1 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :
2 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 06:56:20.03 ID:G/3V9WOY
というかごめんなさい、自分が投下しすぎて前スレは容量オーバーになってしまいました
もうさすがに誰も見てないと思うけど投下させてやって下さい
3 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 06:57:51.20 ID:G/3V9WOY
―ガラッ。
「新谷さ―んっ!事件です!怪異の事件で―す!」
「…あ、小此木さん」
「…お、小此木、またか?
こないだの旧校舎の怨霊といい、なんか最近、また事件が転がり込んでくるようになったな」
「はい!しかも今回は定番中の定番!『怪異あかマント』です!」
「…アカマント…?」
「あれ?霧江さん知らないんですか?霧江さんなのに」
「なっ!?バ、バカ言え!知ってるに決まってるだろそんなの!あかマント!あかマントだよな!よく知ってるさ!」
「…知らないんですね…。まあ、それの説明も含めて、話を聞かせてくれるかな小此木さん」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…で、新谷。そういうお前は知ってるのか?あかマント」
「ものすごい定番の学校の怪談ですよ。トイレで…」
「あ―っ!ちょっと待て!
………………よし、大丈夫!どっからでも来い!」
「…なんでそんなに身構えるんですか…。
あかマントというのはですね、学校のトイレの個室で用を足していると、どこからともなく
『赤いマントと青いマントどっちがいい?』っていう声が聞こえてくるという怪異です。
…でいいんだよね?小此木さん」
「はい。それで赤いマントって答えると、天井から降ってきたナイフが背中に刺さって、
背中を血まみれにしながら死んでしまうそうです。
…まるで、赤いマントを羽織っているかのように」
「………。
あ、青いマントって答えるとどうなるんだ?」
「全身の血を抜かれて、真っ青になって死んじゃうとか」
「結局どっちも死んじゃうんじゃないかぁ―――――――ッ!!」
「いや、そりゃ、怪談ってそういうものですから…」
「全国的に有名な話みたいですねー。
わたしが初めて聞いた時は、マントじゃなくてちゃんちゃんこだったんですけど」
「色んな話があるよね、これ。赤と青は動脈と静脈を表してるとか…」
「お前ら…詳しいな…」
「有名ですからね。…でも小此木さん、それがこの学校に『出た』の?」
「はい。最近、中等部の一年生の間で話題になってるようですね」
「は、はは、な、なんだ、中坊のタワ言か」
「自分も中学生でしょ、霧江さん…」
「なんでもその噂によると、この学園のどこかに『赤マントの個室』なるものがあるトイレが存在するそうです」
「…………………………」
「…ん?どうした新谷」
「…いえ、ちょっと苦い思い出が頭をよぎっちゃって…」
「え!?ひょっとして新谷さん、心当たりがあるんですか!?」
「あ、いや、あかマントとは関係ないんだ。気にしないで」
「…?ヘンな奴だな」
「い、いや、まあ…。
…それで小此木さん、その個室って他に情報はないの?」
「すみません、残念ながら…。男子用か女子用かもあやふやでして」
「そっか…」
「なんか、事件って割にはぼんやりしてるな。別に被害者が出たとかじゃないんだろ」
「それがですね…。あんまり一年生の間でその噂が流行っちゃって、
学校のトイレを極端に怖がる子が出てきちゃったんですよ」
「はああ?」
「お漏らししそうになっても、頑なにトイレに行かない子とか…。先生方も結構困ってるみたいでして」
4 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 06:58:26.74 ID:G/3V9WOY
「はっ!情けない!いい歳して満足にトイレにも行けないとか、腰抜けにも程がある!」
「…同属嫌悪ですか?」
「うるさいっ!!」
「…まあ、でも、そうですね。そういうことなら、さっそく今日から始めましょうか」
「……え、なんだ始めるって」
「え?もちろんトイレの探索です」
「はああっ!?」
「情報がないなら、しらみ潰しに探すしかないでしょう」
「おおっ!さすが新谷さん!体当たりで怪異調査ですね!」
「ちょっ!待てよ!トイレだぞ!?しかも実害がないに等しいんだぞ!?」
「え、でも怖がる子が…」
「そんなん実害の内に入るか―――ッ!!」
「異次元十三階段を探す時だって、しらみ潰しだったじゃないですか」
「だから!しらみ潰しなのが問題なんじゃなくて!
大した実害もないのに学園中のトイレ巡りするとか…なんか…その…なんて言うか…。
ちょ、ちょっとヘンタイっぽいだろ!」
「?…そうですか?
でもトイレに行けなくなるって、ヘタな心霊騒ぎよりも深刻だと思いますよ?」
「う…そ、それは…」
「まあ、不安を払拭するという意味でも、やってみる価値はあると思います。
霧江さんは一年生の間じゃ結構な有名人ですから、その霧江さんが調査したとあれば
それだけで安心する子もいるんじゃないですか?」
「お、お、おお…?そ、そうか!そうだよな!
いやー、そんな頼りにされると困るなー!はっはっは!」
「じゃあ決まりですね!わたし、新聞部で取材の準備してきますから、また後ほど!」
「あ、うん。また後でね小此木さん」
ガラッ。ぴしゃんっ。
たったったったったっ…。
「……」
「……」
「…で?夕子。お前はどう思うんだ?」
『どうにもこうにも…。正直、ちょっと今更感があるかな』
「…やっぱり、夕子さんは何度もあかマントの噂を聞いたりしてるんですか?」
「まあ、確かに何度か聞いたことはあるけど。
でも、今年の春に調査した口裂け女とは違って、周期があるってわけじゃないのよね」
「周期…?」
「口裂け女はね、流行り廃りがあるの。
一定期間ごとにブームみたいなものがあって、忘れた頃にまた噂が流行ったりするのよ」
「お前は忘れてばっかだろ」
「今はそんなことありませんー」
「そっか…。滝岡さんも、妹さんと同じくらいの年頃に噂の当事者になってたわけですもんね。
…でも、なんで口裂け女とあかマントでは、流行り方に違いがあるんでしょうね?」
「ほら、あかマントって話の性質的に、出現する時は死人が出る時じゃない?だからリアリティがないのよね。
噂って無責任なものだから、例えば『この学校にあかマントが出たんだって!』って話を振っても、
『じゃあなんで死んだ人とかが発表されないの?』って返されたら、そこで終わっちゃうでしょ?
話を振った人が無責任ではいられないのよ。だから、現在進行形の噂としては成り立ちづらいと思うの」
「なるほど…。その点、口裂け女の話は逃げ道がありますもんね」
「そうね…。
あと、口裂け女は校外に出没するって設定だから、適度に距離が離れてるのが気安く話せる要因なのかもね」
「あかマントは漠然と『いる』って噂だけで、
いつ出没した、とかそういう具体的な噂には発展しづらい、ってことですか…」
「お前と一緒だな、夕子」
5 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 06:59:28.09 ID:G/3V9WOY
「…………………………」
「うわ、じょ、冗談だって。そんな睨むなよ…」
「う〜ん…。でも、だったら尚更、なぜ今になって急に噂が流行りだしたんでしょう?」
「そこなんだよね…。だからあの子の話を聞いてる時、『なんで今更』って感じたんだけど」
「誰かお調子者の一年生が、あることないこと言いふらしたんじゃないのか?」
「それは実際、可能性が高いと思う。この学園はこんな構造だから、
トイレがどこにいくつあるかなんて分かったものじゃないし。
そのどこかにそういう個室があるなんて噂、いたずら者が考えそうなことだわ」
「いたずら者、ねえ…。
………………」
「ちょ!?なんでそこでわたしを凝視するのよ!?わたしはそんな物騒な噂を広めたりしないってば!」
「呪い石には名前書かれちゃいましたけどね、僕…」
「うっ…。
いや、あれはホラ、貞一くんだからこそって言うか、愛情表現の一種って言うか…」
「…しかし、ほんとにそんな得体の知れない噂をアテにしてトイレ巡りするのか?
雲を掴むような話だぞ」
「ん〜…。確かに気の遠くなる作業ですけど。
ただ、さっきも言ったように、この噂の問題は一年生の間で軽いパニックを起こしてるって点ですから
そこさえ落ち着くようにやって見せることが大事なんじゃないかと」
「やって見せる?」
「あなたが自ら調査したっていう、事実さえ一年生に広まればいいってことじゃない?美少女退魔師さん」
「…お願いだから、その呼び方はやめてくれ…」
「そういうことですね。僕も正直、ほんとにそんな個室があるとは思ってませんから」
「…新谷…。お前、なんか夕子に似てきたな…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…にしても、個室っていうと…んふふ、あの時のこと思い出すね」
「あの時?」
「………」
「あら、あなたも知ってるはずじゃない?
わたし、とある男の子にね、トイレの個室にまで押しかけられちゃったことがあるの」
「…あ?ああ…。あの時のことか?」
「………………」
「しかもわざわざ女装してまで、よ?」
「ああ、サイッテーだな」
「女装は霧江さんの陰謀じゃないですか―――ッ!」
「ほんとにイヤならそもそも着替えなかっただろ。
わたしだってお前の策略で夕子の服を着させられたことがあるんだから、おあいこだ」
「うっ…」
「ねえ?情欲たぎる青少年が、うら若き乙女の花摘みに押し掛けるなんて。これはもう、決定的だよね〜?
どうやって責任取ってくれるのか、わたし、ずっと楽しみにしてるんだけどな〜?」
「ううっ…」
「………『うら若き』ってのは、ちょっと引っ掛かるが…。
…て言うか新谷、それでさっきお前、個室と聞いてなんかヘンな反応してたのか」
「…はい…」
「しかし、夕子…。なんでまたお前も律儀に噂になってる個室を使ってたんだ?」
「う〜ん、あそこが噂になってるなんて、そもそも知らなかったのよ。
出入りするとこ見られちゃったらまずいから、なるべく人気が少ない同じトイレを使うようにしてたってだけで…。
でも裏目に出ちゃったっみたいね」
「痴漢にも遭ったしな」
「ねー」
「そんな時だけ意気投合しないでくださいっ!!」
「…ところで、今回はほんとに心当たりないんだな?夕子」
「だからないってば。噂も広めてないし、あかマントのフリなんかもしてない。
それに、用を足してる人を怖がらせるなんてひどいマネ、さすがにしないわ」
「人が一番無防備な瞬間ですからね…。それに付け入るのは、さすがにちょっと」
「そうね。
まあ、わたしは付け入られたって言うか、押しかけられたけどね〜」
「…もうカンベンして下さい…」
6 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 07:00:26.44 ID:G/3V9WOY
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…なあ、新谷…」
「…なんですか?霧江さん…」
「調査するのはいいんだけどな…。
…なんでどしょっぱつからここなんだ?」
「…夕子さんが、どうせならここからがいいって…。
て言うか、霧江さんが面白がって話を引っ張るから、夕子さんもこうやって悪ノリするんですよ…」
「…すまん…」
「新谷さん、ここってもしかして、『トイレの夕子さん』の噂があったトイレですか?」
「あ、うん…。小此木さんもやっぱり覚えてるんだ」
「それはもう!あの時の新谷さん、正直…その、可愛かったので…。
…きゃっ」
「…………………」
「にしても、なんでここ…第四校舎って、怖い噂が絶えないんでしょうね〜?」
「誰かさんがしょっちゅうヒマ潰しに来てるみたいだからな…」
「え?」
「なんでもない。こっちの話だ」
「…じゃあ、とりあえず僕は男子トイレの方を調べるから、
小此木さんと霧江さんは女子トイレの方をお願いできるかな」
「えっ」
「えっ」
「…え?え?なに二人とも。その心外そうな反応は」
「いや、てっきり新谷も女子トイレを調べるものとばかり…」
「………。
…言っておきますけど、今回は絶っ対、女装とかしませんからね」
「………しないんですか………?わたしもてっきり…」
「ちょ、小此木さんまでなに言ってるの!?」
「…新谷、カタいこと言うなよ。
お前は既に前科持ちなんだから、今更女子トイレ破りの罪状が一回増えたって変わりゃしないって」
「だからっ!それは元はと言えば霧江さんが首謀者だったでしょっ!?」
「あーはいはい。つまんないヤツだな。…じゃあ小此木、テキトーに調べてちゃっちゃと済ますか」
「…ちゃんと調べてくださいよ?」
「…新谷さん…。わたし、いつでも待ってますからね?」
「…いや…。待たなくていいよ、小此木さん…」
7 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 07:00:57.17 ID:G/3V9WOY
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「それじゃ、とりあえず中に入るぞ」
「あ、はい。じゃあまた後で」
「ああ。
…って、ちょっ!?」
「えっ?」
「………」
「えっ?えっ?どうしたんですか?霧江さん。新谷さんの方になにかあるんですか?」
「ちょ、おま、ゆう………あ、いや、その…」
「?」
「………霧江さん。とにかく今はトイレに入りましょう」
「いや!いやいや!だって新谷、お前、それ…!」
「こっちはこっちで説得しますから…。とにかく霧江さんと小此木さんはトイレに入ってください」
「おまっ…新谷!なんでおま、お前、そんなに落ち着いてるんだよ!?おかしいだろっ!?」
「いや、まあ、その…」
「???」
「まさか新谷、お前…そういうの初めてじゃないとか言わないよな!?」
「あ〜〜〜…」
「なにが『あ〜〜〜』だ!初めてじゃないんだな!?そうなんだなっ!?」
「霧江さ〜ん…?新谷さんが初めてじゃないって、何のことですかぁ〜…?」
「じゃ、じゃあ小此木さん、僕先に入るね」
「あ、はい…」
ガララッ…。
「おい!新谷!まだ話は終わってないぞ!こら!待て新谷!待てってば!!
このっ………新谷のどヘンタイ―――っ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…てーいちくーん?誰もいない?」
「はい、いないみたいです」
「そっか。じゃあ入ってもオッケーだね」
ガララッ…ぴしゃんっ。
「…いや…。オッケーどころか問題だらけですよ、夕子さん…」
「なんで?貞一くんと男子トイレに入るの初めてじゃないでしょ?あの子の言うとおりじゃない」
「今までは深夜とか人気のない時でしたけど、今回はよりによって霧江さんの目の前ですよ…。
戻ったら何を言われるか…。ただでさえ最近変態扱いされてばっかなのに…」
「んん〜?んふふっ。の割には、今回は随分と積極的にわたしを連れ込んじゃってくれたね?」
「それは、小此木さんがいるとこで霧江さんと押し問答しても、ラチが明かないからですよ。
でも、次からはちゃんと女子トイレの調査に回って下さいね?」
「ふふふ。貞一くんが女装して、いっしょに入ってくれるならいいよ?」
「…夕子さんまで…」
8 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 07:02:00.28 ID:G/3V9WOY
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…当然ですけど、なにも異常ありませんね」
「…」
「ほんとに調べ尽くす気はないとは言え、さすがに無謀だったかな…。
この学園って、トイレいくつあるんでしょうね?」
「……」
「…夕子さん?」
「へっ!?あ、う、うん、そうだねっ!?」
「…夕子さん…。以前も食い入るように見てましたけど、そんなに物珍しいですか?
…小便器…」
「いや、まあ…。だって、女の子の生活範囲には普通ないものじゃない?」
「そりゃそうですけど。
僕が言うのもなんですけど、そんなに小便器を凝視してると、その…。なんか変態っぽいですよ」
「うっ…。エッチで変態呼ばわりされるのは構わないけど、それはちょっとショックだわ…」
「いや、それもどうかと思うんですけど」
「でも、まあ、その…。ある意味わたしのお仲間だし…ねえ?」
「え」
「まあ、もちろんわたしは、貞一くんにしか『しーしー』させたことないけど?」
「…」
「ね〜?わたしの『小便器』に、いつもしーしーしまくってくれちゃってるもんね〜?」
「ゆ、夕子さん…」
「んふふ。…ねえ、久しぶりに、『トイレ』で『トイレ』使っちゃう?」
「………。
夕子さん、最初からこれが目的で付いて来ましたね?」
「貞一くんこそ。ズボンの前がもう盛り上がってるように見えるけど?」
「へ!?あ、いや!これは…」
「…もしかして貞一くん、わたしが小便器を観察してるとこ見て、興奮しちゃった?」
「う…」
「図星か。
…んん〜?おかしーなー。わたし今さっき、誰かさんにそれを変態っぽいって咎められたのに、
その誰かさん自身は内心、それ見てコーフンしちゃってたんだ?」
「うぅっ…」
「それってちょっとひどくない?って言うか、どっちが変態さんだか…」
「…ごめんなさい…」
「んふ。悪いと思ってるなら、お願い聞いて欲しいな〜」
「………。
エッチですか?」
「もちろん、それもあるけどね。
…わたし、以前から興味があったの。…小便器」
「…それは知ってます…。ていうか、今まさにその話をしてたんじゃないですか」
「うん。だから、その…。
…使ってるところを、ね?」
「………………………………は…………………………………?」
「いや…だって、その…。モノに興味を持ったら、次は使ってるとこを見てみたいと思うのは、自然でしょ?」
「……………………………………………」
「うわっ…。やだ、貞一くん、すっごい呆れ顔…」
「あたりまえでしょっ!!?」
「ね?ね?いいでしょ?わたしと貞一くんの仲じゃない!
わたしたち、もう夫婦も同然…ううん、それ以上の仲だよね!?」
「いいわけないでしょっ!て言うか夕子さん!最近いくらなんでも変態すぎますっ!」
「変態じゃないもん!大好きな人のことを知りつくしたいと思うのは、自然なことじゃないっ!
貞一くんがわたしの過去を知りたいって一生懸命だったのと、何が違うの!?」
「…え、えぇえ〜…?そこでその話に繋げちゃうんですか…?」
「ね?お願い。わたし、貞一くんのことならなんだって知りたい。
小便器だって、それ自体に興味があるって言うより、貞一くんのだからこそ見たいの」
9 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 07:02:40.51 ID:G/3V9WOY
「…。
夕子さん、なんかいじらしい感じに言ってますけど、懇願の内容はどうしようもないです…」
「お尻の穴ぐりぐりされてイっちゃうよりは恥ずかしくないでしょ?」
「その話はやめてくださいっ!
…ああっもう!わかった!わかりましたよっ!」
「やったぁっ♪てーいちくん超愛してるぅっ♪」
「…女装、犬のコスプレときて、今度はおしっこしてるとこ見られるなんて…。
…僕、まだ中学生なのに、こんな変態プレイばっかして大丈夫なのかな…」
「だいじょーぶっ。将来貞一くんの性癖が歪んじゃっても、わたしがぜーんぶ受け止めてあげるからっ!」
「…………………………………」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
カチャカチャ。
ジイィっ。
「………」
「………」
「…どうしたの?貞一くん。早く出して?」
「いや、その、やっぱり恥ずかしくて…」
「…ヘンな貞一くん。今までだってさんざん見せてもらってるじゃない」
「エッチする時と排泄する時とじゃ、気分が全然違いますよ…」
「もーっ。男の子でしょ?いい加減観念しなさい!
じゃないと、わたしが力ずくで引っぱり出しちゃうよ?」
「あーっ!わかりましたからっ!今出しますってば!」
ぐっ…。
ぶるるんっ!!
「わおっ!」
「……うぅう〜〜〜…っ」
「すごっ…。もう、ビンっビン…」
「そ、そんなまじまじ見ないでくださいよぉ…」
「おくちでする時だって、いつもこれくらい見てるじゃない」
「だからエッチの時と排泄の時じゃ違うんですってば!!って言うか顔近すぎ!!」
「…ああ…。
それにしても、ほんっと、何度見ても、やらしーカタチしてるなぁ…」
「話を聞いて下さい…。て言うか、こんな場所で見とれないで下さい…」
「ごつごつしてて、そり返ってて、血管浮き出てて…。
こんなのでこじ開けられたら、そりゃ幽霊だろうが破瓜するよ」
「………」
「…じゃ、さっそくお願いね♪」
「………………」
「…貞一くん?」
「…夕子さん…。その、とても言いづらいんですけど…」
「うん?」
「男というのはですね、その、一度勃っちゃうと、ちょっと排泄しづらくて…。」
「え゛っ」
「女の夕子さんからしてみると、不思議かも知れませんけど」
「そ、そうなの?」
「はい…」
「な、なんか意外ね。射精は勃たないとできないのに、おしっこは勃ってるとできないんだ?」
「できないわけじゃないんですけど、出づらいんですよ。
…あと、こんな状態でこんな説明しなきゃならないなんて、そろそろ僕の羞恥心が限界です…」
「ん〜…。それでもいいから、見せてくれないかな〜…」
「…やっぱりそうきますか…」
10 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 19:03:22.56 ID:G/3V9WOY
「ごめんね。お願い♪」
「謝るくらいなら、最初からこんなお願いしないでくださいよ〜…。
…………………………んっ」
ち………。
「あ…」
「〜〜〜…っ」
ちょろ、ちょろろっ…。
「お、おぉおっ?」
ちょろろろ…っ。
ぴちゃ。ぴちゃちゃっ。
「うっ、うわ―!うわ――!うわ―――!!」
「んんっ…」
ちょろっ…。
ぴちゃっ…。
「…あらら?」
「………」
ち………。
「え、もう終わり?」
「だから、出づらいんですってば。あと、その線香花火みたいな感想やめて下さい」
「む〜〜〜…。
…貞一くん、こっち向いて?」
「え」
「…おくちでヌいてあげる」
「はあぁっ!?」
「だって、小さくしないと出しづらいんでしょ?だったら先にもう一つの方を出しちゃわないと」
「いやいやいや!ちょ、クチって!よりによって!」
「だって、貞一くんがこのままこっち向いてくれればすぐデキるじゃない。
ほら、そっちの小便器にしーしーする前に、まずこっちの専用小便器にしーしーさせてあげるから」
「夕子さん、カンベンして下さいよ!少しとは言え、おしっこ出したばかりですよ!?」
「うん?わたしは構わないよ?」
「僕が構うんですってば!」
「む〜…。わたしは貞一くんなら、汚いことなんてなにもないんだけどな〜…。
だいたい、いつもだって必ずしもお風呂でキレイにしてからエッチするわけじゃないじゃない?」
「そ、そうですけど…。て言うか、そういえば夕子さん…。
いつも僕がトイレに行った後エッチすると、妙に興奮してますよね?」
「………………」
「………。
まさか夕子さん、それ自体が目的で…」
がしっ!
「ひッ!?」
ぐいぃっ!
11 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 19:05:42.39 ID:G/3V9WOY
「うわ、ちょ、ゆうこさんっ!?」
「いーでしょ別に!!好きになっちゃったらね、その人のものはなんだって好きになっちゃうものなのっ!!
だから、わたしが大好きな貞一くんのそういうのに興奮するのも普通!ノーマルっ!
貞一くんだって分かるはずよっ!!」
「ひっ、開き直らないでくださいぃっ!!」
「ほら!いーから大人しくしなさいっ!」
「やめてーっ!夕子さんにクチで犯されるーっ!」
「人聞きの悪いこと言うんじゃないのっ!!
…んんっ!」
がポっ。
「あうう…っ!!」
「ふっ、ん゛んっ…。も゛っ、も゛っ」
がポっ。がポっ。
「あっ…、あっ、あっ、ゆ、ゆぅ、こさ…おぉっ!?」
ずぢゅるるるるるるるるるるるるるっ。
「ん゛っ、んん゛ん゛んんんん゛っ…。
…ふむ゛ぅっ、ふも゛っ、ふも゛っ!」
がポっ。がポっ。がポっ。
「あっ…あぁああぁ…っ。いっ、いつもっよりぃっ、おっ!…すっ、すいついてくるぅうっ…」
「も゛っ、も゛っ、も゛っ、も゛っ、も゛っ、も゛っ、も゛っ、も゛っ、も゛っ」
がポっ。がポっ。がポっ。がポっ。がポっ。がポっ。がポっ。がポっ。がポっ。
「あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…」
「も゛っ、ふも゛っ、ん゛も゛っ、んも゛ぉっ、んん゛っ、んっんっん゛っん゛っ」
がっぽ。がっぽ。がっぽ。がっぽ。がっぽ。がっぽ。がっぽ。がっぽ。がっぽ。
「あっ!あっあっ!
…あ―――――――――!」
―びゅるるっ!びゅるるるるるっ!!
「ん゛っも゛ぉっ!?」
「おっ!おっ!おっ!」
びゅるるるっ!びゅ―――――!びゅるるるるるるるっ!
「うぉっ!うおぉっ!」
びゅっ!ぶびゅっ!びゅびゅびゅっ!
「ふっ…ん゛んんんん゛っ!!」
ぢゅるるるるるるっ!
「ひいぃっ!?」
「ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…ん゛っ…」
ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。ごきゅっ。
12 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/23(金) 19:11:19.25 ID:G/3V9WOY
「あっ…、あっ…、あっ…、ひっ、ひさしっぶりのぉ、おぉっ、ば、バキュームぅぅ…。
す、すいつくされるうぅう…」
「んん゛っ…」
ごきゅんっ…。
「んっ…ぷはぁっ!」
ぢゅるんっ!
「あふぅっ!」
「ぷふぅっ………。けふっ」
「…ゆ、夕子さんっ…」
「んんっ。……んふふっ。しょっぱぁいっ♪くっさぁいっ♪」
「〜〜〜!」
「イ・カ・くっ・さぁ・いっ♪」
「…うぅう〜〜〜…」
「あぁ…っ、てーいちくぅんっ、これやばいよぉっ。わたし、病み付きになっちゃうかもぉ…」
「か、カンベンしてくださいよっ!?」
「だってえぇ〜〜〜…。なんか『後始末』させられてるみたいで、すっ…ごい興奮するんだものぉっ…」
「………………」
「なんて言うかね、貞一くんにね、汚されてるって言うか、征服されてるって言うか。
とにかく、自分がすごく貞一くんの『もの』になった実感がして、すっごいゾクゾクきちゃったよぉ」
「征服って言うか…。好き放題されたのは、どちらかと言うと僕の方だと思うんですけど…」
以前だったら、趣味の合う人からの絶賛が得られるはずなのにここ何年かの2ちゃんは反応が薄いよね。
読む人も相当少なくなったか、別のサイトに行ってしまったのか。
ということで変わらぬ愛情を夕子に注ぐ、いつもの人、乙!
14 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/26(月) 18:30:55.60 ID:YXP6kYE0
>>13 ありがたやありがたや…。
また読んでくれる方がいるとは。
15 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/26(月) 18:32:04.67 ID:YXP6kYE0
「まー、それはそれ。…じゃあ、改めてお願いね♪」
「…やっぱり続けなきゃいけませんか…」
「何言ってるの貞一くん。元々それが目的だったでしょ?」
「ですよね―…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ん…んっ」
ちゅ。ちゅっ。
「…」
「んむっ…ちゅっ」
ちゅ。ぢゅるっ。
「………っ」
「んっんっんっ」
ぢゅっ、ぢゅるるるっ。
「〜〜〜…っ!」
「ぷふぅっ…。ん〜…っ」
「ちょっと夕子さんっ!すぐ真横でやらしい仕草しないで下さいよっ!」
「しょーがないじゃない。
貞一くんがたんまりとブッ放してくれちゃったもんだから、飲みきれずに顔にひっかかっちゃったんだもん。
こうやって舐め取らないと…んんっ」
「そ、そうですけどぉ〜…。何もよりによって、その…。出そうとしてるすぐ真横でやらなくても…」
「ここが一番間近で見られるんだから当然でしょ。
…ささ、わたしのことはお気になさらず、どーんとやっちゃって!」
「いや、そこだと飛沫が顔にかかっちゃうかも…」
「うん?別に構わないよ?」
「………。
あ―――っ!も―――っ!」
…じょろっ…。
「おっ…」
じょろろろっ…。
「おおっ!」
「んんっ…」
じょろろろっ………。
…じょおおぉおぉぉおおおぉっ!
「おっ!?お、おおおおおっ!?」
「んんんんっ!」
じょぼっ!じょっ!じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼっ!!
「へっ!?うっ…うわわわっ!な、なにこのいきお………うわ――!うわ――!うわ―――っ!」
じょぼぼぼぼぼぼぼっ!じょぼっ!じょぼぼっ!!
「う…うわ〜〜〜〜〜…っ」
「ふ…んんっ」
16 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/26(月) 18:33:26.40 ID:YXP6kYE0
じょぼぼっ、じょぼっ…。
「あ…あ……」
じょぉおぉっ…。
「……………………………」
「………………ふうぅっ」
じょ………。
「……………」
「ふう………。
……………ほ、ほらっ、さして面白いものじゃなかったでしょっ?」
「……………お」
「…『お』?」
「お…音だけで妊娠しちゃうかと思ったぁ…」
「なっ!?な、な、何てこと言うんですかっ!?」
「男の子って、いつもあんな豪快な音立てながらおしっこするんだ…。やらしすぎだよぉ」
「いやらしいのは夕子さんの方でしょっ!?」
「なんかね、貞一くんの豪快な音がね、わたしの赤ちゃんの部屋にね、すっ…ごい響いてきたの。
…し、しかも、あ、ああ、あんな凶悪な『滝』みたいな………。
………あ、ああ、あああああ」
「え、ちょ、夕子さん?」
「てーいちくんっ、おまんこ便器にしてえぇ」
「はい!?」
「わたしもおまんこにじょぼじょぼされたいよぉっ」
「い、いや、でも…」
「ね?ね?いいでしょ?おまんこ。おまんこして。おまんこ」
「そ、そそ、そんなに連呼しないで下さい!」
「ね〜。ね〜。わたしこのままじゃ、その小便器にヤキモチ妬いちゃうよ〜。
イヤでしょ、小便器にヤキモチ妬くような恋人なんて〜」
「…ダメだ、夕子さん、完全におかしくなってる…」
「あんなの見たらおかしくもなるよ〜。ね〜ね〜。おまんこ便所しよ―よ―」
「あ―っ!分かりましたからっ!そんなに連呼しないで下さいってば!」
「やった―♪」
「と、取り敢えず、個室の方に行きましょう。誰か入ってきたら、僕がマズいですから…」
「うんっ♪うんうんうんっ♪」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「奥の方も洋式か。まあ、座位ならやりやすい…ってうわっ!?」
がばっ!
「ね〜、てーいちくぅんっ、はやくハメハメしよ―よぉっ」
「ちょ、分かってますから、抱き付かないで!」
「ん〜っ、ハメハメ〜」
「あーもー、まず座らせて下さいっ」
ぎしぃっ…。
「…ああぁんっ、もうおっ勃ててるぅぅっ」
「…おしっこしてるすぐ横で、夕子さんみたいなキレイな人が自分の精液をちゅぱちゅぱしてたら
そりゃ、誰だってこうなりますよ…。
…ほら、このままこっちにお尻を向けて、僕の股間の上に腰を落として下さい」
「言われてなくてもそうするよぉっ、んふふふふふっ♪」
17 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/26(月) 18:34:20.65 ID:YXP6kYE0
ぎしっ。
ぐちゅっ。にちっ…。
「…ん?うわっ!夕子さん、何ですかこれっ!?」
つ―――…。
ぽた。ぽたたっ。
「えへへぇ。てーいちくんのおしっこ見てたら、こんなになっちゃった」
「ぐちょぐちょじゃないですか…。触ってもいないのにここまで濡れてるの、初めてじゃ…」
「それだけてーいちくんのおしっこがエロいってことだよぉ」
「いや、エロいのはどう考えても夕子さんのほ…おぉっ!?」
ぐちゅっ…。
ぬぼぼぼぼぼっ!
「おおぅっ!」
「んオォっ!」
ずぱんっ!
ぶちゅんっ!
「あぉっ!」
「ほンっ!」
ぐちゅ…ちゅ…っ。
「…うっ…わぁ…。いつもより濡れてるから、もうヌルヌルのグチョグチョ…おぉおっ!?」
ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!
ぬぬっ!ぬぶっ!ぬぼっ!ぶちゅっ!ぶぶっ!ぶぽっ!ぶぽっ!ぶぼっ!ぶぼぼっ!
「おっ!おっ!おっ!おっ!おっ!おっ!おっ!おっ!おっ!」
「ちょ…ゆうこさっ…おぉっ!い、いきなりとばしすぎ…おっおっ!」
ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!
ぶポっ!ぶポっ!ぶボっ!ぶボボっ!ぼぼぼっ!ぼっぼっぼっ!
「あぁっ、ちっ、ちんぽっ、ちんぽっ、ちんぽっ、ちんぽっ、ちんぽっ、ちんぽっ、てーいちくんのちんぽおぉっ」
「ちょっ…ゲヒンすぎっ…そんなに下品にされたらぁっ…」
ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!
ぬぼっ!ぶぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!
「おおっ!おっオっ!しっ、しあわせっ、ちんぽでっおっおっ!しあわせぇぇっ、んオォオっ!
てーいちくんのちんぽでしあわせぇえぇぇっ!おっおっおっおっおっ!」
「む、無理!こんなの無理っ!ゆうこさんっ、もうでちゃ………あっ!あっあっ!
…あ―――――っ!」
18 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/26(月) 18:35:12.06 ID:YXP6kYE0
…ぶびゅびゅびゅびゅっ!!ぶびいぃぃいっ!!
「ふん゛んんん゛ッ!?ふっん゛ん゛っ!!」
「あうぅっ………おっおっ!お―――っ!」
ぶびゅ!ぶびびっ!ぶびいぃぃっ!!
「ふん゛っ!ふん゛ん゛っ!ふん゛っふん゛ン゛っ!!」
「あうぅぅっ!あっあっ!」
ぶび―――――――――………ッ!!
「お゛っ!?んお゛ォ―――――――――………ッ!」
「あ―――――――…っ」
ぶび。び。びゅ。ぶびゅ。ぶびゅ。びゅ。びゅぶぶぶっ。
「お゛っ、お゛、お゛っ、んおっ、おおっ、おっ、んオォっ」
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」
ぶびびっ。
「んほォっ!」
「ふんんっ!」
び………。
「……………………へぇえ…」
「…っは!はぁっ、はぁっ、はぁっ、…はぁあぁっ…」
「………………………」
「………………………」
「…しゃ、しゃせえで、こっ、ころされるかとおもったあぁ…っ」
「…こ、こっちのセリフですよぉ…。なんですか、あの、下品な腰使いはぁっ…」
「あ〜〜〜…。て、てーいちくんのおちんぽ、もっ、ほしくてほしくてしょーがなくてぇ、
思わずお尻がモチつき機みたいになっちゃったあぁぁ…」
「モチつき機どころじゃないですよぉ。爆撃機ですよ、あんなのぉ…」
「てーくちくんこそなによぉ、いまのお下劣なしゃせーはぁ」
「え…」
「ぶびびびっ!…って、あきらかにいつもよりゲヒンな音たててたじゃないのぉ」
「い、いや…」
「な、なんか、ほんとにじぶんがベンキになっちゃったかとおもうくらい、お下品なしゃせーだったぁ…」
「ご、ごめんないさい…。な、なんか…なんだかんだで、僕もすごい興奮しちゃってたみたいです…」
「いいよぉ。てーいちくんにコーフンしてもらえて、わたし、すごくうれしーよぉ」
19 :
名無しさん@ピンキー:2014/05/27(火) 22:51:58.15 ID:j9MhGxgg
恥じらいは何処へ...
20 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/27(火) 23:16:30.50 ID:iBgsj7B9
>>19 うっ・・・。面目ない。
どうせならエロいの書きたいと思って、でも貞一くんが紳士な手前、
どうしても夕子さんがお下品になっちゃってですね・・・。
やっぱりこの二人はもっと綺麗なエッチの方がいいのかなあ。
あ、でも読んでくれてありがとうございます!
21 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:29:51.86 ID:zqJuWPTj
「夕子さん…。
…それで、あの…これから、どう…うおぉっ!?」
ぬぼぼっ!
ぶぴぴっ!
「んおぉっ…。もっ、もひろん、このまんま、おまんこぞっこーだよぉ」
「んっ!…で、ですよねっ…」
「なによぉ、てーいちくんはしたくないのぉ?」
「………」
ずんっ!
ぶぴっ!
「んほォっ!?」
「僕もっ、今日は…っ、夕子さんに辱められた仕返ししたくて、うずうずしてますからっ!」
ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ!
ぶっ!ぶぴっ!ぶびっ!ぶびびっ!ぶぽっ!ぶぽんっ!ぶっぽんっ!ぶっぽんっ!!
「おっ!おっ!おっおっおっ!ざっ、ザーメンんんっ、おまんこのなかで、かきまぜられてっ、
ヘンなおとでてるぅぅっ!」
「夕子さんだって…ふっ!さんざん僕の恥ずかしい音を聞いたんですからっ…くぅっ!
今度は夕子さんが恥ずかしい音を立てる番ですっ!!」
ぬっ!ぬぬっ!ぬぬぬっ!ぬっぬっぬっ!
ぼっ。ぶぽっ。ぶぽぽっ。ぶぼぼぼっ。
「んおおォっ、おっおっ、な、なんかっ、わ、わらひのおっおっおっおっおっ、おっ、おまんこでっ、
かっ、火山がふんかしてるみた…あっあっあっあっあっ」
「もうっ…一回噴火しちゃいましたけどねっ…ふんんっ!」
ぬぽっ!ぬぽっ!ぬっぽ!ぬっぽ!ぬっぽん!ぬっぽん!ぬっぽんっ!
ぶびゅ!ぶびゅ!ぶりゅりゅ!ぶびびっ!ぶぴぴっ!ぶりゅりゅりゅりゅっ!
「おおっ、おっ、おっおっおっ!おっ、おまんこっ、おまんこっ、おまんこっ、おまんこっ、おまんこっ、
おまんこしあわせっ、わたしっしあわせぇぇっ、ていいちくんのちんぽでしあわせぇぇえっ!」
「ちょ…もうっ、連呼しちゃダメですってばぁっ…うぁぁあっ!」
「てってーいちくんのちんぽっ、ちんぽっ、ちんぽ火山からぁぁっ、
ザーメンマグマどびゅどびゅしてもらえてしあわせっ!
おまんこベンキにザーメンションベンしてもらえてしあわせぇぇっ!!」
「うぐっ…!
…あっ、あっあっあっ!もっ、きょっ、今日はどうしたんですかっ!?
いつもやらしーけどっ、今日はいくらなんでも下品すぎっ…おっおっおおっ!!」
ぶぼっ!ぼぼっ!ぼっぼっぼっ!ぶりゅっ!ぶりゅりゅりゅっ!ぬりゅりゅりゅりゅっ!ぬぬぬぬぬっ!!
「ああっ、しっ、しあわせっ、しあわせっしあわせっしあわせぇぇっ、
しあわせがっ、しあわせがてーいちくんのエロちんぽからつぎあげてっきてぇっ、
わたしのおまんこにぐりぐりねじこまれてくるぅっ!!」
22 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:32:15.71 ID:zqJuWPTj
「〜〜〜…っ!も、もうっ…もうっ、もうぅ…っ。
…うぉおっ!おっおっ!!」
ぶびゅるるるるるるるるっ!
「んっほォ!!…ッほ!!」
「あぅぅうっ!うおォっ!」
びゅるるるるっ!びゅるるるるるるっ!
「んおぉぉっ、ふっ、ふんかきたっ…ふん゛ん゛んん゛っ!!」
「〜〜〜…!!…うぅう〜〜〜…!!」
びゅびゅ!びゅびゅびゅっ!びゅ―――――――――…っ!!
「ああ゛っ、あ゛っあっ、あ゛―――――――――…っ」
「な…なんか…三発目なのにぜんぜん…おぅっ!」
ぶびぃぃいっ!
「ほンっ!!」
「ふっ!うぅっ…」
びゅるるっ!ぶびゅ!ぶびゅ!ぶびびっ!
「あひっ!ひっ、ひぃいっ!あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、
しあわせすぎておっおっ!しあわせすぎてばかにな゛る゛ぅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…!」
『きゃあああぁああぁぁぁあぁあああぁぁぁっ!!』
《バタンッ!!タタタタタッ…!》
「へっ!?」
「…んへぇえっ?」
『あっ!?お、おいっ!?』
『へっ?な、なになにっ?なにごとですかっ?』
《タッタッタッ…》
「な、なに?これ…霧江さんと小此木さんの声?」
「………はへぇぇえ…」
『…おーいっ!新谷!いるんだよな?新谷!ちょっと出てこい!』
『新谷さーんっ!出てきてくださーい!』
「ええっ!?ちょ、今言われても…。夕子さん、夕子さんっ?」
「…えへへっ、えへへへへへへっ。わらひっ、しゃーわせぇぇ…」
「…完全にだめになってる…」
『…霧江さん、新谷さんの携帯に掛ければいいんじゃないですか?』
『あ?ああ、そ、そっか!』
「へっ!?ちょっ!まっ、待ってくださいよぉっ!今行きますから―――っ!!」
23 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:33:10.61 ID:zqJuWPTj
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「一体何事ですか?いきなり悲鳴が聞こえたんですけど…」
「ああ、やっぱりお前た…お前の方でも聞こえたのか」
「それがですね…。
わたしたちが女子トイレの調査を開始した後、他の女子が入ってきて個室を使っていたんですけど…。
その子が急に悲鳴を上げたかと思うと、いきなり個室を飛び出していったんですよ…」
「ええぇっ?」
「そいつが使ってた個室をちらっと見たけど、別に異常がある感じではなかったよ」
「い、一体何が…」
「…はっ!?まさか、あかマントが出現したんじゃ…!!」
「はぁっ!?わ、ばばばバカ言え!そそそんなことあるわけないだろ!バカ言え小此木!バカ言え!」
「…そんなにバカバカ言わなくてもいいじゃないですかぁ〜…。霧江さん、ひどいっ…」
「…う〜〜〜ん…?
………………………」
「だだだ、だいたい、おおお前、アレだぞ?あの個室だって直前にわたしたちが調べたろ!」
「………………………」
「そうですけどぉ〜…。でも、じゃあなんであの子、逃げていったんでしょうね?」
「…その人って、中等部の子でした?」
「…へ?い、いや…どうだっけ?小此木」
「え?あ―…。
そう言えば、あの子の服って中等部のだったような…。この第四校舎って高等棟なのに」
「第四校舎は人の通りが多いからな。ゴミ出しのルートだし、手前にグラウンドもあるから、
中等部の生徒でも普通に校舎内に寄ったりしてるぞ」
「学年とか分かる?」
「さすがに学年までは…。でも、ちょっと幼い感じの子…だったので、一年じゃないですかね〜…」
「…って言うか、よく見てるな、小此木…」
「こう見えても新聞部の部長ですから!観察力には自信があります!」
「新谷が下級生だってのはしばらく気づかなかったくせに…」
「うっ…。そ、それだけ新谷さんは頼りがいがあるってことですっ!」
「まあ、そういうことにしといてやるよ。
…でも新谷、なんでそんなこと聞くんだ?」
「………………………」
「………新谷さん?」
「…ごめん、小此木さん。先に部室に戻っててくれるかな?」
「えっ?」
「新谷…?」
「ちょっと、霧江さんと二人で調べたいことがあるんだ。すぐに戻るから」
「え、は、はい…」
「…?」
「ごめんね。ほんとにすぐに戻るから」
「じゃ、じゃあ、わたし、記事を書く準備してますね!あ!あと、お茶も淹れておきます!」
「あ、うん。ありがとう」
「じゃあ、また後ほど!」
たったったったったっ…。
「………」
「………」
「…さて、霧江さん。僕の推測ですけど…」
「おい」
「…はい?」
「その前にもっと言うべきことがあるだろ」
「えっ」
「すっとぼけるな!それ!そいつ!
