百合カップルスレ@18禁創作板9

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40110:2013/12/14(土) 23:37:32.05 ID:mqjuV8Bz
午後の斜光線がぼんやりと庭の緑を照らしている大窓の向こうでは、アンティークの装飾に見守られた娘たちがピタリとくっついてなまめかしいキスを交わしています。
一人は、涼しげな面立ちながら日本的なやわらかみも兼ね備えている長女。
もう一人は目鼻立ちの目立たないまあるい顔の、とても清らかな佇まいのお嬢さん。

まだまだガラスのように繊細なお嬢さんは何をしても極上の美酒のような反応を見せます。
長女が柔らかい耳のひだに指をくぐらせて、触れるか触れないかの加減を探るだけでお嬢さんは何もできなくなって舌がおろそかになります。
そんな彼女のビクっ、ビクっとした肉体の震えを感じながら、長女はさらに唇を追いかけて宙ぶらりんになった彼女の口内を被い尽くします。
少しずつ顎が上がっていく少女の従順な横顔は、ゆったりと束ねられた髪の流れに彩られながら、とうとう一筋の唾液が漏れ出てしまいました。
つんと上向いた鼻先の上で閉じた少女のまつげが恍惚の色を宿しながら、一瞬困ったように唾液の筋を追います。
40211:2013/12/14(土) 23:39:45.15 ID:mqjuV8Bz
長女は激しさを増して舌を操ります。
身体は彼女のふくらみに押しつけ熱のともった局部はそのままに、あくまでじらしプレイで官能を高めていきます。
経験たっぷりの長女の舌は自由な生き物のように少女を蹂躙し、されるがままに突き出された彼女の舌をねっとりと味わって絡み付けました。
そのまま唇をすぼませて、包み込みます。まるで男性器を刺激するようにずっぽりと深く包んで。
長女の唇の中から出たり入ったりする赤い舌先は粘液がだらりと伝わって光ります。

すこし息が乱れてきました。長女は唇を離したあと、同じことをやってと促します。
ゆっくりと男性器のように突き出された舌をたどたどしく唇で包み込もうとするお嬢さん。
その普段は見ることのない唇のいやらしい膨らみはこの世のものとは思えない興奮の世界です。
403名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 00:04:55.18 ID:IKwYT7Tv
支援
40412:2013/12/15(日) 00:15:22.10 ID:dZ9cmBQm
夢中になって長女を受け入れている少女のつま先はぴんと突っ張ったままです。
おそらくは身体はもっと直接的な快感を求めて蒸れていることでしょう。
私にはきつい下着に圧迫されながら、長女に身体を投げ出すように突き出された陰部の割れ目がじっとりと湿ってきているのが目に浮かびます。
充血したさくらんぼの乳首は当然、かわいらしいブラの下で固く反り立っているでしょう。でも、まだ早いです。そこを攻めてしまっては面白くない。

性の遊戯はじらしてじらして、相手が懇願するまで。懇願してもまだじらして、身体を燃え上がらせるのがとても楽しいのです。
がたがたと震えながらじんわりと積み重なる快感に飲みこまれながら苦しそうに、「お願い」って心の底から声が絞り出るまで可愛がるのです。
(でも、本当はそこまでじらしたら声も出ないんですけどね)
40513:2013/12/15(日) 00:16:54.85 ID:dZ9cmBQm
また粘液が口元からこぼれ落ちました。
長女はその唾液を吸うように唇を落としていき、そのままそっと指先を添えながら血管の浮き出る首筋に舌を這わせます。
お嬢さんのお顔は赤く腫れ上がり、唇は中途半端に揺らいで閉じません。力が抜けてゆるくなった鼻の下がなんとも淫靡です。
こうなると、もはやショーツの中で膨らんだ下の唇は圧迫されながら口を開きはじめ、じくじくとした鈍い官能を与えていることでしょう。

しかし、固いガードとなるように着飾ったお洋服はお嬢さんに登りつめるような快感を与えません。
それこそが私の希望。
戯れの果てに充血して膨れ上がったこの娘の下腹部のヒダが、刺激を求めて立ち上がった快感の極地のクリトリスが、欲しい欲しいとびくびくと震えても、決して与えてはいけません。
そのときに、このお嬢さんはいったいどんな表情を見せてくれるのか。
40614:2013/12/15(日) 00:18:09.99 ID:dZ9cmBQm
匂いたつ愛液と、赤く柔らかい肉のぬめりと、生き物のように絡み合う唇と舌。
そして、濁りのない清廉なはにかみと、きらめくようなお洋服。
狂おしい息と汗。

ああ、なんて甘美な遊戯なんでしょう。


―――っと、またここで私の記憶が混濁したようです。
あれ? これが現在なのかな?
40714:2013/12/15(日) 00:29:23.90 ID:dZ9cmBQm
本当はここで終わりだったんですが延長戦突入ですー
それではまた明日ー
408名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 01:15:55.09 ID:tnE3rzLi
起きろ!はやく起きろ!





わっふるわっふる
409名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 02:02:39.06 ID:IKwYT7Tv
ここで明日に延長戦とな…!
ワクワクテカテカ
41015:2013/12/15(日) 19:23:34.69 ID:dZ9cmBQm
両手のリボンは・・・・しっかりしてますね。
ベッドの上のお嬢さんはだいぶ我慢してきたようです。
なんたって、最初のころは刺激を受けるたびに身体が動くものだから、あっというリボンが解けてしまうこと数回。
そのときに恥ずかしさの裏に隠したもの足りなさは、いつもの砂糖をとろかす微笑みに混じって、これもまた変態紳士の官能をくすぐる良いものでした。

そんなお嬢さんも少しずつ意識を保てるようになり、いまではこの遊戯も長い時間に達しようとしています。
41116:2013/12/15(日) 19:24:55.95 ID:dZ9cmBQm
長女に圧迫され愛撫される彼女は可憐なお洋服の中ですでに汗まみれで、お部屋はすでにこの子のいやらしい匂いが充満しています。
長女はお嬢さんの片足を押し上げて、初めて太股をあらわにしました。
「あッ・・・・・。」
染みを見られるのが恥ずかしい、そんな反応をしかけた刹那、長女は内腿に手を置いて彼女の足首に唇を這わせます。
じらされて敏感になっている内腿への反応はとびきりでした。
「!!」
ビクビクと腰が波打ち、乱れる息とともに下腹部が収縮します。
花のように折り重ねられたスカートはあられもなく裏返され、清らかなレースの目地に包まれた少女の下着の膨らみが丸見えになっています。
その色の濃くなった中央部には恥ずかしい染みと薄っすらと滲み出る唇の形。

