どきどき魔女神判!でエロパロ

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1名無しさん@ピンキー:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN ID:ZNfLmdUW
どきどき魔女神判!
どきどき魔女神判!DUO
どき魔女ぷらす

で、どぞ
2名無しさん@ピンキー:2013/09/01(日) 17:35:01.48 ID:UfnCuhpI
なんだなんだ
3名無しさん@ピンキー:2013/09/02(月) 09:44:57.27 ID:5Fvczeai
過去に何度も完走できずに落ちてるからなあ。
元ネタが中途半端にエロい分、逆に書きづらい印象がどうにも。
4名無しさん@ピンキー:2013/09/08(日) 17:40:26.81 ID:rNS8L/1Q
ならば俺が何か書こうかね
5名無しさん@ピンキー:2013/09/11(水) 18:59:17.39 ID:+/hLKA/Q
wktk
6名無しさん@ピンキー:2013/09/12(木) 23:21:08.26 ID:ZvZcJOyp
そもそも人がいるのか
7 ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:21:03.46 ID:Fil6zO9N
約20レスお借りします
アクジ×きあらで、吸血鬼に関する独自設定が若干有ります
背景として、ぷらす最終話で、きあらだけ人間界に残ることを選択しています

それでは始めます。お付き合いくだされば幸いです
8吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:22:52.46 ID:Fil6zO9N
「それで? 一体何の用で来たんだよ、きあら」
「…………」

オレは、目の前に鎮座する少女に問い掛けた。


――夏南きあら。
吸血鬼で、悪魔である。
我が家に突然押し掛けてきて、俺の部屋で我が物顔している彼女からは、いつの日か見せた獰猛さは欠片も感じられない。
ともすれば彼女がやったこと全てが夢だったんじゃないかと錯覚してしまいそうになるほどに。

だが、それは厳然たる事実だった。
あの夏の日に彼女が起こした事件は、最悪の事態にこそならなかったものの、オレ達の運命を確かに決定づける出来事だったのだ。
なにせ、あの事件のせいでルルやイブ先生、司書さんも天界に帰ることになってしまったし、まほも魔女界に帰ることになってしまった。
とはいえ、人間界に残ることを決意したきあらも最終的には色々と手を貸してくれたのは確かなことだった。
自分で散らかしたものは自分で片付ける、当たり前のことではあるが彼女がオレ達に手を貸してくれたことは間違いなく真実なんだ。

残留魔力の処理、戦闘の余波で破壊された物の修復など、決して少なくない力を使ったらしい彼女は今はもう、本当の姿を保っていられるほどの力もないらしい。
だから初めて会ったときと同じ、つるぺったん状態の彼女はじとっ、とこちらを睨んできた。

「西村アクジ。おまえ、なんか失礼なことを考えただろ」

何で分かったんだろう。
ってか、違うっ!

「ごまかすんじゃねぇ、質問に答えろ。どうして来たんだって聞いてるんだよ」
「私の行動におまえの許可なんて必要ない」
「ここはオレの家だっ」
「だから何」
「きあらお前、勝手に入ってきただろう!? 不法侵入だぞっ」
「悪魔が人間の世界の法律なんて気にすると思う?」
9吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:24:24.13 ID:Fil6zO9N
今の今までスルーしてきたが、彼女は招かれざる客だった。
オレは彼女が来てることを知らなかったし、当然招待だってしていなかった。
そもそも、玄関を通ったかどうかさえも怪しいものだ。
なにせ玄関に彼女の履き物らしいものは無かったわけで。
オレが帰宅して自室の扉を開くとすでにそこには吸血鬼少女の姿があったのだ。
あまつさえ勝手に客用の煎茶と茶菓子まで引っ張り出してきて。

「……というか、お前トマト以外も食べるんだな」

オレはきあらがトマト以外の食べ物を食べるのを見たことがない。

「ふん、茶と菓子は食べ物ではなく文化」
「……なあ、それ片づけて良いか?」

煎茶も茶菓子も客人用なだけあってかなりの上物のはずであり、当然値もそこそこに張るのだ。
いや、購入したのオレじゃなくて親だけど。
でもいつの間にか無くなってて怒られるのオレだから。