さっきからヘラヘラしながらお前の肩に覆いかぶさってる、そのおんぶオバケみたいなヤツ!」
『えへへっ。えへへへぇ。わたし、しゃーわせぇぇ…』
24 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:35:13.90 ID:zqJuWPTj
「いや、その、これは…」
「て言うか、なんでそんなにラリってんだ夕子は!?…お前ら、まさかまた…!」
「いや〜…その〜…」
「えへへへっ。噴火らいしゅき〜…」
「おまっ…新谷!元はと言えば、お前が今回の調査を決行したんだぞ!?
なのに、わたしと小此木がまじめに調査してるすぐ隣で、お前ら〜〜〜…!」
「………ごめんなさい…。ほんとにごめんなさい…」
「へへへ〜…。おトイレ噴火ぁ〜〜〜…」
「つか何だよトイレ噴火って!?なんかよく分からんが、すごい卑猥な感じするぞそのフレーズ!」
「あ、あのですね霧江さん、お怒りはごもっともなんですけど、まず僕の話を聞いてくれませんか?」
「…ったく!後でこの件はじっくり追及するからな!」
「…はい…」
「へへへぇぇ」
「…で?なんだ推測って」
「さっき逃げていった女子って、一番奥の個室を使ってませんでした?」
「うん?ああ、そういやそうだったような…」
「…ふ〜〜〜ん…」
「おい、なんだよ新谷?さっきから妙な質問ばっかして。もったいぶらずにちゃんと説明してくれ」
「その子…多分、夕子さんの『声』が聞こえちゃったんじゃないかと…」
「は?」
「えへへっ、てーいちくぅんっ」
「え〜…はっきり言ってしまいますけど、僕と夕子さんは、その、霧江さんの言う通り、
…エッチなことしてました」
「なっ!お、おまっ、開き直る気か!?」
「いや、そうじゃなくてですね…。
…だから、その…。霧江さんにも聞こえてたんじゃないですか?…『声』」
「いっ!?」
「………」
「ん〜っ、てーいちく〜んっ」
「…ああ!そ、そうだよっ!聞こえてたよ!夕子の下品なあえぎ声な!
…大変だったんだぞっ!小此木には聞こえないからいいものの、
あいつの前で平静を装いながらトイレ調べるの!」
「ほんとすみません…。でも、つまり、ここのトイレって、
男子用と女子用とでお互い声が聞こえやすいってことですよね?」
「え」
「だから、その逃げていった子にも、夕子さんのあえぎ声が筒抜けだったんじゃないかと…」
「お、おい。夕子の声はお前とわたし以外には聞こえないはずだろ?」
「もちろん普通はそうです。普通は」
「………?」
「…霧江さん。さっき小此木さんが、あかマントの噂が広まりすぎて
一年生の間で軽くパニックを起こしてるって言ってたの覚えてますよね?」
「あ、ああ」
「それって裏を返せば、現在一年生の間では
学年単位で夕子さんを見やすくなる下地ができてるってことだと思うんです」
「!」
「…もし、例えば…その一年生の中でも特に怖がりな子が、日が沈み始めてる放課後、慣れない高等棟の校舎で
トイレを利用せざるを得なくなったら、どうなると思います?」
「…見えそうだな、夕子のこと」
「はい。…もちろん、本来の夕子さんとはほど遠い姿で。…そして声も」
「………。
…え、おい、つまりそれって…」
「…あんまり、この結論に辿り着きたくなかったんですけどね…」
「………。
…つまり、何だ、新谷。お前はこう言いたいわけか?
『男子トイレでやらしいことしてたら、
たまたま反対側の女子トイレであかマントにビビりながら用を足してた一年生が、
夕子のあえぎ声をあかマントの声として聞いてしまった』…と」
25 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:36:28.25 ID:zqJuWPTj
「………………………誠に遺憾ながら………………………」
「うふふふふっ。てーいちくんっ、だーいすきっ♪」
「………………………………」
「………………………………」
「…なんか、重ね重ねすみません…」
「………怒る気力も湧かないわ………」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「小此木にはどう説明するんだよ、こんなの…。言っておくけど、わたしは絶対イヤだからな」
「分かってますってば。…とにかく、霧江さんが調査したっていう事実を、記事で広めてもらうしかないですね。
第三新聞部は怪談専門ですから、今なら一年生も興味を持ってくれる子が多いでしょうし」
「もう、あなたが退治したってことにすればいいんじゃない?美少女退魔師さん」
「ヒトゴトみたいに言うな―――――っ!結局今回もお前が元凶だったろうが―――――っ!!」
「知ーらないっ。て言うか、貞一くんがエロすぎるのが悪いんだもーん」
「ちょっ!?夕子さんっ!?」
「だって!幸薄い幽霊の前に、ある日突然、可愛くてステキな王子さまが舞い降りたんだよ?
しかも、禁断の果実をどっさりとたずさえて!
一口でもかじろうものなら、もうあの頃には戻れない。『幸せ』という名の禁断の麻薬!
ああっ!なんて罪な人!」
「………………」
「………………」
「…だから、幸せあまってやらかしちゃっても、それはわたしのせいじゃない。
わたしにこんなこと教えちゃった王子さまが悪いの。ねえ?」
「何が『ねえ?』だ!いや新谷も悪い!悪いが……!」
「…あの〜…、すみません。ちょっといいですか?」
「何だ新谷!」
「この件、まだ解決してないと思うんですけど…」
「えっ」
「えっ」
「今回はたまたま、その、夕子さんのそういう声が、
噂を怖がってる生徒にねじ曲がって聞こえちゃったってだけでですね、
そもそもなんで噂が広まっちゃったのかっていう…」
「あっ…」
「…ん〜…。そっちも何となく想像できるかな…」
「えっ?夕子さん、何か心当たりがあるんですか?」
「…貞一くん。わたしたちって、今まで何回おトイレでエッチしたか覚えてる?」
「なっ!?」
「…あ、今日のは除いてね」
「ちょ、夕子さん!?いくら何でも、霧江さんの前で!」
「お・ぼ・え・て・る?」
「………………。
………ご、五回くらい………でしたっけ?」
「七回だよ。なーなーかーいっ。
最初は六月の下旬ね」
「………………お前ら〜〜〜………………」
「…ごめんなさい…」
「あの時は深夜だったしおクチだけだったけど、その後は下校時間とかに、普通にエッチしてたでしょ?
つまり…」
「…噂を浸透させて回っていたのは、他ならぬ僕たちだと…」
「………………」
「どうもわたしも貞一くんも、おトイレでエッチすると、いつもより興奮しちゃうみたいだからね〜…。
人気のない時を見計らってたつもりだったけど、さすがに女子トイレ側までは警戒してなかったわ」
「………………」
「で、でも、それならやっぱり、最初にあかマントの噂が広まっちゃった原因が別にあるんじゃないですか?
あかマントを強く意識してなきゃ、夕子さんの声もそういう風に聞こえないわけですから…」
26 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:37:21.07 ID:zqJuWPTj
「う〜〜〜ん…。さすがにそこまで遡ろうとすると、仮定に仮定を重ねるような話になっちゃうからな〜…。
最初にトイレでわたしの声を聞いた子が、たまたま個人的にあかマントを怖がってただけかも知れないし、
さっき言ってたみたいに、いたずら好きの誰かが、あることないこと広めただけかも知れないし…。
とにかく、憶測しだすとキリがないよ」
「…そうですね…」
「…ま!拡散した要因さえ分かれば解決したようなものだから、オッケーってことで!
これからはおトイレでエッチする時は、もっと声を抑えてしよーね、貞一くんっ」
「トイレでのエッチ自体を控えるつもりはないんですね…。
って言うか、声を抑えなきゃいけないのは夕子さんの方ですからね?」
「んふふふふふっ♪貞一くんが指か唇でわたしのおクチを塞いでくれてもいーんだよっ?」
「………善処します………」
「………………。
………………もうやだ、こいつら………………」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ガララっ。
「帰ったぞー。小此木いるかー?」
「あ、おかえりなさーい。お茶とばかうま用意しときましたよー」
「…なんか庚先輩と小此木部長って、夫婦みたいっスね…」
「…あれ?三原くん。怪異調査部に来るなんて久しぶりだね」
「あ、新谷さんどうも。まあ、お隣っスから」
「…そうだね…。
…あ、それで、小此木さん、調査の件なんだけどね…」
「…あ!そうそう!それがですね新谷さん!あかマントの件で、三原くんが新情報を仕入れてきたんですよ!」
「え?新情報?」
「ああ、そうなんスよ。そもそもあかマントの噂が一年生の間で流行った原因なんスけど…」
「!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「どうも、新しく流行ったんじゃなくて、引き摺っただけみたいでして…」
「…『引き摺った』?」
「ええ。ほら、ウチはマンモス校だから、色んな小学校から新入生が来るじゃないスか。
その小学校のうち一つで、どうも直前まであかマントの噂が大流行してたらしくて」
「…!」
「つまり、その小学校から進学してきた新入生が、その噂を誠教にも持ち込んだってことか?」
「ええ。…まあ、あくまできっかけ程度だと思うんスけどね」
「………………」
「………………」
「…あのさ、三原くん。その小学校の名前って…」
「あ〜〜〜…。確か滝…滝谷小学校…だったかな」
「………………………………やっぱあいつの所か………………………………」
「え、新谷さんと庚先輩、心当たりがあるんスか?」
「今年の四月ごろ、口裂け女の調査をしたんだけどね…。その噂が流行ってたのも、その小学校だったんだよ…」
「……あ―――っ!そっか!そうでした!」
「なんだ小此木、忘れてたのか。
…にしても、ロクでもないとこだな。前年度まであかマントが流行ってて、新年度になったら口裂け女って…」
「なんかスゴそうな所ですねー。是非今度、みんなで調査に行きましょう!」
「…カンベンしてくれ…」
「でも、しょせんその滝谷からの新入生なんて、全体の一割にも満たないでしょうからね。
噂が本格的に拡散したきっかけは何なんスかね?」
「………」
「………あ―………。その件なんだけどね…」
「何のことはない。『トイレの夕子』を新入生が誤解しただけさ」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
『えっ!?』
27 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:37:57.62 ID:zqJuWPTj
「あの後、新谷と第四校舎で聞き込みしてたんだけどな。
さっき調べてた女子トイレ、夕子が出るって噂になってた個室があったろ?
どうも、その個室がそのあかマントの噂とごっちゃになって
『あかマントの個室』って噂になっちゃったらしくてな」
「ちょ、ちょっと霧江さん!?」
ごっ。
「いたッ!?」
「さっき逃げてった一年も、大方あのトイレにその個室があるってことを思い出して、
恐怖に耐えられなくなって逃げ出したんだろう」
「な、なるほど…」
「あの短時間でそこまで調べ上げるとは…。新谷さんも霧江さんもさすがです!」
「い、いや、小此木さん、あれはね…」
がっ。
「あいたっ!?」
「まーったく、夕子はほんっと、どこまでいっても人騒がせなヤツだよなー?
まーあかマントと混同されるようなヤツじゃ仕方ないかー。なー新谷ー?そうだよなーっ?」
「………………」
『………………』
「だいたいさーっ、ユーレーがさー、トイレなんかいくなってんだよなーっ。
なにやってたんだよトイレでさーっ。ホンっト、ナ・ニ・を!やってんだよトイレでさーっ。
そういうのジゴージトクっていうんだよなーっ。だよなーっ、にーやーっ?」
「………………………………」
『………………………………』
「じゃあ、わたしと三原くんはさっそく新聞部に戻って、この事を記事に起こしますね!」
「ああ。分からないことがあったらまた聞きにきてくれ」
「はい、是非!三原くん、行くよ!」
「あ、はい。…じゃあ新谷さん、失礼します」
「…え?あ、ああ、うん…」
ガラガラガラ…。ピシャンっ。
「………………………………………………」
『………………………………………………』
「………………」
「…き、霧江さん…」
「なんだ?なんか文句あるのか?」
「いや、その…」
「言っとくが、わたしはお前たちの愚行の尻拭いをしてやったんだからな。
感謝されこそすれ、ケチつけられる謂れはないぞ」
「うっ…」
「………わたし、あかマント………」
「い、いや夕子さん!別に夕子さんがあかマントなわけじゃないですからね!?」
「………あかマント………マント………」
「…ま、これに懲りたら、校内でのいかがわしい行為はしばらく自重するんだな」
「…はい…」
「…じゃあ、わたしはちょっとおばあちゃんの所に行ってくるから、後頼む」
「え?理事長の所へですか?」
「ああ。
…最初はああ言ったけど、どうもほんとに騒ぎになりかねないくらい怖がってるヤツもいるみたいだし、
あんまり噂が拡散するようなら、おばあちゃんにも動いてもらわなくちゃならないかもだからな。
夕子の存在を踏まえて相談できるのは、おばあちゃんだけだし」
「…すみません…」
28 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:38:40.02 ID:zqJuWPTj
「ふふ。今日は謝ってばかりだな、新谷。
お前らのどヘンタイっぷりにはウンザリだけど、そうやって平謝りするお前が見られるのは悪くない…かな?」
「………」
「小此木が来たら、携帯に掛けるように言ってくれ。…じゃあな」
「あ、はい…」
ガララッ…。ピシャンッ。
「………」
「………あかマント………」
「まだ言ってるんですか?夕子さん…」
「だって、さすがにショックだよぉ〜…。
イメージ改善に成功したそばから、あかマントとごっちゃにされるなんて…。うぅう…」
「まあ、今回ばかりは霧江さんが正しいですから、仕方ないですね。僕も悪ノリしちゃいましたし」
「………よりによって、あかマント………」
「………。
………夕子さん」
「………ふぇ?」
んっ…。
「………んむっ!?」
「んっ…んんっ…。
………ぷふぅっ」
「…ぷはっ!…て、貞一くんっ?」
「…さっき、約束しましたからね。声が漏れそうになったら、こうやって唇で塞ぐって」
「貞一くん…」
「その…。さっき夕子さんに言われた通り、何だかんだで僕も、すごい興奮しちゃってたんで…。
なので、またトイレでしたくなったら、今みたいに口を塞ぎながらしてあげますから。
…ですから、元気出して下さい」
「………!!」
「あ!でも、もちろん霧江さんには内緒…うわぶッ!?」
がばっ!
ガタタンッ!
「いまっ!今がいいっ!!」
「はぁっ!?」
「今すぐおトイレ行ってシよっ?ねっねっ?」
「い、いや、さすがに今日はちょっと!
…って言うか!さっきあんなにしたばっかじゃないですかっ!?」
「しょーがないじゃないっ!
今の貞一くんの言葉、またわたしの赤ちゃんの部屋に『ずどんっ!』てきちゃったんだもんっ!」
「え、ええ〜…?」
「ね?ね?いこ?おトイレいこっ?」
「いや、ちょっと夕子さ」
「だいじょーぶっ。さっき貞一くんに恥ずかしい思いさせちゃったお詫びに、
今度はわたしのすっ…ごい恥ずかしいとこ見せてあげちゃうっ♪」
「えぇえっ!?」
「ね?ね?見たいでしょ?おしっこなんかより、もっととっておきの恥ずかしいとこ見せてあげるからぁっ。
ねっねっ?」
「………じゃ、じゃあ、塔に行きましょう。あ、あそこの上の方なら、一年生もあまり来ないでしょうから…」
「うんっ♪うんうんっ♪うんうんうんっ♪」
「ゆ、夕子さんのおしっこより恥ずかしいとこ…。
……ごきゅっ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
29 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/29(木) 23:58:37.92 ID:zqJuWPTj
「だからっ!ホントに聞いたのっ!ホンっトなんだってば!」
「…秋穂…。アンタこないだまで、心霊現象否定派じゃなかったっけ?」
「そーそー。特に口裂け女の話なんかしようものなら、烈火の如く怒ってたのに…」
「しょーがいないでしょホントに聞いたんだから!あれは絶対あかマントの声だってば!」
「じゃあ、なんでアンタ生きてんのよ…」
「そーそー。真っ赤になって死ぬか、真っ青になって死ぬかしかないんでしょ?」
「うっ…そ、それは…。
…た、たぶん、素早く逃げたからよ!」
「もー、カンベンしてよ。ただでさえわたしら一年、あっちもこっちもあかマントの噂だらけなのに。
まさかアンタまで騒ぎ出すとは思わなかったわ」
「そーそー。もーみんなおかしくなってんじゃないの?」
「うっ…。い、いいもん!今に庚先輩が白黒つけてくれるから!」
「出た。カノエセンパイ。アンタいい加減、あんな胡散臭い人を慕うのやめなさいよ」
「そーそ………ん?」
タタタタタタタタタタッ………ガララッ!!
「うわぁぁぁああんっ!!第四校舎であかマントにあっちゃったよ―――――っ!!」
「ええぇぇえっ!?」
…その後、一年生の間でますますあかマントの噂が浸透してしまい、
またしても滝岡秋穂の眼前で茶番を演じるハメになる美少女退魔師とその大伯母(幽霊)であった。
30 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/05/30(金) 00:00:19.69 ID:ROjHYQU2
おしまいです。
また読んで下さってる方、ほんとにありがとうございます。
31 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:17:29.87 ID:uLZFjF1y
また投下です
32 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:18:44.18 ID:uLZFjF1y
「ふわぁあ・・・。今日もすっかり遅くなっちゃったね〜」
「夕子さんがうたた寝してたからでしょ。
・・・もう。夜は寝ないのに、ああいう時はテコでも起きないんだから・・・」
「わたしは悪くないもん。貞一くんの膝枕が気持ち良すぎるのが悪いんだも―ん。
・・・はっ!もしかして貞一くん、わたしを魔性の膝枕地獄で昏睡させたあと
寝込みを襲おうって魂胆じゃ・・・!」
「なにバカなこと言ってるんですか。寝込みを襲われそうで気が気じゃないのは僕の方ですよ」
「・・・。
それってつまり、『襲え』ってこと?」
「なんでそうなるんですか!」
「んふふっ。それじゃあ今夜から早速、貞一くんに夜這いかけちゃおっかな〜」
「・・・。夜這いもなにも、毎晩同じ部屋で過ごしてるじゃないですか・・・」
「ん〜、そっかそっか。つまり、貞一くんもそろそろ新しい刺激に飢えてるわけだ」
「だから、何でそうなるんですか。むしろ刺激が強すぎて枯れちゃわないか心配なくらいですよ」
「わたしは貞一くんとエッチできれば、それだけで幸せなんだけどなー。
でも貞一くんは男の子だもんね。どんなえげつない劣情をくすぶらせてても仕方ないよ。うんうんっ」
「聞いて下さいよ、人の話を・・・」
「ふふふ。・・・ねえ、覚えてる?初めて出逢った日のこと。わたしの・・・」
「・・・おっぱいをいきなりわしづかみにしたって言うんですよね?
・・・もー。何回そのネタでいじめるんですか」
「ああ、そうだけど、そうじゃくてね。からかうとかじゃなくて、ほんとに嬉しかったんだよ。
わたしの姿が見えたって、普通は自分から触ってくれないでしょ?・・・あの子みたいに」
「霧江さんは・・・まあ、最初は夕子さんのこと、悪霊だと思ってましたからね」
「うん。・・・だから、わたしのこと見えたって、怖がって離れていっちゃったら同じことでしょ?
・・・でも、貞一くんは触ってくれた」
「・・・」
「だからね、わたしも思ったの。『ああ、この人には触ってもいいんだ』って」
「・・・触ってもいい・・・?」
「だって!出会ったばかりの男の子に、いきなりおっぱいをわしづかみにされたんだもの!
ちょっと仕返しにベタベタしたって文句言われる筋合いはないでしょ?」
「ゆ、夕子さん・・・」
「ふふっ。だからね、遠慮なくベタベタできるのが、ほんとに嬉しくて。
・・・貞一くん、ありがとう。最初に触ってくれて」
「・・・チカン行為でお礼言われるのも、なんかこそばゆいです・・・」
「んふふ、自分がチカンさんだっていう自覚はあるんだ?」
「あ、いや、その・・・」
「いいんだよ貞一くん。・・・だからね、話を戻すけど、もしほんとにえげつない願望があって
わたしにドン引きされちゃうかも、とか思ってるなら、遠慮なく言ってほしいの。
わたしは、すでに何度も貞一くんにお下品なエッチをおねだりしてるんだから、
貞一くんが仕返しにえげつない要求してきたって、わたしが文句を言う筋合いじゃないわ」
「・・・」
「それで・・・それによって、もっと、より深く貞一くんに『触って』もらえるなら、
わたしはもう、他に何もいらないよ」
「・・・・・・・・・」
「・・・あっ、そ、そりゃ、まあ・・・わたしが知らないやり方とかもいっぱいあるだろうし、
何にでも応じられるってわけじゃないと思うけど・・・」
「・・・ほんとにいいんですね?」
「・・・へ?」
「実は、以前から試してみたいことがあったんですけど・・・」
「えっ?えっ?」
「いいんですよね?」
「え?あ、う、うん。って言うか、今日?」
「はい。・・・先延ばししてもしょうがないですし」
「そ、そっか。そーだよね。先延ばししたってしょーがないよね。
・・・で、ど、どんなのかな?」
「とりあえず、家に着いてから説明します。だから早く帰りましょう」
「う、うんっ。うんうんうんっ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
33 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:19:42.82 ID:uLZFjF1y
「おっぱいさわりながらえっちしたいいぃぃぃ〜〜〜〜〜〜っ!?」
「うわっ、な、なんですかその素っ頓狂な声は?」
「だって!フツ―――じゃないっ!!」
「・・・そうですか?」
「そーだよっ!もったいつけるものだから、どんなアブノーマルな行為を要求されるかワクワ・・・
じゃなかった、ハラハラしてたのにっ!」
「・・・」
「て、てっきり、その・・・野外露出とか、繋がったままお散歩とか、か、かかか、カン・・・チョ―・・・とかっ」
「夕子さんは露出しても意味ないですし、お散歩は学園内で既に何度もやってますし、
浣腸はさすがにちょっと・・・・・・」
「・・・しないの?」
「しませんってば。そんなに不満ですか?」
「あ、いや、わたしはもちろん、貞一くんとエッチできればなんだって嬉しいんだよ?嬉しいんだけどね?
身構えてた分、肩透かし食らっちゃったかな―・・・なんて・・・」
「僕たちにとっては、大事なことだと思うんですけどね」
「えっ?」
「僕たち・・・と言うか、僕って、エッチの時ってあんまり夕子さんの胸を愛撫したことないんですよ」
「え、そ、そうだっけ?」
「はい。・・・というか、夕子さんが立ち前屈位好きじゃないですか」
「あー、簡易便所のポーズね」
「ま、まあ、そうです。・・・あの姿勢だと、どうしても夕子さんの胸まで手が伸びないので・・・」
「あ―・・・。言われてみればそうだね―・・・」
「・・・で、なんかそれって、夕子さんに失礼ですよね?
僕はよく口とかで愛撫してもらってるのに、夕子さんへの愛撫はおろそかにしてるみたいで」
「んー、わたしあんまり気にしないけどなー。いきなりずどんっ!ってくる感じが好きだし・・・」
「それは・・・知ってますけど」
「・・・でも、せっかく貞一くんが揉んでくれるって言ってるんだから、お言葉に甘えちゃおっかな」
がばっ!
「わっ!」
ぶるんっ!
ばさっ・・・。
「・・・ごきゅっ・・・」
「・・・はい。どうぞ。心ゆくまでもみしだいてね。・・・初めて出逢った時みたいに」
ゆさっ・・・。
「・・・。あの時はさすがにもみしだしてはいなかったと思うんですけど・・・。
じゃ、じゃあ、いきますね」
「う、うん」
―むにっ。
「んんっ」
「・・・」
むにっ。むにゅ。むにっむにっ。
「んんっん!」
「・・・・・・」
むにっむにっむにっ。むにゅうっ。
「んっんっ・・・ふんんっ!」
「・・・・・・・・・っ」
34 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:22:04.96 ID:uLZFjF1y
「ちょっと!貞一く・・・んんっ!だまらないでよっ!?」
「あっ!ご、ごめんなさい!」
「・・・。
なんかこれ、ヘンに緊張しちゃうね・・・」
「そ、そうですね・・・」
「やっぱり、こんなお見合いみたいな姿勢でしてるからかな・・・」
「・・・それだけじゃないと思います。僕にとっては、何と言うか・・・。
あまりおいそれと触れない場所でしたから」
「・・・え?」
「あ!い、いえっ!もちろん夕子さんのおっぱいは気安く触っていい場所じゃないんですけど!
・・・その、さっき夕子さんが言ってたように、特別な場所じゃないですか。
初めて触った場所だったり、記憶を取り戻すきっかけになったり・・・」
「・・・」
「だから、その・・・。エッチの時、もののついでで触っていい場所じゃないような気がしてたと言うか・・・。
上手く言えませんけど」
「・・・ふふっ。ヘンな貞一くん。自分から触りたいって言ったのに」
「で、ですから、苦手意識・・・って言い方は変ですけど、
とにかく、夕子さんを自然に愛撫できるように克服しないとと思って・・・」
「・・・うん。でも、わたしも貞一くんの気持ち、何となく分かるよ」
「そ、そうですか?」
「うん。・・・覚えてる?『初めて』の時。
わたし、貞一くんにおっぱいもんでもらえたのが嬉しくて、ちょっとおかしくなってたでしょ?
あれってやっぱり、単純に気持ちいいとか以上に、わたしたちにとって特別な場所だからだと思うの」
「・・・」
「ふふふ。
・・・でもね、そういうのって、劣情に任せたようなお下品なエッチする時は、ちょっと恥ずかしいんだよね。
だから、わたしも無意識に避けてたのかも。
・・・そういう意味では、わたしも貞一くんと同じ」
「夕子さん・・・」
「だから・・・ね?
今度からは、とびっきりのお下劣エッチでも自然におっぱいもみしだけるように、特訓しよっか?」
「ゆ、ゆうこさ」
「ど―――――――んっ!!」
ドンっ!
「おわっ!?」
どさっ!
「ゆっ・・・わぶっ!」
ばふっ!
「えへへへへっ。スキありっ♪押し倒しの刑〜っ」
「な、なんですか急に!」
「だって、お見合いの姿勢じゃ恥ずかしいんだもん。寝っ転がってごろごろしながらしよーよ」
「あ・・・。そ、そっか。そうですね・・・」
「うんっ。うんうんっ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
35 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:36:21.98 ID:uLZFjF1y
むにっ。むにむにっ。
「あふっ・・・。んんっ」
むにゅううぅっ。
「んんんんっ」
むにゅっ。むにゅっ。むにゅっ。
「ふっ!んっ!んっ!
・・・な、なんかっ、ヘンに・・・ふっ!や、やらしい揉み方してないっ?貞一くんっ」
「え、そ、そうですか?ごめんなさい、イヤでした?」
「いや、むしろうれしーんだけど・・・んんっ」
「・・・なら、いいんですけど・・・」
「・・・あ!ひょっとして、貞一くんっておっぱい星人ってやつ?」
「えっ!?」
「・・・って、聞くまでもないか。あんなに何度もわしづかみにされたわけだし・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
「ほら、そうやってすぐ謝るんだから」
「・・・。
あ、あの、謝りついでに、もう一つお願いしたいことがあるんですけど・・・」
「うん?なーに?」
「・・・・・・顔、うずめていいですか?」
「・・・・・・へ?」
がばっ!
「うひゃあぁッ!?」
「んんっ・・・」
むぎゅうぅうっ。
「はっ!あんんんんっ!」
「・・・ゆうこさぁんっ・・・」
むにぃぃぃぃっ。
「ちょ、ちょっとどうしたの貞一くんっ!?」
「ごめんなさいっ、もうちょっとこのままで・・・」
ぎゅううっ・・・。
36 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:38:11.93 ID:uLZFjF1y
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・。何かあったの?」
「・・・・・・・・・・・・。イヤでした?」
「イヤじゃないよ。むしろ嬉しいけど・・・。でも、今日の貞一くん、ちょっとヘンだよ?」
「・・・」
「わたしにも言えないこと?」
「・・・・・・夢を」
「え?」
「覚えてます?僕が以前、泣きながら寝てた時のこと・・・」
「あ、う・・・うん。縛ってもらった時ね」
「・・・どうも、また、見ちゃったみたいで」
「・・・同じ夢を?」
「はい。多分・・・」
「でもあの時は、夢の内容は覚えてなかったよね?」
「はい。・・・でも、泣くほどの内容って言ったら、今日のと同じ内容なんじゃないかと思って」
「今日?今日見たの?」
「部室で夕子さんを膝枕してた時です。僕もあの時、うとうとしてたんで・・・」
37 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/03(火) 01:39:09.58 ID:uLZFjF1y
今日はここまでです。
38 :
名無しさん@ピンキー:2014/06/04(水) 13:53:22.62 ID:ezJ9bZ8T
なんか新鮮
39 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:24:31.59 ID:9JVP2e0l
>>38 いつもワンパで面目ないっす。
読んでくれてありがとです。
40 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:26:39.60 ID:9JVP2e0l
「・・・聞いていいの?」
「・・・」
「そこまで言ったってことは、聞いて欲しいってことだよね?」
「・・・。
・・・夕子さんが・・・」
「わたしが?」
「・・・・・・き、消える・・・夢を・・・」
「・・・・・・・・・。
・・・そっか。あの時も、『行かないで』って言ってたものね」
「ごめんなさい。女々しくて・・・」
「うんん。今にして思えば、我ながらあの消え方はどうかと思うもの。
ずいぶん情けない顔で消えてったでしょ?わたし」
「あ、そ、そうじゃなくて・・・」
「・・・え?」
「なぜか、あの時とは違う状況で夕子さんが消えてく夢を見たんです。
夢ってそういうものなのかも知れませんけど・・・」
「・・・」
「夕子さんが徐々に見えなくなって、声も聞こえなくなっていって・・・。
最後には、他の人が夕子さんを認識できなくなるみたいに、なんにもなくなっちゃって」
「・・・・・・」
「夕子さん、出会ったばかりの頃、『いずれは声すら聞こえなくなる』って言ってたの覚えてますか?
・・・だから、僕は・・・ずっと不安だったのかも・・・知れません」
「・・・そっか。そっかそっか」
「・・・ごめんなさい」
「んーん。よく話してくれたね」
「・・・」
すりっ・・・。
「あっ・・・」
「ごめんね。やっぱりわたし、そういうの聞いちゃうと
悲しいとか申し訳ないって気持ちよりも、嬉しいって気持ちの方が先にきちゃうみたい」
「・・・」
すりっ。すりっ。
「ふふっ。ひどい女だね?・・・やっつけちゃう?」
「え・・・」
「今のわたしって、見ようによっては生者が苦しんでるさまを見て喜ぶ悪霊でしょ?
・・・懲らしめなきゃ」
「そ、それはさすがに言い掛かり・・・と言うか、自虐なんじゃ」
「いいの。そういうことにしておいて。
・・・貞一くん。前にも言ったかもだけど、本来ならね、その不安はわたしが抱くべきなんだよ。
わたしと貞一くんは、決して対等にはなれないから」
「・・・」
「貞一くんは優しいから、ついついわたしも調子に乗っちゃうんだけれど。
・・・でも、たまにはほんとにひどい人になったっていいんだよ?」
「え・・・エッチの時は、結構好き勝手やっちゃってるつもりなんですけど」
「それは、わたしが挑発した結果でしょ?
そういうのはわたしが望んだことであって、ひどくもなんともないよ」
「う〜ん・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
41 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:27:19.87 ID:9JVP2e0l
「結局、わたしのおっぱいに顔をうずめたかっだけ?」
「そ、そういうわけじゃ」
「んん〜っ?違うの?」
「・・・。
なんか・・・そうしないと不安で・・・」
「不安、か。
・・・そうだよね。好きな人が離れていっちゃうかも・・・なんて、
例え本人にそんな素振りがなくたって、考えるだけでも不安になるよね」
「はい・・・。
・・・それで、出逢った時のことを思い出してたら、夕子さんの胸をあまり愛撫してない事が
・・・なんと言うか、勿体ない・・・じゃないや、申し訳ないと言うか、なんか変な焦りを感じちゃって」
「ふむふむ。それでわたしのおっぱいを開発しつつ、おっぱいに癒されたかったわけだねっ」
「・・・面目ないです」
「ふふ。いいよ。今夜は貞一くんの抱き枕になってあるから、好きなだけおっぱいまくらを堪能してくれても」
「は、はい・・・」
「ただ、その前に・・・。
・・・んふっ、んふふっ。お仕置きの特訓しなきゃ。ねえ?」
「夕子さんがそう言うなら、やぶさかじゃないですけど。
でも、なんかそういうちょっとキツめのやり方って、あらかたやり尽くしちゃったような」
「・・・・・・ってことは・・・。つ、つまり、その・・・やっぱり・・・
・・・か、かか、カ、カンチョー・・・」
「だからしませんって!」
「・・・。
・・・んー、むつかしいねー」
「そうですね・・・」
「貞一くんをお仕置きする方法ならいくらでも思い付くんだけどなあ」
「えっ」
「だいたいわたしが提案したことを貞一くんにやってもらったって、それただのごほーびだからな―・・・」
「・・・。
・・・いつものことですけど、早くも何が目的だったのか見失いかけてます・・・。
・・・あ、じゃ、じゃあ、とりあえず・・・」
「・・・うん?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・エキベン?」
「はい。簡単に言うと、対面座位で僕だけ立ってるような感じです」
「そりゃまあ、貞一くんは勃ってるだろうけど」
「そうじゃないですってば。向かい合ったままエッチして、男が女の人の足を抱え込んで持ち上げるんです」
「へ―・・・。でも、なんでエキベンって言うの?」
「夕子さん、駅でケース抱えてお弁当を歩き売りしてる人とか知りませんか?あれに姿勢が似てるからですよ」
「あ―・・・。つまり、わたしはお弁当として貞一くんにユサユサされちゃうわけか。なんかエロいねー」
「まあ、エッチするんですから・・・」
「うふふ、いいよ。あんまりお仕置きっぽくないけど、なんだか楽しそう!」
すっ・・・。
するっ。
「よしっ。準備完了!さっそくシよっ!」
「スカート脱いで立っただけじゃ・・・」
「だってこれでいーんでしょっ?ほら、貞一くんも早く早くっ!」
「・・・」
かちゃかちゃ。じぃぃぃっ・・・。
ぶるるんっ!
42 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:28:42.96 ID:9JVP2e0l
「わお。・・・んふふっ。もうおボッキしちゃってるね〜?」
「またそういう言い方するんだから・・・」
ぎゅっ。
ぐりりっ・・・。
「あ、んんんっ」
「まず、このまま立った姿勢で挿れましょう。・・・最初に右脚を抱え込みますから、上げてもらっていいですか?」
「え?う、うん」
すっ・・・。
がしっ。・・・ぐいいっ。
「ああんっ」
「それで、両腕を僕の首に回して下さい」
「あ、ん、んんっ」
するり。
「しっかり掴まって下さいね」
「う、うん」
ぎゅっ。
「な、なんかこれ、不安定でちょっと怖いな。
・・・ねえ、一旦右脚を降ろさせてくれないかな?バランスが・・・」
「ダメです」
「えっ・・・」
「夕子さんの右脚は、もう僕のものですから」
「な・・・」
にちっ・・・。
ぬぶぶぶっ!
「んおおっ!?」
「ふっ!ん・・・んっ!」
ぬぬぬぬぬっ・・・ぬっぬんっ!
みちみちみちぃっ!
「お―――――――ッ!?・・・おほっ!!」
「・・・ふうぅっ!」
みちっ・・・みちっ・・・。
「おっ・・・おっ・・・」
「ふっ・・・。
・・・左脚も、せーので投げ出して下さい。
そのまま抱え上げますから・・・うぅっ!」
「・・・ぉ〜〜〜・・・」
「夕子さんっ・・・聞こえてますっ?」
「おっ、おっぉっ、むっ、むりっむりんぉっ!ちっさいのっ、ちっさいのがんっんっんぉっ」
「・・・ちっさいの・・・?」
43 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:30:03.51 ID:9JVP2e0l
「ちっ、ちっさいアクメがっ、いっせいにぉっ、おっ!
・・・た、たいっぐんっ、たいぐんがっ・・・あっあっ」
「・・・何言ってるのかよく分からないです・・・」
「らっ、らからぁ、ぁ、あっあっ、
ちっさいアクメのたいぐんがいっせーにおしかけてくる゛う゛ぅ゛〜〜〜〜〜〜〜っ」
「〜〜〜・・・っ」
「あ、あ、あ、あ、あっあっあ!・・・あっ、アクメに゛っい、ま、マワされてるぅっう゛!」
「・・・もういいです。そのまま大軍に蹂躙されてて下さい。勝手に抱え込みますから」
「ぉ、お、ぉおっ」
がしっ。
ぐいっ・・・。
「んんんっ」
「先に抱きかかえてから挿れた方が良かったかな・・・。
・・・ふっ!」
ぐぐっ!ぐいぃっ!
・・・がばっ!
「くぅっ・・・。
よ、よし、抱え込め・・・」
ずんっ!
「おおっ!?」
「お゛お゛っ!?」
みちっ・・・。みちちちっ・・・。
「おっ!おっ!おっ!ふかっふかいんオォオオっ」
「あっ!あうぅうっ!」
ぬぶ。ぬぶぶぶぶ〜・・・っ。
「のめりこんでくるぅっ!ずぶずぶのめりこんでくるぅうっ!」
「ほんっと、なっ、これっ、こんなっあうぅっ!こんなに深くめり込むな・・・おっおぉっ!」
みち・・・みち・・・。
「・・・っは!あっぶ・・・。そのまま出ちゃうとこだった・・・」
「・・・あ〜〜〜・・・」
「ゆ・・・こさん、大丈夫っ・・・ですか?」
「・・・ぬ・・・まが・・・」
「え?」
「しずんでっ、そこなしぬまでっ、ずぶずぶしずんで・・・
・・・あ゛〜〜〜〜〜〜〜・・・」
「・・・あんまり大丈夫そうじゃないですね・・・」
ぐりりっ!
「おぅっ!?」
「あっ、あっ、あっ、おっ、おちんぽがっあ、つ、つりばりみたいに゛ぃいっ・・・」
ぐりっ!ぐりりりっ。
44 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:31:15.36 ID:9JVP2e0l
「お・・・まんこの・・・おくっう、ふ、フック、され、て・・・
・・・・・・・・・ほ!」
・・・びくんっ!
「へ?・・・おおおっ!?」
きゅうぅっ・・・。
「な、なにっ!?急に締め付けが・・・おぅっ!」
「ぉ〜〜〜。ぉ〜〜〜。ぉ〜〜〜〜〜・・・っ」
びくっ。びくくっ。
がくんっ。がくんっ。がくんっ。
「ゆうこさんっ!もしかして、イッた・・・てゆーかっ!そんなしめつけちゃだめですってばぁああっ!!」
ぶびゅびゅびゅっ!
「ふんんっ!」
「あ、あ、あ、出・・・うぅう〜〜〜・・・!」
びゅ!びゅ!びゅ!びゅ!びゅ!
「おっ・・・、おっ、おっ、おっ!おっ!!」
「しめ、つ、け・・・るからぁっ・・・おぅうぅぅっ」
びゅ―――――っ。びゅ―――――――っ。ぶびゅるるるるるるるっ。
「あ゛―――――・・・っ。も、イったのにふんっん!おっ!おっ!おいうちかけてくるなんてぇぇ〜〜〜・・・。
・・・あんんんんんんんっ」
「ゆ・・・こさんがっあ、し、しめつけすぎっい・・・」
ぶびびっ。
「うぅうっ」
「ふっん゛!」
びゅ・・・。
「・・・ぁ・・・」
「・・・っはぁ、はぁ・・・」
「あ〜〜〜〜〜〜〜・・・」
「ゆうこ、さん・・・。ここからが本番なんです、けど・・・」
「・・・・・・。
て〜いちくぅんっ・・・」
「はい?」
「ふっか〜いとこれぇ、ブッぱなしれくれたねぇ〜・・・」
「うっ・・・」
「しかも、えっぐいアクメがきたちょくごにいぃ〜・・・」
「こ、こんな・・・ふっ!ふかくめり込むと思わなくて・・・」
「ん〜・・・。わたひ、おちんぽでいっぽんづりされちゃったあぁ・・・」
「いっぽ・・・」
「はふぅ・・・。
・・・ところれ、さっきのあれ、どーゆーイミ?」
「え?」
「わたしのみぎあしはもうてーいちくんのものだ、って」
「あ、いや・・・」
45 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:32:04.03 ID:9JVP2e0l
「ん〜〜〜?」
「・・・っ」
「んん〜〜〜?」
「そ、その・・・。夕子さんを・・・」
「・・・わたしを?」
「ぼ・・・ぼ、ぼくの・・・もの・・・に・・・」
「・・・わたしを?てーいちくんのものにしたいの?」
「・・・・・・・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・」
「・・・ヘンなの。わたしはとっくに、てーいちくんのモノになってるのに」
「もちろん、夕子さんがそう言ってくれるのはすごく嬉しいです。
・・・でも、その、僕の欲求はそういうのとはちょっと違って・・・」
「・・・んん?ちがうの?」
「〜〜〜・・・っ」
ぐりりっ!
「んオっ!?」
「ごめんなさいっ、今日だけですからっ・・・」
「ちょ、まだっこたえきーてな・・・おっオっおっ!」
ぐりっ!ぐりぐりぐりっ!
「んオォっ!お、おくぅっ!おくっぐりぐりするのははんそおっおっ!」
「だからっ・・・こんな風に・・・おっ!『モノ』みたいにっ・・・持ち抱えて・・・あふっ!」
ぬっ!ぬぼっ!ぼっぼっ!
「あんんんんっ!つりばりでぐりっぐりつりあげられてるぅっ!」
「夕子さんを・・・っ!僕の『モノ』として扱えばっ・・・!」
「てっ、てーいちくっんっ・・・?あっおっおっ!」
ぬっ!ぬぬぬっ!ぬっぬっ!
「あっ!おっおっおっ!」
「・・・不安になって!あんな情けない夢、見ないんじゃないかって・・・っ!」
「っ!!
