菱和ライフクリエイト:part3

“乗っ取り”の舞台　購入
暴力団関連『いわく付き』ビル
東証二部上場のマンション販売大手「菱和ライフクリエイト」（東京都渋谷区）が、指定暴力団山口組の関係者が役員を務める
不動産会社が関連する渋谷区内のビルを、十六億七千万円で購入していたことが三十日、分かった。同社は「不正な取引ではない」
としているが、同ビルをめぐっては、登記改ざんでビル所有会社を乗っ取った暴力団幹部らが逮捕されるなど、「いわく付きの物件」
（同区の不動産業者）とされるビル購入を疑問視する声も上がっている。

ビルは同区代々木二のＪＲ新宿駅前にある地上十二階地下一階建て。菱和ライフクリエイトの説明によると、同社と取引がある
不動産会社の仲介で今年六月、同ビルの所有権を持つ同区内のインターネット通販会社から十六億七千万円で購入した。

菱和は「過去の取引経緯などを調べたが、問題はなかったため購入した」としている。

しかし、関係者の話によると、この通販会社がビルの土地建物全体の所有権を得た以前、事実上、土地の四割の所有権
を持っていたのは、山口組と関係が深い不動産会社で、通販会社に対し、同ビルを担保に多額の融資をしていた。

この不動産会社は、架空の投資話で約六億七千万円を集めたとして、警視庁が六月に逮捕した投資顧問会社「キャピタル
インベストジャパン」元会長の越智功被告（６７）＝詐欺罪などで起訴＝らが役員を務めている。

同ビルをめぐっては、一九九八年、当時のビル所有会社「真珠宮」が都内から北海道函館市に移転、社名を「岩窟王」
「いじわるばあさん」「わたり鳥」などと変更。所在地も那覇市、秋田市などに移転を繰り返し、実態不明となった。

二〇〇二年、同ビルに本店が移り、元の社名に戻った。

だが、虚偽の株主総会議事録を基に登記簿が改ざんされ、会社は乗っ取られていたことが分かり、警視庁は昨年七月、
乗っ取りに関与したとして、公正証書原本不実記載などの疑いで山口組系組幹部ら九人を逮捕している。

菱和ライフクリエイト・野崎善久総務部長の話　仲介した不動産会社を信用して購入した。警視庁が立件したとか、
山口組の関与などは知らず、今後調査する。取引は同組側へ利益を提供するということではない。