作者さんオツカレイ!
元マナリアン現アヤナミストの俺にはどっちも美味しい展開だ(;´Д`)ハァハァ
117 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/09/10(土) 02:09:30 ID:iNHV1F2b
***
〜NERV‐「税金浪費」の総本山〜
シンジは本気で悩み始めた。一体全体何が原因で神様は僕の人生をぶち壊し
たがるのだ。
「何故、僕なの?」
彼は床タイルに問いかけた。ミサトが迎えに来るのを待ち始めてもう20分経つ。
その間ずっと床を眺めているうちに、ぽろりと口から出た言葉がこれである。さすがに
床に返答を期待していたわけではなかったが、仮に答えが返ってきてもシンジはおそらく
驚かないだろう。理由は簡単。
それ以上に不可解な目になら既にヘドが出るほど遭っている。
さっぱりわからなかった。アスカとレイの健康診断にかかった時間は全体通してものの
10分。だがシンジの番になった場合は、1時間半近くも長々と延長された。彼は最初
リツコさんは父さんの命令でそうしてるんだろう、と勘繰っていた。だが毎度彼の診断に
欠かさず同伴しているミサトとマヤに尋ねたところ、二人とも、単にあなたの場合は特別
だから、初号機を事前の訓練一切なしで高いシンクロ率を出した天賦の才を深く探るため、
というような回答を出した。そう、確かに他2人のパイロットに比べると、サードのエヴァ
パイロットとしての技能は尋常でない勢いで発達していた。
「じゃあなんで、いつもいつも診査が終わるたびにやるせない気分になるんだろう、僕」
なんだか体中がヒリヒリする。ミサトを見つけに行こうと決意したシンジは、ネルフ本部と
いう名の迷路で捜索を開始した。
碇少年の気づかぬところで、ネルフの廊下を歩く彼の跡を、並んだ全ての防犯カメラが
しっかりとつけていた。その映像はデジタル回線を通じて街中のお得意様の家々でリアル
タイムで放映されていた。
エヴァンゲリオンも木の根っこからぼんぼこ生まれる訳ではない。金の出所が必要である。
ゼーレが量産機に供給する予算をぎりぎり確保できたのも、SIC−シンジ・イカリ・チャンネル−の有料
サービス(月々¥9,995で見放題、PPVならお好きなコースが¥4,995)の上に成り立っていた
のである。
〃⌒`⌒ヽ
彡ノノハ ミ
ソc*´∀`ノ
人 Y /
( ヽ し
(_)_)
続き、まだかい?
コラコラはしたないでつよ
>ゼーレが量産機に供給する予算をぎりぎり確保できたのも、SIC−シンジ・イカリ・チャンネル−の有料
>サービス(月々¥9,995で見放題、PPVならお好きなコースが¥4,995)の上に成り立っていた
>のである。
_人人人人人人人人人人人人人人_
> な なんだってー!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
_,,.-‐-..,,_ _,,..--v--..,_
/ `''.v'ν Σ´ `、_,.-'""`´""ヽ
i' / ̄""''--i 7 | ,.イi,i,i,、 、,、 Σ ヽ
. !ヘ /‐- 、u. |' |ノ-、 ' ` `,_` | /i'i^iヘ、 ,、、 |
|'' !゙ i.oニ'ー'〈ュニ! iiヽ~oj.`'<_o.7 !'.__ ' ' ``_,,....、 .|
. ,`| u ..ゝ! ‖ .j (} 'o〉 `''o'ヽ |',`i
_,,..-<:::::\ (二> / ! _`-っ / | 7  ̄ u |i'/
. |、 \:::::\ '' / \ '' /〃.ヽ `''⊃ , 'v>、
!、\ \. , ̄ γ/| ̄ 〃 \二-‐' //`
***
〜うんこちゃんな大王さまの根城〜
「で碇、どうするつもりだ?」
冬月コウゾウは本から目を上げると、ゲンドウの答えを待った。
「いつまでも逃げてはいられんぞ」
碇ゲンドウは机の上に積み上げられた書類と請願書の山をちらりと見た。
「『彼女ら』の様々な要求については熟考した。やる事も決まった」
さてさて彼の決断は正しいものであろうか。
「それは?」
冬月は急に心配になった。失敗の要素は幾らでもある。そして彼らのビジネスに
おいては、1つの失敗が致命的な結果になりうることが多い。
「サードチルドレンは訓練室に移住させる」
数ある選択肢の中で、これが、全員に平等の権利を与えかつ内部からの反発を
最小限に抑えられる唯一の方法だった。ゲンドウは組んだ両手の裏でほくそ笑んだ。
