もし、ガイナックスキャラの性別が逆だったら……

シンジタン、カオルタンハアハア

>>1
キール・ゲンドウも女になるんだぞ？

ゲンコ（ゲンドウの女版）に逆レイプされる、
新進気鋭の科学者「赤木リツオ」


・・・・見たくないなぁ。

アスカとレイが男になるワケだ・・・
うん、アスカ（明日香）が男になってトワ（永久）
レイ（霊）ならレイジ（零士）
　
　
　
・・・レイジとトワの８０１ハァハァ

シンジ＞レイ
レイ＞シンジ
アスカ＞アスカ
ミサト＞ミサト
リツコ＞リツ
リョウジ＞リョウ
マヤ＞マヤ
マコト＞マコト
シゲル＞トモコ
トウジ＞ユウキ
ケンスケ＞サトミ
ヒカリ＞ヒカリ
ゲンドウ＞
コウゾウ＞チヅル
ユイ＞ユイ
ナオコ＞ナオキ
カヲル＞カヲリ

…雰囲気似せて変えてみたが、名前違うだけで全然違うキャラだ。
あと、ゲンドウの女性版の名前なんか思いつけない。

する必要あるかわからんが、保守。

性別全員逆でまったりエヴァFF書いてみようかな。
FF書くのは初めてなんで見苦しいかも。
とりあえず第壱話の前半まで。

第壱話　使徒、襲来

『現在、非常警報が発令中ですので、電話を使用することができません。
　お近くのシェルターまで早急に避難してください。現在―――』
「ダメだ――やっぱり、来るんじゃなかった」
　ショートカットの少女は受話器を置き、写真を手に取り一言そうつぶやいた。
　写真には、ラフな格好をし笑みを浮かべている美形の男が写っている。
『俺が迎えに行くから、待っていてくれ』そう、走り書きがあった。
「待ち合わせは、無理か。シェルターへ行こう」
　あきらめ辺りを見渡すと、道路に水色の髪の少年が立っているように見えた。しかし飛び交う
戦闘機に一瞬気を取られ、改めてその方向に視線をやると、すでに少年の姿は消え去っていた。
「……目の、錯覚？」
　不思議に思ったが、気のせいにしてシェルターを探す。そのとき、爆撃音と共に
戦闘機と異形の物体が目に見えた。
「なにあれ…？」

――ネルフ本部　中央作戦室発令所――
「――１５年ぶりだね」
　老齢の女性が、直立不動の姿勢のまま声を発した。半ば以上髪に白いものが混じっているが
物腰はやさしく、穏やかそうな印象を放っている。
「ええ、間違いない」
　椅子に腰掛け手を前で組んでいる、先程の女性よりは一世代ほど若そうな
眼鏡をかけた女性が無表情のまま答えた。
「使徒よ」

　異形の物体に驚く間も無く、爆撃戦が始まり少女の目の前に戦闘機が墜落してきた。
「キャッ！」
　思わず目を閉じ手を頭を守るように前へ突き出す――が爆風も破片も飛んでこない。
「……？」
　おそるおそる手を下ろし目を開ける。車が目の前にあった。素早くドアが開く。
「すまん、遅くなった。さあ、乗ってくれ」
　サングラスをつけてはいるが、写真の男性がそこにいた。

　使徒と呼ばれたそれは、戦闘機をものともせず確実に第３新東京市へと歩みを進めていた。
「ええい、なにをしてるの！」「総力戦よ！ 全機行って、出し惜しみは無しよ！」
　国連軍の女性高官が矢継早に命令を出している。
　命令を受けて、大型ミサイルが使徒へと投下された。しかし使徒は手でミサイルを受け止めると
紙のように切り裂く。爆発が起こった。
『……使徒に目立った損害はありません』
「なぜよ！？　直撃したのに…」
　国連高官は怒りと焦りを隠しきれない様子だった。
「……ATフィールドだね」
「ええ、使徒に対し通常兵器では役に立ちません」
　後ろでその様子を眺めながら二人は呟く。
「…くっ、n2地雷を用意しなさい！　なんとしてもアレは我々の手で倒すのよ！」

　少女を車に乗せ、戦闘地域から抜け出したあと、写真の男は望遠鏡で戦闘の状況を眺めていた。
　と、戦闘機が全機使徒の周りから急速離脱していく。
「おいおい、まさか……n2地雷かよっ！？　――レイちゃん、伏せて！」
　男は少女の頭を抑えて座席の下へと押し込むと、自分も身を伏せる。

　――閃光！――

　n2地雷が投下され使徒に当たるとともに、大爆発が起き使徒の姿は煙の向こうに消えた。
「仕留めた！？……悪いけどあなたたちの出番は無くなった様ね」
　国連高官は勝利を確信した表情で、後ろを振り返りそう告げた。
　二人は無表情で、電波障害で見えなくなったモニターを眺めている。

「……イッテテ……国連軍もずいぶんと派手なことをやるもんだな……大丈夫かい？　レイちゃん」
「……ええ、なんとか。少し口の中がシャリシャリしますけど」
「そうか、それはなにより。じゃ、ちょっと車を動かすのを手伝ってもらえるかな？」「はい」
　二人は協力して横転している車を元に戻す。作業を終えた後、男はサングラスを取って微笑んだ。
「ふぅ、ありがとう。俺は葛城ミサト。あらためてよろしく、碇レイちゃん」
「よろしくお願いします、葛城さん」
「ミサトでいいよ」

『電波障害、回復します……爆心地にエネルギー反応あり！』
「――なんですって！？　我々の切り札が……化物め……」
　地団太を踏んで悔しがる高官。使徒は傷を負ってはいるようだが生きていた。そこに電話の音が鳴る。
「――はい。……わかりました。では」
「碇ゲンドウ君、只今を以って本作戦の指揮権は君へと移った。お手並み拝見と行かせてもらいましょう」
「了解です」
「確かに我々の兵器では効果が薄いのは認めましょう。ですが、あなたたちなら勝てると言えるのですか？」
「ご心配なく。そのための、ネルフです」
　眼鏡を指で押し上げ、含み笑いをしながらゲンドウは言った。

「――ああ、碇レイちゃんは無事保護。今ジオフロントへ向かってるから、最寄の直通カートレインを
使用可能状態にしておいてくれ。ナビも頼むよ」
　ミサトは通話相手にそう言うと、電話を切った。
「――いいんですか？　こんなことして」
　レイは後部座席に視線を送りながら、ミサトへ質問した。バッテリーが山積みになっている。
「ん？　ああ、いいのいいの。今は非常時だし、こう見えても俺は国際公務員だしな」
「……でも、これってやっぱり犯罪じゃ……」
「いいんだって。あまりなんでも気にかけてると、器も胸も小さい人間になるぞ？」
「………」
「あら、怒った？……まぁ、それはさておきお母さんからIDカード、もらってないかな？」
「あ、はい。これでしょうか？」
　レイはミサトに母からの手紙を渡す。ミサトが中を確認するとIDカードとともにゲンドウから
『来なさい』という文だけが添えられていた。
(……司令も司令だが、この文で来るレイちゃんもたいしたもんだな……)
「オーケイ。これに目を通しておいてくれ」
　ミサトはレイに『極秘』と書かれた小冊子を渡した。
「なーぶ？」
「ネルフだ。国連直属の非公開組織、特務機関ネルフ。君のお母さんが働いている場所。
お母さんの仕事、知ってるかい？」
「……人類を守る、大事な仕事だと先生からは聞いてます」
　レイの表情は、硬い。
「結構言うねえ」多少あきれながら、ミサトは返事をした。

「――それで碇さん、どうするつもりなの？」
　国連高官たちが退出した後、白髪の女性がたずねた。
「初号機を起動させます」
「初号機？　しかしパイロットがいないのでは」
「問題ありません。もうすぐ、予備が届きます。それでは冬月先生、後は頼みます」
　そう告げるとゲンドウは、簡易エレベーターに乗って発令所を後にした。
　冬月と呼ばれた女性が、ポツリとつぶやく。
「三年ぶりの対面か…」
『副司令、使徒活動再開、本部を目指し移動を開始しました！』
　そこへ女性オペレーターからの報告がくる。
「わかった。総員、第一種戦闘配置に移行！」
　間髪いれず、冬月は指示を飛ばした。

　そのころ、ミサトとレイはカートレインに乗ってネルフ本部へ移動していた。
「――これから、母のところへいくんですよね」
　重い口をあけて、レイが言葉を発した。
「ああ、そうなるな。お母さんは、苦手かい？」
「ええ、三年ぶりですし……私は、何かしなければならないんですか？」
　レイはミサトに訊くが、ミサトは前方を向いたまま返事をしない。
「…そう、ですよね。何も用事が無いのに、母が私に手紙をくれるはずありませんし」
「ま、そう深く考えないことだ。俺も母さんは苦手だったさ」
　ミサトがフォローともとれるようなことを言った。
　そのとき閉鎖的な空間を抜け目の前に広大な景色が現われた。
「――すごい。これが、ジオフロント？」
　レイの顔に感激の表情が浮かぶ。
「そう、これが俺たちの秘密基地ネルフ本部。世界再建の要、人類の砦となる所だ」
「……いい年した大人が秘密基地とか言うのはどうかなぁ。ミサトさんって案外
子供っぽいんですね」
「おい……」
　ミサトは顔を引きつらせながら、うめいた。

Episode:1 ANGEL ATTACK

　数分後、二人はネルフ施設内を歩いていた。
「――さて、と」
　ミサトは地図をにらみながら目的地を探している。
「あの、ここさっきも通りましたよ」
　さっきミサトからもらった小冊子に目を通しながら、レイが言う。
「うっ……わ、悪いね。俺も最近ここに引っ越してきたばっかでさ」
「それはしょうがないとして、どうするんですか？」
「システムは利用するためにあるもんだ。まかせとけって」
　そう言いながら、ミサトは携帯電話を取り出した。

『――技術局一課E計画担当の赤木リツ博士。赤木リツ博士。至急、作戦部第一課
　葛城ミサト一尉までご連絡ください』
　アナウンスが流れる。それが別場所で調整作業をしていた金髪の男性の耳に入った。
男性は作業をする手を止め、白衣を身にまとう。
「あきれた。また迷ったのか」

　さらに数分後、ミサトとレイは誘導されてエレベーターの前にいた。
　エレベーターが開くと、中には先程の金髪の男性がいた。男性は
ミサトに詰め寄り、口を開いた。
「なにをやってたんだ、葛城一尉。人手も無ければ、時間も無いんだぞ」
「すまん、リッちゃん…」
　ため息をついた後、金髪の男性は横にチラリと視線をやり
「これが例の女の子？」
　と、ミサトに聞いた。
「ああ、マルドゥックの報告書によるサードチルドレン、碇レイちゃんだ」
「碇レイさん、よろしく。私は赤木リツ」
「よろしくお願いします、赤木さん」
「リツでいいよ。さぁ行こう」
　リツはきびすを返し歩みを進めた。

「――国連軍は撤退、使徒はn2地雷の爆撃により傷を負うも自己再生を経て
進化、知恵も身に着けたと思われる、か」
　ミサトが報告書を声を出して読む。
「ああ、すでに活動再開、こちらを目指し向かっているところだ」
「どうするんだい？　初号機は？」
「現在B型装備のまま、冷却中」
「ほんとに動くのか、それ？　まだ一度も動いたこと無いんだろ？」
「起動確率0.000000001%、オーナインシステムとはよく言ったもんだな」
「あのなぁ…そんなのに運命を託さないとダメなのかよ。ま、どのみち
いまさら動きませんでした、じゃ済まされないんだ」
　カーゴは目的地を目指し進んで行く。

　その部屋に入ると、扉が閉じられ辺りには暗闇が満ちた。
「あの、真っ暗ですよ？」
　レイが訝しげにたずねる。そのとき突然、明かりがつく。
「キャッ……顔？」
　レイの目の前には、鬼のような形相の巨大な顔があった。あわてて
もらった小冊子をめくって詳細を調べる。
「探しても、載ってないよ。これが人の作り出した究極の汎用人型決戦兵器、人造人間
エヴァンゲリオン。その初号機。建造は極秘で行われた。我々人類の最後の切り札だ」
　リツが説明を入れた。
「これも、母さんの仕事なんですか？」
『そうよ』
　唐突にスピーカー越しに声がした。レイが見上げるとガラスを隔てた向こう側に
ゲンドウが立っていた。
「久しぶりね、レイ」
「……お母さん」
　葛藤からか、レイは目を背ける。ゲンドウは何の表情も出さない。
「…出撃」
　一言、命令を告げた。

「出撃だって！？　零号機は、まだ凍結中だろ？…まさか、初号機を？」
　ミサトがまくしたてる。
「それ以外に道は無いよ」
「だがしかし、シンジ君はまだ動かせないんだろ？　パイロットがいないぞ」
「さっき、届いたじゃないか」
「…っ、本気なのか？」
　驚くミサトを尻目に、リツはレイのほうを向く。
「碇レイさん、君がこれに乗るんだ」
「え？」
　突然の事態に思考がついていかず、呆けたようにレイは返事をした。
「赤木博士！　綾波シンジ君でさえシンクロできるようになるまで7ヶ月も要したんだ。
今来たばかりのこの子に、できるわけないじゃないか！」
「座ってるだけでいい、それ以上は何も望まない。今、何が最優先事項なのか
わかっているのか？　使徒を倒すには、少しでもエヴァとシンクロ可能と思われる
人間を乗せるしか方法は無いんだよ、葛城一尉」
「くっ……」
　ミサトは反論するが、逆にリツに説き伏せられる。

「……お母さん、このために私を呼んだの？」
　しばらくして、レイがゲンドウへたずねた。
「そうよ」
「いやよ、そんなの……お母さんは私がいらないんじゃなかったの！？」
「必要だから、呼んだのよ」
「なぜ、私を」
「他の人間には乗れないから」
「そんなの…無理よ。見たことも聞いたことも無いのに、できるわけないじゃない！」
「説明を受けなさい」
「そんな…できっこない！　こんなの乗れるわけないじゃない！」
「乗るなら、早くしなさい。そうでないのなら――帰って！」
「――っ！」
　レイはゲンドウからの痛烈な言葉に声を失い、唇をかむ。

　そのとき活動を再開した使徒が第3新東京市に攻撃を仕掛けた。
「使徒め、ここに気づいたか」
　ジオフロント全体が揺れる。ゲンドウが上を見上げ、つぶやいた。
　レイは顔をうつむかせたまま、自問している。
「レイさん、時間が無い」
　リツがレイに声をかける。レイは救いを求めるようにミサトを見た。
「……わりぃ、乗ってくれ、レイちゃん」
　ミサトの返事に、レイは再び顔をうつむかせる。
「いやよ…せっかく来たのに、こんなことってない！」
「気持ちはわかる、でも逃げちゃいけない。お母さんから……そしてなによりも
自分自身から」
「わかってます！　でも、できるわけないじゃないですか！」
　ミサトの言葉に、感情を爆発させる。それを見ていたゲンドウはモニターに目をやる。
「冬月先生」
　モニターに冬月の映像が出る。
「シンジを、起こしてください」
『使えるのかね？』
「死んでいるわけではありません」
『…わかった』
　冬月の映像が消える。
「シンジ、予備が使えなくなった。もう一度、いけるわね？」
『…はい』
　抑揚の無い返事がした。
「初号機のシステムをシンジ君に切り替えて再起動、作業を急げ！」
　リツが指示を飛ばす。
「私は、いらない人間なのよ…」
　レイは昔の情景を思い浮かべながら、沈み込んだ表情でうつむいている。

　ストレッチャーが運ばれてくる。ベッドの上には包帯を巻き、スーツのような
ものをまとった水色い髪の少年が横たわっていた。少年は苦しそうに身を起こす。
「っつ……はぁ、はぁ、はぁ……」
　レイはそれを物悲しい表情で見ている。と、そこへ使徒の攻撃が再び
ジオフロントを襲った。防衛施設の装甲を抜け、ジオフロントにまで被害が及ぶ。
施設内が激しく揺れ、天井にある照明がレイの上へ勢いよく突然、落ちてきた。
「――キャァァァッッ！！」
「レイちゃん！」
　ミサトが緊迫した声を出す。レイはとっさに腕を上へあげ、頭をかばう。
誰もが助からないと思えた、しかし。
「……あれ？」
　エヴァンゲリオン初号機の腕が伸びて、照明からレイを守っていた。
レイは呆然と初号機の手のひらを見つめている。
「まさか！？　ありえない！　エントリープラグも挿入していないのに」
「インターフェイスもなしに反応している……というより、守ったのか？　彼女を」
　リツとミサトが互いに驚きの言葉を発する。
「……いける！」
　ミサトは確信を持った表情で言った。驚きから覚めたレイは、先程の少年が
ストレッチャーから滑り落ちて、地面に横たわっているのが見えた。
慌てて駆け寄り、抱き起こす。
「くっ……はぁ、はぁ、はぁ……」
　少年は息も荒く、まともに口を聞けないような状態だった。レイは抱き起こした
手を見てみると、赤い血が付着している。
「……逃げちゃダメ、逃げちゃダメ、逃げちゃダメ、逃げちゃダメ、逃げちゃダメ！」
　自分に言い聞かせるように繰り返すと、レイはキッ、と顔を上げて言い放った。

「――やります。私が、乗ります！！」

　レイが決心した後は早く、流れ作業のようにトントン拍子に進んでいった。レイは頭に
インターフェイスをつけ、制服のままエントリープラグへ入り初号機の中へ挿入された。
　レイと同じぐらいの髪の長さの若い男性オペレーターが、リツと共に起動作業の
指揮をとっているようだ。
『エントリープラグ、注水』
　アナウンスが、流れる。同時にエントリープラグ内に、赤い液体が満ちていく。
「わ、わわっ！　なんですか、この液体は！？」
「大丈夫。肺がLCLで満たされれば、直接血液に酸素を取り込んでくれるから」
　しばらくは息を止めていたが、リツのその声に従いレイは口を開く。
「うっ……おいしくない」
「レイちゃん、我慢してくれ」
　その後も順調に起動作業は進む。
「シンクロ率、41.3%。ハーモ二クス、すべて正常値」
「すごいな、これは。ミサト、いけるぞ」
　ショートヘアの男性オペレーターの報告を受け、リツがミサトに声をかける。
「発進、準備！」
　ミサトはうなずき、命令を下す。拘束具が除去されていく。
『安全装置、すべて除去終了。現在初号機の状況はフリー』
「了解。初号機、射出口へ」「発進準備、完了」
　射出口へと移動していく初号機を眺めた後、ミサトは振り返る。
「かまいませんか？」
「ええ、もちろん。使徒を倒さぬ限り、我々人類に未来はありません」
　ミサトの問いかけに、ゲンドウは即答する。
「碇さん、本当にこれでいいの？」
　冬月が声をかける。ゲンドウはただ組んだ手で隠した口元を歪ませただけだった。
「発進！」
　ミサトが号令をかける。
「くぅっ！」
　全身に強烈な重力を感じ、思わずレイはうめき声を上げる。しかし数秒後には
すでに地上へ出ていた。眼前には、使徒が見える。

「レイちゃん、死ぬなよ」ミサトが、つぶやいた。　　　――to be continued――

ｺｿｺｿ...
第弐話以降はキッズステーションで今度やるのを録画して
それを見てからかな(Test TypeのDVDだけ持ってるので)
あ、でもあまり忠実にやり過ぎると著作権とかヤバイのかなぁ
まぁ、性別違うし、同じストーリーでも展開全然違うだろうけど…

乙！

男になったノリコやカズミがあの服着るのか・・・
男になったナディアがあの服着るのか・・・

シャア板の方にもこうゆうスレあったが流行ってるのか？
何しろ>>8〜>>17
good job!!

シャア板の方と同一人物が立てたんだろ

ゲンドウの女版はラーゼフォンに出てる

(・∀・)age!

>>23
確かに雰囲気はあるよね。

結構面白かったので職人さんガンガレ

良スレあげ

女にゲンドウなんて名前も無理があるだろ。
そのままユイと入れ替えればいいんじゃないか？

女ケンスケって、可愛いとか思う人いません？

>>28
美少女ケンスケ、かわいいと思うな。

ちょっと大人ぶっててミリタリーマニアでたまに迷彩服を着てる眼鏡っ子…、うん可愛い。
女子更衣室にカメラを持ち込んで写真撮影、それをお馬鹿な男子に売ってカメラ代やプラモ代を稼いでいる、と。

そして友達はジャージの似合う熱血関西弁美少女。

>>29
可愛い女の子なら全て許されるのか?

>>27
確かにゲンドウって名前には無理があるね。
でも、ユイと入れ替えは個人的にはダメだと思う。
なんというか、ユイにはユイという既存のイメージがあるんで
オリジナルのゲンドウみたいな性格のユイがいたら、違和感ありそう。
初号機の中に取り込まれたがゲンドウってのは個人的に……だし。
一応基本は、「登場人物の性別が全部逆」ってだけなんで
明らかに男・女な名前じゃない限り、そのままにしておきたい感じ。
そっちのほうが判りやすいしね。
ゲンドウは思いつけなかったから、そのままにしておいた。

んでは、第弐話。>>17からの続き。

　地上へと出た、エヴァ初号機。少し離れたところに使徒が見える。相手は
様子をうかがっているのか、二つに増えた頭をこちらに向けて動きを止めている。
『レイちゃん、いいな？』
「は、はい」
「初号機、リフトオフ！」
　ミサトの掛け声とともに、初号機を固定していた輸送台が外れる。
「ど、どうすればいいんですか？」
『レイさん、落ち着いてくれ。エヴァはパイロットの思考を読み取り、自動的に
行動に移す。まずは、歩くことだけに集中してくれ』
　とまどうレイに、リツがアドバイスを送る。
「あるく…歩く」
　助言に従い、歩くイメージを頭の中で描く。すると初号機は一歩前に進んだ。
『おおっ！！』
　実際にエヴァがパイロットの指示通りに動くのを見て、歓声が沸き起こる。
しかし、次の一歩を踏み出すととバランスを崩したのか、初号機は地面に倒れこむ。
「――っ！」
　軽い衝撃を受けたレイは、パニックに陥り操縦桿をめちゃくちゃに動かす。
『レイちゃん、とりあえず起き上がって！』
　ミサトが指示を出すが、焦ったレイには聞こえない。そうしている内に使徒が
初号機の前にまで迫ってきている。使徒は左腕で初号機の頭をつかみ、持ち上げた。
それと同時に、右腕で初号機の左腕を折りにかかる。
「くぅぅぅっっっ！！」
　左手に異様な圧迫感と痛みを受け、レイは右手で左手を押さえつける。
「エヴァの防御システムは？」
「シグナル、無反応」
「フィールド、作動しません！」
「ダメか！」
　リツは問いかけるが、男性オペレーター、マヤと女性オペレーターの返答に思わず天を仰ぐ。
　使徒はなおも持つ腕に圧力を加え続け、ついに初号機の左手がいやな音を立てた。
「――――！？」
　声にならない叫びを、レイは上げる。痛みと共に意識が遠くなりかける。

　初号機の左腕を折った使徒は、そのまま高く持ち上げ、左腕に装着されている
杭のような物を、勢い良く初号機の頭に打ちつけ始めた。
「レイちゃん、避けるんだ！」
　ミサトの指示もむなしく、初号機は動かない。レイは次々と襲い掛かる痛みに
為すすべも無く、右目を押さえたまますでに意識は朦朧としていた。
「装甲が、もう持たない！」
　リツが叫ぶ。初号機の装甲が徐々に削れていく。使徒はトドメとばかりに
杭を打ちつけ、杭は初号機の頭部を貫通し初号機はビルへと叩きつけられた。
「頭部破損、損害不明！」「パイロット、反応ありません！」
　初号機の頭部から激しく血のようなものが吹き出る。レッドランプが灯り
オペレーターの緊迫した報告がミサトの耳に入る。
「レイちゃん！」
　ミサトが渾身の声で呼びかけた。


「――――はっ！？」
　レイが目を開き体を起こすと、そこは病室だった。自分がひどく寝汗を
かいていることに不快感を感じ、再び仰向けになると一言つぶやく。
「知らない天井か」

第弐話　見知らぬ、天井

「――使徒再来、あまりにも唐突じゃありません？」
「15年前と同じです。災いは何の前ぶれもなく訪れるものです」
「幸いとも言えます。我々の先行投資が、無駄にならなかった点においてはね」
「それはまだわからないんじゃなくて？　役に立たなければ無駄と同じよ」
　常闇の満ちる部屋に、パネルから放射される明かりだけが各人の顔を照らしている。
パネル越しに合計6人の女性が浮き上がっていた。ゲンドウ以外はいずれも初老の域に
達しただろう、欧米人の容姿を持つ婦人たちだ。
「零号機に続き、あなたが初陣で壊した初号機の修理費。国が一つ傾きますわ」
「全く、人、時間、そして金。親子二人でいくら使えば気が済むのよ」
　左右に座っている四人からの愚痴が、ゲンドウに降り注ぐ。

「まあいいわ。碇君、"人類補完計画"、これこそが、あなたの急務です」
「左様。その計画こそがこの絶望的状況下における、唯一の希望なのです。我々のね」
「…いずれにせよ、使徒再来における計画スケジュールの遅延は認められません。
予算については考えておきます」
　ゲンドウの反対に位置している、まとめ役らしいバイザーをつけた婦人が、宣言した。
「それでは、あとは委員会にお任せを」
「碇君、ご苦労様」
　その宣言とともに、ゲンドウの左右にいた4人がそれぞれ、ねぎらいの言葉をかけ
パネルが消えうせる。あとに残ったのは、正面の婦人だけだ。
「碇さん、後戻りはもうできないわよ」言い残し、パネルが消える。
「ええ、わかっています。人間にはもう時間は残されていないのですから」
　いつもの様に手を前で組んだまま、ゲンドウは自分に言い聞かせるように声を出した。

　レイは特に外傷も見受けられず、体調的に問題は無いようだった。セミの声が
聞こえる中、病室から廊下へと歩みを進め、窓から外をぼんやり眺め、レイは
物思いにふけっていた。
（私は…いったい…どうなったんだろう）
　記憶の糸をたどろうとするが、途切れてしまったのか、思い出せない。
　たたずんでいるレイの耳に、ストレッチャーが運ばれてくる音が入った。
振り返ると、水色の髪の少年が横たわっているのが遠目に見えた。
いまだに体のそこかしこに包帯を巻き、痛々しい様子だった。
（しんじ…綾波シンジ君だったかな）
　ミサトがそう言っていたのを、覚えていた。どうやら初号機に乗って少ししてから
の記憶が無いだけで、それ以前の記憶はあるようだ。
（声を…かけなきゃ）
　漠然と、その思いが募った。そう思っているうちに、音が迫ってくる。
「あの―――」
　声をかけようとしたとき、シンジと目が合った。澄んだ、赤い瞳。その目は
確かにこちらを見ているようだったが、何も見ていない様でもあった。
感情の類が、浮かび上がってこない。レイは息を呑む。
　そのまま、音は遠ざかっていった。レイは立ちすくんだまま、しばらく
その場から動けなかった。

　その少し前、ミサトはリツと共に作業服を着込み、事後処理にあたっていた。
「――発表はシナリオB-22。また真実は闇の中に、か」
「広報部は喜んでいたぞ。やっと仕事ができたってな」
「気楽なもんだな」
　うちわを扇ぎながら、テレビに流される虚偽のニュースを見ていたミサトが
洩らした言葉に、リツが合いの手をいれる。彼らを尻目に、初号機の頭部が
着々と回収されていく。

「ふぅ、クーラーこそ至宝。科学の勝利だな」
　回収作業を終え、ネルフ本部へと向かう車両の中、ラフな格好でミサトは
一息ついていた。
「…ああ、わかった。それでは。――ミサト、レイさんの目が覚めたらしいぞ。多少
記憶に混乱が見られるそうだが特に外傷は無し。いたって健康だ」
　ミサトの横で電話に応対していたリツは、受話器を置くとミサトに告げた。
「目が覚めたのはいいことだが、記憶に混乱が見られるってのはどういうことだ？
まさか、精神汚染じゃないよな？」
　不安気にミサトはリツに質問する。
「いや、精神汚染の心配は無いらしい。少々脳神経に負担がかかったためだそうだ」
「脳神経ねぇ…心、の間違いじゃないのか？」
「さあ、ね…」
　ミサトの追及をリツは涼しい顔でかわした。訝しい表情をミサトはとっていたが
気を一新させ、外を見回す。そこには対使徒用の武装が備え付けられていく様子が
見て取れた。
「……エヴァとこの街が完全に稼動すりゃ、いけるかもしれないな」
　ぼそっ、と口に出しただけだったが、その表情は自信に満ちている。
「ミサト、お前って本当に楽天的だな。本当に勝てると思っているのか？」
　ミサトのつぶやきを耳にしたリツは、皮肉をこめて言った。
「おいおい、希望的観測こそ人が生きていく上で大切なことじゃないか」
「そう…だったな。私には無い考えだ。ミサト、お前には時々助けられるよ」
「ふん、おだてても何もでないぞ。まあいいさ、なんであれ使徒は再び来たんだ。
俺たちはそれを撃退しなけりゃならない。でないと人類は終わり。簡単なことさ」
　こともなげに言い、ミサトは前を見据えた。

「よぉ、レイちゃん、お待たせ」
　ミサトはネルフへ戻ったあと、すぐにレイを迎えるべく病院へと足を運んだ。
「どうも、ミサトさん」
　先の件を気にしてか、レイの表情は心もち、暗い。
「ん？　どうした、元気が無いぞ？…ああ、記憶はすぐに戻るさ。そう気にするなって。
さあ、行こう。今後の身の振り方を決めないとな」
　気落ちしているのは記憶が無いため、と早合点したミサトがレイをなぐさめる。
座っているレイをうながし、立たせた。

　エレベーターの前で二人はドアが開くのを待っていた。階数を示すランプが徐々に
上がってくる。そしてドアがようやく開く。
「――――っ」
　中には、ゲンドウが一人佇んでいた。
　レイの中で様々な感情が沸き起こり、思わず顔を背ける。言いたいことがあるのに
言い出せない。そして、その感情が声に出せるほどまとまる前にドアは閉まり
ゲンドウは眼前から消えた。
「レイちゃん……」
　ミサトはレイにかける言葉を持たなかった。

「……おい、それはいったいどういうことだ？」
　ミサトが声を荒げる。二人がいるその部屋は一面ガラス張りになっていて
ガラスの床越しにネルフ本部、ピラミッド型の建物が見える。
「どういうことと申されましても、今述べたことが全てです、葛城一尉。
初号機パイロット碇レイは、ネルフ側で用意してある住居に一人で住むように
とのことです」
　黒服の女が、再び命令書を読む。
「それは、碇司令の意思なのか？」
「そうです」
　返事に思わずミサトはレイを向き、質問をする。
「それでいいのかい？　レイちゃん」
「……ええ。それでかまいません。どこにいても同じですから」
　覇気の無い返事に、ミサトは眉をひそめる。それで話は終わりのようだった。

「――本当に、いいのかい？」
　会見後、廊下を歩きつつミサトがレイに再び問いかけた。
「いいんです、ミサトさん。私は一人でもやっていけますから」
　レイは答えると、精一杯の微笑みをする。しかしミサトにはそれは悲しい表情にしか
見えなかった。ミサトは備え付けの電話の受話器を取り、どこかへと電話をかける。
「……ああ、リッちゃんか？　俺だ、ミサトだ。悪いが、ちょっとたのまれて
くれないかな？　レイちゃんを俺の家に引き取ろうと思うんだが、上の許可の
方を頼む。大丈夫、手を出したりはしないさ。じゃ、ヨロシク」
『何言ってんだ、ミサト！　そんなの当然だろ！　おい、お前聞いてるの――』
「あー、うるせ。ジョークの通じないやつだなぁ、ホント」
　ぼやきつつ電話を切ると、振り向き、笑顔でミサトは言った。
「さ、帰ろうか、レイちゃん」

「おっと、忘れるところだった。すまないが、ちょっと寄り道させてもらうよ」
　コンビニで食料や生活必需品を買い込んだあと、車を運転しながらミサトは
レイに言った。物言いたげなレイに何も答えず、しばらく運転して止まった場所は
峠の展望台だった。辺りはすでに夕焼け空が広がっている。
「……なんだか、さびしい街ですね」
　一望し、レイが感想を述べる。たしかに高層の建物は何も無く、ガランとしている。
「まぁ、見てなって。…時間だ」
　ミサトが言うと共にサイレンが鳴り響き、山々にこだましていく。
「……すごい！　ビルが…生えていく？」
　音と共に、市内各地から地下に格納されていた高層ビルがその姿を現した。
その光景に、レイは驚きを隠せない。
「ああ、これが『使徒』専用迎撃都市、第３新東京市。俺たちの街だ」
　ミサトは説明し、間をおいて言う。

「――そして、君が守った街」

Episode:2 THE BEAST
　
　展望台で光景を眺めたあと再び車に乗り、二人は葛城家へ着いた。
"コンフォート17マンション"と名前がついているマンションの一室のようだ。
「さぁ、入ってくれ。レイちゃんの荷物も、もう届いているはずだ」
　ミサトがレイに入るように促す。
「は、はい。おじゃまし…」
「ちょっとまった、違うだろ？　今日からここは、レイちゃんの家なんだ」
　レイの他人の家に入るかのような物言いに、ミサトがケチをつける。
「た、ただいま」
「おかえりなさい、レイちゃん」
　慌ててレイは言い直し、ミサトは満足して温かい言葉を返す。

「まぁ、なんだ。引っ越してきてすぐだし、少々散らかってるが我慢してくれ」
　ミサトがそう言う通り、控え目に見ても部屋は散らかっていた。特にビール
の缶やビンがそこかしこに置いてあり、雑多な印象を受ける。レイは
少々面食らったが、男の一人暮らしはこんなものなのだろうと思い直した。
「あー、その袋の中の食べ物を冷蔵庫に入れておいてくれないか？」
　自分の部屋へ着替えに行こうとしたミサトが、顔だけレイのほうを向けて言う。
それを聞いてレイは冷蔵庫を開ける。
「………」
　中に入っていたのは氷、おつまみ、缶ビールだけだった。

『んぐっ、んぐっ、んぐっ……ぷはぁっ！　かぁ〜っ！』
「いやぁ、やっぱ人生、このときのために生きてるようなもんだな」
　缶ビールを一気飲みし、次の缶のフタを開けながらミサトは言い放った。
テーブルの上にはインスタント食品と缶ビールが並んでいる。レイはあまりの
ミサトの飲酒量に呆れ、またこれからの生活に不安を感じざるを得なかった。
「ん？　どうした、食べないのか？」
「え？　あ、はい、いただきます」
　二本目も空け、三本目に手をかけたところでミサトはレイが料理に手を付けて
いないことに気付き、指摘した。レイは我に返り、箸を動かす。

「どうだい？　誰かと一緒に食べるのもいいもんだろ？」
　三本目を飲み干し、ミサトはレイに聞いた。
「は、はい…」
「おいおい、辛気臭いな。女の子なんだからほら、笑って、笑って！
せっかくの顔がもったいないじゃないか」
「は、はぁ…」
　言われてレイは、ぎこちなく笑ってみる。
「よろしい！　笑うことは大切だぞ」
　言うと、いつの間にか手に持っていた四本目を一気飲みした。

「…もぐ…ところでミサトさん、いつもインスタント食品なんですか？」
　箸を進めながら、レイはミサトに質問した。
「ああ、料理できないわけじゃないんだが、時間が無くてな」
　料理をつつきつつ、五本目をちびちび飲みながらミサトは答えた。
「なるほど…私が料理しましょうか？　家庭科で習ったこと以上はできませんが」
「そうかい？　ジャンケンで決めようと思ってたが、そうしてもらえるとありがたい」
　レイの申し出を、ミサトは快諾した。

「ところで、ジャンケンで何を決めるつもりだったんですか？」
　ミサトとの会話で疑問に思ったことを、レイは聞いてみた。
「朝食、夕食の準備、ゴミ捨て、掃除の当番ってとこだな」
「…それってミサトさんが今までやってなかったことばかりじゃないんですか？」
「す、鋭いね…まぁ、何分、じ――」
「時間が無くてもそういうことはキチンとして下さい」
「うっ……ははは…」
　同じ言い訳をしようとするミサトを先読みし、レイは口を挟んだ。ミサトは乾いた笑いを
上げ、誤魔化す様に六本目に手を伸ばす。レイは部屋の中を見回しながら付け加える。
「…この様子だと、掃除も私がした方が良さそうですね。ミサトさんはゴミ捨てを
お願いします」
「わ、わかった…レイちゃんはキレイ好きなんだな」
「女の子ですから」
　仏頂面で答えた。

「――さて、イヤな事は風呂に入ってぱーっと全部流しておいで」
　食事も終わり、食後のビールを飲みつつミサトが言った。
「いいんですか？　ミサトさん先に入らなくて」
「いいのいいの。風呂は命の洗濯だぞ。ゆっくり入ってきなさい」
　言われてレイは着替えを手に浴室へのカーテンをくぐる。真っ先に目に付いたのは
男性物の下着だったが、見なかったことにした。服を脱ぎ、タオルを手に浴室の
ドアを開ける。と、目の前に何やら変な生物がいた。レイは立ちすくむ。

『――っきゃぁぁっ！！』
　今日最後の一本を飲んでいたミサトは、浴室のほうから聞こえてきた叫びに
何事かと缶を置いて立ち上がる。声を上げる前にカーテンが開いた。
「み、み、みさ、ミサトさん！　あ、あ、あれは！？」
「ちょっと落ち着いてくれ、一体どうしたんだ？」
　あわてふためいているレイの横を、例の生物が歩いていく。それを見て
ミサトは、安心したように腰を下ろした。
「あー、悪い悪い。紹介するのを忘れてた。もう一人の同居人、温泉ペンギンという
種類の動物で、名前はペンペンだ。性別はメス」
　騒ぎの張本人、ペンペンは彼女の住居、小さい冷蔵庫のドアを開け中へ入った。
「そ、そうなんですか…」
「ああ。…ところでレイちゃん、そのカッコはお兄さんには目の毒なんだが…」
「え？　あ、あは、あははは…」
　前をタオルで隠しただけだったレイは、誤魔化し笑いをしながらカーテンを閉めた。
ミサトは缶を手に取り、一気に飲み干してからポツリとこぼした。
「…ちょっとはしゃぎ過ぎたかな…まぁ、いいさ。あんなことがあったあとじゃな」

「お風呂は命の洗濯、か」
　湯船につかりながら、レイはぼんやりとつぶやいた。
「葛城ミサトさん、悪い人じゃないんだ。ズボラだけど……でも、お風呂って
イヤなこと思い出すほうが多い」
　レイの脳裏に浮かぶのは、第３新東京市に来てからのこと。ゲンドウ、そして
「綾波、シンジ君…」
　水色の髪と赤い瞳を持った少年のことだった。

「――ここにいらっしゃいましたか。シンジ君はどうでしたか？」
　同時刻、ネルフ内らしき場所。しかしその場所は一面荒れ果てており、割れたガラス
が散乱していた。赤木リツ博士は目的の人物を見つけ、声をかける。
「午後、病院に行かれたのでしょう？」
「…ええ、あと20日もすれば動けるそうです。それまでには、凍結中の零号機の
再起動を取り付ける予定です」
　前を向いたまま、リツの問いに答えたのはゲンドウだった。
「つらいでしょうね。あの子たち」
　リツも割れたガラス越しに見える光景を見ながら、言った。眼下には赤い透明感のある
液体のようなもので下半身を固められたエヴァが見えた。
「エヴァを操れる人間は他にはいません。生きている限り、そうしてもらいます」
「本人の意思を踏みにじっても、ですか」
　リツの問いかけにゲンドウは無言を通した。

　お風呂から上がったレイは、SDATから流れる音楽を聴きながら自室のベッドに
寝転がっていた。部屋にはまだダンボールに入ったままの荷物が散乱している。
傍目からは何を思っているのかは窺い知れない。

