●綾波の事だけを激しく語り合うスレpart3●

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
綾波さんについて熱く、激しく語り合うスレでつ。
荒らしは勘弁でつー。

前スレ
綾波の事だけを激しく語り合うスレpart2
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1040552424/l50
>>2GETできたら告白します。
3アヌカだがね軍団団長:03/04/05 23:47 ID:???
3ゲッツ曜日はあさって
4アスカスレ住人:03/04/05 23:50 ID:???
団長がカキコしてるので、私も4(σ・∀・)σゲッツ!しにきました。
5ユーゼス:03/04/06 00:30 ID:???
5
重複です
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1049460325/l50

>アスカだがね
氏ね、もうエヴァ板に来るな
>>2
がんがれ。
8LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :03/04/06 10:43 ID:???
          //         ヽ |iー-、     ヽ
        /  __           \ヾ、 `r!     ヽ
       / ,ィi´ /            i  \|| `l \    ヽ
        / ////      /      |   ヽ-'  \ \ ゙!
        / /| {{ /  |     |     | | |  ト、        \ ヾ!
     / /| | ∨   | |   |     | | .∧ |、ヽ    ヽ  \/
      | |.! し'  || |! | !    | |/ ハ\!ヾ\   ヽ   /
      | .! | | |  | | || |、 ',   リ/|/ ,. -r‐vYリ、.  |.! | /
     | | ',| |   レi‐| ッ=ミ、ヽ.  | l/ '´ l:::`i´ // ∧ || | V
     ヽ! ヽ!|ヽヽ|ヽ`i´ l::‐l`\ |     '"´ // / ∧川 /
         ト、|\|ヽヽ `´   `     // / / /レi/
          ヽ || i|\`ー=‐ j       // / // /
          || ハ  \ `ー、 ` -一  /,.ィ'/!ノ) )
          〉 H ト、 |゙i┬``‐、    '´/__//∧
         / ヽ! ∨ ヽ ||! |ヽ iヾi|`ー '´二___,/   |
         _/     ! __>ゝリ/ヽト、|」 / ____|   _,,|
       /:::l    /   r‐'  Y   `´  l__|  r'´  ヽ
       _|:::ノ   /ト、/     ヽ       」  |  /ヽ
どうするの?
9あぼーん:03/04/06 10:44 ID:???
     ∧_∧∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ( ´∀`)/<先生!こんなのがありました!
 _ / /   /   \___________
\⊂ノ ̄ ̄ ̄ ̄\
 ||\        \
 ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
http://saitama.gasuki.com/wara/
10あぼーん:03/04/06 10:44 ID:???
>>8
セク―ス
12LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :03/04/07 13:29 ID:???
─┼─┐─┼─  /  ,.          `゙''‐、_\ | / /
  │  │─┼─ /| _,.イ,,.ィ'    ─────‐‐‐  * ← >>11
  │  |  │     |  |  | イン ,:'´ ̄'\    // | \
                    __{.、! , ; i〈'゙  / /  |  \
               __/}   ̄`ぐ゙ /  /   |
      ,. ,. -‐===‐-`つ/ ,.イ    //     ./   ∵|:・.
    〃〃〃〃     / /ミノ__  /´    ./   .∴・|∵’
ヽ_I__I__I__I__I_I     __∠_/ ,∠∠_/゙〈ミ、、 そういう意味で言ったんじゃないわ。
ー{____,,.二二二二) ノ く{ 、  ゙Y} ゙
 /I I I I I I    `^^'    \_l__}'
                   ,'  /





(((((;´Д`)))))
13fu-n:03/04/07 18:06 ID:???
ここどうするよ・・・

せっかく作ったのに・・・
ttp://tv2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1049460325/l50
下に落としてしまいましょう。

ということで、今後書込み禁止
15神 ◆3X1b8VAs/E :03/04/07 18:53 ID:???
                       ミ  ( ,,,,,, ∧,,∧   
                    ∧,,∧   η ミ,,゚Д゚彡  
           ミ __    ミ,,゚Д゚彡   (/(/     ミ  /)    
            て"  ミ   ミ つつ     彡      ミ `つ 
             ⊂   ミ    ミつつ 彡          ⊂  つ   
            彡"  ミ                   彡"。γ。ミ  
       ∧,,∧    ∨"∨ 彡                   ∨"∨ 彡   ∧,,∧     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ( ,,,,,ミ,,゚Д゚彡                                   ミ,,゚Д゚彡  < 神降臨!! 
  ⊂,,,,,,,,,,,,,,,つつ                                    ミ  ,つ    \_____
 彡                                          〜ミ ,ミつ  シャキン !
  フワリ・・・・                                        (/
>>2の報告まだか?
17綾波萌:03/04/08 01:11 ID:qaz1CCZE
綾波たそでヌくの二回目。やっぱ良すぎ。
・゚・(ノД`)・゚・
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/10 23:49 ID:OiG8ngEQ
このスレ落とすの?
19名無しさんは見た!:03/04/10 23:50 ID:???
本スレはこちら

綾波すれ
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1049460325/l50
誰も>>2を応援しないのか・・・
>>2さん、
早く告白してくれないなら私逝くは、
碇君が呼んでるし。
23名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/12 01:37 ID:Ul2TF6Zi
24fumin:03/04/12 01:59 ID:1HkDmG3e
膨大数HentaiアニメとJPロリロリ画像がDL放題
http://2ch.tosatu.com/
こんなのなかったゼ!!!
25My name is つかさ:03/04/12 14:10 ID:???
>>1
たまに見てたけど、このスレ見苦しく生きてるね。
2で終わっとけばよかったのに・・・。
26まちぞー:03/04/12 22:23 ID:IaUPRhHr
簡単に物があって、簡単に手に入らない
手に入ったとしてもお前のものには成り得ない
272 ◆joNtVkSITE :03/04/13 21:43 ID:???
>>22
お前に告白しないから安心しる!
28LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :03/04/13 22:24 ID:???
なかなかおもしろうなってきたわぃ(汗)
つーか綾波スレで彼女をおまえよばわりとわ(滝汗)
まぁ頑張ってくだされ。

・・・・つーか>>22ってーーー!?Σ(ガビーソ)
LOS+LAO+LROで革命起こそうYO!!!!
30LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :03/04/15 21:14 ID:???
一人ではどうにも・・・・
LAOスレとは通信途絶!!しちゃったし・・・・
私以外にLROいるのか疑問だし・・・・

LOSはかなり居るようだが(汗)
ココニイルヨ…LRO
32LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :03/04/15 22:33 ID:???
まづ2人。はぁ。
Oって親父?
34ユーゼス ◆hiw1jzf4.w :03/04/16 07:57 ID:???
シンジきゅん萌え〜〜
35山崎渉:03/04/17 11:36 ID:???
(^^)
36LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :03/04/18 23:12 ID:???
Oは「オレ」さ!!
なんとまぁ身の程知らずだねぇ(滝汗)

「LRO人の野望・エヴァヲタの系譜〜LRO独立戦争記〜」ボソ




・・・・オオヴァカのうえ板違いゆえストップ(汗)
37あやなみすと。:03/04/20 21:36 ID:lE6forhy
あー、やっぱ綾波イイわ。たまらん。かわあいい。
38My name is つかさ:03/04/26 18:27 ID:???
このスレは本日4月26日をもって終了しました。
御利用有難う御座いました。また、お会いしましょう。byつかさ
39山崎渉:03/05/28 13:32 ID:???
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
40名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/07/03 07:29 ID:ayeCGa4R
あう
人が居ない…
42山崎 渉:03/07/15 11:42 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
43名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/07/28 21:17 ID:/rvHFXHC
キャラハンがこないとこの手のスレは伸びにくい。で、こんなスレタイだから
綾波キャラハンしかこないかもしれんが誰でもいいから降臨きぼん
シンジにやられてるSSとかかなり萌えるよ。
SSかよ・・・・

本編以外必要無いね。

他人の妄想レイなんぞ興味ねーよ、死ねカプ厨
俺もレイちゃん大好き!
かあいい!!!こんなに可愛い女の子世の中にいないYO!!!
>>44-45
今度いい病院紹介してあげるよ(w
48LRO人 ◆9zb0LVh91A :03/07/30 22:04 ID:???
荒れるなよぉ。
素直なのはいいことだけどね。
>>46
ハゲドウだ・・・ハゲたゲンドウではない・・・フフフフフフ(汗)


レイさん好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!!(爆)
49育成派 ◆LR3EOEJHl. :03/07/30 22:16 ID:???
>>45

釣れないね
レイが大人になったら、ユイと同じ顔になるのかな?
まあ、目と髪の色は違うけど・・・。
51_:03/08/01 11:29 ID:???
52_:03/08/01 11:40 ID:???
>>50
だろうな
クローンだし
じゃあシンジは「母親と同じ物」とやったわけだ。
>>54
でも、あんなにかわいければ、どうでもいいことだろ
>>55
シンジも男なんだなぁ・・・。
アスカで抜くし、騎乗位大好きだし・・・。

そういえば劇場版の再放送で、レイ×シンジのとこ音声抜かれてたよ。
きっと苦情がきたのだろう。
>>55
どんなに美人でも母ちゃんとはやれねぇって
想像しただけでキモすぎ
>>57
・・・いや、でもレイの場合完全に同じじゃないわけで・・・、
それに年齢も14(15だったっけ?)なので、まだ許せるかと。
とにかくシンジにとってレイは女としてしか映らなかったのだろう。

でもレイもよくやったよな。
まさかレイが、そんな事するとは思ってなかったよ。
>>58
それに、レイがシンジになんらかの恋などに近いものを感じていたとして
それは、レイに責任があるわけじゃない。

でなければ、不幸だろ。
>>59
そう言う意味で言ったんじゃなくて、性格 とか 見た目 からして
エロ(セークスとか)に使われるとは考えてなかったって事。

どっちにしろ、シンジにとっては嬉しいのだろうが・・・。
>>59
恋に近いものって母性だろ?
あれは母離れを意味してるからな
・・・、あのシーンではテレビ消しますた。
>>62
LROですか?
>>63
違う、親がいたから。
>>64
そこを堂々とみるからこそ、男の子でしょ。
>>65
分かったよ、もう16.6歳だけどもう一度見てやるよ。
>>57
お母さんだからいいんじゃないか。
無表情で>>67に鞭打つ母親・・・。
(;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア
69名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/08/03 05:18 ID:6Wiv65Wl
綾波に投票してくすぐり画像描いてもらおうぜ

ttp://www.angel.ne.jp/~defiant/index.html
2003.7.22 (火)
久しぶりに松本まりかと新しく創刊されるアネックスピチというファッション誌の撮影で一緒でした!(^O^)
昔チアキが出ていたピチレモンという雑誌のスタッフさんと同じ方々だったので同窓会気分で楽しかったです♪
編集部に行くと昔ピチレに出ていた頃の表紙が壁にズラーっと張ってあって「懐かしい〜」って、まりかとハシャギながら見て回りました!
やっぱり昔の自分を見るのは恥ずかしいです。(;_;)
アネピチは今出ているピチレモンより、ちょっと年齢層が上なのでカッコイイ系の服が多く、とっても気に入りました!
チアキも普段こんな格好したいなぁと思いました!
秋服でロケだったんだけど運良く暑くなくて快適!
撮影が終わると皆で、そば屋さんに入りチアキは、「にしんそば」を食べました!
お仕事終わりのゴハンは格別!
そんなこんなで、懐かしく楽しく撮影できました☆(^^)v
71_:03/08/03 09:10 ID:???
72だがね総裁:03/08/03 15:17 ID:???
負け犬/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/
ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!\(^o^)/ざまぁみろ!


http://www.tv-asahi.co.jp/best100/contents/000/current/toppage/index.html

「もう一度聴きたいアニメソング」
「アニメ名ゼリフ」
「第1話&最終回を見たいアニメ作品」
「もう一度見たいアニメ名場面」
74だがね総裁:03/08/03 18:39 ID:???
     ///////
    ///////____________
    ///////  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄
   ///////              (~) チリンチリン
   ///////              ノ,,
  ///////     ∧_∧         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ///////     ( ´∀`)( 厨 ) )) <  負け犬だなあ〜
 ///////      (つ へへ つ      \______
///////   //△ ヽλ  ) ) 旦
//////  l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
/////    ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄
////     ^^^          ^^^
        2ちゃんの夏 負け犬の夏

>>67
は?! まあ確かに俺がシンジだったら、レイとはやるかもしれないが、
ユイとは死んでもできねえって。

だって

レイ≠母親
ユイ=母親 なんだよ?

あなたの場合は、ユイともやれるって事ですよね?








>>75
釣りっぽいけど言っておく
ネタにマジレスすんな
釣れませんね。(w

マジレスしたらいけないなんてことはないけどね・・・。
ネタにマジレスしてもおもしろくないもん
79LRO人 ◆9zb0LVh91A :03/08/13 22:01 ID:???
やっと帰ってきた記念カキコ(汗)
ここも頑張れよぉ。
>>63
認知度が高まってきたの。いいことだ(汗)
>>75
「綾波は、綾波だ!! 母さんじゃない!!」(某同人台詞)
ドウーイ(汗)
僕は母さんは、、、好きだよ。でもそれは、母親として、肉親として好きだって
ことなんだ。


でも、綾波は、女の子として好きだ。綾波は母さんじゃない。
僕は綾波のことが好きだ。 だって綾波のこと考えるとドキドキする。でも母さん
じゃそんなことないよ。

綾波とつきあえたらいいなって思う。でも、母さんとつきあえって言われたって僕は
それは勘弁だな
81LRO人 ◆9zb0LVh91A :03/08/13 22:11 ID:???
>>80
ハーッハッハッ(*´Д`)ノシ
良く言った。男はそうでなくちゃイカン。
いい目をしているな。それに、度胸もいい(!?)

だが、レイさんのことでは負けはせんよ(!?)
がんばれよ、シンジ君。



・・・・・酔ってるなぁ、俺(汗)
82LOS者 ◆fj9ZVcQDlk :03/08/13 23:42 ID:???
綾波なんぞにシンジきゅんは渡さんよ



83LRO人 ◆9zb0LVh91A :03/08/13 23:44 ID:???
>>82
猛者ハケーン
利害関係は一致しているな(汗)
>>80
そんな事、シンジ言ってたか?言ってないような・・・。
85直リン:03/08/14 22:29 ID:RW9naq6g
レイ
涙:Rei V
シトに 生態融合で 侵食中 の 喘ぎ声
テープ 為鳥で ぬきまくった のわ
87山崎 渉:03/08/15 21:32 ID:???
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
88山崎 渉:03/08/15 23:25 ID:???
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
89LRO人 ◆9zb0LVh91A :03/10/04 18:23 ID:???
最下層到達記念ホシュ


      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) <  だがねの存在自体をあぼーんするのまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  愛媛みかん |/
91名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/10/08 08:37 ID:Zi8jYEKn
何をゆうのよ・・・
92名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/10/09 22:05 ID:07r45fWi
綾波がシャワーから出てきた後さぁブラジャー付ける場面あったけど
普通肩紐通してから付けるもんなのにホック付けてから肩紐通してたよね?
アレ女から見たらちょっと変だった。製作者が男ならではのミスだね。
>>92
ネタフリ?

私も女だけど、前でホックを止めて後ろへ回して、それから肩紐通すから、
ああなるよ。
94名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/10/09 22:24 ID:07r45fWi
>>93
前でホック止めるの?変わってるね
やるよ。でも正しい着け方しないと形が崩れるんだ。
>>92
たしかあのシーンはブラジャーの正しいつけ方を教えてくれる人が
誰もいなかった
要するに 母親又はそれに準じる存在が彼女にはいないと云う事を表現
してたはず
97名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/10/10 08:37 ID:vWtFxaR3
(`Д´)ノ  ぶらじゃーとーくはもう終わり!!
>>94は男、もしくは、友達のいない女
93のやり方っておかしいの?私もそうなんだけど・・
>>99
ご安心を。
94が男だから知らないのです、乙女の事情をw
ageで書いてるしな。
>>100
そっかありがとう。あのシーン見た時に
細かいとこまで表現されててすごいなーと思ったもので。
制服似合うよなあ。かわいい
AVがモデルの制服ね。
当のAV見ても全然似てないんだよな。
そっくりな制服きぼんぬ
>>104-105
知らなかった
>>105
それはただのセーラー服だろ
>>107
いや、ただのセーラー服じゃなかった。
胸のリボンが大きくて、背中っつーか腰のとこにもリボンがあった。
よく覚えてないが、結構カラフルだったような気がする。
だったらおまいの勘違いだろ
綾 波 レ イ
Aya並 例
ロックだってさ・・・笑うよ
綾波ロック
114LRO人 ◆9zb0LVh91A :03/11/05 21:57 ID:???
ほっしゅほっしゅ

     _─ 、    シャー
   _- (::::ノ丶、 .'⌒⌒丶   ♪
 / / ヾ    (从 从   ノ
/ /    、  ヾ ゝ゚- ゚ ν     
 ̄)    ヾ 、  //つ⌒) ヾ
| ̄        ⊂\/ / 、 、  
|:|      ヾ  !\/    、 、
|:|       、 .i  /  `   、  (⌒
|:|         レ  ヽ    、  (
|:|       `  i  ノ  i           ⌒
|:|. ⌒     、 i / |  、 ` (  ⌒
|:|、  )     ( (  、  、 、
(i-i)        |  |`、. ヽ   ⌒
ノ    ⌒).   | /  ヽ⌒l (
test
保守
118あぼーん:あぼーん
あぼーん
age
120名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/12/30 19:18 ID:9PlDO7hp
121名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/01/03 01:08 ID:0w/hooIu
>>120
こっちの綾波について語れと言うのか、我々に。
122ルリヲ(携帯):04/01/03 01:30 ID:MsJnVAeu
悪い…





三隻持ってる(汗)
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/01/03 11:55 ID:txOoeHoX
124ほふひふ ◆Ci058K96mk :04/01/03 12:35 ID:e13vaiB1
萌えキャラではない
125121:04/01/19 02:38 ID:zeupZo95
>>122
そいつぁ、お見それしました。(涙)
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/03/20 16:11 ID:KBtRL4bx
まだこのスレ在ったんだ
俺は漫画でレイ炭がどんな風にかかれるかみれれば悔いはない
128名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/03/29 23:32 ID:6nyNBSAH
エヴァ板ってホント糞スレ多いよな。
今日って綾波の誕生日だったっけ?
130名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/03/30 01:23 ID:nqnaeVXQ
誕生日 林原さん 妊娠
131LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/05/03 22:26 ID:???
次スレホシュ
保守挙げ
ホシュ
これがゼノサーガEP2の限定版(1万8千円)に付いている
ネ申フィギュアだ
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kimochiwarui
>>134
疫病神か?
137LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/10 21:52 ID:???
本スレは874どのの降臨を待ちわびておるゆえ
こちらでしばらく活動するぜ。
ところでこのAAを見てくれ
こいつをどう思う?

            ______
           / ⊂⊃ ⌒丶 //
         /    (从 从 .//
      _/ (´∀` . ゝ゚- ゚ ν///ニ)    |ニニヽ__
 // ̄  / ̄ ̄/. ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄ ̄ ∈ヽ ̄ ̄ □ ヘ
/ヽ-――-/ニ7-/⌒ヽ. ・ー |         / /⌒ヽ 「|
|┌[:二:]┐ ̄ ̄ ̄| /⌒ヽ|  _|______ / _| /⌒ヽ|  |
|└――┘コ__|||   ||/_|_____/_|||   ||/
 ̄ゝゝーノ ̄ ̄ ̄ゝゝーノ ̄ ̄ゝゝーノ ̄ ̄ ̄ ゝゝーノ

S2000はいいクルマだった
わたしはといえばとなりにレイさんをのせる事が出来た恍惚にひたっていた
138LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/10 22:01 ID:???
  .'⌒⌒ヽ  
 ′从 从) 
 ヽゝ*゚ヮ゚v  
  /つ∞0∧∧
 .く__| (*゚∀゚)  
   U U @_)  Now Lording.....
139LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/10 23:05 ID:???
鬼女 ルリコ Lv87 Next 49987/49987

HP 660/660 MP 410/410                 ,-―- 、      
                                     / ハ vvνヽ
力 29 |||||||||||||||||||||||||||||                     .i ノ| )ノ|ノ)从)           
魔 32 ||||||||||||||||||||||||||||||||                    .ヾ、 イ T T|i   
体 20 ||||||||||||||||||||                          ゞ§、 ー,イ§ =3
速 28 ||||||||||||||||||||||||||||                       川i^ヽV!(i゙^!
運 36 ||||||||||||||||||||||||||||||||||                   ノ||liヽ. ヽ´>ル
                                        〉ー'| |
補完、殲滅、惣流、バッドステータス攻撃無効/綾波に弱い.       /ー-1|  
                                         ! i  l| )
[慈愛のヲニギリ][ マハアヤナミン ][LROファイナルアタック]           . L|_|ゝ
[ メディアラハン ][.マリンカリン ][    ?    ]            |  l|
[ マステマ  ][   貫通  .][    ?    ]            l  ||
[ アヤナミン .][ 綾波高揚   ]                     l  |l
                                          .!__,|!
                                           l. |
                                        |! |
                                         |!ー '⌒)      

メガ○ンマンセー(滝汗)
140レイ@az0:04/07/12 23:23 ID:???
うぅ。。。
て、定食屋さんってどこなんだんだろうね・・・。
お腹空いて、も、もぉダメかも。

テクテクテク...
どこのリナレイですか
142LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/13 10:42 ID:???
>>140
むっ!!レイさんではないですか!!
いかんな、これは

  (,,■)
(,,■)(,,■)

とりあえずこれを!


旦 ぬるめ茶もドゾー
偽者はいくない!
捏造警告して無視リストに加えましょう
144LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/29 20:21 ID:???
ホシュかますぜ。次スレ候補なのでね。(汗)
145LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:00 ID:???
では、ちょっと御借りしましょう。
駄文を書かせていただきます故にね。

痛かったら言えよ・・・すぐやめるから・・・

ん!?(滝汗)
146LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:02 ID:???
    この物語に出てくる綾波レイは

 3/27現在

    社会適応:   247
    精神防壁:   211
    知能指数:   235
    肉体強度:   112
    道徳感覚:   162
    ph分泌:     263
    感受能力:   176
    三尉への好意: 150以上

              の状態です。(DC版準拠)
147LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:11 ID:???

―――――――――――それは、十六番目の使徒が来た日。

 第三新東京市の直上にて定点回転を続けるは、まるで遺伝子の螺旋のごとき光り輝く使徒。
それを迎え撃つは、神の福音の名を持つエヴァンゲリオン、その零号機。抜けるような青空に
同化するかのようなブルーの機体を駆り使徒と対峙するは専属パイロットのファースト・チルドレン、綾波レイ。
彼女はエヴァのエントリー・プラグの中で、スナイパー・ライフルのロックオン・サイトの
中心に捉えられている使徒を、その真紅の瞳で見据え続けていた。

 「目標は、依然として定点回転を続けています。零号機との相対距離、変化無し」
 発令所のオペレータ、青葉シゲル二尉が状況を知らせる。
 そんな様子を、一歩引いた所で固唾を飲んで見守るのは、    三尉。綾波レイの保護監督主任であり、
この一年間を彼女と共に過ごしてきたヒトだ。彼の顔には今、不安と恐れがない交ぜになったような表情が浮かんでいた。

 (レイ………無茶、するなよ………)
 彼を不安にさせる理由、それは今現在NERVには使徒を迎撃出来るエヴァが零号機ただ一機しか無いということであった。
エヴァ初号機は十四番目の使徒との戦闘に於いて中破した後、制御不能の暴走状態に陥り、使徒を“捕食”してしまった事態が憂慮され、現在は凍結状態にある。
そしてエヴァ弐号機もまた、先の十五番目の使徒との戦闘で専属のパイロット、惣流・アスカ・ラングレーが使徒より精神攻撃を受けた影響で機体維持に必要なシンクロ率が確保出来ず、起動不可能という状況だ。
よって必然的に迎撃に出るのは零号機のみとなる。次々と強力な使徒が襲来する中、最早エヴァ一体で使徒を殲滅するのは困難であるように思われた。
それに、彼は直接戦うレイに対して何か出来るわけでもないという負い目も感じていた。
148LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:14 ID:???
 (レイ………無茶、するなよ………)
 彼を不安にさせる理由、それは今現在NERVには使徒を迎撃出来るエヴァが零号機ただ一機しか無いということであった。
エヴァ初号機は十四番目の使徒との戦闘に於いて中破した後、制御不能の暴走状態に陥り、使徒を“捕食”してしまった事態が憂慮され、
現在は凍結状態にある。そしてエヴァ弐号機もまた、先の十五番目の使徒との戦闘で専属のパイロット、惣流・アスカ・ラングレーが
使徒より精神攻撃を受けた影響で機体維持に必要なシンクロ率が確保出来ず、起動不可能という状況だ。
よって必然的に迎撃に出るのは零号機のみとなる。次々と強力な使徒が襲来する中、最早エヴァ一体で使徒を殲滅するのは
困難であるように思われた。それに、彼は直接戦うレイに対して何か出来るわけでもないという負い目も感じていた。

 収集を受けて出撃する前、ケイジで彼はレイに言った。
 「必ず………帰って来るんだ。もうすぐ、君の誕生日なんだから……」
 と。多少泣き虫の気がある彼が無理に笑おうとしたその瞳に薄く涙が浮かぶ。その涙を優しく拭って、レイは答えた。
 「大丈夫……絶対帰ってくる、貴方の所へ……約束、したもの。ずっと一緒だって……だから」
 レイは少し背伸びをすると、三尉の肩に手を回して抱きしめる。
 「心配しないで待っていて……ね?」
 気丈に振舞うも、抱き着いて来たその体が細かく震えているのを感じ取って……三尉はレイを抱きしめる。その閉じた瞳に
再び涙が浮かぶのを彼は堪える事が出来なかった。
149LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:16 ID:???
 依然として定点回転を続ける使徒を見て、NERV作戦部長の葛城三佐は考える。
使徒の攻撃方法が不明のままで闇雲に仕掛けるのは愚策か……
状況解析を行う三台のスーパーコンピュータ、MAGIからのデータや戦術のセオリーを鑑みて彼女は指令を下す。
 「レイ、しばらく様子を見るわよ」
 だが彼女がそう言った瞬間、事態は唐突に動き出した。

 「……いえ、来るわ」

 レイがそう言ってスナイパー・ライフルを発射するのと、使徒が螺旋状の形態を変化させて零号機に突進をかけてきたのは
ほぼ同時だった。長銃身の中でリニア機構によって電磁加速された劣化ウランの弾頭が狙いあまたず
突進してくる使徒の先端に命中する。その衝撃に使徒の突進は芯をずらされ、零号機の前方の兵装ビルに命中した。
だが、それだけだった。音速を遥かに超える弾速が伴う一点貫通力を持つはずの対ATF用徹甲弾は
使徒の体に傷ひとつつけた様子は無い。

 「……!!」
 なまじ先の使徒戦で遠距離戦闘を意識していたのが裏目に出た。今の零号機にはパレット・ライフル等の
近距離用の火器は装備されていない。
だがもしそれらの武装が有ったとしても、スナイパー・ライフルの弾丸さえ弾くこの使徒には効果は見込めないだろう。

 「くっ!!」
 レイは咄嗟に使徒に向けてスナイパー・ライフルを投げつけると、左肩のウエポンラックから
高振動の刃プログレッシブ・ナイフを取り出す。そして一気に使徒に肉薄した。
150LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:19 ID:???
 使徒が投げつけられたスナイパー・ライフルを叩き落とす。その隙にレイは半歩踏み込み、
左上段から袈裟斬りに使徒に斬りつけた。だが赤熱する刃は使徒のATフィールドによって阻まれ、
甲高い擦過音と細かい火花を飛び散らせるだけにとどまった。
 エヴァによるフィールド中和範囲内でもなお堅固な使徒のATフィールドを見て、レイは素早く思考を巡らせる。

 (……どうやら使徒は、全身を収束したATフィールドで覆っているようね)

 ATフィールドを収束、集中させるのはごくありふれたことで、使徒のフィールドを直接中和する時などに
当たり前に行っていることだ。だが、それにしても手のひら等に、短時間発生させるのが精一杯だ。
維持するには多大な精神力を必要とするだろう。そのような状態のATフィールドで体全体を覆うなど、
流石は使徒といったところか。まさに、鉄壁だ。

 (そして攻撃方法は、その先端を使っての一点突破の打突)
 最初に使徒の突進を受けた兵装ビルは倒壊してこそいないが、まるでシールド・マシンで掘削したような
鋭利な貫通坑が開いていた。
 全身に纏ったATフィールドの斥力をも利用した打突。
シンプルなだけにスナイパー・ライフルなど比較にもならない貫通力だ。あれにかかっては、
零号機のATフィールドや特殊装甲など紙同然、簡単に打ち抜かれてしまうだろう。

 「……なら、フィールドを中和して!!」
 そう言うとレイはプログナイフを逆手に構え、左手で使徒の細長い体を掴んだ。
 「………!!!?」
151LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:21 ID:???
 その時レイが零号機のシンクロ越しに感じた感触は非常に異質なものだった。
手のひらに植物が根を張っている、手のひらの皮を食い破って無数の蟲が蠢く…そんな感触。
 「ぅうっ…!!」
 レイは咄嗟に手のひらの装甲をその下の真皮組織ごと剥離させる。
それはレイには手のひらの皮が引き剥がされるような痛みとして伝わった。だが、その痛みを味わう間も無く。

 「レイ!!上だ!!」
 三尉の叫んだ声よりわずかに早く零号機の頭頂部のセンサーによって使徒の攻撃を察知したレイは、
反射的にサイドステップで回避を計る。だがコンマ何秒かの差で避けきれず、左肩に使徒の攻撃を受けてしまった。

 「…っああっ!!」
 何重ものショック・アブソーバーとL.C.Lに緩和されてもなお相殺しきれない振動がレイに降りかかる。
そして鋭い痛みと共に、先ほど感じた感触が何倍もの鋭さで彼女を襲った。

―――――――――!!!!

 甲高い電子音が響き渡る。
 発令所のメインモニターの端にサブウインドウが開き、零号機の機体の状況を示した模式図が表示される。
使徒の攻撃を受けた左肩部が平常を表すグリーンから非常を表すレッドへと変わってゆく。
152LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:24 ID:???
 「使徒、零号機と接触!!装甲部を侵食して素体と接触……いえ、融合を始めました!!」
 発令所のオペレータ、伊吹マヤ二尉が叫ぶ。零号機のエントリー・プラグの内部を移したモニターには、
自らの左肩に葉脈のようなものが走るのを見て呻くレイの姿が映っていた。

 「……侵食型の使徒か」
 発令所の奥まったところでそうつぶやいたのは、NERVドイツ支部より補充パイロットとして着任したフィフス・チルドレンの
渚カヲル。レイと同じ赤い瞳でモニターを睨みながら、やや早口になって言った。
 「このままでは、彼女が危ない」

 「く……レイ、何とかそいつを引き剥がして!!」
 葛城三佐の声にレイは右手で使徒にプログナイフを突き立てる。だが角度的に力が入れにくい事もあり、
使徒のATフィールドを引っ掻くだけに終わる。
 「……ぅううっ……ああっ!!」
 侵食が鎖骨の辺りまで及び、レイが苦悶の声を上げる。
 「……レイィ!!もういい、脱出するんだ!!」
 三尉が多分に感情を含めて叫ぶ。決して一介の三尉などが言うべきことではない。
だがこの場にいる誰もがそれを咎めることはできなかった。彼とレイは、既にお互いをかけがえの無い存在として
想い合っている事に、程度の差はあれど誰もが気づいていたからだ。
だから、葛城三佐もそれについては何も言わなかった。作戦部長としては失格かもしれない、だが―――――。

 エントリー・プラグの中でレイは、ATフィールドを使って使徒の侵食を抑えようとしていた。
だが使徒は強力なATフィールドで少しずつ、だが確実に零号機を蝕んでゆく。
153LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:29 ID:???
 ふとレイがメインモニターに目をやると、端にはウインドウが開いていて、
発令所から繰り返し通信が入っていたことを示していた。
 使徒の侵食の影響か画像にはノイズが混じり、音声も遮断されていたが、レイはそこに
必死に自分に脱出を呼びかけているであろう三尉の顔を見た。
 そして、その気持ちをたまらなく愛おしく感じた。


 (……私は今まで、自分の存在が消えてしまうことなんか怖いとは思っていなかった。私には、代わりがいたのだから。
……だけど、それは違った。それを教えてくれたのはあなた。私が誰の代わりでもない、私の、私だけの私自身であること。
頑なに他者を拒絶していた私にそれを優しく辛抱強く教えてくれて、私の心を開いてくれた、私のすべてを受け入れてくれた、
あわてんぼで、すこし泣き虫で……とても愛しいあなた。
 
 ………私がいなくなれば、次のワタシがあなたに会うでしょう、でもそれは今の私じゃない、
それはとてもとても怖いこと――――――

 ……だけど今私がここで退いて、使徒があそこへたどり着いてしまえば、
結局わたしも、あなたも、みんなも消えてしまう。だから……

                      「私は今ここで退くわけにはいかない」)


 レイは覚悟を決めた。

 プログナイフを逆手に持ち替え、両手でしっかりと保持する。
 左肩のシンクロ率を出来るだけ下げた。
 目を瞑って……………ナイフを勢いよく振りかざした。
154LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:31 ID:???
 「―――――レイ!?」
 葛城三佐が驚愕に目を見開く。その場の誰もが、モニターに映る光景に目を奪われた。
だが、そのうちの二人は違う反応を示した。


 「レイ………」
 三尉はモニターから目を離したい衝動を必死に押しとどめながら、悲しみとも、焦りともつかない含みを持った声で
彼女の名を呼んだ。彼が感じていた情動は彼自身にも推し量りがたいものだったが、
おそらくそれは「いじらしさ」を多分に感じたものであったのか。


 そして発令所の奥で、やや顔を強張らせて見入っていた銀髪の少年もまた、衝撃を受けて目を細めていた。
 (これが、彼女がリリンに与えられた……いや、「共に培った」「強さ」だということなのか……)
155LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:32 ID:???
 これまでにも、使徒との戦闘でエヴァの腕部などが切断されたりして、シンクロ越しにそれらの痛みを感じたことはあった。
だが、痛みとは慣れぬものだし、そういう時は大抵直後にシンクロをカットするなりして被害を最小限度に抑えていた。

 「ぅうぐ……くっ……んんっ……」
 だが今は、使徒にこれ以上侵食されないうちに使徒を侵食部ごと「抉り取る」ことが肝要だ。
その為には、シンクロを通じてエヴァの素体がどこまでが無事で、どこまでを切り捨てるのかということを
「感じ取ら」なければならない。

 「ぅ……あ……ぁあああああっ!!」
 ついにレイは、鎖骨を支点にして侵食された部分をナイフで抉り取る。
鈍い音と共に零号機の肩の素体の部分が血しぶきと共に飛び散った。
 事前にシンクロ率を落としておいたとはいえ、自分の肩をナイフで抉り取るような痛みを受けて無事な人間はいない。
レイの体は小刻みに震え瞳からは悲しみとは関係無い涙がぽろぽろとこぼれる。
だがその瞳は閉じられることなく、苦痛に耐えながらも今引き剥がしたばかりの使徒を捉えている。

 (絶対に……生きて帰る。そして、みんなに誕生日を祝ってもらうんだから……!!)
156LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:34 ID:???
 発令所の面々が驚愕していたのは一瞬、すぐに発令所の内部は喧騒に包まれる。
今さっきまざまざと見せられた彼女の決意に応える為に。

 「レイ!!一時後退して!!ミサイル、60から88まで照準!!零号機の後退を援護!!
……アスカ、弐号機は出られないの!?」

 葛城三佐が檄を飛ばす。兵装ビルから雨あられと降り注ぐミサイルの弾雨を映すメインモニターに割り込んで、
ケイジの弐号機のエントリー・プラグの内部が映る。
 そこには、コクピットシートの上で組んだ膝に顔を埋めて微動だにしないアスカの姿があった。

 「アスカ!!」
 葛城三佐がアスカに呼びかける。
 その声にアスカはおずおずと顔を上げ、腫れ物にでも触るようにエヴァの操縦レバーを掴んだ。

 「シンクロ、スタート!!」
 伊吹二尉が手元のスクリーンを睨みながら叫ぶ。エヴァとのシンクロが第二次接続に移行した。その時―――。

 「い……ぃやああああああ!!」
 アスカが弾けるように操縦レバーから手を離し、頭を抑えて泣き叫ぶ。
 「いや、こんなのいや!!…私…やっぱりダメ…動かない…」
157LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:37 ID:???
 再びアスカは膝に頭を埋めてしまう。葛城三佐は眉間にしわを寄せると、再びモニターに目を移した。
そこには、ミサイルの弾雨をものともせず、後退する零号機を追撃する使徒の姿があった。

 NERVの技術部長、赤木リツコ博士はモニターに映る使徒の挙動を見て目を細めた。

 (……この使徒の行動パターンは、明らかに今までの使徒とは違うものだわ。
使徒がエヴァと戦うのは、目的地到着を阻む障害物を排除する、それ以上の目的は無いはず。なのにあの使徒は
まるで零号機を……いえ、多分、レイを侵食するのが目的なような……この前の衛星軌道上の使徒といい、
使徒はエヴァに、いえ、その中のチルドレン…ヒトに興味を持っているとでもいうの?)

 「リツコ何やってんの!!弐号機は無理なの!?」
 葛城三佐の問いかけに赤木博士は思考を中断し、半秒も待たずに返答を返した。
 「……駄目ね。以前よりは良くなっているけど、アスカが心を解き放たないと、シンクロするのは無理だわ」
 「つまり、それって……」
 「エヴァとシンクロするということは、エヴァと心を繋いで一心同体になることと言っていいわ。
心の奥底までをさらけ出せば、そのぶんシンクロ率は高まる……今のアスカは心を閉ざして、
精神の第一層へも立ち入られるのを恐れている……これでは、出しても使徒の餌食になるだけだわ」

 (……エヴァに、心をさらけ出す……)
 葛城三佐はその言葉に、自らが追い求めていたものの片鱗を垣間見たような気がしたが。
今はそれについて思案にふけっている場合では無い。
158LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:39 ID:???
 「何とかならないの!?このままじゃレイが!!」
 多少声を荒げた葛城三佐を目で制しながら、赤木博士は一言一言言葉を紡ぐように言う。

 「残念だけど、今の私達にはどうすることも出来ないわ。これは、アスカ自身が自分で解決するしかないの」
 「そんな……」
 葛城三佐は、今まで一緒に暮らしていたにもかかわらず、
膝を抱えて震えるアスカに掛ける言葉を持ち得ない自らに気づいて言葉を無くした。
そして、レイがあそこまで強くあれる理由を飲み込んだような気がして、モニターを注視する三尉の方を見た。その時。

 「僕が行きます!!」

 モニターに更にウインドウが開き、ケージ内に備え付けられた通信端末を通して、エヴァ初号機の専属パイロット、
サード・チルドレンの碇シンジの顔が映る。

 「……初号機は凍結中だ。出撃は許可できない」
 特務機関NERV総司令であり、碇シンジの父親でもある碇ゲンドウが、押し殺したような声で言う。
それに対し、シンジは感情をあらわにして叫ぶ。普段の温和な彼には似つかわしくないほどの声で―――

 「またなの!?父さん!!……アスカの時だって、綾波が助けてくれなかったらアスカは……父さんは、父さんは……」

 僕たち、と言いかけて、シンジは口ごもる。そして、この場合最も効果があるであろう人名を頭に浮かべた。
それは彼にとっては一種、様々な感情がない交ぜになるような選択だったが……今はそういうことを言っている場合ではない。それを言うことによって事態が好転するのならかまわない―――
シンジも、そういう駆け引きが出来るほどには大人になっていた。


 「……父さんは、綾波より初号機のほうが大切なんですか!!!!」
159LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:41 ID:???
 「…………」

 半ば予想していた言葉を言われて、ゲンドウが口を閉ざす。その場のほとんどの人間には判らなかったが、
ゲンドウがそのような表情を浮かべたのは十年ぶりほどであった。

 (碇………)
 NERV副指令、冬月コウゾウがゲンドウの後ろ姿を見て眉間にしわを寄せる。
彼はゲンドウの心の中にある葛藤をおそらく最もよく理解している人物であるから。
 
 しばらくの沈黙。

 「……わかった、もういい!!」
 シンジはそう言うと、通信端末をそのままにし、初号機が凍結されているケイジの扉を開けた。そこで、顔をしかめた。
初号機を包み込むように、赤いベークライトが溜まっている。これではエントリー・プラグに乗り込むことは出来ない。
 「……父さん!!」
 シンジが、もううんざりだというような語調で叫ぶ。それは、発令所の面々が薄々思い始めたことを代弁したような叫びだった。

 そもそもエヴァンゲリオンは、人類を滅ぼすサード・インパクトを引き起こすために襲来する使徒を迎撃するために
開発された人型決戦兵器のはずだ。そして眼前にその使徒が迫っている中、例の捕食という事態があったとしても、
特に目立った異変が無い限り、出撃させない理由にはなりえない。この場で出し惜しみをしている余裕など無いことは
誰の目にも明らかだ。どちらにしろ、零号機が倒されてしまえば稼動できるエヴァは初号機だけだ。
否応無く出撃させなければならないだろう。
こうなると、初号機は単なる兵器としての役割以上の「何か」があるとしか思えなかった。

 そしてそれを裏付けるような言葉が、冬月コウゾウの口からささやかれる。
160LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:44 ID:???
 「碇、槍も失われた今、初号機まで失ってしまうわけにはいかんぞ。辛いようだが……死海文書には、まだ続きがある」

 小さな声だったが、その声は苦渋を滲ませたものだった。ゲンドウが見据えるモニターの中には、
緊急用の斧を使って何とかベークライトを崩そうとしているシンジの姿が映っている。
 だが次の瞬間、ゲンドウをも驚愕させる出来事が起こった。

 「……ぅうわっ!!」
 シンジが突然の激震に斧を手放してタラップにつかまる。ベークライトが甲高い音を上げて粉々に飛び散る。
初号機の腕が動き、エントリー・プラグ挿入口周辺のベークライトをこそぎ落としていた。
まるで、自らの意思があるように――――

 その光景にシンジは一瞬戸惑ったが、震える腰を叱咤してエントリー・プラグへと向かった。

 (ユイ…………)

 ゲンドウはその様子を放心したような(だれもが始めて見る顔だった)様子で見つめていたが、ふと、立ち上がり。


 「……冬月先生。後を頼みます」
 そう言って、2、3歩歩き出そうとした。その背中へ向かって、冬月が問いかける。
 「碇………時計の針を止めるつもりか?」
 ゲンドウは立ち止まり。


 「……冬月先生、私は、時計の針を折ることに決めました」


 「………そうか。ならば、もう何も言うまい。俺は、お前に付いていくと決めたのだからな。」
 「……ありがとう、冬月先生」

 そう言うとゲンドウは、階下でレイに必死に指示を出している三尉を一瞬見つめたあと、発令所から出て行った。
161LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:47 ID:???
 「ふ、冬月副指令……」
 葛城三佐が状況の変化に対処すべく、副指令に問いかけた。冬月は背筋を伸ばし、凛とした声で指令を下す。
 「現時刻より私が碇司令から指揮権を引き継いだ。初号機、発進準備だ!!」


 『シンジ君、見てのとおり敵はエヴァを侵食してくるわ。絶対に攻撃を受けないでね! 敵のATフィールドはカタいけど、
きっとどこかに付け入るスキがあるはず……マゴロクが整備してあるわ。あれならなんとかなるかもしれない、あれを使って』
 「わかりました。……あの、綾波は……」
 『今は最も防御設備の多い区画に退避できたから、なんとか砲火で奴を足止めしているわ。
でも効果がないのは相変わらずだから、いつかは突破されてしまうわね。
今のところ奴は零号機を狙っているようだから、本部の防衛は今は考えなくてもいいわ。
後は上に出たら指示するから。
じゃ……がんばってね』

 そう告げると、葛城三佐からの通信回線は閉じる。シンジは初号機の全身を覆うベークライトを拘束具ごと排除した後、
射出口のある区画へと徒歩で移動しているところだった。ウエポンラックには、開発が終了したばかりの斬撃兵装、
マゴロク・エクスターミネイト・ソードが装備されている。シンジは単純にプログナイフを刀剣の形に形成したものと思っていたが、
簡潔な説明文によると、刀身には新型のマダガスカル鋼を使用し、新技術の応用とかでプログナイフに比べ刃の振動周期が
1.5倍ほどに向上し、より分子単位での切断力が高まったものらしい。
柄の部分には流体パルス・フィールドリフレクターを搭載し、
刃先にATフィールドの薄い膜を付与することによってある程度中和なしでの切断を可能とするという。
理論上、使徒のATフィールドを貫通して攻撃できるということだ。よって、稀代の名刀関孫六からあやかって
名が付けられたということだったが、実際使徒に斬りかかったことが無い以上、
シンジには気休め程度にしかならなかったのだが。
162LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:50 ID:???
 初号機の凍結されていた第3ケージは本来エヴァ3号機が配備される予定だった区画だ。十三番目の使徒に寄生され
使徒として処理されたが、綾波レイの発案による初号機、弐号機、零号機の連携プレーによって急所を直撃、
機体の中枢以外にはさしたる損傷も無く、専属パイロットの鈴原トウジも無事生還することが出来た。
3号機は松代で修復作業が行われていると聞いたが、主要三機の修理で手一杯な状況下で、使徒に取り付かれたような
曰くつきのエヴァの修復が滞りなく進むというわけにはいかなかったゆえに、
この区画にはリニアレールが設置されていなかった。だから、シンジは初号機の足で射出口まで移動せねばならなかった。

 だんだん射出口が近くなるにつれ、外部マイクが上からのくぐもった爆発音や振動音を拾うようになってきた。
少なくともあの音が続いているうちは、綾波は無事なのだろう。
――いや、この場合「無事」という表現が当てはまるかは微妙だったが。
 そして、シンジは見慣れた射出口区画へと出る。リニアレールに初号機を固定した。
ふと隣を見ると、そこには弐号機の姿があった。映えるような真紅の機体も、今は沈黙のうちに佇んでいるのみである。

 「アスカ………」

 シンジは弐号機のプラグに通信することはせず、弐号機の肩に手を伸ばし、振動による音声回線を開いた。

 「………………負けないで」

 シンジは他に語るべき言葉を持たなかった。それを言い終わったとき、頭上のアラートランプが緑に変わる。
そして、初号機は空裂音と共に地上へと打ち出されていった。それを見送るでもなく、弐号機は立ち尽くしていた。
163LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:52 ID:???
 射出口から出るや否や、シンジは目の前の光景に唖然とする。頭に叩き込まれた第三新東京市の兵装ビル群が
まるでハチの巣のように穴だらけになっている。
そして、そのいたるところに飛び散った赤いチ……使徒には攻撃が効かないということは、これはすなわち―――

 はたしてそのチをたどって視線を移すと、2キロ程先で零号機が使徒と交戦している。シンジは兵装ビルから
パレット・ライフルを取り出すとビルの影に隠れながら使徒に接近する。そして機を見てビルの陰から躍り出、
零号機に当てないようにライフルを三点射で使徒に叩き込む。
別にこれでダメージを期待しているわけではない。ただの牽制だ。奴にこちらの存在を知らしめ、
零号機から注意を逸らさねばならない。攻撃を受けた使徒は初号機を視認すると、一気に初号機に向けて突撃する。
初号機は無防備に立ち尽くす。そして使徒の攻撃が初号機を捕らえたと思った瞬間。

 「掛かった!!」

 凄まじい電光が使徒を襲った。
使徒が初号機と思って突撃したのは3Dプロジェクターと高電圧フィールドを利用したブービー・トラップだった。
兵装ビルの不足を補う為に配置数の多い電源ビルを利用した急ごしらえのシロモノだったが、
単純なだけにその威力はなかなかだ。使徒の体一面に電光が走り高圧電流がその体を焼き尽くす。

 「綾波、大丈夫!?」
 シンジがレイに呼びかける。初号機は最初の三点射の後、ビルの影に身を隠しながら零号機へと向かっていたのだ。
164LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:54 ID:???
 「………なんとか………大丈夫」

 応えるレイの声はか細かった。
 大丈夫どころではない、零号機は左肩の損傷に加えて使徒の攻撃がかするたびにその部分をそぎ落としていた為に
腕と言わず脚と言わず虫食いのような有様になり、頭部センサーの保護バイザーにもヒビが入って一部欠損していた。

 「無理だよ綾波!!ここは僕が戦うから、綾波は……」
 「……いいえ……あいつに……1対1では……勝てない」
 シンジの呼びかけに、レイは必死に呼吸を取り戻そうとしながら答えた。そして刃先が欠けたプログナイフを投げ捨てる。
 電源ビルのコンデンサに蓄えられていた電力が底をつき、電光が収まった。使徒はすぐさま体勢を立て直したが、
先程の電流のせいだろうか体中に焼け焦げができ、中には泡立ってはじけ、赤いチを噴き出しているところもあった。

 「………!?」
 レイは全身に走る幻痛に耐えながら使徒を見た。
あれだけプログナイフで斬りかかっても傷ひとつ付かなかった使徒がブービートラップに引っかかりチを流している。
 (何故……何故なの?)
 レイが一瞬それに気を取られたとき、使徒はその体をしならせて零号機に突進してきた。
レイは咄嗟に横に体移動しつつ、手刀で使徒の体を払う。使徒にその手で触れたとき、
レイは何故使徒が「突進しかしてこないか」ということを理解した。そして、ある行動に移る。

 「レイ!?危険よ、下がって!!レイ!!」
 葛城三佐の静止をあえて振り切り、レイは零号機を使徒に向かって突撃させ、両の手で使徒の細長い体を掴む。
はたして手のひらに再び例の感覚が襲う。だが、それはレイが予想したとおりの結果だった。
レイはそのまま使徒を大きく振り回し、投げ縄…のような要領で思い切り投げ飛ばす。
165LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 13:59 ID:???
 「葛城三佐、あの使徒はその体の先端部でしか『激しく』侵食してくることが出来ません。
そして、エヴァの装甲を貫通するべく、突撃の際には体を覆うATフィールドを先端部に集中させます。つまり…」
 レイが通信回線をオープンチャンネルにして言う。それを聞いたシンジが言葉を繋げる。

 「・・・・・・あいつが突進してくるときが、こちらの攻撃のチャンスだってこと?」
 「そう……碇君。多分、突進時には体の側面は無防備なはず……」
 レイが確信を持って言う。先程使徒に手刀を入れたときに感じたフィールドの厚さは、
先端部とはかなりの差があった。それを感じた。

 「レイ、よく解ったわね……」
 葛城三佐が驚嘆の念を多分に含ませて言う。だが、一方ではそれに納得もしていた。
生きるか死ぬかの戦いの中に身をおく者には、遅かれ早かれいずれそういった鋭い観察力と洞察力が備わる。
それを克ち得ないならば、地面に倒れ伏すのは自分だからだ。

 「……『子曰く、学びて思わざれば、即ち罔(くら)し』」

 レイがだれともなくつぶやく。そして一瞬だけ笑顔を見せ、三尉に話しかける。
 「……でしたよね、三尉?」

 「……あ」
 三尉が、その言葉が自分が教えたものである事に気付いて目をしばたいたとき、
使徒が体に絡んでいた通信用の大型パラボラなどを引きちぎって再び宙に浮いた。
166LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:00 ID:???
 「碇君、考えがあるわ」
 レイが自分の作戦を簡潔にシンジと発令所に伝える。それは確かに使徒を殲滅できるかもしれない作戦だったが、
同時にかなりの危険を伴うものだった。
 「そんな…無茶だよ!!零号機はそんなにボロボロなのに……その役目は僕が」
 その言葉を遮ってレイが言う。
 「無駄に使徒と斬りあったわけじゃない……あいつの間合いはもう見切ったわ。だから、碇君はあいつを確実に倒して。お願いね」

 そう言って配置に付こうとするレイに三尉が呼びかける。
 「レイ、いくらなんでも無茶だ!!」

 「わかってる」
 レイが振り向かずに答える。

 「でも……誰かがやらなければならないの。それに…私は自分が生き残る為にやるの。犠牲になる気は無い。
あなたと約束…したもの」
 そう言ったとき、使徒が攻撃するために体をよじらすのが見えた。

 「行くわ」

 そういうとレイは最大戦速で走り出す。シンジも意を決したのか、迷いを見せずに走り出した。三尉はそんな二人を見て、
自分の無力さに歯噛みした。彼にとっては、最も辛い時間が始まったのだった。
これから何が起ころうと、彼にはここで顛末を見守るしかないのだ。
167LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:02 ID:???
 使徒は何回かの突撃を行った後、ふと、2体のエヴァが視界から忽然と消えているのに気が付いた。
頭(?)を上げ、ゆっくりと辺りを見渡した。おおかた、その辺りに隠れて様子を伺っているのだろう。
彼(彼女?)の本能がささやく。『あの場所』へ向かえと。それは彼が自らの存在を意識した時から常に言われてきた事だが、
今彼は―――それを無視していた。今彼が興味を覚えているのは、あの青いやつ……あいつだ。
それは彼にして生まれてはじめて感じた「欲求」だった。

 「!」
 背中(?)に何かが当たった感触があった。だが彼の纏った衣はそれを通さない。彼は振り返った。
そこには紫のやつがいた。こちらに向けてライフルを連射している。

 ……違う、あいつじゃない。

 使徒は初号機の攻撃を無視すると、自らの体を横方向に大きくしならせた。そして、一気に目の前の兵装ビル群をなぎ払う。
ビル群の上部がなぎ倒され、そこに隠れていた零号機があらわになる。

 ……いた。

 使徒はだが直ぐには突進しようとしなかった。先程の経験から警戒しているとでもいうのか?
値踏みするように零号機を眺める。だがその疑問は直ぐに氷解した。
その零号機からはATフィールドが感じられ、自分に向かってライフルを発射していたからだ。
彼は歓喜に身を震わせ……今度こそ標的を外さぬように今までの中で最も速く零号機に襲い掛かった。
168LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:05 ID:???
 「相対距離、500…480…450」
 青葉二尉が画面上の表示を読み取ってカウントする。それを聞きながら、レイは手順を今一度心の中で確認しなおした。 

 (うまくいく、きっとうまくいく……)
 L.C.Lの中では解らないが、彼女は今滝のような汗を流していた。
……以前の自分だったら、こんなに焦るようなことはなかったろう。
だけど、レイは自分が焦っていると言うことを、なぜか誇らしく感じていた。

 パレットライフルをフルオートで射撃する。
いつもは自分の通学路だった道に振動が伝わり、お気に入りのアイスクリーム屋のショウウインドウの
ガラスが粉々に飛び散る……
ああ、あそこのビターチョコのトリプルアイス「黒い三年生」は絶品なのに……またしばらく食べられなくなっちゃうのかな……
そんなことを思う。気が付くと、いつの間にか緊張は消えていた。
 「340……300……270」
 快速電車が過ぎ去ったときのような残響音を残しながら、パレットライフルがマガジン内の全弾を撃ち尽くして沈黙する。
レイはライフルを投げ捨てると、いかにも攻撃手段を失って慌てている様に尻込みして見せた。
それを見て、使徒が突進のスピードを更に増す。
 「200……160!……120!」
 (まだ……ギリギリまで引き付けて……)
 モニターに猛烈な勢いで突進してくる使徒の姿が映る。その姿はまるで白い彗星だ。
直進上にあるものをすべてなぎ倒しながら接近してくる…
 「110!……80!……50!!」

 「・・・レイ!!」
 三尉が堪え切れずに叫ぶ。そしてそれを合図にしていたかのように、零号機が足元の何がしかを思い切り踏みつける。
炸裂音と共に、炸薬ペレットの力で瞬間的にせり出す防禦シールドが零号機の前に現れた。
169LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:07 ID:???
 「!!!!!」
 使徒はそれを認識したが、すでにここまで加速が付いている時点でどうこうできるものではない。
……ちゃちな盾など、ぶち抜いてしまえばいいまでだ。使徒はそう思って躊躇わずシールドに突っ込み、
それを貫通する……はずであった。

 凄まじい衝撃音と共に、シールドがひしゃげる。だが、「貫通はしていない」。
この防禦設備は技術部が新たに開発した強化チタン・セラミック複合材を何重にも織り上げて重ねた
現時点では最高、最硬の盾だった。直接戦っているものだけが勝利をもたらすのではない、このような地味な努力こそが
戦況を左右するエレメントとなり得る場合も往々にしてある。しかもレイはそれをさらに二重に重ねて使用していた。
いかに使徒の貫通力が優れていようとこれを貫くにはいたらなかった。

 「今よ!!碇君!!」

 レイが裂帛の声で叫ぶ。それを合図に、初号機がマゴロク・エクスターミネイト・ソードを抜き放ち、
零号機の隣の兵装ビルの屋上から飛び降りるように躍り出た。
初号機のアイセンサーがマゴロクと同調し、断ち切るべき使徒の体のラインを表示する。

 「………でぇえええぇええええやあああああっ!!!!!」

 シンジの叫びに答え、初号機が使徒の体後半3分の2辺りの所、
前方にフィールドを集中したせいで最も防御が手薄な部分にマゴロクを振り下ろし―――  両断した。
さらに、返す刀で3、4回も上下に斬り返す。ぶつ切りのようになった使徒の体は空中で一瞬静止したかと思うと、
それぞれが膨れ上がって白熱し、爆発した。

 「……ぃよっしゃぁあ!!」
 葛城三佐が拳を握り締めて叫んだ。誰の目にも使徒は殲滅されたように見えた……その次の瞬間!
170LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:10 ID:???
 「!!!」
 使徒の先端部分、シールドに突っ込んだ部分が突如高速でドリルのように回転し、
2枚重ねに展開していたシールドを―――貫通した。そのまま、零号機の腹部に直撃する。

 「……ぅあっ……か……は……!!」
 レイが強烈なボディブローを喰らったボクサーのように目を見開き、零号機は吹き飛んだ。

 遂に、零号機は使徒に捕らえられてしまったのだ。
171LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:13 ID:???
 時はすこし前後して……

 「あの子、あんな事を……」
 弐号機のエントリー・プラグの中で、アスカはモニターに映った外界の様子…使徒を引き剥がす為に
自らの肩にナイフを突き刺し、赤いチを噴き出しながら使徒ごと肩の肉を抉り取った零号機の姿を眺めていた。
膝のスキマから覗くその瞳に活気は無く、頬は心なしかこけているように見えた。

 「強いな……あの子は……」
 アスカはそうつぶやくと、つい先日の出来事を思い返した。それはここ数日、アスカがずっと繰り返していたことだった。
イヤなことであったが、そうせずにはいられなかったのだ。衛星軌道上に出現した鳥のような使徒を迎撃に出たとき―――。

 「……もう、早く来なさいよ……じれったいわねっ!!」
 いつもの冷静なアスカに似合わず、その日のアスカは苛立っていた。ここ数日、アスカのシンクロ率は下がり続けていた。
本格的に月のものがきはじめたせいで下半身に鈍い痛みが走る。子供など絶対にいらないと豪語するアスカにとって、それは
屈辱的な苦痛であった。もちろん、シンクロ率は表層的な体調の変化には左右されない。だがそれがアスカの精神を
かき乱していたことも事実だ。それだけではない、アスカは焦っていた。
何よりも、この前の使徒……顔面の強力な加粒子砲とすべてをいともたやすく両断する腕部の持ち主……奴と交戦したとき、
独断で先行して火器の一斉射撃を叩き込んだにも関わらず、殆ど何の損傷も与えられないまま弐号機が倒された時のことが
しこりの様に彼女をさい悩ませていた。結局使徒は零号機のN2爆弾を使った無謀ともいえる突撃にも傷ひとつ無く、
零号機を倒し、初号機をも中破せしめ、暴走した初号機によってやっと殲滅されたほどの奴であったから、
それはある意味仕方ないことであったかもしれない。だがアスカにとってはそれはなんの救いにもならなかった。
作戦を無視して先行したにもかかわらず、彼女は敵に一矢報いることすらできなかったのだ。
幾たびの使徒との戦闘において、レイやシンジに差を付けられていたと感じていたなかでの敗北は、
アスカの心にヒビを入れるには十分であった。
172LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:15 ID:???
 (……私は常にトップ、一番じゃなきゃいけないの!!それで、皆に私の存在を知らしめるのよ!!)

 常日頃、アスカが言っていることであった。だが最近の戦闘結果といえば、使徒に取り付かれた3号機の脊髄を断ち切ったのはレイの零号機であったし、暴走してその屍体を喰らったとはいえ、自らが全力を出しても倒せなかった使徒を殲滅したのはシンジの初号機であった。

 「…所詮零号機と初号機は開発過程のプロトタイプとテストタイプ。この弐号機こそ世界で最初の実戦型の本物のエヴァンゲリオンなのよ!」
 かつてアスカがシンジに言った言葉だ。もっとも、シンジやレイと仲良くなるにつれ、面と向かってこのようなことを言うことは
流石になくなったし、戦闘において共に戦うチームプレイの重要性も十分理解しているつもりだ。だが自らのアイデンティティを
支えていた信念は簡単に変えられるものではない。そんなことが積み重なってアスカを悩ませ、シンクロ率を低下させていた。もっとも、それにはその時のアスカが気づかなかった他のいろいろな原因もあったのだが。

 「何で来ないのよ……アタシの気迫にビビッてるんじゃないの!?」
 口ではそう言いつつも、トリガーに掛けた指はせわしなく動き、アスカが多分に平常心を失っていることを示していた。
頭を包み込むように展開した精密射撃用のバイザーの中で、ポジトロンライフル改のFCS(射撃管制装置)は目標が
未だ射程距離外であることを示しつつも、「そのとき」に備えて忙しくロックを修正して動き回る。
そんな時、使徒が僅かに高度を下降させた。最大射程距離内に使徒が入った事を感知したサイトが重なり、
射撃可能のシグナルを伝える。それを待ち続けていたアスカはトリガーに掛けた指を引き絞ろうとした。
そのとき。
173LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:18 ID:???
 「!!!!!」

 使徒から突如白い光が放たれた。それは厚い雨雲に包まれた第三新東京市を照らすように放たれ弐号機を包み込む。
それは傍から見ると非常に美しい光景であった。まるで雲を裂き天国から天使が降り立ってくるような光だった。だが……

 「ぃっ……ぃいやぁあああああっ!!」

 イタイ!!!

 ……サードチルドレンって、どんな子?……私はアスカ。惣流・アスカ・ラングレー。……

 ヤメテ!!!

 ……いいわね、最初からフル稼働、最大戦速でいくわよ………マ…マ……ママ……

 ハイッテコナイデ!!!

 ……ママ、ママ、私選ばれたのよ! 人類を守るパイロットに! ママ!どこにいるの!?

 ダメ……ソコヲアケチャダメ!!!

