなかった。
「レイ…どうか無事でいてくれ…!」
口に出さないと気が折れそうだったのだろうか、何度も呟く。
真っ直ぐに走り、左手に曲がる。するとレイが立っている…筈だった。
その代わりにレイがシンジに飛んできた。その体をよろけながらも抱き止める。その体は血に塗れている。シンジは意識が朦朧としてくる。
「あら、自分から来てくれる、なんて。省く手間が無くなった、わ」
それが何を言っているのかも理解できない。
レイ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…
心でその言葉を繰り返す。目に涙がたまる。しかし、それは直ぐに乾いた。
…レイを、よくも、よくも、よくも、よくも…
「今度こそ、御機嫌よう」
腕を振り上げた、瞬間。
「があぁあぁぁぁぁ!!!!!!!!」
怒りに満ちた叫びと共にシンジが肩から体当たりを食らわす。
「ちっ」
使徒は舌打ちすると、すぐに体勢を整えようとするが既にシンジが馬乗りになっていて叶わなかった。
ゴシャ
シンジが拳を怒りに任せて振り下ろす。何度も、何度も、振り下ろす。
何発殴ったのかわからない。その拳からは骨が見え出血している。
「やった…のか…」
自分の拳をみてシンジが惚けた声を出す。
使徒を名乗る少女の顔は血にまみれ、地面が固かったせいか後頭部からの出血が血溜まりを作っている。
「痛ッ…」
興奮状態で麻痺していた痛覚が感覚を取り戻して両手に激痛がはしる。
だが、それは剰りの激痛に気絶しようにもそれが出来ない、半ば朦朧とした意識の中でも確認できた。
ガボっ、と少女の口からどす黒い血が溢れる。ヒュゥと空気が口から漏れた瞬間、ミシミシと耳障りな音を立てながら赤黒い球─少女の顔─が原型へ整えられていく。
朦朧とした意識、心臓から血液が送り出される度に痛む両手の感覚の中でシンジは、少女が子犬のそれのように小首を傾げた後、血に塗れた唇を再び吊り上げる様を見た。
何故かシンジは「レイは大丈夫だろうか」と考えている。
そんな彼を余所に、無骨な黒い手が頭を鷲掴みにして、ゆっくりと立ち上がると手を真っ直ぐに上へ向けてシンジの体を吊り上げる。
「アダムは、どこ」
これからするであろう行為を想像しているのだろうか、口元が緩んでいる。
「言えば、命位は」「……………めだ」
提案は独り言に遮られた。
「何、言って」「………ゃ駄目だ」
流石の使徒もこの反応に戸惑い、顔をしかめる。
「もう、いい、わ」
言い終わると同時に、肘部に付いているピストンが引かれる。
成程、拳を打ち突けた瞬間にピストンが押されることによって、二回音が聞こえてきていたらしい。だが、シンジは意識がとうとう危うくなってきていて、そんな事は知らなかった。
捕まれている頭。固定されている頭に打ち込まれるピストンの衝撃。まともに喰らえば脳髄が掻き混ぜられてしまう。しかしシンジは手足をだらんと垂らしたまま抵抗しない。
「さようなら、イカリシンジ」
ピストンが打ち込まれた。
続けて二発、三発、四発…それはまるで仕返しのように。指の間からは血が滴っている。
突然手を離す使徒。。飽きたからだろうか。それとも満足したからだろうか。だが、両者とも違うらしい。だらしなく地面に突っ伏すシンジの口から血が漏れる
「ガボッ……ゃ…目だ」
死んでいるはずの男から発せられる不気味な独り言。
「まだ、息があるの、か。しぶとい奴、だ」
そう口にしながら地面に横たわるシンジの腹部に拳を打ち突ける。ゴッという音の後にバキバキと鳴る骨。
使徒が拳を退けると、その腹部が完璧に陥没している。
あれ、私、ふと意識が覚醒する。体が動かない。辛うじて頸を上に向ける。
「シンジ…君…?」
仰向けに横たわる自分の足の向こうに見える光景に愕然とする。
「い…や…」
醜く変形した彼の体は遠目からでもはっきりと確認できた。そして更に打ち込まれる拳。もう、シンジからは生体反応も確認できない。
「も…う…やめて…」
蚊の鳴くような声しか出ない。
「シンジ…く…ん」
また打ち込まれる拳。
「シンジ…くん…」
ひしゃげているシンジの腕。
「ねぇ…返事してよ…シンジ君!!」
返事は、無い。涙が溢れる。それは悔しさからくるものか、悲しさからくるものか。そんなことはお構いなしに溢れ続ける。
「うっ…うぅ…」
シンジは死んでしまった。あの訳の解らない少女のせいで、いや…止められなかった私のせい…?
そんな考えの数々が頭を掠め続ける。
「もう…駄目…」
口が諦めの言葉を吐く。
使徒の拳は止まっている。目に溜まった涙を瞼をぎゅうっと閉じて追い出す。その瞳に映るのは、遠目からでも解る──普通の人間が見ても解らない程小さな反応だったが、
以前感情を表に出さない少女であったレイには解る、それが意味するのは驚愕。使徒を名乗る少女は驚愕していた。
痛みはもう無い。地に沈み行く感覚に囚われながらシンジはその生涯を終えようとしていた。
思い出されるのは、エヴァンゲリオンに乗り、仲間と協力して使徒を倒していた頃の自分。ずぼらだけどやるときはやるあの人、生意気だけど本当は寂しがり屋のあの子と同居した時のこと。級友。そしてレイと暮らした時間。
すべてが夢のようで、愛おしい時間だった───だった?
ド、クン
いやだ。僕はまだ死にたくない…
ド、クン
死にたくないんだ……
ド、クン、ドクン、ドクンドクンドクンドクンドクン…
鼻を掠める血の臭いの中に感じるのはサードインパクトの時にレイの中で感じた懐かしい匂い。
体が熱い。手が痛い。頭が、頭が…割れそうだ。
「お前、一体…」
どうしたの?なにを驚いているの?
「馬鹿な、そんな筈、は」
何の事?何のこと?ねぇおしえてよおしえてよねぇ
ドクン
第三使徒サキエルの前に、翡翠の眼をした少年が対峙する。
その姿にサキエルは以前戦った初号機それを重ねていた…
「なんなんだ、よォ!」
今までの落ち着いた、どこか気だるそうな口調から余裕が消えた。
使徒の攻撃が再開する。
一見鈍重そうに見えるが素早いパンチを目の前の敵に連打する。
十数発ほど入ったところで拳が止まり、足が空を蹴る。
自分の意志ではない。碧眼のそれが使徒の右腕と左腕を捕って持ち上げているのだ。
それの右腕はだらんと垂れている。何故なら使徒の左腕はそれの顎に喰いちぎられんばかりの力で固定されているのだから。
その直後、使途の左手首から先がブツンと音を立てて落ちた。
「───────ッ!!!!!!」
鮮やかな紫の血をまき散らしながら、人間の可聴域を越えた声で絶叫する使途。
左腕に更に力が架かる。先程から渾身の蹴りをそれの臑や腹部に打ち込んでいるが、一向に力が弱まる気配はない。
ミシミシと音を立てる使途に残された一本の腕。
「お前……っ体…」
はっはっと荒い息でそれに問う。
その刹那、だらんとしていた右腕が使途の腕の付け根に掛かり、引き裂く。
「あっ」と素っ頓狂な上げて宙を舞う使途。
一瞬の浮遊感の後にその中に在ったであろう核ごと胸を貫かれた。
失われる瞳の光。
腕を伝う紫。
支えを失い血溜まりに落ちるアンバランスな体。
それは手に付いた妙な色の血液を確認するとニヤリと笑い、呟く。
「…れが…から…だ…」
静寂が訪れる。
一部始終を見ていたレイはフラフラと覚束ない足取りでそれに近付く。
「シンジ、君…?」
ピクッと体を震わせる。
「怪我は…ひどい…?大丈夫なの?」
突如としてレイの首が掴まれる。
「かっはっ」
眼をギョロギョロとあらぬ方向へ向けた後レイを凝視する二つの眼。
「シンジ…君…」
レイの手が力無く挙げられそれの頬を優しく撫でる。
そして、微笑む。
首を絞めている手から力が抜けて、尻餅を突く。
それはフラフラと二、三歩歩いたところで吼える。
オォォオォォォォォン
レイは再び立つと、少しも臆せずにそれに歩み寄り、後ろからそっと、優しく抱く。
「もういいの、いいのよシンジ君」
と囁きながら。
自衛隊が到着したのはこれから約一分後、葛城ミサトと赤木リツコが到着したのは二十分後のことであった。
「で、あの使徒を名乗る者をシンジ君が倒した、と言うわけね」
数カ所の裂傷と重度の打撲のせいで包帯に巻かれたレイにリツコが訊く。
「はい。その通りです」
その回答を受けて嘆息するリツコ。
「詳しく調べてみないと解らないわね…レイ、悪かったわね。もう行って良いわよ」
「はい」
立ち上がって救急車に乗り込むレイ。
ドルンと音を立て走り出す救急車。
「あ、レイもう行っちゃった?」
後ろからミサトが声をかける。
「えぇ」
ちょっと訊きたいことがあったんだけどなー、まぁ大した怪我じゃなくて良かったわ、とミサトの言葉を聞きながらリツコは漠然とした何かを感じていた。
レイの怪我を見る限りでは、真っ向から向かっていったシンジ君の方が重度、若しくは死亡していた可能性も否定できない。
それなのに、あの程度。検査的に入院させるために乗せたけど、血だらけではあったが目に付く怪我はなかった。
「血塗れなのに救急車…まるでレクター博士だわ」
「え?なんか言った?」
ミサトが職務のモードから普段の調子で聞く。
「独り言よ」
ふぅんと言って車に戻るミサト。
その背から上に目を向ける。
闇空には紅い月。
紅い月だけが爛々と輝いていた。
Erz:ahlungT
ENDE.
(´゚ω゚`)…………
(´゚ω゚`)ヤッチマッタ…
(´;ω;`)
(´゚ω゚`)XBOX360で出るBULLET WITCHが気になります。
(´゚ω゚`)エヴァもアクション出してくれませんかね?
(´゚ω゚`)主人公はアラエルで。
うん面白い、 でも結婚生活じゃねえ、でも面白い。シンジが悪魔化いや使徒化した、 つかメガテンやん (・ω・)
(´゚ω゚`)ノクターンのことですか?最初の一文すか?
(´゚ω゚`)メガテンはソウルハッカーズしかやったことないす。
(´゚ω゚`)上手く行けば、]Yとかでくっつける…筈
結果としてくっ付くのであるのなら、投下スレの方が問題が少ないかとご忠告する次第。
あっちは今、閑古ちゃんだから嫌だろうけど。むしろ,それを盛り上げてやるくらいの気を
出していただけると嬉しい。
物語の初期や中盤で結ばれて、それをフォーカスしつつの話なら全然問題ないと思いますが。
お話は面白くなりそうなんでどっちのスレに投下しても読みますよ。
別にここに投下したらええがな(・ω・)
運命は、職人に委ねられたな。
(´゚ω゚`)委ねられちゃった
「最後の時はエヴァ板で」のスレで
>>19のIDが猫...
いい加減、スレ違いな投下は辞めて欲しい
これじゃ、ただの荒らしでしょ
(´゚ω゚`)おめんさい
年末の大掃除、お風呂場をひととおりきれいにした私は掃除機を取りに
物置に向かった。
廊下を歩いている途中で、子供部屋にいる娘の愛が言いつけておいた
掃除をサボって、漫画を読んでいるのを見かけたので注意する。整理の
途中で雑誌とかを読んでしまうのは、人類の宿命なのだろうか?