「…あんな出来事のあとだぞ。素直に乗ってくれるとは思わないがな」
　湯船につかりながら、ミサトは誰かに電話をかけていた。
『彼女のメンタルケアも同居人である、お前の仕事だろ』
　電話から聞こえてくるその声は、どうやらリツのようだ。
「そう言われてもなぁ、どう接したらいいかわからない。怖いんだ」
『おい、もう泣き言を言うのか？　お前が大見得を切ったんじゃないか』
「ちっ、いうよな。まぁ、また明日」
　そう言うと、電話を切る。リラックスしながら、ミサトは考えにふける。
（俺はあのときレイちゃんを完全に使徒撃退のための道具として見ていた。
なんてことはない、俺もリツと同じだったわけだ）
「しかし、せっかく使徒を倒せたのに、うれしくねぇな…」
　ぼんやりと天井を見上げながら、ミサトはひとりごちた。

　レイもそのころ、部屋の天井を見上げていた。
（また知らない天井か。当たり前のことだよね。私が知ってる場所なんて
この街のどこにもないんだから。…なんで、私ここにいるんだろ…）
　『なぜ私がここにいるか』、そのことに思いがたどりついたとき
忘れていた記憶が戻る。テープの再生ボタンを押したかのように。
「―――――！」
　レイの瞳が揺れ、瞳孔が最大限に見開く。

「レイちゃん！」
　ミサトが懸命に呼びかけるが、初号機の反応は無い。
「パイロットの状態は！？」
「モニターできません。生死不明！」
　眼鏡をかけたショートカットの女性オペレーター、マコトが報告をする。
「ここまでか…パイロットの保護を最優先させる。エントリープラグの強制排除を」
「ダメです！　完全に制御不能！」
「なんだって！？」
　レイの命を優先させようとミサトは指示を出すが、初号機が全く何も受け付けない。
と、そのとき初号機の目に淡い光が宿った。
『初号機、再起動』
「まさか…」「暴走か？」
　ミサトとリツの思いが重なる。
「…勝ったわね」　冬月がつぶやく。

　それからの初号機はまさに鬼のようだった。遠吠えを上げると立ち上がり使徒目掛け
大きく跳び、使徒に膝蹴りを食らわせる。体をつかんできた使徒をいなすと再び蹴りながら
後ろへ跳びこんだ。そしてそのまま獣のように使徒に走り寄る。ところが赤い
バリアーのようなものに行く手をはばまれた。
「ATフィールド！　やはり使徒も持っていたか」
　リツがモニターを見ながら言う。そのとき初号機は折れたはずの左腕を掲げる。
「左腕、復元！」
「信じられない…」
　一瞬にして折れたはずの部位が直ったことに、一同驚きを隠せない。

「しょ、初号機もATフィールドを展開！　位相空間を中和していきます」
「いや…これは中和なんてものじゃない。侵食だ」
　リツがマヤの報告に意見を述べる。たしかに初号機はモニター上から見ると、まるで
使徒が展開したATフィールドを両手で左右に引きちぎろうとしているようにしか見えない。
　フィールドを引き裂いた初号機は、しかし使徒から反撃の、光線の直撃を浴びた。
余波が後方まで吹きすさぶ、激しいものだったが、初号機は意にも介さず使徒の腕を
つかみ握り潰し、後方へ蹴飛ばす。そのまま駆け寄り使徒にショルダータックルを
食らわせた。ビルを巻き込んで押し流す。
　そのまま初号機は、使徒の体の中央にある赤い光球を目掛け、殴り始めた。
途中、使徒の体を引きちぎり、引きちぎった部分を武器のように使い再び光球に
全力を込める。と、使徒は急に初号機に絡まり、丸いボールのような形になった。
「まさか…自爆する気か！？」
　ミサトが使徒の目的に気付き、声を上げたその瞬間、使徒は初号機を巻き込んで
大爆発を起こした。モニターが見えなくなる。

　モニターの視界が回復すると、そこには初号機が炎を背に歩みを続けていた。
「これが…エヴァの本当の姿か」
　恐怖に押しつぶされそうな衝撃を受け、ミサトは押し殺した声を出した。

『パイロット、生命反応確認！』　『パイロットの保護を最優先！』
　エントリープラグ内で、レイは茫然自失の体を晒していた。瞬きを忘れたかのように
目は見開いたままだ。ふと、物音が聞こえた気がして顔を横に向ける。
そこには、頭部が落ち剥き出しになった初号機の緑色の目があった。
「き、キャアアアアアアアアァァッッ！！」

「――――」
　何が起きたか鮮明に思い出し、脂汗が額ににじみ出る。レイは横向きになり
虚ろな表情をしていた。
「…レイちゃん、いいかな？　開けるよ」
　そこに風呂から上がったミサトの声がかかる、レイは戸に背を向けたまま動かない。
「ひとつ、言い忘れていたが、君は人にほめられる立派なことをしたんだ。胸を張っていい。
それじゃ、おやすみ。レイちゃん、がんばれよ」　戸が閉まった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

>>5さんの名前を使わせてもらいます
ついでに性別反転してるのはケンスケだけです

今日は月曜日……
時計を見ると、時間は五時……
しまった、寝過ごした！？
くそっ、今日は早めに学校へ行ってカメラ仕掛けるつもりだったのにぃっ！！

登校中
最近、トウジが学校に来ない……
ヒカリもそのことで相談してきたりした、今度トウジの写真でもあげようかな？
そういえば今日は転校生が来るんだったな……
どんな奴だろ……

つづく


ほとんど別人……
つづかないな、これ……

キターーーーー！

まったり
パチもんっぽい関西弁です。
登場人物の名前は大体>>5に準拠。
ちなみに>>5＝>>7です。
1カキコあたり縦32行の横40文字ぐらいを目安にしてますが
見にくいとかあったらどうぞ。
男の「うわあぁぁぁっ！」の代わりになる女性の叫び声って無いなぁ。

『――いいか、レイさん。もう一度説明するぞ。通常エヴァは外部から電源を
接続して行動できるようになっている。電源プラグが外れ体内電池に
切り替わると、蓄電容量の関係でフルで一分、ゲインを利用しても五分しか
活動できない。これが今の時点での科学の限界だ。わかったかな？』
「はい」
　ネルフ内、レイはスーツのようなものに着替え、エントリープラグの中にいた。
今日はどうやら訓練日のようだ。
『それじゃ、昨日の続きから行こう。インダクション・モードだ。エヴァの出現位置、
非常用電源、兵装ビル、回収スポット、すべて頭の中に入っているかな？』
「たぶん…」
『よし、では開始！　レイさん、カーソルがセンターにそろったら、スイッチを押すんだ』
　リツの宣言と共に、レイの視界にこの前戦った使徒の姿が映し出される。
『目標をセンターに入れて、スイッチ・オン』
　そろったときを見計らって、スイッチを押す。銃弾はわずかに使徒の上を通り過ぎた。
『落ち着いて！　目標をセンターに入れて』
「スイッチ」
　次に発砲された銃弾は見事に使徒に当たった。

「……しかし、良く乗ってくれる気になりましたね、レイちゃん」
　マヤがモニターから目を離し、リツの方を向いて発言した。
「そうだな。人の言うことには従う。それがあの子の処世術なのかもな」
　リツが答える。ミサトはその後ろで厳しい目をしながら、シミュレーション訓練を
行っている初号機を見つめていた。

「目標をセンターに入れて、スイッチ」
「目標をセンターに入れて、スイッチ」
「目標をセンターに入れて、スイッチ」
　うわごとのように同じ言葉を繰り返す、レイ。その目には生気がない。
「目標を、センターに入れて、スイッチ」

第参話　鳴らない、電話

「……ミサトさん、朝ごはんできてますよ？」
　朝、レイはミサトの部屋の戸を開け、ミサトに呼びかける。
「ぅ…ふわぁぁ…悪い…当直でさっき帰ってきたとこなんだ…今日は
夕方までに出頭すればいいから…ラップでもかけておいてくれ」
　布団に潜ったまま、ミサトが返事した。
「今日、木曜、燃えるゴミの日なんですけど…」
「出しといて…くれないかな？　頼む！」
　布団から手だけ出して、両手を合わせ拝むような仕草をした。
「……ふぅ、わかりました。それじゃ、学校に行ってきます」
「ありがとう…行ってらっしゃい」
　拝んだ手をヒラヒラさせて、ミサトはレイを送り出した。

　レイが学校へと出かけていってからしばらくして、電話の音が葛城家に鳴り響いた。
ミサトは再び手だけを布団から出し、手探りで音が鳴っている原因を探り当てる。
「もしもし…あぁ、リッちゃんか。何の用？」
　寝ぼけた声で応答する。
『なんだその声は。ちゃんと起きてるのか？…彼女と上手くやってるか？」
「彼女…レイちゃんか。…そうだな…電話、そう電話だ」
『電話？』
　不思議気な声が上がる。
「ああ、必須だから携帯電話を持たせたんだが、自分からかけたり、他から電話が
かかってくる気配が無くてさ。ひょっとして彼女、友達いないんじゃないかな」

「まあ、彼女は友達を作るのには不向きな性格かもしれないな」
　リツは自分の研究室でコーヒーを飲みながら、ミサトに電話をかけていた。
灰皿にはタバコの山ができており、机の上には猫の置物がある。
「……ヤマアラシのジレンマを知っているか？」
『ヤマアラシ？　いいや』
「ヤマアラシの場合、相手に自分のぬくもりを伝えたいと思っても、身を寄せれば
寄せるほど体中の棘でお互いの身を傷つけてしまう。人間にも同じことが言えるだろ。
今のレイさんは心のどこかで痛みに脅えて、臆病になっているんだろうな」
『……大人になるってことは、傷つかずに済む距離に気付くことさ』　ミサトが答えた。

　ゴミをゴミ捨て場に置き、学校へと歩いていくレイ。その視線はうつむき加減であり
登校していくレイに声をかける生徒は、誰もいないようだった。

　第壱中学校。レイが転入した中学校だ。レイは2-Aの教室へ入る。生徒はいるが
皆それぞれ友達との会話や私事に夢中で、誰もレイに気付かない。レイはちらっと
窓際後方に眼をやった。そこには、まだ肩から右腕を吊り、右眼に包帯を巻き
窓から外を眺めているシンジの姿があった。外を眺めたまま、微動だにしない。
レイは首を振ると自分の席へと歩み寄り、座った。

『ギューン！　ドドドドドド、ドカーン！』
　レイの後方にビデオカメラを左手にかまえて、右手に持っている戦闘機のプラモデルを
映している、メガネをかけたショートカットの女子生徒がいた。どうやら彼女の趣味の
ようだ。そのときファインダー越しに別の人の姿が映る。
「ん？　あ、委員長。なに？」
　ビデオから眼を離すと、目の前に男子生徒が立っていた。
「相田さん。昨日渡したプリント、鈴原に渡しておいてくれたかな？」
　そばかすが目立つ、委員長と呼ばれた男子生徒が質問する。
「あ、え、ええ。えーと、家に行ったんだけどなんか留守みたいで…」
　傍目から見ても、動揺した声だとわかる。相田と呼ばれた女子はカメラを
持っていない方の手で、机の中身をコッソリ奥に押しやった。
「相田さんも、鈴原のことが心配じゃないのか？　親友だろ？　もう二週間も
学校に来てないんだけど」
　委員長が表情から事実を読み取り、言葉を返す。
「どうしたんでしょうね。やっぱり、この前の騒ぎでケガでもしたのかな」
「例のロボット事件？　まさか！　ニュースじゃ怪我人はいないって…」
　委員長が心底驚いた表情をする。
「そんなはずないじゃない。委員長も鷹巣山の爆心地を見たでしょ？　入間や小松だけ
じゃなくて三沢や九州からも部隊がでてたみたいだし、10人や20人じゃきかないはずよ。
死人だって――」
　話をしていると、教室の扉が開く。そこには、ジャージを着込んだ女子生徒がいた。
「ユウキ…」
「鈴原…」

「……なんや、えらい人減ったんやね。サトミ、イインチョもおはようさん」
「お、おはよう、鈴原」
「おはよう、ユウキ。疎開よ。そ、か、い。みんな転校していったわ。街の中で
派手に戦闘してたみたいだし、こんな場所にいたら、巻き添えを食うって
慌てるのも無理は無いわね」
　ジャージの女子、鈴原ユウキは教室を見渡すと、彼女のことを話していた二人の
方へ寄ってきた。相田少女の名前はサトミというらしい。
「まぁ、生のドンパチ見て楽しめるんは、サトミ、アンタぐらいなもんやね」
「ふふっ、ほめ言葉として受け取っておくわ」
　軽い感じで会話を続ける二人。
「……ところで二週間も何してたの？　見たところケガはしてないみたいだけど」
　ビデオカメラを向けながら、サトミがユウキに聞く。
「ん、ウチじゃあらへん。サトミも知ってるとは思うけど弟がおるやん？　それがこの
前の騒ぎのときにガレキの下敷きになってケガしよってな。命は助かったんやけど
入院してるんや。ウチんちはおとんもおじいも研究所勤めで、ウチが見舞いに
いけへんかったら弟はひとりぼっちやから」
「そうだったの…」
　サトミはカメラを下ろし、真面目な表情でユウキの話を聞いていた。
「しかし、あのロボットのパイロットは、ほんまヘボやな。めっちゃ腹立つ！　
味方が暴れてどないするんよ、いったい」
　ユウキは会話途中に怒りをあらわにして、しゃべりたてる。
「それがさ、パイロットに関して噂があるのよ。ほら、あの転校生」
「転校生？」
　サトミは前にいるレイを指す。
「そ、彼女、ユウキが休んでる間に転入してきたんだけど、例の騒動の後よ。
怪しいと思わない？」
　ユウキは、言われてじっとレイを見つめる。レイはSDATをつけて黙々音楽を
聴いているようだ。
　そこへ年老いた女の先生が入ってきた。
「起立！」
　委員長、洞木ヒカルが号令をかける。

「――これが世にいう、セカンドインパクトです――」
　黒板には、数式が書かれているにもかかわらず、先生がしている話は
セカンドインパクトに関するものだった。生徒たちは聞き飽きたといった表情で
勝手なことをしているのもいた。レイはぼーっと先生の話を聞いている。
「？」
　レイの机に備え付けられている端末が電子音を立てる。メールを着信したらしい。
レイが中身を確認すると、
『碇さんってあのロボットのパイロットだってホント？　Y/N』
と書かれていた。周囲を見渡すと、後ろのほうで手を振っている男子生徒
二人がいる。うち一人が何かを端末に打ち込む仕草を見せた。
『なあ、そうなんだろ？　Y/N』　再びメールが来る。
　
　レイはしばらくの間考えていたが『YES』とタイプして返信した。
「ホント！？」「すげー！」「マジ？」
　クラス全員の端末へ表示されたらしく、瞬時にレイを取り囲む人垣ができた。
「おい、ちょっと、みんな！　授業中だぞ！」
　ヒカルが一人声を張り上げているが、誰も聞いていない。
「――そのころ私は根府川に住んでましてね――」
　先生は窓から空を見上げながら、自分の世界へ入り込んでいた。

「どうやってパイロットになったんだ？」「操縦席ってどんなの？」
「え、えーと…そういうのは機密で…」
　とまどいながらレイが答えると、ブーイングが起きた。
「じゃ、あのロボットはなんていう名前なんだ？」「必殺技、ある？」
「ネルフの人はエヴァとか初号機って呼んでたような…必殺技は、なんとかナイフ
っていう…えーと…振動が…超音波みたいな」
　レイの説明は要領を得ないが、みんな盛り上がっている。サトミは後方でレイが
話したことを逐次端末へ書き込んでいた。ユウキは厳しい顔でレイをにらんでいる。
シンジは相変わらず無関心なようだ。と、鐘が鳴る。
「……あら、もうこんな時間ですか。それでは授業を終わります」
「起立！　礼！……ちょっとみんな最後ぐらいちゃんとしろよ！」
　終わりを告げる先生にヒカルが号令をかけるが、やはり誰も聞いていなかった。

　学校の裏庭らしき場所。セミの音が鳴り続いている。授業中に先生が話した内容に
よれば、20世紀の最後に起きたセカンドインパクトで海面の水位が上昇、地軸が曲がり
現在の日本は常夏の国になったらしい。

　その澄んだ青空の下、突然乾いた音が響き渡った。

「―――っつ…」
　レイが左頬を手で押さえている。頬を張られたようだ。
「……かんにんな、転校生。ウチはアンタをはたかなあかん。はたかな気が済まんのや」
　平手打ちをした張本人、ユウキは言葉を吐くと、去ろうとする。
「ごめんね。あの子、例の騒動で弟さんがケガしちゃって…そういうことだから」
　付き添いで来たらしい、サトミはレイになぐさめの言葉を言うとユウキを追いかける。
「……私だって…私だって、乗りたくて乗ってるわけじゃないのに…」
　レイが言葉をこぼす。それを拾ったユウキが振り返り、サトミを押しのけレイの肩をつかみ
にらんだ。レイは眼をそらし、視線を合わそうとしない。結果、再び乾いた音がした。

「……非常召集、先、行くから」
　二人が去り、一人裏庭で叩かれた頬を押さえながら呆然とたたずんでいたレイに声が
かかった。顔を声がしたほうに向けると、シンジがいた。シンジはそれだけ伝えると
振り返り走り去る。
　レイは立ちすくんだまま、去っていくシンジを見ていた。

『ただいま東京地方を中心とした関東、中部の全域に特別非常事態宣言が発令
　されました。すみやかに指定のシェルターに非難してください。繰り返します――』
　サイレンの音と共に、アナウンスが市内に鳴り響く。

　そのころ海上より第三新東京市を目指し、飛行を続けている物体があった。全身は
赤黒く、表面は昆虫を思わせるような光沢のある殻と魚に似た目、裏にも胸部に
赤い球体と、節足動物の足に似てるものがついていた。

Episode:3　A transfer

「目標観測、領海内に進入しました」
　ロングヘアーの女性オペレーター、青葉ハルカが報告を入れる。
「総員、第一種戦闘配置！」
　ゲンドウがいないのか、冬月が指揮をとっている。指示を受け第三新東京市中央部の
ビル群が地下に収容されていき、代わりに兵装ビルが地上へと姿を現す。
「非戦闘員及び民間人は？」
「すでに退避完了との報告を受けています」
　ミサトの問いかけにハルカが答えた。

『小・中学生は各クラス、住民は各ブロックごとに避難してください』
「……はぁ、また報道管制、か」
「どしたん？　また見えへんの？」
　シェルター内、アナウンスが聞こえる中、サトミとユウキがシートの上に座っていた。
「はい、見てみて。あ〜あ、一大ビッグイベントなのになぁ…」
「サトミだけや、そんなん思ってんの。物好きなやっちゃなぁ」
　絵と文字しか映っていない携帯テレビを見てから、あきれたようにユウキは言った。

「碇司令の居ぬ間に、第四の使徒襲来。意外と早かったな」
「前は15年のブランク。今回はたったの3週間ですからね」
　モニターをにらみながら発言したミサトに、オペレーターのマコトが合わせる。
「こっちの都合はおかまいなしか。ワガママな女みたいだな、まるで」
　ミサトが軽いジョークを入れた。

　悠然と第三新東京市を目指し、飛行している使徒。もちろん国連軍もただ黙っている
だけではなく、銃撃、砲撃を繰り返しているがまるで効果が無いようだった。
「……税金のムダ使いね」
　その様子を見た冬月が、苦言を呈する。
「委員会からエヴァンゲリオンの出動要請が出ています！」
「ったく、うるさいなぁ…言われなくてもだしますよ」
　ミサトがぼやいた。

『初号機、エントリー開始』
（……お母さんもいないのに、どうしてまた私は乗ってるんだろ…人に叩かれてまで）
　先程の情景を思い出しながら、レイは心のうちでつぶやいた。

「ねぇ、ユウキ、ちょっと話があるんだけど…」
「ん？」
　再びシェルター内、サトミが周りを気にしながら口を開いた。ユウキは顔を向けて
続きをうながす。
「ちょっとここじゃ…他の人に聞こえない場所に行きましょ」
「なんや？…まぁ、ええよ。おーい、イインチョ！」
　ユウキは立ち上がって、ヒカルに声をかける。
「なに？　鈴原」
「ウチら、ちょっと席はずすから」
「なんで？」
「答えなあかん？」
「……ご、ゴメン。行ってらっしゃい」
　勘違いで勝手に察してくれたヒカルが赤面しながら言った。

「――で、話ってなんやの？」
　女子トイレの洗面所で手を洗いながら、ユウキがたずねる。
「上に行ってみない？」
「サトミ…本気でそれ言うてんの？　死ぬかもしれへんよ」
「そんなの、ここに居ても一緒よ。私は見逃したくないの！　お願い。
ハッチを開けるのを手伝ってくれない？」
「そんなん言われても…何のためのネルフなんよ」
　とまどいながら、ユウキが言葉を返す。
「そう、ネルフよ。でも、ネルフの決戦兵器って誰が動かしてるの？　あの転校生
でしょ。彼女がユウキに叩かれたせいで、ロボットに乗らない、なんて言い出したら
私たち、死ぬわよ。ユウキには、彼女の戦いを見守る義務があるんじゃない？」
「……ふぅ、せやね。つきおうたるよ。しかしサトミは自分の欲にほんま素直やなぁ」
「ふふっ」　
　一気にまくしたてたサトミに、ユウキが観念して応じた。

「初号機、発進準備完了」
『いいか？　練習でやった通り、相手のフィールドを中和してパレットの一斉射撃だ』
「はい」
「よし、初号機、発進！」
　マヤの報告とレイの返事を受けて、ミサトが指示を出した。

　変わって、地上。外へ出たユウキとサトミが境内の階段を駆け上がっている。
「はぁ、はぁ…ふぅ、間に合ったかしら？」
　上りきった二人は、見晴らしのいいところから、街を見下ろす。そこに使徒がいた。
「すごい！　苦労した甲斐があったわ…」
「転校生のロボットはどこなん？」
「もうじき出てくるはずよ」
　ビデオカメラを回し始めるサトミ。使徒は飛行を止め、立ち上がった。

「目標をセンターに入れてスイッチ。目標をセンターに入れてスイッチ…」
『作戦通り、いいかい？　レイちゃん』
「はい」
　リツに言われたことを反芻しつつミサトに返事するレイ、そしてシャッターが下りる。
「っ！」
　素早く身を翻し、使徒へ向き合う形になったあと、構えた銃、パレットライフルから
勢い良く銃弾を発射する。銃弾は次々に使徒へと着弾していった。
「馬鹿ッ！　爆煙で敵が見えないぞ！」
　様子を見ていたミサトが叫ぶ。銃弾が煙を生み使徒の姿を隠してしまっていた。
「はあっ、はあっ、はあっ……――キャッ！？」
　銃を撃ちつくして、息をついていたレイは前方を見据えていた。すると突然二本の
赤い鞭のような物体が煙を裂いて躍り出る。鞭は初号機が手に持っていた
パレットライフルとビルを切り裂いた。初号機は地面に後ろから倒れこんだ。
「慌てないで、レイちゃん！　代わりのライフルを出すから受け取って！」
　懸命にミサトが励ますが、レイはすっかり脅えきっていて操縦桿を持つ手は震えていた。
「…いや…こ…来ないで！　いやぁぁぁっっ！」
　使徒から少しでも離れるように、後ろ向きに駆け出す。
「レイちゃん！」

「……なんや、転校生逃げとるやん」
　戦闘を見ていたユウキが言う。
「脅えてるみたいね…やっぱユウキのビンタが効いたんじゃないの？」
「かっ、関係あらへん！　そんなこと」
　茶々を入れるサトミに、動揺しつつ強がりを言う。

　使徒は鞭でビルを次々に切り裂きながら、初号機を追いかけていた。
そしてついに、一振りが初号機の電源ケーブルを裂く。
「アンビリカブルケーブル、断線！」
「エヴァ、内蔵電源に切り替わりました」
「活動限界まで、あと4分53秒！」
「ちっ！」
　オペレーターたちが報告を入れる。ミサトが思わず舌打ちをする。追い討ち
をかけるように、使徒は鞭で初号機の足を捕らえ、高々と放り投げた。
「――っきゃああああああぁぁ！」

「…こっちに…向かって…来とらへん？」
　放り投げられた初号機を呆然と見上げ、ユウキがつぶやく。
「う、うん…というか…ひ、」
『ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぁぁぁっ！！』
　二人のいる場所へ、飛ばされた初号機が落ちてきた。

「初号機の状態は？」
「大丈夫、いけます！」
　ミサトが素早く状況を尋ね、マコトが答える。
「…ぅ…うーん……えっ！？」
　衝撃でのけぞっていたが、気を失うまではいかず体を起こすレイ。しかし、エヴァを
動かそうとしたそのとき、左手の間に誰かがいるのに気付く。
「レイちゃんのクラスメート？」
「なんでこんなところに！」
　瞬時にピックアップされたIDを見て、リツとミサトが声を上げる。

　使徒はトラブルが起きてもおかまいなしに、初号機を追いかけて飛んできていた。
初号機を捕らえられる位置まで飛行すると、鞭を再び振りかぶって放つ。
レイはとっさの判断で、二本の鞭を両手でつかんだ。
「くうっ！」
　初号機の手のひらが融解していく。
「な、なんで戦わへんのや？」
「私たちがここにいるから…自由に動けないのよ！」
　ユウキの疑問に、サトミが叫ぶ。

「初号機活動限界まで、あと3分28秒」
「レイちゃん、その二人を操縦席へ！　いったん退却して出直そう」
　刻々と迫るタイムリミットに、ミサトが決断を下す。
「おい！　許可のない民間人をエントリープラグに乗せられると思っているのか！？」
「俺が、許可する」
「越権行為だぞ！　葛城一尉！」
　リツがミサトを強く非難する。
「活動限界まで、あと3分」
「エヴァは現行命令でホールド。その間にエントリープラグを排出、急げ！」
『そこの二人、乗るんだ、早く！」
　ミサトはリツを無視し、命令を下した。そしてスピーカー越しに二人に呼びかける。

「う、み、水？　お、溺れてまう！」
「あぁぁ、カメラ、カメラが〜」
　エントリープラグの中へと入り込んだサトミとユウキがそれぞれ勝手なことを言う。
「神経系統に異常発生！」
「異物を二つもプラグに挿入したからだ。神経パルスにノイズが混じっているぞ！」
　マヤが異常が起きたことを報告すると、リツが原因を簡潔に述べる。そしてその間も
ずっと使徒の鞭を握り締めていた初号機は、反動を生かし使徒を押し戻した。
「よし！　レイちゃん、回収ルートは34番だ。山の東側に後退してくれ！」
　間髪いれず、ミサトから指示が飛んだ。

「……ちゃ、ダメ…」
「どしたん？　逃げろ言うとるで、転校生」
　うつむいて、堪えるような仕草を見せているレイに、ユウキが問いかける。
「……げちゃ、ダメ……逃げちゃ、ダメ！」
　レイが顔を上げると、そこには何かを決心したような表情があった。
「初号機、プログレッシブ・ナイフ、装備！」
　マコトが報告を入れる。
「レイちゃん？　命令を聞くんだ、レイちゃん！」
「活動限界まで、あと1分！」
「このぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ！」
　初号機はミサトの指示に反して、山すそを一気に滑り下りナイフを手に使徒へと
突進する。使徒も黙ってはおらず、鞭をふるうと初号機の腹部を貫いた。
「ぅうっ！…くぅぅぅううううぅぅぅ！」
　一瞬痛みで息が止まり涙がにじむが、貫かれたまま使徒の赤い球体を
目掛けナイフを突き刺す。接触面から火花が飛び散る。
「うぅぅぅぅぅっ…このっ！…このぉぉぉっ！」
「活動限界まで、あと30秒…28、27、26……」
「レイちゃん…」
　マヤの時間を告げる声とレイの叫びが響く中、ミサトはポツリとこぼした。
「くううううぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ！！」
「…14、13、12、11、10、9、8、7、6……」
　場を占めるのは、カウントダウンの声とレイの叫びだけだった。
「うぅぅぁあああぁぁっっ！…このぉぉぉぉっっ！！」
「…5、4、3、2、1、0。　初号機、活動を停止！」
「使徒、完全に沈黙しました」
　初号機の動きが止まる前に、使徒の胸部にあった赤い球体にヒビが入り
使徒が動かなくなった。辛うじて使徒を殲滅できたようだ。
「…っぅ…うぅ…ぐすっ…ひっく…」
　電源が切れ、暗くなったエントリープラグ内では、レイが嗚咽を洩らしていた。
ユウキとサトミの二人に、かけられる言葉は無かった。

「――あれからもう、三日やね」
「うん？　ああ、私たちがこっぴどく叱られてから？」
「ちゃう、転校生が学校に来いひんようになってからやん」
　第壱中学校、2-A教室内。シンジは相変わらず窓から外を眺めていた。レイの
姿はない。ユウキは物憂げに言い、サトミが端末を操作しながら答えた。
「心配なんだ？」
「そ、そんなことあらへん！」
　意地悪そうに聞くサトミに慌てて否定する。
「…もう、ユウキも不器用で強情なんだから。あのとき、最後に転校生にあやまって
おけばいつまでもぐずぐず悩まずに済んだのに…はい、どうぞ」
「なんや？　これ」
「転校生の電話番号。気になるなら、電話してみたら？」
　サトミが紙切れをユウキに渡した。促されユウキは教室を出る。外は
雨がしとしと降っていた。

　ユウキは緑電話の受話器を取り、ボタンを押していく。しかし何を思ったのか
途中で押す手を止め、しばらく躊躇したあと、受話器を置いて、その場を去った。　　　　　　　　つづく

キタ−−−！

もしかしたら入りこみスマソ

7氏のような同人誌でも出たらエロじゃなくとも買うのになぁ・・むしろエロじゃないほうがいいかもね。

age

同系統（逆行系も混じっているがのFFに
ＲＥＢＩＲＴＨ〜いまひとたびの〜＠Ｊ.Ｕ.Ｔｙｌｏｒ
がある、いや、あった。
今は閉鎖されたので○ーカイブをうまくつかわなければ見れないが

確か
キール・ローレンツ→カーラ・ロレンツ
だったな。

鋼鉄のボーイフレンド編までやってほしい。

しかしあれだな。
アダム…雄
リリス…雌
だろ？

24話
ついにセントラルドグマに到達する渚カオル（14歳♀）
「違う！これはアダム！」
になるのか？

その設定だとEVAのストーリーがめちゃくちゃになるな。
最初から作り直してもらおうｗ

性別を転換すると、ネット上に多々存在するハーレムものＥＶＡＦＦがド偉い事に。
男レイと男アスカと男マナと男マユミと男ミサトと男リツコと女カヲルに妊娠させられる女シンジ君・・・
(((( ；ﾟДﾟ)))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

>>65
おなご二人に竿六本で丁度良いね。

>>65
総受けの本領発揮ですな。
しかし、女カヲルも攻めなのかｗ

少し間が空きました。
見切り発車なので、つまづいたらそのとき考えます……
どっかで性別を変えたことによる齟齬がでそうな気もするんですけどね。
とりあえず今はいけるとこまでいこうかなぁ、と。

>>59からの続き。

　雨が降り続ける、第３新東京市。あるマンションの部屋の一室で、めざまし時計の音が
鳴り響く。間を置いて、その部屋の中央にある布団から探るように足だけが飛び出した。
しばらくして音が止む。
「……ぅん……朝か……」
　ボサボサの頭をかきながら、のっそりミサトが起き上がる。洗面所で歯を磨き顔を洗う。
歯を磨きながら空いた手で横腹をボリボリと掻く仕草が、妙にオヤジ臭い。タオルで水気
を払いさっぱりしたところで、ミサトはレイの部屋の方に視線を送った。
（彼女、今日も休むつもりなのかな……）
　ぼんやりとそのことを思う。足を進め、レイの部屋の前にミサトは立った。
「……おい、レイちゃん。いつまで学校を休んでいるつもりなんだ？　もう五日目だぞ？
初号機はとっくに修理が済んでるんだ。パイロットの君がそんなことで、どうする」
　ふすま越しに呼びかけるが、返事はない。
「レイちゃん？」　
　ミサトはふすまを少し引き、隙間から部屋を覗く。部屋はガランとしていて、机の上にレイ
のIDカードとミサト宛ての封筒があるだけだった。
「……家出か。無理も無いな……」
　部屋をしばらく眺めたあと、ひとりごちた。

第四話　雨、逃げ出した後

　黙々と出勤の準備を進めていた葛城家に、インターフォンの音が鳴り響く。
「レイちゃん！？」
　ドアを開けるミサト。そこには二人の女生徒、ユウキとサトミがいた。
「あ、あの……えっと……」
「碇さんと同じクラスの、相田と鈴原と申します」
　ミサトを前にして口ごもるユウキに、サトミが手を貸す。
「相田と鈴原……」
　想像していたのと違い、拍子抜けした感じでミサトはオウム返しをした。
「は…「はい、そうです！　ウチ……いえ、私が鈴原です！」
　サトミが答えようとするが、ユウキの勢いにかき消される。
「ああ、もしかして先の戦闘のときにエントリープラグに入った二人？」
「そ…「そうです！　その節は本当に申し訳ありませんでした！」
「じ…「実は、あの戦闘から転校せ…いや、碇さんが学校に来てらっしゃらないんで、一体
どうしたのかなと気になって、寄らしてもらったんです」
　思い出し、声を返すミサトに、サトミが答えようとするが、サトミが声を出そうとするたびに
ユウキが大声で先を越す。サトミは思わず、横目でユウキをにらんだ。
「いや、もう終わったことだしいいよ。レイちゃんは今ちょっとネルフの訓練施設にいてね。
家にはいないんだ」
「はぁ、そうだったんですか」
「あ、これ机の上にたまってたプリントです。碇さんによろしくお伝えください」
　事情を聞き、納得気な表情をするユウキ。サトミはミサトに紙の束を差し出した。
「ありがとう。伝えておくよ。それじゃ、またね」
　笑顔で紙の束を受け取るミサト。お辞儀をする二人の前で、ドアが閉まった。

「……ユウキ、意外な展開になったわね」
　しばらくして顔を上げたサトミが、つぶやいた。
「せやね……まさか転校生があんなえらくカッコのいいお兄さんと住んではるとは」
　ユウキはうわの空で、生返事をした。
　
　一方、ドアを閉めたミサト。思わずため息をつく。
「はぁ……レイちゃん、いったいどこへ行ったんだ……」

『――次は長尾峠、長尾峠。お出口右側に変わります。御注意下さい――』
　アナウンスが流れる。座席の隅に、顔をうつむかせたままのレイがいた。どうやら電車
の中にいるようだ。SDATから流れる音楽を外部から隔絶する壁のようにして、ただうつ
むき、時が流れるままに身を任せていた。車内は混雑しており、通勤通学の時間帯なの
か、会社員や学生の姿が見受けられる。
　しばらくすると会社員や学生は降車し、主婦や仕事が無いのか新聞紙を車内に持ち込
んで読んでいる男性が乗車してきた。そのまま刻々と時間は過ぎていき、乗客は次々に
入れ替わる。帰宅する学生が、会社員が乗っては降りていく。レイは微動だにせず、ただ
ひたすらSDATから流れる音楽が、延々耳へと入り込んでいくだけだった。

『――本日は第七環状線を御利用いただき、まことにありがとうございました。この電車は
当駅を持ちまして回送電車となります。お忘れ物なきよう、続いて御降車して下さい――』
　幾度となく乗降車を繰り返し、ようやく終電を告げるアナウンスが、駅内に響き渡った。
ただ一人車内へ残っていたレイはそのアナウンスに顔を上げ、口を開く。
「……おりなきゃ」　

　行く当てもなく、繁華街をとぼとぼ歩くレイ。辺りはネオンサインが目にまぶしく、盛んに
呼び込みの声が聞こえてくる。中学生の少女が一人で歩くには少々危険な時間帯と場所
だが、本人はまるで気にかけていないようだ。歩く内にレイの目に付いたのは、終日放映
を行っている映画館の看板だった。

『先生、脱出しましょう！』
『いえ、私にはここにとどまる義務があります――』
　スクリーンに、緊迫感あふれる場面が展開されている。セカンドインパクトを映画化した
作品らしい。館内にはまばらな人影しかなく、レイは最後列の席に座って虚ろな目で映像
を見ていた。と、レイの目の焦点がどこかに合わされる。前方の席に座っていたカップル
がいちゃつき始め、それが視界に入ったようだ。不快そうな表情を顔に出す。

　結局そのあとすぐに席を立ち、ロビーの長椅子で一夜を過ごしたレイは、夜が明けると
すぐに映画館を去り、朝焼けの空の下、歩みを進めていた。いくらか歩いたあと、唐突に
足を止め顔を上げる。朝焼けが目に付き、辺りを見回すと周辺全体がレイを覆いつくそう
とざわめき、迫ってくる錯覚にとらわれる。レイは耳を塞いで、その場を、走り去った。

　再び、葛城家。昨日のだらしのなさは微塵も無く、布団から顔を出して天井を見つめて
いるミサト。しばらく何かを真剣な顔つきで考えたあと、身を起こす。
　真っ先に向かった場所はレイの部屋の前だった。躊躇することなく、ふすまを引く。当然
ながら、部屋には誰の姿も無かった。

　そのころレイは、郊外でバスから降りていた。朝焼けであったにもかかわらず、青空が広
がっている。そのままバス停から山道を進んでいき、ひまわりが当たり一面に咲き誇こる
野原を抜け、少し霧が出始めても気にせず、切り立った崖のある場所で足を止めた。
　崖から見下ろすと、第３新東京市が一望できる。レイは中学生とは思えないような遠い
目でその景色を眺めていた。

「――14歳だしなぁ。人類の存亡を背負わせるのは、やっぱ酷なんだろうな」
　ネルフの一室で、ミサトとリツが向かい合っている。ミサトは壁を背にして、佇んでいた。
リツは椅子に座りモニターを見ている。となりの部屋では、シンジが検査用ベッドに仰向け
に乗り検査を受けている。
「でも、私たちはエヴァの操縦を14歳の子供たちに委ねざるを得ないんだ」
「わかってるさ」
　端末を操作して検査を続けながらのリツの返事に、ミサトは苦々しい顔で応じた。
「それで？　レイさんから連絡は？　ないのか？」
「……ない。彼女、もう戻らないかもしれない」
「どうするんだ？」
「さぁ……戻らないなら、そのほうが彼女のためかもな」
「なぜ？」
　ミサトの返事に、初めて視線をモニターから外し、ミサトに横目を送る。
「こないだの戦闘のあとにさ――」
　リツの問いかけに、ミサトは先日の出来事を話し出す。

『――どうして、命令を守って後退しなかったんだ？」
「……ごめんなさい」
　先の使徒戦後、まだパイロットスーツ姿で座っているレイに非難めいた口調で詰問して
いるミサトの姿があった。無表情に謝るレイ。
「作戦責任者は俺だ。命令は守ってくれないと困るんだ、わかるよな？」
「はい」
「君には、俺の命令に従う義務がある」
「はい」
「今後こういうことがないように。いいかい？」
「はい」
「……本当にわかってるのかい？」
「はい」
「何でもはいはい答えればいいってもんじゃないぞ！」
　レイの無気力な態度に、思わず声を荒げる。
「わかってますよ。勝ったからもういいじゃないですか」
　それでも、レイは態度を変えようとしない。
「そうして表面で他人に合わせていれば楽かもしれないが、そんな気持ちでエヴァに乗っ
てたら、死ぬぞ！」
「いいんです、それでも」
「いい覚悟だ、と言いたいところだが、ほめられたものじゃないぞ、碇レイさん」
　あえて他人行儀な呼び方をしたが反応は無く、なげやりな口調でレイが締めた。
「ほめるも何も、私しか乗れないじゃないですか。乗りますよ――』


