っていうか戻ってきてたし!
JUNEのログ取得がおかしかったようだ。
>>1お帰り。爆連投マンセー
良かった、少なくとも三人は見てた。
土日は更新無理なのでラミエル編は月曜日以降に。
書ければ今日中にある程度は書きたいです。
おっ、久しぶり。
申告五人目?楽しませてもらってるよ。ただ残りも少ないしROMってた。
>>859 ずっとROMってはいたよ。邪魔しずらくてさ
>>860 テンキュー
転校しての学校生活は非常に順調だった。僕に喧嘩を売ってきた馬鹿者・鈴原
トウジはそれなりに喧嘩の強い奴だったらしく、そいつをボコボコにした僕に
敢えて喧嘩を売ってくる好戦的なヤンキーはこの高校にはいないようだった。
その馬鹿者は今や僕の舎弟一号であり、舎弟二号兼パシりの相田ケンスケと共
によくツルんで遊ぶようになった。連れがいないと生活に張りが出ないのも事
実で、最近は学校は授業中以外それなりに楽しいものとなっていた。
舎弟共は僕の気前の良さ(自腹が痛むわけじゃないので奢ることは全く吝かでは
ない)と喧嘩の強さに心酔しており、不満を持った様子は全く無い。鈴原トウジ
に至っては「八つ当たりでした! すいませんでした!」と土下座までしやがっ
たので僕に完全に屈服していると見て良いだろう。僕は三発蹴りを入れてから
快く許してやった。そもそもパンピーのトウジと僕では格が違うと言うことだ。
「センセどないしたんや? ボケーっとしてからに」
どこか嘘くさい関西弁でトウジが僕に話しかけた。僕は別にボーっとしていた
わけではないので、首をすくめた。そして無言で顎をしゃくってこの脳の回転
率が限りなくスローな鈍感野郎に僕の視線の先を教えてやる。
「綾波がどないしたんや?」
「アイツもエヴァのパイロットらしいんだよ」
「は? 綾波がでっか?」
「しゃべったこたないんだけどよ」
僕の視線に気付いたのか、綾波レイは少し顔を上げて僕のほうを見た。
シソジはtomoタン だったのかっ!!
…あんた最高。
むしろシソジと名乗ってくれ。
ぁぁぁぁぁ・・・
壮大な釣り計画がパァーだよ
とりあえず続きを・・・
ちょうどいいや。僕はツカツカと綾波レイの席に近寄った。僕の好みはもうちょ
っとアグレッシブで生意気な女だ。こういう、黙って口答えしなさそーな根暗女
はあんまり好きじゃない。僕は机にバンっと手をついた。
「よー、お前エヴァのパイロットなんだってな」
「・・・? そうよ」
「僕より先にパイロットになったからって調子のんなよ? 動きもしねえオンボ
ロ零号機と僕のハイグレードな初号機じゃ格が違うってもんだ。わかったら先輩
風ふかしてんじゃねえぞ」
よーし、ビビっただろ。そう思って自信たっぷりに綾波を見ると、綾波は全然意
に介した様子もなく、普通に読書を再開した。何、僕無視されたってことですか?
眼中にないとでも言いたいのか。ちょっくらわからせてやろうと思っていただけ
だったのに僕は一気にムカついてきた。僕は無視されるのが嫌いだ。
「おい聞いてんのかよ」
「ええ、聞こえてるわ」
「じゃあうん、とかはい、とか何か言えよ」
「どうして?」
「どうしてって・・・そりゃお前、無視されたかと思うからじゃんか」
「無視していないわ」
「ならそれを体で言葉で表現しろよ」
「命令ならそうするわ」
「じゃあ命令」
「あなたは私の上官ではないわ」
・・・。意地でもこっち見て話さない気か。新米パイロットに真面目に対応する気なん
かございませんってか。 こ、この野郎〜! ただの根暗だと思ってたらとんだ奴だ。
舎弟二号の口から既に僕のキレっぷりは学校全体に広まりつつあるというのに。
綾波レイの評価は僕の中で「どうでもいい奴」から「気に食わない奴」にランクダウ
ンした。絶対ヘコませてやる!
しかし困ったことに綾波レイは女だった。男が女に本気で殴りかかるのはかっこ
悪いことだ。それは当然だ。犯す・・・? ぶんぶんと僕は頭を振った。そんなこと
できるはずがない。さすがに洒落にならない。実は案外僕は小心者だ。
じゃあ、訓練で勝つか? うーん・・・一緒に訓練するどころか今日始めて話すまで知
らなかったわけだし難しいな。そもそもミサトが接触させないように配慮してる節す
らあるし。っつか僕信用ねぇなー・・・。と、考えは堂々巡りだった。
僕は三日三晩あの生意気な馬鹿女をヘコませる方法を考え尽くしたが、ついに思いつ
くことができなかった。く、悔しい・・・このまま黙ってあの女を調子乗らせておくこと
しかできないのか。いや、一つだけある。一つだけ、僕の偉大さをわからせてやる
チャンスがある。そう、その時こそ、泣いて喜んでごめんなさいシンジ様生意気ゆっ
てすいませんでしたって言うに違いない!
チャンスは案外早くやってきた。そう、また使徒が来たのだ。しかも都合よく零号機
の再起動実験が成功したその日に来たのだ。これは神様が綾波レイをキャンを言わせ
てもオッケーだと僕に向かって微笑んでいるからに違いない。僕はマッハの速度で学
生服からプラグスーツに着替えをすませ、まるで飯前で「待て」って言われてる犬の
ように気合タップリでエントリープラグの中に滑り込んだ。そう、僕が選んだ綾波屈
服計画とは、使徒との戦いでわざとピンチに陥ってから、華麗に綾波レイを庇ったり
助けたり何かそんな感じ。大雑把な気もするが多分大丈夫。今回からはリツコが作っ
てくれたエヴァット(命名・碇シンジ)があるからだ。エヴァットは握りやすさ最高な
まさに僕の為のエヴァサイズ金属バットだ。何たらかんたらよくわからない加工され
ており、使徒をがんがんぶん殴った程度では折れないとリツコのお墨付きも貰ってい
る。バットが無くても勝てるんだから使徒なんかこのエヴァットがあればちょちょい
のちょいだ。
「シンジくん、零号機はまだ実戦には耐えられないわ。今回も、単独で何とかしてちょ
うだい」
ミサトの声。え? ・・・ええーそれじゃ計画とちが・・・
僕の初号機は既に勢いよくカタパルトを疾走し始めていた。
まぁ結論から申し上げると瞬殺されちゃいました。テヘ☆
出撃から0.2秒でビーム光線を食らってエヴァットを振り上げる間もなく、僕はシンク
ロ解除してエントリープラグ大脱出。痛いの熱いのってもう、死ぬかと思ったね。ミサ
トは僕の迅速な脱出を誉めた。いい判断だったらしい。逃げなきゃ今頃初号機共々ロー
