フェニックステイルの第十一話を投下します。
紹介は当面、前スレ
>>452を参照願います(後日、最新版の拙作紹介を用意する予定です)。
今回もエロ場面はありません。今しばらくお待ちください。
『スコット――スコット! 大丈夫か!? ああ、もうダメかと……っ!』
『う、うう……っ、班長……? ああ、そっか。あのときザクに吹っ飛ばされて……。ジオン残党には技術や経験とMSの性能で負けてても、ガッツじゃ負けないつもりだったんッスけどねぇ……』
ジオン残党のザクUに人質に取られていたボールを曳航して警備会社のGMに引き渡すと、GMのパイロットは自身の負傷も構わずにボールのハッチへ飛びついてきた。
そしてハッチを開放するとその幼い声の女性パイロットを抱き起こし、直接にその無事を確かめたのだった。
『ボールのパイロットは無事だったようですね。何よりです』
『ああ。本当に、救援を感謝する……本当に、本当にありがとう』
フレームの歪んだボールを送り届けてきた、自らもボロボロの見た目になっているGMU22のパイロット――マコト・ハヤカワ准尉は感極まった警備班長に、あくまで淡々と返答した。
『いえ、何。古いGM乗りの間には、ボールは友達、という箴言がありましてね』
『?』
『宇宙に出てボール乗りが困っているのを見かけたら、他部隊だろうが何を置いても助けに行くものだという不文律があったんですよ。
――まあ近くのボールを助けようともしないパイロットに、GMに乗る資格などないということでしょう』
『ボールは友達、か。うちの部隊では、その箴言とやらは聞いたことがなかったな……だが、確かにその精神は同じだった。
嬉しいよ。七年経った今も、あの頃と変わらない本物のGM乗りに会えて』
澄まし顔で言ってのけたマコトに、警備班長はどこか遠い場所を懐かしむような口調で答える。
機体を半壊されてただ戦闘の行く末を見守るしかなかった彼は、目の前のGMUがジオン残党に人質に取られた部下のボールを最後まで見捨てなかったことを知っていた。
『ここまでジオン残党を跳梁させているのは、今の連邦軍の責任でもあります。あの後も軍に残った者としては、淡々と責任を果たしていくだけです』
『そうか……。そっちの作業もいくらかはこっちで手伝えると良かったんだがな』
『無理は禁物ですよ。そちらのボール隊の推進剤、もうあまり残っていないでしょう。残骸の回収はこちらで済ませておきます』
見上げるGMU22の視線の先では、配下のGMU三機が緩やかにスラスターを噴かしてゆっくりと機動しつつあった。
『おらシュン! ダメコンは利いてんだろ? 片腕ぐらい上がんなくたって、残骸回収程度は出来るだろうがよ!』
『せ、整備と応急修理よりも優先ですか……!?』
『当たり前だアホ! 後始末もせずに皆より先に一息つこうって甘えてんなら、後で修正ブチかましてやっかんな!?』
半ばヤケクソ気味で指図するロブ・サントス伍長に押されるようにして、シュンのGMU23とアイネのGMU25は戦場跡に散らばるデブリの回収作業に駆り出されていた。
『クライネ伍長もだ! エゥーゴの裏切り野郎の一機やそこら仕留めたからって、それで任務は終わりじゃねえんだよ!』
『あっ、……はい……』
エゥーゴ艦ジャカルタとその艦載機部隊が完全に去ってからというもの、どこか様子のおかしい新参の後輩もロブは平等に叱責した。
それには単純に手早く目の前の仕事を終わらせる必要があるということの他に、自分たちを差し置いて撃墜数一を稼いだ新参者の増長を牽制するという意味合いもある。
だがロブはそれ以上に、彼女のことを気にかけてもいた。
「困るんだよな。そういつまでも、腑抜けられていちゃあよ……」
ちょっとした呼びかけにも反応の鈍さが見え隠れする今のアイネの様子は、明らかに戦闘までとは違っていた。
戦闘で受けたショックの影響など考えなくても分かる。気合いを入れ続けてせき立てることで、抱えた傷を少しだけでも忘れさせてやる必要があるはずだった。
気持ちは分からなくもない。
あからさまに地球連邦の敵でございますと顔に書いてあるようなジオン残党軍が相手ならまだしも、敵は仮にも同じ連邦宇宙軍を名乗りながら、多少の改装が施されていたとはいえ同じGMUで襲ってきた。あくまで表向きには『事故』の体裁を装いながら。
そんな相手を返り討ちにして撃墜したところで、後に残るのは何とも言いようのない後味の悪さだけだ。
敵か味方かもはっきり分からない曖昧な相手との、どこまでが戦闘でどこまでが建前になるかも分からない曖昧な接触。
それは教本で学んだ国家の正規軍同士による正面衝突たる一年戦争や、その後に繰り広げられてきたジオン残党勢力相手の対ゲリラ戦とも異なる、まったく新しい形態の戦闘だった。
地球連邦の内部から反乱分子を集めながら、各地のジオン残党をも併呑し、ますます勢力を強めて台頭しつつあるという反地球連邦組織エゥーゴ。
今回の事件はトラキアにとって、ほんの始まりに過ぎないのかもしれない。
自分が新しい時代の入り口へ押し出されつつあることを否応なしに思い知らされ、ロブは深い溜息を吐く。
「せっかくとっ捕まえた残党連中は奴らに持って行かれちまったが、まあ……誰も殺られなかっただけ、良しとすべきなのかねぇ……」
先手を取って猛攻してきたリックドムとの、苛烈な射撃戦の記憶が肝を冷やす。シュンとの二人掛かりでようやく撃破に成功したが、相当に手強い相手だった。
自分たちがそちらに気を取られていた間に突入してきたザクUとドラッツェは、マコトとアイネが撃破していた。こっちの敵が弱かったのか、それともあの二人が強かったのか。
後者だろうな、とロブは思う。
人質を取ってからの不意打ちで至近距離から降り注いできた、集中射撃の弾幕をあっさりと凌いでリックドムを斬り捨てたマコト。
凶暴な操縦でシュンを手玉に取って追いつめていった改装型GMUの真正面へと飛び込むや、ビームサーベルでコクピットを一突きにして仕留めたアイネ。
元からその実力に底知れないところがあった美人小隊長はまだしも、新参の可憐な美少女までが並外れた反応と戦果を示してみせた。
会ったばかりの印象では、少し内気で控えめな感じのする、やや地味な感じながらも素晴らしく可愛い――それもパイロットスーツの胸を激しく突き上げて自己主張する、すこぶるつきに大きな乳房が魅惑的な美少女だった。
そんな彼女に目の前で死なれていれば、たいそう寝覚めが悪かっただろう。
だが逆に、アイネがあの難しい局面で果敢に動いてシュンを助けながら、同時にエゥーゴのMSを瞬時に一機撃墜したという事実も、ロブを悩ませるには十分すぎた。
「勘弁してくれよ……」
今のロブはアイネに対して、どう声をかければいいかが分からない。
シュンを助けて敵機を撃墜したことを素直に称えるべきか。
そのため勝手に持ち場を離れた結果として、苦労して捕獲したジオン残党のMSをエゥーゴに奪わせてしまったことを咎めるべきか。
半分は連邦軍らしいエゥーゴなどというわけの分からない敵のパイロットを殺したことについて、思い悩んでいるかもしれない彼女に何か慰めの言葉をかけるべきなのか。
シュンに対しても同じだ。とにかく生き残ったことを労うべきか、よその部隊から新参してきた後輩の抜け駆けなどに救われたことを責めるべきか。
それらすべてを先達として背負い込むには、ロブ・サントス伍長はまだあまりにも若すぎた。
『オラオラ、ボサッとしてんな! とにかく拾える部品はぜんぶ拾う! それがジオン残党の手がかりにもなるし、俺たち自身のためにもなるんだよ!』
だから今のロブは、とにかくわめき散らして二人を追い立てていくしかなかった。彼が今ある現実の重さを忘れさせてやりたいと思っている相手は、二人の後輩だけではないのだ。
「よっ、と……」
そんな彼らがGMUのマニピュレータを駆使して拾い上げていくのはもっぱら、先ほどの戦闘で情け容赦なく引きちぎられたジオン残党MSの残骸だった。
当のパイロットたちの身柄をエゥーゴ戦艦ジャカルタに奪われてしまった今、それら遺棄されたMSの残骸だけがジオン残党組織に関する数少ない手がかりである。収拾し分析する必要があった。
出来あがったばかりのめぼしいデブリを次から次へと回収しながら、ロブが回線にため息を吐く。
『しかし、くそ、けっこう爆発して細かくなっちまってんのが多いな……これじゃ大して銭にもならんぜ』
『えっ、……銭?』
ロブの愚痴を聞き咎めて、思わずシュンが聞き返す。
『たりめーだろ馬鹿。こちとら慈善事業やってんじゃねーんだからよ。ただでさえ上からの予算も補給も渋くなってるところに、自前の持ち出しだけで任務続行してられるほど今の連邦軍は甘くねーんだよ。
トラキアの格納庫で整備班が中心になって奴らの残骸から搾り取れるだけの情報を搾り取ったら、使えそうな部品はバラして取り置き、あとはジャンク屋に流してポッポナイナイよ』
『で、でも、本気でジオン残党組織の情報を取るなら、艦の格納庫なんかより、もっと設備の整った後方の施設へ回して見てもらった方がいいんじゃ……』
『だからそれじゃあ、俺らがただのタダ働きになって終わりだろうが! ンなきれいごとだけで部隊は回んねえし、トラキアもGMUもマトモに動かせやしねえんだよ!』
『えっ、えええ……っ』
シュンは思わず顔面を引き攣らせながら、視界の端で淡々とデブリを集め続けるアイネ機を捉えていた。操縦者の感情を感じさせない、その淡々とした機械的な挙動を。
自分を守るために命がけで彼女が前へ出てくれて、その結果、勝利と引き替えに何かしらの傷を負ったことはシュンにも分かる。
いま思い出されるのは、愛機GMU25を申し送りながら奪われたとき、最後に直接会ったときの、頑なに自分の殻を閉ざそうとする少女のどこか悲しげな俯き顔だった。
あの少女が、自分を守ってくれたのだ。
一度は衝動と欲望のまま、彼女を傷つけ辱めようとした自分を。
彼女のために、自分に何が出来るのだろうか。
いくら思考を巡らせても、思いに答えは出そうになかった。
「GMU24、サントス伍長より報告。残骸回収作業、五分以内に終了します」
「甲板班、カタパルト甲板上にドラケンで展開完了。いつでも残骸受領できます」
トラキア艦長席のリドリー・フランクス大尉は、もはや傍目にも分かるほど不機嫌な表情のまま、次々に入る報告を無言で受けていた。
エゥーゴ戦艦ジャカルタの反応がトラキアのセンサーで追えなくなって三十分後、リドリーは艦内の配置レベルを引き下げていた。非直だった乗員の多くは自室や食堂、酒保などに引き上げている。
だがトラキア艦長の表情だけは、未だに厳しいままだった。むしろジオン残党やジャカルタとの接触中よりも、今の方が話しかけづらい雰囲気を醸し出している。
艦長席前の艦橋主モニターへ大映しになって出ている、リドリーの上官――第223戦隊司令リード中佐とのレーザー映像回線が、今の不機嫌さの元凶だった。
『おう、いまデータの受信が終わったようだ。しかし、そうか。こんな辺境にまでとうとうエゥーゴの艦が来たか、リドリー』
「ええ。しかもデータにない新型戦艦です。マゼラン改よりでかいうえに、MSデッキとカタパルトを二組も付けていました。MS格納庫も相当大型のようです。今回出してきたMSは八機だけでしたが、中にはまだ隠し玉をしこたま仕込んでいたでしょう」
『マゼラン改よりでかいと来たか。アレキサンドリアよりもか?』
「あれとは同格でしょうね。艦載機のほうもデータベースにない新型ばかり、三機種を確認しています。こちらで拿捕したジオン残党勢力の奪取を狙って、事故の体裁を装って仕掛けてきたところを一機、返り討ちにしてはいますが――」
『ほう、エゥーゴの新型機を返り討ちに? あのきれいどころがやったのか?』
「いえ、例のアバリスから拾った新人です。さっそく良い働きをしてくれました」
リードの言う『きれいどころ』がトラキア乗員でも最古参の部類に入るMS隊長であることは容易に想像できたが、リドリーはいつにも増しての仏頂面で上官の憶測を否定した。
『ン? なんだ、そうなのか……しかしアレだな。お前のところのハヤカワ、大ベテランの割に戦果はいまいち振るわんな。あれだけ実戦経験があって、いまだにシングルエースにも届かんのではな。
それで生き残っているからには、そう無能というわけでもないのだろうが。あれでもっと撃墜数を出していれば、うちの艦にでも呼んでやるんだがな。少なくとも目の保養にはなる』
「ハハハ。司令、ご冗談を」
リドリーは口元だけで乾いた笑い声を上げる。目は笑っていない。額に立った青筋は制帽の陰に隠れて見えないはずだ。
「あれと本気で戦うとなれば、本艦独力では不可能です。戦隊の総力を挙げる必要があります。全艦を結集して一気に叩くべきかと」
『リドリー。戦隊の現状は知っているだろう?』
話題を戻してきた部下に、リードは呆れたように言葉を吐いた。
『戦隊は今の任務だけ、ジオン残党の相手をしてやるだけで手一杯だ。このうえエゥーゴなんて余計な連中まで始末に負えるか』
「……しかしエゥーゴは、明らかにジオン残党との連携を図る姿勢を見せています。早急に叩かなければ、ここを連中の根城にされる危険すらあります」
『いいから落ち着いて話を聞けよ、リドリー。誰も手を打たんとは言っておらんだろうが』
「……と言いますと?」
『古来より、毒を制すには毒を用いるが常道だ』
主モニターで、リードは笑みを深める。
『エゥーゴが来たって? 大いに結構なことじゃないか。これでこちらも大手を振って、あの連中を呼んでこられるってものだ』
「まさか、……司令……」
『《ティターンズ》に通報した』
「…………」
リードの唇が歪み、リドリーの口許が引き攣る。
『情報提供に感謝する、とよ。ただちに部隊を寄越すそうだ。これで戦力の件はクリアだな、リドリー?』
ティターンズ。
デラーズ紛争後、ジオン残党勢力の掃討を目的にして地球出身者によって編成された特殊部隊。
その規模と権能は拡大の一途を辿り、今や押しも押されぬ地球連邦軍中枢のエリート集団と成り果てている。
そして、宇宙居住者への理解に乏しい地球出身者の将兵がしばしば宇宙で乱暴狼藉を働きがちなことや、組織そのものがスペースノイド全般へ敵意を向けるかのように振る舞っていることも、リドリーは知っていた。
「司令、……毒蛇を家に入れると仰せですか……」
『人聞きの悪いことを言うな。単に時流を読んだだけだ。ティターンズは間違いなく、これから連邦軍の主流になる。なら、今のうちに顔を繋いでおいたほうがいい……おい、俺たちにもようやく運が向いてきたと思わないか?』
口の中が急激に乾いていくのを感じながら、リドリーは楽しげな上官をただ能面面で見つめている。
『そうそう、そっちから頼まれたデータも転送してやったし、もうすぐ補給のほうも届くはずだ。忙しくなるぞ、リドリー。ルナツー時代を思い出すな?』
リードとリドリーは一年戦争当時、ルナツー艦隊に所属するサラミス級巡洋艦の若手艦長としてともに『ルナツー冬の時代』を戦い抜いた先輩後輩の間柄だった。
多数のMSを擁する圧倒的に優勢なジオン艦隊相手に艦砲とボール、時にはノーマルスーツの白兵戦まで繰り出しながら死力を尽くしてゲリラ戦を挑んだ、悪夢のような日々。
多くの部下が虫けらのように死んだ。二度と思い出したくない。
『たかが中尉と新品少尉ごときが、いきなり巡洋艦を任せられたんだ。あんなこと、平時じゃ絶対にあり得なかったよな。
また今度も来るぞ、ああいうでかい荒波が。もう乗るしかない。乗ってあの後、俺たちを追い出しながらルナツーに居座ったような連中を見返してやるのさ――俺もお前も、こんな辺境でこのまま朽ち果てていいタマじゃないんだからな』
「……万全の、準備を……整えておきます」
『頼むぞリドリー。また追って連絡する』
リードが回線を切ると、操舵士の青年や通信士の娘らが遠巻きのまま、ちらちらと艦長の様子を窺う。
「エゥーゴに、……ティターンズだと……?」
砂鉄のような言葉を吐き出す。
主モニターの映像回線が切られて数分が経っても、リドリーはなお凄まじい眼光で、主モニターを撃ち抜くように睨み据えていた。
今回は以上です。
なおスレ移行に伴い、拙作を第一話から少しずつ修正しつつ、
試験的にPixivへの保管作業を開始してみました。
ご興味がおありの方は、フェニックステイルで検索してご覧ください。
今まで気づきませんでしたが、512KBではなく500KBでスレの書き込みはストップしてしまうのですね。
前スレを半端に止めてしまったことと、この新スレ立てが遅れたこと、重ねてお詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。
GJ!
悪い、Gガンダム最終回だけど、レインがコアになったデビルガンダムだけど、
止められる存在がなければ、宇宙全体をDG細胞で感染させ、レインは死ぬこともできなく
永遠にウルベの道具にされてたわけじゃん
そういう、IFパターンの絶望的な未来のSSある?
無い
自分で書くべし
あは〜ん
↑は前スレの過去ログをまるまる転載しているらしいURLを書き込んだところ、削除されてしまったようです。
前スレのログを見たい方は『ガンダムヒロインズ ]W』で検索してそのURLまでたどり着くか、
Android環境なら2chmateとdatmateで閲覧されるのがよろしいかと思います。
うむ
ISAP氏復活祈願
そういえば宇宙世紀の避妊技術ってどのレベルなんだろうか…。
まだゴムが現役なのかアフターピルが一般なのか
ゴム現役を信じて書く!
22 :
20:2013/12/15(日) 22:25:08.54 ID:bbLdfxHo
>>21 >>20で期待させていたら申し訳ありませんが、フェニックステイルの輩です。
こちらは年内投下を目処にしている次の次ぐらいの投下で、がっつり本番を書く予定です。
>>22 これは御無礼致しました。
他にも職人様が現れたのかと。
「フェニックステイル」続きを心待ちにしております。
24 :
20:2013/12/15(日) 22:59:40.92 ID:bbLdfxHo
前スレを基準にすると年に一度は投下があったようなので、そろそろ他の方の投下もある頃かと思います。
それまではスレの保守代わりと思って拙作の連投を見逃していただければ幸いです。
Gジェネの投下はあるはず
本当に書き手が一人しかいないわけじゃないよね??
1人見かけたら60人はいると聞いた
金目当てのアホな規制連発や代替エロSS発表媒体の発達でエロパロ板自体の衰退がものすごいので、
もうこれ以上書き手が戻ってくることはないかもね……
29 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2013/12/20(金) 18:53:50.53 ID:6N8vAdCK
ハマジュド(ハマーン☓ジュドー)SSを不定期で投下する予定ですが、宜し
いでしょうか?
ばっちこーい
無重力環境下でのおっぱい描写が、こんなに悩ましいものだったなんて……
32 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2013/12/25(水) 19:55:18.63 ID:BZ0uv+kC
再会 ―ジュピトリスにて―
「三年間は地球は見納めだね」
ジュピトリス2の展望室の窓越しでジュドー・アーシタは遠ざかる地球や月面
都市フォン・ブラウンを見て感慨深く、言った。
「色々とあったわね、ジュドー」
隣にジュドー・アーシタと同じガンダムチームでZガンダムを駆って、各地を
転戦したエゥーゴの女性パイロット、ルー・ルカがジュドーの顔を覗くと彼の
右腕に手を絡ませ、抱き締めた。
「お、おい。ルー、人が見てるだろ!」
「気にしないの、ジュドー」
付き合いの長い恋人みたく、ルーは発達した胸をジュドーの右腕に密着させる
とルーは顔を見上げてウィンクして微笑んだ。
―そんなのも悪くないな―
ルーの仕草を見て、ジュドーは赤面しながらも彼女の意外な一面を新鮮な気持
ちで見つめた。
無意識にジュドーは彼女の青い長髪に顔を埋め、華のような整髪用の匂いを嗅
いでいた。
「ね…ジュドー。何時でも良いわ、部屋に来て」
彼の胸元でルーは囁くように言い、「本当に何時でもいいわよ!待ってるわ」
と右腕から体を離し、一言伝えると彼と同じ部屋に一足先に足取り軽く向かっ
た。
展望室に一人残されたジュドーは小銭入れから硬貨を出し、自販機でホットコ
ーヒーを買い、一口飲むとホルダーに音もなく置き、窓越しから再び地球を見
た。
美しい姿を保っている地球やそれを取り巻く星々は、第一次ネオ・ジオン戦争
があった事にも関わらず、その姿を以前と同じだった。
だが、多くの血が大河のごとく流され、多くの命が地球や宇宙で星のように散
った。
エルピー・プルやプルツー、マシュマー・セロやグレミー・トト、キャラ・ス
ーンの最期がジュドーの脳裏を過ぎり、彼の瞳から涙が滲み、頬を伝った。
―みんなバカだよ。大人たちの戦争で何で死ななければ無かったんだ―
涙を服の裾で拭い、ジュドーは温くなったホットコーヒーを一気に飲み干し、
空になった紙コップをダストボックスに捨てると用を足す為にトイレへ向かっ
た。
ん? 一区切り?
