「アミはLBXへの偏見をなくすため、弁護士になりたいんだよな」
カズが少し膝を落として、眼鏡の奥の私の目を見つめる。これはいつも軽口ばっかり言うカズが、私に話を真剣に聞いてほしいときの合図。
「アミはLBXを素晴らしいものだと思ってるかもしれない。でも本当は、使う人間次第で簡単に悪になり得る存在なんだ。キレイごとだけで解決できるものじゃない。
実際、LBXを利用した犯罪は増加してて、警察の手にも負いきれてない。だから俺はそれを食い止めたいと思った。
さっきみたいに、ヤバいときには人間にLBXを使うこともある。それは、LBXを強化ダンボールの中に戻そうとしてきたみんなの思いを、踏みにじることだ」
そう。LBXが一番輝ける場所は強化ダンボールの中だって信じて、私たちは戦ってきた。それはカズだって同じはず。
「けどその思いを踏みにじってでも、犯罪に加担させられるLBXを救ってやりたい。そんで街の平和を守って、アミたちが安心して暮らせる世界をつくりたい。
これが、昔テロに加担してLBXを悪者にしてしまった俺の、できる限りの償いだと思ってる」
変えられない過去、犯してしまった罪の償い…そのためにカズは自分を犠牲にしようとしている。
カズがやろうとしてることはいわゆる『裏』の仕事で、社会的に褒められたことじゃないし、その上犯罪者に逆恨みされて命を危険にさらす可能性だってある。
LBXへの償いのために、またカズだけが汚れ役を引き受けようっていうの?
私や大切な人を守るためなら、自分が死んだってかまわないって思ってるの?
カズの気持ちはよくわかる…だからこそ私は、カズが私に黙ってひとりで戦い続けようとしたことが耐えられない。
きっとカズの決心は変わらない。だったら私にできるのは、カズと私の気持ちに折り合いをつけて、妥協すること。
私は肩に置かれたカズの手を降ろして、カズの目を見つめ返しながら、精一杯の皮肉を込めて毒づいた。
「カズ…あなた近頃、考え方がバンのお父さんに似てきたんじゃない?」
「はあ?! こっ、怖いこと言うなよな!! こちとら将来は八神さんみたいなクールで頼もしい大人を目指してるんだぜ!」
「だーかーらー、何でもかんでもひとりで決めつけて、ぜんぶひとりで背負いこもうとするのやめなさい、って言ってるの。
私ね、カズは面白半分で探偵業に首突っ込んでるんだと思ってた。犯罪者相手といっても、人に向けてLBXを使ったのにも驚いたわ。
でもLBXを救いたいって本気の気持ちがわかったから、もう私は反対しないよ。なんだったら、私もまたLBX始めて手伝ってあげてもいいわ」
うーん、我ながらちょっと呆れるくらいの上から目線。
本当はカズの真意も知らずにワガママ言ってた自分が恥ずかしくてしょうがないんだけど、昔カズが頼りなかった頃のクセがまだ抜けなくて、どうしてもカズに対しては偉そうに振舞ってしまう。
カズの方も私の命令…じゃなくてお願いは、だいたい二つ返事で聞き入れてくれる。なのに今のカズは相変わらず冴えない表情。
「何よ、その顔。そんなに私に頼るのがいやなの?」
「…俺が仕事してる理由、もうひとつあってさ。一人前になってアミに頼られるようなヤツになりたいと思った。
俺、昔っからアミに頼りっぱなしだし、学校の勉強だってアミに教えてもらってばっかだし。せめて早く自立しないと、いいトコなんて全然ねえじゃん」
なんだ、そんなこと気にしてたんだ。
「そんなことないわよ。私を助けてくれたときのカズ、すっごくカッコよかったもん」
「え…? ええっ?! アミ、今なんて言った!」
「え、助けてくれたときのカズが、カッコよかった…って。いきなり叫んでどうしたのよ?」
「あ、ワリィ。えっと、アミに『カッコいい』なんて言われたの初めてだから、嬉しくってつい、な。う〜、この仕事やって良かった…!!」
そこまで感動すること?
男の人が基本的にカッコつけたがりだって、バンのお母さんが言ってたこと、本当だったのね…
心の中では時々思ってたこともあったんだけど、ミカみたいに好きな人を素直に褒めるのが恥ずかしくって、ずっと言えなかった。
でも今は驚くほど自然に口から言葉が出てきて、言ってみたらなんだかすっきりしちゃった。こんなに喜ぶんだったら、もっと早く言ってあげればよかったかな。
……実はまだ、付き合ってからカズに言ってあげられてないことがある。
これも言ってあげたらカズ、きっと喜ぶだろうなあ…でも、恥ずかしいなあ。
ああもう、悩んでても仕方ないわ! 勇気を出すのよ、川村アミ!