「愛、漫画は片づけが終わってからにしなさい」
「うー……は〜い。わかったー」
少し不満そうだったけど、私が怒った表情を見せたら言うことに従った。
うん、素直でよろしい。
掃除機を抱えて入ったリビングでも、これまた嫌な光景が広がっていた。
「どいてくれる」
じゅうたんの床に寝っころがってテレビを見ている粗大ごみに対して、
冷たい声で言う。
「あー……うん」
だがその喋る粗大ごみは生返事を返すだけで、娘とは違いいっこうに
動こうとしない。こちらを振り返ることなく、ひたすらテレビ画面を見続ける。
さらにもう一度声をかけようとしたところで、彼の頭を支えてない方の手が
動く。ようやく動く気になったか、と思った私だったが――――手は立ち上が
るために床へつくのではなく、あれの前方へ、私の死角になってる場所へと
伸び。
ビニールのこすれる音がして。少し間があって再び視界に映った手にはせんべいがあって。日本伝統のお菓子はあれの口元へと運ばれ。
ぱりっ。
乾いた音とともに割れたのは、せんべいだけではなかった。
「それで怒って家を出てきちゃったの?」
「ええ」
中学校以来の友達の言葉に、頷いて答える。
「何もそのくらいのことで、家出まですることないんじゃない」
「今日のことだけじゃないわ。今年の仕事が終わってからずっと家でごろごろ
してるのよ。休みなら私と子供をつれて出掛けてくれればいいのに。それに
普段だって家に帰ってからは仕事の愚痴しか言わないんだもの」
「へぇ。なるほどねぇ。あ、トウジ、お茶おかわり入れて」
「おう。ったく、人使いが荒いやっちゃなー」
こちらも中学以来の友達である青年の足は義足だが、最新の技術で作られた
それは、長年の付き合いによる慣れによって、既にほとんど違和感を感じさせない
ように動かせる。だから新妻も、彼をこき使うのにまったく遠慮しない。
「いいわね、ヒカリは。旦那が家事を手伝ってくれて」
「え〜。やめてよー。トウジなんて何年経ってもぜんぜん家事が下手なまま
なのよ。もっと要領よくなってもらわなきゃ戦力にならないわ」
本人に聞こえるのを分かっていて、声を落とさないヒカリ。
「碇君は家事しないの? トウジよりずっと上手にできそうだけど」
「……付き合い始めて最初の頃はやってくれたわ。私に色々教えてくれたのは
彼だし。だけど」
古き良き時代と、その後の変遷を思い出し、少し言葉を切ってから続ける。
「私が一人で作るようになると――そのときは恋人としてのプライドみたいのが
有ったから、私よりうまくこなせたシンジにできるだけ家事をやらせないように
したわ――とたんに怠けるようになったの。当時は私に甘えて『にくじゃが食べ
たいなぁ』とか言われえも、何をトチ狂っていたのか、頼りにされてるって考え
ちゃってたのよね。……あれは本当は頼りって言うよりも依存だったのよ。
シンジが求めてたのは、互いにすべてを話せるパートナーではなくて、無償の
愛を注いでくれる母親だったの。それに気づいたのは結婚してからで手遅れ
だったけど」
日ごろの不満がいつになく私を饒舌にしていた。こんなに喋ったのは生まれて
はじめてかも。その間に鈴原君の入れた麦茶がテーブルに置かれた。
「う〜ん。でも男って多かれ少なかれ母親を求めてるもんよ。ねぇ、トウジ」
「アホ抜かせ。ワシはおかんに甘えるほど子供やあらへん」
「ま、このとおり本人に自覚はないけど。レイも不満があるなら碇君に直接
言ってみたら? 碇君ならきちんと考えて実行してくれると思うよ……いつまで
続くかは分からないけど」
「……そうね、そうする。掃除の続きもあるし、今日は帰るわ」
「うん。愛ちゃん置いてきたし、最初からすぐ戻るつもりだったんでしょ」
ヒカリが笑顔とともに言い切る。あまりに的確な指摘に、ため息が出た。
「ハァ。……ヒカリは何でもお見通しなのね」
「結婚したのはレイより遅かったけど、主婦暦は私の方が長いからね。
これからも何かあったらいつでも相談してよ」
昔の彼女のあだ名、『委員長』のとおり、世話焼きなところは変わってない。
この人と友達でよかった。
「あー、碇。シンジのことあんま叱らんといてや。多分今頃あいつ落ちこんどる
はずや」
「努力はするわ」
こっちは男の友情というものだろうか。
玄関を開けるとシンジと愛がすぐにやってきた。愛が私の足に抱きついて、
シンジは土下座して謝っている。夫の必死な様子を見て、あー、この人は私を
愛してるんだな、と思う。
そういえば、私の方からシンジに要求をしたことは、今まであまりなかった
気がする。私はシンジの保護者じゃないんだから、彼の言うことを聞くだけ
じゃだめだ。
これからはもっとわがままになって、私もシンジに甘えよう。
終
GJ
>>Erz氏
まさか肉弾戦とは…あまりに予想外でした。シンジどうなっちゃったんだぁぁ!?
スレ違いかどうかは、最後まで読まなきゃ解らない。だから、最後まで書いてオクレ。
>>756 猫様www
>>760〜のNULLPOmvRA氏
わ〜い、新しい人だ!GJ。王道ですな。
シンジがマダオwww
そして僕は、君をガッする為に生まれて来たのかもしれない…。
(´゚ω゚`)リュウ氏…
(´゚ω゚`)最期って言うと]]Yまであるっす…
(´゚ω゚`)課題が終わらない…
(´゚ω゚`)DECADE聞きながらやるかっ
(´;ω;`)
だから、ここは結婚に至る過程のスレではなくて、結婚生活のスレでしょ。
延々と場違いな展開を続けて、最後にチョロっと
「結婚しました。それなりに幸せに暮らしています」
と付ければ良いとでも思ってるの?
他にも投下スレはあるんだから、そっちに投下してくれよ。
結婚生活と結婚に至る迄の甘い生活は全く別物だからねぇ。
突っこんだ話は経験者じゃなきゃ書けないかもね。
何故スレタイに拘る?結婚までの経緯があってこそ結婚生活が面白くなるんじゃないか
「結婚しました」で終わってから文句を言いなさい
マゲ
>>771 なにもわざわざ立てなくて良いのに〜。
気持ちは解りますが、全ての人が満足の行く方法など無いと、
割り切るのも必要ですぜ。
俺も今のままでええと思うよ〜
見てたけど、最初に猫さんがちょっと黒めなのを書いたら
ドカドカドカッと追随する人が現れてエスカレート、って感じじゃない?
だめとは言わんけど、ちと自制してもいいんじゃ。
778 :
1:2005/12/30(金) 13:15:25 ID:???
>>769氏
横入りスマソ
結婚生活を大事にしたいのはよう判ったんですが
結婚生活までの過程と結婚生活の違いってなんですか
オイラだけかもしれませんが、難しいのです
(´゚ω゚`)こちらでは普通の妄想書くことにしますね。
(´゚ω゚`)メチャクチャ強いアスカとかに萎える人も居るでしょうし。
木星を離れ、土星近海にさしかかった頃…。
カヲルはパイロット達を自室に呼び集めた。
彼は、先日彼らの夢に侵入した使徒の正体を明かす。
カヲルの予想通り、シンジは使徒と戦う事に、戸惑う。
「どうしても、倒さなきゃいけないのかな…」
目の前に座る親友を握り潰した、あの時の感触を思い出して、右手を見つめる。
「また君に辛い決断をさせるのは心苦しいが…槍の機能を使いこなせるのは、初号機だけだからね」
「他に、方法は無いの?あの使徒を助けて、僕らも生きられる方法は?」
「そんなものは無い。自ら切り開ける運命なんて、世の中にはわずかしか無いんだ。
例えそれが望まぬ結果になるとしても、今のシンジ君に出来る事は、彼女を殺すか、
あるいは僕達全員の死か…どちらかひとつだ」
シンジは苦悩する。
――なぜ、僕が決めなきゃいけないんだ。アスカでも、レイでも、カヲル君でも良いじゃないか。
なんで僕が…――
「イヤなら、やめても良いのよ」ぽつりとレイが呟く。
「辛かったら、逃げても良いのよ」そして、もう一度呟く。
「でも、逃げたらみんな死んじゃう…」
「大丈夫。あなたが逃げるなら、私は還るから。カヲル君の話のようにあの月が不完全なら、
そこから生まれた使徒はすぐ滅びるわ。地球の生命を卵に還して、その時を待てば良いだけだから」
レイの眼が、かつての冷たい眼差しに戻る。
「ちょっとレイ…それって、サードインパクトを起こすって事でしょう?」
「そうよ」
「相変わらずとんでもない事言い出すわね〜。あんただけは敵に回したくないわ」
すでに一度敵に回し、サードインパクト寸前まで追い詰めた事を知らないアスカが苦笑しながら言う。
「ま、その必要は無いわよ。シンジがやらないなら、私が槍を初号機ごとかついでブン投げてやるから」
「シンジ君…僕は君に強制するつもりはない。
まだ時間はあるから、考えて、悩んで、苦しんで、それで結論を出してくれ。
それが例え僕の望まない結果だったとしても、僕はそれに従うよ」
「カヲル君は、僕にどうして欲しいの?」
「その質問は無意味だ。そうやって君はまた、他人の望みを自分の望みとすり返るつもりかい?」
「違う…そういうつもりじゃ――」
「一つ、良い事を教えてあげるよ。
世の中には、君みたいに未来を選択する権利すら与えられない人がほとんどなんだ。
そういう人達から見れば、君のように決定権を与えられるのは、幸せな事なんだ。
皆が皆、幸せな未来を手に入れられるなんて、都合の良いおとぎ話でしかない。
だが君は、二択とは言え自分の望んだ未来を手に入れられる。その事だけは、忘れないで欲しい」
×すり返る
○すり替える
>>777 最初に追随したの、僕かもしれない…わざとじゃないんだぁぁぁ(つA`)
ただ本編を踏まえてハッピーエンドにするなら、
一度は心の黒い部分を見つめるエピソードが無いとシンジ達は幸せになれない。
と思うのデスヨ。
まあ、このスレでそこまでやる必要は無かったと、チョッチ反省orz
>>Erz氏
向こうのスレでも「面白い」と言ってくれる人がいるじゃないですか!
バツイチレイの時もそうでしたが、アイデアがすごいと思います。
真実は人の数だけある…君は、ここにいても良いんだ。
>>782 dクスwww
はぁ、またやっちゃったよww
何もしたくない…もう死にたい……アスカ、助けて………orz
700越えて誤字ってのも笑い事じゃないがなw
ま…マナさんだー!
こ、これはどうもご丁寧に(皆に代わり)ありがたうございまつ&乙GJでつ!
∧⌒⌒∧ カケツケハチクロティードゾン
t (从 从)) ζ
Yゝ;゚w゚ν □
ヾ/ 彡o ̄ ̄ サッ
しーJ
788 :
ムニエル犬:2005/12/30(金) 17:40:07 ID:???
マナ狐←「マナギツネ」って読むんですか?
なんにせよ乙。
>787
どもです〜 蜂黒ティーありがとでした
∧^^∧ >788マナキツネでおながいします
彡从 从ミ 私の書いてる奴自体は アヒャッ なのでコソコソと・・・
,ヘ、_ ソゝ^ヮ^v
| >  ̄ ̄( つ□0 でわでわ〜
ヽ_>_/と_)_)
( ´∀`)全米が笑った
碇シンジ、彼の朝は早い。
パイロット仲間の弁当を作らなければならないのだ。
彼らは出撃が無い限りは特に仕事が無いので、
暇な時は、艦内の人手が足りない仕事の手伝いをする事になっていた。
それは艦の修理作業から、売店の売り子まで、彼らに出来る仕事はいくらでもあった。
その仕事場で食べる弁当を作る事が、彼の一日の始まりなのだ。
肉を食べられない妻の為に作る、一つだけ特別な弁当。
これを渡すとき、妻は少し恥かしそうに笑って受け取る。
その笑顔こそ、妻が幸せを感じてくれている証だと思うと、彼もまた、幸せな気持ちになれるのだった。
数日前までは――。
玄関へと続くキッチンを、レイが通りかかる。
「これ、レイの分のお弁当…」
「…ありがとう」
最近、彼女はうつむいて、無理矢理笑顔を作るようになった。
シンジと眼を合わせないようになった。
一緒にいても、どんなに言葉を交わしても、身体を一つにしても、心だけが通わない…。
それが始まったのは、カヲルから使徒の正体を聞かされた、あの日からだ。
レイもまた、あのような境遇の相手を、もしかしたら解りあえるかもしれない相手を、
殺さざるを得ない事に苦しんでいるのだろうか?