長女が汗ばんだ素肌に触れるたびに下半身が敏感に反応し、揺れる恥丘のショーツが濡れて性の涎がお尻へと伝っていきます。
腰から上は清楚な女の子なのに、めくられてしまったスカートの中身はこんなにも淫ら。
41217:2013/12/15(日) 19:27:06.31 ID:dZ9cmBQm
長女はベッドの手前側に移動し、お嬢さんに囁きます。
「ほんとうは・・・さわって欲しくて仕方がないでしょう・・・?
胸のピンクの先っぽと、感じて濡れてるおしっこの場所」
声に出されて本能的に恥ずかしくなり、少女は耳を赤くして唇をつぐみました。

「あたしはね・・・もっともっと気持ちよくなって欲しいけど、リボンが外れちゃったらダメだって分かってるよね・・・」
従順に長女の声を聞き入れるお嬢さんの唇をふさいで、一方の手は露出した下腹部へ。
下着の上から柔らかく爪を立てると、それだけで彼女は苦しそうに悶えます。
その様子を観察した長女のすっきりとした面立ちが静かに意地悪そうに微笑みます。

「あ・・・・・・」
リボンがするっと引き出され、あと少しで外れてしまうような一歩手前。
「もう一回言うね。リボンが解けたらお終い」
なんともいえない困ったような懇願するようなお嬢さんの頬にちゅっとキスすると、長女は下半身にかぶさり、汗と愛液で張り付いたショーツを脱がせました。
バラのプリーツの折り重なるスカートの中で、とうとう彼女のかわいい割れ目が空気に触れ、腹部のきついインナーの境目から、まるで匂いたつ熱気で沸騰するかのように濡れた薄い毛が顔を出しています。
41318:2013/12/15(日) 23:00:40.22 ID:dZ9cmBQm
彼女の艶やかな黒髪は柔らかくベッドに広がり、ぴっちりと袖まで閉じている清らかなお洋服は上半身だけ見れば乙女そのもの。
長女が唇をゆっくりと開き、粘液で糸の引く舌を伸ばしていきます。

さあ、みなさん、各々の美酒はご用意できたでしょうか?
ここからが今宵の演奏会の始まりです。お屋敷でのお嬢さんの可憐な姿をもう一度ご紹介しましょう。

髪を結い、洋服を着飾って鏡の向こうの自分に照れ笑いするお嬢さん。
庭に出て、たくさんの草花に包まれながら興味津々に剪定を教えてもらう真っ直ぐな瞳。
長女の大人びた風貌に憧れ、覗き見るように目を奪われて、すぐ恥ずかしげに視線を下げる可愛さ。

丸顔に低いお鼻と、ちいさく色づいた唇は人目を引く風貌ではありませんが、清らかで愛らしく振舞うこの娘の笑顔は暖かい陽射しのように私の心に響きます。

そしていま、お嬢さんは長女の唇を受け入れ、舌を絡め、下腹部の割れ目をあられもなく露出して長女にされるがままなのです。
41419:2013/12/15(日) 23:03:07.96 ID:dZ9cmBQm
「ああッ!!! んッ! んッ!」
激しく身体が爆ぜ、熱で沸騰した陰部は匂いを発し、息を吸うように収縮する膣口からは愛液がでろりと垂れています。
息は乱れ、シーツは汚れ、でも、お嬢さんは何重にも着飾ったお洋服に身体を縛られたままで、決して一番感じる部位を触ってもらえません。

肉体はますます燃えて、充血した小陰部はひくつき、愛液の涎は欲望のままに止まることを知りません。
まあるい頬をこれ以上ないくらいに腫らして、息を荒げる唇は定まらず、失いつつある理性の端には従順に教えを守る手首のリボン。

「あッ! ん! あ! んんッ!!」
「はあ・・・・はあ・・・・・」

長女は一瞬だけベッドから離れ、紺のパンティストッキングを用意しました。
官能に打ち震えながらされるがままのお嬢さんは、赤ちゃんのように世話してもらうその手つきにも敏感に腰をよじらせます。
ぱっつんぱっつんのストッキングにお腹まで包まれると、その吸いつくような締め付けが容赦なく陰部を刺激します。
まるで、すべての弱点を唇で吸われているように。
41520:2013/12/15(日) 23:05:35.29 ID:dZ9cmBQm
お嬢さんは汗まみれなのに、さらにストッキングに蒸れて苦しそうです。
額に玉の汗が浮かび、ちいさな耳の先から首筋まで表に出たすべての素肌がサウナに入った後のように赤く染まっています。

苦しい。苦しい。

でもその喘ぎの理由は身体の熱ではなく、長女の下半身への愛撫が薄い繊維越しになって後退したことにありました。
その代わりに吸い付いて離れない紺のパンティストッキング。
服装はあたかも完璧な外出着のようでしたが、じっさいにここにあるのは官能を求めて顎を上げて息する少女のなまめかしい姿です。

もう力が抜けてリボンどころではありません。
鈍い長女の指先の感触が敏感な恥丘の周囲をまさぐるだけで勝手に腰が反応し、濡れた局部のひだが微妙にこすれます。
そこでまた官能が脳髄を襲い、お嬢さんは今度は自分から求めるように下腹部を動かそうとします。

欲しい。欲しい。

襟元から手首、足のつま先まで清純なお洋服に包まれながら、汗にまみれて、性の匂いを発散し続ける少女は自らの欲望を剥き出しにされたように懇願します。
でも声になりません。儚い少女の幼い面立ちは、ただ大きく息をして、自慰のように下腹部をよじらせるのです。
41621:2013/12/16(月) 00:24:44.04 ID:FsVtksqx
やがて、伸び縮みするストッキングの下で粘膜に隠れていたクリトリスが顔を出し始め、徐々に満足する刺激を得るようになったお嬢さんは長いじらしの果てに、ようやく官能の高みへと昇っていくのです。

偶然なのか、まだ結びの残ったリボンのために揃えている手の平を握り締め、足先が縮こまります。
同姓である長女には当然なにが起こっているかよく分かっています。
だからこそ、最後の激しい愛撫として虚ろになっていく少女の開け広げられた唇に舌を捻じ込みます。

「!!」
飛びかけた意識が新たな異物の混入と刺激により、脳の先端に留まります。
差し込まれる長女の生き物の舌は少女の深い部分をねぶり、転がし、絡みつけます。
すでにお互いが興奮しきっているので、唾液が混じり合うことを待つまでもなく、ぐちゃぐちゃに糸を引き、くっつき、零れ落ちる粘液。

達しようと感じているのに息ができず、顎を上げて逃れようとする少女をさらに追いかけて固く勃起しているであろう乳首の辺りに体重をかけます。
長女は彼女の唇を逃さずに舌を絡ませ、特別に感じる耳のひだに指を差し込みます。

最後まで局部を触られることなく、この絶頂寸前の駄目押しがお嬢さん意識を乱れに乱します。
息も絶え絶えに、苦しそうに顔をゆがめ、力の抜けたような恍惚を見せ、唇をされるがままに抵抗できず舌を前に出します。

じくじくと積み重なった究極の快感で溶けるような肉ひだの中から、クリトリスが絶頂を求めて高く、高く。

その刹那、リボンがふわりと解けていきました。


「あああッ!!! んッ! んッ!

