293 :
未来と。 2:2014/03/11(火) 12:00:19.80 ID:inSrVjyX
「私のりんちゃんになにしてんのよ!」
「タンマタンマ!別に悪さしてないから!」
「……そうなの?りんちゃん」
「うん、練習してただけだよ。みくお姉ちゃん」
「練習?」
「逆上がりの練習だよ」
「??」
「待って!事情を聞く前に足で顔を踏むのを止めてくれ!」
未来が男を押し倒し、その顔に向かって、太ももまで覆われた黒いニーソでグリグリと踏みつけている。
男としては、その脚から見える短いスカートの中のパンチラ景色は嬉しかったが、鈴ちゃんの
目の前でそんなことしてたら、彼女の教育に大変よろしくない。今度、二人っきりになった時に
またやってもらうとして、今は止めてもらう事にした。……惜しいけど。
・・・・・・
「ごめんね。私の早とちりみたい」
3人で話した結果、未来が素直に勘違いを認めてくれて、なんとか警察沙汰にならずに済んだ。
本気かどうかは知らないが、よく「通報する」という言葉を使う未来は、
単に狼狽する男の姿を見たいだけなのかもしれない。
「本当に謝る気があるの?未来ちゃん」
「ホラホラ、クッキーあげるから許してよ」
右手に持ったチョコチップクッキーをひらひらさせてから、彼女は男の口にクッキーを入れる。
彼女が椅子に腰かけているのに、男の方は犬がおすわりする姿勢なので、餌をやっているようにしか見えない。
「おいしい?」
未来の手作りクッキーをぼりぼりと頬張る男に向かって、率直な感想を求める。
この2人はいつもこんな調子でじゃれ合う仲だった。
「普通……かな」
「もうあげない」
男はふざけるのを止めて椅子に座り、鈴ちゃんと話そうとする。
鈴の方は、次は自分があげる番かな?と思いじっと待っていたので、少し残念な顔をした。
「今度は公園に行って練習しようか」
「え〜、でも恥ずかしいよ……」
「なら、もう一度部屋で練習する?」
「うん」
温かいココアをゆっくりと口に含みながら、鈴はまた2人で遊べる事を喜んだ。
逆上がりが出来ないのは本当だが、本格的に練習したいと思った事はなく、でもお兄ちゃんが
練習に付き合ってくれるなら、断る理由はなかった。
むしろ出来るようにならない方がずっと遊べていいな〜、と思っていたりもした。
「で、未来ちゃんはいつ帰るの?」
男は何のひねりもなく未来にそう言った。あの練習風景は未来に見せられないからだ。
単純に、パンツをじっくり見る事が出来なくなる恐れは回避しようとしたのだ。
「え?帰らないよ?私も鈴ちゃんの為に付き合ってあげる」
「そ、そうなんだ……」
「なんで残念そうなのよ!私がいると迷惑なの?!」
「トッテモウレシイデス!」
なんて事だ!せっかく、鈴ちゃんのパンツを拝む為に、いつもの黒い短パン姿から
運動には向いていないワンピース姿に着替えてもらったっていうのに!!
当初の計画が台無しになって、男は心の中でしくしくと泣いた。
294 :
未来と。 3:2014/03/11(火) 12:01:21.33 ID:inSrVjyX
「ここの壁って薄くない?」
マンションの壁は、下手をすると隣の住人に生活音が丸聞こえになる。
それを危惧した未来は、なかなか他人の気持ちが分かる良い子である。
「大丈夫だよ。俺が『炉心』を全力で熱唱した時も、誰からも苦情が来なかったから」
「ふ〜ん……」
某・有名歌手の曲を挙げて、男が説明する。
どんな曲かは置いといて、実は未来がそれを歌っている歌手本人だと男は知らない。
あの歌手は漫画の様なボリュームのツインテールがチャームポイントであり、
今の未来の髪型は、同じツインテールではあるが、それには程遠い量であった。
髪の毛の色も青みがかった黒で、目の色も、カラーコンタクトを使っていないので黒のまんまである。
『電子の歌姫』を称する時、未来はCG処理も手伝って別人に近い変貌を遂げる。気付かないのも無理はない。
未来はそれをどうにも言いだせずにいて、たまに話題に上ると白けた態度で応じるようにしていた。
「で、どうやるの?練習」
仕切り直して未来が問いかける。さっき見た光景は、男が鈴のスカートを直しているところ
なので、何をしていたのか分かっていなかった。
「壁倒立?それで逆上がりの練習になるの?」
「いや、これは脚を上手く使う練習なんだよ」
「そんなの簡単じゃない」
そう言うと、未来は床に手をついて、その場で逆立ちをした。
少しよたよたとしていて、綺麗な姿勢とは言えないが、未来は壁など使わなくても逆立ちが出来る。
「うわー!お姉ちゃんすごーい!」
「うむ、さすが未来ちゃん」
素直に感心する鈴ちゃんの声に、未来は、お姉ちゃんとして誇らしく思った。
そのせいか、ただでさえ短いスカートが逆さまになり、縞々のパンツを男の前に投げ出している事に気が付いていない。
鈴も男もパンツが丸見えの事を指摘せず、未来が満足するまでずっとその格好でいさせた。
「さあ、りんちゃんもやってみて」
「私はお姉ちゃんみたいに出来ないよー」
「壁を使ったら出来るんでしょ?」
「うん、多分」
姉妹の会話を聞いて、男は何やら考え事をしていた。
もしも、未来が鈴の逆立ちを見たらどうなるだろう?
パンツが丸見えになるところを見たら、やっぱりそれを止めるだろうか?
そうなったら、もうパンツは見れないし、未来に軽蔑されてしまうかもしれない。
男の頭の中はパンツ一色だった
なんとかして未来と鈴のパンツを上手く拝む術がないか、脳をフル回転させた。
「2人とも、ちょっと勝負をしようか」
「勝負?」
「どっちが長く逆立ち出来るかを、ね」
「でも、りんちゃんは壁を使うんでしょ?私不利じゃない?」
「いや、鈴ちゃんは俺が脚を持ってあげるから、壁は使わないよ」
「……それでも、やっぱり不利だと思うけど」
「いや、でもさ、鈴ちゃんが自分の体重を支える体力がどのくらいあると思う?」
「うーん、そう考えれば私の方が有利かも」
「でしょ?じゃあ決まりって事で」
男の目論見にまんまと引っ掛かる未来。
個別に逆立ちされるとパンツが丸出しになるのがバレるので、苦肉の策だがなかなかの案だった。
「じゃあ、まずりんちゃんから」
「いやいや、二人同時にするの!」
だから、未来が別々にしようとするのは絶対に阻止しなくてはいけなかった。
295 :
未来と。 4:2014/03/11(火) 12:02:52.32 ID:inSrVjyX
「未来ちゃんはこっち。で、鈴ちゃんはこっちに来てね」
男は、自分を中心に、少女2人をある程度間隔を置いて立つように仕向けた。
逆立ちした後の鈴を支えられるように。でも、未来との距離も同じくらい近くなるような配置だ。
第一に、2人のパンツを間近で見たい。
第二に、未来にパンモロを意識させないようにしたい。
未来が多少怪しんだとしても、この配置は譲れなかった。
「お兄ちゃん、私ちょっと練習したい」
「え?でも……」
鈴曰く、逆立ちどころか壁倒立も覚束ないので自信がない。らしい。
「……そうだね。じゃあ、一回練習しようか」
未来も休憩も兼ねて鈴の練習を見学する事にした。さっきの逆立ちで少し疲れていたのだ。
「いくよ?お兄ちゃん」
鈴がそう言って床に手を付いて言った。その声は自信のなさを思わせた。
だが、緊張しているのは鈴よりも男の方だった。
なんとか、すそが捲れないように上手く補助してやらないと、パンモロになるのが未来にバレてしまう。
ここで失敗は許されなかった。
「よし来い!鈴ちゃん」
妙に気合が入っている男を見て不思議に思いながらも、未来はジッと見守っていた。
細い脚が宙に上がる。
ワンピースが逆さまになり、スカートが下着を隠そうとしなくなるその時、
男はギリギリのタイミングでその裾を掴み、鈴を逆立ちの姿勢に持っていった。
「りんちゃんスゴーイ」
未来はお姉ちゃんらしく、妹の鈴を褒めてあげる。
「鈴ちゃん、さっきより綺麗に出来てるよ!」
男も褒める。それを聞いて、鈴は十分自信がついたようだ。
上手く誤魔化す事が出来たので、逆立ちをする鈴を見ても、未来はパンツがどうこうと言う事はなかった。
実は、男の目線から見るとスカートの中がチラチラ確認できたのだが、流石にこれは上から覗いていないと分からない。
鈴が疲れない程度のところで、男は鈴を優しく降ろしてあげた。
「ねえねえ、私が勝ったら何か買ってよね」
ようやくゲームが始められる段になって、未来がそう提案する。
さきほどの鈴の格好を見て、勝利を確信したようだ。
「えっと……何を?」
「それは……その時に決めるって事で」
「(パンツの為なら)あんまり無茶な物じゃなければ良いよ(仕方ない)」
「ヤッター!りんちゃんもイイよね?」
「う、うん!」
鈴は鈴で勝つ気まんまんらしく、なにか欲しい物を模索していた。
男の財布が試される時が近いらしい。このゲームは、なんとも高い買い物になりそうだった。
「それでは位置について……2人ともいいかな?」
「私はいつでもいいよ〜」
「うん、大丈夫……」
鈴はどうにも万端と言える状態ではなさそうに見えるが、男はさっさと始める事にする。
どこで邪魔が入るかも知れない、善は急げ(?)だ。
「3・2・1、スタート!」
男の声に合わせて未来と鈴が逆立ちの姿勢に入る。今度はスカートの裾を抑える必要はなく、
パンツが丸見えになってもお構いなしに、男は鈴の脚を持つ。未来はさっきよりも綺麗に逆立ちを決めた。
かなり本格的に勝ちに来ている。男の目の前には、未来の縞々パンツも、鈴の真っ白パンツも、同じくらい近くに見えた。
これからの数分間を、この光景を眺めて過ごせる事に男は感謝した。
296 :
未来と。 5:2014/03/11(火) 12:03:35.04 ID:inSrVjyX
「鈴ちゃんガンバレ!未来ちゃんもガンバレ!」
声援を受けて、二人は気合を入れてゲームに取り組んでいた。
しかし男の声援は、当人達にではなく、眼前にあるパンティに向かって放たれていた。
男と彼女達の距離はとても近く、匂いを嗅げるほどである為、男は理性を抑えるのに必死になった。
ほのかに汗のにおいが漂ってきて、そのまま吸い込まれそうになる頭をなんとか繋ぎ止める。
彼女達のプルプル震えるお尻は、簡単に理性を吹き飛ばしてしまいそうだ。
「あっ!」
咄嗟に、男は未来に手を出してしまった。
いや、エッチな意味ではなく、未来が突然よろけたので、バランスの補助を手伝おうとしたのだ。
といっても、男の手は、彼女の愛らしいお尻を包み込むパンツをぷにっと軽く押しこんでしまっていて、
