「ねぇシンジ、1人でするのって気持ち良いの?」
晴れた日曜の昼下がり、リビングでTVを点けたまま雑誌を読み、
ポリポリとお菓子を食べている器用な少女の突然の問いに時が止まった。
「え?・・・・・・・えっ?何か言った?」
1人でする?何を?何で?気持ち良い?何が?
何か会話してたっけ、、いや、記憶に無い。
昼頃起きて、良い天気だったので布団を干して洗濯して、
遅い朝食を昼食代わりに食べた後、アスカはリビングへ、
僕は彼女より遅く食べ終わって今は食器を洗ってる。
2人とも無言だったし、特に変わった行動もしてない。
「だからぁ、1人でするのって気持ち良いの?」
アスカの雑誌を読む目がチラリとこっちを見て再び問いかける。
「何を、、するの?」
そう答えた瞬間に想像したのは「アレ」だった。まさか・・・そんな訳ないよな。
そう思って首だけリビングに向け、アスカの手元に目をやって青ざめた。
読んでいる雑誌は「ホット・マガジン」。
一昨日トウジとケンスケが泊まりに来た時に持ってきたやつだ。
大人、というよりはもうちょっと若い年齢層向けでH重視の内容。
もちろん興味が無い訳じゃなかったし、アスカは洞木さんの家に泊まりに行ってたから
男3人でちょっと赤くなりながら盛り上がった記憶がある。
なんで・・・ケンスケが持って返ったと思ってたのに。
どうしてアスカが見てるんだろう・・・いや、考えればすぐ分かる。
忘れていったんだ、そしてアスカが僕の部屋に勝手に入って押収したんだ。どうしよう。
「何って、アンタもしてたじゃない」
心臓が止まるかと思った。
いつ見られた?する時はいつもアスカが寝てるか居ない時間を選んでた。
場所はトイレ、終わった後の紙は流してるから証拠も無い。
材料は?ケンスケから無料で貰った10枚のアスカの写真、絶対見つからないような場所だ。
いやそれよりも、何て答えたら良いんだ?
「な、何を?してないよ?」
分からないのに「してない」んだ。僕は馬鹿だ。
いや、もういい。とにかくしてないんだ。
「ふーん、アタシが入院してる時のアレは錯覚だとでも言うつもり?」
心臓が止まった。一瞬。
僕に目も合わさずに雑誌を読みながらアスカが問いかけてくる。
声の抑揚は普段と全く変わらない。それがさらに怖い。
そうだ、僕はアスカに知られてるんだ。
病院の個室で病人として寝てるアスカの目の前でやったアレを。
でも何で今更!一度も口にしなかったのに!
補完の中で「私をオカズにしたくせに」って言われたけど、
戻ってきてからは一度も言われてない。
だからあの事は覚えてないんじゃないかと思い込んでた。
「ねえ、今もしてるの?」
ちょっとだけ赤くなってニヤついた目でアスカが僕を見る。
ダメだ、言葉が出ない。何と答えても罵倒される気がする。
「どうなのよ?」 「い、いや、その、、、」
「・・・・・・してんのね」 「し、してないよ!」
「気持ちいいわけ?」 「だ、だから!してないって!」
「あーぁ、加持さんもしてんのかなぁ?」 「!!」
「ねえ、どう思う?やっぱりしてると思う?」 「か、加持さんは1人じゃ、ないから、、」
「なーるほどねえ。ってー事はアンタはしてるわけだ」 「!!」
「ア、アスカには関係無いだろ!」
ダメだ、部屋に逃げよう。そして家を出よう。
もう顔を見る事が出来ない。恥ずかしさと屈辱感が襲ってくる。
「へぇー、オカズにされる側は“関係無い”かぁ」
部屋へ向かおうとする足が止まる。
「ご、ごめん・・・・・」
何を謝ってるんだ僕は!
でも、アスカに悪い事をしたのは確かなんだ。
その気持ちが反射的に僕の口から謝罪の言葉を紡ぎだす。
ちゃんと謝った方が良いんだろうか。でも恥ずかし過ぎる。
「べっつにぃー、謝って欲しいわけじゃないけど」
まるで無関心という感じの声だ。
「で、どうなの?気持ち良いの?」
まるで興味津々といった具合に声が変わる。
「分からないよ・・・そんなこと」 「じゃあ、何でするのよ?」
「分からないよ・・・そんなこと」 「アンタバカぁ?“気持ち良いから”以外に理由があるの?」
「分からないんだ!ホントに!確かに欲望を満たす為かもしれないけど、しなかったら変になっちゃいそうで・・・」
「変って、どうなんのよ?」 「分からないよ・・・そんなこと」
「アンタねぇ、、バカ?」 「そうかも、しれない」
「はぁ、、もういいわ。それより、してみせてよ」
「うん、ごめん。・・・・・って、えぇっ!!?」
思わずアスカの方を向いてしまう。
青い目は爛々と輝き、否定を決して許さないという意思が伝わってくるようだった。
っていうSSを誰かエロエロに仕上げてよ。