ミサト×シンジの可能性を語るスレ 2回目

このエントリーをはてなブックマークに追加
941姉弟06
「ごめんね。」
姉さんは、時々寝ている僕にそう言う。
まあ、姉さんの声が聞こえているのだから、寝ているというのは正しくは無いのだけど。
例えば、なかなか寝つけなくて、なんとか寝ようと目を閉じている時。
または、今の様に目を覚ましたら姉さんが手を握ってくれていて、離してほしく無いから寝ているフリをしている時など。
後者は今が初体験なんだけど、とにかく姉さんから見て、僕が寝ていると思われる状態の時に、
「ごめんね。」
姉さんは謝る。
僕には、姉さんが何に対して謝っているのかはわからない。
僕がおこづかいで買った本を勝手に売って、えびちゅを買った事だろうか。
スーパーに一緒に買い物に行った時、かごの底にえびちゅを黙って忍ばせた事だろうか。
僕の誕生日パーティーでえびちゅかけをして、部屋中びしょびしょにした事だろうか。
えびちゅを……
えびちゅ………
えびち…………
えび……………
え………………
やはり、えびちゅの事だろうか。
「ごめんね。」
えびちゅでは無い気がする。
『ごみん。』じゃないから。
942姉弟06:2006/10/31(火) 00:58:38 ID:???
知らない事で謝られるのは、良い気がするものでは無い。
けど、寝ている僕に謝るという事は、僕に知って欲しく無い事なんだと思う。
それなら、僕は。
「おはよ、姉さん。」
今起きたフリをする。
姉さんを困らせるのは僕の望むところでは無いし、
隠すという事は、知らない方が僕にとって良い事なんだと思うから。
「おはよ、シンちゃん。」
それに、姉さんのこの笑顔を見れば少しの疑問なんて何でも無いような気がする。
「……えーと、ここは?」
どこだろう?
目に写るのは、知らない天井だった。
「保健室よ。シンちゃん、疲れが溜まって倒れたのよ。」
「ああ………。」
そういえば、教室で倒れた気がする。
けど、疲れ?
そんなんじゃない様な気がする。
確かあの時、頭の中が赤もしくは紅でいっぱいになって……
「紅…………。」
そういえば、さっきまで見てた夢でも。
確か、夢の最後が紅い世界だった。
「あ、あ、あ………。」
そして、この部屋も夕日に包まれて紅い世界だった。
「シンちゃん?」
「姉さん!!」
僕は握ってくれていた姉さんの手を僕の方に引いた。
すると、姉さんの身体が僕の身体に覆い被さるような形になる。
943姉弟06:2006/10/31(火) 01:00:52 ID:???
「ちょっ!?何?シンちゃん。こ、ここは学校よ。それに、私達、姉弟であり、教師と生徒でも……」
勘違いしている姉さんを無視して、僕は姉さんの身体を強く抱き締める。
すると姉さんの胸で視界が覆われて、紅い世界は見えなくなった。
「ごめん、姉さん。日が沈むまでこうしてて。怖い夢、見ちゃって。」
「たはは、私、勘違いしちゃった。なんだ、そっか良いわよー。お姉さんの、おっきな胸ならいつでも貸したげる。」
姉さんはそう言って、姉さんの方からも抱き締めてくれる。
「なんなら、吸っちゃっても良いのよー。」
姉さんのからかい癖が出た。
「吸わないよ!!いくつだと思ってんのさ!?」
からかってるとわかってても、姉さんの挑発には乗ってしまう。
「あら〜、怖い夢を見て、甘えてる癖に良く言えるわね〜。」
「じゃあ、もう良いよ!!」
姉さんを放そうとするのだけど、
「へへーん、放さないわよー。」
姉さんがより一層強く抱き締めて、出来なかった。
「ごみん、ごみん。もう、からかわないから。落ち着くまで、こうしてよ。ね、シンちゃん?」
姉さんはズルイ。
急に優しくなるんだから。
それに、僕の髪を撫でてくれたりなんかして。
そんな事をされれば、
「……うん。」
断われるはずが無かった。
944姉弟06:2006/10/31(火) 01:02:23 ID:???
「ねえ、シンちゃん。怖い夢って、どんなの?」
姉さんは、僕の髪を撫でながら聞いてくれる。
「……んー、言うけど、笑わないでよ。」
情けなくて、本当は話したくは無い。
けど、心配を掛けてしまった姉さんに笑って欲しいから話す事にした。
「僕がさ、ロボットのパイロットなんだよ。」
さあ、笑ってくれ、姉さん!!
笑わないでよって、わざわざハードルを下げたんだよ。
さあ!!さあ!!
「………………。」
滑った。
姉さんは固まってしまってるようだ。
予想では、
『なによそれ〜。』
って、笑うとか。
『ロボット?そんな夢みたの?』
って苦笑するとか、思ってた。
けど、
「……つづき。」
返ってきたのは、聞こえるか、聞こえないか位の小さな声だった。
「え?」
何て言ったのかわからない。
『つづき』って聞こえた気がしたけど、食い付く様な話では無いと思う。
けど、
「つづきは!?」
姉さんは食い付いてきたようだった。
「え?ああ、えーっと……。」
945姉弟06:2006/10/31(火) 01:10:17 ID:???