セクハラ行為をしているのは間違いない。
男はゲームの最中に手を出してしまった事を悔やんでいた。
手を差し伸べた理由は欲望の発露ではなく、未来が思いのほかすぐに、逆立ちの姿勢を維持出来なくなった事に
驚いた為だった。だが、男は勘違いをしていた。
未来は逆立ちが維持できなくなったわけではない。ただ、その姿勢ゆえに動かない状態を維持するのが
難しかったから、バランスを取ろうとしたのだ。
多少よろけるくらい普通であるが、男はそれを即座にギブアップと受け取ってしまった。
しかし、それが功を奏した。
未来は男の補助(お尻を触っているが)によって負担が少なくなった事を喜んでいたし、
もし、彼が未来を静止させておかなければ、逆立ちで自由に移動が可能な未来は、男が何故こんなゲームをするのか
気が付いてしまったに違いなかった。
(柔らかい……)
男の自制心は、もう限界といってよかった。
片手を未来の縞々パンツに添えてしまった際に、鈴の体も同様の支え方に変えていたのだ。
右手に尻を、左手にも尻を。
両手に花ならぬ、両手に尻。それが今の状態だった。
彼女達の体重はかなり軽い方だったが、それを同時に支えるのは案外難しく、必然的にお尻に込める力も、
添えるというより、手のひら全体で鷲掴みにしてしまっていた。
「も、もう……むり……」
先に限界が来たのは鈴だった。補助があったとしても、両手で体を支えるのは重労働だ。
まだ小さな鈴に、長時間耐えられる姿勢ではないのは確かだった。
腕から崩れ落ちる鈴。
男は鈴のバランスを保たせようと、小さなお尻を支えていた右手を、彼女の足先まで持っていく。
吊りあげる様にして支えてあげれば、鈴は持ち直すかもしれない。そう考えたのだった。
そして、その考えは間違ってはいなかった。
ただ、男の作戦は、自身の行動ミスにより失敗に終わった。
鈴の足先を持つはずの右手は、鈴のパンツに指を引っ掛けてしまった為に移動が停止。
未来(のお尻)を支えていた左手は、男が鈴のよろめきに釣られたせいで制御が出来なくなり、
あろうことか、ひとさし指を未来のお尻の穴の位置に、ピンポイントで差し込む形を取ってしまった。
「わっ!」
「やっ!」
「ひいぃっ!」
男は、自分が何をしているのかも分からないままに、鈴と未来と一緒に床に崩れ落ちた。
297 :
未来と。 6:2014/03/11(火) 12:04:28.13 ID:inSrVjyX
「いててて……」
ショック自体はそれほどなく、軽く背中を打ちつけた体を、男は起き上がらせようとした。
ところが、それがとても困難な事にすぐに気が付く。
男の両腕が塞がっていたのだ。
少女を支えていたはずの両手は、その少女たちによって緩衝材代わりに使われていた。
つまり、腕の上に鈴と未来が片方ずつ乗っかっていたのだ。
男が動けない理由がもう一つあった。
さっきの男の行動ミスが原因で、鈴のパンツが膝まで脱がされていた。
男の前には、鈴が股間を隠すことなく倒れていたのだ。胸近くまで捲れた服も、そのままだった。
あわてて男は顔を逸らした。
未来の方を見ても、その惨状は変わりないようだった。
鈴も未来も仰向けに倒れこんだらしい。やはり股間が丸出しになっていた。
残念ながら(?)未来の縞々パンツは脱げていなかったが、男は心穏やかではいられなかった。
左手が未来のお尻に押し潰され、指が……その指が未来のお尻の穴に差し込まれていた……。
もちろん、男の目線でそれが見えるわけではない。
ただ、自分の指の感触を信じるなら、そうなっているとしか思えない温かみを感じてしまうのだった。
(まずいまずいまずいまずいまずいまずいますいまずいまずいまずいまずい……)
なんとかしなくてはならない。
二人のこの状態を直してあげないと、(というか気付かれたら)確実に嫌われる自信が男にはあった。
鋭い焦りが込み上げていながらも、男には顔を左右に振るくらいしか手立てはなく、
「いったーい」
「ひゃん!どこ触ってんのよ!」
鈴と未来が起き上がるのを、ただ見守るしかなかった。
男は全てをあきらめる事にした。
せめて……せめて今この状況を味わおう。
鈴が、何故かワンピースもパンツも体を隠していない事に気づき、あわてて直しているさまや、
未来が四つん這いになり、お尻の中心をむず痒そうに撫で回している光景を。
……我が一生に、一片の悔いなし。そして、男は事切れた。
・・・・・・
目が覚めた時、男は自分が今どこにいるのか分からなかった。
急に目の前が暗くなったと思ったら、いつの間にかベッドに寝かされていたのだ。
「あっお兄ちゃん気がついた?」
「……鈴ちゃん……ここって病院?」
「お兄ちゃん気絶しちゃってたんだよ。あっ動いちゃダメ!」
「……ッつぅ…何これ?俺、骨折したの?」
「うん……ごめんね、お兄ちゃん」
「気がついたの?良かった」
「未来ちゃん、俺どうなったの?」
「知らないわよ。急に返事しなくなって、揺さぶっても起きないし、腕も変な形だったから
あわてて救急車呼んだの。痛みで失神するなんてひ弱ねー」
「そう……ハハハ良かった……」
「良くないわよ!!心配させないでよね!」
「私もすっごく心配したんだよ?」
「違うんだ。俺が良かったっていうのは……いや、ありがとう2人とも。助かったよ」
セクハラで絶交されるより骨折の方が全然マシなんて、流石に言えなかった。
298 :
未来と。 7:2014/03/11(火) 12:05:47.25 ID:inSrVjyX
・・・・・・
「はい、アーン」
骨折の完治には1ヶ月ほどかかるらしく、数週間の病院生活の後、退院を許され自宅に帰って来た。
日常生活に支障はあれど、こうしてかいがいしく未来が面倒を見てくれるので、男は幸せだった。
「おいしい?おいしいならワンと言いなさい」
「ワン!」
その分、Sっ気が大きくなってしまった気がするが、これはいつも通りだった。
人は、病人には過剰に優しくなるらしく、骨折からの数週間は頻繁に未来と鈴が介護に来てくれたが、
徐々に手が自由になると、とても分かりやすく適当に対応するようになった。
「未来ちゃん。俺、汗かいちゃった」
「だから?」
「体拭いてくれない?」
「……もう、一人で出来るでしょ?」
「完全には治ってないんだよ!?」
「リハビリしなさい」
口ではそう言いながらも、未来はタオルとお湯を張った洗面器を用意してくれる。
この親切心は、単に面倒見が良いと片づけていいのかどうか男は迷った。
「いつもありがとう未来ちゃん」
「どういたしまして」
だからといって、未来の気持ちを確かめる様な真似はしない。
いくじなしと言ってもいいし、今の関係で充分満足しているとも言えた。
「そういえば、あの時の勝負ってどっちの勝ちだったの?」
「えっ?ああ……」
未来に言われて、男は今思い出したフリをした。
忘れたことなどない。あの時の二人のお尻の感触も、あの時の衝撃的な光景も、忘れられる筈なかった。
入院中も、今現在も、両手が不自由な事を嘆かない時はなかった。
「分からないけど、多分未来ちゃんかな……」
「多分なの?」
「俺が手を出さなければ、勝ってたと思う」
「……お尻触ったよね」
「ごめんなさい」
未来の方も忘れた事はなかった。骨折が早く治ってくれれば、いくらでも虐められるのに……。
そう思いながらも男の面倒を見てしまうのは、未来が男の事を本気で恨んでいるわけじゃない事を示していた。
かといって、お尻の穴に指を突っ込まれるのは二度とごめんだが。
「勝ったら何か買ってくれるんだよね?何にしようかな〜」
「あの、あんまり高いのは……腕の治療で出費もあるんで……」
「そんなこと知らないもんね。自業自得でしょ?」
男は、未来が何を頼んでくるのかぞっとしない心持ちだった。
自分がしでかした事を考えると、何を言われようと断れないからである。
「私、旅行行きたいなー」
「えっ?」
「それじゃあダメ?物に限った事じゃないでしょ?」
「え……うん。未来ちゃんがそれで良いなら」
「やったー!じゃあ早くその腕治してよね」
男は正直ホっとした。旅行が高くつかないわけじゃないが、際限なくふっかけられないだけマシだ。
「旅行か……」
未来ちゃんと旅行……。二人っきり?そんな訳ないか。鈴ちゃんも一緒かな?多分。
想像して興奮した。願ってもない提案だった。未来ちゃんの方から持ちかけてくれるなんて……。
男は、未来以上に自分が早く治るように願った。
おわり。
終わりです。
できれば9日に投下したかった……。
いたずらスレでも通用しそう
乙
なんというか発想は良かったと思う
今度は行事関係の話を作ったので投下します。
最初は、バレンタインの話からです。
『世間はバレンタインデー気分一色!』
そう謳う雑誌を目にして、神無月小枝子は項垂れていた。
告白を受けた先週の事を思い出すと、やっぱりあの選択は間違いだったのではないか、と考えてしまう。
男の子からの告白なんて受けたのは初めてだったから、
ついつい甘い返事を返してしまうと、彼はこう言ったのだ。
「もしもOKなら、バレンタインにチョコをくれないか」と。
それからはもう、勉強も部活も身が入らないし、廊下で彼とすれ違う度に視線を避ける毎日。
友達にも相談出来ないし(どうせ茶化されるに決まっている)ネットで相談してみた結果、
反応は「付き合え」と「付き合うな」の真っ二つに分かれてしまい、役に立たなかった。
「チョコ……か……」
小枝子自身は料理が苦手だ。
それは、全くと言っていいほど台所を使わない事からも簡単に分かる。
家の手伝いだって、碌にした事がないのだ。
こんな不精な私を好きになるなんて、彼は変人ではないだろうか。それとも、私はからかわれている
だけなんだろうか。実はドッキリではないだろうか?
疑心は膨らむが、これといった正解は見つからない。そんなこんなで、
返事まであと3日を切ってしまったのだった。
・・・・・・
『チョコをあげるなら、やっぱり手作り!貰った彼は嬉しさのあまり、いつも以上に熱い抱擁に
熱烈なキスで、あなたを昇天させてくれちゃうかも!?』
パタンと雑誌を閉じる。
どうやら見るべき本を間違えたらしい。
今見たいものは、カップルの恋愛話ではなく、手作りチョコの作り方なのだ。
返事するか否かはともかくとして、チョコは作ってみたかった。
上手くすれば、料理の才能が目覚めるかもしれないし、失敗したらしたで、友チョコとして使えばいい。
出来あがったチョコを見てから考えても、遅くはないんじゃないか?