こうすれば自分の責任は問われない。顰蹙(ヒンシュク)は丸々初号機パイロットが買う
ことになる。
「春名氏の話とは違うが…」
冬月は俯くと、以前彼とした会話を思い出した。特殊金融機関重役の春名氏のスタンスは
実に明確であった。
「認められないなら殺すよ碇くん」
話し合いの余地はないようにも見える。
ゲンドウはそう簡単に怖気づきはしなかった。
「そういった類の申し出をしたのは彼だけではない」
見当は多少ついていたが、冬月は聞かずにはいられなかった。
「他に誰が?」
123 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/09/10(土) 16:51:08 ID:WiwHi6Wx
ゲンドウは書類の山をめくり始めた。
「葛城三佐の望むところでは、サードは元の場所に留まらせ、代わりにセカンドを移住させて
ほしいとのことで、」
彼の目が用紙にいった。
「本人が言うに、『一生のお願いです。どうか 彼 だ け は ここにいさせてください。いや
マジで』だそうだ」
「おそらく葛城君は、やはり自分は彼にとって大切な存在だということを自覚しているの
だろうな。アスカはどうだ?どんな反応を示した?」
冬月はこの結果にはネガティブな予想しかできなかった。以前アスカが癇癪を起こした時は
ネルフが破産しかけた程だ。彼女がどのような手口で、ネルフの口座にアクセスし享楽の限りを
尽くしたのかは未だ調査中である。
ゲンドウはこみ上げてくる震えをこらえながら言った。
「予想をはるかに超えて良い結果だよ。被害による死者数ゼロ、ケガ人もたったの8人だ。
彼女の唯一の主張は『バカシンジ』の所有権を自分に与えろのことで、なんと言ったか、」
ゲンドウはパラパラと大量の紙をめくった。
「ああ、ちまたの女性の安全を彼のヘンタイ行為から守る為、だそうだ」
自分の行動を認めずひたすら否定を続けるセカンドチルドレンに、冬月は笑いをこらえずには
いられなかった。
「はっきり言ってしまえば、自分の大事な者を他から守る為、か。しかし仮に実現してしまえば、
彼の病院での生活時間がさらに増えてしまうだろうな」
「赤木博士も同意している。碇シンジの容態について何度も不安を聞かされたよ。先日自分が
保護を引き受けるべきだと要求してきた」
「んん?赤木博士のマンションは寝室は1つではなかったか?」
陰険な笑みが冬月の顔に浮かんだ。
「私は知らん」
ゲンドウは直ちに答えた。
少々早すぎたか。
「嘘をついてないかね」
冬月は防犯カメラがとらえた写真を取り出すとひらひらとゲンドウの前で振った。そこに写って
いたのは、早朝某金髪の科学者の住まうマンションを去るネルフの某髭司令の姿だった。
ゲンドウは写真をひったくると跡形もなくビリビリに破いた。が、直後冬月にさらに数え切れない
量の焼き増しを突き付けられた時は、しばらく開いた口が塞がらず見ていることしかできなかった。
「…………伊吹二尉も本部に近接した彼女のマンションを提供している」
「そこも寝室は1つのはずだ」
今回出された写真には、腕ずくでも中に入ろうと必死に某ネルフ女性職員の部屋のドアを叩いている、
前述の金髪女性科学者の姿があった。
ゲンドウは、ただ言葉もなく、ポラロイドカメラが捉えた瞬間をじっと眺めていた。
「赤木博士も同意している。碇シンジの容態について何度も不安を聞かされたよ。先日自分が
保護を引き受けるべきだと要求してきた」
「んん?赤木博士のマンションは寝室は1つではなかったか?」
陰険な笑みが冬月の顔に浮かんだ。
「私は知らん」
ゲンドウは直ちに答えた。
少々早すぎたか。
「嘘をついてないかね」
冬月は防犯カメラがとらえた写真を取り出すとひらひらとゲンドウの前で振った。そこに写って
いたのは、早朝某金髪の科学者の住まうマンションを去るネルフの某髭司令の姿だった。
ゲンドウは写真をひったくると跡形もなくビリビリに破いた。が、直後冬月にさらに数え切れない
量の焼き増しを突き付けられた時は、しばらく開いた口が塞がらず見ていることしかできなかった。
「…………伊吹二尉も本部に近接した彼女のマンションを提供している」
「そこも寝室は1つのはずだ」
今回出された写真には、腕ずくでも中に入ろうと必死に某ネルフ女性職員の部屋のドアを叩いている、
前述の金髪女性科学者の姿があった。
ゲンドウは、ただ言葉もなく、ポラロイドカメラが捉えた瞬間をじっと眺めていた。
500エラーのせいだ
二重投稿スマソm(__)m
おーけーおーけー、気にするなw
焼き増ししておく冬月に惚れるわ〜(´∀`)ノ[ぐっじょぶ!]