「ねえ、カズ」
「ん?」
「エッチしよ」
言っちゃった。どうしよう、すっごく恥ずかしい。できるだけ平然と言ったつもりだけど、きっと顔は真っ赤。
エッチのお誘いは毎回カズからで、私から言い出したのは最初の1回目だけだった。カズに『たまにはアミからも誘えよー』って言われてたけど、結局今の今まで言えなかった。
うう、顔から火が出そう。それで一方のカズは、というと、笑ってるけどほっぺたが引きつってる。マズい…もしかして引かれた?!
カズの苦笑に耐えきれず、慌てて弁解を始める私。
「だ、だってクリスマスイブなのよ?! カズだって、もう一週間してないでしょ! それにまだ今月に入ってから6回しかしてないし…それとも、カズはしたくないの?!」
「俺はしたい! というか仕事中もアミのことばっかり考えてて八神さんに怒られた! アミがその気になってくれて超嬉しい!!
…でもさ、さっき襲われそうになったばっかで、アミはつらいだろ。それで、その…トラウマとか、怖いこと思い出させちまうかもしれないし」
カズはいつもこう。軽いノリで振舞ってるくせに、その実誰よりも周りに気を遣ってばっかり。
それと自己評価が低くて、過ぎたことでよく自分を責める。はっきり言って人生損するタイプね。
だから、カズがネガティブになりそうなときに止めてあげるのも、私の役目。
「違うよ。カズはあんな奴と全然違う。カズがいなかったら、今の私はないもの。
カズは気づいてないかもしれないけど、カズのおかげで私は何度も助けられたの。お互い励まし合って、支え合ったから、苦しいときでもあきらめなかった。
今回はカズのせいでちょーっとひどい目にあっちゃったけど…これから優しくしてくれたらそれで許してあげる」
仲直りの印として、ほっぺの傷に軽くキス。どうやってできたか知らない傷だけど、カズはここにキスされるのが好きみたい。
こっちを向いたカズの口元が緩んだ。あ、やな予感。このにや〜って顔は、スケベなこと考えてるときの顔。
「あのさあ…言っとくけど、月に6回セックスは十分多い方だからな? だいたい1回で2、3戦はするし」
え、そうなの?
私、カズとしかエッチしたことないし、友だちともそんな話しないし、一般的なエッチの頻度なんて全然知らないから前と比べるしかないから、今の状況は少ないと思ったんだけど…
「そっかあ、アミは月6回じゃ我慢できないくらいエロくなっちまったのかあ」
「し、知らないわよ、そんなこと!! カズのスケベがうつったんでしょ!」
「へへっ、そうなるように頑張ったからな」
「頑張らなくていいっ! からかうんだったら、エッチはお預けなんだからね!!」
もうっ、なんでこんなにデリカシーが無いのかしら!!
ほっぺを膨らませてそっぽを向いていると、カズに眼鏡をとられて、耳元で
「ゴメン。1週間ぶりにアミの顔見たら俺も我慢できなくなった。シャワー浴びてないけど、今すぐ抱きたい。いい?」
って囁かれた。卑怯よ、そんな声でお願いされたら断れないじゃない…
カズの息遣いを耳に感じながら、うなずく。ギュッと抱きすくめられたとき体温が2℃くらい上がるのを感じて、私はカズに本当に惚れちゃってるんだなあって思った。
「んんっ…あ……ぁっ…」
重ねた唇の隙間から声が漏れる。裸でくっついてするキスは、変な気分になるのにすごく気持ちいい。
頭がぼうっとしてなかなか動き出せなかった私は、カズに軽々と抱き上げられてベッドまで運ばれて、あっと言う間に服を脱がされた。
見える筋肉は前より落ちたと思ってたけど、力はむしろ強くなった。もし力いっぱい抱きしめられたら、私はつぶれてしまうかもしれない。
でも実際はエッチしてても痛いことなんて全然ないから、カズが頑張って優しくしてくれてるんだってわかる。
さっきから胸をまさぐってる手も、私を痛めつけようとはしない。先っぽをつままれると一瞬息が止まりそうにはなるけど…
唇をついばむように押しつけて、口の中を舐め合って、お互いに舌を絡めて、呼吸する時間も惜しいくらいにカズを求める。でも……何か違う。
前はそれだけで十分気持ち良かったはずだったのに、今はキスしたり、触り合ったりしてるだけじゃ物足りないって感じるようになってきた。
