やれやれ
そんなわけで僕は803回目の保守をした。
yareyare
「ピース」と僕は言った。
「キール」とアスカも言った。
「左様」と私は続けた。
「問題ない」と父さんも頷いた。
「15年ぶりですね」と副指令も言った。
「かっこう」
「……そんな無表情で言わないでよ、綾波」
『この速さなら、言える。』
『これは良スレにちがいない』
そんなわけで僕は日だまりの中でうとうとしているエヴァがとても大好きなのだ
ぼくは きみたちが すきだ
やれやれ、保守だ
そんなわけで十月がきた。すばらしい保守だった
もう800過ぎてるのか
やれやれ、そう簡単には職人を捕まえられそうにない。そんなわけで僕は816回目の保守をした。
溢れよ我が涙、と警官は言った
角川春樹inエヴァンゲリオン板
村上龍inエヴァンゲリオン板
やれやれ、
やれやれ、誰も書きやしない
「君の番だよ」
誰かが言った
オーケー認めよう、確かに僕の番かもしれない
「だが時間が掛かる」と僕は言った
「かまいやしないよ」
今度は違う誰かが言った
残りのコーヒーを飲み干すと僕はネタ探しにと、村上春樹の小説を漁りだした。
エヴァに乗ることについて語るときに僕の語ること
やれやれ。
僕はコンクリートの壁にもたれかかってタバコを一本吸った。
さて、これからどうすればいいのだろう。
先に進んだものか。それともこのまま引き返したものか。
僕にできることはただスイカに水をやることだけだ
「スイカは黒地に緑のラインなのか、
緑地に黒のラインなのか、どちらなんだろう?」
僕はアスカに話しかけたが、彼女は何も答えず、ずっと空を眺めていた。
やれやれ。彼女はあの日から、ずっとこの調子だ。
僕は諦めて、両手に持っていたスイカバーを一人で食べ始めた。
この国からスイカが消えたのは、寂しい限りだ。
やれやれ、
いま簡単に書いてるけど需要ある?
蜂蜜色の力場
ユイはまたやってくる
832 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/10/28(日) 01:52:33 ID:Yi2CqHs1
僕はアニメについての多くを富野喜幸に学んだ。殆ど全部、というべきかもしれない。
不幸なことに富野自身は全ての意味で不毛な監督であった。
>>827 読みたいです、お願いします。
このスレ良すぎ。過去スレ含めて徹夜で読破してしまった。
もう随分長いあいだ読んでないけど久々に読み返したくなった。
アスカ再襲撃
やりやれ
わたしにはそのときに理解できたの。わたしたちは素敵な仲間、そして家族であったけれど、
結局はそれぞれの軌道を描く孤独な金属の塊に過ぎなかったんだって。
遠くから見ると、それはロボットのようにみえる。でも実際のわたしたちは、
ひとりずつそこに閉じこめられたまま、どこに行くこともできない赤ん坊のようなものに過ぎない。
ふたつの機械の軌道がたまたまかさなりあうとき、わたしたちはこうして顔を合わせる。
あるいは心を触れ合わせることもできるかもしれない。
でもっそれは束の間のこと。次の瞬間にはわたしたちはまた絶対の孤独の中にいる。
いつか燃え尽きてゼロになってしまうまでね
「そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの」
「死ぬって、どんなものが?」
彼女は首を振った。
「わからないわ。何かよ。東の地平線から上がって、中空を通り過ぎて、
第三新東京に現れる使徒を毎日毎日繰り返し殲滅しているうちに、
あなたの中で何かがぷつんと切れて死んでしまうの。そしてあなたは
プラグスーツをを放り出し、そのまま何も考えずにずっと西に向けて歩いていくの。
太陽の西に向けて。そして憑かれたように何日も何日も飲まず食わずで
歩き続けて、そのまま地面に埋もれて死んでしまうの。それがEVAのパイロットなのね」
僕は大地につっぷして死んでいくEVAのパイロットの姿を思い浮かべた。
「太陽の西には一体何があるの?」
ダンス
パートナー
そこっ
841 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/22(木) 20:52:53 ID:/4L1JRO1
保守
842 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/23(金) 21:39:00 ID:ZilZNGja
「ずっと昔、僕らはゼーレを襲った事があるんだ」僕はアスカに言った。
「僕ら?」とアスカは言った。「誰のこと?」
「その頃、僕には相棒が居たんだ。カオル君と言って、僕のを好きだって言ってくれた」
「あんた、ホモォ?」
そうかもしれない
あるいは
845 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/11/25(日) 00:25:04 ID:Z6Y0OEB5
「僕、ミサトさんのシワ好きですよ」
「泣けるわね。ねぇ、シンちゃん」ミサトさんが耳元で言った。
「そこ違うわよ、それただのシワよ」
「こういう時にも、酔っぱらいみたいな冗談しか言えないんですか?」僕はあきれて言った。
「メンゴ」
久々に読み返したが、職人の方々。
GJ!