ンンンーーーーーーーーーッ!!!!」


・・・・・・・・・・
41722 終了:2013/12/16(月) 00:26:20.41 ID:FsVtksqx
そして、真っ白な世界が訪れ、少女は絶頂の果てにお姫様に還って静かな眠りにつきました。
汗に濡れたその恍惚の表情はつい今しがたの官能を匂わせますが、その艶やかな輝きは彼女の瑞々しい肌をいっそう美しく飾り立てて幼さを強調します。
今はただ、この愛液にまみれたシーツも一時の安らぎに忘れて。

やがて明日になると、また木漏れ日に咲く花のようにお嬢さんは私たちに笑いかけてくれるでしょう。
でもその前に、可愛らしい頬っぺとお鼻を真っ赤に染めて、究極の恥じらいを味あわせてくれるでしょうけど。

正直に申しましょう。
実は、この事後の表情こそがこの遊戯の目的であり、それこそが変態紳士たる私の真骨頂でございます。


私は変態紳士アレクサ。
私のポリシーは性の遊戯に参加される方や、それをご覧になる方たちに最上の悦びを差し上げることです。

ではまた、御機嫌よう。


「変態紳士アレクサの遊戯 その1 乙女のキス 追加 リボン結び」
418名無しさん@ピンキー:2013/12/16(月) 19:03:04.77 ID:0GkDMa5u
グッジョブ!
いや、エクセレント!
マジで良かったです。
41922 終了:2013/12/16(月) 21:27:02.56 ID:FsVtksqx
(・∀|


書きすぎちゃった・・

なんか魂が削れた気がするんで北斗神拳でツボを押してもらってきます。

じゃ
420名無しさん@ピンキー:2013/12/17(火) 01:49:22.61 ID:OVcZG0kc
息も吐かせぬ文章というか魅入られる文章でした
読んでいる間中、常に興奮が積み上げられていく感じ
いやもうこの変態紳士、素晴らしい
何度でも実用になりそうだし、ごちそうさまです
421突っ込み待ち:2013/12/19(木) 00:29:42.23 ID:PFMQhUN8
(・∀|

GJ感想支援あんがとう!

自分の中では超大作になってしまったのでピクシブに倉庫を作りました。
やりすぎかと思って削った最後の部分も復活させたので
ご興味のある方は変態紳士の名前で検索してみてください!

じゃ
422名無しさん@ピンキー:2013/12/30(月) 00:16:53.93 ID:JaR7We2f
大晦日前で久々に来た
変態紳士GJ
もしかしたら別スレであなたの作品を読んだことがあるかもしれん
423名無しさん@ピンキー:2013/12/31(火) 19:49:35.67 ID:CjlMwymB
ネタ予告

年越しの日、机に置かれた緑のタヌキを見ながら、彼女は言った。

「おソバさんとおうどんさんの関係ってなんだろう?」

近くて遠いうどんさん(女)との距離に恋心を募らせるおソバさん(女)。
おソバさんの恋を叶えようと奮闘する二人の幼なじみ、おつゆさん(女)。
そんな中、現れるおうどんさんの許嫁、おあげさん(女)。
果たして、おソバさんとおうどんさんの恋はどうなるのか!

1月1日、おソバさんとおうどんさん、お楽しみに!
お楽しみにしてるんで、誰か書いてくれないかなぁーこーんちくしょー!
424名無しさん@ピンキー:2013/12/31(火) 20:38:35.97 ID:6dQOe5GG
言い出しっぺの法則というのがあってだな



今年いつもの人いないのかな
425名無しさん@ピンキー:2013/12/31(火) 21:37:57.54 ID:6cxjEmvI
今年も正座待機なのだが...はたして...
426 ◆DYW6d/nzvM :2013/12/31(火) 22:58:13.50 ID:mODxWSdN
歳神娘の者です。
もしかして私の事をおっしゃってくださっているのでしょうか……。
今年は年末大変忙しく、今書いてるんでもう少しお待ちいただければと……すみません。
あとDION規制解除されてて良かった……。
427名無しさん@ピンキー:2013/12/31(火) 23:24:30.62 ID:6cxjEmvI
>>426
わぁぁぁぁぁぁぁぁ待ってました!!
今年最後にして最大の楽しみをありがとうございます。全裸待機!
428名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 06:00:46.33 ID:E+5UfT6P
年神娘様が来るまでの暇つぶしに、おソバとおうどんネタを投下。
エロ無し、オチ無しの小ネタ話ですので、期待せずに読んで下さい。

ちなみに、蕎麦はソバ。
饂飩はウドンです。
429名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 06:11:34.89 ID:E+5UfT6P
年越しを30分前に控え、私がお湯を入れた緑のタヌキを持って居間に帰ると、先ほどまでコタツでゴロゴロして彼女が起きあがっていた。
何やら難しい顔で、緑のタヌキを見ている。
その彼女の表情を見て、面倒くさいことになるなぁーと私は直感していた。
私がそんな事を考えていると知ってか知らずか、コタツを挟んで彼女の対面に私が座るのを見計らって、彼女が口を開いた。

「お蕎麦さんとお饂飩さんの関係って何なんだろう?」
「取り敢えずの前提として、おそばさんとおうどんさんはどっちも女性なのかしら?」

彼女の唐突な疑問に適当な合いの手を返しながら、私は緑のタヌキがのびないように、携帯電話のタイマーを五分後に設定する。

「無論。お蕎麦さんは運動神経が抜群で、ちょっと日焼けした感じの胸が小さい高校生。後輩にモテる女の子」
「へぇー」
「お饂飩さんは色白で大和撫子のお嬢さん。身長は高くて、胸もデカい。勉強が出来るお姉様って感じの高校生」

