太臓もて王サーガでエロパロ 第二章

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1名無しさん@ピンキー

またまたやらせていただきましたァン!
様々な萌え少女たちが登場するもて王で萌えてみないか?

* 推奨 : sage進行、作品投下の際カップリング・傾向等の明記。


前スレ【あいす】太臓もて王サーガでエロパロ【矢射子】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133354876/

太臓もて王サーガエロパロ保管庫
http://moteking2h.web.fc2.com/index.html

保管庫内絵板
http://netgame.mine.nu:10017/lpbbs/f1152403224/
2名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 23:34:50 ID:Ja9ONeIJ
すみません、こんなんで良いでしょうか。
まさかの2スレ目、今回も盛り上がりますように。
3名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 23:44:48 ID:bSMpU4Jk
乙です! 祝2スレ目。
4名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 23:44:54 ID:p+sDH+oF
>>1
乙!
5名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 23:56:21 ID:OmsRV+oK
>>1
乙です!
6900:2006/10/22(日) 00:06:22 ID:Wx/sVEC8
前スレ900です。
現在16まで書き、まだまだ続く勢いですが…即落ち回避のためにも途中までですが投下させてもらいます。


傾向は宏海×矢射子、甘系。
本編のような華麗なギャグはありませんのでご了承下さい。


2スレ目も盛り上がることを祈って...!
7前スレより 宏海×矢射子11:2006/10/22(日) 00:08:56 ID:Wx/sVEC8



唇を離すと見たことないぐらい真っ赤な阿久津の顔が目に入った。あたしの顔も湯気がでそうなぐらい熱い。
「お前っ...!」
阿久津がまた体を引こうとして、それを離すまいと強く抱きしめた。胸に、少し、圧迫感。
あたし、何してるのよ。阿久津に嫌われちゃうよ。でも、阿久津とのキス、気持ち良かったな。
「阿久津...」
阿久津の眉がまた下がってる。今度は、困ってる。
「バカか、お前は」
やっと阿久津から出た言葉はこれだった。声の調子が苛立ってる。
「雰囲気に飲まれて何してんだよ!ったく...」
強い力で体が離される。阿久津の視線が、痛い。
肩で受けていた力が消え、阿久津の顔も視界から消えた。顔だけじゃなくて、体も。
横にあったタンスから、多分一番上にあった服を背中にかけられた。
「男物だけど濡れた服よりマシだろ」
あれ、これ見たことある。確か、誕生日に阿久津が着てた...
黒いシャツはあたしの体を隠すには十分な大きさで、阿久津が前のボタンは自分留めるように言った。あたしが返事もしないで固まってると、阿久津は部屋を出ていった。
「下もなんか適当に履いとけ!!」
それだけ言って。
8宏海×矢射子12:2006/10/22(日) 00:11:36 ID:Wx/sVEC8



阿久津が出ていってしばらくして、かすかにシャワーの音が聞こえた。
そっか、阿久津、お風呂まだだったもんな。阿久津が風邪引いちゃってたら、ヤだな。
阿久津の部屋。阿久津の服。阿久津の匂い。阿久津のことしか考えられない。
でも、最後に見た阿久津の顔は呆れ顔だった。困惑と、軽蔑を含んだ感じの。
嫌われちゃったかな...
阿久津に借りた服のボタンも留めないで、ただ泣いた。服があるから、巻いていたタオルを外して、ぱたぱた落ちた涙を拭った。後から後から溢れてきて、最後にはタオルに顔を埋めて泣いた。
「矢射子」
フスマの向こうから声がする。もちろん、阿久津の。声の調子はいつも通りだと思った。
「服乾くまでは俺の部屋使っていいから」
その言葉だけで理解はしたけど。口を衝いて出る言葉は止められなかった。
「阿久津は?」
「...用があったら呼べよ」
それだけ言うと、阿久津は黙った。それでも別の部屋に行くとかじゃなくて、フスマを隔てた向こう側にいるのはわかった。
9宏海×矢射子13:2006/10/22(日) 00:15:08 ID:Wx/sVEC8



やっぱり涙は止まらなくて、フスマ一枚向こうに阿久津がいるってわかってても嗚咽がでる。それが雨の音と調和して、淋しさをさらに掻き立てる。
自分の家だったら犬千代にまさる、ゆきじに...鬼の宏海が慰めてくれるのに。今一番近くにいるのは、本物の阿久津だ。
ああ、もう。絶対に呆れられてる。嫌われてる。
「矢射子」
名前を呼ばれて、ドキッとした。不意打ちすぎる。
「俺はどうしたらいい」
続いた言葉は予想外で、答えは上手く出なかった。言いたいことは決まっていたのに。
「...好きにしたら?どうせ...面倒な女拾ったとでも思ってるんでしょ!...追い出せばいいじゃない...」
可愛くないなぁ、あたし。言った後に後悔しても無駄だってわかってたのに。今までので十分わかってたのに。
「...わかった」
しばらく間があって、阿久津の返事がした。それと、立ち上がる音。他の部屋に移るかと思ったその足は、勢いよく開けられたフスマの敷居を越えて近づいてきた。
心臓が、飛び出そう。
10宏海×矢射子14:2006/10/22(日) 00:18:36 ID:Wx/sVEC8



背後から近づく阿久津の顔はわからないけど、不思議に怖くなかった。ただ、ドキドキした。
すぐ後ろで動きが止まって、気配が近づいた。視界の隙間から見えたのは、折り曲げられた阿久津の足。
死角から頭に手が置かれて、3回軽く叩かれた。その後、ゆっくり優しく撫でられた。
「とりあえず泣き止んでくれねえか」
阿久津が体勢を変えて、後ろからあたしを足の間に挟むように座った。手はまだ頭の上にある。阿久津の体温が、今度は背中に戻ってきた。すごく、暖かい。
「...女の子の扱い、慣れてるのね...」
また赤くなった顔を見られたくなくて、相変わらず阿久津の顔は見ないまま憎まれ口を吐いた。本物に可愛くない。
「伊舞が...妹がいるからな」
阿久津とお揃いの赤い髪の少女の顔が浮かぶ。素直そうで、可愛い子。誕生日にはパーティーを開いちゃうぐらい、お兄ちゃん子のあの子。
妹に嫉妬するなんて、いつからこんなに心が狭くなったんだろう。
「阿久津」
泣きすぎですこし腫れた瞼が自分でもわかる。阿久津にこんな顔見られたくないけど、衝動が強すぎた。
阿久津が反応する前に空いてた左手をとって胸に押しつけた。一瞬たじろいだ阿久津の顔は、振り向いたあたしを見て真っ赤になった。
「妹にできないこと、してよ」
11宏海×矢射子15:2006/10/22(日) 00:20:55 ID:Wx/sVEC8



阿久津の視線は、はだけたままのあたしの体に釘付けだった。そういえば、下を履くように言われたのに履いていない。普段のあたしなら絶叫して死にたくなる。けど、このときだけは平気だった。
押しつけて握らせたあたしの胸が、阿久津の手の中で形を変える。阿久津は自分から握りはしないもの、手を払うことはなかった。
阿久津と視線がかち合う。お互い真っ赤な顔を徐々に近づけて自然にキスをした。
頭に置かれた右手が肩まで降りてきて、ギュッと抱かれる。左手には力が入った。
「...後悔すんなよ」
「しないわよ」
多分、今までで、一番はっきり言った。
12900:2006/10/22(日) 00:23:57 ID:Wx/sVEC8
今回は以上です。
いい加減本番入れって感じ満々ですが、もうしばらくお付き合い下さい。

11で宏海が違和感のあること言ってますが...言わせたかっただけなのでそこは見逃してくださいorz
次回こそは本番です!
13名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 00:37:46 ID:rH8p3/RT
>男物だけど濡れた服よりマシだろ
にフイタw
GJ!GJ!
続き楽しみにしてる!
14名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 00:50:14 ID:aGqfIhME
>>13に同じ! いい仕事されてますねw
次回がますます楽しみです!
15名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 00:58:29 ID:X9l+f2RO
他にもぬいぐるみとか誕生日のシャツとか、
やっぱ単行本手元にあると小ネタが効くね
16名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 10:53:36 ID:gxR8I1Rx
GJ!
>男物だけど濡れた服よりマシだろ
後で阿久津が自分の発言のアホさ加減に頭をかかえているのが目に浮かぶ。
17名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 16:14:19 ID:hRh+L7Vv
萌え殺される(;´д`)ハァハァ GJGJ!


>男物だけど濡れた服よりマシだろ
豆乳吹いた
18名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 17:36:52 ID:bADYChRo
GJGJ!!!!
続きがきになるー
19名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 23:39:34 ID:XFW7Habv
気になる
20名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 02:31:03 ID:3dzflc9d
すばらしい宏海×矢射子にハァハァさせていただいております。
殴り書きですが、応援の意味を込めてお絵描版に絵を投稿致しました。

続き楽しみにお待ちしています(*´Д`*)
21名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 05:39:58 ID:m4rLLPQi
前スレ埋めないの?
22名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 09:36:41 ID:xQ61DtoH
落書きですがいいかなー
ttp://vista.nazo.cc/img/vi6156359994.jpg
23名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 10:39:24 ID:7DFZOVTb
>男物だけど濡れた服よりマシだろ

ちょうど今週はその部屋からスタートしてるw
24900:2006/10/23(月) 14:48:13 ID:8JPlll6P
みなさんによい感想をこんなにいただけるとは…思い切って書いてみるものですね。とても嬉しい限りです。

現在20まで完成したので、これを今夜投下する予定だったんですが、事情によりその後3日ほど投下ができない状況でして...
みなさん的には、本番シーンの投下はどちらがいいでしょうか?
1、とりあえずできてるまで投下
2、3日後にまとめて最後まで投下
レスいたたければ助かります。
25名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 17:17:08 ID:Uv75zo+I
真偽は定かでないが、30レス未満で即死との噂があるので
出来てるとこまで投下して貰った方がひとまず安心はできるかも
26名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 19:32:01 ID:MjtaNRKU
ところで今週はふたなりなまわる×「あたしのスピン」な透瑠さんに萌え死にですよ
もう肉体関係があってもおかしくないよ
27900:2006/10/23(月) 20:07:55 ID:8JPlll6P
>>25、意見ありがとうございます!
では、20まで投下させてもらいます。

28宏海×矢射子16:2006/10/23(月) 20:09:25 ID:8JPlll6P



体を強く押されて後ろの布団に倒れる。倒れた瞬間、ばふっと阿久津の匂いが広がった。
今、あたし、阿久津の中にいるようなものね。あたしと阿久津しかいない阿久津の部屋の、阿久津の布団の上で、阿久津の服を着て、阿久津に抱かれる。ステキな阿久津地獄じゃない。
「上、脱いでよ」
阿久津の体温がほしくて、ランニングの裾を引っ張った。すぐに阿久津の引き締まった体が現れる。
脱いだと思うと、阿久津はあたしをきつく抱いてまたキスをした。最初は触れるだけの。段々激しく。
「んっ...!」
初めて舌が触れたときは、その感触に驚いて、つい体を竦めてしまった。阿久津はあたしを離すことなく奥まで舌を入れる。まるであたしを味わうみたいに、じっくり時間をかけて。
あたしの意識はとろけ始めて、今まで以上に阿久津のことしか考えられない。
阿久津の左手は胸から離されて、今は右手同様あたしを抱いてる。自慢の胸は押しつぶされながらもあたしと阿久津の隙間を埋めていた。
「そんな顔すんな」
阿久津の息があがってる。唇を離して目を開けたとき、阿久津は決まり悪そうに視線をそらした。
「なんっ...!」
投げかけた疑問は途中で遮られた。阿久津があたしの頬から耳にかけてキスを降らせる。くすぐったくて、触れたとこから熱くなる。
「やっ、んん...」
珍しく解いたままの髪を阿久津がかきあげる。自分でもわかるくらい、阿久津と同じ香り。
「すげえエロい」
阿久津が耳元でそう囁いて、あたしの顔がさらに爆発する前に、そのまま耳朶を舐め上げる。
「ひゃっ!だ、だめよ阿久...汚...!」
「聞かねえよ」
左手が、胸に戻る。感触を楽しむみたいに、敢えて弱いところに触れない触り方。阿久津の大きな手が、胸に吸い付く。
相変わらず舌はあたしの耳を攻めて、阿久津が囁く度に反応してしまう。その舌がまた唇に戻ってきて、離した後阿久津が言った。
「もう止まんねえからな」
29宏海×矢射子17:2006/10/23(月) 20:10:38 ID:8JPlll6P



阿久津の顔はもう赤くない。あたし一人、蒸気が出るぐらい恥ずかしくて、緊張してて、すでに感じてしまっている。
「好きに...しなさいよ」
それだけ言い終えた後、まっすぐ阿久津を見れなくて、つい視線を顔ごとそっぽに向けた。自分から言い出したのに、大切なとこで素直になれない。
阿久津はそんなあたしを見て笑った。
「可愛くねえな」
あたしが反抗する前に阿久津はまたキスをする。あたしを黙らせる方法はこれが一番だと思ったのかな、順応性高すぎ。
阿久津はキスしたまま左手を滑らせる。強さを変えて胸を揉んでみたり、たまに弱いところに触れてくる。たまらず声を出すと、阿久津は嬉しそうに笑った。
「声我慢すんなよ」
一度だけ頭を撫でられる。悔しいけど、やっぱり安心しちゃう。
阿久津は口を緩めたままの顔をあたしの胸元に埋めて、少し汗ばんだ胸の谷間を舐めた。その舌はそのまま左の胸の一番弱いところを舐め上げる。
「あんっ!ぁ、あ...ゃあ!!」
あたしの声に満足したのか、阿久津は舐め方を変えながら執拗に胸をなぶってくる。たまに噛んでみたり、吸ってみたり。
右胸にはやっぱり大きな手が添えられてて、ぐにぐにと弾力を楽しんでる。もう痛いぐらいに堅くなってる先端との差を比べるみたいに。
30宏海×矢射子18:2006/10/23(月) 20:13:11 ID:8JPlll6P



「あ、あんっ!やっ、ん...んん!」
息が切れ切れになる。阿久津はたまに顔を上げて、あたしの顔をのぞき込んだ。
「たまんねえな」
一瞬親父くさいセリフとも思ったが、そんなこともすぐに流れるような快感。
「これだけでかいと母乳でも出てきそうだな」
「ば、かぁ...!」
阿久津はまるで子供みたいに、必死で胸を吸った。あたしですら本当に母乳がでてるんじゃないかって思うような熱心さで。
「ゃ、阿久...つ、ぅ!ダメ、だめ...!!」
既に頭が真っ白になりかけて、本能が阿久津に制止をかけた。背中に回していた腕が、気づいたら阿久津の肩を押していた。
そこで初めて阿久津の動きが止まった。胸から腕も視線も離して、あたしの顔をじっと見てる。
段々阿久津の顔が近づくと、真っ赤なあたしの頬を両手で挟んで、そのままキスをした。
「止まんねえって、言ったろ」
あたしの目をまっすぐ見て、阿久津は笑った。
31宏海×矢射子19:2006/10/23(月) 20:16:02 ID:8JPlll6P



阿久津の顔が、また視界から消える。どんどん下にいって、おへその辺りで止まった。阿久津の髪が、胸に刺さる。なんでお風呂上がりなのにこんなにツンツンなのよ。
気をそらしていたらぺろりとその部分を舐められて、くすぐったくて、つい裏返った声がでた。
「ひゃあ!!」
阿久津は気にしない素振りで、その辺りから上下左右に舌を滑らせた。その度にあたしはゾクッときて、やっぱり裏返った声を出す。脇腹を舐められた時は、つい堪えきれずに笑ってしまった。
「もう少し色気ある声出せよ。さっきみたいに」
「さっきって...ああ!!」
突然、下半身に感触。阿久津の空いていた手が、入り口をなぞる。自分でも、もうそこが濡れているのがわかった。
「や!ぁ、阿久津っ!!あっ!」
ぬるぬると指を滑らせているだけなのに、あたしはどんどん熱を持っていく。阿久津の舌は相変わらずおへそ辺りを舐めてたけど、それすらも気持ちよく感じた。
あたしが体をよじらす度に、阿久津は入り口の少し上、女の子の弱点を突いてくる。おかしくなりそう。
「ひゃ!あ、ぁんっ!や、だっ、阿久...んん!!」
それでさらに体を動かすと、阿久津はやっと指を入り口に添えて、ゆっくりと差し込んだ。1本なのに、阿久津の太くで長い指は圧迫感が十分だった。
「うおっ、熱!」
阿久津が少し驚いて、顔を上げた。上げた顔と目があって、恥ずかしさから逃げるように目をそらした。
「こっち向けよ」
阿久津の声。トーンが笑ってて少しムカつく。なによ、余裕ぶって...
あたしがなかなか視線を合わせないと、阿久津は中に入れた指を、単純な出し入れとは違う動きをさせた。指を曲げてみたり、回してみたり。
「ああっ!!あっ!はぅ...ぁあん!!」
与えられた快感は大きくて、つい目をつぶって喘いでしまう。顔を隠そうと腕を回すと、それは両方ともあっさりと阿久津の片手に抑えられた。
「顔、隠すなよ」
32宏海×矢射子20:2006/10/23(月) 20:17:59 ID:8JPlll6P



阿久津のもう片手は激しくあたしを攻め立てる。慣れてきたのかスピードが早い。音が、気になる。
「無理...んっ!は、恥ず...かしくて、死、ぬ...ぅあ!!」
かなわないとわかっている腕力を、それでも抵抗してしまう。目を開けると、意外にも余裕のなさそうな阿久津の顔が目に入った。眉もつり上がって、息が上がってる。
あたしの視線に気付いて、阿久津はまた笑う。少しきつそうな、それでも優しい笑顔。
「見せろよ。せっかく可愛いんだから」
言われた瞬間、阿久津が何を言ったのか理解できなくて、自分が少し冷めたのがわかった。目を見開いたら、やっぱり阿久津の笑顔があって、それを見てまた赤くなった。あたしは黙ったまま阿久津の首に両腕を回して、精一杯の声で言った。
「あ、んまり...見ないでっ...よ...?」
阿久津は動きを止めて、きょとんとした表情を浮かべた。でも、すぐにあたしの胸元にキスを落として動きを再開する。
「約束しきれねえな」
33900:2006/10/23(月) 20:21:11 ID:8JPlll6P
今日はここまでです。
20にまで入ってまだ入れないのか、宏海...orz
もはや宏海が笑顔まき散らしてますが、矢射子視点と考えてください。

それでは、次は3日後に投下予定です!
だらだらと長いですが、もうしばらくお付き合いください。
あと、何か変なところがあればご指摘お願いします。
34名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 20:30:55 ID:LyE21q8k
おお…、GJです! 盛り上がって来ましたね!
3日後が待ちきれない…!!
35名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 20:52:32 ID:KsdDSBai
女あしらいに慣れてるぞナウたんw
36名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 21:29:24 ID:rB6Hn3+y
流れ豚切って悪いが前スレ>>810の宏海×温子かなりベネw
ギャグチックな掛け合いなのに萌えるってか温子可愛いよ温子
37名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 06:53:49 ID:/zC46LB+
関係ないがこの間太臓のエロ同人見たw
あると思わなかったからすげー驚いた
38名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 09:08:22 ID:g9tSHn+v
801本はあるのかね。
王子にご活躍してほしいw
39名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 10:56:05 ID:v8k0xAdI
>>37
どこで?
そしてどんな?
40名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 15:03:04 ID:/zC46LB+
>>39
太臓が宏海の体になって(なんじゃこりゃー)とか言ってたら
伊舞が現れて「おまたせ」みたいなこと言って口で茸くわえて
太臓(体は宏海)のリミッター外れて挿入「こわれちゃうよ〜」って言う伊舞に中出し
そしたらあいすまで現れて「私が来るまで我慢できなかったの?」
みたいなこと言って、茸くわえて「あいす出るっ」「いつもみたいに飲んであげるから」
(宏海なんて野郎だぁああ)で気が付くとあいすがケサばあちゃんになってて
「うわぁあああ」「どうしました王子!」という悠の眼操奴の仕業でしたってオチ

分かり難くてスマソ、携帯のサイトで読んだ
41名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 22:23:04 ID:rEkmYBho
>>40
確か「釣りキチ同盟」の新刊に収録されている漫画だな。
42名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 23:57:31 ID:IlZeFIwo
とりあえず、前スレをうめがてら雑談してはと思うんだ
43名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 19:19:11 ID:OFysbnbE
900氏へ
指摘をーとの事なので、役不足ながら前スレに書いてみました
話半分に受け取って頂ければ幸いです
44名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 22:11:10 ID:K38sX6fz
役不足とはまた偉そうだな
45名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 23:14:25 ID:/JEz4Hz2
そういうときはね、役者不足って言うんだな(´・ω・`)
役不足は、気味が意図してるのをは逆の意味なんだな。

あいすがCカップのブラをしたら、あいすは役者不足。
矢射子がCカップのブラをしたら、そのブラは役不足。
46名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 23:49:51 ID:OFysbnbE
>>44-45
すみませんでした。ありがとうございます、真逆の意味だったのですね
http://www.excite.co.jp/dictionary/japanese/?search=役不足&match=beginswith&itemid=20327900
900氏にも申し訳ない事をしてしまった
これは本気で役者不足でした、今知る事が出来て良かったです
47名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 00:22:14 ID:FSQ4/hjO
いや……もうその、逆の意味の方も定着して来てるから大丈夫だよ……
48名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 06:36:47 ID:PvDPpZow
>45
あいすがCのブラ着用ハアハア
隙間に手を入れたい…
矢射子がCのブラ着用ハアハア
ハミチチを撫でたい…
49名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 10:03:13 ID:IIixn/6w
温子はCでぴったり
翠はチョットきついと予想
50名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 23:44:58 ID:YDX15woF
『コイツ国語力無えwwwwwww』

そんな本音を億尾にも出さずに周囲の方々は彼の意図している意味を汲み取り、
さらにその人達の優しさによって、>>47は恥をかかずに今日に至っています。
51名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 01:00:09 ID:Ov4qKXqV
矢射子の側にいるから目立たないけど、吉下は胸案外ありそうだな
Cくらい希望

ス……まわるはアタッチメントでお好みのカップに変わります
52名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 21:48:23 ID:cLOf+D8O
「おくび」は漢字では「口」ヘンに「愛」。
ゲップのこと。

胸ならサマソサが割とあるんじゃないかと思ってみる。
名前からしてハーフっぽいし。
53名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 19:39:02 ID:TdB0AlPc
太臓Xまわるネタをちょっと思いついたんだけど
重要あるかな?
54名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 20:42:48 ID:InRK9OL6
みたいです
55名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 20:53:12 ID:TdB0AlPc
よっしゃ、
あんまりエロくなんないかもしれんが。期待せずにちょっと待っててくれ。
56【まわる100式@】太臓Xまわる:2006/10/30(月) 21:22:04 ID:TdB0AlPc
「なにー!!スピンがダッチワイフロボにバージョンアップしただとー!」

新作エロDVDを借りに来た太臓は「男物だけど濡れた服よりましだろ」号室で友達の変態科学者一緒から衝撃の事実を聞かされた。
偉そうにソファーにふんぞり返った一緒の隣には気のせいかいつもより胸が膨らんでいるように見えるスピンがきょとんとした顔で座っていた。

「ななななななな!か一緒!一体どうやってこの神業を成し遂げたんだ!魔法か!ドラゴンガールを使ったのか!?温子ちゃんのおっぱいをもみもみしたのか!?」
「王子、落ち着いて下さい」
ダッチワイフロボに興奮した太臓を従者の悠がとりなす。
「実はわしの友達で凡庸人型ダッチワイフの研究をしている奴がおってな」
「神が二人に!?」
「それが完成直後にマインドプログラムの故障によって本体ごと逃走してしまったそうだ」
「なんという悲劇!」
「それでそのダッチワイフのスペアボディとスピンの頭部を結合させて完全型ダッチワイフの共同制作をすることになったのだ」
「すばらしいー!宇宙史に残る偉業だぜ!」
「だが、スピンにはエロ防止装置がついているだろう」

太臓が感極まって涙を流していると悠が口を挟んだ。

「案ずるな、エロ防止装置の解除に成功したのだ。しかも孫の透瑠は今日から2泊3日の修学旅行に行っておる」
「ほほう、すると、今日から3日は邪魔が入らないということだな…」

ふっふっふっ…完全に悪役顔で不気味に笑いあう太臓と一緒を不思議そうな顔でスピンが眺めていた。


続く。
57【まわる100式2】太臓Xまわる:2006/10/30(月) 22:21:04 ID:TdB0AlPc
「ほ、ほんとに借りていいのか?肝心なところで返せって言って寸止めとかなしだぞ!」
「大丈夫だ、本来ならわしが試したいところなのだが、最近持病の腰痛が悪化してな、残念だが今回のチャンスは太臓くんに譲るとしよう」
何度も念をおす太臓に一緒はわざとらしく痛ててと腰をさする。
その様子に悠はなにかあるなと、いぶかしげな表情で見ていたが、もちろん太臓に忠告するような悠ではなかった。
「説明書は悠くんに渡してあるのでよく読んでから使ってくれ、くれぐれも壊さないでくれ、結構金がかかっているからな」
「おっけー!おっけー!やさしくするよ!つか初心者だからね!むしろやさしくして欲しい!ね!スピン!」
「あ、はい。よろしくお願いしますね太臓さん」
にっこり笑ってスピンが手を繋ぐ。そのあまりの無邪気さに逆にとまどって太臓は
「あ…いやあ…」
とおもわず赤面する。
スピンはいつものようにやさしくにこにこ笑っていた。


「ふむふむ。なるほど」
「悠!早く早く!説明書はどーなってるの!」
説明書を読む悠の周りを太臓は落ち着き無くバタバタと走り回っていた。
「王子、これはかなり良く出来たダッチワイフですよ、ありとあらゆる性技が搭載されいる上に
最初に挿入されたペニスの形状をインプリンティングし、その男性専用のダッチワイフとして一生性の奴隷となるそうです」
「一生性の奴隷!?、まーじーでー!」
「あ、でもこれはレンタル用なので返却期限日までですね2泊3日です。期限日を過ぎると延滞料金がつきます」
「電影少女!?」

続く
58【まわる100式3】太臓Xまわる:2006/10/31(火) 00:10:49 ID:kNraeLuc
「まあ、とりあえず、早めにインプリンティングしてしまいましょう。布団を敷きましたのでささどうぞ」
悠がテキパキとダイニングルームに布団を敷いて太臓とスピンを並べて横にする。
「さ、わたしにかまわずどうぞ」
「ちょっ!なんでビデオ録画してんの!」
「間界の王子の成長の記録を後世に残そうと思いまして」
「しなくていいから!悠はしばらく外に出てて!」
「わたしは別に見られてもいいですけど」
「俺がよくないの!つか立つものも立たなくなるし!」
しっ!しっ!と悠を追いだそうとする太臓の頭の上にぽよよんと暖かくてやわらかいものが乗った。
それこそがスピンのダッチワイフニューボディに搭載されているFカップのおっぱいであった。

「太臓さん、大丈夫です博士の名に恥じないようにわたし頑張りますから!インポも直してみせます!」
「よかったですね!王子!」
「いやインポじゃないし!つかおぱーい!!!!おぱーい!!」

がっちんぼー!!!!

「やはりハイパーテンションになったか」
「な、なんですあの姿?」
「気にすることはない、興奮すると男はみんなああなるものだ。お前は気にせず王子の未来のためにご奉仕するにゃん」
「にゃん!?」
「はい!スピンいきます!」
スピンは身にまとっていた衣類をルパン脱ぎで脱ぎ捨てながら太臓に飛び掛った。
「のおお!俺がふじこちゃん?いやん!だめ!でも抵抗できない!」
スピンに組みふされ幸せ絶頂に達したその時。

「あ、王子このボディはでは一時間で熱暴走を起こすと説明書にかいてありました」

終わる。

***********

とりあえずこんな感じです。くだらなくてごめんなさいorz。
一応2泊3日の予定なので続きもあるのですが…需要があれば書きます。
59名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:35:06 ID:eTU0HQ7l
GJ&禿ワロス!!そして結局見られながら本番へ?!
続きwktkして待ってます!
60【まわる100式4】太臓Xまわる:2006/10/31(火) 22:10:50 ID:kNraeLuc

「くっそー!結局昨日は熱暴走したスピンを冷却するだけで終わっちまったじゃねえか!俺の股間のオーバーヒートはどうしてくれんだ!」
「あ、王子おはようございます昨日はよく眠れましたか?」
「眠れるわけねえだろ!悠!スピンの様子はどうなってんだ!」
「先ほどようやく再起動しまして、今台所で朝食を作っております」

「あ、太臓さんおはようございます」
そこには裸エプロンのスピンが顔面に白濁した液体を浴びた姿があった。

「ギャオー!!!ススススピン!なに?なに?なんでいきなり顔射されちゃってんのー!!悠!お前まさか俺より先にスピンを味見しちゃったんじゃねえだろうな!」
「落ち着いてください。王子。あれはただ単に朝食のコールスローが顔にかかってしまっただけです」
「な、なんだー、びっくりしたー」
「どうやらダッチワイフボディだとドジっこモードになるようですな」
「太臓さん、昨日はすいませんでした!」
ダラダラとコールスローを顔から垂れ流しながらスピンはFカップバスト両腕ではさんで強調させながらなまめかしく謝った。
「いいい、いやもう、全然怒ってないよー!!」
太臓のトランセルは今や爆発寸前状態だった。
(まあいい、まだ2日もあるんだからみっちりにゃんにゃんを…!!ぐふふふふふームハー!)

「じゃあ早くご飯を食べてください遅刻しちゃいますよ」
太臓が脳内でエロシュミレーションをしている間にスピンはいつの間にか裸エプロンから普段の制服に着替えていた。
「えええ!今日は学校行かずに俺とにゃんにゃんするんじゃないのー!?」
「学校はどんなことがあっても休まずに行けって透瑠さんに言われているんです」
「しょ、しょんな…」
がっくりとうなだれた太臓の耳に悠のささやきが聞こえた。

「体育用具室で」ぼそり。

「保健室で」ぼそり。

「放課後の教室で」ぼそり。

「さあー!早くご飯食べて学校に行こう!行こう!青春時代にしか味わえないことって沢山あるからね!」


*********

なかなかエロいことになりませんが、学校編に続きます。
61【まわる100式5】太臓Xまわる:2006/10/31(火) 22:33:21 ID:kNraeLuc

そのとき悠も太臓も気づいていなかったが、
いそいそと朝食を食べている太臓を眺めながらスピンは今まで感じたことのなかった新しい感覚にとまどっていた。
(はあ…一体、どうしたんでしょう、太臓さんを見ているとドキドキしてしまいます)

説明しよう!
ダッチワイフになったスピンはきのこ形状のものに異常な関心をしめすのだ!

(これって、ひょっとして…ひょっとして…テレビドラマとかで聞いた『恋』というものなのでしょうか?)

くどいようだが説明しよう!
ダッチワイフになったスピンはきのこ形状のものに異常な関心をしめすのだ!
62名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 00:55:09 ID:OE/MImuM
・・・ごめん、一言言っていい?


俺 を 笑 い 死 に さ せ る 気 か ! ? wwwww

めちゃオモシレェw
プレッシャーになるといかんからあんまり褒めることは出来んが、頑張ってくれ!

・・・しっかし、スピンの末路って結局こういう事なんだよな・・・。
・・・めちゃくちゃ透瑠の気持ちがわかる・・・・・・。
63名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 06:01:20 ID:cRe2AaHo
やべえ、すげーワロスwww
ご奉仕するにゃんとかコネタ利いてて楽しいわw
もて王パロっぽくてイイヨイイヨー
64名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 19:37:15 ID:wLQR2nOB
宏海×矢射子&太臓×スピン続き期待
65【まわる100式6】太臓Xまわる:2006/11/01(水) 23:39:47 ID:rkhxjuOL
『そんなわけで学校編』


「じゃあ今からプリントを配るので後ろの席にまわして下さーい」

(あーかったりいな、単語テストかよ、でも最近単位足りてねえしなー)
惰眠をむさぼっていた宏海はしぶしぶ起き上がってプリントが配られるのを待っていた。
「おい、太臓、お前も起きろ!本気で留年するぞ!」
「う〜ん。はみ乳がどうしたって?」
「いや、一文字もあってねえし」
だが、前の席のスピンはなにやらぼんやりしているようで受け取ったプリントをまわしてくれない。

「おい、まわる、なにやってんだ?早くまわせよ」
「あ、は、はい!すいません。悠さんと宏海さんと太臓さんの3人でいいですか?」
「ああ…って!なんでいきなり服を脱いでんだー!!!!!」

「え…だってまわ(輪姦)すんですよね?」

説明しよう!
ダッチワイフになったスピンは日常用語はすべて猥褻単語として変換されるのだった!!


「スピンがダッチワイフロボになっただとー!!」
「2泊3日の期間限定だがな」
「もうあと2日しかねえんだよ!」

休憩時間屋上に呼び出された宏海は衝撃の事実を聞かされた。

「なんつーか…もう落ちるとこまで落ちたって感じだな、太臓」
「でもまだ全然なんにも出来てねーんだよ!せっかく学園ラブコメしようと思ったのに!」
「学園ラブコメは教室で輪姦なんかしねーだろ!」

(しかしまあ…ダッチワイフとはな、どおりで今日のスピンの身体がむちむちしてると思ったぜ、まったく、佐渡が仕事で休んでなきゃ殺されるとこだったぜ)

ちらりと宏海がスピンを見るとスピンは何故か上気したような頬をして太臓を見ていた。

(や、やっぱり太臓さんを見るとなんだかAIがドキドキします。でも、私ロボットなのに、恋なんて、一体どうしたらいいんでしょう?)
ダッチワイフになったスピンはきのこ形状のものに(
66【まわる100式7】太臓Xまわる:2006/11/02(木) 00:26:01 ID:w6UceBmY
「とにかく王子のペニスをスピンに挿入し、インプリンティングしてしまいましょう」
「えっ!今ここで?」
「はっ!私と宏海が屋上の入り口で見張っておりますので、王子はちゃっちゃとすませて下さい」
「俺たちは同級生を襲う不良グループか」

「おおおお、オーケー!!さすが悠だな!分かってるぅ!す、スピンはいいの?大丈夫?」
「はい、私はいつでもどんな場所でも対応できるように設定されています」

説明しよう!
ダッチワイフになったスピンは青姦プレイ対応なのだった!

「おいおい、いっちまったぞ、いいのか?」」
見張りに立った悠達から見えない場所に仲良く手を繋いで歩いて行く太臓とスピンを眺めながら
宏海は隣でビデオのバッテリーを交換している悠に言った。
「うむ。心配ない、スピンには初心者の方々の為の『親切ナビ』がついているから大丈夫だ」
「いや、そうじゃなくてな」

ぎゃー!!!!!

「なんだ!」
「王子の悲鳴だ!」

「違う!違う!そこは違うよ!入らないって!」
太臓の悲鳴を聞いて駆けつけた悠と宏海がみたものは
パンツを脱いだスピンが太臓の頭をインサートしようと四苦八苦している姿だった。

「す、すいません!身体が勝手に大きい方を選択してしまったようです」
「ぎゃおーん!!」

ダッチワイフになったスピンはより大きいきのこ形状のものに身体が勝手に反応してしまうのだった!
67名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 18:41:50 ID:FIiBH6kQ
宏海×矢射子
太臓×スピン
続きマダー??
68【まわる100式8】太臓Xまわる:2006/11/04(土) 19:49:26 ID:sHsa00+z
「いきなりスカルファックはいくらなんでも順序とばし過ぎじゃないの?俺ってこう見えてロマンチストだからさ、やっぱポーションは大事にしないとね!」
「シチュエーションだろ。つか10分休憩でことを済まそうってのがそもそも無理がありすぎなんだよ」
「なにを言う。王子なら2分もあれば十分だ」
「皆さん急いで、もう授業始まってしまいますよ!」

4人は次の授業の美術室に走りこむと美術教師の谷が学園祭で展示していた美術部員の作品である「巨大だるまオブジェ」を片付けている所だった。

「おお、お前らちょうどいい、すまんがこのだるまを返してくれんか」
「あ、はいどうぞ」
「ってなんでパンツ脱いでひっくり返ってんんだー!!!」

説明しよう!!
これぞダッチワイフスピンに搭載されている48手の一つ。通称「だるま返し」なのだった!!

「むはー!!いただきまーす!!!」
「させるかー!!!」

哀れ太臓は女子に殴られ星となった。

「なるか!!!」
「タフなやつめ…」
「王子次はお待ちかねの体育の授業ですよ!」
「おっしゃー!!!テンションフルチャージ!!まだまだいくよー!!」
69名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 19:32:45 ID:/FBG4nNN
宏海×あいすキボン
70名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 21:36:02 ID:jrPHvnRD
宏海あいすといえば、前スレの一番最初の方にあった作品第一号は結局保管されなかったの?
71名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 02:20:14 ID:FZUXi/os
宏海×矢射子の続きマダー?
72名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 06:46:24 ID:+ShqMvBC
続きプリーズ
73名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 10:26:55 ID:VpN1z1B1
ワロwwwwwwタwwwwwwwww
74名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 15:48:51 ID:yv/J3gr7
ユリア100式のパロかよwwwww
75名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 23:02:50 ID:w8WCEVrB
続きマダー?
76【まわる100式9】太臓Xまわる:2006/11/13(月) 00:21:12 ID:cO8eBcVF
次の体育の授業の為スピンは更衣室で体操服に着替えていた。

「あれー、なんかまわるちゃんの胸が大きくなってるみたいですけど?」
「えっ…そ…そうですか?気のせいですよ」
「やーこれは気のせいじゃないんですけど、なんか下着も気合入っちゃてるんですけど?」
「ひょっとして彼氏が出来たとか?ちょっとくやしいんですけど?」
「ち、違いますよ」

(やばいです!この身体がスペアだってバレたら学校から追い出されてしまいます!)
『ですけど娘』達から逃げてスピンは笛路紋の隣に移動した。

「すいません、紋さん隣いいですか?」
「どうぞ、あら、部井さんなんだか顔が赤いけど、大丈夫?熱でもあるんじゃない?」
「だ、大丈夫です」

そう言ったものの、スピンは実は昨日から身体の奥からこみ上げてくる衝動と戦っていた。
(な、なんだか下半身がむずむずして熱いです…潤滑液も勝手に分泌してるし…)

「ねえ、本当に大丈夫?」
熱を帯びたため息をつくスピンに紋が心配そうに声をかけた。
「あ、紋さん、質問があるんですけど、聞いてもいいですか?」
「なあに?」
「こ、恋ってどんなものか分かりますか?」
「えっ!こ、恋?」
思いもかけぬスピンの質問に綾はとまどった。
(私が好きって言ったら百手くんだけど、ひょっとして部井さんも誰かのこと好きになったのかしら?)
「はい。恋です」
スピンは真剣な顔で紋を見つめる。
「そ…そうね、まず好きになった人の顔を見るとドキドキするでしょ」
(た、太臓さんの顔を見るとドキドキします…!)
「それで、近づくと身体の奥から興奮してくるの」
(た、太臓さんに近づくと興奮します!)
「それで、ついフェロモンが分泌してしまうの」
(今の私は興奮するとフェロモンが分泌するように設定されています!やっぱり!恋!恋なんです!)

「紋さん!実は私、太臓さんに恋してしまったみたいなんです!」

「なんですって!!」


衝撃の告白に紋は全身の血の気が引くのを感じ、思わず2,3歩後ろによろめいた。。
(なんてこと…よりにもよって百手くんなんて…)
スピンは上気した顔でうっとりとしていた。
(そんな…そんな…百手くんを好きになる人なんて私以外現れないと思ってたのに…)

(いや!いやよ!百手くんは妖精さんなのよ!部井さんに百手くんの童貞をとられるくらいなら!いっそ私が…!)

(私が!百手くんを!)


「殺すしかない…」

ぼそりとつぶやかれた紋の声が皆が出て行った更衣室の奥で響いた。

**********
続くかも
77名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 00:28:00 ID:i5ZmX441
怖えぇw
78名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 04:03:49 ID:ASX/yeeP
今週の人力車での会話↓

宏海「ちょっとせめえな」
あいす「あんたが大きすぎなのよ」

って絶対アレだよね
79名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 13:53:27 ID:F5W6kkLD
>>78
最近あの二人が夫婦(しかも熟年)に見える俺ガイル
80名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 18:18:18 ID:eq4Cf5YR
今週の菱縄縛りの矢射子をみて、前スレ844のことを
思い出したのはオレだけかな?
ひょっとしたら、このスレを「亜門、キサマ見ているなッ!」かもしれんぞ。w
81名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 21:35:49 ID:gNvK/Kwd
>>76
> 部井さんに百手くんの童貞をとられるくらいなら!いっそ私が…!
> 私が!百手くんを!

ボコボコに殴りながらファックという展開になるのかと思った

紋「君がッ!イくまでッ!殴るのをやめないッ!」
宏海「もう筆おろしっていうレベルじゃねぇぞ!」
82名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 00:10:03 ID:taY73hRy
なんか今更だが、保管にある宏海×温子を読んだんだが、

>温子「最初にフェラチオをした者を尊敬する…… 毒かもしれないのにな…… ただの幸運なバカ女がたまたま飲んだら大丈夫だったのか…………? それとも………愛欲で追いつめられた必死さが切り開いた発見なのか?」

の記述で↓を思い出した。

ttp://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/mondo/m_06/m06_1.html

チャップリンってやっぱり偉大だな
83900:2006/11/16(木) 17:09:08 ID:Wh6gbzyG
3日と言いつつ、長く間を開けてすいませんでしたorz
多忙だったのもありますが、スランプに陥ってしまい、頭に浮かんでる矢射宏海が言葉にならない状態でした。
遅ればせながら>>43様、アドバイスありがとうございます! 読ませていただいたのがつい先日でしたので、次回作からアドバイスを意識させてもらいますね。

しかしこんなに間を開けてもまだ未完だったり...今週末には必ず!!
では、また投下させていただきます。
84宏海×矢射子21:2006/11/16(木) 17:10:07 ID:Wh6gbzyG
阿久津の視線が痛い。にやにやしながらあたしを見てる。あたしがキッと睨むと、わざと指を止めた。
「っ...悪趣味!!」
「怒んなよ」
阿久津はまたキスを落とす。胸元に落として、すぐに離した。
「危ね」
ちょっと焦って、それをごまかすように指を動かした。なにが危なかったのか、聞こうとした口から喘ぎが漏れる。
阿久津は今度はあたしの足の付け根に目を落として、あたしと視線を合わせない。
「ぁあ!!んん...っ、ふぁ...」
顔を見られるより恥ずかしくて、意識がそちらへいった瞬間だった。阿久津が、動かした指を一気に抜き、代わりに指を増やしてまた入れた。自分でもきついと思った2本の指は、ずぶずぶと入るとすんなりと動いた。また、顔が赤くなる。
「意外に入るもんなんだな」
口を緩めた阿久津を見て、横腹につい蹴りを入れた。なんで恥ずかしいことをあっさり言うのよ、この男は!!女の子はデリケートなのよ!
阿久津は驚いて、あたしの顔をみた後、蹴りを入れた足を見て、さらに言った。
「痛えじゃねえか」
85宏海×矢射子22:2006/11/16(木) 17:12:35 ID:Wh6gbzyG
「や、だぁ!!阿久、津!ああっ!だ...めぇ...!」
阿久津はあたしの左足を抑えるなり、そのままひざが胸につくまで持ち上げた。阿久津が指を動かす度、卑猥な音が大きく聞こえる。
たまに空いてる親指で、弱いところをぐりぐり弄る。そうされると、あたしは何にも考えられなくなって、なすがままになってしまった。
「ん、ああっ!はっ...ァんっ!!んんー!」
汗ばんだ肌に髪の毛張り付く。顔にも張り付いて、何本かは口にも入ってきた。それを直す余裕は、あたしにはなかった。
阿久津が触れた胸に刺激が走った。下からくる快感と、また違う快感。そのまま阿久津はあたしの胸を口に含んで、また弱いところばかりを舐めてくる。
阿久津の赤髪がまた視界に入って、それから荒い息が聞こえた。触れていない、あたしの胸と阿久津の額の間に、熱がこもる。
あたしが阿久津の首に腕を巻き直すと、阿久津が顔を上げて、無言で指を抜いた。
「阿久...」
「ちょっと待ってろ」
あたしの呼びかけを遮ると、阿久津は立ち上がって鞄を漁り始めた。足に、解放感。阿久津はすぐに目の前に帰ってきて、あたしの頭を撫でた。
「俺、あんま余裕ないからな」
衣擦れの音。恥ずかしくって、阿久津が何をしてるのか見れない。誘った時からの覚悟が揺るぎだした。今更だけど、怖い。でも、阿久津だから。
ぎゅっと目を瞑っていると、阿久津があたしを抱きしめた。阿久津の体は、あたしの足の間にある。
「阿久津...」
ほのかにやわらかい石鹸の香りが、熱気でしっとり湿った阿久津の肌からくる。そのギャップに少し気が紛れた。
阿久津の肌が離れたと思ったら、下半身に違和感。目を開かなくてもわかる、阿久津の存在。
よくこれって熱いとか固いとか聞くけど、全然熱くないんだ。
そんなことを思った。
86宏海×矢射子23:2006/11/16(木) 17:16:00 ID:Wh6gbzyG



「かっ...ぁ!」
ズンと阿久津が押し寄せてくる。指とは全然違う、圧迫感。ぐりぐりと腰を押し進める阿久津に、体を引くあたし。
「やっ!やぁーっ!!ぁく...いたい!」
体を引いて背中に壁が当たると、恐怖に耐えきれず涙が出てきた。腕は阿久津の肩を押し返して、口は大声で拒否を示した。
阿久津は舌打ちをすると、あたしの腰を掴んで深く突き進んできた。声も出せないぐらい、下から責め立てられる。
「...っ...ぁ...!」
声が声にならず、息だけが激しく漏れる。涙が止まらなくて、あれほど愛しいと思った阿久津が、怖くて仕方ない。
初めてって、こんなに痛いの?全然気持ちよくない。苦しい。
自分で限界なんじゃないかって思うぐらい阿久津のモノはあたしにはきつい。阿久津が勢いをつけて押し込まないと全然奥まで入ってこない。
「あくっ、つ!いた、ぃたい……やっ!うー…っ!!」
ギリギリまで抜いてから、また肌を密着させる。あたしの顔は涙とか涎とかでぐちゃぐちゃで、でもそれを気にしてる余裕なんかないぐらい痛みが浸食していた。
痛い、痛い。気持ち悪い。阿久津と一つになれてるのに、笑えないよ。
本当は幸せでいっぱいのはずなのに、阿久津に意思表示をできない。何よりも痛みが、下半身の違和感が勝っている。
「...矢射子」
阿久津が不意にあたしを引き寄せて、繋がってる部分に一際圧力がかかった後、動きが止まった。
「辛いか...?」
抱きしめられて見えない阿久津の顔。肩で息をしていて、汗がぺっとりしている。あたしは言葉に表せない思いを込めて、その肩に手をまわして力が入らないながらに抱きしめ返した。
「あ...く、つ...」
体内で阿久津が反応する。
「きゃっ!!な、な...」
ピクッと振るえた阿久津は、少し決まりの悪そうに、あたしの背中にまわしていた腕を片方外して髪をかきあげた。肩に、水滴。
87宏海×矢射子24:2006/11/16(木) 17:21:03 ID:Wh6gbzyG



「悪ィ...」
阿久津は長いキスをしてあたしの顔を見た。あたしのこぼれる涙を指先で払って、くしゃくしゃになるくらい頭を撫でた。
「...何、が?」
下半身の痛みとキスの余韻が混ざる奇妙な感覚。悪くない。
キスされてる間は、阿久津の舌の動きに意識が取られて痛みは和らいだ。その影響か、痛みも徐々に引いていく。まだ動くと痛そうだけど。
「...や。なんとなく、だな」
変な阿久津。あたしは言葉にはせず笑顔を返した。きっと冷や汗かいて、それでも赤い顔で、引きつった笑い顔なんだろうな。
大きく深呼吸をして、阿久津の手を握った。もう、怖くない。
「阿久津...」
握った手に力をこめる。汗で滑る手を、それでも必死に絡めて離れまいとした。
目をつぶってキスを求めると、阿久津はしばらくしてから唇を重ねた。絡み合う舌。熱く荒い息。
「ん、ん...」
ゆっくりと下半身に押し寄せる波。阿久津は少しずつ、じっくりと腰を動かしてあたしの様子をみてる。下がり眉の阿久津に、あたしは笑顔で応えた。
阿久津、あたし、すごい幸せ。伝わってる?
答える代わりに阿久津の動きが早くなる。さっきはあんなにきつかったのに、今は余裕すらある。恥ずかしい音も、聞こえる。
「あ!やっ、はァ!!んっ、んァぁ!!」
阿久津が攻め寄せる度、自然と声が漏れる。あたしの声と、阿久津の呼吸と、粘り気のありそうな水音。
阿久津はスピードをあげるにつれて動きにくそうに、握った手を片手だけ外してあたしの腰に添えた。
ぐんっ、と奥にまで阿久津の存在。
「んァあっ!!ふぁ...やぁ、ンっ!ぁあ!」
「矢射子...矢射子...」
「んんっ!!あっ、ア!や、あくっ!!んン!!」
阿久津の声が聞こえにくい。自分の声でかき消してるのもあるが、阿久津の声に集中できないぐらい快楽が押し寄せてきてる。
汗か涙かわからない液体が目尻から伝う。段々口数の少なくなった阿久津を意識してパッと開けた目から、今度ははっきりと涙が流れた。
開いていた左手でそれを拭おうとすると、あたしを凝視してた阿久津と目が合った。久津の声に集中できないぐらい快楽が押し寄せてきてる。
汗か涙かわからない液体が目尻から伝う。段々口数の少なくなった阿久津を意識してパッと開けた目から、今度ははっきりと涙が流れた。
開いていた左手でそれを拭おうとすると、あたしを凝視してた阿久津と目が合った。
88900:2006/11/16(木) 17:24:46 ID:Wh6gbzyG
今日はここまでです。
前置きが長かったので、頭でっかちにならないよう本番も長くしていたら...ただのダラダラした一人語りのようになってしまいましたorz
次回で終わる予定ですので、あと1回、お付き合い頂ければと思います。

原作のような笑えるネタの神が光臨されていて、とても笑わせて頂きました!続き楽しみにしています!
89名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:26:08 ID:y3ZZL95c
乙!生きてたのか!
90名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 21:36:08 ID:sNGm4xKI
乙です!
続き期待してます
91名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 11:59:26 ID:m7XINKjL
GJ

先週のあいすの風呂ネタは意外と話題になってないのな
92宏海×あいす 帰り道(エロ無し):2006/11/19(日) 22:33:25 ID:dGM0plPs

肌を刺すような寒さの帰り道

目の端に映る氷の塊を無視しつつ、宏海はあいすに目をやる
「あら、今日は一人なのね」
「帰りまであいつらと一緒でたまるか」
とりあえず歩き出す二人、他愛のない話
最初の頃から考えると有り得ない光景だなと宏海は思う
「きゃっ!」
「あぶねっ!」
突然の現れた車に引かれそうになったあいすに宏海の手が伸びる
「ったく、危ねえ車だな、前方確認ぐらいしろよ」
「ハァハァ・・助かったわ」「気にすんな、それにしてもお前も女らしい声だすんだな」
ハハハと笑う宏海だったが、黙ったあいすに怒らせたかと危機感が襲う
「あの、そういう意味じゃなくてだな」
「・・・手」
「ん?・・あっ、悪い」
宏海はあいすの手を握りっぱなしだったことに気付き離そうとするが
「冷たいわね」
「ん・・まぁ、冬だからな」
あいすは特に気にした様子でもない
「雪人ってのは暖かい手してるんだな」
「あんたの手が冷たすぎるのよ」
「手・・いいのか?冷たいだろ」
「気持いいぐらいよ、さっきのお礼に少し繋いでてあげる」
こういうのが周りから誤解される理由なんだろうと宏海は考える
そういえば身内以外の異性と手を繋ぐのは初めてじゃないか?と
宏海は妙に照れ臭くなってきた、だがあいすにそんな様子は微塵も感じられず
俺一人恥ずかしがって馬鹿みたいじゃねーか!と心で嘆く
「手に汗かいてるようだけど、暑いの?」
「ぃ・・いや」
一瞬ドキッとさせられるが急いで平常心に努める
「誰かに見られたらまた誤解されちまうなと思ってさ」
「・・・そうね」
そのまま暫く沈黙が続き、また他愛のない話が始まる

冷たい風が痛くも、心地良い帰り道だった

「・・・矢射子、装甲!」

おわり
93名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 08:11:04 ID:wunFTiQA
>>92
GJ!
あいすといる宏海は普通の高校生っぽくていいな
次あればエロありも期待します
94名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 21:47:08 ID:tUFUQ6+x
>>92
良い♪本誌でもこんな雰囲気だよね。
95名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 17:33:03 ID:AuZIN4fw
絵板消えた?
96宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 22:59:12 ID:FjtMLusB
「宏海がさらわれたー!!?」
宏海がいた空間には一枚の紙切れ。内容は阿久津宏海は預かった、とのことだった。
「宏海のヤツ、さらわれたとかいってこの隙に女子部屋でにゃんにゃんしようとしてるに違いない!!女子たちが心配だ!今俺が助けに行くよっ!!」
一瞬の妄想で頭から湯気を出しながら暴走する太臓をあいすの氷がしとめる。
「まだやられ足りないのかしら」
丘や有籐もこれは仕方ないというように、学級委員の暴力を容認した。
「宏海はあんたみたいな変態ほど落ちぶれてないわ。心配するなら我が身を気遣いなさい」
あいすの手にはすでに見慣れた氷の凶器。悠は「旅の思い出です」とその様子をカメラに収め始めた。
「ちょ!悠!!助けっ!!」
「一応夜中なんだから、ほかの生徒が起きないようにな」
丘はそれだけ言うと、その場を有籐に任せて再び見回りに行った。

「あれ…お姉さまは?」
静かになった女子部屋で夕利が辺りを見回しながら言った。
「…お手洗いかなぁ…」



「おい、大丈夫か?」
ぐいぐいと袖を引っ張られながらも、自分を引っ張る人間を心配する宏海。太臓とグルとして教師に怒られるより、こっちについてきた方が楽だと踏んだ行動だった。「そんな歩いて平気なのか?」
宏海の前を歩くは巨乳元生徒会長。昼間に出した大量の鼻血のせいか、足元はまだ少しふらついていた。
本来矢射子が泊まるべき部屋まで来ると、矢射子は左右を見回して周りを注意してから部屋へ入った。
(邪魔はついてきてないわよね…)
続いて宏海を部屋へ招き入れ、部屋の鍵をかけた。
矢射子の部屋は女子部屋や男子部屋と同じく和室で、少し狭い一人用の部屋だった。すでに布団が一組だけ引いてあり、小さなテーブルが部屋の隅に追いやられている。
「なんだよ、話って」
テーブルと一緒に部屋の隅に置かれた座椅子を進められ、宏海は座った。その様子を見てから、宏海を正面から見るように矢射子も布団に座り込んだ。
(今日こそ告白、今日こそ告白)
二人きりというシチュエーションに顔を赤らめつつ、緊張からか不振な動きをとる矢射子。もじもじと布団をいじっていたかと思うと急に頭を抱えて突っ伏した。
「お、おい…」
あからさまに宏海は困っていた。いきなり話があると呼ばれたと思ったら部屋に誘われ、いざ本題となると挙動不審な動きを始めた目の前の生徒会長の思考が読めなかったからだ。
97宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:00:42 ID:FjtMLusB
「お前、こんなとこにいていいのか?女子部屋なら一口もいるのに」
その空気にいたたまれず、宏海から話を切りだした。矢射子が夕利を好きだと思いこんでいたので、宏海なりに気遣いを含んだ言葉だった。
「一口が…一口がなんだって言うのよー!!」
突然立ち上がった矢射子からビンタがとぶ。それは見事に宏海の頬に決まり、宏海を驚かせた。
「いてェ!!何しやがる!」
「あ、阿久津がデリカシーないこと言うからじゃない!!」
叩かれた頬を拭って、宏海は矢射子を見た。赤くなった顔に涙を浮かべた瞳。普段強気な矢射子がそんな表情を浮かべていることに、宏海は罪悪感を感じずにはいられなかった。
「…悪ィ」
そんな矢射子を直視できず、目を背けたまま宏海が謝る。
(こいつ、そんなに一口のこと…)
(あたしが好きなのは阿久津なのに…)
宏海は矢射子が突然でた夕利の名前に反応し、照れ隠しで暴力に出たと解釈した。矢射子はまだ勘違いされている夕利とのことを言われ、ついかっとなって手が出てしまったのだ。
「あ、あのね…阿久津に話があるって言うのは…」
やっと矢射子から話が切り出される。
(一口とのことか…?)
(今日こそ告白。今日こそ…)
宏海は次の言葉を待った。だがそれはなかなか出なかった。
(やっぱり…無理っ!!)
「あんた、今度は先生に手を出そうとしたようね!!元とはいえど生徒会長!!そんな輩はほっとけないわ!!」
矢射子はそう叫ぶと、テーブルの上にあった木刀を素早くとり宏海に向かって突きつけた。
(やーん!やっぱり言えない!!)



「やれやれ、見てられないな」
宏海が木刀を押さえ込もうとした、ちょうどそのときだった。ベランダからビデオを構えた悠が声を発した。
「なっ…!!」
「悠!お前、太臓は…?」
矢射子が驚きの声を上げ、宏海はその隙に木刀を取り上げた。
「ああっ!!」
「危なかったな、宏海。王子はあいすによって説教中だ。よく考えたらいつもと変わらんからな。」
「たしかに日常的だな」
宏海は立ち上がって悠に近づき、矢射子から離れていく。
(また…邪魔が…)
矢射子の目から涙がこぼれ、布団を濡らした。悠はその様子を見て、ポケットから1本のテープを取り出した。
「宏海をルリーダたちに貸してやろうと思ったんだが気が変わった。こっちの方が面白い」
「人を勝手に売るな!!ったく…なんだ、このテープ?」
98宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:02:24 ID:FjtMLusB
悠は同じポケットから続いてハンディカメラを取り出した。
(四次元ポケットか!!?)
「予備のカメラを貸してやるからすぐに見ろ。愉快なものが入っている」
放心している矢射子に悠が近づき、薄いCDケースを差し出した。
「邪魔をして悪かったな」
ケースを受け取ろうとしない矢射子に、悠は無表情のまま、やれやれとケースを宏海に託した。
『宏海メモリアル vol.2』
水着やハロウィンの格好をした宏海が花とともに散りばめられたそのケースは、受け取り様に本人によって割られた。
「何の嫌がらせだ、てめェ!!?」
「心ばかりの手土産だ。遠慮するな」
「願い下げだ、バカヤロウ!!!」
悠が再びビデオを回し始め、画面ごしに宏海に話しかけた。
「修学旅行の夜は意外に短いものだ。時間は有効に使わねばな」
その言葉を言い終えると同時にベランダから悠の姿が消える。さすがに素早いな、と宏海は姿を追うこともしなかった。


「矢射…」
「ちょっと、頭冷やしてくるわ…いい!?ここにいなさいよ!!」
ものすごい剣幕で宏海をにらんだ後、矢射子は上着を持って部屋を出ていった。
(別に逃げやしねえが…)
ものすごい剣幕で宏海をにらんだ後、矢射子は上着を持って部屋を出ていった。
(別に逃げやしねえが…)
あまりの剣幕につい言葉を失った宏海は、無言のままのそのそと悠から預かったビデオにテープを入れ、小さな画面に目を向けた。
(どうせ悠が撮ったろくでもねぇもんなんだろうな)
テープはしばらくの沈黙の後、画面をだんだん薄紅色に染め、そこに白地の文字が浮かんだ。
『宏海メモリアル〜いつもあなたを見ています〜』
パタンっ
宏海はビデオの画面を勢いよく閉じた。
(あいつ…ホントにろくでもねぇ!!でも、あのサブタイは…?)
自分のビデオを見るという嫌悪感と、サブタイトルの醸し出す好奇心が宏海の中で交わる。
(だー!!もう今更だ!)
再びビデオの画面を静かに開き、停止していた画面を動かす。
(これはプール…これは図書館…運動会…ハロウィン…)
いつのまに撮られていたのかはわからないが、とにかく最近の宏海の姿が画面一杯に映し出される。そして後ろには、自分の姿を追う矢射子の姿。たまにズームにされる矢射子は顔を赤らめたり、あいすといる画面では悪魔の様に顔を歪めていた。
そして最後の画面は宏海と矢射子が合体した日の様子だった。
99宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:09:14 ID:FjtMLusB
画面は一の持っていたTシャツのアップで一度止まり、また動き出した。
(風呂場まで撮りやがって…)
父親の乱入画面がバックステージから映し出される。その画面に映る自分は矢射子の体をしていた。
(そういや……)
事故とはいえ触ってしまった矢射子の体。その柔らかい感触が宏海の手の中に思い出された。
(…くそっ…)

「ふー…」
矢射子は廊下を歩きながらもそもそと上着を着る。先ほどまでの体の火照りは嘘のように引いてしまっていた。
(また言えなかった…邪魔も入っちゃったし…)
風呂場へと通じる廊下にある窓から月を眺めるように、矢射子は立ち尽くした。
(でも、邪魔が入らなかったら…)
矢射子の想像しうる限り、よい方向へは向きそうもないことは確かだった。悠の乱入はある意味では矢射子にとって助け船になったのだった。
(これは…まだいけるのかな)
宏海が言うことを聞いていれば、まだ自分の部屋にいる。まだ時間も十分にある。
(…まだ…まだいけるわ!!)
矢射子は髪を結わき直して部屋へと戻り始めた。



「阿久津宏海ー!!」
バァンと開いたドアから勢いよく矢射子が入ってきた。
(でェーー!!!?)まさかこんなに早く矢射子が帰ってくると思いもしなかった宏海は、まだビデオを開いたまま左手に持っていた。 画面はちょうどテープが終わって黒くなるところだった。
(危ねェ!!)
なんとなく自分が何を見ていたのか知られたくなかった宏海はこの絶妙なタイミングに感謝をした。少なくとも一瞬は。
「は、早かったな…」
『ダンダンダンダーン!!!』
宏海が矢射子に顔を向けた瞬間、ビデオからけたたましいファンファーレが鳴り響く。
「「何だ!?」」
二人が声をそろえて画面をのぞき込んだ。画面には見覚えのある赤と黒の髪が写り、その後手、首周りのリボンが映る。そして顔が映り、そこを中心にズームアウトされ、とまった。
『俺を 食・べ・て』
レース付きのリボンと生クリームを身にまとっただけの少し顔の違うの宏海が画面上から出した声は確かに本人のものだった。
「「……!!!」」
二人の時間が止まった。
「ナーーーーウ!!」
宏海が目を飛び出させながらハンディカメラを床に叩きつける横で、布団が赤に染まっていく。それに気づいた宏海が矢射子の方へ振り向いた。
「ぬぁーーー!!!?」
100宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:16:13 ID:FjtMLusB
振り向いた先には矢射子の姿はなく、斜め後ろから放射線状に弧を描いて飛び散る大量の血が宏海の目に入る。
(なんか見たことあるー!!)
昼間とほとんど同じ状況が再現される。宏海は急いで血まみれの矢射子を起きあがらせ、止血を試みる。
(こいつ…出血多量で死なねェか!?)
(ダメよ、矢射子…また阿久津の前なのに…)
図書館で想い人本人から言われた鼻血キャラは矢射子にとって解いておきたい誤解の一つだった。
「だ…大丈夫よ…」
「いや!血ィ垂れてるから!!」
矢射子の血は顔や布団に留まらず、二人の衣服も緋色に染めていく。
(やっ!あ、阿久津の服が…)
血が跳ねた宏海の服に気がつくと、矢射子は勢いにまかせて鼻を啜った。
「おい!!ばか!」
「なっ…かはっ!!」
「うわっ!!!」
むせた矢射子は咳と同時に大量の血を吐き出す。その後、血は止まった。
「もぉ…いい年して口から盛大に吹いちゃったよ」
真っ赤に染まった口元に笑みを浮かべながら、矢射子は洗面所からタオルを持ってきて何より先に宏海の服を拭いた。二人の距離が縮まる。
(やべぇ…)
先ほどビデオを見たときに感じた、女としての矢射子を意識してしまう。宏海は矢射子の胸元にいく視線を無理矢理そらした。
(あのビデオってやっぱり…)
「―阿久津?」
「うぉっ!?な、なんだ!!?」
「そ…そんな驚かないでよ。こっちが驚くじゃない!!」
矢射子はやっと自分の口周りについた血を拭い出す。あれほど出血したというのに、きれいなピンク色をした唇が姿を表す。宏海の視線は意識とともにそこに止められた。
「あ、阿久津が悪いんだからねっ!!」
「んあ?」
矢射子はもはや自分の服を拭うのは諦め、布団も同様に手をつけようとはしなかった。
「阿久津が…あんなビデオ見てるからっ…」
「あれは…!!」
自分で思い出しても気持ちの悪い映像が頭の中をよぎる。宏海は矢射子の肩に手をかけてうなだれた。
「頼むから触れないでくれ…」
宏海からはこの世の終わりのようなオーラが漂う。
(このままじゃ告白どころじゃないわ…!)
矢射子は肩に置かれた宏海の手を震える指で掴んだ。宏海の体がびくっと揺れる。宏海が顔をあげるのを見計らって、深呼吸を一つしてから用意した言葉を言い始めた。
「あたしは、どんな阿久津だって…阿久津だって……」
(好き!好きって、たった二文字言えばいいのよ、矢射子!!)
101宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:21:59 ID:FjtMLusB
矢射子の肩から離された握り合った手は二人の距離の真ん中に置かれた。矢射子の顔がどんどん赤くなる。
(頑張るのよ、矢射子!!)
矢射子の頭から湯気が出て、口がぱくぱくして。目の前で見ている宏海もつい緊張してしまう状況だった。
(まさかこれって…)
先ほどのビデオで感じた矢射子の気持ちを目の当たりにして思い出す。信じられないが、そう考えると全てがつながってしまった。
(こいつ、どう考えても…)
「あの、ね…だからぁ……」
矢射子の手を握る力が強くなる。その手には汗をかき、小刻みに震えていた。その様子をみた宏海はふっと笑って手を離した。
(ここからは男の役目か)
「あっ!!」
紅潮した矢射子が離された手を追おうと顔あげると、優しい目をした宏海と目があった。
「え?」


「あ、阿久津っ!!離して!!」
「お前がイヤなら離す」
突然抱きしめられた矢射子は宏海の考えが読めなかった。まさに夢のような展開だったのだ。
(ど、どうしたのよ!阿久津ー!?)
「矢射子…お前、好きな奴いるんだよな?」
矢射子の体が、宏海の腕の中で跳ねる。
「乾じゃなくて」
「あ、当たり前じゃない!!違うわよ!」
矢射子には宏海の、宏海には矢射子の心拍が伝わってくる。飛び出すんじゃないかと疑うほど早い鼓動。
「一口は?」
「だから誤解だって!!…言ってるじゃゃない…」
(あたしが好きなのは…)
続く言葉は出てくれなかった。代わりに心にもないことがどんどん口を衝いてでてくる。腕は宏海を突き飛ばしていた。
「もうあんた、何考えてるのかわからないのよ!!あたしのこと惑わすばっかりで、全然気持ちに気づいてくれなくて…佐渡さんとは仲良くしてるし、太臓はくっついてるし…何なのよ、もう!!!」
矢射子の瞳に涙が浮かぶ。宏海は自笑ともとれる笑みを浮かべた。
「…関わりたくないってか?」
「そうよ!!悪魔付きの男なんか…願い下げだわ!!!」
はぁ、と息をついて矢射子は言葉を止めた。後悔がすぐに胸の奥からこみ上げてくる。目を閉じて耳をふさぎたかった。
(…あたし、何言ってるのよ!!告白どころか…最悪じゃない…)

「俺は好きだけど。お前のこと」

「好きだ」

宏海の口から、それは確かに発せられた。真っ直ぐ矢射子の顔を見据えて、真剣な顔で伝えられた。
102宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:23:18 ID:FjtMLusB
宏海の視線を捕らえた矢射子の頬に一筋の涙が伝う。衝動に堪えきれず体が前に出て、宏海に抱きつく。
「どうして人の言いたかったこと、先に言っちゃうのよ」
ふえーんと泣き声をあげながら宏海の胸にうずくまる矢射子の背中を優しくなでながら、宏海は矢射子の長い髪の毛を触った。
「先手必勝だな」
「遅すぎるわっ」
ギュッと矢射子の体を抱きしめると、宏海の鼻腔にかすかな桃の香り。
「お前、いい匂いするな」
「やっ、ちょっ…ゃん…阿久津ー」
宏海はうなじに鼻を近づけ、そのまま鎖骨に移動させ上目遣いになる形で矢射子をとらえた。頬から顎に伝わった矢射子の涙を舐めあげると、矢射子は顔を真っ赤にして何もいえなくなっていた。
そんな矢射子を可愛く思い、固まったままの彼女の頬にキスをした。
(やべェ…とまんねぇかも)
潤んだ瞳で宏海を見上げる矢射子が、自然にその瞳を閉じた。普段強気の矢射子からは遠くかけ離れた、少女の矢射子が宏海の目の前にいた。


(うわっ…これ、本当に矢射子か?)
肌をピンク色に紅潮させ艶やかな雰囲気を醸し出している目の前の少女に戸惑いながらも、宏海は唇を重ねた。
(また…桃の香り…)
(阿久津…)
目を閉じたまま、互いをもっと求めようと唇の角度を変え、それでもまだもの足りずに舌を絡め合う。時々矢射子が苦しそうに声をあげ、それでも離すことはしなかった。
(気持ちいい…)
心地よさに矢射子がとろけそうになり、眠気すら覚えたところでようやく宏海の唇が離れた。離れるのを惜しむように銀色の糸がつーっと引いた。
「悪ィ、とまんねぇ」
キスの余韻に浸る矢射子を、血まみれの布団を敢えて避け、畳の上に押し倒した。矢射子の反応も見ずに真っ赤になった服の胸元を開ける。
「痛っ!ぁ、阿久津…ぁん!」
「血が染みちまってる…落とさなきゃな」
そういうと宏海は、矢射子の鎖骨から胸にかけての血が滲み固まっている場所を舐めあげていった。いちいち反応のある矢射子が、そのたびに赤く染まる肌が愛しくてたまらなかった。
「あっ!ん、んン!!…あぁん!」
たまに触れるぴんと立った頂から刺激が走る。体を捩らせて矯声をあげる矢射子の姿はひどく官能的だった。
「矢射子…」
宏海が満足した口調でつぶやいた。手はだんだんと下の方へ向かい、衣服を着実に脱がしている。
『阿久津宏海』
103宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/23(木) 23:29:46 ID:FjtMLusB
突然、はっきりとした口調で名前を呼ばれ、つい「何だ?」と返事をしてしまったのが間違いだった。
顔を上げるより早く、ものすごい風に吸い込まれる。宏海は慌てて矢射子の体を抱きしめ、覚悟を決めた。
(ちくしょーー!!!)
宏海は自分の浅はかさを恨みつつ、ドッペルゲンガーの口へ吸い込まれてゆく。呆然とする矢射子が腕の中で宏海を抱きしめ返した。



「くそー、宏海の奴!勝手にいなくなりやがって!おかげであいすにオレが悪いみたいに思われたじゃねーか!!」
「王子。あれは照れ隠しですよ」
「はっ!!まさかあれか!"太臓にパジャマ見られちゃった…初夜まで見せるつもりじゃなかったのに"ていう照れ隠しなのかぁ!!?くそ、乙女心読み損ねた!!」
やっとあいすの拷問から解放され、氷も溶けて自由になった太臓はトイレに行くついでに宏海を探していた。何事もなかったかのように、その横には悠の姿。
「用も足したし、めんどくさいから召還するか!」
ズボンを下げたまま宏海を召還する。悠はいそいそとビデオを太臓のアスタリスクゲートに合わせ回し始めた。
「来たぁ!!!」
目映い光とともにアスタリスクゲートから生まれた一つの影。
104宏海×矢射子 ねたばれあり:2006/11/24(金) 00:11:07 ID:U2ZdviR9
「ナーーーウ!!!」
光の霧が晴れる前に、めり込むほどの蹴りが太臓の顔に決まった。
「ムーミン!?てっTシャツ一枚!!?」
顔をへこませて転がった太臓が普段では想像できない早さで起きあがる。召還した人物の姿を定めるとその胸に飛び込んでまた殴られた。
「近づんじゃねぇ」
床に叩きつけられた太臓にさらに蹴りが入る。太臓が助けを求めようと顔を上げた瞬間、そのまま力つきた。
「宏海。なかなかの勇姿だぞ」
「あぁ?おわーー!!!!」
視線に入る萎えた太臓とは裏腹に、雄々しくそびえる宏海のモノがただでさえギリギリでそれを隠しているTシャツを持ち上げていた。それを下からモロに見てしまった太臓が萎えるのは当然のことだった。
(あ…阿久津のが…!…あれ?また合体してるー!!!)
(やべぇ、さっきので…)
合体した矢射子と宏海の顔が真っ赤になる。
(や…やだ!!)
矢射子は先ほど与えられた刺激のためにすっかり硬くなってしまった胸の突起がTシャツを着ていても露わになり、それを隠そうと手で胸を覆った。
その場をどうにかしようと宏海は下半身の熱を抑えようとするが、手に押しつけられたGカップの胸が先ほどの様子を思い出させそれすらままならなかった。
(ここは……)
「走れ!!!」
萎えている太臓をさらに踏み台にしてから矢射宏海は走り出した。その走り去る姿を悠のビデオが記録していた。
「生き残りカップルか」
悠はカバンから杉音に借りたいつぞやのモニターをとりだす。しばらくして姿を表した矢射宏海の姿に満足してモニターを閉めた。
(素晴らしき眼×操奴の力。まぁ、元々好意がなければあそこまでかからんが)
「王子、修学旅行の夜はまだ終わっていませんよ。むしろこれからです」
干からびている太臓に声をかけた。
105900:2006/11/24(金) 00:17:23 ID:U2ZdviR9
次週の展開を予想。 妄想で不完全燃焼だが悔いはない。
単行本派の人にはねたばれと思ったので一応ねたばれ表記をしたが、不快に感じた人がいたら申し訳ない。
宏海の告白シーンとか…なんのパロかわかる人いるのかな。

それでは、また宏海×矢射子の続きの執筆に戻ります。
106名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 01:33:15 ID:fVWJheVj
こ、これは…。やっと矢射子の想いが通じたかと思ったら、こんなオチがw
GJでした!