「……なるほどな」
　一部始終を聞いて、リツが口を開く。
「彼女にとってエヴァに乗ることが苦痛でしかないのであれば、乗らないほうがいい。絶対
いつか死ぬからな」
　重い表情でミサトが言う。
「しかし、パイロットは必要だぞ」
　冷静にリツが指摘をした。

『ダダダダダダ！』
　すすきが目立つ、野原。人影が夕日を背に声を張り上げながら、駆けていた。
『ドワーン！　うっ！』
　人影はうめき声をあげると、その場に倒れこむ。
「し、小隊長殿！？」
「相田……先に行け」
　傷を負ったらしく、小隊長殿と呼ばれた影は苦しそうに声を絞り出す。
「そ、そんな！　私には、小隊長殿を置いて先に行くことはできません！」
「いいから、行くんだ！」
　とまどう隊員を一喝する。
「しかし……」
「自分の事ぐらいはわかる。助かるような傷じゃない」
「わたしは……私はあなたのことが……」
「……幸せになれよ」
「っ！　小隊長殿……」
　涙ぐみながら、後ろを振り返らずそのまま駆け出す。しかし数歩進んだ所で、足を止めた。
顔を上げる。目には大きな夕日が映った。その目には、涙は流れていない。それも当然
で、今までの会話は全てサトミの一人芝居だった。
　カラスの鳴く声が聞こえる。サトミはむなしさを感じ、帰ろうと振り向く。
「あれ？……転校生？……お〜い、碇さ〜ん」
　サトミの視界に山道を歩いているレイの姿が入った。呼ばれて、レイが顔を上げる。

Episode:4　Hedgehog's Dilemma
　
「ほんとうに、驚いた。振り返ったら、碇さんがいたんですもの」
　サトミが口を開く。すでに日は落ち、辺りには暗闇が広がっている。二人はサトミが持ち
込んだテントの前で、たき火を囲っていた。
「ユウキさ、反省してた。弟に、説教されたんですって。『僕たちを守ってくれたのは、あの
ロボットなんだよ』ってね。小学校低学年に説教されるなんて、恥ずかしいわね」
　レイは体育座りの姿勢のまま、黙ってサトミの話を聞いていた。うなだれたまま、顔を上
げようとしない。じっとたき火をみつめたままだ。
「……夜は良いわね、あのうるさいセミが鳴かなくて。小さいころは静かで良かったけど
年々増えちゃって」
　反応が無いので、サトミは話題を変える。
「生態系が少しづつ戻ってるって、ミサトさんが言ってた」
　レイがようやく口を開き、相づちを打つ。
「ミサトさん、か……あ〜あ、うらやましいな。私もあんなカッコいいお兄さんと一緒に住ん
で、思う存分エヴァンゲリオンを操縦してみたいな」
「やめておいたほうがいいよ……その、お父さんが心配するでしょうし」
「それなら、大丈夫。私、そういうのいないから。……碇さんと、一緒よ」
　思いがけない言葉に、レイは声を失う。
「……ごはん、食べるでしょ？」
「え、ええ」
　少し気まずくなった空気を払おうと、サトミが声をかけた。たき火の上にかけていた飯盒
が、勢い良く泡を吹いていた。
　
「相田さんは、いつもこんなことを？」
　テントの中で、レイが質問をする。
「ん〜、まあ暇なときはね」
「ゲリラ戦になったときの訓練とか？」
「まさかぁ。こんなオモチャじゃ本物の戦闘の役には立たないわ。ただの趣味」
　軽い口調でサトミが答える中、夜は更けていった。

　次の日。朝霧が辺りを覆う中、サトミは何か物音を聞きつけた気がして、目を覚ました。
テントの入り口を開け、顔を出す。するとどこから来たのか、テントを囲うようにして、数人
の黒服の女性がそこにはいた。レイが続いて、テントから顔を出す。
「――碇、レイさんですね？」
　レイを目にした黒服が、口を開く。
「……はい」
「ネルフ保安諜報部のものです。保安条例第8項により、あなたをネルフ本部へと連行し
ます。いいわね」
「はい……」
　サトミは、ただ連行されていくレイを見送ることしかできなかった。

「――サトミ。それでアンタはなんもせずに、転校生が連れ去られるのをただ黙って見てた
だけっていうん！？」
「そ」
　2-A教室内。今朝の出来事をサトミはユウキに話したらしい。ユウキは顔を真っ赤にして
怒鳴り散らかすが、サトミは気の抜けた返事しかしない。
「アンタ、それでも女かいな！　もうちょい根性すえて相手ひっぱたくとかしたらどうなん？
相手が男やったら、思いっきり股ぐら蹴り上げるとか、いくらでもやりようはあるやない！」
「（うっわー、痛そ……）」
「（女なのに、はしたないヤツだなあ、鈴原は……）」
　大声で力説するユウキに、教室内から男子たちがこそこそ小さな声で会話するのが聞
こえてくる。ユウキの耳には届いていないようだ。
「……あのね。みんな女性だったし、ネルフ保安諜報部、ようするにプロの人間なのよ？
かなうわけないじゃない。男とか女とか、関係ないの。わかる？　勝てないとわかってる
ケンカを挑むのは、バカだけよ」
　少し顔を赤くしつつ、サトミが答えた。

　場所は変わって、ネルフ本部。レイが薄暗い部屋に一人座り込んでいる。相変わらずの
無表情だ。そこへ光が差し込む。扉が開き、ミサトが部屋へ入ってきたようだ。
「よう、しばらくぶり。この二日間外へ出て、気分は晴れた？」
「……いえ、別に」
「そうか。エヴァの準備できてるんだが、乗るかい？」
「……叱らないんですね、家出のこと。そうですよね、ミサトさんにとって私は他人なんで
すから。……もし、私が乗らないって言ったら、初号機には誰が乗るんですか？」
「シンジ君が乗ることになるだろうな」
「彼に全部押し付けるわけにはいかないじゃないですか。可哀想ですよ。乗ります」
「乗りたく、ないのかい？」
「それはそうですよ。第一、私には向いてません。でも、シンジ君やミサトさんやリツさんや
お母さ――」
「いいかげんにしろ！　他人のことは、関係ないだろ！？　レイちゃん、君が嫌ならここから
出て行ったほうがいい。前のところに、帰りなさい。……君みたいな気の持ちようのままで
エヴァに乗られるのは、こっちとしても迷惑なんだよ」
　一気にまくし立てて、ミサトは扉を閉めた。呆然と目を見開く、レイ。

「――サードチルドレンは、明日第３新東京市を離れます」
「そう。それじゃ、初号機のデータはシンジに書き換えを」
　ベルトコンベアの上。リツとゲンドウが会話を交わしている。すぐ後ろには、いまだに
包帯で右腕を吊り、顔を覆ったシンジがいる。
「……しかし……」
　リツが口ごもる。
「零号機の再起動実験の結果のいかんによらず、初号機での実験に移ります。……
マルドゥック機関の報告によると、フォースチルドレンはまだ見つかっていません」
「つまり、パイロットの補充は利かないということですか」
　ゲンドウの口から、聞きなれないことばが出る。リツには判るらしく、返事をした。

　レイのIDカードがプレスにかけられ、登録を抹消された。
「……あの、ミサトさんはどこに？　最後にミサトさんにひとことお別れの言葉を」
「あなたはすでにネルフの人間ではない。従って、どのようなことも教えられません」
　問いかけに、冷たい言葉が返ってくる。レイは、顔をうなだれた。

　保安諜報部が運転する車によって、新箱根湯本駅へ移動してきた。車から出て、黒服
に駅に入ることをうながされる。顔を下に向けたままの、レイ。
「碇さん！」
「お〜い」
　そこに声がかかった。顔を上げ、呼ばれた方を向く。そこにはユウキとサトミがいた。
「これ、忘れもん、ほい」
　ユウキはそう言うと、ボストンバッグを放り投げる。レイは慌てて受け取った。
「あの、ちょっといいですか？」
　レイは黒服のほうを振り返り、たずねた。黒服は時計をチラッと見たあと、黙って首を縦
に振る。それを見て、レイは二人のほうへ歩み寄った。
「あ、ありがとう」
「……ほら、何か言うことがあるんでしょ？」
　レイが声をかけるが、ユウキは腕を組んだまま返事をしない。それを見かねて、サトミが
ユウキの背中を押す。たたらを踏んで、ユウキが前に出る。
「……碇さん、ウチをはたいたって！」
「え？」
　きょとんとする。
「こないだは、事情も知りもせんと二発もはたいたりして、ほんまウチが悪かった。こうでも
せえへんと、ウチの気が済まへんのや。さ、早く！　時間、あんまないんやろ？」
「で、でも……」
　レイは戸惑い、救いを求めるように後ろに居るサトミに視線を送る。
「いいの、思い切ってやっちゃって。ユウキはこういう性格なのよ」
「……わかったわ」
「よし、きばってき！」
　サトミに言われて、それでも数拍黙り込んでいたが、意を決したようにボストンバッグを
地面に置く。そして、手を振りかぶる。
「まった！……手加減なしやで」
　振り下ろす寸前で、ユウキから待ったがかかる。真剣な顔で言われ、レイも真面目な顔
でうなずく。再び振りかぶり、手をしならせて振り下ろした。乾いた音が響き渡る。
「っ……ありがとさん」
　痛くないはずは無いのだが、気丈にもユウキは笑顔を見せた。場が和む。

「どうして、ここが？」
「勘よ。私たち、たくさんの同級生をここで見送ってきたの。碇さん、様子がおかしかったか
ら、ここに来てると思って」
　疑問符を浮かべているレイに、サトミが説明をする。
「碇さんが……」
　そしてユウキが口を開く。
「碇さんがおらんようになったら、いずれウチたちもここから出て行かなアカンようになるやろ。
だけど、ウチたちには碇さんを責めることはでけへんし、決してせえへん。ウチらは碇さん
が戦ってるところを生で見て、碇さんがどんな恐ろしい思いをしてたか知ってしまったんや。
もしグダグダ文句を言うヤツがいたら、ウチがパチキかましといたる！　だから、安心しとき」
　ユウキの言葉に、レイは衝撃を受ける。手が震え、瞳が揺れる。
「そない、辛気臭い顔せんで。元気でね」
「がんばってね」
「あ、あの――」
　続いて二人から送られた言葉に、意を決して返事をしようとしたが、そのときレイの肩に
手が置かれた。
「――時間です」
　黒服だった。肩を落とし、言葉を飲み込む。

　黒服に連れられて駅へと続く階段を上っていくレイを、ユウキとサトミは下から見送って
いた。そしてレイの姿が二人の視界から消えていく……と、レイは黒服を振りほどこうともがき
だし、二人のほうに顔を向ける。
「――はたかれなきゃいけないのは、私よ！　わたしは……私は、卑怯で……臆病で
……ずるくて……弱虫で……」
「これ以上手間をかけさせないで。いくわよ」
　最後は涙声になりながら思いつくまま心から湧き上がる言葉を吐くレイを、黒服たちは
ひきずるようにして連れて行く。下で見ていた二人は、ただ呆然としていた。

「行っちゃったな。これでよかったのか？」
　ネルフ内、初号機のケージの前をミサトとリツが歩いていた。
「……ヤマアラシのジレンマ、か」
　リツの問いかけに答えるそぶりも無く、ミサトはぽつりとつぶやいた。歩みを止める。
「身を寄せるほど相手を傷つける。あの子、こういう形でしか気持ちを伝えられないんだな」
　先日、リツが口にした言葉を反芻する。

『――まもなく、二番線に4時20分発厚木行の政府専用特急リニアがまいります。危険で
すので、黄色い線の内側までおさがり下さい。なお、一般のご乗車は堅く禁じられていま
す。御留意願います――』
　アナウンスがあってしばらくして、リニアが駅へと到着した。頭をうなだれたままのレイの
前でドアが開く。レイは動かない。
『がんばれよ』
　そのときレイの脳裏に、ミサトの声がこだました。はっ、と目を見開く。

　一方、ベンチに座って見送っているユウキとサトミ。リニアに隠れてレイの姿が見えなく
なる。そこへエンジン音を響かせながら、車がやってきた。急ブレーキで駅前に止める。
「あれ？　ユウキ！」
「ん、どしたん？……あら、あれは碇さんと一緒に住んでたカッコいいお兄さんやない」
　車から出てきたのは、ミサトだった。ミサトはリニアを見上げるが、すでにリニアは動き始
めていた。
「……ちっ、間に合わなかったか」
　舌打ちをすると、リニアを背に車にもたれて天を仰ぐ。リニアが駅を離れた。ミサトは気
付いてないが、遠目に駅内に人影がいるのが見える。ため息をつき、ミサトが振り向い
た。その視線が一点に釘付けになる。
　人影は、レイだった。ゆっくりと顔を上げる。レイも、ミサトに気付いたようだ。そのままお
互いにしばらく見つめ合う。

「――た、ただいま」
　少し恥ずかしそうに、レイが言った。ミサトは笑みを含んだ顔で、返事をした。

「――おかえり」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

改行制限のほかに、文字数制限もあるのか。

キターーー！

上げ

( ﾟдﾟ)ﾎﾟｶｰｿ

>>5
ゲンドウ→言動→言葉→コトハさんとかどうだ？

期待あげ

まほろさんムキムキ


あ、悪夢・・・

まほろさんムキムキ


あ、悪夢・・・


でもちょっと面白そう

なんか、名前通りのキャラにしか見えない・・・
シンジはシンジだなぁ

まほろさんムキムキ


あ、悪夢・・・

勝手に続き書いてもいい？

Ａ：書くなら早くしろ、でなければ帰れ！
Ｂ：ダメ、7君を待ってる。

読みたい。＞91

しかし全キャラひっくり返すと流石にムリが出てくる予感。

書きました。最初に謝っておきます。

・時系列めちゃくちゃです。
・無駄に長いです。
・そもそも本編とずれてきてます。
・ごめんなさい7氏

レイの解任騒動があった間も、ネルフはきっちり仕事をしていた。
第4使徒解体作業場(仮設)。一部にはバレバレであろうと、あのような巨大物質をおおっぴら
にしておいて良いものでもない。とはいえ、急ピッチで進められた作業場建設にようやく
解析用の機材が運ばれたのは解任騒動も落ち着いた頃になってからであった。

「敵を知れば百戦危うからず、だ」と現地に誘ったのはミサト。断る理由も無いのでレイは
素直についてきた。もっとも、その言葉には大事なものが欠けているのだが。

「これが、私の倒した使徒……」
レイの見つめる先には横たえられた巨大な物体。それを取り囲むように鉄骨が組まれ、
上ではリツをはじめとする科学者たちがせわしなく動き回っていた。

「コア以外はほとんど無傷。本当、理想的なサンプルだな」
「んで、そのサンプルから、何かわかったのか？」

「ほれ」
下りてきたリツが端末にデータを打ち込み、解析結果をミサト、レイに見せる。
「……なんだ？この601って」
「解析不能を示すコードナンバー」
「つまり訳わかんないって事か。コーヒー返せ」
「なにケチくさい事を……。でも一つだけわかった事がある。これだ」
端末を操作し、別の解析結果をディスプレイに出す。
「これは……！」
「使徒の固有波形パターンだ。構成素材の違いはあっても、人間の遺伝子と酷似している。
　……99.89%な」
「……それって！」

解析結果に興味を示す二人とは違い、レイはすでに興味を失っていた。
会話の内容が自分が理解できる範疇をとうに超えてしまっていたからだ。
手持ちぶたさで周囲をぼんやりと見渡す。その中に、知っている人物がいた。
(お母さん……)

ゲンドウ、冬月の両名が数名の研究員とともにコアを自ら調査していた。
ゲンドウは普段している白手袋をはずし、丹念にコアを調べている。
「コアはサンプルとして保存。他はすべて廃棄して｣
クレーンで吊り上げられていくコアを目で追いつつ、ゲンドウが後ろに手を組む。
その手のひらについている醜い傷跡。
(火傷……？)
幼い頃に離れたものの、自分の知っている限りでは母にそのようなものは無かったはず。
(ここに来る前のお母さんのことなんて、何も知らないんだな……)
レイの気持ちが沈む。

「なに見てんだ？レイちゃん｣
「きゃっ！」
ポンッ、とミサトに肩をたたかれレイは我に帰った。かわいらしい悲鳴付きで。
「お、おどかさないでくださいよ」
慌てつつ視線を先ほどの位置に戻す。どうやら二人はすでに別の場所へ行った様だった。
悲鳴が聞こえて無くてほっとするレイ。
「勝手に驚いたんだろ……んで、どうしたんだ？」
「え、イヤ、別に……」
「あのなぁ、そんな顔して『別に』なんていわれたって、『心配してください』
　『かまってください』って言われてるようなもんなんだがな」
「あ、あの、その、お母さん手に火傷してるみたいで……それで……」
「火傷？リツー、なんか知ってるか？司令の手の火傷の事」
「ああ……、お前とレイちゃんがまだここに来る前、機動実験中の零号機が暴走した事が
　あったんだ。聞いた事はあるだろ？」
「あ、はい」
「暴走した零号機はこちらの指示なしでエントリープラグを射出。パイロットを閉じ込めた
　まま、プラグは天上、壁にぶつかり……床に落下した」
「！……パイロットって、綾波君ですよね」
初めて会ったときのシンジの姿をレイは思い出す。（じゃああの怪我は……）
「そう……。碇司令が、助け出したんだ。加熱したハッチを素手でこじ開けて。手の火傷は、
　その時のものだ」
「お母さんが……」
（あのお母さんが、そんなにまでして助けた……綾波君を……）
レイの気持ちはまたゆっくりと沈んでいく。だがその理由は、本人にも良くわかっていなかった。

作業場見学に来たものの、理解できたのは使徒が自分の範疇を超えたものでしかない、
ということだけだったレイは、午後から学校に行く事にした。
5時間目は体育。男子は水泳、女子はバスケ。

「あーもう、何でうちの学校は校庭にバスケ場があるかなあ」
「ほんまやな。日差しきつうてかなわんわ。ったく男子がうらやましくてしゃーないわ」
試合の順番待ちの間、サトミとユウキは愚痴り合っていた。隣に座っていたレイは少し離れたプール
に視線をやる。目をとらえたのは、一人男子の輪から離れしゃがんでいたシンジの姿。

「お、なに熱心な目で見とんねん？」
「へ？あ、いや」
「ひょっとして、綾波〜っ？」
「ち、ちがうわよっ」
サトミの言葉に慌てつつ反論するレイ。
「赤い顔してるくせに、あ・や・し・い・な」
「あ・綾波の顔、綾波の腰、「綾波のふくらはぎぃ〜」」
最後はハモりながら、じわじわとレイに詰め寄るサトミとユウキ。その行動が逆にレイを冷めさせる
結果となり、レイは何とか落ち着きを取り戻せた。
「だから、ちがうって」
「じゃあどうしたのよ？」
「……どうして彼、いつも一人なんだろうって」
「何だそんな事」
「そういや、一年のときに転校してきてからずっとやな。ほんまは性格悪いんと違う？」
ユウキがシンジの方を見ながら結構ひどい事を言う。
「パイロット同士なんでしょ、レイの方が知ってるんじゃない？」
「そりゃそうや」
「……ほとんど話、しないから」
ピピーー
試合交代の合図。この話題はここで打ち切られた。

学校が終わったレイは、ネルフでシンクロテストをする事になっていた。
プラグに乗り込み、テスト開始の合図を待つ。
モニターを見ていると、少し離れた先で零号機のプラグをチェックしているシンジが見えた。
そして、シンジに近づく一人の女性の姿。
「お母さん……」
ゲンドウに気づいたシンジはプラグから離れ、彼女のもとへと行く。
シンジは、笑っていた。ゲンドウもまた、シンジと楽しそうに話している。
二人とは対照的に、レイの気持ちはまた、深く沈んでいった。

その日の晩。
「ま、せっかくだしうちで晩飯でもどうだ？」
という誘いを受けたリツはミサトの家に来ていた。やるべき事は山積み、しかもそれは分刻みで
増えていくのだが、他愛の無い誘いの裏にあるものを察し、しかたがないな、と友人の元へ駆け
つけたのだ。
ちなみにリツのしかたがない、という判断のためにマヤは残業を強いられて泣いていた。

「なんだよこれ！」
「なんだって、見りゃわかるだろ。カレーだカレー」
「相変わらずインスタントな飯だな……」
「ただ飯食らうやつが文句を言うな」
「あの、ミサトさんの分は？」
すでに自分とリツの分の盛り終えたレイがミサトに尋ねる。
「あ、俺の分はこれに入れてくれ。ダバーーーーッと」
そういってBIGサイズのカップ麺をレイの前に差し出すミサト。
「……本気、ですか」
「本気も本気、こいつがうまいんだって」
「じゃあ……」
「ふっふっふっ、あらかじめスープを少なめにしとくのがコツだぞ。二人とも」
おそらく生涯使う事のないだろう無駄な知識を埋め込まれたレイ、リツをよそにうれしそうに
カップ麺をかき混ぜるミサト。それを放っておいて二人もカレーを口に運び、
「……」
「うっ……」
固まった。
「……これ作ったのミサトだな」
「お、わかるか？」
「味でな！」
（レトルトを原料になぜここまで味を変えられるんだお前は！）
「……今度呼ぶときにはレイちゃんが当番のときに頼む」
「あの、普段は私が作ってるんですけど、『カレーだけは任せておけ！』ってミサトさんが……」

そんな様子を一部始終眺めていたものがいた。振り返れば自分の食器に盛られた今晩の食事。
野生の感が危険を知らせるが、空腹に負けて一口。瞬間、
（#$%&@*+！）
体中の感覚がなくなり、小さな音を立てて倒れる。
（今日は……お風呂……入れないや……）
そんな事を考えながら、ペンペンの意識は闇に落ちていった。

「やっぱり引っ越したほうが良いぞ。こんな生活破綻者と一緒にいたらレイちゃんの身がもたんぞ」
「もう……慣れましたから」
カレーをなんとか胃に詰めながらレイが答える。
リツが「腹壊すぞ」といっても「せっかく作ってくれたんだし」と、レイは食べ続けていた。
「そうだ、人間の環境適応能力を侮っちゃあいかんぞ。第一手続き面倒だろ、レイちゃん新しい
　セキュリティーカードもらったばっかなんだから」
「あ、とまた忘れるとこだった」
そういってリツはカバンをあさりだし、カードを取り出すとレイに渡す。
「レイちゃん、シンジ君の更新カード渡すの忘れちまってさ。悪いんだけど明日本部に来る前に彼に
　渡してくれないかな？」
「あ、いいですよ」
「アリガト、んじゃいまシンジ君の家の地図書くから……」
メモ帳を破り、地図を書き出すリツ。その間、レイはカードに張られたシンジの写真をじっと見ていた。
「ん〜〜っ、ずいぶん熱心に見てるな〜、レイちゃん」
「へ？あ、え、あの」
「ひょっとして、レイちゃんシンジ君の事が」
「ち、ちがいます！」
「慌てちゃってぇ、からかいがいのある奴」
「ミサトと同じだな」
「……てめえ」
「私は、ただ……同じパイロットなのに綾波君のこと良く知らないから……」
「あぁ……いい子だぞ、とても。司令に似て、不器用だけどな」
「不器用？なにがです？」
「……生きる事が、かな。んじゃ、そろそろおいとまさせてもらうな」

「お、んじゃ送ってくか」
「ミサト、お前何本ビール飲んだかわかってるか？」
「大丈夫だって、もし捕まったってこいつ見せりゃ済む話だ」
そういってネルフの身分証をぴらぴらさせる。
「じゃ、レイちゃんは風呂にでも入ってな。ちょっくら送ってくるから」
「お、おい」
ミサトはリツを引っ張って出て行ってしまう。
一人残されたレイは唖然としつつも、風呂に入る事にした。

湯船に漬かっていると、昼間のモヤモヤが薄れている事に気づいた。
（楽しかった……かな。でも……）
何かが心に引っかかる。
（なんか忘れてるような気が……ま、いっか）
その日、やはりペンペンは風呂には入れなかった。

「今日はアリガトな」
「なに、俺は別に何もしちゃいないよ」
「いや、俺だけじゃちょっち厳しかったわ。んで、家で良いのか？」
「ああ、ネルフに……いや、やっぱ家でいい」
「りょーかい」
レイを元気付けるのには成功した。しかしリツはそのために泣かした部下をどうなだめるか
頭を悩ませ……とりあえず先送りにする事にした。

ー翌日ー

レイは地図を便りにシンジの住む部屋の前まで来ていた。
（本当に……ここに住んでるの？）
荒廃した団地住宅。その一室が綾波シンジの部屋だった。
意を決してインターホンのボタンを押す。

……カチ
カチ、カチ

「……壊れてる？」
留守を確認するためにドアノブをひねってみるとすんなりとドアが開いた。
「……あの、碇だけど……綾波君、いる？」
戸口から声をかけてみるも、返事はない。
「……あの、入るね」
別段悪気はないのだが、気配を殺しつつ部屋に入るレイ。
（え……！）

殺風景な部屋だった。
小さな冷蔵庫。こじんまりとした箪笥。パイプベット。キャスター付きのイス。
ゴミ箱として使ってるのか、冷蔵庫のそばに置いてあるダンボールには血の付いた包帯が無造作に
投げ入れられていた。

ぼんやりと、部屋を眺めるレイ。その視線が、箪笥の上にあるメガネをとらえる。
（……綾波君のかな？）
何の気なしに手にとり、かけてみる。
その時。

シャッ

背後からアコーディオンカーテンの開く音がした。
レイが振り返る。そこにはシンジが立っていた。シャワーを浴びていたのか、何も着けないままで。
固まるレイ。

「……あ、き、きゃぁぁぁぁぁっ！」
ようやく自体が飲み込めたレイは思わず悲鳴をあげてしまった。
レイを見ても相変わらず無表情だったシンジだが、彼女がかけていたメガネを見ると、
不快な表情を浮かべレイに近づいていく。
「あ、あの、その」
裸のまま近づいてくるシンジに動揺したためか、足がすくんで動けなくなってしまっているレイ。
どうにか顔をそらす事は出来たが、シンジの手はその顔に伸びる。
シンジの手がメガネに触れたとたん、レイの体から力が抜けた。
「うわ、あ、わあ！」
バランスを崩し、レイはシンジを巻き込んで床に倒れてしまった。

奇妙な光景だった。
生活の匂いがしない部屋で。
制服姿の少女が、裸の少年の上に倒れこんでいる。
上に乗った少女は、少年の胸元に頭を乗せ、動かない。
そこだけ時間が止まったのかのように。

「……どいてくれる？」
シンジの言葉とともに、止まった時間が再び動き出す。
「え？あ、きゃあ！」
自分が何をしたのかようやく理解したレイは慌てて飛び起きて、すぐに後ろを向く。
体の自由を取り戻したシンジは、倒れこんだ際に転がったメガネを大事そうに拾い上げる。
「何の用？」
ベットに投げ出していた下着を身につけながらシンジが尋ねる。
「へ、あ、その……なんだっけ。……カード、そうカード！」
何とか答えるも、動揺したままのレイの頭はうまく回っていない。
「リツさんがカード渡すの忘れて、綾波君のところに来て、それで、チャイム押しても反応なくて、
　ドアも開いてて、悪いかと思ったけどそのまま中に入って……ごめんなさい……。だから、そう
　いう気で来たんじゃなくて、あの」
バタン
ドアの閉まる音がした。
レイが振り向き、あたりを見回したが、そこにシンジの姿はなかった。

慌てて飛び出すと、シンジはまだ近くを歩いていた。数メートル前まで走ってきたものの、
レイはそこから近づくことができず、シンジと同じ速度で歩いていた。
駅までの道のりのあいだも、地下鉄に乗っている際も、その距離は縮まらなかった。

ネルフへのゲート入り口。
シンジはいつものようにカードをくぐらせるが、ゲートは開かない。
その横から、シンジの更新カードをくぐらせるレイ。
「これ、新しいカード。リツさんが届けてって」
レイはそのままカードを差し出す。シンジは黙って受け取ると、そのままゲートを抜けていった。

本部へと続く長いエスカレーター。
先ほどまでとは違い、だいぶ距離は縮まったものの、二人に会話はなかった。
（気、気まずい……何か話さないと）
「あ、あの、これから零号機の再起動実験だよね？」
「うん」
（良かった……答えてくれた）
「今度は、うまくいくといいね」
「うん」
「……」
「……」
「……ねえ、綾波君は怖くないの？」
「何が？」
「また……エヴァに乗ること」
「何で？」
「だって！……また、暴走するかもしれないんだよ」
「君、碇司令の娘さんでしょ」
「ええ」
「信じられないの？お母さんの仕事が」
「！……」
レイは黙り込んだまま下を向く。
（何で……綾波君は信じられるんだろう）
（何で……私は信じられないんだろう）
二人の会話はそこで終わった。

「これより、零号機再起動実験を行います」
ゲンドウの言葉に、施設場にいるチーム全員の顔が引き締まる。
「シンジ、準備はいい？」
「はい」
「第1次接続開始」
「主電源コンタクト」
「稼動電圧臨界点を突破」
「了解、フォーマットをフェイズ2に以降」
「パイロット、零号機と接続開始」
「パルス及びハーモニクス正常」
「シンクロ、問題なし」

オペレーターの発言に、シンジはゆっくりと息を吐き、エントリープラグの隅に引っ掛けていたメガネを
見る。彼を良く知るものであれば、先ほどまでより落ち着いた雰囲気が見て取れただろう。

「オールナーブリンク終了。中枢神経素子に異常なし」
「1から2590までのリストクリア」
「絶対境界線まで後2.5……1.7……1.2……」
部屋に緊張が走るのがわかる。マヤの声もこわばってきているが、淡々と状況を報告していく。
「1.0……0.8……0.4……0.3……0.2……0.1……ボーダーラインクリア！零号機、起動しました」

先ほどまでの緊張感がわずかに薄れる。完全に解けるのは今日の実験が終了してからだろう。
「引き続き、連動試験に入ります」
プルルル……プルルル……
突然、試験場に内線電話のコール。
「ええ……わかったわ。碇さん、未確認飛行物体がここに接近中。おそらく、第5の使徒ね」
「テスト中断。総員第一種警戒態勢」
冬月の報告にゲンドウは即座に指令を出した。
「零号機はこのまま使わないの？」
「まだ戦闘には耐えられません。初号機は？」
「380秒で準備できます」
「では、出撃」

突然の使徒襲来も、パイロットがすでに本部にいたことからスムーズに事は進んでいく。
「目標は芦ノ湖上空へ侵入」
「エヴァ初号機発信準備完了！」
「よし、エヴァ初号機発進！」
ミサトの号令とともに初号機が地上へと突き進む。
そのさなか、使徒に動きが見られた。
「目標内部に高エネルギー反応！」
オペレーターのハルカの報告に発令所が騒然とする。
「なに！」
「円周部を加速！収束していきます！」
ゲートが開き、初号機が地上に姿を出す。
「まずい！よけるんだ！」

「え？」
突然のミサトの言葉が理解できなかったレイが見たのは、目の前の兵装ビルが融解していく瞬間。
それを引き起こした光線が、無防備な初号機をとらえる。
「きゃああああああ！！」
レイの悲鳴が、発令所に響き渡った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

待ってたよー！>91

レイが男だと別の意味で色々ヤバイな。女シンジ激しく萌え。

加持がええ感じになるな・・・

男アスカと女加持に期待

2週間ぶり。片手間とはいえ時間空きすぎですね。
ま、誰も読んで無くても、気分転換にいい感じ。
もし次も書くとしたら、結構いじってこうかな。

「きゃああああああ！！」
発令所に響き渡るレイの絶叫。目の前の光景と少女の悲鳴に、発令所にいる者はとっさに
動く事が出来なかった。

「戻せ、早く！」
いち早く自分を取り戻したミサトが叫ぶ。その声にすぐさまマヤは出撃リニアレールを下降させていく。
いつもより降下が遅く感じられるのはいまだ初号機に浴びせられる光線の衝撃のためか、それとも
見ているだけしかない者の焦りのためか。初号機の胸部がようやく隠れたところで使徒の攻撃は止んだ。

「目標、沈黙！」
「レイちゃんは！」
「パイロット脳波異常、心音微弱……いえ、停止しました！」
「初号機は第7ケイジへ回収！」
「生命維持システム最大にしろ！心臓マッサージ！」
「了解！」
シートに倒れこんでいたレイの胸に衝撃が走り、体が浮き上がるように痙攣する。
「パルス確認！」
「プラグの強制排除、急げ！」
「LCL緊急排水」
「はい」
「ケイジに行って来る！悪いが後は頼む」
滞りなく進むレイの緊急措置の中、ミサトは収容されたケイジへと走った。
たどり着いたケイジから見えたのは、アームによりシートごと回収されたレイの姿だった。
すぐさま救護班がタンカに移し、救急病棟へと運ばれる。ミサトは無言でその後を追っていった。

「目標が再度進行を開始！」
いまだ緊張覚めやらぬ発令所に、再び衝撃が走る。
第5使徒はネルフ直上へと移動すると、下部から細長い棒のようなものを突き降ろしていく。
「敵は何を始めたんだ！？」
「ジオフロント内、ネルフ本部に向かい穿孔していきます」
「―――ここへ直接攻撃を仕掛けるつもりか」
第5使徒から伸びたそれはゆっくりとだが、確実に地面を掘り進んでいく。

それから幾ばくかの時が経ち、作戦課では、ミサトによる第5使徒の情報収集作業が開始された。
モニターに写るのは、湖から使徒へと近づくエヴァ初号機。精巧に作られてるが、実際は船から
ワイヤー固定された一分の一『バルーンダミー』であった。
右手にはエヴァ用のハンドガンが握られおり、遠隔操作によりその手が使徒に向けられる。
その刹那
「ダミー蒸発！」
第5使徒が一瞬まばゆい光りを出したと思った次の瞬間、バルーンダミーの姿は跡形もなく消えていた。
「次っ！」
ミサトの号令により、先ほどよりも離れた地点、線路上に鉄道輸送用台車に固定された
12式自走臼砲が姿をあらわす。遠隔操作によって照準が第5使徒へと固定。一瞬の間の後、
大型レーザー砲が火を噴く。
しかし、第5使徒に命中する寸前でATフィールドによって防がれてしまった。
そこから一瞬の間の後に第5使徒が加粒子砲を放つ。
傍目から見て、先のバルーンダミーと変わらぬほどあっさりと、それはこの世から消え去った。

「……なるほどっ」
ミサトがつぶやく。それが情報収集作業終了の合図だったかのように、先ほどまでのデータ、映像を
作戦部員がブリーフィング資料用に処理していく。

その結果わかったのはエヴァによる近接戦闘がほぼ不可能である事。
その為、敵ATフィールドの中和をする事は出来ない。
それでいてそれは生半可な武器ではとても破る事が出来ない、という事実。
第5使徒の本部侵入までは逆算の結果すでに10時間を切っている事が判明済み。

ミサトは頭をフル回転させ、現状打破の可能性を探る。第5使徒の情報、使えるであろう材料、
それを準備するための時間……、並の者ならあきらめてしまうだろう現状でしかない。
「白旗でもあげましょうか？」
「……その前に、ちょっちやってみたい事があるんだ」
軽口をたたいていても、マコトは上司を信頼していた。常識はずれなその内容を聞いても。

「エヴァによる超長距離からの直接射撃、ね……よく司令が許可したもんだ」
あれからミサトが立てた作戦を急ピッチで形にし、ゲンドウの許可を得たミサトはその足でリツの元へ
向かい、技術部に協力を要請していた。
「失礼だな。現時点で取れる最高の作戦だぞ」
「成功確率8.7％……これがねぇ……。でも、うちで開発中のポジトロンライフルじゃ、
　そんな高出力は不可能だぞ。どうする気だ？」
「ああ、借りる」
「借りるって……まさか！」
さらっと言いのけるミサトにリツは、それが可能であろう物の存在があったことを思い出す。
「多分当たりだ……戦自研のプロトタイプをな」

「と、いうわけで現時刻を持って、これは特務機関ネルフが徴発します」
ミサトの行動はほとんど強奪といってもいい。突如戦自研に現れたと思えば、職員に令状をたたきつけ、
重要な研究物質を持ち出そうとしているのだから。
その横柄な行動に怒りを通り越し、唖然としている職員に、
「出来るだけ、現状維持でお返しします」
の一言で済ませてしまう。
運搬役はシンジ。もちろん生身ではなく、「肩ならしがてらに」と零号機まで持ち出していた。
「精密機械だから、丁寧にな〜っ」
倉庫の屋根をはずし、運ばれていく姿をなすすべもなく見つめる職員をよそに、マコトは重要な点を
指摘する。
「しかし、あのATフィールドを破るために必要な電力は最低でも1億8千万ｋＷ。それだけの物を
　どうやって準備するつもりなんですか？」
「決まってるじゃないか」
不敵な笑みを浮かべながらミサトはあっさりと答える。
「日本中から、だ」

借り物を済ませてからのネルフ本部は台風真っ只中のごとく、あわただしく動いていた。
「ポジトロンライフルの準備はどうだ！？」
「技術開発部の意地にかけても後3時間で形にして見せます！任せてください！」
「エネルギー・システムの見通しは！？」
「現在予定より3.2％遅れていますが、本日23時10分には何とか出来ます！」
「よし！初号機の状況と防御手段は！？」
「初号機の胸部装甲板はすでに換装作業終了。防御については、それはもう盾で防ぐしかないな。
　急造仕様だが、元はSSTOの底部に利用されていた超電磁コーティングされているものだ。
　敵の砲撃にも17秒は耐えれるはずだ」
「オッケー、信頼してるぞ。日向、狙撃ポイントの割り出しはできた？」
「敵との位置関係、ならびに変電所設備からいって、ここ、二子山山頂がベストかと」
「確かに。これより、本作戦を"ヤシマ作戦"と呼称します！」

ミサトが作戦名を名づけたところで、それにあわせるかのように病院からの連絡が入った。
「葛城さん、サードチルドレンが危険域を脱出。一般病棟へと搬送されたそうです」
「そうか……」
「でも……あの子、また乗ってくれるでしょうか？」
「……二子山仮設基地の準備、急げ」
乗ってもらわなければこの作戦はアウト。だが準備が怠っては始める事さえ出来ない。
ミサトは今自分が出来る事をやるしかなかった。

日が傾き、オレンジの光があたりを包みだした頃、レイは目覚めた。
自分がどうなったのか、はっきりと思い出せない。
それでも、第5使徒の攻撃が原因で自分がここにいるのだ、ということだけはわかった。

"プシュ"
エアのぬけるわずかな音とともに病室のドアが開く。
レイが視線を移すと、シンジが食事を載せた台車を押しながら病室に入ってきた。
まだぼうっとしているレイを気にも留めず、シンジはベットのそばまで来ると、手帳を取り出した。
「明日、午前0時から発動されるヤシマ作戦のスケジュールを伝えます。碇・綾波の両パイロットは
　本日17時30分ケイジに集合。―――――――」
頭がまだはっきりしないため、レイはシンジの話す内容をうまく聞き取れなかった。それでも、まだ
第5使徒が健在で、自分はまた戦わなくてはならない、ということだけは判った。

「これ、新しいの」
伝達事項を終えたシンジは台車から袋詰のプラグスーツを取り出し、ベットに放り投げる。
自分の丁度おなかのあたりに置かれたそれを掴もうと、レイが上半身を起こす。
「寝ぼけて、その格好で来ないでね」
「……え？……あ、きゃあ！」
シンジの言葉に自分が裸であるという事にようやく気づいたレイは、露になった小ぶりな胸を慌てて
シーツで隠す。

「……ごめん」
自分が悪い事をしたわけでもないのに、レイは思わず謝ってしまう。赤らめた顔で上目遣いにシンジ
のほうをみるが、シンジは別段動揺したそぶりもない。
「食事」
そういってトレイに乗った病院食をレイに見せるが、
「……食べたくない」
レイは一瞥しただけで視線をシーツに落とした。
「60分後に、出発だよ」
シンジの出発という言葉にレイが一瞬体を震わせる。
「……また、あれに乗らなきゃいけないのかな」
「うん」
「私は……もうイヤ。もう、あれに乗って怖い思いなんてしたくない！」
レイが叫ぶ。その目じりには涙が浮かんでいた。
「じゃあ寝ていれば？」
「え？」
「初号機には僕が乗る。赤木博士が、パーソナルデータ書き換えの準備、してるから」
「リツさんが……」