「さっき何かを投げていたな」と男は私の脇に立ってそう言った。
「投げたわ」と私は言った。
「何を投げたんだ?」
「細長くて、何で出来てるのかわからなくて、尖っているものよ」と私は言った。
副司令は少し面喰ったようだった。「何故投げたんだ?」
「理由なんてないわ。アラエルがきてからずっと投げてる。
半ダースまとめて投げたこともあるけど、誰も文句はいわなかった」
「昔は昔だ」と副司令は言った。
「今はここは第一種警戒体制解除済みで、宇宙への槍の無断投擲は禁じられている」
私はしばらく黙っていた。体の中で一瞬何かが震え、そして止んだ。
「問題は」と私は言った。「あなたの言っていることの方が筋がとおっているということね」
「規則でそう決まっているのだ」と男は言った。
私はため息をついて、ポケットから司令の眼鏡を取り出した。
「どうすればいいの?」
「拾ってこいとも言えないだろう。宇宙は遠いし、セカンドだって狂いかけてる。
だからもう二度と槍を投げないでくれ」
「もう投げないわ」と私は言った。「おやすみ」
「おやすみ」と言って副指令は去っていった。
羊だっけ?
849 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/12/17(月) 23:28:35 ID:OA1xhR1s
「呑むなら呑め。呑まないなら帰れ」とジェイが言った。
呑んじゃ駄目だ呑んじゃ駄目だ呑んじゃ駄目だ、今日は車なんだ。
僕は呟いた。
「シンジ君、呑まれたら駄目よ。なによりお酒に」ミサトさんが言う。
お前が言うな!僕は思った。
「ねえ、彼のことどう思う?」と妹は訊ねた。
「渚カヲルのこと?」
「そう」
「まあ悪い男じゃない。ホモの気があって、クローン人間だけど」と少し考えてから僕は正直に言った。
「でも一族に一人でもああいうのがいたら僕は自殺するね」
851 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/12/20(木) 00:04:57 ID:gNQHmSsk
「私はあなたという人が好きだけど世の中がみんなあなたみたいだったら
、世界は酷いことなると思うの」レイが言った。
「ふっ、問題無い」私は答えた。
やれやれ、冬月が私の後ろで呟いた。それはまるで真冬のクマの
あくびの様にささやかだった。
ユイの存在が失われてしまうと、私の中にいろんなものが見あたらなくなっていることが判明した。
まるで潮が引いたあとの海岸から、いくつかの事物が消えてなくなっているみたいに。
そこに残されているのは、私にとってもはや正当な意味をなさないいびつで空虚な世界だった。
薄暗く冷たい世界だった。私とユイとのあいだに起こったようなことは、その新しい世界では
もう起こらないだろう。私にはそれがわかった。
人にはそれぞれ、あるとくべつな年代にしか手にすることのできないとくべつなものごとがある。
それはささやかな炎のようなものだ。注意深く幸運な人はそれを大事に保ち、大きく育て、
松明(たいまつ)としてかざして生きていくことができる。でもひとたび失われてしまえば、
その炎はもう永遠に取り戻せない。私が失ったのはユイだけではなかった。彼女といっしょに、
私はその貴重な炎までもを見失ってしまったのだ。
私は自分が口元を歪めて不敵に笑っている姿を思い浮かべながら、ゆっくり三つ数えた。
こんな時にはそうやって笑うべきだと誰かが囁いた気がしたからだ。その声は私の胸の内に微かに残りへばりついていた自尊心とよぶべきものの声だったのかもしれないし、あるいは遠くで鳴くクマゼミの唸りだったのかもしれない。
とにかく私は3三つ数え、それからおも
おもむろに自分の両掌で頬を叩いた。
鉄板を箒で殴ったような音が響き、私は自分の口元が歪んだのを確信した。
しかし同時に「小指の端が目尻を捕ら
え景色も歪んでしまったね」と遠くでクマゼミが笑った。
やれやれ。
もし僕らのことばがLCLであったなら
何か喋るたびに水鉄砲が要る事になるな
君はそん
君はそんな世界が許せるかい
毎朝眠気まなこで一日分の言葉をLCLに変えて、緑色した薄っぺらなプラスティック製の水鉄砲の銃把へそのLCLを流し込むんだ。君にそんな銃が撃てるかいマヤ…
860 :
七子:2007/12/21(金) 19:54:18 ID:3lMauDGs
四号機 どう思う?