34 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2013/12/26(木) 21:00:07.33 ID:PcgUwcRV
>>32の続きです。
ジュピトリス2内部の便所清掃はネェル・アーガマと遜色なく、隅々まで手が
行き届いていた。
男性用の便器の前に来ると小便を出し終えて、ズボンの中に戻すと洗面台で手
を洗おうとしたが、ジュドーの瞳が男性便所の壁に寄りかかっているサングラ
スの若い女を捉えた。
黒く艶のある長い髪で、長袖の白いシャツの胸元から覗く白磁のようなキメの
細かいとマッチングし、彼女の美しさを際立たせており、黒のジーパンは彼女
の肉感的なヒップや引き締まった脚を一層、引き出していた。
「お姉さん、ここは男子トイレだぜ。ここを出て右にちょっと曲がった所に女
子トイレがあるよ」
ジュドーは彼女がトイレの場所を間違えたと思い、親切心に女子便所の場所を
教えると両手を丹念に液状石鹸で洗い、流水で泡を流した。
濡れた両手をペーパータオルで拭き上げダストボックスに捨て、便所から出よ
うとした。
便所の入り口にサングラスの若い女が壁から身を離し、塞ぐように立っていた
。
「あの…お姉さん?誰か、人探ししているならオレが手伝うよ。ほら、渡る世
間に何たらとか旅は道連れ世は情けって言う言葉もあるしね」
「お前は優しい子だ。だが、警戒心だけは抱いておくべきだよ」
若い女の笑みと共にアルトの冷たく高圧的な声に、ジュドーの表情から笑みが
消え、体を強ばらせていた。
「あんたは…誰だよ。オレはお姉さんを知らないし、年頃の少年を見つけてい
きなりお前呼ばわりしちゃあ…失礼だよ」
「お前が私を知らなくても、私はお前を知っている」
若い女の言葉にジュドーの翡翠の瞳から警戒の色が浮かび、彼女を見据えたが
内心では動揺していた。
―一体…この女(ひと)は誰だ―
―オレは前にこの女(ひと)と会っている!―
若い女はサングラスを外し、奥に隠された菫色の冷たく鋭い瞳が露わになった
。
吸い込まれるような菫色の瞳に魅入られ、ジュドーは宇宙の最奥部に引き込ま
れる感覚に陥り、一瞬だが現実を見失った。
「そうだよ…ジュドー・アーシタ」
女が彼の名前を言った途端、ジュドーの意識は強制的に現実に戻され、無意識
に後ろに下がったが洗面台に腰が当たった。
「あんたは…ハマーン・カーン!」
戦争終盤、モウサ内部の一騎討ちでジュドーの差し伸べた手を拒絶し、愛機の
キュベレイを内壁に激突させ、散った筈のネオ・ジオンの女帝ハマーン・カー
ンの姿を見てジュドーは唾を飲み込み、見据えた。
35 :
名無しさん2号 ◆N.wmAO5DuU :2013/12/29(日) 20:25:48.70 ID:rP6xfNnN
>>35の続きです。
「幽霊なら足や影も無かろう?」
「あんたは何をしに来た、復讐か!?オレが憎くて復讐するならしても良い、
だが他の人間を巻き込むな!!」
「復讐か…。今の私にはそんな事をする権力(ちから)はもう無い」
激昂するジュドーにハマーンは自嘲めいた雰囲気を漂わせた。
「なら一体…」
「ジュドー、お前に誘われたのだよ。モウサ内部の一騎討ちで敗れた私にお前
は言った…一緒に来いと」
ハマーンの「お前に誘われた」の言葉にジュドーの激昂は収まり、代わりに戸
惑いの感情が現れ、隠そうとしても隠しきれなかった。
「オレがあんたを誘った…?」
ジュドーの脳裏にモウサ内部の一騎討ちでボロボロになった純白のキュベレイ
が閃光に包まれる光景が過った。
「そうだ。内壁にキュベレイが激突する寸前にお前の声が響き、フフ…無意識
にコックピットから脱出した」
脱出の経緯を言い、ハマーンはジュドーの近くに歩み寄った。
「あんた…そこまでしてオレに会いに来たのか」
「女帝の私はモウサ内部で散った。今、お前の目の前にいる私はただの女だよ
」
顔を近づけて唇を重ねようとするハマーンにジュドーは慌ててしまい、赤面さ
せながら「ち、ちょっと待って!」と止めた。
「触れられるのが怖いのか?ジュドー」
「そういう訳でも問題じゃないだろ!公衆の面前で幾ら何でもいきなりキスは
恥ずかしいぜ!」
年頃の少年らしからぬ古風な事を言ったジュドーを、ハマーンは一瞬面食らっ
たが「フフッ」と思わず笑った。
「何が…可笑しいんだよ!」
「老人ならまだしも、年頃の少年らしからぬ古風な事を言ったお前が面白くて
な」
「オレだって人様並みの常識がありますからね!そう言うのは部屋で…」
この先の言葉を言おうとした途端、ジュドーは部屋がルーと相部屋なのを思い
出し、血の気が引き、真っ青になった。
ルー・ルカとハマーン・カーンはエゥーゴの一パイロットとネオ・ジオンの女
帝で、面識は無かったが気性の強さは双方とも尋常では無い。
南極条約で禁止されている化学兵器と核兵器を同時に保管するに等しい行為を
思わず言ってしまったジュドーは背中に悪寒が走った。
「ジュドー。どうしたのだ?」
「へ、へ?あ。そう言うのは人目につかない所でさ、ホラ!個室式のトイレが
あるしね!」
ジュドーの慌てぶりにハマーンは目を点にして見ていたが、これ以上追及せず
、彼女は頷いて承諾した。
彼女がこれ以上追及しなかった事とこの場にルーがいなかった事にジュドーは
内心、安堵した。
>>35 GJです。まさか冒頭からのトイレがけしからん行為の舞台になるとは……
ルーとの三角関係がどう転ぶか、楽しみですな。
年内最後の続き物、第十二話を投下します。
本作はオリキャラ主体、グリプス期の地球連邦軍一般部隊のサラミス改とジムUが舞台のSSです。
第七話までは若干の加筆修正版がPixivに保管されておりますので、ご興味おありの方はフェニックステイルで検索してみてください。
今回はソフト百合? 的な感じでの着衣乳揉みまでです。
注意事項は特にありません。
残念ながら、がっつり本番までの場面展開は年内に間に合いませんでした。
『MS格納庫内与圧完了。コクピットハッチ開放よろし』
コンソールの片隅で上がり続けていた外気圧計表示が基準値に達するとともに、MS格納庫管制からの通信が入った。
僚機とともにトラキアへ着艦し、ジオン残党MSの残骸はすでに甲板班のプチMSへの引き渡しを終えていた。アイネは今、リニアシートにその背を深くもたれ掛けながら、ただ全天周モニターに映る格納庫の風景を見つめている。
アイネが乗るGMU25はすでに融合炉を停止させており、機体もMSベッドにその身を預けていた。自然冷却など期待できない宇宙空間で運用されて熱を溜め込んでくるMSには、稼働の都度に母艦や基地施設での冷却措置が必要だった。
やはりコンソールに表示されている機体温度が順調に低下していくのをただぼんやりと見つめながら、すでに機体格納後の各種点検を終えていたアイネは、僚機から少し遅れてハッチを開く。
「――?」
人の気配を感じて顔を上げた。
機体内外のわずかな気圧差が風を揺るがす中、アイネが見上げた先に、機外風景を背に腕組みしてアイネ機のハッチに立つノーマルスーツ姿があった。
MSやその機材相手に五体で格闘する作業量が多い整備兵は、パイロットスーツと同規格のノーマルスーツを着用することも多い。だから顔はともかく、その体型には見覚えがあった。
細身ながらもやや上背があり、控えめながらも程良く膨らんだ胸が性別を教えている。襟元には曹長の階級章があった。
出撃前にこのコクピットからアイネが撃退したガルノフ軍曹を引っ掴み、減圧されていくMS格納庫から引きずり出していった女性整備兵だ。
彼女がヘルメットを外して背中へ掛けると、短いポニーテールにまとめた癖の強い赤毛が揺れて、いくぶん中性的な風のある整った顔立ちがアイネをじっと見つめてきた。アイネよりいくらかは年上に見えるが、若く愛嬌のありそうな娘だ。
「…………」
「あ、あの……?」
だが、そんな彼女から無言のまま真剣な表情で見下ろされ続けて、アイネはリニアシートから戸惑いながら呼びかけた。とりあえず、こちらもヘルメットを脱いでみる。
何だろう。何か、機体に問題でもあったのだろうか。機体に負荷の掛かる格闘戦を数回こなしてきたとはいえ、一見して分かるような問題は生じていなかったはずだが。
「…………、うん」
やがて意を決したように一人頷くと、彼女はコクピット内へ飛び込んできた。アイネのすぐ目の前まで赤毛のポニーテールが近づく。
機体の外装ではなく、操縦系に何かを感知したのだろうか? 通常の機能点検はすでに済ませており、そこでは異常も見つからなかったのだが。
だが迫る女性整備兵のグラブがアイネの胸元へ伸びたかと思うと、ぐにいっ、とパイロットスーツの胸元を突き上げる左右の山体へ十指を深く食い込ませていた。
「!?」
「…………」
突然の無体に目を白黒させるアイネを前に、整備兵はその真剣な面持ちを崩すことなく無言のまま、その両掌にさらなる握力を加えてくる。
「あ、何をっ!? だっ、だめ……っ、だめです……そんなっ、やめて、ください……っ」
シュンやガルノフのときと異なり同性相手とはいえ、全天周モニターはまだ生きている。
映し出される格納庫内で近くを飛び交う他の整備兵たちからは、リニアシートに押し込まれたまま乳房を揉みしだかれているアイネの姿など見えるはずもないのだが、断ちがたい羞恥の感覚は女の感覚をいっそう敏感にさせてしまう。
そしてスーツの厚い生地に包まれた乳房は、ただ揉まれるままに変形する。整備兵は握りと強弱を変えながら、時には山頂を目指すように指先を登らせ、ついにはその頂点を人差し指の先で弾いてのけた。
「あッ!!」
「…………」
ひときわ敏感になってしまっていた場所を責められ、思わず切なげに声を出しながらのけぞるアイネの乳房へ顔を埋めながら、その感触をたっぷりと楽しんだ整備兵はそこでようやく、万感の思いとともに吐き出した。
「す、素晴らしい……! なんという感触。吸いつくような手触り、指を押し返してくるはちきれんばかりの弾力、そしてこの圧倒的な存在感、思わずいじめたくなってしまう敏感さ……! 間違いない! これは流行る!!」
「駄目だ。そんな行為は流行らないし流行らせない」
そのときコクピットハッチの開口部から聞こえた声に、アイネは希望の光を見る。
「じゅっ、准尉ぃ……」
少女が涙のにじんだ瞳で直属上官へ助けを求めると、マコトは溜息混じりに整備兵を制止した。
「ウェンディ、挨拶代わりのスキンシップならそのあたりにしておけ。クライネ伍長は繊細なんだ。私やウェンディと違ってな」
「マコト! この娘のおっぱい凄いよ! これは男を狂わせる!」
「私の目の前で女もひとり狂っているように見えるが」
目を輝かせて鼻息荒く叫んだ赤毛の娘へ呆れかえって言い放つと、マコトはアイネの胸を今なお弄びつづける女性整備兵を紹介した。
「クライネ伍長。残念ながら、彼女がMS整備班長のウェンディ・アーデル曹長だ。ウェンディもトラキアの古参で、私とも古い付き合いになる」
「あ、アーデル曹長……よ、よろしくお願いします……」
スーツの生地が突っ張るアイネの胸の谷間から見上げるように笑顔を出して、ウェンディがアイネに応じる。
「ウェンディでいいよ。よろしく、アイネちゃん! あとね、あたしはMSだけじゃなくて身体の整備もしてあげられるから、疲れたなーと思ったときはいつでも声を掛けてね! アイネちゃんのこと、もうすんごい気持ちよくしてあげちゃうからっ」
「……一応言っておくとクライネ伍長、ウェンディのマッサージは真面目に効くぞ。試してみる価値はそれなりにある……まあ、途中でおかしな方向へ脱線しなければ、の話だが」
現在進行形で胸の膨らみをマッサージされながらあからさまにどん引きしているアイネを見て、ほんの申し訳程度に気を遣ったのか遣っていないのかよく分からないようなことをマコトが言った。そんな説明など一切関わりなく、上目遣いのままでウェンディが問いかける。
「あー、アイネちゃん。どしたの? おっぱいはこんなに柔らかいのに、表情は硬いね?」
「初対面の変な女にいきなり抱きつかれながら、いいように乳を揉みしだかれればそうもなるだろう」
「マコト、変な女って誰? いやアイネちゃん、ハッチ開けた瞬間からすでにもうなんか表情暗かったからさ。なんかあったのかなーって……あ。イベルのことならご心配なく。あたしが責任持ってしっかり焼き入れとくからさ」
イベル――イベル・ガルノフ軍曹のことだろう。出撃前にこのコクピットで雄の巨体に覆い被さられるようにしながら身体を弄ばれた記憶が蘇り、アイネは少し身を堅くする。同時に説明を求めるように向けられてきたアイネの視線に、マコトは淡々と答えた。
「……ウェンディは、ガルノフと特別な友情関係にあるんだ」
「んー。友情っつーか、なんつーか……お互いに足りない持ち物を、欲しくなる都度貸し合ってるだけというか……」
「?」
マコトとウェンディが適当にぼかした話を理解しきれずに小首を傾げるアイネを、ウェンディは豪快に笑って押し切った。
「あっはっはっは、ほんとに可愛いねアイネちゃん。うん、とにかく後でアイツは枯れ果てるまで搾り取っといたげる。とりあえずアイツに関しては、しばらくアイネちゃんに手を出す余裕なんか完全になくさせたげるから、安心してね」
「は、はあ……搾る??」
まだ話についてこられていないアイネへ向けて、ウェンディは巨大な山塊の浅い谷間からどこか仄暗い笑みを浮かべてくる。
「ふふ、そう……搾るの。たっぷり。赤いの出ちゃうぐらいね。まあ、イベルは搾り取って何とかするにしても――アイネちゃんみたいに可愛くてえっちな体の女の子には、さぞかし悪い虫も付きやすいでしょうなぁ」
「早速でかいのが一匹付いているように見えるが」
「アイネちゃん、とりあえずMSパイロットの同僚男子諸君らには用心しときなよー」
ウェンディは冷たい目をしたマコトを鮮やかに流して言った。
「イベルはあたしが搾り取るとしても、ロブもあれでけっこうな助平だからねえ。要注意だよ。でもまあ、シュンぐらいは大丈夫かな……? そもそもあいつ、女に興味あるのかどうかもよく分からんし」
「…………」
最後に出てきた少年の名前で、アイネの表情に生じた一瞬の変化をウェンディは見逃さなかった。
「んんん? ほう、これは……もしかしてアイネちゃん、シュンとはもうすでに何かあった系の……?」
「え? ちっ、違いますっ!」
かっと頬を赤らめながら、アイネは叫ぶように言い返す。確かにあの正体不明の情欲と情事のことはマコトから厳に口止めされてはいるが、そうでなくともわざわざ自分から人に言って回るつもりもなかったからだ。
だがウェンディは目を輝かせてアイネの胸から身を乗り出し、その反応へ意外なほどの深い食いつきを見せてきた。
「おおおおお!? こ、これは意外な展開……! まさか! まさか、あの朴念小僧にアイネちゃんがっ!?」
「いっ、いえっ! そ、そうではなくてですね!?」
どうやら自分がカーペンター伍長に対して男女の特別な感情でも抱いているかのように思われてしまったらしいと察して、アイネは慌てて否定する。その本気ぶりが伝わったのか、ウェンディも次第にトーンを落としていく。
「ムッ、……と、いうことは、逆……? つまり、シュンの方からアイネちゃんに……?」
「えっ。いやっ。あの、その……っ」
踏み込んできたウェンディへどう切り返せばいいか分からず、今度は明確な否定も出来ないまましどろもどろになったアイネの双乳を、鬼の形相でウェンディがむぎゅっと鷲掴んだ。
「ああっ!?」
「この胸か! やはりこの胸かっ! この胸があのシュンをも狂わせたのかっ!!
『MSで初出動する前に、キミの操縦桿とビームライフルをあたしの格納庫で機能点検してみない?』って誘ったときも本気涙目で断りやがったアイツを雄の本能に狂わせたのは、この胸なのかっ!!」
「あ、あの、アーデル曹長……? ちょっとホントに何言ってるのか分からないですね……あッ……」
「一体いつの間に私の部下へそういうおかしな誘惑を掛けていたんだ……ウェンディの自由奔放な神出鬼没ぶりには、毎回驚かされるばかりだな」
「いやあ、それほどでも」
揃って戦慄の表情で言うアイネとマコトに、まったく褒められていないウェンディが照れ隠しのように頭を掻いてのける。
その間にも彼女は残った片手でアイネの乳房をぐにぐにと揉んで、パイロットスーツの張りつめたラインをいいように変形させていた。
「整備班長! ウェンディ曹長っ!!」
「うげっ」
そのときコクピットハッチの外から娘の怒声が飛び込んできて、呼ばれた彼女が表情を軽く引き攣らせた。
揺れる赤毛のポニーテール越しにアイネが見れば、空中で若い女性整備兵が腰に両手を当てながら、眼鏡越しにコクピット内の整備班長を睨みつけているところだった。
「何をいつまでも油売ってるんですかそんなとこで! 22は全身の外装がボロボロ、23は肩もバズーカも壊されて、25は三回もサーベル戦をやってるんですよ!? なんでこんなときに班長不在なんですか!」
「おうおう、張りきっちょるねぇ……有能で士気が高い部下を持ててあたしゃ幸せだよ。
分かるかねマコト? これこそ後進をしっかり育てているあたしと、後進がイマニイマサンでぱっとしないあんたの差なのだよ。人材育成も職業軍人の大事な務めよ?」
「……努力はしているさ」
「うん、知ってる。だから今だって、ちょっと手伝いに来てやってるわけじゃんかよぅ」
「能書きはいいですから、さっさと来てくださいっ!」
頭から湯気も沸かさんばかりの女性整備兵から指さされると、さすがのウェンディもいよいよ諦めたように息を吐く。
「あーあ。ここが引き際かぁ……残念。もうちょっと楽しんでいたかったけどなぁ……またね、アイネちゃん! バイ!」
「あっ……」
アイネの乳房に顔を突っ込んだ反動で跳ね返ると機敏にハッチへ足を掛け、ウェンディはコクピットに爽やかな笑みと敬礼だけを残して格納庫へ消えていった。
後に残されたのは、まだ頬を紅潮させたままの少女と、いつも通りに泰然自若としたままの娘がふたりだけだ。
「……何だったんでしょう……」
「まあ昔から、ウェンディはだいたいああいう奴だ」
あえて対象について触れようとしないまま発したアイネの質問に、マコトはただ鷹揚な頷きだけで答えてのけた。
「かなり面食らっただろうと思うが、あれで別に何も考えずにやってるわけじゃない。……ほぐれたか?」
「えっ?」
マコトの言葉で、ノーマルスーツのグラブ越しに同性の手でいいように捏ね回されていた乳房と、その左右の頂に今も残る熱と尖りを意識しかけて、アイネの頬はさらに赤みを深くする。
「い、いいえ……」
「そうか。では当直にサントス伍長を残し、カーペンター伍長とクライネ伍長は休養に艦内へ下げる。整備はウェンディたちに任せて、今は体力だけでも回復させることに専念するように。私は艦橋へ報告に上がる」
「准尉、……」
そのまま迷いなく踵を返し、ハッチに足を掛けて去っていこうとするマコトの背中に、アイネは発作的に腰を浮かせて叫んでいた。
「私……私っ、ずっと前から覚悟してたつもりでしたっ!」
動きを停め、無言のまま振り向いたマコトに、立ち上がったアイネは堰を切るように溢れ出してきた言葉を叩きつけていく。
「MSに乗って自分が殺されるのも、相手を殺すのも……覚悟、してたつもりでした。ルウムをめちゃくちゃにしたジオンの残党と戦って、いま生きてるみんなを守るためだったら、何でも出来るって思ってました。
でも、エゥーゴのGMと戦って……相手のパイロットをビームサーベルで殺したときから、私、震えが止まらないんです。
何か……他に何か、もっといい選択肢を、私は気づかずに見逃してしまったんじゃないかって。取り返しの付かないことを、してしまったんじゃないかって……」
アイネは息を切りながら、肩越しに見返してくる上官の瞳をじっと見つめる。
理不尽なことを聞いてしまっているのかもしれない、という自覚はあった。
でも、この人なら、きっと何かを知っている。根拠を説明できない確信が、今までトラキアで過ごした決して長くない時間でアイネの中に生まれていた。
「君は、正解を知りたいのか? あの戦場の」
見下ろしてくる視線をまっすぐに受け止めながら、アイネは無言のままで頷いた。マコトが向き直り、じっと黙して答えを待つアイネに正対しながら言葉を投げ落としてきた。
「そうか。なら私より、彼と話した方がいい」
「『彼』――?」
言われて視線を上げた先に、隣に駐機したGMU23のコクピットハッチから飛来してくるノーマルスーツ姿を見つけて、アイネは再び表情を堅くした。
そうして25のハッチ前で身体を止めたシュンの方も、何か覚悟を固めてきたかのような顔でマコトに敬礼し、そしてアイネに向き直る。
そういえばあの一件の後、この三人だけで顔を合わせるのは初めてだった。
「では、よろしく頼む」
「あっ――准尉!?」
それだけ言い残すとマコトはハッチを蹴り、再び敬礼するシュンの傍らを抜けてデッキへ降りていってしまった。
またしても逃げ場のないコクピット内で男と一対一で対峙するという状況に追い込まれながら、しかし今のアイネは臆することも退くこともなく、真正面から迎え撃つようにシュンをきっと見据えていた。
確かに緊張を孕みながらも、二人の視線は外れることなく真っ向からぶつかり合った。
「クライネ伍長」
「……はい」
アイネの名をはっきり毅然と呼んだきり、シュンはハッチの外で動かなかった。長い沈黙がコクピットに降りる。
だが何度目かの深呼吸のあと、シュンはアイネにはっきりと呼びかけてきた。
「ありがとう、クライネ伍長。さっきの戦闘でクライネ伍長の掩護がなかったら、僕は確実にあのエゥーゴ機に殺されていた」
「……何かと思えば……。私はMSパイロットです。一度MSで出撃すれば、そこに個人的な感情を持ち込むようなことはしません」
言いながら、アイネはその目に強く力を込める。
あの行動は決して、シュンに対する何か個人的な感情で動いたわけではなかった。恩に着せるつもりも、実力を見せつけたつもりもない。
あのとき必要だと思ったから、そうした。
それだけだ。その正しさなど、知らない。
「君を尊敬する」
「……えっ」
しかし次に飛んできた言葉に、アイネは小突かれたように息を呑んだ。
「君は自分を犠牲にする覚悟で、僚機を――僕を守ってくれた。君が守ってくれなかったら、僕は今こうして君にお礼を言うことも、あのときのことを……謝ることも、もう出来なかった。
クライネ伍長、君は本当に勇敢な兵士だ。心から尊敬する。そして、ありがとう」
「何を……言って……」
今までとはまったく異なる理由からアイネは頬を紅潮させ、息も止まらんばかりに心臓に早鐘を打たせていた。
その混じりけのない真っ直ぐな真摯さは、彼女が今まで男性から一度も向けられたことがなかったものだった。
だからアイネは直視できずに、シュンの瞳から視線を逸らした。
「……カーペンター伍長……あなたの、機体は……その……動かしやすかったです。とても丁寧に整備されていて、おかしな癖がなくて……だから初めて乗る私でも、扱えました」
「良かった」
その逸らした先へも暖かい言葉を被せられて、アイネは自分の言葉を失う。シュンもそれきり黙り込み、二人の間を再び沈黙が支配した。
しかしそれは今までとは、まったく種類の違う沈黙だった。
だからマコトがGMU25のコクピットハッチに取り付き、何か紙袋を抱えたまま黙って立っていることに二人が気づくまでにはしばらくの時間がかかり、そして気づいたときには揃って頓狂な声を上げてしまった。
「准尉!」
「艦橋へ上がられたのでは!?」
「これを取りに行っていただけだ」
マコトが言いながら紙袋から投げ渡してきたものを反射的に受け取り、アイネとシュンは目を丸くする。
「……これは?」
「員数外の増加食だ。腹の足しにしておけ」
三人の掌中には今、赤いリンゴが収まっている。
「さっき《リバティ115》についていた民間警備会社のMS班長にもらった。それなりの高級品だそうだが、ぜひ皆で食べてほしいということだった」
声の調子を落としながら、マコトは自分とシュンの背中を使って外からの視線を遮る。そして艶やかで小さな唇の前に、人差し指をそっと立てた。
「そんなに数がないから、整備の連中には内緒だぞ」
そのとき全天周モニターに通信小窓が開き、当直配置に残るロブ・サントス伍長の姿が映った。ヘルメットは外していないがバイザーは上げて、グラブにはやはりリンゴが見える。
しかし可笑しいのはロブがパイロットスーツのグラブに、清潔そうな白いハンカチが当てていることだった。操縦桿やコンソールの他にも工具やMSを直接触り、宇宙の真空に触れることもあるグラブで直接リンゴを手にすることに抵抗があるのだろう。
『小隊長、さっさと片づけちまいましょうよ。整備の連中、いつまでも誤魔化してらんないッスよ』
確かに整備兵がいつ直接話を聞きに来るかも分からない。それを思えばロブが神経質になるのも分からなくはないが、そのしぐさが妙に可笑しくて、アイネの口許にくすりと小さな微笑がこぼれた。呆れたようにシュンが尋ねる。
「……いいんですか、これ?」
「構わんさ。向こうもドラッツェの40ミリを食らったときに貨物が破損したことにしておけば、多少の融通は利くんだろう。諸君、食え」
「あっ」
言うが早いかマコトがリンゴをかじり、咀嚼していく。甘酸っぱい香りがコクピット内に立ちこめて、今頃になって空きっ腹を思い出したアイネも思わず喉を鳴らした。
「戦闘糧食、……手をつけてなかったなぁ……」
アイネがまじまじと手元のリンゴのみずみずしい光沢を眺めている間に、マコトのリンゴはすでに果肉をあらかた削り取られていた。
冷たく冴えた美貌からはとても想像出来ない早食いぶりを見せつけながら、黒髪の美女は二人のリンゴを見下ろす。
「要らないのなら、私がもらうぞ」
「えっ? あ、いやそのっ!」
マコトの健啖ぶりに思わず見入っていたアイネとシュンが、手元のリンゴを守るように胸へ抱き込む。二人同時のその動作で、二人の間にばつの悪い笑みが生まれた。
あの警備会社のGMやボールのパイロットも、今頃なにか食べているのかな。
戦って、生き残った。
今はきっと、それでいい――
シュンの方を見ると、向こうもちょうどこちらを見返すところだった。互いの表情に苦みが走り、次いで、内側からこみ上げてくるような笑みにそれが破られる。
ハッチを開放したままのコクピット内からもう言い訳も利かないほど濃厚な果実の香りを充満させながら、アイネは芯だけになったリンゴをつまんでぶら下げるマコトを、
ハンカチ越しに苦労しながら慌ててガツガツと食うロブを、苦笑しながら頬張るシュンを、全天周モニターの向こうで部下とやり合いながら整備に奔走するウェンディを見る。
そう。
巡洋艦トラキア。
ここが私の、これから生きる場所なんだ。
リニアシートの上で食べる赤いリンゴは、甘い命の味がした。
年末ということでとりあえず、トラキア隊的に一段落です。
がっつり本番の年内投下は無理でした。申し訳ありません。
年始にはジャカルタ隊側のえろいのを投下したいと思います。
GJ!
いつも乙です!
「ああ、すごい……クライネ伍長の胸部ダクト、とってもバーミンガム級だよ」
「ダメですカーペンター伍長、大胆すぎます……こんなところで私のAパーツにB整備を始めちゃうなんて……あッ……」
「外部装甲パージ……ああ!? 震える山!?」
「あ、ああ……防衛線を抜かれた私の山岳要塞が二つとも、カーペンター伍長に至近距離から光学手段で偵察されてる……いやぁ、そんなにじっくり地形情報集めないでぇ……」
「もう我慢できない、このけしからん二個要塞へ同時に徹底的な空爆と砲撃を開始するよ……見てごらんクライネ伍長、こんなに、こんなに山の形が変わっているよ!」
「だめえっ、そんなに弾着観測で修正しながら山頂司令部へ効力射を続けられたら、私の最終兵器がっ……機動ビグ・ザムが出撃しちゃうぅっ!」
「何っ!? 山頂に突出してきた巨大MAから、拡散メガ粒子砲で奇襲攻撃!? 圧倒的じゃないか!! クライネ伍長、こんな強力武装を隠していたのかっ!!」
「イヤ、私の出した拡散メガ粒子、ビーム攪乱膜で吸収しちゃらめぇ……ああ、そんなっ!? カーペンター伍長のビームサーベルに、前へ出過ぎたビグ・ザムが二機とも両断されちゃうぅっ!」
「ぷはぁ……っ。見てよクライネ伍長、僕のエネルギーゲインはとっくに通常の三倍を超えたよ。もう戦艦の主砲並みの威力なんてもんじゃないんだ」
「すごい……カーペンター伍長のビームライフル、とってもハイパーバズーカです……」
「うん、クライネ伍長のBパーツハードポイントも、すっかりマグネットコーティング済みだね」
「ああ、ホワイトベースが後を付けられてしまったの? いやぁ、私の秘匿宇宙船ドックが位置特定されて開放されちゃう……!」
「クライネ伍長、第一次攻略隊、降下開始するよ……うっ、対空砲火がきつい……降りられるのかよぉ……っ」
「敵MS隊が、基地内へ侵入してくる……あぐうっ、そんな……!? 一気に、要塞の最深部までぇ……っ!?」
「潜入完了……! クライネ伍長、動くよっ、君の要塞内で破壊工作を開始するよっ!!」
「らめえっ私のジャブロー、もう敵MS隊に参謀本部まで何十回も侵攻繰り返されちゃって陥落寸前なのぉっ! 損害すごすぎて何も作戦立案できないぃ! もうダメ、自爆装置、自爆装置作動しちゃううううっ!!」
「散るよ! ジャブローに散るよ、クライネ伍長っ!!」
「だめぇっ、ダメですカーペンター伍長! その焦点前にはぁっ、我が艦隊の先鋒がぁっ!!」
「う……ッ! あ、ああ……っ……この一撃が……歴史を変える……っ……」
「ああ……ガンダムの、実戦データが届いちゃった……私のジャブローで……私のジャブローで、GMの生産が始まっちゃう……カーペンター伍長……責任、取ってくださいね……」
「うん、クライネ伍長。二人でいっぱい僕らのGMを量産しよう。ジオンのMSに負けないぐらいのMSVを展開しようね……」
「みたいなことやってんのかなあ。いいなぁパイロット同士」
「あなたは何を言っているんですか。通常の三割り増しで頭おかしくなってるんですか。いいから手ぇ動かしてください手ぇ」
「いいなぁコクピットラブ。ヤりたい放題だな地球連邦軍。どうなってんだよ地球連邦軍」
「だから手ぇ動かしてくださいって」
最近の設定ではアムロが操縦したガンダムの実戦データと、少なくとも前期量産型のGMとの関連性はあまり無いそうですね。
とりあえず、これで
>>22の宣言は守れたかと思います。
>>44 いつも素早い反応ありがとうございます。
あなたの存在が拙作の強い励みです。
スレのみなさま、よいお年を。2014年もよろしくおねがいします。
乙でした。
来年も楽しみに待ってます。
あけましておめでとうございます。
正月三が日はスマホ書き込みも規制解除だそうです。
今年もスレの発展を願って、積極的に投下していきたいと思います。
最近、AOZの1(マンガ4巻と小説上下巻)と2(小説8巻とマンガ1巻)を一気に読破しました。
前スレでAOZ2のマンガ版の話題をあげていた方もおられたようですが、スレでの認知度はどんなものなのでしょうね。
49 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2014/01/01(水) 18:36:33.21 ID:ZNN6XCWS
あけましておめでとうございます。
ジュドハマはやはり( ・∀・)イイ!!
>>36さんへ
コメントありがとうございます。
古参の書き手さんと比べると、俺のSSはまだ発展途上ですが最期まで書き上げ
ます。
ルーとハマーンをどう絡ませるか考えると、楽しい物がありますね。
2014年もよろしくお願い致します!
50 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2014/01/05(日) 20:26:30.49 ID:R5ptVOLw
新年早々
>>35の続きを投下致します。
はいッッッ!!(Byディオ・ブランドー)
個室式のトイレは少々広い程度だが、二人になると少々手狭に感じられた。
彼女が黒い髪のカツラを外すと、ワインレッドの髪が露わになった。
露わになると同時に整髪料の甘い匂いが漂い、ジュドーの鼻腔を擽った。
「何だか、このシチュエーションは…とても嫌な思い出が…」
「フフ、嫌な思い出とはこうか?」
顔を寄せ、ハマーンはジュドーに迫り壁まで追い詰めると、手をついて彼の逃
げ道を塞いだ。
ジュドーは逃げようとしたが菫色の瞳に魅入られてしまい、猫に睨まれた鼠の
ように動けなかった。
「サダラーンでお前に拒まれたからな…フフフ」
妖艶な微笑みを浮かべると、自分の唇をジュドーの唇に重ね、両手を彼の首に
回し、彼も負けじと抱き締めた。
互いの舌が口内で絡み合い、唾をすする音とくぐもった声が個室式トイレに響
き、淫靡な雰囲気を醸していた。
ハマーンの紅を薄く塗った唇はジュドーの唇から離れ、吸血鬼(ヴァンパイア
)のように彼の首筋に移ると、唇で強く吸い、歯で軽く噛み、舌で嘗めた。
首筋を唇と歯、舌で愛撫する彼女に対抗するかのように、ジュドーは右手でジ
ーパンの生地越しに彼女の尻を手で撫で、指で揉み、左手で背中を撫でた。
「ん…ふぅん」
彼に背中の敏感な所を撫でられたハマーンは思わず体をびくつかせ、一瞬、首
筋を噛んでしまい、唇を離した。
「痛っ…」
「ジュドー、すまない…」
「良いよ。それより、もう我慢出来ないよ…ハマーン」
ジュドーって経験どうなんだろう…。
エル辺りと…かな?