自分の予期していない状況に、レイは呆然としていた。顔をシンジに向けると、シンジはじっと、
レイの目を見つめている。
（ずっとここで寝てたら、あんな怖い目にあわなくてもすむ……でも、そしたら、綾波君はひとりで
　あれと戦う事になるんだ。なのに……なんでそんなに平気なの……）
『信じられないの？お母さんの仕事が』
突然、数時間前に聞いた言葉がレイの頭をよぎる。
（私は……お母さんの事を……お母さんの仕事を……）
「……じゃ、さよなら」
再びうつむいてしまったレイをそのままに、シンジは病室を後にする。
その姿も見ず、レイはひとり悩む。
（私は……どうすればいいの？）

17時25分。ミサトとリツはケイジにいた。傍らに立つシンジからの報告で、レイが乗りたがっていない
ことはすでに判っていた。だが彼らはレイに何か言おうとは一切しなかった。
「……あの子が乗らなければ、ただでさえ低い成功率がさらに下がるぞ」
リツがつぶやくようにミサトに話し掛ける。
「……レイちゃん自身に決めてもらいたいんだ。それであの子が乗らないって言うんなら、それは
　それでしかたのない事なのかもしれない」
「その結果、人類が絶滅してもか？」
「……させないさ、そんな事」
「何の根拠があってそんなこ……」
リツがミサトへさらに言及しようとしたとき、ケイジに小さな足音が響いた。
「……レイちゃん」
プラグスーツを着た小さな女の子の姿がゆっくりと近づいてくる。
「……良いんだな」
ミサトの言葉に、レイは下を向いたまま小さくうなずく。
「エヴァ各機、発進準備！」
ミサトが号令を出す。その声とともにレイ、シンジは各々の機体へと足を向けた。
レイはいまだ下を向いたまま、初号機へと向かう。
（結局……先送りして、逃げてるだけなのね……）
その表情は暗い。

すでに避難勧告が出され、人気のない街。そんな中、とある学校の屋上に数人の少女の姿があった。
「なあサトミ。ほんまにこの時間なん？もう避難せなあかん時間になるで」
「ママのデータこっそり見たんだ。間違いないって」
「ほんまかい……って！」
突然、学校そばの山が機械音とともにその形を変えていく。屋上の少女たちはその姿に釘付けとなった。
「エヴァンゲリオンだ！」
サトミの多分に感激を含めた叫びとともに、ゆっくりと初号機、零号機が姿をあらわす。
「お、綾波も一緒なんか」
自分たちが初めて見るオレンジのエヴァ。あれがシンジの機体なのだろうとユウキがあたりをつける。
「がんばってーーー！」
「気をつけてねーーー！」
少女たちが思い思いに激励の言葉をエヴァに向かって叫ぶ。
その声が届いたのか、レイの顔が綻ぶ。これがこの日最初で最後の、レイの笑顔だった。

夜。
普段であれば闇にその姿を隠す二子山だが、今宵は全く逆の姿を見せていた。
おびただしい数の電力供給車と、それにつながる冷却システム。
そしてそれらを照らす巨大なライトの群れ。
その姿は、機械仕掛けの蛇に巻きつかれているかのように見える。
その頂上、二子山仮設基地ではミサト、リツによる作戦の最終伝達がチルドレン二人に告げられていた。
「レイちゃんは初号機で砲手を担当。シンジ君は零号機で防御を担当して」
「これはレイちゃんと初号機とのシンクロ率のほうが高い為。今回はより制度の高いオペレーションが
　必要となるからだ」
真剣な顔つきの二人に気負わされながらも、レイ、シンジは各々の分担を了承する。

「レイちゃん、陽電子は地球の自転・磁場・重力の影響を受けるため直進しない。その誤差を修正する
　のを忘れないでくれ」
「でも、そんな事まだ練習してませんよ」
「大丈夫だ。君はテキスト通りにやって最後に真ん中の照準マークがそろったら撃てばいいだけだ。
　あとは機械がやってくれる」
「もし1発目が外れたら……？」
「2発目を撃つには冷却や再充電等に20秒はかかる。その間に敵の反撃を食らったら……アウトだ」
「僕は、初号機を守ればいいんですね？」
抑揚のない声でシンジが確認する。
「そうだ」
「あの……もし、盾がもたなかったら……」
「今はそこまで余計な事を考えなくてもよろしい。1発で、撃ち抜くことだけ考えるんだ」
（……大ピンチっ、て訳ね……）
「時間だ。二人とも準備して」
「「はい」」

空からの淡い月の光と、地上からの明々とした人工の光に包まれた二体のエヴァ。
その周りに組まれたキャットウォークの上部に腰をおろし、二人は山の向こうを見つめていた。
街のあるあたりが光を失っていく。自分たちのいるところだけが光に包まれた様は、まるで世界にここ
しか人がいないのではないかと思わせる。
「私たち、死ぬかもしれないね」
「どうして、そういうこと言うの？」
レイの突然の言葉に、シンジは静かに返す。
「……綾波君は、なぜエヴァに乗るの？」
「絆……だから」
「お母さんとの？」
「……みんなとの」
「強いんだね、綾波君は」
「僕には、他に何もないから……」
「何もないって……」
シンジがプラグスーツに内蔵された時計を見る。搭乗時刻となった。
「時間だよ。行こう」
立ち上がり、レイを促す。
操作盤に手を掛けたとき、シンジが静かに言った。
「君は死なないよ」
「え？」
「僕が、守るから」
「綾波君……」
「じゃ、さよなら」
シンジはそのままエントリープラグへと向かった。振り返ることなく。
レイはそんなシンジをただ、見つめるだけだった。

指揮車のモニターに表示されている時計が、日付が変わった事を告げる。
「時間です」
マコトの報告にミサトが作戦開始を告げる。
「レイちゃん、日本中のエネルギー、すべて君に預ける」
「はい」
「ヤシマ作戦スタート！」
日本中からかき集められた電力が、初号機の握るポジトロンライフルへと注がれていく。作業は順調に
進んでいった。
「最終安全装置解除！」
「撃鉄起こせ！」
ミサトの指示を受けたマコトが、レイに合図を出す。初号機の右手が、力強くレバーを引く。
準備の終えたレイの頭に、長距離射撃用のモニタースコープが覆い被さる。
「第7次最終接続。全エネルギーをポジトロンライフルへ」
「発射まで後10秒。9・8・7・6」
すべてが順調に言っていた最中、突如第5使徒に動きが見えた。
「目標に高エネルギー反応！」
「気づかれたか！」
マヤの報告にミサトが苦い顔をする。それからすぐに、ポジトロンライフルの充電が完了した。
「撃てっ！」
迷い無くミサトは指示を出す。レイはためらうことなくそれに従い、引き金を引いた。

ポジトロンライフルから繰り出される高出力の光の渦。
それとほぼ同じくして第5使徒より放たれた加粒子砲。
恐ろしいまでの二つのエネルギーはそれが合い交える瞬間、まるでよじるように双方とも予定外の
方向へと行き場を変えた。
第5使徒の砲撃は仮説基地を直撃こそしなかったものの、すさまじい衝撃をその場に与えた。
ミサト達の乗った指揮車は、窓ガラスが割れ、吹き飛ばされる。
こちらから放った陽電子砲も、まるで見当違いの場所を吹き飛ばしていた。

（ミスった……！）
失敗を悟り、レイに焦りの表情が浮かぶ。
さらにこの時、第5使徒のボーリングマシンがジオフロントへと到達した。
その報告を受け、ミサトは一刻の余裕も無い事を悟る。
「第2射、急げ！」
ミサトの指示に、レイは慌てて撃鉄を起こす。
「ヒューズ交換確認！再充電開始！」
「目標に再び高エネルギー反応！」
「な、まずい……！早すぎる！」
第5使徒が再び加粒子砲を二子山へと放つ。それはまっすぐに初号機へと向かっていく。
「きゃあああああ！」
ファーストコンタクトの際の記憶がレイによみがえる。その恐怖から、レイは思わず目を瞑っていた。
「……！？」
再び味わうはずの痛みがこないことに疑問を感じ、レイはゆっくりと目をあけ、
目の前の光景に衝撃を受けた。
「綾波君！？」
目の前には零号機の後姿。加粒子砲が届く直前、初号機の前に立ちふさがっていた。
しかし、止む気配の無い加粒子砲に、零号機の盾は次第に形を失っていく。
「まだなのか！？」
「後10秒です！」
その姿が確認されたからだろう、ミサト達周辺に焦りと苛立ちが渦巻いていた。
（早く……早くっ……！）
それを間近で見せられているレイはミサト達以上に焦っていた。いつもと変わらぬはずの時間の動きが、
まるで遅く感じられる。
そしてついに、盾はその姿を失った。
それでも止む事の無い加粒子砲が、零号機を溶かしていく。
「綾波君！よけてっ！」
レイの叫びにも、零号機はその場を動こうとはしない。レイが再び叫ぼうとした瞬間、
ポジトロンライフルの再充電が完了した。

「いまだ！撃て！」
ミサトの指示に涙目になりながら、レイは再び引き金を引く。零号機に覆い被されるようにして放たれた
陽電子砲は、まっすぐに第5使徒を貫いた。
「よっしゃあ！」
ミサトが思わず叫ぶ。その直後に、本部からボーリングマシンが停止した報告が寄せられた。

陽電子砲が第5使徒を貫いたのを確認したレイは、指示も待たずに零号機を横に寝かせると、
エントリープラグを引き抜いた。それを地面にそっと置くと、すぐさま初号機から出て、シンジのいる
エントリープラグへと走る。
加粒子砲の直撃のためか、それはひどく熱を帯びていた。しかしレイは脱出用ハッチのハンドルに
手を掛けると、熱で両手を焼かれながらも必死でハンドルを回す。
ようやく開いたハッチにその見をくぐらせると、中には目を閉じ、ぐったりとしたシンジの姿。
「綾波君っ……綾波君っ！」
そんなシンジを必死にゆさぶるレイ。
どれだけそうしていたか、苦しげな表情を浮かべながらシンジはゆっくりと目を開いた。
「碇……さん？」
「綾波君……よかった……」
目に涙をためながら、レイは安堵する。
「別れ際に……さよならなんて言わないでよ……。自分には……自分には何も無いなんて、
　そんな悲しい事、言わないでよ……うっ、ぐっ、ぐすっ」
「なんで……泣いてるの？」
すでに堰を切ってしまったレイの涙は、止まる様子も無い。そのまま、下を向いてしゃくりあげる。
「ごめんなさい……こういう時、どんな顔したら言いか、わかんないんだ」
シンジの言葉に、ゆっくりとレイが顔をあげる。まだ涙が伝ってはいたが、その顔はやさしい笑顔だった。
「笑えば……いいと思うよ」
その笑顔に、シンジはゲンドウの姿を重ねる。
シンジは笑った。
それはとても、綺麗な笑顔だった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづくの？

ネ申よ。待っておりました。

ふと見ると、隣が汁総合ｽﾚ。
最下層まっしぐら。
それでも必死に書いてます。

んな訳で、7話。必死すぎて変な方向に向かってます。

第三新東京市に朝日が昇り、万人に与えられし自然の恵みである日光が街を包む。
日々、街を守る一人の少女にもその恵みは届いていたが、今現時刻ではカーテンによって遮られていた。

レイは眠っている。
体を丸め、胎児のような姿勢で、穏やかな寝息を立てている。
未だ目を覚まさぬ少女のいる部屋の襖がスッ、と静かな音をたてて開く。
部屋の主の許可を得ぬままに襖を開けた侵入者は、己の体からあふれる欲望を隠そうともせず、まっすぐ
にレイの枕元へと進んでいく。
侵入者が自分の傍に立っているのも気づかずにレイはまだ眠っていた。
侵入者の持つ鋭利な鉤爪がレイの頬へと迫り……。

ツン
「……」
ツン、ツン
「……う、ううん」
ツン、ツン、ツン
「……ん？……ペン、ペン？」
「クワァァァ」
「……ん、ふぁぁぁぁぁあ。おはよ」
「クワァ、クワァ！」
「……ん、今、朝ごはん準備するから……」
レイの部屋にも目覚し時計はあったが、いつも朝食を催促するペンペンが起こしに来てくれるので、その
機能はすっかり影を潜めていた。

ボ〜っとする頭のまま、パジャマ姿で部屋を出て、途中でリビングのテーブルに転がったリモコンでテレ
ビのスイッチを入れる。そのままキッチンへと向かうはずだったが、テレビから流れてきた音声がレイを
その場にとどまらせた。
『……時刻は、8時15分を回りました。では次は芸能ニュース……』
「…………えぇ！！」
一瞬にして目が覚めたレイはリビングの壁掛け時計に目をやる……8時15分。
振り返り、ニュース画面左上段に表示された時刻表示を見る……8時15分。
視線を下げ、ラックに収納されたビデオデッキの時刻表示を見る……8時15分。
その場からダッシュで部屋へと戻り、普段している腕時計を見る……8時12分。
「3分遅れてるや、後であわせないと……ってそうじゃなくて！」
「クエェェェェ！」
「ああ、ペンペン！ミサトさん起こしてきて！」
未だ餌をねだるペンペンを追いやり、レイは大急ぎで制服に着替える。

「ふぁぁぁぁあ、何だ、朝から騒々しい……」
ペンペンが起こす前にドタバタ騒ぎで目を覚ましたミサトがレイの部屋の前に現れる。その襖は開けっ
放しのままだった。
「キャッ！　入ってこないで！」
制服のシャツにようやく袖を通したばかりで、下半身はショーツ一枚という格好のレイは、突如現れたミ
サトの顔面に枕を投げつける。
バフッ！
「ふがっ！」
いきなり目の前にたたきつけられた衝撃に耐え切れず、ミサトは数歩ほど後退してしまう。
「ご、ごめんなさい！」
謝りつつ、レイはダッシュで襖を閉じた。

「ああ、もう、ああ」
慌てながら何とかスカートを穿こうとするレイだったが、プチパニック状態のためむしろ普段のほうが早
く着替えられてるほど時間がかかっている。
そんな中、

ピンポーンッ

玄関のチャイムが鳴った。
「ん……はい、葛城です」
枕を顔面に食らっても未だ寝ぼけまなこのミサトがインターホンを取る。
「え、あ、ミサトさんですか！？　おはようございます！　ユウキですけど、レイの迎えにきました！
　……ってちょ、なにすんねん！」
「ミサトさんおはようございます！サトミです！」
「ああ、レイちゃんの友達の……今開けるから、ちょっち待っててくれ」
そういってインターホンの受話器を戻すと、ミサトはふらふらと玄関へと向かっていく。
その後姿を、ようやく着替え終えて部屋から飛び出したレイが目撃してまた慌てだす。
「な！ちょ、ちょっとミサトさん！そんな格好で！」
「ん〜〜？」
時すでに遅く、ミサトは玄関にたどり着き、ロックをはずしていた。
開け放たれる玄関のドア。


「「おっはよう！　ミサトさん！　レイ！……って、キャアアア！！」」
玄関に少女二人分の悲鳴が響く。
無理も無い。
ミサトは普段の寝起きの格好のままの、Ｔシャツにトランクス一枚で少女たちの前に現れたのだから。
ユウキには弟がいるとはいえ、大人の男のそれとはまるで違うし、耳年増なサトミもこのような免疫は
まるで無し。
この時既に、ミサトの男の朝の生理現象が治まっていたのは不幸中の幸いともいえる。
「ミサトさん！さっさと奥に引っ込んで！」
耳を抑えながらも未だ玄関前で立っていたミサトを押しのけ、レイが玄関を飛び出す。ようやくセンサー
から人影が外れ、ドアは閉まった。

驚きの表情のまま固まった友人二人を引きずりながらエレベーターへと向かうレイは、二度と野性の腹
時計を信用しない、と心に誓った。

一方……

「朝から元気だな……、俺も年取ったかな……」
「……クワァ」
「……飯にするか、ペンペン」
「クワッ！」
騒動の堰を切った元凶は、ようやく目的を達成させる事が出来た。

エレベーターを降り、マンションから出てようやくユウキとサトミは自力で歩けるほどまで回復した。
が、それからも二人は一言も口を開こうとしない。
「……」
「……」
「……あの、二人とも……」
「……」
「……」
重苦しい雰囲気の中、三人は通学路を歩いていく。
と、突然ユウキが立ち止まり、レイに詰め寄る。
「……な、何？」
「……あんな、レイ。確かにミサトさんはカッコええで。でも、うちらはまだ中学生や。いくらなんでも
　早すぎなんと違うか？」
「……へ？」
いつのまにかユウキだけで無くサトミまでレイに詰め寄っている。そのプレッシャーから逃れようと、
レイは一歩後ずさる。
「ユウキの言う通り。もっと自分を大切にしなきゃ」
「……二人とも、なんか、勘違いしてるって……」
「「何が！」」
下がった分以上に詰め寄られ、先ほど以上のプレッシャーをかけてくる二人に、レイは言葉を無くしかけ
るが、誤解をとかなくては更なる悲劇を招く事は目に見えている為、勇気を振り絞る。
「あ、あの、ミサトさんって、家じゃ結構、どころか、かなりだらしなくって、ほ、ほら、元々一人暮ら
　しだったし、お風呂上りとかもあんな感じでうろつく事が多くって、私も注意してるんだけど……」
最後の方は掠れる様に小さくなってしまったが、レイは何とか誤解を解こうとする。

「……」
「……」
「……だ、だから、別に何もやましい事は……」
「さよか」
「……へ？」
「まあ、レイみたいなお子様にミサトさんが手をだしたりしないよね」
「……へ？え？」
あっさりとレイから顔を離すユウキとサトミ。
「か、からかってたの！？」
「おーおー、真っ赤になりおって。かわいいヤツ」
「まあ、万に一つも無いとは思うけど、一応確認しとかないとね」
「な、ひどいよ！」
顔を真っ赤にしながらむくれるレイ。二人はそんなレイを両サイドからがっちりと押さえ込む。
「言うとくけど、抜け駆けは無しやからね」
「っていうか、レイには綾波がいるでしょ」
「なっ！」
突然の言葉にもっと顔を赤くするレイをニヤニヤと眺めながら二人は声を揃え、
「「地球の平和はレイに任せた！だからミサトさんはあたしらに任せろ！」」
二人して背中をひっぱたくオマケまでつけられ、レイは軽くむせてしまった。

朝の騒動から時間は流れ、第1中学校はお昼休みに。
「ああ……やっとお昼だ……」
寝坊のせいで朝食抜き、さらに都合の悪い事に午前中に体育の授業があった為、レイは精根尽き果てて
机に突っ伏していた。
「さあ、飯や飯！今日も購買のパンがウチを呼んでるでぇ！」
クラス一の元気娘がダッシュで教室を飛び出していく。その姿を横目に見ていたレイだったが……
「……ああ！」
「どしたのレイ？　大声出して」
「……お弁当、作ってこなかったんだ……」
「まあ、朝の様子見てればそうだろうねぇ」
「うう……」
「ほら、購買行こ」
「もう動けない……」
「……さっさとしないとユウキに買い占められるよ」
ユウキが聞いたら「そないに金もってきとらんわ！」と、怒りそうなことをサトミは言いつつ、レイを
机から引き剥がす。
「……このまま引っ張ってってぇ……」
「あんたねぇ……あ、綾波丁度いいところに！」
一足先に購買部で昼食を買って戻ってきたシンジがその声に反応する。
「……何？」
「あのさ、レイがもう一歩も動けないって言ってるから……」
サトミの発言に　（さすがに綾波君をパシリに使うなんて）　と、あきらめてレイはのったりと体を起
こそうとして、
「……だから綾波、レイをおんぶして購買部まで連れてったげて」
続きの言葉を聞いて、再び机に倒れこんだ。
ユウキが見ていたなら「新喜劇まんまやな」と褒めるほどの勢いで。
「……判った」
そういってシンジは机に昼食を置くとレイのもとに行く。
「え？ちょ、大丈夫だから！　サトミ、行こ！」
シンジが行動に移す前に、レイはサトミの手をつかむと、猛ダッシュで教室を飛び出していった。
そんな様子を見てシンジは軽く首を傾げたが、そのまま席に戻り、お昼を取ることにした。

「何だ、元気じゃない」
「何考えてるのよ〜」
「もう動けないんじゃなかったの？」
「……今ので使い果たしたわよ」
先ほどの猛ダッシュも教室を出てから数秒で限界をむかえたレイは、ふらふらと購買部へと向かっていた。
「何してん？二人とも」
丁度教室と購買部との中間地点でユウキが合流する。両手には戦利品が山ほど抱えられていた。
その量は普段買ってくる倍以上ある。
「……ユウキ、そんなに食べる気……」
「……サトミの言ってた通りになっちゃったよ……」
「何いってんのや？　今朝の様子からして、レイが弁当持ってきとらんやろと思ったから、レイの分も買
　うてきたんや。ついでにサトミの分もな。感謝しいや」
「あ、ありがとう〜！」
「持つべきものは友ってやつね」
「ちゃんと食う分は払ってや。後、飲みもんはそっちのおごりっちゅうことで」
「……」
「……」
「なんや、その目は……いらんのか？」
「……ください」
「ほなウチはコーヒー牛乳な。先に屋上で待っとるさかい」
「……はい」
「……行こうか？」
結局レイは購買部まで行くことになった。疲れた体をひきずって……。
そんな様子を見てサトミはなんとなく、不憫な子だなぁ、などと思ったりしながら一緒についていった。

「あ〜〜〜っ、ようやく生き返った……」
ユウキからの友情をありがたく頂いたレイは、幸せな表情を浮かべながら手すりに寄りかかっていた。
「あれっぽっちで生き返るなんて、お手軽省エネ娘やな」
そんなことを言いながらユウキは焼きそばパンの袋を開ける。傍らには空の袋がいくつも転がっている。
「あんたが燃費悪すぎなだけだって」
イチゴ牛乳をストローですすりながらサトミが合いの手を入れる。
「これで午後の授業ものりきれそう……本当ありがとうね、ユウキ」
「全く大げさなヤツやな……そういや、午後は進路相談やね。レイんとこはお母さんが来るん？」
「ううん。ミサトさんだよ」
「朝の格好で来たりして」
「……ちゃんとした格好で来るよう何度も言っておいたから、大丈夫だとは思うけど」

きーんこーんかーんこーん

「っと、後5分か。さっさと食ってしまわんと」
予鈴にせかされて、ユウキは残っていたパンを一気に詰め込んでいく。レイは付近に散らばったゴミを
ビニール袋に詰めている。
「まめだねぇ、レイは」
「当たり前の事でしょ」
そういいながら袋の口をキュ、っと締めて教室へと向かっていった。サトミもその後に続く。
「な、ちょい待ってえな！」
口いっぱいにパンを詰め込んだユウキも慌ててついていった。

教室に戻ったレイたちは談笑の続きをしていた。
そんな穏やかな中、突如駐車場にタイヤが激しく擦る音が響き渡る。その音は教室まで届いていた。
嫌な予感に導かれ、レイは窓から駐車場をのぞく。そこには見慣れた青い車の姿があった。
レイのクラス以外でも、突然の闖入者に多くの者が視線を送っていた。
そして車から降りてくる一人の男。
上下アルマーニの白スーツで決め、黒のシャツに真っ赤なネクタイ。ワックスできっちりと固められた
オールバックの髪型に、レイバンのサングラス。
少しでも崩れていたらホストのような下品さを出していただろうが、男は一分の隙なく着こなしている。
多くの視線を受けているのを察したのか、ゆっくりとサングラスをはずし、、胸ポケットへと入れる。
男の名は葛城ミサト。レイの保護者であった。

「あああああ……」
保護者のあまりにも場違いな格好にレイは頭を抱えてしまう。
そんな姿を遠目から確認できたのか、ミサトは校舎へと歩きながらレイの教室にキザな笑みを向ける。
「キャーッ！　あの人誰！」
「碇さんの保護者！？」
「えー！　うそ、あんなかっこいい人に保護されてるの！？」
「カ、カメラ、カメラ！」
すっかり騒がしくなった教室内の女子とは別に、男子一同はやっかみともつかぬ静まり返りを見せていた。
「ったく、馬鹿みたい」
委員長であるヒカリの言葉が男子全員の気持ちを代弁していたが、女子の喧騒に虚しくかき消された。

今日は進路相談が終わった者から下校してよかったのだが、レイはクラス内外の女子に囲まれた為、
進路相談終了後もしばらく帰れなかった。

あわただしく過ぎた日から一夜明けた翌日。
ＪＡというロボットがお披露目会で暴走するも、ミサトが体を張って炉心融解を阻止。その姿に、レイは
ミサトを少し見直した。
ミサトとともにお披露目会に行っていたリツは　「馬鹿な事を」　と、呆れていたが。

そのまた翌日。
先日の反省を込め、きっちり自力で起きたレイはペンペンと朝食をとっていた。
「う〜〜〜っ、だる……」
さわやかな朝をぶち壊す表情でミサトがその輪に加わる。こちらも先日の反省をしてるのか、
ハーフパンツを穿いてはいたが、それでもだらしなさは大して変わりなかった。
「……おはようございます」
「ふぁぁぁっ……おはよ」
大あくびをしつつレイに挨拶を返す。そのまま、冷蔵庫へと向かうと缶ビールを取り出し、一気にあおる。
「く〜〜〜っ、やっぱ朝はこれに限るな〜！　さ〜て、シャワーでも浴びてくっか」
目覚めの一杯の後、ミサトは着替えを持って風呂場へと向かっていった。
それを見つめるレイの視線は冷たい。

ピンポーン

「「おっはよ！レイ」」
「……おはよう！」
珍しく機嫌の悪いレイに戸惑っている二人をよそに、レイは風呂場へと向き直る。
「じゃあ、行って来ます！」
「いってらっしゃ〜い」
能天気な声が風呂場から返ってきて、レイの機嫌は益々悪くなる。
「ほら、いこ！」
呆然としている二人を引っ張って、レイは学校へと向かった。

「なに朝から起こってんねや？」
「そうそう。どしたの？」
「……ミサトさんがだらしなさ過ぎだから」
「そうか？　でも一昨日の事で、またファンが増えたで」
「あたしのとこにも、『こないだのテープダビングしてっ！』っていってくる娘いっぱい来るし」
「……外じゃそうかもしれないけど、でも、家じゃ全く別人だよ！だらしないし、朝からお酒飲むし、
　昨日はちょっと見直したけど、それでも……」
「やっぱ、レイはお子様だね」
「……なんでよ」
「ほんまにわからんの？」
「……だから何が？」
「家ではレイに自分の本当の姿見せる……それって、家族ってことでしょ」
「……！」
その言葉が、レイの心に響いた。
暖かさがレイの心に広がっていき、笑みを浮かべる。

「まあ、家族ってことは、恋愛対象外ってことだし」
「せやな、安心安心」
「……って二人とも！」
「レイには綾波がいるでしょ」
「だ、だから、綾波君とはそんなんじゃ……！」
「おーおー、赤い顔してそんな事言うても説得力ゼロやで」
「だ、だから違うって……」

少女たちは今日も元気だった。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく？

（´-`）.｡oO（ドタバタが書きたかっただけだなんて言えないよなぁ……）
（´-`）.｡oO（というか、ここまであからさまだと気づかれないほうがおかしいか……）
（´-`）.｡oO（……）

（´-`）.｡oO（誰か読む人がいなけりゃ、気づかれる以前の問題だよなぁ……）

>>126
多分貴方が最後の砦。

すみませんがちょっとageさせてもらいますよ。

ageんなよ！

保守

>91
ここにも楽しみにしてるヤツがいますよ(ﾟ∀ﾟ )
ｶｵﾙｺちゃんが出るまで頑張ってくれｗ

書き込みテスト

>>145
頑張ってみます。
月末までに。

　 Ａ：書き込まないでDAT落ちさせる
→Ｂ：スレ容量オーバーでDAT落ちさせる

まあ気長にやってきます。ひっそりと。

「……そうよ、その問題は既に委員会に話はつけてあるわ。……荷物は昨日佐世保を出たわ。
　現在は太平洋上。……」
外界から抽出された陽光が包む司令公務室。部屋の主は電話をしていた。
碇ゲンドウ。いつもと変わらぬ不機嫌な表情に見えるが、普段傍につくことが多い冬月であるなら、彼女の
表情に"喜"が浮かんでいるのが判っただろう。だが、この場にいるのはゲンドウただ一人だった。
「ええ……、現地での任務は葛城一尉に一任してあります。では、よろしく頼むわ」

朝を迎えたばかりの太平洋上を、爆音を響かせながら大型の輸送ヘリが飛んでいる。搭乗している者たちの
中で一人だけ、その爆音以上に感激の声をあげているものがいた。
「Ｍil-５５ｄ輸送ヘリ。こんな事でもなかったら一生乗る機会なんてないもんねぇ。やっぱ、もつべきも
　のは友達ってカンジ？」
「……へ？」
愛用のビデオカメラで飽きもせずにヘリ内部を撮影しているサトミが話し掛けるが、レイはあくび交じりに
友人を見るだけだった。もう一人の友人であるユウキは、爆音をものともせずに寝ていた。
「毎日おんなじ山の中じゃ、息が詰まると思ってな。せっかくの日曜なんだし、デートに誘ったのに喜んで
　るのは一人だけかい？」
前部に座っていたミサトが微笑みながら三人へと振り向く。
「え！？　じゃあホンマにミサトさんとデートなんですか！？　楽しいです！　楽しんどります！」
先ほどまで寝ていたはずのユウキが突如身を乗り出しながら感激の声をあげる。
「……で、これからどこに行くんですか？」
はしゃぐ二人を尻目にレイが未だに聞かされていない行き先を尋ねる。
「豪華な船でクルージングさ……っと見えてきたぞ」
ミサトの声に反応した三人が窓から海をのぞく。
「……」
「……あれで、クルージングかい……」
「おおっ！　すごーいっ！」
三人の目に映ったのは、大量の巨大な軍艦。国連軍が誇る国連太平洋艦隊であった。

空母オーバー・ザ・レインボゥ。甲板上に、ヘリが着艦しようとしている姿をじっと見つめる人影が一つ。
その顔には自信に満ちた笑みが浮かんでいた。着艦が済んだのを遠目で確認すると、その人物はヘリへと
ゆっくり歩いていった。

「うわぁーーー！　すごい！すごい！すごいすごい凄すぎるーー！！」
ヘリを降りてからのサトミはまさに半狂乱状態。目にとまるものすべてを記録せんとばかりにビデオをそ
こかしろに向ける。あまりのはしゃぎっぷりに他の三人は、数歩離れ他人の振りをしていた。が、そんな
事はお構い無しのサトミは、勝手に空母上を走り回っていたので、放っておいてもどんどん離れていったが。

そこへゆっくりと近づいてきた少年がミサトに話し掛ける。
「ハロゥ、ミサト。元気してた？」
「お、まあな。そっちも背、伸びたんじゃないか？」
「ああ。もうきっちり大人の仲間入りだぜ」
背中まで伸びた柔らかな赤みがかった髪を風になびかせ、どこか不敵な笑みを浮かべた姿。
顔に幼さこそ残るが、170近い身長と締まった体型が彼を実年齢以上に見せていた。
突如親しげに話しだした彼とミサト。
その後ろで、所在なさげにいたレイとユウキの様子を察したミサトが振り向いて紹介する。
「紹介するよ。彼がエヴァンゲリオン弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレーだ」

紹介が終わったとほぼ同時に、甲板上にひときわ強い風が吹いた。
この日、レイは　「弐号機パイロットを迎えに行くぞ」　とだけはミサトから聞かされていたため、礼服の
代わりに制服を着てきた。ユウキはいつもと変わらぬジャージ姿。この場にスカート姿の者は他におらず、
結果……
「キャッ！」
多大な風を受けたレイのスカートは、大きくまくれ上がった。慌てて押さえたものの、目の前の男性陣の
様子を見れば間に合わなかった事は一目瞭然。レイは顔を真っ赤にしてうつむき……

パンッ！
甲板上に派手に頬をたたいた音が響いた。

「……何しやがるっ！」
「見物料、安いもんやろ」
アスカにビンタを食らわせたユウキがさも平然と言う。
「ミサトだって見ただろうが！第一あいつが叩くならまだしも、なんでお前が叩くんだよ！」
「ミサトさんはええねん。保護者やし、見慣れとるやろうから。
　それにあの子にそんなことできると思うか？」
「み、見せたりなんかした事ないわよ！」
叩くなんて事は確実にできないだろうが、レイはそこだけは確実に否定しておきたかった。
「……まあ、それはそれとして」
「ミサトもあっさり流そうとするな！……大体、船の上でそんな格好してるやつが悪いんだろうが！」
「えぇ！？」
矛先が自分に向いてきた為レイが慌てる。
「なに責任転嫁なんぞ男らしないことしとんや。大人や言うんならおとなしく叩かれときゃええやろ！」
「なんだと！」
そこに先ほどまでうろついていたサトミが戻ってくる。
「……なにがあったんだかわかんないけど、人様の空母で騒いだりするのは感心しないよ」
「あんたが」
「きみが」
「サトミが」
「「「言うな！」」」
ともあれ、事態は何とか収束した。三重の突っ込みでサトミはいじけてしまったが。

「……で、噂のサードチルドレンって、どいつだ？　まさか……」
ものすごく嫌な表情でユウキを見るアスカだが、ユウキも先ほどから眉間にしわを寄せてにらんでいる。
「違うぞ、この子だ。初号機専属パイロット、碇レイ、だ」
「ふ〜〜〜んっ」
じろじろと全身を見回す視線にレイは不快な表情を出す。
「冴えないな」
さらに強まる不快な表情。多分仲良く出来ないだろう、とレイは思った。
「……はぁ、とりあえず艦長に挨拶に行くか」
これからのことを考えると、ミサトは頭が痛くなりそうだったが、まずは仕事を片付ける事にした。

「あらあら、ボーイスカウトの方かと思ったら……これはとんだ失礼を」
手渡されたミサトのＩＤカードを見ながら艦長が軽く嫌味を言う。
甲板上での出来事はすべて見られていたようだ。
「……ご理解いただけて光栄です。こちらが、エヴァ専用の電源ソケットの仕様書です」
ミサトは何とかこらえながら書類を手渡す。だが艦長は良く見もせずに部下にそれを渡す。
「この船であれを動かす、なんてことは聞いていませんが？」
「万一のための備え、と思っていただければ結構です。では、こちらにサインを……」
弐号機譲渡の書類を差し出すミサト。だが、
「まだ、です。海の上は我々の管轄。勝手な真似は謹んでいただけます？」
穏やかな口調ではあるが、その言葉からは一切意志を曲げるつもりがないことが感じられる。
「……では、いつ引渡しを？」
「新横須賀に陸揚げしてから、です」
「判りました……ですが、非常時には我々ネルフの権限が最優先であることをお忘れなく」
差し出した書類を再びファイルに戻しながら、ミサトが余裕の表情で艦長に返す。
「カッコええなぁ……」
「ミサトさんじゃないみたい……」
「すごいすごいすごい……」
凛々しい姿に少女たちは思い思いに感想を述べるが、一人だけ感想の対象が違っていた。

「あら〜、相変わらず凛々しいわねぇ」
不意に扉から声がかかる。
「加持さんっ！」
振り向いたアスカが感激の声をあげる。
「な……リ、リョウ……」
相対的にミサトは絶句している。そんな姿も気にとめず、リョウと呼ばれた女性は笑顔で手を振っている。
肩まで伸ばされた髪を無造作に一つに結い、ワイシャツの袖を捲り上げたパンツスーツ姿は、だらしなく
感じるものの、不思議と似合っていた。

「なんでお前がこんなところに……」
「アスカの警護でさ、ドイツから同伴」
「ぐぅ……迂闊だった、十分考えられる事だったのに……」
「な！さわんなやこのスケベ！」
「しかたないだろうが！」
「あら、再会したばっかなのに大胆ねぇ、ミサト」
「だあああ！事故だ！そんなつもりじゃ！」
「なに！ミサト！加持さんに何してんだ！」
「だ〜か〜ら〜！」
通常のものよりコンパクトになっているエレベーターに、6人乗りはやはりきつかった。

当面の仕事を終えたミサト達はこぞって艦内のティールームに来ていた。
だが、優雅なつくりのそこに似つかわしくなく、空気は張り詰めていた。
「今、付き合ってる人いるの？」
「……それが、お前に何か関係があるとでも？」
「あら冷たい」
加持がコーヒーを一口のみ、レイに向かって笑顔で話しかける。
「ねえ、貴方ミサトと一緒に住んでるんでしょ？」
「え、はい」
「彼の寝相の悪さ……直ってる？」
加持は悪戯をした子供のような笑顔で、とんでもない事を口走る。
「「「えぇぇぇぇぇぇぇ！！」」」
「な、なに言ってんだお前は！」
呆然とするアスカ、ユウキ、サトミと、うろたえながらも加持に詰め寄るミサトに物怖じもせず、
「ふふっ、あいかわらずみたいね。碇レイちゃん」
「ええ……って、どうして私の名前を？」
「こっち関係で知らない人なんていないわ。訓練無しで初号機を動かし、使徒を殲滅したサード
　チルドレン」
「そんな……偶然です」
否定しながらも、加持の言葉に悪意を感じなかったのか、レイは和らいだ表情を見せた。
「偶然も才能のうちよ……じゃ、またね。レイちゃん」
「は、はい。じゃあ」
いまだ呆然としている三人と、「悪夢だ……」　と呟きながら頭を抱え込んでいるミサトを残し、
加持はティールームを後にした。

桟橋に出てタバコをふかしていた加持の元に、再起動したアスカが向かう。
「どう？レイちゃんは」
「……つまんねぇ奴。あんなのが選ばれたサードチルドレンだなんて……」
「でもあの子、初戦でいきなりシンクロ率４０%を軽く超えたそうよ」
「ウソッ！」
アスカは驚きの表情を隠さず、加持に顔を向ける。その顔が真実を告げていると察したアスカは、
少し考え込むと、艦内へと早足で引き返していった。
「……」
その後姿を見送る加持の表情は、笑顔ながらも、少し重たかった。

アスカより幾分遅れたものの、なんとか気を落ち着けたミサとはレイたちを連れて艦内を見学していた。
「しっかし、いけ好かん艦長やったなぁ」
「女だてらにあそこまで上り詰めた人だ、プライドが高いんだろうよ」
「……加持さんって、面白い人ですね」
「昔っからああなんだよ……おかげでこっちは……」
レイの発言に幾分顔をゆがませながらミサトが返すが、何となく笑みが浮かんでいるようにも見て取れた。
そこに、乗っていたエスカレーターの終点から、声が響いた。
「サードチルドレン！」
レイが上を向くと、そこには幾分険しい顔をしたアスカが立っていた。
「ちょっと、付き合え」

レイがアスカに連れられてきたのは弐号機を乗せた輸送タンカーだった。かかっていたカバーをめくると、
中に横たえられた弐号機の姿が見える。
「赤いんだ、弐号機って」
レイのそんな感想を鼻で笑い、アスカは意気揚々と弐号機上からポテンシャルの高さを説明をする。
しかしレイには、何となくだが初号機や零号機よりすごい、としか理解できなかった。
「お前……分かってるのか？」
「え、えっと……キャッ！」
突如轟音が響き、タンカーに振動が伝わる。
「水中衝撃波！？……近くだな！」
言うが早いか、アスカは弐号機から飛び降りると、一目散に甲板へと走っていく。
その後ろを、何とか体制を整えたレイが続く。