そこに至ったのが、バレンタインの2日前だった。
……結果、よく分からない物体を作ってしまった。
なぜだ。どうしてこんなにしょっぱくなるんだろう?
どうやったら溶かして固めるだけのチョコレートがこんなに不味くなるんだろうか?
きっとお母さんのせいだ。
あの人が、「料理なんて珍しい。明日は嵐ね」とか何とか言って茶々を入れてくるから失敗したんだ。
こんなもの友達にもあげられない。
おいしく食べてくれるスタッフもいないから、仕方なくゴミ箱に食べてもらった。
「もう明日が14日か……」
せめて、学校が休みなら良かったのに。
そう思っても、今年のバレンタインデーが平日なのは変わらない。
「チョコ……用意出来なかったな……」
小枝子は布団の中で呟いた。彼の事を思うと、やっぱり告白を受けたいと思っている自分が
いるのが分かる。だけど、奥手な私は勇気が出ない。
それが一番の問題だと分かってはいるのだけど……。
あきらめて、明日はちゃんと断ろう。それが私にはお似合いだ。
そう自分を納得させて、小枝子はこの日を終えた。
・・・・・・
2月14日になった。
新聞も、カレンダーも、テレビのキャスターも、そう告げている。
小枝子といえば、昨夜の決意が完全に固まっていなかったようで、気が重かった。
結局のところ、彼女はチョコを渡してみたかったのだ。
出来れば学校を休みたいが、今日に限って休んだら変に思われるに決まってる。
友達にも心配をかけるし、部活の先輩にも迷惑をかけるだろう。
ハッキリ言って、鬱だった。
これほど自分が情けなくなった2月を経験したのは初めてだ。まだ高校1年生だというのに。
「小枝子、コレあげる」
そう言って、母が何かを手渡した。
「何?これ」
「バレンタインチョコ、誰かにあげたいんでしょ?コレ持って行きなさい」
「あ、私へじゃないんだ」
「そのつもりだったけど、その顔だとチョコが用意出来てないと思ってね」
「……余計なお世話よ」
でも受け取った。手のひらに乗るサイズの、包装紙に包まれた小箱。
小枝子はこの時になって、「買ったものでもいいんだ」という事に気がついた。
最近読んだ女の子向け雑誌の影響で、手作りじゃないといけないと思い込んでしまっていたのだ。
「いってきます」
「ちゃんと報告しなさいよ」
「多分無理だけど……うん」
母親に見送られながら、小枝子は家を出た。
母は嘘をついていた。あのチョコは、実は、夫の為に買った物だったのだ。
「まあ夕方にでもスーパーで買い直せばいいか」
一人娘の為に夫を犠牲にした妻が、そこにいた。
高校に無事到着した小枝子は、鞄に隠し持っているチョコを思って、ドキドキしっぱなしだった。
一昔前の学校の様に、チョコを持っていないかどうかの検査こそないが、あからさまな装丁のチョコを
持っているとバレたら、生活指導の目に止まってしまうだろう。
最初は告白を受ける勇気などなかった彼女も、母の応援を受けて、少し力が生まれたようだ。
手渡すとしたら放課後。
それまで、この勇気が持てばいいが。
「は〜い。抜き打ち検査をしま〜す」
えーっ!!と教室が騒がしくなる。
「先生!聞いてません!」
「はい。先生言ってません」
騒ぐ生徒(主に女子生徒)をあしらうアラフォー女教師は、それ以上有無を言わさずに、
鞄の中身を机の上に出すように言った。検査がないと言ったな、あれは嘘だ。
小枝子は気が変になりそうだった。
恋愛音痴の私が、こんなチョコを持ってきている事が知れたら、どう言い訳しようが、誰かに
告白する為と思われて、からかわれるだろう。
どうしたらいい?どうすれば、このチョコの存在がバレないように出来る?
小枝子は何も思いつかず、顔面蒼白で座っていた。
そんな時、誰かが小声で「サエ!サエってば!こっちに渡して!」と叫んだ。
小枝子の後ろの席。同じ部活に所属する彼女の友達の、藤堂由紀の声だった。
「どうして、持ってるって分かったの?」
「サエはすぐ顔に出るからね」
なんとか無事に抜き打ち検査を切り抜ける事が出来た小枝子。
やはり持つべきものは友達。
というか、他の女子の大バッシングを受けて、アラフォーが自滅したというのが正解か。
その日のアラフォーは、もう笑う事を忘れたような顔で授業をしたという。
「で、どうして黙ってたわけ?」
「べ、べつに隠してたわけじゃないって」
昼休みになって、小枝子は由紀と一緒にお昼を食べていた。
話題はチョコの話に入り、下手な嘘をつく小枝子を見て、由紀は溜め息をついた。
「バレバレなのよ。あんたの態度を見てたら、誰でも気付くわよ」
「そ、そんなに?」
「先輩達みんな知ってた」
「嘘っ!?」
「分からいでか」と言わんばかりの表情の由紀。この時期の女の子の悩みといえば、恋の悩みと
相場が決まっているのだ。
ところで、由紀の言う『先輩達』というのは、女子水泳部の先輩の事である。
小枝子はそれほど速く泳げるわけでもなく補欠扱いだ。が、泳ぐ事は嫌いじゃない。
特にこの高校は、室内プールがあり冬でも泳ぐ事が出来るので(練習は厳しいが)好きだった。
「いつ渡すの?」
「えっ?まだ渡すとか決めてないし……」
ハアーっと、溜め息。
「使わないなら、これ貰っちゃうわよ」
「えっ……でも渡さないとも決めてないし……」
溜め息2回目。
「あの魔女(アラフォーの事)のとこ持っていくわよ?いいから答えな」
「………放課後」
意気地がない小枝子の為、友達として彼女を支えてあげないと。
そんな気持ちで由紀は、「だったら、放課後まで預かるから」と言った。
小枝子としても、その方がドキドキしっぱなしにならずに済むかも。と、了承した。
でも、誰にあげるかに関しては頑なに口を閉ざした。もしも彼にケチをつけられたらと思うと堪らないからだ。
ところが、由紀は大体の予想が付いていた。
小枝子がここ最近、分かりやすいほどに避けようとする男子生徒が一人いたのだ。
・・・・・・
放課後になった。
「小枝子、アレ返すわ」
由紀にそう言われ、小枝子は拒否した。
「……何?もしかして」
「違うから!ただ、部活が終わってからでも遅くないかな〜って……」
「呆れた」
溜め息3回目……は、付かなかった。小枝子でなくても、告白には決心が鈍るもの。
むしろ、まだやる気が残っているだけ頑張っていると言えるのではないか?
由紀は文句を言わず、小枝子の意志を尊重する事にした。
・・・・・・
更衣室に入ったところで、小枝子は、先輩達の群れに襲われた。
「サエ〜、チョコ渡すんでしょ?ねえ、どんな人なの?」
「カッコいい?それともブサイク?」
「ちょっと!そんな事聞いたら失礼でしょ!で、どうなの?」
「もうヤった?どう?最初は痛かった?」
由紀の言った通り、部の先輩達は皆、知っているようだった。
人の恋事情ほど気になるものはない。
特に、奥手な小枝子がそういう事をするなんて、母親でなくとも知りたくなる。
それにしても鬱陶しい事この上ない。小枝子はさっさと着替えを済ますとプールの方へと向かった。
「ね、言った通りでしょ?」
小枝子がいなくなった更衣室で、2・3年生が話を再開する。
「ホント。てっきりアンタの恋愛脳が炸裂してるだけかと思ってたわ」
「ねえユキ、お相手はどんな人?上級生とか?」
「サエちゃんは見た目が良いもんね〜。あれで奥手じゃなければ、結構遊べると思うわ〜」
「遊べるってwwサエちゃんはそんな子じゃないからw」
「そうそう。遊んでるのは……お前だ!!」
駄目だこいつら……早くなんとかしないと。
由紀は、あまり詮索しないように先輩たちに働きかけた。
今回に限っては、茶化すのをやめてあげて欲しい、と。
由紀がそう念を押して更衣室を出た後も、先輩達は何やら話し合っていたようだった。
・・・・・・
「サエ。もうあがろう」
「……もう少し泳ぐから、先に行ってて」
「逃げる気?」
「……そ、そんな事ないよ?」
「逃げたらチョコ没収ね」
「……分かった」
まだ決心がつかないらしい。
仕方なく、由紀は先にシャワーを浴びる事にした。小枝子はというと、いつもより力強く50メートル
往復を繰り返し、最後の勇気を引き出そうと無我夢中だった。
───それから約15分後。
くたくたになった小枝子は、やっとプールから出る決意を固めた。
これからする事を考えるとまだ落ち着かないが、このままでは後悔しか残らないと思った。
彼女がシャワー室に入るともう誰の姿も見えず、簡単な仕切りで別れた部屋の一つに入った小枝子は、
水着を脱いで全裸になった。
水着を仕切りに立てかけて、小枝子がシャワーを出そうとした時、なにかが足元にコツンと当たった。
小枝子は驚いた。
最初見た時、こんな物はなかったからだ。どうやら小枝子が入った後で差し入れたらしい。
誰かのイタズラだろうと思うが、とりあえず確認してみる。
紙で作った小箱。それを開けると、中にチョコが入っている。そして、紙にはメッセージがあった。
「えっと……『あとはガンバレ』何これ?」
その時、急に物音がした。小枝子は何事かと身構えて、そして驚いた。
シャワー室の、小枝子の入っている個室の目の前に、あの彼が立っていたからだ。
小枝子は悲鳴すらも呑み込んだ。
個室といえど、隠れる場所は体のみ。
顔と脚は仕切りで覆われない為、近づき過ぎたら色々見えてしまう。
「神無月さん?」
「あ、あの……どうしてここに?」
「どうしてって……呼ばれたからだよ」
「……誰に?」
「女子水泳部の先輩だ。とか言ってたけど……」
「へ、へえ〜……」
あービックリした。どうやらこれは、先輩の誰かが仕組んだドッキリらしい。
それにしても、シャワー室の中に彼を呼ぶなんて、非常識にもほどがある。
(てか、由紀にも言ってないのに、どうして彼と分かったんだろう?)