ルーはあまりシテくれなそうだし
プルは論外だろうし
52 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2014/01/07(火) 20:54:56.25 ID:t2bprm8o
>>51さんへ
ジュドーはこういう性経験は程遠そうな気がすると思いますな。
彼に限らず、カミーユ、マシュマーやグレミーも余りガツガツしてなさそうな
感じがしてます。
逆に女性陣、特にエルやルー、ハマーンが肉食系のイメージが強いと思います
。
ジュドーはズボンをトランクスごと下におろし、猛っている自分自身のモノを
剥き出しにした。
硬くなり、上に真っ直ぐに勃っているジュドーのモノをハマーンは唾を飲み込
み、身を屈めると舌を出して先端を軽く突付き、裏を嘗め、口に含んだ。
彼女の口腔内の温かい感触と唇と舌で舐められ、ジュドーの背中に戦慄が走り
、初めて味わう感覚に彼の表情は羞恥で紅に染まった。
同じジャンク屋のビーチャやモンド、イーノと共に成人雑誌で男性のモノを女
性が口で愛撫するページを好奇心で見ていたが、実際に味わうと癖になる。
しかも相手が行きずりの女ではなく、嘗て自分に尋常ならざる執着を剥きだし
たネオ・ジオンの女帝ハマーンと言うこともあり、一層拍車をかけていた。
「あんた、ネオ・ジオンのお偉いさんだったから男に不自由しなかったんだろ
?」
「フッ、部下にそう言う姿を見せるわけにもいかんでな。小姓を呼んで夜の伽
をさせていたよ。最初はそれなりに満足していたがお前と出会ってから、満足
できなかった」
ジュドーのモノから口を離し、ハマーンは自嘲めいた表情を浮かべて彼に執着
していた過去を振り返った。
「サダラーンで出会って以来、私の心はお前に囚われたようだな」
「そう?」
自分を見上げる菫色の瞳にジュドーは照れ笑いを浮かべ、それにつられるかの
ようにハマーンも微笑んだ。
―あんたってそんなに微笑むんだ―
冷徹な女帝の顔しか知らないジュドーは、重石が取れた彼女の微笑みを見て新
鮮な気持ちがもたげた。
このハマーン様はいわゆるはにゃーん様ではないようだ
ところで、投下がぶつ切りなのはなぜ?
ある程度まとまっていたほうが読みやすいけれど……
続き物、第十三話を投下します。
本作はオリキャラ主体、グリプス期に地球連邦宇宙軍の辺境一般部隊に所属するサラミス改とジムUが舞台のSSです。
第七話までは若干の加筆修正版がPixivに保管されておりますので、ご興味おありの方はフェニックステイルで検索してみてください。
今回は姉御肌の金髪巨乳娘を四肢拘束して、がっつり本番で中出しまで。
凌辱ではありませんが和姦と呼べるかも微妙なものです。
いよいよトンデモ要素が全開になってきますので、広い心でご笑覧ください。
時間はわずかに遡る。
曳航されてくるヌーベルGMUの胴体には、ぽっかりと穴が開いていた。
今なお臨戦態勢にある連邦軍巡洋艦トラキアとそのMS隊の前で回頭し、緊張の宙域から離脱していこうとするアイリッシュ級戦艦ジャカルタ、後部MS格納庫。
そこは装甲シャッターに区切られ、艦前方に伸びる両舷カタパルトと直結した格納庫から独立している。
肩を貸すようにして僚機を曳航してきた先行生産型ネモが後部カタパルトデッキへ着艦すると、そのまま後部MS格納庫へ搬入されたヌーベルGMU07は力なく崩れ落ちた。
胴体部のコクピットハッチには、直径一メートル近い穴が開いている。
チタン・セラミック複合装甲を焼き切られて生じた穴の周りには融解、蒸発しながら押しやられてきた装甲材がへばりついてはいたが、すでに冷え固まりつつあるようだった。
地球連邦軍一般部隊のGMUが繰り出してきたビームサーベルの刺突は、コクピットハッチの装甲板を突き破りながら内部のイジェクションポッドを串刺しにして貫通。
メガ粒子の剣はその途中でパイロットが座っていたリニアシートを完全に蒸発させていたが、背面装甲とバックパックにまでは抜けずにそこで止まっていた。
だからヌーベルGMU07の機体に開いている穴は、ハッチ正面にある一つだけだ。
追って後部デッキへ着艦してきたリックディアスが、その傍らでコクピットハッチを開く。
出てきたノーマルスーツはまっすぐヌーベルGMUのコクピットハッチへ取り付くと、そのまま破孔からイジェクションポッドの内部へ入り込んでいく。
リニアシートやコンソール、パイロットスーツまでもが一瞬のうちに蒸発して飛び散り、原形を留めることなく微細な破片となって全天周モニターの残骸にへばりついているコクピット。
その内部をその肉眼で確認しながら、リックディアスのパイロットはバイザーの下に深い笑みを浮かべた。
「こちらですわ、おじさま」
「お、おう……」
ノースリーブにミニスカートという大胆な構成のエゥーゴ女子制服でトランジスタグラマーの肢体を包んだ美少女、リアンナ・シェンノート少尉は時折八重歯を見せた笑顔で振り向きながら、ドッツィ・タールネン少佐を先導していた。
右手でリフトグリップを握って艦内通路を流れつつも、彼女の左手はミニスカートへ申し訳程度に添えられていて、白く輝くニーソックスを履いた魅惑の太股から、その奥の空間が直接見えてしまう事態だけは防がれている。
しかしリアンナの無重力に泳ぐスカートは本当に短く、ふとした拍子でシルク地らしき白い輝きが時たまちらりと視界へ侵入してくることを、ドッツィは完全に阻止できていなかった。
「あ、アカン……アカンやつや、これは……」
最後に女を抱いたのはいつだったか。そうでなくともリアンナの美貌と蠱惑的な仕草は、あまりに刺激が強すぎる。パイロットスーツの股間で、ドッツィの巨砲はもはや痛いほどにいきり勃っていた。
眼前の美少女を今すぐ組み敷いてあの扇情的な制服をこの手で破り裂き、乙女の素肌とぬくもりを味わいながら秘密の花園へ土足で踏み入って自慢の息子を暴れさせたい。そんな衝動に駆られる。
だが、それこそがエゥーゴの狙いなのだ。
彼らの戦艦の中で、仮にも士官でありMSパイロットでもある女性と肉体関係を持つなど、もうその時点で彼らに金玉を握らせるようなものだ。今後の組織間交渉にどう影響するかなど分かりきっている。
耐えるんや、今は耐えるんやドッツィ……! 耐えて耐えて耐え抜いて、後で一人になったときにこの子の髪のにおいとか腿の線とか乳の柔らかさとか、思い出しながら大事に大事に使うんや!
「……あら?」
「はおっ!?」
ぐっ、ときつく目を瞑り、瞼に焼き付かせたリアンナの無防備な姿を確認するように楽しみながら自分へ言い聞かせていたドッツィは、その動きへの反応が遅れた。
リフトグリップを離して壁を蹴り、急停止していたリアンナの尻へドッツィは顔から突っ込む。まくれ上がったミニスカートの下で肌触りの良い絹糸のショーツへ頬を擦り付けるようにしながら、そこに包まれた豊かな尻肉で跳ね返された。
「がほ……っ」
屈強なドッツィの体重は小柄なリアンナの倍近かったが、何せ打ち所が打ち所だけにただ跳ね返されて悶絶し、慌ててスカートの中から頭を出して喚いた。
「ちゃ、ちゃうねん少尉! これはな、ワシが少尉にやましいことを考えたりなんかやらしいことしようと思とったりしたわけとはちゃうねん!!」
「……どういうことなんですの?」
「へっ……?」
――いやぁ痴漢セクハラ強姦魔ですの犯されますわ誰か来てくださいまし!
リアンナにそう叫ばれながら、手ぐすね引いて待ちかまえていたエゥーゴの強面どもに囲まれる事態を想像していたドッツィは、尻から突き飛ばされながらも冷静に姿勢を立て直し、前方を注視している彼女をおそるおそる見上げた。
彼女の見つめる先には、パイロットスーツ姿の若い男二人がいる。何かいいことがあったのだろうか、彼らの表情は喜びと希望に溢れ、それを噛みしめているのがこの遠目にも分かった。
だがそんな二人を見るリアンナの目は今までドッツィに向けていた笑顔が嘘のような冷たい真剣さに満ち満ちていて、その迫力にドッツィは喉まで出かけた言葉を引っ込めた。
相手がこちらに顔を向けてくるタイミングで、リアンナはいくらか和らげた表情で呼びかけた。
「あなたたち、どうかなさいましたの? 何かありまして?」
「あっ、シェンノート少尉――ちょうどいいところに!」
リアンナを見つけたエゥーゴのパイロット二人は、息を切りながら笑みをこぼす。
二人は先ほどの連邦軍トラキア隊との接触で、コクピットをビームサーベルで貫かれて戦死したマイン・ハフナー少尉が率いる列機パイロットたちだった。
リアンナが違和を感じたのは、そんな彼らの表情に浮かぶ奇妙なほどの明るさである。
彼らが出身地である鉱山衛星から行動を共にしてきたマインは、彼らにとって単なるMS小隊長である以上に、人間的な尊敬と憧憬を同時に集める『姐さん』だったはずだ。
そのマインを失ってしまった今、悲嘆と絶望と敵への憎悪に暮れることこそあれ、こんな喜びに満ちた表情を浮かべていることなど、決してあり得ないはずなのだが。
彼らは通路の壁を蹴りながら近づいてくると、リアンナの間近で身体を止めながら喚いた。
「シェンノート少尉! 生きてたんス! 姐さん生きてて、後部デッキから集中治療室に搬送されてたんス!!」
「……えっ?」
そのまま固まるリアンナに、もう一人が畳みかけるようにまくし立ててくる。
「連邦軍が突き刺してきたビームサーベルが、実はコクピットの姐さんのところをうまいこと外してたらしくて……あれでヌーベルの操縦系と通信系はやられたし、姐さんも気絶しちまってたけど、姐さんはちゃんと生きててくれてたんですよ!!」
「回収したロストフ隊長が後部デッキから機体を搬入したとき、コクピット周りをもう一回よく見てみたときに気づいたらしくて!
何日かは面会謝絶で療養に専念しなきゃならないけど、後に残るような大きな怪我もないらしいっス!!」
「そうそう! あと何日かしたらまたリハビリして、多分またMSパイロットにも復帰できるだろうって……! 良かった……本当に良かったぁ……!!」
口早に喚き散らしながら、彼らはこみ上げてきた嬉し泣きの涙に暮れる。
「それは……良かったですわね。私もマインさんがいてくださらないと、いまいち張り合いがありませんもの……」
「そッスね!」
どこか消え入るように先細ったリアンナの言葉を押し潰しながら、二人はすでにその後ろのドッツィへ挑むような視線を放ってきた。
「おう、そっちのオッサンが例のジオン軍かぁ?」
「ウチの姐さんが命張ってあんたら助けたんだ! しっかり働いてくれよな!」
「せやな……まあ、ワシらを助けてもうた分の恩返しぐらいはさしてもらうわ」
「期待してんぜ?」
「姐さん退院したら挨拶に来いよな!」
非正規軍のジオン残党とはいえ、少佐の階級章を付けたドッツィ相手にタメ口を叩きながら、ハフナー小隊の軍曹二人は逆方向に消えていった。
「なんやよう分からんけど、仲間が助かったみたいで良かったな。……シェンノート少尉?」
「…………」
「どないしたんや? 行かへんのか?」
「えっ? ああ、いえ……そうでしたわね。お部屋まではもう少しですの。参りましょう、おじさま?」
彼らの姿が見えなくなっても何か考え込んでいたリアンナは、ドッツィに問いかけられるとそれまで通りの笑みを浮かべてみせた。
その表情筋の動きは今までと同じはずなのに、ドッツィにはなぜか今のリアンナがまったく違う誰かに見えた。
目覚めたのは、薄暗い部屋の中だった。
重力はなく、身体はベッドに横たえられている。だが両手と両脚はX字を書くようにぴんと伸ばされたまま、それぞれ手首と足首を何か頑強な拘束具でベッドに堅く戒められていて、自由に動かすことが出来ない。
身体が熱い。全身がひどく火照っていて、抑えきれないだけの強い熱量を帯びてしまっている。
そして、裸だった。
彼女は何一つ身につけていない、すべてを露わにさらけ出す生まれたままの姿で、その薄暗い部屋に拘束されていた。
「……お目覚めかね、ハフナー少尉」
「っ、てめ……っ、……隊長……?」
薄暗い闇の片隅が動いたと思うと、それまで何かの居並ぶ端末の画面をじっと見ていた男の影が揺らいでいた。
それが戦艦ジャカルタのMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉だったと気づくまでに一瞬の間があり、そしてマイン・ハフナー少尉は彼の姿を見た瞬間、得体の知れない鈍い疼きを自らの女芯に感じていた。
「おとこ、……おとこっ……」
その存在を認識した瞬間にはうわごとのように言葉が漏れ出し、すでにたっぷりと潤っていたマインの秘所からさらなる愛液が溢れ出す。
「ずいぶん苦しそうだな、少尉」
「あアッ!?」
その剥き出しの肩にロストフが軽く触れただけで、マインの肉体に電撃にも似た鋭く、そして甘い痺れが走ってしまう。
今まで決して関係良好とは言えなかった――むしろ憎い連邦軍の出身者であるだけでなく、人間的にもどこか虫が好かないとまで思っていた男に触れられただけで、マインはその頬のみならず全身の白い柔肌をことごとく紅潮させてしまっていた。
たっぷりとした肉感的な乳房はさらに大きく張りつめて乳首を尖らせ、秘裂はいっそうの水気に溢れながら腿に愛液を伝わせていく。
「ああ、ああああああ……っ。なに……なんだよ、これぇ……っ」
「ハフナー少尉。君は出撃し、そして撃墜された」
「げ、撃墜……?」
……そうだ。あたしは連邦軍の一般部隊相手にドジを踏んだジオン残党のバカどもを助けて拾い上げるため、リアンナの奴と一緒に小隊の舎弟どもを率いて出撃した。
のんきにバズーカを構えてた連邦軍のトロそうなGMUを輪から弾き出してボコボコにして、いよいよコクピットを潰してやれるって段になったところで、連邦軍のGMUがもう一機割り込んできた。
そいつは生意気に、ビームサーベルなんか抜いてきやがって。あたしもアツくなって、そいつとサシの本気で斬り合って……斬り合って、……そのあと……どうなった?
なだれ込んでくる灼熱の閃光、陽炎になって消し飛ぶコクピット内のすべて、燃え上がる間もなく破裂していくパイロットスーツ――
「っ……!?」
「落ち着きたまえ」
がち、ぎち、ぎちぃっ、とマインの四肢を戒める拘束具が軋んだ。
「そ、そんな……あたしは……あたしは、死ん、だ……!?」
「違うな。君は生きている。生きているんだよ、少尉」
言いながら、ロストフはマインの震える青い瞳を覗き込んだ。
「君はただ混乱しているだけだ。無理もないことだよ。普通なら死んでいてもおかしくない修羅場をくぐったのだから。
そうだ、少尉……いま、欲しいものはないかな? 何でもいいから、好きなように言ってみたまえ」
「ほ、ほしい……もの……?」
うわごとのように呟きながら、しかしマインの思考には、自分が身動き一つも出来ないよう厳重に拘束されていることや、一糸まとわぬ生まれたままの姿を一対一でこの男の眼前に晒していることに関する疑問はいっさい上がらなかった。
なぜなら彼女の思考はすでに、たったひとつのものに対する強烈な渇望によって、すべてを塗りつぶされてしまっていたからだ。
「何でもいいんだ。食事や飲み物、自由な睡眠、酒、強力な新型MS……自分がいま切実に必要性を感じているものを、何でもいいから言ってみたまえ。
任務を果たすべく、自らの犠牲を厭わず果敢に邁進した君のためだ。功に報いて労を労うため、隊長として最大限の努力を尽くそう」
四肢を拘束されたままのマインを、ロストフは穏やかな瞳で見つめる。
そのマインの濡れた瞳は、ロストフの全身を嘗め回すように眺める。やがてその視線が一点に止まったとき、濡れた唇から自然に言葉がこぼれ落ちた。
「……ちんぽ……」
「ン……? ハフナー少尉。今、なんと言ったのかね?」
「えっ……!? う、嘘っ。あ、あたしは今、いったいなにを……っ!?」
自分の発言から一歩遅れて、その言葉の異常さに気づいたマインがかっと赤面しながら身をよじった。
手首足首を拘束する枷がギシギシと軋み、張りのある大きな乳房が振り乱されて、色素の薄い乳暈が桃色の残像を曳いて弾み飛ぶ。
「なんで……なんであたし、あんなことをっ!? そ、そもそも……なんであたしは裸なの? こんな……こんなヤツの目の前でっ!」
「おやおや。君の上官に対して、ひどい言いぐさだな」
取り乱すマインからこんなヤツとまで呼ばわられても、ロストフは眉の一つも動かさなかった。泰然としたまま、同じ質問を繰り返す。
「さあ、ハフナー少尉……素直になるんだ。言ってごらん。君は今、何が欲しい?」
「な、なにを……! あたしには今、欲しいものなんか……欲しいものなんか……っ!!」
いつも通りの男勝りな勝ち気さで言い返しながら、しかしマインの視線はその一カ所へと吸い寄せられていく。
連邦軍制服のトラウザスを履いた上官、ベリヤ・ロストフ大尉の股間へと。
そこに普段とは異なる明らかな屹立の気配を感じて、マインの喉がごくりと鳴った。同時にじん、と甘い痺れが、自らの秘裂から奥へと染み渡ってくる。
あれが、欲しい。
さっきからずっと全身に感じている、怖いほどの熱さ。
あの太くて大きな男そのものをあたしの奥まで埋め込んで、もっともっと熱くして、どこかずうっと遠くまで飛ばしてほしい。
あたしの足りない部分を、肉体と精神の両方にぽっかり開いたこの空洞を、こらえきれない寂しさを埋めてほしい……。
「困ったものだな。君がはっきり口にしてくれない限り、私の方からは何もしてあげることが出来ないのだがね」
「…………」
戒められている手足が恨めしい。これさえなければ自分の方からこの男へと襲いかかって、四の五の言わせず組み敷きながら無理矢理にでも男の逸物を自由にすることが出来るというのに。
ロストフは股間を堅く勃起させてはいても、その逸物をマインに対して使おうとする素振りはまったく見せていなかった。
渇望するものが目の前にあるのに、触れることはおろか、直接目にすることすらかなわない。その絶望が彼女にきゅっと唇を引き結ばせ、目頭を熱くさせた。
「分かったよ……。言えば……言えば、いいんだろ……?」
マインは恥辱に耐えながら火照りきった顔に薄く涙を浮かべ、目を伏せながらも、ついにその懇願を口にした。
「ちんぽ、……ちんぽが欲しい……っ。あんたの……隊長のちんぽで、あたしを……あたしを、むちゃくちゃにしてほしい……っ!」
「そうか……。君が欲しいのは……これか?」
言いながら、MS隊長はその配下にある美人小隊長の目の前でジッパーを下ろし、そこから己が分身を取り出していく。
「ああっ……!」
すでにその尖端を淫靡に濡れ光らせている巨根の凶悪な赤黒さに、マインは息を呑みながらただ目を奪われた。ただ目にしたというだけのことで、彼女の剥き出しの秘裂は熱い蜜を溢れさせていく。
「さあ、少尉……。私のこれを、君の自由にさせてあげよう。どこだ……? 君はこれを、どこに欲しい……?」
「どこに、って……そんなの、決まってるだろ……っ!」
それを目にしてしまって、マインの股間に走る甘い痺れがいっそう強くなってきている。しかし欲する場所まで口にするにはまだマインに残る羞恥心が邪魔をして、はっきり言葉に出すことが出来ない。
ロストフはそんな彼女へ穏やかに笑うと、ものを取り出したまま不意にマインとの距離を詰めてきた。
「少尉。こういうことは君の口から、はっきり言ってもらわないと困るのだよ」
「ん……ッ!?」
視線を逸らして俯いたマインの頬に、ロストフの怒張がその尖端を押しつけてくる。
これほどの至近距離で男の勃起したペニスを見るのは、マインが生まれて初めてのことだった。雄特有の異様な臭気が彼女の意識を支配していく。
「あ、ああ……すごっ、……おっきい……っ……」
間近な存在感にただ圧倒され、小さく口を開けて食い入るように見つめるだけの彼女の後頭部をロストフは不意に右手で抱き寄せると、腹へ付くほどに反り返っている逸物をその唇へ押し寄せた。
「んむ!? はぷうぅっ!!」
「ああ、……いいぞ……少尉……」
突如として、上官の男根をその腔内へと押し込まれたマイン。巨大な逸物はただの一押しで喉元近くまで易々と達して、マインをえづかせる寸前で侵攻を止めた。
「少尉。まずは、味わいなさい……歯を立てないようにね……」
「ン、……んぷ……っ、んく……んむ……あむ……っ」
最初は文字通りに面食らっていたマインも、ロストフの熱を帯びたペニスをその腔内いっぱいに感じるとその双眸を蕩けさせ、自ら愛おしげに頬張ると前後しはじめた。
唾液を絡ませながら舌を繰り出し、不器用で不慣れな動きながらも粘膜で搾るようにしながら健気に愛撫し、初めて頬張る男性自身を味わっていく。
「そう、そうだ、少尉……いいぞ……ううっ!」
「んっ!? んっぶぅっ!?」
その途中で、ロストフの雄が爆発した。マインの喉奥から逆流して腔内を埋め尽くすほどの白濁液が雄の熱量とともに放たれて、青い瞳を大きく見開かせる。
シャギーの掛かった長く美しい金髪ごと後頭部を押さえ込みながら、ロストフは最後の一滴までを彼女の腔内に射精した。
ぬめつく粘液の余韻を味わいながら逸物を唇から引き抜いていくと、別れを惜しむようにすぼめられた唇から唾液と精液の混じり合いが糸を引き、そして恍惚とした表情のマインがごくんと喉を鳴らした。ロストフの子種汁を、一滴残らず飲み込んだのだった。
「おい、これだけ……? これだけじゃねぇだろうな……? もっとぉ、……もっと寄越せよぉ……っ……!」
「分かっている」
言いながら、ロストフは彼女の正面で身を屈めた。今度は彼女のそれより自分の目線を下げて、再び身体を寄せていく。
「いい乳房だ」
「あ……ッ!」
そして賞賛とともに、ロストフの手がマインの胸に伸びた。はちきれそうに膨らんだ十九歳の若い乳房を、男のごつい両手が左右同時に握り込んでいく。
敏感な桃色の頂への不用意な直撃だけは避けながらも、ロストフが硬軟織り交ぜた握りで巧みにその山体を変形させていくと、マインは切なげなあえぎ声を掠らせながら乳首を男の手指へ触れさせようと身をよじった。
「あ……ッ! てめぇっ、なにあたしの乳揉んでんだよ……ッ、あふッ!!」
「素晴らしいな、少尉。この艦の女性たちの中でも、トップクラスの大きさではないかな。ノーマルスーツや制服、君たちの小隊がよく着ている作業服のときもずいぶん立派に見えていたものだったが、少尉……今までこうして男に触れさせたことはあるのかね?」
「そんなこと……っ、あるわけないだろうがぁ……っ!」
「ほほう。では――」
言いながら、ロストフは白い乳房の峰のその頂へと唇を寄せた。恥ずかしげにその尖端部を眠らせていた陥没乳首を口に含むと、マインがひっと息を吸い込んで身をよじる。
「あっ!? あああーーーっっっ!!」
ロストフは逃すことなく舌を使って乳暈を裾野から舐め上げ、続けて直上から火口を攻め抜く。
「あ、あたしの乳! あたしの乳がぁ、こんな奴なんかに揉まれて吸われて変にッ、変になるぅぅ! 何これぇ! 何だってんだよぉっ、どうなってんだよぉぉぉ!!」
頭上で響くマインの甘い悲鳴を聞きながら、その乳房を両手で裾野から搾り出すように揉みあげると、頬張った乳暈ごと出るはずのない母乳を狙うように吸い上げていった。
何度も乳首を替えながらマインの双乳を丹念に吸いしゃぶり上げたロストフが唇を離すと、てらてらと汗と唾液に濡れ光る乳頭は恥ずかしげに隠れていた暈の中からその頭を突き出し、今にも母乳を分泌しそうな授乳器官としての威容を誇っていた。
「初物か。これほど見事に育った乳房が一度も男に愛でられることも赤子を育てることもないまま、危うくビームに焼かれて原子の塵に還るところだったとはな」
「もう……もう、我慢、できないぃ……っ。はやく……早く、チンポ寄越せよ……さっさとあたしに挿れろぉっ!」
その唇と喉で逸物を味わったうえ、乳房を弄ばれて性感をさらなる高みへと導かれていながら、まだ男の指にすら触れられていない雌の部分がマインの魂へと上げる悲鳴は、もはや一瞬すらも耐え難い域に達していた。
いやいやをする頑是無い赤子のように、滂沱に溢れた青い双眸で男の慈悲を乞うようにすがりつきながら、マインは必死にロストフの肉槍を求める。
だが必死の哀願を穏やかな表情で受け止めながら、ロストフは腰の動きを止めてひどく冷ややかに言い放った。
「ハフナー少尉。君が本当にこれを欲しいと思っているのなら、私に対してもそれなりの態度――お願いの仕方というものがあるのではないのかね?」
「な、なに……?」
「誠意が感じられないようなら……これの今この場での君への提供は、見送らせてもらうとしよう」
「…………ッ!!」
ロストフが勃起したままの肉棒をジッパーの内側へしまいこもうとした途端、がちがちがちぃっ、と手首足首の拘束具が異様な音を鳴り響かせ、頑強な造りのベッドそのものが不気味に軋んだ。
それはおよそ人間の力とは思えないほどの強烈な破壊力を想像させたが、ベッドと拘束具はそのマインの暴力もどうにか耐えきってしまい、彼女は息を切らせてうなだれた。
「うっ、ううう……っ。わっ、分かった……分かったよ……。……ください……」
「……どうした? ずいぶん声が小さいようだが、何か言ったかね、少尉?」
「…………!!」
女の唾液と己が精液の混合物に塗れたままの分身をトランクスの内側へしまい込み、淡々とジッパーまでを上げていくロストフの仕草に、マインは涙も唾液も鼻水さえも垂れ流しながら喚いた。
「ロストフ大尉の、隊長のおちんぽくださいっ!! お願いしますっ、あたしのメス臭いぐちょぐちょのおまんこに、隊長の立派なすごいおちんぽ挿れてください! お願いします! おねがいしますっ!!」
「…………」
そこまで一気に吐き散らして肩で息するマインは、近づいてくる男の気配に紅潮しきった頬を上げた。
目の前にあれほど望んだ男の剛直がそびえ立ち、それが自分の股間へ迫ってくるのを目撃して、マインはすべもなくあえぎ散らした。
「あっ! あっ! あああっ!! ひううっ!!」
肉棒の尖端に秘裂から溢れかえった愛液へ触れられると、それだけでマインは反応して呼気を吐き出す。
ロストフの剛直はもはや彼女の最奥までを一突きで貫き通してなお余るほどの堅さと大きさに張りつめたまま、美しき金髪処女の膣口へと添えられた。
ロストフの口許が歪む。
「よく言えた、少尉」
「ああ、あッ! おちんぽ……隊長の、隊長のおちんぽ来るぅ……っ!!」
