日経2003.1.6(朝刊) 「電縁の時代(5)「電子の活字」若者戻る」
「通信料より本を買う」。ベストセラーもネット発
先月、「福音の少年」という題名の単行本が売り出された。
編集を担当したぺんぎん書房(東京・千代田)の石田智巳さん(38)は、
「実はこの本には面白い生い立ちがある」という。
30万人が読んだ
もともとはネット上の作品で、その時の題名は「錬金術師ゲンドウ」だった。
一九九〇年代後半に熱狂的な人気を呼んだテレビアニメ「新世紀エヴァン
ゲリオン」の登場人物を借りて、愛媛県に住む公務員の加地尚武さん(45)
が書いた二次創作小説である。
ネットで延べ三十万人に読まれていたのを知った石田さんは本にして売り出
そ
うと考え、加地さんは小説家デビューを果たした。エヴァンゲリオンの二次作品
はほかにも多数あるが、それができたのは原作者のガイナックス(東京・小金井)
が二次創作を禁止しなかったためだとされる。 (以下略)