第二次スーパーロボット大戦Z2 磁界を超えたSEX

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946名無しさん@ピンキー:2013/06/02(日) 15:21:53.75 ID:6h2OE3gn
>>945
OKよ。長さにもよるが終わり次第次スレかな。
947名無しさん@ピンキー:2013/06/02(日) 15:28:15.81 ID:Bgb/PsOT
どんとこい
948名無しさん@ピンキー:2013/06/02(日) 15:40:16.83 ID:2EdfFHMa
投 下 不 可 避 でお願いします
949アーニー×サヤの人:2013/06/02(日) 15:40:39.27 ID:mZ7UGfSt
>>946
ありがとうございます。
10レスはいかない……と思いますが。

連投規制に引っかかるかもなので、時間あけて投下してみます。
950オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:41:54.16 ID:mZ7UGfSt
 いつからかは、はっきりと解らない。ただ、自分と関係を結ぶまではそうではなかった、とサヤは思い返す。
 デブリーフィング後の周瑜の軍略講義を受けながら、サヤはアーニーの様子を伺った。
 至って穏やかで、いつもと変わらない。談笑する様子は、自分が勘違いしているとさえ思える程だ。
「それでは、今日はここまでにしましょうか」
「ありがとうございました」
「少し、よろしいですか?」
 退室しようとするサヤを呼び止めたのは、孔明だった。
「じゃあ、僕は先に戻るよ」
「あ、はい。また後で」
 孔明は彼の去った方を見ながら、小さく息を吐いた。
「あの、孔明先生……?」
「薄々皆も気付いていると思うのですよ。彼の様子が変わってきている事に」
 その言葉に、サヤは息を飲んだ。やはり、そう感じていたのは自分だけではなかったのだ。
「戦闘を終えれば、以前のように穏やかだ。しかし、一度戦場に立てば、彼の纏う雰囲気はガラリと変わる。修羅、とまでは言いませんけれど……」
 そう、関係を結んで少し経ってからだ。アーニーの雰囲気が変わり始めたのは。
 側で戦うサヤでさえ気圧される程に、冷たく容赦の無い気配。気迫、とでも言えば良いのだろうか。
 眼光は鋭く敵を睨み、相手に向ける言葉は低く怒気を孕んでいる。以前のアーニーからは、想像も出来ない姿だった。
 身震いするサヤに、悪い事ではない、と孔明は言う。
「己を奮い立たせたり、敢えて普段の自分と切り離したり――そういう事はままある。ファフナーのパイロットにも同じような方が居ましたからね」
 緩やかな口調とは裏腹に、孔明の表情は厳しいものだった。
「彼もそうなのでしょう。UXを率いる責任ある立場の者として、意図的にその雰囲気を作っているのだと思います。しかし――危うい」
 孔明は手にした扇を閉じ、サヤを見る。
「今の彼は卵と同じです。脆い内側を、殻という虚勢で必死に守っている。私は危惧しているのです……その殻が割れてしまった時、彼は立っていられるのだろうか、と」
 オデュッセアで倒れた原因は、極度のプレッシャーが原因だった――サヤは思い出す。そのプレッシャーから自分を守るために、彼はそうしているのだろうか。
「その可能性は高いでしょうね」
 周瑜が頷く。
「しかし今更、殻を取り去る事は不可能でしょう。殻が無くなれば、恐らく彼は潰れてしまう」
「あの人は……少尉は、そんなに弱い方ではありません」
 孔明の言葉にサヤは反論する。
 全てを見通す孔明が言うのだ。その見立てにきっと間違いはないのだろうし、誰もがそう考えるのかもしれない。しかし。
「いつまでも壊れそうな殻で守らなければならない程、あの人は、あの人の心は、弱くない。私は――」
「彼を信じている、と」
「はい」
 サヤの言葉に、気持ちは解りますが、と孔明は向き直る。
「それは私とて同じ思いです。彼も侠だ。しかし殻がある以上、割れる危険は残ります。その殻がどれだけ厚くともね」
 そして殻が厚ければ厚い程、崩壊したショックは大きい――孔明はサヤを見据える。
「その殻って奴も自分の一部としてしまえば良いんじゃないですか?」
 飲み物を運んできた陸遜が言った。
「自分の一部、ですか」
「ええ、そうです」
 グラスを並べながら陸遜は続ける。
「どう言って良いのか解りませんが、殻を自分を守る盾としているから壊れるのであって、自分の一部にしてしまえばそういう心配も少なくなるんじゃないか、と」
 意味を掴みかね、サヤは首を傾げる。陸遜は言葉を探すように視線をさまよわせながら言い継いだ。
「ええと……虚勢を張るんじゃなくて……なりきるというか、演じるというか」
「なるほど。面白い事を言いますね」
 グラスを傾けながら孔明が呟く。
「演者が舞台に立つが如く――となると、少尉の舞台は戦場ですか」
 扇の先で机を突きながら、孔明は唸る。
「まぁ、どうするかは少尉自身で何とかして貰うしかないでしょうが……演じる事に関して、何か解るかもしれませんよ」
「どういう事ですか?」
「彼に話を聞いてみてはいかがでしょう。確か、歌舞伎の役者をされていたと聞いていますが」

――
951オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:43:34.92 ID:mZ7UGfSt
「で、俺に話を聞きに来た、と」
「はい。何か解ればと思って」
「俺と少尉さんじゃ、状況が全然違うと思うんだけどな」
 それにあまり芝居の話は好きじゃない、とアルトは呟く。
「すみません……」
「いや、個人的な事だからな、これは。しっかしまぁ、どこか無理してるとは思っていたけど」
「このままでは、少尉が潰れてしまうと孔明先生が……」
「だからって、俺が演技についてあれこれ言ったところで、どうにもならないだろ。あの人、別に役者じゃないんだし、いきなり演技だの言われても訳が解らないだろうし」
 それはアルトに指摘されるまでもなかった。ただ、あの孔明が指名したのだ。きっと何か手掛かりになる話が聞ける――そう思ったのだ。
「うーん……」
 アルトは困ったように、手の中の紙飛行機を弄ぶ。
「確かに役は自分の一部ではあるかな。俺自身じゃないけど、俺とは切り離せない。……難しいな。参考になりそうな話は出来そうにない」
「そうですか……」
「悪いな、力になれなくて――ん?」
 アルトの視線の先で、誰かが手を振っていた。
「ランカ! シェリルも一緒か」
「エイーダさんも。どうしたんです?」
 たまたま会って散歩でもしていた風には見えない。その証拠に、三人ともどこか張り切っているようだった。
「明日の夜、ライブをやる事になったんです」
 だから皆に報せて回っているのだ、とエイーダは笑った。
「フェイなんか張り切っちゃって、あっちこっち走り回ってるわ」
 シェリルが呆れたように肩をすくめる。
「美海さんは浩一くんにチケット渡すんだって言ってましたけど……何か少し怖かったかな」
 その様子を思い出したのか、ランカが苦笑する。
「しかし、何故急に?」
「孔明先生の提案ですよ」
 疑問を呈したサヤにエイーダが答える。
「戦ってばかりで皆の気も張り詰めてるだろうしって。慰問って訳じゃないですけど、少しでも楽しんで貰えたらなーって私も思いましたから。それで、皆でやろうって事になったんです」
 ランカが嬉しそうに微笑んだ。
 しかし、皆という事は、とサヤはシェリルを見る。ここに居るという事は、彼女も出演するのだろう。
「当然よ。私が歌わなくてどうするの?」
「ですが……」
「大丈夫、私はシェリル・ノームよ。 私の歌を必要としている人が居るのに歌わないなんて、出来っこないでしょ? ……孔明先生だっけ、あの人から聞いたわ。あなたと少尉さん、大変そうだって」
 シェリルは声を落とす。自分も辛いはずなのに、そんな素振りを少しも見せない。その姿がアーニーと重なり、サヤの胸を締め付ける。
「ありがとうございます」
「そんな辛そうな顔しないでよ。私は大丈夫だから、ね?」
 シェリルは微笑む。その笑顔は銀河の妖精と呼ぶに相応しい――サヤはそう感じる。
「あ、そうだ……はい、これ」
「これは?」
 ランカが差し出したのは、他とは少し違うチケットだった。
「そんな悩める二人を、特等席に招待するわ。最高のステージにするから、絶対来るのよ。こんなサービス、滅多にしないんだからね!」
 シェリルが悪戯っぽくウインクし、エイーダとランカも頷いた。
「ジョニーさんよりも良い場所なんですよ。特大サービスですから!」
「私も頑張りますから! アルトくんも来てよね!」
「ああ、必ず行くよ」
 じゃあね、と三人は手を振って行ってしまった。まだ他に行くところがあるのだろう。
(孔明先生が、ライブの提案を……?)
 ランカに渡されたチケットに目を落としながら考える。まさか、自分達に合わせて提案したのだろうか。
 そう思いついて、流石の孔明でも有り得ないだろう、と思い直す。きっと偶然だろう。皆の疲労を心配するついでに、自分達の事を彼女達に話してくれたのだろう。チケットを用立ててくれたのは、彼女達の厚意だ。
「良かったじゃないか。シェリルのサービスなんて、ちょっとやそっとじゃして貰えないぜ?」
 サヤのチケットを覗き込みながらアルトが笑う。
「ランカも張り切ってるし、凄いステージになるだろうな。色々思う事はあるだろうけど、素直に楽しむと良いぜ」
「そうですね。これ、少尉に渡してきます。アルトさん、ありがとうございました」
「ああ、少尉さんによろしくな」
 視界の端を、アルトの紙飛行機が横切った。