どうしよう…本格的にカズのスケベがうつったみたい。
アソコが熱くなってジンジンする。早く触って、って言いたいのに、キスも続けていたいから伝えられない。
キスしたまま、私の胸元にあるカズの手を引っ張って、下の方に滑らせていく。おなかを通り過ぎてふとももまで到着すると、思ってた通りそこは濡れていた。
私の気持ちに気付いたカズが唇を離して、軽い口調で私に尋ねる。
「まだおっぱいしか触ってないのにもうぬるぬるじゃん。そんなに俺が欲しかった?」
「うん。カズが欲しい」
「ちょっ…そこまで素直に答えられると、俺、たぶん歯止めきかなくなるんだけど?」
「いいよ、カズの好きなようにして。今日はそんな気分だから」
「言ったな。できなかった1週間分、取り戻してやるから覚悟しろよ!」
ベッドの上で仰向けにされて、カズの顔が正面に来る。
カズは毎回いろんな体位を試すけれど、やっぱり私はカズの顔が見えて、カズの重みが感じられる、この正常位が一番好き。
私の上にいるカズが、手を伸ばして枕元に置いてある箱からゴムを取り出す。エッチするときには絶対につけるから消費量と出費がすごい。多いと1週間で1箱使い切る。
安全日くらいは大丈夫よって私が言っても、カズ曰く男として当然の義務だからって頑として譲らない。エッチするのは大好きでも、こういうところはしっかりしてる。
カズは私をこんなに大切にしてくれてるのに、なんでお昼の私はカズを疑っちゃったんだろう。心の中でちょっと反省。
ごめんね、カズ。あと…ありがと。
慣れた手つきでゴムをつけ終えたカズのアレが、私の中に入ってくる。
身体が熱い。背筋がゾクっとする。なのにすごく気持ちいい。
カズとのエッチは回数を重ねるたびにどんどん気持ち良くなった。少し苦しかった最初の頃より、今はずっとしっくりくる。
カズのアレとぴったり合うように私のアソコの形が変わっちゃったのかなあ。
このままだと私とカズの境界がなくなって、カズとひとつに溶け合ってしまいそう。
ううん、それはいやだわ……だって、ひとつになっちゃったらキスもできないもの。
「アミ、何考えてんの? 深刻そうな顔してさ」
カズに指摘されて、ありえないことを真剣に考えてた自分が恥ずかしくなる。
こういうときはカズのせいにして誤魔化しちゃえばいいのよ。
「なんでもないわよ。エッチの最中のカズがすごくにやけてるから、本当にカズはスケベなんだなって思っただけ」
「ふーん。でもアミだってスケベな俺と付き合ってるんだから、相当スケベだよな。気持ちいいの、好きなんだろ?」
「ひぅんっ、あっ…いいよお…!」
奥を突かれて声を上げた拍子に、目から涙がこぼれ落ちた。
私は我慢できないくらい気持ちいいとき、つい涙が出てしまう。マッサージとか温泉とかでもそうだから、この体質はカッコ悪くていやだった。でも
「アミの泣き顔超カワイイ。すげえ興奮する」
って言われちゃったから、直さなくてもいいかなって思うようになった。
ただ、こういう言い方は嫌いだから、私からも反撃。
「うぅっ…カズのS」
「Sじゃないって。アミが本気で嫌がることはやんねえし。強気なカノジョの普段見られない顔が見られて嬉しいって言ってんの」
「うん、知ってた。だからね…もっと激しくしても平気よ」
私はカズが好き。カズも私が好き。だから私に遠慮して我慢しなくていいの。
カズの切れ長の目が好き。傷のついた頬が好き。鼻にかかった声が好き。力強い腕が好き。友だち思いの心が好き。頼りないカズも、カッコいいカズも、どんなカズでも私は好き。
さっきよりも少しだけ強く、カズが私の中を出入りする。出て行きそうになると切なくて、でもまた入って来てくれるのがその分嬉しくなる。
おなかの内側をこすられる、身体の奥を突き上げられる、その快感を受け止めたくて、私の身体はカズを強く締めつける。
だんだん激しく、荒々しく、カズも私も余裕がなくなってきてる。
もう涙で何も見えない。何も聞こえない。カズから伝わってくる快感だけが、私の感覚のぜんぶになる。
あ、まだ、だめ…もっと、気持ち良くなりたいのに、気持ち良くなってほしいのに…!