前回の続きもお待ちしてますよ。
107名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 18:52:00 ID:VH3IFypn
ケータィから保管庫見たら文字ばけしてたorz
108名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 08:40:42 ID:ihBT7Xy3
超々GJ! 宏海も男らしくてイイ!
いっそ来週のネタがこっちだったらまだ後味良かったのに。
自分も前回の続き待ってるぞ。
109名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 11:58:55 ID:dMzPHf5K
>ここからは男の役目か

この台詞良かった! いい加減、原作の空回りっぷりがじれったくて。
110名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 17:41:56 ID:dbGWGh8g
まあでも、くっついたら連載が終わってしまうおそれが・・・
111名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 19:38:53 ID:jvTJ+6u6
どうせもう虫の息なので、せめて読者をスッキリさせて終わってくれ。
いっそ玉砕でもいいから。
112名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 22:08:54 ID:1t9foIdw
単行本派だからわからんけどそんなに読者投票危ないの?毎週一番最後?
113名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 00:17:16 ID:4Cn8e7vN
毎週生死の境をさまよっている感じ

だけどしぶとさが売りの大亜門だからきっと・・・!
114名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 23:35:50 ID:x11bjcs7
続きマダー?
115名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 22:33:07 ID:HhRv5q2m
宏海×矢射子の続きを待ってる。
ところで、倉庫番さんは予定通り今月お帰りになるのかな?
116名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 00:20:45 ID:xtrkLpqZ
よくぞ連載が続いてくれた
117名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 22:14:58 ID:jp5cU0f7
保守しとく
118名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 21:25:54 ID:tyNf8/F0
5巻、面白かった。表紙&表紙裏の矢射子も良かったし。
宏海×矢射子の続き、早く読みたい。
119名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 02:27:43 ID:Ui30rAF4
絵板のほうだが何があったんだ?
まんまんの直接描写はNGってこと?
120名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 14:20:12 ID:qu7dVurc
>119
レンタル元管理人さんからお叱りがきちゃったね。
絵がいくつか削除されてる。
成人向けでも法的にアウトってどこらへんからなんだろう。

121名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 22:37:04 ID:a//maPNL
なんか絵板見てないんでよくわからんが
修正いれれば取り敢えずおkなんじゃね?
122名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 00:00:26 ID:jOCwC09A
保管庫管理人さんそろそろ更新してくれないかな
123名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 01:43:25 ID:DGBZeF9h
宏海あいすって難しいよな、組み合わせ的には一番好きなんだけど
そういう関係になるまでの過程がなかなか
124名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 23:01:00 ID:67kyM4xZ
宏海×あいすも好きだけど、
今一番興味があるのは宏海×伊舞
しかしこちらもそこに至るまでの道のりが長く険しいw
125名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 19:30:21 ID:rXN+KFo6
いいなぁ
126名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 02:15:37 ID:1GBLt6iT
管理人さん更新乙
127:2006/12/15(金) 20:07:32 ID:+SbOAl2o
悠あいがッ!投下されるまで!上げるのをッ!やめないッ!
128名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:14:19 ID:2GqMk0iB
宏海⇔あいす
   ↑
    伊舞
なんていう夢の3Pは・・・・
129名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 11:42:25 ID:jDZUWkBh
>>127
agoになってるぞw
130名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 15:49:00 ID:dKsUMJ3H
真白木とあいすのエロパロって読み手いないのかな。
131名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 17:19:34 ID:u743+//C
>>130
それはつまりあいすが女王様、真白木がM奴隷というのを書くという事か?
132名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 20:09:33 ID:3Vqbq+0z
妄想あいすなら簡単なんだが…
133名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 21:00:03 ID:f4oO+JzE
>>130
>真白木とあいすのエロパロ
需要、あります!
134名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 14:52:12 ID:aABSrim2
今週のコスプレネタで、宏海×温子を…
135【SとM】佐渡と真白木@:2006/12/18(月) 15:16:03 ID:SXdQ7c3S
とりあえず自己満足で真白木とあいすの話を投下させて頂く。


いつもいつも 毎度の様にあいすのストーキングをする真白木。そしてそれは当然ながら彼女の怒りに火を付ける結果になる。その度に真白木はキツイ仕打を食らう事になるが、ただ今日はいつもと少し違った。

ピタリ、とあいすが立ち止まったかと思えば振り向き真白木に言った。
「あんた、毎度毎度懲りないわね。そんなに私について行きたいんならちょっと来なさい。」
あいすからの誘いを真白木が断わる訳がない。
(あいすちゃんが俺について来いってもしかして愛の告白!!?日頃の想いが通じたのか!!とっ、とうとうあいすちゃんがオレに…)
勝手な期待と妄想を膨らませ、あいすに言われるがままついて行った真白木。
136【SとM】佐渡と真白木A:2006/12/18(月) 15:20:40 ID:SXdQ7c3S
あいすに連れられ着いた場所は保健室。キョロキョロと人がいないのを確認しあいすは静かにカチャリと鍵を掛けた。

「座って。」
「あっ、うん!」
(誰もいない保健室にオレとあいすちゃん2人きり…)
淡い期待を抱く真白木にあいすから首輪が掛けられた。
「? あいすちゃん、これは……」
「いいから次は黙って上を脱ぎなさい。」
「え!?」
急な展開に驚きを隠せず戸惑う真白木にあいすの鋭い目が睨みつける。
「早く。」
「うっ、うん。」
上服を脱ぎ捨てその逞しい体を露にする、しかし期待は捨てない真白木。ドキドキしながらあいすを見る。
「…じゃあ次は四つん這いになりなさい。」「こ こう?」
動揺しながらも四つん這いになる真白木。あいすの言うことには忠実である。
「そう、それでいいの。」
137名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 17:32:46 ID:ycSiUGBm
真白木×あいすって新鮮!
続きが気になる。
138【SとM】佐渡と真白木B:2006/12/18(月) 21:15:28 ID:SXdQ7c3S
そう言ったあいすの手に握られていたのは首輪に繋がる鎖と、木刀。
「それは……」

━━━バシンッ

「アッつぁ!!」
静寂を割るように音が響く。その逞しい背中にはじわじわと赤が浮かんだ。
「あいすちゃん急に何を…」

━パンッ ビシッ ビシッ バチィッ

「ぅが! うっ!あっ! がっ!!」
あいすは手にした木刀でビシバシと真白木を打ちつけていく。
「痛い!ちょっ、痛いよあいすちゃん!」
「……痛い?」
あいすがピクリと眉間にシワをよせたかと思うと真白木の背中に木刀をつきつけた。
「あまりにもしつこいストーカーバカに、ほんの少し征伐を与えてるだけよ。」
「せいばいって…この首輪は……」
「それ? ちょっと気が引けたけど…元生徒会長から借りたの。バカにはお似合いよ。」(あいすちゃんもしかしてSM趣味でもあるのかな…)
139135:2006/12/19(火) 00:57:43 ID:MFeMtOX0
すみません、今の今まで間違えていました。
×木刀→○竹刀
@―Bは頭の中で直して頂けると幸いです。木刀でどつかれたら本気で痛いわ、パンパン音鳴らない。
140名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 21:14:55 ID:4zSfJ5cp
真白木さんが幸せならそれでいい…
141【SとM】佐渡と真白木C:2006/12/19(火) 23:40:24 ID:MFeMtOX0
困惑する真白木の表情を見てあいすは少し笑った。冷たい手が真白木の首をなぞったと思えばまた竹刀を振りかざした。シパンという音をたて竹刀は真白木を襲う。

「うわああぁっ!」
「あら 背中がもう真っ赤なのね。…!」
しかし真白木の体の変化は背中だけでは無かった。ズボンの下、股間部が微かに膨らみ初めていた。
その変化にあいすが気付くのもそう時間は掛らなかった。
「な、に……」
(あ゛──────俺のトランセルの馬鹿!!)
「あ あいすちゃん…これは」
「変態。」
あいすは真白木をまるで汚い物を見るような目で睨んだ。
「叩かれて勃起するなんて マゾ。」
「なっ!あいすちゃん誤解だっ… ぐぇっ」
首輪に繋がれていた鎖の存在をすっかり忘れていた、鎖で引っ張られた真白木の体は正面を向きソレをあいすに晒す形になった。
「そう、これでも誤解?」
「う…」

━ぐにっ
「はうっ」
「こ れ で も ?」
「あ あいすちゃんソコはっ…」
あいすが膨らんだソレをぐりぐりと踏みつけると、真白木は満更でもなく悦な表情を浮かべた。

142宏海×矢射子 25:2006/12/20(水) 04:39:15 ID:T01QEalC



あたしは顔に伸ばす左手を止めて、阿久津の唇へと進路を変えた。阿久津が何か言おうとしたのを察したからだ。
あたしの涙を見て心配そうな表情を浮かべる阿久津に、あたしは笑って言った。

き も ち い い

その声は自分でも聞き取れないぐらい小さくて、後にでた喘ぎ声ですぐにかき消される。それでも阿久津はあたしをきつく抱きしめて、腰の速度を速めていった。
「あっ!ぅあっ、ァん!!ん...んー!!」
恐怖を含んだ、経験したことのない波が押し寄せる。こんなに気持ちいいのは初めてで、それなのに涙は止まらなくて、阿久津が抱きしめてくれなかったらきっと、あたしは声をあげて泣いただろう。
「はっ、ぁア!ん...あっ!!ふ、あぁ!」
「怖くねえから」
耳元で阿久津の声。それを聞いた時、何か張りつめていたものが切れた。
「んっあァ!!あくっつぅぅ!ぅ...うぁああァア!!!」

頭が真っ白になる。
脳天に雷が落ちたみたいに何かが突き抜けて、ふっと体から力が抜けた。力と一緒に意識もどこかへ消えて、あたしにその先の記憶はない。
でも阿久津の声が聞こえたような、そうじゃないような。
143宏海×矢射子 26:2006/12/20(水) 04:40:47 ID:T01QEalC



阿久津に頬を叩かれて目がさめた。結局心配させちゃったみたい。
「あたし...?」
「失神したみてえだ...無理矢理やっちまって悪かったな」
まだ朦朧とする頭は軽い頭痛をも引き起こして、あたしに現実を知らせる。
「...夢じゃなかったのね...」
「...夢がよかったのか?」
「まさか!!!」
あたしの即座のツッコミに、意地悪に笑う阿久津。夢がよかったなんて、思うわけないじゃない。
「あの...阿久津は...?」
「ん?」
「夢のほうが...よかった?」
つい顔をまっすぐ見れずに背けてしまう。コツンと小突かれて顔をあげると阿久津と目があった。そのまま、キス。
「気持ちよかったのはお前だけじゃねえからよ」
その言葉を聞いて、顔が爆発しそうだった。抑える代わりに阿久津の胸に顔をうずめた。
「ん?」
「ドキドキしてる」
伝わる阿久津の心音が、心地よいメロディみたいに感じた。すごく安心できる、あたしだけのメロディ。
「阿久津は...?」
「何だ?」
「あの、その...イ、イけた...?」
顔を見てなんてとても聞けずに、顔をあげさそうとする阿久津に対して抱きついて反抗した。阿久津はすぐに諦めて、あたしの髪をいじり始めた。
「やっぱ初めてで一緒になんかイけねぇんだな」
阿久津が指を通した髪が束になって元に戻る。その繰り返し。
「......」
「ああ、イってねぇわけじゃねえからな。一緒にってのが無理だっただけだ」
阿久津はあたしの頭をなだめるように撫でてから、手に余るぐらいの髪をとった。
「そっか、よかった...て、何してるのよ?」
阿久津はたまに痛いぐらいに髪を引っ張って、のそのそとなれない手つきで髪をいじっていた。
「いや、たまには別の髪型とかな」
視界の隅に入ったのは、あの阿久津の太い指が四苦八苦しながら三つ編みを結っているところだった。やり方がわからないらしく、すぐに解けていく。
「髪おろしてるのもいいな」
諦めた阿久津が指を離すと、あたしの髪は名残も残さずに元に戻った。空気をうけて、阿久津の指の感触も流れる。
これからは髪型に変化をつけよう。そう思った。
144宏海×矢射子 27:2006/12/20(水) 04:42:56 ID:T01QEalC



いつまでも裸じゃなんだからと、干しておいた下着を手に取った。それはすでに乾いて、不快な感触は感じなかった。
あたしが下着を履くのを見て、阿久津も下着とズボンだけを履きなおしていた。改めて見る阿久津の体は整っていて、とても頼もしかった。
あたしがシャツに手を伸ばすと、阿久津に後ろからひっぱられ抱きしめられた。伸ばした手は宙をかいた。
「阿久津?」
「や、もったいねえと思って」
阿久津はあたしの胸に手をあてて、感触を味わうようにじっくり揉んだ。下着の上からなのに、阿久津の手の中で形を変える自分の胸がひどく艶めかしい。
「...変態」
「その変態とあんなことしたのはどいつだろうな」
「...ドイツ人」
「そうくるか」
阿久津の右手が胸から離れ、あたしのあごに添えられる。導かれるように振り向くと、阿久津がキスをしてきた。触れるだけなのに、長くてあったかいキス。
「キス魔」
「うるせえ」
チッと舌打ちをした阿久津が照れているのがわかる。あたしと目が合うとまた舌打ちをして目をそらし、黙らせるようにまたキスをした。
「誰にでもするわけじゃねえからな」
「じゃぁ、誰にならするの?」
体を阿久津に向けて、無意識ながら胸を押しつけながら聞いた。阿久津の視線があたしの顔と胸を交差する。
阿久津が体を引いて、半ばあたしが押し倒すような形になってしまった。阿久津は顔をそらして腕で顔を覆った。
145宏海×矢射子 28:2006/12/20(水) 04:44:54 ID:T01QEalC



「あんたこそ」
「え?」
「誰とでもすんのか?」
目を合わせない阿久津の言葉が、重たい雰囲気を作り出す。沈黙を作り出したのはあたしなんだけども。
「違っ...あたしは...」
あんなことはできたのに、それでも告白をするのはためらわれた。ただ一言言うだけなのに、口が言葉を紡がない。
「あたしは...」
泣きそうになるのを堪えることしかできないあたしの手を、阿久津がそっと包んだ。驚いて阿久津を見ると、体勢のせいか若干睨むように阿久津がまっすぐあたしを見据えていた。
「阿久津...」

ボスンっ

いきなりした音に驚いて体が震えた。音のした方に目を向けると、阿久津が入ってきたきり少し開いていたふすまの前に黒髪の人物。メガネをしてるけど、どことなく誰かに似て...
「ぅ...ううぁぁあああああっ!!!!!」
そのおじさんはいきなり狂ったような悲鳴をあげて、すごい汗をかき始めた。目は焦点があってないしかきむしったせいで髪がぼさぼさになっている。
「こ、ここ宏海ーーー!!」
おじさんは口から衝撃波でも出す勢いで阿久津を呼んだ。肝心の阿久津は頭を抱え込んでうなだれている。あたしはどうしようもなく、困った目つきで阿久津を見ることしかできない。
「とと父さんのい、いない間あいだにぃ!!ななななっ!!」
額から滴る汗が、先ほどの音の正体のカバンを濡らしている。ワイシャツはもう透けるほど湿っている。
ああ、やっぱりお父さんですよね。
「そそそんな淫乱にー!!!目を覚ませ!覚ますんだ宏海ー!!」
あたしを指さしながら阿久津のお父さんは怒りで顔を真っ赤にしていた。確かに今の体勢は、あたしが阿久津を押し倒してるようにみえるかもしれない。でも淫乱って...
「こらァー!!売女!!よりにもよってうちの...俺の宏海にぃー!!!」
「うるせえ!」
146宏海×矢射子 29:2006/12/20(水) 04:47:54 ID:T01QEalC



阿久津が怒鳴った。あたしも驚くぐらい唐突で、怒りが伝わってくる声だった。もちろん阿久津のお父さんも目をパチパチさせながら驚いている。
「矢射子、服着ろ」
阿久津があたしの腕を引っ張って立ち上がらせる。後ろの視線を気にしておどおどしていたあたしに、服をとって渡してくれた。阿久津は自分が脱いだランニングじゃなく、あたしが着ていた黒のシャツを着なおした。
阿久津に急かされて慌てて服を着る。教科書の入った重い鞄は何も言わずに阿久津が持ってくれた。
「ま、待ちなさい!宏海!!!そんな女っ...!」
「俺が連れ込んだんだよ」
その一言で十分だったらしく、阿久津のお父さんは力なく座り込んだ。阿久津があたしの腕を引っ張って、そのお父さんの横を通って玄関へと向かう。あたしはただ引かれるままについていくだけだった。
阿久津は無言のまま靴を履き、あたしの手をとって家を出た。後ろから阿久津のお父さんのすすり泣きが聞こえた。
「男なんて...大事に育ててもすぐに他の女にとられるんだなぁ...宏海は...宏海はそんなことないと思っていたのに......いつまでも父さんと一緒に寄り添ってくれると...うっ!」
いや、聞こえなかったことにした。
147宏海×矢射子 30:2006/12/20(水) 04:50:58 ID:T01QEalC



阿久津は階段を降りてしばらくしてからやっと話し出した。でもそれは顔の合わせることのない会話だった。
「悪かったな」
前を行く阿久津の背中を眺めて、あたしは答えた。
「気にしてないわ。愛されてる証拠なんじゃない?」
ちょっと尋常じゃないけど、と思ったがそれは口にしなかった。阿久津の足が速くなる。
「いらねえな」
「そう」
阿久津の返事に深追いはしなかった。お父さんがあんな人だったら、あたしも不良になるかもしれない。
「阿久津って」
「なんだ?」
「不良なのよね」
本人に確認するものではないだろうけど、つい口にでてしまった。正直、あたしは全くそう感じてはいないのだけど。
「いろいろ言われてっからな。否定はしねえ」
やっと振り向いた阿久津は苦笑いととれる笑みを浮かべた。風が阿久津の髪を揺らす。そしてあたしの気持ちも。
「阿久津っ...!」
ガッと阿久津の手をとり、両手で握りしめた。少し前のめりになるほど勢いをつけたせいで上目遣いになりながら阿久津の顔をみた。
「不良と生徒会長って、よく聞くわよね!!?いいと思わない!?」
「ん?あ、ああ」
「だから...あの、あああんたは不良なんでしょ?で、あ、あたしは」
「生徒会長」
最初はあたしの気迫に圧されていた阿久津があたしの言葉を奪って笑った。そんな幼かったっけと思わせるぐらい、にこやかに笑った。
「そういうことだろ?」
真っ赤になった顔から湯気がでそうだった。さっきキスしたときより、抱きしめてもらったときより、一番ドキドキしてる。
148宏海×矢射子 31:2006/12/20(水) 04:54:04 ID:T01QEalC



あんまりにも阿久津がかっこいいから。あんまりにも阿久津のことが大好きだから。我慢なんかできるわけないじゃない。
「そういうことよ」
つかんだ腕を引っ張って、目の高さちょっと上まで屈んだ阿久津にキスをした。憧れの爪先立ちで、なんて。
それは一瞬だったけど、あたしたちを熱くするには十分だった。あたしはなにかが込み上げてきて、涙がこぼれるのを止められなかった。
「で、でも...あ阿久津が、不良だからっ...てわけじゃ、ない からっ...」
阿久津は少し人目を気にして、それでもあたしの肩を抱いて落ち着かせてくれた。あたしに合わせるように少し屈んで。
「わかりやすく言ってくれるか?」
肩を優しく叩きながら阿久津が言う。その言葉を聞くのを期待しているような、確信が持てていないような、そんな口振りで。
あたしは少し怒りそうになって、抑えた。手の甲で涙を拭って、阿久津の顔をまっすぐ見た。あたしだって、言いたいから。
「...あたしの理想は、阿久津宏海」
昔好きだった男子を思い出して、心の中で苦笑した。悔しいけど、太臓のせいで誰ともつき合えなかった今までの人生を、少し、少しだけ嬉しく思った。
だって、あたしの初めての告白を阿久津にできるんだから!
俯きたいのを堪えつつ、阿久津の手を握って最後まで言った。ものすごい小声で。
「大好き、です...」
阿久津の顔がほんのり赤くなる。あたしはいろいろなことが頭に浮かんでパニック寸前だった。なんで年下に敬語使ったのよ!告白マジック!!?
「あー...」
阿久津はむずがゆそうに頭をかきながら、少し考えている風に黙り、言った。
「俺でいいのか?」
なだめるようなその口調は、皮肉混じりの優しいだ感じだった。でも、あたしがそれを聞いてまっさきにしたことは、阿久津を睨むことだった。
「っ〜〜!阿久津じゃないとイヤなのよ!!」
半ばヤケになって叫んだ。女の子にここまで言わせるなんて、どれだけ鈍いんだ。まあ、そんなところも愛しくてたまらないんだけど。
また泣きそうになるのを唇を噛みしめて我慢した。阿久津の返事をちゃんと聞くまでは泣けない。
「阿久津...」
「宏海」
「え?」
普段は見せないような真剣な顔の阿久津から、あたしに対して視線がそそがれる。
「宏海でいい」
きっと今のあたしはまぬけな顔をしてるに違いない。
149宏海×矢射子 ラスト:2006/12/20(水) 04:54:57 ID:T01QEalC
「こ...う、み?」
言葉を理解するように一文字一文字が頭の中にゆっくり現れる。口に出しても上手く言えない、特別な三文字。
「それって、どういう意味よ?」
「そういうことだ」
「わかりやすく言って」
阿久津は息を深く吸って、ため息をはいた。抱かれた肩が阿久津の方へ引き寄せられる。
「断る理由なんかねえんだよ」

阿久津の家に忘れた桃のリボンに、お経のように阿久津のお父さんからの呪いの手紙が書いてあったのは気にしないことにした。一番大切なものを頂いたんだから。
『ようするに思春期ってことだ』
150900:2006/12/20(水) 04:58:42 ID:T01QEalC
大変長引かせた割に尻すぼみ...というか蛇足が多く、自分の未熟さを知る作品になってしまいました。こんな作品を待ってくれていた方々、本当にありがとうございます!!

ではまた名無しに戻ります。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
151名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 17:00:43 ID:tAkYzbic
桃のリボンに呪いの手紙吹いたw
152名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 17:01:43 ID:eTJZnWeh
完結編、キタ〜!
三つ編み矢射子、宏海父乱入、爪先立ちキスに告白と、
盛り沢山で楽しめました。
153名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 15:19:10 ID:5RGXjYsG
乙です!
十分すぎるほど楽しめました!
154名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 22:47:35 ID:mSh28aki
宏海矢射子神 乙!!
エロだけでなく親父まで出すとはwwwwwwwwww
盛り沢山だった!!
155名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 21:20:23 ID:Ulr6bauW
GJ!!
矢射子もいじらしくて乙女だけど、
宏海が気配りが細やかな上に頼もしくていいね。
156名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 00:10:41 ID:ihQntfVk
まぁ阿久津がいい
157名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 13:02:31 ID:OAGdgBeu
宏海×矢射子よかったよ
またいつかよろしく
158名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 23:30:09 ID:JvzleyAE
宏海×矢射子乙でした!
真白木さんはあれからどうなったのかな…
159【SとM】佐渡と真白木D:2006/12/26(火) 19:55:18 ID:rMN2ZHlA
宏海×矢射子乙でした!全体的に矢射子が可愛いらしい。
コチラも少しばかり続き投下させてもらいます。
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(あっ…あいすちゃんの可愛いさはァァァァァァァァアアア世界一ィィィイイイイ)
足で性器を踏まれる事に快感を得てはあいすになら何をされても良いと改めて認識するのであった。

「あっ…あいすちゃぁ〜〜ん」
━バシッ
再びあいすからの竹刀が炸裂した。
「気持ち悪いわ 不愉快よ。」
(HEEEEYYYY あァァァんまりだァァァァ)
ショックを受ける真白木とは裏腹にあいすは更に続けて言った。
「身分をわきまえなさい。」
「…… み 身分。」
真白木を睨みつけるその表情は、サディストな雰囲気を漂わせていた。
「そのー あいすちゃんがいわゆるSってヤツで、オレがMって事になるのかな。ハハハ」
━バシッ ビシッ バチィッ
「ばぁう!!」
真白木は今日で何度目になるか分からない竹刀をまた食らった。背中の赤はじわじわとその数を増やし、痛々しい物になりつつあった。
160【SとM】佐渡と真白木E:2006/12/26(火) 19:58:27 ID:rMN2ZHlA


「なんでSMで例えるのよ。まだ間違っちゃいないからこんな物で済ましたわ。」
「うぅ… 他になんて例えが……」
「例えなんていらないわ、答えは明確だから。」
その顔はサディスティックな笑顔に満ち溢れている。彼女の本能が活きてる様な顔だ。
竹刀の先を真白木の鼻先まで突きつけ言った。
「アンタは私にとって物でしかないの。」
「もの…」
「そもそも人として扱ってないわ。」
「そっか……」
珍しく真白木が暗い表情を見せた。その表情を無視し、あいすの話は続く。
「でも物としての所有権は私が握ってる。現に、こうして。」
繋がれた鎖をピンピンと引っ張りソレを表した。
「他の誰にも渡さない。誰もアンタなんて欲しがりなんかしないでしょうけど。」
真白木の暗い表情が一変して明るい物に変わった。
「…あいすちゃん!」
「勘違いしないで。アンタのストーカーには怒りを通り越して飽きれてる位だから。」
「オッ、オレ あいすちゃんの事 絶対幸せにするから!」
(やっぱりいつも通り氷浸けにすればよかったかしら。)
遅れながらもあいすは少し後悔した。
161名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 07:01:06 ID:cncOAyJ2
真白木×あいす乙!!
162宏海×矢射子+α 1:2006/12/28(木) 10:53:05 ID:svCz3f/b
名無しに戻って1週間弱ですが、今週の話からまた妄…想像させていただきます。 単行本派の方には一部ネタバレとなるのでご注意ください。


宏海×矢射子+α 翠視点です。
またしても長くなりそうな雰囲気ぷんぷんですが御了承くださいorz

*以下より本文に入ります




**********

悠様はいつも変態王子に付きっきり。究極の面白なんて求めないで私を求めてくれればいいのに。
悠様が王子の補習に付き添って、休みのはずの学校にいる。赤毛君も連れてきてるみたいだし、変なことしないか見張ってなくちゃ!
赤毛君はさすがに休みの日まで勉強をする気はないらしく、悠様のいる教室を離れて体育館裏の木陰で横になって居眠りでもしようかとしている。
もちろん私は愛しの悠様を見て、隙があれば襲う気満々だったけど、その悠様がこれほど興味を持つ実界人の赤毛君を今日は観察することにした。
赤毛君でを知ることは悠様を知ること!悠様に近づくためなんだから!
赤毛君はとくに変わった様子もなくぼんやりと空を見つめたまま動かない。眠いというよりは退屈をしてる顔だった。
「ん〜、ただ見てるだけっていうのもアレよね。何考えてるのかしら」
元々尾行で距離があり、あまりよく見えないターゲットの顔。思考なんか読みとれない。
「赤毛君の本音でも聞こうかしら。ガンシーンリキン!」
「プライバシーも何もないタマ」
黙ってなさいと精子を押し込み、赤毛君へ魔法をかける。赤毛君は気づいていないようで相変わらずぼーっとしていた。
「さぁー、悠様が興味を持つ実界人の内情事情が明らかに!!」
耳を澄ますと聞こえる、少し鈍い赤毛君の声。ああん、部活中の野球部がうるさいわ。
(かったりー…何で休みの日まで学校なんざ…)
「キタわキタわ、本当に男専門なのかしら」
「翠タマは少し常識を身につけた方がいいタマ」
赤毛君は殆ど何も考えていないようで、入ってくる声から得られた情報はゲームのことや昔の思い出ばかりだった。
「悠様にあれだけ好かれておきながら自分は考えもしないのね。どれだけ愛されてる自信があるのかしら」
「全く興味がないっていう考え方もあるタマ」
「そうかしら…ん、あれは?」
私と反対側の校舎の影からチラチラとこちらを見る人影を見つけた。いや、赤毛君を見る、の間違いね。
163宏海×矢射子+α 2:2006/12/28(木) 10:55:43 ID:svCz3f/b
「いつぞやの討魔師じゃない。そういえば、悠様、あの子にも興味あるような素振りしてたわね」
忘れもしない去年の暮れ。間界人のパーティのときに悠様が『かわいいと思うか』と聞いていた人物だ。その後すぐに制裁はしたけども女っていうのは怖いからね。
「問答無用!!ガンシーンリキン!!」
心が読める相手には承太郎だって手こずるんだから。赤毛君と同じ魔法を討魔師の巨乳女にかけると、すぐにうるさいぐらいの独り言が入ってきた。
(ああああ阿久津ー!!?学校は休みなのに何でいるのよ!!ラ、ラッキーなのかしら? あーん、声かけるべき??かけるべき??)
なんか私に問われてるみたいですごく困るわ、この子。そういえば赤毛君に恋してるんだっけ。じゃあ安心かしら。
「いや、むしろこの子と赤毛君をくっつければ、赤毛君は悠様から離れるんじゃ...!」
「前にその作戦が失敗したのを忘れたタマ?」
「ちゃんと作戦があるのよ!!ムクムクって思いついたわ」
うるさい討魔師と片や静かな赤毛君の内心を聞きながら、校舎を大きくまわって反対側へ移動する。近づく前にわざと草むらで音を立てて討魔師に存在を知らせた。驚かせて声だされたら終わりだからね。
「魔女!」
「そう構えないでよ。がさつな女は嫌われるわよ、特に赤毛の男には」
「なっ…!!」
(赤毛って…阿久津のこと!!?)
勇ましい討魔師が折れるのも時間の問題ね。恋心ってものは何よりも強いんだから。
「ちょっとお話しない?」
164宏海×矢射子+α 3:2006/12/28(木) 10:58:57 ID:svCz3f/b


「あ、阿久津がそんなこと!!?」
「ええ。普通にしてれば好いてもらえるんじゃない?まあ討魔師に普通なんて無理かしらね」
「翠タマも普通を語れないタマ」
場所を教室に移して、赤毛君に聞こえないように会話を始めた。始めてすぐ私の頭の中は劣等感でいっぱいになった。悔しいけどこの子の方が胸が大きいみたい…いやらしい子!
「翠タマ!」
精子の声で我に返る。いやだ、討魔師に変な目で見られてる…なんか腹立たしいわ。
「…いい!?ここまで教えてあげたんだからあなたには絶対赤毛くんとくっついてもらわなきゃ困るのよ!!」
「くっつ…!!」
こんな言葉ぐらいで赤くなるなんてやりにくいわ!!伊舞よりも純情なんじゃないの?
精子がやたら温かい視線を彼女に送っているのを横目に、私は本人に気づかれないように彼女に魔法をかけた。
「ムービレイト」
熱くなってもすぐに暴走しない魔法を。

私が勧めるままに体育館裏に戻ると、赤毛君はまだその場所にいた。討魔師の体温が上がるのが空気でわかる。
(ああ、寝顔が…)
あんなゴツい男の寝顔なんかより、悠様の寝顔の方がよっぽどオカズになるわ。
「ほら、あくまで普通によ。ふ・つ・う」
どんっと彼女の背をステッキで押した。今日私と会った記憶を無くすためにね。私に見られてるってわかってたら、見られちゃいけないあんなことやこんなことに踏み切れないでしょうからね。
「私ってば親切よね」
「完璧な出歯亀になっただけタマ」
まぁ精子はおいといて。

「あ、阿久津…」
返事を期待せずに名前を呼んだのが声でわかった。その期待はあっさり裏切られたけれど。
あんな強気な女があそこまで自信なさげに振る舞うなんて。そんなに赤毛君って魅力的かしら?
「ん…矢射子か?」
赤毛君はすぐに上体を起こして巨乳女の顔を確認すると、さらに体を立たせてこちらへ近づいてきた。いや、彼女の方へ、ね。
「休みの日にどうしたんだ?」
「あ、あたしは入試結果を報告しに…」
(ああああ阿久津の匂いが…こんな、近くにっ!!!ああ、アドレナリンが…!!)
「ああ、どうだったんだ?」
少し不安気な表情を浮かべる赤毛君に対して、討魔師は大分ひきつった笑顔を返した。
「第1志望は…ね。第2で受かったわ」顔を曇らせるのも当然だったみたいね。悠様の近くにもちらほら見受けられるほど勉強から離れてたこともあるみたいだし、正直受かるなんて誰も思ってなかったんじゃないかしら。
165宏海×矢射子+α 4:2006/12/28(木) 11:01:50 ID:svCz3f/b
それでも赤毛君は素直に笑顔を返した。
「そっか!よかったじゃねえか!!」
(どきんっ)
「う、うん…」
赤毛君の笑顔を見た瞬間の討魔師のトキメキが魔法を通して私にも伝わった。いや、伝わっている。
赤毛君からは本当によかったと言う気持ちが伝わった。なんかこれ、いい雰囲気なんじゃないの?
「なんか悔しいわ。ぶち壊してやろうかしら」
「最初の作戦はどこいったタマ!!」
「ちっ…わ、わかってるわよ!!これも悠様を手に入れるためよね」
精子になだめられ、赤毛と討魔師の間に割って入りたくなるのを堪えつつ、二人の背中を見守った。
「あ、あのもし暇なら生徒会室に来ない? お、お茶ぐらいあるから…」
真っ赤になりながら赤毛君を誘う姿は確かに可愛らしいと思う。実界人の女の武器は恥じらいってところかしら。
「恥じらいぐらい私にだって…」
「それは翠タマから最も遠い言葉タマ」
はい、精子はおいといて。
赤毛君は何も顔色を変えず、少し空を見てから返事をした。
「邪魔じゃねえなら誘われるかな。まだ外で寝るには寒ぃからよ」
(熱い茶でも飲みながら矢射子と話してたら退屈はしなさそうだな。悠たちに付き合うよりよっぽどマシだ)
討魔師はさらに顔を赤くして、無言で校舎へと足を進めた。赤毛君はちょっと驚いて、それでも素直にその後ろについていった。
「なんで何も話さないタマ?」
「赤毛君が『寝る』なんて言うから意識してるみたいよ。そっちしか頭にないのかしら」
「翠タマが言えたセリフじゃないタマ」
「そんなことよりあの赤毛!!悠様よりあの子の方がいいって言うの!!? 許せないわ…」
「作戦としてはいいことタマ」
二人を先回りして生徒会室の隣の部屋の壁ににマジックミラーのような魔法をかけた。こちらからは見えるけどあちらからは見えないってやつ。まぁ、私の魔法なんだから、向こう側は壁のままなんだけどね。
悠様のため…その思いだけがこの苛立ちを抑えられるの。そうじゃなかったら何好き好んで人の恋路の応援なんて…!
「翠タマ、恐ろしい顔になってるタマよ」
166名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 11:09:18 ID:svCz3f/b
本日はここまでです。前作よりはさくさく進む予定です、はい。
前書きに書き忘れましたが、この話は矢射子の受験の終わった頃(2月〜3月)の話と思ってください。どちらかと言えばバレンタインの方がネタにしやすそうですが…そこはスルーでお願いしますorz

あいすと真白木さんのお話、ところどころにジョジョが交えてあってGJです!! 続きを楽しみにさせていただいてます!
167名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 11:18:34 ID:1UmNfIys
リアルタイム来た―! またまたGJです!!
原作さながらの精子の突っ込み(「やたら温かい視線」も…)、イイ!
>熱くなってもすぐに暴走しない魔法
これもいいアイディアだなあ…。

翠視点の宏海×矢射子も、真白木さん×あいすも、続きをお待ちしてます!
168名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 11:40:54 ID:OUB/klEk
宏海×矢射子GJGJ!!
全裸で続きを待つ。

真白木×あいす職人様もGJ!!
モノ扱いされて嬉しそうな真白木さんにときめいた俺はどうしたらいいんだwww
169名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 20:19:21 ID:eUeehETy
前スレ900氏頑張りすぎだろwww
170名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 01:02:40 ID:w5DTMa8P
あけおめ
今年も良質のエロパロをよろしく!
171名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 15:14:18 ID:uy2j2vEj
続きまだー?
172名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 19:57:32 ID:r1sLuPkJ
翠×矢射子

悪くない… 決して悪くない組み合わせだ…
173名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 01:34:39 ID:XbThKG84
>>172
なぜ俺が書き込んでいるッ!?
174名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 04:49:27 ID:AnMu6rzx
>>172
あれ?
俺いつのまに書き込んだのかな真白木さん
175名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:30:58 ID:2BPQArDk
続きマダー?
176名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:38:03 ID:yCf2zPTh
その悶々を文章にするんですよ真白木さん!!
177駄犬:2007/01/09(火) 20:50:53 ID:oP43He0j
矢射子×宏海が一番好きですね〜。あっ!すいません。自分ここ初めてです。どうぞよろしくお願いします!
178名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 02:51:46 ID:mEAs2Q3F
>>177
よろしくね^^
矢射子×宏海って事は・・・矢射子の妄想バージョンですか?
179駄犬:2007/01/10(水) 19:44:57 ID:uHoh3QAo
はい。いろんな組み合わせがあるけれど自分はそれが一番好きだな〜
180名無し様:2007/01/10(水) 20:25:20 ID:uHoh3QAo
矢射子のマンコに宏海ちんこがズプッと挿入 そして最後は精子を矢射子に注入〜〜〜
181名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:10:10 ID:egdA8zO3
>>180
ウホッ、いいID…
182名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 13:29:18 ID:R/4NrJfX
精子だと!?あの丸い玉ごと精子(しょうこ)たんを挿入するのかと思ってしまったぞ!
183名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:00:35 ID:ISKopW2e
逃げてー!精子たん逃げてー!
184名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 18:48:56 ID:PjScJWxY
がはは!逃げても無駄じゃぁ〜!挿入したるでー!!!
185名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:06:58 ID:JpSjqOwC
つーかおたまじゃくしって人間の膣圧に耐えられるのか?
186名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 07:07:32 ID:YA+zELfB
もしかしたら腟内でオタマジャクシがカエルになって股間から出て来たりして…
そりゃないよね
187名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 07:24:46 ID:4ysu8ict
こじろう死ねorzバシバシ
ttp://www.livly.com/mypage.php?uid=28Yz&s=5
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5337740

● 名 前 ふ み (女性)
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=6643637
● 名 前 なんちゃって 美弥 (女性)
現住所 宮崎県
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=3993695
● 名 前 ☆ どさ兄 ☆ (男性)
現住所 北海道上川郡
誕生日 10月11日
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=5955770
● 名 前 田頭 隆司 (男性)
現住所 大阪府大阪市
誕生日 10月13日
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=4408722
● 名 前 ゆに☆彡 多代 (女性)
現住所 大阪府大阪市
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● 名 前 こ じろう (男性)
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● 名 前 にこ りん坊 (女性)
現住所 埼玉県
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● 名 前 とう ちゃん (男性)
ttp://mixi.jp/show_friend.pl?id=4619639
188名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 19:12:35 ID:crmbEinZ
>>186
どこまで栄養源豊富な愛液なんだよww
189名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 19:27:45 ID:hS4BzWAN
いい
190名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:37:45 ID:oNp2Ou/8
宏「うっ!出る!!」矢「来て!宏海!奥深くに出して〜!」
ドピュ ドピュ ドピュ宏「くぁぁ…」
矢「ああぁぁぁ…」
191名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 21:00:52 ID:6tbBMFlD
という淫夢を見ている矢というわけだな!
192名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 13:18:55 ID:5naBGnu9
温子分補給をお願いしたいんですがかまいませんね!
193名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 15:47:10 ID:17C749fr
温子って胸デカいよね何カップくらいかな?
194名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:03:50 ID:N0gDFGxM
C〜Eくらいじゃない?
195名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:12:44 ID:6DHbN3q2
何このスレきんもーっ☆
196名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 07:24:11 ID:u23D/X8Z
真白木さんが肝いのは当たり前だろうが
197名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 11:11:28 ID:JbaPTINy
温子の胸の大きさより、胸の形をほめたい。
ところで星形なのは乳輪だけ?乳首も?
198名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 18:04:36 ID:mjbFfFz3
あいすの台詞からすると乳輪だけだ思われ
199名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:48:58 ID:UzufWqGH
さすがに星型乳首はキツいッスwwwwwサーセンwwwwww
200名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 00:46:03 ID:Uk66bqga
マヨネーズのチューブみたいで
可愛いジャマイカ

星型乳首
201名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 15:46:18 ID:HhneavAx
宏海×矢射子の続きキボン。
飢えすぎてコミックス五冊揃えてしまった。
202名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 17:54:08 ID:K8r/0RDI
俺も続きが見たいww
203名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 19:17:26 ID:EB1ImgtQ
5冊?
204名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 22:13:42 ID:K8r/0RDI
同じものを?
205:2007/01/25(木) 22:24:00 ID:ecdV4Vtt
保存用、飾り用、読書用、予備×2
じゃね?
206名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 07:05:02 ID:uykTxvVe
そうかぁww
207名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 23:45:10 ID:K22EVRwB
あげげげ
208名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 00:05:08 ID:YTdnnVVR
保存用と予備って一緒じゃね?
209名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 07:25:52 ID:XQCRYNAT
いや、予備ってのは保存用、展示用、読書用のいずれかに欠損が生じた時にそれを補うためのものだろう。
予備があれば読書用を紛失したりするような事があっても、保存用や展示用を持ち出さずに済む。
210名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 10:53:10 ID:EXDFxzZF
あんた……詳しいわね!
211名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 20:25:21 ID:Z/IU12mk
何のための保存?
212名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 20:17:31 ID:zHfqTrB4
それもそうだね、んじゃ貸し出し・布教用って事で。
213名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 11:44:36 ID:0Hl05VXW
エロリップ×ブラ孔雀まだ?
214名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 08:55:43 ID:A3GI/KOe
矢射子X宏海まだぁ〜
215名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 21:02:13 ID:wpTbgYh8
過疎ってるな…

つーかまとめの初代管理人は帰ってきてるのか?
もう既に半年以上経ってるが…
216名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 21:08:18 ID:6JWykOf2
>>215
予定では、年末頃にお帰りになるということだったよね。

宏海×矢射子も、真白木×あいすも、丸一ヶ月たっちゃったね。
職人さんを急かしてはいけないと我慢してたけど、待ち遠しいよ…。
217宏海×矢射子+α 5:2007/02/08(木) 05:01:30 ID:+9AJ7r8g


「す、座ってて」
「ああ、悪ィな」
声も姿も心の中まで丸見えな二人が生徒会室に入ってきた。赤毛君は討魔師のことよりも他のことに気を取られていた。
(生徒会室…ちゃんと入ったのは初めてだな。あんときは太臓がバカやっててそれどころじゃなかったし)
その後に彼が思い出した内容はあまりにも彼女が不幸すぎたからあわてて魔法で忘れさせた。何も二人きりのときにウンコまみれを思い出さなくてもいいじゃない!!
「まったく!なんていう思考回路してるのかしら」
「誰のせいでそうなったか忘れたタマ?」
ああ、そういえば私もウンコまみれにされたんだわ…おまけに悠様にそんな趣味はなかったみたいだし、踏んだり蹴ったりだったわね。
「頑張れ翠、頑張れ翠……私は限界だー…」
「あっ!翠たま!!」
精子の声でぼんやりとした意識を二人へ戻す。なんか目を離した隙にいい感じになってるじゃない!!
218宏海×矢射子+α 6:2007/02/08(木) 05:02:11 ID:+9AJ7r8g


「悪い!大丈夫か!!?」
「あ、こここれぐらい平気よ!」
寄り添って手を握りあってる様に見えるのは気のせいじゃないわよね。ああん、肝心なところ撮り損ねたわ!! エキセントリックになってる場合じゃないわね。
「何があったの?」
「赤毛がお茶をこぼしたんだタマ。それが討魔師の手にかかって火傷したみたいタマね」
「ロクなことしないわね、赤毛の奴」
「翠たまに言われたら終わりタマ」
慌てて赤毛君が手をとって、巨乳女の指を水に浸す。真っ赤になってるじゃない、普段平気じゃないわよ。
「あ、阿久津…大丈夫だからっ」
好きな男に手をとられて、必死に手を離そうと討魔師がもがく。
「好きな男に触られたんだからそのまま色んなところ触らせちゃえばいいのに」
「翠たまの考えは特殊タマ」
それでも赤毛君は手を離す気配はなく、黙って彼女の指を見ていた。自分の手も冷たくなるのを気にもせずに。
「…ちょっとかっこいいタマね」
「そうかしら?あんなの他の男にもできるわよ」
水の流れる音だけが部屋に響いている。各々心の中は騒がしくなってるみたいだけどね。
(何やってんだオレは!? 女に傷負わせちまって…)
(ああああ阿久津、阿久津と、手、手!!)
…あの討魔師には同情はいらないみたいね。そんなに肉体的接触を求めてるなら後押ししてあげようかしら。
「ねえ、精子。赤毛君に薬でも盛ってあの子襲わせてもいいかしら」
「そんなことだめタマ!!後押しどころか犯罪タマよ!!」
私の中のダァクな部分がふつふつとわき出てくるのがわかる。告白なんて生温い!既成事実を作っちゃえばいいのよね。
精子の制止も聞かずにステッキを振りかざそうとした時だった。
219宏海×矢射子+α 7:2007/02/08(木) 05:03:36 ID:+9AJ7r8g

「それは困る」
突然背後からした声に、驚きよりも喜びを感じた。だってこの声は…
「悠様!!」
悠様が私に会いに来てくれた!やん、それどころか心の中まで見透かされちゃってるっ。もうっ、悠様ったら!!
「全部口にでてるタマ」
「邪魔しないで、精子!!」
私を真っ直ぐに見る悠様の鋭い目…ああん、視姦されたい!
「悠様がやめろって言うなら私は何もしません。あ、これ悠様が喜ぶと思ってちゃんと録画してますから!」
ずっとステッキのカメラから録画していた画像の一部を壁に映すと、悠様は口だけで笑みを作った。やだ!!悠様の笑顔…
「さすがよくわかっているな。だがオレが求めているのは宏海自身の意志で行動することだ。余計な手は出すな」
悠様の体が私に近づいて…
「えっ…」
唇に触れるだけのキス。一瞬だったけど、確かに悠様が私に…
自分でわかるぐらい血液が顔に集まってる。何よ、こんなの私じゃないわ…こんな、キス、ぐらいで…
「上手くいったら褒美をやろう。たまにはオマエの願いを聞いてやる。ジャスト1分、いい夢見れたか?」
はっと気づくと悠様はいなかった。また夢見せられたみたい。夢…夢よね、やっぱり。
「翠たま?」
精子がうなだれた私を心配してる。悠様への思いで潰されそうな私を。
「悠様のためならこの翠!…夢のためでも頑張ります!!」
220900:2007/02/08(木) 05:08:07 ID:+9AJ7r8g
待っていてくださる方がいたとは…長らくお待たせして申し訳ないですorz
私事ですが、ここ1ヵ月ちょいと仕事が立て込んでいたのとスランプが重なりまして…久々に書いた文なので、読みにくいかと思いますが目をつぶっていただければ嬉しいです。
またスローペースな投下となってしまうと思いますが、できれば続きは完成させてから投下したいと思います。
投下は短く、私信が長くて申し訳ない…OTZ
221名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 13:08:14 ID:jaVVkYWP
キ、キ、キ、キターーー!!!
待ってました!続きめちゃめちゃ楽しみっす!!
222名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 17:00:08 ID:28iwvo3U
スローペースでいいですよ
途中放棄しなければ
223216:2007/02/08(木) 17:01:02 ID:HV3N5WcN
GJ! 早速の投下、感激です!!
職人さん方にはそれぞれ事情もペースもおありでしょうから、
どうぞマイペースでご投下ください。
まったりとお待ち申し上げております。
224名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 19:29:18 ID:0oart5OJ
宏海×あいす
お願いします
225名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 21:18:19 ID:j4/PI5F/
220さんの都合が良いときに小説お願いします
マイペースでいいですよ♪
226名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 20:36:28 ID:A3GP0QBF
お、乙だァー…
ただ、無理はしねーでくんなまし。
227名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 22:30:36 ID:cOrFZAML
管理人様、
絵板に関係ない絵が投稿されてます、削除お願いします!
228名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 20:42:50 ID:zBqAi1qT
悠×翠は需要あるのか?
229名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 21:11:20 ID:BwDZbfDN
>>228
需要あります! 是非お願いします!!
230初代スレ483:2007/02/15(木) 14:01:36 ID:JOTX0MAB
>>227
ご報告頂きありがとうございます、さっくり削除しました。

しかし、あれって一体何なんでしょうね。
これで三回目ですよ。
231名無しさん@ピンキー:2007/02/18(日) 14:41:27 ID:H+9NOrv2
木嶋×ブラ孔雀まだ?
232名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 23:57:40 ID:IHN0OExv
今週の話で、真白木×あいすの続きがますます楽しみに。
宏海×矢射子の続きも、悠×翠も待ち遠しい。
233名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 23:34:31 ID:kNGmZnpl
宏海矢射子萌え
「だっ!……だから」
「用がないなら、行ってるぞ?」
 最近来ることが多くなった屋上も、阿久津を呼び出した時ばかりはパーティ会場に変わる。
矢射子はそう思って、めかして来たのに――
(うっ……うう……)
 生徒会室に戻った矢射子は、下唇を噛んだ。どうしていつもこうなのかしら。窓からは、暮れかけた日。
矢射子は自分を責めずには――乾をセメずにはいられなかった。バシバシッ!!容赦なく――
「はひん!気持ちいいですけど、どうかしたんですか??」
 四つんばいで「伏せ」をする乾からの言葉に、矢射子の鞭が、止まる。
もう一薙ぎして乾のあえぎ声を聞いてから「はうッッ」、矢射子はため息を漏らした。ばれているのね。
「なんでもないわよ」
 阿久津、宏海。
 矢射子は目を閉じ、考えた。何度、この名前を頭に反芻させていることだろう。
今日は、告白しようと思ったのだった。あの鈍感な彼――もちろん、それを含めて好きだが――に、気にかけてもらえる、最高の、そして矢射子にとって唯一に感じざるを得ない、この方法。
 それなのに。
「私……それすらも、だめなのね」
 矢射子の挙動に、思わず乾は立ち上がった。
「本当に、何があったんです?」
 矢射子と異性である乾一が上半身裸とかそういうことは、お互いもはや気にはしていない。
「今の私は……あんたには癒せないわよ……」
 乾はじっと、矢射子の顔を見つめた。
 女の涙が、あった。
「……」
 乾は瞳を伏せた。矢射子はひっく、ひっくとのどをならし始めた。
 乾はそしてその間に、制服をきちんと着た。
乾は、矢射子の前で、しかも生徒会室で正装するのはなんだか久しぶりだと思った。
机の椅子を引き、矢射子に座らせ、自分も隣に座った。椅子に着席すると同時に、矢射子は机につっ伏した。乾はただ、横に座っていた。
「この僕――犬では、癒せないのなら、今日は、お友達で」
 矢射子のすすり泣く声が、生徒会室にこだまする。赤い夕日。
乾は少しも動きはしなかった。矢射子の横で、まるで、一人になさてはいけない、とでも決意したかのように。
(僕は、そんな会長のそばにいることしかできませんが……)
 いつも見ている、愛しい女性の、
 いつもは見せない愛しい姿を。
(会長のそばにいることだけは、できるので)


((了))
235234(ID変わりましたが):2007/02/27(火) 01:08:59 ID:ZG3AuzUh
――つけ忘れorz

乾は少しも動きはしなかった。矢射子の横で、まるで、一人になさてはいけない、とでも決意したかのように。
(僕は、そんな会長のそばにいることしかできませんが……)
 いつも見ている、愛しい女性の、
 いつもは見せない愛しい姿を。
(会長のそばにいることだけは、できるので)
 
 二人の生徒会室は、ゆっくりと、時間が温めていった。


((了))
236名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 01:28:22 ID:FiTRtmUq
>>234-5
需要が低かろうがなんだろうが最終的に萌えられればよかろうなのだァーッ!
GJ!
237名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 00:01:08 ID:mvCB61oW
なんかリクエストほしいなー……
238名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 00:49:29 ID:Mt1VJF8T
宏海×矢射子も、真白木×あいすも続きが待ち遠しいけど、
今タイムリーなのは何と言っても木嶋×吉下だよね。
239名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 03:24:50 ID:mdDHx8+h
>>234-235
GJ!
乾×矢射子が一番好きなので嬉しかったよ
乾いい奴だよな、ほんと
240名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 07:36:35 ID:wvbDAkit
紋×太臓も最近いい
普段は可憐な乙女なのに実はドSな紋様萌ええええ!
241名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 19:22:36 ID:R44XkAot
乾×矢射子
ィィ!!
242名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 23:11:07 ID:R44XkAot
あいす×宏海
243名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 23:17:56 ID:R44XkAot
あいす×宏海
もィィ!!
244名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 23:18:48 ID:R44XkAot
>>242-243
間違い連投スマソ…
245名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 23:53:55 ID:jp1LwVsX
あいす×悠
とかは?萌えw
246名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 10:42:13 ID:9aPIelSu
自分はどちらかといえば悠×あいすなんだが・・・。 >245もありかもしれん。
247あいす×宏海:2007/03/01(木) 21:54:38 ID:ZRJl1DWO
「宏海」
「な、なんだよ」
 木枯らしの寒々とした歩道。太蔵のせいで、いつの間にか一緒に帰るようになったものの、あいすはその名のとおり冷めた視線を、宏海に投げつける。
少なくとも、宏海はそう思っていた。
「私」
 そう、そのときまでは。
「私、最近欲求不満なのよね」
「はあ――!?」
 突然の言葉だった。白い息とともにもらされた、およそ女性の口から――その上、こともあろうに彼女の口から、そんな言葉を、宏海はこれまで聞いたことがなかった。
 一度、目を閉じ深呼吸。
「――悠、悪いこと言わんから、そいつだけはやめておけ。おまえ寒いのとか苦手なんだろ?あいすを敵に回すような幻術――」
「宏海」
 あいすのとげのある口調。不機嫌の美顔。およそ笑みなんて一ミリもない。
こっちは現実的だった。悠のつくる幻ではない――?
「冬になると、あらゆる感覚が暴走するのよ。ねえ、私の家に来て。
仕事とはいえいつも太蔵を黙らせてあげてるんだから、少しぐらい私にも付き合いなさい」
 くるりと前を向いて進んでいくあいす。対象的に、宏海は立ちどまる。
「いや、待て」
 やはりおかしいぞ!?悠の幻術ではなさそうにしろ、この性格のあいすが……?
宏海は思った。
いや、間界って、そんなものなのか?能力が制限できないって、そういうことなのか?
 だんまりを決め込む宏海を背に感じたあいすは、すっと振り返った。
「やっぱり、どこかのバカ生徒会長の方がいいのかしらね」
「は、はあ!?」
 ――!?
 その瞬間だった。香る女の匂いと、舞う雪色の髪。
 公衆の面前で、とかそんなこと考えるいとまもない。
宏海は顔を赤くしないこと、ただそれだけに集中させられた。男の弱み。
「おいっ!!!!!」
「何よ。会長の胸じゃないけど、触らせてあげるから」
 左手で宏海はあいすの胸をわしづかまされていた。
そうしてあいすは腰に両手をあて、胸を張る。宏海は口をぱくつかせた。申し訳程度にある胸。でも、柔らかくてなまめかしい。少しこりっとしているこの部分は、う、うわ……。
「物足りない?」
「い、いえめっそうもない……」
 何言ってんだオレは……宏海は自分にツッコミを入れる。
「私を癒すために、家に来て。そのかわり、あなたには服を一切脱がせない。
一方的にあなたが私に尽くすだけ。いい?わかったわね」
「お、おいおいおい!!!」
 宏海は首を振って言った。
「ば、バカか!」
「拒否するつもり?」
「は、当然……」
 あいすは勝ちを確信したように宏海を見やる。
「手」
「あ!っ!?う、これは……」
 あいすの手が放されても、宏海はずっとあいすの胸を握っていたらしい。
 急いで手を引き剥がすも、やり場のないバツの悪さ。思わず顔を伏せてしまう。
「あなたも男ね。さ、来て。そのかわり私の言いなりよ。あなたはしろって言われたことだけをして。たぶん、我慢はいっぱいさせるから。あくまでも、楽しむのは私」
 どうして、宏海は拒否しようと思えばできたはずだ。それなのに、言われるがままに、家へと連れていかれた。

 それからのこと。
 宏海はあいすにさんざん使われ、あいすの良いように汚された挙げ句、
たくさんの写真を撮られ、弱みを盾にまた使われることとなる。しかし宏海は何一つ文句は言わなかった。なぜか。

「宏海、今日もよ」
「あ、ああ……わかった」
 かしづくように、後ろに従える宏海のその姿。 

 それは、新たな境地の表れのようだった。
248名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:19:06 ID:SjsquIGd
まじGJです 悠の幻術だと思い込もうとする宏海の辺りがすごく好み
触発されたんで247氏に続いてあいす分を投下する

>>245
面白そうなのでこれを貰った
_________________________

「ごめんなさい、おばあちゃん… また…」
「いいんだよ、気にしちゃダメだよ、あいすちゃん?」

2月某日朝、佐渡家が凍った。
去年程の酷さでは無いものの、突発的な力の暴発で、寝室と廊下が見事に凍結。
家主である佐渡ケサが、氷の上を華麗に滑って転び、腰を打った。

「…… もう動けるよ、大丈夫。今日のごはんは何にしようかねえ」
「いいの!おばーちゃんは寝てて!私が全部やるから!………… お弁当、買ってくる」

スーパーからの帰り道、あいすは本気で落ち込んでいた。
軽い打ち身ではあったけれど、自分のミスで恩人に怪我をさせてしまった。
加えて、自分の料理の腕ではこんな時でも食事をまともに作れない。
気分は最悪だ。今日は早く帰って、存分に反省して、あとは静かに過ごす。
そう心に決めて、急ぎ家路についた―――――――― のに。

「あたしがあいすちゃんくらいの見た目の頃はねえ、そりゃもう男衆がわらわらと」
「えええばあちゃんが3P!?4P!?おげえええ」
「おやおや嫉妬しなくてもいいんだよ、太臓君?今では太臓君一筋なんだから」
「しねーよ!!」

「あんた何でいるのよ」
買い物から帰ってきたら、何故か間界の王子が居間で茶を啜っていた。

「おーあいす!大変だったな!」
「何でいるのよって聞いてるの」
「いやあー丁度一緒とAV選別会やっててさ!そしたら」
「もういいわ。帰って」
気の凹みは速攻で怒りに変わる。不機嫌は、一気に頂点に達した。

「おやおや、いいじゃないかあいすちゃん。折角お見舞いに来てくれたんだから」
「……… お見舞い?」
問答無用で太臓を氷漬けにしようと思っていたあいすは、ケサの声によって気勢を削がれる。
きょとん、とした表情で、大きな三角頭の少年に問いかけようとした。
「太臓、あんたがわざわざ一人で来――」

「はい、お待たせしました」
「あら、悠」
一瞬遅れて、後ろから予想通りの声がする。
そう、太臓のやかましい程に通る声と常に一緒にあるのは、この感情の読めない声だ。
あんたもとっとと帰りなさいと言おうと振り向いて―― 今度は予想外の見た目に、思わず固まる。
「悠。ちょっと何やってんの?」

およそ似つかわしくないようでいて、むしろ相当似合っている様な。
佐渡家の台所から、エプロン姿の少年がひょっこりと顔を出した。
249名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:20:46 ID:SjsquIGd
「ああ。悠君がね、余ってた野菜でスープ作ってくれてたんだよ」
「……!」
「ありがたいねえ。…… うん、おいしいよ、あいすちゃんもお食べ」
にこにこと迎えるケサ、と太臓。
「お前等の見舞いだしな。後、これうちで作ったプリンが余ってたのでな、持って来た」
当の悠はと言えばいつもの無表情で、エプロンを外しながらちゃぶ台を覗き込み、なんの事はなしに料理を勧める。

「………」
「あいす。どうした?……… あ、王子!王子のはこちらの…………」
「おお、この大きいヤツだな!」
「はい、その大きいトウガラシ入りのヤツです」
「またかよ!食えねーよ!」
「何言ってるんですか、王子に仕える者としての愛情表現ですよ」
「マジで?この愛のカタチは受け入れにくいんだけど」

王子と従者のアホ漫才に乗りながら、とても楽しそうにケサが笑っている。
「では紋の愛の形はどう思いますか」
「もち!俺の嫁からの愛は全力で受け止めてみせる… えーと多分ね!」
「太臓君、あたしの愛も受け取っておくれ」
「ばーちゃん具合悪いんだろ!寝てた方がいいぜ!」

「添い寝ですか」
「ああん、いいねえソレ」
「無いよ!!!」
「なんだい、折角枕を用意したのに」
「俺は今日、一緒の部屋で華麗なるAVオールのご予定が入ってんのよ!」