――
952オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:44:58.79 ID:mZ7UGfSt
 ブリーフィングルームや大きめのレストルームは、ライブの余韻に浸るメンバーで一杯だった。ちょっとした打ち上げパーティのような盛り上がりが艦内に響いている。
 そこから離れた小さめのレストルームに二人は居た。賑やかなのも悪くはないのだが、話をするのには向かない。頃合いを見て抜け出してきたのだ。
「楽しかったね。まさか、特等席で見られるなんて、思ってもいなかったよ」
 改めてお礼を言わないと、とアーニーは笑う。
「そうですね。あ、少尉、何を飲まれます?」
「僕はアイスコーヒーで」
「解りました」
 グラスを二つ取り、ドリンクサーバーから飲み物を注ぐ。
「比べちゃいけないだろうけど、軍に入る前に行ったライブとは全然違ったよ」
「好きなアーティストが居たんですか?」
「まぁ、それなりにはね」
 アーニーにグラスを渡し、サヤは隣に座った。彼はコーヒー、自分は紅茶を傾ける。
「そんなに時間は経っていないはずなのに、随分と昔の事みたいに感じるよ」
 彼の微笑みに、僅かな影が差す。
「しかし、凄い盛り上がりだったな。銀河の妖精にトップアイドルなんて、そうそう見られるものじゃないよ」
「一緒に戦う、なんてのも有り得ませんしね」
 しばし、ライブの感想で盛り上がる。何の曲が好きか、あのパフォーマンスは最高だった、次があるならまた行きたい――そんな他愛もない話に花が咲く。こんな話を彼とした記憶は殆ど無かった。戦いの無い日常ならば、きっと当たり前の光景なのだろう。
 いつまでもそんな話をしていたかったが、そろそろ本題に入らなければならないだろう。サヤは紅茶を一口飲み、深呼吸をした。
「このライブ、誰が提案したと思います?」
「え? 誰だろう。シェリルさんは身体の事もあるから難しいだろうし、ランカさん? フェイがやりたがってた、とか?」
「孔明先生ですよ」
「孔明先生が⁉」
 意外な名前に、アーニーは目を丸くする。
「戦闘続きで皆も張り詰めてるだろうからって事で、提案されたそうです」
「孔明先生が、ね……」
 アーニーは呟いて肩を揺らす。飄々と扇であおぐ姿を思い浮かべたのだろう。
「気の利いた事もするんだ……流石ってところかな」
「そうですね」
 それと、とサヤは手にしていたグラスを置き、アーニーを見つめる。
「孔明先生がシェリルさん達に伝えていたそうです。私達が大変そうだ、と」
 グラスに伸びかけた彼の手が止まる。
「……大変?」
「どういう話をされたかは解りません。ですが、恐らく……昨日私に仰った事と同じような事を伝えたのではないかと思います」
「だから、特等席のチケットを僕達に?」
「そうかもしれません。皆さん、気に掛けてくれてましたから」
 そうか、とアーニーは唇を引き結ぶ。
「孔明先生は、君に何を?」
 氷が澄んだ音を立てて崩れた。
「あなたの雰囲気が変わった、と」
 アーニーは黙ってグラスを傾ける。
953オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:47:02.69 ID:mZ7UGfSt
「指揮官としての立場からそうしているのだろう、けれどもそれは殻みたいなもので……いつか壊れてしまうんじゃないか、そう危惧されていました」
「そう、か」
 痛いところを突いてしまったのか、彼の顔が曇っている。
 息の詰まりそうな沈黙が、二人を包んでいた。行き場の無い思いが、言葉になる前にグラスの中に沈んでいく。
「奇跡に取り憑かれていたのかもしれないな、僕は」
 その沈黙を破ったのは、アーニーだった。ライブで聞いたオベリスクの歌詞をなぞり、小さく肩をすくめる。
「取り憑かれた? どういう事ですか」
「戦場だけでも、いつもと違う自分でいれば、プレッシャーに負けなくて済む。そうしていれば、いつか強くなれる――リチャード少佐のように、運命に立ち向かっていける。そんな、奇跡にさ」
 解っていたのにな、と彼は力無く笑った。
「元の自分は弱いままなのに。どれだけ取り繕っても、僕は恐れている。命を守るために、奪うべき命もあると解っているのに……!」
 きつく、血が滲みそうな程に握り締めた手が震えていた。
「あなたは、弱くなんかありません」
 サヤは強張った彼の手にそっと自分の手を重ねる。
「解っていたから……その覚悟があったから、奇械島で少佐を――父を、撃ってくれたのでしょう?」
 あの時の事が蘇る。
 ライオットを貫いたオルフェス。アイアンカイザーの重力炉と対消滅を起こし、ライオットは消えていった。リチャードと共に。
 任務だったのに、それに徹しきれなかったサヤ。その自分に代わり、辛い役目を負った彼。弱いはずがない。
 リチャードの、父の最期の言葉が耳の中で響いていた。アーニーに感謝を、そして自分に別れを告げる言葉。死ぬと解っていたのに、あまりにも穏やかな声。
 強く閉ざした瞼を、涙が押し開ける。もう泣くまいと思っていたのに。
 言葉を紡ごうとしたが果たせずわななくだけの唇に、柔らかいものが触れる。涙でぼやけた目を開けると、アーニーの顔がそこにあった。
「ごめん、サヤ。辛い事を思い出させて」
 唇を離し、アーニーはどこか寂しさの残る笑顔で言う。
「少佐の事は、ああするしかなかったと解っている。だけど、奪うべき命だったとは思っていない。もし他の方法が……少佐を手に掛けずに済む方法があるのならって、何度も思ったよ。だから、躊躇しているのかもしれない」
 人々の命を守るために、アーニーは軍人となった。命を守るべきとしている彼だからこそ、奪う事の重さと意味を、誰よりも理解しているはずだ。
 一番辛いのは彼だろう。それなのに、彼は一言もそれを口に出さない。
「あなたは、弱くない。誰よりも強い人です。弱いのは私……何も、何も出来なかった私の方です」
 いいや、とアーニーは首を振る。
「君は少佐を、家族として愛していた。だから、彼を失う絶望を知っていた。それでも君は……命の意味をその手にして、また立ち上がった。失っても尚、それを乗り越えて」
 君は強い。アーニーの言葉に、抑えたはずの涙がまたこぼれ落ちる。
「サヤ……」
「ごめんなさい。私、泣いてばかり、ですね」
「構わないよ。僕の前でくらい、泣いたって良いさ」
 アーニーの指が頬を拭った。
「でも、私は……んっ」
 その先の言葉は、彼の唇で塞がれた。ほろ苦いコーヒーの味が、紅茶の香りを消していく。
「ふ……ん……んっ、んん……」
 ちゅ、と舌が絡み、湿った音を立てた。仲間達の笑い声が聞こえる。誰かに見られるかもしれない。それでも、重ねた唇を離したくはなかった。アーニーも同じなのか、繋ぎ止めるように深く口付けてくる。
「ん、く……ん……は、はぁ、あ……」
 彼が名残惜しそうに唇を離すと、つぅ、と二人を銀糸が繋いでいた。頭が熱くなる。
「どうしよう、かな」
 顔を赤くしたアーニーがぎこちなく問う。
「どうしましょうか」
 解っているくせに、サヤも答えられない。
 沈黙は、ほんの少し。
「ここじゃ、続きは出来ないからね。僕の部屋の方が近い……かな」
 照れ臭さの消えた男の声。サヤは頷き、彼の後についていく。

――
954オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:48:24.62 ID:mZ7UGfSt
 二人の服は全てベッドの下に落ちていた。薄明かりに裸身が浮かび上がる。
 もう少しムードのある誘い方が出来れば良いんだけど、とサヤを組み敷きながらアーニーは苦笑した。
「充分だった、と思いますよ」
「そう? なら良いんだけど」
 彼の唇が首筋をなぞり、手が乳房に伸びる。触れられる場所全てが敏感に反応し、彼を求めていた。
「ふ……あ……はぁ……ん、ぅ……」
 身体を重ねた回数は、そう多くはない。だが、アーニーの手はサヤの身体を知り尽くしているかのように動く。感じる場所を探し当て、刺激していく。
 最初のぎこちなさは影も形も無かった。対する自分は未だにどうしていいか解らず、彼の愛撫に身を任せるだけだった。
 サヤの身体を這うアーニーの舌が首筋から胸へ移り、ゆっくりと下へ向かっていく。
「やっ……やあっ」
 脇腹をくすぐり、広げられた脚の間へ。
「ちょっ、ちょっと待って下さい! そこは……ッ! 嫌、駄目です!」
 サヤの制止の甲斐無く、アーニーの顔がそこに埋められた。ぬるりとしたものが、一番敏感な場所に押し当てられる。
「やっ、ああぁッ!」
 サヤを襲ったのは、快感よりも強い羞恥だった。脚を閉じて止めさせようとしても、彼の腕が太腿を抱え込んでいて果たせない。力も入らず、伸ばした手で彼の頭を押し退ける事も出来ない。
「やだ、あ、あぁ、アーニー……そんなところ、駄目、です、う、ぅう!」
 彼全体に舌を押し付け、ヒダの隙間を舐め、尖らせた舌先をサヤの中に差し込む。
 ぴちゃ、と跳ねるような音を立てながら、アーニーはサヤを攻め立てる。
「ん……いつもより、濡れてきてる……」
 そう言ってサヤの羞恥を煽り、隆起した敏感な粒を甘噛みする。
「ひぁぁッ!」
 電流のような鋭い快感がサヤを貫いた。
 アーニーはそのまま舌でそこをなぶり、強く吸った。
「いやぁぁあッ! やっ、やだっ、ああっ! ああぁあッ!」
 快感と恥ずかしさに涙が滲む。
 アーニーは押し広げた花弁に時折指先を潜り込ませながら、溢れた蜜を舐め上げる。サヤに抵抗する力は殆ど残っていなかった。彼の攻めに翻弄され、喘ぐ事しか出来ない。
 呼吸をする事さえ苦しくなる程に彼はそこを攻め続けた。羞恥心は完全に溶かされ、身体は快感だけを求めて震えていた。
955オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:49:55.75 ID:mZ7UGfSt
「もう、良さそうかな」
 アーニーがサヤのそこから顔を離す。そして避妊具を取り出し、装着した。最初に身体を重ねた後、アーニーが街で調達していたのだ。回数を重ねて少しは慣れたのか、前回よりも手早い。
「正直な事を言えば、直接の方が良いんだけどね。けど、そういう訳にはいかないし」
 サヤの中を指で探りながらアーニーは笑った。
「わ、私は別に……その、無くても、構いません、けど……んっ!」
「子供が出来るかもしれないし、ね。この戦いが、何もかもが終わってから――いや、そういう事は、今言わない方が良いのかな」
 アーニーの指が容赦無く中を掻き回す。
「んんっ!」
 指の動きに合わせ、身体が無意識に踊る。
「あ、アーニー……! 私、もう……」
 指では足りない、とサヤの奥底がアーニーを求めていた。
「解ってるよ。僕も、そろそろ我慢の限界だから……」
 彼が自身を入口に押し当て、蜜を絡ませながらゆっくりと腰を進める。指とは比べものにならない質量が、サヤの中を満たしていた。
「痛くない?」
「だ、大丈夫、です……」
「ん……解った、動くよ」
 根元まで押し込んだものを、今度はギリギリまで引き抜き、再び奥へと挿し入れる。
「あっ、はぁっ、あん、ああっ」
 アーニーが指先で探った場所を、今度はアーニー自身が擦り上げていた。彼が行き来する度に、じわりとした気持ち良さが広がっていく。
「はぁ、はっ、ん、サヤ……」
 アーニーに散々なぶられた花弁が、ぎゅっと彼を締め付けていた。離したくない、と彼女の一番奥へと誘う。
 シーツを汚す程に溢れた蜜の音が聴覚を犯す。溶け去ったはずの羞恥心が蘇り、頭の芯を熱くさせた。
 それと同時に湧き上がる快感。
 今までよりも強いそれに、全身が支配される。何も考えられない。
 サヤはアーニーの背に腕を回し、腰をくねらせた。
「そんなにしたら……うっ、駄目だよ……抑えられなくなる」
「だけど、身体が勝手に……私……ふあっ、あぁッ!」
 自分の全てが彼を求めていた。もっと奥へ、もっと強く、もっと激しく――。
「ああッ!」
 奔流が、唐突にサヤを襲った。何も考えられない。頭が白く痺れ、感覚に何もかもが支配される。
「サヤ? ――イキそう、なのか?」
「わ、解りませ……あっ、あぁっ! だけど、気持ち良い――ッ!」
 何かが来る感覚と、どこかへ行ってしまいそうな感覚がぶつかり、サヤは必死でアーニーにしがみつく。自分が自分でなくなりそうな、恐怖にも似たものが身体を駆け巡っていた。
「アーニー……私、おかしく、なりそう……!」
「良いよ……このまま……っ、中がきつくなってきた――く、うぅ」
 アーニーが腰を打ち付けるスピードを速めた。深く激しく、最奥を何度も擦り、抉る。
「嫌ッ、駄目、駄目ですッ――私、ああっ、あっ、あッ!」
 アーニーがきつくサヤを抱き締め、一番奥を何度も突き上げる。
「良いよ、イッて。僕も、もうすぐ――!」
 彼が動く度に、僅かに残った理性が突き崩されていく。これ以上、耐える事は出来そうにない。快楽の波が、サヤを飲み込んだ。
「アーニー……アーニーッ! や、あ、あ、ああぁああぁっ!」
 嬌声を上げながらサヤの身体が跳ねる。
「サヤ……僕も……ん、く、うぅっ!」
 しがみついたアーニーの身体が震えた。彼も果てたのだと解ったところで、身体の力が抜けていく。
「サヤ? 大丈夫か?」
 アーニーの声が遠くなる。そしてそのまま、サヤの意識はふつりと途切れた。