ぐーどじゃぶ
いいっすね。抉りこむようにキマシタよ。面白いです。
ただ気になるんですが、トリップつきじゃないのは他の人の書いたやつなんですか。
えー、確認しましたが、
>>106を除いて
>>88以降のFFっぽいレスは全部俺のです。
字面でわかると思ってトリは省いたんですが…まずかったか。
まあ他にここでFF書いてる方は今のところいないのでこのままで。
もう少しで第1話執筆完了するのでその際全体まとめます。
130 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/09/12(月) 01:22:12 ID:Nh1v/q6t
受け取った写真を冬月はプライベート・コレクションの中へと戻した。
「他にいるか?」
「…………レイが……」
いまだに先程の暴露から立ち直れていないながらも、ゲンドウは机上からごつい紙の束を持ち上げた。
「レイがどうした?」
「請願書を提出してな…」
ゲンドウはリストを相談相手に手渡した。
ざっとリストに目を通した冬月は目を丸くして言った。
「随分と事情に詳しいように見えるが」
「私が馬鹿だった」
俯いたままゲンドウが言った。
「まあ、お前の命令には従っているじゃないか」
そう言って続くページをパラパラとめくってみた後、彼はゲンドウに説明を求めた。
「同じことが延々と書いてあるぞ。どういうことだ」
ゲンドウは机にもたげた頭を両手で覆った。
「 予 備 だ よ 」
くぐもった彼の声が答えた。
「ダミーシステムの…コア?」
冬月の眉がピクリと上がった。
「まさか碇、サードを共同利用させる気か!?」
レイの出願書類に絶対的な形で書かれていた、シンジの所有権に関する内容から察するに、
「あれら」が少年を得た時に彼が過労死する可能性は限りなく高い。冬月が動揺するのも
当然である。
「落ち着け、タンクなら封印してあるだろう」
ゲンドウ自身、プログラムの厳重な安全装置を有難く思っていた。レイのクローン達が
自分を好んでいなかったのも知っていた。ある経験上。
「そのことなんだが…」
冬月はどう切り出そうかと口をつぐんだ。
顔を両手で覆ったゲンドウは低くうなった。彼がもしまだ泣ける人間であったなら、
事務室は涙の海に沈んでいただろう。
「なんだよ」
「いや、赤木博士がまた、な。いい加減何とかしてくれんか碇」
冬月は後輩をそう怒鳴りつけた。彼にとっては、レイのクローンが新たに生まれるたびに
蒼髪を白く染めようと動くリツコがウザったくて仕方なかった。
「大学時代、赤木君が蒼と間違えてブロンドの永久染髪料を使ったのは彼女の責任だ。
俺は関係ないだろう」
ゲンドウも、
「大学時代に蒼く染めたいだけだった」
と自分に愚痴るリツコにはほとほと嫌気がさしていた。
「もういい。タンクはどこへ?」
「第二班に軍事施設の空いている区画に再設置するよう命じておいた。確か……ああ、
この辺りだな」
彼の指はネルフ内地図の「もはやおなじみの場所」を指した。
「そうか」
ゲンドウはさっさと別の話に移ろうとした。
が。
「待て冬月」
彼は改めて地図を見た。
「ここは訓練室の隣だぞ」
「そうだが…?」
冬月は今ひとつ要領を得ない。
「言ったはずだぞ、ここは広い上に完全に空き部屋だ。大いに我々の役に立つだろう」
「つい先程そこと同じ区画に再移住が決まったのは誰だ」
モーロク気味な相方に苛立ちながらも彼は聞いた。
「!!!!」
冬月の顔が一瞬にして青ざめた。
「……や……
やっちまった……」
「ああ、よくやってくれたな」
ゲンドウが皮肉っぽく応じた。
133 :
128:2005/09/12(月) 15:16:50 ID:???