おばあちゃんが元気になるから、賑やかなのはいい事なんだって、最近分かった。けど。
―― 今は、その大好きな人の口から出る一言一言が辛い。

「悠君は、ホントに優秀な子だねえ」

「………… っ」
中に入れない。

「… おや、あいすちゃん?」
「ちょっと……… 外に出てくる」
ぴしゃり、と音を立てて、ふすまが閉まった。

「…未熟だわ」
ぐ、と奥歯を噛み締める。中途半端な、思い通りにならない体が恨めしい。
太臓達が帰った後。あいすは、歯がゆい思いを消化しきれず、居間で固まった様に正座していた。
湯を湧かす銀色のやかんがシューシューと音を立てている。
「私が早く成体になれば、少なくとも暴走はしないし… おばーちゃんにも迷惑かけずに済むのに」
「………」
(ホント、駄目ね。料理だって、…… 能力だけなら本当は、間界領事としての腕だって、きっと悠の方が)
「あのね、あいすちゃん」
「っ!?おばーちゃ…」

物思いに耽っていて気づかなかったらしい。ばっ、と振り向くと、ふすま向こうにケサが立っていた。
「愚痴ならいっぱいこぼしておくれ。あたしはね、あいすちゃんがいるだけで幸せなんだから、いいんだよ」
「! ……でも!」
「あいすちゃんは真面目だからね。太臓君くらい、明るーく考えてなさい」
「いや、あれは…… ないわよ」
「そうかい?あたしは、まんざら、太臓君の言ってる事もやってる事も悪くないと思うけどねえ」
「…… なんで、アレを見てそう思うの?」
「あいすちゃんだって知ってるだろう? いい男、いい女、世界のどこをを見たって、ね」

先程悠に貸していたフリルのエプロンを右手でひらひらと振りながら、おどけた口調で、ケサは続けた。
「英雄色を好む。大物な人間は皆揃って好色なもんだよ、ほっほ」
250名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:21:38 ID:SjsquIGd

「―――――― で、一応先に聞いておくが」
「ええ」
「お前はあいすに変身した翠、などではないんだな?」
「あんたの眼力なら分かるでしょ。何言ってるの」

「ほう、ついにトチ狂ったか。お気の毒に」
「なんでもいいわよ…… 協力してもらえないかしら」

軽口に揺さぶられてぷるぷると震え、怒りと羞恥を抑えつつ、
冷気を纏った少女が少年の両袖を掴んでいる。
互いの膝がつきそうな程の超至近距離密着、向かい合った時に感じる身長差はほぼゼロ。
あいすが顔を背けていなければ、鼻先が確実に触れる。
今日昼間見た限りでも確かに不審な様子を見せていたのだが、これこそ、何がどうしてそうなった。
悠は本人の代わりにとばかりに目が合いまくる、雪だるまの髪飾りに向かって問うた。
窓についた結露がいつのまにか消えていた。
エアコンの効いた心地よい温度の筈の部屋が、冷たい。

「だって今日、おばあちゃんが… っ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「そう、太臓君にあってあいすちゃんにないのも、それだ。…… え、別に必要無いって?
いやいや、男には女が、女には男が必要なんだよ。いい大人の女っていうのは男を知ってこそだ。
…… あいすちゃんは、そしたら、ひょっとしたら、ないすばでーな成体になるかもしれないねぇ。
うんうん、あたしはね、楽しみにしてるよ。…… それまでは、生きなきゃね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「そう…………… 言うから」
憮然とした表情はそのままながら、柄にもなく頬を染め、
目線は背けたままに小さく俯くあいすに内心驚愕した。
「…… 鵜呑みにしたわけか?」
「いえ、それだけじゃない… けど」
違う、ケサの言葉を拡大解釈し過ぎだ。お前は真白木でも矢射子でもあるまいに。
あの老婆は、己の男好きはさておき、この少女の幸せをこの世の誰よりも願っているのだから。
まあ、あいすの言葉から推測するに、理由には多分まだ裏があるのだろうが、それにしても――――
冷静さ、判断力、共にゼロ。普通ならまず、考えない選択だ。

最強の間界領事が、ばあさんが絡むだけでこうも容易く、面白く動く様になったか。
出会った頃には想像もつかない展開なのであり、ここは
いい観察対象が増えたと盛大に喜びつつ、色々とからかって遊びたい所―― なの、だが。

「暖房の設定を強に直しに行ってくれるなら考えてやらんでもない」
いかんせん、最高に寒い、そして眠い。蛇の化身たる故、本来ならば冬眠の季節で、
本能には逆らえずどうしても動きが緩慢になる。

「その間に逃げるでしょ。…っていうかあんたが腕を伸ばせばいい話よ」
「こうまで寒いと何もする気が起きんのだが」
「でしょうね」
逆に目の前の少女は雪と氷から生まれたと言ってもいい種族。正に活動期だ。
ひゅ、と小動物の様な軽い動作で、さしたる抵抗もなく床へ落ちる少年の上に跨がった。
膝下を外側に向けた女の子座りのまま、ぐいと腰を押し付ける様に体重を前にかける。
手を後ろについて上半身を支え、図らずも座った格好になっていた悠が、
ほんのすこしだけ、驚いた気配を見せた。
「おい、あいす」
「いいから。面倒ならあんたは黙ってるだけでいいわ」
ぎり、と一層強く掴まれた服の袖がしわになる。

―― 寒さを嫌う己の体に氷の微笑女が密着しているのにはどうにもやりづらさを感じるが、
女子特有の柔らかい感触が手足にあるというのも、特に悪い気がするわけでなし。
女がどうこうをさしおいても、この雪人が何をするのか、どう変わっていくのかについては
非常に興味がある所。悠は流れに任せるがままにして、しばし、見守る事を決めた。
251名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:23:28 ID:SjsquIGd
と、不意に、首筋に氷を当てられた様な感覚が走った。
「冷っ…」
「あら、どうしたのかしら?」
あいすはくすくすと楽しそうに笑うと、まさしく通り名に相応しい、氷の様な微笑を向けた。
多分、比喩ではなく本当に、氷そのものを当てられた様な気がする。
「不随意の運動だ」
「ああそう?」
―― 観察を決め込んだ所で何だが、あいすの見下す様な視線が最高にカンに触る。
これは後で三倍にして仕返しするか、とぼんやりと思った。

白い手がゆっくりと身体の線を辿る。性感を目的とするというよりは、確かめる様な。
直裁な愛撫のない、暖かみのある快楽を与える気を感じられない指の滑りだ。
「俺を殺す気か」
冷気だけが撫で付けられて、心拍数と血圧は上がる一方、逆に体温は下がっていく気すらする。
局部を完全にスルーしてるあたり、二割位は躊躇いの様だが、後の八割は只のこいつの嗜好と見た。

「寒いのは苦手だと言ってるんだが」
「そうね。でも氷で撫でるとー」
「……… っ」
びく、と微かに、ほんの微かに震える悠を、楽しそうに眺めるあいす。
「ほら、そうなるからいいのかと思って」
奇麗なアイスブルーの瞳の中に宿るのは、嗜虐の快感に酔う、生き生きとした光だ。
ぞわりとする感覚が背中まで伝ってゆく。思わず竦めた首を無駄にびよんと伸ばして元に戻すと、
「残念ながら、その眼を向けられて喜ぶのは俺じゃないな」
多少憮然とした思いを努めて表情に出さず、明後日の方向を目で指図した。
「他に当てがあるだろう」

「キモいゴリラみたいなのは却下」
目を遣った方向に映像が映し出された途端、いつものあいすの表情に戻る。
悠の見遣る先漫画のコマの左上、点描トーンの中で半裸でカッコ付けている真白木は
その眼光によって一秒と経たずに霧散した。

「じゃあ、おう…」
「あいつには無理でしょ」
「うむ、それもそうだ。小さすぎる」
『えええー!?酷くない!?ダイレクトアタック酷くない!?そもそも食いつく所おかしくない!?』
次いで点描の中でカッコつけていたのに流された太臓が、涙ながらの二段ツッコミをしながら塵と化した。

「じゃあ、こっち」
「…… 頼めと?」
「俺よりは脅しー 違った、頼み易いと思うんだが」
「………」
悠の左背後に映っているのは、赤い髪をした屈強そうな実界の青年、やはり半裸。

「…… 翠と違って矢射子先輩、まだ宏海に気持ちが伝わってもいないじゃない。触らぬ討魔師に祟りなしよ」
「ほう、成程な。その辺りで線引きをした訳か」
悠の口角がわずかに上がった。相変わらずやる気無く手足を投げ出したままだが、得心したように頷いている。
―― 咄嗟、「嘘だ」とあいすは思う。あの目は納得などしていない、獲物を前にして何か仕掛ける気満々の蛇の眼だ。
不穏なオーラを感じて、内心ひるんだけれど、顔に出すのも癪で、逆に睨みつけ、次の言葉を待った。

「それは賢明な判断だな。人間の恋愛関係においては、見守りつつ決して首を突っ込みすぎず」
「…… それに加えて、あんたは冷静に引っ掻き回すのね」
「さすがだ、分かっているな。リスクの無い立場で楽しむというのはいいものだ」
表情の読みにくい瞳に、愉悦が混じった。


「だから―― 本来ならば、傍観者が一番面白いんだがな」
「!?」
252名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:26:22 ID:SjsquIGd
あいす×悠の様な悠×あいすの様などっちか分からないつもりで行きます
あと半分くらいの予定
253名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 17:45:01 ID:wU3ba4Zl
GJ!! ケサおばあちゃんがらみだとあいすがいい感じだから、
この悠×あいすはツボにはまった!
254名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 00:57:21 ID:b+K1xt78
悠×あいす キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJ!すげーイイ!続き待ってる!
255名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 21:45:52 ID:GNHKGZkz
GJ! それぞれのキャラがらしくていい。
256名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 17:38:39 ID:xtSD7qN9
ちょ、今週ので乾×一口ネタできんじゃん!
誰か書いてくれ
257名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 22:18:07 ID:Uyc5soy5
矢射子会長のことを、俺らはずっと前から好きだった。しかも、一口は会長の思い人も知っていたのに…。
「おい、今日俺がおごってやるから二人でパーッとやろうぜ!」
「失恋パーティーじゃん、それ」
まだ赤く腫れた目で、一口は言った。
「まあおごってくれるなら…今日はやけぐいしてやるー!!」
二人で並んでなかばやけくそでラーメン屋まで校門から走ろうかとしたとき。
「見て、二階の生徒会室。」
「…矢射子会長だな。」
学校を去る前に一目生徒会室を見ておこうとしたんだろうか。一口の目が、また潤み出した。
「あーもうやだやだっ!これから失恋パーティーなのに!乾っ!どっちが早く食べられるか競争だからね!?」
一口は震える肩をごまかすように一息にそう言うと、ラーメン屋めがけて走り出した。
…一口は、強いな。会長の好きな奴ずっと知ってて、それでずっと会長のことを好きでいて。
258名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 22:19:52 ID:Uyc5soy5
続きのエロは誰か適当に書いてくれ。ラーメン屋の便所で●●●とか。
259名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 22:38:35 ID:FGoE8t1Y
(略)
「あーん! 男の子供を妊娠しちゃうー!!(ビクッビクッ
260名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 17:46:41 ID:7Ee1CoC3
略さないで投下してくれーー!!(懇願
261名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 22:26:14 ID:GhCFimLw
コンスコン×ちよいとか想像したらなんかすげー変態なことしてそうだと思った
あとサマンサのマイクプレイとか
262名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 23:21:57 ID:JRf6JDVg
>>257の続きを適当に書いてみる。



そう思いながら、彼女の後を追った。



「うわーーーん!!!」

ラーメンが出された瞬間に、行き成り二人で号泣して、
店長が「お客さん、ラーメンが・・・・・」と焦っている。
そんな言葉も二人の耳に入るわけがなく、ただひたすら、自分達のはかなく終わった恋を嘆いていた。
「うう・・・・・・ズルっ・・・・・・・・・・・・・・」
「って食うの!?」
涙が器からあふれ出しているというのに、ラーメンをすすりだす二人。
店長は仕ハァッとため息をついて仕方無いといわんばかりにした。
「今日はツケてやるよ」と言って、店の看板を「閉店」にしてその場を去った。
・・・・客もいないラーメン屋で二人の泣き叫ぶ声が響く。
それに対して誰もいないため反応してもらえない乾に更に悲しみを呼ぶ。
「あんっっの鈍感男・・・・・お姉様に振り向かなかったら、ホンットに怒ってやるんだから!!」
テーブルをガンッと叩いて、一口が震えた声でそう怒鳴った。

いっつも追いかけていたのに。いっつも矢射子の傍にいたかったのに。
叶わなかった恋は、心の痛みに加勢されるだけであった。

「っ・・・。何か泣いたら、虚しくなってきたよ」
一口がぽつりと呟く。
「どうして私じゃ駄目だったのかなぁ・・・・」
「・・・・・・・そりゃお前が女だからだろ」
「だって男なんかよりお姉様の方がずっとカッコいいんだもん」
ムスっとしながら、腫れた目を擦る。
「お前さぁ、顔はイイんだから、相手女ってのやめろよ」
「でも・・・・・・・・・私に興味持つ男の人なんていないし・・・・・・・・・・・・」
女の方がよっぽどいないと思うが。
そう乾は言いかけたが、慌てて言葉を飲み込んだ。
今更レズな奴なんてお前以外そうそういないとも言えない。
そして変わりの言葉を探していった事は・・。
「いや、俺お前の事案外気に入ってるぜ」
・・・・言葉を変えようと思っただけなのに。
何故かそんな事を言ってしまった。

一口の顔が強張る。
まずい、怒らせちまったかな・・・。そう思った乾は、焦って涙浸しのラーメンをすすりだした。
「っつーか早食い競争するんじゃなかったのかよ!ほら、早く一口も食べ・・・・・・」
「今の本当?」

言葉を遮られる。
心臓が早まる。
一口の顔が見れない。
それだけのことが、一気に起こった。
下を向いて、ラーメンをすすることしか出来ない。
でも。
視線を感じて。
ゆっくりと顔を縦に振った。
263名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 23:26:10 ID:V6aLJuDc
その瞬間に、
「バッ・・・・・・・・」
「?」
「バッッッカじゃないの!?」
その反応に驚いて、乾は顔をあげた。ソコには、顔をユデタコのように真っ赤にした一口がいた。
「どーしてそんな事言えるのよ!お姉様に振られたばっかじゃん!!」
『ビースト、ケダモノよぉぉぉお!!』と叫ぶ一口の奇声にハッとして、慌てて弁論する。
「ち、ちげぇって!ただ俺は思った事を言っただけで・・・・・!!」
更に顔を赤らめる一口。
ここまで恥ずかしがられると、こっちも恥ずかしくなってくる。
「何よっぉ・・・・・だったら」
一口が躊躇いながら、乾の顔を覗き込む。

「証拠見せてよ」

・・・・・・・は?

その言葉に、乾の目が点になる。
「あっ、あたしの事、気に入ってるっていう、証拠を・・・」
男は信用ならないから、とかそう呟きながら。
いつもそんな事言わない一口なのに、今日は失恋したからだろうか。
恋愛に関して敏感になってるのか。
「・・・お前が男の俺に興味ねぇだろ」
そう言って流そうとした。・・・・すると、だ。
「・・・・確かにそうだね」
呆気なくそう言われて。
乾男として見てないしといいながら、何事も無かったのようにまたラーメンをすすり出して。

なんだかイラついた。
確かに流したのは乾のほうだ。
ただ、無性に苛立って、きっと振られたせいもあるんだろうけど。
気付くと乾は、いとも簡単に一口の体を自分の方に引き寄せて、膝の上に座る形にした。
女特有の柔らかい体に触れて、乾の興奮を煽った。
「ちょっ、乾、何して・・・・・・んむ!?」
一口の言葉を唇で遮る。心の痛みを押し付けるように宛がう。
そのため少々乱暴になってしまった。
「うぁ・・・・・・や、・・・」
びっくりして一口は抵抗をするが、あの乾の力に叶う訳もなく。
舌を無理矢理ださせて、絡めさせていく。
ようやく唇を放して、一口の抗議を聞く体制に入った。
さすがマゾ、と言った所だろうか。怒られることを期待しているのか。
「はっ・・・・・、私は・・・男には興味が無いって・・・・・・・・・」
乾の膝の上でまた顔を赤らめてそういう。
「証拠見せろっていったじゃんか」
そうして乾は、張り詰めたモノを自分のズボンから取り出した。
「きゃあっ!!乾、汚いよ!!」
上に乗っている状態なので、すぐ真下にソレが見える。
顔と似つかずグロイ程に起ち上がっているソレに驚き、一口は逃げようとするが、乾が腰を抑えてそれを許さない。
「そんな証拠いらないからっ!」
そう半ば叫んでいる一口に構わず、スカートを捲って下着を脱がす。
「お前・・・」
「うるっっっさい!!」
「何で濡れて「言うな見るな犬畜生の癖になんでちょっとS入ってんのよ変態ィっっ!!」
言葉を遮って一気に話した一口は息を切らして俯いている。
一口の股間は、抵抗していた割にはしっとりと濡れていたのだ。
これには流石の乾もマゾ心にいじめたい気が差した。
いつも会長は俺をいじめる時こんな気持ちだったのか、と思いながら。
264名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 23:28:53 ID:4XIMXpZK
そしてその一口のまだ誰も知らないであろう未知の部分に、ゆっくりと自身を埋めていった。

「!?っあああああっ!痛い痛い痛いよ乾ィ、裂けちゃうぅう!!」

まだ亀頭しか射れてないのに、かなり痛がっている。一口は腰を浮かせたが、体制を変えることは不可能だったので、
乾の胸に縋り付いた。
「っっ力抜け一口・・・入れにくいっ」
童貞である乾も、このまま入れるのは無理という事はわかったので、一口の頬や首や手にキスを落として落ち着かせた。
いつもと違って紳士的な乾に、一口は少し力を抜いて、緊張を緩めた。
その瞬間に一気に体を貫く。
「ひぁああん!あふぁっ・・・・ぁああ!!」
涙を浮かべた虚ろな瞳に乾のの心臓が高鳴る。
いつもの幼いあの表情は何処へ行ったのか。
いつも隣で子供っぽく笑っていたあの顔は姿を消し、一人の女と化す。
こんな当たり前のように一緒にいた仲間が、色気づいて目の前で喘いでいる。
ピコンピコンと横に一つに結んでいる髪の毛を揺らしながら。

勿論一瞬だが、彼らの心の中に『百手矢射子』という人物はなかった。
「乾、乾ィ・・・!っひゃふぅぅ!」
その瞬間に、一口の膣内がキツくしまった。
「うっ・・・ヤバ・・・・・間に合わなっ!」
その言葉に、一口がぎょっとする。
「あんっ!駄目っ乾・・・!妊娠しちゃうよぉおおっ!」
だが時既に遅し、出す寸前まで高ぶっていた乾は濃口な白濁色の液を勢いよく膣内に出してしまった。
一口は奥に注ぎ込まれていく熱を感じ、絶句した。





----------

「ちょ、ホントすいませんマジすいませんだから叩くの止めてくださいあやっぱ止めないでください」
情事後、一口は激しく乾の背中を踏んだ。何度も何度も嵐のように。
ただ、哀しいことに、この男は『M』なのだ。踏んでも踏んでも気持ちよさそうにするだけだった。
「犬の癖に、中出しとか信じらんないっ!!ってかヤるとか信じらんない!ってか男とだなんて信じらんないっ!!!」
ただ一番信じられなかったのは、乾に犯されても正直嫌じゃなかった自分だった。
その事を認めたくなくて、紛らわすように踏み荒らす。
「嘘よっ!男なんかっ、男なんかぁああ・・・・・・・・お姉様ぁああ!
ごめんなさい私は男の子供を育みますぅううう!!」

バシンッバシンッという痛痛しい音が辺りに響く。
コレを二階で実はずっと聞いていたラーメン屋の主人はというと。

「・・・・・若いっていいなぁ」

そう呟いて、昔を懐かしむかのように外の景色を眺めるだけであった。



おしまい。



回線切ってもないのにIDがころころ変わる・・
すまない・・・便所でさせられなかったのとしめが悪かった。
ホントグタグタ。勉強してしてきます
265名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 00:19:15 ID:BgTIB+WU
乾一口GJ!べつに便所じゃなくても、
ラーメン屋の主人がいいキャラしてたんでおkwww

乾は銃刀法違反なサイズの持ち主なんだよな
266名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 00:43:38 ID:1+IetSA0
GJ! 乾×一口の幸せを祈る…
宏海×矢射子も、二人の涙を無駄にしないでくれ!
267前スレ545:2007/03/07(水) 02:18:42 ID:0qCAuggS
乾×一口小説GJすぎる・・・。

ttp://akm.cx/2d/src/1173201276973.gif
勢い余って殴り描いた。そんなに反省してない。
てかこの二人のおかげで自分に傷なめあい属性がついちまった・・・。
268名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 14:00:32 ID:lXwOxN1X
初めてが銃刀法違反とは…そりゃ裂けちゃうんですけど!状態にもなるわなw
GJ、そして>>267あなたが神か?
269名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 21:38:16 ID:4CtgAftx
>>262>>267
なんだ貴様ら、GJなんだよ!
乾と一口はまった・・・ありがとう!!


乾に無理矢理射れられちゃう一口にハァハァ(*´д`*)
270名無しさん@ピンキー:2007/03/12(月) 12:47:25 ID:V5VZKsc0
今週もなかなかだったな
271名無しさん@ピンキー:2007/03/12(月) 14:07:28 ID:MfyFh2eR
誰か!雪崩のこないあの続きを頼むw
272名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 01:05:28 ID:8MvgGSmX
今週の話と関係ないけど、今週先週とこらえきれずに描いた
あんまエロくなくいし、需要無さそうでゴメン

ttp://akm.cx/2d/src/1173715368330.jpg
273名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 10:40:32 ID:gsXmfAHK
>272
あててんのよ。
274名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 23:48:26 ID:5WyclzdS
悠×あいすのつづきまだかね
すごく読みたいんだけど
275名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 01:29:47 ID:WML45Gyh
ぜったい乾×矢射子以外認めん!と思っていた自分だが、
乾×一口やばいほど萌えた
今日からこれ一本で行くと決めた。
276名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 10:53:41 ID:JmZNBrzA
なんでそんな頑な?!
277名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 15:16:08 ID:lhYKOwbA
適切な阿久津ッコミに惚れた
278名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 16:31:52 ID:PNvoEVvl
萌え死んだぜぇ…
279名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 16:39:44 ID:tqSk2twa
>>272
GJ!
そろそろ未完作品の続きが読みたいな
280名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 23:31:01 ID:2Y0+WzgM
>>275-276の流れにもワロタが>>277の「阿久津ッコミ」でトドメを刺された

たまには主役のことも思い出してやってください
281名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 00:11:03 ID:CaTh7aGK
>>280

・・・・・・え?阿久津が主役じゃ(ry
282名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 20:54:00 ID:uZZfxxZS
今週号の会話で
悠と吉下の組み合わせもいけry
283名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 01:29:38 ID:ceCB0u9G
>>264の続きを読みたくなるくらい乾×一口ハマタ。
誰か助けてくれ
284名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 16:11:12 ID:J4lfrWnM
モンスターハンターポータブル2おもしろっ
285名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 13:17:37 ID:xxaL1KIo
外代雪乃かもう一人の方と太臓のCP・・・無理だよなぁ
286名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 19:43:38 ID:4ibbkwO1
俺はあれがギンギンでガチンガチンで空に向いている!
287名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 19:45:04 ID:4ibbkwO1
284さん関係ないこと書き込まないでください
288第55章の偽太臓あたり:2007/03/21(水) 00:20:56 ID:istFVuZx
>>285

「た、太臓がスカート破れた女子見て何も騒がないなんて……!」
安骸寺を従え、にこやかに去っていく太臓を見て、須美と雪乃は呆然とその場に立ち尽くしていた。


「……ありえないんですけど」
「なんか調子狂うんですけど」

数日後、返し損ねたクリップを手で弄びながら、二人は窓際の人だかりを眺めていた。
人だかりの内訳は、中心から三角い頭の少年、それをきゃあきゃあと構う女子数人、
それを奇異な目で見る阿久津と佐渡、の後ろで白くなった安骸寺、の後ろで切なげな視線を送る笛路、をとりまく女子更に数人。

人の慣れとは恐ろしいもので、当時は天変地異の前触れかと思われた
ジェントルマン仕様の太臓も、既になんとなく定着しつつある。
前とは違った意味で、女の子の為にちょこまかと動き回るマメさがそれなりに受け入れられたらしい。

今までとは逆の近寄り難い状況に、妙なものだと頬杖をつきながら須美は言う。
「まあ、実際クリップ止めた所で不自然だったし、実際に助かったかどうかはおいといてさー」

「多分、あれイケメンにやられたらときめくよね」
「……多分ね。私大木君にクリップ渡されたら、例え重くてもずっと付けてる」
純粋に男に優しくされて、悪い気はしない。例えあの太臓と言えど。
身構えていた分、彼の他意の無い親切さは色んな意味で衝撃だった。

「でもあたし、あんなキモおにぎり興味ないんですけど」
「分かってる、須美は木嶋先輩のファンでしょ」
「……木嶋先輩と太臓ってなんか最近仲良さそうだよね」
「あー…良く一緒に騒いでるのは見かけるよね。……で?」

「う、ううん、結構あれであいつの人間関係人気者っていうか有名人ばっかりっていうか」
「ああ、ちょっとうらやましいかも………で?」
「……」
「……あの……須美?」

「……いや、別に、ほんとに関係ないんですけど」
「なんでさっきからあいつの話ばっかりするの?」
「だ…だからちょっと、びっくりしただけなんですけど!別に」
「え、ちょっと待って待って!や、やめときなさい!
 いくら今脈無さげだからって、フェミニストっぽい人好きだからって
 ちょっと優しくされた位でアンタいくらなんでも流されやすすぎ………!」

「ぎゃー違う違う違う!ちょっとマスコットみたいで可愛く見えなくもないかなって!そんだけ!」
「いやいやもうそれ既にちょっとヤバいんですけど!確かに最近……ちょっと、思ったけど!!」
「なに雪乃、アンタだって思ってたんじゃない!」
「思ったけどっ!思ったけど……………………でもさ」
「何よ」



「何か、らしくないよね。朝来てあいつに怒鳴ってやんないと物足りないんですけど」
「………それは、言えてる」

相変わらず騒がしい教室の中で、二人は奇妙な感情を持て余していた―――――もうむりぽ

______________________________________
難易度高すぎ即オワタ\(^o^)/脇キャラ大好き
悠とあいす奮闘中、月末までに投下予定
289名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 00:37:04 ID:f8Xo+cpf
もう少し続きを読みたかったけど…GJです!
悠×あいす、お待ちしてますよ!
290名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:36:55 ID:wFwXnnWA
GJ!キャラ壊れてなくていい。

宏海矢射子まだかなぁ……
291名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 11:06:35 ID:3woO0rZ8
今を逃すと投下できなそうなので急いで投下する
宏海×あいす
エロ無しシリアス風味
前々回ラストからの捏造話です。
やっつけなので考証不足・設定捏造は見逃してください。

と思ったんだけど規制中なんだよね…保管庫の掲示板に投下してもいいのかな?
292前スレ483:2007/03/21(水) 15:28:37 ID:yVbI7dCT
>>291
全く問題ありませんので、ぜひともお願いします。
最近また職人さんが来てきださってるのは嬉しいですねまじで。

更新滞らせて申し訳ないです。
職人様方が泣くまでGJするのをやめません。
293291:2007/03/21(水) 16:08:11 ID:3woO0rZ8
ありがとうございます
お言葉に甘えて保管庫に投下しました。
誰か気が向いたら2ちゃんスレに持って来てもらえると助かります
では、名無しに戻ります
294名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 19:59:54 ID:9J1N4jpt
ちょっと待てお前ら、今週号はスルーなのか?
295名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 20:36:25 ID:nBz0PVCj
>>294

『ちょうどいいところで・・・!』すぎてイジれないw
296名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 22:13:10 ID:EhJKNOBf
とりあえずどこに着地するのかわからないと設定が決まらない
ものすごく萌えはあるんだが煮えたぎるばかりで固まらないマグマのようだ
297名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 02:05:46 ID:2dhwRX7h
保管庫更新乙です!
>>288悠×あいす、超待ってる!
>>296例えがウマイ 
宏海×矢射子はまさにターニングポイントだからなー
298名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 14:44:54 ID:dIlyUp6J
バレスレのがマジバレなら、もうあんなこともこんなこともアリだ。
299名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:19:33 ID:kqqu19w8
頼む、みなまで言うな
300名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:12:13 ID:TBRskCIS
>>298
それより悠が…
301名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:20:43 ID:Xdvwua6C
滅茶苦茶気になる……!
来週号が出るまで保守!
302名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:28:03 ID:RIWzUmeH
多分宏海×あいすが投下されることはもう二度とないだろうな
303名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 08:29:32 ID:uLZQtSKl
甘いなw
まだまだこれからですよ
304名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 13:53:26 ID:IEe8zI2v
そうは言うがな、大佐
本編であんなことやられたらモチベーション上げるのは不可能だ

……今は書きかけのやつを破棄すべきかどうか本気で悩んでる
305名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 14:47:41 ID:/JHxNxDQ
せっかくの二次創作なんだから、気にせずはっちゃければ良いんじゃね?
しかもこのスレはエロな上にパロだよ。(既にこの部分が本編で被るがw)
もっとも、書く本人がモチベーション上げられない程辛いなら、無理は言わないが。
306名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:53:03 ID:IEe8zI2v
辛いねぇ
特にこの先エロパロ作るためのネタが供給されなくなることが何より辛い
一時的な展開なら少し間を置いてモチベーション上げることもできるが
おそらく最終話まで宏海×矢射子を見せ続けられる現状を考えると……
307名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:14:22 ID:p3ih9xqP
エロに至る理由を恋愛感情に限定してると、難易度高いネタ元だなとは常々思う
原作がそもそもエロギャグ&パロ&人間関係萌えをメインで売る漫画だから
二次で補完する余地は本来無いと言うか、ヘタにいじるとすぐに偽物になるしね
キャラの不明だった点を適当に補完して書いた昔のSS、今読んだら別人でワロタ

というわけで、恋愛感情以外の感情・理由を使ってエロに持ってくのも楽しいぞー
いざとなったら媚薬も催眠もオウジダケもある便利な世界だ!

「非エロ妄想、カプでラブラブ見たい」の需要に答える
したらばスレも出来た事だし、いい感じに使い分けできるといいね
308名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:08:59 ID:mMQE1l+z
いやいや忘れてませんか皆さん、あいすは天性のSですよ
宏海を追い詰める事に喜びを見出しはじめたら止まらない
むしろ宏海に正式な恋人が居た方が宏海の苦悩度が増してグッド
309名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:55:08 ID:w0lJMuNJ
今までも宏海×矢射子や悠×あいすの方がネタとして多かったよね。
そんなに宏海×あいすにこだわらなくても…?
310名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 22:12:35 ID:FACZKVib
性格改変ならともかく、捏造設定くらいはいいじゃんか
やおいなんか性癖変えてるんだし
リビドーの赴くまま書いちゃえばいいさ
311名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 22:13:10 ID:IEe8zI2v
そりゃ他のカプ書く分には何の問題もない、というかネタの量は関係ないでしょ
ただ今問題にしてたのは書きかけのやつをどうするかということで

まあしばらくは放置して様子見かな
312名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:47:07 ID:ROCYxbo4
新参なんだが、悠とあいすってカプになるほど原作で絡んでたっけ?
ここだと悠×あいすが多くて正直驚いてるんだが
313名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:55:16 ID:GQJhr/7F
原作で絡んでようが絡んでなかろうが妄想したもん勝ち


あえて言うなら、ドS同士?
314名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:40:01 ID:o9sHWV/B
初代スレで
1.あいすが嫌々屈服させられる展開を読みたい住人が多い
2.しかし本人が強すぎる、どうしたらいいか
という議論がなされた時、打開策で出てきたのが悠だった思い出

原作の恋愛や萌えとはまた違うベクトルから辿り着いた
エロパロならではの理由も加味されている。多分
315名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:14:42 ID:FwiXjJ9U
悠とあいすは少ない絡みで良い味出してるんだよね
316名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 19:58:24 ID:v5DV8Djd
俺が悠とあいすのコンビに萌えたのはクリスマスの時に一緒に矢射子をおちょくってる所かな
317名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 21:07:15 ID:5/Mc4kaB
今週号の「自分のおもちゃ取られそうで焦ってるんじゃないの?」
って悠に言う場面なんか、まさに良い味出してたな。
このセリフ言うときのあいすの目つきに萌えたよ…。

ちなみに、宏海装甲にも萌えた。矢射子も倒れるわけだ。
318名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:23:00 ID:91Zn4xS1
それより、あのアイドルキャラだよ

あれ使い捨てなわけねーよな?
319名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:48:27 ID:C7eOkRCe
なにげに宏海が陽子の胸をわしづかみしてるよな
320名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:06:51 ID:4AzcCgBh
先週からの流れで宏海×矢射子のSSがわっと来るかと思ったがそうでもないな
まあ俺としては本編では二度と見られないだろう宏海×あいすの方が興味あるが

>>319
別スレで言ってたが狐の乳はもっと下らしい
321名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 03:09:18 ID:+LOsMHMR
へぇ、単行本でしか読んでないからそういう人物がいた事事態知らんかったな
とりあえず、6巻で読んで条太郎の人気が凄い事が分かった
322名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 06:22:24 ID:ONvyCQrA
宏海装甲といいなんであんなにウサギに縁があるんだろう
323名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 07:21:07 ID:4ezSGhBW
ウサギを逃がす宏海に萌えた
324名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 11:08:02 ID:+zozzSjb
何か翠人気ねーな
殆ど話題に出てない
325名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:30:46 ID:gXEJWhwJ
元があんなんだから妄想しにくいんじゃないだろうか
326名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:33:57 ID:6DnWa+qO
うーん、書き込み少ないな
木嶋と吉下で何か読みたいが、吉下がつれなすぎて妄想ですらどうにもならんw
誰か考えて
327名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 05:02:55 ID:3hpWnugF
自分が悠あいすに萌えたのは選挙戦のときかな
あいすなら遠くから凍り漬けにすることも可能だと思うのだが
わざわざ手を握ったとこドキドキしたw
328名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 12:37:22 ID:NhkQnuS4
あれは逃走防止だと思うけどね
329名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:20:45 ID:pFiavzCl
桃の匂いがするGカップおねえさんと心優しきつっこみエースで
ラブラブなのが書きたいのに
いざ書いてみると鼻血吹いたり邪魔者が乱入したりでうまくいきませんorz
330名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:19:56 ID:NjefnWDQ
>>329
がんばれ!楽しみに待ってる!!
331名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:43:40 ID:M7vhnpq8
優や陽子よりも男性新キャラが3人・・・
BLTのにおいがプンプンするぜッーーーッ!!
332名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:35:41 ID:Bb0jnWsy
もて王掲載順位ヤバイらしいな・・・
打ち切りだけはカンベンだっ!!!
333名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 15:42:49 ID:Pux7oFBp
そろそろ宏海×矢射子続き見たいな
334名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:45:42 ID:PKFXVDLM
ドラクロア「いい身体してるじゃねえか…イイ声で喘がせてやるよ…」
矢射子(やだ…あたしの身体を好きにしていいのは阿久津だけなのに…
     やだよ、こんなの…)

束縛された矢射子の目から、大粒の涙が零れ落ちた…



こんな感じのを読みたい。
335名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:03:59 ID:pVSgHtWI
俺は宏海矢射子の交際を見てなぜかイライラするあいすを見たい
誰か書いてくれ
336名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:33:04 ID:c54Zcm15
>>334
ドラクロアはむしろ「イイ声で鳴けよ」
337名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:20:19 ID:a83Rg/at
>>334
皆同じような事考えるんだなw
自分も矢射子がドラクロアに襲われて宏海が助けに入るシチュエーション
考えたけど、ドラクロアの情報が少なすぎてどう動かしたらいいか…

>>336
うまい!
338名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 05:08:19 ID:9DUd8DIH
>>337
みんな結構同じ事考えるんだなw
実は俺も書きかけてたんだが、人の方が先だとこのまま続けていいのか
ちょっと手が止まる
書き続けてみてもいい?
339名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 07:42:26 ID:vNRj5wDW
>338
是非お願いします!

新キャラの三人組は、まだキャラの掘り下げがなされていない分
陵辱担当として使いやすい気がする
能力がそこそこ高いならあいす陵辱すらも可能かも知れない
340337:2007/04/03(火) 12:30:17 ID:a83Rg/at
>>338
お先に是非! 自分はまだアイディアの段階なんで…。
楽しみにしてます。
本スレや矢射子スレにも、その手の発想がいろいろ出てるね。
341名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 14:55:48 ID:HxOzXl2l
宏矢射祭りしてーなあ・・・
342名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 18:21:42 ID:xqFTcffE
>>341
まずはお前が書いてみるんだ!
343名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 19:17:42 ID:p/Ppmkk1
悠経由とかで見つけてスタープラチナを発動してる宏海が浮かんだ。
344名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 19:19:51 ID:p/Ppmkk1
>>343
>>337ね。
345名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:03:25 ID:zucSXlcA
むしろ矢射子の胸もとのボタンが外れてスターブラチラ
346名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:14:43 ID:OaWZkF34
そっちかー!
347名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 22:22:03 ID:9DUd8DIH
>>340
thx。それじゃお言葉に甘えて書き続けてみる。

他スレの流れだが、矢射子好きの集まってる矢射子スレはともかく
卒業生かつ今週登場してない矢射子を接点すらない新キャラが〜って話は
本スレでするには正直微妙だと思う

心配し過ぎかもしれないが、妄想はこことかキャラスレで留めておいた方が
反感を買う事も少ないかなと
348名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 22:10:28 ID:Vt3XRPq8
まだかなまだかな
349名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 01:39:05 ID:CwSp67XB
何でもいいっ…職人待ち!!
350名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 09:43:07 ID:t5wBASza
今日もベーコンレタスの匂いがぷんぷんした
351名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 21:46:05 ID:Pnk7JDvU
アストロロボモタに似てるチビっ子が女だったら超萌えるんだが
サプライズはないだろうか
352名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 21:48:28 ID:6y4hoolG
新キャラにおっぱい分がないのがなぁ
353名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 22:20:32 ID:EjU5TUGg
悠があいすの画像を携帯に入れていたことにときめいてもいいですか
354名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:04:03 ID:qeNSTFot
>>353
ナカーマwwwwwwww
355名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 00:49:33 ID:iL+bCxdP
>>353>>354
ノシ


宏海×矢射子妄想投下してもいいですか





休日の夕暮れ時、亜久津家の風呂場にタオルを巻き付け立っている一つの人影があった。

「み…見ないようにしてね」
「ああ…わ、わかってる」
二人分の声を出すその人影の首から上は‘赤い悪魔’と呼ばれている阿久津宏海だった。
しかし、その下半分、体にはタオルの上からでも分かる豊かな乳房がついていた。
もつ一つの声の持ち主である百手矢射子のものである。

休日デートをしていた宏海を太臓が召喚した時に矢射子も一緒に吸収されてしまい、再び融合してしまったのだ。
更に運悪くアスタリスクゲートを抜けた先にはドブ川があり、落ちた二人(?)はヘドロまみれになってしまった。

その後、太臓を振り切った宏海たちは、なんとか宏海の家までたどり着き現在に至るのだが――

「それにしてもヒドイ匂いだな。早く洗わねえと染みつきそうだ」
シャワーに手を伸ばそうとするが体が動かない。もう一人の意識が体を強張らせているらしい。
「矢射子?」
「は、はい!」
「……そんな緊張しなくても、見ないようにするから心配すんな」
「う、うん。…なんか前の事思い出しちゃうわね…」
「前?あー…あん時か。親父が乱入してきたんだったな。それだったら大丈夫だ、親父出張してっから」
「え?」
「誰もいないから安心して入れるだろ。ゆっくりしてけばいいさ。ま、何もねえけどな」
「そそ、そうね!誰もいないなら安心して…………ってェェェ!しゅっ、出張?!」



来週の予告に今からwktkしてしまって勢いで書いた
反省はしていない

356名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 07:57:52 ID:CS5CiaDd
GJGJGJ。続きキボン!
357名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 11:42:48 ID:XRcaARvZ
陽子「宏海さん…気持ちいいッス…もっと…」
宏海「とんだ淫乱狐だな…」

的なのは?
358名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 17:53:18 ID:QukOC6nn
こうみはそんなこといわない
359名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:37:18 ID:jC9kcaIG
>>355
GJ!!!
続きプリーズ!!
360名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 00:38:32 ID:uNgjrlMI
飛影はそんなこと言わない を思い出した
361名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 01:52:53 ID:xGSQugBd
倉庫の絵板に矢射子絵が投下されてたのにさっき気づいた
あのエロパロ風最高だった
あの手が全部翠の魔法で分裂した宏海のだったら
矢射子もイキっぱなしですよ
362名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 11:13:07 ID:4aXwzNUM
>>360
テンプレだからw
363355:2007/04/16(月) 00:23:45 ID:7oBxA95s
>>356>>359
妄想にレストンです

続きは考えてなかったので、ちょっとだけど書いてみました
宏海矢射子です





ヘドロで固まった髪をシャワーの温かい湯が溶かしていく。シャンプーを手に取ると矢射子の細い指が宏海の髪を撫でるように馴染ませていった。
普段の自分なら乱雑に扱う洗髪も指が違うだけでこうも繊細なのかと宏海は思った。湯気が満ちた風呂場に髪を洗う音だけが響く。
出張発言以来、会話があまり弾まないのは、相手も似たような思いなのだろうか。


(……やべえ……自信ねえ……)


洗い終わり、キュッと蛇口を閉めた後ほんのニ・三秒ほど固まっていたが、宏海は目を閉じるとやや裏返った声で矢射子に声を掛けた。

「んじゃ、目閉じてっからさっさと洗っちまうか」
「あ、……う、うん」
宏海が目を閉じた事で矢射子の視界も暗くなる。矢射子は自分の鼓動が跳ね上がるのを感じていた。
恥ずかしいから、とそれまで巻いていたタオルを外すと矢射子の体を覆う物は何も無くなった。ただでさえ緊張する状況を暗闇の中で無防備な状態が後押しする。

前回と違って、今回は体にこびりついた汚れを落とさなければならない。体に触らず済ませるのは不可能だったので、手探りで石鹸を探す。
宏海にとっては勝手知ったる我が家だが、状況が状況だけにうまいこと見つからない。
「痛っ!」
「うおっ!」
案の定壁に激突し、したたか額を打ってしまった。
激突のショックで開きそうになった目を、宏海が開けないように眉間に力を入れる。
「阿久津……」
「…ハハ、自分家なのに案外難しいモンだな」

額を擦りながらも胸や体に腕が当たらないようにしていることは見えなくても判った。


「阿久津、目……開けてもいいよ」



364名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 01:41:43 ID:iUrFfKgM
キターーーーー!!!!
365名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 18:16:51 ID:GhTCknAz
GJ!!
続き書いてくれー!
366名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 10:52:32 ID:6C9BXgHY
素晴らしい!後生ですから続きお願いします!
宏海矢射子好きだよ好きすぎるよ……
367名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 04:05:39 ID:Lg+ttVbB
(*´Д`)ハァハァ…すごい気になる終わり方…w
368名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 02:38:45 ID:e5HPYvX8
>>363
萌えがktkr!!!!!!!!
続き楽しみにしてます(´Д`*)
369名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 09:28:20 ID:JUQ2pxhK
なんか過疎ってるな
370名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 20:50:40 ID:XzTTwoFH
大丈夫、これが普通だ
371名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 21:27:49 ID:BKWIWQh6
そうね、職人さんも今は忙しいだろうし、待ったり待たせてもらおう。
一週間に一度やれば保守も十分だろうて。
372名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 03:01:53 ID:Yh5FMFNy
すみません。 宏海×矢射子の妄想を書いてたんですが、
書いても書いてもエチには辿り着けずに長くなって(多分歴代最長)、
オマケにヘタレなのでエチが書けなくて要は「朝チュン」くらいの
しか出来なかったんですけど、そういうのを投下しても怒られない
スレってありますか?
373名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 03:06:49 ID:Yh5FMFNy
それか、エチまで持って行こうとしたけど中々辿り着けなくて
長くなったから、最初からエチ無しにして短めに書き直したら
どっかに投下してもいいのか…
374名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 11:58:13 ID:aH0KaEVT
とりあえずここに投下するんだ!!
375名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 12:25:35 ID:eMghcRHv
エチ無しでいいから長いのをそのまま投下お願いします!!!
376名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 13:40:55 ID:JXc+7rwa
お前の投下をwktkしながら待っているぞ
377名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 14:08:35 ID:8WXI0HYB
エロ無しや特殊な話などの時は、スレ占有を避けるためにロダ(及びロダ代わりになる鯖)を使って
本人証明できるアンカーをフォルダ名にして注意書きと共に誘導しました

他スレの書き手ですが、一つ参考までに
378372:2007/04/21(土) 23:07:49 ID:Yh5FMFNy
>>377
すみません。 ロダも鯖も良く分からなくて…このまま
ココに投下したらスレ違いだとは思うのですが、
誰か私の続きにエチシーンを書いてくれれば…orz
と思うのでここで投下させて下さい。


書いた内容に、山盛り言い訳付けても見苦しいので順次
サクっと投下します。 しばらくお付き合い下さい。
379宏海×矢射子 1:2007/04/21(土) 23:09:42 ID:Yh5FMFNy
『ピンポーン』
土曜の午後、百手家の玄関でチャイムがなった。

矢射子は、ベッドの中でチャイムを聞いた。 チャイムで目が覚めたが、まだ半分寝ているようで頭がぼうっとする。
もー、お母さん出てよー。
『ピンポーン』
もう一度チャイムが鳴る。
あ、そうだ、お母さんもお父さんも、旅行に行ってたんだっけ…
矢射子は、パジャマにカーディガンを羽織ってインターフォンに出た。
「はーい…」
『…阿久津と言いますが、矢射子…さんはおられますか?』
「え?? 宏海?? えええ?」
『あ、矢射子か?』
「な、ななななんで…」
『いや、何でって、風邪引いて心細いってメール見たから見舞いに…』
「い、今玄関開けるから!!」
380宏海×矢射子 2:2007/04/21(土) 23:11:08 ID:Yh5FMFNy
矢射子は、急いで玄関を開けた。
「もう何よ。来るなら来るってメールか電話してよ。」
本当は凄く嬉しいのに素直になれない。 折角宏海が来てくれたのに…。
「寝てたのか? 悪かったな。」
「ううん。そんな事無い… 折角だから、上がって! あ、でもちょっとだけここで待ってて!!」
矢射子は、先に部屋に滑り込み、散らかっている物を手当たり次第にクローゼットに放り込んで扉を閉め、玄関の方に声をかけた。
「いいよー。 私の部屋に来てー」
「ああ。 じゃ…お邪魔します。」
全く、熱でふらふらだってのに何で…いやでも宏海がお見舞いに来てくれるなんて超嬉しい!!
矢射子がニヤニヤしていると、部屋のドアが開いて、宏海が入って来た。
「なんかメールじゃ心細いって書いてたけど、結構元気そうだな。」
「そんな事な…」
言いかけた所で、さっき一気に動いた反動が来て、足元がふらついた。
「わっ!! 危ねぇ…」
よろけた体を宏海が支える。 矢射子の顔はもちろん真っ赤だ。
「急に来て悪かったな。 寝てた方がいいか…」
と宏海に言われて、布団をめくった。 布団の中には鬼の宏海人形がある。
きゃー、宏海人形隠すの忘れてたー!!と、見られない様にあわてて布団に潜る矢射子。 だが宏海はそれには全く気付いていない。
381宏海×矢射子 3:2007/04/21(土) 23:12:40 ID:Yh5FMFNy
……とりあえずどうしよう……
しばらくして、宏海が沈黙を破った。
「…家の中、静かだな…」
「あ、うん、両親共 明日まで旅行に行ってて…」
ってちょっと待って。 明日まで両親が留守って、今は2人っきりだって、なに宏海に説明してんのよあたし。 多分顔赤いし!!
顔を赤らめて、俯いた矢射子に構わず、宏海は話を続けた。
「そうか。 じゃ、心細い訳だな。」
言い終わってから『今はこの家に2人っきり』という事実に気が付いたのか、宏海もまた黙り込んでしまった。 沈黙が気まずいけど、何を喋っていいのか分からない。
また喋り始めたのは、宏海の方だった。
「えっと…昼飯喰ったか?」
「…食欲無くて…」
「見舞い買ってきたけど、家の人はいねぇみてぇだし…台所借りるぞ。 あ、缶切りあるか?」
宏海の突然の発言に、矢射子は思わず顔をあげた。宏海と目が合う。ドキドキするのは熱のせいだけじゃない。自分の部屋に、好きな人と2人きりだからだ。
「? 缶切り? 食器棚の右端の引き出しの中…」
「じゃ、ちょっと待ってろ。」
そう言って、宏海は部屋から出て行った。
何買って来たんだろ? スーパーカメユーの袋だったけど…
382宏海×矢射子 4:2007/04/21(土) 23:14:01 ID:Yh5FMFNy
…しばらくして、宏海が戻って来た。両手にカップを持っている。
「悪りぃ、カップとかフォークとか、適当に使ったぞ。」
「あ、うん…何持って来てくれたの?」
「桃の缶詰。」
そう言って、宏海は矢射子に桃の入ったカップを渡し、自分はベッドの上に腰を下ろした。 ベッドはギシッと小さく音と立てて揺れる。 矢射子の鼓動もそれに合わせて跳ね上がった。
「も、桃の缶詰??」
桃缶も気になるけど、こここ宏海が、宏海が、私がいつも寝ているベッドの上に!!!
ため息をついて、宏海が話し始めた。
「ウチ、オヤジが過保護でな…」
うん。 知ってる。 融合した時に見た、あのお父さんよね。
「俺が小さい時、熱出したらいつもオヤジに、頭は氷枕と冷たいタオルでガンガンに冷やされて、体は冷えるといけないからって毛布でグルグル巻きにされてな。」
宏海の小さい時…どんな子供だったのかな。
「で、オフクロがそれ見ていつも、やり過ぎだってスゲー怒ってな。」
毛布で す巻きにされた宏海には悪いけど、絵が浮かんで笑っちゃう。
383宏海×矢射子 5:2007/04/21(土) 23:15:27 ID:Yh5FMFNy
「俺が熱を出すと、毎回オヤジが暴走するし夫婦喧嘩になるしでうんざりしてたんだけど、それでもオヤジにされて唯一嬉しかったのが、熱を出すと桃の缶詰を買って帰って来た事なんだ。」
「で、風邪の見舞いに桃缶しか思いつかなかった。」
宏海の小さい頃の話を聞くなんて初めてだ。 小さい秘密を共有出来たみたいで何だかとても嬉しい。
「ありがと。 あたし、桃の缶詰好きよ。」
「俺も好きか嫌いかと聞かれたら好きだな。 まぁ、甘過ぎだけどな。」
そう言って、宏海は桃を頬張った。
「どうした? 顔が赤いぞ。 熱が上がったか?」 
何気ない言葉なのに、宏海の口から「好き」なんて言葉が出るとドキドキする。 そう言えばはっきり「好き」って言って貰った事無いな。 いつか言ってくれるかな…
「だだだ大丈夫! この桃美味しいね!!」
「まだ喰ってないだろ?!」
あ、いつもの宏海だ。 宏海は私の家でもいつもと同じで、あたしが舞い上がってるだけなのね…
384宏海×矢射子 6:2007/04/21(土) 23:17:19 ID:Yh5FMFNy
一方 矢射子の方はと言うと、ドキドキし過ぎてフォークが上手く桃に刺さらない。 沈黙の中、フォークがカップにカチカチ当たる音だけが響いた。
「熱で上手く喰えないか…悪かったな。 ほら。」
宏海は桃をフォークで刺して、矢射子の口元まで持って行った。
え、これ、恋人同士がよくやる『あーん』? え? 今ここで??
「…大き過ぎ…」
嬉しい!とか言いたいのに、胸が一杯でこれしか言葉が出ない。
フォークには1/2サイズの黄桃がまるまま刺さっている。
これを好きな人の前で上手く齧れる女の子なんていないよ。
「なんだ、面倒臭ぇなぁ。 ほら。」
宏海は、矢射子の目の前で桃をガブガブと齧り、一口サイズにしてしまった。
「ほら、喰え。 喰わねぇと治んねぇぞ。」
え? ちょっと! 何したのよ?! か、間接キスになるじゃない!! ええええええ?!
混乱している間に、矢射子の口に桃が放り込まれた。
「んっ…」
シロップが、唇の上で光る。
今までで、一番甘くて美味しい桃。
口の中で、溶けるみたい。
甘いのは、シロップのせいだけじゃない。 宏海が、食べさせてくれたから…
…ダメだ。 熱のせいなのかどうか分からないけど、頭も胸も一杯でもう何も考えられない…
385宏海×矢射子 7:2007/04/21(土) 23:18:20 ID:Yh5FMFNy
「…ごめん、宏海。 ちょっと横になっててもいいかな…?」
「あ、悪かったな。 具合が悪い時に来て…」
「ううん、来てくれて嬉しい。 でもちょっと眠くなって来ちゃって…」
「そっか。 じゃぁ、邪魔したら悪いから、帰るわ。」
ええ? もう帰っちゃうの?? まだ帰らないで欲しいのに…

「…え?」
立ち上がった宏海が振り返った。 驚いているのが目で分かる。
あれ? 私、今、思った事そのまま言っちゃってた? どうしよう?!
立ち上がった宏海が、しばらく沈黙したまま、またベッドに座り直す。 ベッドはまたギシッと小さく揺れた。
「…じゃ、いてやるから早く寝ろ。」
「うん、勝手に帰らないでよ……」
言い終わると、宏海がまだ居てくれるという安心感からか、矢射子はすうっと眠ってしまった。
386宏海×矢射子 8:2007/04/21(土) 23:19:53 ID:Yh5FMFNy



どれくらい眠っただろう。
「………宏海?!」
矢射子は目を開けると、ベッドから飛び起きた。時計は午後5時を指している。
部屋は電気も消されていて、家中が何だかとても静かだ。
あ、あれ? 宏海がお見舞いに来てくれたと思ったのにいないし…夢だったのかな? そうよね、宏海が桃を口にあーん…なんて、、、なんて!なんて!
ここで我に返ると、パジャマが汗でぐっしょりと濡れているのに気が付いた。 代わりに体はとても軽い。
汗をかいて熱も下がったみたいだし、シャワーを浴びて着替えよう。
そう思って、矢射子は着替えを持って部屋を出た。


シャワーから出ると、リビングのTVが付いているのに気が付いた。
お母さんは旅行に行ったはずだけど…あたし、TV付けっ放しにしてたっけ?
そう思って後ろからソファに近付くと、赤いツンツンした髪の毛が見えた。

こ…宏海?!
387宏海×矢射子 9:2007/04/21(土) 23:21:00 ID:Yh5FMFNy

宏海はソファに座って、腕を組んで寝てしまっている。 付けっぱなしのTVからは、かろうじて聞こえるか聞こえないかのボリュームで、お気楽な旅番組が流れている。
ああああれは夢じゃなかったの?! 宏海がお見舞いに来てくれたのは!
…そっか、宏海は紳士だもんね…私が寝たあと、起こさないようにこっちに来てくれたのね…
そんな宏海が、何だかとても愛しく思えた。 宏海の腕には、この間の花見の時に付いた、治りかけの火傷の跡がある。
いつもいつも、自分を犠牲にしても、太臓達から私を守ってくれる宏海。 でも、私だって、好きな人の為なら戦える。 私だって、宏海を守ってあげたいよ… その為に、私には何が出来るのかな… どうしたら、宏海は喜んでくれるのかな……
色々考えたけど、すぐには具体的に思い付かない。
…とりあえず、今は、風邪を引かないように毛布ね!
矢射子は、毛布を取ってきて宏海にかけた。
…どうか、まだ起きませんように! まだ帰るって言いませんように!
寝ている宏海を見るのは2回目だ。 1回目は太臓達のせいで融合してた時に見た。
あの時は先輩後輩?敵味方?だったけど、今は違う。 宏海はあたしの彼氏…だ…きゃー!!
388名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 23:40:33 ID:uggRYM3t
矢射子スレから支援。
よくわからんかけどこれでいいのか?
矢射子かわいいなあチクショウ!
389名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 23:46:06 ID:mVO9ibm1
支援(・∀・)
390名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 23:50:33 ID:KU/NI8WH
続き待ってるよ
391名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 00:48:23 ID:OxY3zPte
乙!
続き頑張れ!!
392名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 18:48:05 ID:phWn4lw6
保守
393名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 23:06:43 ID:QEFB/k3R
もて王のエロネタってバカ明るいかキモいかで笑い取るから
本来の意味でのエロスは微塵も感じたこと無かったんだけど
温子と仁露のやりとりに、初めて笑いよりも萌えよりも先に「うわエロっ」と思った
394名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 23:47:36 ID:7827y295
仁露→温子補正が頭から離れない。
395372:2007/04/24(火) 01:15:23 ID:eHf/V2FE
すみません。 上記の「宏海×矢射子9」まで書いた者ですが…
途中放棄した訳ではなく、アク禁をくらっておりました…
最後まで書けてるのに… orz

次にアク禁くらったら、良ければエロパロ保管庫の掲示板に
続きを投下させて下さい。

では、、投下出来るかな…?
396宏海×矢射子 10:2007/04/24(火) 01:17:14 ID:eHf/V2FE
「か、彼女なんだから、隣に座ってもいいわよね??」
誰に聞く訳でもないけど、思わず疑問系でつぶやいた。
宏海が座って寝ている隣に座り、自分も毛布を膝に掛ける。 左肩が触れると、自分のパジャマと宏海のシャツ越しに宏海の体温が伝わって来た。
左肩が熱い。 ジンジンする。 布2枚隔ててもこんなに熱い…
「う…ん…」
宏海が体を揺すった拍子に姿勢が崩れ、矢射子の膝に宏海の頭が乗った。
きゃー、ひ、膝枕なんて!! もうダメ…
宏海の上に、何かがパタパタと落ちた。

「…う…ん…何が落ちて……って、、うわ、矢射子?! おまけになんだコレ?? 血??」
「ご、ごめ…」
起き上がろうとした宏海の頬が、矢射子のパジャマの胸の先を掠めた。

!!!

「わ、悪りぃ!!」
矢射子を遮って、今度は宏海がうろたえて謝った。
い、今の、ブラしてないの、分かっちゃったかな??
宏海の顔は向こうを向いて見えないけど、自分の顔が赤くなってるのは分かる。
でも宏海のシャツに鼻血こぼしたのはあたしだし、洗濯しないと!
397宏海×矢射子 11:2007/04/24(火) 01:18:39 ID:eHf/V2FE
「ご、ごめん… シャツ洗うから…」
どうしよう。 折角ウチに来てくれたのに、いつもあたしは暴走ばかりだ。 嫌われたかな…
「いや、自分で洗うから。 洗面所借りていいか?」
宏海はさっきから全然こっちを向いてくれない。 相当怒ってるのかな?
「ううん、あたしが…」
と、宏海の前に回りこもうとした矢射子を、目を合わせないようにして宏海が手で遮る。
「…俺も、男だから、、今 矢射子を見ると、その、ナンだ、押し倒しちまいそうでヤバいから、、な?」
矢射子はその言葉に、恥ずかしいと思うよりも先に、嬉しいと思う自分に驚いた。 自分の大き過ぎる胸は、武器にもなるけど、コンプレックスも少しあった。 周囲の男共は誰も彼も、矢射子の気持ちより言葉より、胸ばかりを気にするのだから。
でも、宏海は違う。 こんな時でもあたしを気遣ってくれる…
「体にもかかったからシャワー借りていいか?」

(ヤベェ。 水でも浴びとかねぇと俺の方が暴走しちまう…)

「え? あ、、うん… お風呂場はこっち…」
矢射子の説明が終わる前に、宏海は無言で風呂場に向かった。
398宏海×矢射子 12:2007/04/24(火) 01:20:17 ID:eHf/V2FE


しばらくすると、リビングにいる矢射子にも、シャワーの音が聞こえて来た。
あ、タオルくらい用意しないと… 宏海の着替え、どうしよう?
矢射子はタオルを持って、脱衣所からドア越しに風呂場の宏海に声を掛けた。
「あ、あの…宏…海?」
キュッと蛇口を捻る音がして、シャワーの音が止まった。
『…矢射子?』
ドアの向こうから、驚いたような宏海の声だけが響いて来た。
「タオル、ココに置くから…」
『悪りぃな。』
「…汚しちゃったの、あたしだから…ごめんね。」
『気にしてねぇよ。』
見えなくても分かる。苦笑いしてるんだろうな。
「あ、汚れたシャツは?」
『簡単に洗ってそこに置いた。 乾かしといてくれるか?』
「うん…あ、あの、着替え…」
『下は無事だっから要らねぇよ。じゃぁ後でな。』
矢射子は、シャツを乾燥機に入れて、リビングに戻った。
399宏海×矢射子 13:2007/04/24(火) 01:21:47 ID:eHf/V2FE


また鼻血噴いちゃった…
さっきまで凄く幸せな気分だったのに、自分かやらかした結果を見ると何だかもう泣きそうになる。 折角一緒に居るのに…またいつもと同じ失敗をして…
リビングのソファにうずくまって座る矢射子に、シャワーから出た宏海が声を掛けた。
「シャワー、ありがとな。 寝て具合が良くなったみてぇだし… 俺、服が乾いたら帰るから。」

え? ……嫌だ…帰るなんて言わないで!!!

口よりも先に、体が動いた。
自分でも信じられないけど、宏海に正面から飛び付いた。
目の前には、宏海の裸の厚い胸板がある。
「…矢射子?!」
頭の上から、上ずった宏海の声がする。 飛び付いといて何だけど、恥ずかしくて顔を上げられない。 体が震える。
宏海は、矢射子を拒絶する事も、抱き寄せる事も出来ずにいた。
400宏海×矢射子 14:2007/04/24(火) 01:23:41 ID:eHf/V2FE

「……か…帰っちゃ…ヤだ…」
固まったままの宏海が答える。
「意味分かって言ってんのか?!」
「うん…」
少し間を置いて、宏海の右手の先だけが、矢射子の髪に触れた。 それ以上は決して触れて来ない。 矢射子はそれに気付いて、宏海の胸に頭を寄せた。
宏海の心臓の音が聞こえる…心臓の音を聞くなんて、初めて。 初めてなのに、懐かしい気がするのは何でかな。 不思議。 震えも止まって何だか落ち着いて来た…
矢射子は、口をきゅっと結んだ後に、一気に喋った。
「…やっと付き合えるようになったのに邪魔されてばかりで…ずっと、宏海の事が好きだったの。宏海ばかり見て来たの。…好きだから、もっと一緒に居たいの。……ダメ?」

(…矢射子にここまで言わせて何してんだ俺は……ごめんな。かなり勇気が要ったよな。)

「…ダメな訳…ねぇだろ。」
401宏海×矢射子 15:2007/04/24(火) 01:27:01 ID:eHf/V2FE
宏海の左手が、矢射子の体を強く抱き寄せた。 右手は、髪を優しく撫でる。 触れられた部分から、一気に体温が上昇する。
「…宏海…体温高いね…」
「…矢射子は柔らかいな。 良い匂いもするし…」
矢射子が顔を上げると、宏海の顔が近付いてきた。

キス。

凄い、気持ち良い。 キスがこんなに気持ち良いなんて知らなかった。 何だか頭がぼうっとする。
抱きしめあって、何度もキスを繰り返すと、2人の心の距離もゼロになる。
嬉しいけど、でもちょっと強く抱きしめ過ぎだよ宏海。 それにあの、あの、あたっているのはあああああの…
「ごめ…ちょっと痛い…」
「あ、悪りぃ。」
そう言って手を緩めた宏海は、少し間をおいて、大きく深呼吸をした。
402宏海×矢射子 16:2007/04/24(火) 01:29:45 ID:eHf/V2FE

(喧嘩は散々したけど、女の子の扱い方なんて分かんねぇしな……でも、)

「矢射子。」
「なに?」
「…一度しか、言わねぇからな。 ………好きだ。」
「え?? 今なんて…」
「一度しか言わねぇって言ったろ。」
そう言って、宏海はまたキスをした。
どうしよう?! 超嬉しい! 宏海が『好き』って言ってくれた! あたし、宏海に愛されてるって思って良いよね? そう思ったら、涙がちょっと滲んで来た。
それに気付いた宏海は、手で涙を拭って、瞼の上にもキスをした。
403宏海×矢射子 17:2007/04/24(火) 01:31:10 ID:eHf/V2FE

宏海の手が、パジャマ越しに矢射子の胸の上に移動する。
大き過ぎる私の胸だけど、宏海はガラスを扱うみたいに優しく触れてくれる…
「…んっ…」
ヤだ。 何でこんな声出ちゃうのよあたし。
今度は、耳朶に宏海のキスが来た。 手は変わらずに優しく胸に触れたまま…
「…んっ…ゃぁ…っ…」
ホントに何でこんな声出ちゃうの? 好きな人に触られるのって、こんなに気持ち良いの? でも、ちょっと恥ずかしい。
「あ、あの、宏海…」
「…何だ?」
答えながらも、宏海は何度も首筋にキスをして、手はそのまま動かし続けた。
「…電気は、、んっ…け、消さない…の? あと、カーテン…」
「消したら見えねぇし……ダメか?」
見たいって思ってくれてるの? 嬉しいけど…でも恥ずかし過ぎる!
「ヤ…だ…絶対っ…消し…て…」
「……分かった。」
そう言って、宏海は部屋の電気を消した。 『パチン』という音だけが、静かな部屋に響いた。
404名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 01:36:33 ID:eRXik5FX
支援
405372:2007/04/24(火) 01:39:51 ID:eHf/V2FE
以上で --終--  です。

お付き合い頂き、ありがとうございました。

エチシーンをどうにか、どうにか!!…と思ったのですが、
私には無理でした。(´・ω・`)ショボーン
どなたかエロい人、よろしければこの続きをお願いします。
406372:2007/04/24(火) 01:45:52 ID:eHf/V2FE
>>404
支援ありがとうございました!
407名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 01:51:16 ID:a+Gwu4QA
GJでした!
でも、続きが気になるなあ…
408名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 06:14:54 ID:D3+esgJ2
ナーウ!禿しくGJ!
乙女な矢射子がかわいかったよ

続きは…神をお待ちするか…
全裸で
409名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 19:36:34 ID:igIaTWTy
GJ!

でも、夕方の5〜6時の黄昏時なら電気消してもまだ薄明るいよな?
夕焼けの赤に照らされて、余計にえちぃ気がするよ

続きを…神の降臨待ち中…
全裸で
410名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 21:01:45 ID:E9kOy/sr
GJ!GJ!

べ、べつに>>372の続きが読みたいわけじゃないんだからねッ!
411372:2007/04/25(水) 00:31:31 ID:jHo5zp0x
GJありがとうございます!!

エロ漫画も、エロ小説もBL小説もラノベも全く読まない私(♀)
が書いてもエチい感じに仕上がらないのは目に見えてるんで、
中途半端ですがここで辞めました。

カーテンを閉めるも閉めないも、矢射子の部屋に移動するも
しないも神のお好みで。 ゴムをどっから出すかという
問題があるんですが…それも神のお好みで。
私も続きを書いて下さる神をお待ちしてます。
全裸で
412名無しさん@ピンキー:2007/04/25(水) 00:34:55 ID:n1KlcuWT
>>411
今読み終わったんだけど可愛いヤイコに萌えたよ!GJ!
つ▽
夜は冷えるからパンツをどうぞw
エロがなくても十分楽しめたし、是非また書いて下さい><

続編も楽しみ
私も待つか……裸に靴下で
413372:2007/04/25(水) 01:11:33 ID:jHo5zp0x
>>412
GJと▽ありがとうございます!