マヤはうつむきながら悲しげに首を振った。
その姿は向日葵の種を口一杯に頬張って震える子リスのようだった。
唐突に、本当に唐突に、僕はマヤがこの世の何にもまして愛しい存在である事に気付き、声を出していた…
僕は 君が 好きだ
マヤが明後日の方を向き
「せんぱい」と呟きながら溶けていくのを見たのはそのあとすぐの事だ。
そして今、僕の目の前には何人かの綾波レイが居る。
その事について誰か明確な説明をするべきなのだろうが、残念な事に誰も筋道のたった解説をしてくれ
る者は現れなかった。
誰一人としてだ。
結論から言うと、僕はあと数秒後にはLCLと化して溶けてしまうだろう。
いましがた僕の目の前でマヤがそうであったように、僕もまた茶褐色の冷めた人参スープ状態になって、8月の京都で石畳に打ち水をした時の音に似た響きとともに床に広がるのだ。
だが、そうなるまでにまだ数秒あった。
その数秒間に起こった事の話をしよう。
目の前にいた大小取り揃った綾波レイのうち
一番優しそうな顔をしたやつが私に言った。
「メリークリスマス…」
その言葉は僕の潜在意識の最も柔らかい部分に突き刺さり、幼い頃カエルに詰め込んで遊んだ爆竹みたいに爆発した。パーン。
パーン
ケフィア
赤木リツコが最後に聞いたのは確かにそんな言葉だった。
何故今ケフィアなのか、何故自分を撃ったゲンドウの口からその単語が吐き出されたのか、リツコには皆目見当が付かなかった。
あの時リツコはなんて言い返したんだっけ。
「もうその事は考えないほうがいい」
カウンターの奥からジェイが
話しかけ僕を現実に連れ戻した。
トイレの前では酔いつぶれたレイが、ドアに凭れかかりながらこちらにスニーカーの底を見せ唸っていた。
「碇くんが…碇くんが…」
レイはまたシンジによばれたあの時の事を思い出しているようだった。
リツコが撃たれサードインパクト一歩手前まで行ったあの時の事だ。
やれやれ。
あれから何年か過ぎ、雨の後の桜のようにネルフが解散してしまった今となっても、レイは悪夢から抜け出せてないようだった。
レイは、自分自身の感情と云う、「静かに流れる川」をうまく飼い慣らしてはいた。
だがその川底にある小岩を、ちょいと動かすだけで勢いよく飛び出してくるであろうーー子魚とか、何かの幼虫とか、小枝とか、その他雑多な物を恐れ悩んでいるのだ。
それが何のメタファーなのか僕には正しく説明できないが、とにかく彼女は恐れていた。それは事実だ。
随分前に僕はレイ自身の口からその話を聞いていた。
「碇くんがよんでたの…でも私は行かなかった…」
彼女がシンジのところへ行かなかった事によりサードインパクトは回避された。
感謝するべきかもしれない。
「なぜか、行きたくなかったの。」
なぜか、なぜか、なぜか。
すべての論理武装を打ち砕きフェミニストを幻惑する不思議な慣用句
「私が誰によばれてもすぐに行ってしまう女だったからかな…そう、私はゲンドウさんだけじゃ無く、冬月先生でもリツコさんでも、
時にはトウジくんの妹さんでも、よばれたらすぐに行ってしまうような女だった。まるで餌を見せられた鶏みたいにね…」
「少なくともシンジくんの考える私はそんな女だった…」
「だけど…だからこそ…碇くんだけは…逆に私がよびたかったの……」
第三新東京市第三ジェイズバー。ジェイは店の奥でピンボールの足をけっとばしていた。
「でもシンジは来なかった?」
「そう…」
「大ばか者だなシンジは」
「救いようのない大ばか者…」
あの時シンジが身動きも出来ず死にかけて悲鳴を上げていた事実は、彼女の中ではこの問題とは無関係であるらしい。
あるいは本当に無関係なのかもしれない。
月へ行った宇宙飛行士と同じ名前の黒人が歌う「この素晴らしき世界」がジュークボックスから突然溢れ流れ、店内を満たしていった。
この店らしくない選曲だった。
ジュークボックスの前でレイが
「なぜか聴きたくなったの…」
と言って笑った。
カランコロン…
ドアの隙間から素晴らしき世界が少しだけ漏れていったのと入れ違いに、カウンター前の止まり木へ髪のながい女が流れ込んできた。
アフガンハウンドのような髪。
初めて見る顔だが、どこかで会った事が…誰かに似ているような…。アフガンハウンドは別にして。
「イングリッシュ・コッカー・スパニエル…」
