おすすめなエヴァ小説おしえて!

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6006:03/06/24 12:59 ID:???

 赤木リツコは先ほどから自分の感受性を刺激するこの違和感は何なのだろうと考えていた。
 サードチルドレン、碇シンジが無事到着した、それはいい。彼を出迎えたミサトが道に迷った、
それもいい。仕方がないので自分がケイジに二人を案内している、それもまあいい。
 違和感の原因は碇シンジがあまりにも周囲に無反応と思える事にあった。なにしろ、軽い挨拶を
したが最後、碇シンジは無言でついてくるがままだった。ミサトに小声で聞いた話だと彼にとっては
驚くべきジオフロントの情景に対しても何の感想もなかったそうだ。
 なんとかうちとけようと彼女が冗談を飛ばしていたが笑いもしない。シンジも一応うなづいては
見せるのだがそれ以上のものは見せなかった。可哀想なのでたまに合いの手を入れたがそれも関心を
引いたとは思えなかった。これはリツコにとって不満だった。なによこの子。
 静かな子供だとは聞いていたがそれだけにとどまらないものも感じていた。
 少しかんがえて赤木リツコはようやく違和感の正体に思い至った。

 質問をしないだけではない。

 この子はあたりを見渡さない。
6107:03/06/24 13:00 ID:???

 目の前で繰り広げられた問答ともいえない会話の解釈に葛城ミサトは頭を働かせていた。
 ケイジに到着した一行。巨人の前に立ちつくすシンジ(この時はじめてミサトはシンジの顔に感情を見た)。
 説明をはじめるリツコ。そこにあらわれた碇司令。下された命令。出撃。自分は抗弁した。当然だ、無茶だった。
サードチルドレンは今きたばかりなのだった。彼はまだ何もしらないのだ。ところが、「いいんです」碇シンジは
こともなげに言ったのだった。「僕が戦います」それを止めるすべはなかった。
 彼女はシンジが初号機を前にして顔にうかべていたものを思い出す。それは今なお彼の顔に貼りついていた。
それは決意だった。
6208:03/06/24 13:01 ID:???

 さすがはサードチルドレンというべきかしら。赤木リツコはそう思った。
 軽い身体検査のあとプラグスーツを着せられてLCLの中に、今、碇シンジは放り込まれていた。どこまでも
彼は従順だった。しかしそれだけではないようにリツコには思われた。まただ。赤木リツコは再び違和感に
襲われていたのである。
「シンジくん。苦しいだろうけど我慢してね」ミサトが声をかける。シンジの返答は簡潔だった。
「なんともありません」
 その理由に気付くとリツコは鼻を鳴らした。まったく、この子は人を驚かせてくれる。間違いない。
あろうことか、碇シンジはくつろいでいるのだ。
6309:03/06/24 13:01 ID:???

 確かに彼はくつろいでいた。エントリープラグは彼の古巣であり魂の座はチルドレンの故郷だった。

「シンクロ率15.2パーセント」
「エヴァンゲリオン初号機、起動しました」

 うまくシンクロできなかった理由についてシンジは推測していた。もしかすると初号機は自分の異常を
感じたのではないだろうかと考えていた。
それにしても、とシンジは思った。これは予定外の事態だと。使徒殲滅は確実に遂行しなければならない。
それなのにこのシンクロ率は大きな不安要素だと感じた。自分の目的にとって。
6410:03/06/24 13:02 ID:???

「来たな」
 ネルフ副司令官の言葉にネルフ司令官は答えなかった。彼はなぜサードチルドレンが当初の予定を
繰りあげて第三新東京市へ早めに来たのかを考えていた。早めに来るのは使徒だけで十分だ。
6511:03/06/24 13:03 ID:???

「ミサトさん、なにか得物はありませんか」
 返事はあっけないものであった。
「シンジくん、悪いけどまだ武器はないのよ」
 すまなさそうな声で葛城ミサトはつづけた。
 本来なら左肩に近接戦闘用の武器であるプログレッシブナイフが装備されているはずだったが、
相次ぐ製作の遅延によりいまだ艤装されてはいなかった。
 右肩のニードル投射装置は完成していたが、肝心のニードルが装填されていなかった。
 来週になれば中距離戦闘用のバレットガンがとどくが、今ここになければ同じことだった。
 その他の追加装備に至っては影も形もなかった。
 つまるところは現時点におけるエヴァンゲリオン初号機の兵装は未完、文字通りの丸腰であった。
「シンジくん」葛城作戦部長はつぶやいた。「死なないでね」
6612:03/06/24 13:03 ID:???