あと、すみませんが、出来ればまとめサイトに載せられる
時に訂正をお願いします。
>>387のところ、
私が寝たあと→あたしが寝たあと
太臓達から私を守って→太臓達からあたしを守って
でも、私だって、好きな人の為なら戦える。 私だって、宏海を守ってあげたいよ… その為に、私には
→でも、あたしだって、好きな人の為に戦うのは怖くない。 あたしだって、宏海を守ってあげたいよ…その為に、あたしには

以上です。
ここだけ「私」にしてしまってたのと、
矢射子は普段から積極的に戦ってたしなぁ、と…
414名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 21:39:02 ID:CxxwYXkG
矢射子可愛すぎるよ矢射子
415融合宏海矢射子3:2007/04/28(土) 03:02:26 ID:tomfzwnL
書き手さん来てたー!遅ればせながらGJです!
矢射子、可愛いよ矢射子!


続いてしまいますが、宏海×矢射子で>>355>>363の続きです






「何言って――」
「ほ、ほら、これ以上怪我したら大変だし、それに」
喉がコクンと鳴る。
一呼吸おいて矢射子は小さく続けた。
「阿久津なら……いい」


体を共有している上に視覚を閉じてる分、普段より敏感になっているのかもしれない。
二人の鼓動が一つに重なっていた。それはまるで体全体が脈打つかのようで、鼓動を打つ度に気持ちが高ぶっていくのが分かる。
暗闇の中に見えないはずの互いの顔が見えた気がした。

「――分かった。開けるぞ」
意を決したのか、または確認とも取れる宏海の言葉に矢射子は黙って一度だけ頷いた。

眉間に入れた力を緩め、そっと目を開く。
壁に反射する電灯の明かりの眩しさとモヤで最初はよく見えなかったが、それもほんの一瞬だった。
クリーム色の壁に薄いブルーのタイル、天井近くの窓から夕焼けに染まる空が見える。
ややぎこちなく下に目線を下ろしていくと、みずみずしい豊かな白い双丘が片腕によって先端を隠されながらも、その腕からこぼれんばかりの存在感をアピールしている。
おずおずと腕を外すと、やや荒い呼吸に合わせて上下する乳房を彩るように桜色の乳首が顕になった。
普通なら見ることができない矢射子の視点から見る裸体の艶しさに、つい宏海は見入ってしまっていた。

416融合宏海矢射子4:2007/04/28(土) 03:05:35 ID:tomfzwnL
「あああ、あ、あの…そんなにジッと…されると……」
「見ていいんだろ?」
「!!」

恥ずかしさに耐えかねた矢射子の主張だったが、宏海の意外な返事にやり込められ、二の句を継ぐことができなかった。

「…バカ、冗談だ。風邪ひかねえうちに洗っちまうぞ」

半ばパニック状態だった矢射子が、自分がからかわれた事に気付いた時には、宏海はすでに手早くタオルに石鹸をつけ、首から汚れを落とし始めていた。
冷静ともとれる宏海の言動に矢射子も少し落ち着きを取り戻したが

(あたしだけテンパってるみたい…阿久津は…何ともないの?)


(ホント冗談じゃねえ。このままじゃ何するか自分でも分かんねえぞ)

矢射子の思いを知るはずもないが、宏海もまた内心頭をかかえていた。

(とにかく早いトコ洗っちまわないと…って、何で女ってのはドコもかしこもこんな柔らかいんだ!)

二人にとって融合していたのは、ある意味救いだったかもしれない。

両腕を擦り終わった所で動きがピタッと止まる。
「あー…洗うからな」
「い、いいいいわよ」

息苦しくなっているのは擦っていた間、矢射子が声を出さないよう時々息を止めていただけじゃないのだろう。体の高まりを宏海も自覚していたが、それが自分のなのか矢射子のものなのか分からなくなっていた。

417融合宏海矢射子5:2007/04/28(土) 03:09:28 ID:tomfzwnL
右手が鎖骨を滑り降り、左の乳房の上をゆっくり擦り始めた。柔らかだが張りのある乳房が手の動きに合わせて、まるでプリンの様に左右に揺れ、形を変えていく。
矢射子にしてみれば自分の体なのだが、擦り方や力の入れ具合の微妙な違いに宏海の存在をいやが上にも感じさせられていた。

(落ち着くのよ、あたし!これはあたしの手!あたしの手!)

胸の形に沿って大きく円を描く様に洗っていると、力んだ指の爪が軽く乳首を引っ掻いてしまった。
すでに痛いくらい隆起していた突起は最も敏感になっていて、矢射子は堪らず声をあげてしまう。
「んっ!」
自分のあげた嬌声で恥じらいが頂点に達してしまった。顔が一気に赤くないなり、頭に血が登っていく。

「あ…や、違うの!これは…」
「……矢射子、悪ぃ」
「え?」

パシャッと水気を含んだタオルが床に落ちる。
タオルを離した両手が、それぞれ下から持ち上げるように乳房をわし掴みすると、豊かに実った白桃を覆い切れず指先は柔らかな果肉に食い込んでいった。

418融合宏海矢射子6:2007/04/28(土) 03:15:34 ID:tomfzwnL
「はぁっ!ん…あ、亜久津?!」
「……限界がきちまったみたいだ」

そう言うと宏海は手に力を入れ、矢射子の胸を揉み出した。手の中で弾力のある乳房がふにふにと風船のように踊る。
「ふあっ……やっ…ま、待っ……!」
揉みながら親指をずらし乳首にあてがうと、指の腹を押し当て転がすように捏ねた。ピリッとした鋭い疼きが二人の全身を貫く。
「やあぁっ!あっ……はぁ」
胸から与えられる刺激と、好きな人に体を弄られているという現状は矢射子の感度に拍車をかけていた。それは宏海にとっても同然で、矢射子の体に流れる刺激は宏海の興奮も高めていく。

「こんなの………は、恥ずかしいっ……」
「お前って、ホント…訳分かんねえヤツ…だな」
「なんっ……で、そんな、んっ……言うの」
「嫌なら、殴るなり何なり、すりゃいいだろ」
「ふあっ……そ、それは…………」

押し寄せる快感に飲み込まれそうになりながらも、矢射子は吐息混じりで続けた。

「亜久津が……す、好きだから…」

息も絶え絶えな言葉に手の動きが止まった。快楽と羞恥のせめぎ合いから一旦解放され、肩で大きく息をつく。

「……んな事言ってっと、明日の朝どうなっても知らねえぞ」
「?…………!!」

少し考え、宏海が言わんとする事を理解すると、火が出そうなほど顔が真っ赤になった。

その瞬間、ボンッと小さな爆発音と共に白い煙がもうもうと立ち込め、あっという間に風呂場は煙に覆われてしまった。

「な、なにこれ?!」
「何も見えねえ…ん?」

手探りで窓を開けると、煙は一分もしない内に薄くなっていき、やがて周囲の様子が見えるようになり、二つの影が姿を現した。

『ああああーーー!!!!』

融合が解けた二人が異口同音に叫ぶ。

「なんっ、何で戻ってるのー?!」
「一晩寝なきゃ戻らないんじゃなかったのか?!」

お約束の全裸で戻った体を隠したが、洗っている途中だったためか、所々まだ汚れや泡が残っていた。

「戻っ…ちゃった」
「ああ…………」

今日何度目かの静寂と緊張が取り囲む。
さっきの会話が二人の頭をよぎっていた。



「……どうする?」







419名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 03:39:07 ID:AJGd6zxW
->>418
ちょ、GJ!!先が気になるー!


えー、素敵な宏海矢射子の後で恐縮ですが拙作落とします。
勢いで書いた仁露×温子です。
強姦かつ獣姦?なので、苦手な方はここから5レス飛ばすか、
「リッキングウルフ」をNGでお願いします。

あと何気に86章ネタバレ有りです。
一応もう発売日ですが、こちらもお気をつけ下さい。




420リッキングウルフ 1/5:2007/04/28(土) 03:40:03 ID:AJGd6zxW
――どうかしている。

仁露はメガネのブリッジを軽く押し上げた。
今日会ったあの女性の事が頭から離れない。

「怖い?大人になってもひとりじゃなんにもできない方が、もっとこわいよ!」

自分のみっともない姿を目の当たりにし、
更に襲われそうになったというのに、
彼女は「変身出来るなんてすごい」と感心して
怖くないのかという質問には笑ってその言葉を返した。

後からそれはマンガの中のセリフだということを教えてもらったが、
たとえ、彼女自身の言葉でなくても
そうとう読み込んで血肉になっていなければ、
とっさにその言葉が出てくるはずもない。
彼女は、本当にぼくが怖くなかったのだ。

救われた。そう感じた。

なのに、そんな素晴らしい彼女を――妄想の中で犯している。
421リッキングウルフ 2/5:2007/04/28(土) 03:40:59 ID:AJGd6zxW
あの時は間界領事に凍らされたが、もし、邪魔が入らなければ――

彼女に当て身でも食らわせて抱えあげ、
ドラクロワや間界の王子様とその従者2人から逃げて
体育館倉庫あたりに連れ去る。

扉が開かないように細工をし、
服を引き裂いて逃げられないようにする。
彼女は悲鳴を上げるだろう。
「あれ?『驚かして……すまない』は?」

無視してそのまま引き裂いた服で手足を縛りつけ、
全身を舐めて文字通り味わうことに専念する。
最初はくすぐったがったり嫌がったり、
そのうち泣き出すだろう。その涙も舐めとろう。
422リッキングウルフ 3/5:2007/04/28(土) 03:41:58 ID:AJGd6zxW
実界に来てから押さえ込んでいた、溜まりに溜まった欲は、
例のフェロモンですっかり開放されてしまっている。
影響を受けるほど吸い込んだつもりは無かったが、
どうもあのフェロモンにはムラがあったようだ。

ほんのわずか、頭の片隅に残っている理性でそう考えるが、
体は彼女の味を存分に楽しみ続ける。柔らかくきめ細かな肌に前肢を這わせ
弾力を楽しむ。狼の姿は不便だ、たまに肌にキズをつけてしまうかもしれない。
血も舐めとろう、いくら食事とは言え、彼女の血はドラクロワには一滴たりとも渡さない。

そうして舌が触れていないところなど無くなる頃には、
――彼女から笑顔は消えているだろう。
全裸の肌をぼくの唾液でてらてらと光らせ、
引きつった表情でこちらを見るに違いない。

「でも、しょうがないでしょう? 最初に舐めてきたのは貴女だ」
423名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 03:42:16 ID:tomfzwnL
妄想を引っ張ってこんな形になってしまいました。ごめんなさい



宏海・矢射子もいいけど、今週の温子・仁露もかなりキター!
先が楽しみな組み合わせたくさんあるんだけど・・・まだまだ見たいよ、あもたん
424リッキングウルフ 4/5:2007/04/28(土) 03:43:12 ID:AJGd6zxW
わざとていねいにそう言って、ゆがんだ顔をもう一舐めしてから、
こちらも服を脱いで「食べる」準備をする。――処女、だろうか?
多分そうだろう。確信は無いが。

こちらが服を脱ぐ隙に逃げようとする彼女の腰を捕らえ、
背後から抱え込み、床に――マットか何かあれば、そこに押さえこむ。
奇妙な形に結われた金髪が目の前を跳ねる。

「いや……たすけて、じょうたろうさんっ」

想い人に助けを求める彼女の言葉に、
こころに鈍い痛みと嗜虐を覚えながら、
いきりたった己を彼女の中に根元まで埋ずめる。キツい。
一度引き抜き、また奥まで。血と、体液と唾液と、
彼女の悲鳴と、
体の芯から焼けるような快感――
焼けるような――
焼ける――
425リッキングウルフ 5/5:2007/04/28(土) 03:44:23 ID:AJGd6zxW
「あっ……つぅっっ!?」
仁露が「本当に」熱さを感じて我に返ると、足元が、比喩抜きに燃えていた。

そうだ、ここは自室だ。
彼女から一日つけたままでいろと言われたライターを前にして妄想にふけるうち、
ライターが倒れて落ちたことに気付かず、服に火が付いていたのだ。
慌ててライターを立てて遠ざけ(幸い消えなかった)、
服に移りかけていた火を踏み消す。

「罰が当たった、んでしょうか……」
「おい、なんか焦げくせえぞ?」
一息ついたところで、ドラクロワが異変を察知したのか、
部屋の外から問いかけてきた。

「大丈夫ですよ」
努めて平静を装って返答する。

「ならいいけどよ。あのライター消しとけよ、危ねえから」
「消しません」
「……忠告は、したぜ」
呆れたようなため息と共に、去っていく気配がした。

先ほど避けておいたライターに目をやる。
「すみませんでした。温子……と」
実界では名前呼びは目立つ。彼女を、どう呼ぶべきなのだろうか?

しばらく考え、正解を思いついて、
仁露は苦笑と共にライターに向かって謝罪した。

「すみませんでした、部長」
426名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 03:45:42 ID:AJGd6zxW
終わりですー。

>>423
ぎゃーすみません挟んじゃったー!!
427名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 03:57:20 ID:tomfzwnL
>>426
GJGJ!見たいと思ってた矢先に!
仁露がムッツリエロく、ライターの火オチやドラクロアも微笑ましくてたまらんです

こちらこそ中断してしまってすみませんでした
428名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 07:32:40 ID:VkpkiPXN
おお!仁露温子GJです!
仁露はむっつりっぽいよな!
天真爛漫な温子にふりまわされつつも
なかなか手が出せずに妄想というシチュがおいしいと思う
429名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 10:25:47 ID:ZQVi1I1t
仁露温子GJ!!
仁露の、決して表には出さない感情とか、温子の呼び方とか、
ディ・モールト ベネ!!
いつかこの2人も公式でくっつくといいな!
430名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 10:35:30 ID:ZQVi1I1t
融合宏海矢居子もディ・モールト ベネ!!

矢射子のとまどいとか、2人の息遣いとかが聞こえてきそうな
トコロがイイ!! つ、つ、つ、続きはありませんか??

確実に最後まで…だろうけど、何で宏海矢射子派は寸止め
なんだぁぁぁ!!!
431名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 12:30:13 ID:Sxq/eebX
連休早々祭りになってますね!
皆様、ディ・モールト、ディ・モールト・ベネでございます!!

>>337ですが、ドラクロワは他の方々にお任せすることにして、
宏海×矢射子の初デート後の話を書いてみました。
Hは…頑張りますが、あっさりとしかできないと思います…。
とりあえず、前半投下します。
432宏海×矢射子1:2007/04/28(土) 12:44:44 ID:Sxq/eebX
初めてのデートの帰り道。
「やれやれ、結局いつものパターンだったな」
「赤い悪魔」の異名を持つ(元?)不良、阿久津宏海はため息をついた。
「本当ね…」
これもため息とともに答えたのは、隣を歩いていた百手矢射子。
最初は間界の王子太臓がらみで宏海のことも敵視していたが、
今では毎日食べたものまで報告しあう宏海の彼女だ。
矢射子は普通にしていればそこそこ、いやかなり魅力的な女の子だ。
何しろ、身長168cm、体重56kg、バスト92Gカップのナイスバディ、
美人で文武両道の元生徒会長なのだから。
ただ、何かと暴走してしまうのが玉にキズなのだが…。
それでも宏海は、矢射子が実は並外れて純情なあまり暴走してしまうのだということに、
最近気づき始めていた。
「太臓がいる限り、あたしたちには平和はないのかしら…」
「他の相手だったら、すぐに愛想をつかされてるだろうな。
お互い太臓のとばっちりをくう者同士だから、オレ達うまくいってるんだろうか…」
「…かもね」
ポニーテールの髪を払って、矢射子がクスッと笑った。
「だとしたら、あたし生まれて初めて太臓に感謝するわ」
これにはちょっとジーンときた。
宏海は、これまで矢射子がどれだけ太臓の変態ぶりに迷惑をかけられてきたか、
よく知っている。
太臓がドキ高に転校してきてからは言うに及ばず、昔太臓をホームステイ
させていた時には、太臓が原因で当時の彼女の人間関係はメチャメチャに
されてしまったのだった。それなのに、おかげで宏海とうまくいくのなら、
太臓にさえ感謝するとは…。
「それにね、皆の前で『オレたちつき合ってる』って言ってくれて、
うれしかった」
「矢射子…」
433宏海×矢射子2:2007/04/28(土) 12:56:27 ID:Sxq/eebX
その時だった。
「やっと見つけたぞ、宏海!」
「おっ、親父!? どうしてこんな所に!」
「宏海のお父さん!?」
二人の前に立ちふさがったのは、息子を溺愛する宏海の父だった。
「昨日からどうも様子が変だと思ったから後をつけてきたんだが、
途中で見失ってしまったんだ…
やっと見つけたと思ったら、見知らぬ女とデートとは!
一体全体、佐渡さんとはどうしたんだ!」
「佐渡さん?」
動揺する矢射子の隣りで、宏海は声をはりあげた。
「もともと佐渡のことは伊舞の勘違いだって言ってるのに、連れて来いって
騒いだのは親父じゃねえか。
紹介するぜ、これがオレの本当の彼女の矢射子だ!」
「本当の彼女?」
「は、はじめまして! 百手矢射子です…」
真っ赤になって頭を下げる矢射子をじろりと眺めると、父は宏海に向き直った。
「いかん! たしかにこの女はいい体をしているが、それに血迷って乗りかえる
など、いかんぞ宏海ィ!
この売女アアア!! よくも宏海をたぶらかしおってエエエ!!」
「えっ? あっ、あのっ?!?」
宏海がとめる間もなく、逆上した父が矢射子につかみかかろうとし、
不意をつかれた矢射子ははずみで転倒してしまった。
434宏海×矢射子3:2007/04/28(土) 13:07:30 ID:Sxq/eebX
「あ痛っ!」
「大丈夫か、矢射子!?」
駆け寄った宏海が助け起こすと、矢射子はけなげにほほえんだ。
「ん、大丈夫…つっ!」
左足首をおさえてうめく矢射子に、宏海はそっと怪我をした部分を調べた。
「ひねったな…。さいわい骨に異常はなさそうだが。…親父!!」
「はっ、はいっ!?」
底冷えのする宏海の声に、父は直立不動で返事をした。
「オレが体目当てに女を乗りかえるような男に見えるか?
そんなにオレのことが信じられないか?」
「いえ…そんなことないです…」
「だったらオレの言う事を信じろ。佐渡とはただの同級生だ。
この間は、オレが頼んで彼女のふりをしてもらっただけだ。
オレの本当の彼女は矢射子だ、わかったか!!」
「はいっ、わかりました!!」
「オレは怪我をした矢射子を家に送ってくからな。文句はないだろうな…?」
「…ありません…」
しゅんとした父をひとにらみし、宏海は矢射子に向き直った。
「歩けるか?」
「う、うん。あのっ、あたし、本当にたいしたことないのよ?
そんなにお父さんに怒らないで、ね、宏海?」
宏海は鼻を鳴らしただけだったが、幾分表情を和らげた。
「じゃ、家まで送ってくぞ、矢射子」
「あ、ありがと。お父さんすみません、失礼します…」
ペコリと頭を下げた矢射子が宏海に支えられて立ち去るのを見送る
宏海の父の背には、哀愁が漂っていた…。
435宏海×矢射子4:2007/04/28(土) 13:19:54 ID:Sxq/eebX
「あらっ、矢射ちゃん?」
百手家に着くと、矢射子の母が二人を迎えた。
「早かったわね? 夕食はいらないって言ってたから、お父さんと待ち合わせして
出かけるところだったのよ」
「うん、それが…。たいしたことないんだけどちょっと足首をひねっちゃって、
とりあえず帰ってきたの」
「まあまあ、それは大変だったわね。あら?
あなたは以前、太っくんと一緒に矢射ちゃんのお見舞いに来てくれた…?」
「阿久津宏海です。すみません、オレがついていながら…」
「いやね、宏海さんの責任じゃないでしょ。
そう、あなたが矢射ちゃんの彼氏だったの、よろしくね。どうぞ上がって」
「あ、はい、お邪魔します」
宏海は少し顔を赤らめて頭を下げると、矢射子を助けながら家に上がった。
母は矢射子のひねった足首を調べると、手際よく手当てした。
「たいしたことなくて、良かったわ。
二人ともごめんなさい、お父さんを待たせているからもう出かけないと。
お茶の用意はしたから、矢射ちゃん、宏海さんにゆっくりしてもらってね。
夕食に出られないようなら、何かとってもいいし、冷蔵庫にもいろいろ入ってるから
適当に食べてね。
ふふ、矢射ちゃんたら、最近とても楽しそうだと思ったら、
宏海さんとおつき合いしてたからだったのね」
母の言葉に、二人とも赤面した。
「もうっ、お母さんたら、変なこと言わないでよ!」
「うふっ、それじゃ宏海さん、ゆっくりしていってね。
矢射ちゃん、よかったらこれ使って」
何か入った紙袋を矢射子に渡すと、母は出かけていった。
436宏海×矢射子5:2007/04/28(土) 13:32:54 ID:Sxq/eebX
玄関先で矢射子の母を見送った二人は、リビングに戻った。
「優しいオフクロさんだな。それに、親父さんと仲がいいんだな」
「うん、…ちょっと変わった趣味を持ってるんだけど。でも、いい両親よ」
「そうか…」
彼が離婚した両親のことを考えていることを察した矢射子が、気遣わしげな顔を
しているのに気づき、宏海は話題を変えた。
「ところでオフクロさん、何をくれたんだ?」
「あ、何かしら、えっと…」
紙袋をのぞいた矢射子は、そのまま固まってしまった。
「…お母さんったら…」
「どうした? 意外なものだったのか?」
「い、意外というか、その…たいしたものじゃないの、うん…」
矢射子は動揺を隠そうとしたが、例によって失敗し、袋の中身を床に
ぶちまけてしまった。
「…これは」
袋から飛び出したものは、…SMセットと避妊具の小箱。
不本意ながら周囲からはつっこみエースと目されている宏海だが、今回ばかりは
リアクションに窮した。一歩間違えれば矢射子を深く傷つけるのは目に見えている。
「…えーと…」
束の間の沈黙を破ったのは、かつてないほど真っ赤になった矢射子だった。
「違うの宏海、あたし、そんな趣味ないからっ!! これは両親の…
と、とにかくあたし宏海の体目当てなんかじゃないからっ…!!」
宏海は苦笑いすると、妹にするように矢射子の額をつついた。
「バカだな、そんなこたあわかってるよ。そもそも、体目当てってのは普通男の方だぜ?
矢射子は狙われる側だろ」
矢射子はほっとした顔をすると、安心した勢いかすごい力でしがみついてきた。
「ありがと、宏海…」
437431:2007/04/28(土) 13:35:41 ID:Sxq/eebX
とりあえず、前半終了です。
続きはなるべく連休中にと思っています。
438名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 14:01:38 ID:iwdK75Z2
>>425
仁露×温子ktkr!!
今日発売のWJ見るまで仁露は「温子さん」と呼んでると思ってたけど部長呼びもディ・モールト・ベネ!
無防備な温子に悶々としながら手が出せずにいる、ってのがマイエンヤ婆スタンド
439名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 14:15:09 ID:qaZeCqxQ
なんかすごいいっぱいキテル━━━(゚∀゚)━━━!!
みんな乙!!!
440名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 14:17:49 ID:zUbgfHDt
仁露×温子と宏海×矢射子×2
乙乙GJ!!
>>431
続きwktkして待ってる
441名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 07:55:56 ID:Dvo+SLTa
どれもみんなGJです━d(゚∀゚d)(b゚∀゚)b━!!

続きを全裸で待ってますよ(´・ω・`)
442431:2007/04/29(日) 14:50:08 ID:gFwTmtS4
短めですが、宏海×矢射子の後半を投下します。
443宏海×矢射子6:2007/04/29(日) 15:05:08 ID:gFwTmtS4
豊かな弾力を押し付けられ、宏海はうろたえた。
全身を勢い良く血が巡り、頬がカッと熱くなるのが自分でもわかる。
「悪ィ…、放してくれねえか」
「えっ? あっ、キャーキャー言って抱きついたりしてくる女は嫌だって、
前に言ってたっけ?」
「いや…矢射子になら抱きつかれても構わねえけど…
その、そんな風に抱きつかれると、オレの方が体目当てになっちまいそうで、さ…」
宏海は上気した顔を見られないようにそむけながら、やっとのことでそう言った。
だが次の瞬間、しがみついてくる矢射子の腕にふたたび力がこもった。
「やっ、矢射子!?」
「宏海ならいいの…宏海は優しくて、あたしが困った時に何度も助けてくれて、
それで好きになったんだから…。
宏海なら、体目当てなんてことないって信じてるもの…」
「矢射子…」
不良として恐れられていた宏海は、こんなことを自分が言われるとは考えたことも
なかった。
宏海も両手を矢射子の背中にまわし、抱きしめた。こうして密着していると、
相手の鼓動が伝わってくる。子供の時以来、他人とこんなに密着したことはない。
「宏海、大好き…」
「オレもだ、矢射子…」
左手は矢射子の背にまわしたまま、右手で矢射子のあごを持ち上げ、唇を重ねる。
やわらかい感触を味わいながら矢射子を見ると、目を閉じて宏海に体を預けている。
444宏海×矢射子7:2007/04/29(日) 15:17:09 ID:gFwTmtS4
「本当にいいのか、矢射子」
宏海はささやいた。
「うん…」
「よし」
宏海は、床に落ちていた小箱を拾い上げた。
「せっかくだから、SMセットはともかく、こちらは使わせてもらうか。
ここでいいか、それともお前の部屋へ行くか?」
矢射子はびくりと身を震わせ、ようやく聞き取れるほどの小さな声で答えた。
「あたしの部屋へ…」
「わかった」
そう言うと宏海は矢射子を抱き上げた。
「きゃっ! 宏海、あたし重いし、自分で歩くから…!」
「けが人はおとなしくしてろ。それに、お前の重さなんてなんでもねえ」
宏海は軽々と矢射子を自分の部屋へ運んだ。
実はサンタクロースの手伝いをした時とか、見舞いに来た時とか、この部屋に
来たことは何度かあるが、つき合うようになってからはこれが初めてだ。
ベッドに矢射子をおろし、隣りに腰掛けてふたたび唇を重ねる。
片手で矢射子の髪を優しくなでながら、もう片方の手は不器用に服にかける。
あらわになった白い肌は、薄紅色に上気している。
大きな手で豊かな胸を包み込むようにすると、矢射子は目を閉じたまま
そっとため息をもらす。
(女って、本当にやわらけえな…)
己の手をひどく武骨なものに感じ、気後れしながら宏海は矢射子の服を
脱がせにかかった。
かすかな湿布のにおいが鼻をつく。白い包帯に包まれた足首が痛々しい。
「足…大丈夫か?」
「うん、しっかり手当てしてもらったから平気…気にしないで…」
445宏海×矢射子8:2007/04/29(日) 15:32:25 ID:gFwTmtS4
宏海は自分の服を手早く脱ぎ捨て、矢射子の足首に気をつかいながら
そっと覆いかぶさる体勢になった。
唇、首筋、胸元と、思いつくままにキスをする。矢射子はぎゅっと目を閉じたまま、
宏海のなすがままに身を任せている。濡れた部分を探りあてると、矢射子の体は
びくっとする。
「あ、宏海…」
「力抜いてろよ。無理なことはするつもりねえから…」
「うん…」
そっと愛撫を続けると、次第に矢射子の緊張がほぐれ、かすかな声をあげはじめた。
「矢射子…いいか…?」
おずおずした声に、矢射子は目を開いて宏海を見るとうなずいた。
ゴムを着けたものを入り口にあてがい、宏海はわずかに腰を進めた。
きつい。矢射子が押し殺した声をあげる。そっと動いて様子を見るが、
相当痛みを感じているようだ。
(これは時間をかける方が苦しそうだな…)
「いくぞ、矢射子」
そう告げると一気に力をこめる。矢射子が大きくうめいた。
奥に届いたところで動きを止める。
「…つらいか?」
矢射子は涙目になりながら宏海を見上げた。
「ん…痛いけど、大丈夫…」
「動いていいか?」
「…うん」
宏海はそっと体を揺らすように動いた。やがてだんだんと動きが大きくなる。
はじめはひたすら歯をくいしばっているようだった矢射子の口からも、
次第に甘い声がもれはじめる。
長い髪が汗ばんで上気した顔に乱れかかっている。
初めて見るなまめかしい表情に、宏海はますます昂ぶりを覚える。
矢射子の中はあたたかくなめらかで、彼をしめつけてくる。
あまりの心地よさに、あっという間に登りつめそうになってしまう。
「矢射子、悪い、オレもう…」
「いいわ、宏海…」
優しい声が答えたのと同時に、宏海は己を解放した。
446宏海×矢射子9:2007/04/29(日) 15:47:01 ID:gFwTmtS4
息を切らせながら、宏海は矢射子にキスをした。
「ごめんな、矢射子…」
「えっ? 何が?」
「いや、オレ余裕がなくて、自分ばっかり気持ちよくなっちまって…」
「そっ、そんなこと気にしないで。あたし、夢中だったからよく覚えてないんだけど、
宏海がとっても優しくしてくれたから怖くなかったし、いますごく幸せ…」
恥じらいながらささやく矢射子をいとしく思いながら、宏海は彼女の
乱れた髪をなでた。
体を起こしてゴムの始末をした宏海は、ベッドわきのあるものに気がついた。
「あれ? 鬼の人形? …これって、前に矢射子、こわしてなかったか?」
「あっ、そ、それは…」
それは宏海が矢射子の見舞いに来た時に見つけた、自分によく似た赤鬼の人形だった。
もともとぼろぼろだったものを、あの時矢射子がさらに痛めつけて完膚なきまでに
破壊していたと思ったが、すっかりきれいに直してある。
「それ、実は宏海のつもりであたしが寝る前に話しかけたりしてたの…。
毎晩一緒に寝てたから、ぼろぼろになってたんだけど…。宏海に見つけられて
恥ずかしくて、つい乱暴しちゃったけど、その後すぐに直したの」
「ふーん、こいつが話せれば、矢射子が毎晩どんなことを話してたか、
聞けるわけだな…」
「やっ、やだ、そんな!」
「まあいいや。当分こいつにオレのかわりに矢射子の相手をしててくれるように
頼んどくかな、その必要がなくなるまで…」
「えっ、それどういう意味…?」
「そのうち、オレが毎晩矢射子の話を聞いてやるからさ」
数秒かかってその言葉の意味を理解すると、矢射子は全身真っ赤になって
枕で顔を隠してしまった。
口もきけずにいる矢射子のかたわらで、宏海は鬼の人形をつついた。
「それまで矢射子を頼むぜ、赤鬼君よ」
447431:2007/04/29(日) 15:50:09 ID:gFwTmtS4
以上で終わりです。
それでは、他の職人さん方の投下をwktkでお待ちしてます!
448名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 16:10:18 ID:yinMIymH
>>447
乙乙ゥ!
GJGJゥ!

Hは、宏海と矢射子だからこんくらいのがいいと思うぞ
449名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 22:22:26 ID:N/qkFqnk
保管庫管理人さん量多いけど頑張って!ww
450名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 01:18:35 ID:YAx9Gapv
>>447
寸止めじゃないのキタ――!!! GJ!!
宏海も矢射子も初々しいのがいいッス! キュンキュンきたッス!!
451名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 22:30:53 ID:NV4MHTyB
>>447
GJ!キャラがそれらしくていいね。
宏海視点も新鮮かな。
452名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 23:30:17 ID:orPgp6wW
職人さん方、乙です!

もうすぐもて王が終わってしまうなんてさみしい。
せめてここでは、もて王世界を楽しみたい…
453名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 02:34:57 ID:gpr8FGky
ネ申が舞い下りたー!!!
禿しく乙です!
連休中は宏海矢射子ではぁはぁしまくろう…最高のGWだぜ…!
454名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 12:41:15 ID:PMgMiD7/
もて王打ち切りってきいたんだが(´・ω・`)
ジャンプの楽しみがもうジャガーだけか
455名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 21:52:16 ID:0eRHZiTM
俺、この漫画が終わったらこのスレに仁温投下するんだ

……メモ帳に書き始めるか……
456名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 20:53:44 ID:OXuDF7Xy
>>455
終わったらと言わず今すぐにでもwktk
457名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 13:23:14 ID:A1goVduu
>>456
ごめん、無駄に書くの遅い上にエロシーンは思いついたけど
導入部分が思いつかないから遅くなるwww気長に待っててくれると嬉しい
458名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 17:55:45 ID:Fr0jZyXv
だれか モタスピかいて…
459名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 13:27:07 ID:ci9in5Je
空中合体!
460名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 22:01:29 ID:GPyM88TF
保管所更新マダー?
461名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 20:08:13 ID:Z8WeYUNR
保守
462名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 07:30:55 ID:HsarETgM
書いてみようかな
463名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 09:11:18 ID:oLhf++X8
>462
是非是非是非、よろしくお願いします!
464名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 10:01:49 ID:qrNf1CMB
宏矢射(デス甘純愛系、ネタ多め)投下よろしいでしょうか?
エチシーンは「ムリ!できない(泣きながら駆け去る)!!」なのですが…
465名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 13:50:10 ID:VJPKttPK
是非読ませてくれ…あれっ?ジャンプ見てたら急に涙が…(´;ω;`)ブワッ
466372:2007/05/15(火) 22:58:31 ID:HYjU0nPg
えと、>>372です。あれからちょこちょこ話書いてまして…
>>379から始まって>>403で終わったの話の続編(2週間〜
1ヵ月後くらい?)書きました。
ほのぼの〜微エロ クラスなんですが、このスレが過疎ってる
のも寂しいので、勝手に投下させて下さい。
スレ住人の方の許可も取らずにすみません。では、次から行きます!
467宏海×矢射子 1:2007/05/15(火) 23:02:52 ID:HYjU0nPg
土曜日の午前。

休日なのに早朝から悠に呼び出され、頭の中でツッコミを繰り返しながら帰宅する宏海がいた。

…ったく悠のヤロー、また太臓が誤召喚したくらいで俺の反応見てえからって呼び出しやがって!
俺は驚き要員でも解説要員でもねえっつーの!
…でもこれで行かねえとアスタリスクゲートから召喚されそうだし、そうなったらまたオヤジが誤解しそうだしなぁ…
オヤジの件だけでもどうにかしてえから早く家出てーな…
…今帰ったらまた五月蝿そうだし、その辺ブラついてから帰るか…
それにしても矢射子と会う約束してねえ日で良かった…

矢射子と付き合い始めてしばらくたち、日常のふとした出来事にも、つい矢射子の事を考えてしまう宏海。
「赤い悪魔」と恐れられていた彼を知る人には、きっと信じられない変化だろう。
普段表立って感情には出さないが、矢射子の事は、確実に宏海の心の一部分を占めるようになっていた。

468宏海×矢射子 2:2007/05/15(火) 23:05:25 ID:HYjU0nPg
家とは反対方向の繁華街の方に向かって歩き、よく行くゲームセンターまであと少し、
というところで、目の前のビルから、パッと女の子が出て来て、前を歩いて行った。

「…矢射子?」
見覚えのあるミニスカートに、すらっと伸びた脚にはニーソックス、髪型はポニーテールで、
いつものピンクと緑のリボンが、歩く度にふわっと揺れている。
間違いない、矢射子だ。 すぐ先を歩いてるが、まだこちらには気付いていない。
「矢射…」
呼び止めようとして気が付いた。
今出てきたビルって……産婦人科だよな?!

『えええええ?! 産婦人科ぁ?!』
あまりの衝撃に、人ごみの中で大声でつっこんでしまうところだったが、
すんでのところで口には出さずに心の中でつっこんだ。


…それから後の事はよく覚えていない。
どこをどう歩いたのか、宏海は矢射子とよく行く公園のブランコに座っていた。
469宏海×矢射子 3:2007/05/15(火) 23:07:25 ID:HYjU0nPg


「ブランコのりたいのに、あのおにーちゃんが かわってくれないー!」
公園にはブランコで遊びたがっている子供がいた。
だが、目を見開いて脂汗をかき、両手で頭を抱えて黙りこくった赤い悪魔が乗るブランコに近付ける者はまずいない。
いつしか公園からは親子連れの姿は消えていた。

人気の無くなった公園で、宏海は堂々巡りの考えに陥っていた。

いや、まぁその、アレ付けてたけどヤる事ヤったら子供出来ても当たり前で…
気を付けてたけど、万が一って事も無い事は無い訳で…
つか、何で矢射子は俺に一言も相談無しで一人で産婦人科に…
俺がまだ高校生で経済力が無いせいか? それにしたって付き合ってんだし一言ぐらい…
俺が頼りねえと思われてんのか?!
まさか本当に―――
それなら、俺は…
いや、矢射子が何も言って来ねえって事は、何も無えって事なのかも…
それにしても…
470宏海×矢射子 4:2007/05/15(火) 23:09:48 ID:HYjU0nPg


堂々巡りも何順目か、答えの出ない問題に行き詰まり顔を上げた宏海は、公園のフェンスの向こうに数組の親子連れがいる事に気付が付いた。
母親は時々ちらちらとこちらを見ているような気もする。 中には、まだ小さい赤ちゃんを乗せたベビーカーを押している親もいる。
「…休みの日に親子で公園…か… ブランコ、占領して悪かったな……帰るか。」
宏海は、ブランコから立ち上がり公園の入口に向かった。 入口で親子連れとすれ違う。
子供の遊び場を占領して悪かったな、と何となく軽く会釈をした。
「おにーちゃーん! ブランコかわってくれてありがとー!!」
背後から、小さい子供にふいに明るく声をかけられて、重かった宏海の心はほんの少しだけ軽くなった。



「宏海!! どこ行ってたんだ! 父さん心配したぞ!!」
うるせぇオヤジ。
「お昼は宏海の好きなカレーだぞ! 福神漬けとラッキョウもあるぞ!!」
食欲ねーんだよ。
「沢山食べないと大きくなれないぞ!!」
これ以上どこか大きくなるならそれはメタボリックだ!!
いつもなら大声で言い返す宏海だが、流石に今日はさっきの衝撃が大き過ぎて何も言い返せない。
「お、今日はやけに素直だなー! いっつもそうだと父さん嬉しいんだがなー!
良い子にしてるとデザートも付けちゃうぞ!」
「………いや、メシいいわ。 俺、今から出かけっから。」
心の中で一々つっこむのも疲れるし、と、宏海は携帯と財布だけを持って家を後にした。
背後からオヤジが色々言うのもいつもの事だけど、今日は何だか酷く疲れる。
…1人で考えててもどうしようもねえし、本人に聞いてみるか…と、矢射子にメールを送った。
471宏海×矢射子 5:2007/05/15(火) 23:11:48 ID:HYjU0nPg


件名:昼メシ食ったか?
本文:今から会えるか? いつもの公園で待ってる。

直に返事が返って来た。

件名:食べたよ!v(≧▽≦)
本文:お昼はオムライス作ったよv 食べ過ぎたかも★ミ 宏海は何食べた?
もー、急に呼び出すの止めてよねv(≧▽≦)v 今から行くけど!


パチン、と携帯を閉じる宏海。
…いつも通りだな… あれは…見間違いか? 見間違いだよな…
宏海はまた考えながら、さっきまでいた公園に向かった。
472宏海×矢射子 6:2007/05/15(火) 23:14:21 ID:HYjU0nPg


公園には、さっきの親子連れどころか、もう誰もいなかった。 きっとみんな昼食に帰ったのだろう。
今度はブランコではなく木陰のベンチに座る宏海。 空は快晴で、風が吹く度に木漏れ日が揺れる。
気温は高めだが、風があるせいかそう暑くは感じない。
矢射子からのいつも通りのメールをまた読み返すと、少し余裕が戻って来た。
そうだよな。 何かあれば俺に一言ぐらい相談するよな。 付き合ってんだし…
宏海が安堵のため息を吐いた時に、

「――ごめん、待った?!」
と自分を呼ぶ声がした。 いつも通りの、矢射子の声…いつも通りの…

いや、違う!!

宏海は、ベンチから転げ落ちそうになるほど驚いた。
矢射子は、午前中に見かけたの女の子と、同じ服、同じミニスカート、同じニーソックスを履いている。
リボンももちろん同じだ。
じゃ、あれは…矢射子だったのか?!
473宏海×矢射子 7:2007/05/15(火) 23:16:01 ID:HYjU0nPg

一方、そんな宏海の様子を見て
んもぅ、私と会えたのがベンチから落ちそうになるほど嬉しいなんてvv
と、ニヤついている矢射子。
2人の考えには実界と間界ほどの開きがあるのだが、まだそれには気付いていない。

「…矢、矢射子…その…」
あまりの衝撃に口をぱくぱくとさせる宏海。
「あ、このブーツ? 欲しくてずっと買おうかどうしようか迷ってたんだけど、さっき買ったとこなのー!
ちょっとヒールあるけど、宏海は身長あるからこれぐらいあっても大丈夫だし… に、似合う…かなっ?」
8cm程のヒールのあるブーツを履いて、宏海の言葉を期待して はにかみながら笑い、くるくると回る矢射子。
「や、止めろ!! 矢射子!! 危ねえだろ!!」
「え? 大丈夫よ、これくらい…」
言いかけたところで、宏海は立ち上がって矢射子を抱き締めた。
474宏海×矢射子 8:2007/05/15(火) 23:18:31 ID:HYjU0nPg

えええー?! ちょっと何よ、宏海ったら真昼間っから…嬉しいけど!!
やーん宏海ったらブーツがツボなの〜?! これからデートの時はずっとブーツね!
矢射子の妄想は止まらない。
宏海は矢射子を抱き締めたまま、言葉をかける。
「大丈夫か? どこか具合悪いところはないか?」
「? 平気! あ、でも食べ過ぎちゃって、ちょっと気持ち悪いかも…」
「!! そんなカカトの高い靴でウロウロするな!」
「でもこれ、宏海に見せたくて…」
「…俺は高校生で今は経済力無えけど、でも何でも1人で背負い込もうとすんな!
いざとなったらガッコ辞めて働くくらいの覚悟はあるから!! とにかく危ねえからその靴は止めろ!!」
「……え? 何? え? …何の話??」
ここでやっと矢射子が、話が噛み合っていない事に気が付いた。
「何のって………今日、偶然、矢射子が産婦人科から出てくるトコ見ちまって… だから、その、、アレだろ? 俺と…」
「えええええ?! ちょ、ちょっと!! 何バカな事言ってんのよ!!」
「何がバカなんだよ!! 大事な事だろが!!」
「やっ、だから、違っ… あああああの、その、た、確かにお医者さんには行ったけど…」
「だから、医者行ったんだろ?!」
「…いや、その、あの………せ……生理痛がね、前から酷くてね、一度見て貰おうとずっと思ってて、それで今日やっと…」
「生理…痛? じゃ、妊娠じゃなくて…」
「もう!! 女の子には色々あるのよ!! 勝手に勘違いしといてこんな事言わせないでよ!!」
475宏海×矢射子 9:2007/05/15(火) 23:20:06 ID:HYjU0nPg

鈍い彼氏に言いたくない事を言わされたために、矢射子の目には涙が溜まっていた。
その後は、ブーツ姿を褒めて貰えるのかと思っていたのに、何を言わせるのよ!!という無言の抗議。


公園のベンチに座りなおす2人。 気まずくてお互い正面を向いたままだ。
矢射子はまだ目に涙を溜めて、黙ったまま静かに怒っている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…という怒りの効果音まで聞こえて来そうだ。

「…あー…、勝手に勘違いして、怒鳴って悪かったな…」
矢射子は表情を変えないまま、ハンカチで涙を拭いた。
「今日、これから、どっか行くか?」
う、全然機嫌直んねえ…
「…そのブーツ、似合ってるな。」
俺に見せたいって、言ってたよな確か。
頭の中で、どう言えば矢射子の機嫌が良くなるか、ぐるぐると考え、ぽつりぽつりと話しかける宏海。
「…ねぇ、さっきの、、」
お、ちょっと声が柔らかくなった。 と思ったら、質問が来た。
476宏海×矢射子 10:2007/05/15(火) 23:21:52 ID:HYjU0nPg
「……本気?」
「ん? 何がだ?」
「あの…『いざとなったら学校辞めて働く覚悟はある』って言ってたの…」
そんな言葉が自分の口から出てたのに驚いた。 無意識に出た本心ってヤツか?!
「ま、まぁ…な。」
チクショウ何確認してやがんだコイツ。 心なしか俺の耳が赤くなってるような気がする。
「……びっくりした。」
自分でもびっくりだ。
「…でも、嬉しかった。」
そう言って、ゆっくりと花が開くように笑う矢射子。 凄く可愛いな、コイツ。
「そ、そうか… まぁ、2人で生命に関わる事したんだから、な。」
矢射子は、赤くなって下を向いた。

そういやあの時の矢射子は、可愛くて柔らかくてエロくて良い匂いがして、
壊れそうだけど本当は強くて温かくて…

…俺しか知らない、矢射子。
477宏海×矢射子 11:2007/05/15(火) 23:26:44 ID:HYjU0nPg

何もまとっていない身体も、唇からこぼれる吐息も、繋いだ手も、細い肩も、流れる涙も、
俺が傷を付けたコトも、全部、俺だけの…

「ちょ、ちょっと!! 何勝手に思い出してんのよ!!」
「? いや、よく思い出してたって分かったな?」

矢射子の顔は益々赤くなる。
だって、あたしも思い出しちゃったから…なんて、言える訳が無い。

あの時の宏海の、間近で見た、鍛えられた身体と、体のあちこちで感じた唇と手の温かさと、
荒い息と、涙を拭いて頭を撫でてくれた手と、抱き締めてくれた腕と…

「もう!! 知らない!! エッチ!!」
自分の事は棚に上げて、宏海を非難する矢射子。
「それより…避妊には気を付けたつもりだったけど…これからはもっと気を付けるわ。
だから何かあったら言えよ。」
矢射子の耳元で囁く。
急に耳元で囁かれて、矢射子は一瞬両目を瞑って、ビクッと首を竦めた。
少し震えて涙目になってるのが妙にエロい。
そして、顔どころか手まで真っ赤にしている。 こういう時は大抵、暴走する一歩前だ。
478宏海×矢射子 12:2007/05/15(火) 23:29:33 ID:HYjU0nPg
「そ、それならね、お医者さんがね、生理痛酷いならピルを飲んだら軽くなるケースもあるけど試してみる?
って言ってて…」
ピルに避妊効果があるのは俺でも知ってるけど、まさかこう来るか?!と思ったら矢射子は目を白黒させてるし。
コイツ絶対何も考えずに医者から聞いたままを喋ったな。
「……えらく…前向き…だな…」
矢射子の言葉に、こちらもつい、思った事がそのまま口をついて出た。
「え? いやあの、あの、そうじゃなくて。 いやそうなんだけど、あああああの…」
「いやまぁ、無理しねえでいいから。 とりあえず、嫌だったんじゃなくて良かった。
この前は痛いだけだったんじゃねえかと…」
全部言い終わる前に『ボカッ』と鈍い音がして、宏海の脇腹に矢射子のパンチがヒットした。

「〜〜〜〜ってぇ……」
女の子とは言え、討魔師としての力を持つ矢射子に殴られると、鍛えていてもそれなりに、
いや、かなり痛い。
「こ、こ、こ、公衆の面前で、何恥ずかしいコト言ってんのよ?!」
「…今は俺とお前しかいねーぞ、ここ。」
「〜〜〜〜バカッ!! と、とにかく、勝手に思い出さないでよっ!!」
「悪りぃ悪りぃ。」
479宏海×矢射子 13:2007/05/15(火) 23:31:42 ID:HYjU0nPg

笑いながら、顔に持って行った手の間から見ると、矢射子が涙目になって、
もうどうしようもなく焦っているのが良く分かった。 全く、コイツといると退屈しねーな。

それから、公園を見渡して、誰もいないのを確認して、
「矢射子。」
と声をかけて、キスをひとつ。

矢射子は、真っ赤になったまま、驚けばいいのか怒ればいいのか、
泣けばいいのか笑えばいいのか分からなくなったらしく、
その全部の表情をして、口を開けたまま固まってしまった。


…可哀相だから、今日はこれぐらいにしといてやるかw
480372:2007/05/15(火) 23:37:44 ID:HYjU0nPg

…以上っス! ほのぼの〜微エロクラスを勝手に投下して悪かったっス!

改行が微妙なのは「長過ぎ」とエラーが出た為です。
アク禁かからなくて良かった〜 では、失礼しました!

あ、最後に…「もて王」という漫画に出会えて幸せでした!
最終話の「おはよー 宏海v」の笑顔にキュンキュン来ました!
宏海パパと対面する矢射子も見たかったけど、アンケ3枚と
(ジャンプ3冊買ったよ!)ファンレターも出すから赤マルを期待します!
大亜門先生もこのスレの皆様もありがとうございました!
481名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 00:07:23 ID:Xe9LaWvH
GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJ!!!!
二人らしいわ微エロだわでご馳走様でした!
最後になんて言わずにまた投下してくれ!待ってるよ
482名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 00:12:59 ID:5C7nfjkw
乙!!
483名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 00:51:03 ID:kWFDEIpq
ありがとうありがとうGJ過ぎるよハァハァしたよ!!
自分はずっとここに居座り続けるっす!
次回投稿を待ち続けるっす!
484名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 04:37:37 ID:sd3ZCv2e
GJ!!!!!!!
良すぎる…!!ありがとう…!!!いいもの見れてよかった!!
485名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 04:38:19 ID:sd3ZCv2e
sage忘れた…スマソ…
486372:2007/05/17(木) 00:18:54 ID:8AvJKCsa
GJありがとうございました!!
でも多分エロはもう、ムリ!!出来ない!!(泣いて逃げる)


「もて王」エロパロ保管庫管理人様へ
自サイト(微でもエロはココに投下した2件しか無いです)には
「無断転載禁止」と書いてますが、もちろんココには自分
の意思で投下しましたので、こちらの保管庫に他の方と共に
納めて頂くのを楽しみにしております。 では…
487名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 22:05:53 ID:uM7jBIss
保管庫更新してよ
488初代スレ483:2007/05/20(日) 01:04:52 ID:H6oKdhAG
全て更新しました、お待たせしてしまって申し訳ありません。
住人の皆さん、職人様方、ごめんなさい……
特に>>291さん、せっかく掲示板に投下頂いたのを
ここまで収録長引かせてご迷惑お掛けしました。

ここまで時間取れなくなるとは……
初代291さんはまだなのかなあ……。
一応引き受けたからにはやらせて頂く所存ではあります。
更新途切れがちになるかも知れませんが…頑張ります。
489名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 01:25:08 ID:QR1fZYxT
管理人様、いつもご苦労様です!
職人様方も管理人様もそれぞれご都合があるのですから、
マイペースでやっていただきたいと思っています。

それにしても、本当に初代管理人様の消息がないのが心配です。
年末頃にお帰りになるという話だったのに…。
490455:2007/05/20(日) 09:11:27 ID:B8nfR1dA
仁温SS完成しそうだけど中田氏かぶっかけかで迷い続けてる…
狼仁露の設定考えるとどう考えても生だしなとか真面目に考えてる俺テラチキンwww
君達の意見を聞こうッ!
491464:2007/05/20(日) 11:48:06 ID:pmKQitaR
正直、神が多すぎて挫けそうですが…そんな自分に負けたくないッ!!!
宏海×矢射子「これからの あなたへ…」(エロ抜き)行きます!ボチボチと…

プロローグ1 百手矢射子の独白

こんな事 少女漫画かテレビドラマの中でしか無い事だと思ってた。

あの日 堂々とした背中を見るまでは。
あの時 揺るぎない決意に満ちた言葉を聞くまでは。
そしてあの時 長い間言いたくても言えなかった名前を口にするまでは。

…どうしよう。
―――あたしは
     阿久津宏海に二度恋をしてしまった―――


プロローグ2 阿久津宏海の煩悶

一寸先は闇。 イヤ、今の状況がそうってワケじゃなく。
まったく世の中何が起こるか分かったもんじゃねえ。

ド直球の大暴投を顔面にぶつけられたその翌日
投げた当人(ソイツ)はオレの彼女になり、現在付き合ってる というのだから…。

あの日の選択を間違ったなんて気持ちは微塵も無い。
が、それならここ最近 オレの中にわだかまる不可解な感情は一体何なのか?
       ―――答えは 未だに出ない―――
「悪ィ!遅くなった!!」
「ううん気にしないで 時間内だから…
 …待ち合わせ時間に前後1時間でも幅取っといて正解だったみたいね」
「どこの部活の常識かは知らんが そいつは同感だ。
   あの太臓(ヤロウ)… 
 『べぇっつにィー ただ呼んでみただけー』だなんて
 とうとう嫌がらせで召喚仕掛けてくるようになりやがってな…
 いつ何処でド
     『 阿 久 津 宏 海 』
         ぞくり。
(ウワサをすればドッペルゲンガーかよチキショォオオオ!!!)
その場に立ち尽くして憤る宏海に「振り向かずに三、四歩前に進んで」と矢射子。

     『 阿 久 津 宏 m
   「 さ せ る か ァ !!! 」

裂帛の怒声と ドグシャアと何かがつぶれる音に 
何事かと振り向いた道行く人々が、皆一様に顔面蒼白となった
…特に男性が、前を押さえて。
「これでしばらく 呼ぼうだなんて思わないわ…
   さっ、行きましょ♥」
何をしたかは敢えて訊くまい、と こめかみに縦線を浮かべつつ 宏海は思った。

〜一方、その頃〜
「ふぐぅぅうう、オ、オレのビッグブラストがぁああぁぁぁぁ!!!」
「気を確かに王子!あなたのはどう大きく見積もってもレプラカーンでしょう!!」
太臓は悶絶し、側近の悠は何気に失礼な事を言っていた。
493名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 18:04:01 ID:48a9UfNr
>>491-
ちょ、光画部時間w先が気になるぜGJ!

>>490
サー!どっちかっつと中がいいであります!
ただ欠片ほど残った理性がぶっかけを選ばせたとしても萌えますサー!
494名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 20:23:52 ID:B8nfR1dA
>>493
サー!そんな事言われると余計迷いますサー!w
とりあえず今日一日考えてみますサー!
投下は今週の週末か運がよければもう少し前になると思いますサー!
495名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 00:33:06 ID:QWgKkoze
中がいーなー。
496名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 15:41:05 ID:XqAGKkZT
保管庫更新乙です!

そして>>490は中田氏きぼん

>>491続きwktk
497名無しさん@ピンキー:2007/05/22(火) 22:36:23 ID:Nv4MpPEl
宏海矢射子宏海矢射子
とにかく落ち着いて話が出来る場所へ、ということで双方合意の下
行き着いた先は『カフェ・ドゥ・マゴ』店内。
窓際はヤバいからと一番奥のテーブルに陣取り、運ばれてきたコーヒーを飲む。

「ちょっとミルク取ってくんねえか?」
「(え!?ミミミミルク!!? あ ああ コーヒーミルクの事よね わかってるわよ うん)は はい」
「サンキュ(まーた変な事考えてたな…)」

コーヒーに砂糖を入れながら 矢射子は考える。目の前の彼氏の事を。
(あぁ…やっぱり素敵だな 宏海…
   優しくて 強くて 格好よくて …
   凛々しい眉も、意思の強さと優しさが同居した目も、
   通った鼻筋も、引き締まった口元も、逞しい体も、今はその全てがあたしの……うふ。うふふふふふふふふ………)
「……イコ…やいこ…矢射子! オ イ 矢 射 子 !!! 」
「 へ ? 」
「『 へ ? 』じゃねえよ!お前コーヒーじゃなくて砂糖飲む気か!!?」
「え? あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !!!? 」
飽和状態通り越して、カップはおろか受け皿からさえも溢れる寸前までになったコーヒーに 矢射子はひたすらうろたえた。
そんな彼女を見て 宏海は思う。まったく相変わらずだな、と。
「ところで…今日は話があるって、何なの?」
「他でもねえ。今後にあたっての話」
「え?何、やだ、いきなり関白宣言!?」既に矢射子は耳まで真っ赤っかだ。
「 ち げ え よ 。
 ウチの家族に関しての 面倒臭くてもクリアしとかなきゃいけねえ諸々の問題だ。」

そして宏海は話した。
矢射子が「一度会ってみたい」と言った人物が
自分に対する常識外れなまでの独占欲と 支離滅裂な思考パターンの塊で
それが元となって母と別れ 妹と自分とを離ればなれにし 更に自分をグレさせ
事実上、阿久津家と言う『自分自身の城』を たったひとりで崩壊に追いやりながら何の自覚も無い
ある意味 間界人以上にタチの悪い奴だと言う事を。
妹は妹で、ドキ高入学早々 自分が佐渡あいすと両想いだなどと勘違いし、それが未だに継続中だという事を…。

「と言うわけだ…」宏海はゼェハァと肩で息をしている。
「間界人関連抜きにしても 色々抱え込んで来たのね
           (こりゃ最凶の舅と最恐の小姑だわ)…」 
「解ってくれて何よりだ。
 まあ親父の事はこの際さて置いても 当面の問題は伊舞…妹だ。
 ただでさえお前、妹には 最 悪 の 第 一 印 象 抱かれてんだから」
矢射子の頭に『 ゴ キ ブ リ 』『 毛 虫 』『 討 ち 入 り 』『 血 ま み れ 』と書かれた矢印がガスガス突き刺さる。
「あぅ…その件に関しては 重々、厳粛に受け止めてます…」
「伊舞もあれで 思い込んだら結構、依怙地だからな…一体全体 誰に似たんだか」
( あ ん た に も 似 た 事 は 間 違 い な い わ ッ !!! )心の中で『内なるヤイコ』が ビ シ ! と宏海を指差す。
「アイツに期待するしか無ェのか…?不安この上ねえが…」
「???…誰のこと?」
「そう言や まだ話してなかったか…
 オレ達が付き合ってる事 とうとう学校内でもバレ出したっての。
 …予想外…いや ある程度予想はしていたが 考えたくはなかった所から 徐々にな…」
500名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 01:02:41 ID:k/8ww3/P
>>498-
|д゜)<GJ!&続きwktk
幕間 阿久津宏海の回想 〜ジョジョ部の昼休み(前編)〜

某日、昼休み 3-Eに溜まるJOJO部メンバー達。

メンツも何とか集まり、部活として正式に承認され、ついでに有藤も顧問として迎え入れ
順風満帆と行きたいジョジョ部だが、いま一つの問題があった。
部室をまだ決めてない、という事だ。
ゆえに毎日 文字通りの『奇妙な冒険』を続けている。

(一昨日は視聴覚教室でビデオ鑑賞会、昨日は体育館でラジオJOJO体操…で今度はゲーム大会だぁ!?
 どんどんこの部活の実体が掴めなくなってくな…)
窓のサッシに腰掛けパック牛乳を飲みつつ、そんな事を考えていた宏海に てくてく近づいて来たのは麻仁温子だった。
「あの〜〜阿久津くん ………ちょっと訊きたいことがあるの でも驚かないでね
 元生徒会長の………百手さんと『付き合ってる』って…………ホント?」 
その上体を段々と後ろに傾かせ シパシパ腕をバタつかせ 遂に宏海は窓からズッこけ落ちた。ここが一階だったのが不幸中の幸いか。
「 何 で 麻 仁 が そ れ を ォ !?
 太臓かッ!?悠か!!?それともあの陽子(スピーカー)の仕業かッ!」
「あ…あわてないで阿久津くん」
しかしてその答えはまったく別方向から返ってきた。
「私よ」
「 翠 ィ ィ ――――― !!? 」
幕間 阿久津宏海の回想 〜ジョジョ部の昼休み(中編)〜
「わりい、ちょっと待っててくれ!」と温子に断りを入れ、
空間削り取ったかのような猛ダッシュで翠に詰め寄る宏海。以下、小声の会話である。
「一体どういうつもりだ!って言うかどーしてお前が…!!!」
「まだまだ青いわね赤毛君(「どっちタマ」)。“あの後”あの巨乳女が私たちに何の報告も無かったとでも思ってたの?」
( し ま っ た ! )
「それにこーゆーコトはね 下手に隠すよりも大っぴらにバラした方が良いのよ。敵味方もハッキリするし」
「敵以外見えてこねえように思えんのは気のせいか?」
「大体アンタ さっきの体たらくじゃ 
 伊舞にだってな〜んとなく言いそびれてズルズルベッタリなんでしょーが」
それを言われてしまっては、最早グウの音も無い。
「…私は悠様とネチョネチョシッポリしたいんだけど」
「誰も翠たまの意向や嗜好なんて聞いてないタマ」
「何だったら私から伊舞に伝えたげるわよ?成功報酬は悠様から離れるって事で」
「あくまで自分の為タマか」
「オレが何べん言っても聞きゃしねえものを、お前にどうにか出来んのか?でも女同士ならあるいは…
 …仕方ねえ、お前に一任しよう。ただし変な脚色とかは絶対すんなよ!ってか離れられるもんならオレだって離れてえし!!」
「だーいじょうぶだってば。その辺はあのおっかない雪人にも 散々釘刺されたから」
「佐渡に釘ねぇ…下手打ったらお前、百目ロウソクでも出されんじゃねえか?」
「あら赤毛君も言うじゃない。でもロウソク垂らされるなら悠様の方が…」
「赤毛が言ってるのはプレイじゃなくて拷問タマ!」

しかし宏海は知らない。
翠が“あること”を隠していたのを。
『いずれ宏海自身が直面せねばならん事だ。今はその時じゃない』と 
その時が来るのを 鼻息荒くして待っている誰かさんに口止めされていた事を。
幕間 阿久津宏海の回想 〜ジョジョ部の昼休み(後編)〜

「すまねえな、待たして…ああーっと まず結論から言うとな…」
「いいよいいよ さっきの慌てっぷりでよーく解ったから
 …そっか 阿久津くん 好きな人 できたのか…そうなんだ…」天井を仰ぐ温子の目尻に、光るものひとつ。
「麻仁…?」
不意に胸板をトン、と小突かれる。
「大切にしなきゃ、ダメだよ?『ジョースター家の男は生涯 ひとりの女性しか愛さない』んだから」
「ジョースター家がどうとかはともかく、そうするつもりだ(でねえと命に関わる…)」後頭部が 疼いた。

「だったらオレの東方朋子になってよ温子ちゃん!!」
時間にして二、三秒ほどの“間”ののち 振り向いた温子は
「 そ れ じ ゃ あ   て め ー ひ と り で 地 獄 へ 行 き な ! 」
                   キレていた。
「 え え ――――― !!? 何この温度差!!!」
「場の空気も読まずに『浮気相手になれ』なんて言われた女性の反応としては
 至極 当然のものだと思いますが?」“若手期待のホープ(笑)”押上仁露が言う。
その言葉の端々に怒気が混ざっているのは 彼が温子の事を部員として、人として敬愛してるが故か
あるいは また別の感情からか。

「(まったく太臓(アイツ)は…)…まあ その なんだ…
 麻仁も 巡り逢えたら良いな …お前だけの承太郎に」
「阿久津くん…
 や だ も ぉ ★ いきなり何言うのよ!!!」
┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨
「 照 れ 隠 し に 突 き の 連 打(オラオララッシュ) !!!? 」
504名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 18:57:27 ID:WZXGRPvk
>>455ですが
予定より書く時間が取れず投下が遅れますorz
なるべく早い内に投下しようと思うので気長にお待ち下さい
505名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 00:39:34 ID:MnNU/maE
>>501-
温子イイ!GJ
続き待ってる

>>455=>>504
こちらもwktkしながら待ってます
全裸で
506名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 01:29:01 ID:UPlTkGMm
|ω;)人いないね…
507名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 16:08:51 ID:jL3GRpZF
508名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 22:40:54 ID:rV4Lm9Gu
509名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 23:27:50 ID:sfaBWva+
510名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 09:11:53 ID:XEukDSfy
511名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 22:46:15 ID:gSfIgKpb
( ス キ ナ ヒ ト 、か…
 そう言や、まだ矢射子(コイツ)に『オレ自身の気持ち』っての 言った事ねえな…
 確かに『矢射子の気持ち』は知ったし それは受け入れたが。
 “楽しそうだ”って付き合い始めて、変態連中から守ってやらねえと、って思って…
 だがそう遠くない内に それだけじゃ済まされなくなる時は必ず来るんだろう。
 その時、オレは 『その一言』を口に出来るのか…?)

       「宏海?」
思考の袋小路に陥っていた宏海は シーザーばりに椅子から跳ね上がった。

「え、あ、いや…思い返してみりゃ 
 オレ等ってお互いの事殆ど知らねえで付き合い始めたんだな、って…」
「あたしはそれでも一向に構わないけど。
 だってホラ この先『知ってく楽しみ』が その分増えたってコトだし」
「そりゃまた前向きなこって」
     「もっと 知りたいな…
             今まで知らなかった 宏海のこと いろいろ…」
「ハハハ 元不良の思い出話なんて面白いかどうかだぜ?
 そう言う矢射子こそ どうだったんだよ?小さかった頃とか」
「え?あたし?あたしの小さかった頃は…」

矢射子が記憶の糸を手繰るさまを 暢気に頬杖突いて見ていた宏海だが
その顔が驚愕一色に塗り潰されるのに さしたる時間は要さなかった。

何故って

「あたしの 小さかった…あ…たし……の……ちい………さ……………」

見る見るその体はカタカタ震えだし、鳶色の瞳は青く濁り、
見開かれた双眸からは滂沱の涙が『じょ―――――…』と溢れてきたのだから。

「 ト ラ ウ マ ス イ ッ チ 入 っ ち ま っ た !!? 」
「ごめんなさい…あたし…七年以上前のこと…何一つ 思い出せなくなってる…
 太臓絡みの記憶に…上書きセーブされちゃって……」

精神のバランスを保つ為、ヒトの脳は時として 辛すぎる記憶を消し去ったり
心の奥底へと封じ込めたりすると言うが、よもや その逆パターンとは。 

「イヤ謝んのは話切り出したオレの方だ!
 悪かった ホント悪かった!!!」
「それからこの方…アイツへの…恨み辛みだけを…ヒック
 心の支えになんか…グスッ…して来たかと…思ったら…惨めで…悲しくて………」 あとは嗚咽にしかならない。
「あー……」

   泣きじゃくる矢射子を前に、宏海は思う。
(…こんだけ人の心ズタズタにしといて『いくら考えても恨まれる覚えがねー』たぁ ロクでもねえおにぎりだな全く!
 いつか太臓(アイツ)自身の口から“自分の良いところ”ってのを訊いてみてえモンだぜ…
 小一時間考え込んだ末に 頭から煙上げてブッ倒れるってのに 千円賭けても良いけどなッ!!!)

〜一方、その頃…〜
「 ぶ は く し ょ ! へ ―――― っ く し ょ い !!!ッキショーめぃ…誰だ噂してんのは!」
「おや王子。二連続でクシャミとは 誰かの余程深い恨みを買ってるんですね」
「 オ レ が !? 誰 に !!? 何 で よ !!! 」
   心外以外の何でもなさそうに声を荒げる。
「…まあ『激しすぎる憎しみは 片思いの恋にも似ている』とも言いますけど」
「なーんだ、やっぱそっちか。イヤよイヤよも好いの内ってヤツ?
 オレの事しか考えらんない??オレだけが心の支え???いやー参ったなぁぁ!!!」

『イヤよイヤよは心底イヤ』な噂の発信源が聞いたら憤死しかねない事を言い、
太臓は顔面筋肉をデレデレに緩ませて悦に入っていた。
   そんな主君を横目に、悠は思う。
(…甘いな。この王子が四半刻(約30分)と保つものか。二千円賭けても良い)
514名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 18:34:00 ID:77rWndMB
キテターーー!!!
515名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 08:07:29 ID:AhbqZmP5
イイヨイイヨー(・∀・)
516名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 23:22:53 ID:aO/BO3rk
サマンサと実況されながらセクロス





そんな内容のブツを待ってはや何ヶ月か…orz
後日、宏海は件の考えを実行に移し
『賭けはお前の負けだ』と
訳も分からず悠に千円ふんだくられるのだが、それは余録。
今はそれどころじゃないのだ。

(どうしよう…涙が止まらない…
 このままじゃ『ピーピー泣く女は嫌いだ』とか言われちゃう…軽蔑されちゃう…
 あ…駄目…そんな事考えたら…また涙が……)
矢射子はすっかりネガティブオバケに取り憑かれていた。

(…しっかし よく泣くな…
 鼻血噴いたり剣振り回して暴れたりとは まるで印象が違…ん?
       待 て よ 。
 “そーゆートコ”にばっか気ィ取られて来たが 
 コイツひょっとして ずっと泣いてきたんじゃねえのか…!?
 あのバカの事だけじゃ無しに オレとの事でも…?)