僕の後ろで、レイがジュークボックスをいじりながら、僕
にだけ聞こえるようにつぶやいた。
アフガンハウンドの親戚みたいな犬の名前。
やれやれ。
つぶやきながらもレイはその客に背を向けていた。
だけど、居心地の良い自分のテリトリーに突如現れた侵入
者が、美味しい餌をくれるリリスなのか、それとも餌場を
荒らすお行儀の悪い量産機なのかを必死に探ろうとするレ
イの眼差しがジュークボックスのガラスにうつりこんでい
るのを僕は見逃さなかった。
この女性客が店に入った瞬間からこの客の様子をガラスに
映しながらずっと値踏みしていたようだ。
僕はこういった何気なく装うレイの少しだけ不自然な仕草
を目撃するたび、戸惑いとも憐憫ともつかない奇妙な感情
をだいてしまうことがある。今もそうだった。
そしてこんな時には必ず、困った表情を浮かべる在りし日
のシンジの顔も思い出してしまうのだ。
一人だけ補完を成し遂げ、今は第三新東京市の片隅で20
メートルのコンクリートに覆われて眠る人の微かな思い出。
補完とは何だったのだろう。
僕はすでに幾度となく繰り返してきた自問をまた頭の中で
始めてしまったようだ。
I see trees of green,red roses too,
I see them bloom for me end you
end I think to my self what a wonderful world
I see skys of bule and clouds of white,
the bright blessed day ,the dark secred night,
end I think my self what a wonderful world
the colors of the rainbow,so pretty in the sky
are also on the faces of people going by,
I see frends shaking hands,saying "how do you do!"
They`ll really saying "I love you"
Ihear babies cry I watch them grow
They`ll learn much more than I`ll ever know ,
end I think my self what a wonderful world
end I think my self what a wonderful world
曲が終わるのを待っていたようにアフガンハウンドが口を開いた。
…………………………………………………………………………………………
作者取材のため一週間お休みさせていただきます。
……………
大分空港発アフガニスタン行き年内最終デルタ航空便、強風のため欠航。
アフガンハウンド発祥の地を巡る取材旅行は早くも暗礁にのりあげた。
やれや
れ。このくそったれの話を続けよう。
アフガンハウンドは言った。
「その歌は嫌い」
変声期前の少年のようなよく通る声だった。
静まりかえった店内をプログレッシブナイフのように切り裂いていた。
「嫌い嫌い、だいっ嫌い」
いつの間にかカウンターの中に入っていたジェイが彼女のために小皿にバームクーヘンを乗せて滑らせた。
アスカの回想シーンに出てきたキョウコが抱えていた人形。
それがアフガンハウンドの正体だった。もちろん人形が歩
いて店に入って来たり、僕の目の前でバームクーヘンをパ
クついたりする訳はない。
彼女はれっきとした人間で、それも飛びっきりの美人だっ
た。
アスカの妹ですと彼女は名乗った。
アスカの記憶の中では人形として映っていた物―――実は母
が自分より可愛がった妹をアスカが無意識に人形として記
憶した。多感期の少女にはよくある事だ――それがこの美人だった。
さりげなく職人降臨中だな
「じゃあ、どんな歌が好きアルカ?」
自己紹介の終わったアスカの妹に、レイが外人風のアクセ
ントで声をかけた。
自然な流れで、美人と僕の間の席――といっても簡素な止ま
り木なのだが――に割り込んでくる。
初対面の相手にレイが外人を装うのはよくある事だった。
一見中国人にもみえるレイのある種コンプレックスの裏返
しであると同時に、彼女の処世術でもあった。
