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相変わらず2人で暮らす平穏な日々。
シンジ君は20歳になり、今は大学に通っている。
ずいぶんと背も伸び、中世的だった顔はすっかり“男"の顔つきになってきた。
女の子にもてるのだろうと思っているものの、彼にそんな様子は見られず・・・
毎日必ず家に帰ってくるし、休みの日におしゃれして出かける様子もない。
そんなシンジ君を心配しつつ、もうすぐ35歳になろうとしている私がいた。
彼には未来がある。
輝ける未来が。 そして素適な女性と出会える未来が。
それに比べて私は・・・
この年になって、出会いなんてそうそうある訳ないし、
未来が今の生活から360°変わるようなことも、ほとんどありえない。
同居人の青年と自分との違いを考えて落ち込む日が多くなりつつある。
彼との生活は快適で、とても楽しい。
このままずっと、今の生活が続けばいいなと思う。
でも、もし彼が他の若い女性と暮すことを望めば、私はそれを祝福するしかない。
だって私には、それを拒む権利も術も持ってないから。
それに、彼が好きになる女性は、きっと私よりも彼を幸せにしてくれるに違いないから。