『逆に他の人じゃなくて よかったっていうか…』
『ホントよ…いつも暴走して…空回りで…
 しかも相手は全然 気持ちに気付いてくれないし…』
『あたしも よく誤解されてる…』

宏海の記憶の中、まばらに存在していた“ 点 ”が今、一本の“ 線 ”になる。

以前 誰かに『お前は女心がわかってねー』だの『お前はデリカシーがない』だのと
そいつ自身を全く省みない口を利かれたが…

( な ん て こ っ た 。 これじゃあ太臓(あのバカ)の事を笑えやしねえ…!!!)
兎に角、ここは“なんとかなる”のを期待する時じゃなくて
   “なんとかしなきゃいけねえ”って時だ。
そう自分に言い聞かせ、宏海は必死の思いで言葉を紡ぐ。
「…なあ。
 オレ達の関係ってな 要するに…
 まだ買って間もないノートみてぇな物なんじゃないかって気がするんだ…」 
それを聞いた端から
   「…そんな…『全部 白紙に戻そう』なんて…」と
ハンカチで顔の下半分隠しながら 鼻をズビズビ言わして涙ぐむ矢射子に
   「 だ か ら 違 ェ っ つ の 」 思わずツッコんでしまう。

お前通知表に『人の話は最後まできちんと聞きましょう』って
最低でも一回は書かれたクチだろ、とは流石に言えなかったが。
それが更なる地雷を踏むって恐れがある以上は。

「つまりな…お前がさっき言ってたのと似たような事言うが、
 これから先の嬉しい事とか 楽しい事とか
 一緒に 書き綴って行けたら良いんじゃねえかってこった」
     (これから…一緒に……?)
「そりゃまあ 太臓たち(バカども)に落書きされちまうコトもあるかも知んねーけど
 そんなモン圧倒しちまう位 沢山…って、
 今度は何が悲しいんだ…?」
519名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 21:49:51 ID:Q+S+vDhP
ちょ、いいとこで!GJ!
520>>455=>>494=>>504:2007/06/09(土) 21:57:08 ID:hPEdNWhN
素晴しいSSの直後で少し気が引けますが、本当に長らくお待たせしましたッ!
予告していた仁露×温子がようやく完成したので投下させていただきます。

ジョジョ部部長を務める超ジョジョマニアっ娘をエロパロに使う事は出来るのか?

獣姦と純愛を両立させる事は出来るのか?

出来る 出来るのだ

正気にては職人成らず エロパロ道はシグルイなり

では、次レスからどうぞ↓
521仁露×温子 狼なんか怖くない:2007/06/09(土) 21:58:43 ID:hPEdNWhN
とある奇妙な冒険譚をこよなく愛する少女、麻仁温子。
そんな彼女が3年になって創立した部がジョジョ部である。
『亀を部室で飼う』
『文化祭に向けてチーズの歌のバンドを組む』
『グラスのワインを零さないように体育の授業を受ける』
ジョジョを語り合ったり読んだりこんな感じの活動をしながら、彼女と部員達は楽しくやっていた。
そして時はあっという間に進み、もう暑くなってくる季節になった。
今日の活動も終わって皆解散して、日も暮れてきた頃に廊下を慌てて駆ける一年生…間界人がひとり。
「わ、わ、わ、忘れ物!早く取りに行かないと…」
珍しく忘れ物をしたので同居人二人を先に帰らせて取りに向かっているのは脳噛ネゲフンゲフン押上仁露。
息を切らせて部室の扉を開ける。当然、もう部室には誰も居ないだろうと思っていた。
「……あ……?」
部室には誰もいなかった。『彼女』を除いて。
『彼女』は、開いた窓から外を眺めていた。
夕陽に照らされたその姿はいつも以上に眩しく、まさしくあたたかい輝きの中にいた。
仁露は思わず息を呑んだ。なんとなく、邪魔になると思った。
このまま「ごゆっくりぃ!」とか言って出て行きたいような気分に駆られたが、それも出来ずに立ち尽くした。
どの位彼女を眺めていただろう。数分か、数十秒か、それともパスワードになりそうな程の刹那か。
一点に夕焼けを眺めていた『彼女』が、彼の方を振り向いた。
「…あれ?どうしたの、押上くん?なにかお探しかね?」
「あ、いえ…その、すみません、部長」
「謝る事はないと思うけど…」
『彼女』…ジョジョ部『部長』麻仁温子は、不思議そうな表情で仁露を見つめた。
「僕は…忘れ物を取りに来たんです」
「ああ、あったね、そんなの。これでしょ?」
そう言って温子はテーブルの上に置いてあった忘れ物を渡す。
「あ、ありがとうございます。それと…」
「もー、駄目だよ、こういう時はちゃんとディ・モールト・グラッツェって言わないと。
 今度から気をつけてね?で、それと…何?」
522:2007/06/09(土) 21:59:40 ID:hPEdNWhN
「あ、いえ、大した事ではないんですが…その、何でまだ残っているのかと思って」
「ああ」
その問いに温子はふっと笑って、また夕陽が差し込む窓の外の方へ向き直った。
「私、三年生だからもうすぐ部活動終わっちゃうでしょ?
 百手くんと阿久津くんと安骸寺くんと笛路さんもだけど」
風が窓から部室に吹き込んで、温子の髪がなびいた。
「だから…もっと見てたいと思って。ここの風景、全部」
そして温子は少し寂しげな表情で、また仁露の方を向く。
「私ね、今まで本当に気が合う友達ってあんまりいなかったんだ。
 だから、ジョジョ部のみんなと活動してたこの3ヶ月間は楽しくて…
 あまりにも楽しかったから、時間が過ぎるのが『加速』してるみたいに早かったよ」
仁露は胸に痛みを感じた。
(………そんな顔)
そして、温子はいつもの笑顔になる。
「私、ジョジョ部のみんなに会えて本当に良かったって思ってるよ!
 もちろん、押上君にも。あんなに凄いの見れちゃったしね!」
『明るい』と言うより『無邪気』と言った方が似合うような、愛らしい笑顔。
初めて出会って、恐れられ忌み嫌われる姿を受け入れてくれた時からずっと、変わらない笑顔。
その笑顔が胸を更に痛くする。
(そんな顔、しないで下さい)
これ以上思い込めなくなってしまう。
彼女に抱くこの感情は、受け入れられた嬉しさによる擬似的なものだと。
必死で自分にそう言い聞かせてきた。
擬似的なものなどではなく本物だと認める事は、そのまま彼女を傷つける事に直結してしまうから。
「ねえ、押上くん。押上くんはどう?今、楽しい?」
温子が歩み寄って仁露の顔を覗き込む。そして彼の『何か』が、はじけた。
無意識のまま、その小さな肩を掴む。強く、強く。
「押…上くん…?」
驚いたような、怖がっているような声で仁露の理性は再び動き出した。
(限界だ…もう。去らなくてはならない。ここから、今すぐに)
いつも穏やかな仁露の表情が険しくなる。そして、血を吐くような声を紡ぎだした。
「僕は…もう、この部を辞めようと思っています。
 僕はここにいてはいけない。部長の傍に…いてはいけないんです」
朝練の時も、ジョジョ話に興じている時も、何をしていても彼女を見てしまう。
その度に必死になって自分を追い詰めた。この無邪気で明るい、素直な少女の心と体を傷つけたくないばかりに。
狼男の間界人としてのこの能力は自分で制御する事が出来ない。
だから、遅かれ早かれ起こるであろう暴走を止めるためにも、温子からは離れなければならないと思っていた。
ふと、温子が自分の肩に置かれた手を取った。
「押上くん、嘘ついてる」
真っ直ぐ、真っ直ぐに仁露の眼鏡の奥の瞳を見据える。
「だって押上くん、凄く楽しそうだったよ。ここにいたくないなんて思ってない顔してた」
そして取った手に口を近づけ、手の甲にほんの一瞬ほどその唇が触れた。
「この味は…ウソをついている『味』だぜ、押上仁露」
仁露の脳裏に彼女と初めて会った時の光景がフラッシュバックした。
523:2007/06/09(土) 22:00:14 ID:hPEdNWhN
(ああ、やっぱり。この人に嘘をつくのは…『無駄』な事だ)
「部長には敵いませんね……でも、僕はこのままだと本当に自分が抑えられなくなります。
 僕の『あの姿』を知っているでしょう?あんなものに貴方を傷つけさせたくないんです」
仁露は自嘲気味に笑った。しかし次の瞬間、温子の口からは彼には信じられないような言葉が発せられた。
「知ってるよ…でも、そんな事なんかでいなくなっちゃ駄目だよ!」
そして、その手が仁露の顔に向かって伸ばされた。
「私は大丈夫だから…狼に変身しても、押上くんは押上だから、受け止めてあげたいんだよ」
そして、仁露の理性が…灼き切れた。
その場に膝をつき、その体が震えだす。
「駄…目です…部長、考え直して…僕は…僕は、もう」
一瞬だった。その言葉も言い終わらないうちに、仁露は狼に変身した。
「押上君………きゃっ!?」
飢えきった獣の眼が温子を捕らえ、次の瞬間に彼女を押し倒した。
「え、と、これって…その、つまり…そういう事?」
狼の爪が夏服のシャツを捕らえ、ボタンが弾け飛ぶ。
「『驚かして……すまない』って訳にはいかないんだよね…やっぱり」
少し震える手で『仁露』の大きな手の獣毛を撫で、温子は意を決した。
「…わかった。いいよ、押上君。『覚悟』…するから」
その言葉に答えるように、『仁露』はいきなり温子の顔を舐めあげた。
「きゃっ!?…あ、ちょっ、く、くすぐったいよ」
その様子は、大型犬に「ククーン」とあまえてじゃれつかれている様な光景にも見える。
「あははは…本当にく、くすぐった……あっ」
ふと視線を移すと、『仁露』は彼女のブラジャーを爪で引っ張っていた。
このままだと無理矢理引き千切られてしまうだろう。
一瞬の間に温子は思考を巡らせ、顔を赤らめて呼びかけた。
「…うん、わかった。外すから…ちょっと待って」
その言葉を理解したのか、押し倒していた『仁露』の体の重圧が軽くなる。
彼女は「D・V・D!」と連呼されながらする様に、おずおずとブラジャーのホックを外した。
「…っ」
そして『仁露』は、小さく獣の唸り声を上げてからブラジャーを剥ぎ取った。
すぐさま齧り付くように露わになった乳房を大きな舌で舐める。
「ひゃ…あっ」
ぴくんっ、と温子の体が小さく震える。
524(不吉):2007/06/09(土) 22:01:31 ID:hPEdNWhN
(くすぐったい…けど、何か変な感じ)
そして『仁露』は胸の柔肌を幾度か舐め、偶然なのかその舌がある『一点』を這った。
乳首ではない乳房の先端部分…温子本人の言葉を借りるとするならば、『星型のアザ』の部分だ。
『アザ』を狼の舌が滑った、その瞬間。
「!?い…っ、きゃあああっ!」
肌の部分を舐められた時とは全く違う衝撃が体に走る。びくんっ、と温子の体が跳ねた。
(な…なにこれッ!?ア、アザのとこ、舐められたら…ビリっときたああああ!って感じになって…)
その反応を感知してか、『仁露』は爪で切り裂かない程度の力で胸を掴みながら『アザ』を何回も舐めだした。
「ひうっ、はっ、やっ、やうううっ!」
あまりにも強い未知の感覚にがくがくと肩を震わせる。
「お…かみ、くんっ、私何か変だよ、アザのとこ…舐めたらっ、ひんっ、あうぅっ」
真っ赤な顔で涙目になって首にしがみついてくる温子。
『仁露』が、彼女そのの乳首をその牙で甘噛みした。
「きゃ…あ、やああああああああっ!」
頭の中で何かが弾ける。
追い討ちのごとく大きな獣の舌に吸い付くように乳頭部を器用に舐め、頭がフットーしそうになった。
「は、あ、あんッ、私、私っ…おかしくなってる、よぉ、ひゃうぅっ!」
最高に混乱している意識の中で、温子は『仁露』が手をある場所に移している事に気付いた。
「あ……ス、カート……?」
外し方など考えられないのだろう、力任せにスカートを引いていた。
この行動が何を意味するのかは、こういった事に疎い人生を送ってきた彼女にも『心』で理解できた。
(そういえば…何かスカートの中もおかしい…)
少し頭が冷えたら、下半身に感じる妙な湿り気に気付く事ができた。
体の熱と心臓の暴走した鼓動が止まらない。もう逃げる事も、戻る事も出来なかった。
一拍置いて、途切れ途切れの声を出した。
「う…ん、わかった…いいよ、押…上、くん…私は大丈夫だから…」
その言葉に答えるかのように『仁露』の動きが止まる。
ゆっくりと金具をかちゃつかせ、温子がスカートを下ろす。
「……あ……」
自分で下ろそうとする間もなく、『仁露』が狼の手で器用に下着を引き下ろした。
改めて自分がボタンの外れたシャツの他には何も着ていない状態になっている事を意識して、
温子は恥ずかしげに身をよじった。
525:2007/06/09(土) 22:02:54 ID:hPEdNWhN
『仁露』がその花弁に匂いを嗅ぐように鼻を押し付ける。濡れた狼の花と獣毛が秘部に擦れた。
「ひっ!?や…はぁッ!」
そしてべろべろとそこを舐め始める。『仁露』の唾液と温子の蜜とが小さな水音を立てた。
その舌の動きには人間がするそれのチェリーを舐めるような精密動作性はない。
しかし、『経験』のない温子にとってはそれは十分すぎる未知の感覚だった。
「あっ、やっ、ダメ、そこはっ…あ、んっ、ひゃうんっ!」
身体全体がぶるぶると震える。下半身の『そこ』を中心に身体を溶かされているようだった。
舌と獣毛が与える刺激に耐える術はなく、少しずつ、少しずつ花弁から蜜が溢れていく。
「あ……!お、かみ、くん、それ…」
温子はある事に気付いた。
いつの間にか『仁露』の下半身が露出していた。
彼の獣のそれと化した肉棒は猛々しくいきり立ち、目の前の仔ヤギを喰らおうとしていた。
温子の頬が更に熱くなる。こんな状態で現実感があまりなかったが、
それでも『下がスタンド』な場面を間近に実際に見てしまうとかなり恥ずかしかった。
少しだけ沈黙が流れた。そして、温子が『仁露』の腕をきゅっ、と掴む。
当然恐怖はあった。『初めて』は凄く痛いという事位知っている。
しかし彼女はこの瞬間、恐怖を我が物とする『覚悟』をした。
「うん、…大丈夫…。来ても、いいよ。押上くん…」
『仁露』の耳がぴくりと動く。次の瞬間、『仁露』の身体は温子の身体にぴたりと密着した。
そして、獣の肉槍が温子を…貫いた。
「ひぐっ…!くあ、あああっ、痛、痛いッ…!」
花弁が濡れているとはいえ、想像を絶する激痛。温子の目から涙が零れた。
二人が繋がった部位から破瓜の血が流れる。
「あ、あああ、ひ、くうぅっ!」
涙を流して苦痛の声を漏らす彼女の姿が『仁露』の瞳に映った。
理性なくただ欲望のままに動くはずの狼男。
その彼の動きがひたりっ、と止まった。
「押上くん…」
荒い息をつきながらも、温子はしっかりとその『仁露』を見据えた。
「…やっぱり変わってないんだね、そういう気を使って、引いちゃう所…」
そう言って彼女は『仁露』の身体を抱き締めた。
以前苦痛は止まっていない。しかし温子は、優しく優しく笑った。
「こわいのは…いたみじゃあ、ないよ、押上くん…私は大丈夫だよ。
 押上くんの全部、受け止めてあげたいから。…来て」
526:2007/06/09(土) 22:03:35 ID:hPEdNWhN
クゥー…と『仁露』が喉を鳴らした。少しの間沈黙する。確認を取るかのように。
そして、『仁露』は突き進んだ。温子の身体の、もっと奥まで。
「く…あ、ああ!んっ…ふ、ぁ」
『仁露』は激しく腰を動かした。二人の身体が揺れる。荒い息遣いまでもが溶け合う。
「はっ、くぁ、あああっ、ん…はあんッ!」
苦痛の中に別の感覚が生まれる。その都度、鼓動は早まる。
(これが…『気持ちいい』って事なのかな…?)
温子がしがみつくのも意に介さぬかのように『仁露』の躍動は激しくなる。
それと同時に顔を上気させた温子が声を漏らす。
「や、あ、あああんっ、く、はあ、ふああっ、んうッ!」
ほんの先刻まで処女のそれだった花弁が絶え間なく肉棒を締め付けた。
やがて『仁露』が狼の吼え声をあげ、身体を大きく震わせた。
温子も『何か』が自然と感じ取れた。
―――どぐんっ!
「――あ、はあっ、ふああああああああああああああっ!」
『仁露』から一気に最奥をめがけて白濁液が放たれた。
進入した精液がどんどん進入していく。
しばしの間、そこから温子の意識は途切れていた。
どの位時間が経ったのかは正確には判らない。
己の欲望を吐き出しきった『仁露』…いや、仁露がその自分の意識を取り戻した時には日が沈みかけていた。
ぐったりした温子をなるべくそっとしておくように気を使いながら後始末を終えた。
そしてまだ残る夕陽に照らされた『部長』を見つめる。
「部長……」
とうとう彼女の身体を汚し、傷つけてしまった。
いっそ変身中の記憶など残らなければ良かったと切に思った。
自分が悪い事は解っている。自責の念に駆られて泣くのはお門違いだとも思っている。
しかし眼鏡の奥の瞳は潤む。彼女が愛しいと、はっきり解ってしまったから。
527:2007/06/09(土) 22:04:16 ID:hPEdNWhN
「…お前は次に、『ごめんなさい』と言う」
「!?」
温子が目を開けて薄く笑いながらこっちを見ていた。
「ほら、やっぱり言おうとしてた。いいんだよ、苦しくならなくても。
 私がいいって言ったんだよ?だから、大丈夫」
「…しかし、僕は…貴方に取り返しのつかない事を…」
「いいんだってば。…ねえ、押上くん。私、こういう事するの見ての通り初めてだったんだけど…
 でもね、あんまり…嫌じゃあなかったんだ。これってもしかしたら、
 私が好きって事なのかもしれない。…押上くんの事」
「……え?」
思いがけぬその言葉に、思わず仁露は呆けた表情になった。
温子は今度は顔を赤くして、慌てたように言った。
「あ、ごめんね。何かはっきりした言い方じゃなくて…私、こういう事全然解らなかったから」
そしてその次は、はっと何かに気付いた顔になる。
「ああ、でもどうしよう?承太郎さんと押上くんのどっちを一番にしたら…
 うーん、でもナンバー1よりナンバー2ってホル・ホースも言ってるし…
 えーと、んーと、えっと」
本気で悩んでいる顔。改めてよく表情が変わる娘だと仁露は思った。
子供みたいだな、と思わず笑ってしまう。
「もー、笑わないでよ、真剣に考えてるんだから…あ、そうだ!」
また、温子はあの顔になる。いつもの明るく愛らしい、仁露が一番見たかったあの笑顔。
「もう大分日が暮れちゃってるんだね。…帰ろっか、一緒に?」
「え…い、いいんですか!?」
「うん!さっ、行こう!」
そう言って温子は部室の外へと駆け出した。
そして慌てて後を追おうとする仁露の方を振り向いた。
「…でさ、さっきので私に何かあったら…『責任』取って貰うのもいいかな、
 なんて言ってみたりして…フフ、あはは」
その時の彼女の笑顔は、仁露にとっては二度と忘れられないものだった。
たとえ自分が間界に帰る事になろうとも、きっと、決して。
「……はい」
仁露も駆け出す。そして未だ二人の熱と残り香が僅かに残る部室には、今度こそ誰もいなくなった。
5288(後書き):2007/06/09(土) 22:09:34 ID:hPEdNWhN
決着ゥ―――ッ!本気で遅くなってスイませェんでした。
ドラゴンガールはあの星型の乳輪が弱いんだという電波を受信したので取り入れてみました。
ちゃんと獣…もとい純愛エンドになってるでしょうか?
では、またROMに戻ります。たとえ連載は終わってももて王とジョジョ部が大好きだッ!
ここまで読んでくれてメルシーボークー、閲覧恐縮のいたり…。

追伸:これ書いてる途中で尻尾を使われて二穴責めされる陽子タソとか思いついたけど
    男の方誰にしたらいいか皆目見当つかねぇwww
529名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 22:41:34 ID:ru80+PLM
>>520
ネ申仁温キタワァ!!
バッチリ純愛かつネタの数々も決まっていて、もちろんエロくて最高であります!

陽子タンは……言い方がアレだが、彼氏として責任とってくれるなら誰でもよさげw
ドラあたりが無難かなあ
530名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 23:50:58 ID:7LVN2c+Z
GJ!
獣姦と純愛を両立できたと思うのであります!
531528:2007/06/10(日) 09:20:57 ID:Pvfocr71
投下前に確認したと思ったら誤字を発見しましたorz

>濡れた狼の花と獣毛が秘部に擦れた。

×花→○鼻
です。保管庫に載せる際に修正して頂けたら嬉しいです

>>529-530
ディ・モールト・グラッツェ!
532名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 18:12:16 ID:RJRCjwy6
仁温GJです!

狼『仁露』がクゥー・・・って鳴くところとか、
温子ちゃんが承太郎さんとどっちを一番にしたらいいの?って迷うところとか、
キャラが出ててすごく良かったです!
533名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 20:25:07 ID:PU8jZ3eD
吉下×烏丸まだ?
534464:2007/06/14(木) 13:57:33 ID:e8tFe9ww
>>528
「グッド!」っス!「ベネ」っス!
「メラメラと…わきのぼってくるこの気持ち…
 これが『仁』てものか」っス!

重なるふたつの『仁』てのにもグッときたっスが
温子の「温」は「温もり」の「温」の字だって心で感じられたっス


それでは自分も続きいくっス。 以前ボチボチペースなのが泣けるっスが。
その胸の前でギュ、と手を重ね 俯いて猶も頬を濡らし続ける矢射子に
困り切った顔で宏海は問いかける。

だが 

「―――違うの
         嬉しいの…
 宏海が『これからの事 一緒に』って…言ってくれて…
 今 初めて…恋人同士に…なれたのかな、って…そう思って…
 あたし…宏海のこと 好きになって…本当によかった…!」

矢射子は泣き笑いの顔を上げ、指で目尻を拭う。

「矢射子…」

それまで『ふつうにしてりゃかわいい』とか『黙ってりゃ結構美人』とか
条件付きで思ってきた宏海だったが、この時ばかりは違った。
目の前で喜びの涙を流す彼女に抱いた感情。
   そう それを言葉に表すなら―――
         『いとおしい』
宏海の記憶の涯て、眩い白光の中 浮かぶシルエット―――懐かしき面影。

(そうか…そうだな。なら、するべき事は一つだ)

「そっち座るぞ、良いか?」
「え…?」
「…答えは聞かねえ」
言うなり席を立ち、矢射子の隣に半身で腰掛ける。

(ホ、ホントに来ちゃった…しかもガラ空きに腕乗せて
 ガードが背もたれで…えーと、えーと……)
どぎまぎして思考の定まらない矢射子に投げかけられる
「いいんだぞ、泣いても」の声。

「…あ…でも…だって……」
「何だよ、泣く女がどうとか言われるだなんて思ったのか?
 オレに言わせりゃ 泣きてえ時に泣かねえって方がよっぽど問題だぜ。それにな…」
「……それに?」
「…ちったぁ彼氏らしい事させろよ」
 頬を掻きながら含羞の笑み。
「…!!……うん」
   頷き、宏海の胸に頭を預け 矢射子は…静かに泣く。
537名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 22:03:39 ID:gQOzya9W
>>535-
GJ!読んでて顔がニヤけちゃうんだぜw
538名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 21:11:05 ID:ZBoHwY6A
書いてみたいがシチュが思い浮かばんなあ
539名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:18:19 ID:eEix5QWt
そういう時はエロリップ大先生のお言葉を読み返すといいかもわからんな
書きたいカプが何かにもよるけど
540名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 02:58:07 ID:ZmiMefSR
エロリップの話も読んでみたいな、妄想オンリーとかで
541名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 19:42:45 ID:xeZFbkOx
いいなそれw
相手は誰だろ。同僚女教師か?よもや女生徒との危険な情事かけしからん!
542名無しさん@ピンキー:2007/06/23(土) 00:33:12 ID:k8f3tSGZ
そこでルリーダですよ
543名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 14:58:14 ID:Cm8kdkYD
今頃仁温エロ読んだ!
凄い! すっごく2人らしい!
でもってエロいけど純愛でそのバランスがまた絶妙!! ゴチでした!
544名無しさん@ピンキー:2007/06/27(水) 22:19:42 ID:oakqlwm3
ほっしゅ

静さん×旦那が気になる。夜な夜ないろんなプレイを試してたんだろうなあ
シャツ越しに感じる体温と 鼓動と。
頭に無造作に乗せられたその手に、重さは無く。
ぽん、ぽん、と指の腹で軽く叩かれ そっと撫でられて。
   (宏海の優しさが伝わってくる…)
頭に血が上るより先に、胸の奥が温かさで満たされて行く。

「…おふくろがな」
「?」
「言ってたんだ、おふくろが。

 『どんな理由があっても女の子泣かすような男にはなるな、
   けど もしも大切な誰かが泣いてる時には 
   その涙を受け止めてやれる男になれ』…ってな。

 …何しろガキの時分に一遍聞かされたッきりだったんで
 前半部分だけ漠然と『女子供に手ェ上げんな』ってぐらいにしか捉えてなかった上、
 情け無ェことに“その時が来た”んだって解ったのも ついさっきだったんだけどな
 ―――オマケにお前のこと 泣かしちまったし」
(大切に…思ってくれてるんだ…)
更に一層、胸が熱くなるのを感じながら 矢射子が思い出していたのは
“想いが届いたあの日”の夜、旅館の女子部屋での出来事。

(―――吉下。
   『おめでとう百手さん。本当に おめでとう!』
 あれこれ手を尽くしてくれて、だけど結局なるようにしかならなくて。
 その分、ちょっと複雑そうだったけど…それでも まるで自分の事のように喜んでくれた。
 ―――佐渡さん。
   『そう。よかったわね』
 祝福のことば。はじめての ことば。いつも通りの素っ気無さだったけど。
 ―――翠ちゃん。
   『まあトーゼンの結果でしょ!これで悠様への障害ひとつ消えたわ♪』
 …一体 あの根拠の無い自信は何処から湧いて出るのだろう。
 それでもあの娘(コ)の積極性は見習うべき所も…やっぱり止めとこ。
   『創業でこれなら守成はもっと大変タマね。で、翠たまは実質何やったタマ?』
 って言ってた お供のオタマジャクシさんの気苦労が偲ばれるわ…

 ―――そうだ。
 あの三人(と一匹)だけじゃない。

 もしも木嶋に あたしの気持ちを見抜かれてなかったら。
 もしも乾が戦い挑んで瞬殺されて、夕利が宏海の こ…股間…蹴っ飛ばしてなかったら。
 …そう言えば卒業式以降 あの二人からのメールがプッツリ止んでる。
   宏海と付き合い始めて 浮かれて気付かなかったけど…あの子達 もしかして…?
  
 たくさんの手に支えられ、時には後押しされて 今、ここにこうしてる あたしがいる。
 応えたい。皆の気持ちにも。その為には…)
「…あのね 宏海…ずっと前から…言いたかった事があるの…
     …ごめんなさい」
「って出し抜けにいわれてもな」
「かもね。でも…謝らなきゃって 決めてたのよ…
 ―――あたしが 宏海と…初めて会った時のことを…」

今でこそ 毎日食べたものを携帯メールで遣り取りするほどの間柄な二人だが
その“初めての出逢い”たるや 凄絶を極める代物だった。
現場に居合わせていた ある一人の女子生徒(現在3年生)は 当時の状況をこう述懐する。
       「一言で言えば…流血の大惨事だったわね」
しかもその時矢射子が のちの彼氏サマを前にして
『いかにも血の臭いが染み込んでそう』だなどと言ってしまってたと来た日には…。

「見た目だけで中身まで決め付けて、勝手に誤解して 嫌って…
 何てひどい事言ったんだろうって…そう 思ってた。
 なのに、つまらない意地張って 空回って暴走して 余計ひどい事しちゃって…
 だから…だからね………………………ごめんなさい」

消え入りそうな声で最後の一言を絞り出すその姿に、宏海は
(…ホント、いったい今まで矢射子(コイツ)の何見てきたんだろな…オレって奴ぁ)
改めて思い知る。如何に自分が 彼女の一部分だけしか知らなかったかを。
548名無しさん@ピンキー:2007/06/28(木) 19:48:13 ID:NaDgBRBY
>>545-
キテター!!
翠ちゃん呼びになんか萌え。GJ!
549名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 11:11:16 ID:2SKruSpe
乙乙
550名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 17:57:29 ID:qHbX5MDa
「阿久津、彼女できたんだって?」
「なんで谷にまで伝わってるんだ……」
「よし、じゃあ本番の前に筆下ろししとこう!」
「はあ!?」
「修学旅行の時の貸し、まだ返してもらってないしな!」

というネタを思いついたが形になりませんブラザー。
551名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 18:33:36 ID:vihrJrZW
なんというパイズリトゥヘル…
552名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 21:03:24 ID:g1sIY49D
そうか、パイズリなら入ってないから浮気になら……ないか?
553名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 01:27:56 ID:7N6TJpvS
やっぱり宏海矢射子はイイなぁ
原作終わっても好きだ!!!
554名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 18:39:27 ID:k+Dju4n7
ケサ×あいすまだー?
555名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 23:17:38 ID:lfvEphOC
百合ものといえばスピンと透瑠も見てみたいな
(そりゃ確かに、矢射子に初めて会ったときは
   『 何 て ブ ッ 飛 ん だ 女 だ 』…って思った。実際1階から2階までブッ飛んで来たし。

 あれは1年の3学期辺りからだったか。
 いきなりワイシャツ破いたのを皮切りに、
 何かってーと 太臓にかこつけてはオレにまで因縁付けて来るようになって、
 オレを前にして鼻血出したり、予測もつかない行動に出たりして。

 然るに、今はどうだ。
 オレの胸ん中で縮こまって、その頃の事を詫びる彼女は
 下手に触ったら砕け散っちまいそうなぐらいに儚げで…)

「…べつに矢射子(オマエ)ひとりが気に病むコトでもねえさ。
 『降りかかった火の粉を払う』やら『妹を守る』やら、いくら大義名分並べ立てたところで
 片っ端から暴力でねじ伏せて来た、ってのァ曲げようもねえ事実だし。
 ましてや お前の気持ちも解ってやれずに
 ひでえ事言っちまったのは オレだって同じか、それ以上だものな。
 おあいこ、ってワケにも行かねーだろうけど、オレからも謝る。
           …ごめんな」

(―――ああ。
     宏海は本当に優しい。あたしなんかには勿体無いほどに…)
         …無論、他の何ぴとにも譲る気など更々無い矢射子なのだが。

手の下の頭が もぞ、と動く気配に 宏海が問う。
「ん?どうした…もう大丈夫なのか…?」
「うん。だいぶ落ち着いた…ありがと」
 支えられながらも頭を離し、座り直す矢射子。顔は俯いたままに。
   ――“言いたいこと”は もうひとつ。ふたりで歩いて行きたいから――
「昔はね…『自分に釣り合った彼氏なんか そうそういる訳無い』だなんて
 笑っちゃうくらい傲慢なコト考えてた…」
( あ あ 、 そ り ゃ 知 っ て る 。 ……けど口には出さんどこう)

「 ・・・ で も 今 は ・・・ !!! 」 と、顔を上げた途端に
     目 が 合 っ た 。

   ふたりの間に、暫しの沈黙。
ごくり。という息を呑む音さえもが、異様に響く。
しかも矢射子にとって間の悪いことには、
この瞬間 頭に血が上ってしまったからさあ変態…いや大変。

(どどどどどうしよどうしよ、言葉が続かない…
 このままじゃ宏海の視線に射抜かれて脳細胞ひとつ残らず焼き潰されちゃう…
 でもここで目を逸らしたりつむったりなんかしたら、もう一歩も前に踏み出せない…!!!
 傷付く事恐れてたら、地球が悪の手に沈むのよ!!
 ああッ太陽よ!愛に勇気を与えてェェェ〜〜〜〜!!!!)

顔は赤熱、目はグルグル、脳天からは湯気。
百手矢射子、今まさに思考回路はショート寸前、ハートは万華鏡であった。

「あ…」
「…あ?」


「…宏海(あなた)に見合った…私に…なりたい…」
558名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 15:49:42 ID:oNfsasnc
>>556-
ktkr!
歌詞ネタワロス
559名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 01:18:27 ID:Z64F6Btu
うほっGJ!!
毎回楽しみだぁー!!
560名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 00:33:10 ID:APFIFL6r
ほすっとくか

紋様と太臓の誌面に乗せられないSMプレイが見てみたい
561名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 09:20:10 ID:mVYHzBd4
間界の王子が標本になっても誰も悲しまなさそうなのがなぁ
( 効 い た 。 矢射子の今の一言はどんな拳よりも。
 相当にヤバい兆候だったってのァ 顔見りゃ解った。
 長いこと肩肘張ってきた、そのプライドを 最後の薄皮一枚までも振り捨てたってのも。
 “あん時”が 正にそうだったから。

 …以前のオレだったら
 『だったら、鼻血グセ抑えて テンパって奇行に走んのも控えて…』と
 間髪入れずに混ぜっ返し 笑い飛ばしていたかも知れねえ…
           が!
 今 この局面でンな事言っちまったらオレはアホ以下の以下だ!!!!)
   ここが正念場と定め、宏海は 意を決した。
「…正直 そこまで買い被られるって程、
 ご大層な人間だなんて自覚 やっぱオレにゃどう考えても湧きそうにねえ。
 だから…お前もお前でいてくれ。自分落としたりとかナシにさ。
 そりゃ感情表現は人よりほんの少し(……壊滅的に)不器用かも知れねーけど
 一本通った芯はどこまでも真っ直ぐな…

 そんな矢射子(おまえ)だから 何もかもひっくるめて
 あの日あの時、付き合ってこうって決めたんだからな。今も、これからも。
       好 き に な っ た ん だ 」
臨界点、突破。感情が堰を切った。

   「 ・・・ 宏 海 !!! 」

その名を言うが早いか、矢射子は宏海の首に手を回し、抱き付いていた。
「あたしも好き。 大 好 き 。 前よりも、もっと。この先も、ずっと…!」

知らずしらず、宏海も矢射子を掻き抱く。鼻腔をくすぐる、桃の香り。
   「やっと…言えたな。お互い」

宏海の瞳の中に、矢射子。矢射子の瞳の中に、宏海。

     もう 言葉は要らない。

おずおずと触れ合い、そして確かさを持って重なり合う…唇と唇。
564名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 15:20:36 ID:jx8n/6H+
>>562-

( *´д`)
565名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 23:17:52 ID:48CjheKD
GJ
566名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 00:35:20 ID:7tvTdaof
いつもぐっじょです。

今気付いたけど、投稿日は木金限定なんだね

たまにチョコチョコ投下してくれてるなとは思ってたけど
永遠にも思えた十数秒ののち、
唇が そっと離れる。お互いを名残惜しむように。
それでもまだ ふたり 抱き合ったままで。

(こうして 宏海にきゅーってされてると…
 何だか お日さまに抱かれてるみたい…温かさに包まれて…心まで融けそう…)
(雪崩ン時ゃ無我夢中で抱きすくめてたし、
 コイツもカチンカチンに固まっちまってたけど…
 今は触れてる部分(トコ)全てが柔らけぇ…これが女…これが矢射子…なんだな…)

背中からうなじへと移った宏海の右手に
「…ん…………はぁ…」
矢射子の唇から漏れる、甘やかな声。

「…悪ィ。力加減、マズっちまったか…?」
「ううん…どうして?」
「イヤおかしな声出すから 痛かったのかと思って
   …って、なに急に笑ってんだよ?」
きょとん、とした表情からややあって 
くすくす笑い出した矢射子に 宏海は問う。
「(こんな時にも紳士なんだから…でも嬉しいな…)
   違うわよ。気持ち良くって、幸せで…だから…」 

     だから、もう一度 口付けを交わした。
「ようやく…スタートラインに立てたのかな…あたし達」
「そーかもな…ずいぶん長かった。
 オレが朴念仁の鈍感野郎で無きゃ
 矢射子も浪人しねえで済んだのかと思うと慙愧に堪えねえ…」
「ううん、宏海のせいじゃない。
 あたしがもっと早いうちから 自分の気持ちに素直になれてたら…」

「いや オレが……!」
「いいえ あたしが……!」
     お互い 顔を見合わせ…
・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷふっ。
           思わず 吹き出して…
「「 あ は は は は は は は は は は は は は ! 」」
 ((こんな風に 心の底から笑うなんて、何年ぶりだろうな(かしら)…))
                 …そう 思った。

「―――無くしたもの 奪われたもの…
 利子込みで取り返して行こうや。ふたりでな」
「うん!」
569名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 18:56:52 ID:1WHs8kgo
乙!(*´Д`)
570名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 19:32:54 ID:QkMIulgR
>>567-
GJ!いいねえ……この2人……
571名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:56:42 ID:7yQraKB0
誰か真白木さん主役のヤツ書いてやれよ
572名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 12:15:36 ID:X/vLtayV
そろそろエロ有りのも見たいね
573名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 18:18:01 ID:DIMT7XGI
真白木さんだとやはり相手はあいすなんだろうが……想像できんな……
574名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 23:55:44 ID:fq4TWO1r
>>572
最近では宏矢と仁温以来エロないね

>>431の宏矢は初々しさがたまらなかったし(ラストは萌えた)、
>>520の仁温はエロいながらも純愛で良かった
575名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:25:18 ID:raY1sqUN
ほす
エロ有りなら、あまり見たこと無い組み合わせのも読んでみたいなあ
576名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 01:55:57 ID:q/yt+OzV
紋・太臓と言ってみる


「太臓くん……あのね、私、太臓くんの事を考えるだけで、体が……熱くなって……もう我慢できないの!」
「何……だと。紋!それじゃあ、俺と今すぐ合」
「でも触れると私ああなっちゃうから、踏んでもいいかしら?」
「快性感に変わって折檻ーー?!」



太臓ハードル高いよ太臓
577名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 23:03:01 ID:BL4i3WO7
太臓頭でかすぎて邪魔そう
578名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 03:13:46 ID:OG6ww6tg
普通の女にはパフパフさえさせてもらえなさそうだな、物理的に

洋式トイレも普通だと何か補助具が無いと尻が嵌りこんだりしそう
579名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 03:29:43 ID:9SCF7Ofi
太臓はTシャツも着れない頭のデカさなんだろ
580名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 20:10:51 ID:4sIgl6lM
アレは小さいのにな
581名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 03:03:34 ID:5xWIeQCI
寄って集ってバカにされる間界の王子の明日は…どっちだ。
582名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 23:55:25 ID:X4zz/e3s
なあに、太臓も大きくなったら父上のように立派な…


余計に女に相手にされなくなりそうな悪寒が
583名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 11:18:38 ID:6EYRkPrT
しょんぼり
584名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:13:28 ID:5qTyeSeb
あいすの声は俺の中のイメージでは林原めぐみなんだが
他のキャラはどうだろう?
585名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:24:07 ID:s3EC1FgY
>>584
おお!!!
激しく同意!
586名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 08:50:33 ID:O81DGBB3
たいぞうは…くまいもとこかな?
紋は甲斐田サンとか(。・ω・)
587名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 09:05:00 ID:DNM6R/VX
前にあった声優予想のスレでは太臓は山口勝平てのが多かった
作者のイメージでは、まわるが金田朋子で一緒が千葉繁らしい
588名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 19:48:05 ID:TVEQqo5M
ドライマンが若本で
エロガードが大塚だったか
589名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 10:06:52 ID:sOwu1koS
俺のイメージでは宏海が檜山修之で伊舞が平野綾で
二人の父親をもし生きていらしたら鈴置洋孝さんに
やってもらいたかった。
590名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:26:40 ID:EKaofk/H
俺のなかで悠は朴さんだな…翠は…田村ゆかり?
591名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 16:18:02 ID:SzCIgs7I
みんな忘れてはいないか、此処はエロパロ…
雑談もエロパロちっくな会話にした方がいろいろと良いのでは。
592名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 01:18:59 ID:CcpB0HmU
>>588
エロリップは俺的には子安……
593名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 17:39:30 ID:NWD9tOCv
じゃあ上で想像したキャスティングの声ネタとかどうだろ?
594名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:36:58 ID:MQ/svINE
0夜が女体化してることを最終巻で思い出したーっ!?
595名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:04:11 ID:uZ75QWzR
8巻読んで,やっぱ良い漫画だったなーって
寂しくなった
596sage:2007/08/09(木) 23:36:34 ID:QwUGBG+9
私の中ではあいすは宍戸留美さんだよな〜。
597名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:06:05 ID:tv7G4QSZ
林原ではあわないと?
598名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 06:30:36 ID:vxS7A+9u
Exactly(その通りでございます)
599名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 09:48:13 ID:yKc/fuJ4
矢射子は破瓜の時も鼻血出してるんだろうか
もう上も下も血だらけだな!
600名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 09:59:14 ID:LU6jo4QR
>>594
ラストの玲夜の女体化は恒久的なものなのか、だったらそれ以降は対男でエロが
妥当なのか、それとも対男はやはり数字行きなのか

迷う
601杉下 (仮名):2007/08/12(日) 09:35:17 ID:xUO4fwXM
ウッフンアッハンスッポンポォ〜ン
602名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 17:32:04 ID:4HHjXnXS
タンタンッタタン

ベチコベチコベベ

ゴイヤゴイヤナァームー

チーン
603うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
604うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
605うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
606うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
607名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 03:07:39 ID:38/+0pR2
ドラクロワは童貞か否か
608名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 08:48:02 ID:4viAiSKO
否 だろう

もちろん
609うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
610うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
611うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
612うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
613うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
614名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 20:02:33 ID:rKuc2pJx
>>607
あれで童貞だったらビックリするわ
615スレ1>>483:2007/08/18(土) 02:16:35 ID:BZVTxRZQ
もう落ちるのを待つだけなのかな…

このスレッドでこれ以上職人さんの投下もないなら
サイトの更新は停止して(閉鎖はしません)、通常とお絵かきの
両掲示板は閉鎖しようと思うのですが、どうでしょうか。
616うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
617名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 10:26:01 ID:VACycxKk
ずっと携帯からROMってました。
最近、過疎&荒れているみたいですので、SS一本投下しようかと思います。
最初は木嶋×吉下を書こうと思いましたが、別のを思い付いてしまったのでそれを書きます。
まずは序文のみですが投下させて頂きます。
携帯メールで書いたものをコピペでアップしますので読み辛かったら申し訳ありません。
続きのペースはどのくらいで書けるか分かりませんが完結はしっかりさせるつもりですのでよろしくお願いします。
618花子の長い一日:2007/08/18(土) 10:26:52 ID:VACycxKk
ある晴れた昼下がり。
窓辺で一人ため息をつく一人の幼い少女がいた。

少女の名は花子。座敷童子である。
彼女は、阿久津という、年上の男性に恋をしていた。
だが阿久津は、旅行の最中に彼女を作ってしまった。
その旅行には花子も同行する予定だったのだが、たまたま引いてしまった風邪で行けなくなってしまったのである。
もし、あの時風邪なんか引かずに旅行について行けていたら、運命は変わっていたかも知れない。

そう思うと、胸が痛むのだった。

このままこの恋を終わらせていいの?
自分に対して何度も問い掛けるものの、結局心は諦めの方向に動いてしまう。
その理由の一つは、前述の阿久津に彼女が出来てしまったという事実。

そしてもう一つは、自分がまだ幼い子供であるという事実だった。

阿久津の彼女になった女性は、少々変わっているものの、花子の目から見ても美人で、スタイルも抜群。幼い子供では相手にならないことは歴然だった。

(私がもし大人だったら…)

そう考えていた花子は、ある事に気付いた。
前に一度だけ食べた事があるメルモンキャンディ。
今こそそれを使って、大人の姿になるべき時だと。


その行動にどれほどの意味があるのかは分からなかったが、少なくとも何も行動しないよりはマシだろう。

時計は、都合よくドキ校の授業終了の30分前を指していた。
今から向かえばちょうど下校時間に間に合うだろう。
花子はメルモンキャンディを口に放り投げると、すぐさま着替え、部屋を出た。
619花子の長い一日2:2007/08/18(土) 11:33:06 ID:VACycxKk
ガタンゴトン…

大人の姿になった花子は、電車に揺られていた。

ドキ校までは一駅ほど。
けして歩けない距離ではないのだが、大人の姿で街を歩くのは危険だと前に言われたことがあるし、大人の姿では座敷童子の能力である貧乏くじが使えない。
だったら、少しでも早く安全に辿り着くために電車に乗るのが得策だと踏んだのだった。

だが、花子は知らなかった。
この逢魔市と集英市を結ぶ路線、「東英線」が、痴漢が多いということで有名だという事を。

「!!」

ふと、花子の尻に何者かの手が触れる。
慌てて辺りを見回すも、周りの乗客はこちらを気にする素振りも無い。
気のせいか、はたまた偶然か、そう思った花子は、気にせず向き直った。

「!!?」

しかしその刹那、またしても花子の尻に手が触れる。

しかも今度は明らかにスカートをたくしあげ、花子の尻をショーツ越しに撫で回しているのだ。

元々内気な花子は、あまりのことに声も出せずただ俯いて駅に到着するまで耐えることしかできない。

するとその手は調子に乗ってショーツの中に侵入し、直接尻をまさぐり始める。

未知の感覚に、花子はびくんっと身を震わせた。

その反応に喜んだのか、その手は更に花子の足の間に滑り込み、プライベートな部分に指を這わせた。

「ふぁっ…!」

思わず漏れてしまった声を慌てて噛み殺す。
まだ心は子供で、経験も知識も無い花子に対して、大人になった身体は次々と未知の感覚を送り込んでくる。

何がなんだか分からない花子は、ただただその感覚に翻弄され、なすがままにされるより仕方なかった。

ショーツの中がじっとりと湿り気を帯びてくる。
花子自身は、それが汗によるものだと思っているが、実際は花子が分泌した愛液によるものだった。

花子を愛撫する手は、更に激しさを増し、本人の意思とは無関係に潤滑油で満たされた穴に指を入れて執拗に刺激する。

花子は意識が飛びそうになる激感に悶えながらも、周りに悟られぬよう平静を努めなければならなかった。

それはまだ子供である花子にすれば、とても辛く、耐えがたい苦行だった。

やがて永遠とも思える時間が経った頃、花子にとって待望のアナウンスが流れた。

「間もなくドキ校前。ドキ校前でございます。」

地獄の底から、蜘蛛の糸にすがるが如く、花子はガタガタになった足に鞭を入れ、開くドアから慌てて外に出た。
地獄の時間はようやく終わりを告げた。
620名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 11:35:45 ID:VACycxKk
そろそろ仕事ですので、一旦ここまでとさせて頂きます。
エロシーンとか書いたこと無いので、うまく書けてるか分かりませんが、何もしないで落ちるのを待つよりは書いてみようと思ったまでですので、どうかご容赦下さい。
続きはいずれアップします。
なるべく早く書くように努力しますので、どうぞよろしくお願いします。
621名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 13:02:25 ID:1NHvt23Y
乙!
622うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
623スレ1・483:2007/08/18(土) 23:15:06 ID:uqKn7u8p
>>620
gjです。
脅迫じみた真似をした形になって申し訳ありません。

昨日から考え直しまして、もし次のスレッドが立たないことになっても
掲示板は両方残しておこうかと。
お絵かきの方も投下して下さる方がいらっしゃいますので。
624名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 09:10:51 ID:2CiwwaOU
>>623
花子を書いてる者です。
脅迫じみた真似だとは思っていませんよ。
むしろ書くきっかけを与えてくれた事に感謝です。
今日明日は続き投下できるか分かりませんが、出来る限り早くに投下できるように頑張ります。

あと、応援して下さった方々、ありがとうございます。
不慣れなもので、うまく書けるか分かりませんが、精一杯頑張りますね。
625名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 18:55:00 ID:ehOgGMQN
連載終了してもまだやっているのかと覗いてみたら新作が投下されていました。
運がいい。頑張って下さい。
626名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 11:47:26 ID:bzn1bSG0
花子を書いてる者です。

あと少しで投下できそうでしたが、仕事の時間になってしまいました。

今日の夕方には間違えなく投下できますので今しばらくお待ち下さい。
どうもすみません。
627花子の長い一日3:2007/08/21(火) 15:44:31 ID:bzn1bSG0
電車を降りた花子は、慌ててトイレに駆け込み、ベトベトになってしまったショーツを丹念に拭き取る。

(気持ち悪い…。
でも、もうすぐでこうみおにいちゃんに会えるんだ!)

電車の中での出来事で、気分的にかなり落ち込んでいた花子だったが、これから想い人に会えるという事実は、その気持ちを回復させるに充分だった。
それは、花子がそれほど阿久津の事が好きだという証明に他ならなかった。

駅を出た花子は、遠くから、歩いて来る阿久津の姿を見つけた。

(こうみおにいちゃんだ!)

隣りには相変わらず悠と太臟の姿もあったが、構わず花子は、想い人に声をかけようと走り出した。


だがその時、花子は何者かに腕を引かれ、ビルとビルの間の狭い空間に引き込まれてしまう。

「!?」

何がなんだか分からず、戸惑う花子の口に丸めたハンカチが押し込まれる。

「むぐぅっ!」

慌てて、腕を掴む人物の方に向き直ると、そこには頭の禿げ上がった、見るからにスケベそうな中年オヤジの姿があった。

「き、君可愛いね…。さっきの電車からずっと後を着けてきたんだよ。ウヒヒッ!」

そう、この男こそ電車内でしつこく痴漢を働いてきた男だった。

普通は、痴漢など電車内だけで終わるものだが、花子の初々しい反応と、内気で声をあげられない性格が、意図せずにこの男の暴走を招いてしまったらしい。

(いやっ…誰か…)

慌てて周りを見る花子の瞳に、すぐ側を通り過ぎる阿久津達の姿が写った。

(助けてっ!こうみおにいちゃん!ゆうおにいちゃん!)

花子は必死で阿久津達に助けを求めるが、あまりにも目立たない隙間のせいか、はたまた期待すらされなかった太臟の呪いか、阿久津達は花子に気付かずに通り過ぎてしまった。

(そ、そんな…)

「ふう、危ない危ない。見つからないようにもっと奥へ行こうね。」

痴漢はそう言うと、暗闇の奥まで花子を運ぶ。
ここまで来ると、外からはほとんど見えない。

声も出せない。外からは見えない。
花子にとって、絶望的な状況になってしまったのである。
628花子の長い一日4:2007/08/21(火) 15:47:20 ID:bzn1bSG0
「じゃ、じゃあ行くよ。いただきまーす!」

痴漢は一気に花子の服を破いた。

「〜〜〜っ!!」

服の下に隠れていた、可愛らしいピンク色の下着が顔を出す。

「ピ、ピンク色のブブブラ…うひょほホーっ!ウゲラモシロガバッ!」

よほど普段女性に縁が無いのだろう。
痴漢は、意味の分からない奇声を上げ、花子のブラジャーに手をかけ、一気に上にずらす。形も大きさも申し分ない乳房が、露になった。

「〜〜〜!」

慌てて胸を覆い隠す手を、痴漢が乱暴に引きはがす。

「はあ…はあ…お、おいしそうなおっぱいだね…。」

痴漢は、恥ずかしげも無く涎を垂らし、花子の胸にむしゃぶりついた。
痴漢の大量の唾液が、胸をつたい、首筋までをベトベトにする。

(やだ…気持ち悪いよ…。誰か…助けて!)

涙を流す花子の姿などお構いなしに、痴漢は花子の柔らかい乳房を乱暴に揉みしだき、ピンク色の乳首を思いっきり吸い上げる。

「あれ?君の乳首、起ってきたよ。
清純そうな顔して意外と感じやすいんだね。」

乳首が起ったのは痴漢に思いっきり吸い上げられたためであって、感じているからではないのだが、花子はそんな事を知る由も無い。
ただ、自分の恥ずかしい部分を、じっくりと観察されていることが何よりも耐えがたい羞恥だった。

「じゃ、じゃあそろそろ本番行くよ!」

そう言うと、痴漢はズボンを下ろし、そそり立つ怒張を花子に見せつける。

(な、なにこれ…気持ち悪い…)

実際その部分は、太臟に何度も見せられたことはあるが、それよりも遥かに大きくグロテスクなモノに、耐え切れず花子は目を閉じた。

「これを、君のアソコにぶち込んだら、気持ちいいだろうな〜。ウヒヒッ!」

そう言うと、痴漢はそそり立ったモノで、花子の秘部をショーツ越しにツンツンと刺激した。
その度に、花子はびくんっと身を震わせる。

「可愛らしい反応だねえ。ウヒヒッ!
じゃあ、そろそろ入れるよ。」

痴漢はにやにやしながら花子のショーツを下ろし、花子の秘部に自分のモノをあてがった。
花子は目をとじたまま、いやいやと首を降り続けるが、痴漢はそんなことを意に介してもくれない。

「じゃ、行くよ。それっ!」

花子は覚悟を決めて、歯を食いしばった。

「い、痛いっっ!」

ビルの隙間に悲鳴がこだまし、鮮血が飛び散った。
629名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 15:50:14 ID:bzn1bSG0
とりあえず、ここまでです。
続きも少し書いてあるのですが、家に帰ってコミックを読み直して確認したい部分がありますので、その後投下します。
待たせた割に小出しで申し訳ありません。
630名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 20:26:32 ID:VKlY0npe
>>629
オゥツ!!

乙なんだぜ。
631名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 00:24:56 ID:FhUSHR4L
GJ!!続きまってるよ!
632名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 00:58:16 ID:45zvoFOU
花子を書いてる者です。
お待たせしました。
急遽明日が仕事になってしまったので、まだ僅かしか書けてませんが、一本だけ続きを投下して寝る事にします。
633花子の長い一日5:2007/08/22(水) 00:58:57 ID:45zvoFOU
しかし、その声の主は花子では無く、痴漢のオヤジのものであった。

「間一髪ってとこか。」

聞き覚えのある声に、花子は目を開いた。

そこには、最近花子のいるアパートに入居してきた、間界人のドラクロワの姿があった。

(た、助かったんだ…。)

花子は、ほっと胸をなで下ろした。

「よう、アンタ。大丈夫か?学校の窓から、お前が変なオヤジに捕まるのが見えたんで補習サボって助けに来てやったんだぜ。」

「…ありがとうございます。」

花子は口のハンカチを取り出し、ドラクロワに礼を言う。

「礼なんざいらねえよ。それより…アンタいい女だな。
俺の女にならねえか?」

ドラクロワの言葉に花子は顔を真っ赤にしながら…

「あ、あの…実は私…」

「あん?な、なんだってーっ!!
お前、管理人と一緒にいたガキンチョか!?」

ガキンチョという言葉にカチンときた花子だったが、ここは冷静に聞き流す。

「なんだよ、せっかく補習サボってまで来たのによー。
しゃーねー、こんな格好じゃ家にも帰れないだろ。
ついでだから送ってやるよ。」

そう言うと、ドラクロワは自分の学ランを花子に羽織わせると、タクシーを呼びアパートまで花子を乗せて帰ったのだった。
634名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 01:02:49 ID:45zvoFOU
今日はここまでです。

せっかく太臟のパロなので、本当はギャグなどを織り交ぜて楽しい作品を書きたいのですが、花子オンリーでギャグは俺の技量では無理でした^^;

一応ここまでは前フリと、俺自信のエロシーンの練習です。
ここからは、もっと臨場感あるエロシーンを書けるよう頑張りますのでよろしくお願いします。
635名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 22:17:29 ID:FfzwnTNI
スピンちゃん読み直してたらスピンものを読みたくなってきた…
636名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 23:18:14 ID:Zr3jyTOo
花子を書いてる者です。
続きが少し書けたので懲りずにまた投下しに来ました。

では、今から投下します。
637花子の長い一日6:2007/08/24(金) 23:19:36 ID:Zr3jyTOo
アパートに着き、ドラクロワと別れた花子は、人目を避けながら自分の部屋へと向かう。

(…まずい。)

花子は部屋に入る直前で、ある事に気付いた。
さっきまで出掛けていた静が帰って来ていたのだ。

花子は、部屋の前で困り果てる。
メルモンキャンディを勝手に使用した事がばれるだけでもまずいのに、この破かれた服が見られたら、静がどれほど心配するか。

そう考えると、花子は部屋に入る事が出来なくなってしまった。

(どうしよう…。とりあえずどこかでキャンディの効果が消えるのを待つしかないかな…。)

そう思った花子だったが、先程あんな目に遭ったばかりで、外に出るのはさすがに怖かった。

(あの人の所で匿って貰うしかないか…。)



ピンポーン♪

「あ?誰だ。」

突然のベルにドラクロワがドアを開けると、そこには先程助けた花子の姿があった。

「あ?なんだお前か。何の用だ?
俺の女になりたいってんなら、あと10年してから来いよ。」

花子は、ぶんぶんと首を振り、

「ちょっと事情があって…。おうちに入れないの…。キャンディの効果が消えるまで、この部屋に居てもいい?」

「ああ?
やだよ、めんどくせー!
助けてやっただけ有り難いと思って、あとはてめえで何とかしやがれ!」

ドラクロワが花子に怒鳴りつけると、花子は堪らず泣き出してしまう。

「お、おいおい!
ちっ…分かったよ。今日はたまたま仁露も模太郎もいないしな。
その代わり、効果が消えたらとっとと帰れよ!」

その言葉に、花子の表情がぱあっと明るくなった。

「じゃあ、とっとと入ってシャワーでも浴びてろ。
それと、俺のシャツ貸してやるからそれに着替えろ。
俺はテレビ見てるから邪魔すんじゃねーぞ!」

そう言うとドラクロワは、とっとと部屋に戻ってしまう。
花子はいそいそとドラクロワを追いかけて部屋に上がり、いわれた通り、シャワーを浴びに向かった。
638花子の長い一日7:2007/08/24(金) 23:21:29 ID:Zr3jyTOo
「ちきしょうっ!どうしちまったんだ俺は…!」

ドラクロワは、部屋で一人呟いた。
浴室からは、シャワーの音が聞こえてくる。
その音が、ドラクロワの心を更に掻き乱した。

「落ち着け、俺…。
あいつは本当はまだ乳臭えガキンチョなんだぞ…!」

花子を助けた時から、ドラクロワは言い様の無い気持ちに悩まされていた。

(アイツヲケガシタイ…)

今まで、多数の女と付き合ってきたドラクロワだが、花子はドラクロワにとって初めてのタイプだった。

今までの女は、それなりの年月を生きてきて多少なりとも、色々な汚れを持っていた。
だが花子は、まだ子供なだけに、本当に純粋な、いわばまっさらな女だった。
しかも、身体だけは子供ではなく、色気もある大人の身体。

本来、ドラクロワの食指が動かないはずが無いのである。

だが、あんな子供に欲情するというのは、ドラクロワのプライドが許さなかった。

「くそっ!あと少しであいつはガキに戻るんだ。耐えろ俺っ!」

まっさらな少女を汚し、自分の色に染めたい。

そんな黒い欲望を、ドラクロワは必死で振り払おうとしていた。


その時、シャワーの音が止まり、浴室のドアが開く音がした。

(ちっ、出てきやがったか。)

やがて、部屋の扉が開き、花子が入ってくる。

もう子供の姿に戻っているのではと期待したドラクロワだが、花子は未だに大人の姿のままだった。
しかも…

「お、お前…なんだその格好は!」

花子は、ドラクロワから渡された大きめのTシャツ一枚だけを着用している状態だった。
そう、文字通り今まで履いていたスカートも履かずに、太股まで丈のあるシャツだけ着用している状態だったのだ。

「だって…気持ち悪いから…。」

「じゃ、じゃあもしかして…」

下着も履いてないのか?
…と聞こうとしてドラクロワは口をつぐんだ。

本来、下着の方が気持ち悪いに決まっているし、座った花子のシャツに全く下着のラインが見えていない事に気付いたからだ。

(おいおい…あんな目に遭ったばかりだってのにどうしてこうも不用心なんだ。
まだガキだから事の重大さが分からねえのか?
それとも俺をよっぽど信用してんのか?)

どのみち、ドラクロワにとって更に忍耐が要求される状況になってしまったのである。
639花子の長い一日8:2007/08/24(金) 23:22:36 ID:Zr3jyTOo
(くそっ!もう少しだ…もう少しだ…っ!)

そんなドラクロワの苦悩など露知らず、花子はテレビを見ながら無邪気に笑っている。

(くそっ!落ち着かねえ!)

ドラクロワはイライラしながら、煩悩を誤魔化そうとテーブルの煎餅をバリバリと貪る。
すると、花子がじーっとドラクロワの顔を覗き込んでいるのに気が付いた。

「あ?なんだよ。」

花子は、答えるかわりに、今度は煎餅の方をじっと見つめる。

「あ、なんだよ。
食いたきゃ勝手に食え!」

ドラクロワの言葉を聞いた花子は、嬉しそうにこくこくと頷き、前屈みになってテーブルの煎餅に手を伸ばす。

その時、大きめのシャツから花子の豊かな胸が覗いた。

(おいおい!
なんだよこの「お約束」は!
いつからヤングジャンプになったんだ、おい!
あんな寸止めのちょっとドキドキ程度で我慢できるか!)

ドラクロワの理性がちぎれた瞬間であった。

バタンッ!!

ドラクロワが花子を押し倒す。
花子の持っていた煎餅がコロコロと床を転がっていく。

いきなりの事に驚き、きょとんとしてる花子に、ドラクロワは一言言い放つ。

「お前、今だけ俺の女になれ。」
640名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 23:26:08 ID:Zr3jyTOo
今日はここまでです。
正直自分の文章の下手さをかなり痛感して、かなり挫けそうになってきたところですが、書き始めた以上、この作品だけは最後まで完成させるつもりです。
どうぞよろしくお願いします。
641名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 23:47:04 ID:KlidU24X
>>636-
wktkして待ってるぜ……!
642名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 10:36:57 ID:0Wmv98UK
は…裸Tシャツ!!!

やるな…
643名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 22:33:44 ID:E7An2pp5
test
644名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 01:27:50 ID:MdneqA5B
wktk
645名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 00:58:02 ID:jbHToKT4
うわーーー!!!!ドラ!!!!!
続き激しくwktk
646名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 13:40:26 ID:Q2jEGM18
花子を書いてる者です。
大変お待たせして申し訳ありません。
リアルでイベントが発生して生活のリズムが大いに狂ってしまい、執筆がなかなか出来ませんでした。

今、ようやく続きの執筆にとりかかった所です。
今日…明日位には、少しでも投下できればと思ってます。
相変わらず小出しになってしまうかも知れませんがご容赦下さい。
よろしくお願いします。
647名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 20:47:27 ID:eCMYsran
花子を書いてる者です。
お待たせしました。
今から少しだけ続きを投下します。
昨日の内に書けなくて本当に申し訳ありませんでした。
648花子の長い一日9:2007/09/02(日) 20:50:13 ID:eCMYsran
意味が分からず混乱する花子だったが、とにかく身の危険を感じ、ドラクロワの体を振りほどこうとする。

だが、力で勝てる訳はなく、手を押さえ付けられて身動きが取れなくなってしまった。

「ちっ、これじゃあの変態と同じじゃねえか…。」

瞳に涙を貯めて、じっと自分を見つめる花子を見て、ドラクロワは呟いた。

だが、一瞬取り戻しかけた理性もすぐに消えさってしまう。

まず、ドラクロワは花子の唇に自分の唇を重ねる。

「んっ!むぅっ〜!」

花子は必死で抵抗するも、全くかなわない。
すると、ドラクロワは必死で閉じられている唇をこじあけて、舌を差し入れる。

「んーっ!んーっ!」

必死で逃げ回る花子の舌を無理矢理絡めとり、弄ぶ。

ぐちゅっ…くちゅ…。

狭い部屋に唾液の音が響き渡る。
花子も抵抗を諦め、なすがままにされていた。
テレビでは、未だにお笑い芸人が馬鹿笑いをしているが、二人の耳には全く入らなかった。

やがて、長い唾液の糸を引いて、唇が離される。

顔を真っ赤にして涙ぐむ花子。
恐らくは初めてであっただろうキスはいとも簡単に奪われてしまった。

そんな花子の心中などお構いなしに、ドラクロワが花子のTシャツを捲りあげようとする。

「!!…だ、だめえっ!」

花子は必死でTシャツを足で挟んで抵抗する。

「へっ!じゃあこっちを頂くぜ。」

するとドラクロワは、Tシャツの上から、花子の豊かな乳房を揉みしだく。

「ひゃうっ!!」

先程、痴漢に揉まれたばかりの胸だが、ドラクロワのテクニックは、痴漢のそれを遥かに凌駕していた。

「もう起ってきやがった。
まったく…本当はガキのくせにエロい身体してるぜ。」

ドラクロワの言葉に花子は顔を真っ赤にしていやいやと首を振る。
ドラクロワの言うとおり、Tシャツにはぷっくりと二つの突起が浮上っていた。

「やだ…もうやめてよぉ…。」

花子の懇願を無視して、ドラクロワはその突起の回りにゆっくりと舌を這わせた。
649花子の長い一日10:2007/09/02(日) 20:51:40 ID:eCMYsran
「ひゃあああんっ!!」

Tシャツで見えないにも関わらず、ドラクロワは巧みに一番敏感な先っぽの部分を避け、回りの部分だけを執拗に舐め回す。

「やっやああっ!」

ドラクロワの舌がもたらす快感と、一番気持ちの良い部分に触れて貰えないもどかしさが一気に花子を襲う。

「やっやだっ!もうやなのぉっ!らめっ!おかしくっ…おかしくなっひゃうっ!」

まだ子供で、経験も何も無い花子が、この刺激を受けて、力を入れ続けられようはずは無かった。

「よっと!」

「やああっ!」

花子の足から力が抜けた隙に、ドラクロワが花子のTシャツを一気に捲りあげる。

メルモンキャンディの効果で見事に成熟した花子の肢体が、ドラクロワの眼前に晒される。

「お願い…もう許してぇ…」

手で顔を覆い、泣きながら懇願する花子。

さっきまでドラクロワを信頼しきっていた花子の表情が、今はまるで狼に追い詰められた羊のように、絶望の色に染められている。

もっと…もっと…こいつを…

ドラクロワの中で、今まで表に出たこともない黒い欲望が、ふつふつと湧き上がり始めていた。
650名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 20:53:23 ID:eCMYsran
今日はここまでです。
本当に短くて申し訳ありません。
次はもう少し長めに投下できるよう頑張りますので、よろしくお願いします。
651名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 22:00:05 ID:kS0KmgMh
>>650
gj 続きが気になるが待つよ。
個人的には花子が敬語だと萌える。
652花子書き:2007/09/03(月) 00:33:49 ID:qJGCOF1k
>651
敬語の方が良かったですか〜。申し訳ありません。
原作では全くしゃべらないので迷ったんですが、今の形にしちゃいました^^;
敬語は…終盤になると話すかも知れません…w
653名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 00:42:20 ID:qzCKlYdV
続き頑張って!
654名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 22:46:42 ID:9FoKG8Fz
花子を書いてる者です。
また少しですが、続きが書けたので、投下します。
毎回小出しですみません。
655花子の長い一日11:2007/09/04(火) 22:52:18 ID:9FoKG8Fz
「……。」

ふと、ドラクロワが花子の頭を静かに撫でる。

「…ドラクロワ…さん?」

許して貰える…?
そう思った花子は、顔を覆っていた手を下ろす。
その瞬間。

「むぐうっ!!」

ドラクロワが、すかさず花子の口にペニスを突っ込んだ。いきなりの不意打ちに、花子は抵抗することもできない。

「へっ!許すわけねえだろ?もう、止まらねえよ!」

ドラクロワが花子の頭を掴んで起こし、激しく揺さぶる。

「んぐぅっ!んんっ!」

ドラクロワの巨大なペニスに喉を突かれ、苦痛に顔を歪ませる花子。だが、そんなことはお構いなしに、ドラクロワは花子の口内を激しく犯し続ける。

「よしっ!出すぜ…。」

出すと言われても、まだ子供の花子には何が出て来るのかも分からない。未知の恐怖に震える花子に、ドラクロワは容赦なく精を放つ。

「むぐうっ!
うげっ…ゲホッ!ゴホッ!」

いきなり口内を満たした苦い粘性の液体に、花子は思わずむせ返る。

「いでっ!!
てめえっ!噛むんじゃねえよ!」

むせ返った拍子に、モノを噛まれてしまったドラクロワが、花子を叱責する。

「ゴホッ…ごめんなさい…ゲホッ!」

理不尽といえばあまりに理不尽な叱責だが、花子は逆らう元気も勇気も失ってしまっていた。

「ケッ!まあいい。
まだ俺は満足してからな。
元に戻っちまう前に早いとこやっちまうぜ。」

そう言うと、ドラクロワは花子を畳に押し倒す。

「やだっやだっ!もう許してっ!」

具体的に何をされるのか分からなかったが、いや、むしろ分からないからこそ、花子の頭は恐怖心でいっぱいになっていた。

「おい、お前は人に物を頼む時の言葉使いも教わってねえのか?」

「ふぇっ…ひぐっ…。お願いします…許してくださいぃぃ…。」

恐怖で泣きじゃくりながら、懇願する花子。それを見て、ドラクロワはにこっと笑い、言葉を返す。

「やだ。」
656花子の長い一日12:2007/09/04(火) 22:53:31 ID:9FoKG8Fz
「…えっ?」

ズンッ!!