何も身につけていない私が、こんなに至近距離でも落ち着いて会話していられるのは、
彼が、目隠しをしているからだった。というか、そうでなきゃ逃げ出しているところだ。
私がプールから出る前に、先輩(の誰か)が彼を呼び出し、目隠しをしてここに連れてくる。
そうやって、無理矢理にチョコを渡すシチュエーションを作りだしたってわけだ。多分。
彼は、ここがどこかは分かっていないのかもしれない。いや、そうに決まっている。
いくらなんでも、シャワー室と知って乗り込んで来ているのならドン引きする。
そうでない事を願う。
「あの……返事を聞きに来たんだけど……目隠しを外したら駄目かな?」
「ダメッ!!!」
「わ、分かったよ……」
「うん。絶対ダメだよ!」
彼はここがどこか知らないんだ。もしくは何か脅迫されているか。
とにかく、彼に疚しいところがないと信じることにした。
私の手の中にある、小さなチョコ。
それが入れられた紙の箱の手紙には、『あとはガンバレ』の文字。……くっ、嵌められた!!
でも、もう遅い。
このまま追っ払っちゃったら、私一人で告白する勇気がなくなってしまうかもしれない。
ここは、騙された怒りを、告白する勇気に変えるしかない。
「あの……神無月さん?」
「えっと……あの……その……」
落ちつけ〜…落ちつけ、私!!
私は恐る恐る平易な仕切りを開くと、目の前の彼に指示をした。
「口!口を開けてっ!」
「えっ?クチ?」
「そう、口を開けてみて……」
「それって……」
「……うん。あの返事がしたいの」
私の声を聞いて、彼が「あ〜ん」と口を開く。
私は、恐る恐るその口に目がけ、右手に持ったチョコを入れようとする。
心臓がバクバクいってる。まだ恋人でもない人の前で、私は裸でこんな事をしているなんて。
でも、この行為が終わったら、晴れて恋人同士になれる……んだよね?
これが上手くいけば……
その時、突然彼が前のめりに倒れてきた。それに驚いた私はチョコを落としてしまう。
彼はその勢いのまま、すっぱだかの私に抱きつくと、一緒になって個室の中で倒れこんでしまった。
「いったーい!!」
シャワー室の床にお尻を叩きつけられた痛みで、私は涙目になった。
「ご、ごめん!急に誰かが押してきたから……」
「誰か?」
彼の背後を見る。が、そんな人物は存在しなかった。
彼が嘘を付いているのだろうか?いや……おそらく居たんだ。この部屋のどこからか見ていた人が。
このチョコを私に届けた誰かが。
「……やんっ」
変な声が出てしまった。
見ると、彼が私の胸をむにむにと揉んでいた。
私に覆いかぶさるようにして重なっている彼は、今どういう状況なのかを探るために、手探りで
確認作業中らしい。
「ごめん!変なとこ触っちゃった?」
「ううん。別に気にしないでっ!」
はいそうです、私、胸揉まれてます。なんて言えないし!
どうしよう……早く起き上がりたいけど、彼が重くて起き上がれない。
というか、腰が抜けちゃったみたい……。
ああ、どうしたらいいのか頭が回らない。落ち着かないと……落ち着かないと〜!!
……そうだ、チョコ!
チョコはどこに行ったの?
さっきまで右手にあったのに、いつの間にかすっぽ抜けたチョコは、今いずこ?
「……んんっ」また変な声が出た。
彼が、私の胸に息をかけているみたいだ。
悪気はないと思うけど、息が荒くなっている彼の息が私の乳首に当たっていて、変な気分になってしまう。
「あ、あった……」
見つけた!チョコ見つけたよ!
私の胸の間に挟まってる!さほど大きくない私の胸に(Cカップ)、上手い具合にちょこんと乗ってる!
こんな状況なのに、私は吹き出しそうになった。
「神無月さん。平気?」
「う、うん。もう少しそのままでいて!」
笑いを堪える声が、痛みを我慢する声に聞こえたみたいだ。
お願い。もう少しそのままでね。
今の私は、長時間の正座で足が痺れているいる人みたいなものだから。もう少しすれば、
動けるようになると思うから。
「あっ……」
胸の間に鎮座していたチョコが、ずるずると滑り落ち始めた。
私の体温で解け始めてしまったらしい。どんどん滑って、お腹の辺りを通り抜け、ついには股間に……
「ひゃんっ!」
とてもじゃないが、気持ち良いとは言えない感触で、私は喘いだ。
「神無月……さん……」
「待って!もうちょっと待って……て……」
「神無月さん……どうして裸なの?」
「あ……え……?」
いつの間にか目隠しが取れたらしい彼と、目が合った。
こういう時、どうすればいいんだろう?
もう落ち着いてなんていられない。ていうか無理。
私は、顔が赤くなるどころか、真っ青になっていた。声も出ない状況とは、こういう事か。
「わっわた…わたし……」
「あ、あの……俺こんなことするつもりじゃ……」
「わ、わかったてるから……!」
口が回らない。
誰かに助けを求めないと……それさえも、選択不可能になっているみたい。
私の胸をじっと見つめる彼。
「す、すごい綺麗……」
「えっ……そう…かな?」
抵抗するでもなく、私は普通に聞いてしまう。
「神無月さんって可愛いし、それに……綺麗だね」
「あ、ありがとぅ……」
何照れてるんだろう、私。こんな事している場合じゃないのに。
もっと冷静に判断すれば、どいてもらうなり、目隠ししてもらうなり、してもらわないといけないのに。
「あの……それで返事は……」
「そ、それがね……チョコをなくしちゃって……」
「そ、そうなんだ……」
「あの…持ってたんだけど、落としちゃったの……だから……」
「えっ、じゃあ……」
「あの……だからね、今度また……」
しどろもどろで会話を続ける私達。
裸である事を忘れたように、私は彼に話しかける。今度……今度じゃ遅いのかな……。
ジーッと見つめる彼のその目線の先。それは私の顔ではなく、私の胸だった。
俯いている会話しているせいかと一瞬思ったが、そうではなかった。
「これって、もしかしてチョコレート?」
そういう彼の目の先には、私の持っていたチョコの轍(?)がある。
その先。
下へ下へと目を移していくと、その色が濃くなっていた。
お腹を過ぎて、股間の茂みに到達すると、そこにチョコが絡まっている。
チョコを見つけた彼は、茹でダコみたく赤くなった私の顔を見て、また股間に目を移す。
私の心臓の動きがどうしようもなくバクバクして、私は呼吸困難になっていた。
これは死ねる。あまりにも破廉恥な状態で、軽く3回は死ねる。
「神無月さん……」
「……はひ」
泣く寸前で、なんとか声を作る私。もう、ひと思いに殺して欲しい。
「俺、神無月さんの事、好きだから」
「あ、あの……」
「だからコレ……貰ってもいいよね?」
「……は……っえ?」
彼は、私の返事を待たずに、私の胸の間に付いたチョコの跡を舐め出した。
彼のあまりの行動に、私は何も出来ず。ペロペロと舐め続ける姿を見つめているだけ。
少しずつ頭を下げていく彼。こそばゆい感覚が、私を支配する。
なんだか……だんだん気持ち良くなってきたみたい。目を閉じて、その快感を享受する私。
次第に固く、ピンと張っていく私の乳首が、気持ちよさの証明だった。
彼の舌が私の体を舐めていると思うだけで、恥ずかしくもあり、気持ち良くもあった。
ぬるぬるとしたモノが、私の胸の間で蠢いている。とても熱いそれが、男の人の舌と涎だと
分かっているのに、私は抵抗出来ない。ううん。したくない。
なんだろう、この人体の不思議は。
こんなことで感じるなんて、いやらしすぎるのに。それなのに、どこか求めてしまう
この感覚は、一体なんなのだろう?
私は今、とてもじゃないが、冷静じゃない。今の私は、ただただ快感に酔うだけの女子高生だ。
もう、抗えない。
誰かが止めてくれるまで、私は彼を止める事が出来ない。
「あっ……んんっ……!」
おへその辺りまでまで来た時、そこを、ちゅーちゅーと吸うように舐められた。
滑り落ちたチョコは、下の方ほど強く跡が残っている。
その分、彼は長く味わっているのだろう。……多分。
チュウ〜っ!と、思い切り吸われる。
「ひゃわっ……!」
驚いて、私が大きな声を出したせいか、彼がこちらを向いてきた。
な、何?もう終わりにする?……それとも、焦らしてるの?
何を言ったらいいのか分からない私は、とりあえず、「あの……おいしい?」と言った。
言ってから、また赤面した。何聞いてんだろう。
私、まだシャワー浴びてないじゃない!─ってことは、汗が体に残ってるって事だよね?!
彼は何も言わず、またチョコを舐め始めた。
私も、何も問いかけなかった。
汗まみれでゴメンね。とか、そんな事を言っても仕方がないし。
それよりも、なんとなく別の事。このチョコレートの事を、私は考えていた。
手作りチョコって、買ってきたチョコレートを溶かして固めたもの。だよね?
だったら、これも私の手作りチョコになるんじゃない?……なんてね。
「んっ……ふっ…ふぅ……」
可笑しな想像に自嘲しようとする私を止めさせるかのように、彼の舌が下腹部を舐め回る。
こんな場所を舐められたら、むずむずして仕方がない。
一応は、水泳で鍛えているから、お腹が弛んでなんていないんだけど。少し筋肉質になっているから、
女の子の体のイメージを壊してしまってないか、と思ってしまう。
ホラ、女の子って柔らかい印象があるじゃない?
ジュル…っと、彼が涎を吸う音が聞こえた。ううん、チョコを吸う音かもしれない。
私からは、彼の頭しか見えないから、判断なんてつかない。
ただ、感触は伝わってくる。
彼が、私の陰毛に付いたチョコを舐め取っているのが分かる。
汚いのに……そう思っても、止められない。とっても恥ずかしいのに……。
「あっ…やんっ……そこは……だめ……」
彼の腕が、私の足を広げようとする。もっと舐めやすくするためだろうか?
少し躊躇ってから、私は抵抗せずその身を任せた。
チョコはどこまで落ちたのだろう。
毛に絡まっただけだと思っていたけど、もっと下の方まで行ったのだろうか?
私はこのまま身を任せていていいのだろうか?
「あんっ……。あっ…そこは……」
陰毛越しに舐めていた彼の舌が、ついに私の大事な部分にまで到達した。
チョコは、そこまで落ちてないはずだけど……。
そう思っても、どうにもならない。彼を止めようにも、どうしたらいいか分からない。
こんな大股開きになっている脚を、閉じてしまえばいいのだろうか?
そんな事をしたら、彼の頭を挟んでしまうじゃない。
……だったら、声を掛けようか?「そこは美味しくないよ」とか、そんな感じの台詞を。
あれ?なんか違うよね……?
