ミサト×シンジの可能性を語るスレ 2回目

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935姉弟05
すー、すー、すー……
安らかな吐息が聞こえる。
「あったかい……生きてる。」
握ったシンジ君の手のひらから体温が伝わる。
「当たり前よ、眠ってるだけなんだから。」
後ろから苦笑した様な声が掛かる。
「………リツコ。」
後ろを振り向くと、ネルフの時とは違った意味で白衣を纏うリツコがいた。
「シンジ君、目が覚めたら連れて帰っても良いわよ。」
「……そう、ありがと。」
「加持君に、ちゃんとお礼言っとくのよ。取り乱したあなたの代わりに、保健室まで運んで来てくれたんだから。」
「うん、わかってる。」
「加持君も、むくわれないわね。」
リツコはため息まじりに呟く。
「あいつとは、もう終わったのよ。」
「加持君は、まだ諦めて無いと思うわよ。」
「私はもう……」
想って無い。
加持君が死んだと思った、あの時に私と加持君は終わったのだと思う。
加持君はわからないが、少なくとも私は終らせた。
「お節介かもしれないけど、私はアナタに」
「幸せになって欲しいって?」
「……そうよ。」
「アハハッ、アナタの幸せをお裾分けって訳?六分儀リツコ先生?」
936姉弟05:2006/10/29(日) 19:57:42 ID:???
私はリツコに嫌味を言う。
シンジ君を苦しませた人間と幸せに暮らしている。
そんなリツコが許せ無かった。
「人が変わった様に優しくなった旦那様。
アナタ達の事を許してくれたレイ。
お腹の膨らんだお母さん。
そんな幸せな家庭を見たらシンジ君はどう思うかしらね?」
そんな事を言う資格が無いのはわかってる。
けどリツコの少し膨らんだお腹を見てたら嫌悪感を感じて、言わずにはいれなかった。
「………………。」
リツコは下を向いて答え無い。
「まあ、感謝してるわよ。アナタ達、夫婦には。
アナタ達が見捨てたお陰で、私はシンちゃんと姉弟になれたんだから。」
「見捨てたなんて!!」
リツコは叫ぶ。
「出てってよ。シンちゃんが起きちゃう。」
このままリツコと口論を続けて、シンジ君を起こしたくは無かった。
リツコの持ち場でそんな事を言う資格は無いのだけど、私はシンジ君の傍に居たかった。
「帰る時は声を掛けて。」
保健室を出ていく足音が聞こえる。
「私は、幸せよ。」
背中越しにリツコに伝える。
「シンジ君が生きてるんだもん。」
そう思う事は、私がリツコに嫌悪感を感じてるのと同様、アスカやレイは私に嫌悪感をいだくかもしれない。
シンジを、碇くんを苦しめた加害者のくせにって。
けど、だからこそ私はシンジ君の傍にいて生きる事の支えにならなければと思う。
「そう………、けど……」
プシュー……
「その子はシンジ君では無いのよ…………。」
扉の閉まる音と同時に、そんな呟きが聞こえた。
937姉弟05:2006/10/29(日) 20:10:34 ID:???
「わかってるわよ………。」
だから、いつもの様に寝ているシンちゃんに謝る。
「ごめんね……。」
『生きてる事に疲れちゃいました。』
そう言ったシンジ君を無理矢理、生かし続けて。
「ごめんね……。」
シンジ君の心を壊して。
「ごめんね……。」
私は懺悔する。
葛城シンジの手を握って、碇シンジへ。
届く事の無い懺悔を。