数瞬の間、シンジとレイは倒れ込んで互いに見詰め合ったままだった。
まばたき一つしないまま、全裸のレイは冷たく言い放った。
「どいてくれる」
その言葉が、なぜかシンジの心の奥底の鍵を開け、なにかを解き放った。
次の瞬間、いままでのレイと父親のイメージがフラッシュバックの様に
脳裏に湧き上ってきた。
ケイジ内で父ゲンドウトと会話する時の明るい表情のレイ。
母の命日にゲンドウを迎えに来たVTOLに乗っていたレイ。
そしてネルフ本部のエスカレーター上で平手打ちをくわせたレイ。
それらが渾然一体となり、激情の波になって襲ってきた。
シンジは知らずに左手でつかんでいたレイの乳房を、より力を込めて
握った。
乳首が手の平に、はっきりと感じられた。
レイの表情は変らない。
シンジは小ぶりだが、弾力性に富んだ白い乳房を、さらに力を込めて
握ると同時に親指と人差し指で乳頭をつまみ、軽くひねった。
「くっ」
レイが軽くうめき声を漏らし、かすかに苦痛の表情を浮かべるのを見て、
シンジは、わずかだが倒錯した満足感を覚えた。
レイを自分の物にしたい。
いや、しなければならない。
そんな考えに捕らわれたシンジの行動は、もうブレーキが利かなかった。
すぐにベルトをゆるめ、ブリーフの中で、すでにはちきれそうに
なっていた己の肉体をむき出しにした。
その間もレイの表情は変わらない。
シンジは闇雲に力を込めて、レイの両足を押し広げた。
「綾波、綾波‥‥」
まるで、それがなにかの呪文でもあるかのようにシンジは繰り返し、
レイの名前をつぶやき続けた。
しかし、レイの体は固く閉ざされたままだった。
何度かシンジは全力を挙げてぶつかったが、その都度跳ね返された。
「うぅっ…。くそぅ…」
シンジは次第に自分自身が情けなく、ふがいなく思えてきた。
自分の体さえ思い通りにならない。
「ちくしょう、ちくしょう…」
知らないうちに涙が出た。
それが頬をつたって、レイの額に落ちた。
その瞬間、シンジは自分の体にレイの冷たい手を感じた。
レイが無表情のまま、シンジの耳元でささやいた。
「あせらないで、碇くん」
レイはシンジの肉体を両手でつかんだまま、しっかりと
自分の肉体の中心へと導いた。
シンジが、その門の中心へたどり着くと、レイは手を添えたまま
力を込めた。
それに力づけられたシンジは、わけがわからないまま下半身に力を入れた。
固い扉が抗いつつも、わずかに開いた。
レイが表情を歪めた。
「くっ」
シンジもレイの硬さに行く手を阻まれた。
「あ、綾波… お願いだ、もう少し力を抜いて」
シンジはいつの間にか立場が逆転していることに気がつかなかった。
シンジは己の体の先端にさらに力を込め、一気にレイの奥底へと進んだ。
「うっ! ああっ」
レイが微か悲鳴を上げると、いきなり両腕でシンジを抱きしめた。
それと同時にレイの深淵がシンジの体を捕え、激しく締め付けた。
それはシンジに電撃を受けたような衝撃を与えた。
「あうっ」
激痛のような快感が下半身から全身を襲う。
ひんやりしたレイの体と反対に、その体内は驚くほど熱かった。
遅れながらも、じわじわと奥の方から潤ってくる。
シンジが抽送をかける毎に、それが溢れ、蜜のように絡みつく。
シンジはすぐにもいきそうになった。
レイの脚が上がって、太股がシンジの腰を強く挟み込んだ。
「あ、綾波!」
耐え切れなくなったシンジは思い切り欲望を解き放った。
しまった、と思ったが、すでに遅かった。
さらに数度の動きの後、シンジは空しくなった。
するとレイがシンジの体を優しく叩くのを感じた。
まるで母親が子どもをあやす時のように。