ストシンジの出来上がりだった。危ないところだった。前回、前々回と何だかんだ言っ
てボコボコぶん殴っただけで勝てたってのに、今回はちょっぴり洒落にならない。
ミサトが国連軍脅してかっぱらった自走砲台の末路を見るや、僕の背筋はぞーっと凍っ
た。オペレーターのロンゲが「自走臼砲、消滅しました」とか言うから思わずおしっこ
チビりそうになってしまった。消滅ってなんだよ。。。
初号機は僕が脱出してすぐに下げたらしいので、装甲の取替えだけで再出撃可能だそう
だ。でも、アレはちょっと反則だろ、バットじゃ勝てそうにねぇ。僕が難しい顔でうん
うん唸る以上にミサトはもっとうんうん唸っていた。こうなったらミサトの作戦だけが
頼りだ。まぁ、今までこいつの作戦って役に立った試しが無いんだけどな。一抹の不安
はあった。やおら、自信満々の顔でミサトが笑い始めた。何か思いついたか、それとも
開き直ったのか。
「ミサトー・・・接近戦しかないとか、そう言うキチガイなこと言うなよ、俺泣くぞコラ」
「わーってるわよ。任せなさいって」
「シンジくんの言う通りよ。接近戦は危険すぎるわね」
リツコが何時もの様にえらっそーな態度で話しかけてきた。リツコはキツいコトばっか
り言うが、結構話のわかるねーさんだ。案外ミサトほど無茶は言わない。ミサトはニヤ
リと嫌な笑みを浮かべて言った。
「ATフィールドって絶対領域って割には全然絶対じゃないわよね?」
「そうね。シンジくんは二度もそれを物理的に壊してみせたわ」
「つまりエネルギー量さえ十分なら突破は可能・・・よね? シンジくん、言いたいことわ
かる?」
わかるわけない。僕は首を振った。しかしリツコはピンときたようだった。
挑戦的な視線。僕はちょっぴりオロオロしながら二人の会話を聞いた。
「答えは簡単。あいつの射程外から一撃でぶち抜いてやればいいのよ」
ミサトの作戦はすぐに実行に移されることになった。のたくたとしか動けない零号機でも
盾がわりにはなる、と言うことで作戦はエヴァ二機で行われることに。しかし、僕は当初
の計画が実行できると喜ぶ気にはなれなかった。そんな余裕はとても無い。即座に逃げた
ので、痛い熱いは一瞬だったが、アレをもう一度、次は真っ向からドカンと食らったとし
たらちょっと生き抜く自信が無い。つうか本音ではもう嫌だ帰りたいという気持ちで一杯
だったが、となりのケイジにいる綾波レイを見ていると、そんな言葉は絶対言えそうにな
かった。奴は恐れを感じていないかのように超然としており、かっこよさすら感じてしま
う。そんな綾波レイに背を向けるのは完全な敗北と道義だった。僕は歯を食いしばってえ
いちきしょう成るようになりやがれ!と半ばヤケクソでミサトに一発で決めてやるから任
せろなんて大言壮語してしまった。ああ、逃げたい、逃げたい、逃げたい。でも逃げるこ
とはもうできない。
そんな僕の心的葛藤なんかいざ知らず、綾波レイはただぼうっと月を見上げていた。青白
い月の光が、白いプラグスーツに反射してやけに幻想的雰囲気だ。その落ち着きぶり、泰
然とした態度に、僕は眩しさすら感じる。こいつは恐怖とか、危険とか、そう言うものを
感じやしないのか?僕がこんなに怖い、帰りたい、逃げたいと思っていてもエヴァに乗る
ことを選択したのは、譲れぬ意地があるからだ。馬鹿かもしれないし、はっきり言ってキ
チガイとあんまり変わらない動機かもしれない。でも、これは僕にとって死ぬより大事な
ことだ。背を向けるくらいなら死んでもいい。だから捕まろうがどうなろうが、僕と敵対
したあらゆる野郎をバットでボコボコにしてきたのだ。負けたって勝つまで襲ったのだ。
だが、綾波レイはどうなのだろう。一体どんな理由でこの危険、恐怖と戦えるのか。僕は
聞いてみたくなった。
「なぁ、綾波。 なんでエヴァに乗るんだ?」
月の光の中の綾波レイはゆっくりこちらを向いた。そして少し首をかしげた。
「何でそんなこと、聞くの」
「気になったから。悪いのかよ?」
「・・・別に」
「で、どうなんだよ。何で乗るんだ? 何で乗ってんだよ。金の為か?」
「絆、だから」
「ハァ? もうちょっとわかりやすく言ってくれよ」
「私には他に何も、無いから」
何だこいつ電波? 僕はあっけにかられて頭をかいた。何も無いってどういう意味だ?
「よくわかんねーなー。怖いし痛い目見るし、他に何も無いからエヴァって意味わかんね
ーよ。また俺を無視しようと適当こいてんじゃねーだろなー」
「・・・怖いの?」
「ば、ばっかやろ怖いわけねーだろ。でもさ、死ぬかもしんねーじゃん?」
「あなたは死なないわ」
やけにキッパリ、綾波は言い切った。
「私が、守るもの」
あんまりキッパリした断言に、僕は思わず息を呑んだ。
そしてすぐ、ムカついてきた。何だこの野郎、言うに事欠いて僕を「守る」だって?
女の癖に、シンクロ率全然無いくせに、零号機昨日起動したばっかりで僕より全然操縦
下手クソな癖に?
何よりも、恐ろしく腹が立つのが「守る」ってセリフだ。何様だ? 僕は守ってやらにゃ
駄目っぽい奴に見えたってのか? くそ、本当にこいつ気に食わない。
「上等じゃん。お前の出番なんかこねえよ、僕が一発でキメてやっから」
「そう?」
「そう?・・・じゃねえっつの。じゃあ賭けようぜ。一発で決まったら、向こう一ヶ月昼飯
お前の奢りな」
「決まらなかったら?」
「何でも言うこと聞いてやるってんだ馬鹿。まー俺が勝つに決まってるけどな」
むくむくと闘志がわいてきた。こんな奴に負けてたまるかってんだ。別に昼飯代なんて
奢ってもらう必要も無いけど、こいつに何かペナルティーを与えてやりたい。
絶対一発で決めてやる!
「不味い! 気付かれた!?」
ミサトの声に、僕は顔が引きつるのを感じた。撃つ前に気付かれたってことか?くそったれ
あの使徒は千里眼か? ずるいずるすぎる。まぁ遠距離から気付かれない間にバキュンと一
発キメてやろうとしてた僕らが言うことではないが。
でもモーマンタイ。漢字で書くと無問題。照準は既に完璧。射撃も得意な僕最高! 賭けは
勝ったも同然だ。僕は思いっきりトリガーをひいて綾波レイのヘコんだ顔を思い浮かべた。
だが、僕の放った光弾は、使徒のビームと交差する瞬間にぐにゃりと曲がって見当違いな方
向へと折れ曲がっていった。外した!? そ、そんな馬鹿な!