そして少しずつ、少しずつ、ロストフはマインへの侵入を開始した。むっちりとした安産型の尻肉を両手で掴み、その侵攻経路を安定させる。
水没洞窟と化したマインの秘所はただ貪欲に、ねっとりと媚肉を絡みつかせながら締め上げて味わうように男を受け入れ、呑み込んでいく。
それは素晴らしく滑らかな、男に心地よい挿入だった。女は男の侵入が深まる度に高まっていく天井知らずの性感に、ただ目を見開きながら耐えるしかない。
「あ、あ、あ、あ……ッ!!」
「……ほう……」
だがその途中で征服行為に抵抗を感じ、ロストフは緩やかな腰の動きを止める。口許の笑みを深めた。
マイン・ハフナーという女性が、今までの人生で一度もここまで他の男を迎え入れたことがなかったという、その純潔の証――そこにロストフは、足を踏み入れようとしているのだ。
「君の処女を、奪うぞ……いいな?」
「はい! きて……来てぇっ!!」
答えの分かりきった質問のあと、ロストフは躊躇もなく、それまでの穏やかさが嘘のような鋭さで一気に腰を突き込んだ。
「……ふッ!!」
「アグゥッ!?」
儚い抵抗のすべてを一瞬のうちに蹂躙して突き破り、ロストフはマインの最奥へと到達した。
子宮口まで突き抜かれたマインは声にならない絶叫を放ちながらその全身を痙攣させ、同時に今までにない強い力で侵入者である剛直を締め上げに掛かる。
その強引な誘惑は二発目の射精を搾り取ろうとするかのようだったが、ロストフは下腹に力を込めてその吐精感をこらえ、ベッドの尻肉を掴みながらのピストン運動を開始した。
「あッ! あッ! あッ! ああッッ!!」
雄そのものの荒々しい前後運動に、マインの胸に実る二つのたわわな果実が円弧を描くように大きく、激しく揺れ弾む。
かつての陥没が嘘のように左右で勃ち上がったその可憐な尖端は、薄暗い室内照明の下で弾み転がる白い双肉塊の頂で鮮やかな桜色の軌跡を曳きながら乱れ飛ぶ。
シャギーのかかったセミロングの金髪を振り乱して身も世もなく絶叫し続けるマインを、ロストフはひたすら激しく犯し続けた。
二人の結合部から無重力空間へ溢れ出し、水滴となって室内へ漂う体液の中に、次第に掻き出されてきた破瓜の鮮血がにじみ出てくる。
四肢を拘束された金髪巨乳美女に対する一方的な合体は時を忘れるほどに長く続き、彼女の意識を蕩けさせていく。
そしてロストフもまた、この金髪の乙女との交わりから得られる深い満足感の累積が、彼自身の生殖本能を新たな領域へ押し上げつつあることを感じていた。
犯しながら耳元に囁く。
「少尉……どこに射精してほしいんだ?」
「ふえっ、ひゃっ、ひゃへい……っ?」
ロストフの激しい腰使いにぬめる膣内を何度も激しく抉られながら、押し寄せる快楽の圧倒的な荒波に、マインはその思考能力を完全に麻痺させられてしまっていた。
「私は、もうすぐ射精する……いま君の中にある私自身の切っ先から、精液をたっぷりと吐き出す。君は、どこに出してほしい? 顔か? 胸か? 尻か? それとも――」
「はぐうっ!」
ひときわ鋭く押し進められたロストフの腰使いが、マインの奥を抉り込む。
「このまま、中、……か? どこがいい、少尉? 君が望む場所に、私の精液を残さず注ぎ込んであげよう」
「ど……どこ、って……」
すでに性欲の牝獣と化しているマインに、まともな思考能力などほとんど残っていない。そんな彼女でも意識の端で、避妊具も付けずに行われる膣内射精に伴う危険ぐらいは認識することが出来ていた。
このままナカに出されたら、自分は妊娠するかもしれない。
お腹が大きくなったら、もうMSに乗り続けて皆の仇を討つために戦い続けることも出来なくなる。エゥーゴの戦士ではなく、ひとりの母親として生きるしかなくなる。
戦えない身体になるのも、母親になるのもイヤだ。
そこまで認識していながら、マインは肉の内側から沸き起こってくるその欲求を拒むことが出来ない。
だって、子宮が望んでいる。
早く精液を飲みたいって。
いちばん子宮に近い場所まで精子を送り届けに来る、太くて堅くて長いちんぽを絞り上げて、金玉の奥から最後の一滴までを吸い上げながら子宮の中に飲み干せ、って。
子宮があたしに命じている。
こんなの、逆らえるわけがない。
「……にゃかっ! ぜったいに、じぇったいにぃっ、あらしの、にゃかぁぁあっ!!」
「中か。膣内でいいのかっ。私が中に出せば、君は妊娠してしまう可能性が高い。本当にそれでいいんだなっ」
ロストフに言われるまでもない。マインはその危険を知っている。身も心も認識したうえで、それでも子種を欲している。
絶え間なく繰り返されるピストン運動と愛撫に魂までも蕩ける中、マインは声を振り絞って叫んだ。
「いいのおっ。にゃんでもいいっ、濃くてドロドロで熱いのほしいっ、隊長のあの苦くてくっさいせーえきぃっ、あたしのなかに、おまんこの奥にぃ、あるだけ全部ぶちまけて出してえええぇぇぇぇっ!!」
「……分かった」
「あぐっ!?」
マインの腰を抱き寄せていっそう深く突き上げながら、その肩口でロストフの口元が歪む。
「アッ、アッ……アッアッアッアッ、ああ、アアア……ッ」
ロストフの腰使いが、その頂点めがけて激しさを増していく。ご無沙汰のまま胸を弾け飛ぶ乳房がそのたっぷりの質量でマインの顎を打ったが、腰ごと抱き寄せてきたロストフの厚い胸板に二つまとめて押し潰された。
「出すぞ……ッ」
「イク……イクウウウッ!!」
――あたしは、妊娠する
最後の瞬間にそんな警告が意識のどこかで生まれたが、快楽の圧倒的な怒濤の前に流れ去ってしまっていった。
そしてマインの最奥付近まで深く突き込んだまま、ロストフは己の逸物のカリ首を膣奥へしごき上げるように押しつけた。
「……ふッ、うぅっ……!」
「あっ!? ああっ、あああああああーーーッッッ!!」
恋い焦がれるように待ち望んでいた肉の脈動を膣奥に感じて、マインは背筋を跳ね返らせながら声も限りに絶叫した。
おびただしい量の精液が、子種を求めるように下がってきていたマインの子宮めがけて一気に注ぎこまれていく。
尽きることを知らぬかのように汲み上げられてくる精液を放ちながら、延々と脈打ちつづける亀頭の凶悪な震えに、なすすべもなくマインは絶頂した。
「れてるぅ……あたしのなかで、たいちょーのせーえきいっぱい、いいっぱい出てるぅぅぅ…………っ!!」
自らの卵へと雄の子種を受け入れ、新しい生命の芽吹きをその胎内へ宿していくという雌の悦びのなかで、マインは限界まで目を見開いておとがいを反らし、声も限りに絶叫していた。
想像をはるかに越える喜悦。
鉱山衛星の男所帯に生まれて十九年、汚れを知らぬままに強く美しく育った乙女が、その人生で今まで一度も知ることのなかった雌の無上の悦びを、ロストフの肉棒と自分の子宮が教えてくれた。
「はあっ、あっ、あっ、ああっ……ああ、あああああ……っ」
濁流のように押し寄せた限界以上の快楽は、マインの意識とわずかに残った理性をも完全に押し流してしまっていた。
電源を断たれた照明のように、ふっつりと意識が失せる。
ロストフの剛直に最奥まで貫き通されながら、滂沱に濡れる青い両目を見開いたままでマイン・ハフナーは気絶した。
「ふむ、ここまでか……。私もまだ、もう少し楽しませてほしかったのですが……完全に落ちてしまいましたか」
意識を失ったマインの紅潮しきったままの頬を撫でさすると、彼女ではない誰かに言いながら、ロストフはその怒張を秘裂の最奥から引き抜いた。
ぬめる水音が男の名残を引き留めようとするかのように大きく響きわたり、白濁液と破瓜の鮮血と愛液が混じり合った粘液が二人の間に糸を引きながら溢れ、そして途切れる。
ロストフは元いた端末の位置まで戻り、それらの動作状況を確認する。この部屋に配置されていた、多数の観測機器を。
二人が繰り広げた情事の一部始終はあらゆる角度から観測され、記録され、分析されていた。
「マイン・ハフナー少尉。やはりP因子保有者でしたか」
ちょうど観測機器の陰になる位置から響いた声にも動じることなく、ロストフは陰茎にぬらつく二人の粘液を拭き取ってトラウザスのジッパーを上げた。
「ええ。彼女の場合は鉱山衛星をティターンズに襲われた際の、鉱山側の記録映像にアクセス出来ていましたのでね。P因子の有無については、早い段階で確信していましたよ」
「それにしても――何度見ても、理解に苦しむ現象ですね。発現を間近で観測できた今でも、信じられません」
機器の向こうでキーボードを叩きながら、理知的な声の女は唸るように続けた。
「……ビームサーベルの直撃ですよ? ガンダリウム合金の装甲さえたやすく貫き蒸発させる、超々高熱高圧のメガ粒子です。そんなものの直撃を受けた人体が消し飛ぶどころか、かすり傷の一つも受けず、ただ気絶しただけで生き残るなど……」
「物理が物理に働きかけて生じるがごとき弱々しい力など、しょせんその程度だということです」
事も無げに言い放ちながら、ロストフは端末を操って次々に観測データをチェックしていく。
その中には事情を知らない人間にとっては、単に四肢拘束された若く美しい巨乳の金髪娘が地球連邦軍人とのセックスをせがんでよがり狂った末に中出しされて気絶する、そんなポルノビデオにしか見えないだろう光学映像記録も含まれている。
「恐ろしいことをおっしゃるお方だ。……その物理の弱々しい力に頼って生きる今の世界など、あなたが理解するその力にとっては砂上の楼閣のようなものだとでも?」
「いえいえ。私にも理解など出来ていません。だが確かにこの力は、現実として存在している。だからあなたがたに協力を依頼し、こうして少しずつ分析と研究を進めているわけです」
核爆発にも匹敵すると言われる熱と破壊の中で、生身の人間を無傷のままで生き残らせるなど、人智をはるかに超えた力によるものだとしか言いようがない。
それを解析し、もしも自在に利用することが可能になれば、世界はドラスティックに激変する――かつてトレノフ・ミノフスキー博士が発見した粒子が、その後の世界の有り様を決定的に変えてしまったのと同じように。
そしてその新たな力の秘密を握った者は、世界を支配するにも等しい力を得るに違いなかった。
「いま必要なのは、少しでも多くの研究資料を収集することです」
「分かっていますよ。今回でまた一つ――いや、二つ追加、ですか。ハフナー少尉と、彼女のお腹にあるあなたの受精卵を加えて」
「そちらの処置もよろしくお願いしますよ。我々にはジオンの残党を引き込みながら、ティターンズの戦力をこちらに引きつけるというという『表』の任務もある。まだ彼女には、MSを降りてもらいたくないのでね」
「医療班と調整しておきます」
「しかし、やはりここに来て良かった」
傍らから取り上げた電子端末のページをめくりながら、ロストフは満足げに言った。
「アイリッシュ級にディアス、ネモにヌーベル。モンブランなぞとたった二隻でグリプスへ向かう羽目になったブレックス准将には申し訳ありませんが、わざわざこれだけの戦力を仕立てた甲斐はありそうですよ。
私もさっそく、面白そうな相手を見つけてしまいました」
自分で言うほどの罪悪感など欠片も感じさせない愉快そうな声に、女性研究者が訊いた。
「大尉が接触したという、現地部隊のMS隊長ですか?」
「ええ。マコト・ハヤカワ准尉。資料をよくよく見返してみれば、彼女もなかなか面白い経歴を持っているようですよ。実に興味深い……一度じっくり、話を聞いてみたいものです」
「ですが先ほどの現地部隊――トラキア隊、でしたか。エゥーゴには非協力的な部隊だと聞いていますが?」
「ええ。ですから、次に会うときは戦場です」
ロストフは笑みを深めた。
「あの古めかしいモビルスーツも、無粋なノーマルスーツもすべて宇宙の塵と焼き捨てて、彼女の素肌に直接尋ねるに限ります」
「確かに敵ならば、『確認』の手間に遠慮は要りませんからね。なるほど、むしろ好都合でしたか。ここまで無理を押し通した手前、上も目に見える成果を欲しがっています――自由に使える新しい試料、期待してますよ」
今回は以上です。
話としてはここでようやく一区切り、第一章おしまい、ぐらいかと思います。
GJ!
ああっ、マコトがっ、マコトが狙われているっ!
オカルトかと思ってら、ちゃんと不死身の理由があったんですね。
失礼。
思ってら
↓
思ってたら
南極条約閉鎖されたな
69 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2014/01/15(水) 17:01:30.31 ID:/EUknJa+
ちょっと容量オーバーで投稿できなかったので、ぶつ切り式で投下しますので
何卒、ご容赦下さいまし。
「ジュドー!」
ルーの声がするとジュドーは現実に引き戻され、体を強ばらせた。
「どうした?」
「ルーだ。やばいな、見られたら…」
ハマーンと一緒にいる所をルーに見られたら、想像するだけでジュドーの背中
に戦慄が走った。
「どうした、ルー!」
「部屋に来ないから、どこ行っていたのかと思ったのよ」
「ああ、ゴメンゴメン!ちょっと…!?」
この先の言葉を言おうとした途端、ハマーンはジュドーのモノを再び咥え、唇
で吸った。
「…誰かいるの?」
「誰も居ないよ。ちょっとホットスナックを食い過ぎて、お腹を壊したんだ」
ハマーンに自分のモノを咥えられながらドア越しのルーに、ジュドーは嘘をつ
いてこの場を逃れようとした。
「医務室から薬をもらって来るけど…」
「大丈夫だよ。出せば、スッキリする」
「そう、それならいいわ。暇だからって遊んでばっかりじゃダメよ、ジムがあ
るからそこで体を鍛えてね」
「ああ」
「じゃあ、部屋に戻るから」
そう言い、ルーが男子便所から出ていき、ジュドーとハマーンの二人だけにな
った。
「っ、いきなり何するんだよ。あんたは」
「今さっきのはルーと言う女か?」
「エゥーゴのパイロットでオレ達ガンダムチームの一員だよ」
「ジュドーの好みか?」
「あんたには関係ないだろ!」
70 :
名無しさん2号 ◆sHaXf13KcI :2014/01/15(水) 20:35:29.97 ID:/EUknJa+
ハマーンの挑発にのせられ、ジュドーは両手で彼女の頭を掴むと自分のモノを
強引にねじ込んだ。
ねじ込まれたハマーンは瞳を白黒させたが、ジュドーは構うこと無く彼女の口
腔内を堪能するかのように頭を動かした。
尿道が迫り上がる感触に押され、ジュドーは一気に喉奥までねじ込みロックし
た。
彼女の口腔内でジュドーのモノが膨れ上がり、脈打つと同時に精液が放出され
、少量が気管に入った。
「うぶぶぶっ、ゲホゲホゲホッ!!!」
開放されたハマーンは激しく咳き込み、精液を少し吐き出した。
「お、おい…大丈夫かよ」
咳き込む彼女を見てジュドーは狼狽し、身を屈めるとハマーンの背中を擦った
。
最初は激しく咳き込んだが次第に収まり、唇から少しはみ出た精液を手の甲で
拭った。
「大丈夫では無かろう?」
菫色の瞳が冷たく、そして鋭くジュドーを見つめると狼狽した彼の表情から血
の気が一気に失せた。
「窒息寸前だ。女を何だと思っているのか、貴様?」
冷たく睨まれ、高圧的な口調とプレッシャーに飲み込まれ、ジュドーの背中は
冷や汗が流れた。
「あんたがルーの事を…、好みとか」
「だから何だと言うのか?」
唇の片方の端を上げて冷たく笑い、顔をジュドーに寄せた。
「…あ、いや、その、ま!ごめんなさい、ごめんなさい!ハマーンさんが美し
すぎて調子に乗っちゃいました!!ほんとにごめんなさい、オレってマジでバ
カです!!」
「ククククッ、それがどうしたのか?ジュドー・アーシタ」
寒気のする笑みと高圧的な口調による追及に、ジュドーは魚のように口を閉じ
たり開いたりしており、言い返そうにも言い返せなかった。
「面白い子だよ」
狼狽し、青ざめるジュドーを見てハマーンは気の毒に思った所為かこれ以上の
イタズラをやめた。
「あんた鬼だっつぅの!!」
青ざめた表情に生気が戻り、ジュドーが泣き出しそうな勢いで抗議するのを見
てハマーンは思わず笑った。
南極条約なくなった
南極条約がどうした?
なんか関係あんのか?
保管庫閉鎖されたんだよわかれよ
あれが保管庫?
もう十年ぐらい機能してなかったろ?
なんで今さら話題にする必要があんの?
中の人なの?
ISAPのクソ信者なんだろ
何にせよ
>>2にあるSS保管所は全滅なのね。
いよいよ次はPixivを
>>2に載せるしかないのか。。
最近行ってみたら「暫く停止致します」になってたから
閉鎖ではないみたい
78 :
名無しさん@ピンキー:2014/01/26(日) 00:08:37.77 ID:dCBeNSjy
突然どうしたんだろうな?
お絵かき掲示板は動いていたからたまに覗いていたんだが…。
このスレ絵師いるの?
バイブ入れさせたまま出撃させたい…
けどそんなことしたら戻ってこれないよなぁ。
>>80 誰が誰に入れさせると嬉しいのか簡潔に述べよ
「おじさまにエゥーゴの方で新しくMSを用意いたしましたの。私と一緒に出撃してくださいまし」
「おう! 新型機か。さすがエゥーゴさんは羽振りがええのう」
「ただ、条件があるんですの……」
「お、おう……何や。何を恥じろうとるんや、シェンノート少尉。何でもええから言うてみ」
「出撃の間、コレを……おじさまに、付けていてほしいんですのっ!」
「アッー!? 刺さった!? 何やコレ、ずっぷりワシの奥まで挿さりよったあああ!? アホな! 深い! しかもぶるぶる、ぶるぶる震えよるっ……ぬ、抜けへん!?」
「うふふふふ。ソレが振動する強弱は私の手元で自由自在ですの。それからこうして一回挿してしまったら、もう私が解除コードを入力しない限り二度と抜けませんわ。もしも無理矢理抜こうとしたら、そのときは……ああ、恐ろしい! そのつもりでいてくださいましね」
「あ、アカン……アカンやつや……に、逃げな……逃げな……」
「あと、おじさまの機体が私から離れすぎたりして信号を受信できなくなったら、それはもう取り返しのつかない勢いでぐりぐりブルブルしはじめちゃいますの! ああん! おじさま、一体どうなってしまいますの!?」
「」
「うふふ、いけないおじさま……これだけで股間のザクマシンガンをこんなにジャイアントバズにしてしまうなんて、はしたないですわね。もう私からは逃げられませんわよ? 一緒に帰ってこられたら、そのときは……次のご褒美を、差し上げますわ」
「そうですわね……こういう風に使うのならやはり、安全装置付きのリモコン式が一番ですわね……」
乗機と新装備との調整が進むジャカルタのMS格納庫を物憂げな美貌で眺めながら、そんな風に乙女の物思いにふけるリアンナであった。
>>80の内容をなんとか拙作に当てはめてみようとしたものの、この組み合わせしか出てきませんでした。
本編もまた近いうちに投下します。
永井一郎さんの御冥福をお祈り致します。
今後のゲームとかのナレーションどうなるんだろね。
>>83 GJ!
永井さんの御冥福をお祈り致します。
天国でドズルと再会しているころでしょう。
86 :
名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 00:06:18.83 ID:dVwKSkXV
>>84-85 こういうことになる前に後進の人に禅譲させておけばよかったのに……と、失礼ながら。
まぁ、それをやる暇が出来ない程に「あの人たち」のインパクトが大き過ぎたって事なのかもしれないんだけど。
ユニコのブライトさんは、違和感あんまりなかった。
カツオもワカメも、最初微妙な違和感あったが十分なじんだ。
でも波平さんの後任さんは大変だなあ。
タラちゃん、更にはサザエさんの交代時も厳しいだろうなあ。
マ・クベって今ゲームなんかじゃ誰がやってんの?
88 :
名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 21:17:25.85 ID:dVwKSkXV
>>87 >タラちゃん、更にはサザエさんの交代時も厳しいだろうなあ
その二人だったら何とかオッケーなんじゃあないのか? 波平さんは……
>>87 今のマ・クベは田中正彦さんみたい
しかし、こういう雑談が成立するぐらい人が戻ってきたのかな
まあ、全部俺の自演だけどな
フェニックステイルもハマジュドも全部お前が書いてたのかw
>>89 水が綺麗になったから、魚が帰ってきたんだよ。
最近、ISAP死ねを連呼してた人がこなくなったじゃないか。
ハマジュドの人は鋭意書きため中かな?
話としてまとまった量を一度に投下されるのでないと、せっかくのSSにも反応しづらいから頑張ってほしい
人が戻ってきたのなら、SSもさらに充実してくれるといいね〜
ISAP自身はそうでもないが、アンチと信者が同程度にゴミすぎた
過去ログ読むと確かにひどい人も大勢いるね>信者
しかしまあ、あれだけの人数が熱狂していたのは間違いなく凄い時代だったのだと思う
最近は社会全般でスマホへの移行が進んだ上に、2chではそのスマホが主要三社一律規制だからな
それでこのスレにもROM専にならざるを得なくなった人も大勢いたと思う
でも、ここにはまだ書き込み環境のある生き残りが多少はいるのだから、SSも感想も雑談も盛り上げていければいいね
エロパロ板の書き込みがまた面倒くさいことに……自分のメイン環境では書き込み不可になってしまいました。
誰か生きてる人、いますかー。
エロパロ板の危機はとりあえず去ったようだ
ところで一時期騒ぎになった南極条約は死んだままみたいだな
おー、復活してるな
これは意外だった
注意事項:オリキャラ監禁凌辱、孕ませ、輪姦です。そのうえトンデモ現象が山盛りになっています。
いつもの続き物の一部ではありますが、今回はフェニックステイルを今まで読んでいただいていなかった方にも、注意事項が気にならなければ独立してお楽しみいただけるかと思います。
手始めにどうぞ。
フェニックステイルを読んでいただいている方に関しては、第一話から分岐した一種のIF展開的なもののようななにか、としてお楽しみください。
全編ほとんどエロだけで、話の中身のようなものはほとんどありません。
奇襲だった。
胴の中央を背から光弾に撃ち抜かれてくの字に折れた、地球連邦軍所属のGMUが次の瞬間に火球へ変わる。
「二時方向から敵機三! ゲルググタイプ!」
『なっ、敵? 敵が来るのかっ!?』
全天周モニターから照り返す僚機の爆光に必死の表情を照らされながら、少女は自らのGMUからビームライフルの火線を放って迫る敵機へ応戦した。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
だがその間にも不気味な呪文を唱えながら迫る敵機の前に、僚機は次々に被弾しては爆散し、脱出した小隊長のポッドは敵のゲルググに捕獲されるや、その掌中でビームナギナタに貫き通されて弾け飛ぶ。
ついに友軍のMS隊は新兵の彼女一人を残して全滅した。
「こっ……このおおおっ!!」
それでも母艦のサラミス改級巡洋艦だけは守ろうと、黒髪の少女は単機でなお果敢に挑みかかる。
だが、そんな少女の気迫をあざ笑うように、ジオン残党のゲルググはその足止めに一機だけを残すと、あとの二機がサラミス改からの寝ぼけたように疎らな弾幕をあっさり抜き去った。
艦橋を踏みつぶすように取り付いたゲルググが有無も言わせずビームライフルの連射を撃ち込むと、融合炉をズタズタに引き裂かれたサラミス改はその輪郭をあっさりと崩して巨大な光輪を広げ、巨体の原形も残すことなく爆炎を上げて弾け飛んだ。
「よっ、よくもおおおぉっ!! ――あぐっ!?」
帰る場所を奪われて自暴自棄になった彼女のGMUを、ゲルググは三機掛かりの巧妙な連携であっさりと撃破していく。
頭部や四肢が次々に薙ぎ払われ、とうとう胴体だけになった少女のGMUをゲルググ二機が左右から捕らえる。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
「あ、ああ……あああああ、そ、そんな……私、もう……」
敵機のパイロットらしき若い女たちの不気味な呪文が接触回線越しに聞こえてくる中、隊長機らしきゲルググがコクピットハッチの直前にビームナギナタの光刃を突きつけてきた。
「ごめん……ごめんね、シエル……私のこと、あんなに鍛えてくれたのに……私一人だけじゃ、やっぱりダメだったんだね……」
もはや逃れられない死を前にして、遠く離れた親友の名を呼びながら恐怖に震える少女の眼前へ、ゲルググ隊長機のパイロットらしき髭面猪首の屈強な男が接触回線経由で通信小窓を開いて割り込んでくる。
『娘! 腐敗極めし連邦畜生道にあって最後まで踏みとどまらんとしたその気概は見事なり! しかしその存在を現世に留め置いては、我ら大ジオン仏道の禍根とならん! これにて完全成仏いたすべし! 喝(カァーツ)ッッッ!!』
「あうッ!?」
ビーム刃が正面いっぱいから迫る。瞬時に外部装甲もろとも全天周モニターを溶断しながら侵入し、CGから実体そのものとなって少女のいるコクピットを貫通した。
少女の全身が光に呑まれる。
強固なヘルメットがバイザーもろとも砕け散り、清楚なショートカットの黒髪を吹き散らし、可憐な面差しが死の恐怖に引き攣る様を露わにする。
「きゃああああーーーっ!!」
少女の肢体を包んでいたパイロットスーツはメガ粒子の中で、内側から弾け飛ぶようにして破裂した。
パイロットスーツの胸部裏側に補強されていた、少女の大きすぎる乳房をGから守るためのバストパッドも、その爆乳を最後に直接包んでいたIカップのスポーツブラジャーごとバラバラにちぎれ飛びながら、灼熱の閃光に焼き尽くされていく。
光熱の奔流に剥き出されたMSパイロットとして規格外の爆乳が、その頂に桜色の巨乳輪を咲き誇らせながら激しく揺れ弾んだ。
みっちりと詰まった乳肉の頂でその大きさに見合うだけのよく発達した桜色の乳暈と、その中心から起き上がってくる乳首の突端までが露わとなって、薄紅色の軌跡を描きながら暴れ狂う。
人体など瞬時に蒸発させる死の閃光の中で、股間の茂みの下に潜む秘裂がじっとりと濡れそぼり、粘りのある体液を溢れさせる。
死に直面した生命が最期の瞬間に暴走させる生殖本能が、無垢な少女をその肉体に初めて知る倒錯した絶頂へと導いていく。
――ああ、シエル……! わたし、もうイッちゃうぅ……っ!