「あれは……！」
「まさか、使徒！？」
甲板で二人が見たものは、崩れ落ちる戦艦。そして水しぶきをあげて高速で移動する巨大な何かだった。
「あれが、本物の……」
「どうしよう……、ミサトさんに連絡を取らなきゃ」
慌てるレイをよそに、アスカの口元は緩みだす。
「……チャ〜ンス！」

一方、空母はまさしく大騒ぎの真っ只中であった。
「ちぃっ！何がどうなってるの！」
艦長が現在の状況を報告させるが、集まってくるのは悲惨な状況ばかりであった。
「ダメです！ミサイルならびに魚雷、どちらも効果が見られません！」
「あれだけくらって、なんで沈まないの！」
すでに半狂乱状態の艦長とは逆に、傍らに立つミサトは冷めた表情をしていた。
（無駄な事を……！）
決して声には出さない。言った所で指揮権譲渡は無理である事は察していた。
「やっぱ、エヴァやないとあかんなぁ」
そんなミサトの大人の態度を無視したユウキの発言に、艦長のすさまじい睨みが襲う。

その頃輸送タンカーでは……

「ちょ、ちょっと、どこに行くの？」
ダッシュで荷物を取ってきたアスカは、ミサトへ連絡を入れようとしたレイを無理やり引っ張り、
人影のない階段付近に連れてきていた。
「ほら、お前の分だ」
そういって真紅のプラグスーツをレイに渡す。受け取ったものの、レイにはその心理未だが分からない。
そんなレイをよそに、アスカは服を脱ぎだした。
「え！ちょっと、なに！？」
「早く着替えろ。今なら誰もいないから」
「な、なんで……」
「決まってるだろ」
既に上半身裸のアスカが、何事もなく言う。
「弐号機でアイツを倒すんだよ」
「ミ、ミサトさんの許可は！？」
「勝ってから、取りゃ良いんだよ。ほら急げ！」
（なんで私まで……、それにネルフの人達ってデリカシーのかけらもないの！？）
理不尽な要求を流されるままに受けたレイは、アスカの視界から外れた階下の踊り場ですさまじい
スピードで着替えをした。本当はいけないのだが、さすがに下着はつけたままだった。

「さ、俺の華麗な戦いぶり、特等席で見せてやるぜ。ただし、邪魔はするなよ」
（邪魔しないから、外で見せてよ……）
未だ納得していないレイをよそに、アスカは意気揚揚と機動準備に取り掛かる。
「〈作者はドイツ語が分かりません、脳内でシンクロスタートと変換してください〉」
ブーッ！ブーッ！ブーッ！
「……バグ？」
「思考ノイズ！　ちゃんとドイツ語で考えろ！」
「ド、ドイツ語！？……バ、バームクーヘン……」
「……もういい！言語切り替え！日本語をベーシックに！」
今度はすんなりとシンクロする。
「エヴァンゲリオン弐号機、機動！」

「オセローより入電！　エヴァンゲリオン弐号機が起動しました！」
「なんですって！」
（ナイスだアスカ！）
予想外の好転にミサトの頬が緩む。
「いけません！　直ちに機動を中止させなさい！」
「構わない！　そのままやらせちまえ！」
ミサトはこの機を逃さんとばかりに慌てる艦長から無線マイクを取り上げる。
「さっきも言ったでしょ！　海の上は我々の管轄なのよ！」
「なに言ってんだよ！　こんな時に管轄もへったくれもないだろうがよぉ！」
言い争いながらマイクを奪い合う二人に、副官が確認の報告をあげる。
「しかし……弐号機はB型装備のままですよ？　本当に構わないのですか？」
「……な！」
『ハン！　今ぐらいのハンデで丁度良いくらいだ！』
アスカの力強い応答が艦内に届く。
『あ、あの、本当にいいんですか？　ミサトさん……』
続いてたよりなさげなレイの応答が入る。
「レイちゃんも乗ってるのか！？　……試せるか……良し、そのままいけぇ！　アスカ！」
『了解！　ケーブルの準備しといてくれ！』
「わかった！　準備急げ！」
かなり強引な手段ではあるが、指揮権を手にしたミサトは隊員にそのまま指示を繋げた。

「よし、許可も取れたし……行くぞ！」
「い、行くってどうやって……」
「飛ぶんだよ」
「へ……きゃあぁぁぁぁ！」
何事もないそぶりでアスカが告げると、弐号機はそのまま戦艦、空母を飛石で海上を渡って行く。
沈むギリギリの衝撃を与えつつ、数隻目に目標の空母を捉えた。
「エヴァ弐号機！　着艦しま〜すっ！」
弐号機はひときわ大きく飛び上がると、勢いよく空母にその足をつけた。
着艦の衝撃は大きく、その犠牲として戦闘機が数機、海に沈んでしまったが。
「ああ……もったいない……」
サトミの悲しみは、その場の空・海兵隊員のだれよりも大きかった。

「ケーブル、接続！」
体勢を整えた弐号機はすぐに電源を確保すると、こちらに向かってくる敵影に向かい合う。
肩のウェポンラックから初号機とは形状の違う、カッター状のプログナイフを取り出し、構えたところに
第6使徒が海上から飛びかかってくる。
正体をずらし、体当たりを交わしながら弐号機はナイフで切りつけると、
第6使徒は再び海に潜っていった……

「……で、この後戦艦2隻による零距離射撃―――、太平洋艦隊の力を借りたとはいえ、出撃からわずかな
　時間でここまでやるとはね。噂以上の実力だな、セカンドチルドレンは」
「まあな……使徒殲滅の作戦を立てた俺にお褒めの言葉は？」
「……それが仕事だろうが」
「……勝って当然。負けたらお払い箱か……きつい職場だよなぁ……」
第6使徒戦から数時間後。ミサトは迎えにきたリツに今回の戦闘データを見せていた。
渡されたデータを読み進めるリツの手がふ、と止まる。
「これは……貴重なデータだな。シンクロ率の記録更新じゃないか。しかもタンデムでなんて……」
「使徒の口をこじ開けるたったの数秒間じゃあ、火事場の馬鹿力だろ……」
二人が視線を動かした先には、いまだプラグスーツのままのレイと、その友人たちの姿が。
「おおっ！ペアルックとは隅に置けませんなぁ！会って間もないのに、もう綾波から乗り換えたんか？」
「イヤ〜ンな感じぃ！」
「……」
戦闘が終わってからも着替えなかったのは、着替えを置いてきた輸送船が今は海の藻屑となって
しまった為で、戦闘後から陸揚げまでの時間、レイはからかわれ続けていた。

その輪から離れていたアスカが、ミサトの姿を見つけ、駆け寄っていく。
「なあ、加持さんは！？」
「……届け物があるって、先に行ったよ……」
「……なぁんだ、一緒に本部に行こうと思ったのに……、まあ、俺の華麗な活躍は見せれたわけだし……」
「……戦闘中にな……」
「……な、なにぃ！」

「いやはや、波乱に満ちた船旅でしたよ、本当」
司令公務室にて、リョウはゲンドウに今回の騒動を笑顔で報告していた。
「それで、例の物は」
「……これです」
顔に笑みは浮かべながら、慎重にジェラルミンケースを机の上に載せる。

プシュッ

エアの抜ける音を響かせながら、ゆっくりとケースを開く。
その中には、琥珀化石のような物体。
リョウはその中央にある、初期の胎児の姿をしたモノを見ながら言う。
「硬化ベークライトで固めてありますが、生きています、間違いなく」
その姿を見たゲンドウは、満足げに笑みをこぼす。
「……人類補完計画の要、ですね」
「ええ……万物の母にして、最初の使徒……リリスよ」

キーンコーンカーンコーン……
波乱だらけのクルージングから一夜明け、いつものように学校にて始業開始を待つレイ達。
「しっかし、生意気な奴やったなぁ」
「まあ、あたしたちは二度と会うこともないでしょ」
「その点、レイは災難やね。仕事だからしゃーないとはいえ、同情するわ、ホンマ」
「……はぁ……」
あれからすぐにアスカとは分かれたが、今後のことを考えると、レイの気は重かった。
戦闘中こそ、一時的とはいえ、意識をあわせて戦ったものの、あの気性は自分には合わないだろう、と。

ガラッ！

教室のドアが勢いよく開かれる。担任が来たと思い、腰を浮かせたユウキとサトミ、そしてレイが
見たその先には……
「な・な・な……」

カッカッカッ……
黒板いっぱいに筆記体で名前を書き終えると、その場でターンし、笑顔で転校生は自己紹介をする。
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく！」
騒ぎたつ女子の中で、レイ、ユウキ、サトミだけは凍りついていた。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第8話終了

拍手

すたんでぃんぐおべれーしょん

男アスカいいキャラだな。燃え。

ＧＪです
|
|　∧∧
|(´･ω･`)　　　
|ｏ　　 ヾ　　コッソリ･･･
|―ｕ'　　　http://cgi.f17.aaacafe.ne.jp/~support/upload/dat/eva309.jpg
￣￣￣￣￣￣￣￣
|　　
|　　　失礼しました
| ミ　ｻｯ　　
|　　　　
￣￣￣￣￣￣￣￣

>163
貼る直前までアスカ、加持のキャラどうするか迷ってました。結局スタンダードで。

<別案>
リョウはヅカ系の男装の麗人。幼少時のトラウマで暗くなってたアスカを
『女装』によって明るい性格に変えることに成功する。
原作通りにスカートがまくれて、三人組はキャーキャー。

某女装シンジ君とかぶるんで却下。

>164
保存しました。

良スレ

age
職人さんも夏休みかのう

夏休みの収穫。
似た者スレ　ﾊｹｰﾝ
もしも、レイとアスカの性格が逆だったら
ttp://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1061516246/l50

ぱっと見、どっちも同じ様なスレタイだが投下の間隔が開くのまで一緒ｗ
まだの方は堪能してください。

男が女、女が男なのが萌え。

保守

あげ
職人さんｶﾑﾊﾞｯｸ

保守

age

3

2

1

0

ドカ〜ン

保守age

保守はageなくてもいいのだよ

12月保守

……生きてる（スレが）……

5ヶ月以上ほったらかし、クリスマスにも間に合わなかった私に、貞本先生を
非難する権利はありません。

保守してくれた皆さんありがとう。では、第9話です。

”2-Aに美形転校生が！”
このニュースは瞬く間に第1中学校全クラスに広まり、件の転校生を一目見ようと学年問
わず女子が2-Aに殺到した。疎開が進み生徒数はだいぶ減ってはいたが、それでも一時は
廊下が通行不能になるほどの混雑となり、教師陣はその整理に四苦八苦していた。

転校生の名は惣流・アスカ・ラングレー。転校から数時間にして、彼の名を知らぬ生徒
はほとんどなし、とまさに時の人であった。

華やかな転校初日から3日後……

遠巻きからもいまだ熱い視線はあったが、その数はだいぶ減っていた。美人も3日経てば
飽きる、というだけではない。初日からの告白ラッシュ、2日目からのラブレターラッ
シュと、女子の人気を一点に担っていたが、彼女たちに返された返事はすべて「ＮＯ」。
これによって一部女子から、
「美形を鼻にかけてる」
「プライドが異常に高い」
「女を軽く見てる」
などと、勝手な反感を買われだしたのも一因ではあったが、元凶ともいえるのが、2日目

お昼休みの出来事であった。

「ねえ、ねえ、惣流君ってどんな子がタイプなの？」
すでに2桁の女子の告白を断っているアスカに対し、とある女子が核心的な質問をした。
「好きなタイプ？ちょい待って……これ、この人」
そういってアスカが見せたのは加持とのツーショット写真。後ろから軽く抱きつき、アス
カの頭上にあごを乗せ、妖しげな笑みを浮かべてている大人の女性の姿。抱きつかれてい
るアスカの頬は赤く染まっており、幸せそうな顔をしている。
「この人加持さんって言うんだけどさあ、優しくて包容力があってあったかいんだけどな
　んっていうか妖艶な感じがするけどそれでいて下品ないやらしさとかはなくって実際に
　ドイツでも……」
絶句している女子をものともせず、それはそれはうれしそうに語るその姿にゆっくりと、
だが確実に取り巻きの数が減っていった。

ファンが減ってもアスカは特に気にすることもなく、代わりに話し掛けてくる男子の数が
増えたことに、普通に喜んでいた。その男子の大半がほっとした顔つきではあったが。

そんな出来事とはまったく無縁のレイ、ユウキ、サトミの三人は今日もまじめに学校へ向
かっていた。
「あ〜、暑い。こんな暑い日にこないな格好せんとあかんのは、やっぱまちがっとる」
「どう考えたって、長袖黒ジャージより制服のほうが涼しいよ。足元からも風はいるし」
「でも珍しいね、ユウキが制服だなんて。レイなんて見たこともないんじゃなかった？」
「うん。前にジャージの理由は聞いたけど」
「ああ、あの『決して捨てられんポリシーや』でしょ。で、本当にどうしたの？風紀委員
　にでもなにか言われた？」
「……オカンに10着まとめてクリーニングに出されたんや。1着ぐらい残しとけっちゅう
　んじゃ、あのボケが。あ〜ホンマむかつく」
「そ、そうだったんだ……」
機嫌の悪いユウキの恐ろしさより、同じジャージを10着も持っていたという事実のほうが
レイに得体の知れない恐怖を感じさせていた。サトミはすでに悟っているのか、顔色ひと
つ変えなかったが。

「よ〜〜っすっ！　お前ら！　グーテンモ〜ゲン！」
そこに朝からハイテンションな男子が乱入してくる。
「ぐ、ぐーてんもーげん……惣流君……」
「ああオハヨ、惣流」
「ぐああ……暑苦しいのが来てからに。余計に暑さに拍車がかかったわ……」
「何だ朝っぱらから3分の2が辛気臭い顔して。それに暑苦しいって……お前誰だ」
「……このボケ人をジャージでしか認識しとらんかったな！　……あかん、体力が持たん
　わ……」
「やっぱジャージじゃないと元気でないのか？」
「そ、惣流君、言いすぎだよ……」
そうは言うものの、内心レイもそんな疑問を持っていたので答えを聞いてみたかった。
「あ、そういやレイ。今日はあいつ来てんだろうな」
「……あいつって？」
答えを知る前に話題が変わり少しがっかりしたレイだったが、アスカの話に付き合った。
「ファーストチルドレンだよ。本部着任のときにもいないし、学校にも来ないからまだ
　会ってないんだよ、俺」
「ああ、綾波君のこと……あ、あそこ」
レイが視線を移した先は、学校のそばにある公園。そこのベンチで、シンジが本を読んで
いた。アスカがそこへ向かう。

「よっ！　お前がファーストチルドレン、綾波シンジだよな？」
シンジは本から視線をアスカへと移す。
「俺はアスカ。惣流・アスカ・ラングレー。弐号機専属パイロットのセカンドチルドレン
　だ。ま、仲良くやろうぜ」
「……何故？」
「そのほうが都合がいいからな、色々。作戦時の連携とか、訓練とか……」
「命令があればそうする」
そういってシンジは、本を鞄にしまうと、公園を後にした。
「……変わった奴だな……」
シンジの後姿を見ながら、アスカはボソッと呟き、自分も公園から出ることにした。

三人組はそのまま登校せず、シンジとアスカのファーストコンタクトを眺めていた。
「……エヴァのパイロットには、変わりもんしかおらんのかい……」
「わ、わたしは普通だよ！　……普通じゃないかなぁ……」
「まあまあ、レイはマシなほうだって」
「……変わってるのかなぁ……」
心の迷宮に入りかけていたレイの前を、公園から出てきたシンジが通る。
「おはよう……」
「……へっ？　あ、お、おはよう！」
シンジは一度振り向くと、そのまま学校へと歩いていく。
「珍しいこともあるもんやな。綾波が自分からあいさつしてくるなんて」
「ユウキが制服ってのも合わせると、明日は雨じゃなくジャージが降ってくるかもね」
「なんでやねん！　……というか、ホンマに降ってこんかなあ、ジャージ……」
「何してんだ、お前ら……。遅刻するぞ？」
合流したアスカの指摘で自我を取り戻したレイ達は、再び学校へ向かっていった。

「ジャージ……降らんかなあ……」
「降らないって」
約一名、いまだ自我を取り戻せていなかったが。

カタカタカタカタカタ……
端末を操作するリツの指がふ、と止まる。後ろから感じる懐かしい気配。振り向かなくて
も誰だかわかる。
「相変わらず、仕事の虫？　そんなんじゃ彼女に逃げられちゃうわよ？」
「いないよ、そんな物好きは」
「あら、こんないい男を放って置くなんて、ネルフの女は何してるのかしら？」
気配の主はゆっくりと近づき、そっとリツの肩に手を置く。
「フリーって言うんだったら、あたしがもらっちゃおうかな」
「本気でもないくせに……でも、いいかげん離れたほうがいいぞ……」
リツはモニターから目を離すと、通路に面した窓に視線を移した。
「……なんともいえない顔をしたお兄さんが、こっちを見てるからな……」
2人分の視線が自分に向けられたのを見て、苦虫をつぶしたような顔をしたミサトが解析
ルームに入ってきた。
「久しぶりだな、リョウ。そのぶんだと、まったく変わっちゃいないようだな」
ここではじめて、リツが振り向く。大学時代からの友人、加持リョウへと。
「こいつの馬鹿は相変わらずだよ……」
「あらひどい。もしかして焼きもち？」
「なっ！　だ、誰が！」
「図星つかれるとすぐに取り乱すのよね〜っ、ミサトって。変わんないんだから」
「う、うるさい！」
解析ルームに流れる空気が、学生時代のそれに酷似してくる。その空気を、しばしリツは
楽しんでいた。

しかし、それは長くは続かなかった。

フィ――フィ――フィ――！

全館に突如流れる警報音。それから推測されるのは、ただひとつ。
「敵襲か！」
ミサトは全速力で発令所へと向かった。そのあとをリツ、加持が追う。

「状況はっ！」
息を多少乱しながらも、発令所に響くほどの大声でミサトが叫ぶ。
「警戒中の巡洋艦『はるな』より入電。紀伊半島沖で巨大な潜航物体を発見とのことです。
　波長パターンは……青！　使徒です！」
「総員第一種戦闘配置！」
冬月の号令とともに、発令所の空気が張り詰める。
「了解！　パイロットをすぐに本部へ！」
「でも、どうするの？　上はまだ使える状態じゃないんでしょ？」
「ハァ、ハァッ……確かに……ハァ……現在の迎撃システム復旧率は26％……ハァ、実戦
　における稼働率は……ハァ、ゼロといっても……ハァ、いいくらいだ……」
遅れてやってきた加持、リツがミサトに尋ねる。ちなみに加持は汗ひとつかいていないの
に対し、リツは壁に寄りかかり、発令所の酸素を貪欲に消費していた。

「どうせ使えないんだったら、ここでやりあう必要はない……パイロットが到着次第、
　こっちから出向いてやるさ……しかし、お前……」
「ハァッ、ハァッ……なんだ……」
「……タバコ、少しは控えろ」
「ついでに運動もなさい」
「ハァ、ハァッ……誰のせいで……タバコの量が増えて……ハァ、運動する時間が削られ
　てると思って……ハァ、やがる……」
「……使徒のせいだな」
「ええ、使徒のせいね」
「せ、先輩。とりあえず、椅子に座って休んだほうが……」
マヤの勧めに従い、椅子に深々を体を沈めながら、リツは自分の味方が思った以上に少な
い事を確認した……。

急遽学校から呼び出されたレイ、アスカ、シンジを前に、ミサトが今回の作戦を伝える。
「今回の迎撃は上陸直前の目標を水際で迎え撃ち、一気にたたく！　零号機はまだ機体が
　完全ではない。よって、今回は初号機、弐号機による作戦となる。シンジは本部で待機。
　2人は準備が出来次第迎撃ポイントに向かう。いいか？」
「はい」
「了解！」
「わかりました」
「よし！　では各員行動開始！」

ＥＶＡ専用長距離輸送機が迎撃ポイントへと向かっていく。すでに4度の使徒戦を経験し
ているレイだったが、その体は緊張に包まれていた。
「もうすぐ着くぞ。着地準備、いいか？」
「は、はい」
ミサトからの無線が、戦いが近いことを知らせる。緊張が高まりだしたところで、機体が
輸送機から切り離される。空から降る巨大な質量が、砂浜に轟音とともに着地した。
すぐにアンビリカルケーブルが準備され、機体は自由と引き換えに、確固とした力を得る。
「2人がかりか……卑怯だよな。趣味じゃねえ」
「俺たちは手段選んでる余裕なんて無いんだよ……生きるためのな」
「……わかってる。おい」
緊張しているレイに、突如アスカから通信が入った。
「な、なに？」
「俺が先に行くから、援護頼む。ま、即効で倒しちまうだろうから、お前の出番は無いだ
　ろうけどな」
「え、うん。わかった」
アスカの言葉に、緊張が少し和らぐのをレイは感じた。おそらくそれは、頼れるものへの
安心感。
（男の子なんだなぁ……やっぱり）
自分から先導をきることが苦手なレイにとって、それはとてもありがたいものだった。

初号機がパレットライフル、弐号機がソニックグレイブを手にしたとき、それは姿をあら
わした。浅瀬間際に轟音と共に立つ水柱。水のカーテンがゆっくりと開け、異形のモノが
ゆっくりとこちらを睨む。
「攻撃開始！」
ミサトの号令と共に、弐号機が半水没したビルを足場に、使徒に突っ込む。初号機はその
邪魔にならないよう気をつけながら、パレットライフルを使徒に打ち込む。距離がある為
か、ＡＴフィールドによって銃撃は防がれているものの、足止めには十分だった。
「いける！」
気合とともに一際高く飛び上がる弐号機。タイミングをあわせ銃撃を止めた初号機は、す
ぐに次の行動が取れるよう、ライフルを握り締めながら身構える。
「うらああああああ！」
大きく振りかぶったソニックグレイブが使徒に刺さり、そのままの勢いで自重をかけて振
り抜く。ソニックグレイブが水面を叩きつける。その音は、使徒を切り裂いた証。

「よっしゃ！　ナイスだアスカ！」
「ま、当然の結果、って奴だな」
動きの止まった使徒に背を向け、弐号機は砂浜へと歩き出す。
「な、言ったとおりだろ」
「え、あ、うん……お疲れ様」
「これから来る奴もぜ〜んぶっ、あんなふうにあっさり倒してやるぜ！」
アスカの軽口に頬を緩ませたレイが、使徒に視線を移す。
（……え？）
ゆっくりと、引力に逆らい、使徒が動き出す。
「動いてる！」
「なに！」
弐号機はすぐさま使徒へと向き直る。その目の前で、半身にされた物体が震え出す。そし
て一際大きく震えた瞬間、まるで脱皮したかの様な動きとともに、使徒は2体に分かれた。
「な、なんてインチキ！」
指令車にミサトの怒号が響いた。

作戦終了から数時間後、ミサトは自分のデスクの前で呆然としていた。
「…………」
言葉も無く見つめる先には山となった書類の束。
「よっこいせ、っと」
ドサッ、と音をたて書類の山がさらに高くなる。それを運んできたリツは手をパンパンと
叩きながらミサトへと向き直った。
「関係各省からの抗議文と、被害報告書。あとこれがＵＮからの請求書」
「…………」
「ちゃんと全部目を通しとけよ」
「……読まなくても全部同じ内容だろ」
「しかし、今回は大失敗だったな。分裂した使徒の攻撃で初号機、弐号機共に活動停止。
　挙句ＵＮに指揮権移行で、Ｎ２爆雷……か。こちらの面目丸つぶれだな」
「ハァ……碇司令が留守で助かったよ」
「いたら即刻クビ、だな。で、どうするんだ？」
「エヴァの修復、どのくらいかかる？」
「フルピッチで7日ってとこだな。ついでに使徒の自己修復完了も7日と予測されてる」
「1週間か……それで何とかしろ、ってか」
「一応ひとつアイディアはあるけど？」
そう言ってリツはディスクをミサトの前に出す。
「おおっ！　さすが天才赤木リツ博士！　ああ、やっぱ頼れるのは男の友情って奴だな」
「残念ながら、ピンチを救うのは男の友情ではないんだがな」
「え？」
ディスクラベルには『マイダーリンへ』と書かれている。それはミサトがよく見た字体。
「リョウ……か」
ラベルの文字を見るミサトの顔は、昔を思い出したのか、どことなく懐かしげに見えた。

翌日。
普段どおりに学校に来たレイだったが、その表情は曇っていた。
「なんか暗いね。どうしたの？」
登校中から生返事ばかりのレイを、サトミが気にかけて話し掛けた。
「昨日、使徒が来たんだけど……負けちゃって」
「それで落ちこんどったんか？　まあ気にすんなて。頑張っとるんはわかっとるからな」
机に鞄を置いてきたユウキも会話に参加する。
「ううん、そのことはいいの。ただ……」
「っていいんかい！」
「はいはい。それで？」
「……作戦後に、惣流君すごい荒れちゃって……倒せなかったのは、私にも責任があ
　るのに、『俺が参加しときながら……畜生』って、一人で全部背負い込んじゃって」
「まあ、なんかわかる気がするけど、別にレイが気にすること無いんじゃない？」
「せやな。たっかいプライドへし折られて、気ぃ立っとるだけやろ」
「うん……」

その日、アスカは学校に姿をあらわさなかった。

「ハァ……」
アスカが学校に来なかったことが、落ち込みが激しいのだと思ったレイは、朝の時点より
暗い顔をしながら下校していた。マンションに着いた際、運送屋のトラックが停まってい
たことに気がつかないほどに。

エレベーターで我が家の前にたどり着いたとき、ようやくそれに気づいた。
「……あれ？」
隣の部屋のドアの前には、引越し用のダンボールが並べられている。
「誰か引っ越してきたのかな？」
「俺がな」
「ひゃあっ！」
突如後ろから声をかけられ、レイは驚きの声をあげながら振り向くと、そこにはアスカが
立っていた。
「そ、惣流君！　な、何でここに！？」
「……今言っただろ。今日からここに住むんだよ。それより、お前こそなんでここにいる
　んだ？」
「へっ！？　わ、私！？　……ここに住んでるから……」
レイはそう言いながら、自分の住む部屋を指差す。
「……って隣にか！？」
その言葉に今度はアスカが驚く。驚きあう二人の前に、ゆっくりと近づいてくる影が一つ。

「おっ、早速仲良くやってるようだな」
「ミ、ミサト！？　これどういうことだよ！？」
声の主、ミサトに向かってアスカが大声で問いただす。
「言ったろ？　次の作戦に備え、引越し先でトレーニングするって」
「だから何でこいつの部屋の隣でなんだよ！？」
「お前一人がトレーニングするわけないだろ？　それに俺んちじゃ荷物置けないしな」
「説明になってない！」
最初は様子をうかがっていたレイだったが、ミサトの言葉がふ、とひっかっかた。
「あ、あの、ミサトさん？　一人でトレーニングするわけじゃないって……」
「お、レイちゃんは察しがいいな」
ミサトはにこやかな顔をレイに向ける。
「レイちゃん。それと、アスカ」
ミサトは二人に顔を向けると、解りやすく説明をした。
「2人はこれからここで一緒に暮らしてもらうからな」

「しっかし、ホンマどうしたんやろ？」
「学校休んでもう3日。なんかあったのかな？」
学校帰り、ユウキとサトミはレイの住むマンションのエレベーターの中でレイの心配をし
ていた。ちなみに、ユウキはジャージがクリーニングからまだ戻ってきてないのか、今日
も制服姿だったが、3日も経つと慣れたのか、普段の元気を取り戻していた。

ポーンッ

エレベーターが軽い音をたて、目的の階に着いたことを知らせる。
ユウキとサトミが外へ一歩踏み出したとき、隣のエレベーターもちょうど到着した。
「あれ？　委員長じゃん」
「どしたんや？」
エレベーターから出てきたのはクラスの委員長、ヒカルだった。
「惣流君の見舞いだよ。お前らこそ、何でここに？」
「レイのお見舞い。そういや惣流も一緒に休んでるんだよな」
そのまま3人で廊下を歩き、各々の目的の部屋の前に着いた。
「あれ、委員長。惣流ってそこに住んでるの？」
レイの部屋の前で、その隣の部屋の前に止まったヒカルにサトミが尋ねる。
「先生に聞いたらここだって言ってたけど？」
ヒカルの答えになんとなく釈然としないサトミとユウキだが、とりあえず自分達の目的を
果たそうと、インターホンを押した。

ピンポーンッ

…………
……
…

「……留守かな？」
「ってことはネルフにおるんかな？」
少女たちの様子をなんとなく見ていたヒカルは、こちらも留守かもしれないと思いながら
もインターホンを押した。

ピンポーンッ

……

「「はーいっ」」
インターホン越しの返事。こちらは留守ではないようだ。
「なんや。惣流はおるんか」
「……でも、今レイの声混ざってなかった？」
「そか？　気のせいちゃうん？」
隣の様子を見ていたユウキとサトミは、アスカに状況を聞こうと部屋の前に向かった。
ロックがはずされ、来客たちの前に現れたのは、レイとアスカだった。

出迎えた2人を見たユウキ、サトミ、ヒカルは固まってしまった。レイとアスカの格好は
男性用、女性用と違いはあれど、揃いの黒のレオタードに音符柄のこれまた揃いのシャツ。
2人の格好を見たサトミの脳裏に過去の光景がよみがえり、今と重なる。
「ま、またしてもペアルック……イヤ〜ンな感じぃ……」
とっさに出たサトミの発言にレイ、アスカが反論する。
「こ、これは、ミサトさんが日本人は形から入る物だって、無理やり……」
「こ、これは、ミサトが日本人は形から入る物だって、無理やりだな……」
細かい違いはあるが、声はしっかり揃っている。
その息の合い様に、ヒカルが顔を真っ赤にしながら2人に詰め寄る。
「い、いくらなんでも早すぎだろ！　中学生だぞ！　それなのに、ど、同棲なんて……」
「ご、誤解よ！」
「ご、誤解だ！」
再び声を揃え反論するレイ、アスカだが、ヒカルは聞こえてないのか道徳観念について説
教を続ける。ユウキとサトミは自我を取り戻したが、止める気にもならず、後ろからそ
れを見ていた。

「ん？　どしたんだ、君たち」
未だ覚めやらぬ玄関前での騒ぎの元に、廊下側から声がかかる。声の主はミサトだった。
その隣にはシンジが立っている。
「……これはどういうことか、説明してくれます？」
半ば呆れ顔のユウキが、事情を求めた。
「ああ。じゃ、せっかく来てくれたんだし、中で話そう。さ、みんな入った入った」
ミサトはそう言うと騒ぎをものともせず、全員を部屋に押し込んだ。

「なんだ、そういうことだったんですか」
ミサトからの説明を受けたヒカルはようやく落ち着きを取り戻した。
「使徒を倒すための特訓……ユニゾン、ですか？　そのために一緒に住んでる、と」
「ああ、2人の動きをパーペキに合わせる為には、これが一番いいと思ってな。あ、完全
　に2人っきりって訳じゃなく、夜は俺も一緒にいるから、君の心配は無用だぞ」
ミサトの言葉に先程の騒乱を恥じたのか、ヒカルは真っ赤になってうつむいてしまった。
「なるほど。ほいで特訓は順調なんでっか？」
「それは……見てのとおりだ」
リビングの隣の和室に設置されたユニゾン特訓用の機械が。曲に合わせ2人の体を動かし、
ずれをチェックするものだ。しかしその機械は先程からエラー音を連発している。対象
者はもちろん、レイとアスカだ。
「だぁぁあもう！　こんなもんうまくいくわけ無いだろ！」
皆が集まってからもすでに十数回失敗を繰り返したアスカが、癇癪を起こす。
「土台無理な話なんだよ！　男と女じゃ運動能力が違い過ぎんだ！」
レイはそんな様子を申し訳なさそうに見ている。
「おいおい、それを合わせてやるのが男ってもんだぞ……シンジ、試しにやってみな」
「……はい」
ミサトに促されたシンジが、静かにソファから体を起こす。
「テンポは大体覚えたな？」
「大丈夫だと思います」
アスカからヘッドフォンを受け取り、シンジがそれを耳にあてる。

（いきなり綾波君とやれだなんて……うまくいくのかな？）
少し緊張したレイだったが、曲が始まり、先程までのように体を動かしていく。
（……あれ？）
いつも決まって動きがずれるポイントに入っても、機械はエラーを出さない。曲からは少
し遅れるのだが、シンジはレイの動きに合わせている。
（惣流君より……動きやすい）
その後も普段躓くポイントも多少ずれはあったが、エラーを出すことなく、最後まで2人
はやり遂げた。

「ほほぅ……」
「ぴったり動きがあっとるな」
「息が完全に合ってる。すごいな」
サトミ、ユウキ、ヒカルが褒める中、アスカだけは苦虫をつぶしたような顔をしていた。
「……予想はしてたが、ここまでとはな。こりゃ、交代すべきかもな」
ミサトの発言に、アスカが驚いた顔を向ける。
「…………クッ！」
突如アスカが部屋から飛び出す。そしてそのまま外へと走り出していった。
「そ、惣流君！？」
心配そうな顔をしたヒカルがその様子を呆然と見る。
「……闘争心あおらせるつもりが、失敗だったかな」
ミサトはそう言って頭を抱える。レイは成功の喜びも忘れ、その出来事にただ呆然として
いた。そこに、ヒカルがゆっくりと近づいていく。

「あの……碇さん。本当に悪いんだけど……惣流君を追いかけてくれないかな」
「え？　……で、でも」
突然の申し出にレイはためらう。
「ほっときゃええて。腹減ったら戻ってくるやろ」
「うるさい！」
ユウキの発言を一蹴して、ヒカルが続ける。
「本当なら、俺も行きたいんだけど……俺、なんて言ってやればいいのかわからないんだ。
　勝手だけど……その、碇さんは今まで惣流君と一緒に頑張ってたんだよね。だからって
　訳じゃないけど、多分俺より……惣流君に頑張れるきっかけを与えれると思うんだ……
　って、本当に勝手だね。ごめん。でも……」
「……いいよ」
ヒカルの必死の願いを、レイは承諾した。自分に非が無いことはわかっている。でも、自
分が行くべきなのだと、レイは理解していた。
「……ありがとう、碇さん」
「ううん、いいから」
レイはそう言うと、アスカを追って部屋を出て行った。

マンションを出て30分ほど近辺を探すと、レイはコンビニにいたアスカを見つけた。ドリ
ンクコーナーにしゃがみこんでいるアスカに、レイが話し掛けようとする。
「あの、惣流く……」
「……何も言うな……わかってる」
そう言ってアスカはレイに背を向けたままゆっくりと立ち上がった。
「俺は……エヴァに乗って、使徒を倒さなきゃならないんだ」

コンビニを出て、街を見下ろせる公園に来た2人は、ベンチに座っていた。しばらく無言
の2人だったが、不意にアスカが口を開く。
「……よく考えたら、あれは完璧じゃねえ」
「え？」
「お前とファーストがやったやつだよ！　曲とずれてるし、動きだって鈍い！　あんなん
　じゃ使徒を倒せるわけねえ！」
「そ、それはそうだと思うけど……」
「……特訓だ」
「じゃあ、帰ってまた……」
「そうじゃねえ！　今までとやり方を変える！　……いいか、お前はとにかく曲を完全に
　体に覚えさせろ。そんで少しずつでもいいから早く動けるようになるんだ」
「え？　う、うん、わかった」
「そして俺はお前の動きを覚える。お前のクセ、テンポ、全部だ。……不本意だがしかた
　ねぇ。俺がお前に合わせてやる。でもいいか！　俺がじきじきに特訓して、お前のレベ
　ルを俺まで上げてやるからな！」
そう言うとアスカはベンチの上に立ち、レイをビシッ！　と音を立てるかの様に指をさす。
「いいか！　あと3日だ！　あと3日で完璧に仕上げて、ミサトもファーストもヒカルもつ
　いでにあのバカ女2人も、全員見返してやるんだ！　いいな！？」
「う、うん！」
アスカにとことんまで押され、レイは思わずうなずいた。だがその顔に気負いは見られな
い。自分のパートナーが、元気を取り戻したのが嬉しいのか、少し微笑んで見えた。

そして、2人の特訓が再び始まる。

初日、2日目はまだレイの動きはぎこちなかったが、アスカ直々の手本と、一緒の生活が功
を促したのか、3日目には2人の動きは完璧のものとなった。

その夜。
使徒戦に向けてミサトはネルフで泊り込みの作業をすることになり、レイとアスカ2人きり
での夜を迎えることになった。昨日まではリビングでミサトを間にはさめ、川の字で寝て
いた為、いつものようにリビングに布団を敷いていたレイに、アスカが話し掛ける。
「お、おい。今日は俺は和室で寝るからな」
「え？」
首をかしげながらレイがアスカを見る。
「バ、バカ！　今日はミサトがいないだろうが！」
「……あ、そ、そうだったね」
ようやく今の状況を飲み込めたレイが、慌ててアスカの布団を和室へと持っていく。
「じゃ、じゃあ、明日は本番だからな！　さっさと寝ろよ！」
アスカはリビングに戻ったレイにそう告げると、和室の襖を閉めた。

それから数時間ほど経ったが、レイは2人っきりであることを改めて意識したためかなかな
か寝付けず、Ｓ−ＤＡＴで特訓用の曲を聞いていた。

シュッ

和室の襖が突如開いた。レイは驚きながらもＳ−ＤＡＴを止めると、寝たふりをしながら
背後の気配をうかがう。
（お、襲われたらどうしよう……力じゃ絶対かなわないよぉ……）
ドキドキしていたレイだが、気配の主、アスカは静かにリビングを抜けて行った。
（何だ……トイレか……）
落ち着きを取り戻したレイは、リビングに戻ってきたアスカに悟られぬよう、目を閉じて
寝たふりをしていた。

ドサッ！

目の前で突如起きた音に驚きながら目をあけたレイに映ったのは、アスカの顔だった。
（フェ、フェイント！？　ひ、卑怯だよぉ！？）
驚きすぎて声が出ないレイだったが、それからアスカが動くそぶりを見せないのに気づき、
よくよく観察してみる。すると、アスカは目を閉じて寝息を立てていた。
（ね、寝ぼけてただけかぁ……よかった……でも、どうしよう……）
再び落ち着いたレイだったが、今度はこの事態をどうしようかと困惑していた。
しかし……

「んん……」
アスカがわずかに声をあげながら、レイの背中に手を回すと、そのままレイの胸に顔をう
ずめてきた。
（や、やああああぁぁぁ！？　フェイント！？　やっぱりフェイントなのぉ！？）
三度慌てだすレイだったが、アスカはそれから動こうとはしない。レイは恐る恐るアスカ
の様子をうかがうと、アスカが不意に口を開いた。
「パパ……」
「……へ？」
アスカの寝言に思わず声を出すレイだったが、発言がどうも場にそぐわない。わずかに見
えるアスカの目は完全に閉じており、目尻にはわずかだが涙が溜まっているように見えた。
（やっぱり寝てる……お父さんの夢、見てるのかな……）
アスカの事情を知らないレイだが、様子を見ると悲しい夢を見てるように思える。
（惣流君……性格の激しさとか、自信過剰な所とかが目に付くけど……本当は、ごく普通
　の男の子なのかもしれない……）
見た事のないアスカの弱さに、レイはそんなことを思った。
（でも……）
レイの顔が少し悲しげになる。
（お父さんと間違えるって……む、胸が無いって事なのかな……）

それから5分程経ち、アスカが寝返りをうった隙に、レイは離れ、和室で寝ることにした。
アスカの父親はふくよかな人なんだ、と自分に言い聞かせながら……

レイにとって長い夜が明け、決戦の日がやってきた。
ネルフではあわただしく作戦準備に追われていた。
「使徒、強羅絶対防衛線を突破！　現在山間部を第3新東京市に向かい進行中です！」
「来たな……2人とも、準備はいいな！」
報告を受けたミサトがレイ、アスカに檄を飛ばす。
「ＯＫ！　いいな、最初からＡＴフィールド全開、フル稼働最大戦速で行くぞ！」
「わかってる！　62秒で倒してみせる」
アスカからの確認にレイも気合を入れて答える。