「作戦失敗! 撤退よ!」
ミサトの声。弾は一発しかなかったし、ぶっちゃけ射撃の照準あわせはMAGIがやってた。僕
がやることって言えばトリガー引くことだけだが、どうやら打ち返されるのは想定外だった
らしい。派手な爆音を立てて使徒のビームが近くの送電線をぶっ飛ばした。くっそ〜賭けは
負けか! 僕は一目散に逃げ出そうと、エヴァの体を起こした。
「第二射、きます!」
オペレーターの声。前を向くと、迫り来るビームがやけにゆっくり見えた。嘘ぉん・・・
しかし、想像した激痛はこなかった。突然視界一杯に広がる零号機の背中。SSTOのうんたら
かんたらと言う何か頑丈らしい盾を構えた零号機が僕の初号機を庇ってビームを受け止めて
いたのだ。文字通り、守られてしまった。僕は頭がカッと熱くなった。悔しい、あんなに大見
得を切ったのに、結局この女のいう通りに守られている。しかし、様子がおかしい。使徒の
ビームが途切れる気配が無い。零号機の盾が徐々に溶けつつあるのがわかった。僕は通信機
に向かって怒鳴った。
「馬鹿! 逃げなきゃ盾壊れるぞ!」
「駄目。初号機を失うわけにはいかないから」
苦悶の表情の綾波がモニタにうつる。早く逃げろと、苦しげにささやく。もう限界だ。屈辱感
は僕の堪忍袋の緒をジョッキン切断した。激しい怒りが僕を支配する。ふざけるな。ふざける
なよ、綾波レイ。僕はそんなに落ちぶれちゃいない。女に守られるようなかっこ悪い奴になれ
るもんか。僕は初号機の背中にくっついているエヴァットを抜き、零号機の横を駆け出した。
早く、早く、もっと早く。僕自身、短距離走にはあんまり自信が無いほうだが、初号機は別だ。
運動神経を総動員して走る。走る。使徒の元へ。モニタにうつした零号機は、盾の大半を溶か
されたところでやっとビームの嵐から開放された。綾波レイは死んだか? 死んだかもしれな
い。ふざけやがって、僕を庇って死ぬなんてあべこべじゃないか。
使徒の次の目標は僕。上等! 僕はもう危険も恐怖も何も感じなかった。ただ、憤怒と屈辱感
だけが僕を走らせる。もう一発ビームが来た。何とか横に避けるも、肩をかすって装甲の一部
を吹っ飛ばす。激痛が一瞬僕の足を鈍らせかけるが、ここでやられたらただかっこ悪いだけだ
と言う妄念に似た感情が僕に力を与えた。次は足にかする。つんのめって倒れてしまうが、前
転してもう一度駆け出す。使徒は撃ちながらビームの方向を変えられないらしい。だから、動
いていれば致命傷は食らわない。わかってしまえばもう楽勝。僕はエヴァットを振り上げ、防
御しようとした使徒のATフィールドを一撃で粉砕する。もう誰も僕を止められない。野球選手
も真っ青な見事スイングが使徒の足元、ドリルみたいなのをぶち折り、返すバットで青色のガ
ラスのキューブみたいな使徒を下から斜めに打ち上げる。地面に落っこちた使徒に、エヴァッ
トを六回叩きつけて完全に粉々になったのを確認して、僕はすぐさま振り返って走り出した。
あんだけ粉々にしてやったんだから、さすがの使徒も死んだだろう。あとは綾波レイの安否だ
けだ。綾波レイが死んでたら僕は本当にかっこ悪いだけの奴になってしまう。頼むから生きて
てくれ、と僕は祈るような気持ちで、二子山までの距離を一分弱で踏破した。零号機は湯気を
あげていて、煤けて黒くなり、焼死体みたいだ。僕は零号機の背中のハッチを引きちぎってプ
ラグを引っこ抜いた。地面にプラグを置いた時点でエヴァの電源が切れる。仕方ない。外に出
てプラグのハッチをこじ開けるしかない。プラグは近づくだけで熱く、ハッチのレバーなんか
触ろうものなら火傷でもしてしまいそうだ。しかし迷っている暇は無い。僕は手に唾をぺっぺ
とつけてレバーを思いっきり回した。熱い。手がハンバーグになっちゃいそうだ。だが、僕の
努力の甲斐あってハッチが勢いよく開かれる。
「綾波、生きてるか?」
中も熱かったが、まぁ死ぬほどじゃない。中にぐったりしている綾波を見つけて、僕はほっと
安堵した。綾波は力なく横たわったままだが、その視線はちゃんとこちらに向けたのだ。
「お・・・おお〜生きてたかぁ。良かったなぁ、助かってよ」
「勝った・・・のね」
「ああ・・・賭けはお前の勝ちだ、約束どおりなんでも言うこと聞いてやるよ」
「何でも?」
「うん何でも。あ、いや、家買ってくれとか無茶なのは無しだ。高校生でできることにしろよな」
綾波レイはぼそぼそと何かを呟く。僕は耳を近づけた。
「あー? 何だって? 聞こえなかった」
「・・・もないから」
「え? もっかい」
「私には、何も無いから。だから、いい・・・」
「おいおい、それじゃ僕の面子がたたねってんだ。何かあんだろ、考えろよ」
綾波レイは、少し首をかしげて、そして、見たこともない表情で言った。
「・・・考えておくわ」
不覚にも僕はその顔に見惚れた。それは僕が綾波レイに見る初めての表情だった。
それは、笑顔だった。
配分間違えて中途半端に残っちゃった(;´Д`)
久々に見にきてみたら新作キター!
続きを楽しみに待ってまつ
「おお、海だ海だ」
興奮してはしゃぎまわるミリタリオタの太ももに膝を入れて黙らせてから、僕はその広い広い
水溜りを眺めた。何度か海水浴に行ったことは当然ある。でも、洋上で船に乗るのは初めてだ
った。これが豪華客船とかなら最高なんだが、残念なことに僕が乗っているのは分厚い鉄板が
浮いてるだけみたいに見える空母の上だ。
僕の腿攻撃で硬直しつつも、しぶとくケンスケはバシャバシャと写真を取りまくっている。こ
の軍事オタクにとって海に浮かぶ鉄板は大きな宝物に見えるらしい。なんとも幸福な野郎だ。
ちょっとムカついたので、後で味噌煮込みパン買ってこいとか無茶を言って困らせてやろうと
僕は意地悪く笑った。
「来たようね」
ミサトの呟きに、僕は視線をめぐらせた。わざわざ太平洋くんだりまでヘリでやってきたのに
は理由がある。この船にはネルフにとってある重要な意味を持つ人物が載っており、その人物
を出迎えにやってきた次第である。ミサトの誘いに、僕は当然同行することを決めた。何しろ
その人物とはセカンドチルドレン、つまり僕と同じエヴァのパイロットだったからだ。何度も
言うが最初が肝心だ。だから僕は髪を逆立て、全身赤の派手過ぎるツナギを身にまとって気合
を表現した。本当は秘蔵の特攻服を着ようと思ったのだが、それはミサトに止められた。ネル
フの品位なんて知ったことじゃないが、ミサトを怒らせるのは不味い。僕はしぶしぶ持ってい
る服の中で最も派手なその格好で妥協することにしたのだ。
「ヘロゥ、ミサト」
つかつか歩いてくるクリーム色のワンピ姿なそいつは、僕と同年代が少し下に見える。髪は栗
色、目は青い。日本人ぽい顔をしているが、ヘロゥとか言ってたくらいだし外人さんな可能性
が高い。僕はますます赤い服とパッキンを誇示するように抉りこむような視線でそいつを見た。
ミサトが応える前に、僕はミサトを押しのけてその女の前に立った。そう、セカンドチルドレ
ンは女だった。だが、綾波の時みたいな失敗を犯すわけにはいかない。今度こそキッチリ気合
を見せつけ、こいつには勝てない、と思わせておかなければならない。
「お前がセカンドチルドレンか?」
「な、何よアンタ・・・」
「な、何よアンタ・・・」
どうやら日本語はわかってるらしい。明らかに僕のこの気合十分な格好に怯んでいるのがわか
った。僕は有頂天になってますます調子に乗った。
「おぅお前の耳は耳クソだらけか? セカンドかって聞いてんだよオイ」
「そ、そうよ! あんたこそ何よ!」
なかなか気丈に言い返す。でもビビってるのが丸わかりだ。僕は大体、相手の反応に満足して
威嚇するのを勘弁してやることにした。
「へッ そこのミサトにでも聞くんだな」
僕はニヤリと笑った。ミサトは少し呆れ顔だった。セカンドが不満気な顔でミサトを見る。ミ
サトは溜息を吐いて応えた。
「えぇええぇぇ〜〜! こんな奴がサードなのぉ!?」
「こんな奴って何だよオイ!」
「こんなロクでも無さそうな不良が名誉あるエヴァのパイロットだなんて・・・悪夢よ」
「お前喧嘩売ってんのかよコラ」
「何よ!」
中々精神的にタフな奴だったらしく、もはや怯えた様子もなく言い返してくる。今度は僕が
唸る番だった。くっそーエヴァパイロットに選ばれる女って何でこんなんばっかりなんだ。
もっと普通の奴いないのかよ!