「い、いやあああああっ!!
痛っ…痛い痛い!いたいよぉぉっ!」

途端に花子を貫く激しい痛み。
飛び散った鮮血が畳を紅く染める。

「ちっ!やっぱりまだ滑りが悪いな。」

痛みに耐える花子に対して、辛辣な言葉を吐くドラクロワ。

「痛っっ…お、お願いしますっ!許してくだっ…痛いっっ!
もぉ…もぉ許してぇっ!
いやっ、痛いいっ!!
だずげてっ…こーみお兄ちゃんっ!!
うあああっ!いたいよぉぉっ!


花子はあまりの痛みにパニック状態に陥っていた。
処女だった挙げ句、まだ濡れも不完全な状態で思いっきり挿入されたのだから無理も無いだろう。

「おいおい…これじゃ死んじまうな。
仕方ねえ。」

そう言うと、ドラクロワはおもむろに自分のモノを引き抜いた。

「い、いやあああああっ!!」

すかさず逃げようともがく花子だったが、元々力で敵うはずも無い上に、処女を散らされた痛みで動くこともままならない。

「おとなしくしやがれっ!
この俺様が気持ち良くしてやるって言ってるんだよ!」

そんな事は全然言ってないのだが、迫力だけはすごいドラクロワの言葉に、花子はびくんっと身を震わせ、動けなくなってしまう。

「俺ばっか気持ち良くなっても仕方ねえからな。お前も気持ち良くしてやるよ。」

花子の懇願を散々無視しといて、いきなり紳士ぶった発言をするドラクロワ。
これぞ自己中の自己中たる所以だろう。

だが、花子にとっては苦痛から解放されるならもう何でも良かった。
全ての気力を失った花子にできることは、ただドラクロワの次の行動を待つ事しか無かった。
657名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 22:58:40 ID:9FoKG8Fz
今日はここまでです。
毎回短くて申し訳ありません。
なるべくお待たせしないように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

あと、もし自分に遠慮して投下を待っている職人さんがいらっしゃったら、お気になさらず投下して下さいね。
自分は少しでもスレを盛り上げたいだけですので…
どうぞよろしくお願いします。
658名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 20:06:08 ID:HXw3erXb
Z、いや、乙と言わざるを得ない
659名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 01:10:06 ID:ibYmVQNE
乙乙!!
660名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 12:22:16 ID:X0BurZE7
464です。
>>568からの続きについて、またこちらに投下して良いものかと悩んでます。
正直『Gガン』の46話以降や『ΑGITΩ』の47話以降(←わかりにくい例えを…)にしか
ならなそうな気もしますが、矢張り自分の手でエンドタイトルは打ちたいし…

「エロ書いてみてぇ…」という気持ちも鎌首もたげてはいるものの
(↑と言いつつ、うぬは体の一部分が鎌首もたげておろうが、けしからん!)
一つ事に決着付けない内から次に取っ掛かれそうに無いしで…


て言うか、自分これから数日、手術入院です…orz
661名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 12:57:21 ID:uH4sh05a
盲腸か?美人看護婦さんに剃ってもらえるといいな。
662名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 04:30:27 ID:ozMegd8+
>>660
取り敢えずは自分が書きたいようにするのが一番……
いや、突き放す意味で無くってね。

まあ、今は手術頑張ってくれ…って、もう見られないか。
663名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 18:22:33 ID:pSv64SPR
ほしゅ
664名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:17:01 ID:AZWxf0/w
真白木×あいすとか、悠×あいすの続きが気になってるんだけど、
もう読めないんだろうか…
665名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 11:12:29 ID:xNuml0tr
連載終わってるし、職人氏も別の作品の二次書きたかったりもするだろ。
仕方ないといえば仕方ない。
666名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 00:31:00 ID:e9M4+hid
>>664
いいえ
スレには来ています
今止まってる話終わったら書きたいネタもあるんです
今まで、話の途中でここでの投下をやめた事ないっす
今作も頑張ります
667名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 15:00:21 ID:GiQHMGTl
>>666
おお!続きさえ読めるなら、気長に待ちますともっ!
楽しみにしてます!!
668名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 23:49:49 ID:RUO4ZVtH
保守
669名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 00:17:08 ID:xMbDRHt+
ほっしゅ

エロ絵板も寂しいのう
670名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 09:16:16 ID:PW8CAqZl
保守がてら、投下いたします。カップリングは乾×一口で。
ですがうっかり84章の内容を失念していたので暴走役が一口になっております。
「原作と状況が違うなんてけしからん!」という方はNGワード「イヌイチ」でお願いします。
では。
671イヌイチ・1:2007/10/16(火) 09:18:05 ID:PW8CAqZl
*******
「乾早くっ!早くしないとお姉さまの純潔が散らされちゃうよ!」
「分かってるって!…ええ、ですから本当に18歳超えてますから」
 ホテル『アクエリオン』のフロントにてオレ、乾一は連れ、一口夕利に対し物凄く不審気な目を向ける係のオバちゃんと少々問答を
した末、ようやく部屋の鍵を手に入れた。――一口、後で半分休憩料金払えよ。
 部屋ナンバーは、『一万と二千年前からアイシテル』号室。
 そしてその隣は『八千年を超えたころから以下略』号室。
「はあ、はあ…ここに入ってっちゃったんだ…お姉さま」
 『八千年を超えたころから以下略』号室の扉の前で、一口は息を切らしながら呟いた。
 そう、この部屋の中には――。
 オレと、コイツの好きな人と、あの男が居るんだ。
672イヌイチ・2:2007/10/16(火) 09:24:20 ID:PW8CAqZl
*
 話は少し前に遡る。
 あの人…オレと一口の憧れの女(ひと)百手矢射子先輩と、同級生、阿久津宏海が付き合いだしたのは、先輩が卒業して間もない頃
だった。
 オレたち(というか一口)は彼女の気持ちが阿久津に一途に向けられていた事を知っていたが、問題は阿久津である。
 外見に似合わず状況に流される性質である(一口:談)あの男が、本当に矢射子先輩の事が好きなのか分かったもんじゃない、との
理由で二人のデートをこっそり付け回すようになって、今回で早五回目。
 相変わらず、二人の間は近いんだか遠いんだか分からなくて、かと言って、オレたちがどうこう言って何が変わるんだろう、と心に
迷いが生じ始めた、そんな時だった。
 ――ぽつん。アスファルトを小さく叩く、水音。
『え…雨?』映画のパンフレットを抱えた先輩が空を見上げる。
 つられて、阿久津と、路地一つ向こうの電信柱の影で様子を見ていたオレたちも空を見上げた。
 ぱらたたたたっ。途端に顔に大粒の雨の滴が顔にかかる。
「やだっ。いつの間にか曇っちゃったんだ」
 傍の一口が自分の頭を押さえながら困惑顔になる。
 目の前の二人も、おそらくそんな会話をしているのだろう。どんどん強まる雨の中を二人は手を繋ぎ、走り出した。
 阿久津はちゃんと先輩に自分のジャケットをかぶせて――まあ、この辺は当然だよn「ちょっと乾!!何ボーっとしてんの!?」
 はっと気付くと、一口が、オレの一つ括りにした後ろ髪を引っ張り怒鳴っていた。
 イデデ。それ取っ手じゃないんスけど。
「追うよ!」
「お…おう!」
 後ろ髪を押さえながら、二人の後に付いて走る。途中一口がぼそっと「さぶっ」と口にしたような気がするが、多分気のせいだ。
「ほらっ、さっきあの路地に入ってったから!」
「ああ――って、この辺…」
 一口に促されるまま脚を踏み入れた小道に、オレは目を疑った。
 あちこちに散見する『ご休憩****円・宿泊****円』の文字。
 時間はまだ暗くなる前だったので、あの夜目にどぎつい桃色なネオンは鳴りを潜めていたが…ここは…。
 ラブホ街じゃないか。
 いや、何の不自然もない。(高校生がラブホテルに立ち寄るのは不自然だが)恋人同士がデートの末に一線を越えることは…あって
も不思議ではないのかも。
 だが、相手があのひとなら話は別だ。
 特に、傍らの小さな連れにしてみれば。
「ふ…ふしだらだわっ!あの男、雨に乗じてお姉さまにツッコミ三昧だなんてっ!!」
 一口の頭から蒸気が昇る。もうすっかり濡れ鼠だがお構いなしだ。
何を想像しているかなど、問うまでもないだろう。
 二人はそんなオレたちの事など知らぬまま、一軒のラブホテルの前でしばらく会話した後――…えっ、矢射子先輩が引っ張ってった
よ。
「い…一口…」
「ますます許せない!普通ああいうのって男がリードするモンでしょう!?何女の子に恥ずかしいことさせてんの!?」
 どっちやねん。いや、それより。
「そうじゃないだろ。どーすんだよ一口、いくらオレたちだってホテルの中まで…」
「もちろん追うに決まってんじゃない!」
「そうだよなー。オレもそろそろ不毛だって…ええっ!?」
「何よ、諦める気?」
 ぎろり、目の据わった一口がオレを睨む。何が彼女を駆り立てるのか。プティ・スールのポの字も分からないオレにはさっぱりだ。
「乾が行かないなら、あたし一人でも行くんだから!」
「わあっ!!待て待てっ!」
 さすがにそれは無謀すぎる。いくら4月に18歳になったとはいえ、コイツはどう見ても○学生高学年がいいとこの外見しかもってな
いのだから、門前払いがオチである。
「ええいわかったよ、オレも行くから早まるな!」
*
673イヌイチ・:2007/10/16(火) 09:25:57 ID:PW8CAqZl
 なりゆきだ。なりゆきじゃなかったら漫画によくある御都合展開だ。
 きっと最後のページには『俺達の戦いはまだ始まったばかりだ!』とか、ミカンの絵が描かれてたりするんだ。あれ?それって打ち
切りじゃね?
「一人で何ブツブツ言ってんの?乾」
「へあっ!?オレ何か言ってた?」
「何かプリンセスがどうとかって…それより黙っててよ。お姉さまの声が聞こえないじゃない」
 言いながら一口は濡れた服もそのままに、壁におそらく備え付けであろうコップを押し付け隣の音に集中している。白いシャツの下か
らかすかに透ける水色のキャミソールにオレは少々居心地の悪さを感じていた。
「…風邪ひくぞ」
 オレはバスルームからタオルを数枚拝借し、一口に向け放り投げた。返事は無い。期待してないけど。
 ついでに、服を乾かすハンガーを借りようとクロゼットを開ける。
――が。
「ぶっ」
 中を見て慌ててドアを閉めた。――中にあったのは、おそらくオプションであろう、ボンテージ衣装と九尾鞭をはじめとする数々の
SM小道具だった。
 こ…これ、隣の部屋にもあんのかな。
 クロゼットの扉を押さえつつも、激しい動悸と妄想が止まらない。

――艶やかな黒革の衣装に身を包んだ、はちきれんばかりの先輩の肢体。
『ほら、何が欲しいの?』
 鞭の先端がゆっくり空気を撫で、触れるか触れないかギリギリの快楽が背中を走る。…けれど答えられない。口に噛まされたギャグ
ボールが、人の言葉を喋らせてくれない。
 そこに居るのは、一匹の忠実な獣。ヨダレと荒い息を漏らしながら血を流しそうな位痛い主の愛を待つ、哀れで卑しい畜生の姿だ。
 そして主はそんな畜生を見下ろしながら、ゆっくりと笑みを湛えこう言うだろう。
『いい子ね…愛してるわ。――宏海』

「すないぱぅっ!?」
 畜生の図が妄想のオレから阿久津の姿に変わった瞬間、オレは弾かれたようにクロゼットから離れ、一口の隣で壁にへばりついた。
「い、乾?急にどうしたの?」
 唖然とした表情で一口が問う。だがそれに答える余裕など今のオレにはない。
「…許せねえ」
「?」
 そうだ。矢射子先輩が阿久津の彼女になったって事は、あの爪先から脳天まで駆け抜ける先輩の愛のムチを、アイツが独占しちまう
って事だ。
 そんなの。
 そんなの、許せるかよ。
「ヘンジン!」
「きゃっ!」
 装着した首輪のバックルを回し、辺りが光に包まれる。その隙にオレは、サイボーグ乾へと姿を変えた。「キモっ」近くで声が聞こ
えた気がするが、気のせいである。
「…待っててください矢射子先輩。貴女の愛のムチを受けるのは…このオレだぁーーーーっ!!!!!!」
「乾!?」
 一口の声もおかまいなしにオレは壁に向け、拳を放つ。サイボーグ乾と化したオレのパワーは通常の約7倍。それ位あれば、ラブホ
テルの壁などやすやすと壊せるだろう。
 …が、壁に拳が当たる直前、オレは動きを止めてしまった。
 犬の聴力は約16倍――それにより聞こえる会話が、犬型サイボーグのオレの耳にも届いてしまったのだ。
*
674イヌイチ・4:2007/10/16(火) 09:27:09 ID:PW8CAqZl
キィ…。ガラス戸――おそらくシャワールームの扉が開く音がした。
『宏海』どきん。矢射子先輩の声だ、隣の部屋に居るオレの鼓動が高鳴る。
『おう、体あったまったか。こっちも服干しといたか…ぶえっくしゅん!!』
『あ…ご、ごめんっ、宏海の方が体冷えてたのに』
『構わねえよ。風邪引きゃテキトーにサボれる口実が出来るからな。アイツらのお守りより、そっちの方が楽だ』
 ずびずびと鼻をかみながら、阿久津が返す。
『それより、服乾くまでシーツ被っててくんねえか?――その、目のやり場に困る』
『えっ…っ!!』
 先輩が息を呑み、ぎこちない衣擦れ音――おそらくベッドシーツを身に纏っているのだろう――がした後、微妙な沈黙が二人を包ん
だ。
 困るって言っている割に、少し落ち着いてる風な阿久津の口調が、なんだかムカついた。
『ごめんね、宏海…迷惑だったでしょ?』
『あ?』
『…雨だからって、急にこんなところ連れ込んで…軽蔑したよね。女の子なのに』
『…また反省してたのか。やけにシャワー長いと思ってたが』
『だって…』先輩の声が、涙声に変わっていく。――壁をブチ壊すなら今か?オレは右手に作った握り拳に力を込める。一口も眉間に
皺を寄せ、壁の向こうを睨んでいた。――その時。
 ぎしり。ベッドのスプリングが軋む。無論、向こうの部屋のだ。
『…!』
『泣き止んだか』
『こ、ここ宏海、今のって…』
『…好きな女にじゃなきゃ、しねえよ』
 キス、だ。目に見ることは出来なくとも、オレも一口も確信していた。
『こっちこそ、ごめんな。アンタには告白の時からリード取られっぱなしでさ。そういうの気にする方だってのも知ってんのに…本当、
情けねえ』
『そんなの…情けなくなんか、ないよ。だってあたしはそう言って人の事を思ってくれる宏海を見てたから…大事にしてくれる宏海
がっ、すっすすすすす…』
 …先輩、言えてません。

 ことん。突然近くで音がした。隣の様子を伺うのに夢中になっていたオレは、音の正体に気付くのに少し時間がかかった。
「乾、もう聞くのやめよ」
 音の正体は、一口が置いたコップだった。
「…一口?」
「もう、これ以上聞くの辛くなってきちゃったよ…。ゴメン乾、あたしもう帰るね」
「えっ…あっ、待てよそう言えば休憩代…」
 半分出して貰ってないぞ。一口の腕を掴み、言いかけてオレは言葉を止めた。――一口は、大きな目一杯に涙を溜めて、必死に泣く
のを堪えていた。
「バカ…なんで顔見んのよ。空気読んでよバカ犬…うっ、く…」
 わああああああん。
 腕を掴まれたまま一口はその場にへたり込み、大声で泣き出した。
「な、泣くなよおい…」
 こういう時どうすればいいんだ。オレは自分の胸の痛みを吐き出そうにも吐き出せないまま、豪快な子供泣きをする一口の前に同じ
ように座り込んだ。
 小さく結った一口の前髪が、しゃくり上げる度にぴこぴこと揺れる。本当、子供みたいだな。そう思ってオレは子供をあやすように
一口の頭にそっと手を置いた。――が。
 バキィッ!!「そのキモい格好のまま触んなーーーーーーっ!!!!!!!!」
 ええーーーーーっ!!!?これなんてリバーサルアタック!?マスクをしたままの顎にギャラクティカマグナムを喰らい、横向きに吹っ飛
びながらオレは心でツッコんだのだった。
*
675イヌイチ・5:2007/10/16(火) 09:28:35 ID:PW8CAqZl
「…これでも飲んで落ち着けよ」
 備え付けの冷蔵庫から缶ジュースを出し、ベッドの上に座った一口に向けて放る。缶は放物線を描きつつ、顔を両手で押さえながら
泣き続ける一口の横にぼすん、と音立てて着地した。
「まだ雨は止んでないみたいだから、止んでから出ようぜ。この辺ホントに雨宿りできる建物無かったし、オレたちまで風邪引いたら
怪しまれちまう」
 窓の外は、まだ大粒の雨で白くけぶっている。今の季節にありがちな夕立かと思っていたが、どうも少し違うみたいだった。
「…随分、余裕だね乾…」
 ぐしゅっ、と鼻をすすりながら一口が呟いた。余裕なんかじゃねーよ。手に持ったミネラルウォーターの蓋を開けながら返す。
 本当のことだ。
「そりゃ泣けるなら、泣いてるよ。…けど何でか知んねーけど、涙が出ないんだ」
「…冷めたの?」
「違う」
 即答に、心なしか一口は小さく身をこわばらせたようだった。…キツイ言い方だったかな。
「けど、矢射子先輩のこと、オレはどの位考えてたかなーって思ってさ。オレが矢射子先輩に求めるばかりで、矢射子先輩が何を求め
ていたか、何を欲しがっているかをオレはずっと気付けなくて…だから駄目だったのかな、なんて思ってた」
 あたしはずっと気付いてたよ。プルタブを開けつつ、一口は答えた。
「でも、しょうがないじゃない。お姉さま以外に好きになれる人がいなかったんだもん。確率がどんなに低くたって、諦められなかっ
たんだもん」
 それは、オレも同じだ。言葉を水と一緒に喉の奥に流し込み、オレは一口の横に座った。――今日が雨でよかった。風にあおられ、
激しく窓を打つ雨の音に、オレは少しだけ感謝した。
「…乾」
「ん?」
「…ありがとね。あんたはバカだけど、今日は近くに居てくれて良かったって思うよ」
「一言余計だ。まあ、オレも思ってるよ。――一人だけだったら、耐えられなかったかも」
 互いに顔も見合さず、壁に向かって続ける会話。けれど、けっして空しいものではない。
 それはきっと、隣がコイツだからだろう。先輩に対する想いを互いに知り尽くし、語り合える、ライバルというよりはむしろ戦友の
ような、小さな、――…大切な存在。
「んふふ」突然一口が笑い出したので、一瞬心を読まれたかとオレの心臓がはねた。
「な、何だよ急に」
「だって乾黙り込んじゃうから何だかおかしくて」
「はあ?」
 そーゆーキャラじゃないじゃーん。自分のセリフがツボにはまったのか、一口の笑い声はさらにボルテージを上げ、ついにはベッド
に倒れ込み、足をバタバタさせながら笑い出した…って、ちょっと待て!
「こ、コラ!見えるぞ一口!!」
 あとベッドにジュースをぶち撒けそうだったので、慌てて缶を取り上げる。
「いいじゃーん別にぃ。減るもんじゃないし」
 それは見られる側のセリフじゃない。ニーソックスと膝上プリーツスカートの絶対領域奥に見えそうなモノの存在にオレはやきもき  
(はしたなさに対する困惑だ。欲情では、断じてない)しつつ、この状態は変だと頭の中で思い始めていた。
「一口、一体どうしたん――げっ」
 嫌な予感に、さっきまで一口が飲んでいたジュースの缶に目をやり、オレは絶句した。
 そこには、割と大きな字で「これはお酒です」と書かれている。

 …言うまでもないが、お酒はハタチになってから、だ。

*
676イヌイチ・6:2007/10/16(火) 09:31:03 ID:PW8CAqZl
「いっ、一口おまっ…これ知ってて飲んだな!?」
 オレの言葉に一口がにへらっ、と笑う。渡してしまったのはオレのミスだが、気付いていながら飲んだのなら、タチが悪い。
「だぁって、18歳はオトナだもーん。パチ屋もレンタルビデオのAVコーナーも、エロパロ板にだって行けるんだもんねー」
 いや…あれ?そうだっけ?最後のが近頃変わったってのは聞いたことあるが。いや、なぜ知ってるかなんて聞いてほしくはないが。
「とにかく、水飲めよ。お前それは酔っ払いすぎだろ」
 ひったくったチューハイの代わりに、オレが今まで飲んでた水を渡すと、一口は赤く染まった頬をさらに真っ赤に染め、間接キスさ
せようとしてるの?と尋ねてきた。
「なっ…!」
「なーんてね。冗談だよ。大体乾にそんな気無いの知ってるし。あたしも範囲外だし」
 とんだ肩透かしである。――…いや、実際そうだけどさ。
「でもさ…あたしだって、そういうコト、出来るんだよ…?」
 ちゃぽん。ペットボトルから口を離し、一口が呟く。水に濡れた唇に不覚にも胸が高鳴ったが、これはさっきのセリフのせいだ。
「ど、どうい…」
「なのにお姉さまったらあんな不自然な髪の色したシスコン野郎なんかにーーーーーーーっ!!!!!!」
 …やっぱりそっちか。再び足をバタバタさせだした一口を尻目に、オレは既に空だった空き缶を手に、くずかごを探していた。
 こういうのって分別すんのかな。でもこの部屋一つしかくずかご無いよなあ。
「いーぬーいー」
「…なんだよ」
 今度は受け流すぞ。と心に決めて、一口の呼びかけに愛想無く返す――が、その意思は
「ね、おちんちん貸して」
 という、水爆発言によりもろくも崩れ去ってしまったのだった。
677イヌイチ・7:2007/10/16(火) 09:32:27 ID:PW8CAqZl
Jack has a bat and two balls.

「…べ」
「べ?」
「べぇーすーぼぉーるはえすえすけー♪」
「…もしもし?」
 もしもーしと呼びかけながら目前でひらひらさせる一口の掌により、オレの意識がもどる。…いけねえ。一瞬なつかしCMの世界に  
飛んでたらしい。
 オレは大きく頭を振り、今なんて言った?と一口に向け問い直した。
「乾のおちん「わーっ!!やっぱ言うな!女の子が!」
 この手のセリフは冷静に喋れば喋るほど相手が恥ずかしく感じるものであり、今もその例に漏れなかった。
「乾、首まで真っ赤だよ」
「オマエ恥ずかしくないのかよ」
「…恥ずかしくないと思ってんの?」
 心外だと言わんばかりに一口が眉間に皺を寄せる。
「や…だったらそんな突拍子も無い事言うなよ…」
「突拍子無くないもん。――…あたし、前にお姉さまが男の姿になったとき思ったの。ああ、あたしお姉さまが相手なら、男でも女で  
も構わない…ううん、今だったらいっそ、あたしが男になったって構わないって」
 そんな時あったっけ?矢射子先輩がやたら体格良かった時の事か?混乱した頭の中で必死に過去の記憶を掘り返す。
「でも、あたしが男になるにしたって、男のカラダを知ってなくちゃ駄目じゃない?だから、乾のおち「ぬわあああああああっ!!!!!」
 それは突拍子無いとは言わないのか?いや、酒が入った人間の論理ってこういうもんなのか?
「だ、大体だな…ぜぇぜぇ…そんな事言われたってオレに何の得があるんだよ」
 喉痛ぇ…。吉田A作ばり(※例えが古いのは仕様です)の絶叫のし過ぎでひりつく喉を押さえつつ、オレはまだ顔の赤い一口に問う。
「あたしの見てもいいよ?」
「オレはロリコン趣味じゃない」
 即答だ。ついでに言えば断言だ。一口はあからさまにムっとした顔になったが、これは譲れない。
「マゾの癖――そうだね」
 言いかけて何か思いついたのか、一口がいたずらを思い浮かべた子供のようにニヤリと笑みを作った。
 ぞくっ。
 オレの背筋に悪寒が走る。ベッドの上でにじり寄ろうとする一口に対し、自然と腰が引けてしまう。
「な、何だよ…」
「乾は、お願いなんかじゃ人の言うこと聞いてくんないんだよね。…じゃあ」
 それまで肩にかけていたタオルを手に持ち、さらに迫ろうとする一口。
 そしてオレはベッドボードに背を押し付けつつ、これから何が起きようとしているのか――きっと、本能で気付いていた。
 一口の、次の言葉には、逆らえない。何故ならば。
「乾――これは『命令』よ。あたしの玩具になりなさい」

 何故ならば、オレは、どうしようもない程のマゾヒストだからだ。

*
678イヌイチ・8:2007/10/16(火) 09:34:10 ID:PW8CAqZl
ぎちり、手を動かせば、後ろ手に縛られたタオルが音を立てた。
「け、結構キツめに縛ってんな…」
「途中でヘンな気起こされたら嫌だもんね。あたしの純潔は心に決めた人にしか捧げないんだから」
 起きねーよ。言いたいのは山々だったが、状況が状況だけに、ありえないとは言い難い。
 悲しいけど、これって性的いたずらなのよね。
「じゃあ、いくよ」
 そう言って、一口はまずオレのタンクトップの上から胸板を触りだした。さするように、ぺちぺちと叩くように掌に質感を覚えさせ  
る行為は、何だか子供の砂場遊びに似ている気がする。
「やっぱり柔らかくないねー」
 タンクトップをまくり上げ、脇腹を触りつつ一口が呟く。
「ちょ…っくく、くすぐってえよ」
「男の人ってこの辺感じないの?」
「え?あー、個人差じゃないの?」
 他人の性感帯なんか知る訳が無い。というか一口、その言い方だと自分は脇腹が感じますと言ってるようなモンだぞ。
 思ったが、今はとりあえず笑いを堪えるのが先だった。
「背中もゴツいね。…あれ?乾ってそんなに汗臭くないんだね。あんな変態な格好するクセに意外」
「大きなお世話だ」
 そりゃ多少は気にするが。
 つか一口、顔近づけ過ぎ。髪の毛の先が乳首に当たってるし。
 オレはくずぐったさに思わずきつく目を閉じる。…それを合図にしたかのように、一口の手は更に下、ベルトの金具へと伸びていっ
た。
 カチャカチャ、…ぶつん、ジー…ッ。
 ジーンズのジッパーが開く音と共に、腰の拘束感がゆるんでいく。――いよいよ、か。目を閉じたままオレは微かな高揚感を味わっ  
ていた。…矢射子先輩、こんな節操の無い犬でスミマセン。
「乾、お尻上げて」
「ん」
 言われたまま腰を上げる――と同時に下半身がひやりとした空気に晒された…って。
「一気に脱がすのかよ!!!!!!」
「ひゃあっ!!」
 オレの反応に一口はジーンズとボクサーパンツを握り締めたまま飛び上がった。
「ば、ばばばバカっ!!急に驚かさないでよ!!」
「お、驚いたのはこっちだ!!オレにだって心の準備ってのがあるんだよ!」
「チンコ丸出しで怒鳴んないでよ下半身靴下だけ男!!」
「だから軽々しく口にすんなって言ってるだろが!!」
 しばし睨み合い、大きく息を吐く。…全く、少しでもドキドキしたオレが間違っていた。
「も、いい。好きにしろ」
「ん。好きにする」
 一口の言葉をきっかけにオレはベッドに仰向けに寝っ転がった。…うわ、この部屋天井に鏡張ってたのか…鏡に映ったオレの間抜け
な姿を眺めつつ、今更そんな事に気付いた自分に苦笑した。
 そんなオレの表情に目もくれず、目の前の少女は自分に無い器官に対し、何とも微妙な表情のままちょんちょん、と指でつついたり  
している。…別に取って食ったりしねーよ。
「ふにゃふにゃしてる」
「勃ってないからな」
「勃たないの?」
「…今の心境で勃てられたらオレはオレを尊敬するよ。男心はファイバードなんだぞ」
「デリケートと太陽の勇者は間違えないんじゃないの乾…」
 一口はそう言うとしばらく思案顔になり、やっぱりあたしも脱ぐね、と自分の着ているシャツのボタンに手を掛けた。
「見ないでよ」
「は?裸をか?」
「違う、脱いでるトコ」
 …?裸を見るのは構わないのに?変な奴。
 わかったよ、と答えつつ、オレは天井の鏡に映った一口の姿を薄目を開いて覗いていた。小さな手が、ゆっくりボタンを外し、シャ
ツを、スカートを、キャミソールを脱がしていく。
 坂田あたりが見たら数年は夜の妄想に困らないだろうなあ。――ふと、そんな考えが頭をよぎり、直後自己嫌悪に陥った。

 ばかじゃねーの。オレ。
679イヌイチ・9:2007/10/16(火) 09:44:58 ID:PW8CAqZl
*
「も、もういいよ。目、開けて」
「…うん」
 目を開けると、白い肌が目に飛び込んできた。本当に申し訳程度にしかない胸と、股間を左右それぞれの手で押さえた一口が、真っ
赤な顔でベッドの上にぺたんと座り込んでいた。
「ど、どうかな?」
「…どうって」何と答えろと――言いかけて、この奇妙な状況に至った理由を思い出した。
 しばらく考えて、オレは口を開く。
「そうだなあ。(お世辞にも筋肉は付いてねーけど)肌も綺麗だし(それは欠点じゃないし)、華奢ってのも(ソレが売りってヤツも
いるらしいし。よく知らないけど)…まあ、アリなんじゃねーの?」
 男になりたいんだっけコイツ。…それで矢射子先輩が振り向いてくれるのかと言うと、甚だ疑問だが。
 オレの言葉に一口はちょっと驚いた表情を見せ、その後更に顔を赤くさせながら、そ、そうかな…褒めてんだよね…と小さく呟いた。
 …ひょっとして照れてるんだろうか。その表情は男になるには勿体無いな、とオレは少し残念に思った。
「え、と、…じゃあ、続けるね」
「…ん」
 胸を隠していた手を外し、一口は再びオレの股間に手を這わせた。
 今度はさっきよりも度胸がついたのか、サオ全体を手で持ってみたり、タマの方まで触ってみたりもしている。
「もちょっと強く触ってもいい?」
 返事を待たず握る力が増し、丁度自分でする位の手の力が、下の自分にかかってきた。――あ、やべ。
「あ、乾のぴくってした。…気持ちいいの?」
「…聞くなよ…」
 くそっ、恥ずかしい。いたたまれず、オレは一口から目を逸らした。
 だがオレの根底に流れるM魂は、見られて弄ばれる恥ずかしさに快楽を見出しつつあった。…本当に節操無いな!このバカ息子!
 そんなオレの煩悶など気にしない一口は、手の向きや触れる場所をいろいろ試しつつ、どの触り方に強く反応するかを熱心に探って
いる。
 上気した頬と、手を動かす度にぴこぴこ揺れる結んだ髪。そして、わずかなふくらみの先に色付く桜色と、閉じた脚の間にほんの少
し見える陰り、という幼女と少女と歳相応の女の姿がごちゃ混ぜになった一口の裸。
 心の底に、それを的確に表す言葉があるにもかかわらず、オレの口は言葉を吐き出さず、ただ快楽を堪える為に歯をくいしばってい
た。
680イヌイチ・10:2007/10/16(火) 09:46:15 ID:PW8CAqZl
「乾、痛い?」
 不意に一口が手を止め、心配そうに尋ねてきた。
「え…?何、で」
「ずっと苦しそうな顔してたから。…ごめんね下手で」
 …別に下手じゃねーよ。
 下手かどうかなんて、とっくにヘソ辺りまで反り返っちまったモノを見れば分かるだろうに。
「相手が、お姉さまだったら良かったのにね」
 一口の言葉がみぞおちをえぐり込む。――今、そういう事言うなよ。ズルいじゃないか。
 わざと明るい口調で言っていたが、逆効果なのは明らかだった。
「…お互い様だろ」
 オレの言葉に、一口はまた泣きそうな顔になった。別に泣かしたくて言ってる訳じゃない。ただ、今やっている事がどれだけ不毛か
なんて、二人ともとっくの昔から分かってた。それだけなんだ。
 傷を舐め合うどころか、紙ヤスリで擦り合うような行為なんかでは、傷は広がりこそはすれども、決して癒えはしない。
 くだらない。情けない。…だから、止めるなら今のうちなんだ。
 ――だが。
「…タオル、ほどくね」
「ヘンな気起こされたら嫌なんじゃなかったっけ?」
 ――それでも。
「いいから、体起こして、じっとしてて」
「起こしてもいいのか?…ヘンな気」
 オレの言葉に一口は息をのんだ。冗談で言ってるつもりはない。それくらいは通じるだろうか。
 少しの逡巡、かなりの高揚。沈黙の後、一口が小さく唇を噛むのが見えた。
「…いいから。でも少しの間でいいからさ、乾」
 ――それでも、オレたちは。
「ぎゅって、抱きしめて」

 傍らのぬくもりを、欲しがらずにいられなかったのだ。
681イヌイチ・11:2007/10/16(火) 09:51:02 ID:PW8CAqZl

*
 とくん、とくん。胸に自分のものでない鼓動が伝わってくるという体験は、初めて味わうが、何ともくすぐったい。
 オレは一口の微かに赤く染まった首筋を眺めながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
「乾、手ぇ冷たいよ」
「え?ああ、縛りすぎて血行悪くなってたせいかな」
「お尻のところには熱いの当たってんのにね」
「あーもーそりゃ生理現象っスから。自分男っスから。しょうがないっス」
 でもお前だって腰に当たってる辺り、凄く熱くなってんだぞ?
 返したいのをぐっと堪えて、オレは膝の上に座る小さな背中を抱く腕にそっと力を込めた。
 一口の体は、小さい上に柔らかくて、いいにおいがして、ほんの少しの衝撃で潰れてしまいそうだった。
「んー、こうしたら少し楽になるかな?乾、ちょっと腕ほどいて」
「えっ、もう挿れ…」
 …る訳ではなかった。一口は腰を浮かすとヘソに貼りついていたオレのモノをそっと掴み、自分の股の間に挟み込める位置へと場所
を調節させると、再びオレの腰の上へと尻を落ち着かせた。いわゆる素股の体勢、というヤツである。
「こうかな。ん、あれ?さっきよりゴリゴリしてない?」
「…。」――そりゃするよ。さっき腰を浮かせたときに見えちまったんだもの。何を、なんて問うまでもないだろう。
 乳首よりちょっと濃い目のピンク色した、一口の一番大切なトコロ。
 今抱きしめてる体みたいに、小さくて柔らかそうな肉のつぼみが、オレのすぐ近くにあるなんて。
 …もっと見てみたい。触ってみたい。指とか色々奥まで入れて、どんな感じなのか確かめてみたい。そう思うのは男として正しい心
理だと思う。
 こ、このまま挿れても、いいんじゃないかな?つか、すげー挿れてえ。只でさえ今、一口の熱いトコと太ももに挟まれて、オレは爆
発寸前なのだ。加速する鼓動を胸に抱えるオレを知ってか知らずか、一口は場所の微調整のために小さく腰を動かし、更なる焦らしプ
レイをオレに強要してくる。いや、焦らしも嫌いじゃないけどさ。でも、ああああああ。
 そんなオレの心中一人SMは、一口の「これでよし」という声に中断された。
「えへへ…やっぱり」
「へ?…何がやっぱりなんだよ」
 自分の股間を凝視しながらにまにまと笑う一口に、疑問符しか浮かばず、オレは尋ねてみた。
「こうしてるとさ、その…生えてるみたいに見えない?」
 …。何やってんだオマエ。
682イヌイチ・12:2007/10/16(火) 09:51:56 ID:PW8CAqZl
言われて、渋々一口の薄い陰りからほんの少し顔を出したオレのモノの図(あまりいい図ではない)を見てみる。
「ね、どうかな?」
 …それは多分、一口の未成熟な腰周りのせいかも知れないが、…言われてみれば、少し考える時間を貰えれば見えない事も無い…
「…気がする…ドスッ!!「おふっ!」
 思考が漏れていたらしい。呟き終わると同時に、脇腹にキレのいい肘鉄が飛んできた。
「未成熟で悪かったわねバカ犬!アンタにはデリカシーってもんが無いの!?」
「で、デリカシーって、…言葉の使い方間違えてるだろオマエ!デリカシーってのは人のチンコ股に挟んでる女が使う言葉じゃないん
だぞ!?」
「あーっ!自分だってチンコって言ってる!!」
「オレは男だからいいんだよ!つかまた言うなよ!」
「あたしだって男になるもん!!」
 ――ずきん。真っ赤な顔で見上げながら放つ一口の精一杯の反論が、胸に突き刺さった。
「あたしだって…阿久津くんやアンタに届かなくても、お姉さまに近づけるなら…なるもん…バカ…」
 肩を震わせて言い切ると、一口はそのままうつむき、すん、と小さく鼻を鳴らした。
「…ばかやろう」
 男になったって、あの人に近付ける訳では決してない。今の自分がいい例じゃないか。
 それでも尚一心にあの人の背中を追うって、どんだけ気合入れてんだよ。
 こんな小さな体のどこに。
 …そう思うと急に胸が苦しくなってきた。鼻につんとした痛みが走り、オレはごまかすように一口の体を強く抱きしめた。
「!?…っ、い、痛いよ乾…」
 膝の上の一口が身をよじる。けれどオレは腕をほどけない。
「乾?…泣いてるの?」
「…見るなよ…」
 ずっと泣けなかったのに、どうしてこんな時に限って涙が止まらないんだろう。
 オレは一口の小さな肩にまぶたを押し付け、声を殺して泣いた。
 一口は、何も言わず、黙って肩を貸してくれた。

 二つの心音が重なり合う中、ゆっくり、ゆっくりと時間は過ぎていった。
683イヌイチ・ラスト:2007/10/16(火) 09:52:50 ID:PW8CAqZl
*******
 どしゃ降りだった雨はすっかり上がり、夕暮れの街はひやりと澄んだ空気に包まれていた。
「あー、もう一番星が出てる」
 一口の言葉につられ空を見上げると、ビルの谷間から小さな光の粒が見えた。
「早く帰んないとな。一口んトコ門限早いんだろ?」
「うん。ウチの親、ちょっとだけ過保護だから…乾の家は?」
「そんな厳しくないかな。でもまあ、女の子は早めに帰んないと駄目だろ」
 オレの言葉に一口は、乾って意外と古風だねーと笑った。そうかもしれない。が、特に一口の場合は見た目の問題もあり、夜道など
ホイホイと歩いてたら洒落にならないような気がしたのだ。
「ホント、女の子って損してるよね…」
 はあ、と溜息混じりに一口がぼやく。ぴこん、と大きくはねる髪を横目に、でも損ばかりじゃないんじゃないかな、とオレは小声で
返した。
「少なくとも、男のカラダはあんな柔らかくねーぞ」
 …沈黙。やべっ。オレまずい事言ったかな?いきなり足を止めた一口に、オレは何か言い訳をしないといけない気がして、必死に弁
解の言葉を考えていた。
「あー…えと、今のはだな」
「…乾、続きしなくて良かったの?」
「へ?」
 反応の悪いオレに、一口は顔を真っ赤にさせながら、言いにくそうに口をモゴモゴさせた。
「だからっ、…その…れ…なくて」
「何?挿れなかった事か?」
「大声で言うなーーーーーーーーっ!!!!!!」
 ばちーん。ビル街に盛大なビンタの音がこだました。

 ――結局、オレたちは至るところまで至らぬまま、フロントからの無粋極まりない休憩時間切れコールによって、部屋を追い出され
たのだった。
 残り数分でコトを達成できるほどのボルテージも、延長料金を支払うだけの金銭的余裕も、あいにく持ち合わせていなかったオレた
ちは、まだ半乾きだった服を着込み、早急に、かつ周囲に見知った顔が無いか慎重に、ホテル街を抜け出した。

 挿れたく無かったと言えば、嘘になる。
 ジーンズを穿き直した時、朝勃ちよろしくいきり立ったモノをしまい込むのに四苦八苦したのも、そのモノを濡らしていた自分以外
の体液の存在が、更に行動力を低下させていたのも事実だ。――けれど。
 もしあのまま一口と体を重ねてしまったら。
 本能のおもむくままに蹂躙しつくしてしまったら。
 オレはオレの中に居る、一口夕利という存在を、オレと同じ人をオレ以上に一途に想う仲間を、この手で壊してしまうところだった
のだ。――それは、耐えられない。
 多分、矢射子先輩に嫌われるよりも。
「どうしたの?急に黙っちゃって」
「…いや、何でもない」
 オレの言葉にふーん、と首を傾げ、数歩前をぴょこぴょこ歩く一口のうしろ姿。
 当たり前すぎる風景――だからこそ失うのは、今のオレには辛かった。
「――…」
「え?何か言った?」
 夕暮れの風にかすれてしまった声に、一口が振り返る。その無邪気な表情に、オレはゆっくり頭を振り、酒抜けたのか?と代わりに
尋ねた。
「自販機のジュースならおごってやるぞー」
「んー、もう一声!せめて昇龍軒のネギチャーシュー!」
「どこが一声だよ!…んじゃ、オレより先に店着いたらオゴリな!」
「よし乗ったぁ!!じゃっ、お先!」
「今からかよっ!」
 オレは華麗なスタートダッシュを決める一口の背中にツッコミを入れつつ、追い抜かないようにちょっとだけ加減しながら、夕暮れ
の街を走った。
684イヌイチの人:2007/10/16(火) 09:59:19 ID:PW8CAqZl
…以上です。うわあっ!タイトル、3が抜けてるー!コピー位置もなんか変だー!
自分で書いてみると職人様の偉大さがわかるって、ばあちゃんが言ってたけど本当だったよ…。
微エロ長文失礼しました。では、またROM専に戻ります。
685名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 21:06:34 ID:6jyYG8fB
乙です!
色々小ネタが利いてて、面白かった。
686名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 23:40:12 ID:PueBCIeF
>>670-
ちょおま、あなたが神か!?
聴力16倍とか懐かしくて笑い泣きした。GJです!
687名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 14:57:51 ID:mVvXups/
>670
エロパロではありえないぐらい泣いてしまいました。
一口と乾、本当に二人は矢射子のことを好きだったんだという切なさが
文章から溢れてて、今、息ができないぐらいツボってます。
キャラを大事にされていることが伝わりました。
もて王という作品の素晴らしさも再確認。
また是非投下よろしくお願いします。
688名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 22:00:20 ID:+yDBiqPz
>670
非常に感動しました!
乾と一口二人の思いが物凄い良かったです!いれないのがイイ!!

宏海と矢射子バージョンも見たい!
689名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 01:50:46 ID:3xCYXmpc
スレチかもしれませんが、女体化玲夜の自慰ネタとかないですかね?
昔書いたんですが、ネタ的に際どいので迷ってます。
690670:2007/10/20(土) 14:06:29 ID:vOMIQnxn
舌の根も乾かぬうちに戻ってきました。温かな感想、本当にありがとうございました。
御礼代わりにイヌイチの補足じみたおまけを投下いたします。
苦手な方は「イヌイチ」NGワードでお願いします。
691イヌイチおまけ〜雨宿り1:2007/10/20(土) 14:07:30 ID:vOMIQnxn
舌の根も乾かぬうちに戻ってきました。温かな感想、本当にありがとうございました。
御礼代わりにイヌイチの補足じみたおまけを投下いたします。
苦手な方は「イヌイチ」NGワードでお願いします。
692イヌイチおまけ〜雨宿り・1:2007/10/20(土) 14:08:23 ID:vOMIQnxn
******
「ただいま」
「夕利、いつまで遊んでたの。もう日が暮れてるじゃない」
「ごめんなさい、ちょっと雨宿りしてたから遅くなっちゃった」
 家に入り早々飛んできた母親の小言に、あたしは平気な顔で理由を言う。
「あら…そういえば服濡れてるわね。風邪引いちゃうから、お風呂入っちゃいなさい」
「はーい。あ、今日、晩ご飯いらないよ。外で食べてきたから」
 部屋に入って着替えを手にし、ぺたぺたと足音を立てて風呂場に向かう。そして服を脱ぎ風呂場の鍵を閉めて――あたしは、その場に
へたり込んだ。
「…はあ…」
 理由のどこにも、嘘は無い。雨宿りだって外でラーメン食べて帰ったのだって本当だ。
 なのになんでこんなに胸がドキドキするのだろう。
*
「まあ、男に二言は無いからな。えーと、ネギチャーシューふたつ!あ、オレのは大盛りで!!」
「あ、ずるーい乾!」
 競争の末に駆け込んだ先のラーメン屋で、あたしは水を飲みながら息を整える乾に文句を言った。
「何言ってんだよ。オゴるのはオレなんだから、ズルいも何もねーよ。それに、さっさと食って出ねーと、もう日が暮れてんだぞ?オマ
エ、卒業式ん時だってやたら食うの遅…」
 途中まで口にして乾はしまった、という顔をした。思い出してしまったのだ。

 ――卒業式の日。あたしと乾が、はっきりと分かる形でフラれた日。フラれた者同士、ヤケ食いしてパーっと忘れようぜって乾は誘っ
てくれたけど、苦しさと涙でしょっぱくなったラーメンは、とてもじゃ無いけれど食べられる代物じゃなかった。

「…悪い、無神経だった」
 呟いて、バツの悪そうな顔のまま乾はコップの水を飲み干した。
 賑やかな店の中、あたしと乾の間だけ、しばらく時間が止まったみたいに静かになる。
「…ほんと、あの時のラーメン、おいしくなかったよね」
 水差しに伸びた乾の手が止まる。あたしは、おしぼりを手で弄びながら、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「だからさ、今日は、ちゃんと美味しく食べようよ。前に残しちゃった分も。お腹空いちゃってるし、ね?」
 お待ちどうさん。丁度いいタイミングで、目の前にネギチャーシューメンが二つ並ぶ。ほわほわと立ち昇る湯気の温かさに、あたしは
目を細めた。
「――…強えーな、一口」
 ぱきん、と口で割り箸を割りつつ、乾が呟く。そしておもむろに自分の丼からチャーシューを三枚、あたしの丼によそった。
「やる」
 それだけ言うと、乾は黙々と大盛りのラーメンを啜り始めた。何で、とは思ったけれど、聞いちゃいけないような気がしたので、同じ
ようにあたしも黙って食べることにした。

 乾と食べる二度目の食事は、お腹と胸にじんわり温かくて、こういうのも悪くないなって、ちょっとだけ心の隅で思った。
693イヌイチおまけ〜雨宿り・2:2007/10/20(土) 14:10:06 ID:vOMIQnxn
*
「――強えーな、か」
 ノズルを固定し、頭からシャワーを浴びつつ、あたしは乾の言葉を反芻した。
 本当は、そんな事無い。まだ全然振り切れてない。
 だからこそ、今日だってとんでもない理由をつけて乾を振り回していた。きっと断らない。心でそう決め付けて。
「…乾だって傷ついてるくせに」
 つう、と背中に水滴が流れた。――あの時と同じ、温かい滴。強く強く抱きしめながら流していた、涙。
 正直苦しかった。ただでさえ馬鹿力な乾の力一杯の抱擁は、今もあたしの二の腕に痕を残している。
 けれど、嫌じゃなかった。
 乾の体温と、心臓の音がゆっくり体中に伝わってきて…どっちかって言うと気持ちよかった――…え?
「き、気持ちいいって、あたし何考えてんの?」
 自分の思考にツッコミを入れ、シャワーの栓をさらに緩める。
 ざあああああっ。全身に強い飛沫を浴びつつ、あたしは一番思い出すのが恥ずかしい記憶を必死で消そうとした。
 それなのに、忘れようとすればするほど明瞭に思い出してしまう。
 そうだ、あたし、裸の乾に裸のカラダ、抱きしめられてたんだ。…ううん、それだけじゃない。

 ――あたし、乾のおちんちんを自分のアソコにくっつけてたんだ。
 
 途中、乾が「女の子がそんな言葉使っちゃいかーーーーん!!!!」と叫ぶ姿が思い浮かんだが、コンマ1秒で追い払う。
 問題はそこじゃない。
「ちょっ、ちょっとあたし何て事しちゃったのーーーー!!!?」
 あたしはあまりの恥ずかしさに絶叫し、再び風呂場にへたり込んだのだった。
*
「夕利どうしたの?お風呂で叫んだりなんかして」
「…ん、なんでもない。ちょっと変な虫がいて驚いちゃっただけ」
 ふらふらになりつつ、風呂の外で目を丸くさせてた母親にぼんやりと言葉を返す。
「おやすみ」
「あら、もう?昼間に録っといた『アタック25』観ないの?」
「…それ明日観るから。絶対消さないでよ」
 前科のある母親にクギを刺し、自分の部屋に入る。今日のアタックチャンス面白かったのにねーとぼやく親の独り言もそこそこに、あ
たしは部屋の中電気も点けず、ぼふんっと頭からベッドに突っ込んだ。
「はぁ…」
 どうしてくれんのよ。さっきから頭ん中離れてくんないじゃない。
 そりゃあたしが原因だってわかってますよ。ええ。わかっててお酒飲んだのも、乾のチンコ貸してって言ったのも…アソコにくっつ
けたのも全部あたしよ。
 けれど。…けれどねぇ…。
「あんなにおっきいなんて思わなかったわよーーーーっ!!!!乾のバカーーーっ!!」
 足をバタつかせ、枕に顔を押し付けながら、あたしは叫んだ。(もちろん、声は枕の中でモゴモゴとくぐもった声に変わっている)
 ――乾のアレは、大きく、図太く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさに肉塊だった。
 更に乾自身はといえば、全く自覚が無かったのだから、本当に始末に負えない話だと思う。 
「あんなの…入らないよね…」
 というか、まず壊れる。『処女殺し』どころの騒ぎではない。となると、あの時フロントから電話がかかったのは自分にとっては正に
天の助けだったとしか言えない。…着替え中に悶絶していた乾には悪く思ったが。
「…」
 ――…それでも。
 それでも、あの時は受け入れていいと、本気で思ったのだ。
「気の迷いだけどっ!!一瞬の幻覚だけどっ!!」
 枕の中で必死に打ち消しても空しさばかりが残る。…ああもう、何でこう思い出したくないことばかり思い出しちゃうんだろう。
「…はあ」
 今日何度目かの大きな溜息で顔を押し付けた枕に熱がこもる。あーあ…これってヤバいのかなあ?
 あたしどんな顔して明日、アイツに会えばいいんだろう。
694イヌイチおまけ〜雨宿り・3:2007/10/20(土) 14:11:50 ID:vOMIQnxn
*
『〜♪』
 カバンに入れっぱなしだった携帯電話から着メロが鳴ったのは、そんな時だった。曲名は『LA BOHEME』――この曲だと、相手は。
 ピッ。「…乾?」
『出るの遅せーよ一口。どうせまたあのオッサン臭い着メロ聴いてたろ』
 着信ボタンを押して早々、なぜ人の着メロにケチを付けられないといけないのだろう。
「別に中森明菜はオッサンじゃないもん。それより何よ急に」
『ん?あー…まあ、急用って訳でもないんだけどさ…』
 歯切れの悪い乾の言葉に、あたしはだんだんムカムカしてきた。何でこんな奴のことであんなに悩んでたんだろう。
「急用じゃなかったら、明日学校で話せばいいじゃん。じゃあ、切るよ」
『わーっ!待て待て!!…えーと、今日はありがとな』
「え?――…何が?」
 電話の向こうでぐっ、と息を詰まらせる音が聞こえた。
『何がって…その、色々と。…あ、ホラ、矢射子先輩絡みで踏み込んだ話できんの、オマエだけだし』
 どきん。意味は違うってわかってても、最後の言葉に心臓が強く音を立ててしまう。
 本当、勝手だなあ。自分で自分の体のコントロールもできないなんて。
『そ、そうだ!…その、アレ…内緒だからな』
「乾が全裸であたしに抱きつきながら、ボロボロ泣いてた事?」
『っ…!!それもそうだけどっ!!…ヘンな言い方すんなよな。――…先輩が阿久津とラブホ入ってった事だよ。あんなの周りに知られたら
問題じゃねーか』
 内容が内容なだけに、乾の声が小さくなる。そしてあたしはといえば、分かっていた話の筈なのに、なぜか胸に穴が開いたような、
ジェットコースターの下り始めのような、何とも表現しにくい気持ちになった。
 ああ――そうだよね。
 乾の一番好きな人も、お姉さまなんだ。
『聞いてんのか?…一口?』
「…聞いてるよ」
 あたしはあくまでも、同じ相手が好きなライバルで、同好の士とかいう類に過ぎない。
 あの時流した涙だって、お姉さまに向けられたものだった。
 断じて、あたしにじゃない。――やだなぁ。何変な勘違いしてたんだろ。
『…泣いてるのか?おい、泣くなよー』
 沈黙に、電話の向こうから乾のオロオロした声が聞こえる。
 ばか。
「――…泣いてないよ、バカ犬」
 泣く訳ないじゃない。あんたの為なんかに。
 泣くもんか。
 今さっきまで感じていた胸の高鳴りが、嘘のように引いていく。――大丈夫だ。これであたし達はまた、いつも通り。
 何も変わってない、いつもの二人になれる。
「ありがと」
 あたしはそっと目を閉じ、一言だけ礼を言った。乾には上手く伝わらなかったのか、しどろもどろな言葉が返ってきたが。

 それから、明日の小テストの範囲や近く行われる体育祭の事など、他愛もない話をしばらく続け、電話を切った。

 携帯電話のディスプレイを閉じたあとの部屋は真っ暗で、カーテンを開けっ放しにしていた窓から見える星空が、やけにはっきりと見
えた。
695イヌイチおまけ〜雨宿り・4:2007/10/20(土) 14:12:57 ID:vOMIQnxn
******
「――…ふう」
 充電器に電話を突っ込み、大きく息を吐く。
 電話先の一口は、オレの心配など不必要なほどに、いつも通りの一口だった。
 …家に帰ってしばらく、今日起こったとんでもない出来事について考えていたらどうにもならなくなり、意を決して電話をかけたのが
1時間前。――結果、一口の態度のおかげで、オレ自身ようやくいつものペースを掴むことが出来た。
 多分、一口にはオレがそれまで何を考えていたかなんて、これっぽっちも伝わってないだろう。
 けれど、これでいいんだ。
 オレと一口が今まで通りの関係であり続けるために。
 いつかは雨が止むと分かっていながら動くことの出来ない、雨宿りの二人で居続けるために。
 ヘタレの言い訳だってのは百も承知だ。――…けれど、オレは本当に馬鹿だから、他に方法が見つからない。
「…」
 オレはしばらく目を閉じ、大きく息を吸い込むと、ベッドの上に散らかしていたスウェットとパーカーを着込み、部屋を出た。
「ちょっと、ランニング行って来る」
 言い残して玄関の鍵を持ち、オレは夜中の住宅街へと足を踏み出した。

 昼間の雨が嘘のように空は晴れ、頭上にはいくつもの星が瞬いている。
 けれど、オレにはその星々が、未だ降り止まぬ雨粒のように見えた。
696イヌイチの人:2007/10/20(土) 14:29:40 ID:vOMIQnxn
…すみません>>691はミスですorz(自分毎度打ち込みミスしてる気がする)
最初にも書きましたが、自分の拙い文章に温かな感想、本当にありがとうございました。
読み手の感想が書き手の原動力になるってばあちゃんが言ってたけど以下略。
また機会があれば(宏海&矢射子の話を含め)投下したいと思います。
では。

追記:>>689さん、個人的には玲夜の女体化はいつものことなので(…。)、OKかどうかは自慰の対象(男か女か)次第かなと思います。
…どうなんでしょう。
697イヌイチの人(携帯版):2007/10/20(土) 17:58:42 ID:cmp0L7dC
「オマケ・2」でやらかした大ミス:誤「大雑把」→正「超立派」
…って下ネタ(しかもパロディ)でミスやらかすの恥ずかしいーーー!!!!訂正は更に恥ずかしいーーー!!!!

ちょっくら贄になって来ます。生きてたらまたお会いしましょう。
では。
698名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 18:52:41 ID:/KuC5MXP
乙だ……乙だ!
バラダギ様の乙じゃー!
699名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 00:23:10 ID:T24wHqk4
>>689
個人的にはありだが、心配なら注意書きやNGワード指定、改行などの
対処してくれると良いかと

>>691-
オマケもGJ!乾の巨根設定こっちで使うとはw
700名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 15:08:01 ID:j9jZolGu
>>690
今回も切なさMAXで、胸にグッと来ました。
もうこの二人がどうなるのか気になって…
また是非お願いします。楽しみにしています。

>>689
全然アリ。こちらも楽しみに待っております。
701689:2007/10/21(日) 17:01:27 ID:TSqaTrXw
皆様の優しさに甘えて恐る恐る投下します。

杉音をオカズに自慰をする女体化玲夜というキワネタなので、
苦手な方はスルーお願いします。一人称は僕です。
702女体化玲夜1:2007/10/21(日) 17:06:57 ID:TSqaTrXw
一人で使うには広すぎる部屋の中。備えつけの大きな鏡の前に立って、僕は溜め息をついた。
そこには僕とそっくりな顔をした女の子がいた。

僕の通うドキドキ学園高校には学園長をはじめ間界人がたくさんいるから、毎日必ず何かしらの事件が起こる。
太臓と悠が転校してきてから、その回数は確実に多くなっている。まぁ、彼らには助けてもらったこともあるけど。

でもさすがにこれはないと思う。僕の胸には二つの膨らみ。せっかくだから少し触ってみる。

(何これ。すごくやわらかい)
こんなにやわらかいもの触ったことがない。例えるならゴム鞠?それで結構大きいほうだと思う。
元会長には及ばないけど、佐渡さんよりは絶対に大きい、って佐渡さんに失礼だよね。ごめんね、佐渡さん。

そんなことをしていると僕はあることに思い至った。

(姉さんのもこんなにやわらかいのかな?)
僕の顔は真っ赤になる。急に胸の脂肪のかたまりが神聖なもののように思えてきた。
と同時に忘れかけていた罪悪感が僕を襲った。
703女体化玲夜2:2007/10/21(日) 17:12:42 ID:TSqaTrXw
僕は一回だけ姉さんのエッチな妄想でしたことがある。お手伝いさんが畳んで持ってきてくれた洗濯物の中に姉さんの服が混じっていて、
いけないと思ったけど匂いを嗅いでみたら花のような姉さんの匂いがして。そのままベッドでしてしまってすごく後悔した。
純粋できれいな姉さんを汚してしまった罪の意識で、僕はしばらく姉さんの顔をまともに見ることができなかった。

僕は自分が怖い。大好きな姉さんは僕と同じ家に住んでいて。僕はいつか本当に姉さんを穢してしまうかもしれない。
もしそんなことになったら姉さんは僕のせいで傷ついて二度と会えなくなってしまうだろう。
僕にとって姉さんと一緒にいられなくなるのは死ぬほどつらい。でも、姉さんが傷つくのを見るのは死ぬよりつらいだろう。

皮肉にも今の僕の体なら姉さんを傷つけることはない。案外僕はこのままの方がいいのかも。

でも、新しい体にはまだなれない。半日も経ってないんだから当たり前か。声は少し高くなったけど女性にしてはハスキー。
声と胸以外はあまり変わってないみたい。認めたくないけど、もともと僕は女の子と間違われることが多かったから。
小さいころは仕方がないと思うけど高校生にもなってそれは正直酷いと思う。そういえば学ランを着ているのに間違われたこともあった。
704女体化玲夜3:2007/10/21(日) 17:14:41 ID:TSqaTrXw
僕は改めて鏡を眺めた。そこにいるのは女の子の僕。姉妹なのにぜんぜん似てない。姉さんの方が断然美人だ。
そして見たことないけど、ここも姉さんの方が絶対に豊かできれい。

いつのまにか僕の手は制服のシャツをくぐって、胸を触っていた。

(だめ……いけない……)
さっき反省したばかりなのに。僕は姉さんの体を思い浮かべながら、胸に顔をうずめて両手で乳首を弄る。

「はぁ……んっ」
鼻にかかったような声が出て僕は驚いたけど、手は止まらないし声も抑えられない。とても気持ちよくて。
女の子ってこんなところが気持いいんだ。皆触っているのかな。姉さんはしないよね。でも、もしかして。

僕は体温がいっぺんに上昇した気がした。何だか汗もかいていて気持ち悪かったので、僕は中断して着替えることにした。

ズボンを脱いで下着に手をかけたとき、僕は違和感を抱いた。
705女体化玲夜4:2007/10/21(日) 17:17:24 ID:TSqaTrXw
(濡れてる?)
下着を脱いで、恐る恐るそこに手を伸ばして確認する。僕の指には透明な粘液がついていて、それが糸を引いていた。
精液とは濃さが違う。

「……」
僕は鏡に向かって座った。どう考えてもその行動は普通じゃなかったけど、僕は好奇心に勝てなかった。

そして次の瞬間、僕は固まった。

(何、これ)
保健の授業で習ったことがあるけど、教科書に載っていたのと少し違う気がする。ピンク色なのは前と変わらない。
でも形が問題だった。アワビに似ている。やめよう、アワビ好きなのに食べられなくなってしまいそう。
ここに入れるんだろうか。普段見慣れているアレを。

指で周りをなぞってみる。本当に今日の僕は普通じゃない。といっても体自体が普通じゃないんだけど。
人差し指がコリッとした感触の豆のようなものに行きあたった。実は鏡に映したときから気になっていたんだけど、これは何?
706女体化玲夜5:2007/10/21(日) 17:20:06 ID:TSqaTrXw
それを軽く押してみる。ついでに元の体にしていたように擦った。

「!!!」
僕の体に電流が走った。今のは何?知っているけど知らない。頭が混乱してきた。とにかくこんなに強い快感を僕は知らない。
女の子ってこんなに気持ちのいいことをしているの?うらやましいかどうかはわからない。だって僕には刺激が強すぎる。

「あ……あっ……姉さん……!」
姉さん、姉さん、と僕はうわ言のように繰り返す。

想像の中で攻めたてるのは僕。
「あっ……やあっ……!」

そして受け入れるのも姉さんになった僕。

あまりの快感にそこを擦る指が止まらない。

「あっ……あ……あああっ!!!」
頭の中が真っ白になる。イった?一瞬ものすごく気持ちが良くなって、下腹が震えたけど、精液が出ないからよくわからない。
鏡で見ると、そこがまるで口みたいにパクパクとせわしなく開いたり閉じたりしていた。

僕は呆然とそれを見つめ、やがて意を決して収縮を繰り返す隙間に人差し指を入れた。
707女体化玲夜6:2007/10/21(日) 17:22:23 ID:TSqaTrXw
「っ!」
今の僕はまぬけ以外の何者でもないと思う。あまりの痛みに第一関節まで入っていた指を引き抜く。ジンと痺れた感覚がした。

(もうやめよう)
痛みで気持ちが萎えたというのもあるけど、そのとき僕は頭の中で姉さんになっていたから、姉さんが痛がることをこれ以上続けたくなかった。
まったく変な理屈だと僕自身思う。

僕はのろのろと制服を着る。今の行為に何の意味があったんだろう。自分に姉さんを重ねて。結局独り相撲だ。
自慰行為だからそれも仕方がないけど。

僕は急に胸が苦しくなった。この胸の痛みはたぶん姉さんを再び汚してしまったことへの罪悪感。

突然自分の心に降って湧いた疼きに適当な名前をつけて、僕はバスルームに向かう。汗をかき過ぎていた。

(さっきのことは忘れよう。もう二度としない。姉さん、ごめんね)
708女体化玲夜7:2007/10/21(日) 17:23:43 ID:TSqaTrXw
僕がバスルームの引き戸を開けると、姉さんが湯船につかっていた。

「う、うわっ、ごめんなさいっ!!!」

しまった!ぼーっとし過ぎていた!

僕が混乱した頭で謝る間、姉さんは不思議そうな顔で僕を見ていた。僕が慌てて出て行こうとすると、姉さんが意外なことを言った。

「玲ちゃん、一緒にお風呂に入ろうと思って待っていたのよ?」
妹ができたみたいでうれしいな……って姉さんは無邪気に笑った。

広いバスルームで、姉さんに体を洗ってもらったり、洗ってあげたりする間、僕は恥ずかしくて姉さんの顔を見ることができなかった。
そんな僕を見て、姉さんは、玲ちゃん、のぼせちゃった?なんて、その鈴が転がるような声で聞いてくる。

(もう、純粋すぎるよ……)
やっぱり僕は姉さんを傷つけたくない。でも。僕はさっきしたばかりの決意がグラグラと揺れるのを感じた。

僕は今夜もしてしまうかもしれない。
709あとがき:2007/10/21(日) 17:33:50 ID:TSqaTrXw
これで全部です。うっかり女体化玲夜に萌えてこのようなものを書いてしまいました。
お目&スレ汚しすみませんでした!ROMに戻ります。
710名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 18:57:21 ID:+A1zMrln
>>701
…なんという気持ちイイことパラダイス(SexySexyにちなんで)!乙&GJ!