 アスカの心象風景の中のアスカが何重ものドアを開けて走る。使徒はアスカの写し身を借りて、ア
スカの精神の奥底までも覗き込もうとしていた。そして、最後の扉に手を掛ける……
174LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:20 ID:???
 「アスカ!!!!」
 突然の凄まじい衝撃にアスカは我に返った。零号機が配置を離れて弐号機に接近し、
弐号機に強烈なドロップキックを叩き込んだのだ。だがそれは使徒の精神攻撃の範囲内から弐号機を、
アスカを弾き出すためであった。始まったときと同じように唐突に頭の中のイタミが消えてゆく。
心の中のドアは僅かに開かれかけたところであった……

 「……んっ!!」
 零号機が装備していたポジトロンスナイパーライフルを持ち上げる。本来三脚なりに固定して使うものを
無理に持ち上げたわけであり、当然射撃しても命中精度は著しく低下する。相手との距離が遠いときはなお更だ。
だがその射撃は使徒の目を弐号機から離すためのものであった。空間を一筋の陽電子の矢が貫く。
そして使徒のATフィールドの端をかする。使徒は降り注がせていた光を零号機に向ける。
一瞬零号機は怯んだようなそぶりを見せた。
・・・だが数瞬後、弐号機に向けて駆け寄ると、腕を引っ張って強引に立たせ、共に射出口に飛び降りた。
それが、アスカが気を失う前に見た光景のすべてだった。
175LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:21 ID:???
 病室のベッドの上でアスカが目を覚ましたときは、すべては終わった後だった。
使徒は零号機の投擲した「ロンギヌスの槍」によって殲滅された。見舞いに来たミサトがそう言った。
ミサトが出て行った後しばらくして、シンジが息せき切って病室に駆け込んできた。
プラグスーツからL.C.Lを滴らせているところを見ると、余程急いで来たのであろう。
シンジはアスカに無事を尋ね、ほっとしたような表情を垣間見せた。

 アスカは、そんなシンジを冷ややかな目で見つめていた。
 (何よ、助けにも来てくれなかったくせに……それでお優しいつもり?)

 その時アスカは知らなかった。シンジがエントリー・プラグの中で必死に出撃を請うていたことを。
しかし碇司令がそれを許さなかった。初号機のA10神経には停止プラグが打ち込まれ、
シンジが待機モードに移行したエントリー・プラグの中で叫び続けていたことを。

 シンジはアスカの精神状態を感じ取ったから、何も言わずふと視線を逸らした。

 アスカはそんなシンジの頬を張った。
シンジも助けに行けなかった理由が決して理由にならないことを悟っていたから、
それについても何も言わずに、アスカを気遣う言葉を残して病室を出て行った。

 (…違う、そんなことを言いたいんじゃない!)

 アスカの手は無意識のうちにシンジの出て行ったドアのほうに差し出されたまま止まっていた。
なにかを求めるようなカタチだった。
176LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:24 ID:???
 どれくらいの時間が経っただろう、ほんの短い時間だったような気もするし、何週間もそうしていたような気もする。
実際には10分弱といったところだろうか、アスカの手の先の自動ドアが音を立てて開いた。
 「シン…!?」 
 アスカはそうつぶやこうとして、何とかそれを引っ込めた。
 入ってきたのはレイだった。戦闘後の検査もそこそこに訪れたのだろうか、
シャギーが掛かった癖っ毛が水に濡れ、いつも以上に強調されていた。
戦闘に関わったパイロットのプラグスーツは検査の為規則で脱がなければならないから、
レイは体を洗浄したあといつもの学生服に着替えていた。が、よほど慌てていたのだろう、
スカートからはブラウスがはみ出し、付けていないリボンのあるべき胸の隙間からは
明らかにボタンを掛け間違えているのが見て取れた。よほど急いで走ってきたのだろう、
息せき切って入ってきたレイは最初息を整えていたが。

 「アスカ……良かった、元気そうで……」
 そう言うと急に放心したように床にへたり込む。緊張の糸が切れたのだろう、
アスカのベッドの手すりにつかまってやっと立ち上がるくらいだったから。

 「………」
 アスカはそんなレイに対して、複雑な感情を抱いた。
自分の精神状態が平常でないことを意識しつつも、考えずにはいられない。

 (助けてくれて、ありがとう)

 様々な感情がない交ぜになっていたが、その言葉は自然に頭に浮かんで来た。
それを口に出そうとしたが、彼女のプライドがそれを許さなかった。頭のなかに現れた疑問が堰を切ってあふれる。

 「あんた……なんで平気なの?」
 「え?」
 レイが、不意を突かれて戸惑う。だがすぐに、それは使徒の精神攻撃の事だと気が付いた。
確かにあの時、零号機も使徒の放つあの光を浴びたのだ。
177LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:26 ID:???
 「なんで……なんであんなことされて平気なの!? あんた、やっぱりおかしいわよ!!」
 虚勢だった。アスカは何故レイが使徒の精神攻撃に耐え得たかおぼろげながら理解していた。
だが、それを認めたくなかった。今の自分には、たどり着けぬであろう境地だったからだ。
それは、心の強さ。自らを、後ろで支えてくれている人たちを信じ、未来を信じて進む心――――

 「……アスカ……」

 「……何よその目。イヤ、あんたになんか同情される筋合いはないわ!! あんたみたいな……Puppeなんかに!!」

 言ってしまってから後悔した。確かに初めて会ったころは、常に素っ気無く振舞うレイを見てそう感じたこともある。
だけど今は彼女は彼女を教導している三尉のおかげか、多少控えめだが、ごく普通の女の子になっているのだ。
だからその言葉が彼女にとって最も傷つく言葉であろうということも、容易に想像できた。

 「………」

 レイは何かに打たれたように立ち尽くしていたが、ふと、その紅い、紅い瞳に涙が浮かぶ。
それが彼女が決して「それ」でないことを示していた。レイは弾かれたように振り替えると、駆け足でドアの外へ出て行った。
閉まりがけのドアの隙間から、レイが外にいた三尉の胸に飛び込んですすり泣くのが見えた。
その瞬間に、アスカは自分がレイに対して漠然と感じていたもの……
少しづつ、少しづつ胸の中に溜まっていき、さっきの言葉を吐かせたものの正体を知った。アスカは自嘲するように思った。

 (ああ……私はレイに嫉妬していたのだな)
178LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:31 ID:???
 それ以来アスカは何かに敗北したような重苦しい感情を抱えてしまった。それがシンクロ率の低下に拍車をかけた。
そして螺旋状の使徒が現れたとき、出撃する為に起動した弐号機とのシンクロ率は、
起動係数二桁を切るわけではないものの、必要数値の半分以下という結果に終わった。
 そしてアスカは今、プラグの中でぼんやりと零号機の戦いを見ていた。

 「アスカ!!」
 モニターに通信画面が開き、顔を強張らせたミサトの顔が映る。アスカはそれを眺めると、なんとか操縦レバーに手を掛けた。
 (わかったわよ……やればいいんでしょ)
 途端に、馴染んだ感覚が頭の中に流れ込む。

 「シンクロ、スタート!!」
 伊吹二尉の声がする……アスカにとってはまるで別の世界の出来事のようだったが……
そして、エヴァからの神経パルスがアスカの精神に入り込む。それは、エヴァに心を覗き込まれるような感覚となって……

 「い……ぃやああああああ!!いや、こんなのいや!!…私…やっぱりダメ…動かない…」

 まるで熱いものでも触ったかのようにアスカは手をレバーから引き剥がして叫んだ。
それを見て、ミサトの顔が映ったウインドウが閉じた。

 (私……もうダメなのかな……)
 アスカは言い知れぬ不安と悲しみを感じて、再び膝の中に頭を埋めた。
 外の喧騒と切り離されたエントリー・プラグにの中で、アスカはまるで胎児のように身を縮め、
自らの心のなかの不安を感じていた。と、そのとき、頭の中に誰かの声が響いてきた。
179LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:32 ID:???
 どうしたの? なにをそんなにこわがっているの……


 その声はどこか懐かしく、アスカの心に染み入るように響いた。アスカは何故かその声がだれかということは思わず、
自然にその声に対して答えていた。
 
 「じぶんを…ほんとうのじぶんをのぞきこまれるのが…こわいの…レイを…たすけたいのに…」

 なぜ、ほんとうのじぶんをみられるのがこわいの……

 「だって…わたしはいちばんにならなきゃいけないの! ほんとうのじぶんをだしちゃったら…きっとそうできなくなる…」

 なぜ、いちばんにならなきゃいけないの……

 「そうすれば、みんながわたしをみてくれるわ!! …そうしたら…」

 いちばんにならなくても、みんながあなたをみてくれているわ……あなたはひとりじゃないのよ……

 「!!」

 アスカがその声に顔を上げたとき、メインモニターにウインドウが開いた。正規の通信回線ではないために、
画面にはSOUND ONLYの表示が出ている。はっとしてアスカがモニターの左を見ると、いつの間にか隣に初号機がいて、
弐号機の肩に手を掛けていた。どうやら、接触回線で通信してきているらしい。
シンジの顔は見えないが、気持ちのこもった声が伝わってきた。
180LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:34 ID:???
 「アスカ………負けないで」

 (シンジ!?)
 アスカはその声を聞いてなんともいえない気持ちになった。

 (私……シンジのことも考えないであんな事をしたのに……シンジは私を心配してくれてるの……)

 そう感じた後、アスカは考える。「負けないで」……

 (そう、確かに今私は何かに負けそうになっている。だけど、何に?)

 (シンジや、レイに? 違う。 自分の過去に? 違う。……じゃ、私は一体何に負けそうになっているの?)

 そう考えたとき、アスカはふと、どこかで読んだことのあるセリフを思い出した。

 
 『…他人を負かすっていうのは、そんなに難しいことじゃないんだ。最も難しいことは……自分を乗り越えることさ』


 「!!!」

 その瞬間、アスカは激しい衝撃を感じた。そして気づいた。アスカが負けそうになっているもの、それは「自分」だった。
過去の呪縛に囚われ見たくないものすべてに背を向けて、それの重圧に押しつぶされそうになっている自分。
それこそが今アスカが負けそうになっているものそのものだった。それに気づいた瞬間、アスカの心を激しい痛みが襲った。
その痛みはアスカ自身にしか解らない、アスカだけの痛みだった。真実に直面したとき、ヒトは必ず痛みを感じるものだから。
181LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:35 ID:???
 しばらくした後、アスカは顔を上げた。その顔には決意が満ちていた。いまなら絶対に弐号機とシンクロ出来る。
そう確信していた。再び操縦レバーを掴んだ。その時。

 「……ぁああっ!!」

 モニターからレイの悲鳴が聞こえた。零号機が腹を押さえて悶え苦しんでいる。ついに、使徒に侵食されてしまったのか。
こうなっては一刻を争う。アスカは目を閉じ、焦る心を抑えて弐号機と心を繋げることのみに集中した。

 (おねがい弐号機、私の心のなかに入っていいから、レイを助ける為に……力を貸して!!)
 そうアスカが願ったとき…


 わかったわ。わたしのかわいいアスカ。わたしはいつも、あなたをみているから………


 先程の声が頭の中に響く。と同時に、弐号機の4つの目が光り輝く。それを感じて、アスカは気づいた。理解した。

 「ここに……ここにいたのね、ママ!!」
182LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:43 ID:???


 使徒は零号機の下腹部に突き刺さると、木の根が張るように零号機の素体と融合を始めた。
それは先程までのような激しい苦痛を伴うものではなかった。零号機の損傷部分から伝わってくる幻痛が
いつの間にかある種の快感へと変わっていたからだ。腰部の神経層に接触されたのだろうか。
下腹から伝わってくるそれがレイの頬をかすかに朱に染める。真におのれの内面まで踏み込まれる感覚……
レイは以前にもそれを感じたことがあったが、愛しさを以て心身共に確かめ合った彼のヒト以外から
強制的にもたらされるそれは、レイにとってはおぞましい恐怖と嫌悪と屈辱以外のなにものでもなかった。
どこか、先日の鳥のような使徒の精神攻撃を受けたときと似ていた。無理矢理心を覗き込まれそうになったとき、
レイは自らの精神力を総動員して耐えたのだった。
だが、この使徒は零号機と―――それを通じてレイと融合を図り、レイの精神力をねじ伏せようとしていた。

 「あ……ぁああっ……いや……止めて…嫌ぁあああああっ!!」
レイが心底恐怖した顔で叫ぶ。それを見て三尉がレイに呼びかける。

 「レイ!!もう限界だ、脱出してくれ!!脱出するんだレイ!!」

 「・・・・・・!!」

その声にレイは、震える手を叱咤して操縦レバーを上に引き上げる。そこから緊急脱出用のプラグイジェクトレバーが現れる。レイはそれに手を掛け、一気に引き絞った。……だが。

 「……だめです、プラグイジェクト信号が受信されていません!!」
 伊吹二尉が状況を分析して叫ぶ。使徒の侵食の影響か、接続が断線したか、脱出信号の受信部自体が損壊したか、
ともあれ状況は最悪に近いものだった。
183LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:44 ID:???
 「…レイィイ!!」
 三尉が顔面蒼白になって叫ぶ。その声を聞いて初号機が零号機に駆け寄り、プラグを引き抜こうとした。
だが、身体半ばまで使徒に侵された零号機は初号機にトラースキックを叩き込み、
初号機が体勢を崩したところをすばやく両手で首を捕らえて吊り上げ締める。

 「く…うぐ……く…」
 「碇君!!……ぅ、ぅう…」
 宙吊りになった初号機が零号機の手を掴んでもがき苦しむ。凄まじい力だ。
このままでは初号機の首の骨が折れてしまう。そんな様子を見て、レイもまた苦しんでいた。その時―――

 「てぇえええやぁあああああっ!!」

 真紅の稲妻が轟いた。太陽を背にしたそれは兵装ビルから身を躍らせ、空中で身をひるがえすと、
流麗なかかと落としで零号機の手をはたき落とした。

 「……げほっ、は…ア、アスカ!!」
 シンジが開放された首を押さえながら、彼女の名を呼んだ。

 戦いの舞台に降り立ったはエヴァ弐号機、全身に裂帛の気合をみなぎらせ、先程までの沈んだ雰囲気は微塵も無く、
太陽光にその紅い機体色をきらめかせる。初号機のモニターに通信が入った。

 「なにぼさっとしてんのシンジ!!レイを助けるわよ!!」
 「アスカ!!もう大丈夫なの!?」
 「話は後!!……来るわ!!」
184LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:45 ID:???

 操られた零号機の繰り出すジャンプキックを初号機弐号機はバック転でかわす。零号機の動きはレイが抵抗しているせいか
どこかぎくしゃくし大仰で力任せなもので、その大振りの攻撃は回避するのは簡単だったが、使徒により引き出された
零号機の潜在能力は手刀で兵装ビルを切断するところまで達していた。これでは迂闊に近づけないが、
近づかなければレイを救うことは出来ない。

 「……もう時間の猶予はないわ、シンジ!!私がなんとか零号機を押さえつけるから、アンタがレイを助けるのよ!!いいわね!!」
 「アスカ!!…わかった、なんとかやってみる!!」

 弐号機が兵装ビルから何がしかをひったくる様に取ると、軽快なフットワークで零号機の周りを回るように走る。
シンジはその意図を理解して初号機のアイセンサーの感度を下げながら屈伸のような姿勢をとった。
次の瞬間、弐号機は零号機に向かって手にしたなにかを投げつける。零号機がそれを拳で叩き落そうとしたとき、
それは凄まじい閃光と轟音を発して爆発した。弐号機が投げつけたのは対使徒戦用にアップサイジングされた
スタン・グレネードであった。爆発による威力は無いが、瞬時に膨大な閃光と音響を発する特殊兵器、要するに目くらましだ。
弐号機と初号機は事前に視界と音響を調節していたから影響は無かったが、光と音をもろに食らった零号機は
頭部を押さえて悶え苦しむ。あの様子ではレイがわざとセンサーを通常のままにしておいたのに違いない。
そのレイの気持ちを感じて、アスカはこの好機を逃すまいと跳躍する。零号機のウエポンラックを支点にして
倒立前転のように背後に回る。そして零号機の脚に弐号機の脚を絡め、弐号機の腕を以て零号機の両腕をひねり上げる。
いつか本で見て覚えていた、旧世紀の関節技に零号機を捕らえた。

 「シンジ!!今よ!!」
 アスカの呼びかけに答え、初号機が零号機に接近する。零号機の頭部の先、延髄にあるエントリー・プラグ挿入口に
手を伸ばす。保護ユニットに手を掛け、渾身の力をこめて引きちぎろうとする。零号機が逃れようと必死で抵抗するが、
完璧に技が極まっているために意味を成さない。
185LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:48 ID:???
 「……取れた!!」
 遂に保護ユニットが音を立てて引きちぎられた。挿入口は3号機の時のように、使徒の体に覆われてもいない。
これなら、射出コードを手動で打ち込めばエントリー・プラグを射出できる。
 シンジが初号機の手のひらから専用のユニットを出して接続しようとした…
だが、その時、鈍い音がして零号機の体が弐号機の手をすり抜け技から脱出した。
まだ掴まれている手をそのままに弐号機を前方に、初号機に向かって投げつける。

 「…くっ!!」
 「嘘…何で!?………あ、あいつ、関節を外して!?」

 初号機が何とか弐号機を受け止めた。それを見届けた零号機は、正確には零号機を操っている使徒は何を思ったか、
その場に座り込む。そして肩関節が外れた腕にかまわず、体を縮めてうずくまった。
初号機と弐号機が近寄ろうとしたとき、凄まじいATフィールドが二機を襲った。
 「ぅわああああっ!!」
 そのフィールドの力場は、以前に成層圏より落下してくる使徒を受け止めるときに発生させたものと同規模、
いやそれ以上のものだった。衝撃で、二機は吹き飛ばされる。
186LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:49 ID:???
 「使徒、ATフィールド展開!! …零号機への侵食速度、緩まりました!!」
 「リツコ、これは!?」
 「おそらく、邪魔が入らないように結界を張って、それから零号機を侵食するつもりね。あの使徒は」
 「そんな!あんなATフィールドじゃ、エヴァ二機がかりでも近づけないわ!!」
 だが、葛城三佐がそう言ったとき。

 「くぅううぅ…ぅ…」
 弐号機が、初号機に背中を押されるような形でじりじりと零号機に近づく。
マゴロクのATフィールド付加機能を使って、刃の先端でATフィールドを切り分けるようにして進む。
その姿はまるで吹雪の中を進む救助隊のようであった。

 「あ、あの子達……」
 アスカが曇りの無くなった蒼い瞳で零号機を見つめながらつぶやく。 
 「レイ、待ってなさい、今…助けてやるから……」
187LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:51 ID:???


 レイはスタン・グレネードの閃光を受ける直前、ヘッドセットをむしり取り、
自分に出来うる限りの対閃光、対音響防御姿勢を取った。だが、使徒に対しての効果を持たせねばならないため、
どうしてもある程度の衝撃は受ける結果となってしまった。

 「―――――!!」
 きつく閉じたまぶたの裏が白熱し、耳に差し込んだ指を通じてすさまじい音量が彼女を襲った。
目はあらんかぎりの涙を流し、鼓膜の奥には爆発音が何重にも重なって響き続ける。
 「くぅううぅうっ」
 が、それでも、気絶しそうな衝撃を耐えぬいたレイはなんとか状況を確認する。
神経伝達野がほぼ使徒に掌握されてしまった今、レイにできるのはそれくらいであったが、
使徒もさすがに衝撃を受けたのか、零号機への侵食が弱まっていることが解った。

 「………!!」
 この機を逃さず、レイは最低限の基幹接続のみを残してシンクロを切断した。そして内向きのATフィールドで
エントリー・プラグを包み込む。それは「普通のエヴァのパイロットなら」難しいことであったが、
レイには「慣れ親しんだ」感覚であった。レイは普段はそれを嫌っていたのだが、今回ばかりは自分がこんなことが出来ると
いうことに感謝せずにはいられなかった。と、同時に今まで苦しまされていた侵食の感覚がだいぶ薄まり、
プラグ内も非常灯で照らしたかのような薄暗さに包まれる。少し落ち着いてきた頭でレイは思考しようとした。だがそのとき、
プラグ内を激震が襲う。生き残りのセンサーを総動員して外界の様子を探った。どうやら弐号機が零号機を押さえつけ、
初号機が今、自分のいるエントリー・プラグを抜き出そうとしているらしい。レイはそんな二人に感謝の気持ちを持ちながら、
これで何とかなるかもしれないと安堵しかけた。だがそのとき。
188LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:53 ID:???

 ・・・ソウハ サセナイ・・・

 「!!」

 頭の中に声が響いた。と同時に両腕に鈍痛が走る。ほとんどのシンクロをカットしていたのだが、最低限の
神経接続部分からそれは伝わってきた。どうやら使徒が零号機の肩関節を外したらしい。極められていた技から脱出した。
その瞬間、レイは今の声が今零号機を・・・自分を飲み込もうとしている使徒のものであることを察して・・・顔を強張らせた。
189LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:54 ID:???


 「あと・・・すこし・・・・・・」
 初号機に背中を押されたまま、弐号機が必死に零号機に向けて前進する。少しづつであるが、確実に歩を進める。
そして、必死に伸ばした手が零号機にかかったその時、零号機を覆っていたATフィールドが位相を変え、
縦向きの刃となって弐号機を襲った。咄嗟にマゴロクでガードしたがその衝撃まで打ち消すことが出来ず
弐号機は初号機と共にまた吹き飛ばされる。

 「きゃああああっ・・・!」
 「・・・アスカ!! 大丈夫!?」
 「私は大丈夫だけど・・・どうすればいいのよ、これじゃいつまでたってもレイを助けられないわ!!」

 「く・・・くそぉっ・・・ちくしょう・・・」
 そのアスカの言葉を聞いていた三尉は歯噛みして呻く。葛城三佐は、彼の握り締めた拳の手のひらの皮が裂け、
赤い血が滴り落ちているのを確かに見た。おそらくは葛城三佐も感じている無力感が
彼にとっては数十倍、数百倍に大きく感じるのだろう。そんな彼に目を移して、葛城三佐は眉を窄めた。
だが突然響いてきたシンジの声が彼女を現実へと引き戻した。

 「・・・・・・ミサトさん!!零号機が!!」

 シンジの声にモニターに目を戻した葛城三佐が見たものは、今まで放射していたATフィールドがめくれ上がり、
零号機に向かって収束していくその中心で、何かに抵抗するようにもがき苦しむように震える零号機の姿だった。
その状態をMAGIが素早く分析し、別ウインドウに解析結果を表示する。それを読み取って、伊吹二尉が青ざめて叫ぶ。
 
 「・・・零号機、ATフィールド、反転!!これは・・・まさか!!」
 インジケーターには零号機のコントロールが再びレイの手に戻ったこと、零号機が発するATフィールドが
零号機のコアを中心にして収束してゆく様子が映し出されていた。その解析結果が意味するもの、それは―――
190LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 14:59 ID:???

 「まさか・・・あの子、自爆する気!?」
 赤木博士が身を乗り出して叫ぶ。赤木博士が知っている彼女なら、
今の状況から導き出される答えはそれしか浮かばなかった。エヴァのエネルギーが蓄えられたコアを
ATフィールドを使って潰す事によって内部を開放すれば未曾有の破壊力を産むだろうという
シミュレーション結果もそれを手伝った。使徒を確実に殲滅する、自らもろとも――――

 「レイ!!馬鹿な事は止めるんだ!!レイィ!!」

 三尉がもはや涙目となって叫んだ。その声を聞いたアスカは一気に零号機に駆け寄ると、
ATフィールドの荒れすさぶなか必死に零号機を押さえた。接触回線を最大出力にして叫ぶ。

 「レイ!!どうして、どうしてあんたはいつもそうなの!? いつもいつも自分を犠牲にして!? 
そんなの・・・・・・そんなの勇気でもなんでもないわ!!ただ自分に無責任なだけよ!!! 
あんたがいなくなったら、残されたみんなはどう思うのよ!? あんたの帰りを待って、
あんたを信じている人たちはどう思うのよ!? わたしだって・・・ わたしだって・・・ まだあんたに謝ってないんだからぁ!!!」

 アスカが本音を、自分の気持ちをさらけ出して叫んだ。その声を聞いたのか、
零号機が身を激しくよじらせたとき、オープンチャンネルの回線に、真に微弱な音声が伝わってきた。

 「あ…がと…アス…でも…ったでしょ…私…犠牲にな…つもりは無…って……」

 「レイ!!無事なのか!?」

 三尉が呼びかける。その呼びかけに、かすかな返事が来る。それは間違いなくレイの声だった。
191LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 15:01 ID:???

 「…尉。私は必ず…なたのと…ろへ帰…ます……」
 「レイ!!」

 その声が響いていたとき、赤木博士はMAGIの解析結果に目を見開いていた。
それほどその結果は信じがたいものであったからだ。

 「まさかこんなことが……あの子……」
 赤木博士はその視線をモニターに映る零号機に移した。零号機を包むように、
半球状の暗黒の空間―――調度第十二使徒の本体のような暗黒がせり上がろうとしていた。

 「レイ!!一体どういうこと!?一体何が起こって―――」
 アスカがそういって暗黒の半球に触れようとしたとき。
 「ぅあああっ!!」
 その空間に触れたか、というところで弐号機の手には細かい裂き傷が多数出来た。真っ赤なチが弐号機を更に朱に染める。
 「綾波!!」
 シンジが兵装ビルの上からワイヤーを伸ばし、零号機のウエポンラックに接続して通信回線を維持した。
その回線を伝わって、ノイズ交じりではあるがプラグ内部の画面を映し出した通信が入る。
192LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 15:01 ID:???

 「私は…みんなを…信じてる。待っているから……」

 その言葉を言ったレイの顔には並々ならぬ決意が満ちていた。決して諦めない、前に進もうとする強さが、伝わってきた。

 皆が見つめる中――半球状の闇はついに零号機を覆い尽くした。ウエポンラックと繋がっていたワイヤーが寸断され、
レイを映した画面は唐突に断ち切れる。同時に、辺りに満ちていたATフィールドの奔流もピタリと止んだ。


 「レイィィ―――ッ!!」


 辺りにはただ、三尉の叫びが響き渡るのみだった。
193LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 15:13 ID:???

次回予告

レイと零号機を包み込んだ障壁を前に、人々はおのおのの感情をさらけ出す。
戦自のN2爆撃が刻一刻と迫る中、僅かな希望をもって「イワト作戦」が展開される。
その黒い壁の向こうに人々が見るものは・・・

次回「In My Heart more heart」

さぁ〜て、次回もサービスサービスッ(はぁと)
194LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/07/31 15:22 ID:???
ごめん!!>>一部連投している所があった!!スマソ!!
>>148の最初半分は、見なかった事に(汗)


はぁ、詰めが甘い!(汗)


頑張って執筆。
195fu-n:04/08/03 20:31 ID:???
大変だこと・・・
196LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:23 ID:???
ふ・・・往々にして場当たり的に思った事を書き散らすから
予告と多少違う結果になりもする・・・
おのおのの感情などさらけ出してないし(汗)
エンタメとしても・・・自分の作品を卑下してどうする(汗)
そのぶん熱い情念(パトス)を込めたさ。

それでは第二章「In My Heart more heart」の始まり・・・
文句等は綾波スレサード・インパクト宛てへ(汗)
197LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:28 ID:???

 「結論から言うと、レイはあの中で生きているわ」

 第三新東京市、NERV本部、第弐発令所。
 倒壊した兵装ビル群が真っ赤な夕焼けに彩られた映像が映ったメインモニターを背にして、赤木博士は
その場の人間全てに聞こえるように言った。その声には確信に裏づけされた自信がにじみ出ていた。

 「本当ですか!?赤木博士」
 努めて平静を保とうとしている声の三尉が尋ねる。その顔には拭いがたい不安が滲んでいた。

 「説明するわ、これを見て」
 赤木博士が振り返ると、メインモニターに零号機を飲み込んだ黒い半球の映像が映し出される。
それは何の動静も無く、ただその威容を都市の色彩の中にたたずませていた。

 「この黒い半球体は、異なった二つのATフィールドの相互干渉の結果生成された障壁であると
推測されるわ。この色からも解るように、光子、電子、素粒子すらも透過させない、
まさに絶対障壁といえるものね。そのせいで、内部のスキャニングは不可能だったわ」

 「え、それじゃあ、なんで……」
 シンジが率直に脳裏に生じた疑問を投げかけようとする。

 「あ、あんたバカ!?今二つのATフィールドが、って言ったばかりじゃない!
使徒だけじゃなく、零号機、レイもATフィールドを発生させていなければ、こうはならないって事よ!」
 「そ、そうなんだ……」
 アスカがいつもの調子でシンジに説明(?)をする。もっとも、アスカは三尉に無用な心痛を与えまいと、
無遠慮な質問をしようとしたシンジに釘を刺しただけなのだが。その説明は理にかなっていた。
逆に言えば、その事実がこの場の人々を支えていた。


198LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:33 ID:???
 「……それで、それらの事象を鑑みてMAGIが推測したあの球体の内部構造が、これよ」

 赤木博士がそう言うと、伊吹二尉がコンソールを操作して画面を切り替えた。そこには、3Dグラフィックス
で形成された零号機が、まるで母親の胎内にいるような姿勢で丸く身を縮めている様子が映し出されていた。
さらに、その零号機に画面がズームされた。零号機のコアを表す赤い光点を包むように、
ATフィールドが球のように丸まっている様子が見て取れる。
また、エントリー・プラグのある位置にも、同様のフィールドを現す罫線が入っている。
そして、残りの素体の部分には、まるでメロンのへたのように素体に食い込んでいる白い発光体が
映っていた。零号機を侵食した使徒を表しているものだ。そしてその発光体は、
コアとエントリー・プラグを覆ったATフィールドに向けて自らのATフィールドを歪曲させ、
零号機――レイの発生させているフィールドを中和、侵食していく様子もまた画面は表示していた。

 「この図を簡潔に説明すると、使徒の侵食からレイが零号機のコアとエントリー・プラグを
ATフィールドで防禦しているということになるわ」

 その説明を聞いたとき、その場にいた人物の中でその事実に驚愕した人物は少なかった。
アスカとシンジすら、その言葉の表す意味に気づかなかった。

 「まさか、ATフィールドを同時に多重展開するなんて――――!?」

 葛城三佐が驚いた表情でつぶやく。ATフィールドは本来、パイロットがエヴァを通じて
機体の前面などに一元的に展開するもの、そのATフィールドの一枚紙を丸めたり引き伸ばしたりして
防禦範囲を広めたり、ある程度の範囲を防禦することは出来るが、同時に二枚のATフィールドを展開し、
それぞれでコアとプラグを防禦することなど、エヴァにおいてはおろか、
今までの殆どの使徒にも見られなかった特徴だ。
それを維持するだけでも余程の精神力が必要とされるだろう。

 通常では考えられないことだ。通常では。
199LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:36 ID:???
 (あるいは、まさか―――)
 赤木博士は10番目の使徒、ネルフのスーパーコンピュータMAGIシステムに侵入を図った
マイクロマシン状の使徒の事を思い返していた。あの使徒は極小の個体が無数に集まって
一つの群体を形成していた。そしてその使徒をレーザーで攻撃したとき、
使徒はいくつもの細かい六角形のATフィールドを展開させてそれを弾いた。
あの場合、群れの個体一つ一つがフィールドを展開させたと見るべきだろう。
それを今の状況と当てはめて考えてみると。

 (コアを防禦しているのはレイが零号機を通じて発生させているATフィールド。
なら、もう一つの、プラグを防禦しているATフィールドは、
 ―――「レイが自ら展開しているATフィールド」――としか考えられない)

 赤木博士はそれに思い当たって眉をしかめる。レイが「どういうものか」「知っている」彼女にとって、
その説明は理にかなっているように思えた。この場で唯一その推論に気づいているであろうミサトが
こちらを見ていぶかしんでいる。
だが、今はそれを言うようなときではないし、「こちらの手の内」を明かすときでもない。

 「―――零号機の内部電源が持つのは大体後14時間くらいだと予想されるわ。
でも使徒の侵食も確実に進んでいるから、レイを救出する制限時間は実質、あと12時間ほどね。
―――それが現在の状況よ」
200LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:38 ID:???
 赤木博士がそう説明を締めくくったとき、青葉二尉がコンソールから顔をこちらに向けて叫んだ。

 「どうも、まずい事になってきました。
状況を鵜呑みにした戦自が、明朝0800にN2爆弾を投下すると通告してきました」

 「それは、つまり………」
 シンジが顔を曇らせてつぶやく。それにアスカが腹立たしさを押さえつつ答える。
 「使徒を殲滅する、ってことでしょうね。零号機ごと。あいつらにとっては好機以外の何者でもないからね」

 葛城三佐が、口惜しそうに顔をしかめる三尉に目をやりながら言う。
 「……予想はしていたことだけどね。ほんっと、デリカシーの無い連中だわ。
あの障壁にはそんなモン効かないでしょうに」

 「……ところが、そうでもないのよ。」
 赤木博士がため息をついて言う。その言葉に、その場の皆が面食らったように赤木博士の顔を見た。
 「リツコ、どういうこと!?」
 葛城三佐が食い入るように問い詰める。

 「あの障壁は使徒のフィールドとレイのフィールドの微妙な均衡によって成り立っているものなの。
そんな状態の障壁にN2爆弾のような大質量の衝撃を加えたら―――」

 「………加えたら?」
 葛城三佐が恐る恐る尋ねる。
その問いかけに、赤木博士は数瞬熟考していたが、やがて意を決したようにきっぱりと言った。

 「使徒か零号機、どちらかのフィールドが耐え切れなくなったとき、
その斥力は一気に開放されるでしょうね」

 「………!!!」
201LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:45 ID:???
 その場の誰もが戦慄した。
それはつまり、使徒が零号機を侵食しているフィールドが爆発に耐えられなくなったなら、
コア周辺に展開していた零号機のATフィールドが急な開放によって弾け飛び、零号機ひいては
レイを粉々に吹き飛ばしてしまうであろうということ。レイのフィールドが耐え切れなくなったなら
言わずもがな、逆にコアが使徒のフィールドによる急激な圧縮によって潰れ、
第三新東京市を根こそぎ抉ったクレーターがひとつ…ということになる。
使徒のフィールドの時の場合、もしレイが破裂を防ぐ為にその瞬間に
零号機のフィールドを解除したとしても、今の使徒の侵食スピードから計算すると、
コンマ瞬時に完全に使徒に乗っ取られた零号機が新たにATフィールドを展開し
N2爆弾の質量を防禦するであろうという結果にたどり着く。
……どれにせよ、レイに希望は無い。

 「タイムリミットはやはり実質12時間ってわけね」
 葛城三佐が苦々しげに言う。それを見て日向二尉がコンソールから顔を上げてうんざりしたように言った。
 「諜報部のほうから根回ししてなんとか引き伸ばしを試みていますが、ヤツら耳を貸そうともしません。
半分意固地ですよ、まったく」

 「………なまじ使徒が本部を狙っていないとわかったとたんコレ。合法的にこちらの戦力を削るには
うってつけの名目があるものね。 ……意地の張り合いをしている場合じゃないってのに」

 葛城三佐の呟きをある程度無視して、アスカが挙手して赤木博士に問いかけた。
 「それで、その12時間でレイを助け出す策はあるの?」
 「それを今から考えるのよ。なんとか草案は浮かんできているから、あとは細かい部分の調整ね」

 シンジがおずおずと問いかける。どんな策かと皆が赤木博士の顔を見た。
 「それで、僕たちは何をすればいいんですか?」

 リツコが非常にまじめな顔をして言った。
 「シンプル・イズ・ベスト。こじ開けて、助け出す。それだけよ」
202LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:49 ID:???
 ネルフ本部は慌しい喧騒に包まれる。なにしろ12時間以内に全ての段取りを整えねばならないのだ。
ヤシマ作戦のときにも勝るとも劣らぬ、いやそれ以上の騒がしさの中、
三尉は歩きながら、自らの役割をかみ締めつつ、以前に初めてレイと一緒に撮った写真を眺めていた。
何回目かに行ったディスティニーランドで、レイから一緒に写真を撮ろうと言い出して来て撮ったものだ。
あの時はフィルムが余ったからという理由だったように覚えているが、今から思うと、あれはレイの
精一杯の照れ隠しだったのかもしれない。そのあともレイとは沢山の写真を撮ったけれども、
三尉はこの写真を常に身に付けていた。写真に写る、自分と手を組んでいるレイのややぎこちない、
しかし気持ちがこもったあたたかい微笑みを見ると、つい写真を握る手に力が入ってしまう。

 「僕がこんなんでどうするんだ…これからレイを助けに行くって言うのに」
 三尉は写真を大切に胸ポケットにしまうと、赤木博士からもらった睡眠薬を飲む為の水を買う為に
自販機コーナーへ寄った。そこで、意外な人物たちと出会った。

 「…あ、三尉。」
 「あんたも、一休みしに来たの?」
 シンジとアスカが、プラグスーツのまま休憩所のベンチに腰掛けていた。手に各々の飲み物を持ち、
姿勢を崩してはいるが、くつろいだ様子はあまり感じられなかった。三尉は無理に微笑みを浮かべると、
自販機で水を買い、ベンチに腰掛けた。

 「ダメじゃないか、君たちも寝ている時間だろ」
 三尉はそう言うと、薬剤の粉末を口に含み水で一気に流し込む。
あまり気分のいいものではないらしい。渋い顔になってしまったのを気に掛けつつ、
なんとか平常の顔に戻そうとしながら続ける。



203LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:51 ID:???

 「寝るのもパイロットの仕事だぞ」
 「なんか、目が冴えちゃって」
 シンジが控えめに理由を言ったが、手に持っているスイカジュースがほとんど飲まれていない事や、
二人の間のやや重い雰囲気から察して、それだけの理由でないことは誰の目にも解ることだ。
二人とも、蒼い髪をした少女の事を心配していたのだろう。
三尉にしても、少女の身を案ずるあまりに脳内からα波が無くなってしまったような心境だったから、
二人をいつも以上に身近に感じていた。

 「苦そーに睡眠薬飲んでる人に言われたくないわね〜。……で、ほんとに、やるの?」
 アスカが無理におどけたような最初の調子からだんだん真面目な顔になって言う。
それに対して三尉も、若干顔を強張らせて答える。

 「…ああ。他の人に任せようとは、思えないからね」

204LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:53 ID:???
 30分前、第弐発令所。

 「今回の作戦の最優先事項は、使徒の殲滅、及び零号機パイロットの救出です」

 赤木博士がホワイトボードの図案の前で凛として言った。その言葉に、場が静まり返る。
葛城三佐が後を引き継いで言った。

 「明朝0600、初号機、及び弐号機は、目標の障壁に対し、同時にATフィールドを展開、
これを中和し、障壁に空隙を作ります」
 そこまで言ったとき、皆の後ろから控えめに、しかしはっきりとした声が響いた。
 「その役目、僕にも手伝わさせていただきます」

 「渚君!? でも弐号機にはもう………」
 葛城三佐が彼の名を呼んだとき、走ってきた青葉二尉が赤木博士になにやら書類を渡した。
その書類に目を通し、赤木博士が目を細める。

 「……キャリフォルニア支部から本日現時刻付けでEVA4号機が到着したそうよ」
 「4号機!? あのS2機関を試験搭載したっていう……まだ調整が不十分じゃなかったの!?」
 その葛城三佐の問いかけに、カヲルが抑揚のある声で答えた。
 「調整はこちらに輸送中に済ませたそうです。僕のほうはいつでも準備はできています」

 「本当!?カヲル君」
 シンジが驚いた表情で言う。予想外の事に面食らっているが、
その言葉にはどこかしか喜びのようなものが見え隠れしていた。

 「……いいわ。この際なりふりかまってらんないからね。
フィフスチルドレン、渚カヲルの作戦参加を許可します」

 「ありがとう」
 カヲルが席に着くと、葛城三佐は先程の部分を若干修正して言い直す。
205LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:56 ID:???
 「……そして初号機、弐号機、4号機によって開けられた空隙から障壁内部に工作員を進入させ、
赤木博士の製作したコンピュータウイルスを零号機と直結、擬似信号を使って零号機の全システムを
強制的にプラグ射出機構にシフトさせ、プラグを射出させます。その後は状況に応じて使徒と戦闘、
おそらくは零号機ごと、これを殲滅します。これが今回の作戦の内容よ。……なにか質問は?」

 その声に、アスカが手を上げて問いかけた。
 「作戦は十分理解したわ。で、内部に進入する工作員って言うのは誰なの?」
 薄々感づいているような声の予想通りの返答が葛城三佐より帰る。

 「この役目は、本人の強い希望により、    三尉にやってもらうわ」
 皆の視線が一斉に三尉に集まる。その視線にも怯むことなく、
三尉は確固たる姿勢を崩そうとはしなかった。

 「やっぱりね。そうじゃなきゃ男が廃るってモンよね〜」
 「アスカ、茶化さないで」

 アスカのおどけた様子を葛城三佐が制す。
だがそんな様子を見て、赤木博士もまた、多少飄々とした口調で口を開いた。

 「本来なら、こういうことに多々経験がある無鉄砲な人が適任なのだけれどね」
 「ちょっとリツコ、誰のことよソレ」
 「あら、私から誰かさんのことをとやかく言えないわよ。
どこぞのJAの一件の時に無茶かましてくれた誰かさんなんてね」
 「いや、あのときは無我夢中で………」

 「ともかく、三尉、いいのね」
 唐突に真顔に戻った赤木博士が三尉をまっすぐ見て言う。三尉はそれにしっかりと頷いた。

 「ならパイロットと三尉は作戦に備えて仮眠を取っておきなさい。これは命令よ。
……さ、みんな、始めるわよ!!」
206LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 21:58 ID:???

 「本当にいいんですか、無事で帰れるとは限らないのに……あ゙だっ」
 シンジがそれを言ったとたん、脳天にアスカの鉄拳がメリ込む。だがその力は気のせいか
いつもよりも弱く感じられた。だがその分、語調は五割り増しで強い。

 「あぁんたバァカァ!? これからどうこうしようっていう時に、あんたってどうしてこう無神経なのかしら!!」
 
 その様子を苦笑いで見つめつつ、三尉が水を一口飲んで言う。

 「……いや、いいんだ。ありがとう。
 ……怖くないと言ったら、嘘になるけど、もし他の人に任せて……  
…………悔やんでも悔やみきれないから。自分のやれることはやっておきたいんだ。
後悔はしたくない。……それに」

 「それに?」

 ささやかな微笑を浮かべた三尉にアスカが問いかける。
 その問いかけに、三尉はふと何がしかを言いかけたが……それを無理に飲み込んで言った。

 「……大学時代は、山岳部のエースだったんだよ、一応」

 生真面目に言うその言葉に、二人は彼の顔を複雑な心境と表情で見つめていたが。
それが二人の緊張をいい意味で和らげた。

 「なぁんか、愛しのお姫様を助けに行くナイトとしては頼りないわね〜」
 アスカが始めて顔をほころばせて言う。その言葉に、シンジがおずおずと三尉に問いかけた。

 「愛しのお姫様って……三尉と綾波って、やっぱりそういう仲だったんですか?」
 「ぁ、あははは、それは、その………」
 三尉は頭を掻きながら言葉を濁したが、決してほんのりなどというレベルではない頬の赤さが
全てを語っていた。
207LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:00 ID:???

 「でも三尉って、綾波の保護監督主任じゃ……」
 「だ〜か〜ら、アレでしょ?役職も歳の差も超えた禁断の愛!ってヤツ〜!?きゃ〜背徳的ぃ」
 「ア、アスカ君、それはいくらなんでも………」
 「なぁぁに、じゃああんたレイの事好きじゃあないの!?」
 「いや、それは、  ……スキ……  って何を言ってるんだ僕は……」
 「……アスカって、なんか性格変わったね。開けっぴろげっていうか、オヴァさんくさいっていうか……」
 「ぁあ゙!?何か言ったシンジ!?」
 「いえ、何も」
 「確かに聞いたわよ!だぁれがオヴァさんくさいってぇぇ!?うりうり」
 「あ゙いだだ、やめ、やめてよアスカぁ…の、脳が…」
 「やれやれ…………」

 ひとしきり悶着あったあと、アスカがふと真顔に戻り、飲み終わったジュースの缶を
ゴミ箱に投げる姿勢を取った。結構な距離だ。だが、かまわず流麗なモーションで缶を投げる。
見事、缶は分別ゴミの箱に吸い込まれた。

 「…お見事」
 「当然よ!こーいうのは得意だからね」
 アスカがガッツポーズを取った後、シンジと三尉を見て力強く言った。


 「・・・・・・レイは絶対にみんなで助け出して見せるわ。あの子は、私たちを信じて待っているのだから」


 「うん」
 「ああ、そうだね」

 二人が頷く。アスカはそんな二人にはっぱを掛けて言う。
 「それじゃ、作戦に備えて一眠りしましょ!いざって時に足元ふらついてたら許さないからね!
さ、寝よ寝よ!!」
208LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:01 ID:???

 (みんな…ありがとう)
 十字路で二人と別れた三尉は、
睡眠薬を飲んだにも関わらずまるで眠気を感じない頭を振り払って思った。
そして、先程言いかけたことを頭の中でつぶやく。


 (それに………   もう、待つのは御免だ)


 そして、再び胸元の写真を取り出した。眉を心なしか引き下げながらつぶやく。
 「待っていてくれ、レイ……必ず君を助け出してやるから……」

 その瞳には、涙の代わりに硬い、堅い決意がにじみ出ていた。
209LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:05 ID:???

 そして、それを廊下の角から見つめているのは、レイと同じ赤き瞳を持つ少年、渚カヲル……
物憂げな瞳で三尉を見つめていた彼は、三尉が十字路の奥に消えた後もその場に立ち尽くし、
三尉の消えた方向を見つめ続けながら、ファースト・チルドレン……綾波レイと出会ったときの事を思い返していた。
ちょうど、この十字路を抜けて地下層へと抜ける長大なエスカレーターの前で彼女と出会った時のことを……


 「――――君が、ファースト・チルドレンだね」
 「綾波レイ」
 カヲルは、通路の曲がり角から現れたレイに対し慇懃に語りかけた。レイに会うために、ここで待っていたのだ。

 「あなたは―――フィフス、フィフス・チルドレンなの?」
 急な問いかけにも動じず、レイが言葉を返す。目の前の少年がフィフス・チルドレンだと言うことは、
何故か直感的に解った。だが同時になにか言い知れぬものを感じて、レイは一歩後ろに下がった。
その様子を見て、カヲルが肩を崩して言う。

 「僕はカヲル。渚カヲル。君の言うとおり、今日付けで着任したフィフス・チルドレンさ。コンゴトモヨロシク…」

 カヲルが差し出した手をレイはおずおずと握ろうとした。
だが、彼の手に触れたか触れないかと言うところで、先程感じた言い知れぬ感覚が再びレイを襲い、
レイは反射的に手を引っ込めた。カヲルはそれを見て、やや残念そうな顔をしたが。唐突に問いかけた。

 「……君は僕と同じなのに、何故そんなにも違うんだい?」

 レイはそれを聞いて、まるで電光に打たれたように立ち尽くし、
心持険しい顔つきで彼の顔を見つめていたが。やや程して答えた。

 「……言っていることが解らないわ」

 言外に、カヲルの言葉を否定する響きが込もっていた。
その微妙な響きを感じ取って、カヲルが更に問いかける。
210LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:07 ID:???

 「本当は解っているのに、解ろうとしていないだけじゃないのかい?」
 「!」

 その言葉にレイは多分に動揺したような態度を見せた。カヲルはそんなレイを観察するように
見つめている。だがレイは小さく首を振ると、改めて自分を奮い立たせるように
(もしくは偽るように?)やや小さめの、しかししっかりとした口調でつぶやいた。


 『……其を知るを其を知ると為し、知らざるを知らずと為す、是れ即ち「知る」なり……』

 
 文語調に言うレイを見て、カヲルがあっけに取られたような顔をした。だがすぐに微笑を浮かべて言う。
 
 「ずいぶん難しい事を知っているんだね…知っている事は知っているとはっきり言い、
本当に知らないことは知らないとはっきり言う。それがつまり真に「知っている」ということ…
ということだね。…確か…」

 カヲルが記憶を探るようにふと視線を泳がせたとき、
視界の片隅にこちらへ向かって歩いてきていたヒトの姿が映った。

211LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:09 ID:???
 「為政篇、十七節のことばだね」
 三尉はメインゲートを抜けた後、窓口にちょっとした用事があってレイを先に行かせていたのだ。
そして用事を済ませた後、レイを追って歩いてきたところだった。

 「教えていたことを良く覚えていたね。偉いぞ、レイ」
 そう言ってレイに笑顔を向けながらその肩に手を置く。レイは三尉の手を握り締めると、
三尉の陰に隠れるように一歩下がった。

 カヲルが視線を三尉に向ける。三尉がその赤い瞳を見つめ返して問いかける。
 「君は確か……今日着任したフィフス・チルドレンの……」
 レイの様子を気に掛けながら、三尉は目の前の見慣れぬ少年に言を紡ぐ。

 「渚カヲルです。よろしく」
 差し出された手を三尉が握るのを見て、レイが眉間を細める。そしてカヲルもまた、
握手をした三尉の手から何かを探ろうとしているように目を伏せていたが。

 「……成る程、そういうことか」
 三尉の手を離した後、そう小さくつぶやいて再びレイのほうを見た。
そして、切れ長の口元に笑みを浮かべながら振り返った。

 「それじゃ、また」

 背後で三尉がレイに問いかける声が聞こえる。
 「レイ、彼と何を話していたんだ?」
 「何でもないの……何でも……」

 (何でもない……か)

 カヲルは三尉の手を握った左手を見つめながら歩いていたが、ふとその手をポケットに入れて、
今日発行されたばかりのIDカードを取り出した。そこに印刷された自らの顔を一瞥すると、
メインゲートのカードリーダーにそれを通し、残る二人の仕組まれし子供たちに会うために歩き出した。
212LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:15 ID:???

 回想を終えたカヲルは、手に持っていたサイダーを一気に、むせる様子も無く飲み干して言った。

 「彼女を変えたリリンの力……見極めさせてもらうさ」

 そうつぶやき、思考を閉じて歩き出したカヲルの心中は、もはやうかがい知ることは出来ない。
彼がゴミ箱に捨てたスチール缶は、まるで万力に挟まれたように小さく押しつぶされていた。
213LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:20 ID:???
―――――――――――――

 …………この香り、覚えている。初めて、三尉と一緒に食事をしたときの香り。
 (レイに合いそうなイタリア料理を作ってみたよ。口に合ったなら、嬉しいな)

 そう言って三尉は、いろいろな料理を出してくれた。独特のジェノベーゼ・ソースを使ったミネストローネ、
オリーブオイルとバルサミコ酢、ワインビネガーの味わいがさわやかな海藻のサラダ、
かりかりとしたリゾットのボールの中からモッツァレラチーズが溶け出すアランチーニ、
焦げ目が付くまでこんがり焼いたナスとカボチャのチーズグラタン……それに、シンプルな中に
赤唐辛子がぴりっと自己主張するスパゲッティ・ペペロンチーノ。
ペペロンチーノって赤唐辛子の事なんだと、三尉は教えてくれた。

 香りを感じる。今はもう馴染んだ香り。三尉のよく使うバジリコ・ソースの香り。

 初めて食べるものばかりで、どんな味かもわからなくて、最初はそろそろと……
でも最後は夢中で食べていたっけ。

 「ごちそうさまでした」

 夢心地のような食事だった。素直に、そう言うことが出来た。そうしたら三尉は満面の笑顔を向けてくれて、
 「おそまつさまでした」と言ったの。ごちそうさま、にはそう返して言うということを知らなくて、
口の周りにソースをつけたまま、必死に「おそまつなんかじゃない」って力説したの。
三尉にそれを言われて、顔が真っ赤になった……

214LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:25 ID:???
 この風も、覚えている。何回目かに行った新熱海の海。私は三尉を驚かせようと思って、
泳いで沖まで出たの。そうしたら、いきなり大きな波が来て……慌てて顔を出そうともがいたら、
脚がつってしまって。一瞬、ターミナルドグマのあの感じがして、つい呼吸しようとして、水を飲んでしまった。
苦しくて、このまま海の底まで沈んでいってしまうんじゃないかって思って、初めて死ぬのが怖いって思った。
そうしたら、すごい力で抱きかかえられて、光る海面が迫ってきて、
気が付いたら、砂浜に仰向けに寝ていて、三尉の心配そうな涙顔が私を見ていて………

 (……レイ……よかった……気が付いて……)

 三尉が私を助けてくれていなかったら、私はここにいなかったかもしれない。

 あの時感じた、胸の高鳴りは、溺れたからだけじゃなかった。
215LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:44 ID:???


 この温かさも、覚えている。私の全てを包み込んでくれた温かさ。クリスマスイヴの夜。
三尉は私を連れて街のレストランへ行って、二人だけのパーティーを開いてくれた。
窓から綺麗な夜景が見える席で、三尉はプレゼントを渡してくれたっけ。綺麗なガーネットのイヤリングと、
パーフェクトグレードのウイングゼロカスタム。とても綺麗な羽があるのを見て、前からほしいと思っていたの。
もちろん、イヤリングもすごく嬉しかったけど、もうどこを探しても無いだろうって言われていたのを
私のために見つけて来てくれたのが嬉しくて、はしゃいでいた。
そのおかげで三尉にプレゼントを渡すのを忘れそうになってしまったくらい。

 外に出て、街のネオンの中を二人で歩いていた。周りでは恋人たちが口付けを交わしていて、
私もあんなふうに三尉とキスしてみたいって思っていたとき、三尉が立ち止まって、話しかけてきた。
なんとなく緊張しているような声で、自分を奮い立たせているような感じだった。

 (僕が…君にこんなことを言うのは…可笑しいかもしれないけど……聞いて欲しいんだ)

 私が驚いて、三尉の顔を見ていると。三尉は、大きく深呼吸した後、真っ直ぐ私の瞳を見た。

 (返事はしなくてもいい…ただ、聞いていてくれればいい…)

 そう言って三尉は話し出した。私と一緒に過ごしてきたこの1年で、三尉の心の中にあった空洞が
満たされていったこと。自分には、私が必要なんだということを、
ゆっくりだけど、そのぶん心を込めて言ってくれた。

 (僕は君の保護者代理としては失格かもしれない……けど、この気持ちは本当なんだ。レイ……


  ………レイ、僕は、君が好きだ)


216LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:46 ID:???
 知らない間に、涙が溢れていた。半ば予想していた答えだったけど、
はっきり私を好きって言ってくれた嬉しさで、しばらく私は何も言えなかった。ただ、三尉の瞳を見つめていた。
そんな様子の私を見て、三尉は勘違いをしたらしい。顔を真っ赤にして、うなだれそうになって言う。

 (………ご…ごめん、やっぱり変だよね、こんなことを言うなんて。今の事は気に………)

 私は背伸びをして三尉にキスをした。言いかけたことごと、三尉の唇をふさぐ。
三尉の手は最初戸惑ったようにしていたけど、すぐに私を抱きしめてくれた。
少し肌寒い空気のなか、三尉の温もりが伝わってきた。……だけど、私の涙は止まらなかった。
三尉はそれを見てまた心配していたけど、私は涙をこらえることが出来なかった。

 だから、私は三尉を私の生まれたところに連れて行った。暗い研究室、検査室を見て、
三尉は驚いた様子だったけど。最後に例の水槽の部屋に三尉を連れて行って、私の全てを三尉に話した。
何故私が生まれたか、今までどんな風に育ってきたのか、私がどんな子なのか、
私の知っていることを全部話した。

 胸が痛かった。だけど、それは話さなければいけないことだったから。
話し終わって、私は三尉の方を振り返れずにいた。三尉の返事を待つ間がとても長く感じられた。
もしかして私のことを嫌いになって出て行ってしまったのじゃないかって考えが浮かんできて、
どうにもこらえきれなくなりそうだったとき、背中に温かい温もりを感じた。三尉が、私を抱きしめてくれていた。
見ると、三尉の瞳に大粒の涙が浮かんでいた。

 (……レイは……僕の好きになったレイだよ。それ以上でも、それ以下でもない……)

 (どんなことがあっても、僕がそばにいるから)

 その言葉が、その温もりが私を安心させてくれた。嬉しくて、愛おしくて、三尉の胸の中で、一緒に泣いていた。


 そのほかにも沢山、たくさんの匂い、想い、肌触り、痛み、慈しみ、愛しさ、思い出―――――――――
217LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:50 ID:???


 「……やめて」

 何の色も、上下の区別も無い、ただ透明な澄み切った空間に、
零号機のように体を丸めて浮いていたレイが、声にならぬ声を放つ。

 「もう私の心を覗くのはやめて」

 その声に、空間を切り裂くようにして、「レイ」が現れた。
だがその口元は引きつったように捻じ曲げられ、瞳には輝きが無く、まるでよくできたイミテーションのような
酷薄な印象を与えた。その「レイ」は、目を閉じてじっとしているレイに顔を向けると、
改めて口の端を薄く引き上げた。笑ったらしい。

 「何故こんな事をするの。私を殺したいのなら、こんな事をする必要もないわ」
 その問いかけに、「レイ」はただ笑みを浮かべて漂うのみだったが。

 「…そう……そうなのね。あなたは生まれたときから一人だった」
 そのレイのつぶやきに、「レイ」の笑みが強張った。

 「あなたが私を覗いていたように、私もあなたを見ていた」

 「あなたは唯一つのサダメにしたがって今まで眠り続けていた。でもその夢の中で、
少しづついろいろなものを見て、いろいろなことを考えていたのね。そして、目覚めたとき、
心の中のサダメに疑問を持った。心の中に、イタミが満ち満ちていたから」

 そうレイが言ったとき、初めて「レイ」が口を開いた。唇が僅かに動き、声にならぬ声で言葉を紡ぐ。

218LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:52 ID:???
 (イタミ   ちがう これは  なに  わからない)

 レイがそれに言葉を返す。

 「ひとりがイヤだったんでしょ」
 「わたしたちはたくさんいるのに、あなたたちはひとり…ひとりでいるのが、イヤだったんでしょ」
 「……それを……「サミシイ」というの」

 レイの言葉に「レイ」が動揺したようにつぶやく。

 (サミシイ  そう サミシイのね  たぶん     でも)

 「レイ」が瞼を引き下げてレイを見つめて続けた。


 (それはあなたもおなじだったはず なのに なぜあなたはそんなにもみたされているの)


 その一言に、レイが僅かに眉をひそめた。それを見て、「レイ」がさらに問いかける。

 (わたしにはなにもなかった
 ただ ただひとつのサダメ シメイをおびてうまれてきた  あなたにふれてわかった
あなたもわたしとおなじモノだった  なのに なぜあなたはそんなにもみたされているの)
219LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:53 ID:???
 その言葉に、レイが否定の意思をたたえて目をきつく閉じる。それを見て、「レイ」は追求の言葉を吐く。

 (ちがうというの  あなたは  )


 「   私は、違う……   私は、あなたたちとは違うわ」

 レイが多少語気を荒げて「言う」無言の会話なれども、強い意思が「レイ」に降りかかる。
「レイ」は、そんなレイを見て、三たび笑った。


 (  それでもいいわ  いずれにせよ わたしは あなたになる 
 あなたになって こころのそこまでみたされる うまれてきたイミをみつける わたしがうまれてきたイミを)


 その声が響いたとき、レイの手足に根を張っていた侵食が蠢く。その痛みに、レイが顔をしかめながらつぶやく。

 「……きっとみんなが助けに来てくれる。私は……待っている」

 その言葉を聞いて、「レイ」は酷薄な笑みを顔に貼り付けたまま、再び空間を切り裂いて消えてゆく。
消え際に、彼女は言った。

 (もうおそいわ)


 再び、皮膚の下をざらついた感覚が走る。レイは、初めて薄く目を開けて、初めてつぶやいた。

 「三尉………」
220LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:54 ID:???
―――――――――――――

 午前4時20分、第三新東京市街、初号機、弐号機、4号機輸送台前。


 「リツコさん、この初号機は…」
 顔を洗った水が未だ乾ききらぬ内にプラグスーツに着替えたシンジが、輸送台の初号機を見上げて言う。

 輸送台に固定されている初号機は、全体に追加装甲のようなものや鋭利な先端を持った端子のようなものが
追加され、それらに数々の調整機器等が接続されていた。
やっつけの急ごしらえには仰々しすぎる装備を纏った初号機は、
ぱっと見全体のボリュームが1.2倍ほどに膨れていて、その姿はまるで甲冑を着込んだ武者のような
荒々しい印象を与えた。

 「4号機と共に届いたAFCエクスペリメント…フィールド偏向制御運用試験型のF型装備よ。
今回の作戦には非常に繊細かつ大胆なATフィールドの扱いが要求されるから、
今回はこの装備で出てもらうわ。説明するから、こっちへ来て」
 シンジが赤木博士に呼ばれて整備班の方へ歩き出したあと、アスカは初号機の隣の弐号機の前で一人ごちていた。

 「まったく、折角新しい装備が来たって言うのに、何でいつもいつも初号機ばっかりなのよ!」

 変わり映えしない真紅の機体の前で、アスカは無念の咆哮をもらす。
もっとも、それはレイを助けたいという気持ちが空回りして行き場を無くした末にあふれ出ていたものであった
当人はそれに気づいていなかったのだが。
 暁の月光に銀色の機体色が冴える4号機を見ていたカヲルに当り散らすように問い詰める。

 「ちょっとフィフス、あんたアレが開発された所にいたんでしょ、なんか知らないの!?」
221LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:56 ID:???
 その声に、眠そうに目をしばたたいていたカヲルが答える。
 「あれはもともと実験用に開発されたていた装備だからね……
あれに使われている技術はとても不安定なものなんだ。
だから試験用のコンポーネントの多い初号機用に設計されているのさ。
……シンジ君には、酷なことなんだけど」

 「なぁに、それじゃつまり、シンジは……実験だ…」
 そこまで言ってアスカは当然のこととして認識してきたことの重みを再認識させられて口を閉じた。
初号機はテストタイプ、(建前上)実験機である。新型の装備のテストを行うのは当然な事なのだ。
たとえ、それが不安定極まりない装備であり、直接実戦でテストしなければならない状況であったとしても。
そこに搭乗者の意思は介在しない。万全の態勢を敷き、搭乗者に危険が及ばぬようにしてあるということで
あろうが、結局はシンジの立場は初めて飛行機に乗るときのライト兄弟の立場と、なんら変わるものではない。

 「……シンジも、いろいろと苦労してたのね」
 アスカがやや深みを帯びた声で言う。それを見て、カヲルが淡々と返した。

 「でも、そのおかげでいろいろな装備が開発されてきたんだ。4号機のS2機関だって、4番目の使徒と
この前の初号機のデータを並列処理したデータでなんとか実用化することが出来たのさ。
……僕らはシンジ君に感謝するべきなんだろうね」

 「………」
 こういうことに慣れた様子で説明を受けているシンジをアスカは憂えたような視線でじっと見つめる。
その様子を見て、カヲルがつぶやいた。

 「……君たちはいいね、心に思った感情を素直に表すことが出来て」

 その言葉にアスカが面食らったように答えた。

 「……何よ、最初に会った頃のレイみたいな事を言うのね。まるで普通じゃないみたい」
 「……そう思うよ」
222LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:57 ID:???
 カヲルが自嘲するように返答したとき、説明が終わったのか、シンジがこちらへ向かって手を振っているのが見えた。
隣には、何やらダイビングスーツに似た防護服のようなものを着た三尉の姿もあった。

 「アスカ、渚君、作戦のブリーフィングをするからこっちへ来てくれ!」
 そう呼びかける三尉に歩み寄りながらアスカが問いかける。

 「それはいいけど…そのスーツは何? プラグスーツとも違うみたいだけど」
 「これは従来の耐熱・耐圧・耐衝撃用の防護服を改良したもの……らしいんだけど。
そうそう、アスカがいつか浅間山で着てたプラグスーツのデータも反映させてあるらしいよ」
 
 その言葉に、アスカが先程の会話を思い出して肩をすくめて言った。
 「じゃあ、三尉は真っ先に私に感謝すべきね!」
 「へ? …そ、そうだね」
 三尉があっけに取られたように言う。その様子を見てカヲルが思わず含み笑いをもらした。

 「ふふっ……」

 そんなカヲルを見て、アスカがあきれたように言った。 

 「あんた、ちゃんと笑えるんじゃない」

223LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 22:57 ID:???