「ふん、まぁアタシが来たからにはアンタなんてもうお払い箱よ!」
「あぁ? んっだ自信満々じゃねえかよ?」
「当ったり前でしょ!? 何年エヴァのパイロットやってると思ってんのよ。アンタみたいな
ポっと出の素人に出る幕なんてもはや無いわね! 田舎に帰る準備でもしなさいよこの田舎ヤ
ンキー」
「・・・てめぇ、何様だ? 天然の茶髪だからって調子乗ってんじゃねえぞ外人」
「アタシはクォーターよ! 見てわかんないの? アンタこそ目くそたまってんじゃないのっ」
ああ言えばこうわめきやがって何かムカつくなー。だが、僕には完全にこいつに勝っている部分
がある。僕はわざとらしく溜息を吐いて勝ち誇った。
「大体な、俺はもう三匹も使徒ヤってんだぜ。お前はまだ戦果ゼロだろがゼロ! 実は口だけ
で下手ックソなんじゃねえの? 何たってゼロだし・・・ぷっ」
いきなり大振りのスイングで平手が飛んでくる。さすがに予想もしていなかった僕はそれを
危うくまともに食らってしまうところだった。ギリギリよけた僕は内心心臓バックバク言わ
せつつ、余裕を装って肩をすくめる。あぶねえ、女に殴られるかっこ悪い奴になるところだ
った。でも、精神的優位にあるのは間違いない。僕は意地悪い笑みを浮かべた。
「何だよ、もしかして図星?」
「・・・張り手一発で許してやろうと思ったのに」
いだッ 鋭いローキックが僕の腿を打った。ビリビリ痺れる太腿に僕の注意が向いた瞬間に、
弾丸のような横一閃の蹴りが僕の腹部に命中する。いきなりの痛みに僕は一瞬で沸騰した。
次の一撃は派手な後ろ回し蹴りだった。ただし、速い。普通に速い。チンピラキックとはえらい
違いの凶悪な一撃が僕の側頭部を打つ。一瞬、視界はブラックアウト。だが、僕が気を失う
ことは無かった。ムカついた。こんな気分で寝れるわけがない。女だと思って甘く見ていた。
こいつは敵だ! 僕は女に掴みかかろうとした。幾らなんでも僕より筋力があるとは思えない。
掴んでしまえば僕の勝ちだ。わき腹に灼熱の痛み。格闘家バリのミドルキック。でも痛みは
僕をさらにムカつかせ、力を漲らせる。ついに女の手首を掴み、僕はその手を思い切り捻り
上げた。そして振り上げた拳を・・・なぜか後頭部に強烈な衝撃を感じ、そこで僕の意識は途絶えた。
僕が意識を失っていたのは一瞬だけだった。だが、最初に見えた視界は鉄板でできた空母の
床だ。倒された。一体誰に? 見上げると、鬼の形相のミサトが見えた。
どうやら僕の意識を飛ばす延髄切りを敢行したのはミサトのようだ。いきなり喧嘩になった
僕とファッキンセカンドを止める為に、ミサトは最も効率良く効果抜群な「実力行使」を行
ったのである。僕はミサトにだけは勝てる気がしない。よしんばバットで不意を襲ったとし
ても普通に撃ち殺されるだろうし、真っ向勝負ならネルフでミサトに勝てる奴なんていない。
僕は何事も無かったかのように立ち上がり、僕に蹴りを四発も叩き込んだ上等な女を睨んだ。
「おいおい、いきなり洒落になんねぇことしてくれ・・・」
「シンジくん・・・」
ミサトが鬼の形相のまま、手首をペキっと言わせた。
「み、ミサト、ほんのジョークだ。だよな?」
僕は視線で女に「逆らったら死ぬぞ」と言うことを伝えた。上手く伝わったらしく、女・・・惣
流はコクコク頷いた。それ程その時のミサトの目の据わり方はハンパなかったのだ。
ミサトは珍しく本気でキレている。僕と惣流はニコニコ笑いながら(多少引きつった笑顔だっ
たが)「よろしくね☆」「こちらこそ♪」「この船案内してくれないかなー:)」「いいわよー(^^」
ってな具合に握手しつつミサトの視界からフェードアウト。管制塔の裏まで回りこんで、二人
で顔を見合わせて溜息を吐いた。
「やべえ、ミサトマジ怒ってたな」
「アイツ怒らせるとシャレですまないのよね・・・」
「何だ、お前もミサト知ってたのかよ」
「まぁね・・・一回足腰立たなくなるまでローキックされたわよ。訓練の名目でね」
「ああ・・・それがミサトの手なんだよな。合法的にボコボコにしてくんからな」
共通の敵を前に、なんだか親近感。四発蹴り貰ったのは腹に据えかねるが、まぁ相手は女だ、
うじうじ根に持つのもかっこ悪い。僕はそう思い直して、ヤンキー座りした。
「僕は碇シンジだ。よろしくな、セカンド」
「惣流・アスカ・ラングレーよ。アスカでいいわ」
アスカも僕の横にペタンと座り込んだ。
「じゃあ、僕はシンジでいいぞ。ドイツから来たんだってな?」
「そーよ。ネルフのドイツ支部から」
「弐号機持ってきたんだろ? いいな、最新機らしいじゃん。強いのか?」
「当ったり前でしょ! 世界初の制式エヴァよ、アンタのプロトタイプと違って実戦仕様なん
だから!」
「ひゃはーそりゃいいな! かっきー! 今度乗っけてくれよ」
「駄目よ! アレはアタシのなの!」
「ケチくせーなー。ああ、そういやドイツってさ・・・」
なんだか自然に打ち解けてしまい、僕はムカついた事実をすっかり忘れ去ってアスカと話し込
んだ。なんだ、アスカっていい奴じゃん。向こうも同様だったらしく、服装見た瞬間は引いた
って笑いながら言った。敗北感を与える作戦は失敗だったが、連れが一人増えたと思えばまぁ
いいか。僕は笑って、新しい戦友を受け入れることにした。
ええい、このアスカびいきめ! カワイイじゃねーかチクショウ!
ところで全身赤のツナギって、エヴァの整備員が着てるオレンジ色に俺には見えたアレとは
違うの?