ちょっと気になっただけですんで。お気にせずに。お疲れさんです。
実は青の髪じゃない綾波良いですね。
リツコさんは多分大学時代相当派手な格好してたんだろうなー
ビジュアルバンドなリツコさん想像してちょっと萎えた……のは秘密
>>133 >実は青の髪じゃない綾波良いですね。
志村ー!逆!逆ー!!
>レイのクローンが新たに生まれるたびに
髪を白く染めようと動くリツコ
まあ過去に失敗したリツコのやつ当たりですね。
つか、何この糞スレ
いくら2chだからって糞の垂れ流しは辞めろや
136 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/09/13(火) 01:01:53 ID:g+uNkkSG
「どうする?」
冬月が問うた。
「何を俺たちが気に病む?サードには自立してもらう必要がある。状況に応じてな」
少なくともゲンドウはそれを望んでいた。というかこれまで彼はシンジを大して信頼
すらしていなかった。
「ではお前は、ただ1つ残された選択肢が、シンジ君を独り放り出して自活させること
だとでも言うのか?」
冬月はこのような状況を継続させるゲンドウにただ驚きを感じていた。
「懲りん奴め」
そもそも初号機パイロットが鬱な少年である責任は、経歴から見ても完全にゲンドウにある。
冬月の付け加えた言葉はそのことも暗示していた。
「万一の場合に備え第二班に事前の損害回避対策を」
冬月の辛辣な言葉をゲンドウはさらっと流した。
「そして青葉二尉に連絡を」
「青葉君をか?彼なら『誰がサードを'モノ'にするか』で宝クジを経営していなかったかね」
当のクジはシンジが第3新東京市に住み始めた日から開業されている。今では特賞は、セカンド
インパクト後残った沖縄一帯の南国諸島を文字通り丸ごと買い取れる額にまでなっていた。
「ああ、そういえばそうだったな」
ゲンドウは、ネルフ内におけるギャンブルやら乱痴気騒ぎには見て見ぬふりをしてきた。主な
理由は、彼があらゆる全てのネルフにおける取引で幾つかの分け前を得ていたからだ。暗にいう
ワイロという奴である。
「ナンバーワンよりオンリーワン」といった言葉が十数年前流行っていたようだが、なかなか
どうしてトップに立つのも悪くない。
「で、お前は誰に賭けたんだ?」
自分の対象と比べようとゲンドウに揺さぶりをかける冬月だった。
***
ファースト・ミステイク 完
つづく…?
超お疲れー。
オモロかったYO!
>>139 有難うございます。暇つぶしにでもなってくれれば幸いです。
ところで…
他に書きそうな奴がいNEEEEEE
続編準備しとくかな…
141 :
106:2005/09/15(木) 16:43:31 ID:???
ちゃんと見守らせてもらったよ(・∀・)
さて・・・この後は誰が書き込むか。
ほーすう
俺の堪忍袋が破裂しそうなものprz
144 :
トマト頭 ◆cfqIhm9D6w :2005/10/14(金) 14:50:56 ID:zinRw8PN
ここに人が来ない理由ひとつわかった。
ここができた後に少なくとも2つはジャンル自由なSSスレが立っている。
負けじとがんばって投稿してくれ。
ちなみに上のは、ハレムスレにも紹介されてました。
久しぶりに来た。トマト頭氏乙。冬月がなんか好きw
検索でここが引っ掛からん、とおもたらスレタイの「SS」が全角だった。
ここは偶然見つけたんだよね。
ジャンル自由なとこ他見に行ったけど、ここの雰囲気が一番好きだな。
>>145 ありがとう。行ってみて暖かい気分になった。
段々と続き書く気になってきましたわ。
>>146 冬月先生は次回も一応出る予定なのでそれなりにこうご期待。
それと半角検索でもここたどり着けたんですけど…?