「勝手にすれば」
「…………」

しかもいいのかよ。
余計になんか釈然としない。

オレはきあらの眼前に置かれていた封の切られていない茶菓子と封の切られた包みのゴミを一度に右手で掴み取る。
全部なくなっているよりかは少しでも残っていた方がいいだろう。
オレはきあらの前に置かれていた、もうすでに飲み干されていた茶の容器も下げようと、反対側の手で持ち上げた。
その間きあらはというと、全くの無反応であった。
そういえば若干顔色が悪い気がする。
なんとなく嫌な予感がしたオレは心持ち急ぎ足で片付けの作業に専念した。
10吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:25:35.31 ID:Fil6zO9N
「それで、もう一度聞くけどさ。何の用なんだよ」
「…………」
「黙ってたら分かんねえよ
「…………」
「用はないんだな? ならさっさと帰れ」
「……やだ」
「用も無いのに居座られるのも迷惑なんだよ! だからさっさと――」
「用ならっ!」

突然の大声。
オレはそこにどうしてかどこか切羽詰まったような、悲痛なものを感じ取り、思わず口を噤んでしまった。
彼女のそんな――言ってしまえば「人間らしい」表情なんて、それこそ夏のあの日以来のものだったから。
加えて言えば、彼女がこんなにも感情を露わにすることは今までほとんど無かったのだ。

きあらはその深く澄んだ碧の瞳にオレの姿を真っ直ぐに映しつつ、懇願した。

「……頼みが、ある。こんなこと男なんかに頼むことになるとは思ってなかったし、今だって男に頼みごとなんて嫌なんだけれど」

いつになく饒舌に、早口で語り紡ぐきあら。
オレは何も反応できずにただ、彼女のぷくりと艶のある唇が忙しなく動くのを視線で追いかけているだけであった。
彼女はその薄い胸に手を当てると数度息を整える様な仕草を見せた後、再びオレのことを直視してきた。
それはまるで、何かの魔法のように、オレに彼女のその深く憂いを帯びた双眸から視線を外すことを許さなかった。

そして、彼女は告げたのだ。

「お願いだ、西村アクジ。私に血を吸わせろ」


何時だって人生は選択の連続で、その時その時の偶然や必然が複雑に絡み合って、きっと今がある。
だから「もし」を考えることは大して意味がないんだろうと思うけれど、それでもオレが自分の人生が本当の意味で決定されたのはいつかと問われれば、きっと今、この瞬間を迷わず選ぶだろう。
「もし」この場面が存在していなかったら、きっと全く違う人生を歩むことになっていただろうから。
この時既にオレは、彼女を助けることをもう決めていたのだ。
11吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:27:45.98 ID:Fil6zO9N
「血?」
「そう、血」

場面は変わらずオレの部屋。
きあらはオレの椅子に、椅子を奪われて座るところの無いオレはやむなくベッドに腰掛けていた。

きあらが足を大仰に組み直す。
み、見え…………そうで見えねぇ……っ。
と、露骨な視線に気がついたのかこちらをじろり、と睨んだきあらは説明を始めた。

「そもそも私たち吸血鬼は血を吸う存在。ううん、むしろ血を吸っていなければ吸血鬼は吸血鬼でいることすら出来ないといった方が正しいけど」
「どういうことだ?」
「言葉通りの意味」

そう言った彼女は少しだけ微笑んだ。
まるで自分を嘲るように。

「吸血鬼は血を吸って初めて吸血鬼。なら、血を吸わなくなれば吸血鬼はどうなると思う?」
「どうって……」
「簡単なこと。吸血鬼は吸血鬼でなくなる」
「吸血鬼で……なくなる?」

突然のことに上手く頭が働かない。
吸血鬼でなくなるって一体どういうことだ?
それならオレの目の前にいる吸血鬼は――

「死ぬ。もしくは消滅する」

オレは彼女から目を離すことが出来ずにいた。
あまりにも信じられなくて。
でもそれよりも目を離したら、その隙に彼女がどこかに行ってしまうのではないかと怖くて。
だって、彼女は。
少なくともオレの知ってる限り彼女は。
12吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:29:17.85 ID:Fil6zO9N
「ふん、おまえの考えてることなんてお見通し。そう、私はこの人間界に来てから――というよりも来る前からもう数百年も、ずっと血を吸ってきていない」