目の前がきらめいて意識が飛んで行く直前、私の一番奥でカズが果てたのがわかった。
カズ、お疲れさま。これから増々忙しくなると思うけど、時間を作って、またしましょうね。
エッチの後の心地よいだるさに包まれて、私たちはベッドの中で抱き合っていた。
今日はいろいろあったなあ、なんて思い出していると、カズがむくりと起き出した。
「もう12時すぎたんだな。アミ、メリー・クリスマス」
「どうしたのよ、カズ。急に改まっちゃって」
「えっと、さ。仕事始めた3つ目の理由なんだけど、アミにクリスマスプレゼント、買ってやりたかったんだ」
カズは照れくさそうに頭をかきながら、帰ってきたときに放り出したバッグをごそごそとあさる。
「ホント? 嬉しいけど……私、あげられるもの、なんにも用意してないの。帰って来ると思ってなかったから。ごめんなさい」
「気にすんなよ、いつも俺の方が迷惑かけてばっかだし。ほら、目つぶって、手出して」
何かしら。LBX関連のもの…だったら合格まで封印しなきゃ。なんだかドキドキしちゃう。あのバッグに入るんだから、そんなに大きいものじゃないわよね。
目を閉じて、期待に胸を弾ませながら手を出していたら、突然の違和感。
予想では手のひらにプレゼントが乗せられると思ってたのに、カズに片手を握られて、ちょっと引っ張られて、指に指が触る。
変に思ってゆっくり目を開けたら、小さな宝石のついた指輪が光っていた。
左手の、薬指に。
「あ、いや、今すぐってわけじゃないんだ! そのうち一人前の探偵になって、安定した稼ぎが入るようにするからさ。
ええと、だから…そのときまで、予約」
これって、プロポーズ…よね。
……そっか、そうだったんだ。カズは私が考えてたよりも、もっと未来のことを考えてたのね。
やだな、今日は泣いてばっかり。お昼とは正反対の感情のせいで、涙がぽろぽろ溢れ出してくる。
「わ、な、泣くなよ。ゴメン、その…イヤだった?」
ううん、違うの。とっても嬉しいの。
私も、カズとずっと一緒にいたい。結婚するならカズがいい。
ちゃんと返事しなきゃいけないのに、この気持ちは言葉にするには大きすぎる。
だけどね…言葉にできないなら態度で示せばいいのよ。
「クリスマスプレゼントにあげられるもの、私にもあったわ。えっと、ね…カズに私をあげる!」
あたふたしてるカズを、私は勢いよく押し倒した…つもりだったんだけど、私の力じゃカズはビクともしなかった。ちょっと悔しい。
カズが一瞬呆けたみたいな顔をして、そのあとすぐにギュッと抱きしめられて、キスされた。
それからすぐに第2回戦開始。ほんと、すぐ調子に乗るんだから…!
カズがなんだかいつもよりカッコよく見えるのも、私がいつもより大胆なのも、クリスマスの奇跡ってもののおかげなのかしら。
奇跡に頼るのは嫌いだけど、このくらいなら起きてもいいわよね?
だってクリスマスは家族や恋人、それぞれの大切な人と一緒に過ごす日だもの。
世界中のみんなが幸せでありますように。メリー・クリスマス!
これで終わりです。
単にクリスマスネタを書こうとしたはずが、気がついたらなぜかプロポーズまで発展していました。
わずかなセリフで着実に燃料を投下していく公式マジ罪深い。
ところで、「やる時はやるお調子者迷探偵と眼鏡の敏腕女弁護士のカップル」で某名探偵マンガのご夫婦を思い出したので、末永くお幸せになってください。
長編乙
後でじっくり読もう
さて今日の最終回の私服姿を見るに、ハナコちゃんは良家の箱入り娘かな
ノゾミの私服ヤバい可愛い
やったー帰省直前にタダノゾ純愛かけたよー
仕上げとかしながらゆっくり投下していく
ワールドセイバーとの戦いが終わって、何日か経った夜。
吹野タダシは、ダック壮のラウンジで射撃練習に励んでいた。
戦いが終わったとはいえ、裏切ったカイトの事や、これからの自分の事を考えるのは辛かった。
LBXに触れている間は、それも忘れられる。
次々に浮かぶターゲットを、ひたすら撃ち抜いていった。
「お疲れ、タダシ」
不意に声をかけられて驚き、射撃を外してしまう。
その声の主は、笹川ノゾミだった。
「なんだノゾミか、ビックリするじゃないか…」
「ふふん、注意力が足りないんじゃないの?」
いたずらが成功した時の子供のように、ノゾミは無邪気な笑顔を浮かべる。
その反面、タダシは不機嫌そうに溜め息をついた。
「…で、何か用?」
「うん…ちょっと話があるんだけど、いいかな」
さっきまでの意地悪そうな感じは消え、神妙な面持ちになるノゾミ。
