538 :
518:02/10/17 18:46 ID:???
>>535 ああ、こんな風に持ってくるとは。多少予定外でした。
というか、「彼」にとっても、主席にとっても予定外になるでしょう。
更新をしばらくお待ち下さい。20時頃には書き込みますんで。
午前中の早い段階で,主要施設の案内は済ませてしまうことにした。なにしろレイたちのメンタリティ
は子供だ。建物案内なんてあまり面白くないだろう。本部の建物,精米所,乾燥施設,農産物加工施設
といった建物群を広報担当の青年の簡潔で,解りやすい説明と共にどんどん回る。しかし意外にも,レイ
たちは退屈した様子を見せない。見るもの全てが新鮮なのだろう。結構質問されたりもする。そして
野菜類の冷蔵施設と回り,穀物貯蔵庫では一寸した出会いがあった。広報担当の青年が説明する中,
一匹の不細工なトラ猫がレイ達の前に現れ,ふてぶてしくも昼寝をはじめやがったのだ。
おや,あの猫は「トラゾウ」じゃないか。この貯蔵庫のあたりを根城にする猫軍団のボスだ。貯蔵庫
や倉庫などに出没する鼠どもにとってはまさに悪魔。俺たちにとっては頼りになるガードマンだ。だが
気も荒く,俺なんぞは触ろうとして何度か引っかかれた。レイ達も猫に興味を引かれているようだ。
青年の施設についての説明が終わると,猫の名前について質問がでた。青年が苦笑しつつ答えると,
レイ達の一人が猫の名前を呼びながら頭をなでようとする。やば,ひっかかれる。そう思ってとめよう
としたが,意外にも猫は大人しくしている。その様子を見た他のレイ達も,同様に猫に触りだした。
さすがにうるさく感じたのか,猫はレイ達の手をすり抜けると,新たな安息の場を求め,貯蔵庫から
でていった。さわれたレイ達は満足。さわれなかったレイ達はガカーリ。
それにしてもあの猫,わざわざこんな人の多い所にくるとは。レイ達に挨拶にでもきたのかねぇ?
「クク、クククククアハハハハハハハハハハ…
クククククク……ヒッヒィーーーーーく、苦しい」
笑い過ぎて潤んだ視界の端に映った顔は、呆気にとられたかのように間抜けに口を開けていた。
「おやおや、置かれた状況が状況だけに本当に狂ってしまったか」
肩をすくめる少年の姿に、隣の一人も笑い出す。
「プクククク、もっもう我慢できねぇ」
「俺もだ……ププププププププ」
しかし、ATフィールドの中にかくまわれた中のほとんどは、不思議そうな顔をしている。
「何がそんなにおかしい!!」「状況を考えろ、助かる方法は無いのか!!」
「ああ、こんな所に隠れるんじゃなかった」
膝を降り床に崩れ落ちる者、怒りに任せて叫ぶ者、狂ったかのように笑いつづける者、神に初めて祈りを捧げる者。
室内はまるでこの世の終わりの縮図だ。
「おい君、君だよ。一人だけ正気を保ってる君。さっきの質問に答えてくれないか?
こんな事したらどうなるのかな? 君達の周りには危険な物がうようよいるだろう?」
笑いが止まらなくて呼吸困難に陥った私の隣の一人が、司教に淡々と答える。
「たとえATフィールドを開放してもどうにもならんさ」
「バッ馬鹿な事を言うな!!」「何を言っている!! こいつらがどれだけ危険か知っているだろう!」
「中だって危険だろ……」「もう地獄を見るのはイヤだ。いっそ殺してくれ」
たった一つの質問が投げかけられるだけで、一際混乱が増す。
司教はそれに御満悦のようだった。
「回答不能3、賛成3、否定2。多数決によりATフィールドの解放を可決。
君達が選んだ最期だ。僕を多少なりとも本気にさせてくれたお礼に、最後の一人まで見取ってあげるよ」
そう言って司教は右の手の平を大きく前に突き出し、一本ずつ折り始めた。カウントダウンだ。
「やめろ!」「後生だ!!」「楽になれる」「畜生!畜生!畜生!!」
すぐにまたわっと、紅い檻に閉じ込められた人々は叫ぶ。
遺言を残す奴はいないのか、なんて奴は思ったかもしれないけど、遺言が必要なのはあなたの方なのよ?
「……夢って知ってる? 貴方」
ようやく笑いが止まった私が笑みを浮かべて話しかけると、奴は興味を持ったのか、最後の一本を折るのをやめた。
「残念ながら僕らは夢なんて見ないんだよ。見ていられるのは現実だけさ」
「そう。じゃあ胡蝶の話も知らないわね。冥土の土産に聞いてくれるかしら?」
聞かせてあげる。少しだけ、私達の胡蝶をね。
「……少しは人間らしい人間もいるようだね。いいよ。
でも、長い話だったら途中で飽きちゃうかもしれないよ?」
「大丈夫、短いから」
貴方の残り時間もね。私は一つ深呼吸をする。そして短い話を語りだす。
「昔々、中国にとてもとても頭のいい学者さんだったかしら、そんな人がいました。
その人はある日、蝶になった夢を見ました。それは自分が蝶であり、ふわふわと空を舞っている夢でした。
そして目が覚めた時、彼は思いました。夢の中で自分は間違い無く蝶だった。
でも、今の私は人間だ。これは蝶の自分が見ている夢なのか、それとも人間の自分が蝶の夢を見ていたのか。
ずっと考えても答えを出す事は出来ませんでした……お・わ・り」
顔を上げると、奴はなんとも言えない複雑な表情をしていた。夢を見ない存在に夢の話をしても理解できないだろう。
「……なんだかよく解らない話だね。気は済んだかい?」
「ええ。「私」の方は。貴方は無いの?」
にっこりと笑って問いかけたら、奴はふふっと笑った。
「おかしな事を言うね。この状況でどうやって僕を倒すと言うんだい?
僕が壁を消すだけでも終わりだし、そのまま壁の囲いを小さくして圧殺する事も可能なのに。
さっきみたいな危険な仕掛けでもあるのかな? 僕にはもう通用しないよ」
多弁な事。言いたい事は今のうちに言っておかないとね。貴重な情報として残しておいてげるわ。
「……目を覚ました時よく思うのよ。夢の中のあの人達は何処に言ったのだろう、て。
現実もね、考え様によっては夢のようなものだと思う。
目に見えるまで、耳に聞こえるまで触れるまで、存在を感じるその時まで。
もしかしたらそれはそこに無いんじゃないかって。貴方は気付いたの?」
「その」存在に。気付かなかったからここにいるんでしょうけど。
「時間稼ぎをしようと「それは確かにそうだけど。もうお別れの時間」
キッパリと言葉を遮り言い捨てる。さよならと。
「貴方の初めての夢は、「現実」だったのよ」
私はそこから「ログオフ」した。
543 :
542:02/10/17 20:08 ID:???