――
956オベリスク(アーニー×サヤ):2013/06/02(日) 15:50:47.16 ID:mZ7UGfSt
「あ、気が付いた?」
「アーニー……私、どれくらい……」
「そんなに時間は経ってないよ」
 彼の腕が背中に回り、サヤを抱き寄せる。二人で寝るには、少し狭いベッド。
「腕枕っていうのも、悪くないですね」
「腕が痺れてくるけど、サヤがそう言うなら我慢しようかな」
 外の喧騒は随分と落ち着いていた。良い時間だ。そろそろお開きなのだろう。
 明かりをつけ、身支度を整える。夜が明けたら、また作戦が始まるのだ。
「一緒の部屋なら、帰らなくても良いんですけど」
「僕も賛成と言いたいところだけど、それは風紀的に問題が有るだろうなぁ……」
 残念そうにアーニーは笑った。
「あの、少尉」
「何?」
「その……子供が出来るかもって、言ってましたよね」
「え? ああ、うん」
 最中を思い返したのか、彼の顔が赤くなる。
「全て終われば、少尉は私と――」
「父親になるには、まだ若いと思うけどね。でも、そうなれば良いかな、と思ってるよ」
 頬は染めたままだったが、アーニーの口調は真面目なものだった。
「ありがとうございます。私も……そうなれば良いなって、思います」
 関係を結んでからも、互いに好きだとか愛しているとか、想いを口にした事は無かった。言葉が無くとも、と考えている訳ではない。ただ、伝えそびれているだけなのだ、とサヤは思う。
 今、伝えてみようか。サヤはじっとアーニーを見つめた。
「サヤ?」
 首を傾げる彼の耳元に唇を寄せる。
「愛してますよ、アーニー」
「なっ……」
 絶句するアーニー。見た事もないくらいに真っ赤になっている。
「ちゃんと言ってませんでしたから」
 冷静を装うサヤも、頬が赤かった。鼓動も信じられない程に速くなっている。
「と、とにかく、それを伝えたかったんです。……お休みなさい、少尉」
「えっ、あ、ちょっと待ってくれ!」
 振り切って部屋を出ようとしたが、もう少しのところでアーニーに腕を掴まれた。そのまま、後ろから抱きすくめられる。
「しょ、少尉……」
「僕も伝えてなかったね。愛してるよ、サヤ」
 身体が熱くなる。このまま自分は蒸発してしまうのではないかと思う程に。それと同時に嬉しさがこみ上げ、口元が緩んでいた。
「――ッ、恥ずかしいな、やっぱり」
 サヤを離し、アーニーは顔を伏せる。
「それは私も同じです。でも、伝えたかったですし」
 どうにかいつもの表情に戻し、サヤはアーニーに向き直る。
「では、今度こそ帰りますね。お休みなさい、アーニー」
「ああ。お休み、サヤ」
 部屋に戻る途中、サヤは心の中でアーニーの言葉を繰り返す。
(子供……か。私が母親で、アーニーが父親……)
 そんな想像などした事も無かった。全てが終われば、この願いは叶うのだろうか。造られた命の自分は、母親になれるのだろうか。
 きっと、叶うだろう。アーニーと一緒なら――部屋に戻るサヤの足取りは軽かった。


 後日。
「エルプスユンデに子供は出来るのか」
 サヤがその疑問をぶつけた相手がよりにもよって真上だった為、アーニーは地獄を見るはめになったらしい――そんな噂が一時期UXに流れたという。
 噂の真偽は不明である。
957アーニー×サヤの人:2013/06/02(日) 15:53:13.08 ID:mZ7UGfSt
以上になります。
ありがとうございました。

前作でサヤの格好をスカートとインナーシャツとかやったけど
攻略本見たらよく分からない服だったorz
アレは私服って事で脳内補完願いますw

がっつり950踏んだからスレ立てかな。
いってみます。
958名無しさん@ピンキー:2013/06/02(日) 15:58:09.04 ID:6h2OE3gn
>>957
GJ!。この調子で意欲が沸いたらお願い。
959名無しさん@ピンキー:2013/06/02(日) 16:11:14.44 ID:mZ7UGfSt
次のスレタイ、UXじゃなくてLになるのかな?
何を越えれば良いんだろ
960名無しさん@ピンキー:2013/06/02(日) 20:06:56.97 ID:mZ7UGfSt
すみません、いってみたけどダメでした……
次スレお願いしますorz
961名無しさん@ピンキー:2013/06/03(月) 18:19:28.26 ID:8ywKKRlv
ちょっと行ってくる。タイトルは適当につけさせてもらうよー。
962名無しさん@ピンキー:2013/06/03(月) 18:32:56.52 ID:8ywKKRlv
次スレできたよー。
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1370251318/

>>957
投下ペース早いし中身もいいねー。GJGJ。
サヤのいつもの服は、下はショートパンツ(ホットパンツ?)じゃないかね。
アーニーとそういう関係になってからは下着にも気を使うようになった、とかだったら個人的にぐっとくる。
実用性第一だったのが、ちょっと可愛いのとかデザインが凝ったのも買うようになった、とか。
多分そういう所から徐々に周囲にバレて行くんだと思うw
963名無しさん@ピンキー:2013/06/03(月) 19:54:33.57 ID:HQn5OKLz
>>962
乙です!
アーニー×サヤの人、新作待ってるよー
964名無しさん@ピンキー:2013/06/04(火) 15:41:41.96 ID:PAqPgxUf
アーニー×サヤの人、乙である
真面目で初々しい二人が実に微笑ましいのである
965アーニー×サヤの人:2013/06/04(火) 18:17:35.46 ID:jcGnWEGG
>>964
西博士キター

アーニー×サヤの人です。
スレ埋めがてら投下いきます。

・前回からの連作で、やっぱりアーニー×サヤです
・舞台設定は2部と3部の間くらいです
・ネタバレ含みます
・ナイアの夢を捏造しました
・サヤは成長しました
・アーニーは目覚めました