アレの真っ赤っかな奴と思って間違いないよ。俺の田舎に一人そう言う
狂ったセンスのヤンキーがおってん。派手さだけは抜群やで。
>>877 そいつはまたセンスが随分ネジレてんなぁ(w
漏れの田舎時代の記憶だと、駅前の仕立て屋で作ってもらったぶかぶか型ズボンの「ぼんたん」を
ルンルン気分で披露して回ってたり、生徒指導のセンセに見付からんよう学ランの内ボタンを
ちょっとお洒落なのに交換して喜んでるとか、そんな暢気なヤンキーしかおらんかった品。
>ツナギ
すると足元は長靴かぁ。
「おお・・・弐号機って赤いのか・・・」
「アンタの意味不明な服と違ってめちゃかっこいいでしょ」
「てめ、この服は気合なんだよ気合! 燃え上がる魂系?」
「アハハ意味わっかんない」
話ついでに弐号機を見せてくれるというので、僕は二つ返事で見せてもらうことにした。紫の
いかつい顔面な初号機もいいが、弐号機のロボっぽい面構えもなかなかイカしている。マニア
好みの初号機と違ってナウなヤングに馬鹿受けな感じだ。
僕は素直に感心した。確かになんか強そうだ。
「初号機もアレはあれでいいけど・・・赤ってのがいいなぁ、弐号機は」
「でしょでしょ?」
「おおよ、主人公機って感じだよな。戦隊モノでも赤はリーダー色だしよ」
「初号機は紫だもんねぇ。どっちかと言うといっつも貧血の用務員のオジサンって言うか」
「言うにことかいて用務員かよ・・・つうかあんなイカツイ顔面のオッサンがいたのかよ」
「ジュニアの頃にね。すんごい怖いの、箒振り回してコラー!ってさぁ」
「ぎゃはは、いるいるそう言う用務員のオッサン!」
しばし「学校にはこんな変な先生がいるよね」話で盛り上がり、僕とアスカは弐号機の胸の辺り
に腰掛けてダベり続けた。何となく楽しい。なかなか気の合う奴だ。
しかし、その楽しい時間は衝撃と、遅れてきた爆音によって引き裂かれた。船体が揺れに揺れて、
僕もアスカも弐号機の上から振り落とされそうになってしまう。僕はさかさまに落ちそうになっ
たアスカの手を掴んで引っ張りあげた。「あ、アリガト」と少し顔を赤らめるアスカにかわいい
とこあるじゃんとか思う余裕はあんまり無く(いや、チョット思ったけどさ)僕はこの衝撃の正体
を半ば本能的に見抜いていた。
これは、使徒だ。
>>878 それが普通やん? そいつは違ってん。知り合いちゃうけど駅前でたまに
見かける奴でさ、ほんまに全身赤いねん。でも履いてるのは長靴じゃなく
てスリッパだったように思う。怪し過ぎた。怪しすぎて記憶に残りまくり。
甲板に出てみると、シロナガスクジラばりの巨大さを持ったサメみたいな奴が暴れまわっている
のが見えた。海面を高速で切り裂くその背びれがかなりおっかない。間違いない、使徒だ。こん
なふざけた怪獣は使徒しかいない。だが、ここには幸い弐号機がある。速攻出撃できる。
「おっしゃー! 久々にきやがったなーアンニャロー!」
前回相当痛い目を見ていたので、僕は燃えに燃えていた。綾波の借りもある。僕は連れをやった
奴に容赦しないのだ。使徒同士が知り合いかどうかまではわからないが、まぁ似たようなものだ
し同類に違いないと僕は決め付けた。
「アスカ、弐号機貸してくれ! あ、いや一緒に乗っけてくれるだけでもいいんだ、使徒の野郎
には借りがあんだよ」
「い、今ここで出撃する気なの?」
しかしアスカは歯切れ悪く渋った。この野郎、この期に及んでビビってんのか!? でも良く考
えたら出撃するしかないのだ。魚雷とか使徒に効くはずない。ミサイルだってN2爆弾だって鼻歌
気分なのが奴らだ。僕らが出なきゃ全滅するのは目に見えてる。こんな鉄の塊の中で死ぬなんて
僕は真っ平ゴメンだった。
「ビビッてる場合じゃねえぞ! 大体この船沈められたら死んじまうだろうが!」
僕は慣れた手つきでエントリープラグをイジェクトさせ、乗り込もうとした。ビビってる奴なん
かあてにしない。だが、アスカは慌てたように僕を止めた。
「わ、わかったわ。プラグスーツ着てくる」
アスカは、「いきなりすぎる」とか「心の準備が」とかぶつくさ呟いていたが、対使徒の戦いを
僕に譲ってしまうのも嫌らしく、すぐにプラグスーツに着替えてきた。
「予備よ、使って」
「いらねーよそんなもん」
「何でよ、着ないとシンクロできないでしょ?」
「初めてエヴァに乗った時はスーツ無しだったぜ? いけるいける、大丈夫だって」
「ウッソ、マジ? あんた凄いわね」
「僕はなんつーか天才の中の天才? だからいーんだよ! ほらいくぞ」
僕はアスカをプラグの中に蹴りこんで、すぐさまその中に続いて飛び込んだ。
調子エエならあっちのも・・・・と多少水を差してみるテスツ
おもろいからええのんやけどな、別に
乗ってるうちにガンガン書き晒して頂戴
某M78星雲から来た正義の巨人のように、僕とアスカを乗せた弐号機はシュワッチと華麗にジャン
プした。そのまま八艘飛びよろしく、ミサトがいる空母まで飛び移ってゆく。さすがに長い時間
訓練したと豪語するだけあって、アスカの操舵は見事なものだ。若干顔がビビり気味なのが気に
なるが、ダイジョブジョブ何とかなるさ。今までだって何とかなったんだし。
僕はモニタに通信装置を表示して空母のブリッジに向かって怒鳴った。
「ミサト、電源用意してくれ!」
「ちょ・・・アタシの弐号機なのにぃ・・・」
アスカが小声で何か文句言ってるが無視。ミサトが生き生きとした様子で僕に応えた。
「シンジくんも乗ってるの? ちょうどいいわ、作戦行動開始よ!」
「エヴァットは積んでねんだよな、この船」
「悪いけど、プログナイフで何とかしてちょうだい!」
「ナイフは好きくねんだけどなー了解。聞いたかアスカ?」
「え、えぇ。プログナイフ、よね?」
何で不安そうなんだこの野郎。僕は思わずアスカの頭をペチっと叩いた。
「おいおいおーい! 戦争の時間ですよー? しっかりしろや自称エースパイロット」
「痛いわね! わかってるわよ! プログナイフ装備!」
「よっしゃー! いいかーエヴァに乗ってんのはお前のが長いかもしんねーけどなー、使徒との
戦いは僕のが回数こなしてんだ。使徒との戦いはなー、気合なんだよ。気合負けしなきゃ勝てる!」
「な、何よそれ! 全然作戦になってないじゃない」
「要は喧嘩と一緒ってこった。とにかく刺せ! 刺しまくれ! 死ぬまで刺せ! ギャハー!」
僕ががなりたてると同時に、使徒はその巨体を海面からジャンプさせた。僕はいけやれぶっ殺せと
はやし立てたが、ナイフを構えたまま弐号機は動く気配を見せない。僕も一緒にシンクロしている
のだが、弐号機を動かせるのはメインでシンクロしているアスカだけだ。ふざけんなこの野郎、ビ
ビってやがんな! 僕はシンクロしているのに動こうとしない弐号機に苛立った。使徒は弐号機の
頭上を飛び越えてまた海水深く潜ってしまう。
「何してんだ! 刺せよ!」
振り返ったアスカの顔は、泣きそうだった。
>>882 あっちはあっちで書くのー。アレはまとまった時間無いと書けないんや。
平日は無理や。
こいつあんだけ凶悪な蹴り技持って襲い掛かってきたくせに、何ビビってんだ? 僕は怪訝を隠さ
なかった。また、使徒がジャンプする。今度はさっきよりもその軌道が低く、弐号機はナイフを放
り出してしゃがみこんでそれを避ける。何だよこの喧嘩の素人丸出しなへっぴり腰は!