でも、それでも何で自分を避けるのか、それが解らない。
「なんで眼を合わせてくれないんだよ!」
レイの肩を掴み、思わず大声を出してしまうシンジ。
彼に大声で怒鳴られる事を、レイが最も怖がっていると、彼は忘れていた。
レイの身体がビクッと震える。
大きく見開かれた眼には、恐怖の色がありありと浮かんでいた。
「あっ……ごめん」彼女の恐怖に気付き、シンジが謝る。
下を向いているレイの顔は髪に隠れているが、
耳まで真っ赤に染まり、頬を涙が伝っていくのが解った。
「………」
「………」
無言。
「…レイが泣いてると、僕も辛いんだ。だから、笑ってよ」
「ごめんなさい」
レイが震えた声で、小さく言う。
「……行って来ます」
レイは背中を丸くしたまま、トボトボと玄関へ向かって行く。
シンジはその背中を抱き締めたかった。
仕事も休んで、ずっと抱き締めていたかった。
だけどそんな事をしても、二人の間に生まれた溝が埋まるとは思えなくて、
椅子にドシッと座り込み、テーブルに顔を伏せて泣く事しか出来なかった…。
(´゚ω゚`)ドキドキ
ちょ、ごめ。使徒の正体がわからんorz
続き投下しようと思ったら、寝てますた…orz
>>795 まず、今回地球に襲来した黒き月は、とても永い時間宇宙をさまよってました、
あるとき、『トップをねらえ!』に出てくる宇宙怪獣に襲われ、月が破損してしまいます。
内部に満たされたLCLがそこから漏れ出して、魂も宇宙空間に流れ出てしまいました。
そこで黒き月内の生命の種は、残りの魂を、抵抗戦力として宇宙怪獣に似せて
使徒を生み出し、必死に逃げます。
その使徒は不完全なまま生まれた為、知恵の実も生命の実も持っていませんでした。
また怪獣に襲われた時に種の機能が故障してしまいます。
存在理由を見失ったものの、せめて生み出された使徒達が繁栄できる星を探します。
で、それから宇宙をさすらって、見つけたのが地球でした。
地球には、自分に反抗する生命『人類』が既にいました。
種は彼らもまた、A.T.フィールドを持つ生命だと知り、その心に興味を持って、
ヒトの心を探ります。
そして種は、自分と同じ種がヒトとして生きている事を知り、自らもそうなりたいと願います。
しかし肉体を持ったまま地球へ行けば、セカンドインパクトを起こしたアダム
のように、先に繁栄していた生命をLCLに還元してしまう事になる。
それは肉体に与えられたプログラムの最優先事項であり、種の魂にも制御できない。
タブリスと同じように…。
だから種は、かつてのタブリスと同じ結論に達し、自らの死を願います。
と、こんな感じデス。上手く説明出来なくてスマソ…orz
忘年会ではありませんが、まだバレて無いミスを一つ、自ら晒し鱒。
>>649-656の回で、「木星の大気圏に突入」なんて書きましたが…
突入しちゃダメだよ…大気制動がかかっちゃうじゃん…orz
気付いた方、突っ込まないでくれてありがとうデス。
ある休日。
雪が、降った。
「シンジさん、起きて・・・・・・」
言葉だけを聞けばいまいち覇気の感じられない起こし方で、碇シンジは起こされた。
腹の上に馬乗りになっている彼女にどけてもらい、彼は起き上がる。
―――うれしそうだな
起床から数秒、彼はいつになく落ち着きのないレイの様子を見て思った。
「何かあったの?レイ」
それを聞くと、彼女は嬉々として寝室のカーテンをまくって見せた。
その眼前にあったのは――― 一面の、銀世界。
服を着ながらそれを見て、
―――ああ、なるほど
と彼は思う。
未だ四季を通じて気温が高い日本では、地域に関わらず雪がほとんど降らない。
この大雪はもともと子供っぽい彼の連れ合いを喜ばすには、十分な力を持っていた。
彼が朝食の目玉焼きをひっくり返していたところに、後ろから声がかかった。
「雪なんて、久しぶりに見るわ」
言葉使いはいつものもの。しかし、弾んだ声が嬉しさを正直に表している。
その奥に隠された彼女の気持ちを汲み取って、彼は言葉を返す。
「朝ごはんを食べたら、外にでてみようか」
「ええ」
それに返ってきた嬉しそうな声を聞き、彼は口元に微笑みを浮かべた。
碇家のその日の朝食がいつも以上に力の入ったものだったのは、まったくの余談。
コートを羽織り、外へ出た。
「何しようか?」
彼女に問いかけると、間髪いれず答えが返ってきた。
「雪だるま」
すでに転がし始めている彼女に苦笑しつつ、彼も作り始める。
なかなか大きな雪玉を持ち上げて上に乗せるのはもちろん彼の役目。
完成した雪だるまを前に二人で座り込む。
「意外と時間、かかったわ」
時計を見ながら口を開いた彼女に、彼は答えた。
「そう思ってお弁当、作っておいたんだ」
サンドイッチと紅茶のランチを食べて、その後しばらく空を見上げる。
と、
ぼふっ
「のわっ!?な、何するんだよ、レイ!」
雪玉を投げつけられた。
「・・・・・・シンジさんがボーっとしてたから」
明らかに楽しんでいるとわかる表情で彼女はそう言った。
彼も雪玉を作り投げ返すと、よけ損ねた彼女の顔が雪まみれになった。
「・・・・・・」
きょとんとした表情でこちらを見ている彼女がおかしくて、シンジは笑った。
今度は彼女のほうが少しむきになって雪玉を投げ返してきたので、よけて立ち上がった。
「やるの?」
「やろうか」
かくして雪合戦が始まったのだが、運動神経にかけてはどっこいどっこいな二人、
雪合戦というよりは雪の上でのじゃれあいといったほうが正しいような。
それでも二人ともそれなりに体力を消耗し、そろって雪の上に倒れこむ。
「疲れたね・・・・・・」
シンジはレイに声をかける。
「でも、楽しかった」
返ってきた言葉は、本当にうれしそうで。
―――よかったな
と、彼は思った。
ふと気がつくと、目の前をちらつく白い物。
「・・・・・・雪」
ポツリと彼女が言った。起き上がり、上を見上げる。
「きれいだね」
「ええ」
鈍色の空、白い雪。その中で、彼女の蒼い髪と紅い瞳だけが鮮やかに見えた。
その隣に起き上がり、そっと肩を抱き寄せる。
しばし言葉に迷い、そして出てきたのはいつもの言葉。
「・・・・・・・・・・・・愛してる」
その言葉に彼女は、顔を赤く染めて。
「・・・・・・うん」
とだけ、言った。
大晦日だっつうのにまったく関係ない物投下。
しかも添削してないし。突発的妄想をどうかお納めください。
>>801 ここはティッシュでわありません><カンチガイテラキモス
もしかしてオナニしちゃった?
泣いていても仕方ないと思い、気力を振り絞って、彼は仕事場へ行った。
今日は今までに観測した惑星や衛星のデータ整理を頼まれていた。
コンピュータルームに行くと、別の現場で働いているはずのレイがいた。
「ああ、奥さんなら、こっちに回ってもらったんだよ」
スタッフの人が、戸惑っているシンジに教えてくれた。
彼らの善意なのだろう、シンジはレイの横に座らされた。
シンジがレイを見ても、レイは気付かないのか無視しているのか、
ひたすら書類とモニターを見て、データを打ち込んでいる。
シンジも仕方なく、仕事にとりかかった。
そして、一時間が過ぎた頃…。
『使徒の接近を確認!パイロットは至急作戦指令室に集合!繰り返す……』
警報と共に非常召集がかかる。
「レイ、行こう!」
シンジは隣のレイに声をかける。だが、彼女は答えずにそそくさと部屋を出て行ってしまった…。
作戦指令室に集まったパイロット達は、ミサトから作戦の指示を受ける。
「敵は木星で遭遇した、小型の使徒の群れよ。数だけは多いから、弾薬の消費には気をつけて」
「「了解!」」
いつもなら四人で声を合わせるところだが、この時はアスカとカヲルしか返事をしなかった。
シンジとレイは、うつむいて何かを考えているようだった。
「シンジ君、レイ、聞いてるの?」ミサトが厳しくたしなめる。
「あ…はい。すみません…」
「…すみません」
二人共、心ここにあらず、といった風である。
「ねえ、あの二人なにかあったの?」事情を知らないミサトは、アスカに尋ねる。
「ま、色々あるんじゃないの、夫婦なんだし」アスカは事情を知っていたが、その場はそれでやり過ごす。
「とにかく、あと少しで黒き月まで行けるんだから、もう一踏ん張りしてちょうだい」
艦外壁に射出され、宙を漂うエヴァ…かれらの遥か前方に、土星の17番目の月、
ヤペタスが浮かんでいる…はずだったのだが…。
「なによこれ…まるで月食じゃないの…」アスカが呟く。
月が消えたわけではなかった。ただ隠れているだけなのだ。無数の物質によって…。
その物質の集合体が高速で彼らに迫る。
彼らは前回と同様にN2ミサイル発射後の一斉射撃で応戦し、敵の数を一気に減らす。
またも勝利を掴み取るかと思った、その時――
『12時報告に反応多数出現!敵の増援です!!』
再び、ヤペタスが黒い霧に覆われたかのように輝きを失っている。
「もう、きりが無いじゃないの!」
「こいつらを倒し続けても無駄だ…本体を倒さなければ、無限に出てくる」
カヲルはこの使徒達に魂が入っていない事に気付いた。
ただ母体に操られるだけの人形にすぎない…。
『カヲル君、本体の位置、解る?』
「……ミサトさん、艦をヤペタスに近づけて下さい」
『そこに、使徒がいるのね?』
「おそらく。こいつらには知能らしい知能は無い。真っ直ぐこちらに突撃するだけで、
僕達を罠にかけるほどの知恵は無いでしょうからね」
使徒の群れを突っ切り、ヤペタスの上空と呼べる距離まで接近する。
今ヤペタスは、通称『明るい顔』や『ヤペタスの眼』と呼ばれる色の白い側を艦に向けている。
そして、その『明るい顔』の中心に、黒い物体を確認する。
モニターで拡大すると、それはラーマに匹敵するサイズの生物だった。
まるで芋虫のような身体のあちこちに、穴が空いている。
あの小型の使徒は、そこから生み出されているようだ。
『初号機はポジトロン・スナイパー・ライフルを装備!残り三機は艦と初号機の護衛に回って!』
背後から、そして前方からも使徒が迫り来る。
着艦し、ライフルを受け取る初号機は、銃口を使徒の本体に向け、照準を合わせる。
「みんな…もう少しだから、持ちこたえてて…」
『きゃああぁぁぁ!!』
「!!…レイ!?」レイの悲鳴が響き渡る。
零号機を見る。首を抑えて、もがいているように見えるが、遠くて解らない。
映像を拡大してみる…すると、零号機の首に、使徒が噛み付いているではないか!
「レイ!!」
首の周りに青い血が球となって浮かんでいる。
『シンジ君はそのまま攻撃を続行して!レイはアスカとカヲル君に助けさせるわ!』
ミサトの声が聞こえる。
そうだ。今は本体を倒さなければ、どうにもならない。
本体を倒すのが、レイを助ける一番の方法なんだ。
今すぐレイの元へ駆けつけたい気持ちを抑えて、シンジは目標に照準を合わせる。充填まで、あと十秒…。
ふとシンジは、周囲から使徒がいなくなっている事に気付く。まさか――。
恐る恐る零号機の方へ目を向ける。
さっきまで零号機がいた所には、なにやらもぞもぞ動く塊があった。
その塊を、弐号機と四号機が必死にちぎっている…。いや、ちぎっているんじゃない。
集まっている使徒を、引き離しているんだ…あの中には、零号機が…レイが!!
その時、エネルギー充填完了を知らせるアラームが鳴る。
「ちっくしょぉぉぉぉ!!!」
本体を憎悪の眼で睨みつけ、トリガーを引く。
銃口から伸びた光は地表へと落ち、そこにいた使徒の本体に直撃し、その身体を四散させた…。
零号機にまとわりついていた使徒の子供達は活動を停止した。
弐号機と四号機はそれらを引っぺがし、零号機を救出する。
機体自体は、肉の柔らかい部分を齧られただけで、充分修復可能だった。
だがレイは気絶しているのか、通信に出ない。
仕方ないので艦内に戻り、外部からエントリープラグを開け、シンジが中に入る。
「レイ!!」
中でレイは、胎児のような格好に丸まり、自らの肩を抱いて泣いていた。
「…どうしたの…どこか痛むの?」
「シンジ…君?」レイが顔を上げる。
シンジがホッとした笑顔を見せると、彼女はおもむろに抱きつく。
「恐かった…身体を少しずつ食べられていくのが、死ぬのが、恐かった…」
「もう、大丈夫だよ…助けにいけなくて、ゴメン…」
彼女の華奢な身体をギュッと抱き締める。
やっと、前のように心が通った気がする。
だから彼は、自分が選ぶべき未来がどちらなのか、解った。
今年最後の投下デス。色々ありましたが、来年もどうかよろしくお願い致します。
>>801 添削してないと、わざわざ言わなくて良いのに〜。
そういうのは、心の底にそっとしまっておくものですぜ。
作品はスレの趣旨に合ってるし、ほのぼのでGJデス!!
>>802-804 せっかく皆が望んだ、スレタイに沿った作品が来たんだから、歓迎しましょうよ。
添削してないって部分への文句なら、人を不快にさせない言い方があるでしょうに。
そんな汚い言葉こそ、ティッシュにくるんで自分の心のゴミ箱に捨てて下さい。
では、良いお年を〜!!
↑
あぁ…今年最後なのに、名前直し忘れた…イヤ〜ンな感じorz
職人の皆さん、今年一年お疲れ様です
来年の投下も楽しみにしてます
年の最後にハッピーな方へ向かっているな。
猫たんマダー?
一ヶ月も経ってないのに800超...
不用意な発言で気分を害させてしまって申し訳なかったです。
今度からは黙ってます(マテ
ではなく、しっかりと添削してからくるようにします。
良いお年を。
(´゚ω゚`)始めて来たエヴァ板。
(´゚ω゚`)初投稿がバツイチレイでした。
(´゚ω゚`)読んでくれた皆さん、そして小説家の方々。
(´゚ω゚`)有り難うです。
(´゚ω゚`)皆さん、良いお年を!
『それは、忘れる歌』
「だけど、始まりの歌でもあるの」
皆どこかに行ってしまってから、5年目の年が明ける。
私とシンジ君は第三新東京市から一つ山を越えた所で、良い人に巡り合ってお世話になっていた…
その日、私達は少し頑張って長めに起きたまま日の出を見ようとしていた。
次第に東の空が明るくなり、ラジオからはもうすぐ日の出だと聞こえて来る…
「二人ともそこでは冷えるでしょう、中に入ったら?」
「ありがとう、でも私達なら大丈夫…せっかくの日の出、よく見える場所で見ていたいんです。」
「うふふ…ならせめて上に羽織ってなさいな。」
おばあさんがそう言ってどてらをかけてくれる…もう慣れてしまったお線香の香りが、どこか心地よい。
「ほらレイ、見て見て!」
…山の向こうから鋭く、次第に辺りに優しく広がる光が差し込む。
日の出を見るのはこれが4度目、ここに来て初めての時は他の事を考えて頭がいっぱいだったから。
「あけましておめでとう、シンジ君。」
「うん…じゃなかった。あけましておめでとう、レイ。」
「さぁ、皆でお雑煮食べましょう?」
おじいさんとおばあさんは、そうしていつもみたく私達を迎え入れてくれる…
元旦は瞬く間に夜へと陽を落とす。
10時を回る頃には、私達も部屋で布団に入る…
「ねぇ、レイは今年の抱負決めた?」
布団から少し身を乗り出すシンジ君は、まだ目がらんらんとしてはしゃいでるみたいだった。
「ないしょ。」
「え、なんでさー!?教えてよー?」
「シンジ君は?」
「僕はー…今年一年も健康だと良いなって。」
「一昨年と同じ?」
「え、あぅ、違うよぉ!一昨年は元気に過ごせると良いなって…同じかなぁ?」
「…ふっ、ウフフフ…」「あーもぅ、また君はそうやって笑うー!」
こうなれば後はもう、二人して笑い出してしまう。
こんな風に毎日、過ごしていた…昔は、こんな風になるとは思ってもなかったのに。
「…レイ?」
「シンジ君、私も抱負…いや。
やりたい事、一つ出来たわ。」
翌日、
「本当に二人して、行ってしまうの?こんな急に行かなくても…」
バス停に見送りに来てくれたおじいさんとおばあさん。
「急でごめんなさい。
でも、このまま貴方達の優しさに甘えてたら…多分二度と思い出せなくなってしまうから、行くわ。」
「お元気で…」
「えぇ…シンジちゃんもレイちゃんも、疲れたらいつでも帰っておいで?」
手を握るおばあさんは、泣いていた。
「手紙書きます…泣かないでよ、おばあさん?」
「ごめんね…どうしても笑って見送り出来なくて…」
泣き続けていた。
「それじゃあ行って来ます、友達に会いに。」
ギリギリセーフ?