その雰囲気を感じ取って、タダシもCCMから指を離した。
「ゴメンね、わざわざ移ってもらって」
人に聞かれたくない話という事なので、タダシはノゾミを部屋に招いた。
幸い、同居人であるブンタは、ガスの後遺症を調べる為に検査入院をしていた。
二人の時間を邪魔する者は、誰もいなかった。
「それで、話って?」
「うん、実は…」
そこまで言いかけて、ノゾミは言葉を濁らせた。
普段のノゾミらしくない曖昧な態度から、よほど重要な事なのだろうと伺える。
だが、タダシは催促はせず、ノゾミの言葉を待った。
観念したかのように、ノゾミがゆっくりを口を開く。
「私ね、キャサリン達と一緒に、この島を出る事にしたんだ」
突然の告白に、タダシは衝撃を受ける。
だが、不思議と声を上げる事は無かった。
先ほどの言葉が、あまりにも唐突だったからだ。
「アニキはともかく、父さんと母さんが心配しててさ…」
申し訳なさそうに、ノゾミは言葉を続ける。
そんな姿を見るのが、タダシは何故か辛かった。
「だから、その…ゴメンね」
「…なんでノゾミが謝るんだ」
「それは…」
二人の間に、気まずい沈黙が流れる。
ノゾミ自身、理由は分かっていなかった。
だが、タダシを傷つけている事だけは理解できた。
「親が心配してるなら、仕方ないさ。だから…」
「タダシは…それでいいの?」
ノゾミに言葉を遮られて、タダシはハッとした。
「私は、本当は…皆ともっと一緒にいたい。タダシとだって…」
「ノゾミ…」
その言葉で、タダシも自分の気持ちを伝える決心がついた。
「俺も…俺だって、本当は…ノゾミと一緒にいたい…いたいけど…」
二人の間には、再び沈黙が流れた。
どんなに純粋な二人の思いも、子供のわがままでしかない。
子を思う親の愛情を超え、そのわがままを押し通すだけの力を、二人は持っていなかった。
「ねぇ、タダシ…」
ノゾミが口を開くと同時に、タダシに歩み寄る。
そして、吐息が触れ合うほど、顔を近づけた。
「タダシのこと…忘れないように、私に刻み込んでほしいの」
ノゾミの言葉に、タダシは息を飲む。
その言葉の意味が分からないほど、タダシは子供ではない。
だが、それをすぐに実行に移せるほど大人でもなかった。
「タダシならいいよ…ううん、違う…タダシがいいの…」
ノゾミが、タダシの背中に手を回し、体を重ねる。
初めて触れる女性の体。
柔らかく暖かい感触に、タダシの本能は理性を乗り越えた。
「ノゾミ…」
タダシもノゾミの背に手を回し、深く抱きしめる。
一瞬ノゾミの体が震えたが、すぐに力を抜き、タダシに体を預けた。
ゆっくり、唇を重ねるだけの軽いキスを交わしながら、
タダシの手が少しずつ、背を撫でたり、腰に触れる。
まるで、一つ一つ、許しを得ているようだった。
そんなタダシにじれったさ感じて、ノゾミの手がタダシの股間を撫でる。
「っ…!」
タダシの体が震え、固まる。
ノゾミの手は、タダシの上を何度も往復した。
「待って、ノゾミ…っぁ…」
ノゾミに抱きつくようにして、タダシは快楽に耐える。
ようやくノゾミは手を止め、タダシの耳元で囁いた。
「タダシはどうしたい…?」
「…先に、その…最後まで…」
治まりのつかないタダシが、恥ずかしそうに言った。
「しょうがないなぁ…」
そう言いながら、ノゾミは優しく微笑む。
ゆっくりと、タダシのズボンが下ろされ、堅くなったタダシ自身が晒される。
思わず腰を引くタダシだが、ノゾミの手がそれを捉えて逃がさなかった。
「凄い、熱い…」
タダシ自身の感触に、うっとりとした声を上げる。
始めて見るものではあったがどうすればいいのかは知っていた。
顔を近付け、先端にキスをする。
そして、少しずつ舌を這わせ、口に含んだ。
「うぅっ…!」
タダシは必死に耐えているが、それでも声が漏れてしまった。
そんなタダシを愛おしく思ったノゾミは、手の動きを速めた。
もっと、タダシの声を聴きたかったから。
「ノゾミっ…もう、出っ…!」
言葉を言い終えるより先に、タダシはノゾミの口内で、欲望を吐き出した。
「けほっ、けほ…」
「ごめん…その、大丈夫…?」
息を整えながら、せき込むノゾミの背中を撫でる。
「いいの、気にしないで。それより…」
一息ついてから、ノゾミはベッドに横たわった。
「今度こそ…私を好きにして…」
ノゾミが制服を乱し、少しずつ服を脱いでいく。
タダシもボタンに手をかけ、それを手伝った。
やがて、制服と下着を全て取り払い、ノゾミは生まれたままの姿となる。
