【ロサンゼルス24日共同】第四使徒来襲事件で、救出された少年達が日本国内で
冷淡に扱われたり、非難の声を浴びていることに、米国で驚きが広がっている。善意を
尊び、良心の使命感を重視する米国人の目には、日本での現象は「お上」(政府)が
個人の信条を虐げていると見え、不可解、奇異に映っているようだ。
米主要紙には22日から23日にかけ「OKAMI(お上)」や「JIKOSEKININ(自己責任)」
という日本語が並んだ。
ロサンゼルス・タイムズは「敵意の渦中への帰還」という見出しで救出された少年達への対応問題を特集。
葛木ミサト作戦部長がネルフの退避勧告を無視しシェルターを出た少年達を、自己責任論を振りかざし
非難したと伝えた。同紙は、対照的な例として、ドイツの弐号機パイロットの少女が寄港地
モントリオールで温かい歓迎を受けた例を紹介、日本の例は「西側諸国とはまったく違った
現象だ」と評した。
23日付のニューヨーク・タイムズ紙は第三新東京発の記事を一面に掲載。解放された二人は
「黄色いリボンに温かく包まれるどころか、クラスメイトの冷たい視線にさらされた」と記述。
「自業自得だ」「一中の恥だ」といった非難を浴びているため「ストレスは監禁されていた
とき以上に強い」と診断した医師の話も紹介した。
AP通信は同日「人質に非難の嵐」との見出しで記事配信。二人が「ネルフの警告を無視した」
「EVAを危険にさらした」理由で非難され「受刑者のように家に閉じこめられている」と伝えた。
CNNテレビも「黄色いリボンはなかった」と放映した。
タイムズ紙、AP通信とも「危険を恐れない中学生がいることを日本人は誇りに思うべきだ」との
パウエル米国務長官発言を使って、日本人の反応に異議を唱えた。さらにタイムズ紙は
「二人の罪はお上に盾突いたことだ」と分析。ネルフが言う“自己責任論”を「結局、ネルフに何も
期待するなと言っていることと同じだ」と批判している。