あ。アウトですかー。
あけおめでつ、コトヨロリル。
携帯だましだましに年をまたぐカキコー(汗
今年一年も皆々様の健康と発展、幸せを願うデシ。
∧⌒⌒∧ オメデトー
γ⌒ t (从 从))
しゝっYゝ*ーwーν
(´゚ω゚`)ヲメっす
おめでと(゜Д・∀゜)
あけまして、おめでとうございます!
仕事先から、携帯で失礼つかまつります。
>>猫様
新年一発目、乙&GJデス!
僕も帰ったら投下します。
冷え込むので、熱い甘酒をドウゾ
ζζζζ
つ日日日日
824 :
1:2006/01/01(日) 01:42:08 ID:???
ちょっと遅いっすがあけおめ
明日明後日ぐらいまでに1ネタ投下できると良いですねぇ
それでは、今年もよろしゅう
まあ去年は色々あったけどとりあえずアケオメ。今年はまた新しい気持ちで頑張ってこうな。
・・・と、一介のスレ住人に過ぎない俺が職人達と肩を並べて新年挨拶をしてみる。
それは、平和な世界のお話。
5…4…3…2…1…「新年明けまして、おめでとうございます!」
隣の渚夫妻を呼び、年明けを迎える。
テーブルを挟み、二組の夫婦が正座で新年の挨拶を交わす。
「もう、日本の正月って、何でこんなに堅苦しいのかしらね〜」
早速正座を崩したアスカが、ビールをぐいっとあおる。
「僕は好きだよ。気持ちが引き締まって、今年も頑張ろうと言う気持ちになれるからね」
カヲルはワインの香りに浸りながら、チーズをつまむ。
「二人共、今年もよろしく」
「今年はあまり喧嘩しないでね」
「ちょっとレイ、新年早々にそういう事言うわけ?」
「だって、あなた達が喧嘩すると、シンジ君が一番苦労するのよ」
アスカの愚痴と、カヲルの悩みの両方を聞かされ、いつも板ばさみになるのは、シンジの役目だった。
「良いのよ。夫婦はね、喧嘩するほど仲が良いのよ」
「そう。僕達は常に心の内を隠さずに接しているのさ。
一時すれ違うとしても、必ず解りあえる。そうだろ、アスカ?」
「まあ、そういう事ね」
「だからって、その鬱憤を僕にぶつけないで欲しいよ…」
二人の相変わらずのアツアツぶりに、シンジとレイはただただ呆れるばかりだった。
「さあ!朝まで飲み明かすわよ!」
そして、正午過ぎ…
「ちょっと!なんで皆して寝ちゃってるのよ!」
「当たり前だろ!アスカが皆にお酒を無理矢理呑ませたんじゃないか!」
「まあまあ、アスカ。落ち着いて、今からでも初詣は間に合うから」
「アンタ仮にも使徒なら、ずっと起きてて皆を起こすぐらいしなさいよ!!」
「そんな無茶な」
朝一番で初詣に行く予定が大幅に狂い、慌てて仕度をする三人。
一人、レイだけはテーブルに肘をつき、頭を抱えている。
「……うるさいわ…」
「レイも、早く準備してよ!」
大声で急かすアスカに、レイの苛立ちは頂点に達する。
「うるさい!!!」
思いがけないレイの大声に、三人は固まる。
レイ自身もまた、声を張り上げた事で頭痛が酷くなり、また頭を抱える。
「…頭が痛いから、静かにして」
「レイ、もしかして二日酔い?」
「ちょっと…大丈夫なの?今日、行くのやめる?」
「平気だから、大声は出さないで」
そうこうしている内に時間が経ち、近くの神社に着いた頃には夕方近かった。
神社へと続く道に、屋台がずらりと立ち並ぶ。
参拝客は数多く、彼らは屋台を物色しながら少しずつ進む。
まだ頭痛にさいなまされるのか、レイは時折眉間を抑える。
「レイ、じゃがバター買って来たけど、食べる?」
「ごめんなさい。食べる気になれないの」
「そっか。じゃあ、食べちゃうよ」
まだ熱いじゃがいもを頬張り、口の中で転がすシンジ。口元に、バターがついている。
「シンジ君、ついてるわ」
そのバターを舌先で舐め取るレイ。
「あ…ありがとう」
見つめ合って顔を赤らめるシンジとレイ。
「ヒューヒュー!元旦からあっついのぉ〜。ここだけ南極みたいに暑くてたまらんわ〜!」
「トウジ、それを言うなら赤道だろ?南極は南だけど暑いわけじゃないよ」
トウジとケンスケが現れる。
「あ、トウジ。委員長はどうしたの?」
「カミさんなら、町内会の手伝いに行ってしもうて、どこかにいるはずなんやけど…」
「こいつ柄にも無くしょぼくれててさ、仕方ないから俺が付き合ってやってるのさ」
「余計な事言わんでええ!」
ケンスケの頭をどつくトウジ。
「ワシらはぶらぶらして帰るけど、シンジはこれからなんか?」
「あ、あはは、ちょっと、寝過ごしちゃって…」
「はっは〜ん、こりゃ年またいで盛り上がったんか?このこの〜」
「ち、違うよ!」
「いや〜、仲ええのは良い事や。頑張りや、シンジ。じゃあな〜」
そう言って二人は人ごみの中へ消えていってしまった…。
空が橙色に染まりきる頃、ようやく彼らの順番が回ってくる。
賽銭を投げ、鈴を鳴らす。そして、祈る…。
二人で夜店を回りながら、来た道を帰る。
「シンジ君は、どんなお願い事をしたの?」
レイの問いに、シンジはこう答えた。
「願い事は、人に言ったら叶わないんだよ」
だからレイも、自分の願い事は人には言わないようにした。
「カヲル!今度はあっちの射的やるわよ!」
「アスカ、もう疲れたよ。帰ろうよ」
「あン?役に立たないわね〜。仮にも使徒なら、A.T.フィールドで景品薙ぎ倒すぐらい出来ないの!?」
「そんな無茶な」
はしゃぎまわるアスカと、振り回されているカヲルを見て、二人は微笑む。
そしてシンジは、レイの手をそっと握った。
「レイ」
「なに?」
「今年も一年、よろしく」
レイは、彼の手を握り返す。
「ええ…こちらこそ、よろしく……」
ただいまデス。
なぜ僕の中でカヲルとアスカはくっつくんだろう…?
【カヲルとアスカの結婚生活】のスレ立てるべきか否か…orz
>>823 甘酒が半分冷めてる…(´A`)
それはさておき、皆様にお年玉を差し上げませう。
つI
>>831 アスカもカヲルもどうでもいいからでしょ。
スレを立てるのはやめて下さい。
あけおめ乙〜。
>>832 ていうか既にスレあったね。
あ、
甘酒…鍋に戻してもっかい火にかけとこう。
∧⌒⌒∧
t (从 从)) ζ コトコト…
Yゝ゚w゚ν ζ
ヾ/ o━[ニニ]
しーJ 火火
そして保温ポットにー。 _
√ニ|ゝ 早速一杯。
|_| ζ
|@| 日
 ̄ ̄
まぁ、メインはレイシンならここでいいんじゃね?
>>832 眼から鱗が落ちた。自分でも気付いてなかったけど、832さんの言う通りだ…。
スレ立ては冗談だったけど、アスカ・カヲルの二人がどうでもいいから、というのは、
言われて初めて気付いた。本当にありがとう。
ちょっと混乱というか、ショックが大きくて、思考停止状態デス。スマソ。
>>833の猫様
お手数かけて申し訳ないデス。
ちなみにこの甘酒、『かちゅ〜しゃ』で見ると右半分が冷めてますが、
Netscapeで見ると全部暖かいまま、という不思議な甘酒のようです。
つまり硫酸は真性アヤナミストなのか
(´゚ω゚`)…シゲル兄貴が…
俺はLASは大丈夫だが、LRKは勘弁ならねぇ。
もう我慢ならねえっ!
俺は脱ぐ!
大きな水溜まり、湖…昔住んでいた場所。
沿岸には建物がちらほら建ち並び、湖の上に向こう岸へと続く道が反対側まで伸びている…
「真ん中の島でね、ボートに乗れるの…」
バス停で一緒に降りたおばあさんが、微笑みながら話しかけてきた。
「…それでね、私を逃がしてくれたのよ、孫がね。」
専用のシャトルバスで島に移動して、私達は変わってしまったその場所でおばあさんの話を聞いていた…
「孫がね、絶対生きてまた会えるからってね…孫は奥さんも子供も居てね、ここでまた会おうってね…」
おばあさんが涙を流した時、その顔が笑っているのではなくてそういう顔なのだと、初めて分かった。
おばあさんはその後も繰り返し何度も誰かの名前を呼び続けていたから、私達はさりげなくその場を離れてボートに乗る…
「あの人のお孫さんって、やっぱり死んじゃったのかな…」
水底は見えないけど、私で出来た影に目を凝らすと、うっすら建物らしい影が見える。
「だってさ、5年も前に約束して…毎日来てるって、行ってるのにさ…」
「どうして、あなたが泣くの?」
「ぇ、だって悲しいじゃないか。レイだって泣く時はあるだろ?」
「えぇ。でも今は涙は出ないの、悲しい事だとは分かるけど。」
水面に手を伸ばすと、急に胸の奥を締め付けられる感覚を覚えた…
「悲しいのは嫌い、だから」
バシャァッ
「レイッ!?」
だから、忘れてしまうの?
楽しかった事も、そこには在った筈なのに?
着てた物が邪魔だけど、そのまま底を目指して潜り続けた。
全然届かないけど少し、周りが見えた…
ビルの屋上、建物っぽい瓦礫、大きな骨…
息が苦しくて私は急いで上を、光を目指す。
バシャッ
「プはぁっ、はっ、はっ…」
「レイ!!いきなり何してるんだよ!?」
「はぁ、ごめんなさい。
はぁ…底の方を、見たくなって」
「バカっ!!だからって今すぐやることないだろ!?死んじゃったらどうすんだよッ!!」
「…ごめんなさい。」
「全く、本当に…バカだよ…」
私はひとまずボートによじ登って服の水気を絞る…シンジ君がタオルでゴシゴシ私の頭を拭く。
「…もうやめてよ?いきなりこんな事するのさ。」
「もうしないわ。ちゃんと装備を整えなきゃ、でしょ?」
「こりてないね。」
水を含んだ下着がキツくて、少し苦しい。
ブラのホックを外して大きく息を吸い込むと、さっき感じた胸の奥の苦しさが無くなった事に気付く。
再びシャトルバスで沿岸へ、今度は着た道と反対側に。
民宿があったのでそこに宿泊、なかなか安めだけどご飯は美味しかった。
「どこかでバイトとかもしなきゃね、いろんな所に行くならさ。」
風呂上がりのシンジ君が畳敷きに横になり、襟元と股の辺りが少し緩む…
「目福、ごちそうさま。」
「え、は?おやすみ…明日はどっちに行こうか?」
「シンジ君がはだける方に。」
「何さそれ…あ。え、エッチ!!」
私はさっさと布団を頭から被った。
そんな名無しを猫が
1・隠す
ヽ(゚∀゚)ノ
>>842 ヘ ) サッ
つ●>
2・処理
∧⌒⌒∧
t (从、从))
Yゝ゚w゚ν ';.・;
/ oo━<ニ(`д゚)
>>842 しー-J ・;';
3・埋葬
∧⌒⌒∧
t (从 从))
Yゝ;ーwーν
ヾ/ 人 十
しーJ ⊥
>>842 オカエリナサイ。
846 :
1:2006/01/02(月) 04:16:39 ID:???
【あけおめ ことよろ】
「あけましておめでとう」
それは、二人の口から同時にでた。
まあ、二人して新年のカウントダウン番組を見ていたのだから当たり前といえば当たり前だが。
年が明ける。
それでも、去年との変化はまだ感じられないのだけど。
外は、やけに寒かった。
1月という事もあり、頬に触れる風は冷たさを増し痛みを伴わせる。
レイはまだ出てこない。
クリスマスの件で味を占めたのか、今回も驚かすと言って僕を外に追いやった。
正直、玄関の中には入れて欲しい。寒すぎだから。
鼻をスンスン言わせながら待っていると、扉の向こうで声が聞こえた。
紛れも無く、レイの声。
だけど、どうにもか細くて聞き取りづらい。
「え、なんて言ったの?」
「・・・・て・・・い・・わ」
「え、何だって?」
「・・・開けて良いわ」
扉越しだったのでよく聞こえなかったが、3度目でようやく聞こえた。
開けて良いといわれたので僕は遠慮なく扉を開く。
正直、早くこの寒さから逃げたかった。
847 :
1:2006/01/02(月) 04:18:48 ID:???