なら、どうして彼女は今ここにいることが出来るのか。

「吸血鬼は生存し続けるために吸血の必要がある。でも、吸血を殆どしない吸血鬼もいる。例えば私。私は吸血鬼の中でも特に由緒正しい吸血鬼。だから、今まで下劣な男の血なんて吸ったことがないし、女の血だって私が相当に気に入った女の血だけを吸ってきた」

どやっ、と効果音がどこからか聞こえてきそうな程に相当なしたり顔。
というか、その「下劣な男」の中にはオレも含まれてるんですよね?

「でも、血を吸わなかったら吸血鬼は死んじまうんだろう?」
「そもそも吸血鬼が吸ってるのは血でなくて生命力。だから、他の方法で生命力を補給できるなら血を吸う必要は無い」
「……ああ、ってことはだからお前はいつも」

そこでオレの頭には過去のきあらの姿が次々と浮かんでは消えた。
何時だって彼女が常に持ち歩いていたもの、それは――

「そう、トマト」

思い返してみると彼女は今までずっとトマトを、というかトマトのみを食べていた。
ついさっきも自分で言ったことだが、オレは彼女がトマト以外のものを食べているのを見たことがない。

「具体的にはトマトを擬似的に人間の血液に見立てることによって、吸血鬼が血液から摂取しなければならない生命力をトマトから摂取する」
「ん? でもそれならオレに血を吸わせてくれ、なんて頼む必要無いんじゃないのか?」

それに、男のことは嫌いなんだろ?
オレは小さく付け加えた。
彼女は苦虫を潰したような顔になって言った。

「トマトを擬似血液に見立てる段階である程度の魔力が必要になる。だから、トマトから生命力を吸収するための魔力すら作り出せない今は、人間の血液から直接血を吸って、生命力を吸うしか方法はない」
「ってか、何でそんなカツカツになるほど魔力を使っちまったんだよ? 魔力を使い切ればそうなるってことは分かり切ってたことだろう?」
「それは、確かにそう。でも当初の予定では私はまほ様を手に入れて、まほ様から血を少しばかり戴く予定だった」
13吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:33:55.66 ID:Fil6zO9N
まほの話題が出ると途端に目を輝かせるきあら。
でも涎は拭こうな。

「だけどトマトから生命力、だっけか。それを摂取するのにも魔力が必要なら、魔力はずっと増えないままなんじゃないのか?」
「実際はトマト自体の生命力が上乗せされるから、僅かなリターンがある。トマトは吸血鬼にとって食品の中で一番生命力吸収効率の良い食品だけれど、それでも効率はあまり良くない。
そもそもトマトを純粋に血液に見立てるためには、体の中にある他の余分なものを排除する必要があるから、トマト以外の食べ物は殆ど食べられないし」
「だからお前はいっつもトマトばっかり食べてたのか……」

こくり、と頷くきあらにオレは最初から抱いていた疑問をぶつけた。

「でもさ、何でオレの血なんだ?」
「それは」
「オレはお前の大嫌いな下劣な男だし、そもそもついこないだは本気で戦い合った敵同士だろ?」
「…………」
「こう言っちゃ悪いけどさ、全部自業自得なんじゃないのか? それなのに敵だった、しかも常日頃から嫌ってるオレに血を要求するなんて都合が良すぎるんじゃないのか?」
「…………っ」

ぎゅっ、と浅黒い小さな拳が握り込まれる。
碧眼がじんわりと潤んでくるのを目の当たりにしながら、それでもオレは問わずにはいられなかった。

「お前は常々オレのことを嫌ってきたし、そんなオレの血なんて飲みたくないだろ。だったら誰か別の人のところに行ったって良いし、何だったら吸血鬼らしく問答無用で誰かの血を無理矢理吸ったって良いじゃないか。何で、オレのところに来たんだ?」
「そ、それは……」