自分が、あのネルフにいた綾波レイだという事実を一般人
には隠しておきたいのだろう。
何より恥ずかしいという心理が彼女にカタコトの日本語を
喋らせているようだった。
ジェイの差し出したグラスを細い指で受け取りながらアスカの妹は喋り始めた。
「姉はね、『殺してやる殺してやる殺してやる』って叫び
ながら死んで
いったの…」
そうだ。回収されたブラックボックスに記録されていたア
スカの声はあの後ネットで公開されていた。
あの頃の僕らはそれを何度も何度も、本当に繰り返し何度
も聴いては、世の中の理不尽さとか命の儚さとか時には自
分が生きていられる有り難さとかを噛みしめたものだ。
「結局、姉のしたことはなんだったの?」
誰もそれに答える事はできない。僕はそう思った。
「アスカ姉さんは何故一人で死ななければならなかったの
?」
僕の横でレイが言葉を失ったオウムのように視線を迷走さ
せていた。
アスカの妹はグラスをジェイの方に突き出し、(同じ物が
もう一杯欲しいのよ私)という顔をしてから言った。
「好きな曲は『星に願いを』…」
僕はジーンズのポケットに指を突っ込み、ジュークボック
スに入れるコインを探した。
なぜかレイに出させる訳にはいかない――そう考えていた。
やれやれ。また、なぜか、なぜか、なぜかだ。
僕が目を留めると、中学生達がコンビニエンスストアの周りに自転車を停め賑やかに話をしていた。
あれから既に十四年も過ぎているのだ。evaに乗っていたあの時からだ。
僕が使徒達を孅滅する為に戦っていた頃、彼らはまだ自我を持たぬピンクの塊だったり
まだこの空気すら吸うことすら無かった存在だったなんて考えると、僕をとても不思議な気分にさせる。
オーケー認めよう、僕がまだ使徒と戦っていた頃彼らはまだ生まれたばかりか、まだ母親の胎内にいた頃に
僕は初号機に乗って使徒を孅滅していた。そして彼らは今PCの画像や動画をみてオナニーをしたりしている。
僕はレイやアスカやミサトさんの事を考えた。第三新東京市やドイツの事をだ。
そして僕の父の事もだ。彼は多分こう答えるだろう。
「問題無い。」
そして僕は恐ろしく悲しい気分になる。
あの頃の僕は一体何だったのだろうかと云う事にだ。
そう、十四年前の第三新東京市の事だ。
「14年前、僕がゼーレの老人達に育てられていたって事は
話したっけ?」
「初耳だわ」
何気ない情事のあとの会話だった。
昨夜酔った拍子にアパートに持ち帰ったアスカの妹は―――
なんてこった、名前も聞いてない―――僕のベットの上で髪
をとかしていた。
ベットから遥か彼方、3メートル20センチ離れたキッチン
で、僕はフライパンに水をはりパスタを茹でようとしてい
た。情事が終わると同時に「お腹すいた」と彼女が言った
からだが、僕は久しぶりに自分以外が食べる食べ物を作る
事に喜びを感じていた。そう、浮かれていたからこんな話
を始めてしまったのかもしれない。
「14年前、僕らはネルフを襲った事がある」
「僕ら?」アスカの妹は聞き返した。
「誰のこと?」
「その頃僕には相棒がいたんだ。さっきジェイの店で君も
会っただろ。綾波レイさ。」
昨夜ジェイの店で、レイは最後まで中国人風のアクセント
で喋り、このアスカの妹に自分の正体を明かさなかった。
今頃は中国語で寝言を言っているかもしれない。
「あのカタコトの日本語の娘が綾波レイ?」
「ああ、あのカタコトの日本語の娘が綾波レイだ。」
僕は牛の胃袋に迷い込んだ牧草のような返事をした。丁度
パスタが茹であがり、もっと頭の良さそうな答えを返そう
とすると湯気で咳込みそうだったからだ。
彼女は言った。
「知っていたら私はあなたと寝なかったわ」
僕はベットの端からはみ出して揺れている彼女の白い足を
見ながら
「知らなくて良かった」と小さな声で言った。
流れぶった切ってすいません。
>>852が特に好きです。これって春樹の作品の中で言われているような
ことなんで、小説からの引用(パロ)なのか、
それっぽく書かれただけなのか気になるところです。
>>898 「スプートニクの恋人」からまるまる引用です
変えたのは名前だけ
わあ、そうだったんですね
>>852を書いた職人さんお返
事ありがとう。さて来週は、ガガーガガーージジジガガー…………
無造作に置いて