ぺろっ…「あっ……そこは……!」ちゅっちゅっ「やん……」
彼は、様子を窺うように軽く舐めた後、キスをした。
そして、私の反応に手ごたえを覚えたのか、今度はスーッと涎を塗りつけるように、陰裂をなぞりはじめた。
クニクニ……ちゅ〜っ…「あっ…あっ……そんなところまで……やだぁ……」
今度は舌をお尻の穴に入れる。ビックリしたのは、汚い場所を舐められたのに、気持ち良いと感じてしまった事だ。
グリグリと舌をドリルのように抜き差しし、フーッと息を吹きかけた後、そこを思いっきり吸われてしまった。
彼の興味は、また陰裂の方に移ったようだ。
私の大陰唇を無断で開くと、汚れを舐め落とそうとするかのごとく、中に侵入させた舌を動かした。
レロレロ「いひぃ……!」レロレロ……「あ、あんまり…そ…」レロレロレロレロレロ…「あ…ぅふうっっ……!」
目を固く閉じ、声が出るのを我慢する私。
彼の腕は、私のお尻を持ちあげるような支え方をし、陰唇を開いていた指はそっちに移っている。
だけど、彼の舌は舐める場所を変えていない。無理矢理舌をねじこむ事で、それを可能にしているのだ。
くちゅ……くちゅ……「はっ…はいって……あっあんっ…」レロレロレロレロ……
彼の舌が、私の中のあっちこっちを這い回る。
彼は、私の声を頼りに、より敏感な部分を探り当てようとする。
私の言葉になっていない反応が、まるで暗号を解くかのように、彼に思考錯誤させる。
体感時間では、もう何時間も経っているように感じる。
ずっと我慢を続けている私だったけど、もうとっくに限界を超えている。
彼を止められない。でも、こんなことをされて感じるような変態と思われたくなんてない。
彼の舌が疲れ果てるまで、なんとか我慢したいけど……。
「もう…だめ……!もう我慢が……っっ!」
彼は、緩慢になりつつあった舌の動きを早めた。私の声を聞いて、あと少しだと思ったらしい。
チロチロと軽く陰核付近を舐めたり、割れ目に沿うようにペロリと舐めると、その中に舌を侵入させて、
涎を入れたり、または吸ったりという動きを再開させる。
興奮してくれるのは嬉しいけど、お尻の穴はあんまり舐めないで……!!
「……えっ?」
ふと、顔を上げた私の瞳の中に、水泳部の皆が見えた。
なぜ?どうして?
……そうだ。これはドッキリなんだから、皆がここにいるのは当然だ。
でも、いつから見てたの??
彼が来た時には見えなかったけど、いままでの痴態は聞かれてたって事……だよね?
体をどこも隠さないポーズで、彼にされるがままになっている私を、水泳部の先輩達がにやにや笑いながら見ている。
由紀も、それに参加していたようだ。
目が合った私に対して、彼女は親指を突き出してグーサインを作って見せた。
「あ……ああ…あああーーーっっ…………!!!」
彼は気付いていない。私の股間を舐める事に熱中しているからだ。
皆に見られているという事実を知って動揺した私は、彼の無慈悲な舌の動きのせいで、呆気なく達してしまった。
……幸か不幸か、それから後の事は記憶にない。
ただ、イッたと同時に気が緩み、おしっこを漏らしてしまったような気がした。
・・・・・・
気がついた時、私は制服に着替えていて。
気がついた時、私はシャワーを浴びた後らしく。
気がついた時、私は部室の前に座っていて。
気がついた時、私は皆と一緒にいた。
「あの……私、どうしたっけ?」
意識を失っていた間の事を考えても何も分からず、皆に聞いても何も答えてくれず、
大勢の女子の中に、ポツンと一人だけいる男子を指差して、そっちに関心を移そうとする。
「神無月さん」
「あ、あの……」
「付き合ってくれますか?」
「……えっと…あの……」
気持ちに整理がつかない。私、すごい事してなかったっけ?
思いだせる部分の記憶がいやらしすぎて、とても現実のものとは思えず、私は混乱していた。
「サエ、聞こえてる?返事しないの?」
「ねえユキ、私どうなったの?」
「そんな事はいいから、返事しなよ。彼ずっと待ってたのよ?」
「……う、うん」
由紀達が、余計な事をしたのは確かだけど、私はチョコをあげる事に成功したし、彼はそれを受け取ってくれた。
それは事実。まごうことない事実。そうは見えなくても、事実なんだ。
そう、私はやり遂げたんだ!奥手な性格を抑え込んで、勇気を出せたんだ!!
だったら、返事は決まってる。
もう選択肢は一つしかない。
「あのっ!こちらこそ、よろしくお願いしましゅ!!」
噛んだ。
・・・・・・
もう門が閉まるギリギリの時間だったようで、先生に急かされるかたちで学校を出た。
付き合う事になった彼とは、電話番号の交換をした後に別れた。
「一緒に帰ればいいじゃない」と由紀は言ったが、気恥ずかしかったから、「また今度」と返し、
いつものように、由紀と一緒に帰った。
「ねえ、由紀まで私を嵌めたの?」
「う〜ん。というより、先輩達に逆らえなくて……」
「あんなことされなくても、私はチョコを渡せたのに!」
そう言いつつ、私はにやける顔を抑えられずにいた。自分に恋人が出来るというのは、こんなにも
嬉しい気分になるんだなぁ〜。
「虚勢はともかく、サエのあれは驚いたわー」
「あれって……ち、違うの!本当は、そういう事するつもりじゃなくて!!」
「はいはい分かったって。でも、あれは興奮したわよ〜」
「分かってないじゃない!」
「違うのよ。ほら、サエの彼がさ、言ったのよね」
「……何を?」
「毛を何本か飲んじゃった。って……」
「は?………え、えええーーーーーーっ!!」
その日はずっと、股間がムズムズして仕方がなかった。
おわり。
この話の続きを投下したいと思うのですが
・
・
・
すみません!少しスカトロ描写があります!
なので、苦手な方は注意をお願いします!
・
・
・
「どうしたんですか?こんなところに呼び出して」
「小枝子ちゃん。今日が何の日か、知ってる?」
「今日?3月14日というと……ホワイトデーですね」
「そう。だから、お返しがしたかったんだ」
「だからって、こんな場所に連れてこなくても……」
───そこはラブホテルの中だった。
「いいじゃないか。俺達は、恋人同士なんだよ?」
「でも……まだ高校生だし……」
「それが、どうかしたのかい?」
「こういう場所に来るのは、もっと大人になってからじゃないと……」
「そんなことないよ!女の子の初体験は、高校生までって書いてあるじゃないか!」
───そう言って、彼が雑誌の記事を見せる。
そこには、彼が言ったものと瓜二つの文章があった。
「だめよ、やっぱり早いわ。シャワーだけ借りたら帰りましょう!」
「待ってくれ!チョコレートだけでも、受け取ってくれないか?」
「あ、待って……シャワーを……!」
「さあ見てくれ!」
「こ、これって……!!」
───彼が出したもの。それは、彼の性器に他ならない。
なんてたくましい……あれが、私の中に入ってくるのね……
「さあ、舐めてくれ!」
「えっちょっと……!!」
「いいから早く!そうすれば分かるから!」
「分かったわ……私、舐める!」
───私が彼のものを舐めると、その先っぽから、なにやら白い液体が……
「うっ苦い……」
「今日はホワイトデーだから、俺の白い液体をプレゼントするよ」
「ハッ!そういう事だったのね!」
「さあ、もっと俺の気持ちを受け取ってくれ……!!」
───私は無我夢中で彼のアレに吸いついた。
私が彼の出すものを全てゴックンと飲み干すと、彼は満足したのか、
今度は私の性器を舐めてくれた。
だめ!まだシャワーを浴びていないから!大丈夫だよ、小枝子のココは
汗まみれでも綺麗だから。そんな……イヤ!待って!あ、あーーっ!!
「ハア…ハア…………。酷い夢だった…」
時間は夜中の2時。
神無月小枝子は、自宅の布団の上で、汗びっしょりになって目を覚ました。
バレンタインデーの、あの衝撃的な事件から、もうすぐ一ヶ月になる。
彼との関係はまずまずといったところで、友達の冷やかしにあいつつも、なんとか上手くいっていた。
高校ではお昼を一緒にするようになったし、休日には映画にも行った。
万事うまくいっている。そう思った矢先のホワイトデー到来である。
ホワイトデーには3倍返しが基本。これは、何かを期待しない方が変だろう。
一体何があるというのか分からないが、ここ最近の小枝子の関心事は、目下そればかりだった。
それにしても、寝る前に読んだ本が悪かったせいで、酷い夢を見た。
やっぱり、このガールズ雑誌に書いてある記事はおかしい。
小枝子はお風呂で軽く汗を流し、濡れたパンティを履き替え、また眠りについた。
その翌日。
部活の朝錬が終わり、教室に入った時のこと。小枝子は、彼の姿が
教室のどこにもない事に気がついた。
その時は、トイレにでも行っているのかと思い、それ以上の考えには至らなかったが、
ホームルームの時間になり、彼が風邪を引いて休んでいる。と、担任に聞かされ驚いた。
最近流行っているらしく、クラスでもマスクを付けている人が何人かいるのは知っていたが、
昨日会った時は元気そうだった彼も、となると、もう他人事とは考えられない。
恋人の安否を思う小枝子だったが、授業が終わり休み時間になると、今度は
友達の藤堂由紀から、恐ろしい話を聞かされる事になった。
「休んだ理由って、仮病らしいよ」
「仮病?先生は、風邪って言ってたけど?」
由紀は、なるべく周囲に聞こえないように小声になると、「彼、覗きをしたんだって」と言った。
「覗きっ?!」
由紀があまりに突拍子もない事を言うので、小枝子は、つい大声を出してしまう。
「シーッ!今朝、先輩に聞いたのよ。覗かれたって」
「今朝?私、聞いてないよ?」
「そりゃそうでしょ。サエは聞く耳持ってなかったんだから」
小枝子は、彼と恋人同士になった事を知る先輩たちに冷やかされるのを嫌い、
必要のないと思った話には、耳を貸さないようになっていた。
そういえば……と、小枝子は思う。
今朝、先輩に色々聞かれた気がする。その時はよく聞いていなかったけど、思えば
いつもの冷やかしの声色とは違っていたような……。
「それって、本当なの?」
「先輩が嘘をついてるっていうの?」
「それは……でも……」
「まあ、サエが信じられない気持も分かるけどさ」
由紀が知っている情報は、昨日の放課後に彼が覗きをし、最後まで残っていた先輩が、
その被害者になったという事のみ。
それ以上の詳しい事は分からない。とのことだった。
で、お昼休みになって3年生の教室へ行く小枝子。
先輩を問いただそうと、意気込んで乗り込んだものの、奥手な性格が発揮され口が回らず、
聞けた事は、由紀が言った事と大差なかった。
仕方なく、「こうなったら、彼に直接聞きます」と言うと、小枝子は携帯電話を操作しだした。
奥手な小枝子は、自分から彼に電話をした事がない。
いつも彼からの電話を待ち、メールでさえも返信でしか会話が出来ていなかった。
興奮状態とはいえ、小枝子がこんなに積極的になるなんて、いつ以来だろうか?