いくらタダシとはいえ、体を見られるのは恥ずかしかった。
しかし、その一方でもっと見てもらいたいとも思った。
自分の体でタダシが興奮する事が、嬉しかった。
「ノゾミ…」
遠慮がちなタダシの手が、ノゾミの胸を覆う。
優しく、ゆっくりとした愛撫を受け、ノゾミの息が少し乱れ始めた。
「ん…」
さっきまでのノゾミ同様、タダシも、ノゾミの嬌声に惹かれる。
ノゾミより低い自分の身長が、ずっとコンプレックスだった。
だが、今はそんな自分が、ノゾミを支配している。
その征服感に、タダシの心は震えた。
ノゾミの胸の先端を、口に含む。
「あっ、んっ…」
ノゾミが小さく声を上げた。
タダシは舌を使い、ノゾミの胸を責める。
もう片方の胸は、手で愛撫を続けた。
途中で口を離し、逆の方の胸も吸い上げる。
ノゾミの体が、何度も跳ねているのが分かった。
不意にノゾミの手が、胸を責める手に重ねられる。
「タダシ…ね、こっちも…」
そう言うと、ノゾミはタダシの手を、脚の間へと導いた。
熱を帯びたノゾミの秘所が、タダシの指を受け入れる。
「ここが…ノゾミの…」
少しだけ、指を前後に動かす。
「んっ…タダシ、もっと…」
今まで以上の反応を見せるノゾミ。
その言葉に応えるように、指を少しずつ前後させる。
吐息交じりの喘ぎが、何度も響いた。
「タダシ…」
ノゾミの手が、再び主張を始めたタダシの怒張に触れ、秘所へと導こうとした。
タダシも小さく頷いて、腰を落とし、ゆっくりとノゾミの中へと入っていく。
「い、たっ…!」
突然の悲鳴に、タダシは我に返った。
タダシの背に回された腕に、力がこもる。
「ごっ、ごめん、ノゾミ…やめようか…?」
タダシは離れようとして、腰を引く。
だが、ノゾミはタダシから離れようとしなかった。
震える腕で、必死にタダシを抱きしめる。
「もう、ちょっと…大丈夫だから…だから、このまま…」
何度も深呼吸をし、痛みを和らげようとするノゾミ。
タダシは全身でノゾミの体温を感じながら、ノゾミの髪をそっと撫でた。
そのタダシの優しさで落ち着いたのか、ノゾミの腕の力が緩んだ。
「ごめんね、タダシ…そろそろ、いいよ…」
「でも…」
戸惑うタダシに応えるように、ノゾミは小さく体を跳ねさせ、タダシをより深く受け入れる。
「ね、大丈夫でしょ? だから…」
「…わかった。じゃあ、行くよ…」
最初はゆっくりと、そしてだんだん激しく、ノゾミに腰を打ちつける。
「あ、あっ…タダシ…タダシ…!」
「ノゾミ…っ…!」
二人の吐息が重なり合う。
深く抱き合い、一つになる。
そして、一番深く繋がった時、二人はほぼ同時に絶頂を迎えた。
その後、二人は体力の続く限り、交わり続けた。
そして、何度目かの絶頂を超えた後、いつの間にか眠りに落ちていった。
翌朝、タダシが目を覚ますと、ノゾミの寝顔が目の前にあった。
「ノゾミ…」
昨晩の乱れた姿が嘘のように、静かに眠る美しい顔。
そんな彼女を愛おしく思いながら、小さく囁いた。
「約束する。絶対、ここを卒業したら会いに行く。そしたら…」
「…アニキにボコボコにされないようにね」
急にノゾミが口を開いた。
いつの間にかノゾミも目を覚ましていたのだ。
「きっ、聞いてた、のか…」
眠っていた時なら平気だったのに、聞かれたとなると急に恥ずかしさが襲ってくる。
タダシは耳まで真っ赤になるのを、自分でも感じた。
なんとかごまかそうと目を泳がせていると、ノゾミがタダシを抱きしめる。
「タダシ…私、ずっと待ってるよ」
「ノゾミ…うん…その、さ…」
一息置いてから、二人は口を開いた。
『愛してる』
偶然、二人の言葉が重なる。
それが少し可笑しくて、二人で笑いあった。
何よりも信じられる言葉と、それに秘められた想い。
それがある限り、どんなに離れていても、不安はない。
もう一度軽いキスを交わして、二人は日常へと戻っていった。
乙でした
お茶目なノゾミちゃん可愛すぎ
タダシ爆発しろ(褒め言葉)
しかしどうやったらID:q9HYmjI0みたいに書けるかな
俺がネタを書くと何度やっても単調で薄っぺらい感じになっちゃうんだよね
実は女の子だったヒカルきゅんの処女膜をぶち破って妊娠させたい
もちろん、アスカきゅんの処女膜もぶち破って妊娠させたいけどな
568 :
名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 00:01:22.45 ID:bc7ZqcmV
あけおめ!!