次からいきます。
966有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:20:38.49 ID:jcGnWEGG
 今日は珍しく非番だった。街に二人で出かけるのは、本当に久しぶりだ。
「華やかさは欠片も無いけどな」
 そう言ってジンは苦笑する。
 生まれ持った気質か、それとも育った環境故か、上昇志向の強いジンは軍に入ってから頭角を示した。士官学校は当然首席で卒業、昇進のスピードも同期に比べて段違いに早かった。
 それに比べて自分は、とアーニーは思う。育った環境は殆ど同じなのに、彼とは全く違う。
 士官学校こそ次席で出たものの、昇進に関しては比べるまでもない。あまり出世を望んでいないせいもあるだろうが。
 ストリートに面したカフェに入り、一息入れる。平日だからか、客足はまばらだ。適当な場所に座り、ドリンクを注文する。程なくして運ばれてきたドリンクに口を付けながら、ジンは覚悟を決めたようにアーニーを見た。
「俺、結婚しようかと思うんだ」
 ジンの唐突な言葉に、持っていたグラスを取り落としそうになる。
「けっ、結婚!?」
「グラハム少佐にも相談してたんだ。年を考えると早過ぎるかもしれないが、今の立場から考えれば問題はないと思う」
「そりゃ、そうかもしれないけどさ……。でも、相手は?」
「アユル以外に居る訳ないだろうが」
 照れているのか、ぶっきらぼうにジンは言った。
 アユルはサヤの妹だ。
 ふわりとした金髪の、どこかおっとりとした雰囲気をまとった彼女。ジンとは正反対だと思った事がある。だが、芯の通ったところは彼とよく似ていた。だからこそ互いに惹かれ、将来を意識するまでになったのだろう。
「ジンが結婚、ねぇ」
「おかしいかよ?」
「おかしくはないさ。ただ、ちょっと不思議な感じだよ。案外、良いパパになるかもね」
「そうだな、子供は二人くらいは……って、まだ早いぜ」
「そんな事言いながら、すぐだったりして」
 アーニーは笑ってグラスを傾ける。
「そういや、アーニーはどうなんだ?」
 自分だけからかわれるのは癪なのか、ジンはアーニーに水を向ける。
「僕?」
「サヤさんとは上手くいってるのか?」
「まあ、ね」
「お前達も結婚したら、俺達も兄弟になるんだよな。ん、そうなるとアーニーが義兄さんか?」
「そんな柄じゃないけどね」
 言えてる、とジンは笑う。
 ジンとは孤児院で兄弟同然に育ってきた。その彼と、義理とはいえ本当の兄弟になれる日も、そう遠くないかもしれない。
「しかし、サヤさんも頑張ってるよな。親娘で落語なんてさ」
 そうだな、と応じかけ、アーニーは強い違和感を覚えた。
(落語? 落語って、確か……)
「今度シティホールで演るって聞いたぜ。休みが取れたらアユルと見に行くつもりだ」
 おかしい。何かが決定的におかしい。だが、何がおかしいのか解らない。
「お前は行けるのか? レスキュー部隊に配属されるの、確かその辺りだったよな」
(レスキュー、部隊?)
 自分がテストパイロットを務めた新型機が、その部隊に配備される。それを聞いて、志願したのだ。
 その機体の名は――ライオット。
(ライオット……!)
 血の気が引いていく。違う、そんな話は有り得ない。ライオットは、あの機体は――。
「おい、アーニー。聞いてるのか?」
「え? あ、うん。ちょっと、考え事してて」
「そうかい。どうせ、サヤさんの事でも考えてたんだろ?」
「違うよ、そんなんじゃない」
 この違和感をどう伝えたら良いのか、上手く言葉が出て来ない。違う、おかしい――そればかりがアーニーの脳裏を巡っていた。
「配備されるライオットって……」
「タイプCだろ? レスキュー特化型の」
 有り得ない。
「ライオットCは汎用量産型だろ? ジンはライオット隊の隊長として、それを率いていたはずだ」
「はあ? 何言ってるんだアーニー。タイプCの隊長はお前だろ? 俺の方は試作型のタイプXだ」
「タイプX――」
 そんなものは知らない。
「君がライオットA、僕がライオットBに乗って……戦ったはずなんだ、少佐と」
「少佐? グラハム少佐と?」
「違う。リチャード少佐だ」
 ジンが笑い出す。
967有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:21:45.16 ID:jcGnWEGG
「リチャードさんが少佐だって? あの人、落語家なのに牧師で俺の義父さんってだけで訳が解らなくなりそうなのに、それで更に少佐って滅茶苦茶だぞ。サヤさんの影響でお前までそういうのに目覚めたのか」
 心底おかしいと腹を抱えて彼は笑い続ける。だが、アーニーは微塵も笑わない。
 背筋が冷たくなっていた。
「ジン、僕達がライオットに乗って戦った相手、覚えているか?」
「今度は何だよ」
「独断専行を咎められる事を覚悟で、スクラッグと戦った――」
「スクラッグぅ? アーニー、お前本格的にお笑いをやるのか? スクラッグって言えばHEYBOの敵キャラだろうが。そんなものとの初陣なんて、HEYBOで遊んでる子供がやる事だろ」
 ジンはそう言って少しだけ笑い、呆れた表情を浮かべる。
 やはり、違う。ここは自分の知っている世界ではない。あの初陣を忘れるなんて、考えられない。
「どうした、アーニー。具合でも悪いのか」
 確かめなければ。ここは一体、どこなのか。どうなっているのか。
「ごめん、僕……行かなきゃいけないとこがある」
「へ? おい、アーニー!」
 戸惑うジンを置き去りにして、アーニーは店を飛び出した。

――

 自分の「記憶」が正しければ、サヤは図書館に居るはずだ。
 私服だったが、銃は持っていた。ホルスターに入ったそれを意識しながら、アーニーは街を歩く。
 敵が出て来るとは思えない。至って平和な日常が目の前に広がっていた。
 おかしいのは自分の方なのか。
 吐き気がする程の違和感を抱えたまま、図書館へと向かう。
「アーニー!」
 図書館の入口で、手を振る姿。サヤだ。トートバッグを肩に掛け、白のワンピースを着ている。まるで、カレッジの学生だ。
「やあ」
 アーニーは眩しさに目を細めた。一瞬、全てが蜃気楼のように揺らめく。
「今度の演目の為に、資料を集めていたんです」
「演目?」
「ええ。芝浜って言うんですけどね」
「シバハマ……」
「まだ少ししか練習出来ていないんですけど――」
 そう言ってサヤはノートを取り出し、芝浜の話を始める。嬉々として話す彼女を、どこかぼんやりとした顔でアーニーは眺めていた。
「――それでですね、最後男は酒を呑もうとしたんですが、止めるんです。よそう、また夢になるといけねぇって」
「……夢」
 その一言が、氷水のように落ちる。
「サヤ、少し良いか?」
「何です?」
 小首を傾げる彼女の髪に手を掛け、うなじの辺りを露わにさせる。
「え? い、いきなり何ですか? ちょっと、アーニー!」
 頬を染め振り払おうとする彼女を押さえ、襟元を広げた。
 透き通るように白い、アーニーが何度も愛し掻き抱いた肌。触れる感触は、いつもと変わらない。
 だが。
「やっぱり、そうか」
 アーニーは彼女を離した。
「これは、夢なんだな」
968有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:22:31.75 ID:jcGnWEGG
「夢? 何を言っているのですか」
 怒ったように彼女は言う。
「そう、夢だ。君は……サヤじゃない」
 彼女が、はっと息を飲む。
「どうしてそんな事を」
「解るんだ、僕には」
 悲しそうな顔をする彼女。その姿が、水面のように揺らいだ。目眩を起こしたのかと思ったが、そうではなかった。
 景色が、人々が、ゆらゆらと形を失っていく。
「何だ、これは」
 喧騒が遠くなり、全てが抽象画のように歪んでいく。
『おやおや、困った子だ。これを夢にしちゃうのかい?』
 呆然とするアーニーに呼び掛ける声。
「――ッ、誰だ!』
 咄嗟に振り返り、銃を構える。だが、誰も居ない。より正確に言えば、何も無い。ただ、がらんどうとした空間だけが広がっている。
 見慣れたセンターシティの街並みも、道行く人々の喧騒も、何一つ無かった。
(こ、これは……⁉)
 気付けば、無の空間にアーニーは放り出されていた。
『良いのかい? 君が選びさえすれば、さっき見たものは夢じゃなく現実になる』
 どこからともなく問い掛けてくる声。ニヤニヤと、まるで物語に出て来るチェシャ猫のような声だ。
(この声、どこかで?)
 相手の姿は見えない。気配さえも感じられない。ただ声だけがアーニーにまとわりつく。
 アーニーは引き金に指を掛けたまま警戒する。しかし声が笑うだけで、何も触れてはこない。
『別に殺し合おうって言ってる訳じゃないんだから、物騒な物はしまったらどうだい? ただ聞いてるだけじゃないか。この世界を夢で終わらせて良いのかいって』
 ニヤニヤと声が囁く。不快ではあったが、殺気は感じない。アーニーは銃をホルスターに収めた。
『そうそう。何事も平和的な話し合いが一番だよ』
「さっきから一体お前は何を話しているんだ。夢が現実に、だって? そんな話を信じろとでも言うのか」
『そうさ。さっき見たものを信じれば、戦いは起こらない。大切な人を失う事も無い。お友達とだって仲良くしていられる。君はこういう世界を望んで居たんだろう?』
 声が気配を変えた。蠱惑的な、甘い響きがアーニーに迫る。
 抗い難い誘惑。
 何度も考えた事だった。過去に「もしも」は通用しないと解っていても。
 ジンと解り合えていたら、アーカムシティで撃墜されていなければ、ライオットに乗っていなければ、軍に入っていなければ――詮無い事だとは解っている。それでも自分は、選んでここまで来たはずだ。
『ねえ、本当はこんな世界が欲しかったんだろう?』
「そうかもしれない。だけど僕は、少佐や皆の選んだ道を否定したくないんだ」
 誘惑を、アーニーは凛と拒絶する。
『選んだ道だって? 死ぬ事が? 道を違えて対立する事が?』
 とんだお笑い種だね、と声は嘲笑する。
「やれる事を、やるべき事をやったんだ。そして自ら選び取ったんだ。僕だってそれは同じ……無かった事になんて出来ない」
 自身の運命を知りながら立ち向かい、そして散っていったリチャード。己の信じたものの為に消えていった仲間達。彼らが生きてくれていたら、助けられたなら、と何度思った事か。
 もし、この誘いを受け入れる事で彼らが生き続けられるなら、確かに幸せなのかもしれない。
 だが、彼らが命を賭して選んだ道はどうなるのか。それを軽々しく否定する事は出来ない。してはならないのだ。
 自分に出来るのは、彼らの生き様を、選んだ道を胸に刻み、覚悟と共に行く事だけだ。
『ふうん……ご立派だねぇ。本当に良いのかい? この平和を夢にしちゃって』
「平和は、未来は……僕達が自分の手で掴む。それが、選んだ道だ。覚悟は出来ている」
『そうかい。君なら、ここを選ぶと思ったんだけどな』
 せいぜい頑張って――投げやりなセリフを最後に、声は消えた。
 遠くで、誰かが呼ぶ声がする。先の意地悪い問い掛けの声ではない。一番大切な人の声。
 何も無い世界に、一筋の光が差す。広がった光は無を追い払い、アーニーを包み込んでいった。