 反撃を受けた初号機がビルを背に倒れるのを見て、葛城ミサトは自分に出来るのは声援くらいしか
残されていないことを知った。
 初号機を使徒の背後より接近させたまではよかった。動きはにぶい初号機だったが気付かれずに
そのまま使徒の足を持たせ、引き倒し、背に馬乗りにさせて打撃を加えるにいたって発令所の意気は頂点に達した。
 そこで使途の背中に顔がめりめりと出現し初号機とのあいだに光と爆発が生まれたのだった。
6713:03/06/24 13:04 ID:???

 いまや体勢は逆転、使徒は倒れた初号機に向かって左手を伸ばすや顔をつかみ、持ち上げた。
 使徒の手が白く光るのを赤木リツコは見た。そして同時に初号機の両腕が先ほどとは違った
素早い動作で使徒の左腕をつかみ、ひねりつぶすのを目撃した。
「初号機、異常ありません」
「シンクロ率、30.21パーセント。なおも上昇中」
 初号機はその両足で大地に君臨していた。赤木リツコは違和感の本当の理由がわかった。
6814:03/06/24 13:04 ID:???

「シンジくん、大丈夫なの」葛城ミサトは驚きつつ尋ねた。
「問題ありません」一瞬だけ間をおいてシンジは続けた。「何か指示はありますか」
 炎に照らされた初号機を見て葛城ミサトはようやく結論を出した。何でいままでこれがわからなかったのかと
呆れるくらいに単純な答えだった。碇シンジは最初から戦うつもりでここにやってきたに違いない。面白い。
ならば、やってやろうじゃないの。
「シンジくん、やつの右手に気をつけて。そしてやつの潰れた左手の外側から前に回りなさい」
「赤い球を狙うのよ」リツコだった。
「逃がしちゃだめ」彼女もミサトと同じ結論に達していたのだった。
6915:03/06/24 13:05 ID:???
 シンジはありがたくミサトとリツコの助言を聞いた。もとより彼は使徒を逃がすつもりなどなかった。
彼は勝たねばならなかった。今日の勝利を明日に繋いで目的を果たすと誓っていたのだった。彼は初号機と
一緒に使徒を手で牽制しつつその足を踏み出した。


 彼の望み。
 それは綾波レイだった。
 そして惣流アスカ・ラングレーだった。
 ふたりと再び出会うことだった。

 普通にしていたところでここにいるシンジには会えようはずもなかった。
 彼はいつ切れてもおかしくない蜘蛛の糸にも似た可能性に賭けていた。

 すなわち彼は、彼自身の主導権によるサードインパクトを望んでいた。

 もしその訳を訊かれたならば、たとえば彼はこう答えただろう。

「だってあんなさびしいところにアスカをひとりにしてはおけないから」

 要するに、彼は、彼の父親がそうであるのと同様に、ひそやかに狂っていたのである。



弐話につづく
イイ!んだけど、
2chタイプの掲示板で読むのに適さない気がしますた

http://eva-2ch.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/ss/santhology.cgi
よくわからないけど、こっちとかどうでしょう?
あと掲示板投稿タイプのところとか
>>70
うむ。
HTMLにしてそこにアップするのがいいな。
>>70
そこで書くのなら、まだArcadiaの投稿掲示板の方がいいと思う。
>すなわち彼は、彼自身の主導権によるサードインパクトを望んでいた。

これがダメなんだ。
いきなり手品のタネをあかしちゃダメ。
続かない原因。
見えないを少し見習え。

>>73
2chとかで先が続かない可能性の高いSSを書くんだったら
タネを明かすのもありだと思う。
実際、この話、最後4行なかったとしたらどうだろう?
この時点ではおもしろいとはおもわないかもしれない。

まぁ、たしかにこれが続かない理由ではあるんだけどね。

しかし、なんで73はお手本としてえらんだのが見えないなんだろう?
いや、俺は見えない好きだけどさ。
>74
見えないはシンジの本当の思惑がずっとわからない。
黒夢もそうだが。
読んで見た。
>>55-58はちょっと萎えた。>>59からテンポが良くなったと思う。
良くある展開とは思うけど、淡々とした描写が好きだ。



>>73
種あかしというか、議論できる程度にぼかすのがちょうど良いのでは。
「彼の望み」以降をシンジの内心の描写に替えるとか。


――あせっちゃだめだ
まだ、始まったばかりなのだ。終末までの半年間、戦いの中で過ごすには長すぎる時間。
それを一歩一歩着実に踏みしめていかなければ、願いはあえなく絶たれてしまう。

