1:書名 「エヴァンゲリオンの夢 使徒進化論の幻影」
2:発行所 東京創元社
3:2000年8月10日初版発行
4:定価 \3400ー(税別)
5:現在の実勢価格 \ ?
6:寸評、感想
ここエヴァ板でも信者の多い(?)大瀧啓裕の作。
はしがきから「徹底的に細部にこだわる」といいつつ、「オサカナバアチャン」
などと自分と娘にしか判らない言葉を創造して、親馬鹿ぶりを晒すなど
珍走全開。
この本に限ったことではないが、謎本の多くが作品の各話のストーリー
ダイジェストに頁数を割いている。
この本ではそれがかなりの割合を占めており、原稿枚数稼ぎとはいえ、
分りきった物語を延々と活字描写されているのには大瀧独特の廻りくどさと
あいまって、ほとほと閉口する。
よく純文学作家志望で、なれなかった人間に、こうした悪文の例が多い。
この部分を削除するだけでも、本の厚さを2/3にはできるだろう。
あとはほとんど大瀧のモノローグに等しい。
やたらと引用が多いくせに、原典を明記していない。
図版を載せず、それを言葉だけで説明しているため、解釈の正否が不明。
複数ある概念の解釈を、本人だけの一方的解釈により独断的に記述して
いる等々。
これも既出だが、最後にグノーシス主義に触れた部分がある。
この部分は確かに小谷真理の「聖母エヴァンゲリオン」や永瀬 唯のエヴァ=
グノーシス主義の解釈に対する言いがかりであることは明白だ。
大瀧のいやらしさ、小狡さというのは、まさにこの点にある。
堂々と名指しで建設的論争を挑まず、あくまでもコソコソ、ブツブツと卑屈に
独白して読者を不快にさせるだけという情けなさ。
論争になれば、自ずと己の底の浅さが暴露される。だからこそ信者には
博覧強記と思われつつ、アカデミズムからは鼻もひっかけられない現状がある。
ここでは大瀧や、その信者を叩くのが目的ではないので、この辺でやめて
おくが、もう少し続けることにする。
(続)
大瀧のこの本を「これまで出たエヴァ本の中で最高だ!」なんぞと気安く断定
している信者に問いたい。
あんたら、本当にこの本を隅々まで読んで、完全に理解したのか? と。
ウニオミスティカだのシェーキナー、ヘンカイパン、三位一体(「さんみいったい」。
「さんいいったい」ではない)などという、もっともらしい単語の羅列と大瀧独特の
持って回った言い方に、わかったふりだけしているのとちがうか? と問い詰め
たい。小一時間ほどドマジで。
大瀧がなぜエヴァに対する興味を持ったかと言えば、本人の言う建前は別に、
自分が訳したマルコム・ゴドウィン『天使の世界』がエヴァのおかげで予想外に
馬鹿売れし、印税で家でも買おうかという位儲かったせいだ。
それを自著で触れないのは、いささかアンフェアといえるんじゃないかい?
大瀧さん。
(誤解のないよう言っておくが、ゴドウィンの翻訳は、それなりに意義もあるし、
出版価値もあると思う。ただ、エヴァブームがなければ、ネタ本として数万部も
売れる内容ではなかったことも確かだ)
さらに大瀧信者の特徴として短文レスはともかく長文になると、とたんに
支離滅裂、何を言いたいのか全くわからなくなる点。
ただ大瀧はすごい! すごい! 凄すぎる! と喚いているだけで、どこが、
どう凄いのかがサッパリわからない。
図らずも、こうした信者の言動が自らの知的レベルを明らかにしてくれる。
つまり、無い物ねだりということだ。
まあ、大瀧信者はエヴァのビデオと共に浅倉久志訳のPKディックでも読んで
なさいってことだ。