――
969有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:23:40.05 ID:jcGnWEGG
 アーニーは目を開ける。
 ここはオルフェスのコクピットだ。一体自分は何を――そう思ったところで、呼んでいた声の主が視界に入る。
「大丈夫ですか、少尉」
 半開きになったハッチから、サヤが顔を覗かせていた。
「中々出て来ないので、調整に手間取っているのかと思ったのですが」
 呆れたようにサヤは言う。
「調整? ああ、そうか……」
 次の出撃に備え、各種センサーの調整をしていたのだ。どうやらその途中で眠ってしまったらしい。そんなに居心地の良い場所ではないのだが、余程疲れていたのだろうか。
(いや、あの声は――ただの夢だとは思えない)
 だとしたら、あれはやはり「有り得た現実」だったのだろうか。
 もしあれを選んでいたら、自分は、この世界はどうなっていたのだろう。一欠片の夢と消えるのだろうか。そうだとしたら、消えるのは世界か、それとも自分か。
「少尉?」
 これもまた、夢なのか。
 現実だと断じる事が出来ない。
「サヤ、少し良いか?」
 彼女をコクピットの中に招き入れる。サヤは怪訝な顔をしたが、頷いて中に入った。
 開閉スイッチを操作し、ハッチを閉じる。完全に閉じた事を確認し、アーニーはサヤを抱き寄せた。
「ちょ、いきなり何を……少尉!」
 サヤは身をよじるが、構わずに抱き締める。シートに座ったまま自分の膝に抱え上げ、背中に腕を回した。
 服越しに伝わる体温。夢に似た柔らかさ。確かめたかった。これは、夢ではないのだと。
 サヤの髪を掻き上げ、襟元を広げる。そして胸元にも手を掛け、服をずらした。
「な、何をするんですか」
 白い肌に咲いた、薄赤紫の花。髪と服でギリギリ隠れる場所に付けた痣。アーニーが彼女を抱いた印だ。
「隠すの、結構苦労してるんですよ」
 サヤは口を尖らせ、服を直す。
「だけど、そのお陰で僕は……あれを夢だと気付けたんだ」
 夢で見た「彼女」に、この印は無かった。それが、何よりの証拠だった。目の前に居るのはサヤだ。自分のよく知る、そして一番愛する人だ。
 だから信じられる。これが、確かな現実なのだと。
「夢? 少尉?」
 何の事かと問う彼女を無視し、直したばかりの服をもう一度ずらした。アーニーは露わになった印に口付ける。薄くなっていた痣が、濃い色に変わった。
「せっかく少し消えてきたのに……」
 彼女の抗議を無視し、アーニーは花の数を増やしていった。服の前を開き、白い肌を舐める。
970有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:24:29.31 ID:jcGnWEGG
「こんなところで……駄目です、少尉」
「最後まではしないさ。続きは、部屋に帰ってからすれは良いし」
「だったら今から……いえ、そういう問題じゃありません。コクピットですよ、ここは」
「解ってる」
「だったら……んんっ!」
 サヤの反論を唇で塞いだ。ジャケットを床に落とし、露わになった肩を指でなぞる。彼女の唇がわななき、震える吐息がアーニーの耳をくすぐる。耳の後ろで、鼓動が大きく波打った。
 ベルトを外し、ファスナーを一番下まで引き下ろす。そして左腕で腰を抱き寄せ、右手を下着の中に潜り込ませた。
「スカートにすれば良いのに」
「馬鹿な事言わないで下さい。少尉、これ以上は……あっ!」
 ぬるついたものが指に絡む。
「これ以上は、何?」
 アーニーは小さく笑い、濡れそぼったそこをなぞる。
 サヤがアーニーの首に抱きつき、声を上げた。その背中越しに動く影。ハッチは閉めたはずだと思わず息を飲んだが、理由を知って安心する。
 センサーカメラが起動したままだったのだ。モニターに格納庫の様子が映って居る。ずらりと並んだ機体の合間を、整備士達が行き交っている。先の影はその一人だった。
 誰も自分達がここで何をしているか知らない。見る事も出来ない。
 背徳感が背筋を震わせる。それと同時に、どうしようもなく興奮していた。そんな趣味は無いはずなのだが、あの夢がそうさせているのだと自分に言い聞かせる。
 狭いコクピットの中に、サヤの喘ぎ声と水音が響く。
 人差し指で中を探る。根元まで差し込むと、溢れたものが手の甲を伝った。
「ふぅ、ううぅ……」
 シートの隙間に膝を立て、サヤはアーニーの愛撫に身を震わせていた。
「やっぱり、駄目です……こんな、ところで……ッ! あうっ!」
「止めても良いの? こんなになってるのに、止められる?」
 指の数を増やし、中を広げて擦る。指が締め付けられ、動かしにくくなってきた。アーニーはそこをこじ開けるようにして、指を奥へと潜り込ませる。
「やっ、ああっ、ふあぁぁっ!」
 膝立ちの格好でサヤは喘ぐ。
 アーニーは中を彼女の中を探り、指を曲げてある一点を押した。
「あぁぁああっ!」
 背中を反らし、コクピット一杯に響く声を上げるサヤ。
「ここ、か」
「ふ、く……んんっ! そこ、駄目です……う、あぁ」
 強く押す度に彼女の身体が跳ねる。目は潤み、上気した頬に髪が貼り付いていた。
 力が入らなくなってきたのか、サヤの膝が崩れそうになっている。
「わ、私っ……このまま、じゃ……!」
「良いよ――我慢しないで、ね」
 サヤの身体を支え、更に奥へ指を押し込む。
「駄目、そこ……アーニー……ッ! あ、あぁぁ、やあぁああ!」
 引き絞るような声を上げ、サヤは全身を震わせた。指がきつく握り込まれ、彼女が達したのだと伝えてくる。
「あぁ……アーニー……」
 上気したサヤの頬に、涙が一筋こぼれ落ちていた。

――
971有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:26:43.24 ID:jcGnWEGG
 律動の収まったサヤの中から指を引き抜くと、彼女は糸が切れたように崩れ落ちた。はだけた服から覗く肌は、大理石のようにしっとりとしている。
「はぁ、はぁ……うぅ……ん……」
 弛緩した身体をアーニーに預け、サヤは荒い息を吐いていた。しばらくは動けないだろう。濡れた指先を自分の舌で拭い、アーニーはサヤを抱き締める。
 最後までしないと言った手前、これ以上の事は出来なかった。そもそも、後始末を考えれば出来る訳がない。
(けどなぁ……)
 今すぐにでも抱きたい、というのが正直な気持ちだった。彼女の言う通り、部屋に戻っていれば良かったと思う。
 勢いでしてしまったが、これは生殺しに近い。膝に抱いたサヤの身体に劣情が駆り立てられる。それに加え先の痴態が眼裏に焼き付いて離れず、さらにアーニーを煽り立てる。
「……自業自得だな」
 動くに動けない自分に、苦笑する他無い。
「だから、言ったんですよ……」
 気怠そうに身を起こし、サヤが言った。アーニーの膝から降り、ファスナーを引き上げる。彼女の足元は少しふらついていた。
「今からでも時間はあるでしょうし、戻りますか?」
「そうしようって言いたいところなんだけどね。立てるまで、ちょっと時間掛かりそうだ」
「私は何とか歩けますけど……?」
「いや、そういう意味じゃなくてね」
 どう説明したものか、と考えあぐねる。ストレートには言いづらい。
 眉を寄せたサヤが口を開きかけ、何かに気付いた。みるみる顔が赤くなる。
「えっ、と……その……お、収まらないとって、事ですよね……」
「まぁ、そういう事」
 今し方乗っていた脚の辺りがどうなっていたのか、降りて初めて解ったのだろう。
「このまま外に出る訳にはいかないでしょ。何とか、落ち着かせないとね……」
 そう言ったものの、一度昂ぶったものは簡単には落ち着かない。サヤを前にしていては尚更だ。
「すぐには出られそうにないから、君は先に戻った方が良いよ」
「いえ、その……私が、何とかしてみます」
 知識だけはあります、とサヤは身を屈めた。一体何をするのかと確認するまでもなかった。
「そっ、それは! 駄目だ、サヤ!」
 サヤの手がアーニーのベルトを外し、ジッパーを下ろす。
「気持ち良いかどうかは解りませんが――」
「そういう問題じゃ……ッ!」
972有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:29:38.76 ID:jcGnWEGG
 彼女の中とは違う、生温かくてぬるりとしたものがそれを含んでいた。
 流石に全部は苦しいのか、半ば辺りまでを咥え、根元の辺りを手で握り込んでいる。
「どこでそんな事を――うっ……!」
 爪先まで痺れる程の快感に、呻く事しか出来ない。
 頬を染め、舌を絡ませながら、サヤの顔が細かく動く。立場が完全に逆転していた。
 湿った音が、自分を咥え込むサヤが、アーニーの劣情を刺激し続ける。
「く……あ……」
「気持ち、良いですか? ん、んん……」
「っ、あ……ああ……凄く、良いよ」
 かすれた声で伝えると、サヤは照れたように微笑んだ。
「ふ――うッ!」
 サヤが深く顔を埋めた。アーニーを根元まで咥えている。そのままぬるりと舌を絡ませ、アーニーを攻める。
「駄目だ……ッ、サヤ、それ以上は……!」
 だが、彼女は愛撫を止めない。それどころか、徐々に強くしていく。アーニーが果てるまで続けるつもりだろう。
「う、く……」
 このまま出してしまう訳にはいかない。殆ど残っていない理性が叫ぶが、サヤはそれを舐め溶かしていく。
「サヤ……!」
 引き抜こうとしたが果たせなかった。限界にまで膨張した熱が放たれる。
「う……あ……ふ、くぅ、う……」
 身体を震わせ、彼女の喉奥に全てを吐き出す。
「ん――ッ」
 奔流を全て受け止め、サヤはアーニーから口を離した。こくり、とその喉が動く。
「なっ……サヤ……!」
 唖然とするアーニーに、サヤは微笑む。
「アーニーが気持ち良かったなら、私は嬉しいですから」
 うなじに咲かせた花が覗いた。一度消えかけた火が、燃え盛りそうになる。
「アーニー? あの、やっぱり、駄目でしたか?」
「いや。その……せっかく落ち着きかけてきたんだから、あまり刺激しないでくれ……。また出られなくなりそうだ」
 サヤは一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、顔を伏せたアーニーを見て笑い出す。
「解りました。続きはここを出てから、という事にしておきましょうか」
「そうしてくれると助かるよ。このままじゃ、ここで徹夜する事になりそうだ」