――アスカ、綾波。
あの世界に置き去りにした、二人の少女を想う。
これから起きる、つらい出来事の数々。だが彼女達を取り戻すためなら、
自分はそれに耐えられる。

――そのためには
そのために、まずは全ての使徒を屠るのだ。
自分を好きだと言ってくれた彼も、もう一度縊り殺してやろう。邪魔者は消す。
彼女達に会う、その障害は全て消す。使徒も、仲間も、そして父も。誰にも邪魔はさせない。


この後、発令所の描写もちょっと書いたけど、きりが無いから消した。
こんなんどう?ごちゃごちゃ書きすぎ?
僕は乗せられていた。目の前には第三使徒と呼ばれる、アメフト選手のような緑の巨人。
僕は必死だった。なんなんだ!この漫画のような世界は。

昔ガンダムという漫画を読んだことがあったけれど、あれは歴としたロボットだ。けれど、目の
前にいるものと、僕が乗っている物。人間!?生物?とにかく、血を噴くは、動きがなめらか
だわで、とても気持ちが悪い。

僕は焦っていた。何がなんだかもうよくわからない。なんか、スイッチをいじくり回して何かが動
き出したらしい。Mode Dとモニタに写っている。秘密兵器か!?と期待したが、横にあるレ
バーをぐっと押したら、発令所からミサトさんが叫んでいる。

気がついたら僕は浮いていた。なんか体が透けている。なんだこれ?
目に映るのは、緑の物体の残骸と紫色の物体の残骸とクレーター。僕は馬鹿だ。多分、こ
れほどまでにいないほどの馬鹿だ。秘密兵器だと思っていたのが自爆シーケンスのスイッチだ
ったなんて。

しかも、唐突な死。体が消えて魂だけの存在になってしまい、天国にもいけないみたい。なん
てこった。
>>55-69
続きマダー?!(AA略
>>78
すいません。只今書いている途中なのでしばしお待ちを。

感想を下さった皆様にも返事できずにすいません。
これも漫画喫茶から書き込みしています。
レスもまた後ほど。
あ、続き書いてくれるんだね。やったー。
期待してまつ。
>>79
うわ!漫画喫茶からか?
金使わせちまってなんか申し訳無いな。
俺のPCでよければ使わせてあげたい。でもって、早く続きを書いて欲しい。
>>79
すごい情熱だ。君は好意に値するね。
漏れもSS書いてるけどヘタレ過ぎて誰にも見せれない
>>82
79氏が降臨するまでの間、公開してくれたまい。
LASなら読みたい。
>>83
いやー、そげなこといわんといてけろ。めっさ、はずかしか
79氏はやめてしまったのだろうか?
86名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/07/10 08:27 ID:qE/RoAXE
期待age
87山崎 渉:03/07/12 08:24 ID:???
ドラゴンボール完全版 1〜16巻 絶賛発売中!!
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|::::.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| .|    ┣━━━━━━━━━━━━━━┫
|::::.| . 山崎渉ニュース (^^) | .|_  ┃..と〜けたこおりのな〜かに〜♪ ┃
\.|__________|/  ......┗━━━━━━━━━━━━━━┛
88山崎 渉:03/07/15 11:37 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
語らんかスレでレスを頂きました。
もはやスレが沈んでしまったのでこちらで返答を。

877 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :03/06/24 17:04 ID:???
>>876
作者じきじきに宣伝?に来たのね、おつかれ。
なんであのスレ、とかもっといいスレあったんじゃ?と思わなくはないけど

内容に関しては、なかなかよろしいのではないかと。おもしろかったよ。
続きをどこで書くかは知らんが(あそこで書くつもりなのか、それとももう書かないのか)
できたら教えてくれ。

878 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :03/06/24 18:19 ID:???
>>876
面白い。上手いなあ。サキエルの形態変化(背中に顔)とか、初めて読むアイデアだったので感心した。
是非続きが読みたいが、これをエヴァ板で完結できたらまさに神だな(w

884 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :03/06/25 01:39 ID:???
>>876
「平均的逆行FFの一話目準拠」の一言で表せば済む内容。
2chで発表するならば、自分の独自性を出して書きたいところから書き始めるべき。

何処かで見たような出だしだけを読まされて放置のパターンは飽き飽き。

〜〜〜〜〜
ありがとうございます。一応こちらで最後まで書けたらいいなあ、と思います。
>>70-72
ちょっと私のPCではインフォシークに繋がらないので
ここでやってみようかと思います。改行位置なり気になりましたら教えてください。