・・・てっ、てっ・・・。
てーいちくんっ・・・!」
「だからっ・・・!ごめんなさいっ!今日だけっ・・・、うおぉっ!?」
キュウゥっ・・・。
「あっ!ぁっあっ!またっしめつけがっ・・・おぉぉっ!」
「だめっ・・・らめっ!」
「・・・ゆうこさんっ・・・?」
「ゆ・・・る・・・さっ・・・なっ、いっ・・・!」
「・・・えっ?」
がばっ!
ぎゅうぅっ!
「うわっ・・・おぅっ!」
「きょうだけなんてっ・・・ゆるさないっ!」
ぬぽっ!ぬぽっ!ぶぽっ!
46 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:33:15.85 ID:9JVP2e0l
「あしたからだって!ずーっとつかまえてないとっ、ゆるっさなぁっあっあっ!」
「ゆうこさん・・・んんっ」
「そういうことっ、もっといってよぉ!わたしっだけっ、こんなっ、こんなっ・・・」
がくんっ、がくんっ、がくんっ。
ぬぼっ!ぼっ!ぼぼっ!
「うぁっ、ちょ、夕子さ・・・んんっ、こ、こしっ、ふらなっおぅっ!」
「ていいっぢくん゛っのことお゛っぉ・・・おっ!ひとりっじめに゛っぃ・・・!
したくてっ、したくてっ、ふあんでっ・・・」
ぬぼんっ!ぬぼんっ!ぬっぼん!
ぶちゅっ!ぶりゅりゅっ!ぶちゅちゅっ!
「なによぉっ!いっしょじゃないっ!・・・ならっ、もっとはやくいってよぉっ!」
「・・・!」
がくんっがくんっがくんっ。
ぶぶっ!ぶっ!ぶぶっ!
「わたしのことおっぉっ、携帯トイレみたいにすればっ、独占欲が満たされるってことでしょ!?
いつも言ってるじゃない!そう扱ってって!いまっさらっ、なによっ、いまさらっ・・・
んおっ!?」
―ぬぷっ。
「んぉおおぉっ!?お、おしりっ・・・」
「そっ・・・でしたね」
「ちょっ、いきなりおしりのあな゛っあ゛ぁっ・・・」
ぬぽっ。ぬぽぬぽぬぽっ。
「あ゛―――っ、なっ、なかゆびはゆるしてぇえぇっ」
「ごめんなさい、僕ばっかり・・・んっ!かっこつけようとしてっ・・・」
ぐりっ。ぐりぐりぐりっ。
「あ゛っ!お゛っお゛!ほっ!ほじっちゃらめっあんんんんっ!」
「これっからはっ・・・、不安にっぃ、なったらっ・・・。
もうすこし、正直にっなりますっからっ・・・」
ぬぼっ!ぼぼっ!ぶぼっ!
ぐりっ。ぐりりっ。
つぽっぽっぬぽっ。
ぐりぐりぐりっ。
「あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、りょ、りょーがわっ、りょーがわの、あ、あ、あなっ、
りょーがわからっ、ぐりっぐりされて・・・。
・・・あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、あ゛」
びくんっ。びくっびくびくっ。
47 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:45:24.10 ID:9JVP2e0l
「ぁ゛、〜〜〜〜〜〜〜・・・っ」
キュウウッ・・・。
「おぉっ!?おっおっ!」
「〜〜〜〜〜〜〜っ、っ、っ、っ・・・」
「だからっ!ゆうこさんこそぉおっ、いきなりしめないでっ!
・・・・・・うぉぉぉっ!」
ぶびゅるるる・・・っ!
「「あ゛〜〜〜〜〜〜・・・っ!」」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・不安は消えたかな?貞一くん・・・」
「はい・・・。
・・・多分」
「そっか。
・・・じゃあ、明日からはあんな情熱的にわたしを求めてくれなくなっちゃうのかな?」
「・・・・・・」
「わたしは、ずっと消えないよ。そういう気持ち。どんなに幸せでも、どんなに嬉しくても。
・・・そういうものじゃない?」
「そう・・・ですね」
「・・・貞一くんが不安に駆られて、
わたしに甘えてきたり、独占欲を剥き出しにしてくれるの、わたしはすごく嬉しい。
・・・でも、貞一くんはあんまりそういうの、わたしに見られたくないんだよね?」
「そりゃあ・・・。失望、されたくないですから・・・」
「ふふふ。こんなので失望しなきゃいけないんだったら、
わたしこそとっくに貞一くんに振られてるんじゃないかな?」
「ぼ、僕は、そんな」
「あたま」
「・・・え?」
「もっとこっち寄せて。わたしの胸に。・・・首、寝違えちゃうよ」
「あ、は、はい・・・」
すりっ・・・。
「ん、よしよし。・・・でも、そうだよね。貞一くんは男の子だもんね。かっこつけていたいよね」
「・・・夕子さんは、情けないって思わないんですか?」
「ん〜〜〜・・・。
・・・ね。以前、わたしが一回だけ、貞一くんを『情けない』って罵ったことがあったの。覚えてるかな?」
「・・・そんなことありましたっけ?」
「ほら、呼び止め窓で、貞一くんが失神しちゃって・・・」
「・・・・・・・・・。
ああ、保健室で・・・」
「うん。・・・貞一くんも分かってたとは思うけど、
あの時のわたしは、ほんとに貞一くんのことを情けないと思ってたわけじゃなくてね、
あの子が貞一くんを慕ってたのが面白くなくて、なにか当たり散らさずにはいられなかっただけなの」
「・・・」
「でもそれって、ほんとに情けないのはどっちなのかな?」
「・・・・・・」
「そんなものだよ。
・・・でも、・・・うふふ。貞一くん、あの頃に比べて、随分たくましくなったんだね」
「え?」
「あんなに長いこと、わたしを抱え上げていられるなんて。
抱き止め損なって失神しちゃった時とは大違いだよ」
「そ・・・そうですか?」
48 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:54:28.66 ID:9JVP2e0l
「うふふ。・・・それとも、お尻を鷲掴みにしながら抱きかかえるのじゃ、出る力が違うのかな〜?」
「いや・・・そもそもエッチなこと・・・してたわけですし・・・」
「そっかそっか。スケベな貞一くんは、エッチなことすると真の力が出るわけだ」
「・・・もう・・・それでいいです・・・」
「ふふ。
・・・今日はもう、おっぱいもみもみする練習はお開きかな」
「・・・そう・・・ですね・・・」
「・・・でも、約束だからね。明日からは、不安になったら素直にそれを出すって。
わたしのおっぱいで良ければ、いくらでも甘えてくれていいから」
「・・・はい・・・」
「わたしの胸で甘えてくれるのは、この世で貞一くんだけなんだから。
甘えなきゃ、もったいないよ」
「・・・ん・・・」
「それで・・・それでも不安だったら、
便所でも、モノでも、気が済むまで好きなように扱って・・・ね?」
「・・・・・・」
「その代わり、わたしも貞一くんに甘えるの、一切手加減しないから・・・
・・・貞一くん?」
「・・・す―・・・」
「・・・・・・。
・・・ふふふ。おやすみなさい・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あなた」
49 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/04(水) 23:56:46.48 ID:9JVP2e0l
おしまい。
50 :
名無しさん@ピンキー:2014/06/05(木) 23:52:58.96 ID:rVR00zFB
乙
51 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:42:06.56 ID:tFi2gYgg
>>50 いつもありがとです。
また投下します。いつにも増して長くなると思います。ごめんなさい。
52 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:48:30.96 ID:tFi2gYgg
『夕子さん夕子さん、どうぞおいでください・・・』
ぬっ。ぬっ。ぬっ。
「・・・そういえば、最近・・・うぅっ!すごく流行ってるみたいですね・・・『夕子さま』」
『もしおいでになられましたら、「はい」へお進みください・・・』
ぬぼっ。ぬぶっ。ぬぶぶぶっ。
「へぇっ?わたしが・・・んおぉっ!なっ、なんらって?・・・おぉっ!おっおっ!」
ぬぢゅっ。ぢゅっ。ぶぶっ。
「だから・・・おぉっ!ゆ、『夕子さま』ですよ。コックリさんの夕子さん版です・・・ぁ、あっあっ!」
『夕子さん夕子さん、お答えください・・・』
ぱんっ。ぱんっ。ぱんっ。
ぬぬっ。ぬも゛も゛っ。ぬっぬっ。
「ほっ!・・・お、おぉっ、そっ、そんなのっ、わたひ、カンケーなっ・・・おおっ!お、お尻!おしりぃぃっ!」
ぬぼっ!ぬぼっ!ぬぼぼっ!
「あうぅっ!・・・っそ、それは、もちろん分かってますけどっ・・・くうぅっ!夕子さん、僕、もう・・・!」
『夕子さん夕子さん、鳥居までお戻りください・・・』
ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!
どちゅっ!どちゅっ!どちゅっ!
「んあぁあっ!イク、イクっ!ケツ穴でイクんおぉぉおっ!!」
ぶびゅるっ!ぶびゅびゅっ!ぶびゅびゅびゅびゅっ!!
「うおぉぉおっ!!」
「ひいぃぃいっ!!」
びゅ―――っ。ぶびゅるる―――っ。ぶびゅるるるっ。
「お、お、おぉおっ!」
「あ゛―――・・・っ、け、ケツあなでアクメぶっこいてる゛う゛ぅ―――・・・っ」
びゅ・・・。
「はうぅっ」
「あオォオっ」
「・・・っは、はぁぁっ・・・」
「・・・あへぇぇ・・・」
『夕子さん夕子さん、どうぞおもどりください・・・』
「・・・は〜〜〜・・・」
「・・・もぉっ、てーいちくんったらぁっ、エッチのさいちゅーにヘンなわだいふらないでよぉっ・・・」
「・・・ごめんなさい、つい・・・」
53 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:49:06.34 ID:tFi2gYgg
「ただでさえ、いまの、デリケートなとこらったんらからぁ〜・・・」
「・・・。
男子トイレでアナルセックスしてる時に、デリケートも何も・・・」
『夕子さん夕子さん、どうぞお帰りください・・・』
「だからこそ、だよ。こんなお下品なとこでお下品なエッチするからこそ、細やかな気配りが大事なのっ」
「・・・う〜ん・・・。言われてみればそういうもの・・・なのかな」
「・・・でも、なんで急にそんな話を振ったの?」
「ちょっと心配になってきて・・・。流行りすぎて、また妙な騒ぎに発展しなければいいんですけど」
『夕子さま夕子さま、どうぞお帰りください・・・』
「まあ、確かにあんまり感心はしないかな・・・。
わたしの名前を無断借用してるってことを抜きにしても・・・んオっ!?」
ぬぬぬぬぬっ・・・。
「ちょ、ちょぉおっ、まっ、まってまってまんォォオオっ!」
『夕子さま夕子さま、どうかお帰りください・・・』
ぬ゛ぬぬ゛っ・・・ぬっぽんっ!
「んほぉっ!」
「あぅっ!」
ぶびゅ。ぶびゅびゅ。
ぼた。ぼたた。
「らっ、らからぁっ、いきなりぬいちゃらめらって・・・・・・
・・・ぁ・・・
・・・・・・んォ〜〜〜・・・っ」
ぶびゅびゅっ。ぶびゅっびゅびゅっ・・・。
ぼたたっ。ぼたっぼたたっ・・・。
『夕子さま夕子さま、どうぞ生け贄をお選びください・・・』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すりすり・・・。
「も〜っ、てーいちくんったらぁっ。
アナルセックスの時はいきなり抜いちゃだめって、いつも言ってるのにぃっ♪」
「・・・の、割には、随分嬉しそうに見えますけど」
「別に嬉しくないもーん。
貞一くんがどんどんケダモノになってきてくれて、楽しくてしょうがないとか全然思ってないもーん。
・・・うへへへへ」
54 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:49:55.55 ID:tFi2gYgg
「・・・」
「あ、ごめんごめん!てーいちくんは最初っからケダモノだったっけ!
なんたって初めての時からして、破瓜の痛みに肩を震わせるか弱いわたしに、
あーんなに濃ゆいものを容赦なくぶちまけちゃってくれたもんねーっ?ねーっ?」
「・・・それ、一生言い続ける気ですか?」
「ん〜・・・。一生って言うか、成仏するまで?」
「同じじゃないですか・・・とほほ」
「なにか文句ある?レイプ魔さーん?」
「・・・全力で責任取らせてもらいます・・・」
「ん、よろしいっ♪」
ガララッ。
「・・・あ、霧江さんと小此木さん」
「あ、新谷さん、こんにちはーっ」
「遅いぞ新谷。どこで油売ってたんだ?」
「え、いや・・・まあ、ちょっと・・・。
・・・あれ?なんですかそれ」
「見りゃ分かるだろ。最近流行りのアレだよ」
「ああ、『夕子さま』の台紙ですか・・・。でもなんでこんな所に?」
「こんな所だからこそこういう胡散臭いものがあるんだろ。小此木がクラスメートから借りてきたんだよ」
「いやー、わたしのクラスでも大流行してまして・・・。さすがは誠教の守り神ですねー」
「はっ!なにが守り神だ、くだらん。
コックリさんの名前を夕子に変えただけだろ、それ。パクリと呼ぶのもおこがましい」
「いえ、それがそうでもないんですよ。
どうも『夕子さま』には、コックリさんとは違う独自のルールがあるみたいなんです」
「え?そうなの?」
「はい。基本は確かにコックリさんと同じなんですけど、
問題は夕子さんにお帰りいただけなかった時でして・・・」
55 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:51:34.96 ID:tFi2gYgg
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・通常のコックリさんの手順
1:台紙の上に10円玉を置き、参加者の人差し指をその上に置く。
2:『こっくりさんこっくりさん、おいでください。おいでになられましたら「はい」へお進みください』
と唱える。
3:10円玉が『はい』へ進んだら、それぞれが知りたいことを質問する。
4:全部聞き終わったら、『こっくりさんこっくりさん、どうぞおもどりください』と唱える。
5.1:10円玉が『はい』を指したあと、鳥居のマークまで戻ったら
『ありがとうございました』とお礼を言って終了する。
5.2:もし帰ってくれない場合(『はい』を指してくれない場合)、帰るまで何度でもお願いする。
帰ってくれるまで10円玉から指を離してはいけない。
6:台紙は48片に破り捨て、10円玉は三日以内に使う(手放す)。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・『夕子さま』の場合
帰って貰えた場合はこっくりさんとほぼ同じ手順となるが、帰ってもらえなかった場合の処置が異なる。
5.3:二回お願いしても帰ってもらえなかった場合、次からの呼び方を『夕子さま』に変える。
5.4:呼び方を『夕子さま』に変えてからさらに二回お願いしても帰ってくれなかった場合、
『夕子さま夕子さま、捧げ物をお聞かせください』と唱える。
5.5-1:それによって指し示されたものを三日以内に調達し、旧校舎跡のガレキの中に埋める。
ただし、指定された捧げ物はある程度価値のあるものでなくてはいけない。
5.5-2:三回捧げ物をお伺いしても答えてくれなかった(単語として成立しなかった)場合や
単語として成立しても価値のあるものでなかった場合、
『夕子さま夕子さま、生け贄をお選びください』と唱える。
5.5-3:最後に10円玉の位置と最も近かった参加者が生け贄になる。その場を動いてはいけない。
5.6:終了。台紙や10円玉の処分方法はこっくりさんと同じ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
56 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:53:35.25 ID:tFi2gYgg
「ギャ―――――っ!!」
「うわっ!?」
「キャっ!?」
『ひっ!?』
「な、ななななんだよいいいイケニエって!なんだそりゃ!?」
「き、霧江さん、落ち着いてくださいよ・・・」
「でも確かに、なんかイヤ〜な感じですよね〜・・・」
「うん・・・。『生け贄になる』って、具体的にどういうことなのか書いてない辺りとかね・・・」
「か、価値あるものってのもおかしーだろ!誰が価値とか決めるんだよ!?」
「『夕子さま』をやってたクラスメートに聞いてみたんですけど、
どうも生け贄になるために何かをしなければいけないわけではなくてですね、
選ばれた時点でもうその人は生け贄に『なってしまっている』んだそうです」
「つまり、その人の身にいずれ『なにか』が起こると・・・」
「はい。・・・『価値あるもの』に関しては、参加者が満場一致で認めさえすればいいらしいんですけど」
「なんだそりゃ?結局やってるヤツの匙加減かよ!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・新谷さん?」
「なんか、変な感じだね、これ。
『夕子さま』が流行り始めたのは、てっきり最後の七不思議の影響だとばかり思ってたんだけど。
でも、これじゃまるで・・・」
「そうなんですよね・・・。これじゃまるで、守り神どころか祟り神みたいですよね・・・」
「ま、まあ、夕子は食い意地が張ってるからな!欲張りなイメージでも持たれてるんじゃないのか?は、ははは」
「・・・で、小此木さん。今日これをここに持ち込んだってことは、まさか実践するの?」
「いえいえいえ!滅相もない!そんなことしたら夕子さんに怒られちゃいますよ!」
「・・・え?夕子さんに?」
「・・・わたし、この『夕子さま』は、夕子さんじゃないと思うんです。
なんか、イメージと違うって言うか・・・。
わたしの中の夕子さんって、もっとこう、座敷童子みたいなイメージなので・・・」
「ざしきわらしい〜っ?夕子がか?」
「座敷童子、か。・・・あははは、確かにそうかもね」
「まあ、それはわたしの勝手なイメージなんですけど、
とにかく夕子さんは生け贄なんて要求する幽霊さんじゃないと思うんです。
・・・隠れ鬼の時に怖い思いしたのも、今にして思うと、夕子さんに怒られたのかな、なんて・・・」
『・・・・・・・・・・・・』
「そっか・・・。確かに隠れ鬼も、この『夕子さま』も、夕子さんにしてみれば傷つく遊びかもね・・・」
「はい。ですから、守り神としてみんなに認知されていくのは嬉しいんですけど、
これはちょっと違うんじゃないかなと」
「じゃあ、なんで持ち込んだんだ小此木」
「新谷さんと霧江さんの意見をお聞きしたかったんです。
お二人はきっと、この学園で夕子さんに最も近い人たちだと思ったので」
「・・・」
「小此木・・・」
「でも、お二人の意見を聞けて安心しました。・・・じゃあ、これ返してきますね」
「え?借り物なの?これ」
「はい。わたしはやらないので、クラスメートに借りてきたんです。
色々とルールがあるものですから、なるべく今日中に返した方がいいかなって」
「そっか。そうだね」
「じゃあ、とりあえず失礼しますね。まだ戻ってきますから」
ガララッ・・・ピシャンッ。
「・・・」
「・・・。夕子さん・・・」
『悪質ね。間違いなく』
「まあ、確かになんか気持ち悪いな・・・」
「気持ち悪いどころじゃないわ。
コックリさん自体、陰湿でいいイメージないけど、ここまであからさまじゃないでしょ?」
「陰湿・・・ですか」
57 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:55:48.14 ID:tFi2gYgg
「だって、あんなものいじめの温床じゃない。
ヘンな質問してヘンな答えが返ってきても、おキツネさまに責任転嫁できるわけだし。ロクなものじゃないよ」
「やっぱり、夕子は信じてないのか」
「そりゃ、ね。・・・でもまさか、自分がご本尊にされるとは思わなかったけど・・・」
「・・・でも夕子さん、ということはつまり、あのアレンジされてる部分ってやっぱり、その・・・
そういうことなんですよね?」
「・・・でしょうね」
「なんだ?そういうことって」
「いじめありきのアレンジってことですよ」
「!!」
「『価値あるもの』を買わせるとか、みんなで特定の子を生け贄に祭り上げるとか、
考えた人間のろくでもない魂胆が透けて見えるわ」
「さっき霧江さんも言ってたように、
価値の基準があやふやだったり、生け贄になったら具体的にどうなるのか全く触れてないのは、
その場の人間が言い掛かりを付けやすくするためなんじゃないかなと」
「・・・そんな・・・」
「よりによって、こんな不愉快な遊びで当事者になっちゃうなんてね。
・・・もっと早く把握しておくべきだったかも知れないわ」
「・・・でも、どうするんだ?あかマントと違って遊びとして流行しちゃってるから、鎮火するのは難しいぞ」
「そうなのよね・・・。
単純な怪談と違って、遊びとして流行っちゃったものって
ルール違反しない限りは『ウソであってほしい』っていう心理が働きづらいから、なかなか下火にならないのよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・ん?貞一くん?」
「夕子さん、これって、ひょっとして・・・」
コンコン・・・。
「・・・ん?」
『ごめんくださーい。新怪異調査部ってここでいいのよねーっ?』
「あれ、ひょっとしてお客さん?」
「て言うかこの声、なんか聞き覚えが・・・」
ガララッ。
「!」
「あっ!」
「げっ!」
「あーもー、さんざん探し回っちゃったじゃない。せめて旧校舎に近いとこに引っ越しなさいよ・・・」
「き、桐島さん・・・」
「あ、アバズレおんな・・・」
『・・・・・・・・・』
「ちょっと、やめてよその呼び方。わたしまだ男子とデートすらしたことないのに。心外だわ」
「桐島さ・・・先輩、どうしてここに?」
「ん?どうしてって、怪談の調査を依頼しに来たんだけど。ここってそういうとこなんでしょう?」
「・・・依頼?・・・お前が?」
「・・・まさか、『夕子さま』ですか?」
「あら、うふふ。相変わらず察しがいいんだね、新谷貞一くん。
そ。『夕子さま』の調査・・・って言うか、ぶっちゃけ廃れるようにして欲しいの」
「!」
「・・・。
なんでお前がそんなことを依頼してくるんだ?」
「気に入らないから」
「はあ?」
「内容よ。あなたたちなら知ってるんじゃない?」
58 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/12(木) 02:56:21.93 ID:tFi2gYgg
「・・・まあ、細かい内容はさっき知ったばかりなんですけど・・・」
「ふうん。なら、説明は不要だね。・・・あなたたちはどう思うの?この内容」
「・・・まあ、面白くはないですね・・・」
「・・・」
「・・・でしょうね。・・・わたしも同じ」
「・・・あの、桐島先輩・・・。ひょっとして、この遊びのせいで、また周りの人から・・・」
「ああ、違う違う。あの日から、不思議と夕子さんと同一視されることはあまりなくなったから。
ただ、ほっとけないじゃない?だから・・・」
「ほんとにそうか?」
「え?」
「・・・霧江さん?」
「お前、あれだけのことをしておいて、真実を知ってるわたしたちに信用があるとでも思ってるのか?」
「・・・」
「ちょ、ちょっと霧江さん?」
「新谷。タイミングが良すぎると思わないか?」
「え?」
「こいつは以前、夕子に復讐するために人や噂を利用していた。
それで今回、夕子がまた怖がられかねないような遊びが流行ってるところで、わたしたちに接触してきた。
・・・お前が流行らせたんじゃないのか」
「!」
『!』
「・・・・・・」
「どういう魂胆で接触してきたのかは分からんが、どうせわたしたちを利用して、また良からぬことを・・・」
「あ〜・・・。そっか、そう取られちゃうのね・・・」
「・・・」
「でも、腹の底で疑われたままよりは、そうやってハッキリ言ってもらった方がマシかな」
『・・・』
「確かにあなたの言う通り、わたしは夕子さんを怨んでいたわ。
夕子さんに怨みをなすりつけるような真似もしたしね。
・・・でもそれは、噂を蔓延させるためにやってたんじゃない」
「・・・自分が死んだという噂を流させたのと、何が違う?」
「!
・・・へぇ、そこまで知ってるんだ・・・。
ここって実はすごいところだったりするのかしら」
「いいから答えろ」
「・・・まあ、ただの自己弁護として聞いてくれればいいんだけど。
わたしは確かに噂を復讐の道具に利用したけど、夕子さんの存在を貶めること自体が目的だったんじゃないの。
結果的に、不都合なことは夕子さんに押し付けてしまったけど」
「なにが結果的にだ!最初から夕子になすり付けるハラだったんだろうが!」
「うん・・・そうね。夕子さんの存在は、わたしの復讐をキレイにまとめるのに打ってつけだったから。
・・・でも、この『夕子さま』は違う。
わたしの時みたいに・・・報復とか、なにかに対する『反動』ではなく、最初に『悪意』が来てる」
「・・・」
「似たようなことをしていたわたしには分かる。
わたしがやったこととよく似ているのに、わたしが最も忌み嫌っていたことをしている。だから面白くない」
「桐島先輩・・・」
「・・・」
「疑われるのはしょうがないけど、依頼は引き受けてくれないかしら。わたしも協力するから。
・・・あなたはどうなの?新谷貞一くん。わたしのこと、信用できる?」
「・・・。
僕は元々、桐島先輩のことは疑っていません」
「新谷、お前な〜・・・」
「・・・ですけど、全くの無関係だとも思っていません」
「え?」
「!」
「・・・と、言うか・・・。むしろ、桐島先輩が本当に気がかりなのは、そこなんじゃないですか?」
「・・・・・・」
59 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 05:59:53.40 ID:elWowgb2
「おい、何の話だ?」
「霧江さん・・・。この『夕子さま』が帰ってくれなかった時のパターン、なにかを思い出しませんか?」
「え?・・・」
「捧げ物・・・生け贄・・・」
「・・・・・・・・・。
・・・あ!『アカヒトさん』か!?」
『!!』
「ええ。・・・一般の生徒には七不思議としての・・・
つまり、『捧げ物を指定する神の使い』としてのアカヒトさんはあまり認知されてないようですけど・・・。
でも、桐島先輩は知ってるんじゃないですか?アカヒトさんの狂言を打つにあたって、色々調べたはずですから」
「・・・。
あなた、やっぱり大したものだわ。あの時の機転も、まぐれってわけじゃなかったみたいね」
「・・・実際、構図も似てるんですよね・・・これ」
「そう。わたしが面白くないのは、まさにそこ」
「・・・」
「伝承のアカヒトさまは、顔を隠した神官が生け贄を指定する。
・・・そこには恐らく、『生け贄を選んだのは自分たちではなく、神意なのだ』という逃げの心理が働いている。
・・・この『夕子さま』も同じ。捧げ物や生け贄を選んだのは、自分たちではなく夕子さんなんだって。
例え、ハナから特定の参加者を陥れるつもりで始めたとしても、ね。
・・・それが頭にくる」
「頭にくる?・・・かつてお前がやったことそのものじゃないか」
「そう言われると、返す言葉もないんだけど。・・・でも、だからこそ、よ。
・・・これはなにより、かつてわたし自身が身をもって味わったことだから」
「・・・」
「だから、ね。夕子さんやアカヒトさんが絡んでることもそうだけど、他人事だと思えないの。
もしかしたら、去年の学園祭でのわたしの狂言が、何らかの形で影響してるのかも知れない。
・・・だからお願い」
「・・・」
「生憎だな。その依頼は受理できない」
「霧江さん!?」
「・・・」
「『夕子さま』の件は、元より怪異調査部の議題案件だ。お前の依頼は重複してしまうから、受理できない」
「!!」
「お前が依頼してくるまでもなく、その件は調査対象ってことさ。だからお前はただの無駄足だ」
「霧江さん・・・。
そうですね。どちらにしろ、夕子さんの名誉は僕たちが守らなくちゃならないですし」
「ま、あいつが欲張りに見られるのは、自業自得な気もするけどな・・・」
「・・・ふふ。あなた、いわゆるツンデレってやつ?」
「なっ・・・!」
「ま、そういうことなら無駄足になってあげる。
・・・にしても・・・、ふふっ。あなたたち、やっぱり変わってるね」
「え?」
「さっきから聞いてると、夕子さんのことをまるで普通の女子生徒みたいに言ってるから。
なんか親しい友達みたい」
「あ、いや、それは・・・」
「はっ。あんなの恐れるに足りないってことさ。だいたい守り神なんてタマじゃないだろあいつ。
むしろ次から次へと悩みのタネを生み出しやがって・・・」
「・・・悩みのタネ?」
「ちょ、ちょっと、霧江さん・・・」
「・・・よく分かんないけど、とりあえず今日の要件はそれだけだから。
また本格的に調査する段階になったらお邪魔するわ」
「あ、はい・・・」
「新谷くん、『夕子さん』によろしくね。・・・ふふっ」
「えっ!?」
「じゃあまた、後日」
ガララッ・・・ピシャン。
「・・・」
「桐島さん・・・どこまで知ってるんでしょうね・・
60 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:01:16.84 ID:elWowgb2
「ただの冗談だろ。つくづく人を食ったヤツだよ」
『・・・あのコ・・・』
「・・・夕子さん?」
「なんか、わたしの方をチラチラ見てた気がするんだけど・・・」
「えっ!?」
「気のせいだろ。見えてたらさすがにあんな平然としてるわけがないし」
「でも、夕子さんの姿は普通の人間と変わらないですからね。
・・・ちゃんと本来の姿で見えていればですけど」
「・・・。
やっぱりわたし、あのコのことあんまり好きじゃないかも・・・」
「だよなー。常になんか企んでいそうって言うか、腹の底が見えないって言うか・・・」
「・・・だってあのコ、明らかに貞一くんのこと気に入っちゃってるもの!
なんか油断してるとかすめ取られそうで落ち着かないよ」
「え゛っ」
「・・・・・・そっちかよ・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ちゃぷ・・・。
「うふふふふ。いかがですか?ご主人様。ご主人様専用おっぱいバスタブの使い心地は?」
「・・・大変けっこうなお手前デス・・・」
「・・・もーっ、貞一くん緊張しすぎ!
わたしのお尻の穴まで開発しまくってるのに、なんで今さらおっぱいまくら程度でそんな緊張するの?」
「そうは言いますけど・・・。
僕、まだ中学二年生ですよ?色々やっちゃってるから危うく感覚がマヒしそうになりますけど、
本来なら夕子さんみたいな素敵な人に抱きしめられながらお風呂に入るなんて・・・」
「ほほう。そうやってわたしをおだてて、色々やっちゃおうって作戦ね?」
「いやいや、そうじゃないですってば」
「いいよ。受けて立とうじゃない」
「あの〜・・・。話を聞いて・・・」
ざばあぁっ・・・。
「・・・そう言えば貞一くん。男の人って、お風呂に入るとなぜかおしっこしたくなるらしいね?」
「どこでそんなこと聞いて・・・ってうわっ!?」
ぐにぃぃっ。
むきぃっ。
「ほぉーら、てーいちくん専用のドスケベ便所だぞぉ〜。気軽にしーしーしちゃえっ♪」
「ゆ、夕子さん・・・っ」
「んふふっ。最近この簡易便所の体位でしてなかったでしょ?
そろそろ小生意気なオナホ女に、ザーメン便所としての自覚を叩き込み直す時期じゃない?」
「〜〜〜っ!」
「ほぉ〜ら、てーいちくんのチンポを磨き上げる以外に使い道のない、アワビ型便所ぞぉ〜っ♪」
「・・・も〜〜〜っ!」
ざばぁっ!
がしっ。
むにぃぃいっ。
「あっ・・・」
ぐりっ・・・。
61 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:01:49.04 ID:elWowgb2
「へっ?ちょっ、そっちは」
ぬぬぬぬぬんっ!!
「ひっいぃい゛っ!?」
ぬぬぬぬぬっ・・・ぬぶぶんっ!
「あんんんんっ!またおしりぃいっ!・・・・・・ッほ!」
「どこの世界にこんな積極的にひっかけられたがる便器があるんですかっ!お仕置きですっ!」
ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!
ぬぽっ!ぬぽっ!ぬぽっ!
「ちょっ、まって、まってぇんっほォッ!
ちっ、ちがっ!そっ、そっおっおっ!そっちじゃないぃっ!」
「どっ、どう・・・うっ!ち、違うんですっかっ?」
ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!
ぶこっ!ぶこっ!ぶこっ!
「そっちはおっおっ、そ、そっちはアワビじゃないのぉっ!
アワビでチンポ磨いてほしかったのおっおっ!アワビ型小便器にマーキングしてほしかったのぉっ!」
「夕子さんはお尻の穴だって大好きじゃないですかっ!
今日だって、学校でした時はあんなに喜んでたくせにっ!」
「そっ、そ・・・らよぉっ、ケツ穴で惨めにアクメぶっこくのらいすきぃっ、すきすぎてらめなのぉっ」
「えっ・・・?おぉっ!?」
ぶぼっ!ぶぼぼっ!ぼぼぼっ!
「ケツ穴にれんぞくしゅーちゅーほーかされるとおぉっ、
ケツ穴のなかにあるマゾスイッチがズコズコ押されまくっちゃうかららめぇえ゛〜〜っ」
「うぅっ・・・!そ、そのスイッチ、押されまくるとどうなるんですかっ?」
ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ!
ぶぢゅっ!ぶぢゅっ!ぶぢゅぢゅっ!
「てーいちくんにしろくじちゅーアワビとケツ穴ほじくりまわしてもらわないとっ、
だっ、ダメなからだになる゛う゛ぅ〜〜〜っ」
「今と大差ないじゃないですかっ!・・・おふっ!」
ずぱんっ!ぱんっぱんっ!ぱんぱんぱんっ!!
ぬぢゅっ!ぬぢゅぢゅっ!ぬぢゅぢゅぢゅっ!
「ちっ、ちがうのぉっ。
ほんとにっい゛ぃっ、てーいちくんになにされてもよろこぶバカおんなになっちゃうから゛あ゛ぁ〜〜〜っ」
きゅうぅっ・・・。
「うわわわわっ!?ちょっ、お尻の穴はっ!絞めたらだめですってばぁっ!!
・・・うおぉっ!おっおっ!!」
・・・ぶびゅううぅぅうっ!!
62 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:02:20.04 ID:elWowgb2
「ふっ・・・ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ!!」
「あっ・・・おぉぉおおおっ!」
ぶびびびびっ。ぶびゅびゅびゅびゅっ。ぶびゅるるるるっ。
「・・・お゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ・・・」
「あうぅぅうっ・・・!あくぅうっ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ちゃぷ・・・。
「・・・はへぇぇ・・・。いいお尻エッチだったぁぁ・・・」
「・・・」
「・・・でも、やっぱり・・・ぉ・・・んこに欲しかったかなぁ・・・」
「・・・・・・」
「もし、貞一くんと出逢わなかったら・・・。
わたしの・・・ぉ・・・ま・・・んこ、きっと永遠に使い道ないままだったろうし・・・。
だから、エッチできる時はなるべくシときたんだけどな〜・・・」
「・・・・・・・・・」
「でもなんか、深く愛してもらってるのに放置プレイされてるみたいで、ほんとにマゾスイッチ入っちゃいそう。
・・・いやんっ♪」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・貞一くん?」
「・・・え?あ、はい、なんですか夕子さん」
「・・・・・・・・・。
ひょっとして聞いてなかった?」
「あ、ご、ごめんなさい・・・」
「・・・なんか今日の貞一くんって、わたしにシツレーだよね?」
「す、すみません・・・。でも、ちょっと気になることがあって」
「気になること?」
「ほら、誠教に伝わる『アカヒトさん』の怪談って、二通りあるじゃないですか」
「・・・あ―・・・。怪人みたいな扱いされてるやつだっけ」
「はい。遅くまで学校に残っている生徒を襲い、血を抜いて殺してしまう。
・・・その血に染まった姿から、『アカヒトさん』と呼ばれるようになった・・・」
「あのコが狂言に利用したのはそっちのパターンね」
「ええ。・・・で、これ・・・何かに似てると思いませんか?」
「・・・。
『あかマント』か」
「そうです。・・・なんで今まで気づかなかったんだろう・・・」
「ん〜・・・確かに言われてみれば、あかマントと元の『銅人さま』がごっちゃになって生まれたような設定だよね。
でも、それが?」
「『夕子さま』とその『あかマント』、流行りだした時期が近いのが気になるんです。
もしかしたら、なにか因果関係があるのかも・・・」
「そっかそっか。それでオリコーサンな貞一くんは、わたしと激しく愛し合った直後でも
冷めた頭でそんな血生臭い噂をレーセーに考察してたと」
「ゆ、夕子さん・・・」
「も―っ。さすがにエッチした直後にまでそんな話考えてるとは思わなかったよ。
わたしが言うのもなんだけど、最近の貞一くんってばちょっとリアリストすぎない?」
「い、いえっ、僕はただ、夕子さんの名誉が損なわれるような事態を避けたくてですね・・・」
「はいはい。全く貞一くんは真面目なんだから。つーん。
わたしのオトメ心が傷ついちゃったよ。・・・もうオトメじゃないけど」
「ごめんなさい。そんなつもりじゃ・・・」
「だぁーめ。許さない。罰として抱きまくらの刑ね」
「ぼ、僕が抱きまくらになるんですか?」
「いや、わたしが」
「・・・。
それ、普段とどう違うんですか・・・」
63 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:02:50.04 ID:elWowgb2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
証言その1:中等部2年A組男子
「・・・『夕子さま』・・・?
ああ、最近流行ってるコックリさんもどきか。俺は興味ないけど、吉沢がクラスメートの女子に誘われてさ。
あいつ、あんまり同性の友達がいないから、いいきっかけかなと最初は思ったんだけどな。
・・・なんかあんまり良くない噂を聞くんだよな、あれ。いじめの口実にされてるとかなんとか・・・。
だから断らせたよ。もし、それで反感を抱いてくるような連中だったら、最初から付き合う価値なんかないってさ。
結局それっきりみたいだけどな。
・・・なに?随分と吉沢を意のままにしてるって・・・バ、バカ!人聞きの悪い言い方すんな!」
証言その2:高等部1年女子(水泳部所属)
「『夕子さま』・・・?
あー、なんか流行ってるんだってね。でもあたしの周りはあんまり聞かないかな。
たまに中等部でかわいがってあげてた後輩の女子たちが話題を振ってくるけど、関わらないように言ってるよ。
・・・怪談に取り憑かれて振り回される虚しさは、身を持って思い知ったしね・・・。
しかし夕子さんも災難だよね―・・・。悪霊にされたり守り神にされたりおキツネさまにされたり・・・。
・・・え、ナニ?後輩をかわいがってあげてたって、どういうイミでかわいがってたのかって?
ふふふっ、どういうイミだろうねえ?
・・・あ、ごめん、携帯鳴ってるからちょっと出させて・・・
・・・あ、清巳!?え、わたしが浮気してないか心配って・・・ばばばバカだなーそそそんなわけないじゃ
あ、ちょっと清巳!?きよみさ―――んっ!?」
証言その3:中等部3年女子二人組
「おっ、色男。え?ナニナニこれ、ひょっとしてインタビュー?
・・・え、『夕子さま』?あー、ももえが最近調べてるやつかー」
「最初は面白そうかなと思ったんだけどね―・・・。なんかちょっとイメージしてたのと違うかな」
「わたしは一回参加したんだけどさー、なんかすぐ切り上げられちゃったんだよねー」
「日登美は人差し指に力入れすぎなんだよ・・・。あれじゃ占いにならないよ」
「え、あれって占いにかこつけて人差し指の力を競うゲームじゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・」
証言その4:中等部保健医(学園養護教論)
「え、『夕子さま』?・・・あー、こっくりさんの亜種かぁ―・・・。
わたしが学生の頃にも流行ったわ、こっくりさん。女子ってああいうの好きなのよね―・・・。
夕子さんもわたしが学生だった頃にはすでにあった怪談だけど、まさかコラボしちゃうなんてねー・・・。
でも基本はコックリさんなんでしょう?それならさすがに怖くな・・・え?帰ってくれなかった時?
・・・二回お願いしても帰ってくれなかった時は様づけして、それでも帰ってくれなかった時は・・・
・・・あ―っ!ちょっと、タンマタンマ!それ絶対怖いよね!?ねえ!?怖いんでしょ!?それ!
じゃあダメ!先生パス!パスパスっ!!」
証言その5:中等部1年女子
「・・・あ、新谷先輩。今日は庚先輩は一緒じゃないんですか?
・・・そうですか・・・。
え?『夕子さま』?・・・うーん、話は聞いたことありますけど、
一年はこないだまであかマントに振り回されていたから、他の学年ほど流行ってはいない、かな・・・。
一年生の大半は夕子さんのことよく知らないと思いますし。
・・・あ!あかマントを退治した時の庚先輩、すごーくカッコ良かったですよね!
あの悪鬼調伏のポーズとかほんとにシビれ・・・え?『アカヒトさん』?なんですかそれ。
血を吸う怪人・・・?なんかあかマントに似てますね・・・。
・・・そう言えば、あかマントの時も一部の間で、捧げ物をして鎮めようって動きがあったそうですよ。
神様とかじゃないんだから、捧げ物とかちょっとイメージと違う気がするんですけどね。
まあ、あれだけ流行っちゃうと、色々おかしなこと考える人も出てきちゃうのかな。
・・・ま!そんなものより、庚先輩の悪鬼調伏の方がよっぽど効きましたけどね!
今度ぜひ、庚先輩と一緒に・・・」
64 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:03:26.79 ID:elWowgb2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・ロクでもない証言ばっかだな・・・。
って言うか、やっぱ西河はアホだろ」
「この滝岡っていう一年生の子、ちょっと将来が心配ね・・・」
「おい!そりゃどーゆーイミだっ!?」
「・・・夕子さん、滝岡さんのこの証言・・・」
『・・・ん・・・。匂うね』
「もうちょっと一年生に的をしぼるべきかなこれは・・・ん?」
「・・・・・・・・・」
「うわっ!な、何ですか桐島先輩!?こっちをそんなに睨んで!」
「別に睨んでなんかないわ。ちょっと見ただけ。・・・それともわたしに詮索されるとマズいことでもあるの?」
「い、いや、そういうわけじゃ・・・」
「でも、みなさんあまりいいイメージは持っていらっしゃらないみたいですね〜・・・。
なんか、ちょっぴり安心しました」
「証言してる連中は、何かしら怪談や噂で嫌な思いをしたことのある連中だからな。西河のアホと河東を除いて。
懲りてるんだろうさ。・・・なあ桐島有子?」
「・・・」
「桐島さんも色々あったみたいですもんね。
かく言うわたしも、以前ちょっと痛い目に遭ったことがありまして・・・」
「・・・ふん」
「・・・」
「とにかく、滝岡さんの証言が気掛かりですね。
一年の間では他の学年ほど流行ってなかったみたいなので、最初は重視してなかったんですけど」
「あかマントかぁ・・・。確かに、言われてみれば似てるね。盲点だったわ」
「て言うか、新谷。気掛かりならそのまま滝岡への聞き込みを続行すれば良かっただろ」
「いや、それが・・・」
『あのコ、すぐあなたのヘンなポーズの話したがるんだもの。埒が明かなくて』
「へっ?そ、そうなのか?」
「・・・やっぱり、将来が心配ね」
「!」
「おい!やっぱりケンカ売ってるだろお前!」
「・・・・・・。
とりあえず、僕は他の一年を当たってみますから、霧江さんは滝岡さんへの聞き込みをお願いできますか?