こっちの方は今からオチ書くからちょーーーーっち待って。
コードを十重二十重に巻きつけた腕を持ち上げて、頭を覆う特殊バイザーを外す。
「空間消滅は?」
「確認できました。元の場所には大空洞が出来ており、上部が一気に崩落したようです」
「やれやれ。手痛い一撃を受けたな」「まあ、これで少しは静かになるさ」
残りの二人も戻ってきていた。私と同様特殊なラバースーツを着て、コードにまみれている。
大きな強化ガラスの向こうには、頭に機械をつけ目を見開いたマリオが何百と並んでいる。
そしてその一番奥にイロウルMAGIの三体がいる。
「実験は成功ですか。正味7分程度ですが……十分でしょう」
「そうね。これもこいつのおかげかしら?」
イロウルMAGI三体に囲まれている黒い球体を見る。葉脈のようなものが無数に走っており、時折大きく脈動している。
提唱者様様。感謝しないとね。おかげで助かったわ。机上の空論を現実化出来たし、最初の実験で司教の一人は完全に消えたし。
イイ事尽くめね……あのガキは中位層に入った時からもう私達の手の内にあったのよ。
あの層にはアルミサエルの能力を模したナノマシンが散布されていた。
それは皮膚からも髪からも口からも入り込み、奴の脳を気付かれる事無く支配していった。
狙ったのはあの一瞬(
>>526)、あの先はね、「私達」が繋げたのよ。
繋いだ先はS2機関により造り出された夢の中。正確には「存在しないはずの空間」ね。
もっともあの研究室は実際に存在していたから、外側から操作して持ち込んだの。中に居た何人かは本物よ?
私は夢の中の一人(私)にアクセスして動かしてたんだけどね。
現実の影響を巧妙にその空間で現実化、中にいる者を騙す……騙すと言うのは間違いね、現実なんだから。
現実と言う夢を見ている者(達)が目覚めれば、その空間は夢のように消える。
モノが存在するためには時間と空間が必要。「場所」が出来れば同時に「状態」は付いて来る。
けれど場所が無くなれば………こうなる。
リアルウロボロス。レリエル空間断層防壁を備えた最終防衛システム……
「……本空間に置ける状態維持が難しくなってきました」
「解ったわ。そうね……南米にでも繋げて。すぐにはあいつらも手を出せないから」
545 :
544:02/10/17 21:08 ID:???
トンデモ兵器についてのあまり説明になってない捕捉>>>
ボーイの姉は各種装置とイロウルMAGIとS2機関と(中略)介し、夢の中の自分にアクセスしております。
無論、ログオフしても夢の中の彼女は勝手に動きます。
彼女がログオフした1秒後、その空間は無くなっています。その状況も最期まで観測しています。
また、彼女と同時に2人ほどはログオフしております。
難しいわけの解らんことを言ってますが、所詮屁理屈ですので。
突っ込まないで下さい……あと、これはあくまでも「防衛システム」です。
地下施設のあったところに穴があいたのは研究室だけでなく、「本部」と言える部分も別空間にごっそりと移動したからです。
上から3行目のセリフは「確認しました。」で一度話が切れています。
S2機関の仕入先は書きます……地下施設に渡したのは(
>>424)のあとです。
アバドーンはレリエルホール(仮名)により相手を急襲します。
ですが、何処でも出せると言うわけではありません。
この日、無人となったネルフ本部に、幾つかの人影があった。
多少のリスクを背負ってでも、ここに残された機材や資料を引き上げる事が出来れば、
そう考え一攫千金を狙う、サルベージ業者の一団だ。
しかし、現在におけるこの場所の危険度は、以前のそれを遥かに上回っていた。
建物の中腹辺りにまで入りこんだ彼等は、異様な気配を感じ足を止める。
ブ・・・ブブブ・・・・・・
一人の男が耳障りな羽音に、耳元を腕で払う。
ブブブ・・・ブブ・・ブブブブブブブブ・・・
纏わり付く羽音は途絶えず、その数を増やして行く。
ほんの少し前までは何も無かった空間、そこには既に無数の蝿達が飛び交っていた。
さすがにおかしいと感じたリーダー格の男が、後退の指示を出そうとしたその時だった。
一際大きい羽音が耳に入る。
その方向にライトを向けた瞬間、男達の身体を嫌悪感が走り、足が竦む。
そこに照らし出されたものは、蝿をベースにしたような黒い節くれ立ったキチン質の体であり、
その隙間からはみ出す浅黒い赤紫の肉は、触手さながらにうねりをあげていた。
人の体を上回る体躯、歪な複眼は薄っすら赤い光を放ち、その背を飾る虫羽な音は不快を響かせる。
男達は、嫌悪に震える手で一斉に手にした銃の引き金を引く。
だがソレは一切怯む様子も無く、じわじわと近づいてくる。
耐えきれずに背を向けて走り出そうとした時、ようやく自分達の体の異常に気づく。
無数の蝿がたかる足は、肉が溶け骨を曝け出していた。
それを見た瞬間、思い出したかの様に激痛が走り、男達はその場に倒れこむ。
その体に、巨大で醜いモノが覆い被さる。
こうして男達は生きながらにして、自らの体を貪られる地獄を味わう事となった。
547 :
蝿王:02/10/17 22:08 ID:???