今年もいいエロに巡り会えますように
570 :
名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 20:28:18.75 ID:Pw0eHNCq
あけおめ!
正月にまでここに来る俺らってなんか悲しいな...
今日やっとアスカ様スカウトできたけど中身全然変わってねぇなw
そしてタケル好きすぎて萌えた
これは封印(=放置)していたアスカ×タケルを書き上げるしかない・・・!
DVD5巻の美都先生ヤバい
巨乳タートルネックとかあざとすぎる
美都ちゃんの美都パパに対する態度がファザコン通り越してるように見えるのは私の心が汚れているからだろうか
575 :
名無しさん@ピンキー:2014/02/05(水) 01:07:41.01 ID:M9tB5gpr
保守しとこう
一応ゆっくりと投下予定のネタを書いてるんで期待しないでくれ
今週のリト生は素晴らしかったわ
「オープニングブレイク!」と言いながら堂々と女子部屋に突撃するジンさんを見てみたい
WARS時代のユウヤ×ランできたー。
短めで展開強引気味だけども、それでも良ければお楽しみください。
バレンタインネタは全くないです。サーセン。
あとなんか2chブラウザが使えなくなったからIEから書き込んでる
もしかしたら途中で止まるかも
静かな神威島の昼下がり。
その中を疾走る、紅い影。
彼女の名前は、かつて世界を救った伝説のLBXプレイヤー、花咲ラン。
ある人物がここにいると聞いて、この島を訪れたのだった。
「ユぅ〜ウぅ〜ヤぁぁぁ〜〜〜っ!!」
声をかけられた青年、灰原ユウヤが返事をするより前に、ランがユウヤに飛びつき、地面に押し倒す。
「痛っ…! ど、どうしたんだい、ランくん…」
「どうした、ですってぇ〜…」
ランが体を震わせ、ユウヤを睨みつける。
「どうもしなかったから怒ってるんでしょうが!」
ランの拳が振り下ろされ、ユウヤの顔の横の地面を抉った。
相変わらずのランの力強さに、ユウヤは震えあがった。
579 :
2/5:2014/02/14(金) 06:26:22.68 ID:sRgBjAbR
感情を吐き出して幾分か怒りが治まったランは、ユウヤと共に神威島をあてもなく歩いていた。
時折、まだ痛みを気にするユウヤが、頭をさする。
「…なんでウチに来なかったの」
ムスッとした声で、ランが口を開く。
「うち、って君の道場の…?」
「他に何があるのよっ!」
またランが大声で怒鳴る。
だが、今度はため息を一つついて、落ち着きを取り戻した。
「…ずっと待ってたんだからね」
何気なく交わした、『道場に行く』という約束。
それはランにとって、とても大事だったようだ。
勿論、ユウヤもランとの約束を忘れたわけではない。
だが、ユウヤはまだ広い世界を見ていたかった。
自分の知らない世界を、知りたかった。
それがランをここまで傷付けていたという事には、気付けなかった。
「ごめん…」
「いーや、許さない。ちょっと付き合ってもらうからね」
そう言うと、ランはユウヤの手を引いて歩き出した。
580 :
3/5:2014/02/14(金) 06:29:44.70 ID:sRgBjAbR
道を外れた茂みの中で、ランがユウヤを押し倒す。
ユウヤのズボン、そして下着の中から、ユウヤの性器を取り出した。
「ち、ちょっとランくん、こんなとこで何を…」
ユウヤの言葉を遮るように、ランが唇を重ねる。
舌を絡めながら、右手に握ったユウヤ自身を扱く。
先ほどまでの激しい怒りとは真逆の、優しい愛撫が繰り返される。
「っ…!」
重なった唇の端から、ユウヤの吐息が漏れる。
その反応に満足したのか、ランが唇を離した。
「ユウヤ…」
ランが手に握ったユウヤ自身を垂直に立て、口に含む。
先端を、何度も舌で撫でる。
その度に、ユウヤの下腹が震えた。
「っ、く…」
歯を食いしばり、必死に耐えるユウヤ。