他の誰もFF書いてねええええ
仕方がないので
新世紀エヴァンゲリオンパロディFF
いつかなんて日はいつだ
ーエヴァンゲリオンの著作権はGainaxに帰属します。
某『ごっつい』FF並にキャラが変貌してもそこは残念ながら変わりません。
前略:最近やたら忙しい日々を送っている中、意外と好評な感想を再度見て
とうとう続きを書く決意をしました。
以前も同じような調子でしたが、自分正直こんなアホな作品書くよりかは
勉学に励んだりもっと社会に適応(ry
自虐は置いといて期待してる方々の為にも
仕事の合間にせいいっぱい書いていこうと思うので宜しくお願い致します。
いつかなんて日はいつだ
セカンド・ミステイク---自由人(フリーマン)になりたい
〜NERV-2,000年9月13日から俺らが人類の砦〜
ウブな14歳の少年にとってネルフ本部での夜はなんとも恐ろしいものであった。特に
ネルフの職員に女性が多いことを考えると。
そう、欲求不満で半狂乱な女性たちがそこにはごまんといた。
シンジの通る道は常人なら自我が崩壊しかねないほどのものであろう。彼が無意識に
取ったサバイバル戦術は単純なものであった。
SDATのボリュームを騒音で内耳出血を起こすレベルまで上げる。そして周りの一切を無視し、
ガクーンと肩を落として床を見つめる。こうすると己の「心の中の悪魔」にとり憑かれてさらに
沈んだ気持ちになってゆくのである。一人でいる時ならいつでも可能だし、
彼の寿命を縮めていた「人の皮を被った悪魔たち」より遥かに頼りやすい。
少なくとも「心の中の悪魔」は彼を某女子のようにシバき倒したりはしなかった。
ときたま彼は近くのドアをなんとなしに開けていた。もしかしたらミサトと鉢合わせて
ウチに帰れるかもしれないという一縷の希望があったのだ。
案の上、哀れにも「一縷の希望」は彼をアスカ並に突き放した。否、怒鳴られたり
殴られたりしなかった分アスカよりはマシかもしれない。
シンジは恐怖の眼差しで戸口の向こうを見つめていた。ほとんど硬直状態である。
彼の目の前にいたのは赤木リツコだった。
赤木リツコ博士。
ネルフ本部に於ける科学者主任。
E計画およびスーパーコンピューターMAGIの直接の管理者。
多くの人々から見てとても魅力的な美女。
そんな彼女が、猫の耳が接着されたカチューシャに尻尾の付いた
ラバースーツといった出で立ちで深皿からミルクを飲んでいた。
全身の血液が生命維持を無視して顔面に集まるまでシンジは大口を開けて呆然としていた。
ネルフで何が起こってもおかしくないということは以前からわかっていたがこれ程のものは
彼も計算外である。
「あ…あぁ…。ど、どうもリツコさん、しっ、失礼しました…」
そう彼はなんとかどもりつつも言った。もはや顔の紅潮は制御不可能である。この場から逃げたい
シンジの意志とは反対に、彼の目はホルモンの活性化によりリツコのほっそりした身体をジロジロ
嘗め回すように見ていた。
それに呼応するかのように、内紛の中クーデターに失敗したヘモグロビンの塊が彼の左の鼻孔から
流れ出た。
リツコはミルクを飲むのを中断すると顔を上げた。その視線は、どこをどう見ても動揺して見える
シンジに向けられている。
「にゃ?」
獲物が、真っ赤に照れたキュートな獲物が視界に入った途端、彼女の衣装の尻尾がピクピク痙攣
しだした。どういった仕組みになっているのかシンジにわかる訳もない。
が、彼には今になってようやくわかったことがひとつだけあった。
リツコが以前からしきりに自分にネズミ耳の装着を勧めていた理由である。
「シンジ君。」
ゴム手袋に包まれたミルクまみれの指を、一本一本舐めながらリツコは言った。
「は…はい?」
そう言いつつシンジはドアの向こうを見た。余裕は十分だ。跳びかかられる直前に
全速力で駆け出せば数メートルは引き離せる。
リツコは激烈に妖艶な笑みを浮かべながらウィンクした。
「ンニャアアアアアアオウ」
「ひいいッ」
シンジが呻くと同時にリツコの猫耳が立ち上がった。こちらも原理は不明である。
それからの追いかけっこは正に『トムとジェリー』その物であった。ただそれを楽しんで
いたのは「トム」の方だけである。
シンジは走った。走った。その速さと来たら異常である。2000年オリンピックの短距離走で
金が取れそうな速さだ。仮に彼が何らかの縁で連続殺人ホラー映画に出演したなら、おそらく
最後まで生き残れる役になるであろう。
誘惑を抑えきれないシンジは振り返り。一瞬動きが止まった。腿までのびたハイヒール
ブーツをコツコツ鳴らしながらすぐ後ろで狩りを楽しんでいるリツコは、噛み付いたり
引っ掻いたりできる標的を必死に求めているようにも見える。
彼の足の動きが一層速くなった。
おってゅ
続き、あるんでしょ?