多分、霧江さんが聞いた方がスムーズにいくと思うので」
「わかった」
「じゃあわたしは、第三新聞部として一年生に聞き込みをしてみますね!」
「うん。ありがとう小此木さん。じゃあお願いするね」
「ねえ、わたしは?わたしはなにをすればいいの?」
「え?桐島先輩は・・・えーと・・・」
「・・・え、やだちょっと、まさか考えてなかったの?」
「あ―、いや、その―・・・」
「ああその通りだ。お前は要らんから帰れ」
「・・・じゃあいいわ。わたしは勝手にするから」
「じゃ、じゃあ、とりあえず聞き込みを開始ってことで。なにか分かったら携帯で連絡お願いします」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
カツカツカツカツカツカツカツカツカツ・・・。
「・・・」
『・・・』
「・・・」
カツカツカツカツカツカツカツカツカツ・・・。
「・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・・・・。あの〜・・・、桐島先輩?」
「なあに?なんか文句ある?」
65 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:05:08.97 ID:elWowgb2
「いや、文句って言うか・・・」
「言ったでしょう?勝手にするって。だから気にしないで頂戴」
「・・・まさか、ぴったり張り付いてくるとは・・・」
『もーっ。貞一くんにないがしろにされたせいであのコ、ムキになってるじゃない』
「別にないがしろにしたつもりはないんですけど・・・。
なんか、やりづらいですね・・・」
『わたしも。あのコの目があると、なんとなく貞一くんにベタベタしづらいんだよね〜・・・』
「ベタベタは別に義務じゃないでしょ。・・・そう言えば夕子さん、さっきのあれ、気づきました?」
『うん?「あれ」?』
「さっき部室で、『滝岡さんが霧江さんのポーズの話ばかりしたがる』って言ったら、
桐島さん、『やっぱり将来が不安だ』って返してきたじゃないですか。
・・・言ったのは夕子さんなのに」
『え?・・・あっ!』
「・・・聞こえてたんでしょうか、やっぱり・・・」
『ま、まあ、人が集まってる場所だと、そこにいる誰かの声として聞こえちゃうこともあるし・・・』
「・・・の割には、別に不審がってる感じでもないんですよね・・・」
「ちょっと、何ブツブツ言ってるの?」
「えっ?・・・うわっ!」
「うわっ、何よ?人の顔見て驚くだなんて失礼ね?」
「い、いや、こんなに近づいてると思わなかったんで・・・」
「・・・。
あなた、やっぱりわたしに何か隠し事してない?」
「してないですってば。桐島先輩こそ、なんでそんなにぴったり張り付いてくるんですか」
「ん〜〜〜・・・。あなたとデートしたいから?」
『ッ!!!』
「はあっ!?」
「なんてね。ふふっ。
・・・ま、依頼の報酬としてデートくらいしてあげてもいいんだけど」
「お断りしますっ!!」
「そ、そう?・・・そんなにハッキリ断られると、さすがにちょっとショックかな・・・」
「あ、い、いえ、その、桐島先輩に魅力がないとか、そういうことを言ってるわけじゃなくてですね・・・。
むしろ桐島先輩は素敵な人だと思いますけど・・・
・・・あ―――っ!!違う!違うんですってば!」
「・・・・・・・・・」
「あっ!ちょっ!痛!いたたっ!」
「・・・・・・・・・。
あなた、大丈夫?・・・て言うか、以前もこんなことがあったような・・・」
「と、とにかく、そういうわけですからっ、
一緒にいるより、手分けして聞き込みした方がですね・・・いたたっ!」
「・・・・・・・・・」
―ガタンっ!
「!」
「え?」
『なによイケニエって!なんでわたしがイケニエなのよ!』
「え?なに?なに?」
『しょうがないでしょ。夕子さまが決めたことなんだから』
『そーそー。あたしらのせいじゃないし』
「一年の教室からですね・・・」
『捧げ物を捧げればいいじゃない!イヤよ生け贄なんて!』
『あんたねえ、「わた」なんて納めて、夕子さまが満足するとでも思ってるの?』
『そうよ。夕子さまはこの学園の守り神なんだから。価値あるものじゃないと満足しないの』
66 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/14(土) 06:07:58.88 ID:elWowgb2
「・・・。お邪魔しましょう」
「え?・・・あ、ちょっと、桐島先輩?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ごめんくださいな。・・・なんの騒ぎ?」
「あ、上級生の人ですか?あそこで『夕子さま』をやってた女子三人が、いきなりケンカしだして・・・」
「・・・ふうん・・・」
「やだよ生け贄なんて!生け贄ってどうなっちゃうのよ!?」
「さあ?知ってる人はもうこの世にはいないんじゃない?」
「なんか、鏡の中に引きずり込まれるとか、あの世へ道連れにされるとか、色々言われてるらしいからね〜」
「そんな・・・!」
「・・・夕子さんはそんなことしないわ」
「えっ?」
「!」
「・・・」
「だ、誰?上級生?」
「わたし?・・・わたしは・・・そうね、夕子さんの遠い知り合いってとこかな」
「遠い知り合いって、また微妙なニュアンスですね・・・」
「あなたは黙ってて頂戴」
「すみません・・・」
「な、なんですか?わたしたちが何で遊んでようが、関係ないじゃないですか!」
「遊び?・・・あなたたち、これ、遊びのつもりでやってるの?」
「・・・え?」
「これはね、『ふるい落とし』よ。愚か者を見分けるためのね」
「!」
「ふ、ふるい・・・?」
「そ。得体の知れないゴシップに振り回されたり、いたずらに面白がるバカな人を選別して、罰を与えるためのね。
生け贄だの捧げ物だのは、そのための口実よ。
・・・夕子さんはね、ありもしないものを鵜呑みにして躍らされるような、浅はかな人間を何よりも嫌うの」
『っ!!』
「で、でも、今、夕子さんはそんなことしないって」
「そうよ。鏡の中に引きずり込むだのあの世に道連れにするだの、夕子さんはそんなことはしないわ。
・・・そんな生半可なマネはね」
「えっ!?」
「これで愚かさを晒した人間の末路は、そんなのとは比較にならないくらい辛いものよ。
自ら大切なものを壊して、その十字架を一生背負い続けるの。
全てをなくしてから、初めて自分の過ちと愚かさに気づく」
『・・・・・・・・・・・・』
「わたしだったら、そんな後生ゴメンだわ。まだ鏡の中を一生さまよい続ける方がマシね」
「・・・」
「あ、あの、じゃあどうすればいいんですか?」
「そうね。・・・いっそのこと、本当に夕子さんにプレゼントしてご機嫌取りでもしてみたら?」
「え、でも、『わた』なんて捧げても・・・」
「あら、『わた』ならとびきり価値のあるのが詰まってるじゃない。・・・あなたたちのお腹の中に」
「へっ!?」
「人の命が価値あるものだって言うなら、それこそこっちの『わた』は価値があると思うけど。
・・・あ、今は臓器売買とかあるしねー」
「ちょ、ちょっと桐島先輩・・・」
「い、いやあぁあ〜・・・」
「ふふっ、冗談よ。そういうのを嫌うって言ったでしょう?
・・・後悔したくないなら、すっぱり忘れることね。
あなたたち二人がなぜその子と『夕子さま』をやろうとしたのかは知らないけど、
そういうのも全部水に流しなさい。引きずっても何一ついいことないわ」
「・・・はい・・・」
「あなたもよ。生け贄扱いされて取り乱すくらいなら、最初から参加するべきじゃないわ。
ルールを知らなかったわけじゃないんでしょう?」
67 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 21:46:33.18 ID:/TYvHJhd
「・・・ごめんなさい・・・」
「謝るなら『夕子さん』に謝って頂戴ね。・・・意外と繊細かも知れないから」
『・・・』
「とにかく、そんなもの面白がったり盲信しても、痛い目見るだけだから。・・・じゃあね」
カッカッカッカッカッ・・・。ガララッ。
「あっ、ちょ、桐島先輩ーっ?」
タッタッタッタッタッ・・・。バタンっ。
「・・・・・・・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「桐島先輩・・・。
さすが・・・って言ったらヘンですけど、ああいう時はすごく頼りになりますね・・・」
「ああいう時『は』は余計よ。
・・・あんなの大したことないわ。文字通り子供だましよ。適当に口からでまかせ言っただけ」
「口からでまかせ・・・ですか」
「そうよ。なにかおかしい?」
「・・・あまりそういう風には聞こえませんでしたけど」
「そりゃ、まあ、でまかせをさもそれっぽく言うのがわたしの得意技だしね。
・・・あなたもよく知ってるでしょう?」
「いえ、僕が言いたいのはそういうことではなく・・・ん?」
タッタッタッタッタッ・・・。
「あ、あの!」
「あら、さっきの・・・」
「さっきはありがとうございました!」
「なあに?わざわざお礼言うために追いかけてきたの?
・・・ふふっ、かわいいとこあるんだね」
「それもあるんですけど、その・・・聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
「はい。あの・・・、夕子さんは、生け贄とか要求しないんですよね?」
「しないわ。さっきも言ったでしょう。
・・・でも、お菓子とかお供えすれば喜んで食べるかもね・・・ふふっ」
『!』
「そうですか。なら、いいんですけど・・・」
「なに?それを確認したかっただけ?」
「はい。いえ、えっと・・・。あかマントは、生け贄を要求するって聞いたので・・・」
「っ!?」
「え!?あかマントが?」
「はい。学校に遅くまで残ってる人を生け贄に選んで、その血を吸い尽くすんだって・・・」
「ごめん。その話、詳しく聞かせてくれるかな?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「少し前にあかマントの噂が流行った時、
一年生の一部の間で『あかマントを鎮める儀式』っていうのが行われてたらしいんです。
で、生け贄・・・ではないかも知れませんけど、何か価値のあるものが捧げられたんじゃないかって」
「でも、一般的にあかマントの怪談は、生け贄とかは出てこないよね?犠牲者は出るかもだけど・・・」
「はい。
・・・ただ、この『誠教学園の』あかマントは、他のと違って生け贄を要求してくるって聞いたんです。
だから、その子たちもそれに倣って、捧げ物をすればあかマントは鎮まるって考えたんじゃないかと・・・」
68 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 21:48:07.87 ID:/TYvHJhd
「聞いたって、誰から?」
「誰ということはなくて、噂とかなんですけど・・・。
去年の学園祭でそのあかマントが現れて、生徒たちに生け贄を要求してきたって聞いて・・・」
「!」
『!』
「・・・!!」
「目撃者がすごく多かったって・・・。
同級生にも、兄や姉が学園祭であかマントを見たって子がけっこういるんです」
「・・・・・・・・・・・・」
「それでその時、あかマントは夕子さんを探してたとか、あかマントの正体が夕子さんなんだとか、
とにかくあかマントと夕子さんを関連づける話が多かったらしくて」
「そっか・・・。それで・・・」
「はい・・・。それでさっき、『夕子さま』で自分が生け贄にされたら、急にその話を思い出して、
怖くなっちゃって・・・」
「・・・それであんなに取り乱しちゃった・・・と」
「すみません・・・。でも、先輩のお陰で安心しました!」
「・・・そう・・・」
「あの、先輩!先輩の名前、聞かせてもらってもいいですか?」
「!」
「え」
『・・・』
「・・・ダメですか?」
「・・・。
・・・『有子』。
・・・『桐島有子』」
「!・・・え!?」
「ふふ。びっくりした?遠い知り合いってね、そういうこと」
「そ、そうですか・・・」
「・・・」
『・・・』
「あ、でも、夕子さんが桐島先輩みたいなキレイでかっこいい人ならわたし、怖くないかも!」
「えっ」
『え゛っ』
「・・・へっ!?」
「とにかく、ありがとうございました!
他に生け贄にされて怖がってる子がいたら、桐島先輩の話を教えてあげますね!じゃあ失礼します!」
「・・・・・・・・・」
タッタッタッタッタッ・・・。
「・・・」
「・・・あの子・・・」
「桐島先輩?」
「人に名前を聞いておいて、自分は名乗らなかったわ・・・。礼儀正しいんだか正しくないんだか・・・」
「・・・そっちですか・・・」
「に、しても・・・困ったね。退魔師さんにはなんて言い訳したものかしら」
「・・・」
「まさか、ほんとにわたしが蒔いた災いの種だったなんて・・・ね。
結局、結果的には退魔師さんの犯人扱いは正しかったわけだ」
「桐島先輩・・・。
・・・いえ、まだ桐島先輩に全ての原因を求めるのは早計だと思います」
「・・・え?」
「去年の学園祭における桐島先輩の狂言により、多くの生徒にアカヒトさんの存在が認知され、
その後新年度になって、一部の新入生が持ち込んだあかマントの噂と混同され、
さらに学園祭におけるアカヒトさんと夕子さんの接点により、
あかマントも『夕子さま』も生け贄を要求する怪異にねじ曲げられた。・・・ここまではいいですね?」
「え、ええ」
「・・・でもそれだと、結局『夕子さま』の発生源が不明なままなんです」
「そ、それは・・・。
69 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 21:50:02.63 ID:/TYvHJhd
わたしが学園祭の時にアカヒトさんの怪談を歪曲させて
『アカヒトさんは夕子さんを探している』って内容で流したから、さらにそれがねじ曲がって
生け贄を要求するアカヒトさんと夕子さんが混同されるようになっただけじゃ・・・」
「最後の七不思議と矛盾するのに?」
「!!」
「『夕子さま』が流行りだした時期を鑑みるに、
『夕子さま』と最後の七不思議の噂が流れ始めたのはほぼ同時期か、
夕子さまがやや遅いかくらいのはずなんです」
「・・・」
「不自然じゃないですか?片や生徒を見守る守り神、片や生徒に生け贄を要求して追い詰める祟り神・・・。
どっちも自然に『噂』として共存するとは考えづらい」
「・・・誰かが意図的に流行らせた・・・?」
「えっ?・・・あ、いや、まあ・・・。
・・・そうですね、桐島先輩がこないだ指摘していたように、
この『帰ってくれなかった場合』のくだりに考案者の悪意が込められているというのなら、
その可能性は低くないと思います」
「・・・」
「ここからはただの憶測ですが、
たぶん最初の『夕子さま』は、本当にコックリさんの名前を変えただけのものだったんじゃないでしょうか。
最後の七不思議の影響によって流行り始めた夕子さん版コックリさんに、
誰かが後から便乗して悪意あるアレンジを加えたのかも・・・」
「・・・それがわたしだとは考えないの?」
「・・・。
桐島先輩、自分で気づいてました?」
「・・・気づく?・・・何が?」
「さっきあの子に『キレイでかっこいい』って言われた時、すごく顔がニヤついてましたよ」
「へっ!?」
『・・・』
「本当に桐島先輩が元凶だったら、自分がバラ撒いた悪意によってイヤな思いをした子に褒められたって、
そんな嬉しそうな反応はしないんじゃないですか?」
「〜〜〜・・・」
「それに最初にも言いましたけど、僕はそもそも桐島先輩のことは疑ってません」
「・・・。
・・・ねえ、新谷くん?」
「・・・なんですか?」
「あなた、絶対スケコマシでしょ」
「はぁっ!?」
『!?』
「あなたねえ、そういうのはダメよ?落ち込んで自虐的になってる女の子を、論理的に冷静にかばうとか。
・・・コマされてもいいかも、って思っちゃうもの」
「な、なに言ってるんですか!」
「あなた、もう恋人がいるわね?それもとりあえず付き合ってみたとかじゃなくて、相当『重い』仲と見たわ」
「なっ・・・なっ?なっ!?」
『・・・・・・・・・・・・』
「退魔師さんや新聞部の部長さんではないね。あなたと付き合ってるにしては、あの子たちには色気がないから。
・・・あー、そっかそっか。ちょっぴり残念ねえ。ちょっといいかな、って思ってたのに・・・」
「か、勝手に納得しないでくださいっ!」
「違うの?」
「あ、いや、その・・・」
『・・・』
「・・・なんで今、後ろを振り返ったのかしら?」
「べっ!別になんでもないですってば!」
「・・・ま、いいわ。今日はもう、とりあえず引き上げましょう。収穫もあったし、また後日吟味すればいいわ」
「あ、はい。・・・って、なんで桐島先輩が仕切ってるんですか・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
70 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 21:52:54.17 ID:/TYvHJhd
どさっ・・・。
「は―――・・・。疲れた―――・・・」
「・・・・・・・・・」
「生け贄か・・・。あかマントの時、もっと念入りに調査すべきだったかもですね」
「・・・・・・・・・」
「あの時は、ろくに聞き込みしなかったからなあ・・・。
何より、アカヒトさんとの共通点に気づかなかったのは迂闊でした」
「・・・・・・・・・」
「・・・夕子さん?」
「・・・貞一くんってさ・・・」
「はい?」
「やっぱりスケコマシなの?」
「なっ!?何言い出すんですか夕子さんまで!」
「いや―・・・。最初はわたしも『なにをバカな』と思ったんだけどね―・・・。
言われてみると、思い当たるフシがあるような・・・ないような・・・」
「そんなことないですってば!」
「でもよく考えたらさ―・・・。
ず〜〜〜・・・っと誰にも気づいてすらもらえなかったわたしよりはさ―・・・
まだ貞一くんの方が異性と接触する機会は多かったはずなんだよね―・・・」
「カンベンしてくださいよ〜・・・。僕、夕子さんと出逢うちょっと前まで小学生だったんですよ・・・?」
「最近のコは進んでるって言うし―・・・」
「ちょっ・・・」
「わたしは貞一くんだけだけど―・・・。貞一くんはなんか―・・・。
無意識に女の子とか引き寄せちゃいそ―だし―・・・」
「・・・」
「今日だってさ―・・・。あのコの表情の変化とかさ―・・・。ミョーによく見てるし―・・。」
「・・・・・・」
「だいたいさ―・・・。ズルいよね―・・・。
てーいちくんみたいなかーいー男の子にさ―・・・。あんなクールに庇ってもらったらさ―・・・。
大抵のコはコロリといっちゃうって言うかさ―・・・」
「・・・・・・・・・」
「まーわたしはコロリどころかバタンキューって感じだったんだけどね―・・・」
「・・・夕子さん・・・。なんでそんなにいじけてるんですか・・・」
「べっつに―・・・。
今日の聞き込みって他の人から見たら貞一くんとあのコが校内デートしてるように見えなくもないな―
・・・とか全然思ってないし―・・・」
「・・・」
どさっ。
「むぎゅっ!?」
のしっ・・・。
「ちょっ、て、貞一くん!?なにいきなりのしかかってきちゃってるの!?」
「ここは僕のベッドなんだから、どう寝そべろうが僕の勝手でしょう。
・・・そのままうつ伏せでいてくださいね」
ぐりりっ・・・。
「ひッ!?ま、まさか」
みちっ・・・。ぬぬぬぬぬぬぬ〜〜〜・・・っ。
「んあぁあっ!!ま、またおしりんオォオっ!」
・・・ぬぼんっ!!
71 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 21:55:21.78 ID:/TYvHJhd
「・・・ンほっ!!」
「・・・ふっ!・・・もし僕が軽薄に見えるのなら、それは夕子さんのせいですっ!」
「ちょ、べ、別に軽薄とは言ってな・・・おっおっおっ!」
ぬぼっ!ぬぼっ!ぬぼぼっ!
「あっ、あっあっ、まっ、まさかっあ゛っあっ!まさかのケツ穴で三連戦ん゛っんっ!」
「もっ・・・うぅっ、もうお下劣スイッチ入ってるじゃないですかっ。そんなに好きなんですか?お尻の穴っ!」
「らからぁっ、ケツ穴大好きだけどケツ穴だけに集中砲火されるのはヤバいんだってばあ゛ぁっ!
そこっおっおっ!そこマゾスイッチあるからぁっ!!」
「昨日から・・・くぅっ、なんなんですかっ、それっ・・・」
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。
ずっ!ずっ!ずっ!ずっ!ずっ!
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、おっ、おまんことかっ、おくちとかっ、ほかにもあるのにっ、
よりによって、ケツあなばっか連続オナホにされたらっ、
て、てーいちくんにっ、いじめられたくってしょうがなくなるスイッチがっ、オンになっちゃうぅぅっ」
ぬぼっ!ぬぬっ!ぶぽっぶぽっ!
「あ゛ぁあっ、あ゛、あ゛、あ゛、ご、ゴリッゴリおされてるぅう゛っ、
マゾスイッチおされすぎてこわれう゛ぅっ」
ずっ!ずぼっ!ぼぼっ!ぼっぼっ!
「僕もっ・・・!僕も、夕子さんの男殺しアナル、すっかり病み付きですっ・・・!」
「あ゛〜〜〜っ、もっ、そ、その呼び方やめてよぉおっ」
「なに言ってるんですかっ、
きっ・・・うっ!・・・き、キツキツなのにやわらかくてっ・・・すごいコスれるのにヌルッヌルでっ・・・!」
「あ゛〜〜〜〜〜〜〜っ、だっあっあっ、だめっあっあっ、あっあっあっ!
ケツ穴しゅーちゅーほーからめっらめっらめっ!」
「ウツボカヅラとかっ・・・、アリジゴクみたいにっ、
一度『男』を飲み込んだら・・・おぉぉっ、し、しぼり尽くすまで逃がさないじゃないですかっ!
これが男殺しじゃなくてなんなんですかっ!」
「ご、ごめんなさいっ、ごめんなさ・・・おぉぉぉおぉ」
「・・・桐島さんじゃ、こうはいきませんよ!」
「・・・えっ!?」
「桐島さんは絶対、お尻の穴をオナホ代わりなんかにされて喜んだりしないですよっ!」
「てっていいちくっん゛っんっ!?」
「僕専用の精液便所を自負したりっ、
僕に射精されただけで正気を失うほど悦んでくれたりっ!
初めての時、痛みすら喜んでくれたりっ・・・!
僕のためにそこまでやってくれるの、きっと夕子さんだけですっ!」
「そっそうらよおっおっおっ、てっ、てーいちくんのためおっおっ!
・・・たっ、ためっ、ためだったらっ、なんでもするよっおっおっ!」
「なのにっ・・・、なのに、他の女の人なんか、今さら目移りするわけないじゃないですかあぁあっ!!」「!!!
・・・・・・て・・・!」
ぶびゅぶびびっ!!
「おっほォっ!?」
「お!おぅぅうっ!」
びゅ―――!びゅ―――っ!ぶびびっ!ぶびゅるるるるっ!!
「んおっ、んオォっ、おっ、おっおっ、んオォォオっ!」
「もっ・・・、自覚のないっ・・・男殺しにはぁっ・・・こうやって・・・はぅっ!
・・・お、おしおきしないとぉおっ・・・!」
72 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 21:57:42.86 ID:/TYvHJhd
びゅ!ぶびゅ――――――――――――・・・!
「ひッ!ひィイイィイ〜〜〜〜〜〜・・・っ」
「・・・おぉぉおおぉ・・・っ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すりすり・・・。
「うふふふふ・・・んふふふふふっ♪」
なでなで・・・。
「よしよし・・・。機嫌直してもらえました?」
「うんっ。余は満足じゃ。・・・ふふっ♪」
「・・・まったく。夕子さんは少し、自分の魔性っぷりを自覚した方がいいですよ?」
「・・・え!わたし魔性の女とかなの!?」
「まあ・・・。少なくともその・・・、取り憑かれた僕から見れば・・・」
「・・・やだっ、わたしなんかかっこいい・・・」
「そんな呑気なものじゃないですよ・・・。
そのせいで僕は今までさんざん胸が張り裂けそうな思いをしてきたのに。
なのに夕子さんに気持ちを疑われたら割に合わないですよ?」
「うっ・・・。ご、ごめんね?」
「・・・まあ、確かに桐島さんも大人っぽい人ですし、なんか変に鋭いところがあるから
落ち着かなくなる気持ちは分かりますけど・・・」
「ふふっ、噂を意図的に流行らせたって言われた時の貞一くん、ちょっと面白い顔してたよ?」
「・・・あの時、僕は『夕子さま』の作為性に関して話してるつもりだったんですけれど。
でも、そもそも最後の七不思議自体、僕自身が意図的に流行らせたものでしたからね・・・。
だからちょっと、『ぎくっ』てなっちゃって」
「わたしも。・・・一年のコたちを言いくるめてる時の口振り、ただのでまかせには聞こえなかった。
・・・あのコ、ほんとにどこまで分かってるんだろうね」
「まあ、とりあえず考えるのは明日にして、今日はもう休みましょう。・・・色んな意味で疲れましたし」
「・・・」
ぎゅっ。
「えっ」
「・・・」
「ゆ、夕子さん?今日はもうさすがに・・・」
「・・・いや、そうじゃなくて・・・ね?」
「・・・?」
「・・・えと・・・。寝る前に・・・ちょっとでいいから、その・・・なんて言うか」
「・・・??」
「・・・・・・い・・・・・・いじめて・・・ほしい・・・かな〜・・・
・・・な〜んて・・・」
「・・・は・・・?」
「〜〜〜っ」
「い、いじめるって」
「そ、その、あたまぐりぐりするとかっ、せなかふんづけるとか・・・
お、おしりペンペンとかっ、そういう軽いのでいいから・・・」
「いっ!いきなり何言ってるんですかっ!?」
「い、いきなりじゃないよ!さっき言ったじゃない!『いじめてスイッチ』が入っちゃったんだってば!」
「え、ええ〜〜〜・・・」
「ちょ、ドン引きしないでよ!そもそも貞一くんが無理矢理スイッチ押しちゃったんだよ!?」
「あ、あれってそういう意味だったんですか・・・?」
「そうよ!て言うか!だからお尻連続はダメだって言ったでしょっ!」
73 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 22:01:20.97 ID:/TYvHJhd
「・・・・・・・・・」
「貞一くんもわたしにいじられたことがあるから分かると思うけど、お尻の穴を集中的にイジメられるとね、
なんかこう、相手にすごく恥ずかしい弱みを握られてるような気分になっちゃって、
ヘンな服従心が芽生えちゃうのよ・・・」
「まあ・・・。分かる・・・ような、分からないような・・・」
「だから、その後もしばらく『いじめてほしい』って気持ちだけが先走っちゃって・・・」
「・・・い、いやいやいや、今まではそんなことなかったじゃないですか?」
「日を跨いでなおもお尻の穴『だけ』イジメられ続けたのはさすがに初めてでしょっ!
・・・もうっ!タチ悪いのはアナルアクメの感覚と一緒に刷り込まれちゃってることよ!
おかげで最近、恥ずかしい思いするたんびに、お尻の穴の気持ちいい感覚まで甦ってきちゃうんだよわたし!」
「・・・・・・・・・」
「だから貞一くんは責任取ってわたしをいじめる義務があるのっ!」
「・・・さ、さっき満足したって言ってませんでしたっけ?」
「それは甘やかされ分!イジメられ分は別腹っ!」
「・・・。
と、とりあえず、頭ぐりぐりでいいですか?」
「うんうんっ。
・・・えへへへ。お手柔らかに・・・はしなくていいけど、とにかくいっぱいいじめてねっ♪」
・・・昼間は『いじめ』の温床となる占いを悪質だと断じていた恋人が
夜は『いじめ』を強要してくることに、激しい矛盾を覚える少年であった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ガラッ。
「うーす。・・・うわっ、なんだっ?」
「うへへへへ・・・」
すりすり・・・。
「・・・あ、霧江さん、こんにちは」
「おい、なに食わぬ顔で挨拶するな!なんだその、お前の太ももにむしゃぶりついてる妖怪は!」
「いや〜、その・・・」
「いーじゃない。ここはわたしの特等席だもーん。
それにわたし、今日はすごーく機嫌がいいの」
すりすりすり。
「・・・ったく、また色ボケモードに入ってるのか・・・。いや元々色ボケだけど。
アバズレ女の前じゃさすがに自重しろよ」
「えっ」
「えっ」
「・・・ん?なんだ?当然のことだろ」
「・・・霧江さん。ひょっとして、桐島さんには夕子さんの姿が見えてると思ってます?」
「え?
・・・あ!そ、そっか。あいつには夕子の姿は見えないよな。
・・・あれ?なにを勘違いしてたんだわたしは・・・」
「・・・やっぱりあなたも、なんとなくそう感じちゃうんだ?」
「え?」
「・・・どうも桐島さん、夕子さんの存在を察してるフシがあるんですよ・・・」
「・・・」
「僕や霧江さんみたいに、はっきり認識できてるわけではさすがにないと思うんですけど」
「・・・まさか・・・。
・・・いや、でも、あいつカマかけとか得意そうだからな。
そう思わせるように振る舞ってるだけかも知れないぞ」
「それは結局、夕子さんの存在を意識してる前提じゃないと成り立たないのでは?」
「・・・」
74 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 22:02:58.88 ID:/TYvHJhd
「なんかね〜・・・。
わたしもあのコの前だと、なんとな〜く貞一くんとイチャイチャしづらいんだよね〜・・・」
「お前はあの女関係なしにもうちょい自重しろよ・・・。
・・・しかし、そうそう夕子の存在を感知できるものか?
少なくともお化け屋敷の時は見えてなかったんだろ?」
「あの後色々ありましたからね・・・。
元々、桐島さんはイヤでも夕子さんを意識せざるを得ない環境にありましたから、
普通の人よりは感知しやすくなる土壌が出来上がってたとも言えます」
「う〜ん・・・。
でも夕子、お前って新谷と出逢うまで、ただの一人にも気づいてもらえなかったんだよな?」
「うん。そりゃもう聞くも涙、語るも涙よ?」
「・・・なのにここに来て、急に三人も認識できる人間が出てくるものか?」
「霧江さんは血縁があるから、ある意味で必然だと思いますけど」
「・・・じゃあお前はなんなんだよ」
「えっ」
「わたしは血縁があって、桐島は名前のせいで意識しまくってるってんなら、一番接点ないのはお前だろ」
「あ〜〜〜・・・」
「わかってないわねぇ。そんなの『赤い糸』ってやつに決まってるじゃない」
「『アカいヒト』の間違いじゃないのか?ある意味で新谷はお前への生け贄だからな」
「ぐっ・・・」
「・・・案外、新谷の家も祖母辺りが夕子と知り合いだったんだったりしてな・・・」
「・・・貞一くんのおばあちゃん・・・かあ。
まあ、貞一くんと出逢ったことによって、わたしも色々活動するようになったから
それで意識されやすくなったっていうのもあるのかもね」
「そういえば霧江さん、そのアカヒトさんですけど・・・」
「ん?ああ。結局桐島が元凶だったんだろ。とんだ茶番だな」
「・・・いえ、昨日も僕の意見は話しましたけど、
『夕子さま』を悪意あるものとして流行らせた人間は恐らく別にいるはずです」
「・・・でもな、新谷・・・。
大きな意味での発端が学園祭における桐島の狂言だってのは、もう間違いないと思うぞ。
それであいつが嫌な気分になるのは、自業自得じゃないのか?」
「・・・正直、もう桐島さんはあまり関係ないと思ってます」
「・・・は?」
「霧江さんも知っての通り、最後の七不思議を広めたのは僕です。
僕の知ってる本当の夕子さんをみんなに知ってほしくて、
・・・そして、それによって夕子さんが帰ってきてくれるように」
「・・・」
「貞一くん・・・」
「・・・なのに、
僕と同じ時期に、
僕と同じやり方で、
僕とは真逆の夕子さんを広めた人間がいるかも知れない。
・・・あまりこういう言い方はしたくないんですけど」
「・・・・・・」
「僕は、ケンカを売られたと受け取りました」
「・・・!!」
「新谷・・・」
「だから、桐島さんの依頼はやり遂げたい。
・・・別に戦うとか、そういうのじゃないんです。ただ、納得できるまで調査したい」
「・・・。
はあ・・・。しょうがないな。
まあ、ここで中断したら怪異調査部の名折れだし、部長代理の命令なら・・・ん?」
「〜〜〜・・・っ」
75 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 22:03:41.19 ID:/TYvHJhd
「おぅわっ!?な、なんだ夕子!!なに悶絶してんだ!?」
「ゆ、夕子さん!?どうしたんですか?」
「・・・い・・・」
「・・・『い』?」
「いまのてーいちくんのセリフっ・・・『ずきゅーん』ってきちゃったあぁっ・・・」
「・・・は?」
「・・・え?」
「ど、どーしよていいちくんっ・・・わたしまたスイッチはいっちゃいそうっ・・・」
「えぇっ!?な、なんでですかっ!?」
「スイッチ?スイッチってなんだ?」
「あ、いや、その、こっちの話です!」
「あぁあぁあっ・・・。あのコの言う通り、やっぱてーいちくんって女殺しなんじゃ・・・はうぅっ」
「ちょ・・・もーっ、昨夜納得したんじゃなかったんですか?」
「・・・よく分からんが・・・。
ひょっとして夕子って、こういう病気なんじゃないだろうな・・・」
ガララッ。
「ごめんくださいな。・・・あら、なにしてるの?」
「へっ!?き、桐島先輩!?」
「き、桐島!?あ、いや、これはだな、その・・・!」
『・・・はうぅっ・・・』
「・・・?」
「・・・あ!いえ、霧江さんと昨日のことで議論してたら、ちょっと熱くなっちゃって・・・!」
「え?・・・あ、ああ、そうそう!」
「・・・?
・・・そう?」
《おい夕子、いつまでものたうってないでしゃんとしろよ!》
『てーいちくんが膝枕で看病してくれないとムリぃ〜・・・』
《・・・こいつは〜・・・》
ガララッ。
「こんにちはーっ!
・・・あれ?みなさんもうお揃いですか?」
「あ、小此木さんこんにちは」
《ほら、みんな集まったからしゃきっとしろ!》
『ちぇーっ』
「・・・」
がしっ。
『・・・へっ?』
ぐいいっ。・・・ばふっ。
『わぶっ!?』
「お、おい新谷!?」
なでなで・・・。
『あっ・・・んんっ。・・・ふあぁっ』
《・・・膝枕くらいいくらでもしてあげますから、しばらく大人しくしててください・・・》
『んんんっ・・・。
・・・うへへへ、極楽極楽っ♪』
「もうそのまま昇天してしまえ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
76 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/17(火) 22:04:21.37 ID:/TYvHJhd
「・・・おおよその原因が分かったところで、今後の方針ですけど・・・」
「やっぱり広めたバカの特定じゃないか?シメてやらんとまたヘンな噂を広めようとするかも知れないぞ」
「いえ、大元を特定したところで、『夕子さま』が沈静化するわけじゃありません。
まず火消しの方を優先すべきじゃないかと」
「わたしはどっちかとかじゃなくて、同時進行すべきだと思うけど。徹底的に根絶やしにすべきだわ」
「・・・桐島さんが言うとなんかコワいです・・・」
「お前は部員じゃないんだから、方針に口出ししてくるなよ」
「あなたたちが手ぬるいからでしょう。どちらか一方でも叩き損なえば、きっと禍根を残すわ」
「ふん。お前が言うと説得力が違うな」
「・・・」
「ま、まあまあ、霧江さんも桐島さんも落ち着いてください。ねっ?ねっ?」
「う〜ん・・・。
桐島先輩、僕は犯人を放置しろと言ってるわけではなくてですね、順番のことを言ってるつもりなんですけど」
「順番?」
「例えば、先に犯人を特定できたとしても、すでに拡散してしまった『夕子さま』にはあまり影響はありません。
もちろん霧江さんが言ったように、発生源を止めるっていう意味での効果はありますけど、
だからと言って学園中に浸透した『夕子さま』が自然消滅するわけじゃないですし」
「・・・」
「逆に『夕子さま』が流行らないように火消ししていけば、自然と発生源に近付いていくんじゃないかと思うんです。
ちょうど昨日、桐島先輩が一年生を諭してくれたおかげで、有力な情報が聞き出せたように」
「・・・なるほど」
「おお〜・・・。さすが新谷さん、戦略的です!」
「いや、そんな大したものじゃないよ小此木さん・・・。
それにやり方としては、結局桐島先輩が言ったような同時進行の形に近くなると思うし」
「・・・そうなの?」
「僕が気になってるのは、一部の一年生が行ったという『あかマントを鎮める儀式』です。
滝岡さんと昨日の一年生、二人の口から聞けたってことは、その儀式が執り行われたのは恐らく事実なんでしょう。
ですから、火消しはそっちの情報収集も兼ねる形でいこうかと思うんです」
「・・・新谷は、その儀式の参加者を疑ってるのか?」
「まあ、無関係ではないかと・・・」
「いいわ、そういうことなら。要するに、昨日みたいなことを繰り返せばいいんでしょう?
・・・ちょろいわ」
「さすがに、単体行動で口出ししてもただのヘンな人だと思われるでしょうから、2チームに分かれて行いましょう。
僕は桐島先輩と行動しますから、霧江さんは小此木さんと行動をお願いします」
「分かった」
「りょーかいです!」
「・・・この分け方、なんか意味あるの?」
「霧江さんは、この手の話では一部の一年生に信頼がありますからね。
桐島先輩は昨日の諭し方を見る限りでは、すごく説得力があったので」
「・・・ふうん」
「じゃあ、さっそく開始しましょう。なにか分かったら、また携帯で連絡お願いします」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
初めて来たけど読んでて面白かった。
これからも続けてください乙。
78 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/18(水) 21:43:10.36 ID:bfMyYexb
,/"゙'' 、
/::::::::::::::ヽ.,_,,.. .,,
_,.ノ:::::::::::::::::::;!:::::::::::ミ゙'i,
, '"~::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::;;iiリ)
i:::::::::::::::::::::::::::::::;、;、=ミミ::::(((_
,,. .ノ::::::::::;..、::ノ'メr,.ノ.〃!::::ミ::::::ii !!) ありがとうございます・・・・・・・・!
i:::::::::::::::::/r// リ | ヽ!! )ノ!::::川::リ
,,. ..ノ:::::::::::::::///' _ \i ! 」」_{(巛(/
):::::::::::::::::::::i /u〜 ̄7u./__υ/!((
>>77・・・・!
ー――---=ニ三/ ̄7'"~7,,.、' ,.、/ /\ /彡ノ
.i――--- :.:.:,;,;,/: : /i /〃ス/メ、゙i 〈υ/《(
/ : : : : : : : : : / : : /:::|. /《///メ/7テラ'》/ノリツ ありがとうございます・・・・!
.: : : : : : : : : /: : : /:::::.Vυ゙==、ク'メ//巛i"
: : : : : : : : :/: : : :/:::::::::ヾ'' -、.,,ヾ=/:\'"
: : : : : : : :./ : : : /::::::::::::::\/!:゙.-"i: : \:\
: : : : : : : 〈: : : : /::::::::::::::/ヽ:::|: : : :|: : : : \:ゝ、
79 :
名無しさん@ピンキー:2014/06/18(水) 22:40:23.48 ID:jaknCh1+
乙乙
80 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:33:39.87 ID:TYxZjSRg
>>79 / ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\ ありがてぇ・・
/ 。<一>:::::<ー>。
| .:::。゚~(__人__)~゚j ありがてぇ・・・
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._
81 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:34:32.36 ID:TYxZjSRg
―三日後―
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
新谷・桐島組が得た情報
・『夕子さま』は、三月中旬〜下旬(春休み直前)辺りから流行り始めた。
補足:最後の七不思議の噂より、半月ほど遅れての流行と思われる。
・最後の七不思議の流行よりも前に『夕子さま』が行われていた事実は確認できなかった。
・『生け贄』になったとある生徒が、手首を切って自殺したという噂がある。
補足:ただし、少なくとも学園側の記録では三月以降の生徒内死亡者数は0である。
・『捧げ物』をしなかったとあるグループが、全員発狂したという噂がある。
補足:その際に指定された捧げ物は『いきち』だったとされる。
・五月上旬辺りから、一年生の間で恐怖系のチェーンメールが流行っている。
・呪い石に刻まれる名前が、ここ数ヶ月ほどで増加している。
補足:四月上旬の時点で新谷が確認した際には、名前の増加は見受けられなかった。
・旧校舎跡のガレキの下から、『死ね』と書かれた手鏡が見つかった。
・旧校舎跡のガレキの下から、『夕子さま』と書かれた紙が貼られた人形が見つかった。
補足:紙にはカッターナイフが刺さっていた。
霧江・小此木組が得た情報
・一年生の間で本格的にあかマントの噂が流行り始めたのは、六月に入ってからである。
補足:ただし、噂自体は新年度に入った直後から、すでに一部の間で流れ始めていたことが確認されている。
・聞き込みをした範囲内では、あかマントとアカヒトさんの区別が付いている一年生はいなかった。
また、アカヒトさんは知っているがあかマントは知らないという一年生もいなかった。
・あかマントが生け贄を要求するものだと認識している一年生が七人いた。
うち一人は、あかマントと夕子さん(夕子さま)を同一視していた。
補足:その全員が、少なくとも誠教学園に入学してから得た認識=アカヒトさんの怪談による影響である。
・『あかマントを鎮める儀式』を誰かが行ったという噂は五月辺りから流れ始めた。
補足:その際の『捧げ物』については人の命、血液、金銭など諸説がある。
・『あかマントを鎮める儀式』は失敗だったとされている。
・七月上旬ごろ、旧校舎跡で女子生徒の幽霊が暴れていたという噂がある。
補足:多分、酔っぱらった沖浦先輩。
・六月下旬ごろ、巨大な化け猫が男子生徒を追いかけ回していたという噂がごく一部である。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
82 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:35:18.41 ID:TYxZjSRg
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・』
「あなたたちねえ・・・。真面目にやる気あるの?」
「なっ!?けけ、ケンカ売ってるのか!?」
「だって、この最後の二つはなんなのよ・・・。
・・・て言うか化け猫?化け猫って・・・」
「お、お前らこそ、なんかムダにこ、怖くしようとしてないか!?」
「しょうがないじゃない、関係ありそうな情報を羅列したらこうなったんだから。
そもそも怪談の調査をしてるんだから、それっぽい話ばかりになるのは当然でしょ」
「ぐっ・・・」
「・・・に、しても、呪い石なんて本当にあったんだね。ちょっとビックリよ」
「わざわざ確認しに行ったのか?新谷・・・」
「はい・・・。呪い石自体、今の生徒たちにはあまり認知されていない七不思議なのに
なぜか聞き込みした生徒たちの口からちょくちょく名前が挙がったもので、ちょっと気になって」
「バカな人たちね。呪いなんてあるわけないのに。私怨を晴らすのにくだらない噂をアテにするなんて」
「・・・お前とどう違うんだ」
「わたしは噂をアテにしたんじゃない。噂を利用しただけ」
「ま、まあまあ、お二人とも・・・。
・・・でも、呪い石って元は慰霊碑だったんですよね・・・。
死者を慰めるために作られたはずなのに、なんだか悲しいです」
『・・・』
「・・・あれはそんな単純なものでもないんだけどね」
「え?」
「あ、ううん、何でもないよ」
「いい加減、あの石もおばあちゃんに頼んで然るべき処置をしてもらわないとな。
・・・でも新谷、それって今回の件と関係あるのか?」
「あの石、ほんとに今の生徒たちにとっては幻の存在なんですよ。噂自体が廃れてたくらいですし。
・・・なのにここ三ヶ月くらいで、また名前が増えている」
「・・・つまり、『夕子さま』で生け贄扱いされた子が、他の参加者の名前を刻んでいる?」
「断言はできませんけどね」
「・・・あの、ところで新谷さん。このガレキの下から見つかったものっていうのは・・・」
「ああ。先生方に聞いたんだけど、明らかに後から埋められたとおぼしきものが出てくるらしいのよ。
それも妙に物騒なものばかり」
「『捧げ物』か」
「こないだの酒樽撤去作業に関連して、他にも危険物とかが埋もれてないか学園側で調査してるらしいんですけど、
前日調べたはずの場所に新たに『モノ』が置いてあったりするらしくて」
「迷惑な話だな」
「・・・あ、あの、それもそうなんですけど、新谷さん・・・この人形って・・・。」
「・・・うん。『隠れ鬼』だね・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「隠れ鬼?・・・ああ、それも七不思議だったな」
『・・・わたし、あの人形処分したはずなんだけど・・・』
《・・・いえ、あの時のとは全然別物です。
・・・って言うか、夕子さんも一緒に実物を見たでしょ》
『あれ?そだっけ?』
「・・・。
・・・で、それも『捧げ物』なのか?