すべてを蒸発させながら押し流していく閃光の中で、少女の意識は消失する。
次の瞬間には機体の破壊された融合炉も暴走し、GMUはそのパイロットの爆乳美少女を抱いたまま巨大な火球と化し、宇宙の塵と消滅した。
そして永遠にも一瞬にも思えた暗転の後、彼女は再び目を覚ました。
「ん、……」
視界に入るのは、周囲一面を埋め尽くしながらゆっくりと流れていく穏やかな星の海。
自分がMSコクピットの全天周モニターの中にいるのだと気づきながら、少女はうつろな熱を帯びた瞳であたりを眺め渡す。
「え、……何、これ……私、まだ……生きて……?」
「目覚めたようだな、連邦外道の妖怪変化!」
そして、少女は気づいた。
左右の宇宙空間には、編隊を組んで飛ぶゲルググの姿がある。そして正面にはリニアシートに座るジオン軍パイロットスーツ姿の巨漢が、身も凍るほどの鋭い視線で自分を射貫いていることに。
自分が一糸まとわぬあられもない裸身をさらしながら、両手首と足首を手錠に戒められていることに。
「じ、ジオン兵……あなた、さっきの!?」
「すべての罪咎を焼き清める、我が大ジオン仏道の聖なる奈落業火に焼かれてなお完全成仏に至らぬとは……娘! 汝のその身、人のそれに非ず! 即ち汝、妖怪変化なり!!」
「な、何を言って……あうッ!?」
戦いに敗れ、敵に捕らわれた――その事実を察して青ざめた少女の胸元に、ジオン兵の手が迷いなく真っ直ぐ伸びる。
そこを隠そうとした腕をあっさりねじ上げると、こぼれ落ちた巨大な乳肉果実の片割れを、スーツのままの手袋が荒々しく握りつぶす。
「ああッ!! いっ、痛ッ!!」
愛撫などとはとても呼べないあまりに強すぎる握力に、たまらず少女は悲鳴を上げる。屈強な男の五指の隙間から、若くみずみずしいたっぷりの乳肉が、その剛力から逃れようとはみ出るほどに溢れ出す。
だが少女は単なる痛みだけではなく、乳房の芯から股間へ流れ、そして脳髄にまで届いた甘い痺れを同時に感じていた。
――こんなに乱暴に触られたおっぱいが、あそこが……からだじゅうが、さっきから、熱い……どうして……?
「フム……!」
「あ、うッ!!」
その疑問を考える余裕も与えられないまま、異様な眼力を持った男は握り込んだ乳房の頂を乱暴に指先で押し込み弾き飛ばしながら、少女へ一方的にまくし立ててくる。
「娘! これほど豊かに乳を実らせていながら、こうも搾られて一滴の母乳も出さぬとはな! 男を惑わすばかりの役にも立たぬ飾り物をこうも大きく誇示するとは、なんたるふしだらな乳よ!
すでにこの事実を以て、連邦の腐敗は天地神明に曝された!!」
「あっ……!?」
今にも握り潰されるかと思えていた乳房が、不意に握力から解放される。
だが息をつこうとした少女は、男の次の行動を目にして凍りついた。
男は片手で少女の両腕を戒めたまま、もう片手を自らの喉元へやった。パイロットスーツのジッパーを一気に、一番下まで引き下ろす。
そして男の股間から飛び出してきた赤黒い肉柱は、ただそそり勃つ雄渾なる姿形を見せつけただけで、少女から抵抗の意志いっさいを完全に奪い去るほどの凶暴さを発散させていた。
「あ、ああ……そ、そんな……」
そして目撃した瞬間に、少女は理解してしまっていた。
もはや正規軍ではないジオン残党兵が、怨敵である連邦兵を捕虜にしたときどう扱うか。
これからこの場で何が行われ、そして自分がどうなってしまうのかということを。
――レイプされるんだ、私
「かくなるうえは、妖怪変化! 我が大ジオン金剛棒にてその煩悩を突き晴らし! ただちに極楽浄土へ往生すべし!!」
「あッ!?」
少女の股間へ男のごつい手指が無遠慮に伸びると、二本の指先がいとも簡単に花園の濡れた入り口を広げる。
「ええい、すでに準備万端とはな! 腐敗極めし連邦色欲淫蕩の性、まっこと救いがたし!!」
「な、何をっ!?」
もはや相手の目的を確認するためではなく、単に弱々しい拒絶の意志の発露として発されたか細い悲鳴になど男が聞き入ることはない。
男は水音を立てて割り開いた肉の洞窟の開口部へと腰を寄せ、その割れ目などよりずっと大きな己が分身を、避妊具など着ける素振りもまるで見せないまま無慈悲にあてがう。
「す、すご……っ」
赤黒い肉棍の切っ先が秘裂に触れるほど近づいたことで、少女は改めてその絶望的な大きさを思い知った。こんなものを受け入れることなど出来るわけがない。
しかし男は少女の逃亡を許すまいと、荒々しい両手で左右の豊かな尻肉を握り締めてしっかりと抱え込み、おびえる少女の退路を完全に封じた。
「ひっ……! お、お願いやめて、そんな……っ、そんな大きいの、入らな……っ」
「覚悟、連邦妖怪変化! 金・剛・調・伏!!」
そして男は前戯もなしに逞しい両腕で少女の腰を一気に引き寄せ、己の頑強な腰を叩きつける。
「!!!」
ぱぁんっ、と爆ぜるような破裂音が球形のコクピット内へ鳴り響いたとともに、雄の肉杭は少女を最奥まで貫き通していた。
少女はもはや悲鳴すら上げられず、ただ限界まで瞳を見開いて声もないまま絶叫するしかない。
少女の股間から脊髄を通して脳天にまで突き抜けた衝撃波が、一瞬遅れて胸の乳房に伝わり、その無重力下の半球形をだぷんと大きく波打たせる。跳ね返った桜色の尖端から汗の滴がぴゅっと飛び散り、全天周モニターの星空に触れて潰れた。
男の侵入に対して抵抗らしい抵抗も出来ないまま、何の余韻もなくただ一瞬で摩滅した処女膜が鮮血を噴き出し、二人の結合部分からじわじわと溢れ出す。
よく鍛えられて引き締まった少女の膣は男の侵入に最大限の抵抗を見せたが、凌辱の肉杭はその堅さも鋭さも勢いも遙かに彼女を上回り、濡れた膣内を裂けるほどに押し開きながら最奥まで貫き通しきっていた。
合体、されてしまった。
「い、いた、……い……っ……」
破瓜の流血が逸物の根本にまで届いたとき、衝撃に見開かれたままだった少女の瞳が涙の粒を溢れさせた。
秘裂を満腔に満たして異物の侵入に備えていた愛液も、これほど巨大な挿入物の前で膣内を保護しきれるはずもなかった。肉棒を伝って流れ出る少女の出血は、ただ破瓜のために生じたものだけではない。
目尻からこぼれた水滴はコクピット内の無重量空間をゆっくりと漂い、やがて星空を映す全天周モニターの画面に触れて潰れる。
そして少女を貫通した男は破瓜の余韻もそこそこに、左腕で腰を抱えたまま猛然と凌辱の抜挿を開始した。
「ひっ! ぐぅ! いぎぃっ! あぐうぅぅっ!!」
男が進める巨体の腰使いを受け止める度に、少女は膣奥まで突き抜ける衝撃で身体の底から悲鳴を上げた。
MSパイロットとしてよく鍛えられた少女の肉体は、それ以上の蹂躙を拒否して排除しようとするかのように強く厳しく凌辱の肉棒を締め上げる。だが男自身のまさしく金剛石のような堅さの前には、その女犯の快感を上積みするだけでしかなかった。
あまりに太く堅い雄肉の棍棒はカリ首が膣口から顔を出すごとに、胎内に満ちた少女の愛液と鮮血を掻き出してはコクピット内へと飛び散らせていく。
少女がこれまでの人生で誰の侵入も許したことのなかった引き締まった膣内は、休むことを知らない巨大な男根が繰り広げる往復運動に蹂躙されて、血を流しながら押し広げられていった。
両耳にかかる黒髪の房を揺らしながら、少女は身も世もなく泣きむせぶ。
「ああ! ああ、こんなの……こんなのぉ……っ!」
――わたしの、なかが……このひとの、おちんちんの、かたちに、されちゃってるよぉ……
だが寄せては退き、退いては寄せる、時化た海に逆巻く怒濤のような男の力強い腰使いを受けてがくがくと揺れる少女のおとがいから漏れる悲鳴の中に、次第に甘いものが混じりはじめた。
「すっ……すごっ、いっ、いい……っ……」
男の猛烈な突きを膣奥で受け、衝撃だけを雌芯に残して膣口まで退いたそれが再び少女を最深部まで抉り込む。
まるで終わりの見えない壮絶な往復運動の中で、はちきれそうに大きく張った乳房がその桃色の尖端で円弧を描くように大きく激しく揺れ動き、桃色の残像を曳いて振り乱される尖った乳首から玉の汗を弾き飛ばしていく。
「あっ……あッ、アッ、アッ、アッ……」
いつしか甘い喘ぎを殺しきれずに漏らしはじめた少女は、その両手首の戒めも解かれていた。彼女はその両手をそっと下ろすと、自分を真っ向から犯し続ける男の背中へ回していく。
ぎゅっと抱きしめると、男の逞しい胸板との間に左右の尖りを突き立てながら、胸の果実二つが潰れて広がった。
「わたしのっ、いちばん、奥、ぅ……そんなにゴンゴン、激しく叩かれたらぁ……っ!」
乙女の花園は繰り返される抜挿のなかで鋤き荒らされ、媚肉は耕すように解きほぐされながら、次第に子を産む畑へと造り替えられていった。
存分に潤いながら耕され続けた少女の膣奥では、子種を待ちこがれるように子宮が下がっていく。
男が女を犯す、その行為の先で当然に導かれる結果へと向かって、少女の肉体が整えられていく。
「きゃふぅっ!?」
正面から犯されていた少女が突き込まれながら身体を回され、体勢を後背位へと入れ替えられた。
侵入角度を大きく変えた蹂躙の男根はいっそう深く少女を犯し、上下の濡れた唇から鋭い悲鳴を吐き出させる。
少女はとっさに星空へ手を突き、背後からの凌辱に耐えた。
同時に乳房は二つとも全天周モニターの星空に押し潰されて、胸から左右に大きくはみ出す。
爆乳は少女の汗をたっぷりと画面へ塗りつける肉筆と化しながら、少女自身と背後から犯し続ける男の体重の総和に負けて、その豊満さをつきたての餅のような柔らかさで変形させていく。
「ああ、こんな……いやぁ、こんなの……こんな、動物みたいなのぉ……」
「人道(にんどう)踏み外せし妖怪変化は、先ず畜生道経て還るべし!! ふっ、ふっ、ふっ、フウゥッ……!」
膣を犯し抜いてまだ余長を有する肉杭の先が子宮口を突きながら、汗にまみれた少女の尻肉が男の腰を弾き返すたびに小気味よいほどの破裂音を跳ね上げる。そのリズミカルはあたかも木魚を叩く僧侶のようであった。
猛烈に前後する腰使いで少女を犯し続ける男は今や、膣内の締め付けだけでなく、胸の乳房に負けずに熟れた尻肉の張りつめた弾力もそのピストン運動のサイクルに取り込んでいた。
「あぐっ、うぅぅっ、こ、こんな姿……みないっ、でぇぇ……っ!」
彼女たちの機体と並進する左右のゲルググのモノアイがこちらへ向かって動く度、少女はコクピット内で犬のように犯されている自分のみじめな痴態を見られているように感じて涙ぐむ。
少女の肉体は背後から両脚を抱え込まれて男の肉棍に貫かれ続けながら、寄る辺ない無限の星空へ向かって前のめりに倒されている。
初体験の痛みと悦楽が溢れかえる中で、少女は無防備な自分の裸体がこのまま宇宙空間へ落ちて溶け去るような感覚に陥っていた。
「うッ――」
無言のまま、ただ少女を力強く犯し続けていた男が、そのとき大きく息を吐き出した。同時に少女を踏みにじる凌辱の周波がさらに激しさを増して、彼女は本能的にこの行為のひとつの到達点が近づいてくるのを感じてしまう。
そして、男が絶叫した。
「妖怪変化ッ! 汝、今こそ涅槃に至りて昇天すべしッ!!」
少女の胎内を貫き通して子宮口を叩き続けていた肉杭が、男の叫びを最後に往復運動を止め、少女の最奥に身を留める。
「っ!?」
「降魔! 調・伏!!」
――なにか、くる
その杭先が膨らみながら脈打ったと思えた瞬間、少女は自身の胎内に弾ける熱いほとばしりの直撃を感じていた。
おびただしい量の熱い粘液が吐き出され、少女の子宮にもっとも近い場所から、そのさらなる奥を目指して注ぎ込まれていく。
「あっ!? ああ、あああああーーーっ!!」
刹那、電撃にも似た強烈な痺れが全身へ走って、貫かれたまま少女は弾けるようにその背を反らせた。
全天周モニターから離れた乳房はその最後の一突きでだぷんと大きく揺れたきり、次第に振幅を縮めながら、尖り勃ったままの乳首を宙に漂わせていく。
「来てる……っ、なに、これ……なにか……あついのがなにか、わたしのなかに、きてるぅ……っ!
いやぁ……! やめて……止めて……抜いて……っ、抜いてぇ……!
こんなの……こんなにいっぱい最後まで、中に、出されちゃったら、もう、わたしっ……わたしぃ……っ!!」
背後から深々と打ち込まれた肉杭に征服されたままの膣奥は、必死に身じろぎして固めを脱しようとする少女の意志に反してひくつき、その杭先から溢れるように押し出されてくるおびただしい精液を従順に呑み込んでいく。
――自分が女性であることを、汚されてしまった。
そして、その熱い迸りが子宮めがけて注ぎ込まれ、彼女の内側を溢れるほどに満たすと同時に、少女の背筋へぞわりと悪寒が走った。
「あ、あああ……ッ!?」
彼女の脳裏に、鮮明な像が結ばれる――それは艦砲射撃にも見まがう極太のビームにコクピットブロックを直撃されて、貫通されるやたちまち巨大な火球と化して宇宙に消滅していくGMUのイメージだった。
「直撃……? うそ……わたしの卵子が……精子に、直撃された……? ……撃墜……、されちゃったの……?」
その瞬間、少女は本能的にその事実を直感した。
何百人という味方を殺した敵兵の精子が、今この瞬間、おなかの奥で自分の卵子に植え付けられた。
受精した――妊娠、させられてしまった。
「う、うそ……うそ……うそ……」
自分の身に起こった事実を受け止めきれず、ただ呆然と放心する少女をよそに、全天周モニターに艦船が映り込み、減速して相対速度を合わせたゲルググがその格納庫に着艦する。
「……わたし……わたし、まだ、お母さんになりたくないのに……みんなを殺した、敵の……ジオンの残党兵の赤ちゃんなんか……産みたく、ないのに……ぃ」
うわごとのように呟きながら放心していく少女の膣奥へと、すべてを吐き出し塗り込め終えて、凶暴そのものの肉杭がゆっくりと引き抜かれる。
ごぽんっ、と大きく水音を立て、ねっとりと糸を引きながら、この爆乳の美少女パイロットを今こそ完全に撃墜した巨砲が誇らしげに、再び虚空にそそり勃つ。
胎内すべてを埋め尽くす膨大な白濁に、かすかな赤の混じり合った濃厚な粘液が、熱い湯気を立てながら溢れ出し、少女の処女喪失と膣内射精が同時に行われたことを見せつけた。
そして高らかに男は宣じる。
「娘! 汝の胎蔵に今こそ、刻……至れり! 喝ッ!!」
「あぐぅっ!?」
男の絶叫とともに、少女はその腹に異様な疼きを感じて跳ね上がった。狭い全天周モニターの内側を浮遊してすぐに身体をぶつけ、そして少女はその変化に気づいた。
「!? な、なに……これぇ……」
うつろな瞳で少女が自分の下腹を見下ろせば、その核心まで貫かれて徹底的に汚されぬいた腹はいつの間にか、もはや抱えきれないほどに大きく膨らみきっていた。
それは紛れもなく、出産を間近に控えた妊婦の腹だった。
西瓜ほどもあった乳房はさらに一回りも大きく膨らみ、そして桜色の美しかった乳暈はすっかり色素を沈着させ、全体を炭のような黒に染めあげてしまっている。
つい数分前まではMSを駆って勇敢にジオン残党の脅威に立ち向かっていた連邦軍の新任少女パイロットの身体は、ジオン残党兵の想像を絶する凌辱によって、もう完全に臨月の妊婦のそれに作り替えられてしまったのだった。
「あ、ああ……やっぱり……やっぱり、できちゃった……あかちゃん、できちゃってたんだ……いまので、わたし……。わたし、もう……ごめんね……ごめんね……」
少女はもう焦点の合わなくなった瞳のまま、静かに涙の堰を切ると顔を覆って泣き崩れながら、誰に宛てたかも分からない謝罪の言葉を繰り返すばかりだった。
着艦軌道に入ったゲルググが、甲板に降り立つ。その衝撃がコクピット内を振動させると、少女の乳房も弾けるように小さく揺れて、色素沈着した左右の黒い乳首から白い母乳を幾筋かぴゅっと噴き出した。
だが男は自ら犯した少女が妊娠に至るまでの一部始終を見届けながらも、不満げに叫んでコンソールを叩いた。
「ええい、業深き妖怪変化の娘よ! その腹に輪廻転生を抱えても、いまだ完全成仏に至らぬというか! しからば!」
MSの収容を終えた艦内格納庫のハッチはすでに閉じており、庫内には空気の注入が始まっている。
その与圧が完了すると、男はゲルググの全天周モニターのハッチを開いた。濃厚な性臭の立ちこめた空気が気圧差で外へ流れ出していく。
「かくなるうえはその六根に宇宙(そら)の衆生より法悦の限りを得て、涅槃に至るがよい!!」
「え……っ?」
ただ友軍を殺戮したのみならず、自分を犯して処女を奪ったうえ、ためらいもなく膣内射精して妊娠にまで至らせた相手からの言葉を理解できないままの少女の手首を、男は片手で掴み上げるとそのまま機外へ放り出した。
力を失った少女は膣口からは紅白の入り混じった粘液を、尖ったままの左右の乳首からは溢れる母乳を垂れ流しながら、ただその身を格納庫内に漂わせていく。
「ひょお! こいつはすげぇ戦利品だぜ!」
「いつ以来の女だ?」
「もうボテ腹になっちまってるけど、乳もすんげぇデケェし可愛いじゃんよぉ」
「あっ……」
半ば放心したままの少女の裸身が流れていく先には、戦利品として投げ与えられた女体に野卑な歓声を上げるジオン兵の男たち。
「い、いや……」
欲望に満ちた数十の視線に曝され、凍りついたままの彼女の肉体が流れ着いてくるのを待ちきれないとでも言うように、男たちは次々と跳び上がって空中で少女に群がった。
「いやああああああぁっ!!」
左右の乳房が別々の男に捉えられ、両方ともが乱暴に揉みしだかれると、潰された乳腺がたまらず黒い乳輪からシャワーのように勢いよく母乳を噴き出す。
「見ないで! 私のこんな姿、お願いだから見ないでえぇっ!!」
「おー、このおっぱいただデケェだけじゃなくて、もうしっかりミルク出るようになってんのな」
「安心しなよ嬢ちゃん。こっちの穴もすぐに次を使えるようにしてやるからなぁ」
「あっ!?」
少女の両足は空中で大股開きにされて、すでに凌辱の限りを尽くされた秘裂を男たちの眼前に曝される。そのまま揃えた指を突っ込まれ、濃厚な精液と血と愛液の混じりものを掻き出された。
「いやあっ、見ないで! 来ないで触らないで、もう私にこれ以上ひどいことしないでぇっ!!」
しかし少女が必死に振り絞った可憐な悲鳴など、最初から男たちの意に介するところではない。まとわりつく十数人が我先にと彼女の身体を思うがままにまさぐっていく。
「それにしても美味そうなオッパイしやがってよぉ」
「先っちょからミルク垂らしやがって。へへ、腹のガキより先に飲ませてもらうぜ」
大きな乳暈もろとも二人の男に乳首の先を頬張られると、奥に張りつめていた大量の母乳が勢いよくその腔内へと吸い上げられていく。
甘噛みされた乳首がぴゅっと母乳を発射し、乳暈の下端からざらりと攻め登ってきた舌に乳汁を舐め取られて、嫌悪感と同時に脊髄を昇りあがってくる異常な快感に少女は身震いした。
「あっ、あああーーーっ!! いやっ! いやあああああっ!! うぐっ!?」
「おら姉ちゃん、喚いてねぇでしゃぶってくれよ!」
泣き叫んだ少女の悲鳴は、その半ばで唇に押し込まれてきた太く臭い男根に封じ込められた。
「ん、ぐっ!?」
さらにそのとき下腹に走った衝撃が、少女の両目をいっそう大きく見開かせる。
「おらよぉっ、オマンコいただきぃ! へへへ、こんにちわ、赤ちゃん――ってなぁ。孕んでるくせによぉ、ずいぶんよく締まるじゃねぇか!」
「こっちの穴はまだ処女かぁ?」
まだゲルググパイロットの精液が残ったままの膣内へも別の男が堅く逞しいものを挿入し、同時に尻穴までもを別の男に犯されて二本の肉棒が腹の中で擦れあうのを感じると、少女はさらに迫りくる肉棒をその両手で食い止めるように握り込むしかなかった。
「んぐっ……んぶぅっ、んぐ、あぐぅ、えぐっ……!」
――ああ、こんなの……こんなの、すごすぎる……こんなに大勢の男の人たちから一度にからだじゅうめちゃくちゃにされて……今度こそ、完全に壊れちゃうよぉ……
――ごめん、シエル、……ハヤカワ准尉……わたし……もう……
次々と発射されるジオン兵たちの白濁液を身体のあらゆる箇所へ塗りたくられながら、輪姦され続ける少女の意識は薄れ、溢れる光の中に溶けていく。
捕らわれた少女パイロットを襲う凌辱者たちの宴は、まだ始まったばかりだった。
今回は以上です。
MSの全天周モニター式コクピットを活用した情事には、まだ研究の余地があると思います。
続き物の第十四話を投下します。
今回の注意事項は特にありません。
Pixivに保管庫があります。
過去分や拙作の概要に興味をお持ちの方は、フェニックステイルで検索してみてください。微修正版が第九話まで保管されています。
「……いやぁっ!!」
全身にぐっしょりと汗をかいたアイネが跳ね上がるように目を覚ますと、マコトの寝顔が正面にあった。
「……!?」
とたんに心拍数がさらに大きく跳躍し、アイネは固定ベルトの下で布団をぎゅうっと抱きしめながら身を縮こめる。
いまアイネが身を起こしたベッドはマコトの部屋の、その本来の主が普段使っているベッドの対面側――つまりは天井部分に臨時で取り付けられていた。
だからそこからほんの二メートルばかり先の正面に、安らかな寝息を立てる凛とした東洋系美女の寝顔が覗けるのは当然のことだった。
帰投後の残務処理を終え、自分がこの相部屋へ戻って就寝したときにはまだ一人だったから、マコトはその後に仕事を済ませて戻ってきていたのだろう。
「ハヤカワ、准尉……。…………。……夢?」
アイネは先ほどまで大きく膨らんでいたような気がする腹を、タンクトップの下でそっと撫で下ろす。
すべやかな肌の下に張りつめたしなやかな腹筋と、引き締まった胴回りはいつものままだ。決して臨月を迎えた妊婦のようになどなってはいない。
アイネはそのまま腹筋に沿って、その両手を胸にそびえる巨大な二連峰へと登らせる。
「ん、……」
両手でそっと揉みほぐしてみた、ブラジャーのない裸のままの胸も……ちょっと張ってるし、先っぽ堅くなっちゃってるけど……ふつう。このぐらい、まだ、ふつう。たぶん。強弱をつけながら何度か握ってみても、母乳なんか出たりしないし。
「……夢、かぁ……。……だよねー……」
そして少女は、そっと安堵の息を吐く。
だが股間に手をやって下着の内側を確かめたとき、アイネは水音の淫靡な響きを聞いて頬を染めた。甘いうずきが身体に響く。
「う、うわ……っ。なに、これ……」
その手を眼前に戻して、ぐっしょりと濡らす自らの愛液の量にアイネはうめいた。
「な、なんなんだろ、これ……。私……欲求不満になっちゃってるのかな。昨日もカーペンター伍長にガルノフ軍曹……別々の男の人と二回も、あんなにいやらしいことされちゃったから、ちょっと変になっちゃってるのかなぁ……」
自分で言った拍子に、アイネは再び枕を布団ごと抱きしめる。
自ら積極的に頬張った堅く反り返った同僚少年のペニス、腔内へ吐き出されてそのまま飲み下した精液の味とにおい。
裸の乳房を揉み吸われたうえ、その男根を挿入されそうになった処女喪失の危機。
閉じたコクピットの中で男の巨体覆い被さられ、パイロットスーツ越しに熱を帯びていく身体中をまさぐり、弄ばれた記憶。
脳裏に甦る淫らな記憶の奔流で真っ赤に染まった顔面を、枕の奥深くまで埋め込みながらアイネはうめいた。
「あ、あああああ……。やっぱり、私、もう、死にたい、……かも……なんで私、あんなこと……最近こんな……こんな……」
そうだ、そもそも自分は昨日から変だった。
初めての部隊配属、初めての哨戒任務、初めての実戦、そして初めての被撃墜と初めての部隊全滅――そして記憶にない初めての緊急機外脱出と、初めての宇宙漂流。
《大ジオン仏道》のゲルググに撃墜されて気絶する直前の記憶は、ビームナギナタで乗機のコクピットを刺し貫かれ、灼かれていくパイロットスーツというとんでもない情景で終わっている。
バカバカしいにもほどがある。本当にそんなことがあったのなら自分の肉体はとっくに蒸発して、希薄なガス雲になって冷たい宇宙を漂っているはずだ。
どこでこんなふざけた記憶が紛れ込んだのか分からない。きっと脱出装置の作動時に気絶したあと漂流しながら見た悪夢があんまり鮮明だったので、さも現実に体験したことかのように記憶にまで焼き付いてしまったのだろう。
ひどい夢は実際に体験した事実であるかのように、現実の記憶にまで焼き付いてしまうのだろう。きっと、そうだ。
そう結論を出して、アイネは再び眉根を寄せた。
では今見た夢も、記憶に焼き付いてしまうのだろうか?