激しく狼狽するきあら。
どうしてか、止まらない。
胸の中の熱が、収まらない。
オレは、一体、どうしたいんだ?
彼女に、夏南きあらに一体何を求めてるんだ?
何も求めていないなら、何も期待してないなら、どうしてこんなにも心がざわつく?
14吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:35:29.65 ID:Fil6zO9N
「なあ、きあら。オレは、お前にとってのオレはいったい何なんだよ」
「私にとっての、おまえ……?」
「そうだよ、男が嫌いなくせにオレの血を吸いに来たんだろ? それはどうしてかって聞いてるんだよ」
「そ、それは、ただ、誰かの血を飲もうと思ったけれど、私には頼れる人なんていないし、おまえくらいしか……おまえは、男……だけれど」


――ああ、そっか。
今オレはようやくこの抑えようのない自分の気持ちに気付いた。
オレはきっと、彼女がこんな状態になっていたのに――恐らくはあの夏の日以来ずっとだろう――今まで一切助けを求めてこなかったことに憤っているんだ。
他でもないオレに、確かに一介の中学生で大した力もないし、普通の人間だけれど、それでもオレに助けを求めて来てくれなかったことを憤っているんだ。
何にも出来ないかも知れない。でも何だってしてやりたいと思うのに。思ってるのに。
彼女がオレのことを、所詮は「その程度」にしか思っていてくれていないことを……残念だと思ったんだ。

そう、オレはきっと彼女、夏南きあらのことが――


「お前は確かに男だけれど、男だけれど男の割には話せる奴だし、何より曲がりなりにもこの私を下したわけだし、だから男のお前だけれど、それでも私は――」
「もういい、きあら」
「〜〜〜〜!? あ、あああっ、アクジっ!?」

気がついたら、オレは力任せにきあらを胸に抱き寄せていた。
オレはただただ苦しくて、胸が苦しくて、どうして良いかわからなかった。
いつから、なんだろう。
あの夏の日、戦いの後に彼女がふと見せた、見た目の年相応の表情を見たときか。
それとも、普段の生活の中、口汚く罵られながらも楽しく過ごしたあのときか。
ひょっとすると、自分では気がついていなかっただけで、初めて会ったあのときからすでにオレは彼女のことを……?

「えっと、お、お前いきなり何をして」

さっきよりも幾分も落ち着いた声音のきあら。だがやはり声音に若干の戸惑いと狼狽、そして心配がある。
普段だったらオレが変な真似をしようものなら、途端に「無礼者!」と殴り飛ばしそうなものだが、突然のオレの奇行にむしろ心配してくれているらしい。
ああ、その心優しさも、今はただただ愛おしい。
そして、この彼女への想いを今この場でぶちまけてしまいたい。
幼稚で純粋な好意の塊をここで吐露してしまいたい。
15吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:37:08.76 ID:Fil6zO9N
でも、恐怖がオレを押し留めた。
もし、彼女がオレに好意を持っていなければ――いや、間違いなく彼女はオレに対する好意を欠片も持ってはいないだろう。
それどころか男を疎み憎む彼女は、オレのことを嫌いでさえあるかもしれない。
オレにわざわざ血を吸わせてくれと頼んだのは、きっとオレと関わっていればまほと再会できる可能性が高いからだろう。
だから、オレは。

強く抱きしめた、彼女の背中を通じて伝わる熱が、何よりも近くにあるはずなのにどこか遠くに感じてしまう。
彼女の体温を、吐息を、鼓動さえも聞こえそうな程に近くにいるのにどうしても彼女に手を伸ばすことが出来ない。
オレは、絞り出すように、言った。

「ほら、吸うんだろ、血?」
「え…………い、いいの?」
「……馬鹿、駄目な訳ないだろ」

しばらく逡巡していたきあらだったが、やがて再び口を開いた。

「ありがと、西村アクジ」

か細い感謝の言葉が耳元で囁かれる。
その言葉にやっぱり寂しさを覚えながら、オレは首元に何か鋭いものが突き刺さり、押し入っていくのを感じた。
横目で窺うと、きあらがその鋭い歯を首に宛てているらしい。
そして直後の喪失感。
ああ、今まさに血を吸われているんだろう。
そして生命力も同時に吸われているに違いない。

