ミサト×シンジの可能性を語るスレ 2回目

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880名無しが氏んでも代わりはいるもの
何故だか私は生きていた。
シンジ君とキスをして。
私の想いを押し付けて。
無理矢理、戦場に送りだして。
意識が遠のいていていくのを感じて、
プツンッ、と意識が途絶えて。
確かに私はあの時、死んだはずだった。
はずなのに……………………………

はずなのに、何故だか私は今…………
「葛城、俺と結婚してくれないか?」
一年くらい前に、何故だかひょっこりと帰って来た加持君にプロポーズされていた。
再会した時は、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、ただただ抱き締めて、涙を流した。
私の涙を拭いながら、加持君は、
『心配、かけたな。』
なんて、余りに軽く言ったので。
『馬鹿…………。』
なんて言ってやったけど、その時の私は笑顔だったと思う。
だって、死んだと思ってた好きな人が帰ってきたんだから当たり前だ。
けど、その笑顔はすぐに消えた。
それからは、加持君とは関係を持たなかったし。
デートらしい事もしなかった。
そんな状態なのに、プロポーズしてくれた加持君は凄く勇気がいったのだと思う。
けど、私は……………
「………ごめん。」
その想いには、答えられない。
「………シンジ君か?」
「ごめんね、加持君。」
881名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/17(火) 17:27:15 ID:???
死んだはずの、私も加持君もリツコも元気なのに。
『……………………………。』
私が生き還って3日目に発見されたシンジ君は、何も言わなかった。
目を閉じていた。
真っ白な部屋で沢山の管に繋がれて、
生きているのでは無くて
生かされていた。
『シンちゃん、起きて。シンちゃん?起きてよー。シンちゃん?シンちゃん、シンちゃん、シンちゃん!!』
何度呼んでも、起きなかった。
だから段々と声は大きくなっていった。
『ミサト……、静かにしなさい……。病院よ。』
リツコが私をたしなめる。
『だって、シンジ君、起きない………。』
私は、シンジ君の顔を私の胸にうずめる。
こうすれば、
(ちょっと!!ミサトさん、やめて下さい!!)
って、真っ赤になるはずなのに。
『……………………………。』
シンジ君は何も言わない、真っ赤にならない。
『ミサト!!!やめなさい!!!』
リツコが私の腕を開いて、シンジ君をベッドに優しく寝かせる。
『リツコ!!!取らないでよ!!』
シンジ君を取りあげられた様な感覚になって、リツコに理不尽な怒りを向ける。
『リツコ!!シンジ君を返して!!!』
『ミサト、静かにしなさい。起きちゃうわよ。』
リツコはそう言って、シンジ君の頬を優しく撫でていた。
882名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/17(火) 17:31:03 ID:???
『………ごめん、リツコ。』
それを見て、やっと私はリツコに対する理不尽な怒りが消えていった。
『ねえ、何で、私達生きてるの?』
リツコの背中に話かける。
『きっと、シンジ君が望んだからよ。』
リツコはシンジ君の顔を見たままで答える。
『シンジ君が?』
リツコは自分の知ってる事全てを話してくれた。
レイの事。
きっと、サードインパクトは起きた事。
シンジ君が依り代となった事。
『だから、アスカのお母さんも戻ってきたっていうの?』
『多分ね。』
『リツコにしては、きっととか、多分が多いわね。』
『話を聞いただけで、体験して無いもの。』
司令に殺されたからね。
と、リツコは付け加えて煙草に火をつけようとしたが、シンジ君の顔を見てやめていた。
『今更、私が何をしても偽善よね?』
そんなのは、
『私も同じ。けど、シンジ君を助けて。お願い、リツコ。』
『出来る事はするわ。』
冷たい口調だったけど、シンジ君の頬を撫でる手は優しかった。
『ほんと、今更ね。』
『そうね。』
私達は苦笑した。

883名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/17(火) 17:32:13 ID:???
プルルルルル………
「ちょっち、ごめんね。」
加持君に断り、携帯に出る。
「もしもし。」
『ミサト。シンジ君の意識、戻ったわよ。』
「すぐ行く。」
それだけ言って、すぐに携帯を切る。
「ごめんね加持君。私、行かなくちゃ。」
「そうか。」
引き止めないのは、加持君の優しさで。そんな加持君を好きになって良かったとあらためて思う。
だからこそ私は、
「さよなら、加持君。」
きっぱりと、別れを告げる。
「シンジ君に負けちまったな。」
加持君は苦笑して。
「あら、シンちゃんに勝てるとでも思ってたの?」
私は一年振りくらいに笑えて。
「まさか。早く行ってやれ、葛城。」
「ありがと。」
色んな意味を込めたお礼を言って、私はお気に入りの車に乗り込む。
「じゃあね。」
「ああ。」
とても好きだった人との別れは、思った程辛くなくて。
加持君には悪いけど、今はそれより。
「シンジ君……。」
嫌われてるとしても、
拒絶されるとしても、
罵られるとしても、
ただただ
「声、聞けるかな……。」
声が聞きたかった。