「使徒、第3新東京市に侵入しました！」
「よし！　作戦開始だ！」
「了解！　外電源パージ！」
「エヴァンゲリオン、発進！」
作戦開始の合図と共に、初号機、弐号機が第3新東京市へと上げられる。同時に、2人に慣
れ親しんだ曲がプラグ内にかかる。
リニアレールの勢いで2機は飛び出すと、電磁カッターを同時に投げ、使徒を再び2体へと
切り裂く。地上に降り立った2機はすぐさまパレットライフル、ポジトロンライフルを持
つと、各々に波状攻撃を仕掛けた。

「すごい……」
モニターを見ていたマヤが驚愕の声を静かにあげた。
「ああ、これほどまでとはな。完璧じゃないか、2人のユニゾン」
リツも賞賛の言葉を述べるが、モニターを真剣に見つめるミサトを見て、気を引き締めな
おし、仕事に戻った。

曲も後半に差し掛かった時、2体の使徒は接近戦を敢行してきた。2機が盾にしていた防壁
を切り裂き、体制が崩される。
「援護射撃だ！　弾幕を張れ！」
ミサトの指示の元、兵装ビルから多量のミサイルが使徒に打ち込まれ、使徒の動きが止ま
る。その隙を見逃さず、体制を立て直した2機は使徒に飛び込むと、拳を突き上げ使徒を浮
き上げると同時にソバットを繰り出し、使徒をアスファルトに叩きつける。

勢いのままにアスファルトを滑る2体が、再び重なり、1体へと戻っていく。
それを確認した初号機、弐号機は高く飛び上がると、使徒のコアが一つに戻りきる瞬間、
蹴りをコアにぶち当てた。

再び使徒を山間部まで押し戻したその威力に、使徒のコアが限界を超え、砕け散る。
巨大な爆発と共に、使徒はこの世から消し去られた。

「パターン青、消滅！　使徒の殲滅を確認しました！」
「よっしゃあああ！」
ミサトが大きく喜びの声をあげる。早速2人を褒めてやろうと、モニターを見つめると……

爆発による砂煙が収まり、モニターに映し出されたのは、情けなく倒れている初号機と弐
号機の姿だった。

内臓電源を使い果たし、動けない初号機から自力でレイが抜け出す。と、プラグについてい
る非常用電話が鳴り響いた。受話器を取ったレイの耳に飛び込んできたのは、アスカの怒号
だった。
「おい！　最後の着地のタイミング外したな！　おかげで弐号機がめちゃくちゃだぞ！」
「ご、ごめん！　最後に気が緩んじゃって、その……ホントごめん！」
「ったく……まあいい、使徒は倒せたんだしな。……お前も、鈍くさい割には頑張ったしな」
アスカの褒め言葉に、なんとなくレイは気を良くした。が、
「まあ最後の詰めが甘いのが、お子様って証拠だけどな」
この言葉にカチンと来たレイが、珍しく言い返す。
「な、なによ！　確かに私はまだ子供だけど、それはそっちもでしょ！」
「なんだと！　俺はもう立派な大人だ！」
「嘘ばっかり！　昨日の夜自分が何したか覚えてないの！？」
「昨日の夜！？　……そういや何で俺とお前が入れ替わって寝てたんだよ！　何かしたな！」
「してきたのはそっちよ！　人の布団にもぐりこんできて、む、胸に顔うずめたくせに！」
「な、な、な……てめえなにそんな嘘つきやがる！　加持さんに誤解されんじゃねえか！」
「嘘じゃないわよ！」
「嘘だ！」
「本当よ！」
「絶対嘘だ！」
…………
………
……
…

2人のケンカはネルフ本部にも聞こえていた。
「葛城一尉」
冬月が、静かに話し掛ける。
「……はい」
ミサトはゆっくりと振り向く。すでに喜びの表情は見られない。
「さっさと2人を戻しなさい」
「……了解しました」
「……また恥をかかせて……」
冬月はため息と共に、心情を口にした。

結局、レイとアスカの口ゲンカは、回収が終わってもしばらくの間続いたのであった……

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　次回へ続く……はず。

今まで以上に長く、しょっぱなから貼りミスをする自分が情けねぇ……
まあかける恥は年内のうちにかいとこうと開き直らせてもらいます。

今年中にもうひと恥かきたいなぁ……ではまたいずれ。

待ってましたよ、続きはまた気長に待つとします。

＞アスカの父親はふくよかな人なんだ

ﾜﾗﾀ
かわいいな
女シンジ

言っておきながら今年中にもうひとつは無理でした。
でも恥はかきたい。
なので、インターミッションと称してちょっとだけ。

>>213
そうしていただくとありがたいです。

>>214
こういう小ネタが好きですんで、笑ってもらえて嬉しかったり。

第7使徒を見事殲滅し、ネルフ本部へと帰還したレイ、アスカだったが、勝利を喜ぶさま
はお互いに見られなかった。
「……」
「……」
作戦終了後に勃発した口ゲンカ大会は、回収班到着後も続いていたが、今はどちらも疲弊
しきった顔で黙り込んでいる。結局どちらも言い分を曲げる事無く、疲れを上乗せしただ
けの不毛な争いであった。

着替えてミサトの元へ報告に行かなければならない為、2人はロッカールームへと向かう。
お互いの目的地は隣同士の為、必然的に同じ通路を進む2人だが、会話はおろか、顔もあ
わせようとしなかった。そんな無言で歩く2人に、加持が出迎える。
「2人とも、お疲れ様」
いつものように笑顔で労をねぎらう加持だったが、アスカは先程までの口ゲンカの内容を
思い出し、うろたえる。
「あ、か、加持さん……えっと、あ」
「それにしても、アスカも知らないうちに大人になってきたのね……でも、無理矢理は感
　心しないわよ」
変わらず笑顔のままで、加持はアスカをさらに動揺させる。
「な！？　き、聞いてたのかよ！？」
「ええ。発令所に流れてきたもの」
加持の言葉にあ然とするアスカだったが、それは後ろに立っていたレイも同じだった。言
葉も無く立ち尽くす2人に、加持は「じゃあね」と手を振りながら行ってしまった。

「なんだ2人とも、ずいぶん遅かったじゃないか」
加持と出会ってから、しばし呆然としていた2人がミサトの執務室に着いたのは、本部到
着から1時間近く経過した頃だった。2人の顔は1時間前と比べ、さらに疲弊している。そ
れは、一度は収まった口ゲンカに、再び火がついたためであった。元の疲れのせいか、長
くは続かなかったが。
「まあ、作戦行動については特に問題は無かったが……終わってからがなぁ……」
「司令も副司令も、あきれてたぞ」
ため息交じりのミサトに、同席していたリツが続けて苦言をもらす。
「そ、それはこの際置いとくとしてだな！　何で非常用電話の内容が、発令所にまで聞こ
　えてるんだよ！？」
顔を真っ赤にしながらアスカが噛み付く。
「そりゃあ、非常用電話が本部に届かなかったら、困るからだろ」
「あれだってＭＡＧＩを介しての物だからな、当然だよ」
あっさりと言い返すミサトとリツに、アスカは勢いが削がれてしまうが、リツの言葉が新
たな疑問を生み出し……今度は顔が青くなりだす。恐る恐ると、だがひとかけらの希望を
胸に抱きながら、アスカがリツに問う。
「なあ……まさかとは思うんだが、あの会話がＭＡＧＩに記録されてるなんて事は……」
「当然、記録されてるぞ」
アスカの希望はあっさりと打ち砕かれた。

「あ、悪夢だ……」
アスカは再び呆然とする。隣に立つレイもまた、失態を記録されてしまった事に言葉をな
くしてしまった。
「先に言っとくが、司令の許可なしに記録を消去することは許されてないからな」
リツが2人に追い討ちをかける。司令の許可、という言葉にアスカが一抹の望みをかけて
レイを見るが、その変わらぬ様子に、それが無理であることを察した。
「ま、人の噂も75日って言うからな。そのうちみんな忘れるって」
「また問題さえ起こさなきゃな」
ミサトの慰めの言葉もリツの余計な一言であっさり崩される。ミサトは無言でリツを睨み
つけるが、リツは余裕の笑顔のまま。1週間前の出来事をまだ根に持っていたようだった。
そのダシに使われるレイとアスカにはたまったものではなかったが。

復讐を遂げたリツが満足げに執務室を後にし、ミサトはため息を一つ着くと、アスカに今
後について尋ねた。
「で、アスカ。これからどうする？」
「……えっ？　な、なにがだ？」
「住むところだよ。作戦は終わったからな。そのままあそこに住むか？　希望するなら、
　またホテル住まいも出来るぞ」
「え？　ホテルに住んでたの？」
色々とショックが多すぎたのか、ケンカをしていたことも忘れレイがアスカに問い掛ける。
「ん？　ああ、こっちに来てからはずっとな……って、別にお前には関係ないだろ！」
何の気なしに答えたアスカだったが、こちらは途中でケンカの事を思い出してしまい、レ
イに突っかかった。
「な、なによ！　そうね関係なんか無いわね！　ホテルにでも何でも勝手に戻れば！？」
「言われなくても！　あ〜っ、ようやく冴えない奴と離れて、優雅なホテル住まいに戻れ
　てせいせいすらぁ！」
「ふ、ふん！　こっちだってそうよ！　一人じゃ何にも出来ないお子様は、ホテル住まい
　しか出来ないでしょうね！」
「なんだと！？」
「だってそうじゃない！　1週間の間、料理も洗濯も一回もしたこと無かったでしょ！」
「べ、別にやろうと思えばそんぐらい出来るぞ！」
「どうだか！」
「何を！？」
「何よ！？」

突如、口ゲンカ大会第3ラウンドに突入した2人だったが、ミサトはニヤリと笑うと、それ
を制した。
「よ〜しっ、じゃあアスカはこのままあの部屋に住むって事で決まりだな」
「へ！？」
「なに！？」
突然のミサトの言葉に2人は思わずミサトを見る。
「いや〜っ、言っといて何だが、トップの2人が機嫌悪い中、アスカの転居手続き申請する
　のは気が進まなくってなぁ。保安部にも手続きしなきゃならんし面倒だったんだが、ア
　スカが一人暮らし出来るってんなら、何の問題も無いよな」
「な、ちょ、ちょっと……」
慌てたアスカがミサトに詰め寄ろうとする。
「俺まだ仕事が残ってるから、じゃ〜な〜っ」
それをあっさりとかわし、ミサトは執務室から出て行った。
「……こ、これからもこいつの隣に……」
「……こ、これからも惣流君が隣に……」
残された二人は、ただ呆然と立ちすくむのみだった。

「あ、悪夢だ……」
「あ、悪夢よ……」
ユニゾンの結果を遺憾なく発揮しながら。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いんたーみっしょんおしまい。

これで今年ぶんは終了。続きは来年に。

皆様よいお年を。

再開

男アスカが出てると普通の熱血ロボットアニメみたいで良いな（ｗ
なんにせよ乙。続きも期待してるぞ＞９１

パパより父さんの方が…
劇場版冒頭のシンジに期待ﾊｧﾊｧ

>>91
GJ。
いつも期待してます。

91たんﾏﾀﾞｰ

まらかね。

再起動！

シンジが女でアスカが男だったら、シンジ絶対レイプされてるよな。
むしろ肉奴隷にされてそう

本編でなくても
絶対同人でその手のネタが氾濫するだろなー

シンジ女→ゲンドウ溺愛→アスカちょっかい→ゲンドウによりアスカ抹殺

30前の男と身内でもない思春期の少女が二人暮し
ってのに最もな理由ってなんだろ

>232
つーか、さすがにそれはいくらゲンドウでも止めると思うw

ヒカリに頼まれて女子とデートするものの
つまらないからと順番待ちさせてる間に放置して帰って来る男アスカ

なんてひどい奴だw

「熱膨張？幼稚な事やってるな。とどのつまり、物ってのは温めれば膨らんで大きくなるし、冷やせば縮んで小さくなるって事じゃねえか。
俺の場合、ピーだけ温めれば少しはピーだけが大きくなっかな？」

セクハラなアスカ…

>235
もしくは
「お前のその貧相な胸も温めれば少しは大きくなるんじゃねーの？」

…どっちにしろセクハラだな。

>>236
その言葉にちょっとムッとして
｢じゃあ…温めてくれる?｣
とか言うシンジ(♀)。

予想外の返答にうろたえ、逃げるようにプールに飛び込むアスカ。

そして言われて恥ずかしいのと言ってて恥ずかしいのとで
それぞれプールサイドと水中で、真っ赤な顔

サンダルフォン戦終了後
温泉で
「お、飛鳥、でけえなあ！」
「ふっ、巳佐人こそ…」

とかいう会話をついたてごしに聞いちゃった眞子（♀シンジ）ちゃん

「やだ…、濡れてきちゃった…、恥ずかしい」

自分の部屋で眞子の下着の臭いを嗅ぎながら、自慰にふける飛鳥。
｢ハァハァ…畜生この俺が…眞子の下着如きで…ハァハァ…ウッ｣

ああ……なんかエロ妄想スレになってる……お、俺も混ぜてぇぇぇ！

お久しぶりです。
第１０話です。
だんだんおかしくなって来てます。

惣流・アスカ・ラングレーは悩んでいた。
「この間の奴は結局二人がかり、その前の奴は……サポートみたいなもんで、とどめを刺
　したのは俺じゃない……俺一人で片付けたのはまだ無し……」
すでに時刻は深夜十二時を過ぎている。自宅の寝室、ベッドの上で胡座をかき、アスカは
セカンドチルドレンとしての戦績を振り返っていた。
「それより前の奴、三体中二体はあいつが一人で倒してる……チッ、鳴り物入りの本部出
　向のはずが、結果はどうだ……一番の新人が多く手柄を立ててるってか……」
アスカは、努力とは才能の一つだと考えている。だからこそ、努力を尽くす事の出来る自
分には高い才能があると信じる事が出来た。
「サードチルドレン……碇レイ……あいつは努力してきたか？」
先の戦闘の為の特訓は、アスカ自身が関わっていたので努力していた事は認めていた。だ
がレイの初陣は、初めてネルフに来たその日に。二戦目は、それから一月も経っていない。
たったそれだけの期間で、たった一人で。
「天才ってか……認めてたまるかよ！」
それを認めるのは、決してレイに追いつけない事を認めるのと同義であった。
「あーもうヤメだヤメ！　ウジウジこんなこと考えるなんてらしく無いぞ！　惣流・アス
　カ・ラングレー！　次に来た奴は絶対一人で倒す！　よし！　寝る！」
そう自身に高らかと宣言すると、アスカはベッドに潜り込んだ。

それから一ヶ月が過ぎ……

「そういえば、最近は使徒が来ないね」
「平和……皆が望むもの……」
「だあぁっ！　気ぃ抜いてんじゃねえ！」

一年が過ぎ……

「来ないね……使徒」
「……そうだね」
「ええい！　使徒ってのは忘れた頃に来るもんだ！　なごんでんじゃねえ！」

十年が過ぎ……

「あの……惣流君。私、チルドレンから抜ける事になったの」
「な、なんだと！？　いやお前がいなくても俺がいりゃあ平気だけどよ！　何でだ！？」
「……結婚……するの」
「……へ？」
「……綾波君と」
「……来月には君も綾波になるんだけど？」
「あ、そ、そうだったね。ごめんなさい、実感わかなくて……シ、シンジ……って呼んで
　も……いい？」
「碇さんが好きに呼んで良いよ」
「あ、私もう来月は碇じゃないんだよ？」
「そうだったね……レイ」
「……シンジ」
「……レイ」
「だあぁっ！　人の前でいちゃつくんじゃねぇ！」

そして……

「結局……あれから使徒は来なかったね」
「……そうだね」
「みんな無くなっちゃったね……ネルフも、エヴァも……」
「……最後の、チルドレンも……」
「惣流君……一人になってもずっと……使徒は来るって信じて……うっ、くっ」
「……人は皆、自分の存在価値を求めてる。自分がここにいていい理由を求めてる。セカ
　ンドチルドレン……あの人は、それを使徒と戦う事に求めた」
「私も……そうだったのかもしれない」
「僕もだよ。でも、僕はそれを君に求めた……レイと、共に生きる事を求めた」
「私……嬉しかった。シンジが、私を求めてくれた事、とても嬉しかったよ……今も……
　これからもずっと、変わらずに、嬉しいよ」
「……これからも、共に生きていこう」
「……うん」
「……ありがとう」
「パパーッ！　ママーッ！　まだーっ！？」
「あ……」
「……これからも、三人で共に、だね」
「そうだね……三人で。じゃあ……そろそろ行こう」
「……そうだね。惣流君……最後に会う事は出来なかったけど……また来るから」
「さよなら……セカンドチルドレン」
「さよなら……惣流君」

　　　　　新世紀エヴァンゲリオン　〜もしもキャラの性別が逆だったら〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　終

「って、なんじゃそりゃあああぁぁぁ！！」
アスカは大声を上げながら掛け布団を跳ね上げ、周囲を見渡す。ここが自分の寝室である
事を存分に時間をかけて確認すると、大きなため息をついた。
「……夢……か……」
時刻は午前三時過ぎ。アスカの普段の起床時刻より四時間も早かったが、これが本当に現
実なのかという疑いと、さっき見た様な夢をまた見てしまうかもしれないという恐怖から、
アスカはこの後、一睡もすることが出来なかった。

「ふあ〜っ……眠い……」
「目、真っ赤だよ。眠れなかったの？」
「ん……夢見が悪くてよ……」
「そういや夜中に叫び声が聞こえた気がしたんだが、お前か？」
「ああ……多分俺だ」
「そんな大声出すくらい嫌な夢だったの？」
「最悪……って言葉すら生ぬるいくらいのな」
アスカにとって最悪の夜が明け、葛城家キッチンでは家主と同居人、そして隣人が揃って
朝食を摂っていた。
「意外とナイーブなんだね、惣流君って」
「そりゃどういう意味だ？　まるで俺がなんも考えないバカだって聞こえるんだが」
「あ、あの、そういう意味じゃなくって……その」
「人の家で毎回飯食ってる時点で、ナイーブからかけ離れてる様にしか見えないんだが」
「う……」
家主、葛城ミサトの言葉通り、アスカは一人暮らし開始から３日も経たずに、葛城家で食
事するようになっていた。

「あれだけ大見得切っといて、結果がこれじゃあなあ……」
「……うるせぇ、人には向き不向きってもんがあるんだ。大体ミサトだって家事なんざ一
　切やってねえじゃねえか！」
「家主の特権だ」
「特権……なんですか」
「その上ここでの飯だけに飽きたらず、弁当まで作ってもらってるんじゃなあ。あ〜情け
　ない情けない」
「……チクショウ」
「あ、それぐらいの事、気にしなくていいよ。一人分の量が増えたくらいで大して手間な
　んてかかんないんだし」
「お〜お〜っ、レイちゃんは優しいなあ。よかったなぁ、ん？」
「ううう……」
「あの、本当に気にしなくて良いから、ね？」
優しさは、時に人を傷つける。だがアスカには、それを受け入れる他に生き行くすべが無
かった。

「そういや、二人に話しとく事があったな」
アスカがすっかりおとなしくなったのを確認して、ミサトが切り出す。
「なんだ？」
「急な訓練でも入ったんですか？」
「いや、学校の事だ。修学旅行があるんだよな。それなんだが……」
「ああ、来週の……」
「……無理なんですね？」
「……すまん」
「だぁ〜っ、マジかよ……」
「……本当にすまない」
「あの、そんな謝らないでください。ほら、こんな時ですし、仕方ないですよ」
「まあそうだよな。呑気に遊んでなんていられないしな」
「その代わりといっちゃあ何だが、本部のプールを開放しとくから。好きに使ってくれ」
「え……あ、本当に気にしないでください。そんな事までしてもらわなくても……」
「何言ってんだよ。良いじゃないか、それぐらいしてもらったって」
「ああ、その他にも何か要望があったら言ってくれ。出来るだけの事はするから」
「は……はい……」
「っと、そろそろ時間やばいな。ほら、さっさと準備しようぜ」
時計を確認したアスカは、いつも以上に遠慮深げなレイをせかし、話を切り上げた。

「そっか、レイ達は修学旅行キャンセルか」
「残念やったなぁ。ま、あんたらの分まできっちり楽しんで来たるから、安心しいや」
「何を安心すんだよ。けっ、事故にでも遭っちまえ」
「そんなんゆう奴には土産やらんぞ」
「お前のセンスじゃろくなもんじゃねえのが目に見えてるからな。アロハなジャージでも
　買ってくる気だろ。え？」
「んなもんあるわけないやろ！？　あ……でも探してみる価値はありそうやな」
「ユウキ……冗談だよね？」
「いや、目がマジだよ」
レイ、アスカにユウキとサトミを加えての登校中。話題は三日後に控えた修学旅行につい
てだった。

「しっかしツイてないよな。あ〜っ、せっかく沖縄の海で潜れると思ったのに。なぁ？」
「え！？　あ、私は……結構最初から諦めてたし……」
アスカに話を急に振られたレイだったが、何故か軽く動揺しながら否定する。
「あ、そうか」
その様子を見たサトミが察する。
「サ、サトミ……」
サトミが察したと思われるものに心当たりがあるのか、レイはさらに動揺する。
「なんだよ。なんかあんのか？」
「う……」
レイの動揺が気になったアスカが、レイに探りを入れる。だが、レイは俯いて黙ってしま
った為、アスカは矛先をサトミへと切り替えた。
「なあ、なんなんだ？」
「ん〜っ、どうしたもんかなぁ〜」
焦らすサトミの様子をレイがはらはらした顔で見つめる。その目は必死で何かを訴えてい
る様だった。
「ま、色々とあんのよ。年頃の女の子には、ね」
「そ、それより早く行かないと遅刻しちゃうよ！　ほら、急ご！」
サトミがはぐらかしたのをきっかけに、レイは強引に皆を駆り立てて話題を打ち切った。
「なんなんだよ一体……」
釈然としないアスカだったが、遅刻しそうなのは事実な為、それ以上追及はしなかった。

時は流れ三日後……

空港で友人の旅路を見送ったレイとアスカは、本部施設の一つ、屋内プールに来ていた。
そこにはすでに、同じく修学旅行キャンセル組の一人、シンジが来ており、マイペースに
泳いでいる。負けじと水着に着替え、楽しもうとしたアスカだったが、ふとその視線が、
プールから別のものへと移る。その先に見たものは、プールサイドの一角に備え付けられ
た休憩コーナーに陣取るレイの姿だった。

「……で、お前はこんな所に来てまで、何をしてるんだ？」
「理科の勉強……最近遅れがちだったから」
レイはノートパソコンを開き、問題集を解いている。制服姿で勉強中のそれは、全く場に
そぐわないものだった。
「お前って奴は……少しは身の回りを楽しいものにしようって気がないのか？」
「気にしないで泳いでて良いよ」
「こんなもん見せ付けられたら、楽しもうったって無理に決まってるだろうが！　ほら、
　見せてみろ！」
無理に説得するよりは、解消させてしまった方が早いと踏んだアスカは、レイの解答をチ
ェックしだした。

「ここは正解だけど、そっちは違う。そうじゃなくてこう解くんだ。んでこっちは……」
アスカは実にスムーズに添削をし、解答法を教える。教科書よりわかりやすい解説に、レ
イは感心していた。
「難しい問題も混ざってるのに、すごいね。惣流君って」
「ん？　こんなの初歩の初歩だろ。こんなんで感心されても、嬉しくねえっての」
「向こうの学校って、進んでるんだね」
「向こうのって、大学じゃ常識以下のもんだぞ。こんな問題」
「……大学？」
「あれ？　言ってなかったっか？　去年卒業したんだ」
「去年……十三歳で、大学卒業って……」
「向こうじゃそんな奴ざらだっての。んで、こっちの……なんて読むんだ？　この漢字」
「へ？　ああ……熱膨張だよ」
「熱膨張かよ……ようは物なんて温まればでかくなって、冷えると縮むって事だろうが」

それから、熱膨張について簡単な講義をしたアスカは、ニヤリと笑ってレイの胸元に視線
を落とした。
「お前の胸も、温めれば少しはでかくなるかもなぁ？」
アスカの嫌味ったらしい言葉に、レイは思わずアスカを睨みつける。先日の特訓最終夜の
出来事、父と間違えられるような乳なのかと気落ちしていたレイにとって、その言葉はタ
ブーに等しかった。
「あ……いや、冗談だって。マジになるなよ……ワリぃ」
レイの目が、真剣に怒っている様子だと理解したアスカは何とか誤魔化す為、話を変えよ
うとする。
「ほ、ほら、これで勉強も一段落ついただろ？　今日はこの辺にしといて、後は泳いで楽
　しもうぜ、な？」
アスカの誘いを受けても、まだレイは黙ったままだった。アスカはまだレイは怒っている
のかと疑ったが、先程とは違う様子が感じられ、このまま押して失言を消し去ってしまお
うとさらに言葉を繋ぐ。

「ほら、沖縄にいる奴らも今ごろ泳いで楽しんでるって。俺らだって楽しまなきゃ損だろ
　うが。な、泳ご泳ご！」
「……げないから」
「……へ？」
「……泳げないから……いい」
「……泳げ……ない？」
「……」
「……もしかして、修学旅行あっさり諦めれたのも……」
「……そうよ」
アスカの行動は、一言で言うならば、墓穴。レイの機嫌を損ねたのは確かにアスカの失言
が原因であったが、自分でもよくわからないまま、何故かその機嫌を直そうと、アスカは
躍起になっていた。

「よ、よし！　俺が泳ぎを教えてやる！」
「……いい」
「な、何言ってんだ！　海から来る使徒だっているんだぞ！　水中戦にでもなったらそん
　時、苦労するだろうが！　さっき勉強を教えてやったのも何かの縁！　この際とことん
　教えてやる！　ほら、着替えろ着替えろ！」
アスカは半ば無理矢理にレイを更衣室に押し込め、ほとんど無理矢理にプールへレイを叩
き込み、かなり無理矢理に水泳教室を開始した。別の行動で失言を忘れさせ、さらに悩み
を解消させることにより墓穴を埋めるという、恐ろしく無理矢理な一石二鳥。この非常に
騒がしい様子を、シンジはプールサイドでただ静かに見ているだけで、放っておいた。

その頃ネルフ本部では、ミサトによる浅間山からの報告により、騒がしくなっていた。

ミサトからの報告と要請は、直ちにゲンドウの元へ届き、直属の上位組織との緊急会儀が
開かれていた。
「Ａ−１７……こちらから打って出るとは……危険すぎるわ」
「しかし、生きた使徒のサンプル。その重要性は、あなた方にもご理解可能でしょう」
「失敗は……許されませんよ」
まるですでに決まっていたかの様に、会儀はあっさりと終了する。
「失敗ね……その時はすべて終わってしまった後だというのに」
ゲンドウのすぐ側に立っていた冬月が、あきれた様につぶやいた。

会儀終了からいくらも経たぬ内に、チルドレンはブリーフィングルームに呼び出された。
「これが……使徒なんですか？」
床に設置されたモニターに映っているのは、初期の胎児のような姿の物体。いままで現れ
たものに比べてそれは、なんとも頼りなさげなものにレイは見えた。
「おそらく、これはまだサナギの状態。羽化が始まるまでは、まだ時間があると推測され
　ている」
使徒の回りを囲んでいる殻のようなものを指し、リツが説明した。
「今回の作戦は、使徒の捕獲を最優先とします。これは、今まで以上に重要な任務だ」
リツが告げた、重要な任務という言葉にアスカが反応する。
「作戦担当は……」
「はいっ！　俺がやる！」
いの一番に手をあげて、アスカが立候補した。
「アスカ、弐号機で捕獲を担当。レイちゃんは、初号機でバックアップだ」
「はい」
「僕は……」
シンジが静かに指揮を請う。
「零号機は規格が違うから、今作戦のパーツは装備できないんだ」
「シンジと零号機は本部にて待機、良いな」
「わかりました」
マヤの説明と、リツの命令を受け、シンジが答える。

「ま、今回は全部俺一人で片付けちまうから、お前らは安心してていいぞ！」
アスカは自分の胸を叩きながら、レイとシンジに、そして自分自身に宣言した。
「アスカ、今作戦は非常に危険なものだ。もし使徒に何らかの動きがあったなら、すぐさ
　ま作戦を使徒殲滅に切り替える。十分に注意するように」
「まかせとけって！」
リツの忠告を受けても、アスカの態度は変わったように見えない。発言だけなら、舐めて
かかっている様に見える。だが、その目には十分な気合が見て取れた。
「では三人とも、準備開始！」
アスカの気合を確認したリツは、それ以上は何も言わず、この場を締めた。

早速、我先にと準備をはじめたアスカだったが、耐熱使用のプラグスーツ、並びにＤ型装
備された弐号機の前に、大きく気合を削がれてしまった。その形状が、日本古来からの伝
統民芸品を彷彿とさせるものだったのが、主な原因だった。
「アスカの雄姿、楽しみにしてるわよ」
この加持の言葉がなかったなら、作戦は頓挫していただろう。アスカは気合を入れなおし
て、作戦の成功を改めて誓った。

かくして、赤と銀のダルマ二体と、レイを乗せた初号機は、無事に浅間山へと飛び立って
いったのだった。

現地ではすでにミサトが準備を進めており、遅れて到着したリツとマヤが、最終チェック
を開始した。
「……飛行機？」
初号機内で待機中のレイが、上空を旋回している飛行物体を見つけた。
「国連軍の連中だよ」
「僕達の作戦が終わるまで、待機してるんだよ」
リツとマヤが、レイの疑問に答えた。
「手伝ってくれるんですか？」
「違うよ……後始末さ」
「後……始末？」
「作戦が失敗した場合、Ｎ２爆雷によって使徒を処理するんだ」
「……僕達ごとね」
「そんな！　そんな……そんな命令、誰が出したんですか！」
「碇司令だ」
国連軍の役割に憤りをおぼえたレイに、リツはその命を下した者の名を、何事もないかの
様に教えた。それが自分の母であるという事に、レイは言葉を失った。
「……あんな奴らの世話になんかならねえよ」
アスカのその言葉は、レイへの慰めというよりも、アスカ自身に向けられたものの様に、
レイは感じられた。

「システムチェック終了。準備できました」
「よし、作戦開始！」
ミサトの号令と共に、クレーンに吊るされた弐号機が、火口へと下ろされていく。マグマ
に打ち込まれたレーザーによってつくられた進路へ沈んでいくその姿は、すぐに視界から
消えていった。

沈降開始から十数分後、Ｄ型装備脚部に括り付けられたプログナイフの装着部品が、耐え
切れずに損壊した為、プログナイフを消失する。さらに十数分後、目標予定地帯からは、
使徒の姿は消えていた。
「対流が計算よりも早いな。おそらく使徒はもっと下に……」
「誤差修正による再計算、急げ。弐号機はこのまま沈降。アスカ、まだ行けるな？」
「当然だ」

初期目標地点より再沈降開始から数分後、冷却液循環パイプに亀裂発生する。Ｄ型装備各
部にも相次いで異常が出始めていた。
「葛城さん！　このままじゃ……人が乗ってるんですよ！？」
「現責任者は俺だ。このまま沈降させろ」
マコトの訴えを、ミサトは聞く耳を持たないかの様なそぶりでかわす。その姿に、マコト
は更に声を大にして訴えようとした。
「葛城さん！」
「……大丈夫だ。続けさせてくれ」
自らの訴えを遮るアスカからの通信に、マコトは黙る事しか出来なかった。

「そろそろ再計算地点に着くぞ」
「アスカ……どうだ？」
「……いた」
アスカの目の前を、巨大な物体がゆっくりと流れていた。
「お互い対流に流されているから、チャンスは一度きりだ」
「うまくやれよ、アスカ」
「ああ……まかせろ」
弐号機の手に固定されていたキャッチャーが使徒のサイズに合わせて伸びる。マグマに沈
む二体は徐々に、その距離を縮めていく。
「電磁ネット展開準備完了……今だ！」
交差する瞬間、使徒の回りを電磁ネットが展開され、その身を弐号機に捕らえられる。そ
の様子は、端末を通して作戦本部へ伝えられた。
「よしっ！」
ミサトの声と共に、作戦本部に安堵の空気が流れ出す。そして直ちに、引上げ作業へと取
り掛かりだした。

「よくやったぞ、アスカ！」
「心配しすぎなんだよ、ミサトは。大丈夫って言ってただろ？」
「そうだったな。まあ帰りも気をつけろよ。帰るまでが遠足、だからな」
「言われなくてもわかってるっての」
成功したからこその軽口。まだ作戦中なのだが、それを咎める者はこの場にいなかった。

「惣流君、大丈夫だった？」
「まあな、案ずるより生むがやすしって奴だ……しっかし、これじゃプラグスーツってい
　うよりサウナスーツだぜ……あ〜っ、さっさと外に出たい」
行きの緊張感も忘れ、アスカはレイとの軽口を楽しんでいる。しかし、やはり帰りは怖い
ものとなった。

ビ―――ッ！ビ―――ッ！ビ―――ッ！

突如として警告音がアスカを襲った。アスカはすぐさま視線をキャッチャーへと移す。
「な、なんだよこれぇ！」
キャッチャー内の使徒が暴れ出している。使徒は、驚くべきスピードでまるで別の姿へと
変えていく。それは例えるならば、足を無くしたカエル。だが足がない分なのか、その両
腕は己の体長と変わらぬほどの長さをもっていた。

「まずい！　羽化が始まったんだ！」
「弐号機、キャッチャー破棄！　そのまま戦闘形態へ移行しろ！」
リツの言葉を聞いたミサトの反応は早かった。アスカもその指示をすぐに実行する。
「了解！　やっぱ俺にはこっちの方が合ってるぜ！」
キャッチャーを破棄した弐号機は、向かってくる使徒に正面からプログナイフで切り返そ
うと、脚部に手を伸ばした。
「……って、ナイフは落としたんじゃねえか！」
「アスカ、正面！」
ミサトの怒号を聞き、アスカが視線を戻すと既に、直前まで使徒が迫っていた。
「くっ、バラスト放出！」
腰に巻かれていた重りを破棄し、弐号機は水平状態になった。その真下を、使徒が通り抜
けていく。すさまじい速度のそれは、瞬く間に弐号機の視界から消え去った。
「見失ったか……まずいな」
「アスカ！　今初号機にナイフを投げさせる！　他の者は引上げ作業を急げ！」

「てえええぇぇぇいっ！」
初号機が火口上から全力でプログナイフを投げる。今はこれ以上出来る事はないが、レイ
はそこから動こうとしなかった。

「まだか……まだか！」
アスカはプログナイフの到着を今や遅しと待ち構える。だがそれよりも、使徒の再接近の
方が早かった。
「なっ！」
弐号機の左腕と胴体が、使徒の腕に巻きつかれる。更に開かれた口が、頭部へと噛み付い
た。弐号機が大半の動きを封じられてようやく、プログナイフがその場に届く。
「この野郎！」
弐号機は唯一自由の利く右手で、プログナイフを使徒に突き立てるが、何度やってもその
表面に軽い傷しかつけられない。
「高温高圧……この状況下に耐えられるような奴だ、ナイフぐらいじゃ無理だ」
リツの言葉は、アスカだけでなくレイにも届いた。
「高温……惣流君！」
「……熱膨張か！」
弐号機はプログナイフで左腕の冷却パイプを切り裂くと、巻きつかれた腕をものともせず
に、使徒の口内に潜り込ませた。
「冷却液を四番に回せ、全部だ！」
アスカが何をしようとしているかを瞬時に察知したリツは、すぐに実行に移した。切断さ
れたパイプを通り、使徒の体内を冷却液が満たしていく。
「こんのおおおぉぉぉ！」
一際大きく右手を振り上げ、弐号機はプログナイフを使徒に突き立てた。さっきまでとは
違い、プログナイフは使徒を切り裂き、尚も深く沈んでいく。そして使徒はとうとう、耐
え切れずに弐号機から離れていく。だが、使徒の腕は離れ際に、弐号機の生命線、ケーブ
ルを兼ねた冷却パイプの三分の二を切り裂いていった。

「あ……」
目の前で崩れていく使徒を見ながら、アスカはその最後の行為が及ぼす結果を理解した。
「……ここまで、か……」
アスカの呟きがきっかけの様に、冷却液の循環が滞ったＤ型装備の各部が、音を立ててへ
こんでいく。そして弐号機の重さに耐え切れず、冷却パイプが千切れだした。目をぐっと
瞑って耐え、落下していく感覚が訪れた瞬間、衝撃と共に、それは遮られた。弐号機に何
が起きたか、アスカはすぐには理解できなかったが、ふと見上げた先にあったのは、初号
機の姿だった。
「……馬鹿野郎……無茶、しやがって……」
言葉とは裏腹に、パイプと弐号機を掴んでいる初号機を見つめるその顔には、笑みが浮か
んでいた。

初号機と弐号機の冷却が終了し、やっと外に出られたアスカはすぐさま、初号機の元へ駆
けて行った。たどり着いたのとほぼ同時に、レイが地面に降り立つ。だがすぐに、よろけ
て座り込んでしまった。
「お、おい！　大丈夫か！」
「あ、だ、大丈夫だよ……ちょっと熱かったけど」
「ちょっとって……」
例えわずかな時間とはいえ、初号機はマグマに潜ったのだ。それがちょっとの熱さですむ
はずはない。だが、レイはせいぜい軽い湯あたりをした程度にしか感じておらず、アスカ
も短時間なら、ＡＴフィールド最大出力で何とかなったのだろう、と思うことにした。

「でも、本当に無事で良かった……」
「……そう、だな。お前の……おかげなんだよな。と、とりあえず礼は言っておくぞ……
　サンキュ、な……」
「へ？　あ、そんな気にしないで！　私が勝手にやったことなんだし……」
「勝手だろうと結果としてそうなったんだから、礼くらい……素直に受け取っとけ」
「う、うん……あ、そういえば、役に立ったね。あの時の事」
「あの時……ああ、熱膨張か。確かにな」
「あと……泳ぎの練習も」
「……だな。習っといて良かっただろ？」
「あれが無かったら、飛び込むのに躊躇してたかも」
「もしそうなったら俺はここにはいない、か……なんだ、結局俺が全部関わってんじゃね
　えか。礼言って損した」
「あ、ひど……」
「……冗談だ。この借りは、いつか返すからな」
「え、借りって……そんな……」
「うるせえ！　返すったら返すんだよ！」
「う、うん……」

「あ、あと、俺の呼び方だけど、アスカって呼び捨てで良いぞ」
「え？　呼び捨てって……」
「いままでずっとアスカで呼ばれてたから、苗字だとか君付けで呼ばれるとなんか違和感
　受けるんだよ。だからそうしろ」
「ん、わかった……アスカ」
レイにそう呼ばれた瞬間、アスカは先日の夢のことを思い出した。そしてなぜか、顔を赤
らめてしまう。
「あ、顔赤くなってるけど、やっぱり辛いの？　そ……じゃなくて、アスカ？」
「え！？　へ、平気だ！　何の異常もねえよ！」
夢でのレイの相手はアスカではないのに、何故かそうであったかのように感じてしまい照
れるアスカと、そんな事とも知らずにただ心配するレイの元へ、近づく影が一つ。

「二人共、よく頑張ったな」
影の主はミサトだった。その手には二本のスポーツドリンクが握られている。
「その様子だと二人共、大丈夫そうだな。ほら」
スポーツドリンクを二人に渡ながら、ミサトは無事を喜んでいる様だった。
「とりあえず、近くに宿を取っといたから、そっちで休もう。これがいい旅館でな、広い
　露天風呂があるんだ。そこでゆっくり疲れを取ろうぜ」
「お、いいな。ちょうど汗を流したかったんだ。早く行こうぜ」
「あれ、リツさん達は？」
宿へ向かうのが自分達だけなのが気になり、レイが尋ねた。
「ああ、あいつらはまだ後片付けが残ってるからな」
レイは、後片付けにミサトは参加しないのかと尋ねようとしたが、急かすアスカの勢いに
押され、その機会は失われてしまった。

「うわ〜っ、すご〜いっ！」
レイ達が訪れた旅館の露天風呂は本当に広く、また、ネルフによる貸切の為、他に客はお
らず、それがまた広さを実感させるものとなった。
「クワアアアァァァ！」
旅館についてすぐ、クール宅急便によって合流したペンペンも、その広さに感激の雄たけ
びを上げていた。
「はふぅ……気持ち良い」
「クワアアァァ……」
早速風呂に浸かったレイは体を存分に伸ばして、ペンペンはゆったりと泳ぎながら、各々
に露天風呂を満喫していた。

「いつも入るお風呂よりも、少し熱いけど……周りが開けてるからかな、そんな感じがし
　ないや」
大きなため息を一つつき、ふと、レイは自分の胸に目をやる。
「温めれば……大きくなる……いつもより……熱い……」
レイは上半身を軽く揺らし、小ぶりな胸を湯の中で動かしてみる。
「って、こんなので大きくなったりしな……」
レイの視線の先には、じっとこちらを見ているペンペンの姿があった。
「ペ……ペンペン……その、見て……た？」
ペンペンは何も言わず、再び露天風呂を泳ぎだした。
「ちょ、ペ、ペンペン！　待って！　待ってってば！」
先程の奇行を人に伝える術などペンペンは持っているはずも無いのに、発覚を恐れたレイ
は口止めしようと、必死にペンペンを捕まえるべく露天風呂を泳ぎだす。それを遊んでも
らえてるのだと勘違いしたペンペンは、更にスピードを上げて泳ぎだした。

「ペンペン！　待ってってばぁ！」
大騒ぎしながら、期せずして二度目の熱膨張と水泳の復習が行われている女湯とは違い、
男湯は至って落ち着いていた。岩場に腰掛け、涼んでいるミサトの胸元を、アスカがそっ
と見ている。
「ん？　ああ、これか？」
視線が自分の胸元にあると感じたミサトが、軽く声をかける。
「セカンドインパクトの時に……ちょっち、な」
そう言いながら、ミサトは自分の胸元から腹にかけて、指を動かす。指がなぞった部分に
は、大きく後の残った傷跡があった。
「まあ長く生きてりゃ、傷の一つや二つできるもんだ」
「……俺の事、知ってるんだろ……」
アスカの問いは、むしろ確認に近かった。
「……ま、仕事だからな……なあに、傷なんて誰だって持ってるもんだ。それだっていつ
　かは……癒えるもんだ」
ミサトの言葉は、まるでミサト自身に言っているようだと、アスカは感じた。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第１０話終了　次回へ続く

しかし今回も長いなぁ……文量も……放っといた期間も……

とりあえず１０話が終わったんで、安心して就職活動が出来る……

次に皆さんの前に現れるとき、ニート脱却してることを祈りつつ……

んじゃ、またいずれ。

91GJ、お疲れさん。次回も楽しみにしてるよ。
就活ｶﾞﾝｶﾞﾚ、超ｶﾞﾝｶﾞﾚ。

お疲れさまでした〜〜〜。
でもロープウェー上での内務省のダンディー風な男スパイと女スパイ加持の会話も…

エレベーターでのシーンは上下逆で

「ふふ、何なら上を見てもいいのよ♪」

でしょうか？

葛城「いいな、ﾚｲちゃん。もう一度ｴｳﾞｧに乗ってｹﾘをつけてこい。ｴｳﾞｧに乗っていた自分にな。何の為にここにきたのか、何の為にここにいるのか、今の自分の答えを見つけるんだ。そして、ｹﾘをつけたら、必ず戻ってくるんだぞ
約束だ
いってこい」


泣けるなｺﾚ

ｼﾝｼﾞって女化すると明るくなる気がす

周りの環境が変わらないと、性別が変わったくらいでは
シンジきゅんの性格は変わりようがないと思うよ。
まずは、ゲンドウとの関係をなんとかしないとな。

女だったら周りの対応も少なからず変わるかも

まぁ、女の子だったら男アスカに「助けてよ…」と縋っても
あんまり腹は立たんかも。顔が可愛けりゃなおさら。

初めてこのスレに来たけど、非常に面白いよ
>91さん
マイペースにがんばってね
就活もね

この男アスカと女シンジが最後
あんなことになっちゃうと思うと今から鬱だ
でも毎回楽しみにしてるよ
がんがってくれ91さん

保守

おい藻前ら、Evaお絵かき板1にお誂え向きな絵が2枚もありまつよ
ttp://www24.big.or.jp/~ker/poo/103.jpg
ttp://www24.big.or.jp/~ker/poo/113.jpg

>274
シンジだけほとんどそのままで成立してるのが凄いw

レイが不気味

ミサ男の髪型が変に思える

>>274のレイ男、何度見ても笑える

期待

期待アゲ

>>274のレイ男見るとジョジョが思い浮かんでしまう…

TSﾌﾞｰﾑ

新作ﾏﾀﾞｰ?(´・ω・`)

続きが気になるよぅ…

EVAのキャラの性別が皆逆だったら？
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1095841990/

TS(･∀･)ｲｲ!!