彼女の気持ちを理解している(つもりの)由紀は、「それなら電話で聞くより、家に行った方がいいわ」と言い、
小枝子が放課後の部活動を休む許可をもらってくれた。
こうして、小枝子は彼の家に行く事になった。
一体どうやって潔白を証明するのかは知らないが、行くと決めた時、小枝子はなんだか安心感を覚えたのだった。
なんとかなる。彼とちゃんと話をすれば、きっとなんとかなるんだ。
付き合いだしてから、約一ヶ月。
実はこれが、小枝子の初めてのお宅訪問になるのだった。
・・・・・・
「どうしよう……」
小枝子は、すっかり道に迷っていた。
放課後になり、由紀にせっつれて校舎を出たまでは良かった。
お見舞いに行くんだから何か買って行こう。と思い、スーパーで果物を購入したのも、良かったのだ。
問題は、彼の家の場所を、小枝子が知らなかった事だった。
小枝子は途方に暮れていた。
そうだ!電話をしようっ!彼に電話をして、住所を聞けばいいんだ!
小枝子は、自分のひらめきに自分で感心した。が、いざ携帯を取ると、なぜか由紀に電話をしていた。
「あ、由紀?実はさ、道に迷っちゃって……」
やっぱり、彼に直接電話をする勇気がない小枝子。電話口の由紀も、これには呆れた。
「そこで動かないで、すぐ行くから」由紀はそう言うと、着信を切った。
なんという頼もしさだろうか。
小枝子は、この時ほど由紀が友達で良かったと思った事はなかった。
1分後、由紀は小枝子と合流し、一緒に彼の家まで向かった。
・・・・・・
「じゃ、がんばれ」
彼の家まで来た由紀は、そう言うと小枝子が引き留めようとするのも無視して帰ってしまった。
私も帰りたい……。
小枝子はいざとなって尻ごみしてしまっていたが、緊張と、去り際に由紀がチャイムを押してしまったので、
逃げるに逃げられない状態に陥っていた。
「はい」
「あ……あのっ!」
「どちらさんですか?」
「私、神無月小枝子という者で!一緒の学校にかよっふぇ……!!……痛〜っ」
「神無月さん?」
「……はひ!」
「今開けるから、ちょっと待ってて」
「……はひ」
彼がドアを開けると、小枝子は尻ごみしながら中に招かれていった。
それを見届けると、由紀は、やっと肩の荷が下りたとばかりに息をついた。
学校を出てから、ここまで来るのに一体何分かかったことやら。
これ以上の追跡は不可能なので、由紀は本当に引き上げる事にした。
「いや〜明日が楽しみだわ〜」
奥手だが、初日であんな痴態を披露した小枝子の事だ。きっとなにか起きるはず。
それを期待して、由紀はいやらしい笑みを浮かべた。
「散らかってるけど、気にしないでね」
「うん、大丈夫」
彼の家は、実際かなり散らかっていた。
洗濯物が溜まっているのだろうか?原因のほとんどが、脱ぎ散らかした服だった。
「今、両親が旅行に行ってるから、家の事何にも出来てないんだ」
「そう…なんだ……」
小枝子は、部屋の散らかりようより、両親が留守だという事の方に関心があった。
支援sage
「風邪は大丈夫?」
「ああ、もうだいぶ下がったよ」
掃除が一通り終わると、キッチン前のテーブルにて小休止をする。
普段、家事など全くしないにも関わらず、彼の部屋に来たとたん、
「私が片づけてあげる」と、豪語した小枝子。
その成果はというと、あまり出来がいいとは言えない状態だった。
ゴミは分別方法を知らないし、洗濯物は洗濯機に入れるのみ。掃除機も、数えるほどしかかけた事がなく、
ゴミを取りきれていないし、食器洗いも満足に洗えていない。(割らないだけマシか……)
それでも、以前よりは綺麗になったように見えるので「小枝子にしては」上出来だった。
「いつも、ちゃんと片付けようね」
こう言いながら、自分は片づけをあまりしないのだから困る。
閑話休題。
「あれって本当?」
小枝子は気になっていた話題を切りだした。
恋人が覗きをしたかどうかなど、聞いたところで真相は分かるはずもないが、
一言、「無実だ」と言ってもらえれば安心できる。人の心とは、そういうものだ。
「あれって……?」
「友達がね、言ってたの。本当は風邪なんかじゃなく、仮病で休んでるって」
「仮病?どうしてそうなるの?」
「えっと……その……覗きをしたのがバレた…から……」
小枝子はなんとか声を出した。
言った後で、小枝子は彼の顔に注目した。嘘はすぐに顔に出るからだ。といっても、
小枝子に嘘を見破る技術などないのだが。
「え……あっいや、それは……」
だが、彼の狼狽えようは見事だった。これなら小枝子でなくても分かりやすい。
「本当なの?」
「いや、覗きっていうか……」
「やったんだ」
「あ、あの!覗いたのは事実だけど……!」
「どうしてやったの?」
「俺は、神無月さんを……」
「私を……何?」
小枝子の冷やかな声に、彼は動揺の色を隠せない。
あからさまな彼女の目つきに当てられ、下がっていた熱までぶり返す始末だった。
「俺は神無月さんを見に行こうとしたんだ!それが……っっ」
興奮した彼は、勢い良く立ちあがると、そのまま床にぶっ倒れた。
今度は、小枝子が血相を変える番だった。
目の前の彼が、急に意識を失っていく姿を見て、呆然とした表情で固まったあと、何かに背中を
押されるようにして彼に寄り添った。
その後、10分ほどかけて数メートル離れた部屋に運び込み、彼をベッドに寝かしつけた。
彼の体は、だいぶ熱を帯びていた。
額に触れなくても、彼を運んだ小枝子には、それが良く分かった。
「もう治りかけてたんだけどね……」
そう言う彼の声は、幾分か辛そうだった。
風邪は、治りかけが一番危ない。小枝子が来た事で、彼の症状を悪化させたらしい。
小枝子は罪悪感で胸がいっぱいになった。
「気にする事ないよ」と、彼入ってくれるが、申し訳ない気持ちが引くわけじゃない。
「覗きをしたのは本当なんだ」
「……えっ?」
「神無月さんの泳いでいる姿が見たくて。それで、プールに行ったんだ」
「……どうして言ってくれなかったの?」
言った後で、問い詰める様な口調になってしまった事を悔いる。
実は以前、彼が小枝子の泳いでいる姿を見たいと、言った事があった。
その時は、「恥ずかしいからイヤ」と断った小枝子。それを思い出して、後悔したのだった。
「でも……だったら、どうしてシャワー室なんか……」
「シャワー室?」
「そう聞いたけど……」
「俺が覗いたのは、室内プールだよ」
「え?だって……」
「それがバレて水ぶっかけられて、風邪ひいちゃったんだ」
「そうなんだ……」
小枝子は早とちりをしていた事を知った。
「彼が覗きをした」と聞いて、てっきり前と同じ事をしたのだと、勘違いしていたのだ。
裸を覗いた。というのと、水着姿を覗いた。というのでは、かなりの差がある。
それこそ、下着と水着くらいの違いだ。
バレンタインデーの、手作りチョコの件でもそうだったように。神無月小枝子には、こういった
早とちりをする傾向がある。
覗きをしたのは本当だった。ただしそれは、女子生徒が使っている時の、室内プールを覗いたというもの。
それを知っていれば、こんな風になるまで問い詰める事もなかったのに……。
「神無月さん、ありがとう。ここまで運んでくれて」
「いいの。それより私、勘違いしちゃってたみたい」
「覗きの事?それは本当だけど……」
「違うの。前の時みたく、シャワー室を覗いたのかと思ったの……」
小枝子がそう言うと、彼は顔を赤らめた。
あの一件を思い出すと、今でもその情景が浮かんでくるのだ。
「騙されたんだから、しょうがないよ」と言って、小枝子は許してくれたが、忘れる事は生涯ないだろう。
「あの……私に何かできる事があれば言って?」
「別にいいって」
「でも……」
笑って答えてくれる彼は、優しさの半面、小枝子にとっては苦痛だった。
「あ、そうだ。おみやげがあるの」
部屋の片づけに追われ、すっかり忘れていたお見舞い用の果物を取り出す小枝子。
何も出来る事が思いつかない彼女の、唯一のプレゼントはよく熟れたバナナだった。
買い物袋から、それを取り出した小枝子を見て、彼の頭の中に
よこしまな想像が巡った。
さて、『バナナ』と『女子高生』という組み合わせが、どうしてよこしまになるのだろうか?
その辺は、個人の妄想の範囲内の事なので割愛したい。
「ねえ、神無月さん」
「何?」
「俺、覗きがしたかったんじゃないんだ」
「だから、それは勘違いだから……」
「俺、神無月さんの水着姿が見たかったんだ」
彼は言った。
神無月小枝子を好きになったのは、去年の夏。
泳いでいる姿があまりにも綺麗だったから、いつか告白したいと思っていた、と。
やっと付き合える事になったのは嬉しいが、今は冬なので、夏の様に水着姿を拝む機会が全くない。
(女子水泳部は見学厳禁だった)
だから、「水着姿を拝ましてくれないか?」と。
「見たいの?」
「見たい」
「……恥ずかしいけど」
「いいかな?」
「…………うん」
今日は部活を休んだが、泳ぐ予定だったので水着は持ってきていた。
つまり、いますぐ着替える事が出来る。という事だ。
恥じらいはあれど、見られるのが彼ならいいかという気持ちになるし、疑った償いとしても楽だ。
そんなわけで、小枝子は制服を脱いで水着に着替え始めた。
「えっ!ここで着替えてくれるの!?」
「あっ…そ、そうだよね。あっちで着替えるね」
小枝子は、ブラウスを脱ぐ時になって、やっと目の前で着替えるのがおかしいと気付いた。
彼はといえば、自分の発言に少し後悔していた。
(ドラゴンボールでこんなシーンあったなあ……)
着替え終わって、小枝子が水着姿で現れると、彼はとても元気になった。(意味深)
泳ぐ事に特化した水着というのは、それなりに体を覆う面積が小さい。
小学校のスクール水着がセパレート型になり、水着が上下で別れたうえに、覆う面積が多く
なった事は、スクール水着に夢を抱く紳士諸君に、大いに嘆かれたと聞く昨今だが、
競泳用の水着はそういう事情もなく、かなりきわどい形状をしているので安心だった。
詳しく言うと、背中が大きく露出していて、胸の谷間がハッキリ見え、かなりのハイレグ仕様。
特に、小枝子は水着のインナーを持参していなかったので、体の形が上も下もくっきり見えた。
これに、恥じらい顔プラス自分の為にだけ見せてくれているという理由が加わって、その破壊力は
すさまじいものだった。
「どうかな?」
もじもじしながら、そう聞く小枝子。
彼のよこしまな気持ちは、また一段と高まっていた。
「すごく良いよ。もっと見せて」
彼はベッドから起きあがると、小枝子に注文をつけ出した。
具体的には、後ろ姿を見せてもらったり、体を大きく反らせた格好になってもらったり
という軽いものだった。が、
体の線がよく見える水着だけに、充分いやらしいポーズになった。
「じゃ、じゃあ今度は、バナナを食べてみて!」
「え……?これ、お見舞い用なんだけど……」
「あ、いや……神無月さんも食べようよ」
「でも……」
ここにきて、小枝子は承諾を渋った。
神無月小枝子は奥手な女の子である。それは、彼女の内向的な行動から見える姿である。
だけど、そんな性格だからといって、性的な知識に疎いわけではない。
よく読む雑誌の傾向からも分かるが、小枝子はむっつりスケベだった。
だから、『バナナを男の人の前で食べる』という行為がどういう意味を持つのか知っていた。
それゆえに、抵抗を感じているのだ。
「……変な意味じゃないよね?」
なんとなく念を押す小枝子。
「も、もちろん!」
「……じゃあ、一本だけ」
バナナの房の中から、一つだけちぎり取って見つめる小枝子。
彼女の頭の中で、よからぬ想像が巡り巡った。
なぜバナナを、男性器のように捉えてしまうのだろう?こんなにも平凡な果物なのに。
そりゃあ、一昔前は高級な果物とされて時期があったらしいが、今は簡単に手に入るのだ。
誰でも口にできる食べ物が、いやらしい意味を持つなんて変じゃない?