人を一人食らう毎に、ソレには人に似た自我が芽生えていく。
我ハ蝿ノ王・・・
そしてそれは、この生き物にとって決して幸せな事ではなかった。
我ガ名ハ、ベルゼブブ・・・
蝿ではなく、人に近しい自我を持ったこの生き物が自らの姿を認識する。
コレガ我ノ姿、蝿ノ王ノ姿カ・・・
割れた鏡に映った己の姿は、あまりにも醜悪であった。
我ハ・・・我ハ、醜イ・・・
地下施設から脱出した後、
無人M9の残骸と大破したM9を来る時に乗ってきた大型トレーラー
に積んで出発したものの大食らいのガンヘッドのせいで
予備の燃料まで使い切ってしまい旧東京に辿りつけるかどうかさえ怪しい状態だ。
更に運が悪い事に今現在俺達は道路上で遭遇したケン王軍の戦車部隊と
の睨み合いは当分ケリが付きそうにない
しかし何故ガンヘッドのAIは大リーグの試合結果なんぞを知っている。
このAIはプログラマーの趣味をもろに引き継いでいるようだ。
この辺りまでくれば奴らもすぐには手を出せないだろう。
組織とも言えない組織のために人肌脱ぐか…人肌なんて持ち合わせていないがな。
長い間隠し持っておいた仮面(前スレ弐>107)を取出す。
確か量産機の力が手に入る、とかなんとか言っていたなぁ、あいつ。
人の姿を失った俺でも大丈夫かどうか。元々怪しいものだが、さらに怪しい。
と、いう事で。
「た、助けてくれぇ〜〜!!」
「人の体」を用意した。槍の力でこいつに融合して体を乗っ取る。
首筋をつかんだ手から男の体に紅い無数の管が突き刺さり、皮膚を這っていく。
「助けくぇっ!? うが………あ……ア…………あーあー。俺だ。俺は、俺だ。完了だな」
男の顔が俺と同じように笑う。
この状態で男に仮面を被らせ、その瞬間に俺の魂の一部を男に残し分離する。
量産機にならなければ、そこまでだ。なれば、目標のブツだけかっさらって破棄だ。
「覚悟はいいか?ああ…いいさ」
俺は「俺」に仮面を被らせた。
離れた刹那、光が弾け吹き飛ばされる。
「くっ……成功か?」
目の前には巨大な刃物を携えた量産機がいた。白い翼を広げ、赤い口からは涎がしたたり落ちている。
「よし…では頂くとするか」
消えないうちにと槍を伸ばすと、量産機が動きそれを弾いた。
「な…………んだと?」
「俺は……俺はむて無敵ムtキ外ひゃhyhaおあァアア!!」
チイッ!量産機の力に取り込まれて暴走したか!!
保っていた人の姿を捨て、紅の姿に戻す。右の手から螺旋を描く二又の槍を具現化する。
こちらが臨戦体制を整えるや否や、量産機は乱暴に得物を振り回す。
巨体のワリにすばやい攻撃だが、力の制御が出来ていないのか、
それともこちらが小さいからなのか、触れもかすりもしない。
「確かにこいつは凄いが……「俺」がこうなる可能性も有ったと言う事か。
この力を手に入れてなければ、あいつの口車に乗って終わっていたな」
そう思うと、ドス黒い怒りと腐臭を放つ憎しみとわずかな自虐心がこみ上げてくる。
嗚呼、こいつを倒さねばならない。一瞬でも俺だった男の為に。そして俺自身の為に。
「おO前をコロ…オre俺がお前になryurるりゃryryりゃウうャー――!!」
量産機の得物が捻れて細くなり、槍の姿に変わる。マズイ!!
瞬間的な攻撃をかろうじて己が槍でガードするが、基本的な力の差があり過ぎて、またしても吹っ飛ばされる。
「くうぉっ!」
高速回転する体を止めた時、量産機の赤い口が目の前に見えた。
「保存していた」エネルギーを解放し、槍を一気に伸ばす。一瞬の勝機を俺は逃さなかった。
量産機の口から体内へ侵入した俺の槍は太さを加速度的に増しながら体内を蹂躙し、
下腹部を突き破り得物を持っていた腕に巻き付き切り落とす。
「グるwごウeigaヤyあぉアvoーーー!!」
痛いだろうなぁ、俺だってそんな痛みは味わいたくないさ。
落とした槍は左手から伸ばした触手で受け止め、エネルギー化し吸収する。
量産機の左手が苦し紛れに掴みかかる。
「グッ……今更…なぁ……そんな事したって…遅いんだよっ!」
体が割れるような圧力を加えられるが、俺は槍を動かして最後の一撃を見舞った。
無数に分かれ剣山のようになった左で頭部を貫通し、右の槍でお目当ての物を包むと口から引き抜いた。
顎の骨が砕ける生臭い音がし、体液の滴る黒い球体が現れた。
「ほう……これがあの噂に名高いS2機関か」
「不純物」が入ってるとマズイな……槍の一端を融合させ、不安要素を取り除く。
エネルギー源の無くなった量産機は白い粉のような物になり、風に流されていった。
あれがもう一つの選択肢における俺の最期か……
槍の形を変えてお宝をエネルギーが漏れないように包み込みながら、
俺は散り消えていく白い粉と化したもう一人の自分を、しばらくの間眺めていた。
最近はどこもかしこも物騒だッたらありゃしない。
綾波教の連中とネルフの奴らがさんざドンパチやってくれたお陰で、妾たちゃ
とうとう町を捨てて避難所生活になっちまったよ。商売道具も着る物も、みーんな
崩れた家の中においてきちまったから、不便でしょうがない。避難所の共同
洗濯所でよそのかみさん連中と顔をあわせても、すぐ愚痴になっちまう。
まったく、嫌なご時勢になったもンだねェ・・・
そうそう、物騒といえば、ここんとこ流行り出した噂の中に、ひとつ妙なのが
混じっているンだって、知ってるかい?
ほら、ネルフの連中が引き揚げてった基地の傍の、あの樹だよ。
あの樹って妾らが戻ってきてからずっとあそこにあったらしいんだけどさ、何でも
近頃急に枯れ始めたんだって。この間の暴れ騒動の少し前に一回、その後に一回、
ゴッソリ葉が落ちちまったんだってよ。あれって、ネルフの基地の中にまで根っこ
伸ばしてるんだろ、何か地下で厭なものに当たッちまったのかね。
・・・そういえば、この間大挙してやってきたサルベージの連中、ネルフが
いなくなったから地下に潜ってみるとか言ってたけど、戻ってこないんだよ。
もう一週間近くなるのにねェ。どうしちまったンだか。
ガンヘッドと装甲車を引き渡せと迫るケン王軍
との再三に渡る交渉の結果なんとか揉め事は解決した。
ついでに売却用の武器の一部と燃料を交換したおかげで
なんとか旧東京に帰れそうだ。
日本重化学工業共同体に戻るついでに農場で野菜買っていこう
ガンヘッドはタンクモードと比べてスタンディングモードだと
燃費が更に極悪になって笑えない状態になるのが恐ろしい。
夜の海の波打ち際に立っていた。
昼の明るさが消えると、赤い海はなお一層冴えた赤を深め、水平線までずっと
ほのかな光を放ち始める。降るような星空にはひとすじ暗い赤の弧がかかっている。
今のこの星の周りを取り巻く赤い環。サードインパクトの名残のひとつでもある、
魂の虹。
京都に戻ってから大半の時間をここで過ごしている。今夜もそう。ここにいる目的は
確かにあるのだけど、それ以上に誰かと会う気がしない。けれどここにいても
結局何も起きはしない。僕は何を待っているんだろうね?
