70 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:
私の部屋には大きな鏡があるんです。
その鏡を見て「私ってなんてかわいいんでしょう」と思うんです。
おかしいでしょう?
だからそのことは誰にも言いません。思い上がった女の子って思われたくないから。
そしてまわりにだれもいないことを確かめてからカーテンを閉めてジャネットジャクソンの曲に合わせてその鏡の前で裸になって踊るんです。
身体がとても軽くなって、そのときの私って一番かっこいいんです。
戦自のみんなに、特に男の子達はそんな私のこと、絶対想像できないと思います。
だってまだ戦自に入っていなかった小学校の頃いつも私、男の子にいじめられるふりをして、泣き真似をすると急にしーんとなって、みんながやさしくしてくれたんです。
まるで悲劇のヒロインみたいでおもしろかった。
一枚の写真がありました。女の人の白黒の写真でした。若い兵士の顔写真です。下顎があんなに歪んでしまうなんて、とてもかわいそうだった。
写真を展示している博物館の人は、「戦争記念博物館の写真集には、もっとひどいものもあったんだよ。」と説明してくれました。
私は男の子から手紙をもらったことがありました。
あ、やっぱり私ってもてるんだって思ったんだけど、読んでいたら泣いてしまったんです、私。そして急に腹立たしくなって、めちゃめちゃにして破ってしまったんです。
翌日、その男の子と目を合わせるのがつらくてずっと避けていました。
初めて自分がイヤになりました。両親は2人とも変な顔なのに、私は美人です。
だからお父さんとお母さんの遺伝子の組み合わせの具合の勝利だと思います。
だからお父さんとお母さん、私の事を愛してくれないのだと思う。
71 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/27 23:50 ID:9vQoJzgx
私が生まれた時、父は児童文学者の夢を捨てて、義父さんのつてで、東京湾の埋め立てに関係する建設関係の仕事を始めたんです。私が生まれたから。
家賃を払って、食費を払って、学費を払って、それでも暮らしはあまり良くならなくって。○○さんのお父さんのほうがかっこいいって、親不孝だねえ、私。
お母さん、買い物に行くと必死に家計のため切りつめて、よくお父さんに八つ当たりするんだ。
近所の人はみんな見ているんだからね。
私が一緒にいて、どんなに惨めな思いをしてるか知ってる?
父さんの夕食にはちゃんと野菜を出すようにしてよ!
私は母さんとは違うしっかり者の母になるから。
今日写真で見て、初めて分かったんだけど箱根の空って本当に青いの!
雲はふとんの綿みたいにほそいんだよ。
まるで夢の国みたいに見えたんだよね。
あと箱根スカイラインの芦ノ湖展望台からの眺めって銀色に湖が見えて、そのうちポルシェに乗って全部見てまわりたいね。
今日また、人を傷つけてしまったの。
みんなで楽しく食事をしてたのに私の無責任な一言で、ひとりの子が急に静かになっちゃって。
私って人の痛みのわからない馬鹿な女の子なんだね。
こんな私だから神様は罰として寂しさを与えたんだよ。
この試練に耐えていけばいつかは良い子になれると、信じて生きていくしかないよね。
シンジ、期待していてね。