彼女の言葉を適当に聞き流しながら、私はテレビのリモコンを手に取る。
チャンネルを片っ端から変えていくが、面白そうだと思えるものは無かった。
430名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 06:15:35.47 ID:E+5UfT6P
「お蕎麦さんとお饂飩さんは仲良しなんだけれど、まだ恋人にはなっていない微妙な関係なんだ」
「ふぅん」
「親友以上百合未満って所だね。でも、お蕎麦さんはお饂飩さんの事が好きで、恋人になりたいと思っているんだ」
「恋をしているのね」
「そう、天音さんと同じマナ板の胸を恋心で痛めて……」

取り敢えずチャンネルを紅白歌合戦に決めて、私はリモコンを彼女の頭に投げる。
パコンと小気味良い音が、した。

「痛いよ!」

抗議の声を上げる彼女を無視して、私はテレビに視線を向ける。
彼女はむくれた顔のまま、落ちていたリモコンを拾い上げて、コタツの上に戻す。

「あーどこまで話したっけ……? ああ、そう。それでね、お蕎麦さんとお饂飩さんには幼なじみのおつゆさんがいるんだよ」
「おつゆさん? 麺液のこと?」
「おつゆさんは眼鏡をしたショートカットの、キリッとした感じの委員長タイプの子なんだ。でも、友達思いで、お蕎麦さんの恋を叶えてあげようと応援してるんだね」
「無駄に設定が細かいわね」

緑のタヌキからよくぞそこまで妄想出来るものだと、私は彼女に感心する。
無論、良い意味で感心した訳では無い。

「そんなお蕎麦さんに強敵が現れる。それが、お揚げさん」
「……そのお揚げさんとやらも、当然、女なのよね」
「美少女は世界の宝だよ!!!!!!! お揚げさんはお饂飩さんの許嫁。金髪で縦ロールのお嬢様。学校にはロールスロイスで迎え送りして貰ってるんだ。学業優秀にして、運動神経抜群の才女だね」

彼女の中で、お揚げさんは何でそんなに高評価なのか、理解に苦しむところだ。
いや、確かに美味しいのは私も認めるが。
赤いキツネや、どん兵衛の美味しさの9割はお揚げにある、と言っても過言では無い。
431名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 06:23:02.87 ID:E+5UfT6P
「許嫁な訳だけど、おうどんさんとお揚げさんは致した事があるのかしら?」
「……致した、とは?」
「愛の営みを」

彼女は三秒ほど考えた。

「幼少の頃にキスしたくらいのピュアな設定で」

考えた後で、このように宣った訳である。

「高校生なのに? まだ営みは未経験と?」

これは完全に余談なのだが、私と彼女の初体験は中学三年生の時だ。
きっかけは当時、反抗期真っ盛りであった彼女が親と喧嘩をして家出した事である。
誘ったのは、私だ。
いや、誘ったと言うのでは無く、家出した彼女を家に誘い入れて、既成事実を作ろうとした、と言うのが本音だ。
何を隠そう、私はこの幼なじみである彼女に、恋をしていた。
あの時、この幼なじみが何をどう考えて私を受け入れてくれたのか、私には解らない。
ただ、解ったのは私はヘタレだったと言う事だ。
主導権は彼女に握られたし、偶に逆転する事はあれど、基本として私達の関係はあの日と同じ様に続いている。
私はそれが心地良く感じているので、生来の気質として、引くよりは引っ張られる方があっているのだろう。
まあ、そんな事は今はどうでも良くて。

「お饂飩さんはどSだけど、お蕎麦さんとお揚げさんはヘタレなんですよ。誘い受けなんですよ」
「うどんさんはSなんだね。あの見た目のどこをどう判断したら、Sになるのかは解らないけど」
「人を見た目で判断したら、痛い目に会うよ」
「人じゃないけどね」
「兎に角、そんな普段は温和しいお饂飩さんが、ベッドでは言葉責めをしてくるわけだよ。素晴らしいと思わない?」

彼女が熱心に語るお蕎麦さんとお饂飩さんの愛の物語を聞いている間に、五分が過ぎていた。
携帯電話のアラームが鳴る。
私はそれを止める。
彼女は話すのを止めて、緑のタヌキの蓋を外した。
白い湯気と、蕎麦の匂い。
私も緑のタヌキの蓋を取り外して、お箸を手に取った。
彼女と向かい合う。
二人同時に、手を合わせた。

「いただきます」
432名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 06:26:44.01 ID:E+5UfT6P
しばらく、部屋の中は二人が蕎麦を啜る音と、テレビから流れる紅白歌合戦の音が支配していた。

「それでね、さっきの話の続き」
「え、なに? 何の話?」
「お蕎麦さんとお饂飩さんの話」

まだ続くのね、その話、なんて私は思った。

「それでね、実はおつゆさんには好きな人がいるんだ」
「お蕎麦さん?」
「いや、違う。お揚げさん」

緑のタヌキを食べ終えて、私は箸を置く。
目の前の彼女は、とうに食べ終えていた。
窓の外を見るが、雪は降る気配は無い。
去年の今頃はどうだっただろうか、雪は降っていたかしらんと記憶を探る。
降っていた、ような気がした。

「ねぇ、僕の話、聞いてる?」

いい加減、私が話を聞き流している事に気が付いたらしい彼女は、身を乗り出して私に顔を近付ける。
彼女の吐息と、シャンプーの香り。
胸が高鳴るのを、私は感じた。

「聞いてたわよ。きのこさんとたけのこさんがラブラブって話よね?」
「違うよ! きのこの山とたけのこの里の百合話なんてしてないよ!」
「そうだったかしら? でも似たようなものじゃない?」
「似てないから!」

と言うか、きのことたけのこも百合なのか。
ムーッと唸りながら頬を膨らませる彼女から視線を外して、私はテレビの紅白歌合戦を見る。
今年も残すところ、あと10分となった。

「あ、除夜の鐘」

彼女がポツリと呟く。
ゴォーンと、鐘のなる音が私にも聞こえた。
今年も終わりなんだなぁ、と実感した。

「今年も色々あったねー」

彼女がゴロンと床に寝っ転がりながら、私に言う。
そうね、と短くだけれど、私も言葉を返した。

「あまねぇー?」
「なにー」

彼女には珍しい、甘えるような声で私の名前を呼んだ。
突然、テレビの電源が消えた。
433名無しさん@ピンキー:2014/01/01(水) 06:40:44.67 ID:E+5UfT6P
停電や故障では無く、彼女がリモコンを操作して消したのだ。