「おいアスカぁ! まさかビビっちゃってんのかよ」
「・・・う、し、シンジ」
「お前さっき使徒なんかボロ雑巾にしてやるとか言ってたじゃんか!」
「で、でもぉ・・・」
「うるせー! デモって何だ!国会議事堂かコノヤロ、やる気ねえなら僕に譲って降りろ馬鹿!
馬鹿アスカ!」
「い、いや! 嫌よ! 降りるのは嫌!」
「じゃあ前向いてナイフ拾って使徒に刺せよ!」
「ぅ・・・うん」
しかしモニタ一杯に広がる使徒の姿。あ、アスカに怒鳴ってて使徒のこと忘れてた。
当然、使徒に突撃された弐号機は吹っ飛ばされるわけで。
「いっでー!」「いったぁぁぃ!」
僕とアスカは同時に悲鳴を上げて胸を押さえた。シンクロだけしてるから痛みだけ伝わってくる。
乗るんじゃなかった。ちょっと後悔の僕。でも、乗らなきゃこいつビビって負けてただろうし、
そうなったら僕の輝かしき未来は文字通り海の藻屑だ。僕は怒りを抑える為に深呼吸した。
「あのな、アスカさんよ。難しいこと考えずに相手をぶちのめすことだけ考えてりゃいいんだ。さ
っき僕に蹴りくれたときみたいにな」
「う、うん」
「手伝ってやっから、な?」
「うん」
ようやくやる気を出したか、真剣な表情でアスカは前を向いた。手のかかる女だぜ全く。だが、状
況はちょっぴり悪い。海に落ちてしまったのはヤバイ。人間と同じ構造をしたエヴァは当然、水中
で自由に動けるようにできてない。悠々と弐号機のまわりを回遊していた使徒が、方向を変えて一
気に距離を詰めてくる。
「く、口ぃ〜!?」
「使徒だからな」
腹に激痛が走った。かまれた。
超いてえ。だが、最近なんか慣れた。使徒との喧嘩で痛い目を見るのはもう仕方ないとまで思うよう
になってきた。心配なのは、この痛みでまた馬鹿アスカがビビっちゃわないかってことだ。でも、僕
の心配は杞憂だった。案外気丈な顔でこの激痛に耐え、前を見据えている。ようやく腹括りやがった
か。僕は痛みに耐えながら、無理して笑った。大丈夫、涙はLCLに溶けて見えない。
「アスカー、大丈夫か?」
「な、何とかね」
「水ン中じゃ殴っても効きゃしねえしな。どうすっかな」
「こう距離が近くちゃ、ATフィールドも撃てないしね・・・」
「は? ATフィールドを撃つ?」
「そーよ。何、アンタできないわけ?」
「僕はバット専門だからな」
「あっきれた・・・そんなんでよく使徒と戦ってこれたわね・・・ATフィールドはね、自分を守る壁である
と同時に、武器でもあるのよ」
「まぁ使えないなら意味ナッシングだ。おうおう痛そうだな、ホント大丈夫かよ?」
「ふん、アンタだって!」
ニヤリと笑いあう。ビビリの癖に基本的には負けず嫌いらしい。顔面蒼白でよく言うよ。多分僕も人
のこと言えたもんじゃないんだろうけど。
「こいつの口開けて逃げれたら、ATフィールド撃てんのか?」
「多分」
「じゃ、まずそこからだな」
僕は思いついた作戦をアスカに耳打ちした。アスカは少し不快そうな顔をしたが、「まぁ、それしか
ないか」と呟いて僕の作戦に同意した。僕の立てた作戦とは、一旦アスカはシンクロを解除し、操作
系を僕に譲る。そして僕が弐号機で使徒の口を開ける間アスカは休み、この噛み付いている使徒を引
っぺがしたところで操作交代、温存したアスカのATフィールドで使徒を撃滅する。
このまま二人とも噛まれていたら、僕はともかくアスカはダウンしてしまうだろう。だから、これし
かないと僕らは考えた。
「ふんぬおぉぉりゃああああおおおおええええぼけえあああああぎゃああああああほあはおほあああ!!」
たっぷり三十秒は踏ん張って、ようやく使徒の口が開き始めた。両腕と胸筋だけでこの使徒の口をこじ
開けるのはなかなか難儀な作業だ。僕の気合の声はもう死にかけた蛙の断末魔の様相を呈している。
あんまりかっこよくは無いが、こだわっている時ではない。足をかけられるまで開いたら、後は楽だ
った。全身を屈伸させる力で一気に使徒の口を開ききる。
このまま引きちぎってやりたいところだが、生憎弐号機にそこまでのパワーは無かった。エヴァット
も無いし、あったとしても水中では威力半減だろう。開いたはいいが、脱出するにはどうしたものか。
ようやく激痛から開放された僕は少し余裕がでてきていた。
使徒は高速で泳ぎ続けている。なら、普通に放してやれば、通り過ぎていって距離が離れるのではな
いか? 半分勘だが、試す価値はあるだろう。僕は思いっきり足を屈伸し、伸びきる力と腕で押す力
で使徒の口から脱した。
「やった! アスカ!」
「行くわよ! おおおおりゃあああ!」
シンクロを交代し、アスカが操舵桿を力強く握った。女の子らしくない、だが気合十分な掛け声と共
にオレンジ色のかくかくした円盤が一瞬、水中に激しい泡を発生させながら、反転して向かってきた
使徒とぶち当たる。アスカのATフィールドは少しだけ使徒のフィールドと触れ合って拮抗したが、そ
れを押し切って使徒を真っ二つに切り裂いた!
「使徒はしぶとい、息の根止めちまえ!」
「オッケーィッ!」
二度目のオレンジの輝きが使徒を三枚に下ろす。さすがに一たまりも無かった。使徒は青い体液を海
水に溶かしながらぶくぶくと沈んでいった。勝った。
「ATフィールドか、すげえな。やり方教えてくれよ」
「コツさえ掴めばそんなに難しくないわよ」
「じゃあ代わりにエヴァットでの撲殺の仕方を・・・」
「それは別にいい」
「なんでだよ、エヴァットすげえんだぜ?」
「名前がダサいから嫌。ネーミングセンス腐ってるわ」
「・・・わかってねぇな・・・あのなぁ、エヴァットつうのはなぁ・・・」
僕は切々とエヴァットの素晴らしさを語りつつ、帰途についた。後は残り電源が空母に上がるまで持
つことを祈るばかりだった。
本日は以上。予定外に長くなったーアひゃ
「エヴァット」についての詳細キボンヌ
つーかいつの間にかりっつあんに作ってもらったの?