―――その場で固まった。
言葉にならない何かを口から零して、僕の視線はレイに釘付けになる。
今まで感じていた寒さがどうでも良くなっていた。
レイは晴着を着ていた。
いつかの日、僕が買ったお弁当箱の袋に良く似た柄だ。
青を基調としたデザインで、白の花が点々と咲いている。
あの日、彼女に合うだろうなと思っていたソレは、見事に似合っていた。
「・・・・・・」
「・・・シンジ君?」
薄暗い夜なのだけど、その青は薄明かりでよく映えていた。
視界がどんどん狭まって、終いにはレイだけしか目に映ってなかった。
「・・・・・・」
「・・・シンジ・・・君?」
レイの不安げな声で我に返る。
気がつけば、レイはこちらを恐々見つめていた。
・・・馬鹿か、僕は
「え、えっと、な、なにか、な?」
自分でも恥ずかしくなるぐらい声が上ずっている。
「・・・似合って・・・ない?」
恐る恐る、といった感じで聞いてくるレイ。
不安げな顔は、ますます酷くなっていくようだった。
848 :
1:2006/01/02(月) 04:20:48 ID:???
「そ、そんな事無いよ!と、とっても似合ってる!」
「本当?」
「うん・・・」
少し気が抜けた返事だったからか、レイはますます不安が募っているようだった。
・・・しまった。また見惚れてた・・・
「・・・着替えてくる」
「え、あ、ちょ、ちょっと待って!」
僕は慌ててレイの腕を掴む。
掴んで気づいた事。不必要なまでに、震えていた。
「・・・何?」
不安で震えている声。
胸が張り裂けそうで、自分への自己嫌悪で無性に腹が立った。
「ごめん。その、本当に似合ってるんだ。けど、言い方が悪かったから・・・」
「・・・・・・」
違うだろう?そんな事を言ったって意味ないじゃないか。
僕は自分の心の中の言葉を必死に繋いで、口にした。
「似合いすぎなんだ、うん。それで、つい見惚れちゃって・・・」
ああもう!違うだろ!そんなんじゃ無い!
「とにかく、似合ってるから!・・・その・・・着替えないで・・・くれないかな」
さんざ自己嫌悪したあげく口に出来たのは、自分の本心。
着替えないで欲しい。その一言が言えた。
849 :
1:2006/01/02(月) 04:21:47 ID:???
「・・・ほん・・・とう?」
震える口では言葉が上手く紡げないのか、擦れ擦れに尋ねてくる。
「本当」
即答だった。
何を言うか、なんて頭が考える間もなく。
震えていた腕は次第に力が緩くなり、僕の手が離れるとだらんと垂れた。
「・・・」
「・・・」
しばらく無言で見詰め合う。
そうしていると、さっき自分で言った台詞が頭の中でグルグルと回ってくる。
やけに、恥ずかしくなってくるのが判った。
「い、いこっか!」
照れ隠しでそっぽを向きながら、彼女の手を引く。
途端に、彼女の手がブルルッと震えた。
「・・・え?」
慌ててそっちを向くが、怖がっている様子ではない。
じゃあなんで―――と、考えて外の状況に気がついた。
そうか、寒いのか・・・
・・・・・
850 :
1:2006/01/02(月) 04:23:20 ID:???
自分の着ていたダウンジャケットをレイに被せる。
レイはこちらを見て目を丸くしていた。
「さ、寒いだろうし・・・その・・・レイの格好、他の誰かに・・・見せたくないし」
慌ててそっぽを向くが、顔が熱くなっていくのが嫌でも判る。
ちらりと盗み見ると、レイも耳まで真っ赤になっていた。
・・・このまま突っ立ててもしかたない
固くなった腕でレイの腕をぎこちなく取り、引っ張る。
「じゃ、じゃあ、行こう・・・か」
「・・・ええ」
それから、近場の神社まで会話らしい会話は特に無かった。
けど、それでも嫌な感じはしなかった。
お賽銭を入れる頃には、互いにそれなりには会話も出来るようになった。
お賽銭を放り、2拍手2礼・・・と決められた動作を済ませていき願い事を呟く。
・・・どうか彼女といつまでも末永く、平和な世で過ごしていけますように―――
賽銭の量にしてはやけに贅沢な願い事ではあるが、まあなんとかなるだろう。
横を見ると、レイはもう済ませていたようでこちらを列の外で待っていた。
「ごめんごめん、ちょっと長くなっちゃった」
「贅沢なのね」
「・・・む、良いじゃないか。願うのはタダなんだし」
851 :
1:2006/01/02(月) 04:26:14 ID:???
それからは二人並んで過ごす。
お守りを一緒に買いに行き「開運厄除け」を二人して買ったら「安産祈願」をおまけに付けられた。
愛想笑いで済ましたが、それでも売店からの暖かい視線は長らく続いた。
おみくじを引いたらレイがだだをこねて何回も引いた。
初めは「中吉」だったのにどんどん運勢が下がっていき、あわや「大凶」かと思われたところで「大吉」が出た。
正直、「大吉」としての恩恵はまるで無いと思う。
その後は、出店をゆっくり観て回り帰宅の途についた。
少し前の時のようにではなく、二人肩を並べて。
「ことしもよろしくね」
ポツリと、そんな事を呟いた。
唐突すぎたのか、レイは小首をかしげている。
「ああ、いや、まだ言ってなかったなぁって」
慌てて付け足す。
と、僕の歩みをレイが遮った。
「・・・ことしもよろしく」
いつもと変わらぬ笑顔。
けれど、どこか新鮮な感じが―――
852 :
1:2006/01/02(月) 04:28:15 ID:???
「あ」
そうか、と唐突に気づく。
今年に入って”初めての”笑顔か。
「今年初めのレイの笑顔か。・・・何か良い事あるかもね」
こちらも笑顔で返す。
それに満足したのか、レイは道を開けまた横に並んだ。
あ、そうだ。初めてって言えば
―――ねぇ、レイ。姫初めって―――
次の日、僕らは昼過ぎまで動けなかった。
・・・安産祈願、効いちゃうかな
853 :
1:2006/01/02(月) 04:30:40 ID:???
眠くて最後の方がグダグダになりますた
広い心でおながいします
ちなみにオイラは吉ですた
おはようございます、リュウです。
僕の運勢はなんだろうな〜。
>>853の1氏
乙GJ!シンちゃんのエッチ…
姫始めって何?
>>855 君はまだ知らなくていいし周りの大人に聞かないようにね。
どうしても知りたければ
つ【YAHOO!辞書】
>>855>>857 そもそもその単語自体ヲタ、エロオヤジ、エロガキ位からしか聞かないかと
友達が去年ねむはじめどうこうで盛り上がってたのにはさすがに引いた
レイ猫氏に埋葬された842がウラヤマシス。
>>854 おみくじミスった…orz
姫初めって、「秘め初め」って書くんだとずっと思ってた。
しかしこの言葉、会話に使う事ってあるんだろうか…。
会社とかで「姫初めすませた?」みたいな会話しないだろうし…。
作中で使って下さいな。
>>860 おまえも葬ってもらえ。けっこういけるぞ。
みんな姫始めすませました?
エヴァラ板にいるような男に聞かないでくれ
エヴァラ.......
携帯でミスったorz
アニメ=キモオタなんて考え方もう無いぞ
>>867 禿同。
周りにいる一見普通の人の方が、
最近のアニメや漫画に詳しくてビックリする。
「萌え〜」とか女の子が普通に言ってるし…
「リュウさんて萌えキャラですよね」と言われた時は、
なんか嫌だったorz
俺もなんか萌えには抵抗ある、男が「萌え」なんぞ口にするなみたいな、ワケわからんが。。。
870 :
1:2006/01/03(火) 08:17:59 ID:???
俗に言うオタクにはまると思うけど「萌え」なんて一度も口にしたこと無い
そしてスレ違い
ここから下、マターリいきませう
(´゚ω゚`)………
(´゚ω゚`)シゲル兄貴だけはガチ
(´゚∀゚`)
(´゚ω゚`)おめんさい
∧⌒⌒∧ ダブルデ埋葬
t (从 从))
Yゝーwーν
ヾ/ 人 十
>>860十
>>863 しーJ ⊥ ⊥
…あれ、まだ声がする。
火葬キボンヌ
鰻ゲリオンによる鳥葬
土星での戦闘の後、使徒と遭遇する事は無かった。
彼らに何か考えがあって、あえて攻撃をしかけないのか、
それともこの広大な宇宙空間でラーマを探しきれないだけなのか、
どちらにせよシンジ達は緊迫した平和を満喫していた。
だがそれも昨日で終わり…遂に、黒き月との決戦まで、残り一日を切る。
発令所のモニターの隅に、黒き月との接触までの時間が表示される。
目標到達まで、残り10時間…。
「まさか、ここまで抵抗無しに接近できるとは思わなかったわね…みんなの準備は?」
「エヴァ全機起動完了。いつでも出られます」
「さて…さすがにここからは気を引き締めてかからないとね」
すでに黒き月を肉眼で確認出来るほどに接近している。
永い間宇宙を漂流するうちに隕石と衝突したのか、クレーターででこぼこになっている。
ふと、月の一部がきらりと光る。
「今の、なに?」
ミサトがそう疑問に思った瞬間、艦内が衝撃に包まれた。
「な、なんなの!?」
「左舷損傷!第二装甲板までが融解しています!」
「熱源の割り出し急いで!まさか、この距離で撃って来るなんて…」
「熱源にパターン、青を検出!モニターに出ます!」
モニターに使徒の姿が映される。
「まさか…あれは!?」
それは、見事な正八面体のクリスタルとでも言うような、およそ生物とは思えない機械的な姿…
「第5使徒!?」
「MAGIも、目標を第5使徒と同一であると判断しています!」
「エヴァ全機、シールド装備で発進!ポジトロン・スナイパー・ライフルの射出と充填急いで!」
はい、今日はここまで。
最近作品を投下していない事に、チョット反省。
『カレカノ』と『ケロロ軍曹』読んでたら書けなかったんです…ゴメソ。
>>872、猫様
もうみんなまとめてLCL葬にしちゃって下さい。パシャって感じで。
何故...何故ラミたんが量産じゃないんだッ!
>>878 そんな事したらあっという間に蜂の巣ですがなwww
これで許してくだされ。
つ◆============
>>878=)
◆================)
◆==============)
◆=================)
オヤスミナサイ
月から紙カッターでも飛んできそうだな。
(`゚ω゚´)アラエルアラエルアラエル
シールドを構え、艦の前方部に立つエヴァ。
零号機だけがライフルを構え、使徒に照準を合わせる。
「あいつはアンタとレイで倒したんでしょ!?何でここにいるのよ!」
「僕が知ってるわけないだろ!」
「僕らの心を読んだ時に、あの使徒の情報を得たんだ…
だが、あくまで僕らが知っている情報だけで作られた模造品さ。本物ほど強くは無いはずだ」
その時、ミサトから通信が入る。
『第二射来るわ!防御姿勢をとって!』
再び月に光がきらめき、直後に初号機が構えたシールドに光線が直撃する。
「シンジ君!」レイが叫ぶ。
強化されたとはいえ、あの加粒子砲を完全に防ぎきる術は人類には無い。
徐々に盾が融けて行く…。
「あと5秒…3…2…1…くっ!」
零号機がライフルのトリガーを引く。
銃口が一瞬きらめき、その直後には、黒き月に十字架の光が立ち昇った…。
初号機と零号機が格納庫に戻される。
エントリープラグから出たシンジに、レイが駆け寄る。
「大丈夫…?」
「ああ、何とも無いよ。レイが外してたら危なかったけどね」
「良かった…」
シンジの唇に、そっと自分の唇を重ねる。
「わわっ!こんな所で…」
「約束」
「え…?」
「帰って来たら続きをする約束。だから、絶対生きて帰りましょう」
レイの笑顔に、シンジもつられて微笑む。
そう…絶対に、負けられないんだ。
「…うん」
シンジもまた、レイに軽くキスをして、抱き締める。
「…続きは帰ってから、って言ったのに…」
「うん…だからここまで。早くレイを抱きたいって、思っていられるから」
そう言って、腰に回していた手でお尻を撫でる。
「…シンジ君ていやらしいのね……」
そうは言いながらも、レイもまた、彼の身体を強く抱き締めるのだった…。
そして艦は、先ほどの第5使徒以外には何の妨害もされず、ついに月の表面に辿り着く…。
ゼルエルは出ますがアラエルは出ないデス。
Erz氏、ゴメンヨ…この前のドロドロな回想編がそうだと思ってくださいマシ。
では、仕事に行って来ます。ノシ
さっき「今日はここまで」って...
まぁ、嬉しいんだけどさ
「ほら、二人とも起きて」
昨夜の疲れが抜けきらない様子の夫と娘を起こす。
「ん…ふぁ…んん…もうちょ…」
「うぅん…」
二人とも唸るばかりで一向に布団からでる気配はない。
「まったくもう」
夫はずっと前は朝食を作るために早起きしてくれていたのに今や二度寝三度寝、はたまた四度寝もするようになっていた。
仕事から帰ってくるのはいつも夜遅いし、私達の為に働いてくれているのだから仕方ないと思う。
が、そうは言っても今日は元旦。初詣は外せない。
いつの間にやら寝息を立てている二人。こうなったら…強行手段だ。
先ずはマイ。マイはそんなに苦労しないわね。
無言で体を指先で這う。まるで蜘蛛型のあの使徒のように。
更に這う。
這う。
いつしか魘されているマイ。
「いやん」
小さな声を出して起きた。作戦成功。
「はわわ、あのね、あのね、ママ、くもがね」
夢の中で蜘蛛に襲われたのだろうか。
「マイ、おはよう」
微笑みながら言った。
「大丈夫。蜘蛛なんかいないわ。はい、顔洗ってきましょうね」
「うん」
蜘蛛が居ないことを知って安堵したのか、素直に洗面所にいった。
さて、次は大きな寝坊助の番だ。
「あったかい」
わざとちょっと口に出しながら夫の布団に侵入する。
「ふーっ」
と早速耳に息を吹きかける奇襲攻撃。ふふふ平氏もきっとビックリだわ…あれ?平氏って何だったっけ?
