時に西暦2005年 J1/J2最終節
J類の補完は進みつつあった
だが、全てを記すにはあまりに時間がない
そこで、5つの事例についてのみここに挙げることとする
Case1.G大阪の場合
G「大黒を傷つけてしまった」
「二川も傷つけてしまったし、吉原も見殺しにしてしまった」
「アラウージョはどこかへ行ってしまう・・・」
G「こんな僕が優勝なんてできるはずないんだ!」
「ナビスコカップも後一歩で逃してしまった・・・」
自分のイメージが描けないのね?
G「イメージ?」
そう、イメージ。あなたが優勝するイメージ。
G「・・・・・・」
「攻撃が好きなんだ。たくさん点を取ればサポーターが喜んでくれるんだ。
攻めているうちは守備のことなんて考えなくて済むんだ」
?「楽しいことばかり数珠のように紡いで生きていけるはずなんてないんだよ。
特に優勝争いの場合はね」
G「サッカーは点を多く取ったほうが勝つスポーツなんだからそれでいいじゃないか!」
?「欺瞞だね。大体、研究されて点が取れなくなってきてるじゃないか」
G「・・・・・・」
「宮本・シジ問題も解決したんだ!橋本ががんばってくれてるんだ!」
「GKだって良くなってきてるんだ・・・」
G「誰か僕に優しくしてよ! 褒めてよ! 応援してよ・・・」
応援しているわ。
<「勝て勝て勝て勝てホームやぞ」の団幕>
<「関西勢初の優勝へ!」の新聞記事>
G「でもそれがプレッシャーにもなっているんだ・・・」
C「あんたバカぁ?そんなことでプレッシャーなんか感じてるの?」
でもそれはあなたも同じことよ
C「え?」
Case2.C大阪の場合
<フラッシュバックする過去の惨劇、大量失点>
C「イヤだな、もう終了間際の失点はしないって決めてたのに」
<降格決定の瞬間>
<レギュレーションに助けられた去年の低迷>
C「私は堅実に生きていくの。だから攻撃偏重サッカーはやめた。ザルDFなんていらない」
「監督も変えた。新外国人もしっかり当てた。そうしないと落ちるかもしれないから」
<低評価を下すシーズン前の各誌順位予想>
C「バカな周りを見返してやるにはこうするしかなかった。確かに以前のような
派手さはなくなったかもしれないけれど、サポーターは喜んでくれた」
<ダービーを迎え満員の長居>
C「でも、勝てなかった」
「あんなふざけた攻撃サッカーに勝てなかった。しかも守備をさんざんに崩されて」
「1度ならまだしもアウェーでもナビスコでも完敗だった」
C「それでもやっとここまできたの。もうこれ以上負けるわけにはいかない」
「だって私は関西の名門だから。本当の大阪は私だということを見せてやるんだから」
「長居を埋める満員のサポーターのためにも勝つしかないのよ!」
浦「だから、プレッシャーを感じているのね」
C「うるさい!私はいつでも平常心よ!」
浦「名門の意地、本当の大阪、そんなもののために戦うのは止めなさい。
過去に囚われてばかりいるといつか後悔することになるわ」
あなたのように?
Case3.浦和の場合
浦「私は前だけを見据えて生きてきたわ」
「たくさんのサポーターに恵まれて、彼らを満足させることを考えてきた」
「おかげで親会社に頼らなくても大丈夫になった」
「世界的なスポンサーも獲得できて、海外で試合をすることもできた」
「補強も十分できて、とうとうナビスコとステージ優勝をつかめるようになった」
浦「でも、そのサポーターが怖いの」
「期待に応えられないのが怖い、失望させてしまうのが怖い」
<J創成期の失態、いつかの鹿島戦>
<J2降格、悲しいVゴール>
浦「そして、不満を爆発させたサポーターがとんでもないことをする、という日が
いつか来るんじゃないかと思うと怖い。昔を知らないサポーターも増えているわ」
あなたは過去を忘れたいの?忘れたくないの?
忘れて欲しいの?忘れないで欲しいの?
浦「・・・分からないわ。ただひとつ確かなのは新潟にサポーターが大挙してくる
ということ。勝ったうえで優勝を逃してしまった場合はともかく
そうでなければどうなるのか・・・」
そして3人は苦悩する
第三十四話 栄冠を、君に
#34 Through the hardship to the Stars.
Case4.千葉の場合
空。青い空。薄く濁った空
山。動かないもの。時間をかけて削られていくもの
海。袋のような海。臨海は好きじゃない
水。流れていく水。水色は嫌い
街。工業の街。市原?千葉?
夕日。赤い夕日。血のような赤。赤字を出すわけにはいかない女
犬。走り回る犬。走らない犬はいらない
ジェフ。JR東と古河から造られたことば。不自然なことば
これは何? ナビスコカップ。初めてつかんだ栄光。あの人に捧げる栄光
オシム監督。私達を変えた人。私達の信じる人
でも残された時間はあと僅か。あの人は遠くへ行ってしまう
欠けていく私達。疲れ果てる私達。走れなくなる私達
あの人は言う。「勝つのが遅すぎた」
残された可能性。一縷の望み。この先に何があるの?
賞金。命をつなぐもの。ACL。死の道程
あなた誰?あなただれ?アナタダレ?
Case5.鹿島の場合
04「予想外の関西勢の躍進」
02「HOT6までは独走だったのだがな」
06「またしても我等の前に立ちはだかるか桜」
05「しかし、地の利はこちらにある」
04「左様、柏もすでに戦意を失っておる」
01「我等の宿願、10冠の達成のため」
02「他会場の試合をコントロールせねばならぬ」
04「なるべく穏便に進めたかったのだがね」
03「桜の勝利はないものとして」
05「脚を食い止めねばならん」
06「君はいい同志であり、いい友人であった」
04「相馬、アウグストによる完遂を願うよ、関塚君」
03「残る赤、犬の如何にかかわらず」
02「柏の大量失点を贄に儀式を執り行う」
01「10冠を以っての補完、欠けたる心を今再び一つに」
最後の審判が訪れる。振りかざされるのは、正義か、狂気か
To be continued...