「ちょっとー」

彼女に抗議の声を掛けたのだが、いつの間にやら彼女の姿が無い。

「ひぃ!」

太股に変な感触があり、私は悲鳴を上げながら、体を跳ねさせた。
その拍子に膝が何かに当たる。
直後にゴンと音がして、コタツが僅かに浮き上がった。

「痛いよー、もぉー」

彼女がコタツの中から顔を出す。
そこは、ちょうど、私のお腹の辺りだ。

「ちょっと!」

と、私が言っている間にも彼女は器用に体を動かして、コタツの中から這い出てくる。
彼女は右手で私の手を抑えながら、私を押し倒した。
同時に左手を私の服の中に滑り込ませて、へその辺りを指でなぞる。
一回、二回。

「天音、少し太った?」

なぜ、わかった?
彼女の言葉を聞いて、最初に思ったのがそれだ。
私が目を白黒させている間に、彼女は急に目を輝かせはじめた。

「ねえ、天音……ちょっと思い付いたんだけど……」
「却下、駄目、やだ」
「聞いてよ! 年越しと同時に天音を絶頂させるEXTREAM年越しを……」
「か〜ら〜の〜?」
「か〜ら〜の〜……か〜ら〜の〜……その写メをあけましておめでとうメールに添付して皆に送ったら、最ッ高の記念になると思うんだ!」

その提案に、私は頭痛がしてきた。
そんな年越しはしたくは無い。

「まだ、あと10分ある! 行ける、犯レルよ、これ!」
「無理に決まってるでしょう!」
「少しだけ、少しだけだからッ! 先っぽ、先っちょだけ!」
「ちょ、やめ……なさい」

暴れる私と、抑えようとする彼女。
そうこうしてジャレている間に、気が付けば年は既に一時間も経過していて。
きっと、今年もこんな風に二人で過ごすのだろうと。
そんな事が幸せに思えた、年の瀬のお話です。



TO BE Contined...
434名無しさん@ピンキー:2014/01/02(木) 19:12:41.44 ID:OaN1rCa4
GJ お疲れさまでした
ほのぼの良いですなぁ
435 ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:21:17.41 ID:qjGaoHzG
年始になっても忙しい……だと……?

というわけで歳神娘ですが、全然書く時間が取れませんので、とりあえず書けた分だけ投下します。
収入につながらない忙しさっていやになりますね。
436歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:28:21.73 ID:qjGaoHzG
 優れた駿馬は竜にも例えられる。そう、私こそ、竜の化身たるあの人と並ぶに相応しい存在。あの、凛々しく美しいお姉さまと……。
「そう思っていた時期が私にもありました、なんてね」
 年も押し迫ったある日の朝。辰の歳神たっちゃんのブロマイド(隠し撮り)を眺めながらそうひとりごちたのは、午の歳神まーたんです。
二つのポニーテール(髪型と、お尻から伸びている自前の馬しっぽ)が良く似合う爽やかスポーツ少女のまーたんは、日課の
早朝ランニングを終えたばかり。上気した頬と半袖短パンの体操服姿が、その健康的な魅力を引き立てています。ちなみに
お胸の方も、揺れと空気抵抗の少ないスプリンター仕様のサイズです。
 そうやって一息つきながらかつての感情を思い出し、クールダウンがてら感傷に耽っていると、ふいに何者かが後ろからぎゅっと抱きついてきました。
「ひゃうんっ!?」
「まー、たん! なぁに見てるのかにゃー?」
 大人びた色っぽい声と、それとはギャップのある子供っぽいセリフと共に首へ両腕を巻きつけてきたのは、とっても綺麗な
お姉さんでした。ゆるくウェーブのかかった艶やかな黒髪を背中まで垂らし、アンダーリムフレームの眼鏡、白いブラウスに
ピンクのカーディガン、浅黄色のロングスカート──いかにも文系のお嬢様って雰囲気を醸し出している彼女は、申の歳神さっちゃんです。
「な、なんだ、さっちゃん……もう、驚かせないで」
「えへへー、ごっめーん。んでもでもぉ、もうすぐ一年間会えなくなっちゃうわけだしー、それまで出来るだけスキンシップしたいなって思うのは
当然でしょー? それにさー、まーたんってばあんなにかわいー悲鳴あげるんだもん。ついつい驚かしたくもなっちゃうってばぁ」
 そう言ってさっちゃんはまーたんに頬ずります。黙っていれば知性派美人で通るのに、この言動と、整った顔に浮かべるいたずらっぽい
表情が周囲にやや軽薄な印象を与えてしまう彼女。ですが、こう見えてかつては「楽々森姫(ささもりひめ)」の名で比叡の山王様たる
大山咋神の神使を務めていたエリート、そして歳神娘達の元締めたる大歳神にヘッドハンティングされ神使から歳神に異例の昇格をしたという、
猿娘の中でもトップクラスの出世頭なのです。ちなみにその際「楽々森姫」の名は後継に譲ったので、今はただの「さっちゃん」というわけです。
437歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:30:18.10 ID:qjGaoHzG
「そんなことより何見てたのー? あ、たっちゃんだ。うーん、悔しいけど
やっぱ凛々しくてかっこいいよねー。中身ヘタレだけど」
「そこがいいんじゃない」
「ふーん、そんなもんかねー。なんか、むー」
 唇を尖らせ、抱きついたまま体を揺するさっちゃん。その動きに合わせて
まーたんのポニーテールがひょこひょこと可愛らしく動きます。
「……妬いているの?」
「べーつにー。まー、確かにたっちゃんはかっこいいしー? 可愛いしー? 
昔からまーたんの憧れの人なのは知ってるしー?」
 そう言うさっちゃんは、やっぱりちょっぴり不機嫌そうです。まーたんは
手を伸ばし、そんなさっちゃんの頭を優しく撫でながら、慈愛の笑みを
浮かべて言いました。
「ふふ……もう、お馬鹿さん。そりゃあ、たっちゃんは今でも好きだわ。でも、
それはただの憧れ。身も心も捧げられるほど愛しているのは──さっちゃん、あなただけよ」
「……本当?」
「嘘だと思う?」
「思わない! へへへー、まーたん大好き!」
 一転満面の笑みに変わったさっちゃんは、抱きついたまままーたんに体重を預け、その場に押し倒してしまいました。
438歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:32:44.07 ID:qjGaoHzG
「きゃあっ!? ちょ、ちょっと、さっちゃん……んむぅ……っ!」
 そして彼女の体を押さえ込み、唇を奪います。
「んうっ、んんーっ! ……ぷは……あ、や、ダメ……せ、せめて
シャワーを……んっ、私、あ、汗かいて……あぅ、んっ、く、くさいから……っ!」
「んっ、ちゅ……大丈夫、まーたんの汗のにおい、んちゅ、わらひ、しゅきぃ……もっと嗅がせてぇ……」
 さっちゃんはいやがるまーたんの両腕を押さえると、わきの下に
顔を埋めてくんかくんかと鼻を鳴らしました。かけたままのメガネが
少しずれてかちゃかちゃと鳴りますが、さっちゃんは気にせず
まーたんのにおいを堪能し続けます。
「ひゃあっ、ば、ばかぁっ! んっ、あんっ……やめ……ひゃうっ! こ、この、へん、たい……んぅ、ああ……っ!」
「すはー……すはー……ふふ、そういうまーたんだって……」
 と、さっちゃんは左手を下に伸ばして短パンの中に滑り込ませ、
下着の上から指をぐっと押し付けました。
「きゃうっ!」
「ほぉら、パンツ、もうこんなびしょびしょ……。まーたんだって、
におい嗅がれてえっちなお汁溢れさせちゃう変態じゃあん」
「ふあっ、ち、ちが、ああっ! そ、それは、だって、さ、さっちゃん、
だから……大好きな、あなた、だから……っ! ん、ふぅぅっ!」
「そーなんだー。えへへ、嬉しいなあ」
 まーたんの言葉ににやにやと笑いながら、指の動きを速めていくさっちゃん。
そのまま再びまーたんに鼻を押し付け、芳しい香りを満喫します。
「ふあっ、あっ、あっ、だ、ダメ、おね、が……も、もう、ダメ……ダメぇ……」
「可愛いまーたん……私の指でイって……まーたんのイったにおい、私に嗅がせて……」
「やぁ……もぅ、ばか、ばかぁ……あっ、あっ、もう、あああ……ひうっ!」
 彼女の弱いところを知り尽くしたさっちゃんの指遣いで、着実に絶頂へと
導かれていくまーたん。大好きな相手に運動直後の汗のにおいを嗅がれ、
我慢できずに漏れるはしたない声を聞かれ、ぐっしょり濡れたいけないところを
淫らに苛められ、気持ち良さと恥ずかしさに堪えかねて身体を激しく捩ります。
その勢いで顔が横に向いたまーたんは、