――
973有り得た未来の貌:2013/06/04(火) 18:30:19.82 ID:jcGnWEGG
 オルフェスのシステムを切り、コクピットハッチを開放した。整備士は相変わらず機体の間を行き来していたが、それぞれ散らばっているからか少なく感じる。
「うう……何か喉の辺り、変な感じが……」
「それは僕が全面的に悪かったよ。だけど、あんなもの、飲み込むものじゃないと思うけど……」
「ああするしか無かったでしょう?」
「ハンカチくらいは持ってたんだし、そっちにって方法も……」
「後が大変ですよ。どうやって持ち歩くんです? ポケットに入れられるんですか?」
「そ、それは、その……」
 服の乱れや汚れが無いか確認し、二人は機体の外に出る。幸い、オルフェスの周囲には誰も居なかった。
 密閉されたコクピットと違い、格納庫は涼しい。
「生温かくて、苦いような、しょっぱいような、それでいてまとわりつく感じです」
「味の解説は止めてくれないか……」
 サヤの手を取り、タラップに降りた時だった。
「あれぇ? 何で二人一緒に出て来るの?」
 甲高い声。誰も居ないはずなのに、と二人は息を飲んだ。
「オルフェスは一人乗りでしょ?」
 ひらひらと飛び回る小さな姿。チャムだ。なるほど、彼女なら気付かなくて当然だったかもしれない。
「アーニーの機体なのに、サヤも一緒に何してたの?」
 言葉に詰まった。止まりかけた思考で、どうにか言い訳を絞り出す。
「僕らの機体は合体するだろう? それの調整で色々とね」
 何とかごまかすが、背中を冷たい汗が伝う。
「ふぅーん。大変なのね」
「それより、チャムはどうしてここに? またエレボスとかくれんぼかい?」
「そうなのよ! エレボス、どこに行っちゃったんだろ」
 オルフェスが隠れ場所に選ばれなくて良かった、とアーニーは胸を撫で下ろす。一部始終を見られていたら一巻の終わりだ。
「前みたいに誰かの機体に隠れたまま出撃は止めてくれよ。ショウさんに怒られるぞ」
 解ってるわよぅ、と二人に手を振ってチャムはどこかへ飛んで行った。
「……やれやれ」
 チャムならまだ無邪気で良いが、相手がエレボスだったらもう少し厄介な事になっていたかもしれない。アーニーはサヤを少しだけ庇うようにしながら艦内に戻る。
「一旦、部屋に帰ります」
「そうだな。その方が良いかもしれない」
 小声で囁きながら、そっと指先を絡ませる。
「じゃあ、また後で、かな」
「そうですね」
 廊下の向こうから仲間達の声が近付いてくる。別れのキスはお預けだ。サヤが残念そうに指先を強く握り、アーニーに背を向けた。
(もしあの夢が現実になると言われたら、君はどうする?)
 その背を呼び止めようとして、止める。問うたところで、どうしようもない話だ。
 夢の事は忘れてしまおう。生きるべき世界は、ここにある。あれが有り得た一つの世界だったとしても、自分は今、ここにいる。
『そう決めたなら、好きにするが良いよ』
 意地悪い声が笑った気がしたが、アーニーは振り返らなかった。
974アーニー×サヤの人:2013/06/04(火) 18:31:07.95 ID:jcGnWEGG
以上です。
それでは、失礼しました。
975名無しさん@ピンキー:2013/06/04(火) 20:27:11.37 ID:QF+HOv9r
>>974
GJでした。確かにアーニーは目覚めてるし、サヤは成長してるなw
どこまで行くのかそっと見守りたいw
976名無しさん@ピンキー:2013/06/05(水) 00:35:37.30 ID:6//uiJWY
乙なのであーる!
アニサヤ癒されるなあ
977アーニー×サヤの人:2013/06/05(水) 21:37:17.11 ID:rXFZjGuJ
ぼちぼちこのスレもおしまいってとこですかね
梅がてら投下してたけど、連続でやるのはやっぱ良くないかな
既に三連続やらかしてしまった訳ですが
明日くらいにいけたらいいなとは思ってるけど

投下出来るのも葵さんの話じゃないしなー
978名無しさん@ピンキー:2013/06/05(水) 23:37:20.42 ID:/l9y0DX8
>>977
自分のペースでいいんじゃね。
読みたい人の主張を聞くのは、やれる人がやればいいのさー。
979名無しさん@ピンキー:2013/06/06(木) 09:12:59.03 ID:yglLl7UE
>>977
投下自体が最近少ないから
ネタがあるならどんどん投下してほしいな
980アーニー×サヤの人:2013/06/06(木) 22:34:18.31 ID:ye4YibLX
お言葉に甘えて、投下いきます。

・前回の続きです
・時系列は3部です
・冒頭にアーニー×アユルありますが、アーニー×サヤです
・サヤは暴走しました
・アーニーは仕置人になりました
・暇を持て余した邪神の遊び

では、いきます。
981夢の痕:2013/06/06(木) 22:35:12.40 ID:ye4YibLX
 アーニーの手が、白い肌をなぞる。
「やっ、駄目です、そこは……!」
 彼は優しく微笑むだけで、手の動きは止めない。
「あ、ああっ!」
「大丈夫だよ、全部……僕に任せて」
 そう言って、彼は彼女に口付ける。
 彼が抱いているのは、金髪の少女。
 ふわりとした白いドレスが剥ぎ取られ、まだ幾らか幼さを残した瑞々しい肢体が露わとなる。
「アユル」
 彼が少女の名を呼ぶ。
 少女――アユルはうっとりと彼を見上げ、細い腕を彼の背に回した。
「ベルジュ少尉……」
 アーニーがアユルをゆっくりと貫く。彼女の身体が仰け反り、歓喜に震えていた。
「君の命は、僕が導く。僕が、必ず君を……」
「や、あぁ、少尉――ベルジュ少尉ッ!」
 ベッドが軋む。シーツが掻き乱され、喘ぎ声が響く。
 薔薇色に染まる肌と絡み合う肢体。囁かれるのは互いの名と愛の言葉。
 それを愕然と見つめる、一つの影。
「アーニー……」
 彼はそれに気付かない。彼の目に映っているのは、アユルだけだった。彼女は、彼の全てとなっていた。

――

 珍しくのんびりとした時間が流れていた。
 ジェフリー艦長はモニカを伴いサーフィンへと繰り出し、竜宮島の子供達は生徒会の仕事に勤しみ、UX指揮官のアーニーは自室でうたた寝する程に穏やかな日。
 それは、呆気なく終わりを告げた。アーニーだけ、だが。
「少尉ッ! 一体どういう事ですか!」
「……え、何?」
 戦場に身を置いているからか、身体は反射的に起きていた。しかし、頭が全く付いてこない。
 そもそも、ここはアーニーの自室だ。部屋のロックは自動的に掛かる。招き入れるか余程の緊急時でもない限り、誰かが部屋に立ち入る事は出来ないはずだ。
 何故、サヤがここに居るのだろうか。しかも、般若の形相で。
「何で君がここに? 部屋のロックは?」
「ロック? 強制解除しましたよ!」
「へ? えぇっ⁉」
 状況が全く理解出来ない。
「説明して下さい、少尉。あれは一体どういう事なんですか」
「な、何の話?」
「とぼけないでください! あの子はどこですか」
「あの子?」
「アユルです!」
「はあ⁉」
 その名前には聞き覚えがある。確か、ジンのパートナーとして赤い機体を駆る少女だ。だが、戦場で刃を交えた以外に接点は無い。
「その子が、どうしたの?」
「白を切るつもりですか?」
「白を切るも何も……」
 どう振り返ってみても、サヤに詰られるような事は無い。一体彼女は何に怒っているのか。知らずに怒らせるような事をしてしまったのだろうか。
「とりあえず落ち着いてくれよ、サヤ」
「私は落ち着いてます」
「そうは思えないんだけど」
「それはあなたが……!」
 ぐ、と肩を掴まれ、アーニーはそのままベッドに押し倒された。
 頭はもう起きているはずなのだが、やはり状況が解らない。
「あなたがあの子と関係を持ったから!」
982夢の痕:2013/06/06(木) 22:36:04.84 ID:ye4YibLX
「はい?」
 空間跳躍レベルに吹っ飛んだ話に、アーニーは素っ頓狂な声を上げる。
「関係って……えっと……?」
「部屋に連れ込んで――私以外の人と!」
 自分はサヤしか知らない。大体、アユルを部屋に連れ込む事はまず不可能だ。何の妨害も無くアユルがここに来られるとは思えないし、来る必要も無いだろう。
「ヘル・ストリンガーで吊り上げて差し上げましょうか」
「オルフェスの制御は僕がやってるんだから出来ないんじゃ……」
「エンド・オブ・リバースで叩き切りましょうか」
「オデュッセアじゃないと使えないし……って、そういう問題じゃない!」
「だったらリュラー・マインでオルフェスごと木っ端微塵に!」
「だから、さっきから君は何を言っているんだ⁉」
 質の悪い冗談にしか聞こえないが、サヤは冗談を言っている風には見えない。目は本気だ。
 馬乗りになったサヤが、アーニーの襟首を掴む。
「ま、待て待て待て! 僕は何もしてない!」
「じゃあ、あれは一体どういう事だったんですか!」
「どういう事も何も――」
「お取り込み中申し訳ないんですが、ドア、全開ですよ?」
 割って入った呆れた声はシンのものだった。部屋の入口を見ると、確かにドアは開いたままだ。そして、覗く顔はシンだけではなかった。
「いや……結構、外まで聞こえてたもので……」
 そう言ったのはルナマリア。
「つかぬ事をお聞きするです。お二人は恋人なのですか?」
「やめなさい、ミレイナ」
 空気の読めていないミレイナと、それをたしなめるフェルト。
「浮気、ですか」
「城崎! 目、目!」
 ファクターアイを発動させる城崎と、慌てて止める早瀬。
「喧嘩ですか?」
「んん、子供にはちょーっと早いわねぇ」
 心配そうなジョーイと、どことなく愉快そうな笑みを浮かべる葵――などなど。
 一体どこからやって来たのか、見物するメンバーで部屋の外は混乱を極めていた。
 指揮官の立場がどうとか、誤解や曲解が渦巻いているとか、そんな事はどうでも良かった。ただ、一刻も早く解放されたい――それだけだった。
「とりあえず、俺らは席を外した方が良いですね」
 アーニーの心境を察したのか、それとも最初に声を掛けた責任でも感じたのか、シンがギャラリーを解散させる。
「それじゃあ、ごゆっくり」
 最後にルナマリアが曰くありげに笑ってドアを閉めた。