だが、それでもランの責めには敵わなかった。
あと少しでイく…という所で、ランの口が離れた。
581 :
4/5:2014/02/14(金) 06:33:27.40 ID:sRgBjAbR
「ラン…くん…」
ユウヤが息を整えながら、体を起こそうとする。
だが、ランがその肩を抑え込んだ。
先ほどの責めの間に、ランのショートパンツ、そして下着が取り去られている。
ランの秘所が、上からユウヤの性器を飲み込んだ。
「あぁっ…!」
吐息交じりの、ランの喘ぎが響く。
ランの肩にかけた胴着が、二人の結合部を隠す。
それが見えているのは、本人たちだけだった。
「ユウヤ…ユウヤっ…!」
ランが激しく腰を上下に動かす。
今までの孤独を埋めようとするかのようだった。
「ラン、くん…そろそろ、離れて…!」
遠のいた絶頂が、あっという間に呼び戻される。
だが、聞こえていないのか、それともわざとか、ランはより一層動きを速めた。
「うぅっ…も、もう…!」
そのまま耐え切れず、ユウヤはランの中で精を吐き出した。
少し遅れてから、ランも全身を震わせる。
そして、力が抜けたかのように、ゆっくりとユウヤの上に覆い被さった。
582 :
5/5:2014/02/14(金) 06:36:18.43 ID:sRgBjAbR
二人は服を整え、体に纏わりついた草葉を落として、茂みを後にした。
気まずい沈黙が二人を包む中、やがてユウヤが口を開いた。
「…やっぱり、僕はまだこの世界を見ていたいよ」
ランは何も言わず、ユウヤの言葉に耳を傾けてる。
「でも、いつかきっと、ランくんの道場にも行く。だからそれまで待って…」
「ヤだ。ユウヤの言う事なんか信じらんない」
ランがきっぱりとユウヤの言葉を否定する。
まだ怒っているのか、ランは視線を合わせようとしなかった。
「じゃあ、どうすれば…」
困ったように頭をかくユウヤに、ランが抱きつく。
「アタシもユウヤと一緒にいるっ」
「一緒、って…」
「どこまでだってついていくから。今度こそ逃げられないように…!」
力強く、ランの腕がユウヤを抱きしめる。
観念したかのように、ユウヤも小さく一息ついて、ランの体を抱き返した。
「分かったよ…これから宜しく、ランくん」
その言葉を聞いたランが、自分の胸の中で笑顔になっていたことに、ユウヤは気付かなかった。
無事投稿完了ー
突貫工事だったからいろいろ変な所とかあるかも
ユウヤはともかくランの方はWARSでユウヤの事気にしてたのが良かった
あくまで門下生として見てるんだろうけど…
また何か書ければ書きたいと思います
復活したか確認カキコ
先生モノ書きたいって思ってるけど、呼び方というか名前の書き方がなんかムズイw
スレイブプレイヤーっていうエロの為に生まれたようなアイテムがあるんだからもっとスレイブプレイヤーネタの洗脳人形化物が読みたいわ
>>583 乙
ウォーズも終わっちまったけ投下待ってるぜ…
587 :
???:2014/03/26(水) 17:32:32.99 ID:OQ7Wxrln
アスカ×タケルネタ期待!
588 :
???:2014/04/07(月) 17:30:26.24 ID:QdS2xuUN
スズネってエロくね?そんな気がする
わかる
もうここも終わりか・・・
591 :
名無しさん@ピンキー:2014/05/04(日) 17:49:32.34 ID:Z5d3z+YD
そういうこと言わない
ジン美都かおねショタ美都ジン読みたいです先生
ウォーズの先生って安西先生みたいな体格が多いな
モブおじさん向き
594 :
名無しさん@ピンキー:2014/05/21(水) 08:16:46.18 ID:d7i91UW0
ハーネスのオリ主がスズネ宅に挨拶に行き、そのままスズネ宅の掟で・・・と言うところまでは何とか出来た。
期待してます
前にあった身体検査を別のキャラで見てみたい