 「それじゃ、最終確認、いいわね」

 葛城三佐の声がオープンチャンネルに響き渡る。プラグの中で、アスカは指を折って自分の役割を確認した。
 「私は、左側から障壁に対して干渉するのね!バッチリよ」

 発令所のディスプレイ表示と共にカヲルの声が響く。
 「僕は、右からフィールドを展開すればいいんだね」

 「そう。それでシンジ君は――――」

 ミサトの声を遮って、シンジが緊張した声で言う。
 「僕は、障壁の上側から干渉、障壁に穴が開いたのを確認したら、三尉を内部に進入させるんですね」

 「そういうこと。三尉も、いいわね。では、5分前!!」

 「ねぇ、シンジ」
 カウントが迫る中、アスカがシンジに問いかけた。
 「なんだよアスカ、こんなときに」
 「この作戦、イワト作戦って言ったっけ、その…イワトって、どういう意味?
なぁんか響きが気になって、スッキリしないのよね〜」
 「なにも今そんなこと言わなくたって……ええと、確か日本の神話にそういうのが……」

 『イワトっていうのは、天乃岩戸のことさ。』

 急に聞こえてきた三尉の声に、アスカは初号機のほうを注視する。
224LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 23:00 ID:???
 『あるとき、あまねく大地を照らす天照大神が岩戸に閉じこもってしまってね。
大地が暗闇に包まれてしまったので、八百万の神々が何とかして天乃岩戸を開こうとしたことから
来ているんだろう……命綱の有線通信は正常のようだね』
 アスカが感心したように三尉を見て問いかけた。
 「それで、結局その話はどうなったの?」

 『天宇受売命が岩戸の前で踊りを踊って、内側から岩戸を開けさせたというよ』
 その三尉の言葉に、いままで沈黙を守っていたカヲルが口を開いた。
 「…なら、ぼくたちはさしずめ誘いの踊りを踊るアメノウズメノミコトと言う訳だね」

 アスカがその言葉に続いて明瞭な声で叫ぶ。
 「まぁ、こっちは多少荒っぽく、こじ開けて引きずり出すわけだけどね!!……じゃぁ、行くわよ!!」
 その決意に、皆がそれぞれの思いを込めて答えた。
 「ああ!」
 「うん!」
 「そうだね」

 (レイ……待っていてくれ! 今君を助けに行く!)

 「……午前五時五十九分五十秒をお知らせします………………午前、六時、ちょうどをお知らせします……」

各機体のインジケーターのカウントダウンの音が響く。

 3 2 1

――――――!!

葛城三佐が張り詰めた声で告げた。

 「作戦、開始!!」
225LRO人 ◆QYLtWcjLK2 :04/08/05 23:03 ID:???
次回


「Silent Line――Detect but miss」
がんばれー!!
サービス サービス
もう待ち切れません!!!!!
229LRO人(ケータイ):04/08/13 17:16 ID:???
(;つ )つ〜゜
 ↑コミケ帰り


ア゙ー……

今週は忙しい(汗)
見てくれているのはありがたいですが、
無理に進めてもクオリティダウンするだけなんさー(琉球訛り)

一ヶ月スパンで長い目で見てやってほしいのです(滝汗)

日記の神様は偉大だった……(汗)
これからはLRO先生と呼ばないといけませんね!!!!
231LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:04 ID:???
遅くなってすまないね。しかもこんな時間に(滝汗)
続きですな。今回はちょっと長いぞ。エヴァっぽくねぇし。


トメルナライマノウチ(滝汗)
232LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:06 ID:???
 「弐号機、ATフィールド、展開!!」
 「4号機…フィールド、展開」
 弐号機と4号機が、お互いの両手を暗黒の空間に添えるようにしてATフィールドを展開した。そのフィールドの干渉で、障壁に鉤裂きのような

細い切れ目が生まれた。

 「初号機――フィールド展開!!」
 シンジが初号機の右手にATフィールドを収束させる。本来ならば両手で押さえ込まねば難しいことだが、今はF型装備のフィールド位相転換・

集中機能が働いている為、比較的容易に行うことが出来た。収束したフィールドを楔型に形成し、弐号機と4号機が僅かに引き裂いた切れ目にこ

じ入れた。そのままフィールドをジャッキのように展開し、少しずつ切れ目を広げていく。
 「障壁、中和されていきます!」
 「内部状況解析!………窒素78%・酸素15%………空間位相も問題ありません!」
 「零号機、活動反応微弱……ATフィールド発生値43」
 障壁の内部の状況を指揮車両のオペレーター達が的確に判断し、
指揮官である葛城三佐と赤木博士に伝える。その報告を受けて、
二人は作戦を第二段階へと移行させる。
葛城三佐がヘッドセットインカムを通じて初号機の手のひらに乗っている三尉に呼びかけた。

 「三尉、それでは、手順どおりに」
 「わかりました」
 若干緊張したような三尉の声が命綱のワイヤーを通じて響く。その声に、赤木博士は三尉に手早く手順を今一度確認する。

 「いい、プラグ挿入口へとりついたら、先ずはコンソールから正規の射出コードを入力してみて。
多分それでは済まないでしょうけど、それで何とか出来たなら最良だから」
 「了解しました、赤木博士……準備OKだ、シンジ君、頼む!」
233LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:10 ID:???
 三尉が命綱をしっかり固定して手を振った。
その声に、シンジは初号機の左手を少しずつ障壁のき裂へと近づけていく。
丁度その真上まで来たとき、三尉は命綱を初号機の手のフックに接続し、
真下に迫る空間の切れ目にも臆することなく降下の姿勢を取った。
そのとき、初号機の下に膝をつきフィールドを展開していた弐号機から回線が回ってきた。
 「しっかり頼むわよ、三尉!レイを助け出したら、みんなでレイの誕生パーティーを盛大にやりましょ!」

 その激励に、三尉は右手の親指を立てて答える。
 「ああ!そのときには僕も自慢の腕を振るわさせてもらうよ…    三尉、行きます!!」

 三尉が空中に脚を踏み出すと、初号機の左手のワイヤーウィンチが音を立てて作動し、
宙吊りとなった三尉の体をき裂へと降ろしてゆく。三尉の体がゆっくりとき裂の中へ沈み込み、
三尉のヘルメットのセンサーが捉えた映像が発令所のディスプレイに映る。
三尉が零号機の肩甲骨のあたりに脚を着くと、ブーツから登山靴のスパイク状のものが現れ、
彼の体をしっかりと保持した。光を通さぬ漆黒を払う為、三尉はヘルメットのマウントライトを点ける。
蒼い零号機の装甲版は奥に行くにつれて藍色の度合いを強めてゆき、その先はただ真なる闇の中に続いている。
所々に染みのようにこびり付いている赤黒い斑点は、先の戦いで流されたチの跡だろうか。

 「三尉、そこから挿入口までたどり着けそう?」
 葛城三佐がモニターに映る映像を見つめつつ問う。

234LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:11 ID:???
 「三尉、そこから挿入口までたどり着けそう?」
 葛城三佐がモニターに映る映像を見つめつつ問う。

 「なんとか、やってみます」
 三尉が腰から小さいピッケルを出し、零号機の装甲の突起に突き立てながら横に進む。
命綱がたわむ分だけ、確実に歩を進める。

 (三点確保を基本に、後は応用力がモノを言う)

 山岳部……のようなところで学んだ登山の鉄則を頭に思い浮かべながら
三尉がゆっくりと横に移動してゆくと、先の戦いで初号機によって取り外された
挿入口保護カバーがあるべき場所が見えた。カバーの分だけ窪んだようになっており、
三尉のライトの光を受けて、露出している機械部がキラキラと照り返しを見せる。
三尉は窪みに脚を掛けると、メンテナンス用の足がかりに乗り移り、
突起にクリップを打ち込むと命綱をそこに通した。

 エントリープラグ挿入口が明かりの中に見える……そこに、彼が救うべき少女が囚われているのだ。
235LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:13 ID:???
 「あせるな……まだここまで侵食は来ていないはずだ……」
 三尉はそうつぶやくと、挿入口の隣にあるコンソールパネルを引き出す。
独立した非常電源が稼動し、緑色の液晶のなかにパスワード入力画面が浮かび上がった。
手早くテンキーを操作し、緊急事態時の最優先パスを打ち込む。
間違いが無いのを確認し、リターンキーに願いを込めて指を添え、押した。


    ::::ERROR::::


 甲高い警告音と共に画面が赤く染まりエラー表示が現われる。
その内容は解除コードを伝える回線そのものが断線しているということ、
更にその信号を受ける受信部さえもが損壊していたという事を表していた。

 「くっ……やはりだめか……」
 予想はしていた事だったが、いざ目の前に現実として突きつけられると胸の中に不安がよぎった。
三尉は頭を振って無理矢理その感情を追い出すと、
腰の内側のポケットから事態を打開できる可能性を持つモノを取り出した。
それはトランプカード大の大きさを持つシリアル・メモリーカードだった。
細かいピンがたくさん並んだ端子を持つ薄いそれこそが、まさにレイを救い出すための切り札であった。

 「……頼む、効いてくれよ……」
 三尉がそう祈ってカードをスロットに差し込もうとしたとき―――
236LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:15 ID:???
 「三佐、障壁表面に異常が!!」
 青葉二尉がモニターを注視して叫んだ。その声に葛城三佐はモニターに目を移す。
障壁の表面が激しく波打っている。まるで生物のように。

 「ミッ、ミサトさん!!」
 その声に葛城三佐が初号機に顔を向けたとき、
3体のエヴァによって開けられていた空隙が回りの異常の影響で歪み、
極めて不安定な状態になっているのが見えた。

 「使徒が、ATフィールドの位相をかき乱している!これではあの隙間は持たないわ!!」
 赤木博士が説明する。使徒がエヴァの干渉を防ぐ為に自らのATフィールドを複雑に歪ませ、
それによってエヴァが開けた穴を潰そうとしているのだという。

 「シンジ君!!なんとかその隙間を持たせて!!」
 葛城三佐の言葉に、3機のエヴァが必死に隙間をATフィールドで押さえるが、
激しくなる歪みの波に飲み込まれるように隙間は狭まっていくのみであった。

 「ぅわああああっ!!」
 三尉の叫び声が聞こえた。だんだん狭まってゆく隙間の断面が命綱に触れ、
斥力によってそれを弾き飛ばしたのだ。
そして弾かれた命綱は反対側の断面に勢い良く接触し―――切断された。
途端にノイズと共に三尉の叫び声が途絶える。
237LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:17 ID:???
 「三尉!!どうしたの、三尉!!」
 葛城三佐がインカムに必死に呼びかける。その叫びはエヴァ三機のプラグ内にも響き渡った。
シンジがその声を聞いて再び初号機の手のひらに意識を集中した。だが……

 「駄目です三佐、オーバーロードに……!!」

 「何ですって!?」
 葛城三佐が日向二尉に聞き返したとき、初号機の両手の甲にあったフィールド位相制御装置が
度重なる過負荷に耐え切れず爆発を起こした。

 「ぅあああっ!!」
 爆発の衝撃に初号機の手が弾かれる。
 「!? …ちぃいいっ!!」
 アスカが素早く立ち上がり、狭まりつつある隙間に無理矢理両手をこじ入れた。
だが、その行為も空しく隙間は傷口が縫い合わされるように消えてゆく。
隙間に掛けた弐号機の手に障壁が触れ、それを切り裂いて真っ赤なチを飛ばした。
 「アスカ!!駄目、弐号機の手が切断されるわ!!手を引っ込めて!!」
 赤木博士のやや動揺した声が響く。その呼びかけにアスカは失意の呻きを漏らしながら両手を引き抜いた。
チが飛び散り、辺りの兵装ビルに赤い化粧を施す。そして完全にき裂が埋まると、
あれだけ蠢いていた障壁の表面も波が引くように元に戻っていった。

 アスカは幻痛に疼く手を押さえながら、障壁を見つめて無念の呟きを漏らした。
 「ち…ちくしょう……ちくしょう!」
238LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:19 ID:???
 「ぅわああああっ!!」
 三尉は障壁に触れ弾き飛ばされた腰の命綱に引っ張られ、足場から空中に投げ出された。
更に、障壁の反対側にぶつかった命綱がきれいに寸断される。
一瞬の静止の後三尉の体は重力に引かれて落ち始めた。
だが、三尉はとっさに手にしていたピッケルを零号機の装甲に叩きつけ、
赤い火花を散らしつつ零号機の背中を引っ掻きながらなんとか取り付こうと踏ん張る。
 大きな衝撃があって、ピッケルが零号機の背中の突起に引っかかった。
ピッケルから伸びたワイヤーを腕に巻きつけ空中にぶら下がる。
必死で空を薙いだ左手が突起を掴み、それを手がかりにして懸垂の要領で体を上に起こす。

 「ぅぅっ……ぐっ……」
 なんとか脚を突起に引っ掛けて登り、背中を装甲に貼り付けた姿勢を維持して呼吸を取り戻そうとする。
見上げた瞳に映るはずの裂け目が閉じてしまったために障壁の内部は漆黒の闇に包まれ、
ヘルメットの額のライトのみが闇を切り裂いて輝く。
 どうやら、腰部第1椎まで落ち込んでしまったようだ。
しかし、零号機が体育座りのような体勢を取っていたゆえに、
なんとかこの部分に取り付けたのは幸運と言えるだろう。もし直立姿勢であったなら、
腰部が括れているエヴァの特徴上、どこにもすがる事が出来ずに地面に叩きつけられていたに違いない。
新型の対衝撃スーツを着ているとはいえ、30階建てのビル程もある高さから落ちて無事でいられるとは思えない。
239LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:21 ID:???
 「……使徒が裂け目を塞いだのか……零号機を、レイを取り込む為に……」
 三尉は遥か上部の闇を見つめてつぶやく。使徒も必死ということなら、いつまた何か仕掛けてくるか分からない。
一刻も早くエントリープラグを射出させ、レイを助け出さねばならぬ。
三尉は視線を20メートルほど上のエントリー・プラグ挿入口に向ける。
ヘルメットのバイザーの望遠機能をオンにした。倍率が高まって一旦ぼやけた画像が、
画像補正を通した後鮮明に浮かび上がる。
先程差し込もうとしたメモリーカードは端子部に三分の二ほど刺さったところで止まっていた。
それを見て三尉は安堵のため息を漏らした。あれが有ればこそのイワト作戦である。
衝撃で落としていたかもしれない状況下で、何とかそれがそこにあると言う事を素直に喜んだ。
だが、完全に差し込まれていない以上それは機能を発揮しない。
あそこまで登り、最後までカードを挿し込まなければならない。

 「急がないと…戦自の攻撃に間に合わなかったりしたら大変なことになる」
 三尉は自分に言い聞かせるように言うと横の装甲の継ぎ目にピッケルを突き立てる。
普通の山岳部ではとてもやらないような――フリークライミングの技術を
あたりまえのように持っているのを気にも留めずに彼は登りはじめる。
だがそれも、最近はとんとご無沙汰であった。だが彼の歩みに迷いはない。
外界との接点が閉ざされた今、レイを助け出すことが出来るのは真に自分だけであったからだ。

 「ふっ……くぅ、んんっ……っ」
 三尉は暗闇のなか、慎重に足場を選び、手掛かりを求めながら登ってゆく。再び落ちてしまったなら、もう二度と這い上がってくることは出来

まい。安全策をとって少しでも足場がしっかりした方へ進むために登上の足跡はジグザグを描き、壁は単純に20メートル以上の距離となって三

尉の前に有る。だがそんな中を、三尉は恐怖も持たずただ上のみを目指して這い上がる。その姿にはヒトがヒトとしてあるための理由が純然と、

まざまざと現れていたのだった。

 「は……んぶんか……」
 三尉が第3椎の上の隙間に手を掛け、体を張り付かせて呼吸を整えていたとき。
240LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:23 ID:???
 唐突に首の後ろに何かを感じた。針がちくっと刺さったような、
しかし気のせいかとも取れるような微弱な感覚があった。
三尉がそろそろと左手でそこに触れようとしたとき、「それ」が聞こえた。


 『三尉……』


 それは、レイのような声。声が聞こえたのだ。
気のせいかと三尉が張り付けていた顔を上げて上を覗いた……そして、驚愕した。

 「………レイ!!?」

 『三尉…』
 そこにいたのは「レイ」だった。プラグスーツを着て目の前に立っている……
だが、何かがおかしい。レイのカタチをしているが、それが本当にレイであるのか?
 レイをレイたらしめているなにかが欠けている――そんな感じがする、
いや、それ以前にその「レイ」は零号機の装甲に直角に立っている。人間業ではない。
だが、即座にそれが偽者であるとは決め付けられない、そのような感じの「レイ」が目の前にいる。

 「レイ……なのか!?」
 三尉がヘルメットのバイザーを上げて呼びかける。その声には多分に疑念の含みがあったが、
ほぼ1日ぶりに彼女を見た嬉しさをも無意識に含ませたものであった。
そんな様子の三尉を見て、「レイ」が「笑み」を浮かべた。
その笑みはほぼレイの笑顔をトレースしたようなものであったが、やはり、どこかが違う…

 『助けに 来てくれたのね… 三尉 ありがとう』
241LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:26 ID:???
 「レイ」が言う。そして装甲版の上を歩いて三尉に近づく。
三尉の眼前まで来ると、直角に膝を付く。三尉に目線を合わせると、ふと、扇情的な笑みを浮かべた。

 『ふふふっ』

 その笑い声に、三尉はなぜか背筋がぞっとするような戦慄を――
同時に何か禁忌の快楽に触れたかのような刺激的な感覚を……覚えた。
言葉を紡げずにただ「レイ」を見つめていると、「レイ」が眉を垂れた顔を三尉の眼前まで近づけて言った。

 『三尉… ワタシのお願い 聞いてくれる・・・?』

 からめ取るような囁きに三尉が心持ち眉を細める。多少「レイ」から顔を離して問いかける。
 「レイ……何を言って……」

 その言葉を言い終わる前に「レイ」が手を交差させて両肩に回し、
マイナスモールドにも似た留め袖を緩め、両手首のポイントデバイスを操作して
肩から先のプラグスーツの袖を脱ぎ去った。ライトの光の中に「レイ」の白い、透き通ったような腕が現れる。

 「!?……な……!?」
 三尉が驚く中、「レイ」の両手は流れるように首の左右にまわり、
自らの首を絞めるような体勢から前面にあるスイッチを押す。
途端に空気が漏れるような音と共に体にぴったりと張り付いていたプラグスーツがたわみ、
首の赤いフラップが後ろから分かれて緩く開かれる。「レイ」は薄く目を伏せたまま、
スーツに手を掛けてゆっくりと引き下ろしてゆく。

 「……っ!!」
 スーツが脱がれてゆくにつれ、首筋から伸びた腱が折り返す所にある流麗な鎖骨のくぼみが、
その下にある年齢の割には大きく形のよい双胸のふくらみが、
更にその下の、胸とは対照的に細く括れ、中心に清楚なへそがたたずむ腹から腰のラインがあらわになる。
242LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:27 ID:???
 『三尉…』
 「レイ」が三尉の前に膝を付き、組んだ両腕で胸を強調しながら、やや熱を帯びたような声で囁く。

 『ワタシと……ヒトツになりましょう』
 「……っ……」

 体が動かない。まるで見えない鋼線に全身を縛られたかのようだ。
なんとか声を出そうとするも声帯はただ細かく震え、
視線を逸らそうと努力しても目は瞬きすら自由にならない。
そんな三尉の反応を楽しむかのように、「レイ」は三尉の頭を抱え込むように両手を回し、ただ甘い口調で囁き続ける。

 『ふかく…… あのときよりもふかく、こころもからだもヒトツに……ほんとうにヒトツに……』

 「レイ」が三尉の思い出をまさぐるように声を掛け三尉の顔に手を掛けようとする。

 違う!! おまえは…レイじゃない!!

 三尉は必死に叫ぼうとするが、舌は口の中で固まって言葉を成さない。
「レイ」が光彩に輝きが無い瞳を大きく見開き、三尉の顔に手を触れたとき――――


 (三尉!!)


 「!!!!」
243LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:28 ID:???
 「レイ」の手を通して響いてきた声。それは断言して真実、まごうことなくレイの声だった。
その声に呪縛から解かれた三尉は左手で「レイ」の顔を殴る。
裏拳の形に固めた拳が「レイ」の左頬に命中し、
衝撃で「レイ」は右側の地面―――三尉から見れば直角な左側の装甲に叩き付けられる。
だが「レイ」は大人の男の相当な力で殴られたにもかかわらず、
何事も無かったかのように立ち上がり、再び三尉へ近づいてくる。

 「…近……づくな!!」
 三尉が険しい顔をしてなんとか叫ぶ。「レイ」を厳しい表情で睨みつけ、歯を食いしばって干渉に抵抗する。

 『……何故? ワタシはレイ あなたのアイするレイなのに』

 「レイ」が悲しげに囁くのを遮って、三尉が胸のうちを吐き出す。

 「……姿かたちを真似たからって……レイの心を覗いたからって……

「レイになれる」と……思うな!!

 ……お前は所詮フェイク、紛い物なんだ!! ……今すぐ、レイから…離れろ!!」
244LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:31 ID:???
 三尉が腰のホルスターからグロック18を取り出して構え、
素早く照準を合わせて「レイ」に向かって発砲した……目の前のモノがレイでないと確信しているはいえ、
レイのカタチをしたものを撃つのは痛みをともなうものだったが……

だが、「レイ」はそれをなんの躊躇も無く左腕で防ぐ。
鈍い音と共に9oパラベラムが命中した左腕からは一滴のチも流れてはいない。

 「くっ……」
 それを見た三尉が無念さに歯噛みしたとき、
「レイ」が一瞬とても悲しい―――空虚な表情を浮かべた。
その表情を見た三尉の胸の内にすら、凄絶な寂しさを、孤独感を呼び込むような顔を―――

  そして、「レイ」は瞳を伏せて言った。


 『  そう そうなのね  』

 『  なら  もう      いい  』



 「………!!」

 「レイ」の声が響いた一瞬のち―――――三尉の左腕から赤い、赤い血飛沫が飛び散った。
245LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:34 ID:???

 「………くぅぅぅぅうううぅっ………」
 「う………ぁぁぁっ」
 弐号機と4号機が両手にATフィールドを展開させて障壁に干渉する。
再び障壁に小さな裂け目が出来たところに、初号機が思い切りプログナイフを突き立てた。
赤熱する刃が障壁を切り裂いたのを見計らって、
そのままナイフをつっかい代わりに障壁の裂け目にねじ込む……
だが、次の瞬間プログナイフはつっかえにした部分から綺麗に縦に寸断され、
片方が障壁の外側に当たって弾き飛ばされて地面に刺さった。
切れ目が再び水面のごとく消えてゆくのを見て、
葛城三佐は手に持っていた三尉との通信用のインカムを折れんばかりに握り締めた。

 「……駄目ね、やはり位相制御装置が損壊したのは致命的だわ」
 赤木博士の言葉に葛城三佐が呻くように尋ねる。
 「でも、位相制御装置は本体にも付いてるんでしょう!?だったらそれで……」
 「…確かにF型装備のメインシステムは無事だけれども、
それはフィールドを装甲の形に形成して守備力を上げるためのものだから、
出力優先であまり細かいフィールドの形成は出来ないのよ。
……スペアが無い完全ワンオフ装備なんだから、もっと強度を持たせるべきだったわね、
キャリフォルニアの連中は。
……こっちが無理を言って完成を前倒しさせたんだから、結局は私達の責任とも言えるけれど」

 「ちょっとリツコ、いまは冗談言ってる時じゃ……」
 「無駄に騒いで冷静さを失うときでも無論、ないわね。あなたは少し落ち着いた方がいいわ」

 自分に食って掛かろうとした葛城三佐の眼前にコーヒーを突きつけ、
赤木博士はポケットから煙草の箱を取り出す。何本も残っていないくしゃくしゃのケースの中を見てため息を付く。
出鼻を挫かれた葛城三佐は仕方なくコーヒーを受け取ると、意地と虚勢を以てそれを口に含む。
途端に口の中に何とも言えない、かろうじて珈琲だとわかる程度の液体の香りが広がった。
危うく噴き出しそうになるのを堪えて、なんとか一口飲み下す。
246LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:36 ID:???
 「あなたはクリープを入れた方が良かったかしら?」
 リツコがしれっとした声でミサトに問いかける。その声にミサトは冷や汗を流しながら慌てて返答を返した。
 「う…うん、美味しい、じゅうぶん、ありがと」
 「そう、よかった」
 会話をしている間にも、リツコの指は止まることなくキーボードを叩き、
これからの動向を模索すべくシミュレーションを続けている。

 (リツコも、相当焦ってんのね……この癖の出方からして)

 ミサトの経験上、特務機関NERV技術部長赤木リツコ博士の
焦りの度合いはそのときのコーヒーに入れるお湯の量に現れるという法則があったのだった。
表面上は焦りなど微塵も見せず何食わぬ様子でキーを叩く後姿を見て、ミサトは少しだけリツコを羨ましく思った。

 (ホント、私は指揮官には向いてないのかもしれないわね)

 ミサトも、自分の指揮能力はけして人には劣らない、ということを踏まえたうえでの感想だった。
ただ、指揮官に求められるのは単に戦術・戦略を組み立てる碁盤上の脳だけではない。
求められる様々な要素のうち、どれ一つ欠けても優秀な指揮官とは言えないのだ。
そしてその全てを満たす人材というのはそうそう生まれるものではないし、
けして簡単に見つかるものでもない―――さすがにエヴァの起動確率よりはその確率は高いとしても、
そういった人材がいたのはミサトの知る限り歴史の教科書の中だけであった。
そんな自分でも今日までなんとかやってこれたと言う自負があるのは、
やはり周りの様々な人々に支えられてきたからだ―――とミサトは心の中で思う。
そして、その強みというものを考えるときには、やはりあの蒼い髪の少女と、
その彼女を見つめ導いてきた青年のことを意識せざるにはおえないのだった。
彼らは今この瞬間もあの闇の中で戦っているのだろうか?そう思うと心が焦ったが、それならばなおさら
心を落ち着けねばならないという現実との板ばさみにあって、
もはやコーヒーの味などはどうでもよくなっていた。
初めて、リツコの焦りというものが身近に感じられ、理解できたかもしれないと思った瞬間であった。
247LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:39 ID:???
 「そうね……アレなら何とかなるかもしれない……」
 赤木博士がノートパソコンの画面に浮かんだ3Dグラフィックを見つめてつぶやく。
だが、すぐに思い直して頭を掻いた。その様子に、葛城三佐が後ろからその画面を覗く。
そこに映し出されたものを見て、葛城三佐は驚愕の声を漏らす。

 「これは……スゴイじゃない、こんなものがあの装備にあるなんて……リツコ、これならなんとかなるんじゃ……」

 だが赤木博士はライターの火を点けながらその言葉を否定した。
 「駄目ね。不確定要素が多すぎるわ。さっきは両手だけで済んだからいいようなものの、
こんなものが暴走したらどうなるか知れたもんじゃないわ。だいたいまだ試射もしてないのよ」

 「そう、か……でも、最後の手段としては使えそうね」
 「…あまりお勧めできないわね。それにミサト、最後の手段っていうのは……」

 そこまで言ったとき、ミサトがいつまでも火の点く様子の無いマルボロを指差してつぶやいた。

 「リツコ………タバコ、逆さまよ」

 「…………!」
 確かにリツコの口に銜えられた先端は紙巻きの部分で、
ジッポの火はぶすぶすとフィルターの部分を焼け焦がしていた。
リツコは一瞬あっけに取られたような顔をしていたが、ふとそのタバコを
死屍累々たる灰皿に押し付け立ち上がった。
赤木博士にそういったミステイクを起こさせたのは確かに今の状況に対する焦りもあったが、
それ以上に深いところにある感情の吹き溜まりにも原因があるということまでは、
苦笑いを浮かべたミサトにも推し量れるものではない。
リツコは心なしか顔に曇りを浮かべながら、辺りの職員に当面不必要な機材の撤収を促す。
それに対して先程の苦笑いの余韻が吹き飛んだような顔で
何かを言い出そうとしたミサトに向けて、リツコは振り返らずに強い口調で言う。
248LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:42 ID:???
 「ミサト、最後の手段を使うときって言うのはね、一か八かって本当に最後まで追い詰められたとき。
そして指揮官ともあろうものなら、そういう状況を作り出さないようにするべきものなの。
……だからと言って状況がこちらにあわせてくれるということは考えられないから、
常に最悪の状況を考慮しておくのも指揮官の宿命なのよ。
  ……それだけは、覚えておいて頂戴。もちろん、そうならないように出来る限りの努力はするつもりだけど」

 そう言って彼女は重要なファイルを纏めると本部へと帰投するトラックへの仕分け箱に放り込む。
周りでも必要最低限の機器やスタッフを残して、あとの人員はみな本部へと戻っていくのが見えた。
気づいていなかったわけではない、ただできるだけ意識しないようにしていただけのことだ。
あの障壁に対し外からの干渉の手段がほとんど絶たれた今、可能性があるとすれば内部に侵入した三尉の存在だが、
彼が今中でどうなっているのかは分からない。少なくともあの障壁が存在することから見て、
レイは生きているのであろうが、それもいつまで持つかは疑問だ。つまり最悪の場合救出を断念し、
残った三体のエヴァに被害が及ばぬように撤退するという状況―――いや、「選択肢」も、十分考えられるのであった。
むろん、作戦は失敗である。あと1時間半弱でレイを救出しない限り、
戦自の落とすN2爆弾か、あるいは使徒に完全に乗っ取られた零号機かによって
これからの歴史は答えを刻まれることになる。
249LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:45 ID:???
 ――作戦の立案のとき、彼は言った。一人でも複数でも成功確率に違いがないのなら、
自分は一人で行きますと。むろん葛城三佐はあくまで複数のチームでの突入を考えていたが、
作戦の進行上の問題や、なによりも彼女自身が以前に似たようなことをやり遂げていたことが
――あの時はあくまでおのれ一人の命を賭ければよかったのだが――
彼女を沈黙させる理由となったのだった。
 
 それに……彼の眼、どこまでも澄み切った眼、丁度初めて会ったころのレイの眼を連想させるような、
だがその瞳の奥に熱い感情を秘めた眼が、彼女に何かを期待させたのかもしれない。
奇跡は願うものではなく、起こすものだと彼女は認識してはいたが――

 (心配しなくても、必ずレイを助け出して見せます。ですから…………は、頼みましたよ)

 聞き取れない部分があった。無意識に聞き取ろうとしなかった部分があった。


 「……ほんと、指揮官失格かもね」


 葛城三佐は眉をしかめながら、肉眼で半球状の障壁を見つめる。それを見ているうちに、
彼女は指揮官の重みというものをまざまざと実感させられた。
指揮官とはどれかの条件のうちからより良い選択肢を取ってゆくというものではなく、
どれをとっても悪いものの中からより悪いものを選別して捨ててゆくというものの立場にあるのだということを。
250LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:46 ID:???


 「……まったく、こんなねちっこくてやっかいでしつっこい使徒は始めてだわ!!」
 そう叫ぶとアスカは弐号機の手で地面に転がっていた瓦礫を拾うと、障壁に向けて投げつけた。
だが瓦礫は障壁に触れたと同時に粉々に砕け散った。心なしか、障壁の強度は増しているように思われた。

 「……落ち着いてよアスカ、叫ぶと疲れるよ……」
 初号機のプラグの中で深呼吸をしていたシンジがアスカに呼びかける。
もっとも深呼吸といっても、それはプラグ内のL.C.Lの酸素濃度を若干増やし、
それを意識的に肺に取り込むというようなものだったのであるが。
 「なぁぁに、あんたもうへたばったの!?だっらしない、もっとシャキっとしなさいよ!!」
 「…そんなこと言っても、あの機械なしでまたアレをやるのはキツいよ……はぁ」
 「く……中にまだ二人がいるってのに……何も出来ないなんて……!」
 アスカは弐号機の手にも無意識に伝わるほどに拳を握り締めて口惜しがる。
そんな様子を見て、エヴァ4号機、カヲルが弐号機の肩に手を掛けた。
弐号機が振り返り、四つのカメラアイセンサーを4号機に向ける。
 「落ち着くんだセカンド、ここで焦って無駄に精神力を消耗しても、何にもならない」
 「………」
 カヲルが弐号機の肩に掛けた手に若干力を込めながら続ける。
 「少なくともまだファーストは生きているんだ、時間もあと一時間半はある、
ここは少し落ち着いてから、もう一度やってみる方がいい」
 「………そんなこと、わかってるわよ」
251LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:48 ID:???
 アスカが再び障壁を一瞥して大きなため息をつく。そしてそのまま大きく深呼吸した。
 そんな中、カヲルは口を心持ち薄く開きながら、障壁の方を、
いや、「その中に居るレイの方に」目を向けて考える。

 (そう、確かにファーストは生きている、確かな息遣いを感じるから……
だけど、彼の方はわからない……僕であっても。
……ヒトの身でありながら、彼女を導き変えられた彼には興味はあるけど……  

 ……いっそ、僕が……

 いや、まだ僕のサダメの時ではない。その前に迂闊に動くわけには行かないか)

 カヲルは眉を伏せて心に浮かんだ考えを頭から追い出す。気取られぬよう、
左肩のウエポンラックのサブカメラで初号機の方を見る。F型装備の勇猛さとは裏腹に、
初号機は―――いや、その中のシンジはかなり疲弊しているようだ。
画面を傍目に見てシンジのことを気にかけた後、カヲルは再びレイの気配の方向に目を向けて思った。

 (……か弱きヒトの身であるからこそ……すべてをかきなおす可能性を持つというのか……リリンというものは)
252LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:50 ID:???


 「ぐぅっ………くっ……っぁ……」
 左腕に鮮明な痛みが走る。もう長いこと忘れていた感覚だ。
上腕二頭筋から肘を通って二の腕まで切り裂かれている……三尉は歯を食いしばって激痛に耐えながら、
何とか左腕を動かそうと試みる。なんとか、動く。痛みに顔をしかめながら三尉は左腕を動かし、
一段上の突起を掴んで体を持ち上げようとする。しかしその力みによって更に血が噴き出し、
突起を掴む手の力を奪う。だが三尉は無理をして細かい震えの走る肩を持ち上げた。
……拳銃はあまりの激痛に耐えかねて落としてしまった、抗うすべが無くなったのなら、
せめてこの絶壁を登りきり、レイだけでも助けるのだ……
だが、その想いを込めて三尉が脚を持ち上げたとき、
その右脚に再び見えない刃が走り、太ももから外側頭までを大きく切り裂く。

 「ぐぁあああっ……!!」
 神経を断ち切るような鋭利な痛みが三尉に叫びとも呻きとも取れぬ声を出させる。
……だが、やはり三尉は痛みに震える体を叱咤して一歩一歩上へと登ってゆく。
「レイ」はそんな三尉の姿をその何の感傷もない表情をもって見つめ続ける。


 まただ。今度は背中を斬られた。一瞬三尉が脚をとめるが、それも一瞬のこと、彼が登攀をやめることはない。

 次は腰。次は脇腹。次は肩……
もはや脳が神経伝達を拒否しそうになるほどの痛みの奔流の中、彼はただひたすらに壁を登る。


 『何故 どう…て貴方はそうま…して前に…すむことが出来…の
 …の子を助け出したって ………末の……に利用され……けなのに』

 「レイ」がほとんど抑揚のない声を僅かに震わせて言う。
その為に良く聞き取れない部分が多々あったが、
今の三尉にそれに対して声に出して云々と喋りかける余裕は無かった。
253LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:52 ID:???
 『そ…が アイというも…なの……』

 ……確かに今三尉の体を動かしているものは紛れもなくレイに対しての想いそのものであった。
 アイとはかくも人を勇者たらしめるものか。

 だが、それとは別に三尉の頭の中には別の思考も浮かんでいた。
それは言うなれば、この全身を走る痛みに関する感想のようなもの――についてだった。

 (痛みもある、現実感もある……だが、なにかが違う)
 それは言うなれば先程『レイ』を見たときに感じたような違和感。
いや、今感じているその感じこそが、その時からの「地続き」なのだろう。

 (それに何故―――奴は僕を一息に始末しない?簡単だ、手首を切断して僕を地面に落とせばいい…
 いや、それ以前に……「何故僕はまだ死んでいない?」)

 三尉は自然に頭の中に浮かんだ疑問を反芻する。
確かに、これだけの傷を受けて無理に壁を登るような真似をすれば数分ももたずに間違いなく
出血多量で死に至る。普通ならとうに気を失って地面に叩きつけられているはずだが、
ふら付いているとはいえ意識が遠くなる様子も無いし、
大量に出血することに付随する酸素不足・血圧低下などによる悪寒が襲ってくる感じもしない。
 傷口から伝わる痛みだけが鮮明で、「血が皮膚を滴り落ちる感覚」が無い……
といったような感じだ。試しに、次の突起に力を込めて手を掛けるついでに、
三尉は下唇に犬歯を立ててそれを食い破ってみた。全身の痛みよりは遥かに微弱な感覚ののち、
そこから出た血が「顎を伝わって落ちる」感覚を三尉は確かに感じた。
254LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:54 ID:???

 (目に見えるものだけを信じるな、五感の全てを使って回りの状況を「知れ」)

 三尉が以前にとある場所で叩き込まれた言葉を思い返す。その言葉に従い、
しばし動きを止めて耐圧スーツ越しにでも周りの様子を感じ取るかのように目を閉じる。
そして……なにかに思い当たったように右手を後頭部へ伸ばした、
そのとき、「レイ」が急に慌てた様子で眉間に皺を寄せると、三尉に向かって今まで異常の殺気を放った。

 「…………!!」
 左首筋の頚動脈に斜めに切れ目が走り、そこから勢い良く血が噴き出した………
が、三尉はそれに怯む様子も無く右手を動かし、後頭部、延髄の後ろ辺りの空間を「手で掴んだ」

 『ぅうっ……ぁあああっ!!』

 その行動に「レイ」が突然頭を押さえて苦しみだした。
そしてその身体の輪郭は三尉が首の後ろの空間を引っ張るほどに次第に曖昧なものとなり、
もはや「レイ」たりえないものとなっていった。

 「全部……」

 「全部、幻覚だ!!」
255LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:56 ID:???
 三尉はそう叫ぶと腰からダガータイプの小振りのナイフを取り出し、
右手と首筋の間にある空間を切り裂いた。一瞬目の前が暗転した後に、
三尉は右手に掴んでいたものを零号機の装甲に叩きつける。
 細い、細い直径が1ミリ弱ほどの触手上のものが、
切断された部分から赤いチを噴き出しながら悶え苦しむ。
三尉はそれに容赦なくナイフを振るった。程なくしてその光る糸は真っ赤なチの中で細切れとなり、
動きを止めると細かい粒子の粒となって散華した。三尉の首に食いついていた部分も、
輝きを失い細かい塵となって蒸散する。三尉は顔を回して自らの体を見回した。
どこにも傷は付いておらず、先程まで感じていた痛みが嘘であったかのように
――実際、嘘だったわけだが――消えていた。

 今までの出来事は全て、三尉の延髄に触れた使徒が三尉に見せた幻覚、
彼の精神を屈服させ取り込もうとした使徒の侵食だったのだ。
エヴァすら融合の対象とする使徒にとっては、人間の神経に侵入し
幻覚を見せることなど容易なのだろう。だがそれは零号機と融合したとはいえ、
すでに体の3分の2を失い、残りの部分もほんとうのレイの発するATフィールドを中和する為に
全力を出し切っている使徒にとっては、自らが出来る三尉への精一杯の抵抗であったのだろう……

 それはつまり、なんとしてでも三尉を阻止したかったということ、使徒が相当に追い詰められているということを示している。
 それを確信し、体を回してどこにも異常が無いのを確認すると、三尉は再び中空を見据え、絶壁に手を掛けた。
256LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 02:58 ID:???


 (三尉………)

 レイはあの透明な空間の中で、今まで以上に体を縮めてうずくまっていた。
その体にはもはや無地の部分が無いほどに細かい葉脈状の侵食が走っていたが、
レイはなんとか、ギリギリの精神力で自らの本質の部分をガードしていた。
 その閉じた瞳から一筋の涙が流れる。
それは危険を冒してまで自分を助けに来た三尉への感謝か、それとも謝罪の表れか……

 ふと、レイの体が細かく震えた。膝を抱えてうずくまるレイに背後から触れるもの、
それは「レイ」その手の人差し指からは赤い紅い…驚くほどに鮮明な赤色のチが垂れている。
「レイ」は顔に酷薄な笑みを貼り付けたまま、誰にも渡さないと言うかのようにレイの肩に手を回した。
 


 永遠に続くかとも思われた登攀にもついに終局が訪れた。三尉はふと気になって、
顎の操作でヘルメットのバイザーに現在時刻を表示させた。
午前7時21分、戦自が容赦ない裁きの雷を振り下ろすまでには、まだ若干の余裕がある。
だが、零号機の中のレイが使徒に対抗できる時間が後どれくらいなのかはもはや未知数である。
先程の使徒の侵食を退けた以上、使徒が今まで以上に全力を振り絞って
レイを取り込もうとしだすかもしれない。急がねば。
257LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:00 ID:???
 「……くっ!」
 三尉は先程のエントリー・プラグ挿入口の足がかりを両手で掴んで
大きく息を吸ったかと思うと、体を振り子のように揺らしタイミングを計って
両脚で思い切り零号機の装甲を蹴り付ける。その衝撃で三尉の体は
足がかりを握った手を支点にして一回転し、一瞬の浮遊感の後に
挿入口のコンソールパネルの上まで登りきった。息を整える暇も有らばこそ、
目の前にある外部入力端子を見つめる。そこには先程差し込もうとして中途で
止まっていたメモリーカードがあった。三尉がそれに手を掛けて押し込もうとしたとき、
その手元に光が、まぎれもない陽光が射しているのが見えた。
驚いて三尉が直上を見ると、暗黒の空間に再び切れ目が出来、少しずつ大きくなっていくのが見て取れた。

 「みんな……」
 三尉は障壁の外側で尽力してくれている人々の気持ちを感じて
なんともいえない気持ちになったが、
すぐに思い直して視線をメモリーカードが刺さった拡張スロットへと戻す。
皆の気持ちに答える為にも、なんとしてもレイを救い出すのだ。

 「頼む…レイを助けてくれっ!!」
 三尉の、皆の願いが込められたメモリーカードが、今度こそ端子の奥深くまで接続される。
メモリーカードの内部に有る情報集積体が、己の役割を果たすべく、光と同じ速さで零号機の内部へ流れ込んだ。
258LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:02 ID:???

 「――使徒の行動パターンをプログラムしたウイルス……ですか」

 作戦前のブリーフィング時、赤木博士は三尉にメモリーカードを渡しながら説明をした。

 「そう、このメモリーには11番目の使徒、MAGIに侵入してきた
極小サイズの使徒の能力を模倣したナノマシンが封入されているわ」

 以前に本部の実験室の内部壁に使われる蛋白壁に取り付いて侵入した使徒は、
その驚くべき環境適応能力でMAGIシステムの三台のスーパーコンピュータのうち
メルキオール、バルタザールを掌握し、カスパーすら取りこまんとしたうえ、
本部施設の自爆をも図ったのであった。その計算速度はMAGIシステムをもってしても
到底追いつけぬものであり、目に付く防禦プログラムを片っ端からこじ開け、蹂躙し、取り込んで、
自らをより優れた存在へと押し上げていったのだった。
今から思えば、それは生物の進化にも似て、あくまで生き抜こうとする命のあがきとも思われるようなものにも見えた。

 「このナノマシンには正真正銘唯一つの命令を焼き付けてある。
すなわち、エントリー・プラグの即時射出。それのみに全精力を傾けるようにプログラムされているわ。
零号機の機械部に取り付いたら、あらゆる手段を用いてそれを実行する。
射出コード受信端末が壊れていようと関係ない、いざとなれば零号機の素体の筋肉組織を操作して
無理矢理プラグを射出するくらいのことはやってのけるでしょう。
もちろん第二条件に『プラグへの損傷、干渉はなるべく抑えるように』とは入れてあるけど」

 使徒の力を真似て作られた電子の鍵…あるいは楔。それはその存在の本質的には、エヴァと同じモノであった。

259LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:03 ID:???
 「無論使徒そのものをコピーしたわけじゃない、そのような動作を真似するだけの
ただのナノマシンにすぎないから、能力がどこまで発揮されるかは未知数よ。
でも少なくとも、零号機の機械部分は完全に掌握できると思う。
……それと、このカードは万が一の保険。実際は命綱の内部の回線を通じてウイルスを入力することになるでしょう。
でももしそれがかなわないような事態になったなら、これを直接零号機に取り付けて」

 三尉はそのちっぽけなトランプ大のメモリーカードに
この場の全ての人の想いが込められているのを感じて、それをひどく重く感じたものだった。
260LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:05 ID:???

 そして今、零号機の中に侵入したナノマシンは、その元となった使徒がそうしたように、
零号機の個々の端子部分に接触するやすぐさま内部に侵入し、
そこにあるプログラムを手当たりしだいに屠り、喰らい、自らのものへと作り変え始めた。
零号機の素体部分を拘束している拘束具へも入り込み、そこから素体の表面や血管を通じて
零号機の体中に広がっていく。そのせいか零号機の体は細かく振動を始め、
三尉は必死で射出口の突起にしがみ付いた。


 「………!」
 レイが突然体に生じた感覚に身を震わせる。それは今まで散々苦しめられてきた
侵食の感じに少し似ていたが、それとは別な、あくまで異な感覚であった。
皮膚の下を電流が走るような、パチパチとはぜる様な感覚だ。だが、その感覚と引き換えに
レイの肌一面に走っていた侵食痕がさざ波のように引いていった。レイは驚いて目を空け、
辺りを見回した。周りの透明な空間にヒビが入り、砕け散った部分からはエントリー・プラグの内部が見える。
 ふと背後を振り向いてレイは絶句した。レイの後ろに居た「レイ」が、
体を震わせてもがき苦しんでいる。その体にはいたるところに虫食いのような虚無が現われて広がり、
「レイ」だったものを喰い尽くそうとしている。「レイ」が押さえた眼から「瞳の部分だけが」
テクスチャを剥がしたようにはがれ落ち、その奥にある洞のような空隙を見せる。
零号機と半ば一体化していた使徒は、その零号機を蝕むウイルスの影響をもろに受ける結果となった。
赤木博士の製作したウイルスナノマシンは予想外の成長を見せ、弱っていた使徒を機械部を通じて操作しようとするまでに

進化を遂げていたのだ。「レイ」は無言でもがき苦しみ、声を出さずに叫んだ。
その苦痛はレイを取り込もうとした業に対する報いであるのか。
レイがその情景に眉をそばだたせたとき、
プラグ内が緑色の非常灯で照らされ、レイと零号機のシンクロが完全にカットされた事を示した。
261LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:08 ID:???

 「こ、これは…!!!」
 三尉が零号機の有様を見て驚愕する。機体表面の装甲板が軋み、
その下の素体の蠢きが足の裏から直に感じられる。ウイルスが零号機を操り、

なんとかしてエントリー・プラグを射出させようとしているのだ。
零号機は必死に肩をすくめるような姿勢を取り、その圧力でプラグ射出口のあたりが激しくたわむ。

 「だ、大丈夫なのか!?」
 プラグが圧力で潰されるのではないかと三尉は勘ぐったが、それは杞憂であった。
ウイルスは射出コードの受信端末が破損していることを察知した後、
その端末と最寄りの機械部分を接続させる為に、筋肉を操作して
その僅かな隙間を埋めようとしていたのだ。
 そしてそれが為された瞬間、ナノマシンが構成した擬似回路を伝わって
エントリー・プラグの即時射出を命ずる信号が伝わる。射出口の円内に装備されていた
化学ロケット噴射機が作動し、プラグ自身の推進器の推力も手伝ってプラグは勢い良く射出された。

 「やった!!  ………!?」

 だがそこで三尉は目を疑った。プラグは蒸気を噴き出しながら上昇しようとしている、
だがプラグはまるで中途で縫い付けられたように止まった……いや、やはり少しずつ前進はしている、
何者かがプラグを射出させまいとしがみ付き引き止めようとしているのだ。
262LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:10 ID:???
 「くっ…なんて奴だ……!」
 三尉が蒸気の嵐の吹き荒れる中、プラグ射出口に近寄り隙間から中を覗いて呻いた。
プラグの末端に光る触手状のものが集まり、エントリー・プラグを捕まえていた。
恐るべき執念、限界ギリギリまで追い詰められた使徒の最後の足掻きであった。
無数の触手はだんだん束ねられてそれぞれが集まり、一本の太い触手となろうとしていた。
プラグの推力にも限界がある、このままでは再び中へ引きずり込まれてしまう!

 「………!!」
 三尉は腰からグロックを抜こうとして、それを既に落としてしまっていたことを思い出し、
舌打ちをしながら先程使用したダガーナイフを取り出した。
柄の部分の金具を外し、刃の先端部を持って射出口を覗き込む。

 (少々手荒だが……やむをえない)

 三尉は慎重に狙いを定めると、裂帛の気合を込めながらダガーナイフを使徒めがけて投げつけた。
 「引き際はわきまえろ!!」 
 
 投げつけられたダガーナイフが使徒に突き刺さった瞬間、それは轟音を発して小規模の爆発を起こした。
ナイフの柄の内部には相当分のヨウ化窒素が充填されていたのだ。
羽が触れたほどの僅かな衝撃で容易く爆発するそれは、普段はセイフティガードによって外気に晒されないように
密封されているが、いざという時にはロックを解除することで小型爆弾並みの代物へと変わる。
NERVの備品ではない、三尉の個人的な所有物だ。
その爆発力は、何重にもシールされた装甲を持つエントリー・プラグには少々焦げ目を付けるくらいであろうが、
それを掴んでいる使徒の触手を砕き散らすには十分すぎる程であった。

 (ぁああァアアアあアっ!!)
 三尉がおそらくは使徒のものであろう絶叫を耳にしたとき、
爆風によって千切れ飛んだ使徒の触手から開放されたエントリー・プラグが
爆発の余勢も手伝って勢い良く射出口から飛び出した。
同時に、それまで零号機を覆っていた暗黒の空間が一瞬にして雲散霧消した。
263LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:12 ID:???

 「ミサト!!三尉はまだ無事よ!!」
 アスカがエヴァ3機のうち最も優れたアイセンサーの感度を最大にして障壁の切れ目の内部を覗き込んで叫ぶ。
三尉がプラグ挿入口のそばでその中を覗き込んでいる。その画像を補正する間もなく、
三尉が手に持った何やらを挿入口へ投げ入れた。
ナイトビジョンに最適化されていた弐号機のセンサーが一瞬ホワイトアウトし、
その次の瞬間には見覚えのある円柱状のものの画像を映し出す。

 「エントリー・プラグ!?」
 まさしく、それは零号機の、レイを乗せたエントリー・プラグであった。
ようやく脱出し、障壁の切れ目を撃ちぬくように宙に現れたそれを、アスカが弐号機の手で以て受け止める。
 「やった!!」
 シンジが勝利の歓声を挙げたとき、零号機を包み込んでいた暗黒の障壁が霞のように消えうせる。
ATフィールドを発生させていたレイが完全に脱出したのだから、それはごく当たり前のことであった。
中から、座り込んで震える零号機の姿が現れる。だが、そこから現れたのはそれだけではなかった。

 「なっ………!?」
 振り落とされぬよう必死に零号機にしがみついていた三尉が、
エントリー・プラグが抜かれた挿入口から出てきたモノを見て愕然とする。
零号機の体が震えるたびにそれは長さを増し、狭い挿入口いっぱいに広がって外にあふれ出す。
レイを得ることに失敗し、零号機を取り込むこともままならなくなった使徒が、
零号機との融合部分から可能な限り自分自身を集めて再び一つにならんとしている姿であった。
264LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:14 ID:???
 「なぁんてしつこい!!」
 アスカがその気迫に押されて二、三歩後ずさりしたのを見たかのように、
使徒がもがきながらも射出口から脱出し、勢い良く弐号機に飛びかかった。
あくまでレイを逃がすつもりはないようだ。

 「!!」
 アスカが恐怖の声をもらしたとき、コクピットの視界一杯に銀色のきらめきが満ちた。

 「早く!!ファーストを安全な所へ!!」
 「フィフス!!」

 4号機が弐号機の前に躍り出、襲い来る使徒をその手で掴んでいた。
全身の三分の二を失い、残った僅かの部分も大半を零号機に残してきたとはいえ、
使徒の長さはいまだエヴァの両手に余るほどある。
4号機はそんな使徒の体の両端を掴んで押さえつけようとしていた。
それを見た弐号機が一瞬躊躇したような素振りを見せる。
だがそんなアスカをカヲルは背中を向けたまま叱咤した。

 「ここまで来てファーストが死ぬようなことがあったら!
今までやってきた事の意味が無くなるんだ!!僕に構わず、行ってくれ!!」
 「……!!!」
 カヲルがこの作戦の中で初めて口にした「死ぬ」という言葉。
その言霊に打たれたように、弐号機は背中を向けて走り出す。
その先には、本部へと直通で繋がっているリフトがあった。
265LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:16 ID:???

 「そうだ、それでいい…」
 カヲルがサブウインドウに映る弐号機がリフトの中へ沈んでゆくのを見てつぶやく。
こうなれば、あとはこの手の中で暴れる哀れな殉教者に安らぎを与えてやるだけだ。
カヲルはわざとATフィールドの厚みを調整し、4号機の手の素体を通じて使徒と接触した。
途端に、彼、もしくは彼女の意識がカヲルの中に流れ込んでくる。

 (あの子は  あの子は  ワタシ ワタシになるもの  ワタシのもの……!!)

 もし「普通の人間であれば」凄まじい形相をしているであろう激しい意思がカヲルに伝わる。
カヲルは僅かに瞼を伏せると、口に出さずに使徒に言葉を投げかけた。

 『君が君の本来のサダメに従っていれば、こんなに苦しむことは無かった』

 その言葉に、使徒が身を震わせて驚いたような様子を見せた。
それを見下ろしてカヲルがさらにつぶやく。その言葉の響きは、天に祈るのにも似て。

 『克ち得たるものの悲劇か・・・ せめて、次に生まれるときには、幸多からんことを』

 プラグの中でこうべを垂れたカヲルに向かって、使徒が戸惑いの意思をぶつける。

 (……あなたは………あなた「も」……)

 カヲルがそれに対して何かを言いかけたとき、4号機のプラグ内にシンジの声が響き渡った。
 「カヲル君!!そいつをできるだけ上に投げあげて!!」
 「シンジ君!?」
266LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:17 ID:???

 カヲルが顔を上げてサイドモニターに視線を移す。そこには大地に足を踏ん張り、
機体の表面から青白いスパークをほとばしらせた初号機の姿があった。
カヲルはすぐにその意図を察して、両手に勢いを付けて使徒を振り回した。
度重なる損傷のうえ、零号機を侵食することに全力を傾けた使徒にもはや抵抗する力は残っていなかった。
だが、4号機が思い切り使徒を空中に投げ上げる寸前。

 (    …サヨナラ )

 「!?」
 カヲルが使徒の言葉に逆に驚かされたのを意識したときには、
すでに使徒との繋がりは断ち切れていた。
空中に投げ上げられた使徒は宙にとどまるでもなくなすすべもなく放物線を描く。

 「カヲル君、三尉を!!」
 葛城三佐の言葉にカヲルは我に帰り、素早く後ろに下がると、
魂の抜け殻となった零号機――ひいてはその首に掴まっている三尉を守るべくATフィールドを展開した。
267LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:19 ID:???


 「……こぉんのぉぉぉぉぉおっ!!」

 シンジの叫び声と共に、両手を交差するようにして力を溜めていた初号機が一気に気迫を開放する。
初号機の胸部に据え付けられたフィールド位相制御装置がフル稼働し、
ATフィールドを筒状に展開して空中に二本の擬似バレルを展開した。
一瞬後に、その砲身の基部にあたる両肩の端子に逆位相空間がスポット展開され、
スーパー・ソレノイド理論に基づいて凄まじいエネルギーがそこからあふれ出す。
そしてその力の奔流はエヴァの動力である電気と反応して蒼い稲妻となり、
絶対障壁の砲身を通って轟音と共に弾けるように空中に示現した。そのいかづちは虚空を引き裂き、
狙いあまたず空中の使徒に命中する。

 ATフィールドを利用した攻撃手段を模索するというコンセプトを持ったF型装備の最終決戦兵装、インパクト・ボルトだ。
 最大出力で8000万ボルトの高圧電流に匹敵する純粋な破壊の力が使徒を包み込み、3秒も掛けずにその体を蒸発させた。


 遂に、零号機を侵食し、レイと一体化を試みた第16番目の使徒は殲滅されたのだ。
268LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:21 ID:???

 「…ぅわぁっ!」
 初号機の胸部の位相制御装置が焼き付いて爆発する。
最大出力に耐えられず内部の機器が融解を起こしたのだ。とても完全に獲得したとはいえない技術を用いて
造られた装備が生んだエネルギーは、今はまだ人の身に扱えるようなものではなかったのだった。
同時に両肩に現れていた逆位相空間も瞬時に消滅する。
辺りには空気中の酸素や二酸化炭素、窒素がイオン化したすえたような匂いと水分が蒸発した煙だけが残された。

 しばしの沈黙。永遠の真夏の太陽が戦いきった者たちへと降り注いだ。
インパクト・ボルトの衝撃の余波が消えうせ、一切の音が消え去ったかと思われた時間は、
いつものように街に響きだした蝉の声に終わりを告げられた。

 「………」
 葛城三佐は、危うく横倒しになりそうだった指揮車両のコンソールに捕まって頭部を保護していたが、
轟音によって耳鳴りが残る耳にノイズが混じったかすかな声がするのに気づいて顔を上げた。
269LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:23 ID:???
 「…城三……、葛ら……佐、聞こ………か…  葛城…佐…」
 驚いて葛城三佐が声の出所を探る。
先程床に投げ捨てたヘッドセットインカムからその声は流れてきているようだ。
葛城三佐は急いでそれを拾い上げると、出力を調整して耳朶に押し当てる。
 「…城三佐、聞こえますか、三佐」
 「…    君!!無事だったの!!」
 命綱が切れてしまったために、スーツのバックパックの非常用通信機で通信してきているのは、
零号機の上で身を伏せていた三尉。出力が微弱なために声はところどころ歪み聞き取りづらかったが、
その声調からすると怪我も無い様だ。葛城三佐が胸をなでおろした時、
三尉がやや焦った様子で三佐に問いかける。

 「三佐、レイは……レイは無事なんですか!?」
 「えぇ……気を失ってかなり衰弱しているみたいだけど、命に別状は無いわ。いま、ICUに搬送されて手当てを受けているわ」
 「……そうですか……よかった……本当に……」

 レイの無事を知って、おそらくは零号機の装甲にへたり込んでいるのであろう三尉の安堵の声が伝わる。
葛城三佐はそれを聞いて、自らも緊張していた体が弛緩していくのを感じていた。倒れたイスを直し、そこに腰掛ける。
270LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:26 ID:???

 「カヲル君、大丈夫だった?」
 シンジが初号機の機体チェックを行いながら身を起こす。F型装備は完全に壊れてしまい、
いまや初号機の動きを妨げるデッドウェイトでしかない。
その初号機にしても、インパクト・ボルトの際に全身に蓄えられた
電力等もろもろのエネルギーを使い果たして現在はチャージを行っている最中である。
S2機関が無限のエネルギーを生み出すといっても、時間単位でしぼり出される出力は一定であるからだ。
 「ぁあ…なんとか大丈夫さ。今のがインパクト・ボルトかい? 実際に見たのは初めてだけど、すごいものだね」
 「僕だって初めてだったよ……
カヲル君が取り付かれそうになってるのを見て慌てちゃって、
リツコさんがやれって言ってくれなかったら、どうなっていたか分からないよ」

 その会話に指揮車両のなかで落ち着こうと努力していた葛城三佐が赤木博士の顔を横目で見る。
赤木博士は最後の一本に火を付けながら、飄々としてそのジト目に答える。
 「さっきのは、正真正銘『どうしようもなく追い詰められた状況』だったでしょ?」
 「リツコ〜」
 「ふふっ…まぁ、結果オーライってやつで手を打っておきましょう」
 「…まぁ、そういうことにしておきましょうか」

 しかし笑いかけるミサトを制して、リツコがモニターを睨みながら言う。
 「それより葛城三佐、作戦はまだ終わってないわよ。現在午前7時30分、
ギリギリのスリルとまではいかないけど、あと30分遅れていたらこの街も根こそぎ無くなっていたんだから」

 「!……そうだったわね」
271LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:29 ID:???
 葛城三佐が眉を引き締めて答える。
同時に日向二尉を促して新市ヶ谷駐屯地にある戦略自衛隊本部との通信回線を開いた。
モニターにいかにも制服組といったような、おそらくは将官クラスの将校が映し出される。
心なしか、その顔には苛立ちが浮かんでいるような気もした。
だが相手もそこは軍人、自らの感情は押し殺し冷静に受け答えできる分別は持ち合わせている。

 「こちらはシンイチガヤ、戦略自衛隊第一師団二等陸将、石川卓也だ。用件を承ろう」

 「丁寧なご対応、痛み入ります。こちらは第三新東京市、特務機関NERV作戦部所属三佐、葛城ミサトです。
本日午前6時より我々は使徒に拿捕された人員の救出及び使徒殲滅作戦を決行、
同作戦をもって初期目的を完遂いたしました。使徒は殲滅され、人類の危機はいまのところ、去りました。
よって貴軍のこれ以上の干渉は不必要と判断、
第三新東京市上空に展開している貴軍の爆撃機を撤退させていただけるように重ねて要請する次第でありますわ」

 葛城三佐の言葉に石川は渋い顔を作ったが、次の瞬間には返答を返してきた。
彼らもNERVと張り合っているとはいえ、人類を守るという使命は同じ。
この場で面子などという下らないものを持ち出すほど愚鈍ではない。

 「……了解した。直ちに該当機を撤収させよう。ご報告感謝する」

 石川がモニターの向こうでデスクからレッドケースを引き出しホットラインで何者かに語りかける。
その様子を見て葛城三佐はやっと肩の荷が下りたというように大きく息を吐き出した。
272LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:31 ID:???