今夜もまた何も起きないまま戻るだろうと思っていた。そのとき、それはやってきた。
痛み。
引き裂かれ、めちゃくちゃに翻弄されて、どこか暗い、遠い、救いようのない場所へ
落ちていくような感覚が、全身を襲った。何よりも、意識が永久に消失することへの
目もくらむような恐怖と絶望。
誰もいない場所で良かった。お陰で好きなだけ叫び続けることができた。
この感覚の原因はわかっている・・・また、一人いなくなったのだ。
取り残されたもう一人の混乱と怒りもわかる。やっとの思いで彼に接触し、なだめた。
大きく狂ったシナリオの修正をするのは僕らの役目ではない。
でもこの痛みは、しばらくの間消えないだろう・・・
その後どこをどう歩いたのか、はっきりしない。「光」の保持だけで精一杯だった。
どこかで異質な非空間が開き、そして閉じたらしい。その影響で次元バランスが
ひどく狂ってしまい、「光」を繋ぎ止めておくだけのことに大分消耗してしまった。
でも、休んではいられない。少し回復したら、痕跡をたどって首謀者たちの
場所を突き止めなければ。
適当にいくつもの部屋を抜け、考えながら歩き回っていたら、迷ってしまったらしい。
僕の前には知らない扉があった。深く考えずに開けた。
「何よ、またアンタなの?!」
途端にとんがった声がぶつかってきた。僕は慌てて声の主を捜した。
「アンタにしつこく話しかけられるのはもううんざりだって言ったでしょ! さっさと
出ていきなさいよ、この変態野郎! アンタだって人形の癖に! ・・・ん?」
こちらに背を向けて座っていた長い髪の少女が、ふと罵声を止めた。
「なんで何も言い返してこないのよ」
そう言うと、少女はこちらの出方を窺うつもりか、少し黙った。僕が答えられないで
いると、怒ったようにとがっていた肩がすっと下がった。
「もしかして、アンタ・・・別のヤツ?」
急に興味を覚えたような口調になり、彼女は機敏な動作でこちらを振り返った。
この農場の田畑は広いので,そちらの方へはバスで移動。ちなみに寮管理人氏は用事があるので,
俺の他に手伝いに来ている人の一人が運転している。田んぼのほうは収穫が終わったあとで,
美しい黄金色の穂は見ることができない。しかし,一部ではもう,次の田植えに向けて準備が進めら
れている。そう。この常夏の日本では米の二期作が可能になっているのだ。
レイ達にも田植えや稲刈りを実体験して欲しいと思うが,残念ながら時期が一寸悪かったなぁ。
昨日おれが行ったメロンのハウス。レイ達はメロンを食べたことがないらしく,各員一切れづつ
食べさせてもらったときは感動していた。でも,メロンは貴重品なのでこれ以上はだめ。残念でした。
スイカ畑では実際に収穫の手伝いを体験。ここのスイカは,あのジオフロント跡に自生していた
やつを移植した物。雑草並にタフで,病気知らずと言う代物。その分土地の栄養を吸い取るので,
ちゃんと肥料をやったり間引きをしないと,あっという間に痩地のできあがりだ。じつは俺も,
第三にいた頃は家の庭につくっていた(というより放置していた)。収穫したスイカを運ぶ際,
レイ達が少々落として割ってしまったが,まあこれならご愛嬌ですむ(メロンに比べればな)。
もちろん割ってしまったやつはその場の皆で分けて食ってしまった。
畑巡りの最中,何人かレイ達について話の通っていない農場の連中に遭遇。たいてい驚く。
そういうときは,おれたち見学の手伝いをしている者がそいつを引っ張っていって説得。これがなか
なか疲れる。なだめたりすかしたり,深い事情まで聞こうとする奴には,ミスミさんや日重共の名を
出して黙らせたり。綾波レイと面識のあるひとは,わりと好意的で,収穫してきたトマトやら,トウ
モロコシやら,キュウリなんかをお土産にくれたりする。あるオバサンなんかは実に肝が据わってい
て,レイ達にあっても,「あらあら,レイちゃんがこんなにいっぱい」といっただけで,平然として
いた。そしてレイ達と,この農場にいた綾波レイのことについて思い出話をし,「そうだ,レイちゃ
んはこれが好物だったわ」というと,収穫物のなかからニンニクの束をとりだして,お土産にくれた。
喜ぶレイ達に手を振って,そのオバサンは去っていった。すげえ…
そんなこんなで昼食の時間が近づいてきたので,バスに乗って食堂へ帰還。食堂に入ると,香ばしい
ニンニクの香り。こ,これは,レイ達の好物,「ニンニクラーメンチャーシュー抜き」!!
僕は地下施設を進む。抵抗してくる相手があまりいないので正直退屈してきた。
なんにせよ、この僕にこういう真似をしてくれた相手にはそれ相当の報復を行
わねば……。
……だが、なにかが変だ。彼がいるなら、その場所を感知できる筈なのに感知
できない!! ……まさか!? そ、そんな事が!!!
………………殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる……。
だが、そこで僕にアクセスして来る者がいた。第弐だ。彼は、
「大きく狂ったシナリオの修正をするのは僕らの役目ではない」
と、伝えてきた。……確かにね。ここは素直に……。
だが、その時空間が揺らいだ。……これは? ま…まさか!?
揺らいだ空間に穴が開き、独特のローブの司教が姿を現す……。彼は告げた。
「愚か者が……」
「主…主席……」
僕はそう答えるのがせいいっぱいだった。そして、主席は更に告げる。
「お前も知っての通り、生贄の順番が狂った。まあ、順番自体は形式的な物だか
ら……お前を六番目にする事もできるのだぞ」
それ自体には異存は無い。しかし、雪辱を先に晴らしたい……。そして、主席は
続ける。恐怖を持たないはずの僕を、いわゆる恐怖の事であろう感覚が支配する。
「言ったはずだ。適当に切り上げねば手痛い目にあうと。……しばらく頭を冷や
していろ」
そして、主席の体から螺旋の糸の固まりのような物…アルミサエルの触手が僕の
体に伸びる。そして、到底表現できないほどの苦痛が僕の肉体、神経、精神を支
配した。絶え間無く続く苦痛の中、僕は自分が転送されるのを感じた……。
「バカが……」
所詮は戦闘用特化型コンビか。オレは第参と超機人を京都に送り返すとつぶやいた。
オレにとって必要なのは力だけなので、順番はどうでもいい。しかしジジイどもは
やかましいだろうな。サードインパクト前の連中のやり口からすればきっと騒ぎた
てるだろうからな。オレや教祖がガタガタ言われる事は間違い無い。
なんにせよ、これだけ予想外の事をした者には会って健闘をたたえて見てもいいだ
ろう。オレはそう考えると、「アクセス」を開始した。
連中は驚愕している。そりゃそうだろう。連中ご自慢のイロウルMAGIがハック
され、PCの画面にオレの顔が写っている。イロウルの能力を使うのは久しぶりだ。
「派手にやってくれたものだ。……まずは、おめでとう。」
そして、PCの画面からオレは室内に這い出す。ここまで来ると使徒の能力では説
明がつかないのだが……気付くかな?