旧校舎で隠れ鬼をやってた奴の忘れ物がそのまま埋もれただけじゃないのか」
「実物を見せてもらったんですけど、紙には『夕子』ではなく『夕子さま』と書かれていました。
人形自体も目新しかったので、『捧げ物』でしょう」
「で、でで、でも、なんでわざわざ隠れ鬼っぽくしてあったんですかぁ!?」
「う〜ん・・・。どっかでごっちゃになった・・・のかなあ・・・」
「・・・夕子さんへの捧げ物として刺された夕子さんを差し出すとか、訳が分からないね」
「当て付けかもな。
・・・他の参加者に対してか、夕子そのものに対してかは分からないけどさ」
『・・・!』
83 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:36:07.12 ID:TYxZjSRg
「そうかも知れませんね・・・。
・・・でも、もっと根本的な問題として、僕が恐いのは『二次災害』です。
こうやって既存の怪談と連鎖反応を起こして、夕子さんのイメージがまた・・・
いえ、以前より悪くなるのだけは避けたい」
「・・・」
「夕子さんて、元々は人に危害を加えたりするイメージはなかったですもんね」
「約一名、思いっきり人生を振り回されてる哀れな犠牲者がいるけどな」
『ぐっ・・・』
「うっ・・・」
「えっ?」
「なんでもない。こっちの話だ」
「・・・まず、情報を統合して分かったことは、
『夕子さま』は当初の予想通り、最後の七不思議の影響で流行ったということ、
一年の間ではアカヒトさんはあかマントとして認識されているということ、
『夕子さま』は他の七不思議に悪影響を与えているということ。
そして・・・
やはり『夕子さま』の独自ルールには、去年の学園祭のアカヒトさん騒動が影響を与えているということです」
「・・・」
「最後の結論の論拠はなんだ?」
「『生け贄』になった生徒や『捧げ物』を怠った生徒の末路に関する噂ですね。
恐らく、学園祭時に桐島先輩が手首を負傷した件が歪曲して伝わったものかと」
「なるほど・・・」
「あと、これが一番気になってる点なんですが、
・・・このまとめ、不自然な点がありますよね?」
「不自然?」
「霧江さん側の情報のまとめです」
「え?え?なんですか?なんかヘンでした?」
「・・・あかマントの噂自体が本格的に流行り始めたのは六月に入ってからなのに、
『あかマントを鎮める儀式』の噂だけが先行して五月に流れている。
噂が広まる順序としては不自然でしょう」
「だからこそ、じゃないの?儀式が失敗したという噂によって、恐怖心が広まったとも取れるわ」
「いえ、そもそも流行ってない怪異に対して、『鎮める儀式』の話だけが先走ってるのが不自然だと思うんです。
前置きのない対処の話なんて、普通は流行らず立ち消えになるんじゃないでしょうか」
「う〜ん、言われてみれば・・・。気にも留めなかったです」
「・・・で、新谷はそれになにか意味があると踏んでるのか?」
「『鎮める儀式』は、滝谷小学校出身の生徒が執り行ったんじゃないかと」
「!」
「霧江さんと小此木さんは知っての通り、あかマントの噂が一年生の間で流行ってしまったそもそもの発端は、
新入生たちの出身校の一つである滝谷小学校での、前年度におけるあかマントの流行です」
「ああ。それを滝谷出身の新入生がこの誠教に持ち込んだって話だったな?」
「ええ。
・・・つまり、六月以前の段階であかマントの噂を強く意識していたのは、
必然的に滝谷出身の一年生である可能性が高いと言えます。
・・・そしてアカヒトさんの話をどこかで聞き付けて、恐怖心が加速した」」
「だから、さして流行ってもいないのに『鎮める儀式』なんてやっちゃった・・・と」
「恐らく・・・。
・・・こないだ三原くんが言ってたように
滝谷出身の一年生が全体の一割にも満たないのであれば、割り出すのは難しくないでしょう。
僕の推測が外れてなければ、あとはその一年生たちをしらみ潰しに調べれば自ずと儀式の参加者が特定できるかと」
「おお〜・・・。新谷さんすごいです!なんか探偵みたい!」
「よし、それでいこう。わたしが明日までに滝谷出身の一年生の名簿を作ってくるから、
明日からはそれを聞き込み対象のベースにしよう」
「え?霧江さんが作ってくれるんですか?」
「おばあちゃんに資料を頼めばすぐだからな」
「なあに?あなた七光りキャラだったの?」
「何とでも言え。
・・・態度には出さないけど、おばあちゃんは今回の件、絶対気にしてるはずなんだ。
・・・夕子を恨むことしかしなかったお前には分からないだろうけどな」
84 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:38:09.67 ID:TYxZjSRg
「・・・」
「じゃ、じゃあ、わたしは今分かってることだけでも記事に起こす準備を始めますね!」
「そうだね。アカヒトさんとあかマントの違いだけでも知ってもらった方がいいだろうし、
とにかく夕子さんは生け贄とは無関係だってイメージを広めないと」
「情報操作ならわたしも協力するけど?」
「お前はもうホント、余計なマネすんな。頼むから」
「・・・ま、まあ、恐らく明日からが本番でしょうから、気合いを入れていきましょう。
今回の件は、この学園における夕子さんの在り方をも左右しかねないですから、
何としても沈静化させないと」
「・・・。
そう・・・だね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キィ・・・。キィ・・・。
「は―・・・。ブランコなんて乗るの、何十年ぶりかなあ・・・」
「そっか。学園内にはブランコなんてありませんもんね。
・・・夕子さんにとっては、意外と縁のないものなんですね」
「うん。
・・・わたしが生きてた頃は、ブランコがある公園自体、珍しかったしね・・・」
「そう・・・なんですか」
「ふふ。ごめんね、なんか古臭い話で」
「いえ・・・」
「・・・」
ギィ・・・ギィ・・・。
「・・・古臭いって言えば、夕子さん、覚えてますか?」
「・・・うん?なにが?」
「出逢いたての頃に、初めて今の旧制服姿を見せてもらった時、
僕が『こっちの方がしっくり来る』って言ったら、夕子さん、ちょっとムっとしてたじゃないですか。
・・・『古臭い女だって言われた気がした』って」
「・・・・・・・・・」
キコ・・・。キコ・・・。
「僕はあれ、単にこっちの方が似合うって言っただけのつもりだったんですけど・・・」
「・・・忘れるわけないでしょう」
「えっ?」
「・・・」
ギィ・・・。ギィ・・・。
「も、もしかして、まだ怒ってたり・・・」
「そうじゃないよ。
・・・もう、鈍感。わたしがなんであれからずっと旧制服で通してると思ってるの?」
「へっ?」
「・・・・・・」
ギッ・・・ギッ・・・。
「も、もしかして、僕のあの一言のせいですか?」
「・・・だって、今まではなにが似合うかだなんて、聞ける人自体がいなかったんだもの。
言ったでしょ?わたしにとって、貞一くんは『針』なの。
時計の針、方位磁針の針、羅針盤の針・・・すべての基準。
・・・責任重大よ?」
「・・・」
85 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:38:55.94 ID:TYxZjSRg
ギィィ・・・。
「・・・なのに、夏休みに入った途端に音沙汰なくなるしー」
「そ、それは・・・。中盤以降は可能な限り登校してたんですから、もうカンベンしてくださいよ・・・」
「ふふっ。分かってるよ。ちょっとすねて見せたかっただけ。
・・・いつもわたしのワガママに付き合ってくれて、ありがとう」
「・・・」
キィッ・・・キィッ・・・。
「・・・にしても、今年もその夏休みまであと一週間だねー」
「そうですね。・・・『夕子さま』の件、何とか夏休みまでに解決したいですね・・・」
「まあ、夏休み中も合宿して調査を続けるのとかも、それはそれで楽しそうだけどねー」
「・・・夕子さんはそれでいいんですか?」
「え?」
「僕は今の『夕子さま』によるイメージの影響を、
夏休み明けまで引きずられしまうのはあまり気分が良くないです」
「ふふっ、ありがと」
「・・・」
キィィ・・・・・・。
「もちろん、わたし自身だって気分は良くないよ。
でもね、わたし正直なところ、今の段階でもけっこう満足しちゃってるの」
「えっ?」
「だって、貞一くんが『ケンカを売られたと受け取った』なんて。
もうほんと、わたしあの時『きゅぅぅん』・・・ってきちゃったもの」
「ゆ、夕子さん・・・」
「それで、貞一くんがわたしのために、こんなに一生懸命になってくれている。
わたしはもう、それだけで充分」
「・・・・・・・・・」
ギッ・・・ギッ・・・ギッ・・・。
「それにね?・・・ふふっ。
もしこれが去年の同じ時期に発生してたら、むしろわたし、貞一くんたちの妨害してたかも知れないよ?」
「へっ!?な、なんでですか?」
「だって!夏休み中まで調査を延長させれば、その間貞一くんと学校で過ごす時間が増えるじゃない!」
「ちょっ!・・・夕子さん〜・・・」
「ふふっ、冗談♪
・・・いくら一緒にいたいからって、貞一くんの頑張りに水を差すような真似なんて、さすがにしないよ」
「・・・夏休みの宿題を妨害された身としては、あまり冗談にも聞こえないんですけど・・・」
「うっ・・・。そっ、それはそれ!こ、今年はもう宿題の邪魔しないから!ねっ?」
「・・・・・・・・・」
「ま、まあ、話を戻すけれど、
・・・だからね、そりゃ、いつぞやの心霊写真みたいに、
あからさまにオバケっぽいイメージを持たれたらショックだよ?
・・・でもね、わたしの本当の居場所はもう、学校じゃないから」
キィィッ。
すっ・・・。
「ゆ、夕子さ・・・?
・・・あっ・・・」
ぎゅっ。
「その『居場所』さんが本当のわたしを知ってくれさえいたら、それでいいよ」
「・・・」
86 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:39:36.67 ID:TYxZjSRg
「もう、お尻の穴の締まり具合まで知られちゃってるしねー」
「・・・そこでそう来ますか・・・」
「ふふふ。今日はしないの?・・・『調教』」
「調教・・・。ここ最近のって、調教とかになるんですかね・・・」
「何日も連続でお尻の穴『だけ』おちんちんでほじくり回すなんて、そうそうない羞恥調教だと思うんだけど」
「うっ・・・」
「貞一くんてそういうとこあるよね〜?わたしにえっぐいプレイを強要しといて、すっとぼけるの」
「ご、ごめんなさ」
「ほら、すぐそうやって謝る。わたしが欲しいのは謝罪じゃないよ。
・・・分かるよね?」
「えっ?」
キィ・・・。
「こ、ここでですか?」
「・・・ダメ?」
「か、帰ってからでも・・・」
「・・・いや、それがね・・・。
・・・なんか身体ゆすってたら、その・・・
・・・ムラムラきちゃって・・・」
「なっ!?な、なんですか!?」
「いやほら、なんかブランコの動きっていやらしくない?」
「ないですってば!って言うかどういう発想なんですか!?」
「・・・さっき貞一くん、立ち漕ぎしてたでしょ?
・・・腰を上下に振り立てて、ギシギシ音立てながら、身体を激しく前後にゆする貞一くん見てたら、
・・・わたしっ、もうっ・・・!」
「無理矢理いやらしい言い方しないでくださいっ!
・・・あーもうっ!さっきからあんな話しながら、そんなこと考えてたんですか!?」
「いーじゃない。わたしにとっては、どっちも貞一くんとの尊いコミュニケーションなんだから。
・・・ね、せっかくだから、ブランコに乗りながらしてみない?」
「の、乗りながら?どうやって・・・」
「ふふ。なんとなく想像できない?」
「・・・。
・・・対面座位ですか・・・」
「ピンポーン♪
・・・んふふっ。なんか思いついたら、最初からそれの為の器具に見えてきちゃったね?」
「そんなわけないでしょ・・・。て言うか、同意を求めないで下さい・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「えっと・・・まず、僕はこのまま座っていればいいんですよね?」
「あ、いや・・・。まずはブランコの上に立ってもらえるかな」
「え?」
「あ、足を開いた姿勢で立ってね」
「・・・?
・・・はい・・・」
ギシッ・・・。
「ん、おっけー」
「え?・・・わっ!」
するり。
ギッ・・・。
「な、なんですか?股下に潜り込んで・・・」
「うん?今言ったじゃない?足開いて立ってねって。じゃないとわたしが座れないし」
87 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:40:46.97 ID:TYxZjSRg
「な・・・」
「もーっ。この姿勢でやることって言ったら一つしかないでしょ?
・・・おクチでヌいてあげるって言ってるの」
「・・・」
「・・・あれ?エッチするって聞いて想像しなかった?立ち漕ぎの姿勢のまましゃぶってもらうの」
「・・・。
そんなこと即座に想像できるのなんて夕子さんだけ・・・って!」
カチャカチャ・・・ジィィッ。
「んふふふふ。さあーて、本日一発目のおチンポ様はどんなご機嫌かな〜?」
ぐいぃっ・・・。
「ちょ、人の話を聞いて・・・って言うか、この姿勢で露出させてるとこ人に見られたら、僕ヤバっ・・・!」
ぶるるんっ!
べっちんっ!!
「いたッ!?」
「あっひッ!?」
ぶるんっ・・・。
「あ、あぁあっ・・・、ひっ、ひっ、ひッ・・・久し振りにおチンポ様ビンタきたあぁあ・・・っ」
「あ、ちょ、ま、待って夕子さんっ!ちょっと落ち着い」
がぽぽッ!
「うひッ!?」
がぽっ!がぽっ!がぽぽっ!がぽんっ!がぽんっ!がぽん!
「ひんふぉっ、ひんふぉっ、ひんふぉおぉっ。んも゛っ、んも゛っ、んも゛お゛ぉっ」
「あっ、あ・・・ちょっと、・・・うぁああぁっ・・・」
ぢゅっぽんっ!
ぶるるんっ!
「あふぅぅっ!」
「あぁあぁあ・・・。おチンポさまあぁあっ・・・。
おチンポ様直々のビンタによる教育、まことにありがとうございますぅうっ・・・」
「ゆ・・・夕子さん・・・?」
「てーいちくぅぅんっ、そのまま立ち漕ぎしてぇえ」
「え?で、でも・・・」
「ゆっくりでいいから。ね?ね?
ちゃんと、おチンポ様の動きに合わせてむしゃぶりついていくからぁぁっ・・・」
「・・・っ」
ぎっ・・・・・・ぎっ・・・・・・。
ゆさっ・・・・・・ゆさっ・・・・・・。
「あぁぁんっ、上下にゆっさゆっさしてるおチンポ様、すっごくエロいよぉおっ・・・」
「夕子さん・・・。またヘンな本に影響されたんじゃ・・・」
「おチンポ様ぁっ、どうかわたくしのおクチ便所に
濃ゆ〜いエロションベンをぶっこいていってくださいませぇっ・・・」
「・・・当然聞こえてませんよね・・・・・・あうぅっ!」
88 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/19(木) 20:41:24.37 ID:TYxZjSRg
ぬ゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛っ・・・。
「ん゛も゛ぉ〜〜〜〜〜〜〜・・・っ」
「うわっ、うわわわ・・・っ!そんな深く飲み込んだら・・・あっふ!」
ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・ぎっ・・・。
がポッ。がポッ。がポッ。がポッ。がポッ。がポッ。がポッ。がポッ。がポッ。
「も゛っ、も゛も゛っ、んも゛っ、ふも゛っ、ふも゛っ、ふむ゛っ、ふむ゛っ、ふむ゛っん゛んっ、ふん゛ん゛っ!」
「あっ・・・、あっ・・・、あっ・・・。
なっ、なっ、なんかっあぁっ、さきっぽ、あ、あたってえぇっ・・・」
ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。ぎしっ。
がっポ。がっポ。がっポ。がっポ。がっポ。がっポ。がっポ。がっポ。がっポ。
「ふむ゛っん゛ん゛っ、ひっ、ひんぽっ、ひんぽっ、ひんふぉぉおっ。ひんぽでえふふぇされてるぅうっ」
「こっ、これっ、ひょっとしてっえぇっ、の、のどちん・・・・・・
あぁあうぅぅうう〜〜〜・・・っ!」
びゅ!ぶびゅっ!ぶびゅるるるっ!
「ふぶっ!?んぐっう゛ぅっ!」
「あぁあぁううぅううっ」
ぶびゅるるるるるるるっ!ぶびゅっ!ぶびゅるるるっ!
「ふっも゛・・・ん゛んんん゛んん゛んん゛ん゛っ!」
ぢゅごごごごごごごごっ!
「ひッ!?ばっ、バキュームうぅぅっ・・・・・・
・・・ひっ!ひッ!」
「ん゛っ・・・、ん゛ん゛、ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ」
ぢゅ、ぢゅご、ぢゅごごごごごごごっ。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ・・・」
「ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ・・・」
ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ。ごキュっ・・・。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はヘェェェ・・・っ。おっ、おチンポ様ぁっ、
おチンポ様の専用便器にイカくっさいマーキングして頂きまして、まことにありがとうございますぅうっ。
・・・けフッ!」
「はぁっ、はぁっ・・・。
・・・な、なっ・・・、なにが『して頂きまして』ですかっ!
いきなり暴走して無理矢理吸い出したんでしょっ!」
「・・・ヨくなかった?」
「え?・・・いや、その・・・」
「・・・」
「・・・き、気持ちよすぎて腰が抜けるかと・・・」
「えへへぇ〜♪良かった!」
ぎゅっ。
89 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:21:50.31 ID:ZkhhRKg1
「〜〜〜・・・っ。
・・・で、でも夕子さん、さすがに外でいきなり暴走するのはカンベンして下さいよ・・・。
端から見たら僕、股間丸出しでブランコに乗ってる変質者ですよ・・・」
「んふっ、ごめんね?
おチンポでべちんっ!てやられるとわたし、バキューム便所モードのスイッチ入っちゃうから」
「・・・。
夕子さんって、色んなとこにヘンなスイッチがあるんですね・・・」
「備え付けたのは貞一くんだけどね〜?」
「・・・」
「・・・で、どうしますか?ご主人さま。このまま引き続き、ぶっこき便所でぶっこいちゃいます?
・・・ザ・ア・メ・ンっ♪」
「・・・夕子さんこそ、収まらないんでしょ・・・」
「まあ、わたしはご奉仕しただけだしね〜。
・・・それじゃ、当初の予定通り、ギッシギッシゆすってもらっちゃおっかな〜っ」
「・・・まあ、座った姿勢なら、人が来てもなんとか誤魔化せるからいいですけど・・・」
「うんうんっ♪・・・んふふふっ、貞一くんのエロ揺りかご、わくわくしちゃう♪」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ぎしっ・・・。
ぎししっ・・・。
「んっ・・・」
ぐりりっ。
「あ、んんっ。
・・・んふふっ、貞一くんのおチンポ、もう復活してわたしのふとももをぐりぐりレイプしてきてるよ?」
「んっ!
・・・夕子さんが次から次へと変態プレイを編み出すものだから、
もう身体が勝手に反応しちゃうんですよぉ・・・」
「あら、いいじゃない。お互いがお互いを開発し合うなんて、なんだかロマンチックだわ」
「そうかなあ・・・ぅくっ!」
ぎしぃいぃっ・・・。
「んふふふ。じゃあ、向かい合って座ったところで、さっそくハメハメしちゃおっか?」
「・・・その前に、夕子さん、もうちょっとブランコをしっかり握ってもらえますか?」
「え?う、うん。・・・こう?」
きゅっ・・・。
ぎゅっ!
「あっ!?」
「不安定な姿勢ですからね。こうやって僕が夕子さんの拳を上から握っておけば、
セックスに夢中になってうっかり手を離してしまう危険も減ります」
「〜〜〜・・・。そ、そーだね・・・」
「・・・じゃあ、始めましょうか」
「う、うん。・・・んふふふ、じゃあ、『照準合わせ』はわたしがしてあげるね」
「・・・」
ぐい、ぐいっ。
ぐりりっ。
「あ、んんんっ。・・・んふふふふっ、『砲頭』の角度よーしっ♪『砲身』の反り返りっぷりよーしっ♪
・・・獲物の『ドスケベアワビ』への照準よーしっ♪撃ち方、はじ―――」
90 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:22:37.79 ID:ZkhhRKg1
「・・・いえ、獲物はそっちじゃないです」
「・・・へっ?」
がしっ。
ぐいっ。
「あっ!?」
ずりりっ。
「ちょ、ちょっ!?なに?なにっ?」
「夕子さんっ・・・。もっと腰を寄せて、身体を仰け反らせて下さいっ!」
ぐいぃぃっ。
ずりっ、ずりりっ・・・ぐりりっ!
「えっ!?ちょ、まさかそっちは!」
「・・・ふんっ!!」
みちっ・・・みちちちちちっ!
「まっ、まって!まってまってまんオォォオっ」
「ふっ!」
ぬぼぼぼぼぼぼっ・・・!
「あぁあぁあんっ!またお尻ぃいっ!!」
ぬっぼんっ!
「ほ!」
「ふんんっ・・・ん・・・。『的』は、あくまでこっちですっ・・・」
みちっ・・・みちっ・・・。
「まっ、まさかほッ!・・・こっ、こんなとこふんんっ!
・・・こんなとでまでぇ、ケツ穴狙ってくるなんてぇえっ・・・」
「調教するかって聞いてきたのは夕子さんの方でしょ。・・・漕ぎますよ!」
キィッ・・・。キィッ・・・。
ぬぬっ。ぬぬっ。
「あ、ちょ、ちょっとまんほッ!・・・ちょっ、まってってふんんっ!ふんんんっ!」
ギッ・・・ギッ・・・。
ぬぶっ。ぬぶぶっ。
「まってよ!ほんとにまってってばぁっ!
・・・お゛っ!
ひ、ひっ、ひびくぅうっ!ブランコの振動がケツ穴にごりゅんごりゅんひびくっう゛ぅっ!!」
ギィッ。ギィッ。
ぶりゅっ。ぶりゅっ。ぶりゅりゅっ。
91 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:24:02.83 ID:ZkhhRKg1
「ほッ!ほッ!・・・ほっおぉッ!
・・・こっ、このひとでなしぃいっ、らめっていってるおッおッおッ!」
ギッ。ギッ。ギッ。
ぶぽっ。ぶぽっ。ぶぽっ。
「やめっ・・・やめっ・・・、け、ケツ穴が、すっごい下品なマッサージされてう゛う゛〜〜〜・・・っ」
ギシッ。ギシッ。ギシッ。ギシッ。
ぼっ。ぼっ。ぬぼっ。ぬぼぼぼっ。
「夕子さんっ・・・、そんなに気に入りましたっ?・・・ううっ!」
「ばっ、ばかっ、ばかっばかおっおっ!きちくっ、レイプまんおぉぉおっ!お!お!
・・・ッほ!」
びくくんっ!
「え?・・・うわわわっ!」
きゅうぅっ!!
「・・・ほ!ほッ!
・・・ッ!ッ!〜〜〜・・・ッ!」
「うわわわっ・・・ふぅうっ!す、すごっ、おっ!すごい締め・・・おぅっ!」
ギィッ!ギィッ!ギィッ!ギィッ!
ぐりっ!ぐりっ!ぐりりっ!ぐりりりっ!
「ほッ!・・・おっ、オっ!おチンポさまあ゛ぁっ、もっ、もっもっ、もうしわけございませふんんん゛っ!
・・・おチンポさまに゛っい゛ぃっ、
ケツ穴便所のほじくり゛っい具合を楽しんでいただくつもり゛い゛ぃっらったのにぃいぃっ、
わ、わら、わらひが先にケツ穴でアクメぶっこいちゃいましたぁあぁぁあ」
「うおぉっ!や、柔らかいのにっい、しっ、しまるっう!」
「おっ、おわ、おわ、おわびといってはなんれしゅがあぁあ、
このままわらひのアクメぶっこきアナルを小便器に見立ててぇぇええぇええ、
ちょくちょーめがけてあつくてしろくてどろっどろのションベンを
えんりょなくひっちゃってくりゃさいぃいぃいいぃぃいいい」
ギッ!ギッ!ギッ!ギッ!ギッ!
ぐぽっ!ぬぽっ!ぶぽっ!ぶぽっ!ぶぽんっ!
「あっ、あっあっ・・・も、な、なんかっ、ホントにこういうトイレみたいに思えてき・・・
・・・ううぅぅう〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
ぶびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅッ!!
「あオッ!オッ!オッオッ!
・・・ンオォオオ〜〜〜・・・ッ!!」
「うぅう〜〜〜・・・っ!うぉっ!おぉおっ!」
ぶびびっ!ぶびっ!びゅぶぶぶっ!!
「あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、け、ケツあな、小便器にされて・・・ふん゛っん゛!」
「す、すごい下品な勢いででてるうぅっ・・・あうぅっ!」
92 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:24:37.93 ID:ZkhhRKg1
びゅぶっ!ぶびゅ!びゅ!びゅ!
「い、イカくっさいションベンでケツあな、あ、あつっ、あつ・・・
・・・んオオォオドロドロにされてるうぅうぅぅうう」
ぶび。びゅ。ぶびゅびゅっ・・・。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はへぇぇええ・・・。てーいちくぅんっ、おんぶしてぇ〜」
「へっ?」
「気持ちよすぎて腰抜けちゃったあぁ・・・」
「しょうがないですね・・・」
す・・・。
「はい、どうぞ」
「・・・ん〜・・・。
なんならお姫さま抱っこでもい〜んだよ〜?」
「カンベンして下さい。この距離を腕の力だけで抱き上げたまま帰るのは、いくらなんでもムチャです。
・・・夕子さん、ただでさえ僕より重いんですから・・・」
「てーいちくんっ、乙女に面と向かって『重い』はシツレーだよ?
・・・もう乙女じゃないけど」
「いいから早くおぶさって下さい。僕もけっこう足にキてるんですから」
「・・・ちぇっ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ザッ・・・。ザッ・・・。
「ん〜〜〜っ、極楽極楽っ♪」
「・・・歩けるようになったら降りて下さいよ?」
「分かってるってば。
・・・に、しても、すっかり暗くなっちゃったね〜・・・」
「そうですね・・・」
「・・・」
ザッ・・・。ザッ・・・。
「・・・ねえ、貞一くん?」
「・・・なんですか?夕子さん」
「そう言えば、『たそがれ』ってなんで『たそがれ』って言うか知ってる?」
「え?」
「黄色の『黄』に昏睡の『昏』と書いて『たそがれ』。
・・・って、なんか当て字っぽくない?」
「・・・あー・・・。言われてみればそうですね・・・」
「あのね、『黄昏時』って暗いけど、全くの暗闇ってわけでもないでしょ?
だからね、すれ違う人の顔を見極めようして、思わず『誰そ、彼?』って覗き込んじゃう、そんな時間帯なの。
・・・だから『たそがれ』」
「へ―・・・。
・・・でも、なぜ今それを?」
「ん―・・・。別になぜってこともないんだけど・・・。
わたしと貞一くんが初めて出逢った時も、こんな黄昏時だったな―・・・なんて」
「・・・そっか。そうでしたね。
あの時はまさに『誰そ彼』でしたね」
「そうだね。・・・ふふっ、なにしろわたし、自分自身すら『誰そ彼』だったもんね」
「・・・」
93 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:26:16.58 ID:ZkhhRKg1
「そっか。そっかそっか。
・・・そうだよね、あの時貞一くんがわたしに『誰そ彼』と興味を抱いてくれなかったら、
わたし、今もあのままだったんだものね・・・」
「まさか、こんな事になるとは思いませんでしたけどね・・・」
「・・・。
・・・貞一くん、ひょっとして、後悔してたり・・・」
「・・・。
僕が今後悔してることがあるとすれば、夕子さんのお尻を責めすぎたせいで、
非常に荷が重い帰路を強いられてるってことくらいです」
「ちょ・・・もーっ、すぐそういうイジワルを言うんだからっ」
「・・・夕子さんみたいな、素敵な人に取り憑かれて・・・。
贅沢だと思いこそすれ、後悔なんてするわけないじゃないですか。
・・・もし、この先後悔することがあるとすれば、それは多分、夕子さんを後悔させてしまった時です」
「貞一くん・・・。
・・・ふふっ、ずいぶんキザなこと言うようになったね?」
「・・・本心のつもりです。まぎれもなく、僕の・・・」
「分かってるよ。わたしもおんなじだから・・・」
「夕子さん・・・」
『キャアアァァっ!』
「へっ?」
「えっ?」
タタタタタタタタタ・・・っ。
「な、なに?なに?」
「・・・なんか、誰か逃げていった・・・ような」
「逃げてったって・・・な、なんで?」
「・・・・・・・・・。
・・・あっ」
「な、なに?貞一くん。なんか心当たりある?」
「夕子さん・・・。申し訳ないんですけど、やっぱり降りてもらえますか?」
「ええ〜っ!?な、なんでっ!?」
「・・・ほら、今って薄暗い黄昏時ですよね?」
「う、うん」
「僕は夕子さんをおんぶしながら歩いてますよね?」
「う、うんうんっ」
「・・・見る人が見たら、
よく分からないオバケに取り憑かれてふらつきながら歩いてる怪しい人に見えるんじゃ・・・」
「うんう・・・えっ」
「ほら、色々いるじゃないですか。べとべとさんとかオバリヨンとか・・・」
「・・・・・・・・・」
「だから、その、なんて言うか、申し訳ないんですけど、降りて下さい」
「・・・・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ううう・・・。なんか最近、やたら妖怪みたいなのとごっちゃにされるような・・・」
「そう言えば、霧江さん側の聞き込みによると
あかマントと夕子さんを同一視してる生徒がわずかにいたらしいですね」
「そーだよぉ〜・・・。て言うか、なんでみんなわたしをそんなおっかない妖怪と一緒くたにしたがるの・・・」
「・・・まあ、あかマントの噂が広まっちゃったのは、僕たちの責任でもありますしね・・・」
「いーじゃない、ちょっと新しい愛の形を求めて、おトイレでエッチしたって。
だいたい、わたしのセクシーなあえぎ声をあかマントの声と聞き違えるなんて失礼だよね?
被害者はむしろわたしじゃない?」
「まあ、夕子さんはそういう存在ですから・・・」
「あーあ。おんぶお化けに間違われるわ、あかマントとごっちゃにされるわ、化け猫と見間違われるわ、
乙女心はズタズタだわ。
・・・もう乙女じゃないけど」
94 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:27:12.75 ID:ZkhhRKg1
「そうで・・・えっ?化け猫?」
「ん?」
「化け猫って、霧江さんの聞き込み情報にあったあれですか?」
「うん?そうだよ?あれ、わたしと貞一くんのことでしょ?」
「・・・」
「・・・あれ?貞一くん、ひょっとして気づいてなかった?」
「な、なんで」
「なんでって・・・覚えてないの?エロ合宿」
「エロ合宿って・・・。夕子さんが学校でエッチしたいっていって無断宿泊した時のことですか?」
「そーそー。あの時裏山でエッチした後、服がびしょびしょになっちゃって、
わたし、ねこちゃんパジャマに着替えたでしょ?」
「・・・」
「・・・で、同じように着替えてる貞一くん見てたらまたムラムラきちゃって、
戦闘再開を申し込んだら・・・貞一くん、いきなり逃げ出したじゃない」
「・・・・・・」
「それをたまたま、ちょっと歪んで目撃されちゃったんだと思うんだけど」
「・・・・・・・・・」
「て、言うか、彼女が誘ってるのにいきなり逃げ出すとか、あの時の貞一くんシツレーだよね?」
「・・・。
あれ以上エッチしてたら僕、たぶん化け猫に取り殺されてましたよ・・・」
「貞一くんひどいっ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・次は1-Bですね」
「・・・」
「僕の推測、当たっていればいいんですけど・・・。何しろ、夕子さんの名誉に関わることですからね」
「・・・・・・」
「何とか夏休み前に、沈静化のための体勢を整えないと・・・。
夕子さんが生け贄を要求するだなんて、馬鹿げてますから・・・」
「・・・ねえ」
「・・・はい?なんですか桐島先輩?」
「前から思ってたんだけど・・・。
・・・あなた、夕子さんのなんなの?」
「へっ!?」
『えっ!?』
「な、ななな、なんなのって、まさか桐島先輩・・・」
「だって、あなたが夕子さんのことに触れる時って、お話の上の存在って言うより、
なんか、こう・・・。
・・・こないだも言ったけど、親しい人のことを話してるみたいって言うか」
「!!」
『!!』
「いや、まあ、それは元々だからいいよ。
・・・ただね、去年の学園祭でわたしがアカヒトさんモドキに助けてもらった時、
あなたはあの中身は夕子さんだ、って言い切ったよね?」
「・・・」
『・・・』
「・・・これは、いちいち口に出すことでもないと思ってたんだけど」
「・・・え?」
「わたしもあの時ね、あのアカヒトさんモドキから、そういうような気配を感じたの」
『・・・・・・・・・』
「だから、まあ、あなたが夕子さんを知人みたいに言うのも、納得・・・ではないけど、
怪異調査部なんかやってるくらいだから、
普通の人は感じないようなことも感じるのかなくらいに理解してたんだけれど」
「な、なにが言いたいんですか?」
「いや、なんかね、この数日間、あなたの近くであなたの夕子さんに対する言いようを聞いてる感じだと、
そんなあやふやな感じじゃないのよ。なんて言うか、もっと、こう・・・」
「・・・・・・・・・」
95 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:27:51.81 ID:ZkhhRKg1
「・・・・・・・・・『愛してる』?」
「ッ!?」
『!!!』
「もちろん、オカルトマニアが偏執してるとか、そういう感じじゃなくて、
一人の女性として愛してるって言うか・・・。」
「なっ、ななな・・・なっ!」
「それもねえ、なんかこう・・・
新谷くんの普段のキャラからは想像できないくらい、ねっとりとしたものを感じるんだよね・・・。
あなた、夕子さんのことに触れてる時だけ、妙に艶っぽいのよ。・・・自覚ない?」
「・・・・・・・・・・・・」
「退魔師さんもそういうとこあるけど、あなたはもっともっと特別な感じ。
まるで身体の隅々まで知り尽くしてる恋人みたい」
「・・・。
・・・桐島先輩・・・。カマをかけてますね?」
「・・・。
心当たりがなければ、そんな返しはしないよね?」
「うっ・・・」
「・・・まあ、隠しておきたいのであれば言わなくてもいいよ。
わたしもあなたには借りがあるし、詮索して欲しくないっていうならしないわ。
・・・でも、そんなに触れてほしくないこと、ってわけでもないんじゃない?」
「・・・・・・・・・」
「ただね、こないだ言ったあなたの『恋人』って、とどのつまりは・・・」
「・・・僕が本当のことを言ったとして、それを知ってどうするんですか?」
「別にどうもしないよ。ただあなたに興味があるだけ。
『恋人さん』のヤキモチを買わない範囲でね」
『・・・』
「新谷くんって面白いね?洞察力があって機転も利くのに、ウソはてんでヘタなんだから。
あなた、たぶんリーダーより参謀に向いてるタイプよ。
人を動かすのには、ウソが上手くないとダメだしね」
「・・・お前が人の上に立つようになったら、世も末だけどな」
「!」
「あ・・・霧江さん」
「お前みたいに中身のない口車でみんなを引っ張りまわすような奴よりは、
新谷みたいなバカ正直バカについていきたいと思うのが人情だろ。
・・・わたしは別にどうでもいいけどな」
「・・・」
「霧江さん、どうしてここに?」
「ん・・・。ちょっと調査切り上げて、こっち来てくれないか?」
「え?」
「儀式の参加者が見つかったんだ」
「!」
「ビックリしましたよ〜。ほんとに新谷さんの言う通り、滝谷出身の子が参加者だったんですから・・・」
「ほ、ほんとですか?・・・桐島先輩、行きましょう!」
「・・・ええ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・最初は、こんなオオゴトになるとは思ってなかったんです」
「・・・オオゴト?オオゴトって言うのは、あかマントのことか?儀式の噂のことか?
・・・それとも、まさか『夕子さま』のことか?」
「・・・」
「えっと、まず確認したいんだけど、あかマントを鎮める儀式っていうのは何人でやったの?」
「・・・わたしを含めて四人です。うち二人は、わたしと同じ滝谷出身で・・・」
「一人は違うのか」
「はい・・・。
その子は元々はあかマントのことをよく知らなかったんですけど、
わたしたちが話して聞かせたら、すっかり怖がっちゃって・・・」
96 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/21(土) 04:29:49.08 ID:ZkhhRKg1
「まあ、まず順を追って聞いた方がいいわ。
・・・そもそもなんで儀式なんかやろうとしたの?」
「・・・」
「言えないようなこと?」
「・・・・・・」
「ま、まあまあみなさん、これじゃなんか尋問してるみたいですよぉ。もう少し・・・」
「・・・口実です」
「・・・え?」
「・・・」
「口実?」
「・・・。
その子、怖がりのくせに、口先では頑なにお化けとかいるわけないって言い張ってたんです。
そのせいで他のクラスメートとも、口論みたいになったことがあるんですけど。
で、ふとしたきっかけで、わたしたちの小学校であかマントが流行っていたことを話したら・・・」
「バカにされた?」
「ええ・・・。と言うか、逆ギレみたいな感じでした」
「・・・」
「それで・・・。わたしとほかの二人が、その子のこと・・・
面白くないってなって」
「何か、痛い目に遭わせてやろうってことになった・・・か」
「・・・はい・・・」
「・・・」
「その頃、・・・あ、四月の終わりくらいのことだったと思うんですけど・・・。
わたしたちの間で『誠教版あかマント』の噂が持ち上がってて、
・・・先輩たちも知ってるかも知れませんけど、
この学園のあかマントは『アカイヒト』とか『アカヒト』って呼ばれてて、
ただ生徒を襲うだけじゃなく、生き血を供物として要求してくるんだって」
「!」
「それで・・・その子を呼びつけて、その供物の話をした上で
この学園にも最近あかマントが現れたから、わたしたちで供物を捧げて鎮めよう、って言いくるめて・・・」
「そんな話、その子は鵜呑みにしたの?」
「実際に『出た』っていう話自体は既にあったんです。それもかなり生々しい話で。だから・・・」
「ひょっとして、去年の学園祭のこと?」
「はい。やっぱり先輩たちも知ってるんですね・・・。
それで、こないだあんたにバカにされてあかマントが怒ってるとか、
あんたこないだ遅くまで学校にいたから、標的にされてるって言い掛かりつけたら、すっかり縮みこんじゃって」
「・・・」
「もう、その時点でわたしたちもけっこう満足してたんですけど、
ここで止めたらウソだと分かってますますつけ上がるんじゃないかって。
それで、捧げ物を選ぶ儀式をでっち上げたんです」
「・・・まさか・・・」
「・・・『夕子さま』?」
「・・・・・・・・・・・・すみません・・・」
『・・・』
「その頃に流行っていた『夕子さま』はほんとにそのまんまコックリさんで、
それじゃインパクトがないからって『裏ルール』を捏造して・・・」
「帰ってくれなかった時のパターンか」
「はい。なにより、アカヒトさん・・・誠教版あかマントは
夕子さんと関わりが深いって話だったので・・・これは絶対信じるだろうって」
「なるほどね・・・。なかなかよくできたでまかせね」
「おい」
「・・・ふん」
「それで、適当な質問をいくつか終えたところで、
『夕子さんはただでは帰ってくれない、みんながやってる「夕子さま」は不完全なルールで、
「夕子さま」にはみんなには知られていない真の形式・・・つまり、儀式用の裏ルールが存在する』って。
そのでっち上げを語った上で、わたしたち三人で十円玉を操作してあの子を『生け贄』に仕立て上げて・・・」
「・・・」
「その子は今どうしてるの?」
「・・・。
・・・その二日後、事故に遭って・・・」
97 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:09:37.35 ID:uRdgRdSv
「!!」
「えっ!?」
「バイクとの接触です。
・・・怪我自体は軽かったんですけど、
それ以来、完全に自分に『生け贄の呪い』が掛かってると信じこんでるみたいで・・・」
「まさか、まだ入院してるの?」
「いえ、そもそも入院しなかったみたいです。
それくらいの怪我だったんですけど・・・。
学校には出てきてるんですが、すっかり塞ぎこんでしまってて」
「精神的なものか」
「・・・それも、わたしたちが追い討ちをかけたようなものなんです」
「え・・・?」
「まだなんかあるのか?」
「・・・」
「そこまで言ったからには、聞いて欲しいんでしょう?」
「・・・。
その子が事故に遭った後、わたしたちもパニックになってしまって・・・。
・・・もし、その子を追い詰めた話の大半がわたしたちのでっち上げだとバレたら・・・
って考えたら、夜も眠れなくて」
「・・・」
「それで、バレないように考えた方法が・・・
・・・」
「後付けでウソを事実にした・・・か」
「・・・はい」
「え?え?どういうことですか?」
「『夕子さま』を現在のルールで広めたのはこの子たちってことよ」
「え・・・」
「その子が休んでた二週間ほどの間で、わたしたちが考えた捏造ルールを必死に広めて・・・。
元々『夕子さま』そのものは流行っていたわけですから、後付け部分も驚くほどスムーズに浸透していきました」
「それでその子が学校に来たら、自分を追い詰めた『裏ルール』が事実として蔓延し始めちゃってたわけか。
・・・さぞかしショッキングだったでしょうね」
「・・・」
「儀式の話も、その時に噂として広がった?」
「はい。噂を広め始めた時は、わたしたちも動揺してて、不要な情報までうっかり流してしまっていたので・・・」
「なるほど・・・」
「・・・このこと、他の人には・・・」
「言ってません・・・。と言うか、とても言えません・・・」
「じゃあ、なんでわたしたちにはこんな洗いざらい話したんだ?」
「・・・。
それから一ヶ月くらい経って・・・。
急激にあかマントの噂が流行り始めて、わたしたちは頭がおかしくなりそうでした。
あかマントが、わたしたちに罰を与えに来たような気がしたんです」
「・・・」
「あの・・・、今さらですけど、三年の庚霧江先輩・・・ですよね?」
「!」
「え?わ、わたしのことか?」
「それから庚先輩があかマントを退治したって噂が流れて、あかマントの噂は落ち着きました。
それでわたしたちも安心したんですけど、
・・・その、安心したら、今度は・・・わたしたち、一体何をやってるんだろうって・・・」
「・・・」
「元々は、怖がりなのに見栄を張ろうとするのが気に食わないって、ただその程度だったんです。
・・・なのに、気がついたら必要以上に痛め付けていて、わたしたちも自分自身のウソに振り回されて、
もうわけわかんなくなっちゃって・・・」
「・・・」
「それで今日、庚先輩から儀式のことで声をかけられた時、何もかもバレたのかと背筋が凍りつきました。
でも、これはむしろ全部話すべきなんじゃないかって思えてきて」
「・・・苦しかったんだね」
「・・・すみません・・・。
・・・あの、やっぱりこの事、先生とかに報告するんですか?」
98 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:11:17.00 ID:uRdgRdSv
「いや、それは・・・」
「それであなたの気が晴れるなら、そうしてあげてもいいけど」
「!」
「お、おい桐島!」
「そうじゃないんでしょう?だったら、報告するかはあなたが決めなさいな」
「・・・」
「・・・あのね、あなた。懺悔とか免罪っていうのは、本来なら高い買い物なんだよ?