自分がビームに直撃されたのに死ななかったり、わけのわからないことばかり言う大ジオン仏道の捕虜になったと思ったら敵機のコクピット内で即座に強姦されて、そのまま臨月の妊婦みたいな身体にされたり。
「むかむかする……。なんだこれ……。すっごく、……すっごく、頭に来るなあ……」
おぼろげだった夢の輪郭をたどるごとに、アイネの表情がどんどん険しくなっていく。
しょせん夢での出来事とはいえ、どうして自分がジオン残党兵などの慰み者にされなければならないのか。しかも一方的に強姦され凌辱されながら、同時に自分の内側から沸き上がった快楽の波などにも弄ばれなければならなかったのか。
腹の底からふつふつと沸き上がる屈辱と憤怒と敵意が、アイネの奥にわだかまっていた雌の劣情を忘れさせた。
「――バカバカしい! なにが大ジオン仏道だっ、今度は私が奴らを全滅させてやる!」
思考の切れ端が思わず大声で吐き出されてしまったことにアイネは驚き、ぎょっとしながらマコトの様子を凝視した。
だが、寝顔の様子に変化はない。マコトはすっかり熟睡しているようだった。
「…………」
じいっと息を殺しながらそのまま数十秒間を見届けて、アイネはふうっと大きく息を吐く。
「……喉、……乾いちゃったな……」
身体と布団からベッドのベルトを外すと、アイネはそのまま床に降り立った。そうして部屋の冷蔵庫に向かう途中で、気配を殺しながら、引き寄せられるようにマコトのベッドに近づいた。
「…………」
その長く艶やかな黒髪と白い肌の鮮やかな対照に、ほう、と息を吐きながら、いつもの凛々しさと裏腹に可憐で無防備なその美しさを、アイネはじっと堪能した。
ああ、准尉。寝顔までこんなに素敵だなんて。一晩中でもずっとこのまま見守っていたい。今夜のハヤカワ准尉も、とてもお美しいです。
常夜灯の下でおぼろに浮かび上がる憧れの同性上官の寝顔に胸をときめかせ、もう少し側まで近づこうと忍び寄る。
「っ!?」
そのとき不意にマコトが寝返りを打ち、アイネはびくんと立ちすくむ。マコトの唇が言葉を紡いだ。
「――エリナ……」
それきりマコトはアイネの反対側を向いたまま、いっさい言葉を発さない。
ただの寝言だったらしい。
「…………」
アイネは黙りこくったまま、その場で錆びた歯車のような回れ右をしてマコトに背を向けた。
冷蔵庫から取り出した飲料パックでわずかに唇を湿らせると、手早く上下の制服を身につけてそのまま部屋を出てしまう。
通路に身を躍らせるとリフトグリップを掴んで、MS格納庫を目指していく。気むずかしげに眉根を寄せて通路の彼方を睨みつけながら、アイネはひとり小さく呟いた。
「エリナ、って……誰」
そんな彼女が通り過ぎていく傍らで、ドアの一つが開く。次の瞬間、そこから野獣じみた敏捷さで躍動してきた人影が通路の壁と天井を蹴飛ばしながら、思考に沈んで反応の遅れたアイネへ肉薄。
「あっ!?」
そして人影はそのしなやかな四肢を、少女を捕らえて抵抗を封じながらその身体へと絡みつかせていた。
「おーっ! どしたぁ、アイネちゃん! またまた表情暗いぞぉ!」
「うひいっ!?」
制服ジャケットの胸を露骨に突き上げている乳房の両方を、背後から鷲掴みに握りしめられてアイネはびくんと背筋を震わせる。見れば赤毛のポニーテールを揺らしながら、長身の女性整備兵が満面の笑みでアイネの胸を両手で揉みしだいていた。
「ウェ、ウェンディ曹長っ!?」
「くうーっ、制服越しにでも感じるこのたっぷりボリュームともっちもちのやわらかさ! コレはいいねぇ! おっきぃねぇ! ぷりんぷりんでシビレるねぇっ!」
「や、やめてくださ……っ、あ……ッ!」
アイネがこの乳房をウェンディに揉まれるのは、何もこれが初めてではない。
しかし前回揉まれたときに着ていたパイロットスーツの生地に比べれば、連邦軍制服上衣のジャケットなど薄布のようなものだ。アイネはその下にタンクトップと例のビキニトップしか着ていない。もちろんノーブラである。
ジャケットの布地を内側に崩して巻き込みながら、着衣越しとはいえ乳房へ伝わってくる指遣いは、巧みな緩急を付けながらみずみずしい乳肉を揉みほぐしていく。
「あ、んう、っ……!」
ウェンディが繰り出す女性特有の柔らかな愛撫は、頂点付近に大きく広がる敏感な暈まで触れずともたっぷりと厚い脂肪をまとった乳房の芯にまで届いてきて、アイネは思わず唇からこぼれ落ちそうになった熱いあえぎをすんでのところで食い止める。
――きもち、いい……おっぱい触られてきもちよくなったりしちゃ、だめなのに……女の人に、こんなえっちな触られ方するなんて……カーペンター伍長やガルノフ軍曹の触り方と、ぜんぜん、ちがう……
ブラ着けてないんですから先っぽのほう触るのやめてください、と言おうとしてアイネは途中で思いとどまった。
他の女性が相手ならまだしも、ウェンディ相手にそんなことを言ってしまったら、何かもっと恐ろしいところまで――それこそ、もう取り返しの付かないところまで行ってしまいそうな気がする。
もっともウェンディにしてみれば感触からその無防備さまでを知り尽くした上で、あえて感じやすい標的を外すことでアイネを焦らして楽しんでいるのかもしれない。
その表情を探ろうとしてそのときようやく、アイネはMS整備班長のあり得ない服装に気づいた。
「あ、アーデル曹長!? な……なんですか、その服!?」
「ん? あれ、言ってなかったっけ? MSだけじゃなくて、身体の整備もあたしにおまかせ! って」
いたずらっぽく舌を出しながら、ウェンディはそこでようやくアイネから身体を離して敬礼してのけた。
「ウェンディ・アーデル曹長、実は看護師免許も取得済み。トラキアMS整備班長と、衛生班員を兼務しているのであります」
「え、えええええ……」
今のウェンディはノーマルスーツでも作業服でもなく、清潔そうな医療用白衣にスレンダーな肢体を包んでいる。いっぱしの美人看護師で通るだろう。洒落のコスプレにしては手が込みすぎていた。
「そんな兼務ってあり得るんですか……?」
「いやー、一年戦争の前にはあたし看護学生だったのよ。紆余曲折あって、結局整備兵に落ち着いたんだけどね。まあ、デキる女は何でもデキるってことで!」
「は、はぁ……」
ウェンディの押しの強さに思わず納得しかけたところで、そのとき通路の先の交差点から現れた影に、アイネは心臓を突き上げられるようにして立ち止まった。息を呑みながら名を呼ぶ。
「――ガルノフ軍曹」
「く、クライネ伍長……!?」
向こうも驚愕に目を見張りながら呼び返してきたのはアイネと同じ連邦軍制服を着ている巨漢、トラキアMSパイロットの一人であるイベル・ガルノフ軍曹だった。
昨日の格納庫での顔合わせの後、GMU25のコクピットで一人になったところへ滑り込んできた笑顔の迫力を思い出し、アイネはその場に凍り付く。
ただその姿を目にしただけでも、身体をまさぐってきた男のごつい手のひらを通じて芯までほぐされていった熱までが戻ってきたかのようだったが、アイネはMSパイロットとしての矜持を頼みに踏みとどまって、きっと強い視線で見返した。
そして同時に、二つのことに気づく。
ガルノフの両手を覆って固定する、簡易ギプスのような何かが存在していることに。
そして昨日は自信に満ちてアイネをガンガン押しまくってきたその表情が、今は狼に追いつめられて狩られる寸前のウサギのような惨めさに染まりきっていこうとしていることに。
ああ、そうだ。あのレイプまがいの行為の最後に、私の反撃でこの人は両手を怪我したんだった。……でも、どうしてあんな風に撃退できたんだろう?
緊張するアイネの傍らからウェンディが、取るに足りないつまらない獲物を前にした狩人の冷たい瞳で進み出た。
「んんん〜? おやおや、誰かと思えば……昨日の一大事に両手バッキバキにされてて肝心なときに出撃できなかった、クソ役立たずなトラキアの動く人間粗大ゴミことガルノフ軍曹殿じゃありませんかあ。
『格納庫内活動中の不注意自爆事故』ごときで唯一の存在意義が使えなくなったくせに営倉入りだけは免れて、仕事もないのにギリギリなんとか役に立つのがその粗末な大砲だけって楽しい? ねえ今こうやって生きてて楽しい?」
一応は怪我人の相手にそこまで言わなくても……とアイネもさすがに内心で少しは同情したが、ガルノフは完全に出会ってはいけない天敵に遭遇してしまった小動物のような視線をこちらに送ってくるばかりだった。
だが同時に、アイネは軽く苛立ちもしている。
ウェンディ曹長はともかく、なんで私の方にまで怪物を見るような目を向けてくるんだろう。ひどくないかなこの人。
「うぇ、ウェンディ……」
「はぁ……? 曹長、を付けて呼びなよデコスケ野郎。もっぺん搾って殺すよ?」
ウェンディは殺気に満ちた瞳のまま、アイネを抱きすくめるようにしながらその肩から身を乗り出す。少女の頬へ唇を寄せながら、ガルノフへ冷たく言い放った。
「ねぇ、イベル……もしも次、アンタがこの子におかしな手出ししくさったらどうなるか……わかるよね? 分かってるよねぇ……?」
「ば、バッカじゃねぇの……い、言われなくたって、出すわけねぇだろ……」
精一杯の虚勢を張ってガルノフはウェンディに言い返すが、アイネが見ても一目で虚勢と見破れてしまうほどのお粗末さでしかなかった。
「じゃ……じゃあな。俺、行くところあっから」
「おう、さっさと帰れ負け犬。あくしろよ。消毒すんぞ汚物が」
尻尾を巻いた犬のように目を伏せて、そそくさとガルノフが二人の目の前を行き過ぎていく。
ウェンディの話を聞いた限り、ガルノフが自分に働いた性的行為の件に関しては正規に取り沙汰されず、有耶無耶になっているようだ。正直、アイネにとってはその方がありがたかった。せっかくの新任地でこれ以上変な噂を立てられるのはあまりに辛い。
当分MS操縦も出来ないだろう両手の怪我に加えて、ウェンディからのこの仕打ち、そして本人の情けない態度を見れば彼の現状も察してやれる。さすがに気の毒でもあり、まあとりあえずは許してやるか、という気分にならないことはなかった。
ガルノフの背中が完全に交差点の向こうに消えていくまでを見送ると、ウェンディは今までの殺気をまるきり嘘のように消した笑顔をアイネに向けた。
「さっ、アイネちゃん。気を取り直して、いっしょに行こっか」
「ひゃっ……!?」
さりげなく腿からそっと愛撫しながらアイネの腰を優しく抱き寄せ、やや中性的な端正さのある顔に頼りがいのある笑みなど浮かべられると、アイネは自分が分からなくなりそうになってしまう。
「ど、どこへですか……?」
「ん……? そんなの、決まってるでしょ……全部あたしに言わせるつもり?」
「な、なにを……!?」
ダメだ。このままこの人と一緒にいたら、自分はどこかおかしな方向に落ちていってしまう。
私はノーマルなのに。オールドタイプなのに。ニュータイプじゃないのに。さっき一瞬おかしな光が見えそうになった。変な方向に目覚めてしまう。
このまま流されていては、ダメだ。
「あ、あのっ」
「ん?」
アイネは意を決してまなじりを上げ、腕の中から身を翻すと決然とウェンディへ告げた。
「私、MS格納庫に行きますっ。昨日帰投した後、機体をほとんど整備班の人たちに任せちゃいましたから。今のうちに、自分でも確認しておきたいんです」
「おー、えらいね」
にっこりと微笑みながら受け止めた、ウェンディの表情に邪気はない。こういう顔をされてしまうとウェンディのことが頼りがいのある優しい先輩に見えてしまって、アイネは若干鼻白む。
「でも、アイネちゃん、さぁ。機体の整備状態がパイロットにとって大事なのは間違いないけど……もっと大事なこと、忘れてるんじゃない?」
「……もっと大事なこと?」
「漂流後のちゃんとした健康診断。まだ、やってなかったでしょ」
「……あ」
言われて初めて、アイネはウェンディの服装の意味に気づく。
白衣もナースキャップも、単なる気まぐれなコスプレではなかったのだ。
「MS戦の後に機体を撃墜されて、ポッドどころかスーツまで破損しながら身体一つで宇宙漂流してたんでしょ。大事になる前に、悪いところないかちゃんと見ておかないとね」
そうだ。今までの時間の密度が濃すぎて忘れていた。こんな状況を経験したからには、健康診断は不可欠なはずだ。万一、出撃中に人事不省にでも陥ったりしたら取り返しがつかない。
ウェンディが改めてアイネを誘うと、今度はアイネも素直に従った。リフトグリップを掴んで二人で同一方向に流れていくと、すぐに医務室へ到着した。ウェンディがロックを開けてアイネを内部へ導き入れる。
「本当は昨日のうちに済ませておきたかったんだけどさ。艦長の面接とか、貨物船襲撃事案とかでアイネちゃんもこっちも忙しくて、まだそこまで手が回らなかったのよね。だ、か、ら――」
「えっ?」
ウェンディはにっこりと微笑みながら自然な仕草で手を伸ばし、アイネのジャケットからファスナーを下ろした。
バストを窮屈に閉じこめていたジャケットは、それだけで簡単に内側から左右へ弾け飛ぶ。汗を吸って肌に張り付いたタンクトップの白い谷間と、透けたビキニトップの周縁までを曝してしまう。
「今こそあたしの手で、ちゃんとした健康診断を済ませておかないとね? デリケートな肌に傷とか付いてたりしたら大変だし!! さあアイネちゃん、すべてを私の前に委ねさらけ出しなさい!」
「ギャーッ!!」
「おおっと!!」
悲鳴を上げて咄嗟に逃げようとしたアイネの退路を、再び絡みつくウェンディの体術があっさり断ち切る。
「いいじゃないのよ減るもんじゃなし! ククククク、アイネちゃん……ここまで来といてもはや隠し事はナシやでぇ……はよう女同士で素っ裸になろうやぁ……!」
「ヒィッ!?」
赤い前髪の奥で女の眼光が不気味に煌めき、アイネを捕らえた拳の中から軟質の巻き尺が姿を見せる。
「コレでアイネちゃんの気になるところはぜぇーんぶ、あたしが直接測ってあげちゃうからねぇ……?」
「ギャーッ!!」
「ククク、バカめもはや逃げられぬわ!」
アイネは涙目で自動ドアの枠を両手で掴んでその場に踏ん張ろうとするが、まったく無駄だった。ウェンディの腕力はその細身からは信じられないほどに強く、必死でこらえるアイネの指がドア枠から一本、また一本と剥がれていく。
「ギャーッ!! イヤッ! イヤッ! イヤアーーーッ!!」
やがて無情にもすべての指が剥がれ落ちると、医務室の自動ドアが情け容赦なく同時に閉じる。アイネの姿はひとたまりもなく医務室に引きずり込まれて消えた。
「あぁっ、いやぁ……だれか、たすけてぇ……っ……」
このとき医務室の壁に耳を押し当てでもすれば、そんな会話が聞こえてきただろう。
だが密室と化したその空間で何が行われているのか、それ以上のことはもはや余人に窺い知る術はなかった。
地球と月の中間にあるその宙域は、かつてサイド5――ルウムと呼ばれていた。
人類史上最大の破壊と虐殺が行われた狂気の戦場、一週間戦争に続いて繰り広げられた宇宙史上最大の殺戮劇、ルウム戦役の舞台である。
一年戦争末期までルウムで残存していたコロニーはテキサスただ一基で、そのテキサスすら末期の戦闘に巻き込まれて壊滅している。
一年戦争後に発動されたコロニー再生計画に伴い、このL1点のコロニー群はサイド5からサイド4へと名前を変えた。
だが変わったのは、その名前だけでしかなかった。
デラーズ紛争の災禍によって生じた北米復興と連邦軍再建の巨大事業は、本来ならばコロニー再生計画に充てられるはずだった地球連邦政府の予算を圧迫。
そのため宙域を漂うデブリの除去も、破壊されたコロニーの移送と再建も遅々として進むことなく、かつてルウムと呼ばれて地球圏最大の栄華を誇ったコロニー群は戦禍に破壊され尽くした無惨な姿を曝したまま、八年を経た今なおこのL1点に無数の残骸を留めている。
サラミス改級巡洋艦トラキアの舷窓からその茫漠とした暗礁宙域をひとり見つめていたマコト・ハヤカワ准尉は、その静かな通路へ近づく人の気配に顔を上げた。
「ヤッホー、マコト。診断結果を持ってきたよん」
現れたのは白衣に身を包んだMS整備班長、ウェンディ・アーデル曹長だった。
「結果は?」
「うん、この艦の設備で分かる範囲内では異常なし。アイネちゃん、やっぱり至って健康体だね。このまま普通にパイロット勤務続けてもらって問題なさそう。
ただあたしとしてはどちらかというと、こちらの凶暴すぎるわがまま3サイズの方が気になりますなあ……ってか何なのよ、何これ本当にどうなってんの?
いくらなんでもおかしいでしょ、何食ってどういう風に育てばこんな風になんの? ニュータイプ? ニュータイプなの??」
「別にニュータイプでもオールドタイプでも、彼女に健康上の問題さえないならそれでいい」
途中から露骨に目の色が変わっていたウェンディの報告を、マコトが醒めきった目でカルテを奪って断ち切った。自分で直接目を通していく。
「まあ、アイネちゃん、なかなかいい娘じゃん。かわいいし、巨乳だし、おっぱい大きいし、ボインちゃんだし」
「他に触れてやるところはないのか」
「うん。だからね――」
ナースキャップの下でウェンディは微笑む。
「あの子をちゃんと拾ってきてくれたマコトは、偉いよ」
「…………」
アバリス隊への救援活動からMSデッキに帰還したマコトは、まず誰より先にウェンディを呼び、戦闘宙域から回収してきた裸身の少女を隠せる布切れを要求した。
MS隊長とMS整備班長。MS格納庫内で最高位にあるその二人が抱えて運ぶ人間大の何かについて、問いただせる者がいるはずもなかった。
こうしてマコトはアイネを自室まで収容することに成功したのだった。
ウェンディの協力でそこまでの経路を隠蔽することが出来ていたから、アイネの生存状況に対する多少の疑惑は残るにしても、あのときマコトが見た真実にまで余人をたどり着かせることはないはずだった。
「あー……しっかし、いいなーマコト、相部屋いいなー。あたしがあの娘と相部屋だったら、もう毎晩絶対寝かせないのになー」
ウェンディは赤毛の短いポニーを後ろに組んだ両手で抱え、ニヤニヤと満面の笑みを浮かべながら艦内通路に漂った。
「ウェンディにも同室がいるだろう」
「無理ムリむーりー。あたしはね、いきなりおっぱい揉んだときに『きゃっ!』とか『や、やめてくださ、い……ひゃうっ!』とか、ああやって可愛く反応してくれる女の子が好みなの。
宇宙の真空みたいな冷たい目でぎろりと見られて『……何やってるんですか、先輩……』みたいに、こっちが凍え死ぬかと思うようなリアクションしか取ってくれない後輩なんかはお呼びじゃないのー! そもそもあの子おっぱい小さいし!」
「ああそうか、彼女の反応は普段からのそういう積み重ねの結果だったのか」
マコトは整備班で頭角を現しつつある娘のことを思い出しながら、ウェンディの豊富な演技力を黙殺した。
自分で両肩を抱き締めて一人で悶絶していたウェンディが、上目遣いでマコトを見つめてくる。
「――で、マコト。やっぱり、あの子には何も教えないつもりなの?」
ふざけた笑顔のうわべを崩すことなく、声色だけをわずかにずらして問いかけてきたウェンディに、マコトはカルテへ視線を落としたままゆっくり頷いた。
「知る必要がない。そもそも今から改めて説明したところで、とても信じられないだろう。――何もかもが、悪い冗談としか思えない話なんだからな」
「マコト、それは――今のアイネちゃんが、まだ何も知らないから……このままずっと知らずにいてくれれば、エリナみたいな目に遭わせずに済むと思ってるから?」
「私の指揮下にある限り、もう二度と彼女は撃墜されない」
不意に視線を上げたマコトの目が、真正面からウェンディを射貫いた。
「だから彼女はもう二度と、そのことと向き合うこともない。知ることもない。私の他の部下たちと同じように、必ず最後まで生き残ってもらう。ただ、それだけだ」
「……そうだね。今のところ、あの子が『ああいう風に』なっちゃってる現場を見たのは、あんたひとりだけだもんね。――今ならまだ、なにもかも隠し通せる。ずっと『魔法』が解けないままにしておける」
ウェンディはそっと腕組みしながら微笑み、通路の内側へもたれるように身体を流した。
「マコトの好きなようにやんなよ。またいつでも、あたしは共犯になってやるからさ。それとマコト、もう一件。――こっちの分析結果も上がったよ」
白衣の胸から紙片を取り出すと、ウェンディは指先でマコトへ弾き飛ばした。無表情に開いてその情報に目を通したマコトは、ウェンディを鋭く見つめて問いただした。
「間違いないのか?」
「ま、九割五分はね。いやー、今回はツいてたよね。ドッツィ・タールネンだっけ? 奴らが退かずにマコトとやり合ってくれたおかげで、尻尾がだいぶ掴めてきたかもしれない」
「……ザクUもリックドムも、回収できた四肢はすべて互換規格の新造品か」
「そう。設計だけは基本に忠実なくせに、大物から小物まで、今時アナハイムの部品がろくに入ってないわけですよ。かといって公国軍時代の純正品在庫に頼ってる風でもない。
結局、構成部品のほとんどが出所不明の互換品――今じゃジオン系MSの保守整備には、ジオニックやツィマッドを買収したアナハイム製の部品が不可欠なはずなのにね」
「やはりか」
「このご時世に連邦軍工廠でもアナハイムでもなく、MSの部品をほぼ一式丸ごと揃えられる連中をバックに付けてるってわけ。
やっぱり奴ら、まっとうな『ジオン残党』じゃあない。《ルスラン・フリート》――これは本当に、あんたの仮説通りの連中かもね」
「何を言っている、ウェンディ。ここは『魔の宙域』だぞ」
そのとき初めて、マコトは口元に薄い笑みを浮かべた。
「死んだと思った女が生き返って男を襲い、ザクやリックドムを未だに量産し続ける連中がいる。何でも起きるさ。――ここは、そういう場所なんだからな」
言い捨てるなり胸元へ紙片を収め、マコトはそれきり振り向きもせずにMSデッキへ向かって通路を蹴った。
「ウェンディ。格納庫で」
「あいよ、マコト。格納庫でね」
一人残されたウェンディは、マコトの見ていた舷窓を見つめる。
トラキアが行く窓の外にはかつて二十億人の生活を包んだ大地の残骸が、ただ冷たい宇宙に広がるばかりだ。
今回は以上です。
GJ!
ハマーン様は状況から色気のない下着だろうか
…それとも年相応に下着は洒落たものを着用?
それとも豪奢な下着?
年相応といっても、あの人、88年でも二十歳かそこらじゃなかったか
二十歳くらいだからこそ、お洒落してるのかもしれない
ハマジュドさんはもう三ヶ月投下なしか
そういやアイネはいまノーブラだけど下の方はどうしてるんだっけ
パイロットスーツを付けるのにアンダーを付けずにいたら、
いつの間にか普段も着けないようになっていたとか?
そういやトイレパック問題があるから下は着けないのが普通なのか>>ノーマルスーツ
連絡を。
現在、フェニックステイルの作品紹介となる挿絵類を依頼中です。
幸い絵師募集に対する応募があり、順調に進めば六月中には取得出来るものと思われます。
第一弾にはアイネを予定しておりますが、拙作で他にどこか挿絵を希望される人物・場面等ありましたら、ご一報ください。
参考にさせていただきたく思います。
本編の方も連休中に投下できるよう準備中です。
メカ設定画があったら楽しいだろうな。
今までフェニックステイルに出てきたメカでオリジナルなのは、
ドッツィ・タールネン専用ザクUとイーデン・モタルドゥ専用リックドム、
それにヌーベルジムUぐらいという地味な品ぞろえですが……よろしいんでしょうか(汗)
そういうのだからこそイイ!と言いたい。
地味なバリエーション機、どこが?って言うようなカスタム機、微妙なオリジナルカラー、そう言うのがソソル!
ユニコでもMSVでおっさんを釣ろうとしてたでしょ?
アレはアレでスタンダードモデルはいねーのかよwって感じだったけど。
確かに新型とか専用機とかよりバリエーション機の方が「それっぽい」よね。
シャアだって専用機ではなくて専用カスタム機だったのが「ガンダムっぽさ」だったのになあ。
「個人専用機種」ってのは萎えるわ。
意外にただの量産機とその地味な改修機にも需要があるようで、スレの懐の深さを感じます。
逆にヒロイン格のアイネやマコトの機体が、特に改造されているわけでもないただのジムU、
というのはスレ的にどうなのだろうかと気になったりもしますが……。
カラーリングの設定はちょっと盲点でした。
文字媒体ではありますが、今後は塗装についてももう少し考えてみます。
さて、連休最終日になりましたが、フェニックステイル第十五話を投下します。
今回はほぼ説明回です。特に注意事項はありません。まともなエロ場面もありません……
Pixivに個人保管庫があります。
ご興味がおありの方は、小説タグ「フェニックステイル」で検索してみてください。
もしくはジムUとかサラミス改とかでも出ます。
巡洋艦トラキア、MS隊小会議室。その正面スクリーンに、いくつものMSが宇宙を背にして浮かび上がる。
戦闘中のもの、何事もなく暗礁宙域を通り過ぎて行く様の粗い望遠、そして撃破され、捕獲されたもの――そのいずれもが型式は異なれど、かつてのジオン公国軍が運用した機体だ。
「《ルスラン・フリート》。サイド4宙域のこの一隅に巣食って活発に活動するジオン残党の連中は、今まで得られた情報を総合する限り、自らについてそう名乗っているものと考えられる。
最近接触のあった《大ジオン仏道》や《キャリホルニヤの悪夢》についても、この《ルスラン・フリート》に所属している公算が極めて高い。言わば総元締めと見ていいだろう」
トラキア艦長リドリー・フランクス大尉が、MS会議室にMS隊の主力――MSパイロット全員と整備班の一部を集めて始めた教育はまず、今のトラキアが直面している二つの敵、すなわちジオン残党とエゥーゴに関して触れるものだった。
「このルスラン・フリートの特色の一つが、確認されている主力艦船の少なさだ。これだけ活発に動いていながらムサイ級巡洋艦はおろか、パプア級やパゾク級といった支援艦の類すら、今までほとんど確認されていない。
MS母艦としてはジッコ級突撃艇などの小型戦闘艇や、せいぜい民間貨物船の改修型を用いる場合がほとんどと言っていいだろう。
従って、連中の拠点があると見られる暗礁宙域から長距離での作戦能力は著しく制限されている。余所の宙域で悪さをしているかどうかはよく分からん。
一丁前にフリートなんぞと名乗ってはいるが、その艦隊戦力はきわめて限定的ということだ」
「……大ジオン仏道もドッツィ・タールネンも、襲撃の際に母艦は尻尾を見せなかった。まともな戦闘艦がないから母艦はひたすら後ろに隠れて、MSだけを極端に突出させた運用をせざるを得ないってことか……」
リドリーの説明を聞きながら、会議室の後列席についたアイネは今までの経験に照らしてひとり納得し、頷く。
彼女が巡洋艦アバリスで初の部隊配置を迎えてから、まだ四日も経っていない。そのときから今まで、まともに知る機会もその余裕も与えられなかった『敵』に関する情報に、アイネは貪欲に食いついていた。
「だからといって、連中を馬鹿にすることは出来ない。というのは少なくともMS戦力に関しては、非常に潤沢な物量を抱えているものと推測されるからだ。
現時点までに得られた情報を総合して本艦で行ったルスラン・フリートの戦力見積もりでは、最低でもこうなる」
一面をジオンMSの映像で埋めていたスクリーンが閃き、今度はいくつものグラフが現れる。
ここ最近で発生した宙域内でのジオン残党MS確認情報、襲撃事案などで確認された機種と機数の合計が資料として示され、その最後には各種情報資料から推計されるというルスラン・フリートのMS機数があった。
「さ、三十機……!? こんなにいるの!?」
「これ、ゲリラ戦じゃなく真正面からぶつかってきたとしても、うちの戦隊より優勢なんじゃねっスか……」
「ろくな母艦がねェから、戦力の機動運用も集中運用も出来ない。それだけが救いってとこだな」
今度はアイネからだけでなく、傍らのロブやガルノフからも呻きが漏れた。シュンが顎に手をやりながら呟く。
「でも、変ですよね……。ジオン残党って言ってみれば結局、終戦時に共和国へ復帰せずに雲隠れした公国軍部隊のなれの果てでしょう?