そういう得物を
釘バットだろ、どうせw
プログ釘バット。格好いいじゃん
>>889 もう一度読み直しましょう。
ラミエル戦の所で書かれているよ。
ごめんなさい、間違えてageちゃったよ。
対使徒迎撃用特殊構造体 通称「エヴァット」
特殊(←この言葉に適当に脳内補完)な金属の構造体であり、
エヴァの筋力をもってしても折れない曲がらない欠けない超握りやすい
高性能金属棒。その形状は野球選手が扱う金属バットに酷似している。
シンジが扱うと、ロンギヌスの槍並にATフィールド貫通能力を持つ。
(無意識にATフィールドまとわりつかせてるとか、ヤンキーの後ろ向きな
暴力衝動がアンチATフィールドを発生させてるとか適当に想像汁)
ちなみに抗菌性。
こんな感じ。釘は生えてねぇよ。
「ぎゃははカッチョワリー!」
八つ墓村な初号機と弐号機のスライドを見た瞬間に、僕は思いっきり吹き出してしまった。
すぽーんと両足を天に向かってそそり立たせ、上半身を完全に土に埋めたその姿は日曜ロー
ドショーで見たその邦画そのものだった。しかも初号機は紫色だから本当に死体みたいで
、田園風景な旧東京跡と全然合ってない。
「アスカ見ろよアレ! ぎゃっはははヤベーヤベーよあれわぁ!」
物凄い迷惑そうなアスカの肩をがくんがくんと揺らしながら僕は笑い転げた。かっこわるい
負け方だったが、ムカつくより先に笑ってしまう。マヌケすぎて愛嬌すら感じた。
「恥をかかせおって・・・」
副司令のじーさん(名前忘れた)と、親父ゲンドウが苦々しくそのスライドを見て吐き捨てた
が、僕はもう腹がよじれそうでそれどころではない。ついに親父が「シンジ、少し黙れ」と
キレ気味で言うまで、僕は笑い続けた。
「パイロット両名。君達の仕事はなんだ」
「え、エヴァを操縦すること?」
アスカは少しビビりながら応えた。こいつ本当ビビりで、今回の使徒との戦いでもビビりま
くってアッサリやられやがった。その後僕がエヴァットでボコボコにすると、使徒は二体に
分裂し・・・まぁ、結果はごらんの通りの大敗北。
僕はじっとこちらを見るゲンドウに向き直った。
「そんなもん、使徒をぶっ殺すことに決まってんだろ」
「そうだ。こんな恥をかくためにネルフがあるわけではない。よく考えろ」
「うるせぇな、テメェに言われるまでもねぇよハゲ」
「わかっているならいい。だが、次はないぞ」
口うるさい親父だ。僕はガムをくちゃくちゃ噛みながら舌打ちした。次もクソも、今度負け
たらネルフごとこの世から無くなるだろうに。コケ脅しにビビっているアスカの背中をポン
と叩いて、僕は小声で「あんな親父気にしてんじゃねえ」と言った。
「ユニゾン・・・? 何だそりゃ」
ミサトが持ってきた作戦は、要するに息を合わせて同時に二体のコアを攻撃すれば倒せるっ
ぽいと言うものだった。理屈はわからないが、同時に倒さないとすぐ復活してしまうらしい。
そういえば、エヴァットで一匹をぐちゃぐちゃに叩き潰してもう一匹を叩いている間に、潰
したはずのもう一匹が復活していて、電源切れと同時にやられちゃったのを思い出した。
なるほどそう言うカラクリか。道理で潰しても潰しても生き返ったわけだ。
「そこで! 完璧なユニゾンをマスターしてもらうために、アスカにも今日からここに住ん
でもらいます!」
ミサトの一声に、アスカは顔面蒼白でいやいやと首を振った。
「ちょ、待ちなさいよミサト! あんた、アタシにこいつと同居しろって言ってんの!?」
「そうよん。何、文句あるわけ?」
「大有りよ!! こいつは男なのよ! 夜中にムラムラっと来ちゃったらどうすんのよ!」
「お前、すっげえ人聞きわりーな。僕のどこがそんな獣っぽく見えるっつーんだ」
「全部よ!」
何て正直な女だ。ビビりの癖に歯に衣は絶対着せたりしない。ミサトもうんうんと頷いて
アスカの言葉に同意を示していたが、だが、ミサトは悪人面丸出しでニヤリと笑う。
「使徒殲滅の為よ。この際、あんたの操はどうでもいいの。一応、リツコから避妊薬は貰っ
てあるわ。後方に憂い無しよ」
おいおい、僕は襲いかかるのが前提かよ。ちょっと疲れを感じて僕は溜息を吐いた。しかし
ミサトはヤバい奴だ。使徒が絡むと見境がない。僕はちょっと他人事のようにアスカに同情
した。お互い、ヤバい上司を持ったものである。
「あ・・・悪夢だわ・・・こんな似非金髪の変なヤンキーに処女を捧げることになるなんて・・・」
「だから人聞き悪いっつーんだ。嫌がってる女を無理にヤったりしねえよ。そんなかっこ悪
いことできるか馬鹿」
「ム、アタシの魅力はその程度っての!?」
「じゃ、ヤってもいいのかよ」
「嫌に決まってんでしょ、この馬鹿!」
うーん、複雑な乙女心って奴か? 段々ヒステリックにわめき始めたアスカとミサトを尻目に、
僕はさっそく付き合いきれなくなってきたので、煙草に火をつけて聞こえないふりをした。
結局、目の据わりだしたミサトにビビってアスカは同居を承諾した。僕はもうどうにでもしや
がれって感じに開き直ってたので、「へぃそうですかリョーカーィ」と呟いて三本目の煙草に火をつ
けた。ミサトはアスカの同意を聞いて嬉しそうに笑いながら、携帯で何か電話を始める。小一
時間くらいアスカがぶつくさ文句を言っていたので、僕は仕方なくコンビニへ避難することに
した。アスカはアスカでキレさせるとヤバイ奴なのだ。この間訓練で完膚なきまで叩きのめさ
れてから、僕はアスカに真っ向から喧嘩を挑むことはやめることにした。ビビり癖さえ無けれ
ば使徒戦でも僕より強いかもしれないのに、悲しいかなアスカには気合と根性がない。まぁ、
でも平常時の技術は恐ろしいので、仲良くしておくにこしたことはない。
コンビニで週刊誌を五冊読みきり、ミサトと自分の分のビールと、アスカ用に缶ジュースを適
当に買いこんで部屋に戻ると、陰気な顔のアスカと、上機嫌なミサトがゲーセンの筐体のよう
な巨大な装置を広げていた。
「なんだこりゃ」
「これがユニゾンにむけての秘策その1、ダンスマスィーン・ユニゾン1号よ!」
ミサトが無闇に胸を張り、アスカは陰気すぎる溜息を吐いた。魂まで抜けてそうだ。
まぁ、見た感じで大体やりたいことはわかった。下のピカピカ光るボタンみたいなのを押すパ
ターンを覚えて、僕とアスカでそれをぴったりタイミング合わせて押せるようになればユニゾ
ンってわけだろう。実に安易だ。ちょっと呆れた。
「つーかさー、こんな遊びみたいなのでいいのか? 一週間しかねぇんだろ?」
「特訓とか言ったってあんたダレるだけじゃないの。遊び要素で楽しくユニゾン、これが最近
の教育の流行なのよ!」
まぁ、厳しく特訓とかされるほどにダレるのは事実だ。僕は頭をがりごりかいた。いまいち、
ミサトって女はよくわからない人だ。