あなたと二歳しか違わないわたしが言うことでもないんだけど」
「・・・・・・」
「痛い目に遭って、ようやくほんとの意味での懺悔は終わる。
・・・この数ヵ月間、誰かがあなたを罰したりした?しなかったでしょ?
・・・でも、あなたは誰かに責められたわけでもないのに・・・
・・・と言うか、責められなかったからこそ苦しかったんだよね?」
「・・・・・・・・・はい・・・」
『・・・・・・・・・・・・』
「だったらもう、それでいいじゃない。
・・・あとはこの退魔師さんが上手いこと片付けてくれるわ。
・・・・・・・・・多分」
「おい!偉そうに説教垂れといて肝心の部分は人任せか!」
「いいじゃない。そういう役割分担なんだから」
「お前はそもそも部員ですらないだろうがぁ―――っ!!」
「・・・」
「・・・様付けとか、捧げ物のくだりも君たちが考えたの?」
「・・・え?あ、はい・・・」
「なぜ?生け贄扱いして怖がらせるのが当初の目的だったなら、不要なくだりに感じるけど・・・」
「・・・無意味なクッションを置いた方が、リアリティが出るだろうって・・・」
「なるほどねー。いいセンスしてるね」
「おいヘンなとこで感心すんな!」
「他の二人はどうしてるの?」
「あかマントの件以来、あまり話していません・・・。
でも多分、わたしと同じ心境だと思います」
「ケガした子とは・・・」
「学校にきて以来、ほとんど話してないです・・・」
「そっか・・・。
・・・ありがとう。よく話してくれたね」
「・・・」
「とりあえず、今日はもう帰ってもらえるかな?
・・・大丈夫。他の人に話したりしないから。
僕たちも何とかできるように協力するよ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・さて、どうしたもんかな」
「・・・」
「・・・なんか、肩透かしだったね。
わたしの当初の予感通り、確かに悪意ありきではあったけれど。
ずいぶんとショボくれた悪意だったわ」
「・・・おい、言葉には気をつけろよ。そもそもお前は偉そうなこと言える立場じゃないんだからな」
「・・・ふん。
まあいいわ。今日のところはわたしも帰ってあげる」
「・・・帰って『あげる』?」
「わたしがいるとやりづらいんでしょう?会議」
『・・・』
「い、いや、そんなことは・・・」
「ああ、そうだ。だからとっとと帰れ」
「・・・。
じゃあね、新谷くん。夕子さんによろしくね」
99 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:12:24.10 ID:uRdgRdSv
スッ・・・。
ガララッ・・・。ピシャンッ。
「・・・」
「・・・」
「・・・やりづらいって分かってるなら来るなよな・・・」
「・・・いえ、そういうことではなく、僕たちが夕子さんを交えて相談しづらいから、って意味かと・・・」
『・・・もう、絶対見えてるよね、あのコ』
「いや〜、ただのハッタリだと思うけどなあ・・・」
「まあ、せっかく桐島さんが気を遣ってくれたんですし、作戦会議に入りましょう。
まず、具体的な解決手段ですけど・・・」
「やっぱいつものアレだろ?」
「ああ、茶番劇ね」
「・・・。
茶番劇とか言うなよ・・・。お前だって主演だろ夕子」
「うふふふふ。まーね。主演女優だしね!」
「うーん・・・。でも、具体的にどういう風に話を持っていくかなんですよね・・・」
「うん?いつも通り、あいつらの前で夕子を退治すればいいだけじゃないのか?」
「いえ、それだけじゃ根本的な解決にならないんですよ」
「え?」
「そうだね・・・。
確かに、そのケガしたコの前で、あかマントに扮したわたしがあなたに退治されたフリすれば、
少なくとも生け贄の暗示は解けるかも知れないけど。
・・・でも、心の傷の本質はそこじゃないんじゃない?」
「・・・」
「そもそも、本当にあかマントが怖いだけなら、こないだあかマントが退治されたという噂が流れた時点で
暗示は解けてるはずなんです。でもその子は未だに塞ぎこんでいる」
「『夕子さま』自体は依然流行ってるからじゃないのか?」
「もちろん、それもあると思います。でも・・・」
「・・・きっと、自分でも分かってたんだね。怖がりなのに・・・
・・・ううん、怖がりだからこそ、つい攻撃的になっちゃう自分のまずさが。
・・・あなたも心当たりあるでしょ?」
「なっ!?し、失礼なこと言うな!」
「本当は、いつか謝らなきゃと思っていたのかも知れませんね。
でも、その前に追い詰められてしまったから・・・」
「・・・う〜ん・・・」
「厄介なのは、元々不仲と言うか、仲違いしてたっていう点ですね。
滝岡さん姉妹みたいに元々仲良しだったなら、
夕子さんがちょっと刺激するだけで絆が戻ってくるんですけど・・・」
「今回の場合、わたしがあのコたちの前にいきなり姿を現したら
他の三人はそのままケガした子を置いて、逃げていっちゃうかも知れないんだよね・・・。
・・・そうしたらそのコ、今度こそ立ち直れなくなっちゃうかもね。逆効果だわ」
「しかしなあ・・・。もうそこまでいくと当人間の問題だろ。
だいたい、元々仲が悪かったのはわたしたちにはどうしようもないことだぞ」
「そうですね・・・。でも、なんとかしてあげたいんです」
「新谷・・・お前な〜・・・」
「・・・正直に言うと僕は今回の件、少しホっとしてもいるんです」
「・・・え?」
「僕は最初、僕と同じ時期に僕と同じ手段で夕子さんの風評を広めた人間がいると推測して、
『ケンカを売られた』と感じました。
・・・その推測自体は、確かに間違ってなかったんですけど・・・」
「・・・」
「・・・でも、やっぱり、『敵』なんていなかったんです。
ちょっとしたボタンの掛け違いが、思い掛けない波紋を呼んでしまっただけで。
僕は臆病ですから、常に『敵』を意識してそれと正面からぶつかり続けるなんて、とてもじゃないけどできません。
・・・そんなことをしたら、きっと・・・あっという間に心が磨り減ってしまう」
「貞一くん・・・」
「新谷・・・」
100 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:13:12.56 ID:uRdgRdSv
「でも、納得はしたいんです。『敵』はいなくとも、『因縁』はできた。
夕子さんの『因縁』は、僕・・・僕たちで決着をつけたい」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・なあ、新谷」
「・・・はい?」
「・・・なんかえらくカッコいいこと言ってるけど・・・。
もともとあかマントの噂が広まっちゃったのは、お前と夕子の変態行為のせいだって忘れてないよな?」
「うっ・・・」
「ぐっ・・・」
「この件はお前ら変態カップルの尻拭いの面もあるってこと、肝に銘じておけよ」
「で、でも、それは前回片付いたことであって、今回は『夕子さま』の調査がメインで・・・」
「因果関係があるかも、って最初に推測したのはお前だし、実際あったよな?」
「・・・ごめんなさい・・・」
「はぁ・・・。
・・・でも、だから、まあ、わたしたちの手で決着つけるべき、ってのは確かにそうだよ。
今までだって、だいたい夕子のせいだったしな」
「あー、ひどーい」
「お前もちょっとは反省しろ!」
「はいはい。・・・ちぇっ。
・・・とにかく、今回は作戦に少し『ひねり』を加えないとダメみたいね」
「・・・その口ぶり、何か案があるのか?」
「うーん、まだイマイチまとまってないんだけれどね・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・どういうつもり?こんなとこに連れてきて・・・」
「・・・」
「いや・・・その・・・」
「言っとくけど、わたしをまた生け贄にしようったって無駄よ。
・・・もうなっちゃってるんだから」
「いや・・・あれは・・・その・・・」
「・・・実は、わたしたちもよく知らないの」
「・・・は?」
「三年の庚先輩って知らない?
・・・ほら、この学園って怪異の噂とか多いでしょ?そういうのを解決するのでちょっと有名な人なんだけど」
「・・・」
「こないだのあかマントを退治したって言うのも、その人なんだけどね・・・。
その人があんたの力になりたいから、ここに連れてこいって」
「・・・退治・・・?あかマントを?
・・・バカじゃないの?」
「でも、あんた、自分が・・・その、生け贄になってるっていうのは信じてるんでしょ?」
「そーよっ!
だからそんな恐ろしいもの、わたしたちよりちょっと歳上なだけの人が退治できるわけないでしょっ!?
て言うか!もうほっといてよっ!」
「・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・大丈夫なんでしょうか、ホントに・・・」
「・・・」
「庚先輩の言う通り、他の三人もこの旧校舎跡に連れてきましたけど・・・。一体ここで何を」
「・・・大丈夫かどうかはあの子たち次第だよ」
「・・・え?」
「・・・そして君もね」
「え?え?」
「昨日、言われたよね?ほんとの意味での懺悔には、相応の対価が要るって。
対価というのは、つまり・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
101 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:14:05.94 ID:uRdgRdSv
「―なによ!そんなこと言って、またわたしを生け贄に祭り上げるために呼び出したんじゃないの!?」
「違うってば!だいたいあれは―」
「ちょっと!それは言ったら―」
《・・・かぃ・・・んとぉ・・・》
「・・・。
・・・え?」
《・・・おぃ・・・んとぉぉ・・・》
「な、なに?なに今の声?」
《・・・っちがぁ・・・しぃぃ・・・?
・・・らなぃぃならぁ・・・・・・こせぇぇ・・・》
「え!?
・・・!?
・・・え!?」
ザリ・・・。ザリ・・・。ザリ・・・。ザリ・・・。
《ぃいぃらないならぁあぁ!くくくくもつをよぉこせぇえぇぇええ!》
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「!?え!?
なに!?なんなんですかあの赤いの!?」
「・・・あれが何なのかは、君たちの方が詳しいんじゃないかな?」
「・・・。
・・・あ・・・か・・・マン・・・ト・・・?」
「・・・人の繋がりって言うのはね、とても重いものなんだ。それを繋ぎ直すほどの対価は・・・つまり・・・
・・・『供物』しかないんじゃないかな」
「!!!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ザリ・・・。ザリ・・・。
《ぁかぃ・・・まんとぉ・・・。
・・・あぉい・・・まんとぉお・・・》
「何!?何コイツ!?」
「ま、まさかホントにあかマント・・・?」
《どっちが・・・ほしぃいぃ・・・?どっちも・・・ほしぃぃ・・・?》
「か、かか、庚先輩が退治したんじゃ・・・」
「って言うか!そんなものホントにいるわけないでしょ!?」
「じゃ・・・じゃあ・・・な、なんで・・・」
《どっちも・・・ぃぃいらなぁぁいぃ・・・?》
「なんでコイツ・・・マントの裾から足が見えないのよぉぉっ!?」
「!!!」
《いぃぃぃいらななないならぁああぁくくもつをよよこせぇええええぇえぇぇえ!!》
「嫌あぁあっ!!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
102 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:15:21.14 ID:uRdgRdSv
「・・・は、はやくにげなきゃ・・・」
「・・・逃げるの?」
「な!?あ、当たり前じゃないですか!殺されちゃいますよ!?」
「逃げてどうするの?」
「はぁっ!?」
「君はもう知ってるはずだよ。ここでこのまま逃げたらどうなるのか・・・」
「!」
「確かに、死んじゃったら元も子もない。
・・・でもね、世の中には死ぬとか、なくなっちゃうとか・・・。
・・・つまりは、『ゼロ』になるより、もっと悲惨なことがあるんだ。
・・・君はもう、知ってるはずだよ」
「あ、あなた、一体・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
《くくくもつつつ、くもつがぃいるはずぅぅう》
「わ、わたしのこと・・・?」
「え・・・?」
「わたしが生け贄だから・・・」
《くくもつのまんとぉぉお、あぁかいまんとおぉ》
「いや、だってあれは・・・!
・・・・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・この誠教にはね、あるおとぎ話が伝わってるんだ」
「お、おとぎ話なんて、こんな時に」
「いいから聞いて。
・・・昔、ある村に、とても仲のいい姉妹がいたんだ。
姉妹は村のみんなから好かれていて、お父さんも鼻が高かった。
・・・でもね、ある日その村に悪い鬼がやってきて、村人を次々と食べ始めた」
「・・・」
「姉妹のお母さんも食べられてしまって・・・。
村中が恐怖と不安に包まれてしまい、やがて村人たちの間でいさかいが起きた。
心が強い人たちは、村のみんなが力を合わせて、鬼に毅然と立ち向かうべきだと主張した。
・・・でも、心が強くない人たち・・・つまり、大半の村人の意見は違った」
「・・・・・・」
「村で最も価値のあるものを鬼に差し出して、見逃してもらおうとしたんだ。
・・・そして、姉妹の姉は心が強い側だったけど・・・。妹はそうじゃなかった。
・・・そして、それが悲劇の始まりだったんだ」
「・・・まさか・・・」
「・・・妹は・・・。
・・・姉を、鬼に差し出してしまったんだ・・・」
「!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
―ザッ。
「一足遅かったか・・・」
「あっ!」
「えっと、あなた・・・
・・・えっと・・・!」
「わたしは中等部三年の庚霧江。・・・退魔師だ」
103 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:16:16.47 ID:uRdgRdSv
「え!?あなたが!?」
「・・・じゃ、じゃあ!なんでもいいから、こいつやっつけてよ!」
「・・・残念だが、それは無理だ」
「な、なんで」
「先月、わたしがこいつを調伏したという話は聞いているな?
だが、今またこいつは甦った。
・・・力押しじゃダメなんだ。ダメな理由がある」
「な・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・もちろん、姉を食い殺したところで、鬼が村人を見逃してくれるはずなんかなかった・・・。
姉を差し出すことに同調した他の村人も、一人残らず食い殺されてしまったんだ。
妹自身はからくも生き延びたけど・・・それが逆に不幸だった」
「・・・・・・・・・」
「妹はその後、大好きな姉を無意味な犠牲にしてしまったことを悔やみ続けながら、
牢獄のような人生を歩み続けることになったんだ。ず―っと、ず―――っと。
後悔しながら、苦しみ続けながら、自分を責め続けながら、おばあちゃんになるまで、ず―――――っと・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「なんで力押しじゃダメなの!?」
「・・・わたしの降魔の力は、その全てがこの世のあらゆる悪鬼の一つ一つに精密に対応している。
・・・逆に言うと、何らかの要因でその悪鬼に『不純物』が混ざってしまっていると、
情報が一致せずに対応しきれなくなってしまうんだ。
調伏しきれず復活してしまったのもそのせいだ」
「不純物・・・」
「じゃ、じゃあ、早く逃げないと!」
「それこそ絶対にダメだ」
「なんでよ!?」
「こいつはいわゆる『ハメ』系の怪異なんだ。逃げるとかえって被害が大きくなる。
・・・絶対に助からない怪談とかあるだろ?答えずに逃げたくらいで助かるなら、みんなそうしてるさ」
「そんな・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・逃げるな、って言ってるんじゃないんだ」
「・・・え?」
「僕もね、臆病な人間で、人と争うのは苦手だから・・・。
だから、逃げるべき時は逃げた方がいいと思うよ。
・・・でもね、『逃げ時』はちゃんと見極めなくちゃいけない」
「・・・逃げ時・・・」
「君にとって、あの子はおとぎ話のお姉さんほど大切な人間じゃないと思う。
・・・でも、この三ヶ月間苦しくてしょうがなかったのは、
君が本来は人を追い詰めて喜ぶような人間とは程遠い心の持ち主だからじゃないかな。
・・・だったら、今が『逃げ時』なのかどうかも見極められるよね?」
「・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「さっき言ってた『不純物』って言うのは?」
「・・・こいつは本来なら、生け贄を要求するタイプの悪鬼じゃない。
どこかで不純物・・・つまり、余計な情報が混ざって『雑種』と化してしまっている証左だ」
「・・・」
「確かにこの誠教には、生け贄を要求する赤い怪人という異伝がある。
でもそれは、『アカヒト』というあかマントとは似て非なるもの・・・本来は全く異なる悪鬼だ」
「じゃあ、なんで・・・」
104 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/22(日) 05:17:04.52 ID:uRdgRdSv
「推測だが・・・。恐ろしく歪んだ『思い込み』が、あかマントの在り方をも歪めてしまったのかも知れない」
「!」
「怪異というのは情念に影響を受けやすいんだ。
例えそれが、元々はただのでまかせや苦し紛れだったとしても・・・
いや、不純な動機から生まれた虚偽だからこそ、薄暗い波動のうねりとなって拡散していく」
「・・・」
「・・・もしかして・・・」
「そして歪みが歪みを生んで・・・
つまり、そのでまかせを信じてしまった人の心がどす黒い『思い込み』で支配されてしまった時、
怪異の在り方をも歪めてしまうほどの強力な・・・ん?」
《う゛・・・う゛・・・・う゛・・・》
「・・・へ?」
《う゛・・・う゛ぉ・・・う゛ぉお゛ぉお》
「な、なに?急にあかマントの様子が」
《う゛お゛ぉお゛ぉおおお゛ぉぉっ!!
う゛ぉう゛おう゛ぉお゛おう゛おぉお゛お゛お゛お゛おおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!》
「キャアアアァっ!?」
「お、おい!ちょっ!?」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「な、なんですかあれ!?急にあかマントが暴れ始めましたよ!?」
「えっ!?・・・いや・・・あの・・・えーと・・・!!」
「あのままじゃみんな殺されちゃうんじゃ・・・!」
「あ、えーと・・・。
ご、ごめん!君はここにいて!」
「え!?」
「いいね!絶対ここにいてね!逃げなくても大丈夫だから!」
「は・・・はい・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
《う゛お゛っ!う゛お゛っ!う゛お゛ぉぉお゛っ!!》
「いやぁっ!ごめんなさいっ!たすけてえぇっ!」
「お、おい、お前ら落ち着け!
え、えーと・・・」
「あぶないっ!!」
「・・・へっ!?」
ダダダダダっ・・・がばっ!
がしっ!
《う゛ぉっ!?》
「に、新谷!?」
「霧江さん、このままじゃあかマントが暴走します!霧江さんも力づくで押さえ込むの手伝ってくださいっ!」
「えっ?・・・あ、ああ!分かった!」
「・・・?」
がしっ!
105 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:13:41.90 ID:R4jSxpnS
〈・・・ちょっと夕子さん!どうしたんですかいきなり!?〉
〈そうだぞ夕子!台本にないことすんな!〉
〈・・・て・・・て〜いちくぅぅ〜ん・・・〉
〈は、はい!?〉
〈・・・わたし、おなかいたくなってきちゃった・・・〉
〈・・・は・・・?〉
〈・・・な・・・〉
〈お、おトイレいきたいよ〜・・・〉
〈え、えぇ〜〜〜・・・?〉
〈ばっ・・・何言ってんだお前は!こんなとこで中断できるわけないだろ!?〉
〈わたしだって、貞一くんにこんな恥ずかしいこと打ち明けたくないよっ!
でも生理現象なんだからしょうがないじゃない!〉
〈な・・・なんて世話の焼ける死人だ・・・〉
〈・・・それにこれ、多分貞一くんのせいだよ?〉
〈はい!?な、なんでですか?〉
〈・・・だって・・・。
・・・六日だよ?〉
〈・・・。
はい?〉
〈・・・だから・・・。
六日も連続でひたすらお尻を責められ続けたら、お腹の調子もおかしくなるよ・・・〉
〈え?・・・え?〉
〈・・・・・・・・・・・・〉
〈だから!ここんとこず―っとお尻でばかりエッチしてたでしょっ!?
多分そのせいだって言ってるのっ!〉
〈・・・・・・・・・〉
〈・・・・・・・・・〉
〈うぅう〜・・・〉
〈え〜と・・・。き、霧江さん、これはですね、その〉
〈・・・新谷。この件が片付いたら、とりあえず殴らせろ〉
〈ええぇっ!?〉
〈・・・あ、いたっ、いたたたたた・・・〉
《う゛ぉっ!う゛お゛ぉっ!う゛お゛お゛お゛ぉぉお゛っ!!》
「嫌あぁぁっ!」
「ごめんなさい!ごめんなさいっ!」
〈おい!こらえろ夕子!〉
〈夕子さん!今の夕子さんはちょっとうめいて身震いするだけでも
あの子たちには怪物がものすごい雄叫びを上げながら大暴れしてるように見えるんですから!〉
〈そ、それは分かってるけど・・・あつつつ・・・〉
《ぅう゛ぉぉぉぉおおお゛っ!!》
「もうやだあっ!逃げよう!」
「ダメよ!逃げたら悪化するって先輩言ったじゃない!」
「・・・」
「そ、そうだぞお前らーっ!絶対逃げちゃダメだぞー!
・・・ダメだからちょっと待ってろー!」
〈あぅぅ・・・。
だ、だいたい、あなたの設定語りが長すぎるのよ!
もっとシンプルに、復活してパワーアップしたとかだけで良かったでしょ!?〉
〈なっ!?あれはこの作戦で一番重要なプロットだろうが!だいたい自分の不用意をわたしに転嫁するなよ!〉
106 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:14:52.92 ID:R4jSxpnS
〈・・・でも霧江さん、さっき設定語りしてる時、若干気持ちよくなってましたよね?〉
〈ぐっ!〉
〈そーそー。明らかに自分に酔ってたよねー?〉
〈ぐぐっ・・・〉
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ど、どうしよう・・・」
「はあ・・・。なにをやってるのよあの子たちは・・・」
「えっ!?・・・あ!」
「こんにちは。昨日ぶりね」
「な、なんでここに・・・」
「ん―・・・。ちょっとしたおせっかい、かな?」
「え・・・?」
「だって、ねえ。
・・・あなた、まだ迷ってるの?彼にあれだけ言われたのに」
「で、でも・・・」
「・・・あのね、甘ったれるんじゃないの」
「!」
「わたしは彼みたいに優しくないから、はっきり言うけれど。
あなたたちがやったことはね、本来なら贖罪の機会すら与えられないことなの」
「で、でも、昨日は苦しんだからもういいって・・・」
「それはあなたが自ら悔いる心を持っていたから、
チャンスくらいならもらえてもいいんじゃないっていう意味よ。
・・・でも、そのチャンスすらフイにするようなおばかさんなんて、わたしはもう知らない」
「・・・・・・・・・」
「・・・なんてね。
・・・ほんとはね、わたし全然、あなたに偉そうに説教できた義理じゃないの」
「え・・・?」
「わたしもひどい女なんだよ?恥ずかしいから詳しいことは言えないけど」
「・・・」
「いいから死ぬ気で行ってみなさいな。
・・・大丈夫。あなたたちよりひどいことしてきたわたしが、あなたたちよりふてぶてしく生きてるんだから。
・・・なのに、あなたたちだけが許されないなんてこと、あるわけないわ」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
〈あぁんんんっ。てぇいちくぅぅんっ、わたし、もぅダメぇぇえっ〉
〈・・・おい、夕子?〉
〈あ、んんっ、だめっ、だめだめだめぇえっ、もうっ・・・はぅううっ〉
〈・・・夕子さん?〉
〈わたしっ、もうがまんできないぃっ・・・。
・・・あっ、やっ、いやっ、いやっいやいやいやぁあっ、んんっ〉
〈・・・夕子さん・・・。実は結構余裕ありますよね・・・?〉
〈・・・て言うか・・・。なんかヘンな性癖に目覚めかけてないか・・・?〉
「あの」
「えっ?・・・わっ!」
「あの・・・。わたしを探してたんですよね?」
『へっ?』
《う゛ぉっ!?》
「いや、その・・・。
・・・あ!て言うか近づいて来るな!危ないぞ!」
「・・・いいんです。もう」
「え・・・?」
107 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:15:30.55 ID:R4jSxpnS
「・・・正直、生け贄にされてもしょうがないのかな・・・って、少しだけ思ってたんです。
・・・わたし、嫌われてたから」
「ちょ、ちょっと?」
《・・・・・・・・・》
「原因も分かってたんです。
わたし、怖がりなのに怖い話とか好きで、自分から友達にそういう話を聞いておいて、
でも怖くなってくると、それをごまかすために怒鳴り散らすってことを繰り返してたから」
「・・・お前・・・」
「めんどくさいですよね、そりゃ・・・」
「あ、あんた・・・」
《・・・・・・・・・》
「どうせこの先、また同じことを繰り返すでしょうし・・・。
だからもう、いいかなって」
ザッ!
「まって!!」
「えっ?」
《!》
「あっ!あんた!一人だけどこ行ってたの!?」
「違うの!全部でっちあげだったの!」
「ちょっ!?」
「えっ?えっ?」
「・・・」
「裏ルールも、儀式も、ぜーんぶウソ!全部あんたを陥れるためのでまかせ!
『夕子さま』・・・いえ、夕子さんなんか、ぜんっぜん関係ないのっ!!」
「・・・え・・・」
「だから、あんたは生け贄になる必要なんてないのよ!
・・・だって!最初から生け贄なんて存在しないんだから!」
「・・・・・・」
「・・・そ、そうだわ・・・。
わたしたちの作り話なんだから、あんたが本物のバケモノに狙われる筋合いなんてそもそもないのよ!」
「そ、そうだよ・・・。狙われる理由があるとすれば、むしろわたしたち・・・」
「・・・・・・・・・」
「そうよ。そのバケモノは多分、怪談をもてあそんだわたしたちに怒ってるのよ・・・」
『えっ?えっ?』
《う゛ぉっ?う゛ぉっ?》
「・・・ねえ、あかマントさん。相談があるんだけど」
『えっえっえっ』
《う゛ぉっう゛ぉっう゛ぉっ》
「わたし、卑怯だから、死ぬのはやっぱりイヤ。すごく怖い。
だから、あの子の代わりに・・・なんて殊勝なこと、とても言えない」
「・・・」
「・・・だから、わたしたち四人の血、四分の一づつ吸って?・・・それで許して欲しい」
「っ!」
「!?」
「ええっ!?」
『はいぃっ!?』
《う゛お゛ぉっ!?》
108 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:16:21.45 ID:R4jSxpnS
「四人で一人分の血液。それでカンベンして欲しいの。
・・・ほんとは三人でやるべきなんだろうけど、さすがに三分の一も吸われたら、助からないだろうから・・・」
「・・・あんた・・・」
《・・・・・・・・・》
「・・・はっ!?
・・・き、霧江さんっ!!」
「えっ?・・・あ!
・・・り!『輪廻の円環から』・・・えと・・・『虚無へと消え去れ』ッ!!」
『えっ?』
《う゛ぉっ?》
「『悪鬼』・・・『調伏』ッ!!」
―ドッ!!
『いたっ!?』
《う゛ぎっぃ・・・あ゛あ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛っ!!》
〈・・・ほら、夕子さん、早く退散・・・て言うか、トイレに行ってください!〉
〈ごめんっ・・・貞一くん、あとよろしくっ!〉
しゅうぅうぅぅう・・・。
「・・・・・・」
「・・・やった・・・の?」
「あ―・・・うん。君たちのお陰でね」
「わたしたちの・・・?」
「あのあかマントはね、本来は生け贄なんて要求しないんだ。
・・・でも、君たちがでっち上げた偽りの儀式と、それによる強い負の情念が、
あかマントを本来とは異なる形に歪めてしまった。・・・ですよね?霧江さん」
「へっ?」
〈へっ?じゃないですよ。リハーサル時にさんざん霧江さんが語ってくれた設定でしょ〉
「え?・・・あ!
あ〜・・・。あ、ああ、そうさ!
その状態だと、わたしの降魔の力も効果が薄いんだ。
あかマントを下す力は、あくまであかマントにしか効かないからな」
「・・・だからね。重要なのは、君たちが嘘と過ちを認める勇気を持つことだったんだ。
・・・最も知られたくない人の前でね」
「そうさ。歪めていた情念の根元が、虚構を虚構と心から認めた時・・・。
初めてあかマントを歪めていた波動は打ち消され、本来の姿に戻るのさ」
「そう・・・だったんですか・・・」
「・・・にしても、びっくりしたよ。あのどたん場で、あんなことを切り出すなんて・・・」
「え?・・・あ、いや・・・」
「うむ。わたしの長い退魔師人生の中でも、あかマントに交渉を持ち掛けた奴なんて初めて見たぞ」
「・・・まだ中三でしょ、霧江さん・・・」
「・・・わたしは血を吸われてもいいなんて、一言も言ってないんだけど」
「え゛っ」
「わたしも」
「わたしも」
「え゛っえ゛っ」
「・・・ごめん・・・」
「まったくよ。なに勝手に人の生き血を交渉の材料にしちゃってくれてるわけ?」
「あ、あのー、君たち?」
109 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:17:20.64 ID:R4jSxpnS
「・・・」
「無断担保よね。これは重罪だわ。なにかおごってもらわないと・・・ねえ?」
「えっ?」
「あんたも来るよね?当然」
「・・・あ!う、うん・・・」
「・・・大丈夫・・・みたいですね」
「・・・はあ。わたしたちこそおごってもらいたいもんだよ・・・」
「ははは・・・」
「あ、あの!」
「・・・うん?」
「ありがとうございました。本当に・・・」
「あ、うん。
・・・なかなかすぐには自然に振る舞えないかも知れないけど・・・。
仲良く、ね」
「はい。
・・・それで一つ、お聞きしたいことがあるんですけど・・・」
「・・・聞きたいこと?」
「・・・さっきのおとぎ話のことです」
「!」
「その・・・。やっぱりおばあさんは、最後まで苦しみ抜いて死んでしまったんでしょうか・・・?」
「・・・。
・・・お姉さんが幽霊として幸せに暮らしてるのを知って、救われた・・・
・・・と言うのは、ちょっと都合が良すぎるかな?」
「!
・・・いえ・・・。
・・・ステキだと思います」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―翌日―
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「どうです!?どうです!?この記事!」
「・・・。
・・・どうにもこうにも・・・」
「え?霧江さん、お気に召しませんでしたか?」
「いや、召すとか召さないとか以前にだな・・・。
・・・この写真、わたしのパンツ見えてんじゃん・・・」
「ええ!もう、会心のセクシーショットですよ!」
「いや、あのな小此木、セクシーとかそういう問題じゃなくて・・・」
「・・・ただの演技なのに、なんでスカートがめくれるほどの風が巻き起こるんでしょうね・・・?」
『・・・わたしにもよくわかんない・・・』
「・・・ん?うわわっ!おおおおい新谷!見るなこのスケベ人間!バカ!エッチ!」
「へっ!?み、見てませんよ!」
『・・・・・・・・・・・・貞一くん?』
「だから見てませんってば!!」
「・・・ったく・・・。
て言うかさ小此木、これあかマントが写ってないから意味なくないか」
「そうなんですよね〜・・・。やっぱりああいうのは写真に写らないものなんですね・・・」
「・・・そう言えば、小此木には見えてたのか?あかマント」
「えっ」
『えっ』
「いや〜・・・。それがさっぱり・・・」
110 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:18:03.93 ID:R4jSxpnS
「ほっ」
『ほっ』
「・・・あら、ザンネンね?面白い見世物だったのに」
「!」
「あ・・・桐島さん」
「桐島・・・。見世物って言ったのか?今」
「やだ、冗談だってば。そんな恐い顔しないでよ」
「・・・。
とにかく、この写真は不許可だ不許可。もうちょっと当たり障りないのに差し替えてくれ」
「え〜〜〜?せっかくのベストショットだったのに・・・」
「・・・まあ、あとは一年棟を中心にこの新聞を貼り出す許可を貰って、僕たちも口頭で注意喚起していこうか。
『夕子さま』の後付け部分はやらないようにって」
「『夕子さま』そのものをやめるように触れて回る方が良くないか?」
「最初はそう思ったんですけど・・・。完全に禁止させようと躍起になると、
かえって怖いもの見たさで流行っちゃうんじゃないかって」
「ネットの動画みたいなもんか」
「はい・・・。ともかく後は消化試合です。例の四人も協力してくれるって言うし、
夏休みが明けた頃には多少落ち着いてるかと・・・」
「それは・・・どうかしら」
「・・・え?」
「忘れたの?呪い石に刻まれる名前が増えていたの。
あなたの言うとおり、呪い石の怪談自体が廃れているにも関わらず、
そこに辿り着いてしまうほどの執念を伴う憎しみが、確実に複数存在してるんだよ。
・・・根源であるあの四人が全くあずかり知らないところでね」
「・・・」
「あの子たちには救いがあったけど
あの子たちとは比較にならないくらい陰惨な関係から生まれた怨念が、今も放置されたままかも知れない」
「そう・・・ですね」
「そんなの、人が大勢集まるとこだったら大なり小なりあるもんだろ。会社とかさ。
誠教はちょっと特殊だから、ちょっと変わった形でそれが顕れたってだけさ」
「・・・。
そう・・・だね。その通りだわ。
・・・でも、いつかまた、この件が影響した事件にぶつかるかも知れない。
・・・わたしの狂言が、今回の件に影響を与えていたように」
「桐島先輩・・・」
「・・・。
・・・なあ、桐島」
「・・・うん?」
「なんかいい感じにまとめようとしてるけど・・・。
・・・お前、そもそもここの部員ですらないからな」
「あら、固いこと言わないでよ。
わたしたちもう戦友みたいなものじゃない」
「せ、戦友!?」
「おお〜・・・!戦友!なんかカッコイイ響きです!」
「バカ言え。こんないつ寝首掻かれるか分かったもんじゃない戦友はお断りだ」
「・・・。
まあ、いいわ。わたしも別に入部させて欲しいってわけじゃないから。
わたしがいると、あなたたちが柔軟に動けなくなるみたいだしね」
「・・・」
「ま、今日は様子を見に来ただけだから、これでおいとまするわ。
でも、終業式の日まではわたしも火消しに協力するから・・・」
「・・・」
ガラッ。
「・・・あ、そうそう、退魔師さんに一言言っておくことがあったわ」
「は!?な、なんだよ!?」
「・・・あなた、教祖の才能あるわ」
111 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:18:53.35 ID:R4jSxpnS
「!?
はああっ!?」
「だってもう、信者が付きつつあるじゃない。
・・・あのインチキ術の」
「おおっ、教祖!霧江さん、なんかすごいです!」
「バカ―っ!!この小此木!どう聞いても今のは褒めてないだろ!?
だいたいおま、お前こそ口車で人を扇動して、インチキ教祖っぽいじゃないか!」
「そうだね。・・・ふふっ。だから、あなたとわたしが組めば、色々悪さできると思わない?」
「うるさい!もう帰れ!想像するのもおぞましい!」
「うふふふ。・・・じゃあね、新谷くん。夕子さんによろしくね」
ピシャンっ。
「・・・」
「あ〜〜〜・・・もう・・・。夏休みまでの残り、毎日あいつと顔付き合わせるのかよ・・・」
「・・・だいぶ気に入られたみたいですね」
『まあ、いじり甲斐あるからね〜・・・。
このまま貞一くんへの興味があのコに移ってくれればいいんだけど』
「・・・そんな風に考えてたんですか」
『貞一くんをいじるのはわたしだけの特権だし』
「はいはい・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ばふっ・・・。
「は――――・・・」
「ふふっ。おつかれさま、貞一くん」
「今回は久しぶりの長丁場でしたね・・・。まあ、まだ終わってませんけど」
「そうだね。今回の貞一くん、かっこよかったよ」
「へっ?い、いや、そんな」
「ああ、今回『も』かな?」
「・・・。
僕ひとりの力なんて・・・」
「ふふ、そうだね。でも・・・だからこそ、わたし今回、すごく色んな収穫があった」
「・・・え?」
「・・・わたしね、去年・・・最初に隠れ鬼の件であのコが転がり込んできた時、正直面白くなかった」
「小此木さんは・・・まあ、ルールとは言え、夕子さんの名前をヘンな風に使っちゃいましたからね」
「それももちろんあるんだけれど・・・。
あのコ、明らかに貞一くんに憧れてるじゃない?だから貞一くんとの時間を取られちゃう気がして」
「・・・」
「でも、今回『夕子さま』を最初に持ち込んできた時・・・あのコ、わたしをかばってくれたの。
・・・『こんなの夕子さんじゃない』って」
「・・・・・・」
「覚えてる?あのコ、最初に転がり込んできた時『夕子さんに殺される!』って言ってきたんだよ?
そのコが今・・・わたしのことが見えないはずのあのコが、わたしをかばってくたの」
「夕子さん・・・」
「あのコだけじゃない。みんな・・・今までの事件で関わってきた人たち、みんな、
『夕子さま』の悪いイメージに反発してくれた。
・・・貞一くんのお陰だよ」
「え・・・?僕の?」
「あなたが今までの事件で一生懸命頑張って、みんなの心から実体のない怪異・・・
言ってみれば、『悪いわたし』を取り除いてくれたんだもの。
・・・そして、ひときわ大きな『悪いわたし』を貞一くんに取り除いてもらった人がいるの」
「・・・」
「・・・その人は、まあ、なんて言うか・・・。
・・・ぶっちゃけ、貞一くんのこと愛してるんだけれど、やたら存在感が薄い人なものだから
貞一くんもなかなか人から祝福してもらえなくてね・・・」
「・・・祝福してもらえないのは、確かに残念ですね」
112 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/23(月) 03:19:52.24 ID:R4jSxpnS
「・・・。
・・・そう・・・だよね」
「・・・でも、祝福してもらえないからと言って・・・
その人のことを好きだと思う気持ちが変わるわけじゃないと思います」
「・・・貞一くん・・・」
「「・・・んっ・・・」」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・お腹の方は、もう大丈夫ですか?」
「あっ、こーいう時にそーいうこと聞いちゃうんだ?」
「い、いや、大事なことですよ?なにより、僕が無理強いしちゃったせいですし・・・」
「ふふっ。大丈夫だよ。昨日はああ言ったけど、わたしは貞一くんのそういうとこも楽しんでエッチしてるから。
・・・何よりわたし幽霊だしね。ちょっとくらいムチャしても、多分へーき」
「・・・・・・・・・」
「・・・うん?貞一くん?」
「・・・実はあの後、霧江さんにめちゃくちゃ怒られちゃいまして・・・」
「え、まさかほんとに殴られたの?」
「い、いえ、殴られたわけじゃないんですけど。
・・・夕子さんが幽霊だからって、あまりオモチャにするなって」
「・・・」
「その・・・、幽霊って言うか、夕子さんが僕を発奮させるために色々してくれるから、
僕もつい興奮して調子に乗っちゃうって言うか、その」
「・・・。
・・・あのコもよけーなこと言わなくていいのに・・・」
「へっ?」
「何度も言ってるでしょ?そもそもわたしは、貞一くんを野獣にさせるためにそういうことやってるんだもの。
・・・いいじゃない。ちょっとくらい壊しちゃったって」
「ゆ、夕子さん!?」
「まあ、あのコがそんな風に言ってくれたってのは意外だから、ちょっと嬉しいけど。
・・・どっちにしろ、お腹壊しちゃったら色々と都合が悪いしね」
「そう・・・ですね。なんにせよ、しばらくお尻でのエッチは控えましょう。
・・・色んな意味で危険ですから」
「う・・・。そ、そだね・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「じゃあ、今日はどんな風に・・・」
「ん―・・・。
・・・・・・・・・。
貞一くんのことレイプしたい」
「・・・。
はい?」
「レイプしたい」
「・・・・・・・・・」
「レ―イ―プ―し―た―い―」
「・・・まあ、しょうがないか・・・」
「え゛っ、ホントにいいの?・・・って言うか、しょうがないとかあるの?」
「うん・・・。その・・・。まあ・・・。お腹壊しちゃったこととか盾に取られるとどうしようもないですし」
「別に盾に取ったつもりはないんだけど・・・。
まあ、せっかくだからお言葉に甘えてレイプさせてもらっちゃおっかなー」
「もうなんか、言ってることおかしいんですけど」
「まーまー。
・・・それじゃ、被害者さんは服を脱いでベッドに横になってね♪」
「・・・なんか病院の診察みたいですね」
ばふっ・・・。
「こ、これでいいですか?」
113 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/24(火) 04:50:17.15 ID:BzT2iy9l
のしっ・・・!
ぎしぃっ!
「うっぐぅっ!?」
「うへへへへっ、おとなしくしろーいっ♪」
「ちょ、夕子さんいきなり馬乗りは・・・むぐっ!」
「んっ・・・んんっ」
むちゅっ・・・。
「んむっ・・・ぷぁっ!」
「ぷふぅっ。
・・・ぐへへへへ、なかなかやわらかいクチビルしてるじゃねーかっ」
「今まで何度もキスしてるじゃないですか・・・。
って言うかさっきもしたし」
「えーと・・・泣き叫んでも・・・・・・
・・・・・・・・・」
「・・・『誰も助けにきちゃくれないぜ』?」
「そうそう!それそれ・・・じゃなくて!わたしより先に言っちゃダメじゃない!」
「・・・て言うか・・・。泣き叫んだらさすがに母さんが来ると思うんですけど」
「もーっ、そういう茶々もなし!いいの雰囲気作りなんだから!」
「・・・ごめんなさい・・・」
「ん、もうっ。
・・・うへへへへ、すべすべのキレーな肌しやがって。こいつはたっぷり楽しめそうだぜぇ」
「・・・夕子さんの方がずっとすべすべで綺麗な肌してますけど・・・」
「えっ?そ、そう?あ、ありがと」
「・・・」
「だ―か―ら―っ!茶々いれちゃダメ―っ!」
「すみません、つい・・・」
「もういいよっ!こっちが・・・えっと、下手に出てればいい気になりやがって―」
ぐりりっ!