 たっちゃんと目が合いました。
439歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:34:16.90 ID:qjGaoHzG
「□○△っ!?」
 声にならない幾何学模様のような叫びを上げたまーたんは、
のしかかっているさっちゃんを自慢の足で思わず蹴飛ばしてしまいました。
「ぴぎゃあ!?」
 さっちゃんは、こちらは盛大な叫び声とともに低い角度で吹っ飛び、
床の上をごろごろと転がっていきます。
「ん、な、たっ……ええっ!? な、なん、で、た、たっちゃん……っ!? い、いつから……っ!?」
「いやあ、ここまで見られちゃったら、もういつからとか関係なくなぁい?」
 答えたのはたっちゃんではなく、その隣に立っていた彼女の愛人、卯の歳神うーぴょんでした。
「あ、あなた、まで……な、なん、で……っ!?」
 憧れの人ばかりでなく、そのステディにまで淫らな行為の一部始終を
見られていたと思うと、もういたたまれなさMAXです。まーたんは
恥ずかしさのあまり、への字に曲げた唇を震わせながらうーぴょんを
睨みつけると、じりじりと後ずさりながら着崩れた姿を隠すように
自分の身体を抱き締め、そして真っ赤な顔で上目遣いに「……ううー」と可愛らしく呻きました。
「ぶふ……っ!! やだやだまーたん、ちょぉ萌え〜っ!!」
「ひぃっ!」
 そんなまーたんの仕草がうーぴょんのツボに入ったらしく、
変態うさぎさんはどこぞの三代目大泥棒よろしく自慢の跳躍力で
ぴょーんと跳び上がりながら服をはだけ、怯えるまーたんに襲い掛か
「やめなさい」
「ぎゃうんっ!!」
 ろうとしたところで、たっちゃんが宙に浮いた足を掴み、そのまま地面に叩きつけました。
440歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:36:22.96 ID:qjGaoHzG
「い、いひゃい! めっちゃいひゃい! ひろいよたっひゃん!」
 勢いそのままに床へ激突し、顔を抑えてのたうちまわりながら
抗議する彼女を、たっちゃんは無言で踏みつけ押さえました。
努力の末、最近は力加減も出来るようになったのです。
「ぐえ」
「……ごめん、まーたん。タイミング悪かったわね。ちょっと話が
あったんだけど、そ、そのう……45分くらいしたら、また来ようか?」
「おーっと、妙に生々しい数字が出ましたー! なになに? 
たっちゃんとうーぴょんって、一回だいたいそれくらいなのー?」
 そう返したのは、復活して後ろから再びまーたんに抱きつき、
肩口から顔をのぞかせたさっちゃんでした。
「んっ、ちょ、ちょっと、さっちゃん……!?」
 そのまままーたんの控えめなお胸をさわさわとまさぐりつつ、鼻息荒く首筋に舌を這わせます。
「んふー、んふー、まーたん大好きぃ……」
「ひゃああ……! ば、ばかっ! や、やめな、さいっ! た、たっちゃん達が、見てるでしょ……っ!」
「ふーん、見てなければいいのー?」
「そっ、それは……」
「いーじゃん、見せつけてあげようよぉ……ん、まーたんの汗、おいし……」
「ん、ああっ、そこ、ダメぇ……っ! ああ、み、見ないで……」
「ほら、二人とも、見てあげて……まーたんがイっちゃうとこ……」
「やぁ……も、もう、い……い……」
「んー? にゅふふ、良く聞こえないよぉ? なになに? 『い』ー? その後は、にゃにかにゃー?」
「い……い……いいかげんにしなさいっ!」
 どす。
 後ろに突き出したまーたんの肘鉄が、さっちゃんの肋骨の下あたりに
思いっきり入りました。さっちゃんは崩れ落ちるようにまーたんを離し、
お腹を押えて床にうずくまります。
「ぐえぇぇ……げほっ!! げほっ!!」
 まーたんは涙を流して咳き込むさっちゃんを放置して立ち上がると、
乱れた衣服を整え居住まいを正し、あらためて不意の来訪者に向き直りました。
「失礼したわ。で、用件は何かしら」
441歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:38:57.71 ID:qjGaoHzG
「うん、いや、えーっと……さっちゃん大丈夫?」
 ちょっと呆気にとられたたっちゃんが悶絶しているさっちゃんに
声をかけると、さっちゃんはお腹を押えながら顔を少し上げ、
痛そうに顔を歪めつつもニヤリと口の端を持ち上げました。
「うぐぅぅ……す、すげー痛い……へへ……で、でもいいんだ……
こんな日の夜はまーたん、とーっても可愛いおねだりさんになっ」
 最後まで言う前に、まーたんが無言でさっちゃんを蹴っ飛ばしました。
「げごっ!!」
 カエルを潰したような声を上げながら、今度は綺麗な放物線を描いて
彼方へ飛んでいくさっちゃん。それを見送りもせず、まーたんは再び
たっちゃんに向き直り、もう一度言いました。
「失礼したわ。で、用件は何かしら」
 そうやってクールをよそおうまーたんでしたが、よく見ると少し耳が
赤くなっています。たっちゃんはなんだか微笑ましく思いました。
(うふふ、照れ隠しなのね。ツンデレまーたん、可愛い)
 が、次の瞬間、遠くの方からぐしゃっと何かがひしゃげるような、
微笑ましさとは程遠い殺伐とした音が聞こえてきました。
思わず振り返ったたっちゃんの視線の先には、手足をおかしな方向に
曲げて横たわるさっちゃんの姿がありました。
「うわ……あ、あの……さっちゃん、本当に大丈夫、なの?」
「ふ、ふん……知ったことじゃないわ」
 まあ死にはしないでしょう。多分。一応神様ですし。
「にゃはは。いやあ、さっちゃん思いっきり尻に敷かれてるねー」