「イロウルの力を持つ者にMAGIコピーを取りこませた物に、先程私の同朋を倒
した武器と防衛システム。さすがだと言っておこう。」
使徒の特殊能力を応用したシステムではオレをどうこうする事はできない。むしろ
直接攻撃の方がよほど有効だ。理解できるかどうかは知らんがね。
「まあ、せっかくの快挙を成し遂げたのだ。少しだけいい事を教えてやろう。」
「アルミサエルを応用したナノマシンに、レリエル空間断層防壁だが、さっき一人
倒された事により、残る教団の幹部で有効なのはもう一人の方だけだ。私や教祖様は
体質的にあのような物は効かないのだよ。なんなら私で試してみるか?」
正確にはアルミサエルの方は第弐に、レリエルの方は第伍に対して有効だがな。
連中がオレの言う事をどう捕らえたのか知らないが、動く気配は無い。もっとも、
集中しているため思考は筒抜けになっているが……聞いてて不愉快な事には変わりない。
「ま、あの状況をモニターしていた私がノコノコ出てくるのだから、無防備とは
思わない事だ。……ところで、」
オレは女科学者を見て言う。
「こうして健闘をたたえる事と、罰を与える事は別だ。それなりの措置はとらせて
もらう」
そして、オレは再度イロウルMAGIに向かう。
「とりあえず、このオモチャは一ヶ月は封じさせてもらう。」
そして、オレは量産機に変化し、イロウルMAGIに力を流し込んだ。たちまちシステ
ムが混乱を起こす。しかし、なんてイカレた支配の仕方だ。オレまで恥ずかしいぞ。
ともかく、イロウルMAGIと、それに制御されたシステムは狂いだす。一ヶ月と
宣言はしたが、その前に勝手にオシャカになるかもな、これは。そして、イロウル
MAGIはその機能を停止した。中にはこれの影響でシステムごと消失した物もある。
そして、また女にオレは向き直り、オレは女の顔に触れた。力を注ぎ込むと、女の顔面
が煙をあげて焼け爛れる。
「今のはネルフのエヴァどもが敵に注ぎ込むエネルギーと同種の物だ。これは使徒の力
では再生や吸収はできない。あの者達と戦うなら覚えておいて損は無い。もっとも、彼
等は相手が爆発炎上するまで注ぐがね。」
そして、オレは告げた。
「最後に、レリエルの力の有効な使用例をお見せしよう。これからお前達は旅をする。
……行き先は…そうだな、地獄にしよう。いわゆる閻魔大王がいて、針の山やら地の池
やらがある典型的な日本の地獄だ。ああ、イメージはこちらで送る。なに、体感時間に
してほんの80年ほどだ。現実の時間では8時間といった所だしな。」
そして、オレは容赦なくそこにいた者達の精神にイメージを注ぎ込んだ。少々使徒の力
を得た所でこれは防げない。そして、意識を失う直前の女にオレは告げた。
「もっとも、戻ってこれそうなのはお前くらいのようだがな……。そうそう、次は教祖
様が来るかもしれんぞ」
教団本部に戻ってきたオレは、ある部屋へと向かった。第参を送りこんだ部屋からは、苦
悶の声が聞こえる。バカが。
その部屋には九つの七つ目玉の仮面があり、その内の一番目、二番目、三番目、五番目の
仮面には瞳が入っていない。まさか、四番目の仮面に先に瞳が浮かぶとはな。
そして、オレは数日前の、七番目の仮面が戻ってきた日の事を思い出す。
あの日、ヤツが仮面の力を使うのをオレは感じた。このタイミングで仮面を使うのは不自然
すぎる。ジャックナイフの巨人にでも襲われたか?
そう思いながらも、とりあえずオレは仮面の位置に第七用の量産機を送りこんだ。だが、こ
こでオレは気付いた。インド洋だと!? そこでオレは量産機を通し状況を確認した。
ヤツめ、分身を創り出して仮面を発動させたか。やれやれ、確認しておけばもっと変な物を
ぺナルティとして送ってやったんだが……。
そして、量産機とヤツとの戦いが始まった。……量産機を撃破したか。なかなかやるな。
だが、量産機の「槍」まで回収したのはいただけないな。回収しなければ……。
そして、オレは仮面の間に行く。そこにはヤツに渡した第七の仮面が戻っていた。
そして、オレはヤツに言葉を飛ばす。「こちら」の槍を取りこんだヤツの位置はまるわかりだ。
「やれやれ、こざかしい事をするな。」
そう言って語りかける。さすがに誰かはピンときたようだな。
「まったく。こんな使い方をするとは予想外だ。相変わらず楽しませてくれる奴だ」
そして、オレはヤツの元に第七の仮面の映像を映しながら喋る。
「今の行動で仮面は我々の元に戻った。エヴァは失われたがな。なに、直接姿を見せないのは、
それだけお前は危険だという事だよ。まあ、そのS2機関は裏技を見抜けず量産機を送った私
への自戒としてくれてやろう。だが…持つべき物で無い物は返してもらおう」
そして、オレは「槍」の分身に帰還を命じた。すると、エネルギー化されヤツに吸収された「槍」
は再び槍に戻り、ヤツの体を突き破って飛び出し、そのまま飛び去った。
「今現在この世界に在る「槍」の全てがお前の制御に従う訳ではない。そして、「槍」の真の使い
手は「槍」を使うのに「槍」との融合なぞ必要とはしない。この意味を理解しない限り、お前に
勝ち目はない。」
そう伝えた後、オレはこう締めくくった。
「槍が抜けた今、お前の位置は補足しずらいので、これが最後の言葉だ。実を言えば、あの仮面
は私の方からでも発動できたのだ。つまり、お前は意図せずして、自身につけられた爆弾を解除
できたのだよ」
そして、生贄の仮面の内、五つに力が宿る。これさえあればいい。司教やエヴァは本来さほど重要
じゃない。……オレにとってはな。
大きな戦いを終えたトライデント本隊が旧東京に戻ってきた。
芦ノ湖での戦いは、こちらが思っていたよりひどかったようだ。消耗した
物資が多いので、一度こちらで態勢を立て直すとのことだ。我が社としても
先の暴動騒ぎで「敵」の存在をいやというほど思い知らされたので、
彼らをこころよく受け入れた。この前ここを立ってから約一ヶ月くらいか・・・
顔なじみの兵士たちの顔には疲労の色が濃い。
・・・そして。
なんと、やむを得ない事情で一時本部を放棄したネルフの人たちまで、一緒に
やってきた! そう、伊吹さんが戻ってきたのだ!!