「あうっ!」
「んふふふふっ、こないだの『砲撃キャンセル』忘れてないよねっ?」
「ほ、砲撃キャンセル!?」
「公園でエッチした時、わたしが照準合わせまでしたのに、直前になって急遽目標変更してくれちゃったじゃない?」
「・・・あ―・・・」
「『あ―』じゃないよ『あ―』じゃ。
わたし、アワビの濃厚ミルクあえをご馳走してほしかったんだけどな―?」
ぐちっ・・・。
「んっ!」
「ぐっ・・・ちゃぐちゃに、叩いて、ほぐして、ほじくり回して、突き崩して、ごりっごりこね回して、
すっかりやわっこくなったアワビのタタキを、
イカくっさいミルクでドロッドロにコーティングして欲しかったのに」
ぐりっ。ぐちちっ。
「あ、うぅっ」
「んふふっ、おっ勃ってるおっ勃ってる。わたしの肉アワビのすぐ下で、貞一くんのチンポが発芽してるぅ」
すりっ。すりっ。
ぐちゅっ。ぐちゅちゅっ。
114 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/24(火) 04:51:29.54 ID:BzT2iy9l
「んんっ・・・!」
「あぁんっ、そうそう、その顔っ!貞一くんのそういう顔が見たかったんだよぉっ」
「〜〜〜っ!」
ぐちっ・・・。
「んふっ、ふうぅ・・・。
じゃ、じゃあ、あらためてえぇっ、
『砲頭』の角度よしっ、『砲身』の反り返りっぷりよぉしっ、標的『ドスケベアワビ』への照準よぉぉしっ♪
撃ち方っ、はじ―」
どっぢゅんっ!!
みちみちみちぃっ!!
「め゛え゛ぇえ゛え゛ぇっ!?」
みちっ・・・。
ぬぢっ、ぬぢゅぢゅっ・・・。
「え゛っ・・・えっ、えぇえ゛え゛っ・・・」
「おぉぅっ・・・。
・・・お、おのぞみどおり、撃ち込んであげましたよっ・・・」
ぬぬぬぬぬっ・・・。
「んぉぉぉぉっ・・・。
ちょっ、だめ、だめっ、きょうはわたしがあっあっあっ」
ぬっ。ぬっ。ぬっ。
「んぁっ、らめっ、らめっ、きょうはわたひがっ、わたひがレイプするんっおっおっ」
ぬぢゅっ。ぬぢゅっ。ぬぢゅっ。
「おっおっおっ、わたひがレイプするがわなんらからぁっ、
わたひがおまんこでてーいちくんのチンポズポズポフェラするひなんらからあぁ、
てーいちくんはつきあげちゃらあひ、ひ、ひっ!」
「抵抗しなかったら、それはそれでレイプっぽくないでしょっ!」
ずぢゅっ、ずぢゅっ、ずぢゅっ。
「おふッ、おふッ、おふぅッ」
「女の人が男を強姦するのは、それだけ難しいんですよっ・・・。
抱きついてからかうのとはわけが違うんですっ!」
どちゅっ。どちゅっ。どちゅっ。
「んおぉっ、らめっ、らめらめっ、
きょうはっ、わたひがレイプするひなのにっ、こんなステキなカウンターパンチらめぇぇえ」
どぢゅっ!どぢゅっ!どぢゅっ!
「あ゛―――――――っ、ぶ、ブッぱなされるうぅっ、わらひィっ、レイプ魔なのに便器にされるうぅっ!!」
「ぉおぉっ!おっおっ!」
ぶびゅ―――――――――――――・・・っ!!
115 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/24(火) 04:52:29.82 ID:BzT2iy9l
「んォ―――――――――――――・・・っ!!」
「ぅおおっ!おっ・・・おぅぅうっ!!」
びゅ―――っ。びゅ―――っ。びゅ―――――・・・っ。
「あっ・・・、あっ、あっ・・・。かっ、カウンター・・・。カウンターで、ザーメンが噴火して・・・
・・・あっ、あっ、あっ・・・」
「あぅうぅっ・・・!
・・・うぅう〜〜〜っ!」
ぶびゅるる―――っ。ぶびゅるるる―――――っ。
「ひっ・・・。ひっ、ひぃィっ!
わっ、わらひぃっ、や、やっぱりぃっ、
レイプまよりザーメンべんじょのほーがしょーにあってるぅぅ―――・・・っ」
「ふぅうう・・・。
じゃ、じゃあ・・・。これからも僕だけのエッチなおトイレでいてくださいねっ・・・」
「っ!!
・・・う、うんっ、うんうんっ、
わらひっ、じょーぶつするまでっ、てーいちくんせんよーのエロトイレだよぉ―――っ・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ばふっ。
「・・・はふぅぅぅ・・・。みちたりたぁぁぁ・・・」
「・・・はぁ。つかれた〜・・・」
「んふふふ。ありがと貞一くん。ステキな捧げ物だったよ」
ちゅっ。
「んっ。
・・・捧げ物・・・ですか」
「そ。ねっとりとした、ステキな捧げ物」
「・・・。
夕子さん・・・。ひょっとして、ほんとは少しくらいは供物みたいなものが欲しいとか思ってたりします?」
「んん?
・・・ん〜〜〜・・・。
要らないっていうのも、欲しいっていうのもちょっと違うかな」
「えっ?」
「だって、わたしへの生け贄ならここにいるじゃない」
ぎゅ。
「うぐっ・・・」
「だから、これ以上の生け贄はお断り。でもこの生け贄だけは絶対手離さないよ?」
ぎゅうぅっ・・・。
「・・・。
全身全霊をもってお鎮めしマス・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ガララっ。
「・・・あ、早いですね霧江さん」
「うーす」
「おっはよ―――!」
「お、おお?」
116 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/24(火) 04:53:43.92 ID:BzT2iy9l
「さー今日も火消しがんばろうっ!」
「な、なんだ夕子?なんかテンション高くてキモいぞ・・・。
て言うか、今夕方だぞ・・・」
「んふふふっ、まーねー。わたしは今、女として充実しまくって・・・
・・・ん?おおっ!?」
「え?どうしたんですか夕子さ・・・うわ、なんですかこれ!?」
「ああ、それな。例の四人がお詫びというかお礼というかで夕子の神棚にお供えしていったんだよ。
あいつらの中じゃあかマント・・・怪異は実在してるわけだから、
夕子にも謝らなきゃいけないと考えるのは道理だな」
「すごい量のお菓子ですね・・・」
「うわっ!ばかうまFINAL2まである!とっくに購買部から消えてたのに!」
「・・・でも、あの子たちが本物の夕子さんに捧げ物をしに来たっていうのは、ちょっと皮肉な気もしますね・・・」
「まあ、ありがたく貰うさ。小此木が新聞部の作業を終えたらお茶にしよう」
「・・・そう言えば、今日は桐島さんはまだ来てないんですね」
「正直このまま来てくれないでいてくれると助かるんだが・・・。
わたし、あいつ苦手なんだよな・・・ん?」
ボリボリ・・・。
「おまっ!夕子!もう食ってるのかよ!」
「ふん?らってわらひへのお供えものなんれひょ?・・・んぐっ。
・・・あー、こんなにおいしい思いができるなら、大々的にお供え物募集とかしちゃおっかなー」
「・・・。
やっぱり欲しいんじゃないですか、捧げ物・・・。
って言うか、絶対にヘンなもの供えに来る人が出てくるからやめて下さい」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・あの〜・・・。桐島さん?」
「・・・うん?」
「えっと・・・このコがさ、その・・・。
・・・『夕子さん』のことで困ってる・・・らしい・・・んだけど」
「・・・・・・・・・」
「でね、相談・・・ってほどじゃないんだけどさ・・・。
桐島さんなら何か知ってるかな〜・・・なんて・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「い、いや、わたしもね、他を当たれって言ったんだよ?でもね、このコがどうしてもって」
「いいわ」
「そ、そうだよね!やっぱイヤだよね!ほ、ほら見なさ
・・・・・・・・・え?」
「いいわよ別に。ヒマだし」
「ほ、ほんと?」
「あ、え・・・?あ、ああ、そう・・・」
「・・・あなた、一年のコ?」
「えっ?あ、はい・・・」
「・・・幽霊なんて本気で信じてるの?」
「・・・。
そりゃ、お化けなんてホントにいるわけじゃないかも知れないけど・・・。
でも、怖いものは怖いもん・・・。みんなだってそう思ってるよ・・・」
「・・・。
ふふ・・・そうだね。
でも話を聞く前に、まず自己紹介くらいはしようか」
「あ・・・は、はい・・・」
「じゃあ、わたしからね。
―――わたしの名前は―――」
117 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/24(火) 04:58:42.80 ID:BzT2iy9l
おしまいです。
普段からただでさえ長いのにことさら長編になってしまいましたが(某所で確認したら約7万字・・・)
もし最後までお付き合いしていただけた方がいたなら、ほんとうにありがとうございます。
乙。
また気が向いた時に投下してくれれば嬉しいです
気が早いようですが次回作期待シテマス
119 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/25(水) 01:51:26.77 ID:1FBm7aW3
>>118 ありがとうございます。
次のお話ももう考えてるので、また近い内に投稿させてもらいますね。
120 :
名無しさん@ピンキー:2014/06/26(木) 18:22:02.54 ID:yv+REdPd
乙であった
121 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 06:58:46.27 ID:oQhWAty3
>>120 ありがとです。
では予告通りまた投下させて頂きます。
そろそろセリフのみでの構成が限界なのでw久々に地の文復活。
122 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 06:59:22.85 ID:oQhWAty3
「・・・夕子さん。ほんとにやるんですか?」
少年は不安げな眼差しで、すぐ右隣の『何もないはずの空間』に声を掛ける。
「もっちろん!って言うか、いつかやるの夢だったんだもん!」
問い掛けられた『何もないはずの空間』―すなわち少女の幽霊は、涼やかな釣り目を目いっぱいほころばせながら、
浮かれきった声で少年に言葉を返した。
―庚 夕子。
誠教学園七不思議の主演にして、この学園の歴史と共にあった女学生の幽霊。
彼女は今、孤独な時の漂流を経てようやく巡り逢った運命の人―新谷貞一と共に、
学園内にそびえる第二体育館へと足を運んでいた。
「う〜ん・・・」
「なによ、そんなにイヤなの貞一くん」
「いや、その・・・。
さすがに室内プールで警備員さんに気づかれたら、逃げ場がないですからね、僕・・・」
「うーん、万が一見つかっちゃったら、わたしがそこら辺の物を倒して警備員さんの気を引くから。
それでもダメ?」
時刻は既に深夜の10時を回っており、天蓋を覆って久しい夜の帳が、お互いの顔をも暗く包み込む。
既に夏休みも3日目。ただでさえ人の少なくなるこの時期、この時刻である。
珍妙なカップル―そもそも片方は姿すら見えないのだが―の無断侵入を咎める人間など、いようはずもなかった。
「・・・。
それはそれでポルターガイスト騒ぎが再発しそうで恐いんですけれど・・・。
でも、そこまでして深夜の室内プールなんかで泳ぎたいんですか?」
「ただ泳ぎたいわけじゃないよ。貞一くんと二人きりで泳ぎたいの」
夕子の眼差しは真剣そのものだ。彼女にとって愛する貞一との過ごし方は、
誇張でもなんでもなく、己の存在意義をかけて取り組む命題なのである。
―なにしろ、今の彼女は貞一への未練と執着のみで現世に留まっているのだから。
「・・・」
「二人だけで・・・って言うか、実質貞一くん一人でプールを貸し切るのなんて、正攻法じゃまずムリでしょ?」
「それは・・・。
・・・まあ、僕は夕子さんの望みを叶えるって誓った身ですから、
夕子さんがどうしてもって言うならやぶさかじゃないですけど」
「うふふっ、ありがと。てーいちくん愛してるぅっ♪」
夕子はニカっと笑うと、懐からあらかじめ拝借してした鍵の束を取り出した。
「じゃ、早速はいろっか。
・・・えーと、裏口の鍵は〜・・・と」
「・・・すっかり鍵の無断借用に慣れちゃいましたね・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
123 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 07:00:13.79 ID:oQhWAty3
裏口から第二体育館に侵入した二人は、そのまま体育ホールを抜けて室内プールの更衣室へと移動していた。
「・・・にしても、そんなに二人きりで泳ぎたかったんですか?」
貞一がズボンから足を抜きながら、背後の夕子に話しかける。
「そりゃもう!夏休みと言えばプール!夏休みと言えば恋人との甘く熱いひと時!
・・・っていうのに憧れてまして・・・」
それに返答する夕子の声色は、やはり浮かれきっていた。
これから訪れる楽しいひと時が待ちきれないのか、制服から頭を抜く動きに若干の焦りが見て取れる。
もともといたずらや無邪気な企てが好きな彼女のこと、
それらの欲求と貞一との甘いひと時を同時に満たせる今回の計画は、夕子にとって夏休みの目玉の一つであった。
「さすがに熱いひと時はムリだと思いますけどね・・・。今、夜の10時ですし」
「まー、そこは気の持ちよう。
去年みたいにあの子が紫子の強権発動して、プールを貸し切りにしてくれれば昼でもいけたんだけどねー」
去年の夏休みは怪異調査部の強化合宿という名目で、屋外のプールを部員貸し切りで先行利用している。
霧江が理事長―夕子の妹である紫子と血縁であるが故の特権だった。
「強権て・・・。
まあでも、それは無理ですね。霧江さんに頼むのに霧江さんを仲間外れにするわけにはいかないですし、
そもそも僕たち二人きりで使いたいなんて言ったら、霧江さんは絶対怒るでしょうし・・・」
「だよねー」
霧江には二人の仲の深さはある程度知られており、
それがゆえにしばしば彼女から冷ややかな視線を投げかけられることもあった。
そんな霧江に今回の計画への協力を仰げば、助力どころかヘソを曲げられてしまうのは明白である。
シュルっ・・・。
「・・・あ、夕子さん、僕の水着取ってもらえますか?」
トランクス一丁になった貞一が、一糸纏わぬ姿になった夕子に声をかける。
三ヶ月前―すなわち、二人が深い仲になる前ならおよそ平静ではいられなかったシチュエーションであるが、
お互いの身体の隅々まで知り尽くした今となっては、純朴な貞一もさすがに夕子の全裸程度では狼狽えなくなっていた。
・・・むしろ彼の狼狽すべきはここからであった。
「え?ないよ?」
夕子があっけらかんと答える。
「・・・。
はい?」
あまりに自然体な夕子の返答を受け、貞一は思わず聞き返した。
「だからないってば。わたし、そんなもの持ってきてないし」
「・・・・・・・・・。
え〜と・・・。一つ確認したいんですけど」
「うん?」
「家を出る前、『必要なものは全部わたしが準備して持っていくから、貞一くんは手ぶらでいいよ』
・・・って夕子さんは言いましたよね?」
「うん。言ったよ?」
124 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 07:03:00.23 ID:oQhWAty3
裏口から第二体育館に侵入した二人は、そのまま体育ホールを抜けて室内プールの更衣室へと移動していた。
「・・・にしても、そんなに二人きりで泳ぎたかったんですか?」
貞一がズボンから足を抜きながら、背後の夕子に話しかける。
「そりゃもう!夏休みと言えばプール!夏休みと言えば恋人との甘く熱いひと時!
・・・っていうのに憧れてまして・・・」
それに返答する夕子の声色は、やはり浮かれきっていた。
これから訪れる楽しいひと時が待ちきれないのか、制服から頭を抜く動きに若干の焦りが見て取れる。
もともといたずらや無邪気な企てが好きな彼女のこと、
それらの欲求と貞一との甘いひと時を同時に満たせる今回の計画は、夕子にとって夏休みの目玉の一つであった。
「さすがに熱いひと時はムリだと思いますけどね・・・。今、夜の10時ですし」
「まー、そこは気の持ちよう。
去年みたいにあの子が紫子の強権発動して、プールを貸し切りにしてくれれば昼でもいけたんだけどねー」
去年の夏休みは怪異調査部の強化合宿という名目で、屋外のプールを部員貸し切りで先行利用している。
霧江が理事長―夕子の妹である紫子と血縁であるが故の特権だった。
「強権て・・・。
まあでも、それは無理ですね。霧江さんに頼むのに霧江さんを仲間外れにするわけにはいかないですし、
そもそも僕たち二人きりで使いたいなんて言ったら、霧江さんは絶対怒るでしょうし・・・」
「だよねー」
霧江には二人の仲の深さはある程度知られており、
それがゆえにしばしば彼女から冷ややかな視線を投げかけられることもあった。
そんな霧江に今回の計画への協力を仰げば、助力どころかヘソを曲げられてしまうのは明白である。
シュルっ・・・。
「・・・あ、夕子さん、僕の水着取ってもらえますか?」
トランクス一丁になった貞一が、一糸纏わぬ姿になった夕子に声をかける。
三ヶ月前―すなわち、二人が深い仲になる前ならおよそ平静ではいられなかったシチュエーションであるが、
お互いの身体の隅々まで知り尽くした今となっては、純朴な貞一もさすがに夕子の全裸程度では狼狽えなくなっていた。
・・・むしろ彼の狼狽すべきはここからであった。
「え?ないよ?」
夕子があっけらかんと答える。
「・・・。
はい?」
あまりに自然体な夕子の返答を受け、貞一は思わず聞き返した。
「だからないってば。わたし、そんなもの持ってきてないし」
「・・・・・・・・・。
え〜と・・・。一つ確認したいんですけど」
「うん?」
「家を出る前、『必要なものは全部わたしが準備して持っていくから、貞一くんは手ぶらでいいよ』
・・・って夕子さんは言いましたよね?」
「うん。言ったよ?」
125 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 07:04:40.02 ID:oQhWAty3
計画の発案者だからというわけでもなかったろうが、
夕子は今回、やたらと積極的に準備と荷物運びを買って出たのだ。
・・・そして今にして思えば、貞一はそこで違和感を覚えるべきであった。
「その必要なものって言うのは、この室内プールで泳ぐために必要なもののことですよね?」
「うん。そうだよ?」
「じゃあ、その袋の中には何が入ってるんですか?」
「うん?愛妻弁当と麦茶が入ったポッドだけど?」
夕子はナップサックの中身を開いて貞一に見せた。
中には確かにピンク色の包み布に覆われた四角い箱と、遠足用の大きな水筒、
そしてバスタオルとゴーグルが入ってるのが見て取れる。
・・・と言うより、それしか見て取れなかった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・僕、水着がしまってある場所、ちゃんと教えましたよね?」
「押し入れ下段右端の白い衣類ケースの上から二番目の引き出しでしょ?」
「バッチリ覚えてるじゃないですか―――――――――っ!」
予測外の事態に深夜であることを一瞬忘れかけた貞一が、思わず大声を上げた。
「そりゃもう!貞一くんのことなら全部覚えてるものわたし!・・・キャ♪」
その哀れな突っ込みを受け、夕子は己の頬を両手で覆う。
喜ぶような恥じらうようなその表情は、しかしてなぜか若干得意げであった。
「なんで全部覚えてるのに水着を持ってくるのは忘れちゃったんですかっ!?」
「だって必要なものじゃないじゃない」
「はぁっ!?」
当然でしょ?とばかりの返答を返す夕子に、貞一は思わず素っ頓狂な声を上げた。
「も〜・・・。やだなあ貞一くん、いい加減に察してよ。わたしと貞一くんはなに?どういう仲?」
夕子は貞一に近付き、その胸元を人差し指でつつく。
たわわに実った白く柔らかな乳房が、貞一の眼前でぶるんっと跳ねた。
「ど、どうって」
「深く愛し合う男女。恋人でしょ。
・・・まあ、ほんとは・・・夫婦・・・って言いたいとこなんだけれどね・・・。ほんとはね・・・」
「・・・」
夕子は少しうつむきがちになって、急にブツブツと独り言のように喋りだした。
「いや、ホラ、そうやってどさくさまぎれで夫婦アピールしようとかじゃないんだよ?ないんだけれどね?
でも、式は一応挙げたし、誓いの口づけもしたし、何よりお互い身体の隅々まで知り尽くしてるんだから
別に夫婦って名乗ったってそんな図々しいわけじゃないと思うし・・・」
「あの〜・・・。夕子さん、話を元に戻してもらってもいいですか?」
脱線しはじめた夕子がそのまま妄想の世界へと舵を切りかけてたのを見て取って、
貞一は若干冷ややかに軌道修正を要請した。
「えっ?・・・あ!
・・・え、え〜と・・・。
だからね、ここは今だけわたしたち二人の世界で、人目を気にする必要なんてないじゃない?
だから、身体を覆うものなんて無粋だと思うの」
126 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 08:01:43.10 ID:oQhWAty3
「つまり、素っ裸で泳ぎたい・・・って言うか、泳がせたいと・・・」
貞一はここにきてようやく、企画の段階ですでに夕子の陰謀が始まっていたことに気付いた。
「ピンポーン♪水着は忘れたんじゃなくて、不要だから持ってこなかっただけっ♪」
「・・・。
なんか、ハメられた気分なんですけど・・・」
「んん〜?・・・んふふふっ。だったら仕返しに、遊泳中にハメちゃってもいーよっ?」
「・・・・・・・・・」
無邪気とも妖艶とも取れる笑みを浮かべながら、夕子がそっと己の尻に指を這わせる。
―催したなら、好きなだけここに吐き出せばいい。と挑発するかのように。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ぐぐぐっ・・・。
プールサイドに出た夕子が、生まれたままの姿で大きく伸びを打つ。
「んん〜っ、開放的〜っ♪ほらぁ、貞一くんも早くきてってば!」
無断使用ゆえ、さすがに照明を点けるわけにはいかなかったが
かえってそれが室内を幻想的な空間へと演出するのに一役買っていた。
宵闇のビロードの中、月明かりが夕子の白い肉体を美しく照らし出す。
その豊満な肉体を遮るものはなく、伸びの反動で豊かな乳房と尻たぶが揺れる。
股間からかすかに覗く陰毛の茂みは、15という年齢の割に意外と深い。
それが生来のものか、新谷貞一という雄からの刺激による影響なのかは、二人しか与り知らぬことであったが。
「〜〜〜・・・っ」
夕子に催促されて、貞一がようやくプールサイドに姿を現す。
「んん?
・・・あっ!ちょっと、何タオルなんか巻いてるの!」
・・・ただし、その姿は夕子とは異なり、腰周りは無粋なバスタオルで覆われていた。
「だって、やっぱりなんか恥ずかしいですよ〜・・・」
「今さら何言ってるの!お互い身体の隅々までさんざん見尽くしてるでしょっ!?」
「エッチする時とじゃ気構えが違うんですってば・・・。
そりゃ、夕子さんはハダカになるの慣れっこかも知れませんけど」
それが愛する人とでさえあれば、一切の奔放は正当化されると信じる夕子と
生来生真面目で時と場所をわきまえるべきと考える貞一では、しばしばこうした時に意見の相違が見られた。
・・・しかして、こうした時の勝者もまた常に定まっているのである。
「・・・ムっ!」
がしっ。
ぐいぃっ!
夕子はおもむろに貞一の腰を覆うバスタオルに手を掛けると、問答無用で引っ張り始めた。
「あっ!?やっ、やめっ!引っ張らな」
ばさあぁっ!
127 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/28(土) 08:03:23.78 ID:oQhWAty3
今日はここまでで。
あと
>>124はうっかり重複して投稿しちゃったもんで無視して下さい。
ただでさえ容量足りないのに申し訳ない。
128 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/29(日) 22:41:19.96 ID:+AGLx5IJ
咄嗟のことでバスタオルを抑える猶予もなく、貞一の股間が露わになる。
「うひゃああぁ!」
「何が『うひゃああぁ』よ。人を露出狂みたいに言った罰ですー」
貞一の素っ頓狂な悲鳴に、夕子は半ば呆れたような、半ばふてくされたような言葉を浴びせる。
「ううっ・・・。夕子さん、ひどいっ・・・」
「もーっ、男の子でしょ?いい加減覚悟を決めなさい!
・・・。
・・・男の子・・・
・・・・・・男・・・・・・」
「股間に話しかけないで下さいっ!!」
『男』というキーワードを妙に強調しながら夕子の視線がだんだん下へと下がっていくのに身の危険を感じ、
貞一は思わず股間を両手で覆い隠した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ザバアァっ・・・。
「ぷはあぁっ・・・。
気持ちいいねっ、貞一くんっ♪」
水面から海坊主のように頭を出した夕子が、乱れ髪の貼り付いた笑顔を貞一に向ける。
ぱしゃ。ぱしゃ・・・。
「そ、そうですね・・・」
プールサイドに腰掛けた貞一が、戯れに足をばたつかせながら夕子に答えた。
「ほらぁ、やっぱり言った通りでしょっ?生まれたままの姿で泳いだ方が絶対気持ちいいんだってば!」
「・・・そ、そーですね・・・。確かに開放的で気持ちいい・・・かも・・・」
確かに夕子の言うとおり。天然の照明の元、身を縛るものの一切を脱ぎ捨て、黒紺の海で恋人と戯れるのは
まるで異世界に身一つで解き放たれたような、不思議な開放感を得られるのであった。
「うふふふっ。でしょでしょっ?しかもこの空間は今、わたしたち二人っきり!
・・・ねっ、なんだか神秘的だと思わない?」
「神秘的・・・ですか?」
貞一にとって神秘的と言えば、まさしく目の前の発言者こそが神秘そのものである。
・・・幽霊だから、というだけではない。
読書を趣味とする貞一は、しばしば諸外国の幻想文学をかじることもあった。
ルサールカ、セイレーン、ウンディーネ・・・。
水難の脅威が美しい精霊の姿を取り、
その蟲惑的な魅力でもって哀れな犠牲者を水底へと引きずり込むという伝承は、世界各地に存在する。
・・・夕子と出逢ったばかりの頃、貞一は彼女に対して、今よりもずっと得体の知れない印象を抱いていた。
もし、彼女の本質に触れるのがもっと遅かったなら・・・。
眼前で白く艶めかしい肢体を惜しげもなく晒し、奔放に水と戯れる彼女が、
そうした類の魔性と本質的に異なると断言できただろうか。
ぱしゃんっ・・・。
「そ。
・・・だって、男になった貞一くんと、女になったわたしが、
けものと同じ姿でたった二人、命の源と同じ、水の器の中にいる」
129 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/29(日) 22:42:28.84 ID:+AGLx5IJ
夕子は芝居がかった仕草で貞一に手を差し伸べる。
「今のわたしたちって、まるでアダムとイブみたいじゃない?
このプールは地球。この空間は宇宙。
・・・そこにたった二人だけの、けもののような、雄と雌」
貞一は心の中で苦笑した。夕子の喩えが滑稽だったからではない。
同じものを見ても、自分は彼女のことを恐ろしく魅惑的な魔物のように感じてしまうのに、
当のその魔物は自分たちをのことを、世界でたった二人の男女のようだと感じている。
その妙な温度差がおかしくて、貞一は夕子に対して少し申し訳ない気持ちになってしまった。
「・・・。
・・・夕子さん・・・。今日はなんだか、いつもと少し違いますね」
「ふふふっ、ごめんね?
嬉しくてちょっとヘンなテンションになっちゃってるみたい」
「・・・」
血迷っているのはむしろ自分の方なのではないかと感じながら、貞一は夕子が乱れ髪を正すさまをぼんやりと見つめる。
「・・・ね、貞一くん。ちょっとこっち来て?」
「え?」
ざぷんっ・・・。
ザバッ・・・ザバッ・・・。
夕子が手招きするのに応じて、貞一はプールサイドから降りて彼女のそばに近寄った。
「ゴーグルかけて」
「・・・?
ゴーグルですか?」
「うん。貞一くんにわたしの泳ぎっぷりを見ていて欲しいの」
「夕子さんの泳ぎなら、さっきから見せてもらってますけど・・・」
「違う違う。水中から見て欲しいの。そのためのゴーグルだよ」
「・・・」
貞一はまたしても夕子のよからぬ企みを予感した。問答の間、彼女の顔がニヤけっぱなしだったからだ。
「じゃ、いくよ?ちゃんとついてきてね?」
「はあ・・・」
「・・・はっ!」
ザブンッ!
《・・・・・・・・・。
・・・むぐっ!?》
貞一は水中で夕子の方に向き直って、吸い込んだ息を思わず漏らしそうになった。
そう、夕子の泳法は平泳ぎだったのだ。
いくら部屋が暗いとは言え、この至近距離でこちらに背を向けて平泳ぎすれば、
夕子の肉の花びらもアヌスも貞一の方からは丸見えなのである。
白く、肉厚なふとももの奥にちらつく二つの肉穴を見せ付けられながら、
それでも貞一は必死に水中をもがいて夕子に付いて行く。
―夕子が顔を上げた時に、お互いの距離が離れていたら確実にヘソを曲げるから。
少なくとも貞一自身は自分自身にそう言い聞かせながら、夕子の後を付いて行った。
130 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/29(日) 22:43:10.79 ID:+AGLx5IJ
ざぷんっ!
「・・・ぷはぁっ!」
ざばんっ!
「・・・ぶはっ!はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・。」
「・・・んふふふふっ、どうだったかな貞一くん、わたしの泳ぎっぷりは?」
「・・・ど、どうって・・・」
「んん〜〜〜っ?」
夕子が顔をニヤつかせながら、貞一にずいいっと歩み寄る。
「そ、その・・・。上手・・・でした・・・」
「・・・。
ふ〜ん・・・」
失言だった、と口にしてから貞一は直感した。
こういう時にそんな退屈な返答をすれば、夕子はヘソを曲げるか、悪乗りするかしかないのだ。
「・・・貞一くん。プールから上がって」
「へっ!?」
・・・夕子の突然の要求は、貞一にとってちょっとした絶望をもたらすものだった。
「な、なんで」
「上がって」
「いやあの」
「上がって」
「・・・・・・・・・」
「んんん〜〜〜?な〜〜〜に〜〜〜?なにか上がれない理由でもあるのかな〜〜〜?」
ニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべながら、夕子が貞一の顔を覗き込む。
「なになに?ね?ね?なんか都合悪いことでもあるの?なにか見られたらマズいモノでもあるのかなぁ〜?」
「〜〜〜・・・っ」
都合が悪いどころではない。今プールから上がって下半身を晒せば、雄としての辱めである。
「ね?上がって?やましいことが何もないなら上がれるよね?それとも貞一くんは、今の流れで
何かわたしにやらしー欲望でも抱いちゃったのかなぁ〜?」
「あーもうっ!!分かりましたよっ!!」
ざばあぁっ!!
「おぉおっ!?」
貞一が突如プールから上がったかと思うと、今までの萎縮した姿勢から一転、
開き直ったかのように堂々と大股を開いてプールサイドに腰掛けた。
ぶるるんっ!!
「うひゃあぁっ!?」
ゆさっ・・・。ゆさっ・・・。
その股間からは、猛牛の角のごとくたくましく太い肉の砲塔が、雄々しく反り返って自己主張していた。
血管が浮き出てごつごつとした肉の岩肌は、しかし不思議と弾力があり
思い切りよくプールから上がった反動から、貞一の股間でゆさゆさと揺れている。
131 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/30(月) 00:39:24.05 ID:uCyv5h+2
「うっ・・・うわっ・・・うわ〜〜〜っ・・・」
貞一の予想外の行動に虚を突かれた夕子が、悲鳴とも感嘆とも付かぬ声を上げながらその雄姿を見上げる。
その視線は瞬く間に股間の肉塔に釘付けになってしまった。
「ほ、ほらっ、これで文句ないでしょっ!?」
「・・・・・・・・・」
「だ、だいたい!夕子さんはその・・・局部を堂々と僕に見せ付けてくるのに、
僕だけが恥ずかしがる必要なんかないですし!」
「・・・・・・・・・」
貞一はまるで自分に言い聞かせるようにまくし立てる。
しかし気恥ずかしさは抜けないようで、顔を赤らめバツが悪そうに視線を横に逸らしていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・夕子さん?聞いてます?夕子さん?」
「・・・え?あ!う、うん!そーだねっ!?」
・・・その間、夕子はひたすら貞一の肉砲を凝視していた。
「夕子さん、見すぎ・・・」
「ご、ごめんごめん!ま、まさかこんなに堂々と見せ付けられるとは思わなかったから、つい・・・」
「先に見せ付けてきたのは夕子さんの方でしょっ。・・・もう降りますよ!」
ざぷんっ・・・。
「・・・貞一くんのおちんちん、なんか前よりえげつなくなってない?」
「はっ!?何言ってるんですか!」
「いや〜・・・初めてエッチした時はもっと可愛らしかったと思うんだけどな〜・・・」
「そんなことないですってば。だいたい三ヶ月でそんなに変わるわけないでしょ」
「そう?わたしの方は貞一くんとエッチするようになってから大分変わっちゃったよ」
「なっ・・・」
確かに、初めて夕子を抱いた時に貞一が見た彼女の肉唇は
上品な薄桜色のルージュとつぼみのように慎ましやかなラヴィアに彩られた、
未だ男の愛を知らぬ乙女の『おちょぼ口』であった。
「黒ずんで、ビラビラも大きくなっちゃったし。お尻の穴だってゴムみたいに柔らかくなっちゃったし」
「・・・」
それが今や、熟れきった果実のように爛れた肉の花びらが幾重にも乱れ咲く、下品な大唇である。
鬱蒼と生い茂る縮れた無精髭に覆われ、色濃い赤紫色に染まりきった猥雑な大口は、
まるで酩酊した大酒飲みのようですらあった。
「あっ、なにその呆れ顔。わたしがこんな下品なカラダになっちゃったのは誰のせいだと思ってるの」
「そ・・・そうですけど・・・」
しかしそれに関して、夕子は一切気に病むことはなかった。
自分はただ、貞一に悦んでもらうために尽くしているだけ。何一つとしてやましいことはしていないのだ。
それどころか、愛する人によって自分の身体が淫猥に、下品に作り変えられていくのは
たまらない喜びであり、また誇りだった。ある種の勲章だとすら感じていた。
「ふふふ。いいじゃない別に。わたしたち、立派な男と女になったってことだよ。
・・・アダムとイブだけじゃないわ。みんなそうやって愛を育んで、ずーっと子供に伝えてきたんだよ」
132 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/06/30(月) 00:42:19.70 ID:uCyv5h+2
今日はここまでです。
133 :
名無しさん@ピンキー:2014/06/30(月) 03:51:20.33 ID:04rgP17h
乙
134 :
名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 23:44:54.21 ID:u4uKOynY
おっつん
135 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/04(金) 02:22:55.57 ID:OM9DXUxA
136 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/09(水) 06:00:04.23 ID:IgGz3jLq
「そう・・・ですね。
・・・そうですよね・・・」
何より、夕子の肉体を下品に作り変えた張本人である貞一自身が、
その熟れ爛れた肉にたまらなく劣情を掻き立てられてしまっているのだ。
そんな彼が、夕子の信念に口出しする術など持ち合わせていようはずもなかった。
「わたしね、幽霊でも身体はちゃんと開発されていくんだって分かって、すごく嬉しい。
わたしの身体、時を刻んでいくことはできないけど・・・。
・・・でも、貞一くんに愛された『あかし』は、こうやってしっかりと刻み込まれていってる」
「夕子さん・・・」
不思議なもので、切った毛髪や刺し傷は瞬く間に再生するのに、
貞一によって刻み込まれた『肉のあかし』だけは、しっかりと肉体がその記憶を留めているのである。
夕子自身は、それが己の、ひいては貞一の願望の成せる業だと理解していた。
―もし、貞一に乳房を重点的に嬲り倒され続けたら、
赤黒い乳首と大きな乳輪を持った、下品に型崩れした乳房になってしまうのだろうか?
楽しみだ。愛する貞一に身も心も『崩され』ていくのは。
60年もの間、誰の世界にも存在しえなかった自分が、
まるで捕食され消化されるかのように、一人の少年の世界にどろどろと溶け崩れていく。
―愛し合うという行為は、なんて楽しいんだろう。
ぎゅうぅっ・・・。
「んっ・・・」
愛おしさに衝き動かされて、夕子は力強く貞一を抱き締めた。
豊かな乳房が貞一の胸元でひしゃげ、彼のペニスにそのふとももが優しく押し付けられる。
「・・・ね、貞一くん。ほんとになっちゃおっか?」
「え?」
「アダムと、イブに」
「・・・え、それって・・・」
「うふふ。貞一くんも予想はしてたでしょ?裸で泳ぐって聞いた時点で。
・・・ただじゃ済まないって」
「・・・・・・・・・それは・・・まあ・・・」
どちらにしろ、そそり立った雄の処理をせずに帰るわけにはいかない。
貞一も、股間の疼きが水流に弄ばれる刺激に、限界を感じ始めていた。
「ステキだと思わない?
・・・月明かりの下、二人だけの世界。
生まれたままの姿で、本能の赴くまま・・・アダムとイブになるの」
湿った吐息と共に、夕子の濡れた唇が近付く。
抗う理由はなかった。
「んっ・・・」
「むっ・・・?」
むちゅっ・・・。
唇を伝い、貞一の口内にほのかに塩素の風味が広がる。
自分より長身の夕子からの口付けは、まるで自分の方が少女になってしまったかのようで、
未だに気恥ずかしいものがあった。
137 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/09(水) 06:00:52.44 ID:IgGz3jLq
「んんっ・・・ぷぁっ」
「ぷはっ!・・・ふふっ。
・・・ね、地球上に愛する人とたった二人っきりって、どんな気分なんだろうね・・・」
二人の唇の間にか細く架かった糸の橋を舌で舐め取りながら、夕子が問いかける。
「ケンカしたら、きっとすごく怖いよね・・・」
「・・・・・・」
「自分を見てくれるのも、触れてくれるのもその人だけ。
たった一人の愛する人だけが、この世で掴める全てなのに・・・」
幽霊と人間である。二人が結ばれるまでにも、様々な障害があった。ケンカしたのも一度や二度ではない。
別れを決意したり、ひたすら貞一から逃げ惑った時もあった。
「その人を・・・失ったり・・・嫌われたりしたら・・・わたしは」
「夕子さん・・・」
もしその時、貞一が引き止めてくれていなかったら・・・。
そう考えただけで、夕子は未だに身も凍り付くような恐怖に襲われるのだ。
全ては、貞一の行動が勝ち得たこと。
だから夕子は、貞一に尽くさずにはいられないのだった。
「そう・・・ですね。
・・・でも」
「・・・うん?」
「たった二人だけでも、他の人間がいっぱいいたとしても・・・。
好きな人を失ってしまう怖さは、みんな一緒だと思います。
・・・少なくとも、僕はそうです」
「貞一くん・・・」
そしてその不安と恐怖は、貞一もまた痛感してきたことであった。
誰に見られようが見られまいが、夕子の代わりなど他には存在しないのだ。
「夕子さんだって知ってるはずじゃないですか。僕がどれだけ女々しい人間か。
・・・なのに、自分だけが相手を失うことを怖がっているかのように言うのはズルいです」
「・・・そうだね。ごめんね・・・」
もしあのまま夕子を現世に引き戻さなかったら、自分は一生、彼女の幻影を追い続けて生きていたかも知れない。
そんな後生を想像して、ぞっとしない人間がいるだろうか。
ぎゅうぅっ・・・。
「・・・」
「・・・」
「・・・夕子さん」
「・・・うん?」
「今のはあくまで、アダムとイブの話だったんじゃないんですか?」
顔を上げた貞一が、夕子に微笑みかける。彼にしては珍しい、少し意地悪そうな笑みだった。
「・・・。
あ〜・・・。そーいうイジワルを言っちゃうわけね、貞一くんは・・・」
ぐにっ。
「あふっ!?」
「もーいーよ。そういうイジワル言うアダムには、足腰立たなくなるまで夜のオツトメしてもらうんだから」
138 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/09(水) 06:01:37.20 ID:IgGz3jLq
意地悪げに微笑んでいた貞一の表情が、突然驚愕と羞恥の色に染まる。
まるでバツの悪さを誤魔化すかのように、夕子がいきなり彼のペニスを握り始めたのだ。
「ちょっ、あっ、あっ、そ、そんなとこ握ってひっぱらないでぇっ!」
・・・無理な相談であった。
60年もの間他者との触れ合いがなかった夕子にとって、
初めてできた恋人のペニスの触り心地は全く新鮮であり、魅惑的だった。
ごつごつとして、それでいて弾力がある、奇妙な質感。
雄の猛々しさと、肉欲の危うさを体現したかのような触感。
渇いた雌が急激に濃厚な雄の味を知って、病み付きになるなという方が酷である。
「ふふふ。・・・ね、貞一くん?
たま〜に、プールの中でおしっこしちゃう小さい子とかいるじゃない?」
「・・・。
な、なんでいきなりそんな話を・・・」
嫌な予感。いや、期待通りというべきだろうか。
この期に及んでは、さすがの貞一も良識人ぶる必要などないのだ。
「プールの中でおしっこしちゃうのって、エチケット違反だよね?」
「そりゃ、まあ・・・」
この頃になると、二人の間では特に示し合わせるでもなく、自然といくつかの合図が成立していた。
貞一が起き抜けに手を握ってきたら、嫌な夢を見た合図だから、何も言わずに抱き締めるのがお決まりだったし、
夕子が背を向けて身体をすり付けてきたら、貞一の方から触ってほしいというサインを意味していた。
「じゃあ、プールでおしっこしたくなっちゃったら、普通はどうするのかな?」
「・・・。
そりゃ、プールから上がってトイレに行くんじゃないですか?」
「そうだね。でもめんどくさいよね?いちいちプールから上がるの」
「・・・はあ・・・」
・・・そして、唐突にトイレの話を振るのは
二人――もっぱら切り出すのは夕子からだったが――の『求愛行動』の合図でもあった。
「・・・プールの中に備え付けのおトイレがあったら、便利だと思わない?」
「はあ。
・・・はあっ!?」
ざぷんっ・・・。
夕子は貞一に背を向けると、プールサイドに手を着いて尻を突き出す。
たわわに実った豊かな白桃が、ほの暗い水面越しにたゆたうのが見て取れた。
「ゆ、夕子さん・・・」
「ふふふ。貞一くん贅沢者よ?どんなお金持ちだって、プールに入りながら用を足せる『専用便所』なんて
きっと持ってないわ」
―もう、二人が幾度となく交わしてきた合図。
この豊満な双丘こそは、貞一専用の『性の小便器』であった。
どんな白磁器よりも白く美しい夕子の臀部を小便器に見立て、
その奥に覗く二つの『穴便器』に、劣情の赴くまま熱く濁った白便を撒き散らす。
贅沢と言えば、まさしく夕子の言う通り。美しい恋人が、嬉々として自分の性処理便所を買って出ているのだから。
139 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/09(水) 06:02:36.59 ID:IgGz3jLq
「〜〜〜っ・・・。
そ、そりゃ、まあ・・・。普通は水中にトイレを設置するなんて、物理的に不可能ですからね・・・」
もっと他に突っ込むべきところがあるような気もしたが、
眼前に待ち構える美しき白磁の精液便所を目の当たりにすると、さしもの貞一も突っ込みの歯切れが悪い。
「んふふふふっ。そうだね。だから、貞一くんは慎重に扱ってね?・・・このお・ト・イ・レ」
夕子が肩越しに、意地悪い笑みを貞一に向ける。
「え?」
「だ・か・らぁっ、ハンパなとこでひっかけちゃうとぉ、外に漏れちゃうでしょ?