ろくな補給もないまま今まで連邦軍に掃討され続けてきたはずなのに、ここまで大きな戦力が未だにひとかたまりで生き残っているのって……おかしくないですか?」
「ルスラン・フリート――というより、本宙域のジオン残党組織に顕著な戦力の拡大が見られはじめたのは、ここ二年ほどの話だ」
シュンの疑問を受けるようにして、リドリーが話し始めた。同時にスクリーン上のグラフ群が、時系列別の活動状況報告にフォーカスする。
「デラーズ紛争後に草創期のティターンズが中心となって積極的に展開した一連の掃討戦が収束に向かい、大打撃を受けた宇宙のジオン残党どもが鳴りを潜めた頃になってから、奴らは時代の流れに逆らうようにしてその勢いを増してきた。
原因は分からん。ティターンズなどの圧迫によって、宇宙で生き残っていた残党勢力が、この旧ルウムという地球圏最大の暗礁宙域の一角に集結してきたのか。
あるいは何らかの強力なスポンサーからの支援がこの近辺で得られるようになったから、ここを拠点に盛り返してきたのか。曖昧な可能性だけならいくつも存在するが、確かなことは三つだ。
一つは、我々の正面に存在するジオン残党勢力は、どうやらこの地球圏でも最大級の勢力を誇っているらしい、ということ。
もう一つは、この宙域を担当する我々の戦隊は、その戦力に対処するには力不足だということ。
そして最後の一つは、《エゥーゴ》はそんなルスラン・フリートの戦力を狙い、同盟を目論んでここにやってきた、ということだ」
「……《エゥーゴ》!」
その組織名を耳にして、若いパイロットたちはみな前のめりの姿勢になった。
A.E.U.G.――エゥーゴ。反地球連邦組織を名乗るこの非合法武装集団がいったい何者なのか。連邦軍からの通り一遍の説明の他には、曖昧な噂でしか聞かないその正体を求めて、皆が表情に真剣さを増す。
「……正直なところ。この俺自身も昨日あの《ジャカルタ》に出くわすまで、奴らについて深く知っていたわけではなかった。
地球連邦政府の宇宙政策に不満を持つ連邦軍部隊を唆して正規の指揮系統から離脱させ、弱体化し孤立したジオン残党組織に潤沢な補給を与え、また一般市民にも訓練を施して、自軍の戦力に組み込んできた連中。
エゥーゴの第一線にいるのはそういう手合いだが、その背後関係には謎が多い。月の巨大軍需産業が絡んでいるという話もある……その関係か、今や月の連邦軍はほとんどがエゥーゴに近いそうだ」
「アナハイムか……」
「万年低重力の腰抜け野郎どもが、武器商人風情に金玉抜かれやがって」
戦艦ジャカルタは悪びれもせずに環月方面軍所属を名乗った。新鋭戦艦を中核にした装備優良部隊を、ああも堂々と動かせる――月の連邦軍に食い込んだというエゥーゴの細胞は、よほど深い部分まで組織を蚕食しているものと思われた。
「だが無論、月の企業体だけがエゥーゴの背後にあるすべてではない。かつてのジオン公国と異なり、明確な国家としてのかたちを持たない、反地球連邦というイデオロギーの元に結束した雑多な勢力の集合体……それが、エゥーゴということのようだ」
「なぁんだ艦長。そいつぁつまり、ただの烏合の衆ってことじゃねっスか」
「足並み揃うわけがねぇ……月の低重力野郎に、死にかけジオンの落ち武者上がりに、そこらの適当な素人デビューの寄せ集め? この前は奇襲だったから不覚を取ったみたいだが、この俺が怪我を治して戦隊も準備を整えてぶつかれば、次は一発で粉々に蹴散らしてやれるぜ」
「頼もしいな、ガルノフ。だが、このデータを見てもまだそう言えるか?」
画面が再び切り替わり、戦艦ジャカルタとその艦載機の画像、映像を映し出す。同時に昨日観測された、そのデータも。
「奴らの装備はご覧の通りだ。新型戦艦《アイリッシュ》級、そしてよく分からんジムU改修型、それにジム系らしい新型とリックドムに似た新型。装備の質、量ともに充実している。そして、搭乗員の練度も……そうだな?」
リドリーの視線がマコト、シュン、アイネの三人をなめる。エゥーゴMS隊と直接渡り合ったその三人の返した無言が、リドリーからの問いかけに対するもっとも雄弁な返答となった。
「今回の接触で確認された、エゥーゴのMSは三機種。いずれも連邦軍のデータにはない機体だ。マコト。特にこの、ジャカルタのMS隊長……ベリヤ・ロストフ大尉だったか。彼の機体について、説明を頼む」
「はっ。MS隊各機とトラキアに残った映像記録から、この機体の特性を分析しました」
正面に出たマコトは一瞬ウェンディと目配せを交わすと、淡々と説明を開始した。
「一見した機体形状はリックドムの流れを汲むようにも見えますが、この機体はジムUやガルバルディβのような既存機種の改修型ではなく、またハイザックのように冒険を避けた手堅い新型機でもありません。
最新技術をいくつも大胆に盛り込んで一から新規に設計された、きわめて野心的な機体だと思われます」
「根拠は?」
「まず、コクピットの配置です。従来型MSの大半は、コクピットを機体中央――胴体部に設けるのが通例でした。ですが光学及び赤外線画像記録を分析する限り、当機のコクピットハッチは胴体部に確認できません。おそらく、頭部に存在するものと思われます。
おそらく広角式と思われる頭部のモノアイセンサーは、稼働レールを持たない固定式のようです。この仕様変更によって頭部にコクピット分の容積を稼いだのでしょう。
もともとリックドム級の重MSですが、そうして胴体部のスペースに余裕を得た分、加えてさらに大型の高出力ジェネレータを搭載している可能性が高いということです」
「この、背中の大物については?」
「『バインダー』でしょう。MSの宇宙機としての主推進機関となるバックパックへさらに、それ自体が推進力を持つAMBAC肢を追加したようなものです。
ハイザックの放熱フィンなどとはまったくの別物です。扱いは難しいはずですが、使いこなせば、極めて高度な機動性、運動性を実現するはずです。実際にあのわずかな時間でさえ、挙動の軽さが目につきました。
……いずれにせよ武装の使用や戦闘機動までは見られなかったため、本格的な戦闘力については未知数の部分が大きすぎます。が、この機体については、警戒しすぎてもしすぎるということはないでしょう。新機軸の技術が多すぎるのです……まるで『ガンダム』のように」
「……『ガンダム』?」
ざわめきが漏れた。
エゥーゴの背後には、月の軍需企業体――おそらくはアナハイム・エレクトロニクスが存在する。それが事実ならばエゥーゴは、この地球圏で最高峰のMS開発技術を握っているということになる。
確か戦後の一時期、アナハイムが主導でガンダムタイプMSのトライアルを行っていたというまことしやかな噂が流れたこともあった。
ならばそのアナハイムが背後についているエゥーゴは、ガンダムに相当する最新技術で作り上げたMSを装備していたとしてもおかしくないのではないか。
自分が付け加えた一言が場の部下たちに動揺を広げたところを見て、マコトは淡々と言い添えた。
「ガンダムだろうが何だろうが、MSだ。そのパイロットが全員アムロ・レイというわけではないし、弾を食えば墜ちる。戦場では過小評価も過大評価も害悪でしかない。そこを忘れるな。
当機の分析結果は、次回の訓練から仮想敵機として反映させていく」
「分かった、マコト。また分析結果に続報があれば頼む。さて」
MS隊長から場を引き継ぎ、部下たちの表情を俯瞰しながら艦長が再び正面に出る。
「戦慣れした古参兵が揃っているうえ、物量も馬鹿にならないジオン残党ルスラン・フリート。最新装備を十分に揃えたエゥーゴ。この二つが今、俺たちの目と鼻の先で手を組もうとしているわけだ。
よって戦隊司令部は事態の深刻さを認識し、新たな手を打った」
「新たな手……?」
「《エゥーゴ》掃討のため、《ティターンズ》の部隊がコンペイトウから本宙域に派遣される。合流後、ティターンズ主導で新たな任務部隊が編成されることになるだろう。本艦はそこに組み込まれる」
「…………」
「あの……クソ野郎どもの下に付け、ってことっすか……」
途端にしん、と沈黙が降り、エゥーゴに対するものに勝るとも劣らないティターンズへの嫌悪感が部下たちの顔に現れるのを見ても、あくまでリドリーは平静を通した。
「同時に、本艦の目的地も変更となった。《P-04》だ」
「うげっ」
「ああ……」
「マジかっ、……やっと上陸できると思ったら、あんなクソ田舎かよっ!?」
「? P-04?」
悲嘆していっせいに肩を落とす僚友たちの中、アイネだけがそのコードネームらしき地名を理解できずにきょとんと首を傾げる。
「初めての者もいるな。サイド4宙域再開発拠点《P-04》。これが我々の当座の目的地だ」
次にモニターへ映し出されたのは、宇宙に浮かぶ巨大な岩塊。その岩肌と周囲の宙域にはいくつもの明かりが浮かび、人間活動の存在を教えている。
中心に埋め込まれたシリンダーは、疑似重力を生み出す巨大な居住区だろう。
「《P-04》は宙域掃海と廃棄コロニー再生事業の前進拠点となるべく、暗礁宙域近傍の資源衛星を改装した軍・公・民の寄り合い所帯だ。
本艦はここに寄港してMSを含む補給物資の受領を受け、新たに編成される《エゥーゴ》討伐部隊の指揮下に入る」
同時に出された三次元の宙域図を見て、アイネは同僚たちの反応に納得する。ルウム戦役のおびただしい名残ゆえ、魔の宙域だの辺境だのと好き勝手に呼ばわられるL1宙域の中でも、さらに暗礁宙域に接して位置している。
「そしてP-04は救援した貨物船《リバティ115》の目的地でもある。よって本艦はこれよりP-04まで、護衛を兼ねてリバティ115に同行する。では諸君に改めて、ここから当分の道中をともにすることになった《VWASS》の諸君らを紹介しよう」
「……う゛ぃわす? 同行??」
「班長、入りたまえ」
話へついていけずに目を瞬かせたアイネをよそに、インターホンを介したリドリーの呼びかけで扉が開いた。
「失礼します」
どこかで聞いた声だなとアイネが思う間もなく、連邦軍制式の――トラキア隊が使っているものより一世代古い、一年戦争型の黄色いパイロットスーツを着た中年の男と、好奇の視線できょろきょろと周りを見渡す、少年のような風貌の少女の二人が入ってくる。
リドリーは咳払いして、会議室の正面を二人に譲った。
「では班長、自己紹介を頼む」
「はっ、艦長殿。ヴィックウェリントンエアロスペースセキュリティーズ――VWASS第104航宙警備班長、テッド・バートン予備曹長です」
「同班員、アシュリー・スコット予備上等兵です!」
短髪の男が堂々と名乗りを上げれば、緩いくせっ毛のショートカットを揺らして元気良く少女も続く。
「ああ、この人たち……」
軍人らしい基本教練で正面に立った二人がそこまで言い切ると、ようやくアイネも彼らの正体に思い至った。
「さっき《リバティ115》に付いてた、民間警備会社の……」
「巡洋艦トラキアの現役MSパイロット諸官らの勇敢な支援に、VWASS航宙警備班長として深く感謝申し上げます。こちらのスコットがボールごと捕獲された際、ザクUを撃破してくださったパイロットの方は――」
「え?」
「彼女です、バートン班長」
不意に自分へ向かってきた話に目を丸くするアイネへ、それまで沈黙を保っていたマコトが不意に水を向けた。
「――こちらの女性が……!」
「は、はいっ……。あ、アイネ・クライネ伍長です!」
慌てふためいて起立するアイネにバートンは相好を崩し、力強い笑みを浮かべてくる。傍らの少女も大きな瞳を見開いてアイネを見ている。
「クライネ伍長、実に素晴らしい剣閃でした。トラキア隊は若い方でも、高い練度をお持ちのようだ」
「じ、自分はただ、夢中だっただけです……。あ、ありがとうございます……」
不思議な面映ゆさに頬を染めながら、バートンを直視しきれずにアイネは俯いた。
同時にバートンの小脇から、じっとこちらを見ている少女のことも意識する。まるで小動物のようにアイネを一心に見つめている彼女は、アシュリー・スコット予備上等兵と言ったか。
アイネがドッツィ・タールネンの機体から斬り離して救ったボールのパイロットが、彼女だったということらしい。
「それではバートン班長、席に着いてくれ」
「はっ」
バートンとスコットは連邦軍式にリドリーへ敬礼すると、席へ向かった。
頼みのマコトは正面脇に位置を取っており、ガルノフやシュンには近寄りがたく、ロブにも微妙に遠慮して、ウェンディからは本気涙目で逃げてきたアイネは今、一人でぽつんと離れている。
そのアイネの隣に、スコットが勢いよく飛び込んできた。にっこりと微笑まれたので、とりあえずアイネも愛想笑いを返す。適切な距離感が掴めなかった。
「VWASSは地球連邦政府の認可を受け、連邦軍の払い下げ装備を取得して宇宙での警備業務を請け負う民間企業だ。バートン班長のように実任務に当たる人員は、地球連邦軍の予備役軍人でもある。
マコト以下のMS隊は特に、VWASSの諸君との連携を密にするように。
ジオン残党ルスラン・フリートの活動がますます活発化し、さらにエゥーゴの侵入までもが確認された。宙域の緊張は高まり、もはや予断を許さない。この状況下で、諸君らの協働一致を期待する――以上!」
「気をつけェ!」
マコトが号令し、会議室の全員が一斉に起立して艦長との敬礼を交わす。続けてマコトが全員に達した。
「MS隊も解散とする。事後は所定通り各個に行動。別れ」
ルスラン・フリート、エゥーゴ、ティターンズ、任務部隊、P-04、VWASS。
自分を取り巻く環境の激変を感じながら、やはりあのエゥーゴとの戦いが運命の転機だったことを痛感して、アイネはそっと天井を仰いだ。
同時に、傍らに立つボーイッシュな少女――アシュリー・スコットからの視線に気づく。
「クライネ伍長殿! 先ほどは救援、本当にありがとうございました!」
「私は、ただ夢中だっただけだよ。あなたを本当に助けたのは、ハヤカワ准尉。准尉がリックドムからの奇襲を捌いてカウンターを決めていなければ、私の突撃だって成功しなかったもの」
「ハヤカワ准尉殿……あの美人の隊長殿でありますね! トラキアMS隊には美と強さを兼ね備えた女性がこんなにいらっしゃるのですね! 感激であります! 憧れます!」
「えっ? 美、美と強さ、って……わ、私も??」
あまりにまっすぐに届いてくる賞賛に、アイネは思わずふらつきそうになりながら少女を見返す。彼女の瞳に邪気はなく、どうやら本心からそう言ってくれているのだと直感的に分かってしまって、アイネは赤面しながらどうしようもなくうろたえた。
――私なんかのことを、そんな風に思ってもらえるなんて……。
自分の未熟さに照らして分不相応に思う気持ちと、救った年下の少女の存在を感じて得た暖かな感情がない交ぜになって、アイネの胸中に渦を巻いた。
「あ、ありがとう……」
「ところで、伍長殿」
「ん? 何かな?」
アシュリーの視線が、アイネの目線から少し下がった。
興味津々の幼い瞳が自分と、そして会議室前方で残務処理するマコトの胸の間をしきりに行き来していることに気づいて、アイネは笑顔をわずかに強ばらせる。
ああ、オチが読めたような気がする。
「一流パイロットたる女性には、やはり立派なバストが不可欠なのでありますか? 准尉殿も伍長殿も、素晴らしくご立派なものをお持ちのようで――」
二人に比べればずっと慎ましやかな自分の胸の膨らみの存在を、ぴったりとしたパイロットスーツ越しに確かめるように両手で包み、アシュリーはささやかな脂肪を捏ねるようにしながら切なげにアイネを見つめる。
「これが貧弱な自分とお二人の、差……、なのでありましょうか!?」
「そっ、それは……たぶん、全然、まったく何も関係ないと、思うよ……」
「ふぎゅっ!?」
そんなアシュリーの脳天へ唐突に拳骨が落ちて、少女はそのまま頭を押さえてうずくまる。
「何をやっとるかこの阿呆! どうしてもトラキアに来たいジムUのパイロットに会いたいって言うから連れてきてやったと思ったらこれか、さっきの戦闘で頭でも打ったか!? また精密検査をやり直すぞ!!」
「はっ、班長ぅぅ……後生ッスからどうか、どうかそれだけはお許しをぉ……あ、班長! 班長も自分の胸がばいんばいんのたゆんたゆーんなないすばでーに育った方が、強そうだと思っていただけ――ぱぎゅっ!!」
有無も言わせぬ二発目の拳骨が、今度こそアシュリーを完全に沈黙させる。疲れ切った声でバートンが言った。
「……どうも、クライネ伍長。うちの馬鹿がご迷惑をおかけしました」
「あ、いえ……そんな、私は別に……」
「では、のちほど格納庫で……」
頭頂部からプスプスと煙が出ているようにも見える少女の襟を引きずって、心底恥ずかしそうに会議室から退場していくバートン班長を見送りながら、どこも大変なんだなぁ……とアイネは思った。
「ああ、もう……。とにかく行きますよ、カーペンター伍長」
「えっ?」
アイネはとりあえず、ニヤニヤしながら一部始終を黙って見ていたガルノフとロブを眼光一睨みだけで下がらせると、ものすごく気まずそうに目線を逸らしていたシュンを捕まえながら会議室を出た。
格納庫へ向かうリフトグリップを掴みながら、後ろのシュンへ向かって呼びかける。
「25をもう一回調整します。手伝ってください」
「それは、構わないけど……クライネ伍長。僕の方からも条件がある」
意を決したような声に追われて、アイネは思わず振り向く。そこには混じりけのない、真剣そのものの眼差しがあった。
「? 条件?」
「クライネ伍長。僕と、付き合ってくれ」
「…………。……えっ」
ガン、カツン、カン、と、細かな衝突音がひっきりなしに艦内へ響く。
エゥーゴ戦艦ジャカルタの艦橋は先のトラキア隊との接触時とも異なる、異様な緊張感に包まれていた。
ジャカルタはいま暗礁宙域の深い部分へ、ゆっくりと、しかし確実に進行しつつある。そして進行するほどに宙域のデブリは密度を増して、戦艦ジャカルタの真新しい装甲板に細かな傷を刻んでいくのだった。
艦の前方宙域には、飛び交うスラスターの火光が見える。MS隊が常時前方に展開して、艦の行く手を遮るデブリを排除しているのだ。
万一の事態に備えて対空火器にも実員が配され、主砲も万全で待機してはいるが、まだこれまでのところ、そこまで派手にデブリを破壊しなければならないような状況には陥っていない。
そう済むようにこの宙域での操艦を采配してきた艦長席に座る老練の船乗り、デミトリ・スワロフ中佐はしごく泰然としたものだったが、操舵士やレーダー手以下の艦橋要員の表情は鬼気迫るものだった。
「どういう神経してんだ、本当……こんなところに何年も潜んでやってるなんて、信じられねえよな……」
「並みの大型艦が通れるようなところじゃないだろ……MSや突撃艇だってどうか、ってとこだぜ――うわ!?」
MS隊の前衛をすり抜けたか、一メートル近い大きさのデブリが艦橋めがけて飛び込んでくる。迎撃も間に合わずに艦橋ガラスへ衝突したが、大した被害を与えることもなくデブリは粉々に砕け散った。
「MS隊ィ! 前方監視、ちゃんとやってんのかァ!?」
『07。やっておりますわ。ただ、少々濃くなって参りましたの。こういうときに限ってマインさんがおられないのは残念ですわね』
「ハフナー少尉はまだ検査入院中だ。今日のところはシェンノート少尉の仕事にかかってるんです。よろしく頼みますよ……」
『はいな。紅茶の用意をお願いいたしますわね』
今日もヌーベルジムUでデブリ警戒任務に当たるリアンナ・シェンノート少尉からの報告が入って、通信手はほっと息をつく。だが普段なら一服の清涼剤となっていただろう美少女との通信を終えても、艦橋に垂れ込める重苦しい空気は消えることがなかった。
「お、おい……今の……」
「あ、ああ……」
「……人、……だったよな……」
「…………」
隣同士の二人が言葉を交わしたきり、それきり黙り込む。
L1宙域。ルウム戦役の名残。この宙域で命を奪われた二十億の死者は、八年の時を経てなお彷徨い続けているのだ。
「なんてとこだよ。薄気味悪い――」
「この経路で、本当に来ますかね、連中……」
『必ず来ますよ』
自信に満ちた呟きが不意に割り込んできて、クルーたちはぎょっと視線を交わす。発信源はジャカルタのMSカタパルト甲板へ武装して出たまま、じっと動かないリックディアス。
ジャカルタMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉の機体だ。
『タールネン少佐のMS隊をあの貨物船の襲撃位置まで輸送した彼らの母艦は、一部始終を観測していたはずです。彼らは見ていますよ、我々を。その戦力を整えながら、今、この瞬間にもね。
……一瞬の油断が命取りになります。実のある交渉へ繋げるためにも、彼らへ隙を見せない操艦をここから先もよろしくお願いしますよ』
「君に言われるまでもないな。索敵、そろそろ頃合いだぞ。彼らが動くならこの辺りだ――あらゆる兆候を見落とすな」
「…………」
艦長からの注意喚起にレーダー手は静かに息を呑み、緊張感を増した表情で再び索敵に没頭した。
その両目が不意に見開かれる。
「――レーダーに感! 七時にMS……五機を確認!」
『10よりジャカルタ、十二時にMS――中隊規模!』
『こちら04、三時下方にもMS、少なくとも六機以上!』
「なんだこれ、一斉に出てきたのか……囲まれてる!?」
「所属不明機より、通信入ります! ……なんだ……何を言っているんだ、こいつら……!?」
宙域を漂う暗礁に身を隠しながら寄せてきた、ザクUが、リックドムが、ドラッツェが――そしてゲルググが、戦艦ジャカルタとそのMS隊を押し包むように姿を現す。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
「エレイン信女、フローラ信女。汝らゆめゆめ用心せよ。修羅道の気配あり。数で圧するフリート主力との合同なれど、相手の力はまっこと恐るべし。ゆめゆめ油断してはならぬ」
『御意!』
ひたすら念仏を唱え続けていた少女たちの声が、そのときだけは男の命に唱和する。
ゲルググのコクピットで大ジオン仏道を率いる男、ゲオルグ居士の澄み切った瞳が全天周モニターを通して、エゥーゴ戦艦のカタパルト甲板で向き直ってきた重MSの固定式モノアイとぶつかり合う。
「刻、来たれり――か」
つC
今回は以上です。
>>66 今更ですが……
アイネたちが不死身なのは、MS戦とエロ場面をシームレスに繋ぐための舞台装置であると同時に、ストーリーの中核にもなっています。
でも、そのことを知っているのはマコトやベリヤなどごく限られた人間のみ。それがここからどう転がっていくのか、気楽に見ていただければと思います。
需要の有無は分かりませんが、第十三話とαみたいながっつりしたエロはしばらくお休みです。
もう数話の間はぬるエロ混じりの平常進行、ときどきMS戦、みたいな構成になるかと思いますが、お付き合いくだされば幸いです。
>>141 支援ありがとうございました〜。
貧乳娘も逐次増強中ですが、どんな塩梅ですかね。
GJ!
個人的にはチチナシはデッドウェイト
巨乳こそ真理
あくまで個人的にはだけど
爆 アイネ
巨 マイン、マコト
美 リアンナ
普 ウェンディ
貧 アシュリー、シエル
現在のおっぱい戦力図はこんな感じです。
私も巨乳好きですけど、話と描写を作るうえではある程度バラケていたほうがいいですね。
ウェンディとリアンナの濡れ場がさらっとスルーされたまま、話は続いていきます……
VOEを読み返してみると、フォウの胸のサイズが意外に可変だったりしたことに驚いたりします。
チチナシなのにデッドウェイトとはこれいかに
このスレは巨乳派に無血占領されたのか……
キッカもお姉ちゃんもおんなじ女だろ
じゅーりょくの無い方がおっぱいよく育つのかね…
ぷりんぷりんのメロン乳でパイロットスーツの胸をぱんぱんに膨らませたきれいなお姉ちゃんたちが宙を行き交うMS格納庫って胸熱?
胸厚…じゃなくて胸圧…でもなくて胸ある…ちっがーう…胸熱。
パイロットスーツは共用品なので胸の大きい人が着るとどうしてもぱつんぱつんになるとか。
(配属されてすぐなので合うスーツが準備されてないとか)
ネネカ隊とシュラク隊のレズバトル見てみたいなぁ…。
パイロットスーツの生地の伸縮性ってどのぐらいのものなんだろう
あ、雑談なのに名前を消してませんでした……
アイネのキャラデザ画がちょっとずつ出来上がってきました。
募集したのって集まってるの?
はい。ご応募いただいた方とやりとりさせていただいています。
アイネはびっくりするほどエロかわいいですよ!
すごく楽しみw
ありがとう!
過疎
GJ!
>>157 どうでしょう?
イメージと合っていましたか?
>>162 ありがとうございます〜
いまいち不人気な感じのアイネですが、これでテコ入れになってくれると嬉しいです。
164 :
157:2014/06/23(月) 22:42:36.00 ID:chic59/r
>>163 正直、勝手なイメージはもっとリアル寄りの外人さんな感じだったけど、
予想外に幼い感じのアイネちゃんもかわいいです!
今後、SSが投下されたらこのかわいらしいアイネちゃんが浮かぶと思います!
>>164 返信遅れました……ありがとうございます!