更に攻撃を続行するも目標は未だ沈黙したまま。
「あなたは私を怒らせたわ」
私は直後に夫の着ているスウェットに手を入れて胸あたりを撫で回す。しばらく撫でていると夫の顔が紅潮してきた。その中性的で子供っぽい顔を見ているとイケナイ気持ちになる。
「まだ起きないなんて、困った子」
耳元で囁くとううんと切なげな声で唸る。
ベロリ
夫の少し小さめの耳に舌を這わせる。きれい好きだから問題ないもの。
しかしこれは効いたのか、直ぐに目を覚ました。
「な、なにしてるんだよ」
あわてて飛び起きる夫。それを無視気味に私は言ってやった。
「明けましておめでとう、あなた」
この上ないくらいの笑顔で。
「はい、では新年明けましておめでとう」
「おめでとう御座います」
「ございます」
「今年も宜しくお願いします」
「御願い致します」
「いたします」
リビングで正座して新年の挨拶。ダイニングにはおせち料理。
「はい」
夫からマイに封筒が手渡されるそれには『パパとママより』と書いてあるはずだ。
「ありがとう!」
中身を確認させたら貯金。中学生になったら使わせてあげるからね。
「さて、じゃあ食べましょ」
「いただきます」
「取り敢えず全部食べてね、マイ」
小皿に昆布巻き、出汁巻き卵、数の子、黒豆の煮付け、栗きんとんを盛る。
「うぇーかずのこぷちぷちしててきらい」
「一口でいいから、ね?」
目を瞑って口に入れる。
「あ、おいしー」
今年は違うところのをかってきたのだけど、気に入ってくれたみたいで良かった。
「ほら、あなたもお餅ばかり食べてないでほかのも食べて頂戴!」
「…はい」
「マイお餅で遊ばないの〜」
にゅーと伸ばしながらふふふと笑うマイ。まったく、怒れないじゃないの…
「ごちそうさまー。食べ過ぎたよ…」
「言わんこっちゃないわ…すぐ準備して。初詣行くんだから」
「はいはい(泣)」
「マイは暖かくしなさいね。外、寒いわよ」
はーいと元気の良い返事が寝室から聞こえる。
「さて、私も着替えなきゃ…」
「これでいいかしら」
淡くベージュがかったシャツの上に白のセーター。パンツはタイトな黒デニム。その上には襟元にファーが付いた白のロングコート。
「マイ、服選んだ?」
「うん。これがいいの」
「いいじゃない。かわいいわ」
へへへと照れくさそうに笑うマイの服は、赤いセーターに青いデニム地のスカート、その上に焦げ茶のダウン。御義父様に貰ったペンダントも忘れず付けている。
「準備完了ね。あなたー準備できたわよー」
「はいはい。直ぐ出来るから待って…はい、行こっか」
そう言って出てきた夫は白Yシャツに黒ブレザー、黒パンツ。勿論黒のハーフコート。
「みんなバラバラね…」
「ばらばらー」
「ま、行こっか。待たせてゴメンね」
外に出ると冷気が吹き付ける。凍死しないかしら私。
「大丈夫?」
夫がすこぶる不機嫌かつ無表情な私を気にかけてくれる。
「大丈夫。寒いけど」
私はめいいっぱい笑顔を作ったがマイにママこわい、と言われて泣きそうになったのは内緒よ内緒。
小一時間歩くと神社が見えてきた。長い階段を上ると、行列が…
「はぁ…」
気が滅入った。行くと言ったのは、私だけど。
「なーに辛気くさい顔してんのよっ」
横から快活な声。
「あ、アスカ…じゃなくて、明けましておめでとう」
「明けましておめでとう碇家の皆さん!ほら、あなた達も挨拶して」
「「あけましておめでとうございます」」
「コウ君、カイ君おめでとう」
「おめでとー」
「明けましておめでとう、アスカ。あれ?カヲル君は?」
そういえば渚家の大黒柱が見あたらない。
「あぁ、カヲルならもう直ぐくるわよ」
「待っててって言ったんだけど…あ、おめでとう」
手にじゃがバタとたこ焼きを持ったカヲルがアスカの一言と共に登場した。
「はい、熱いから気をつけなよ」
そう言って息子達に渡す。
「こんな人使いの荒い妻ですが、何卒今年も…冗談だよ」
アスカが人外の瞳でカヲルを一瞥すると、萎縮してしまった。確かに、尻に敷かれてるわ。
「それより、並びましょ」
「そうね」
私達は長い長い行列の最後尾に並んだ。
「さむいわ…」
「そうね」
そんな会話が繰り返された。
『さむいわ』を30回くらい連発した頃、やっと目前に賽銭箱が迫った。
「はい」
と私はマイに十円玉を渡す。
遂に私たちの番だ。
小気味良い金属音が鳴り響く。
パンパン、お辞儀。願い事は『今年も皆幸せでありますように』だ。
帰り道、コウ君がマイに「おねがいなににした?」と訊かれていた。
「おれは…その…ないしょだないしょ!」って赤くなってたのには未来も安泰かな、なんて。
「えー?いいもん!カイちゃんはなにおねがいしたの?」
「…いいことがありますように…って…」
マイはふぅんって解らないといったように頷いていたけど、カイ君実は苦労人なのかしら。
その後は渚家と途中でアスカに誘われた鈴原家と一緒に昼食を食べた。
マイとコウ君は隣同士ですごく親しげだった。コウ君、そんなんじゃマイは気付かないわよ…マイは花より団子な子だからね。
ま、今年も良い年になりますように。
ENDE.
(´゚ω゚`)………
(´゚ω゚`)三箇日だからぎりぎり…
(´゚ω゚`)中途半端でおめんさい
(´゚ω゚`)今年も宜しく御願い致します。
こちらこそよろしく
>>885 スマソ…朝は寝惚けながら書いてたから、
すっかり忘れてたヨ…
>>Erz氏
GJ!
こちらこそよろしくお願いします。
イケナイ気持ちになるレイさん…良い…ドキドキ
夜はシンちゃんが仕返しするわけですな(*>∀<*)キャッ
ヒトいないw
(´;ω;`)
今書いてるからちょっと待っててオクレ…
朝ぐらいには投下出来ると思いマス。
猫様も忙しいのかなぁ……
このスレを見てると結婚した事が嫌になるよ、 シンジ羨がましい。 俺22で籍入れちゃってさまだ26だぜ、皆ちゃんと相手えらんで時期をかんがえろよ。 でもエヴァヲタの俺と結婚してくれたんだよな〜 (・д・)
まぁ、結婚してくれたことだけでもお前は幸せじゃないか?
俺には綾波レイという脳内妻がいるが
黒き月への降下に成功したラーマは、内部へと続く穴を探して飛行する。
そして、月を南極へ向かって半周ほどした、その時、再び使徒の襲来が告げられる…。
上部甲板にて待機していたシンジ達は、武器を構え、使徒の出現を待つ…。
『今度は使徒の反応が複数検出されたわ。気をつけて』
艦の上空に打ち上げられたカメラポッドの映像と、レーダーのデータが発令所から送られて来る。
レーダーに映る光点は4つ…艦前方から、固まって進行しているようだった。
「どうする、ミサト?N2ミサイルで一気に吹き飛ばす?」
中々使徒を肉眼で確認出来ない事に苛立ったアスカが、横着な作戦を立案する。
『ダメよ。敵がどんな能力を持っているか解らない現状で、無闇に刺激を与えるのはマズイわ』
「はいはい、りょーかい!もう、来るならさっさと来なさいよ!」
そんなアスカの願いが届いたのか、光点の一つが速度を上げてこちらへ向かってきた。
「アスカが余計な事言うから!!」
「うっさい、バカシンジ!敵を孤立させれられたんだから良いじゃないのよ!」
『あんた達こんな時に喧嘩すんなっての!目標、視界に入るわよ!』
でこぼこな地平線から、使徒の姿が見えて来る。
茸の柄に似た胴体に、目らしき模様のある頭部…その境目に、コアが輝いている…。
「僕が二番目に倒した使徒だ…」
『シンジ君、弱点は解ってるわね!?ソードでコアを真っ二つにしてやりなさい!』
「はい!」
甲板から飛び降り、使徒の目前に降り立った初号機に、使徒の光の触手が迫る。
初号機はマゴロク・ソードを引き抜き、触手を右、左と斬り捨てる。
そして、大きく振りかぶり、一気に刀を振り下ろす!
使徒の身体の中心に一本の線が入り、包丁を入れた西瓜のように半分にパカリと割れ、沈黙する…。
「やるじゃない、シンジ」
『油断しないで、次来るわよ!』
ミサトの声と同時に、シンジのコックピットに警報が鳴り、素早く後ろに飛び退く。
たった今までいた場所が、光線によって焼き払われる。
初号機はA.T.フィールドを展開し、次々と発せられる光線を全て防ぎきる。
「くそっ、これじゃ動けないよ!」
「シンジ君、私たちが行くまで耐えて」
初号機から距離をとって、残りのエヴァが散開する。
残りの使徒の姿をカメラに捉える。
『目標は、第3・7・14番目の使徒と確認!』
「げっ!第14使徒までいるのぉ!?」
「彼は最強の使徒として生まれたからねぇ、僕も戦いたくないなぁ」
カヲルが緊張した笑みを浮かべる。
その使徒の単純な力の強大さが、カヲルさえ恐怖させている。
「呑気な事言ってないで、弱点とかあるんなら教えなさいよ!」
「無いよ…彼を倒すには、彼を上回る力をぶつけるしか無い」
「……アスカ、渚君、シンジ君をお願い」
レイはそう言って、零号機を艦の方向へと走らせる。
「レイ?……そうか、行くわよ、カヲル!」
「君も気づいたんだね…了解」
「葛城さん、槍の用意をお願いします」
『もう出来てるわ。第三射出口に射出するから、受け取って!』
「了解」
上部甲板へ飛び上がろうとした、その時…零号機の足を何者かが掴む。
「うぁっ!?」
地面に叩きつけられる零号機…その右足を、地面から生えた黒い手がしっかりと掴んでいる。
「これは…3号機?」
足を掴む手が、握力をさらに上げる。
零号機はプログ・ナイフを突き刺すが、いっこうに離れようとしない。
右足の装甲にひびが入り、亀裂が大きくなり、そして――。
「うあああぁぁぁぁ!!」
右足が握り潰され、ボキリという骨の砕ける音がコックピットに響き渡る。
それでも手は足を掴んだまま、零号機を振り上げ、艦に叩きつける。
発令所内にも、艦に零号機が叩きつけられる轟音が響き渡っていた。
「第三艦橋に亀裂発生!空気漏れが発生しています!」
「ベークライトで亀裂を塞いで!付近のスタッフを艦中心部まで避難させた後、
第三艦橋は放棄します!」
「第三艦橋は、一週間で直せるからな」
冬月がぼそりと呟く。
「第3、第7使徒殲滅!初号機、弐号機、四号機は、第14使徒と交戦中!」
「零号機パイロット、意識を失っています!頭部裂傷、口内を噛み切って、出血しています!」
「あの腕の生え際をレーザーで攻撃!日向君、本体は?」
「まだレーダーに映りません…地面にでも潜っているんですかね…」
「レーザー照射…ダメです!A.T.フィールドにより、目標に届きません!」
「くっ…シンジ君達からの救援も無理か…」
前線で戦っているシンジ達も、レイと艦のピンチに気付いてはいた。
だが、最強の使徒の執拗な攻撃に、逃げる事すらままならず、じりじりと追い詰められていた。
「もー、バカカヲル!なんでこんな奴生んじゃったのよ!」
アスカがカヲルに噛み付く。
「僕が意図的に作ったわけじゃないよ」
「でもアンタの子なんでしょ!?」
「じゃあいずれ君の子供にもなるわけだ」
冷や汗を流しながら、カヲルは顔を少し赤くして言う。
「はぁ!?誰が、いつ、どこで、アンタなんかと結婚するって言ったのよ!?」
否定したものの、アスカは少し嬉しそうな顔をする。
「いい加減にしろよ、二人共!」
二人の言い争いに、シンジがついに怒りを爆発させる。
「早くこいつを倒さなきゃ、レイが、みんなが死んじゃうんだ!
喧嘩なんてする暇があったら、早くこいつを倒してよ!!」
そう叫びながら、使徒の紙のような触手をソードで切り払う。
昔に比べ、エヴァも、パイロットもパワーアップしているのだが、この使徒の力には及ばなかった。
触手の届かない懐に潜り込んでも、光線によって吹き飛ばされてしまう。
三体のエヴァの顔、上半身は、その光線によってボロボロになっていた。
「二人がこいつを引きつけて、その隙に私が槍を取ってくれば…」
『それはダメよ!』ミサトから通信が入る。
『零号機を掴んでいる手はまだ一つ…もう一人が近づけば、同じように捕縛されるわ』
「じゃあ、どうすれば!?」
シンジが泣きそうな声で聞く。
『今から艦を高度500mまで浮上させ、槍をあなた達の近くに投下します』
「レイはどうするんですか!?」
『…その使徒を倒したら、急いで助けてあげて』
「…解りました……」
一時とはいえ、レイを見捨てる作戦にシンジは抵抗を感じたが、それしか方法が無いと悟り、
諦めて従った。
中途半端ですが、とりあえずここまでで。
調子に乗って、陸戦型の使徒は全部出してみますた。
…が、サキエル、イスラフェルに至っては特に見せ場も無いまま殲滅されて…サキ・イスファンの皆、ゴメソ。
まあ再登場した敵は、主人公メカがパワーアップしてるため雑魚扱いなのですよ。
ゼルエルっちだけ別格という事で〜。
続きは夜、書けたら投下しまつ。
あれ?シャムシエルじゃなかったっけ?