「秘策その1ってさ、その2とかその3とかあんのか?」
「ないわよ。なんつーか気分?」
「なんかちょーてきとー。僕ちょーふあーん。作戦部長無能ー」
「うっさいわね! いいからヤレ!」
そうして、僕とアスカの特訓生活は始まった。
ペアルックのダンス着を着せられることだけは僕もアスカも頑なに拒みつつ、ダンスマスィー
ン・ユニゾン1号での特訓は朝晩区別なく続いた。とりあえず全然合わない。僕は早すぎるし、
アスカはダンスの完成度に拘ってそもそもあわせる気があんまり無い。何か悪しき完璧主義と
言うか、もうアスカは自分の世界だ。
大体、これだけ数限りなく繰り返していると飽きてきてしょうがない。僕は適当に体を動かし
ながら腹減った、とか、漫画読みたい、とか、関係ないことばかり考えていた。
ミサトはこれほど合わないとは思っていなかったらしく、最初は叱咤激励していたが、今では
キレ気味で罵声を上げている。
「なぁミサト。今更だけどさー、これ無理っぽくねぇ?」
「あんたが真面目にやればいいのよ! アスカはもうダンス完璧じゃない!」
「あわすのが目的だろ、ダンスじゃなくてよ。僕はこれは踊れそうにねぇわ。ハズイし」
「照れなんか捨てなさい。大体、普段から恥ずかしいカッコしまくりのあんたが照れるなんて
百万年早いわよ!」
「僕のファッションにケチつけんなっ 万年男日照り!」
「言ったわねこの小ヤンキーが!」
「僕のどこが・・・」
ぴんこーん。本日六回目の口喧嘩が始まりそうになった瞬間、チャイムが鳴る。誰か来た。ア
スカは全然マイペースでダンスしまくってて気にする様子もない。ミサトはチッっと鋭く舌打ち
して冷蔵庫からビールを取り出し、ぐびぐび飲み始めた。僕は溜息をついて玄関へ向かった。
「なんだ、お前ら何か用か?」
訪問者は、我がクラスメイツ、トウジ、ケンスケ、委員長、そして綾波だった。綾波?何で
綾波がこいつらとつるんでんだ? ちょっと不思議に思ったが、何のことは無い、ただマンシ
ョン前でバッタリ会っただけだったそうだ。綾波はミサトに呼ばれて来たんだそうだ。
「まぁ、いいや。上がれよ」
怪訝な顔をしている四人は、おっかなびっくり葛城邸に上がりこんできた。
「・・・まぁ、なんだ。そう言うわけでよ」
「なるほどなぁ、センセガッコにけーへんからまた逮捕されたんかと思って心配しとったんや」
こいつも人聞きの悪いことを言う奴だ。僕は渋面を浮かべてうんこ座りした。
トウジ・ケンスケ・委員長の三人は学校に出てこない僕とアスカを心配して様子を見にきた
そうだ。トウジはともかく、細かく気の効く高性能パシりケンスケは大体エヴァ絡みだろうと
思っていたあたりさすがである。ちゃんとご主人様の都合を阿吽で感じているのだ。
「でもさぁ碇ぃ、何か上手くいってなさそうだな?」
「まぁ見ての通りでよ。こんな恥ずかしい踊りできるかっつーのな」
気の利くパシりは好きだが、太鼓持ちは好きじゃない。ケンスケはタメ口だが、ちゃんと弁え
ていて僕の気に障るような言い方をしない。
やさぐれたミサトは僕とアスカの友人が来ているというのに、ゲファーっとゲップしながらビー
ルを飲み、綾波に向かって愚痴っている。綾波も酒臭くて不愉快ならそういえばいいのに、上官
には弱い奴で、素直にミサトの愚痴を聞いていた。
三回アスカと僕は踊ってみせたが、悉く途中でダンスマスィーンがエラー音を鳴らし、ユニゾン
失敗のサインをあげる。段々ムカついてきていた僕はユニゾン1号を蹴っ飛ばした。いい汗かいた
って感じで爽やかに汗を拭くアスカも何かチョットムカつく。笑いを堪えているトウジは後で蹴
り入れてやる! 僕はすっかりやる気を失って煙草に火をつけ、小休止した。
ミサトが突然立ち上がり、綾波にむかってやってみろ、と言った。僕はつけたばかりの煙草を灰
皿に置いてしぶしぶもう一回だけな、といいつつ立った。何回やっても誰が相手でも一緒だって
・・・適当に流す気満々で、僕は適当にユニゾン1号の上に立った。ミュージックスタート。
「お・・・おぉ!?」
不思議なことに、綾波と僕の動きはぴったり一致した。適当に流しているはずが、いつの間にか僕
は真剣に綾波にあわせていた。どんなに動きを崩しても、綾波はそれにあわせてくるのだ。だから
負けるかって気分になって僕は今までで最高に真剣に踊りきった。ユニゾン1号はユニゾン作戦
が成功している、と言うランプを始めて点灯させる。俺、やればできるじゃん!
だが、僕は上機嫌にはなれなかった。目の端で、青い顔をしているアスカが目に入ったからだ。
踊ることに夢中になって目的を忘れ去っていたアスカは、僕と綾波のぎこちないながらも完全な
ユニゾンを目の当たりにし、ようやく我に返ったらしい。そこへミサトが追い討ちをかけた。
「ま、零号機を出せたならレイを使ってたわね」
冷たすぎるその声に、アスカの体がビクンと跳ね上がる。あーあ、まーたビビっちゃってるよ。
アスカはこの世の終わりが来たような表情で肩を落とし、トボトボフラフラ歩き出した。そのま
ま無言でマンションを出てしまう。ミサトが失敗した、と言う表情を浮かべた。
「檄を飛ばすつもりだったんだけどねぇ」
「ミサト、今のは幾らなんでも超ひでぇ。どっちかつったら僕のが悪いだろ」
「う・・・ごみん。シンちゃん、悪いけどフォロー頼むわ・・・」
しゃーねぇなぁ。僕は舌打ちして、トウジとケンスケにおやつ買ってきて食ってろ、と一万円札
を渡してマンションを出た。ミサトもミサトだが、アスカは打たれ弱すぎだ。本当に手間がかか
る奴だ。僕はフラフラ出て行ったアスカを追って走った。
アスカは公園にいた。ブランコに乗ってきーこきーこ言わせながらボケーっと夕方の沈み行く太
陽を眺めている。まだ高校生の癖に「哀愁」とかそんな感じの言葉が似合いそうな姿だ。僕は溜
息を吐いた。
「アスカ、何してんだよ。明後日はもう使徒来るんだぜ?」
「・・・だって。だって、ファーストのほうがいいんでしょ? シンジもそうなんでしょ!?」
「だってじゃねえだろ。綾波がいくら合わすの上手くても零号機は修理中だしよ。それとも、綾
波に弐号機譲るんかよ? お前はそれでいいのかよ」
「いや・・・それは嫌。絶対嫌よ!」
アスカは頭を振った。弐号機を降ろす、とか、パイロット辞めろ、とか、そう言う言葉にだけは
アスカは過剰に反応する。
そして、ぐすぐす泣き出した。僕は心底どうしたらいいかわからなくなってきた。女の涙は反則だ。
サイズ制限に引っかかるとは誤算やった・・・新スレ建てるわ
901 :
_:04/01/29 00:36 ID:X6S6FQhM
新スレの名前はなに?
スレ建ては海老に頼んだ。海老任せ
おったてたわよ
カミングアウト第二段w
おいおい、tomoタン
どのあたりからが、海老タンなんだよ?