´Д`)<ロメオ「いまだかつてないバカシンジ」へのコメント@
以下、箇条書きにします。
1 作品を完成させることはとてもだいじである。テクニックがいくら
すぐれていても、未完成の作品は評価できない。その点で、作品を
仕上げたロメオはりっぱである。
2 ロメオの作品のおもろいところ─その@ 饒舌文体
饒舌文体とは、些末なことをクドクド語り倒す文体である。笑いを誘う
テクニックとして、それを得意とする作家は多い。最近の日本人作家では
舞城王太郎がその代表。
ロメオの文章は情景描写がそれほどなくてセリフ中心だ。
「シナリオじゃないんだから、もっと情景描写を入れろよ」と、スレの
アオラーがシツコく言ってたけど、セリフ中心のスタイルを貫いたことが良い
効果を生んでいたところがあった。
セリフに情景描写の機能も持たせたことで、結果的に饒舌文体になった点である。
たとえばアスカとシンジの作文のところである。
3 ロメオの作品のおもろいところ─そのA 横道(サイドストーリー)がいっぱい
あったこと
本筋とは少しはなれて、サイドストーリーを書くのはエヴァのFFにもよく見られる。
ロメオも本作でサイドストーリーをいくつか書いた。ただ、添え物としての単なる
サイドストーリーと異なるのは、@サイドストーリーのわりに、文章がかなり長い
A文体がさまざま(セリフ中心の文章だったり、情景描写が多めの文章だったり)
点である。こうなってくると、サイドストーリー自体が添え物ではなくて、一個の
独立した作品に近くなってくる。「いまだかつてないバカシンジ」という大きなテーマ
に、小さなストーリーがいくつもつつまれているような。
筆者が例にあげた『ドン・キホーテ』はそういった構造の物語なのである。
一見独立しているように見えるストーリーたちをうまくつなぎ、読者が読み
終わった後に、「ああ、この話とこの話はこういう関係でつながりを持っていた
のか!」と思わせるような構成が作れれば面白いと思った。
´Д`)<ロメオ「いまだかつてないバカシンジ」へのコメントB
4 課題
上記に関連していくつかの技術的な課題もある。
@饒舌文体がこなれておらず、表現が陳腐で、読者が醒めてしまう箇所がある。
その意味がどういうことか知りたければ、思想的にはまったく納得できない
ものの、すぐれた日本語屋である本多勝一の『日本語の作文技術』(朝日文庫)
211頁以下(「自分が笑ってはいけない」)を読んでみてください。
A情景描写が貧弱なこと。この点は繰り返し指摘されてきたことだから、
ロメオ自身も自覚していると思う。饒舌文体でカバーしきれない分については
もう少し情景描写を分厚くしてカバーする必要があると思う。
Bサイドストーリーと本編との関連をもっと明確にした方がよい。結構緻密な
作業になるが、「この話とあの話はこうつながるのか。ああ、なるほど!」と
思わせる、いわゆる「読む快楽」を読者に味わわせて欲しい。
5 期待
以上、注文も含めていろいろ書いた。だがロメオの作品にはおもしろい
ところがいっぱいある。これからも継続して書くことを続けて欲しいと思う。