小枝子は、ゆっくりと丁寧に皮を剥いていった。
その視線はバナナに向いているが、頭の中では、自我との激しい妄想合戦を展開している。
バナナが、ほどよく食べやすい状態になると、今度はそれに口を近づける。
小さく口を開けて、その先端まで持っていく。
あんまり大きく口を開くと、意地汚いと思われるかもしれないからだ。
パクリとその先っぽを含んだ後、すぐには食べずに、一度口を離すと、先っぽをペロっと舐めた。
これだけでは味が分からないので、同じ動作を数回繰り返した。
ペロペロペロと舐める事によって、だんだんと舌がその味を理解しはじめる。
今度は、口に含んだ後に、そのまま咥えられる限界まで挑戦してみる。
これもまた、口に含んでは戻し、また含んでを繰り返す。
少しずつ舐め溶かして食べる小枝子。普段は、こんな食べ方をしたことなんてないのだ。
彼女としては、なるべく上品に見えるように食べているつもりだった。
いつしか、片手で持っていたバナナを両手持ちに切り替えて、愛おしそうに口に含んでいた。
「むぐっ」無理をして咥えた為、小枝子はゴホゴホと咳をした。
彼が、大丈夫かと声をかけると、涙目になりながらも笑い返し、小枝子はバナナを食べ続けた。
競泳水着の女子高生は、たった一本のバナナを食すのに、5分も時間をかけた。
……ふう」
無事に(?)バナナを食べきった小枝子。
その顔は火照っていたが、満足そうに笑顔な笑顔だった。
彼の顔を見る。ベッドの上で座っている彼を見る。
とても興奮している彼の顔を見ると、小枝子はより一層、満足感を得た。
小枝子自身も興奮していて、体は快感を覚え、乳首が立っているのが良く分かった。
このままじゃマズいかも……。
身につけているものが、とても心許ないものだと気付いた小枝子は、急いで制服に着替える必要
に駆られた。
このままでは、彼にいやらしい女の子だと思われてしまう。と、思ったのだ。
「もういいよねっ!私、着替えるから!」そう言って、勢い良く立ち上がる小枝子。
そして、そのままぶっ倒れた。
・・・・・・
「神無月さん?!」
ずっと小枝子を見ていたはずの彼は、彼女がいきなり倒れこんだので、行動が追いつかなかった。
急いで、突っ伏している小枝子のもとに駆けよる。
小枝子の体は、かなりの熱を帯びていた。
どうやら小枝子も、流行り風邪に罹っていたようだ。
おそらく、クラスメイトの誰かにあてられたものだと思うが、彼は、自分が風邪をうつして
しまったのだと考えた。
何て事をしてしまったんだろう。彼女は自分が守らなくてはいけない、大切な人なのに。
罪の意識に苛まれた彼は、小枝子を自分のベッドに移すと、なんとか熱を冷ます方法を考えた。
うんうんと唸っている小枝子。
そんな姿を見ていたら、とても自分の風邪のことなんて気にしていられない。
さっき自分が倒れた事も忘れ、彼は、小枝子の為に氷嚢を作ってあげた。
「ありがとう……」
「救急車を呼ぼうか?」
「ううん、大丈夫。迷惑はかけられないもの」
小枝子は、たかが風邪のために病院に行くのを嫌がった。
だいぶ昔の事だが、風邪で病院に罹った際に、座薬を入れられた苦い経験があったのだ。
まさかとは思うが、今度も同じような事をされたら、生きていけないかもしれない。
「分かった。でも、動かない方がいいから、家に居てくれ」
「うん。ありがとう」
小枝子は苦しそうな表情で答えた。思った以上に、熱は高いらしい。
発汗が激しいので、なんとか水分を摂ってもらえるように促すが、今は飲み込む元気もないようだ。
とりあえず、今できる事をやろうとする彼は、なんと小枝子の着ている水着を脱がしだした。
水着を腰元まで脱がすと、なるべく見ないように努めながら、体の汗を拭きとっていく。
顔を上気させている彼女の体を拭くという行為は、こんな状況にもかかわらず、彼を興奮させた。
特に、腕を上げて脇の下を拭く時や、おっぱいを手で持ちあげて拭く時は、どうしても勃起してしまった。
それから1時間ほど経った。
相変わらず熱の下がらない小枝子。
そんな彼女を見続けた彼は、ついに最終兵器を使う事にする。それは小枝子の苦い経験の元。
すなわち『座薬』だった。
座薬。
その効能は、彼が一番良く知っていた。だから彼女にも自信を持ってお勧め出来る。
問題は、小枝子が女の子だということだった。
「神無月さん」
「……なに?」
「これ、見える?」
「……なに?それ」
「これはね、座薬と言って……」
彼は、小枝子に座薬の説明をする。
小枝子は座薬の存在を知らないわけじゃない。むしろ、経験者だ。
しかし、熱のため意識が保てず、頭が回っていなかった。
「神無月さん、コレ、自分で出来る?」
「ハア…ハア……なに?」
「コレを、お尻に入れるんだよ」
「……うん」
「出来る?」
「……うん」
「出来ない?」
「……うん」
朦朧とした状態の小枝子。
彼の前で、裸に近い格好になっているのにも気がつかず、返事すらもあやふやだ。
もう、なりふり構ってはいられない。
こんなに弱っている彼女の姿を見ていたくないし、今から救急車を呼んでも時間がかかる。
ここは思い切って、自分が座薬を入れてあげなくては!
「神無月さん、ごめんね。すぐ済むからね」
「……うん」
彼は、小枝子の体をうつぶせにすると、腰元まで下げられた水着を下ろす。
今度は足先まで水着を移動させると、お尻が完全に露出した。そして、彼女の腰を両手で抱え上げ、
お尻を高く上げた状態にする。
こうして、やっと座薬が入れやすい状態にする事が出来たのだが……。
目の毒だ……。そう彼は思った。
神無月小枝子の股間を見るのは、これが初めてではない。
あの日、チョコを受け取った際も、彼女の股間は飽きるほど拝んだ。というか舐めた。
またこんなふうに拝める日が来るなんて、思いもよらなかった。
彼は、こんな時に疚しい考えを起こした自分を恥じた。でも目は離せなかった。
座薬の入ったケースから、本体を取り出し、狙いを定める。
小枝子のお尻の穴がハッキリ見える。その下の、薄い毛が生えている割れ目も。
ツプッ。
座薬をお尻の中心のすぼみに挿した。
だが、上手く入らない。プス、プス、と何度も繰り返す。
その度に、小枝子の声にならない声が聞こえてくる。おかしい。どうして上手く入れられないのだろう……。
彼は、小枝子のお尻の穴を見つめ、悩んだ。
彼は、小枝子の尻たぶを掴むと、ぐいっと開いた。
こうすれば、入れやすくなるだろう。そう考えての事だ。
だが、その期待を裏切る様に、彼女のお尻の穴は座薬を拒否し続けた。
しばらくの間、彼は、ジッと小枝子の股間を見つめていた。
熱にうなされているせいで、ピクピクと微動を続ける部分を見ていると、
彼はある事に気が付いた。
もしかして彼女は、座薬を入れる際に息んでしまっているのではないか?
息む。つまりはうんこを出す時の動作だ。もしそうなら、座薬を入れるのは難しいことになる。
それを確認する為に。
そう。その為だけに彼は、人差し指を小枝子のお尻の穴に突っ込んだ。
くにっ。 ふにふに。 グググ……。
駄目だ。やっぱり押し出そうとしている。
まず指を入れて大きめの穴を作り、その後なら座薬も入れやすいかな?と思ったのだが……。
小枝子は、相変わらず苦しそうな顔を作っていた。
熱のせいもあるが、今の体勢も結構きつい。そして、あまり意識がないが、
彼に座薬を入れられようとしている事も考えれば、三重苦と言ってもいいかもしれない。
「神無月さん……」
彼としても、これ以上彼女を苦しめたくはない。だからといって、自分以外に
彼女を助ける人はいないのだ。
どうしたものかと悩んでいる彼に、ある閃きが生まれた。
上手く挿せない?どうしてだ?
それは、濡れていないからじゃないか?
潤滑剤を使えば、通しにくい穴も通るようになるんじゃないか?
