おまえらが一番良かったと思うエヴァSS教えて

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わたしの名はアスカ。
かつては特務機関NERVに所属するセカンドチルドレンであり、強力な使徒と闘い続ける可憐な天才美少女であった。
だがあの日、不覚にも破壊された弐号機のエントリープラグから目撃したあの衝撃の光景が、わたしの運命を大きく変えてしまった。
弐号機がNERV本部に回収されたその翌日から、世界はまるで開き直ったかのごとくその装いを変えてしまったのだ。
いつもと同じ第三新東京、いつもと同じNERV、いつもと同じ日本。
だが、何かが違う! 新聞紙上からはNERVを糾弾する記事が消え、発展途上国の反NERVデモも途絶え、
国連の議場で慌ただしく答弁するNERV関係者の姿もない。
この国に、いやこの世界に、親NERV派だけを残し、あの喧しい人々は突然その姿を消してしまったのだ。
数日を経ずして、楽観という名の時が駆け抜けていった。
かくも静かな、かくもご都合的な終末をいったい誰が予想し得たであろう。
NERVが過去十数年にわたり営々として築いてきた協調関係の証拠と諸共に、ゼーレは消えた。
しかし、残された我々にとって終末は新たなる始まりにすぎない。
ゼーレによる支配が終わりを告げたその日から、我々の生き延びるための戦いの日々が始まったのである。
471 ◆YjsWqh8B4w :04/08/02 03:23 ID:???
奇妙なことに、NERV本部は国連による押し寄せる緊縮財政をものともせずにその雄姿を留め、
科学技術・人材の豊富なストックを誇っていた。
そしてさらに奇妙なことに、NERVではミサトも、日向さんも青葉さんも依然として雇用され続け、
驚くべきことに夏冬のボーナスすら支払われているのである。
当然我々は、日々の生活の存続という大義名分の下に、NERVをその労働の拠点と定めた。
しかし何故か冬月副司令は、早々と将棋教室『王手飛車』を開設して自活を宣言。
続いて赤木博士&伊吹マヤ師弟も、手練手管を駆使して技術部を独立させ湯本に『赤木技術センター』をオープン。
そしてシンジは… 日がな一日家事をこなし、おそらく欲求不満の解消であろう、ときおりわたしに甘えてくる。
好きでしている筈の家事のなにが不満なのか知らんが、実にかわいい奴だ。

あの運命の日からどれほどの歳月が流れたのか。しかし今、我々が築きつつあるこの生活に不安も労働争議も無用だ。
我々は高給を保証された人生を生き抜き、かつていかなる先達たちも実現し得なかった地上の楽園を、
あの永遠の新婚生活を実現するだろう。
ああ、選ばれし者の恍惚と不安、ともに我にあり!
シンジの未来がわたしの未来と等号で結ばれる現状を認識するとき、目眩にも似た感動を禁じえない!

アスカ著 アスカ全史第一巻「3rdインパクトを越えて」序説第三章より抜粋