――

 
983夢の痕:2013/06/06(木) 22:36:44.67 ID:ye4YibLX
 後に残されたのは、疲れ切ったアーニーと、彼に馬乗りになったまま困惑するサヤ。
「降りて貰っても良いかな」
「――解りました」
 気勢を削がれたのか、サヤは素直に応じる。
 気まずい沈黙。寝癖の付いた髪を撫で、参ったな、とアーニーは溜め息をついた。
 サヤはうつむいたまま何も言おうとしない。その姿に、アーニーは少し苛立っていた。
「……で、何だったの?」
「え、えっと……」
 低い声で問い質すと、サヤは身を強張らせる。
「あなたが私の目の前で、あの子の事を……」
「あの子? アユルって子を、僕が抱いたって事?」
「そ、そうです。だから――どういう事なのかと」
 馬鹿馬鹿しい。口にこそ出さなかったが、表情には出てしまったのだろう。サヤがびくりと震えた。
「どういう事って言いたいのはこっちだよ。僕がどこで、そんな事を?」
「こ、この部屋で……」
「誰にも気付かれずに、敵対する相手を? そもそも、いつの話? 君はそれを見ていたの?」
 畳み掛けるように問うと、彼女は言葉を詰まらせる。
 下らない。今度は、口に出した。
「夢でも見てたんじゃない?」
「でも、あれは……あんなにはっきりとして……」
「区別が付かなかった、と」
 サヤは小さく頷いた。
 そういった夢なら、アーニーにも覚えがある。確か、オルフェスのコクピットで眠ってしまった時だった。夢の細部までは記憶していないが、見ていた時は現実なのか夢なのか解らなかった。
 ただの夢とは思えずに混乱する気持ちは理解出来る。しかし、騒ぎ立てて良い理由にはならない。
 あれだけの人数に騒ぎを見られたのだ。何らかの釈明は必要だ。一体どう説明したものか。そんな事ばかりが頭を巡る。
「ごめんなさい……」
 消え入りそうな声でサヤは詫びた。
「別に、良いけどさ」
「あの、やっぱり……怒ってますか?」
「少し、ね」
「本当に……ごめんなさい……」
 サヤは今にも泣き出しそうだった。
 怒りと苛立ちは、まだ完全に消えてはいなかった。だが、彼女にぶつける訳にはいかない。これ以上責めたところで、双方が嫌な思いをするだけだ。
 アーニーは溜め息をついてベッドから腰を上げた。
「少尉……」
「少し、頭を冷やしてくるよ。君はここに居ても良いし、自分の部屋に帰っても良い。好きにしてくれ」
「えっ、あ……少尉!」
 戸惑う声を置き去りにしたまま、アーニーは部屋を出る。苦い気持ちが、胸の中に広がっていた。

――

 
984夢の痕:2013/06/06(木) 22:37:26.96 ID:ye4YibLX
 レストルームに向かう途中、騒動を見ていたであろうメンバーとすれ違った。しかし、軽く声を掛ける程度で、深く追求はしてこない。
 気を遣っているのか、何かを察しているのか。有難いと言っていいものか、複雑な気分だった。
 ドリンクサーバーでコーヒーを淹れ、一息つく。
「……ん?」
 少し離れた席で、シンがグラスを傾けていた。アーニーに気付き、軽く手を上げる。
「落ち着きました?」
「クールダウン中」
 ああ、とシンは苦笑する。
「ルナがサヤさんを途中で見掛けてたらしいんですけど、声を掛けられる雰囲気じゃなかった、て言ってました」
「だろうね」
 血相を変えたサヤに声を掛けるのは、相当な勇気と覚悟が必要だろう。
「……あの、何があったのか、聞いても良いですか?」
 シンがおずおずと口を開いた。
「簡単に言えば、サヤの勘違いみたいだよ。僕が誰かを部屋に連れ込んだって」
 端的にはこの解釈で問題無いだろう。夢がどうこうなどと説明しても仕方ない。却ってややこしくなるだけだ。
「はあ……勘違い、ですか」
 いわゆる痴話喧嘩の類ですかね、とシンは更に端的に評した。
「聞いちゃって良いのか解りませんが……お二人って、そういう関係なんですか?」
「そうなるかな」
「ああ、やっぱりそうでしたか」
 シンは氷を一つ噛み砕く。
「驚かないんだ?」
「薄々そうじゃないかなって思ってましたから。多分、皆もそうですよ」
 そもそも関係を結んだ最初の日、部屋から出て来たところをミシェルに見られていたのだ。声を掛けてきたのが彼だっただけで、他にも見ていた者が居てもおかしくない。
 一応普通に振舞っているつもりだったが、周囲から見れば関係は明白だったのだろう。ただ、誰も面と向かって聞かなかっただけで。
「そう言えば、サヤさんは?」
「部屋に残して出て来たから……まだ僕の部屋に居るか、自分の部屋に帰ったか」
「俺が言えた義理じゃないですけど、フォローしてあげた方が良いんじゃないですか? そのままにしておくと、変にこじれちゃいますし。放置される方が傷付くって、ルナが前に言ってましたよ」
 フォローと言われても、何をすれば良いのか。早とちりを諌めて自分はもう怒っていないと伝えれば良いのだろうか。
 シンならどうするだろう。そう聞きかけて、止めた。これは自分自身で解決すべき事だ。
「やっぱり、ちゃんと話すのって大事だと思いますから。一騎と総士だって……いや、あれはちょっと不器用過ぎでしたけど」
 二人のやり取りを思い出し、アーニーは吹き出す。総士がもしここに居たら、自分もやった事だと同意するだろう。
「そうだな。そうしてみるよ」
 アーニーはカップを手に席を立つ。
「皆には俺が適当にごまかしておきましょうか?」
「いや、後で僕が話すよ」
「解りました」
 頑張って下さい、とシンは笑ってアーニーを送り出した。

――

 
985夢の痕:2013/06/06(木) 22:39:32.81 ID:ye4YibLX
 サヤはアーニーの部屋に居た。ベッドの上で膝を抱え、所在無さそうにしている。
「少尉……」
 どう声を掛けたら良いものか。謝るのは何か違う気がするし、まだ居たのかと問うのは冷たいだろう。
「やっぱり、まだ怒ってますか?」
 黙ったままのアーニーに、サヤが泣きそうな声で聞く。
「いや、怒ってないよ」
「そうですか……」
 安心したのか、彼女は小さく息を吐いた。
 少し躊躇ったが、アーニーはサヤの隣に腰掛ける。躊躇いが、二人の間に隙間を作っていた。
「夢を見たのは、初めてなの?」
「ああいうのは。でも普通の夢は、よく見ます。荒唐無稽なものも、とてもリアリティがあるものも」
 サヤがぽつりぽつりと言葉を落とす。
「見ている時とか起きたばかりの時は、それが夢だと思えなくて、軽く混乱する事もあります。でも、すぐに夢だって気付きますし、現実と錯覚する事もありません」
 アーニーはじっと彼女の話に耳を傾ける。
「それなのに、今回は……あれだけは、どうしても夢だと思えなかった」
「どうして?」
「解りません。今もまだ……夢だって信じられなくて」
「僕はそんな事しないし、出来ないし、そもそもするつもりも無い」
 余程現実味を帯びた夢だったのだろう。頷くサヤの瞳が揺れていた。
「忘れた方が良いよ、もう。事実じゃないし、有り得ない事なんだからさ」
「それはそうですけど……でも……」
「僕が信じられない?」
「違います!」
 サヤが身を乗り出し、アーニーの腕を掴む。
「夢であっても、あなたが私以外の人を抱くのは見たくなかった。だから、凄くショックで、混乱して、どうして良いのか解らなくなって……」
 その結果が騒動に繋がってしまった、とサヤはうなだれた。
「まあ、どう説明するとか、そういうのは後で考えるさ。それでもうおしまいにしよう」
「ですが――それでは、その、私の気が済まない、と言うか……」
「謝ってくれたし、充分反省してくれたし、僕はそれで良いんだけど」
「でも……」
 どうしても彼女なりに償いがしたいのだろう。何か言わねば、引き下がりそうにない。参ったな、とアーニーは溜め息をつく。
 大袈裟な事をさせるつもりは毛頭無い。サヤの気が済む程度に軽い事は無いか――その問いが頭を数周したところで、ふと思い付く。
「それじゃあ、サヤ」
「はい」
「君からキスしてよ」
「え?」
「いつも僕からでしょ? 君からしてくれたら、それでこの話は終わりにしよう」
 サヤは言葉に詰まるが、悪くない条件だろ、とアーニーは笑う。
「わ、解りました。少尉がそう仰るのなら……」
 覚悟を決めたのか、サヤは深呼吸してアーニーを見つめた。一度だけ部屋の入口に目を遣った。閉まっているか確認したのだろう。
986夢の痕:2013/06/06(木) 22:40:22.68 ID:ye4YibLX
「目を閉じて下さい」
「あはは、何か緊張するというか、照れると言うか、変な感じがするなぁ」
「しょ、少尉が仰ったんですよ? 早く目を閉じて下さい!」
 解ったよ、とアーニーは応じる。軽く目を閉じた瞬間、柔らかな感触が唇に触れた。確かめるように輪郭をなぞる。だが、それ以上は踏み込まず、最後に少しだけ強く押し付けて離れた。
 何度も重ねたはずなのに、まるで初めて触れたかのようだった。
「これで、良いんですか?」
「上出来だよ」
 アーニーがそう言うと、サヤは顔を真っ赤にしてうつむいた。
「これで話は本当におしまい。君も色々疲れただろうし、部屋に戻って休むと良いよ。僕も昼寝の続きをするつもりだから」
「解りました、けど」
 サヤが何か言いたげにアーニーを見る。
「何?」
「その……キスするだけで、本当に、良かったんですか?」
 彼女の声が薄っすらと熱を帯びていた。
「僕はそれで構わないんだけどね。君は、違うの?」
 その熱に気付かないフリをして、わざととぼけた風に聞く。
「そういう、訳では……」
「だったら、もう良いだろう?」
 僕は一眠りするよ、とアーニーはベッドに寝転がった。その視界を、サヤの影が覆う。
 何、と問う前に唇が塞がれた。
 先の触れるだけのものとは違う、深いキス。不慣れな彼女の舌が、恐る恐るアーニーの唇を割る。
「ん……」
 差し込まれた舌が、そっとアーニーを探っていた。どうして良いか解らないのだろう。遠慮がちに口内をなぞる。
 もどかしさがアーニーを駆り立てた。サヤの背に腕を回し、今度は彼女の口内をなぞった。
「んん……ッ!」
 長いキスからサヤを解放する。彼女の呼吸が、少し早くなっていた。
「君からのキスは、一回だけで良かったんだけど?」
「でも……」
「キスだけじゃ、物足りない?」
「――ッ」
「それなら、そう言ってくれないと……ね?」
 仰向けに寝転んだまま、サヤの頬に手を伸ばす。触れた肌が熱くなっていた。
「夢で見た姿が、まだ目に焼き付いているんです。このままだと、また同じ夢を見るかもしれません。やっぱり、それは嫌なので……」
 ふいと視線を逸らしながらサヤは言う。
「ふうん……その為に?」
「駄目、ですか」
「そういう事にしておいても良いけど、素直に言ってくれた方が嬉しいかな」
「素直にって……わ、私は素直に言いましたよ」
「本当に?」
 ぐ、と彼女は押し黙る。
「言えないなら、別に良いんだけどさ」
 アーニーが追い打つように笑うと、サヤは観念したように目を閉じた。
「アーニー」
「何?」
「抱いて下さい、私を……。これで、良いですか?」
「――上出来、だよ」
 アーニーは身を起こし、サヤの頭を撫でる。
「……死ぬ程恥ずかしいのですが」
「だろうね。言われた僕も同じだよ」
「そ、それはあなたが……」
「解ってるよ。でも、僕が言ったから、君は素直に従ったのか?」
「うう……」
 違うと言いたかったのだろうが、恥ずかしさで声が出ず、サヤは首をふるふると振った。
「それなら良いさ。……おいで、サヤ」
 アーニーはサヤを抱き寄せ、ベッドに横たえた。