玲夜の心情が丁寧に書かれていて、見ているこちらまでドキドキさせて頂きました。杉音の天然ぶりもいいなぁ。
よろしければ、またお願いします。
711名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 20:51:02 ID:oq8zWdE4
久しぶりに来たら神が連続降臨、満を持してしてる…!
712名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 00:09:13 ID:vKuRNOvL
>>701
待ってました!
玲夜が、杉音を本当に愛しいて、それだから行為を続けられたなかったというのに
胸がキュンといたしました。
素敵な作品を読ませていただきありがとうございます。

本当、神がいっぱいだわー
713名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 19:25:24 ID:3ybeiL0y
714名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 21:04:27 ID:4aLnYUzS
ネ申だ…ネ申が立て続けに降臨なさっておった…!!
イヌイチも大木姉弟も大好きすぎるから嬉しい!
715名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 14:01:54 ID:tGOF/jH1
投下します。
カップリングは宏海×矢射子で、「イヌイチ」の裏的話になっております。(一応、単品でも読めるかと思いますが)
苦手な方はNGワード「モモテウラ」でお願いします。
716モモテウラ・1:2007/10/27(土) 14:02:58 ID:tGOF/jH1
******
 晴れ時々曇り、所により一時雨――今日の天気予報だ。
 ふざけた内容だと思う。立ち食いソバ屋でいきなり『トッピング全部のせ』が出されるようなもんだ。冗談じゃない。下手な鉄砲の例
えでも狙ったつもりか。
 しかもこっちはソバじゃない。人の運命さえ左右させかねない、天候という重要な問題なんだよ。
 その辺分かってんのかそこの太眉ちり毛。
 何テンパってんだって?そりゃテンパりもするだろうよ。
 オレは今、その全部のせな天気予報のおかげで人生の岐路ってヤツに立たされてるんだからよ。

 濡れた髪が頬に、水滴とも脂汗ともつかない雫を滴らせ続けている。
 けれどオレはそれを拭う事すら出来ず、ただ馬鹿でかいベッドの片隅で、誰に言うでもない状況説明を始めていた。
 説明といってもオレはテリーマンやらヤムチャやら、ましてや虎丸のような解説役ではない。れっきとした当事者だ。
 あと例えが古い言うな。

 ――本当、何言ってるんだろな。奥のシャワールームから響く水音をBGMに、オレ、阿久津宏海は、自分のやっている事の間抜けさに、
大きく溜息を吐いた。
717モモテウラ・2:2007/10/27(土) 14:03:56 ID:tGOF/jH1
*
 身にふりかかる火の粉を払うように、喧嘩に明け暮れる日々――いや、ここ数年は災難に振り回される日々の方が多かったが――の中、
オレに彼女と呼べる存在が出来たのは、つい数ヶ月前のことだった。
 とは言えオレは自慢じゃないが、POPEYEやらメンズノンノやら、ましてやデートぴあなど無縁の…この言い回しはさっきも使ったな…
平たく言えば、女との付き合い方など全然まったくわからないまま、5度目のデートへとおもむいたのだった。
「悪い、待ったか?」
「ううん、今来たトコ」
 …には見えねえよなあ…。オレは駅の柱の陰に不自然な感じで倒れ込んでいる数人の男の姿を、チラリと横目で見た。
 これは、付き合いだしてから知った事だったが、コイツ――百手矢射子、オレの彼女だ――は、街を歩けはそれなりに、男から気安く
声を掛けられるらしい。
 ついでにその度に一刀両断にしてきたらしいが。
 ――…別にオレだって、そういう目で矢射子を見た事が無い訳じゃない。
 今だって、隣を歩く矢射子のさらりとなびくポニーテールの髪や、後れ毛が色気をかもす白いうなじ、ぱっちりしたタレ目をふちどる
意外と長いまつげ、薄いカーディガンの下で存在を主張しているボリュームのある胸に、ガラにもなく胸を高鳴らせているのは事実だ。
 …だがなあ。
「ど、どうしたの宏海?」
「え?」
「さっきから髪見てるから…あっ、ひょっとして行きがけに太臓を武装セイバーでぶっ飛ばして来た時、近くの鳩を身につけてたから…
ヤダッ!!あたし、何かヘンな落し物されてる!?」
「――…いや、されてねえよ…」
 朝から武装セイバーって。しかもデートの日に。キャストオフ時に盛大に鳩を飛ばす矢射子の姿を想像し、オレは軽い眩暈を覚えた。
「あ、太臓ならとりあえず持ってたポップコーンと一緒に鳩のエサにしといたから!」
「鳩無残!!」

 最初のデートは花見だった。次は動物園。その後ボウリングやら水族館やら行き、今日のデートは映画。
 『鼻をなくしたゾウさん』とかいう、どこかで聞いたことがあるタイトルの映画の前売券は、公開一ヶ月前に矢射子から手渡されたも
のである。
 ずいぶん楽しみにしてたんだな。…しかしコイツ予備校とか大丈夫なんだろうか?
 映像に集中する矢射子を、オレはそっと盗み見る。青白い光に照らされた、横顔。強い意志の光が宿る瞳。
 ――どきん。
 いつも妙な行動や発言をやらかす印象が強いだけに、黙っていると強烈なギャップを感じてしまう。
 ――ずきん。
 そして同時に、オレの胸は小さなトゲが刺さるような痛みを感じるのだ。

「よ、良かったねあの映画」
「ん…ああ」
 正直オレは内容を覚えていない。矢射子を見ていたのも理由の一つだが、それより矢射子の向こう隣の座席から、妙な気配を感じたか
らだった。その席には誰も居ないようだったのだが…。
 …やめとこう。下手にツッコむと、口に靴を突っ込まれかねない。
 ――気配といえば。オレはもう一つ感じたものに関して、矢射子に尋ねてみる。
「なあ、矢射子お前…映画見てる時、何か頭の辺りチリチリしなかったか?」
「?」
 オレの問いに矢射子は首を傾げた。…気のせいか。
「や、オレの気のせいだ。多分」
「そう…」
 小さな、沈黙。オレたちのデートには時折こういった気まずい空気が流れる。それは、5度目ともなった今回も変わらなかった。
 オレも矢射子も、沈黙を壊そうとそれなりに考えてはいるのだが、上手く言葉が続かない。
 …オレはともかく、矢射子はいいんだろうか。疑問に思う。
 ――ぽつん、大粒の水滴がアスファルトを叩き、沈黙を破ったのは、そんな時だった。
718モモテウラ・3:2007/10/27(土) 14:05:08 ID:tGOF/jH1
*
「これ被っとけ。少しはマシだろ」
「で、でも宏海…」
「いいから!!」
 喋る間にも雨粒は、オレたちの頭やら体やらを容赦なく水びたしにしていく。オレは矢射子の手を引き、雨宿りできる場所を探した。
「くそっ、確かこの辺にゲーセンがあった筈なんだが…」
 うろ覚えを頼りに、オレたちはどしゃ降りの雨の中を走った。
 ああもう、どうしてこういう時に限って、目的の場所ってのは見つかんねえんだろう。
「…っ、こっちか?」
 雨でにじむ視界の中、オレは矢射子を連れたまま小道に入り込む…が。
 ――しまった!!
 入り込んだ後で気が付いてももう遅い。あちこちに見える『ご休憩****円・ご宿泊****円』の文字。
 どう見てもラブホ街じゃねえか。
「や、矢射子…その…」
 引き返せ。頭の中で警鐘が鳴り響く。今ならまだ間に合う。『これなんてエロゲ』を地で行くなんてシャレにならない。
 いや、全然したくねえって訳じゃないんだけどな。
「戻――」
 ぐっ。オレの言葉を遮ったのは、繋いだ手を強く握る、細い指だった。
 どくん。どくん。どくん。――…これは、まさか。
「宏海」
 振り返るな。振り返ったら、戻れない。
 ああ、それなのに。
「…行くわよ」
 オレは、振り返ってしまった。コイツの、力強い瞳を見てしまった。

 だから、もう戻れない。

 ――ぽたん。顎を伝う雫が太ももに落ち、そして時間は動き出す。
「…って、何ワールドだよ」
 くしゃりと髪を掻き、オレは再び溜息を吐いた。
 嫌なのか?――嫌じゃない。
 望んでないのか?――いや、いつかはあると思っていた。
 だが、こんな形は。
 ――じゃあ、どんな形を望んでたんだよ。
「…知るかよ。くそっ」
 …ひでぇ結論だ。自分でもそう思う。苛立ち紛れにベッドのマットレスに拳を打ちつけても、空しいだけだった。
 ざあああああっ。
 さあああああっ…。
 部屋――ホテル『アクエリオン』、『八千年を超えたころから以下略』号室(ふざけた名前だ。名付け親の顔が見てみたい)――には、
二つの水音が響き渡っている。
 一つは、さっきよりも激しさを増した雨が、窓ガラスを叩く音。
 そしてもう一つは、シャワールームから響く、矢射子が浴びるシャワーの音。

 どちらも、確実に自分を追い詰める音だった。
719モモテウラ・4:2007/10/27(土) 14:07:10 ID:tGOF/jH1
*
 まずは――今の自分に出来ることをしよう。オレは止まらぬ思考にピリオドを打つため、ようやく重い腰を上げた。ベッドの腰掛けて
いた部分が、じっとりと濡れている。
「…服、干すか」
 呟き、Tシャツとカーゴパンツを脱ぐ。トランクスまで雨で濡れていたのだが、さすがに良心というヤツが咎めた。
 靴下も脱いだ足の裏でやたらとゴワゴワする絨毯の質を感じつつ、オレはクロゼットの前に立った。
「ハンガーの2、3本はあるかな」
 あえて口に出し、観音開きなクロゼットの右側の扉を開ける。と、そこにはおそらくオプションであろう黒革のボンテージスーツと、
数種類のムチがあった。
「どこのSMコースだよ…」
 脱力気味に呟きつつ、ついオレは想像してしまった。

 黒革に拘束された、矢射子の白い肌。しかしボンテージと呼ばれる服は決して彼女の魅力を損なうものではない。
 むしろ、彼女のともすれば爆発しそうな魅力をギリギリの一線で拘束し抑圧する、綱渡りのような危ういエロティズムを表すに欠かせ
ない衣装だ。
 足元を見下ろすその表情には、慈愛に満ちた母の顔と威厳のある父の顔が、絶妙に混ざり合っている。
 手には、使い込まれたであろう、良くしなる漆黒の一本鞭。ぱぁんっ、と空気を裂く音と共に、彼女はこう叫ぶのだ。
『――さあ、ドッグ・ショウの始まりよ!乾!!』

「――って違う!」
 何で乾の野郎が出てくるんだ。いや、多分イメージの問題だな。アイツなら喜んで尻尾まで着けそうだし。
 オレは虚空に手を払う仕草で、恍惚の乾を頭の中から追い出した。
 そして、ボンテージスーツを掛けていたハンガーを引き抜いて、ベッドに放り投げた。
「もう一つの方は…」
 イヤな予感はしたが、ハンガーは一つじゃ足りないので左側の扉を開ける。
「…予感的中かよコンチクショウ」
 セーラー襟の制服。色はセピア。プリーツスカートはマニアのツボを抑えた膝下丈。お約束のようにロザリオまであるという凝り様だ。
「つか、何すんだよこの格好で…」
 といいつつ以下同文。

 甘い甘い匂い。薔薇の花の数だけ、乙女の祈りで満たされた、純粋培養のChamps de fleurs(花園)――純潔の証たるマリア像の前
で、矢射子は己が身に着けていたロザリオをゆっくり外し、そっと輪を作る。
 その輪を小さな頭がくぐり、しめやかにSoeur(姉妹)の契りが交わされていく。
『――薔薇のつぼみの名に恥じぬよう、精一杯尽くします。お姉さま』
『夕利…』

 
720モモテウラ・5:2007/10/27(土) 14:07:59 ID:tGOF/jH1
だん。
 もはや言葉でツッコむのも疲れる。オレはクロゼットの扉を拳で叩くと、無言でハンガーを引き抜き、乱暴に扉を閉めた。
 そして、シャワールームに足を向ける。ガラス戸に背を向け、オレは小さく咳払いをした。
「矢射子」
 しばらくして、ななな何!?と物凄く動揺した声が返ってきた。
「服、乾かすから持ってくぞ」
「ふっ、服!?服ってふくって…」
「…やっぱ自分で干した方がいいか?」
 曲がりなりにも女子だ。男に勝手に服を弄くられて喜びはしないだろう。
 …返事が来ない。
「…矢射子?」
「…いい、けど…下着はダメだからね?」
 ようやくの返事に、オレは少しホッとした。
「わかった。じゃ、干しとくぞ」
 極力下着を見ないよう、目を逸らしつつオレは、脱衣所から矢射子の服を手にした。
 雨でじっとりと重くなった、カーディガンとワンピース。
 …オレだって別に、木の股から生まれたわけじゃない。ほのかに香る甘い匂いを鼻腔の奥で感じつつ、同時に、ドス黒いマグマのよう
な情欲が腹の底で沸き立とうとしているのを、オレは理性をすり減らしつつどうにか押さえ込もうとしていた。

 ――…でも、カノジョの服、なんだよな。しかも、さっきまで着ていた。

 どくん。頭の中で響いた悪魔の囁きに、オレの心臓が音を立てる。
 途端に、手の中の服に対し、情欲を持って当然のような気持ちになってしまった。…理性弱っ!
 どうする?撫でるか?嗅ぐか?いやそれ以上――。
 どくん。どくん。どくん。
 オレの手が震えつつ、矢射子のワンピースの胸の辺りを触ろうとしたその時。
 …たん。「!!!!」
 ――物音?
 跳ねる心臓を押さえつつ、オレは慌てて周囲を見回した。が、周りには誰も居ない。
 音の正体が隣の部屋のドアの音だと気付いたのは、たっぷり1分経った後で、オレはその場にへたり込みつつ、酷い罪悪感に苛まれた。

 悪い。本当悪かった、矢射子。
721モモテウラ・6:2007/10/27(土) 14:09:14 ID:tGOF/jH1
*
「――これでいいか」
 窓のカーテンレールにハンガーを掛け、服を吊るす。被害が一番ひどかったオレのジャケットは、まだ水滴をしたたらせていたが、帰
るころには何とかなるだろう。
 …まあ、問題はその『帰るまでの間』なんだが。
 雨は、まだ止まない。それどころか更に激しさを増している。心なしか突風まで吹き出したような気もする。
「…」
 時々、考える。――矢射子はオレのどこを好きになったんだろう。
 文武両道には程遠い。正義感に溢れている訳でもない。顔やスタイルだって、いかついだの怖いだの言われるのは日常だが、好感を持
たれた記憶はない。
 そして何より――オレは、アイツみたいに強くない。
 あんなに強い意志の光を放つ眼を持って、行動できない。
 ――ずきん。
 ああ、まただ。
 再び感じた胸を刺す痛み。吐き出すように大きく息を吐いても、窓ガラスに映る自分が曇るばかりで、ちっともスッキリしない。

 なあ矢射子、なんでオレの事好きになったんだ?

 キィ…バタン。
「宏海」
 呼ぶ声に、オレの思考が止まる。いつの間にシャワーを終わらせたのか、ガラス戸の前には薄紅色の肌をした矢射子が、バスタオル一
枚(実際はブラジャーの肩紐も見えたので、バスタオルの下にも着ているのだが)で立っていた。
「おう、体あったまったか。こっちも服干しといたか…ぶえっくしゅんっ!!」
 うわ。そういやオレ雨に濡れたのにずっとパンツ一丁だったんだよな。途端に背筋にぞくぞくと寒気が走る。
「あ…ご、ごめんっ、宏海の方が体冷えてたのに」
「構わねえよ。風邪引きゃテキトーにサボれる口実が出来るからな。アイツらのお守りより、そっちの方が楽だ」
 ベッドボードのティッシュを手に取り、鼻をかむ。脳裏に、思い出すだけで腹立たしい二人組の姿が浮かび、つい眉間に皺が寄ってし
まう。
「それより、服乾くまでシーツ被っててくんねえか?――その、目のやり場に困る」
「えっ…っ!!」
 言葉に矢射子は自分の姿を見、ぼんっ、と音立てて顔を赤くさせた。
 丈が少し足りなさそうなバスタオルに身を包んだはちきれんばかりの肢体なんて、悩殺なんてレベルじゃねーだろ。
 パンツ一丁でそんなのまじまじと見られるほど、オレは枯れてはいないのだ。
 矢射子が赤い顔のままベッドに上がり、ごそごそとシーツを身に纏い始めたのを確認し、オレはシャワーを浴びる為、ようやく窓辺を
離れようとしたその時…雨音に混じって、小さな声が聞こえた。
「ごめんね、宏海…迷惑だったでしょ?」
「あ?」
 よく聞こえなかったので、オレはティッシュの箱をベッドボードに置いて、シーツを纏うというよりは、シーツに潜り込んでしまった
矢射子の前に立つ。
「雨だからって、急にこんなところ連れ込んで…軽蔑したよね。女の子なのに」
「…また反省してたのか。やけにシャワー長いと思ってたが」
 シーツの山が微かに震えている。…オレはそっと、顔すらも隠しているシーツを捲った。
 熟れたトマトよりも赤い、矢射子の顔。その目には、大粒の涙。
「だって…」
 オレが、泣かしちまってんだよな。こんなにいい女なのに、困らせたり、恥かかせたり、泣かせたりばかりして――まるで鼻タレ小僧
じゃねえか。
 オレはベッドの端に手を掛け中腰になると、うつむいたままの矢射子の顎を片手で包んだ。
 そして、涙に濡れた顔を上げさせると――そのまま、ゆっくりと唇を重ねた。

 矢射子の唇は、柔らかくて、熱くて、涙の味がした。
722モモテウラ・7:2007/10/27(土) 14:10:59 ID:tGOF/jH1
*
 外の雨は未だ降り止まず、相変わらず窓ガラスに雨粒が打ち付けられる音が部屋に響いている。
 だが、信じてくれなくてもいいが、オレはその時、確かにまばたきの音を聞いたのだ。
 ぱち、ぱちとまるで炭酸飲料の気泡がはじけるような小さな音。
 重ね始めた時と同じようにゆっくり唇を離すと、矢射子は大きな目を何度も何度もまばたきさせていた。
「…!!」
 信じられない、と言わんばかりの表情。だが、ふるふると唇が開いても、言葉が出ないようだった。
「泣き止んだか」
 中腰だった姿勢を止め、オレは絨毯に腰を下ろすと、絶句したままの矢射子に尋ねてみる。
「こ、ここ宏海、今のって…」
「…好きな女にじゃなきゃ、しねえよ」
 ――…っく、何つー恥ずかしいセリフだ。あまりの恥ずかしさに、マトモに矢射子の顔も見られねえ。
 照れ隠しにがりがりと頭を掻きつつ、オレは次の言葉の為に大きく息を吸った。
「こっちこそ、ごめんな。アンタには告白の時からリード取られっぱなしでさ。そういうの気にする方だってのも知ってるのに…本当、
情けねえ」
 ――ずきん。
 胸が、また痛んだ。そういやこの痛みは、オレと矢射子を比べてしまう時にいつも痛むのだ。――オレは今更そんな事に気付いた。

 心の奥でずっと引っかかっていた。
 オレは矢射子に見合うだけの相手なのか?
 オレは矢射子の事をどれだけ想ってるのか?
 ――オレは。

 矢射子がオレを見る時くらいの真っすぐさで、オレは矢射子を見ていられるか?

「そんなの」
 ぽつり、と矢射子が呟く。ベッドの端に手を掛け、前のめり――互いの位置的に、これで顔が向き合う体勢なのだが――になりつつ、
少しずつ、だがしっかりとした言葉を紡ぎ始めた。
「情けなくなんか、ないよ。だってあたしはそう言って人の事を思ってくれる宏海を見てたから…大事にしてくれる宏海がっ、すっすす
すす…」
 目を閉じ、力みつつ頑張ってるみたいだが…それはどもり過ぎだ。
「すっ「――危ねえっ!!」
 ぐらり。バランスを崩したか、矢射子の体が大きく揺れる。ベッドから落ち、体を床に打ち付けそうになるのを、オレはすんでの所で
抱きかかえた。
「…大丈夫か」
「――…手」
 て?真っ赤な矢射子の言葉に、オレは自分の手を見る。――と、そこには、どこぞのエロコメ主人公の如く、矢射子の胸を鷲掴みにし
ているオレの手があったのだった。
723モモテウラ・8:2007/10/27(土) 14:12:01 ID:tGOF/jH1
「っ!!ちっ違うぞこれはっ!そのっ、不可抗力っつーかだなっ…」
 言い訳までエロコメ染みているのが何ともお約束めいているが、事実だ。ああもう、さっきのセリフとは別の意味で情けねーっ!!
 矢射子は、オレの体の上にのしかかった体勢のまま、そんなヘタレた言い訳を聞いた後、くすっ、と困ったような顔で笑った。
「…宏海、体まだ冷たいね」
「あ、ああ…」
 だから早くシャワー浴びて、体あっためたいんだよコッチは。
 というか、今の状態はヤバ過ぎる。オレの腹の上に矢射子の太股が当たっ…あ…ダメだ!考えるだけで勃っちまう!
 男の子だモン!!(だモンじゃねえっ!!)
 セルフ突っ込みも空回りしたオレをそのままに、矢射子の白い手がオレの頬を撫でる。その手はやがて、首筋から肩口、そして胸板へ
と降りていった。

 ばっくん。ばっくん。ばっくん。

 心臓が、これ以上無理っつー位跳ね上がってる。これはもう、覚悟を決めるべきか!?
 オレは、床に着けたままだった自分の手を、そろそろと矢射子の柔らかそうな体へと近付けようとしていた――その時。

 ドゴンッ!「「!!」」

 壁に何かぶつかるような音で、二人の体がびくっと止まった。
「な、何だ!?」
「え、あ…隣の部屋…みたい」
 ベッドの向こうの壁を見つつ、矢射子がオレの疑問に答える。
 そういやさっき誰か入って来たみたいだったが…何もこんなところでケンカなどしなくて良いと思う。
 ――まあ、おかげでオレは少し落ち着けたのだが。

「えーと…シャワー浴びてくるわ」
「へ?あ、あ…うん。わかった」
 オレの言葉に矢射子はそそくさとベッドに上がった。さっきの余裕の笑みはどこへやら、またも顔を赤くさせつつ、縮こまっている。
 …そりゃオレだって恥ずかしいんだが。テントを張ってしまったトランクスを、出来るだけ見せないよう前屈みになりつつも、オレは
そっと矢射子の耳に唇を寄せ、
「――戻ったら、続きな」
 と囁いた。
724モモテウラ・9:2007/10/27(土) 14:13:48 ID:tGOF/jH1
*
 シャワーを浴び(野郎のシャワーシーンなど需要がないだろうから省略する)、オレは大きく深呼吸すると、シャワールームの扉を開
けた。
 ――戻ったら、続きな。
 あんなことを言ってしまったら、後戻りは絶対きかないだろう。
 けれど、オレは後悔していない――いや、正しく言えば後悔したくなかった。
 これ以上、ケツの青いガキみたいに、好きな女を泣かせたくなかった。
「…風呂、上がった」 
「…うん」
 ベッドの前に立ち、報告のように呟くオレの言葉に、矢射子は耳まで赤くさせながら、小さくうなずいた。
「…そっち、行っていいか?」
「…うん」
 許可を得、オレはベッドに上がる。ぴくんっ、と微かにこわばる矢射子の姿を視界に留めた時、またオレの胸がずきん、と痛んだ。
「…緊張してる、か?」
 嫌か?とはあえて聞かなかった。コイツはすぐ反発して、すぐ考えすぎて、すぐ暴走して、その分落ち込むから、ストレートな言い方
は傷つけかねない。そう判断したのだ。
 矢射子は三角座りの膝に顔をうずめると、少し…だけ、と答えた。
「…そうか」
「で、でもっ!」
 がばっと顔を上げ、矢射子がオレを見る。意志の強い、真っすぐな瞳。
「あたし、宏海と一つになりたい!すっ、好きな人にだったら、あたしっ、あ――」
 矢射子の言葉は、全部声にならなかった。理由は単純、オレが唇を塞いだからだ。
「…男のセリフ、全部取る気か。オレだって、オマエと一つになりてえよ」
 囁いて、再び唇を唇で塞ぐ。矢射子の口が半開きだったのをいいことに、オレはそっと自分の舌を矢射子の口中へと滑り込ませた。
「んっ…――っ、ふ」
 ぬるんっ。矢射子の舌がオレの舌にぶつかる。最初おっかなびっくりだった矢射子の舌は徐々にオレを受け入れ、くすぐるように、あ
やすように、オレの舌に絡みついてきた。
 …うわっ、やべえ。シャワーの時に落ち着かせたはずだった下半身に熱がこもっていくのを感じ、オレは慌てて口を離した。
 ――キスだけで勃つなんて、予想外だ。
725モモテウラ・10:2007/10/27(土) 14:14:57 ID:tGOF/jH1
「宏海…」
 頬を紅く染め、とろんとした表情で、矢射子がオレの名を呼ぶ。これで我慢できる男がいるだろうか。いや、いまい。(反語)
 オレは矢射子の背に手を回すと、そっと体をベッドに横たえさせた。
「…止めねえぞ」
 返事を待たず、頬にキスをする。そのまま首筋に、鎖骨にとオレは軽い口付けを落としていった。
 ――次は、胸、か。そう思った矢先、オレは思わぬハードルに気付かされた。
「…ブラ、外そうか?」
 オレの戸惑いに気付いたか、矢射子は軽く身を起こし、ブラジャーのホックを外した。…うっわー情けねー。いたたまれ無さに首まで
熱くなる。せめて寝かせる前に気付けよオレ。
「悪い、言ったそばから」
 矢射子は、熱っぽい目に小さく笑みを作りつつ、いいよと答えた。
 肩ヒモをずらし、あとは引き抜くだけの状態にしたブラジャーを片手で軽く抑えながら、矢射子は再びベッドに身を沈めた。
「もう、止めないで」
 ――言われなくとも。オレは矢射子の言葉に目で返すと、静かにブラジャーを引き抜いた。白く、柔らかそうな双丘は、呼吸と心音に
よってふるふると揺れていた。
 そっと、手で包む。矢射子の胸は簡単に指がめり込むほど柔らかいのに、手を離せばすぐ戻る弾力も持ち合わせていた。
「…んっ」
 すげえ、すべすべして、もちもちして、気持ちいい。片方の乳房を手で、もう片方を舌で愛撫しつつ、オレは未知の感触にバカの一つ
覚えのように夢中になった。
「ふぁっ…っ、んん」
 舌や指先がかすめると共に上がる甘い声に、オレの関心が芯を帯び始めた胸の先端へと向く。
 …こうか?赤ん坊がするように、オレは矢射子の乳首をくわえ、舌と前歯の裏で軽く押し潰してみた。
「――!!」びくんっ!
 刹那、大きく跳ねた脚にオレは驚いたが、すぐに二度、三度と同じ事をしてみた。唇や歯で噛んだり、指で強くつまんでみたり、口と
手の位置を変えてみたり――その度に脚はびくびくと跳ね、肌にじっとりと汗がにじんだ。
「っ、はっ、はあっ、あっ…やはぁっ!!」
 ぞくぞくっ。――この声は反則だろう。鼻にかかった、吐息混じりの声。無意識に出してるなら尚更やらしずぎる。
 オレは顔を上げ、矢射子の顔を見た。けれど矢射子の顔は、自身の片手に隠されて、表情がよく見えなかった。
 見えたのは、紅く染まった頬、耳、そして荒く呼吸し続ける唇だけだったが、それらを飾る大粒の汗が、艶かしさを強調していた。

 …はぁっ、はーっ、はーっ…。

 少しずつ波が引いてきたか、矢射子の呼吸が落ち着きを取り戻していく。
 オレはそっと胸から離れ、更に下――腰へと手を伸ばした。
726モモテウラ・11:2007/10/27(土) 14:15:54 ID:tGOF/jH1
*
 ――落ち着け。うろたえるな、オレ。こんな所でヘマやらかしたら全部パーだ。
 ごくり。カラカラの喉に無理やり生唾を押し込むと、オレは矢射子のショーツに手を掛けた。
 反応した矢射子が腰を上げ、レースの飾りの付いたショーツは丸まりつつ、するすると太股を、膝を、足首を通過し――オレの手元に
収まった。
「や…あんまり、見ないで…」
 見ないと出来ねえよ。いや、見るなってショーツの事か?そりゃ確かに手にしたショーツは、しっとりと濡れていたが…濡れ?
「…」
 想像して背中に汗をかいた。…危うくこっちまで濡らしちまうところだったじゃねえか。いや、先走りなら出てるけど。
「…そういや、オレもまだ脱いでなかったな」
 少しでも気を紛らわせようと(あと矢射子ばかり脱がせてるのもなんだし)、あえて声に出す。
 トランクスの中身は、とっくに臨戦態勢のオールグリーンだ。オレはトランクスのゴムに手を掛け、一気に脱いだ。
「えっ…!?」
 へ?オレは声の主の顔を見る。主――矢射子は、顔を隠していた手の指の間から覗きつつ、素っ頓狂な声を上げたのだ。
「こ、宏海のって…そんなだったっけ?」
 このセリフは、流石オレの全裸を数度目撃(うち1回は告白時)した矢射子ならではだ。
 全然自慢じゃねえけど。むしろその辺の記憶はボカシ入れてほしいけど。
「勃ってねえ時と比べられると困るんだが…怖くなったか?」
 ぎしり、トランクスを放り投げ、オレは矢射子に近付く。
「こ、ここ怖くなんかないっ、わよ!ただちょっと驚いただけじゃない!」
 言いながら膝曲げて、引け腰になってんだけどな。アンタ。
「へっ、平気よ!伊達にアソコは見てないんだからっ!!」
「…」悪い。そのセリフちょっと萎えた。
 オレは霊界探偵ならぬ、目をぎゅっと閉じた矢射子の横をすり抜け、ベッドボードの引き出しを開けた。
「…どうしたの?」
「探し物。備え付けがヤバいって話は聞くけど、無いよりはマシだろ」
 そう答えて、オレは見つけた品を矢射子に見せた。
「あ…」
 オレの手の中の小さなゴム製品を見て、矢射子は納得したように吐息をこぼした。
「あ、ありがと」
「礼ならいらねえぞ。これからオレ、アンタ泣かしちまうんだから」
 ゴム製品の封を切り(幸い、分かる限りでは針穴などは見つからなかった)、背中を向けちまちまと装着しながらオレは矢射子の言葉
を返す。
 …しかしこれかなり間抜けな図だな。女にはあまり見せたくねえ。
「――…いいよ」
 ぴたり、思わず手が止まる。振り返ると、矢射子は――これから傷付けられると分かっているハズなのに――幸せそうに微笑みながら、
オレがしばらく無言にならざるを得ないようなセリフを言った。

「今の宏海になら、あたし…泣かされてもいい」

 あーあ。女ってズルいよな。
 何でそんなにこっぱずかしくて、やらしいセリフをさらりと言えるんだろう。
727モモテウラ・12:2007/10/27(土) 14:17:18 ID:tGOF/jH1
*
「足、開くぞ」
「う、うん」
 膝頭を持ち、オレはゆっくり矢射子の股を開いた。
 ボカシやモザイクの無い女のアソコは、18年の人生の中で初めて目にするのだが――傷口みたいだ、と思った。
 オレはそっと自分のペニスを持ち、矢射子の傷口にあてがう。
 ちょん、と先端が触れると、ぬるぬるになっていた傷口がひくり、と蠢いた。
「んっ…」
 ぬる。ぬるり。ゴムを着けて濡れようの無いペニスに矢射子の蜜を絡める度、矢射子の口から甘い吐息が漏れた。
「――…いくぞ」
 オレもまた吐息混じりの声を掛け、狙いを定めて矢射子の中へと入り込んだ。
「あっ…!!くっ!」
 傷口に更に傷を穿つ――正にそんな感じだった。みしみしと、肉を裂く音さえ聞こえてきそうだった。
「やっ、いこ、力抜けっ」
「むっ、無理!!」
 即答かよ。ぎちぎちと押さえつける矢射子の力によって、オレのペニスは3分の1も入りきっていなかった。
「力抜かねえとっ、痛いんだって!」
「分かんないっ、分かんないよっ!!勝手に力入っちゃって…あたっ、あたしだって…受け入れっ、たい、のにっ!!」
 ボロボロと涙をこぼし、矢射子がオレを見る。
 ――ずきん。ずきん。ずきん。
 くそっ、何でこんな時に胸が痛みやがるんだ。オレは歯を食いしばりながらも更に腰を突き出し、少しでも中に入ろうともがいた。
「〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
 矢射子の声が声になってない。痛いんだろうな。いや、痛いに決まっている。
 オレの胸の痛みなんか比べようの無い痛みと、矢射子は今、一人で戦ってんだ。

 …一人?

 自分の考えに、オレは疑問符を投げかけた。…馬鹿じゃねえかオレ。
 いや、比類なき大馬鹿野郎だ。
「…矢射子」
 腰の動きを止めオレは、痛みを堪えるため目を閉じていた矢射子の名を呼ぶ。
「矢射子」
「…こう、み?」
 息も絶え絶えな矢射子の返事に、オレは大きくうなずく。そして、ベッドシーツを握っていた矢射子の手をそっとほどくと、ゆっくり
指を絡め、そして、強く握った。
 ああ、ただのエロ漫画の演出と思って悪かったよ。
 こんなささいな事でも、凄く、嬉しくなるんだな。
「宏海の手、熱い…」
 泣き笑いの表情で、矢射子が囁く。互いの両手が塞がった分、オレの体が矢射子の上にぴったり重なり合い、肌の熱が伝わりあう。
「オマエの手だって」
 言い返すと、矢射子はくすぐったそうに笑った。つられるようにオレも少し笑った。
 押さえつける力がゆっくりと弱まり――オレたちは、ようやく一つになった。

 矢射子の中は、矢射子の体のどこよりも熱かった。
728モモテウラ・13:2007/10/27(土) 14:18:37 ID:tGOF/jH1
*
 ぴちょん。
 窓の外から微かに聞こえる水音で、オレはまどろみから目を覚ました。
「…雨、止んだのか」
 カーテンの隙間から漏れる光は、紛う事なき夕陽だ。オレは片手で目を擦りながら、天井の鏡に映る姿をぼんやり見た。
 大きなベッドに横たわる二人。一人は勿論オレ。
 そしてもう一人は、オレの肩口を枕に寝息を立てる矢射子だ。
 一定のリズムを刻みながら体を上下させて眠る矢射子のまぶたはまだ赤く、先ほどの行為の辛さを物語っているようだった。
「…最初から上手くいくなんて思ってないけどな」
 思うが、それでも自分一人しか絶頂に達せなかったというのは、なんだか寂しくも申し訳ない気分だった。オレはそっと自由な方の手
を矢射子の頬に寄せ、乱れた髪を直そうとした――その時。
 ぱちり。矢射子の目が大きく開いた。
「「!!」」
 再び、二人そろって固まってしまった。…頼むから矢射子、もう少しゆっくり目を開けてくんねえかな。心臓に悪い。
「あ、こ、宏海…」
「…はよっス」
 しょうがなく、オレは行き場を無くした手で自分の頭を掻いた。
「…おはよ」
 朝でもないのに、なんだこのアイサツ。向こうも思ったか少しの沈黙のあと、変なの、と小さく呟く声が胸の辺りから聞こえた。
「どの位、寝てた?」
「え?――なんだ、20分そこそこしか経ってねえじゃねえか。もっと寝てたように思ったけど」
 矢射子の言葉にオレは首をひねり、ベッドボードの置き時計に目をやった。休憩時間の終わりには、まだ少しばかり早かったみたいだ。
「…もう少し寝とくか?オレは別に構わねえけど」
 肩枕側の腕を少し曲げ、オレは矢射子の背中をそっと撫でた。――ん?
729モモテウラ・ラスト:2007/10/27(土) 14:19:24 ID:tGOF/jH1
「――…」
 みるみるうちに肩に熱が…というか矢射子、オマエ今まで見た事の無い顔色してるぞ?
「――…っ、あ、あたしっ、肩っ、かたたっ」
「腕枕の方が良かったか?確かに良く聞くのはそっちだが」
 ぶぱっっ!「わああーーーーーっ!!何だっ!?」
 二人きりのまどろみは、矢射子の鼻血によって突然血みどろの終焉を迎える事となった。全くもってムードもへったくれも無い話だ。
「や、やだ、宏海血が…」
「人の事より自分の鼻心配しろよ!!ほ、ほらティッシュ…」
 胸に付いた血を拭うのも忘れ、オレは鼻血が止まらない矢射子に箱ごとティッシュを渡した。

 ――本当、マトモな恋人同士の甘ったるさが似合わないよなあ。
 迷って、惑って、流されるオレと、突き進んで、突っ走って、引っ張ってくオマエと。
 二人の歩幅もペースもまるでちぐはぐで、ともすれば二人揃ってつまづきそうになるけれど、そして、劣等感は未だ小さなトゲになっ
て、時にオレの胸を痛ませるけれど。
 けれど、それすら嫌にならない――むしろ、楽しんでしまうオレだってここにいるのだ。

「なあ、矢射子。…ずっと先延ばしにしてたけど、今度ウチ来るか?」
「え?」
 やっと収まったか、血まみれのティッシュを顔から離し、矢射子がオレの言葉を尋ね返す。
「あー…つまりだな、ウチの親父に会ってくれと、そういう事だよ」
 うーん…やっぱり改めて言うと照れ臭いな。オレは自分のセリフの恥ずかしさについ眉間に皺を寄せ、しかめっ面を作ってしまう。
「…返事は?」
 わかっているくせに聞くのは照れ隠しだ。気付いてくれるだろうか。
「…うん」

 雨上がりのホテルの一室。オレンジ色の光が満ちる中、オレの恋人は涙ににじんだ目を細めて返事した。

 ――つうっ。
 ついでに鼻から一筋、血を滴らせて。

「って矢射子!鼻血止まってねえぞ!!――…チクショウ何だよこれがオチかーーーーーっ!!!!」
730モモテウラの人:2007/10/27(土) 14:25:05 ID:tGOF/jH1
以上です。微妙にヘタレたエロ長文失礼しました。
以前リクエスト下さった方、ありがとうございました。
リクエストによって新たなカップリング妄想ができるって、ばあちゃんが言って(略)
またROMに戻ります。
では。
731名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 14:40:15 ID:xctIE9wd
>>730
GJです!!
イヌイチ読んだおかげで乾×一口に目覚めまして、
ぜひそっちの続きも読みたいと思ってたんですが、
やっぱり宏海×矢射子もいいですね〜!
宏海の妄想に乾が出てきたのが笑えるw
宏海と矢射子らしい終わり方もいい!
乙でした!
732モモテウラの人:2007/10/27(土) 14:53:15 ID:tGOF/jH1
えー、ラスト訂正。
誤「やっと収まったか」→正「やっと治まったか」
 「涙ににじんだ」  → 「涙でうるんだ」

脳内変換お願いしますすみません。失礼しました。
では。
733名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 17:19:56 ID:Q7G1QM6J
なんというGJ…!
ホテルアクエリオン吹いたwww部屋の名前あえてそっちかw
734名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 21:10:09 ID:Cqz1v4Is
あなたが神か…!
心の底からGJ!一万年と二千年前から愛してる!!
735名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 22:03:11 ID:zalaypBb
久しぶりにきたらいっぱい投下されてる!!
職人さんGJ!!
736名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 12:00:38 ID:F4BjD3Xj
GJGJGJGJGJGJGJ!!!素晴らし過ぎますよ!!!
宏海矢射子可愛いよ宏海矢射子
皆様御感想、ありがとうございます。
楽しんで頂ければ、書き手冥利に尽きることをこのスレで教えて戴いた気がします。

さて、(場所的に)無粋ながら伺いたいのですが、皆様キャラクターの進路って考えたことありますか?
実はイヌイチの続きを考えてはいるのですが、作品中時系列が連載終了後なので、進学するのか、したとしてもどう受験するのか(特に乾はあの頭で大学行けるのか)、ネタにも絡みそうな話なので、…。
もし宜しければエラくてエロい方のお知恵を拝借したいと思うのです。

やっぱり一芸入試なのか…。うーん。
738名無しさん@ピンキー:2007/10/30(火) 23:54:48 ID:FrYYt19S
玲夜がドキ大というなんでもありの大学をだな…
739名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 21:06:31 ID:oz0IhvbV
もし萌が早生まれ(遅生まれ?)だったなら…。
クリスマスネタで、15歳だからプレゼント貰えるんじゃないか(エロパロ板的な意味で)?という毒電波を受信しましたが、オラには筆力が足りませんorz
以上、イバラ道スキーのつぶやき。
もえるん可愛いよもえるん。
740名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 01:54:38 ID:24lXfIYs
マイナーだと思うがドラクロワ×もえるん投下しようと思う
やはり携帯からだと読みにくいだろうか‥?
741名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 01:58:02 ID:24lXfIYs
上げてしまった、すまんorz
742名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 07:30:54 ID:tudrpJQf
>>741
マイナー上等ですよ!
需要は投下された瞬間に発生するというのは、けだし名言だと思います。

気になるようでしたら、ある程度まとまってから投下、NG指定等されては如何でしょうか?
743名無しさん@ピンキー:2007/11/08(木) 00:58:48 ID:IND4ByT3
744名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 07:54:02 ID:Fasnx+d2
保守がてら、投下いたします。
先日の「イヌイチ(乾×一口)」の続きになってますが、続き物・設定に捏造あり・エロほぼなしという
三重苦仕様になっております。

不快に思われましたら「続・イヌイチ」でNG登録お願いします。
745続・イヌイチ・1:2007/11/10(土) 07:55:08 ID:Fasnx+d2
******
 暗闇の中、ひたりと頬を撫でられる手の感触。それが自分の手で無いという事は、後ろ手に縛られた感覚から分かっていた。
 じゃあ、この手は誰のものなんだろう。頬を滑る指が半開きの口に潜り込む。

 ――くちゅ。

 ぞくっ。口の中を掻き回され響く水音に、軽く身が震えた。反射的に口をすぼめ、与えられているもどかしい快楽を逃さまいとする。
 …相手は誰なんだろう。心の底でちりっとした焦りを覚えつつ、それでもキモチ良さには逆らえないなんて。

 柔らかくて、細い指。…あなたは、誰なんですか?

 ――…い。
 ――ぬい。
746続・イヌイチ・2:2007/11/10(土) 07:55:51 ID:Fasnx+d2
*
「乾一!いつまで寝とるか!!」
 三年C組に野太い怒声が響き渡るのと同時に、あたしの真後ろの席から、ごっごんと机に何かがぶつかる音がディレイで聞こえた。
「…っ、はい!何でしょう!!」
「何でしょうじゃない馬鹿者!あと元気がいいのは返事だけでいい!」
「へ?…!!」
 指摘され、二重の意味で立ち上がっていた乾が慌てて席に座る。同時にクラス中に男子のげらげらという笑い声が満ちていき、恥ずか
しさにあたしまで頬が赤くなった。
 やっぱり、男子って馬鹿。特に後ろの。
 何で寝てる時にまで――…。
「ばか」
 こっそり呟いた声は、授業終了のチャイムにかき消されたのだけど。

「乾ー、三年になって余裕だねえ。大学行かないの?」
「ただでさえアンタ学年ビリじゃん。え?何就職?」
「やめときなよー。今時高卒ってロクな仕事見つかんないよ?」
 休憩時間になって早々、乾の机の周りにクラスの女の子が集まってくる。みんな乾の『気のいい女友達』という感じの人々だ。
「好き放題言うなあ…オレだってそりゃ考えてるって」
 どうだか――あたしは心で悪態を吐きつつ、黒板の前に立った。週番の仕事が、今週はあたしの番なのだ。
 ついでに言えば、週番は男女二人組の仕事であり、あたしの相手は乾だったのだけれど。
「もし良かったら、知り合いんトコの現場で働くー?初心者カンゲーだって」
「だーかーらー、オレは進学だって言ってるじゃねーか」
 女の子に囲まれて、からかわれながらも笑う乾の姿を見て、声を掛けるのをやめた。
 別に乾自体はどうでもいい。けれど、こういう時下手に声を掛けて、周りの女の子から不必要な反感を買うのだけは避けたかった。
 女子の間柄というのも、かくもややこしいものなのだ。小さく息をこぼし、あたしは黒板消しを持った。
「い、一口さん、よかったらボクも手伝おうか?」
 ふと声に振り返ると、額から汗を流しつつ自分に声を掛ける大柄な少年の姿があった。
「坂田くん。…いいの?」
「ほ、ほらボク高いところも手が届くし、あの先生みっちり書き込むから…」
 坂田くんの言葉にも一理ある。平均よりはるかに低いあたしの背では、高いところに書き込まれたチョークの文字を消すのにも踏み台
が必要になる。
 はっきり言って、面倒くさい。
「じゃあ、お願いしていいかな。ありがとう」
 にこり。笑って応えると、坂田くんは更に汗を流しつつ、チョークの書き込みを消し始めてくれた。…あ。黒板にお腹くっついてるけ
ど、いいのかなあ。
 服、汚れない?
747続・イヌイチ・3:2007/11/10(土) 07:56:56 ID:Fasnx+d2
******
 何へらへらしてんだか。オレは机に頬杖をつきながら、まだ抜けない睡魔と戦っていた。全く、古文なんて呪文の詠唱と同じだよな。
 それもラリホー系の。
「あ、坂田くんっ、汗、汗!!」
「え、あ、ご、ごめん!」
 あーあ。坂田の出っ腹で黒板水拭き状態じゃねーか。一口もニブいよなあ。アイツの下心気付いてないのかよ。
「いぬいー?聞いてる?」
「あ?何が?」
 やべ、聞いてなかった。
「だから、最近乾、本当に授業中寝すぎじゃないかって聞いてたの。進学はいいけどさー、アンタひょっとしてもう一回三年生やるの?」
「何かやってんの?あ、またバイトとか?」
 知ってどうすんだろう。思ったが、適当にいろいろだよ、とはぐらかした。
 オレは、今周りにいる女子がオレに対して何かを知りたいと本気で思っている訳じゃない事を知っている。
 TVの番組、雑誌の1コーナー、新譜のCD、2ちゃんの新スレ。
 日常を作るパーツの1つ。いや、最後のは特殊か。まあとにかく――そういう目でオレを見ているに過ぎない。
 別に不快じゃないけれど、だからといって心地良くもない、微妙な間というやつだ。
「あれ、乾また寝てんじゃない?」
「起きなよ――…」

 次は、丘の授業だっけ。…意識が遠のく中、オレは何かを忘れているような気がした。

「――もう三年も折り返しを越えてる時期だろうが。…オマエの場合はルリーダ先生からも話を聞いてるが、教師全員寛容なわけじゃな
い。これ以上下手を打つと留年も洒落で済まなくなるぞ」
「…はい」
 ホーミングチョークでコブの出来た頭をさすりつつ、オレは職員室で丘の説教を聞いていた。
「わかったら教室に戻れ。次やったら鼻の下にキンカン塗るからな」
 アンモニア入りの為、鼻の下などに塗れば悶絶必至である。『目の下にメンソレータム』と双璧を誇る罰に青ざめながら、丘に頭を下
げる。
「すみません。――失礼します」
 ぴしゃり。職員室の扉を閉め、オレは大きく溜息をついた。
「バカ犬」「!!」
 ぼそっと肩の辺りから響いた声に、心臓を掴まれたかと思った。
「な、何だよ一口…驚かすんじゃねーよ」
 斜め下を見ると、変なマスコットの髪飾りとぴこんと跳ねる一つ括りの前髪が見えた。こんな頭の知り合いなど、周りには一人しか居
ない。
「驚くのは、自分の行いの悪さのせいでしょ」
「つか何でオマエ職員室の前…うわっ!」
 尋ねようとしたら、いきなり分厚いプリントの束を渡され、オレは危うくバランスを崩して転ぶところだった。
「今日の5時限目、自習だからプリント取りに来たの。それ乾の持つ分だから、よろしくね?『週番さん』」

 ――あ。
748続・イヌイチ・4:2007/11/10(土) 07:57:45 ID:Fasnx+d2
******
「人が悪りーな一口。オレが週番だって、さっさと言えばいいのに」
「何言ってんの。朝は朝で予鈴スレスレまで教室来ないし、休み時間までぐーすか寝てばっかだったじゃない」
「…スミマセン」
 プリントを抱えたまま、乾が肩を落としつつ謝る。
 あまりにもしょんぼりした姿――人によっては『雨に濡れた子犬系』とでも名付け、愛でるのではないだろうか――に、あたしは大き
く息を吐き、明日からはちゃんとしてよね、と前を向き言った。
 ――そうだ。あたしはふと思った事に対し、尋ねてみた。
「乾、何で最近学校来るの遅いの?」
 二年の時はそうでもなかったように思っていたのだけれど。質問に乾はしばらく答えを探すように黙ったあと、ヤボ用だよと答えた。
「野暮?」
「い、いいだろ別に。ホラ早くしねーと、5時間目始まっちまうぞ」
 言い捨てて廊下を走っていく。一歩走るごとに揺れる、乾の一つ括りにした後ろ髪を眺めつつ、言い訳が下手なヤツ、と一人呟いた。
「ちょっと、プリント落とさない――…ん?」
 ふと立ち止まった教室の前で、あたしは妙なものを見てしまった。
 いや、そのクラス――三年F組――は、クラスのメンバー上、妙なものがかなりの頻度で(ちなみにその正体は、ほぼ間違いなく一人
の人間離れした体格の変態だったりするのだけれど)見受けられるが、今日見たものは、少々勝手が違っていた。

「…阿久津くん?」
 休憩時間のF組。がやがやとにぎわうクラスの中で一人だけ浮いてる…というか、燃え尽きている男の姿。
 いつも変なことに巻き込まれて、悲惨な目にあう確率の高い彼――阿久津宏海の真っ白になっている姿が、あたしの視界に入ったのだ。
「…」
 いつもなら、良くある事と思って気にしない。けれど今日は何故か気になった。

「おーい一口!早くしねーとプリント配れねーぞ!」
 C組の扉から顔を出し呼ぶ乾に、はっと我にかえる。
「あ…わかったから大声で呼ばないでよ!」
 本当、デリカシーに欠けるヤツ。あたしは口をへの字に曲げつつ、その場を後にした。

 5時限目は英語の自習。プリントは仕上げられなければ即宿題と化すので、皆が居るうちに答えを写…教えてもらい、仕上げるのがお
約束だ。
「…んがー…」
 …まあ、お約束に当てはまらない馬鹿も居るけれど。自分のプリントにペンを走らせながらあたしは、背後から聞こえるイビキに呆れ
ていた。
749続・イヌイチ・5:2007/11/10(土) 07:58:26 ID:Fasnx+d2
******
「んー…っ、はあっ」
 HR終了のチャイムと同時に背伸びをする。首を回すと、こきこきといい音が響いた。ここ最近の寝不足も少しは解消されただろうか。
「さてと…」
「帰んないでよ乾」
 帰るか、と言いかけたオレの口の動きは、くりんっ、と振り返った一口のセリフに遮られた。手には学級日誌のオマケ付きだ。
「忘れてたでしょ」
「あー…忘れてた。そういや書かなきゃなんねーんだよな。なあ一口、1時限目って何やってたっk…あふっ!?」
 ばちーん。
 日誌のページをめくりながら尋ねると、いきなりビンタが飛んできた。見れば一口の額には青筋が浮かんでいる。
 バシバシバシバシバシ「結局アンタは一日中寝てばっかりだったじゃないっ!一緒に組むあたしの身にもなりなさいっての!!」
「あっあっあっあっ!」
 このバカ犬と罵りつつ繰り出される往復ビンタを頬に喰らいつつも、背筋がぞくぞくと震えだすのをオレは止められなかった。
 いや、わざとじゃないんだけどな。
 ちなみにこの(誰が呼んだかは知らないが)『C組名物SMショー』は、クラスからも生温かい目で受け止められている。
 変なクラス。

「はあはあ…本当、乾ってビンタされてる時輝いた顔するよね…」
「おう。ついでに言えばもう2、30発は貰っても平気だぞ」
 腫れた頬の、じんじんと痺れる痛みさえキモチイイと感じる――それがオレの特性なのだ。
「えらそーに言うなっ!――…ああもうわかったわよ。日誌はあたしが書いとくから、乾はこれ写しとけば?」
「?」
 赤くなった右手をひらひらさせながら一口が差し出したのは、数枚のプリントだった。三行見ただけで眠りに落ちそうな言語は、間違
いなく今日の英語のだ。
「その調子だと、宿題になってもやって来なさそうだしさ。あたしが日誌書いてる間にでも仕上げればいいんじゃないの?」
「――…」
「…何?」
「いや、一瞬オマエの後に光が差したような気がして…」
 これが神か仏かってやつなんだろうか。だとしたら神仏はずいぶんフレンドリーなんだな。
「礼なら坂田くんに言いなさいよー?あたしの分かんないところ丁寧に教えてくれたんだから」
「…」

 …なんとなく、さっきのセリフを撤回したくなったのは気のせいだろうか。
750続・イヌイチ・6:2007/11/10(土) 07:59:22 ID:Fasnx+d2
******
 かりかり。かりかりかり。
 クラスメイトが部活やら帰宅やらでどんどん席を立つ中、あたしと乾の間では、シャーペンが紙の上を走る音だけが響いていた。
「なー、ここのwhatの使い方なんだけど…」
「ん?ああ、これねー…」
 説明すると、乾はふーん、なるほどなあ、と呟きつつ、再びプリントに向かう。
 時折、ペンを持った手を口に添えたり、ペンの頭をかつんと机に当てたりしながら。
 多分この乾の姿ですら、色んな女の子に見出されて、手垢の付いたものなんだろうなあ。
 難しく考え込んで寄せる眉も、伏せたまつ毛の長さも。

 ――ちくん。
 胸に、針で突付かれたような痛みを感じ、あたしはそれを全力で否定する。

「…なに考えてんだか」
「何か言ったか?」
「なーんにもー。それより乾、早くしないとあたしもう日記仕上げちゃうよ?」
「げ。待て待て、あと3枚だからなっ!」
 乾の慌てっぷりに小さく笑いつつ、あたしは日誌に目を落とす。本当は日誌なんて、とっくに書き上がっていたけれど。

「そういやさ、最近一口坂田と仲いいな」
 ぴたり、とペンを止め乾が尋ねる。『そういや』の流れなどない唐突な発言に、あたしはしばらく考えてしまった。
「そう…かな?時々手伝ってもらったりはしてるけど」
 いつも困ってる時にタイミング良く現れるんだよね。妖怪道中記のご先祖さまみたいな感じでさ、と言ったら例えが古くて分かんねー
よ返された。そんな古くないと思うけど。
「ふーん…オレはてっきり先輩に見切りつけたのかと思ったけどな」
「そんな訳ないでしょ」
 馬鹿げた質問をばっさり斬り捨てる。
「そういう乾はどうなのよ」
 仮にも、ドMでも『もて四天王』なんて呼ばれる男だ。引く手あまたなんて言葉も霞むくらい、本当は相手に困らない筈なのに。
「ねーな。先輩が例え阿久津のモンになっても、先輩はオレの憧れだ」
 どうして真っすぐあたしを見て答えられるのだろう。
「憧れ、ねえ」
「そゆこと」

 あたしは、憧れと恋が似て非なるものだと知っている。乾が強く想っているにも関わらず、阿久津くんからお姉さまを奪おうとしない
理由も。
 だけど、言わない。それはコイツ自身気付いていないだろうから。
 そして、あたしも気付かない事を心の底で願っているから。

 ――本当、馬鹿だね。

 かりかりとペンを走らせる音を耳に心地良く感じつつ、あたしは西日の差し込む教室の中、ゆっくりと眠りに落ちていった。
751続・イヌイチ・7:2007/11/10(土) 08:00:04 ID:Fasnx+d2
******
 かつん。紙にピリオドの印を叩き込む音と共にオレのプリントが完成したのは、西日が赤味を帯び始めた頃だった。
「はー…出来た、っと。一口、そっちはど…」
 顔を上げ尋ねようとして、言葉が止まる。机をはさんで向かいに座る一口は、すやすやと微かな寝息を立てていたのだ。
「何だよ、自分だって寝てんじゃねーか」
 今と授業中が別物なのを棚に上げ、オレはひとり愚痴る。
「おーい一口、日誌書き終わってんのか?」
 へんじがない ただのし…じゃない、ずいぶん深い眠りについているらしい。
 週番の仕事で、朝一番に教室に来ていたという辺りに理由がありそうだが。
「…別にオレだって、遅刻してる訳じゃねーけどさ」
 それにしても、寝顔まで子供染みてるよなあ。無邪気っつーか、幼稚っつーか。
 くりっとした大きな目も、見た目に反して古臭い発言が目立つ口も、今はただひっそりとそこにあるだけだった。
「…」
 そっと、閉じられた学級日誌を手に取り、今日のページを捲ってみる。ちまっとした一口の字は既に書くべき全ての項目を埋めていた。
 ――なんだよ、とっくに書き終わってんじゃないか。
 ならば、いつまでも教室に居続ける理由はない。オレたち以外に誰も居ないなら尚更だ。立ち上がって揺り起こそうとして――オレは
手を止めた。
 ふと、視界に留まった一口の手が、オレのおぼろげな白日夢を思い出させてしまったのだ。

 ――頬を撫でる、柔らかな掌。細い指先。

「…一口」
 一応呼んでみるが、相変わらず返事は無い。ど、くん。…どくん。どくん。
 早まるな、正気になれと頭の中のオレが叫ぶ。けれど体は叫び声に逆らうように、ゆっくりと一口の手を掴んでいた。
 小さくて、柔らかな一口の手。なんかコイツの体のパーツって、どこもかしこも小さいような気がする。
 オレは目を閉じ、静かに掴んだ手を自分の頬に寄せた。ほのかに温かい掌が、ひたり、頬を撫でる。
「…」
 ぞくっ。背中に軽く電流が走った。――はっきり言って今の自分は、不審とかあやしいなんて言葉で片付けられないくらい変だ。
 もし今一口の目が覚めたなら、ビンタ100発どころの問題じゃない。
 分かっているのに、手が止まらなかった。オレは、夢の中のオレと同じで、触れられるキモチ良さに抗えないまま、ゆっくりと一口の
指を自分の口へと導こうとしていた。
 人差し指が唇を軽くかすめたその時――。

 ポーン。
『下校時刻になりました。生徒の皆さんは、すみやかに帰宅してください』

「!!」だんっ!反射的に手を机に叩きつける。
 ――義務的な下校放送の声により、オレは危うい倒錯の世界からギリギリのところで強制送還と相成ったのだった。
「痛っ!?…あれ?あたし寝てた?…っていうか乾、何やってんの?」
「いや…何でも…」
 本当、オレ何やってんだよ。一口に背を向け、赤くなった顔と昼間同様に熱を持ってしまった股間を悟られまいとする姿は、間抜け以
外の何者でもない。

 いや本当に、何やってんだ。
 一口相手に。
752続・イヌイチ・8:2007/11/10(土) 08:01:04 ID:Fasnx+d2
******
「おー、もう星出てるなー。秋の日は鶴瓶ポロリって言うけど本当だな」
「そんな言葉聞いたことないけど、本当、もう真っ暗だねー」
 街灯の光に、吐いた息が微かに白く染まる。いつの間にかそんな季節になったのだ。
 何も変わってないようで変わり続ける。冬服になって尚感じる寒さに、あたしは軽く身を震わせた。
「にしても、わざわざ送んなくていいのに。…乾ん家、方向違うでしょ」
「ばっか、季節の変わり目ってのは変なヤツが多いんだぞ?それに、帰るのが遅くなったのはオレのせいでもあるしな」
 変なヤツの中に自分を入れてない辺りが、乾の乾たるところである。
 そりゃ確かに、意外と紳士的なところは評価していいのだろうけれど。
「あ、それとな、朝の教室の鍵開け、明日からオレやっとくから。一口いつも通り学校来るんでいいからな」
「え?…乾いいの?」
 予鈴ギリギリから急に朝一番の登校は大変じゃないのかな。
「どうせ補習のついでになるしな。ちょっと遠回りになるだけだろ」
「補習?」
 初耳だ。あたしの言葉に乾はちょっと考えた顔をして、体育のだよ、と答えた。
「オレ、スポーツ推薦狙っててさ。でも部活入ってなかったから色々面倒な事になっててなー…。そんな時、ルリーダ先生から、新しく
学科が出来た所が遅くまで積極的に募集してるからどうだって話持ち掛けられて…」
 前を向きながら、照れ臭そうに語る乾の言葉はしかし、途中から聞こえなくなっていった。
「――…でもしなきゃオレ普通に大学行けねーもんな。…一口?」
「…え?」
「え?じゃねーよ。話振っときながらぼーっとしてさ。何だよ、風邪引いたか?」
 ――違う。けれど、言葉が出てこなかったので、代わりに首を振った。
「そうか?でもなんか顔色ヘンだぞ?やっぱ熱あんじゃねーの?」
 そう言って額に当てようとした乾の手を、あたしは反射的に身をよじり拒んでしまった。

「…!!」

 街灯に照らされた乾の顔が、不自然なくらいこわばる。あれ、あたし、何で。
「…っ、もう…家すぐそこだから、今日はありがとね」
 あたしは一気に言葉を放つと、振り向く事もせず走って乾の元を離れた。
 どくん。どくん。どくん。
 全力疾走の体に、晩秋の風が冷たい。けれど全然気持ちよくない。
 驚いてたのだろうか。
 ひそめた眉も、見開いた目も、堅く閉ざした口も、全部見覚えのある部分なのに、あたしの知らない乾の表情だった。
 ――何も変わってないようで変わり続ける。
 さっき思い浮かんだ言葉が、呪文みたいに頭をぐるぐる回って離れない。
「…はあ、はあっ…けほっ」
 家のすぐそばで足を止め、息を整える。あんなに走ったのに、体がぞくぞくして、震えが止まらない。

 ――何も変わってないようで変わり続ける。
 乾も、お姉さまも、阿久津くんも、みんな、みんな。
 ――あたしは?

 ポケットの中の携帯電話から『DESIRE』の着メロが響いた。
 けれどあたしは、いつもならすぐに取るはずの、一番好きな人からの電話さえそのままに――。
 ただ道の真ん中で立ち尽くす事しか出来なかった。
753イヌイチの人(携帯版):2007/11/10(土) 08:06:03 ID:FNTwFU0Y
ぎゃーっ!「前後編」なのにタイトルに入れるの忘れてた!(毎度ポカばかりですみません)
気を取り直して、後半です。
754続・イヌイチ・9:2007/11/10(土) 08:07:56 ID:Fasnx+d2
******
 その人の名前を知ったのは、生徒会選挙の日。
 共学で女子の生徒会長候補者なんて、珍しさから結構気後れしてしまうものなのに、演説の壇上に上がったあの人の瞳は真っすぐで、
あくまで毅然としていて。
 ――この人が会長になるんだ。投票前からあたしは確信していた。
 実際会長に決定した時、あたしは自分の事のように嬉しくて、その日は眠れなかった。
 いつかあの人に近づきたいと思っていた。あの人の傍に立って、あの人に振り向いてもらって、あの人に触れて――。

 ――けれどあの人は、あたしじゃない、違う人を見ていた。
 それは、誰よりもあの人を見ていたあたしが知る、残酷な真実。
755続・イヌイチ・10:2007/11/10(土) 08:08:27 ID:Fasnx+d2
******
「ふあぁ…あああふっ」
 朝もやも漂う通学路には、学生の姿なんてまだない。運動部の朝練に向かう部員が関の山だ。
 そんな中を大あくびしつつオレは、早朝の補習を受けに学校へと向かっていた。
 ――元々お前は身体的に推してしかるべき能力を有している。が、私の推挙を得るならば、もう少し鍛えた方が良いだろう。
 数週間前の体育教官室で鉄アレイ(12kg)を軽々と持ち上げながら、体育教師・ルリーダが微笑みと共に語りかけた言葉に端を発する
この補習だったが、何か騙されている気もしなくないのは、オレの考えすぎだろうか。
 ――いや、疑っちゃいけないよな。先生だって放課後は部活があるからって、わざわざ朝に時間割いてくれてるんだし。
 でもなんで先生の机、『打倒 あいす』なんて貼り紙がしてあるんだろうな?

 つれづれと考えつつも、気が付けば学校にたどり着いていた。――おっと、ダメだ。今日は直接体育館に行っちゃいけないんだよな。
慌てて向きかけた足を職員室方面へと向き直し、オレは立ち止まった。

 ――っ、もう…家すぐそこだから。

 昨日、オレが何の気もなく出した手を拒んだ一口の表情が、脳裏をよぎる。
 一瞬だけ見えた、泣きそうな、困ったような顔。
 オレのうしろめたい部分をえぐるような目をしていた。
「…」
 気付い…たのかな。放課後の教室で、オレがやっちまったコト。
 何であんな事をしたのか、自分でも理由が分からないのが更に苛立たしい。

「失礼します」
 職員室の扉を開け、声を掛けると丁度クラス担任が電話応対をしている所だった。いくつもの鍵が掛かっているコーナーから自分のク
ラスの鍵を取り出し、そのまま出て行こうとした時、かちゃりと受話器を下ろす音がした。
「おい乾、ついでに日誌も持って行け。――今日、一口休みだから」
 ――え?
「休み、ですか?」
「うん。風邪だって、さっき連絡が入った。残念だったなあ。あいつ今まで皆勤賞だったのに」
「…はあ」
 学級日誌もついでに受け取りつつ、オレは担任の独り言をぼんやりと耳にしていた。
 やっぱり、体調崩していたのか。妙に赤い顔してたもんな。

 でも。
 それでもやっぱり、アイツが休んだのはオレのせいじゃないかなって、心の隅で思った。
 多分、それは間違いじゃない。
756続・イヌイチ・11:2007/11/10(土) 08:09:24 ID:Fasnx+d2
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 ぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ。
「38度2分、結構高いわねえ。…お母さん休んで病院いこうか?」
「いいよ別に…けほっ、薬飲んだし寝てたら治るから」
 枕元で中腰の姿勢のまま顔を覗き込む母親に、あたしは咳き込みながら言葉を返した。
「パートだって、そんな気軽に休めるものじゃないんでしょ?」
「でも夕利、ここ数年風邪なんて引かなかったじゃない」
 子離れ出来てないなあ。
 冷却シートを額に貼る、ひやりとした指先を心地良く感じながらも、ちょっとだけむず痒さを憶えてしまう。
「大丈夫だって。あ…そうだ、仕事の帰りに桃ゼリー買って帰ってくれると嬉しいな」
 半分割りのがごろんってしてるの。そう言うと母親は、根負けしたのを認めるかのように大きく溜息を吐くと、お粥は台所にあるから
ね、と呟いて立ち上がった。
「それじゃ、体はあっためなさい。――行ってくるから」
 ぱたん。部屋のドアが閉まり、あたしはゆっくり目を閉じた。
 頭の中がもやもやする。寝ているのに陽炎の中に立っているような、変な感じ。
 …風邪で学校休むなんて、何年ぶりだろう。少なくとも高校に入ってからは一度も休んだ事はなかった。
「けほっ」
 寝返りを打つついでに、枕元の充電器に差し込んだままの携帯電話を手にする。
「――…ごめんなさい」
 着信履歴には、一件の不在着信。『お姉さま』と書かれた着信履歴に向け、あたしは小さく謝った。

 昨日は、結局電話には出られなかった。何度もポケットの中で鳴る『DESIRE』を聞きながら、あたしは、あたしの中でざわめいていた
よく分からないものに対して戸惑う事しか出来なかったのだ。そんな状態ではマトモな受け答えなんて出来やしない。
 ――きっと、余計お姉さまを困らせる。
 それは、嫌だった。
 今までの自分なら、どんなにいっぱいいっぱいでも、無理して喋っていただろうから尚更に。

 お姉さま。今のお姉さまを受け止められるのは、あの男だけなんですよね。
 ――あたしじゃ、ないんですよね。
 考えて、涙が出た。一人だけの考え事は、感傷的になりすぎて困る。
 今の『かわいそうな自分に酔う自分』を止めたいのに、いつまでたっても止まらない。

 せめて、隣にアイツが居てくれたらいいのに。
 悲劇の主人公はオマエだけじゃねーだろって、軽くたしなめてくれたらいいのに。
757続・イヌイチ・12:2007/11/10(土) 08:10:02 ID:Fasnx+d2
******
 頭の芯がぼんやりする。…眠い。体中に回った疲労感が眠気を更に助長させる。ルリーダ先生の今日の補習内容はウォーミングアップ
代わりの鉄球避け30セットの後、徒手空拳組手10本だった。――これ本当に補習だよな?
 どういう推薦の仕方をするのか少し気になるのだが…それより今は眠気と闘うのが先決だ。オレは日誌の一ページをシャーペンの頭で
叩きながら、気を抜くとがくりとなってしまう現状を、崖っぷちスレスレで耐えていた。
「乾珍しいじゃーん。今日は寝てなかったよ」
「やれば出来る子だったんだねえ。エライエライ」
 …子ども扱いするなよなあ。同級生なのに。
「オレだって、鼻にキンカン塗るなんて言われたら起きるっつーの」
 くさりつつ言い返すと、今時キンカンって、と笑われた。あれ?キンカンって一般的じゃないのか?
「あ、今日一口さん休みだっけ。乾日誌ちゃんと書いてんの?」
 手元の学級日誌を目ざとく見つけた女子が、尋ねる。
 書いてるよ、と答えると、他の女子がそっかーじゃあ今日はSMショーは無しかー、とぼやいた。
「あれ面白いんだけどねー。アタシ達だと『えっ?いいの!?』って気になるけど、一口さん、いい意味で遠慮ないから」
「そうそう」
 かつん。ページを叩く手が止まる。…改めてクラスメイトからアイツが休みだと聞かされるのは、何か変な気分だ。
 目の前の席は、ただの机と椅子でしかないなんて。

「…」

 何考えてんだろオレ。溜息を吐きつつ、オレは席を立った。
「あれ?乾どこ行くのー?」
「…眠気覚ましにトイレ行ってきます」
 何で敬語まじりなんだろ。多分これも眠気のせいだ。

 眠気覚ましついでに顔でも洗うかと足を踏み入れた三年男子トイレには、2名の先客が居るようだった。
「…でもよー。ここのSS、オレ出番少なすぎじゃね?オレ一応本編じゃ主役よ?」
「しょうがありませんよ。何せ王子の場合、ハードルが高いともっぱらの評判ですから。コレの書き手など、『刺身セットの菊みたいな
モンで、食っていいかどうかさえためらう』と周りに愚痴っていたそうですし」
「菊ぅー?あれ手抜いてるヤツってプラスチック製じゃねーの?…ハッ!つまりオレは三次元でこそ映えるプラスチックドールってやつ
なのか?」
「違います」
 F組の百手太臓と安骸寺悠の二人は、普段から良く分からない会話を交わしているが、今日のはとりわけ分からない。
 いつもならもう一人居るはずのツッコミ役の姿が居ない事もその理由だろうか。…まあ関係ないけど。オレは気にせず隣に立ち、小用
を始めた。
「今だったらオレが傷心の伊舞なぐさめるSSリクエストするね…っと。…ムフフ、宏海のヤツも、今のフヌケ状態なら簡単に伊舞引き渡
しそうだしな」
「そうですね。身から出た錆とはよく言った物ですが。…矢射子と伊舞に同時に嫌われるとは、とことん不運な男ですね」

「――!!」
 眠気が吹っ飛んだ。微妙に説明臭い会話だったが、そんなのはどうでもいい。
 阿久津が――矢射子先輩に嫌われた?