ほんとに面白いと思うよ？

続きｷﾎﾞﾝ!!

>>288
>>285

そっちはちょっと内容違う。

ほう。

age

期待！

機体！

気体！

奇態！！

鬼胎！

もう、駄目なのね…

まだだ！まだ終わらんよ！

>>299
馬鹿野郎！！

今日初めてこのスレ見て読みあさりました。
職人さんに感謝を込めて保守。

男アスカかっこいいな。
女シンジは可愛い。

起動するかな・・・

保守

動け！動け！動いてよ！今動かなかったらなんにもならないんだよ！だから…動いてよ！

教習所でエンスト…
動け！動け！動いてよ！

保全さげ

保守age

ほしゅ

捕手

hosyu

期待してるよ

補手

稀に見る良スレ。
職人さんガンガレ。保守age

保守

まだ神は光臨しないのか

まだ仕事が決まらないんだろ

おもろいですね。
個人的にレイとシンジをイチャイチャさせて欲しいです。

保守

期待します。

あげとく

良スレ

職人さーん…

アスカ♂「シンジー、ちょっとパンツ見せろー」
シンジ♀「え　何言ってるの....嫌だよ恥ずかしい......」
綾波♂　「........そう........見たいかも」

このまま進むと地下の巨人はアダムになるが、そうすると
人類はリリスの子ではなくなるから「リリン」とは呼べなくなる件について。
（その代わり使徒が『リリン』になる）

アダムの子供であるカインとアベル、そしてセツの中から人類の呼び名を決めなくては。

機体！

ヴィダルほすーン

期待！

気体！

書きたいけど資料が漫画しかない。
故に保守しよう。

レイが男になったらガンダムＷのヒイロっぽくなる。
さらにレイがロリ化したらコナンの灰原かナデシコのルリになるんじゃねぇ？

保全さげ

ミサトかっこええー

↑

ちんこのある初号機なんて見たくねぇぇ

>>324
セツじゃないかな。
アベルはカインに殺されていたし、カインもそれを理由に追放されていたし。

アダムの「後継者」となるとそうなるかなー、と適当に考えただけなんだがな。

俺が続き書いていい？

いいよ

書いてくれ！！

むしろ書け

期待age

期待

336を待つ間にネタ投下。

シンジ育成計画だと色気上がるとシンジが風呂を覗くらしいが、
性別逆転の場合はアスカが女の子らしい成長をするようになったシンジの風呂を覗くようになるのだろうか。

あと、三十路男がパイロット（女）を堕落させるために百合美少女を育成するのは何か斬新ｗ

26話でアスカが起こしにくるシーンはどうするんだ･･･。
朝勃ちしないじゃん、レイ･･･。

>>336だが、一応「静止した闇の中で」の前半まで書いてみた。
………しかし、やたら難しい。しかも長い。あんな短くまとめられる、しかもオリジナルな展開まで入れられる>>7神や>>91神は凄いと思った。やはり神だと思った。
試験的に書いてみたものなので、慣れていったらオリジナルな展開も入れられるかも。
多少キャラが違うような感じもするが、許して。
では、ﾄﾞｿﾞｰ｡

　ここは、第３新東京市内にある商店街。
　朝日が昇りきってしばらく。商店街内にあるクリーニング屋に、二つの影。リツとマヤだ。
「これじゃ、毎回のクリーニング代もバカにならないな」
　洗濯機から服を取りつつ、リツがグチる。ちなみに、全ていつもと同じ服だ。
「せめて、自分で洗濯できる時間くらい欲しいですね」
　手に洗濯物が山盛り入った紙袋を持ちながら、マヤもグチる。
　と、クリーニング屋の前でコーヒーを飲んでいたハルカが顔を覗かせる。
「家に帰れるだけ、まだマシですよ」



　三人が地下鉄に乗り込むと、リツが座席に新聞を読んでいる冬月を見付けた。
「これは、副司令」
　リツの声に、冬月は新聞を少し下げ顔を出した。
「おはようございます」
　リツが挨拶を済ませると、続いてマヤとハルカがやや緊張気味に挨拶をする。
「おはようございます！」
　三人の挨拶が終わると、冬月は再び視線を新聞へ落とした。
「えぇ、おはよう」
　丁度その時、列車が動きだした。冬月の隣に腰を下ろしながら、リツが口を開く。
「今日はお早いんですね」
　その声に顔を上げた冬月は、憮然としている。
「碇さんの代わりに、上の街よ」
「ああ、今日は評議会の定例でしたね」
「くだらない仕事よ。碇さんってば、昔から雑務はみんな私に押し付けて。『ＭＡＧＩ』がいなかったらお手上げよ」

「そういえば、市議選が近いですよね、上は」
「市議選は形骸にすぎないわよ。ここの市政は事実上『ＭＡＧＩ』がやってるんですもの」
　黙って話を聞いていたマヤが、『ＭＡＧＩ』の名前が出た途端話題に入ってくる。
「『ＭＡＧＩ』…三台のスーパーコンピューターが、ですか？」
　マヤの質問に、冬月が答える。
「三系統のコンピューターによる多数決よ。きちんと民主主義の基本にのっとったシステムよ」
「議会はその決定に従うだけですか？」
「もっとも無駄の少ない効率的な政治よ」
「さすがは科学の街。まさに科学万能の時代ですね！」
　素直に感心しているマヤに、ハルカが呆れながら言う。
「古臭い台詞…」
　視線をリツに向けながら、冬月は話題を変える。
「そういえば、零号機の実験だったかしら？　そちらは」
「はい、本日1030より第２次稼働延長試験の予定です」
　視線は合わせず、リツは答える。
「朗報を期待してるわ」





　ビーッ！　ビーッ！

　突如、制御室をけたたましい警告音が支配する。「実験中断！　回路切って！」
　職員が回路を切ると、実験ホールが闇に包まれる。唯一制御室だけが、赤色の明かりを灯している。
「回路切り替え」
「電源回復します」
　職員が報告すると、実験ホールの明かりがつく。それと同時に、マヤの前のモニターに何やら表示が現れる。その中に一つだけ、赤い表示が存在していた。
　その赤い表示を見ながら、リツが口を開く。

「問題はやはりココか…」
「はい。変換効率が理論値よりも0.008も低いのが気になります」
　マヤが答える。
「ギリギリの計測誤差の範囲内ですが、どうしますか？」
　女性職員が問うと、リツは即座に指示を出す。
「もう一度、同じ設定で相互変換を0.01だけ下げてやってみよう」
「了解」
「それじゃあ、再起動実験、始めるぞ」




　第拾壱話

　静止した闇の中で




　ネルフ内。ミサトがエレベーターに乗り込むと、正面から走ってくる人影を見付ける。
「お〜〜〜い！　ちょ、ちょっと待ってぇ！」
　走ってくる人物を確認すると、ミサトは躊躇なく「閉」のボタンを押した。
「ちょ、ちょっとぉ！」
　閉まっていくドア。間一髪、女の左手がドアを止める。
「ちっ」
　ミサトは舌打ちする。その人物がエレベーター内に入るとドアは閉まり下降していく。
「ふぅ、走った走った…。これはまた、ご機嫌ナナメなのね」
　そう、エレベーター内に乗り込んできた人物は加持だった。加持は腰をトントンと叩きながら。正直、おばさん臭い。
「来た早々にお前の顔を見たからだよ」
　ミサトの言葉に、加持は苦笑いする。

　とある公衆電話。そこに、レイがいた。実はワケありで、ゲンドウに電話をしている。秘書を通じて、保留される電話。しばらくして。
『―――なに？』
　受話器越しに母の声を聴き、レイはしどろもどろに話し出す。当たり前だ。レイは電話どころか、母親と話すことにすら慣れていないのだ。
「あ、あの…っか、母さん…」
『なんなの？　早く言ってちょうだい』
　そんなレイに、ゲンドウは多少イラついている感じに返事をする。
「じ、実は今日、学校で進路相談の面接…があることを…ふ、父兄に報告しといて…って言われて…」
『そういうことは全て葛城君に一任してあります。くだらないことで電話をしないで』
　ゲンドウは即答する。そしてレイに聴こえるように秘書を叱る。
『こんな電話をいちいち取り次がないで―――』
　その時、突如電話が切れた。
「…？」
　レイの受話器からは、ノイズ音が流れていた。





　ガゴンッ！

　鈍い音と同時に、エレベーターが目的の階に着く前に止まった。顔を上げるミサトと加持。
「…あれ？」
「停電かしら？」
「まさか。有り得ねぇよ」
　今度は照明が落ちる。いぶかしげに天井をみつめるミサト。
「おかしいな…。事故か？」
　そんなミサトを見、加持が冗談混じりに言う。
「赤木君が実験でもミスったのかしら？」

「主電源ストップ」

　ズヒュウウゥゥゥ…

　バシュコン！

　制御室に機械の停止音が響きわたる。表示類は全て消え次々と真っ黒になっていく。
「電圧、０です」
　リツを見ながらマヤ。
　何かしらのボタンを押したばかりのリツは冷汗をかく。
　職員は皆、唖然とした顔でリツを見ている。
「…お、俺じゃないぞ…」



「駄目です。予備回線、繋がりません」
　こちらは発令所。やはり発令所も、暗く落ちている。
「そんなバカな！？　生き残っている回線は！？」
　上から身を乗り出し、下を覗き込む冬月の声に、男性オペレーターが答える。
「全部で1.2％！　2567番からの旧回線だけです！」
「生き残っている電源は全て『ＭＡＧＩ』とセントラルドグマの維持に回して！」
　躊躇なく、ハルカに指示を出す冬月。
　指示を出されたハルカは、冬月に振り返る。
「全館の生命維持に支障が生じますが…」
「構いません。最優先です！」

　街の交差点。マコトは信号待ちをしていた。手にはいっぱいの洗濯物を持っていた。
「ホント、ズボラな人よねぇ、葛城さんも。自分の洗濯物くらい自分で取りにいけばいいのに」
　刹那、赤信号の表示が消えた。青も点かない。明らかに、おかしい。
「…？」



「そりゃ碇司令、ホントに忙しかっただけじゃないのか？」
「…そうかなぁ？　途中で切ったっていうより、何か故障した感じだったけど…」
　アスカを先頭にチルドレン三人は歩いていた。レイは先程の電話のことを気にしている様子だ。
「ったく、いちいち細かいこと気にすんのやめろよな」



　三人がネルフに着くと、レイがゲートのキーにカードをスリットさせた。しかし、ゲートが開くどころか何の反応もない。
「あれ？」
　次にシンジがカードをスリットさせるが、やはり反応は同じだった。
「…？」
　カードを見るシンジを押し退け、アスカがカードをスリットさせる。
「何やってんだ。ほら、替われよ」
　やはり反応はない。
「？」
　何度もスリットさせるが、依然沈黙を守っているゲートに、アスカが叫ぶ。
「あーっ、もう！！　壊れてんじゃねぇのか、コレ！！」

　一方、ネルフ内。リツ達は発令所へ向かっていた。
「とにかく、発令所へ急ごう。７分経っても復旧しないなんて…！」



「ただごとじゃないぞ」
　エレベーター内非常用ボタンを連打しながら、ミサトが呟く。
「ココの電源は？」
　加持の質問にボタンを押したまま、ミサトが答える。
「正・副・予備の三系統。それが同時に落ちるなんて考えられないな」
「…と、なると―――」



「やはり、ブレーカーは『落ちた』、というより、『落とされた』と考えるべきね」
　いつものポーズをとりながらゲンドウ。側にいる冬月は、ライターでロウソクに火を付けている。
「原因はどうであれ、こんな時に使徒が来たら大変よ」



『測的レーダーに正体不明の反応あり。予想上陸地点は旧熱海方面』
　管制所の巨大モニターに日本全国を映し、報告を聴く空自女性軍人三人。
「恐らく、８番目のヤツね」
「ええ、使徒でしょう」
「どうします？」
「一応、警報シフトにしておいて。決まりだからね」
「どうせ、ヤツの目的地は第３新東京市でしょう？」
「そうね。ま、私たちがすることは何もないわ」

　旧熱海付近、上陸しようとする四本の巨大な長い脚。その姿は、アメンボを連想させる。
　そして使徒は、上陸に成功した。



『使徒、上陸しました』
『依然進行中』
　モニターを見ながら、女性軍人は煙草を揉み消す。
「第３新東京市は？」
『沈黙を守っています』
「一体、ネルフの連中は何をやっているの！？」



「これも動かねぇよ！」
「どの施設も動かない。おかしいな」
　アスカは、下を指さす。
「下で何かあったってことか？」
「そう考えるのが自然だろうね」
　シンジのそっけない態度に、アスカはムッとする。
「とにかく、ネルフ本部へ連絡してみようよ」
　レイの言葉に、シンジは携帯電話を取り出し、本部へかけ始めた。アスカとレイも、非常用電話に手を伸ばす。
　……しかし。
「駄目だ。連絡がつかない」
　シンジが言うと、アスカが受話器を置く。
「こっちも駄目だ。有線の非常回線も切れちまってる」
「どうしよう…」

　シンジは慌てる様子もなく、鞄からマニュアルカードを取り出し、見始めた。
　それを見て気付いたアスカも、鞄をゴソゴソと探り出す。そんなアスカを、レイがひょいと覗き込む。
「何してるの？」
「お前バカか！？　緊急時のマニュアルだよ！」
　シンジはカードを折ると、二人に話しかける。
「とにかく、本部へ行こう」
　シンジの言葉に、アスカは踵を返し、ビシッと指さす。
「んじゃ、出発しようぜ！」
　気にも止めず、シンジはアスカの反対側を見る。
「こっちの第７ルートから下に入れるよ」
「…」



「統幕会議ったら！　こんな時にだけ現場に頼って！」
　激しく電話機を置きながら、女性軍人は憤慨する。
「政府は何て？」
「第２東京の連中？　逃げ支度だそうよ」
『使徒は依然健在。進行中』
「とにかく、ネルフの連中と連絡を取るのよ」
「でも、どうやって？」
「直接、行くのよ」



　第３新東京市上空、一面の青空に、突然空自のセスナが現れる。

『こんにちは、第３管区航空自衛隊です。只今、正体不明の物体が本地点に対し、移動中です。住民の皆様は、速やかに指定のシェルターへ避難して下さい。繰り返しお伝え致します、只今…』
　リニアレールの上を歩いていたマコトは、今の声に慌てる。
「いけない！　急いで本部に知らせなきゃ！　……でも、どうやって…」
　慌ててキョロキョロするマコトの前から、一台の選挙カーが走ってくる。
『こういった非常事態にも動じない、高橋、高橋ノゾミをよろしくお願い致します』
　動じた方がいいかと思うが。
　それを見付けたマコトは、顔がほころぶ。
「らっきー♪」





「それにしても、あっついわねぇ…」
　上着を脱ぎ胸元を引っ張って風を送る加持を横目に、ミサトは汗を手で拭う。
「空調も止まってるからなぁ。……加持、頼むから上着を着てくれ」
「あら？　今さら恥ずかしがることもないでしょう？」
　サラッと言う加持だが仕方なく、上着を着始める。
「こういう状況下だからって、変なこと考えないでね？」
　加持の言葉に、ミサトは顔を背ける。
「だっ、誰が！」
　そんなミサトの反応に、加持は苦笑する。
「はいはい」

「マズイな…空気も淀んできたぞ。これが近代科学の粋を凝らした施設とはなぁ…」
　団扇を扇ぎながらため息をつくリツ。同じく団扇を扇ぎながら、マヤ。
「しかし、さすがは司令と副司令。この暑さにも動じませんね」
　言って、司令席を見る。リツもやや遅れて司令席に目を向ける。
　確かに、ゲンドウと冬月は平然としていた。しかしその足元には、いっぱいに水を入れた防火用のバケツが。
「…ぬるいわね」
「……ええ」

一応ここまで。オリジナル展開入れたいな…。

乙
ミサトがなんかかわいいな
あと高橋ノゾミﾜﾗﾀ。性別反転だから、モブも女になるのか…

>>343
生理の血が漏れ、赤く染まったシーツを見たアスカが青ざめるとか
…なんか違うか。

薄着で寝たシンジに照れるアスカってとこだろうなぁ

乙。マコちゃんが可愛いな。

ＧＪ！
続きもガンガレ。

>>357
生理はちょっとシュールだ・・・
Ｂ地区がたつとか？
・・・そんな生理現象朝にないな・・・

やっぱそれが無難かな。

>>357
寝相が悪く（または暑くて）、無意識にパジャマを脱いで素っ裸なシンジ（♀）
を見て顔を赤くするアスカとか。
そして、朝の起しに行った事を聞かれて、思い出して顔を赤くする二人とかになるかな。

なんつーか男のアスカってかっこいいな。


・・・本編のシンジがヘタレすぎるからかっこよく見えるだけか。

かっこいいつ−か･･･ＤＱ（ｒｙ

アスカがあの性格で男になったら、ただのDQNだと思うんだが

映画で復活する所なんかはカッコイイと思う
…他はDQNだな

かっこいいところはかっこいい。それは認める。
だが他はＤＱＮなのも事実だろう。

まあ、ＤＱＮっぷりもネタにはしやすいのでそれはそれで。

おもろいｗ
ttp://suihokanko.jugem.jp/?cid=7

例えば、こんなのか？
不良やチンピラに「女の名前なのに…何だ、男か」とか言われ・・・
アスカ「アスカが男の名前でなんで悪いんだ！俺は男だよ！！なめるなぁー！！」
とか叫んで殴りかかったりして。

>>367
それってカミー(ry

>>356
いい？ぜぇーったいに前、見ないでよ？見たら殺すわよ！
のところ


ｼﾝ|￣|＿‥ｱｽ|￣|＿ﾚｲ|￣|＿…

アスカ「ちょっとお前進むの速すぎ」
レイ「怖いんだもん…しょうがないじゃん」

その時足で何かを蹴ってしまうレイ
ガタン！
驚きダッシュするレイ

レイ「ひいっ！」

ゴス
頭が前の股間に激突

アスカ「ぐああっ!!」

ガタガタ
ガッシャーン

赤木「お前ら…」

積み重なっているチルドレン
股間を押さえてるアスカ

>>369ダチョウ思い出した

>>369
それ頂き。

頂いちゃうの!!?

マタンキが痛い話ですぅ＞＜





だがそれがいい

>>369
落下後股間上にﾚｲ(女ｼﾝ)の顔があると更に萌

電話のところ、女ゲンドウの方がｺﾜｽ

>>366
女ｼﾝのｵﾅﾆｰ見たい

ふと思ったこと。

女ゲンドウってツンデレじゃね？

女ゲンドウはおばさんだからなあ・・・

続き、今週中に投下予定。只今、執筆中です。

期待！

勃起して待ってますよ

普通に待ってますよ

http://society3.2ch.net/test/read.cgi/shugi/1125389204/l50

全裸で待ってますよ

>>378
黒木瞳みたいな外見ならアリ

>>385
ベースはあくまでゲンドウだぞ

目がキツイ感じの美人って所か？

>>355の続きが出来ました。
ではﾄﾞｿﾞｰ｡

EPISODE：11

The Day Tokyo-3 Stood Still



「このジオフロントは外部から隔離されても自給自足できるコロニーとして作られてるわ。その全ての電源が落ちるということは、理論上有り得ない」
　暗い発令所、冬月が語ると、リツ。
「誰かが故意にやったという事ですね」
「恐らく、その目的はここの調査ね」
「復旧ルートから本部の構造を推測するわけですか」
「シャクな奴らね」
「『ＭＡＧＩ』にダミープログラムを走らせます。全体の把握は困難になると思いますから」
「お願い」
「ハイ」
　リツが作業に入ると、ゲンドウにだけ聴こえるように冬月が呟く。
「……本部初の被害が使徒ではなく、同じ人間にやられたものとは……やりきれないわね」
「所詮、人間の敵は同じ人間なのよ」



「いつもなら２分で行けるのに…ここ、ホントに通路なの？」
　パイプだらけの通路を進みながら、レイが素直な疑問を口に出すと、アスカは通路の奥にある一点の光を指さす。
「あそこまで行けば、きっとジオフロントに出られるはずだ」
「さっきから４回も聞いたわよ、その台詞…」
　少しうんざり気味なレイに、アスカは立ち止まり踵を返し反論する。
「お前ってホント、細かいヤツだな。つまんねぇ事ばっかにこだわってよー」
「黙って」

　何かに気付いたシンジが、アスカの言葉を遮る。
「なんだよ、優等生！」
「人の声」
　シンジの言葉に、アスカとレイは顔を見合わす。
『………使…せっき……使徒…………近中』
　確かに、人の声が聞こえる。何を言っているのかはよく聞き取れないが、それでもその声の主は分かった。
「日向さんだ！　おおぉ〜いっ！！」
　叫びながら大きく手を振るアスカとレイ。やはり、こんな時に知っている人物の声は嬉しいのだろう。
『使徒接近中！　繰り返す！　現在、使徒接近中！』
「使徒接近！？」
　今度はハッキリと聞こえた声に、三人は驚く。だが、シンジはあくまで冷静だ。
「時間が惜しい。近道しよう」



「いくら近いっつっても、これじゃカッコ悪すぎだろぉ…」
　四つん這いのままアスカがグチる。先程シンジが言った近道とは、通気口の背動面だった。三人はその中を、四つん這いで進んでいた。
　そんな中、レイが唐突に口を開く。
「…ねぇ、使徒って何なのかな？」
「何だよ、こんな時に」
「使徒、神の使い。天使の名を持つ、私たちの敵………なんで戦うのかな…」
　レイの質問に、アスカがストレートな意見を口にする。
「お前バカか？　ワケわからねぇ連中が攻めて来てんだぞ？　降りかかる火の粉は払いのけるのが、あったり前だろ！！」

　それからしばらく進み、通気口から脱出できた三人の前に、別れ道が現れた。
「う〜〜〜…ん…」
　さすがに悩むアスカ。しかし、ついに決心する。
「右だな！」
「僕は左だと思う」
　すかさずシンジが反対意見を述べる。
「うるさいな！　レイはどうなんだよ？」
「え！？　わ、私！？」
　急にふられて戸惑うレイ。
「えっ…と、あの…」
　瞬きをしながら、二人を交互に見る。
「ど…どっちかな…？」
　優柔不断なレイに、アスカはイラつく。
「あ〜、もう！　いいから黙って付いてくればいいんだよ！！」
　そして三人はアスカが選んだ右のルートを進むことにした。
　……しかし、明らかにおかしい。ご存知の通り、目指すべきジオフロントは地下にある。だがこの道は、昇り坂になっていた。
「やっぱり変よ。昇り坂よ、ココ」
「や…やっぱりとは何だよ。いちいちうるさいヤツだな」
　アスカ自身も薄々感じてはいたが、口には絶対しないタイプだ。
　ここでアスカは何かに気付いた。暗い通路の奥に、ボーッと光が見えるではないか。更に目を凝らすと、それは非常ドアの光だということが分かった。
「ほら見ろ、今度こそ間違いねぇよ！」
　アスカは走って近付くと、気合一発、足蹴りでドアを開ける。
「だあぁッ！！」

　バゴンッ！

　勢いよく開いたドアの向こうには、ビル街が広がっていた。

「だから言っただろ、右だって」
　そう言いながら足を降ろそうとした、まさにその時。

　グワシキィン！

　コンクリートを砕く音と共に現れたのは、巨大な使徒の脚だった。
「どわっ！」
　その振動に思わず倒れ込むアスカ。その瞬間、使徒と目（？）が合った。
　アスカは素早く起き上がり、ドアを掴むや満身の力を込めてドアを引っ張る。ドアが閉まると、振り向き様にドアにへばり付き、目にも止まらぬ早さでロックをする。
「はぁ〜〜…」
　アスカは一息つくと、冷たい眼差しを送る少年と少女の姿に気付く。
　一瞬ひるむが、慌ててその場を取りつくろう。
「し、使徒を肉眼で確認！　これで急がなきゃいけないのが分かっただろう！？」



　ヴオオンッ

　キキキィーッ！

　突如、発令所にけたたましいブレーキ音が鳴り響く。その正体は、マコトが半ば強引に乗車した選挙カーだった。マコトは車窓から身を乗り出すと、マイクで叫び出す。
『現在使徒接近中！　直ちにエヴァ発進の要有りと認みます！』
　その報告を聞くやいなや、ゲンドウは立ち上がる。
「冬月先生、後を頼みます」
「碇さん？」
「私はケイジでエヴァの発進準備を進めておきます」
「まさか…手動で？」
　少し驚きながら冬月が確認すると、タラップに取り付きながらゲンドウは冬月を見る。
「緊急用のディーゼルがあります」
　それだけ言うと、ゲンドウはタラップを降りていった。
「………しかし…パイロットがいないわよ…」
　残された冬月は、ぽつりと呟いた。

　しばらくして、ケイジでは作業員とリツ、マヤ、そしてゲンドウが発進の準備を進めていた。
「停止信号プラグ、排出終了！」
　作業員の声に、ゲンドウは指示を飛ばす。
「分かりました。三機とも、エントリープラグ挿入準備！」
「しかし、未だパイロットが…」
　現実的問題を提言する作業員に、リツがキッパリと言う。
「大丈夫。あいつらは必ず来る」
　エントリープラグの固定が完了すると、双眼鏡を覗きながらマヤ。
「プラグ固定準備完了」
「あとはあいつらだな…」



　その三人はまたも狭いダクトの中を進んでいた。シンジを先頭にアスカ、レイの順番で這いつくばっていた。
「ち、ちょっとお前、進むの早すぎ！」
「…」
　黙々と進んでいくシンジを、アスカが慌てて追いかける。
「ちょ…ちょっと待ってよぉ、二人とも」
　レイも慌てて後を追う。
　その時。

　カサッ…

「？」
　レイの足元で何か音がした。レイがそこを見ると、なんとそこにはもう一つの人類の敵、ゴキブリが。
「きゃああぁぁああッ！！」
　悲鳴をあげながらハイスピードで前に進むレイ。
「な、なんだなんだ！？」

　悲鳴に驚いたアスカが振り向くと、こちらに猛スピードで向かってくるレイの姿。
「な！？　ま、待てお前！」
　しかし、完全にパニックになっているレイは止まらない。
　その結果。

　ゴスッ

「☆♂§〒∠Δ¶Ω！！！？？」
　レイの頭がアスカの股間に直撃した。痛い。痛すぎる。男性の皆様なら、この痛み解ってくれるはずだ。
「〜〜〜〜…ッ！！」
「あ、ご、ごめん！」
　内股で股間を押さえているアスカを見、レイはようやく正気に戻った。
「何しやがるッ！？」
「だ、だってゴキブリが…」
　刹那。

　バゴッ！

　ダクトの蓋が開いた。その真上にいた二人は重力に従い落ちていった。
「きゃああぁ〜ッ！！？」
「うわあぁあッ！？」

　ドサッ

「な、なんだ！？」
　突然の落下音に、リツは驚く。そう、二人が落ちた場所は運よくケイジだったのだ。
「いたたたぁ…」
「いつつ…」
　ぶざまに落下してしまった二人の向こうに、シンジがカッコ良く着地する。
「お前たち…」
　驚喜するリツ。キャットウォーク上でそれを見ていたゲンドウは作業員に指示を出す。
「各機、エントリー準備！」

「了解！　手動でハッチ開け！」
　立ち上がりながら、リツへ近寄るレイ。
「エヴァは？」
「…スタンバイ出来てるぞ」
　リツは後ろを指さす。レイがその方向を覗くと、確かに初号機の発進準備が整っていた。
「…何も、動かないのに…？」
「人の手でな。司令のアイディアだよ」
「………母さんの？」
「碇司令は、お前たちが来ることを信じて準備してたんだよ」



「くそぅ…カッコわりぃ…」
　狭い横坑を這い進んでいくエヴァ部隊。
「縦穴に出るよ」
　シンジの言葉に弐号機は縦穴のハッチを蹴る。
「だっ！　だっ！　だああッ！！」
　三回の蹴りを喰らったハッチは縦穴に落ちていった。
　今度は両手両足を使って縦穴を進むエヴァ部隊。
「またしてもカッコわりぃ……ん？」
　文句を言っていたアスカが何かに気付く。上を見ると、何か一筋の糸の様な物が落ちてくる。それは零号機の肩のライフルケースに当たった。

　ジュウ〜…

　なんと、それを喰らった零号機のライフルケースはみるみる溶けていく。
「いけない、避けて」
「え？」
　シンジの言葉に、アスカは再度上を見る。すると今度は大量に、その液体が落ちてくる。
「うわっ！！」
　足に液体がかかり、弐号機は体制を崩し落ちてしまった。その際、下の零号機も巻き込んでしまう。

「きゃっ！」
　落ちてくる弐号機と零号機に巻き込まれ落下していく初号機。その時に、ライフルを落としてしまった。
　一固まりで落ちていくエヴァ三機。
「くっ！」
　初号機はなんとか踏ん張ろうと、壁面に手をついてブレーキをかける。

　ガキュキュキュ！

　指先から火花が散る。しばらく落下して、壁面のパイプを初号機が掴み三機はなんとか地面に叩きつけられるのは回避した。三機は避難するため横穴に逃げ込む。
「目標は強力な溶解液で、本部に直接侵入を計るつもりのようだね」
　冷静に分析するシンジ。
『どうするの？』
『決まってんだろ、やっつけんだよ』
『だからどうやってなの。ライフルは落としちゃったし、背中の電池は切れちゃったし…あと３分も動かないよ』
　焦り気味にレイが言うと、アスカは目を瞑って考え込む。しばらくして、ゆっくりと目を開く。
「………作戦はある」
『ホント！？』
「いいか、よく聞け。ここに留まる機体がディフェンス。A.T.フィールドを中和しつつ、ヤツの溶解液からオフェンスを守る。バックアップは下降。落ちたライフルを回収してオフェンスに渡す。そしてオフェンスはライフルを一斉射にて目標を破壊。これでいいだろ？」
『いいよ。ディフェンスは僕が…』
「おあいにく様」
　シンジの言葉を遮るアスカ。シンジは軽く驚く。
「俺がやる」
『そんな、危ないよ！』

「だからだよ。お前にこの前の借りを返しとかないと、気持ちが悪いからな。レイがオフェンス。優等生がバックアップ。…いいな」
『…分かった』
『……う、うん…』
「じゃ、行くぜっ！」
　弐号機は一度振り向く。それが作戦開始の合図だ。
「Gehen！！」
　弐号機は逆上がりの要領で尻を浮かす。続いてテキパキと、零号機が下降する。初号機も後に続き壁面に張り付く。弐号機も初号機を守るように、壁に張り付いている。
　第９使徒の溶解液が弐号機の背中を直撃する。
「くぅう…ッ」
　落下中の零号機は肩から非常制動用固体ロケットを出し、減速しながらライフルを目指していた。
　そしてライフルの元に着地すると、上の初号機が手を伸ばす。
「綾波くんッ！！」
　その声に零号機はライフルを素早く垂直に放り投げる。初号機はそれを受け取ると縦穴の出口に向かって構えた。
「アスカくん避けてッ！！」
　レイの声にバッと避けて落下する弐号機。その脇をかすめていく、ライフルから発射された光弾。
　その光弾は次々と第９使徒の胴体を突き抜けていく。ライフルの弾が切れた後、第９使徒は事切れた。
　初号機は弾が切れたライフルを捨て、落ちてくる弐号機を受け止める。
「これで借りは返したぜ」
　アスカの台詞に、レイは笑う。少しだけ、アスカを理解できた気がした。

「ま……まだ開かないのか！？」
「まだ駄目ね」
　一方、ミサトと加持はエレベーターから脱出しようと試みていた。理由は一つ。ミサトがトイレに入りたいからだ。
　加持を肩車しながら、叫ぶミサト。
「こっちは非常事態なんだぞぉ〜…！　もう、漏れる〜…！」
「お願いだからこんな所で漏らさないでよね」
　その時、パッと証明が点いた。それと同時にガクンと動き出すエレベーター。あまりにも突然の事に、よろける二人。
「ちょっ、やだ！　ちょっと…きゃあっ！」
「おっ？　っとっとっとぉ〜！？」
　そのまま倒れ込む二人。ほぼ同時に、エレベーターが停止した。扉が開くと、そこにはリツとマヤがいた。エレベーター内の二人を見て、マヤがぽつりと呟く。
「……不潔」

　夜。真っ暗な第３新東京市を一望する丘に、プラグスーツのまま寝転がっているチルドレン三人。
「電気、人工の光がないと、星がこんなに綺麗だなんて、皮肉なもんよね」
「でも、灯りがないと人が住んでる感じがしねぇよ」
　アスカが言い終わると同時に、次々と街の灯りが点いていく。
「ほら、こっちの方が落ち着くじゃねぇか」
「人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきた…」
　シンジの言葉に、アスカは寝転がったままふざけて言う。
「てっつがくぅ〜」
　そんなアスカを見、レイは真顔で問う。
「…だから人間って特別な生き物なのかな？　…だから、使徒は攻めて来るのかな…？」
「お前バカか？　そんなの、わっかるワケねぇじゃん」





　　　　　つづく

これでおしまい。
ネルフにゴキブリがいるのか、という疑問は心の中にしまっておいて下さい。

乙！

アスカは決めるときはかっこいいなあ。
あと押し倒される加持萌え。

男アスカ、本当カッコイイなぁ。

神降臨

乙


男アスカと女シンジは想像しやすいけど
ほかは顔が全然分からん・・・。

マコトは逮捕しちゃうぞの眼鏡っ子みたいな感じをイメージ
ロンゲはあのまんまでも違和感なさそう

ｱｽﾁﾝの感触思いだしｵﾅるﾚｲ

＞ロンゲはあのまんまでも違和感なさそう

本　当　に　そ　う　思　っ　て　る　の　か　？

>>405
影が薄いから男でも女でもいてもいなくても同じというかどうでもいい。とでも言いたいのか？

あの手の顔の女性実際いないか？

いたとしても･･･はっきり言ってやだ。

パターン　乙！

保守ついでに。

この場合の女性陣のバストサイズって、どんな感じになるんだろうか。
とりあえずレイはひんぬー、加持は巨乳しか思い浮かばないが……。

メガネとロンゲは普通
マヤくらいかな？

冬月は垂れててそんなでかくない。
ゲンドウは巨乳

個人的にはカヲルが一番イメージつかないな……。

カヲルは、あるかないかどっちかだな。極端なイメージ。
綾波参考でもいいけど。性別反転したら一番似てるし。

タブリスXXを参考にするという手もあるが。

カヲル
　↓
ttp://bbs.avi.jp/photo.php?kid=16428&wid=28430435

はいはい乙

>>416
なにも持ってこなくても

二つくくりはいただけないな

今更だけど、学園エヴァの場合
女シンジが男アスカ起こしにいった方が自然じゃね？

自然だが、それだと女シンジが朝から食われそうだｗ

>421
劇場版だと寝ている男アスカで、女シンジがオナヌーするんだお。
だから問題ないお。

･･･それもそうだな･･･

何となく思いついたネタ。



リナレイ♂転校初日

リナレイ♂「あ、さっきのいちごパンツ」
シンジ♀「!!」
反射的に筆箱を投げつけるシンジ♀。リナレイ♂の顔面に直撃。

「すまんな、レイ。雨宿りさせてもろて」
「別にいいよ…。はい、タオル」
「おぉきに」
「サンキュ」
　レイに渡されたタオルで頭を拭きながら、礼を言う二人。この日、下校途中に突然の大雨が降り、ユウキとサトミはミサトのマンションに避難してきたのだ。
「そういえば、ミサトさんは？」
「まだ寝てるのかな？　最近、徹夜の仕事が多いみたいだし…」
「ああ、大変な仕事やからなぁ」
「ミサトさんを起こさないように、静かにしてよう、静かに」
　そう言うとサトミとユウキは「シ―――ッ」と口に人指し指を当てる。
「ただいま。なんだよこの大雨はよぉ」
　その声に三人が玄関の方を見ると、全身ずぶ濡れのアスカが帰ってきたところだった。
「なんだ、お前ら来てたのか」
「雨宿りにね」
　アスカはリビングに入るなり、いきなり服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょ、ちょっとアスカ君！？」
「？　なんだよ」
「き、着替えるなら洗面所で着替えてよ！」
　顔を赤くしながら洗面所を指さすレイを見、アスカは面倒くさそうな顔をする。
「…分かったよ。それより、レイ」
「な…なに…？」
「…服、透けてるぞ」