(´゚ω゚`)アラエル…
1ヶ月程度で900越え・・・すごすぎ
使徒迎撃スレのが早い
艦が宙に浮上し、槍を投下するまでわずか2分足らずだった。
だが、その2分はシンジ達にとっては地獄のような2分だった。
いくらオリジナルより弱いと言っても、最強の使徒と謳われたその力は脅威であった。
使徒の光線が月表面をえぐり、巨大なクレーターが次々と形成されていく。
使徒の攻撃から逃げながら、少しずつ距離を縮めていくシンジ達に、ミサトから通信が入る。
『お待たせ!投下するわ、上手くキャッチしてちょうだい!!』
艦の下部ハッチが開き、そこから巨大な二又の槍が投下される。
槍の落下地点目掛けて全速力で走り出すエヴァ各機。
だが、使徒もまた槍の存在に気付いていた。槍を奪おうと、触手を伸ばす。
「まずい!!」
槍と使徒との中間地点にいたカヲルが飛び上がる。
槍を守るため、触手の前に立ち塞がる。その銀色の胸部に、触手が突き刺さる。
「うぅぉおおお!!」
痛みに耐えながら、カヲルはその触手を掴み、槍を守る。
「ナイス、カヲル!後でたっぷりご褒美あげるわよ!」
地表へと突き刺さった槍を掴む弐号機。彼女に、使徒のもう一本の触手が襲い掛かる。
「最強ったって、そんなパターンな攻撃!」
すんでの所で弐号機は空高く飛び上がり、攻撃を回避する。
「エヴァ弐号機、本艦へ向かって来ます!」
「な、なんでー!?」
発令所のモニターに、飛び上がった弐号機が艦へ向かって来る姿が映る。
『エヴァンゲリオン弐号機、着艦しまーす!』
艦にぶつかる直前で宙返りをし、艦低部に弐号機の足がめりこむ。
弐号機は脚を屈伸させ、使徒へ向けて飛び上がる。
「艦を踏み台にしたぁ!?」
「くたばれぇぇ!!」
アスカの攻撃する意思が槍に伝わったのか、二又になっていた槍の先端が収束する。
艦を踏み台にした反動に月の重力加速度が加わったエネルギーは、
使徒の強固なA.T.フィールドと皮膚を貫くほどに強力になっていた。
串刺しにされた使徒のコアが白熱し、爆炎をあげる。
「ふふん、楽勝楽勝!」
悦に入っているアスカに、ミサトから怒りの通信が入る。
『早くレイを助けに行きなさい!あと、あんたがぶっ壊した部分の修理費、給料から引いておくから』
「ちょ、ちょっとミサト〜!…もう、使徒を倒したんだから良いじゃないのよ〜」
口をとがらせながら、発令所から送られた残りの使徒の居場所を確認する。
白い点に向かって、猛スピードで接近する紫の点…初号機が使徒に迫っているようだ。
月の表面に、黒い土煙をまきあげて走る初号機。
その先に、地面に腕を突っ込んでいるエヴァ3号機…もとい第13使徒がいた。
初号機は3号機の脇腹に、走行速度を乗せた重い蹴りを入れる。
使徒の装甲板が砕け、肋骨が折れて外に飛び出し、内臓がぐちゃりと潰れる。
シンジはソードで3号機の腕を切断し、まだ必死に動こうとするその身体を、怒りに任せて切り刻んだ。
「よくも、よくもレイを!」
四肢をもぎ、首をはね、残った胴体を粉々にしている内に、
シンジは挿入されたままのエントリープラグを見てしまった。
あの、血まみれになった時のトウジの姿が脳裏に蘇る…。
――まさか…まさかあの中にトウジのコピーが?…もし本当に僕達の記憶を基に作られてるなら…
あの中に…トウジが…でも、いたとしてどうするんだ?助けて、どうする?僕はただ、罪滅ぼしを
したと思いたいだけなんじゃないのか?――
葛藤が彼の頭の中で渦を巻く。
初号機はしゃがみこんで、エントリープラグを見つめる…と、突然視界に銀色の腕がニュッと伸び、
エントリープラグを掴む。
「あ…」
シンジが声を上げる間もなく、四号機はプラグを握り潰す。
「償いをしようと思っているのなら、無駄だよ。この中にいるトウジ君は、
ただ姿形を再現した人形に過ぎない」
「…やっぱり、そうだよね……」
カヲルの言うように、例え偽者でも、助ければ罪滅ぼしになるかと思った。
だから、そのチャンスを壊したカヲルを少し恨みもしたが、
真実を教えてくれた事に対して、彼は心から感謝した。
――ごめん…もう一人のトウジ――
エヴァは、全機満身創痍、ボロボロであった。
特に零号機の右足の再生に時間がかかるため、月内部への進行は一日遅らせる事になる。
レイが軽傷で済んだ事は不幸中の幸いであった。
警戒態勢は維持されていたが、これ以上敵が襲ってくる気配も無く、
艦をクレーターの中に隠して、決戦へと準備を整える…。
ある者は恐怖に震え、ある者は戦意を高揚させ、またある者は後の平和を祈る…。
それぞれに、最後になるかもしれない一日を、大事に過ごすのであった……。
やっと…やっと次は最終話デスヨ…長かった…。
>>908 シャムシエルは、まだ初号機に真っ二つにされるのが見せ場でしたが、
>>904に注目…
サキ・イスは、オペレーターによって殲滅された事を報告されるだけの存在なのでした。
ちょっとカワイソス。
>>Erz氏
じゃあ同じ翼繋がりで、量産機を出すからそれで我慢して下さいマシ…。
918 :
1:2006/01/05(木) 17:09:08 ID:???
【その少し前/5】
色々あったけど、ようやく料理を教えれる事になった。
まず、綾波がどのくらいまでなら作れるのかという事で玉子焼きを作って貰う。
真面目に取り組んでいたり、時折こちらに助けを求めてきたりする綾波はとても可愛い。
可愛いんだけど・・・
「出来たわ、碇君」
目の前に出された玉子焼きは可愛いとかそんな枠に入らない。
寧ろ怖いとか、そんな物。
明らかに色違うよね、紫色って。
「えっと・・・食べなくちゃ駄目?」
見た目だけでも結構料理の腕は判ったよ?
けれど綾波は
「食べなくちゃ、駄目」
と、僕の提案を一蹴した。
・・・ええい、覚悟を決めろ!綾波の料理が食べれるんだぞ!見た目はあんなんでも美味しいかもしれないじゃないか!
やや強引に自分を勇気づけると、玉子焼きをゆっくりと口に運んでいく。
919 :
1:2006/01/05(木) 17:10:20 ID:???
「・・・」
「どう?」
飲み込む。
綾波が僕をじっと見ている。そうだ、何か言わなきゃ。
ええと―――あれ、何を言えばいいんだろう?
なんだか頭が白くって、何も考えられない―――
目もチカチカして―――
あれ、おか・・・し―――
そこで、僕の意識は途絶えた。
「・・・ここ」
眠っていたのか、体がダルい。
仰向けになっている体は自分の体では無いのか、指一本動かす事が出来ない。
視界だけが、徐々にはっきりしていく感覚。
霞がかかっていた視界は、徐々に本来の機能を取り戻していった。
顔が動かないので、いけるところまで目を動かして辺りを見回す。
何故か、この場に居たはずの人物が姿を消していた。
探そうと思っても体は動いてくれない。
胸の中に生まれる焦燥感と身動きできない状況に、僕は頭がオカシクなりそうだった。
920 :
1:2006/01/05(木) 17:11:29 ID:???
「あ・・・やな・・・」
口で必死に言葉を紡ごうとしても、その名が出る事は無かった。
舌も本来の機能をなさなくなっているのか。
・・・いや、機能しているといえばしているか。
口の中に残る不快感。きっと玉子焼きの物。
・・・そうか、アレで僕は―――
まで考えて止めた。
思い出したら、また卒倒しそうだったから。
静寂が辺りを覆う。
唯一の音といえば時計が時を刻む音ぐらい。
それだからか、その音がやけに煩く感じられた。
どれくらいの間、こうしていたのだろう。
時計を視界に納めることが出来ないから、正確な時間が判らない。
おおよそ1時間弱ぐらいだろうか。
・・・なんて無駄な事を考えていたその時。
バタン!と、どこかの扉が勢い良く開けられる音がした。
バタバタと近い距離に足音がするので、多分この部屋の扉なのだろう。
綾波が戻ってきたのだろうか?だとしたら何処に行っていたのだろうか?
頭の中に疑問を残しつつ、僕はその人物を待ち構えた。
その声がするまで、そう時間は掛からなかった。
921 :
1:2006/01/05(木) 17:13:26 ID:???
ごめんなさい、ここまでです(´・ω・`)
いつか完成させる気ですが、料理編は長そうです
後、新婚さんネタが無いのです(´;ω;`)
誰かネタ下さい。頑張って作りますから
純粋に結婚生活でエロスを求めてみては?
やっぱり人イナスwwww
皆仕事始まって忙しいんだろ、(´д`
結婚生活と関係ない話を投下する人がいて嫌気がさしたんじゃないの?
「突入まで、あと2時間か……」
食堂のモニターに、作戦発動までのカウントダウンが表示される。
パイロット達は、半日の休暇を取った後、出撃前の食事をとっていた。
緊張して眠れなかったシンジとレイに対して、
カヲルとアスカはぐっすり眠れたらしく、とても機嫌が良かった。
レイの怪我もたいした事は無く、作戦に支障は無いと判断されたので、半日ほどで退院出来た。
「それにしても、なんで使徒が襲って来ないのかしらね」
アスカが不思議そうに疑問を投げかけ、カヲルがそれに答える。
「おそらく、手持ちの駒…生み出せる魂が残り少ないんだ」
「あの第14使徒だけは量産されないで欲しいわ〜」
と、そこへ艦内放送に日向の声が流れる。
『エヴァパイロットはただちに作戦指令室に集合して下さい。繰り返します、エヴァパイロットは…』
令室にいつもいるはずのスタッフはおらず、ミサトだけがその部屋にいた。
さすがに緊張しているらしく、険しい表情で椅子に座っている。
「あの…僕達を呼んだのは…」
「…あなた達に、謝っておかなくてはいけないわ」
彼女は立ち上がり、四人の前まで歩み寄る。
「シンジ君、アスカ、レイ…あなた達は、ネルフやエヴァのせいで人生を狂わされた。
私達と関わったばかりに、しなくても良い苦しみを味わう事になった…。
いくら謝っても、償おうとしても無理でしょうけれど…本当にごめんなさい」
突然ミサトに頭を下げられ、シンジも、アスカも、レイも、唖然として言葉を返せなかった。
「この戦いが終わったら…普通の生活に戻りなさい。シンジ君とレイも、普通の夫婦として…」
「でも、そうさせてくれなかったのは、ミサトさんですよね?」
そう言ったシンジの目を見たとき、ミサトはゾッとした…。
(なんて冷たい目なの…この子、いつからこんな目をするようになったのかしら…
いや、そうさせたのは、私ね…)
「ちょっとシンジ…やめなさいよ…」
シンジの雰囲気に異常を感じたアスカが止めに入る。
「僕達を監視して…わざとそれに気付かせる為に、僕達に見える所で監視させてたんですよね?
僕達はせっかく昔の事を忘れようとしてたのに、そんな事されたら忘れられるわけないじゃないですか」
「……ごめんなさい」
「…僕が、機密を喋りそうになった事は悪かったと思ってますよ。
だけど、警告も無しに集団で殴ったり蹴ったりさせるのが、ミサトさんのやり方なんですか?」
「……ごめんなさい」
「謝らなくて良いですよ。ただ、忘れろなんて言うなら、そんな事しないで…」
「シンジ君」
シンジの言葉を遮って、レイが割り込む。
そして、シンジの頬を、強く引っぱたく。
「レイ…?」
「あなた、葛城さんがなんでそうしたか、解ってるの?」
「…秘密を守る為……」
「そう思う?葛城さんが、そんな事であなたを暴行するよう指示する人だと思うの?
それだったらもっと厳しい管理下に置くことも出来るし、
そもそもネルフ本部から一歩も外に出してもらえないと思うわ。
それに、秘密を守るのが最優先なら、あなた、集団暴行どころか、本当に殺されてるわ」
「…じゃあ、何故?」
「私達を守る為に決まってるじゃない」
アスカも割り込んで話に参加する。
「あの頃はゼーレって連中がまだ生きてて、私たちチルドレンを狙ってた。
あいつらが計画していた、第二補完計画の妨げとなる可能性のある私達は、消されそうだった。
それで、諜報部員を周りに配置して、私達にもおとなしくさせたんでしょ?