 たっちゃんに踏みつけられたままそんなことを言ううーぴょんを見て、
まーたんの頭の中には今や懐かしささえ感じるあのAAが浮かび上がりました。
(オマエモナー)
442名無しさん@ピンキー:2014/01/08(水) 23:43:20.67 ID:qjGaoHzG
「……えーっと、じゃあ本題に入らせてもらうけど」
 と、たっちゃんがうーぴょんを踏んだまま、
まずはこれまでの事をついてかいつまんで説明しました。
 昨年、一昨年のうーぴょんの所業。そして、みーちゃんが今置かれている状況。
 たっちゃんは言葉を選んで話しましたが、どう言葉を選んでも
うーぴょんの鬼畜っぷりが際立つばかりのエピソードです。
うーぴょんを見下ろすまーたんの瞳が、どんどん蔑みの色に染まっていきます。
「ああ、まーたん……そんな目で見られたら、私……私……ぞくぞくしちゃう……っ!」
 恋人に踏まれながら別の女に冷たい目で見つめられる──という
このシチュエーションに背徳的な愉悦を覚えてしまっているのでしょう、
うーぴょんは息を荒げて嬉しそうに身悶えます。どうやらうーぴょん、
SでもMでもイケる口のようですね。
 これにはまーたんもさすがにちょっと引いたようで、身を守るように
自分の身体を抱き締め、一歩後ずさってしまいました。
「へ、変態……キモいからこっち見ないで」
「ふ、ふひひ……っ! いい……いいよ……もっと、もっと私を罵っぐはっ!!」
 まーたんの反応でさらに盛り上がるうーぴょんでしたが、呻き声と共に
セリフが途中で止まってしまいました。たっちゃんが踏みつけている足を
持ち上げ、勢い良く落としたのです。そのままかかとで背中を
ぐりぐりしながら、幼い子にそうするような優しい口調で言い聞かせます。
「うーぴょん? このまま踏んでてあげるから、ちょっと黙っててね」
「は、はいぃ……はいぃ……っ!」
 うーぴょんは半目で涙を浮かべ、涎を垂らした恍惚の表情で頷きました。
なにやら以前よりも逞しくなっているような気のするたっちゃんです。
しかしまあ、あんなことがあればそりゃあちょっとは逞しくなろうというものですよね。
うーぴょんも悦んでますし、WIN-WINの関係ってやつです。
「……えー、そんなわけでまーたん。悪いんだけど今度の引継ぎの時、みーちゃんを
解放してあげてもらえるかな。みーちゃんのそばにスマホが落ちてるんで、
そのリモコンアプリ起動してイジェクトボタン押してくれればいいから」
 アプリ自体はうーぴょんが遠隔操作で復帰させてあります。そんならあの
触手全身タイツ自体を遠隔操作すればいいのに──と思われるかもしれませんが、
ドSのうーぴょんは他人が勝手に解除してしまわないよう、リモコンアプリは認証済みの
あのスマホでしか動かないようにしてあるのです。すなわち、みーちゃん逃げ場なし。
まあ元々ないようなものですが。鬼畜もここまでくるといっそすがすがしいですね。
443歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:45:56.75 ID:qjGaoHzG
「はー……ま、いいけど」
 溜息混じりに承諾するまーたん。たっちゃんはそんな彼女の目を
見つめながらそっと右手を取り、両手で包み込みました。
「良かった……ありがとう。みーちゃんのこと、よろしくね」
「ひあっ!?」
 きりっとした眼差し。
 柔らかい手の平から伝わるぬくもり。
 一時期ほどの情熱はないとはいえ、たっちゃんはまーたんにとって
今でも憧れの君です。そんな彼女にこんなことをされてはたまりません。
まーたんは顔を真っ赤にして固まってしまいました。
「ん? まーたん、どうかした?」
「な、なな、なんでもないわっ! か、か、か、勘違いしないでよねっ! 
別にあ、あなたたちのためにやるんじゃにゃいんだからねっ! 
えと、えと、そ、そうよ! みーちゃんの呻き声がうっとうしそうだから! 
そ、それだけなんだからねっ!」
 思わず素でツンデレを全開にしてしまうまーたん。シマウマではなくウマですが。
しかしたっちゃんはその勢いに怯みもせず、むしろにっこりと微笑みを浮かべます。
「うん、たとえそうだったとしても、みーちゃんを助けてくれるのにはかわらないもの。嬉しいよ」
 そして握った手にきゅっと力を込めてトドメのようなセリフを吐きます。
「ありがとう、まーたん。大好きだよ」
「た、たっちゃん……」
 きゅぅん。
 彼女の胸からお腹の下あたりにかけて、かつてのときめきが郷愁のような
懐かしさを伴って広がっていきます。まーたんは潤んだ目でたっちゃんを
見つめ返すと、震える唇をそっと開きました。
「あ、あの……たっちゃん……わ、私、あ、あなたのことは」
「ダメー!!」
 何か言いかけたまーたんを止めたのは、再度復活したさっちゃんでした。
彼女は先ほどのように後ろから腕を絡めると、彼女をたっちゃんから引き剥がすように抱き寄せました。
「まーたん取っちゃやだー!! もー、たっちゃんにはうーぴょんがいるでしょー!!」
 ひしゃげてレンズが片方割れた眼鏡(危険)を揺らす勢いでたっちゃんに猛抗議です。
444歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:48:05.43 ID:qjGaoHzG
 一方のたっちゃんはというと、こちらはきょとんとした表情を
浮かべて戸惑っています。さっちゃんが何を言っているのか、
良くわかっていない様子です。
「? 何を言っているの? 別に取ったりしないよ?」