「そ、それどういう事だよ!!」
 オレは振り返り、既に手洗い場に立った二人に向け叫んだ。

 三年男子トイレに「ソルカノン充填120%!!?」「ヤツの弱点は雷です!!王子、早くサンダラを唱えてください!!」という絶叫が響いた
のは、また別の話だ。
758続・イヌイチ・13:2007/11/10(土) 08:11:17 ID:Fasnx+d2
******
 最初に好きになったのは、物怖じしない強いまなざしだった。
 凛とした表情を、更に強く見せる眼光――あたしの周りにそんな人、今まで居なくて。だから好きになった。
 性別がどうとか、関係なかった。ただ、触れたいと、欲しいと思った。
 形のいい唇からこぼれる、メゾソプラノの声も、白くて細い指も、ポニーテールに結い上げた髪も、全部、全部。

「…んっ」
 いけないコトだと分かっていながら、自分で自分のカラダを弄る事を覚えたきっかけも、お姉さまを想ってだった。
 声が漏れないよう、布団の中に潜り込んで、パジャマのボタンの隙間からそっと胸を触る。――薄っぺたいあたしの胸は、汗でじっと
りとしていた。
 お姉さまの胸はすごく大きくて柔らかい。服の上からしか触った事ないけれど、桃みたいな甘い香りがする柔らかな谷間は、あたしの
頭ですらすっぽりと包んでくれそうだった。
「はっ…あ、くふっ…」
 吐息で熱がこもる暗闇の中、あたしの指は更に下へと降りていく。片手を胸に当てたままショーツの上から触れた部分は、じっとりと
熱くなってて、指先がすこしぬるついた。
 ――ぷちゅん。
「…っ!!!!」ショーツに手を入れ、濡れた場所に直接触れた瞬間、快楽に背がくうっと引きつった。
 女の子なら誰でも持ってる、熱い部分。
 あたしにも、そしてお姉さまにだってある、大切なトコロ。――今、あたしの指は、あたしを弄びながら、お姉さまをも弄んでいる。
 そう思うとドキドキが止まらなかった。ぷちゅくちゅと粘ついた水音が耳を、布団中を熱くする吐息が肌を責め立てていく。
「…っ、あっ、あっ、くぅっ、ん――…」
 お腹の底が切なく疼く。波が、もうすぐ、来――。

 ――…先輩が例え阿久津のモンになっても、先輩はオレの憧れだ。

「っ!!」
 いきなり頭の中に飛び込んできた声に、あたしの指が止まった。
「い…ぬい…?」
 布団から顔を出し、名前を呟く。外気の冷たさが火照った頬に容赦なく染み込んでくる。
 それは、昨日の記憶だ。放課後の教室で、アイツがあたしに向けて真っすぐ言い放った言葉だ。
 けれど、今のいけない一人遊びを止めるには十分な力を持つ言葉でもあった。
「…シャワー浴びよ」
 のろのろと起き上がり、すっかり用をなさなくなった冷却シートを額からはがす。時計の針は既に正午を回っていた。

『〜♪』
 携帯電話から再び『DESIRE』が流れたのは、そんな時だった。
759続・イヌイチ・14:2007/11/10(土) 08:12:09 ID:Fasnx+d2
******
「…じゃあ、一口も話聞いたのかよ」
 放課後の誰も居ない教室は、意外と声が響く。オレは気が付いて慌てて声のトーンを落とした。
「いや、オレのは安骸寺たちからの又聞きたけど…じゃあもう少し話、詳しく聞かせてくれるか?」
 風邪を引いて喉を痛めているにも関わらず、一口はオレの要求に応え、昼間掛かったという矢射子先輩からの電話内容を教えてくれた。

 この前の日曜の事だ。
 その日、矢射子先輩は阿久津の家に招かれたという。家族――阿久津は父親と二人暮しらしい――との初めての顔合わせとなった訳だ
が、多少緊張しつつも、顔合わせは和やかに行われていた。
 時折、阿久津とその父親の間に、過剰とも思えるスキンシップがあったらしいが、それはオレの知りたい話じゃないので割愛させて貰っ
た。
 さて、問題は昼に起きた。昼食時となり、料理の腕には自信のある先輩は、進んで台所に立ち、三人前の昼食を手際よく作り上げた。

「…うらやましいな」
『あたしもそう思うけど、まだ話終わってないよ乾』

 献立は、鶏の照り焼き、蕪とがんもどきの煮物、小松菜のおひたしに三つ葉を散らしたかきたま汁――。

「…腹減ってきたんですけど」
『馬鹿言ってると切るよ?』

 前もって特訓していた甲斐もあり(一口いわく、女の子の努力というらしい)、阿久津の評価は上々、父親も、口数少なくなりつつも、
きちんと平らげたそうだ。
 そして、この父親は食後の茶を啜りつつ、こう言った。
 ――いやあ、今度の彼女が料理上手で良かった。前の彼女はとてもじゃないが、上手とは言えなかったしな?宏海。

「今度の!?」
 オレはうっかり大声を出してしまった。電話の向こうで乾ウルサイと言われ、口を押さえる。
『なんかあたしが思うに…けほっ、そのお父さんが結構変わってる気がするんだけどね。…それでも、お姉さまには寝耳に水な話よね』
「あー…確かに寝てる耳ン中にミミズ入れられたら驚くよなー」
『…切っていい?』

 なぜか怒りだした一口をなだめつつ、話は続く。
 がちゃん、と片付け中の食器を落としながら、先輩は当然阿久津に問い直した。
 ――宏海、前のってどういう意味?
 ――あ、そ、それはだな…その、説明するけど事情があってだな…。
 ――佐渡さんは、確かに器量は良いが、少々物言いがキツかったしなあ。はっはっは。
 ――うるせえバカ親父黙ってろっ!!や、矢射子勘違いするなよ。オレは…。

 ――言い訳なんて聞きたくないわよこの女たらしーーーーっ!!!!

 前の彼女というだけでもダメージ大な先輩。更に相手が阿久津に何かと縁のある佐渡あいすと来れば倍率ドン(←一口:談)である。
 先輩は阿久津の頬を思いっきりひっぱたくと、割れた食器もそのままに阿久津の家を飛び出したという。
760続・イヌイチ・15:2007/11/10(土) 08:13:23 ID:Fasnx+d2
******
「けほっ…それからお姉さまは、今の今まで予備校にも行かずに家に引きこもってるって訳。…で、乾のほうは?」
 喋りすぎて痛くなった喉を押さえつつ尋ねると、乾は、オレが聞いたのはその続きだよ、と答えた。

 出て行ったお姉さまを追いかける為とりあえず父親に数発拳を入れた阿久津くんは、アパートの入り口で一番あってはいけない人物に
会ったらしい。
 ――…お兄ちゃん?朝、お父さんからメール貰ったんだけど。
 同じ色の髪をした少女――阿久津くんの実の妹で、伊舞ちゃんという――は、お姉さまが出て行った方向をちらりと見て、尋ねた。
 ――お兄ちゃん、あいすさんと付き合ってたんじゃないの?何で急に相手変わってるの?
 ――いや…伊舞、良く聞け。オレは元々佐渡とはそういう付き合いをしてない。今付き合っている人が…オレの本当の彼女だ。
 阿久津くんは、腹の底を振り絞るような声で、妹に向けて言い放った。
 けれど、時は遅すぎた。

 目の前に立つ妹は――ぽろぽろと涙を落としつつ、こう言ったそうだ。
 ――お兄ちゃん、じゃあ…あいすさんとは遊びだったんだ…それで、二股かけてたんだ…。
 ――わかってねえじゃねえか!なに勘違いしてんだ伊ぶべっ!?
 すぱぁん。お姉さまに叩かれたのとは逆の頬に、伊舞ちゃんのビンタが決まる。

 ――お兄ちゃんの馬鹿!最低!…お兄ちゃんなんか、大っ嫌いっ!!!!

「…そりゃ…すごいね」
『シスコンの阿久津からすりゃあ、そりゃもう死刑宣告よりひどい仕打ちだったらしくてよ。こっちも日がな一日生ける屍みたいになって
るって話だぜ』
 昨日見かけた『燃え尽きた阿久津宏海の図』が多分それに当たるのだろう。
『正直、自業自得って気もするけどな。阿久津が前もって説明していれば、先輩も妹も泣かさずに済んだんだしなー…けどさ』
「…うん」
 そうだ。問題は、起きてしまった過去を問い質し、責める事じゃない。
 お姉さまと阿久津くん、この二人のこれからの関係がどうなるかだ。
 
 あたしは、ためらいながらも、今考えている事を乾に話そうとした。
『一口…』「あのさ…」
 奇しくも同時に声を出してしまい、同時に黙り込む。
『…何だよ』
 乾のすすめる声に、あたしは小さく咳払いをした。
「…あのね、乾怒らないで聞いて。あたしは――二人の仲を戻したいって思ってるの」
『!!』
 電話口の乾が、息をのむ。当然の態度だ。
 あたしも乾も、お姉さまのことが一番大好きで、だったら今こそ振り向いてもらう絶好のチャンスなのだから。
 そんな時にわざわざヨリを戻させようなんて、馬鹿げているのかもしれない。
 
 けれど。

『一口…それでいいのか?』
 しばらくしてから返ってきた乾の声は静かな響きがあって、無理に感情を押し殺しているようだった。
「…だって、お姉さま電話口で泣いてたんだもん。…っく、あ、あたしじゃっ、今のお姉さまの涙っ、止められないんだもん」
 ――どうしてもっときちんと話を聞けなかったんだろうって、何度も何度も悔やんでいた。切ない、メゾソプラノの声。
 あたしは、布団の上に涙を落としつつ、昼間の自分を恥じた。
「ごめん、乾。本当に嫌だったら…今の話聞かなかった事にして」
 ぐしゅっ、と鼻をすすりつつ、あたしは乾の返事を待った。さすがに今回は、あたしのわがままで乾を振り回せない。そう思いながら。
 けれど、あたし一人の手で仲を取り持つ事になっても構わない。
 ――ややあって、はーーっ、と長い溜息が携帯電話から聞こえた。
『…ばかやろう。病人がちょろちょろ動き回ったところで、風邪ぶり返すのがオチじゃねーか』
 電話先の乾の声は怒っていた。当然だろなあ、なんて思っていたら、乾は怒った声のまま、オレのセリフ取るんじゃねーよと呟いた。
「――…?それって…」
『オマエにばっか無茶な事させるかってーの。オレも乗るぞその話。今更断るなよ?あともう泣くなよ』

 詳しくは明日な。そう言って切れた電話を握り締めながら、あたしはこぼれ落ちる涙を止める事が出来なかった。
「…っ、ごめん、ごめん乾…ありがと…」
 部屋のカーテンの隙間からは、あの日と同じあたたかな色の夕陽が差しこんでいた。
761続・イヌイチ・16:2007/11/10(土) 08:14:08 ID:Fasnx+d2
******
「…」
 充電切れスレスレの携帯電話のディスプレイを眺めつつ、オレは、しばらくさっきの会話を反芻していた。

 ――あたしじゃ、今のお姉さまの涙止められないんだもん。

 それは、一口だけじゃない。きっと、オレにも出来ない事だ。
 悔しいけれど、矢射子先輩が好きなのは阿久津の野郎だけであって、オレたちの姿なんか眼中に無いのは、事実だった。
「…仲を取り戻す、か」
「面白そうな話をしているな」
「うひゃおわっ!!!?」――がたたんっ。背後でいきなり聞こえた声に、オレはどこかの新喜劇よろしく椅子から転げ落ちてしまった。
「うむ。今のリアクションは中々いいぞ。往年の上島R兵を髣髴させる」
「あ、安骸寺…!?なん…」
 何で、と言いかけた口は、安骸寺のヒマだからだ、というセリフに遮られた。
「王子が時間ギリギリまで補習を受けている間退屈でな。何かないかと思ったら、一(はじめ)が興味深い会話をしてるのが聞こえてな」
「それって盗み聞きって言うんじゃ…」
「そんな事より、今の話は例の二人に関してだな?」
 安骸寺の表情の読めない眼がオレを捉える。脳裏になぜかアナコンダと豆柴の向き合う図が浮かんだが、何故なのかよく分からない。

「あ…ああ、矢射子先輩と阿久「伊良子と藤木の対決…俺もREDは毎号買っているが、あれだけは先が読めん」
「違げーよ!!何でそこでシグルった話になる訳?オレたち虎眼流!?つかせめてジャンプキャラでボケろよ!!」
 口走ってはっとなる。うっかり反射的にツッコミを入れてしまったが、少々言い過ぎた。
 安骸寺はうつむき、ふるふると震えている。
「…あ、悪い…」
「合格だ。今のつっこみ、協力に値するぞ一」
 へ?あまりの超展開に、頭の中が真っ白になってしまった。

「宏海と矢射子を復縁させようというのだろう?俺もその話に乗ったという事だ。…つっこみ一つ出来ん宏海をこれ以上見るのもつまら
…もとい、忍びないしな」
 安骸寺はそう言うと、にやりと口元だけで笑みを作った。
「よくわかんねーけど、協力してくれるなら助かる。…ありがとう」
 不気味ささえ感じる笑顔からわずかに目を逸らしつつ、オレは礼を言った。あの眼はどうも苦手だ。
 何というか、余計な部分まで覗かれている気分にさせられる。
「こっちは遅かれ早かれ動くつもりだったんだがな…俺にしてみれば一、オマエの方がよく分からんぞ?今だったら矢射子の心など、労
せずとも落とせるだろう。人の心は移ろいやすいからな――…そんな目で睨むな。冗談だ」
 眉間に皺をよせ安骸寺はうそぶいたが、冗談にしてはタチが悪い。
「…義理立てすると思うのもいいがな、たまには自分の気持ちを冷静に見つめてみろ、という話だ。今のオマエからは義理以上のものも
伺えるぞ?」

 ――は?小難しい口調のせいか、理解するのに時間がかかってしまった。
 というかまだよく分からない。誰が誰に義理以上の…。
「ふむ、時間だな…失礼する。――安心しろこんな面白事、そう簡単に口外せん」
「え、いや…ちょっ、待て安骸寺…」
 オレの言葉をはね返すように、ぴしゃりと扉が閉められ、同時に下校放送が教室に鳴り響く。

 オレは、閉められた扉を睨みつつ、やっぱりあの眼は苦手だと思った。
 ――余計な部分まで、覗き込むなんて。
762イヌイチの人:2007/11/10(土) 08:22:22 ID:Fasnx+d2
ひとまずここまでです。続きは只今打ち込み中ですすみません。
週番がピンとこない方は、「一週間日直をやる」くらいの感覚で受け止めていただければ幸いです。

次もエロが(今回以上に)ない上長いので、場合によってはエロなしスレに投下するかもしれませぬ。
というより残りKB数が心配で…。
では、失礼します。
763名無しさん@ピンキー:2007/11/11(日) 23:44:17 ID:RLv+gbpY
うわぁっぁっぁっぁ…
まさしく寸止め。生殺しです。
楽しみにしております!
764名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 22:08:46 ID:rksWcRFT
>>745-
うは、続き来てたGJ!
現在436KB・・・500までだっけ?やばそうなら次たててからがいいのかもしれんが
まだ大丈夫じゃね?
765745:2007/11/15(木) 07:58:11 ID:xdO8qhmh
続きできましたので、投下いたします。
これで「イヌイチ」「モモテウラ」「続・イヌイチ」の続き物はひとまずまとめになると思います。

キャラは多いがエロなし・捏造設定アリなので、苦手な方は「オマツリ」で、
NG登録お願いします。
766オマツリ・1:2007/11/15(木) 07:58:56 ID:xdO8qhmh
******
 晩秋というより、もはや初冬に近い土曜の朝。雲ひとつない青空という陳腐な表現も、その通りなんだから仕方ないと開き直ってしま
うほどの快晴。
 なのに自分は何故、ここに居るのだろう。
「お姉さまー!次あれ乗りましょうっ!ジェットコースター今なら20分待ちですって!!」
 片腕に柔らかな感触を覚えつつ、百手矢射子は引きつった笑顔を浮かべていた。
「おい一口、あまり先輩にベタベタすんなよな!」
 矢射子を挟んだ向こう側で乾一が、矢射子と腕を組む一口夕利に向け文句を言うが、一口はどこ吹く風のようだ。
「仮にも先輩は…「いいじゃない乾、お姉さまだって受験の合間の息抜きは必要よ。ね?お姉さま」
「あ…そ、そうね」
 そういう一口や乾も受験生じゃないのか。喉まで出かかったツッコミを、矢射子はぐっと飲み込んだ。

 関係のこじれた恋人、阿久津宏海との一件で塞ぎ込んでいた矢射子の元に、一口から誘いの電話が来たのは、つい2日前の事である。
気分転換に、との事で足を向けた遊園地だったが、胸に去来するのは、やはり空しさだった。
 ――そういや、宏海とはまだ、遊園地に来た事なかったっけ。…出来るなら宏海と来たかったなあ。
 ぼんやりと待ち時間に思い、溜息を吐く矢射子。
 その瞳にはいつも宿していた、凛とした光の姿は無かった。

「…ちょっと、本当に何とかなるんでしょうね」
 心ここにあらずの矢射子の後ろで、一口は更に後ろに並ぶ乾に向け、小声で囁いた。
「こっちは安骸寺にメール送ったぞ。あとは、向こうのメール待つだけだな」
 振り返る一口に、同じく囁き返す乾。
「何のんきな…」
「向こうにだって向こうの予定があるんだろうよ。――しかし」
 本当に、見てらんねーな。矢射子の背中を見て、乾はぽつりと呟いた。
 憔悴しきった矢射子の姿など、自分が一番見たくなかったものだった。けれど、今日はそれすら向き合わなければならない。
 心に受ける痛みなんて、全然気持ちよくないのに。

 ――頼むぞ阿久津。オマエじゃねーと、先輩は元に戻らねーんだからな。

 ぐっ、と目を閉じ、乾は心の中で一番頼りたくない相手に対し、祈った。
767オマツリ・2:2007/11/15(木) 07:59:51 ID:xdO8qhmh
「……」
 所変わって遊園地『DESTINY LAND』入口。
 待ち合わせにやや遅れてやって来た阿久津宏海は、門の手前で揃ったメンバーに対し、しばし驚きのまばたきを繰り返していた。
「遅いぞ宏海。どこぞのギャルゲーの如く『電車がモロ混み』だったのか?」
 まず声を掛けたのは、クラスメイト兼諸々の理由で腐れ縁の安骸寺悠だった。
「何メモリアルだよ。…いや、そうじゃなくて」
「そうよ赤毛!こんな乾いた空気の中で放置なんかされたら、アソコが切れちゃうじゃないの!」
『唇なら翠たま、さっきからリップクリーム塗ってたタマ』
 どうにも卑猥に聞こえる言葉遣いをするのは、悠の押しかけ何とか兼、妹の友人の魔法使い・地山翠。
 変わった語尾は翠の使い魔の精子(読みは『しょうこ』だ。読み違い厳禁)のものである。
「翠。…オマエはもう少しマトモな言い方覚えろ」
 そして。
「…はよ」
「…うす」
 姓は違うが、宏海の実の妹――星出伊舞。
 本来はニコニコとよく笑い、兄にじゃれつく妹ではあるのだが、今は仔細あって、互いの間には重苦しい雰囲気が漂っている。
 ぼそりと掛けられただけの声も、胸に痛い。伊舞はくるりと宏海に背を向け、翠に、早くしないと混んじゃうよー?と声を掛けた。

「悠…あまり詳しい事言わねえと思ったら、こういう事かよ」
「Wデートだ。嬉しかろう」
 はっきり言って半分強制のようなものだった。今までの宏海の痴態が収められたDVDを盾に、『遊園地に来い』と脅されたのだ。
 ちなみにこの脅迫行為は原作でも割と頻繁に行われてるので、安心である。(何が?)
「妹相手はデートとは言わん。…気を遣ったのか?」

 ここ数日、不幸の重なった宏海の様子は、無残という言葉も生ぬるい程であった。
普段人間関係に対し、冷めた目で見る悠でさえ、策を講じずに居られなかったのだろうか。
768オマツリ・3:2007/11/15(木) 08:00:29 ID:xdO8qhmh

「…なんか、悪いな」
「いや。むしろ気を遣うのはお前のほうだろう」
 チケットを切りながら、悠は携帯電話を手に取った。何かチェックしているらしいが、宏海の位置からはよく見えなかった。
「なあ、そういえば今日、太臓はどうした?」
「王子なら一緒を呼んで、蔵出しAV鑑賞会をやっている。『10時間耐久抜かずレース』だそうだ。…何だ、連れてきた方が良かったか?」
「全力で断る。――言いたくないが、『よくもありがとう』ってヤツだ」
 万年発情期のサルのようなあの変態が、今の状態でこの中に入ろうものなら、パニックに陥ること必至である。
 即答した宏海に、悠は軽く笑い、ひねてるな。と呟いた。
「礼は受け取っておこう。…では、行くぞ」

 ゲートの向こうで、翠が大きく手を振る。男二人、ゲートをくぐりつつ宏海は、今日が平穏に過ぎますように、と心の奥で祈った。

「もー、悠さんたち遅いから、ジェットコースター1時間待ちになっちゃいましたよー?」
「すまんな。とりあえず軽めのから攻めてみるか」
「いやーん悠様ったら、朝から責めるなんてダ・イ・タ・ン」
『漢字が違うタマ』
 ――悠さんたち、か。微かな言い回しの違いすら、鋭い刃になって宏海の胸を刺し貫く。
「ここからなら、メリーゴーラウンドが近いな。今なら空いてるんじゃないか?」
「あはは、でも高校生になって回転木馬って子どもっぽくないですか?」
「そうでもないぞ。いい歳した大人だって三角木「馬鹿野郎!いきなり何言いやがる!!」
 ――いかんいかん。気を抜いている場合じゃなかった。
 コイツらに話を任せて、伊舞に良からぬ知識を植え付けるわけには行かない。
「そうですよ!悠様、そんなの一般的では無いですわ!」
 珍しく、宏海の言葉を受ける形で翠が反論する。
「女の子だったらやっぱり騎乗「いいかげんにしろテメエら!!普通に遊園地の話しろよ!」

 微妙に単語が繋がっている辺りが、ツッコミの甘さを表していると言えよう。その位宏海は未だ本調子ではなかった。
 そして、そんな宏海の姿を伊舞は静かに見つめていたのだが――鈍い宏海が、視線に気付かなかったのは、いつもの事だった。
769オマツリ・4:2007/11/15(木) 08:01:30 ID:xdO8qhmh
「キャーーッ!!」ちょ、ちょっと乾、回しすぎ!!」
「まだまだっ!コーヒーカップの恐怖はここからですよ先輩!!」
 言うなり、乾は中央のボードを更に回した。
 遊園地の隠れ絶叫マシーン、コーヒーカップの醍醐味を知り尽くしたと豪語する乾は余裕の表情だが、席を同じくした矢射子や一口は
たまったものではない。矢射子のポニーテールも、一口の結った前髪も、真横にたなびいている。
「やーんお姉さまっ、クラクラしちゃいますーっ!!」
 ぽふっ、と音立てて、一口が矢射子の胸に倒れ込むのを目の当たりにし、乾の胸が鈍く疼いた。

 ――…一口は、本当はこうなる事を望んでたんだよな。
 先輩の傍に立って、先輩の声を聞いて、先輩の体に触れて。
 そりゃオレだって望んでいたけれど…一口の一途さは、オレなんかの比じゃないはずなのに。
 それでも、振り切るって言うのかよ。オマエ。

「…ほらっ、最大回転行きますよーっ!」
 ボードを回せるだけ回した矢射子達のカップは、もはや別次元の乗り物である。
「待って…あんっ!一口っ、どこ触ってんの!?」
 ――…本当に振り切る気、あるんだよな?一口。
 半ば押し倒し倒されの、青空レズビアンショー状態になってしまった二人を目に、乾の頬に脂汗が伝う。
 ポケットの中の携帯電話が震えたのは、その時だった。

「はあ…叫びすぎて喉が痛いわ…」
「乾ったら、やりすぎじゃない?…まだ頭がクラクラしてる…」
 カップから降りて、足をふらつかせる二人に背を向け、乾はこっそりさっき着いたメールをチェックする。

 ――『アラビアン機械(マシーン)冒険譚ランプ・ランプ』前にいる。適当に言って別行動させろ。

 簡潔な文は、間違いなく悠のものである。乾は一息吐くと、携帯電話のディスプレイを閉じた。
「ちょっと乾、聞いてんの?」
「えっ、あ…あー、じゃあオレ飲み物買ってきますよ。おい一口、行こうぜ」
 え?と戸惑う一口を目でうながし、腕を引く。
「遅れるようだったら適当にうろついてて下さい!!何かあったらケータイで呼んで貰えたら、飛んできますから!」
 一口を引きずりつつ、矢射子に向かって叫ぶ。
 …オレに出来るのはここまでなんだろうなあ。心中で呟き、乾は矢射子に背を向けた。
770オマツリ・5:2007/11/15(木) 08:02:21 ID:xdO8qhmh
「いっ乾、痛いよ!手離して!!」
 背中に掛けられた声に、足が止まる。
「…悪い。変な力入ってたな」
 ぱっ、と離した手をスカジャンのポケットに突っ込み、乾は、一口の顔を見ずに謝った。
「メール、来たんだ」
「ん。今近くに居るって…あとは、阿久津に会う事さえ出来れば予定通りだ」
「そっか。…え?」
 納得しかけて、一口は首を傾げた――…会う事さえ出来れば?

「乾、それって会えなかった場合のフォロー考えてる?」
「…え?」
「「……」」

 二人の間にしばし沈黙が流れ、すぐさまさっき矢射子と別れた場所に駆け込む。
 しかし、時既に遅し。そこに矢射子の姿は無かった。
「せっ、先輩消えるの早すぎます!!」
「バカそうじゃないでしょっ!早くケータイで呼びなさいよ!!」
「お、おう、そうだった」
 一口に急かされるままに、乾はポケットから携帯電話を出し、ディスプレイを開く――と、同時に『ピー』という機械音が流れた。
「…充電切れ…」
「なんで出かける前にフルにしなかったの!?」
「い、いや一口、オマエのケータイは?」
「あっそうか」
 思い出したように一口は背中のリュックを下ろし、ごそごそと探しだした。しかし、探すばかりで見つからない。コートやジーンズの
ポケットも同様だった。
「…どうしよう。充電器に差し込みっぱなしだった…」
「オマエ人の事言え…ばぱあっ!!!?」
 反論しようとした乾の頬に、速攻でビンタが飛ぶ。
「何よ何よ何よっ!!!!元々アンタが連絡役だったんじゃないの!!だったら変なトコでポカなんかやらかすんじゃないわよこのバカ犬!!!!」
 パパパパパパパパパン!!!!!!
「ああ〜〜〜〜〜〜んっ!!!!!!」
 一口痛恨の逆ギレ・スパンキン風林火犬の音とドM乾の嬌声が、デスティニーランドに響き渡った。

 …しかし矢射子の耳には、届いていなかった訳だが。
771オマツリ・6:2007/11/15(木) 08:03:27 ID:xdO8qhmh
『お客様に迷子のお知らせを致します。アイボリーのシャツに、紺の上着とズボンをお召しになられた5歳の――…』

 ――迷子放送だ。係員のよく通る声を耳にしつつ、伊舞は休憩用のベンチに腰掛け、通り過ぎる人々の姿をぼんやり眺めていた。
 土曜日の遊園地は、カップルもさることながら、やはり家族連れが多い。
 どこかで配っているのであろう、ヘリウム入りの風船を持つ子どもと、手を離さないように注意する父親、それを温かな目で見る母親
の姿が目に入り、伊舞は思わず目を細めた。
「――家族、か」
「おーい悠、買って来たぞー…あ、あれ?悠と翠は?」
 背後にいきなり掛かってきた声に、伊舞の体がびくんっと跳ねた。
「…悠さんたちなら、二人でゴーカート乗りにいったよ」
「ふ、ふーん…」
 女の子一人置いてくなよな、と愚痴をこぼしながら、宏海はそっと伊舞の隣に座り、注文のアイスクリームを渡した。
「伊舞はバニラとチョコのダブルだったな。トッピングが出来たから、ついでにチョコチップ付けといたぞ」
 目の前に差し出された2段重ねのアイスに、伊舞の目が大きく見開かれる。
「――…」
「…何だ?お前チョコチップ嫌いになったのか?」
「う、ううん」
 そんな事はない。チョコチップ(正しくはチョコスプレーだが)の付いたアイスやデザートは、子ども染みていると思いつつも、伊舞
が昔から好きなものの一つだ。
 伊舞は受け取り、黙々とアイスを食べ始めた。
「悠が別行動始めちまったんならしょうがねえよな。…オレたちも他のモン乗りに行くか?」
 自分のぶんのアイスを食べ終え、遠くを見る宏海の横顔を、伊舞はちらりと見る。
 ――普段と変わらないようで、全然違う顔だ。

 ぱりん。口の中で最後のコーンカップのかけらが砕けたと同時に、伊舞の目にある乗り物が目に入った。

「――じゃああたし、アレ乗りたい」
772オマツリ・7:2007/11/15(木) 08:04:28 ID:xdO8qhmh
 足元お気をつけて下さーい、という係員の言葉に従い、宏海と伊舞が乗り込んだのは、観覧車だった。
 かつては国内最大級などとうたわれた巨大な観覧車は、頂上に差し掛かればデスティニーランド全体は勿論、はるか遠くに離れたはず
の逢魔市さえ望める。
「久しぶりだね。観覧車乗るの」
「ん?――ん、ああ」
 伊舞の言葉に、宏海は記憶の糸を手繰る。そういや前にここの観覧車に乗ったのは、いつの事だったろう。
「…憶えてる?昔、家族みんなでここに来た時、二人でこっそり観覧車に乗ったら、コレ結構時間が掛かっちゃって、お父さんとお母さ
んがその間に帰ったらどうしようって、あたし泣き出しちゃったよね」
「――ああ」
「お兄ちゃん、あたしの手ぎゅって握りながら、父さんと母さんがオレたち置いてく訳ないだろって言ってたけど、足がくがく震えてて、
…ふふっ、あたしよりもヒドい顔してたんだよ?」
 久しぶりに見る伊舞の笑顔だ――思ったが、話の内容上、宏海はそうだっけ?とぶっきらぼうに返した。
 だが、かすかには記憶がある。

 まだ尻の青い、鼻タレ小僧だった自分と、泣き止まない妹と、どんどん高みに上っていくゴンドラと。
 そのまま帰ってこれなくなったらどうしようなんて、今から見れば馬鹿馬鹿しいような恐怖に震えてはいたけれど。
 小さな妹の手さえ握っていれば、一人じゃないから大丈夫だと信じていた。

「…あいすさんにね、昨日、聞いてみたの。お兄ちゃんに二股掛けられて悔しくないのって」
「なっ…!!?」
 無知とは、ある意味無敵と同義だ。
 もし宏海が同じ質問でもしようものなら、あの『氷の美少女』の事、そのまま絶対零度のの中で絶命させられる事請け合いであろう。
「それから、お兄ちゃんとケンカしちゃった事も――そしたらあたし、あいすさんに怒られちゃった」
「お、お怒られた?…伊舞、体のどこにも異常はないか?しもやけとか、凍傷とか」
 うろたえる宏海に、伊舞は首を傾げた。
「言葉でしもやけなんて出来ないよ?どうしたの?」
「い、いや…」
 ――それならいいんだ。と宏海は深く安堵の息を吐いた。
 伊舞は、膝に置いた指を遊ばせながら、その時の記憶をゆっくりと語り始めた。
773オマツリ・8:2007/11/15(木) 08:05:36 ID:xdO8qhmh
『…私が、宏海に二股掛けられた?――どこからそんな与太話が出るのかしら』
『で…でも、あたし見ちゃったんです!お兄ちゃんがこの前、お父さんに違う女の人…その、前の生徒会長さんを会わせてるのを。…あ
たし、お兄ちゃんがあんな人だなんて思わなかった…!!』

 昼下がりの学生食堂で、伊舞はそのままぽろぽろと泣き出した。あいすはそんな伊舞を見て、眉間に皺を寄せた。

 困惑と怒りが混じった表情のまま、こういうのを避ける為じゃ無かったのかしらあの馬鹿――と小さくこぼすと、すっ、と息を吸い、
伊舞に向けて言葉を放った。
『伊舞…本来、私の口から説明するのは筋じゃないんだけれど、それはあなたの勘違いよ。私にも当然、付き合う相手を選ぶ権利はある
のよ?何が悲しくて不良と書いてクズと読むような男と付き合わないといけないのかしら?』
 許容も無く慈悲も無く――佐渡あいすの舌鋒ここに極まれり、である。

 ――ちなみにこの時食堂外の廊下で、真白木さんどうしたんスか急に打ちひしがれて!という声が響いたのはまた別の話だ。

『あいすさん…』
『そもそも、家族を蔑ろにしたり、妹を泣かせたりする男なんて、論外よ。同じ血の繋がった人間一人守れずに、どうして他の女を幸せ
に出来るなんて思えるのかしら。傲慢極まりないわね。――まあ、もっとも矢射子元会長みたいに、それでも想い慕う人も居るのだから、
世の中は不思議なことばかりと言えるけれど』
『…相手の事、知ってたんですか?』
『何かとあってね。私や翠も、縁を取り持つのに一枚咬ませて貰ったわ。そうでもしないと元会長には、一生春なんて来ないでしょうし』
 涼やかに言い放つと、あいすはそのままストローパックの野菜ジュースを一口飲んだ。

 普段言葉少ない彼女が饒舌に語る図というのは大変珍しい。――おそらく、彼女の琴線に触れる内容だったからなのだろう。

『…っ、あたし…』
『悔やむ事はないわ伊舞。元はといえば宏海の配慮不足が原因なんだから。――けれど、アレは鈍感で、卑怯で、我を通す事が出来ない
馬鹿だけど、一応あなたのお兄さんなんでしょう?それだけは、忘れないで』

 ――家族。他人ほど隔絶されてなく、自分自身より確固でない、緩く温かな繋がり。
 間界人という特殊な素性から、血の繋がりのある存在を持たないあいすには、その響きは優しくも切ないものであった。

 泣き止まぬ伊舞にそっとハンカチを差し出すと、私からも『キツく』注意しておくわ、と言い残してあいすは席を立った。
『あのっ!』
 遠ざかろうとする背中に、伊舞は最後の質問をした。
『あいすさんとお兄ちゃんって――じゃあ、どういう関係なんですか?』
 涙でにじむ伊舞の視界の中で、あいすはゆっくり振り返った。表情はよく分からなかったが、やはり涼やかな声であいすは答えた。
774オマツリ・9:2007/11/15(木) 08:06:57 ID:xdO8qhmh
「――…何て」
 宏海の問いに伊舞はすん、と鼻を鳴らし、首を振った。
「そこまで聞くのは野暮だよ。…でも、本当そうだよね。お兄ちゃんは考えなしで、すぐ人に流されちゃうけど…それでも、
あたしには…世界に一人しか居ないっ、お兄ちゃんなんだよ、ね…ごめっ、ごめんなさ…っ!!」
 きゅっと拳を握り、耳まで赤くなりながら涙を流す伊舞の頭を、宏海はそっと撫でた。
「いや…オレの方こそ、悪かった。オマエにつまらない勘違いさせて、泣かせちまったオレが悪いんだよ」
 ――そして、アイツにも。
 脳裏に浮かぶ、ポニーテールを風になびかせる女の姿に、宏海の胸が強く痛んだ。

 アイツに会いたい。直接会って、話がしたい。

 けれど、観覧車の回転は遅く、行くべき場所へは、未だたどり着けそうにも無かった。


 人ごみの向こうから見慣れた姿を見つけ、一口は息を切らしつつ、駆け寄った。
「い、乾、居た?」
「一口…ダメだ。オレの探したところには居なかった」
 まだ頬の赤味の取れない乾が、心底悔しそうに首を振った。
「…どうしよう、安骸寺くんたちも見つからなかったし、まさかお姉さまだけじゃなくて、皆帰っちゃったんじゃ…」
 そうなれば計画は台無しである。元々、会話をする機会に恵まれない乾達と悠の間に、きちんとした計画を練る時間は無かったのだが、
それにしたって穴が多い。
「乾ゴメン、あたしがちゃんとケータイ持ってたらここまで…」
 青ざめた一口の目の端に光るものが見え、乾は痛みを堪えるように唇を噛んだ。
「…っ、そうだ!さっき通り過ぎちまったけど、ここ、展望台あるから…そこから探してみるってのはどうだ?」
 いかにも苦し紛れな策である。だが、乾はこれ以上一口が泣く姿を見たくない一心で、手を握ると、そのまま走り出した。
「えっ?ちょ、いぬ…」
「いいから走れ!」

 ――走れって、アンタ、何いきなり手なんか握るのよ!?今までそんなコトした事無いじゃない!!

 言いたいのに、口が上手く言葉を紡いでくれない。繋いだ手を離したいのか離したくないのか、一口自身戸惑いながら、人ごみの中を
二人は駆け抜けていった。

 ――…その場所を、携帯電話を見つめた矢射子が通りがかったのは、二人が走り去ってからわずか3分後の事だった。
 何ともお約束である。
775オマツリ・10:2007/11/15(木) 08:08:16 ID:xdO8qhmh

「…はぁ」
 一口も乾も、本当どこ行っちゃったんだろ…心の中で呟き、矢射子は飽きるほど見たアドレスのページを、もう一度見る。
 乾の電話からは、通話不可のアナウンスが流れ、一口の電話からは、何故か母親が出てきた。なんでも持って行くのを忘れたそうだ。
「…」
 ピッ。アドレスのカーソルを上げるのも数度やってみたが、その番号へは、未だかける勇気が出てこない。

 ――阿久津宏海。

 一時は食事の内容だの見てるTVだのといった、ささいな内容のメールだって交わせたのに、ここ一週間、メールも電話もしていない。
「…こんな事で、ダメになっちゃうのかな。あたしたち…」
 振り返ってみれば、本当に瑣末なことなのに。
 自分が付き合う前のことなんて、今の自分たちに何の関係があったのだろうか。
 ――相手の名に傷ついたのは確かだったけれど、それでも宏海は、あたしにきちんと説明しようとした。
 それを激情にまかせて耳をふさいだのは、自分の方だったのではないか。
「…」
 もしこのまま、別れてしまったら。
 この数日、何度も想像してしまう悪夢が、矢射子の胸を締め付ける。
 考えたくないのに、自分の元を去る宏海の広い背中が、脳裏から離れない。

 展望台に着いた頃には、乾も一口もすっかり肩で息をするようになっていた。
「ぜえっ、ぜえ…こ、ここからなら見える、かな」
「は、はふっ…けほっ、風邪、ぶり返したら恨むからね…」
 よたよたと歩きつつ、二人は空いている双眼鏡の前に立ち、揃って覗き込んだ。
「見える?」
「いーや…やっぱ人多いからかなあ…。あっ、あれ阿久津じゃねーか?観覧車」
 どれどれ、と一口も同じ方向を覗いて見つける。確かにあの目立つ赤髪は、宏海のものだ。
「もう一人居るね…妹さん、かな?髪同じ色だし」
 下りに差し掛かったゴンドラの動きは、あくまで緩やかで、しばらく出てくる見込みは無い。
「矢射子先輩…は…やっぱり分かり辛いな。おとなしめの格好だったし」
 たしか濃いベージュのコートに、黒のタートルネックとフレアスカートだったっけ。呟く乾を一口がキッと睨みつける。
「それを根性で見付けてこそのプティ・スールよ!心の眼で見つけなさい!!」
「…オレ男なんだけど」

 つーか、根性とプティ・スールと心眼って関係なくねーか?
 乾は思ったが黙った。――乾にしては、賢明な判断と言えるだろう。
776オマツリ・11:2007/11/15(木) 08:09:28 ID:xdO8qhmh


 ごんごんごんごん。
 観覧車の駆動音だけが響く室内で、伊舞は大きな手に頭を撫でられる感触を、くすぐったくも心地良く受け止めていた。
 昔、繋いだ時と同じ、温かな手。
 出来るならこのままでいたいけれど。
「ねえ、お兄ちゃん。…今の彼女のこと、好き?」
 目を閉じ、返事を待つ。――返って来る言葉は分かってはいたけれど。
「ああ、好きだ」
 それさえ聞けたなら、もう充分だ。
「…ふふっ、もういいよお兄ちゃん。――もう、大丈夫だから」
 小さく笑いながら、伊舞は宏海から身を離し、窓に頬をよせた。ひやりとした窓の冷たさが、今の頬に気持ちいい。
「…そうか」
 宏海も手を下ろし、窓の向こうを見る。空気が澄んでいて、随分遠くまで眺められる。

「ねえ、お兄ちゃん――あの観覧車の時の続き、憶えてる?」
「?」
 窓に顔を向けたまま、出された伊舞の問いかけに、宏海は首をひねった。
「そういや…思い出せねえな。オマエは憶えてんのか?」
「憶えてるよ。てっぺんを過ぎて、だんだん降りて行ってる時にね、二人して窓の外を覗き込んだの。――これだけ高い所に居たら、お
父さんやお母さんの姿も見えるだろうって、二人して探して…で、見つけた時、お兄ちゃんボロボロ泣き出しちゃった」

 …それは、憶えてなくて当然か。
 というより、消したくなる記憶に分類されそうだ。

 渋面を作りつつ、宏海は伊舞の向かいに座りなおし、同じように窓に顔を近付けた。
「…で、今日は何だ?悠たちでも下に居んのか?」
 あまりにも長い事窓に張り付く伊舞に尋ねてみると、伊舞は悠さんたちは居ないけど――と指差した。
 心なしか、その表情にはいたずらっぽい笑みが浮かんでいる。
「お兄ちゃんの大切な人なら、居るよ」
 こつん。
 人差し指が窓を叩く。指し示す先に目を遣り――宏海は絶句した。

 ――矢射子!?

 観覧車の真下、家族連れやらカップルやらで出来た人波にもまれるように、肩を落とした矢射子が歩いている姿が、宏海の目にもはっ
きり見えたのだ。
「な、何でアイツが…!?」
777オマツリ・12:2007/11/15(木) 08:11:10 ID:xdO8qhmh

「居た!!観覧車の真下!!」
「えっ――あっ、本当だ!!」
 二人揃って双眼鏡を占拠し、早十数分。プティ・スールの根性を見せた一口の声に乾も反応した。
「よし、オレちょっと行って先輩止めてくる!一口そこで待ってろ!!」
「えっ…」
 なんで、と尋ねようとした一口だったが、理由は単純だった。
「病み上がりのお前がこれ以上走ると、体に悪いだろーが。んじゃ、また戻るから」
 言うが早いか、乾はひらりと身を翻し、猛スピードで展望台を抜け出した。
 乾の脚力は、サイボーグ云々という馬鹿げた話を抜きにしても、全校中上位に食い込むほどの実力である。
 言葉通り、『ちょっと行って』くる程度でも、すぐに矢射子の元にたどり着けるのであろう。
 遠ざかる足音を耳に、一口は胸がきゅうっと痛む感覚に襲われた。

「ずるいよ…乾」
 ――あんたは、あたしに無いものをいっぱい持ちすぎてて、時々、胸が痛くなる。
 無意識に繰り出せる行動が、羨ましくて、嫉ましくて、悲しくなる。

 うっかり、涙をこぼしそうになり、一口はきつく唇を噛んだ。――アイツの為には泣かないと、かつて自分に言い聞かせていたから。
 一旦、ぎゅっと目を閉じ、再び双眼鏡を覗き込む。
 今、自分に出来るのは、矢射子と宏海を見守ることなのだ。
「――あれ?」

「ああっ!?」
 べたん、と窓に顔を押し付け、素っ頓狂な声を上げる伊舞につられ、宏海も同じように額を窓に付けた。
 眼下の矢射子は、相変わらず携帯電話を手にふらふらしている。
 だがそんな矢射子の近くを4、5人の男たちがうろつき出したのだ。
「矢射子!?」
「どどど、どうしようお兄ちゃん!?」
 いつもなら寄り付く男など一刀両断にしてきた矢射子だが、今回は勝手が違う。
 下手をすれば傷心に付け込まれて、そのままエロパロ的展開へと進む可能性だって、ゼロではないのだ。
 …板の性質上、そちらの方が有難いのかもしれないが。

「良いわけねえだろっ!!!!」
「お兄ちゃん誰と喋ってんの!?」

 錯乱し、あさっての方向に怒鳴る宏海に伊舞がつっこむ。
 つっこみに気を取り戻したか、宏海は、はっと息をのむとポケットをまさぐり、携帯電話を取り出した。
「…」
 今まで気のきいた会話をする自信に欠けていた宏海は、ずっと自分から連絡を取ろうとしなかった。
 ――きっと、それも仲がこじれた原因のひとつなのだろう。
 けれど、今はそんな事を言っている場合ではない。せめて、周りに気付かせるためにも。
「…っ!」
 ぐっ、と力強く宏海は発信ボタンを押した。…だが、向こうは気付くようでもない。

 プツッ。『…お掛けになった電話は、現在電波の届かない所に居るか、電源が入っておりません…』

 OH! GOD!

「電源切ったケータイ持ってんなよ!意味ねえじゃねえかっ!!」
「えええーーーーーーっ!!?」
778オマツリ・13:2007/11/15(木) 08:12:25 ID:xdO8qhmh

「くそっ、やっぱり開かねえかっ!」
 力任せにゴンドラのドアをガンガンと押しても、開くはずが無い。冷静に考えれば当たり前なのだが、切羽詰った宏海には、判別すら
ついてなかった。
 ――あと少し。あと少しで、外に出られる。
 ゆったりとした観覧車の動きが、この上なくもどかしい。宏海も、そして伊舞も歯を食いしばりながら、祈るような気持ちで一刻も早
く扉が開く瞬間を待った。

 それは、遠く展望台で双眼鏡を握り締める一口も同じだった。
「乾…お願いっ!」
 今、自由に動けて、矢射子を守ることが出来るのは、乾だけだった。

「ちょっ…すみません、通し…っ!!」
 その乾は、展望台を出たとたんに目の前に広がっていた、大きなお友達の集団に巻き込まれていた。
 運悪く、(本来は)女児向けバトルアクションアニメ・ショーの開演時間とかち合ってしまったのだ。

 無論、乾は矢射子の危機を知らない。そして一口も、乾の状況を知らない。


 ガチャガチャ。扉のカギを外し、到着したゴンドラの客を、係員がいつも通りの業務用の笑顔で迎える。
「はい、ありがとうございますー。足も…」バゴンッ!!「キャーッ!?」
 扉を蹴り破らんばかりの勢いで、内側から扉が開くと同時に凶相の男が飛び出す様は、幼児が見ればトラウマ確定の代物だっただろう。
 だが、男――宏海には係員の絶叫すら耳に入っていなかった。
 タラップを降りる足の動きがもどかしく感じる。
「クソっ…アレ、使うしかないのか…?」

 やっと地上へと降り立ち、宏海はシャツのボタンに手を掛けながら走った。
 やや遅れ、伊舞もまた、兄の背中を追った。
 同時刻、なんとか大きなお友達の中を抜け出した乾も、矢射子の元へと走り出した。

「矢射子――」
「お兄ちゃ――」
「先ぱ――」
779オマツリ・14:2007/11/15(木) 08:13:45 ID:xdO8qhmh

 ――…。
 どんっ。
「きゃっ!?」「痛っ!」
 いきなり物凄い勢いでぶつかった衝撃で、矢射子の体が大きくよろめいた。
「あいたた、スミマセ…あ、あれ?」
 尻餅をついた相手――伊舞は、相手の顔を見て、目をぱちくりさせた。
「あれ…矢射子さん、何で、ここに…」
 確か兄の背中を追って走っていたはずなのに。何でいきなり矢射子の前に居るのだろう。――ザ・ワールド?
「大丈夫?立てるかし…っ!!」
 腰を下ろしたままだった伊舞に手を差し伸べる、矢射子の表情も固まった。
 ――この娘、宏海の…。
 伊舞はそっと矢射子の手を取り、立ち上がるとありがとうございます、と声を掛けた。
「あ、あの…矢射子さん」
「なっ、何?」
 どきん。名を呼ばれ、矢射子は動揺した。――というか、何を話せばいいかわからない。
 戸惑いを隠せない矢射子の前でしばらく逡巡した後、伊舞はぐっと握り拳に力を込めると――…ごめんなさいっ、と大きな声を上げ、
矢射子に向け、頭を下げた。
「…え?」
「あ、あたしがお父さんにヘンなこと言っちゃったから、矢射子さんに誤解させちゃったの!!お兄ちゃんは全然悪くないの!」
 ぶるぶると膝を震わせながらも、伊舞は大声で矢射子に精一杯の弁明をした。
「お兄ちゃんの好きな人は、ずっとずっと矢射子さんなのっ!だから、だからっ…」

「その位にしてくれ、伊舞」

「――…!!」
 すぐ隣から聞こえる声に、矢射子の呼吸が止まる。
 ――聞き違うはずも無い、愛しい声。…けれど、首が動かない。向き合いたいのに、指一本動かせない。
「お兄ちゃん…」
「あのなー…。オレはそこまで手の掛かるガキじゃねえんだぞ。何が悲しくて妹に告白の代理させにゃなんねえんだよ」
 呆れ顔の宏海のセリフはしかし、全く説得力の無いものだった。少なくともこの一週間、廃人になっていた男の言葉とも思えない。
 それはさておき、宏海は大きく息を吐くと、隣で微動だにしない女の名を呼んだ。
「矢射子」
 名を呼ばれ、矢射子の肩がびくっとこわばる。
 ――返事しなきゃ。でもその前に息を吸って、首動かして、宏海の顔見て、宏海の…あれ?視界が暗くなっていく。

 がくん。「おわっ!?矢射子?…ちょっ、息くらいしろ!!」
 糸が切れた操り人形の如く、その場に崩れ落ちる矢射子を、宏海は慌てて抱きかかえた。
 かすれゆく意識の中、矢射子は宏海の体から微かに漂う匂いを、鼻腔の奥で感じた。

 宏海の体からは、なぜかたんぱく質の焦げた匂いがした。
780オマツリ・15:2007/11/15(木) 08:15:17 ID:xdO8qhmh

「――これで、いいんだよな」
 足元から伸びる影を見つめ歩きながら、乾は一人呟いた。

 人ごみを抜け、矢射子の危機を知った乾は、更に駆ける脚に力を込めた。
 あと少しで矢射子に辿り着く――そう確信した瞬間、矢射子は忽然と、男にまとわり着かれている状況から姿を消したのだ。

 常人ならば、何が起こったかすら分からなかっただろう。
 だが動体視力も並外れていた乾の眼は、その正体を捉えることが出来た。
 音速の壁すら打ち砕く肌色の軌跡は、矢射子を抱き上げた一瞬だけ、姿を露にした。
「…阿久津の野郎、一度ならず二度までも全裸露出プレイなんかしやがって」
 あんなのを見せ付けられて、どう足掻けというのか。文句なしの完敗だった。

 オレの出る幕はない。認めるのは辛いけれど。

 影はがっくりと肩を落としている。今の自分と同じように。――と、その先に、見覚えのある靴が目に入り、乾は顔を上げた。
「一口…」
 一口は展望台の外で、乾が戻るのを待っていた。その頬や、耳は寒さからか、紅く染まっていた。
「…見てた、か?」
「うん。乾の情けないトコ、ばーっちり」
 困ったように、笑う一口。けれど今の乾には、笑顔は作れない。
 つられるように笑ったと見せようと、無理に引きつった表情は、悲しいほどに無様だった。
「ははっ、欲出しちまったよな。…せめて最後くらいカッコ、つけようと思った…ん、どな。無…」

 ――無理だった。

 言葉は最後まで声にならず、灼けるくらい熱い涙が、喉を潰していく。
「――…っ…」
 いつか、この身もちぎれそうな痛みが、消える日が来るのだろうか。
 あの人の表情も、声も、与えられた快楽も、新しい記憶に塗りつぶされる日が。

 ぴたり。
 頬を触れられる感触に、乾は閉じていた目を開けた。
 涙でぼやけた一口が、乾の頬を、両手で包んでいたのだ。
「?何…――っ!?」
 尋ねようとした言葉は、衝撃によって塞がれた。ふにゃりとした柔らかさと、がちん、という硬質の音が同時に乾の口に伝わる。

 それは、まばたきほどの間の事だった。ジャンプした一口の足が地面に着いて手が離れ、ダッフルコートの中へと滑り込んでいくまで
の一連の動作が、まるでどこかの映画の演出のようにスローモーションで流れていく様を、乾はただ、呆然と眺めていた。
781オマツリ・16:2007/11/15(木) 08:16:39 ID:xdO8qhmh
 …え?今のって…。
「…お…お、オマエ今…「今日のっ!!」
 びくんっ。いきなり大声を出した一口に、乾の体が硬直した。
「――乾、情けなかったけど、格好よかったよ」
 一口はそれだけ言い切ると、唇を閉ざし、黙り込んだ。
 双方、顔どころか首まで赤くなっている。乾の涙は、とっくに止まっていた。

 ――…ああ、どうしようもないなあ。
 じんじんと痛む唇を一文字に閉ざしながら、一口は一人思う。
 あたしは、いつの間にか、目の前のどうしようもない男が、好きになっていたんだ。
 ライバルでも、同士でもない、一人の男として。

 雨の中で、小さな種がひっそりと芽吹くように。
 けれど弱々しい恋心の芽は、雨をその身にしみこませ、少しずつ、確実に大きく育っていた。

「…何だよオマエ…それ反則じゃねーか色々…」
 乾は力なく呟くと、へなへなと膝を崩し、その場にうずくまった。
 ――オレがどれだけ悩んで、迷って、押し込めようとしてたと思ってんだよ。
 それなのに、こんなあっさりと。しかもこんな所でキスまでするなんて。

 ああもう――オレ絶対、コイツに頭上がんねえ。

「…帰ろっか」
 一口は、膝を抱いてしゃがみ込むと、未だ衝撃から抜け出せずにいる乾に向けて言った。
 どちらも、はっきり口に出して告白したわけではない。
 けれど、二人の表情や仕草は、どんな言葉よりも明瞭に、雄弁に、互いの心情を伝え合っていた。
「…ん」

 そんな二人の姿を、突き抜けるほどの青空が、大きく包み込んでいた。
782オマツリ・17:2007/11/15(木) 08:20:56 ID:xdO8qhmh
「あちちっ」
 両手に受け取った紙コップのコーヒーが、掌に熱を伝えていく。
 伊舞は、コーヒーをこぼさないように気をつけながら、宏海と矢射子の待つベンチへと、小走りに駆けて行った。
「お兄――…」
 呼びかけて、伊舞は言葉を止めた。小走りだった足も、そろそろと慎重になっていく。

 ベンチに座る二人。
 矢射子は相変わらず気を失っていて、目を閉じたまま静かに、宏海の肩にもたれ掛かっている。
 そんな矢射子の重みをしっかり受け止めた宏海は、矢射子の伏せたまつ毛を優しい目で見つめながら、手をそっと握っていた。

「…」
 それは、自分の知っている兄とは異なる、一人の男の姿だった。
 小さい頃繋いだ、あたたかくて大きな手は、今は矢射子の手を掴んでいる。

 ――妬けちゃうなあ、もう。

 大きな手は、もう伊舞だけのものではない。けれど、それは悲しむ事ではない。
 むしろ、胸を張って誇るべき事だった。
 伊舞は紙コップのコーヒーを一口啜ると、くるりと踵を返した。
 兄には、後でメールを入れておこう。
 先に帰ると。お父さんにも伝えておくと。――あたしは、一人でも大丈夫と。

 だってあたしは、お兄ちゃんの妹なんだから。


「――む。魔力切れか。…フィナーレは飾れなかったが、まあ充分だな」
 デスティニーランド内レストラン、窓際の席に陣取った悠――いや、『俺』は記録を焼いたDVDを取り出すと、ノートパソコンの電源
を落とした。
「間界製のカメラは、魔法をかけないと使えないのが難点だが、面白いものが撮れたな。翠、感謝するぞ」
 俺はすっかりぬるくなったコーヒーを飲み干すと、目の前でぐったりする翠に声を掛けた。
 視点をザッピングする度に魔法を行使するのだから、随分難儀はしただろう。
「れ…ぜえぜえ…礼なら、体で支払ってくだされば結構ですわ…悠様」
『翠たま、その発言はオッサンというよりVシネマタマ』
 使い魔の精子が呆れ顔でつっこむ。だが、翠の言葉も一理ある。

「ふむ、10時間耐久レースの方も、まだ時間に余裕があるしな。――俺は構わんぞ。その体で支払う礼、今からでも一括で払おうか」
「悠様!!?」『悠たま!?』
783オマツリ・18:2007/11/15(木) 08:21:58 ID:xdO8qhmh
「間界製カメラのレンタル料もお前に立て替えて貰っているままだし、大体ここはエロパロ板だ。――ここまで何の濡れ場も無いという
のは、この寒い中待つ者に申し訳ないだろう。全裸で」
「ぜっ、ぜぜ全裸ァァ!?」
『翠たま、セリフの妙な違和感はどうでもいいタマか?』
 精子のつっこみも、ハイテンションMAXの翠には届いていないらしい。
 さっきまでの疲れはどこへやら、鼻息荒く立ち上がると、さあイきましょう!ホテルでもトイレでも、何なら青空の下でもと、と場所
に全くそぐわない単語を並べ立てた。
 大声と、ハデに倒した椅子の音に、店内の客が振り返るが、すぐに視線を戻す。魔法や能力を使っているわけではない。
 ただ、『見てはならないもの』と判断されたのみである。賢明だな、と俺は思った。

「いきり立つのはいいが、店の備品は壊すなよ。椅子も戻しておけ」
 ディパックのジッパーを閉めつつ、俺は翠をたしなめた。
「んもう、悠様ったら落ち着いちゃって…悠様がいきり立たせるのはアソコだけなんですね。素敵」
『ハートマークがお見せできないのが残念タマ』
 言いながら、倒れた椅子を戻そうとしたその時――翠の手が、ぴたり、と止まった。
「どうした?」
 翠は、手早く椅子を戻すと、いっけなーいと頭を軽く叩いた。
「悠様、お気持ちは嬉しいのですが…その、丁度始まっちゃいまして…また、今度にしていただけますか?」
 もじもじと頬を染めつつ、翠は後ずさる。よく分かっていない精子は疑問符を掲げているが、俺も説明する気は無い。
「あっ、あの、今日は楽しかったです!それじゃ、股!!」
『翠たま!?何があったタマか?あと一文字おかしいタマよーっ!!?』
 こんな時にもつっこみを忘れないというのは、流石だな。
 俺はダッシュで遠ざかる翠と精子の姿に目を遣り、次いで窓の外を見た。

 人ごみの中でも目立つ赤い髪の少女が、出口に向かって走っている。――きっと、少しだけ目を潤ませながら。
 翠はその背中を追い掛けるだろう。呼び止めて、唯一の女友達の涙を、そっと受け止めるだろう。

 ――無論、それは俺の勝手な想像に過ぎない。ただ、そうあればいいと思っただけのこと。

 頬杖をつき、景色を眺める。ガラス窓一枚を隔てた空はまだ青く、その中を小さな風船が、ぷかりと暢気に浮かんでいた。
784オマツリ・19:2007/11/15(木) 08:22:50 ID:xdO8qhmh
******
 音の無い暗闇であたしは、一人だった。家族も、友人も、愛しい人も、居ない世界。
 怖くて、悲しいはずなのに、何故かあたしは平気だった。
 温かな熱に包まれている、片方の手さえあれば、大丈夫だと思っていた。

 ――ぼうっと、目の前に、見覚えのある赤色が浮かび、遠ざかる。
 待って、あたしはまだ。
 行かないで。
 宏――

「――海」

 自分の声で目が覚めた。初冬の遊園地であたしは、さっき脈絡の無い夢に見た遠ざかる赤色の正体が、空に浮かぶ風船だと気付いた。
 そして、片手を包む、熱の正体も。
「――起きたか」
 声に、だんだん意識がはっきりしていく。…そうか、あたし、宏海の前で、気を失っちゃったんだ。
「…またやっちゃったね」
 自然な姿で宏海に接したいのに、どうしてこうなっちゃうんだろう。頭を起こし、小さくぼやく。
 いつもそうだ。ここぞという時に鼻血を噴いたり、気を失ったり…女の子らしくない。
「気にすんな。それもまた、アンタだろ。…オレだって、結構ひでえコトやらかしてる」
 きゅ、と手を握る力が、強くなる。――宏海はいつも、優しい。あたしがどんなに酷い事をしていても、こうして、包み込んでくれる。

 優しくて、温かくて…涙が出る。

「――…っ」
「…ごめんな、矢射子。オレがもっとちゃんとしていれば、アンタを泣かせずに済んだのに」
 謝る宏海に、首を振る。…違う、違う。あたしが――言いたいのに、言葉が声にならない。

 あたしが、もっと宏海のことをちゃんと分かっていれば、こんなに好きな人を困らせずに済んだのに。

「こんな、情けないヤツが恋人で、いいのか?」
「…いい、に決まってるじゃないっ。宏海、こ、そ…あたしで、いいの?」
 涙声で、分かりづらい言葉だったと思う。けれど、宏海はちゃんとあたしの目を見て、大きく頷いてくれた。
 繋いだ手を引き寄せ、ベンチの上で抱き合う形になる。
 …どきん。
 も、もしかしてこれって――この流れだと…。
 顎に、宏海の手が添えられる。…やっぱりキス、だ。予測し、あたしは目を閉じた。
 頬に軽く息がかかり、あと少しで唇が重なろうとした時――。
785オマツリ・ラスト:2007/11/15(木) 08:23:58 ID:xdO8qhmh
 ム゛ーーッ、ム゛ーーッ。

 携帯電話のバイブ音という予期せぬ闖入者に、甘いムードはぶち壊された。
 …イヤ何かしら邪魔がくると思ってたわよォォォーーーッ!あたしたちそんなの慣れっこですものオホホホ!!
 体を離し、お互い背を向きながら、あたしはこっそり血の涙を流した。

「そ、そういや、矢射子オマエ、誰と来たんだ?」
 ぱこん、とディスプレイを閉じながら、宏海が尋ねる言葉に、はっとなる。
「あ…一口と乾、結局どうしたんだろ…」
 よく考えたら、はぐれてそのままだった。自分の携帯電話を出し電源を入れると、公衆電話からの留守番メッセージが1件入っていた。

 ピー…『お姉さま、ケータイ繋がらなくてすみません。お先に失礼します。阿久津くんと仲良く…先輩!もしまた泣かされたら、オレ
がぶん殴っておきmばっ!?…乾ウルサイってば!!それじゃお幸せに!』…プツッ。

「…」
 ちょっと、お幸せにって何よ一口。ヘンな想像しちゃうじゃない。
「どうした、矢射子。なんか顔赤くなってるけど」
「べ、別に…先帰ったって電話が入ってて…宏海のほうは?」
「ああ、伊舞からメールが来て…こっちも先帰るってさ」
「…」
「…」
 どうにもぎこちない。さっきまでの雰囲気が嘘みたいだ。留守電のメッセージで、余計に意識しちゃってるからかしら。
「えーと…矢射子、まだ時間あるか?」
「え。…うん」
 あたしの返事に宏海はそっか、と一人呟くとベンチから立ち上がり、じゃあ何か乗りに行くか、と手を差し伸べながら言った。
「立てるか?」
「あ、ありがと…」
 あたしはそっと、宏海の手を掴む。瞬間、強い力で引っ張られ、あたしの頭は、宏海の胸元へと寄せられた。

 ――…好きだ、矢射子。

 宏海の鼓動と共に聞こえた言葉は、きっと、空耳なんかじゃない。
 赤くなった顔を、振り向こうとさえしないあたしの恋人は、手を繋いだまま日の傾いた遊園地へと足を向けた。
786オマツリの人:2007/11/15(木) 08:37:17 ID:xdO8qhmh
…以上です。エロなし長文、すみませんでしたああっ!!
あと、王道詰め合わせ展開は、個人的趣味です。(言い切った)
長々とお付き合いして下さった方々、本当にありがとうございます。

それと一読み手として、他の神職人様方の作品の続きも大変気になってますので、
次スレがその内立てられることを祈ってます。
では、失礼します。
787名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 21:42:34 ID:zmpmSqf/
超乙です!
またもや泣かされた…神だ、神がここにいる。
もて王本編では叶わなかった夢がここにはある。

翠のやさしさが最後、胸に沁みました。
また投下、待ってます!
788名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 21:53:10 ID:e+CV3JUy
ああああ
金曜日で疲れ切った心に染み渡るすー
789名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 20:06:07 ID:QorTnQVJ
ブラボォーーーーーー!!!
790名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 00:32:10 ID:7DsGN2Dg
乙乙乙!!!
最高でした!
791名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 05:56:41 ID:iVGH1yn3
乙&GJ!!!!!
さらっと身体で一括払いOKな悠が男前すぐるw
792名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 02:43:48 ID:sSXlxoO5
久々に来たらこんな神が…!
明日早いのにイヌイチから一気に読み込んじゃったよ。
乙&GJでした、またの投下をお待ちしています!
793名無しさん@ピンキー
いつの間にかすばらしきネ申が!!!

っっ頼みますイヌイチ完全なるエロ頼みます
土下座しますんで!!