「ぢゅるるっ、ずずっ、ずるる、じゅるっ」

一心不乱に音を立て、血を吸い続けるきあら。
時折合間に差し込む息継ぎが艶めかしい。
16吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:38:38.10 ID:Fil6zO9N
「じゅるる、ぢゅるっ、ずずるっ、ぢゅるる」

みるみる内に顔色が良くなっていくきあら。
それとは対照的にオレの意識はだんだんと薄れてきていた。
っていうか、コレ、少しやばいんじゃないか!?

「ちょ、ちょっと、きあら! タンマ! ちょっと待ってくれ!」
「ずずずっ、ちゅるっ、じゅる、ぢゅるる」

己の危機に慌てるオレだったが、きあらは血を吸うのに夢中で全く聞いていないようだ。
仕方なしに力ずくで彼女の身体を引き離そうとして、オレは愕然とした。

(力が、入らない……っ!?)

全くの比喩抜きに、指一本すら動かすことが出来ない。
それどころか、手足の先からだんだんと身体が冷たくなっていく感覚がする。

(ああ)

でも、それでもいいのかな。
そう、思った。
たとえここで息絶える運命であったとしても、彼女の腕に抱かれて死ねるのならそれは幸福なことであるかも知れない……。
17吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:39:45.80 ID:Fil6zO9N
音を立てて血を啜り続けるきあら。
気付けば彼女のワンピースはいつの間にか肩紐が外れてしまって、その慎ましやかな胸が殆ど露わになっていた。
そんなことにも気がつかないほどに夢中に吸血する彼女を、やっぱりオレは愛しく想いながら、意識を手放した。





「………………あれ?」
「ア、アクジっ!」

目が覚めると、すぐ目の前にはきあらの心配そうな顔があった。
……後頭部の柔らかな感触。
どうやら、信じられないことにオレは今、きあらに膝枕をしてもらっているらしい。

「えっと、なんでオレ」
「わ、私がっ、血を吸いすぎて、それでっ」

勢い込んで喋り出すきあら。
彼女は今にも泣き出しそうな表情であった。

「アクジが死ぬんじゃないかと思って、私はっ、私は……っ!」
「そんな、大袈裟な」

確かに、突然気絶したら、そりゃびっくりするかも知れないが、所詮は貧血。
そこまで深刻に心配するようなことではない。
そう思ったのだが、彼女はなんだか怒ったような顔になって怒鳴り立てた。

「ばかっ!! 死ぬところだったんだぞ!」
「死ぬ、なんて大袈裟だって」
「違う! 死ぬはずだったのを何とか魔法で助けたんだ!」

……え、マジ?

「じゃ、じゃあお前、血ぃ吸って回復したばかりの魔力はお前一体」
「おまえを助けるのに全部使ったに決まってる、ばかっ!」
18吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:41:35.22 ID:Fil6zO9N
とうとう泣き出してしまうきあら。
ぽろぽろと、大粒の涙が頬を伝い、宙を舞い、オレの顔に降り注ぐ。
オレは不謹慎ながら、涙の雫に光が反射して美しい、なんて思っていた。

「ほら、きあら。これで涙拭いてくれよ」
「な、泣いてなんかないっ」

手近なタオルを掴み取って彼女に差し出すも、払いのけられてしまった。
どうやらご立腹のようである。

「なあ、魔力を無駄遣いさせちまったのは悪かったからさ。ほら、改めて血、吸えよ。オレなら大丈夫だからさ」
「ばか。ばか、ばか。ばかっ、ばかっ、ばかっ」

改めて吸血してもらおうとしたが、彼女はただ、ばか、ばか、ばか、と繰り返すだけだった。
オレはどうして良いかわからなく、途方に暮れた。
――と、きあらがオレの瞳をのぞき込んで言った。