>>73-75
構成の関係上、他に置き場所がうまく思いつかなかったので……

>>76-77
自分は文章はまったくの素人なので助かります。添削は大歓迎です。

>>80-85
第二話をこれからようやくお届けできます。大したものではありません。これからです。

 その場所は闇に覆われていた。
 あまりの暗さに、知らない者にはどれほどの広さがあるのか見当もつかない。
 十数人の男たちがそこにいた。その殆どは、広く、そして長い卓の周囲に腰をおろし、
ただ二人だけが立っていた。彼らは議論をかさねていた。参考資料は映像であり随時それは
流れていた。そのとき画面に写されていたものは爆発する艦艇であり巨大な魚のような何かだった。
「シナリオから少しはなれた事件だな」部屋の暗さとは関わりなしに黒眼鏡を着用している上座の男がたずねた。
「結果は予測範囲以内です。修正はききます」相手は答えた。ネルフ司令官、碇ゲンドウだった。
 人類補完委員会の会議であった。
 画面内には真っ赤な巨人がその姿をあらわし、戦い、使徒を殲滅していた。
 国連海軍は艦艇の半分を失った、着席している男のひとりが言った。失ったのは君の国の船だろう。
他のひとりが答えた。本来はとるに足らん出来事だ。
 特別招集会議はその後もしばらく続いた。異議が出たのはネルフ本部へ進入したと言われている
十一番目の使徒についてだった。そこに集まった人々がネルフの不手際を責め立てると、普通の人間なら
耐えられないであろう重圧を、ネルフの司令官は知らぬ存ぜぬの一点張りで押し通した。結果は不問とされた。
だが委員会の議長、キールは忠告を忘れなかった。君が新たな脚本を作る必要はない。そう彼は言った。
わかっております。碇ゲンドウは答えた。「すべては、ゼーレのシナリオ通りに」


        第二話「つぎには、野望を」

93:03/07/17 10:47 ID:???

 山。重い山。時間をかけてかわるもの。 
 空。青い空。目にみえるもの。目にみえないもの。
 太陽。ひとつしかないもの。水。きもちのいいこと。碇くん。
 赤い色。赤い土から作られた人間。人の作りしもの。エヴァンゲリオン。
 私にあるのはいのち。こころの入れ物。エントリープラグ。それは魂の座。
 これは誰? これは私 私は何? わたしは何? わたしはなに? あなたはだれ?
94:03/07/17 10:47 ID:???

 いつも友達と避難訓練ばかりやってたから、いまさらって感じで、実感なかったです。
男の子は遠足気分で騒いでたし、あたしたちも怖いって感じはしませんでした。
95:03/07/17 10:48 ID:???

 わしの妹は小学二年生です。この間の騒ぎではもう少しで大怪我するところでした。
街で暴れたロボットに乗っていたのは転校生でした、碇です。最初はなんや、えろうスカしたやつやな、思うてました。
妹のことでどついたら、やってきた綾波にえろうにらまれました。二人が消えた後、ケンスケに誘われて見に行きました。
次の騒ぎです。わしは後悔しました。けど碇は随分無理している、そう思います。なにを焦っとるのや、碇。
96:03/07/17 10:49 ID:???

 碇は何も言わないけれど、あの時、目標の攻撃から零号機が身を挺して初号機を守ったんだと思う。
いや、そう確信する。その理由はひとつ、綾波だ。綾波は自分の存在を希薄に感じているように見えるからだ。
ペシミズムとも違う何かを彼女はすでに持っていると思う。同じ14歳とは思えないほどに。
もうひとつある。碇だ。命知らずに関しては綾波に負けてはいない。戦いの先に何かがあると信じていなければ
ああはなれないだろう。
97:03/07/17 10:49 ID:???

 まったく泥縄式ね。ネルフ作戦部長、葛城ミサトはそう思った。
 あの時も泥縄式だった。ミサトは思い出した。ヤシマ作戦であった。

 零号機が攻撃、初号機が防御で作戦は展開された。シンクロ率を見てのことだった。
サードチルドレンは戦闘時に一時的にシンクロ率が二倍以上に上がることは過去二回の戦いにおいて確認されていたが、
それでもアベレージにおいてまさる零号機が優先された。三度目があるかどうかは判らなかったからである。
念のため、いつでも攻守を交代できるように準備した。しておいてよかった。ミサトはそう思った。
 奇襲は失敗したからである。第五使徒が察知し、反撃を加えてきたのだ。初弾がはずれたので、すぐに移動した。
 途中で砲手を交代させた。移動完了。準備良し。使徒の攻撃で零号機が盾ごと弾き飛ばされた。ミサトは目をむいた。
その時、初号機が堂々と正面をむいて立ちあがった。ミサトは卒倒しそうになった。使途の過粒子砲が迫る。
それを初号機は単純にATフィールドではねかえした。初号機は腰だめで陽電子砲を発射した。

 レイを使徒の攻撃からそらすために立ちあがったのね。そう思った。悔しいけど可愛いから訊いてやった。
 面白くないことにシンジ君はひとつも慌てずに否定した。あー、でも普段レイには冷たいのにー。
 アスカが来てからも態度はかわらないわね。同じように接している。欲張りなのかしら。

 第十使徒が空から落ちてきたときも泥縄だった。よくも成功したものだ。
 ……今は技術部も泥縄みたいね。泥縄。泥縄。泥縄。
 自分にそう出来ることがないのがうらめしいわ。
98:03/07/17 10:50 ID:???