そうならないように、奥の奥でよ〜ぉく狙いを定めてからブッ放してねって言ってるのぉ」
夕子の瞳は、既に淫蕩の炎が妖しくくすぶっていた。
いやらしくニヤついた目元には、しかして羞恥の色も幾分か見て取れる。
「も〜〜〜・・・。
これじゃイブって言うより、蛇に誘惑されてる気分ですよぉ・・・」
貞一は眼前で期待と羞恥にうち震える夕子の尻たぶに手を伸ばす。
「んんっ・・・」
尻たぶはたっぷりと脂が乗って手触りが良く、水中でも貞一の掌にしっとりと吸い付いてきた。
「もう、ひどいなぁ。それじゃまるでわたしが貞一くんを騙してるみた・・・あぁあんっ」
貞一はやや乱暴に、夕子の両の尻たぶを鷲掴みにした。
脂が乗りきった尻たぶは素晴らしい掴み心地で、このまま無心に掌で弄んでいたい衝動にすら駆られる。
「少なくとも、惑わされてるのは確かですっ・・・。
・・・出逢った時からっ!」
ずぬぬぬぬっ!
「あふうぅっ!」
「んっほぉっ!」
貞一は蠱惑の穴便器に肉頭を押し付けると、そのまま一気に貫いた。
「んぉおぉぉおおぉおぉっ・・・。
・・・めっ、メインオナホにきたぁあっ・・・」
音叉のように揺らいだ嬌声が、室内に響き渡る。
夕子自身が『メインオナホ』と表した肉穴、すなわち陰唇は、
煮えたぎる泥沼のごとき熱狂で貞一の肉の砲撃を歓待した。
「あぅぅっ・・・。こ、声、上ずってますよっ・・・。そんなに嬉しいんですかっ?」
「あんんんんっ、すきっすきぃぃっ、
じっ・・・くりぶち抜かれるのも大好きだけどぉおっ、一気にぶち抜かれるのもだいすきいぃいっ」
ぬぶぶんっ。
「おほぉっ!?」
よく言えたご褒美とばかりに、貞一が夕子の肉道を無造作に小突く。
「お・・・ぉ・・・おぉお・・・っ」
140 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/09(水) 06:03:35.39 ID:IgGz3jLq
夕子の全身が愛の殴打にうち震え、周囲の水面が小さく波打つ。
貞一にとっては軽い所作だったが、夕子にとっては脳が焼け付くほどの衝撃だった。
「・・・ぁへっ、はへぇ・・・。ち、チンポ突き、ありがとうございますうぅ・・・」
「まだまだこれからですよ、夕子さん。
・・・ふんっ!」
ぬぶ、ぬぶ、ぬぶっ、ぬぶっ、ぬぶっ!ぬぶっ!ぬぶぶぶっ!
「おぅっ!?ほぉっ!あっ!ひっ!あひっ!あへっ!あへぇえぇっ」
夕子にとって、待ちに待った『地獄のような天国』が始まった。
「ふんっ!ふんんっ!・・・お、おぉっ、うおぉっ!」
波の流れに身体を取られないよう、貞一は夕子の尻たぶを荒々しく鷲掴み
水の浮力に負けまいとプールの底に足を踏み締める。
「ふんっ!ふんんっ!ちっ、チンポぉっ、チンポおっおっおっ!」
貞一は雄々しく反り返った己の肉角を削岩機のようにえぐり込み、
夕子の肉道をごりごりと無慈悲に削り上げていく。
まさに肉便器であった。
掴み心地抜群の尻たぶは、二人にとって初の試みである水中での『排泄作業』を恐ろしく安定させてくれた。
「あっあっあぅぅっ、ゆっ、夕子さんすごぃいっ・・・!
なっ、なんかっあぁっ、ホントにこういうおトイレみたいですっ・・・!」
バシャッ、バシャッ、バシャッ。
ぬっぼっ。ぬっぼっ。ぬぼぼっ。
ごりっ。ごりりっ。ごりっごりっ!
水の流れに足を取られまいとする微妙な重心移動が、貞一の突き上げを自然と無駄なく力強いものへと変えていく。
まるで浸透打のように、小さな動きで鈍重な衝撃を叩き込んでくる彼の腰使いに
夕子は早くも魂の服従を許してしまった。
「んオォオっ、てっ、てっ、てぇえいちくぅぅんっ、ほっ、ほォっ!
・・・ほ、ほんじつはぁっ、てーいちくん専用のドスケベ便所『庚夕子』をおぉっ、
ご利用いただきましてぇ、まことにありがとーござんォオオ〜〜〜〜〜・・・っ」
もともと、愛らしい貞一が時折見せる強引なリードに、被虐的な悦びを覚えていた夕子である。
貞一に背後を取られ、なす術なく雄を叩き込まれ続けながら、
彼女の雌は至高の敗北感に酔いしれていた。
「どっどっ、どぉでしょぉかぁぁっ、わたしのアワビ型ヌきトイレはぁぁっ」
「ああぅうっ・・・!こっ、このままじゃすぐっ・・・おうっ!」
「あぁんんんんっ、コイてっ!コイてっ!便器にザーメンぶっこいてえぇっ!」
艶やかさの中にも品性を湛える普段の夕子からは想像も付かないような下品な言葉が
次々と彼女の口を突いて出る。
掴み心地のいい尻たぶ。
貞一の雄の牙に無心でむしゃぶりつく肉唇。
下卑下劣な猥語を紡ぎ出す口。
141 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/09(水) 06:04:09.74 ID:IgGz3jLq
夕子の全ては今、ただ貞一の排泄欲を高めるためだけに存在する、まさしく肉欲の便器であった。
「夕子さんっ!夕子さんっ!夕子さんっ!夕子さんっ!夕子さんんっ!!」
ばちゅっ。ばちゅっ。ばちゅっ。ばちゅっ。ばちゅっ。
ごりっ。ごりっ。ごりっ。ごりっ。ごりりっ。
「ほ!ほ!ほ!ほっ!ほォっ!!」
夕子にできることは、ただ脚を開いて腰の高さを維持し、
貞一がスムーズに排泄作業を行えるよう尻を突き出すことだけだった。
「あォオッ、あオォッ、べっ、便所掃除されてるっ、便器使われながらっ、便器をゴシゴシ磨かれてるうぅっ」
夕子は雌として、貞一の雄に敗北していた。
いや、そんなことはとっくに分かりきっていたことだったのだが、この愛しくも憎たらしい少年は
ただでさえ常日頃から『わたしは貞一くんには絶対に勝てない』という呪縛に酔いしれている夕子に、
行為のたびに更なる敗北を強要してくるのだ。
「そ、そんなに・・・おっぅ!・・・ご、ゴシゴシされるの好きですかっ?」
「んオォっ、おっおっ、すきっすきっ、チンポで便器磨かれるのすきっ、便器でチンポ磨くのだいすきぃっ」
始末に負えないのは、少年自身にはその自覚がないということ。
そして夕子自身が一種の敗北中毒のようになってしまっいること。
まだかなまだかな((o(^∇^)o))
143 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/16(水) 04:15:48.94 ID:P5QN9CLx
>>142 ごめんなさい、絵描き終わったんでぼちぼち再開してますw
いつも読んで頂いてありがとうございます。
144 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/16(水) 07:17:27.46 ID:P5QN9CLx
年上ぶって貞一をからかうのが好きな夕子だが、いやだからこそと言うべきか、
貞一をもてあそぶ悦び以上に、貞一に力ずくで屈服させられたいという強烈な願望があった。
襲われたい。組み敷かれたい。嬲り倒されたい。このあどけない少年に。
全力で抵抗しても敵わず、さんざんに打ちのめされて、狂ったように汚されたい。
夕子にとって、今までの境遇を考えれば途方もない贅沢であった。
ぐぽっ。ぐぽっ。ぐぽっ。ぐぽっ。ぐぽっ。
ぱしゃっ。ぱしゃんっ。ぱしゃっぱしゃっ。ぱしゃんっ。
「んォっ!んオオっ!おっおっ!んおぉおおっ!」
夕子の膣壁がまるで吸盤のように吸い付き、貞一が腰を引くたびその肉棒に名残惜しそうにむしゃぶりつく。
吐き出すまでは、排泄するまでは決して逃さない、とばかりに。
竿。亀頭。鈴口。カリ高。裏筋。
夕子の肉泥は、貞一のペニスの岩肌に余すとこなく狂乱のキスを降らせ、今や遅しと下劣な砲火を促す。
「あぁぁあっ・・・。ゆうこさぁんっ・・・ぼくっ・・・もうっ・・・もうっ!」
そして今、夕子にとって待ちに待った至福の時が目前まで迫っていた。
「あ゛―――っ、コイてぇっ、そのまま便器にどびゅぅうぅっってぶっコイてぇえっ」
―早く、早く汚して。この洞穴にいる何万何億という『夕子』が、あなたからの汚らしい陵辱を待ち焦がれている。
尿のようにひり出された何億という『貞一』に、無残に輪姦されるのを心待ちにしている。
「いきますっ・・・!夕子さんの中・・・おぅぅうっ!・・・べっ、便所にしますっ!」
「あっあっあっ、べ、便所にされちゃうっ、わたしの中、貞一くんに便所にされちゃ・・・」
「・・・・・・あぅぅうっ!!」
・・・ぶびびびっ!!
「んほッ!?」
「あっ・・・・・・
・・・うぅう゛〜〜〜〜〜〜・・・!」
びゅぶぶぶっ!ぶっ!ぶびっ!ぶびゅびゅびゅっ!
・・・夕子の中で、愛の陵辱が始まった。
猛々しい砲身から勢いよく撃ち出された白便が、汚らしい音を立てながら肉道内に飛び散っていく。
ぶびゅるるるるる〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・!
「んオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・っ!」
「ごっ、ごめっ・・・あおぉっ!・・・きょっ、きょうはっあっ、は、『激しい日』みたいで・・・ううっ!!」
ぶびびびっ。
貞一の白い汚濁が粘っこい飛沫となって、夕子の神聖な胎を無慈悲に汚していく。
夕子と身体を重ねる内に気づいたことだが、貞一の射精には極端に勢いが激しい時があり、
極度に興奮している時ほどその傾向が強かった。
そして、そうした時の射精は非常に下品な噴出音を伴うため、
本当に汚物を排泄しているかのような、奇妙な背徳感を覚えてしまうのである。
ぶっ!ぶびゅっ!ぶびびっ!ぶびっ!ぶびゅぶぶっ!
145 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/16(水) 07:18:17.95 ID:P5QN9CLx
「あんんんっ、ぶ、ぶびびって噴き出してるっ、ぶびびって・・・・・・ほ!」
無論、夕子がその下卑た奔流を感謝にも似た歓待でもって受け止めていたのは言うまでもない。
「ふっんっ!」
ぶびぃっ!
「ふんん゛ん゛っ!!」
「あっふ・・・う゛ぅう゛〜〜〜・・・っ」
ぐりっ。ぐりりっ。ぐりぐりっ。
「んオっ、オっオっ、んォォオ〜〜〜・・・っ」
びゅ。びゅ。ぶ。ぶび。ぶびび。
貞一は、とどめとばかりに肉棒をぐりぐりと膣奥に押し付けると、
尿道内に残っていた残滓まで、容赦なく最愛の『便所』に吐き捨てた。
「んぉおっ。・・・へ、へへへぇえ・・・。
きょ、今日はすっ、すっごくゲヒンにおトイレされちゃったぁぁ・・・。
・・・はふぅぅ・・・」
夕子は尻たぶをぷるぷると痙攣させながら、満足げに溜め息をつく。
己の肉泥に貞一の白泥をねちっこく塗り込まれて、彼女は今、至高の被征服感に酔い痴れていた。
「ふぅぅうっ・・・。
・・・ご、ごめんなさい夕子さん。何度も便所呼ばわりしちゃって・・・」
ふと我に返った貞一が、バツが悪そうに詫びを入れる。
しかし、愛する人を卑猥な便所に見立て、欲望の捌け口にしたことによる屈折した充実感は、
その緩みきった表情からはとても隠しおおせるものではなかった。
それを証明するかのように、彼の口端からはわずかによだれが漏れている。
「んんっ?・・・んへへぇぇ・・・。
便所を便所って呼んで何が悪いのぉ・・・?」
貞一以上に惚けきった間抜け面を晒しながら、夕子が嬉しそうに答えた。
こちらはまるで隠す気がない。愛する人の精液便所にされたことによる、屈折した幸福感を。
もし、この悦びに巡り逢うために孤独な60年を強要されたのなら、全くもって安いものだったと、夕子はしみじみ思う。
みながみな、人生の内で必ずしも大いなる愛の悦びに巡り会えるわけではないだろう。
むしろ、貞一という無二の人に出逢うための僥倖だとしたなら、その孤独な60年すらも愛おしく思えた。
「これからも、わたしのことずっと、ずーっと・・・いっぱい『使って』・・・ね」
それはつまり、ずっと添い遂げたいという夕子なりの愛の言葉だった。
「・・・はい・・・」
ぬっ・・・。
「ふっん゛ん゛っ!?」
だが、口先だけでも性欲処理の道具扱いしたことによる後ろめたさに
何となく間が持たなくなった貞一は、思わずペニスを引き抜き始める。
146 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/16(水) 07:21:46.72 ID:P5QN9CLx
「ふんんっ!・・・あっ、ちょっとぉぉっ、だめっ、ぬいちゃだめんんっ!
・・・ぜっ、ぜーったいぬいちゃだめぇっ!」
しかし、腑抜けきった表情で弛緩していた夕子が一転、急に焦り始めた。
「えっ、な、なんですか?」
「なんでって!貞一くん分かってるの?今おちんちん抜いたら・・・んっ、プールに漏れちゃうでしょっ?」
「え?・・・あ!そ、そっか。そうでしたね・・・」
既に様々な体液が漏れ出していたとは言え、あれだけ大量に撃ち出した精液がプールに流出してしまうのは
貞一もさすがに抵抗があった。
「ん、もうっ・・・。ダメじゃない貞一くん。
人がせっかく水中用のザーメン処理場になってあげたのにぃ。
漏らしちゃったら意味ないでしょっ?」
少し切なげな表情で振り返った夕子が、貞一の唇を悪戯っぽく指でなぞる。
「ご、ごめんなさ」
「そうだよぉ。貞一くんの精液は全部わたしのものなんだからぁ。
明日部活に来た女子が、貞一くんの精液が溢れ出たこのプールで泳ぐかも知れないって思ったら・・・。
わたし、嫉妬のあまり貞一くんをラチカンキンしてレイプしまくっちゃうよ?」
「・・・・・・・・・。
そっちですか・・・」
147 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/16(水) 07:22:33.53 ID:P5QN9CLx
今日はここまでです。
148 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/18(金) 05:06:45.93 ID:PHRKGS1I
続きでーす。
149 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/18(金) 05:07:51.43 ID:PHRKGS1I
続きでーす。・・・二人とも精液の漏出という共通の事態を危惧してはいたが、その危惧の理由には大きな乖離があった。
つまりは、、貞一は自身の精液によるプールの汚染を、
夕子は愛する人の情精を例え間接的にでも他の女性に接触させたくないという、独占欲からくるものである。
「・・・じゃあ、どうします?このままじゃ動けないですよ?」
「ふふっ。・・・んんっ!貞一くんがわたしをあそこまで運んでくれれば・・・んっ、いいんじゃない?」
夕子がふいっと目を向けた先には、プール昇降用のステンレス製タラップがあった。
「あ、あそこまでこの姿勢でですか・・・?」
「他に手がないでしょう?・・・ふふっ♪」
夕子が悪戯っぽく微笑んだ。
二人が今いる場所―つまり情事に耽っていた場所は、全10コース中、第5コースの飛び込み台の真下。
つまり、タラップから最も遠いコースである。
同じプールサイドでもコース脇とは違い、ここでは強引に上へ押し上げるわけにはいかない。
「・・・」
「んん〜?どうしたの貞一くん?そんな狐につままれたような顔して」
―エッチを始める直前、僕は夕子さんに促されてプールから上がり、コース脇に腰掛けたはず。
つまりついさっきまではコース脇にいたはずなのに、
いつの間にコースの中央にまで移動してしまったんだろう・・・。
「・・・なんでもないです・・・」
さまざまな疑念が貞一の脳内に浮かんだが、とにかく今は早めに移動しなくては。
二人の結合部は体液と夕子の膣圧によって、お互いの肉肌が吸盤のようにぴったりと吸い付き合い
僅かな隙間もなく密閉されていたが、何にせよこうしてる間にも体液がプールに染み出ていることには変わりない。
くいっ。
「ほんッ!?」
「じゃ、じゃあ、いきますよ。あんまり早く進むと抜けちゃいますから、こっちに合わせてくださいねっ・・・!」
貞一は、未だプールサイドに手を着いたままの姿勢で惚けている夕子の膣壁左側を萎れかけのペニスで小突き、
タラップ側に向き直るよう無言のノックで促した。
くんっ。くんっ。
「おっ!?おンッ!
・・・わ、わかったからぁっ、くいっくいってついちゃらめぇっ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ちゃぷ・・・。ちゃぷ・・・。
ぬぢっ・・・。ぬぢっ・・・。
「んんっ・・・。んんんんっ・・・」
「あ、あの、夕子さん?・・・んっ!」
ぬちっ!
「んあっ!?そっ、そこっそこそこぉっ!こんこんってついちゃいやあぁっ!」
肉道に催促の『棒突き』を受けて、夕子が歓喜の悲鳴を上げる。
貞一のペニスからは既に硬さが失われていたが、
それでも散々に蹂躙しつくされて白便の海と化した彼女の胎内に追い討ちをかけるには、充分すぎる暴力だった。
150 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/18(金) 05:09:24.10 ID:PHRKGS1I
「ちょっと進むの速くないですか?このままじゃ・・・その・・・」
腰の動きを極力水平に保ちながら、貞一が少し言いづらそうに続ける
ちゃぷ・・・。ちゃぷ・・・。
ぬちっ。ぬちっぬちっ。
「・・・ぬ、抜けちゃいそう・・・なんですけど・・・」
「あ゛〜〜〜〜〜っ、ふにゃってるおちんちんにこんこんされるのもすてきぃ゛〜〜〜〜〜っ」
萎れた肉棒に追い立てられ、尻をへこへこと振り立てながら、夕子が下品な嬌声を上げ続ける。
「夕子さん・・・。お願いだから話を聞いて下さ・・・うぅっ」
二人は全く噛み合わない。無理もなかった。
暴虐を振るっている自覚が全くない暴君と、
その虐待を至福としか感じることのできない奴隷とでは、噛み合うわけもなかった。
ぬぢっ。ぬぢぢっ。
「あォんっ、ぉんォおんっ、ぬっ、ぬけっひょーならぁっ、わらひっにぃいっ、い、いい考えがあるよぉっ」
腑抜けた状態のペニスに虐め倒されるという、屈折した悦びに目覚めかけている夕子が、
呂律の回らない口調で貞一に答える。
「いい考えって・・・」
夕子が閃く『いい考え』とか『いいこと』は、たいていロクなことにならない。
学習してはいるつもりだったが、なんだかんだで毎回夕子のペースに流されてしまうのも事実だった。
「ん、ふふ・・・。要するにぃ、またカタくさせれば抜けづらくなるんでしょぉっ?」
「えっ・・・?」
夕子が肩越しにニヤリと笑う。待ってましたとばかりに舌を舐めずりながら。
「な、なにを」
「・・・本日はぁ、うふふふ・・・。
貞一くん専用のコキ穴でザーメンたんっまりコイて頂きましてぇ、誠にありがとうございますっ♪」
「ッ!?」
「わたしのおまんこ便器はぁ、んんっ・・・。
貞一くんのションベン溜めくらいにしか使い道のないほじくり穴ですけどぉ、
それでも良ければ、どうかこれからもチンポ磨き穴としてご利用くださいませ♪」
「ゆ、ゆうこさんっ・・・。ちょ、ちょっ・・・」
「ただいまこちらのオナニー用ティッシュ『庚夕子』は、貞一くん限定で大安売りとなっております。
もよおした時や、オナニーしたいのにザーメンを吐き捨てる場所がない時などはぁ、
どうかこちらのティッシュに、どびゅ―――って、どびゅびゅ――――――って、
お気軽にコイちゃってくださいませぇっ♪」
夕子の口から、思わず耳を疑いたくなるほど下品な猥語が次々と溢れ出てくる。
猥語責めは貞一を発奮させる際の夕子の切り札であったが、今日はいつにも増して語彙のチョイスが粘着質であった。
「〜〜〜っ。ゆ、ゆうこさんっ、待って、ちょっと待って!」
「新七不思議『トイレの夕子さん』は、いつでもどこでも使える便利な携帯型精液便所ですが、
一日一回はザーメンをひっかけていただかないとぉ、
ご主人様をレイプしてでも便器としての役目を果たそうとする欠陥品ですのでぇ、
使用上の用法をよく守ってザーメンブッ放してくださんおぉっ!?」
151 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/18(金) 07:31:41.22 ID:PHRKGS1I
ぐぐんっ!
すっかり猥語責めに没頭してた夕子の股間で、突如異変が起きた。
先ほどまで柔らかかった異物が急に硬度を増したのだ。
ぐぐっ。ぐいっ。ぐいぐいっ。
「んぁああぁあぁっ、きたきたきたきたぁぁっ」
「〜〜〜・・・っ。・・・も〜〜〜っ!」
「あっ、あっあっ、た、タってるっ、わたしの中で勃ってるっ。
わたしのおまんこ押し上げながらぐいっぐいボッキしてるぅうっ」
異物―すなわち貞一のペニスは、夕子の中でムクムクと首をもたげたかと思うと
彼女の肉壁をぐりぐりとえぐり上げながら、雄々しく反り返っていく。
「立て続けにあんなやらしい事言われたら当然でしょっ!
って言うかもう、手摺梯子まで着いちゃったし!本末転倒じゃないですかっ!」
いつの間にやら二人はコース脇まで着いてしまっており、もう目の前にはタラップがあった。
ここに着くまでにペニスが抜けないようにするための措置だったのに、貞一の言うとおりこれでは本末転倒である。
「いいじゃない・・・ふんんっ!こ、コーフンしたでしょっ?
・・・あっ、つっ、釣り上げられるっ、おちんちんで釣り上げられるぅっ!」
「そ、そりゃ、ゆ、夕子さんの上品な口であんな下品なこと言われたらっ・・・」
世にも嬉しそうな声色で男性器がエレクトしていくさまを実況中継する夕子を尻目に、
貞一は困惑の声を上げる。
「んっ!んっんっ!・・・んふふふっ、わざわざコース中央まで誘導した甲斐があっ・・・あんんんっ」
「っ!やっぱりわざと誘導したんですかっ!?」
・・・薄々感付いてはいたものの、やはりあの不自然な位置移動は夕子の仕業であった。
「らってぇ・・・ふんんんっ!そのまま上がったんじゃつまんないんだも・・・んんんっ!」
「・・・も〜〜〜・・・っ。なんでそんなにいちいちやらしいんですかぁ〜・・・っ」
「あっ、えっ、えぐってるぅうっ、おちんちんのあたまがえぐりこんでくる゛う゛ぅ〜〜〜っ」
152 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/18(金) 07:33:37.89 ID:PHRKGS1I
今日はここまでです。
あと
>>149の頭はミスなんで気にしないでください。
153 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 06:00:20.19 ID:q7pamx2H
夕子は中腰の姿勢で股間の肉唇に貞一の肉棒をくわえ込んだまま、早速へこへこと尻を振り立て始める。
「おぉっ!?・・・ゆ、夕子さんっ・・・上がるんじゃなかったんですかっ?・・・んんっ!」
「らってぇ、こっ、こしっおっおっおっ!
・・・こひぃっ、かってにへこへこしちゃうんらもんんんっ」
夕子はタラップの手摺に両手をかけたまま大きく脚を開いてその前に陣取り、
結局プールの中で第二ラウンドを開始してしまった。
ぐぽっ。ぐぼっ。ぐぽぽっ。
「おぉうっ!うっうぉっ!?」
貞一の眼前で、肉の白桃が浅ましく揺すり立てられているのが水面越しに見えた。
「あっあッオっ、すごいすごいすごいィっ、チンポでぐりんぐりんこねっくりまわされてるぅぅっ!」
「こっ、こね回されてるのは僕の方じゃ・・・おぅぅうっ!」
手摺に掴まっているため先ほどよりも重心が安定し、より強く踏ん張ることができるせいか
夕子の腰使いは第一ラウンドとは比べ物にならないほど激しく、卑しく、下品だった。
「んぁあっ!しあわせっ、しあわせぇえっ!
かっ、かみさまぁぁあっ!てーいちくんとであわせてくれてありあとぉございますぅぅっ!」
「もっ・・・こ、こんな時だけそんなぁっ・・・うくぅっ!」
普段は―幽霊なのに全く奇妙な話だが―オカルトの類に否定的なリアリストを気取っているくせに、
よりによってこんな時に神仏への感謝の言葉を口にする夕子に、貞一は呆れると同時に妙な愛らしさを感じてしまった。
「・・・も〜〜〜・・・っ!」
―ずんっ!!
「んォオッ!?」
と、我を忘れて尻を振り立てていた夕子の身体の芯に、突然甘い衝撃が走る。
貞一が深く腰を落としたかと思うと、おもむろに彼女の尻を下から思い切り突き上げたのだ。
「おっ・・・ぉっ・・・んォおっ・・・」
「・・・ゆ〜う〜こ〜さ〜ん〜・・・」
重く、鈍い肉の砲撃による不意打ちに、全身をビクビクと悦びにうち震わせる夕子を尻目に、
貞一はそのまま夕子の身体を前に押し出し、自身もタラップの手摺に手をかける。
「夕子さんはやっぱり蛇ですっ!!そうやって僕をもてあそんでっ!」
「ちょ・・・ぉ・・・おっ、べ、別にわたし、もてあそんでなんか・・・おッ!?」
「・・・うぅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・っ!!」
ぐいぃっ!
・・・ざばぁぁっ!
「んオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
夕子は突如、間延びした奇妙な嬌声を上げた。無理もない。
まるで人間椅子のように彼女の背後下に身体にもぐり込ませた貞一が、タラップに足のつま先をかけると
ふとももで夕子の尻をかつぎ上げ、そのまま一気に彼女の身体を真上に押し上げたのだ。
むろん、肉棒で夕子の肉唇をえぐり上げながら。
154 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 06:02:26.52 ID:q7pamx2H
「お゛っ・・・お゛っ・・・。
・・・お゛〜〜〜〜〜・・・ッ」
「夕子さんはっ・・・うぅっ!イヴじゃないですっ!」
「へぇぇっ!?
・・・んおぉっおっ!おっ!」
「イヴがっ・・・イヴがっ・・・」
貞一はタラップにかけた足に力を入れ、なおも夕子の身体を強引に押し上げる。
絡み合う二人の全身が水中から完全に姿を現し、淫猥な肉塊が水辺より打ち上がった。
「イヴがもし、こんなに魅力的だったらっ・・・くっぅ!アダムはイヴに溺れて、堕落しちゃってましたよっ!」
「てっ、ていいちっくっおっおっおっ!」
貞一はそのままプールサイドのヘリに上がって膝を着き、びくびくと痙攣している夕子の身体を抱き支える。
長時間水中にいたため、地上の重力とのギャップに軽いめまいを覚えたが
肉欲に痺れて前後不覚に陥ってる夕子を、プールサイドの硬い床にそのまま倒れこませるわけにはいかなかった。
ずぱんっ!ずぱんっずぱんっ!!
ぶぢゅっ!ぢゅっ!ぶぢゅぢゅっ!
「そりゃ、子孫は栄えるかも知れないけど!
イヤでしょ!?奥さんに溺れてエッチのことしか考えてない最初の人類とか!」
「あォっ!おっォッ!わ、わたひはうれひ・・・ひッ!
・・・あぁぁああっ、ぶ、ぶちゅぶちゅいってる!さっき出されたザーメンがっぁあ、
チンポでこねまわされてっぇえ、ぶっちゅんぶっちゅんいってるっぅおっおッ!」
貞一は夕子の両腕を掴んで矢のように引き絞ると、そのまま後背位の体勢に移り
未だ蹂躙の歓喜に震える彼女の尻たぶを、乱暴な腰使いでひっぱたき始める。
ブチュブチュと下卑た音をかすかに漏らしながら、夕子の中で肉と便と泥の攪拌が始まった。
「あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、どっ、どうかんん゛っがえても゛っぉおっ、
もてあそばれてるのはわたしっぃいっのほう・・・
あっ、あっあっ、あっあっあっ、い、いくっ、またっいくっ・・・
・・・・・・・・・・・・んォオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・っ!」
―その後。
貞一はひたすら夕子を犯し続けた。しゃくり上げては吐精し、吐精してはまたしゃくり上げ続けた。
まるで何かに取り憑かれたように。
・・・そう、取り憑かれているのだ。この少年はまさしく蟲惑の悪霊に魅入られてしまっていた。
しかし真に悲劇で喜劇だったのは、その悪霊にしてみれば、この少年の方こそがよっぽど魔性であるという点であった。
だから―この悪霊は、少年が自分の中を『便所』にし続けている間、何度も何度も、
何度も何度も何度も無理矢理絶頂に押し上げられ、最後には溺れて意識を失ってしまった。
そして、悪霊が再び目を覚ました時、空は既に夜の帳を脱ぎ捨て始めていた。
155 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 06:03:04.73 ID:q7pamx2H
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「イヴじゃないって言われた・・・。てーいちくんに、イヴじゃないって言われた・・・」
おぼつかない足取りでよたよたとホール出口に向かいながら、
夕子はむすっとした面持ちでしきりに同じフレーズを繰り返していた。
「だからごめんなさいってば。・・・でも、そういう意味じゃないってさっきから言ってるじゃないですか」
夕子ほどではないが、同じく足をふらつかせながら歩く貞一が困惑した様子で後に続く。
「イヴじゃなくて、蛇だって言われた・・・」
「・・・も〜、そんなにいじけないで下さいよ・・・。それだけ僕にとって夕子さんは、その・・・
なんて言うか・・・み、魅惑的・・・な人って意味で言ったんですから・・・。他意はないんですってば」
『夕子はイヴではない』という表現は、貞一なりの彼女に対する賛辞であった。
貞一にとって夕子は、イヴと見なすには魅惑的すぎるのだ。
「イヴだって、すごく魅力的な女性だったかも知れないじゃない。てーいちくんにイヴの何が分かるのよ」
「いや、そうですけど・・・。
ただですね、僕が神様だったら、イヴを夕子さんみたいには創りませんよ」
「えっ?な、なんで」
「・・・絶対アダムが腑抜けになっちゃいますから」
「・・・」
だから、例え夕子本人に悪意がなくとも、気を抜けば溺れそうになる。
少なくともアダムは、イヴにそういった危うい魔性は感じていなかったはず・・・と貞一は考えていた。
もし、夕子が額面通りの悪霊で、貞一に対して少しでも悪意があったなら、
貞一はたやすく心を食い散らかされて破滅していただろう。実際、そういう誤解から危うい状態に陥ったこともある。
「・・・貞一くんねえ、さっきから一方的にわたしのことを誘惑的みたいに言ってるけど、
わたしに言わせると、貞一くんの方こそよっぽど蛇だよ?」
「はあっ!?な、なんでですか!」
「なんでって・・・。毎度わたしを『蛇』で誘惑してくるじゃない」
もちろん、それは夕子にとっても同じことが言えた。
孤独だった頃は人の営みや月日の流れなど、どこか遠い世界の出来事のように傍観していたのに。
それが貞一と出遭ってからというもの、一日千秋の思いで彼の来訪を待つようになってしまった。
自分の在り方を、根底から作り変えられてしまったと言っても過言ではない。
そんな少年の存在を危うく感じないわけがなかった。
「・・・。
じゃあ、僕も言わせてもらいますけど。
夕子さんこそ、カラダそのものが禁断の果実じゃないですか」
「え゛」
シャワー室のドアノブに手を伸ばしたところで、夕子が思わず振り向く。
「・・・リンゴじゃなくて、桃ですけど・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・二人の間に一瞬、沈黙が流れた。
夕子はぽかんと大口を開け、目を丸くして貞一を見つめる。
156 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 06:35:07.07 ID:q7pamx2H
ドアノブに手をかけたままの状態で、完全に硬直していた。
一方貞一は顔を少し伏せったかと思うと、その頬を見る見る間に紅く染めていく。
流れた沈黙は一瞬だった。・・・が、その一瞬すら耐えられないとばかりに、彼は肩をぷるぷると震わせ始めた。
「・・・・・・ぷっ」
「・・・・・・いや、ごめんなさい、やっぱり今のは聞かなかったことに・・・」
「・・・くくっ、くくくっ・・・
・・・あはははははははっ!」
「ちょっ・・・ナシ!やっぱり今のナシですってば!」
羞恥の赤に染め上がった表情で激しく狼狽しながら、貞一があわてて取り繕う。
しかし決壊した堤防のようにケタケタ笑いだした夕子の前では、全てが手遅れであった。
「あははははは!だぁーめっ!ぜぇーったい忘れてあげないっ!」
「ゆ・・・夕子さん〜・・・」
「ぷぷっ、くくくっ・・・。
貞一くんもそんなこと言うんだね。ちょっと・・・くくっ、意外だわ」
「〜〜〜・・・っ」
爆笑のあまり滲み出た涙を人差し指で拭いながら、夕子は必死に笑いをこらえる。
貞一は、つい勢いで間抜けな比喩を口に出してしまったことを、心底後悔した。
「桃、桃かぁ。・・・ふふっ。
まあ、蛇って言われるのは不本意だけど、貞一くんに誘惑の実扱いされるのは悪い気分じゃないかな」
「扱いどころか、そのものですよ。何度心をかき乱されたか・・・」
入った個室の棚にゴーグルとバスタオルを置きながら、貞一は思わずため息をつく。
彼なりにしみじみと実感がこめられた一言だった。
「うふふっ。
・・・ねえ、貞一くん。アダムとイヴのお話には、ちょっとした異説があるの知ってる?」
当然のように同室に入ってきた夕子が、先ほどまでよりは真面目な面持ちで貞一に話を振る。
「異説・・・?」
「うん。アダムにはね、先妻がいたって説があるの」
「え?そうなんですか?」
当然のことながら、貞一にとってアダムとイヴと言えば聖書の登場人物である。
そうした書物の登場人物に異説があるというのは、読書好きの彼にとっては少なからず興味を引かれるものであった。
「後付けらしいんだけどね。
・・・リリスって名前でね、でもアダムに愛想を尽かしちゃって」
「・・・何で愛想を尽かしちゃったんですか?」
「それがねえ・・・。エッチする時、正常位か騎乗位かで大ゲンカになっちゃったんだって」
「・・・え、ええ〜〜〜?」
意外だった。聖書を教典とする宗教において偉大な始祖とされる人間に
異説とは言え、そんなスキャンダラスなエピソードがあるとは。
・・・一体誰が考えたんだろう。後付け、風説の類だったとしても、
有名になった以上はそれなりに影響力があったわけで。怒られなかったんだろうか・・・。
「だから、イヴを騙して知恵の実も食べさせた蛇も、仕返しにこのリリスが化けたものって話があるの」
「・・・もしかして、蛇って言われてイヤだったのはそのせいですか?」
「・・・。
蛇呼ばわりされて嫌がらない女の子はあんまりいないんじゃないかな?」
「え?・・・あ、そ、そうですよね・・・。ごめんなさい」
157 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 06:40:11.09 ID:q7pamx2H
今日はここまでです。
158 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 14:56:30.94 ID:q7pamx2H
・・・と、思ったんですが、すみません、書き上げちゃったんで最後まで投下します。
159 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 14:57:06.47 ID:q7pamx2H
当然と言えば当然すぎる夕子の突っ込みに、貞一はふと我に返る。
まったくもって、彼女の言う通りだった。口にしてから、我ながらバカな質問をしたと、貞一は心底後悔した。
「・・・でも、まあ、わたしは貞一くんとエッチできればそれだけで幸せだから、
まったく全然当てはまらないんだけど。
・・・でも、悲しいじゃない。どんな理由であれ、ケンカ別れなんて」
「・・・」
夕子の表情に一瞬差した翳りを、貞一は見逃さなかった。
夫婦や恋人だけではない。親友。親子。兄弟。・・・そして、姉妹。
どんな間柄でも、仲が良かった者同士が分かり合えないまま別離してしまうのは、とても悲しいことだ。
当たり前のことではあったが、夕子が口にすると重みが違った。
「そう・・・ですね。
すみませんでした・・・」
「え?ああ、ごめんごめん。そんな深刻そうに謝らないで?わたしもそんなに深く考えて言ったわけじゃないから」
「・・・はい・・・」
そして、そんな彼女の重み痛みを計れる人間もまた、この世でただ一人、この少年だけなのである。
「・・・ま、まあ、とりあえず、シャワーを浴びて早く体育館から・・・って言うか、学園から出ましょう。
もう四時を回ってますから、あまりゆっくりもしていられませんし」
「ん〜・・・。やっぱり浴びなきゃダメ?」
「・・・は?」
シャワーのひねりに手をかけながら、貞一は思わず夕子の方を振り返った。
言うまでもなく、プールから上がる際にシャワーを浴びるのは当然である。
なのに、まさかそんなことで渋られるとは思っていなかったからだ。
「何言ってるんですか。シャワー浴びておかないと塩素でベタベタしますし、夏とは言え身体の芯が冷えちゃいますよ」
「うん、まあ・・・。そりゃ、塩素の臭いやベタベタは洗い流したいんだけどね・・・。
でも、貞一くんが付けてくれた匂いやベタベタは洗い流したくないかな〜・・・なんて・・・」
「え゛っ」
「せっかく、こんなにいっぱいマーキングしてくれたのに・・・」
夕子は恍惚とした面持ちで股間に指を這わせる。よく見ると、縮れた茂みの奥からねっとりとした白泥が漏れており、
彼女の肉厚の太腿に幾筋もの白線を描いていた。
「・・・」
「全部、持ち帰りたいんだけど・・・。ダメ?」
「・・・・・・」
「ほら、わたしは他の人には見えないから、匂ってもそんなに気にしないし・・・
・・・って言うか、貞一くんにマーキングされた匂いで気づかれたら、むしろ嬉しいって言うか・・・
・・・興奮するって言うか・・・」
「・・・・・・・・・」
・・・そう言えば、夕子はこのシャワールームに来るまでの間、しきりに股間をバスタオルで覆っていた。
最初に同じことをしていた自分から無理矢理バスタオルを引き剥がしたくせに、
今さらなぜ隠したがるんだろうかと、貞一は訝しがっていたのだが。
考えてみれば、当然である。と言うか、夕子がそうせざるを得なくなった元凶は、他ならぬ貞一であった。
「ここまでなるべく漏らさないように、頑張ってたんだけど・・・。
でも、どうしても洗い流さなきゃダメだって言うなら・・・お願いがあるの」
「は、はい?はい?」
あれだけ夕子の胎内を蹂躙したにも関わらず、またしても貞一の股間にかすかな疼きが走る。
夕子が今から切り出そうとしている『お願い』とやらが、何となく予測できてしまったからだった。
160 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :2014/07/21(月) 14:58:17.32 ID:q7pamx2H
「・・・貞一くんに、掻き出してもらいたいな」
「・・・は・・・」
貞一の身体が、びくりと硬直する。股間の疼きが、一気に大きくなった。
「ダメなら、せめてわたしが自分で掻き出すとこ、貞一くんに見ててほしい」
夕子は頬を染め、恥ずかしそうに身をよじらせた。
「・・・・・・・・・・・・」
・・・夕子が今、羞恥に身を焦がしているのは、紛れもなく事実である。
例えそれが、夕子自身の突拍子もない提案から来るものだったとしても。
彼女の想像が及ぶ範囲で、貞一に対して最も過激な行為を要求するのは、彼女にとっては至極当然の求愛であった。
例え口に出してから、自分で恥じらいに身悶えするような内容であっても。
その羞恥すら、夕子にとっては貞一との尊い交歓なのだ。
呆然と硬直する貞一の目の前で、夕子がおもむろに屈み込む。
爪先立ちで脚を大きく開き、蹲踞の姿勢を取った。
「・・・ね。乱暴にしていいから。好きなだけ掻き回して?」
両端に開かれた脚の付け根、縮れ草が鬱蒼と萌える茂みから、ごぽりと白泥が吐き出される。
幾重にも狂い咲く爛れた肉の花びらの中央、赤紫色の肉唇の奥から
まるで堰を切ったかのように、後から後から汚らしい白濁の樹液が垂れ流され始めた。
「ゆ・・・う、こ・・・さんんっ・・・」
冗談ではなかった。時は既に明け方の4時半近く。のんびりと不法滞在を継続していていい時間帯ではない。
・・・なのに、今、この肉花を弄り回し始めたりなんかしたら
とてもではないが、掻き出す『だけ』で済ませられる自信は貞一にはなかった。
いや、ヘタをすれば、掻き出すどころか逆に増量してしまうかも知れない。
「ね、てーいちくぅん、はやくきめてよぉっ」
「・・・う・・・うぅ〜・・・」
―やはり、夕子は蛇だ。少年は痛感した。
・・・いや、本当は禁断の果実の樹がただあるだけで、蛇なんて最初からいなかったのかも知れない。
なぜなら、誘惑する者などいなくとも、この果実はただあるだけでむしゃぶりつかずにはいられないのだから。
その果実を見て、触れて、そして口にできるのが自分のみだという事実がいかに贅沢なことであるかは理解しつつも、
果実の誘惑に屈して人類のオスに原罪の因子を遺したアダムを、少年はただ呪わずにはいられないのであった。
161 :
いつもの人 ◆2XMU15nbVw :
おしまいです。