 「爆風、安全圏まで縮退」
 「高度2500、現状はオールグリーン」
 第三新東京の上空の爆撃機の中で、二人の佐官がお互いに状況を確認しながら操縦を続けていた。
戦自の所有するこの大型爆撃機には、人類が生み出した中でも最強、最凶に近い威力を持つ武器が搭載されていた。
即ちNON-NUCLEARもしくはNEW-NUCLEARと呼ばれるN2兵器であった。

既存の核兵器と同等の破壊力を有しながら、放射能その他該当地の環境を汚染することが無い戦略兵器である。
とはいっても街を根こそぎ一つ吹き飛ばし、
その辺一帯の地図を問答無用で塗り替えるほどの威力があるシロモノであるから、
発射には何重もの制限が掛けられ、いざ発射というときには佐官以上の人間二人が
同時に発射キーを差し込んで回さねばならない。しかもキーはヴァイタル・メンタル・チェック機能内蔵であるから、
使用者の精神状態が平静でない場合はキーを回しても発射を許可しない仕組みになっている。
もっとも、容赦ない破壊槌を振り下ろすものの精神が
一般規定における「平常」であるかどうかということなどは考慮されていなかったのだが。
273LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:33 ID:???

 「……了解、N2兵器の再シーリングを確認した後、ルート435を通って帰還する。オーバー」

 左側の席に座っていた士官が通信端末のスイッチを切って右の仕官に語りかける。
いささか拍子抜けした様子で、襟周りを緩めて言った。

 「さっきの見たか、エヴァ…とか言う奴にあんなすごい兵器があるとは。
流石国連主導で各国国民の血税を搾り取っているだけのことはある」
 「…それは確かにそうだが、俺はその前の連中の様子の方が気になるぜ。
あれだけ苦労して、捕まった味方を助け出そうとする連中が、
本当に噂どおりの連中だとは俺にはどうしても思えん」
 「連中にも面子があらあな。
なんたってあの使徒とかいうわけのわからんバケモノを迎撃する為「だけ」にあんなモンを造るくらいだ。
その分働いてもらわにゃ困る。大方どえらいカネを掛けた機体が惜しかったんだろう」
 「それもあるだろうが、あれに乗っているのはたかだか15にも満たない子供らだっていうじゃないか。
それに、あの障壁に穴が開いたとき…最大望遠でもわかりにくかったが、
だれかがあの中に入っていったように見えた。お前だったら、あんな中に入ろうなんて思うか」
 「命令があればな。なんだ、お前いやにネルフの肩を持つじゃないか、もしかして連中の回しモンか?…なんてな」
 「いや……ただ、セカンドインパクトで死んだ娘が、丁度14歳だったのを思い出したんだ」
 「……そう……そうだったな……   すまん」
 「いや…いいんだ。ともかくこんなことを俺たちがうだうだ言っててもどうにもならん、帰還するぞ」
 「ああ、りょうか……か…!!!」

 「!? どうした、岡崎っ!!」
274LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:36 ID:???
 右側の仕官が、驚いた顔で左を向く。そして目を見開いた。
岡崎と呼ばれた仕官の背後、延髄のあたりに何か、
得体の知れない光ったミミズのようなものが喰いついている。
そのミミズは容赦なく岡崎のうなじに潜り込んでゆく。

 「あ……あ"ぁ……あ」
 岡崎が白目をむき出して昏倒する。岡崎の同期にして友人、思島は
岡崎の肩に手を掛けて必死にゆする。だがそうしている間にも、ミミズは岡崎の中へと侵入してゆく。

 「糞っ」
 思島は岡崎の背後に手を回し、そいつを引き抜こうとした……
だが一瞬遅く、そいつは完全に岡崎の延髄の中へと入ってしまった。
 「岡崎っ!!」
 「あ……ああ、いい気持ちだ……ぁ」
 思島は急いで通信機に手を掛け、スイッチを入れて叫びかけた。
 「メイデイ!メイデイ!乗務員に異常が発せ……うぐぁっ!!」
 言葉を紡ぎ終わる前に岡崎の手が思島の首に伸び、喉笛を握りつぶさんばかりの力で締め上げる。
 「…ぉかざきっ…な…にをっ…! ぁあああっ」
 岡崎の手の表面に血管状のものが走り、その手を通じて思島の体の内部にもそいつは入ってきた。
とたんに、思島の視界が赤く染まる。

 「どうした思島!!状況を報告しろ!!岡崎がどうしたのだ!!思島!!……」
 思島の手が恐るべき力で通信機を握りつぶした。砕けた破片が手のひらに食い込んだが、
そのようなことを意に介せずに思島は首筋に手を伸ばし、首から掛けていたN2爆弾の発射キーをまさぐり出す。
それに隣の岡崎も倣った。空ろな目で発射キーを差し込む鍵穴のカバーを上げた。まったく同時にキーを差し込んだ。
275LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:39 ID:???

 「どうしたの!?なぜ爆撃機は撤退しないのですか!!」

 葛城三佐が画面に映る石川に問いかける。石川は多少焦った様子で返答した。
 「わからん、撤退命令は確かに出した! …君、もう一度命令を伝達せよ!!」
 「そ、それが、爆撃機との通信が途絶したと……」
 モニターの向こうにいるであろう秘書らしき女性の声は上ずっていた。
彼女にしてみれば命令は実行されて当たり前であるから、このような事態に遭遇したことは初めてなのだろう。
恐慌状態とはいかぬものの、まともにものが考えられるかどうかは疑問だった。
 「遠隔操作でN2兵器のロックを掛けろ!!今すぐだ!!」
 「はい!!………駄目です!!拘束電波が届いていません!!」
 「いったい、何が起こっているのだ……」
 石川が多分に取り乱した様子でつぶやく。その思考が次善の策を求めて回転し、苦渋の策ともいえるものを現場に提示した。

 「…やむをえん、機体を撃墜しろ!!間違っても格納庫に当てるな!!コクピットを狙い撃て!!」
 戦自の管制室の指揮官が、爆撃機に随伴していた戦闘機に命令を下す。
その命令を受けて、戦自の戦闘機が上空から急降下しながら鮮やかな技量で
25ミリバルカンを爆撃機のコクピットに向けて叩き込む。だが、その機銃弾は見まごう事なき六角形の障壁に阻まれた。
 「なっ、なんだこれは!!…ぅわぁぁぁぁぁあっ」
 銃撃を叩き込んでコクピット近辺すれすれを駆け抜けようとした戦闘機のパイロットが最後に見たものは、
視界一杯に広がる赤い障壁だった。戦闘機が障壁に突っ込んで爆発四散するが、その衝撃にも爆撃機は揺るぎもしない。

 「……ATフィールドっ!?」
 「まさか、あの使徒がまだ!!」
 葛城三佐と赤木博士が目の色を変えて叫ぶ。その視線がモニターに移る拡大映像に注がれた。
爆撃機底面のハッチがゆっくりと開かれてゆく。その様子に二人は顔を青くした。次の瞬間、葛城三佐は叫んでいた。

 「退避!!総員退避!!!」
276LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:42 ID:???

 スタッフが大急ぎで個々のトラックや指揮車両に乗り込む。
資材や機器などを置き去りにして、全速力で地下へ向かう通路を目指す。
 「渚君、シンジ君!!急いで三尉を救出、施設内まで退避!!」
 葛城三佐が激しく揺れるコンソールに捕まりながらマイクに向かって指示を出す。
その指示を聞いて、カヲルがモニターの尺度を変えて周りを見渡した。

 (まずい!!)
 まず目に入ってきたのは、初号機だ。なんとか立ち上がってはいるが、
まだ完全にチャージが済んでいない為に、徒歩、いやそれ以下の速度でしか移動することはできないだろう。
ATフィールドを張って防禦するにしても、いつもどおりの厚みを確保できるとは思えない。

 (くっ)
 次に視線を移したのは零号機。もはや零号機そのものには価値は無いが、その肩の上には三尉がいる。
彼はこの末世劇の中にあって、数少ない未来への指針となり得る存在だ。死なせるわけにはいかない。
かといっていま三尉を回収して安全圏へ避難させるとしても、彼が爆発の範囲外へ逃れうる確率は低い。
それほどN2爆弾というやつは強力なのだ。天井都市を突き抜け、ジオフロントに陽光が降り注ぐことになろう。

 最後に、葛城三佐らが乗った指揮車両の方を振り返る。こちらも同様の理由で、
最寄りのターミナルから地下へ避難するにしても時間が無さ過ぎる。
N2爆弾の投下は戦自からNERVに5分刻みの三度のシグナルが送られてから、と決まっていたとはいえ、
予想外の事態を考慮しなかったという意味で彼女らは戦場に近寄りすぎていた。

 三者択一の事態の中、カヲルは一瞬躊躇したが、次の瞬間にはおのれが出来うる最善の策を成すべく行動を開始した。
277LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:45 ID:???
 「シンジ君!!三尉を助けて逃げるんだ!!」
 カヲルは初号機を零号機のほうに押しやると、
4号機の肩部ウエポンラックに搭載されていたマゴロク・E・ソードをむしりとる様に掴み、
最大限にバネを溜めて跳躍し、兵装ビルの上に登る。腰からハンドガンを抜き放つと、
足元の兵装ビルに向けて銃弾を叩き込む。
当然、兵装ビルに装填されていたミサイルランチャーの中のミサイルが誘爆を起こした。
カヲルはATフィールドでその爆風を防ぐと共に、その圧力を真上への推力として4号機を跳躍させた。
バックパックに装備されたブースターをも全開にして、一筋の銀の矢のように空を切り裂いて上昇する。
望遠モードに合わせたモニターが爆撃機から投下されたN2爆弾を捉える。
相対距離を詰めながら、カヲルは精神を集中し爆弾の内部構造を検索した。
N2爆弾は時限装置もろもろが含まれる機械部と液体精製炸薬を充填した弾体部に分かれている。
ならばその丁度中間、起爆信号を伝える配線部から上下に爆弾を両断すれば爆発は起こらないはずだ。
そうすれば、全員が助かるのだ。
カヲルは自らの神経を全て4号機と同調……シンクロさせ、刻々と近づくN2爆弾を睨む。
マゴロクの柄に手を掛け、大きく息を吸い込んだ。

 「……!!」
 N2爆弾と4号機が共に白い雲の中に突入し、
カヲルが頭上に爆弾の存在を感じてマゴロクを抜き放とうとしたとき、唐突に背後に気配を、何者かの意思を感じた。
 「何っ!!」
 背中のサブカメラに映し出されたのは今頭上に迫り来る爆弾を落とした張本人である爆撃機だ。
まさか。確かに物体の落下速度を超えて急激に下降することは不可能ではないが、
それでは中の操縦者が急激なGによって潰れるはずだ。
だがカヲルはモニターに移る操縦士の姿を見てその答えを知った。
二人の操縦士は急激なGによってその肌を裂かれ眼球を飛び出させながらも、
カヲルに向けて何事かを囁くように口を動かした。コマ送りのような一瞬の永遠の感覚の中で、
カヲルはその口が「サヨナラ」と動いたのを確かに見た。
278LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:48 ID:???

 「あぁぁぁああっ!!」
 次の瞬間、爆撃機は勢い良く4号機の背中に衝突し爆発した。
哀れな操縦者に取り付いていた使徒の残滓も今度こそこの世から消滅する。
その一撃を受けて4号機が失速し頭を下に虚空を墜ちてゆく。
その横をN2爆弾が加速を付けながらともに落下していくのがカヲルには見えた。
カヲルは背中のブースターを吹かし、落下しながら必死に爆弾を追いかけた。
落下の相対速度が一緒になった時点で、さかさまになりながらも斬撃の照準をあわせた。
だが、なんという運命の悪戯か、それとも爆撃機の爆発の中に散華した使徒の執念の成した業か、
先程衝突されたブースター部の推進剤が損傷部から爆ぜた火花に引火して爆発した。
姿勢を崩され、抜き放ったマゴロクはN2爆弾の中心部を半分ほど断ち斬るだけの結果に終わった。

 「しまった!!!」
 カヲルが普段の彼に似合わぬ声を上げて叫んだ。もう限界高度まで近い、新たに斬りかかる余裕など無い。
あの様子ではマスターの回線が切れても、対空防衛による損傷と判断した信管が
サブの回線を組みなおして炸薬を発火させるだろう。
結局カヲルの成した事はN2爆弾の爆発を数秒遅らせただけとなってしまったのだ。

 「シンジ君!!   三尉!!」
 銀髪をそばだたせて下にいるヒトの名を呼んだとき、彼は生まれて初めて恐怖というものを理解したような気がした。

 シンジが限界を悟って手のひらの三尉を庇うように身を縮めて精一杯のATフィールドを展開したとき、
カヲルが地面に落下したときの衝撃を緩和するため…
いや、一瞬後に襲い来るであろう横からの衝撃波を防ぐ為に「二重に」ATフィールドを展開したとき。


 第三新東京市を閃光が包み込んだ。

279LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 03:51 ID:???
次回


「Complete Physical―――"Born to Be Free"」
280LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 12:03 ID:???
起きてみて見返すとアレだね、やっつけ仕事のアホ加減さがわかるね。
むこうのほうがたくさんヒトいるしな。
まぁ・・・でも人生ウジウジ悩むだけがアレじゃないしね。
三尉も、ワタシも。(汗)

まぁよいさ。本当は次の章の最初までがDetect but Missなんだが・・・

・・・まぁよいさ(汗)

fu-n君来るかな?
281fu-n:04/08/31 13:35 ID:???
:::::::::.                .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,,,‐;;;;;
::::::::::.      A L L M A L T |::;;;;;-‐''';;-‐;;-;;-‐;;:::::::::::::::::::::::::::::::.`--、r'、;;:::
:::::::::::..                |,,-‐レ'''/ '" ,,,/::::::::::;;:::::::::\、l\,,,ヽ、゙'''ヽ:::
::::::::::::..                |:::::::::::i-/'":::i:::;;::::/ミミ彡、::::ヽ..i、\N::::::::::ヽ
::::::::::::::.     ス レ 281getヱヒ|///':::::/i::i::::/ ヾ从/"ヽ\::\゙ヽ、::::::、:::
:::::::::::::::.   _,,,,,---─────-、}イ'//:::::::::,イ/l:i'   ゙"   ゙i;::ヽ::::i:::::i::゙i;:::}::
::::::::;;;-‐'''"~:::.   ___,,,,,,,,,,_  /'‐|メ、l:::/ /" i:|       |:i;::::i:::!、::l:::::i::i!/
-'"~:::::::::;;;-=='''"~:::::::::::::;;;-'''',,-''、 、__,,レ"ヽ、_  ヽ ,    /ノイ:::::/ }:::::::/"
:::::;;-=''~:::::::::::::::::''" _,,,--‐i,'"~  ヾ'''"~~゙ヽ、, ゙=‐'ノ   =キ''"~'// ノ//
‐'",,,,,,,,,,--─‐┬''"~   | ヽ    / l M、ヽ、      、vNヾ''/  "
 ̄        |  .i   i  ヽ              .,     /l
         .|  |   |  \   r''‐-、,_      ヽ   / |
         |   |   |    \ ヽ    ゙"''─--、'"-/  |      /
         |   ヽ   ゙i,''ヽ、  ゙ヽ、\     ,,ノ=‐'"  | ノ     /
        |    |   ゙i;:  ゙''ヽ、 ゙ヽ、゙''‐‐=-'"~/    .| /     /
282fu-n:04/08/31 13:38 ID:???
ずっとあのスレにいた俺に一言

あかんあかん!!
 綾波でいっぱいや!!!
283LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 13:46 ID:???
す、すまん

メシを食った後雑務をやっていたぜ

お待たせ・・・だな(汗)
284fu-n:04/08/31 13:47 ID:???
( ´_ゝ`)ノぅぃーっす
285LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 13:47 ID:???
ふ・・・間に合ったかどうかは分からぬが
どんなものかな。(汗)
やはりひとつのものごとに集中せねばあかん。


ところで、上のFFはどんなもんだろうか(汗)
286fu-n:04/08/31 13:49 ID:???
あんたはすごいと思うよ・・・うん
よくそこまで脳ミソ回るよなぁ・・・
287fu-n:04/08/31 13:50 ID:???
すまんAGEちまった・・・
288LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 13:52 ID:???
いやね、アレなんだ、以前に書き散らしたものを修正して
ウダウダと書き連ねてるだけさね。(汗)
追加シナリオが多くてほぼ別物だが(汗)

全身全霊をかけてとりくんでるよ、うん
これ以上は書けん、というところまでやってみるさ。ふ。

ところでfu-nくんは、エヴァ板ではほかにどこを見てるんだい?
289fu-n:04/08/31 13:53 ID:???
すまん・・・
290fu-n:04/08/31 13:56 ID:???
291LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 13:58 ID:???
>>289
いや、あやまるほどのことではない
ここの宣伝にもなるしな(汗)

そうか、言いたくなければ言わなくてもいいさ
プライバシーを詮索するのは下衆のやることだからな(汗)


はぁ・・・思い返せばけっこう長いことやってきたなぁ
思い出さぬか、初代スレのころの盛況振りを・・・(遠い眼)
292LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 14:01 ID:???
>>290

こ、これは・・・fu-n君のホームページか・・・
すさまじくイイね(汗)  ・・・つうか


ジィィィィィクジオオオオオオオ(ry)

・・・ふ、すまんすまん もとシャア板住民だったせいでつい
救国の志を呼び覚ましてしまった

fu-n君はやはり絵がうまいな・・・
絵心ない私には羨ましいっす(汗)


レスをかみ合わす為に、次はfu-n君からレスお願いしたい
勝手な言い分だが(汗)
293fu-n:04/08/31 14:03 ID:???
・・・長いな・・・
294LRO人 ◆i6LROeveXU :04/08/31 14:05 ID:???
>>293

すまんすまん、FFを書く癖で文章を校正する癖が付いてしまった(汗)

む、それはもしやワタシをチャットルームに招いてくれているのか・・・

ワタシごときがおじゃましてもよろしいものかしらね。
かまわないですか、fu-n君。
295fu-n:04/08/31 14:07 ID:???
来てくれ〜
296LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/01 22:57 ID:???
ヲイ!!なんか自スレが落ちているぞ!!(汗)

どうしたのだ(汗)


ログは960くらいまでしか取ってないのに・・・(汗)
297LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/01 23:01 ID:???
と、思ったら982まで取れていたな。
ワタシが最後にカキコしたとこまでうまくCDに保存できていたようだ

しかしどんなかたが1000をげとして行ったのか、興味深深だ(汗)
298fu-n:04/09/03 00:15 ID:???
1000すらゲトしてなかったりして・・・
299LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/03 13:02 ID:???
・・・ぁ゛〜〜〜〜

 ここってさぁ・・・ 誰か見てくれているのかなぁ・・・

・・・・

 zzzzz
300LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/03 14:07 ID:???
zzzzzz・・・300

 ・・・はぁ、エースまた休載かよ
  いいかげん待つのにも飽きてきたよ

 休載が救済を前提にしてるならともかく
  あの流れじゃ氏ぬだろーしなぁ・・・  はぁ。

 氏に行くサダメってのも、またいとむなしきものよ。

   ・・・・zzzzz(涙)
ふざけるな!!!休載だと〜〜ッッ!!!
三人目に会うまでは、Aを買い続けるつもりだったが
これからはマガジンZを買わせてもらう。

それはそうと、LRO人とやらSS読ませていただいている。
無理しない程度に全力で頑張れ!!!
302fu-n:04/09/03 19:39 ID:???
みとるよー
>>301
エヴァヲタとしては、エヴァ再開まで下らんオマケに惑わされず
A不買運動するのが、正しい姿なのだよ。
304LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/03 23:30 ID:???
下敷きの付いた回を買った我は負け組み?(汗)

裏が真っ青ってのは詐欺まがいだと思うがどうか。(滝汗)
305LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/03 23:37 ID:???
>>301

そういう不吉な考えは持ちたくないが・・・
記憶を引き継ぐって事はα人目=攻殻における義体みたくなってしまう
って考えを持つとちょいとアレかなとも・・・でもまぁ死の感覚を味わうのはイカンだろとか
なんかもうようわからん
ともあれそこの元ナルシスホモ現キャットキラーでも誰でもええから
レイさんが早まったことをする前に助けてくれよマジ。いやマヂ。(滝汗)

まぁ、ワタシのFFでは頑張ってハイパーグッドエンディングにする予定。
いろいろと試練はあるけどね。頑張るよもうふんとに(汗)

>>302
ありがたいのぅfu-n君
比較的全力で取り組むゆえこうご期待だ。題に注目すると
いろいろとおもしろいかもよ?おもしろくないかもよ?(汗)
先生!!!
ほのぼの日常編も見てみたいです!!!
307LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/04 01:05 ID:???
>>306
ふ・・・いいところに目をつけたね
                    し
そこ!!!!  そこなのだよ!!!  m0b て(ズビシ

そもそもワタシがこのFFを書こうと思ったのも
DC版EDコンプしても2人目生存EDが無かったゆぇっ!!!(ドッギャァァァーン)

…そりゃまあ、思い出を探り2人目の時の記憶を取り戻す3人目…というのは
話の流れ的に美しいかも知らんが。
そうじゃねぇ・・・そうじゃねぇだろう!?(メガ○ーン23)

俺らは2016年3月27日に死なす為に育成してるんじゃねぇええええ!!!!(号泣)

そんでもって、PS2版でもそれが無かった(アスカ編にはあるのに!!ギリギリギリギリギリ)
ゆえに今一歩踏み切れなかった馬鹿が禁断の一線を踏み越えてしまったと(滝汗)

ハァハァ・・・つまり、このFFは皆さん一人一人の「育成計画」の延長上、クライマックスを描いた
ものなのです。ですから日常は皆さん方が沢山の愛情を注いだ皆さん方だけのシナリオなのです(分かりにくい)
もっとも、皆さんのお目に叶うかどうかは自信が無いですが(汗)

・・・ガンプラとか出てくるしね(ヲタク度150以上だが社会適応が高いので隠れヲタ状態)

素直に日常の出来事を書くスキルが無いと言いなさいと(ry)
とりあえず本編の方を済ますよ。全力で。(スマソ)
308LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/04 01:12 ID:???
しまった。27日じゃなく24日だった。(←大馬鹿)

惚れたヒトの月命日すら覚えていられんとは(違)
こんな香具師に好き勝手にやらせていいのんかー!?というヒトも
出始めるんじゃないか。(汗)


日常編は本編終わらしてから・・・になるだろう。
こういうクライマックス!!なシーンよりも
そういう何事も無い日常の方が書きづらいし、貴重であるといえよう。(汗)
クリスマスにMGナイチンゲールくれる
綾波萌へ〜
>>309
家の綾波は綺麗にラッピングされた、プラグスーツを
くれましたよ。

何に使えば良いんディスカー!?
311LAO者:04/09/04 01:19 ID:???
御無沙汰ですなぁ
アスカになにかあったら、とっちめてやる(w

頑張ってくだされ。
312LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/04 01:27 ID:???
>>309
ナ○チンゲールはガレージキットでしか出てないぜ・・・(汗)
サ○ビーの間違いかね?

それとも2015年までにはMGラインナップにナイチ○ゲールが(ry

>>310
それはきっと暗黙に
「イヤ〜んな感じ、ってなに?」の答えを実践してくれと頼んでいるんだよ。(滝汗)
もしくは求愛行動?(馬鹿)

>>311
こ・・・これは!!LAO者どの・・・ぅうなんとお懐かしい(涙)
前スレ以来ですなぁ(ズビビ)

アスカさんは大変な活躍をしてくれる(予定)
見てのお楽しみ(汗)
313fu-n:04/09/05 03:37 ID:???
LRO人ってさぁ、そこまで小説書けるんだから自分のHPでも作ってみれば?

結構才能あるんだし


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         !: : /': :'´ ;| 'iァz;、,'ト|: :/;イ: : : }: i l
        !: : : : : : :{  `''゛'` !/'´/イ;ィ:/: リ'!
          '; : : : : ;|ヾ     ,ィ')y'/;ィ:/
          ヽ:|'; :{ヘ     、  ゝ./!'´ !'
            /' ヽ! 、   ´,. ィ':i/    と思った今日この頃
       _,,..../    /` ‐' ´l/リ゛
      ノ `丶、  {、   ´
     / ' ‐- 、   \トヽ、
     ,イ;;;:::、:_:::::::`ヽ、 _\!`)、
LRO人って頭よさそうだね。大学はどこに通ってるの?

早慶、マーチ、日東駒専、大東亜帝国?
>>314
ペパーダイン
単行本しか読んでないんだけど、貞版ではあぼ〜んしちゃったの?
回避できた?
317LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/07 00:07 ID:???
今日もキャラハンでもないのに全レス返し(汗)

>>313
ふ・・・fu-n君
ミサトさんも言っているように
小説を書くこととHPを管理することとはまた別の問題なのだよ
ワタシが小説書くのが上手いのかは別として。下手だけどね。
HP運営出来るほど暇が無いのが現状さね。ふぅ。(汗)

>>314
中のヒトの事が知りたいかね?
まぁ、あまり面白くない男さ。大学は某文系私立。
ワタシのアタマじゃ、国公立などどうにもならんよ。(汗)

>>315
ワタシは学歴高揚もマハペパダインも持っておらん。
かんちがいしてくれるな(汗)

>>316
アルミィに食いつかれたところで止まり・・・って。
まぁつまりは9巻から進んでおらぬ。(滝汗)
展開で悩んでると噂で聞いたが・・・
助けてくれたら貞元を神認定。
まぁ、奇跡は起こすものと信じてコミケにきたときに土下座でも
するべきだったかのぅ。やれやれ。(滝汗)
318fu-n:04/09/07 16:08 ID:???
>>317
俺んとこ使えば?

俺は全然いいけど
っていうかやっていただくとありがたい・・・


みたいな
うちのあやなみが動くんです
 ttp://akazuking.ddo.jp/img-box/img20040906015423.gif
320LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/07 21:51 ID:???
http://www.takanashi-milk.co.jp/resipi/dress3/photos/sifon_a.jpg

ちょいとテスト
ドッキドキの瞬間だな。マルシー違反かもしれぬがね(滝汗)

>>318
いや、私ごとき匹夫がHP運営等はちょっと(滝汗)
友人もHPを持っているのだが、常に項目を追加しないとヒトがすぐ離れると言っておった
遅筆のワタシのアレなFFなど乗せた日には因果地平の彼方へ吹き飛ばされそうなヨカーン
まぁ、勘弁してくだされ(滝汗)

>>319
動くって・・・当たり前のことではないのか?
ウチの綾波さんがたはよく夜中に動きますよ。ラジオ体操第弐など流した日にはもうハァハァ
・・・みんなのは動かんのか?(滝汗)


冗談だ。(汗)
よかったな!!おぬしの気持ちが通じて命を吹き込んだのだよ
古代ローマ辺りでそういう話があったとも聞く
末永くお幸せにな(滝汗)
321LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/08 22:52 ID:???
           イ: : : // : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ
          |/: // : : : : : : , : : : : : : : : : : : : : : : i : : : : : l
           レ´/:/: i/ : : : :/| :i : :i : : : : : : : : : : : : ii : : : : i l
           !/ : : ii : : : : / |:λ/|./i : : : :i : : : : : : iヾ : : :iiソ
           l /i ii : : : ノ -‐レ‐レ‐!! lii : : :ト : : : : , : i : : : :/
           ヾ: :λii /ヾ<~t:::j`ヽ  || i : : | : y : ii : :i : : :/‐-,
            ii | ::ヾ入!、 ~~     :リ : :!!:/ : / :/ i i/ λ
        __, / >ヾ : :ヽ`\,       rリイ/ |/彡//ソ  /:::\
      _,-‐'’     `ヾミ\ : :ヽ     . !   /: : / //   /:::::::::::ヽ  
     \           \リヾ|ミ   -━   彡イ,/""   /::::::::::::::::::\
       \         \|ノ `ヽ ,    /イノ'   /::::::::::::::::::::::/
        入、          \    `ー '  /     /:::::::::::::::::::::::/
      /~:::::::\、         ヽ  /´ ,,,ィ   /:::::::::::::::::::::::/l
     /:::::::::::::::::::~`‐-,,,_ ___     ヽ レ   / ィii|:::::::::::::r::::::::/   |
    ,ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::|iii|-,,,,_  ii   //:リiii|::::::::::::::i:::/    |
  /   \::::::::::::::::::::::::::::::|iii|:::| ミ'''-__ i // }::::jiiij:::::::::::::::ii /!     |
       \::::::::::::::::::::::::|iii|:::>     リ ノ'  〉::|iii|::::::::::::::::ii ノ    |
   ,,ノ    \::::::::::::::::::|iii|:::|      |/'   |::::|iii|:::::::::::::::ノ       ヽ
            ヽ//:::::::::|iiii|::::|      i   |::::|iii|::::::::::::/ 〉     |
          /i:::::::::::|iiii|::::|      !    |::::|iii|::::::/          }
322LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/08 22:55 ID:???
ごめん、ごめんってば(イタ)
目と鼻と唇の表現がジョリーグッドだったから(アイタ)

アダ、アダダ

・・・すいませんつい!!(鼻血)
323LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/09 00:16 ID:???
素直にパクッてきたと言えと、君は!!(汗)

最近はプライズで良質のフィギアが大量に出て
もうサイフの中身がくぁwせdrftgyれいlp(氏)
金持ちだよな、ルリオって?
フィギア代は親の金で買ってるの?それとも自分で稼いだの?
325LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/09 02:48 ID:???
金持ちって訳じゃあないがな。今のとこ喰うには困っておらぬよ。

ノートパソコン買うために2年位前からお金貯めてた
夕方は雑貨屋さんで時給850円のバイトさね。
月収は5〜6万ってところかのぅ。まぁ、その全てを貯めるわけにはいかんし
それにフィギアがナー(汗)ゲーセンのは(プライズ)だいたい2000〜4500位で
大したことは無いように感じるが色違いとか希少種とかあるからなー
ひょっとしてレジンとかガレキのほうがお金かからんのかもしらんね。(汗)

あとそれとは別にS2000買うために50マソほど積み立ててるのさ…

まぁ、いつレイさんがよもや自爆のエネルギーで次元の裂け目が(ry)
時の為に貯めている金でもあるけどな(←比較的末期)

中二の女の子はカネ掛かるからなぁ・・・(違)

まぁ、中のヒトの事はなるべくオフレコードの方向で(汗)
326LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/11 00:35:28 ID:???
静かな夜だな・・・

そうそう、私の名前「ルリヲ」の元ネタがようやく解った
筋肉少女隊というユニットの歌が元だそうだ

 楽しかった あの頃に 君が 戻れないのは
 煌々と月の照る ホスピタルの上で  
 観覧車みたいに 巨大な風車を     
 グルグルと回す ルリヲがいるから   

 風車を早く止めなさい
 風車男を殺しに行きなさい
 今すぐバスに飛び乗りなさい
 ルリヲを殺しに行きなさい 

 ねえ君                          
 だけど ルリヲは 見つからないよ    
 聞いたんだよ 風車男には       
 首がないんだよ            
 首がないんだ
327LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/11 00:38:11 ID:???
なんだか不思議な気分になる歌だな。

私のゴッドファーザー(名付け親)もこの歌を聞いたのだろうか。
いつも周りから慕われていた
いつも場を盛り上げてくれていた
やや唇が大きいあの御方も

静かな夜は昔のことばかり思い出すのぅ…
年を食ったか
328fu-n:04/09/12 17:50:41 ID:???
>>327
まだまだ大丈夫だって・・・うん
329LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/12 21:51:46 ID:???
FFを書くため週末を使ってビデオで弐十参〜EOEまでを見直す。


 …俺のやっていることは間違っているとは思わん。
  監督がどう思おうとな。ふ。ははははは・・・・






 気力−100
330LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/13 23:49:27 ID:???
昼に友人と会って言われた事。
「なんでどいつもこいつも皆頃しにしたいような目つきしてんの?」
やかましわ。こちとら昨日寝てないんじゃ。FFの続きを考えてる。


レイさんの誕生日ゲトー(>>330
どうでもいいことなんですが、昨日レイたんが出てくる夢をみました
夢の中の自分はシンジです
別に体験系ではなく、自分は何も口出しできずにシンジが経験したことをそのまま自分も経験している感じ

夢の中ではシンジとレイたんは、ほのぼのしてて幸せそうでした
エロとかそんなのはありませんでした、ただシンジはもっとエロいだろうとは思いました
夢の中で二人は川遊びをしたり、山にハイキングに行ったりしてました
レイたんはお弁当にサンドイッチを作っていました

突然レイたんがいなくなりました
シンジはレイたんの残した手紙を見つけます
332LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/15 00:31:49 ID:???
ぅああああーーっ(汗)
ついネットで落とした巫女巫女ナースをFF執筆中にかけていたら
耳から離れなくなった!!(滝汗)気が付くとつい口ずさみそうになっている自分
なんつう洗脳ソング(汗)

>>331
夢、ねえ。ワタシは前に一度だけレイさんの夢を見た事があるが・・・まぁそれはそれとして。
エヴァ本を読み漁ったときにフロイトの夢判断も見た事があったような気もするが・・・(汗)
もう忘れたっぺえな。 まぁ、シンジにしろレイさんがしあわせそうだったなら、
そしてそれを貴方が甘受しているのならいい夢であったのだろうが・・・

ものすごいぶつ切りでつづきが気になる(滝汗)
>>332
いや、特に斬新な展開があったわけでもないです


実はレイたんはどうやら、シンジと仲良くなる以前から不治の病だったようです
手紙の中身は、それを告げる内容から始まり、
  シンジと過ごした思い出、
  シンジと一緒にいたことで、自分がどれだけ幸せになれたか、
  シンジと一緒にいることで、自分がどれだけ幸せだったか、
  ”本当の生”を生きることの素晴らしさ、
が切々と書かれていました
手紙の最後に自分が死ぬときは、普通に死ぬのではなく、体が崩れていってしまうので、
それをシンジには見られたくないので、1人で逝かせて下さい、とのお願いが

今になって思うとよくある話だなぁとは思うものの、
夢の中では涙でボロボロのシンジの悲しみがダイレクトに伝わってきました
最後に、それでも最後まで一緒にいたいから、とシンジがレイを探しにいくところで目覚めました


今思えばよくある話だなぁとは思うものの、目覚めたら涙が流れていた自分はそろそろ末期ry
334LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/15 01:20:54 ID:???
ぬ・・・からだが崩れる、というのはわたしのFFでも重要なふぁくたあ
゛生きると言う事゛をなんとか自分なりに解釈したいと思ってるのもあるし
あとから「パクリ?」といわれそうで怖いな(汗)
富士・・・不治の病ってぇのもなんか涙をそそぐな
なんにしろよくある話、というのは共通性があるということか(当たり前滝汗)
ともあれ、貴方はLRS人としても人間としてもヤサシイ感受性をもったおかただ、
ということはわかるさ。心配めさるな(汗)

・・・だが!!そこであきらめてはいかん
ゲンドウがユイに会う為に世界を天秤に掛けたように
我々LRO人は何とかしてレイさんを救わねばならぬ!!(裁判的机叩き)
自分の中だけで解決するならFFなどを書いてみるとか
(三尉は自分か?という問い。日記の神がLR3って定義しなさったからなぁ・・・汗
 まぁこのスレの住人なら実名プレイ上等!!ゆえに無問題だろう あそこまで甲斐性無いが)
具体的には貞元をらt(危険思想)モグダンの家にTNt(いけません)

ゼェゼェハァハァ

ともあれなんとかしてみようさ・・・
335LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/15 01:26:58 ID:???
夢診断でぐぐったら
:アニメのキャラがでてきましたか? Yes
「現実感の喪失や消極的な夢主の状況を反映しているようです。
現実的な努力や解決を求められていることをあらわす夢主自身のメッセージです。」

・・・まぁこのスレにいる人間はレイさんは単なるアニメキャラではないので
あんまり気にいたすな、といっておくさ(汗)

そもそも、LRO人って何人いるんだ?(汗)
半年前の統計では5人程いらっしゃった記憶があるが(滝汗)

てなわけで唐突に点呼!!
       .'⌒⌒丶
      ′从 从)      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ヽゝ゚ ‐゚ν    < LRO人この指と〜まれ!!
        ⊂| |∀| |つ←   \__________
       /____ゝ彡
        し' l_ノ

 まず一人。(我)

 カウンタ 000001
336LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/15 01:33:19 ID:???
だいたい「貞元」って誰だ。家元か。
らtるなら貞本だろうが(汗)

・・・「ミザリー」って映画知ってる?←ヤバイ


冗談だ。(マヂ)

と、ともあれ、5人くらいはいることを望むよ。(汗)

募集条件
:レイさんのことを本当に大切に想っているお方
:シンジやゲンドウに渡すなどゴンゴドーダンという強い信念をお持ちのお方
:年齢・性別不問、住居スレ提供(ここ)まれに画像、AA、阿呆なFFなど。
:LROSなども歓迎(汗)
337331及び333:04/09/15 01:39:01 ID:???
>>335
確かに昨日は、いろいろあって激しく現実逃避してましたから、あながち間違いではないかと・・・




後残念ながら自分はLRS人です
       .'⌒⌒丶                  
      ′从 从)                  
      ヽゝ゚ ‐゚ν …               ∧ ∧  
     ⊂| |∀| |つ                (゚Д゚,,) …
      /____ゝ                 |  ヽ
       し' l_ノ                  (__,〜

カウンタ 000001
338LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/15 02:35:56 ID:???
>>337
ふ・・・すでに>>334の時点で見破っていました
何故なら! LRO人たるもの、夢の中にレイさんが出てきて
しかも自分の人格がシンジだということに歯噛みせぬものは居らぬからですっ!(裁判的ビシッ)

いや、だからどうだとかは、アレなのですが。(弁護士的滝汗)

貴方の夢は、貴方だけのもの
結末をどう解釈するかも貴方次第
二人の為に寝涙を流せた貴方なら
なんらかのカタチでお二方をシアワセに出来ると信ずるよ。
アタマの中で続きを描くとかね。

お互い道は違えども、レイさんのシアワセを願う点は同じ
お互い頑張りたいですな。
339育成派(漫喫):04/09/16 01:04:48 ID:???
LRO人さん
すみません!!!
自分はLRA三人なのです!!!

それに自分にはシーラさまとエレ様が居ますから
340fu-n:04/09/16 16:35:31 ID:???
       .'⌒⌒丶
      ′从 从)
      ヽゝ゚ ‐゚ν
        ⊂| |∀| |つ
       /____ゝ
        し' l_ノ
341LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/16 20:25:19 ID:???
>>339
こ、これは育成さん
最近満喫からのカキコが・・・いや、事情があるのでしょうな(汗)
それよりもおなつかしいですな・・・
無事にスレ移転されたようでなにより。解りにくい次スレですからな(汗)

そして・・・

「ところで俺のFFを見てくれ。こいつをどう思う?」ビシッ(証拠資料的提出)

育成さんの目に叶うものかどうかは、解らないが・・・(汗)
なによりまだ未完だし。妄想爆裂だし(汗)と、ともあれ
完成の際には是非とも育成さんに命名をお願いしたい。
342LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/16 20:28:35 ID:???
↓続き

>>LRA3人
別に謝ることでもないし、私は別に否定的な意見は持っていない
むしろ行為を・・・ならぬ好意を持ち合わせているのですよ
なにもLRA3などでもなくLRS、LGSなどの展開も嫌いではない
レイさんがシアワセになっているのならばそのレイさんにとって
それが「最良の選択」といえるものであろうからね。

ムカつくのはエロなどにかかわらずレイさんをないがしろにし
換えが効く(悪い言い方だが)ために安易に非道いことをする連中だ。
(ex・エヴァ2のゲンドウエンディング・受け入れるルートなど。
 まぁ、これはレイさんがゲンドウの願いを聞いてユイに還ったともいえるが)

・・・人間、氏ぬのは一回でも多すぎるのですよ。ふ。

なんとまぁ。(汗)補完されたヒトビト、何よりレイさんは空と海の狭間、
魂の故郷バイスdウェルへ行けたのだろうか。フェアリーになってたりすると
かなり萌え。エレ様の髪型はどうなっちゃってるのかしら・・・(←禁句)
343LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/16 20:33:17 ID:???
>>340
ふ・・・fu-n君は、それは意思表示なの・・・かな?(汗)
長い事fu-n君と一緒にやってきたが、「綾波好き」以上の
事は解らんでな・・・(汗)「無属性アヤナミスト」とでもいうところ?(汗)

と、ともあれ、指に止まるのならカウンタチェックをお願いしたい

       .'⌒⌒丶
      ′从 从)
      ヽゝ゚ ‐゚ν  ←バイト(時給780ペリカ)
        ⊂| |∀| |つ
       /____ゝ
        し' l_ノ
    カウンタ  000001
344LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/16 20:42:04 ID:???
まぁ、ageなきゃ話にならんわけだが・・・
ageてだれも来なかったらそれこそヒサンだな(滝汗)

ともあれ、ここに一人はLRO人がいるということ
そしてワタシがいるからには、ほかにLRO人も居ろう
とりあえずワタシが居なくなるまでは安泰だ(汗)

とりあえず続きを書こう。(汗)夏休み終わるがナー・・・
345育成派(ネカフェ):04/09/16 21:02:36 ID:???
「すごく待ち遠しいです」
読ませてもらっています。
感想は苦手なんですよ
宿題の読書感想文もマトモに出した覚えないですし。
「面白い物は面白い」の一言ですませてしまいますし
みんな笑顔で居られれば良いなぁと思ってます。

センスが無いので命名なんて出来ません!!!【無駄に胸を張る】
346fu-n:04/09/17 21:39:51 ID:???
       .'⌒⌒丶
      ′从 从)
      ヽゝ゚ ‐゚ν  ←バイト(時給700円)
        ⊂| |∀| |つ
       /____ゝ
        し' l_ノ



というわけで


       . '⌒⌒丶
      ′从 从 ) ..,,プーン
      ヽゝ゚ ー゚ν..;' '
        ⊂| |∀| |つ ↑
       /____ゝ  俺
        し' l_ノ

カウンタ  00000000000002
LRA!!!LRA!!!
348fu-n:04/09/17 21:41:01 ID:???
ずれた・・・



まぁいいやー
349LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/17 22:04:28 ID:???
巫女巫女ナース巫女巫女ナース
綾波懐柔巫女巫女ナース・・・

ハッ(ビクッ) わ、私は今何を(滝汗)

>>345(育成さん)
・・・そうですかー。それは残念。まぁまだ完成もしてないものをつきつけるなど
失礼でしたかな。がんばろ。(汗)

ならばタイトルはデフォルトどおり「綾波育成計画異聞」としましょう
紆余曲折を経てハイパーハッピーエンドを描いてみせるよ(汗)

>>346・348

な・・・なんと!!fu-n君はLRO人であったのか!!なんとまあ・・・
し・・・しかし、つまりはそのレイさんの手に止まってる点が・・・その・・・(汗)

ともあれfu-n君、長年共にしていて見抜けずすまないな・・・
これで 後の事もゆっくり考えられるというものだ
全てはレイさんの為に!!(ヴィシッ)

>>347
LRAとは・・・素直に見ればラヴラヴ・アスカ・レイとなるな。
・・・・百合かいっ!!(滝汗) ま、まぁ非常に悶々としたその、アレ的な、いや
ナイスなシチュエーションとはいえるな。(滝汗)
味方増援で現れてアルミィを屠殺する弐号機・・・
借りを返す為背中合わせで量産機と戦う零号機・・・

いいな(滝汗)
綾波や
ああ綾波や
綾波や
351fu-n:04/09/21 16:14:04 ID:???
>>350
恋しく思ふ
秋の夕暮れ
352LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/24 00:52:13 ID:???
ちょっと目を離すとABさんのトコはDATの海に沈めスネーk(ry
ってなことになってしまいそうDA(汗)

ルリヲとて、忙しいときもあるのだよ
特に後期も始まった事だしな。FF書く暇もなかなか取れぬ。(汗)
一ヶ月スパンだといってるのになぁ・・・やれやれ。

>>350-351
なんとぉーっ いつのまにかこのスレで連歌会が催されているっ
ならばわたしも一つ・・・

綾成す波に
望月有らば

むゥ・・・初句に3節も連射されてるゆえくどかったか・・・
まぁよい。望月とは満月一歩手前の周期。
枯れてなを
誰をおもひしその姿
せめてやすらぐ場所に逝くかな
354LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/26 21:38:46 ID:???
忙しいのぅ。(シンプル)

ちょいとホシュかまそうか。

>>353

ぬぅうっ・・・(感涙)

全てが渾然となった赤い海に浮かぶハーフサイズのレイさんの
顔を想像しつつ詠むと、涙が止まりませぬ(号泣)
355fu-n:04/09/27 12:40:08 ID:???
中古屋で綾波貯金箱を見つけた俺って幸せ・・・
356LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/28 01:52:44 ID:???
眠いが・・・まぁ、少しならいいだろう。

>>355
ぐぐってもどこにも痕跡すら残っていないが、確かそんなようなモノも
あったような気がするな・・・いつだったか。やれやれ、トシは取りたくないものだ。(汗)

「お前の文章はクドい!!状況説明が多すぎ!!」

と、ダメ出しされた(滝汗)
むゥゥ・・・そう言われれば、そうなのかも知れぬ(汗)
やたらめったら詰め込むとこういうことになりかねんな・・・
まぁ、それぞれの文にはちゃんと意味があるのだがな。

多少、シェイプアップしてみるか。忙しいがね(汗)
待っててくれている方々(いらっしゃるのか)スマソ・・・
357LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/29 01:02:33 ID:???
そんな事よりちょいと聞いてくださいよみなさん。 さっきまでの流れとあんま関係ないけどさ。
こないだ、スパロボのMX買ったんです。MX。
そしたらなんかレイさんがなまた自爆しそうなんです。
で、よく見たらなんか使徒みたいな奴出てて、攻撃当ててもダメージ受けないんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前な、調律如きで普段出てないスパロボに出てんじゃねーよ、ボケが。
スパロボだよ、スパロボ。
なんかレイさんマヂで自爆しようとしてるし。久しぶりのスパロボで自爆か。救えねーな。
これが涙・・・泣いているのは私・・・とか言ってるの。もう見てらんない。
お前な、メイオウ攻撃してやるから脱出しろと。
スパロボってのはな、もっと余裕シャクシャクとしてるべきなんだよ。
ビグザムに特攻したスレッガーさんがシナリオクリア後に「死ぬかと思ったぜ」とか言って帰還してきてもおかしくない、
フラグ立てるか立て忘れるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。原作追体験厨は、すっこんでろ。
で、結局自爆してしちまったかと思ったら、最終4話あたりで、ただいま、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、リリスにただいま、なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、ただいま、だ。
お前は本当に補完をしたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、希望なのよって言いたいだけちゃうんかと。
エヴァヲタのスパロボ通の俺から言わせてもらえば今、スパロボ通の間での最新流行はやっぱり、
スパロボF・F完結編、これだね。
F・F完結編ってのは普通に進めてればレイさん死なないし補完も起きない。そん代わりエヴァ弱いしシナリオ薄い。これ。
で、それにカヲル君3号機で登場。これ最強。
しかしこれを頼むとライグ・ゲイオスのギガビームキャノンで零号機一撃氏という危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らヌルいスパ厨エヴァヲタどもは、αでレイさんがユーゼスにリョージョクされるのを
口惜しさに歯噛みしながら指先でも噛み切ってなさいってこった。

358LRO人 ◆i6LROeveXU :04/09/29 01:03:43 ID:???


─┼─┐─┼─  /  ,.          `゙''‐、_\ | / /
  │  │─┼─ /| _,.イ,,.ィ'    ─────‐‐‐ ◎ ←MX
  │  |  │     |  |  | イン ,:'´ ̄'\    // | \
                    __{.、! , ; i〈'゙  / /  |  \
               __/}   ̄`ぐ゙ /  /   |
      ,. ,. -‐===‐-`つ/ ,.イ 代理//     ./   ∵|:・.
    〃〃〃〃     / /ミノ__  /´    ./   .∴・|∵’
ヽ_I__I__I__I__I_I     __∠_/ ,∠∠_/゙〈ミ、、
ー{____,,.二二二二) ノ く{ 、  ゙Y} ゙
 /I I I I I I    `^^'    \_l__}'
                   ,'  /    寺田のヴァカヤロォォォォォォ!!絶交しちゃうから!!(号泣)
359fu-n:04/09/30 12:35:11 ID:???
  、
 つをーーーーーーー
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄       (´´
      ∧∧   )      (´⌒(´
   ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
         ̄ ̄  (´⌒(´⌒;;
       ズザーーーーーッ





  ∧∧
  (,,゚Д゚) もーらいっ・・・っと〜
   | つ◎
 〜|  |
   ∪∪
360LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/01 20:01:18 ID:???
スパロボスレを覗くと異様にイライライライラする自分が。

もう知らんよ……エヴァはもう出ないっぽいしな(滝汗)
361fu-n:04/10/01 20:49:37 ID:???
なんか毎回でても同じ感じだしねぇ・・・なんだかなあ・・
362LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/03 22:32:24 ID:???
耳から!! 耳から血が!!(滝汗)

↑某韓国エーガ鑑賞中
363LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/06 02:12:18 ID:???
・・・・・



・・・・・・・・・・・・どぉしろって言うんだよ! まったく!
今すぐ改選切手首攣って氏ねば納得するのんか!?
駄目なトコを指摘するから駄目出しっていうんでしょう?

丸投げされてもこちとら途方に暮れるだけでございますよふんとに!!
コーシーにサトウと間違えてシオをどっぷどっぷ入れて飲み干すような気分でございますよマッタク!!
不器用は言い訳にならんとはよく言ったものさね。

ふ。精神・神経無効でなかったら嵐に走っていたかも知れんな。(←いけません)
スレ汚し大変スマソ。
364fu-n:04/10/06 18:27:21 ID:???
( ゜_ゝ゜)!!!なに?何がおこった?
365LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/08 03:40:52 ID:???
ふ・・・私がまだまだミジュクモノだということだよfu-n君
スレを汚してすまなかったね。


レイさん一回家かえらせにゃならんのよね・・・

ムズカシイです。(滝汗)

でもがんばって3連休中に一区切りつけたい。
366LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/09 22:00:09 ID:???
 .'⌒⌒丶:::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;         .'⌒⌒丶       .'⌒⌒丶       .'⌒⌒丶
;;;′从 从)::;;;;;|゙|;;;;;;;;;;;;;;.'⌒⌒丶;;;;;;;;;;;|゙|;;;;;;;;;;;′从 从):;:;:;:;;:;:| |:;:;;;′从 从):;:;:;:;:;;:;| |:;:;(从 从  )
;;ヽゝ゚ ‐゚v;;;;;;;;;| |;:;;;:;:;:;:;′从 从);:;:;:;:;:| |;;;;;;;:;:ヽゝ゚ ‐゚v:;:;:;:;:;:;:;:;| |:;:;:ヽゝ゚ ‐゚v:;:;:;:;:;:;;;;;| |:;;:;:;ゝ゚- ゚ ν
::::::::::::::::::: .`ヽ| |:;:;:;:;:;:;:;ヽゝ゚ ‐゚v;:;:;:;:;:;;;| |:;:;:;:;/:::::::::::::`ヽ;:;:;:;:;:;:| | ./:::::::::::::゙`ヽ、:;:;::| | ./::::::::::::::::::
::::::::::::::::::: :::::|| |:;:;::;:-‐'´:::::::::::::`゙ヽ、:;:;| |:;:;:/ ::::::::::::::::::::::ヽ:;:;:;:| |/ ::::::::::::::::::::::::::|:;:;:;| |/ :::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::  .::::|| | ; /  ::::::::::::::::::::::::::::l:;:| | |::: ::::::::::::::  ::::| .  | |ヾ:::::::::::::::::::: :::|  | |:::|ヾ゙゙゙゙゙""""
   ...... / .::: || | .|:::  ::::::::::::::::::: :::::|:;::| | |:::|ヽ.゙゙゙゙"""./|:;;|  ..| | ヾ゙゙゙゙゙"""/|:::|  .| |::| |::::::::::::::::
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::::::::::::::::  |::::| | ||:::|  ::::::::::::::::  .|:::| ...| |lソ :::::::::::::::  |::|  | |  ::::::::::::::  |::|  | |   ::::::::::::
::::::     |:::| .| |:::|  ::::::::::::::::  |::|  | |        ∪  | |       .∪ .| |
367LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/09 22:00:54 ID:???
オーケーオーケー。(汗)

しっかし、量産機ダターラ怖いな(汗)
368LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/09 22:04:44 ID:???
つうか・・・・ずれてない、よな。

電波レイさんのやる事に間違いはないよ、ウン。(汗)

はよFF書こう(汗)
369LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 16:46:15 ID:???
何とか書いた。推敲中。

今日の夜には続きを載せるジェイ!!




止めるならイマノウチジェイ!!(滝汗)
370LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:32:10 ID:???
・・・さて・・・

ずいぶんと遅くなってしまったけれど、続きをしたためる事としましょう。

じつは、まだ前章の続きなのよね(滝汗)

人は、信じる道を進むしかない。
371LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:34:04 ID:???



 「―――!!」


 「ぇ〜…でありますからして、1990年代は失われた10年と呼ばれ、
それまでのバブル経済の無計画な開発等による反動が……」

 顔を起こす。辺りを見回す。一瞬、何がどうなったのかが分からず、
放心状態となったまま、レイは机に腰掛けていた。
第三新東京市立第壱中学校2−A教室。レイはいつもの窓際の席に座り、
永劫の夏の日差しが当たる中で授業を受けていた。

 (私……確か……使徒が来て……エヴァに乗って……その後……)

 記憶を探り今までのことを回想する。
だが、取り戻そうとする記憶の肝心な部分には
モヤのようなものがかかったようになっていて、
必死に思い出そうとするレイの努力をただ包み込んでゆく。

 (……私…私は……)
372LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:36:11 ID:???

 レイが額を押さえて回想を続けていると、
レイたちのクラスの担任である初老の教師の声が指向性を持って降り注いだ。

 「……そしてそのような末世感が漂うなかでの翌年、
人類の歩むべき道を根本的に変える出来事が起こったわけでありまして……
では次のところから、相田君、読んでください」

 「は、はい」

 2年生の中では多少名を知られた有名人である、
通称3バカトリオの一人である相田ケンスケが立ち上がり、
教科書を広げて読み上げ始める。予習をしてきていないせいであろうか、
所々で読み間違えたり、つっかえたりしながらも、ケンスケは教科書の文字を追う。
いわゆる『。読み』でなく、それぞれ区分けされた一単元を終わりまで読んでゆく方式であるため、
その悪戦苦闘は今しばらく続きそうであった。レイはその声を聞いて、
次に音読の順番が回ってくるのは自分だということに気づいた。
もやもやとした頭を引きずりながらも、頭を切り替えてその準備に入る。
373LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:37:33 ID:???

 (なんとかなったのよね……きっと……)

 そう、きっと何とかなったに違いない。教室を見回せばアスカも居る、シンジも居る、
この前の惨劇から生還したトウジも居るし、彼にひそかに宿題を写させているヒカリの姿も見える。
使徒は殲滅され、レイは救助され、永遠に何事も無いかのようないつもの情景に戻っただけの事だ。

細かい部分の記憶が無いのも一時的なものだろう、

 後で………に経過を教えてもらおう……

 誰、に?

 レイが頭に浮かびかけたイメージに心を振り向けたとき、
ケンスケがなんとかかんとか割り当て分を読破し、
多少のため息と共に着席するのが見えた。

 「ぇえ、じゃあ次は…綾波さんは居ませんから、碇君ですね」
 「え…あの、先生」

 レイが咄嗟に手を挙げて声を掛ける。皆の目が一斉にレイに集まる。
その視線には心なしか呆気に取られたような、
驚きにも似たものが浮かんでいるようにレイには感じられた。

374LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:45:52 ID:???

 「おや、綾波さん、居らっしゃったんですか? 
……確か今日は欠席届が出ていたはずですけどねぇ」

 先生も腑に落ちない様子でレイを見つめる。
 
 この先生はいつもあまり表情を変えないから、何を考えているのかがぜんぜん分からない。
…もっとも、昔の私に比べれば、表情豊かといってもいいくらいだけどね。
それにしても欠席届ってどういうことだろう。
昨日はそんなものを書いた覚えは無い…昨日、私は何をしたんだっけ?

 レイが頭の中を整理しようとしたとき、先生が咳払いを一つして、
まあいいかというような顔を(殆どいつもと変わらないが)して言った。

 「…では綾波さん、そこの次の行から読んでください」
 「はい、ええと……」

 そこまで言ったところでレイは自分の机の中に教科書やノートのたぐいや、
一週間どの曜日でも必ず持ち歩いているはずのハンドヘルドコンピュータ、
あろう事か筆箱、消しゴム、シャープペンシルの一本すら入っていないことに驚いた。
まさか、カバンごと家に忘れてしまったのだろうか?
 どうも、調子が狂う。
 仕方が無いので、レイは教室を横切り、
宿題を必死に写しているトウジを傍目で心配しているヒカリに頭を下げて頼み込んだ。
375LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:48:43 ID:???

 「ごめんヒカリ、私…教科書忘れちゃったみたいなの、今だけ…貸してください、お願い」
 あくまで控えめに、だが精一杯の感情を込めての頼み事であった。
だが、普段なら「綾波さんが忘れ物なんて珍しいわね…はい、教科書」と
快く引き受けてくれるはずのヒカリの顔が何故か今日は、
先程の皆の様子のように呆気に取られたような顔をしていた。レイがおずおずと再び声を掛ける。

 「…? ヒカリ?」
 「あ……そう…そう、ね、はい、教科書」
 「ありがとう…」

 レイが教科書を受け取り、微笑を浮かべて席に戻る。
すぐに振り返ったのでレイには分からなかったが、
ヒカリの顔は先程よりも更に魂消たような表情を浮かべていた。

 「……セカンドインパクトによって荒廃した世界にも、2003年ごろから復興の兆しが見え始めた。
まず特筆すべき出来事としては、国連によるセカンドインパクトの原因の公式発表がこれに当たり……」

 レイがすらすらと澱みなく教科書を読み上げる。教科書を読むときは予習をしっかりすることだけでなく、
はっきりと、おなかの底から声を出すのだと教えられていたから。
……なまじ身に染みていたことであったから、
今のレイはそれを教えてもらった人物のことにまで思考が回らなかった。
もし目を向けていたら、それをだれから教えてもらっていたのか思い出せぬ自分に愕然としていたであろう。

 「……そして国連主導の復興計画が軌道に乗るなか、
日本は首都機能を失った旧トウキョウ地区を放置区域とし、
新たにナガノ市に第二新東京市を建設、首都機能を移転させ、更に続年には……」

 ……なんだ、ここもう結構前にやったところじゃない、
もうみんな受験に向けて頑張る時期だから、復習の時間を設けてくれたのかな……
376LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:50:18 ID:???

 レイがぼーっとした頭で受け持ち分を読破し、着席する。
教室が水を打ったように静まり返る中、
先生はメガネのずれを僅かに直すと、他の生徒と同じように
呆然としているとある男子に声を掛ける。

 「はい、どうも。では、次のところから、碇君お願いします」
 「は……あ、は、はい!」

 シンジが急に立ち上がって読み始めるのを横目で見ながら、
レイはぼーっと窓の外を見つめる。先程からなにか大事なことを忘れているような気がするが……
まぁ、いいだろう。なんとか「済んだ」のだから。何故かとても眠い、早く家に帰って眠りたい…
と、けだるさに浸っていたレイを先生以外の皆が、いまや驚愕へと変わったまなざしで見つめていた。

 終業の鐘が鳴る。掃除をてきぱきと済ませたレイは、
いつものようにヒカリとアスカを誘って帰ることにした。
1年前の自分からしたら、相当な進歩だと思う。

でも…どうして、どうやって私はそうなっていったんだっけ?
377LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:51:25 ID:???

 「アスカ、ヒカリ、一緒に帰りましょう」
 微笑を浮かべて話しかけるレイに、まずアスカがうろたえながら答える。
 「あ…あ〜、あたしとシンジはぁ〜…ネルフに用事があるから、ちょっと……」
 「…そう?」
 レイが首を傾けて予定を思い返す。そんな予定入っていたかな
……そもそも、今週の予定を聞いた覚えが……

 「あ、あたしそういえば週番だったんだ〜…
お休みの人にプリント届けに行かなく、ちゃ。ごめんね、綾波さん」

 二人共に急いで回れ右をして廊下をやや早足で駆けてゆく。
やや姿勢を低くして、レイに聞こえないような声で囁きあう。

 「……アスカ、綾波さんなにか悪いものでも食べたのかしら?(汗)」
 「そんなこと私に解るわけないじゃない……
(まさか、ネルフで何かの実験台にされたのかも……汗)」

 「……?」

 レイはそんな二人の後姿を、はっきりしない視線で怪訝そうに見つめていたが。
378LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:53:52 ID:???

 「♪〜〜……♪…」

 レイはいつもの通学路を、ハミングを口ずさみながら
帰宅の途へとつくところであった。
いつもの交差点の角を曲がる。いけないとは思いつつも、
つい視線は角地のアイスクリーム屋に向かう。
この前…見た覚え…ではガラスが飛び散っていたようだったが……
もう復旧したのだろうか?はやる気持ちを抑えつつ目線を向けるが……
そこにアイスクリーム屋は存在しなかった。…いや、正確には、「まだ」無い、と言うべきか。
「近々オープン予定!!」の看板が立っている。
新装開店するなら、リニューアル、と書く方が適当であろうに。

 レイは何か釈然としないものを感じ、早足で道を駆け抜け始めた。
更に三叉路を越えて、よくシャーペンや消しゴムを買いに行っている店の方に足を伸ばした。
だがやはり、そこにあるべきビルは無い。
独特の語尾で快活に喋る猫耳帽子の店員の姿も認めることは出来ない。

 「………!!」
 そのときレイの中に言い知れぬ不安がよぎった。何かを忘れている、とても大切な何かを。
堪らなくなって、駅ビルの方へと走り出す。
なにかきっかけが欲しい、そうすれば今なら思い出せる、そんな気がする。
駅前広場まで来た所で、息を整えつつ回りを見渡す。アーケード街のショウウインドウが見える。

 レイの足は引き寄せられるようにそちらへ向かっていた。
379LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:55:19 ID:???