 しかし、とんでもないことになったもんだ。こりゃこないだの蜘蛛みたいなやつどころではないな。
 いまにして思うとあれはまだしも弱い方だったんだな。俺もヤキが回ったかな? いや、そうでもないか。どこでも同じだ。
 いずれにしろ。焦点は君だ、シンジ君。そして初号機だ。そのどちらかではないんだ。俺にはそう思えてならないんだ。
 だから無事でいてくれ。頼むよ。俺は知りたいんだ。君が何を知っているのかを。
99:03/07/17 10:51 ID:???

 今まで何度も薄氷を踏むような勝利を続けてきたけれど。ネルフ技術部長、赤木リツコは考えた。
奇跡はネタ切れかしら(ふっ、ミサトみたいなことを)。
 しかし、何故シンジ君は戦うときだけたまにシンクロ率が上がるのかしら。彼女の思考が止むことはなかった。
 とりとめのない思考ではあるが彼女の中では合理的に繋がることだった。
100:03/07/17 10:51 ID:???

 はじめてあったときから気に食わなかったのよ!
 ひとりで全部の使徒を倒すつもりでいるんだから、あいつは。
 わたしもドイツではそう思っていたけど、シンジを見てどうかと思ったわ。
 それでいて火口の中に飛び込んでくるくらいは平気でやる。あのとき使徒はもう倒していたのに。
 普段は人を人とも思ってないくせに! なんなのよあれは。どっちなのよ。
 そうよ、最初っから無茶をするやつだったのよ。ほんとにもう、いったいなにをかんがえてんのよ。
 バカ! バカバカ! バカシンジ! バカシンジ! バカシンジ!
101:03/07/17 10:52 ID:???

「爆雷投下、60秒前」
 瞬間、まるで北極の氷河のように、めりめりと影が割れはじめた。
「何が始まったの?」赤い弐号機に搭乗するアスカが叫んだ。
 地面には次々と亀裂が走り、生物のように波打っていた。断面は赤い。
「状況は?」移動野戦指揮所のミサトも怒鳴っていた。わかりません。即座に答えが返ってきた。
すべてのメーターが振り切られています。リツコがおののくように言った。まだ何もしてないのに。
 その時、空中に浮かぶ球体の使徒、その表面の模様が消えた。表面が裂ける。内側から。中から手が出てきた。
 初号機だった。赤い液体が流れ出す。いまや初号機はその上半身を元気よく振りまわしていた。
 まるでさなぎから脱皮する蝶を高速度で映し出すのに似ていた。咆哮が聞こえる。人はそれを見て恐怖した。
10210:03/07/17 10:53 ID:???

 碇シンジは目を覚ました。横にはレイとアスカがいた。
 手を見た。かすかに血のにおいが感じられた。が、たいして気になることではなかった。
 いまや碇シンジは血のにおいに懐かしさすら認めていたのであった。



                            第三話につづく
>>99の名前欄「8」は「7」が本当です。失礼しました。

第一話>>55-69
第二話>>91-102
各人のモノローグだけでえらくはしょったもんだ。
確かに、一話のペースでずっと書いていけば終わらないし、
そんなのはどこかに投稿すればよくて2chですることではないわな。

ストーリー的に本編準拠な部分を全て端折ったように見えるので
次の13使徒戦からは一話みたいな形式でいくのかしら?
っていうか端折りすぎのような気もするが…
いきなり、総集編になってるよ。
ていうかそこらじゅうで宣伝してる?
八つほど後ろのスレでリンク貼ってあったのでそこから来たけど悪くないかと。
語らんかスレでもリンクされてたけどそれ以外では見ないな。
一気に14話かと思いきや最後で16話まで行ってるんだよねこれ。
10981
うむ、面白い!
確かに思い切り端折りまくってるが、これは書きたい所を書く為に、
間を一気に端折ったんだよね? そう思いたいが。
各人のモノローグに、もう少しシンジの「密やかな狂気」が見えれば良いかなーとは思う。