昨日からオペレーター組はその話題で持ちきりだった、というか、仕事しろよ俺ら・・・
ともかく、今日はMAGIから持ってきたデータの検証作業があるというので、
彼女に会えるのだ!! もうキター!って回転して喜んじゃいますよ。
・・・あれ、人事部長。ここんとこ見なかったけど、どこ行ってたんすか?
海に行って来た?・・・長〜い夏休みに入りそうな予感がしたから?
え? 海を見てたら、白いイルカだかシャチだかに乗った人が手を振った?
・・・そりゃあ、イルカじゃなくてガギエルじゃないっすか。使徒の。
今、俺は農場の人から借りた車を走らせている。今朝、朝食の後でレイ達を
農場の見学担当者に預けた後、碇シンジの家の鍵と、移動するための車を借
り受ける。
車を走らせてると、農場だけあって朝から働いてる人によく出会う。彼等と
挨拶を交わすと、とても気分がいい。
そして、農場の中心から外れた所にそれはあった。サードどころかセカンド
インパクトよりかなり前に建てられた古い木造の一軒家。元々は兼業農家の
一家が住んでいたらしいが、サードインパクト以降は空家になっていたらし
く、そこへ流れてきた碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーが住みついたら
しい。当初は農業プラントとは別に耕作をしていたらしいが、碇シンジが農
業プラントに参加し、その後プラントが拡張するに従ってプラントの一部に
なったんだと。ガレージにはトラクターや耕運機の他、四台のバイクや、一台
のジープ、一台の軽トラックが見える。バイクとジープは彼等の私物らしい
が、残りの車両はプラントからの支給品らしい。
ここに来るまでに彼等の事を聞いて見ると、悪い噂はあまり無く、碇シンジ
は一点を除けばおおむね好人物で通ってたし、キョウコさんの娘の惣流・ア
スカ・ラングレーはやや素行に問題があったものの、人気があったようだ(時々
鬱状態になって車を飛ばして箱根やら旧東京に出かけたりしてたらしい)。
綾波レイや碇ユイ博士もここにいた期間は短かかったが、かなり馴染んでた
らしい。尚、碇シンジの一点だけの悪い噂とは、ネルフ本部でおなじみの二
股の件だった。……あれって冷やかしじゃなかったのか?
そして、預かった鍵を開けて家の中へ入る。ネルフの連中に連絡した時に聞い
た話じゃ、彼等が旅立った日は朝寝坊ぎみでかなり慌ただしく、部屋を整理
しないまま外に出てる時に旧東京の件を知り、飛び出したため、かなり散ら
かってるらしい。農場の人々も生鮮食料品等を徹去する以外はあえて片付けて
ないとか。
玄関は以外と広い。おそらく前の住人の物であろう靴箱には作業用の物を除
けば女物の靴が多い。女性が三人だから当然だろうな。
玄関の前にある居間には縁側が見える。昔ながらのちゃぶ台がなにかおかしい。
奥の台所はかなり整理されている。ここにいた四人全員が凝ってたせいだと
聞いている。
居間の横の客間は一応客が来る事を想定してか、あまり散らかってない。その
横の小部屋には布団が一組。ここはユイ博士(いちいちフルネームで呼ぶのはも
うやめよう)がいたようだ。ここでユイ博士に頼まれたなにかのレポートが入っ
ているらしい黒いバインダーを取る。
二階に上がると、階段の左に八畳間が一つ。右手に六畳間が一つ。反対側に六畳
間が二つと、それに挟まれた四畳間だ。右手の六畳間は階段側がシンジ君、反対
側がアスカ君の部屋。四畳間はレイ君の部屋になっている。
階段の左手の八畳間は寝室にしていたらしい。見てみると、確かに布団が敷いて
ある。……複数の布団を繋げたらしいデカい布団に枕が三つ………? 兄ちゃん
よう、二股の噂はマジかい。なんでこうなったのかは興味があるが、追及するの
は野暮だろうなあ。ともかく、教えられた通り、この部屋の隅にあったチェロケー
スと楽譜を手に取る。なんでも、シンジ君が第三新東京市にいた頃に住んでいた
家から唯一持ち出した物らしい。
そして、アスカ君の部屋に入る。どうもこの部屋は元々子供部屋だったらしく、
彼女は小学生の物と思われる勉強机をそのまま使用している。そして、キーホル
ダーにして飾ってあった物…赤い髪飾りのような外見の、インターフェイスへッ
ドセットを手に取る。シンジ君はなぜかこれをアスカ君に再会して渡したいんだ
と言う。(尚、残りの一室には三面鏡台があった)
そして、俺は鍵を掛けて家を出る。少し見ただけでも彼等の生活がどことなく想
像できた。だから、今ここに来るのはつらいんだろう。君達が帰れるのを心から祈る。
そして、俺は農場の事務局に戻り、車と鍵を返却する。気付けばもう昼か。さて、
メシにしよう……。俺は食堂に向かった……。
トライラックス艦隊の各艦を勝手に動き回って情報を集めている使徒少年、渚
カヲル。彼は今、この前拝借した肉と感想野菜のちゃんこの材料が「飼育」さ
れている現場を見ている。ここしばらく情報を収集する際にピエット提督の部屋
からくすねてきたワインを飲みながらである。いい度胸だ。
ちなみに見ているのはスリグ(
>>413)の飼育されている姿である。こんな物を
見てワインとチーズで一杯やれる神経は並みではない。
「うーん、シンジ君へのお土産に一頭持ちかえろうかな?」
誰かこのバカを止めろ……。
569 :
568:02/10/18 08:20 ID:???