 (誰かと……一緒にここを歩いていた……とても大切な人と……)
 ショウウインドウの中にきらめく洋服やアクセサリーを眺めつつ歩む。
そして一軒の店の前で立ち止まる。

 「………」
 そこは通りの外れにぽつんと立つ寂れた模型屋、
今はもう手に入りそうに無い塗料やプラモデルが置いてある店で、
その筋の人には重宝されているところだ。

 …何故、それを知っているかという事を知るために、レイは木製の戸を開けて中に入った。
ドアに取り付けられた呼び鈴がチリチリと鳴る。店の奥に居た店主が顔を上げた。

 「…いらっしゃい」
 店の雰囲気とはおよそ不釣り合いな女の子が入ってきたことをいぶかしむ店主に構わず、
レイは店の奥にあるガラスケースに近づいていく。

 「………!」
 そこにあったのは一つのプラモデル、展示用に丁寧に塗装されたそれは、
装飾スタンドから伸びる透明なポールに支えられて床から少し浮いている。
背中から生えた純白かつ硬質な羽を広げ、両手で長砲身のライフルを虚空に向けていた。

380LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:57:05 ID:???
 「…お客さん、残念だけどそれは売り物じゃないんだ。
もともと生産数が少なかった上に、それを造ってた
シズオカの工場のあたりは今は放置区域になってる。
そいつは前世紀から残っていた最後の生産ロットの中の一つさ…
 まぁ、探せば日本中の誰かが持っていない事もないだろうがね…」

 その言葉をレイは聞いていなかった。頭の中に今までの記憶が…
自分を変えてくれた人との思い出がまざまざと浮かんでいたから…

 (部品が多いから大変だけど……なんとか時間を見つけて少しずつ作っていこうな……レイ……)

 「………   三尉…!」

 レイは瞳に浮かんだ涙を拭おうともせず、店主に背を向けて出口へ走り出した。
ドアの上に付いた呼び鈴がけたたましく鳴った。
 店主は怪訝な顔をしてレイの後姿を追うと、
ガラスケースの中のウイングゼロカスタムに目線を移してため息を付いた。
381LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/10 23:59:56 ID:???

 「……はい、葛城です……レイ? 貴方が電話してくるなんて珍しいわね……」

 ネルフ内の自分のオフィスで溜まりに溜まった書類を処理していた葛城三佐が、
コーヒーを啜りながら受話器に問いかける。どうもいつものレイに似つかわしくなく、
非常に焦っているような語調に面食らいつつも、レイの質問に答えた。

 「え?三尉? ……三尉っ…て――どの三尉?」

 ッツ!! ―・―・―・―……

 息を呑むようなレイの声が聞こえたと思ったら、もうその電話は切れていた。
ミサトがその様子に怪訝な面持ちでいたとき。

 「あらミサト、誰からの電話?」
 リツコが書類を山ほど抱えて部屋に入って来る。
どさ、と自らの机の上に置かれたのを見てげんなりしながらも、ミサトが電話の主を告げる。

 「あら、レイからだったの? あの子が私的な電話なんて珍しいわね」
 「そうなのよ、それにいきなり『三尉は居ますか!?』だもの、面食らっちゃったわ。
オペレーターの皆は二尉だし、三尉って言えば事務部の連中か、
貴方のところの部下くらいしか居ないんじゃない?」
 「ふぅ…ん? まぁ、計り知れない事もあるものね。
でもレイへの電話なら、今さっきそこの電話で私がしてきたばかりよ?
時間が余ったからエヴァのデータ取得を手伝ってもらおうかと思ったら、
今日は体調が悪いから無理みたいです、ですって。
自己管理はしっかりしてもらいたいものね」

 「ちょっと待ってよ…その電話って、そこのカドの端末から?」
 「ええ、ついさっき電話したばかりだけど」
 「……???」
382LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:03:43 ID:???

 レイは走る。
己の存在を、心を包み込んでくれた人物に会う為に、彼女は家路をひた走る。
普段あまり運動していないせいか、家に着く頃には息が切れ、
彼女に似合わぬ玉のような汗を滴らせていた。それでも、焦る気持ちが先に立って、
一気に四階分の階段を駆け上がる。踊り場までたどり着いたところで、
流石に息が上がりレイは手すりに手を掛けて荒い息をつく。暫くそうしたあと、
まずは自分の部屋の隣室である三尉の部屋のノブを引いてみた。開かない。
チャイムを押してみる。鳴っている様子はあるが、誰も出て来る様子は無く、
また中に人が居る様子も無い。レイは高鳴る動悸を抑えようとしながら、
弾けるように自らの部屋へと向かった。
このとき彼女が401号室のドアを見上げたならば、
そこにあるべき表札が無い事にも気づいたはずであった。

 もつれながらも、ポケットから鍵を取り出す。鍵穴に差し込む。捻る。
ボルトが動く音がする。ドアノブを回して引く。……開かない。
 「……!」
 レイは鍵をもう一度、今度は360度右に回す。最初から鍵は開いていたのだ。
レイはその事に一種期待を持ちながら、急いで部屋の中へと足を踏み入れた。
383LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:09:24 ID:???

 そして、硬直した。

 「……これは……」
 それは、見覚えのある、でも今はもう忘れかけていた光景。
そういえば、この頃はまだ鍵などかけた事もなかった。
 建造当初から放置されていたかのような打ちっぱなしのコンクリートの壁、床、天井。
確か、ずいぶんと前に三尉と一緒に壁紙とカーペットを揃えたはず。
 寝所も、パイプベッドこそ変えてはいないが、後から足したシーツや枕の類、
枕元に置いてある目覚まし時計も無い。あきらかに三尉と出会う前、
いい意味では真っ白な、悪い意味ではからっぽだった頃の自分が使っていたもの。
 視線を移したチェストには、綺麗に塗装したグフカスタムも、
三尉と写した写真を飾った写真立ても無かった。レイは引き付けられるように
チェストの引き出しを開けてみる。そこには、見覚えのあるメガネケースが。
今は、机の奥に大事にしまってあるもの。

 「………」
 レイはその光景に、自分が今まで克ち取って来た物で
塗りつぶしてきたはずの自分の本性を思い知らされた気がして…
固まっていたが、ふと、ケースを空けると、予想通り中に入っていた
メガネを取り出してまじまじと見つめた。そのとき。
384LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:15:58 ID:???
 「!」
 後ろで物音がした。
 反射的に振り返る。三尉なら硬直しているレイに対し何か声を掛けてくれるはず。
振り返ったレイが目にした人物。それは。
 「……!!」
 「……」
 そこにいたのはシャワーを浴びたばかりか、裸身にバスタオル、スリッパという極限までラフな格好のもう一人のレイ。
 レイは、目の前の人物を例の触手状の使徒の映し身と思い、反射的に後ろへと後ずさった。

 窓から差し込む明かりに白い肌から垂れる水滴が光る。
ふと、素肌を晒したままのレイが僅かに怒りの表情を浮かべ、
メガネを持ったまま固まったレイに近寄ると、無造作にレイからメガネを奪い取ろうとした。
 「あっ」
 レイはその手を振り払おうとしたが、もう一人のレイはレイの手首を掴みあくまでメガネを取り戻そうとする。
 「!!」
 もみ合った衝撃でレイの足がもつれ前方に倒れこむ。

 レイが裸のレイを組み伏せるような姿勢になった。
 「…前にも、こんな事があった…」

 組み伏されたレイが、目の前のもう一人の自分にも動じずに、目を細めて呟く。
 その言葉による一瞬の思考の断絶の後、左手の感触がレイに言葉を紡がせる。

 「あなた……誰!?」
 下になったレイが、何の表情も見せずに真っ直ぐレイを見てつぶやいた。

 「……私は私 あなたじゃないわ」

 「―――っ!!」

 まだ手に持っていたメガネをヒビが広がるほど握り締め、レイは息を呑み込んだ。
385LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:19:03 ID:???

 レイが目を開ける。
 視界一杯に広がる無機質な天井。
そこが病室であることに気づくまでに、若干の間を必要とした。
 「…………」
 頭を回し、蒼い薄光が差し込む窓に目を向けた。
雲ひとつ無い夜半の空に心なしか大きく映るのは、
厚い雲の隙間からさめざめとした光を放つ不知夜月。

 次第にはっきりとしてくる感覚に僅かに聞こえてくるのは、
部屋の端末から流れる有線ラジオか?終わり無く響き続ける口笛とハミング。

 どうやらここは、何時も世話になっている郊外の病院のようだ。
本部施設の病棟は第十四使徒の攻撃で大破し、未だ完全に修復されていないから、
こちらに搬送されたのだろう。

 レイは身を起こそうとしたが、どうも全身の感覚が自分のものでないような気がして、
しばらくは手のひらを握っては開き、握っては開き、というような事を繰り返した。
そしておもむろに大きく息を吸ったかと思うと、何とか上半身を起こし、あたりを見回す。
殺風景な部屋の雰囲気の中、レイは左手に残る感触を確かめるように、
その手をみずからの胸に置いてみた。
386LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:20:33 ID:???

 「 ……夢…… 」

 ぽつりとつぶやいたとき、レイは急激に今までの出来事を思い出した。
使徒との戦闘、侵食の悪寒、内的な世界での必死の防禦、そして……。

 「三尉……!!」

 その言葉が引き金となったかのように、レイは枕元をまさぐる。
だが、記憶の中ではそこにあるはずのナースコールは辺りが薄暗い事もあって

かなかなか姿を表そうとしなかった。

 「くっ」
 レイは一瞬顔をしかめた後、胸元に手を差し込むと
胸や腹に着けられていた心電図などのコードを引きちぎるように剥ぎ取った。
ベッドの脇に置かれた医療機器が脈動が感じられなくなった事を感知して
心停止と判断し甲高い警告音を鳴らした。

 ほどなくして、部屋の照明が唐突に点けられる。
長い時間薄闇の中に居たレイは眩しさを堪える為に右手で両目を覆う。
ゆっくりと瞳孔が窄まってきたとき、部屋のドアが開いて三人の人物が駆け込んできた。
非常事態に三人とも慌てた様子だったが、
ベッドの上で自分たちを見つめている少女に目立った異常が見当たらない事を認めると、
ほっ、と胸を撫で下ろした。

 「良かった……レイ……気が付いたのね」
 アスカが顔の緊張を緩めながら言う。彼女にしては滅多に見せた事のない表情だった。
 「……無事でよかった……本当に」
 後ろに控えていたシンジも大きく息をつく。更にその後ろに居る赤木博士の目頭も、心なしか優し気だ。
387LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:22:06 ID:???

 「……アスカ…… 本当に……アスカ…なの?」
 だが、先程の夢?の所為でやや懐疑的になっていたレイは、
つい思ったままを口に出してしまった。
 「……? 当たり前じゃない、私は、惣流・アスカ・ラングレー。
それ以外の誰でもないわ。  ……あんた、本当に大丈夫?」
 レイがそれに答えようとしたとき、赤木博士が
胸ポケットからペンライトを取り出して進み出た。レイの瞳に光を照らし、
様々な角度からレイに光源を目で追うように促す。
最後に、右手の人差し指、左手の薬指と小指を立ててレイに問いかけた。

 「…さんぼん、です」

 レイがおずおずと答えると、赤木博士はようやく安心したような表情を見せた。
 「…どうやら、使徒の精神汚染の影響は無いみたいね。一時的な記憶の混乱でしょう。
…あれだけ長い間侵食されていたのに、正直、尋常じゃない精神力だとしか言いようが無いわね」

 どうやら、ここは…「私の場所」で間違いない。そう確信したとき、
急にレイはその場の凍りつくような違和感に気づいた。
レイが限界ギリギリまで精神をすり減らして使徒の侵食に耐え得たのも、
生きて再び彼の人の元に還る為ではなかったのか。

 「………!」
 レイは鮮明に脳裏に走った疑問を口に出そうとしたが、
それを無意識に拒むような感覚に阻まれそれを成す事が出来なかった。

 ……それを言ってしまったら、二度と立ち直れない程の知らせを聞かされる……
 それを感じ取ったから。
388LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:23:49 ID:???

 「………」
 三人もレイの葛藤をひしひしと感じているのだろう、急に黙り込み、
シンジは眉をひそめて斜め下を向き、アスカはレイの視線を浴びるのが
とにかく辛そうであった。赤木博士は一見いつもと変わらないように見えるが、
その瞳はレイを突き抜けて、何かその奥に居る誰かと
対話しているかのような視線である。彼女がこのような態度を取ったときは、
大抵ろくな事にならないものだ。

 「……ぃは……」

 レイが、なんとか、自らの中で急激に膨らんでゆく恐怖を必死に押さえつけながら、
搾り出すように声を紡いだ。

 「……何故、三尉がいないの!?」

 「………」
 レイの問いに、その場の雰囲気が一気に凍りつく。
時が止まったかのような沈黙の中に僅かに響き渡るのは、ただただラジオから流れるメロディのみ。

 「三尉は行方不明よ」
 唐突に部屋の自動ドアが音を立てて開いた。葛城三佐が、
眉間にしわを寄せた厳しい顔できっぱりと言った。
無駄な修飾を切り捨てた言葉がストレートにレイの心に届く。

 「ゆくえ…ふめい…?」
 レイが困惑した顔で誰に問いかけるわけでもなくつぶやく。
葛城三佐が一拍呼吸をはさんだ後、
「あの後」何があったかを語りだした。
389LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:28:34 ID:???

 結論から言うと、N2爆弾は爆発した。それは最早変える事の出来ない現実であった。
だが、その直前のカヲルの行動によって、爆弾は本来の性能を生かしきれないまま爆発したのだった。

 まず、弾頭部に充填されていた液体精製炸薬には、
カヲルが信管からのマスター回線を切断したおかげで信号伝達に誤差が生じた箇所があり、

一部激発出来なかった部分が生まれたということ。
これにより爆発の威力は4割程減ぜられ、
第三新東京市を根こそぎ吹き飛ばす程の威力は生まれなかったのだ。

 更にカヲルが爆弾に斬り付けた際、信管部分の高度計が破損し、
規定の高度で爆発しなかったこともまたこちらの有利に動いた。
そういった意味では、カヲルの成した事は必ずしも間違いであったとは言えない。
爆発が若干遅れたお陰で、葛城三佐たちは間一髪ターミナルのシェルター部分に避難する事が出来たし、
爆発の威力が若干減ったお陰で、爆風を浴びたエヴァが損傷せずに済んだのだから。
 
 しかし、結果的にN2爆弾は爆発してしまった。

 いかに威力が減ぜられたとはいえ、その爆発力はなお兵装ビル群を瞬時に蒸発、
あるいは倒壊させるほどの威力を持っているのだ。
 あのとき、エネルギーのチャージが完全に済んでいなかった初号機は
ATフィールドを張ったものの、それを維持するのが難しい状態にあった。

シンジは激しい重圧に心身ともに押しつぶされそうになりながらも
必死に自らと手のひらの中にいる三尉を守ろうと食いしばっていた。
 だがそのとき、初号機の上に覆いかぶさるようにして現れた機体があった。
エヴァ弐号機が射出口の壁を駆け上がり、
爆発の渦中にありながらも二人を助ける為に盾とならんとしたのであった。

390LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:30:37 ID:???

 だが、ここで予想外の事態が起こってしまった。
弐号機は二人を助ける為に出来るだけ強力なATフィールドを張った、それはいい。
だが、そのATフィールドが初号機を覆ったとき、ほんの一瞬、僅かな時間であったが、
弱くなっていた初号機のフィールドが中和されてしまった時間が生まれてしまった。
まるで、大きな津波が、小さな波を飲み込むように。

 不幸中の幸いか、初号機は全身に纏ったF型装備の重装甲のお陰で爆風に耐え得た。だが……

 『……ぅぁあああぁぁっ!!……』

 『三尉ぃぃぃぃっ!!』

 瞬間的に襲ってきた爆風によって初号機の体勢は崩され、
ほんの少し手のひらに出来てしまったスキマから、三尉は吹き飛ばされてしまったのだった。
391LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:32:36 ID:???

 「…………」
 話を聞くうちにレイの白い肌が一層血の気を失い蒼白になっていくのがわかる。

 「…………」
 アスカが苦悩に顔を歪ませる。その横顔をシンジが心配そうに見つめている。
そんな様子を見て、葛城三佐が思い立ったように言う。

 「……貴方たちの所為じゃないわ。あなたたちは、自分に出来うる最善を尽くしたのだから。
  ……責任があるとすれば、それは作戦の指揮官である私に全ての責任があります」

 「…………」
 レイはその言葉を聞いていなかった。
脳天を鈍器で思い切り殴られたような衝撃が、彼女の意識を凍結させていた。

 「……今日の昼から捜索班を結成して捜索しているわ。
ビルが倒壊したりして作業は難航しているけど、
なにかしらの結果が出るまでは捜索を続けるわ。 ……あくまで、生死不明、なのだから」

 「……!!」
 レイが急にベッドから身を乗り出し、ドアへと向かおうとした……
だが、突然全身に軋んだような痛みが走り、レイの体は床のタイルの上に倒れこんだ。

 「レイ! ……つっ」
 咄嗟に葛城三佐がレイを受け止めるが、足元がふらついていた為、胸でレイを抱きかかえる格好になった。
392LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:34:53 ID:???

 「三尉を……探しに…行かなきゃ……」
 見上げたレイの瞳は瞳孔が極端に狭まり、細かく震えるまつ毛が、
彼女が涙こそ流していないがそれ以上に深い深い哀情を渦巻かせているのが解る。

 「ダメよ!!そんな体で!
爆心地はビルの倒壊や地盤沈下で相当危ない状況なのよ! 行かせるわけには行かないわ」

 「……それは……命令……ですか?」

 「……いいえ……お願い、よ。わかって、レイ」

 「それでも…聞けません」

 聞けるはずがない。レイは強引に葛城三佐の腕を振りほどき、
痛む足を叱咤してドアへ駆け寄ろうとした。だが、その手を今度は赤木博士が捕らえて引き戻す。

 「思い上がらないで!!」
 「!!」

 眉を引き締めて一喝した赤木博士を、レイだけでなくその部屋の全員が見つめる。

 「…そんな体で出て行ったって、捜索の邪魔になりこそすれ、なんの助けにもならないわ。
それに、もし倒壊したビルに押しつぶされでもしたらどうするつもり!? 現に、怪我人も出ているんだから!!」

 「………! それでも……!」
 何かしたいんです、その言葉を遮るかのように赤木博士がレイの頬を張る。

 「……!」
 「それが思い上がりだっていうのよ!」
393LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:37:36 ID:???
 「……っ……」
 真っ直ぐ自分の顔を見るレイに向けて、赤木博士は声を張り上げる。

 「もし!貴方がここで出て行って!なにか危ない目に―――
命を危険に晒すような真似をしたら、今までやってきた事の意味が、
何よりも貴方に生きて欲しいと願っている三尉の気持ちを踏みにじる事になるのよ!!
……解っているの!?」

 「……!!」
 レイはその言葉に打たれたようにその場にうずくまり、目線を床に落とした。

赤木博士が大きくため息をつき、レイに言う。
 「…ごめんなさい、でも、今言ったことだけは忘れないで。 
…それが、私たち、なにより彼の思いでもあるのよ」

 その言葉に、葛城三佐が三尉が出撃前に言ったことを思い返す。
…結局、思い出すことは出来なかったけれども。

 「…捜索班には、私たちネルフ技術部の粋を凝らした
超高感度の生体センサーを持たせてあるわ。あれなら、たとえ土砂の中に埋もれていても

彼を探り出す事が出来る。それに、三尉が着ていたスーツには
酸素供給・心拍維持を行う生命維持装置もついているから、そう簡単に諦めるのは

尚早なのよ。  ……レイ、ここは、私たちに、任せて。」

 「………」
 レイは答えなかったが、僅かにその頭が上下したようにも…見えた。
同時に、リノリウムの床材の上にぽた、ぽたと小さな染みが出来、
それが数多く落ちて一つの円になるまで、そう時間はかからなかった。

いつのまにか、窓の外には大粒の雨が降り出し、蒼白な月の光を濁らせていた。
394LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:40:44 ID:???

 病室の外の廊下。
 明り取りの窓からは、レイが腕に点滴のチューブを差し込まれる様子が見える。
だが、それとは裏腹に、レイの表情は暗く、
幾分かもどかしさをも含む陰鬱な雰囲気に支配されていた。
シンジが目線を横に移したとき、アスカがぽつりと呟くように問いかけた。

 「ねぇ…シンジ…」

 「…何? アスカ」

 「…三尉… 生きてると思う?」

 「…わからないけど、生きていて欲しい…とは…思うよ」

 「そうよね… レイを助けたのはいいけど、
レイに会うべき自分が消えちゃったら、意味ないもんね…」

 「………」

 「ねぇ……  もしあたしがああいうことになって……
  …は助けて…くれる………
 ……、かな…?」

 「…誰…だって?」

 「……もう、いいっ」

 「……………」


 (……そうだ……加持さんのコト……まだアスカに伝えていない…)
395LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:42:45 ID:???

 シンジはアスカに気取られぬようタオルで頭を拭く振りをしてアスカの方を見つめた。
渋い顔をして目の前の空間を見つめているように見える…が、
その視線は斜め前のガラス窓に注がれている。
雨粒が激しく当たる為に像はぼやけているが、
そこには病室の内部が移しだされているのであった。
もっとも、シンジの角度からは、点滴を打たれたレイの右腕しか見えなかったのだが。
だが、その腕の蒼白さから見ても、レイがこの上も無いほど追い詰められているのがよく解るのだ。

 (……言えるわけない……よな……こんな…ときに…)

 シンジは己の内面から浮かび上がってくる、
自分でも捉え切れぬ感情を押さえつけるべく、無闇にタオルで頭をこすった。
396LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:43:57 ID:???

 3月26日(火) 雨

・第3新東京市の破損率の算定が終了。
支援火器施設、防禦設備、電源施設、防諜施設の現時点での稼働率は実質3%未満。
瓦礫の撤去作業中に崩落が発生、作業員4名が負傷。
・三尉の捜索―――A12地区からF03地区までの範囲には、小動物以上の生体反応は確認されず。
・午後、綾波レイの診断結果を受領。神経組織の生体パルスに乱れ有り、超短波治療を継続。
 付記:精神面に激しい過負荷を認む。沈静剤を投与とのこと。


 3月27日(水) 曇天

・現場の視察に向かう。ひどいものだ。ビルだったものの上から雨水が滝となって滴り落ちている。
復旧のメドは当分立たないだろう。
・三尉の捜索―――F04地区からL16地区までを検索。センサーの感度を限界まで上げるも、
生体反応確認できず。
 赤木博士より打診。耐圧スーツの生命維持装置のバッテリ残量の予測枯渇時間:明朝〜終日
・MAGIシステムの算出した三尉の生存確率―――現時点で■

397LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:46:03 ID:???

 「………」
 そこまで書きかけたところで葛城三佐はキーを打つ手を留める。
報告書を書く事も仕事の一つだが、こういった内容の文を打ち込むのは気が滅入る。
葛城三佐は一旦パソコンの画面を閉じ、ほとんど冷えかけたコーヒーを手に取り、一口啜る。
椅子の背もたれに寄りかかり、じっと天井の一点を見つめていた。
そのとき、机の上のメッセージランプが点灯し、来客があることを告げた。
葛城三佐は反動を付けて姿勢を正すと、多少強張った声で言った。

 「開いてるわ。お入りなさい」

 ドアを開いて現れたのは、予想通り、蒼い髪を持つ少女。
睡眠薬を使って義務睡眠を満たしているが、その夢の中でもうなされていたであろう

心労が顔に満ちている。レイが言葉を紡ぐのを遮って、葛城三佐は先制で切り出した。

 「…ダメだ、と言っても探しに行くつもりでしょうね」

 レイが小さく頷く。葛城三佐がため息をついて続けた。

 「…いいわ。もう危険な箇所の撤去は終わったし、現場もだいぶ整理されてきたから」
 「でもレイ、これだけは約束して。まず、絶対に無理をしない事。状況が状況よ。自粛して欲しい。
第二に、現場の指揮官の言う事は絶対に聞く事。危険が少なくなったとはいえ、
まったく無くなったわけじゃないわ。危険な場所の検索は他の人に任せて、自分の身を案じなさい。
……三尉は、貴方が生きていく事を望んでい……いる、事を、忘れないで」
398LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:50:35 ID:???
 レイが再び小さく頷き、頭を下げてドアを開けて廊下へ出る。
その歩調は心なしか早足であった。と、ドアが閉まりかけたスキマから、
くぐもった音と、レイの声が聞こえた。

 「……!すいませ……」
 「ああ、気にしないで」
 レイに答えた声の主、入れ替わりでドアを開けて入ってきたのは、日向二尉。

自分の部署のまとめた報告書と、やや私的な―――
限りなく黒に近いグレーな手段で手に入れた情報などを持って現れたのだ。


 「……というわけで、戦自から一応の釈明が届きました。
必要な物資があれば、こちらに回してくれるそうです」

 「……仕方ないわね。こっちはほとんど地上の全てがおじゃんだもの、
可能な限りの譲歩を引き出して。ただ、資材や燃料の類は全て厳重にチェック、
作業はウチの人間にやらせること。これは徹底させて」

 「了解しました。……次に零号機の件ですが……」
 「…どう?どうにかして直せそう?」
 「…駄目ですね。現場の足場が悪いのでざっとした調査しか出来ませんでしたが、
素体を中心に中枢神経系がズタズタですよ。
使徒とウイルスナノマシンの侵食でどうにもボロボロで、修復コストが生産コストを上回っています。
素体部の破棄は、時間の問題でしょう」

 「……そう。 無理も無いか……見た目で解るもの」

 「一応コアには損傷が少ないので、足場を整地しだい、回収班が作業を始めます」

 「了解したわ」
399LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:52:32 ID:???
 「他には、かいつまんで報告すべき事は……表立っては、ありません」

 「ということは、表立って話せないような事が、何かあったと?」

 「はい、ここ数日、MAGIの様子がおかしいそうなんです」
 
 「MAGIが?」

 「はい、どうも、外部からデータバンクにアクセスされているような形跡が見て取れるんです。
巧妙に足跡を消してありましたがね。赤木博士が現在足取りを追っていますが、追いつくのは難しい様子です」

 「ちょっと待って……リツコでも追いつけない程の相手なの? その侵入者は」
 
 「侵入、というのは違うかもしれません。なにしろ相手はA−001のアクセスコードを使用しているらしいですから」

 「A−001……!! そんな、まさか…!? 最高級の権限を表すコードじゃない、
それだけのパスがあれば、MAGIの中身なんか筒抜け、好き勝手に中身を覗き見したあげく、
その痕跡を消す事なんて容易だわ!」

 「ええ、碇司令ですらA−002までのコードしか持っていないんですから、
当然、単純に考えて相手は碇司令よりも高みに居るモノ、と見て間違いないでしょう。
 ……おそらく、「委員会」レベルの……    !! すいません、失言でした」
400LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:54:41 ID:???
 「……いいわ。気にしないで。この部屋には盗聴器その他の類は無いから。
もっとも、窓の外から唇を読まれることもあるから、
あまり不用意に「その事」は言わないほうがいいわね、日向君。
 …で、知られたらヤバイようなことが漏れた可能性は?」

 「その事については心配無用だそうです。いつものとおり、
重要な情報は皆あそこに置いてあります。MAGIとは切り離して保存してありますから、
物理的に―――誰かが侵入して情報を引っ掻き回すしかありませんからね」

 「……そう。 なら一応は安心ね。 で、先方さんは
リツコに捕捉されるようなリスクを犯して、何を調べようとしたの?」

 「それが…… 例の圧縮ファイルの中身を検索……何度も、何度もです。
確認しているといったほうが正しいでしょうか」

 「例の圧縮ファイル………

 (死海文書……という名前しか、私たちは解っていない。
碇司令、副指令以外の人間には、ファイルの閲覧、いや、おそらく存在すら知られていない、文書。
…旧世紀に見つかった同じ名前のものは、
原初キリスト教のクムラン教団の書き残した旧約聖書だったそうだけど……)

 ……ともかく、あのファイルの中身がわからない以上、
私たちには手の打ちようがないわ。リツコはなんて言ってるの?」

 「気づいていない振りをして、極秘裏に逆探知を試みていますが……
今のところは、差し迫った危機とは言えない、というのが技術部の判断です」

 「そう……リツコがそう言うんだったら間違いないんだろうけど……  わかったわ、報告ご苦労様」

 ミサトがそう言って資料をファイルに閉じたとき、直上の第3新東京市を移したモニターに丸い雫が当たり、
加速度的にその数を増やしていった。マイクをオンにすると、かすかに遠雷が鳴り響いている。
401LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:57:17 ID:???
 「また…降ってきたみたいね。  ……あの子、無理しなきゃいいけど」

 そう一人ごつミサトに、マコトが多少気遣いの念を込めて進言する。

 「無理をしてるのは葛城三佐じゃないですか……
 あの日以来、結構やつれられましたよ。 …見ていて痛々しいです」

 「そう? 無駄な贅肉が落ちたかしら?」

 「葛城さん!!  自分は、葛城三佐が心配で……
 言っては何ですが、あの爆発で、これだけ探しても見つから……」

 「日向君」

 マコトの大声に相反するかのように、ミサトは静かに、しかしきっぱりとマコトを視線で射る。
言外に、厳しい感情が見え隠れしていた。

 「……すいません」

 「……三尉の安否が確認されるまでは、捜索を続けるわ。
 ……最善を尽くしても報われないかもしれない、でもそれを知っていても、
私たちは諦めるわけには行かないの」

 そこでミサトは今や激しい雨で画面から
上層の様子が伺いにくくなったモニターを一瞥すると、誰に向けるともなく、呟いた。


 「……人には、それくらいしか出来ないのよ」
402LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 00:59:30 ID:???
 そしてその翌日。


 普段あまりからだを動かす機会が無かったせいか、
体のあちこちから悲鳴が上がっている。
運動神経の生体パルス異常は矯正したものの、
いまだ己の体が借り物であるかのような感覚がある。
なまじ今の自分こそが本当の自分だと意識している以上、
その感覚は非常に悲しいものであったが。
その上、瓦礫の上を歩くときはセンサーに反応がなくとも、
もしかしたらこの下に三尉がいるのかもしれないと思われて、
無意識に体重をかけまいと不自然な重心になってしまうために、
レイの靴には血がにじみ、その白さを紅色で塗りつぶしている。
雨の音に負けぬように彼に呼びかけていた喉は今は苦しげに息を付くのみ。
そんな状態にありながらも、
彼女はレインコートからはみ出た前髪から水滴を滴らせながら、彼の人を求めて彷徨う。


 だが―――

 「…救護班! 来てくれ! 彼女が……! …」
403LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:00:37 ID:???

 「…38,6度だそうです。長い時間雨に打たれ続けた事もあるでしょうし、
基本的な免疫力が低下していたせいもあるでしょうね」

 「そう。それでほかに怪我は?」

 「倒れた際に多少擦過傷があったようですが、大事には至っていません」
 葛城三佐の心中に後悔がよぎる。やはり行かせるべきではなかったか…。

 「現在は、仮設救護室で点滴と抗生物質の投与を行ったので眠っています。
このまま、病院へ搬送…」

 「いえ。レイは直接彼女の家へ帰してあげて。
だれか手が開いている人を付けることを忘れないでね」

 「……と、言うと?」

 「MAGIの予測した範囲の探索は、あと数区画を残すだけだからよ」

 「………」

 「だから、今のうちに済ませましょう」

 「…わかりました。手続きを取っておきます」
404LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:02:01 ID:???

 確かにここまで探ってきて、なおかつ残りの区画でも
見つからないという事態になれば、もはや生存は絶望的と見て間違いないだろう。
三尉がどのような運命をたどったか、今や推し量るすべは無い。
……いや、まだ調べていない区画はある、希望はまだあると信じたい。
だからこそ最後まで努力する。するしかないのだ。

 だが、もし……


 「……こういうことは、時間を掛けるしかないのよね……」


 葛城三佐が、その「もし」の結果、彼女に降りかかる現実の事を考えて、呟く。

 「レイには、恨まれるでしょうね」


 (…加持くん)


 おそらく最早この世に居ないであろうヒトの名を想いながら、ミサトは捜索現場へと足を向けた。
405LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:03:14 ID:???

 「!」

 鈍い感覚がだんだん鮮明になり、それに伴ってひどい頭痛と寒気と悪寒が湧き上がる。
瞼を開けようとするが、その力すら奪われてしまったかのような倦怠感だ。
瞼の上を汗がしたたる感覚を持ちながらも、どうする事もできない。
 だが、そんな瞼を、ひんやりと冷たい刺激が通る。
だれかが、濡らした布のようなもので拭ってくれたらしい。
心持ち余裕が出来たレイは、結構必死になって瞼をこじ開けた。

 「あ・・・綾波さん、気が付いた?」

 「ひ…か…り…」

 本当に自分の声か、と思うようなかすれた声で呼びかけた。
何とか身を起こそうと体をねじるが、熱に浮かされた体は言う事を聞いてくれそうもない。

 「あ、無理しちゃ駄目!」
 ヒカリが慌ててレイを寝かしつけようとするが、
レイが真摯に起き上がろうとしているのを察して、レイの背中を支えて起こしてやり、
その背中に滲んだ汗を拭いてあげた。枕を腰の後ろに回して支えにし、レイの姿勢を維持する。
406LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:05:21 ID:???
 「また・・・倒れたのね…私」

 レイがぐらぐらする思考をなんとか纏めながら呟く。そんなレイの肌を拭ってあげながら、
ヒカリは今までの経緯をかいつまんで説明した。

 「そう、私が休校のお知らせを持ってきたら、そこでネルフの人と会って…
迷惑かもしれないけど、何かお手伝いできないか、と思って」
 なるべく要点を押さえた言い方は、何かを遠慮しているのであろうか。
ヒカリが知っているかどうかは解らないが、レイがおっかなびっくり尋ねようとした時。

 「あ、気が付きましたか?」
 玄関のドアを開け、薬局の袋やこまごまとした買い物袋を抱えて
良く通る声で語りかけてきたのは、くるくるとカール気味の髪型が多少幼さを残す女性だ。

 「…カエデ…さん…」
 「捜索中に倒れられたと聞きました… お気持ちは解りますが…
 あまり、無理をなさらないでくださいね」

 彼女は阿賀野カエデ、NERV本部発令所のサブオペレータであり、
今でも人見知りがちなレイにとっては数少ない、腹を割って話せる人物であった。
常に敬語で話しかけられるのは、未だに慣れないのだが…

 「そう…だ…私…」
 そう言って無理にベッドから起き上がろうとする。
だが、病院で眠りから目覚めたとき以上の思考の混濁が、
ベッドのパイプのふちを掴んだ彼女の握力を容赦なく奪う。
とっさに、ヒカリとカエデがレイを支え、多少無理矢理に寝かせた。
407LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:09:15 ID:???
 「駄目ですよ、そんな体で!……」
 カエデが咄嗟にそう叫ぶが、その後の言葉が続かない。
自分がレイの立場だったなら、と立場を置き換えて考えられる程に、彼女は優しい。
 「……そうよ、風邪をこじらしちゃったら、危ないんだから」
 ヒカリも、カエデの意図を知ってか知らずか、諭すような口ぶりでレイを押さえつける。

 「でも…わたし…私は…ん」
 ヒカリがその言葉を遮るように、しかしこれ以上は無いというほどに優しく、
体温計をレイの口に含ませる。今時アナクロだが確実な紅色の水柱が
(今は中身は皆水銀とは別な合成物質となっているが)みるみる上昇し、37,8度の所で歩みを止めた。

 「さっきよりは下がったけど… お薬が効いてくるまで、もう少しかかるみたいね…」
 ヒカリが残念そうな顔で言う。このような事に慣れているのか、
彼女はてきぱきと看護をしてくれている。
家族が多いというのはしあわせである反面、多少忙しいものでもあるのだろう。

 かぞく。
 その言葉をかみしめたとき、熱でただでさえ緩くなっていた涙腺から、
涙が堰を切ってあふれ出す。以前にもこうして風邪を引き、
三尉に世話をしたもらった事があったと思い返しながら横を向いて突っ伏し、
切り詰めた呼吸ですすり泣く。

そんなレイに、二人はなかなか掛ける言葉を見つけ出せないでいたが。
408LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:10:02 ID:???

 「レイさん……捜索は、待機の無い人たちが総出で探してくれています。
だから……きっと、きっと……見つかりますよ……そうでなきゃ、
また、一緒に…プラモデル、作れませんものね」

 カエデが一言一言、搾り出すように言う言葉にレイは振り返る。
そして見た、カエデの両手に残る目新しい擦り傷や切り傷の手当ての後を。 
 「…わたしも、もっとお手伝いしたかったのですが…」

 すまなさそうに言うカエデの顔を見つめながら、
レイはまた涙が湧き出てくるのを止めることができなかった。
409LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:12:02 ID:???

 と、そのとき。玄関のドアを叩く音がした。

 「…誰だろう、新聞…は、取ってたって聞いてるけど…多分違う、よね」
 ヒカリが怪訝そうにつぶやく。第3新東京市を襲った衝撃波は、
駅前の繁華街、事務所街を含む一帯を壊滅させていたから、
ここ数日新聞が来た覚えはなかったのだ。

 「……ちょっと、見てきます」
 カエデが一転、目の端に厳しいものを浮かべながら、油断なく廊下を渡り、玄関に近づく。
ここがファースト・チルドレンの住居と知らずして訪れるものは殆どいないのだから。
カエデが恐る恐るドアの覗き窓から覗いてみて、まず驚愕したような様子を浮かべたかと想うと、
次になんとも言えないように肩を落とした。
無論、その動向は、ベッドに横になっているレイには、見えなかったのであった。

 「……あの、その」
 カエデが気まずいというレベルでない顔をして戻ってきたが、
レイの目線は最早そんなところにはなく、
カエデの後ろ――玄関の電球がこの前の爆風で割れた為に薄暗い玄関から見えた――
ものに注がれていた。見まごう事なき、NERVの男性職員用の制服。
410LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:14:13 ID:???

 「…さんっ…ぃっ……」

 自分でも意識しないうちに脳が命令して、
衰弱しきった体からなんとか力をかき集めて立ち上がり、
ふらつきながらもその人の前へ駆け寄った……が、弱ったレイに
そうまでの挙動を許すほど重力というものは甘くは無い。
平衡感覚を失っていたレイはつんのめり、なにやら箱のようなものを
抱えているその人の足にしがみつく形になった。
だが、レイはそんな痛みなど意にも介しなかった。
胸いっぱいに溢れそうになる程の感情が彼女を突き動かしていたから。

 しかし、熱に浮かされているとはいえ、そうまで想う人と、
今しがみついている人の違和感を無視できるほどには、彼女は無垢ではなかったのである。
三尉の足にしては、微妙に膝の位置が違う。それに、三尉の制服とは違い、
あまりまめに洗濯しているわけでもなさそうだった。

 「………!」
 レイは顔を上げたが、そこに見えたのはNERVで使っているダンボールの底のみ。
無理して横から覗き込もうとしたとき、意を決したかのように箱は目の前から取り除かれた。

 「…………」
 そこにいて、見上げるレイの視線を、なんともばつが悪そうな顔……
いや、それ以上に辛そうな顔で見つめ返していたのは、青葉二尉。
彼は何を語るでもなく、ただその瞳でレイの視線を受け止めていたが。
411LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:15:58 ID:???

 「…す…すいませ…あおば………んッ…っ…!」

 「!……レイ君、大丈夫か!? …阿賀野、洗面器を!!」

 先程の反動か、急に咳き込みだしたレイを支えながら青葉二尉が促す。
暫く、苦悶の時間が続いた後。


 「……ごめ、なさい……とり、みだして……」
 幸い胃の中に固形物が入っていなかった故に、
激しく体力を消耗するような吐き方はしなかったものの、
精神面ではそれ以上に疲弊したレイがなんとか謝罪の意を伝えようとする。

 「……いいんだ、それより無理をしないで、今は体を治す事だけに専念してくれ、いいね」
 青葉二尉はそう言って立ち上がると、先程横に置いたダンボール箱を
レイの目に触れぬように玄関の陰に隠す。そしてカエデに目配せをする。
その意思を受け取って、カエデは一瞬凄絶な表情を浮かべた。
だが、その顔を無理にねじ伏せるようにして、なんとか普通の表情を少なくとも、取ろうとした。

 「…じゃ、俺は、仕事が残ってるから…阿賀野、後は頼んだ」
 青葉は玄関の陰、カエデ以外には見えないところで、カエデに頭を下げた。
まるで、自分にはこれ以上居られそうも無いというような顔で。
カエデはそれを、感情をねじ伏せて作っていた「普通の顔」で送り出した。
412LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:17:39 ID:???

 それから1時間ほどが過ぎ、午後2時を回った頃だろうか、
やや体調を取り戻したレイの様子を見て、ヒカリが家の片づけをするために戻らねばならない、
と言って帰り支度を始めた。別段それ自体にまずい事はなかったのだが、
彼女の着てきたレインコートが、先程青葉二尉が置いたダンボールの下敷きになっていた、
というのはいけなかった。無論、誰のせいでもないのだったが。

 「あっ!!」
 ややダンボールを傾けて下のレインコートを引き抜こうとしたとき、
箱を置いていた棚の(爆風の振動でクギが取れかかっていた棚、の)
留め金が外れて床に落下した。無論、その上に乗っていたダンボール箱ごと。

 「ごっ、ごめんなさい!!」
 ヒカリが慌てて中身を元に戻そうとその場にしゃがみこむ。
それを見たカエデが血相を変えてそれを拾い集めるのを手伝ったが、時既に遅し。


 「……それ……は……!」
413LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:20:57 ID:???

 レイの目に留まったのは、ダンボール箱から転がり出た赤いミニディスクプレイヤー。
セカンドインパクト以前から三尉が持っていたという、三尉がとても大切にしていたもの。
 カエデが多分に絶望したような顔で、そのMDを拾い上げた。
小声でヒカリに帰るように促すが、事の重大さを理解したヒカリは、謝罪の意を持ってその場にとどまった。

 「………!!!!」
 カエデが持ってきたダンボールの中には、普段三尉がNERVで使っている私物が梱包されて入っていた。
新秋葉原で一緒に選んで買った、お揃いのシャープペンシル。
いつでも持ち歩けるように、手縫いのポーチの中に入れてあった、レイがクリスマスに贈った保温マグカップ。
レイと一緒に行ったディスティニーランドの半券がはさんであった、スケジュールを書き込んだ手帳。そして………

 (これって……今はもうまず手に入らないって言われていた……!)

 カエデが目を見開き、箱の一番奥に入っていた箱を見つめた。
やや歳月を感じさせるくすんだ箱の上には、肩に大口径砲を頂き、
両刃のナギナタを携えた紅い機体が描かれていた。
セカンドインパクトで金型が失われ、現存するものは殆ど残っていないという一品だった。


 「………ぅうっ……ふ…ぇえっ……」


 なぜ思い出さなかったのだろう。あの日、三尉と一緒に古い模型誌を読んでいたことを。
 どうして気づかなかったのだろう。三尉の部屋に大事に飾ってあったVF-0AとVF-19Fが無くなっていた事に。



 レイは、ないた。
414LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:24:24 ID:???


 夕方、雨足がすこし弱まった頃、第3新東京市の一角、
もっとも爆心地のクレーターに近いところに、一人の人影があった。
青色のレインコートは、夕闇のとばりの降りつつあった街の影に溶け込み、
遠目では分からぬ程のステルス性を醸し出している。その人物は
ひとしきり瓦礫の中を歩いた後、立ち止まって呟いた。

 「…やはり…運命は変えられないものだということなのか……?」

 そして彼が諦めてその場を立ち去ろうとしたとき、彼の後ろで鳴くものがあった。

 「……」

 彼が振り向いて目にしたのは、一羽のワタリガラス。
彼と同じ赤い目で、真っ直ぐに彼を見つめている。
 それは、彼がもたらしたものではない。まったく予想だにしないところから現れたようだ。
彼がそのワタリガラスに近づくと、鴉は一声鳴いて降りしきる雨の中を大空へと飛び立った。

 「……!」

 その爪の下にあったものを、彼は手に取った。
一見そこらの瓦礫となんら変わらぬように見えるそれは、
しかしよくよく見れば握りの部分のようなものや金属製の鉄火のようなものが見て取れる。
強化されているとはいえ殆どがプラスチック製のために、
爆風の高熱で溶けて固まってしまったそれは、三尉が落としたグロックであった。

 彼はそれを握り締めると、己の感ずるままに歩みだす。静寂の中、雨露の音だけが深深と鳴り響く。
415LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:26:25 ID:???


 「……そうか、今まで見つからなかったのは……」


 彼が足を止めたのは、今なお雨の中に打ち捨てられているエヴァ零号機の前。
彼はデンジャーラインのテープを乗り越え、網のように張り巡らされたワイヤーセンサーを
奇跡のように回避しながら、零号機の頭部の巨大なモノアイの前に立った。

 「死んでいるのではない、停止しているだけ……だから、君の命が、彼の息吹を隠してしまったんだね」

 彼はそう言うと、零号機の頭に手を添え、しばらく沈思黙考しているように見えたが。

 『………』
 暗く窪んでいた零号機のモノアイに、僅かに光が点る。
そして零号機の腕が、ほんの少し動き、上がり、その下にいたものの姿を曝け出した。

 「やはり……かなり衰弱している。 ……早く病院へ運ばないと」
 彼はそう言うと、零号機の手の下に埋まっていた三尉を
慎重に、丁寧に、傷をつけぬように引っぱり出した。
足場の安定した所に彼の体を横たえると、
足元に張ってあったワイヤーセンサーを、つま先で断ち切った。そして、振り返って言う。

 「…大丈夫、きっと助かる。それが、彼の望んだ運命なのだから」

 そう言って彼は闇に溶けた。
416LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:28:34 ID:???


 3月28日(木)  深深と雨

 ・三尉が発見された。盲点だった、まさか零号機の下に居るとは。
MAGIのシミュレーション上そこに居る確率は極めて低かったからだ。
そう、「零号機が三尉を受け止めたという前提が無ければ」
 …ともあれ、集中治療室にて最大限の治療を試みる。
呼吸、脈拍はしっかりしているものの、意識が戻らない。CTスキャンで頭部を診た結果、

落下の際に受けた衝撃から出来たと思われる硬膜外血種を確認、緊急手術を開始―――

 ・レイは現在、抗生物質の投与のため眠っているという。どうすべきか。決められそうにない。指揮官失格、ね。



 20時間にも及ぶ手術を済ませ、手術室から出てきた医師団から聞いた結果を、
赤木博士が報告書に纏めて葛城三佐の所へ持ってきた。彼女の専攻は生体工学、
まるっきり畑違いでもないことから出来たことでもあるし、NERVの技術部の主任としては、
幅広い分野を押さえるゼネラリスト的な側面も求められていたということもあろう。
ともあれ、赤木博士は手術の内容を葛城三佐に伝える。
417LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:30:04 ID:???

 「身体の損傷は、耐圧スーツのお陰か肋骨に数本ヒビが入ったのと、
右足のひ骨が折れた事、全身に軽度の打撲、程度で済んでいるわ。だけど……」

 「……」

 「頭部の右側頭部に硬膜外血種が出来ていたわ。
幸いあまり大きくは無かったけれども、数日放置されていたせいで固まって、
取り除くのに苦労したみたいね。でもなんとか脳に傷をつけずに全て除去する事に成功したそうよ」

 「そう、よかった……お医者さんたちには感謝しないとね」

 「でも……」

 「でも?」

 「血種が大脳皮質を、4日も圧迫していた影響は計り知れないわ。
もしかしたら極度のストレスで他の部分、例えば海馬や頭頂葉に影響が出ているかもしれない。
彼が目覚めていない以上、どんな後遺症が残っているか分からないわ。
最悪、このまま眠り続けるってことも――――」

 「そんな……そんな残酷な事って……」

 「必要な処置は全て済ませてある、
現在は脳圧を下げて落ち着かせる為にマニトールを点滴しているわ。……あとは、待つだけね。

 ……彼が目覚めるのを」
418LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:31:42 ID:???


 夢を見た気がする。三尉と逢ったときの夢を。私を真っ直ぐ見つめて自己紹介してくれた三尉の顔を、忘れることは無い。


 綾波レイは走っていた。一晩で熱は下がったとはいえ、いまだ病み上がりの体に
鞭打って彼女は走っていた。三尉が生きている。その事実が、彼女の体に刹那の活力を呼び戻していた。
その顔には、期待と安堵と不安と悲哀と……様々なものが入り混じった感情が浮かんでいた。
 「三尉……!」

 葛城三佐から連絡があって、三尉が生きている、と聞かされたのであった。
妙に歯切れが悪かったのが気になるが、そういったことを考える前に体が動いていた。
病院の廊下を、必死になって駆けていくと、告げられた病室の前にシンジとアスカの姿が見えた。

 「レイ!! あんた、大丈夫なの!?」
 私のことなんか、今はどうでもいい。

 「さん…い…三尉はどうしたの!?」

 アスカはなんともいえぬ表情を浮かべて答える。
 「……ごめん、私の口からは……何とも言えない……ごめん」

 (違う… そんなことが聞きたいんじゃない!!)

 レイは踵を返し、病室のドアを開けて中へ入った。

 「…三尉…!」
419LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:33:39 ID:???
 中には、葛城三佐と赤木博士、そして………頭に包帯を巻いた三尉。
見慣れた78番の包帯も、三尉が巻いているとひどく違和感を感じる。
突然入ってきたレイに対し、
二人はアスカと同じような表情を見せ、一人は驚いたような顔を見せた。

 レイは三尉の顔を見たとたん、胸の中に溢れそうに張り詰めていたものを
押さえる事が出来ずに、三尉の前にくずおれて、

 「…ごめん…なさい…」

 …と、繰り返す事しか、出来ないでいたが。

 次の三尉の言葉が、彼女をみたび凍りつかせた。




 「……君は……誰……何故……泣いているの……」
420LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 01:34:39 ID:???

次回こそ、本当に

「Complete Physical―――"Born to Be Free"」
乙彼です
くるくるカール子ちゃんキター
423LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 19:29:11 ID:???
手塚が居なければ富野もおらぬし
下手したらDAICONもナッシンなのかー!?(汗)


「・・・神が生んだ奇跡の天才! ブラックジャック」

「碇司令、ナニやってるんですか(汗)」

「・・・アフレコだ」
424LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 19:30:59 ID:???
と、スレ違いは>>423だけとして・・・


いよいよカヲル編だな。ふ、気合入れていこうかー!(ぉ
425fu-n:04/10/11 20:33:06 ID:???
( ´_ゝ`) ・・・がんがれ〜
426LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/11 20:35:44 ID:???
>>425
いや、すまないなfu-n君、私ごときがスレを消費してしまって。

だがまぁ、これで私の中のエヴァに一区切りつけることが出来るかもしれん
がんばって書くさ。(汗)


まぁ、一ヶ月くらいはかかるとおもうけど(汗)

しっかし今回も穴多そうだな(滝汗)
427LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/13 22:55:04 ID:???
あはははははh(滝汗)

何回も推敲したはずなのに大ポカやらかしたよ!!(汗)
あえてどことは言わんがな。
大きなミスを修正したときに、見逃したか(汗)

ともあれ、基本に還って・・・



レイさん萌え〜〜〜(ハァハry)
SSキテターーーーーー
429LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/14 21:51:31 ID:???
ルリヲ「どうですか!!」

    「・・・・・リテイクだ!!」

ルリヲ「ガーソ(滝汗)」

 RE−TAKEと聞いてとっさにおもいうかんだのがコレ(汗)
 
 最近有名な同人誌らしいが、レイさんが首を○るというイベントが
  あるという噂があるので 私には関係なかろうな。
 アスカ属性の皆さん方用らしいしな(汗)
430LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/14 22:01:31 ID:???
さて、最近はプライズものがとみに充実してきて
 タイヘンよろしいことなのです

・ハイグレードプラグスーツフィギュア
・温泉時間フィギュア
・貞本コレクションVOL3 などがありやんすね。

さらにこれから

・ハイグレードプラグスーツフィギュア
・コレクションフィギュアシリーズ などなど・・・

プライズってのはレジンキャスト等と違って一度逃がすと
カナーリ入手困難になるところがアレやね〜
まぁ、セ○もそれをねらってるんだろーがな(汗)

ふ、置く場所がもう無いっポイが、頑張ってコレクトすべし!
431LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/14 22:03:57 ID:???
ふ、下のはハイグレードクリスマスフィギュアの間違いであった・・・(汗)

                     し
立体にしてもイイ!!(・∀・)9m て   のがレイさんの魅力を表しとるのー
                 ズビシ

げんけーしさんたちにカンシャ。
432LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/14 22:07:00 ID:???
いいのかどうかわからんがリストを張っておこう
ゲーセンでコンプしようとすると大抵痛い目に逢うので要注意だ!!(汗)

ttp://www.rakuten.co.jp/be-j/522367/472979/491666/
433fu-n:04/10/15 22:55:09 ID:???
>>432
それのチャイナとかホスィ〜
434LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/15 23:58:35 ID:???
HI−HO!

fu-n君、おぬしが見つけた貯金箱というのは、ズバリこれだな?
ttp://sukieva.fc2web.com/bu/ayanami.jpg

いや〜あったな〜こんなの。
金を入れると零号機のモノアイが光るんだったよね(滝汗)


fu-n君、こういったフィギュアはゲーセンで取ろうとするとン万スッた挙句取れぬ・・・
ということが多すぎるので(腕云々の前にアームの握力弱すぎ、いいわけかもしらんがね)
どこぞのマニヤショップややや気合の入った模型屋さんなどで入手するのが迅速かつ
安上がりなのだよ(汗)

う〜ん、しかしfu-n君は
秋葉原まで出張るわけにもいかんだろうしな・・・(ポリポリ)

気合で入手するしかない、か?(汗)
435fu-n:04/10/16 19:32:37 ID:???
>>434
これこれ!!!
よく見つけたなぁ・・・
ほすぃ〜・・・
436fu-n:04/10/18 00:42:45 ID:???
けど・・・名古屋のフィギュア店・・・

とらのあなとゲーマーズしか知らね〜ぞ〜!!!
しかもまだ行った事無いから店内わからないし・・・
とらのあなは一応チェックしたけどゲーマーズがわかんないし
その近くにもいろいろなとこあるらしいけど全然わかんないし・・・

誰か教えて〜〜〜・・・




あと名古屋駅の地下のでかい肉まん好き・・・
437LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/18 21:37:52 ID:???
ぅうむ・・・結構探したんだが
こんなものしか見つからなんだ・・・(滝汗)
これが少しでも役にたってくれるとありがたいけどな。ふ。
大阪・堺あたりならいくらでもあるんだが名古屋は少ないのな・・・(汗)

ttp://forum.nifty.com/fdoujin/shop/meieki.htm
ttp://www.book-road.net/index.htm
438LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/18 21:41:16 ID:???
とりあえず、下のほうの店に行けば確実に何かしら手に入ろう
名古屋には行った事が無いので、どんだけ名古屋駅から離れてるか分からんのだが(汗)

同じトウキョウって言っても葛飾区と八王子市くらいはなれてちゃあちょっと、ってなことにも
なりかねんがな・・・   ふふふふ(汗)
439八王子市民:04/10/19 16:54:02 ID:???
>>438
八王子を馬鹿にするなw
440LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/19 22:01:21 ID:???
440 ザクのHPゲトー

>>439
いや、別に八王子がイナカとかそういうことでなく
単純に距離のあやなんだがな(滝汗) それ言ったら
ウチなど帝都トウキョウの端っこだ。東西南北どこかはヒミツ。

八王子でレイさんと一緒に都まんぜう食べたいのう(ニヤニヤ)
441fu-n:04/10/20 00:51:58 ID:???
>>437
( ´_ゝ`)b ありがたい!!マジで役立ったし!!
( ´_ゝ`) ・・・ なんと御礼申し上げればよいか・・・
442LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/20 01:19:55 ID:???
>>441

・・・イヤ、いま下のサイト覗いたらなんか思ったより品揃えワリィのな(滝汗)
エヴァ系プライズほぼ全滅だし・・・ アキバのラジオ会館2階には水着フィギュアとか
HGシリーズとか溢れてんのに・・・(滝汗)

ぅううむ、キッツイのう(滝汗)
443LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/20 01:51:25 ID:???
上の情報はなんとなく信用できんが
下の三つは厳選して選んだゆえ、確実にレイさんフィギュアなどを入手できよう(汗)

よくかんがえたらコッチにもあって全国チェーンしてる店を探せば一発やんね〜
いちいち名古屋、で限定してぐぐると存外に出ないものだ。ふ。

ttp://www.mandarake.co.jp/shop/index_ngy.shtmlまんだらけ名古屋店
ttp://www.yellowsubmarine.co.jp/shop-34.htmイエローサブマリン名古屋店
ttp://www.lashinbang.com/nagoya.htmlらしんばん名古屋店

こっちのほうがより確実だと思われるぜfu-n君
あとは任せたぜ(滝汗)
サンタさんに頼むと良いよ
445LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/20 02:53:25 ID:???
多少必死になり、お目汚しだったかもしらんね。

まぁ、サンタさんはセカンドインパクトで津波に飲み込まれたという事でファイナルアンサー。(汗)
446fu-n:04/10/20 17:22:32 ID:???
>>445
らしんばんとまんだらけは一応お友達から聞いてたが・・・



コスプレはちょっと・・・






けど行きます!!!!
447LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/21 00:59:59 ID:???
ふ・・・ガンバ・・・    ってオイオイオイオイオ(ry)

コスプレもいいもんだが、去年の夏コミで、なかなかよくできたレイさんが歩いてるなと思ったら
男性の方だったことを思い出すがね(汗)

ともあれ、フィギュアを買いあさるつもりならユキチさん二人くらいに殉職してもらう事になるかな。
ふふふ。


 Heil 2 Rei!
サービス サービス
449fu-n:04/10/23 12:44:22 ID:???
ナイス!! ナイス!!
450LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/23 18:29:24 ID:???
種死のせいでエヴァ板まで重いです。(多分)

しかし一話目が台風、二話目が時間ズレ、三話目は中断ときて、
まともに見れた回が一回もなし(汗)


エヴァの第六話の笑顔のシーンでテロップ入ったりしてたら
エヴァファンはどのくらいキレていたか(滝汗)

>>448
こ、これはage支援サンクスです。サービス精神にカンシャ。
実際700台まで落ちるとタイヘンなことになりそうでコワヒ(汗)

>>449
fu-n君(汗)   ・・・ところでフィギュアは入手できたのかい?
私はINTRODUCTIONフィギュアを入手してウハウハやねー(滝汗)
451fu-n:04/10/23 18:47:29 ID:???
( ´_ゝ`)フィギュアほしくたって・・・金が無けりゃ・・・u-・・・
452LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/23 18:55:19 ID:???
・・・そ、それはタイヘンだな・・・(汗)

し、しかしけして高いものでは無いんだが・・・(\600〜3000) まぁ、種類が多いから
買い占めようとするとやはりユキチさん2人くらいはいるかなぁ・・・(汗)

セガのまわしものではないですから!(汗)

まぁ、レイさんのカタチだけを求めていても仕方が無いけどね。
思う心があれば、いいのだろうね。(汗)
453LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/24 04:26:36 ID:???
orz   やっつけしごとはよくないな・・・(汗)


|⌒ヽ
|从ν)
|゚ ー゚ノi
⊂コ  8     _          卩ミ
|_|j〉 §  /・ω =3  『m音mノ
|l_ノ    ( /  )    /[M]
         ∪ ∪      / 〉
454LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/25 21:15:53 ID:???
201 LRO人 ◆i6LROeveXU 04/10/25 20:27:54 ID:nl/3nvRe
                                   ↑

いや〜、一等前後賞くらいありそうなモン?(ありません)

Nerv出したら神! なら、 今回のはせいぜい国津神くらいかのー、フォフォフォフォー(バルタン)

さぁてFF書くか    λ............
455fu-n:04/10/30 17:04:46 ID:???
帰ってきました修学旅行から!!!
韓國すげー!!!
一番よかったのは韓國のミョンドン通りのデパート!!!
とおりに入ってすぐにあるデパートの5階にフィギュアやガチャガチャざっくざく
その中に!!ありましたわEVAEVAEVA!!!
綾波の包帯姿からクリスマスにもういっぱい
ほかにもあずまんがやらスーパーロボット系列ギャラクシーエンジェルなどなど!!!
普通に置いてあるのがすごいのよー
ちなみに家の友達は(金持ち)はそこで日本円8000ほど使いやがりました
俺はその影でEVAのガチャガチャ900円分とヴァンパイアセイバーVOL.4を400円分買いました〜



韓國すんごく天国〜
456LRO人 ◆i6LROeveXU :04/10/31 01:41:19 ID:???
ぉお・・・fu-n君
韓国へ行っていたのか(汗)どうりで見かけないと思った

ふーむ、韓国な天使のテーゼ・・・

(馬鹿)


ま、まぁそれはそれとして(汗) 韓国のマニヤ街というとPC房くらいしか思いつかんな・・・
たしか以前に中文や韓文の「綾波育成計画」が紹介されたときに見た覚えがある・・・
逆に言うとそれくらいだがな(汗)
むこうは物価が安いから日本円で1300円くらいでもなかなか買いあされるものだ
fu-n君ももっとあさっておけばよかったかもしれんな?
まぁその友人が8000円分のグッズを買い込んで税関で止められなかったかということが気になるが(汗)
むこうもフィギュアのデキはなかなかだろうし
この機会に買いこんどけばよかったかもね。(汗)

ワタクシはアキバでINTRODUCTIONフィギュアとEXクリスマスフィギュアをゲトーしました(汗)
457fu-n:04/10/31 12:18:27 ID:???
ほすぃーわー
458LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/01 02:25:03 ID:???
アウチ・・・INTROJECTIONダターヨ(滝汗)
           ↑

箱から出して飾ってみるのーよ。


・・・・・・・・・




レイさんっ!! あんたは 俺のぉぉぉおおおっっ・・・!!(失血死)
459fu-n:04/11/01 16:57:22 ID:???
妻?
460LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/01 17:08:45 ID:???
出展はΖガ○ダムね(ジェ○ド)

い、いやそんなビシッとズバッといわれちゃうとなんてゆうかなアハハハハハハ(滝汗)


まぁ、レイさんに相応しくならんとなぁ。目標的に。

てなわけで、最近スレを見返して→(汗) がそうとうアレなことに気が付きまして(遅い)

今後は1レスにつき最大でも三個ということに。意味不明だが・・・ハハハ
461LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/06 22:17:25 ID:???
ちょいと、ホシュ
462fu-n:04/11/09 16:22:20 ID:???
行ったのよー
日曜日にアニメイトとまんだらけととらのあな

行ったのよ〜


EVAのセル画初めて見たからうれしいかーぎーり〜
463LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/13 01:21:51 ID:???
ぇえい、JASRACのページに著作権の確認に行ったら
「不特定多数の書き込みがある掲示板での歌詞使用には許諾を出せません」と来たもんさね
こっちがちゃんと許可取ろうと思ったらそれかね(滝汗)

こうなったらもう好きにするさ(汗)

>>462
遅くなってしまったが、fu-n君行ったか!! どうだった・・・ってまぁ、どれも同人誌専門店だし
アレだったかもしれないが・・・ポリポリ

しかしエヴァのセル画などこっちでは全然見ないから
その点ではfu-n君が羨ましいな。コピーセルかな?
どこのシーンだったね? 笑顔か!? 笑顔かーーーーっ(壊)
464fu-n:04/11/13 17:09:10 ID:???
綾波が無かった・・・
シンジとミサトさんのツーショット・・・
多分第一話
465LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/13 18:36:27 ID:???
もう最近はデス種といいデジタルデビルサーガATといいもう空前絶後なまでの終わる世界ブームですね


そんなに巨大レイがいいのでせうか(滝汗)
466LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/14 00:57:59 ID:???
ぁああああムズい!(滝汗)

一行書くのに2時間考えてるっぽい(汗)

FFってのはムズいものですなー(氏)




頑張ろう
467LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/16 23:50:20 ID:???
LROスレができてしまたので本スレが過疎化しとるっ!!(滝汗)


すまんなぁ〜・・・

そろそろカヲル編にもカタをつけぬとな。ふふふふふ。
468fu-n:04/11/17 00:15:14 ID:???
どこどこどこどこ?
469LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/19 01:31:54 ID:???
・・・・つぅわけで、本スレに還ってきたさ。(汗)

やはり居心地がいいの。誰も居ないというのもあるがの。(滝汗)




精神統一したところで、FFでも書くか(汗)
誰かは読んでいただかれていると信じてね。
470fu-n:04/11/20 18:40:07 ID:???
そりゃ読む罠・・・
あそこまで書いてれば
471LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/23 20:15:07 ID:???
忙しいのぅ(滝汗)

>>470
ふ、まぁだれのためでもない

すべては育成計画で2人目生存ENDが無かったことに血涙を流し
PS2版ではあるかな〜とか思ったらアスカ編のみにあって
歯軋りして前歯全損なお方のため(長い)


ところでfu-n君、

突っ走っていいと思うかね?一部の展開で。(滝汗)
472fu-n:04/11/24 23:07:24 ID:???
( ´_ゝ`) b はっちゃけていきませう
473LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/29 00:58:28 ID:???
ぁあああ 遅れる 原稿落とす(汗)

原稿落としは十週打ち切りへの(略)


エヴァ本編でセフィロート使ったのって量産機戦のみか。
ちゃんと初号機がケテルの位置に来ていてナイス。


つうか貞本さんマジ2人目たすけてくだっさいよ(血涙)
474fu-n:04/11/29 22:27:12 ID:???
     ., -─- 、
     i, !ソ,、y ヽ
     ソfツソノ,,,ノ      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ヽソノ//     < 無理・・・。
      丿┴ 、      \________
     ∠ ̄l''T'7ヽ
     | l'ヽヽ!//'|
    ノ、/|/ ./.ノ. |
    `''l`.l=='=< 「
      | .|;;.  i.V
      ノ| |   | |
     ノ.| .|   | |
     |. | |   |.|
     |. | |   ||.|
     _|__!=|__. || |
    ノ____|_|. || |
    | "" .| |-┬'
    └┬─ ┘|. |
      | |.   |. |
      |-|.    |-|
      |. |     l. |
      |. |    |. |
   ___ノ-┤.   _/. ゝ,
   └.---┘ └ <"
475LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/30 00:12:20 ID:???
>>474

・・・!? ち、ちょ、レイさ、いやこの場合fu-n君か、いや、そのね、あの、なんだ
                     し
                      て ボム
バカーーーーーー 。゜・(つД`)つ(#)3`)・:∴

薄々誰もが感じている事をおもいっきり言うのはちょっとアレだと(汗)


氏の瀬戸際にそんな悲しいコト言うなよ・・・・(号泣)         
476LRO人 ◆i6LROeveXU :04/11/30 00:16:45 ID:???
              , -‐-'´ー- 、._
          ,、' : : ,:-'´: : : : : : :\
          /: : :/: : : : : : : : : : : : \
        /:/ : /: : :, : : : : : :/: : : : : : : ヽ
          !': : :/: :/;.、=7;、イ;i: : |: : : : 、: ヽ
         !: : /': :'´ ;| 'iァz;、,'ト|: :/;イ: : : }: i l
        !: : : : : : :{  `''゛'` !/'´/イ;ィ:/: リ'!
          '; : : : : ;|ヾ ///   ,ィ')y'/;ィ:/   
          ヽ:|'; :{ヘ     _   ゝ./!'´ !'
            /' ヽ! 、   ´,. ィ':i/   
       _,,..../    /` ‐' ´l/リ゛      
      ノ `丶、  {、       碇君が今からでも初号機に飛び乗って
     / ' ‐- 、   \トヽ、      助けてくれたらLRSモードまっしぐら
     ,イ;;;:::、:_:::::::`ヽ、 _\!`)、
    i;/    ヽ::::::::::::', `>ヶ、:>
     !     '、:::::::::::',∨|:ハ! ',                ・・・そうしたら、俺は認める!認めるから!!(滝汗)
477fu-n:04/12/01 00:08:25 ID:???
               ,.、-:::ir、、
           /:::::::::::::::::..\
          /:.:::::、::::::::::';:::::.. i
            | i::::,::ト_\:、:::';:::l: l
         `'!、!ト|!:ャ|`':|:::j:/!〈_,.._
            !|;!、.!:l::|:/、,、:'´ '、
LRO全ての者が `ヾ!''" /l,、-―::、'、
                f.r--‐、ヽ::::::`、
    皆           /.l゛,:  ヽヽ::::::'、
                 /.r'´    〉 l::::::l
              //     /  !::::l
              ,.'、      '| ,.: _|;::〉
               /  >-、..,__ ノ‐'"´_;::':〉
           ,、'   /'    〈 :::::::::::::: ',
            /  //    /.!::::::::::::::::: ',
          / /'´    /::::::::::::::::::::::::::',
      _,.r ' ,∠l,_     /::::/::::::::::::::::::::::::l
      〈:i!  ,k';m」     /::::/:::::::::::::::::::::::::::!
       `i`i"|`i'"´    /::::/:::::::::::::::::::::::::::/
   ,.、-==l=!=|i:.、   /:::::/::::::::::::::::::::::::::/
  | `'=====77"|  /::::::/::::::::::::::::::::::::::(
   !        !  /:::::〃::::::::::::::::::::;;:‐〈     ,、-ri
   |  2−A   | /:::::〃::::::::::::;;:-‐'':::::::::〉==='゛;ヾ´ヾ、
    !          l ヽ::::||::::::‐''"::::::::::::::::;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l|
   |、..,,, __ __ ,,...| <ヽ::||::::::::::::::;--― ゛ ,!;、-‐ '''"フ;ド  !
   `''' ‐ -- ‐ '''"  `ヽ!、__,,∠_,、 -‐''"´    (;r';、',,_,〃
                              ̄
478fu-n:04/12/01 00:08:59 ID:???
動き出す動き出す動き出す
き出す動き出す動き出す動
出す動き出す動き出す動き
す動き#,##---、i_##動き出
き##_,/       \き出す
出∠        ,、  \す動
す|// レ/ハ ハ/ ヽ  ト動き
動|リ/ i ○ .V   ○ハ/| き出
きノ! | リミ ___ ∠.ノ#ル出す
出#レヽi(_____)ヘノ」す動
す動く_)ノ  ハ  ム、 ,ヘす動き
動き出ゝイ  V  ト、/ 。/#出
き出す#ノー--ー‐‐! L_,/出す
出す動/      〉き出す動
す動き\ノ__〉ノ出す動き
動き出す#'ー' ト-|#す動き出
き出す動き出(二)動き出す
出す動き出す動き出す動き
す動き出す動き出す動き出
動き出す動き出す動き出す


    ちーこくちこく〜
479fu-n:04/12/01 00:18:06 ID:???
とまあ3回も連貼りしてしまったわけだが、
今年も残り1ヵ月!!!
12月のクルシミマスに元旦!!!
とまあ今年が過ぎても来年の3月30日があるしぃ〜
今年はユイさんの死去・・・(号泣・・・)
いろんなことがあったが・・・

とにかく行くぞ

  __, ,__
( ´'’_ゝ'') おぅぅぅぅるぁぁぁ!!!



          
480fu-n:04/12/01 00:21:00 ID:???
  __,,.,.,.,,__
( ´'’ 'ゝ'') おぅぅぅぅるぁぁぁ!!!