「どうしてそんなに優しいんだ。どうしてそんなに優しく出来る。何で自分を犠牲に出来る。何で自分を大切にしない」
「…………それは」

訥々と問いかけてくるきあらに、オレは少し考えた後、自分の答えをしっかりと噛みしめながら答えた。

「優しくするのは優しくしたいからだ。誰かのために尽くすのは、誰かの苦しむ姿を見たくないからだ」
「でも、おまえが死ねばおまえは誰が苦しもうともそれを見ることは無いだろう。だったらおまえが誰かのために尽くす意味なんて」
「そういう考え方も出来るかも知れない。それでも、たとえ自分が犠牲になっても相手が苦しまないならそれで良いと、そう思う時もある」
「……その結果、おまえが苦しくてもか」
「知ってるか? ちょい悪は弱音を吐かないんだぜ」

驚いたように目を丸くするきあら。
オレは彼女の柔らかい太股から身体を起こすと、そのまま彼女と向かい合った。

「それに、お前がいなくなっちまうなんて、そんなの嫌だったしな」
「何で、途中で止めなかった」
「いや、実は止めようとしたんだけどお前は吸血に夢中だし、身体も思うように動かなくてさ」
19吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:44:27.16 ID:Fil6zO9N
呆れ、でも彼女はようやく微笑んでくれた。
まだ瞳にはほんのり赤みが残っていたが。
彼女はぐいっと身体をこちらに寄せてきた。
お互いの顔が一気に近づく。
二人の吐息が絡み合う距離。

「でも、さっきおまえが言ったこと。何となくわからなくもない」

にこりと微笑んだ彼女はそんなことを言った。

「だって私も、たとえ自分が死ぬことになったとしても、おまえを助けたいと思ったから」

言葉が発せられ、その意味を理解するまでに数瞬を要する。
そして彼女の意図を理解した途端、顔が紅潮するのが自分でもわかる。
オレはなんだか恥ずかしくなったが、彼女の深い海の色の瞳から視線を逸らすことは出来なかった。

「おまえは男だけれど。男だけれど私は、おまえのことが――」

オレは自分を抑えることが出来なかった。

「んむっ」
「んんっ」

押し付けられあう唇と唇。
もう既にそこに言葉は不要だった。
ただ唇を重ねるだけの稚拙なキスの後、オレは彼女に囁くように告げた。

「きあら。好きだ。どうしようもないほどに好きだ。愛してる。お前の気持ちを聞かせて欲しい」
「私も、ううん、私の方がお前のことを愛してる。お前は男だけれど、それでもお前を愛してる」

彼女もまた囁くように返してくる。
オレたちはどちらからともなく笑い合って、再びキスをした。

「ちゅ、んぷ、んちゅぅっ」
「ぷはっ、ちゅぷ、んふっ」

今度は舌の、そして唾液の絡み合うキス。
オレたちはお互い貪欲にむさぼりあった。
20吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:46:20.13 ID:Fil6zO9N
「きあら、綺麗だ……」
「あ、あんまりじろじろ見るな」

ベッドに身体を横たえた彼女は、恥ずかしそうにその裸体を腕で覆い隠した。
オレはきあらの、褐色で美しい滑らかな肌を目と手で堪能しながら彼女に覆い被さった。

幾度目かのキスの後、きあらが「吸血よりも効率の良い生命力吸収方法がある」と言ったからである。
その方法とは、ズバリ性行為。つまりはセックスであった。

「なあ、きあら。本当に良いのかよ」
「くどい。こちらの方法なら、おまえが貧血になる恐れがないし、それに……私は、おまえとなら別に、嫌じゃない……し」

文字通り人間の生命の源である物質――つまり精液を直接胎内に吸収することによって、吸血よりも非常に効率よく、安全に生命力摂取が可能らしい。
らしい……のだが。

「なあ、きあら。こういうことは今度でもいいし、吸血で生命力を得れるならそっちで良いんじゃないのか」
「駄目。吸血はお前が貧血で倒れる可能性が高いし、こちらなら効率は段違い」
「また後日、オレの血を吸えば良いじゃねえか」
「…………おまえは。私のことが嫌いなのか?」
「そんなんじゃない。でも、オレはまだ若い。もし何か有ったって責任取れないから。それは嫌なんだ! どうせならきちんと大人になって、甲斐性を身につけて、お前に相応しい男になって、それからお前と結ばれたいんだ」
「…………幾つか間違ってる」
「へ?」
「第一に、私は長い時を生きてきた悪魔だ。年齢のことは問題ない。次に、おまえは私に相応しい男だよ、間違いなく。……私が言うんだ、間違いない」
「それは、光栄なことだけれど」
「それに、おまえには分からないだろうけれど、私の魔力不足はおまえが考えてるより深刻。今日を逃せば、私はきっと死ぬか消える」
「で、でも」
「ねえ、アクジ」