私達が秘密を話せば必ず噂は広まって、居場所を知られる事になるから…でしょう、ミサト?」
「…ま、概ねそういった所ね……」
内心を言い当てられて恥かしいのか、ミサトはかすかに微笑む。
一方で釈然とせず、居心地が悪いのはシンジだった。
「……なんで、教えてくれなかったんですか?」
「まあ、恩着せがましいのも嫌だし、敵を騙すにはまず味方から、ってね」
「…あの、すみません…ミサトさん……何も知らないのに、偉そうな事言ってしまって……」
自分の思い違いが恥かしくなったシンジは、うつむいて縮こまってしまう。
だが、そのシンジを、ミサトは優しく抱き締めた。
「!!……ミサト、さん?」
「良いのよ。私はあなたに嫌われるだけの事を沢山してきたもの」
「嫌うだなんて、そんな…」
「今更だけど、背、伸びたわね。もう私より大きい」
「……でも、まだ子供です……」
ミサトはシンジから離れ、手を優しく握り締める。
「良いのよ。ゆっくり大人になれば…いきなり大人に変わるなんて、無いんだから」
「……はい」
「いや〜、でもさっきのシンちゃん、ちょっとカッコ良かったわ〜。お姉さん、ドキドキしちゃった」
「ハン、お姉さんなんて年じゃないでしょ〜」
「あ!年の事は言わない約束でしょ、アスカ!」
「どうでも良いんですけど、早く私の夫の手を離してもらえませんか?」
「え?ああ、ごめ〜ん、機嫌直してよ、レイ」
ぎゃあぎゃあ賑やかな三人を、シンジは唖然として見ていた。
(さっきまでのシリアスな展開は、いったい…)
「人類の命運を賭けた決戦の前に、こんなに賑やかに出来るなんて、やはり女性は強いね」
いつの間にか隣に立っていたカヲルが、笑みを浮かべて語りかける。
「…うん…ねえ、カヲル君」
「なんだい、シンジ君?」
「世界中を見て、人間って、守る価値があると思った?」
「………僕の意見を聞いた所で、君の決断は変わらないだろう?」
「あ、解っちゃった?」
「ふふっ……まあ、それぞれかな。
本気で殺したい連中もいれば、何があっても守りたいと思える人達もいた。
そう、今の僕には、アスカが一番大事な人であるように…」
「…僕は、レイも守りたいけど、他のみんなにも生きていて欲しい」
「そうだね…僕も、シンジ君やレイを含めた、ここの人達は大好きだよ」
二人は、かつてのように見つめ合い、微笑み合う。作戦開始まで、残り一時間三十分…。
じゃあ一旦CM入りま〜す(-■∀■-)
>>921の1氏
GJ!殺人卵焼き…某道場後継ぎのお姉さまを思い出すなぁwww
>>922 僕もそういうのやりたいけど、
やったらやったで性質の悪い住民が増えそうで恐いでつ。アスカスレみたいに…。
>>929の一行目…
× 令室
○ 指令室
なんで俺はこう、迂闊で残念なんだ…orz
(´゚ω゚`)乙ス
ドンマイ。
あと一息さ!
最近ついていけてないんです><
なんだこれ。結局あのねた使ったんだ。本人達に事前説明しとけば
済む問題なのに。頭の悪そうな公然監視ですね。
次スレって立てるの?俺としては猫たんの最後まで見たい。
>>938 何だかんだ言いながら初期の頃から読んでくれてるあなたにdクス。
しかし諜報部ネタへ突っ込むだけじゃなく、
木星でのスウィング・バイの描写間違いも早めに突っ込んで欲しかったデスヨ。
941 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/01/07(土) 01:11:17 ID:40Jwaoyn
全ての作者達よ、最高だじぇ!たまに下らん書き込みあるけど気にするなよ!ただ一つだけ、どれが誰だか判らなくなるから題名なりIDなり一致させてくれ〜
批判にまったく耳を貸さなくなったら、その書き手はもう終わりだよね…
そして、出撃準備は慌しく進み、全ての準備が整った時には、作戦開始十分前になっていた。
艦の上部ハッチが開き、四機のエヴァが姿を現す。
初号機を除いた三機は、パレットライフルやソニックグレイブ、スマッシュホーク等の
武器を詰め込んだ巨大な鞄『エヴァ専用全兵装携帯ラック』を背中に背負っている。
ソニックグレイブがはみ出した鞄を背負う姿は、
定規がはみ出たランドセルを背負う小学生の姿に似ている。
初号機だけは、ロンギヌスの槍だけを持ち、他の武装は持たないで突入する。
艦はすでに、内部へと続く穴の縁に係留されている。
周囲には、使徒のものか、襲ってきた宇宙生命体のものか解らない骨が大量に散らばっている…。
もし敗北したら自分達もこの骨に混ざるのだろうか…。
そんな不安が、パイロット達の脳裏をよぎる。
作戦開始五分前、発令所のミサトから通信が入る。
『みんな、準備は良い?
シンジ君は使徒の殲滅だけを考えて。他の皆は初号機のバックアップ。いいわね?』
「了解」
「ねえ、バカシンジ」
アスカから通信が入る。そのにやにやした顔は、何か悪巧みでもしている顔だ…。
「なんだよ、アスカ」
「地球に帰ったら、寿司おごりなさいよ」
「はあ!?なんで急にそうなるんだよ!?」
「バーカ、この豪華メンバーを護衛に付けるんだから、それくらい当然の報酬でしょ」
「良いね、僕は懐石料理というものを食べてみたいな」
カヲルまでもが話に乗ってくる。
「カヲル君まで…」
「私、フランス料理のフルコース、肉抜きで」
更にレイまでも、この騒ぎに便乗して高価なおねだりをしている。
「レイ…それってフルコースって言うの?」
「さあ…でも頼めば作ってくれるそうよ」
寿司に懐石料理にフランス料理…金額を想像しただけで気力が萎えていくのを感じる。
思わず、深い溜息を突く。
その姿を見たアスカが、思わずプッと吹き出す。
「ま、そういう事だから、とりあえずアンタだけは、死んでも守ってやるから」
そう言って笑うアスカの顔は、今まで見た事無いような、優しい笑顔だった。
(アスカって、こんな綺麗な顔で笑うんだ…)
一瞬、その笑顔にうっかり見惚れてしまって、レイに勘付かれて無いかと不安になるが、
レイもまた、ニコニコしている…大丈夫そうだ。
「もう、仕方ないなぁ…」
口元に笑みを浮かべるシンジ。
「そこまで言われたら、絶対帰らなきゃね、地球に」
ちょっと休憩ってとこですよ。
>>939 このペースだと、970辺りで立てれば間に合うのかな…?
今書いてるのが終わったら、スレタイ通りの結婚生活書きたいデス。
猫様は今何をしていらっしゃるのだろうか…忙しいのかな。
>>941 題名は、次回シリーズはちゃんと一つに絞ります。混乱させて申し訳ないデス(´・ω・`)
>>942 かと言って全部言う事聞けるわけないので、どこで折り合いをつけるかが難しいデス。
地球グリニッジ標準時刻、午前9時…作戦が、遂に開始される。
四機のエヴァが、甲板から漆黒の洞穴へ、直接降下する。
光の無い世界…黒より黒い闇が、周囲を覆う。
自分達が本当に垂直に降下しているのか、上下の感覚すら危うくなる世界。
頭部に取り付けられたライトを照らすが、壁は光すら届かぬほど離れたところにあるらしく、
エヴァ同士を照らしあう事にしかならなかった。
それでも、すぐ近くに恋人と親友がいる事は、彼らが恐怖に打ち勝つ勇気となった。
彼らの動向を見守る発令所にも緊張が走っている。
「今のところ、目標の反応はありません…」
「日向君…もし、彼らの反応が全て消えたら…」
「ええ、N2爆雷の一斉投下準備、完了しています」
闇…闇…闇…果ての無い闇に抱かれて、シンジはいつの間にか生身で宙に浮かんでいる事に気付く。
(これは…夢なんだろうか?)
“やっと、来てくれたんだね…”
「誰!?」
目の前にぼんやりとした光が浮かび上がる。それは次第に人の形を成していく…。
“待っていたんだよ…”
ぼやけた輪郭がくっきりと縁取られ、顔や髪型にも個性が表れていく。
粘土細工を仕上げるかのように作られたその姿は、最後には自分の姿になる。
「君は…僕?」
“君の心の模造品…君に限りなく近い、贋作”
「君が、使徒なの?」
再びその者の輪郭がぼやける。
“そう…君達が使徒と呼び、また生命の種と呼ぶ存在”
今度は、カヲルの姿になる。
「何故、君は地球に向かうんだ!?地球に行って、何をするつもりなんだ!?」
再び使徒の姿が変わる。今度は、アスカ…。
“壊すのよ…憎いから。私はもう独りだから。独りになった私を、受け入れてくれないから”
「そんな事はないよ!カヲル君とだって解り合えたんだ。きっと君とだって!」
“じゃあ、彼らとは解り合えた?”
使徒の姿が、7年前に戦った14体の使徒達に次々と変わり、
最後に、ネルフを襲撃した戦略自衛隊の人間達へと、変わる…。
「そうだ…解りあえなかった…」
“だから、殺した”
「そうだ、だから殺した」
“僕を、殺すの?”かつてのシンジの姿になった使徒が問う。
「もし君が地球に行って、人間を滅ぼすなら、僕は君を殺す」
“あの時の僕みたいに?”
気付くとシンジは初号機の中にいた。初号機の手には、カヲルが握り締められている、かつての、あの場面…。
シンジは使徒の問いに、ためらわず答える。
「うん」
“ワシを見殺しにしようとしたみたいにか?”
今度はトウジが…中学時代の、ジャージ姿のトウジが現れる。
「うん」今度もシンジはためらわず、答える。
“何故?”
「レイや、皆に死んで欲しくないんだ。誰かに強制されたのでもない、僕は、君を選ぶ事は出来ない」
“人の命の重さは同じなのに?”かつての自分が問い掛ける。
「うん。それでも、どちらか一つしか選べない事もあるんだ」
“だから、私を捨てた――”使徒の姿が、虚ろな目をしたアスカへと変わる。
「アスカ?」
「アスカ…その、今まで無視してゴメン」
「え…?」
――これは、僕がレイに言われて、アスカに謝りに行った、あの日――
「アスカに見捨てられたと思ったんだ。悔しかったんだ…アスカの事、本当に好きだったから…」
「何よ、今更」アスカはベッド横たわってファッション雑誌を読みながら、ぶっきらぼうに答える。
「…もう一度、やり直せないかな……」
「え?」アスカは起き上がって、シンジを見つめる。アスカの胸が高鳴る。
「もう一度、『友達』として…」
彼女の心が絶望する。
「ともだち…?」
「そう、昔みたいに三人で仲良く出来ないかな…?」
「……ふん、そんな下らない事言う暇があったら、さっさとご飯作りなさいよ!」
――この時僕は、アスカが照れ隠しで言ったんだと思ってた…違ったのか――
「じゃあ、綾波を待たせてるから……ありがとう、アスカ」
部屋に取り残されるアスカ。枕に顔を埋め、泣く。
“また抱き締めてくれると思った…今度こそ、恋人になれると思った、その期待を、あなたは裏切ったんだわ”
「そうだったのか……ごめん、アスカ」
“またあの女が私の大事なものを奪った…レイを憎んだわ。そして、あなたも…何で私を見てくれなかったの!?”
「イヤ!やめて…汚い私を見せないで!!」
アスカの声が辺りに響く。気付くとシンジの正面に、コックピットに座り、耳を塞いでいるアスカの姿がある。
“でも事実よ。私は友人を憎み、愛した男を憎み、世界を憎んだ”
もう一人、アスカの姿が現れ、自分を責める。
「違う!もうやめて!カヲルも…シンジもレイも見てるのに!こんな汚いのは私じゃない!!」
「アスカ!」
叫んだシンジの声に、アスカは反応する。一瞬シンジのほうを見て、また頭を抱える。
「見ないで!私を見ないで!また…また嫌われちゃう…また独りになっちゃう……」
「それは、君が勝手に思い込んでいるだけだ」
アスカの横に、カヲルが現れる。
「いや…イヤァァァァ!!来ないで!見ないで!あなたの前では綺麗でいたいの!」
「心の汚れなど、誰もが持っているんだ。それを、認めなければ、永遠に苦しむだけだ」
「汚い私なんて、誰も愛してくれない…カヲルに嫌われるのはイヤ…」
「言ったじゃないか!例え汚れていても、アスカの事は、好きだと!」
ベッドに裸で横たわるアスカとカヲル…汗ばんだ肌がお互いをより密着させる。
アスカは、汗で背中に張り付く自分の髪が鬱陶しかった。
絶頂を迎えた後の気だるさの中で、頭を撫でるカヲルの手の感触は心地よかった。
「ねえ…」「ん?」「私の事、好き?」「ああ…好きだよ」「私、汚れているのに?」
「なんで、汚れていると思うの?」「だって、あなたの前に、他の男に抱かれたのよ…」
「関係無いと思うよ」「…人を何度も傷つけて、そんな私、汚いわ」
「過去に汚れを知ってしまったとしても、それも含めてアスカじゃないか。その全部が、僕には愛しいんだ」
「…キザったらしいわねぇ」「ふふっ…愛してるよ」「私も…んん…」
「…本当に?」顔を上げたアスカの視線の先に、カヲルが微笑んで立っている。
「本当さ。だから、自分を責めるのはやめて、自分を愛するんだ」
“君が何かを捨てる度に、誰かが傷つくんだ”
使徒の姿が、再びシンジの姿に戻る。そして、次にカヲルの姿へ――
“罪を償う事など出来ない。犯した罪は、君が生きている限りつきまとうんだ。それでも、良いのかい?”
「…構わない」
“逃げても良いのよ”
レイの姿に変化して、彼に優しく呼びかける。
「逃げるのは、『逃げる』という選択肢を選ぶ、って事なんだ。結局、何かを捨てる事になるんだ…。
だったら、僕は自分が欲しいと思うものを選ぶ」
“何を望むの?”
母が、シンジに問い掛ける。
「……未来が欲しい。レイと生きる未来…そして、みんなと生きる未来が欲しい!」