○E計画提唱者さん
どうも。こちらではこういうオチがつきました。今回主席は主席というより中身
の方の能力を活用しています。ちなみに精神アクセスは主席や第弐には体質的に
通じないという形にしたいとは思います。また、主席がボーイの姉さんに言って
いる事は、他の連中は耐えきれずにショック死するだろうという意味です。
それと、回想場面ですが、あのお面はこういうシステムになってた訳で、以前
こいつが言ってた爆弾とはこの事です。
○某農場新入りさん
ども。今回単独行動になってます。用件も済んだし、そろそろ帰還ですかね。
○弐次席さん
来ましたね。続き期待しています。
○エヴァ・フェットさん
現在カヲル君は人の艦で勝手にのんきしています。フェットさんが帰ってきたら
どうなる事か……。
(
>>564)
あの悪夢が還ってきた。
悪魔の毒々スペシャルカレーを俺に喰わせた女『美紗都』が旧東京に来やがった。
復讐してやる。復讐してやる。復讐してやる。復讐してやる。復讐してやる。復讐してやる。
奴の通る扉を全てロックしてやる。
奴のガード残金を0にしてやる。
奴が身体を休める為に入ったホテルの部屋に無言電話を掛けてやる。
フハハハハハア・・・・。恐怖に怯えて過ごすがいい!!
(
>>570の続き)
ダメでした・・・。
扉をロックしたら会社の運営に影響が出るし。
カードの残金は最初からマイナスだし。
電話の呼鈴を鳴らしても、それ以上に鼾が五月蝿くて起きないし・・・・。
572 :
570:02/10/18 12:03 ID:???
イロウル(床屋の親父)は葛城ミサトにカレーで殺されかけた為、個人的に恨みが有ります。
でも、組織活動に対しては干渉するつもりは有りません。
573 :
564:02/10/18 19:28 ID:???
週末だ〜〜!!
平日は時間制限が多くて辛かったっす・・・
おととい、昨日と続いた「E」計画がらみのイベントもろもろ、
画面の前で手に汗握っておりますた。ちまちまと自分も書き込んで
いたのですが、なんだか全体の内容とズレている気がする・・・
ので、遅まきながら言い訳を。
>552の湯本のおかみさんは、弐スレ目で一瞬だけ出てきた名無しさんです。
本当は先の「お祭り」の際、彼女の目を通して湯本の町の様子とかを
書きたかったのですが、打ち込みが極度に遅い自分には無理でした。
ここで出したのは、最近ご無沙汰の町奉行さんカムバック、の意味を込めてで
あります。蝿王の目撃話にしたかったのですが、たぶん見たら喰われると
思うので、噂ということにしました。蝿王の今後の動きが楽しみです。
で、>554からの第弐について・・・やっぱり電波になりますた。
アスカとの会話にするかとも思っていたのですが、第四があんなことに
なったので少し絡みました。第参さん応答してくれてありがとう。
ところで、>567によるとアスカは今ヘッドセットを付けてないのですね?
・・・どういう髪型になっているんでしょうか? 誰か教えて。その通り書きます。
にしても、皆さんいつもお疲れさまです・・・特に最近大車輪の、
提唱者さんと????他さん。ボーイ君のお姉さんが気の毒です・・・
農場の話、すごくなごみます。これからも期待。・・・猫書いていいですか?
イロウルさんお帰りなさい。待ってましたよ。バカ社員は?
便利屋さん、新たな兵器、というかロボット?でこれからも無茶してください。
ホントは地下施設で少し絡みたかったんですが・・・
今夜か明日には長くいられます。では、今はこれで。
574 :
553:02/10/18 19:53 ID:???
午後からは,管理人氏も合流。畜産施設の見学に回る。牧草地や放牧地の牛たちを遠目に眺めながら
飼料の貯蔵施設や収穫機械,人力による収穫作業等を見学して回る。
豚舎にきたら,何人かのレイ達は,臭いに顔を顰める。うーむ。女の子向きではなかったか。でも豚
たちの意外な大きさに驚いている様だ。餌を食べる様子や,豚たちの表情をレイ達は興味深そうに眺
めて,お互い色々とおしゃべりしている。説明が終わると,レイたちは一寸深刻そうな表情。豚たち
が食肉用に飼われていることを知ってしまったからだろうか。でもこれもヒトの営みのひとつ。殺生
しなきゃ生きていけないのはイキモノの性だ。彼女らが肉を嫌いなのは知っているが,肉を食べる俺
たちみたいなヒトのことまで拒絶しないで欲しいと思うのは身勝手だろうか。
次に牛舎に到着。この時間だと,牛たちは放牧に出されていていないのだが,今日は牝牛が数頭残さ
れている。説明の後,レイ達に実際に牛にさわらせてみる。うかつにさわると機嫌を損ねて蹴られた
りすることもあるので注意。間近でみる牛の大きさに,感心している様。次に牛たちをマッサージ
したあと,乳絞りを実際にやってもらった。一頭あたり何人かで,交代交代に絞ってみる。なかには
不器用な娘もいて,なかなか絞れなかったりしたが,それでも苦闘の結果それなりに量が出た。
さっそく皆で試飲。絞りたてで濃い味に,皆の好評を博す。外に出ると,子牛が4頭つれてこられて
おり,レイたちはなでたり,目を覗き込んだり。子牛の純朴な目に魅入られてか,固まっている娘も
いる。うーん。名残惜しいだろうけど次に出発。
そうして,様々な所を見学していった。鶏舎では,外に放して運動させていた鶏のなかで,特に凶暴
な連中に一行はつつかれ,蹴られ,追いまわされた。助けようとした俺たち農場の者たちも,容
赦なくやられた。イテテテテ。なんでもこの鶏どもには,かつてシンジ少年もひどい目にあわされた
らしい。逆にアスカ嬢とは好敵手の間柄で,互いに力と技を磨いたとのこと。道理で強えーわけだ。
ちなみに綾波レイ嬢には手を出さなかったらしい。しかしここではレイ達一行は,「レイお母さん」
の七光りにはあずかれなかったようだ。
他にも広報担当氏の番犬達(元使徒モドキだという。かつて綾波教の連中が,ここを狙っていたとき,
それを何度も撃退した英雄だ)が一行に合流したり,農耕馬の放牧地では,好奇心の強い馬達が柵
までよってきたので,餌をやったり鼻面をなでさせてもらったりといった出来事を重ね,急ぎ足だっ
たわりに楽しい農場見学となった。
しかし楽しいときとは早く過ぎるもの。残念ながら見学予定時間の終了が近づいてきたので,一寸
未練の残る様子のレイ達をうながし,宿舎に帰ることにした。
577 :
551:02/10/18 21:50 ID:???
>????さん
血反吐(出血多量爆死
主席の報復ですな。書いたもん勝ちと言うのが身に染みますた。
さて。こっからどう立て直すかな……派手な後出し合戦は避けたいなぁ。
ところで。第四はナノマシンにより「物理的」に操りましたので。
心と精神と魂の概念と言うかつながりと言うのは明確に説明できないし、独り善がりになるし。
さらに彼には「魂が無い」との事でしたので「物理的」に。漏れ的に彼らは「高」性能のロボットのような存在かな、と。
>第弐次席さん
絡みサンクス。アスカとの対話楽しみッス。
>某農場新入りさん
多量カキコマンセー。
さーて、ネタ書こっと。ってゆーか、次スレ用意しときます?