「え?」
「え?」
 どうにも噛み合ってない二人の下で踏まれたままのうーぴょんが
にやりと笑い、自慢げに言いました。
「ふっふっふー。見たか、これがたっちゃん四十八の必殺技の一つ! 天然女タラシだー!」
「なん……だと……!?」
 さっきのあれが、口説いているわけではなく、ただの天然だっていうの!?
 さっちゃんは驚きを禁じえません。
 たっちゃんてば、凛々しいお姉さまな外見でこれじゃあ、そりゃあ
中身が多少ヘタレでも女性ファンが増えようというものです。たっちゃん、恐るべし。
「ってゆーか、うーぴょん! あんたわかってるんなら止めなさいよね!」
 さっちゃんの指摘に、しかしうーぴょんはへらへらと答えます。
「えー? でもぉ、止める理由、ないしぃ」
「いやあるでしょ!? 恋人が他人の彼女口説いてんのよ!?」
「だってぇ、もしまーたんが落とされてぇ、たっちゃんの彼女に
なったとしたらぁ、それはつまりぃ、私の彼女になるってことじゃぁん? 
そしたらみーちゃんも交えて毎日4Pだー! わーい!」
「……お前は何を言っているんだ?」
 普段はその天衣無縫な言動でむしろツッコまれる方が多いさっちゃん
なのですが、これにはもう唖然とした顔でそう言うしかありませんでした。
うーぴょん、恐るべし。
445歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:51:04.36 ID:qjGaoHzG
 さっちゃんの腕の中でそんなやり取りを聞いていたまーたんは、
はー……とまたもや深い溜息をつくと、親指と人差し指で
さっちゃんの顎を掴んでぐいっと自分の方に向け──。
「ま、まーたん? どうしんむぅぅ……っ!?」
 ──唇を奪いました。
 それも、舌を差込み唇を擦り合わせる、大変ディープな口付けです。
たっちゃんとうーぴょんへ見せ付けるようにあむあむと艶かしく口を
蠢かせ、聞かせるようにぴちゃぴちゃと卑猥に音を立て……。
ようやく離れた時には、二人の口の周りは恥ずかしく濡れそぼっていました。
「ぷはぁ……はあっ……はあっ……」
 奪われかけたと思われた愛しい人からのいきなりの濃厚なキス攻撃に、
嬉しいやら気持ち良いやらで軽く達してしまったさっちゃん。
息も絶え絶えに、その場でぺたりと女の子座りになってしまいました。
「もう、本当にバカね。話は最後まで聞くものよ」
 そんな彼女の頭をイイコイイコと撫でながらまーたんは微笑んで
そう諭すと、たっちゃんに向き直りました。
「たっちゃん、私、あなたのことは好きだったわ。まだ憧れてもいる。
でも、今はこの子が……さっちゃんが一番大事。だから、
あなたのものにはなれないの。さっきはうまく言えなくてごめんなさい」
「え? あ、うん……え?」
 そんなつもりはなかったのに、いつのまにか告白し振られたことに
なってしまったたっちゃん。うーぴょんの言う通り、その気もないのに
ほいほいフラグ立ててしまうのでよくこういう目にあってしまうのです。
こういうところがヘタレと言われてしまう一因なのでしょうね。
446歳神娘(午) ◆DYW6d/nzvM :2014/01/08(水) 23:53:21.29 ID:qjGaoHzG
「わかったわ、引継ぎの時は言われたようにしてあげる。
それで話は終わりでしょう? だったら、もういいかしら」
 まーたんはそう言うと床に膝を着き、まだキスイきの
余韻に浸ってぼうっとしているさっちゃんにもう一度、
今度は軽くちゅっとキスしました。
「私、これからさっちゃんの『とっても可愛いおねだりさん』になるから、そろそろ二人きりにしてくれない?」
「ふあおぉぉっ!」
 この誘い受け全開のセリフに、もともと細いさっちゃんの
自制心の糸はぷっつんと切れてしまいました。彼女は
たっちゃんとうーぴょんが別れの挨拶をするのも待たずに
まーたんを押し倒し、名前を呼びながら彼女を貪り始めました。
「ま、まーたんっ! まーたん! まーたぁん!」
「ふあぁっ! さっちゃん……さっちゃんっ! ああ、そこよ……もっとぉ……っ!」
「うん、あ、あはは……じゃ、じゃあね、またね」
 あわてて床に転がるうーぴょんをお姫様抱っこで持ち上げ
別れの挨拶をするたっちゃんでしたが、すっかり二人の世界に
突入してしまったまーたんとさっちゃんの耳には、もう届いていないようでした。


続く。
447 ◆DYW6d/nzvM :2014/01/09(木) 00:01:19.03 ID:9zqv0NH0
今回は以上です。
改行がまた一部見苦しくてごめんなさい。
あと、タイトル抜けてるところもありますね。
いつまでたっても慣れなくて申し訳ないです。

あと、続きはまあ、鏡開きまでには何とか……。

ちなみに「45分くらい席外して……」の元ネタはアニメ版大運動会です(古)
448名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 07:14:36.03 ID:aa9YJSjt
GJ。さっちゃんが大変俺好みだった、御馳走様でした
あと、楽しんだ直後に書くのもなんだが書くのがイヤになったなら無理しないほうがいい
元一書き手としてそれだけは言っておく
449名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 09:11:56.68 ID:zvIP0fmX


ところでそろそろ容量がやばいから次に投下する人は次スレの用意を頼む
450名無しさん@ピンキー
容量落ちとか久しぶりだな。それだけ豊作だったわけだな