きあらはそうオレに語りかけると、身体を隠していた腕をどけた。
そして、オレの首に腕を回すと、迎え入れるように優しく抱擁した。

「私、こんなに誰かを好きになったの初めてだ。男を好きになったのも初めてだけれど、アクジとは何があっても一緒に居たいと思う。だから……」


「私の、初めて。貰って、アクジ」
21吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:52:28.62 ID:Fil6zO9N
手のひらで、まるで壊れ物でも扱うかのようになだらかなバストを優しく揉み解す。
神判では随分と色々な女の子の身体を調べて、弄りもしたが、ここまで核心的な箇所に直接触れるのは初めての経験であった。
オレは万が一にも痛くしてしまわないように細心の注意を払いながらその柔らかさを味わい尽くす。

「っふぅ……ん、ふぁ、んん」

時折くすぐったげに吐息するきあら。
オレは、自分の愛撫で彼女が気持ちよさそうにしていてくれるのが嬉しくて、そのまま頂の先っぽ、桜色の突起を指で転がした。

「んぁっ!? い、いきなりなんて……」

こり、こり、こりこり、と断続的に刺激を与え続けているとやがて、目に分かるほどに乳首がぷっくりと尖ってきた。

「感じてくれてるんだな、きあら」
「んぅぅっ、お、おまえ、手つきがなんかいやらしくないかっ」
「男はみんな誰だって嫌らしいもんだ」
「や、やっぱり、男なんて……」

オレは若干うんざりしているきあらの下腹部に手を這わせる。
さわさわ、と彼女のお腹を弄っていたところ、抗議の声が上がった。

「や、やめろ。く、くすぐったい」

身を捩り、オレの手から逃れようとするきあら。
オレはそんな彼女にニヤリと笑いかけると、さらに下へと手を伸ばしていった。
当然そこには、彼女の最も秘せられるべき場所がある。

「なら、こっちなら良いんだな?」
「あっ、そっちは……っ!」

そして、ようやくたどり着いたそこは。

「濡れてるな。ぐっしょりだ」
「ぅぅ…………」

かつてない頬の紅潮を見せる彼女を尻目に、オレは彼女の花園へとそっと指を這わせた。
22吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 14:55:26.60 ID:Fil6zO9N
「ひゃぁっ!」
「わ、悪ぃ! 痛かったか?」
「う、ううん。た、ただ……」
「ただ?」
「き、気持ちよくて……っ」

クレヴァスを指でなぞった瞬間、大きめの声を上げたきあらに一瞬どきりとしたが、杞憂だったらしい。
それどころか気持ち良かったとさえ言う。
オレは彼女にもっと気持ち良くなって貰いたくて、無心になって指を前後させた。

「ひっ、ひぅっ、ひゃっ、んあっ」

そのたびに嬌声を上げるきあら。
オレはまたしてもそんな彼女に言いようのない程の愛おしさを感じてしまって、愛撫を続けながら定間隔で彼女にキスを降らせた。



「ぁ、アクジっ」
「なんだ」

それからしばらく後。
おもむろにきあらはオレの名を呼んだ。

「もう、準備は大丈夫だ。だから、早く……来てくれ」

そう言って、自身の濡れそぼった秘所を指で押し広げ、見せつけてくる。
余りに淫靡で蠱惑的なその表情と仕草に、オレの理性は吹っ飛んだ。

ぽろり、と既に今まで無かったまでの硬さになっていた自らの肉棒を彼女の広げられた女陰にあてがい、入り口を探る。

「ここ」

見かねたきあらが直接誘導してくれた。
オレは大きく頷くと、一度息を整え、腰を前に突き出した。
23吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 15:50:25.94 ID:Fil6zO9N
「き、キツ……っ」
「う……、入ってくる」

激しくオレの一物を締め付けてくるきあらの中。
進入していくとすぐに何か抵抗を感じた。

(コレが……処女膜?)