***
ネルフには、総司令碇ゲンドウの事務室において、いかなる者も立ち入る前に武器を
預けなければならないという規則がある。ゲンドウはその規則を設けた名もない職員に
激しく感謝していた。おかげでイカレた客人がクソ王様に緊急開腹オペ(麻酔なし)を施して血の
色を確認するといった猟奇事件も起きずに済んでいる。
それは今も例外ではない。紫髪の戦略課長がとある件について議論しようと友好的な訪問を
決め込んでいた。
「私のシンジ君を異動させるですって…」
ミサトの手は通常ピストルが収まっているホルスターの上の虚空で震えていた。
「アンタ…一体何様のつもりよ…」
もはやミサトがゲンドウに望んでいたのはさっさと死んでもらうことだけだった。
-その頃、ミサトの心の中では-
//ミサト(小)ゲンドウ(小)に向けて完全自動連射の準備が完了したSKSアサルトライフルを構える//
女性士官の手元に武器が無く、自分に致命的な重傷を負わせることは無理であると確信していた
ゲンドウは、組んだ手の向こうでニヤリとほくそ笑んだ。
「葛城三佐、何度も言わせないでくれたまえ。これは私の出した結論だ」
その葛城三佐がなにやら拳や肩の関節をベキバキ鳴らし始めたのに気づいた冬月は、爆心地と
なるであろう碇ゲンドウの机からジリジリと後退し始めた。
//引き金引かれる。後血まみれの屍骸の上で勝利の旗を掲げるミサト(小)//
殴り込みしていたのはミサトだけではなかった。
「つまりは、バカシンジはアタシを異常者とヘンタイペンギンの元に残して逃げ出すわけねッ!!」
シンクロ率試験を終えて着替えもせずに飛び出してきたアスカの拳が机に叩きつけられた。
ゲンドウの顔に黄色いLCLの塊が反動で飛び散る。少女は保護者の方へ向き直ると、人差し指を
その眉間に向かって一気に突き出した。さらにLCLが室内に撒き散らされた。男性のする尿と似た
ようなものか、本人は気づいていない。
「で!“わたしのシンジ君”って一体全体どーいう意味よ」
昨今のアスカは絶不調だった。彼女の大親友(そして唯一の友達)が自分の一番の宝物にアタック
しようとしている。毎日毎日シンジの桃尻を某「優等生」や某「転校生」の魔の手から守って過ごす
だけで十分辛かったのだ。まさか未だ留まることを知らないリストにヒカリを加えることに
なろうとは。
//ミサト(小)シンジ(小)に対するあらゆる危険物の除去を開始。
種族性別の差を無視した温泉ペンギン含む//
「誰も私のマンションに住めと強要はしていないわ、アスカ。いつでも出てってくれて結構。それと
この際だから言っとくわ。シンジ君は 私 の 物 と初めから決まっているのよ」
ミサトはご丁寧にラミネート加工までされている碇シンジの所有権利書コピー(原物は極秘裏に
保管されている。というかミサトが忘れた)を取り出した。
「このオッサンも認めたことだわ…」
もはやシンジに関連する一切合財の事への干渉が可能、と満足したミサトは、真赤な上着を脱ぐと、
ゲンドウへのブチかましに備えて準備運動を開始した。
//ミサト(小)、シンジ(小)の装着した首輪に付いた鎖を引く。シンジ(小)ため息とともに保護者に
缶ビールを取り出す//
「みゃ?」
異常なまでに場違いな声に一同はドアの方へ振り返った。
ミサトの驚愕ぶりは筆舌に尽くしがたい。
「…リッ…ちゃん?」
彼女の脳は普段冷静沈着な旧友と目の前の猫女を結び付けようと躍起になっていた。
「白衣は…どうしたのよ?」
「あ…赤木博士?」
ゲンドウも同様である。ネルフの総合予算内に"コスプレ衣装代"が含まれていることに関しては
リツコはなしのつぶてだったはずなのにこのザマはなんだ。