それから、僕は夢の話をした。
僕とアスカと綾波が人類を救うロボットのパイロットで、
綾波は人間では無くて、
アスカは同居人で、お母さんがいない。
六分儀先生が冷たいマッドな科学者。
姉さんは僕とアスカの保護者兼上司。
そんなみんなで協力して、怪物を倒していく。
「そんなアニメみたいな話の夢。」
有り得ない。
僕や、アスカ、綾波はロボットのパイロットなんかでは無いし。
綾波が人間じゃない訳が無い。
アスカにはちゃんとお母さんがいる。勿論、同居人なんかでは無い。
六分儀先生は優しい保健室の先生だし、引き取っている綾波には勿論、アスカや僕には特に優しい気がする。なんか、お母さんって感じ。
姉さんは、夢では体育の加持先生と付き合っていた様だけど、現実では話をしているところさえ見た事が無い。
そんな……
「馬鹿みたいな話でしょ?」
それなのに、それなのに、
「うっぅぅ……。」
なんで涙がこぼれるんだろう?
原因は分かってる。
「結局人類は救え無かったんだ。」
そして、
「誰もいなくなった。僕とアスカしかいなくなった。」
その終わりの世界は紅色だった。
946姉弟06:2006/10/31(火) 01:15:58 ID:???
夢なんだから、ハッピーエンドにしてくれれば良いのにって思う。何であんな悲しい結末なんだろう。
「ん?」
頭に冷たい物が落ちてくる。
姉さんの胸から抜け出て上を見てみると、いつの間にか辺りはまっくらになっていた。
暗い部屋を廊下の灯りがほんのりと明るめ、
「姉さん……。」
その中で姉さんは、僕の事だけを見つめて泣いていた。
「姉さん、どうして泣いてるの?」
「シンちゃん、忘れよ。そんな夢。えびちゅ飲んで忘れよ。」
仮にも教師が言う言葉では無いと思う。
「シンちゃん、疲れてるのよ。それで、そんな夢を見たのよ。ごめんね、ごめんね。」
姉さんは僕が家事で疲れて、あんな夢を見たと思って謝っているのだろうか?だとしたら、
「違うよ、姉さん。」
姉さんの頬に手を添える。
「んっ………。」
ついでに唇を姉さんの唇に添えて、
「ひ、ひんひゃん?」
驚いて喋った、唇の隙間から僕の舌を入れる。
「んっ…姉ひゃん…」
僕はキスしたい程、好きだから。
姉さんの為に家事をする事なんて何でも無くて、むしろ喜ばしい事なんだ。
それを伝えたくて、
「姉ひゃん、姉ひゃん、姉ひゃん………。」
姉さんの中を動き回る。
「んっと………。」
三十秒程だろうか?
たっぷり、姉さんの中を味わって唇を離した。
「大人のキス……。」
今朝、姉さんが言ったのと同じセリフを言う。
「二回もされたから覚えちゃった。」
947姉弟06:2006/10/31(火) 01:19:05 ID:???
「……良く出来ました。けど、二回って?」
姉さんは、やっぱり大人でキス位では、かたまらなかった。
「あ、……ごめん。二回目は夢の中だった。」
そして、その後姉さんは、きっと死んだ。
それは夢の話なのに、なんだか怖くなって姉さんを強く抱き締める。
「姉さん、僕と一緒にいて。好きな人が出来て結婚するまで。それまでは、一緒にいて。」
「馬鹿ね……。」
姉さんも、僕を強く抱き締めてくれる。
「一緒にいるわよ。シンちゃんの事好きだもん。」
「僕も、姉さんの事好きだよ。
僕の作った料理を『んまいっ』て喜んでくれる姉さん。
洗った皿を『私の肌みたいにツルツル〜』っておどける姉さん。
たたんだタオルを枕にして、だらしない顔で眠る姉さん。
好きな人のそんな顔が見れるなら、家事なんて何でも無いよ。
だから、謝らないでよ姉さん。」
「シンちゃん、ありがと。ありがとう。」
姉さんは鼻水まみれの上に涙を流しているのに笑顔で、そんな顔も好きだなって思えた。
「けどねシンちゃん。」
ふいに、姉さんの顔が真剣になる。
948姉弟06:2006/10/31(火) 01:21:06 ID:???
「なに、姉さん?」
「もう、こういう事はやめよ。」
こういう事。
それがキスを指す事はスグにわかった。
「でも、僕は姉さんの事好きだよ。」
隠す事はやめにした。
キスを自分からしといて、今更だし。
もう隠すのは耐えれないから。
それに……
「姉さんだって、僕の事………。」
好きなんでしょ?
そう思うから。
けど、違った。
「ううん、私の好きは、姉と弟のそれ。だからもうやめよ。次はきっと、姉弟に戻れなくなるから。
そうしたら、きっと一緒にはいれなくなる。だから、ね?」
「じゃあ、どうして!!………」
今朝、あんなキスしたんだよっ!?って言いたかった。
けど、言えなかった。プシュー……
保健室の扉が急に開いて、 「シンジ……大丈夫?」
心配そうな顔をしたアスカが立っていたから。