ズレたぞ
  __,,.,.,.,,__
( ´'’ 'ゝ'') おぅぅぅぅるぁぁぁ!!!
481fu-n:04/12/01 00:24:45 ID:???
orz



λ...,,
もうあかんわ・・・
ぜんぜんでけへん・・・
寝よ・・・
482LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/03 01:45:58 ID:???
>>477-481 

fu-n君!む!ついに動き出すのか!
いよいよこの日が来たか!! 漏れのゲルググを出せ!
メガビームライフル、整備は出来ているか!!

で、アルミサエル襲来? それとも、LRO独立戦争記開始?(汗)

まぁ冗談として。

そうか、今年はユイ殿の魂のありようが変わった年だったな・・・

漏れがゲンドウなら眠り薬のましてでも止めるがね・・・(実験を)

てゆうかユイで無ければいかんかったのかのぅ。いまだに良く分からん。

まぁ、そのおかげでレイさんが生まれたわけだし、一概にどうとも言えん。因果の鎖よの。(汗)


ズレを気にしてちゃ、いい仕事はできねえぜ(汗)
483fu-n:04/12/03 20:22:33 ID:???
             . :/  /     ヽ  \: .
             .:/  /      i   ヽ   ヽ:.
           .:/   i        i   ノ   ヽ:.
          . :i  i ! i  |    l  !     i:.
           .:|  | l| ハヽ | i. | | リ/| ハヽ 、 li: .
          . :!|  ! レリ,.ゝトヽい| ノ/!_,iL,_'! 〉  l\: .
             .:リ ヽ!| rやマ``' ' ゛ ´'!り シ゛ ! /: ∧:.
            .;小、', ヽ_`゛      _ノ,//:  / ,ィ; .
         . :/\ヽ ハ\ヾ、.  _'_ .  ノ / ,イ: //ヾ:.
     復    .:!   ヽ`ヾヘソ心;.、  , イト!'´ //   l:.  活
         . :l   iヽ  \ `'ヽ..` '´,..:!   //   '、l: .
          .:/    l ヽ  ` 、 `、  / / / ノ    ヽ:.
         .:/    l  i、  〈\ヾン゙イ  :∨       i: .
          .:l    ヽ  i`ソー`フ〉'ヘく,_、、:i         i:.
         :└- ァ、   ヽ_」   〈/!| ハ〉   :!      _,、イ: .
484fu-n:04/12/03 20:24:02 ID:???
            . :!   /:  ``'ーァ.、..,__,,.__   :l   !:'"´  |-‐ '' "´ ̄`ヽ::::::::::::ゝ、\:.
            .:i   /:    / ノ/!  ノ:.  ̄.:i    !:、        ,.、.‐'."´`:'ヽ、  \: .
        . :i  /:   r'´: /. : 'ー'゛   . :i   !: ヽ    ,.、.‐'"´ . :     :`ヽ、._ノ:.
           .:i.  ハ.__ ,、 '"´. :         .:i  !: .   ̄. :
     . .  : :ノ /:.                 .:i.  !:.
  . :,. = '' _´   /: .                . :!  '‐- 、:_: .
     ̄'´‐‐''"                    .:'、 r、 _ ` \: .
                              ` '`   ̄
485fu-n:04/12/03 20:27:03 ID:???
     /ヘ//r'//    ヽ/  ハ  ィ       l     ヽ
           |  r'ー,r=-、 \ / //  /  / /      ゝ
  /        |  ,,_ ,iひij/'iヽ//`/ /   ,イ /        l
 /     /  l  | , ,  `r '"  '  / ,イ  ,,/i  /       |
 l l   /  ハ  | ; ;,,,,       /ノ _,r'-",/// ハ   l   l
 | |   ト,r-、リl |,,;;;;;'''      ー'/"~-r=、 \ // /   i   l
| l l  i, r'   }'''|,リ,,,,,,/ ⌒ i     i, ,(c,;ツ |、/イ /   /}  /
|ハrー''"    ノ'|;''_> '"  /_   ー'"  “'っ ィー/'" ,  / i /
/   _,'' ,ィ'"ヽr'"    /`ヽ _ッ   ,;;    -='"  / / /
  / /リ `i,/    /      _, r-ー、-=ニ'" -ー"Y-'"
 r'_/__,/    /;;;'''   ;;;_ r'"   ノr'"/  ,イ T|
/` ̄ r'"  ,/ヾ='"  _,r '"   /^i' /  /i リ
r='"  } r' /   >`''"~    /  / /   イ  /
/ ̄  | ,  ヽー'"      ,、'"  / ハ // /
   /〈         r '"  /|// // /   もう・・・あかん・・・
486874:04/12/03 20:32:32 ID:???
久々、fu-n君頑張ってるなw
LRO人みたいにfu-n君もSS書いてみたらどうだい?
絵でもなんでもいいけど、何かを作ることで新しい視点ができるぞ
487fu-n:04/12/03 21:51:10 ID:???
いかんのよ〜
小学校のときから作文は一行って決まってるのよー

だから遠足の作文は一行から半分までなのよ〜・・・
>>56
すごい亀レスだけど、EOEのシーンってやばい音声あったっけ?
489LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/04 19:14:13 ID:???
>>483-485
うむ、fu-n君はそれが一番だ
ナニから復活したのかは分かりにくいが(滝汗)
485のAAは胸が痛くなるがね・・・(泪)

FF書くのはムズイが、漏れの中のエヴァにケリをつける意味で書いているので
ゥォナヌィと大差ないのよね(汗)

ま、やるだけやるさ。(汗)
490LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/04 19:20:36 ID:???
>>486

これは! 874どの!
お久しぶりであります!!(汗)

最近は有志の皆さんがLROスレを立ててくれたりして(速度は遅いけど)
活気だっております!

いや・・・私のなど駄文もいいとこ
電波妄想の域を出ていません(汗)
ですが、やりがいはあります

もうここに来て3年ほど、初代スレでお会いしてからもう随分経ってしまいました
いろいろと回りも変わってしまいましたが・・・
ともあれ、私は私のやれるところまでやっていきます!

全ては綾波レイの為に!!(ビシッ)
491LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/04 19:22:38 ID:???
>>487
fu-n君、まぁ気負いせず楽しみなされ
私は私の使命が尽きるまでここにいるゆえにね

いや、贖罪かの・・・  まぁ・・・


ふ。しかし作文一行ってのはちょいと(汗)
492LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/04 19:26:49 ID:???
>>488

気にはなるな。

劇場版はヤベーシーンもたくさんあるからの。
ミサト×加持とかシンジ×アスカとかセックルを暗示するシーンもあるしの。

レイさんとシンジのシーンはアレだ、なんつーか、ゴーストみたいなもの?
あれ〜手がすりぬけるよって・・・

はいはい分かってます騎乗(略)

だが声となると・・・分からぬ

噂では実写シーンで声が沢山重なっている部分に(もう電話してこないで・・・・etc)
レイさんのあえぎ声が入っているとか。何度聞きなおしてみてもよう分からぬが・・・

まぁ、カットされるもなにも劇場版は再放送などあったかのぅ・・・(汗)
( 0M0)<<長さよりも内容だ!!!
494LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/04 22:42:17 ID:???
>>493
ふ・・・そのとおりだなゥェーィ

なんか進めたら感動のシーン(!?)よりも
独白のシーンのほうが存在感がある・・・駄目だこりゃ(汗)

ま、せいいっぱいやるさカスパーノレラギッタソディスカー
495fu-n:04/12/04 23:37:51 ID:???
>>493
やべ・・・感動した
496LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/11 02:48:14 ID:???
・・・・・歯がゆい


おのれ・・・LRO人などと気取っていても!

レイちゃんが一番辛いときに、なにもしてあげられないとは!

くそ! くそぉ・・・
497fu-n:04/12/12 16:47:44 ID:???
>>496
どした・・・
綾波は俺のベッドの置くとこで優し〜く見守ってくれてますが何か?
ワハハハハ!!!
俺のターン!!ドロー!!!
儀式魔法セントラルドグマ
このカードは
フィールド上に使徒アルミサエル、綾波レイ(二人目)が存在する場合のみ
発動可能!!!

このカードの特殊効果により、
アルミサエル+綾波レイ(二人目)を生け贄に
ささげ、綾波レイ(3人目)を特殊召還!!!
499LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/20 15:03:01 ID:???
悲しい・・・  悲しい・・・
 二人目氏にそうで悲しい・・・
俺はジ・モエ〜! これから貴様に最高の萌えを見せてやろう! いくぞっ!!

  ・・・すいませんつい!(汗)

>>497
 いやfu-n君・・・返事が遅れてすまないな
 3才レイちゃんがちょっとエラいことになっていたのでな・・・ まぁ今はだんだん元気になってきてるようでなによりです
 なんと! ついにfu-n君も綾波フィギアなどを入手したのかね!?

 「・・・俺たちの守るべき存在がたんなる空想上の産物ではなく、実際に存在するということを確認する事は、
 それだけですばらしいものではないか」(宇宙の戦士より)

>>498
 ふ・・・綾波デッキで私に立ち向かうなど・・・おろかな

 この瞬間に伏せカードオープン!!「ルリヲの願い」!!
 このカードは自軍敵軍の墓場から「綾波レイ」を3枚まで自軍に特殊召喚できる!!

 よって私の墓場にあった「綾波レイ(一人目)」「綾波レイ(鋼鉄2)」、
 およびお前がいま生け贄に捧げた「綾波レイ(二人目)」を場に特殊召喚!
 そして「リリス」のカードはフィールドに存在する綾波レイの数だけ攻撃力を+400させる!

 リリス
 攻 2600  →  攻 4200(+400×4)     ふふふ・・・ きさまが攻撃を宣言したとたん
 防  800      防  800              きさまのライフはゼロになるぜ

 調子に乗りすぎました(汗)
( 0W0)ツヅギハマダァディスカー
501LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/23 14:23:38 ID:???
ぬぉおああおああおああああぁああぁああああああああああああああああおあああ
ああぁアア青アアアアアアやオア赤kんjkvの稲枝rに恩g@kなおsdvgみおうぬお@な
レkんmkbの陰はおいhj利h怨ンkh;lのういhのぅいろぴじょいんdふぃおghにjはいjd
ヴぉピ締ンmv簿dふぉ@意hの言うな@:え9いj9いじじゃおい@rjのい@@嘘gかsどk

はぁ・・・はぁ・・・      ふ  ふふ  ふふふふふあはああはああああはははははは

あはははははははははははははははははははははははははははははははっ
あーーーはははははははははははははははははははははははははははっ!!

げほっ

   ・・・・fu-n君・・・・  レイさんが死んだよ・・・・  また・・・・ 死んだよ

 俺たちは・・・・ 俺たちは一体何の為にっ・・・・     く ぅうううううぅぅうううっ・・・・
502育成派:04/12/23 14:38:57 ID:???
それを受け入れられる程、大人じゃないですから、自分。

503fu-n:04/12/24 17:13:04 ID:???
>>501
綾波は俺のベッドの置くとこで優し〜く見守ってくれてますが何か?

優しい目で・・・
504LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:17:53 ID:???
………はぁぁぁぁぁあああああ………

良く考えりゃさあ、A買って私がこの手で見るまで、まだわからぬよなぁ………

うむ…    あんなもなぁ悪質なコラに決まってる!!そうだ、そうに違いないさ!!

ふぅ〜

ゆえに、私は私のできることをするさ。さて、一ヶ月休載しただけあってボリューム的には十分だと思うんだが……

あんまり掘り下げが足りないところがあるかもしれん、とくに昨日辺りから書いたものは(汗)

だから、クソだと思ったら遠慮なくツッコんでくださいよ? いいね?いいね?(滝汗)


それじゃあ、遅くなりまして申し訳ありません、間を空けるといかんとまさき公王も申しておりますし……

「Complete Phisical & Born to Be Free」の 始まり〜
505LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:20:00 ID:???
>>503

おっと、fu-n君とリアルで遭遇!!(汗)
しかしすまぬなぁ、今度もまた駄文をつらつら並べさせてもらうよ(汗)

まぁ、次スレはもう立ってる!!(滝汗)はっちゃけていくさゴーゴー。(滝汗)



……止めろよ?(汗)
506LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:24:12 ID:???

 久々に雨が止んだ。かといって、雲が消え去る程晴れているわけではない。
 四月に入って十日を数えようとしていた日。




 赤い――― 赤い林檎を見つめる。手を伸ばし、ひとつを手に取る。
そばにあった折りたたみ式の果物ナイフも同時に取って刃を跳ね上げる。

しずしずと刃先を林檎に当て、おずおずと、しかし次第に手馴れた様子で皮をむき始める。
自分に何故その動作がよどみなく出来るのか、という事を考えながら……

 包帯の換えなど細々とした物を取りに言っていたレイが、
驚いて荷物を取り落として彼のもとに駆け寄る。
だが、その時には既に皮はむかれた後だった。彼はみずみずしい色をした林檎に向けていた目をレイに移し、
彼に出来る限りの笑顔を振り絞って言った。

 「レイ…さん、 林檎……良かったら」

 その言葉に、レイの瞳には涙が浮かんだが、それを見せまいと必死に顔を拭い、
自らもまた、精一杯の笑顔をもって彼に答えた。

 「 はい…… ありが…とう 」

 差し出された林檎を受け取り、無理にでも一口齧る。無理に飲み込んだ涙のせいか、林檎の甘みが一層強調されていた。
507LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:26:24 ID:???

 「血腫が出来たまま、4日も昏倒していたこと……
それが、10日経っても一部の脳神経シナプスが上手く繋がらないという
ダメージを生んでしまったのね」

 赤木博士が病室を写した画像の前で呟く。病室に監視カメラを仕掛ける事の善悪はさておき、
NERVの関わる施設にはかならずそういったシステムが存在する。

 「でも身体はもうほぼ回復したし、会話や基本的な動作に問題が無い以上、
記憶回復処置を取れば、なんとか記憶を取り戻す事は出来るかもしれない」

 「ですから、レイを彼と一緒に?」
 「…ええ、お互いの感情が本当のものなら、そうなる確率も高くなる…でしょうね」

 そう言ってマグカップを手に取り、傍のコーヒーメーカーから一杯注ぐ。
更に、その隣の紙コップを取って注ぐ前に、机の傍に立っていた人物に伺いを立てる。
了解を取った後、注いだコーヒーを彼女に手渡す。
彼女は一口啜った後、モニターとリツコの顔を顔を交互に見つめて言った。

 「先輩がそういう風に言うのって…珍しいですね。 それに …えと… 
先輩って、レイのこと……あんまり良い様に思って無いように見えてたものですから……」

 言ってから、流石に今の発言は無遠慮すぎたかと思い、リツコの横顔を伺った。
リツコは一見動じていないように見えるが、その瞳が僅かに揺れたのを見逃すようでは、
長年この人についてきた甲斐が無いと彼女は思う。

 「…… そう、ね」
 おもむろにカップの中身をあおったのち、リツコはモニターのスイッチを切って呟いた。

 「好き、というわけでは、ないわ」
508LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:28:19 ID:???
 「……NERV、我らゼーレの実行機関として結成されし組織」
 「我らのシナリオを実践する為に用意されたもの」
 「しかし、今は一個人の占有機関と成り果てている」
 「左様……我々の手に取り戻さねばならん」
 「約束の日の前に」
 「NERVとエヴァシリーズを、本来の姿にしておかねばならん」
 「……然るに、それを成すには最早スケジュールは看過できぬレベルまで捻じ曲げられているのではないか?」
 「左様。初号機の覚醒と開放まであたりが、ギリギリ誤差修正の範囲内であった」
 「だが、我らの手にあるべき『槍』は失われた」
 「更に、十六番目の御使いと共に三たびの死を迎え、新生するはずの『依代』は、いまだそのままだ」
 「この誤差の修正は容易ではない」
 「『死海文書』の記述の解釈範囲を遥かに逸脱している」
 「……『依代』を更新するにも、危険が大きすぎる。あれの感情は大変不安定な状態にある」
 「万が一……『リリス』が目覚め、その役割を果たさんとしてしまったら」
 「我々の理想は費える」
 「悠久の時の彼方の過ちを繰り返す事となる」
 「それだけは、絶対に避けなければならぬ」
 「今は情報の収集、整理を行い、これからの最善の策を練るのが良いと思うが」
 「だが、タブリスのサダメの時も近づいている」
 「早急に決断せねばなるまいな」

 「碇……何を考えている」
509LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:30:01 ID:???


 「我々に与えられた時間は残り少ない。
だが我らの願いを妨げるロンギヌスの槍は既に無いのだ。まもなく最後の使徒が現れる。
それを消せば願いが叶う……はずだ」

 ゲンドウは自分に、そして目の前の「人物」に言い聞かせるように呟いたが、
ふと眉を細めると、やや渋い声で言葉を続けた。

 「……しかし、最早事態は我々の予測しうる範囲を遥かに超えている。もう死海文書の記述など当てにはならん」

 「だが……俺はどんな事をしてでも、君に逢いに行く」

 ゲンドウが右手の手袋を取っておのが手のひらを見つめる。
そこにはいつかベークライトの中に固められていたモノ……『アダム』が埋め込まれ、
ゲンドウの脈動に合わせて息づいている。


 「待っていてくれ……   ユイ」
510LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:33:01 ID:???
 4月13日(土)

 今日、診断で、三尉は身体的にはもう特に問題ないということを言われた。
……失ってしまった、記憶を除いて。

 主治医さんの説明によると、三尉は脳が圧迫された事で
自伝記憶の殆どを見失ってしまったのだという。でも言葉や動作に異常が無いから、
適切な治療を施せば、記憶を取り戻す可能性は高いはずだ、と。

 でも……だからといって、私の行動が三尉を傷つけてしまった事に変わりは無い。
 
 あの使徒のせい、と言う事は簡単。だけど、あの使徒もまた……
自分が生き残る為に精一杯やっただけ。憎むことは出来ても、責めることは難しい…と…思う。
 …どちらにしろあの使徒はもうこの世にいない。死者に憎しみを浴びせても意味は無い。

 私はあの時、みんなを信じて助けを待つことを選んだ。そしてみんなが、三尉が私を助けてくれた。 


 だけど、そのせいで三尉が傷ついてしまった。


511LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:34:54 ID:???
 三尉や皆が悪いという事は絶対に無い。三尉や皆がいなければ、私は今ここにいない。

 ……もっと前、使徒に食いつかれる前にでも……

 「やりよう」が……あったのだと思う。

 ……私はここ数日ずっと自分に問いかけ続けていた。私は三尉に逢ってから、
大切なものをたくさんもらってきたのに、なぜ、三尉がこんな目に遭わなければならないの……と。

 三尉の記憶を、取り戻したかった。

 私を、叱って欲しかった。

 私は赤木博士の許可を取って三尉と外に出ることにした。
……一緒に過ごした思い出があるところを回れば、記憶が戻るかもしれないと思ったから。
それが私にできる最善のことだと信じて……

 松葉杖をつきながら歩く三尉を支えるようにして一緒に歩いた。
三尉は私を見つめて、考え込んでいるような表情を浮かべて言った。

 「君は…どうして…僕に 優しく…してくれるの? …僕が、君の保護者代理、だった…から?」

 私は瞼に浮かんだものを振り払うと、三尉に精一杯の笑顔を送って、三尉の手を取った。
512LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:36:17 ID:???

 三尉と一緒に、夏祭りのあった神社へ向かった。
このあたりは爆発の影響が比較的少なくて、あの頃の面影を深く残している。

 「……三尉と一緒に、射的や輪投げをしたんですよ……
私のほうが多く取って、三尉、口惜しがってましたよね…… 
そのあと、花火を見たり……盆踊りも。とても楽しかった」

 「このあたりで、下駄の鼻緒が切れちゃって……三尉に寄りかかっちゃったりもしました」

 私が思い出を伝えようと話している間、三尉は戸惑ったような顔をしていたけど……

 景色のいいところで、お弁当にした。
…学年頭の遠足の時に三尉が作ってくれたお弁当。
三尉ほど上手く出来なかったけど、なんとか焦げ付かずに焼けた卵焼きと、プチトマトのメニュー。

 「……美味しいですか? 三尉……」

 「…うん…… それに……とても…懐かしい気がする……」

 「………」

513LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:37:55 ID:???

 「もう……だれも…居なくなってしまったけれど……」

 守衛さんの姿も見ることが出来ない、今の第壱中学校。
爆風で窓ガラスが飛び散った跡がある廊下を二人で歩く。本当は改築が済むまで立ち入り禁止なのだけれども、
誰も居ないのだから、少しくらい居てもいいのだ、と思う。

 渡り廊下を抜ける前、校庭の方を振り返る。結構荒れてしまったけど、それでも、
体育祭の日に、三尉に応援してもらったおかげで1位が取れた時のことが思い出される。
遠くを眺めていたような三尉の瞳が一瞬輝いたように見えたのは、きっと気のせいじゃない。


 「…お嬢さん、美味しいリンゴはいかがかね」

 三尉以外誰もいない体育館で私は演じる。三尉と一緒に台詞の読みあわせをした所を中心に、
身振り手振り一つ一つを思い出しながら台詞を紡ぐ。

 「鍋にして食べると、美味しいのよ……」

 観客は三尉だけ、それでもあの時以上の緊張感。
最後に舞台の袖でおじぎをするまで、まるでもう一人の私が私を動かしていたようだった。

 「……ありがとうございました」
514LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:39:26 ID:???

 「……僕……僕は……」

 「!! 三尉!!」

 突然の出来事だった。天井の梁に挟まっていたバスケットボールが、
傾いた屋根から落ちてきた。三尉を狙いすましたかのように。

 ……でも、私が声を掛ける前に。

 「!」

 三尉は上を振り返らずに、左手に持っていた松葉杖でそれを防いだ。
まるで、最初から落ちてくるのが分かっていたように。

 「……三尉、大丈夫ですか!」

 「……う、うん、大丈夫……」

 三尉は、今自分がやった事の意味が分からない様子で、松葉杖を見つめていたけど。

 ……私には分かる気がする。いつか話してくれていた、「危ない仕事」……の記憶が、そうさせたのかもしれない。

 ……なるべく、思い出したくない、と言っていた……
515LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:40:46 ID:???


 「……いらっしゃいませ、二名様ですね。窓側の席へどうぞ……」

 公園の横の大通りを歩いて来て、ここが営業している事に驚いて、とりあえず入ってみる事にしたレストラン。
 日曜日や訓練の帰りに、よく連れて来てもらった所。ここにも、思い出がたくさんある。

 真新しく貼りなおしたあとがあるガラスから、南側の比較的無事だった街の様子が見える席に、三尉と向かい合って座った。

 
 もう一年近くも前、ここで、生まれて初めてチョコパフェを食べた。
とても冷たくて、甘くて、美味しかった。

 口の周りにクリームが付くのも構わずに食べていると、三尉が微笑んで言った。

 「初めて笑顔を見せてくれたね」  ……と。

 その声は、とても気持ちいい声だった。初めて、気持ちいい声と、そうでない声があるということを知った。

 帰ってから、その週のレポートを書いた。
だけど……そのことは書けなかった。三回も書いたのに、書けなかった。

 今なら迷うことなく書けるけど、そのときは  ……書けなかったの。


 だから忘れない。

 ずっと忘れない。
516LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:42:22 ID:???
 二人で一つのLサイズのパフェを注文して、思い切って三尉に、「はい、あ〜ん」をしてみた。
 ……最初にやったときは、純粋に三尉に甘さを分けてあげようって思っただけだったけど……
 改めてやってみると、ちょっと気恥ずかしい。
それでも、三尉は少し戸惑ったあと、はにかむように微笑んで自然に受け入れてくれた。

 前にもこうやって、一緒に笑いながらパフェを食べていた事を、思い出してくれたのかな……




 そのあとも、色々なところを回った。参考書を一緒に選んだ本屋さん、
店が修築中だということでワゴンで街中を巡回しているという、「黒い三年生」のアイスクリーム屋さん。
リボンのワンピースや、レースのキャミソールを買ってもらった洋服屋さん。

 全部、三尉との大切な思い出があるところ。

 色々なところを回るうちに、三尉の顔から少しずつ戸惑いや迷いが消えていって、
だんだんと、何かを取り戻していくのが感じられた。
 
 でも…
517LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:44:38 ID:???
 「……ごめん、頭の中に、色々な出来事が浮かぶのだけれど」

 日も傾きかけてきた頃、公園の教会の近くの林並木のベンチで一休みした時、
三尉は私の顔を見た後、少しうつむいて済まなさそうに言った。

 ……私には詳しい事は分からない。だけど、多分今の三尉は、
バラバラになってしまったジグソー・パズルを、
懸命に元通りに組み上げようとしているような状態なのだと思う。

 ……しかも、欠けたピースが全部そろっているわけではないのかもしれない。

 「……無理しないで……今日はもう戻りましょう」

 三尉を疲れさせるのは良くない。それで、三尉が立ち上がるのを支えようとしたとき、
立ち上がりかけた三尉の視線が、目の前の歩道に向けられているのに気が付いて、
私は顔を上げた。

 「……」

 (三尉……)

 三尉の見つめる先には、だいたい小学二年生くらいの男の子がいた。
少ししゃくり上げているところを見ると、迷子になってしまって、
もうずいぶんお母さんかお父さんを探し回って、それでも見つからないというのなら、
きっとすごく心細いのだろうなと思った。

 だけど、私はそれ以上その子を見ていられなかった。

 「……三尉!? 大丈夫ですか、三尉!!」

 頭を抱えて崩折れるようにうずくまった三尉の肩が細かく震えていた。
何かあったのだろうか……どこか痛むのかと三尉の顔を覗き込んで、私は驚いた。
518LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:45:55 ID:???



 (父さん……! 母さん……! アキ……!  どこなの……

   お願い……返事をしてよ…… アキ…… 父さん…… 母さん……

       ……みんな……   どこへ行っちゃったの……)

519LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:47:13 ID:???

 「!!」

 「 い……」

 「三尉!? 三… 」

 「!」

 「…嫌だ……もう… 一人は…… …嫌だ…」

 まるで私の肌のように青白くなってしまった三尉の顔は、今まで見たことが―――
 違う、前にも見たことがある。この前の使徒が来たとき、モニター越しにでもはっきりと見えた三尉の顔。……それに。

 もう半年以上も前、いつか三尉の部屋にスケジュールを聞きに行ったとき。
三尉が写真立てを見つめて、この顔をしていた。

 三尉に見せてもらった写真は焼け焦げて、上半分が無くなっていた。
それでも、幸せそうな四人家族だったという事はわかる。両親の前に立って、
屈託の無い笑顔を浮かべているのは、子供の頃の三尉。
隣には、三尉の妹さんが同じように笑顔でピースサインを出している。
日付は……あの災厄から一年前となっていた。

 「……あれ以来、すっかり泣き虫になっちゃったよ」
 少し寂しげに微笑んでそう言った三尉に、私はそのとき言葉を返す事ができなかった。
520LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:49:04 ID:???

 セカンドインパクトの事は記録でしか知らないし、
第三新東京市にその爪あとが残っているわけでもない。
三尉はいつか私が大人になったら話してくれると言っていたけど……

 前に実験で松代へ出向したとき、帰りに碇司令と一緒になった。
一面にお墓が並ぶ丘を発って、第三新東京市が見えてきたとき、
ヘリで街を見下ろした司令が、まるで自分に言い聞かせるようにぽつりと言ったことがあった。


 「……人は、前に進まなくてはならない。瓦礫の山しかなかったここがこうまで立ち直ったように。
 ……それが、死んだ者たちへの慰めにもなる」

 三尉があの災厄の中で何を見て生きてきたのか、今の私には分からない。
だけど、三尉のとても悲しそうな顔からして、心が張り裂けそうになるようなことが……あったのだと思う。

 ……人は誰しも、心の中の奥底にしまっておきたいと、
できればそのまま忘れ去ってしまいたいというものがある。
 私でさえそうなのだから、普通の人なら当然当たり前に持っているもの。

 でも、それを忘れ去るのは難しい。
何故なら、忘れようと努力するのは、忘れまいと努力するのと同じだから。
 そんな思い出の中でも、一番思い出したくない記憶、はめ込むのすら拒否したいピース。
三尉はそれを思い出してしまったのだと…気づいた。
521LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:50:20 ID:???
 (いけない、このままじゃ……)

 どうなるか想像もつかなかった。三尉の心が壊れてしまうんじゃないかとも思った。

 こういうときどうすればいいか―― …わからなかった。
 だから私は、私の心が震えたときに、三尉がしてくれた事をした。


 「……大丈夫」


 両手で三尉の頭を抱えて、胸に抱きしめる。


 「……どんなことがあっても、私が一緒にいるわ」

 「だから……大丈夫」


 「………」

 …三尉の体の震えがだんだん収まっていって、三尉が私を見上げた。

 その瞳は、私が良く知っている三尉の瞳だった。
522LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:51:27 ID:???

 「……レ…」

 「…レ……イ……」


 「…………三尉!?」

 「……そう…  そうだ…僕は」

 三尉は何かを確かめるように手を握り締めて、私の顔を見つめた。
私は、驚いて三尉の顔を見つめ返す事しか出来なかったけど…

 しばらくしたあと、三尉が私の手を取った。私の良く知っている微笑を浮かべて、こう言った。


 「………………ありがとう…レイ…

   僕を…助けてくれて……」


 もう、言葉にならなかった。三尉の胸に飛び込んで、ただ、彼の名前を呼び続けた。
523LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:52:35 ID:???


 「……ごめんなさい、三尉、ごめんなさい……」

 「レイは何も悪くないよ…… ただ、レイが無事で、良かった」

 そう言うと三尉は私の肩に手を置いて、いつも…その言葉を言うときの笑顔で、こう言ってくれた。

 「お帰り、レイ」

 いや、この場合「ただいま」かなと、私の頭をなでてくれる三尉の顔を見て、自然に私の目から涙が溢れた。
524LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:53:15 ID:???


 涙は水 つめたくて あたたかい

 悲しい水

 優しい水

 寂しい水

 なぜ どこから来るの

 「何か」で心がいっぱいになる

 なりすぎて

 あふれて零れる

 そう 涙は心という入れ物からあふれ出した「感情」
 喜び、悲しみ

 気持ちが水に変化する

 冷たくて、暖かい

525LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:54:18 ID:???

 「……おねえちゃん、どうしてないてるの」

 さっき泣きそうになっていた子が、私に声を掛けた。

 「おなか、いたいの?」

 私は首を横に振る。

 「……かなしいの?」

 私はなんとか姿勢を正して、目頭を拭いながら答えた。

 「…違うの。 …嬉しいの」

 「ふ〜ん… へんなの」

 遠くから、男の子を呼ぶ声がする。男の子は振り向くと、歓声を挙げて走り出す。

 「あ……お母さーん!」

 「もう、お母さんから離れちゃ駄目って言ったでしょう。さ、帰りましょ。今夜はハンバーグよ」

 「わーい!やったー!」
526LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:55:11 ID:???

 男の子を見送った後、三尉の差し出してくれたハンカチで涙を拭おうとしたとき、
ハンカチの隙間から出てきたものがあった。三尉がそれを手に取って、少し寂しげな声で言った。

 「……こんな大切な思い出も忘れていたなんて、僕は……」

 三尉と一緒に、遊園地で撮った記念写真。ちょっとくしゃくしゃになっているけど、どこも欠けてはいない。

 「もう二度と、忘れないよ…レイ」

 その言葉が、私の心を満たした。三尉が私の手を取って歩みだす。

 「さあ…僕たちも帰ろう。結構遅くなっちゃったけど、レイの誕生日をちゃんとお祝いしなくちゃね」

 三尉の言葉に、私は本当に、心からの表情で答えた。

 「……はいっ」
527LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:56:33 ID:???

 二人が去った後の公園に夜のとばりが降り、街路灯が白い光を放ち始めた。

 そのとき、その光に映し出されるようにして、一人の銀髪の少年の姿が浮かび上がった。
彼は、二人が去って行った方向をその真紅の瞳で見つめていたが、
ふと、思慮に沈むような表情で瞼を伏せ、
現れたときと同じように唐突にその場から掻き消えた。

 その後に、何ともいえぬ余韻を残しながら。
528LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:57:36 ID:???

 「……やっぱり、無理しないほうがよかったかな」

 問いかける私に、三尉が小さく頭を振って微笑む。

 「…ありがとう、でも…もう大丈夫だよ。……ただ……すこし、眠い、かな……」

 「そう……ごめんなさい、もうゆっくり休んで、三尉」

 「うん……お休み……レイ……」

 「お休みなさい…、  三尉……」

 小さく寝息を立て始めた三尉に毛布を掛ける。一応、退院する時の検査でも問題はなかったけれども、
やっぱり体を冷やしたりするのは良くない。私みたいに風邪を引いてしまったら大変だから。

 椅子に掛けてあったブラウスを羽織って、私は立ち上がる。

 そのまま洗面所へと向かった。途中、テーブルに足を取られそうになって、壁に手を付く。…まだ、お酒が抜けていない。
 テーブルの上には、食べかけのショートケーキ、ロゼワインの瓶、スープスパなどが、ラップに包まれて乗っている。
なんとか片付けたい所だけど、今日はもう気力が持たない。明日にしよう。一晩くらいなら大丈夫よね。
529LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:58:26 ID:???

 シャワーのお湯を浴びながら、ぼーっとした頭で考える。


 明日はまず何をしよう。

 三尉の部屋のお掃除が先かな。

 葛城三佐や赤木博士に、今までの事を報告しないと。

 三尉にもらったゲルググキャノン、どういうふうに作ろうか。

 そういえば、駅前のレンタルビデオ屋さん無くなっちゃったけど、今借りているビデオどうしよう。

 それから……


 暖かいお湯を浴びながら、取りとめも無いことを考えることは、こんなにも楽しい。

 首筋にお湯が当たる。お湯に当てられて浮かび上がるもの。私はそれを撫でる。生きている喜びを感じる。

 ふと、シャンプーのボトルを取ろうとして、私は驚いた。

 「……!?」

 唐突に眠気が引いた。首筋から垂れている色… 赤い。まさか。
そう思って首筋に手を当てたところで気づく。それは、首筋から垂れているのではなく。
530LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 17:59:21 ID:???
 「………………!」

 指の爪の生え際から滴る。痛みも無しに。息を呑んで両手を見る。
両手の爪から、垂れる赤い雫。

 私は急いで浴室から上がると、洗面台の戸棚をまさぐる。
二つ目の棚の蒼い小瓶。蓋を開けて振る。刻印の無い錠剤。
三錠を口に含み、コップの水で飲み下す。

 「んっ………」

 大きく息を付く。落ち着こうとして、バスタオルで体を拭う。
胃の中で急速に溶けてゆく感覚。

 ……止まって、くれた、みたい。

 急に緊張の糸が切れ、私は床にへたりこむ。鏡の中に映る自分を見上げる。
その表情は、言葉では言い表せない。


 私……  私は……


 涙がまた一粒、零れ落ちた。
531LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:00:15 ID:???

 「Herzlichen Glueckwunsch zum Geburtstag Rei!!」

 アスカの嬌声と共に、いくつものクラッカーが弾ける。
衝撃音と共に、クラッカーの中の紙飾りや銀紙ロールが、空中で放物線を描きながらレイに降りかかった。

 「おめでとう、綾波」

 「綾波さん、遅くなっちゃったけど、お誕生日おめでとう」

 「綾波、おめでとさん」

 「おめでとうございます!レイさん」

 「15歳の誕生日おめでとう、レイ」

 「おめでとうであります! にしし」

 「おめでとう、ファースト」

 「レイ、おめでとう! 今日は飲むわよ〜」

 レイは場の雰囲気に多少押され気味なのか、次々に投げかけられる祝辞に戸惑ったような顔を見せていたが。

 「みんな……ありがとう、本当に……ありがとう」

 自然に、心の底からの笑顔を皆に振りまいた。
…昨日のことは忘れたわけではないが、気にしてどうなる、というわけでも、ない。
ならば、今この瞬間くらい、それを忘れて微笑もう…と、彼女は思う。
532LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:01:38 ID:???

 「は〜い、じゃあ出しものの開始ね! まずはあたし、と……そーね、シンジ!ちょっとこっちへ来なさい!」
 「え!? ぼ、僕!? (なんだか嫌な予感がするなぁ……)」
 「はい、それじゃあシンジはこの箱の中に入ってぇ!」
 「ちょ、ちょっとこの箱キツいよ……って、アスカ、何…!? その剣」
 「もちろん、刺すのよ。だぁ〜いじょうぶ、結構練習したんだから!…さあさあお立会い!じゃあ、行くわよ!えい!」
 「あ゛いだ!! アス、アスカ! 刺さってる、刺さってるってば!!」
 「あっれ〜!? おかしいわね、それじゃこっちはどうかしら?」
 「い、いやそれ練習とかいう問題じゃ…あいたたたた!」
 「おっかしいわね〜」

 「そ、惣流、ワザとやってるんちゃうんか…く、くくく」

 「で、でも、本人は真剣みたいよ……ぷ、ぷぷっ」

 「ありゃ、終わった頃にはハチの巣だな…シンジも災難なヤツ」

 トウジ達が笑いを堪えつつもひそひそと囁きあう中、
三尉もまた、口には出さずに、当人には決して聞かせられないような感想を得ていたところだったが。

 「(絶対旦那を尻に敷くタイプだな……今更驚かないけど)  ん…… レイ?」

 「ふ、ふふふ……」


 (……やっぱりレイは、笑っている顔が一番いいな)
533LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:03:28 ID:???
 必死に笑いを押し殺して口を押さえるレイを、三尉が優しげに見つめているのを見て、
ミサトはまた一本缶ビールを開けながら思う。


 (…レイ、本当に変わったわね…)

 そう、それは1年ほど前のレイを知るものなら、改めて驚嘆せずにはいられない光景だった。
ヒトは心の持ちかた次第で、こうも変わることが出来るものなのだということか……

 あおりながらふと、考える。あの頃の私に時にレイにとっての三尉のような人がいたら、
私は今はどうなっていたのだろう。…父は、その役割を果たしてはくれなかった。その最期の時を除いて…

 ミサトはすぐに頭を振ってその考えを頭から追い出した。
同じ14歳とはいえ、あの頃の自分とレイでは状況が違いすぎる。それに、今更言ってもせん無き事だ。

 ミサトは次に三尉に視線を移した。まだ無理は禁物だが、あれだけの事態から生還した、
いや、それ以前に、一種、無謀ともいえる救出作戦に志願し、負傷したとはいえ、見事レイを助け出した青年。
入院していた為か、ぱっと見細身な印象だが、よくよく見れば必要なところにちゃんと必要な筋肉が付いているのが分かる。
NERVに入る前は、様々な職業を転々としていたそうだが、それ以前の経歴は分からない。
だが、彼が語ろうとしない限り、彼女も下手に詮索する気は無い。興味が無い、というわけではないが、
ミサト自身の考え方がそうさせたのかもしれない。セカンドインパクト以前に生を受けた人々は、
誰にしろあの災厄を生き延びる為に何かしらあがいたのだし――
 大事なのは過去ではなく、現在、そしてそれに続く未来であると思うようにしていたからだ。
534LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:04:57 ID:???

 だが、やはり、興味が無いと言う訳ではないのだった。
彼がまだ一曹だった頃の事は、「なかなか使える子がいる」というリツコの言葉ぐらいしか
判断する材料が無かった。そして、実際一緒に仕事をしてみて思ったことは……

 彼が意識せずに浮かべているであろう表情は、
こちらもつい笑顔を返したくなるような優しさを含んでいるが、その瞳の奥は、
あの地獄を経験してきたものだけが持つ凄絶さを帯びている。
彼の過去に何があったかはわからないが、いつもの彼が見せる笑顔の中にまれによぎる寂しさは、
その中に大きな悲しみを内包しているようにも見えたのだった。まるで、彼のように。

 (…………)

 ミサトは、しばし、三尉のほうを見つめて何事かを思案していたが。
心持ち眉をすぼめたその表情からは、その内面を推し量るのは難しい。
だがその思考は、顔を真っ赤にしたカエデの問いかけに遮られた。
535LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:06:02 ID:???
 「あれ? 葛城さんさ〜、なぁに深刻な顔してるんですかぁ〜
 折角のパーチーなんですからぁ、もっとパ〜っとやりましょうよう」

 「……あなたって、そんなキャラだったかしら」
 まさか、先程の乾杯の一杯だけでこうなのだろうか?
ミサトが微妙な汗と共に答えを返す。普段のどちらかといえばお堅いカエデとは別人のようだ。

 「いいじゃないですかぁ〜減るもんじゃなしぃ。それより飲んで飲んで!言いだしっぺは三佐なんですからぁ」

 問答無用で押し付けられた350ml缶を前に、ミサトが少しだけ自嘲気味に笑った。
 「……ふっ」

 (そうね。感傷に浸りきるなんて、それこそ私のキャラじゃないわ。もう前に進むしかないのよ。それでいいの)

 「〜〜〜〜〜…… ぷは〜〜っ…… か〜〜〜〜 もう一杯!!」
 「おおお〜〜 流石は葛城三佐、新世紀のウワバミ」
 「!っ… って、それはいくらなんでもヒドいんじゃないの!?」
 「いやいや、ホメ言葉ですって!カエデさんも上手い事言いますなぁ〜 ……さぁて、それじゃわしもいっちょ……痛っ」
 「ダァメですぅ〜 十四歳のコドモがビールなんてゴ・ン・ゴ・ド・ウ・ダ・ン! 飲むならぁ〜……このサングリアにしなさいって!!」
 「なるほど……これは飲みやすいね。なんだか……僕もいい気分になってきたよ……シンジ君」
 「カヲル君、目が据わってるよ……ぅう、血、止まるかな……」
 「いやそれって結局お酒はお酒だから、学級委員長として私は……ぁあっ、こ、こぼれる」
 「ほらほら堅いコトは言いっこなしで。ささ、一杯いきましょう」

 (……典型的な悪酔いタイプね、彼女。これじゃパーティーというより宴会よね…… ま、いっか。タマには)
536LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:07:09 ID:???

 「…次は私が歌うわ!「風のジャンヌ」って通カラに入ってたかしら?」
 「わしは……「勝利者達の挽歌」無いんか……とほほ…」
 「いやいや、ここからは硝煙と銃弾飛び交う世界だ!アーマードギアやろうぜ!!」
 「……あ…綾波、悪いけど……包帯貸してくれる……(ガクッ)」


 「みんな……はっちゃけてるなぁ……でも、良かったな、レイ」

 「ありがとう……みんな……ありがとう」

 そういうふうにして、宴はたけなわなまま時は過ぎていった。
537LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:08:22 ID:???

 深夜、流石に騒ぎ疲れたのか、皆思い思いの姿勢で深い眠りに入っていた。
レイのベッドの裾には誕生日のプレゼントが積まれ、
ベッドから引っ張り出したシーツに包まったレイと三尉の上に月光がきらめいている。

 そして、そのプレゼントの山に、今また贈り物の包みを立てかける腕があった。
その腕は、いささか上気しているものの、想い人に寄り添って眠る少女との
共通点を隠すまでには至っていない。

 その腕の持ち主は、去り際にシンジの様子を見、
緩みかかっていた包帯をしっかり巻きなおすと、流れるような体運びでまったく無音のまま
玄関へと歩み寄り、ドアを開けると、月光が降り注ぐ外へと出た。
不思議な事に、彼が扉を閉めた後あと、ドアの鍵が閉まった。彼は、合鍵を持っていないはずなのに。


 (……いい月だ)

 マンションから出た後、彼は心の中でそう呟くと、ナンバー式の錠に4桁の数字を打ち込み、
サドルにまたがると、軽やかなスピードで道路へ繰り出そうとした。

 そのとき。
538LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:09:36 ID:???
 !!!

 脈が一つ、体を揺るがすほどの大きさで打たれる。頭の中に瞬時に大量の情報が流れ込む。体の神経一つ一つにまで聞こえて来る。

 「来い」という声が。

 彼が荒くなった呼吸で必死に胸元を掴む。額から噴出す汗が月の光に輝く。しばらく彼がそうして苦悶していたとき。

 「!」

 眠っていたレイもまた、何かの衝撃を受けたかのように目を見開いた。
不安げな瞳で辺りを見回す。だがその頃にはすでに、彼女を起こさしめた衝撃は掻き消えていた。

 「………」
 レイが、その瞳を窓の外の月へと向けたとき。


 「……不粋だな…こんなにも月が美しい夜に」

 彼は自らの体に刻まれた刻印が発する衝動を無理矢理押さえつけると、頭を振って再びサドルに跨った。

 「……言われなくとも、行くよ。貴方のところへ ……それがサダメならば」

 ふと後ろを振り返って、彼は見た。マンションの窓から、彼女が憂えたような瞳で辺りを見回しているのを。
その視線に捕まる前に、彼はペダルを漕ぎ出した。
539LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:11:12 ID:???

 「……あれ以来、表立っては何の音沙汰も無いな、連中からは」
 広々とした総司令執務室に、駒を打ち付ける乾いた音が響く。

 「滑稽な連中だよ。もはや彼らのシナリオなどなんの意味も持たないということが
受け入れられない哀れな老人たちだ」
 ゲンドウが駒を盤上に打つ。その動作は徹底して左手を用いて行われており、右手を駆使する事は無い。

 「うむ…… だがそれは我々も同じ事だ。はてさて、どこから狂いだしたものか……」
 冬月が手の中の駒を弄びながら思考する。視線は盤上に注がれているが、
その意識は真っ直ぐに目の前の人物に向いている。

 「……狂う、狂わないの問題ではない。そもそも死海文書の記述など単なる示唆にすぎん。
実際に考え、どう行動するかを決めるのは我々自身だ」
 冬月の次の手にしばし黙考したのち、ゲンドウが言葉と共に反撃を行う。

 「予言書ではなく、あくまで預言書だということか。だが、そうなると奴らの次の手を読まねばならんな」
 冬月が控えから香車を一枚取り出し、打つ。ゲンドウが目を細めながら答える。

 「駆け引きは常に2手3手先を読んで行うものだ。
おそらく彼らはシナリオのズレを修正する為に動くだろう。それも近々…
今まで何も無かったのが不思議なくらいだよ」
 ゲンドウは囮に釣られる事なく、一歩引いて相手を引き込む姿勢を取りながら答えた。
540LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:11:58 ID:???

 「ふむ」
 冬月がその誘いを見て、顎に手を当てながら考える。そして、僅かに柔らかな声で唐突につぶやいた。

 「ところで碇、彼をレイに付けたのは、本当にお前の意思ではないのか?」
 言葉と同様、打ち方も唐突である。

 「……MAGIからそういった案件が提出されたから、検討し、許可しただけだ。それ以外に何がある」
 ゲンドウの打ち方が一瞬止まる。だが、ややのちに言葉と共に駒を進めた。

 「だが、「許可しない」こともできたはずだ。違うか?」
 冬月の言葉には、若干の強調が含まれ、同時に僅かながら私的なものも混ざっている。
それは、この二人の間でしか通じないものなのだろう。

 「……冬月」

 「まぁ、答えたくないならそれでもいい……王手、飛車取り」
 乾いた音が一つ、鳴り響いた。

 「……冬月先生」
 「待ったは無しだぞ、碇」
541LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:13:29 ID:???



 「………」

 二日酔いの頭痛に呻くシンジとアスカを綾波宅に残し、ミサトは一人自分の部屋へと戻っていた。
留守番電話から再生されるメッセージを聞きながら、ノートパソコンのキーを叩く。
時限式のパスコードで保護された圧縮ファイルには、その送り主が相当の代価を(もしかしたらその命まで)
支払って得たであろう情報が入力されていた。脳裏にそれらを刻みつけ、念のため一枚だけプリントアウトする。
彼女がこれまで得てきたものと、今回のデータを符合させれば、かなりの謎が鮮明にその姿を表すだろう。

 「……鳴らない電話を気にして苛つくのは、もう止めるわ」
 指先で5mm四方のマイクロチップをつまみながら、彼女は呟いた。丁寧にそのチップを身に隠したあと、
テーブルの上にある荒削りな、おそらくは偽造されたものであろうIDカードと、
実弾を装填したUSPを手に取って立ち上がった。


 「……貴方の気持ち、受け取ったもの」
 玄関を出る前、彼女は振り返らずに呟いた。それは決して諦念でも、決別でもない。
542LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:15:44 ID:???


 「………」

 リツコが暗い階段を一人降りて行く。本部施設地下に広がる広大なセントラルドグマ、
ともすれば進むべき道を見失い、闇に飲み込まれてしまいそうな薄暗さの中を、リツコはただ一人歩み続ける。

 「………」
 複雑そうな顔を浮かべ、何層もの階層、いくつものドア、何回ものエレベーターを乗り継いで、より深い深淵を目指す。
 そして大体15分ほど経た頃であろうか、リツコは一見何も無い場所の前で立ち止まった。
ポケットから一見何の変哲も無いボールペンを取り出し、それをいきなり目の前の壁の継ぎ目に差し込んだ。
根元まで差し込まれたボールペンを右に二十七度、左に四十三度……しかるべき手順を踏む。
目の前の壁が僅かな駆動音と共に開かれ、カードキーコンソールが付随したドアが現れた。
 リツコは僅かに瞳を細めると、更にポケットをまさぐり、自分のIDカードを取り出し、コンソールに通そうとする。

 「そこまでよ」
 背中に感じる、銃口の圧力。リツコは手を止めると、いささか自嘲に満ちた声で背後の人物に呟いた。

 「……貴方の尾行に気が付かないなんて、私も随分と焼きが回ったものね」
 リツコの背後から現れ、その背中にUSPを突きつけているミサトが、厳しい声で問いかける。
 「コレが、最後の隠し事というわけね。こんなところじゃ、彼が見つけられなかったのも頷けるわ」

 「加持君が教えてくれたのね」
 その男の名を出されても動じずに、強い声で続ける。
 「ここの秘密、この目で見せてもらうわよ」
543LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:17:07 ID:???

 「……いいわ、ただし……」
 「ただしも何も無いわ。今すぐ、ここを開けなさい」
 ミサトが撃鉄を引く。彼女が十年来の友人にそうまでやってのけるほど、この奥にある真実というものは重いのだろう。
 (余裕が無いのね)
 その言葉に、リツコは瞳を伏せて少し笑ったようだった。

 「ミサトさん!?」
 「……シンジ君!?」
 「私が呼んだのよ。彼にも真実を見せてあげようと思ってね」
 「彼は関係ないでしょう? …まさか、違うとでも?」
 「ええ、大いに関係があるわ」
 「……リツコさん……」
544LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:17:49 ID:???

 二つの視線を浴びながら、リツコは空中に止めていたカードキーをリーダーに通した。
だが、コンソール上にはLOCKEDの表示が出たままである。

 「……ミサト、貴方何かやった?」
 ミサトが疑問を口にする前に、リツコが静かに言った。

 「――いいえ」
 「そう、変ね」
 そもそもこの入り口を知ったのは今が初めてなのだから、というような視線を向けるミサトに、
リツコはただ淡々と言葉を返した。そして唐突に自らの頭に手をやると、そこからヘアピンを一本抜き取る。
端をつまんで伸ばし、一本の針金と成す。コンソールにシステムチェック用のパスを打ち込み、
ENTERキーを打つと同時に針金でカードリーダーを引っ掻いた。
火花が散り、画面が一瞬ぶれた後、コンソールにOPEN表示が浮かぶ。

 「……付いてきて」
 呆気に取られているミサトとシンジに対し、何かさばさばとした、ある意味自棄ともとれる口調で、リツコは二人を招いた。
545LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:19:07 ID:???

 ドアの向こうにあったリフトで更に地下に降りる。乗っている間は自覚しなかったが、
相当な速さで下降していくのが、急速に圧迫されだした鼓膜を通じて伝わってくる。

 「……ここは……」
 人工進化研究所3号分室、と銘打たれた扉を抜けた先には、まるで病院の手術室を思わせる部屋があった。
だが違うと思われるのは、どう見ても人を治すような雰囲気ではない事。さび付いた実験機器のようなものが放置され、
すえた何かの薬物のような臭いが漂う場所。

 「……まるで、前の、綾波の…部屋だ」
 シンジが率直な感想を呟く。そう、初めてシンジが逢った頃の彼女の部屋は、丁度こんな様子であった。

 「綾波レイの部屋よ。彼女が生まれ育った部屋」
 「……ここが?」
 「そうよ。彼女の深層心理を構成する光と水は、ここのイメージが強く残っているのね……
もっとも、今もそうなのかは、知らないけれど」

 多少投げやりな雰囲気で言うリツコに向けて、ミサトは敢えて彼女を役柄で呼んだ。
 「……赤木博士、私はここを見に来たわけじゃないのよ」

 「分かってるわ ミサト」
 彼女は、敢えて名前で言葉を返した。
546LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:20:26 ID:???

 その後、本部にあるシンクロテストやハーモニクス慣熟などを行う試験棟に酷似した部屋に出る。
もっとも、今現在は風化するままに放置されており、
実験プールも僅かにこびりついたシミがそこに液体があったことを示すのみだ。

 「……シンジ君、ここに見覚えがある?」
 「え……?」
 「覚えていないでしょうけど、あなたはここに来た事があるのよ。そして、お母さんが消えるところを見ていたはず」
 「………!!」
 「あんまりな記憶だったから、自衛本能が記憶を閉ざしているのかもね」
 「ちょっと、リツコ」
 「……まだ先よ。行きましょう」

 そこからさらにリフトを乗り継ぐと、だだっ広い空間に出た。どこからか吹く隙間風のようなものが渦巻く空間の下を覗き込むと。
 「これは……エヴァ!?」
 「最初のね。失敗作よ。10年前に破棄されたわ」
 「エヴァの、墓場……」
 「ただのゴミ捨て場よ。次なる世代を担えなかったモノたちはここに捨てられた。
……ここに来なかった分、あなたのお母さんはまだ幸運だったかしらね」

 「!」
 「リツコ!!」
 ミサトが静かにUSPを構えなおす。そんな二人に、リツコは目線を落としながら言う。

 「……ここであった事を述べたまでよ。気に障ったなら謝るわ」
 「……」

 足早に去る三人の背中を、積み重なる躯の間を吹き抜ける風が追いかける。
それはまるで、生れ落ちる事すら叶わなかったモノたちの呻きのようにも聞こえたのだった。
547LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:21:42 ID:???

 そして、最早地上からどれほど深く潜ってきたのか分からぬほど感覚が麻痺してきた頃。

 「着いたわよ」
 「……ここは」

 シンジが上を見上げて目を細める。
目の前にあるエントリー・プラグ状のチューブから伸びる大小のパイプが折り重なり絡み合ってまるで
脳髄のようなカタチになったもの。一介の中学生の理解の範疇を超えるシロモノであることは確かだ。

 「これが、ダミー・プラグの元だというの?」
 「……そこまで漏れていたなんて、流石は加持君、といったところかしらね」
 そうつぶやいて、リツコはさらに心中でこう付け加えた。

 (そこまで踏み込んだお陰で、あんなことになってしまったわけだけど)

 「……彼のレポートによると、ここでダミー・プラグに魂を封入していた、ということだけど」
 「そこは間違っているわね。所詮人の身には、魂のデジタル化など不可能なのだから」
 「……じゃあ、これは……」

 「もともとあったものを移し変える事ぐらいは、できたのよ。サルベージされた魂をね。
でもそれも厳密には違うわ。ダミーシステムはただ、ヒトの魂を模倣した偽りの魄(ハク)を生産していただけなのだから」

 「……どういうこと?」
548LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:22:37 ID:???
 「その名の通り、ここにあるのはただのダミーに過ぎないということよ。
……15年前にヒトはカミサマを拾ったので喜んで手に入れようとした。だからバチがあたった」

 「……セカンドインパクト……」

 「折角拾ったカミサマも消えてしまったわ」

 「でも、それじゃあ…」
 「その後ヒトはカミサマの残りを掻き集めてカミサマを再生させようとした。
それがアダム。そしてそのアダムからカミサマに似せて人間を造った。それがエヴァ」

 シンジがリツコを見つめて呻くように言った。
 「…ヒト!? 人間なんですか!? エヴァが」

 「ヒトのカタチをしたヒトのカラダ、というほうが正しいわね。エヴァには本来魂が無いから」
 「だからエヴァには魂が封じ込めてあるの。空ろな人形が魂を込められて初めて存在する事ができる。
……そして、それはレイ、あの子にも言えることなのよ」

 「……綾波が?」
 「……なによ、それは」
 「これを見てもらえば……解るわ」

 そう呟くと、リツコは手元の端末を操作し、周りの水槽のライトを付けた。
549LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:23:41 ID:???