さも何も問題が無いかのようにカジュアルに振舞いつつ、リツコは司令室を後にした。
「えー私ーんーシンジ君にーんーまあその用があるんですがーあー見失ってしまいまして」
乙! ガンガレ
ってわけであげてみる
***
シンジは尻を擦りながら起き上がった。
「あぁ〜もう…あれ…どこだここ…?」
彼が佇んでいたのは、黄金色の液体(LCLと思われる)を湛えた湖が広がる巨大な洞穴の中であった。
最後に覚えていることといれば…彼は猫狂いのモンスターと二人きり個室に監禁され、逃げ場を
失っていた。「もう駄目だ」と思いかけていたところ、迫りくるリツコの背後に突然、異常なまでに色白な
肌の女性が現れる。そして気がついたらここにいたのである。ここがどこなのかはさっぱりだが。天井の
高さから察するにセントラル・ドグマとかいう本部の最深部あたりかと思われた。
「な…何なんだあれ?」
空間の奥深くには目を見張る大きさの真っ赤な十字架があり、奇妙な様相の白い巨人がはりつけに
されていた。
「ここがネルフならこんな得体の知れないもの保管してるのは最高司令の父さんだろう。実の父親がこんなもの
地下にほっぽり出してるってのに大して驚かない自分がなんか怖いな」
湖の岸まで進んだ彼は下に覗き込んでみた。
「どれくらい深いんだろうなー」
普段彼はこういった大量の液体に浸かるのを避けている。泳ぎが苦手などころか浮かんでいるだけでも恐怖心が
募るのだ。自宅の湯船で、ビールに酔った勢いで頻繁に「ジョーズごっこ」を始める某温泉ペンギンの影響もある。
が、この液体は見た目も匂いもLCL。沈まない確固たる自信があった。
好奇心旺盛な少年に気づかれず、七つ目の仮面は新たな来訪者に視線を向けた。彼が出口へ去り行くのを見た後。
第二の使徒、人類の母たる存在、リリスは、
動き始めた。
***
〜相田家-Y染色体に高エネルギー反応!!〜
相田ケンスケはパソコンのモニタに映る光景に己の目を疑っていた。
「おいトウジ、これ見ろよ!すッごいぞ!!」
鈴原トウジは目にも留まらぬ速さで身を乗り出すと、顔面をディスプレイに押し付けた。
彼の14歳のホルモンは既にオーバードライブモードである。
「いよォォォォし!!!あ…どこや?裸のネエチャンはどこやぁー!?」
単純な快楽を求める単純な男は落胆をあらわにした。
ケンスケは顔面へのパンチについては納得できた。それくらいは読めたことだ。さすがに直後の
股間潰しは少々割りに合わないとは思ったが。
「トウジ、お前さぁ、ちょっとヤバイって」
トウジは改めて室内を見渡してみた。陸軍テントとアダルトショップを足して割ったような内装である。
「ヤバイ? わ し が か?」
ケンスケは軽く流した。誰にだって趣味はある。自分の場合それがエロと銃火器だった、それだけのことなのだ。
「もういいよ。こいつは今度のウチの学校に入ってくる転校生のリストなんだけど。この名前に見覚えあるだろ?」
そう言った彼はとある名前とそれに並ぶ顔写真を示した。
トウジは驚きの余り何度か瞬きした。
「『あいつ』が…!?帰ってくるっちゅうんか!!?」
「面白くなってきたね…クックックッ…アーッハッハッハッハッハッ…」」
ほとんど躁病なケンスケの甲高い笑い声に、近隣の家々の犬・赤ン坊のなき声が響いた。
友人として付き合いの長いトウジは彼のこういった変わり身にはすっかり慣れていた。加えて言うなら、ケンスケと
交友関係を結んだのも、実にナイスな裏サイトを知っていたからというのも含まれる。
「なぁ、それは置いといて裸のネエチャンのことやねんけど」
***
乙
確実に保守
干す
165 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:
^^;