もうすでに494KBなんですけど。600前で終わりそうとは。
スゴイYO!
578 :
573:02/10/18 21:56 ID:???
>577
是非、お願いいたします・・・
時間があれば自分がやろうかと思ったんだけど、
今夜は来られそうにないので・・・
あと一分で落ちなきゃならないです。鬱。
今回のスレ立ては前みたいに混乱した状況じゃないから、最初のうちはやれる人
が状況の要約やキャラ紹介をしてもいいと思う。
580 :
577:02/10/18 22:08 ID:???
>>578他ネタ職人読者皆様
了解。漏れが次スレ立てときますです。
頭にイントロだけ書いて。つまんなかったらスマソ
>>579 漏れもそう思った。状況説明がそろそろホスィかなと。
581 :
577:02/10/18 22:46 ID:???
ボーイの姉(南米)
実際に目が覚めたのは8時間後ではなかった。
わずか1時間半、とはいえ精神的に15年分の時間は過ごしていたはず。
「……皆……?……………大丈夫?………そ、そう」
苦悶の声と痙攣した手がゆっくりと床から上がってくる。
1、2…………私を含めて12人。
丁度リストーラーとバックアップを注入した人数だけね。
リストーラーだけの奴は残ってないわね。泡を吹いて痙攣するだけの存在。
そっと焼け爛れていた顔を撫でる。
「―――――ッ」
リストーラーによる物理的再生はまだまだ時間がかかりそうね。
バックアップ。私達がそう呼ぶナノマシンは脳内に無数に点在し、
脳に過負荷をかける異常な神経パルスを検出し変換、消失させ正常化する。
人間は心と体、分けては考えてはいけない。
精神が脳の物理的反応を介して体に属している今だからこそ、復帰出来た。時間はかかったけど。
ただ、これが動くと記憶まで改ざんされるから、ナノマシン起動前後の記憶があまり確かなものでなくなる。
体に悪影響を及ぼす余計な「夢」はいずれ消える。しかし、精神が何処まで侵されているか…まあいいわ。
S2機関は停止してるけど再起動は可能だし、マリオは新しく「現地」で調達すればいい。
イロウルMAGIにもバックアップは数千万単位で入れといた筈なんだけど…直撃、だったかしら? 思い出せないわ。
取り敢えず場内の整理をしましょ。ボーイは「向こう」に転送済みだし安心ね。
ほらほら手伝うのよ。
583 :
蝿王:02/10/18 23:32 ID:???
人の耳に届けばさぞ不快であろう羽音を響かせながら、蝿の王が闇夜の空を行く
居城を這い出し、深い闇にその身を隠す様にして、人の街をつぶさに見て回る
歪んだ複眼に映される人の世は、己が姿とは決して合い入れられぬものであった
ワレハ、ナニモノカ・・・ヒトデハナク、ハエデモナイ・・・ワレハ・・・ミニクイ
いつしか蝿の王は、何かを求めて人の世を徘徊するようになった
夜の闇に身を潜めながら・・・
壱弐參と続いたら四は肆と書いたほうが正しかったのでは?
01・壱
02・弐
03・参
04・肆
05・伍
06・陸
07・漆
08・捌
09・玖
10・拾
移動途中で遭遇した野党御一行との戦闘で
敵はガンヘッド装備の攻撃用レーザーと装甲車の武装で皆殺しにしたものの
そのせいでガンヘッドに増設した予備燃料タンクに穴が開いた事が祟って
日本重化学工業共同体まで辿り付けなくなってしまった。
農場までは近いから駐屯してる部隊に燃料を分けて貰わないと非常に困る
場合によっては燃料を日重社屋から取り寄せないとな。
今回の宝探しは燃料代で大赤字だ。
「今の状態では20キロ走るのが限界です。」
「そんな事は判ってるから貴様はAIなんだから黙ってろ。」
農場付いたらAIの音声スピーカー絶対に外すぞ。
586 :
581:02/10/18 23:46 ID:???
>>584 漢字わかんなかったので…すみません。
まだ具体的な内容は無いので、しきり直すのでしたら、スレの立て直しと削除依頼をお願い致します。漏れは今夜はこのレスで寝ますので。
漏れが立てた「四」の>2さん、せっかくスレ拾ってきてくれたのにもしかしたらスイマセン。
モニタ―スクリ―ンにはトライラックス本国のマスタ―、ギ―ガ―の姿が映し出されている。
”空母『ソ―ソソソ』での晩餐会を前にして、食糧が不足しているという問題点はどうなった? ピエット提督”
「はっ、特別任務を帯びた4名が無事に日本国内の農業プラントから食料品を調達することができました。しかし、これに関連しては奇妙な報告が2件ほどあります」
”奇妙な報告? 何だ、それは?”
「ひとつ目は・・・本国のマスタ―に報告するほどの大それたことではありませんが、一部の兵士達の間で食糧を盗み食いしている者がいるという訴えがあがっているのです」
”驚くには足らんな。食糧が不足している時にはよくあることだ。そのうちおさまるだろう。それで、もうひとつの方は?”
「もうひとつは重要だと思われます。旧東京近郊の農業プラントへ食糧調達に行った例の4名が奇妙なものを目撃したと報告しているのです」
”何だ? 奇妙なものとは?”
「その農場に青い頭髪と赤い眼を持つ少女が2、30人もの集団で現われた、と言っているのです」
”何!? 青い頭髪と赤い眼の少女が2,30人だと?”
「エヴァ・フェットがその農場の職員から聞き出した所によると、その少女達はネルフの関連団体がある目的のために育成しているものらしいという話です」
”ネルフはもとをただせばゼ―レの下請けのようなものだったから、独自にゴ―ラ(クロ―ン)再生技術を持っているとは考えにくいが・・・奴らがどのような方法でそれだけの碇ユイのゴ―ラを調達したかは別にして、この点は我々が奴らよりも大幅に遅れを取っている所だ。
オリジナルEVAの細胞から改造型EVAを再生した所までは良かったが、今度はそれらを操縦するパイロットの育成が追いつかないのが現状だからな。そのためにも神聖綾波教団と手を組んでEVAパイロットとして適任な人材を調達しなければならぬ”
「御意に、マスタ―」
”それから、そのネルフ関連団体というのはわかっているのか?”
「ははっ、これまでにも名前が挙っている例の日本重工業共同体とかいう会社です」
”よし、その会社に潜入させているフェイスダンサ―達に監視させるよう伝えろ”
「仰せのままに!」