もっとアダルトな感じのリアル外人寄り…そんなイメージのアイネ像もあったのですね。勉強になりました。
アイネが18でマコトでもせいぜい23と、気づけば女性キャラは小娘ばかりしかいない拙作ですが、近いうちにはもっとちゃんとした大人の女性も出そうと思っております。
滅多に感想のいただけない拙作なので、お答えいただき非常に嬉しかったです。
さて、次以降フェニックステイルを投下します。
今回の注意事項は特にありません。
残念ながらエロなし、MS戦のみです。
貨物船《リバティ115》を先導するように、デブリ密度の増した宙域を行くサラミス改級巡洋艦トラキアのMSカタパルトから、二機のMSが射出された。
機種はいずれも地球連邦軍の量産機、RGM-79RジムU。二機とも左手にはシールドを備え、片方は右手にハイパーバズーカを、もう片方はビームライフルを装備している。
ビームライフルを装備したジムUがトラキアのすぐ前方で制動を掛けて足を止める一方で、ハイパーバズーカを持ち、腰回りに予備弾倉を装備したジムUはそのまま加速を続け、距離を開いていく。
『再度、本訓練の状況を徹底する』
右手にビームスプレーガンを携え、トラキアのカタパルト甲板に残っていたジムUから、落ち着いた女の声で通信が入った。
『23は赤部隊となり、トラキアを仮想敵艦として対艦攻撃を実施。25は青部隊となり、トラキア直掩機としてその攻撃を阻止する。22は全般統制と全周警戒、事故対応を兼務。
本訓練は艦対空戦闘訓練も兼ねるため、トラキアの主砲、対空機銃の一部も状況に参加する。ただしトラキアは戦術運動を行わず現航路を維持し、火力戦闘のみ展開するものとする。
青部隊の目的は23の撃墜、もしくは撃破判定獲得による対艦攻撃の阻止。赤部隊の目的はトラキアへの対艦攻撃による大破ないし撃沈判定の獲得。いずれかの発生をもって、状況終了とする』
「了解」
『了解!』
これより一時、かりそめの敵となる少年の声が通信回線越しに聞こえて、ジムU25を操る少女――アイネは表情を引き締める。
アイネがアバリス隊への着任早々、哨戒任務の途中でいきなり命じられた部隊全力での戦闘訓練とは異なり、今回の訓練に直接参加するのはシュンの23とアイネの25だけだ。
マコトの22がトラキアの甲板上に出て訓練中の敵襲に備えつつ訓練全般を統制しているから、アバリス隊全滅の二の轍を踏むことはないだろう。
アイネは先行したシュンの機体が消えた宙域を睨み、戦意を固める。一対一。必ず勝利してみせる。
『状況開始!』
マコトの凛とした号令を最後に少年の機体との通信が断たれ、それが決戦の引き金となった。
四機中三機の艦載機を艦外へ送り出したトラキア格納庫には、入れ違いにVWASSの半壊したジムとボール五機が機体を収めていた。残ったジムUとジムの傍らにMSに比べれば小型といえ、さすがに五機ものボールが林立していれば迫力がある。
与圧を終えたトラキア格納庫内では、これからボール隊の被害と損耗状況の細部確認に続いて、トラキアMS整備班による修理と整備、補給作業が予定されていた。
MSに比べて簡素な運用設備しかない船舶でも安定して運用できることがボールの強みではあるが、さすがに本格的な戦闘に投入された後では相応の整備を必要とする。そのためにはトラキアの与圧されたMS格納庫はうってつけだ。
所用の物資に伴う出費は後でVWASSに要求できるし、むしろそうして新しいコネを開拓しておいた方が今後、連邦軍正規の補給より当てになってくる可能性もある。
加えて脅威度の高い宙域へ近づく前に手持ちの戦力を少しでも増強しておきたい、という艦長の思惑あっての措置だった。
しかし今そのMS格納庫では艦外映像を映すモニタの前に、ちょっとした人だかりが出来つつある。
もちろん格納庫内から艦外の状況を把握する程度の機能しか期待されていない代物だが、観衆はめいめい好き勝手な感想を漏らしながら、暗礁宙域に舞う噴進炎の光条を見つめていた。
「それにしてもシュンの野郎、アイネちゃんに決闘申し込むたぁな」
「あいつもいつの間にか言うようになったよな。実戦くぐって度胸が付いたのかね?」
「おっ……そろそろ始まる感じ?」
そんな整備兵たちの後ろに、彼らを率いる若い娘――ウェンディ・アーデル曹長が楽しそうに足を止めると、整備調整のために同行していたVWASSのテッド・バートン班長とアシュリー・スコットも一緒になって覗き込んだ。
「アーデル曹長、何が始まるんです?」
「ウチのMS隊の模擬戦訓練です。伍長クラスの若手同士が、やるって言って聞かなくて。それをマコトが許可したんで、みんな昨日の今日だってのにこの盛り上がりなんですよ」
「――ちょっとみんな!? 何やってるんですか!」
だがそのとき格納庫全体に、空中から若い娘の声が響きわたった。中破したVWASSのジムへ付き、損害状況を把握していたメガネで童顔の女性整備兵だ。
「げっ、エイムズ軍曹……」
「何だよ、マリエル? 一緒に観ようぜぇ」
ジムU23――イベル・ガルノフ軍曹からシュン・カーペンター伍長に乗り手を変えた機体の機付長、マリエル・エイムズ軍曹。
彼女は二筋に分けた焦げ茶のお下げ髪を振り回しながら、幼い顔立ちを気むずかしげにしかめて、メガネの奥から眼光鋭く叫んでのける。
「だから決闘じゃなく、ただの模擬戦訓練です! だいたいみんな何やってるんですか! VWASS機の整備作業だって前倒しで進めていかないと、いつまで経っても終わらないんですよ!」
「いやー、だってさぁ……シュンとアイネちゃんの決闘なんだぜ? どうやったって気になっちゃうでしょ、これ」
「そんなの聞いてませんっ!」
年上の男性整備兵も、マリエルの一睨みで簡単に沈黙させられてしまう。
まだ年若い整備兵ながらも任務への実直さと機材への確かな観察眼を基に実績を積み重ね、整備班においてウェンディに次ぐポジションを実力で勝ち取りつつあるマリエルには、MS格納庫内の誰もが無視しきれない発言力がある。
だがマリエルがそうして支配しかけた格納庫内の空気は、一瞬にして鶴の一声でひっくり返された。
「ようし、あたしが許可するッ! MS整備班は今から別命あるまで全体休憩〜!!」
「んなあっ!?」
「うひゃほーーーう!!」
格納庫全体に凛と響いたウェンディの叫びが、部下たる整備班員たちから地鳴りのような反響を引き出した。
「見たい奴はモニター前へ集まれ! 冷えてる飲み物もってこい! 箱ごとな箱ごと! みんなで観戦しようぜぇ!」
整備班長のお墨付きを得て、一気に生き生きと動き出した整備兵たちの流れに逆らうように、マリエルはウェンディへ詰め寄った。
「あ、アーデル曹長……!? な、なに考えてるんですかっ!?」
「え? いや、あの戦闘から今まで整備班はフル稼働でさ、結構シフトもキツキツだったでしょ? ここらで大きめに息抜きしないと、皆もう保たなくなっちゃうんだよね。
身体的だけじゃなくて、精神的にさ。こんな疲れた状態で他に気を取られながら作業しても、能率上がんないじゃん? 気分転換だよ〜」
「…………!」
「まあ人間みんながみんな、マリエルみたいにいつまでも頑張り続けられるわけじゃないってことだよ」
ポン、と小柄な彼女の肩に手を置きながら隣を抜けて、ウェンディは壁際の通信端末の受話器を取った。画面には彼女らの頭上、カタパルト甲板上に立つジムU22機上のMS隊長が映っている。
「んふふ……。ってことで、マコト! いつでも始めちゃっていいよ!」
『整備班の余興のためにやる訓練ではないんだが』
呆れ気味に言ってのける彼女の口調にも、ウェンディはすっかり慣れている。馬耳東風と受け流し、楽しげに尋ねる。
「で、あの二人、勝負に何を賭けてるの?」
『いや特に何も。少なくとも、私は聞いていない』
「……えええええ〜〜〜?」
途端にウェンディの表情が失望に染まった。駄々っ子のように文句を垂れ流しはじめる。
「なんだよー、せっかくの勝負なんだぞー! 推進材にしたって演習弾にしたって、実機訓練なんてタダで出来るもんじゃないんだぞー! せっかくなんだから、せめて当事者同士は何かいいもん賭けろよぉ! 盛り上がんないでしょーがー!」
『だから格納庫を盛り上げるために企画した訓練ではない。あくまで練度の把握と向上が目的だ』
大人げなくじたばたと手足を振り回すウェンディへ機上のマコトが釘を刺し、あくまで淡々と二人の訓練開始を見守る。
「……そうだ! アイネちゃんの処女と、シュンの童貞を賭けさせよう。シュンが勝ったらアイネちゃんの処女をいただいちゃえて、アイネちゃんが勝ったらシュンの童貞を食べちゃえるってことでどう?」
何の脈絡もなく通信が切れた。
ウェンディは無言でひたすらボタン連打で呼び出しを繰り返したが、マコトは全く応じず、やむなくウェンディが手元のキーボードで文字メッセージを送ると、ようやくマコトが冷たい瞳のままで回線を復帰させた。
「ああ、もう……。はいはい、真面目な話をすればいいんでしょ。エゥーゴの緑ジムUの件ね。
あれから例のリックドムもどきと一緒に、こっちの動きも分析してみてたけど……これってウチのジムUどころか、ハイザックよりいい動きしてるよね。動きのキレも出力も、すべてが一段上の性能って感じ」
素直に感心したように言うウェンディが出した携帯端末は、シュンのジムU23を襲ったエゥーゴ機の躍る肉食獣のような機動の記録分析動画を映している。
「シールドの打突技だけでシュンの23を部隊から切り離しながら半殺しにしてのけたパイロットの腕もたいしたもんだと思うけど、機体性能の方もかなりキてるわ。よくこんなのに勝てたよねぇ。
アイネちゃんって格闘戦ならマコトはともかく、その他のボンクラ連中からは頭一つ抜けてるんじゃないの?」
『当然の結果だろうな。修羅場をくぐった数が違う。彼女は『本物』の死線を知っている』
「シュンには勝ち目ないってこと?」
『そうとも限らない。私があえて最も経験の浅い彼にハイパーバズーカを預けている理由を、本当に理解していてくれるなら、あるいは……な』
「ふーん。……おっ。始まった?」
『そうらしい。ウェンディ、また後で頼む』
モニターを囲む整備兵たちが上げる歓声に、ウェンディは通信を切りながら自身をそちらへ泳がせた。
「…………」
全周囲を油断なく警戒しながら、アイネのジムU25は暗礁宙域内を航行していた。
「思ったより、デブリの密度が濃いな……。過度の加速は禁物。訓練中の事故で機体大破なんて、シャレにもならないよ……」
冷静に自分を戒めながら、しかしアイネは同時に自らの狩りの獲物となる少年のことを思って不敵に笑った。
「さあ、カーペンター伍長。どう出てくるのかな?」
『僕と、付き合ってくれ』――最初は何を言われているのかまったく分からなかったが、よく聞いてみれば何のことはない、単なる実機模擬戦訓練の申し出だった。
毒気を抜かれたようにアイネがそれを承諾した後、聞けばハヤカワ准尉への上申や関係各方面への調整も、彼が主体となってやってくれたらしい。熱心なことだ。
だが、悪い気はしない。正規のMSパイロットとしてまっとうに扱ってもらえる、そして実戦に即した訓練が出来る。それは素直に有り難いことだとアイネは思う。
対等のライバルが存在することも、また。
「――!」
そろそろか、と思っていたアイネの直感を裏付けるように、油断なく索敵していた彼女の視界をスラスターの火光が遠く横切る。
破壊されたまま漂流する無数の融合炉からミノフスキー粒子が垂れ流され続ける暗礁宙域では、レーダーの効力はきわめて限定的にしか期待できない。
アイネは即座にメインカメラを向けて望遠を掛け、慎重に航路を取りながら接近していく。目指す機影はすぐに捉えた。
「へえ。ほんとにハイパーバズーカで私と戦うつもりなんだ」
ハイパーバズーカの長砲身とシールドを油断なく構えながらデブリ群を背にして飛ぶシュンのジムU23を見つけて、アイネは不敵な笑みを浮かべた。
ハイパーバズーカはMS戦にも高度に対応した火器だ。ジェネレータへ負担を掛けることもなく、うまく弾種を使い分ければ、多様な局面に対応できる。
榴弾や榴散弾を『置いて』敵の動きを牽制したところへ、狙い澄ました本命の徹甲榴弾を叩き込んでトドメ、などという運びも夢ではない。
だが一対一ならば、ビームライフルの有利は動かない。
ビームライフル普及後の連邦軍MS隊におけるハイパーバズーカの位置づけは、あくまでも支援火器の域を出ない。運用そのものを廃止した部隊すら少なくないほどだ。
確かに実弾火器はジェネレーターへの負担を掛けないが、とにかく砲身が長くて砲弾も重い。どう頑張っても身軽には戦えない代物なのだ。
弾速が違う、精度が違う、射程が違う、取り回しが違う。そしてMSがシールド以外でビームを受ければ、ほぼ確実に貫通される。
要は総合的に見て同一機種の一対一で戦うならば、ビームライフル装備のアイネに不利な要素はほぼ無いということだ。むろん技術や条件次第では覆しうる程度の差ではあるが、アイネはまったく負ける気がなかった。
目標は視認できていても、まだ必中を期せる距離ではない。何とかして、もう少し距離を詰めなければ――だがシュンはビームライフルの有効射程外から、早々に戦いの火蓋を切った。
「……榴散弾!」
砲口炎が閃き、縮射演習弾――砲の口径よりずっと小さな弾体が小さな砲口炎に蹴飛ばされ、初速だけは実弾に遜色ない勢いで射出される。
そして演習用の低出力レーザーを前方へと円錐状にまき散らしながら、回避機動するアイネの脇をすり抜けていった。
レーザーで模擬的に再現された榴散弾の破片の傘がジムU25の機体各所に設けられたセンサーに拾われ、機体の制御系に被弾の状況を付与する。
幸い回避運動への入りが早かったため損害判定はほぼ無かったが、シュンは矢継ぎ早に榴散弾を放ってきた。
「へえ、さっそく戦訓復習の時間ってわけですか!」
『キャリホルニヤの悪夢』率いるリックドムが仕掛けてきた大胆な火力戦に影響されたか、シュンの発砲間隔は短い。初弾による制圧効果を確認する前に、ハイパーバズーカが次弾装填と照準を完了するが早いか速射してくる。
「でもカーペンター伍長、残念……これ、レーザー模擬戦なんですよねっ!」
果敢なバレルロールを打って左右に弾けるレーザーの雨を突き抜けながら、アイネは力強く微笑んでシュンのジムU23を見据えた。
前回の実戦でリックドムが撃ち込んできたのは当然実弾だったから、炸裂したその破片と爆炎が壁となって視界を遮り、ジオン残党は二機のMSをその掩護下で突撃させることが出来ていた。
だが今回のシュンには突撃を買って出てくれる友軍機も、それどころか実弾なら発生しているはずの爆発もない。アイネは視界を遮られることも、爆圧に機体を揺らされることもない。
縮射演習弾が発するレーザーは機体のセンサーを反応させて損耗の状況を付与してくれるが、それだけだ。他には何の効果もない。それは軍という組織が実戦ではないものを実戦に見立てて訓練しようとするとき、そこに生じる誤差のひとつだった。
アイネは回避機動と前面に押し立てたシールドで、飛来してくる榴散弾の破片――という想定になっている、レーザー光線――をことごとく防御し、さらにビームライフルの銃口を23へ向けた。
肉薄するアイネにビームライフルの有効射程はすでに割られて、彼我の間隔は中距離から近距離へと移行しつつある。
だがシュン機は宙域に漂う大型のデブリを盾にしながら機動することで、アイネから直接の射線を取らせない。そして自分からはアイネ機の取り得る予想進路上へと砲弾を間接的に『置き』にかかっていた。
「ちょこまかと動くっ! カーペンター伍長、バズーカ背負ってなかなかやるじゃないですか……!」
デブリの少ない清浄な宙域ならまだしも、すでに《P-04》に近づいた宙域に漂うデブリは相当な濃度に達して、MSの機動を制限している。
シュンはすでに弾種を榴散弾ではなく、より爆発威力の大きい榴弾に切り換えて応戦していた。弾体に内蔵される炸薬量は榴弾の方がずっと大きく、それを反映して演習弾が発するレーザー出力も高まっている。
直撃弾は言うまでもなく致命的であり、至近弾でもかなりの打撃効果になる。四肢をいくつか持って行かれてもおかしくない。
シュンは付近のデブリ浮遊状況からアイネの予想接近経路を割り出し、そこへ先行して榴弾を撃ち込んでいくことで、アイネの肉薄を阻止しながら機体に損耗を蓄積させ、機動を鈍らせたところへ直撃弾を送り込もうと狙っているのだ。
ビームライフルなどと異なり、直線弾道で即座に直撃させる必要のないバズーカだから出来る戦術だった。
シュンはデブリの背後を選んで巧みに射点を取りながら、時にアイネの前進を阻み、時に近弾を浴びせては、ダメージを一方的に蓄積させていく。
「くっ、また……っ! でも、――行ける!」
一見して完全に押されていながら、しかしアイネにはもう一つ、勝負どころの当てがあった。
大型の砲弾を扱うハイパーバズーカは、撃ちまくってしまえばすぐに弾倉交換が必要となる。
MSの機体構造は完全な人体の模倣ではないから、バズーカ砲尾の弾倉を背中へ回した左手で交換するのもお手のものだが、少なくともその弾倉交換の時間には戦闘能力の死角が生じる。
先のリックドムは二門のジャイアント・バズを装備していたうえ、機体各所に増設されたミサイルランチャーで再装填時の隙を補っていた。
だが、単に武装を持ち替えただけの標準型ジムUに過ぎないシュン機では、そうやって再装填の隙を補える武装は頭部60ミリバルカン砲しかない。
「あと、一発……!」
機体に損害付与を積み重ねられながらも、肝心の戦闘能力は維持したまま確実に距離を詰めてシュンへとにじり寄っていたアイネは、シュンの弾数を数えていた。
そして弾倉に残る最後の一発をシュンが放って撃ち尽くした瞬間、アイネは一気に飛び出して急加速で接近した。
「さあ、これでおしまいっ!」
細かなデブリが機体とシールドを乱打するのも構わず、最短距離を突進する。すぐに射線を取ってビームライフルを構えた。
至近距離だ。ビームライフルの速射を叩き込めばシールドもろとも機体を撃ち抜き、撃墜判定をもぎ取れる。
だが彼女はそこで、シュン機が左手に握っているものが予備弾倉ではなかったことに気づく。
「……あっ」
ハヤカワ准尉が前回の戦闘で、ジオン残党とエゥーゴのMS隊を手玉に取ってのけた短銃身ビーム砲――ビームスプレーガンが、23の掌中にあった。
それを一気に構えるや、シュンは連射モードでスプレーガンを放った。
近距離ならば収束の粗さも出力の低さも問題にならない。低出力、低収束であるがゆえの低負荷が可能とする圧倒的な手数が、嵐のように連続した弾着となってアイネ機を襲う。
これまで防御の要として機能してきたシールドがひとたまりもなく大破判定を受け、そのままコクピットをかばった左腕にまで損害付与が及ぶ。姿勢制御に異常が生じ、運動性が低下する。
アイネもほとんど同時にビームライフルの速射を叩き返していたが、先行して生じた機体の損害が精確な射撃のための挙動を妨害し、またシュンは打ちはじめの早さと、スプレーガンゆえの手数の多さで彼女を完全に圧倒していた。
この至近距離での威力は、ビームライフルもスプレーガンも大差ないのだ。
それでもビームライフルの数発がジムU23に少なからぬ打撃を与えたものの致命傷にまでは至らず、その間にアイネの25はシュンの猛反撃にコクピットと融合炉への損害を付与されて――機体大破、状況終了の警告表示が全天周モニターに出現した。
前方至近のシュン機がようやく、ビームスプレーガンの銃口を上げてアイネ機から照準を外す。その動作を見届けた瞬間、アイネは近距離赤外線通信を開き、激情のままに喚いていた。
「か、隠し武器なんてっ!! 卑怯です、カーペンター伍長!」
『卑怯、か……否定はしない。アーデル曹長に調整をかけて、ハヤカワ准尉のスプレーガン改の予備を模擬戦仕様で出してもらったんだ。そして予備弾倉に偽装して、ここまで隠し持ってきた』
「そうまでして……そうまでして、私に勝ちたかったんですか!?」
『そうだ』
「……っ」
はっきりとシュンに即答されて、アイネは思わず口ごもる。
『前の戦闘で、君の戦いと、君の強さを見せつけられて……どうしようもなく、心が焦った。君との力の差に、自分の無力を思い知らされた』
「何ですか、それ。だからって、単なる目先の勝ち負けだけにこだわるなんて……何でもいいから私に一回勝てばいいなんて、そういうの、底が浅いって思わないんですか」
それでもなお言い返すアイネに、あくまで淡々とシュンは続けた。
『僕は僕の戦い方を見つけなければ、君といっしょに戦う資格をなくしてしまう。だからどうしても、まず一度……どんな手段を使ってでも、僕は君に勝ちたかった』
「それで勝って、……そうまでして私に勝って、どうするつもりだって言うんですか」
通信小窓から、じっと真摯にアイネの瞳を見つめながら、シュンは最後まで言葉を連ねる。
『君とともに戦うために、今、僕はやっと自分を許せるようになったと思う。だから次は、今度は、きっと――これからは僕が、必ず君の背中を守る』
『…………』
アイネはシュンを直視できなくなって、通信小窓から視線を外した。
今の戦いが、もし実戦だったとしたら。
敵のMSがどんな兵装を持っているかなんて、そんな情報は分からない。敵はエゥーゴの新型機かもしれないし、ジオン残党の改造機かもしれない。パイロットに強烈な個性があって、思いも寄らない戦術を採ってくるかもしれない。
シュンがビームスプレーガンを隠し持ち、最後の切り札としてアイネにそれを使ってきたのは、実戦ならばごくごく普通にあり得ることだった。
あれだけの実戦を経験して、それを学んだはずだったのに、自分はそうした事態を想定していなかった。詰めが甘すぎた。
彼は、身をもってそれを自分に教えてくれた。それなのに自分は短慮に、彼を卑怯者などと罵ってしまった。
「……ごめん、なさい……」
『――クライネ伍長?』
小さく零したその言葉が、少年の耳に届いたかどうか。
いずれにせよアイネは次の瞬間には毅然と顔を上げて、未だに目線は合わせないまま、今度ははっきりと言い放った。
「覚悟しておいてください。次は絶対、負けませんから」
『…………。ああ!』
それきり全天周モニターに映る暗礁宙域の光景を無言のまま、シールドの内側で頬を染めながらじいっと見つめて――だからそのときアイネはそれに気づいて、シュンも彼女の表情の変化から同じく気づいた。
『……クライネ伍長、どうした?』
「今、……暗礁宙域の奥で……なにか……」
言いながらアイネは訓練装置に付与された疑似損耗付与を解除し、機体の全機能を回復させていた。同時に火器管制系を操作し、ビームライフルの出力制限を一気に戦闘基準まで引き上げる。
続けて何かが『見えた』ように思えた宙域を指定し、頭部メインセンサー群を向けて望遠を掛けた。
「高熱源反応感知……MSらしき所属不明機の接近を確認!」
同時に火器照準用レーザーの照射を機体が検知し、アイネは即座に急旋回と急加速を掛けてその照準から逃れていた。
予測される敵接近経路とジムU25の間にデブリを置いて身を隠すように小移動しながら、シュン機も同様に機動しているのをアイネは見た。
「23――カーペンター伍長、今の!」
『照準レーザーだった! ジオン残党――いや、エゥーゴか!?』
隠れる場所に事欠かない暗礁宙域。デブリの海に紛れて潜み、獲物を待ち伏せていた地球連邦軍の敵対勢力が、今この瞬間に牙を剥いたのだ。
「21、22! ハヤカワ准尉! 現出した所属不明機からの敵対行動確認!」
『捕捉している。22急行中。23、25は現座標周辺にて警戒監視』
『敵が近すぎます! 准尉の到着まで、間に合わない……!』
「この……っ!」
アイネはビームライフルの銃口を巡らせてその機影を捉えようとするが、高速で大胆に機動する目標は火器管制が照準を付ける直前になってデブリに隠れ、そのままデブリ群の陰を縫うように迂回しながらもなお接近してくる。
「速いっ!」
『なんて腕だ! 宙域内のデブリを、障害物として完全に使いこなしてる……!』
重力の均衡によってあらゆる物体が吹き溜まる暗礁宙域とはいえ、それらのデブリは決して一カ所で静かに留まっているわけではない。寄る辺なく絶えず漂い、動き続けている漂流物だ。
先の模擬戦ではシュンもデブリを利用してアイネとの戦闘に活用してみせたが、大胆に最短経路を選り抜いて迫るこの機体の動きはその速さも鋭さも、シュンやアイネの機動を圧倒的に上回っていた。
「!? 後ろにもう一機いる!?」
しかもそのうえ二人が狙おうとした不明機の後方、別の方角からも照準レーザーが来て、慌てて回避機動を強要される。その照準はデブリの海を通しているとは思えないほどに精確で、その前方を来る不明機への照準が封じられてしまう。
「23、カーペンター伍長! 演習弾しかないバズと不慣れなスプレーガンじゃ無理です! 私が前衛で支えますから、なんとか准尉と合流してください!」
『いいや、どのみち近距離でしか射線が取れないここならスプレーガンでも同じだ! 言い合う暇も惜しい、二機で連携して死角をなくす!』
「カーペンター伍長……!」
実弾の無いハイパーバズーカを捨てて、シュンの23が右手でビームスプレーガンを構え直す。アイネも覚悟を決めて背中を合わせ、二機一体で死角を消した。
たった二機での全周防御陣形。油断なくシールドを構えながら、ビームライフルの照準を操作する。
口の中がからからに乾く。相対距離が詰まったことで角速度が上がり、敵機の機動を実際以上に速く感じさせる。
『……クライネ伍長、どうした?』
「今、……暗礁宙域の奥で……なにか……」
言いながらアイネは訓練装置に付与された疑似損耗付与を解除し、機体の全機能を回復させていた。同時に火器管制系を操作し、ビームライフルの出力制限を一気に戦闘基準まで引き上げる。
続けて何かが『見えた』ように思えた宙域を指定し、頭部メインセンサー群を向けて望遠を掛けた。
「高熱源反応感知……MSらしき所属不明機の接近を確認!」
同時に火器照準用レーザーの照射を機体が検知し、アイネは即座に急旋回と急加速を掛けてその照準から逃れていた。
予測される敵接近経路とジムU25の間にデブリを置いて身を隠すように小移動しながら、シュン機も同様に機動しているのをアイネは見た。
「23――カーペンター伍長、今の!」
『照準レーザーだった! ジオン残党――いや、エゥーゴか!?』
隠れる場所に事欠かない暗礁宙域。デブリの海に紛れて潜み、獲物を待ち伏せていた地球連邦軍の敵対勢力が、今この瞬間に牙を剥いたのだ。
「21、22! ハヤカワ准尉! 現出した所属不明機からの敵対行動確認!」
『捕捉している。22急行中。23、25は現座標周辺にて警戒監視』
『敵が近すぎます! 准尉の到着まで、間に合わない……!』
「この……っ!」
アイネはビームライフルの銃口を巡らせてその機影を捉えようとするが、高速で大胆に機動する目標は火器管制が照準を付ける直前になってデブリに隠れ、そのままデブリ群の陰を縫うように迂回しながらもなお接近してくる。
「速いっ!」
『なんて腕だ! 宙域内のデブリを、障害物として完全に使いこなしてる……!』
重力の均衡によってあらゆる物体が吹き溜まる暗礁宙域とはいえ、それらのデブリは決して一カ所で静かに留まっているわけではない。寄る辺なく絶えず漂い、動き続けている漂流物だ。
先の模擬戦ではシュンもデブリを利用してアイネとの戦闘に活用してみせたが、大胆に最短経路を選り抜いて迫るこの機体の動きはその速さも鋭さも、シュンやアイネの機動を圧倒的に上回っていた。
「!? 後ろにもう一機いる!?」
しかもそのうえ二人が狙おうとした不明機の後方、別の方角からも照準レーザーが来て、慌てて回避機動を強要される。その照準はデブリの海を通しているとは思えないほどに精確で、その前方を来る不明機への照準が封じられてしまう。
「23、カーペンター伍長! 演習弾しかないバズと不慣れなスプレーガンじゃ無理です! 私が前衛で支えますから、なんとか准尉と合流してください!」
『いいや、どのみち近距離でしか射線が取れないここならスプレーガンでも同じだ! 言い合う暇も惜しい、二機で連携して死角をなくす!』
「カーペンター伍長……!」
実弾の無いハイパーバズーカを捨てて、シュンの23が右手でビームスプレーガンを構え直す。アイネも覚悟を決めて背中を合わせ、二機一体で死角を消した。全周防御陣形。油断なくシールドを構えながら、ビームライフルの照準を操作する。
口の中がからからに乾く。相対距離が詰まったことで角速度が上がり、敵機の機動を実際以上に速く感じさせる。
申し訳ありません、
>>173は同一内容の重複です。飛ばして読んでください。
敵はいつ撃つ? こちらはいつ撃つ?
跳ね回るように早鐘を打つ心臓を必死で押さえ込みながら、アイネはビームライフルの照準に、いよいよ中距離を割り込んできた目標への修正リードを与えて――
『23、25、撃つなよ!』
「准尉!?」
そのとき不明機にも劣らぬ勢いでデブリを縫って突進してきたジムU22、マコトの機体がビームスプレーガンを構えて両者の間へ割り込む。
22のその突出を脅威に感じたか、不明機は急旋回で軌道変更するもののさすがに減速し、今まで二人のジムUに掴ませていなかったその機影をようやくメインセンサーが捕捉する。型番を表示した。
「RGM-79GS、……ジム・コマンド?」
『ゲンさん、毎度ながらずいぶんなご挨拶ですね』
『うるせえよマコト。こんなときだけチャッチャと動きやがって。てめぇこそいい加減、模擬戦の度に弾くその下手クソな三味線やめろ。どうやったって本気でやらねえってんなら乳揉ませろ、乳』
通信回線で下品に笑う男の声に、アイネは思わず眉をひそめる。
同時に、不明機から識別信号が発信された。後方のもう一機――こちらはRGC-80、ジムキャノンだった――からも同様だ。
ジム・コマンド空間戦仕様とマコトのジムU22は、ビームガンとスプレーガンの銃口を互いに油断なく向けあいながら、気の置けない間柄のように通信越しに笑ってのけた。
『P-04防空隊ゲンナー・ウェズリー少尉、巡洋艦トラキアMS隊と接触だ。案内する』
今回は以上です。
このゴチャゴチャした戦闘描写、どれぐらい伝わってるんでしょうか。
GJ!
私は別にゴチャゴチャしてるとは思いません。
文章だけで読者の脳内に戦闘をイメージさせているのだから、
すごい才能だと思います。
頑張ってください。