「きあら、いく、ぞ?」
「……うん」

か弱い返答。
見れば、彼女の肩は小刻みに震えていた。

「……怖い、のか?」
「こ、怖くなんかっ」
「悪ぃ、なるべく優しくするから」
「ぅう、頼む」

短く、啄む様なキス。
オレは、腰の進撃を再会した。

ぷちぷちっ、ぷち

「〜〜〜〜っっ!!」

突き破る感触。
きあらはパクパクと空気を求める金魚のように口を開閉させた。

「痛い痛い痛い痛いイタいイタいイタいイタいぃぃいいいっっ!!」
「だ、大丈夫かっ、きあら!?」
「痛い痛い痛い痛い凄く痛い痛い痛いッッ」

とうとう泣き出してしまったきあらを前に、オレはどうして良いか分からなくなり、なるべく腰を動かさない様にしつつ、彼女の頭を撫でることにした。

「わ、悪い、きあら。痛かったよな」
「これがおまえでなければこの場で噛み殺してたッ」
「すまん、本当に悪かったよ」
「うぅ…………」
24吸血姫に恋をしたなら ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 15:55:40.92 ID:Fil6zO9N
ぐすり、ぐすり、としゃっくりをあげる彼女の唇にそっと唇を重ねる。
すると彼女は上目遣いでこちらを見上げると、こう告げた。

「アクジ……もう、動かしていい」
「いや、でもまだ痛むだろう」
「だ、大丈夫」
「声、震えてるぞ」
「痛いのは、初めの一回だけらしいし、早く終わらせて欲しい。それに」

きあらは再びオレの首に腕を回す。
ぐいっと顔が近づき、オレは再び彼女の蒼い瞳に囚われる。

「おまえの、早く欲しいから」
「――――き」
「き?」
「きあらああぁぁぁっ!!」
「きゃあぁぁぁああっ!?」

彼女の言葉に理性を失い、腰の動きを再開したオレと、突然の動きに驚き戸惑い悲鳴を上げるきあら。
獣の様に行うピストン運動は、ただ己の快楽の為のもの。
まもなく、オレは絶頂へと誘われた。

「き、きあらっ! イく! イくぞっ!!」
「アクジ! 奥に! 奥まで届かせてぇっ!!」

呼応する叫びと、せり上がる射精感。
オレは、自らの欲望に忠実に精を彼女の最奥に思う存分吐き出し、ぶちまける。

どぴゅ、びゅるるっ、どぴゅぴゅ、びゅるびゅるっ!!

完璧に全てを彼女の中に埋め、完全に全てを彼女の中に出し切ったオレは、そのまま彼女に覆い被さるように脱力した。
なんだか、異様に疲労したような気がする。

「ふん、生命力も一緒に吸われたからだ」

オレの表情から言わんとすることを察したらしい、きあらが言った。
見ると、彼女の身体がほんのりと光っている。

「魔力が……戻ってきてるのか?」
「ああ」
「そっか、良かった」
「…………」

何故か黙り込むきあら。なにやら逡巡しているようである。
そうしてしばらくして、頬を真っ赤に染めたオレの吸血姫は、こう言ったんだ。

「ありがと、アクジ」


25 ◆Jikkai/UMA :2013/09/15(日) 16:23:22.86 ID:Fil6zO9N
以上です
お目汚し失礼しました
26名無しさん@ピンキー:2013/09/19(木) 23:41:27.77 ID:cP/lf0AU
過疎だな・・・
一番槍乙
27名無しさん@ピンキー:2013/09/29(日) 15:54:54.69 ID:0FRV+mE5
誰もいないのか
28名無しさん@ピンキー:2013/10/19(土) 16:13:22.59 ID:qV+thcBP
うひひひひ〜
29名無しさん@ピンキー
保守