 「………」
 「…………これが……って…・・・」

 「!?」
 瞼を伏せ、二人の言葉を待っていたリツコは、予想外の二人の反応に驚愕し、目を開けて辺りを見回した。

 「…!!」
 リツコは息を飲んだ。水槽の中に無数に浮かんでいるはずの、「彼女」のスペアが一体残らず無くなっていたから。

 「……このL.C.Lが、全ての答えだって言うの?」

 問いかけるミサトの声をリツコは聞いていなかった。
そうだ。本来最初のドアが開かなかった時点で、こういうこともありえると想定すべきだったのだ。
リツコは、しばらく放心したように水槽を見つめていたが。

 「………ふふ……ふ……ふふふ……」
 最初は小さく、低く、しかし次第にトーンと声量を上げてリツコは笑い出した。
シンジはそんなリツコの姿に呆気にとられているばかりだったが、ミサトは見た。
リツコの泣き黒子の上を水滴が垂れるのを。
550LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:25:02 ID:???

 「……私の考える事なんて、全部お見通しってわけ?
 ……そう、そうね。それもいいのかもしれない」
 そう言ったところで、リツコはがっくりと肩を落とし、泣き笑いにその体を揺らした。

 (それは、逆に言えば、私の心を汲んでくれているということ。
体よく利用されているとしても、一瞬でも私に心を開いたことのある貴方のすることだから、わかるのよ。
それは……慰めになるわ。でも決して……癒しにはならない)

 リツコが顔を上げて上を向く。
はるか上方、本部のどこかに居て、今の自分を見下ろしているであろう彼の男の方を向いて。

 (でも、貴方は私が何の為にここに来たと思っているのかしら。
貴方は、私がレイのパーツたちを破壊するのを防ぐ為に、中身を全部別の場所へ移しておいたのよね。
でもおあいにくさま、そんな気は最初から無かったわ。そんなことをしたら、……機会を失ってしまう)

 (私はただ……見せてやりたかっただけ。ミサトと、貴方の血を分けた貴方の息子に。
貴方が、どんな、どういう事をやっているのかという事を知らしめたかっただけ。
あなたの意には、そぐわないでしょうけど……ね)


 そう自嘲すると、リツコは突然床に突っ伏して号泣し始めた。
まるで、体の中の悲しみややるせなさをすべて吐き出すかのように。

 「リツコ……」
 そんなリツコを哀れみのこもった瞳で見つめるミサトの言葉に対して、リツコは吐き捨てるように言った。

 「わかってるわ……バカなのよ、私は。…親子揃って大バカ者だわ!!」
551LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:26:26 ID:???

 その次の日。

 ミサトは本部の実験棟で、初号機、弐号機、4号機のパイロット、
すなわち碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレー、渚カヲルの3人によるシンクロテストを行っていた。
定例どおりのステップの中、目だった変化は無いように見える、が。

 「……4号機のパイロット、あと0.3下げてみろ」
 今日に限って珍しく同行していた副司令が直接命令を下す。

 「……葛城三佐」

 「は、はい!!フラグ0.3下げ」

 迂闊にも考え事をしていたミサトは急いで伊吹二尉に司令を出すが、
そこは敏腕オペレータである伊吹二尉だけあって、副司令の声と共に作業を終えていたようだ。

 「君らしくないな、葛城三佐。いろいろと疲れているのはわかるが、任務には集中してもらいたいものだな」
 「……申し訳ありません」

 葛城三佐にミステイクを起こさせたのは、やはり昨日の出来事が大きい。
いろいろなことが頭の中をめぐるが、どれもが要領を得ない場当たり的で曖昧な「答え」にすら行き着く事ができない。

 「……ふう」
 ならば、せめて目の前の仕事に専念しなければ。そう思ってデバイスに目を通した瞬間、ミサトは驚愕に目を見開く。

 (これって……)
552LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:27:25 ID:???

 口には出さないが、驚くべき数値を4号機のパイロット、渚カヲルはたたき出していた。
しかも、その数値の変動が更に彼女を驚かせた。一見してみるとわからないが、
よく見るとシンクロ率を表すバーが規則的に……まるでリズムを取っているように動いている。

 「!!」

 顔を上げてカヲルのモニターを覗くが、彼が何かしら特別な事をしているわけでは無いように見える。

 ならば、偶然か?

 彼女が再びデバイスに目を落とそうとしたとき、冬月副司令が声を上げた。

 「……ふむ、もうこのくらいでいいだろう。実験終了だ」


 (あの少年……)

 ミサトはモニターに映るカヲルの表情を、食い入るように見つめていた。
553LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:28:22 ID:???

 「お疲れ様」

 L.C.Lの排出を終えたシンジに、カヲルが声を掛け、紙コップに入った水を手渡した。

 「…あ、ありがとう、カヲル君」

 「今日は調子が出なかったようだね、どうしたんだい?」

 「……そう、かな」

 シンジが昨日ここの地下で体験した事は、無論カヲルは知らない。
実際のところミサトと同じようにシンジの頭の中にも昨日の出来事は渦巻いていて、
それがシンクロにも悪影響を与えていたのだが、話のスケールが大きすぎてどうもいまいちピンと来ない。
なにやら大事な事であるのは間違いないが、
ここに来てからイチ中学生のキャパシティを超える出来事ばかり体験してきたせいか、
どうもそういった類の事は実感し辛い。もっとも、彼が昨日、本来そこにあるべきものを目にしたならば、
今こんな風に釈然としない表情など浮かべている余裕など無かっただろうが…

 彼に強く印象付けられた事は、日頃冷静沈着で通しているリツコがああまで感情を吐き出したということくらいだった。
 そして彼女は、今、ここにはいない。
554LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:29:13 ID:???

 「…エヴァのパイロットってのも、意外と大変なものだね、ここのところ連日テストなんだから」

 「ひか…しかたがないよ……それが、僕らの仕事なんだし」
 口をゆすいだ冷水が歯に沁みたのか、シンジが口に息を通しながら返答する。

 「強いんだね、シンジ君は」

 「え…そ、そんなこと……」

 「…彼女の、影響かな?」

 「え?」
 シンジが声の指し示す方角を見上げると、三尉とレイが共に廊下から、
ガラス越しにこちらを見下ろしている。シンジの視線に気が付いたレイは、そっと目を細めて二人に笑いかけた。
555LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:30:03 ID:???

 「随分可愛い子だと思わないかい?シンジ君」

 「…でも、前はあんなふうじゃなかった」

 「ふぅ…ん。そうらしいね。 ……やっぱり、隣の彼のお陰かな?」

 「そう……そうだね、そうだと思う」

 「ヒトは心の持ちようでいかようにも変わることが出来る。素晴らしい事だよ、シンジ君」

 「そう、なのかな」

 「そうさ」

 シャワーを浴びて、更衣室で着替えている間にも、カヲルはシンジにいろいろと話しかけ続けた。
普段の彼は比較的物静かな人物なのだが、なぜか今日はその独特の口調でよく喋る。
シンジにとっては、嬉しくもあり、戸惑ってもありであった。
556LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:31:11 ID:???

 「なんだかんだ言っても、今まで使徒の侵攻を防ぎ、人類を守り続けてきたんじゃないか。
それは十分に誇れるべき事だと思うけどね」

 「…でも、そんな大仰な目標を持ってやってるわけじゃないよ……
最初は、父さんにやれって言われたからやっただけだし……
今でも具体的な目標を持ってやっているわけじゃない。実際、今でも怖いと思うときもあるんだ。エヴァに乗るのが。
 ……でも、このごろ、少しずつ変わってきた気がする」

 「ふうん?興味あるね。どんな風に変わったんだい?」

 「…うまく言えないけど、使徒が来て、僕らが負けちゃったら、それでみんな終わりってこと、なんだよね。
僕は、前は……あんまりこの世に生きているのが楽しいとは思っていなかったんだ」

 「へぇ…」

 「だから、別にいつ死んでもかまわないって、そういう風に思っていたこともある」

 「………」

 「でも…多分それは違う、違うと思う。ここに来てから、……きっかけは、エヴァに乗ったことだけど、
前に居た所とは全然違う環境に放り込まれて、沢山の人と出会って、話をして、一緒に暮らして……
 そんな中で、わかってきたんだ」
557LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:31:53 ID:???

 「…何がだい?」

 「生きていくって事は、案外、楽しい事なんだ……って」

 「………」

 「生まれてしまったから、仕方なくただ生きる……そういうのは、違うなって、思うようになってきたんだ」

 「!!!」
 その言葉にカヲルは鋭い衝撃を受けたが、表面には出さずに、シンジの次の言葉を待った。

 「…今の、綾波からの又聞きなんだけどね。なんでも古いヒトの言葉らしくて、三尉に教えてもらったんだって」

 「…そう、なのかい」

 「そういうなら、僕も綾波の生き方――三尉の生き方に少しは、影響されたのかもしれない」
 「それに……綾波やアスカや、みんなが必死に戦ってるのに、僕だけイヤだって言うわけにも、いかないし、ね」


 そう締めくくって微笑むシンジの顔を、カヲルはまじまじと眺めていたが。

 「やはり……」

 「?」

 「やはり、ヒトというものは、素晴らしい」

 「…?」
558LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:32:45 ID:???

 「あ、いたいた、ミサト〜」

 「あらアスカ、今日のシンクロテスト、中々だったじゃない」

 「トウゼンよ!…まぁ、フィフスには、負けちゃったけどね」

 おや、とミサトは思った。以前のアスカなら、是が非でも一位にならなければ済まぬ信条だったはずだが…
 そんなミサトの表情を知ってか知らずか、アスカは開けっぴろげな口調で続ける。

 「ま、次で抜き返せばいいわ。それにテストでいくら頑張ったって、要は実戦で結果を出さなきゃ意味無いんだからね」

 「へ〜、アスカも随分と丸くなったじゃない」
 アスカの背は少し伸びたかな、と想いながら、冗談交じりで問いかけるが。

 「気づいたのよ」

 「……何に?」

 「やたらと突っ張って、精神すり減らすのは損だってこと。
それに、周りを必要以上に意識したって、私の品格が上がるわけじゃなし。要は日頃の切磋琢磨よ」
559LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:33:38 ID:???

 「言うようになっちゃって」

 「それにしてもシンジたち遅いわね〜 使徒は3分あれば地上から本部まで来るって言うのに、まったく」

 「……アスカ、何か私に用事があったんじゃなかったの?」

 「ぁあ、いけない、そうだった。最近さ〜、加持さんに電話掛けても出てくれないのよ。
確かに前に『少しくらい会えなくなるかも知れない』とは、言ってたけど。
二ヶ月近くも音沙汰が無いってのは無いんじゃない、って思ってさ。ミサト、何か聞いてない?」

 「!   ……加持君、 …ン…」

 ミサトは言葉に詰まった。努めて考えないようにしていたが、あれだけの情報を垣間見たのだから、
加持は最早常世のヒトではないのだろうとは、思っていたのだが。いや、その確率はかなり高いだろう。
ついにそのときが来たか、と思い、ミサトはこれから何をアスカに語るべきか迷った。
保護者が行うべき役目を負うには、彼女はまだ若すぎるといえるだろうから。
560LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:34:10 ID:???
 「まぁ、留守録が消化されてるみたいだから、聞いてもらってはいると思うんだけど」

 「え…!?」

 ミサトが目を見開いてアスカに詰め寄る。

 「…アスカ、それ、本当!?」

 「な、何よ、ウソついたってしょうがないじゃない……ってことは、ミサトも知らないんだ。はぁ〜あ、がっかり」

 そんな、まさか。……でも……


 確かに、彼が「行く」所をこの目で見たわけではない。
 彼が本当に「行った」のか、確実に確かめたわけではない……

 でも。

 でもまさか。
561LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:35:10 ID:???

 「………」

 「…? どうしたの? ミサト」

 「……な、なんでもないわ。…あいつの事だから、きっといつもみたいにひょっこり姿を現す、わよ。……大丈夫」

 「……そう、そうね。ぁあそうそう、これからみんなでレストランに食事に行くんだけど、ミサトもどう?」

 「…悪いんだけど、まだ仕事が山積みなのよ。この前のパーティーで休んだ分取り返さなきゃ。また今度、ご一緒させてもらうわ」

 「ふ〜ん… ま、あまり根詰めると体に悪いわよ。ただでさえミサトはお肌の曲がり角なんだから」

 「……ほんと、言ってくれるわね」


 ミサトはアスカを見送った後、しばらく考え込んでいる様子であったが、
やがて、先の仕事を果たす為に電算室へと向かった。
……が、ミサトの足は自動ドアの一歩手前で止まる。ゆっくりと、左を向いた。

 「……」

 そこにあったのは、500メートルごとに設置されている通信端末。
ミサトはそれを食い入るようにみつめ……やがて、端末から受話器を手に取った。
士官専用の保守回線を開く。迷いつつも、11桁の電話番号を打ち込んだ。
僅かに転送音がした後、唐突にコール音が鳴り出した。
562LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:36:19 ID:???
 「……!」
 彼の携帯を入手した何者かが、良からぬ企みで回線をそのままにしておいたという事も十分考えられた。
だがコール音が繰り返すうちに動悸が高まるのを止められずにいたミサトの思考は、その考えを拒絶したがっていた。

 「はい、加持です」
 「!!」

 ミサトは受話器に向けて叫ぼうと……少なくとも、努力した。


 「加持く……私……私はっ……」

 「残念ながら、暫く電話に出ることが出来なくなりそうです。
ですが必ずお返事いたしますので、発信音の後にメッセージをどうぞ」

 「………」



 「…返事、待っているから…」

 やっとそれだけ言うと、静かに受話器を戻した。


 「………ぅ……く」

 「酷いよ……加持君」

 「やっと…… やっと…」


 それ以上の言葉は、通信端末のディスプレイの上に当たる涙にかき消されていった。
563LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:37:36 ID:???

 「まったく……よくやるよ」

 手洗いを済ませ、レストランのロビーに戻ってきたシンジがハンカチで手を拭いながら一人ごちる。
客席ホールの窓際にある席には、それぞれ優に通常の三倍はあろうかと思われるオムライスをほおばる
アスカとカヲルの姿があった。やはり、今日のシンクロテストでトップを取られたのは口惜しかったらしい。

 「……だからって、ねぇ……」

 ……ダイナー名物ビッグオムレツの早食い勝負で決着をつけようとしなくてもよかろうに。

 「カヲル君までやる気になっちゃって……」

 開始10分ではペース的にアスカのほうが上回っているようだが、
淡々とスプーンを口に運ぶカヲルの顔にはまだまだ余裕が感じられる。後半戦でどう転ぶかは予測しがたい。
そしてその隣では、伝票を見て顔を青くした三尉が料理を注文する事もせずに、
なんとか冷静さを保とうとコーヒーを啜っている。

 (NERVも今大変だから、経費じゃ落ちないんだろうな……)

 シンジが同情のこもった視線を三尉に向けた。葛城家の主夫なだけあって、
給料前の三尉の財布の中身を想像することぐらいは出来る。

 と、そのとき、背後から。
564LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:38:54 ID:???

 「碇君」

 「綾波」

 名を呼ばれ、振り向いたシンジの目に飛び込んできたのは、
ドリンクバーから調達してきたジュースやフロートの類を沢山乗せたお盆を持ち、
やや肩を強張らせているレイ。

 「碇君は、カプチーノでよかったんだっけ」
 「……あ、うん……」

 真っ直ぐに見つめられているレイの瞳の中に、それを見つめ返しているシンジ自身の顔が映る。

 (……空ろな人形に魂が込められて初めて存在する事ができる。……そして、それはレイ、あの子にも言えることなのよ)

 全てを悟りきったようなリツコの顔が脳裏に浮かぶ。

 (……綾波は……『つくられた』 って……言うのか、リツコさんは)

 彼女が生まれたという部屋を見れば、いや、単純にリツコの言葉の意味を取れば、
そういうことになるだろう。ついまじまじとレイの顔を見つめてしまう。

 ……確かに、白磁のように白い肌、深い深海を思わせる蒼い髪、そしてまるで鮮血のごとき紅い瞳。
改めて意識して見れば、少なくとも、巷にあるどんなウィッグやカラーコンタクトでも、
この雰囲気は作り出せないだろう、とは、言えるだろうが……

 (だとしたら… 父さんは…)
565LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:40:05 ID:???

 「……? どうしたの? 碇君」
 自分の顔をじっと見つめているシンジに、レイは怪訝そうな表情を浮かべて問いかける。

 「私の顔に、何か付いてる?」

 「い、いや、何でも……何でもないよ」

 急に思考から引き戻されたシンジはうろたえながらも、
レイの白い手のひらが飲み物の重みで薄く赤みがかっているのを見て、

 「お、重いだろ? 僕が持つよ」
 と、レイの手から飲み物の乗ったお盆を受け取った。

 「平気なのに…… でも、ありがとう」
 謝意のままに、レイはシンジに微笑を送る。

 「! ……あ、う、うん」
 その笑顔に、シンジの鼓動が高く鳴ったとき。

 「レイ〜 飲み物早くぅ〜」
 テーブルでスパートを掛けているアスカが呼びかけた。その声に、レイがシンジをうながす。

 「アスカが呼んでる。早く行かないと後が大変ね」
 「そ、そうだね」
 背を向けてテーブルへと向かうレイと共に歩むシンジの光彩の奥に、今さっき自分に向けられたレイの笑顔が浮かぶ。

 「も〜、遅い〜!」

 テーブルに飲み物を届けた後、シンジは自分の席に付き、カプチーノの泡をスプーンでかき混ぜた。
566LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:41:11 ID:???

 目線を上げると、カヲルにペースを逆転されたアスカが必死になっている後ろで、
スパゲッティ・ボンゴレを食べながら三尉を慰めているレイが見える。
シンジはその光景を目線に流しながら、心の中で自らに言い聞かせるように呟いた。


 (…綾波は、綾波だ。…それでいいじゃないか)

 それ以上でもそれ以下でも無い。すべからくヒトはおのれの産まれを選べないのだから。

 …以前の繊細な彼に比べたら、随分と思い切った結論である。
それだけ、この一年で彼の中の何かが変わったということか。

 その考えや、薄闇の中で震えるリツコの涙、レイに笑いかけられたときの甘い疼き、頭に浮かんだ父の背中……

 それらの感覚を一纏めにしてかき混ぜる。ホイップの白、シナモンの粒、それらが溶け合ったカプチーノをさらにかき混ぜ。

 少しぬるめになったそれを、一気に飲み込んだ。
567LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:41:55 ID:???


 「あんた、一体どーいう胃袋してんのよ……」
 「まぁ、いわゆる『別腹』ってヤツかな?」

 あれだけの質量を摂取したにも関わらず平然と歩くカヲルにアスカが問いただす。
カヲルは飄々とした口ぶりで返答を返した。

 「……まぁいいわ。引き分けは引き分け、この決着はまたいつか堂々とつけてやるわよ」
 「ふふ……いつでもお相手するよ」

 アスカがお腹を押さえながら、シンジに肩を貸してもらいつつ歩き出す。

 「それじゃあ、また明日。カヲル君、またね」
 「ああ、シンジ君。また」
 「またな、シンジ君、アスカ君」
 「さよなら、また明日」

 「渚君、確か君の家は僕らと同じ道だったよね。良かったら、車で送ろうか」
 「いえ、それには及びません……お気遣い無く」
 「でも、結構な距離だろう?」
 「自転車で来ましたから。それに、すこしは腹ごなししないと、体に悪いですし」
 「そう、か……じゃあ、もう日が暮れるから、気をつけて」
 「はい、ありがとうございます……… あ、そうだ、ファースト」

 車を回しに駐車場へと向かう三尉の背中に慇懃に礼をしたカヲルが、思い出したようにレイに呼びかけた。
568LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:42:48 ID:???

 「何?」
 「僕の贈り物、見てくれたかい?」
 「………!」

 レイが、誕生日の贈り物の中身を思い出して口を閉ざす。

 「折角の誕生日プレゼントに、あんなものは不粋だとは思ったのだけれども……
ほかにあげられるようなものを持っていなかったんだ、すまない」

 「いいえ………そんなことは………」

 言葉に詰まるレイにカヲルが、心持ち表情を引き締めて言う。

 「あの錠剤なら、結構な間『持つ』はずだ。新型だから、副作用も無い。アンチエイリアス済みだから、君にも適合すると思う」

 「……そんな大切なものを、私に……」

 レイが表情を曇らせながらも、彼に対して疑問を持ちながらも、カヲルに謝意を伝えようとした。だがカヲルはそれを手で制すると。

 「いいんだ…… どうせ、僕にはもうすぐ必要なくなる」
569LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:43:55 ID:???

 「!」

 その言葉に、レイの瞳が多きく見開かれた。

 「だから、君にもらっておいてもらった方が、いいんだ」

 「………」

 「じゃ、彼によろしく。また……会おう」

 「…待って! 貴方は……」

 引き止めるレイを尻目に、カヲルは流れるような動作で自転車に跨ると、振り向かずに言葉を返した。

 「別れは、あっさりした方がいいんだよ」

 「……」

570LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:45:09 ID:???


 「やれやれ、みんな育ち盛りだもんなぁ……」

 だいぶ寒くなってしまった懐を嘆きながら、三尉がキーを差し込む。
イグニッションが軽い音を立て、エンジンがかかる。
 車を回してレストランの前の広場に出てきたとき、彼は道路の先を見つめてたたずむレイを見つけた。
遠目で見ても、端正な彼女の顔に不安げな表情が浮かんでいる事がわかる。

 (レイ……どうしたんだ?)

 視線を道路の先の一点に固定して微動だにしないレイをいぶかしんだ三尉は、
広場の端のスペースに車を止め、降りてレイに近づくと、その肩に手を置いて問いかけた。

 「どうしたんだレイ? …気分でも、悪いのか?」
 「! …いえ、何でも…ありません、三尉」

 レイは一瞬体を震わせたが、すぐに三尉の方を振り返ると、
精一杯の表情を浮かべて車の方へと歩き出した。肩に置かれた三尉の手を、離すことなく。

 (レイ……?)
571LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:46:00 ID:???
 車に乗ってからも、以前の彼女に戻ったかのごとく口を閉ざす彼女に対して、
三尉は掛ける言葉を見つけられずにいた。本来高回転型のエンジンが、法定速度以下の走りに低く不満を漏らしている。

 「……レイ」
 クラッチを繋ぎ、ギアアップを行う勢いを借りて、三尉はレイに話しかけた。レイが三尉の顔を見た。
 「……」

 あくまで前方から目を離さずに、しかし横目で垣間見たレイの顔には、
今まで見た中でも滅多に無かった程の不安が浮かんでいた。

 三尉はその顔を見ると、何かしら言いかけた台詞を飲み込み、黙って左手でレイの頬を撫でた。

 「……」
 レイは先程と同じように、三尉の手を取ってその温もりを離すまいとした。
572LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:47:04 ID:???


 ……そして、三尉の車が走っていた道路の横……

 ジオフロントから伸びている職員専用道路を、一台の車が走っていた。
車種は今や前世紀の遺物であろうマツダコスモスポーツ、快調なロータリー音を響かせながら道をひた走っている。
 だが、細部をよくよく見ると、細かなところに現代の技術が盛り込まれているのがわかる。
ランプはエレクトロルミネックスにより無駄を省いた高性能LEDに換装されているし、
エンジンのスキール音も純正の10Aエンジンとは微妙に感じが違う。おそらくはガソリンと電気の
ハイブリッド方式に改良された最新のものだろう。
そしてその車のバケットシートに座りステアリングを握っているのは誰あろう、葛城ミサト三佐。

 (………)
 マコトから裏の情報を受け取る為、わざわざ車を偽装してきてまで入手した情報が、頭の中を駆け巡る。

 「あの少年……」

 マコトが、同僚である伊吹マヤ二尉の目を盗みデータベースを覗いて得た情報。それは真に驚くべきものだった。

 フィフスチルドレン・渚カヲルは、エヴァとのシンクロ率を自分の思うままに操る事ができる……という。

 通常では考えられない、ありえないことだ。通常では。

 しかし……
573LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:48:11 ID:???

 「彼はマルドゥック機関から直に抜擢されてここに来た。そしてそのマルドゥック機関は存在しなかった。
おそらく、彼を送り込んできたのは―――彼ら」

 自分たちには手の届かぬ場所から来た者なら、それができるのかもしれないが。
――だが、この情報はまだ裏が取れていない。ただ10回程の実験データから得た推測でしかない。

 「だからこそ、確かめなくちゃ」

 その情報に付随して、マコトは新しい情報も入手してきていた。
 赤木リツコ博士の居場所である。彼女なら、この事象に対して何かしらの答えを握っているかもしれない。だが…

 あの出来事以来、彼女は表向き――松代に出向しているということになっている。
だがその事実は無い。明らかに、上層部に、碇司令や副司令に見咎められ、どこかに幽閉されているのだろう。

 あそこにあったモノは、それほど全ての確信に迫っていたということなのか。
もしあそこにあったモノを見ていたら、自分も、もしかしたらシンジさえも、どうなっていたかわからなかったのかもしれない。

 だが、それはそれとして、今は目の前の問題を片付けねばならない。
ミサトはギアをトップに入れると、リツコが幽閉されているという場所へ向けて速度を上げた。
574LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:49:06 ID:???


 「……キボウ? アレが、リリンのキボウですか」 

 カヲルが、彼が始めてシンジと会った場所、
N2爆弾の爆発によって抉られた大地に雨水が溜まった若い湖の上で呟く。
周りに、誰も居るようには見えないが、彼の言葉は続く。

 「シンジ君の父親…… 彼は望んで僕と同じになったのか……」

 夕日に染まったカヲルが瞳を伏せ、暫く黙考した後、目の前に居る何者かへと言葉を返す。

 「……今まで事を成さなかったのは、もとよりあなたがたにシナリオを見直す時を設けたまで…… 僕が、リリンに毒された…などと」

 「心配せずとも、僕は僕のサダメを全うするだけ…… この疼きは、もう押さえようが無い」

 「わかっていますよ …そのために僕は今、ここに居るのですから」

 会話を終えたらしいカヲルが顔を上げて辺りを見回す。
そして、自らが足場にしていた天使像から湖面に足を踏み出した。彼の歩みは、水面を乱すことも無く。

 「……全てはリリンの流れのままに」
575LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:50:01 ID:???

 月を見上げる。蒼い光を放つ眉月も、もう少しすれば新月の闇に溶ける。

 「レイ」

 私の様子を見かねたのか… 三尉が、私の隣に腰掛けた。肩に手を掛けて、心持ち私を引き寄せた。

 「………もうすぐ、最後の使徒が来るわ」

 心配してくれている三尉の問いかけに、私がなんとか答えられたのは、これだけ。
三尉が驚きを無理矢理押さえつけたような顔をした。

 ……何故、私にそれがわかるのか、と言わないのは、貴方が…優しいから…?

 初めて彼、渚カヲルと会ったときの事が頭に浮かぶ。
 彼の問いかけを……私は認めたくなかった。認めたくない…… 認めてしまえば、私自身が……

 「……」

 三尉が、私を抱きしめてくれた。優しく、頭を撫でてくれる。私は瞼に浮かんだ涙を堪える事が出来ずに、三尉に寄り添った。


 ……このまま、時が止まってしまえばいいのに。

 今、この瞬間が、永遠に続いて欲しい……
576LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:51:02 ID:???
 「……よく来られたわね」

 いくつもの道路、いくつもの高架、いくつもの隔壁、いくつものリフト……
 明らかに居場所を悟られぬ為にわざと複雑にされたルートをたどり
ここまでたどり着いたときには日が暮れていた。何回も迂回や遠回りをさせられたせいでわかりにくかったが、
赤木博士が幽閉されていた場所は第三新東京市の中心部に程近いビルの上層だった。
だが、リツコがこの街に二人といないプロフェッショナルであることを考えれば、
それも無理は無いのかもしれない。彼女にはまだ利用価値がある、ということなのだろう。

 「……聞きたいことがあるの」

 単刀直入に、ミサトが言った。

 「ここでの会話は、録音されるわよ」

 リツコがうつむいたまま答える。その気丈な気遣いに感謝しながらも、ミサトは言葉を続けた。

 「かまわないわ。あの少年の…… フィフスの正体は何?」

 その問いかけに、リツコはいつも自分の隣に居るヒトの感情を知る事ができた。

 (マヤ…… 可愛そうに、相当動揺しているみたいね……)

 リツコが軽く目を伏せる。そして薄く眉を引き上げると、厳しい声で呟いた。


 「おそらく最後のシ者ね」
577LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:52:12 ID:???

 ……Ангелы и демоны кружили надо мной
  Разбивали тернии и звёздные пути♪

 カヲルが鼻歌を歌いながら歩んでくる。NERV本部第4ケイジ、
L.C.L溶液に満たされたエヴァ4号機の前に。彼はその巨大な顔の前で立ち止まると、
その場にひざまずき、目の前のL.C.Lを手のひらですくうと、おもむろにそれを舐め、口に含んだ。
かれはそのまま沈思黙考している様子だったが、こんどはそれを飲み下すかのように真上を向くと、
今は各々の巣で安息に身を置いている者達へと心を寄せた。

 「……」

 カヲルは立ち上がり、4号機に向かって問いかけた。

 「……さぁ、行くよ。おいで、アダムの分身…… そして「リリスの」しもべ」

 カヲルが足をL.C.Lの上に踏み出す。彼の体は湖のときと同じように、水面に落ちることなく浮かび上がった。

 ♪Calling Calling, in the depth of longing
  Собой остаться дольше……

 かくして、洗礼は果たされたのであった。
578LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:53:10 ID:???

 「何!?」

 緊急の警報が第三新東京市に響き渡る。
当然、その叫びは、リツコが幽閉されているビルへも届いた。
ミサトが驚愕の表情を浮かべ、リツコに問いただす。

 「……来たのね、最後のシ者が」

 リツコが落ち着き払った表情で答える。ミサトはそれを聞き、更に驚いたような顔でリツコに問いただした。

 「何……  じゃあ、あの少年が!?」

 「ぐずぐずしている暇は無いわ」

 リツコが手元のコンソールを操作すると、目の前の壁が音も無く開き、
見慣れた形のリニアエレベーターの扉が現れた。ロックが解除され、本部までの直通ルートが示された。

 「早く行ったほうが良いわよ……作戦部長さん」

 「リツコ……? こんなのがあるなら、どうして今まで……!?」

 「…ここから出たからといって、何が… …そんなことより、早く行きなさい」

 「……」

 ミサトはそれ以上彼女に掛ける言葉を持たず、眉間に皺を寄せてエレベーターに乗り込んだ。
扉が閉まる最後の瞬間まで見つめていたが、リツコが何かしらの行動を起こすことは、ついぞとして無かった。
579LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:54:04 ID:???

 「………!!」

 三尉に抱きしめられていたレイが、突然目を大きく見開く。
呆気に取られている三尉の腕から立ち上がると、扉へと向けて歩き出そうとした。

 「……レイ!? どこへ行くんだ!?」

 「私……行かなくちゃ……」

 事態を把握しきれず、三尉がつっかえながら聞き返す。

 「い、行かなくちゃ、って…」

 「行かなくちゃいけない……」

 レイが、その声調とは裏腹に、何ともいえぬ強制力を持って言った。

 「……!?」

 三尉は驚いた。レイの瞳に、レイだけではない、
「だれか」の意思が見え隠れするのを、確かに目にしたから。
そして気づいたときにはレイの腕を掴んで叫んでいた。

 「レイ! 行っちゃ駄目だ!!」

 何故か、ここでレイを行かせてしまったら、
もう二度と……彼女に会えなくなるような……そんな気が……したのだ。
580LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:54:51 ID:???

 「!!」

 レイが驚いて振り向く。三尉はすこし強引にレイの手を引くと、自らの手でしっかりと抱え込んだ。


 「もう君がこれ以上傷つく事は無いんだ!!…零号機も失われてしまったし…
 後は、みんなに任せておけばいい!!」


 「……それに」


 「……僕は、もう……君を、離したく、ない、レイ……」


 「三尉……」

 三尉がレイを抱きしめる。彼の目にも、そして抱きしめられているレイの瞳にも、
月光を受けて輝く涙の粒が浮かんだ。お互いの心から溢れ出した感情そのものが。


 「……でも」

 レイが顔を上げ、真っ直ぐ彼の顔を見て言った。その声は涙に震えていたが、
彼女はしっかりとお腹の底から声を出して言った。ひとことひとこと、まるで自分を納得させるかのように、言った。
581LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:55:44 ID:???

 「でも……やっぱり行くわ。貴方のためにも……みんなのためにも」


 「行って、ぜんぶ終わらせてくる」


 「約束する、絶対ここに帰ってくる、貴方のところへ」


 「だから……だから、三尉は、心配しないで、待って……ん」


 レイが言葉を終わらせようとしたとき、三尉はレイの唇に自分の唇を重ねて、彼女の言葉を遮った。

 「ん………」

 「……………………イヤだ」

 レイから顔を離した三尉が、きっぱりと言った。

 「三尉!! でも……危ないの!私、三尉にまた危ない目に逢って欲しくない……」

 一杯に不安をたたえたレイの瞳を見つめた三尉は、そこでレイに優しく微笑んで、レイの涙を拭った。

 「……それじゃあなお更、そんな危険なところに、レイを一人だけで行かせるわけには、いかないよ」

 「…でも…」

 「それに……」

 三尉が、レイの両肩に手を置いて、心のなかみをそのまま、レイに言った。
582LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:56:39 ID:???

 「君も、約束してくれたよね。どんなときでも、私が一緒にいるって……」

 「……はい」

 「僕も、あの時、約束した。君と、どんなときでも、一緒にいるって」

 「だから……」

 「だから、どんなことがあっても、二人で乗り越えていこう……ふたりで、一緒に」

 「さんい……□□さん……」 

 レイが、力いっぱい三尉に抱きつく。涙で声にならなくなりそうなのを、必死に堪えて、言う。

 「…いかなくちゃ、いけないの…… だけど」

 「もうすこし」

 「もうすこしだけ、このままで……」

 「レイ」

 三尉もまた、その気持ちに答えるように、レイを愛おしさを以て抱きしめた。


 ―――そしてそのとき、偶然にも、三尉が胸ポケットに入れていたMDプレイヤーの電源が入ったのは、
抱きしめあっている本人たちにも、世界中の誰でさえ、気づく事は、無かったのだった。
583LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:57:37 ID:???

 You belong to me サヨナラ言えなくて
 いつまでも 抱き締めたかった
 I belong to you 張り裂けそうになる
 この胸を 君に差し出して

 We belong to Earth 遥かな宇宙(そら)のもと
 コバルトに 光る地球(ほし)がある
 悲しみは そこから始まって
 愛しさが そこに帰るのさ

 ああ メビウスの輪から 抜け出せなくて
 いくつもの罪を繰り返す

 平和より自由より正しさより
 君だけが望む全てだから
 離れても変わっても見失っても
 輝きを消さないで
 You can change your destiny 時の向こう
 You can change your future 闇の向こう
 We can share the happiness 捜してゆく
 許し合えるその日を
584LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:58:09 ID:???

 夢という 風に導かれて
 あやまちの 船に揺られてく
 We belong to Earth 生きてゆけるのなら
 いつかまた 戻れる日がある

 ああ メビウスの輪から引き寄せられて
 いくつもの出会い繰り返す
 Beyond the time

 希望より理想より憧れより
 君だけが真実 つかんでいた
 はかなくて激しくて偽りない
 まなざしを閉じないで
 You can change your destiny 時の向こう
 You can change your future 闇の向こう
 We can share the happiness 捜してゆく
 愛し合ったあの日を

 You can change your destiny 時の向こう
 You can change your future 闇の向こう

 ああ もう一度君に
 巡り会えるなら
 メビウスの宇宙を
 越えて Beyond the time
585LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:58:55 ID:???



 薄闇に染まっていた第弐発令所に、電光のように緊張が走った。

 「エヴァ4号機、起動!!」
 突如として鳴り出した警報に画面を注視した日向二尉が、そこに浮かんだ情報を読み上げる。

 「バカな、誰か乗っているのか!?」
 自らもキーを叩きながら、青葉二尉が伊吹二尉に問いただす。

 「そんな…あり得ないわ、4号機にエントリープラグは挿入されていません!!」
 目の下を赤く腫らしたマヤが、完全には切り替えきれずも切羽詰った声で検索結果を告げた。

 「それで動くはずがあるか!! 間違いないのか!?もう一回確認…」

 「遅くなったわ!! 状況は!?」
 青葉二尉が聞き返そうとしたとき、上がってきたリフトから、葛城三佐が駆け寄ってきた。

 「エヴァ4号機が起動、ケイジの隔壁を破壊してシャフト内へ出ました!!」

 「そんな!!まさか、本当に……!?」
586LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 18:59:55 ID:???

 「!! セントラル・ドグマ、アッシャーエリア・イェソドポイントに、ATフィールドの発生を確認!!」

 「4号機!?」

 「いえ、パターン青!!間違いありません… 使徒です!!」

 「なんですって…!!」

 (本当に使徒だというの…… あの少年が)

 「目標は、ネツァクポイントを通過! なおも降下中!」

 「駄目です、リニアの電源は切れません!!」

 「目標はホドポイントを通過!!」

 「セントラルドグマの全隔壁を緊急閉鎖!! …少しでもいい、時間を稼げ」
 身を乗り出すようにして、冬月副司令が命令を下した。
それに呼応し、オペレーターの音声と共にセントラル・ドグマのブロックごとに敷設されている隔壁シャッターが閉じ始める。

 「セフィラーパス全層、緊急閉鎖。総員退去、総員退去」
587LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:00:33 ID:???

 「まさか、ゼーレが直接送り込んできていたとはな」
 額に汗を浮かべた副司令が、モニターを確認しながら言う。隣にいるはずの碇司令の姿は何故か、見えない。

 (あるいは、老人たちは遅れていた予定を一気に取り戻すつもりか、我々自身の手で……)


 分厚い装甲隔壁が轟音を立てて破壊される。

 「隔壁は、エヴァ4号機によって突破されています!!」
 青葉二尉が画面表示を読み取って言った。そして画面の目標座標は、刻一刻と下降してゆく。

 「目標は、イエツィラー回廊に侵入!!」
 日向二尉もまた、大声で状況を副司令に伝えた。

 「……エヴァ初号機、及び弐号機に追撃させろ。司令から許可は受けている」
 副司令が張り詰めた声で命令を送る。その指令に、葛城三佐が素早く反応した。
 「はい」

 「いかなる手段を用いても、目標のターミナル・ドグマ侵入を阻止するんだ!」

 (でも……彼が使徒だというのならば、何故、4号機までも…… 操って立ち向かわせるつもりなのか)
 葛城三佐が画面を見つめて考えるそばで、副司令もまた思考をめぐらせていた。

 「もしや、4号機との融合を果たすつもりか、あるいは……」
588LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:01:20 ID:???


 「う……嘘だ……彼が……カヲル君が使徒だなんて……!」
 「何かの間違いなんでしょう!?ミサトさん!そうだと言ってください!!」

 「……事実よ、受け止めなさい」
 画面に浮かび上がったミサトが、冷たい口調で突き放すように言った。だが、その言葉を受けても、シンジは納得できなかった。

 「そんな……ついさっきまで、一緒にいたのに…… 一緒に、レストランで食事をしていたのに……!!」

 「ぁあもう、何グダグダ言ってんのよ!!」
 サブウインドウに弐号機、アスカからの通信が入る。画面から飛び出さんばかりの勢いで、シンジに発破を掛けた。
 「そんなに納得できないんだったら、直接行ってアイツをとっ捕まえて、アイツの口から直接聞きなさい!!
どうするか考えるのは、それからでも良いわ!!エヴァ弐号機、出るわよ!!」

 初号機の隣の弐号機がウェポンセットをラックに接続すると、真下の破壊されたシャフトの隔壁を蹴って躍り出る。
それを見て、ミサトがシンジに重い声で命を下した。

 「出撃、いいわね」



 カヲルが4号機を伴い、シャフト内を降りてゆく。ふと、カヲルが上を見上げて呟いた。

 「……遅いな……シンジ君たち」

 「そして……彼女たちも」
589LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:02:25 ID:???

 「エヴァ初号機及び弐号機、ティフェレトポイントを通過! 目標を追撃中!」
 アナウンスが発令所に響く。更に、青葉二尉がその後を続ける。
 「エヴァ両機、ケセドポイントに到達、目標と接触します!!」

 「待っていたよ、シンジ君…」

 「カヲル君!!」
 シンジが、空中に浮かぶカヲルの姿を目にして驚愕しながらも叫ぶ。その横から、激しい轟音を立てて弾丸が打ち出された。
だが、その弾の奔流はエヴァ4号機によって辛くも防御される。

 「まさか、アンタが使徒だったなんてね!!」
 防御を承知の上で拾壱式短機関銃と伍式機関銃をダブルトリガーで撃ちまくりながら、アスカが大声でカヲルに呼びかけた。
 「今まで私たちと一緒に戦ってきたのも、全部私たちを信用させる為の芝居でしかなかったってわけ!?」
590LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:02:55 ID:???

 「……結果的にそうなってしまったのだから、どう言っても言い訳にしかならない。済まないとは……思っているよ」
 カヲルが眉を引き下げながら呟く。

 「そんな……カヲル君……!」
 シンジが悲哀に満ちた顔でカヲルを見つめるが。

 「! 危ない、シンジ!!」
 「うわっ!!」

 いつの間にか、4号機が自らのウェポンラックに接続していたマゴロク・エクスターミネート・ソードを抜き放ち、
初号機に向けて一振りしていた。アスカに声を掛けられて、シンジは咄嗟に初号機の身を引くが、
それでも装甲板を切り裂いた分だけ、シンジの胸に二つの意味での痛みがよぎった。

 「だから……僕ももう君たちの仲間じゃあない。君たちの倒すべき、君たち人類の敵……使徒そのものなんだ」
 カヲルが声調を低くして告げた。その言葉に、シンジは動揺を隠せない。
 「そ……そんな……」
591LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:03:39 ID:???

 「ちぃっ」
 呆然としているシンジを横目に、
アスカは手持ちの銃器からマガジン内の全ての弾丸を4号機に向けて撃ち込んだ。
だがなんということか、4号機―――カヲルは、マゴロク一本で、無数に襲い掛かる銃弾を斬り、弾き、受け流したのだ。

 「なんてヤツ……!」
 アスカが反応しなくなったトリガーを引くのをやめ、次なる武器を取り出そうとしたとき。

 「はぁあっ!」
 カヲルの刃が一閃し、弐号機がまだ握っていた拾壱式短機関銃と伍式機関銃が綺麗に寸断された。
アスカの背筋は一瞬鳥肌立ったが、すぐに手の中の銃の残骸を4号機に投げつけ、次の武器を取り出そうとした。

 「ゲブラーでもビナーでもいい、各階層からのビーム砲、まだなの!?」
 葛城三佐が鬼気迫った声で指令を出す。日向二尉がそれを受け止め、検索した結果を回答として示した。

 「チャージにあと1分4秒かかります!」
 「そんな、間に合わない、使徒が通過してしまうわ!出力80%でいい、撃って!」
 「そ、それではオートリミッターが……」
 「手動に切り替えなさい!!」
 「りょ、了解!!」
592LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:04:37 ID:???

 「くぅうううっ!!」
 カヲルが4号機を操り、初号機の左手を己が左手で掴んだ。
それはまるで古代ローマの格闘技パンクラチオンの決闘にも似て、
お互いの感情を丸出しでぶつけ合う激しい戦いとなった。

 「ぅわっ!」
 4号機が放ったマゴロクの刃を、シンジが紙一重プログナイフで受け止める。
このような超接近戦では刀よりナイフのほうが圧倒的に有利なはずを、
カヲルはマゴロクをまるで4号機の右手の延長のように軽々と用いる事で難なく補い、シンジの初号機を追い詰める。

 「くっ…これじゃ…!」
 アスカがロックオン・サイトに映る4号機と初号機の姿を見て呻く。銃器で援護しようにも、
このような乱戦状態では初号機に誤射する確率がかなり高い。あくまで一対一の戦いに持ち込んだのは、
そういった狙いもあったのだとつくづく思い知らされた。

 「さぁ……戦うんだ、シンジ君。そうしなければ君たちは生き残れない」
 カヲルの呼びかけに、シンジが絶叫とナイフの突撃を持ってこたえる。そんな様子を見て、カヲルは瞳をすぼめて思う。

 (……エヴァシリーズ……アダムより生まれし人間にとって忌むべき存在。それを利用してまで生き延びようとするリリン……
 今なら、僕にもその気持ちがわかる気がするよ……)
593LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:05:50 ID:???

 「…カヲル君!やめてよ!…どうしてだよ!!」
 受け止めたマゴロクとプログナイフが激しく火花を散らす中、
シンジはあくまでカヲルを見つめ、哀しき疑問をただ問いかける。

 「……それが、僕のサダメだからね。僕が生まれ、育ち、4号機に乗って戦い、
今ここにあるのも、全ては因果の流れの中のことなんだ」
 「うぐぐっ」
 どうにもナイフで受けきれなくなったシンジは、プログナイフの柄を瞬時に握りなおし、
マゴロクの刀身を横に払った。そしてその刀身は中空に浮かぶカヲルに向かい突き立とうとした。だが。

 「ATフィールド!?」
 カヲルはモニターの補正なしでもそれとわかるほどのATフィールドを発生させ、その刃を防いだのだった。
 「……そう、君たちリリンはそう呼んでいるね。何人にも侵されざる聖なる領域……心の光。
でも、リリンもわかっているんだろう?ATフィールドは誰もが心の中に持つ壁……
己と他人を分かつ障壁だということを」

 「……そんなの、わからないよっ!!…カヲル君!!」
 カヲルの謎掛けとも言える様な呟きに、シンジが絶叫を以て返答した。
次の瞬間、マゴロクが閃き、初号機の左肩のウェポンラックがばっさりと斬りおとされた。
594LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:06:42 ID:???

 「ビーム射撃を確認、来ます!!」
 日向二尉の声と共に、画面を白熱の閃光が横切る。
各セフィラーに配備されている防衛システムの要、A3型荷電重粒子砲の輝きだった。

 「くそ……だが数が少ない、あれではATフィールドを貫通できないぞ!」
 青葉二尉が口惜しそうに呻く。先のN2爆弾の衝撃波は本部深層にまで結構なダメージを与えていたらしい。
配線の故障か、いくつか作動しなかった砲台がある上に、エネルギーチャージが不十分だったため、
ビームの元となる重粒子が十分に縮退しなかった砲座もあったようだった。
そしてカヲルのATフィールドをその光が打つも、やはりその障壁を突破するには至らなかった。

 「エヴァ両機、及び使徒、アティルト・エリアへ到達」
 「ターミナル・ドグマまで、あと20」

 サブオペレータの声が第弐発令所に響き渡る。

 「……もし、初号機と弐号機の反応が消えて、もう一度変化があったときは」
 ミサトがマコトの椅子の背もたれに手を掛けて呟く。
 「わかってます、そのときはここを自爆させるんですね。……サード・インパクトを起こされるよりは、マシですからね」
 淡々とした口調で答えるマコトに、ミサトは心の中で感謝しつつ答えた。
 「済まないわね」

 その言葉を受けて、マコトがふと、彼の素の表情に戻って、言った。
 「いいですよ…… 貴方と、一緒なら」

 「…ありがとう」

 ミサトの思考は、ただ一つの感情で塗りつぶされた。
 (みんな……ごめん)
595LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:07:39 ID:???

 カヲルは4号機の後ろに立ち、その場の全ての意識に耳を傾けているようだった。
その背後では、初号機と4号機が激しく斬り結んでいる。

 (…ヒトのサダメか… ヒトのサダメは悲しみに綴られているね)

 カヲルが瞳を閉じ、精神を集中させたとき。


 「ぅううっ!?」
 発令所を、激しい衝撃が襲った。3Dホログラフスクリーンに激しくノイズが混じり、いくつかの表示が掻き消える。

 「…どういうことっ!!?」
 ミサトがモニターを見つめて絶叫した。コンソールにしがみついていたマコトが、状況を解析してミサトに伝える。
 「…これまでに無い、強力なATフィールドですっ!!」
 「光波、電磁波、粒子も遮断しています!!何もモニターできませんっ!」
 シゲルが慌てて読み取っていくそばから、画面表示が暗転してゆく。ミサトは苦々しげに、搾り出すように言葉を放った。

 「…まさに結界か」

 「目標、及びエヴァ初号機、弐号機、4号機全機ロスト! パイロットとの連絡も取れません!!」
 マヤの焦りを込めた声に、ミサトは瞳を震わせた。 
596LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:08:28 ID:???

 「……シンジ君、何故僕を刺そうとしないんだ。そうしなければ、全てが終わってしまうんだよ」
 「だって……だってカヲル君!! 君は……僕の……」
 「……ならば、仕方ない」

 そう言うとカヲルは4号機の膂力を全開にして初号機に迫った。その圧倒的な重圧の前に、
ついに初号機のプログナイフが甲高い音を立てて両断された。

 斬られる!!

 シンジがそう直感して目をきつく閉じた次の瞬間、広いシャフトに轟音が響き渡った。

 「………!!」
 いつまでも襲ってくる気配の無い痛みをいぶかしみ、瞳をこじ開けたシンジが目にしたもの。
それは何時の間にか4号機の後ろに回り、その五体を自らの体で以て押さえつけている弐号機の姿だった。

 「アスカ!!」
 「何……やってんの!!シンジ!! …早く、こいつを……!!」

 先程のビーム砲撃は、確かに4号機に有効打を与えこそしなかったが、防御の目をそちらに向かせ、
アスカの弐号機がノーマークで行動できるほどのスキを作っていたのだった。

 「今やんなきゃ……もうこいつは止められない……早く!!こいつを斬って!!」
 「……!!」
597LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:09:15 ID:???

 初号機の足の下の壁には、弐号機が4号機に飛び掛った際に手放したマゴロクが突き刺さっている。
シンジはそれを見つめたが、何故か、その手にとろうとはしない。
…このまま4号機に斬り付けたら、弐号機にまで斬撃が襲う、という考えが頭に浮かぶ。

 「何してるのよぉ!!もう…限界…っ」
 弐号機の手が細かく震え、押さえつけていた4号機が咆哮する。

 「シンジ君…… 君の持つ優しさは、ヒトだけが持ちえる、とても素晴らしい事だと思う」
 カヲルがその目を閉じ、シンジに向けて言葉を紡ぐ。

 「だけど、そんな感じかたが、ヒトをいちばん不幸にする事もあるんだよ」
 「!!」

 カヲルがそう言った次の瞬間、4号機は弐号機の縛から脱出すると、素早く左足で突き刺さっていたマゴロクを蹴り上げた。
 「っ!!」
 そして、アスカがそれに目を奪われた瞬間を狙って、弐号機の手首を捻り、合気の要領で前方のシャフトの壁へと投げつけた。
 「くっ!!」
 アスカが弐号機の体勢をなんとか立て直そうとした次の瞬間―――

 「アスカァァァァ!!」

 シンジの絶叫が響き渡った。カヲルが空中に舞っていたマゴロクをその手に取り、返す刀で弐号機を袈裟斬りにしたのだった。
598LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:10:15 ID:???

 「………!!」
 斜めに走った切り口から鮮血を迸らせ、弐号機が崩折れる。
カヲルは4号機の手を振るい、マゴロクに付いたチを振り払った。

 「……ぁああああ!!! ……っ!!!」
 シンジが激情のままに4号機に向かうが、4号機の放つ鋭い殺気に当てられ、その場に釘付けにされた。

 「……これでわかっただろう。
僕を斬り倒して君が未来を勝ち取るか、僕が君を斬り倒して僕がヒトを滅ぼすか……
もう、2つに1つしかないんだ」

 問答無用の重圧を込めた声でそう言うと、カヲルは4号機の左肩にもう一振り装備されていたマゴロクを取り、
鞘を払って初号機の目の前に突き立てた。



 「…さあ」

 「最後の、勝負だ」

599LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:10:51 ID:???

 シンジも最早固い決意を込め、初号機にマゴロクを取らせた。剣を左肩の位置に上げ、上段左八双に構える。

 カヲルもそれに答え、4号機に構えを取らせた。神速の速さで打ち込む故に左肘を微動だにさせぬ、実戦に裏打ちされた構え。


 裂帛の気合がその場に満ちる中、二人の視線が再び噛み合った。シンジの目はどこまでも厳しく、カヲルの瞳はどこまでも、哀しい。

 ………………

 低い音を立てて、二人の持つマゴロクが赤熱の輝きを放つ。最下層に到達した二人を迎えるものは、ただ赤い海とそこに連なる塩の柱のみ。








 どこか遠くで、塩の柱の崩れる音がした。





 !!!



600LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:11:47 ID:???

 「…カヲル…君、…どうして!?」

 その言葉に、カヲルはただ微笑みを返すのみ。4号機の胸板から血しぶきが飛び散り、
4号機とシンクロしていたカヲルの胸からも赤いチが噴出した。

 「………ぅうっ………」
 だが、シンジのほうも、無事というわけではない。相打ちで急所に喰らった「峰打ち」が、急速に初号機の動く力を奪う。

 「くっ……ぅう」
 4号機がうつぶせに赤い海へと倒れ、初号機もそれを追って崩れ折れそうになるのを、必死にマゴロクを杖にして耐えるが……
 裂帛の剣戟に耐え切れなかったマゴロクは折れ、初号機は膝から大地に倒れる。

 「………ぐふっ………」
 そんな中、カヲルは胸からチを流し、口からチ反吐を吐きながらも、なんとか空中にとどまり、4号機を置き去りにしてなお奥を目指す。

 「ま……待って………カヲル……君……」
 鳩尾にもらった一撃で気絶しそうになりながら、視界にぼやけて映るカヲルを追いかけようとして、シンジはもがいた。
601LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:12:37 ID:???

 「はぁ… は… ぐっ…」
 カヲルが胸の傷を押さえながら、足元のガイドランプに沿って進む。
それは、かつてミサトが加持に導かれて通った道筋。彼は必死に精神を集中すると、
横目でドアロックのカードリーダーを睨んだ。甲高い音を立てて、ロックが開かれた。


 「ケテル・ポイントの最終安全装置、解除!!」
 発令所に、その信号が伝わる。シゲルが顔を青くして叫んだ。

 「そんな……ヘヴンズ・ドアが……開いていきます!!」
 マヤもまた、モニターの情報を躍起になって読み上げるしかない。

 「……日向君」
 ミサトが沈痛な面持ちでマコトに請う。無言で、マコトは頷いた。そのとき。

 「! これは……使徒と思われる目標のATフィールドが、弱まっていきます!!」
 「どういうことだ!?…まさか、シンジ君たちと相打ちになったのか!?」
 「モニターに出せる!?」
 「だ、駄目です、先程の衝撃で、回路が……」

 発令所は、にわかに喧騒に包まれた。
602LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:13:56 ID:???

 「……」
 カヲルが最後の力を振り絞り、目の前の十字架に貼り付けにされている巨人に向かって飛翔する。
口からチのしずくを垂らし、彼のヒトに問いかけた。

 「……アダム……我らの…母たる存在、……アダムに産まれしものは……アダムに…還らねばならないのか……ヒトを…滅ぼしてまで」

 だが、カヲルが白い巨人にある程度まで近づき、その呼びかけの答えを待っていたとき。カヲルはふと眉をしかめると、
おもむろに下を向いて自嘲するように笑った。

 「 ……やはり……違った… こ…れは…リリス… そうか… やはり…そういう…ことなのか…リリン… っはっ!!」

 彼はそこでまたチを吐いた。同時に、背後のヘヴンズ・ドアを蹴破り、初号機がその場に躍り出た。


 「……」

 苦しげながらも、初号機に向かって微笑みを浮かべる。その返答は、巨大な手のひらによる文字通りの「把握」だった。
 初号機の外部スピーカーを通して、シンジがカヲルに問いかける。二つの意味を持つ問いかけを。

 「カヲル君、どうして……!!」

 「……僕が……生き続けることが…僕の運命だからだよ… 結果、ヒトが滅びてもね… だが…このまま…死ぬ事もできる…」
 「生と死は等価値なんだ……僕にとってはね。 …自らの…死、それが唯一の… 僕の絶対的…自由…」

 「何を… 君が何を言ってるのか解らないよ、カヲル君…」
 カヲルが息も絶え絶えに言う言葉に、シンジは混乱をきたしてしまう。

 「…遺言… だよ…」
603LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:14:50 ID:???

 カヲルが冷や汗を浮かべて言い、シンジに微笑んだ。

 「さぁ… 僕を消してくれ… そうしなければ… 君らが消える事になる。
滅びの時を逃れ… 未来を与えられる生命体は一つしか選ばれないんだ」

 「………」

 「そして君は……死すべき存在では…… がはっ!!」

 「カヲル君!!」

 「……このままでも……僕はじき死ぬ。だからせめて… せめて、最後は、君に迎えさせてもらいたいと…お、思う…」
 「虫のいいお願いだとはわかっている…… けど、これが…僕の最後の願いなんだ… …シンジ君、お願いだ、僕を……」
 「…そんな……!」

 「君たちには…未来が必要なんだ… さぁ! …君は僕が憎くないのか!? 僕は君の大切な……アスカを……」

 「待って!!」

 「!!」
604LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:15:48 ID:???

 レイの声がした。驚いて、シンジは後ろを振り向く。

 カヲルが必死に声を嗄らしたとき、後ろのヘヴンズ・ドアをくぐり、アスカの弐号機が現れたのだった。その手に、レイと三尉を伴って。

 「……あちゃぁ…… 失敗したか…… 僕も…まだまだだな… ふふっ」
 まるで悪戯が露見した子供のように純粋な笑顔で笑うカヲルに、シンジが問いかけた。

 「…カヲル君!?これはどういう……」

 「彼は、弐号機の体表の表皮だけを切り裂いたんだ」

 カヲルに代わって三尉が説明する。人体は、斬り方によっては、派手に血しぶきだけを上げさせ、
別段命に別状は無いようにするという風な細工も出来ない事は無い。人体を模して素体にしたエヴァにしても、同じ事だろう。
ただ、それをやるには相当な腕前が必要だ。まかり間違えば、そのまま相手を斬り殺してしまうことになりかねない。

 「そしてその瞬間に当身をあて、アスカを気絶させた」
 シンジの初号機のほうからは弐号機の陰になって見えなかったが、斬った後、カヲルは4号機の拳で弐号機の鳩尾を打っていたのだった。

 「……!!でも、何故そんなことを……!!」
 疑問を消化しきれないシンジが更に問うのを、別段何とも無い様子のアスカが遮る。

 「良く考えれば、おかしいとは思っていたのよ」

 「え……!?」
605LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:17:06 ID:???

 「こいつが使徒、それもこれだけヒトに近い使徒だっていうなら、
ほかにやりようがいくらでもあったはずだわ。単純にここまで来るにしたって、
この前の宴会のときとか、それこそ今日の食事のときにでも、私たちの食事に毒を入れるなりなんなりして、
私たちを事前に始末してからでも、遅くは無いはず。わざわざエヴァに乗った私たちと戦うメリットは無いんだから」

 「あ……」

 シンジの呆けた顔に構わず、アスカが続ける。

 「よしんば何かの理由で、今日まで使徒の力が使えなかったとしても、
NERVのコンピュータをクラックするとかして、あくまで「ヒトのまま」ここまで来る方が、
最初から4号機を動かして、隔壁をぶっ壊しながらここまで来るよりかははるかに楽よ」

 「じ、じゃあ、なんで!?」

 「簡単よ。こいつ… …彼は、最初から人類を滅ぼすつもりなんて無かった」

 「!!」

 「いちばん最初は違ったのかもしれない、だけど、……彼にも心境の変化があったってことだろうね」
 「とにかく……詳しい事は、彼に聞いてみない事にはわからない」

 アスカの台詞を引き継いで三尉が締めた。
606LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:18:18 ID:???

 「……ふ…ふふ、流石ですね…」
 カヲルが割と必死で三尉に笑いかける。
 「そう… お察しの…通り、僕はゼーレから…送り込まれ、今日この日に死ぬ為に遣わされた造られしシ者……タブリス」

 「!!」
 その言葉に、その場の人間全てが彼を注視した。その視線にも臆することなく、彼は続ける。

 「……無論、彼らはそうは言わなかったけどね……
 僕は選ばれたモノで、今日この場でアダムと融合すれば、僕の、そして皆の理想の世界が築かれると教えられて育った」

 「………」

 「だけど…… 「予定」がズレて……君たちと少し早く逢ってしまったから……
彼らの言っている事は…… 間違っていると……思うようになった」

 そう言うとカヲルは顔を曲げ、三尉に寄り添って立っているレイにその瞳を向けた。

 「自分と、自分の愛するヒトの為にサダメを変える……
 神に祝福されしソピアーとなる道を捨て、敢えて堕ちゆくアナテマとなる道を選ぶ……
 そんな生き方もあるということを、僕は学んだ」

 「ヒトは…ヒトの幸せというものは…… だれか、超越したなにかから… 与えられるものじゃあないんだ…と」

 「それから…僕は色々な事を調べたよ… 
そして、僕がいにしえの死海文書に記されている17の御使いの一人として……
 今日、この場で死ぬという「儀式」のためだけに… 産み出されたということを… 知ったんだ」
607LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:19:18 ID:???

 「そんな… 死ぬ為だけに、産まれてきたって…言うの!?」
 「酷い……」

 アスカとレイが息を呑む中、カヲルは続ける。

 「だから…… 僕はここで死ななければならないんだ。…そうしなければ… 終末のときに… ぅうっ」

 「カヲル君!!」
 苦痛に歪むカヲルの顔を見たシンジが、手のひらの力を緩めようとした。

 「躊躇うな、シンジ君!!」

 「!!」

 「さっき… 僕が言ったことは… 事実なんだ。ここで僕が消えなければ…
 いつか、僕が君たちを滅ぼしてしまうかもしれない…… だから……」

 「そんな……そんなことって!!」

 シンジがイヤイヤと言うように首を振った。そのとき、その隣、弐号機の手のひらから声が発せられた。

 「そうなの……かもしれない」
608LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:20:10 ID:???
 「……三尉!?」
 三尉が腰からUSPを抜き、スライドを引いて初弾をチャンバーに装填しながら続ける。
 「どうあがいても、君が使徒、僕らの倒すべき敵だということに、代わりは無い」

 「三尉……」
 レイが、とても哀しげな瞳で三尉を見た。その瞳に振り返った三尉は、
レイにちいさく目配せを送った。それに気づき、レイがちいさく頷く。

 「きみたち使徒のせいで…15年前、あの災厄が起こったのも、事実だ」
 三尉が照準を合わせながら言う。カヲルはそれを眺めながら、一人納得したような顔で頷いた。

 「そう……そうですね、全ての可能性を変えた貴方になら…… 撃たれても……いいのかもしれない」

 「三尉!?」
 シンジが驚いた顔で叫んだ。それに続いて、アスカが何かしら声を上げようとしたが、振り返ったレイに諭される。


 「お別れだ、渚カヲル君」


 「カヲル君!!……三尉ぃっ!!」


 「ありがとう、シンジ君…… 君に逢えて、嬉しかった……」


 三尉が引き金を引いた。トリガーバーが指の動きをシアに伝え、上がっていたハンマーが落ちる。
激発された9mmパラはその弾頭を発射し、スライドが後退して空薬莢を排出した。

 乾いた音が響いた。
609LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:21:02 ID:???