――

 
987夢の痕:2013/06/06(木) 22:41:09.27 ID:ye4YibLX
 昼寝の続きは出来そうにない。そう呟きながらアーニーはサヤの肌を舐める。舌先で汗の味を転がし、指先で胸の先を弄ぶ。
「終わってから眠れば良いのでは?」
「終わってから、ね。中断って選択肢は無いんだ?」
「それは……んっ!」
 もし止めてくれと言われたとしても、そうするつもりは更々無い。それに、彼女だって止めるつもりはないだろう。
「あ、あの……一つだけ良いですか?」
 息を乱しながら、サヤがじっとアーニーを見上げた。
「ん?」
「私も、アーニーと同じ事をしても良いでしょうか」
「良いけど……何を?」
 困惑するアーニーの首筋を抱き寄せ、サヤが唇を押し付ける。
「そこはマズイよ。服で隠せない」
「……思い出したんです」
「何を」
「あなたが私に痕を付けていたから、あなたは夢だと気付けたって。また夢を見たとしても、これで解りますから」
 咲いたばかりのそれを、サヤの指先が愛おしそうに撫でる。
「それなら、仕方ないか」
「ありがとうございます」
 アーニーは笑って、彼女の身体をシーツの海に沈めた。
 触れ合う肌が熱を帯びる。どこまでが自分で、どこからが彼女なのか。境目が掻き乱され、溶け合う。
「サヤ――!」
 一度だけでは終わらず、二度三度と身体を重ねる。
 サヤの中に残る夢の残滓を追い出すように、アーニーは強く彼女を抱いた。絶頂に震える身体を容赦無く攻め立て、追い詰める。
「こ、これ以上は……ッ! や、あ、アーニー!」
「ん……まだ、いけるでしょ? ほら――」
 力なくシーツに伏せるサヤを後ろから抱き締めた。
「え? アーニー……駄目、あ、あぁぁッ!」
 細腰を掴み、引き寄せる。
「嫌……こんな格好……!」
「そう言ってるのは、口だけ、みたいだよ?」
「ち、違っ……アーニー! 本当に駄目、ふ、あぁあ、やぁッ」
 奥まで貫くと、サヤは背中を反らせて喘いだ。黒髪がアーニーの動きに合わせて乱される。
 その姿が、アーニーの情欲を煽り立てた。全身をぶつけるように、激しく突き立てる。
「や、あ、あぁ、もう……私……!」
「僕も――う、くッ……」
 最奥にねじ込み、押し付ける。
「サヤ……ッ、ふ、ぅ、うう……!」
 最後の枷を外し、溢れ出した奔流を全て、彼女の中へと流し込んだ。
「はぁ、はぁ、は……う、ぅ」
 数度目なのに、吐き出す熱の勢いは変わらなかった。跳ね上がった鼓動と共に、ようやく収まった昂りを引き抜く。
「あ……アーニー……」
 溶けたようにベッドに崩れるサヤを抱き締め、汗の浮かぶ額に口付けた。
「少しだけ、眠くなってきました」
「ああ。僕も流石に……」
 アーニーがあくびを噛み殺すと、サヤは小さく笑った。
 少し遅くなった昼寝の続きだな、とアーニーはサヤを抱き寄せる。
「狭くないですか? 腕も痺れるでしょうし……」
「たまには、良いんじゃない?」
「それならお言葉に甘えて……」
 ぎゅ、と体温が絡みついた。サヤの髪が、アーニーの頬をくすぐる。
「お休み、サヤ」
 幾度目かのキスを彼女に落とし、アーニーは目を閉じた。

――

 
988夢の痕:2013/06/06(木) 22:42:09.27 ID:ye4YibLX
 サヤを途中まで送り、アーニーはレストルームへと向かう。その道すがら、シンに会った。
「仲直り、出来たみたいですね」
 シンは苦笑しながら首筋を指す。
「目立つ?」
「髪で何とか隠せそうな気もしますけど」
「子供も居るし、気を付けないとな……」
 今更ですか、とシンは笑い、少しだけ真面目な表情になる。
「とりあえず、どう説明するつもりなんですか? このまま放っておくと、多分面倒な話になると思いますけど」
「ありのまま話すよ。僕の部屋に金髪の女の子が入っていったのをサヤが見かけて、どういう事かと乗り込んで来たんだって」
 嘘は言っていない。夢の話だと明かさないだけで。
「はあ……勘違いって、それが真相ですか」
 予想だにしない答えに、シンが唖然とする。
「うん、これが原因。冗談みたいな話だけどね」
「そうですか。で、その金髪の女の子って?」
 アユルだと口にしかけて、止める。その名前を出せば、更に要らぬ誤解を呼びそうだ。
「該当者は居ないよ。大体、そんな子が僕の部屋に来てたら、他にも誰か見てるでしょ?」
「それもそうですね。……一人で説明するの大変でしょうし、俺からも他の人に伝えます」
「ごめん、お願いするよ」
 シンは笑顔で頷いた。
 彼のお陰で騒動は沈静化したのだが、どこでどう間違ったのか「金髪の女の子の幽霊が徘徊している」という噂に発展してしまった。そのせいで、夜な夜な金髪のメンバーが幽霊に間違えられ、行く先々で悲鳴を上げられるハメになったという。


 後日、アーニーとサヤはジン達と戦場で相見えたが――。
「アーニーィィィイ! 貴様! アユルに何をしたぁぁあ!」
「一体何の話をしているんだ、ジン!」
「スペンサー大尉は渡しません!」
「変な言い掛かりはやめてください!」
 そんな修羅場が繰り広げられたという。
『パートナーが違う世界も、また有り得た話だと思うけどね。いやいや、楽しいねぇ』
 そして、その修羅場を眺めて笑う声が居た事に、誰も気付く事は無かった。
989アーニー×サヤの人:2013/06/06(木) 22:47:53.76 ID:ye4YibLX
以上になります。
お目汚し失礼しました。

……アーニーは19なんですよね、そういえば。
990名無しさん@ピンキー:2013/06/06(木) 23:32:17.42 ID:yglLl7UE
GJ
相変わらずサヤが可愛くていいな
991名無しさん@ピンキー:2013/06/06(木) 23:33:36.75 ID:Yi304+if
GJ。
サヤさん可愛い。そしてどんどんアーニーがSになっているな…いいぞもっとやれw
992アーニー×サヤの人:2013/06/07(金) 10:12:03.89 ID:etS1iu12
GJありがとうございました。
3部に入って目覚めたのは、仕事人ではなくSの意志……。
1〜2部辺りとの声音を使い分けたり出来そうだな。

葵さん……葵さんかぁ。
UXでしか知らないけど、いわゆる肉食系ってヤツなのかな。

――

 蛇に睨まれた蛙というのは、こういう状況を言うのかもしれない。
「あの、ですね、葵さん」
「何よ」
「何故僕は葵さんの部屋に監禁されているんでしょう?」
「鍵を閉めてるだけで、別に手足縛ってる訳じゃないでしょ」
 そういう問題かなぁ、とアーニーは力無く笑う。怒るなり力ずくで出て行くなり方法はあるのだろうが、そんな気力は出て来なかった。
(下手に動けば、何をされるのか解らないな……)
 話がある――そう呼び出されてのこのこと部屋に入ったのが、運の尽きだった。もう少し警戒すべきだったのだろうが、一緒に戦う仲間同士で滅多な事を想像する方が無理な話だろう。
「話って、一体何ですか?」
 飽くまでも自分は話をしに来ただけだ。そのスタンスを示すが、葵は鼻で笑う。
「話だけで済むと思う?」
 肯定も否定も出来ない。
 じりじりと葵がアーニーに迫る。
「あ、葵さん?」
 後ずさった足が、ベッドの端に引っ掛かった。そのままベッドに倒れ込む。
 慌てて身体を起こそうとするが、葵の腕がアーニーを押さえ付けていた。
「葵、さん?」
 赤みがかった髪が、アーニーの顔をくすぐる。
「あなた、まだサヤとは何もしてないんでしょ?」
「へ?」
「サヤの事好きなら、さっさとモノにしちゃえば良いのに」
「そっ、そんな事出来る訳ないですよ! サヤさんは僕の大切なパートナーです!」
「だから、何もしないって訳?」
 ニヤニヤと笑いながら、葵が顔を近付ける。押し退けようとするが、上手くいかない。
「葵さ……ッ」
 やめてくれ、の言葉は葵の唇で封じられた。愕然とするアーニーの口内を、葵はじっくりとなぶる。
「ん……。もしかして、キスも初めて?」
「そういう訳じゃ、ありませんけど……」
「ふぅん。その割には、ウブな反応ね」
 葵は意地悪く笑った。
「どうしてこんな事を?」
「別に、理由なんて無いわ。強いて言えば、面白そうだからよ」
「そんな理由で、僕を――ん」
 貪るようなキスが、アーニーを押さえ付ける。唇が離れる頃には、抵抗する意志はもう殆ど残っていなかった。
「葵さん、これ以上の事は……」
 最後の気力を振り絞るが、葵は聞かない。くすりと笑って、アーニーの服に手を掛ける。
「やっぱりあなた、真面目よね。少しは気楽に考えなさいよ。サヤとの前に練習出来るとかさ」
「無茶な事言わないでください――ッ!」
「……へぇ、やっぱり軍人さんだけあって、良い身体してるのね」
 どこを触ってそんな評価になるのか――漏れそうになる声を抑えながらアーニーは思う。
「ほ、本当にマズイですって! う、く……!」
「身体は正直みたいよ? ほら、あなたも素直になっちゃいなさいよ」
 アーニーの目の前で葵が服を落とし、均整の取れた肢体が露わになっていった。

――

2部アーニー相手だとこんな感じになるんかな。
993名無しさん@ピンキー:2013/06/08(土) 01:30:54.83 ID:Il/9dm50
GJ!
葵さんはエロパロの救世主やで
994名無しさん@ピンキー:2013/06/08(土) 02:45:45.21 ID:ijFmo6ar
>>993
つーか、ロボットアニメ界でもエロゲー除けばあそこまで公式ビッチな人いないからな……
995名無しさん@ピンキー
ああ、ビッチカワイイとか言われてるのはそのせいだったのか……