エヴァの謎・疑問はここで聞け! −38−

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526名無しが氏んでも代わりはいるもの
>>511
参考になるかは分からないが、設定集「それをなすもの」にある、山下いくとときお誠児の対談から。
「様々な謎を全て解き明かす」というのはおよそ無意味なことかな、と。

山下:(前略)だから「エヴァンゲリオン」という作品は、ロボットアニメと言うより「ロボットというものを
手がかりにした少年少女のアニメ」と言ったほうが、ある意味で正確なんですよね。
司会:ロボットというのはあくまで敷居を下げるための入り口、ということでしょうか。
山下:ええ。
きお:それは非常につらいけれど、制作側でも一時期そういうことを言っていたんですよ。
司会:では、そういうことについては最初から庵野監督やスタッフの方々の計画にあったんですか?
きお:いいえ。
山下:あれは結局、しりとりなんですよ。
司会:しりとり?
山下:悪いことばで言えば三段論法。A、B、Cというのがあると、AとCでは全然別物になっているんですよ。
何かをやる過程で、それが終わったときに、「じゃあ次は何をやってるの?こういうことができたのなら、
次はこういう描写をしてみよう」という感じでやっていたので、しまいには初めと終わりでぜんぜん違うものに
なっている。これがいわゆる庵野監督の言う”ライブ感覚”。まあ、実際「それがウリだ」とあの方自身が
おっしゃってますからね。
司会:ある種、週刊漫画的に「ここまで追いつめると次はどうなる?」というのに近いものがありますね。
山下:ああ、確かに。
司会:漫画家入門の本なんかで、「とにかく来週のことは考えずに、その回で難しい状況に主人公をおいて、
次回どうなるかは自分で試す」という話がありましたが、それに近い状況が「エヴァ」には確かにありましたよね。
山下:あと、各話数を担当しているスタッフの方によって、お話が変わってしまうと言うこともありますし……。どう言ったらいいのかな。ひとつにつながるものが、糸のように初めから終わりまでつながっていると
言うよりも、根っこが1本で、それぞれの人たちのやりたいことが木の枝のように、あちこちにいっぱい伸びている、
という状況に見えないこともない。
527名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/09/27(火) 22:50:28 ID:???
(続き)
司会:それだけ多岐にわたって広がったものをひとつの作品にまとめ上げる、という意味ではたいしたものですね。
山下:うーん、かなり強引ではありましたがね(笑)。
司会:その辺りは、謎本なんかがいっぱい出た要因のひとつでもあるんでしょうね。
山下:結局、「エヴァ」に関しては完結したと言っても完結したわけではないし。すべての謎をかけるだけかけて、
通り魔のように逃げてるわけですよ。
司会:なるほど(笑)。
山下:謎そのものよりは、「謎をかけられた」という行為自体が、すごくディープに残るんですよね。
司会:不条理漫画に似ていますね。登場するキャラクターが中途半端に何かを言ってパッといなくなる。
すると読者としては「うわぁ、すごく気になる!」という(笑)。
山下:そうそう。すごく気になる。
きお:金田一少年が「犯人はおなえだ!」と言って“つづく”になる。
司会:「犯人の判明は……うーん、今回はやめとこう」
山下:で、次の回では別の事件を追ってる。
司会:「前回の謎はどうなったんだー!」
(一同、爆笑)
司会:「エヴァ」には確かにそういうところがありましたね。
山下:問題提示を次から次へとすると、視聴者は一生懸命悩むわけですよね。お話しとしてどこまで完結できたか
わからないけれど、視聴者は謎解きを十分楽しんだと思います。
司会:それが「エヴァ」をこれだけの社会現象にしてしまった理由のひとつでもあるんでしょうね。
山下:ええ。
司会:でも、そういったとりとめのないものでも、あたかもバックボーンがあるように見えていたというのは、
作品世界への最初の入口となる、山下さんやきおさんの設定が非常に厚くできていたのもその要因かと思うのですが。
山下:僕らだけに限らず、いちばん最初に「エヴァ」の企画会議をやったときに参加された方々から、ものすごく
たくさんのアイデアが出たんですよ。あれをやりたい、これをやりたい、話はこういうふうにしたらどうか、というのが。
そういったものの蓄積が効いていたんだと思います。(以下略)