　アスカの言葉に、レイは自分の胸を見る。確かに、濡れて制服が透け、下着が見えていた。
「い、いやぁ！」
　レイは更に顔を赤くしながら持っていたタオルをアスカに投げつけた。
「もがっ！　何しやがる！」
「黙らんかい、このドスケベ！」
「なんでお前に怒られなきゃいけねぇんだよ！」
　四人が騒いでいると、リビングの襖が開いた。四人がそこを見ると、キリッとしたミサトの姿があった。
「お、お、お、お、お…」
「お邪魔してます！」
　ミサトの姿に圧倒され、思わず気を付けになるユウキとサトミ。そんな二人を見、ミサトは愛想よく挨拶する。
「お、二人ともいらっしゃい。レイちゃん、お帰り。今夜はハーモニクステストがあるから、遅れないようにな」
「あ、ハイ」
「アスカもな」
「はぁ〜い」
　その時、サトミが何かに気付いた。
「ああッ！　この度は、御昇進おめでとうございます！」
　突然あらたまり、お辞儀をするサトミ。
「お？　おめでとうございます！」
　なんのことだか分からないが、ユウキもつられてお辞儀をする。
「あ、ありがとう」
　ミサトは少し困った笑顔をする。
「いえ、どういたしまして！」
「…？」

　お辞儀をしている二人を不思議顔で見ているレイとアスカ。
　ミサトはそのまま玄関へ向かう。
「んじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃ〜い」
　愛想よく手を振るサトミとユウキ。ドアが閉まると、レイが問いかける。
「どうしたの？　ミサトさんに何かあったの？」
　レイの言葉に、サトミは身を乗り出して首元を指さす。
「ミサトさんの襟章だよ。線が二本になってた。一尉から三佐に昇進したんだ」
「へぇ〜〜…知らなかった」
「…いつの間に」
　軽く驚いている二人に、ユウキとサトミは非難する。
「マジに言うとるんけ？　情け無いやっちゃなぁ」
「ああ、君たちには人を思い遣る気持ちはないのだろうか？　あの若さで中学生二人を預かるなんて大変なことだぞ」
「ウチらだけやな。人の心を持っとるのは」



　管制室、ここでハーモニクステストは行われていた。ガラス越しに、三本のテストプラグが見える。
「０番、２番、共に汚染区域に隣接。限界です」
「１番にはまだ余裕があるな。グラフ深度をあと0.3下げてみてくれ」
　リツが指示を出してしばらくすると、モニターの中のレイが眉をしかめる。
「汚染区域ギリギリです」
「それでこの数値？　たいしたものだな」
　マヤの報告に身を乗り出して喜ぶリツ。
「ハーモニクス、シンクロ率もアスカに迫ってますね」
「これを才能と言うのかな」
「まさに、エヴァに乗るために生まれてきたような子供ですね」
　女性オペレーターの台詞に、後ろにいたミサトが口を開く。
「本人が望んでなくてもな」
　その声に三人は振り向く。ミサトは淡々と続ける。
「きっとあの子は嬉しくねぇよ」

「おめでとうございまーす！」
「ありがとう」
　一同が乾杯をすると、ミサトはユウキに向かってお礼を言う。
「ありがとな、鈴原ちゃん」
「ちゃいます、言い出しっぺはこいつですねん」
　照れながらユウキがサトミを指さすと、サトミは立ち上がり背筋を伸ばす。
「そう、企画立案はこの相田サトミ、相田サトミですっ！」
「ありがとな、相田ちゃん」
「いえ、礼を言われる程のことは何も。当然のことですよ」
　ミサトはキョロキョロと周りを見、誰にでもなく問いかける。
「シンジ君は？」
「誘ったよ、ちゃんと。でも付き合い悪いんだよな、あいつ。…加持さん遅いなぁ」
　アスカの言葉に、隣に座っていたヒカルはペンペンを抱きしめる。
「そんなに綺麗なの？　加持さんって」
「そりゃもう。ここにいる色気の無いガキとは月とスッポン、比べるだけ加持さんに申し訳ないね」
「なんやてぇ！」
　その時、チャイムの音がした。
「きっと加持さんだ！」
　立ち上がるアスカだが、すぐに表情がムッとなる。
「本部から直でね。そこで一緒になったの」
　そう言いながらリビングの入り口に立っている加持の隣には、リツがいた。アスカとミサトは信用していない。
「怪しい」
「なんだ、ヤキモチか？」
　リツの言葉に、ミサトは事も無げにビールを口にする。
「そんなわけないだろ」
　すると加持が、前かがみで真剣な顔をする。
「この度は、おめでとうございます、葛城三佐。これからはタメ口きけなくなったわね」
「なに言ってんだよ、バカ」
　アスカはボソッと、ヒカルに話しかける。

「な？　綺麗なひとだろ？」
「う、うん…」
「まったく、この色気を見習ってほしいよ」
「聞こえてるで」
　ユウキは立ち上がり、アスカを指さす。
「アンタこそガキのくせして、なに言うてんねん！」
「な！？　俺のどこがガキなんだよ！！」
「そうやってすぐムキになるところがや！！」
「んだとぉッ！？」
　ケンカをし始めたアスカとユウキを見、一同は楽しそうに笑う。レイも、本当に楽しそうに笑っている。

　―――私は…大勢で集まって騒いだりするのは生まれて初めてだった。

　―――こんなに楽しいと感じたのも初めてだった。

　―――でも。

　―――こんな楽しいことは長くは続かない。すぐに苦しみはまたやって来るだろうと。

　―――心の隅でそう思っていた。



　第拾弐話

　奇跡の価値は



「う〜〜〜……キモチワルイ…」
「まったくもう、いい歳して吐かないでよ」
「うう…調子に乗って飲みすぎた」

　祝賀会もお開きになり、ミサトは洗面所で吐いていた。加持はその背中をさすっている。ちなみに、他のメンバーは騒ぎ疲れてリビングで雑魚寝している。
「ウェ〜〜…」
「少し外の風に当たった方がいいわ。ホラ、肩貸してあげるから」
　そして二人は、マンションの駐車場まで出てくる。ミサトは、加持に肩を貸してもらったままだ。
「あーあ、情けねぇ。お前に介抱されるなんてな」
「昔もよくこうして歩いたわよね。貴方しょっちゅう飲みすぎてたし」
　二人で歩いていると不意に、ミサトが問う。
「…俺にフラれた時、ショックだった？」
「もちろんよ。当たり前のこと聞かないで。でもまぁ、私が悪いのね。浮気ばっかしてたし」
　加持はミサトを座らせると、煙草に火をつけた。
「わざと俺に嫌われようとしてたんじゃないか？」
「まさか。そんなことないわ」
「嘘だな」
　即答するミサトを、加持は目だけを動かし見る。
「お前はどの男に対しても本気じゃなかった。もちろん俺にもな」
「なに言ってるのよ、酔ってるわね」
「お前は俺でも他の男でもなく、いつももっと他のものを見ていた。…このままどこまでいっても本気で愛されないんじゃないかと思ったら…凄く怖くなった」
「ミサト……。そういえば、貴方と付き合うきっかけも酔った勢いの成り行き上だったわね。でも、貴方と付き合ったことは後悔してないわ」
　加持は続ける。
「大学にも行かないで一日中裸でゴロゴロしてたり…くだらないことでケンカしたり。貴方と出会って付き合って一緒に暮らして二年間……その二年間だけが私の人生の中で別の世界での出来事みたいに輝いてるわ」

「そんなクサイ台詞よく平気で言えるな」
「いいわよ、別に信じなくても。ただ私は、貴方と付き合った二年間を胸に抱いているからこそ……この先この身に何が起こったとしても…悔いなく死ねると。そう思ってるだけよ」
「………なんだよそれ…？　どういう意味？」
「別に。こういうご時世だもの。深い意味はないわ」
「ふうん。まぁいいや。……俺の母さんのこと話したことあったよな？　家族を省みず研究に没頭していつも父と俺をほったらかして……でも最後は命を懸けて俺をかばってくれた」
「…セカンド・インパクトね…」
「加持…少し俺の母さんに似てるよ」
「ミサト…」



「たいした破壊力だな。さっすがA.T.フィールド」
「落下のエネルギーと質量を利用してます。使徒そのものが爆弾みたいなものですね」
　ミサト達が見ているモニターに映し出されている地図には、大きなクレーターが造られていた。
「とりあえず、初弾は太平洋に大ハズレ。で、２時間後の第２射がそこ」
「あとは確実に誤差を修正しています」
　リツに続いてマヤが言うと、ミサトは顎に手を当てる。
「学習してるってことか…」
「以後、使徒による電波攪乱のため消息は不明」
「……来るな、多分」
「次はここに。本体ごとな」
「その時は第３芦ノ湖の誕生かな？」
「富士五湖が一つになって太平洋と繋がるな。本部ごとね」
「南極の碇司令は？」
「使徒の放つ強力なジャミングのため、依然連絡不能です」
「ＭＡＧＩの判断は？」
「全会一致で撤退を推奨しています」
「……どうするんだ？　今の責任者はお前だぞ」
　ミサトはしばらく考えると、決断する。

「日本政府各省に通達。ネルフ権限における特別宣言Ｄ−17。半径50キロ以内の全市民は、直ちに避難。松代には、ＭＡＧＩのバックアップを頼んで」
「ココを放棄するんですか！？」
「いや」
　淡々と落ち着きながらミサト。
「ただ、みんなで危ない橋を渡ることはないだろ」



　男子トイレ。洗面所の前で、リツとミサトは話していた。
「やるのか？　本気で」
「あぁ」
「お前の勝手な判断でエヴァを３体とも捨てる気か？　勝算は0.00001％。万に一つもないんだぞ」
「ゼロじゃあない。エヴァに賭けるだけだ」
「葛城三佐！」
　軽く怒鳴るリツ。しかし感情は押さえている。ミサトは目線だけをリツに向ける。
「現、責任者は私です。……やることはやっときたいんだ。使徒殲滅は、俺の仕事だ…」
「仕事？　笑わせるな。自分のためだろ、お前の使徒への復讐は」

ｷﾃﾀｰｰｰｰｰｰｰｰｰ!!!!!!!!

続きｗｋｔｋ

ミサトかっこいいな。

惚れる

EPISODE：12

She said,“Don't make others suffer for your personal hatred.”



「はぁっ！？　手で受け止める！？」
　天井都市の一室に、アスカの声が響く。
「そうだ。落下予測地点にエヴァを配置。A.T.フィールド最大でお前たちが直接、使徒を受け止めるんだ」
　あまりにも無茶な作戦に、レイが質問する。
「使徒がコースを大きく外れたら？」
「その時はアウト」
　次にアスカ。
「機体が衝撃に耐えられなかったら？」
「その時もアウトだな」
　再びレイ。
「勝算は？」
「神のみぞ知る、といったところかな」
　淡々と答えるミサトに、アスカは呆れる。
「これで上手くいったら、まさに奇跡だな」
「奇跡ってのは、起こしてこそ初めて、価値が出るものだ」
「つまり、なんとかしてみせろってことか？」
「…済まないけど、他に方法がないんだ。この作戦は」
「作戦と言えるのかよ！？　これが！？」
　キッパリと言うミサトに、アスカは真剣に講義する。
「……ホント、言えないな。だから嫌なら辞退できるが…みんな、いいんだな？」
「…………」
　ミサトの言葉に、三人は黙る。その顔は、真剣だった。

　その三人を見、ミサトは手にしているドキュメントホルダーをちょい、と上げる。
「一応、規則だと遺書を書くことになってるけど、どうする？」
「別にいいよ。そんなつもりねぇし」
「僕もいい。必要、ないから」
　即答するアスカとシンジを気に掛けながら、レイも答える。
「私もいいです」
　三人の答えを聞くと、ミサトは安心したように息をつく。
「済まないな。終わったら、みんなにステーキ奢るからな」
「え？　マジ！？」
「約束するよ」
「うわぁ〜い…！」
「忘れるなよ！？」
「期待してな」
　そう言いながらミサトが去ると、レイとアスカは急に冷めた表情になる。
「…ご馳走といえばステーキで決まりか…」
「今時の子供がステーキで喜ぶと思ってんのかよ。これだからセカンド・インパクト世代って貧乏くさいんだよな」
「仕方ないじゃない、そんなの」
「フン、なぁにが『うわぁ〜い』だよ。大袈裟に喜んだりしてよ」
「それでミサトさんが気持ち良く指揮できるならいいじゃない」
　レイの台詞をよそに、アスカは鞄から食べ歩きマップを取り出す。
「さてと。せっかくご馳走してくれるって言うんだ。どこにしようかなっと。お前も今度は一緒に来るんだぞ」
　そう言ってシンジの方を見るアスカ。しかし、シンジは拒否する。
「行かない」
「どうして？」
　レイが問いかけると、ポツリとシンジ。
「肉…嫌いだから」

「目標の正確な位置の測定は出来ないが、ロスト直前までのデータから、ＭＡＧＩが算出した落下予測地点が、これだ」
　ミサトの言葉を合図に、モニターに第３新東京市の地図が映し出される。その地図の上に、巨大な円が。
「こんなに範囲が広いのかよ！？」
「はしっこまで随分ありますよ」
「目標のA.T.フィールドを持ってすれば、そのどこに落ちても本部を根こそぎエグることが出来る」
　まるで他人事のように言うリツ。ミサトは続ける。
「ですから、エヴァ全機をこれら３ヶ所に配置します」
　瞬間、モニターにエヴァの配置が表示される。
「この配置の根拠は？」
「カンだ」
「かん？」
「そう、男の勘」



「…ねぇ」
「何だよ」
　ケイジへ向かうエレベーターの中、レイがアスカに問う。
「アスカ君は何故エヴァに乗ってるの？」
「決まってんだろ。自分の才能を世の中に示すためだ」
「自分の存在を？」
「まぁ似たようなもんだな。あいつには聞かねぇのか？」
「綾波君には前、聞いたから」
「へ〜〜ぇ。仲のおよろしいことで」
「そんなんじゃ…」

「レイはどうなんだよ」
「…分からない」
「分からないって…お前バカか？」
「…そうかも知れない」
「……」
　いつもみたくムキにならないレイに、アスカは拍子ぬけする。
「…ホントにバカだな」



「みんなも退避してくれ。ここは俺一人でいいから」
　ミサトが振り向くと、ハルカとマコが余裕で答える。
「いえ、これも仕事ですから」
「子供達だけ危ない目には合わせられないですもん」
「…あいつらは大丈夫。もしエヴァが大破しても、A.T.フィールドがあいつらを守ってくれる。エヴァの中が、一番安全なんだ」



　２時間後。発令所のモニターに、遂に落ちてくる使徒の姿が見えた。
「目標を最大望遠で確認」
「距離、およそ２万５千」
「おいでなすったな…。エヴァ全機、スタート位置」
　ミサトの合図に、エヴァ３機はしゃがみ込む。その姿は、まるで陸上のスタートポーズのようだ。
『目標は光学観測による弾道計算しか出来ない。よって、ＭＡＧＩが距離１万までは誘導します。その後は、各自の判断で行動してくれ。お前たちに、全て任せるぞ』

「使徒接近。距離、およそ２万！」
「では、作戦開始」

「…行くよ」
　ポツリと呟くレイ。その声に頷くシンジとアスカ。

　バシュウンッ！

　外部電源がパージされた。その瞬間、レイが叫ぶ。
「スタート！」
　エヴァ３機が一斉に走り出す！

「距離１万２千！！」

　徐々に初号機のスピードが上がる。その超スピードは衝撃波で周囲を破壊する程だ。
　雲を蒸発させ、肉眼で確認できる距離に第10使徒が現れる。
　その真下に、他の２機よりも速く初号機が辿り着く。
「フィールド全開！！」
　A.T.フィールドを発動させる初号機。その勢いに、周囲の屋根や木々が吹き飛ぶ。
　ゆっくりと身構え、巨大な使徒をガシッと受け止める初号機。
「うっ…！　く…！」
　衝撃に耐えるレイ。
　しかし、第10使徒は止まらない。初号機はガクンと沈み込む。あまりの衝撃に、初号機の右腕が破砕される。
　そこに向かって来る、２つの影。零号機と弐号機だ。
「弐号機、フィールド全開」
「やってるっての！！」
　遂に初号機の使徒のもとへ辿り着いた零号機と弐号機。３機合わせて受け止め、第10使徒が僅かに持ち上がる。
「今よッ！」
　振り向きながらシンジに叫ぶレイ。
　即座にプログナイフでA.T.フィールドを切り裂く。そしてカーテンのように、左右に広げる。
「こンのぉお、目玉オバケェッ！！」
　すかさず、その隙間から弐号機のプログナイフが第10使徒の核に突き刺さる。
　しばらくして、第10使徒は糸の切れた人形のように落ち、エヴァ３機を包み込んだ。
　そして第10使徒は爆発した。

「いかなる生命の存在も許さない、死の世界…南極……いえ、地獄というべきかしら」
　ガラス越しに赤紫色の海面を見つめながら、冬月。
「ですが我々人類はここに立っています。生物として生きたままで」
　奥のオーロラを見ながら、自信に満ちて立っているゲンドウ。
「科学の力で守られているものね」
「科学は人の力よ」
「その傲慢さが、15年前の悲劇、セカンド・インパクトを引き起こしたのよ。結果、この有り様。与えられた罰にしてはあまりにも大きすぎるわ。まさに死海そのものよ」
「ですが、原罪の汚れなき浄化された世界です」
「…私は、罪にまみれても人が生きている世界を望むわ」
　その時、ブザーが鳴った。
『電波システム回復。ネルフ本部の葛城三佐から通信が入っています』
「…繋いで」



「申し訳ありません。私の勝手な判断で初号機を破損してしまいました。…責任は全て、私にあります」
『構いません。使徒殲滅がエヴァの使命です。その程度の被害は、むしろ幸運といえます』
『ええ。良くやってくれました、葛城三佐』
「ありがとうございます」
『ところで初号機のパイロットはいますか？』

　急にふられ、ドキッとするレイ。
「は、はい」
『話は聞きました。よくやったわね、レイ』
「え？　……あ、は…はい」
　予想外の言葉に、呆然とウィンドウを見つめるレイ。
『では葛城三佐、後の処理は任せます』
「はい」



「………これで11」
「ええ。残るはあと７つ。ですが、この『槍』を手に入れたことにより、我々人類は『約束の時』まで少しばかりの時間の猶予を手に入れたことになります」



「ミサトの財布の中身くらい分かってるよ。無理しなくていいって。優等生も、ラーメンなら付き合うっていうしさ」
　作戦の前、ステーキを約束した４人であったが、アスカに連れてこられたのはどうみても屋台のラーメン屋だった。しばし呆然としていたミサトだったが、子供達の思いやりに笑みがこぼれる。
「僕、ニンニクラーメンチャーシュー抜き」
「俺はフカヒレチャーシュー！　大盛りで！」
　各自注文を済ませ、ラーメンが目の前に置かれると、４人は食べ始める。

「…ねぇ、ミサトさん」
「なに？」
「さっき…母さんの言葉を聞いて、褒められることが嬉しいって…初めて分かった様な気がします」
「……」
「それに分かったんです。私は母さんのさっきの言葉を聞きたくて、エヴァに乗っているのかもしれないって」
「…」
「なんだよお前、そんなことで乗ってんのか？」
　レイの顔は、嬉しそうだった。
「……ホントにバカだな」





　　　　　つづく

エヴァ疾走のシーンはもう少し長くスピーディーに書きたかった…。

ＧＪ！
調理の仕方がうまいなあ……。

ｷﾃﾀ!!
凄い楽しみに読んでますよ

なんか、10年前に戻った気分だ･･･

続き期待ｱｹﾞ

He said,〜では？

期待あげ

普段はカップリングはどうでもいいが性別反転版だとカヲル×レイがツボかも。
無口無表情男とそれに付きまとう電波風味美少女、な感じで。

電波風味美少女…マナのことか？

ガンガレage

期待あげ

>>324
かなり遅レスだがいっそ第十八使徒はイヴ（とその子孫＝人間）とか思いついた。

イヴ＝エヴァ前提だとエヴァ自体の名前は何になるんだ

リリンは何か強くなさそうだな

>>456
エヴァは福音だからそのままでいいのでは？

電波風味美少女っていうか、
普通に電波美少女だよな。

トウジ♀は漫画版みたく死ぬのかアニメ版みたく助かるのか…。
俺は前者がいいと思うがどうだろう？

死ねばいいと思うよ

トウジは助かって欲しい
あんないい子が死ぬなんてそんなのダメだ

　ネルフ本部、発令所。本日はＭＡＧＩの定期検診が行われている。
　マヤが見事な手さばきで、キーボードを叩いている。
「さすがマヤ。速いな」
　後ろで作業をしていたリツが、感心したように言う。
「それはもう、先輩の直伝ですから」
「あ、待て。そこ、Ａ−８の方が速いぞ。ちょっと貸してみ」
　そう言い、リツは手元にあるキーボードに手を伸ばす。
　そして、まさに目にも止まらぬ早業でキーボードを叩く。マヤも速いが、リツは格が違う。神業と呼ぶにふさわしい。
　あまりの速さに、マヤは少しビビる。
「！！　…さっすが先輩…」
　キーボードを置き、再び作業を開始するリツ。すると奥から、ミサトがエレベーターで上がってきた。
「どうだ？　ＭＡＧＩの診察は終わったか？」
「大体な。約束通り、今日のテストには間に合わせたぞ」
「さ〜〜っすがリツ。同じ物が３つもあって大変なのに」
　ミサトはテーブルに置いてあるコーヒーを取ると、グイッとあおる。
「冷めてるぞ、それ」
「ぐっ！」

「ＭＡＧＩシステム、３基とも自己診断モードに入りました」
「第127次、定期検診異常なし」
「了解。お疲れ様。みんな、テスト開始まで休んでてくれ」



　男子トイレ。その洗面所で、リツは顔を洗っていた。タオルで拭きながら、顔を上げる。
「異常なしか…。父さんは今日も元気なのに、俺はただ歳を取るだけなのかな…」



　第拾参話

　使徒、侵入



「ええーっ！　また脱ぐのかよ！？」
『ここから先は超クリーンルームだからな。シャワーを浴びて、下着を換えるだけでは済まないんだ』
「なんでオートパイロットの実験でこんなことしなきゃいけねぇんだよォ…」
『時間はただ流れてるだけじゃないんだ。エヴァのテクノロジーも進歩しているんだよ。新しいデータは常に必要なんだ』

「ほら、お望みの姿になったぞ。17回も垢を落とされてな」
　憮然としてアスカが言うと、スピーカーからリツの声がする。
『では３人とも、この部屋を抜けて、その姿のままエントリープラグに入ってくれ』
「ええぇえっ！？」
　リツの言葉に、レイは赤くなる。
『大丈夫。映像モニターは切ってあるから。プライバシーは保護してるぞ』
「そ、そういう問題じゃないですよ！　気持ちの問題ですっ！」
『このテストは、プラグスーツの補助なしに直接肉体からハーモニクスを行うのが主旨なんだ』
『レイちゃん、命令だ』

「うぅ…。絶対、見ないで下さいね！？」

　裸のまま３人がシミュレーションプラグに乗り込むと、模擬体に挿入される。
『―――気分はどうだ？』
　リツが訊くと、３人。
「…何か、違う」
「うん。いつもと違う感じがする」
「感覚がおかしいんだよ。右腕だけがはっきりして、あとはボヤけた感じ…」
『シンジ君、右手を動かすイメージを描いてみてくれ』
「ハイ」
　シンジがイメージを描くと、模擬体の右手がジワッと動いた。僅かな動きだったが、リツは見逃さなかった。
「問題はないようだな。ＭＡＧＩを通常に戻してくれ」
　リツが言うと、ＭＡＧＩの表示がパッと対立モードに変わる。
「……ジレンマか…」
　ポツリと呟くリツ。
「造った人間の性格が伺えるな」
「何言ってんだよ。造ったのはお前だろ？」
「……お前、何も知らないんだな」
「リツが俺みたくベラベラと自分のこと、話さないからだろ」
「…そうだな」
　淡々と、リツは続ける。
「―――俺はシステムアップしただけ。基礎理論と本体を造ったのは………父さんだよ」



「確認してるのね？」
「ええ、一応」
　発令所。冬月とハルカが、モニターを見ながら何やら話している。

「６日前に搬入されたパーツです。ここですね、変質してるのは」
「第87タンパク壁か…」
「拡大するとシミのようなものが有ります。何でしょうね、これ」
　するとマコが、割って入る。
「侵食でしょ。温度と電導率が若干変化しています。無菌室の劣化はよくあるんです、最近」
「工期が60日近く圧縮されてますから、また気泡が混ざっていたんでしょう。ズサンですよ、Ｂ棟の工事は」
「そこは使徒が現れてからの工事ですからね」
「無理ないですよ。みんな疲れてますからね」
「明日までに処理しておいて。碇さんがうるさいですから」
「了解」



「また水漏れ？」
「いえ、侵食だそうです。この上のタンパク壁」
「まいったな…テストに支障は？」
「今のところは何も」
「では続けて。このテストはおいそれと中断するワケにいかないんだ。碇司令もうるさいしな」
「了解」
　何事も無かったかのように進んでいくテスト。しかし。

　ビイイイィィィィ！

　突如、警報が鳴り響く。
「どうした！？」
　リツが振り向くと、館内アナウンスが流れる。

『シグマユニットＡフロアに汚染警報発令！』
　続いて制御室のオペレーターが現状を報告する。
「第87タンパク壁が劣化、発熱しています！」
「第６パイプにも異常発生！」
「タンパク壁の侵食部が増殖しています！　爆発的スピードです！！」
　報告を受け、リツは素早く決断を下す。
「実験中止！　第６パイプを緊急閉鎖！」
「ハイ！」
　マヤがメインのスイッチをオフにすると、次々とパイプスペースが閉鎖されていく。
　しかし、侵食は止まらない。
「60、38、39閉鎖されました！」
「６の42に侵食発生！」
「駄目です！　侵食は壁づたいに進行しています！」
「ポリソーム、用意！」
　リツが指示を飛ばすと、ハッチが開きポリソームが数体出てくる。第６パイプの周りに集結するポリソーム。
「レーザー出力最大！　侵入と同時に発射！」
「侵食部、６の58に到達！」

　間。

「来ます！！」
　マヤが叫ぶと、制御室内は静寂に包まれた。
「…」
「…」
　刹那。
『うわぁあああぁッ！！』
「シンジ君！？」
　静寂を破るシンジの悲鳴。
　シンジの模擬体の右手がバンッと壁に叩き付けられる。そのままブルブルと震えながら壁を押す。
「シンジ君の模擬体が、動いています！！」
「まさか！？」
　ガクガクと、エビ反っていくシンジの模擬体。その様は、まるで壁から出ようとしているかのようだ。

　その右肩には、例の侵食が。
「侵食部、さらに拡大！　模擬体の下垂システムを侵しています！」
　模擬体は今度は制御室の方へ向き直り、ガラス越しのミサトに向かって右手を伸ばす。
　とっさに、緊急レバーを引くリツ。瞬間、模擬体の右腕が爆破切断され、ガラスにぶつかる。
「シンジ君は！？」
「無事です！」
「全プラグを緊急射出！　レーザー急げ！」
　バシュッと射出される３つのプラグ。最後に、隔壁が両側から閉まる。
　第６パイプ。ポリソームがレーザーを侵食部に向かって発射する。焼かれていく侵食部。
　しかし次の瞬間、予想もしなかった事態が起こった。

　ピュキュイィィン！

　なんと、レーザー命中地点の侵食部から突如A.T.フィールドが形成され、レーザーが跳ね返された！
「A.T.フィールド！？」
「まさか！？」
　驚くミサトとリツ。
　模擬体の右肩と切断された右腕に、指紋状の光が浮かび上がる。
「なんだ…これ？」
「分析パターン、青。間違いなく、使徒だ！」



　再び鳴り響く警報！
「使徒！？　使徒の侵入を許したの！？」
『申し訳ありません』
「言い訳はいいわ！」
　受話器でミサトと話していた冬月は、ハルカに指示を出す。

「セントラルドグマを物理閉鎖！　シグマユニットと隔離して！」



『セントラルドグマを物理閉鎖。シグマユニットと隔離します』
　館内アナウンスが流れる。使徒は、すでに制御室のガラス面まで侵食していた。
「ボックスを破棄します！　総員退避！！」
　ミサトの言葉に、オペレーター達はダッと逃げ出す。しかし、リツは黙ってボックス内を見つめていた。
　その間にも、ガラスにヒビが増えていく。
「何してんだ！？　早く！！」
　リツの腕を引っ張り、走るミサト。瞬間、遂にガラスが割れ水が制御室になだれ込む。
　２人が制御室を出ると、間一髪、ドアが閉まる。



「分かっています。よろしく頼みます」
　赤電話をかけているゲンドウ。引き出しの中に受話器をしまうと、前を向く。
「警報止めて」
「け、警報停止します！」
　ハルカがスイッチを押すと、警報が止まった。
「誤報です。探知機のミスです。日本政府と委員会にはそう伝えて！」
「ハ…ハイ！」
「汚染区域はさらに下降。プリブノーボックスからシグマユニット全域へと広がっています！」
　モニターには、みるみる広がっていく汚染区域が映し出されている。

　それを見た冬月は小声でゲンドウに話しかける。
「場所がまずいわ」
「ええ…リリスに近すぎます」
　ゲンドウはオペレーター達に指示を飛ばす。
「汚染はシグマユニットまでで押さえなさい。ジオフロントは犠牲にしても構いません。……エヴァは？」
「第７ケイジにて待機。パイロット回収次第、発進できます」
「パイロットを待つ必要はありません！　すぐ地上へ射出して！」
「えっ！？」
「初号機を最優先です！　そのために他の２機は破棄しても構いません！」
「初号機を…ですか？」
「しかし、エヴァなしでは使徒を物理的に殲滅できません！」
「その前にエヴァを汚染されたら全て終わりです。急いで！！」
「ハ、ハイ！」
　ゲンドウの指示に、無人のまま射出される初号機。
『セントラルドグマ、完全閉鎖。大深度施設は侵入物に占拠されました！』
「さて…エヴァなしで使徒に対しどう攻めます？」

wktk

このスレは僕と同じだね。好意に値するよ

できるだけ端折らないと死ぬよ。先輩としての忠告
多分２５２６話が一番キツイだろうね
マジメな話っぽいしバカなギャグで吹っ飛ばすことが出来ないからねｗ
面白いけど男アスカに違和感が・・・・・でも面白い
まあ僕のスレも参考にして頑張ってくれたまへ

巣にかえれ＞ロメオ

レイとシンジも各々のアンデンティティーは在ると思うんだが…。例えコピーでも宿る魂の違いに着手したい。
宿る命を敢えて魂(精神作用を受け持つと考えられているもの)という宗教的観念にも取れる表現をしているからね…。

男レイに少し期待があるし｡｡｡

はいはいわろすわろす

久しぶりに書いてあるのみたよｗﾌﾟｯ

早くアスカとのちゅーが読みたいw

使徒シンジ良いなぁ…

>>477
？

綾波シンジが良いなと。意外とｶｯｺｲｲ…

ｵﾅﾆｰ待ち。

ONARINASAI

なんかシンジとレイの関係が希薄だな

まあ、原作と比べてもあんまりいいシチュが思いつかないからかもなあ……。

レイが年頃の女の子っぽく目移りしちゃったりしたらいいんだよ

シンジくんは無表情だけどちゃんと私を気にかけてくれる優しい男の子
惣流くんはちょっといきがってるカワイイ男の子
あれ私ったら両天秤にかけてる？ダメ！私のために争わないで！ドキドキ

ageるついでに小ネタ。



風呂から全裸で出てきたら知り合いの女の子がいた件

1 名前：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
こんな時、どんなリアクションをすればいいのかわからないんだ(´･ω･`)

>>484
巣に帰れ

ロメオ、あんたは早くバカシンジの続きを書け。

　エヴァの模擬態に幾何学的な模様が赤く浮き出ていた。

「ここが、重水の境目だ。」
「好みがハッキリしてますね…。」
　モニターには六角状の形でどの区域が汚染されているかをあらわしている。
「無菌状態維持のためオゾンを噴出している所は汚染されていません。」
　リツとマヤの会話にコンソールに向かっているハルカが答えた。
「てことは、酸素に弱いのか？」
「らしいな。」
　ミサトの嬉しげな問にリツがうなずく。

　――――ゴボボボボボボボボ
　
　模擬態の入った水槽の中にオゾンが入っていく。

　――――ヒュオオオオオォォォォ

　弱冠ではあるが赤く浮き出していた模様が消えていっている。
「オゾン抽入、濃度増加しています。」
「きいてる！きいてる！」
「いけるかしら…」
「………。」
　オペレーター２人の嬉しいそうな声に冬月が聞こえるか聞こえないかの声で言うがゲンドウはいつもの口元を隠すポーズで黙視していた。

４８８です。一応書いてみたがどうでしょう？
文才なんぞ一切ないのでこんな感じになってしまいました（＾＾；）
駄目だったら無視しといてください（脱兎）

乙。気にせず続きを書いてくれ。

んでは、お言葉に甘えて続きおば…

　切り離された模擬態の腕から赤い模様が徐々にだが消えていっている。
「０−Ａと０−Ｂは回復しそうです。」
「パイプ廻り、正常値に戻りました。」
「やはり、中心部は強いですねぇ…。」
　エヴァがないという緊張のためか、静かな中でオペレーターの声だけが響いて
　いる。
「そう、　オゾン増やして。」
　冬月が命令を下した。

　模擬態の映像を見ていたリツの表情が僅かにだが曇っていく。
「変だな…。」
　キーボードを操作していたハルカの手がとまり、モニターを凝視した。
「アレ、増えてる…？」
「変です。発熱が高まってます。」
　マコも異変に気が付き、やや焦った声になっていた。
「汚染域、また拡大していっています！！」
　六角状のモニターが赤く塗り替えられていっている。
「ダメです。まるで効果が無くなりました。」
「今度はオゾンを吸っています。」
　オペレーターが焦りだした。
「オゾンとめろ！」

「すごい…、進化しているんだ…。」
　モニターを見ながらリツは感嘆の声をだした。

　今まで、使徒の状態を映していた映像がいきなりノイズに変わった。

　ビィィィィ―ビィィィィ―ビィィィィ―

　突如、警報機がなりだした。
「どうしたんだ！？」
　ミサトが突然の警報音に動揺しながら問う
「サブコンピューターがハッキングを受けています。
　侵入者不明！！」
「こんな時に…！！もぉ！！！
　Ｃモードで対応します！」
「防壁を解凍します。疑似エントリー展開！」
　にわかに発令所が騒がしくなりだす。それに同調するかのように警報音は止まらず鳴りつづけている。
「疑似エントリーを回避されました！！」
「逆探まで１８秒!」
「防壁を展開…防壁を突破されました!!」
　ハッキングはまだ続いている。他のオペレーター達の声が無残に響く。
「疑似エントリーをさらに展開します！」
　オペレーター達の焦る声が発令所内に溢れ出す。
「これは、人間技じゃないわよぉ…」
　うめくように、マコがつぶやく
「逆探に成功！
　この施設内のＢ棟の地下…？」
　ハルカの声がだんだんと緊迫したものから動揺に変わっていっている。
「プリブノーボックスです！！」
　モニターを見ながらハルカが叫んだ。

　――――ヒュァァァァァァァァァァァ…！

　赤い模様が発光しはじめ、金色へと変わっていく。
「光学模様が変化しています！」
「光っているラインは電子回路ね。
　これは、コンピューターそのままだわ…。」
「疑似エントリー展開。　失敗！！妨害されました！」
　オペレーター３人の焦りが声に出はじめている。そんな中ミサトは冷静さを取り戻し、指示をした。
「メインケーブルを切断。」
「ダメです。命令を受け付けません！！」
　しかし、ミサトの表情も次第に険しいものに変わっていっている。
「レーザー射ち込め！！」
「ＡＴフィールド発生！効果なし！！」

「保安部のメインバンクにアクセスしています！パスワードを走査中！！」
　ものすごい勢いでモニターの中が危険色（赤）に変えられていく。
「１２桁…。１６桁…。Ｄワードクリア！」
「保安部のメインバンクに侵入されました！！」
　マコが大声をあげながら、振り返る
「あぁ…」
　今まで、変化がなかった冬月の顔にも動揺の色が出始めた。
「メインバンクを読んでいます。解除できません！！」
「ヤツの目的はなんなの…？！」
　うめく様に冬月がつぶやく。

　休憩入りまーす。
　男女は一応意識しながら書いてるんだけどオペの時敬語がほとんどだからむずい。（泣
　所々、ハルカちゃん（笑）とマコちゃん（笑）には女言葉を使ってもらってます。←探してみよう！
　文章でも、しゃべり方でもなんか助言とかあったら欲しっす。
　文章つたなすぎだ…。すまぬ。
　他のネ申々様の文章の上手さに完敗…。

えっと、仮眠のつもりが熟睡してた。スマソ
んじゃ続き。


「メインパスを探っています。
　　このコードは…。ヤバイ…。」
　ハルカの声はどんどん小さくなっていく。がそれは焦りからくるものの様に感じられた。
「ＭＡＧＩに侵入するつもりです！！！」
　リツ、ミサト、オペレーター全ての人間が一瞬の沈黙につつまれる。が、警告は鳴り響き続ける。

「Ｉ/Ｏシステムをダウンなさい。」

　今まで無言だったゲンドウがここにきて初めて発言をした。その声には動揺など一切なく、冷静のみだ。
　マコとハルカが鍵を取出し、コンソール下の鍵穴に差し込む。
「カウントどうぞ！」
「３・２・１！！」
　―ガチャ
　―ガチャ
　鍵を回すが無意味に終わってしまった。２人は顔を見合わせお互いがキーを廻していることを確認する。
　ハルカが焦りつつキーボードをたたき、マコは報告をする。
「電源が切れません！！！！」
「使徒更に侵入！メルキオールに接触しました！！」
　マヤの緊張と焦りのまじった声が出る。
　その間にも、モニターの中の危険色は増えつづけていく。
「駄目です！使徒に乗っ取られます！！！」
　ＭＡＧＩと書かれた文字でさえ危険色に変わってしまった。
「メルキオール使徒にリプログラムされました！」

『人工知能メルキオールにより、自立自爆が提訴されました。』
『―否決　―否決　―否決　―否決』

　無表情な機械の声が発令所に響きわったった。