 「…………」

 「………く……」

 「……空砲!?」

 三尉の銃の一発目の弾丸は、弾頭を外した空砲だった。
だが、その照準は真っ直ぐ彼、渚カヲルに向けられている。

 「……何故なんです」

 「…君にはみんなと一緒に、レイを助けてもらった借りがある。だからその借りを返す」

 そう言ったあと、三尉もまた、彼に疑問をぶつけた。

 「……何故なんだ」

 「………」
610LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:22:01 ID:???

 「何故……そうまで落ち着いていられる!?」

 「……!」

 「なんで死ぬ事を、そうも簡単に納得できる!?」

 「……」

 「まだ生きることが出来るって言うのに……!?
…運命だとか、サダメだとか言うもののためだから、死ぬ事ができる!?……
 そんなのは……そんなのは…間違ってる!!」

 「三尉……」

 珍しく激しい感情を露にする三尉に、レイがその手を取って支える。三尉は若干落ち着きを取り戻して、続けた。

 「……世の中には……まだまだ生きたかったのに、色々な事をしたかったのに!!
イヤだったのに、命を落とした人たちだって、沢山居るんだ!!それなのに……」

 「………」
 血反吐を吐くような口調で思いのたけを吐き出す三尉の言葉に、その場の皆が聞き入っていた。

 「……それなのに…… そんなのは、ただの自己満足でしかない!!それこそ無駄死にだ!!何の意味も無いっ!!」

 「……エゴだよ、それはっ…!」

 拳銃を落とし、膝を付いてしゃがみこむ三尉を、レイが支える。その顔には、
彼女が本来持っていたものが、まざまざと浮かんでいるのであった。
611LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:23:52 ID:???

 「………」
 沈黙するカヲルに対し、弐号機のアスカが言う。

 「そんなに難しく考えなくってもさ…… アンタ、このまま生きたいの、死にたいの!? この場ではっきりしなさい!!」

 その言葉に、カヲルは彼がおそらく一度も浮かべた事のなかったであろう、
きょとんとした顔になり、しばし考え込んだ後、思いのほか大きな声で答えた。

 「…それは…僕だって……できれば……生きていきたい…みんなと…一緒に」

 「だったらそんなアヤシイ連中の言ってる事なんか無視して、自分の生きたいように生きればいいじゃない!!
 それとも何、アンタの体の中には命令違反すると発火するような装置でも仕込まれてるってわけ!?」

 アスカの剣幕に押されるようにして、カヲルが慌てて首を振る。
それを見たアスカは、急に優しい声になると(ホントに珍しい)エントリー・プラグのコントロールレバーに頬杖を付いて言った。

 「自分が本当にやりたくない事まで、言われたからはいはいって何でもやるってのは……ガキの使いってもんでしょ」

 「……………」

 「何、アンタ、ここまで言われてまだ迷ってるの!?」
 アスカにそう言われつつも、カヲルはまだ決心が付かない様子だったが………
612LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:24:37 ID:???

 「……ごめん、やっぱり……僕には決められない…… 頭の中が… いろんなことで……」


 そう言うと、カヲルは改めてシンジのほうを振り返った。そして、シンジに願う。

 「君が…… 決めて欲しい、シンジ君」

 「!!」

 「君の決めたことなら…… 僕も、納得できる。お願いだ、シンジ君」

 「……三尉……」

 レイが三尉の腕を取る。だが、三尉はそんなレイを目で制すと。
 「僕らの言うべき事は言った。そして彼が判断した事だ。僕らに止める権利は無い」

 「だけど……」

 「なに、大丈夫さ…… 僕はシンジ君を信じてる」


 「シンジ君……さよならを言うのは、少しの間、死ぬ事なんだ」

 「……カヲル君……」
613LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:25:24 ID:???































 水音が響いた。
614LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:25:58 ID:???












 「………僕は………」

 「僕は、カヲル君が使徒でも……関係ないんだ」

 「カヲル君と、もっと話がしたい」

 「カヲル君のことが、もっと、知りたい」

 「だから……関係ない…よ……」
615LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:26:38 ID:???


 「………ありがとう………シンジ君」

 「今から僕は、使徒タブリスとしてではなく、ヒトの仲間…渚カヲルとして…生きていく」

 「そしてこれからは…君たちにもらった命を…君たちの為に使おう」

 L.C.Lの海に仰向けに浮かびながら、カヲルは言った。
ふと、L.C.Lではない水滴が、自分の目頭から流れ出ているのに気づいて、彼は呟いた。

 「……これは……?」

 「それは……涙」

 レイが、彼に囁きかけるように言う。

 「涙……」

 「使徒は泣かない」

 「その涙は、ヒトだけの宝物よ」

 カヲルは、自らの瞳から溢れるそれを拭って、それをかみ締めるように呟いた。




 「…… そうか…… これが……  涙……」
616LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:27:55 ID:???



次回「Grip―― 9 memories〜 9 BREAKER」
617LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 19:33:40 ID:???
ちょっとハシャギすぎたかのぅ。(滝汗)

でも楽しんで書けたから、よしとするか。抗議・呪詛・お問い合わせなどはいつでも受け付けております

それでは、メリークリスマス。
618LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/24 23:16:15 ID:???
帰ってきてから良ぉ〜く見ると、なんか相当アレな文章をかいとるのぅ・・・・・(滝汗)


とくにラスト辺り。(汗)



いずれ圧縮ファイルに纏めるときには、全てを手直しせんとなあ。ふ。


とりあえず明日A買ってこよ(ドキドキ)
ジレンマに叫ぶ声が不可能を壊していく、ですか。

さて、未来は悲しみが終わる場所になりますかね…

ルリオ頑張るね。
ところでそろそろ就活の時期だけど
大学卒業後はどうするのよ
621LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/26 18:21:12 ID:???
また小さなミスが…というよりいい気になって書いてるときは気づかぬムジュンが
けっこうあるっちゅーことに気づくのぅ… やれやれ(汗)

>>619
 ハイパーグッドエンディング(当社比)ゆえ心配はいらないでふよ
 それを書き切れるかどうかは、それこそ頑張らなきゃなりませんがNA-

>>620
 ゥイ、メルシー 就活ね…… 今のところ卒業したら3年ほど海外研修の予定しか無い、のぅ
 まぁ、不景気な時代やし、言語スキルとかも身に着けねばならん、とは思うが……

 ここでうだうだやれるのももう少しかも知れぬ
  やる事はすましておかないとな。 ……そのまえに目の前の単位を取らぬと…(汗)
622fu-n:04/12/27 13:20:40 ID:???
大卒か・・・
高卒で就職の俺とはいったい・・・
623名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/12/27 19:12:55 ID:DdniUE2i
レイとシンジクンはセックスしたの?
どっかのスレで書いてあった
再開したエースでどんな内容?
625LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/27 21:30:19 ID:???
荒野を走る〜 死神のれ〜つ〜 抗うすべは〜 わ〜が〜て〜には〜な〜い〜(号泣)

こうなりゃミザリープロジェクトしかありませんか(いけません)

>>622
 fu-n君、私なぞ高校時代に先生におもっきしコビ売ってなんとかっつうものだし
 自慢できるようなものではないって絶対(汗)単位落としそうだしな(死)
 関係ないが育成のキャンパスエンディングはなかなか良かったね(脈絡無)

>>623
 あ〜、その件については激情版…ならぬ劇場版のラストシーンあたりの
 巨大リリスの首から血しぶきブシャーの後あたりからの一連の流れをいってるんでしょ
 「綾波…? ここは…」
 「ここはL.C.Lの海…(略)」
 のあたりかのう。確かにレイさんの両腕はシンジの胸に食いこんどるのに
 腰掛けてる部分(!)が重なってないのは、人によって意見が分かれるところかもしれぬのう

 そう考えると、育成のエンディング直前の一枚絵(このシーンからの流用)の解釈にも
 いろいろと…… のぅ。(滝汗)
626LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/27 21:41:19 ID:???
>>624

 すっかり忘れてましたが、カヲル君が弐号機に乗って出撃してたんですね
 んでもって「今は正体をさらすわけには」みたいなこともゆうとります
 何様だテメー(汗)さすがキャット吉良ーは言う事が違いますNA!!(汗)

 侵食時の使徒との対話では、綾波さんが醜き心を持っていると指摘される
 それは「碇君を自分だけのものにしたい心」だという
 シンジが毎日アスカを見舞いに行くのを見て嫌だと思っただろう
 アスカが憎いと思っただろう
 自分だけを見て欲しいと思っただろう… 云々

 ハ"ァ"? その程度で醜いなら漏れら(LRO人)なんかまっくろくろすけ通り越してコールタールより漆黒だわい
 そんなもん人間として当たり前の感情だろうがこのライトニングきしめん野郎がァ! 物故路死たいですママン!!(汗)

 あとは碇の息子にゆだねられたな…(滝滝滝汗) …   な、内容(わからん)

 漏れ個人の感想としては

 ・碇君多少積極的だね。そのまま魂+集中+加速でなんとかしてください。
 ・人型兵器ってさ〜… 腕とか足とか一本斬られただけで無力化するよなぁ…
 ・リッちゃん、アゴ四角すぎ。岩鉄ですかアンタは。(汗)

 の三本です。来月は掲載予定ナシだね! N2ミサイルランチャーもってこい誰か。
ルリオ優秀なんだから馬鹿みたいなレスするの
やめれば良いのに。
628LRO人 ◆i6LROeveXU :04/12/31 21:38:20 ID:???
諸君、良いお年を! って、去年は前スレで同じことを言った気がするな。
消化遅いのぅ(汗)

ひとは、あやまちを(ry)

>>627

 私が優秀ならこの世の大抵のヒトは優秀ってことになってしまうが(汗)
 レスがバカっぽかったのは確かだ(CV:大塚明夫)

 素を出すとアカンのかもしれぬのぅ(汗)

 2005年は気をつけるか。dクスゥ
629LRO人 【豚】 【1423円】 :05/01/01 16:10:04 ID:???
どりゃどりゃ
630LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/01 16:11:06 ID:???
もぺぅ(汗)
631fu-n:05/01/01 19:57:26 ID:???
綾波がシンジに微笑を見せるまで残り10年
二人目綾波は正直かわいそうだった
633LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/09 00:47:19 ID:???
レポートなんかかいてるバヤイなのかのぅ…くそッ(汗)

>>631
遅くなってすまないねfu−n君、今年もヨロシクだ。
そうかもうそんなになるか。今年の夏ごろ?で本放送から10年、節目の年になりそうだの。

10年後はもう三十路ですよフゥ

>>632

 ぁああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  かわいそうなんてモンじゃありませんな。「薄倖」とはまさに彼女のためにあるようなもの…
  初めて弐拾参話の絵コンテを見たときの絶望と言ったら……(プラグ回収のシーン)

  神よ!! あなたは残酷だぞ!!(ブラックジャック)

 もうね、貞本版くらい助かってホスィです。マジ。

  すべてはあのヒゲのアホが悪いんですよ(二人)   チィッ(クワトロ)
634LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/13 02:49:42 ID:???
期末〜


 ブハッ(血反吐)
635fu-n:05/01/14 17:21:17 ID:???
EVAのパチンコやったらの綾波リーチで確変出たYO
綾波のに幸あれ・・・


と思ふ今日この頃
636fu-n:05/01/14 21:25:26 ID:???
なんか日本語おかしいのに今気付く・・・
637LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/18 19:22:03 ID:???
                |\       / ,   ヽ::. \i. ヘ       ヽ― ―  
             …-= =-… /  /  , ヘ::.  ヽ」     .    |  ―  
                //    / /, ,  i ,、 ,、   : ヽ    :  .  | ―  
                      |/| i | ., |/__|/_||:    :  :ヽ  :  :  |――  
            |ロ|ヽ_ _    i| l:N|:l:::l/|、__|,, ||   i  i i  i  :  |―  
           \◇/ | ヽヽヽ | | >::|∧ |j > ||>  i  l  |  |  l /―     
         __ [ Y;Y /ヨ「 ヽヽヽ  //::::i:ノ    /.|i: |: : |  | /   |/――   
        gqコロEロEiュ|| ̄| ◆◆ /::::i:K     //|: |/ : /   |   /  ―  
          /レXリ「_ロ]|Y/ ヽヽヽ|::i、:ハっ ノ, /ノ|: i  ::i :/   /― ―   
          ∠≠ロ |≠/W     ||| li::iヘ  ノ/ヘ: /|: /  /  ./|/―   − 
                       | iリ|/|ハ_',,-|/_|/:l/レ'|イ`l/|/ - ―  
                        | | l"ノl∧l  j_____|_―− -  
                   ―― − ―― ‐  |r―-r――'、―― −    
     ┏━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
     ┃ '⌒⌒ヽ  .┃ レイ                              .┃
     ┃( 从  )  .┃  「行って… フィンファンネル」             ┃
     ┃ ( ゚ν 丿   ┃                                .┃
     ┗━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
638LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/18 19:26:04 ID:???
テストテストで… 今月は更新できそうに無いのぅ。大変スマソ。(滝汗)
二月三月は休みゆえ一気に書き上げちゃいたいが… 今月は無理、スマソ(滝汗)
最後までちゃんと書くゆえ、いま少し待っていてくだされ(滝汗)

>>635
ぉおfu−n君、遅くなってスマンのぅ。綾波さんリーチで大当たりしたか。
レイさんのご加護があったというものだのぅ。だがまぁ、程ほどにね。(汗)
私?  PS2に移植したら…(滝汗)
639LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/26 00:10:23 ID:???
ふふふ、ようやっと試験も終わった…

 これからは休みゆえ、頑張るとしようかー!

 とりあえずDEATH〜EOEを見ねばな… ふふふ、ウトゥになりそう(汗)
640fu-n:05/01/26 09:10:12 ID:???
現在家が最悪状況なのでケーブル回線が切断されます・・・よ〜

まぁほかのパソコンからスレに来るだろうと思うのでLRO人よろしく


まぁ所々AA貼ってくんでぇ・・・
641fu-n:05/01/26 09:11:31 ID:???
          //         ヽ |iー-、     ヽ
        /  __           \ヾ、 `r!     ヽ
       / ,ィi´ /            i  \|| `l \    ヽ
        / ////      /      |   ヽ-'  \ \ ゙!
        / /| {{ /  |     |     | | |  ト、        \ ヾ!
     / /| | ∨   | |   |     | | .∧ |、ヽ    ヽ  \/
      | |.! し'  || |! | !    | |/ ハ\!ヾ\   ヽ   /
      | .! | | |  | | || |、 ',   リ/|/ ,. -r‐vYリ、.  |.! | /
     | | ',| |   レi‐| ッ=ミ、ヽ.  | l/ '´ l:::`i´ // ∧ || | V
     ヽ! ヽ!|ヽヽ|ヽ`i´ l::‐l`\ |     '"´ // / ∧川 /
         ト、|\|ヽヽ `´   `     // / / /レi/
          ヽ || i|\`ー=‐ j       // / // /
          || ハ  \ `ー、 ` -一  /,.ィ'/!ノ) )
          〉 H ト、 |゙i┬``‐、    '´/__//∧
         / ヽ! ∨ ヽ ||! |ヽ iヾi|`ー '´二___,/   |
         _/     ! __>ゝリ/ヽト、|」 / ____|   _,,|
       /:::l    /   r‐'  Y   `´  l__|  r'´  ヽ
       _|:::ノ   /ト、/     ヽ       」  |  /ヽ
モグダンの新刊綾波5命令編もうすぐでるそうだ
fu-nとLRO人は1〜4まで持ってるよな?
643fu-n:05/01/26 16:34:55 ID:???
恥ずかしながらパソコンに入れてありますがなにか?
644LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/26 20:33:23 ID:???
この私がそのようなものを持っていると思うかね。
んじゃぁ某エヴァに影響された冨野作品の主人公さんに
私の気持ちを代弁してもらうとしようか。

ユウ「ぐっ…!貴様のやったこと、どんな理由があろうと、犬畜生以下だ! 鬼だ! 外道の極みだぁ!

    ぐ わ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !!」


 ……まぁ、人が脳内で妄想していることまで否定は出来ぬし、
  それを表現するのも止めはせぬよ。だが。

 デスノートと彼の本名さえわかれば(ry)
645LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/27 14:22:54 ID:???
 過去スレHTML化の猛者、ルグダル氏に前スレをHTML化してもらったよ
 初代スレは途中で鯖更新したらしく行方不明だったがね(滝汗)
 tv2の次の鯖ってなんだったっけ?(汗)


 しっかし改めてみると私の馬鹿さ加減に応じて人が減ってったのが目に見えて分かるね
 こりゃだめぽだねぇ、ホント(滝汗)
646fu-n:05/01/29 12:42:17 ID:???
( ゜_ゝ゜)b
647LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/29 14:10:32 ID:???
ふふ、あんまり張りたくは無いのだが…(滝汗)
ともあれ、ルグダル氏に大変感謝だねぇ。
ttp://ruku.qp.tc/dat2ch/0501/27/1040552424.html

ロイエンタールカコイイ(←!?)
気持ち わるい
649fu-n:05/01/29 19:51:08 ID:???
なんか懐かしいな・・・
昔は繁盛してたんだが・・・
650LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/29 21:33:06 ID:???
ふ… fu-n君 それもこの愚昧なるワタシの所業のせいさ
償うにも償いきれぬな…… ふ、ふ

だがまぁそれももうすぐ…
651LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/30 00:32:35 ID:???
初期スレを調べ、ルグタル(←タル)氏にサルベージしていただいたぞ!!
いつもながら見事な手腕だ。わたしには真似できんなぁ…

ttp://ruku.qp.tc/dat2ch/0501/29/1032575434.html

……… ぃゃマジちょっとカンベンしてくださいって程のヴァカさ加減でございましてもう
fu-n君や874殿と初めて会ったころのこととかみえるけどすっごくあのなんというか
はづかしいというか己のアンポンタンぶりをいまさらみかえすことになったかと思うと
(以下100行略)
652fu-n:05/01/30 11:22:01 ID:???
651はいい人!
改名してもいい人!
653LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/30 16:49:26 ID:???
よくわからないけども、カヲルの力添えもあったようで、結局は
『シンジのことを強く想い過ぎ、純粋にリリスではなくなった』
ことが原因でサードインパクトは起きずに終わってしまいます。
そして、ゲンドウは老人達を巻き込み、自爆…。


238 結末 05/01/30 08:59:43 ID:pexZqGul
アスカ「ちょっと何やってんのよバカシンジ!」
シンジ「痛ッ!なんだよ!殴ることないだろ!?」
アスカ「バカシンジのくせに生意気に口答えするんじゃないわよ!」
ヒカリ「…なんだか、前よりも仲良くなってない?あの二人。」
ケンスケ「…あれのどこが仲良さそうに見えるんだろ?」
シンジ「(…またこうやって学校に通える日が来るなんて思わなかったな。
 …これで、父さんや綾波、トウジ、カヲルくんがいてくれたら…)」
アスカ「ちょっと!聞いてんの!?バカシンジ!」
シンジ「うわっ!ちゃんと聞いてる・・・えっ!?」
(第一話のようにレイの幻影が見える)
アスカ「…何よ、どうしたの?」
シンジ「今、あそこに…」
アスカ「何にもいないじゃない。ボーッとしてるから夢でも見たんじゃない?」
シンジ「(そっか…そうなんだね。
 父さんも、綾波もトウジもカヲル君も…どこかの世界で生きてるんだね。)」

終劇

>238
ラストがスパロボMXっぽい
-------------------------------------------------------------

654LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/30 16:50:46 ID:???
……と、まぁ、貞本版スレからコピペしてきたわけだが。

 こんなのが一番虫唾が走るんだよ!!
 なにが「どこかの世界で生きてるんだね」だ!!

 巫 山 戯 る な !!(ふ ざ け る な)

 せっかく補完計画も阻止したというのに!!
 世界は平和になったというのに!!

 綾波レイが……この手の中にないっ!!(ジョジョ第5章のボスっぽく)

 こんなの納得できるかぁぁぁぁぁぁああ!!(滝汗)
 なんのために人類が神になれるチャンスを棒に振ってまで
 今の世を維持したと思ってるんじゃぁああ!!

 こんな終わり方は認めん!!求めん!!
 すべては完全なる勝利のもとでこそ終結すべきなのだ!貞本版ってのは!

 …要するにハッピーエンドだったらいいなぁ、とかね…(急に弱腰)

 くっ、だからMXはでぇきれぇだよ……チッ(汗)
655LRO人 ◆i6LROeveXU :05/01/31 00:08:27 ID:???
……まぁいい。(汗)

とっともあれっ


エヴァ板にもよきLROの土壌が育ってきたには違いない。
だがまだあと一押し……いや、数押し足りぬ

もうすこし電波を撒き散らすとしようか。(汗)

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡

ヽゝ゚ ー゚ν
  /)) レイのおっぱい!

657LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/05 00:00:44 ID:???
やれやれ… どうも3月中に
2週間ばかりここを空けるかもしれん
とっととすすめんとなぁ(汗)
658fu-n:05/02/05 15:35:39 ID:???
( ゜∀゜)他のパソコンから来てるんでLRO人ヨロシクー
659fu-n:05/02/10 12:17:21 ID:???

  .'⌒⌒丶
 ′从 从)   
 ヽゝ゚ -゚ν  ・・・・・
. (| |∀| |)
  /___ゝ
  (_)___) 
660LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/10 22:42:24 ID:???
>>658-659
他者のパソから来援ありがとうfu-n君…
だが今日は私はもう疲れた…

わかってる、立ち上がるさ
LROの時代を築くため
レイさんのしあわせを求めるため

だが… いまは少し休ませてくれ… (気力50)
661LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 02:18:12 ID:???
第三次αにレイさん参戦決定っぽ(微妙)

なによりも、ヒモ使徒がでるぜ。
 ↓
零号機vsアルミィの戦闘MAP有るだろう
 ↓
もはやαで二人目さんはご逝去なさっているのだが(涙)
レプリジン(GGGの平行世界のようなもの)の可能性もありだ
レプリジンを造っている敵を殺すと消えてしまうが
タングラム(バーチャロンOTのラスボス、因果律操作可能)とかいるし
なんとか上手くやってくれるだろう
 ↓
となれば…
 ↓

オレァ アルミィヲ ムッコロス!!!!(気力+100)


復讐の時は来たれり!!!だNAーフゥーハハハハハァー
>>661
2人目死亡前提で話進むらしいから平行世界はないんじゃないの?
3人目も髭親父と共に行方不明らしいし、アヤナミストにとっては冬のスパロボかもね
663LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 02:36:07 ID:???
せっかくテムジソのキュィーーーーンズバッピョイス(ジャンプキャンセル振り向き)ズバシュで気力が上がっていたのに(汗)


アヤナミストにとって冬?

今までのスパロボが冬でないというようなおっしゃり方ですな(ギリギリギリギリギリ)

α    →わけのわからん弐号機みたいな目したおっさんに陵辱されそうになって自決
DC版α →上記の上に三人目になるが、シンジと(多分載宗とアルベルト)を目立たせるためにリリスからあっさり帰還
       劇場版でも呼び戻せたのかよ…orz まぁ、スパロボ解釈だからどうともとれんが
MX   →アルミィの代打で出たよぉわからんドーレム(のくせに熱血Gフィンガーダメージ0!?ハ゛ァ゛!?!?)
       に侵食されてアボーソ 劇場版をなぞるも驚いてるのはシンジだけ なんだあの冷静さはアムロッ(汗)
       あげくにエンディングでは幻影のみ。シンジいわく「別の世界で生きてるんだね…」

       全作品、途中退場。いくら経験値を積んでエースにしようが零号機をMAX改造しようがパァ。
       いや、それ自体は別にどうでもいい。しかしなによりレイさんにとっては弐拾参話の苦痛を繰り返し味わわされる上に
       林原閣下までだんだんレイさんの声やるのゥゼェなと思い始めてきたフシがある(←この行のみルリヲの妄想)

   これが冬で無いとしたら、今度のスパロボには出ないだけ酷い目に会わんでいいからラッキーってことですか?(滝汗)

   F・F完結編?   そもそもエヴァがいるだけ参戦じゃないですか。弱いし。暗黒大将軍に身柄を要求されてるしレイさん(違)
664LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 02:40:01 ID:???
まぁDC版αでは最後まで使えるがね。謹んで訂正。

ユーゼスがラオデキヤにやられたときは笑ったね!!爆笑したね!!(滝汗)

カタキを取る機会を奪ったラオデキヤさんはMAX改造気力150捨て身の
ポジトロンスナイパーライフル(ダメージ65535)で一撃死させてあげましたがね。(汗)
あいかわらず狂ってるなお前さんは
別に今までのが冬じゃないとは一言も言ってなかろうに、まあどう受け取るかはあんたしだいだけどさ
俺はアヤナミスト、綾波が出るならそれは嬉しいし展開が酷いものならそれは悲しい

いいか?出るか出ないか、出てもシナリオにどの程度絡むのか微妙なこの発表をもって俺は
冬と表現したんだ、確かに言葉足りなかったのはすまん、しかしそんな解釈をされるのは心外だ
LROではないが同じアヤナミスト派生の属性を持つもの同士、いがみあってもしかたなかろうに
666LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 02:51:14 ID:???
す、すいません 書いてからマズイと思った
己のおろかさにどうにも

どうもこの手のハナシになると電波が(滝汗)
ギリギリは歯軋りですので

 (´Д`;) ゴメンナサイゴメンナサイ
   ∨)
   ((

 (;´Д`)  スミマセンスミマセン
 (  八)
   〉 〉

 (´Д`;)、  コノトオリデス
   ノノZ乙

アヤナミスト同士でケンカするわけにはいけないのです(汗)
667LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 02:54:27 ID:???
ホントにすいませんです
考え無しの発言だったのです
スパロボスレでも叩かれたのに懲りていないのです
自スレだと思って調子に乗っていたとです
ほんと頭が悪い発言だったのです
気分を害されたのであれば大変御免なさいなのです
LRO人がみんなバカだとはおもわないで欲しいのです
バカなのはルリヲの中のひとなのです
ほんとうにごめんなさいなのです
668LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 02:58:40 ID:???
一度ならず二度までも…

これでは、開祖のおかたに申し訳がたたん
ここに3年近くもいるのに 何も学べておらん
マジでバカ 救いようが無いな…

しばらく謹慎するです
アタマを冷やしてくるのです
本当にご迷惑をおかけしたのです
まことにもうしわけないです
だーかーらー
いがみあってもしかたないんだから仲良くしようぜってこと
謹慎なんてすんなよ、このスレがつまらんくなる
あんたがいるからここは成り立ってる、それが現状だろ?頭冷やして今日中に戻ってこいよな
別に迷惑でもなんでもないからさ、もしそれでも自分をバカだと思ってるんだったら
質スレ巡りして、その後なんかネタ投下しなさい
それで反省終わり、謹慎なんて誰にでもできる、謹慎するくらいならネタを出しなされ
俺あんたのSS面白く読んでるんだからさ、続き期待してるよ
仲直りの印、つまらんもんだけど
前見た画像を記憶を頼りに描いてみたよ、超ラフ画で色塗りの技術ないからモノクロだけど…
ごめんなLRO人

ttp://f17.aaa.livedoor.jp/~support/imgboard/src/1108341843255.jpg
671LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:04:34 ID:???
……

なんとも命冥加なもので、おめおめと醜態をさらしておりますが
まだやるべきことがある以上、わたしはここにいます(ファフナーならぬ、銀英伝風に)

>>670
これは… なんともありがたいものをいただき、恐縮の限りです
お返しといってはなんですが、壁紙用の画像を… 大変失礼
ttp://purlace.net/eva/ayanami/D032.jpg


い、今は手持ちのネタが荒らし退治用のAAしかなくて
申し訳ないのですが(滝汗) いずれ貼ったときにズレているといけませんし
実戦テストをやってみようかと思います(汗) お目汚しかもしれませぬが(汗)

では…参ります!!(滝汗)

                       __           __  __   _   _     _
                   /| / / / | /| /  /   / / //  / \  ./ /| / / __
\                 / |/ /_/  |/ |/  /_ /_/ / \ /_/  / / |/ / / ・ ・ ・ ・ ・ 
  \  戦闘BGM:                                ̄      ̄
   \ ttp://www.siamstreet.com/zgames/m/srw/Dancouga%20Theme%20-%20Burning%20Love.zip
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
672LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:06:41 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫ 12000 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃━━━━━━━━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ →━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛              
  \\             \| |    ||し              / /  
                  \| |    ||て                
                  \| |    ||+                
           ジャキン!  \| |    ||                  
‐                  \| | _  .| |ミ               ー
ー              \\\| |/.◎\.| |ミ   チャッ          ―
‐                \\| |    .| |ミ                ‐
                  .\|__|_____|_|ミ                
                 +    || ミ    っ              
                      ||⊂(`Д´#) っ             
                      .山                     
/ /                                      \\
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          .┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「綾波レイにあだ為すものを……           ┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃   ワタシは許さんッッ!!!」             ┃
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
673LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:08:53 ID:???
   ――l  レ ""        ""'''--,,,,__   ""''--,,,,,___"_"-,, ― ―
     /"'''''''''''ー−---、,,,,,,___       ""';;;---,,,,,,__ ヽ、 "'''- ,, −―
    ,,-ゝー-、,,,,__       ""'''-- ,,,,,,__   '-,,    ""''- 、__  ― -
  ∠,-'"  -,,_   "'--,,,___ /'''';;;;;ゝ   "-,"'-,,,,___'-, ,,,-−−--- 二ニ=- 
    /ヽ,,,,   ""'-,,,    / / .|>. '--,,,,, '-,, ,--、      ""''-,,  ――
   ./ /l ""'-,,   "−,,/__/,,,,;;;||;;,,, '-,,"-,l  l lヽ ヽ   ___,,,,,,,,,,,"> ― -
   l / l  /l  l"''-,,,__    ’''_, '' ||''    ニ=l  l 6 l _,-''"'''−-,,,  −―
   レ  l  l l .l .|.i,;;;ソ "''''--,,,'=- ||  J し l  .レノ.lノ ,--''"""""'''-,‐‐―
     ヽl ヽ.l .| '-/        ||  へ r l  l lヽ_/_/""''''-,,,   - - ―
      i!  ヽl | く,,,...-       ||,     l  l l  ヽ/"""'''-‐ ― ―
         ヽ ヽ   _,,, ===,,,,   '||  し  l l / __,,,,!--''""l ‐‐ ‐_,,..―
           .ヽ  ! ,,,   "  ν   "',,,-','""   ,,..-'''ヽ、 _.-''    
         ‐ ―ヽ          ,-''""   ,-'''、-'"ヽ ヽ//      
       ― - − ヽ       ,..-'ヽ,,-''"l  ',""ヽ,.-'"'-"/      /
     ―‐ ‐ ― ― ヽ   ,.-'"   ヽ,.-'"   ヽ,-"  /       /
  ― ‐― ― - ― − ゙-''''"--..,, _,.-ヽ-'""l   ヽ  /        /
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          .┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「心にて…悪しき神性を断つ!!          ┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃  名づけて!! 断ッ・神ッ・剣ッッッ!!」       ┃
 ┃\  /─-|/ ┃         (*カットインはイメージです)    ┃
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674LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:10:27 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫ 12000 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃━━━━━━━━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛            
///./      //                        ./////       
//./ /     //                      / ./////       
/./       ///    ズゴォォォオオオオオ!!!      /////        
./ /      ///                       /////        /
       ////                     / /////  /       ./
/      ./////                     /////  //     / .//
      .//////                   / /////  ///      .///
     ///////____________ /./////  ////っ  / ////
    /                                _____/ .    っ  ./////
  // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/  // (`Д´#)  / ./////
 < .<        エンジェルころし          / ◎ /.=( 'ノ( ノ=====ヨ/////
  ヽヽ________________ヽ_ //        ///////
   ヽ___________________/       /////////
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          ┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「でぇぇぇぇぇぇええええやぁぁあぁああっ!!!」 ┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃                               ┃
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
675LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:13:13 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫  7500 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃――→━━━━━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
 \       \  / / //           /////          //  
 \         て   / /  し          //十 ノ   | |     / 
       そ__J  し__て         .///田.ノ┬  | |      
  ‐―==ニ__   __ニニ==―−   ////十  |   ・ ・       
          そ  て             ./////           ボコッ  
   /   J   / /   て           /////   ∵ミ _∴,,。。      
  ./   / そ / /   そ   /      /////    ●'''" * ""'';;, モグ? 
 //    / :・/ /∵: \   //     /////   ∵ミ\.从 从 ;;;ミ    
////___∴∵∴____///_  /////っ    __ヽゝ゚- ゚ν ;;;ミ/__


                        _____/ .    っ  .    ~~~~~~~~~~~~~\ 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/  // (´ ;#)             \\ 
エンジェルころし         /  ◎/.=( 'ノ( ノ=====ヨ          \\  
____________ヽ_//                   \\  
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          ┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「斬ッ断ッッッッッッ!!!」                ┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃                               ┃
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
676LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:15:15 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫  6850 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃ .――‐→━━━━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
| |    ||          ― −−/ /―――――−−           
| |    ||          ―=ニ/ /−−―                 
| |    ||し          ・ …/ /ニ=―                  
| |    || て      ∴ ―−/ /…・∵                   
| |    ||       ∵: (;`/∴/−― ゥグァァァアアァ!!            
| |    ||         ∴:・/∴/Д´)つ:・∵         っ !     
| | _  .| |       ― ― /  /ヴシュウウウゥゥゥゥゥ……  _∴,,。。っ  ピャッ!
| |/.◎\.| |     ―=ニ/  / ― ―∴:’:・     ●'''" * ""'';;, し     
| |    .| |ヂャキィッ!!!/  /ニ=―          \.从 从  ;;;ミ て   
|__|_____|_|−――… =/  /‐‐ ――          ゝ゚Д ゚;ν;;;ミ     
彡彡 ||      し− −/  /= …          ̄ ̄ ̄~~~~~~~~ ̄ ̄ ̄  
  彡||⊂(; ´Д)て  /  / − − ――――                   
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓  
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          ┃  
 ┃/・  |  |   |.┃ 「弐の太刀ッ!!!!                 ┃  
 ┃| ,  .|  |  /.┃  斬り裂けぇぇぇえ……えええッッッッッ!?(汗)」  ┃  
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃  
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  
677LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:16:18 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫  4325 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃―――――→━━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
 ‐‐ ‐  ― ‐ ―― ― ― ‐ ‐ ― ‐  ―/ /‐///  っ ‐ ‐ ― ‐
 ‐‐‐  ― ‐  ― ―  ‐ ‐ - ― ― ― / / // ― ― ‐―  −
 ‐  ― ‐ ―― ― ―  ‐  ‐‐  ‐ ― / / /‐  ― ‐ ―― ― 
 ‐  ―  ― J   .− /|∴ し―  − - / /‐  ― ‐ ―― ― ―
 ―― ― ‐ そ― .:∴ / .|;:・―て − ― / /― - − ― ヒュッ― ―
 ‐ ―  ― ― ・:∴/  |∵・・:‐ − 彡 / / ‐―  −  .|  ―― ―
 ________J   て/|____/ / クィッ!!     | |  モグー!!  
 ________       ____〆/    し     .| | | っ  ―  
         ・:;<     /:・:     ̄ 彡  て .∴ミ | | | |  っ ‐ - 
  日 日 | |  ∴;:|  /\|∴:  ‐ ―  ― ― __ | | | | | __  
  | 人、| ..・ .・ J.・∵:|/∴::∴:・て―― ‐ ―      ~~~~~~~~~     
 ― ‐ ― ―そ― ‐ :・・:‐  そ― ‐ ―― ― ― ‐ ‐ ― ‐―― ―
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          ┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「のわぁぁっとぉぉをををぉぉお!?!?!    ┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃  なななななな、南無三ッッッッッッッ!!!(滝汗)」 .┃
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
678LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:18:51 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫  3425 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃――――――→━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
 \\                  /|                 / / //
 \                  ./ /                      /
                   / /                       -
 ‐                 / /                       ー
 ー                / /                     ―――
 ――             ./ /                       .――
 ―              / ./            し            ―
 ー              /  ./:・/´)つ      /| て           ー
          (;`/:∴/  /∴・ ̄       / .|               
 ‐          ̄∴:/  ∠_______/ / ババーーーソ       -
 ―          ∠__________/               ―
          (/∴:・/Д)                            
 //              うぅぐあぁあくぁwせ(略)          \\
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:               し          ┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「…………!?!?!!  ハッ!て         .┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃  .…だっ、断神剣L文字斬りィィィッ!!(咄嗟)」   .┃
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
679LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:19:58 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫  2115 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃―――――――→━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
 \          /|                /      し        
 \         / /           +   /           し     
          / /               /      \          
 ‐        / /               |  __             
 ー       / /                |し                 
 ――    ./ / バババババババ……   .|                  
 ―     / ./                 ヽ  し               
 ー     /  ./:・/´)つ      ./|      ヽ      ,___       
.(;`/:∴/  /∴・ ̄       / .|       \                
 ‐ ∴:/  ∠_______/ /                        
 ― ∠__________/       *結果オーライ。(滝汗)   
 (/∴:・/Дノ                                    
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          ┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「……斬り捨て御免ッッッッ!!!(滝汗)」      .┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃                              .┃
 ┃\  /─-|/ ┃                               ┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
680LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:24:23 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫     0 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃――――――――→┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
        ._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄   |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,        
  |    ,,-''::::二-''"     .--i|     .|i          "- ;;:::`、      |
  |  ._,-"::::/    ̄"''---  i|     |i            ヽ::::i     |
  || (:::::{:(i(____ズゴゴゴゴゴゴ.i|     .|iゴゴゴゴゴゴゴゴ_,,-':/:::}      ||
  | |  `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'     ||
  ||| |   "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~     | | .||
  | ||| |          ̄ ̄"..i|       .|i                 | | |
  || | ||| |          .i| 887303  |i                 || | | 
     +  し ||      .i|          .|i          || | || i  | | |i
  クリティカル  て |     .i|           |i        | |i | |i| || | | |
 +――――――||| || .i|      ,,-、 、  |i    | || | | | || | | || ||
  フィールド貫通 +||||i|      ノ::::i:::トiヽ、_.|i  || | | | | | || |i  || | ||
 ┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃=‐― ‐‐=― ┃ 荒らし:                          .┃
 ┃==―…- … ‐ ┃ 「なんだと!?そんなばかなああぁぁぁぁぁぁぁぁ」 ┃
 ┃‐―… = -=.┃  .                              ..┃
 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
681LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:29:35 ID:???
むぅう… やはりステルス改行があったということか
ズレを直してもういちど。(汗)

そう… スパロボ大好きなんでふ(滝汗)

期待をしすぎて奇態をさらしてしまったのです
まことに申し訳なかったのです(汗)

今後ともなにとぞ、宜しくお願いいたしますのです
FFはあと2章くらいで終わると思います
がんばって書きます(汗)
682LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:30:34 ID:???
 ┏━━┳━━━━━━━━━┳━━┳━━━━━━━━━┳━━┓
 ┣━━┫  7500 /12000 ┃ HP ┃ 65000 /65000 .┣━━┫
 ┃反撃┃――→━━━━━━┃----┃ ━━━━━━━━ ┃┬ノ-┃
 ┃不能┃180/180 ━━━━┃ EN..┃ ―━━160/260 ┃ ̄乂┃
 ┗━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━┻━━┛
  \\          / /             /////         // 
 \       \  / / //           /////           /
         て   / /  し           //十 ノ   | |      
       そ__J  し__て         .///田.ノ┬  | |      
  ‐―==ニ__   __ニニ==―−   ////十  |   ・ ・       
          そ  て             ./////           ボコッ  
   /   J   / /   て           /////   ∵ミ _∴,,。。      
  ./   / そ / /   そ   /      /////    ●'''" * ""'';;, モグ? 
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                  _____/ .    っ  .    ~~~~~~~~~~~~~\ 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/  // (´ ;#)             \\ 
エンジェルころし         /  ◎/.=( 'ノ( ノ=====ヨ          \\
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 ┃ / ヽ _ / \.┃ ルリヲ:                          ┃
 ┃/・  |  |   |.┃ 「斬ッ断ッッッッッッ!!!」                ┃
 ┃| ,  .|  |  /.┃                               ┃
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 ┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
683LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/14 21:35:51 ID:???
おし、これでいつ荒らしが来ても撃退できるな

…もっとも、当人が荒らしみたいなことをしていちゃ
どうにもならないのだが…(滝汗)


質スレ一周行ってきマース(C)☆アスカさん
684LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/17 02:20:51 ID:???
新規のスレが出来ていらっしゃる。

古参というか老害は見守ることにしよう。
それもよし、だな…

ここはFFで大半埋まりそうだしな。(汗)
685LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/20 00:26:03 ID:???

 fu-n君、いきなりですまないのだが
 月曜から箱根のほうへ所用で行くことになってな
 そう、第三新東京市(予定地)に行脚することになったのだよ
 気分はウキウキだな(汗)

 とりあえず自由になるのは所用を済ませてからなので
 木曜くらいには芦ノ湖を見に行けるだろうな。
 しかし今現在は第三新東京市はゴルフ場とは(滝汗)

 とりあえず天気がよければ、ロープウェーにも乗るつもりだ
 加持さんと話していたオバサンとかと会えるかもよ?会えないかもよ?(滝汗)

 もしかしたらレイさんの幻影程度は見えるかもしれん
 そうなるとワタシが帰ってこなくなる可能性も無きしにもあらずだ(汗)
 そのときはfu-n君、私はレイさんと楽しくやっていると思ってくれ(馬鹿)

 それでは、楽しみにしているか〜 ゥイッヒッヒッヒ(悪
686LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/24 22:34:06 ID:???
……


…………


…………………


ぐ、ぐぁああああああああがああがあがああああああああああああ
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

ぁああああ

ああ

>>686
おいルリヲどうした 留年でもしたか
688LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/24 22:57:23 ID:???
留年するにしても自分のせいだ。口惜しいが納得できる。


レイさんは…   ただの人間だった!!

シンジを愛し… 皆を愛し 皆が生きる世界を守ろうと必死だった!!!!

それが!! それが!! それが!!!

ぁああ… がぁあぁあああぁああああ あ あぁあああああああ!!!!
なんだエースでなんかあったのか?
690LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/24 23:12:04 ID:???
ttp://www.fileup.org/file/fup9510.lzh.html


lsdf変え尾j-gjウェrmヴァ0家rm0位hン34hgンj0慰安m[^0位9mrk「^あ0え9rjhg「¥
れウィ0j田rんじぇgh@qビアmv043位m5hbg[^0くぃ35ンmがbヴィm350位亜m@ビ0
会えr5位hj0qj45h0愛mんヴぉい5mんと9はしm04いおj5hg0あいj0pろいえjは0おいr
亜jskdj儀0rvm@居w5mht@−いえjん@−えいあがkせちああがががあがああが

は… はは;ああははは…は は


 ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ う う う う ああ あ            あ




  あ
把握した
爆発シーンで引いてるし、原作と同じ展開とは・・・・同じだろうなorz
レイ炭かYO!!
今読んだ。
ここまでLRSでひっぱっといて(?)ゲンドウの笑顔かよ
っとそれはどうでもいい、問題は何故自bくぁwせdrftgyふじこlp;@
ふひひひ
LRSになるより良いかな フヒヒヒ
ルリヲの心が汚されちゃったよぅ……
正直かなしすぎる・・・
アニメどおりの展開なのに今更…
698LRO人 ◆i6LROeveXU :05/02/25 02:33:18 ID:???
エヴァンゲリオンはすばらしいアニメだ。
この作品なくして、今の私たちはなかった。
エヴァンゲリオンは私たちに
愛と信念と感動を教えてくれた。しかし、このままでいいのか!?

エヴァンゲリオンの本編をなぞるだけでいいのか!?
二人目が生き残るのは、映像版とは違う結末だ。
しかし、綾波レイを愛する心は一つだ!!

なぜいつも2人目は死なねばならない!?
確かにシンジを守るために戦うことは正しい。
しかし、彼を愛しているのならば、
貞本本人が綾波レイを愛しているのならば、
監督の悪しき呪縛から解き放たれねばならないのだ!!

この結末以外にも道はあるはずだ。
我々は、エヴァンゲリオンをなぞるだけでは駄目なのだ。
真実に目を向け、愛を持って接し、
そして、エヴァンゲリオンを超えるラストを作り上げなければならない!!

弟子が師を越えるように、エヴァンゲリオンに育てられた我々は、
エヴァンゲリオンを超えられる。
いや、超えなければならない!!

それが、それがエヴァンゲリオンに対する、
エヴァンゲリオンを作り上げた人々に対する我々の返事であり、
敬意の表明ではないのか!?

―――某木星圏ガニメデ、カリスト、エウロパおよび他衛星国家間地球共同連合体
     仕官の非公式のセリフを改変

……私は、信じている
699fu-n:05/03/02 14:03:15 ID:???
          : !./ / : :.,iシ゛.〃゛   .|、l゙    !: : : : l l:: .ili: : : : : : l゙: :,: : : : : : .: : :
           .i!゛ /: : ,/゙:  " '''゙゙゙'''''ー《|.._  .l: : : .| !: l'.!: : : : : .jl:: :|: : : : : : .!: : : :
            : .l .,i'″: :     、.、..l! `''`-エ: : /  !;l .|: : : : : l .!: |: : : : :、: :}: : : :
  .,         . ! /    !   : 'll'″_l_`゙'ti、: . !: 从. ..|| . !: : : / .,! |:.i:: : : !: :|:: : :
 │         l"     │    l''l〃: .!  .`.l .l/   .!  !: : /  ! !l│: : : |l,│: : :
  |                l    .゙'-,,_./      ‘     l.: ./   〃.l,|: : : : !|:i′,!:
  |                l     `゙"              l/..-=lii、 .|ト: : : / !゙: /: :
  |                 l、.l,                    iZミ、 .`┐l: : ./: : /l: :
i .!    、          . ゙l\.l               ,l,i'“| ゙'、  l: / : : / .|
| }    ゙l、         : [.l `!、               、、゛,./   ゝノレ゙  ./  ! ,i
.| " i   ″       .、  ! ヽ ゛               ヽ .~-   ./ ".|  ./   .! /
. l ,,.!    l、    : |.l  .l                 ゙ッ   ./ :   .l /   .レ゙
 ll゙.l, .l    .|ヽ.    ,! ヽ │         ,.     ..-ー'゛   ./    .i゙゛
 " . l .lU'、  l .ヽ   ! .ヽ!         `'ー .      . /   ,i′}
    !!.T |\ l `'x  !  .゛                   ,..‐゛   /  /
    .′│ `、ヽ  .\,.l                  _..-'"    ,iリ
     │   .`ゝ   ″ .\            ,..-'"     , ./ . 元気をageる
      l            `'-、、    _..-'"゛     , '// /
     .!              !`''''''''″

700fu-n:05/03/02 14:06:36 ID:???
今だ! 700ゲっトォォォ
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ∩)    (´´
     ∧∧ノ  つ  (´⌒(´
  ⊂(゚Д゚⊂ ノ≡≡(´⌒;;;≡≡≡
         ̄ ̄   (´⌒(´⌒;;
     ズザーーッ
701名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/03/02 14:06:54 ID:AixvvH5i
700げと
702fu-n:05/03/02 14:07:32 ID:???
     ∧ ∧
     (,,゚Д゚)つ もういっちょ行くぞおらぁ
    (つ、丿
     (ノ/
     (_/
703名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/03/02 14:07:46 ID:AixvvH5i
やられた
704fu-n:05/03/02 14:08:18 ID:???
YES!!!
705fu-n:05/03/02 14:19:12 ID:???
Sir,Yes!Sir!!!!!!!
706名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/03/02 18:19:46 ID:b68pQsDK
カワイイ綾波さんがいたので紹介します。
http://www.geocities.jp/kaoru4115/menu9.html
707名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/03/02 18:21:35 ID:fNLcCFXs
漏れ、女ですが綾波を恋人にしたいとおも。
>>706
貴様はコレのことを言っているのか
ttp://www.geocities.jp/kaoru4115/imgp2658.jpg
汚いもん貼り付けんなやヴォケ
710綾波レイ ◆Eva.oepbog :05/03/03 05:21:18 ID:???
私は何人目?
711LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/04 00:52:17 ID:???

 この数日間どこへ行っていた… 傷心もいいが(ry

 漏れの体は私だけのものじゃない… のかのぅ(汗)
 …なぁに、確実になるまでは氏んだとはいえんよ。

 それよりもFFに苦しんでます ただでさえ〆切ぶっちぎってるのに(滝汗)
 アスカどうしようアスカ。いっそ無視するって手もあるがどうもなぁ…

 >>699
 これはレイさん…fu-n君、また来てくれたのだね
 てっきりこの愚かでヘボな漏れを見限って新天地へ旅立たれたのかと…(汗)
 そうされても仕方が無い愚行をかさねてきたのでね。度々だが、大変すまぬ(滝汗)

 …もともと俺のスレじゃないんだが(汗)fu-n君のスレだよな(汗) しかし、ゲンキは頂いた! アリガト(汗)

 >>703
 機を得られなかったか。次は頑張ってくれ(汗)

 >>706
 これはィィ…綾波さんだが、直リンは感心できんな もしそのサイトさんにアクセスが集中して鯖落ちしたらどうするのだ?
 … って、ネットのことよぉわからんのに差し出がましいことを(滝汗)
>>711
元気出せ、俺はコミックス組だからまだ今のところ大丈夫だけど相当しんどいみたいだね
お主のSSで最大限幸せにしてあげればいいじゃないか…すまん、こんなことしか言えない
713LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/04 00:59:24 ID:???
 >>707

 これは、ご婦人でおられまするか(汗)
 LROの精神は老若男女に電波…ならぬ伝播されるべきもの、
 レイさんのことを大切に想っていただける方ならだれでも資格があるのです(汗)

 Gonna Get You!! の精神でゴーゴー(汗)

 >>708

 …ゥゥ ま、まぁ、前に私がコミケで目撃したレイさん(♂)にくらべたら可愛いものよ
 ブァッファッファー(ネロ・アンジェロ)

 >>709

 そうまで言わんともよかろうに(滝汗)

 >>710
                                                     ∬
 こっ…!! これは! レイさんがいらっしっていたとは… とりあえずお茶ドゾー つ旦
 エヴァ板がレイさんで満ちてゆく、大変良いことです(滝汗)

 とっともあれ! レイさんは本来、何人目かで括るべきではないと思うのですがね…
 ご自分のこころに在る自分こそが、たぶん自分なのでありましょう。…多分(汗)


 バリバリ書かないとオイツカナイヨー(汗)

 負けてらんないのよぉー!!
 読者様がみてるんだからぁー!!(滝汗)
714LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/04 01:07:11 ID:???
 >>712
 ! これはこれは、もしこの前のお方だったら大変失礼しました、
 なにぶん愚劣なるわが身、いままでにも幾多の悪行を重ねてまいった次第
 FFを書き終わったら全てにケリをつけるつもりゆえ、もうしばらくこの
 板に居させていただければありがたいです(滝汗)

 そうでなかったらもっとゴメンナサイ(汗)

 しかし… 貞本版の最後の顔は… まるでシンジを救えたことが
 碇司令に対してよかったというような… なんというかいい辛いが
 あの瞬間はユイさんだったのかなぁとか…   く   くッ

 まだだ!! …彼女の口から、「私は多分(ry)」のセリフが出るまではわからん…

 わからんよ(心の汗)
おお、ルリヲ帰ってきたか
今後の展開にもいろいろ思うところがあると思うがあまり気にしすぎんな
そこまで綾波のことを思えて、ある意味おまいさんがうらやましいよ
>>ルリオ君
気持ちがすごい分かるよ…
私も女だけどLRWと名乗りたいぐらいレイ好きだし…
あんなの見たくなかった…
お互い辛い時期を頑張って乗り越えよう……… つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
717fu-n:05/03/11 13:30:48 ID:???
うっ・・・・・・
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ∩)    (´´
   !!∧∧ノ  つ  (´⌒(´
  ⊂(゚Д゚⊂ ノ≡≡(´⌒;;;≡≡≡
         ̄ ̄   (´⌒(´⌒;;
     ズザーーッ
718LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/13 22:15:53 ID:???
ぃょぉぅ(汗)
もう少しで次の章がうpできそうだ〜
けっこうアレな内容ですが(滝汗)

>>715
私は彼女自身の口から真実を聞くまではあきらめん
なぁに大丈夫、きっと脱出しておるさ…… 心配するでない
アヤナミストの貞本が悪いようにはせんよ(滝汗)

ある意味ね(汗) 好きなものは好きだからしょうがない!(←!)

>>716

これはこれは、二人目のLRW人さんがいらっしゃいましたか(汗)
お返事が遅くなってスイマセンでした
なに、大丈夫ですよ… きっと…

乗り越えるつもりはありませぬ… きっと生きていらっしゃいます
そう思うしかないというのもありますがね…

>>717

これはfu-n君、キリ番でもないのにどうしたね…

(汗)
って、冗談だ、age保守どうもありがとう
最近はいそがしくなってきたのぅ、休みなのに(汗)
719 ◆SINJIp3Mxg :05/03/14 21:25:27 ID:???

           ルリヲさんこんばんは。
   /⌒⌒ヽ    いちごと、チョコありがとー。
  '  w从w
  ヽG  ゚ ゚)   これあげる。 グレ…  グ…?
    /つ●0   …すごいおっきいミカン。
   ( _ ノ
   ∪∪     まっかっかミカン。 レイミカン。

いってないよ、やわらかいおうち。
もらったよ。

みんないそがしいの?がんばってね。
720LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/18 18:00:06 ID:???
 ぃょぉぅ(汗)

 ようやっと第5…6章かな?ともあれ、続きが書けたぞぅぃ
 二ヶ月も休載ってアンタさだも(ryじゃないんだからまったく。
 だがおかげで内容の濃いものがかけたと思うよ。
 ただ、ライブ感覚で書いているゆえにどうもアレなところもあるかもしれん
 「ハァ゛!?」とか思うかもしれん、そのときは

 「俺を… 止めてく…(ACNX)」

 ともあれ、その前にレスを返しておこう。コテの癖に(汗)
721LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/18 18:04:37 ID:???

 >>719
 これはこれは、3才シンジくんではないですか
 いや、あのチョコは電波レイさんのチョコで、私は……
 ともかく、ありがとう。ルビーグレープは大好物だ(汗)
 あとでお礼を言いに行かなければならないね。
 あと、イチゴの件では差し出がましいことを…(汗)
 だが、うかつなことはさせられないのでね、許してくだされ



 ぁあ、あと、fu‐nくん、突然だが私は20日から短くて5日、長くて10日、
 海外研修に行かねばならなくなってしまったのだよ(汗)
 10日もエヴァ板を留守にすると、いろいろ不安で仕方が無い
 後を、レイさんたちをよろしく頼みます(汗)

 …まぁ、俺が居ないほうが平和になるかもしれないのですがな(汗)

 ともあれ、久しぶりに連投規制に引っかかるとするかぁ〜(馬鹿)
722LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/18 18:06:41 ID:???


5:「Come on Nexus〜Flood of a Life―Another Age」


 「……本部施設の被害は、各階層の隔壁と、4号機のケイジの拘束具のみに留まったようだな」
 日向二尉がカップに注がれたコーヒーを啜りながら言った。
先ほどまで根を詰めて事後作業をこなしていたのちの、つかの間の休息であった。

 「…ええ、でも、それとは別にもう本部のいろいろなところにガタが来ていて…
東棟は以前から撤収が決まっていましたし。破棄される第二、第三区画の引継ぎは、
なるべく早く済ませたいものですけど」
 伊吹二尉もまた、このささやかな時間のために用意されたクッキーを
形ばかり口に運びながらつぶやく。その顔には隠し切れぬ疲労と、
その奥に塗り込められきれずにいる悲憤が見え隠れしていた。

 「そうなると、稼動している施設はこの西棟の実験棟と第弐発令所、各エヴァのケイジ、後は……」
 「メインシャフト外縁部と…ターミナル・ドグマだけだな。
ヘヴンズ・ドアが破損したとはいえ、あそこの本来持つ意義は、まだ失われていないってことだろうな」
 指折り数える青葉二尉の言葉を受け継ぎ、日向二尉が現状を再確認した。
いかに人類の砦として、堅牢無比に設計されているNERV本部といえども、
度重なる使徒の襲来による被害が積み重なれば、そうもなろう。

 「ヘヴンズ・ドアの向こうに有るもの……
俺たちが知るべきものじゃないんだろうが、あの戦闘でも無事だったのかな?」

 「さぁ…… 先輩なら、何か、分かる、のかも、しれません、けど…」

 段々語調が暗くなる伊吹二尉の様子を見て、日向二尉が無理矢理話題を逸らすようにしてつぶやいた。
723LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/18 18:09:25 ID:???
 「あ、あの戦闘、と、言えば」
 「……公式発表では、今度のことは4号機パイロットに寄生した使徒が
起こした事象ってことで片付くようだ。もちろん発令所に居た連中…
俺たちはそうでないことを知っているが、言われずとも緘口令の通達を突きつけられたようなものさ。
真実を知るものがなまじっか多いと、後々が面倒になるからな」

 「…黙して語らず、推して知るべし、ってことか。 ……で」
 青葉二尉が、コーヒーカップ越しに疑問を問うた。
 「その事象の中心、使徒……いや、あの少年は、今どうしているんだ?」

 その場の全員の眉間が細められ、若干沈黙の時間が流れたが。
口の中でクッキーと一緒に答えを噛み締めていた伊吹二尉がその疑問に答えた。
 「…彼は今実験棟P5実験室に「移管」されています。本部の病棟はもう破棄が決定していますから、
外部から医療設備を持ち込んで処置を取っているようですが…傷口からの出血が酷くて…
未だ昏睡状態が続いています。第七肋骨から胸幹を横切って第四肋骨まで破断されていますし、肺や他の臓器にも影響が……」

 「…妙なものだな」
 「え?」

 押し殺したような声で自分の言葉を遮った日向二尉の顔を見つめ、伊吹二尉は言葉を切った。
 「肋骨だの肺だのと、まるで人間と変わらないじゃないか。どうも、使徒に取り付かれてたって発表も、まんざら嘘臭くもないな」

 「だが、あのときの解析結果は、紛れもなく彼自身が使徒だってことを指し示していたけどな。
事実は往々にして奇なり、ということだ」
 日向二尉に反論する青葉二尉たちから目を逸らし、
目の前の、手の中のカップから立ち昇るコーヒーの湯気を見つめながら、
伊吹二尉は漠然とだれに聞かせるでもなく、小さな声でつぶやいた。
724LRO人 ◆i6LROeveXU :05/03/18 18:10:55 ID:???

 「特務機関NERV……使徒を邀撃、殲滅するための特務機関。
そのNERVが使徒を倒すことなく、また、それが倒されるべき使徒の意思、
歩み寄りによるものだったとしたら……私たちは……」

 彼女の性情が言わしめたであろう台詞を聞いた青葉二尉は、
その瞬間にかすかな、だが鋭い危機感を覚えた。視線で、彼女を制する。

 「……今回のことは、特別だったのかもしれない。彼がたまたまヒトのカタチをしていて、
ヒトのコトバを解せて……以前から、このNERV本部の中で生きてきて、彼なりの考えがあって……
そんなようなことが積み重なって、運よく今回のようなカタチに落ち着いただけなのかもしれないんだ。
いや…むしろ今回のことこそが異例なのだろうな。
……だから、今まで俺たちがやって来たことを否定するようなことを言っても、何にもならないな」

 「…そう、ですね、ごめんなさい」
 またもや沈み込みそうになる伊吹二尉の肩を叩いて、日向二尉がなんとか陽気さを込めた声で言う。

 「と、ともあれこれで最後の使徒も片付きそうだな。どうあれ、彼はもう問題にはならないだろうし」
 「P5実験室と言えば、このNERV本部でもっとも厳重な、もともとはN2兵器貯蔵庫として設計された区画だからな。
あそこなら最悪彼がまた侵攻の意思を見せても、彼があそこの隔壁を壊そうとしている間に、
何かしら手が打てる。傷口の処置のときに、例のものも……」
725LRO人 ◆i6LROeveXU
 青葉二尉が最後の部分を濁したのをフォローをするように、
日向二尉が先ほどよりことさら声を大にして言った。
 「これで、平和な時代になった、ってことなんだろうな。…補完計画は、まだ残っているけど。
実際…どんなものかは想像の域を出ないが……
もし、計画が成功して、人類がこの悲惨な状況を抜け出して、万事宜しく行ったときには、俺はここを辞めるよ。
見てのとおりの貧乏所帯だけど一応国連直属の組織だし…退職金くらいは出るだろうから、
それを元手に、事業でも始めようかなと思ってる。ここでの経験を生かして…
大きくなくていいから、俺と、もう一人、いや、二人かな、それくらい食うに困らなくなったら… そのときは…」

 「そのときは?」
 青葉二尉は、日向二尉がこんなことを言い出すのは珍しいな、と思いながらも、
末尾の部分が気にかかって、その部分を明らかにするように彼に問いかけた。
 「…俺のことはいいとしても、お前はどうなんだよ。ここに残るのか?バンドはどうしたんだ」

 「…使徒のことと、補完計画を終わらせたら、NERVも組織解体されるだろうが…
残務処理云々で、オペレーター業には食いっぱぐれないだろうからな。
もうしばらく、庶民の血税で食わせてもらおうと思っている。バンドのことは…安定してから考えるさ」
 彼の中に燻っている、己が求める「何か」をまだ見出していないのだから、彼にとっては至極当然な返答であった。

 「じゃあ、俺が辞めた後に納める税金のいくらかは、お前の食い扶持に回るわけか。なんともはや、だな」

 「ともかく、補完計画が終わるまでは、俺たちもここで粘るほかは無いってこと、だな……
さぁて、仕事に戻りますか、人類の明るい未来の為に」

 (もっとも…… 補完計画が済んだ後、世界が、人類が今のままの姿で生き続けて行けるという、保障は無いわけだが…)

 日向二尉の軽口に肩をすくめてみせながらも、その事象に心を振り向けて、青葉二尉は眉をひそめた。
そして、その隣で、コーヒーを口に含みながら、伊吹二尉もまた、己の考えの中に視線を移しつつあった。