「普通なら幽霊の出る辺りには近付かない。近付く奴は幽霊の出た場所に行く。どちらに
せよ、他の場所はあまり興味を示されない」
レイとケンスケがゆっくりと廊下を進む。
「今の学校にはお金だってあまり無いし、備品が盗られた形跡も無い。とすると幽霊はこ
こに用事があったと思うんだ」
調理実習室の前に立つ二人。
「どうせ夜中に腹をすかせた合宿中の生徒だろうけど、ここで待ってりゃいいと思うよ」
ゆっくりとドアを開けて中に入るレイとケンスケ。
「そいつが入って来たら明かりを点けるよ。綾波が捕まえてくれないか?」
「解ったわ」
テーブルの下にしゃがみ込むレイ。
待つ事5分、ゆっくりとドアが開き、小さく身をかがめた人影が入ってくる。
「今だ綾波!」
パパッ、と蛍光灯が瞬く。
すばやくレイが人影に接近する。
突然の光に顔を覆っていた人影の腕がレイに伸びる。
その腕をかいくぐり、人影の横に回り込むと手の中のナイフを頚筋に押し当てるレイ。
「…参った。抵抗しないから話を聞いてほしい。腹が減っているんだ」
得意そうなケンスケの顔を見ながら、トウジが文句を言う。
「ワシ等をオトリに使うたぁちと友達甲斐が無いんと違うかぁ?」
「敵を欺くにはまず味方から、さ。兵法だよ兵法」
「へー、ほうか」
「そのダジャレでは笑えないなぁ」
「そんな事どうでもいいわよ!…誰なのよコイツ」
「腹をすかせた脱走兵さ」
「ボクの名前はムサシ・リー・ストラスバーグ。この街に友達を探しに来たんだ…」
やや長めの前髪を掻き上げながら、少年は話し始めた。
8月5日 土曜日。
紀伊半島沖に使徒が現れた。
次回、第参話「戦い」に続く。
作中に登場する温泉にはモデルがあります。
現在も三代目の方が経営されていて、無論四代目もおられるし、五代目候補も誕生して
いますので、安泰かと思われます。
またシンジに絡む酔っ払いミサトのイメージは「アスカ、ラブコメする」(ISUTOSHI氏)
のイメージが私の脳みそに染み付いております。
レイと三尉の露天風呂遊びの描写はカットさせていただきます。
エロ方面では無くて、単にここで書く内容でもないし、何より長過ぎですから。
皆さんの予想を超える結末が書けるか否か?
もう一踏ん張り致します。