そう考えた彼は、持っていた座薬の先端をペロリと舐め、唾液を塗布した。
これでいい。こうすれば、挿しやすくなる。
彼は意気込んで、小枝子の股間に座薬を挿した。
「あんっ!」
間違えた。
『挿す』とか、『濡れて』とか、『潤滑剤』とか考えていたせいで、狙いを女性器にしてしまった。
「ごめんね、神無月さん」と心の中で謝って、彼は正しい穴に狙いを変えた。
今度は上手く入れる事が出来た。
さあ、ここからが正念場だ。座薬を入れても、すぐに出されたら意味がない。
彼は座薬を入れた後、すぐに自分の指で栓をした。
第一関節くらいまで指を入れて、そのままの状態を維持する。
生温かい感触が指から伝わってくるが、そんな事は気にしていられない。
座薬を入れた瞬間から、小枝子が苦悶の表情を浮かべ、さきほどまでとは異なるタイプの汗を
出し始めた。おそらく脂汗だろう。
座薬のせいで、排泄欲が生まれているのだ。だが、それを許すわけにはいかない。
小枝子は何度も体を揺すり、お尻の中に入った異物を出そうとしたが、その度に彼は、
彼女の尻たぶを掴んで静止させた。
座薬が溶けただろう。という目安の30分程度、彼はずっと、小枝子のお尻の穴に指を挿入し続けた。
・・・・・・
あれから、どのくらいの時間が経っただろうか。
小枝子はいつしか、安らかな寝息を立てて眠っていた。
彼はといえば、長い間入れ続けていた指を、綺麗に洗っている最中だった。
匂いはなかなか取れなかった。
何度も匂いを嗅いでは、その度に洗うという動作を繰り返し。
やっとの事で、石鹸臭が勝ったところだった。
彼女の排泄孔の匂いを知ってしまった事に、いまさらながら背徳感が湧きあがる。
だが、他に手はなかったのだ。それに、後悔なんてしていない。
この前の体験と同じく、この匂いも、一生忘れられそうになかった。
ピンポーン
突然、家のチャイムが鳴った。
今の時刻は、もう9時を回っている。一体誰だろう?
ドアを開けると、そこに立っていたのは藤堂由紀だった。
「もしかして、ここかな〜?と思ったんだけど……」
そう言って、ずかずかと上がりこむ由紀。
「ちょっと!理由だけでも言ってくれよ」
「小枝子よ。居るんでしょ?靴があるしね」
「どうしてそれを?」
「あんたね〜こんな時間まで小枝子を連れ込むなら、親に連絡しときなさい」
「えっ……あ、ごめん……」
由紀が、小枝子の親からの電話を受けたのは、今から少し前。
即座にこの場所に居ると分かったが、あまり心配をかけたくないだろうから、自分の家にいる
事にしたのだ。だから、小枝子には今すぐ家に帰ってもらわないと困る。
「ああ、いたいた。何?エッチしてお休み中?いい気なもんね〜」
気持ちよさそうに、布団にくるまっている小枝子を発見する由紀。
たとえ由紀でなくても、彼の部屋のベッドで寝ている姿を見たら、そう思ってしまうだろう。
「サエ!起きなさい全く!!」
「ふぇ……ユキ……?」
「何があったのかは、後でたっぷり聞かせてもらうから、早く起きなさい」
「……私も、あんまり記憶が」
「何言ってんの?」
由紀が勢いよく布団を取る。思った通り、すっぱだかの小枝子がそこにいた。
一体どれだけ楽しんだのだか……と、考えた由紀だったが、
「これは予想外だわ……」
「……あれ?私、どうして裸なの?」
由紀は、小枝子の声など聞いていなかった。
彼女の関心は、ベッドシーツに注がれていたのだ。
そこにあったものは、誰が見ても分かるくらいにハッキリとしたものだった。
「あんた……その歳でスカトロに目覚めたの……?」
愕然とする由紀。座薬を入れている間、おしりの穴を刺激し続けたせいで、小枝子は
知らず知らずのうちに漏らしていたようだ。
しかし、誰よりもそれに驚いたのは小枝子だった。
ついでにさっきまでの記憶も蘇り、彼女は今度は真っ青になって倒れた。
小枝子が気を失ってしまったので、由紀は彼女をベッドから降ろし、
とりあえず目立つ排泄の後を綺麗に拭いた後、なぜか部屋の外に置いてあった制服を着せた。
とはいえ、いくら友達とはいえ尻ぬぐい(文字通り)をするのは嫌だったので、拭く作業や
後始末全般は、彼にさせた。
彼が小枝子のお尻を拭いている時、やけに広がっているお尻の穴が見えたので、
「何をしたら、こんなに大きく広がるのかしら?」と思いながらも何枚か写メを撮り、
腹いせに、部活の先輩たちに一斉送信した。
・・・・・・
「サエ!サエってば!」
由紀に揺さぶられ、小枝子はどこか既視感を覚えながら目を覚ました。
「ユキ……。私、一体……」
「うん、まあいいから帰ろう」
時間はもう10時になっていた。
やれやれ、どう言い訳しようかしら……。由紀はまだ、気苦労が絶えそうにない。
これは、自分が小枝子を焚きつけた罰なんだろうか?
一向に進展しない2人の仲を、無理矢理にくっつけようとした報いにしては、少々重い罰ではないか?
この時の由紀は、まさか小枝子が彼に座薬を入れられ続けたなんて、思いもよらなかった。
しかし、変態趣味があると思いながらも、友達でいてくれる彼女はとても良い子だと言える。
無断で撮った写メを先輩達に送らなければ、なお良かった。
「じゃあ……」
「うん。神無月さんが元気になってよかった」
「……あの事、誰にも内緒だからね」
「分かってる」
「あと……汚してごめんなさい」
「いいよ、気にしないで」
と言いつつ彼は、今日の寝床をどうしようかと悩んだ。
部屋に充満している彼女の臭いは、そう簡単に取れそうにない。
「早く帰ろう」と急かす由紀を尻目に、小枝子と彼はまだ、語りたい事があるようだ。
その理由は、少し涙ぐんでいる小枝子の表情を見れば分かる。
あんなみっともない格好で、あんなみっともない醜態を晒してしまったのだ。
どう考えても、嫌われたに決まっている。
「あの……私……」
顔から今にも火が出そうな小枝子。
そんな彼女に、彼は何を言おうか迷って、こう答えた。
「明日はチョコをあげないほうがいいかな?」
「……ホワイトデーの事?」
「うん。アレがあったから、チョコは食べにくいかと思って……」
アレ。
そう言われれば、連想出来なくもない。お菓子業界には致命的なイメージダウンだが。
「だからさ。別のものあげてもいいかな?」
「……私の事、嫌いになったんじゃないの?」
「神無月さんの事が嫌いなら、あんな事はしないって!」
「……うん」
どう言われようが、今はとても気分が盛り上がらない。
そう容易く、払拭できる問題ではないのだ。
「あ、でもホワイトチョコならいいかな?」
あれなら、色からの連想が不可能なので……と、彼は言う。
目の前で、自分の為にうんうん唸って考えている彼を見て、小枝子は少し
元気を取り戻した。
「私、なんでもいいよ」
「本当に?でも……」
「うん。だから、プレゼントしてくれるなら何でもいいから」
「分かったよ」
小枝子がそれ以上何もいわないので、彼も承諾した。
と思いきや、
「じゃあ、バナナをあげるよ!」
「……え?どうして?」
「好きなんじゃないの?バナナ。すごく美味しそうに食べてたから」
「……あ、あれはっ!」
競泳水着を着て、バナナを愛おしそうに食べた小枝子。
確かに、大好きに見えただろう。何に模しての食べ方かは言及しなければ。
「いいかな?」
「……も、もらえるなら、何でも……」
尻すぼみに答える小枝子。その頭の中では、よからぬイメージが交錯している。
「あっでも、それだけだと安いから、やっぱりチョコも」
「……う、うん」
「大丈夫。ホワイトチョコをあげるから」
「……ぅ、うん」
「決まり!チョコとバナナをあげるから、明日楽しみにしてて!」
「………………ぅん」
小枝子の頭の中には、昨夜見た夢の情景が、克明に映し出されている。
由紀が、「早くしろバカップル!!」と吠えていているが、そんな事どうでもいい。
今日の夢は、前よりもっと凄いものが見れそうだ。
それこそ、今日の悲劇を塗り替えるくらいの、を。
・・・・・・
帰路。
「ユキ。彼、仮病じゃなかったよ」
小枝子は気になっていた話題を切り出した。元はと言えば、それが発端だったからだ。
「そうなの?元気そうだったけど……」
「それは、治りかけてたからだよ」
「……ねえサエ、もしかして風邪引いてる?」
「どうして?」
「顔がずーっと赤いままだから」
小枝子の熱は、もうほとんど引いていた。今の火照り顔は、まだトリップ半ばの状態だからだった。
「大丈夫?明日、学校休まないわよね?」
「うん、もちろん」
休むはずがない。もう彼にプレゼントを貰う約束をしているのだから。
今日がホワイトデー当日じゃなくて、本当に良かった。
もしその日なら、バレンタインに引き続き、ろくな事が起きない日というジンクスが付いてしまう。
幸いにも、彼に嫌われることなく迎えられるホワイトデーの日を、小枝子は心待ちにしたのだった。
・・・・・・
次の日。
つまり、ホワイトデー当日。
小枝子が学校に行くと、彼が元気に登校している姿が見えた。
昨日、熱がありながらも自分を看病してくれた彼を、小枝子は心配していない訳ではなかったのだ。
その件は、小枝子の杞憂に終わった。
その代わりと言っては何だが、風邪の他に、あるものが学校で流行っていた。
由紀が昨日撮った写メが、いつの間にかクラス全体に行き渡っていたのだ。
一体誰が広めたかなんて分からない。先輩に送られた小枝子のお尻の穴の画像は、
巡り巡って、校内のほぼ全ての人が知っているらしかった。
もちろん顔は写っていないし、そう言われなければ、何の画像かも分からない写真だけど、
男の尻の穴ではない事は、そこに写っている性器の形から、容易に想像できた。
小枝子の問題は、この日を境に繰り広げられる『謎のお尻の穴画像』論争に、どれだけ無関心を
貫き通せるかという事だ。
おそらく、学年が上がっても話題にのぼるであろうこの論争。
彼女はどうする事も出来ず、ヒヤヒヤしながら俯いて、それを見守っているしかないのだった。
おわり。
終わりです。
>>317さん、支援ありがとうございました。
時期イベントネタもありかな〜と思って書きましたが、
露出という点では弱いですね……。
後半単体で「そこは違う穴!」スレに投稿すべきだな
間違いない
>>330さんへ、
露出に括って話を展開するのは難しいですね……
スレ違い投稿、失礼しました。
もっと上手く話が練れるようになりたい……。
ぜび一度ベタなシチュのを書いてもらいたい
着替えの下着がない!みたいな展開からの股間露出とか
>>332さんへ、
そういうシチュ大好物です。
今書いている混浴話含め、書けたら必ず投下します。
500KBに近いけど何も起こらないな
板の仕様でも変わったのか
500KB近くなったからって今も昔も何も起こらなかったと思うけど・・・
何が起こると思ってたの?
次スレ立てる?
>>336 >「オレンジ」datのサイズが480kbを超えたスレッド
俺の使っている専用ブラウザにはこんな機能があるので
落ちかかっているスレはすぐ分かるんだけど
今回は働いていないからスレの仕様でも変わったのかなと言う話
ネタかぶりを気にして執筆を躊躇している作者の皆様
気にしなくていいのでどんどん投下してもらっていいですよ
定番のネタも大歓迎です
異論も無いみたいだし行ってくる
341 :
340:2014/03/16(日) 21:25:21.68 ID:zprWlJmp